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政府委員(
原隆之君)
建設省からは二枚の紙を御提出申し上げております。新
エネルギー導入施策の
実施状況についてというものでございます。
私
ども、
各種公共施設や
都市開発を預かっておりますので、
便宜事業ごとに
整理をさせていただきました。
まず
道路事業関係でございますが、
太陽光や
太陽熱の
道路施設などにおける
利用を推進するということでございまして、
一つ目にございますように
太陽光発電による
案内標識や
照明灯などの
道路施設への
電力供給を
実施をいたしております。
これは、夜
自動車を運転された場合に、カーブなんかがありますとどっちへ曲がっているのかということを
ドライバーの
皆さんにわかっていただくために
視線誘導装置というものがございまして、これは
反射式のものと
自発光式のものとがあるわけでございますが、
反射式のものでございますとヘッドライトの光が当たらないと戻ってこないわけでございますから、実際にくねくねした山道などでは常にその曲がり角全部に光が当たるわけではございませんので、
自発光式の
視線誘導標が必要なことは当然のことであるわけでございますが、そういったものが大変多うございます。これに
太陽光発電の
装置を加えまして、
夜間みずから光を発して
ドライバーの
方々に安全に運転していただくという
装置をしておりまして、これは全国でも数百カ所にわたっておるわけでございます。
また、
照明関係で申しますと、諸
先生方いつも御
利用いただいていると思いますが、例えば
首都高速道路の
レインボーブリッジの一番高い塔のてっぺんに
太陽光発電の
装置を取りつけまして、あの
レインボーブリッジの
照明の二割から三割
程度を賄っているというものがございます。
また、
トンネルの
照明ということにおきましては、
トンネルは御
案内のように外の明るさと中の明るさとの
相対関係というのが運転の
安全性という
観点からすると非常に大事でございます。明るい外から暗い
トンネルの中に入りますと視野が非常に限られてまいりますので、明るいところから徐々に徐々に暗くなっていくということが必要であるわけでございます。したがいまして、
夜間でございますとか雨天の場合でございますとか、外が比較的暗いときは中の
照明も比較的暗くていいわけでございますし、それから外が明るいときは
トンネル内の
照明も、特に
入り口に近いところでは明るくしておくという必要があるわけでございます。
したがいまして、
太陽光発電、
太陽の光がさんさんと降り注ぐ外が明るいときには、それを
トンネル内の
照明、特に
入り口付近の
照明を強化するというふうに使うということによりまして、これは言ってみますれば蓄電なしに
発電したものをそのまま
照明に使えるというようなこともあるわけでございまして、そういった
トンネル内の
照明というものにも
活用をするようにいたしているわけでございます。
それから、
太陽熱の蓄熱による
路上融雪などを行う
ソーラーエネルギー活用システムの
試験施工の
実施。これは夏の間、非常に暑いわけでございますから、この熱をヒートパイプを
利用いたしまして地中に蓄熱をしておきまして、冬、雪が降りましたときに、この熱をまたヒートパイプを逆に使いまして取り出しまして消雪に使うというものでございます。これはなかなか大
規模に
実施できるという
段階ではございませんで、
試験施工をいたしております。
現在、米子
自動車道の蒜山のサービスエリアというところで試験的に
実施をいたしておるわけでございますが、
自動車が走行したり駐車したりするスペースは、これは例えば地下水を散水いたしまして雪を消します。しかし、
自動車をおりた
方々が例えばサービスエリアのレストランにお入りになるというときに、歩いていかれるところはまさか水でびしゃびしゃにするわけにはまいりませんので、今申し上げました夏の間に蓄熱をしたものを名取り出してそういった歩道部分の融雪に使う、こういうようなことを試験的に
実施をしているわけでございます。
二番目に、
平成七年度には遮音壁を
利用したソーラー
エネルギー活用を重点的に
実施する、こうございますが、特に東京外郭環状道路などのように非常に幅員の広い道路になりますと、歩行者のための地下道がございます。そういったところは幅員が広いために昼でも中は暗うございますので、そういったところに
照明をする。これは遮音壁に取りつけました
太陽光発電装置によりまして賄うというようなことを重点的に
実施するということにいたしているわけでございます。
次に、河川
事業関係でございます。
太陽光の河川管理
施設における
利用といたしましては、樋門や樋管の開閉
装置や雨量・水位観測所などへの
電力供給ということがございます。
樋門、樋管と申しますのは、例えば小さな川が大きな川に合流をするというときに、小さな川と大きな川とでは水位が高くなってくる時間が違うわけでございます。大きな川、本川の方が水位が高くなったときには水門をつけておきませんと枝川の方に水が逆流をしてしまいまして洪水を起こすということになるわけでございますから、小さな川が大きな川に合流するときには樋門とか樋管とかという水門、ゲートをつけるということが必要になるわけでございます。
こういったゲートの操作というものに
電力を要するわけでございますが、比較的人里離れたところにあるわけでございますから、そこまで
電力線を引き込んでいくというのはなかなか容易ならざる事態も予想されるわけでございますので、こういった際には、現場でもって
太陽光発電をいたしまして、蓄電をいたしまして必要なときに操作をするための
エネルギー源にするというようなことが必要になってくるわけでございます。あるいは、山の中で雨量をはかったり河川の水位をはかったりするというためにも、これまた同様に
太陽光発電が有効に
活用できるということに相なるわけでございます。
それから次に、地すべり
対策事業による排出水熱の
利用でございます。地すべりの
対策といたしましてはさまざまな工事方法があるわけでございますが、その
一つには、地すべりをするのは地下水があるからでございまして、地下水を抜きまして地層間の抵抗をふやしまして地すべりをとめるという、井戸を掘る工法があるわけでございます。そういたしますと、地中から比較的水温の一定した地下水が得られるわけでございますが、そういった地下水を集めまして冬期間、道路の雪を解かすのに
活用するというようなことを
実施いたしているわけでございます。
その次に、公園
事業関係でございます。
これは先ほど道路
関係で御
説明を申し上げましたように、公園の中の
案内標識でございますとかトイレの
照明でございますとか、あるいは園路の
照明灯でございますとか、そういったところに
電力源として
活用する。あるいは公園特有のことといたしましては噴水のようなものをつくる場合に、噴水は水を噴き上げるために
エネルギーが必要になってまいります。そういったことにも使うという特有の使い方もあるわけでございます。
次に、下水道
関係でございます。
下水道も道路、公園と同様に
太陽光発電による
処理場内への
電力供給という問題がございますが、下水には特有の未
利用エネルギーと申しますか、新
エネルギーの
活用がございます。
一つには、下水熱の
地域冷暖房
施設への
利用でございます。これは、例えば後楽園のドームの近くに東京の下水のポンプ場があるわけでございます。下水と申しますのは、家庭排水あるいは家庭の汚水が中心でございますから、自然に存在する水よりはかなり熱が高いわけでございます。その熱を
活用いたしまして
地域冷暖房
施設の熱源として
活用するということが、今申し上げました後楽園のポンプ場等で現実のものとして
活用をされるような
段階に至っているわけでございます。
それから、下水汚泥の有効
利用というものがまた特別のものとしてございます。先ほ
ども御紹介ございましたように、下水汚泥の処理をする場合には消化
ガスと申しますか、メタン
ガスが発生をいたすわけでございます。このメタン
ガスを
活用いたしまして
発電をするというのが、全国で現在十七カ所ほどで
実施をされております。東京の小台
処理場でございますとか横浜市南部の処理センターなどでは千キロワット
程度の
発電機が数台稼働するというような
状況になっております。
次に、五番目が都市整備
関係でございます。
これは
公共施設と申しますか、
都市開発をする場合の民間の建築物に対しまして新
エネルギーの
活用を促すという
施策になるわけでございます。
一つには未
利用エネルギー活用型の
地域冷暖房
施設のシステム設計費の補助をいたしまして、できる限りシステムの中に組み込むようにお勧めをしているわけでございます。残念ながらまだ実績がないわけでございますが、今年度、北九州市の小倉の都心地区でこの
補助制度が
実施をされるという予定になっているところでございます。
それから、環境共生都市
施設に対する税制上の特例
措置というのがございます。先ほ
ども申し上げましたように、河川や下水処理水の都市排熱を
利用して、
皆さんが共同してヒートポンプや熱交換器
施設をつくってくださいというものでございまして、その場合には税制上の特例
措置を設けますというものでございます。
それから三番目には、大
規模コージェネレーションシステムを
活用したり、あるいは
地域冷暖房に
発電所の
余剰エネルギーを使ったりする場合の日本
開発銀行による融資を
通商産業省と共同で
実施をいたしているわけでございますが、そういったこともいたしておるわけでございます。
それから、再
開発事業で
コージェネレーションシステムを
導入するということを全国で八地区
程度で現在いたしているわけでございます。業務系を中心とした再
開発事業におきましては、共益費で設備費を回収することになるわけでございますが、比較的御理解が得やすいということで業務系の再
開発を中心に、現在八カ所で
コージェネレーションシステムを
導入する
事業を
実施しているわけでございます。
次に、
住宅関係でございます。
一つは
太陽光、
太陽熱の
利用促進ということで、ソーラー
住宅に対する
住宅金融公庫の割り増し貸し付けをいたしております。これは
太陽光発電装置を備えた
住宅、先ほど
通商産業省の方から御
説明ございましたように、さまざまな
補助制度で
促進をしていただいているわけでございます。これらを
設置される
方々に対しまして割り増し融資をいたしているところでございますが、まだ比較的コストが高こうございますので、御希望される
方々が余り多くはなっていないというのが現状でございます。むしろ
太陽熱温水器
設置に対する割り増し貸し付けの方が、例えば
平成五年度実績で申しますと一万一千件弱というようなことで、かなりの
利用がなされているということになっております。
それから、
太陽光、
太陽熱の公的
住宅団地における
利用といたしましては、
一つには団地外の
施設、先ほど道路や公園のところで申し上げましたような公的な
施設の管理の
電力といたしまして
太陽光発電を
利用するということも積極的に
実施をいたしておりますし、それから
太陽熱を
利用して給湯設備を
導入するということを全国で三カ所の団地で
実施をいたしております。
住宅・都市整備公団がつくばの桜団地というようなところで
実施をしておりまして、
太陽熱を
利用して全住戸に給湯をするというような試みをいたしているわけでございます。
それから
最後に、官庁
施設関係でございます。
先ほど
通商産業省の方からも御紹介がございました、
工業技術院はつくばでもって
太陽光発電を
実施いたしておりますし、それから
太陽熱を
利用いたしまして給湯や空調に
利用いたしている例といたしましては、
通商産業省の本館その他という例があるわけでございます。
以上でございます。