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猪木寛至君 私は、この
委員会初めての質問に立たせてもらいます。よろしくお願いいたします。
そして、きょうの
災害対策基本法の一部
改正の
法律案の資料に目を通させていただきました。とにかく
改正することは大いに結構だと思うんですが、何となく一部ということじゃなくて、もっと抜本的に大幅に
改正しなきゃいけない点が多々あるんではないかなということを感じております。
私自身の質問に対しては、もう既に幾つか同僚議員からの質問があったので、重複しますので避けますが、私もちょうどこの三月にアメリカに行ったときに、昨年のちょうど
神戸の大震災と同じ日に起きたノースリッジの地震の
状況を視察してまいりました。
そのときに、七ページに余るほどのレポートをちょうどカリフォルニア・ステートユニバーシティー・ノースリッジ助教授の広田昭子さんという方がまとめて提出してくれたのですが、その中に、そのときの地震の
状況と、それからまたそのときに起きた逃げ惑う人たちの
状況とか大変細かく報告をしてくれまして、そしてその後においての住民のいろいろなトラブルというか、あるいは
被害を受けた家の補修とか住民の中にいろんな問題が起きていること、そんなことをレポートしてもらったんですが、全部読み上げるわけにいかないのですが、ちょっとここで読み上げさせていただきたいと思います。
カリフォルニア州では八九年のサンフランシスコ地震で緊急連絡網が確立していなかった事と救援隊がきちんと指定されていなかった為、対処が遅れた事を反省して、五十六人組織の救援隊を八組作り、また外国への救援を依頼するかどうかの判断をする責任のある国務省への連絡まで含む情報伝達網を確立しました。
水道の本管が壊れた場合に備えて、消火ヘリコプターと水タンカーを二十四時間待機させる制度も作りました。毛布、食料、救急医薬品が指定された公園やリクリエーションセンターに常備されました。そのお蔭でノースリッジ地震への対処は迅速で、ガス漏れからの引火で全焼、半焼家屋があったものの、すべての火事が八時間以内で消されて、ヘリコプターからの投水が効果的だと実証され、建物などの中に閉じ込められた人々は皆七時間以内に救い出されました。クリントン大統領がノースリッジ地震の一周年記念日にうちの大学に来て演説したのが
神戸地震から二十一時間後だったんですが、聴衆と共に
神戸で亡くなった人々の為に黙祷を捧げ、在日本米軍の援助を日本
政府に申し出、連邦
政府緊急
対策片(フェデラル・エマージェンシー・マネジメント・エージェンシー)の役人を数人日本
政府の
対応について助言、援助する為に派遣すると発表しました。その場にはカリフォルニア洪水視察に二、三日前から来ていたFEMAの庁長、
住宅・都市開発省
長官、
交通省
長官も出席していました。アメリカ
政府は決定権が大統領や各団体の長に集中しているという利点があるとは言え、本当に行動が速いです。
ロスアンジェルス
地域で「ザ・ビッグ・ワン」と呼ばれるマグニチュード七以上の大地震が今後三十年以内に起こる
可能性は八六%、マグニチュード六以上の地震が起こる
可能性は一〇〇%だそうで、こちらでは大地震で建物や高速
道路等がどこか倒壊するのは不可避とし、人命を救う事、地震後の
被災者のライフラインを
確保する事を第一に
考えているようです。
去年ノースリッジの
被害を視察に見えた日本の
建設省のお役人や科学者は「日本のデザインはこんな物ではなく、絶対安全だ。」と豪語して帰られましたが、アメリカのこういう人命尊重、緊急
対策については何も学ばなかったようです。今回緊急
対策がのろかっただけでなく、科学先進国でお金持ちの日本が救援
作業装備、光ファイバーカメラ(瓦礫の中に閉じ込められている人間を見透かす事ができる)、捜索犬、緊急医療隊、医療品等を備えていなかったのを見て、アメリカ人はむしろあっけにとられています。今回の大震災で、少しは謙虚になって、緊急対処の体制作りをしてくれるように願っています。建物や
道路なんて、いくらでも建て直しが出来ます。ぺしゃんこになって人をつぶさない事、人がそこから脱出出来る事が一番大切ではないでしょうか。それに日本のように木造家屋が密集していて、
道路が狭い国で、消火へリコプターを用意していないというのが変ではありませんか。救援隊もヘリコプターで行けば
道路が
通行不可能になっても学校の校庭とかに降りられる筈です。という、全文は読み上げませんが、そういうことがあったんです。
いかがでしょうか、ノースリッジが一年前にあったわけですが、そういうことの教訓というのは何かあったんでしょうか、あるいはアメリカから学んだことがあるでしょうか。