○今井澄君 日本社会党・護憲民主連合の今井澄でございます。
国保法の
改正等について
質疑をさせていただきますが、まず最初に、
国保の意義について一言申し上げておきたいと
思います。
どうも
国民健康保険というのは、低
所得者が多いとかいつも財政が赤字が多いとかということで何か
保険の中で厄介者扱いをされてきている。だけれ
ども、これはやっぱり大変間違った
考えじゃないだろうかと思うわけです。それは昨今言われておりますように、
地域保健としての重要性ということ、特に
高齢化が進むに従って、あるいは今また少子化が問題になっているところで、
地域の重要性ということが非常に強調されている中におきましては特に
地域保健としての
国保の
役割というのは大きいわけですが、それだけではなく、
国保の諸活動の歴史的な意義というものを
皆さん方にやはり
思い起こしていただきたいというふうに私はまず最初に
思います。
実は、
国保が非常に困難な問題を抱えているというのは、確かに最近
高齢化が進むに従って特にそうなったわけですが、何も今そうなっただけではなくて、発足当初から農民を主体とする
国保として財政的に非常に厳しいという問題は抱えていたわけであります。そうであるだけに、
国民健康保険は、
国民健康保険法第八十二条に
保健施設活動をすることができるという規定があって、当初から健康づくりとかそういう
地域の諸活動に取り組んできたということは非常に大きいことだと思うんですね。
特に、その
保健施設活動という中で
市町村に
保健婦を置いた。今、
市町村にいる
保健婦はもう普通の
市町村の
保健婦だと
皆さんお
思いでしょうが、これは昭和五十三年にそういうふうに移管がえになったわけでありまして、昭和五十三年まではこれはもうほとんどが
国民健康保険の
保健婦だったわけですね。
ですから、
国民健康保険制度は単に
医療の
給付を行うというだけではなく、
住民の健康をいかにして守り増進するかということを発足当初からやってきた、まさに今
老人保健法あるいは新ゴールドプラン等の中の精神を発足当初からやってきたということ、これは
国民健康保険の持つ重要性として私
どもは
認識しなければならないので、財政的に苦しいということで何か厄介な
保険だという
考えをまず捨てるべきだろうというふうに
思います。
もちろん、
国民健康保険以外の
健康保険も、健保組合にしましても、私など入っておりました共済、
市町村共済にしましてもいろいろやってきているわけですが、こういうところのやってきた
保健活動はまたちょっとも色が違っていまして、有名な観光地、保養地に保養
施設をつくるとか、組合員がそういうところを安く利用できて非常にゆとりのある
生活ができるとか、それから入ったときには薬箱をいただきまして、その中に救急薬とか風邪薬とか入っていて自分の健康はちょっとしたことは自分でやりなさいというふうなこともありますし、また血圧計などを非常に安くあっせんしていただきまして、そういう
意味ではもちろん組合員の健康を守る活動をやっているわけでありますが、
国保の場合は今言ったような
保健婦というもので活動している。
もう
一つ、
国民健康保険は
国民健康保険直営の病院や診療所をつくりました。これは戦後、
国民健康保険制度ができるに当たって、
保険あって
医療なしということで、
保険証はもらうけれ
どもかかる
医療機関がないということで、全国津々浦々に病院、診療所をつくってやってきたのも
国民健康保険であるわけです。
既に
高齢社会の中で有名な病院、新ゴールドプラン、ゴールドプラン
関連で今どこを挙げるかというと、だれでも文句なしに広島県の御調町の病院を挙げるだろうと
思います。ここはまさに
国保の病院であります。またさらに、以前を振り返ってみますと、乳幼児
医療を無料化する、老人
医療を無料化する、自分たちで自分たちの健康を守った村として本にもなっている岩手県の沢内村、この沢内病院も実は
国保病院であります。かく言う私も、実は二十年間
国保の
地域医療で病院に勤務して、長野県の諏訪中央病院というところでやってきたわけです。
今、例えばこの新ゴールドプランに
関連して
地域医療活動をやっている病院御三家というのがあるんだそうですが、これは宮城県の涌谷町、それから新潟県の大和町、それから広島県の御調町、そこに病院があってやっている。私の仲間ですけれ
ども、できれば四天王として諏訪中央病院も加えていただきたいなと思っているわけですが、それはそれとして。
こういう病院においては、診療報酬
制度の中に訪問看護
制度とかそういうのがない時期からやってまいりました。私の病院でも、訪問看護をやっても一銭にもならない時期から、朝通勤のときにあるいは帰りの途中に看護婦が寄ったり昼休みを活用したりいろいろやってきているわけです。そういうものが今日の新ゴールドプランの具体的な在宅
医療の礎を築いてきたということもあるわけです。
大臣は長野県御出身ですからよくおわかりだと
思いますが、
大臣のおひざ元にはもう世界に有名な佐久総合病院があり、農村
医療を展開してきております。これが長野県の
地域医療、健康づくりに大きく貢献してきていることは言うまでもありませんが、同時に、そのすぐ近くに
国保の浅間総合病院があります。また、
保健婦等が非常な活躍をしている南牧村あるいは北御牧村、あるいは病院では
国保依田窪病院というのが
大臣のおひざ元にあることも御存じだと
思います。
長野県ではそういう
国保の病院、診療所、全部で五十余りありますが、
市町村の
保健婦、かつての
国保保健婦と一緒になって
地域住民の健康を守る活動をやってきた。一方で厚生連があり、今長野県は男は日本で一番長生き、女性は三番目に長生き、そして
老人医療費はつい最近発表されたところでは日本で一番少ない、一番高い
北海道の半分、こういうふうな
状況になっているわけであります。
こういう
国保の持っている
意味ということ、特に
高齢社会の中で
国保が果たしている重要な
意味というのを踏まえた上で、しかし非常に困難な問題を抱えている、どう
解決するかということについて
質疑をしていきたいと
思います。
私は、基本的に今回の
国保法等の
改正につきましては、いろいろ問題があるにしても基本的には賛成し支持する立場からやっていきたいと
思いますが、残念ながらこれは暫定的な
改正にすぎないというところで、先ほどから抜本的な
改正、一元化問題を含めて
議論がされていると
思います。
そこで、まず一元化問題、先ほど
大臣からもお答えをいただいたんですが、
厚生省の方も昭和六十二年当時はこの一元化問題を高らかにうたいとげていたんですね。そして、六十二年の年末には老人
医療制度の改革、いわゆる加入者按分率を引き上げるという改革を行ったところで、これで一元化に向けて大きく前進したと誇らしげに、確かにそういうふうに当時は
考えたわけですね。ところが、その後この一元化問題は一向に進まない、
厚生省の方も口を閉ざして語らないということがこの五、六年ずっと続いてきていると思うんです。
そのことに対して
国会の方では、これは平成二年ですか、衆参の当時の社労
委員会、両方とも一元化に向けて取り組むべきであるという附帯決議をしておりますし、今
国会においても去る三月十五日、
衆議院の
厚生委員会において附帯決議をしたところであります。
もう既に
大臣から前島
委員、宮崎
委員の御質問に対してお答えがあったので簡単で結構なんですけれ
ども、
大臣からお答えいただく前に、まず今回の
改正について三点ほどお尋ねしたいんですけれ
ども、一元化問題というのは何かというと、
負担と
給付の
公平化を図るということですね。
国保はまだ三割自己
負担ということがあるわけです。
そういうことで三点お尋ねしたいのは、まず一点、今回の
改正においては
給付の
公平化、要するに七割
給付を引き上げることについては全然考慮されていないけれ
どもどうしてかということです。それから二番目には、じゃ
負担の方の不公平の是正については今回の
改正の中で図られている点があるのかということ。それから三点目は、例の
老人医療費の拠出金算定の二〇%問題について、二%の改善が行われるわけですが、このことによって一元化に向けて何か条件がよくなるのか、前進するのか、その点をお答えいただきたいと
思います。