○今井澄君 今、
大臣のお考えをお聞かせいただいて大変安心をいたしました。
ところで、
公的介護保険につきましては、先ほどの清水委員の御質問に対してまだスケジュールは決まっていないとお答えになられましたが、スケジュールが決まってはいないということは確かにそのとおりかもしれないと思います。しかし、常々
厚生省の高官がいろいろな研修会等で発言される中では、来年、
平成八年度に法制化して九年からスタートさせるということはもう半ば公然の事実のように語られ報道されているということがありますが、私はそれはもっともだと思うんですね。
それは、先ほ
ども新ゴールドプランをさらに充実させるためにどうするかというと、来年の九月三十日、消費税率の見直しの時期、その時期までに必要なものはやっぱり出していくという必要があるし、そのために法律や何かを整備するとすれば、ことしいっぱいぐらいにまとめて来年の通常国会に法律を出さなきゃならない。また事実そのとおりだと思うんですね、介護保険制度も公費をどうするかという公費
財源の問題も当然あると思いますので。ですから、それは
厚生省の方が言った言わないは別として大変急ぐ問題である、ことしいっぱいぐらいにある
程度の方向を出さなければならない問題だと思うんです。それで今
老人保健福祉
審議会にかけておられるんだろうと思います。
実は、ここで一つお願いをしたいことは、これは全
国民にかかわる問題なんですね、何もこの問題だけではありませんが。とかくこれまでのやり方は、何か
審議会に語る、それで
審議会から答申をいただいて法案をつくる、これは
国民だけではなく我々国会議員にとっても、どうも間際になって出されてくるという
傾向が強いんですよ。
審議会の
審議というのは、これはいろいろなことがあってなかなか公開にされていない。公開すると本音をしゃべりにくいだろうとかいろいろなことがあって非公開になっていることなんかがありまして、議論がわからないんですね。
厚生省の御返事は、今答申中であります、御
審議をいただいているところでありますと。やっぱりこれではちょっと今度の問題はまずいというふうに思います。
そこで、ぜひ情報公開をしていただきたいということで、まず十二月に出された研究会
報告が公開されました。それにまつわる
資料集も公開されております。今度の
審議会の一々の議論が公開されないにしても、そこでの
資料だとか討議の方向はやはり出していただきたいと思うわけです。実はそういう点から考えまして、この介護保険の問題の最終的な落としどころは、まことに残念ながら
日本においては北欧のような税方式をとることについては相当時間がかかって難しいだろう、急いでやっていかなきゃならないとすると私は社会保険方式しかないのかなという感じはいたします。
しかし、それにしても例えばこの十二月に出された研究会
報告は、前段は大変すばらしい分析が続いてきてケアマネジメントのことまで書いてあるわけですが、介護保険にきたときにいきなりぽんときて粗雑なような気がするんですよ、かねがね申し上げているんですが。いろんな議論がされて、どういう方式があるかを比較検討した上で社会保険方式がいいというふうな議論の組み立てになっていないということがあります。
そこで、きょうは時間の許す限り若干その点を議論させていただきたいと思うんですが、まず第一に、先ほどの清水委員の御質問に対して介護保険のメリットとして三点挙げられました。この十二月の研究
報告では、「公費一
措置)方式との比較」として四点挙げられております、大体中身は同じなわけですが。
ここでの問題は、まず
措置制度の問題です。私も
措置制度がいいとは思いませんですね。もうそろそろこういう社会において
措置制度は乗り越えていかなければならないと思います。しかし、この研究会
報告でも非常にこれが粗雑だというのは、公費による給付の方式は
措置制度だけじゃないんですね。
措置制度というのは、公費による、税方式による給付方式の一つにすぎないんです。にもかかわらず「公費(
措置)」というふうに書いてあったり、
措置制度が悪いから社会保険方式だという議論というのは非常にこれは粗雑である。公費による方式もいろいろあるわけですね。
この研究会
報告を見ましても、ケアマネジメントはイギリスから学び、ケアプランについてはアメリカから学び、介護保険はドイツから学び、世界あちこちから学んでいるんですから、じゃ公費による方式は、取り入れるかどうかは別として例えば北欧から学んでみると、そういうことをやっていかないとこれは
国民に対して議論を呼びかける情報公開にもならないわけですね。
そこで、
措置制度のデメリット、つまり社会保険方式のメリットとして幾つか挙げられましたけれ
ども、例えば一つは、
措置では選択ができないが社会保険方式では選択ができる。果たしてそうなのかどうなのか。これはどこまで議論されたかということですね。
日本で
措置制度だから選択ができないというのは、例えば
老人ホームにしても何にしても、これは数が少なくて待ちが多いから選択どころの話じゃないということがまず一つあると思うんです。一方、同じ
措置でも保育園の方は結構選択ができることはできるんですね。これは幼稚園にするか保育所にするかという選択ができる。保育所にしても、私のいる市なんかは
人口五万ないのに十七余りあって、その中で低年齢児保育をやっているところもあるし延長保育をやっているところもあるのでそういうところを選択できないことはないんですね。
措置だから選択ができないという、これは全く論理的に間違っているというふうに私は思います。
社会保険方式なら選択できるというけれ
ども、果たしてそうだろうか。社会保険方式にしても、例えば身体障害を持ったあるいはぼけてきたお年寄りにとってみれば一番近くを選ぶしかないという
意味では、これが選択と言えるのかどうかという面だってあるわけですよ。医者を選ぶ場合だって、大体どうして医者を選ぶかというと、近いからというのが一番多いんですよ。六、七割は近いところを選んでいるんですね。
そういうことを考えますと、こういうふうに選択ができるかできないかでいきなり
措置か社会保険方式がと出してきているのは、私は論理的に間違っているというふうに思うんです。
それからもう一つ、例えば
措置は心理的な抵抗があるというのも、これも違うんですね。これは特養に対して心理的な抵抗があるんで、
病院だったら何となく大きな顔をして預けられるというだけの問題で、これは事
老人問題に限ってのことなんですよ。
老人問題は、年をとるということが恥ずかしいあるいは
老人になることが恥ずかしいという気持ちがあることなんですね。だって、同じ
措置だって保育園に入れるのは恥ずかしいなんて全然思いませんよ。私は医者でやってきましたけれ
ども、幼稚園もありますけれ
ども子供三人全部保育所に入れました。これも選択ができるわけですね。収入があっても保育所は預かってくれるわけですよ。
そういう
意味で、やっぱり
措置制度の欠点では必ずしもないんですね。これはサービスの量やサービスの仕方によるわけであって、
措置制度イコール公費で社会保険方式とは違うんだという論理は成り立たないということ、このことを私は主張したいんですけれ
ども、どう思われますでしょうか。