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清水達雄君
我が国の
経済状況を見ていますと、やっぱり極端なデフレ
経済というのが、もう
我が国の今苦しんでいるいろんな問題の根底に全部このデフレ
経済という面があるというふうに思っているわけでございます。
まず資産デフレ、土地や株の値段がどんどん下がる、それによって金融不安ということにつながってくる。それから、
円高も関係ありますけれども、いわゆる価格破壊と言われるような安値売りという
状況が非常に進んできております。それから
企業につきましても、いわゆる資産価格がどんどん減っていっている、土地や株の。ところが、
借金の方は減らないという、つまりバランスシートがどんどん合わなくなって差が大きくなってきている。
それから、
円高でコストダウンをうんとやらなきゃならない。それから個人につきましても、土地や株や住宅などの値段が下がっているけれども
借金は減らないというバランスシート問題がやっぱりあるわけですし、
企業の収益が非常に悪いから賃金は上げられないということになるし、雇用につきましても、リストラで人員整理をするとか、あるいは新規雇用を減らすとかやらないとかというようなことになってくる。税収につきましても、きのう岡部先生からお話があったように、いわゆる実質GDPと名目GDPの差がないものだから、要するに税収の面でも非常に苦しい。しかも、GDPに関係ないような土地や株の取引というのが非常に減ってきているというような問題もある。
要するに、デフレ
経済というものを転換させていかないと、つまり
経済の基調を変えていかないと、私は
日本経済の本当の
復興は進んでいかないんじゃないかというふうに思うわけでございます。すべてそういうことが消費や投資の低迷であるとか
財政危機の根源になってきているわけだと思います。
この際、
経済の基調を変えるようなダイナミックな政策をやろうとした場合に、やっぱり大きな柱として積極的な
財政支出というのがあると思います。これは国債
発行額が非常に大きくなっているから、もうそうできないじゃないかということはありますけれども、今までにも物価が非常に上がったときは物価
調整減税というようなことをやったわけですよ。今、物価が上がらない、むしろ下がるというふうな
状況になってきているから、物価
調整増税をやったっていいと思うんです。これは消費税の値上げ、税率の引き上げということにつながるのかもしれませんけれども、そういう選択をしてでもつまり内需振興をやって
日本の国内
経済を充実してきちっとしたものにしていくか、あるいは
空洞化を我慢して、もう
空洞化でもいいやというふうにしていくか、そういう選択というのがやっぱり
財政支出問題にはあると思うんです。
これはやっぱり
国民の間でよく考えてもらうということで、そのためには、相当な部分は建設国債でいくけれども、あとはやっぱりある程度増税策も考えるというふうなことも踏まえて、ただ
景気の悪いうちはだめですけれども、
景気が
回復したらそういうことも考えたっていいんじゃないかという
感じがします。
それから、公的
資金の投入を含めた
不良債権の
処理の問題でございます。これはやっぱり非常に値下がりをしております。土地などは三分の一ぐらいになっちゃっているから、これをいわゆる損切りをしてやるということになると、会社の赤字が物すごく大きくなっちゃうからできないということがあるわけです。
だから私は、損切りの程度を小さくして塩漬け機構みたいなものをつくったらどうかということです。今の時価評価をすれば、三分の一ぐらいになるのを半分とかなんとかにして、もちろん買い戻し特約をつけて、塩漬け機構に土地をいわば預けるみたいなものだと思うんですけれども、やると。これは前の昭和五十年のときなんかも、
企業の中ではかなりこういうことがやられたわけですよ、今でもやられていると思いますけれども。こういう機構に対して日銀が低利融資をする、今公定歩合が非常に低いですから。そういうふうなことで公的
資金も使いながら、やっぱり重い荷物をある程度おろしてやらないととてもだめじゃないかなという
感じがします。
二つの信用組合問題が出てきましたけれども、ああいう形で具体化したものになりますと、だれが高金利で金を貸したとか、だれがそれを借りて使ったとかというふうな話ばっかりになっちゃって、やっぱり全体としての
不良債権問題にどう取り組むかということをやらないとだめじゃないかなという
感じが非常にします。
それからもう
一つは、厳しい土地税制の適正化でございます。三二・五%に長期譲渡所得課税率を引き下げましたけれども、この程度では土地の流動化は進まないと思います。それから例えば、
企業が遊休土地にマンションを建てて売る場合に幾ら税金がかかるか、古くから持っている土地に、遊休化しているからマンションを建てて売るといった場合に幾ら税金がかかるか。一〇%の追加課税もかかっていますから、実効税率で六二、三%税金を取られるんです。こういうことでは東京臨海部とかなんとかにある
企業の遊休資産というのが有効活用されないと思いますよ。やっぱりそういうことをもっと思い切ってやらなきゃだめだというふうに思います。
それから
規制緩和につきまして、一千九十一項目も並べてあって、きのう松谷先生の話にもありましたけれども、あれを見ていても本当にわからない。
国民であれがわかる人がどのくらいいるだろうかと思うわけですし、外国人だってわかりっこないと思うんです、あんなものを見せたって。だから、細かいこともそれはやってもいいですけれども、やっぱり大きなこと、
経済に対して大きな効果を与えるような重点項目を挙げて、これについては、内閣としてはもう全力を挙げてしっかりやるんだというふうなことにしないと、数だけいっぱい並べるというふうなことじゃ私はだめだろうと思うんです。
何か、こういった積極的な
財政支出だとか
不良債権処理、土地税制の適正化、思い切った大きな項目の
規制緩和、こういうふうなことを一遍にやる、こういう僕は
経済対策を十四日には出していただきたいと思うんですよ。それは当面の細かい問題もあるかもしれないけれども、大きな方向としてそういうことをやるということにしないと、世の中のムードは変わらないと思います。
けさの朝日新聞か何か見ると、貿易黒字削減の数値目標の設定というふうなことが、何か自民党のどうとかなんとかというような形で出ているという話がありますが、私はこういうことには反対ですね、これ、こんなことをやるということに対しては。こんな貿易黒字削減の数値目標なんというものをつくって、一体どうやってこの数値を各産業とか
企業に割り当てたらいいのかとかという問題があるし、その千三百億
ドルあるのを五百億
ドルにするとかなんとか言っているけれども、一体幾らならいいのかということが、こんなのわかりっこないわけだし、これはこれ自身がまた外交上の問題にもなってくる。やっぱりこういうところにこういう手を、こんな仕掛けをつくるということは私は非常にだめであって、それよりも私がさっき言ったようなことをやらなきゃいけないというふうに思うわけでございます。
これは非常に大きな問題でございますが、やっぱり金が非常にかかるので、
大蔵大臣に、今の私の主張みたいなことですけれども、お考えを伺いたいと思います。