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国務大臣(
武村正義君) 御
指摘をいただきましたとおり、
公債残高に象徴されるように、
日本国の国家
財政は、大変脆弱といいますか不健全な要素が刻々強くなってきていると言わざるを得ないわけであります。
確かに、GDP対比ではアメリカよりはまだいいとおっしゃいましたが、利払い比率とか、
国債発行高とか、
予算に占める比率とか、いろんな指標で比較いたしますと、もうすべてが一番とは言いませんが、G7の先進国の中で
財政悪化の
状況は一番ないし二番という姿になってきております。
つい二、三年前までは、G7の会合ではアメリカの
財政赤字あるいはヨーロッパ各国の
財政赤字がかなり大きなテーマでありました。最近IMFの専務
理事が、毎回G7がありますと冒頭に各国の
経済状況を報告してくれるわけでありますが、
日本は、成長率といいますかようやく回復軌道に入った
状況は報告してくれますが、
財政が刻々悪化しているということを大変肩身の狭い思いで聞かざるを得なくなってまいりました。世界
経済全体の中で
日本財政の赤字というのが一つのテーマになってくるのではないか。貿易は黒字、しかし
財政は赤字、アメリカは両方とも赤字でございますが、この
状況は改めて真剣に見詰めなければならない。
そういう中に今急速な荒々しい円高が進行しているわけでありますが、そうすると震災対策にしましても円高に対しても、
財政の出動に対する期待あるいは積極的な発言は絶えず出てくるわけであります。このテーマを見詰めては私もそういう方向はやむを得ないのかなという思いでありますが、しかしこの
財政の足元の
状況を見ますと、すくむような気持ちもするわけであります。過去も恐らく
経済が悪いときには公共事業を中心にして大型補正
予算、
経済政策等、これ何回も発動してきて、その結果がこういう二百十三兆。二月までは二百十二兆と言ってまいりましたが、一兆円余の震災対策の
財源がプラス加わりまして二百十三兆という、また一兆円ふえておりますが、七
年度末はそういう
数字でございます。
単純に言えば、今景気がまだ回復過程でございますから、新
年度も大幅な減税をお願いしております。減税に対応するいわばつなぎ
国債も
予算でお認めいただいたわけだし、公共事業も建設
国債十兆円弱のそういう発行をしてまた
公債を積み上げる方向にあるわけでありますが、しかし今は
経済がまだ回復軌道だからやむを得ないと私は認識しておりましたが、やがて
経済が本格軌道に乗ればこれもなかなか展望が難しいわけで、そのときは思い切った
財政再建を
政府、
国会挙げて取り組まなければならないんじゃないか、いましばらく我慢かなと、こんな思いでおりましたが、そこへこの円高の出来でございますだけに、景気そのものの足取りがとまったり極端にダウンするようなことがあってはなりません。
そういう意味では、今御
指摘のように、あしたという意味ではありませんが、今週中には
政府全体の緊急
経済政策を総合的にまとめて発表をしていきたいというふうに思っているところでございまして、その中に
財政に対する姿勢も明らかにさせていただきたいと思っている次第でございます。
いろいろお触れになりましたけれ
ども、当面この事態の中で間違いのないような
我が国財政の
運営に最善を尽くさせていただかなければならないと思っております。