○有働正治君 熊本市及び
周辺地域、対象人口としては約九十万人でありますが、上水道をすべて地下水に依存して、水源のすべてを地下水で賄う水道事業体としては全国最大
規模であります。ここでは、地下水の減少や枯渇問題とともに汚染問題が極めて深刻であります。熊本市域の地下水の汚染問題では、汚染井戸
周辺の定期モニタリング調査結果で見ますと、九二年、九三年度とも、発がん性
物質のトリクロロエチレンで
基準値を超えていまして、全国のこの超えている数の約一割を占めている。また、テトラクロロエチレンで全国の超過数の一割から一四%と、全国の中でも突出している状況であります。
そこで、この点で、熊本市を含めまして全国的に第一の問題として私
考えますのは、こういう汚染状況について
発生源が特定されないで事実上うやむやになっている、こういう問題があるわけであります。しかも、特定されていない傾向が強まっている状況にさえあるのではないかということが国民から
指摘され、批判されているわけであります。総務庁の
行政監察での抽出調査結果を拝見しますと、地下水汚染五十六地区のうち約半数の二十八地区が汚染源特定の調査を実施していない。調査を実施いたしました二十八地区でも特定できたとしているのがわずか六地区なんです。大半が汚染
発生源の特定がなされていない、こういう状況であります。となりますと、除去するなり回復手だてがとられないで放置される。熊本の場合も何十カ所と検査はやられていますけれ
ども、除去、回復措置がとられているというのは、私も現場を見ましたけれ
ども、わずか二カ所ほどだということで、大半が残されている。全国的にもそういう状況です。
私が感ずる第二の問題として、費用の問題があると思います。つまり、発がん性の疑いがあるトリクロロエチレンやテトラクロロエチレンの有害
物質が地下水から検出されながら汚染源を調査していない大きな理由、これは、調査に多額な費用がかかる、一般に一カ所の調査に三千万円程度ということが言われていることから、自治体が財政的な事情で調査の実施が困難で、事実上手だてがとられていない。汚染源調査が進まないで汚染が野放しになってしまっている実情というのは、やはりこれは問題を残したことになっているわけで、
環境庁として土壌汚染浄化新技術確立の実証調査として幾つかのモデル事業を行って、そして自治体の地下水汚染対策を予算上一定支援されている、こういうことは私も承知しています。承知していますが、それだけではやっぱり不十分だということで、時間の関係で
大臣に端的にお尋ねします。
一つは、
環境庁が全国の地下水汚染の
発生源の特定状況を厳密に把握して、
発生源の特定を急ぐよう自治体を督励する必要があるのではないか。
第二点目に、全国の汚染された井戸の地下水汚染調査を徹底して、実効を上げるために、政府、
環境庁として、地下水汚染調査の自治体への補助制度の拡充と大幅な予算措置、これを講じることが求められているのではないか。
第三として、地下水汚染の浄化対策の現状の把握についてでありますが、総務庁の勧告でも、
環境庁に対し速やかに全国の浄化対策の現状を把握するよう求めています。汚染が深刻なだけに、浄化対策がどうなっているかを把握すること、これは第一義的な責務だと感ずるわけであります。
以上三点について、長官の責任ある積極的な
対応を求めるわけであります。