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国務大臣(
河野洋平君) 椎名
議員は外国の方々とのおつき合いの非常に多い方でありますから、いろいろ今
お話しのようなこともあるいはあるかもしれませんが、
他方、外国の人たちは
一つ一つの事柄を割合と理論的に分けて考えることもしていただけるのではないか。つまり
日本という国はわからない国だ、地震もあるしサリン事件もあるし
円高もあるしと。これは全部別々の問題なんですね。実際は地震というものまで一緒にして、地震と
円高を同列にして
説明しろというのはこれはもう全くできない話でございまして、地震はもう地震の問題であって、確かにそれは後の処理の問題がいろいろあったじゃないかということを含めれば、これはまた多少人為的な問題を含めればそういうこともあるかもしれませんが、しかし地震の問題はもうあくまで地震の問題であって、
円高の問題と一緒に
一つにして
説明をすることはなかなか困難なのではないかというふうに私は思っております。
それから、サリン事件というのも、全く悪質なこういう事件が起きたということ、これらは仮に地震が起きた後の処理の仕方が適当であっなかなかったかということと、サリン事件が起きたということとを
一つのラインの上で
説明するということは実は実際はなかなか難しいのではないかというふうに私は思っております。さらに
円高の問題はこれは全く異質の、それらとは別の問題ではないかというふうに思っているわけです。
ただ、人によっては、これは政治がしっかりしていて非常に独力なリーダーがいれば犯人も直ちに検挙したであろうし、地震の後の復旧工事も全部ブルドーザーでざっとならしたんではないかなどとおっしゃる方もあるかもしれませんが、それは全く違うのであって、復旧の仕事、復興のための準備、これらはこれらで兵庫県、神戸市あるいはその周辺の被害に遭われた地域の自治体の意見などを十分に聞きながら、しっかりと復旧のための
作業、それから復興のための準備というものは取りかかっていて、このことについて
日本がよその国と違うのではないかというふうに言われることは恐らく私はないだろう。一年たってみれば、結果として上手にやったなと言われることにぜひしたいと思って、それはそれで懸命に取り組んでおります。
サリンの事件についても、これは確かに国際的なテロリズムとの関係からいって、私もこれは相当深刻な話だというふうに思っておりますが、いまだに犯人を検挙するというところまでいっていないことはまことに残念なことでございます。かてて加えて、狙撃事件などが起こるに及んで本当に一刻も早く犯人の検挙が望まれるわけですが、これとて
日本の警察は他国の警察に比べて劣っているとは思いませんし、全力を挙げてこれはこれで
作業をして検挙のための仕事をしてくれているわけでございます。
問題は、
円高と
景気対策だと思います。この策気
対策、
円高についてどうすることが大事かということについては、これは政治が真剣に取り組まなければならないもの、つまりそれ以前の問題についてはもちろん政治も重要ですけれ
ども、警察を初めとして行政というものが相当重要ですが、この
景気対策、
円高問題についてはやはり政治が責任を持って対応するという必要があるだろうと思います。これまで一カ月近くの間、
円高にさらされてきているわけで、これまでの間、大蔵省を
中心に国際的な
協調体制をつくる、国際的な理解、
協力を求めるために努力が繰り返されたわけでありますが、今日のような
状況になりました。
為替の問題でございますから、これは
市場が決めていくということもあって、
為替のレートをどこにするかというところまで政治が決めるわけにはいかないわけですが、こういうことになってみれば
日本の
経済それ自体をどう考えるかということは政治が考えなければならないわけで、
先ほど来申し上げておりますように今週中に総合的な
対策の取りまとめをするという
状況になっているわけです。
政治それ自体について、椎名
先生は恐らく一昨日の選挙の結果を踏まえて、国民と政治との間の関係というものをどういうふうに見るかということが非常に重要だと思っていらっしゃるのではないかと思うんですが、東京、大阪の結果には実は私の立場からすれば大変残念な思いをいたしました。
私は、実は東京あるいは大阪という世界有数の大都会の
知事として、この大都会が抱えている問題を解決する、あるいはこの大都会の抱える問題をどうマネジメントするかということを考えれば、候補者としてそういうマネジメントができる、あるいは問題解決ができる有能な候補者を探すということは何より重要なことだと思うんです。私は、責任を担う政党が候補者を選定するときに、選挙に当選しそうな候補者を探すか、あるいはその問題を解決できる能力を持った人間を探すかということを考えれば、責任政党としてはやはり何といっても問題を解決する能力のある人を探すということが当然先になると思うんです。
ただ残念なことに、問題解決の能力のあると我々が信じた人が、その人の能力とか名前とかというものが周知徹底できなかったということは、そういう
意味で私は非常に残念だと思っているわけでございまして、そんなことは少し愚痴話じゃないかと言われればそれはそうかもしれませんが、我々とすれば、例えば大阪は現職の
知事さんが、再選を目指しておられた
知事さんが直前になって立候補を取りやめるということになった結果、大阪の抱える問題にきちんと対応できる人を探そうということで、結果、直前に候補者を決めるということになった。その候補者は全く知名度がなかった。その知名度を上げるという努力はしたけれ
ども、やはり横川さんの知名度、人気というものには及ばなかったということであると思います。
これは、都民が選び、府民が選んだわけですから、都民が選んだ
知事、府民が選んだ
知事というものが当選した以上はその
知事の御活躍に期待する以外にないわけですけれ
ども、少なくとも選挙に臨むに当たっては、より有能な人を探すという努力をした我々の判断というものは理解していただけなかった、わかっていただけなかったことは非常に残念だという気持ちがあるということだけは申し上げたいと思っております。
そのことが直ちに、無党派属が主流になって政党が全部否定されたんではないかというふうにマスコミに伝えられたことは私はどうも是認はできません。やはり同じ時期に県会
議員選挙、府議会
議員選挙その他の選挙があって、それらはきちんと各党の
議員が誕生をしているわけであって、それからまた東京、大阪を除けばそれぞれ政党によって推薦をされ支持されている人たちが戦って当選もしているわけでありますから、ただ単に
日本全体が無党派時代になったというふうには私は見ていないところでございます。