○猪木
寛至君 先ほど申し上げたブラジルの視察の中で、一番今歴史的にといっていいか、そういう
植林をされてきた中で永大というのがあります。大体JICAの方もみんなここへ行かれて資料をもらってくるのじゃないかなと思うんですが、非常に
実績を上げて、それを商業化して、今順調にいっているという話を聞いてまいりました。
木材の種類もたくさんあるんですが、その中で技術的な
協力なんかは宮脇
方式という、これは横浜国立大学の
先生なんですが、その人の
植林の技術というのを取り入れてやっております。これは大変技術的な問題になるんですが、非常に表土が薄いために
植林をしても
日本みたいなわけにいかない、根づくまでの技術というのが非常に大変だと思うんです。
特に、私もずっとやってきたバイオ
関係で、サトウキビの搾りかすを堆肥にするということをもう二十何年来やってきたんですが、
植林に関して三年ぐらいが
一つの山というか、そういう堆肥を非常にうまく与えてあげる、人間に例えれば子供が生まれてお母さんのお乳を飲んで成長していく、その乳離れをするまでの時間というものがすごく大事なんですね。三年から四年、その間の必要な栄養素というもの、肥料を与えてあげる、そしてそれから後は自力で根を張っていって成長していく。そうすると、ブラジルは熱帯で、太陽あるいは水に恵まれていますので、そういうことで再生
能力が非常に高いということで、幾つかの再生されたところも見てまいりました。説明を受けなければ何となく、ああ、これが本当の原始林がなと思うような再生した森を見てまいりました。
いろんな情報というのはやっぱり見てこないとわからないことがあって、アマゾンの中にある米といっても、この中ぐらいの感じの大きな木が一本どんと立っていますと、その周りには全く木がないんですね。ヤシ科の木がずっと何本があって、そしてまたしばらく行ったところにどんと大きいのがある。そういう今までは価値のある木をどんどん切り倒してしまった。
もう
一つは、やはり牧場とか焼き畑、そういうことによってどんどん破壊された土地、そこを再生していく。今、永大さんがやっているんですが、我々もそれに関連して、一ヘクタール当たり大体六千ドル要するんですね。まだ非常にコスト的に高い。六千ドルかかる。だから、苗木をうまくつくることができればもっともっとコストが安くできるのじゃないかなと。
先ほど同僚
議員から
質問がありましたが、やはり森との
関係というか、今、非常に採算性が低くなってきたために林業というのがどんどん滅びていく。林業を山の中に、何というのかわかりやすく言うと、お金を生むというか、そういうものを導入していく。
そこで、たまたま私どもが今研究していたEDSというものがあるんです。EDSの訳はエコロジー・ドライ・システムということなんですが、今まで間伐材あるいは風倒木、こういうものが野ざらしになっていて、結局それは逆に言えば成長材に対して害を与えていく。しかし、それを切りおろしてくるのにも大変手間がかかるしお金がかかる。そういうことからほったらかしになっている。
これはどういうシステムかというと、今までは、そういう木を切ってドライシステムの中に入れますと、表面だけが乾燥してしまって木がねじれたり反ったりあるいは縮んだりという、こういう木の持っている性質のためになかなか有効に使えなかった。このシステムの中でやりますと、どういうことかわかりやすく言うと、木を乾燥させていくときに、例えば魚を我々がとったときに保存するために開きにして日干しにする、あるいはそれをもっと保存しようと思った場合にかつおぶしにするというような形で木を蒸すわけですね。そうすると、非常に遠赤の効果もあって、しんまで通りまして、木が持っている繊維質とそれからリグニンという物質、繊維質は恐らく鉄筋の役をして、そしてリグニンというのはコンクリートの役割をしている。そういうことが非常にアンバランスになるために処理をしたときにその木の癖が出てくる。これで処理すると非常にリグニンの
状況がやわらかくなるというか均等化するために、製品化したときにも全然狂いが出てこない。そういうことがもう実証されているんです。
今回の神戸の大震災においても一番の問題は、木が持っている弱点というか、今回火災が多かった、それから耐震構造として非常に弱かったとか、そういうことに対してたまたまずっと長年やってきた研究が、今回の神戸の地震に対しての答えみたいな形で出てきたんですね。というのは、木は本来は燃えるわけですが、住宅にしたときに燃える欠点、それを燃えなくするという技術もありますし、そして今言ったような狂いかないということ。ですから、普通なかなか間伐材なんというのは建築材には使えないわけですけれども、これが非常に有効に使える。
ログハウスをつくる場合には一本の丸太でつくるわけですね。なぜかというと、今言ったようにねじれたり反ったりという癖があるから。しかし、これを半分に切って、それを外をきれいにしまして、組み立てていくだけで家ができる。あるいは耐震構造としては六角ハウスというのを考えまして、六角に組んでいくとハチの巣と同じように大変強い構造になる。それで、この間、本山小学校というところに一棟、我々が寄附をさせてもらって、建ててきました。大変好評なものですから、ぜひそれを五棟建ててほしいと、そしてこの四月から授業を再開したいという話があったんですが、我々もボランティアでやっていますから限界があるんです。
そういう中で新しい技術という、先ほど申し上げた
日本が
リーダーシップをとれるのじゃないかというのは、そういうようなやはり自然というものとどう調和していくか。それから、そういう
木材が持っている、要するにいいところしか使いませんから、要するに廃材になっていく部分までが非常に有効材として生かして使えるという、そういうことからぜひこういう技術を、今、
世界に知らしめていきたいということで、私みずから歩いてそういう情報を流しているんです。
先ほどそれでお聞きしたのは、政府としてはどの辺にそういう技術的な
援助をされていますかという
質問をさせてもらったわけなんです。実際、永大さんのいろんな技術提供を受けているのは、三菱とそれからパラ州の国立大学の農科大学の研究員ということで、まだまだ
国内に大変すばらしい技術が埋もれているのじゃないか。ですからそういうことで、今、私が
質問しているのは、せっかくこういう
協定を
締結されて、この問題が本当にこれから自然
環境ということで非常に大事な部分で
日本が
リーダーシップをとってもらいたいという思いから、今そういうお話をさせてもらったわけです。
そこで、もうちょっと技術の問題について。
南洋材なんかでも、例えばゴムの木というのはほとんど
利用価値がない、でもこの炉に入れて一回処理をしますと大変すばらしい板材として使えるという。それからもう
一つは、やはり付加価値を高めるために、現地においてそういうような技術が生かされれば製品として
日本に輸入ができるということ。そして上がったお金、付加何億が高まって利益的に得たものをやはり自然
環境へ戻していく。リサイクルというか、やはりそれが私は大事じゃないかなと。今は林業というのは先細りをしていく
状況の中でもっともっと効率よく、そして上がった利益というものを次の時代へ向けて
植林をしていくというようなことをぜひやってもらいたいと思っているわけです。
それからもう
一つは、この炉で処理したものは大変おもしろい効果が出てくる。竹なんかの場合、これが今度はくぎが打てるとか、それから竹というのは野ざらしにしたらそれこそ三年、五年でだめになってしまうんですが、こういうものも非常に耐久性が高くなってくる。それから虫が食わないということですね。それで、今、コスタリカヘ大変
日本政府として
援助をされていると思うんですが、竹を
利用したこれからの建築材料というか、ただそれはあくまでも竹を
利用したというだけなんですが、そういう技術を導入すれば本当に耐久性というものが高まってくる。
そういうことで、きょう私が
質問するよりも皆さんにそういう情報をぜひお伝えしたいなということからお話をさせてもらいました。
そして、ブラジルに先日行ったときにブラジルの新聞でも一面で扱ってくれた中に、アマゾン道路の問題というのは当然これは自然破壊というものと関連してくるので大変難しい問題ではあるわけです。ブラジルの政府として、今、
世界からアマゾンを守れという声が高まっているわけですが、現実にブラジルの
経済は大変ここのところへ来てよくなってきましたが、やはり自力でそういうものにこたえられる今
状況でない。そのために
日本からも相当な
援助あるいは
世界からの
援助を受けているわけです。
ブラジル
経済が立ち直ってくれるためには、今のブラジルの流通経路というか、これはいろんな農産物をつくっても、ヨーロッパに向けての輸出だけで、
日本人が七十万、日系全部合わせると百五十万の日系人が今いるわけですが、その流通経路というか、そのためにはアマゾン道路というものが必要じゃないかということで、今からもう二十四、五年前になりますが、私が向こうの政府の方に提案させてもらったことがあって、それがきっかけということじゃないと思いますが、その二年後にアマゾン道路が計画発表になって、そして今回の大統領が大変それに対して積極的である。私がそういう提案をしたから、
政治的にも
利用されたのかもしれませんが、私の話を一面に載せておりました。
今後アマゾン道路ができて、今フジモリさんが大統領をやっておられるペルーへ抜けてくれば、やはり貧困で困っている国々が大変潤ってくるのじゃないかなということから、私は道路の推進派というか、それに伴って起きる自然破壊というもの、これをどういうふうに調和していくかということが大事だろうと思うんです。しかしながら、それに反対だけしていてもしょうがない。実際にブラジルの
経済が高まるような、今回の
協定の中にあるように
生産国がやはり
経済的に潤っていくような平肋けをしなきゃならない。
そこで、ブラジルのアマゾン道路という問題について政府としてはどのような考え方を持っておられるか、お聞かせください。