○下村泰君 実は、私のかみさんのおふくろなんですが、子宮がんで東京医大の秦さん、これはもう子宮がんに関しては日本の人権威者である方に執刀していただいたんです。私は自信を持って手術しましたと、しかし三年たったらもうだめですよと言われた。コバルト照射というのをやったんです。そうしたら、何と完璧に治ったんです。十八年後にまた肝臓がんで亡くなりましたけれ
ども、十八年生きていたんです。コバルト照射、すごいんだなと思ったんです、こういうことをやると。
ところが、こういう記事が出ているんです。これは九四年、去年です。
「学会で発表される大部分のがん研究は目的意識があいまいで、がんの解明や治療にほとんど役立たない」。十九日から名古屋市で始まる日本癌学会のシンポジウムで、著名ながんの基礎研究者がこんな厳しい問題提起をする。
発表では、「科学技術の未来予測では二十一世紀初めにがんが征服できるとされているが、無
責任な予言にすぎない」と、予防や治療の難しさを
指摘。今後の課題として「ヒトのがんを強く意識した目的志向型の研究と、それをあえて無視した基礎研究の二つが重要だ」と主張する。
こういう記事なんです。
もう一つ、これは九四年十二月二十四日の記事なんです。
科学技術庁の「
放射線医学総合研究所」は今年五月、十九年にわたって続けてきた速中性子線による
がん治療研究の総合評価を行ったが、評価
委員会に提出できた研究データは、これまでに照射してきた約二千人の患者のうち約五百人分にとどまっていたことが、放医研の資料なとで明らかになった。一定のルールを定めないまま無
計画に患者を受け入れ、まちまちの方法や線量で照射をしてきたためといい、多くの種類のがんに対する速中性子線の有効性の有無が、科学的に検証できない結果となっている。この研究は「従来の
放射線では歯が立たないがんにも
効果がある」と期待され、少なくとも約二十七億円の国費がつぎ込まれたが、成果をほどんど上げられないまま事実上、収東へと向かうことになった。こういう記事も出ているわけです。
そうすると、私も小児がんの子供たちの問題でも随分取り上げてきたんです。先ほ
ども言った骨髄バンクの設立ても、国会で初めて取り上げまして、厚生省には担当の窓口がなくて、あっちうろうろこっちうろうろしたんです。やっと骨髄バンクもでき上がりましたけれ
ども、時間と手間がかかり過ぎる、こういうことに。
もちろん、それは基礎医学がしっかりして、これこれこういうふうにやるとこういうふうになるんだというふうに割り切れる時代も来るんでしょうけれ
ども、研究者の縦割り、行政の縦割りのためか情報が公開されない。
国民に希望が持てるように研究情報、研究成果がオープンにされて、せっかく地道にやってこられたこういうこと
自体をもっと胸を張って
国民の前に堂々とどんどん宣伝してほしいと思うんです。変に何か、こそくという言葉はおかしいかもしれませんが、こそこそという感じじゃなくして、本当に胸を張って、国はこういうことをやっているんだともっと大きく言っていいと思うんです。それにはもう少し研究している情報をもっと公開すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
最後に、長官お答えください。