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国務大臣(
亀井静香君) 私は、この円高問題について、いわゆる短期的に見た場合は輸出産業
中心に大変な影響を与える、しかも、こうした急激な形で起こるということはこれは極めて深刻な
事態だと、このように受けとめております。しかし、円が高くなるということは、一方では日本の
経済力が強いということの客観的な証明という一面もあるわけであります。
アメリカが基軸通貨国としてドルをどんどん印刷しまくって、基軸国としての特権を享受してとまでは言いませんけれ
ども、わあわあと喜んでおればこれはアメリカとしても将来大変なことになるわけであります。現在はどちらかといいますと、そういうことでアメリカ
経済自体を含めて、国際基軸通貨を自分たちがいわば一手に持っておるというその特権のむしろ短期的には
プラス面がアメリカ
経済にも出ておるという面が確かにあろうかと思うわけでありますが、しかし、長期的に見ればアメリカにとってこれは決して好ましいことじゃないわけであります。
これは当面の
対策からいいますと二律背反の面がございますからなかなかやりにくい面はありますが、円の価値が高くなって基軸通貨に近い性格を円が持ってくる可能性も将来的にはないわけではない。それだけにアメリカの
責任、これをアメリカが早く自覚をしてもらうということがアメリカにとっても私は大事なことだと思います。
そういう意味で、ただ現在円高で大変だ大変だということを我々が声高に叫んでうろたえるということだけじゃなくて、当面国際協調を含めて円安の方に早急に戻す
努力をしなければなりませんけれ
ども、しかし一方では、この円が非常に強くなっていることによるメリットも生まれてくるわけでありますから、その
あたりのメリットをさらに我が国
経済を
強化するという方向でどう活用していくかということもあわせてやっていかなければならないと思うわけであります。
したがって、円高メリットが一部の企業、産業の中で滞留をしておることがないのかどうか、これが我が国
経済の体質を
強化するという方向に、メリットの方向にそれをどう早く及ぼしていくかという
努力も
政府としてやらなければならない喫緊のことであると、このようにも
考えてその
対策を今
政府としても打っておるわけでございますけれ
ども、当面は、そうは申しましても輸出
関連産業について、特に中小企業についてきちっとした金融面を含めて国としての出動をしなければならないという
観点で、第一次補正につきましても現在策定をしておるわけでございます。
運輸省といたしましても、今私鉄の
料金値上げ等につきましても、これは電力その他が値下げしてくれなきゃどうにもならぬわけでございますが、円高メリットがいろんな形で
運輸関連産業にもこれが還元をされていくという中で、そうした
料金問題についても、我々としては
国民に利益を還元していくという形で取り組んでまいりたいと、このように思います。
また、長期的にというよりも、当面のこととして取り組まなければならないというように我々
考えておりますが、やはり我が国産業がもっともっと国際
競争に勝ち抜く、そうした技術革新を含めて早急に進めていかなければならないと思います。我が国の技術について、代替不可能なような、これはシュンペーターの言っております創業者利益といいますか、そうした先端的な開発、技術革新、これをやっていくということがやはり一番大事なことであります。
それにつきましては、例えば港湾等につきましても、今度阪神の復旧じゃなくて復興ということで十五メートル水深のを十バース、大阪についても三バース、建設の
計画をいたしております。それとあわせて、さらに今度は陸上
物流と海上
物流をどう機能的に結びつけていくか、ヤードの近代化の問題、こういうことをやはり思い切ってやることによって輸出に向けてのコストも低減でき、また輸入についてのコストも低減できる、そうした
物流コストを大幅に低減もできます。またテクノスーパーライナー、いよいよ六月には実験港を決定いたします。
そうした輸送手段の近代化、こういうこともやはり思い切って進めていくことによって実質的な国際
競争力を
強化をしていくということを、円高だ、大変だ大変だと言ってわめくだけじゃなくて着実にこれを近々に推進をしていく必要がある、このように
考えております。