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浜本国務大臣 ただいま議題となりました
特定不況業種等関係労働者の
雇用の安定に関する
特別措置法及び
雇用促進事業団法の一部を改正する
法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
最近の
雇用失業情勢は依然として厳しい
状況にありますが、
景気回復に伴い循環的な
雇用問題は今後
改善していくものと
考えられます。しかしながら、
製造業の
海外シフト等に伴ういわゆる「
産業の
空洞化」等の構造的な問題が大きくなる懸念もあります。
政府といたしましては、これらの懸念を解消し、中長期的に国際的に開かれた、
活力ある
経済社会を実現していくため、
産業構造転換・
雇用対策本部を設置し、
産業構造の
転換と
雇用対策を一体的、総合的に進めているところであります。
雇用面で見ますと、今後中長期的には、
円高、国際化の進展等による
産業構造の変化により、
産業別の
労働力構成は大きく変化することが見込まれております。このような変化に伴い、趨勢的に
雇用量の減少が余儀なくされる業種に属する
企業においては、
産業間・
企業間の
労働移動が避けられない場合が増加することが見込まれることから、これらの業種においては、できるだけ
失業を経ることなく
労働移動すること等による
失業の予防及び
労働移動前後の能力の開発及び向上を
中心とした
雇用の安定のための
施策を積極的に進めていくことが重要な
課題となっております。
また、現在特定不況業種として指定されている業種等においては、設備廃棄等を余儀なくされることに伴い、一時に多数の離職者が新たに発生することも予想されるところであります。このため、これらの構造的不況に陥った業種については、
失業の予防のための
対策のみならず、離職者に対する再就職の促進のための特別の
対策を引き続き講じていくことが求められています。
政府といたしましては、こうした
課題に適切に対処するため、
特定不況業種等関係労働者の
雇用の安定に関する
特別措置法について、その廃止期限の延長を図るとともに、
雇用調整を余儀なくされている業種において、
産業間・
企業間の
労働移動による
雇用機会の確保、
労働移動の前後の能力開発等の措置を講ずる事業主に対しての
支援を拡充することとし、その案を
関係審議会にお諮りした上、この
法律案を作成し、ここに提出した次第であります。
次に、この
法律案の内容につきまして、概要を御説明申し上げます。
第一に、本年六月三十日までとされている
特定不況業種等関係労働者の
雇用の安定に関する
特別措置法の廃止期限を六年間延長して、
平成十三年六月三十日までとすることとしております。
第二に、従来からの「特定不況業種」に加え、内外の
経済的
事情の著しい変化により、その製品や役務の供給が相当程度減少しており、その状態から長期にわたり
回復しないことが見込まれることに伴い
雇用量が相当程度減少しており、または減少するおそれがある業種を「特定
雇用調整業種」として労働
大臣が指定することとしております。
第三は、特定不況業種や特定
雇用調整業種に係る事業主の
雇用する
労働者等の
失業の予防、
雇用機会の増大その他の
雇用の安定並びに能力の開発及び向上を図るため、事業主その他の
関係者に対して相談その他の援助を行うとともに、
公共職業安定所長の認定を受けた計画に基づいて、事業の
転換による
雇用機会の確保等の措置を講ずる事業主等に対し、必要な助成及び援助を行うこととしております。
また、これらの助成及び援助に係る事業の一部は
雇用促進事業団において実施することとしております。
以上のほか、職業訓練施設の設置・整備に係る資金の貸し付けの対象範囲の拡大、
公共職業安定所長の認定を受けた計画に基づき移動を余儀なくされる
労働者への宿舎の貸与、労働
大臣と
関係行政機関の長との相互に緊密な連絡及び
協力等を定めることとしております。
なお、この
法律は、一部の規定を除き、本年七月一日から施行することとしております。
以上、この
法律案の提案理由及び内容の概要につきまして御説明申し上げました。
何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことを
お願い申し上げます。
次に、
労働者災害補償保険法等の一部を改正する
法律案の提案理由説明を申し上げます。
ただいま議題となりました
労働者災害補償保険法等の一部を改正する
法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
労災保険制度を取り巻く
状況を見ますと、人口の高齢化、核家族化、女性の就業率の上昇等の
社会経済情勢の変化により、家庭で十分な介護を受けることができない重度被災
労働者に対する
支援を大幅に拡充するとともに、世帯人員の減少等の実情にある被災
労働者の遺族について、より一層の
生活の安定を図ることが重要な
課題となっております。さらに、我が国
企業の事業
活動の国際化が進展する中で、
現地法人の代表者として
海外に派遣される者が増加していること、また、我が国の労働
災害は、全体としては減少傾向にあるものの、依然として中小
企業での
災害が多数を占めている
状況にあること等の実情を十分踏まえ、こうした
状況にふさわしい内容の労災保険制度に
改善していくことが必要となっております。
このような中で、一昨年より、
労働者災害補償保険審議会において、労災保険制度の
改善についての検討が行われてきたところでありますが、昨年十二月にその検討結果が取りまとめられ、今日の
社会経済情勢の変化にかんがみ、当面実施すべき制度の
改善について、同審議会より公
労使全員一致による建議をいただきました。
政府といたしましては、この建議を踏まえ、
法律改正を要する部分について改正案を作成し、
労働者災害補償保険審議会その他
関係審議会の審議を経て成案を得ましたので、ここに
労働者災害補償保険法等の一部を改正する
法律案として提案いたした次第であります。
次に、この
法律案の内容の概要を御説明申し上げます。
まず、
労働者災害補償保険法の一部改正についてであります。
第一は、年金たる保険給付について、現行では二月、五月、八月及び十一月の年四回支払うこととしておりますが、これを二月、四月、六月、八月、十月及び十二月の年六回支払うこととしたことであります。
第二は、障害補償年金または傷病補償年金を受ける権利を有する重度被災
労働者が、これらの年金の支給事由となる障害により、常時または随時介護を要する状態にあり、かつ、常時または随時介護を受けている場合に、当該被災
労働者の申請に基づき、当該介護に要する費用を考慮して一定の金銭給付を行うことを内容とする介護補償給付を創設することとしたことであります。
第三は、遺族補償年金を受けることができる子、孫または兄弟姉妹の範囲について、現行では満十八歳未満の者とされておりますが、これを満十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にある者とするとともに、遺族補償年金の給付額について、現行では五人以上とされている最高給付日数の支給対象となる遺族数を四人以上とすること等により、その引き上げを行うこととしたことであります。
第四は、労働
福祉事業として、被災
労働者の介護に対する援護を行うことができることを明示することとしたことであります。
第五は、
海外で行われる事業が中小事業に該当する場合には、当該事業について事業主その他
労働者以外の者として派遣される者を、新たに特別加入者の範囲に加えることとしたことであります。
次に、労働保険の保険料の徴収等に関する
法律の一部改正について申し上げます。
第一は、事業場ごとの
災害率により保険料を増減させるいわゆるメリット制度について、中小事業主が
労働者の安全または衛生を確保するために一定の措置を講じた場合には、当該事業主の申告により、現行では最大百分の四十とされている保険料の増減幅を最大百分の四十五とする特例を創設することとしたことであります。
第二は、労働保険の概算保険料及び確定保険料の申告及び納期限について、現行では保険年度の初日から四十五日以内とされておりますが、これを五十日以内に延長することとしたことであります。
次に、船員保険法等の一部改正について申し上げます。
船員保険制度においても、労災保険制度と同様の趣旨から、介護料の創設、遺族年金の給付額の引き上げを行う等の改正を行うこととしたことであります。
以上のほか、この
法律案においては、その附則において以上の改正に伴う経過措置を定めております。
なお、施行期日は、遺族補償年金の給付額の引き上げ、労働
福祉事業の
改善寺及び船員保険の遺族年金給付額の引き上げにつきましては
平成七年八月一日、年金の支払い期月の
改善につきましては
平成八年十月一日、特例メリット制度の創設につきましては
平成九年三月三十一日、労働保険料の申告及び納期限の延長につきましては
平成九年四月一日、その他の改正事項につきましては
平成八年四月一日としております。
以上がこの
法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことを
お願い申し上げます。
以上で提案を終わります。