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1995-02-20 第132回国会 衆議院 予算委員会第八分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会平成七年二月十五日(水曜日)委員会 において、設置することに決した。 二月十六日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。       近藤 鉄雄君    野呂田芳成君       村山 達雄君    山崎  拓君       石田 勝之君    野田  毅君       海江田万里君 二月十六日  野呂田芳成君委員長指名で、主査選任さ  れた。 ————————————————————— 平成七年二月二十日(月曜日)     午前十時開議  出席分科員    主 査 野呂田芳成君       栗原 博久君    近藤 鉄雄君       村山 達雄君    石田 勝之君       上田  勇君    西  博義君       福島  豊君    山本 幸三君       海江田万里君    兼務 志賀  節君 兼務 川島  實君    兼務 松本  龍君 兼務 山崎  泉君    兼務 吉岡 賢治君 兼務 藤田 スミ君  出席国務大臣         建 設 大 臣 野坂 浩賢君  出席政府委員         建設大臣官房長 伴   襄君         建設大臣官房技         術審議官    尾田 栄章君         建設省建設経済         局長      小野 邦久君         建設省都市局長 近藤 茂夫君         建設省河川局長 豊田 高司君         建設省道路局長 藤川 寛之君         建設省住宅局長 梅野捷一郎君  分科員外出席者         国土庁計画・調         整局総合交通課         長       大石 久和君         大蔵省主計局主         計官      牧野 治郎君         大蔵省銀行局総         務課金融市場室         長       木下 信行君         建設大臣官房会         計課長     林  桂一君         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ————————————— 分科員の異動 二月二十日  辞任         補欠選任   村山 達雄君     栗原 博久君   石田 勝之君     上田  勇君   野田  毅君     福島  豊君 同日  辞任         補欠選任   栗原 博久君     村山 達雄君   上田  勇君     山本 幸三君   福島  豊君     西  博義君 同日  辞任         補欠選任   西  博義君     野田  毅君   山本 幸三君     石田 勝之君 同日  第一分科員川島實君、藤田スミ君、第五分科員  志賀節君、松本龍君、第七分科員山崎泉君及び  吉岡賢治君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成七年度一般会計予算  平成七年度特別会計予算  平成七年度政府関係機関予算  (建設省所管)      ————◇—————
  2. 野呂田芳成

    野呂田主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。  私が、本分科会主査を務めることになりました。よろしくお願いいたします。  本分科会は、総理府所管国土庁並び建設省所管について審査を行うことになっております。  なお、両省庁所管事項説明は、両省庁審査の冒頭に聴取いたします。  平成七年度一般会計予算平成七年度特別会計予算及び平成七年度政府関係機関予算建設省所管について、政府から説明を聴取いたします。野坂建設大臣
  3. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 建設省関係平成七年度予算について、その概要を御説明いたします。  建設省関係一般会計予算は、建設省移替えを予定されている総理府所管予算を合わせ、歳出六兆四千二百六十二億五千万円余を予定いたしております。  うち、一般公共事業費は、六兆二千八百二十一億八千七百万円であり、その内訳は、道路整備二兆五千八百六十五億四千七百万円、治山治水一兆二千七百三億二千五百万円、公園千五百六十六億三千四百万円、下水道一兆千百八億四千九百万円、住宅対策一兆千六十五億千五百万円、市街地整備五百十三億千七百万円となっております。  次に、特別会計予算について御説明いたします。  まず、道路整備特別会計では、歳入歳出とも五兆千八百四十七億三千六百万円余を予定いたしておりますが、歳入については、前年度に引き続き揮発油税収入の一部直接組み入れを行うことといたしております。  また、治水特別会計では、歳入歳出とも一兆六千六百四億二千百万円余を、都市開発資金融通特別会計では、歳入歳出とも二千四百五十一億千九百万円余をそれぞれ予定いたしております。  次に、特定国有財産整備特別会計のうち、建設省所掌分は、歳出四百五十四億九千八百万円余を予定いたしております。  なお、建設省関係NTT株式売払収入の活用による収益回収型の無利子貸付金は、歳出九百四十九億七千四百万円を予定いたしております。  建設省といたしましては、以上の予算によりまして、住宅宅地対策及び市街地整備都市対策治山治水道路整備等国土の均衡ある発展と国民生活の質の充実のため不可欠な諸施策を的確に推進してまいる所存であります。  特に、平成七年度におきましては、  一、高規格幹線道路網整備等による全国的な交流ネットワークの形成の推進  二、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策大綱に基づく農業農村地域整備を含む活力ある地域づくり推進  三、都心居住促進のための住宅市街地整備地方定住促進のための住宅宅地供給等住宅宅地対策の拡充  四、緑サンサン・グリーンプランによる緑と水辺づくり高齢者障害者に優しい住宅供給町づくり等快適な生活環境整備推進  五、情報ハイウエー整備等情報基盤整備推進重点を置いて総合的な施策推進を図ることといたしております。  なお、事業別重点施策概要につきましては、お手元に配付しております平成七年度建設省関係予算概要説明によりまして、御承知をお願いしたいと存じます。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。  以上であります。
  4. 野呂田芳成

    野呂田主査 以上をもちまして建設省所管についての説明は終わりました。     —————————————
  5. 野呂田芳成

    野呂田主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石田勝之君。
  6. 石田勝之

    石田(勝)分科員 おはようございます。石田勝之でございます。  建設大臣を初め建設省当局皆さん方には、阪神大震災という未曾有の災害もありまして、連日連夜にかけて復旧・復興対策に向けて大変御苦労さまでございます。きょうは第八分科会ということでございまして、主に建設省関係所管等々について、地元の問題も含めて質問をさせていただきたいと存じます。  まず、治水関係についてお尋ねをいたします。  我が国の可住地面積のうち約半分は河川はんらん区域、つまり河川による浸水可能性のある土地であると言われております。この河川はんらん区域人口の約半分が住んでおり、そして総資産の約四分の三が集中していると言われておるわけでございます。  ところが、自分が住んでいる場所浸水可能性があるか否かを知らない方々が意外に多いという統計の結果も出ておるわけでございまして、私の地元埼玉県でございまして、御案内のとおり、埼玉県は全国一の人口急増県でございます。今や人口約六百七十八万を有する県になりましたけれども、この埼玉県の中川綾瀬川流域のように都市化の進展が著しいところが、特にそういう住民方々が多いわけでございます。浸水可能性を知らない場合に、不意の浸水によって大きな被害が出る場合が多いわけでありまして、その点について、次の点についてお尋ねをしたいと思います。  綾瀬川放水路首都圏外郭放水路につきましては、ただいま申し上げましたように急速に都市化が進んでおりまして、平成三年の台風十八号、平成五年の台風十一号では、十八号では約三万戸の床上床下浸水、それから平成五年八月の十一号台風では約一万七千戸の被害が出たわけでございます。この中川綾瀬川流域新河岸川流域とが大変甚大な被害が出たわけでありまして、そこで、治水効果の高い綾瀬川放水路首都圏外郭放水路早期完成が望まれるところでございまして、この点について建設省当局の御所見をまず一点お尋ねをしたいと思います。  同じく治水関連をいたしまして、芝川という県の河川がございまして、芝川流域では、下流部の川口市、鳩ケ谷市を中心に、平成三年、平成五年に、ただいま申し上げました十八号、十一号台風で甚大な浸水被害が発生をいたしました。昭和四十年の新芝川通水によってかなり改善されたところもありますけれども中止流部調節池建設はまだまだおくれているところでございます。そこで、芝川の第一調節池早期完成が望まれるところでございまして、この第二調節池完成ができませんと、この芝川流域の抜本的な治水対策にならないわけでございまして、重要な問題を抱えておるわけでございます。この芝川第一調節池につきまして、建設省当局の御見解を賜りたいと存じます。
  7. 豊田高司

    豊田(高)政府委員 今先生お尋ね中川綾瀬川新河岸川流域は、大変都市化が著しく、今御質問の中にありましたように、平成三年あるいは平成五年には大変な、三万戸あるいは二万戸近い床上浸水が出たわけでありますが、こういったところにおきましては、総合的な治水対策を実施しているところでございまして、流域の保水、遊水機能の確保を図るということがまず第一でございますが、これにあわせまして、治水対策といたしまして、放水路綾瀬川放水路首都圏外郭放水路芝川第一調節池などの抜本的な治水対策を実施しているわけでございます。  その概要について御説明申し上げますと、綾瀬川放水路につきましては、昭和五十八年度に着手いたしまして、平成四年度には一連暫定供用をしたところでございます。この効果が、平成五年の八月の十一号台風には大変効果が発揮されたところでございますが、残る一運、ボックスの水路でございますが、残る一連についても現在建設を鋭意進めているところでございまして、排水機場ポンプ場とあわせまして、できるだけ早期完成するよう努めてまいりたいと思っております。  それから、首都圏外郭放水路につきましては、中川大落古利根川というような幾つかの川、大利根、大落古利根川という昔からの低平地を流れている川でございますが、これらの中小河川の間を連結いたしまして、江戸川に放流する地下放水路でございますが、これも平成三年度に着手いたしまして、現在は用地買収、それから立て坑を実施しているところでございます。引き続き、横に連絡する地下五十メートルのところを通ります大断面のトンネルを実施しているところでございまして、早期完成を目指して事業進捗を図ってまいりたいと思っております。  それからもう一つお尋ね芝川第二調節池でございますが、これも芝川洪水軽減目的として幾つかの調節池群対応するわけでございますが、そのうちの一つとして昭和五十四年度に着工いたしまして、現在主に用地買収を実施しているところでございます。今後は、池の中の土砂の掘削をするためにまず周りの遮水工を行う必要がございますので、この土どめ、遮水工等工事を本格化して、掘削に早く入りたいというふうに思っているところでございます。  いずれにいたしましても、流域の皆様の生命財産を守る大事な治水事業でありますので、一生懸命促進したいと思っているところでございます。
  8. 石田勝之

    石田(勝)分科員 ぜひ河川局長さん、御案内のとおり、先ほど申し上げましたように、我が埼玉県は大変人口が、一カ月で約八千人から一万人ふえております。特に、今申し上げましたような芝川とか綾瀬川流域が非常に、東京都と隣接をいたしておりますので、どんどん宅地化が進んでおります。そこの宅地浸水可能性があるということを知らないで住んでいる人も、先ほど申し上げたように非常に多いわけでありまして、いざ家をつくってみたら、家が床上浸水で全部とられてしまった、そういうことにも、非常な甚大な被害を及ぼしているわけでございまして、ぜひこれは早急に対応していただきますようにお願いをいたしておきます。  次に、時間がありませんので先へ進めさせていただきますが、芝川マリーナ事業推進についてお尋ねをしたいと思います。  近年、プレジャーボート等による河川利用を初め、水面を利用したレジャーが非常に増加をいたしております。これらの活動は、生活質的充実健康増進に資するものとして期待をされております。しかし、河川管理上は、御案内のとおり、無秩序な係留が顕在化し、洪水時にボートなどの流出により堤防や橋梁等の破損が予測されるなど、大変な問題を生じておるわけでございます。  このため、埼玉県としてもできる限りこれらの対策を進めておりますが、不法係留につきましては依然増加傾向にありまして、私ども芝川とかという川には、川の中に船があるというよりは船の中を水が流れていると言っていいくらい、ずっと河川ボート不法係留しているわけであります。そういう実態を見ておりますと、実効性のある方策を見出せないまま、対策に苦慮をいたしておるところでございます。  そのボートが増水時に橋梁だとかあるいは土手を傷つけて大変な被害を及ぼす可能性もあるわけでございまして、これらの対応づくりについて、今県では、マリーナ事業と言って、プレジャーボートの駐船できる船だまり場の建設をいたしておるところでございます。そして、不法係留ボート対策とともに、あわせてこの拠点としてマリーナ建設をして、御案内のとおり埼玉県は海なし県でありますから、住民親水性を高めて、町づくりの一環としてマリーナ事業を鋭意進めているところでございます。六年には大場川という川のマリーナ完成をいたしましたが、八年までに芝川マリーナ完成へ向けて今事業を進めているところでございます。  そこで、全国マリーナというのは四百三十六あるわけでありますけれども、そのうち民間マリーナというのは約七〇%の三百八十近くあるわけでありまして、公共マリーナというのは一〇%、四十四カ所しかないわけでございます。そういう中で、海なし県として親水性を高めるためにも、そしてまたそういうプレジャーボート不法係留ボート対策のためにも、この芝川マリーナ早期完成が望まれるところでございます。  そういったことで、この早期完成へ向けての建設省対応について、御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  9. 豊田高司

    豊田(高)政府委員 先生指摘のとおり、プレジャーボートというのを、無許可のものを規制するだけではなかなか整理がつかない、もっと積極的に公共マリーナをつくっていく必要があるということで、既に大場川では平成六年五月に完成しているわけでありますが、引き続きまして芝川におきましてもマリーナを設置すべく、昭和六十三年度から、およそ百隻を収容するものを目標といたしまして、埼玉県がその中心になって建設省がその支援をしていくということで進めているわけでございますが、このうちレストハウスなどの上物につきましては、埼玉県の公社が整備を進める。それから水門、船だまり等の基盤施設につきましては、新芝川河川管理者であります埼玉県が河川環境整備事業費補助というものを、これは建設省支援を受けて、その整備を進めているところでございまして、平成四年度から、既に主な施設でございます水門、川の一部からこう土地のある方に連絡する水門工事に着手しておりまして、現在進めているところでございます。  したがいまして、この無許可係留対策を強力に進める意味から、ぜひ平成八年度にはオープンをしたい、埼玉県の強い御希望でありまして、建設省もこれに全面的に支援をしてまいりたいと思っております。これは百隻でありますから、全体的にはまだ足らないわけでありますから、今後につきましても県とよく協議をしながら進めてまいりたいと思っているところでございます。
  10. 石田勝之

    石田(勝)分科員 今御答弁がございましたように、百隻なのですね。それで、不法係留芝川に泊まっているボートだけで約六百隻あるわけでございます。その五百隻が係留できない、不法係留のまま放置されるという状況ができるわけであります。  船だまり場の拡大マリーナ拡大ということが、百隻置いてもどんどんボートの数はふえできますし、そういったことを考えますと、やはり国として大きく、県に対して国が大きな協力をしてやっていただかないと、河川管理者埼玉県だといっても、とてもこれは県ではでき得ない事業でございますので、実際には今現行で六百隻あるわけでありまして、これができ上がっても百隻しか係留マリーナヘ吸収することができないわけでございますので、その点の対応について、もう一回河川局長からお聞かせをいただきたいと思います。
  11. 豊田高司

    豊田(高)政府委員 確かに先生指摘のとおり、大場川が百数十隻それから新芝川で百隻ぐらいですから、まだまだ足らない。私たちもよく承知しておりますので、積極的に、具体的な場所を、候補地を挙げながら、県と十分調整をしていきたいと思っておるところでございます。  今後、多様化する住民皆さんのニーズにこたえていくよう一生懸命頑張ってまいりたいと思っております。
  12. 石田勝之

    石田(勝)分科員 次に、道路についてお尋ねをいたしたいと思います。  先ほどから申し上げておりますように、我が埼玉県は、人口及び交通需要の著しい増加により、交通環境を改善するに至らない状況にあるわけでございます。このため、人身事故昭和四十九年以来、死者数昭和五十五年以来、再び増加傾向に転じるとともに、交通渋滞も激化いたしております。平成四年には交通死亡事故防止に関する緊急対策官民一体で実施し、事故防止に努めてまいりましたが、依然として憂慮すべき状態にあるわけでございます。また、今回の阪神大震災の教訓からわかるように、道路の幅員がいかに必要かということを学んだわけでございます。  埼玉の場合、昭和四十年を一とすると、人口は二十五年で二・一倍に達しております。車の台数は、昭和四十年当初から現在と比較いたしますと十二倍になっておりまして、国県道整備率が三二・七%でありまして、先進県と言われる埼玉県でありますが、この国県道整備率三二・七%というのは全国で四十一番目であります。国道については四十七都道府県の中で四十六番目ということで、びりから二番目に位置をいたすわけでございます。そういったことで、国道及び県道道路網整備急務であるわけでございます。  豊かさとゆとりを実感できる県土づくりを進めるために、これは何としてもやらなければいけない事業でありまして、埼玉県では、土屋県政になりましてから、県内一時間構想目標に体系的な道路網整備促進し、時間が読める道づくりを進めておるところでございます。  埼玉県から東京都への通勤通学者は、一日当たり百九万。人口自動車保有台数の急激な増加道路整備が追いつかず、慢性的な渋滞が生じておりますので、これらの一時間構想実現するためにも、次の三点、何としてもこれは必要でございます。  一つは、県内のほぼ中央を走ります、それからまた、続けて申し上げますが、東西方向南北に走る首都圏中央道路と、それから新大宮上尾道路、これらの道路整備急務でございまして、この二本の道路整備の見通しについて、そして建設省対応について、道路局長から御答弁をいただきたいと思います。
  13. 藤川寛之

    藤川政府委員 今お話がございましたように、埼玉県では、県内どこからでもおおむね一時間以内に目的地に到達できるようにということで、県内一時間道路構想というのを提唱しておりまして、それの実現に向けて大変な努力をされているわけでございます。  今も御指摘がございましたように、埼玉県内道路整備率は大変おくれているということもございまして、建設省といたしましても、その一時間構想実現のために、できる限りの御支援をさせていただきたいということで努力しているところでございまして、特に、その実現の骨格になります東京外郭環状道路あるいは首都圏中央連絡自動車道、あるいは十七号のバイパス等幹線道路整備推進しているところでございます。  今お話がございました東西方向幹線道路ということで、首都圏中央連絡自動車道でございますが、これにつきましては、既に東京埼玉県境から川島町、二百五十四号までの区間につきまして昭和六十一年に都市計画決定をいたしまして、事業化昭和六十年あるいは平成元年度に事業に着手しているところでございます。  そのうち、特に現在急いでおりますのが県境から関越道の鶴ヶ島ジャンクションの間でございますが、これにつきましては、平成七年度末に供用したいということで鋭意事業を進めております。また、鶴ヶ島ジャンクションから川島町までの間につきましても、現在用地買収を進めておりまして、この区間につきましても今事業進捗を図っているところでございます。  残りました川島町から茨城県境までの区間でございますが、この区間につきましても平成六年度に事業化をいたしまして、現在都市計画決定手続をできるだけ早く行おうということで、これは埼玉県においてその手続を進めているところでございます。できるだけ早く都市計画決定をいたしまして、この圏央道というのが、首都圏中央連絡自動車道、まさに東西方向幹線でございますので、今後ともその早期整備にできる限りの努力をしてまいりたいというふうに考えております。  それから、新大宮上尾道路でございますが、これは南北方向ということでございますけれども、これも十七号の現道が大変込んでいる区間でございます。延長が二十五キロでございまして、道路の幅も大変広うございまして、五十七メートルというような大変幅の広い道路でございまして、平成元年の十二月に都市計画決定されたところでございます。  今も申し上げました、十七号が大変込んでいるというようなこともございまして、これも早急に整備が必要な区間だというふうに私どもとしても認識しているところでございまして、先ほど申し上げました首都圏中央連絡自動車道等整備進捗に合わせながら、今後関係機関協力して、できる限り建設促進できるように努力してまいりたいというふうに考えております。
  14. 石田勝之

    石田(勝)分科員 ただいま藤川局長から御答弁をいただきましたが、圏央道首都圏自動車道につきましては、これは埼玉県だけの問題ではないわけであります。当然、東京都を中心とする経済圏の今後の成長にも大きく影響する根幹道路でございまして、ぜひこれは早急に完成をいたしてもらいたい、そういうことを要望いたしておきたいと思っております。  それから、新大宮上尾道路の点につきまして、特に新大宮道路につきましては、御案内のとおり、さいたま新都心といいまして、大宮操車場跡地中心として二十四ヘクタール、県が中心となって今開発を進めておるところでございますが、そこへ、御案内のとおり関東地方建設局を初め中央省庁移転決定をいたしております。来年度から具体的に進む方向で来ておりますし、大宮と与野の駅も着手することになっておりまして、これは中央省庁移転とも絡んで、例えば建設省から関東地建への連絡云々、そのほか東京通産局云々、それらの十八省庁拠点大宮操車場跡地に今立地されるわけでございまして、これらの完成に合わせてでき上がらないことには、道路としての意味を果たさないわけでございまして、そこの点を踏まえてもう一度局長から御答弁をいただきたいと思います。
  15. 藤川寛之

    藤川政府委員 今お話がございました道路につきましては、首都高速道路整備していこうということで現在事業を進めているところでございまして、もう既に供用しております美女木ですか、美女木から先の部分で新大宮バイパスに乗っかる部分でございますが、この部分につきましては、平成九年度完成を目指して現在鋭意工事を進めているところでございます。  今も御指摘ございました埼玉の新都心、ここを通過することになるわけでございます。そこから、与野のインターから今度は東進していくわけですね。この区間につきましては、現在用地取得と調査設計を進めているというふうに聞いているところでございますが、仰せこの用地取得も大変な金がかかるというふうにお聞きしているところでございまして、関係自治体、特に県、市、その辺の御協力を得ながら、今お話がございましたように、やはりこの新都心の開発がどんどん進んでおりますので、それにあわせてやる必要がございます。できるだけそういう方向で今後とも努力してまいりたいというふうに考えております。
  16. 石田勝之

    石田(勝)分科員 ぜひこれは、中央省庁移転に伴って今埼玉県では鋭意やっているところでございまして、それに合わせて今申し上げました道路ができ上がりませんと、これは意味を果たさないわけでございますので、ぜひそういう意味合いからも全力を挙げて建設省当局では取り組んでいただきたいと思っております。  次に、地下鉄七号線の駅周辺整備支援についてお尋ねをいたします。  御承知のとおり、先ほどから申し上げておりますように、全国一の人口急増県である埼玉県が、通勤通学者が一日約百十万人と言われております。それで、平成四年の運輸政策審議会の答申十三号においては、東京都圏ではおおむね十年間でラッシュ時の混雑率を一八〇%にしたい。一八〇%というのはどういうことかというと、新聞が何とか読めるというのが一八〇%だそうであります。新聞が何とか読めるというのは一五〇%で、一八〇%というのは新聞を読むのでも若干きつい、週刊誌を読むには何とか読めるけれども、新聞を読むには若干きついけれども、何とか半分に折ったら読めるだろうというのが一八〇%だそうであります。  埼玉県内の特に県南部、県南部の京浜東北線なんかは、私もたまに電車に乗るわけでありますけれども、朝のラッシュが二五四%ということで、全国の鉄道の混雑率の中でもトップクラスでございます。二五四%というのはどんなことかというと、電車に乗って体が傾くと身動きできないで、手も自由に動かせない、それで体が浮いてしまうと自分の力では戻れない。これが、二五〇%を超える混雑率が毎日、土曜日、日曜日を除いてはこういう通勤地獄で通っておられる約百万人近い県民がいるわけでございます。そしてまた、そういう人たちの住宅地というのは駅から距離的にはさほど離れてないのですが、先ほどの道路網整備にあるように、駅へ行くまでに随分時間もかかる、三十分から一時間近くかかる、こういう方も多いわけでございます。  そこで、混雑緩和のために埼玉県と川口、鳩ケ谷、浦和市と民間出資による第三セクターで埼玉高速鉄道が平成三年に設立されて、ことし地下鉄七号線の着工、平成十二年完成へ向けて今進められておるところでございます。そして、地下建設に合わせて、駅前広場とか自転車の駐輪場それから街路、土地区画整理など駅周辺整備が緊急の課題となっておるわけでございます。  第三セクターでありますから、当然地元市の負担も入っておるわけでございます。地下鉄七号線は約二千六百億かかるわけでありますが、そのうちの三市の負担が約五百億円ということであります。ただいま申し上げましたような土地区画整理だとか街路だとか駅広だとかの整備は、大体七つの駅ができるわけでありますが、おおむねの概算で地下建設と同じぐらいの二千六百億円ぐらいかかるだろう、こういうふうに言われておるわけであります。つまり、その二千六百億円プラス地下鉄の第三セクターにかかる費用を含めて約三千億近くのお金をその三市で出さなければいけない、七つの駅をつくるのに出さなければいけないということで、まあ脆弱な財政の状況の三市には極めて苦しい状況でございます。  そういったことで、都市基盤の整備に、未整備状況の中で莫大な費用を要しますので、これはぜひ国の財政支援についてお願いをしたいという声が高まっておるわけでございまして、この基盤整備の国の財政支援についての御見解をこの際明らかにしていただきたいと思います。
  17. 近藤茂夫

    近藤(茂)政府委員 先生指摘のとおり、地下鉄七号線、これで埼玉県内では七つの駅が計画されている。実は、これに関連して駅前広場も九カ所必要になるということで、またその関連する都市計画街路の決定もしなければいけない。既に都市計画決定として九カ所、それから二十八路線について都市計画決定しているわけでございます。  そのほかに、先生指摘のとおり、駐輪場とかあるいは駐車場の計画決定もしていかなければいけない。私ども、基本的にこの七号線の意義について十分認識いたしておりますので、区画整理事業の面的整備で駅前広場を生み出していくとか、いろいろ工夫しなければいけない点があろうかと思いますけれども、積極的に公共団体と連携をとって基盤施設整備については十分応援することが必要であろう、このように考えております。
  18. 石田勝之

    石田(勝)分科員 ぜひ今局長答弁のように、国、建設省当局地下鉄七号線に対する全面的な御支援をお願いをいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  19. 野呂田芳成

    野呂田主査 これにて石田勝之君の質疑は終了いたしました。  次に、松本龍君。
  20. 松本龍

    松本(龍)分科員 御苦労さまです。  一月十七日の阪神・淡路大震災、現在五千四百名を超える死亡者が出るという大変大きな災害でありました。まさに大自然の驚異の前に、私も現地に参りましたけれども、人間の小ささといいますか、そういうものを自分自身痛感をしました。一方で、何とかこの復興に向けて、一人の人間として、政治家として全力を尽くさなければならないなということもあわせて痛感をしたところであります。  日本というのは大変な災害の多い国で、昨年は雨が降らないで、私ども今福岡市に住んでおりますけれども、夜間八時間の断水をいまだに続けております。一昨年は長雨で米がとれないという状況がありました。ここ四、五年だけで見ましても、雲仙・普賢岳の大被害がありましたし、また、相次ぐ台風による被害もありました。まさに日本という国は、災害によってそれぞれが知恵を出していきながらこれに立ち向かっていくということで、技術も発達をいたしましたし、今日の状況を迎えているというふうに思います。  発災から、建設省におかれましては、罹災都市借地借家臨時処理法の的確な対応でありますとか、まさに今建設委員会でかかっております被災市街地復興特別措置法等々機動的に対応されておりますことに対して、その御苦労を私は多としたいと思います。  しかしながら、今回の災害は未曾有の災害でありまして、今までの常識論がなかなか通用しないということも一方であろうかと思います。私は発災から一週間ほどたって、酒田大火の復興スケジュールを調べましたけれども、その中で、酒田の場合は、発災が昭和五十一年の十月二十九日、そして建築基準法の八十四条の適用期間が十一月の四日から十二月二十九日となっておりまして、都市計画決定の告示がありましたのが十一月の二十六日、まさに災害発生から一カ月もたたずに都市計画が決定されております。そして、事業計画原案の縦覧も経て、この適用期間が切れる一日前、十二月二十八日に事業認可がされております。このことは、当時の建設部長でありました今の大沼市長を初め、建設省からもたくさんの皆さんが応援に行ってこの復興に当たったということで、これはまさにまれに見る復興のスケジュールであったというふうに私は考えているところであります。  しかし、今回の災害、酒田と比べまして少し違うのはやはり大都市の災害である。酒田の場合は地方都市でありますから、借地・借家関係が今度の災害よりも恐らく少なかったと思います。そういう意味では都市計画がやりやすかったということもあろうかと思いますけれども、まず一点、都市局長住宅局長にお伺いをしたいのは、罹災都市法あるいは現在建設委員会に付託をされております被災市街地復興特別措置法等々、昼夜を分かたぬ努力で今なされておりますけれども、私は、これからまた第二次、第三次の危機管理のことを考えていかなければならない、まさにこれらを適用されてまいりましても、これから先また大きな困難が待ち受けているというふうに考えております。現に土地の問題、民民の境界の問題でありますとか、さらに住宅の借地・借家関係、あの法律だけで私は事足れりとはしないと思います。また、これからの町づくりに向けてさまざまな困難が予想されると思うのでありますけれども、これからのさまざまな問題に対して両局がどのようなシミュレーションをされて、さらにどのような対処をこれからまたすべきかということを考えておられるか、まず最初にお尋ねをしたいと思います。
  21. 近藤茂夫

    近藤(茂)政府委員 御質問の阪神・淡路大地震による被災地域の復興の今後の取り組みでございますが、全体的な大きい方向としては、神戸市の場合には三月末に計画のガイドラインを策定したい、そして六月ぐらいに全体の復興計画を策定したいという考え方を持っているわけでございます。それに対しては、私ども全面的に支援してまいりたいと思います。  それから、いわゆる先生指摘の八十四条を発動した地域が阪神地域で三百ヘクタール以上を超えるわけでございますが、その地域についての今後の当面の取り組みといたしましては、できるだけ早い時期に、三月十七日にいわゆる大臣の承認によって一カ月延長されているその行為制限が切れるわけでございますので、計画決定に移行しなければいけない。今、公共団体はそれに対して非常な努力をしているわけでございまして、私どもも大臣の指示に従いまして、公共団体に対する人的支援も行っているところでございます。  当面、神戸市の例で御説明申し上げますと、今週の二十二日に現地に相談所を設けるということで、都市計画の手続でできるだけ三月十七日、十七日までに所要の計画決定をしたい。面的整備事業に関する都市計画、区画整理事業とか市街地再開発あるいは地区計画、いろいろなそれぞれの地域の特性に対応した都市計画決定に移行していきたい。そして、それぞれ事業計画、換地計画、区画整理事業につきましては地域住民方々と相談しながら進めていくわけでございますが、一応六月ぐらいまでにそういった計画を、事業計画を詰めていきたい。それに対しても建設省としても全面的に応援してまいりたい、このように考えております。
  22. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 私どもの取り組むべき領域は、一般的に住宅も含めた建築全体の問題も当然ございますし、その中でも生活に直結する住宅の関係はとりわけ重要であるということを考えておるところでございます。  私どもは、大臣の指示もございまして、翌十八日からは、被災者の一時安定を目指して仮設住宅、これは本来厚生省の所管ではございますが、公団や公営の空き家を御提供するという話と、応急仮設住宅を現実に建設していくという両面を同時に十八日からスタートさせたわけでございます。いずれにしましても、こういう状況でございますので、当面の安定した生活ということを一方で進めながら、それと並行して長期的な問題にも取り組まなければいけないということで、当初は専ら差し当たりの安定ということに取り組んできたわけでございます。  今後は順次、中長期の課題に重点を移していかなければいけないわけでございますが、一点は、何といっても公的住宅の関係を総合的にしかも大量に出動していくということで取り組むべきであろうということで、新しい法律におきましても、そういう点を考慮しながら内容を含めてお願いをしているところでございます。  また、大変重要な点は、いろいろなマンション、ああいう市街地でございますのでマンションの倒壊が相当ございまして、それに対しましても一つ一つ答えを出していかなければいけないということで、法的な面では例の五分の四の同意というような問題について今後どうしていくかということも一つございます。  いずれにしても、一つ一つのさまざまな条件に具体的な答えを出していかなければいけないということでございまして、一点はそういうものに対する御相談なりコンサルなりということを積極的にやっていく必要があるということと、再建に向けては資金の御用意をしていくということが一つございますし、場合によっては公的セクターがそういうものにも参加をしていくというぐらいの取り組みも必要ではなかろうかというふうに考えているところでございます。それと、今申し上げました公的な大量の住宅供給とうまく組み合わせをして全体の動きにしていこうということで考えているところでございます。  一般的な建築そのものについては、当然、今後基準その他をどう考えて新しく安全な建物に持っていくかということも並行して進めているところでございますけれども、今申し上げました個々の問題を全体として整合性をとりながら進めていくためには、マスタープランにも我々としてはできるだけの協力をさせていただこうかということで考えているところでございます。
  23. 松本龍

    松本(龍)分科員 今お話をされたように、公的な住宅の供給というのはやはり一日も早く立ち上げていかなければならないと思うわけですけれども、私は、これから起こり得るケースというのは、最後の方で言われました権利関係寸借地・借家の問題、それぞれまたその中でも個別のケースがあろうかと思います。さらに、今触れられましたマンションの区分所有の問題等々、私は、発災からもう一カ月以上たちまして皆さんが不安になっているのはそういったところだろう。やはりそういったところに的確に対応していくということを、これは住宅局だけの課題ではなくて、法務省含めて、これからさまざまな権利関係のトラブルに対して的確に対応していくようなシステムを、改めてまた補強されて構築をしていただきたいというふうに念を押しておきたいと思います。  今回の災害で、私は、例えば病院、学校、公共施設等々の早期点検あるいは早期の補修、補強が大変今迫られていると思うのでありますけれども、そういった点について、今どういう状況であるか、何をされているかということをお聞きしたいと思います。
  24. 豊田高司

    豊田(高)政府委員 今先生お尋ねのことで、病院等につきましてはそれぞれのところでやっていらっしゃると思いますが、特に建設省所管公共施設状況について御説明申し上げますと、御案内のとおり、今回の災害で大変な甚大な災害を受けたわけでありますが、特に道路、下水道、河川等について御説明申し上げますと、道路につきましては、とにかく調査点検を行って、交通の確保を図らなければならないということで、交通どめになっている箇所などの応急復旧を行い、順次交通の確保を図ってまいりました。  それから下水道につきましては、特に終末処理場が大きな被害を受けたわけでありますが、早急に必要な応急処置を講じまして、とりあえずの処理ができるようにしたところでございます。  それから河川、地すべり等につきましては、これは住民皆さんめ日々の生活には直接関係なかったわけでありますが、紙一重で災害を免れた方たちが二次災害に遣われるということは、これは絶対避けたいということでございまして、すぐ被災箇所の点検を行いまして、現在必要な処置を施しておるところでございます。  いずれにしましても、災害復旧ということを一日も早くしなければならないわけでありまして、現在、災害査定の業務を進めておるところでございまして、可能な限り早い復旧を目指したいと思っておるところでございます。
  25. 松本龍

    松本(龍)分科員 なぜこういうことを私が聞いたかといいますと、例えば、病院は所管が違うというふうに言われましたけれども、私、先日現地に参りまして、皆さんも新聞でごらんになったと思いますけれども、神戸西市民病院のあたりをずっと一、二時間かけて被害状況を見て回ったのですけれども、近所の方のお話ですので、真偽のほどは私、まだ確かめておりませんけれども、西市民病院は、実は四階まで補強工事が終わっていた。それで、五階部分であの災害で倒壊したというふうに聞いております。ですから、補強工事というのがいかに重要であるかというふうなことを、あのときに痛感をしたところであります。  まあ病院は厚生省、学校は文部省といろいろありますけれども、私は、やはりそういう補強工事というのがいかに重要であるかということを痛感しましたので、まさに皆さん方も構造物をつくるという所管でありますから、そういう意味では、点検をしていただいて、まさに調査をまずしていただいて、今の話が例えば本当の話であるなら、そうしたらこれからどういうふうな補修、補強をやらなければならないかということを、さらに進めていただきたいというふうに思っております。もう答弁はよろしいですから。  それと、建設省がいち早く、公団公営住宅等々の空き家を活用する、応急仮設住宅とともに活用するという方針を立てられておるわけですけれども、現在二万六千幾つかという戸数と聞いておりますけれども、その大まかな内訳、例えば近畿圏でありますとか、その内訳と、現在入居しておられる方の数をまずお示しを願いたいと思います。
  26. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、公団住宅あるいは公営住宅、公社住宅というような公的な住宅の空き家を当面の生活の場ということで御提供しようということで、現在、総数としては二万六千五百戸の御用意をしておるわけでございますが、そのうち兵庫県、地元はもちろん、大阪も含めまして、そのほかに近隣の京都、奈良、岡山、鳥取という、いわば隣接しているような地域全体で九千三百戸でございます。その他の地域につきましては一万七千二百戸ということになるわけでございます。  現在の入居の状況でございますが、全体といたしましては七千五百八戸の御利用をいただいているということでございます。そのうち、ただいま申し上げました比較的近隣のところが五千百五戸でございまして、その他の地域は二千四百三戸という状況になっておるところでございます。
  27. 松本龍

    松本(龍)分科員 こういった非常事態の中で今、七千幾つかという方々が入居されているということは、大変大きな数だというふうに私は思います。しかし、当初の段階で、公団あるいは公営住宅が提供されて、入居される方が行ってみたら、例えば畳はささくれ立って窓ガラスは割れているとか、いわゆる空き家は荒れ家だというふうな苦情が出て、若干のキャンセルが出たというふうな話を聞いておりますけれども、そういう状況がゆめゆめないように、こういう状況の中で希望を持って入居をしたが、まさにとんでもない状況だったということがあったというふうに聞いておりますので、その辺のところ、これから万端しっかりやっていただくように、もう一度御答弁をお願いします。
  28. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 今回の空き家の活用につきましては、先ほど申し上げたように翌日から実は始めたわけでございますが、立ち上がりのところで、戸数の確保と、それから具体的な入居の手続をどう円滑にお世話できるかということと、物の方がきちんとなっているかということが前後したりいたしまして、御指摘のように、若干そういう、せっかく御用意したものが現実には使えなかったというようなことが生じたことは、まことに遺憾でございます。  その後、体制も整備をされましたので、今後につきましてはそういうことが起こらないという状況になっているというふうに申し上げたいわけでございますし、また、先ほどの遠隔地その他につきましても、できるだけ、事情の許す限り、被災者の実情に極力合うような形で活用ができるように、さらにきめの細かい対応をさせていただきたいというふうに思っているところでございます。
  29. 松本龍

    松本(龍)分科員 では、住宅の問題、しっかりこれからも取り組んでいただきたいと思っております。  それで、この震災におきます被差別部落の被害状況と今後の課題についてお尋ねをしたいと思います。  私も、長田区の番町地域に入ったわけですけれども、そのときに、本当に瓦れきの板といいますか、まさに湊川からずっと倒壊家屋の坂ができていたということで、もう唖然としたわけであります。報道によりますと、「湊川の堤からの緩やかな傾斜地で、南北二百メートル、東西八百メートルの木造家屋の密集したこの地域は、ほぼ全家屋が全壊状態。地域は、瓦礫の坂の感じで、瓦礫が歩道を超え道路上にも押し寄せている。半壊の家屋も人が二度と入ることはできない」状態であるというふうにも報道をされています。  そういった意味で、今までにも建設大臣初めさまざまな方々が現地視察をされたところでありますけれども、このような未指定地区が存在して、集中被害が出ていることについてどのように考えておられるか、お考えをお聞きしたいと思います。
  30. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 今回の被災の中で大変な被害が集中的に出たところは、従来からいろいろな環境の整備なり建物の建てかえなりが進んでいないというところにより顕著にあらわれているわけでございまして、今回の御指摘のような地区におきましては実態からも相当な被害が出ているわけでございまして、県下の地域改善対策対象地域の中で百五十三人お亡くなりになったというような、大変な痛ましい状況でございます。改良住宅で建てかえを要するものが八棟、八百六十二戸、補修を要するものが六千百五十二戸というように、改良事業をやったところでもそういう状況が出ているわけでございまして、その他の一般の木造住宅等については大変な数の被害を受けているということでございます。  私どもといたしましては、改良事業でやって損傷したものは当然早期に建てかえ、補修を実施しなければいけないわけでございますし、なお、進めております事業もそれとあわせまして早期に完了に努力をしなければいかぬということもございます。さらに、その地区改良をやっております事業の周辺においても、今回の災害に見られますように古い木造住宅地がまさに集中的に存在をしているということでございますので、今後、市全体の復興方針の中で、とりわけそういう実情を踏まえて、我々はやり得る事業の手法を最大限動員をして、町づくりの中で一層、従来にも増して取り組まなければいけないというふうに考えているところでございます。
  31. 松本龍

    松本(龍)分科員 私も、店舗つき住宅が一階がぺしゃんこになって、そこで親子三人が亡くなられた現場を見てまいりました。一般に災害弱者というふうに言われておりますけれども高齢者等々がたくさんお亡くなりになられました。また、社会的に弱い立場にある人たちがやはり今回の災害では大きな犠牲となられた。今度の復興委員会の後藤田特別顧問も、やはり長田地区は行政の目が行き届かなかったというふうな発言もされておりますので、本当にこの復興に向けて最大限努力を図っていただきたいと思います。  また、特別措置法から二十六年、同対審から三十年たつわけですけれども、今回ある記事が載っておりまして、芦屋で、「地区改良事業完成したばかりの芦屋市の芦屋支部では、鉄筋住宅は壊滅をまぬがれたが、木造住宅のほとんどで屋根、壁などが破損し、住めなくなっている。」ここにおられる人が「改良事業完成していなければ住宅は壊滅状態だっただろう」というふうな感慨を述べられております。まさに、これらの法律がたくさんの人たちの命を救ってきたということも事実でありますので、また最大限努力をしていただきたいというふうに考えております。  最後に、大臣にお尋ねをいたします。  今お話をしましたように、全国の未指定地区の差別実態の改善に向けて政府として現在どのように考えておられるかお尋ねをしたいわけですけれども、一昨年、野坂大臣は調査に入られまして、つぶさに見てこられた報告も私も聞きました。ある西日本の県で死講立ち会いというのがありまして、まさに葬式があるときにその部落の人たちだけが近所の人から手伝ってもらえない、こういうことがまだまだ今の世の中にあるという実態がありまして、まさに大臣から先般お話を聞いたときに憤りを禁じ得なかったわけですけれども、現在、建設大臣としてこの差別実態の改善に向けて政府としてどのように考えられ、そして、これからどのようになさろうとされているか、最後に決意をお伺いをしたいと思います。
  32. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 お答えいたします。  先生お話しになりましたように、同和対策事業特別措置法ができましてからもう二十六年になります。ハードの面はそれぞれ進んでまいりましたけれども、まだまだソフトの面は多く残っておるというのが現状であります。そのハードの面につきましても、今お話にありましたように、このたびの阪神・淡路の大震災、長田地区における状態あるいは芦屋地区における状態、そういう状態の中で、芦屋の場合は改良住宅ができておった、そのために被害が少なかった、長田地区においては惨たんたるものだった、こういう状況を踏まえて、今までに指定をされた、実施をされたところはそれなりに整備されておりますけれども、未指定なり未実施というところについてはまだ政府がそれを取り上げていないという悲しい現状があります。  御指摘がありましたように、私は、島根県にも参りましたけれども、葬式にはその部落の、被差別部落の方だけがわずか四人しかついて歩いていない、こういう状況にあるということについて、我々は世の中の公平公正、そして、差別のない社会、いわゆるいわれなき差別と言いますけれども、いわれがあるわけでありますから、あらゆる差別というものは、あってはならない差別が行われておるという現実を踏まえております。  したがいまして、建設省としては、私としても積極的にこれを推進をして、未指定や未実施がいわゆる調査をされて、世の中が公平公正になるように全力を挙げていかなければならぬ、そういう決意はいささかも変わっておりません。
  33. 松本龍

    松本(龍)分科員 決意をお伺いをしました。これからも頑張っていただきますように心からお願いをして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  34. 野呂田芳成

    野呂田主査 これにて松本龍君の質疑は終了いたしました。  次に、志賀節君。
  35. 志賀節

    志賀分科員 阪神大震災の物故者及び被災者の方々、また御遺族の方々に対して、心からお悔やみとお見舞いを申し上げる次第でございます。既に、この問題につきましては、私、法務委員会の席上、質疑の中で私の感ずるところを申し上げましたので、本日は、これを省かせていただきまして、いろいろ別の質問をさせていただきたいと存じます。  特に、私が関心を持っておりますことは、いわゆる情報化社会の進展の中でコンピューターの利用が大変進みつつある。先日も建設省の方から、宅地建物取引業法の一部を改正する法律案が今国会に提案されるについてはその説明をしたいということで御説明をいただいたわけでございますが、その中身につきましては、コンピューター利用によるまことに効率的な、私としては理想的なものに近づきつつある今プロセスにあるな、そういう感を漂うしたのでございまして、まことに結構なことだと思います。  この宅地建物取引業法の一部を改正する法律案に織り込まれたことは私既に御説明をいただきましたから、それはそれで結構でございますが、そのほか、建設省関係のことで、コンピューターをさらに利用して大方の期待にこたえ、かつ効率的に事を運ぼうというようなものがございますれば、それをこの機会に承らせていただきたいと存じます。
  36. 小野邦久

    ○小野政府委員 お答えいたします。  ただいま先生から御紹介いただきました宅地建物取引業法の一部改正でございますけれども、御案内のとおり、不動産取引を少しでも透明性、客観性を高めて、オープンマーケットの意向が反映されるような形での取引にしていきたいということで、平成二年五月からコンピューターを利用した取引システムというのをやってまいりました。これが大変活況を呈しておりまして、平成二年に比べて現在では相当の、内容にもよりますけれども、二倍から三倍ぐらいの取引件数がふえてきているというようなこともございまして、それをより以上に促進するという観点から宅建業法の改正をお願いをしようということに考えているわけでございます。  建設省の仕事の中で、それ以外にいろいろコンピューターを使うようなものがあるかということでございます。  実は、例えば建設業界をとってみますと、その業者の数というのは、許可を受けております業者の数が五十二万ございます。このうち公共工事を実際にやっておられます方々の数、大体七万ぐらいあるのではないか。こういうような方々の、例えば許可情報とか経営事項審査のようなデータを処理するということになりますと、これはコンピューターを利用しないとできないのが実態でございます。それで、昭和六十三年から許可情報もすべてコンピューターに入れまして管理をする。  あるいは、不動産業者でございますけれども、これは十四万おられますが、この許可情報も、各都道府県の許可審査部局あるいは建設省の不動産業課とかそういうところでの手作業での許可事務ということになりますと、これは大変な時間と労力と人がかかるわけでございます。これも今コンピューターでやっておりますが、ただいずれも、より以上にやはりパージョンアップをいたしまして、機能的な制度でやっていきたい。  今考えておりますのは、いろいろな産業政策関係では、コンサルタント業界もかなりの数がございまして、こういうような部門の登録制度につきましても何とかコンピューターを利用できないかというようなことで、いろいろ今模索をしている最中でございます。
  37. 志賀節

    志賀分科員 大変意欲的なそういうお考えを聞いて私もうれしいことと存じますが、一方、ここで大蔵省に承っておきたい、また苦いことを申し上げることになると思いますが、聞いていただきたいのは、株式などもよく跛行性などという言葉がございますが、同じことを同じように受け入れてもよろしいものがどうも凹凸があり過ぎるようなそういう事態がございます。  例えば、これは具体的に私自身が体験したことでございますけれども、数年前の大みそかに私のところに偶然二カ所から政治献金の入金がございました。片方はキャッシュでございました。片方は銀行の小切手で、ある銀行の支店長さんの名前で振り出されておる。そうしますと、御存じだと思いますが、銀行預金の方にはそっくりそのままキャッシュの方は入ります。その日の日付で入ります。ところが、小切手の方は、いわゆる手形交換所を回って、これが無事故であることが証明されないと入金したことにはならない。名目的には登録はされても、それまでの間要するに利息がつかない扱いである。要するに私のお金になっていないのでございます。  これは、私は日付をちょっと忘れましたが、四日か五日まで、要するに年の初めですと、三日ぐらいまでがお休みだったでしょうか、二日までがお休みだったか、それから初めて手形交換所をめぐって、一日そこで置いて、ですから四日か五日でないと私のお金にそれがならなかったというふうに記憶をしておるわけでございます。これはどう考えてもおかしい。キャッシュの方はその日から私のものになっているのに、小切手の方は四、五日後からでないと私のものにならない。  こういう事情がございまして、一方、郵便貯金というものを見てみますと、今郵便貯金は大変目のかたきに一面されているところがございますが、これはまことにこのことに関する限りフェアだと思っておりますが、それは郵貯はその日から小切手、手形等で入ったものはもう登録させてしまうのですね。そして、無事故であることが明らかになったときからそれは払い出しとかなんかしますけれども、無事故であることがはっきりした段階で受け入れた日付からずっと利息も何もお支払いするということになっておりまして、そういう意味でフェアである。大蔵省の方はアンフェアである。  これは、よく巷間伝えられているように、大蔵省と銀行との癒着がこういうことを招いているのではないかということが言われるわけでございまして、手形交換所なども、申し上げるまでもなく、コンピューターのボタン一つを押せばほとんど即座にと言ってもいいくらい事故、無事故が明らかになるような御時世なんでありますから、建設省がここまでコンピューターの業務でいろいろ事の利便を図ろうとしているときに、片方はいつまでも、何の理由か知らぬけれども、そういうことを墨守していなければならない理由が私には見当たらない。  これについては大蔵省はどのようにお考えになるのか。改めるお考えがあるのかないのか。あるとすれば大いに結構でありますが、ないならば、それの理由を聞かせていただきたいと思うのであります。
  38. 木下信行

    ○木下説明員 お答え申し上げます。  手形交換所の業務についてまず申し上げますと、先生御存じのとおり、加盟金融機関から手形の持ち込みを受けまして、持ち帰り金融機関ごとに分類して、それぞれの金融機関間の決済じりを集計する、こういう業務を行っているところでございます。  こうした交換所は全国で百八十二カ所指定いたしておりますけれども、コンピューターの導入ということになりますとこの業務量と導入コストの兼ね合いということを考えざるを得ないということでございまして、ほとんどの交換所では加盟金融機関が手作業でやっておる。ただ、東京では、規模が大きゅうございますので、ソーター・リーダーというような、かなり高額の機械でございますけれども、これを導入しまして処理をいたしておるというところでございます。  今お尋ねの利息の件でございますが、こういうことで事務の迅速な処理を図っているわけですけれども、やはり大事な手形でございますので、民間金融機関では入念にチェックをして、無事故であるということがわかるまでの間は振り出された預金者の方にお利息をお支払いする、こういう処理になっているものと伺っております。
  39. 志賀節

    志賀分科員 ちょっとよくわからないのですが、振り出されたということは、要するにその四、五日の間は、今の例でいいますと私の方にその利息はつくことになっているのですか、それとも振り出した側の方に利息がつくことになっているのですか、もう一度承っておきたい。
  40. 木下信行

    ○木下説明員 どうもあいまいで申しわけございませんでした。振り出された方、出した方です。今のでいいますと、先生にお支払いする側の方のところの口座に利息が入る、こういう形になっております。
  41. 志賀節

    志賀分科員 私もそう理解しておりますから、これは当然不当利得である。キャッシュであれば私のものであるのに、そういう手形であればあるいは小切手であればそっちの方に行ってしまうというのは、これは一種の、泥棒と言っては言い過ぎかもしれませんけれども、これは私などに振り込まれた政治献金は微々たるものですからその利息は大したことないけれども、ちりも積もれば山となるで、膨大なものになるんじゃないでしょうか。ですから、何億、何十億と一日にどれだけのお金が流通しているかわからぬ、その場合のその不当利得に目をつぶっているのが大蔵省銀行局の銀行との癒着ではないかと言われるのですよ。そこを御理解願わないとおかしい。今お話ししたとおり、郵便局の場合にはそういうことがないのです。それは改めなければおかしい。これは私はかたくそう思っておりますので、この機会にこの場で明らかにいたしまして、こういう事実関係があるということを大臣初め皆さんに御認識をいただいて、そして今後の善処を私は強く希望するものでございます。大蔵省はもうこれでいいです。  それから、私の方から建設省マターでさらに質問を続けさせていただきたいと思います。  実は、御存じかと思いますが、私は岩手県でございます。今度の統一地方選挙に向けて、当然県議会議員の選挙もあれば県知事の選挙も行われることになっておる県の一つでございまして、その県知事選挙の候補予定者の一人が昨今まで建設省の官僚であったということは建設省の方は既に御存じのとおりであります。  私は岩手県内でありますから、あちらこちらを飛び回っております間に耳にいたしまして、これは事実関係を定めなければいいかげんなことは言えないことだと思いますので、まず事実関係をお調べいただきたいと思っておりますことは、地方自治体等から陳情に建設省に出向いた際に、建設省の陳情をされた側が、これは私聞いて驚いたのでありますが、まだその出馬の意思表明が行われる前のことだそうですが、この仕事は彼がやったんだ、あの仕事は彼が担当したんだという、その人の名前を明らかに出してそういうことを陳情者に対して言っておる。これは根回しなのじゃないか、事前工作ではないかというようなことが私の県内で広くささやかれておりまして、そうすると、あの人には建設省がついているから建設省には気を使わなければいかぬかなという空気もある。これはまことに大変なことでありまして、ただ話だけですから、その場に私居合わせたわけでも何でもないのですからいいかげんなデマかもしれないし、どうか事実関係をお調べいただきたい。  それからまた、私の方もさらに調査をいたしますれば、陳情は一人で行う場合もございましょうが、複数でもやりますから、当然何人もの口が同じことを言えばこれははっきりしてくるのでありまして、そういう点を事実関係としてはっきりしておいていただかなければいけない、こういうことを、まず一つ事実関係の調査をお願いしておきたい。したがって、私はその場合、県内で名前も耳にするのでありますけれども、それはこの機会には、その人の名誉のためにも名前を出すことはあえて避けさせていただきたいと存じます。  それからもう一つ、これはむしろ私の方から教えていただきたいことだと思いますことは、今御説明が小野局長の方からございましたように、全国五十二万の土木建築業者のうちで公共事業をやる業者が七万おる、こういうことでございますが、その七万というのは当然ゼネコンであるとか地方の大手の業者であるとか、こういうことにほぼ絞られるであろうと思うのであります。こういう人たち並びにそれより若干規模の小さくなる人たちがそれぞれ都道府県で団体を組んでおりますが、これは業界の親睦あるいは利害をともにしつつ、より有利なことを願おうとして形成しておられる団体であって、これは私はまことに結構であるし、これに対して何の異存も差し挟むものではございません。しかし、この団体が挙げて特定の候補者の推薦をするとか支援をするとかということになると、これは一体どういうことであろうかということを冷静に考えなければならないと思います。  例えば、今私ども政府・与党でございます。政府・与党でございますから、私ども予算の編成権あるいは執行権というものを握ったり、それに近いところにいる。そういう政党とかグループに対しては意を用いて、選挙のときなんかに挙げてそちらを、土木建築の業者で組んでいる団体が挙げてやるという偏向をする。これは偶然にそういう格好になるのじゃなしに、その中の長か何かが決めるのですね。そういうことになった場合には、これはやはり公平な選挙というものを考える上においては全く公平でない選挙にならざるを得ないのではないだろうか。いわんやその候補者が与党でもない側の人であれば、なおこれもおかしいのじゃないか。  いずれにしても、一つの団体が偏向して一人のある候補者を支持、支援するということは、これはどう考えてもおかしい。したがって、建設省としては、こういうことに対しては挙げて行政指導とか通達とかそういうことで対応していかなければいけないのではないかと思うのでありますが、しかし、現実にはそういうことがなされてないやに私は承知をしております。  私が特に強調したいことは、この公共事業というものは国民の血税なんですよ、特定の人のものじゃないのです。そういう血税によって仕事をしている人たちであればあるだけに、いわば公務員に近いくらいの公平公正な気持ちで事に当たらなければいけない、こう考えているのに、それが徒党を組んで一方に偏って、一万だけを応援するということは、これはおかしくはないだろうか。このことについて大臣あるいは局長、お考えを承りたいと思うのであります。
  42. 小野邦久

    ○小野政府委員 お答えいたします。  最初に、五十二万のうち七万と申し上げましたけれども、これはほぼ七万ぐらいだろうということで、この場合にはあらゆる公共工事に参加される方々の数を含んでおりますので、そういう前提で御理解をいただければと思っております。  今の具体的な建設業団体のある意味では政治活動といいますか、政治的な考え方の問題についてのお尋ねでございます。  御案内のとおり、建設業団体は全国にございます。当然今先生から御指摘のございました御地元岩手県にもやはり建設業団体というのはございます。これは任意団体もございますれば、あるいは社団格あるいは財団格、ほとんど社団でございますけれども、そういう社団格を持って、それぞれ会員のためのいろいろな事業をやっているということもあるわけでございます。また産業政策といたしまして、いろいろな、例えば通達を出すとか連絡事項をするといった場合に、やはり数も多いということになりますと、いろいろなそういう業者の方々の団体を通じて産業政策をやるということももちろんあるわけでございます。  ただ、御指摘のとおり、各団体が血税である公共事業というものを実施するという、そういうことのために、例えば何らかの政治的な動きと申しますか、政治的な活動をすることができないかというと、これはなかなか問題でございまして、会員の方々がそれぞれ協会に集まっていろいろな活動をする、その中で、例えば政治団体をつくっていろいろな動きをされるということもあるだろうというふうに思うわけでございます。  もちろん、それについて私ども行政側が例えば一つの一定の方向を示すとか、あるいはそれによって参考に意見を言うとかいうことはないわけでございますけれども、ただ、そういう方々がやはり民主主義のもとでそれなりに動きをされるということまでは一つ方向としてはしょうがないのではないか。それについて我々役所側が何か介入をするとか、ましてや、それによって何か具体的に方向を定めるということはないわけでございますけれども、そういう動きあるいは一つ方向の政治活動というようなものは一つ方向としてあり得るのではないか。  ただ問題は、現在の法制度によって許されている範囲を超えているかどうか、一つの法制度によって許される範囲をその団体が超えるということになりますと、これは法律違反、こういうことにもなるわけでございまして、私どもではかねがねいろいろな観点から、一昨年来一連の不祥事もございましたけれども、業界団体については法令に基づくいろいろな規則あるいは考え方に違反しないようにということを具体的に指示をし、通達をして指導してきているところでございます。  今の御指摘の点が具体的に何かそういう、例えばいろいろな法規に基づいて、業者団体でございますので基本的には建設業法が基本法でございます。それ以外にもいろいろな法律がございます。政治関係では公職選挙法を初め政治資金規正法とかいろいろな法律があると思いますけれども、そういうものにどういうかかわり合いを持つのか、これは具体的な事実に即して判断をしていかなければいけないと思っておりますけれども、一般的には、いろいろな活動を行う場合に各種の法規に違反することのないようにということを繰り返し指導することによって産業政策を実施してきている、こういう御理解を賜れればと思います。
  43. 志賀節

    志賀分科員 今のお話を承ると、土木建築業者が団体を組んで一定の候補者を推薦したり応援したりすることは適法のうちだというふうに聞こえるのですが、私はそうは思わないということを先ほどから言っているし、しかし、現実に県内のムードとしては、建設省が既に根回しをしているところから、業界はそちらなんだということで顔を向けているんだというふうにもなっているのです、現実に。そういうことをそのまま放置しているということは、これから広く建設省建設行政は江湖で問われなければならないことだということをこの機会に明らかにしておきたい。それでいいのかどうか。私はいいと思わないのです。だからこうやって指摘をしておるのだ。  しかも、前回の総選挙のときには、建設省の役人が二人組んで地方の大手の業者の中を、特定候補の名前を挙げて、これだよと言って歩いだということも、これははっきりと私の耳に言ってきているのがいるのですから。そういうことを建設省はやっているんだよ、それと業界というのは表裏一体だよという印象がもう根づいているのをどうやって建設省が今度は払拭するかが大事なんですよ。私は、建設省を責めているのじゃなくて、むしろ建設省をどうやって正常なものに改めていくようにするかの建設的な提言をしているんだというふうに御理解をいただかないとおかしいのでありまして、どうかそういう点で御理解をいただきたい。  それから、時間がなくなってきたので、十分な議論ができないのを遺憾に思いますけれども、私は談合という問題についても非常な関心を持っておる一人でございます。  談合という言葉を我々が使っている意味で和英辞典で引く項目は談合ではないような気がするのであります。もし引くとすれば八百長がなれ合いで引かざるを得ないのかななどというふうに考えるほどでございますけれども、現在これだけ人気沸騰の大相撲も、万々そういうことはないと思いますけれども、仮に八百長がその中にあったんだということが明らかになったら恐らく人気は雲散霧消するでありましょう。  私は、この談合というものは、力のある業者と弱い業者、これが一緒になってたたき合いしたら力の弱い業者は生きていけないんだから、これはやはり古来日本人の生んだ知恵で、談合というものは切っても切れない、捨て切れないものなんだ、そういう御説明をしばしば建設省から聞いてきているわけでございますけれども、私が伺いたいのは、この国際場裏にあって正当な国際競争力でやらなければならないときにそのような日本特殊論が通用するのかどうか。この日本特殊論は、日本をむしろ窮地に追い詰め、孤立化に持っていってしまう恐るべき行政の考え方と違うのか。この辺を思い直さないとどえらいことになるのではないか。  私は、地元の大学の富士大学の教授でございます前田邦夫という人がこの問題についてしばしば建設的な意見を日本経済新聞あるいは日本経済新聞社からの単行本で出しておられますので、これを読んで大変啓発されておるわけでありますが、御存じの方も少なくないかもしれませんが、前田邦夫教授は、昔、土工協の会長で鹿島建設の副社長であった、いわゆる談合屋の親分であった前田忠次さんのおいですよ。そういう方の、現実にみずからも鹿島建設その他の土木建築会社に身を置いての体験から出てきた貴重な意見を私は読んだり聞いたりして、なるほどと思っておるのでありますが、時間はもうないので、一言だけこれに対する御感想を承れれば幸いでありますが、いかようにお考えがお答えいただきたい。
  44. 小野邦久

    ○小野政府委員 お答え申し上げます。  談合は決してあってはならない行為というふうに私ども考えておることは当然でございまして、日ごろいろいろな観点から指導をしているわけでございます。現実に平成四年度及び平成五年度の入札談合事件の審決は合わせて三十二件ございます。全体で、審決に至りましたものは、審決の数ということでは五十八件でございますが、そのうち入札談合が三十二件、さらにそのうち建設業に係るものは十七件ということでございまして、入札談合事件の審決のうち半分くらいは建設業に係るもの、こういうことでございます。  そういうような行為が絶えないということは大変遺憾だというふうに思っておりまして、私どもいろいろな観点から、例えば入札・契約制度の改革でございますとか、あるいは、入札監視委員会を発注者サイドに設置をして独禁当局との間でいろいろ情報交換をするとか、あるいはペナルティーを強化するとか、あるいは指名停止措置につきましての強化を図るとか、いろいろなことをやっております。  先生案内のとおり、国際社会がどんどん進展をしております。現在のあの阪神大震災の復興のいろいろな事業につきましても、この入札方式がどうなるのかということで外国の新聞の論調もあるわけでございます。かって予算委員会先生から御指摘をいただきまして、入札・契約制度の改革とあわせて中小企業対策をどうするのか、SBAの考え方自体をもっと研究してみる必要があるのではないか、こういったことも御指摘をいただいているわけでございます。  私どもといたしましては、談合は決してあってはならないという考え方のもとに、契約制度の改革をとにかく定着をさせたい、こういうふうに考えているところでございます。その場合には、御指摘の点の特に中小企業対策というものも問題であることは当然でございまして、これにつきまして、いろいろな角度から契約制度の改革の方向と少しでも整合性がとれた考え方をとっていかなければいけない、こういうふうに考えているところでございます。
  45. 志賀節

    志賀分科員 これで私の質疑を終わりますが、野坂大臣、今お聞き及びのとおり、談合は悪ではないと建設省を代表しての御説明があったことを特筆大書しておいていただいて、この議事録をそのようにさせていただきたいと思います。  以上です。
  46. 野呂田芳成

    野呂田主査 これにて志賀節君の質疑は終了いたしました。  午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時三十九分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  47. 石田勝之

    石田(勝)主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  建設省所管について質疑を続行いたします。栗原博久君。
  48. 栗原博久

    栗原(博)分科員 きょうはお時間をいただきまして、また大臣に御出席をいただきましてありがとうございます。  今私は新潟の旧二区で、今度は新四区という選挙区でお世話になるわけでございますが、私ども新潟県は、農業、この農業も大変最近力が弱まってまいりました。私ども農村出身議員として、やはり農業の活力あるものをつくろうということで努力をいたしておりますが、そのほか地元では建設業関係、繊維関係、三条市等においては金物のような、そのような伝統産業が、これがやはり大きく飛躍し、またそれだけ期待を私どもしているわけであります。  その中で、新潟県の過去の事業を見てまいりますと、田中先生が御奮闘のころは大変新潟県も先が明るい感じを受けておりましたけれども先生がお亡くなりになりましてから、大変私ども新潟県民は失意しているわけですが、それと並行しまして、私は最近の公共事業の流れを見ますると、都市中心といいましょうか、都市に集中しているような感を否めないわけでございます。  ちなみに、行政投資を見ますると、新潟県は、一九七八年ころからずっと今日まで、約八千億から九千億、現在でもそれとずっと同じ平行線でございます。国内の、全国の行政投資は、当時一九七八年ころですと約二十二兆円ほどが、今約四十八兆円ほどに伸びているわけですね。東京は同じように、当時三光弱が今もう四兆を超えているということでありまして、私ども新潟においては、雪も降りますし、表日本に比べて大変自然の面で負荷の高いところでありますが、私ども地元を歩いておりますと、大変公共投資が実質的に低くなっている。また県からの陳情、要請もそのような指摘をしておりますし、また地元建設関連業者も皆口をそろえてそのように申しているわけであります。  財政審が一昨年の十一月二十六日に、やはり中身を見ますと都市集中の傾向の答申を出しているわけでありますし、また、私どもの生産主体の地域が冷ややかな目で見られているような感じを否めないわけでありますが、実は、私はこの質問を、大臣の御回答を通告しておりませんでしたが、今大臣いらっしゃいますので、この点についての御所見をちょっと承れれば大変ありがたいと思います。     〔石田(勝)主査代理退席、主査着席〕
  49. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 先生が御指摘になりましたが、私は所信表明演説でも申し上げましたように、建設省の基本方針は、国土の均衡ある発歴をやらなきゃならぬ、そして二番目には、それぞれの地域には特徴があるので、地域の特性を生かした地域づくりをやるべきだ、三番目には、住環境というものの整備をして、これからの福祉社会実現のために、高齢者あるいは身障者の皆さん方に住みやすい住居、例えば階段には手すりを、トイレや浴場にはブザーを、こういうことを一つ一つ検討して、住みやすい日本というものをつくっていかなきゃならぬじゃないか、こういうことを考えてまいりました。  御指摘がありましたように、都市偏重ということにならないように配慮して、やはり国土の均衡ある発展に力を尽くしていきたい、そういうふうに考えておりますので、今後とも御協力と御援助を賜りますようにお願いをしたいと思います。
  50. 栗原博久

    栗原(博)分科員 大臣から大変私としても満足のいく御回答をいただいたわけでありますが、やはり地域の特性というものを建設行政では特に私は忘れていただきたくない。後に入札の関係でもちょっと申し上げておきたいと思うのですが、野坂大臣におかれましては社会党の御出身でありますが、従来建設省というものは、私は自民党の国会議員ですが、やはり大変私も考えるところがありました。大臣からぜひひとつ、今までの建設省のうみを出す意味においても、英断を持ってひとつ御処理いただきたいと思います。  私は田中角栄先生に大変お世話になり、尊敬をいたしまして、私は十六年浪人してこの前の選挙で実は当選してまいりました。田中角栄先生からは、大変地元に寄せる思い、そしてまた日本の自立の中においていかに我が国が国力を増すかということも、よく目白のお宅でお会いした際に教わったわけであります。特に、新潟県は今は裏日本と称されておりますが、かつてはむしろ日本海側が表日本であったというふうに私は実は解釈しております。  そういう中で、どうしても雪に埋もれた地域、そして産業基盤の弱い地域を救うために、田中角栄先生は、新潟を扇のかなめにするということをよく私におっしゃったことが思い出されるわけであります。要するにそれは、関越高速道路をつくりあるいはまた北陸高速道路をつくり、そういう日沿道ですね、鶴岡、酒田の方に日本海の道路をつくる、あるいはまた磐越高速道路をつくるということを申されまして、まさしく扇のかなめが新潟に来るんだ。それで、新潟はこれから対岸の中国、ロシア等とのかつての、昔を思い起こしながらその交流を深め、ひいては新潟が発展することが日本国が発展し、先ほど大臣が仰せられました国土の均衡の、ある意味においてもやはり新潟をその中心の核にせねばならぬということを仰せられておったわけであります。  その中で、私ども福島県と新潟県の自民党の国会議員が集いまして、新潟・福島自由民主党議員連盟を実は昨年つくらせていただきました。これは、これからの物流の面、人も物流も、今までは新潟と群馬、埼玉東京のこのラインを、やはり国土均衡の意味におきましても、新潟と福島と一番近い、いわきまでは日本の本州を横断する面では一番近い面でありますので、外との交流を深めながら物流を盛んにしよう、そして、経済、人的にも盛んにしようということで、自民党所属国会議員全員が集いまして、約十七名でこの議員連盟をつくらせていただきまして、福島県選出の田中直紀先生が会長に、私が幹事長に実は就任させていただいたわけですが、その中で特に私どもが求めておりますことは、長年の念願でございました八十里峠の問題というのがあるわけであります。  磐越高速は平成九年度に完成しますが、今の福島と新潟を通ずる路線は四路線あります。十七号それから四十九号、二百五十二号、三百五十二号が関東に通じる道路でありますが、この中における八十里峠が、実は事業を施行されてからさっぱり進んでいないということで、これを地元皆さん、特に新潟県の場合は、この地域は下田村、三条市、加茂市等を含める地域の大事な道路でございまして、この間に二十七万人の人が生活をしておりますし、そして工業生産額も大変高いわけでございます。ここでもし八十里峠が早く開通しますと、福島の会津と新潟の間が、燕三条という新幹線の駅がございますが、その間が大変近くなる。現在、只見から会津若松を経由して三条まで約二百四十一キロございますが、これが開通しますと約五十八キロに縮まる。所要時間も、今六時間でありますが、これが一時間半でつながるということであります。  この八十里峠は、かっては、昔の歴史をたどりますと、一一八〇年までさかのぼるわけですが、高倉宮という方が八十里峠を越えたという伝説を受け、そして今、三条とか燕等であります地場産業、金物の町でありますが、そのもとは、会津のなたとかのこぎりとか、そういうものが一六四一年ごろこの地域に、この八十里峠を越えて実は伝わってまいり、それが今の三条地域の実は金物の産業のルーツであるわけでありまして、やはりもとをたどれば、福島の会津と三条、燕、下田の交流は大変盛んでありました。しかし時代の流れによりまして、道路がこういうふうになって、鉄道、道路の関係から閉ざされてしまいました。この間、明治の三十三年ころには一年間に約二万人の方が往来していたと言われておる。今は全く、もう往来はゼロであります。  昔の道路とか、あるいは新道、旧道はございましたが、早く工事を着工することは、いかに経済的なプラス面をこの地域、三条周辺地域に与えるか、そしてまた両県が発展するかということでございまして、この点についてひとつお聞きしたいのでありますが、どのように現在この事業が遂行されているか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  51. 藤川寛之

    藤川政府委員 八十里越でございますが、国道二百八十九号ということでございまして、今もお話がございましたが、この二百八十九号というのは、新潟を起点といたしまして、この八十里越を越えまして福島県のいわきに至る、延長が二百七十キロというような大変な幹線道路でございます。新潟、福島両県の主要な地域を連結するということでございますので、そういう意味でも、この二百八十九号の道路の果たす役割というのは大変大きなものがあるというふうに私どもも考えているところでございます。  今お話がございました八十里越でございますが、この八十里越につきましては、新潟県の下田村から福島県の只見町に至る区間でございまして、現在は交通不能区間ということでございますが、その交通不能の峠の区間十一・八キロにつきまして、建設省直轄の事業ということで事業を実施しております。それで、そのアプローチ、新潟側は一・二キロ、それから福島県側七・八キロにつきまして、これは、それぞれ新潟県、福島県の方で事業を進めているところでございます。  建設省の直轄で事業をやっている区間につきましては、昭和六十一年度から事業に着手したところでございますが、大変な豪雪地帯だということ、それと厳しい山間部だということもございまして、ルート決定にやはり若干手間取ったというふうに聞いております。  それで、平成元年度から、実際の本線工事に着手するための工事道路の確保を図っていこうということで、現道の幅員を広くする、それから線形をよくしようというようなことで工事を進めておりますが、何せ冬場に工事ができないということでございまして、工事期間が制約されるということで、若干その本格的な工事の着手がおくれているというふうに聞いているところでございます。  平成七年度につきましては、用地買収、従来からやっているわけですが、これを促進したいということと、県境部分に三キロ程度のトンネルがあるわけでございますが、本格的なそのトンネルヘのアプローチの改良工事に着手することとしているところでございます。  また、アプローチの方につきましては新潟県、福島県の方でそれぞれ事業を進めておりまして、それぞれの区間事業推進を図りたいというふうに考えております。  問題は、この八十里峠の部分がいつ開通するかということにかかるわけでございますが、今先生からもお話がございましたが、昔からやはり会津と三条を中心とした新潟は大変交流が深かったということでございます。それだけに地域の方はこの八十里越の開通というのですか、それを大変期待しておられるというふうに私どもも感じているところでございまして、今申し上げましたようにようやく本格的な本線のトンネル等のアプローチ工事に着手する予定でございますので、できる限りこの建設促進されるように、私どもといたしましても全力を挙げて取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
  52. 栗原博久

    栗原(博)分科員 過去の事業の経過を御説明いただいたわけですが、地元では八十里会という会までつくって、それを政治団体化しながら、その都度、例えば衆議院選挙の隊とかあるいは市町村会議員選挙、県会議員、村長、市長さんの選挙、常にこの問題が提起されておるのであります。  今局長さんからお聞きしましたが、皆さんの方からの資料によりますと、直轄工事は約三百五十億から四百億実は要する。それで、平成元年から四年までには十五億投資されまして、五年十億、六年十億ということで、直轄ではこのような投資額だ。こうしますと、今の三百五十億から四百億というのは現在の工事負担かと思うのですが、これからどんどんまた上がってまいると思うので、この計算をしますと四十年もこれからかかるのじゃなかろうか、そんな単純計算が出るわけですが、私ども政治家といたしまして、やはり地元でお約束していることは果たさねばならないということでございます。こういう中で、早くこれは進捗をされるように、そのめどはいかようなものか、ひとつお聞きしたいと思います。  それから、県の方でも工事をしておりますが、新潟県も約一・二キロについては二十一億五千万の金は必要だ。それで、この大江道路と申しましょうか、事業名が大江道路でございますが、五年度では二億三千万ほど、六年度は当初予算で一億三千万ほどですか、これもこのままの予算づけであったら十年もかかるというような、単純な計算でありますが。あるいは、福島県側の資料をちょうだいしますと、全部、総体で八十億かかる。今の事業進捗率が四・七%である、平成五年度ですね、それで六年度の事業費は四億六千万である。  これを見ても、まだ私ども地元に行っても説明できない数字しか出ないのですが、これを踏まえて、きょうはぜひひとつ、大臣もおられますので、私、やはり質問することは、地元の声を強くこの席をおかりして、代弁して御要請申し上げるのですが、局長さんからこの完成のめど、大体いつごろであるかということについて御答弁いただきたいと思うのです。
  53. 藤川寛之

    藤川政府委員 今先生からお話がございましたように、全体で直轄の区間は約三百七十億ぐらいかかるようでございますが、平成五年、六年それぞれ十億というような予算でございます。  先ほども申し上げましたように、現在、本格的なトンネル等の工事に着手するための工事道路をとにかく早く整備しようということで、その整備を進めてきたということがございまして比較的予算的には少なかったわけでございますが、その辺のめどが先ほども申し上げましたようにかなり立ってきたということでございます。  これから本格的なトンネル等の工事に着手するわけでございまして、我々としてはそういうトンネル等の工事、これはやはり予算的にもかなりな金をこれから投入していかなければならないわけでございますので、その辺の進捗に合わせて私どもとしても予算を投入するようにしていきたいというふうに考えております。  ただ、具体的にいつできるかというのは、今はっきりいつだというのはちょっと申し上げられないのでございますが、もう先生からもお話ございましたように、大変昔から交流の深いところでございますし、早急な供用というのは必要だというのも私ども十分認識しているところでございます。これから恐らく本格的な本線の工事が進んでくると思いますので、私どもとしても一日も早い供用ということで今後とも最大限の努力を払ってまいりたいというふうに考えております。
  54. 栗原博久

    栗原(博)分科員 今局長答弁では、私も余り頭よくないのでよく理解できないんですが、ぜひ局長さん、いつまでという約束は今のあなたの答弁ではできないかもわかりませんが、いつまでにできるというような約束の回答ができると言うこともできませんかな。一生懸命予算化をまた協議していただくと思うんですが、いつまでに、例えば来年ごろまでに、じゃいつごろできるということを約束できます、そういう日にちぐらいひとつ教えていただかないと、私は選挙区へ行って、地元で、何のために国会議員になったと言われますので、ひとつよろしくお願いします。
  55. 藤川寛之

    藤川政府委員 今申し上げましたのは、まだいつ供用がというのははっきりしないということでございますが、平成七年度の予算をある程度張りつけるという作業をこれからやるわけでございますが、その辺の作業をにらみながら、どの程度だというのはある程度お話しできるんじゃないかというふうに思っておりますので、そういうことで努力さしていただきたいと存じます。
  56. 栗原博久

    栗原(博)分科員 今局長さんの目を見ましたら輝きまして、平成七年度にぜひひとつ予算をつけてやるという意思の表示がありましたので、ひとつよろしくお願いいたします。  大臣がおられますので、大臣、ぜひひとつ新潟県に、大変地元の熱い要望がありまして、特にこの地域は豪雪地帯でございまして、この事業早期にやることは、ひいては、先ほど大臣仰せられました、この地域も多くの高齢者がございます。この道路が解決しますと、只見町の人は、新潟の三条に医療施設がたくさんあるわけですが、そちらの方にすぐ出てこれるということの利便もありますので、大臣が先ほど仰せられました三つの方針の中におけるすべてをこの八十里の道路は満たすと思いますので、どうかひとつ大臣からもよろしく御配慮をお願いします。
  57. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 栗原先生の熱望されること、よくわかります。大先輩の田中角栄さんがおられて、新潟はやっぱり政令都市並みの市街地だなというふうによく思うんですけれども、私は鳥取県ですけれども、あなたのところに比べればはるかに水準は下だろうと思っております。  しかし、今お話がありましたように、八十里峠の問題やあるいは福島県への道路の問題、熱心に要望しておられるようでございますから、あなたの意向というものを重く受けとめて、よく道路局長等を督励をして、御期待に沿うように最大限の努力をしてまいりたいと思います。
  58. 栗原博久

    栗原(博)分科員 大臣みずから督励というお言葉を聞きまして、私本当に国会議員になってよかったと今実は満足しております。よろしくお願いいたします。  そういう中で、若干時間がありますので、入札の制度についてお聞きしたいと思うんですが、政治改革は底をただせばどこにあったか、やはりゼネコン業者等々の癒着というものが国民から強く指弾されたわけでございます。  実は、「入札・契約制度の歴史的改革」というパンフレットを私読みますと、何かなと思うんですが、地方公共団体の不祥事とよく書いてますが、地方公共団体でなく、国の不祥事であると私は解釈せねばならぬと思うんですね。このパンフレットを見ますと、何か地方の方におっかぶせるような文脈が多いような気がいたします、これも一つ私の意見ですが。  それから、この新しい制度をやりますといろいろ事務が煩雑になるという指摘もございます。確かに公明正大な発注でございますからいろいろな難点もあると思います。  もう一つは、問題は、事務量が多くなるから役所が発注工事高を高くしまして、それで小さな、例えば地場の建設業者に対する割り当てが少なくなるんではなかろうかという実は懸念を私は持っておるわけでございます。  新潟は、先ほど冒頭申したとおり建設事業に依存するのが大変高うございます。特にまた、今回の阪神大震災を見ましても、テレビを見ますと、そのテレビに、画面に映ってくる業者はみんな地元の業者ですね。もし万が一災害があった場合、言うならば工事完成保証人制度というものが、今度は何か損保会社か何かの保証制度に変わるらしいんですが、今の大手の建設会社というのは、私は言うならば保険会社だと思っている。実際、工事は全部地元の末端の企業がやっているわけですから、事実今回の震災の応急的な措置を見ますと、もう地元の業者が出るわけです、大手なんか機械もそんなに持ってないわけですから。  例えば、私ども豪雪のときもそうでございますが、新潟も豪雪は幾度もありますが、まず豪雪だともう地元の仕事はいつも大手からの下請ですが、いざとなれば地元の業者が寝ずに、不眠不休で機械を出してやる、あるいは八・二八水害もございました。そのときも、何も国から一回も直轄として仕事をもらわなかった。川筋の、治川の業者が命がけで堤防を築いているわけであります。  私はこの中で、今回のこの入札制度というものが新しくなって絶対に——市町村長の恣意的な選挙の道具のために業者選定するというような流れも多々見られる市町村もございますが、あるいは国でも天の声と称して、それはだれが天の声を発するかどうかわかりませんが、やはりその天の声ということで一部の大きな業者が仕事を優先的にもらうということもあるわけです。  私は実は百十三号の国道、新潟から山形へ行っている道路がありますが、あの改修工事を見てみますと、新潟県側はいつも大手だ、ところが山形県側へ行くと、米沢とか地場の企業が大分受注しています。ですから、地場のそういう業者がみんな育成されて大きくなっている。新潟の方はどうも地元の業者の育成をちょっと怠っている面が私は見受けられる。こういうことで、この新しい入札制度の導入によってむしろ地場産業を育成するという面に御配慮を賜りたいと思うのですが、その点についての御見解をひとつ賜りたいと思います。
  59. 小野邦久

    ○小野政府委員 お答えいたします。  ただいま入札・契約制度の改革を実施いたしております。先生指摘のとおり、一昨年来のいろいろな事件等もございまして、少しでも不正の起きにくいシステムとしようということで、透明性、客観性あるいは競争性の確保に努めているところでございます。  ただ、入札・契約制度の改革をいたします場合に、当然自由に競争させる、全く自由に、例えば一般競争につきましても、あらゆる契約につきまして自由に競争させるということになりますと、なかなかこれは地元の中小企業対策も問題でございますので、私どもとしては、当面は例えば七億三千万以上の国の工事につきましてはとりあえず一般競争をまずやってみる、こういう制度の改革に努めているわけでございます。これをまず定着をさせたいと思っております。  それと同時に、国の大変重要な施策でございます中小企業対策と申しますか、地場産業の育成という観点にも留意をしなければいけない。これは考え方といたしましては、両方それなりに考えていくということを政策として実施をしていかなければいけないわけでございまして、御案内のとおり、中小企業対策につきましては、例えば分割、分離発注の推進でございますとかあるいは発注標準をきちっと守ってやっていくとか、いろいろなそういう手だてがあるわけでございます。国の方といたしましても、毎年予算が通りますと、六月から七月にかけまして閣議了解で中小企業向けの発注標準も発注目標量も定めまして、それに向かっていろいろな発注機関が努力をする、こういうことになっております。  そういう点から、地方の地場産業あるいは中小企業向けのいろいろな意味での発注の観点からのいろいろな対策というものも大変重要でございますので、そういうものも含めまして総合的に入札・契約制度の改革を進めていきたい、こういうふうに考えているところでございます。  あと、いろいろ御指摘がございました発注単位の問題、あるいはボンドの問題、あるいは応急措置として中小企業の方々が災害あるいは豪雪等につきましても現場で大変働いていただいているということは、お話のとおりでございます。それ以外のいろいろな制度の改革につきましても、いろいろな観点から、やはり不正の起きにくいシステムとする一方で、中小企業対策にも意を用いた形で総合的な観点から進めていきたい、こういうふうに思っているところでございます。
  60. 栗原博久

    栗原(博)分科員 どうもありがとうございました。私は大手を否定するわけじゃありません。やはりなるべく地場の産業もひとつ育成するように、この制度の改革に当たって御配慮いただきたいと思います。  質問を終わります。ありがとうございました。
  61. 野呂田芳成

    野呂田主査 これにて栗原博久君の質疑は終了いたしました。  次に、上田勇君。
  62. 上田勇

    上田(勇)分科員 このたび発生しました阪神・淡路の大震災は、我が国では初めての近代的な大都市における直下型の大規模な地震でありまして、五千四百名を超えるとうとい命が失われましたほか、建物が広範囲にわたって破壊された。また、高層建築物や大規模構造物にも甚大な被害が生じた。電気、ガス、水道などいわゆるライフラインの施設、また道路、鉄道などの交通網、情報通信施設などが至るところで寸断された。それに加えて、広範囲にわたりまして火災が多発したというような、これまでの私たちの予想や常識をはるかに超えるような被害が発生したわけであります。この未曾有の大震災によりまして、全国の国民が、このような大地震が発生したときに果たして自分の住んでいる町は大丈夫なのかという強い不安が、今広がっております。とりわけ人口の密度が高い都市部では、テレビ、新聞等で映し出される神戸市の情景、これを目の当たりにしまして、国民の生命、財産の安全に強い懸念を抱いているわけであります。  日本列島はよく地震列島というふうにも言われますけれども、こうした大地震がいつ、どこの地域で発生しても不思議ではないというような状況であります。首都圏でも、東海地震あるいは南関東地域直下型地震など、そういう大規模な地震が近い将来発生する可能性が相当高いというふうに、建設省などの資料にも書かれているところであります。  本日は、時間の限りもありますので、主として首都圏での地震対策、その中でも幾つかの点に絞りまして質問をさせていただきたいと思います。  阪神大震災ではがけ崩れなどの被害も発生いたしまして、建設省の方からいただいた資料の中では、十八件のかけ崩れが発生したというふうに御報告を受けました。また、これは私の地元の神奈川県の方で出している資料でありますけれども、神奈川県西部地震被害想定調査といった調査も行っておりまして、この調査には学識経験者や建設省などの官庁の技術者、多くの方々が一緒に知恵を出して、またコンピューターの解析などを使いながら被害の想定を調査しているわけでありますけれども、この報告書によりますと、やはり危険度が極めて高いかけが県内だけでも三百九カ所、仮にそうしたところが崩壊などのことが起きた場合に影響する人家の戸数が五千戸を上回るというような報告書になっております。これは、報告書自体が平成五年の三月に出ているものでありまして、そういう意味では、この阪神大震災の発生前でありますので、当然、今回私たちの予想を超えるような被害が出ていることから考えれば、これでもまだひょっとすると、今回のこうした結果を見ると、もっと深刻な被害が出ることも考えていかなければいけないのじゃないかというふうに思います。  さらに、こういう急傾斜地の防災対策としては、建設省の方で急傾斜地の崩壊危険地域が指定されまして、そうした箇所に現在補助事業が実施されているわけでありますけれども、私の地元の横浜市の場合も、やはり今回の阪神大震災の被災地域と同様、人口が非常に欄密でありまして、しかもこうした急傾斜地が極めて多い地域でもあります。住民方々も今大変な不安を覚えているわけでありますけれども、この急傾斜地の対策事業について、その指定される箇所というのは、神奈川県等の資料によりますと危険と思われる箇所のごく一部にしか当たらない。このデータによると、県下ではいろいろな専門家の調査によると、危険と言われている箇所が二千カ所ぐらいあるのに、指定箇所は千ちょっとの箇所しか指定されていない。大体半分だというようなことになっております。  こうした急傾斜地というのは、もう地震災害だけじゃなくて、集中豪雨や水害といった場合にも非常に危険性が高い場所でありますし、とりわけ今回、地震と豪雨という複合的な災害ということも想定しなければいけないのではないかと思います。とりわけ人口が集中している大都市にありましては、仮にかけが崩壊した場合には多くの今、財産が危険にさらされることになります。  したがいまして、この指定基準でありますけれども、やはりこの基準を地域の実情を考慮して緩和していく、あるいは弾力化していくということを考えるべきだと思いますけれども建設省の方の御所見を伺いたいと思います。
  63. 豊田高司

    豊田(高)政府委員 まず、全国的にどういう状況になっているかということを御説明申し上げたいと思いますが、がけ崩れというのは、地震と同じように、若干時間的余裕はあるわけでありますが、やはりある日突然襲ってくるという心配で大変危険なものでございますが、全国で八万一千八百五十カ所になっております。現在までに何らかの整備、がけ崩れ対策整備しているのは約二二%という状況でございます。このために、第三次急傾斜地崩壊対策事業五カ年計画というのを平成五年度から実施しているわけでございまして、この五カ年間に新たに五千四百カ所、八万カ所以上あることに比べれば少ないわけでありますが、五千四百カ所を整備して整備率を三〇%に高めたいということで、現在第三次五カ年計画を実施中でございます。  今回の阪神・淡路大震災によりましても大変多くのがけ崩れが心配されまして、今御指摘のように、十八カ所について急速がけ崩れ対策を実施しようとしているところでございますが、この採択基準でございますが、現在、これは個人の責任と国の関与というのをどの程度にバランスするのがよいのかという、そういう議論が大事でございまして、現在は十戸以上あるところについてはがけ崩れ対策事業の対象にしようと。それで、今回の大地震のような場合には、これは特例がございまして、激甚災が指定された場合、二戸以上の場合でも対応策ができるようになってございます。  また、特別な理由で、公共施設等重要なものがある場合には十戸以上の特例もあるわけでありますが、今先生指摘の神奈川県について調べてみますと、実は兵庫県と比べてみますと、おっしゃいましたように、危険箇所は全国で八万以上あるというのは御説明したとおりでございますが、神奈川県では二千二十五カ所、それから兵庫県では三千二百三十カ所ということで、ところが指定箇所、区域指定してあるところを見ますと、兵庫県が五百三十八カ所、神奈川県が約九百カ所弱でございますが、八百九十六ということで、神奈川県の方は割合ときめ細かくと申しますか、兵庫県に比べるとややきめ細かく対応をされておるように思います。  ただ、このがけ崩れというのは大変危険なものでございますので、基本的にはそこに住んでいらっしゃる人に、このがけが危険であるかどうかということをまず知ってもらう必要がある。それから、雨がどれぐらいに降ればどういう危険が来るのか、危険の兆候はどういう兆候であるか。例えば、小石がばらばらと落ちてくる、あるいはふだん水が出ていないところから濁り水が出てくるというようなことで、避難警戒態勢、もしそういうところに大雨が降って危険な状態になったらどこに逃げるか、避難ルートはどうするかというようなこともあわせまして、ハードの対応策と同時にそういうソフトの避難警戒態勢というのも大事だということで、あわせまして、住民皆さんに啓蒙、周知というようなことを徹底しておるところでありまして、今後とも、そういうハード、ソフト面、両方とも徹底してまいりたいと思っているところでございます。
  64. 上田勇

    上田(勇)分科員 この事業、がけ崩れが一たん発生した場合には、がけの下の家屋が押しつぶされ、本当に人命、財産にかかわる大変な災害が発生するわけでありますので、ぜひとも今後、特にこういう危険区域の指定、あるいはその中でももうちょっと条件が厳しくなっていて、事業採択の基準、今ちょっとお話が出ましたけれども、その設定が行われている。これはがけの高さや、あるいは今お話がありましたように、影響戸数等で指定基準あるいは採択基準が決められているということでありますけれども、これはさらに、そうしたそれぞれの地域の実情などを十分配慮した上で、こういう基準の緩和に向けまして御努力をいただければというふうに思います。  また、こうしたかけ崩れ、急傾斜地の対策事業、特に人口が密集しているような都市部において、いろいろ事業の計画等を見てみますと、地元の声などを聞くと、やはり結構、かなり大規模な施設、構造物が必要になってくる。それで、大規模なコンクリートの擁壁など、そういう構造物を施工するのが、実際には密集地帯では難しいケースが多くて、それがゆえに、本当はどんどん進めてほしいんだけれども、なかなかこれは、地元の合意ということもあるんでしょうけれども、なかなか進まないというケースも多々あるというふうにも伺います。  特にまた、このがけの部分というのが、そこに生えている植生というのが、緑の少ない町の中では貴重な自然にもなっているというようなこともあって、やはりこれから都市部において、そういう事業を着実にまた効率的に実施して、しかもそういう環境とか景観にも配慮していく必要があるのではないかというふうに思います。  こうしたニーズにこたえていくために、やはり新しい設計方法だとか工法、そういう研究開発が必要だと考えますが、このことについて、建設省においてどのような取り組みが行われているのか、また今後どのような努力をされていくのか、御所見を伺いたいと思います。
  65. 豊田高司

    豊田(高)政府委員 特に都市部におきます斜面というのは、先生指摘のように大変貴重な緑地空間だというふうに私どもも認識しておりまして、危険だけれども現在ある木を切ってしまうには抵抗がある、何とかこれを残す工夫はないか、コンクリートのようなもので、安全第一だけでは不十分ではないかという御意見が、地元皆さんから出てまいっております。私どもも、それはそのとおりである、何とか現在生えている木をそのまま残す、あるいは新たに木を植えてでもそこに緑を回復しなければならないというふうに思っておるところでございまして、対策工事を、従来のそのコンクリートで固めるだけじゃなしに、例えば鉄の棒のようなもので地中深く押さえるというような新しい工法も研究をして、都市におきます緑を回復してまいりたいと思っているところでございます。  また、今回の地震等でも、同じ木を植えるにしても類焼を防ぐような木、水気の多い木ですが、例えばヤマモモだとかサンゴジュだとかタブノキというような木を植えますと、これが大変水気の多い木でありまして、そこが一種の防火帯、遮断帯になるというようなこともあわせまして、緑と都市の防災、しかもがけ崩れを防ぐというようなことをあわせましたことを今後積極的にやってまいりたいと思っておるところでございますので、先生の御指摘のとおり、この辺も一生懸命やってまいりたいと思っております。
  66. 上田勇

    上田(勇)分科員 私の地元の横浜市もそうでありますし、また日本の大都市といったものはみんなそうであると思うのですが、人口が非常に密集している、しかも非常に急傾斜の部分が多い。その影響は、水害にしろ地震にしろ、一たんそういう災害が発生した場合には大変な方々が影響を受け、生命財産が失われる危険性がある地域が全国大都市にはもうたくさんあると思います。  そういう意味で、こうした国民の安全あるいは安心を確保していくということが国の責務としても非常に重要なことでありますので、今後、こうした急傾斜地の対策についてどのような方針で進められていくのか、大臣の御所見を伺いたいと思います。
  67. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 今、河川局長が御説明申し上げましたとおり、全国には急傾斜地の危険性のあるところは約八万一千八百五十もある。先生が御指摘のように、神奈川県下でも二千幾つあるのに、重点的に約千カ所になっておるのじゃないか。現在の竣工率といいますか整備率といいますのは二二だ、まだまだ不十分だ、したがって三〇%まで持っていきたいということを局長としては述べておるわけでございまして、確かに、阪神大災害というものを考えてみますと、一日一刻猶予も、我々はできるだけ早く全国規模で調査をしなければならぬ、こういうふうに考えております。  私も、この間、二十八日には神戸の東灘区の西岡本に出てまいりました。隣は倒壊、隣はそのまま建っておる、しかしすべてが危険性がある、だから避難はしていただきますと。この間は、十八日には仁川地区に行ってまいりました。そして、あそこで今整備をして早急に砂防をやっていかなければ第二次災害の可能性はある、川はもう一度掘り直していかなければならぬ、もっと広げて深くして、そして第二次災害というものは完璧に防ぎなさいというようなことを言っております。  ただ、現場に聞きますと、これは一年ぐらいかかるのじゃなかろうかということを心配しておりますが、危険性のあるところから早急に実施をして、市民、国民、県民の皆さん方が安心をして、豊かというわけにはならぬと思いますが、安心して、落ちついて生活ができる、そういう目に見えた仕事をしていくようにということを指示してまいったところでありまして、先生がおっしゃるところを重く受けとめて、今後も建設省としては総力を挙げて精進してまいりたい、こういうふうに考えております。
  68. 上田勇

    上田(勇)分科員 次に、今回の災害の経験も踏まえまして、地震災害に対する住宅の安全性について御質問したいと思います。  今回の震災では、木造家屋のみならず、これまで一般に安全と言われてきました鉄筋コンクリート構造の公営住宅やマンションなどの建物にも多くの被害が出たわけであります。こうした集合住宅に住んでいる方々、本当に住宅がこうした地震が起きたら崩壊するのじゃないかという、安全性について現在強い不安を感じているわけであります。  私の地元にあります公団住宅におきまして、その居住者の住民のグループの方々地元の県会議員が協力しまして、居住者を対象にアンケート調査を実施したところであります。その結果、これは二カ所の公団住宅なんですけれども一つのところは千三百戸ぐらいの公団住宅で、これについて、もしこうした震災が起きた場合に大丈夫だと思いますかというアンケートに対して、実に六九%の人が不安を感じるというような回答、大丈夫だと思うという方はわずか七%しかない。また、もう一カ所は、これは千五百戸の団地でありますけれども、やはり不安に感じている方が六〇%、安心、大丈夫だという方が九%しかないという結果になっております。  そうした意味で、このような多くの方々が大変な今不安を覚えているわけでありますけれども、きょうは、ちょっと全般論ということになるとなかなか資料等のこともあると思いますので、公団住宅、これは全国に多くの方々が住んでおりますので、今ちょっと絞って質問させていただきますが、まず、大震災で公団住宅被害状況につきまして、どの程度の被害が生じているのか、居住可能なのか、補修で済むのか、あるいは建て直しが必要なのか、その辺のところをお伺いしたいと思います。
  69. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 今回の震災によりまして、公団住宅被害状況について若干御説明をさせていただきたいと思います。  公団住宅の場合には、倒壊をしてしまったというものは幸いにもなかったわけでございますが、最終的には解体をして建てかえなければいけないというほどの被害を受けているものが、現在のところの調査では三棟、三百三十三戸でございます。それから、恐らく修理をすれば使っていけるであろうというレベルでの被害を受けているものが十五棟、九百二十二戸でございます。これは、兵庫県下の全体の住宅の戸数が約四万六千戸ほどございますので、そういう意味では比較的、被害はもちろん出ておりますが、相対的には少なくて済んだという幸いな状況になっております。そのほか、外壁が落ちましたとか窓や建具が壊れたとか、そういういわば軽微なものについては相当に出ております。  今申し上げましたように、解体せざるを得ないもの、あるいは相当きちんとした復旧をしなければいかぬものというのは、そんなオーダーの数字でございます。
  70. 上田勇

    上田(勇)分科員 今、局長からの御答弁伺いまして、全国公団住宅に住んでいる方々、いろいろ私も大変、本当にこの住宅がもつのだろうかというような不安を感じるという声を聞く中で、そういう意味では幾分か安心をしていただいたのじゃないかというふうに思います。  もちろん、あれほどの地震でありますので、全然損壊が起きないというようなことはあり得ないと思います。ただし、その住宅が少なくともつぶれたり、崩壊したりすることによって人命が失われるというようなことになりますと、これはもう大変なことになります。そういう意味で、今の御答弁で、まあ安心ということはないでしょうけれども、ある意味で不安のある程度の部分は解消されるのじゃないかというふうにも感じる次第であります。  阪神大震災の現地の様子を見てみますと、例えば一階や二階の部分に店舗が入っているようないわゆるげたばきの住宅に大変被害が集中していたというようなことも言われておりますし、また、特に公団住宅の中には昭和三十年代とか四十年代に築造された古いものも結構たくさんあるわけであります。こうした住宅の安全性についてとりわけ懸念が強いわけでありますけれども、こうした老朽化した住宅とか、あるいは構造的に弱い部分があると思われるような住宅などについて、今後安全性対策あるいは補強対策といったことが必要になってくると思うですが、その辺についてどういう方針で進められるのか、御見解を伺いたいと思います。
  71. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 ただいま先生の方からお話がございましたように、今までの調査結果、いろいろな専門家にお入りをいただいて、公団自身の調査はもちろんでございますけれども、私ども委員会を設けたりして調査を進めております。私自身も見てまいったわけでございますが、見かけといいましょうか、外観的にそういうげたばきのようなものが、先ほど申し上げました公団の三棟、解体をして建てかえざるを得ないというような被害が出てしまったものも、実は三棟ともげたばきでございます。そういうものについて、一般的に被害が顕著に出ておるということも事実でございます。  御質問の中には、古い、新しいという問題と、今のような建物の形式といいましょうか、そういうもので顕著な現象が出ているかということかと思いますが、一つは、今の公団の例で言いますと、三棟とも四十年あるいは一番古いものは三十三年に管理開始したものでございまして、今の建築の基準から申しますと、二回の耐震上の改正をしてきたそれ以前のものということになるわけでございますが、一回目の四十六年の改正のときには、設計の考え方自体を直したわけではございませんが、柱の強度というようなものを、帯筋という柱を巻く鉄筋を補強、追加をいたしまして、より安全な柱等をつくっていこうという改正をしたのが一点ございます。  それから五十六年には、設計の考え方自体をかなり大幅に変えた改正を行っております。いずれの場合にも共通して言えますことは、予想しておりますような地震よりも、まあいろいろな地震が来るわけでございますので、それに対する、専門用語といいますか、専門家の間では粘り強い建物にしようという考え方がございまして、そういうことを中心に改正してきているわけでございますけれども、げたばきのようなものについては、一層そこに弱点が集中してくるといいましょうか、大きな地震が来ますとそこに力が集中してくるというような傾向がございますので、その点に対する配慮をより一層しておかなければいけないということでございます。  なお、たまたま三棟のやつはげたばきでございますが、ほかにもげたばきはたくさんございまして、げたばきだから必ずしも弱いということではないわけですが、どうしてもそこに力が集中するという傾向は明らかでございますので、それに合わせた設計をきちんとやらなければいけないということが重要な点だと考えております。  今後につきましては、さらに今回の被災の状況というものを十分専門的に調査を進めているところでございますので、今現実に被害を受けた建物の復旧そのものはきちんとした形で進めたいと思いますし、また、それ以外の建物についても、その調査結果によりましては何らかの点検をしますとか、場合によっては若干の補強が必要になるかもしれないというようなことについては、その結果を受けてきちんと対応していきたいなというふうに考えているところでございます。
  72. 上田勇

    上田(勇)分科員 それで最後に、ちょっと先ほども触れましたアンケート調査の中でも幾つか声が挙がっていることは、一体自分の住んでいる住宅というのはどの程度の地震まで耐えられるんだろうか、そういった情報がとても知りたいという声がたくさんありました。災害復旧等で大変な折だと思いますが、ぜひとも国民の安心、安全のために情報を提供していただくということも国としての重要な責任であると思いますので、またその点も、これはやはり情報がちゃんと伝われば安心できる部分ということもあります。知らないから不安になる部分というのもたくさんあると思いますので、ぜひとも、今居住されている方々のそういう御要望にも、またしっかりと情報提供をしていただくことを御要望させていただきます。  最後に、そういうことについて御見解を伺いまして、質問を終わらせていただきます。
  73. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 実は、古い建物につきましての耐震診断という仕組みを、私ども官民挙げた総合技術開発プロジェクトという中で、そういういわばノウハウを五年がかりでつくった経験がございます。その経験をもとにして、建っているもの、あるいは今回のように被害を受けたもの、そうい。うものの診断とそれに引き続きます改修、補強のノウハウというものも一応つくってございます。  今回の被災度判定という、直後に始めまして六千名を超える人間を導入して判定をしたわけでございます。それの技術は、それの応用としてやったわけでございます。先生地元の静岡とか神奈川とか、そういうところはその先進地域でございまして、静岡などでは、そういう判定をして、公共的な建物については一部補強もしていることがございます。  今回は、とりあえずは被災地で大がかりな窓口を設けて御相談にも応じようとしておりますけれども、引き続き、できれば全国にそういう御相談にきちんと応じられるような窓口を至急つくって対応したいなということで考えております。
  74. 上田勇

    上田(勇)分科員 どうもありがとうございました。
  75. 野呂田芳成

    野呂田主査 これにて上田勇君の質疑は終了いたしました。  次に、福島豊君。
  76. 福島豊

    福島分科員 今回の阪神・淡路大震災の復旧に関しまして、建設省本当に日夜懸命の御尽力をいただいておるわけでございまして、その御尽力に対しまして心より御礼、また敬意を表したいと思います。御苦労さまでございます。  私は、いろいろな観点があろうかと思いますが、住宅、木造住宅のことを特に中心にお聞きしたいと思います。  私、実際に現地に立ちまして、特に長田区の焼け跡に立ったときに、関東大震災から七十二年がたっわけでございますけれども、やはりまた同じことが起こったのではないかという思いを強くいたしました。戦後五十年、日本は都市づくりに営々と努力をしてきたわけでございますけれども、しかしそのでき上がった町というのが、非常に快適で住みやすいことは事実ですが、しかし大震災というものに出会ったときにはいかにもろいものであるかということを、実感した次第でございます。とりわけ、まだまだ都市部に残っております木造住宅の問題というのは大きいだろうというふうに感じております。  まず第一点でございますが、今回の震災におきまして木造住宅はどの程度、どのような被害を受けたのかということにつきまして、御報告をいただきたいと思います。
  77. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 木造住宅被害については、全体の住家の被害の中のいわば大半が木造住宅被害であったと言っても過言でないと思っております。マンションの被害ももちろんございましたけれども、数量的にはもう圧倒的に木造戸建ての被害でございます。  詳細の確定的な数字につきましては順次固まってくると思いますけれども、その被害の中で特に感じられますことは、いろいろなコメントがございまして、古いということも言われるわけでございますが、当然一般的傾向としては古い建物は古い様式によって建てられているということが一つございますし、それから、特に戦前戦後の時期からの建物でございますから、当時の建て方としてはどうしても時間とともに老朽化が進むような建物であった。その後の維持、修繕その他が必ずしも十分に行われていないというものが重なって、結果としては古い建物がほとんどであったと言っていいと考えているところでございます。  その様式の中には、当然屋根のふき方が、いわゆる土を乗っけた上に瓦を乗っけるという、躯体に比べますと相対的に屋根が重い様式が大変多かったということと、それから、新しい形式の建物の場合には壁が地震に対する耐力として働くわけでございますけれども、そういうつくり方に基準もなってきているわけでございますが、古い建物の場合には、いわゆる小舞という土塗り壁の壁でございまして、これは地震に対してはほとんど耐力としての役割を果たさないという様式のものでございます。そういうものが主に中心になって倒れているということが、一般的傾向ではないかというふうに思っております。
  78. 福島豊

    福島分科員 ただいま、どのような住宅が倒れたのかということについて若干コメントがございました。これはマスコミ等でも、どういう建物、住宅が残り、またどういう住宅が倒れたのかというふうなことについては、非常に細かいレポートがされております。  今後の安全な木造住宅の建築ということを考えたときに、今回のこの震災での被害というものを徹底的に調査しまして、どのような住宅を今後建てるべきであるのかという一つの指標を出していくべきではないかというふうに私は感じております。建築基準というものがございますけれども、特に耐震ということを考えたときに、現在の基準の中ではどのようなことがうたわれておりまして、また今回の経験を踏まえて今後どのような基準づくりをしていくつもりであるのかという点につきまして、建設省の御見解をお聞きしたいと思います。
  79. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 現在の建物の耐震基準の考え方は、中くらいの地震に対しては建物そのものにも被害が出ないという考え方でございますし、予想されます中で相当規模の大きな地震に対しては、部分的には損傷を受けても人命に影響を与えるようなそういう被害を受けないという一つの考え方で全体を構成しておりまして、これは木造に限らずビルについても、基本的には同じ考えでございます。  今申し上げました中くらいまでの地震と大規模な地震との関係は、一般的に現在の基準の考え方は、壁にかなり期待をするという、木造住宅の場合には壁に期待をするという考え方をとっておりまして、したがいまして、それぞれの方角、大抵は四角でございますけれども、縦方向、横方向にそういう地震に耐えるような力になるような壁をどれぐらい入れなければいけないという規定を設けているわけでございます。当然柱と壁でもつわけでございますが、壁というものに今申し上げた考え方の中心を置いているということでございます。  しかし、一般の木造住宅の場合には、それを厳密な構造計算をするというようなことは現状の生産体制になじまないということもございまして、どれくらいの量、具体的な数値として示しておるわけでございます。しかし、この壁が実際にどれくらい有効に働くかどうかということは、壁の数量だけではなくて入れ方にもまた相当影響されるところでございまして、今後の検討によりましては、数量のみならずもう少し壁の入れ方自体も補強をしていく必要があるのかなというのが、現在の私どもの感じるところでございます。
  80. 福島豊

    福島分科員 ぜひ積極的な御検討をお願いしたいと思います。  そしてまた、応急的なことでございますが、現在例えば東京にも老朽化した木造住宅はたくさんございます。建てかえるといいますとなかなかお金のかかることでございますけれども、修繕または補強ということにつきまして、これをできるだけ促進するように、例えば住宅金融公庫の融資等でそのあたりの観点を踏まえて対応するということも一つの考え方ではないかというふうに思うわけでございますけれども、この点につきましての建設省のお考えをお聞きしたいと思います。
  81. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 従来から、公庫の改良貸し付けといいまして、修繕、模様がえ等に対する融資がございますけれども、どうしても生活の使い勝手の方に皆さん方も集中的にお考えになって御利用になるという傾向がございますけれども、今回のような被害全国の皆様方が見ていらっしゃるわけでございますので、改良する際に安全面の補強ということも十分取り入れていただくように、ぜひとも我々としてもそういうPRを進めていきたいと思います。  その場合に、どうしても既存の建物でございますので、完全に安全だけの、効率的なそれだけというのは大変難しいノウハウでもあるわけでございますので、できるだけ具体的な事例で、先ほど申し上げたような壁を補強する方法は、それぞれの従前の建物の特色に合わせてどうすればいいかというようなことをさらにわかりやすいものを持ち出して、皆様方に改良する際に、あるいは極端な場合には安全のためだけの改良もぜひしていただくように、総力を挙げて取り組んでまいりたいというふうに思っているところでございます。
  82. 福島豊

    福島分科員 ぜひよろしくお願いいたします。  今までの御質問は個々の住宅についての御質問でございましたが、今度は面としての、木造住宅の密集地域に対しての対策ということをお聞きしたいと思います。  先日、これはサンデー毎日でございますが、陸上自衛隊が「大震災地誌」というのをつくっていた、それに想定されていたことが現在起こったことと非常に似ているということが書かれておりました。その中でどういう記述があったかといいますと、大阪府北部地域それから中−東部地域、これは大阪市、そしてまた私の地元であります寝屋川市また守口市、門真市、及び尼崎市−神戸市南部地域、これは長田区でございますけれども、木造建築物が密集しており、地震に伴う家屋の倒壊及び火災の発生延焼等の危険性が高い地域であると、かなり広範な地域がそのような地域であるということで指摘されておるわけでございます。まさにその事態が起こった。  私も、今回の大震災が発生いたしまして、地元の非常に密集した木造賃貸住宅、いわゆる文化住宅という建物でございますが、密集した地域がございまして、倒れていないかどうか心配でずっと回ってまいりました。そのような地域は道路も非常に狭くて、また袋小路のようなところもあります。ここで同じようなことが起これはやはり大惨事は免れないなという実感を強くいたしました。この木造賃貸住宅、また木造住宅の密集地域ですが、再開発というのがなかなか、実際言うはやすく行うほかたしで進んでいないのが現状ではないかというふうに思います。しかしまた、東京で、また名古屋でとか、大都市での状況を考えましたときに、これは一刻も早く何とかしなければいけない事柄なのではないかというふうに思います。  建設省におきましては、平成六年度から密集住宅市街地整備促進事業ということを設けられまして、この改善のために努力をしておられるとお聞きしております。平成六年度はどのくらいの予算がついたのかと思いまして見ましたところ、二十二億円というふうに建設白書には書かれておりました。二十二億円が多いか少ないかといいますとなかなかあれでございますけれども、なかなかこれは難しいのではないか。本年度、平成七年度はどのような予算規模でこの密集住宅市街地の整備のために取り組まれる予定であるのか。また今後、例えば二十一世紀までにこういう地域は解消したいとか、そういう中期的な展望といいますか、そのあたりにつきましての建設省のお考えをお聞きしたいと思います。
  83. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 先ほど自衛隊の予測のお話がございまして、実は、例えば東京都におきましても、再び大震災が起こったときにどういう事態になるかというようなシミュレーションも行っております。かっては国土庁もやったことがございまして、それぞれ内々のシミュレーションではなくて、結果についても公表をしたりして、住民の皆様方の御理解を深めたり、いろいろなことをやるときの協力を呼びかけるという趣旨からもやってきた経緯がございます。  いずれにしましても、大都市地域にはいわゆる木賃地区と言われる大変災害には脆弱な地区が広範に広がっているわけでございまして、これは防災面からも住環境面からも、いずれにしても広い意味での再開発を積極的に進めなければいけないというところでございます。しかし、今先生指摘のように、どうしてもそこに立地されておりますのはいろいろな、事業者としては零細な方でもございましたり、公共施設の水準が極端に低いというようなことで、一生懸命やっているつもりでございますが、難航している状況でございます。しかし、そうは言っていられないわけでございまして、今回のような事態を住民の皆様方も家主の皆様方も相当深刻にお受けとめいただいたのではないかというこの機会には、ぜひとも我々もさらに広報活動もしながら、さらに前進させなければいかかというふうに考えているところでございます。  予算につきましては、私ども、そういう難しい条件のところでございますので、いろいろな手法を実は用意してきて、いろいろな形で取り組んできた経緯がございますけれども、七年度におきましてはそれらをやや統合拡充いたしまして、密集住宅市街地整備促進事業という形に全体を統合させていただいて、その中に地区の条件に合ったいろいろな手法が弾力的にできるように組み立てたいということで、予算も御審議をいただいているところでございます。その中に、先ほどの二十二億というのも取り込まれたわけでございまして、内訳がややそういう意味では比較がしにくくなったわけでございますけれども、六年、七年度の関係ではそういうことでございますが、新しい模様がえをした事業としては七十三億ということでございます。  これでは、今先生おっしゃいましたように、二十世紀中に全部ということからいうと大変少ない事業量でございますけれども、私どもは、お金の用意という面もございますが、やはり事業そのものが地域でできるだけ理解を得て進められる環境をつくれば、お金の面はいろいろなことを工夫してもう少しは力を出せるのではないかというつもりでおりますので、まずは実体の方を積極的に進めさせていただこうと思っているところでございます。
  84. 福島豊

    福島分科員 この密集住宅市街地整備促進事業について前向きに取り組んでいただけるというお答えをお聞きしまして、大変心強い限りです。  この密集住宅市街地の整備に当たりまして、例えば今回の地震に際しましてこんな御意見もあります。これは東北芸術工科大学教授の水鳥川先生でございますけれども、いろいろな御意見があろうと思うのですけれども、防火区画をつくるべきであるとか、それから道路の幅員をもっと広げるべきであるとか、例えば幅十六メートル「幅十六メートルの道路をつくるというとなかなか大変だと思うのですけれども道路があればその延焼が及ばないと。しかし、実際に今申し上げました密集した地域というのは、道路の幅が三メートルぐらいしかないというようなところも多々あるわけでございまして、この再整備をするに当たって、防火区画であるとか道路の幅をどうするかとか、防災面についての配慮をどういうふうにしていかれるつもりであるのか、その点についてお聞きしたいと思います。
  85. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 水鳥川さんの御提案は恐らく、現在の再開発という仕組みが再開発法でできておるわけでございますが、それ以前の前身に当たるものとしては防災街区造成事業という事業がございました。それは、不燃化する。当時でいいますと、当然もう全体が木造市街地でございますので、その中で耐火構造の建物をできるだけ道路沿いに集中的に、その一帯を線状に不燃化を進めて、そこが一種の安全上の遮断帯になるという、そういう歴史も踏まえながらの御提案ではなかろうかと思います。  先ほど申し上げましたさまざまな事業の中で、面的にかなり広くとって全体をやっていこうということに現在なっているわけでございますけれども、今回のような災害、特に市街地火災を見ましても、やはり道路や不燃の建物でとまったというような状況も見られるわけでございまして、事業の進め方の中で、例えば今お話ございますような何段階かに分けながら、全体の再開発を進めていくという中で、場合によっては先行的に今のような部分を取り込みながら、段階を分けながらやっていくという方法も一つの方法がなというふうに考えているところでございまして、いずれにしましてもそういう遮断帯、あるいは広い危険地帯を幾つかにできるだけ分けていくという方法は大変有効ではないかと思われますので、できるだけ工夫をさせていただきたいというふうに思うところでございます。
  86. 福島豊

    福島分科員 ぜひよろしくお願いいたします。  今回の大震災、お年寄りの方が本当に多数亡くなられておられます。その理由はいろいろあろうかと思うのですけれども一つは、今申し上げたような密集住宅地、こういうところに住んでおられる御老人が僕はたくさんいたんじゃないかなと思うのです。私の地元でも、こういった地域にはひとり暮らしのお年寄りの方が多数おられます。建設白書でも、「高齢社会に対応した住宅政策」ということで、「高齢者が地域社会の中で安心していきいきと生活できる」そういう町づくり、住まいづくりをしなげればならないということが述べられております。その前提となるのは、今言いましたような、安心して暮らせる安全な住まいをいかに提供するのかということではないかと思います。  こういう観点から、再度大臣に、二十一世紀に向けましての対応といいますか、お考え、御決意をお聞かせいただければと思います。
  87. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 お答えいたしますが、今局長が申し上げましたように、都市とはどういうふうな姿でつくった方がいいのか。一つは安全性である、二つは利便性である、三番目は快適性である、この三つの条件をどういうふうに満たしていくかということになろうと思います。  したがって、その根幹は一体何かということになれば、例えば神戸の長田区を例に挙げますれば、やはり道路だ、幹線道路というものはきちんとしておかなければならないだろう。そうすれば防火にもなる。そして、避難する場合に公共の公園というものをつくっていかなければならぬ。その他いわゆる共同溝なり、防災対策ができる家というものを考えていかなければならない。  今はとりあえず神戸なり西宮なり芦屋なりがやられますが、先生が御指摘のように、大阪は一体どうだ、大阪の密集地帯もある。ここの場合、他の地域でも密集地域については各地方公共団体が事業主体なのですね。国はそれを積極的に援助するということになろうと思います。  そこで、どういう法律があるかというと、今あなたからお話がありましたように、密集住宅市街地整備促進事業、これが一つ住宅地区改良事業、三番目に市街地再開発事業、こういうものがございますので、国が積極的に支援をするというシステムができ上がっておりますので、そういう姿の市街化をこれからつくっていかなければならない。そして、道路が広くなってくる。二メートルや三メートルでは消防車も入れないし、そして、こっちの火がこっちに移るということで、一つには、道路の近辺には防火壁というか防災対策のできた住宅というものをやはり並べ建てた方がいいだろう、こういうふうにも考えて、そういう条件を満たしながら、これからの都市づくりは防災、いわゆる災害に強い都市づくりというものを強力に推進していかなければならぬなと考えております。  先生からお話がありましたように、二十二億ではできるかい、こういうふうな御質問でございまして、私もできるとは考えておりませんが、これを契機に、今度の予算は一兆二百三十三億円ですか、その程度予算を組んだわけですけれども、その中で五千百二十七億は我々の建設省側の予算でございますので、そういう点を十分に生かしながらこの防災対策の都市整備というものを強く進めてまいりたい、そういうふうに考えております。
  88. 福島豊

    福島分科員 ぜひよろしくお願いいたします。  残りの時間、地元のことをまたちょっとお聞きしたいと思います。阪神・淡路地域の復興のために全力を投入しなければならない時期に、余り地元のことを言うのは大変恐縮でございますが、道路のことについてお聞きしたいと思います。  まず国道百六十三号線についてでございますが、これは大阪市から寝屋川、四條畷市を経まして奈良県に至る幹線道路でございます。大変に渋滞がひどくて、私も地元で難渋いたしておりますが、地元でも早く何とか整備してもらえないか。これは、以前より事業は続いておりまして、平成二年度には清滝第一トンネルを含む区間が供用に付していただきました。また、平成六年には大阪側清滝橋までの区間を供用に付していただきました。また、本年の三月には東中野交差点の改良が完了するというふうに伺っております。  こういうふうに、漸次整備を進めていただいておりますことに感謝申し上げる次第でございますが、しかしまだまだ渋滞の解消にはほど遠いというのが実感でございまして、一日も早く全線にわたる整備を進めていただきたいと思います。今後の整備の方針といいますか、建設省の、今後こうしますよということにつきまして、概略で結構でございますので、お話しいただければと思います。
  89. 藤川寛之

    藤川政府委員 今お話がございました国道の百六十三号でございますが、大阪市を起点といたしまして、奈良県それから京都府を経て三重県の上野に至る総延長七十キロの幹線道路でございます。  大阪府内につきましては、今お話がございましたが、中野拡幅という事業それから清滝道路という事業をやっているところでございまして、お話がございましたように、中野拡幅につきましては本年の三月に東中野の交差点改良を完了いたしまして、全体一・六キロでございますが、一・六キロ区間の拡幅が完了するということになっております。  それから、清滝道路につきましては、清滝峠の部分で非常に線形の悪いところがあったわけでございます。それの解消ということで、清滝第一トンネルを平成二年の七月に開通させておりますが、今もお話がございましたが、平成六年、昨年の二月には清滝第一トンネルから清滝橋の間の二車線、これを供用したところでございまして、あと中野拡幅の終点から清滝橋までの区間、これは一・二キロあるわけでございますが、その間は早急に整備を進めようということで、現在用地買収を進めているところでございます。  大変交通量の多い、交通混雑の激しい区間でございますので、今も申し上げましたように、とりあえず中野拡幅から清滝橋というような感じで、新しい道路をとにかく早くつなぎたいということで整備促進しているところでございますが、清滝第一トンネルはまだ二車線だということですから、これをやはり四車に拡幅する必要もあるわけでございまして、まず、まだ残された区間整備促進するということと、それから四車化、これをやはり急がなければいけないということでございますので、その辺を今後、私どもとしてもできるだけ事業促進されるように努力してまいりたいというふうに考えております。
  90. 福島豊

    福島分科員 ぜひよろしくお願いいたします。  それからもう一点、若干時間が残っておりますのでお聞きいたしますが、京阪第二国道の件でございます。  これは国道一号線の渋滞の解消のために整備が現在進められているわけでございますけれども、この全体の完成には大変時間がかかるかなというふうにも思います。しかし、平成九年に大阪では国体が開催されるわけでございますが、寝屋州にその国体の会場が一つございます。全体の完成までには時日を要するにしましても、大阪市側からもできるだけ早くこの会場へのアクセスということも踏まえて整備していただければとそのように思うわけでございますが、この点につきましての建設省の御見解をお聞きしたいと思います。
  91. 藤川寛之

    藤川政府委員 第二京阪道路につきましては、大変幅の広い道路でございまして、幅が六十メーターから七十六メーターというような大変広い道路でございまして、自動車専用道路と一般道路の複断面構造ということになっている道路の計画でございまして、一般道路の部分につきましては昭和五十八年度から大阪府内の用地買収に着手しております。それから、専用道路の部分につきましては、平成四年十一月に事業許可を行いまして、平成五年度から用地買収に着手しているところでございまして、大阪府内については、現在のところ三〇%の用地買収進捗状況ということでございます。  今お話がございました国体の関連ということで、平成九年に国体があるようでございますが、国体の会場として、門真のスポーツセンターそれから寝屋川の寝屋川公園野球場が予定されているようでございます。それぞれ、この第二京阪道路の一般道路について、国体に合わせて整備してくれという御要請は私ども承っているところでございまして、まだ用地の未取得の区間がかなり残されているようでございますけれども、私どもとしては、できる限りそういう国体に間に合わせるように、これは地元協力が不可欠でございますけれども地元の御協力を得ながら努力してまいりたいというふうに考えております。
  92. 福島豊

    福島分科員 はい。大変ありがとうございました。  以上で質問時間が終わりましたので、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  93. 野呂田芳成

    野呂田主査 これにて福島豊君の質疑は終了いたしました。  次に、藤田スミ君。
  94. 藤田スミ

    藤田分科員 今回の大震災で、高速道路は、名神、中国自動車道、阪神高速の各路線とも大きな被害を受けたところです。今月を尽くすべきは、高速道路の倒壊に至った原因の究明、そして、とりあえずの応急復旧とそれに続く本格的な工事、そういうところにあると思います。  その際、防災を優先して事に当たる、これが原則だと考えますが、大臣の御所見をまずお伺いをしたいと思います。
  95. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 藤田先生がおっしゃるとおりに、倒壊はないと考え、関東大震災や新潟地震というような教訓を受けながら、これなら大丈夫だというように考えてまいりましたが、その神話が現実に崩れたと。この崩れた上に立って我々は交通網の整備を早くしていかなければならぬ。  おっしゃるように、阪神高速道路がああいうふうに落橋するというような事態が生まれておりますので、交通の不便をおかけしておりますし物資の流通に大きな支障を来しておると、したがって、できるだけ速やかに修復をいたしまして皆さん方の御通行に、あるいは緊急輸送に支障のないようにしなければならぬという意味で、懸命に努力をし、二号線あるいは国道四十三号線、こういう点については現在復旧ができ上がっておるわけでありますし、あるいは、神戸線は現在ではでき上がっておりませんが、五号の湾岸道路につきましては最近つなぎまして、この輸送が、緊急輸送に限っておりますけれどもでき上がっておるというようなふうに、私はきのう、おととい現地を訪れてまいりまして、一番初めに行った十七日のときには地獄のような感じがしましたけれども、今は復旧の、復興の息吹さえ感じられるというのが今日的情勢でございますが、お申し越しのように、早急に応急復旧をいたしまして、皆さん方の期待にこたえていかなければならぬことが第一であろうというふうに考えております。
  96. 藤田スミ

    藤田分科員 確かに復旧は進んでおりますけれども、今はまだ部品さえも十分整わない中で、本当に、とにかく車を通せるようにしようというそういう応急の前の応急というような形で懸命の努力がされているんだというふうに考えるわけです。  そこで私は、きょうは阪神高速道路の問題について、これだけでお伺いをしたいと思いますが、今回の地震で阪神高速道路が受けた被害は、橋脚約七千五百本中六百五十本に損傷があったということを聞いておりますが、正確には全橋脚本数のうち何本の橋脚が被害を受けたのか、その被害総額はどれくらいで、そして復旧の見通しというのはいつになっているのか、お聞かせをいただきたいわけです。
  97. 藤川寛之

    藤川政府委員 お答えいたします。  今回、阪神高速道路が大変な被災を受けたわけでございます。特に大きな被災を受けたのが、阪神高速の神戸線それから湾岸線でございます。  まず神戸線でございますが、神戸線につきましては、橋脚が兵庫県内千百八十本あるわけでございますが、そのうちで大変大きな損傷を受けたもの、これは完全にやりかえなければいけないというふうに考えておりますが、それが百五十基、それから、中小の規模の損傷を受けたものが四百七十基ございます。  それからあと、湾岸線につきましても落橋というような被災を受けたわけでございますが、橋脚の被災につきましては、今まで私どもが承知しているところでは、それほど大きな被災を受けていないというふうに聞いておるわけでございますけれども、ただ、あそこは大変液状化の激しいところでございます。さらに詳細な調査を現地でやっているというふうに聞いているところでございまして、その辺の調査の報告を待って完全な被災状況というのが把握できるのではないかというふうに考えているところでございます。
  98. 藤田スミ

    藤田分科員 そうすると、復旧の見通しはまだはっきりしないということですね。
  99. 藤川寛之

    藤川政府委員 復旧の見込みでございますが、湾岸線につきましては、一応四十三号とか神戸線のバイパスになります魚崎浜までの間、この間につきましては何とか四月中旬ごろまでには復旧したいということで現在努力中でございます。それから、その先の六甲アイランドまでの間につきましては一応十月ごろまでかかるのではないかなということでございます。  それから神戸線でございますが、神戸線につきましては、大変大規模、広範囲にわたって被災を受けたところでございまして、復旧工事も大変大規模なものになるというふうに考えております。現在具体的な復旧計画を作成しているところでございますが、阪神公団の報告では、三年ぐらいかかるのではないかというようなことを報告受けているわけでございますが、この神戸線というのが、交通量十万台近くの車が利用されていたというようなことで、地域のまさに生活あるいは経済社会活動を支える大変重要な道路でございますので、私どもとしては、やはり一日でも早く復旧できるように今後努力してまいりたいというふうに考えております。
  100. 藤田スミ

    藤田分科員 大臣、お聞きのように、これからまだ三年というようなことまで言われています。もちろん、復旧のためにかかる費用というのは、まだ具体的にどれほどかかるということもはっきり言えないだろう。なぜならば、まだ調査も続行しているところだということになっていると思うのです。  ところで、もう一つお伺いをしておきたいのは、今回のこの阪神高速道路は、地震の前からの問題について、一九八〇年に建設省はこの道路の基準の改定を行って通達を出され、そして橋脚に鋼板などを巻くというような補強対策を示されて、その補強の対象になった橋脚のうち、特に神戸線では未着手が多かった。これは、五十七基を対象にする中でまだ五基しか完了していなかったというふうに聞いておりますが、一体、阪神高速道路の橋脚のうち、この八〇年の基準改定に基づいて何ぼその橋脚を補修、補強、強化をしなければいけなかったのか、そして現在はどれだけ完了しているのか、お示しをいただきたいわけです。
  101. 藤川寛之

    藤川政府委員 阪神高速道路の橋脚の耐震性向上対策ということで、昭和五十五年に新しい耐震性向上のための対策ということで、それまで、段落としと言っているのですが、橋脚の途中から鉄筋量を減らすような、そういう設計になっていたところでございますけれども、その辺の段落としをやめようということにしたのが昭和五十五年の新しい耐震設計基準でございまして、そういう考え方に基づきまして、昭和六十一年、平成三年と阪神高速道路につきましても耐震性の点検というのを実施したところでございます。その点検の結果、阪神高速道路のもう既にでき上がっております橋脚のうち百五十一基につきまして対策が必要だということになっておりまして、いわゆる鋼板等を巻きつけるような補強工事をやろうということになっていたところでございますが、平成六年度までに実施したのは九十基ということでございまして、約六割実施済みということでございます。  あと六十基ぐらい残っているわけでございますが、これにつきましては、一応平成九年度までに完了しようということで鋭意対策を進めていたところでございます。今回倒壊いたしました区間についても、一応補強をする予定になっていた区間でございまして、具体的な補強計画を策定しておったところでございますが、残念ながら今回の地震には間に合わなかったというようなことでございます。
  102. 藤田スミ

    藤田分科員 大臣、今お聞きのとおりです。一九八〇年に新しい耐震基準が出て、そうして補強しようということになって、調査をするのに一定の期間かかるのはわかりますが、それにしても、その後もう一度一九九一年に新しい耐震基準が出て、にもかかわらずまだ完成しないで、昨年、一九九四年でようやく六割の達成なんですね。もし今回その補強の強化が行われていたら、そうしたらあの橋脚は倒れなかったんじゃないだろうか、これは素人だと言われればそれまででしょうが、率直にそんなふうに思いますよね。余りにも時間がかかり過ぎている。もう一九八〇年から十四年たってやっと六割。まあ、一九九七年までもうあと、その三年の間に四割を達成しようと思っていた、こうおっしゃるわけですけれども、これは余りにも時間がかかり過ぎると思われませんか。
  103. 藤川寛之

    藤川政府委員 基準が変わったのが、昭和五十五年に基準を変えたわけでございますが、具体的なこの基準に基づいて何らかの対策が必要かどうかという総点検というのは、実は昭和六十一年と平成三年にやっているということでございます。  確かに、私どもとしてもできるだけ早くこの対策をやりたいということで計画していたところでございますが、阪神高速の場合には、比較的地質の悪いところで施工されている橋脚がこの要対策箇所にあったということで、そういう地質の悪い箇所を優先的に補強しようというようなことで実施したようでございまして、今回被災を受けた区間というのは比較的地質がよかったということでおくれたということ。それと、あと非常にあそこは、要するに高速道路の下を、四十三号ということで大変交通量がたくさん通っている道路でございます。そういうことで、その施工をどうやってやるかという施工計画をつくるのに若干手間取ったというようなことがございまして、おくれたということでございます。  私どもとしては、先ほど申し上げましたように、一応五カ年計画というのをつくっておりまして、その五カ年計画の期間内に何とか仕上げたいということで、この進捗を図っていた、努力中だったということでございます。
  104. 藤田スミ

    藤田分科員 それは、今にして弁解は幾らでもあるわけです。しかし、この点については、大阪府の土木部は非常に率直に言っていらっしゃるのは、関西国際空港など次々に要求されてくる、特に一九八〇年代は関空ができるというので湾岸道路建設というものが非常に急がれました、この湾岸道路建設に追われて補強工事という手当ての方はつい後回しになったんだ、これは私は非常に率直な反省だというふうに考えるわけです。そういうふうにやはり率直に反省したらどうですか。私は、いろいろ弁解するのは許されないというふうに思うのです。大臣、いかがですか。
  105. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 同僚の各議員も、人命は地球よりも重い、そのことに思いをいたすようにというお話は、何回もこの会場でお聞きをいたしました。そのとおりだと思っております。  したがいまして、地形や地質あるいは液状化現象、こういう諸問題はあろうかと思いますけれども、そういう点については、十五年もかかっておるわけですから、率直に我々は反省をしていかなければならぬと思います。  これから補強する場合に、地元建設局あるいは公団自身とも十分話し合って、討論をして、この五カ年計画なら五カ年計画の中に、どのようにして作業を進めるか、作業手順等も考えながら、御期待に沿うような、その期限までに実施ができるような体制を組んでまいらなければならぬ、そういうふうに反省をしておるところでございます。
  106. 藤田スミ

    藤田分科員 私は、これから阪高は同じ轍を踏んではならない、そういう点でもなおさら今度のこの復旧、そして本格的な改修工事というのは本当に真剣に最優先で取り組まなければならないというふうに思います。  また、今回の地震で、従来の基準では今回のクラスの地震に対応し切れないことは明らかでありまして、したがって皆さんも、対震基準を新たに設け、その計画とか基準とかを見直していくということで御準備をされていると思いますが、それは確認です、簡単にお答えください。
  107. 藤川寛之

    藤川政府委員 今、大臣からもお話がございましたが、私どもとしても、今回ああいう形で阪神高速の高架道路が倒壊し、あるいは橋脚等の数多くの部分が損壊したということで、大変重く私どもも受けとめているところでございまして、やはりこの原因を徹底的に究明したいということで、耐震工学あるいは橋梁工学の専門家から成ります道路橋震災対策委員会というのを既に設置いたしまして、この被災の原因について徹底的に究明したいということで、究明を現在進めているところでございます。  具体的に、今回の地震の大きさそのものが大変大きかったというお話もございますが、その地震力が、具体的にどの程度の地震力が働いたのか、どういうメカニズムでこういう倒壊あるいは損傷に至ったのか、その辺を明らかにしたい。その辺の検討結果を踏まえて、これからの耐震設計、どうあるべきかというようなものを早急に具体的に検討していただきたいというようなことで、現在この委員会の中で究明を進め、あるいは検討を進めているところでございます。
  108. 藤田スミ

    藤田分科員 ところが、この阪神高速道路の中にまた新しい路線を、道路建設する。その名を大和川線と申します。この大和川線は、実はきょう大阪府の都市計画決定が強行されようとしているわけでありますけれども、しかもこの大和川線の建設予定地に大変問題がいろいろあるわけでありまして、災害復旧に力を入れるべきときに、どうしてこの新しい道路建設決定するのか、ちょっと待ったくらいのことは言えないのかというのが率直な地元の感情であります。  この大和川線というのは、もう少し言いますと、ここは掘削工法での建設、この開削工法、ちょっと専門的になって私もうまく説明できませんが、要するに掘削、モグラみたいに掘り進むのじゃなしに、上から溝みたいに掘ってから、またもう一回埋め戻すという、そういう工法で建設を予定しているそうですが、これは地盤が非常にやわらかいところだからそういうふうな工法を使うそうです。しかし、この工法は、神戸の地下鉄の駅で、この工法を進めたところで今度大変な被害を受けております。べしゃんこになったわけですね。そういうところから、こういう工法にも問題があるわけです。  もう一つ、淀川左岸も大和川も、今回の地震で液状化現象になって、堤防が大きく崩れました。そういう、川に沿ってつくるということですから、こういう計画をそのまま都市計画決定を急ぎ、従来の工法そのままに進めるとするなら、これは今回の地震の教訓を余りにも無視し過ぎているじゃないかというふうなそしりを受けても当然のことだと思いますが、この点は大臣いかがお考えでしょうか。
  109. 藤川寛之

    藤川政府委員 阪神高速大和川線につきましては、大阪のいわゆる第二環状道路を構成する大変重要な路線でございます。例えば、今回のような地震なんかでネットワークが分断されたときに、迂回路になる可能性もあるような路線でございまして、そういう意味で、大阪府域、大阪市を中心とした地域の交通確保の上で大変重要な路線だというふうに聞いているところでございます。  今もお話がございましたように、この大和川線につきましては、平成五年くらいから都市計画決定のための準備を進めておりまして、堺市、松原市両市に対して、都市計画原案の基本的事項につきまして平成五年の一月に提示をいたしまして、地元説明あるいは環境影響評価準備書案の閲覧等をやりまして、昨年の八月三十一日に堺、松原両市の都市計画審議会の審議を経まして、本日大阪府の都市計画地方審議会の議に付される予定というふうに聞いているところでございます。  今いろいろ御指摘がございましたが、本日都市計画決定になりますと、これから建設省より基本計画の指示をいたしまして、阪神高速道路公団の方でその建設、管理を担当するということになるわけでございます。  今もお話がございましたように、現在阪神高速道路公団では、神戸線、湾岸線等の早期復旧というようなことで取り組んでいるところでございます。この復旧事業には全力で取り組んでいただきたいというふうに考えているところでございますが、今も申し上げましたように、大阪市を中心とした地域の交通の円滑化、交通の確保のために大変この大和川線、重要な路線だということでございますので、今後早期具体化が図れるように、公団業務のより一層の効率的推進に向けて指導、支援をしてまいる所存でございます。  また、具体的な問題点のお話がございましたが、開削工法である、あるいは液状化の問題等の御指摘がございましたが、当然この具体的な事業をこれから阪神高速道路公団で進めていくことになるわけでございますが、その具体的な検討の中で、当然耐震性、地質調査等も十分やりまして、耐震性、開削工法でやるのですから、その場合の地震上の安全性というのですか、そういうことについてもより配慮していかなきゃいけませんし、それから液状化というお話もございましたが、当然液状化対策についても地質調査等を踏まえて対応していただくように、これはもう十分指導してまいりたいというふうに考えております。
  110. 藤田スミ

    藤田分科員 私はさっきも言ったように、阪神高速道路公団は、八〇年代は湾岸道路建設の方に非常に大きなエネルギーを割かれて、そうして結局は、せっかく建設省が出した新しい基準に対応した補強工事もおくれてしまったということに対する率直な反省を求めたわけです。今はどうですか。阪神高速道路は三年くらい先にならないと本当に開通できるかどうかわからないというような状態で、まだ被害の調査を進めているという状態でしょう。まあ言ってみたら、両手に荷物を持って、前後に荷物を担いで、まだそれでも荷物を持て切れないで頭の上にも荷物を置いて歩いているような阪神高速道路なんです。そこが何でわざわざ、しかもいろいろこれから耐震上について十分注意を注いでいかなければならないような河川のわきにつくる道路建設を今急ぐのか、そういうことを聞いているのです。  それから、今おっしゃいましたが、第二環状ですね。大臣、この大和川線というのは、もう一つ大阪の中で第二環状をつくって、さっきおっしゃったように、流れをスムーズにしよう、そういうことなんです。ところが、大阪市の市長さんは、この第二環状については安全面で問題がある、今度のこの震災の後、そういうことで当分は凍結したいという意見を表明されているのです。そうしたら、全くこの大和川線の理由がなくなってしまうわけです。だから私は、本当に今おっしゃったように、町づくりで車の流れをもっとスムーズにするとかそういうことをおっしゃるなら、もう一度真剣になって、既存の道路も含めて、早く流れを解決するためにはどうすればいいかということから真剣に考えなければならない。少なくとも、今こういう時期に新しい道路に手を出すというようなことはもういかにも常識外れも甚だしい、私はそういうふうに思わざるを得ません。  もうあなたの答弁は結構ですから、大臣、常識のところで答えてください。時間がもう一分しかない。
  111. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 お話は承りました。ただ、私は現場に暗い面がございまして、大阪市長が、それについては再検討の必要あり、こういうふうに考えておられるようです。  従来は、大阪を中心にして人の流れや車の流れをよりよくするために、善意でやろうとしておるわけです。私は今、藤田先生の御意見を聞きながら、阪神道路公団は、あるいはこれは藤田組、あるいはこれは野坂組、あるいはこれは藤川組、こういうふうに分けてあるいはやっておって、具体的に支障があるかないかどうかはわかりませんが、地方公共団体が主体的にそういうことも考えてやるべきですから、国が一方的にやるというわけにはならぬと思いますので、地元の大阪市等とも十分話し合って、よりよい方向というものを打ち出していきたい、こういうふうに考えております。  したがいまして、今お話がありました点については十分検討してまいりたい。その上で、どのように措置するかということを地方公共団体と整理して話し合いたい。阪神道路公団とも十分話し合って、整理して、みんなが理解し合って、民衆の皆さん方にも御理解をちょうだいして進めるものは進めていく、そういう意味で検討をしてまいりたいと考えます。
  112. 藤田スミ

    藤田分科員 時間が参りましたからもうこれで終わらざるを得ませんが、私は重ねて、この道路建設を、都計審で決定した、さあ急げということを今はしてはならない。それはいわば過去の誤りを、同じ轍を踏むことになるし、それから、今この道路建設だけを急いたって、まあ言ってみたら服のそでだけをつくるみたいなもので、肝心の胴体が何にもまだつくるようになっていない状態で、地元住民皆さんのさまざまな公害に対する意見等もこれある中で、強行はもうゆめゆめ許されないということを申し上げまして、大臣の検討の言葉に期待をしながら終わります。  ありがとうございました。
  113. 野呂田芳成

    野呂田主査 これにて藤田スミ君の質疑は終了いたしました。  次に、吉岡賢治君。
  114. 吉岡賢治

    吉岡分科員 野坂建設大臣以下、兵庫県の南部地震に対しまして本当に真剣にお取り組みをいただいておりまして、心から敬意を表したい、このように思っているところでございます。  しかし、震災が起きて一カ月。考えてみますと、いわゆる道路、鉄軌道、これらがすべて神戸、阪神地区を通っている、こういうことによりまして大被害を受け、そして、復旧に際しましてもあるいは救援に際しましても、道路事情あるいは鉄軌道がなかなか直らないということで大変手間取っておるという現実をやはり直視しなければならない、こう思うわけであります。  そこで、幹線道路網の問題でございますけれども、まさしく今回の地震の教訓として、もう少し分散をしなければならぬだろう、そして、日本の国土全体をカバーし得るということの中で、新たなネットワークをつくっていかないとというように私はつくづく思うのであります。  兵庫県でございますから地元でございます。御案内のとおり、神戸地域と、私ども但馬、丹波地域とは過疎過密でまさに対照的になっておる地域でございますけれども、そういうことがあるからということで、今回の体験をしながら、この問題を放置できないと思っているわけでございます。したがいまして、日本海の国土軸の強化なり、あるいは兵庫県内の日本海側と瀬戸内海側、この関係の道路等も整備をしなければならぬだろう、こういうように思っているところでございます。  幹線道路のダブルネットワーク化が必要だということは論をまたないというように思うわけでございますけれども、大臣の所見をまず伺っておきたい、こういうように思います。
  115. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 お答えをいたします。  日本の経済は一日も停滞は許されない、許されてはいけない、こういうふうに基本的には思っております。今回の阪神・淡路の大震災によりましてその動脈が途中切れた、したがって、日本の東西の交流が十分スムーズに流れることができなかったというのは現実の問題であります。したがって、もし太平洋岸地帯の方に事態が生まれたならば、日本海側を伝って西と東との交流をしなければならぬ、こういう点については全く先生と同感であります。  そこで、我々としては日本海国土軸というものを考えて、さらにこの日本海を通って東西との交流というものを休むことなく進めていくということが必要だというふうに考えております。  したがいまして、先生も豊岡でありますが、いわゆる地域高規格道路を鳥取とか豊岡とか宮津とかを通して向こうにつなぐわけでありますが、今回それを認定しまして、この地域高規格道路も計画路線と調査路線と二つに分けますけれども先生からのお話があったことでありますから、これは直ちに計画路線に乗せて平成七年度からやるようにしなければならぬと私も考えておるところでございまして、そのことによって日本経済が緩むことのない方式になってくるだろうというふうに考えておりますので、急ぎ実施を図っていかなければならぬ、そのように考えておるところです。
  116. 吉岡賢治

    吉岡分科員 全く同感でございまして、地域の実情から見ましても、私たちは確かに過疎地にいますけれども、御案内のとおり、北近畿自動車道が丹波を通りました。そのことによって、言うなれば、今日まで人口減がずんずん進んでおりましたけれども、三年ほど前から自然増に向かっておる、こういう状況があるわけであります。  したがいまして、いわばこの鳥取−舞鶴間が、今大臣がおっしゃっていただきましたように計画路線になり、そして早くつくということによって、地域の発展のみならず、今いみじくもおっしゃった大災害に対しますところのダブルルートということにも十分寄与できる、このように思いますので、ぜひお願いをしたい、このように思っているところでございます。  そこで、今大臣の方から出されました地域高規格、こういうことで鳥取−宮津間、これが計画路線になってくるであろうというふうに想定をいたしますけれども、めどをどのくらいのところに置いておられるのかなということで、ちょっと整備方針をお聞かせいただければと思っています。
  117. 藤川寛之

    藤川政府委員 この地域高規格道路でございます鳥取豊岡宮津自動車道でございますが、もう既にお話がございましたように、鳥取の東部それから但馬、京都北部を連絡する道路でございまして、高規格幹線道路でございます山陰自動車道それから中国横断自動車道、北近畿豊岡自動車道それから京都縦貫自動車道、そういう道路とも連結するという意味で大変広域的なネットワークですか、循環型のネットワークを形成する大変重要な路線でございます。また、活力ある地域づくりのまさに基盤になる大変重要な道路だというふうに私ども認識しているところでございます。  昨年の十二月に計画路線に指定したところでございますが、私どもとしては、この計画路線に指定されましたので、現在整備のプライオリティーの検討、それから概略ルートの検討等の基礎的な調査を開始したところでございます。この調査の進捗等を見ながら調査区間、これは具体的な整備手法を検討したりあるいは環境アセスメント等を実施いたしまして都市計画手続等の調査を進める区間でございますが調査区間、それからあと事業着手に向けた実施設計とか地元協議等を進める整備区間、この調査区間整備区間を調査の熟度あるいは地元状況等を見ながら早急に区間指定したいというふうに考えております。 具体的にいつごろというのはなかなか、今申し上げるのは非常に難しいところがあるわけでございますが、先ほど大臣のお話もございましたし、私どもの認識としても大変重要な路線でございますので、接続する道路進捗状況等あるいは地元のいろいろな事情があろうかと思いますが、そういうものを踏まえながらできるだけ早く、まずは事業に着手しなければいけないものですから、事業着手に向けて最大限の努力を払ってまいりたいというふうに考えております。
  118. 吉岡賢治

    吉岡分科員 国道九号がございます。これが今回の災害に際しまして、九州あるいは中国方面と関東あるいは京都、それを結ぶ基幹道路として大変活躍したのはもう御案内のとおりでございます。したがいまして、こればかりでなくて、例えば山陰本線でございますが、これまた鉄軌道の方でございますが、これも今もってまだ山陰本線が持っていた夜行列車、寝台列車のダイヤを減らして九州の夜行を二本人れておるわけです。そういう意味も含めて、非常に重要な役割を今果たしているという現実もやっぱり知っていただく意味で、今おっしゃったように早急な方向をぜひひとつとっていただきたい、このように思います。  大臣はお隣の鳥取県でございまして、その隣は私は兵庫県ということに相なりますので、ひとつその点も含めて大臣の御在任中に目鼻をつけてきちっとしていただきますように心からお願いを申し上げておきたい、この際思います。
  119. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 目鼻がつくように努力したいと思います。
  120. 吉岡賢治

    吉岡分科員 そこで、次の質問に入りたいと思いますが、北近畿自動車道の豊岡線につきましてでございます。  今日まで皆さん方の御努力の中で、春日から遠坂トンネルまで、そして遠坂トンネルから和田山の市御堂というところまで事業認可をしていただいておりまして、本当にありがとうございます。春日からの分につきましては用地買収に入っていただいておるというようなことも現実の問題として起こっておりますが、なるべくテンポを速くというのが地元皆さん方の要望でございます。また、和田山から八鹿を経て豊岡まで今調査段階というふうに聞いております。その辺の見通しとそして整備方針についてお聞かせいただきたい、こう思います。
  121. 藤川寛之

    藤川政府委員 北近畿豊岡自動車道でございますが、近畿自動車道の敦賀線から春日で分岐いたしまして豊岡に至る延長約六十キロの高規格幹線道路でございます。今もお話がございましたように、地域の開発等を支援するという意味で大変重要な路線でございまして、私どもとしてもかなり重点的にこの整備促進を図っているところでございます。  現在、春日和田山道路の一期区間につきましては、この春日町から青垣町に至る約二十四キロの区間でございますが、平成二年度から事業に着手しておりまして、現在設計協議と用地買収を進めております。用地買収も既に四〇%を超えるようなところまでいっております。  それから、春日和田山道路の二期区間でございますが、山東町から和田山に至る六キロの区間でございますけれども、この区間につきましても、平成四年度から事業に着手しておりまして、現在用地買収のための調査を実施しているところでございます。  それから、残る和田山町から豊岡市間につきましては、そのうち和田山町から八鹿町の間約十四キロにつきまして、平成五年度に基本計画を決定しておりまして、現在整備計画の策定のための詳細なルート検討、環境調査等を行っているところでございます。また、最後に残っております八鹿町から豊岡市間につきましては、基本計画を策定するための地形地質調査それから概略のルート検討等を行っているところでございます。  この和田山町から豊岡市に至る区間につきましては、大変地形的にも厳しいところ、山地部を通過する、そういうことでトンネルとか橋梁が非常に連続するようなルートになるようでございますし、また、雪の問題、それから雪崩とか雪氷の問題等多くの課題があるようでございますが、できるだけ早く計画策定ができるように、調査の推進に努めてまいりたいというふうに考えております。  先ほど申し上げましたように、既に用地買収等をやっておる区間につきましては、できるだけ早く用地買収を完了して工事に入る、それからまた、用地買収のための調査を実施しているところにつきましても、できるだけ早く用地買収に入れるように今後とも努力してまいりたいというふうに考えております。
  122. 吉岡賢治

    吉岡分科員 御案内のとおり、但馬地域は高速自動車道が一メートルも走ってないという地域でございます。御努力をいただいておることに感謝を申し上げながら、一層の促進方をお願いを申し上げたい、このように思っておるところでございます。  さて次に、先ほども少し申し上げましたけれども、今回の大震災で非常に問題になったところがございます。これはいわゆる西宮に出ていくルートでございまして、県道川西篠山線、そしてそれが国道百七十何号だったか忘れましたが、それと合流している部分もあるわけですが、それが今回の地震で非常に重要な役割を担ったわけですね。要するに、縦の線として輸送ルートになったわけですけれども、ところが、その整備が十分でない。とりわけ銀橋という橋があるわけですが、そこがいつものように詰まっているわけでございますが、今回の震災により輸送のルートが大変詰まってしまったという現実がございます。県道だからというふうにおっしゃいますけれども、現地の市長、川西市長や猪名川町長のお話を聞いていますと、国道昇格もしてもらいたいのだけれどもというお話もございました。しかし、とにもかくにも今度ほど重要な路線となり、そしてずっと昼夜を問わず路線が車でいっぱいになったという現実を見詰めるにつけ、この整備をお願いしたいという、もう切なることがございました。  したがいまして、南北の路線というようなことでも重要でありますけれども、そういう非常時に備えてのネットワークということも含めて、この路線のことについて皆さん方の方に、いや、県のことではないかということがございますけれども、ここで少し考えていただきたいということがございまして、あえて質問させていただいております。
  123. 藤川寛之

    藤川政府委員 今お話がございました主要地方道の川西篠山線でございますが、この路線につきましては、国道の百七十三号とほぼ並行するような感じで、それを補完するようなルートでございます。沿線では大規模な住宅開発等が進んでいるようでございますが、今回、今お話がございましたように北部から阪神地域へのアクセス道路というようなことで、大変重要な役割を果たしたというふうに聞いているところでございます。  今お話がございましたように、まだ完全な改良が終わっていない区間がございまして、川西市とそれから猪名川町にかけての区間でございますが、この区間につきましては現在補助事業で改築事業を進めているところでございます。私どもといたしましては、結構大きな予算額を張りつけている路線でございますが、それなりに、私どもとしてもこの路線の改築急がなきゃいけないというふうに認識しているところでございまして、今後ともこの残された区間整備促進にできる限りの努力をやってまいりたいというふうに考えております。
  124. 吉岡賢治

    吉岡分科員 それと同時に、もう一つ県道川西三田線というのがございますが、これがいわゆる今回の災害に対しましても、高速で三田におりて、そこから輸送ルートになりまして川西まで来る、こういうルートになりました。余り言われるものですから、実は私もそこを通ってみたのです。そうしますと、前回、災害以前に通ったときと比べて、危険でございますから信号機がいっぱい今度はついているわけですね。ということは、狭隘である、あるいは路肩が弱い、こういうことで重い重機を積んだり、そんな車が通りますから、そういうことで大変時間がかかる道路になっていたわけでございまして、この整備が本当に必要だなということをつくづく感じさせていただきました。この点についても見解を聞いておきたいと思います。
  125. 藤川寛之

    藤川政府委員 この川西三田線につきましても、今お話がございましたように、これは東西の方向幹線道路ということでございます。ただ、この路線につきましてはちょっと整備がおくれているようでございまして、まだ狭い区間がかなり残っている状況になっているようでございます。  今回も、地震のときに路線そのものには被害がなかったということで迂回ルートとしてかなりの車がここへ流れたようでございますが、今お話がございますように東西方向の、災害が起こったときのまさに迂回ルート、代替ルートになるような大変重要な路線でございますので、今後ともこの事業が進むように努力してまいりたいというふうに考えております。  ただ、今申し上げましたように、若干整備がおくれているということで若干時間がかかるかもしれませんが、できるだけその促進に努めてまいりたいと思います。
  126. 吉岡賢治

    吉岡分科員 県道でございますから県が主体的にやらなきゃならぬというのはよくわかっておりますけれども、補助道路でございますからぜひ御配慮をお願いしておきたい、このように思っておるところでございます。  次に、河川の問題で質問をしておきたいと思います。  円山川という一級河川がございます。これは、通常行きますと非常に穏やかな川でございますけれども、一たび暴れ出しますと大変な天井川になる、こういう河川でございます。非常に河口に近い地域ということもございますけれども、軟弱地層の上に堤防をつけなきゃならぬ、こういうことで、現地の建設省の豊岡事務所の皆さん方も大変苦慮しながら努力していただいているということになるわけでありますが、何しろ軟弱地層がひどいところでは四十五メートルから四十八メートルに達して、その間にかたい層がありますから三重になっておるので、なかなか工法も難しい。三年ほど前になりますけれども、メーター当たり二百八十万円ぐらいかかるというようなお話を聞いておりまして、そのテンポで進みますといつの日に完成堤ができるのか。今実施されておる工事の中で、きちんとハイウオーター一メートル五十になっておるのは五%にも満たないというところでございます。暫定施工の五十センチでということでもまだ五〇%にも満たないということの中で、常々おびえながら生活をしなきゃならぬ、こういうことでございます。  平成二年の十九号台風のときにも私はこの問題を質問させていただきまして、窮状を訴えたところでございます。いつ切れるかわからない、こういうことを目の前にしながら、私どもも、土のうを積んだりいろいろやってようやく守ってきたという経過がございます。  考えてみれば、上流が県費支弁河川の部分で随分整備が進んでおる、あるいは減反がどんどん進んでいった、あるいは森林が針葉樹化していったということ等もございますけれども、ダム等の調整も必要なんだなということをつくづく思いながら、建設省の方としても小規模生活ダムを何カ所かつけようではないかという方向も出ているというふうに聞いておりますけれども台風時にはそれはもうなかなかそうはならぬだろうと思っているところでございます。台風になりますたびごとに、いわゆる堤防で囲った中は内水がどんどんふえる、そして川は天井川でいつ破れるかわからないという実情になっておりまして、これがある意味で豊岡市を中心とした、あるいは城崎、日高という地域の発展を阻害しているという大きな原因になっていることに御注目いただきたいと思うのです。  建設省としても努力をしていただきまして、中の島とか菊屋島とかの掘削を実施していただき、今また簸磯島の掘削に着手していただいて買収が済んでおるというところまで来ておるということを承知いたしておりますけれども、一層の促進をお願いしなきゃならぬと思っています。また、出石のショートカット、こういう問題も進んでいるわけでございますけれども、いかんせん、あの六万川の樋門ができたまま排水路ができないしということでの住民のいら立ちがありますことを率直に申し上げて、円山川の治水に対します基本的な考え方をぜひお聞かせいただきたい、こう思います。
  127. 豊田高司

    豊田(高)政府委員 お答えいたします。  先生地元であります豊岡、城崎を流れております円山川は、屈指の河川で大河川でございまして、流域面積千三百平方キロぐらいある大河川でございますが、御指摘のように、平成二年九月の出水では、堤防から越水する寸前、危うく、地元の水防団の必死の努力で辛うじて越水は免れましたが、内水による浸水は二千八百戸を超えるというような大変大きな被害が出ました。また、昨年の九月にも、六万川流域でも七十八戸の浸水被害が出ておる。特にこの六万川は、場合によると一年に二回も三回も浸水するというような、いわば浸水常襲地帯というようなところでございます。  このような重要でかつ被害が大きいということで直轄事業として実は大正九年からもう既に始まっておるわけでありますが、これも御指摘のとおり、軟弱地盤なものですから、なかなか一気に施工できないというような悩みがあるわけでありますので、少し盛っては地盤が落ちつくのを待ち、また少し盛っては地盤が落ちつくのを待つというようなことで、こちらもいらいらしながら、何とか早くできないものかというふうにいろいろ工夫をしておるところでございます。  また、現在、円山大橋という橋が水の流れを悪くしておりますし、交通のネックにもなっておりますので、道路の方の改良とあわせてこの道路橋の改築に今努めているところでございます。上流と比べて下流の方が若干おくれぎみではないかという御指摘がございますが、私たちも、上下流のバランスを図るのに、もう少し下流を重点にしなければならないかなと思っているところでございます。また、その支川の出石川の改修だとか小野川ショートカットというようなものをやりますと、六万川の内水対策が大分助かるのではないかなというふうに思っているところでございます。  予算的には重点にしておりますので、平成七年度も引き続き重点に進めてまいりたいと思っているところでございます。
  128. 吉岡賢治

    吉岡分科員 今言われましたように、円山大橋のことでございますけれども、従来は円山大橋にまで水面が達しなかったんですね。ということは、蛇行したりいろいろしておりましたから増水していくのに時間がかかったのです。十九号台風のときには一挙に来まして、一時間で二メートル幾らふえたときもあったと思うのですが、そういう急激にふえてきたというようなことで、円山大橋にまで水面がぶつかっていったということで堤防が切断しかかったわけでございますので、この心配がございますから、早急に手を打っていただいていることについては感謝しなければなりません。  いずれにしましても、先ほど来申し上げておりますように、堤防の一日も早い、完成堤までとは言いませんけれども、早いこと、せめて全域がハイウオータープラス五十の暫定施工のところまでは早期にこぎつけていただかないとという気持ちがありますことを申し上げておきたいと思います。  それから、最後の質問になりますけれども、地域を歩いておりますと、丹波の方でございます、由良川の上流になろうかと思いますが、竹田川の改修という問題が出ております。この地域は建設省の直轄でございませんので、県費支弁河川ということになろうかと思いますが、応分の対応をしてやっていただきたいということをお願い申し上げておきたいと思いますが、最後に一言だけ。
  129. 豊田高司

    豊田(高)政府委員 お答え申し上げます。  御指摘の竹田川につきましては、もう御案内のとおり、由良川水系の支川になっておりまして、下流は京都府になっておりますので、下流の方の京都府の管理区間の改修の進捗と調整を図りながら、現在、築堤それから河床掘削を行っているところでございます。  そのうち、特に平成六年度では、市島町の地先で河積を、水の流れを悪くしております堰、固定堰がございますので、これを取り払って水の流れをよくして、堤防からの溢水を防ぐようにしたいということ。それからもう一つ、家の方に水が来た場合にポンプで排水するように、これは救急内水対策事業、こう申しまして、ポンプは別のところに格納しておきまして、水が出たときに、水の出たところに持っていって据えつけられる設備だけつけておく、そうしますと非常に効率的にポンプが使えますので、そういう救急内水対策事業ということで、現在ポンプを二台設置できるように設備を完了したところでございます。  いずれにしましても、この河川流域皆さんの不安を取り除きまして、生命と財産の安全を守るということは大事なことと認識しておりますので、今後とも一層河川改修の促進に努めてまいりたいと思っているところでございます。
  130. 吉岡賢治

    吉岡分科員 誠意ある方向でぜひ事業を進めていただきますようにお願いを申し上げて、終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  131. 野呂田芳成

    野呂田主査 これにて吉岡賢治君の質疑は終了いたしました。  次に、川島實君。
  132. 川島實

    川島分科員 新進党の川島實です。私は、既に通告をしてあります幾つかの点についてお尋ねをいたしたいと思います。  最初に、都市景観の向上の観点から、共同溝の建設についてお伺いをいたしたいと思います。  建設省では既に、快適な道路空間と質の高い情報化社会の実現を目指して地域づくりがなされておるところでございますが、私、過ぐる一カ月ぐらいほどの間に、東京都のある新聞で、ケヤキの木がばっさり切られて丸坊主になって、このことを非常に嘆いている市民の皆さんの声を承りました。同じように、私の住む岡崎市でも、これは愛知県の中ですばらしい通りだなというポプラ通りというのがございまして、ポプラ並木がもう天高く、すごくそびえ立って、十年ぐらい立っておりましたが、それがある日突然すべてだあっと切られてしまって、付近の人たちの非常に残念がる声が耳についたわけでございます。  そういう観点から見ますると、まだそういう都市の中にせっかくすばらしい木が植わって、本来なら自由に羽ばたいていただかなければならないそういう自然の木が、すぐ電柱やその他にひっかかって壊れそうになる憂き目に近い国道筋の通りだとか一般道の街路樹があるわけでございまして、これらを含めて、この共同溝の建設がこれからの快適な地域、づくりの中でどうしても必要になってくるのだろう、こう考えておるわけでございますが、これについての御所見をお伺いしておきたいと思います。
  133. 藤川寛之

    藤川政府委員 今御指摘がございましたケヤキ、あれはたしか東京国道二十号だと思いますが、ケヤキが茂り過ぎて民家等に進入したりするものですから、伐採、一部剪定せざるを得なかったというようなことがあったようでございますが、その問題については、現在、地元住民も入った検討委員会というのをつくって、どういうケヤキの剪定等をやるべきかということでいろいろ検討しているようでございます。それから、岡崎のあのポプラの剪定の話も、これは何か、台風が来て、大変茂っていたので台風でポプラの木が倒れてしまったというようなことがございまして、それで台風の前に剪定するようなことになったというような話もちょっと聞いているわけでございます。  ただ、先生お話がございましたように、今、やはり都市景観というのを住民の方が大変重視するような、そういう傾向になってきているわけでございます。私どもとしても、この都市景観の向上を図っていく、そのために、電柱が都市景観の中で、大変悪くしているというのですか、都市景観を悪くしている元凶の一つが電柱だ、電線だということでございます。  そういうことで、私どもとしても、そういう都市景観を向上させるという観点から、電線類をやはり地中化することが必要だというふうに考えておりまして、従来から、キャブシステムというようなことで電線類の地中化を進めていたわけでございますが、これは結構金がかかったものですからなかなか進まなかったということで、実は、平成七年度からは、できるだけ、キャブシステムよりもコンパクトで、建設費の安い電線共同溝、C・Cボックスと言っているのですけれども、電線共同溝を整備していきたいというふうに考えておりまして、新しい法制度を設けようということで現在審議していただいているところでございます。  私どもとしては、都市景観の向上という視点からもこの電線共同溝の整備を早く促進しろという要望が、要請が大変強うございますので、今後電線共同溝という形でできるだけ電線類の地中化を促進してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  134. 川島實

    川島分科員 ぜひひとつ推進をお願いをしておきたいと思います。外国の人たちが日本へ来まして、日本は経済大国ですごく発展をしているけれども、進んでいないのは昔ながらの電柱だ、こういう声も聞こえてくるわけですから、今非常に環境問題が重要視されまして、地域のそういう快適な町づくりが叫ばれておりますので、せっかく十年も育ってはっさりでは困りますので、ぜひひとつその辺の配慮をお願いをしておきたいと思います。  次に、名古屋高速道路の東部に通ずる鏡池線の、三号といいますか、完成についてお尋ねをいたしたいと思います。  今名古屋市は南北にはいろいろ高速道路が開通しておりますし、西も開通しておるのですが、東側が開通をしていない。そこへもってきて、従来、大きな名古屋市の中心街の桜通りだとか錦通りだとか広小路だとか三本の道が東名高速のインターに一本でしかつながっておりませんので、非常に混雑がある。一日も早い高速道路の開通が望まれるわけですが、鏡池線、住民の反対に遭って長い間中止になっていた関係もございまして、いまだに開通がなされていないわけです。環状線の接続しかないのじゃないかという声もございますので、ぜひひとつ東名道についての接続をなされるように御努力をいただきたいと思うのですが、進行状況はどのようになっているのか、まずお伺いをしてみたいと思います。
  135. 藤川寛之

    藤川政府委員 名古屋高速一号線の鏡池線でございますが、この路線につきましては、吹上から四谷間、これは三・五キロでございますが、この区間につきましては、今全面的に工事を実施しているところでございます。  それから、計画といたしましては、この四谷から高針、これは名古屋環状二号線でございますが、それまでの間、現在鋭意事業進捗を図っており、平成四年度にこの区間につきましては事業に着手いたしまして、積極的に事業進捗を図っているところでございます。  また、東名のインターへの接続ということで、この高針から上社の間につきましてもやはり連絡する計画になっておりまして、この名古屋高速線の供用に合わせて整備を図ってまいりたいということで、今東名高速のインターまで街路が一本になっているというようなお話でございましたが、高速道路もできるだけ早く連結しようということで、現在鋭意事業を進めているところでございます。
  136. 川島實

    川島分科員 ぜひひとつ東名高速道路についての接続をお願いをしたいと思います。東側の市町村は長い間非常に我慢強くこのことを待ち望んでおりますので、このことをひとつ十分受けとめていただきたいと思います。  次に、国道二十三号、名農道路整備状況についてお尋ねをいたしたいと思います。  この件については、国道一号線のもう一つのバイパスとして非常に御努力をいただいて大分工事進捗がいいわけでございますけれども、今回の阪神の大震災等の関連もございまして、あそこは高架になっておりますので、これらも含めて、補強等の配慮がなされて今後やられるのかどうかも含めて、ひとつ進捗状況お尋ねをいたしたいと思います。
  137. 藤川寛之

    藤川政府委員 二十二号の名農道路でございますが、この道路につきましては、愛知県内東西方向幹線道路ということで、今もお話がございましたが、一号の交通混雑の緩和というのでしょうか、そういうことで計画されている路線でございます。全体で五つのバイパスから成り立っておりまして、豊橋東バイパス、豊橋バイパス、蒲郡バイパス、岡崎バイパス、知立バイパスと、五つのバイパスから成っておりまして、延長が約七十三キロ、四車線の道路でございます。  このうち、蒲郡バイパスを除く四バイパスにつきましては既に事業に着手しておりまして、現在三十二キロ、四四%が暫定二車線でございますけれども、供用している状況でございます。そのうち知立バイパスにつきましては、もう四車線化の工事も進めておりまして、これまでに約一・五キロの区間の四車線化を完了しているということでございます。この四車線化につきましては、引き続き進めていきたいというふうに考えております。  それから、岡崎バイパスにつきましては、全体十四・六キロの計画でございますが、まだ五・五キロしか二車線で供用されておりません。このバイパスにつきましても、まだ供用されていない区間用地買収工事推進しているところでございます。  それから、豊橋バイパスにつきましては、全体十七・六キロのうち現在九・六キロ、暫定二車線で供用しておりますが、まだ残された区間がございますので、その残された区間用地買収工事推進しているところでございます。  それから、豊橋東バイパスは約九・二キロの計画でございますが、平成六年度は用地買収に向けての調査、まだ用地買収にかかっておりません。平成七年度から用地買収に着手する予定でございます。  それから、蒲郡バイパスはまだ事業化されていないわけでございますけれども、前後の進捗状況を踏まえながらできるだけ早い時期に事業に着手しようということで、現在準備を進めているところでございます。  いずれにいたしましても、大変利用交通量の多い路線だというふうに私ども考えておりまして、大変地域にとっても重要な路線でございますので、今後この建設促進されるように努力してまいりたいというふうに考えております。  それから、先ほど高架の補強の話がございましたが、今回の地震の被災状況につきまして、その辺、なぜああいう被災が生じたかというのを現在徹底的に究明しているところでございます。この検討の中でこれからの耐震設計のあり方についても検討していただいているところでございまして、その検討結果を踏まえて、私どもとしては、全国的な橋梁の橋脚等の総点検を実施して、その辺の総点検を踏まえて、必要があれば補強等については早急に実施するようにしたいというふうに考えております。
  138. 川島實

    川島分科員 次に、中部新国際空港へのアクセス道路についてお尋ねをいたしたいと思います。  これは今私どもの住んでいるところの関係から、中部新国際空港への、名古屋二河道路、名浜道路、新空港アクセス道路、この三本が整備の検討課題になっているわけでございますが、現在どのような進行状況か、お伺いをしておきたいと思います。
  139. 藤川寛之

    藤川政府委員 中部新国際空港につきましては、第七次の空港整備五カ年計画での事業着手を目指しまして、運輸省それから地元の中部空港調査会を中心に調査が進められているところでございまして、新空港の位置につきましては常滑沖が有力だというふうに聞いているところでございます。  当然この新しい空港ができますと、その空港へのアクセスということで自動車専用道路のネットワークが必要になってくるところでございまして、今お話がございました三河地方の諸都市と名古屋港を連絡する名古屋三河道路、それから名古屋と三河臨海部の諸都市と浜松市を連絡する名浜道路、それから名古屋市と新空港とのアクセス強化を図る新空港アクセス道路、それぞれ現在調査を進めているところでございます。これらの三路線につきましては、名古屋圏の自動車専用道路のネットワークの将来構想の中に位置づけられているものでございまして、平成四年度から現況の問題点あるいは路線の性格等を勘案しながら検討を進めているところでございます。  今後、具体的には恐らく中部新国際空港の整備計画みたいなものがこれから明らかにされると思いますが、私どもといたしましても、そういう整備計画を踏まえながら、また、かなり広域的なネットワークの計画でもございますので、そういう地域の開発プロジェクトの動向等も勘案しながら、地元等とも十分調整を進めながら、この構想の具体化に向けまして検討を進めてまいりたいというふうに考えております。  また、今お話を申し上げました三路線につきましては、平成六年の十二月に地域高規格道路の候補路線として指定したところでございます。
  140. 川島實

    川島分科員 次に、今回の阪神大災害に関係をする東灘区の約六百メーターの高速道路の倒壊区間でございますけれども、先ほどもちょっとお話がございましたが、復旧には耐震設計の見直しが必要だ、こういうような意見がすぐはね返ってくるわけです。我々、いろいろな専門家が、あれからいろいろな人たちが見に行ったりして議論をしておるわけでございますけれども、やはりトンボという方式は普通の素人が見ても危ない。だから、道路幅があって、横にきちっと幅があって、例えば、前回も私お話ししたように、鋼構造でできておるとか、例えば川の水で横の力に対してきちっと対応できるような太い柱脚ができておれば崩壊までには至らぬだろう。一本だけでずっと六百メーターもあるわけですから、一カ所弱いところがあって倒れると、全部はあっと連鎖反応を起こす。どこかで一つがっちりしたものがあればそれらも耐えることができたのじゃないだろうか。いろいろな話が耳に入ってくるわけでございます。  だから、耐震設計というのはぜひ必要でございますけれども、我々技術屋なり建築専門家は、計算どうのこうのでなくて、わずか六百メーターでございますから、今我々の英知でびっちりしたものを、壊すと同時にすぐ立ち上がれるような仕事をなぜできないんだろうかという疑問が常にはね返ってくるわけですが、この辺の状況は今どうなっておるんでしょうか。六百メーターの区間で結構でございます。
  141. 藤川寛之

    藤川政府委員 今お話がございました、倒壊いたしました六百メーターの区間というのは阪神高速の神戸線でございますが、神戸線につきましては、あの倒壊した区間を含めましてかなり広範囲にわたって橋脚等がやられているところでございます。  私どもとしては、やはりなぜああいう形で倒壊したのかというのは早急にチェックしたい、究明したい。そういう中で、具体的な倒壊のメカニズムが究明されますと、ではこれからの耐震、例えば今回の地震に耐えるような耐震設計というのはどうやればいいのかというのが具体的に出てくるはずでございます。私どもとしては、そういうものを踏まえて、やはりより耐震性にすぐれた、今お話がございましたように、倒壊しないようなそういう構造物にしていく必要があるというようなことで、これは今検討委員会を設けているところでございまして、その検討委員会の中で鋭意御議論をいただいているところでございまして、できるだけ早急に取りまとめたいということでお願いしているところでございます。  今もお話がございましたが、ああいう一本柱というのがいろいろ問題があるんじゃないかとか、いろいろな御意見があるわけでございますが、私どもとしては、やはりこの専門家の方の御意見を十分、究明するような中でこうあるべきだという御意見をいただきまして対応していきたいというふうに考えております。  ただ、あそこは御承知のとおり国道の四十三号というのが下を走っておりまして、これが今八車線の道路でございまして、そういうある限られた幅の中で下の交通を確保しながら高架橋をつくっていかなければいけないというちょっとした制約条件があるわけでございますが、そういう中で私どもとしても、より耐震性にすぐれた橋をできるだけ早急に復旧したいということで、現在具体的な復旧計画を取りまとめ中というようなところでございます。
  142. 川島實

    川島分科員 実際壊すのにあれだけ時間がかかるわけですが、大体普通、取り壊し工事で改築工事となれば、すぐに設計にかかって壊れたときにはすぐ立ち上がりができる。基礎も一緒に、同時にかかってしまう。これが普通の突貫工事なんですよね。だから、そういう点からいくと、いまだにまだ検討の段階できちっとしたものができないということは非常に残念なことだと思いますよ。だから、専門家の立場からいうと、あれがみんなの批判の的で、これがお役所仕事だ、こういうふうに言われちゃうのですよ。  だから、実際今までの工事で一番ベターだという方法できちっと早急に一日も早く完成をさすということがこの災害の復旧であって、後の耐震構造やなんかというのは計数を余分に、そこを六百メーターだけ耐震構造が、結果が出たときに過大だ、あれは強過ぎたとあってもいいですし、下の道路については、安全が一番大切ですから、やはりきちんと制限をして上を優先する。こういうような発想をきちっと英断でもって決めていかなきゃ、いつまでももたもたと、こうなってしまうような印象を与えるんじゃないかと思いますので、ぜひひとつそれは早急に御検討をいただきたいと思います。  最後に、入札制度についてお伺いをしておきたいと思います。  建設省は既に一般競争入札の導入を七億三千万以上について、都道府県は二十四億三千万以上について行われているわけでございまして、そしてまた第二弾として、ボンド方式の検討だとか経営事項審査申請書の法律の義務づけだとか、さらに最近の報道では、官公需五千万以上については各都道府県の情報センターに入力をして、きちっとデータを収集する。それから、主任技術者の確保をきちっと見られるような形でやっていく。いろいろな報道があるわけでございますけれども、具体的な行動計画というのか、そういうものについて実はお伺いをしたいわけでございます。  自治省ともきょういろいろ議論をさせていただきましたけれども、やはりどうしても建設省が日本の国のこうした入札制度のあり方についての公正公平、海外からも容認ができるような方向で出していただかないと、専門家の集団でございますので、この件についてひとつ御所見をまずお伺いをしておきたいと思います。
  143. 小野邦久

    ○小野政府委員 お答えをいたします。  一昨年来の一連の不祥事を踏まえまして、現在入札・契約制度の抜本的な改革を進めております。午前中の御議論でも、御質疑等でもいろいろお答えをいたしましたけれども、例えば贈収賄でございますとか、特に入札談合等は、これは決してあってはならない行為でございまして、この根絶を期すために私どもはいろいろな観点から、建設業界団体等に対し注意を喚起するとか、あるいは独占禁止法の所管当局との連絡調整とか、いろいろなことをやっているわけでございますが、やはり基本は少しでも不正の起きにくい入札・契約制度のシステムに改正することではないか、こういうふうに思っておりまして、その点から、先生指摘のとおり、例えば国の事業でございますと七億三千万以上、公共団体の事業につきましては二十四億三千万以上の工事について一般競争をとにかく本格的に導入する、こういうことを今やっておるわけでございます。  基本的に政府といたしましては行動計画でこれを位置づけまして、公共団体にもその方向でやっていただこうということを考えているわけでございますけれども、ただ公共団体は、やはり発注者といたしますと必ずしも技術力が十分でないとか、あるいは規模が小さな発注者がおられるというようなこともございまして、なかなか行動計画の内容が浸透しないということもございます。これにつきましては、自治省とも共同でいろいろな入札・契約制度の実態の調査をいたしまして、共同で協議会を設けて、お互いに一緒に公共団体の指導をやろう、こういうことで今鋭意いろいろな角度からの公共団体に対しての指導をしている、こういう状況でございます。
  144. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 川島委員の発言の前に、今経済局長が申し上げましたように、とりあえず七億三千万、二十四億三千万をやったわけです。すぐにこれを、価格をもっと引き下げるという話になろうかと思いますけれども、まだ一年もたっておりませんので、しばらく実績を見て検討していきたいと思っております。客観性から見ても、競争性から見ても、透明度の高い指名競争入札を実施していきたい、こういうふうに考えております。そのあとの問題については、五十二万の中小零細の皆さん方もいらっしゃるわけですから、ランクは分けてありますが、ある程度切って、全体に仕事が行き渡るような配慮もしてまいりたいというふうに考えております。  ここで、川島さんの質問ではありませんが、まことに委員長に申しわけないと思いますが、午前中、志賀節先生からこの入札問題についての質問がございました。談合があるじゃないか、談合はないとは言えない、こういう論争の中で経済局長から、この談合問題について、談合などの不正行為については決しであってはならないと。「あってはならない」というのを、そういうふうに議事録を読んだら書いてありますが、「悪とはしない」というふうに御理解いただいて、誤解があったわけであります。「あってはならない」が「悪とはしない」ということになりましたので、委員長におかれましては、議事録を調査の上、極めて誤解のある点については整理をして、取り消させていただきたい。今、現状、お話を本人としておりますけれども、他の分科会に御出席でございますので、この辺御了承を賜りますように。川島さんの質問中に、関連があったものですから、あえてお願いを申し上げて、御迷惑をかけたことを御本人にはおわびを申し上げておきます。
  145. 野呂田芳成

    野呂田主査 ただいま建設大臣からの発言につきましては、後ほど議事録を確認し、問題があれば、議事録の訂正をしたいと思います。
  146. 川島實

    川島分科員 私は、今建設省がいろいろな改革をなさっておる事柄で公平公正が守られるという気持ちは持っているのです。それは、経営事項審査申請書が法律の義務化になり、あれできちんとした点数制が成って、仕事の、官の工事のランクづけもそれですべて明らかになります。それから、主任技術者の登録だとか官工事の情報化、それらがなされればできると思います。それから、地方自治体と話をしております、予定価格の例えは下限を、中小企業の経営が成り立つように二割なら二割、二〇%以下は失格とするとか、いろいろな中小企業からの要望も出ているようでございますのでそれらの配慮だとか、それからボンド方式で、従来言われておった談合の温床になるのではないかという同業者の保証の問題を保証会社にさせるとか、そういうようなものが全部出ておりますので、それはきちっと守られれば、もし談合をすれば会社が倒産するぐらい厳しい罰則もついておるわけですから、心配はないと私は思うのです。要は、問題は、運営がきちっとなされるかどうかにあると思います。  そこで、例えば今局長からお話がございましたように、大臣からもお話がございましたが、まだ一年そこそこだと言うのですけれども、もうそろそろ、例えば五千万まで一般競争入札をやり遂げるとか、経営事項審査申請書のランクに基づいて参加をやられるとか、そして、公平にわたるためには、一回とった人は次回は、図面の要求等もございますから、そういうものをあらかじめとりながら調整をして、むだのないような形をとるとか、英知を結集すれば必ずやれるわけですよ。  こういう悪い状況が生まれてきたというのは本当に近年でございまして、十数年前はもっと建築家というのは胸を張って、本当に与えられた仕事に胸を張ってできた、そういう時代だったのです。いつしかこういう悪になってしまったものを、やはりきちっと厳しい対応で、そしてまた、庶民の皆さんが、ああ、やっているなと思うような形のランクにまでひとつ落としてもらって、みんながそれで対応できる、それで問題点があれば的確にきちっと手を打って直していく、この姿が実は求められるわけです。  それでなくとも、特殊法人の問題等がございまして、いろいろ建設省も庶民から冷たい目で見られているわけでございますから、この際、ひとつ勇断を振るって改革にお取り組みをお願いしておきたいと思うのですが、何か御意見がございましたら、ひとつ御所見を最後にお伺いしておきたいと思います。     〔主査退席、近藤(鉄)主査代理着席〕
  147. 小野邦久

    ○小野政府委員 入札・契約制度は、公共事業を円滑に、本当に国民の方々の信頼を得て実施をしていくための基本だと思っております。今後は、今先生から御指摘いただきました点も含めまして、あらゆる角度から、国民の方々の信頼を得て、円滑でかつ効率的な執行ができるように頑張っていきたいと思っております。
  148. 川島實

    川島分科員 ありがとうございます。終わります。
  149. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)主査代理 これにて川島實君の質疑は終了いたしました。  次に、山崎泉君。
  150. 山崎泉

    山崎(泉)分科員 私は、長崎二区出身、山崎泉でございます。  建設省におかれましては、阪神大震災の復旧、復興に日夜頑張っておられることに敬意を表します。大変御苦労さまでございます。  そしてまた、日ごろより私ども長崎県内道路事情に対しまして深い御理解を得ていますことを、県民を代表し、そしてまた佐世保市民、県北住民を代表しまして、心から御礼を申し上げます。  質問要旨を出しておりますが、その前に若干トータル的なことを申しますので、それに対するコメントを二言いただいてから質問要旨に入りたいというふうに思います。  長崎県では、大村以北の道路事情は非常に他の市町村に比べまして劣っております。主要幹線国道三十四号線、三十五号線の渋滞は現在ますますひどくなっております。佐世保市では、三十五号線が通っておるわけですが、日ごろの渋滞に加えまして、昨年の夏以来の大渇水によりまして、今なお十一トンの大型ダンプが日夜国道を走っておる状況であります。渇水の状況を申しますと、まだ私どもは一日五時間の給水のみであります。そういう、日ごろ非常に道路事情が悪い中で、大型のダンプ、支援水を積んだ車が走っておりまして、ますます状況が一層悪い方向に動いておるということであります。  同時に、二月一日に雪が降りました。雪が降ったというよりか、一センチも積もることはないのですが、ただ白くなったわけです。ところが、そのときに一台の車が日宇バイパスでスリップ事故を起こしました。たった一台がスリップなんですよ。これで約三時間大渋滞ですよ。  その後、佐世保警察署の木下署長ともお会いし、そのときの労をねぎらったところが、それは山崎さん、もう大変でした、佐世保の道路事情はどうにか解消してほしい、こういう話も警察署長からありましたし、同時に、今から申し上げる根拠にもなるわけですが、この国道三十五号線の大塔駅というのがあるのですが、このところでは一時間に二千四百九十八台、混雑度が一・三七というふうに統計上出されております。そして、それを通過しまして、佐世保寄りに通過しできますと日宇駅というのがあるのですが、これは一時間に七千九百五十一台、いわゆる混雑度が二・三七になっておるわけであります。  こういう非常に厳しい道路事情があるという、佐世保を中心とした長崎県県北一帯の状況でありますが、そういう全体的な道路状況についてどう把握されておるのか、若干のコメントをお聞きしたいというふうに思います。
  151. 藤川寛之

    藤川政府委員 今、佐世保周辺の道路状況が非常に厳しい状況にあるというお話でございますが、実は私も今の道路局長の前に九州の地建の局長をやっておりまして、この辺の道路状況については十分承知しているつもりでございます。特に佐世保市内につきましては、今三十五号一本しかないというようなことで、これが大変交通量が多くて渋滞している。この三十五号に、今お話がございましたような事故とか何かありますと、大変な渋滞を起こして、いわゆる佐世保市民の皆さんに大変な影響を与えているということについては十分私どもとしても承知をしておりますし、それから、佐世保以北についても大変道路整備がおくれております。  そういう意味では、まさにこの地域の活性化というのでしょうか、その辺がこれからいろいろな形で進められなければいけない地域なのですが、その辺の基盤になるのが道路でございますので、私どもとしても、この地域内の道路整備、これからやはり積極的に促進していかなければいけない。そういう意味で、私どももできる限りの支援をしていかなければならないというふうに考えているところでございます。
  152. 山崎泉

    山崎(泉)分科員 ありがとうございました。  さて、西九州自動車道についてお伺いをいたしますが、まず現在工事中であります大塔−干尽間、これは五・四キロございますが、これは第十一次道路整備五カ年計画期間内に供用を開始したいとして現在工事が進められております。昨年のこの分科会で私もこの件について質問をしました。藤川政府委員の方からもそのような答弁をいただいたところでございますが、佐世保市民及び県北一帯の地域住民にとっては、昭和六十二年の佐世保バイパスの事業化以来、この道路早期完成について大きな期待を持ってその成り行き、状況を見守っておるということです。この大塔−干尽間の早期完成を図るべきだという考え方に私は立っておるわけですが、今後の予定についてお聞かせを願いたいと思います。
  153. 藤川寛之

    藤川政府委員 西九州自動車道の佐世保市の大塔町から干尽町の間でございますが、この区間につきましては、先ほどもお話がございましたが、佐世保市内の交通混雑の緩和というようなことで早急な整備が望まれているところでございます。  この区間につきましては、建設省といたしましてもできる限り早く供用を図りたいというようなことで努力しているところでございまして、全体で五・四キロあるわけでございますが、一部まだ用地が片づいていないところがあるということでございまして、その辺の用地取得を早急に進めたいということでございます。  トンネル工事等は順調に進んでいるようでございまして、今申し上げましたような用地の取得をできるだけ早くやるということが必要でございますので、その辺につきましては地元の御協力を得ながら、最大限の努力を払いまして、五カ年計画期間内の供用を目途に考えておりますが、できるだけ早く、一日でも早く供用するように努力してまいりたいというふうに考えております。
  154. 山崎泉

    山崎(泉)分科員 一部の用地が片づいていないということは私自身も理解をしておりますので、できる限り地元佐世保市と話をしながら、順調に、そしてまた一日でも早く供用開始ができるように私どもとしても取り組んでまいる所存でございますから、ひとつよろしくお願いを申し上げておきたいと思います。  続きまして、その先でございますが、同じ西九州自動車道の今度は干尽と佐々間の都市計画決定早期に行うべきだという考え方に立ちまして若干の私の考え方を申し上げまして、そしてまた御答弁を願いたいと思います。  この干尽−佐々間は十二キロございます。昨年の私の質問に対して、米軍基地移設問題がある、佐世保市の精力的な努力でかなり進展しているので、そういう関連のところとの計画調整を急ぎ、できるだけ早く都市計画決定を策定したいという答弁をされております。特に干尽から矢岳の間でございますが、これは市街地を通過するために沿線住民の関心も非常に高く、この計画の発表以来まだ何の説明もなされていないということで、行政に対する不満が非常に高まっております。家屋の建てかえや土地の利用についても行政側は自粛を特に強くお願いをしておるというふうに聞いております。そういう意味合いでは、早急にこの干尽−佐々間の都市計画の決定を行い、事業を明確にすべきである、こういう考え方でありますが、御回答をお願いしたいと思います。
  155. 藤川寛之

    藤川政府委員 佐世保市の干尽から佐々の間約千二キロでございますが、この区間につきましては都市計画決定のための調査を鋭意進めているところでございます。最大の問題は、今もお話がございましたが、この矢岳町の佐世保インターの計画がございますが、この佐世保インター付近に米軍の住宅やあるいは海上自衛隊の施設があるという問題がございまして、この辺の移設をどうやるかということで関係機関といろいろ調整、協議を進めてきたところでございます。  この辺の協議につきましては佐世保市も積極的に協力していただいておりまして、かなり煮詰まってきたというふうに聞いているところでございまして、引き続き調整を進めなければいけませんが、できるだけこの辺の調整を促進いたしまして、私どもとしては、できるだけ早い時点で都市計画決定ができるように、これはもう、今のお話でもかなり地元の関係者の方がいろいろ迷惑しているところもあるようでございますので、私どもとしては、一日も早くその辺の調整を終わりまして、都市計画決定手続に一日も早く入りたいというようなことで今努力をしているところでございます。
  156. 山崎泉

    山崎(泉)分科員 今の御答弁にもありました米軍に提供しておる土地については、返還の申請がされておりますよね。これは、私が地元で聞く限り、今後はその条件処理をしていけばほとんどこの都市計画策定についてのブレーキにはならないというふうに私は聞いております。  となると、仮にそういうものがあったにしても、この西九州自動車道とこれを現道路敷に収用するために平面街路の都市計画決定を同時に行うというふうに私は聞いておるわけですが、まずは、いろいろな住民皆さん方の不便とか、今後どうなっていくのかといういろいろな問題もありますから、その都市計画決定を分離して、分離して決定をするというそういう案はできないものなんですか。
  157. 藤川寛之

    藤川政府委員 確かに、自動車専用道路の部分と一般道路の部分と一体となった構造でこの干尽と矢岳の間というのは考えているところでございまして、今のような御意見もございますが、やはり、下の道路とそれから上の道路というのは密接不可分なところがございます。先ほども申し上げましたように、かなり調整が進んできているというふうなお話も聞いておりますので、私どもとしては、これはなかなかそれぞれ独立してということになりますといろいろ問題もございますので、私どもとしては、やはり一般道路、専用道路をあわせて、これも、今申し上げましたようにかなり調整が煮詰まってきているというふうなお話も聞いておりますので、できるだけあわせるような形で早急に都市計画決定を進めたいというふうに考えております。  今、市民の方でいろいろな影響を受けておられる方もあるやにお伺いしておりますが、その辺につきましては、佐世保市等とよく協議させていただきまして、今申し上げましたように、やはりあわせてできるだけ早く都市計画決定するという方向努力させていただきたいと考えております。(山崎(泉)分科員「年明け」と呼ぶ)いえ、あわせて都市計画決定をするということで努力をさせていただきたいと存じます。
  158. 山崎泉

    山崎(泉)分科員 私は素人ですから、上と下とは別々に計画してもいいんじゃないかという気持ちを持ってそういうことを言っておるんですが、いずれにしても、米軍基地はこういう返還の申請をやっておるわけですから、まずは米軍基地の関係でこのルートの変更があり得るはずはないのではないかというふうに私自身は理解しておりますし、冒頭申しましたように、ああいう大塔、干尽、それから日宇駅に来ると相当数の車の量がありまして、雪が降ってスリップ一台だけでも三時間の大渋滞を起こすというような道路事情でございますから、いっときも早く都市計画決定をしてほしいということを申し上げておきたいというふうに思います。  続きまして、同じ西九州自動車道の佐々−伊万里間の調査の進捗状況についてお伺いし、今後の見通しもあわせて御回答願いたいと思います。  これも、あわせて昨年私はこの場で質問をやっておりまして、非常に地質が悪い山岳地帯だというような答弁もされておりますが、ルートの検討を急いでおるということも言われておりましたので、ぜひ、これまでの検討結果の状況も踏まえまして御回答願いたいと思います。  同時に、伊万里−松浦間は既にもう基本計画も策定されて、アセスに必要な具体的調査が進められておるというふうに聞いておりますので、そこいらもあわせて御回答願いたいというふうに思います。
  159. 藤川寛之

    藤川政府委員 西九州自動車道の佐々−伊万里間でございますが、このうち、平成五年度に伊万里と松浦市の間、約二十三キロでございますが、基本計画区間として決定したところでございまして、今もお話がございましたが、整備計画の策定に向けまして、ルート等の詳細な検討、それから、環境アセスメントを実施するための幅広い具体的調査を進めているところでございます。できるだけ早く次のステップ、整備計画の策定をやりたいというふうに考えまして努力をしているところでございます。  それから、そのうち伊万里道路、伊万里市内の約八キロでございますが、これにつきましては、平成七年度から新規に事業着手する予定でございます。  それから、残りました松浦市から佐々町間、この間につきましては、去年も同じような答弁をしたようでございますが、山岳地帯でございます。大変トンネルとか橋梁とかそういう構造物が多くなることが予想されるところだということでございますし、また、大変地すべりの多いところでございます。また、旧産炭地であったというようなことで採炭跡なんかもかなりあるというようなことでございまして、やはりそういうものを十分調査する必要があるだろうということで地質調査等をやっているところでございまして、その辺の地質調査を踏まえて概略のルートを早く決定したいということで鋭意調査を進めているところでございます。そういう意味では去年と余り変わらないような状況ではございますが、いずれにいたしましても、前後の進捗状況もございまして、その辺も踏まえて次のステップに進んでまいりたいというふうに考えております。  地域の方が大変この道路を期待しているというのは私ども十分承知しているところでございます。そういうことで、できるだけ早くこの全体の事業が進むように私どもとしても最大限の努力を払ってまいりたいというふうに考えております。
  160. 山崎泉

    山崎(泉)分科員 ぜひよろしくお願いをしておきたいと思います。  次は、山祇黒髪町線の整備状況についてお伺いをします。  状況等は十分おわかりでしょうから前置きは省きまして、いずれにしましても、事業計画期間の最終予定年度が平成十二年度というふうに聞いておりますが、先ほども申しましたように、特に黒髪町というのは佐世保市のベッドタウン地でありまして、大きく発展しておるところであります。大塔駅付近は一時間に車が二千四百九十八台、日宇駅の付近は七千九百五十一台と大きくふえるわけですが、それは黒髪の方から流れて車がここに突っ込んでくるわけでございますね。そうすると、いっときも早く山祇黒髪線のこの環状道路というのを早く完成をさせてこの渋滞を解消させていかなければならない、こういうふうに思っておるところでございます。  同時に、全体計画のうち一・九キロが完成しまして、ことしの四月一日から部分供用開始ということになります。そうすると、この付近には小学校、中学校がありまして、さらにいわゆる市街地内の小さな道路がまた混雑をする、こういうことでありますから、ぜひ全体的な事業を早急に進めてほしい、こういう考え方でございますが、いかがでしょうか。
  161. 藤川寛之

    藤川政府委員 今お話がございましたように、この市道山祇黒髪町線の沿線というのは住宅開発なんかが盛んに行われている地域だというふうにお聞きしているところでございます。  この市道につきましては、全体が六・三キロでございまして、昭和六十年度から国庫補助事業事業を進めておりまして、山祇町側の一・九キロにつきましては、本年度末までの供用を予定しているところでございます。残る区間につきましても、平成七年度からは住宅宅地関連公共施設整備促進事業、これを活用して予算も大幅にアップして、今もお話がございましたが、私どもとしては、平成十二年度の完成を一応目安にしておりますが、できるだけ早く促進されるように今後とも努力してまいりたいというふうに考えております。
  162. 山崎泉

    山崎(泉)分科員 佐世保市の状況は十分わかっておりますから、私がくどくど申す必要もないのでありますが、いずれにしましても、平成十二年度というその最終完成年度きりぎりまで引っ張られると、佐世保市内の交通事情は大変な状況になっていくだろう。そういう意味合いでは、ぜひ一日も早くこの幹線道路について完成を急いでほしいということを要望しておきたいというふうに思います。  続きまして、潜木徳道線の整備状況についてお伺いをします。これは現在、平成六年度末で進捗率が七五%と、あとわずか二五%になっております。残工事区間が一・一キロでございます。これは現道を拡幅する工法だというふうに聞いております。そういう意味合いでは、沿線の住民皆さん方からは、短期間で完成をさせてほしい、こういう要望が強く出ております。その辺につきまして、整備状況と今後の予定についてお聞かせを願いたいと思います。
  163. 藤川寛之

    藤川政府委員 市道の潜木徳道線でございますが、国道の四百九十八号と主要地方道の柚木三川内線とを結ぶ、延長で二・四キロの市道でございます。大変幅の狭い道路でございまして、昭和六十三年度から事業をスタートさせておりまして、あと残る区間というのは一・一キロということでございます。私どもとしても、できるだけ早くということで予算等を考えているところでございまして、今の五カ年計画期間内には供用させるというようなことで、現在鋭意その事業促進に努めているところでございます。
  164. 山崎泉

    山崎(泉)分科員 この潜木徳道線を完成をさせるということは、平戸方面から佐世保に向かってくる車の量を解消させていくという大きな役目も果たしておりますから、ぜひよろしくお願いをしておきたいというふうに思います。  最後に、準用河川の真中川早期完成について、今後の予定。進捗率は今七八・五%というふうに聞いております。用地買収についても、あとはJRの用地のみですが、これはJR側の要望で平成七年度には買収予定というふうに聞いておりますので、この辺も含めまして御回答願いたいと思います。
  165. 豊田高司

    豊田(高)政府委員 お答え申し上げます。  この真中川は、比較的小さい河川でございますが、佐世保市の北西部を流れておりまして、たびたび浸水被害が生じておるということで、佐世保市にとっては重要な川で、その改修が望まれているわけでございます。  そういうことで、昭和五十二年度から全長八百六十メートルにつきまして、準用河川改修事業費補助ということで県において実施中でございますが、下流部から、六年度末、今年度末で既に七百十メートルは改修予定でございます。残り百五十メートルでございますので、地元の用地などについても御協力を大変いただいておりますので、平成八年度の完成目標に鋭意頑張ってまいりたいと思っておるところでございます。
  166. 山崎泉

    山崎(泉)分科員 あと二分でございますから、私が質問要旨として出しました一般国道三十四号線大村拡幅の状況については省略をさせていただきます。いずれにしましても、長崎県の県北一帯の道路事情は非常に悪いという御認識は持っておられるみたいでありますので、ぜひよろしくお願いを申し上げておきたいというふうに思います。  大臣、阪神大震災の復旧、復興、大変御苦労さまでございました。私の出身である佐世保市を中心としての道路事情が非常に厳しいという状況が、短い時間ではありましたがおわかりになったというふうに思います。どうか、ぜひ長崎県北一帯の道路事情の改善のために、全力で大臣も取り組んでいただきたいというふうに思うのでありますが、一言だけよろしくお願い申し上げます。
  167. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 山崎委員のお話、よくわかりました。あなたの思いを込めたお話も十分理解できましたので、積極的に努力をしてまいりたいと思います。
  168. 山崎泉

    山崎(泉)分科員 ありがとうございました。終わります。
  169. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)主査代理 これにて山崎泉君の質疑は終了いたしました。  次に、山本幸三君。
  170. 山本幸三

    山本(幸)分科員 今、山崎委員のお話で、西九州自動車道のお話が出ましたけれども、私は反対側の東九州高速自動車道、この実現を千日一日のごとく待ち望んでいるものでありますけれども、九州で、北九州というのがかっては大変な大都会だったのですね。それは、鉄道がすべて門司や小倉、北九州から出発している。日豊本線、日田彦山線、そして筑豊本線ということで、九州のかなめ、本州との結節点ということで、大変にぎわったわけですね。それからまた港湾との関係、これが、時代が変わりまして、高速道路の時代になってしまったのですけれども、それについて対応が大変おくれまして、その結果北九州が大変地盤沈下していった。かつては百三十万ぐらいの人口が、百万を切るかどうかになってきた。それに対して、福岡市が七十五万ぐらいからもう百三十万近くになって、逆転してしまったのですね。  私は、この大きな原因というのは、時代が高速道路の時代になったときに、一方の路線しかできていない。つまり北九州と福岡は完成して、西九州自動車道の入り口として大変効率的に使われていてすばらしいのですけれども、一方、日豊線沿い、東側が全くおくれまして、まさに絵にかいた計画しかないということでございまして、その後国道のバイパスというのができて間もなく、やっと全線開通するということなのですが、このバイパスも朝夕は、北九州の周辺、苅田町というのがあるのですが、そこから北九州に行くところが大変渋滞していまして、もう用を足していないのですね。したがって、一日も早く北九州から大分までの東九州高速道、別府、大分に行くのに私どもはぐるっと北九州から福岡を回って下から行った方が早いという、非常にいびつな形になっていまして、その結果、北九州も地盤沈下し、東九州の地方が、せっかくいろいろな農産物等の産出あるいは工場立地等にも大変すぐれている。  また、一番いいのは、地震がないのです。全く地震がないところでありまして、気候も恵まれているというところなんですが、発展の可能性があるにもかかわらず、例えば私ども地元の行橋市というのは、かつてある文献で全国の発展の可能性のある市の十四位に列挙されたことがあるのですが、しかし、依然として高速道路や交通網が整備されていないために進まないということでありまして、その意味で、ぜひ一日も早く東九州高速道、特に北九州−大分の路線の整備をやっていただきたいと思うのですが、国幹審がいつ開かれるかわからないということで進んでおりません。その辺の見込みについて、ちょっとお伺いできればと思います。
  171. 藤川寛之

    藤川政府委員 今お話がございました、東九州自動車道の北九州市から大分市間でございますが、この区間につきましては、平成三年の十二月に開かれました第二十九回の国幹審で、北九州市から豊津町の間二十四キロ、それから椎田町から日出町の間四十六キロ、これがそれぞれ基本計画に策定されているところでございまして、この区間につきましては次の整備計画を策定する、そのための路線選定、環境影響調査等の必要な調査を現在推進しているところでございます。  次期国幹審の開催予定の時期でございますが、御承知のとおり、昨年高速自動車国道の料金改定の認可をしたところでございますが、その際に、高速道路整備のあり方あるいは料金の仕組みのあり方等々について、大変いろいろなさまざまな意見が寄せられたところでございます。私ども、これらの寄せられた意見をやはりある程度具体的な、どういうふうに対処していくかというふうなことを具体的に検討していただこうということで、昨年の十一月の十日に、そういういろいろな課題、有料道路制度のあり方についてということで道路審議会に諮問をしたところでございます。次期国幹審、早急に開いてほしいという要請が大変強いことは十分私どもとしても認識しているところでございますが、一応この審議、有料道路制度のあり方について一定の見通しを得ないと、次のステップに進めないような今状況でございます。  そういうことで、私どもとしては、道路審議会でのこの有料道路制度のあり方についての議論の一定の見通しを得た上で、次のステップに向けて進みたいというようなことで考えておりまして、できるだけ早くこの有料道路制度のあり方についての御議論を取りまとめていただきたいということでお願いをしているところでございまして、その辺の取りまとめが終わりましたら次のステップ、環境アセスメントというのをやらなきゃいけないわけでございますが、それにできるだけ早く入りまして、環境アセスメントがある程度まとまりますると国幹審というのが開催できることになりますので、そういうことで一日も早く国幹審が開けるように、この有料道路制度のあり方についてまず一定の見通しを得るということ、その辺を今鋭意努力しているところでございます。
  172. 山本幸三

    山本(幸)分科員 その道路審議会の審議というのは、いつごろをめどにということも決まっていないのですか。そんなずるずるいつまでもやってもらっても困るので、それも見通しはぜひ示してもらいたいし、それから、その環境アセスメントもこれは同時並行してできないのですか。基本計画路線になっていますから、それも早目にやってもらって、見通しができればすぐ開けるようにやっていただきたいと思うのですけれども、その辺はいかがですか。
  173. 藤川寛之

    藤川政府委員 この有料道路制度のあり方についての検討につきましては、昨年の十一月に道路審議会に諮問したところでございますが、おおむね一年程度を目標にして取りまとめたいということで、審議をお願いしているところでございます。  また、環境アセスメントにつきまして、同時並行的にできないかというお話でございますが、この有料道路整備のあり方で一定の方向を、プール制とか、高速道路整備をこれからどう進めていくべきかというような一定の方向を出していただくことになっておりまして、その辺を踏まえないと、やはり採算性の問題等もございますので、どの程度の区間が次の整備計画に向けて進むことができるかということが明らかにできないというような状況でございますので、今申し上げましたように、一年程度で何とか取りまとめたいというふうに考えておりますが、できるだけこの取りまとめも期間も短縮するように、今後努力してまいりたいというふうに考えております。
  174. 山本幸三

    山本(幸)分科員 一年もかけておっちらおっちらやられてしまっては困るので、ぜひ夏ぐらいまでには何とかやっていただきたいなという気がしておりますが、その辺ぜひよろしくお願いしたいと思います。  その道路審議会の見直しというのは当然、料全体系のあり方も入ると思いますが、ぜひ審議を急いでいただいて、やはり国の一番大きな仕事というのは、バランスのとれた地域の発展だろうと思うので、その基本はやはり交通体系だと思うのですね。かってはそれは鉄道だったんだけれども、今はどうしても高速道路の時代なんですから、これを早く整備、どこまで整備するかというのはもちろんありますが、少なくとも日本全国の基幹となるようなところは早くやってもらわないと、国の仕事としての責任を果たせないと私は思うので、ぜひ期間を短縮してやっていただきたいと思います。  大臣、お願いできますでしょうか。
  175. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 今、道路局長答弁したとおりでございますが、私もできるだけ速やかに国幹審を開いていただいて、公共料金のあり方についても十分御討議をいただきたいと思うのですが、私は従来から国土の均衡ある発展を主張しておる一人でありますから、独立採算制方式ということについては過疎地域には大きな負担になるのではなかろうか、こういうことを心配をしております。  したがいまして、国幹審を秋ごろに開きたいということを審議会では申し述べましたけれども公共料金を引き上げましてから、道路審議会でそれらも含めて、アセスメントも含めて検討したいということでございましたから、できるだけ速やかに御検討いただいて、参考にして、そして全国ネットワークの高規格道路というものはつくっていきたい、こういうふうに考えております。
  176. 山本幸三

    山本(幸)分科員 大臣の積極的な答弁、本当にありがとうございます。  次に、昨年末に地域高規格道路というものが提案されまして、この路線の指定ということで、各県にそういう候補地を出せということで挙がりまして、それで私どもの福岡県もその候補地を指定していったのですが、その直前に県の方から私、説明を受けまして、ちょっとその路線については問題があるのじゃないかという気がいたしました。県の方は、北九州から福岡までの路線というものを、新たにこの地域高規格道路でもやっていきたいということでした。それができればもちろんいいのですが、最初に申し上げましたように、今福岡県内というのは、北九州から福岡というのは結構整備されているのですね。既に高速道路も、あるいは福岡市、北九州市の都市高速道路もつながって、スムーズに動いている。また、国道三号線も順次拡張の整備もされている。  そういうことであれば、これからやはり、第二国土軸とかいうことも言われていて、先ほどお願いした東九州高速道路もそうですが、これは、高速道路は東九州の地域の性格上どうしても山間地に入っていくのですね。そうすると、今東九州の方は、日産の苅田の工場ができたりその関連企業ができつつあるのですが、今度また新北九州空港ということで北九州の大きな夢が広がっているのですが、それにつれて、海岸沿いの方が、交通網の整備からいうと取り残されて廃れてしまう可能性がある。そういうことで、私は県の方々とも、むしろ北九州から福岡の海岸沿いをやるというよりは、北九州から大分に抜ける海岸沿いの道、大分の方は海岸沿いまで道路ができているのですね。その路線を考えて、新北九州空港とつなげた方が県全体の発展になるのではないかと。  それで、実は地元の市町村長さん方に、この地域高規格道路について県の方から何か話があって意見を聞いたのかという質問をいたしましたら、一切そういうことはなされていない、そういうものがあるということも知らなかった、ぜひそういう新しいアイデアがあるのであればこちらの方も考えてもらいたいというようなことで、私は、この地域高規格道路の路線指定については、各地域の市町村の意見というものも十分にまだ聞いておらないのじゃないかなという気がちょっとしておりまして、そういう可能性も含めて再考できないものかどうか、あるいはそういう新しいところも候補として考えられないものかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  177. 藤川寛之

    藤川政府委員 地域高規格道路につきましては、昨年の十一月に候補路線、計画路線、それぞれ各地方建設局それから都道府県から要望を出していただきまして、その要望を踏まえて、昨年の十二月に候補路線が二百四十五路線、計画路線が百三十八路線、約五千三百キロでございますが、指定を行ったところでございます。  要望に当たりましては、その地域の振興計画あるいは開発計画、そういうものを十分踏まえなきゃいけない、それから関係機関、市町村とも十分調整した上で要望路線を出してくれということでお願いをしまして、私どもとしてはそういう調整を十分図った上で出されたものと承知しておったところでございます。  今のようなお話でございますが、この地域高規格道路につきましては、今後の全国的な調査とか整備進捗状況を踏まえながら、私どもとしては逐次必要に応じて追加指定を行っていきたいというふうに考えているところでございまして、その際にはやはり地元の意向や実情を、その辺をさらに一層反映できるように今後とも努力してまいりたいというふうに考えております。
  178. 山本幸三

    山本(幸)分科員 おっしゃるように、やはり県内の各市町村の要望を聞いた上で調整してやっていくような性質のものだと思うので、ぜひその点はもう一度話を聞いていただきたいし、再指定の要素として考えていただきたいと思います。そういう県内の調整がついていないで予算がつくというのは、私はあり得ないことだというように、きょう主計官も来ておられますが、思っておりますので、ぜひその点はよろしくお願いしたいと思います。  それから、道路の話で恐縮ですが、ちょっと細かい道路を、せっかく道路の話が続いておりますのでさせていただきます。  今は北九州から周防灘沿いということでお話ししたのですが、私の地域は田川市郡というのがありまして、かつての産炭地域ですね。その田川の地域が、御承知のようにこれから、これまで産炭地振興政策というのがとられてきましたが、これが順次打ち切られていくことになります。例えば、今年度で一般失対、緊就事業というのがなくなる。あるいは来年度、同和対策事業というものもなくなることになる。そして石炭六法というものが平成十三年度に終結する。これまでは石炭六法というのを順次延長してきていたのですけれども、石油関税収入がなくなるわけですから、それももう当然できない。したがって、本当に産炭地振興策というものが消えていく状況にある。  そうであれば、この地域が自立できるように考えていかなければ、本当にこの地域自体が沈没してしまうということで、ぜひ私は、まず交通網を整備して、この田川地域に人が住んで、そして北九州や福岡に勤めに出かける。あるいは、そういう交通網がある程度整備されますと、位置としては福岡県のちょうどおへその位置に当たるところで、かつては、万葉集の時代は北九州の方で上陸して田川を通って太宰府に行っていたということで、田川に人が泊まってそこのお嬢さんと恋に落ちるというような歌まで歌われているぐらいのところなんですね。したがって、そのためには国道三百二十二号線バイパスで北九州から田川をつなぐ、これが少しずつ進んでいるのですが、本当に細切れにしか進まない、いつまでかかるのかわからないというような状況があります。  それから、国道二百一号線で実は福岡から飯塚まではバイパスができまして、飯塚市は非常に福岡に近くなって便利になった。その意味で、飯塚市は産炭地でありながら活気を取り戻してきた。そこで、ぜひこの二百一号線のバイパスというのを延ばしてもらいたいと思っているのですが、庄内町のところまでは路線も決まってまいりましたが、最後のネックが、島尾峠という峠がありまして、一方では田川市から二百一号線のバイパスが来ている。もう一方は飯塚市の方から延びることになっているのですが、この峠をトンネルでつながないと、田川市からせっかく飯塚まで来ているバイパスがスムーズに使えないということになります。  そういう意味で、田川市の発展はまさにこの三百二十二号線バイパスの拡張を急いでもらうことと、そして二百一号線の島尾峠のトンネル、これを実現してもらうこと、もう一つは、二百一号線の反対側、行橋に抜ける仲哀峠のトンネルを急いでもらうということでありまして、この点はぜひお願いしたいのですが、その進捗状況並びに予定についてお伺いしたいと思います。  実は一昨日、田川の滝井市長さんにお会いしましたら、滝井市長さんは、野坂大臣はかってともに政治家としての同志であったということで、必ず大臣はそういうことについて御理解が深いはずであるということで大変期待をしておりましたので、その点も含めてぜひよろしくお願いしたいと思います。
  179. 藤川寛之

    藤川政府委員 今お話がございましたまず三百二十二号でございますが、この三百二十二号につきましては、北九州市の呼野地区それから香春町の中、それから田川市内でそれぞれバイパス事業を現在進めているところでございます。部分的にもう既に供用しているところもございますが、まだ残っている区間がかなりございまして、その残っている区間用地買収工事促進を図っているところでございます。また、香春バイパスと田川バイパスの間につきましては、ルートがまだ決まってないというようなところもあるようでございます。この区間につきましてもできるだけ早くルートを決定したいということで、福岡県の方で努力しているようでございます。今お話がございましたように、この三百二十二号というのは、田川地区から北九州を連絡する大変交通量の多い重要な路線でございますので、この路線の整備につきましては、今後ともその促進が図れるようにできる限り努力したいというふうに考えております。  また、二百一号の鳥尾峠の部分でございますが、お話がございましたように、現在飯塚バイパスの事業を進めておりまして、この飯塚バイパスと田川バイパスの間、これがまだ事業化がされておりません。この区間につきましては、大変大きなトンネルが計画されておりますが、平成五年の六月に都市計画決定がもう既になされております。いずれにいたしましても、この飯塚バイパスとそれから島尾峠のトンネルの区間、これはやはり一体のものとして事業を進めていくことが必要でございます。そういうことで、私どもとしては、現在は飯塚バイパスの事業促進を図っておりますけれども、この島尾峠の区間につきましても、できるだけ早く事業を着手をしたいというようなことで現在検討を行っているところでございます。  それから、二百一号につきましては、あと仲哀トンネルとか行橋とかでまだ拡幅しなければいけない区間、バイパスをつくらなければいけない区間等がございます。仲哀トンネルにつきましては、現在新しいトンネルを掘るうということで現在事業を進めているところでございますし、行橋につきましても、あの行橋の区間につきましてはできるだけこれも都市計画決定を早くやらなければいけないということで、地元の関係者と今いろいろ調整を図っているところだと思います。  いずれにいたしましても、二百一号というのも田川、飯塚、行橋、福岡を結ぶというようなことで大変重要な路線でございますので、現在大変混雑しているということも踏まえて、このバイパス等整備促進、できる限り私どもとしても努力してまいりたいというふうに考えております。
  180. 山本幸三

    山本(幸)分科員 大臣も滝井市長さんの意を受けて大いにやっていただけると思いますので、ひとつよろしくお願いします。  それから、これは下水道の整備についてですが、実は福岡県では、政令指定都市、福岡市と北九州市を除くと大変下水道の整備がおくれております。私は、これは私どもの地域の問題そのものでもありますけれども、日本の過疎問題というのは、交通網と下水道の二つが一番大きな要因だと思うんですね。若い人たちは、下水道の整備がなされてないところに住もうとしない。特に子供たちは、一たん都市で生活して水洗便所を経験していると、くみ取り便所で用を足そうとしない。もう田舎に帰っても、パパ、ママ、もうおうちに帰ろうよという話ばかりになっているということで、これは私は、建設行政の大きな目玉としてぜひ全国的にやるべきだ。  私、かつて南太平洋の島国を回ったことがあるんですが、そのときにニウエという、これはニュージーランドの自治領なんですが、国と言えるかどうかわからないぐらい、人口三千の島国なんですね。この島国が日本の援助が欲しいという話がありまして、一体それは何に使うんですかと言ったら、下水道の整備に使うと言われて、もうびっくりしちゃったんですが、自分のうちのところもまだくみ取り便所であるのに、そういう島国に日本の援助が使われて下水道整備が先にされて、そして日本の田舎の地域が済んでない、これはやっぱり大きな問題で、これは先進国として生きていくためにも、あるいは過疎問題を解決するためにも、何にも増して全国の下水道を先に整備しちゃうんだというぐらいの気持ちでやっていただきたいなと思うんですが、ぜひ大臣の御所見をいただければと思います。
  181. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 お話がありますように、平成五年度で下水道の普及率は四九%、平成七年度で五四%、都市、農村を通じてそういうことになっております。我々は、下水道が重要であるということは同じ認識に立っておりますが、農林水産省では集落排水、我々下水道工事という格好で作業は進めております。今度いよいよ中央審議会でもこの問題を本格的に取り上げて、スピードアップをするように、これは審議のさなかでございますので、十分対応していかなければならぬと思っております。  そして、先生からお話がありました三百二十二号のバイパス問題、田川あるいは呼野、香春町の問題もありましたが、相当進んではおりますけれども用地買収等がまだ行われていないところがございますので、用地買収を早急に行って工事に着手してつないでいきたい、こういうふうに考えております。
  182. 山本幸三

    山本(幸)分科員 ありがとうございます。  下水道の整備も、農水省や厚生省との関係もあります。私もきのう地元の村の地域へ行きましたら、せっかく圃場整備をやるんだけれども、それとあわせて下水道の整備もやってくれると助かるんだがなという声もありました。そういう意味でぜひ調整もしてお願いしたいと思います。  最後にもう一つ、私どもの地域、ことしは大変な渇水でもう非常に厳しい生活を強いられました。幸い時間的断水、時間給水というのは短期で済みましたけれども、福岡市はいまだに八時間続いている。ただ、農業用水の不足で京築地方の農家の方々はほとんど寝ることができない、水を守るためにできないということでありまして、ぜひダムの建設をこれまで以上に、いろいろな問題があるようですが、進めてもらいたいなと思っておりまして、伊良原ダム、寒田ダムそして福智山ダムというのが関係するんですが、その辺の進捗状況と予定についてお聞かせいただきたいと思います。
  183. 豊田高司

    豊田(高)政府委員 日本の国におきましては、地形だとか雨の降り方によりまして大変河川の流量が少ないわけでございますが、毎年毎年金国各地で洪水や渇水が繰り返されております。先生今御指摘のとおり、昨年は福岡県を初め全国的に大変渇水でございました。福岡県では、たしか七月の二十一日から太宰府が八時間断水、引き続きまして八月四日から福岡市の断水があったわけでありますが、現在でも五市二町で給水制限がなされておる。  この渇水対策には、何と申しましても、節水をするということが大事でありますが、続きまして、雨の利用だとか下水の再利用だとか、あるいは海水の淡水化などはぜひ必要だと思っているわけでありますが、それらと同じようにダムの開発も重要な課題の一つだというふうに認識しているところでございます。したがいまして、全国的には第八次治水五カ年計画に基づきまして水を確保するということで、多目的ダムの建設を計画的に実施しているわけでございますが、今先生指摘のありました伊良原ダムにつきましては、田川地区の水道企業団とそれから京築地区の水道企業団に水道用水を供給する目的で、あわせまして祓川の治水に役立てるような多目的ダムでございますが、このダムはちょっと水没戸数が多うございまして八十六戸ございまして、この水没の皆様と現在、基本的には御了解いただいておるわけでございますが、鋭意交渉を続けておるところでございます。できるだけ早く交渉を成立させまして、用地買収等できるだけ早く進めたいと思っておるところでございます。  それから、寒田ダムにつきましても、五十九年に実施調査して着手したダムでございますが、このダムも少しではございますが水没九戸ほどいらっしゃいまして、現在話し合いを県においてしておるというところでございます。これも調査を鋭意進めてまいりたいと思っております。  それから、福智山ダムにつきましては、これは幸いに水没家屋はゼロでございまして、できるだけ早く本体工事に着手したいということで、現在道路のつけかえ工事を実施しているところでございます。道路のつけかえ工事が終わりますと、今度本体の工事に着手できますので、これは鋭意進めてまいりたい。  いずれにしましても、この多目的ダムというのは、治水と利水双方に役立つ非常に有効な施設だと考えておりますので、今後とも積極的に進めてまいりたいと思っておるところでございます。
  184. 山本幸三

    山本(幸)分科員 よろしくお願いします。ありがとうございました。
  185. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)主査代理 これにて山本幸三君の質疑は終了いたしました。  次に、西博義君。
  186. 西博義

    ○西分科員 新進党の西博義でございます。本日、私は、新国土軸の問題を中心に、その関連を含めて御質問を申し上げたいと思います。  実は、あの阪神大震災、一月十七日早朝起こりましたけれども、その翌日の深夜、十八日の深夜でございますが、私、阪神地方の救援のために和歌山市内を車で走っておりました。和歌山市内に和歌山港という港があるわけでございますが、その近辺を走っておりますと、たくさんのトラックが延々と道に連なっておったわけでございます。  それで、十九日の朝、地元紙、これは朝日新聞の和歌山版でございますが、こういう記事になっておりました。「フェリーは大混雑続く 神戸の道寸断で」、こういうタイトルで、  兵庫県南部地震の影響で、和歌山港と徳島県の小松島港を結ぶ南海フェリーが大混雑している。神戸近辺の道路網が寸断され、本州と四国を結ぶ大動脈の淡路航路が使えなくなったためで、和歌山港のフェリー乗り場周辺の道路は、乗船を待つトラックなどであふれ返った。  同フェリー和歌山港営業所の話では、十七日午後から、三優待ちぐらいにまで込むようになったため、十八日から増便して一日十五往復のピストン輸送態勢にしたものの、二百台近い乗船待ちの車は一向に減る気配がないという。  乗り場前の道路は、トラックなどが約六百メートルの列を作って交通の流れが悪くなったため、警察官が出て交通整理にあたった。こういう記事が載っておりました。きのうまた地元におりましたもので、フェリー会社に確認をいたしました。そういたしますと、その当時一番長くなった状態で一日半程度のトラックの待ちが出た、こういうフェリー側の説明でございました。  今もう既に地震が発生して一カ月を過ぎたわけでございますが、新聞などの情報にもございますように、道路網だけで申し上げましても、阪神高速の神戸線それから湾岸線、また名神高速、第二神明、さらに国道二号線、そういう主要な幹線道路が、神戸、兵庫県を中心にいまだに復旧できない道路がたくさんございます。さらに、中国自動車道、これも大変重要な道路でございますが、一部復旧しましたけれども、まだ修復工事をやっておると、いうようなことを聞き及んでおります。  そういうわけで、依然阪神地域を経由する日本の東西の道路交通網、これは大きな支障が残っております。その影響からか、和歌山のフェリー会社に尋ねましても、今ごろの季節ですと、大体フェリーは、全部フェリーに積んで四国に向けて出発できるということが通常なんだそうでございます。ところがことしは、トラックでいいますと大体三便、大体二時間に一本ぐらい出ておりますから六時間ぐらい待ちが依然として続いている状態である、こういう報告をちょうだいいたしました。  今回、もちろん戦後五十年未曾有のこの大災害であったとはいえ、このように長時間にわたり日本の東西交通の幹線軸が、先ほどちょっと申し上げ忘れましたが、もちろん鉄道も含めてでございますが断ち切られ、復旧にも相当な日数を要するという状態が出ております。今こそ災害を考慮した国土政策と申しますか、これを真剣に取り組むべきではないか、こういうふうに考えておりますが、御所見を賜りたいと思います。
  187. 藤川寛之

    藤川政府委員 今回の阪神・淡路大震災によりまして、私ども道路といたしましては、お話がございましたように、中国自動車道それから阪神高速道路等の幹線道路が通行どめになりまして、特に東日本と西日本間の輸送というのが完全にシャットアウトされるというか、大変大きな影響が出たところでございます。  そのために、今お話がございましたように、和歌山−小松島間のフェリーにかなりの車が殺到したのだろうというふうに考えているところでございまして、今もお話がございましたが、こういう広域的な幹線道路については、代替性のある災害に強いネットワークというのをきちっと考えておく必要がある、そういうものをやはり整備しておく必要があるというのを、強く今回の地震の災害で感じたところでございます。  建設省におきましても、この幹線道路網の計画といたしましては、高規格幹線道路網、これは一万四千キロの計画があるわけでございますが、この一万四千キロの計画では、やはり災害時の代替ルートの形成というようなことに配慮いたしましたそういうネットワークの計画になっておりまして、私どもとしては、それに加えて昨年の十二月に地域高規格道路の指定をやったところでございますが、この高規格幹線道路一万四千キロのネットワークと地域高規格道路のネットワークを合わせまして、そういう災害に強い代替性のある幹線道路のネットワークというのを早急に建設していくことが必要であるというふうに考えているところでございます。  また、今お話がございましたように、やはり国土の軸のようなもの、そういうものについても代替性のあるものというのを考えておく必要があるのではないかな。特に、和歌山と四国の間ということになりますと新太平洋国土軸というようなことが提唱されておりますが、今回の地震の災害を踏まえまして、その重要性というのが一層高まってきたのではないかなというふうに考えているところでございまして、今後ともこういう国土軸の問題、新国土軸の問題につきましても重要な課題として取り組んでいく必要があるというふうに考えております。
  188. 西博義

    ○西分科員 日本の国土軸と申しますか、国土政策の全般を担当していらっしゃる国土庁の方からも、一言コメントをちょうだいいたしたいと思います。
  189. 大石久和

    ○大石説明員 国土軸の議論につきましては、西日本を初め各地域から、太平洋新国土軸等いろいろな構想が提唱され、活発な推進活動が続けられていることはよく承知いたしておるところでございます。  我が国は自然的条件が極めて厳しく、地震、台風等の多くの災害発生要因を抱えております。このため、国民生活や経済活動の安定、安全を確保し、安心して暮らせる国土を形成していく上で、多重的で代替性に富む強靭なネットワークを整備していくことは、国土政策上極めて重要な課題と考えております。  国土庁におきましては、このような観点も踏まえ、新たな国土軸構想について、これからの新しい全国総合開発計画策定に向けた取り組みの中で、最も重要な課題の一つとして検討を進めてまいる所存であります。
  190. 西博義

    ○西分科員 先日、ある本を読んでおりましたら、日本は昭和二十年、都市部の大部分が焦土と化しましたが、その折に、もちろん衣食が大事でございますが、住宅をどうするかということで、戦後、戦災復興院というものができまして、その復興院が、政府の援助と地方公共団体の補助によって庶民の住宅建設の制度を誕生させた、これが後々公営住宅の政策にとつながっていったということをお聞きをいたしました。  また、昭和三十四年、伊勢湾台風が大変な猛威を振るいましたが、これを契機にして、我が国が治山治水に対する画期的な変革を行った。その当時、治山治水十カ年計画というものをつくって、それが今の政策にずっと反映されているわけでございますが、このことを出発点にして、各種の長期計画というものができ上がる淵源になったというふうに言われておりますけれども、今回、この戦後最大の災害、阪神・淡路大震災が起こったわけですが、これをきっかけに、さらに新たな国土政策が望まれているところでございます。  災害というのを考えてみますと、都市それから交通、情報、こういうものの主要政策の中で、まず危険防止をする、危険をいかに回避するかということが最大の視点になるのではないかと思います。具体的には、まず都市の問題としては、これまで以上に四全総の基本路線である東京一極集中の是正を図るとともに、早急に地方分権をさらに強力に進めていく必要があるのではないか、こう考えるわけです。  また、情報通信等に関しましても、民間においてはいち早く、NTT等は今までの一対一の通信網、つまり星形の通信網からループ状の通信網に変更していくということが発表されております。さらには、ケーブルの地中化それから通信網を多重化する、こういうことをいち早くこの一カ月の間に打ち出しております。政府にあっても、衛星を利用した通信手段の多重化を図るなど、素早い対応がこれから望まれるところだと思います。  交通に関しては、いわゆるダブルネット、先ほどちょっと御答弁がありましたが、回避するために、二重それからよく言えば三重ぐらいのトリプルネットというようなことを形成する国土軸が必要ではないかというふうに考えております。今回、特に新たな国土軸の中でも、太平洋新国土軸について、若干の質問に入らせていただきたいと思います。  四全総の中では、二十一世紀への国づくりの指針として、先ほど申し上げました東京一極集中の是正と多極分散型の国土の形成、これを基本目標に計画が策定をされておりますが、昨年の六月にこの四全総の総合的点検調査部会による報告書が取りまとめられております。これは私もちょうだいをいたしました。  この概要の中で、三ページのところでございますが、「地方圏における人口減少・高齢化の広がり」こういう項目の中で、こう記述されております。  地方圏において、地方中枢・中核都市の諸機能を享受しにくい地域、特にいわゆる太平洋ベルト地帯から離れた北東地域、西南地域、日本海沿岸地域を中心人口減少・高齢化が顕著に進行している。これら地域は高速交通体系の整備がおくれている地域とも一致しており、こうした地域の活性化を図ることが国土構造上の最大の課題となっている。 こういうふうに、北東地域、西南地域、日本海沿岸地域、この三カ所を特に挙げられて問題点を指摘しております。  この問題点に対して、一つ対応策として、この同じ報告書の八ページの部分にこう書かれております。「これからの国土政策の基本方向」こういうタイトルで、   各地で提唱されている「新たな国土の軸」構想、「地域連携軸」構想は地域の特色ある発展と一体感の持てる国土の形成に資するものであり、二十一世紀に向けた国土構造の形成に関する新しいビジョンとして重要な意義がある。こう将来展望を述べておられます。地域の特色ある発展ということと一体感の持てる国土の形成、この二つのバランスというものが問題になってくると思いますが、この内容は、提唱されている各種の構想、具体的には三つ挙がっておるわけでございますが、前向きに評価をされているものだというふうに考えます。  この最後のまとめの部分で、「むすび」と書いてありますが、その一番最後に「新しい地方の時代の流れのなかで、より地方の主体性を重視した計画」をという一項、これは全体の中の項目なんですが、入っております。  西南地域においては、伊勢湾口から紀伊半島を横切り、京奈和自動車道の一部、和歌山県側の一部を通って紀淡海峡を渡り、それから淡路島を経由して四国を縦貫し、さらに豊予海峡を通って九州へと、こういう遠大な構想、いわゆる太平洋新国土軸と言われるものですが、提案をされておるわけでございます。この構想に対する評価について、一言お伺いをしたいと存じます。
  191. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 詳しくは事務当局からお話をさせますが、今の構想は第二国土軸とも言われておりますね、伊勢湾、紀淡海峡、豊予海峡。したがって、本四架橋公団の整理統合にはいろいろ苦慮したわけですね。したがいまして、十一年の春にこれが終わりますから、そのものと、今先生がおっしゃった第二国土軸の形成、こういうものとどう結びつけるか。  一つ幹線道路がだめになったらもう日本はだめだ、それではいかぬわけですから、一方は日本海の側を整理していく、一方は紀淡海峡なり豊予海峡というものをやって、どのような時代になっても経済活動というものはとまることがない、あるいは環境というものは整備されるという姿をとっていかなければならぬということで、先生の提言あるいは今まで言われてきたこの問題については十分参考にし、検討しておるところです。
  192. 藤川寛之

    藤川政府委員 太平洋新国土軸の構想につきましては、ワイズマン構想というふうにも言われておりますが、昭和三十九年だったと思いますけれども、国連の調査団の報告の中に、第二国土軸をやはり検討すべきだというようなことが構想として盛り込まれたのが最初じゃなかったかと思います。  今もお話がございましたように、この太平洋新国土軸につきましては、西南地域を縦貫するような感じのルートでございまして、そういう意味では、これから地域づくりを積極的に進めていかなければいけないような地域のまさに軸になる構想であるというふうに考えているところでございまして、そういう幅広い地域間の交流を促進するものだ。また、先ほどお話がございましたが、いわゆる代替性のある、多重ネットワークというのがこれから我が国のこういう交通のネットワークにも要請されるということを考えますと、そういう意味でも、広域的な代替ネットワークとして大変重要な役割を果たすものであろうというふうに考えております。  特に、今回の地震でそういう代替性という意味での評価が高まってきているのではないかというふうに考えているところでございまして、先ほど申し上げましたが、私どもとしても、今後ネットワークを形成する上で、この太平洋新国土軸につきましても大変重要な課題として、私どもとしても今後取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  193. 西博義

    ○西分科員 大臣の方からも大変積極的な御理解のある御答弁、確かに大きな構想でございますし、予算的にも今後本当にいろいろな意味で議論のあるところだと思いますが、やはり日本の国土、この特徴的な南北に細長い国土のどこかが壊れたときに、代替性のあるという構想はこれから、これだけ経済的にも発展した日本の中で大変重要なことではないかというふうに思いますので、これからも積極的な取り組みをぜひともよろしくお願い申し上げます。  もう一つ、このことに関連して、この四全総の点検調査部会の報告をもとに、私、今何点か質問をさせていただいたわけですが、いわゆる五全総に相当するものがまた今後計画されていくであろうと思います。その時期と、それからこの報告書そのものが基本的には五全総に相当部分反映されるというふうに私は認識をしておるわけですが、このことについて、ちょっと関連してお伺いをしておきたいと思います。
  194. 大石久和

    ○大石説明員 昨年の十一月、国土審議会におきまして、戦後五十年の国土開発政策の成果を踏まえまして、来るべき二十一世紀にふさわしい国土づくりの指針を示すべく全国総合開発計画を策定することが了承されました。これを受けまして、平成七年一月十二日に国土審議会第一回計画部会を開催し、新しい全国国土開発計画の策定に向けた調査審議が本格的に開始されたところであります。  今後のスケジュールといたしましては、まず平成七年秋に新計画の基本的考え方を示し、次に平成八年秋に新計画の中間案を取りまとめ、その後、平成八年度中を目途に新計画を策定することを予定いたしております。この中で、今先生指摘のように、この総合的点検の中に示しました幾つかの認識を踏まえて計画を審議していくということになろうと思います。
  195. 西博義

    ○西分科員 それでは、これから太平洋新国土軸の一部となる紀淡連絡道路、さらには京奈和自動車道について若干の御質問を申し上げます。時間も余りなくなりましたので、はしょってまいりたいと思います。  紀淡連絡道路は、昨年九月関西国際空港が開港されまして、大阪湾を取り巻く交通網、海上交通、陸上交通、かなり大きな違いといいますか、発展を見せております。その中で、大阪湾を取り巻く道路の環状道路というのが一つの大きなこれからの焦点ではないかというふうに思われます。湾岸道路もかなり整備をされてまいりましたし、さらには明石海峡大橋も建設中ということで、最後残るは一つ、紀淡海峡が完成をすれば、大阪湾岸の一つの大きな流れができるわけでございます。  その意味でも、紀淡海峡道路、先ほどの国土軸との関連でも申し上げましたが、積極的にこの海峡道路促進すべきだというふうに考えますが、建設省の取り組みについて一言御答弁をお願いいたします。
  196. 藤川寛之

    藤川政府委員 紀淡連絡道路につきましては、太平洋新国土軸の一端を形成することとなりますし、また、今お話がございましたように、大阪湾環状道路の一部も形成する構想でございます。  この紀淡連絡道路につきましては、大変金のかかるプロジェクトでございまして、そういう面からの経済社会に及ぼす効果の分析、評価、あるいは大変大きな構造物、橋になる計画でございますので、そういう今までにないような規模の構造物を実現するための新しい技術開発とかあるいはコスト低減を図るための新技術開発等が必要でございます。そういうことで、建設省としても鋭意調査研究を進めてきたところでございます。  具体的には、平成三年度から五年度までにつきましては、大阪湾環状道路調査の一環ということで、この経済的、技術的課題につきまして調査検討を行ってまいりました。現地の調査といたしましては、平成五年四月から沖ノ島に設置いたしました気象観測施設によりまして、風向、風速などの気象観測を行っております。また、和歌山県それから兵庫県と協力をいたしまして、ボーリング等の地質調査を行っているところでございます。  また、平成六年度からは新たに設けました新交通軸調査ということで、この紀淡連絡道路の調査を進めているところでございまして、今申し上げました海洋気象調査を継続して進めておりますし、また地質調査それから各種のルートについての検討それから技術開発等の調査等を進めておりまして、兵庫県、和歌山県と協力しながらこの調査の促進に今後とも努めてまいりたいというふうに考えております。
  197. 西博義

    ○西分科員 先ほどの答弁でも若干ございましたが、この橋、最長部分で、沖ノ島という、真ん中に二つ島があるのですが、その沖ノ島と淡路島との間の距離が三千七百メーターというふうに言われております。今まで明石海峡大橋が今の技術では世界でも最長の橋でございますが、さらにそれよりも長い橋が予想されております。  そういう意味で、技術的な問題が、いろいろ課題があると思いますが、その課題はどういうところが課題になっているのか、それの解決がどの程度今のところ技術的に可能なのかということがわかりましたらお願いをします。
  198. 藤川寛之

    藤川政府委員 紀淡海峡につきましては、海峡の幅が約十一キロぐらいあるということでございまして、一番深いところで百二十メーターの深さがある海峡でございます。それだけに、この橋をかけるとなりますと大変技術的にもいろいろな課題があるわけでございまして、平成三年度から平成四年度に海峡横断プロジェクト技術調査委員会というのを設置いたしまして、海峡を横断する長大橋等につきまして技術的な課題を取りまとめたところでございます。  その検討結果によりますと、今日本で最大の橋としては明石海峡大橋、これは中央支間長が二千メーターの橋でございますが、この実績を二、三割程度上回る範囲の大きな構造物につきましては技術的に不可能ではないという結論を得ているところでございますが、ただ建設コストが非常に高くなる、経済的に大きな課題があるというふうにされておりまして、より経済的、合理的なものとするためには、今後やはり相当な技術開発を行う必要があるというふうに考えているところでございます。
  199. 西博義

    ○西分科員 質問時間の終了通告が参りましたので、最後に、京奈和自動車道が先ほどの新国土軸の関連でひっかかってくるのではないかと私は見ているのですが、特に今工事が進められようとしている橋本道路、それから紀北東道路、この二カ所についての進捗状況を最後にお伺いして終了したいと思います。
  200. 藤川寛之

    藤川政府委員 京奈和自動車道につきましては、京都から奈良県を経まして和歌山市に至る延長百二十キロの高規格幹線道路でございます。今もお話がございましたが、このうち和歌山県内あるいは奈良県内の一部につきましては、今の太平洋新国土軸構想と大体同じようなルートに計画している路線でございます。  今お話がございました橋本道路につきましては、国道二十四号の橋本市内の交通混雑の緩和を図ろうというようなことで計画されまして、橋本市の隅田町から高野口町に至る延長十一・三キロの道路でございまして、平成三年度からは用地買収を実施しておりまして、奈良県境付近の真土、中島、下兵庫、この各地区で用地買収を進めているところでございます。平成七年度につきましても、引き続き地元の設計協議とか用地買収推進する予定でございまして、関係者の方々の御理解と御協力を得て、事業推進に努めてまいりたいというふうに考えております。  それから、紀北東道路でございますが、これは橋本道路に接続して和歌山の方に計画されている道路でございまして、高野口町から那賀郡の打田町の間、これは延長約十七キロの道路でございます。この道路につきましては、平成五年度に事業に着手したところでございまして、本年度につきましては、都市計画決定に必要な環境影響評価、その辺の実施、取りまとめをやっているところでございます。また、調査設計を実施しているところでございます。  この紀北東道路につきましては、できるだけ早く都市計画決定を行いたいということで、私どもとしては、できれば平成七年度に都市計画決定を終えまして、この区間につきましても、地元の御協力を得て事業推進を図ってまいりたいというふうに考えております。
  201. 西博義

    ○西分科員 どうもありがとうございました。
  202. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)主査代理 これにて西博義君の質疑は終了いたしました。  次回は、明二十一日午前十時より開会することとし、総理府所管国土庁並び建設省所管について審査をいたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十五分散会