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石田(美)
分科員 よろしくお願いいたします。
これは樋口恵子さんの言葉ですけれども、「大往生は男の発想、女は介護で立ち往生」という言葉がございます。また、
厚生省の
国民生活基礎
調査でも、寝たきりの人の主な介護者は八四%を女性が占めているというふうに出ております。
寝たきりの人たちの介護はそういうことですけれども、最近は、男の人たちも退職しますと、確かにスーパーなんかに行くと、買い物に来ていらっしゃる方は多いし、それから奥さんの後についてというか一緒に平生の食料の買い出しなんかについてこられていたり、そういう男の方の
生活というか家事等への
協力というか、ともに楽しむというような風景も見えますけれども、実際に、
高齢者の家事分担の
状況を
調査したものがございますね。それを見ると、国によって違いはありますけれども、欧米では男性が二割から五割くらいが自分でしているという答えが出ているのに対して、日本では非常に少なくて、一〇%にも満たないというふうな数字が出ております。
実際には、私たちの人生というのは、だれも人の手、ケアを経ないで生まれてくることもできないし、また人生の総仕上げである私たちの人生の終わり、死を迎えるに当たっては、分量とか長短はありますけれども、とにかくだれも人の手、ケアがなければ人生を総仕上げできないというのが
実情でございます。
夫婦の関係を見ましても、男の方は大体今の
生活のままで奥さんにみとられて、そのまま人生を仕上げられるという方が一般的に八割でございますね。二割の何らかの男性は妻に先立たれる。そうしますと、女の人というのは、これも一般に言われていることですけれども、一生の間に三度老後をみとると言われます。両親の老後をみとり、そして夫の老後をみとり、そして最後に自分の老後を迎える。この両親の老後というのは、一度ではなくて、結婚していれば四人親がいるわけですから、四回。そして夫、そんな
実情がなというふうに思います。
そういうことですから、私は、これは国家の最大の問題だと思うのですけれども、経済等々の問題より、それ以上に高齢化、そして少子化の問題というのは、国の先を考えると大問題で、国が衰退するもとで、本当に心配しなければいけないと思います。しかも、少子化にしても高齢化にしても、より女性の問題で、女性が主体的に取り組んでいかなければいけない問題なんですね。そうすると、私たち数少ない女性
議員は、衆議院は十四人しかおりません。だから、より女性が取り組まなければいけない課題だなというふうな意識がございまして、私も、以前の仕事もそういう女性問題を中心に仕事をしておりましたし、
議員になる前も、なっても、そういった気持ちでいつも
高齢者の方と接しております。私が接する
高齢者の方といったら限られますけれども、でも、
生活しています近所でそういう方を訪れることも多いのです。
そんな中で、住んでいる
地域で、それで全部一般化はできませんけれども、共通しておっしゃるのは、
高齢者というのは七十過ぎたあるいは八十過ぎた女性の方が多いわけですけれども、男性の方は、先ほど申し上げましたように、割合そんなに心配をおっしゃらないのですけれども、女性の方はかなり、
年金とか
医療というのはもういいとおっしゃるのですね。
年金なんかも、年をとれば
そんなにお金を使って暮らすわけじゃないから、いいと言うのです。じゃ何がと言うと、皆さん共通におっしゃるのは、安心が欲しいとおっしゃるのですね。人生の総仕上げに何がと言うと、これは
状況によって違うのですけれども、安心が欲しいということを共通におっしゃるわけです。それは、そういう年齢の方なんですけれども。
私は、また女性学の
専門家でございまして、
社会教育にも携わっておりましたけれども、公民館で、いろいろな
地域で女性の方たちといわゆる学習会、研究会をずっとやっておりました。「岡山女性学10年」といったような本も、十年間のみんなの研究をまとめたりしてもおりますけれども、そういう女性学というのは、女性の視点でというか、幾ら男女が平等になったといっても、子供を産むということは絶対に男と女と違う点でございまして、そこから出てくるいろいろな、いい悪い、違いがあるであろう。ですから、こういう母性を持った女性というような
立場で、男性が見るのとは違った見方で、学問もそうですけれども、既成のものにとらわれないでいろいろなものを見ていくことで、自分たちがよりいい人生あるいはよりいい
社会をということで、いろいろな研究をしておりましたら、やはり行き着くところは高齢化の問題なんですね。
主として集まっていたのは、三十代もいますけれども、四十代、五十代が主です。そうすると、これは次の高齢化に向かう人たち、女性なんですけれども、そういう中で、やはり高齢化の問題、周りの既に
高齢者の人の意識
調査をしましたり、いろいろな
施設を訪問したり、そして自分の家庭環境の中でいろいろな悩みを話し合ったりする中でも、やはり共通して出てきたのが、どんな形にしろ、老後の安心が欲しいということでございました。お金をためなくても安心できるような、安心ができれば逆にため込まなくてもいいという、そういうことでございました。
そして、もう一つ、こういう四十代、五十代、まあ六十代の女性が、日常、
社会により関心を持って携わるというと、やはりこういう
高齢者の方の、いろいろな形の
ボランティア的に参加する、そういう
立場で今お年寄りの人を見たとき、何が欲しいかというと、これも何人かの方がおっしゃるのですけれども、高齢の人が家の中にいて出てこない、だから日常的に、子供だったら幼稚園とか保育園がありますね、まあ託老所というか、日常的に外に出られるような、集まれる場所が
石田さん欲しいのですよ、こういうふうな声を聞く。
この二つにまとめられるかなという気がするのですけれども、女性が老後への不安、逆に言えば安心、あるいは明るいというか、気持ちよくというか楽しくとまでいくとなおいいのですけれども、安心という言葉で象徴されるような、こういう声が中心としてあるというふうなことについて、まずどういう御感想、お考えをお持ちでしょうか。
厚生大臣にお聞きできるとよろしいのですが。