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栗原(博)
分科員 私、新潟旧二区の
栗原博久でございますが、きょうは、シベリア抑留者の皆さんの関係、あるいはまた恩欠の
方々の関係について、
政府のお考えをお聞きしたいと思うわけでございます。
ことしは戦後五十年ということで、与党でも戦後五十年プロジェクトチームをつくりまして、数々の成果といいましょうか、その記念の
事業を行うということで進んでいるわけでありますが、原子爆弾被爆者援護法も自民党、社会党、さきがけさんがお互いに英知を尽くしてその成立を見ておりますし、また従軍慰安婦の問題につきましても、基金ということである程度のめども立っているわけでございます。
また、旧日赤看護婦の慰労金の問題につきましても合意をいたしておりますし、またその中で、五十年を迎えることで予算措置で、歴史研究
事業とか交流
事業とか、あるいはODAの問題とか在サハリン韓国人の支援関係とか、あるいはまた台湾の確定債務の支払い等についても前進を見ておるわけです。
そういう中で、対外的には中国の化学兵器の問題あるいは強制連行の
問題等の課題も残っておるようですが、国内においてはまず恩給欠格者の問題を、議論といいましょうか、それを考えようということであるようです。
私は、三党の合意の中で、歴史的な政権を生むに当たりまして、過去の戦争を深く反省して未来に平和の決意を表明するということは、これはやはり、このいまいましい戦争によって亡くなられました多くの方に対して心から哀悼の意を表しながら、それに報いるために、我々は国際貢献を誓いながら平和を求めていかねばならぬと実は思います。
今この歴史的な中に、私どもは、今でも未解決でありますこの問題について、もう一度戦後五十年という節目の中で、平和祈念
事業ということで解決されております恩給の欠格者の問題、約二百五十三万人おられるわけであります。あるいはまた、一方的に旧ソ連に強制抑留をされました日本人、二十年の八月九日を境にしてのその
方々、四十七万三千人おられる。現地では五万五千人の方が亡くなられているということであります。あるいはまた引揚者の方もおられます。これを、戦後五十年の中において、歴史研究支援
事業というものを進めようという考えもあるようでありますが、六十三年の五月二十四日、平和祈念
事業特別基金等に関する法律が公布されて、そして旧軍人軍属等に対して慰藉の念を示すという
事業を
規定して今日に至っています。
私も
内閣委員会でたびたびこの問題についても触れてまいったのでございますが、一昨年の十月十一日にエリツィン大統領が日本に参りまして、哀悼の意を天皇陛下のもとで表しておるわけです。しかし、それに対して、例えばシベリア抑留につきまして、全国抑留者補償協議会の
方々とか全国戦後強制抑留補償要求推進協議会の
方々は、やはり皆不満を表明されております。たとえ言葉で哀悼の意を表されても死者はよみがえってこないのだ、抑留者に対する償いをやはり具体的な中で裏づけてもらいたいということ、それが本当の問題の解決である。あるいは、幾ら謝罪してもだめなのだと補償を要求している。ただ哀悼の意を表するとか、気の毒だというような、そんを言葉でこれは解決されないということを声をあらわに申し上げているわけでございます。
そこで私は
政府に対してお聞きしたいのでございますが、この五十年を境にしまして、どのようにお考えになっているのか。これはかつての自民党と
政府との合意
事項の中で解決済みであるからということで、一刀両断でもうだめだというような考えをまだ今でも持っているのか。それとも、こうやって連立政権ができて、歴史的な、社会党と自民党が組む時代になったわけですから、このときこの問題を放置して果たしていいのだろうかということを私は思うのであります。
実は、我が国における恩給の推移を見ますと、今約一兆六千億ですか、
平成七年度一兆六千億前後の予算
計上がされております。私、先般求めた際の資料でございますが、一般会計に占める恩給費の額が年々低下しているわけです。例えば昭和五十四年は三・五%だった。それから昭和五十九年には三・四%、それから五年後の
平成元年には二・八%、昨年は、今の本年度予算では約二・二%、
平成七年度予算になりますと恐らく二%を割ると思うのであります。
それで、例えば
平成元年度と
平成六年度の間では、約六百億円の恩給費の
減額であります。あるいはまた、昭和五十九年から
平成元年、この間の
減額は約三百億円であります。予算も、昭和五十四年から昭和五十九年の間は実は三千七百億円プラスであるわけですが、その後
減額になっておる。そして、恩給の受給者は今百八十万人前後ですが、十年後には約百二十万人程度になるということです。ですから、今後、一般会計に占める恩給の額が少なくなってくるわけでございます。
この慰藉
事業、平和祈念
事業で約四百億の基金を積もって、先ほど申しましたシベリア抑留者の
方々、恩給欠格者の方に対して慰藉の念をあらわして、そして書状や懐中時計を差し上げる、あるいはまた銀杯、慰労金を差し上げる、いろいろなランクがあるようでありますが、こんな程度でまだ終わってはならない。戦後五十年を節目に特に記念
事業をやるとおっしゃっているのですから、もう一度この平和祈念
事業の
増額を考えながら、あるいはまたそれ以上に、予算の中における恩給費が低くなっていくわけですから、今このときこそ恩給欠格者の
方々、シベリア抑留の
方々を救済しなければ、もう救済するタイミングを失ってしまう。私はそういうふうに考えるわけでありまして、
政府御当局の御見解をひとつちょうだいしたいと思うのであります。