○野田(毅)
委員 しっかり頑張っていただきたい。冷静な中にも筋の通る対応が求められておるわけです。
ただ、客観的に、日米以外の、EU、いろいろな方からすると、大変迷惑だ、アメリカの事自動車に関するやり方は随分と強引でルール違反みたいなものだねと。一方で、それにしても
日本の市場は随分閉鎖的だという、どっちもどっちという印象が相当あることは現実のことだと私は思います。そういった点で、これから
日本は、自動車という分野、筋を通すというのはこれはこれでいいのだけれ
ども、それだけで、じゃ全部終わりかというと、そうではない。やはりその筋を通そうとすればするほど、
日本は別のところでしっかりと責任を果たしていかなきゃならぬというのは、これは当然のことだと思います。
それだけに、今まで以上に市場の閉鎖性をどう透明度を高くしていくか。特に世界全体に
日本は今貿易インバランスを抱えているわけですからね、対米
関係だけじゃないわけです。そういったことを考えると、まさに今
日本が世界
経済全体から見て
日本経済の最大の
課題は何かと問われたら、私は、やはり貿易収支をいかに改善するかということを我々しっかり認識しなきゃならぬということだと思います。
それは短絡的にはできないかもしれませんが、かつてオイルショックのときにアラブのいろいろ産油国が集めたオイルダラーが二年間で八百億ドル弱ですね。そして、六、七年、数次にわたるオイルショックがあって、そしてそれで、累積で集めたドルが千八百億ドル強ぐらいですか。翻って、我が
日本が過去五年間、去年一年間だけで千四百億ドルを超えているわけですね。それは累積すると六千億ドルを超えちゃっているわけです。そういうことを考えると、やはり
日本が世界
経済の不安定要因になっちゃいけない、むしろ世界
経済を拡大していくようにするには、やはりこの貿易収支をいかに改善するかという発想を持たないと、私は、基本的には日米
経済関係もうまくいかない。
そこで、午前中も
円高かドル安かという話があった。私は、いろいろな見方があると思います。そこで、自分でつくったので実にちゃちなあれですけれ
ども、これをざっと見てもらいたいと思うんですが、いわゆる実効為替レート、これは通常の為替レートじゃなくて、貿易相手国との貿易量に為替レートを加重平均した、これで見ると、赤いのが
日本ですね。これが一九八〇年。ブルーがアメリカです。グリーンがドイツです。これで見ると一番わかりやすい。
つまりアメリカ
経済から見ると、基本的には、多少のドル安ということにはなっているけれ
ども、長い動きの中で見ると余り変わってないのです。
日本だけが上がっちゃっているのです。やはりこれは
円高なんですよ、基本的に。それは、短期的に一カ月、二カ月の相場がちょろちょろ動くということだけをとって、やれ
円高だのドル安だのと言ってみても始まらないのです。こういうトレンドというものをしっかりやはり頭に置いてこの
経済問題に対処しなきゃいけない。このことだけは
総理もぜひ頭に置いて対応してもらいたいと思うんですよ、この点は。
ちなみに、八〇年を一〇〇とすれば、
日本、三月では二六二ですからね、二・六倍
円高になっているんですよ。ドイツは約四割アップです。
日本だけこんなに上がっている。ここのところをしっかり頭に置いて対応しなきゃならぬと思います。
それで、これは実に釈迦に説法で大変恐縮ですが、こんなものもちょっとつくってみたんですけれ
ども、わかりやすくするために。単純に見れば、要するに金の流れですが、
日本の国内から輸出をすると、物を輸出すればお金がこっちへ入ってきますね。逆に外国から物を入れれば、お金は国内から国外に流れるわけです。これは当然貿易収支です。そのほかに貿易外収支もあるわけです。そのほかに、今度は資本取引の世界がある。この資本取引の世界の中でお金が出たり入ったりするわけです。
かつてアメリカがドル高で悩んだときには、貿易赤字であるにもかかわらずアメリカがドル高で悩んだことがある。そのときには、
日本からどんどんお金がアメリカに流れていって、あのころは簡保資金という
言葉が、
日本語がそのままアメリカの市場で通用したことがある。だから、アメリカは貿易赤字で大変苦しみながら、ドルが高くて困ったんですよ、基本的に。
今回も、
日本のお金が、資本取引のお金がどんどん海外に行ってくれればいいのだけれ
ども、かってそれだけもう大やけどしちゃっているものですから、なかなか動かない。もうあれ以上差損は発生させたくない、元本の目減りは嫌だ。もう簡保資金だけで実際に九千億円の現在目減りがあるわけですね。九千億ですよ、簡保資金でね。
ある説によると、機関投資家、保険、信託その他の
日本の国内の機関投資家、これが過去のそういうアメリカのドルを買ったお金が
日本円に換算すれば半値以下に目減りしたわけですから、そのために大変な運用赤字を出す。だから今、生保会社では配当率を落とさざるを得ないところに追い込まれているわけですね。
だから問題は、そういう中でここが今動いていない。だから完全に、この貿易取引の世界の貿易黒字が現実に市場の趨勢としてどうしてもきいてきて、これが
円高に反映されるというのが今の構図になっておるということなんですよ、基本的に。
だから、じゃどうしたらいいのかというと、それは輸出を減らしてドルの流入を減らすのも一つのやり方です、輸出の自主規制の話だから。しかし、それは好ましいことではないと思う。そうであるならば、
日本が輸入をふやす以外にないのですよ。では、どうやったらこの輸入をふやせるのかというのが今度の、本当はこの補正予算であり、この前の
円高対策の一番のかなめでなきゃならぬわけです、基本的に。
そういう点からすると、残念ながら、四月十四日に
円高対策を政府としてはお出しになった、だけれ
ども、その後の現実の為替市場も株式市場も全然反応していない、現実には。そうでしょう。だから、やはり効果がなかったということなんですよ。
これは、アメリカのルービン財務
長官が、要らぬお世話かもしれないが、
日本政府の今回の対応措置、対策を市場は肯定的に評価しなかった、こういうことを言っちゃっている。別にそんなことをルービンさんに言われなくたって、現に市場はそうなっちゃった。
最近は、皮肉なことですけれ
ども、アメリカが
日本に強硬姿勢で来たぞ、そうすると
日本は、やはり何らかの貿易インバランス改善の具体的な措置をさらに上乗せをするのではないかというそういう思惑が、多少円が安く、今、一時の八十円台のぎりぎりの姿からやや八十五円ぐらいに戻っているというのが、皮肉ながら現実の姿になっているわけですね。そういう点でいくと、私は、この前出された政府の規制緩和措置あるいは
円高対策、残念ながら効果がなかったということを私が断定するよりも、市場が現にそういう姿になっているという、このことがあらわしているということだと思います。
だから、与党の訪米団がつい運休ですか、アメリカに行かれて、そしてアメリカの議会
関係者に、ことしの秋には十兆円規模の第二次補正を出すのですということを言ったと
報道されています。ということは、まさに今回の第一次補正というものは何らの効果ももたらさない、大いに不足をしておる。
しかも、考えてみたら、あの十兆円という規模は、一次のものと合わせるとおおむね十三兆ぐらいですからね。それじゃ我が新進党の案と同じようなものじゃないか。それだったら、もう最初から一緒に組み替えをしてやった方がいいんじゃないかということだって当然言えるわけですよ。
この点について、基本的に、これはどなたにお聞きしたらいいですかね、秋の補正、これ今からやるのかやらぬのかと聞く方が、大体そのときの
状況を見てという答えがもうわかりますから、それ以上は聞きませんが、じゃ少なくとも与党訪米団はフライングだったのかと、その点についてどう思いますか。