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1995-02-16 第132回国会 衆議院 予算委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年二月十六日(木曜日)委員長の指名で、 次のとおり分科員及び主査を選任した。  第一分科会皇室費国会裁判所会計検査  院、内閣及び総理府所管経済企画庁環境庁  、国土庁を除く)並びに他の分科会所管以外  の事項〕    主 査 菊池福治郎君        関谷 勝嗣君   川島  實君        草川 昭三君   池端 清一君        前原 誠司君   松本 善明君  第二分科会法務省外務省及び大蔵省所管)    主 査 衛藤征士郎君        越智 通雄君   伊藤 英成君        左藤  恵君   笹木 竜三君      五十嵐ふみひこ君  第三分科会文部省及び自治省所管)    主 査 三野 優美君        中山 太郎君   原田  憲君        安倍 基雄君   月原 茂皓君        今村  修君  第四分科会厚生省及び労働省所管)    主 査 伊藤 公介君        越智 伊平君   後藤田正晴君        工藤堅太郎君   冬柴 鐵三君        佐藤 観樹君 第五分科会総理府環境庁)及び農林水産省所 管〕    主 査 桜井  新君        志賀  節君   加藤 六月君        山田  宏君   坂上 富男君        矢島 恒夫君 第六分科会総理府経済企画庁)及び通商産業所管〕    主 査 浦野 烋興君        高鳥  修君   村田敬次郎君        伊藤 達也君   松田 岩夫君        佐々木秀典君  第七分科会運輸省及び郵政省所管)    主 査 深谷 隆司君       江藤 隆美君    若林 正俊君       石井 啓一君    山口那津男君       細川 律夫君  第八分科会総理府国土庁)及び建設省所管  〕    主 査 野呂田芳成君       近藤 鉄雄君    村山 達雄君       山崎  拓君    石田 勝之君       野田  毅君    海江田万里君      ――――◇――――― 平成七年二月十六日(木曜日)     午前十時二分開議 出席委員   委員長 佐藤 観樹君    理事 衛藤征士郎君 理事 桜井  新君    理事 野呂田芳成君 理事 深谷 隆司君    理事 伊藤 英成君 理事 加藤 六月君    理事 草川 昭三君 理事 三野 優美君  理事 五十嵐ふみひこ君       伊藤 公介君    浦野 烋興君       江藤 隆美君    小此木八郎君       越智 伊平君    越智 通雄君       菊池福治郎君    後藤田正晴君       近藤 鉄雄君    志賀  節君       七条  明君    関谷 勝嗣君       高鳥  修君    長勢 甚遠君       原田  憲君    水野  清君       村山 達雄君    若林 正俊君       安倍 基雄君    伊藤 達也君       石田 勝之君    川島  實君       斉藤 鉄夫君    笹木 竜三君       月原 茂皓君    冬柴 鐵三君       松田 岩夫君    山口那津男君       山崎広太郎君    山田  宏君       若松 謙維君    池端 清一君       今村  修君    佐々木秀典君       坂上 富男君    細川 律夫君       前原 誠司君    正森 成二君       松本 善明君    海江田万里君  出席国務大臣         法 務 大 臣 前田 勲男君         外 務 大 臣 河野 洋平君         大 蔵 大 臣 武村 正義君         文 部 大 臣 与謝野 馨君         農林水産大臣 大河原太一郎君         通商産業大臣  橋本龍太郎君         運 輸 大 臣 亀井 静香君         建 設 大 臣 野坂 浩賢君         自 治 大 臣 野中 広務君         国 務 大 臣         (内閣官房長官五十嵐広三君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 山口 鶴男君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      高村 正彦君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 小澤  潔君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     小粥 正巳君         公正取引委員会         事務局経済部長 塩田 薫範君         公正取引委員会         事務局審査部長 矢部丈太郎君         総務庁行政管理 陶山  晧君         北海道開発庁総         務管理官    加藤  昭君         経済企画庁調整         局長      吉川  淳君         国土庁土地局長 山田 榮司君         法務大臣官房司         法法制調査部長 永井 紀昭君         法務省民事局長 濱崎 恭生君         法務省刑事局長 則定  衛君         法務省人権擁護         局長      筧  康生君         外務省アジア局         長       川島  裕君         外務省経済協力         局長      平林  博君         外務省条約局長 折田 正樹君         大蔵大臣官房長 小村  武君         大蔵省主計局長 篠沢 恭助君         大蔵省理財局た         ばこ塩事業審議         官       鈴木 康司君         大蔵省証券局長 日高 壮平君         大蔵省銀行局長 西村 吉正君         大蔵省銀行局保         険部長     山口 公生君         大蔵省国際金融         局長      加藤 隆俊君         文部省初等中等         教育局長    井上 孝美君         文部省高等教育         局長      吉田  茂君         厚生大臣官房長 山口 剛彦君         厚生大臣官房総         務審議官    太田 義武君         厚生省生活衛生         局長      小林 秀資君         厚生省年金局長 近藤純五郎君         農林水産大臣官         房長      高橋 政行君         農林水産省構造         改善局長    野中 和雄君         通商産業省基礎         産業局長    清川 佑二君         通商産業省生活         産業局長    江崎  格君         中小企業庁長官 中田 哲雄君         中小企業庁計画         部長      安本 皓信君         運輸省運輸政策         局次長     相原  力君         運輸省鉄道局長 戸矢 博道君         運輸省港湾局長 栢原 英郎君         郵政大臣官房長 木村  強君         郵政省電気通信         局長     五十嵐三津雄君         建設大臣官房長 伴   襄君         建設省都市局長 近藤 茂夫君         建設省河川局長 豊田 高司君         建設省住宅局長 梅野捷一郎君         自治省行政局長 吉田 弘正君         自治省財政局長 遠藤 安彦君  委員外出席者         会計検査院長  矢崎 新二君         会計検査院事務         総局次長    白川  健君         会計検査院事務         総局第三局長  天野  進君         最高裁判所事務         総局民事局長  石垣 君雄君         参  考  人         (日本銀行理事)田村 達也君         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君 ――――――――――――――――――――― 委員の異動 二月十六日  辞任        補欠選任   越智 通雄君     小此木八郎君   中山 太郎君     長勢 甚遠君   村田敬次郎君     水野  清君   山崎  拓君     七条  明君   伊藤 達也君     中田  宏君   石井 啓一君     斉藤 鉄夫君   工藤堅太郎君     若松 謙維君   矢島 恒夫君     正森 成二君 同日  辞任        補欠選任   小此木八郎君     越智 通雄君   七条  明君     山崎  拓君   長勢 甚遠君     中山 太郎君   水野  清君     村田敬次郎君   斉藤 鉄夫君     石井 啓一君   中田  宏君     山崎広太郎君   若松 謙維君     工藤堅太郎君   正森 成二君     矢島 恒夫君 同日  辞任        補欠選任   山崎広太郎君     伊藤 達也君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  記録提出要求に関する件  平成七年度一般会計予算  平成七年度特別会計予算  平成七年度政府関係機関予算      ――――◇―――――
  2. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  平成七年度一般会計予算平成七年度特別会計予算平成七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般質疑を行います。  この際、お諮りいたします。  最高裁判所石垣民事局長から出席説明要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 佐藤観樹

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
  4. 佐藤観樹

    佐藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。冬柴鐵三君。
  5. 冬柴鐵三

    冬柴委員 新進党の冬柴鐵三でございます。  まず地方分権に関することを、官房長官もちょっと最初いていただきまして、総務庁長官が後半しか出られないというお話でございますので、残りはまだ最後に回させていただくという、ちょっと変則的になりますが、地方分権推進に関する村山内閣の取り組みについてまずお尋ねをしてまいりたいと思います。  東京圏への諸機能の過度の一極集中は、人口の過密過疎あるいは経済文化地域格差の拡大、行政の非効率化など数々の弊害が生じてまいりました。国民一人当たりGNP世界一の経済繁栄を遂げまして成熟化を迎えつつある我が国におきまして、各地域がそれぞれの歴史、文化自然条件や伝統などの個性を生かした、多様で活力あふれる地域づくりを進めることができるような行政システム抜本的改革が求められて久しいのであります。  各政党、経済団体労働界地方団体、また民間政治臨調等、各界の意見書、また衆参における地方分権推進に関する決議等、あるいは政府に対する各種答申、ひとしく地方分権推進を進めるべきであるということの意見を述べられているわけでありまして、今や国民のコンセンサスは醸成されたものと認められるわけでございます。  国の抜本的な行政改革というものを進めることは大変困難な作業でありますけれども、これを円滑に進める上におきましても、国の行うべき事務を外交、防衛、通貨、司法など、その国の存立に直接かかわるものに限定することを出発点推進することの方が合理的ではないかというふうに思われます。  また、百三十一回国会で成立をいたしました衆議院の選挙制度に小選挙区制を導入をいたしましたが、これは国会議員地方議員の役割をそれぞれにふさわしいものとすることを求めているのではないかと考えます。  そのようなことから、地方分権推進は、今や論議は尽くされたのでありまして、あと政治の強力なリーダーシップのもと実行あるのみという段階に至っている、このように私は思うわけでございます。  そこで、五十嵐官房長官から、村山内閣における地方分権にかける決意というものを冒頭伺っておきたいと思います。
  6. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 ただいま委員お話しのとおり、大変に社会全体が多様化してきておりまして、むしろ、それぞれ地域地域の創意あふれる個性というようなものを中心に行政が展開されていくということが大変望ましい時代に入ってきたというふうに思われるところであります。  ちょうど戦後五十年たちまして、新しい憲法のもとに、四カ条にわたって地方自治に関する憲法上の意義というものを明確にされているわけであります。ただ、憲法やあるいは法律自治ということが書かれていることだけで地方自治というものができるというものではなくて、やはり人々の気持ちの中に、意識の中に明確にこの自治分権というものが定着をしてくるということが一番大事な基本であろうと思うのでありますが、ようやく今日そういう時代に入ったというふうにも思われますので、この機会にこそ自治分権をしっかり進めていくということが大事なことだと思います。  一昨年の春、衆参両院において、これはもう本当に画期的なことでありますが、しかも全会一致地方分権に関する決議が行われまして、それを踏まえて、昨年の暮れ、分権大綱ができて、あるいは地方団体地方制度調査会におきましても分権に対する積極的な御意見も寄せられまして、いよいよ地方分権に関する法律案をお示し申し上げて、国会でも御議論いただいて、大きく二十一世紀を見通して新しい分権時代我が国も踏み込んでいく、そういうことを村山政権としてしっかり認識して努力してまいりたい、このように思う次第であります。
  7. 冬柴鐵三

    冬柴委員 今言及されましたように、政府平成六年十二月二十五日、地方分権推進に関する大綱方針というものを閣議決定されました。今国会に、すなわち百三十二回国会分権推進に関する基本的な法律法案を提案するということもその中に書かれておりますが、この大綱方針法案との関係、位置づけと申しますか、それはどういうものなんでございましょうか。
  8. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 大綱の趣旨、方向に基づきまして、法案におきましても、この際我が国における分権推進していくという意味での明確な方向をそこで決めていくという意味合いのものであろうと思います。
  9. 冬柴鐵三

    冬柴委員 私もそのように考えるわけでございますけれども、大綱方針という大きなそういう方向に向かって法案が起草される、そういう関係があるとするならば、私は若干、まだ提案されていない法律法案ではありますけれども、危惧を持つわけでございます  それは、官房長官も言及されましたように、平成六年十一月二十二日付で地方制度調査会から村山内閣総理大臣に対して答申がなされましたが、それを子細に読み比べますと、ちょっと後退しているのではないか、地方団体も言及されましたが、その意見書とも大綱方針は後退している印象をぬぐえないわけでございます。平成七年の二月十二日、つい先ごろでございますけれども、いわゆる民間政治臨調緊急提言をされております。この中でも「大網方針は、そのとりまとめの最終局面において、われわれの提言はもとより、地方団体、第二十四次地方制度調査会答申、さらには政府行政改革推進本部に設置された地方分権部会専門員意見からも大きく後退した。」「地方分権推進を求めてきた国民の期待を大きく裏切るものであったと判断せざるをえない。」というふうに、明確にマイナスの消極的評価をしているわけでございます。  そこで、余り細かいことは、これは後ほど総務庁長官もお見えになりましょうし、また自治大臣にお伺いしていくべきことだろうと思うんですが、官房長官旭川市長を三期お務めという、大変地方自治の現場で頑張ってこられた方でございますので、二点だけ、政府というよりも官房長官の経験を踏まえたお話を伺っておきたいわけでございます。  まず一つ機関委任事務のことでございます。  これは、国会図書館の「イシューブリーフ」の中で書かれていることでございますけれども、「現在、自治体の処理している事務の約六割は機関委任事務であるといわれるが、都道府県の場合には、その事務の実に七~八割が機関委任事務で占められているという。」というくだりがあります。したがって、「機関委任事務廃止は、都道府県から国の出先機関的な性格を払拭し、完全な自治体とすることに役立つ。」んだということが「イシューブリーフ」では書かれております。  地方制度調査会答申の中にも、「機関委任事務については、この概念廃止し、現在、地方公共団体機関が処理している事務は、地方公共団体事務とすべきである。」後に例外的なことが書かれておりますが、このように明快に機関委任事務はもう廃止すべきであるということが述べられておりますし、社会党の地方分権推進プログラムですか、ここも機関委任事務に論及しているところはありますが、機関委任事務原則的廃止による整理合理化というものを提言していらっしゃる。もちろん地方団体民間臨調廃止ということを明確に言い切っているわけでございます。  この点について、地方自治に長くあられた官房長官の、機関委任事務というのは一体どうあるべきなのか、その点についてのお言葉をいただきたいというふうに思います。
  10. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 お話しのように、地方分権を進める上で、機関委任事務取り扱いというのは大変重要な一つテーマであろうというふうに思います。  私も正確な数字は今ちょっと覚えておりませんが、従前我々頭にありましたのでは、都道府県の場合ですと、お話しのように、まあ六割ないし七割ぐらいはこの機関委任事務でありますし、あるいは市町村の場合でも四割ぐらいでしょうか、が機関委任事務と言われるものなわけであります。  これは、以前は、その機関委任事務に関して地方が国の方針と別な事務の扱いをいたしますと、これはもちろんいろいろな経過を繰り返しした上での話でありますが、罷免されることがあるというようなことさえもありまして、これはその後、数年前にさすがになくなった内容でありますけれども、常に地方分権を語るときには議論になってきたところでありまして、これをどういうぐあいに直していくかということも、今我々が分権を、その案を御提案申し上げ、御論議をいただく上でも大変大事な問題として今日まで詰めてきたところであります。  やはり機関委任事務の膨大な今日の現状というものを整理をして、やはり国が行うべきもの、これはもう機関委任事務整理して、国が直接行うべきものは行うと整理をしよう、あるいは機関委任事務のうちで相当部分もう地方固有事務として渡していいものがあるのではないかというものもあるわけでありますから、そういうものは地方の方にきちっと渡してしまう。  それから、しかしそれでも国と地方がやっぱり一緒に仕事をしていった方がはるかにこれはいいじゃないかというものも確かにあるわけでありますから、そういうものは機関委任事務という格好ではなくて、中央政府地方政府、こういう言い方もどうかと思いますが、このごろよく言われる言葉でありますが、中央政府地方政府が横並びになって、そこで仕事を委託する約束をしながら進めていくという方法に整理をしていくべきでないか、こういうようなことなど、いろいろ議論をされているところであります。  我々もそんなことを議論しながら、ここがまず、今ある機関委任事務というものを相当程度この際整理合理化していくべきであろうというふうな方針で、今回の大綱におきましても、そういう整理合理化でしたか、整理するという方向でお示しを申し上げているところでありまして、ここ当分はそういう方向で努力していくことが適当ではないか、こういうぐあいに思っている次第であります。
  11. 冬柴鐵三

    冬柴委員 今例外的なことに言及されました。  それで、地方制度調査会答申でその部分はどう考えているのかということを見てみますと、機関委任事務については、この概念廃止するということをまず原則として打ち出しているわけでございまして、「なお、例外的に国の選挙管理執行、旅券の発給等本来的に国の事務と考えられるものであっても、国民利便性事務処理効率性の観点から、地方公共団体執行させることが適当な場合がある。この場合の執行確保等については、地方公共団体自主性自立性を確保する視点を踏まえ新たな仕組みを制度化する。」必要がある、このようにこの部分、述べているわけでございまして、この述べ方と官房長官の考え方とは相違があるのでしょうか。どの点に、温度差があればどう違うのでしょうか。
  12. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 やや似たようなことだと思いますが、問題はしかし、何といいますか全体の成熟の度合いに応じて事柄は進めていかなくてはならぬものでありますから、今日我々がこの問題についてどういう整理をしていくかということになりますと、私は、整理合理化をしていく、なるべくそれは少なくしていくといいますか、そして住民に深くかかわる「これはもう地方にお任せしていくべきものであろう、固有事務に分けていった方がいいだろうと思うものはなるたけそっちの方に分けていくというようなことを当座は促進していく。まあ状況成熟していくにつれて、抜本的なこの問題の取り扱いについて我々としてはまた一歩進めていくということが適当でないか。したがいまして、先ほどのお話のこととはそう異ならないものではないかと思います。
  13. 冬柴鐵三

    冬柴委員 大変しつこいのですが、もう一点だけその点で、「機関委任については、この概念廃止」する、概念ですね、また違う概念を組み立てるということを言っているわけですね。それで、残念ながら大綱方針では、概念は残しながら、この「制度について検討する。」というところが大分私としては違うのじゃないかなという感じを受けるわけです。しつこいですが、もう一言だけいただきまして、次に進みたいと思います。
  14. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 それは、今申し上げましたように、全体の分権状況成熟の進展に合わせてやはり機関委任事務概念そのものも変わってくるということは将来あることも考えられる、御提言はそういうことについての御提言をいただいているのだろうと思います。
  15. 冬柴鐵三

    冬柴委員 地方分権に対する官房長官に対するお問いはもうあと一問で終わりたいのですが、もう一つ、国の出先機関整理縮小についても貴重な答申がされております。  この中につきまして、「国の地方出先機関については、二重行政弊害地域総合行政の遂行くの阻害等が指摘されており、国と地方公共団体との事務配分の見直しに合わせて大幅に整理、縮小し、廃止又は地方公共団体の組織への統合を検討する。」「なお、地方事務官制度については廃止する。」ということが書かれているのです。  これは地方制度調査会答申のみならず、地方団体民間臨調も、この地方官制度というものは廃止して、国家公務員があるいは地方公務員に配分し直すんだというようなことを明確に書いているわけなんですが、この点については官房長官、どう考えられますでしょうか。
  16. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 今お話しいただきました幾つかの点も、まさにこれから分権の具体的な議論の大きなテーマであろうと思います。  御案内のように、大綱でもお示し申し上げておりますが、法律の中でも明確にいたしてまいりたいと思っていますのは、分権推進委員会を設けまして、ここで総理の諮問にこたえて、地方分権推進する上の具体的な御議論をいただくということになろうと思います。そういう中で個々の具体的な論議も随分進むであろうというふうに思いますので、そういう点等も我々としては尊重しながら、方向としてはお話しのような方向で、これもやはり一つ成熟の度合いをはかりながら進めていくべきことであろうというふうに思いますので、努力をしてまいりたいと思います。
  17. 冬柴鐵三

    冬柴委員 地方官制度廃止するという方向でというふうにお示しいただきましたけれども、大綱方針の中には一行も触れられてないのですね、この点は。全く書かれてないのです。そういう点で私も不安を覚えますし、民間臨調も、後退したということを、評価を公にしたんだろうと思います。  冒頭申し上げましたように、もう議論は尽きておりまして、今から推進委員会でいいか悪いかという検討をするという時期じゃなしに、政治の強力なリーダーシップのもとに、今までの議論の積み重ね、国民の意の流れというものに沿って、強力にやはり政治がリーダーシップをとっていかないと、この種の問題は相当いろいろな諸種の障害があって、この先おぼつかない感じがするわけでございます。  村山総理ともども、五十嵐官房長官また大蔵大臣も随分地方行政の長い体験、経験というものを踏まえて、こういうものがどういう意味があるのかは、もう十分我々のような者とは違う実感をお持ちだと思いますので、どうか最後の段階で、腰が砕けたような、民間政治臨調の評価をはねのけて、やはり進めるべきものは進めていっていただきたいということを切に要望いたします。それじゃ、言いただきたいと思います。
  18. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 先ほど委員お話しのようにかつて私も市長を務めておりまして、当時は本当にこういう地方分権法のようなものをつくるということは夢のまた夢でございました。長い間、僕なんかの場合、これまで政治的な生活としては三十数年でありますが、本当にその三十数年のすべてをかけるようにして分権推進についてやってきたと思うんですね。  おととし、先ほど申しましたように、衆参両院で議決されて大綱ができて、今度はいよいよその分権法ができる、推進委員会もできる、もうこれは我が国の歴史の上では全く画期的なことと言っていいのであります。地方団体もそのことを願って、これまで毎年毎年その要請を続けてきておりまして、恐らく思いは同じであろう、よくここまで来たなという感じだと思います。  で、この前、推進委員会の扱いに関してちょっといろいろあったのでありますが、これにつきましても実は総理から直接閣議で、推進委員会というのはこの際しっかりやってほしい、あるいは、ここのところで監視やあるいは具体的な提言をどんどんやれるように内容をしっかりしてほしいというようなことの御発言があって、少しそれまでの作業が変わっていくなど、この内閣としてみても、そういう歴史の流れにしっかり沿って、エンジンを十二分にフル活動させて進めていきたい、こういうぐあいに決意しておりまして、ぜひそういう面では御協力を賜りますように、この機会にお願い申し上げたいと思います。
  19. 冬柴鐵三

    冬柴委員 確かに大綱方針の中に推進委員会の位置づけというものが、その性格とかが、答申に比べまして、読み比べて非常にあやふやな形になっていたのですが、新聞で今御発言がありましたようなことを読みまして、これは法案の中で最後までそういうものが貫かれることを願う次第でございます。  官房長官、お忙しいようですから、どうぞもう退席していただいて結構でございます。  それでは次に移らせていただきます。  阪神大震災の復興に関する前向きの提言等、また政府にいろいろな配慮をしていただきたい問題等について何点がお尋ねをしてまいりたいと思います。  昭和四十六年には、建設大臣、建築基準法等が改正されまして、一つの建物のその地域における容積率というものが決められたようでございますが、その以前に竣工したマンションというものがいまだ健在で、町の諸所には存在するわけでございます。今回、大震災を受けました芦屋市におきましても、実にそのような四十六年の以前に完成したマンションが五十棟ございまして、そのうち三十棟が壊滅的な打撃を受けて、いわゆる赤紙、危険建物という取り壊しをしなければならない運命になっております。  一例を挙げましてその実情と問題点を申し上げたいわけでございますけれども、芦屋市のJR芦屋駅から徒歩で五分ぐらいのところに、翠ケ丘町というところがございます。これはこの昭和四十六年の四月から容積率が二〇〇%、敷地面積の倍までということになりました。ところが、そこの十一番地に建っているマンション、これは立派なマンションなんですが、これは敷地面積が三千二百平方メートル、九百七十坪に対しまして、四十六年二月に完成しているんですが、地上八階建て、建築面積は千七百七十三平方メートル、床面積が一万三千五百六平方メートルということで四千八十六坪ということになっております。  私は、建築基準の細かい法令等、ちょっとわからないものですから、バルコニーの面積がこれの中に入っているのかどうかわかりません。しかし、専有面積を足しましても、百分の二百九十九、約三〇〇%ぐらいの容積をこの建物は持っておりまして、現在百十二戸の区分所有がその中にあります。百十二世帯の人がその中に住んでいらっしゃったわけでございますが、なかなか立派なマンションなんですが、この激震によりまして大変大きく破壊をされまして、この間も見てきたんですけれども、三階部分から今にも崩れ落ちそうな状況になっております。赤紙が張られております。  ところが、昭和四十六年ですから、もう二十年を超えてきているものですから、ほとんどの方がローンも済んでおりまして、その積立金も約八千万円ぐらいあります。もちろん上の百十二戸の方は、土地に対する共有持ち分権を持っているわけですから、土地はただですね。それから、建物も取り壊し費用は政府の費用でほとんどやっていただけるということになりますと、その上に一日も早く我々のマンションをもう一度建て直したいということを思っていらっしゃるわけですが、今度建てかえるときは、敷地面積の二〇〇%、現在の建物のほぼ半分ぐらいのボリュームしか建てられないということになりそうでございます。  そうなりますと、この百十二戸の人が、まさかこの専有部分を半分にするというわけにいきませんので、はみ出してしまうわけですね。そうすると、これは大変な区分所有者問の法律問題になってしまって、この建物自身の建てかえとかいうものが非常に複雑な法律紛争を生むのではないか。せっかく醸成されたコミュニティーといいますか、良好な隣人関係というのも、こういう天災を機に非常にとげとげしいものになってしまいはしないかということを非常に恐れるわけでございます。  これは一例を挙げたわけですが、そういうものが、同じのがわずか小さな芦屋市だけで三十ありますし、これが神戸、西宮ということになれば、これはもう百やそこらではないというふうに私は思います。  そういう意味で建設大臣、容積率について、こういう建てかえについて何か特例ができるかどうか、そういう点について前向きに考えていただけるかどうか、非常に重要な喫緊の、地主やあるいは所有者にとっては大変な問題なんです。国の方向を示していただければ安心すると思うんですが、いかがでしょうか。
  20. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 冬柴委員にお答えをいたしますが、今御指摘をいただきましたように、昭和四十六年に建築基準法の改正をして、容積率は二〇〇%ということになっております。それ以前には容積率というのはなかったんですね。だから建てても不法建築ではなかったわけです。しかし、四十六年度以降については二〇〇%、こういうことになったわけです。したがって、今おっしゃるように、現実にローンは済んでおるし、所有権はあるし、出るにも出れぬと、どういうふうにするかということであります。  ただ、今まで一貫して我々答弁してまいりましたのは、神戸市や芦屋市や西宮市をいわゆる防災都市にしていかなきゃならぬ、強い町づくりをして快適性なり利便性なり考えなければならぬけれども、安全性が第一だ、したがって、それに従っての町づくりをしたい、こういうことを強調してまいりました。  そこで、そういう問題があちこちで起きるかどうかということでございますが、指摘されたようなことについては我々のところでも十分検討を今始めております。それは土地利用の将来像ですね、あるいは道路の、公共施設の整備水準ですね、これら防災都市にかけがえのない問題については、都市決定権者であるのは知事ですね。地方公共団体の長だ。この長がその決定権を持つわけですから、それについてどういうふうにやっていくか。  被災地の復興をしなきゃならぬ、防災性の高い町づくりを総合的に進めていく、こういう原則の中で、今矛盾と言われるようなそういう点についての対処をしていかなければ、被災民に大きな犠牲を払わせるというわけにはいかない、一体どうやるかということが一番問題だろうと思っております。そういう点をよく考えながらこれに対処、対応していかなきゃならぬということは、基本認識として持っております。  そして、その容積率の割り増しの問題ですから、今お話があったのは。二〇〇%のものが三〇〇%なんだ、現実でも。だからこの中に入っておる十二世帯というものは一体どうするんだ、九世帯しか入れぬじゃないか。(冬柴委員「百十二なんです」と呼ぶ)百十二。そういう状態であれば、出ていかなきゃならぬ人が出る。はみ出すということはなかなかできない。  したがって、現行法というものをよく精査をしてほしいということを私も事務当局に命じて、高度利用地区ですね、あるいは住宅地高度利用地区計画制度の都市計画法、それから、敷地内に割に広く持っておる方がいらっしゃいますね、そういう場合についてはいわゆる公開空地といいますか、こういう場合は容積率を緩和する総合計画制度というものがあるわけであります。  それに準じて、できればお示しのような方法をとっていきたいというふうに考えておりますが、被災マンションの建てかえを円滑に行うように兵庫県やあるいは神戸市に対して、こういう法律についてその権者である知事や市長は対応ができないものかどうか一つ一つ検討して、十分に被災者の皆さん方の期待に沿うように努力してほしい、こういうことは既に申し上げておるわけでありますし、きょうもお会いすることになっておりますので、十分話し合いをしてまいりたい、こういうふうに思っております。
  21. 冬柴鐵三

    冬柴委員 何か若干明るさが見えるような答弁をいただきましたので、十分勉強をして、知事あるいは市長とともに……。  これは大変な問題だと思うのです。容積率というのは、良好な住環境を維持するという、建物の危険という問題よりもそういうような面に着目した住居地域における二〇〇%というようなものが一律かぶっているように思われる部分があるわけでございます。現在の建築技術からすれば、四〇〇%を建てても、その地域に実は現在までそういうものが存在していたわけでございますから、その良好な環境を壊さず、十分危険も防止しながら建てる技術は日本にはあると思うわけでございまして、ぜひそういう点について、もう一切二〇〇以上はだめなんだということじゃなしに、考えられるようなそういうような点をぜひ御指導をいただきたい、このように思いますので、よろしくお願いいたします。(発言する者あり)
  22. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 事務手続その他については詳しくお話をしてもいいんですが、そういう現行の法律でも、今あちらの方でお話があったように、防災都市にしなければならぬから原則原則と。だから原則は踏まえて、防災都市、環境整備、利便性、快適性というものを考えながら、空き地その他や区画整理事業をやって、十分その点については対応できるという法律もあるわけですから、割り増しの点については。それらに準拠できるかどうか、そういうことを深く検討して知事や市長とも御相談をしてまいりたい、こういうふうに思います。
  23. 冬柴鐵三

    冬柴委員 それでは、次の問題に移らせていただきます。  淡路の、特に西淡町という西南端にある、世帯数が三千七百五十二世帯、一万三千六百七十一人という小さな町でございますけれども、古くからかわら製造というものを主産業としてきた、地場産業としてきた町でございます。  淡路にはこの西淡町を中心として二百五十九業者のいぶしがわら製造業者と十三業者の陶製のかわらの製造業者、合計二百七十二業者、こういうものが存在をしておりまして、平成元年、これは三億一千五百万枚というものを一年間にかわらを焼き上げて生産しているわけでございまして、その売り上げが三百三十億円ということになっております。  それ以外に、かわらの関連業者として、当然、かわらの粘土業者十五社、それから半製品業者五社、販売業者五十二社、運送業者十二社、専業の運送ですね、そういう業者。すなわち、もう町がこぞってかわらに依存しているような町でございまして、これが、かわらが積み上げてあるものですから、窯の中で激震とともに全部見事に割れてしまったわけですね。製造施設も含めて、コンテナというのもあるのですが、含めて壊滅的な打撃を受けたわけでございます。この損害とかその意味とかをどのように把握していらっしゃるのか。これは通産大臣でしょうか、御答弁いただきたいと思います。
  24. 江崎格

    ○江崎政府委員 お尋ねの点でございますが、御指摘のように淡路島には二百を超える粘土がわらの製造事業所がございます。今回の大震災によりましてこのほとんどが非常に大きな被害を受けたということでございまして、私どもがこれまでに把握しておりますところによりますと、生産設備あるいは製品在庫等の被害が十八億円ぐらいに上るというふうに見ております。  また、御指摘のコンテナでございますが、一万五千基ほどがあったわけでございますけれども、この三分の一強に当たる三五%ほどが被害を受けたという状況でございます。その結果、現在、平常時の生産の八割ぐらいまでに生産が落ち込んでいるという状況でございまして、私どもとしましては、一日も早い事業の再建を目指して御支援をしていこうというふうに考えております。
  25. 冬柴鐵三

    冬柴委員 これは、かわらが今回確かに、震災地を見ますと、私どもの家の周りでもこけた家というのはどうも、古い家なんですが、かわらぶきの家がずっと壊れているんですね。そういうことで、もうこれはNHKと言っていいでしょう、震災にかわらは弱いというような趣旨の放送をされまして、それをまた孫引きをした報道等が相当行われまして、これにはこの西淡町、非常に参っているわけですね。それで、それに対しては十分な抗弁があるわけですね、言い分が。そういうものについては、通産省はどう考えておられますか。やはりかわらはだめだと思われますか、どうでしょう。
  26. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 今局長からも御答弁申し上げましたけれども、特にこの被害復旧について、私どもは耐火れんがの安定供給というものを中小企業対策としての対応以外に考えておかなければならぬと考えておりまして、この点にも十分供給体制が維持できるようにということを考えております。  確かに、そういう報道は私も拝見しました。ただ、実は今週の日曜日、私は姫路の方から入ってまいりまして、大阪側から入りましたのとは全く異質の被害の状況を拝見をいたしました。確かに、ビニールシートをかぶせた、屋根の被害を受けておられるお宅もたくさんありました。そして、確かに報道では、かわらぶき木造家屋の倒壊というものが大変目立ちましたことに、確かにそういう議論は起こり得ると思います。  しかし、現実に私見ておりまして、全くかわらに何ら損傷のないお宅も多数ありました。そして確かに、明石の方から入りましても、かわらが落ちておるお字もあります。しかし、全く異常がなく、隣の最近できました立派なマンションが壁に亀裂が入ったりしているようなケースもありまして、私はどうしても、一概にそう言えるのかなという感じは持ちました。  同時に、その防火性でありますとか通気性でありますとかあるいは断熱性、音を遮る能力、あるいは耐久性、こうした点について、かわらというのは非常にすぐれた特性を有しているということはよく知られた状況であります。また、かわらの軽量化及び耐震の屋根がわら工法というものについても普及が進んでいると聞いております。ですから、今回におきましても、最近十年以内に建設されました木造住宅については大きな被害は少ないという報告も受けておりました。そして、自分自身で見ました光景からも、果たして木造がわらぶきというのはそんなに批判されなければならないのかなというのは、これは私自身の感じとしても首をひねっております。  いずれにいたしましても、今後建造物、建築物の損壊の状況を把握していきますプロセスにおいて原因の究明を行っていき、かわら屋根というものについても的確な情報提供に努めていきたい、これが今率直な気持ちであります。
  27. 冬柴鐵三

    冬柴委員 どうもありがとうございました。  淡路にはかわら以外にまた特殊な、一宮町には線香ですね、これが実に全国の七割、小さな町で。これは非常に昔からの歴史がありまして、ここで大阪の堺の方へ入る船が風待ちをするために寄港した。これには中国大陸から積んできた多くの香木とかあるいは線香が積まれていたようでございまして、全然そのノウハウを与えられずに淡路の人が線香の製造を独自に考案をして、そして中国でつくられた線香と同じようなものをつくり上げたという歴史があります。それが今に伝わっておりまして、実に日本全国の七割をあの小さな町で生産している、特殊な町がありますが、この線香も大変な被害を受けております。  どうかそういうような地場産業を大事にしていただく、そういうことによって、淡路の青年たちが自分たちの生まれ育ったところで父や母のやってきた仕事を継承して、立派な技術を継承していくということが大事だと思われますので、かわらとか線香について、どうか問題意識を持ってこの被害回復について御支援をいただきたい、このように思います。  次に、農業用のため池でございます。淡路島というのは島でございますから天水に頼っているところが大きいわけでございます。古来よりため池をうがち、満水として、これをかんがいして田畑に引水をしてきたということでございます。このたびの震災によりまして統計上あらわれているのは、全島で被害があるのですが、私が見せていただいた統計では、五色町で四十五、西淡町で、さきのかわらの町ですが、二十五のため池が被害を受けております。  私も拝見したのですけれども、幸いに、昨年は渇水でございました。水が少なかったわけでございます。しかも、震災時が農閑期であったということからため池の貯水率が極端に低かったということから、これの溢水による被害は免れたわけでございますが、例えば、西淡町に家山池という満水時で四万七千二百トンというものを貯水できるそういう能力がある池があります。その奥には新池という三万三百トンの貯水能力がある池があるわけですが、そののり下に志知小学校、志知幼稚園、志知県営住宅等々があるわけですね。ぞっとしました。なお上流を探れば十七万九千トンというような大きな貯水能力があるため地もありまして、ここも被害を受けています。  これが満水時に決壊すれば背筋の寒くなるようなことが起こったと思うのですけれども、こういう被災したため池を梅雨どきまでにとりあえず直さなきゃならない。相当莫大なお金がかかるだろうと思われるわけですが、農水省におかれましてはこの点についてどういう御認識と対策をお持ちなのか、お示しをいただきたいと思います。
  28. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 お答え申し上げます。  お話しのとおりでございまして、やや冗長にわたりますけれども、全国で大小合わせて二十一万のため池がある。そのうちの四分の一は兵庫県に集中しておりまして、特に淡路はため地かんがいが多いということで、今回大地震による被害を受けておるところでございます。お話しの池等も、我々が承知しているところでは堤体とかあるいは底樋ですね、そういうものについて亀裂を生じておるというところでございます。  これについては非常に、応急対策として点検を実施したりして二次災害の防止に努めてきたところでございますけれども、さらには、水を落とす、あるいは裂け目、亀裂等における穴埋めというような応急工事を実施しているところでございます。  やはり本格的な災害復旧、これを急がなければ相ならぬということでございますが、実はため池につきましては、その裂け目の深さとかあるいは地震による地下水脈の変化等がありまして、普通の農業施設の災害復旧に比べましてなかなか復旧工法等も慎重を要するというような専門家の指摘もございまして、国としては、大学関係者を含めて数回現地に調査を派遣して設計書について遺憾なきを期したいということで行っております。  急を要しますので、お話しのとおり急がれますので、その査定設計書を現地でつくらなくちゃならぬということで、近畿各県の農業土木関係の技術者を動員いたしまして早期の査定を行いたい。さらに、机上査定と申しますか、査定業務の簡素化というような点についても、大蔵省当局等の了解を得ておりますので迅速にやりたいということでございます。  なお、ついでで申し上げますと、農地、農業用施設、ため池もその一つでございますが、これについては農地、農業用施設の復旧の補助の暫定法というのがございまして、補助体系ができております。さらに今回、二月八日には激甚災の発動がございまして、ざっと申し上げれば、九割以上の助成が確保できるということでございます。そしてとにかく早急な復旧を図りたい、さように思っております。
  29. 冬柴鐵三

    冬柴委員 力強い答弁をいただきました。  ただ、阪神間の被災が大きいものですから、土木あるいはその技術者等がそちらの方へとられる、そういうこともありますので、農水省の特段のそういう意味での御配慮をいただきまして、梅雨どきに二次災害が起こるようなことのないように、ひとつどうぞよろしくお願いいたします。  それから、次に法務省にお伺いしたいわけでございますが、この阪神大震災の被災者救済のために、近畿弁護士連合会等の協力のもとに、無料法律相談あるいは震災一一〇番等が大変大繁盛でございまして、いろいろな問題点がここで明らかにされつつあります。  それで、その結果判明したことは、被災者が、広範囲な生活関係の全般にわたって、極めて深刻な法律紛争の当事者となりつつあるという結果でございます。先ほどのマンションの問題につきましても、今まで非常に仲のよかったお隊と、これが建てかえができないということになるともう深刻な問題が起こってくるわけでございます。そしてまた、当事者がこの災害を契機に、被災者同士が紛争の当事者となる可能性がある。それから、被災の救済に一生懸命努力していられる地方公共団体とかあるいは道路管理者と住民との間の今回の地震による国家賠償とか、そういうような深刻な問題が起こるわけでございます。それで、これの解決に長時間を要するということになりますと、当事者の生活破壊とか深刻なストレスということを受けることになるだろうというふうに思うわけでございます。  関東大震災のときには、当時東京市だったわけですが、その市内に借地借家調停委員出張所というものを十数カ所設けたそうでございまして、震災後、わずか三カ月間で二千件の調停を成立させだというような歴史も残されております。  そこで、やはり裁判で当事者が立証活動を続けるということになりますと、どんなに早くても一年やそこらかかってしまうわけでございます。そこで、それにかわる制度として、話し合いによる解決ということで民事調停制度というのがありまして、これが威力を発揮するだろうと思います。東京のときもそのような歴史があるわけでございます。  ところが、神戸地裁管内だけでは、裁判所もいろいろな災害を受けていますでしょうし数も限りがありますので、近隣の大阪、神戸、あるいは岡山等の地裁管内の簡易裁判所も総動員をして、そしてこの事件の処理に当たってもらったらどうだろう。それで、それには調停委員あるいは裁判官もたくさん要ることになります。七月、八月というと大分先になりますけれども、そういうときには裁判所は夏休みがありますので、全国の裁判所から、ボランティアということではないですけれども、夏休みを返上していただいてそういう近隣のところにも来ていただいて、膨大な紛争を話し合いによって円満に解決させるということが必要ではないか。  そのために、管轄の問題、この事件はどこの裁判所しか扱えないというような管轄があれば、そういうことが障害になってしまうわけでございますが、その点についても特段の配慮をしていただいて、そういうものができるようなことを考えられてはいかがかということなんです。その点についてはどうでございましょうか。
  30. 石垣君雄

    石垣最高裁判所長官代理者 法務省へのお尋ねでございましたが、事案の性質から、裁判所の方から申し上げたいと思います。  今委員から御指摘のありましたように、関東大震災のときの状況に照らしてみますと、今回も民事調停事件が多数起こされるであろうというふうに考えられます。  一つは、今御指摘のありました管轄の問題がございます。  御承知のとおり、一般の民事調停事件というのは、管轄は基本的には相手方の住所地を基本にする。ただし、宅地建物につきましては、その宅地建物の所在地ということが基準になってございます。そういう意味でまいりますと、今回の例えは神戸周辺の事件でありますと、神戸の地裁管内の裁判所原則としては簡易裁判所ということになりますが、この管轄は、御案内のとおり申立人だけではございませんで、相手方の利益といいますか、それとの調和ということも必要なものでございますから、そう軽々にもなかなか論じられない部分があるであろうと存じております。  ただ、民事調停法の中に、調停事件につきましては、管轄のない裁判所に申し立てがあった場合でありましても、例えば管轄のある裁判所に移送するとか、あるいは事件を処理するのに特に必要があるときには自分のところで処理をしてもよろしいという規定がございます。したがいまして、管轄のないところに申し立てられた事件につきましても、まずすぐ却下をされるというようなことはございませんので、その事案に応じた適切な処理がなされるのではなかろうかというふうに期待をしております。  今のところ、管轄につきましてはそういうところでございます。
  31. 冬柴鐵三

    冬柴委員 そういう弾力的な扱いが行える根拠があることはそうなんですけれども、ぜひ周辺の裁判所にそのことも徹底をいただきまして、神戸はダメージを受けていますので、できるだけ周辺の地裁管内の簡裁でも処理をしていただくということができるような御指導をいただきたいというふうに思います。  そうすると、先ほどもちょっと論及しましたけれども、裁判官とか書記官とか調停委員という人たちが要るわけでございますけれども、その点についてはいかがでございましょうか。
  32. 石垣君雄

    石垣最高裁判所長官代理者 申し上げるまでもございませんが、基本的に迅速な事件処理に必要な数の裁判官、調停委員も含めましてですが、人員の確保をしたいと考えております。  まず調停委員につきまして申し上げますと、委員御案内のとおり、大阪あるいは神戸の弁護士会あるいは調停協会等に御協力をお願いをいたしまして、現在のところ、例えばほかの町で既に調停委員をしている人をあわせて神戸管内の民事調停委員にも任命をするという手続を進めておりますが、御本人の了承が得られれば直ちに任命をしたいというふうに考えております。  また、裁判官につきましては、現在大阪等におられます裁判官を応援に派遣をするというようなことを考えておりまして、今後事件数の動向にもよりますが、事件の遅滞のために御迷惑をおかけすることのないように、適時適切な手当てをしていきたい、こう存じております。
  33. 冬柴鐵三

    冬柴委員 それから、自治省にもお願いしたいのですが、裁判所の庁舎だけでは処理できない場合があろうかと思います。そのような場合に、周辺自治体裁判所の臨時の調停室等について御協力をいただきたいし、またこれを処理するためには、やはり相当お金のない人、貧困な人も調停事件を起こしたりあるいは起こされたりすることが予想されるわけでございます。  今までは貧困ではなくても、震災によって貧困になった人もあるわけでございますから、そういう場合には、私がかねて言っている法律扶助というものがここで相当大きく働くわけでございまして、現に大変底をついてきておりますので、法律扶助協会に対する、あるいはそういう関係団体に対する助成策ということも、地方自治体も地方の問題として特段の配慮をこの際していただきたいと思うわけでございます。  自治大臣にちょっとその点お願いしたいと思います。
  34. 野中和雄

    野中国務大臣 今回の阪神・淡路大震災につきまして、民事調停あるいは法律扶助協会等で大変な御苦労をいただいておることを感謝をしておる次第でございます。  御質問のこの調停団の問題等に関しましては、委員御承知のように、地方財政法の十二条の関係もあるわけでございますけれども、法務省、最高裁判所等の関係機関から御相談をいただければ適当な場所を地方公共団体があっせんする等の適切な対応をしてまいりたいと考えております。  また、法律扶助協会への補助につきましては、それぞれ関係地方公共団体が公益上の見地から判断をすることと考えておりますけれども、兵庫県、神戸市などの県下の自治体は扶助協会の兵庫支部に対しまして従来から一定の補助をしてまいりましたし、平成六年度におきましても五百三十万円の補助金を出しておると聞いております。  今度の異常な事態にかんがみまして、当該地方公共団体が適切に対応すると考えておりますし、私どももまた付言をしてまいりたいと存じております。
  35. 冬柴鐵三

    冬柴委員 では法務省にお伺いしたいのですが、調停の申し立て費用等につきましても、訴訟費用法による減免等も考えていただきたいし、また住宅ローンを一挙に全部、前回私申し上げたのですけれども、この住宅ローンを二重に、とらの子の家が壊れてしまってもなお、私の知っている人も三千二百万円のローンが残ったということで、途方に暮れている人があります。こういう人たちは、家もないのにローンを今後も払っていって、なおもう一回この上ローンを継ぎ足すということはできないと思います。  そうしますと、自己破産の申し立てというのが急増すると思います。自己破産をして、そして免責を受け、復権をするという手続が日本の破産法には規定がありますから、それを利用される方が多くなると思います。  その場合に、破産申し立てする場合には、破産の予納金というのが少なからず要るわけでございます。ところが、お金がない人がそれを申し立てる場合には破産法百四十条で国庫からこの予納金を支弁するという制度も規定されているのですが、従来ほとんどこれは使われておりません。今回のようなときこそやはりこういうものについて、法律が古くからあるわけですから、この百四十条に基づく国庫支弁の制度も活用すべきであろうというふうに思うわけでございます。  その点につきまして、この二点を法務省から、あるいは裁判所もあるのでしょうか、御答弁いただきたいと思います。
  36. 前田勲男

    ○前田国務大臣 お答え申し上げます。  この震災の民事調停事件の手数料その他訴訟費用、あるいは自己破産の場合の予納金の百四十条の支弁の問題でございますが、大変、近弁連、大阪弁護士会、神戸弁護士会その他法律扶助協会、たくさんの御相談が来て、しかも京都、大阪、神戸だけでは処理できなくて、奈良、和歌山、滋賀等々の弁護士会まで御相談の電話等の輪が広がっておるような状況下にございまして、大変これから多数の紛争調停あるいは訴訟が予想されるわけでございますが、民事調停法による調停手続を活用することによりまして、実情に即した解決を図っていくということが適切であると考えております。  そこで先生の、被災者の方がこの調停手続を利用しやすくするために、現在の調停の申し立て手数料の減免措置、この要否でございますが、現在前向きに検討いたしておるところでございますし、ぜひ法務省としても実現をしたく、かような気持ちで現在大蔵省にお願いをいたしておるところでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  37. 石垣君雄

    石垣最高裁判所長官代理者 破産法に基づきます国庫仮支弁のお話がございましたので、こちらから申し上げます。  委員から御指摘がありましたように、この仮支弁制度が十分機能しているのかという御指摘でございます。これは、一つには立てかえというのが原則ということ、そういう形になっておりますので後で返還を要する。それから小口の破産といいますか、そういう事件につきましては、それほどの費用がかからないといいますか、大きいといえば大きいのですが、一万前後、その前後なんですが、それならば後で返還をする手続を考えるよりはいっそ予納しちゃいましょう、こういう動きもあったことも事実のようでございます。  今回の震災に伴います破産につきましては、まことにお気の毒な状況でもございますので、事案の性質に応じて適切に対処をしていきたいというふうに考えております。
  38. 冬柴鐵三

    冬柴委員 それで、この破産の問題でございますけれども、破産宣告がされますと、例えば株式会社の取締役にはなれないとか、もちろん弁護士とか公証人、そういう人にはなれないわけでございまして、破産者にはそういうことがありますが、この制度、決してペナルティーではありません。戦前のように被選挙権を、公民権を停止されるとか、戸籍に赤字で書かれるとかそういうようなものではないわけでございまして、特に今回その破産原因というものが、みずから招いたものではなく、天災によって営々と築き上げた財産というものが一瞬にして灰じんに帰したという、そういう事案でございますので、決して道義的にその破産者が責められるべき人ではないということがおわかりだと思います。  そういう意味で、こういう人が破産宣告を受け、免責決定というものを受けて復権というものをいたしますと、これは破産を受けたことがないのと同じ扱いを受けるべきでありますけれども、ただ、金融機関に融資の申し入れをするというような場合に、これが破産をつい最近受けた人だというようなことが障害になりますと、こういう人たちの立ち上がりというものが妨げられることはもう明らかでございます。  したがいまして、大蔵省あるいは通産省におきましても、そういう人が中小企業者保護という制度とかそういうものを十分に利用できないようなことのないように御指導をいただきたいと思うわけでございますが、大蔵省と通産省からそれぞれ一言ずつお聞かせいただきたいと思います。
  39. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 一般論として、破産宣告というものが持つ重みというものは委員よく御承知のことであります。それだけに、その一般論としての破産宣告でありますなら、私はやはり政府系の中小企業金融機関というものについて新規の貸し付けには慎重にならざるを得ないものと思います。  ただ、災害というものが理由で破産をされた場合、免責、復権の後に中小企業金融機関に対して借り入れを申し込まれた場合には、これはやはり災害によってそうした事態に遭遇したという事情は当然配慮されなければならないと私も思います。その上で、返済能力などを総合的かつ弾力的に判断して適切に対応すべきものでありましょう。  いずれにいたしましても、今後ともに被災中小企業者の個々の実情に配慮した貸し付けの実施というものが円滑に行われるように、私どもとしても適切に対応していき太いと考えております。
  40. 西村吉正

    ○西村政府委員 民間金融機関に関しましては、これは個別金融機関の判断にかかわる問題ではございますが、一般論として申し上げれば、確実な返済を期待しづらいということから、各金融機関は慎重な対応になるものと考えられます。また、金融機関は預金者から預かった資金を運用しているということにかんがみれば、債務者の返済能力を無視して融資を国が強制するというようなことはできないという点も御理解いただきたいと存じます。  ただ、自己破産を理由に新たな融資の道が全く閉ざされているというものでもなく、金融機関において、個々の被災者の実情を踏まえまして個別に審査し、その返済能力を勘案の上、融資の判断がされることはあり得るものと考えております。  なお、大蔵省は、今回の震災に際しまして、金融機関に対して被災者の便宜を考慮するよう要請しておるところでございまして、各金融機関においてもそれぞれの方々の事情を踏まえて適切に対応するものと存じております。  なお、政府系金融機関の融資につきましても、民間金融機関の考え方と一般論としては同じかと存じますけれども、災害が理由で破産された方が免責、復権後に資金借り入れを申し込まれた場合につきましては、災害により破産したという事情を勘案の上、個別に審査いたしまして、返済能力等を総合的に判断した上、対応することが適当であると考えております。
  41. 冬柴鐵三

    冬柴委員 破産後取得する財産、新得財産といいますが、これは破産債権者の追求できるところではありませんので、お勤めをしていられる方の給与とかそのものは十分返済の資源となし得るわけでございますから、どうかその点も十分御配慮の上、被災者が裸一貫からもう一度立ち直ろうという、そういう意欲を持ち得るように、どうかよろしくお願いしたいと思います。  大分時間が迫ってまいりましたけれども、神戸港の復興についてお尋ねをいたしたいと思います。  神戸市における港湾に関する業務、すなわち荷おろし、荷積み、運搬、倉庫など、こういう港湾関係業務というものを、六十二年の神戸市の調査、ちょっと古いんですが見てみますと、実に市民所得の三八・三%、約一兆三千億円を稼いでおりました。就業者数は一七・三%、十一万人。これに貿易とか加工とかいうような関連業種を含めますと、実に膨大な人が神戸市では、先ほどの西淡町のかわらじゃありませんけれども、神戸市では港湾関連というものについて依存しているという事実がわかるわけでございます。  もちろん、海上輸送荷扱いでは三分の一を神戸市は扱っていた。これは、日本有数というよりも、国際的に見ても規模の大きな港湾であったわけでありますが、コンテナバースが八〇%以上も壊滅してしまったという大変なことが起こってしまいました。それで、これの復旧には莫大な費用と三年ぐらいの日時が要るのではないかということが指摘されているわけでございますけれども、私は、こういうことになってみますと、大変な問題が起こるんじゃないかと思います。  そのことは、一つは、そのような国際的な港湾都市というものが三年間店を閉めてしまいますと、近隣の、例えば韓国の釜山とかあるいは天津、上海というところに荷物を全部とられてしまって、とられてしまうと言うのはおかしいのですが、そちらが荷受けをして、そして我が国にはそこから小船に積んで運ばれるというような、人間の体に例えれば、大動脈が切れても細血管が日本の中に張られるというようなことになりはしないかということが一つと、もう一つは、多数の港湾労働者が、オペレーターだけでも六千人いるわけですが、そういう人たちが生活ができなくなるし、そういう人が離散してしまうと、これはコンテナバースをまたつくっても、回復できるんだろうかというような問題を抱えることになるのではないかと思うわけでございます。  運輸省、当面、この困難な問題に対してどう取り組んでいただくのか、お示しいただきたいと思います。
  42. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 委員御指摘のとおり、神戸の復興は、まさに港の復興と言っても過言ではない状況だと思います。  御指摘のように、四割以上、市民の経済生活に大変な影響を持っておる港でございますし、また関西経済、また日本経済全体に対して国際港としての機能を果たしておるのが、当面これは機能ストップでございます。  現在、シフトの状況を調べてみますと、大阪、横浜へのシフトが目立つわけでございますが、釜山港あたりも今はもう二・五、六%のシフトが起きているという状況であります。停止状況が長引けば長引くほどそういう状況が起き、それが固定化する危険性がないわけじゃございませんので、私どもとしては、神戸市また兵庫県とも協議を重ねておりまして、一応、七年、八年、二カ年間でほぼこれの復興を終わりたい。一部、九年にかかるかもしれませんが、まあ二カ年でこれをやりたい。  その場合も、旧に復するというだけではなくて、耐震性の問題を含めて、と申しますのは、今度、耐震バース、三つありますが、これは全然被害を受けてないんですね。また、我々としては非常に痛恨のきわみでありますけれども、建設の強度のランクが、東京、横浜のAに比べてBランクでやっておったという苦い反省もございますので、今後、復興という形の中でさらに港の機能を思い切って強化をする、近代的な港として。そういう基本方針に従って現在策定をいたしておりますが、当面のやり方としては、当面の応急復旧と本格復興をうまく組み合わせをしながら、やはり少しでも荷揚げができる状況を早期に確保いたしたい、このように考えております。  そういうことで、資金面につきましても、実質、御承知のように、埠頭公社の分は今ではゼロでございます。やれませんが、これも法律をつくりまして、これも八割で大体いくということで、今財政当局と協議をいたしておるところでございます。財政当局も理解をいただけるもの、このように確信をいたしておるわけでございまして、残りの分については起債、後からまた自治省の御理解をいただいて手当てをする等、この神戸港の復興につきましては、国がやはり全責任を持つというようなつもりで、市、県と協議をしながら進めてまいりたい。  なお、そういうことで、二次補正につきましても思い切って、今、当面の工事に支障が起きないような額はがっちりと確保をさせていただく状況になっております。さらに七年度の補正等で、この資金につきましては万全を尽くしたい。  なお、資金面を手当でいたしましても、工事の施工能力が問題でございますので、全国の港湾等の整備を進めていくということを計画しておるわけでございますが、とはいっても、当面、神戸に集中をせざるを得ない。地方については、できれば、従来、施工能力があるにもかかわらず下請等でやっておったような中小の業者に直接発注をできるだけやれないかどうか、それを検討させておりまして、できるだけ神戸にそうした業者も集中をさせるという手はずを今進めておりますので、今後とも、委員からまた細かい御指導をいただきたいと思います。  以上でございます。
  43. 冬柴鐵三

    冬柴委員 今運輸大臣から網羅的な御答弁をいただきまして、安心するだろうと思います。  特に、神戸の埠頭公社の前身を探れば阪神外貿埠頭公団ということだったわけで、そういう意味からも、今八〇%の補助ということ、またその残りについては起債ということも御示唆いただきました。そういう方向でなければこの巨額の費用というのはとてもじゃないけれども負担できないと思いますし、また負担したとしても、その利息によってこの埠頭を利用する船会社の使用料がべらぼうなものになってしまって、結局またこれは海外へシフトしてしまうということになると思いますので、ぜひ今お示しいただいた方向で貫徹をしていただきたいと思います。  一言だけ自治大臣からも、残りの二〇%といっても巨額でございまして、これは神戸市埠頭公社ということなんですが、それは起債なりあるいは元利償還についての交付金の配慮なりはしていただけるのでしょうか。その点についてはいかがでしょうか。
  44. 野中和雄

    野中国務大臣 ただいま、埠頭公社の被害の甚大、あるいは我が国の流通あるいは貿易に果たす役割の重要性は、運輸大臣、委員からも御指摘をいただいたところでございまして、まずは国がその経営の安定について重要な役割を果たしていただくということが前提でございますけれども、地方団体の財政が過重な負担にならないように所要の措置を講じてまいりたいと考えております。
  45. 冬柴鐵三

    冬柴委員 もう一つ、交通手段のことでございますが、神戸にはポートアイランド、六甲アイランド、ハーバーランドという新しい町、副都心と言ってもいいような町がつくられました。これはいずれも埋立地で、しかも陸続きじゃなしに島になっております。ここと都心との交通手段は、ポートライナー、六甲ライナー、ハーバーライナーというようなモノレール式の新交通手段に頼っているわけでございますが、この手段が今回の震災でほとんど壊滅的な打撃を受けております。これについての復旧はどういうふうにお考えなのか、運輸省から御答弁を言いただきたいと思います。
  46. 戸矢博道

    ○戸矢政府委員 新交通システムの復旧の関係でございますが、市民の足として大変重要な交通手段でございまして、一刻も早く復旧させる必要があるというふうに認識しております。  このシステム、インフラの部分、先生御承知のとおり、橋でございますとかけたの部分につきましては、道路として、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法ということで支援を検討中でございます。  また、上物と申しますか、鉄道の部分でございますが、それにつきましては、私どもの方では今災害復旧事業費の補助あるいは政策金融といったような支援措置で検討しておりまして、一刻も早く復旧するように支援をしていきたいというふうに考えております。
  47. 冬柴鐵三

    冬柴委員 総務庁長官がお見えになりましたので、もう時間がなくなりましたが、地方分権について一点、お伺いしたいと思います。  官房長官から随分いろいろ伺いました。それで、総務庁長官からは、国の地方に対する関与あるいは必置規制というものについてだけお伺いしておきたいと思います。  地方制度調査会答申では、これは、「必要最小限のものとしこ「根拠は法律による」、こういうふうに明快に書かれているのですが、この点について、長官、どういうふうにお考えでございましょうか。
  48. 山口鶴男

    山口国務大臣 分権大綱では、官房長官からお答えがあったと思うのですが、例えば「意見」というような表現になっておりますが、この委員会で、私は意見というのを、単に意見を言うだけではなくて監視や勧告も含むのです、そういうつもりで今地方分権法律につきましては、鋭意作成作業を私どもは終えたいというつもりでやっているわけでございます。  御指摘の点につきましても、実は私は、一昨年衆参両院地方分権推進に関する国会決議をいたしました。当時宮澤内閣のときでございましたが、私は、今地方時代、これはまさに国民の要望である、したがってこの際、国会が思い切って地方分権推進するという決議をやるべきではないかという提起を当時の自民党の幹部の皆さんにいたしまして、そして地方行政委員会が中心となりまして、あの地方分権推進に関する国会決議衆参両院で実現をすることができた次第です。  そういった国会決議推進したという立場からも、私といたしましては、国の関与、必置規制、これらの問題につきましても、できるだけ国から地方へという観点を踏まえてこの地方分権推進に関する法律国会に御提案するようにいたしたいという熱意を持って今やっております。
  49. 冬柴鐵三

    冬柴委員 今御答弁になられたようなことで御処理いただければありがたいわけですが、大綱方針では、御存じのように、ちょっとというか相当後退した表現になっているものですから、心配をいたしましてお尋ねをした次第でございます。  いずれにしましても、近々法案が提出されることになっておりますので、そのときに十分論議をさせていただきたい、このように思います。  どうもありがとうございました。
  50. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて冬柴君の質疑は終了いたしました。  次に、若松謙維君
  51. 若松謙維

    若松委員 新進党の若松謙維でございます。  本日、一時間半お時間をいただいておりますので、まず地震保険につきまして、そして二点目が今大変話題となっております信用組合、これが私の本日のメーンの質問とさせていただきます。そして三点目、予算と決算のあり方という観点から特に会計検査院のあり方、これについて御質疑をさせていただきます。  まず、地震保険についてでございますけれども、大変マスコミ等で詳しく、いわゆる民間の損保の地震保険、さらには農協共済、こういったところの建更と言われる地震保険、これがかなり詳しく報道されたところでございます。そして、私ども国会議員にいろいろな国民の声として入ってくるのが、損保、いわゆる民間の損保は建更に比べて保険保障に消極的と聞いております。実際に損保さらに建更ともに十分な査定及び保障が行われているかどうか、大蔵大臣からお聞きしたいと思います。
  52. 山口公生

    山口(公)政府委員 お答え申し上げます。  今回の兵庫県南部地震によりまして被害を受けられました地域における被災契約者に対しましては、まず簡易迅速な保険金の支払いに配慮すること、それから、被災状況に応じまして保険料の払い込みの猶予等に配慮するよう保険会社に指導を行っているところでございます。  今お尋ねの損害の査定につきましても、被災者の立場に十分立ちつつ、迅速かつ円滑な対応を行うよう要請しているところでございます。現在、現地に三千名を動員して、迅速かつ円滑な対応をやっておる次第でございます。
  53. 若松謙維

    若松委員 しっかり今おやりになっているということでございます。特に、損保業界のいわゆる危険積立金は約四千億円ある、十分積み立てがあるということですので、ぜひその保障の面、しっかりとやっていただくことを改めて決意という面から、大蔵大臣から御確認をいただきたいと思います。
  54. 武村正義

    ○武村国務大臣 いずれにしても大事な仕事でございますから、しっかり業界も対応していただけるように大蔵省も努力してまいります。
  55. 若松謙維

    若松委員 ぜひよろしくお願いします。  そして、今さらにこの地震保険で話題になっておりますのが、地震保険のいわゆる保障額の上限のさらなる上増してございます。先ほどの建更、これが七八年が約八百万強から現在約一千三百六十五万人、非常に農協共済の方はふえているわけですけれども、民間の損保の加入者は七九年が五百四十四万人、これをピークに現在三百一万人と減少傾向にあります。これは利用者からすれば、いわゆる損保はまさに保険料が高くて保障額が少ない、よって魅力が乏しい、こう感じているからではないかと思います。  今後、地震国日本の国民の財産保全を当然促進する、これがやはり国会議員の役割ですので、そういった観点から、地震保険の保障内容の充実に向けた具体的な方策なり今後の保障額の増額等を今検討されているのか、お伺いいたします。
  56. 山口公生

    山口(公)政府委員 お答え申し上げます。  地震保険の加入件数につきましては、御指摘のとおり、昭和五十五年度以降減少傾向にありました。ただ、平成四年度以降若干増加に転じてまいっているところでございます。  この地震保険に関しましては、発足当初は、住宅店舗総合保険等の火災保険に自動的に附帯するという制度となっておりましたけれども、昭和五十五年の改正におきまして、加入するか否かについては本人の意思を尊重するという現在の原則自動附帯という方法に改められたという経緯がございます。それ以降若干普及率が下がってきたという経緯がございます。  また、地震保険の保険料率は相対的に高くなるという問題がございますけれども、全国の中で最も料率の高いグループであります東京都におきましては、地震保険の附帯率が約二五%と非常に高くなってきていることの事実も示しておりますように、国民の地震に対する意識にもかなり左右される面があろうと思います。したがいまして、いろいろとPRにも努めていかなければならないというふうに思っております。  それで、制度発足以来、地震保険の商品内容につきましては、その改善に努めてまいってきたところではございますが、今回、商品性の見直しについていろいろ御指摘を賜っております。限度額の問題を含め、その改善等につき検討を行うこととしているところでございます。
  57. 若松謙維

    若松委員 大蔵大臣、先ほどの保障額の増額、この点についてぜひ御意見または御決意なりをお聞きしたいと思います。  いわゆる従来損保ですと一千万円、かつ家財が五百万。
  58. 武村正義

    ○武村国務大臣 地震発生直後に、保険部長にもぜひ新しい商品の設計をするように指示をいたしたところであります。これまでの経緯を見ながら、額全体もありますけれども、いろいろな条件全体をきちっと見て、時代に合うように新しい条件をぜひ生み出していきたいというふうに思っております。
  59. 若松謙維

    若松委員 続きまして、先ほどの料率が高くなるという保険料の問題です。現在、これは地震保険だけではなくてほかの損害保険料も同じなんですけれども、損害保険料率算出団体に関する法律、こういった法律がございまして、そして現在、保険料の競争は規制されております。いわゆる保険料率は規定されている、こういった状況。  一方、御存じの、最近話題になりましたAIU、いわゆる外資系の損保会社、これが日本の国税庁から移転価格税制を適用されて百数十億円の追徴が発表されたわけでございます。これはどういうことかというと、日本の損保業界の収益率の高さ、これが非常に明確に指摘されたところではないかと思います。そういう先ほどの法律によりまして、非競争市場、この現在の日本の損保市場、これがかなりの巨額の利益が計上されている、こんな一端ではないかと思います。  そういうことで、やはり保険料の自由化、当然規制等は、保険はまさに国民の財産を守るという、裏でのいろいろな政府の保障なり手当てというものは必要でしょうけれども、その一方自由化というところでの競争化というものも促進していかなければ、保険料は高いまま国民の負担増となってしまう。御存じの個人所得税におきましては、損保控除が今、年間上限三千円になっております。こういったことでの手当でよりも、本質的には保険料率の競争を自由化して、当然、保障額の増加とさらには保険料の減少を同時に進めるようなこの損保業界の自由競争化、こういったところを進めなければいけないのではないかと思いますけれども、御所見を伺いたいと思います。
  60. 山口公生

    山口(公)政府委員 お答え申し上げます。  地震保険の料率につきましては、国が再保険という形で関与する公共性の強い保険でございますから、法律上は「収支の償う範囲内においてできる限り低いものでなければならない。」というような規定も置いてございます。したがいまして、保険会社の側から見ますと、ノーロス・ノープロフィットという原則で運営されております。また、実際の料率につきましては、中立的な損害保険料率算定会が客観的な立場、ちなみに申し上げますと、過去五百年さかのぼって地震の実績を調べまして、約三百七十件の地震の統計をとってはじき出しているデータでございますから、それから公正な保険料を算出しておるわけでございます。  今申し上げましたように、この地震保険は保険会社にとって利益をもたらすものではございません。また、可能な限り低廉な料率という原則は徹底されておりまして、仮に保険会社に競争させたとしても、保険料率を引き下げることには直ちには結びつかないということになる点がございます。加えまして、自由な料率あるいは料率設定となりますと、国民に公平な取り扱いを行うという性格の国の再保険の仕組みが非常に複雑に、また難しいものとなってまいるという事情もございますので、その点を御理解賜ればと思うわけでございます。  いずれにせよ、地震保険の普及率の増加が図られるよう、今大臣からの御指示ございましたので、その商品性の見直しに取り組んでまいりたいと思っておるわけでございます。
  61. 若松謙維

    若松委員 来月、平成七年三月にはその保険料率の自由化提案が行われると聞いております。これには地震保険も含まれているんでしょうか。
  62. 山口公生

    山口(公)政府委員 料率算定会の制度につきましては、自動車保険等がその対象になっておりますが、今回国会にもお願いしたいと思っております保険制度改革の中で、より自由度を増すような制度改革をお願いしたいと思っております。  地震保険につきましては、今申し上げましたように再保険をしているという性格がありまして、その自由度を増すというジャンルには入らないと思いますが、いずれにせよ、先ほど御指摘の限度額の問題等いろいろな問題がございますので、地震保険についてはまだ別途その十分な検討をさせていただきたいと思っております。
  63. 若松謙維

    若松委員 地震保険は、従来どおり規制料率にするというお答えです。そうであるならば、この地震保険の保険料の算定の方法が、いわゆる純率と言われる五百年の経験から、負荷率、いわゆる損保会社の標準経費、これを引いてイコールになる、こういった算定基準になるわけですけれども、この負荷率、企業の経費、これを標準で見込むというのは、やはり経営努力というところで非常に甘い環境を提供してしまうのではないかそういった危惧がやはり多いと思うのですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
  64. 山口公生

    山口(公)政府委員 地震保険の料率につきましては、保険会社に利益をもたらさないという考え方で料率を設定しておりますので、いろいろな経費の積算に当たりましては、ほかの、例えば火災保険とか自動車保険とか、そういったものに比べますと極めて縮小した形で算出しております。保険会社はそれを守ってやっておるということでございます。
  65. 若松謙維

    若松委員 その点、重要な点ですので、ぜひ今後ともしっかりと業界の指導をよろしくお願いいたします。  続きまして、信用組合、東京共同銀行、この件に移らせていただきます。  昨日、私の手元に、あの議論になりました、「衆議院予算委員会提出資料」として東京協和信用組合さらには安全信用組合、この二組合の「決算関係報告書」「その1」「その2」「その3」、これが入手されまして、まず、この中身について御報告をさせていただきます。  まず、これは平成四年度、平成五年度、二期の決算報告書でございます。さらには、その二期に関する東京都の検査報告結果でございます。さらに、リスト三として、匿名ですけれども、預金の明細、こういう構成になっております。  まず損益計算書を見させていただきますと、東京協和信用組合、これは平成四年度当期利益、いわゆる組合の利益です、二億四千万、平成五年度三億二千四百万。そしてさらに、出資配当金が行われております。いわゆる組合員出資制度ですので、そういった方に対して配当金、平成四年度一億四千八百万円、そして平成五年度一億二千万円。そして、同じ検査報告書といたしまして、平成四年度については回収困難ないわゆる貸出金が百五十億円ある、さらに平成五年度は回収困難額が三百四億ある、こう明確に指摘しております。  安全信用組合におきましても、同じく当期利益、平成四年度四億五千四百万、平成五年度三億七百万。そしてさらに出資配当金、配当として平成四年度一千五百万円、さらには平成五年度一千二百万円。そして、同じく検査報告書の中に、平成四年度として回収困難な貸出金三百四十四億円、そして平成五年度が回収困難な貸出金八百十四億円。いずれも急速にこの貸出金、不良債権となっている、回収困難と明確に言っております。  そういう中で実際に配当が行われている、これは非常に大きな問題ではないかと思います。なぜ不良債権を指摘しながら配当を認めるのか。結局これは東京都に検査が任されておりますので、なかなか東京の方をこちらに呼べないというのも非常にフラストレーションなわけでございます。  じゃ、まず、この配当、大変複雑な話なのでじっくりお話しさせていただきますけれども、これは信用組合法ですので、いわゆる商法、商行為を一般的に規定する商法というものがあります。商法の二百九十条によりますと、利益の配当に関しまして、利益というのは当然そういった配当可能な利益、いわゆる翌年つぶれるような状況では配当を行うべき利益がないというのが前提なのです。それが実際に行われたということで、行われた場合に、商法二百九十条ではこの行われた配当は債権者に返還させられるべきである、いわゆるタコ配当という、明確な、これは商法上でも大変重要な違反行為であります。  そして、さらに二百六十六条、商法の世界では、取締役は、ここで言うと理事ですね、理事は会社に対し連帯してこういったタコ配当、違法配当について明確に責任をとる、こういうふうに書いております。  まずこういった前提からお話をさせていただきたいと思いますけれども、今、都道府県が検査を行っております。この検査の位置づけ、役割、意義、これは一体何なのか、どなたか御答弁いただけますでしょうか。
  66. 西村吉正

    ○西村政府委員 この信用組合の検査を行っておりますのは東京都でございますが、私どもも一般の銀行、信用金庫につきまして検査を行っております。  金融機関は、その業務の性格上、強い公共性を有しますので、それを確保するため、各国とも各種の規制、監督の制度が設けられております。監督当局による検査もその一環として行われるものでございます。  お尋ねの金融検査の目的でございますが、当該金融機関の業務または財産の状況の実態を正確に把握し、もって金融機関の業務の健全かつ適切な運営の確保に資するということかと理解しております。
  67. 若松謙維

    若松委員 要は金融の健全維持と、何かそういう言葉をされました。であるならば、実際にこの検査報告というのは必ず大蔵省の財務局に報告されることになっております。そしてこの場合に、明確に一般的にいうタコ配当、利益のない会社による配当です。こういったことを検査報告書で指摘しながら、ずっと認めている。当然、検査の実施をされる方のほかに、セットで経営改善等をする課というのが必ず都道府県にあるわけですけれども、信用維持はわかりますけれども、果たしてこれが信用維持なのか、非常に不明確であります。今の答弁では全然納得できません。さらに御答弁をお願いします。
  68. 西村吉正

    ○西村政府委員 まず、昨日東京都から提出された資料でございますが、両信用組合の経営実態と指導事項と題するものでございます。これは検査の報告書そのものではございませんが、経営の実態を明らかにするために東京都がどのような指導をしてきたかということをも含めまして資料を提出したものでございます。  なお、信用組合の検査は、先ほども申し上げましたように都道府県知事が行っておるものでございまして、機関委任をされております。その検査の結果につきましては、大蔵省の財務局に報告があるというようなことはございませんで、各都道府県におきまして内部で処理をされているところでございます。
  69. 若松謙維

    若松委員 機関委任というお言葉、これは何度がお聞きしました。実際にこれは、中企法と言われる信用組合の業務を管理する法律には明確にこの検査、都道府県が  先ほど機関委任とおっしゃいましたけれども、そういった検査報告書、信用組合検査結果概要、これを別表様式五として財務局へ報告する。報告させておいて、機関委任でどこに何の責任があるかわからない。  ではもう一度聞きますけれども、今回の信用組合の経営責任の所在、当然第一義的には理事、代表理事または理事者、こういったいわゆる取締役に相当する方々です。さらに、東京都がつくった平成六年度の検査結果には、こう書いてあります。率直に読ませていただきます。  「資産内容②」といたしまして、  不良債権額のうち回収可能と見込まれる額は五百二十四億円、回収が困難と見込まれる額は三百四億円と多額なものとなっている。  回収が困難と見込まれる額は前年に比べ百五十四億円増加し二倍となっており、また、六年三月末の自己資本額六十六・六億円に対し四・六倍に達し、実質大幅な債務超過となっている。これは東京信用組合です。  これが安全組合になりますと、回収困難と見込まれる額、これは自己資本額四十二億に対して十九・四倍になっている。当然実質大幅な債務超過となっている。いや、実質大幅ではなくて、こういう場合には普通は組合の経営が成り立たないというのが世界の常識ではないですか。これを大蔵省に報告しているわけなのです。さらに日銀がこの信用システムの維持に責任がある。  では、もう一度聞きます。今回の信用組合の経営の責任の所在、これは大蔵省ですか、日銀ですか、さらには都道府県ですか、それとも、やはり預金者が悪いのだという自己責任の徹底ですか。簡潔にお願いします。
  70. 西村吉正

    ○西村政府委員 ただいま御指摘のように、この両信用組合の経営実態というものは、この東京都から出た報告を拝見いたしましても相当に深刻なものであるということは、私どもも認識をしております。  ただいまの、信用組合が経営破綻に陥った場合の責任の所在はどこにあるかという点につきましては、御指摘のように、まず当該信用組合の理事長以下経営陣にあるということは明らかなことでございますが、その信用組合の監督責任、経営の監督という点に関しましては、都道府県知事にあるものと考えております。それは、御指摘の協同組合による金融事業に関する法律におきまして、行政庁とあるのは、信用協同組合等については都道府県知事というふうに明定されていることから明らかであろうと思います。  しかしながら、私どもはこの問題が金融秩序全体に与える影響、金融秩序の安定性維持といった点について重大な関心を持たざるを得ない、そういう意味から、東京都の御相談も受けまして、大蔵省及び日本銀行がそれぞれの役割を果たすというふうに考えております。
  71. 若松謙維

    若松委員 今大蔵省銀行局長の御説明がありました。  大蔵大臣にもお伺いしたいと思います。経営責任の所在はどちらでしょうか。
  72. 武村正義

    ○武村国務大臣 この二つの信用組合の経営責任は、今もお答えしましたように理事長以下経営陣にある、組合の役員にあるということは明確だと思います。  それで、あわせて、局長申し上げたように、じゃ、監督責任はどこか。いささか機関委任ということでややこしい印象を与えておりますが、これはもう法律の明文をもって御理解いただいてもわかりますように、東京都が監督官庁であります。そういう意味で、都知事が監督責任者だということになります。  じゃ、大蔵省は責任ないのかということになりますと、私どもは金融システム全体に対しては大きな責任を負っているわけであります。そういう意味で、日本銀行とあわせて、こういう事態が起こったときには、東京都から相談がありまして、問題は日本の金融システム全体に大きな影響を与えかねない重大な事態でございましたので、大蔵大臣、日本銀行、ともに真剣に相談をいたしまして、その責任を全うすべく、日銀法二十五条による新銀行設立というかつてない措置をとることを決断をいたしたのであります。その限りにおいては責任を果たしているという気持ちでございます。
  73. 若松謙維

    若松委員 昭和四十六年二月には衆議院の大蔵委員会で、そして三月には参議院の大蔵委員会で国会決議をしております。いわゆる「信用協同組合については、検査、監督等の充実を図ることによって経営の一層の健全化を推進する」、このようなことが衆参ともに大蔵委員会で決議されたわけです。四十六年、もう二十数年以上たっております。  大蔵省の方、いろいろ言うわけですけれども、果たしてその努力がされたのか具体的に全く見えないわけです。その点についていかがでしょうか。
  74. 西村吉正

    ○西村政府委員 私ども、常々の信用組合の監督については都道府県知事が責任を持って対応しておられるということでやってきておりますが、本件につきましては、私どもも、いろいろな情報から、なかなか容易ならざる事態にあるのではないかまた、それが信用システム全体に大きな影響を与える可能性があるのではないかということで、かねがね関心を持ち、また東京都にも、その点について意見を交換するよう求めてきたところでございます。  そういう経緯を経まして、昨年には、東京都からの御要請もありまして、大蔵省が金融検査について御協力を申し上げる、そういうようなこともいたし、その対応策について私どもとしても努力をしてきたところでございます。
  75. 若松謙維

    若松委員 それでは、日銀の方、来ていらっしゃいますか。いわゆる金融の番人と言われる日銀の方、大蔵省とのいろいろな確執も大変おありの中、番人の役をおやりになっていると思いますけれども、日銀の立場からは責任の所在はどういうことになるでしょうか。
  76. 田村達也

    ○田村参考人 日本銀行の理事の田村でございます。信用機構を担当しております。  金融システムの全体としての安定を図る、まず第一に重要なことは、個々の金融機関の破綻が生じないということで、まず一義的にはその金融機関の経営者の責任ということになるわけでございますけれども、それと同時に、そういった金融機関を監督する役割としては、信用組合の場合は都道府県、その他の金融機関の場合には大蔵省及び日本銀行がそういった検査、考査を通じて破綻のいかないように常にチェックするというふうな考え方をとっています。  さらに、それでも何か起こったときの対応としましては、日本銀行、大蔵省が協力して金融システムの安定を図るという任務を果たすことをやってきております。
  77. 若松謙維

    若松委員 要は、いろいろな事件があったけれども、とにかく経営責任者の責任は明確だ、これははっきりしました。  ところが、この監督責任というところにおいて、大蔵省はそれなりに一生懸命やったと。日銀も間接的にやっていると。ただ、明確に言いたいのは、とにかく金融システムを維持することが大事なのだと。だからみんなで頑張って、細かい責任の所在等は問わないのじゃないか。やっぱりそう聞こえると思うのです。国民も私も、皆様もそうだと思います。いわゆるこれが日本の護送船団方式と言われるわけなのですね。これから金融自由化、さらに進むわけですよ。  もっと具体的なお話をさせていただきます。  これは関東の中の県、北の方の県ですけれども、この県は八つ信用組合があります。群馬県ですね。それで、ここも見させていただきました。大体預金量、本当に小さいのは数十億ぐらいのもありますけれども、やはり一社平均一千億ぐらいになります。一千億円の預金量、そして大体当期利益が数千万から二億。この当期利益というのは、もちろん都道府県が担当している検査、これはちゃんと受けています。というのも、ちゃんと損益も検査の対象になっております。  ところが、さらに細かくその県の検査員の方に聞かせていただきました。じゃ、いわゆる会計監査的に、外部チェック的に、当然こういった信組も、従来問題になった特金、ファンド物、いわゆる含み損というものに対して明確に決算に反映しているのですかと、しておりませんと言いました。じゃ、さらに貸し倒れ、いわゆる不良債権、これも法定の要件以上に必要なものとして引き当てを積んでいるのかと、しておりません。  そういったものを積んだ場合に、明確にこれは損なのですよ。いわゆる一般の会計通念では損なのです。これは全部配当が行われております。今全国に五百ぐらいの信用組合があります。半分ぐらいといってもいいかもしれない、いわゆる実質的に損の組合が、配当が行われております。信用組合は全国でタコ配当が行われているわけなのですね。  こういった状況で、先ほど、とにかく一生懸命護送船団方式で何とか乗り越えると。果たして乗り越えられますか、これからの金融自由化で。大蔵大臣、いかがでしょうか。
  78. 武村正義

    ○武村国務大臣 私どもも、検査の結果を踏まえて、都の方から相談があったときには、もう余り時間的余裕がないといいますか、ゆっくり調べて議論をしてという余裕がないような状況でありました。  今までこの委員会でもお答えを申し上げてまいりましたように、御指摘の護送船団方式がいいか悪いか、わかりやすく言えばそういう選択でもあったわけですが、本来こういう、まあ何といいますか、乱脈といいますか、非常識な経営の結果をもたらした者がそのまま無傷で済むということは当然あり得ませんし、厳しく経営者の責任は問われなければならないし、これは財産的なかかわりもそうだし、法律的なかかわりもそうだ、そういう議論はしましたが、その上で、後は預金保険というシステムがあるわけですから、このシステムを発動して、事実上倒産という形で処置をするか、それとも今回とったような、極めて例外的な措置をとるかという、こういう選択でありました。  結果、私どもが判断しましたのは、今の、戦後五十年たっていますが、国民の皆様の意識、こういう預金とか金融機関に対する意識からすれば、恐らく自分のなけなしの金を預金している銀行であれ何であれ、それが倒産して預金が戻ってこなくなるということはもうほとんどの預金者は予想されていない。  それほどいわば金融機関に対する信頼を強く持っておられることを考えますと、今回のこの二つの信組が、もし破産的な、倒産的な事態を迎えますと、この二つの信組の窓口にわあっと預金者が殺到されるだけでなしに、これはもうどこのテレビにもどんどん放映されますから、全国の預金者が、私の預金大丈夫だろうか、私のあの預金先ほどうだろうかこういうことで、全国的な預金に対する信頼を損ねる、そういう事態が起こる可能性がある。これは絶対とは言えません。その一点を真剣に見詰めまして、これはまた護送船団方式という厳しい批判を受けるけれども、今の時期はこれしかないかな、しかし将来は、いつまでもこんな方式をとるわけにいかないという思いを強く持ちました。  率直に私の当時の判断の気持ちを申し上げた次第であります。
  79. 若松謙維

    若松委員 それでは再度話を戻しまして、監督権限はこの場合には東京都にあると。実際、東京都というのは、都の予算は十兆円を超えるわけですか、それで日本一豊かないわゆる不交付団体です。このくらいの金額ですと、東京都だけで処理できませんかね、いわゆる国税を使わなくても。その点、いかがですか。
  80. 西村吉正

    ○西村政府委員 報告書をごらんいただいてもおわかりのように、この二つの信用組合の経営破綻の程度というものは極めて異例のものでございまして、その収拾を図るということに関しまして、恐らく東京都としても大変に苦慮されたことと思います。東京都のみではなかなか対応し切れないということで、どういう方法がとれるかということを私どもにも御相談があったということでございます。  通常、信用組合、御指摘のように全国にたくさんございますし、その中には、これほど極端ではなくても経営破綻を起こすケースというのは幾つかございます。今までは、それはそれぞれの地域レベルで各都道府県が主体的に処理をすることができた、そういうレベルの破綻でございましたが、今回につきましては、東京都だけでは対応が難しいということで御相談があり、私どももそれに対応したものでございます。
  81. 若松謙維

    若松委員 なかなか歯切れのいい形は出てきません。確かに、護送船団方式にするのか、一挙に自己責任を明確化するのか、なかなか今、日本のさまざまな構造転換も含めながら悩んでいるところだと思います。  具体的に、先ほどの都道府県検査、特に大阪府におきましては、これほど重要な責任を府としては負いかねる、ちょっと負うには酷だ、そんな要望が大蔵省に来ているやに聞いております。これについてはどういう対応をされていらっしゃるんでしょうか。
  82. 西村吉正

    ○西村政府委員 一部そういうような報道があったことは承知をしておりますけれども、私ども直接的にそのような御要望を受けたことはございませんが、一般的に申しまして、もともと仲間内の金融という性格を持つ信用組合というものが、非常に、特に大都会におきましては金額的にも大きなものがある、一兆円を超えるような預金を持つ信用組合というのも現在ございます。それから、金融取引の内容といたしましても、ただ仲間内だけのお金のやりくりということを超えたような金融取引が行われているというような例もあろうかと思います。  そういう意味で、都道府県がこのような金融機関を監督していかれるのにいろいろ御苦労が多いというのも私どもよく承知もしておりますけれども、しかし、現在のそれぞれが責任を負って分担していくという仕組みに基づきながら協力をして、金融システム全体として遺憾のないように対応していきたいと考えております。
  83. 若松謙維

    若松委員 やはり御答弁は、いわゆる護送船団方式の呪縛というのですか、から逃れられないという感じを受けるわけですね。  先ほど、信用組合というのはいわゆる仲間内、そういうことで、また商法的な株式会社とは違う、そんな御説明だと思いますけれども、じゃ実際にこの中企法というのですか、この協同組合を規定する法律、これに組合員外の預金、これは総預金の百分の二十までがいいという、員外預金百分の二十ルールがあります。ところが実際に、私も先ほどの県も行きました、二、三行行きました、もう九割方これを超えております。五割なんてざらです。  というのはなぜかというと、先ほど言いましたように、金融の自由化、世界的な金融の自由化で仲間内の金融のやりとりはもう困難になっている、だから員外預金を求めざるを得ない。これは都道府県の検査員も指摘しているわけだけれども、口では言うものの、思い切り指導権的な、それを超えるんだったら実際に組合をやめさせるとか、実際そういうことをやっていれば、少なくともこの東京協和信用組合、さらに安全信用組合の事件は起きなかったのですよ。その点はいかがですか。
  84. 西村吉正

    ○西村政府委員 御指摘のように、信用組合はもともと相互扶助の精神に基づきまして、その組合員に対する金融サービスの提供を目的とした組織でございますので、利用者は組合員であるということが原則でございます。なお、預金の受け入れにつきましては、これも御指摘のように総預金の二割を限度として組合員以外の者からの受け入れが認められている、そういう制度になっております。  法律等の遵守につきましては、監督官庁である各都道府県により日ごろの行政指導や検査等を通じまして指導されていると承知しております。
  85. 若松謙維

    若松委員 承知しておりますというところですけれども、そういう実際に百分の二十のルールが守られていないということは事実なんですよ。ですから、全然お答えにはなっていないわけなんです。じゃ、万が一その百分の二十のルールがほとんど守られていない、そういった現状に対して今後どういうふうに指導されますか。
  86. 西村吉正

    ○西村政府委員 監督官庁である東京都からは両組合の組合員以外からの預金の受入額は相当多額に上っているというふうに伺っておりますが、いずれにしましても、員外預金の受け入れ規制の問題につきましては、基本的には監督官庁である東京都が御判断される事項でございまして、私どもはその取り扱いについてコメントすることは差し控えさせていただきたいと存じます。
  87. 若松謙維

    若松委員 要は、そうすると、各都道府県に任せる、そういう御理解でいいわけですね。
  88. 西村吉正

    ○西村政府委員 監督に当たられる方の御判断によって行政が行われるというふうに理解をしております。
  89. 若松謙維

    若松委員 だんだん禅問答になってきましたけれども、じゃ、その信用組合の秩序維持、これはだれが責任を負うんでしたっけ、もう一度お願いします。
  90. 西村吉正

    ○西村政府委員 個々の金融機関の経営につきましては、監督に当たる者が主として担当するということでございますが、金融システム全体の問題ということにつきましては、私たちが中央銀行と協力しながら責任を持って当たっていかなければいけない、このように思っております。
  91. 若松謙維

    若松委員 そうしますと、今、信用組合の総預金量、二十四兆近くあります。これのうちの員外預金、どのくらいあるでしょうか。三割から五割あると思います。それを都道府県の検査官の方が実際に責任を負っている。全体的には大蔵が責任を維持している。  何か釈然としないのですけれども、大蔵大臣、この二〇%ルールは守られていない、これは大事な問題だと思うのですね。じゃどうするか。自由化だから、この二〇%というルールは、法律は取っ払っちゃった方がいい、そういうお考えなのか。やはり二〇%というのは、先ほどの個々の経営じゃなくて、金融システムを守るという観点から、これはやはりきちんと指導させるべきか、どういうお考えですか。
  92. 武村正義

    ○武村国務大臣 今のお話を伺っておりまして、個々の信用組合に対する監督責任は、都道府県知事さんであります。しかし、金融システムとか我が国の信用秩序全体については、大蔵省、各種の法律を通じて責任も預かっておるし、日本銀行は日本銀行の立場でまた責任を強く感じていただいているところでございます。  そうすると、全体としては機関委任になっているこの信用組合、今回の東京都の二つに限らず、先般も神奈川でもそういう例がありましたし、昨年は岐阜でもありました。私がまだ短い在任中ではございますが、三件こういう事例が発生しておりますし、過去にもいろいろなことがございました。  元暴力団の方が理事長をやっているとか、政治家ないしは元政治家が、政治家がやっちゃいけないというわけではありませんが、そういうところもありまして、非常に地域に密着した信用機関ということではありますが、それだけにやはり、大きな、経験豊かな金融機関と違って、いろいろな要素が入り込むということも考えられますだけに、むしろ大銀行以上にこういう小さな信用組合には、絶えず監督とかチェックというばかりじゃなしに、いい意味で相談に乗って、間違いを起こさないように関係者が目を向けている必要があるというふうに認識をいたします。そういう立場でどうするかという議論は、大いに国会も含めて大蔵省も日本銀行も考えなければいけないなというふうに思っております。  今、百分の二十の、中小企業協同組合法のこの規定を変える変えないについては、まだ具体的なお答えをする用意ができておりません。
  93. 若松謙維

    若松委員 じゃ、その百分の二十のルールについて、現状と照らし合わせて、今後何らかの善処を検討されるということはお約束できますね。
  94. 西村吉正

    ○西村政府委員 員外預金の受け入れにつきましては、先ほど申しました信用組合の性格にかんがみまして、協同組織性を逸脱しない範囲に限られるべきものと考えます。他の協同組織金融機関と同様に、一定の制限が設けられているものでございまして、現段階におきましてこの制限を変更することは考えておりません。
  95. 若松謙維

    若松委員 それでは、現場ではかなりこの二〇%ルールを大幅に逸脱している。それに対しては、先ほどの大きなシステムを守る立場の大蔵省としては明確に指導していくわけですね。それはノーとは答えられないですよね。いかがですか。
  96. 西村吉正

    ○西村政府委員 私どもは、法令に定められた制度がきちんと遵守されていくということは大切なことだと考えております。それをどのようにして実現をしていったらいいかという点につきましては、地方自治との関係とかいろいろな問題があろうかと思いますが、なお、今後ともそのような方向で努力をしてまいりたいと考えております。
  97. 若松謙維

    若松委員 その努力の内容をもうちょっと詳しく言っていただけますか。
  98. 西村吉正

    ○西村政府委員 現在までの信用組合の監督につきましては、先ほども申し上げましたように、都道府県知事の判断にゆだねるということで進めてきておりますし、今後とも都道府県知事が監督に当たられる、それを側面から私どもが御協力するという形は必要かと存じます。  今回につきましても、都知事の御要請に応じまして検査に協力するというようなことを行っておりますが、それだけで十分なのかどうか、また、これは地方公共団体側からの私どもに対する御要望のあり方ということとも関連いたしますので、今後地方公共団体側とよくその点について意見の交換をしてまいりたいと考えております。
  99. 若松謙維

    若松委員 やはり御答弁は護送船団方式、要は、まだわからないのですね。都道府県の検査の責任、権限、さらに大蔵省との関係、結局こういう形でいつも、要は、大蔵の強力な権力を使ってこれからの大きな金融自由化を乗り越える、そしてさまざまな個々の問題は全部こうやって護送船団方式の中で、ある意味ではあいまいにしていく、責任のあいまい化、私はこういう構図ではないかと観察されるわけですけれども、ぜひ政治家としての武村大蔵大臣、さきがけ代表で大変行革を期待するところですけれども、そういった観点からこの問題どうお考えでしょうか。
  100. 武村正義

    ○武村国務大臣 先ほども、預金者と金融機関関係で、多くの国民の皆さん、預金者としての国民の皆さんの意識に触れましたが、証券市場を例にとりましても、これもまた、産業構造改革で、いわゆる店頭登録市場をもっと活性化していこうということになっております。  大蔵省も、最近規制緩和等をさせていただいたのですが、アメリカの市場に比べるとまだまだ不十分である。この議論もちょっと国民の、いわば投資家の意識の問題に絡まってくるわけで、決して逃げようとは思っておりませんが、NASDAQなんかは、冒険の要素も持った新しい企業がどんどんどんどん登場します。そうすると、調べて、これはおもしろい、これは成功したら大変いいだろうというので、ぼんぼん金を出していきます。そういう企業はかなりつぶれます、失敗して。しかし、投資家は何にも言いません。これはもう、そういう点では割り切りが非常にはっきりしています。  日本の場合は、かつての株の問題もそうでしたけれども、もし登録制度なり、上場会社の厳しい基準を経ていやしくも上場された会社が倒産したりして株がだめになるようなことがあったら、大蔵省何をしている、監督責任を厳しく問われるというか、そういう意識を考えて、やはり基本は、委員もおっしゃるように、やはり一つ一つの金融機関が自己責任を全うしていただく時代を迎えた。特に、金融自由化の時代というのはずばりそのことだと思うのですね。  そういう中で、こういう、みんなが助け合って救わなきゃならないというのは大変残念な事態だと私は思っております。質問されながら、非常にそこに戸惑いというか、すっきりしない気持ちをお与えいたしておりますが、しかし将来はそこはやはりもう少し明確にしていく必要がある、こういう形をいつまでも日本が続けることはもう許されない、そういう思いを強くしております。
  101. 若松謙維

    若松委員 今、将来のお話をされましたので、じゃ、将来こういった信用組合、中小の金融機関、これの信頼のさらなる充実というところで、将来都道府県の検査を強化するとかまた大蔵検査が入るとかそういった検査を充実する、これは一つの方法だと思うのです。もう一方、情報公開をしていく、その情報公開は必ず外部の専門家のチェックを受ける。やはりどっちか、私は両方とも必要だと思うのです。  将来さらにこの金融自由化、さらには自己責任の明確化、こういった大きな流れで、今後改善点としてはどういった方向になるでしょうか。
  102. 西村吉正

    ○西村政府委員 御指摘のように預金者、これからは金融自由化時代を迎えまして、預金者の側にもこの金融自由化ということの自覚をより促し、そういう中でこういう問題も市場原理によって処理されていくという方向に、大きな方向としてはそういう方向にあると思います。  その場合に非常に大切なことは、今御指摘のありましたディスクロージャーという問題が一つあろうかと思います。預金者に自己責任を求める前提としては、その預金者が判断の材料を与えられるということが前提になろうかと思いますが、それはディスクロージャーというものもその一つだと思います。  ただ、難しいのは、今までこの金融機関のディスクロージャーというのは、全員、全国民を相手にする株式会社組織の銀行というようなもののディスクロージャーというものが主体になって議論をされてきたわけでございますが、今回問題になりました組織は、組織としては組合員、会員の相互の金融を扱う組織ということでございまして、従来の考え方からすると、これは国民みんなに情報を開示するということをしなくても、仲間内に情報を開示すればいいんだ、そういう考え方で処理されてきたわけでございます。  今回このような問題が起きたわけでございますけれども、従来のようなそういうディスクロージャーの考え方でいいのかどうかというような問題提起も含んでおるのではないかと考えております。
  103. 若松謙維

    若松委員 それでは、この情報公開というところでちょっと質問を集中させていただきます。  御存じのこの信用組合を規定する中企法ですね、四十条三項に、組合員及び組合の債権者、この場合には預金者等に対して、総会、理事会の議事録または決算関係書類の提出、備えつけ及び閲覧の義務が規定されている。特に組合員の場合には、組合員といったって実際に一行大体一万人、二万人はざらですから、こういった人たちが果たしてそれぞれの理事の経営実態に身近に接しられるかというのは私は本当は疑問だと思うのですね、一万人、二万人いながら。だからこそそういった方々に適切な情報公開、ディスクロージャーをしていく。  ところが、実際にそういった情報とする議事録さらには決算の主たる事務所への備えつけ、行われていないのですよ。ここら辺も、知らないで組合は何とか決算をする。先ほど言いましたように、その決算書は外部のチェックを受けていない。実質的にタコ配的な状況にある。  実際もう一方、銀行法、今まで銀行というのはいわゆる大蔵検査さらに日銀考査でしっかりチェックをやっているから外部のいわゆる会計監査、公認会計士監査なり要らなかった。ところが、いろいろな事件が起きてやはり必要だということで昭和四十九年、五十年あたりから導入されてきた。  さらには相互保険、これも組合員同士でかかる、相互員同士ですから、非常に信用組合と基本的に同じです。だけれども、その重要性にかんがみ、これは昭和四十九年から保険業法六十七条で、商法の特例、いわゆる商法では大会社、資本金五億円以上、負債二百億円以上の大会社の特例法を適用して外部監査を受ける、いわゆるこれは行政監査じゃありません。大蔵検査でもないし日銀考査でもない。全くチェックのプロ、監査のプロ、いわゆる期間損益というところを明確にチェックできるプロが入っているわけです。  ところが、この中小金融、先ほど言った一兆円ある。大きいところは預金量が一兆円ある。こういったところが、商法で言う商行為ですよ、これは。組合員、仲間組織といいながら非組合員も多い。これは商行為ですか。まずこの判断、法務省ちょっとお答えをお願いします。
  104. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 商行為の概念は営利を目的とするということで商法上定められているわけでございますが、この中小企業等協同組合法に規定しております信用協同組合、これは先ほど来大蔵御当局から御答弁がありましたように、制度として商行為を行うものとして設けられているものではないというふうに理解いたしております。
  105. 若松謙維

    若松委員 商行為ではないわけですね。いわゆる商法というのは、規定するところが株式会社とかという法人組織、さらには商法上の匿名組合ですか、こういったところですけれども、ところが実態としてはやはり商行為ですよ、利益を得ているわけですから。それでかつ非組合員が多くなっている。非常に公共性が多くなっている。  そうすると、ではいわゆる生命保険会社、いわゆる相互会社方式とこの信用組合方式、商行為という観点からどう違いますか。ちょっと法務省の見解を求めます。
  106. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 先ほど制度として商行為を行うものではないという理解であるというふうに申し上げましたが、営利を目的とするものではないというふうに理解しているというふうに申し上げさせていただきます。  ただいま御指摘の点につきましては、私ども中小企業等協同組合法の法制度としては一応法律は承知しておりますが、その活動の実態がどうであるかということについては私ども承知できる立場に二ざいませんので、その実態に照らしてどうかという点については、私どもの方から御答弁することを差し控えさせていただきたいと思います。
  107. 若松謙維

    若松委員 原局の局長が答弁差し控えられますので、法務大臣おいでだと思うのですけれども、今お話を聞いていただいて、先ほど言った生命保険会社、これもいわゆる商法の外部チェック、会計監査というところを受けて情報開示の信頼性を高める、こういった準用をされたわけです、商法の準用。この信用組合についても、やはり一定規模の、例えば二百億、預金二百億とは言わないまでも、例えば預金量一千億以上とかそういったところに対しての外部チェックというのをやはり導入すべきではないか。それが本来商法をしっかり監視すべき立場ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  108. 前田勲男

    ○前田国務大臣 一般論といたしましても、信用組合、今話題となっておりますが、経営の健全化というのは望まれるところでございます。御指摘の点につきましては、特に監督官庁でございます都道府県知事あるいは所管の大蔵省、日銀のお考えでやっていただきたい、かように考えております。
  109. 若松謙維

    若松委員 それでは法務大臣としては、この信用組合、いわゆる商行為、利益行為ではないとおっしゃいましたけれども、実質的に商行為的なところについては自分の管轄ではない、そういうことでよろしいわけですか。
  110. 前田勲男

    ○前田国務大臣 商行為の解釈につきましても、所管の大蔵並びに都道府県知事等に御判断をいただきたい、かように考えております。
  111. 若松謙維

    若松委員 やはり大蔵の方に聞かざるを得ません。先ほどの情報公開、さらに先ほどの特金、ファンド物の含み損、さらには実質的な焦げつき状態となっている債権の回収可能価値、そういったところも含めてのやはり外部チェックというのは求められているという、そういった御認識だと理解いたしました。  では、今後、先ほどの商法の大会社の特例法ですね、これの外部チェックというのですか従来の大蔵、日銀検査、やってないわけですから、実際に都道府県検査、これだけに任せるのではなく、今後情報公開もさせながら、かつその情報公開の情報を信頼足らしめる外部チェックの導入にどういったお考えでしょうか。
  112. 西村吉正

    ○西村政府委員 信用組合等の監査につきましては、まず現状の内部監査体制の充実を図るとともに、監事の機能強化等を図ることが重要でございます。  一昨年の金融制度改革法の施行によりまして、監事が業務監査まで行うことができるということ等の改正が行われました。監事につきましては、現在、公認会計士等を含めました外部からの選任が可能となっておるところでございまして、監督官庁である都道府県が適正な指導監督を行うに当たりまして、ただいまの御意見を貴重な御示唆と受けとめまして、幅広い観点から工夫、検討されることを期待したいと存じます。
  113. 若松謙維

    若松委員 先ほど監事が導入されているからというお話ですけれども、少なくとも銀行監査、都市銀行、そういった大手の銀行ですけれども、これは当然銀行法によりまして、先ほどの外部監査、しっかり行われている。ところが、やはり外部監査はあくまでも会計面の監査です。いわゆる業務監査というところで、それじゃ足りないから、さらに去年から始まったのが社外監査役。今おっしゃっているのは社外監査役をこれからやろうかなということなんで、何か意識的に十年おくれていると思うんですね。いかがですか、もっと早急に、金融自由化はもっと早いんですよ。いかがですか。
  114. 西村吉正

    ○西村政府委員 金融機関にとどまらず、日本のこのような監査の制度運用というものが十分なものであるかどうかという点については、ただいま御指摘のような問題もあろうかと存じますが、特に私どもの関与いたします金融機関について、ただいまの御指摘を受けとめまして検討をしてまいりたいと考えております。
  115. 若松謙維

    若松委員 検討していただけるということなので、今後にお任せいたしますけれども、これからのチェック機能、情報開示にしろ、このチェック機能というものを、先ほど検査、いわゆる行政人数の増加に任せるのかそれとも、今行政改革の流れですから、同じ質の人を幾らふやしたってそんなに成果は出ないんですよ。だからこそ、外部の全く新しい違った発想の人が一人いるだけで大きく違うんですね。やっぱりそういった外部チェック、外部監査というのを明確にやるべきじゃないでしょうか。  大蔵大臣、いかがでしょうか。
  116. 武村正義

    ○武村国務大臣 今、若松議員のような公認会計士さんもお入りいただいて、できる制度ができたようでありますが、さらにこういうチェック機能、内外ともに高めるようにひとつ勉強をさせていただきたいと存じます。     〔委員長退席、三野委員長代理着席〕
  117. 若松謙維

    若松委員 ぜひしっかりと、かつ金融自由化は、高速度とまでは言いませんけれども、大変早いスピードで来ておりますので、本当にここ両月ぐらいで具体的な試案なりが出せるようにお願いいたしたいと思います。  さらにつけ加えさせていただきまして、信用金庫、これもかなり、今全国に四百二十八の信用金庫があります。総預金量として九十兆ですね。大体一金庫当たり五千億の預金量、これが実態です。これに対して、今、大蔵検査、さらには日銀考査、こういったチェックが行われているわけですけれども、それでは、じゃいわゆる大蔵検査ですね、実際に本省は余りやっておりませんけれども、財務局あたりがやっているところ、これは今二百八十四名の検査員がおられます。これが、じゃ何をやっているかというと、信用金庫、先ほどの五百、地銀、第二地銀、労働金庫、証券会社、さらには保証協会、合わせると千数百になります。これを二百八十四人でやっている。当然信用金庫の手当ではかなり少ない、これが現実ですね。もうわかりますよ、この数字だけで。  そうすると、信用組合と同じような考え方で、あるいはこれは検査体制を強化する、これも大事でしょうけれども、やはり国民に直接はねかからない、いわゆる受益者負担という考え方からの外部チェック、これは早急に導入すべきではないかと思いますが、いかがですか。
  118. 西村吉正

    ○西村政府委員 信用金庫は、ただいま御指摘のように、平成六年三月末で四百二十八庫、資金量にいたしまして九十兆四千九百六十一億円という金額を扱っておるわけでございますが、信用金庫に対する大蔵省の検査は、信用金庫を個々に監督する立場から、同法八十九条に基づきまして財務局の検査官が実施しております。また、日本銀行と当座預金取引のある信用金庫につきましては、日本銀行による考査をも受けておるわけでございます。  日銀の問題についてはコメントを差し控えますが、大蔵省の検査体制につきましては、信用金庫の業務内容が一段と複雑となっていることなどを踏まえまして、研修の充実等を通じた検査官の資質の一層の向上に加えまして、財務局検査官の増員等によりその充実強化を図っているところでございますが、ただいま御指摘のように、財務局の検査官数は近年少しずつ充実してはきておるものの、平成六年度で二百八十四名でございます。  今後とも検査体制の整備充実を図りまして、的確な検査の実施に努めてまいりたいと考えております。     〔三野委員長代理退席、委員長着席〕
  119. 若松謙維

    若松委員 大蔵大臣、恐縮ですけれども、先ほどの信用金庫、これについて信用組合と同じようにやはり外部チェック、こういったところを、検査役の、検査部の強化ではなくて、外部なりの全く新しい観点からのチェック、こういったところについて積極的に取り組まれますか、それともそうじゃないか、お答えいただけますか。
  120. 武村正義

    ○武村国務大臣 局長がお答えをしているとおりでありますが、従来の検査についてはお話を申し上げたとおりでございますが、なお外部検査という御提案をいただいているわけですね。  私ども、大蔵省の検査と日本銀行の考査、金庫以上についてはこれで今日までもやってまいりましたし、今後もこれを基本にしてやっていきたいというふうに考えております。
  121. 若松謙維

    若松委員 大分この信用組合問題につきしまして、今までの問題の総括、さらには今後の改善を含めた提案等も議論させていただきました。  ぜひとも政府にありまして、早急にこういう問題が起きないような体制、これを築いていただきたい。そのための、従来の護送船団方式というところをやはり乗り越えられる全く新しいものというものをつくっていただきたい、そのように要請して、次の質問に移らせていただきます。  次に、予算委員会ですから、予算制度と決算制度関係について質問を移らせていただきます。  これから申し上げる数字、国民総生産、いわゆるGNPですね。さらに政府支出、この政府支出というのは、国、さらには地方財政、そして財政投融資、財投、この三勘定、それぞれに入りくりは全部相殺した三勘定の支出、これがGNP比率でふえているのか減っているのか、これについてちょっと調べました。  そうしますと、平成二年度は政府支出、地方も含めた、財投も含めた政府支出、GNP比で一五・七%、平成三年度が一六%、四年度が一七・四%、五年度が一八・四%、六年度が一八・九%、非常にふえている。いわゆる政府仕事がこの日本経済の中でふえている。一方、行革行革と言っている。何か非常に矛盾した話が起きているわけです。さっきの二〇%ルールしかりです。  こんな状況で財政肥大化、いわゆる一般会計、国の一般会計を中心として地方財政に回す、さらに財政投融資も使っていく、こうやっていくうちにトライアングルで知らないままに日本の経済が、いわゆる行政政府支出の比率が多くなっている。これは民間の活力の削減ですよ、明確に。  こういった状況に対して、本当は総理がいらっしゃればいいのですけれども、この行財政改革に積極的に当たられております大蔵大臣、申しわけないです、通告しておりませんけれども、政府支出がGNP比率で多くなっている、この現状に対してやはり行財政改革はやらなくちゃいけない。どういう御決意というかやはりこれはふやすべきですか、それとも減らすべきですか。
  122. 武村正義

    ○武村国務大臣 政府支出の対GNP比率の論議は、まさに国民負担率の議論にも通じますし、単純に言えば大きい政府、小さい政府という議論にもかかわってくる大事なテーマであります。  行財政改革という視点で私どもが意識をしておりますのは、やはり年度年度の財政上の入りと出を極力均衡させていく。その間にいわば国債を発行するという道があるわけですが、その道がどんどんどんどん積極的に活用されたために二百十二兆という巨大な国債を積み上げてしまった。こういう反省に立って、どうしてその年度の健全な財政収入に見合う健全な財政支出でバランスをさせていくか、このことでやはり財政改革に目を向けていかなければいけないというふうに思っております。
  123. 若松謙維

    若松委員 それでは、いわゆる内閣全体を、行政全般をチェックいたします会計検査院の方にお聞きいたします。  今のような観点から、この肥大化する行政、こういったところについても会計検査院、ただで税金で飯を食っているわけじゃないと思います。いろいろな前向きな提言をしてしかるべき立場ではないか。いわゆる総理大臣もチェックする立場ですので、そういった観点からのこの予算の肥大化というところに対する歯どめ、こういったところを援言されてきたのか、またはされるお気持ちがあるのか、そういった点から御答弁をお願いします。
  124. 矢崎新二

    ○矢崎会計検査院長 お答え申し上げます。  御質問の財政制度全般的な改革の問題でございますが、これは大変重要なテーマであろうと思います。したがいまして、会計検査院といたしましては、単にその個別の不当事項を指摘するということにはとどまりませんで、検査の結果、不適切、不合理な事態が判明いたしました場合には、その原因の究明を徹底して行うことにいたしておりまして、予算や政策の内容についても検討をいたしておるわけであります。  その結果、法令、予算、制度行政に関しまして改善を必要とするような事態があると認められました場合には、会計検査院法の規定によりまして、関係当局に対して所要の意見表示とか、あるいは処置要求を行うことにいたしております。また、あるいは事態の進展に向けて、国会を初め国民全体に対しまして広く問題提起をするというような手法もとっているところでございます。
  125. 若松謙維

    若松委員 今、その非常に膨大な予算規模に対しまして、会計検査院約八百人、延べ現場のチェック時間が四万数千日。その結果、平成五年度の検査結果報告が、指摘事項として約二百数十件、百数十億、何か少ないように感じるのですね。その指摘、いわゆる検査、会計検査院の方が一生懸命やっていないから少ないのかまたは行政が一生懸命やっているから少ないのか、もうどっちかだと思うのです。  ところが、私もいろいろ聞いてみますと、外務省に査察使というこういった制度があるのですね。外務省の内部チェックです。そういったところが海外の在外公館に行きまして、それで当然その在外公館には出納官というのですか、実際出金している方、そういったところで、これは問題があるんじゃないですかと自己申告的にお伺いを立てると、百万ぐらい問題になりません、そういうことは言わないでくださいと、反対に査察使から言われたそうです。  そんな意識を行政が持って、さらにその上で会計検査院がこの八百名の検査員を持ってチェックしている。果たしてこの検査結果というのは、いわゆる世間相場から見て、何万時間という、ですから四万ですから総時間ですと三千万時間かけてその程度のチェックしかできないのか、国民が恐らく知りたいところだと思います。いかがでしょうか。
  126. 矢崎新二

    ○矢崎会計検査院長 会計検査院は、御承知のように約千二百人の職員で業務を遂行いたしておるわけでございます。これにつきましては、いろいろな検査上の工夫を加えまして、できるだけ徹底した、重点的な検査ができるように努力はいたしております。  ただいま会計検査の指摘額が結果として非常に少ないのではないかなというふうなお話もございましたけれども、しかし、百四十一億円という金額は、やはり一人一人の国民の生活感覚から申し上げますれば相当大きな金額でありまして、決して少ない金額であるとは私は思っておりません。  確かに検査対象は非常に広範多岐でございますし、検査をしなければならない対象機関も非常に多いわけでございます。したがって、毎年これを悉皆的に全部検査するというわけにはもちろんまいりません。しかしながら、私どもは年度の初めに検査の実施に当たりまして検査計画というものを内部でつくりまして、そして重点的にどういう方向でやろうかということを十分考えまして、そして具体的な検査を各局、各課が分担をして実施をいたしておるわけでございます。  結果的に全機関はもちろん見れませんが、例えば本社とか本省といったふうな重要機関については、毎年約四〇%ぐらいの検査を実施をしておるということでございまして、そこはやはり重点的な検査能力の傾斜配分をしながら、効果的な検査が行われるように努力をしているという実情についてぜひ御理解を賜りたいと思います。
  127. 若松謙維

    若松委員 それでは、またこれも国民からは非常に疑問として起きる質問ですけれども、要は、今予算委員会やっております。予算を分捕ったら、後は使い放題、こんな意見が非常に多いわけです。いわゆるこういったむだな予算を削減していくような機能、これは会計検査院として実際に機能を発揮していらっしゃるのか。いわゆる事後評価、さらには新規投資をチェックしていく、こういった非常にサイクルというのですか、こういった観点からはいかがでしょうか。
  128. 矢崎新二

    ○矢崎会計検査院長 御指摘のように、検査の結果が予算に反映をされる、あるいは執行の面でも反映されるということが大変重要なポイントであろうと私どもも考えておるわけでございます。  先ほども申し上げましたように、私どもは、会計検査の結果問題がございますと、不当事項として指摘をしたり、あるいは改善を必要とする事態については、意見表示なり処置要求をするといったようなことをいたすわけでございます。そういった一種の提言機能を果たしているのが一つと、それからもう一つは、ただいま先生の御指摘がございました、一種の監視機能という面でも最大の努力をしているつもりでございます。いわゆるフォローアップの仕事でございます。  具体的に申し上げますと、不当事項等につきましては、是正処理をした状況であるとかあるいは再発防止対策の状況、さらには関係者の処分状況等について調査をし報告を得ておりますし、三十四条、三十六条の意見表示なり処置要求の事案については、その後の処置状況を調査し、また検査報告にその後の状況を毎年掲載していくというふうなことも行っているわけでございます。  それからさらに、財政当局との連絡会というものも、これは毎年定期的にやっておりまして、私どもの検査結果について、十分各担当ごとに説明をする、その結果を予算に反映させていただくようにお願いをしておりますし、現にそういう措置がとられた事例もいろいろと承知をいたしておる次第でございます。
  129. 若松謙維

    若松委員 これで最後の質問にさせていただきます。  いわゆる大変限られた人員、予算で最大の検査結果を出す、これは大変難しいことだと思いますのであるがゆえに、会計検査院の検査、具体的に何をやっているのか、なかなか国民にはわかりにくい。  検査報告書を見させていただきます。これは結果として出ています。ところが、何を基準に検査をやっているのか、例えば人数はどのくらい本来あるべきなのか、そもそも論ですよ。かつ検査計画はしっかりやるべきなのか検査手続は個々にどういうふうにチェックしていくのか、やっぱりこういった会計検査の手続がどういうふうに行われているかという透明性の確保が大事だと思っているのです。  その透明性を確保する一つの手段として、会計検査を行う上での規範となる会計検査基準、この確立が必要ではないかと思います。この会計検査基準ができれば、国民は、そして議員は、どういうふうに会計検査を行っているのか、これはこういうふうに改善した方がいいというふうに指摘できるわけです。そういった観点から、会計検査基準なりの規範、いわゆる透明性の確保という観点から、そういうものを前向きに検討されるかどうか、御答弁お願いします。
  130. 矢崎新二

    ○矢崎会計検査院長 ただいま御指摘の問題は、要するにポイントは、会計検査を効果的に実施するために配慮をすべきポイントを明らかにしていくべきではないかということではないかと、私なりに理解をしておるわけでございます。  そのような問題として考えてみました場合に、具体的なポイントとしては幾つかあろうかと思います。  一つは、検査を効率的、効果的に実施するための検査計画を立てるということであります。それから、二番目には、検査を実施する場合に、どのような観点からアプローチをすべきかということについての方向を示すということです。それから、三番目には、検査業務の一連の流れの中で、調査官の作業を適時適切に管理監督をするための体制を確立しておくというようなことではないかなというふうに考えておるわけでございます。  そこで、会計検査の今の現状を眺めてみますと、私はこういったポイントは既に業務運営の中で具体化されているというふうに思っております。例えば、先ほど申し上げましたように、毎年の検査業務を開始する時点で検査計画を策定しまして、その年の検査の重点事項を各調査官に徹底をいたしております。  それからまた、検査の観点につきましては、先生十分御承知と思いますけれども、会計経理が予算や法令等に従って適正に処理されているかという合規性の観点、あるいは個々の事業が経済的、効率的に行われているかという経済性、効率性の観点、それから事業全体が所期の目的を達成し、効果を上げているかという有効性の観点、そういったことから多角的に検査すべきであるということを、毎年度の決算検査報告の中で明記をいたしておりまして、一般にも公表をしていることでありまして、部内においてもいろいろな機会に常時徹底をしているわけであります。  それから、業務の管理監督の点につきましては、これは十分に部内で管理を徹底するということを長年やっておるわけであります。  したがって、私としては、こういうことで、現状で十分対応ができているのではないかというふうに思っておりまして、御指摘のような文書化を改めてするということは、現在考えていないところでございます。(発言する者あり)
  131. 若松謙維

    若松委員 本当に最後にしますけれども、ぜひ、与党の委員から前向きなお話もありましたので、これは本当にこれからも透明性をさらに確保する立場から、院長、私個人の考えとしては大変今おくれていると思います。さらにこれは追及させていただきます。今後ともよろしくお願いします。  ありがとうございました。
  132. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて若松君の質疑は終了いたしました。  午後二時より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時五分休憩      ――――◇―――――     午後二時八分開議
  133. 佐藤観樹

    佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。正森成二君。
  134. 正森成二

    ○正森委員 日本共産党を代表して、幾つかの問題について質問させていただきますが、まず第一に、東京共同銀行設立をめぐる問題について伺いたいと思います。  昨年の十二月九日に、東京協和信用組合と安全信用組合を救済するため、受け皿となる普通銀行を日銀と民間銀行等が共同出資して設立することが決まりました。これが東京共同銀行ですが、周知のように、日銀が日銀法二十五条を、山一証券事件以来、二十数年あるいは三十年ぶりに発動して、二百億出資することを初め、預金保険機構の四百億など、東京都、民間銀行を含めると千六百億円強を超える公的資金等を投入するものであります。  しかしこれは、九四年十月三十一日、つまり、こういうことが発表される直前の金融研究会で三重野日銀総裁が行った「金融システムの安定と日本銀行の役割」という日銀の基本政策を鮮明にした講演の内容や考えから見て、おかしいのではないですか。  ここにその講演の原稿を持ってまいりましたが、そこでは、こう言っています。  中央銀行にとって最大の関心事は、問題の個別金融機関を存続させるかどうかということではなく、そのことが金融システム全体を揺るがすことになるかどうかである。金融機関といえども一個の私企業である以上、ときには経営破綻の状態に陥ることもありうるが、すべての金融機関を破綻から救うのは中央銀行の仕事ではない。個々の金融機関が破綻すべくして破綻することは、競争メカニズムに支えられた健全な金融システムを育成していく観点からは、むしろ必要でさえある。ただ、そうした破綻が金融システム全体を揺るがすことになる場合は、それを阻止しなければならない。こう言っています。  これは御承知のとおりで、当時の新聞には、日銀総裁も金融機関の倒産を容認しておるということで報道されたとおりであります。この趣旨からいって、今回の東京協和あるいは安全の救済というのは、非常に問題があるんじゃないですか。
  135. 田村達也

    ○田村参考人 先生が御引用されましたように、三重野前総裁は金融機関のあり方について説明しております。  個々の金融機関を存続させるかどうかということが課題ではなくて、その個々の金融機関のことが、このことによって金融システム全体を揺るがすことになるかどうかということを考えることが重要である。実際には、個々の金融機関は破綻すべくして破綻する。そして、そうした競争メカニズムに支えられて健全な金融システムが機能するというふうに言っております。  しかし、困難に陥った金融機関が何らかの処理により姿を消す、そして株主や経営者が相応の責任をとられる、とる、そういった場合には、これはむしろ倒産というふうに呼んでしかるべきだということも前総裁は述べています。  確かに一部には、金融機関を、預金保険機構による一千万円以下の預金の代払い、ペイオフを行うときにのみ倒産というふうな言い方をする場合もありますけれども、そういう言い方をする人もありますけれども、ペイオフがそういった問題処理の唯一の方法ではないわけでありまして、どのような処理方式を選択するかということは、金融システムへの影響、それからコスト等を考えてケース・バイ・ケースで決定すべきであるという点も同時に前総裁は指摘しているところであります。  こういうふうに、処理のあり方はケース・バイ・ケース、そのときの状況によって決まるわけでありまして、今回の措置は、この二つの信用組合の状況並びに昨今の経済情勢、金融情勢等を考えまして、金融システムの安定という日本銀行、中央銀行にとっての本来の業務を達成する上で必要不可欠な措置として、こういった新銀行の設立、それに対する中央銀行の出資という形をとったわけでございまして、前総裁の講演で述べました趣旨そのものの流れの中で我々としてとった方策でございます。
  136. 正森成二

    ○正森委員 前総裁の講演の流れの中のものだと言うけれども、そんなことは全くないんじゃないですか。  同じ講演の中で、有名なシステミックリスクという言葉を使って言っておりますが、より重要なのは、金融システムには、「システミック・リスク」という特別のリスクが存在するという点である。金融システムにおいては、個々の金融機関が相互の与信・受信によって網の目のように結ばれているため、一箇所で生じた支払不能の影響が、次々と連鎖しやすいという特性がある。また、金融機関はバランスシート上の資産・負債の内容が、比較的同質である場合が多いため、ある金融機関が破綻の危機に直面した場合、連想によって他の金融機関にまで、破綻の連鎖が及びがちだという問題もある。「システミック・リスク」とは、このような信用不安の連鎖によって、金融システム全体が混乱し、ひいては経済全体の安定が損なわれるリスクのことである。こういうことを言って、それを防がなければならない、こう言っているのです。  しかし、この東京の二つの小さな信組の場合、ここで述べているような信用不安の連鎖が生じて、金融システム全体が混乱して、ひいては経済全体の安定が損なわれるというようなリスクは全くなかったんじゃないですか。
  137. 田村達也

    ○田村参考人 この二つの信用組合の預金の状況、負債の状況及び現下の金融情勢等から判断いたしまして、この信用組合といえども、預金を払えない、大口預金はもちろん、小口の預金といえども預金代払いによってしか払えないというふうな状況になったとき、現下の金融システム、バブルの後の全体として非常に体力の弱った金融システムの中で、そういった措置が金融システム全体の安定を損ねる、そういったシステマチックリスクをはらむものであるというふうな判断に基づきまして、今回、預金全体を、取りはぐれのないよう受け皿銀行に移して、そこによって預金全体を救い、金融システムを救っていくという必要があるというふうに判断したものであります。
  138. 正森成二

    ○正森委員 あなたがいろいろ説明されますけれども、そんな説明は国民は皆納得しないんじゃないですか。  昨日、予算委員会に、東京都から、東京協和と安全の経営実態と指導事項という、こういう文書が出ました。しかし、これを見ますと、私は、理事会で各党ともこの報告には満足しないというようなおおよその雰囲気であったと聞いておりますが、それはもっともなんで、ある新聞に、東京協和信組あるいは安全信組に対し東京都が行った改善指導、一部では示達書と呼んでおりますが、それの主な内容がディスクローズされました。  それを見ますと、割と長いものですから要点だけを言いますが、例えば協和信組は、法定限度違反融資は全体の八一・三七%の八百五十七億円、員外預金比率は、きょう午前中も質問が出ましたが、二〇%というような生易しいものではなくて、八三・六五%、理事長の関与する企業等への自己貸し、理事会に付議しない実行、利息貸し増しの繰り返しによる表面的利益計上、追い貸し等々があった、こう言っております。  安全信組も同様で、融資総額の六割、五百九十八億円を自己の経営する企業十六社に自己貸し、協和信用組合の高橋治則理事長率いるイ・アイ・イ・グループに融資した分を合わせると総額の八五%に達する、こういうことになっているんですよ。完全に高橋、鈴木両理事長が私物化していたというように断定しても、もういささかも言い過ぎではない。こんなものに公的資金や、あるいは全国の銀行に言っていわば無理やりに金を出させる、それが信用秩序の維持だなんて言われても、これは国民の多くはもう全く納得しないというように思うんですね。  それで、きょう午前中の質問を聞きますと、大蔵大臣、あなたは身ぶりしながら、取りつけ騒ぎが起こって皆お金を引き出す、それをテレビで報道されたらほかの銀行にも波及する、そんなことにならないように、預金者保護と金融システムの保護が必要だと言いましたが、ここに東京都が作成した預金者の分布の書類があります。これを見ますと、一千万円以下が実に八八・一%に達しているんですよ。これは保険機構で完全に保護され、保証されるものです。  ですから、東京都なりあるいは大蔵省などが何らかの対策をとるにしても、このごろは湾岸戦争でもテレビなんかで報道して猛烈な影響力を持っているんですから、預金保険機構というのがあって、大部分の九割の方は完全に保護されるんです、取りつけを起こされる必要は全くありません、しかもこれは、外へ波及するおそれはありません、この信組は今東京都が示達書で言っているようなこういうむちゃくちゃな内容をやっていたので、そんな内容をやっているのは全国の主な銀行ではございません、いわんや皆さんが親しみのある普通の銀行ではございませんと、こう言えば、信用不安なんか起こるわけがないじゃないですか。そんなことをやるのがまさにシステミックリスクを避けるための道であって、どんな悪いことをしても公的資金を投入するというのが金融秩序の維持だ、預金者保護だ。何とかの一つ覚えという言葉があるけれども、そういうことを言うなんていうようなことは、これは国民は納得しないんじゃないですか。
  139. 西村吉正

    ○西村政府委員 御指摘のように、この二つの信用組合の経営上いろいろな問題があったということは、私どもも認識しておるところでございます。いわば貸し手たる経営者と借り手たる人たちとの関係ということと、お金を預ける人と預かる人の関係ということの両面が金融機関にはあるかと思いますが、一応その問題を分けて考える必要があるように感じたという点が一つでございます。  もう一つは、今御指摘がございましたように、一千万円以下の預金者、確かに八八%、大部分を占めておるわけですが、その人たちは救われるではないか、こういう御指摘でございますが、この人たちに対しても利息は支払われません。元本は戻りますが、利息は支払われません。それから、その元本が戻るまでの間も恐らく数カ月間の手続が必要だろうと思います。実際に多くの預金の支払い関係を処理するためにはしばらく時間がかかると思います。元本のみしか返ってこない、利息が支払われない、しかもしばらくそれが凍結されたままになっている、仮払金という制度はございますが。そういう状態が世の中に報道され、あるいは知られるに至ったときに、日本の信用システムに対する不安感というものが国民の間に生じないだろうかというのが私どもの懸念でございました。     〔委員長退席、三野委員長代理着席〕
  140. 正森成二

    ○正森委員 今の話を聞いていると、預金保険機構というのは全く金融システムの維持には役立たないということを銀行局長が自分で認めておるということにほかならないじゃないですか。そんなばかな答弁がありますか。  そういうことをおもんぱかって、十月三十一日の三重野日銀総裁の講演ではこういう意味の深いことを言っているんですよ。その部分を引用しましょうか。これはアメリカにおける考え方が非常に参考になるということで述べられている部分でありまして、こう言っているんですね。「「セーフティネット」と「モラル・ハザード」」という題です。モラルハザードというのは倫理的、道徳的荒廃という意味で、金融機関がどんなことをしても救済されるということになれば経営者としての倫理的な退廃が起こるということを言うた上で、こう言っているんです。  この問題はかねてから各国政策当局者の頭を悩ませてきたものであるが、近年中央銀行サークルでは、コリガン前ニューヨーク連銀総裁が提唱した「建設的な曖昧さ」(constructive ambi‐guity)というフレーズが一つの手がかりを与えるものとして、折りに触れて引用されている。これは、いかなる者も当然に救済されるといった期待をもつことのないよう、「セーフティネット」の発動については、事前的には、それが当然とは予測できないようにしておくことが肝要という趣旨である。「モラル・ハザード」の発生を避けつつ、「セーフティネット」を適切に運営するうえでの一つの重要な理念を示すものといえよう。こう言っています。  つまり、どんな場合にも助けてもらえるんだというようなことになれば、それを当てにして放漫な経営が行われる、あるいはモラルハザードが起こる。だから、救済するシステムはあ司るけれども、それがどういう場合に発動されるかというのは、やはりその経営者の姿勢とかあるいはそれの全体に対する影響とかいうことを考えてあいまいさを残しておかなければならない、こういう意味なんですね。  ところが、今の銀行局長の答弁や日銀の理事の答弁を見ると、これは預金者に対して、たとえ預金保険機構で九〇%の人に間違いないといっても、やれ利息は払ってもらえないからとか、払うまでに時間がかかるからと言って、この信任を頭から否定して、預金保険機構なんというのは役立たないものであるということを事もあろうに国会の席で銀行当局が言明する、それこそ金融システムを危うくするものじゃないですか、逆に。とんでもない話だ。しかも、最近の新聞を見ると、聞き捨てならないことを日銀と銀行局の幹部が次々に言っておる。  例えば、ここでは、日銀に小島という理事がおりますね。私が調べてみたら、理事の筆頭に書いてあるから相当の古手なんでしょう。この人が、日本経済新町の二月十五日にこう発言をしておる。それを見ると、こう言っておるのですね。「こんな内容の悪い先になぜこの措置を取るのかという議論があるがそれは逆だ。内容が悪いからこそ金融システムを守るためにこの措置を取らざるを得なかったのだ」。それじゃ、悪いことし得しゃないか。悪いことをやればやるほど助けるのが当たり前だ。そんなことを言って、何がコンストラクティブ・アシビキュイティーなんて、そんなばかなことあるか。一生懸命やったけれども予期しがたいことで何か事故が起こったというのではなしに、悪いことをやればやるほど助けなきゃならないんだ。事もあろうに日銀の非常に責任のある理事がそういうことを言っておる。  また、これは大蔵省が言っておるのは、二月十五日付の読売新聞に載っております。これは「「倒産」嫌った大蔵省」で、これも日銀幹部か、「信用不安が起きないとだれが保証できるのか。実験はできない」こう言っているのです。何事ですか、これは。実験ができないということは、今後一切、救済は必ずするということじゃないですか。これは、確実に救済するということを言っているんじゃないですか。こんなことでは、これは金融機関が態度が悪くなるのは当たり前の話であります。  それからまた、それを考えてか、後でまた言いますが、大口預金者がおる。大口預金者は、九三年の七月に長期信用銀行が手を引いたその後に急激にふえているのですね。この銀行は危ないということがわかってから、市中の金利よりも一%とか、時には一%以上高くて、かき集めるから、これ幸いとばかり預ける。そのときに、これは言っては非常に悪いのですが、ある組合関係が集めた場合に、危ないと思ったけれども、日本の銀行はつぶれない、つぶさない、こう思っているから安心して預けた、こう言っているんですよ。そんなことになれば、預金者も自己責任というようなものはなくなってしまうし、金融機関は、悪ければ悪いほど助けてくれる、少々じゃだめだ、悪いことやり放題やれと。そんなばかなことがありますか。
  141. 西村吉正

    ○西村政府委員 日銀の方の御発言は、私はコメントすることは避けますが、恐らくそのおっしゃりたかったことはこういう意味だろうと思うのでございます。  今回の信用組合の経営というのは、確かに常識で判断できないほどひどい状態になっておった、したがって、従来のような手法、今まで信用組合が破綻したというケースは幾つかございますが、その場合には、関係の金融機関と地元の都道府県が協力をして、預金の払い戻しができないというような状況が生じないように手当てをしてまいりました、そういうケースが幾つかございます、今回は余りにひどかったので、そういうケース、従来の手法によっては対応ができなかったんだ、それほどひどいケースであったのでこのような特例的な措置を講じたのだ、恐らくそういう趣旨のことをおっしゃったのであろうかと存じます。  それから、自己責任の問題でございますが、私どもも、今現在、今日直ちに預金の払い戻しが起こらないというようなことが生じますと、それは現在の日本の国民に大変なショックを与えるであろう、そのことは認めながらも、しかしいつまでもこのようなことを続けてもいいとは思っておりません。こういう状況はできるだけ早く解消すべきである、そのためには自己責任原則を貫徹できるような環境整備を一日も早く講じていくのが金融行政の務めであると考えておるところでございます。
  142. 正森成二

    ○正森委員 日銀、何か言いますか。
  143. 田村達也

    ○田村参考人 引用されました小島は私の前任でございますけれども、今回の二つの金融機関は、非常に内容が悪かったために自主再建もできない、それから他の金融機関が引き取って再建することも難しいというふうな状況にありました。そうした中で、預金の不払いということを起こして非常な金融システムの混乱が起こることを回避するためには、今回のようなスキームによる預金の救済そして金融システム全体への波及を回避する必要があるというふうに考えたわけであります。これは、今回のケース、今回の状況、今の経済情勢、今の金融情勢に応じた一つ一つの判断としてこうなったことでございまして、すべてこういうケースにはこういうことをやるということを意味しているわけではありません。  したがって、前総裁の講演にあります健全な不透明さ、コンストラクティブ・アシビギュイティーという概念は我々も常に持っておるわけでございまして、そうすることによって、いわゆる預金者のモラルハザードを少しでも防いでいかなきゃいかぬということでございます。  しかし、預金者のモラルハザードを防ぐためにはこれだけでは不十分でございまして、先ほど大蔵大臣からの御説明にもありましたように、これからの金融の監督行政あるいはディスクロージャーの問題含めて努力していかなければならないところだと考えております。
  144. 正森成二

    ○正森委員 いろいろ言いますけれども、あなたの論理は到底国民を納得させるものではない。  ここに本日付の新聞を持ってまいりましたが、あなた方は、東京共同銀行「五年メドに解体」するというのが大きく出ていますね。これは、いつまでもこういうものを続けることができないので五年をめどに解体する、その中で、異例なことだけれども、「支援融資つきの債権を既存の金融機関などが買い取るなどの形で、収束させたい方針。」だ、うそか本当か知らぬがそういうことを言っておる。  そして、その預金の取りつけ、皆が行ったら、出たら困るなんて大蔵大臣は言ったけれども、現に、去年の十二月から今までの二カ月足らずの間に七百億円以上、八百億円近い金、全体の三割ですよ、それがもう流出してしまっているんです。これはまさに取りつけに等しいことですね。  だから、こういうような資金の流出では資金繰りが急速に悪化して耐えることができないということで、あなた方は早期に収束を図る、こう言っているんですけれども、その後は、「日銀を含めた支援システム全体のバックアップで処理することは可能」、こう言っているんです。これはどういうことかというと、日銀を初め今度千六百億円ほど金を出したものが、さらに支援体制で金をつぎ込むことによってこういう預金の流出について対応することができる、こういう意味です。  解体とはどういう意味ですか。解体というのは、東京共同銀行がこれは倒産するということでしょう。なくなる、つぶれるということでしょう。同じつぶれるんだったら、責任のある二つの信組に早い時期になぜ責任とらせないのですか。だれが考えてもそうじゃないですか。あなた方は五年と言うが、早ければ早い方がいいとここで書いてあります。早ければ早い方がいいんなら、ゼロが一番いいじゃないか。
  145. 西村吉正

    ○西村政府委員 要は、私どもが申し上げたいのは、今回の新銀行の設立というのは、二つの信用組合を救済するためのものではなくて、預金者に影響を与えないようにこの二つの信用組合を終息させる、そのための措置であるということを申し上げたいわけでございます。  したがって、この新しい銀行は、永続性を持って設けられたものではない、この営業を続けていくということを目的として設けられたものではなくて、できるだけ早くこの二つの信用組合の債権債務を整理して、その残った部分についてはいろいろな処理の方法があると思います。場合によっては丸ごとどこかが引き取る、もちろん対価を払って引き取るということでありますが、そういう方法もありましょうし、証券化してそれを流動化するというような方法もありましょう、いろいろな方法があるかと思いますけれども、要は、この今回の新銀行というのは、信用組合を継続させる、存続させる、救済するという目的のものではなくて、それを預金者に迷惑をかけることなく終息させる、その目的のためですということを御説明したかったわけでございます。
  146. 正森成二

    ○正森委員 両信組を救済するためではない、何か金融当局は、今度の東京共同銀行というのは終末処理のホスピスみたいなものだというようなことをうそか本当か言っている者がおるというように聞いていますが、あなたの今の答弁、金融システムの維持というのはちょいと抜けて、今回は、預金者保護、預金者保護と言ったのですが、その預金者は全部保護するに値する預金者ですか。ほぼ九〇%の一千万円以下の小口の預金はそれは保護しなければならぬでしょう。しかし、大口の預金というのは、調べてみると、ごく最近の二年間、つまり、長期信用銀行も手を引いた後、市中よりも一%、場合によってはそれより高いときがあったようですが、そういう非常な高金利で、地域の人とは関係ない、員外で、それでしかも高橋理事長などが猛烈な営業活動をやって、それで高金利につられて集まってきた。だから、きのう発表されたのは匿名でしたが、それを見ても、金融機関だとか保険会社だとかそういう専門的なところがいっぱい入っている。  私は、一々全部は言いませんが、一つ例を挙げたいと思うのですが、十億円超が二十四で、数では〇・一%だが、額では二九・一%、七百十一億円。それから、一億円以上を入れますと六〇%に達するが、預金者全体の数では一%というような、そういう数字ですね。  文部省、おられますか。(与謝野国務大臣「はい」と呼ぶ)どうも。大臣に、事務的なことであるならば事務当局でも結構ですが、福原学園というのがあるはずです。これは、私どもの承知しておるところでは、今から八年か九年ほど前に、生徒数をごまかして裏金を四十億円ぐらいつくっていたために私学助成を停止された有名な学園であると聞いていますが、そういう事実はありましたか、簡単に説明してください。
  147. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 先生の御指摘の学園は、昭和五十九年に、同学園の経営します九州女子短期大学の学生数の虚偽報告及びそれに伴う私立大学等経常費補助金の不正受領など管理運営が著しく適正を欠く事態が判明したため、文部省としては、同年十二月、学校法人に対し、運営体制の刷新、経理の適正処理等、五項目の指導を行ったところでございます。また、補助金不正受領に係る昭和五十四年度から五十七年度までの経常費補助金を返還させるとともに、さらに、昭和五十九年以降五年間、経常費補助金を不交付する措置を講じたところでございます。  その後、同法人においては、理事長以下全理事辞任し、新しく発足した理事会のもとで管理運営全般について自主的な努力が払われた結果、指導事項についての改善がなされたものと承知しております。
  148. 正森成二

    ○正森委員 今私が言いましたとおり、自分の経営する学校で学生数をごまかしたりして、そして裏金をつくっておった、それがばれて私学助成を停止されるということがあったといういわくつきの企業ですね。  銀行局、大蔵大臣、この福原学園というのが、匿名だからはっきりとは出てないけれども、東京協和の大口預金者第二位、六十三億円という学校法人というのがあるが、これがその福原学園だ。これは名前を入れて他のマスコミに報道されておりますから、あなた方は匿名で出したけれども、恐らくそれに間違いがないというように思うのです。  この会社は、会社じゃない、学校法人ですか、過去にそういう悪いことをやったんですが、今度また大口預金で、高い金利で運営上の利益を得るということをやったんですが、それだけでも相当問題で、救済する必要があるのかということですが、実はそれだけではないという報道があるんです。  ここはまた、教育以外のほかの仕事に手を出して、三十八億円ぐらい焦げつきをつくった。それがばれるとまた文部省にしかられて私学助成をもらえなくなるというので、去年の三月までにこれを何とかしなきゃならないというので、東京協和信組に目をつけた。それで、パシフィックネットワークとかなんかいうそうですが、三つぐらいのところに東京協和から融資をさせて、その融資をすぐ自分のところへ返済させる。だから自分は不良債権を回収することができたわけです。それをそっくりそのまま、自己資金を若干つけて東京協和に預金する、それで高利を稼ぐということをやったんだ、そう報道されておる。  そうすると、この大口預金者なるものは何をやったかといえば、自分の不良債権を東京協和をだしにして融資させて、回収させて、その分は全部東京協和の預金になって、その預金は今回の西村銀行局長や日銀のあるいは武村大臣の御推奨のスキームによって全部救われて、いいですか元金だけでなしに、西村局長の好きな利息まで返ってくるということになっているんですよ。  それだけではありません。えらい名前挙げて失礼ですが、新進党の幹事長代理の山口さんの名前が出ました。山口さんは約四十億円借りていた、両方から。もちろん、その中には預金もあったでしょうし、実際の焦げつきというのはその三分の二ぐらいのようですが、これについてもいろいろ報道されておりまして、そういうぐあいに……(発言する者あり)何がおいだ。おいなんて偉そうに言うな。本人じゃないのはわかっているけれども、物の言いようがあるだろう。山口氏は幹事長代理を辞任しているんですよ。何にも関係がなかったら、なぜ辞任するんですか。だから、この方の融資についても見返りに預金が行われたからだというように報道されている。  だから、大口預金といったって、金利につられてといったものだけじゃないんです。そんなものを一律に、預金者を保護するなんというのはおかしいじゃないですか。
  149. 西村吉正

    ○西村政府委員 ただいま御指摘の点につきまして、個別の名前は別としまして、一般論として御説明申し上げるわけでございますけれども、第一に、債権債務の両方の関係がある、すなわち預金もしているけれども借金もある、そういうような人につきましては、当然両方の債権債務関係整理していただくという前提で預金の払い戻しをする、すなわち債務に充てていただくということを優先して預金の払い戻しに応ずるというような方策を講ずることにしております。したがって、その問題は御指摘のようなことはないと思います。  それからもう一つ、もし預金をすることと貸し金をすることとの間に何らかの関係がある、それが法律的に問題がある、そういうことでありますならば、それは法律に基づいて、例えば預金等に係る不当契約の取締に関する法律というのがございますが、こういう法律に基づいて問題となるような預金がございましたら、それは当然法令上違反する行為として対象となる、こういうふうに私どもは考えております。
  150. 正森成二

    ○正森委員 一言私は申し上げておきますが、今名前を挙げました政治家については、出ておりますのは本人じゃなしに、妻とか弟とか親族ですから、それは念のために申し上げておきます。  それから、今いろいろ説明がありましたが、銀行局に聞きたいのですが、午前中の私の前の委員の御質問で、金融システム全体については大蔵省や日銀が責任を持っておるが、個々の信組の経理内容については、これは監督官庁である東京都が持っておるんだという意味のことを言いました。  ところが、東京都の信用組合に対する監督というのは、これは機関委任事務じゃないんですか。機関委任事務でしょうが。機関委任事務だということになれば、最終的には委任した主務官庁が指導あるいは監督の責任があるということで、ずっと前はその指示やら命令に従わなければ東京都知事あるいは大阪府知事というような地方自治体の長の罷免まで要求できた。今は法律が変わって罷免はできないけれども、職務執行命令を裁判所に求めて代執行することができるということになっているんですよ。  これは最終的な権限があるからそういうことができるので、全体的なシステムについてはおれたちだけれども、個々の点については東京都だなんて、東京都に全部責任を押しつけるなんというような言い方は、大蔵省としてあるいは銀行局として、甚だ不正確じゃないですか。
  151. 西村吉正

    ○西村政府委員 金融機関の監督、信用組合の監督ということに関しましては、ただいま御指摘のとおり機関委任事務ということで、この場合には東京都知事が直接監督をするという関係になっております。機関委任でございますので、主管大臣たる大蔵大臣にも関係がないということを申し上げているわけではございませんが、その運用につきましては、通常の事態においては各都道府県知事の行政にゆだね、自主性にできるだけお任せしておるということが運用の実情でございます。そういうことを申し上げたわけでございます。
  152. 正森成二

    ○正森委員 ここで野中自治大臣に一言閣僚としての御意見を承りたいと思いますが、今の答弁によっても、機関委任事務であり、それに対しては一定の監督責任があるということは、これは法律の規定ですから認めざるを得ませんでしたが、自治大臣でございますが、東京都がきのう出しました文書は、これは示達書と比べてみますと物すごくマイルドに書かれているんですね。だから予算委員会が非常に不満だというように言うのは私は当然のことであると思います。  同時に、東京都に全責任があるかといえば、やはり監督官庁である大蔵省、銀行局にも責任はあるということで、その処理については日銀、大蔵省に責任があるのは当然のことであると言わなければならないと思うのですが、こういう問題について、あるいは東京共同銀行の設立について、自治大臣としてのあるいは閣僚としての見解がありましたら、簡単にお述べいただきたいと思います。
  153. 野中和雄

    野中国務大臣 今回の二つの信用組合の支援につきましては、私は従来から、一つには、地域の中小企業を組合員としておる信用組合の経営破綻というものがどのような原因において起きたのか、あるいはそれが地域経済にどのような影響を与えるのか、あるいは国の指導のもとで行われておる金融行政の中で、問題があることを踏まえて国としてどのような対応をやっていくのかすなわち今後経営破綻を起こした金融機関についてどのように対応していくのか、こういった諸般の問題がそれぞれ関係者間で指摘され、検討された結果、新しい処理の金融機関が設立されるということについて、都道府県全体の行政を預かる自治大臣としても、これから限りなく起きていく問題で、資金に限度のある弱小都道府県でこのような問題が起きたときに、果たしてこんな支援ができるのか、あるいは、いわゆる都道府県民の税をそういう形で使うことが本当にいいのかどうかということに問題を提起をしたわけでございます。  私は、今委員御指摘のように、今回の信用組合の問題につきましては、国の委任事務でございますので、大蔵省が第一義的に指導監督される立場にあると存じております。
  154. 正森成二

    ○正森委員 東京都がきのう出された報告書、あるいは、まだ公表されておりませんが示達書というのを見ましても、これがもし二年前に措置をとられておれば、これは回収不能の額などは十数分の一で済んだということは、もう紛れもない事実でありますし、その間に一生懸命高金利で金を集めて、それを融資して、それを逆に還流して、利息の追い貸しをするというようなことをやっていたという意味で、これはディスクロージャーがぜひとも必要だった。それからまた、事前の指導監督、これは経営者の解任からあるいは業務停止までできるわけですから、そういうものの方がずっと必要だったというのが私の見解ですが、大蔵大臣の見解を承りたい。  大蔵大臣は終始沈黙ですが、さっきからいろいろ言っているんですよ。大蔵大臣の御意見がありましたら、その後でまた別な方に伺います。
  155. 武村正義

    ○武村国務大臣 別に意図的に沈黙しているわけではありませんが……。  この仕事機関委任でございますから、機関委任事務全体については、御指摘のように、かつてはマンデーマス・プロシーディンクでしたかね、罷免権という、国が首長を罷免する権限まで地方自治法に規定されていたわけであります。そういう意味で、包括的というか一般的に指揮監督権があることは当然だと思いますね。しかし、現実は中小企業法によって委任されておりますから、現場の、現地の監督者は都道府県知事であります。当然、東京都は五十ぐらいの信組があるようでございますが、一つ一つに対しては、検査部まで設けて、数多くのスタッフを置かれて、絶えずその仕事に携わっておられるわけでありますから、機関委任仕事をきちっと取り組んでいく組織とか人的配置が東京都庁にはなされているわけであります。  たまたま、機関委任でありますから東京都が、今回のように大変度を超しているからということだと思いますが、大蔵省の方に手伝ってほしいという要請が来て、初めて大蔵省が一緒に、去年ですか、検査に入ったということであります。大蔵省の方から積極的に検査に入っていく法的根拠は与えられていないわけであります。決して逃げる意味で申し上げているわけじゃありません。  法律的にはそうなっておりまして、うわさではいろいろ入ってきますから銀行局も大変心配しておりますから、絶えず東京都の関係者とも会話はしておりましても、権限としてはそういうことだ。そういう中で、ややおくれたかもしれませんが、去年一緒に入って事の実態を明らかに確認することができたということであります。
  156. 正森成二

    ○正森委員 今の御説明を聞きましても、金融秩序の維持のためだとか預金者の保護のためだとかいうための今回の措置というのは、多くの国民は納得しないと思います。一千万円以下の、人数にして八九%近い、あるいはそれより上を入れても十分に多くの預金者を保護する道は存在した、こう思います。  そこで、法務省、前田法務大臣に伺いたいと思いますが、両信組、特に高橋、鈴木両理事長の乱脈経営、特に自己貸し付けなど背任行為について、公益のために直ちに強制捜査を含む厳正な対応をすべきではないかと思います。背任罪というのは、これは親告罪でも何でもないんですね。ですから、現経営陣の告訴、告発を待たなければ捜査できないというものではありません。  時間がたてはたつほど、きょうは申しませんでしたが、こういうことをやるについては、政治家のところへいろいろ頼みに行ったとかあるいは日銀や大蔵省にも頼みに行ったとか行かないとかいうことが、名前やらイニシアルづきで言われていることもあります、きょうはあえて言いませんが。そうすると、避ければ遅いほど証拠隠滅をする可能性もあります。ですから、法務省当局としては、あるいは最近の報道によりますと、警察も合同捜査を行うなどというような報道もございますが、早急に対処すべきであると思いますが、まず法務大臣の見解を伺います。
  157. 前田勲男

    ○前田国務大臣 お答え申し上げます。  御指摘の件についてはいろいろ報道なされ、またここ数日も国会でも議論をされておるところでございます。  検察当局も同様のことと存じておりまして、背任罪が親告罪でないことは御指摘のとおりでございますが、具体的事案について捜査を開始するかどうか、検察当局において厳正に判断する事柄であろうと思っておりまして、法務当局としてはお答えをいたしかねることでございます。  ただ、一般論としていつも申し上げておりますが、検察当局は刑事事件として取り上げるべきものがあれば厳正に対処するものと理解をいたしております。
  158. 正森成二

    ○正森委員 まさにこういうものは刑事事件として取り上げなければ、金融機関というのはやりたい放題だというように言わなければならないと思います。  そこで、この前代来聞ともいうべき乱脈経営とその経緯や背景を明らかにするために、私は委員長にお願いしたいと思います。  まず、高橋治則前東京協和信用組合の理事長、鈴木紳介前安全信用組合の理事長、この二人の証人喚問を要求します。  それから、資料提出としては、きのう出されましたが不十分であると思いますので、両信組が融資した一億を超える融資の相手先のリスト、九四年十一月現在、二月十五日付で東京都から本院に提出された一億円を超える預金者のリストのうち実名入りリスト、それから、両信用組合に対する鈴木俊一部知事名による九四年十二月六日付業務改善命令示達の全文、これについて、ぜひ国会に提出するようお計らいを願いたいと思います。
  159. 三野優美

    三野委員長代理 後刻理事会で協議いたします。
  160. 正森成二

    ○正森委員 それでは、その次の問題に移りたいと思います。  今私が証人喚問と資料の提出を要求しましたが、資料の提出については、御承知のように、実名は出されない、それからまた、業務改善の示達書については要約だけで、読んでみたら本当にもうマイルドといいますか気の抜けたような内容であります。なぜこれを出さないんですか。それは、あなた方が、それこそ金融秩序の維持に問題があるとか、プライバシーを侵害するとかいうことで、公務員の守秘義務に反するからだと思っているんですか。答弁してください。
  161. 西村吉正

    ○西村政府委員 今御指摘の資料は、いずれも東京都の資料でございます。したがって、私どもは、その資料を作成をいたします立場にある東京都と、この問題について、国会の御意思も連絡しつつ、いろいろな要素を勘案しながら提出資料について検討した結果がきのう御提出したものでございます。プライバシーの問題とかあるいは金融機関の信頼性を維持するためとか、いろいろな要素を総合的に勘案して東京都があのような意思決定をされたものと理解をしております。
  162. 正森成二

    ○正森委員 先ほどから言いましたように、自治大臣も認めておりますように、機関委任事務で、最終的には主務官庁である大蔵省に責任があるんですが、これらの文書が秘密に当たるということは、それぞれの関係当局で決定しているんですか。
  163. 西村吉正

    ○西村政府委員 どのような資料を提出するかということにつきましては、資料を作成する責任のある東京都において判断をされたものでございます。
  164. 正森成二

    ○正森委員 今の答弁は、東京都が判断したもので、結局大蔵省は何ら行動といいますか、決定をしていないということになっているのです。  ここに持ってきたのは、「秘密文書等の取扱いについて」という昭和四十年事務次官等会議の申し合わせです。これは、行政機関が秘密の保全をやる場合には極秘とか秘とかいうような区別があって、極秘に次ぐ程度の秘密であって関係者以外に知らせてはならないものを秘というのですが、これは、当該省庁の課長またはこれに準ずる者が指定して当該文書に作成部課名を表示すること、こうなっているんです。そうして初めて形式秘の扱いになるんですよ。いいですか。  今聞いていると、東京都に責任をおっかぶせて、大蔵省としては形式秘であるというその指定さえしていないんじゃないですか。あなた方、学説やあるいは判例を知っていますか。秘密については、形式秘では足りないんですよ。実質的に刑法で保護するに値する秘密の内容であるかどうかということで決まるのです。それを自分自身が秘密だとも指定していないじゃないですか。そんなことでどうするんですか。  四年前に、証券会社の大口法人に対する補てんがありました。そのときには、守秘義務だといって証券局は出さなかったのです。そのときに、当国会で問題になりまして、予算委員会の何人かがこの問題を質問しました。私もその一人ですが、その結果、質問の後二、三日したら、たしかそのときの大蔵大臣は、橋本通産大臣が大蔵大臣だったと思いますが、今回は出そうやと言われたか言われないかというような話で、全部出たのですよ。今度はなぜ出さないんですか。それは、大蔵大臣が橋本さんでなしに武村さんだから出さないんですか。
  165. 西村吉正

    ○西村政府委員 どのような資料を提出するかということについては、その資料を提出した主体が責任を持って決めることかと存じますけれども、本件に関しましては、両組合の監督官庁である東京都がそのような判断をしたものでございますので、私どもとしてもそれを尊重したいと考えております。
  166. 正森成二

    ○正森委員 そうすると、あなた方の言い分は、あくまで東京都が決めたもので、それに対しては何ら意見を言わないで、機関委任事務であるにかかわらず、自分らの監督責任といいますか、指示する責任は何も出さないで、それをそのまま追認するというのが態度だということをこの予算委員会で言われたことだと思います。このことは、予算委員会、あるいは予算委員会の理事が今後どういう対応をとるかという点でも参考にしていただけるものであると確信して、次の問題に移りたいと思います。
  167. 三野優美

    三野委員長代理 ただいまの点につきましては、理事会でもいろいろ議論が出ておりますので、さらに協議を続けていきたいと思います。
  168. 正森成二

    ○正森委員 この機会に一言だけ申し上げたいと思います。  橋本通産大臣は、今回の措置について、閣議でもいろいろ発言をされたようですが、さまざまな問題について御見解があり、かつ発言なさるお気持ちがございましたら、この機会に一言御発言を願います。
  169. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 今、四年前の証券・金融不祥事の際のお話が出ました。そして、経緯は委員が御承知のとおり、国会から大変強い資料の御要求がございました。責任者として確かに私は苦しみました。そして、守秘義務を犯さない、同時に国会の御意思にかなう方法はと考えました結果、証券各社に対して自発的に資料の提供を要請し、証券業協会を通じてこれを公表させていただきました。大蔵省が当時保有いたしておりました資料あるいは保有していなかったかもしれない資料について、提出はいたしておりません。
  170. 正森成二

    ○正森委員 今自発的に出すように、いろいろ、裏で指導したとはおっしゃいませんでしたが、御努力されたということですから、東京都が作成権限であれば、それは予算委員会の対応に一つの示唆を与えるものではないかというように思いますので、次に移りたいと思います。  官房長官、せっかくお見えになったのですが、今までの議論をお聞きになったと思います。国民全体の中で、これだけの公的資金その他を投入する必要があるのかどうか、これを金融システムの維持とかあるいは預金者保護というふうには割り切れないという思いがあるのは当然のことであり、これは後で聞きます震災対策とも非常に絡んでくるわけですが、そのことについて、官房長官として官邸からの御意見がありましたら伺いたいと思います。
  171. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 東京都がこのたびの二つの信用組合に対する対策としておとりになりました内容というのは、先ほど来るる大蔵省等からも御説明がございますように、一つには預金者の保護、そしてまた全体の金融機関への信用の維持、さらに広くは我が国内外の金融秩序、信用の確保というような意味からやむを得ないことであったというふうに存じているところでございまして、もちろんこの信用組合の経営者の問題点等につきましては、これは厳しく追及されるべき点があればしっかり真実をきわめるべきものであろう、こういうぐあいに思っているところであります。
  172. 正森成二

    ○正森委員 従来どおりの見解で、到底納得できませんが、時間の関係で先に移らせていただきます。  次に、阪神大震災被害者の救済について伺いたいと思います。  こういう両信組に対する救済に公的資金等を使うなら、なぜ阪神大震災の被害者救済に使わないのか、目を向けないのかこれが国民の声であることは当然であります。現に我々は被災地へ行ってそういう声を聞いております。兵庫県では、ここに新聞も持ってまいりましたが、倒壊した住宅のローン残債の公的資金による救済を正式に求めております。  日銀に伺いますが、日銀は、そのために何をしましたか、あるいは何ができるか考えたことがありますか。両信組の救済のことだけ考えているんですか。
  173. 田村達也

    ○田村参考人 日本銀行は、日本銀行法の第一条によりまして、通貨の安定と信用秩序の維持ということを目的としております。  そこで、阪神大震災との関係でございますけれども、既に民間金融機関の方では、既往の貸し出しに対する返済の猶予だとか、あるいは低利の住宅ローン、復興ローンの貸し付けだとかいうことをやっております。また、政府の金融機関は、いろいろな貸し出しの新しい仕組みをつくっているところでございます。  日本銀行としてやりましたことは、震災直後に神戸支店を通じまして、店舗が壊れて営業できない金融機関のために日本銀行の建物を使いまして金融機関の窓口を仮に開設するといったこと、さらに、そのときのそれぞれの金融機関の資金繰りについて十分なウォッチをするということをやってきました。  さらに、今後も震災の融資あるいは返済の猶予等を行う金融機関の経営状況、資金繰り等について十分の配慮を行っていくということで、我々としてはその震災に関係した日本銀行の役割を果たしていっているというふうに考えております。
  174. 正森成二

    ○正森委員 今の答弁は、原則として抽象的で、被災を受けた人に対して日本銀行の建物をちょっと何やらの窓口に貸したとか使わしたというようなことを真っ先に挙げられるようでは、私は甚だ心もとないと思います。  後で、もっと日本銀行にできることはないかということを伺っていきたいと思いますが、それより前に、前からおいでいただいていますので、建設大臣に伺います。  建設省に伺いたいと思いますが、今回は十万とも、それよりやや多いとかいろいろ言われますが、倒壊家屋がございますが、倒壊家屋中、住宅金融公庫からの融資を受けている家屋は何件で、総額は大要とのぐらいですか。
  175. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 お答えを申し上げます。  今回の公庫の債権で、被害を受けた方がどうなっているかということについては、残念ながら現状では十分な把握をしておりません。そもそもの公庫の、今回の被災地でございます神戸市ほか十市七町の被災地全体としての債権は約二十一万件でございまして、金額としては二兆四千億円でございます。  私どもは、罹災者の名簿の作成が進みました段階で、それをもとにしてきちんとした調査をしようということでございまして、現在のところは、残念ながらそういう意味の把握はできておりません。
  176. 正森成二

    ○正森委員 私のところにあらかじめ建設省の方に来ていただいて私が聞きましたら、第一義的にはそういう答弁でした。しかし、もちろん調べるのには一定の時間がかかるでしょうけれども、対策等を立てるには、政治家としては、アバウトでいいから、誤差は少々あってもいいから、大まかな数字をつかんで、どれくらいの対策を立てればどれぐらいの金が要るということを知ることが大事だということを申しまして、私の方から大まかなパーセンテージで推測はできないかということを言いました。それは、今言われました被災を受けた神戸市等十一市七町の住宅総数を調べてもらいました。それが百五十六万戸であります。  それについて、倒壊した建物はどれだけか、大体約十万戸であります。そうしますと、それを割りますと、六・四%ぐらいになります。ところが、住宅金融公庫に聞きますと、住宅金融公庫の建物は割と頑丈なんで、神戸の長田区などのように古い建物はたくさん倒壊したけれども、住宅金融公庫関係の倒壊はそれより少ないと聞いていると、こういう答弁なんですね。例えば住宅・都市整備公団の場合には、軽微な損傷はあったが、全壊、半壊はなかったというように言われているんですね。  そこで、住宅金融公庫の場合には、平均は六・四だけれども、それより低い六あるいはそれ以下だというように考えてアバウトな数字を出しますと、もちろん野坂さん、アバウトな数字です。アバウトな数字を出しますと、今答弁されたように、ローン残高は二十一万件で二兆四千億円と言われました。それに大体六%を掛けますと、大体件数で一万二千件、それで金額、残債で千四百四十億円ということになります。ですから、我々が思っていた額よりもうんと少ないのです。  そうすると、この千四百四十億円に対して、相当部分を国やら銀行やら、あるいは本人の自助努力も要るでしょうけれども、立ち上がるために援助する。例えば兵庫県が言っているような公的資金で助けてくれということは、決して不可能な数字ではないのです。だから私は、それに対して適切な対応をすべきであるというように思うわけであります。  そこで、それについて聞く前に、地震保険について一言聞きたいと思います。  先ほど午前中に同僚委員からも質問がありましたが、地震保険に入っている被災者の保険金についてさえ、一部の民間銀行、名前を挙げて失礼ですが、例えばさくら銀行だとか住友銀行は、被災者は皆もう困って現金が欲しいんだ、地震保険のお金を質権を実行して押さえてしまうと金が入らない、だから、債務は債務で別に相談するとして、質権を放棄して、まずこの金は使ってくださいという措置をとるというようにしているんですね。ところが、住宅金融公庫はどうかというと、ちゃっかりそれを押さえて、それを残債の債務返済に充てるということにしたと言われているんです。  現地で住宅金融公庫はもう本当に冷たいという声が出まして、その結果がどうか知りませんが、ごく最近の情報では、建設省、住宅金融公庫は態度を変えて、民間銀行並みに、債務は債務として、質権は実行しないというような方法を考えるということも聞いているんですが、大臣、もしお答えできるなら答えてください。
  177. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 質権の問題につきましては、もともとは債権保全ということではございますけれども、こういう状況でございますので、罹災者の生活をできるだけスムーズに再建するという要素を当然、特に政府系の住宅金融公庫でございますので、考えていかなければいけないという点もございます。  そういう見方をしたときに、残債についてそれなりの処理をすることが新しい立場をつくるという考え方も一方ではございます。したがいまして、そういう点もございますが、例えば少額で、まず復旧をすれば生活がまた成り立つというようなケースもございますので、そういうことを両面を考えまして、今の質権についても前向きに検討させていただきたいと思っております。
  178. 正森成二

    ○正森委員 質権については前向きに考えるという答弁がありましたが、一番大事なのは残債をどうするか。そうでなければ、もう立ち上がれないんですね。  それからさらに、壊れた人は、新しく家を補修するか建てなければ生活設計は立てることができないのです。新しく住宅を建設する被災者への援助計画はどうですか。それを簡単に答えてください。  私の知っているのでは、わずかな金利援助あるいは融資枠の若干の拡大ということだけで極めて不十分なように思うんですが、いかがですか。
  179. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 お答えいたします。  おっしゃる点については、一々ごもっともな点が多いと思っております。今あなたのアバウトな計算で一千四百四十億という話がありました。質権の設定のお話もありました。  この質権の設定を市中銀行は、何といいますか、それはよろしいというような姿になっておるが、金融公庫の方はかたいと。いずれにしても、借金としては残るわけですね。当面の問題がそうなんだ。だから、もし質権の設定が五十万とか百万であれば、そういう点については当座の問題として十分考えていかなければならぬ。しかし、一千万も二千万もお入りになっておるのならば、むしろそれをお返しになって、改めて低利でお借りになった方が得策の場合も多いというふうに考えておりますので、その辺は両面相にらみながら話し合いで、どちらが有利かということについて十分考えていきたいと思っております。  御案内のように、四・一五では低利と言えないんじゃないかしかし、激甚地の場合でありますから三%ということになっておるんですね。三%をもっとやはり、先ほどの両信用組合の論争も聞いておりましたけれども、被災者というものは悲惨なんだから、もっと情けある公的な援助をやったらどうか、こういう点でございます。  そこで、一つには、この間予算委員会で私も、五年延期のことを三年の延期ということを言いまして間違ったわけですが、結局は五年間延期してもらおう、とてもやり切れぬだろう、立ち上がれないと。したがって、その三%についても高いか安いか。普通から見れば安いであろうけれども、被災者の目から見れば、なかなか立ち上がれない、しかもローンが残っておるということになれば、どうすべきかという点については今度の補正予算等と絡めて大蔵当局と十分折衝して、立ち上がることができるような方法というものを考えようではありませんかということで今盛んに作業を進めておるところでございまして、ここ数日の間に結論が出るだろうということを期待しておりますし、御貴意に沿うだろうというふうに思っております。
  180. 正森成二

    ○正森委員 通産省に伺います。  報道等によりますと、通産は最大級の支援というような報道もございます。今一番求められているのは、中小企業に対して、倒壊した店舗等を復旧できるように、そして営業が継続できるように、それに対して無利子の融資ができるだけ行われるように、しかもその額が要望にこたえるようにということだろうと思いますが、もし通産相がお答えできるんでしたらお答えをしてください。
  181. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 既に通産省として中小企業の支援策として公表いたしましたものをここで改めて細かく申し上げるつもりはございません。ただ、従来の超低利でありました三%というものを、地方公共団体との連携あるいは政府系中小企業金融機関の活用の中で、実質的に二・五%というものを提供するところまで進めてまいりました。  私どもとしては、さらに県や市におかれて、国の協力を得てこれらの融資についての利子補給を行われるということによりまして、当初の三年間を実質無利子とするということを検討していただいていると承知をいたしております。近くそうしたものが決定をされると存じておりますが、どういう仕組みをとるにせよ、被災者の方に利子の御負担を願わずに済むお金を届けたい、そのように全力を尽くしております。
  182. 正森成二

    ○正森委員 今大臣からお答えがありましたが、被災者が利子を払わなくてもいい方法を、それは、聞いておりますところによると、基金をつくって、地方自治体がお金を出し、その運用益等で二・五との差を埋めていくというように聞いておりますが、地元の要望というのは、それを地方自治体や義援金に任せずに国が主導すべきであるという声が非常に強いわけであります。これは、先ほど言いました建設関係の残債務ですね、それについても同じことであります。その点を後で大蔵大臣を含めてお聞きしたいと思います。  それから、日銀に一言聞きますが、日銀のできることなどで、これはもうほんの例ですよ、今手形の決済がおくれて影響が非常に増大していることは御存じであります。それを、解除時期の特例を設けまして一定の時期は不渡りにしないというような状況ですが、いつまでもそれはできないということで困っている部分もあるんですね。そうかといって、その特例をやめれば大変なことになる。それに対して市中銀行が割り引きをして、さらにその市中銀行の資金繰りをよくするために日銀が割り引きするということはできないか。例えば一九二三年の関東大震災では、震災手形割引損失補填令が公布されて、日銀が再割り引きしているんですね。これについてはもちろん毅誉褒貶いろいろあるでしょうけれども、そういうような点も考えるべきではないんですか。  大蔵大臣についてもお願いします。
  183. 武村正義

    ○武村国務大臣 中小企業融資にしましても住宅融資にしましても、その他さまざまな施策がございますが、国は国として、激甚災の対応、さらにそれを超える、立法も含めた対応を今準備しておりますが、一定の考え方で整理をして対応をしてまいります。  そのことが、中小企業等でいえば三%という最低の金利をさらに〇・五下げさせていただく、そのほか融資条件の緩和もございますが、国全体のさまざまな制度の横並びで考えるときに、今後これ以上は無理だ、しかし現地の実態からすればもっと下げてあげないと難しい、こういういわばすき間といいますか国の全体の壁を越えて地域の実態に合うような、そういう施策の場として基金というものに期待をしていこう。それは地方自治体が主体的におつくりいただくのだけれども、国もそれに対して、その基金造成あるいは基金に対する利子の問題については自治省を中心にして特例の対応をしていこう、こういうふうな姿勢で今急遽、関係省庁で協議をさせていただいているさなかであります。
  184. 田村達也

    ○田村参考人 先生のおっしゃったような制度とか、あるいは損失補てんということももちろん議論としてあり得るわけですけれども、それぞれまたいろんな問題もございます。私どもとしては、できればそういうことを避けながら、現地の金融が円滑にいくようにいろいろ努力していきたいと思っています。現にそのために各行の資金繰りを慎重に見守っているところであります。
  185. 正森成二

    ○正森委員 日銀は信用組合などの救済だけは熱心だけれども、震災のためには何もしてくれないと言われないように、知恵を出していただくように申し上げておきます。  では時間がなくなりましたので、公共工事のあり方について、関係省庁に来ていただいていますので一言伺います。  公共工事が、第一に、真に国民にとって必要な対象に向けられているか、第二に、その価格は客観的に見て妥当なものであるかが今問題になっております。  建設大臣からの要請を受けて公共工事積算手法評価委員会が設置され、一昨年、平成五年十二月二十日、報告書が発表されました。それによると、OECD等国際機関による一九九〇年度の調査結果で、建設を含め運輸・通信、燃料・電力、食料等の財やサービスについて、日本と米国との価格の構造について分析、三割から二倍程度日本が高いこと。また、工事費の総額について、米国内務省開拓局で、現在施工中の工事の積算結果と、この工事に関し、建設省の積算基準及び我が国内の資材価格等を用いて積算した結果との比較でも、我が国が約三割高い結果となったと報告されております。これは事実ですね、一言だけ。
  186. 伴襄

    ○伴政府委員 御指摘のとおりでございますが、ただ、工事費総額というのは、工事費を構成する資材費とか労務費とか機械費になっております。それぞれが高いという中でございまして、今おっしゃったような、他の財やサービスが三割から二倍高いという中で特に公共工事だけが突出して高いというわけではございませんので、念のため。
  187. 正森成二

    ○正森委員 公共工事は高いということは一応お認めになりました。  会計検査院、お見えになっていますか。  平成五年度の会計検査院の決算検査報告によりますと、建設省の公共工事について、幾つか不当事項が報告されているようであります。  時間のために私が簡単に一部を申しますが、新潟県佐和田町の道路改良での橋梁新設について、コンクリートの養生工費の積算を誤ったため、全体として工事費が約三割割高となった例が報告されています。これは、養生工単価について、積算基準に定められた歩掛かりによって算出した単価は百平方メートル当たりの単価であるのに、誤って百倍の一平方メートル当たりの単価として予定価格を決めていたからだ。百倍も。  もう一つ、神奈川県川崎市の五反田川の改修について、工事費が約八%割高になった例。これは、仮桟橋及び仮設構台の覆工板の供用月数を二百四十カ月、二百七十カ月として積算していたが、これは事もあろうに日数と月数を誤ったもので、危うく三十倍となるところだったが、コンピューターへ入れたら、コンピューターは三十八カ月が上限なのでこれを誤りとしてはじき出したということで、実際は四倍強で済んだ。これはコンピューターがなければ三十倍になっていたというような例。あるいは埼玉県狭山市の例、千葉県夷隅町の例等が報告されております。  時間の節約で、これは事実ですね。ここに決算報告書があります。
  188. 天野進

    ○天野会計検査院説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘の事態につきましては、平成五年度決算検査報告におきまして、公共工事の積算過大の不当事項として掲記いたしているものでございます。
  189. 正森成二

    ○正森委員 そのとおりであるということをお認めになりました。問題は、積算において発注当局が誤ると、応札する方の側もこれに応じて誤って、たとえ百倍であれ何倍であれ、予定価格に近い価格で入札し、結果として落札しているということが問題なんですね。これはだれが考えてもおかしなことであります。  会計検査院にお伺いしたいと思いますが、会計検査院では、建設省関東地方建設局と管内の工事事務所が九二年四月から九三年十月までの一年間に発注した公共工事を調査したと聞いておりますが、調査した事実はありますか。
  190. 天野進

    ○天野会計検査院説明員 お答え申し上げます。  お尋ねの報道されました入札状況の調査につきましては実施いたしておりますが、この調査は、会計検査の基礎的な資料として、公表は前提としないで内部的に調査分析を行ったものでございますのでよろしく……。
  191. 正森成二

    ○正森委員 会計検査の基礎的な勉強としてそういうことをやったというように言っていますが、それを見ますと、公共工事六百五件のうち、入札が二回以上にわたった四百九十六件を調べたら、一位不動のものが九八・六%、一位が逆転したのは六件にすぎない。二位以下はくるくるくるくる変わる。だから、一位は常に不動で、九八・六%は何遍入札しても一位は一位だ。これについて、報道によると検査院の担当幹部は、極めて不自然、落札業者が初めから決まっていた疑いが強い、こう言っていると言われているんです。  これら私が指摘した会計検査院等の指摘は、発注当局の予定価格がたとえ積算手法を誤っていても、これが何らかの方法で建設業者に漏れて、これに基づいて談合が行われて、落札業者があらかじめ決まっていて国民から見て不当な価格で落札されているのではないかこういう疑いを国民に抱かせる。だからこのごろ多くのところで、一般紙でも、公共工事の積算に問題があるんじゃないか入札に問題があるんじゃないか、こういうように言われているんだということを指摘しておきたいと思います。最後に建設大臣にまとめて伺いますので。  そこで、公正取引委員会来ておられますか、伺いたいと思います。  下水道関係の電気設備工事の発注に絡んで、日立製作所、東芝、三菱電機、富士電機、明電舎の大手電機メーカー五社、安川電機など中堅四社、これが九社会と呼ばれる親睦団体をつくって、事もあろうに、発注者である建設省の認可法人日本下水道事業団の工務部幹部が、日本下水道事業団の年間工事計画が示される毎年五月ごろ、ドラフト会議と呼ばれる会議を開きますが、それに出席して、いいですか、工務部の幹部がですよ、そして、年度内発注予定の個々の工事案件の物件リスト、工事名、新設・増設の種別、一般電気設備、自家発電設備などの工事内容、これを手渡した上、予算額まで教えていた、こう報道されているのですね。  これは独占禁止法三条の「不当な取引制限」に明白に違反する行為だと思われますが、会社名等を承知し、調査しているかどうか伺いたいと思います。
  192. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいまお尋ねの点でございますが、私どもは、電機メーカー九社が、下水道事業団発注の電気設備工事について、独占禁止法に違反するいわゆる入札談合を行っている疑いで現在審査を行っているところでございまして、過日既に立入検査を行うとともに、関係者からの事情聴取を行っております。  なお、内容につきましては、現在審査中の事件でありますので、答弁は差し控えさせていただきます。
  193. 正森成二

    ○正森委員 細かい内容についてはここで言えない段階であるというのは当然のことであります。しかし、そういう疑いがあり、検査をしているということはお認めになりました。  私どもの調べによりますと、事業団は、過当競争を防ぐと称して、大手は八〇%、それから他の四社は二〇%、九二年からは七五%と二五%というようにシェアまで割り振っておる。それで、公取が検査を始めだというのが新聞に出ると、電話をかけて、余計なことを言うなと言って、取り調べに協力することに対して圧力を加えておる。大手電機会社は、事業団側の窓口になる工務部の幹部の次長や課長クラスにまで役員による営業の対象にしておる。つまり働きかけて、場合によれば、こんなことは言葉が悪いですが、物品供与、供応の対象にまでしておるということが言われておるんですね。これはもってのほかだというように言わなければなりません。事業団の電気設備工事は、九三年度の発注額は四百六十七億と聞いております。そのうち右の九社で九割以上の四百二十九億を受注しております。  そこで公正取引委員会に聞きますが、この悪質きわまる発注者主導の前代来聞と言うべき談合に対して、東京高検に中間審査報告を行っておりますか。あるいは、個人と法人と双方告発が可能ですが、検査に電機会社が非協力の場合があるので法人告発が先行すると言われておりますが、事実ですか。あるいは、法人先行の例があるかどうか、伺っておきたいと思います。
  194. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 本件につきまして東京高検に報告を行うべきと思うが、こういうお尋ねでございますが、私ども、まず一般論として申し上げれば、既に平成三年に検察当局と私どもとの間で告発問題協議会を設置をいたしまして、公正取引委員会が独占禁止法違反事件を告発するに当たり、その円滑、適正を期するために、個別事件に係る具体的問題点等について意見、情報の交換を行うこととしております。  ただ、具体的な本件につきましては、先ほど申し上げましたように、現在まさに審査中の事件でございますから、お尋ねの点を含めまして、この点につきましては今後の事件の審査に支障を生ずるおそれもございますので、その点は答弁を差し控えさせていただきます。  それから、次のお尋ねでございますが、仮に告発問題一般を論じます場合に、行為者と切り離してと申しますか、行為者に先駆けて法人を告発するということについてのお尋ねでございます。  この具体的事件についで申し上げますことは、再度で恐縮でございますが現在なお審査中でございますから、その審査の手法、方針を明らかにすることは現在まだ適当ではないと思いますので、答弁は差し控えさせていただきます。  ただ、これまでに行為者に先行して事業者、法人を告発したことがあるかという過去の実例についてのお尋ねでございますが、この点は、社会保険庁の発注する各種通知書貼付用シールの入札談合事件につきまして、去る平成五年の二月、関係会社四社を告発した事件がございます。この事件は、実行行為者につきましては、実質的に同じ事件につきまして当時既に検察当局によりまして談合罪による起訴が行われておりました。したがいまして、私どもは、実行行為者としての刑事責任の大部分はこの点によって事実上評価されている、こういうふうに考えまして、この件につきましては法人事業者のみを告発をしております。
  195. 正森成二

    ○正森委員 時間が参りましたのでこれで終わらせていただきたいと思いますが、法務大臣、この件は談合というにとどまらず、公務員あるいはそれに準ずる者の綱紀に関係する点もあるということで、捜査すべき点があれば厳重に捜査していただきたいと思います。  なお、時間がなくなりましたが、今指摘しましたのはほんの事例の一つにすぎません。したがって、官邸、あるいは建設大臣も来ておられますが、公共工事というのはゼネコンや建設業者、役所の利益ではなく、国民の利益に奉仕するという立場で今後とも行政を進めていただきたいということを申し上げまして、時間がちょうど参りましたが、もし一言御答弁がありましたら伺いまして、終わります。
  196. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 時間が参りましたので、ごく簡潔に申し上げます。  今お話がありましたように、下水道の事業団の問題、これについては、大手五社、準大手七社、こういうのが大体下水道のメーカーであります。したがいまして、そういう内容が昨年の十二月ごろに新聞に頻繁に報道されましたので、事業団の理事長をお呼びしてそのことに、内部調査の委員会を設置しましていろいろと調査をいたしましたが、そういう事実はないと。  どういうことがあったのかというと、ことしはこういうような予算でやります、こういう工事がありますということは申し上げましたと。なぜそれを言ったのか。それを言わないと、一人一人がやってきてごそごそごそごそされたら、かえって談合の材料になる、したがって公明正大にやった方がいいではないか、こういうふうな考え方でオープンにいたしましたと。こういうことが一点でした。しかし今日、公正取引委員会の方でこの問題については告発をするというような新聞も出ておりますので、公正取引委員会の行動を注目をしておるというのが現状であります。  第二番目の、設計ミスの関係でありますけれども、単純なミスでありまして、非常に申しわけないと思っております。百平米を一平米というのはだれでもわかるわけでありますから、もっと検査の方に注目をしてやらなければならぬというふうに反省をしております。  三番目の、外国よりも公共事業は三割高いじゃないか、こういうお話がありました。これについては、その点を十分留意をして、諸外国を回りまして、規制の緩和の問題やあるいは技術の向上や、官民一体となって公共工事の建設費の縮減に関する行動計画というのを策定いたしまして、この二年間で、あなたがおっしゃるような方向というものを、できるだけ節減をするというものを考えていかなければならぬ、実施をするという決意で今進めておるところでございまして、おっしゃるように国民の税金を使うわけでありますから、十分に留意をしていかなければならぬ、こういうふうに考えておりますので、御報告を申し上げます。
  197. 三野優美

    三野委員長代理 これにて正森君の質疑は終了いたしました。  次に、海江田万里君。
  198. 海江田万里

    ○海江田委員 私もまず、東京共同銀行の創設の問題から質問をさせていただきますが、二月十日の本委員会で、これは西村銀行局長の発言でございますけれども、ある程度前からこの協和信組と安全信組については経営に不安を持ち監督当局の東京都と意見交換をしていたという発言があるわけでございます。このある程度前からというのは一体いつごろか、まずその点をお尋ねします。
  199. 西村吉正

    ○西村政府委員 具体的にいつということを申し上げることは差し控えたいと存じますけれども、昨年の春の段階にはそういうことを意識し、検査に協力してきたというようなことは申し上げられるかと存じます。
  200. 海江田万里

    ○海江田委員 そういうことは差し控えるが昨年の春の段階でそういうことを意識したということでございますが、これは昨年の春ということですか、それとも、そういうことは差し控えるということですからこれは言えないんだということですか。どっちですか。
  201. 西村吉正

    ○西村政府委員 正確に申し上げると、六月に依頼を受けて検査に協力をしておりますが、その時点と申し上げても差し支えないかと存じます。
  202. 海江田万里

    ○海江田委員 差し支えないということはそういうことだと、昨年の六月に、経営に不安を持ち監督当局の東京都と意見交換をしたということでございますね。
  203. 西村吉正

    ○西村政府委員 この二つの信用組合の経営状況について東京都とそのような具体的な協力関係を持ったというのは、今申し上げた時点だということでございます。
  204. 海江田万里

    ○海江田委員 そういうことは先刻わかっておることでございまして、去年の六月六日、平成六年の六月六日、六、六、六と六が三つつく日から、東京都と関東財務局は一緒になってこの二つの信用組合に対して検査を始めたわけでございますね。それはもうわかっておることなんです。それではなくて、あなたが、西村銀行局長が当委員会で十日に発言を、ある程度前から不安を持ち監督当局の東京都と意見交換をしていたという発言があるわけですから、このある程度前というのは一体いつかということをお尋ねをしておる。非常に簡単なことでございます。
  205. 西村吉正

    ○西村政府委員 私自身は七月一日に辞令をもらったわけでございますので、それ以前のことではございますが、今申し上げた検査に協力をするに際しては、その少し前にそういう協力をするかどうかということも検討しておったと思いますから、いつ、何日ということまでは申し上げられませんが、その少し前というふうにお考えいただければ結構かと存じます。
  206. 海江田万里

    ○海江田委員 そうしますと、一九九四年の春ごろだと、六月六日の前だというふうに認識をすればいいわけですね。  東京都はその前に、一年前の、やはり九三年の六月には検査をやっておるわけですけれども、このときは大蔵省に対して関東財務局と一緒にやろうという申し出はなかったわけですか。
  207. 西村吉正

    ○西村政府委員 そのときにも財務局は若干のお手伝いをしておるように聞いております。
  208. 海江田万里

    ○海江田委員 今お聞きいただいてわかったと思いますけれども、一年前から関東財務局は実は一緒になってやっておるわけですよ。一年たって、しかもこの年の七月には、あの長期信用銀行がイ・アイ・イ・インターナショナルに対する融資の打ち切りをやっておるわけですよ、これは。普通の人だってもう既にその時点では知っておるわけですね。  今局長言いましたけれども、平成六年の、去年の六月のちょっと前だよと。では、一年前にやっておったのは、関東財務局が勝手に動いたのですか。全くその報告がなかったのですか。
  209. 西村吉正

    ○西村政府委員 検査に入るかどうかというのは、財務局のレベルでは財務局長の判断に基づいてやっておることでございます。
  210. 海江田万里

    ○海江田委員 その、これから入りますよというようなことは大蔵省に、関東財務局も大蔵省なわけでございますけれども、そういう報告というのは上がってこないわけですか。
  211. 西村吉正

    ○西村政府委員 関東財務局の仕事は関東財務局長のもとに行われているところでございますが、その業務運営を進めるに当たって、財務局長の判断で本省に相談するかしないかということは決められていると思います。
  212. 海江田万里

    ○海江田委員 西村銀行局長がいつから知っておったかということではありませんで、大蔵省として、やはりこの問題に一体いつから気がついてそしてどういう動きをしたかということが実は大切なんですね。このことは何も大蔵省をいじめようとか、ましてや西村さんをいじめようとかそんな話じゃありませんで、どういう動きをしたかということはもうディスクロージャーの一番初めのところですよ、これは。  そこのところが、さっき言ったように、実はもう平成五年から動いておった、一九九三年から動いておったのに、実はそういう認識を持ったのは一年たってからだと。これは遅過ぎるので、もしそこのところが本当に、平成六年ですか 一九九四年から動きが始まった、そういう認識を持ったということであれば、この間の大震災じゃありませんけれども、やはり初動において大変大きなミスがある、過失があるということを言わざるを得ませんね、これは。  そこでひとつ、今回の救済のスキーム、スキームという言葉が使われておりますけれども、一種のレスキュースキームというのですか、救済の設計図ですね、これを書いたのはどこで、そしていつごろからこのスキームを書く作業というものを始めたんですか。
  213. 西村吉正

    ○西村政府委員 これらの信用組合の経営にいろいろ問題があるということは、先ほど申し上げたようなことで、かなり前の時点から問題意識を持っておったところでございますが、自力再建が到底困難であり破綻に近いと認められるほど悪化が進んだということについては、昨年の秋ごろに認識をしたところでございます。  そういう状況を私どもは認識をしたわけでございますが、他方において、監督官庁である東京都が、このような実情を踏まえまして、この二つの信用組合の自力再建は極めて困難であると御判断され、私たち及び日本銀行と緊密に連携しつつ、いかなる対応策をとるべきかということを検討してきたということでございます。
  214. 海江田万里

    ○海江田委員 では、ちょっと具体的にお尋ねをしますけれども、このスキーム、救済の設計が表に出ましたのは、去年の十二月九日、午前中に武村大蔵大臣が記者会見をやりまして、それから日銀総裁も記者会見をやったということでございますけれども、その前の十二月の六日でございますね、日銀の氷川寮で、西村銀行局長、それからきょうはお見えになっておりませんが日銀の小島理事、このお二人が、全銀協の会長行であります住友銀行の森川頭取、それからある種関与しておりました長銀の堀江頭取、それから東京都の関係の富士銀行の橋本頭取、この方々を時間差でもって、一堂に会するということじゃありませんで、時間差で日銀の氷川寮に呼び込んで、そこで今回のスキームを提示したという事実があるのかないのか。十二月六日でございます。いかがでしょうか。
  215. 西村吉正

    ○西村政府委員 このような方策を実現するに際しまして、いろいろと努力し相談をしたというプロセスがあることは事実でございますが、具体的に、いつ、だれとどのようなという点につきましては、御説明を差し控えさせていただきたいと存じます。
  216. 海江田万里

    ○海江田委員 何か説明をするとまずいことがあるんですか。それとも何か、そういうふうに説明を差し控える、もう最初に、一番初めの質問からですよね、差し控える、差し控える、差し控えると。何か西村さんがお話をするときは、差し控えるという言葉がないとその後言葉が出てこないような印象を受けるのですね。言ってはまずいんですか。これは何かまずいことがあるんですか。
  217. 西村吉正

    ○西村政府委員 その事実一つ一つに何かまずいことがあるということではないと思いますけれども、そのプロセスについて一つ一つ御説明をするということは適切でないんではないかと理解しておるということでございます。
  218. 海江田万里

    ○海江田委員 それは西村さんの御判断だろうと思いますが、私は先ほどもお話をしましたけれども、やはりどういうプロセスでこれが決まっていったのかということを明らかにしなければ、今みんなこの問題では不満を持っていますよ、あるいは不安も持っていますよ。信用秩序を維持するということを言いながら、後でお話をしますけれども、預金が引き揚げられているとかいろいろな事情があるわけですから、この程度のことは別につまびらかにしたって何にも被害というか、ないはずですがね。それでも言えませんか。
  219. 西村吉正

    ○西村政府委員 そのような方々と御相談を申し上げたことは事実でございます。
  220. 海江田万里

    ○海江田委員 それでは、先ほどの西村局長お話で、東京都と緊密に連絡をとりながら東京都の判断に従ってというような説明があったわけでございますけれども、東京都とどういう形で緊密に連絡をとったのか。先ほど西村局長お話では、去年の秋ごろからそういう認識を持ってスキームをつくり始めたということでございますが、そこには、当然のことながら東京都の責任の方が一緒になっておったわけですね。     〔三野委員長代理退席、委員長着席〕
  221. 西村吉正

    ○西村政府委員 この問題が深刻だと認識をいたしました秋の段階において、東京都の方とどのように処理をするかという問題についても御相談をしております。
  222. 海江田万里

    ○海江田委員 東京都のどなたですか。その肩書、役職でよろしゅうございますから、お教えいただけませんか。
  223. 西村吉正

    ○西村政府委員 最高幹部に属するお一人だと申し上げます。
  224. 海江田万里

    ○海江田委員 そのときのその話の中身でございますけれども、今回のこの破綻をしました二つの信用組合をどうやって救うかということは、大変難しい問題だろうと思いますね。大変難しい問題なわけでございますけれども、例えば破綻した金融機関を救っておるという例は海外にも、イギリスでもアメリカでもございますし、北欧でもございます。それからそれぞれの国の実情に応じて、例えばアメリカの場合はRTCといいますか、整理信託公社方式ですとか、イギリスのライフボート、信用管理委員会方式とか、いろいろあるわけでございますけれども、今回のいわば日銀の救済ですね、このやり方が決まったというのは、これはいつごろなんでしょうか。
  225. 西村吉正

    ○西村政府委員 これはぎりぎりの選択を迫られる問題でございましたので、ぎりぎりの段階まで決断を迷いつつ、いろいろな方策を探っておったところでございます。
  226. 海江田万里

    ○海江田委員 いろいろな方策を探ったということでございますが、特に今回のこの方式が採用をされたその一番大きな理由というのは、これは何ですか。ほかの国でやっておるやり方でありませんでこの方式を採用された一番大きな理由、何ですか。
  227. 西村吉正

    ○西村政府委員 もちろんほかの国のやり方というものも勉強はいたしましたけれども、まず基本になりますのは、我が国で従来こういう問題がいかなる方策で対応されておったかという我が国の実例でございます。
  228. 海江田万里

    ○海江田委員 今のもまた答えになってないわけですけれども、我が国でやるんだから我が国の方式だということでございますか。ただ、我が国の方式でもこれまでいろいろな方式がございますから、特に今回、いわば日銀出資の救済銀行方式、正確に言うと。これを採用した一番大きな理由というのは何ですか。
  229. 西村吉正

    ○西村政府委員 従来、信用組合の経営が困難になりましたときには、まず何といいましても自主的な努力によって再建を図るというのが第一でございますが、第二段階としては、それぞれの地域におきまして、都道府県の指導のもとにその地域の金融機関が協力をして対応するというのが普通のやり方でございます。第三段階といたしましては、どうしてもそれだけで処理できない場合には預金保険の資金援助という方法をあわせてとる。したがって、この場合には私どもや日本銀行も御相談を受けながら協力して対処する、こういうことになります。  今までこの方式をとりましたものは、大阪府民信用組合及び信用組合岐阜商銀の例がございますし、検討されているものとして、先日の友愛信用組合の問題がございます。したがって、このようなやり方というものが従来の、まあ通常というのは語弊があるかもしれませんけれども、経験のある方法でございましたが、そのような方法がとれないときにどうするかというのが今回の課題であったわけです。
  230. 海江田万里

    ○海江田委員 今の御説明ですと、今回のこの方法が、例えば大阪府民信組ですとか岐阜商銀ですとかそういうところと同じような方法だということでございますが、これはやはり違う点があるわけですよね。  この間のこの委員会でも、私は収益支援の質問をさせていただいたら、局長は、収益支援というのはいつでもあることです、しょっちゅうやっていることですよということですが、従来でしたら、何らかの形で関与をした金融機関でありますとか、あるいは局長が今はしなくもおっしゃいました、それぞれの地域ごとで、例えば東北地域でありますとか、そういう地域の信用金庫なり信用組合の問題だから、地域でもって責任を負おうじゃないかという例はあるわけでございますが、全国津々浦々、全部の金融機関が挙げてこの支援をするという、こういう方法はこれまでにもあったんですか、どうなんですか。
  231. 西村吉正

    ○西村政府委員 私の知る限りそういう方法はこれが初めてでございます。
  232. 海江田万里

    ○海江田委員 そういうふうに初めから言えばいいわけでございますが、なるべくこれを大したことはないんだみたいな、これまでもあったことだとか、初めてのことだということがあれば、それはやはりみんな真剣になるわけですよ。あるいは、そういう困難性も伴うわけですから、どうやってこれを被害を小さくすればいいかということで、あるいは信用保持を本当にすればいいかということでみんなが知恵を出すわけでございますが、いやこれまでにもあったことだ、月並みなことだ、そんなことでは本当に真剣さというものが伝わってこないということだろうと私は思います。  それから、先ほどちょっとお話のありましたペイオフということ、預金保険機構からの支援ではありませんで、ペイオフという形で払い戻しをしようかどうしようかということ、これはやはり検討に上がったんですか。あるいはこれがもういつの時点でそういう選択肢から消えたのかということを教えてください。
  233. 西村吉正

    ○西村政府委員 この金融機関の経営実態等にかんがみまして、今御指摘のペイオフという手法をとるべきかどうか、あるいは預金者に対しては御負担をかけないということを従来どおり守っていくべきか、この点については最後の最後まで迷ったというか検討の対象になっておったところでございます。
  234. 海江田万里

    ○海江田委員 最後の最後まで迷ったということでございますが、結局それをとらずに、今回のような日銀出資の救済銀行方式という全く新しい初めての、支援も含めて、そういう方式をとったということで、しかも、その理由はといえば、これは信用システムの保持のためだということに恐らくなってくるのだろうと思います。先ほどもちょっと銀行の収益支援のお話をしましたけれども、今回は銀行の収益支援だけじゃありませんで、新しくできます東京共同銀行に対する出資の支援ですね、これも軒並み全部の金融機関がやっておりますね。  特に、公正取引委員会がせんだって、各銀行に対して銀行の出資問題で調査をしたという情報がございますが、これは一体どんな調査をしたのか、あるいは一体何が疑惑といいますか、何が独禁法に触れるおそれがあって調査をしたのか、御説明願います。
  235. 塩田薫範

    ○塩田政府委員 お答えいたします。  公正取引委員会は、本件につきまして、民間銀行が共同して東京共同銀行に出資することによりまして独禁法上の問題が生じないかどうか確認するために、複数の銀行に対しましてヒアリングを行ったところでございます。  東京共同銀行に対して多数の民間金融機関が出資するということになりますので、金融機関の出資に至る経緯、それから東京共同銀行の業務運営への関与いかんによりましては、出資者間の協調的、互恵的関係の醸成による競争制限などの独禁法上の問題が生ずることも否定できないということから、このような問題が生じることがないかどうか確認するために、出資に応ずることとした複数の銀行に対しまして、東京共同銀行くの出資に至る経緯、出資を決めた理由それから東京共同銀行の業務運営への関与の方針、そういった点についてヒアリング調査を行ったところでございます。  ヒアリングを行った結果につきまして申し上げますと、本件出資につきましては、出資銀行それぞれの経営判断に基づいて自主的に行われたものであるということ。それから、東京共同銀行のこれからの業務運営に積極的に関与するという意向を示す銀行はないということが確認できましたので、私ども公正取引委員会としては、本件出資によりまして独占禁止法上の問題が直ちに生ずることにはならないというふうに判断をいたしております。
  236. 海江田万里

    ○海江田委員 きょうの朝日新聞ですか、「第二地銀協、事実上割り当て」ということで、地銀協という事業者団体がどの銀行が幾ら出資をするかということを割り当てをしたという、事実上の割り当てでございますね、そういう疑いがあるというような記事が出ておるのですが、この第二地銀協については幾つ銀行を調査したのか。それから、この新聞に指摘をされておるような事実というものはあったのか、なかったのか、教えてください。
  237. 塩田薫範

    ○塩田政府委員 お答えをいたします。  第二地銀に属します銀行につきましては一行ヒアリングをいたしました。問題となるような実質的に強制的に割り当てるとか、そういったような事実があるというふうには判断をいたしておりません。
  238. 海江田万里

    ○海江田委員 きょうの新聞記事では内部文書があるということでございますが、残念ながら私の手元にありませんので、その文書に基づいた質問というのはできませんが、私の手元にございますのは、これは第二地銀協という、第二地銀というのは以前の相互銀行でございますから、銀行の数は六十五あるわけであります。その第二地銀協に加盟をしております銀行がトータルで十八億五百万円の出資をしなければいけないということで、これを六十五の銀行で割り振りをしましたリストがございます。最低が五百万円から最高五千五百万円まで八ランクに分けて、しかもその八ランクの分け方というのは、銀行の預金量に応じましてぴたっと分けて、それぞれの銀行が幾ら出せ、そして六十五の銀行でもってぴたり十八億五百万円になるような分け方をしておるわけでございます。  そういうような分け方をしておるということは、これはやはり各銀行の自主的な判断で果たしてできるものなのかどうなのか。そこに何らかの形で地銀協なりの事業者団体が関与していなかったのかどうなのかということ、その点をもう一度確認をしたいと思います。
  239. 塩田薫範

    ○塩田政府委員 お答えをいたします。  第二地銀協といいますか、事務局の方で、一定の算式に基づきましてそれぞれの銀行に期待されているであろう出資見込み額といいますか、めどはこのぐらいという参考の資料はつくったというふうに聞いておりますが、それは参考につくったということであって、それに応ずるかどうか、あるいは幾らまでその出資に応ずるかというのは、各銀行それぞれの判断で決めたというふうに聞いております。  したがいまして、そういう資料が全然ないということではなくて、何らかのものがあるということは私どもも聞いておりますけれども、それが拘束的なものであったということはないというふうに我々は聞いております。
  240. 海江田万里

    ○海江田委員 これは実は、取締役会を各銀行が開いて決定をしたわけでございますが、その取締役の方々というのは、果たしてこれで株主代表訴訟にさらされる心配はないのかということを心配をしておる。あるいは弁護士さんの中には、さあこれで株主代表訴訟ができるんじゃないだろうかということで手ぐすね引いて待っておるというような人たちもいるやに聞いておるのでございますけれども、この株主代表訴訟の心配というのは果たしてあるものなんでしょうか。それとも、そういう心配というのは全くない問題なんでしょうか。
  241. 西村吉正

    ○西村政府委員 そういう心配があるかどうかというのはかなり具体的にそれぞれの金融機関のお立場によって違うと思いますけれども、このような考え方に御賛同され出資をされたということが株主代表訴訟の原因になるとは私どもは理解をしておりません。
  242. 海江田万里

    ○海江田委員 普通、出資の決定に当たっては、取締役会を開くときにいろいろな資料が来るわけですね。もう当然のことながら、バランスシートでありますとか、どういうところに貸し出しをしておるのであるとか、そういう一番基本的な資料があって、それで取締役会を開くわけですけれども、今回は大蔵省なり日銀なりが、何か取締役会に向けてこういう資料がありますよということでお配りしておるんですか。とりわけバランスシートですとか、貸出先の一覧表ですとか、こういうものは出しておるのですか。
  243. 西村吉正

    ○西村政府委員 昨年十二月九日に、いわばこのような緊急事態に対する対応策としてこういう方法を御提案申し上げたときには、それだけの説明のための計数まで含めた資料というものは必ずしも私どもも十分整備をされておりませんでした。したがって、そのときには趣旨を申し上げ、そのような考え方に御賛同いただくことをお願いしたということはございますが、今御指摘のような資料までその段階で出したということはございません。
  244. 海江田万里

    ○海江田委員 十二月九日のその段階で出したことはないということですが、その後も出していませんよね、これは。今言ったバランスシートだとか貸出先だとかいうものは出していませんね。
  245. 西村吉正

    ○西村政府委員 昨日、当委員会に二年分の信用組合の決算関係の書類を御提出いたしました。それと時を合わせまして、各金融機関に対しましてもそのような書類をお渡しし、御説明をしておるところでございます。
  246. 海江田万里

    ○海江田委員 全然順番が逆ですね、これは。取締役会はもう全部、二月の三日ですとか二日ですとか払い込みももう既に終わっておるわけです。だから取締役会で取締役が判断をするときにはそういう材料は全くなかった、みずてんでやっておるわけですよ。  ですから、私ははっきり指摘をしておきますけれども、これはやはり株主代表訴訟にさらされますよ。そのときどうするのか。そのとき、伝家の宝刀としては日銀法の二十八条があるわけですけれども、その日銀法の二十八条を発動するおつもりがあるのかどうなのか、いかがですか。
  247. 西村吉正

    ○西村政府委員 日銀法二十八条を発動するという以前の段階で、私どもは趣旨について御賛同いただくようにお願いをしておるところでございます。
  248. 海江田万里

    ○海江田委員 これはいつまでやっていてもしようがありませんけれども、取締役会はそれで賛同したかもしれないけれども、株主が黙っているかどうかという問題なんですね。だから、そういう意味では、このやり方というのは非常に無理がある、もう無理に無理を重ねているんですね。  あともう一つお聞きしますが、先ほど正森委員からもちょっと指摘がありましたけれども、やはり預金がどんどん減っているんですね。現在のところで一日十億円ぐらいずつ、これは当然だろうと思いますけれども、解約がありまして、それで去年の十一月末と比べまして七百四十億円ほど流出をしておる。そうすると、十一月末の二つの信用組合の預金量が二千四百四十二億円ですから、今千七百億円ぐらいということで、三分の一減っちゃって三分の二になっているわけですね。  それに対して何をやるかというと、今できることというのは全国信用協同組合連合会からの融資ということで、これは前にも一度五百億やっていまして、今度大体四百七十億ぐらい足りないということで、両方合計をして一千億ぐらいにして当座をしのぐわけですけれども、さらに減っていく。  それから、一番問題は、三月になってこの東京共同銀行というのができますけれども、東京共同銀行になってからさらに減っていった場合の支援というのはどういう方法が考えられるのですか。
  249. 西村吉正

    ○西村政府委員 先週未に両信用組合に対するいろいろな報道、預金者リスト等の問題とかいろいろな報道がありまして以降、大口定期預金の払い戻しが増加したというふうに伺っておりまして、その点は委員先ほど御指摘のとおりでございます。  両信用組合の預金の払い戻しに必要な資金手当てにつきましては、これもまた御指摘のように上部組織である全国信用協同組合連合会からの借入金等により確保することとしておりまして、預金者に迷惑をかけるような事態はないと聞いております。  なお、今回の処理スキームにおきましては、東京共同銀行が事業譲渡日の前日における両信用組合の資産、負債の全額を譲り受けることとしておりまして、両信用組合の預金残高が減少したといたしましてもスキームを変更するという必要はないと考えております。
  250. 海江田万里

    ○海江田委員 今もまたはぐらかして……。僕はスキームの変更ということを聞いておるんじゃないのですよ。今は、それぞれの二つの信用組合というのは、おっしゃったように上部の組織である、先ほどもお話をしましたけれども、全国信用協同組合連合会というものに所属をしているんですよ。今度、東京共同銀行になりましたら、一体どこに所属するんですか。  今度の銀行は非常におかしな銀行なんですよ。これは大臣も聞いておいていただいた方がいいですが、銀行ということで普通銀行なんですけれども、じゃ、全国銀行協会、全銀協に入るんですか、入らないんですか。
  251. 西村吉正

    ○西村政府委員 今度できます組織は、法律上のいろいろな制約がございまして、銀行というやや大げさな名前をつけざるを得ませんでしたけれども、実体は二つの信用組合の経営を終息させるためのものでございまして、通常、銀行と言われているものとは性格を異にするものでございます。したがって、いわゆる業界団体には属することのない独自の存在として運営されていくものとなっております。  したがって、そういう組織的な支援という形ではなくて、中央銀行も含めまして金融システム全体の中で混乱の起こらないようにしていくということかと考えております。
  252. 海江田万里

    ○海江田委員 今局長が非常に言葉を選んで発言をされたと思うのですけれども、じゃ、中央銀行がそういう意味で融資ができるんですかどうなんですか、そこのところは。これも非常に大きな問題なんですよ。答えてください。
  253. 田村達也

    ○田村参考人 預金が減っていった場合の資金繰りの話でございますけれども、今回のスキームでは損失を別囲いし、そしてまた新しい資本金を注入しているということで、新しくできる銀行は十分の資本と内容を持ったものになります。したがいまして、新しい銀行の資金繰りあるいは業務活動につきまして、通常の銀行と同じようにほかの銀行と取引ができるということでございます。  万が一、普通の銀行として活動しているときに資金繰りにそごを来すということがあれば、普通の銀行と同じように担保をとって、日本銀行としては資金繰りのための一時的な融資ということはもちろん可能でございます。
  254. 海江田万里

    ○海江田委員 これは学者の間でもいろいろ議論のあるところですけれども、五〇%出資をしておりますよね、これは中央銀行、日銀が。その日銀の出資というものが、日銀法の二十四条ならば、これは外国の金融機関に対して出資というのはできますよと。ところが、その二十四条ではどうもなさそうだということになると、では日銀が出資をするその根拠というのは一体どこなのかということで、本当でしたら日銀法を変えなきゃいけないんじゃないだろうかというような人たちもいるわけですよ。そういう五〇%出資をしておるところに日銀がまた融資ができるのですか、これ。
  255. 田村達也

    ○田村参考人 日本銀行が出資している会社に日本銀行が貸し出しできるか、極めて法律的な問題だろうと思います。この点につきましては、もう少し、私専門家でございませんので、きちっとしたお答えをしたいと思いますけれども、一般論としましては、新しくできる銀行は、普通の銀行として資産内容もきちっとしたものになります。資金市場で調達もできる、それだけの力を持つ銀行として、資本と内容を伴っているものと思っております。
  256. 海江田万里

    ○海江田委員 しっかりしておる銀行だ  先ほど局長は、これは、銀行というのは名ばかりのもので、実は銀行じゃないのですよという話があって、まあ違う人だから、別に舌の根が乾かないうちにとは言わないけれども、今は、しっかりした銀行だと。こんなことないんですよ、これは。非常に大きな問題が、今お話ありましたけれども、問題が残っているのですね、実を言いますと。これは今後じっくり議論をさせていただきますけれども。  あともう一つ、私が大変気にかけておりますのは、東京都議会の動きでございますね。都議会の新進党では、これに対して、もうこれ賛成しないよと。平成六年の補正に入っておるわけですけれども、賛成しないよということになっているんですね。都議会が、もしこの補正を可決をしませんで、三百億からの出資にノーだという結論を出したときはどうなるのですか。これでもスキームはそのままでいいんですか。
  257. 西村吉正

    ○西村政府委員 両信用組合の経営問題を処理するために、監督官庁である東京都は、預金者保護、信用秩序の維持の観点から支援を行うことが不可欠であると御判断されたものと承知をしております。  東京都からは、現在、東京都の支援額について都議会に審議をお願いしているところであり、その承認を得るため最大限の努力を傾注しておられると伺っております。
  258. 海江田万里

    ○海江田委員 私は別に、都知事が、あるいは理事者側が最大限の努力をしていないということを言っているのではありませんで、本当はこの国会でだって、これは場合によっては議決が必要なケースだってあるんですよ。  例えば、今私たちは平成七年度の予算で、二千万円足りないとか、一千万円これはむだ遣いじゃないだろうかとか、そういうことを真剣になって議論している最中なんですよ。今度はトータルで幾らですか、一千六百億ものお金を、まあ中でもいろんな細かい話がありますけれども、日銀から二百億円の出資ですとか、預金保険機構から四百億円の資金援助ですとか、やっぱり何百億という単位でやっておるわけですね。  これは、本当だったらやっぱり国会議論をして、場合によっては国会で議決をして、それで、さあこれに賛成なのか反対なのかということをやらなきゃいけない。それを、日銀の総裁と大蔵大臣がこれでやるよと、後おまえたち言うことを聞けと言ったら、これはおかしいわけですよ。  ですから今、東京都議会でもって一生懸命になって議論をしておる。これは全く正常なことであって、それに対して、理事者が頑張っておるから必ず通るだろう、そういう予断と偏見は持てないのですね。もしそれが、私はそっちの可能性が高いと思うのだけれども、否決された場合はどういうふうになるのですか。教えてください。
  259. 西村吉正

    ○西村政府委員 先ほども申し上げましたように、信用組合の経営に問題が生じたときには、他の今までのケースでございますと、都道府県がイニシアチブをとって構想をおまとめになり、必要に応じて関係者の御協力をお願いする、そういう格好で処理をされてきておるわけでございます。  今回のケースにつきましても、この二つの信用組合の監督当局である東京都が、この事態をどう打開するかということについて私どもに対しても協力を呼びかけられ、我々もその御趣旨を理解してこのような措置をとったわけでございますから、いわば東京都のお考えになっている措置というのは、みんなが協力をする上での前提として考えられておることであろうかと存じます。したがって、そういうことが実現されないというようなことは、私どもとしては、あり得ないことだと信じております。
  260. 海江田万里

    ○海江田委員 全部破綻しちゃうわけですね。今度は、このスキーム自体が破綻するわけですね、これは。だから、正直言いまして、無理に無理を重ねているんですよ。ちゃんとみんなが、万人が納得する、あるいは普通の常識を持った人が納得をする救済の仕方というものをやっておれば、別に預金も引き揚げていきませんよ。預金を引き揚げちゃったら、それこそ本当に信用不安が起きるわけですから。だれだって信用不安が起きていいなんて思っている人はいないわけですよ、これは。  だから、ちゃんと、そういう多くの預金者なり、金融機関を利用しておる多くの人なり、多くの国民の納得のできるような筋道を立てれば、おるいはこういうところでも、局長が一生懸命になって説明をしていますけれども、もっともっと真剣になって、もっと前向きに、もっと正直に、絶好のチャンスじゃないですか、国民に訴えかける。それを何ですか、一番初め、とにかく差しさわりがある、差しさわりがある、だれに対して差しさわりがあるのですか。国民に対して差しさわりはないのですか、そこのところは。僕は厳重な反省が必要だと思いますよ。いかがですか。
  261. 西村吉正

    ○西村政府委員 私も、今回のような考え方が皆さんに御理解を得られるような努力をすることは、私どもに課せられた課題であると思っておりますし、今までもそういうことで努力をしてきたつもりでございますが、その点、不足しておるところがございましたら、今後一層努力をするということを申し上げたいと存じます。
  262. 海江田万里

    ○海江田委員 では早速、努力ついでに、努力ついでというよりも、努力のあかしとしまして、やっぱり資料要求ですね、はっきり言いまして。しかも資料も、何月何日で切ったものでありませんで、あれは正直言いまして、出た人と出ない人、あの一日前におろしていれば出ないわけですよ。一日前に返済をしていれば出ないわけですよ。  本当は、例えば融資にしろ預金にしろ、この一年の間に十億円以上ある人が何人いますかと、その人は、まあ細かく言えば、いつからいつまで、特に融資の方は、十億円以上の融資がある人が、ことしとか、まあことしはまだ何日もたっていませんが、去年一年間あるいはおととしから二年間について、十億円以上の借り入れがある企業があるいは個人が何人いますかということで、やっぱりそういうふうにやって出さないと意味がないのです、本当のことを言うと。やっぱりそういう形での資料要求というものを、私は理事でありませんが、賢明な理事の皆さん方にぜひそういうことを決めていただきたいと思います。  それから、やっぱりこれは、信組の問題でありますけれども、信組の問題だけじゃありませんで、大蔵省の銀行局が監督をしております銀行につきましても、いろんな意味でディスクロージャーができていない。  例えば、不良債権のディスクロージャー一つにしましても、都市銀行、長期信用銀行、信託銀行、これは、破綻しました債権についてはカウントをします、それから延滞債権についても、これはカウントをします、だけれども、金利をまけてあげる、金利減免をしておる、あるいは延滞でも、六カ月未満の延滞については公表していないですとか、それから地銀と第二地銀については、これは破綻先の債権のみで、延滞債権は公表をしていないですとか、それから先ほどもお話が出ましたけれども、信金、信用組合はディスクロージャーは全くなし、こういうことはやっぱりおかしいのです。せめて大蔵省のところで手に負えます都銀、長信銀、信託銀行それから地銀、第二地銀、このあたりはやっぱりきちっとそろえるべきだと思うのです、ディスクロージャーを。どうですか。
  263. 西村吉正

    ○西村政府委員 ディスクロージャーの現状につきましては、今御説明がございましたので、私の方から繰り返すことはいたしませんが、ディスクロージャーを進めていくということにつきましては、従来からもそういう方向で努力しておるところでございます。今回こういう事態が起こりまして、十二月九日の段階でも大臣談話の中でメンションされていることでございますけれども、今後自己責任の原則に従って金融の世界で物事が処理できるような体制、環境を整えることが必要だということについては、私ども一層その感を深めているところでございます。この問題についてもそのような姿勢で臨んでいきたいと考えております。
  264. 海江田万里

    ○海江田委員 大臣、一言どうですか、ディスクロージャーにつきまして。
  265. 武村正義

    ○武村国務大臣 おっしゃるとおり、金融の世界は今まで必ずしも進んで情報が積極的に公開されてきた分野とは言えません。金融の自由化が進んできましたし、日米も含めて国際的な動きも非常に強くなってきている中で、昨今ディスクロージャーの動きがようやく出てきたというふうに思っておるわけであります。  この事件を含めて、やはり預金者の国民が、この金融機関はこういう性格の、場合によってはこういう問題を抱えた銀行である、しかし私の預金は一応預けよう、やはり預金者一人一人が預ける先の金融機関状況を知っていただいて、その覚悟の上で預けていただく。そのことが前提にならないと、おっしゃるようにいわゆるペイオフの、思い切った自己責任原則で破産という形はとりにくい。ぜひ、今回の経験に学びながら、将来はそういう自己責任を貫徹する我が国の金融の世界になるのが一番望ましいと思いながら努力をしていきたいと思っております。
  266. 海江田万里

    ○海江田委員 ディスクロージャーのことは、今回をいい経験にして、これからディスクロージャーに努めていくということでいいと思うのですが、ただ、私が心配をする今回のこの影響というのは、先ほどの正森委員からも出ましたけれども、モラルハザードといいますか、ここを助けたんだからといって、ほかが何でおれのところを助けてくれないのかという話がまかり通ってしまうということ、ここのところをやはり大きな問題として考えていかなければいけないだろうと思うわけでございます。  それから、きょうはほかの大臣にもお越しいただいておりますが、国土庁長官に私、不良債権との絡みでいきますと、地価の動き、もう間もなくこの平成七年度の公示価格というのが出ると思うのですが、あるいは四半期ごとにとっておる短期の動き、都市部ございますが、これはどうなっておりますか。
  267. 小澤潔

    ○小澤国務大臣 先生御指摘のように、最近の地価動向は、昨年の十月一日から本年一月一日までの短期地価動向の調査によりますと、大都市圏の地価は、住宅地で半数以上の地域が横ばい、商業地ではオフィスビルの需給状況等を反映し全地域が下落傾向であります。地方圏の地価は、住宅地で大半の地域が横ばい、そして商業地でも大半の地域が下落しておるのが現状であります。  以上です。
  268. 海江田万里

    ○海江田委員 今長官は、住宅地は半分が横ばいですよ、それから商業地は下落が続いておりますよと、さらっとお話がありましたけれども、とりわけ、やはり商業地については二けたの下落ですね、年率の換算をしまして。私は、これは不良債権という観点から見ますと、やはりかなりゆゆしき事態だと思うのですね。きょうは時間がございませんので、この問題の議論はできませんけれども、やはり不良債権がますます多くなってそういう破綻をする金融機関がふえてくるということにおいて私は大きな問題だと思いますので、今後引き続きこの問題も、不良債権の問題も議論をさせていただきたいと思います。  それで、高村経済企画庁長官、せんだって二月三日のこの予算委員会で、阪神・淡路大震災の与えます経済的な影響ということでお話を伺ったのですけれども、それからほかの委員の質問も聞いておりまして、政府経済見通し二・八%は平気なんじゃないだろうかというお話でございました。二・八%、最終的には何とかなるだろうというお話だろうと思うのですが、もう少しやはりきめの細かい分析といいますか、そういうのは、あれから二週間ぐらいたちましたけれども、いかがでしょうか。
  269. 高村正彦

    ○高村国務大臣 当初二・八%と示したのは、政府投資あるいは住宅投資、かなり高いままで推移する、そして、個人消費そして設備投資が七年度は引っ張るようになるであろう、何とか二・八%ぐらいいくのではなかろうか、こう思ったわけであります。  今度の震災でありますが、当面、やはり生産、物流に打撃を与えていることは間違いない。しかし、前回も申し述べましたように、かなり速やかな復旧努力が行われている。生産にしても物流にしても一部復旧した。そして、これから本格的な復興努力が続けられる。そして、この復興需要にこたえていくだけの十分の余力が日本経済全体にはある。そして、当初のマイナスを少なくとも平成七年度中にはフローでいえば取り戻していくのではないか。でありますから、この二・八%が直ちに達成不可能になったとは考えていない、こういうことでございます。
  270. 海江田万里

    ○海江田委員 平成七年中に二・八の当初の目標に回復するかどうかというのは、かなり意見の分かれるところであります。これは私の意見だけじゃありませんで、各エコノミストですとか、それから民間の研究団体なんかがやっております予測というのは、平成七年度はやはり一たん落ち込むのじゃないだろうかと。  例えば、研究団体によっていろいろな数字が出ておりますけれども、ソロモン・ブラザーズなんかは、震災前は九五年度が二・六%ぐらいの成長、これは政府に大変近いわけです。ところが、今度の震災で二・六%の成長が一たん、九五年度で見ますと二・三に落ちるのじゃないだろうか。しかし、九六年にいきますと、震災前は二・六という数字をはじき出していたわけですけれども、それが三・三ぐらいに上がっていくのじゃないだろうかこういうような見方をしておるのですね。私も、それが常識的な考え方じゃないだろうか。  とりわけ、さっきお話のあった住宅投資なんかは去年は大変伸びておりましたけれども、今関西地方の人たちが何を話をしているかというと、もうマンション買えないなどかいう話をしているわけですね。それから、家を建てる場合だってちょっと待って考えてみなければいけないというようなことを言っているので、特に住宅の落ち込みなんかは大きいわけです。そうなると、果たしてことしの二・八が、この短い間に二・八を達成できる、ことし一年というサイクルで見て、二・八達成できるんですかね、どうなんですかね。
  271. 高村正彦

    ○高村国務大臣 民間のエコノミストでもかなり考え方が区々に分かれているだろうと思います。平成七年度中には、確かに先生おっしゃるようにマイナスになると言う方もおられますし、逆に、かなりプラスになるとおっしゃる方もおられます。経済企画庁とすれば、いまだ不確定である、直ちに二・八%が達成不能になったわけではない、こういうことでございますので、もう少しいろいろな意味のある試算が可能になるような基礎的条件をつかむような努力も今しているところでございますので、現時点では二・八%を変える意向はない、こういうことでございます。
  272. 海江田万里

    ○海江田委員 二十四日に震災対策の補正予算が出るということでございますけれども、この二十四日ぐらいまでにはもう少しきめの細かい経済の見通しというのもあわせて出るわけですか、それとも、それとはまた切り離した見通しということになるわけですか。
  273. 高村正彦

    ○高村国務大臣 二十四日ごろに出ると言われるその補正予算は、当面の対策ということで、それほど大がかりなものが出るかどうかわかりませんので、その時期に経済見通しそのものを新たに試算するというのはかなり難しいことだと考えております。
  274. 海江田万里

    ○海江田委員 ただ、いずれにしましても、その経済見通しは、当然、今世の中に流布しておりますのは震災前ではじいた数字でございますから、震災前と震災後とで違うものを、まあ数字は二・八でもいいわけですけれども、一応計算のやり直しというものはやる、こういうふうに理解すればいいわけですね。
  275. 高村正彦

    ○高村国務大臣 きょう国土庁の方から被害総額が概算として出た。これはストックの数字でありまして、フローの損害をそのまま示すわけではない。その内容だとか、あるいは生産がこれからどうなってくる、復興の対応の動向だとか、そういったものがある程度つかめる時点になって、そしてそれと同時に、意味のある試算といいますか再計算といいますか、そういうものができるかどうかを検討していきたい、こういうふうに考えております。
  276. 海江田万里

    ○海江田委員 そういう意味では、震災の前と後とでやり直しをして新しい数字が出るかどうかまだわからない、場合によっては全然やらないかもしれないということですか。そこのところはどうですか。
  277. 高村正彦

    ○高村国務大臣 意味のある計算ができるようになればやるわけでありますが、現時点では、いつごろ意味のある計算ができるようになるかどうかはっきり申し上げられない、こういうことでございます。
  278. 海江田万里

    ○海江田委員 あれだけ大きな大震災、しかも阪神地域というのは日本経済の中で占める位置というのは大変大きいわけですから、これはやはり当然やらなければいけない。しかもできるだけ早くやっていただいて、それによって、企業の経営者でありますとかそこに働く人々でありますとかを安心をさせる。今、例えば消費が落ち込んでおる一月のデパート、大変客足が遠のいておったとか、それからホテルなんかもまた自粛があって少なくなり始めた、それから、さっきの住宅の問題もそうでありますけれども、せっかく景気が少し回復してきたかなというところが、ここのところに来てまだブレーキが一たんかかっている。  けれども、そのブレーキの向こう側にはまたアクセルが踏まれるときもあるんだという見通しを、やはり震災の前と後とできちっと区分けをして、こういう数字になるからトータルでいけば二・八に近づくんだよ、あるいはことしは二・八は無理かもしれないけれども、それが今度はばねになって次の年につながっていくんだよ、こういうような見取り図といいますか設計図といいますかこういうものを国民に一日も早く示すことが、これもやはり政府の大変大事な仕事ではないだろうかと思いますので、一日も早くそういう計算をやっていただきたいと思います。民間はもう出ている。無責任に出しているということだけじゃありませんから、やはりそういうことを出すことの意味合いというのがありますので、ぜひよろしくお願いします。  それから、もう一つだけですけれども、貿易黒字が、一月の速報値、大蔵大臣いなくなりましたけれども、これは大変黒字幅が縮小をしましたね。いろいろな読み方がございますけれども、黒字の減少というのがこのまま定着をするのかどうなのか。これはどうですか、経済企画庁でいいのですかそれとも――大蔵大臣、来ますね、これは。(発言する者あり)そうですね、私の許可もとっておりませんね、これは。どうしましょう、そこの問題。じゃ、ちょっと待っていましょうか。
  279. 佐藤観樹

    佐藤委員長 高村経企庁長官。
  280. 高村正彦

    ○高村国務大臣 あれほど一遍な、大きな減少がそのまま定着するとは考えておりませんが、少しずつ趨勢として貿易黒字は減少しつつある中で今度あれだけ減ったのは、やはり今度の震災の影響、神戸港の問題が大きいというふうに私は認識をしております。
  281. 佐藤観樹

    佐藤委員長 武村大蔵大臣。
  282. 武村正義

    ○武村国務大臣 経企庁の長官のお答えのとおりでありますが、やっと円ベースだけではなしにドルベースも少し下がる方向に来まして、ぜひこの方向が定着をしてほしい、そして経常収支の改善に役立ってほしいと願っております。
  283. 海江田万里

    ○海江田委員 私も、一月のは確かに非常に時期的な問題がありましたから極端過ぎますけれども、ことし一年、それから神戸港の被害というのも大変大きいものですから、やはり輸出にブレーキがかかるだろうということで、そういう意味では、貿易黒字が減っていくあるいは経常収支が減っていくということは、これは決して悪いことではないのではないだろうか、そういうような考え方を持っておりますので、やはりそういう経済に与える影響というものをなるべく早く、そしてなるべく全体像の中で提示をしていっていただきたいと思います。  この阪神大震災の経済的影響につきましてはここまでにしまして、あと残された時間、外務大臣に、ポスト鄧小平さんの時代の中国の政治経済情勢は一体どういうふうになっていくのかということについてお尋ねをしたいと思います。  これは、特にポスト鄧小平さんの時代という形で、鄧小平さんという名前がついておりますので不謹慎だというような見方もあるわけでございますが、ただ私は、日本と中国の関係というのは、これまでのような、まあどちらかといえば政治家でありますとか友好人士が北京に行ったり上海に行ったりして、乾杯をして茅台酒を飲んで帰ってくるというようなことでありませんで、もう経済的な結びつきというのは非常に大きな、強いきずなになってきたと思うわけでございますね。  とりわけ対外資本投資でございますけれども、これは今回日本から中国へが第二位に、もうこれは当然のことでありますけれども、なってきましたし、それから、日本の企業の中国への投資というのも、昔でしたら、組み立てたとか加工だとか、その程度の進出だったわけですけれども、最近はもう自動車関係の工場ができたりということで、非常に結びつきがかたい。  その中国の政治経済の様子というのが今非常に大きな曲がり角に来ておるのじゃないだろうか。こういうときに、これからの中国が一体どういうふうになっていくかということを外務省としてどういうふうにお考えになっておるかということ、これはぜひお聞かせをいただきたいと思います。
  284. 河野洋平

    ○河野国務大臣 我々にとって中国の将来というものは大きな関心を持つべきもの、当然のことだと思います。しかしながら、中国に対する我々の見方というものはなかなかそう簡単に、将来を推測するために十分なデータその他がそう豊富ではないのでございます。  議員も御承知のとおり、経済は、限られた地域でありますけれども、大変急激な上昇カーブを描いております。この急激な上昇カーブが、しかし一方、その地域とそうでない地域との間に摩擦を起こす、さらには労働力の移動に伴うさまざまな問題が起こるというようなことがございまして、かなり不透明であることは御承知のとおりでございます。  しかし、そういう不透明な中であっても、我々はやはり、将来どういうふうになっていくかということを、政治的、経済的、社会的、さまざまな側面から考えていかなければならないと思います。どういう形で中国全体が政治的にまとまっていくかということも我々は大きな関心を持っておりますし、さらに、香港返還という、全く新しい仕組みを持つ国際的に高い経済水準の地域が返還されるということが、一体政治的にどういう状況をそこにもたらすかということも大きな問題でございます。また、当然台湾との関係政治的に見てどういうふうに推移していくかということも我々は大きな関心を持たなければなかません。  もっとマクロに見ますと、中国の人口あるいは中国の国土、辺境の地を含めて、こういう地域の社会的な状況というものは北京、上海とは随分大きな違いが出てきてしまっている。そういうギャップがどういうふうに政治的手法によって埋められていくかというようなことにも我々は関心を持っているわけです。  さらに言いますと、北東アジアの安全保障という側面から見れば、中国が一体どういうふうになっていくかということについてもそれなりに我々としては情報を持ち、あるいは推測もいたしておりますが、いずれにせよ私どもは、中国の開放・改革路線というものを支持していかなければならない、こう考えております。
  285. 海江田万里

    ○海江田委員 今、中国の将来像について推測もしておるというようなお話を承りましたけれども、最近の推測の中では、アメリカの国防総省が、これは実際にその論文を書きましたのは去年の夏だそうですけれども、一月に入りましてそれが公表されたということで、かなり話題を呼んでおるわけですね。大臣もお聞き及びだろうと思いますけれども、ポスト鄧小平さんの中国は、現状維持が三〇%、民主化がさらに進む、これが二〇%、それから、分裂をするというのが五〇%だと、こういう数字が出ておるわけでございます。  これは国防総省のレポートだということですが、この今の数字をお聞きになって、どういう感想をお持ちですか。
  286. 河野洋平

    ○河野国務大臣 国防総省が中国関係の専門家に依頼をして研究をした、そういう文書が発表といいますか、表に出たということは私どもも承知をしておりまして、私も拝見をいたしました。  で、今議員がおっしゃったように、三〇、二〇、五〇という数字ですけれども、分裂が五〇%だと、こういう御指摘がございましたが、あの五〇%という数字は、将来の推測のうちの確率が五〇%の確率で分裂をするだろうということではないんですね。研究をした研究者の中で半分の人がそういう推測をしたということであって、将来の確率をそれによって示しているわけではないというふうに承知をしております。しかしながら、逆に言うと、五割の人がそういう推測をしたということにはまたそれなりの意味があるかもしれません。  ただ、それはまあ前段でございまして、感想はどうかという御質問でございますが、私の率直なことを申し上げれば、まああれだけの大きな国土、それからあれだけの人口というものがこれからどうやってうまく一つにまとまって進んでいくか。もちろん、科学技術の進歩によって通信手段が格段にこれまでよりはよくなるとか、つまり、中央での決定が非常に末端まで迅速に届くとか、あるいは、末端といいますか、辺境の地で起きた出来事が非常に速く政治の中枢にまで戻ってくるあるいは知らされる、そういうようなこともあって、歴史をひもといて、中国がその歴史において必ずしも一つにずっとなってこなかった、何というんでしょうか、分権傾向にあったというんでしょうか、そういう歴史をたどっているからこれから先もそうなるのではないかという推測は、必ずしも、科学技術の進歩とかいうものも相まって、その延長線上にあるというふうにも思いません。  で、欧米人の思考といいますかメンタリティーといいますか、そういうものと、やはり東洋人には東洋人の考え方あるいは行動様式というものがあって、そこは、すぐ中国が分裂に進むであろうというふうには私は思っておりません。むしろ緩やか、そのスピードはともかくとして、やはり民主化の方向に進んでいくのではないか。その民主化は、経済的な民主化というものが先に進んでいるわけでございますけれども、こうしたことが社会的な民主化に当然つながっていって、それが将来また別の形で民主化というものを引き起こすというような形に行くのではないか。これはやや希望を交えた私見でございますが、そんなふうに実は思っているところでございます。
  287. 海江田万里

    ○海江田委員 それは私も考え方が全く同じでございまして、この国防総省の資料というのはまさに専門家に聞きましたから、専門家というのは、どちらかというと人と違ったことを言わなければ飯が食えない部分もありまして、それで専門家の予測が当たったためしはないわけでございまして、やはり私たちが中国を見ていく場合は、十二億の国民が一体何を望んでおるのかと、そういう方向でやはり国を治めていく政治家が、これは国民から支持をされる政治家でありますから、そういう意味では、この中国の政治状況というのはもちろんまだいろいろな不安定な部分もある。  特に、やはり江沢民さんが本当に、鄧小平さんがお亡くなりになった後の江沢民さんというのはこれまでと同じようなわけにはいかない、やはり集団指導でやっていかなきゃいけない。そのとき力のバランスの若干の揺れというかゆがみというか、こういうものは当然出てこざるを得ないでしょうけれども、全体からいけばやはりそういう安定の方向に行くんではないだろうかという認識を持っております。  ただ、こういうようなデータが、まあ国防省が出したということですが、どうなんですか、日本の外務省ではそういうような、まさにこれはリポートなわけですから、それが全部考え方ということではないんですけれども、そういうようなものというのはおつくりになっておるわけですか。
  288. 河野洋平

    ○河野国務大臣 議員に申し上げますが、やはり我が国の、長い歴史を持つ、今や大変な友好国中国の要人にまつわる健康状態を含めて具体名を入れて議論をするということは、私の立場とすれば十分気をつけなければならないことであるということはぜひ御理解をいただきたいと思います。  したがいまして、議員のお尋ねはお尋ねとしてよくわかりますが、私どもとしては、もちろん中国についてあらゆる角度から情報をとり、言ってみれば分析をし、どういう方向に今動きつつあるかということについて当然研究をし、原局においてはそういう研究に基づいていろいろな政策判断をしていることは事実でございます。
  289. 海江田万里

    ○海江田委員 村山総理の訪中というのは、あれはとりあえず延びたわけでございますか。訪中の予定というのは今はないんですか。あるいは、河野外務大臣の訪中の予定というのはおありかどうか。
  290. 川島實

    川島政府委員 お答え申し上げます。  総理訪中及び外務大臣訪中、現時点では具体的日程はございません。
  291. 海江田万里

    ○海江田委員 私は、やはり政治家はなるべく頻繁に中国に行った方がいいと思います。とりわけ第四次の円の借款の問題もございまして、あの調印式、先日行われたようでございますが、やはりそれも本当は政治家が行けばいいわけでございますが、まあ、どうも事務方主導の第四次の円借款の決め方ではないだろうか。もちろん、事務方の中にも、日本と中国の関係を大切にしなければいけないということを考えておられる方々が多い、最近急激にふえておるということ、これはよく理解をしておるわけでございますが、やはり政治家の方も、とりわけこの中国との関係というものに目配りをして、あるいは気配りをして、間違いのないような関係をつくっていただきたい、こういうふうに思います。  もう質問の時間、あと十分しかございませんが、きょうは文部省の方に一つお尋ねをします。  補助金の話でございますけれども、文部省の補助金の中に、いわゆる夜間の高校に行っている人たちに対して給食費の補助、それから給食費だけじゃありませんで、教科書の無料での配付でありますとか、それから修学の手当金ですとか、そういうようなものが出ておるということを聞いておるのですが、政府委員の方でもよろしゅうございますが……。
  292. 井上孝美

    ○井上政府委員 お答え申し上げます。  勤労青少年の教育の重要性を考慮いたしまして、定時制高等学校に在学する生徒に対しまして教科書給与費、修学奨励費及び夜食費などの各事業を実施する都道府県に補助を実施してきているところでございます。  このうち、教科書給与費、夜食費の補助事業につきましては、平成二年に会計検査院から、「補助事業の対象となっている生徒の多数が勤労青少年に該当しない事態は、補助金の交付の目的から見て適切ではない。」との改善意見が出されたところでございます。文部省では、会計検査院の改善意見も念頭に置きつつ、時代の進展に対応した定時制課程のあり方などにつきまして検討を行うため、専門家による高等学校定時制・通信制教育検討会議を設置いたしまして、平成六年十月に「高等学校定時制・通信制教育の修学奨励事業について」を取りまとめていただいたところでございます。  この取りまとめにおきましては、教科書給与費、夜食費につきまして、パート、アルバイトを含む有職者を給与の対象とすることを原則とすると述べられており、文部省におきましては、現在、このまとめを受けまして、平成七年度から当該補助金にかかわる制度を改正するための具体的検討を進めているところでございます。  なお、先ほど先生からお話がございました修学奨励費の貸与事業については、従来から有職生徒を対象に実施してきているところでございます。
  293. 海江田万里

    ○海江田委員 細かい話でございますが、いわゆる夜間の高校に通っております人の概念といいますか、昔は、勤労青年ということでいろいろな苦労がありまして、そしてそれこそ本当に食事も給食が出なければ食べられないというようなこと、それからやはり教科書を買うお金もない、それから勉強と仕事と一生懸命になってやらなきゃいけない、そのための援助もしようということで、それなりの意味もあったわけでございますが、最近の夜間の高校の生徒というのは、これはもちろん全部が全部ということじゃありませんけれども、昼は遊んでおって夜行こうとか、あるいは若いときに学校へ行く機会がなかったから、もうお父さんが定年になってその奥さんが行くとか、そんなようなケースもあるわけでございます。  ですから、そういうところまでこれまでと同じように、十年前、二十年前と同じような形で補助をやるのはいかがなものかということでございます。今政府委員からもお話がございましたけれども、ある程度の見直しが行われるやに聞いておりますので、そこのところは、やはり国民の税金でそういうところに支払いが行っておりますので、本当に必要な人に必要なお金が行くような配慮をしていただきたいと思います。平成七年度から見直しをしていただける、見直しというのは、カットすべきところはカットすべきである、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  294. 井上孝美

    ○井上政府委員 お答え申し上げます。  先生から先ほどもお話がございましたように、例えば定時制、通信制生徒の有職率について見てみますと、昭和五十四年度は定時制課程が約八九%でございましたが、平成三年度には定時制課程の約七九%という状況に変化してきているわけでございます。  これは、近年の産業構造、就業構造の変化が働きながら学ぶ定時制、通信制生徒の就業形態に変化をもたらして、従来のいわゆる定職からパート、アルバイト従事者が多数に上ってきているなどの実態も考慮する必要があるわけでございまして、先ほど申し上げましたとおり、そういう実情を考慮しながら、「パート・アルバイトを含む有職者を給与の対象とすることを原則として、さらに有職者以外であっても特別な事情のある者については引き続き給与の対象とするなどの配慮がなされるべきである。」という専門家の検討会議の結果等も踏まえまして、平成七年度から先ほど申し上げましたような見直しを、現在具体的な検討を行っているところでございます。
  295. 海江田万里

    ○海江田委員 今の七九%の有職率という、その有職の中にはパート、アルバイトも入っておるというふうに理解していいわけですか。
  296. 井上孝美

    ○井上政府委員 お答えいたします。  七九%のうちには、定職が三二・七%、それからパート、アルバイトが四六・二%、合わせまして七八・九%という数字になっております。
  297. 海江田万里

    ○海江田委員 わかりました。パート、アルバイトというのを入れればそういうことになると。それで、実際に半分以上がパート、アルバイトであるということは、私が先ほどお話をしたように、夜間の高校に行っております生徒のイメージというものが、あるいは内容というものが大きく変わっているということの一つのあらわれだろうと思いますので、今お話しいただいたような形で、やはりなるべく早く手当てをしていただきたいということでございます。  まあ、こういうような小さな話も、これもやはり国民から預かっております貴重な税金の使い道ということであえて取り上げさせていただきましたけれども、何といいましても、やはり一番大きな問題は先ほど来何度も出ております東京共同銀行の問題であります。きょうは大蔵大臣にお答えいただくところは余りございませんでしたけれども、今後もこの問題は引き続き取り上げて、私だけでありませんで、やはりこの予算委員会全体として、この問題について究明すべき点は究明をしていかなければいけないと思っておりますので、どうか大蔵大臣の方も、資料請求、資料提出などの点ではなるべく円滑にお願いをしたい。  それから、きょう私もいろいろ聞かせていただきましたけれども、まだ不透明な点が多々ございますので、やはり大蔵省の方からも、知り得る範囲でよろしゅうございますから、一体どういう経緯で決まったのか、それから法律違反の問題なんかはどういうところがあるのかということ、やはりそのあたりをしっかりと解明をしていただきたいと思います。もし一言ございましたら。なければよろしゅうございますが……。  では、私はこれで終わります。
  298. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて海江田君の質疑は終了いたしました。  次に、水野清君。
  299. 水野清

    水野委員 昨年の八月以来、私ども今の与党三党でプロジェクトチームを組みまして、行革の問題をやってまいりました。約八十回近い会合を重ねてまいったわけであります。今回、第一回目の成果として、特殊法人の整理統合をまとめたわけであります。第二弾としては、近く三月、年度末までに規制緩和をまとめるつもりでありまして、さらにその次の第三弾としては、行政機構本体に切り込む行政改革に手をつけるつもりでございます。  さて、第一回の特殊法人の問題でありますが、先般十一特殊法人と塩の専売廃止という一事業体、合わせて十二の統廃合と民営化の方針を取りまとめて、これは対象としたのは、かつて民営化をしましたJRとかNTTとかあるいは日本たばことかは除外をしてありますので、八十一の特殊法人約十二万人全体について合理化、効率化の内容を盛り込んで、閣議決定の手続を内閣にお願いをしている最中であります。そのことは、総務庁長官も御承知のとおりであります。  そこで、我々のプロジェクトチームが半年以上かけました結論は、特殊法人のみでなく行政組織全体を絶えず監視を続けないと、行政機構というものは膨れ上がるおそれがあるということであります。お役人は、自分の所管法律に基づく権限をなるべくたくさん握り続けていたい。その権限は、変化をする内外の情勢の中でふえることはもちろんであります。行政需要が増すのは当然であります。  例えば今度の関西の大震災でもいろいろな必要な権限を、これは官僚といいますか、行政組織に与えなければ問題が処理ができないわけでありますから、それは当然でありますが、そこに役人というのは予算と定員を必ず欲しがる。予算と定員をふやした役人は出世をいたします、減らした人は無能とされます、これが役人の世界である。これは総務庁長官、大蔵大臣も御承知のとおりであろうと思います。今回の行革は、これを抑えることなのであります。要するに、官の膨張を政治が抑えるということであります。  我々の結果については、余り野党の皆さんからお褒めにあずかりませんが、本当は与野党一体になってこの問題に当たらなきゃいかぬのであります。与党がやったのはまだ足りない、もっとやれというお声がありますが、私はそうじゃないと思うのですね。本当は与野党一体になってやらなくちゃいかぬ、こう思っているわけです。  脱線をしてもいけませんので、話をもとに戻しますが、実は、国家公務員には総定員法という法律があります。これは総定員が約五十一万人と決められております。沖縄の返還その他でふえておったり現業職員などがありますから、その外側のものも若干ありますが、過去の行革の成果で、実はこれを削りに削って現在は四十八万人余、既に総定員の五十一万人を割っているわけであります。  ところが、国家公務員の定数の枠が非常にかたいのでありまして、その外側に特殊法人がどんどんはみ出していく、これが今の特殊法人の様子であります。それがどんどんふえてきている。来年度予算ではふやさないように、私どもは気がついておりましたので、去年の暮れに大蔵省にも要望をしました。特殊法人の定員は絶対ふやさないように。去年はちょっとふえていますな。去年、野党さんの内閣のときはふえているのです。三百人ばかりふえておりまして、ことしはふやしちゃいかぬということで、むしろ減らさせました。  我々のチームは、最初はこの特殊法人全体に総定員法のようなものができないか研究をしたのでありますが、経営形態が多種多様であり、逆に、将来縮小するような組織、まあどれだと言うとまた困る人もありますからあえて具体例を申し上げませんが、既得権を逆に与えてしまう。何人と枠を与えると、かえってその枠に固執してあくまでも仕事の存在性を主張するということになってはいかぬというので、あえてそういうことをしなかったわけであります。  そこで、今度、これは全特殊法人を通じて、三項目を決めました。  これは総務庁長官に最初承りたいのですが、まず、今申し上げましたように、人事管理を適正化していく、なるべくならどんどん毎年計画的に減らしていくということが一つであります。  それから、私は特殊法人の一つ二つをつぶすよりも大きいと思うのは、財務内容を公開させるということです。いわゆるディスクロージャーであります。国民の目に、マスコミの諸君も取材に行ってもわからぬ。さきがけの菅さんが、大蔵大臣、自分が住都公団に資料要求しているのだがなかなか教えてくれないとぶうぶう言っているのですよ。国会議員もわからないのがあるらしい。何か細かいことは私はわかりませんが、我々のいろいろな打ち合わせの中で、そういう話が出てきました。情報を公開する義務づけを特殊法人には徹底してほしい。これは国家公務員もそうでありますが、こういうことであります。  それからもう一点は、整理統合の結果、職を失う人がある、この雇用対策をどうしてやるか。その特殊法人に勤めていたからといって、あしたからどうにでもなれといってやるわけにもいかぬのですよ。さりとて、中でたらい回ししておったのじゃしょうがない。これを一体どうするかということであります。この三点について、総務庁長官に承りたいのです。  実は、私は郷里へ帰りましたら、ある公団に勤めている人がやってきまして、公団に勤めていると子供がいじめられると言うのですね。おまえのおやじは高給もらって特権階級だろうといって、学校へ行っていじめられると言うのです。そんなのはわしらではありませんわ、こう言うわけですよ。余り給料もよくないですな、調べてみると、上の人は別として。そういう話もあるので、これは総務庁長官に、今申し上げた三点、おわかりですか、少しお答えを願いたいのであります。
  300. 山口鶴男

    山口国務大臣 お答えいたします。  今回の特殊法人の整理合理化の問題につきましては、前政権のもとでは行革大綱によりまして二年間にその整理を行うということでございましたが、水野さんを初め与党の行革プロジェクトチームの皆さん方の熱心な御論議提言もいただきまして、この際、この問題は前倒しをして、年度内にこの整理合理化を達成しようではないかということで取り組んだ次第でございます。  この間、村山総理も極めて熱心に閣議あるいは閣議後の懇談におきましてしばしば発言をし、リーダーシップを発揮してこられたわけでございますが、あわせまして、与党の皆さん方が、特に水野座長を中心といたしまして、この問題に真剣に取り組み、そして我々政府を鞭撻いただいたことに対しましては、心から感謝を申し上げたいと思う次第でございます。  御指摘の点につきましては、次のように考えております。  野党の皆さん方から、どうも不十分ではないかというような御批判もいただいておりますけれども、しかし新進党の皆さん方の案を拝見いたしましても、今回我々が苦労して取りまとめましたような、いわば公社公団の統合の案というのは、そういう意味では我々の最終報告と極めて似通っている点もあるわけでございまして、そういう点では、与党、野党一致してこの特殊法人の整理合理化については努めていくのがいいのではないだろうかというふうにも思っている次第であります。  蚕糸砂糖の事業団とそれから畜産事業団の統合というようなのも新進党の案に入っているわけでございまして、これらの点につきましては、私どもの案も同様でございまして、評価いただける面が多いのではないかと考えておる次第であります。  御指摘の定員管理の問題でございますが、この点につきましては、お話のございましたように、公社公団全体として定員の抑制を厳しくやってまいりたい、かように考えております。与党の皆さん方の御提言もございますので、今、最終報告に合わせまして、御提言も踏まえた上で、閣議決定に持ち込む案を鋭意作成中でございますけれども、その中に御提言の定員管理の問題につきましては十分これを反映させる、そのために今鋭意努力中であるというふうにお答えをいたしておきたいと存じます。  次に、ディスクロージャーの問題でございますが、特に財務内容につきまして、これの透明性を確保すべきである、まさに当然のことだと存じます。  それで、御案内のように、昭和六十二年十月の特殊法人等会計処理基準というのがございまして、財務諸表につきましては、官報に掲載する、あるいは事務所に備えつけて国民の皆さん方にこれを公開する、それから、予算を提出いたします際に特殊法人の財務内容につきましても報告をするというような形で、この経理内容の透明性確保、公開性に努めてまいった次第でございます。  しかし、まだ不十分ではないかという御指摘があることは十分承知をいたしております。具体的には、与党の改革案を踏まえまして特殊法人の管理運営の改善案を取りまとめました後で、その趣旨を踏まえまして閣議決定を行う予定でございますが、全法人の財務諸表等について一覧可能な閲覧窓口を整備する、こういうような手法を通じまして、積極的な情報公開を進めて透明性の確保を図るとともに、いわゆる子会社、孫会社、関連会社等が存在する法人につきましては、できる限りこれらの財務内容の情報公開を進めるためにも努力をいたして、全体として国民の目に透明性が確保されますように努力をいたしたいと思っておる次第でございます。  次に、雇用の問題でございますが、雇用対策につきましては、村山内閣といたしましては、路頭に迷うような人を出してはならぬ、この整理統合は進めますけれども働く皆さん方の雇用は守る、こういう観点で、私どもとしては、与党のこれも御提言を踏まえました上で、この問題につきましても閣議決定に織り込むべく今鋭意努力中であるということでございます。  最後に、委員が御指摘をされました、役人というのは何か予算をふやす、あるいは組織をふやす、法律をつくる、こういうことをやったら出世をするというようなふうに言われておるわけでございます。民間会社というのは、これは当然競争があるわけでございますから、身を削ってお互いスリムにするための努力をする。役所はそういったお互いの競争というのはないわけでございますから、どうしても御指摘のような傾向があることは否定できないと存じます。  これからはやはり、国民の要請にこたえて、行政改革に熱心な官僚の皆さんこそ立派に官僚の幹部として頑張っていただける、こういった体制をつくるためにも内閣として努力をしていきたいもの、かように考えておる次第であります。
  301. 水野清

    水野委員 そこで、ちょっと各論に入らせていただきますが、今回の特殊法人の統廃合を検討しました過程で、どうしても省庁との合意を得られなかったものが二、三ありました。そのまず第一は、政府系金融機関の問題であります。  我々は、開銀のあり方についていろいろ検討いたしました。開銀の民営化論というのもいろいろ勉強いたしました。しかし、この民営化論の中で出てきたのは、銀行が金を貸さなければいかぬので、原資をどうして調達するか、民営化した場合どうするかということにぶち当たったわけであります。  現在、御承知のとおり興業銀行、長期信用銀行、日本債券信用銀行のような銀行は、預金を預かるよりは債券を発行して金を集めてそれを貸し付けている、いわゆる長期資金を貸し出しているわけでありますが、今開銀を民営化してそういうことができるであろうか。御承知のとおりJRの株もなかなか売れない、NTTの株も売れない、たばこ会社の株も売れないというのに、今すぐそんなことできるか、こういう壁に突き当たったわけであります。  よく、行革で評論家の皆さんは、住都公団を民営化したら二十兆円金が出てくるとか、道路公団を民営化したら何十兆出てくる、確かに資産としてはあるわけなんですけれども、今の株式市場で十兆円だの二十兆円なんて金がありますかいな、そんな株を出して売れますかいな、こういう話に相なったわけです。それから、結局、ではひとつ輸銀との合併はどうだ、北東公庫との合併論もその中で一つ出たわけであります。  そこで、それより前に、開発銀行というのは今本当に政策金融機関としてどこまで大事なんであろうか。よく言われるのですが、民間のいいお得意までとってしまって放さない、そういうことをよく言われますので、少しこれを調べてみたわけです。  その各論について、まだ時間がありますから、銀行局長、この開発銀行はどんな政策金融をしていて、どうしても必要で欠くべからざることしかしていないのかどうか、ちょっとお答えを願いたい。
  302. 西村吉正

    ○西村政府委員 日本開発銀行は、我が国の産業・経済開発をその目的としておりまして、具体的に申し上げますと、市街地の再開発とか鉄道の輸送力の増強等の、国民生活に密着した社会資本整備等の社会的意義の大きな分野であって、しかも民間金融のみでは対応し切れない、リスクが高い、低収益である、投資回収に長期を要する等の分野で融資を実行しておるわけでございます。また、いわゆるバブル経済崩壊後の累次の経済対策においても、速やかに融資を実行する等積極的な役割を果たしましたし、さらに、今回の震災に際しましても、被害の早期復旧のために最大限の努力を払っているところでございます。
  303. 水野清

    水野委員 そういう御答弁があると思いました。  そこで、少し具体論に入りますが、あなたはそうおっしゃるが、まず一番いい例は、私はあなたに何遍もお話をしたけれども、飛行機の輸入金融なんですね。いいですか。  日本航空は輸銀でやっているのですよ。全日空やエアシステムは開銀でやっているのです。それではその区分は一体何で区分をつけるか。同じ飛行機を輸入するのに何で分けているのか。私は民間の市中銀行に聞いたら、こんなおいしい話、私たちも商売したいんだ、かつては航空会社が飛行機輸入するのに金が足りない、協調融資もあるけれども、開銀からお金を拝借してぜひともお願いしますと言ったんだが、今はそうじゃないんでないでしょうか、私どもはぜひ開銀と同じような条件でお貸しをしたい、こう言っているんですが、どうですか。輸銀と開銀どうして違うか、飛行機の輸入。
  304. 西村吉正

    ○西村政府委員 今先生御指摘のように、日本航空につきましては輸出入銀行が、また開発銀行につきましては全日空がそれぞれ……(水野委員保「エアシステムね」と呼ぶ)はい、対応しておるということは御指摘のとおりでございまして、それは過去におきまして、それぞれの航空会社が国際線を専担としておるとかいろいろな経緯があって現在もそのようになっておるものと理解をしております。  いずれにしましても、民間金融との関係ということに関しましては、もちろん毎年度の予算、財投の編成過程を通じまして、民間金融によって適切な対処が可能となった分野については逐次業務の見直しを行うなど、毎年度対応してきておるものと理解をしております。
  305. 水野清

    水野委員 あなたの答弁が少しよくなってきた。この間から、絶対にそうじゃないと、こう言っていた。きょうは、順次改めていきたいというようなことです。  それじゃ、この開発銀行の上から二十社、これは大口融資の各論があるんですね。これはそっちからもらった資料だから間違いないんですね。上からずっと見ていくと、九電力が一番多いんですよ。九電力だけで四兆円ぐらい。これは、電力会社というのは今日本で一番安定しているんじゃないですか。それを何で開銀でとっちゃっているんですか、簡単に言ってください。
  306. 西村吉正

    ○西村政府委員 御指摘のように、日本開発銀行の上位の貸付先に電力会社が並んでおるということは事実でございますが、開発銀行は電力会社のすべての分野で融資をしておるということではございませんで、先ほど申しましたように、政策金融としてどうしても対応せざるを得ないそういう分野について電力会社に関する融資をしておる、こういうふうに理解をしております。
  307. 水野清

    水野委員 そういうふうにお答えになるだろうと思っておりました。  簡単に言いますと、東京電力一兆二千億、中部電力六千五百億、関西電力五千八百億、関電はこれは今震災ですから、震災の復興には必要ですから、その分はこれから貸し増しするのは当然だと思います。九電が五千百億、東北電力が二千九百億、中国電力二千九百億、北海道電力が千九百五十五億、北陸電力が千七百六十九億、四国電力は千四百億云々となっていますね。  そのうち、私は今度は電力会社の何人かの人に聞いてみたんです。そうしましたら、原子力は貸していただければありがたい、それから共同溝の負担金、これはお願いしたい、しかし、それからほかは市中金融機関でもいいんです。現にあなた方の、開銀の貸し出している中の、これは東電なら東電の例を言いましょう。これは大蔵省てくれた資料だから、中部電力でもいいやね。  エネルギー多様化というのがあるんですね。三千百四十九億円も貸し出しているんです。金利四・八五です、あるいは四・八%。そう安くないんですね。その中身は、多様化って何ですかというと水力発電。電力会社が水力発電やるのに開銀がなくたっていいんですよ。こんなものは戦後、昭和三十年代の話なんです。そのころからの国策を握って離さないのは、私は開発銀行じゃないかな、これを読んでつくづくそう思いました。そういうことが非常に多いんですよ。  エネルギー利用高度化というのがありますが、これは光ファイバー。光ファイバーなんというのはなかなかこれから難しいところでしょうけれども、少なくともさっき申し上げた九電力の全部、四兆円とか五兆円という大きな金の全部を握って放さぬというのは、公的金融機関が明らかに民間の仕事をとってしまっている。あなた方、納付金は納めてますけれども、税金は払ってないんですからね。民間にこの商売をやらせれば、ちゃんと税金を払ってお国に奉仕をしてくれるわけです。それだけサボっているということですね。これは行革の対象としてもっと真剣に考えてもらわなければいかぬのであります。  それからもっと一つおもしろいのは、今度は政府系金融機関で融資合戦をやっている。これはNHKがこの間テレビでやっていたやつ。北海道JRの子会社というのですか、第三セクターで道東高速鉄道開発という会社があるんですね。そこへ北東公庫も貸している、開銀も貸している。北東公庫は九億二千百万、開銀は九十五億二千百万貸しています。何でこれを整理せぬのですか。どっちがが譲り合ったらいいじゃないですか。話を聞くところによると、両方で、わしの方を貸す、わしの方の金を使えと言い合って融資をした。そこで、何かホームの改良は北東公庫だ、鉄道はどうだこうだ、こういうような話をしていた。  ところが、今度はほかのJRにはおたくは全部貸しているわけですよ。だから、これは非常に政府系金融機関でさえも間でチャンバラやっている必要があるんだろうかと、私は調べていってつくづくそう思ったんですね。だから、開銀不要論なんか出るんですよ。もっとやるべきところでちゃんとやればこんなこと言われないで済んだ、これはよく御注意を申し上げておきます。余りこのことばかりやっているとあれですが、どうですか、ちょっと銀行局長
  308. 西村吉正

    ○西村政府委員 北東公庫は地域産業の振興開発の促進を図るという観点、また、開発銀行は社会資本の整備や産業構造改革を全国的な視点から促進するという観点からそれぞれ業務運営を行っているわけですが、御指摘の点につきましては、北東公庫は地域振興の観点から、開銀は基幹交通体系の整備の観点からということで、それぞれ別個の対象工事に対して融資を行っておるものでございます。  このように別個の工事に対して異なる政策目的に従いそれぞれが融資するということは、事例としてはそう多いものではございませんが、格別異例というわけではございません。
  309. 水野清

    水野委員 予算委員長も笑っていますが、どういうふうにお考えですか、今の答弁。  要するに、開銀のやっているのは地域振興じゃなくて、北東公庫の方が地域振興だというのです。同じことですよ。同じ鉄道会社で何で融資の仕分けをしなくちゃいかぬ。私、不思議でしょうがない。これが官僚主義の典型なんです。もう少し私は反省をなさるべきだと思います。  このほか、追って政府系金融機関整理統合の問題が、早速次のステップでやろうということで、三党でやることになっておりますから。どうですか、総務庁長官、今の話で御感想は。次の政府系金融機関、あっ、これは大蔵大臣、黙って座って……(武村国務大臣「所管でありません」と呼ぶ)いやいや、大蔵大臣の主管でございますから。行革はこちら、政府系金融機関は――まず、じゃ山口長官からお話をいただいて。
  310. 山口鶴男

    山口国務大臣 ただいまの御質問、謹んで承っておりました。  どうも何か使い分けをしているのが私ども素人から見ましてもおかしいような感想を持たざるを得ませんでした。したがいまして、これから政府といたしましても、去る十四日の閣議の懇談におきまして総理が、年度内速やかにこの政府系金融機関については見直しをしようではないか、努力をしてほしい、こういう要請でございましたので、与党の皆さんと十分話し合いをしながら政府・与党一体となって見直しを行うために努力をいたしてまいりたい、かように考えております。
  311. 武村正義

    ○武村国務大臣 水野議員には熱心に党内の取りまとめをいただきまして、本当にありがとうございました。  それで、引き続き今回は三党でまず御苦労いただく、こういうことになりましたので、余りもう閣僚の立場であれがいい、これがいいと言うのは慎まなきゃいけないと。もう一遍真っ白な気持ちで三党が政府系金融全体をにらんでおまとめをいただくことにぜひ私どもも協力をしていきたいというふうに思っております。
  312. 水野清

    水野委員 それじゃ、この話はまた来週から始まりますからこの辺にしまして、今度は郵政省。  もう一つ、御協力をどうしてもいただけなかったのが郵政省であります。とうとう、我々お願いをしたのですが、ゼロ回答でありました。そこで、私は、最小限KDDぐらい民営化したらどうだ、KDDというのは株式も上場しておるし、政府が株を持っているわけでもないし、そんなにお困りになることじゃないのじゃないかと何遍も郵政省の方に申し上げたのですが、とうとう御協力をいただけなかった。  いろいろな理由を言っておられました。電気通信局長いらっしゃいますか。それじゃひとつ電気通信局長からその理由をここでもう一度言っていただきたい。
  313. 五十嵐三津雄

    ○五十嵐政府委員 特殊法人の合理化についての郵政省の最終的に総務庁に提出しました案という中で、KDDについてはこういうぐあいになっております。「国際電信電話株式会社については、平成七年度に日本電信電話株式会社の在り方について検討を行う中で、その在り方について検討を行う。また、経営の合理化について、引き続き推進する。」こういうことで報告をいたしております。  ところで、我が国の国際電気通信をサービスとして提供している会社は現在三社ございます。一つは国際デジタル通信株式会社、もう一つは日本国際通信株式会社、そしてKDDでございます。  ところで、KDDでございますが、KDDにつきましては、年間数回の利用しかない国を含めまして全世界で二百三十三の国・地域との間で国際通信サービスを提供しております。ほかの二社につきましては、これはいわゆるプライベートなカンパニーでございますが、ここにつきましては、ほぼ百程度の地域でございます。二百三十三提供しているKDD、そういう意味では他の二社と比べますと百三十以上の地域にわたってネットワークを張っているということでございますが、これはKDDが特殊会社であるというゆえんの最大の理由でございまして、いわゆる平時あるいは危機管理を問わず、全世界につながるネットワークを持っていることが私たちの国の利益のために不可欠であるというふうに考えられます。  具体的に、湾岸戦争のときやPKOで海外にいる邦人からの通信の確保、あるいは平素の国民の安全の確保という役割を果たしているということについても御案内のとおりでございます。今回の震災につきましても、被災地においてKDDは、インテルサット衛星を使って国際専用の無料公衆電話の設置をする、あるいはインマルサット可搬型地球局の無償貸与を行う、あるいは国際専用の無料公衆電話の設置を行うという重要な役割を果たしております。  以上のように、KDDにつきましては、国の安全保障あるいは平素の国民の全世界と結ぶネットワークという意味合いにおきますユニバーサルサービスの確保ということを責務としておりまして、KDDのみしかこのような任務、役割を三社の中で果たしている事業体がございません。そういった意味合いにおきましてはKDDだけでございます、他にはないという今日の段階において、KDDをいわゆる完全民営化するということについては慎重に検討しなければならないという問題であるということで、最終案を総務庁に御報告したということでございます。
  314. 水野清

    水野委員 五十嵐さん、そこへ座っていらっしゃい、まだ。行ったり来たり大変だからね。  来年度、平成七年度というのは四月一日ですよ、ことしの。まあ年度末までということになれば来年の三月ですがね。よその官庁は、例えば運輸省の営団地下鉄の問題なんか大変難しい話を前倒しをして行革に協力をしてくれたんです。郵政省は、たった一年、それももう目先に来ている問題を今のような理由で協力をしていただけなかった。私は非常に残念だな。  あなたが今言ったような理由でおられるのと、さっきあなたのお話のNTTのあり方の検討と関連してKDDのあり方も検討するというのは、どうも私は、郵政省はもっとほかのこと考えているんじゃないか。大体、来年もしあなた方が民営化に踏み切った場合、それじゃ今言ったような全世界あまねく通信役務を提供するということをどういうふうに整理して民営化するんですか、来年もしないということなんですか。そこを聞きたい。
  315. 五十嵐三津雄

    ○五十嵐政府委員 平成七年度においてNTTのあり方について検討するというのは、いわゆるNTT法の附則二条、これとのかかわりで私ども政府の宿題になっているということでございます。そういう意味合いにおきましては、平成七年度、四月から来年の三月末までという期間かと思いますが、その間において検討を加えて結論を得るというのが現在私どもの宿題でございます。  そういった中にありまして、現在の情報通信産業の展開というのを考えてまいりますと、いわゆる日本の情報通信産業の競争の政策の促進あるいは日本の情報通信産業のダイナミズムの創造とか、あるいは日本の情報通信産業の国際競争力というようなことを考えてまいりますと、単にNTTという単体にのみ光を当てて検討するということだけではなくて、全般的なことについての検討を行わざるを得ないのではないかというふうに考えられます。  ただ、現実にはこれは平成七年度においてということになっていますので、早くても四月以降の検討ということになってまいります。そういった意味合いにおきまして、NTTの検討を行う中でKDDのことについても検討してまいりたいというふうに考えております。  それから、日本のネットワークをどう考えていくかということでございまして、経営形態ということについての御質問でございますが、KDDがどのような形になっていくかということは、今申し上げましたようなこととのかかわりで検討してまいるということには相なりますが、日本の国としては何らかの格好で世界的なネットワークを構築していくということは必要ではないかというふうに考えております。(発言する者あり)
  316. 水野清

    水野委員 五十嵐さん、今加藤君が、もうかるところだけやっているんじゃだめだよ、もうからぬところもやれと。これは、法律によっては、大臣が一般的なほかの国際通信の会社に命令を出せるような法律改正をすればいいんですよ。KDDだけにそれをするということが、またこれが一つの官僚主義なんです。  要するに、KDDにあくまでも占有特権といいますか、特権を与えておいて、その中で問題を整理しよう、こういう考え方なんですよ、あなたのおっしゃっていることは。これはだめですよ。大体、来年どうするんですか。要するに、あなたのお話を今聞いていると、裏返しにすると、来年はNTTの改組をいたしますと。どういう組織にするのか、地域分割をするのか。まあどういう形にするのか、恐らく郵政省の中では考えがあるんでしょうね、もう来年のことですから。十年先や五年先じゃないんですから。ないということの方がおかしい。  あなた、そう言うならちょっと、そのNTT、来年どうするのか、話がちょっと横道にそれるけれども、しゃべってください。
  317. 五十嵐三津雄

    ○五十嵐政府委員 来年度検討を行うこととなっておりますNTTについてでございますが、来年どういう検討をするかというのは、現在においてはそれは全く白紙のことでございます。  ただ、これまでの経過を若干申し上げさせていただきますと、平成二年の見直しのときに、事業部制の導入の徹底をする、あるいは移動体通信業務の分離等を行って公正競争の促進をするというような内容、あるいはNTTの合理化を促進する、そして平成七年度においてその全般的な検討を行い、結論を得る、こうなっております。  そういう意味合いにおきましては、私どもは、来年度に入りまして行うこの検討につきましては、これまでの見直しで政府の措置というふうになっておりました合理化等々、そういう政府の措置を踏まえて、国民、利用者の利益が最大限の増進になるよう、あるいは競争政策の促進が図られるよう、しかも電気通信全体としての均衡ある発展が図られるというような観点から検討してまいらなければならないというふうに存じているところでございます。
  318. 水野清

    水野委員 いろいろおっしゃっておられるけれども、どうも私は、積極的に行革に協力するとは思えないんですね。その気は全くない。来年NTTの経営形態を見直す、その際に、カードの一枚としてKDDも握っていたい。それは、競争政策を入れるんですから、NTTが国際通信に参加するかもしれぬ。当然その際に、KDDと握るのか、あるいは外国の国際通信の会社と握るのか、KDDも国内の電話会社と手を握るかもしれない。それがNTTであるかどうかはわからない。いろいろなことが考えられるわけですよね。そうでしょう。その際、なるべく郵政省としては札を握っておきたい、発言権を確保しておきたい、そのこと一つなんですよ。それは官僚主義なんです、それがね。  私の言っているのは、そんなことを捨てて、私は、政府全体が命行革をやろうと。これは野党の皆さんもそうでしょう。なあ加藤君、そうだろう。そういうことをやろうというときに、余りにもあなたは非協力だなと思って、私はつくづく慨嘆をしたんです、あなたがそうなのか。あなたは何か、聞くところによると、この次の次官さんなんだそうだな、予定者だと。こんな……(発言する者あり)そうですか、はい。  ただ、総務庁長官、行革に不熱心な――私はさっき一般問題と申し上げた。熱心な人と熱心でない人と、国益を先にするのか省益を先にするのか、これは基本問題です、行革の。これについてもう少し内閣全体として、郵政省のことは言いません、じゃ。全体として、私は、総務庁長官として、これは、内閣全体の人事をごらんになるのは総務庁長官でありますから、ぜひとも監督をきちっとしていただきたいとお願いを申し上げます。
  319. 山口鶴男

    山口国務大臣 人事全体を把握するのは、言うまでもなく内閣総理大臣であります。総務庁といたしましては、内閣総理大臣の指導のもとに、総務庁としての任務を懸命に尽くしていきたいと思っておりますが、御指摘のように、当然、我が国の官僚組織、私は、シンクタンクとしては世界に冠たるシンクタンクであるというふうに思いますが、同時に、それが省あって国なしというような考えはよくないわけでありまして、あくまでも国益を追求すべきものというふうに考えております。また、そのような姿勢で村山内閣は対応するということを確信をいたしております。
  320. 水野清

    水野委員 どうもありがとうございました。  以上で私の質問を締めくくります。
  321. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて水野君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして一般質疑は終了いたしました。      ――――◇―――――
  322. 佐藤観樹

    佐藤委員長 この際、国会法第百四条による記録提出要求に関する件についてお諮りいたします。  予算の実施状況に関する件の調査に関し、東京共同銀行問題について、東京協和信用組合及び安全信用組合の  一、平成六年十一月末現在における一億円以上   の実名入り預金者リスト及びその預金額  一、直近二回分の検査報告書そのものの写し  一、東京都からの業務改善命令書一平成六年十   二月八日付)の写し  一、平成六年十一月末現在における一億円以上   の実名入り融資先リスト及びその融資額以上の記録を大蔵大臣並びに東京都知事に対し求めることといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  323. 佐藤観樹

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  衆議院規則第五十六条の規定により、その手続をとることといたします。      ――――◇―――――
  324. 佐藤観樹

    佐藤委員長 この際、御報告いたします。  昨十五日の分科会設置の際に、分科員の配置及び主査の選任につきましては委員長に御一任いただいておりましたが、分科員の配置につきましてはお手元に配付いたしておりますとおりといたします。     ―――――――――――――   第一分科員      関谷 勝嗣君    川島  實君      草川 昭三君    池端 清一君      前原 誠司君    松本 善明君   第二分科員      越智 通雄君    伊藤 英成君      左藤  恵君    笹木 竜三君    五十嵐ふみひこ君   第三分科員      中山 太郎君    原田  憲君      安倍 基雄君    月原 茂暗君      今村  修君   第四分科員      越智 伊平君    後藤田正晴君      工藤堅太郎君    冬柴 鐵三君      佐藤 観樹君   第五分科員      志賀  節君    加藤 六月君      山田  宏君    坂上 富男君      矢島 恒夫君   第六分科員      高鳥  修君    村田敬次郎君      伊藤 達也君    松田 岩夫君       佐々木秀典君   第七分科員       江藤 隆美君    若林 正俊君       石井 啓一君    山口那津男君       細川 律夫君   第八分科員       近藤 鉄雄君    村山 達雄君       山崎  拓君    石田 勝之君       野田  毅君    海江田万里君     ―――――――――――――
  325. 佐藤観樹

    佐藤委員長 また、各分科会の主査は次のとおり指名いたします。         第一分科会主査 菊池福治郎君         第二分科会主査 衛藤征士郎君         第三分科会主査 三野 優美君         第四分科会主査 伊藤 公介君         第五分科会主査 桜井  新君         第六分科会主査 浦野 烋興君         第七分科会主査 深谷 隆司君         第八分科会主査 野呂田芳成君以上であります。  なお、分科会審査は来る二十日及び二十一日に行います。  本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十九分散会