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1995-02-14 第132回国会 衆議院 予算委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年二月十四日(火曜日)    午前九時開議 出席委員   委員長 佐藤 観樹君    理事 衛藤征士郎君 理事 桜井  新君    理事 野呂田芳成君 理事 深谷 隆司君    理事 伊藤 英成君 理事 加藤 六月君    理事 草川 昭三君 理事 三野 優美君  理事 五十嵐ふみひこ君       伊藤 公介君    浦野 烋興君       江藤 隆美君    越智 伊平君       越智 通雄君    菊池福治郎君       栗原 裕康君    後藤田正晴君       近藤 鉄雄君    志賀  節君       関谷 勝嗣君    高鳥  修君       中山 太郎君    原田  憲君       村山 達雄君    若林 正俊君       安倍 基雄君    石井 啓一君       石田 勝之君    岩浅 嘉仁君       川島  實君    笹木 竜三君       月原 茂皓君    中村 時広君       仲村 正治君    西村 眞悟君       野田  毅君    藤村  修君       冬柴 鐵三君    松田 岩夫君       山口那津男君    池端 清一君       今村  修君    遠藤  登君       佐々木秀典君    佐藤 泰介君       坂上 富男君    細川 律夫君       横光 克彦君    小沢 鋭仁君       前原 誠司君    岩佐 恵美君       中島 武敏君    松本 善明君       海江田万里君  出席国務大臣         法 務 大 臣 前田 勲男君         外 務 大 臣 河野 洋平君         大 蔵 大 臣 武村 正義君         文 部 大 臣 与謝野 馨君         厚 生 大 臣 井出 正一君         農林水産大臣 大河原太一郎君         通商産業大臣  橋本龍太郎君         運 輸 大 臣 亀井 静香君         郵 政 大 臣 大出  俊君         建 設 大 臣 野坂 浩賢君         自 治 大 臣 野中 広務君         国 務 大 臣         (内閣官房長官五十嵐広三君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 山口 鶴男君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 玉沢徳一郎君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      高村 正彦君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      田中眞紀子君         国 務 大 臣         (沖縄開発庁長         官)      小澤  潔君         (国土庁長官)         国 務 大 臣 小里 貞利君  出席政府委員         内閣官房内閣内         政審議室長         兼内閣総理大臣         官房内政審議室         長       藤井  威君         内閣官房内閣外         政審議室長         兼内閣総理大臣         官房外政審議室         長       谷野作太郎君         内閣法制局第一         部長      津野  修君         警察庁刑事局長 垣見  隆君         総務庁長官官房         審議官         兼内閣審議官  菊池 光興君         総務庁行政管理         局長      陶山  晧君         総務庁行政監察         局長      田中 一昭君         防衛庁参事官  小池 寛治君         防衛庁長官官房         長       三井 康有君         防衛庁防衛局長 村田 直昭君         防衛施設庁長官 宝珠山 昇君         防衛施設庁総務         部長      粟  威之君         防衛施設庁施設         部長      小澤  毅君         経済企画庁調整         局長      吉川  淳君         経済企画庁物価         局審議官    井出 亜夫君         経済企画庁総合         計画局長    土志田征一君         科学技術庁研究         開発局長    沖村 憲樹君         科学技術庁原子         力局長     岡崎 俊雄君         科学技術庁原子         力安全局長   笹谷  勇君         沖縄開発庁総務         局長      嘉手川 勇君         国土庁防災局長 村瀬 興一君         法務省刑事局長 則定  衛君         外務省総合外交         政策局長    柳井 俊二君         外務省総合外交         政策局軍備管理         ・科学審議官  林   暘君         外務省アジア局         長       川島  裕君         外務省北米局長 時野谷 敦君         外務省経済協力         局長      平林  博君         外務省条約局長 折田 正樹君         大蔵省主計局長 篠沢 恭助君         大蔵省主税局長 小川  是君         大蔵省銀行局長 西村 吉正君         大蔵省銀行局保         険部長     山口 公生君         文部省教育助成         局長      遠山 耕平君         文部省学術国際         局長      岡村  豊君         厚生大臣官房総         務審議官    太田 義武君         厚生省健康政策         局長      谷  修一君         厚生省保健医療         局長      松村 明仁君         厚生省生活衛生         局長      小林 秀資君         厚生省生活衛生         局水道環境部長 藤原 正弘君         厚生省社会・援         護局長     佐野 利昭君         厚生省老人保健         福祉局長    阿部 正俊君         厚生省年金局長 近藤純五郎君         農林水産大臣官         房長      高橋 政行君         農林水産省構造         改善局長    野中 和雄君         農林水産省農蚕         園芸局長    日出 英輔君         農林水産省食品         流通局長    鈴木 久司君         水産庁長官   鎭西 迪雄君         通商産業大臣官         房審議官    河野 博文君         通商産業省通商         政策局次長   伊佐山建志君         通商産業省機械         情報産業局長  渡辺  修君         資源エネルギー         庁長官     川田 洋輝君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       並木  徹君           中小企業庁計画         部長      安本 皓信君         運輸省鉄道局長 戸矢 博道君         郵政大臣官房長 木村  強君         郵政大臣官房審         議官      品川 萬里君         郵政省通信政策         局長      山口 憲美君         労働省職業能力         開発局長    中井 敏夫君         建設大臣官房長 伴   襄君         建設省建設経済         局長      小野 邦久君         建設省都市局長 近藤 茂夫君         建設省道路局長 藤川 寛之君         建設省住宅局長 梅野捷一郎君         自治大臣官房総         務審議官    二橋 正弘君         自治省行政局公         務員部長    鈴木 正明君         自治省財政局長 遠藤 安彦君         消防庁長官   滝   実君  委員外出席者         会計検査院長  矢崎 新二君         会計検査院事務         総局次長    白川  健君         会計検査院事務         総局第二局長  森下 伸昭君         会計検査院事務         総局第三局長  天野  進君         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ――――――――――――― 委員の異動 二月十四日  辞任         補欠選任   村田敬次郎君     栗原 裕康君   伊藤 達也君     中村 時広君   工藤堅太郎君     西村 眞悟君   左藤  恵君     岩浅 嘉仁君   山田  宏君     中田  宏君   細川 律夫君     佐藤 泰介君   前原 誠司君     小沢 鋭仁君   矢島 恒夫君     中島 武敏君 同日  辞任         補欠選任   栗原 裕康君     村田敬次郎君   岩浅 嘉仁君     仲村 正治君   中田  宏君     山田  宏君   中村 時広君     藤村  修君   西村 眞悟君     工藤堅太郎君   佐藤 泰介君     横光 克彦君   小沢 鋭仁君     前原 誠司君   中島 武敏君     岩佐 恵美君 同日  辞任         補欠選任   仲村 正治君     左藤  恵君   藤村  修君     伊藤 達也君   横光 克彦君     遠藤  登君 同日  辞任         補欠選任   遠藤  登君     細川 律夫君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  平成七年度一般会計予算  平成七年度特別会計予算  平成七年度政府関係機関予算      ――――◇―――――
  2. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  平成七年度一般会計予算平成七年度特別会計予算平成七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤鉄雄君。
  3. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)委員 今回の阪神・淡路大震災は、終戦ちょうど五十年たって、何か戦争直後の焼け跡を私たちはテレビで再現をして見る思いでございました。五十年間本当に平和になれてきた私たちにとって、これはもう大変重大かつ深刻な衝撃であったわけであります。  こういう中で、きょうは関係閣僚お見えでございますが、村山総理以下政府最高首脳皆さんが、また兵庫県、神戸市それぞれ関係者皆さん、多くの罹災者被災者、そして国民皆さんが、真摯な努力災害復興のためにされておられることに対して、私は国民の一人として、心から敬意を表する次第でございます。  そして、こういうような不幸な出来事でございますけれども、この出来事を通じて、私たち国家社会の新しい再生といいますか、発展を真剣に考えなければならないときであると思うわけであります。そういう中で、もう震災が起こって一カ月過ぎているわけでございますが、本委員会においても、ほとんど議論がこの問題に集中をしているということは問題の重要性を示すわけでございます。  いよいよ復興本部ができ復興委員会ができる、こういう状況のようでございますので、まず官房長官に承りたいのでありますけれども新聞等で私ども拝見したわけでございますが、復興委員会はもうできたわけでございますね。政令で決まったわけであります。復興本部はこれから法律でつくられる、こういうようなことのようでありますが、一体復興委員会そして復興本部がどういう構成で、そしてこれからの問題にどう取り組んでいこうとされるのか、まず承っておきたいと思います。
  4. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 大変な深刻な大震災で、被害も本当にもう天文学的なものに上る状況になっているわけでありますが、目下のところ、被災者救援であるとか、あるいはさまざまなインフラの復旧であるとか、そういう面につきまして全力を挙げているところであります。しかし同時に、そういう瓦れきの中からも、自分たちの未来の郷土はこういうぐあいに復興していこうという情熱のようなものがやはり地域の人々の中から生まれてきておりまして、大変その点は、我々としては望ましいといいますか、すばらしいことだというふうに思うわけであります。  我々としては、復旧や当面の救援活動全力を挙げつつ、そういう地元の意欲にしっかりこたえて、国家的な見地からもこれに最大限のお手伝いをする。また、国家としてすべきこともどんどん、知恵も力も金も出していくという気持ちで、ともに頑張らなきゃいけないというふうに思って、さまざまな構想を練ってきたところでございます。そういうものの理念のようなものを復興法法律の中に一応書き入れて、近々御審議をいただきたい、こういうぐあいに思っているところであります。  同時にその復興法の中で、この際、政府として総合的にこの問題にしっかり取り組む。よく縦割りの批判なんて受けますが、実施部隊としては縦割り全力を挙げるということになるとしてみましても、この復興の問題について政府としてきちっと全体的にこれを調整して、一つの方向にかじをとっていくという意味の復興本部というものをこの際設けて、総理大臣本部長となり閣僚本部員となりましてこれに全力を挙げて当たっていくということも決め、同時にまた、この際、地元のさまざまの開発計画等をしっかり尊重しつつも、国家的な見地からしっかりこれにアドバイスして、あるいはさまざまな協力の方針を決めていくということのための、総理への助言の機関として復興委員会を設けるということで、一応七名の委員の方々をお願いしようということで、昨日実は内定をさせていただいた次第でございます。  同時にまた、一方で特別顧問をお二人側委嘱申し上げるというようなことで、そういう体制で、復興委員会の第一回目は十六日の日に開きたい、こういうぐあいに思っています。これは一回目は東京でやりたいと思いますが、二回目は現地でやりたいというふうに思っておりまして、そういうような体制で、本当にもう国も地方も、あるいは官も氏もすべてを挙げてこの復興体制に取り組んでまいりたい、こういうぐあいに思う次第であります。
  5. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)委員 私ども毎日テレビで、依然として瓦れきの中で皆さんが苦労して生活をしていらっしゃる、そのさまを見ると、早く瓦れきを処理して、そしてまだまだ住宅が足りない、ですから早く仮設住宅を建てるとか、そういうことで、当面民生の安定にぜひひとつこれまで以上に取り組んでいただきたいと思うわけでございます。  同時に私は、あえてこの大災害を奇貨として、これから新しい都市とはどうあるべきかということについてこの際真剣に考えていただく必要があるのではないか。復興という名前でありますけれども、単に原状復帰ではなしに、まさに神戸は国際的に知られた大都市でございますし、それがどのような再生を遂げるかということは、国民だけではなしに世界じゅうが注目をしておると言って決して言い過ぎではない。ですから、今も瓦れきの中で本当に苦労している皆さんの前で長期的な壮大なビジョンを掲げるということは、いかにも何を言っているんだということかもしれませんが、私は、やはりこの点はしっかり考えていただきたいということを思います。  私は、かねてから都市というものについて関心を持っておりまして、あちこち日本国を歩いてみて思うのだけれども、今日本都市で、これは二十一世紀の後半に、私どもがつくった都市で、将来に向かって残しておきたいという都市一体幾つあるかな、こう考えますと、これは残しておきたいなと思う都市は、大体戦前、場合によっては江戸時代にできたような町は、これは日本文化的資産だから後世に残したいと思うのだけれども、戦後の町というのは、もう急に宅地造成してバラックをつくって、バラックが、毛の生えたようなものからだんだんよくなってきた。私は、最近の個々の住宅は相当なレベルに行っていると思うのですね、建設大臣いらっしゃいますけれども。だけれども、町全体が依然として何かいつ取り壊しても構わないような町。  ですから、神戸というのは歴史のある町でありますし、これもまた決して、総理官房長官やまた偉い人が上からこうだということではなしに、住民発意も大事ですよね。そして住民発意というか親しみ、なじみがない町というのは、機械的につくったって住みつかないのですよ。それから、いろいろな町を歩いてみていますけれども、無理して国や自治体がいろいろ人工的につくった町というのは結局なじみがなくて人が集まらなくなる。しかし、そんなことを言うときじゃないよというお気持ちだと思います、現在は。  だけれども、それはそれとして、せっかくのことでありますので、ぜひそういう質問を、二十一世紀に残るような堂々たるまさに町づくりを、震災があったけれども震災の悲しみを乗り越えてつくるんだ、ぜひひとつ内閣挙げて取り組んでいただきたいと思うわけであります。  そこで、他の問題は経費の問題でございますが、大変な災害である。天文学的というお話もあるけれども一体どれくらいの被害額であったものか。なかなか難しいかもしれませんが、小里大臣、どうですか、どれくらいの被害額というふうに今政府は考えていらっしゃるのか、承りたいと思います。
  6. 小里貞利

    小里国務大臣 先生、今お話しのように、当面の復旧、そしてまた復興にかけましてのいろいろな計画を立てる最も基礎的な一つの基盤になるかと思うのでございますが、その被害額、大変重要な一つ要素であるわけでございますが、御案内のとおり、現段階におきましては、さまざまの緊急対策、県、市、政府一体となって推進をいたしておるところでございまして、なかなか、被害も極めて広範かつまた甚大に及んでおるものですから、技術的な側面もあり、現段階ではまだ御報告する状況には至っていないところでございます。しかしながら、暫定的でもいいから、できるだけ早急にひとつ整理をして御説明申し上げなければならないと考えております。  ただ、先生も御承知いただいておるかと思うのでございますが、県、市等におきまして、既に地元一つ被害額をあらかじめこの前お知らせいただいておるところでございますが、二月十日現在で把握されました兵庫県の数字でございますが、約九兆八千億円、そういう状況でございます。
  7. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)委員 兵庫県が九兆八千億円の数字出して、いろいろ内訳も出しているようでございますが、大臣、これは、政府としてはいつごろまでにまとめて一応の数字をお出しになるのか。これも新聞等で読んでいるわけでありますが、二十四日に関係法案とセットで第二次補正予算をお出しになるというふうに伝えられておりますけれども、その補正予算を出される前にはある程度政府として見通しをお立てになる、それに基づいての補正予算だ、こういうふうに考えてよろしいですか。
  8. 小里貞利

    小里国務大臣 具体的、詳細にわたる財源上の裏打ち等のことにつきましては、もう少し具体的に積極的な対応、検討が必要でございますが、先生お話しのとおり、二十四日前後に一連の財政的当面の措置につきましての関係法を御相談申し上げるべく、今努力をいたしておるところでございます。  したがいまして、ただいま先生も御指摘のように、その一つ要素となる被害額というものは大きな一つの最たるものでございますから、当然その辺は私どもとしては把握をいたさなければならない、そういう雰囲気の中におきまして、極めて大事なことでございますから、あとう限り早急に、暫定的なものであっても数値を整理をいたしたい、目下鋭意努力をいたしておるところでございます。
  9. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)委員 よく御説明はわかりますので、いずれにしても早くある程度の数字出していただいて、それに基づいてそれぞれの財政と資金繰りをやっていただく必要があると思うのであります。  そこで基本的な考え方を、これは官房長官がいいか、大蔵大臣がいいか、小里大臣がいいかですが、九兆数千億と兵庫県は言っていますが、例えば十兆と考えましょう。その十兆の金は、それは個人財産被害から会社の被害から、それから公共的な施設被害から、そして国がつくっている道路とか、国の財産があるわけですね。そこで、その金繰りといいますか、金の割り当ての基本でありますけれども、いわゆる従来国がつくっている道路だとかいろいろな施設だとか、県がやっている、市がやっている、その場合でもそれぞれ助成が、中身が決まっていますよね。  それから個人の場合は個人企業企業なんだけれども、原則でありますけれども、それは、従来国が支出しているものは国がやる、そして国の補助率はそれでいく、従来の率でいく。企業個人的な、いわば民間企業だからそれは民間責任でまずやる。やりくりの融資は別ですよ。個人個人で、それは個人のものだから、融資その他はやるけれども、やる。すなわち、国はいわば助成金とか補助金は出さないというふうに考えていいのか。  それとも、こういう際だから、いわゆる国道だ、下水道だ、都市計画だ、それぞれ国の負担の割合がありますけれども、この際は、一歩踏み込んで国の負担をふやしてやろう、こういうふうにお考えなのか。これからいろいろ議論をされることだと思います。基本的な考え方を、官房長官がいいのか、大蔵大臣がいいのか、小里大臣がいいのか、ひとつ承っておきたいと思います。基本的な考え方
  10. 武村正義

    武村国務大臣 御指摘の点につきましては、今関係省庁とも協議をしながら真剣に詰めをいたしているところでございます。  既に既存の法律によって、例えば激甚災でございますと高い補助率が開かれておりまして、そういうものもありますが、それでも今回の災害の、物によってはその高い補助率で十分かどうかということも検討しなければなりません。また激甚災対象になっていない事業もたくさんございます。そういうものをどう扱うか。法律を改正して激甚災並みにするか、それとも特別の措置をとるかとかですね。広くは政策金融全体の中小企業対応とか住宅とか、あるいは開銀のような、今回対象になるJR、鉄道、あるいは電気、ガス、こういう広い分野にわたってまで激甚に対する政策金融措置をどうとるかという、補助金金融全体で今最後の詰めをいたしているところでございます。  基本的な姿勢としては、なるだけこの激甚対応するべく、通常でない措置を検討しなければならないというふうに思っております。
  11. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)委員 どの災害がひどくてどの災害は余りひどくなかったという線引きは難しいとは思いますが、しかしこれだけの災害でございますから、従来の枠を超えて、そして政府責任において復旧をする、こういうことをぜひお願いしたいし、最初、冒頭申しました、せっかくというと、言い方、誤解があるかもしれませんが、この際、まさに国際都市神戸というものをつくっていこう、まさに国民の英知を結集してつくっていこうということであるとすれば、それはそういう点での配慮も私はあっていいのではないか。原状復帰でもとへ戻すというのでは、これだけの犠牲に対してはいささか十分ではないのではないかという感じもいたします。  そこで、もうちょっと突っ込んでお聞きしますけれども個人補償の問題ですね。これもなかなか難しいと思うのです。ただ、いろいろ政府融資とか何かももちろん大事だけれども、ああした瓦れきの中で、仮設住宅で、そして雇用もなくなった方々に対して、あとは全部借入金だよという形でいいのかな。個人補償については、あの雲仙のときも、国ではできないものだから基金をつくって、そこに県や、また国も県を通じて出す、義援金もそっちへ回して、多少個人補償的なことをやったというふうに私は理解しているわけでございますが、今回も国民皆さんの大変大きなお気持ちから義援金がたくさん集まっているというようでございますから、政府のお金では個人補償は難しくても、例えば義援金なんかはまさに個人の善意で、好意でやっていることでありますから、それは多少そういう個人的な補償といいますか、見舞金といいますか、そういう形に、まさに義援金こそそういう性格のものではないかと私は思うのでありますけれども、どうでしょうか。
  12. 小里貞利

    小里国務大臣 先生が最初お尋ねの個人補償の問題、これはここに大幹部の皆さんがおいでになりますから、私はその後の方のいわゆる義援金等を主なる原資にする基金の問題、これは先生も御承知のとおり、罹災者生活再建、あるいはまた市民の自立自興のためにいろいろな御支援を申し上げなければならぬが、行政の窓口に多少なじみにくい側面もあるわけでございますから、その辺の一つの穴埋めをすると申し上げますか、また積極的に支援するために、御案内のとおり雲仙岳の場合は、相当なそれらの措置が行われたわけでございます。今回もそれを参考にしながらと申し上げていいでしょう、地元におきまして、大分早い時期からこれが検討が行われておるわけでございます。  しかしながら、率直に申し上げまして、今次の地震の態様あるいは規模がおよそ違う、そういうような実情等もございまして、あるいはまた罹災者のニーズも極めて多岐にわたっておる、そういう状況どもあるものですから、政府といたしましては、もちろん積極的な一つの関心を持ちまして、雲仙の場合は御承知のとおり六百三十億でございましたか、今度は現地におきまして、巷間お聞きのとおり三千億という一応の数字が出されておりますが、私どもは、これにはその規模を含め積極的に検討をし、かつまた助言も申し上げていかなければならないな、そういうような姿勢で臨んでおるところでございます。
  13. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)委員 個人補償の問題については、私の気持ちを申し上げたので、ひとつ官房長官大蔵大臣、お考えいただきたいと思います。  ちょっと議論を先に進めますが、財政ですね。これはもう既にどういう形でその財源を確保するかという話は当委員会でもしばしば議論になっているわけでございますが、こういうときだから借入金でやろう、財源はどうだという議論はもちろんございますけれども、差し当たって、当面借入金でやろう、こういうことで、いろいろお考えいただいているようでございます。私はそれでいいと思うのですけれども。  そこで、この際ですから、いわばこの災害に限っての災害復旧債というものを出したらどうだという議論がございます。これもまたいろいろ議論が分かれまして、そのかわり災害復旧だから低利で国債を発行しよう。しかし減税もしよう、利子所得については。そうすると、実際、単純な考えですと、その復興債を購入した人は低利です、しかし利子に対しては減免だとなれば、実際の手取りは同じだ、こういうことに仮になるとします、片方で。  片方では、今度は発行する側は、低利で発行して調達するけれども、減免すればその分は政府負担ですから、こっちも同じなんです。だから、減税債を買う人も実質は変わりない、所得は変わりなしに。それから政府、発行する側も減税まで考えれば、やはり差し引きゼロですから、したがって実際の取得金利は同じだ、実効金利は同じだ。こうなれば、どっちでもいいという議論にもなろうと思うのです。  ただ、さっき三千億、こう義援金の額をおっしゃる。大変大きな金額になっておりますし、今のこういういろいろな、私の家内も含めてテレビなんか見ていると、あれだからぜひひとつ飛んでいって、できることならお手伝いしたい、こういう思いを恐らく大勢の国民皆さんが持っておる。実はボランティアとして出ている以上の方々が、ぜひひとつボランティアで行ってお手伝いしたい、しかし仕事があったり家庭の問題があってできないという方がいらっしゃるわけで、そうなれば資金的な協力をしようという形でそれに対して応募して、行けなかったけれども資金的な形で協力する。しかし金利が安くても仕方がない、多少そのあたりはどの程度減税でという議論はありますけれども。こういう時期ですから、国民挙げてあの災害に対して協力をしよう、労力がある人は労力、知恵のある人は知恵を出す、しかしお金がある人はお金で出そう、できる範囲内で、そういうことは私は大事ではないかな。  大蔵省の幹部がおっていろいろ考えているかもしれませんが、この際やはり国民総参加でこの阪神・淡路の大災害に取り組んで、そして一日も早く立派な町づくりをするということは、私はこれは一つの政治じゃないか、こう思うのでありますけれども、これは官房長官でしょうか、大蔵大臣でしょうか、お答えいただければありがたく思います。
  14. 武村正義

    武村国務大臣 たびたび復興債という名称でこの震災に対する債券で真剣な御提案をいただいているところでございます。過般、参議院でも二%という具体的な利子もおっしゃって、二%の復興債を発行してはどうかと。それは減免という意味で今近藤議員と同じような内容でございましたが、趣旨は、一般の国債よりはやや利子が低いというか、たとえ減免であっても条件が悪い、買う方からすれば。その分だけはいわば買う方の犠牲というか災害に対する貢献というようなお気持ちで発行をして、その二%の低い利子でこれを復興に使ったらどうだという御提案でございました。中には、この委員会でも利子ゼロでいいじゃないかということをおっしゃった議員もおられました。  市場は毎年多額の国債を発行いたしまして消化をいただいているわけでありますが、これは市場の金利がございます。こういう通常の金利で消化ができる可能性が強いということも片方で考えなければなりませんし、特異な債券を発行することによって市場にどういう影響を与えるか。非常に利子が高かったり低かったりすることは、それがいずれにしても何らかの影響を与えざるを得ないことを考えますと、例えば条件のいい昔の免税債のようなものをばんと発行しますと、これは条件がいいですからがあっと買ってくださる、それじゃ一般の国債が売れない、こういうことになります。低ければ低いで、それがまた市場金利に影響を与える、こういう問題があるものですから、私どもとしては、この債券の問題、真剣に見詰めておりますが、まだ結論は見出しておりません。  今の議員の御提案も、奥様のお話まで含めて、そういう国民がたくさんいてくださるということを念頭に置きながらさらに検討をさせていただきたいというふうに思っております。
  15. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)委員 まさに大蔵大臣もおっしゃったように、これは気持ちですからね。だから、普通の国債を買うのと全く同じにしたって同じでしょう。だけれども、お気持ちだから多少は、それだけのことがなければ、まさにボランティアで行ったかわりに買うんだから、多少のことは喜んで国民は受けると思うのですね。  それから後の、それをどういうふうに償還をするんだということについても、ある程度別建てにしておいた方が、これはその償還のための措置だよということで、これまた国民皆さんの納得を得ることができるのではないか、こう思うのですね。何かプール勘定で、どんぶり勘定で二百何十兆ある国債にまたふえただけだ、そうして、さあ全体の財政再建だから何かやってください、そういう話がいいのか。ここはきちっとけじめをつけて、こういうことですから皆さんの御好意で金を集めました、しかし、実はこれは借り入れでありますからいずれ返さなければなりません、したがってこういう形でやりくりを、償還の措置を考えましょうという話の方が私はわかりやすい気がするんですね。  ですから、大蔵大臣も百も承知でおっしゃっていることだと思いますので、私はあえてここで固執しませんが、やはりそういう気持ち国民の中にあるのではないか。飛んでいきたいけれども行けないんだ、だけれども多少のあれがあるから、それだけでもあれしよう。義援金になるとやはり限られちゃいますね。だけれども国債で、いずれにしても元本が戻ってくるというなら、その分ぐらいは使っていただいていいなという思いを持っている国民は結構私はいるのじゃないかと思うのですね。ですから、それは安易な国債発行につながるからけしからぬということでもないような気が私はいたします。その点ひとつ御留意いただきたいと思うわけであります。  だんだん時間がたってしまうわけでありますが、きょうは通産大臣にお見えいただいておりますけれども総理のお話の中にございましたけれども、この災害を受けた中小企業に対して思い切った措置を、かつてないぐらいの踏み込んだ措置をおやりになったということでございます。私はもう心からそれは歓迎をしているわけでございますが、そこに踏み込まれたお気持ちとポイント、それからその場合に、私が承ると利子補給をするわけですね。それは、ボリュームと関係しますけれども、どれぐらいまでお考えいただいているのか。大変思い切った措置でございますけれども、その枠に限度があるとやはり利用する中小企業も困ると思います。そこはこの際ですから思い切ってやっていただいたらいいと思うのでありますけれども、その点について大臣から承りたいと思います。
  16. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 一昨日の日曜日も私が現地に入りましたら、非常に厳しい状況の中で復興への息吹が始まりつつある状況であります。  そうした中で、二月九日に被災中小企業支援対策を発表いたしましたが、これは今回の地震による災害というものが、非常に高度な産業集積のある地域であったことも含め、戦後例を見ないほど甚大であり、同時に広範な被害をもたらしたという状況の中で、過去の災害時よりも踏み込んだ内容を総合的に組み合わせていこうということで考えながら、国として考え得る最大限の措置というものを、時期を失することのないようにということで作業をしてまいりました。  一月二十日の閣議決定及び二十四日の激甚災指定によりまして、災害融資制度についての措置は講じたわけでありますが、その後加えましたものを、多少細かくなって恐縮でありますけれども政府系中小企業金融機関、中小企業金融公庫、国民金融公庫、商工組合中央金庫による低利融資の充実強化として、例えば特別被災者に対する貸付金利の引き下げ、当初の三年間を三・〇ということでありますけれども、これを当初の三年間を二・五%にする。三機関の出口ベースでは三・〇、借入者に対しては〇・五%相当の利子補給を行う。四年目、五年目も、四・九に普通であればいくものを四・一五でとどめる。あるいは貸付限度額の引き上げを行いまして、これは大蔵大臣の英断で三千万円に引き上げていただきました。また貸付期間及び据置期間を、十年から十五年に、据え置き二年から五年べといった改正をいたしました。  また、もう一つの柱であります中小企業信用保険、いわゆる無担保・無保証保険につきましても、保証限度額を別枠で一千万円追加する、あるいは追加別枠に係る小企業者の要件を撤廃する。さらに追加別枠に係るてん補率を八〇から九〇%に引き上げるといった措置を講じております。  マル経につきましても七百五十万円に。そしてさらに、貸付てん補等々所要の施策を講じてきたわけでありますが、この最終的な所要額というものは現在作業中でありまして、確定したものはございません。  ただ、私自身の気持ちを率直に言わせていただきますならば、この結果どれくらいの財源がかかるにいたしましても、国としてはそれだけの財源を捻出する努力をしなければならない、それだけの責任のある事態、そのように考えております。
  17. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)委員 今通産大臣から、中小企業皆さんの現状を踏まえ、お気持ちを考えながら抜本的な措置をとっていただいたことに対して、私も大変感謝するわけでございますが、御高承のとおり、やられたのは中小企業だけじゃないんですね。神戸にも相当日本を代表する大企業が工場を持っておって、それぞれ相当な被害を受けておるわけでありますので、中小企業はそれでやったのだけれども、大企業は大企業だから自分の力で立ち上がれ、こういうふうにお考えになっていらっしゃるのか。それはそれとして、大企業に対してもある程度のことを考えなきゃならないというお気持ちなのか。その点について大臣の御所見、お考えを承りたいと思います。
  18. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 一昨日私は姫路の側から、前回は私は関西国際空港におりまして、海側から入りました。今回は姫路側から入ってみようとして、ある程度のところまで中を見せていただきました。  私が動転いたしましたのは、激甚災の指定地域外であります加古川にあります神戸製鋼の被害状況を見ましたときに、アンローダーの倒壊という話は聞き、写真、あるいはテレビや何かのニュースでの状況というものは見ておりましたけれども、これは想像を絶する状況でありました。防潮堤の下から岸壁が引きちぎられたように十五メートルぐらい移動して、そこに水が入ってしまっている。そして今アンローダーの切断が続けられている。ここは三名の犠牲者を出した場所でもあります。  激甚災指定地域外におきましてもこれほどの被害が出ております。それこそ電気、ガスといったライフラインを初め、製造業あるいは商業主含めて中堅、大企業には非常に大きな被害がやはり出ておりますし、これにつながる中小零細業者の方々がいることも私としては忘れることはできません。これはもう中小企業と並んでその早急な復旧復興を図ることが必要でありますし、その被害実態を踏まえながら、これらの企業への支援策について目下鋭意財政当局と折衝を続けております。早急にこの内容は結論を出したい。全力を尽くしておりますので、御支援をよろしくお願いいたします。
  19. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)委員 ぜひひとつ、大企業日本経済を支えているだけじゃなしに、地場の中小企業に対する影響が非常に大きいわけで、また関係する企業が全国にあるわけでありますので、いろいろのことをお考えいただきたい。  そこで、もう時間もだんだんなくなってくる。もうはしょって申しますが、そういった災害に対する金融的な支援、今通産大臣がおっしゃった政府関係金融機関を通ずる支援は、民間金融機関のできることなんでしょうか。すなわち、今国民公庫があり、中小企業金融公庫があり、環衛公庫があり、住宅金融公庫だとかいろいろなものがありますね。片や開銀がある。  これは総務庁、長官がいらっしゃっておられますけれども、私は行政改革ということが非常に大事だということを認める点においては人後に落ちないつもりでございまして、やはりもっともっとスリム化して、効率的な行政につくりかえていくということが私は村山内閣のまさに最大の政治課題だと思うわけでありますけれども、そうはいっても、一カ月前まではこんな大災害があるなんということはだれも思っていなかったわけでありますからね。それはもう自衛隊だって何だって思っていなかったのだから、もっとちゃんとやって、早くやれ、救援用ヘリコプターを買っておいてはっとやれ、いろいろな議論があります。それは大事なことだと思う、今後。だけれども、今当面、その神戸のところ、企業家が非常な惨状にある。そういうときに、まあ、こっちはこうしたからひとつ従来どおり議論して統合したらいいんだとかなんという議論ではないのではないかな。  今の当面の国民的な最大の関心である災害復旧に、政府挙げて、国も県も市も一般国民も、そして民間金融機関もそうだと思うのでありますけれども、しかし当面政府関係金融機関民間金融機関は利子補給できますか。民間金融機関は出資できますか。とすれば、今ある政府関係金融機関を叱咤激励というか、大いにお願いをして、そして全力を挙げて、彼らが持っている知力、腕力、財政力、経験を全部挙げて災害復旧に取り組むことこそが政治じゃないかと思うのでありますけれども、その点について、大蔵大臣、通産大臣、そして元締めの総務庁長官の御意見を承りたいと思います。簡単でいいです。
  20. 武村正義

    武村国務大臣 民間金融につきましては、災害地域の企業個人の新しい融資については、極力低利融資制度をそれぞれの金融機関が自主的に打ち出していただいております。既往の債務につきましても、個別に相談に応じながら、積極的な対応をしていただいているところでございます。  先ほど大企業については通産大臣がお答えしたとおりでございますが、開発銀行が主としてこの分野を預かっておりまして、JR、鉄道、電気、ガスというふうな基幹産業に対してどういう対応をしていくのか、金利も含めて融資条件を少しでも緩和をするといいますか、災害にふさわしい対応をさせていただく方向で今検討をいたしておりますし、また対象も、スーパー、百貨店とか、あるいは灘の酒造、大きなメーカーもございます。そういう分野まで広げるかどうかということも今真剣に、開銀の融資として真剣に検討をいたしているところでございます。
  21. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 たしか一月の二十四日であったと思いますが、中小企業に対する総合相談所を被災地域内三カ所に設置をいたしました。そして、それぞれの中小機関が自分の受け持ちをもちろん持っておるわけでありますから、そこが一堂にそろいまして、どういう方がお見えをいただいても相談が受けられる体制をつくりました。  そして、これは大変私は感謝しておりますが、税理士会と弁護士会がボランティアを派遣していただきまして、法律的な相談にも乗っていただける体制をつくったわけでありますが、非常に多くの方々が御相談に来てくださっております。それは、すなわち民間金融機関では対応できない、政府金融機関、しかもそれがきめの細かいそれぞれのお仕事に応じた、業態に応じた機関が用意されていることがそれだけの信頼感を集めておるものと私は考えておりまして、その役割を一層努力によって国民に果たしてもらいたいと心から願っております。
  22. 山口憲美

    山口国務大臣 お答えいたします。  御指摘のように、政府関係の金融機関にしろ、それからまた道路公団、阪神高速道路公団、それぞれの公社公団がこの災害復旧のために日夜を分かたず懸命な努力をいただいていることはよく承知をいたしております。  しかし、特殊法人の整理統合の問題につきましては、村山内閣として、この年度内に結論を出すために全力を挙げるということでまいったわけでございますので、そういった事情はありつつも、できる限りの組織機構の効率化、スリム化、場合によりましては統合等々の問題について、真剣なやはり努力をいただきたいということで今日までお願いを申し上げてまいりましたが、幸い二月十日、関係省庁において血の出るような努力をいただいて最終報告をいただいたことを心から感謝をいたしている次第であります。
  23. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)委員 二月十日の発表を私は評価することにやぶさかではないので、大臣もいろいろな苦労をして、また、もう与党もそれなりの立場で努力をしながらの結果であるので評価はいたしますが、しかし差し当たって関西復興の金繰りは、民間ももちろんそれぞれやってくれると思いますけれども、思い切ったことができるのは政府関係金融機関であり、しかも政府関係金融機関を統合という話が出ておりますが、それはそれの議論として、やはりどうでしょう、国民公庫とか中小金融公庫とか商工中金だとか環衛公庫だとか、やはりそれぞれの持ち場持ち場があるわけですね。それをその持ち場でやってもらわないと、何か漠然と一本化したらいいというものではないのではないでしょうか。やはりきめの細かいサービスをしていただくし、また、開銀は開銀の大きな役割がある。  私は、そういう復興金融のいわば民間金融を巻き込んだ一つ金融シンジケートの中核に開銀がおって、そして低利長期安定資金をまさにソーシャルインフラに提供していく。全部これは国の一般会計でやるというわけにいかないですからね。ですから、そういう形で基盤整備に開銀を思い切って充てる。  そういう上で、一段落ついてから、改めて新しい時代の中で政府関係金融機関の見直しを考えるということでいいのではないかなと。先を急ぐ必要は全くないのではないか。当面何が大事か、それが私は生きた政治ではないか、こう思いますので、山口長官のお気持ちもわかりますし、だからといって国民は、あれしなかったから村山内閣は行政改革に熱心でないとだれも思っていないですよ、と私はまじめに思います。やることをやっていて、国民が批判するはずがないのですよ。だから、自信を持ってやることをやろうじゃないですか。ぜひひとつお願いするわけであります。  そこで、何か建設大臣、お時間がなくなっているようで申しわけないのですが、私は、そういう国民がみんなで努力しようというときに、建設会社の果たす役割は非常に大きいと思うのですね。期待しているのです。  ただ、どうでしょうか、みんなある程度身銭を切ってまでやろうとしているときでありますから、復興需要は復興需要として、例えば瓦れき処理なんかについて、むしろ建設会社がこの際だからサービスしましょうというぐらいのことをやっていいのじゃないかと私は思うのでありますが、これは大臣が命令されることではないかもしれませんけれども、私は国民の一人として、みんな苦労しているのだから。  そこで、言葉は言い過ぎかもしれませんが、そういう災害復興でもうかるのはやはり建設会社だなんということになったら大変ですよね。だから、瓦れき処理ぐらいは私たちが頑張ります、後はまたちゃんと仕事をさせていただきますというぐらいのことはできないのでしょうか。大臣、どうですか。
  24. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 お答えします。  先生がおっしゃるとおり、未曾有の大震災でありますし、ボランティアが目立つほどの国民総動員の姿で復旧復興を急がなければならぬ、そういう声は国民の一人一人がお感じになっておりますと思います。  建設業界でありますが、簡単に申し上げますと、例えばビニールシート二十六万枚、あるいはその他仮設トイレを二千二百棟とか、それぞれボランティアでカンパをしておりますが、特にダンプを三千四百台、パワーショベルを二千台、レッカーを千台、クレーンを千台、ブルドーザー六百台、こういうことを動員をして今まで協力をしてまいりました。  今度、瓦れきというものは相当数、一千百万トンございまして、二十トン車で大体五十万台です。こういうことになってまいりますから、積極的にボランティア活動で協力するものは我々は否定をしませんが、強制をして動員をしてやるということになりますと、後々過去あったようなことがあってはならぬということも自粛自戒をしなきゃならぬ。したがって、自主的な活動については歓迎いたしますけれども、積極的にやれと。  この問題についても、十七日に私は被災地に飛びまして、直ちに業界の皆さんに集まっていただいて、積極的な自発的な協力方を要請をして、各社長は現地に直ちに飛んで、社員の派遣あるいは協力会社の動員、こういうことをやって今日までボランティア活動をやってまいりましたので、おっしゃることはよくわかりますし、そういう点については十分配慮をしながら、禍根を後に、借りといいますか、そういうものを残さないような形で作業は進めてまいりたい、こういうふうに思います。
  25. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)委員 大臣おっしゃるように、これは強制すべきことじゃ全くないわけであります。  ちょっときょう新聞を見たら、信託銀行が、これが信託を共同で設立して、その運用益でいろいろ民生、例えば奨学金を出すとかいろいろなことに使う、こういうことを言う。ですから、やはりこういう時期でありますから、それぞれ建設会社も金融も立場立場で協力をする、そういうムードが、国民的な感情が私はこの際非常に大事だ、こういうふうに考えますので、ぜひひとつ大臣も、そういう話も国会でもあるよというぐらいのことをおっしゃっていただいて、自発的な協力をお願いしたい、こういうことでございます。  大臣がいらっしゃらないからあれですけれども、建設省の幹部が残っておるようでありますが、私は、もう時間がないからはしょりますけれども、我が国における建築原価は高いと思うのですね。これは建設省の報告また経済企画庁の報告にもあって、私は諸外国並みの生産性を上げることにもっともっと努力をする必要があるのじゃないか。これはもう時間もないから建設省のお答えは要りませんが、もう既に皆さんがやっていらっしゃることを私は応援をしているわけでありますので、ぜひひとつ。なぜ日本住宅建設が高いか、なぜ日本で公共事業、土木の経費が高いか、いろいろ分析をしていらっしゃるわけでありますけれども、ぜひこれはさらに積極的にやっていただければと思う。  経企庁長官いらっしゃるけれども、公共投資十カ年計画、六百三十兆使う、こういうことだけれども、例えば建設費が三分の一減ったとすれば、六百三十兆なら四百二十兆で済んじゃうわけですね。そうすると二百十兆が浮くわけですから、それをさらにほかの事業に回すだとかいろいろなことができる。  せっかく経企庁長官お見えでありますし、一言でありますが、そういう公共投資十カ年計画の中で建設単価をこれから合理化して安くして、そして使いでの多い公共事業をやる。そういうことを、今後これから五カ年計画もおつくりになるようでありますが、積極的に取り組んでいただきたい。強く要望いたしますが、大臣、お考えがあったら一言承りたいと思います。
  26. 高村正彦

    ○高村国務大臣 公共投資基本計画の中には、先生がおっしゃったそういう観点もきっちり明記されているわけであります。  それと同時に、公共投資基本計画の中には、何をやるんだということがきっちり書かれているわけではありませんので、建設コストが下がればそれだけ多くのことをやればいいということになっている。公共投資基本計画というのは、そういう十年間の長期的な計画であるということを御理解いただきたいと思います。
  27. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)委員 国民が営々として働いて貯金をします。その貯金で住宅をつくる。それがアメリカの倍の値段だ。国民が営々と働いて税金を払う。それでつくる公共投資がさらに諸外国から四割、五割も高いということでは、私は国民はたまりないのじゃないかと思うのです。厚生大臣いらっしゃっていますが、もう御質問する時間はないかもしれませんが、私は、福祉関係ももっともっと合理的なやり方があるのかな、生産性向上ができぬのかな、こういうふうに思います。だれか言っていましたよ。東京都で老人ホームをつくる場合に、一人の老人に対して何か一億円かかるという話。そうすると、百人で百億、二百人ですと二百億ですよね。もちろん御老人の生活も大変だけれども、もっと安くできるんしゃないでしょうかね。だから、やはりそういう分野についてももっともっと競争をやって、福祉だとか公共事業、建設、住宅。いわゆる日本経済の中で貿易部門は、コンピューターであれ自動車であれ非常な合理化か進んでいるわけです。だけれども、非貿易セクターについてはいろいろな理由で合理化がおくれている、それが日本国民生活に実質的な豊かさを与えていないことだと思いますので。そこで、山口長官、特殊法人も御苦労さまでございました。だけれども、そういう分野に積極的な競争状況を入れることについて、これからどう取り組まれるか。  ついでに、運輸大臣、せっかく来ていただいて恐縮でございますが、運輸省の関係の公共料金もいろいろ問題があって、もう時間がないからはしょりますが、私はやはり土曜日曜を、金曜の大体最終新幹線、山形新幹線で山形に行って、日曜日の最終新幹線で帰ってくるわけであります。新幹線ができた後は非常に山形は繁栄をして、大変なことなんです。だけれども、最終新幹線は上りも下りもがらがらなんです。空気を運んでいるようなものなんです。  とすれば、これは思いつきで恐縮だが、もうちょっとフレキシブルな料全体制を考えて、例えば週に何回利用するだとか、それから最終新幹線みたいな利用度の少ないところがあったときにはどんどん料金を下げていく。最近のコンピューターコントロール時代でありますから、そういうIDカードとか持っていて、ぼんとやれば近藤鉄雄が何時何分に乗って何回行ったとわかるわけだから、そういうことで安く乗れる。とすれば、山形と東京の間が近づいて、そして山形で今度はセカンドハウスを持つ、土曜日曜は山形へ行く、簡単に来れる。今の新幹線では往復一万九千円ですから、これではだめなんですね。だけれども、半分なり、もっとなればいいと思うのでありますが、最初に大臣からお答えいただいて、それから山口長官。
  28. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 山形新幹線、今はまだ空気を運んでいるということでありますが、将来はやはり東北山形県の発展に大変寄与するものと確信をいたしておるわけでありますが。  委員御承知のように、料金につきまして、現在五割までの割引につきましては、届け出制で多様な料金システムがつくれるようにしてございます。さらにそれ以上、例えば通学通勤定期につきましては七割から五割の割引を実施もいたしておるわけでございますが、山形新幹線につきましてはまだそういうメニューが十分に用意をされておらぬようでございますが、東日本におきまして現在それをいろいろと工夫をしておる最中でございますので、委員の方から具体的なアイデアをどんどんお出しいただければ非常にありがたい、このように考えております。
  29. 山口憲美

    山口国務大臣 お答えいたします。  今、政府としましては、特殊法人の整理合理化ばかりではなくて、行政改革、特に規制緩和そして地方分権の推進、さらには情報公開等取り組んでおりますが、委員指摘の点は十分踏まえまして対応いたしたいと思います。
  30. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)委員 まさに特殊法人も大事だけれども、行政改革の最終目標は経済の活性化、社会の活性化であり、そして効率の高い社会経済にすることでありますので、ぜひひとつその面についても大臣を中心に積極的に取り組んでいただきたい、住みやすい、いい日本をつくっていただきたいということを最後に申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  31. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて近藤君の質疑は終了いたしました。  次に、安倍基雄君。
  32. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 最初に――官房長官は見えておられるかな。
  33. 佐藤観樹

    佐藤委員長 記者会見中です。
  34. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 記者会見中ですね。  阪神大震災のことについては随分いろいろ議論がされてまいりました。初動のおくれについて云々の話は、これはまあ随分、むしろ官房長官にお聞きしなければいけないのですけれども……。  さっき近藤委員の質問に対して地震担当大臣から、被害総額が幾らかという話で、今固めつつある、九兆円ぐらいだという話が出ました。この点については内訳などは余り聞かないことにいたしますが、そうすると、いわば経済に対する影響というものをどう考えるか、これはもう一番の問題点だと思います。  聞くところによりますと、この震災があった後、経済成長率をどう見るかというようなことで閣内でも一、二議論があったという話を聞いておりますけれども、このいわば経済に対する効果、影響というものをどう見ておられるかということを企画庁長官から、そしてまた、産業面から見てどうごらんになるかということを通産大臣から、それぞれ御答弁願いたいと思います。
  35. 高村正彦

    ○高村国務大臣 これだけの大震災でありますから、生産、物流等にとって当面マイナスがあるのは必至であります。ただ、速やかな復旧努力が今行われておりまして、一部復旧されたという点もあるわけでありまして、これから本格的復興努力が始まっていく。そういう中で、マクロ経済から見れば当初のマイナスを徐々に取り戻していく、日本経済はこの復興需要にこたえるだけの余力がありますので、そういうことだろう、こういうふうに考えております。
  36. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 このたびの震災によりまして、被災地域におきましては、製鉄所など生産設備への直接的な被害、また工場への工業用水などの供給停止、原材料、部品あるいは製品の搬入搬出など物流面の停滞、混乱、こうした要件から操業停止や生産縮小をもたらすなど企業活動には相当な影響が出ておると考えております。  このような被災地域の生産活動への悪影響というものは、当然のことながら他地域への企業活動をも含めまして、我が国経済全体に与える影響につきましては、私は短期的には大変大きなダメージがあると思います。そして、これが中長期にどうかということになりますと、復興への対応の動き等も含めて見きわめていく必要があると考えておりますが、神戸という都市の特性として国際港としての役割を非常に大きく持っておりましただけに、この港湾被害の影響というものは現時点において私は把握はできませんが、その影響は極めて多大であろうと思います。これは既に現在、本来なら神戸港において荷動きが生じたでありましょう貨物が例えば釜山その他他国の港に拠点を移しつつある。こうした影響も当然のことながら出てくるわけでありまして、私は、港の復興が一日おくれればそれだけダメージは大きくなる、そしてその回復には困難を生じるであろうという気持ちがしてなりません。  さらに、阪神地域からの観光客によって相当程度の経営を支えておりました温泉あるいは保養地等にも既に大量の契約のキャンセルが入っておる状況であります。  こうした影響まで含めました場合、私どもとしては非常にこの事態を深刻に短期的には少なくともとらえざるを得ない。それだけに復興へ向けて、インフラの復旧等に全力を挙げていかなければなりませんし、現在、個人あるいは企業のレベルで必死に行われている復興に対する努力に向け、可能な限り最大限の支援を行うことが我々の責務であると考えております。
  37. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 それでは、企画庁長官にお伺いしますけれども、経済見通しを変更するつもりであるか、予定があるか、その点をお聞きしたいと思います。
  38. 高村正彦

    ○高村国務大臣 現時点では被害総額自体も把握されておりませんし、現時点で経済見通しを変更するつもりはございません。
  39. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 ということは、近い時点で見直しをすることもあり得るということでございますか。
  40. 高村正彦

    ○高村国務大臣 現時点で見直しをするつもりはないということに尽きるわけでありまして、将来あり得るかあり得ないかということについては、いろいろな複雑な要因が関係いたしますので、意味のある数字が出せるものか出せないものか、その把握には努めてまいりますけれども、あり得るとかあり得ないとか、現時点で言うことは避けたいと思います。
  41. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 常識からいって、これだけ大きな災害があったわけでございますから、それからまた、今通産大臣からも話されましたように、いろいろ間接的な影響が随分あるのですね、直接の物質的被害だけじゃなくて。被害額はいわばストックでございますけれども、それがフローにどう影響するかというのは、何といいますか、いわば大動脈にも匹敵するような新幹線あるいは鉄道が麻痺し、そしてまた港あるいは道路、それが機能を回復しないうちは非常にダメージがあるわけです。でございますから、何というか、現時点で見直さないという言葉はそれはそうかもしれませんけれども、これはやはりある意味からいうと近い将来見直すべきだと思います。どう思いますか。
  42. 高村正彦

    ○高村国務大臣 平成七年度全体を見ますと、先生がおっしゃるようなマイナスに働く面と、復興需要に応じていくその中でのプラスに働く面がどれだけになるかということでありますが、近い将来に見直すかどうかということは、現時点では何とも言えない、こういうことでございます。
  43. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 これは押し問答でございますから、しかし私は、こういった状況を踏まえて、もう一遍経済を見直すべきだと思っております。  次に、私は資料として災害対策特別委員会議事録というのを、これは十年前のものでございますけれども、五十九年と六十年と二つ私が質問したことを出しました。これは別に我田引水じゃございませんけれども。そのときに関東大震災のことを聞いたわけです。と申しますのは、当時、いわゆるホテルニュージャパンのビル火災がございまして大勢の人が死んだ。で、あれだけの火災であれだけ大騒ぎをすると、地震になったらどうなるんだろうということで、私は関東大震災のことを聞いたんです。  そのとき、これは質疑がいろいろございますが、私が数字を言ってもいいのでございますけれども、事務当局から、関東大震災における被害総額と当時における予算規模、それから国民所得、大体当時の損害額は予算に対してどのぐらいであったか、あるいは国民所得にしてどのぐらいであったかということを答えていただきたいと思います。
  44. 小里貞利

    小里国務大臣 関東大震災についてのお尋ねでございますが、その当時の東京市役所の震災録によりますと五十五億円、そして、これを平成六年の価額に換算をいたしますと約三兆二千四百億円程度、このようになっております。  なおまた、先生はもうこのことについては非常に造詣の深いお方でございますが、関東大震災被害額は当時の国家予算額の約四・一倍、しかも当時のGNP、これは、まあ当時はそういう統計、一つ数字はなかったのではないかとも言われておりますが、推計で約四五%に相当する、そのように承っております。
  45. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 まあ三兆円というといかにも小さく見えますけれども、当時の予算の四倍。GNPの、今はGDP、その当時のいわば統計は非常に不正確でございますけれども、約半分。今に直せば、まあまあ予算の四倍といったら三百兆以上になるわけですね。そういうような大災害であったということを我々は認識しなくちゃならないというわけでございます。  そこで、当時における大きな被害はやはり火災が多かったんです。火災による死亡がとても多かったんです。私は、今回の災害は朝早く起きた、あれがもし日中であったらどうだったかというと、被害は相当大きかったと思います。火災が至るところで続出したかもしれません。そういう意味で私は、これから南関東にも大地震が来る可能性もあるんだという懸念を持っております。そこで私は十年前にそのことを質問したんです。  そのとき私は、これもまたここで言ってもいいんですけれども、現在のいわば消防体制というのはビルの大体何階くらいまで水が届くのですか。
  46. 滝実

    ○滝政府委員 現在の最大のはしご車は大体五十メートルと言われておりますので、大体十五階程度までがはしご車で届く水の階数でございます。実際問題としては、これではなかなか高層のビルは消せませんものですから、七階以上のビルには連結送水管という消火水利のパイプの設置を義務づけているような次第でございます。
  47. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 私は、そのときの質問で「タワーリング・インフェルノ」という映画の話をしました。これは、高層ビルに火災が発生してもうなかなか消えない、で、一人の男が屋上に行って、屋上にためてある水をだあっとこう流して消したという映画でございます。  もし地震になったらもうすぐ断水です。今のスプリンクラーはもう役に立ちません。そういうときに、私は、現在のビルというものは、耐震という、倒れないということには重点を置いてあるかもしれないけれども、本当に火災に対して強いのかなということを非常に今心配しているわけです。この点、こういった災害があって大変だと言うのはいいけれども、あらかじめ町づくり、建築のときによほど以前から考えていかにゃいかぬと私は思います。  そこで私は建設大臣にお聞きしたいと思うんですけれども、現在のビル火災に対する建築基準が十分であるのであろうか。私は、提案としては、今後高層建築というものは、倒れるだけではなくて、火災を起こさないということを重点にしなくちゃいけない。特に、室内のものなんというのは最近は化学製品が多いですから、有毒ガスが発生する。東京の日中に地震が起きたときにどのぐらいの被害になるかわからない。そういった意味で私は、今後建築基準の問題を、やはり火災に強いという問題も含めて考えにゃいかぬと思いますけれども、建設大臣、いかがでございますか。
  48. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 お答えします。  先生が今指摘されましたように、耐震、耐火、これに対する高層ビルの建築基準をどうすべきか、こういうことでございますが、私たちは、一定の規模、用途の建築物、これについては、現在は耐火建築物ということにすると同時に、火災の拡大を防ぐために天井や壁の仕上げを制限をし、また防火区域を設けることとしております。さらに地域では、都市計画に防火地域、準防火地域を定めて、一定の規模、用途の建築物については耐火建築物にするということに決めておるわけでありますが、今先生お話しになりましたように、階段とか煙に巻かれるとかそういう点についても、同様に建築基準の中に入れておるわけでございます。  今後、高層建築においてビル火災に強いようなそういう形はどういうぐあいにしたらいいのか、容積率や延べい率はどうするかという点でございますが、これは、現行制度でも建ぺい率や容積率は現在の基準を緩和をして防火体制を強化していこう、こういうふうに考えております。  これ以上の細かい問題については住宅局長から説明をさせます。
  49. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 細かい基準はいいわけでございますけれども、我々は関東大震災という貴重な経験があるわけです。ここにも書いてありますけれども、私は、実はある地球物理学者に聞きましたら、十万年この方、百年に一遍くらいの周期であるいはもう少し短い周期で関東地区には関東大震災級の地震が地層的に全部あるそうです。ということは、この前の関東大震災から数えて相当な時間になっています。昔は、関東大震災のときは大した建築もなかった。それでも大勢人が死に火災が発生した。今や高度化社会ですから、このもたらす災害というのはどのくらいになるかわからない。  たしか国土庁の中央防災会議で、何か今南関東に地震があったらどのくらいの被害であるかということを想定したシミュレーションがあるかと聞いておりますけれども、お持ちですか。聞いていますか。簡単に。私は、実は大勢お呼びしちゃって申しわけなかったんだけれども、途中からまた私のかわりの者が質問するわけなもので空振りに終わる質問もあるかと思いますけれども、ちょっと簡単にしてください、もう時間がないですからね。何人ぐらい死ぬ、被害がどのくらいになると。
  50. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 申しわけありません。すぐ出ますから、ちょっと後で……。
  51. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 それではいいです。  いろいろケース一とか、ケース二とか、「秋の正午」とか「冬の深夜」とかいうぐあいに分けて、「秋の正午」だったら約十五万人が死ぬ、二十万人が負傷するというような、これは想定でございますからわかりませんけれども、私がさっきお話ししたように、関東大震災における被害は当時の予算の四倍だという一事を見ても、いかに我が国が災害に対し日ごろから注意しなければいけないかということを私は強調したいのです。  ちょっと私が提出した資料の、昭和六十年十二月六日の議事録の十四ページにこう書いてあります。  これから二十一世紀までに高齢化社会が必ず来る。そこまでいかないにしても、似たような確率で大地震が必ず来ると思うのです。GNPの半分がすっ飛ぶ、予算の四倍がすっ飛ぶというようなときになって慌てても遅いのでありまして、おまえあそこへ逃げろ、あそこへ逃げろというような地図か何か配って、さあこれで地震対策が済んだという無責任なことでは、国もだめだし、特に地方公共団体も困る。 飛ばしまして、  防災とか地震対策についての専門家、実務家を集めたブレーンセンターというのをつくっておかないと、十年、十五年のうちに日本が右往左往する事態が必ず生じてくると私は思います。 ということを聞きまして、そこで内閣を挙げて対応してくれということを国土庁長官に当時言ったのでございますけれども、私はまだ一年生議員でもありましたし、私の声はいつの間にか消えたわけでございますけれども、まさにそのときが来た。  そこで、やはり私は今回の防災や震災について、早かった、遅かったといろいろ話がございますけれども、要するに基本的には、こういう日本の国土を本当に災害に強い国にしていかねばならない。我々は、関東大震災の教訓を本当は十分生かしていなかった。今度の震災を前にして、我々は都市をつくるとき、国をつくるとき、最初から例えばこの地区は震災に弱いとか、最近活断層という言葉が出て、あそこにもあったか、ここにもあったかという話にもなります。あるいは関東、東海については、例のプレート、いわば断層、あれがございます。そういったことで、地震が起こりやすい場所、起こりやすくない場所、これは今の技術をしてみれば、もうちょっとわかるはずだ。  私はここでお願いしたいのは、国土防災の観点から、要するに国土省というような、国土庁と建設省と一緒であれでございますけれども、国土省というものでもひとつ考えて、そこで橋をかけるとかなんとかいうことだけじゃなくて、災害に強い国土、一つのそれを軸として内閣として取り組むべきではないかという気がするのです。  そこを、官房長官も来られましたから、総理にかわって、一体これから我々は災害のときにどういうことをやる、やらないという前に、どういう国土をつくっていくべきか。例えば地震予知にどのくらいのお金を配分し、建設をするときにどういう地区に重点的な投資をするか。本当にせっかく蓄積した投資を、投資累積を一挙にして灰じんにするようなことがあってはならないという意味で、私は内閣官房長官に、総理にかわって、また国土庁長官、建設大臣に、こういう一つの新しい見方で一つの組織で考えていかなければならぬ、建築基準もその一つです。だから、例えば都市をつくるときに、こういうところに防災池をつくってとか、道路をこうするとか、いろいろなものがございます。これは運輸にも全部関係すると思いますけれども、そういった意味で、内閣官房長官に、総理にかわって、そして国土庁長官、建設大臣の御意見を承りたいと思います。
  52. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 大変に傾聴すべき御意見が先ほどからございまして、私どもよく銘記してまいりたい、こういうふうに思うところであります。  災害に強い国土、災害に強い都市というものをつくっていくということは、目に見えない投資をしっかり日常不断に積み重ねていかなければならないことでありまして、目に見えるところばかり投資を急ぐようなことでは、なかなかそういう防災国土や都市というものは生まれてこないものだろうというふうに思いますから、第一に心がけるべきは、そういう方針をしっかり持って、日常不断にそういう国土形成に国家を挙げて努めていくべきものであろう、こういうぐあいに思います。  今の組織の面でありますが、組織の面で言えば、むしろ現状がそれに即しているかどうかという点では、私ども今回もかねがね当委員会でも申し上げていますように、全面的に諸般の見直し、検討が必要とは思っておりますが、しかし、国土庁なら国土庁という総合調整の機関があり、そして縦割りではなくてそこでしっかり、今言うような防災の面から見た国土形成、都市形成というものにしっかり指導力を発揮するということもまた大事なことでございまして、そういう意味では、しかし委員の御発言等もよく外しながら、また私ども、これから行政改革も政府の組織内の検討等も当然していかなくてはならぬことになるわけでありますから、十分に論議をしてみたい、このように思う次第であります。
  53. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 お答えします。  国土省問題については、官房長官が申されましたので省略をいたしますが、私の担当は、強い町づくりをどうつくるかということに絞ってお話をしたいと思います。  都市形成に当たりましては、安全性そして快適性、利便性、こういう三条件が必要であるということを前々から言い続けております。したがいまして、まず安全な町をつくらなきゃならぬということは、今度の大震災を見ても明らかであります。  したがいまして、先生も現地においでになったと思いますが、私も現地に足を入れてみて、三メーターないし四メーターの道幅では両方ともやられていますけれども、これが八メーター以上になりますと、ほとんど片っ方は災害が少ない。区画整理をやられたところは比較的被害が少ないということだけは明確になっております。したがいまして、都市づくりにおきましては、幹線道路そして公園の整備、こういうことが基幹ではないかと考えております。したがって、土地区画整理事業、都市開発事業、都市整備事業、こういう三つの点を相合わせまして、具体的に防火対策というものを取り進めていかなければならぬだろうと思っております。  また、電柱が相次いで折れておりますので、共同溝というようなものをつくり上げて地中に電線というものはおろす、そしてでき得ればガスや水道も入れるような方向というものを今後考えていかなければならないし、耐震、耐火ということについて十分対応する、誇りある防災都市というものをつくり上げていきたい、こういうふうに考えております。
  54. 小澤潔

    小澤国務大臣 先生の御指摘のとおり、我が国はその自然条件から地震そして台風、また火山噴火など多くの災害発生の原因を抱えておることは周知のとおりであります。そこで、国の基本方針、基本的責務といたしまして災害対策に取り組んでおるところであります。  具体的には、災害に強い国づくりを行うために、治山事業、砂防事業、そしてまた河川事業等の国土保全事業を推進をいたしておるところであります。また、災害対策の一環といたしましては、市街地の面的整備、避難路、避難地の確保等々ライフラインの耐震化、多元化、建築物の耐震化、不燃化等にも努めておるところであります。今後は災害に強い国土づくりをするために、また都市づくりを推進していくために頑張ってまいる所存であります。  組織については官房長官と同じであります。
  55. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 基本的には私は、そういう防災は要するに町づくり段階からやらなければいかぬ。そのためには、今の建設省の関係もあるし、いろいろな関係がありますから、それを含めた形の、これから本当にこれを機会に、災害は地震だけじゃないとおっしゃいますが、まさにそのとおり、いろいろな災害がございますけれども、その防災というのを一つの軸にした国土づくりというのをやはり考えていかなければいかぬと思っております。  時間が、何か私が出した問いに比しては少ないんですけれども、この辺で次の問題に移ります。  さっきこういった状況のもとに経済見通しを考え直すべきじゃないかということと同時に、これは現在我が党で予算をどう組み替えるか、組み替えの話もしております。これは一遍つくった予算をそう簡単に組み替えられるかということを言われる方も多いかと思いますけれども、しかし、非常災害という話がございますと、やはり一定の枠の中でどのぐらい重点的に予算を配分するかということをもう一遍見直さなければいけない問題も起こってきているんです。  例えば、今のいわば現地の災害、港にしても鉄道にしても、これは優先的に直していかないとほかの経済活動全体に響くわけです。となりますと、当初、予算編成したときには、あれも大事、これも大事と並べたわけでございますけれども、今度はやはり全体の中でここがもっと大事だという話が出てくる。それをまた全部新しい、何といいますか、あるいは国債を発行するなりなんなりしてやると財政もパンクする、そういう意味で経済見通しをもう一遍考えると同じように予算そのものももう一遍見直すべきじゃないかということを考えておりますけれども、その点につきまして大蔵大臣、いかがでございますか。
  56. 武村正義

    武村国務大臣 組み替えの御提案はたびたびございましたが、お答えしておりますのは、一つは、この予算は数多くの財政需要を精査をしながら重点的に効率的に絞って編成をさせていただいておりまして、言ってみれば、新年度を目前にして不急不要という予算は当然入っていないわけであります。そんな意味で、地震前に編成したということもございますが、この予算をお認めをいただいて当然震災に対する積極的な対応を新年度もしなければなりません。その点では共通の認識でありますが、この当初予算を前提にした補正対応という形で私どもは積極的に進めさせていただこう、こういう考えでございます。  組み替えというのは、予算を承認するまでに再編成をして、つくり直してという意味だと思いますが、そのことになりますと、結果的には災害被害がまだ全貌が見えていない状況の中で、しかも款項目あらゆる分野にわたって修正を要することになりますと、時間的にはとても難しい、結果的には当初予算そのものの成立を大幅におくらせてしまうというふうに判断をする次第であります。
  57. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 組み替え問題につきましては、我が党でも論議しておりまして、その辺、党としてまた提案があると思いますのでこれ以上、今の大蔵大臣の立場として予算の組み替えはできないよと言うしかないと思います。  さっきインフラを早く復興させないと、整備しないと大変なことになるぞという話をしました。その一つの例として、例えば西日本JRあたりの復旧費、これはどの程度今国が考えているのか、その辺を運輸大臣にお聞きしたいと思います。西日本JRの復旧は随分急がなければいかぬでしょう。そういったものに対して、民間の会社になったわけですから、国がどういうぐあいに考えているかということをちょっと。
  58. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 現在JR西日本と具体的な協議を進めておりまして、これにつきましては、JR側の希望もございますので、低利融資対応をする方針で今検討をいたしております。万全を期しております。
  59. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 それから外務大臣、実は私は以前からODAの問題を時々取り上げておりまして、これは確かに対外的にODAはふやす、ふやすということは間違いではないんですけれども、かつてドルの価格が一挙半分になったときに、同じ額でODAを出せば倍の額になる、当時額が倍増したんですね、実質的には。そのときに私はODAに対する姿勢は今までのようにどんどんと出すだけじゃないよということを議論したんです。  それとともに最近特に考えますのは、いろいろな低開発国には今度はいろいろ民間の投資がどんどんと行っているわけです、発展途上国と言うべきかもしれませんけれども。そうすると、民間の投資が随分ふえてきている現状、国内が空洞化するくらいの民間の投資が出てきていますね。それがあるのにかかわらず、ODA、ODAということでそれに上乗せするということはいかがかという気がするんです。  でございますから、ODAという意味はわかりますけれども、ただ、これは今の円のいわば価格が上がってきたという話とともに、非常に民間投資がもう乗り出してくるというところについて今までと同じベースでODAをふやしていくというのはどうかな。国内では本当に、もう国はこれだけ災害があるのに早くどうにかしてくれとか、あるいは戦後補償の問題も、海外にあれだけ出すくらいならおれたちにも少しくれよということも随分あるわけです。  そういうことを含めますと、予算の組み替えと直接関係があるかないかということもございますけれども、今後ODAについてやはりもう一遍考え直していかなければいかぬと思いますが、いかがでございましょうか。
  60. 河野洋平

    河野国務大臣 かねてから安倍先生、ODAについて辛口の批評をずっと提案しておられることを著書などで拝見をいたしました。ODAが外務大臣が胸を張るだけになってはいかぬ、こういう厳しい御指摘もございました。それは横に置くとして、確かにODAは、国民の税金を使って国際的な支援をするということでございますから、この使い方には十分注意を払って、その効果がどういうふうに上がるかということを確かめて行わなければならないのは御指摘のとおりでございます。  世界各地を見渡しますと、確かに議員御指摘のように民間の投資が進んで、開発途上国の中にも極めて活発な経済活動が行われている国もございます。しかし、まだそこまでいかない最貧国を見ると、これはとても民間の投資もそこには及ばない、そういう状況の国もまだ数多くあるわけでございまして、こうした国にはやはり先進国の支援の手が行かなければならないというふうにも思うわけでございます。  問題は、いかに効果的にODAというものが実行されるかという点にあろうかと思います。御注意をいただきましたように、ODAもその総額が一兆円を超えるという規模になった今日でございますだけに、なお一層この実行方法については心していかなければならない、かように考えております。
  61. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 これから行革問題でいろいろ聞こうと思っておったのですけれども、私の持ち時間が減ってきたものですから行革問題については省略いたしまして、ちょっと最後に教育問題を一つお聞きしたいと思います。  私は実は細川内閣で文部政務次官をしておりまして、いじめの問題というのに対して私も、もっと文部省としては厳しい態度、いわば学校側あるいは担当教師にもっと厳しい態度でもって臨むべきじゃないかということを以前から考えておりました。私も当時いろいろな会合で、担当教師が本当に自分の問題だ、自分の首にかかわるぐらいの気持ちを持たないとだめですよということで、通知というか、初中局の通知なんかも出させたわけでございますけれども、今度いじめの問題が浮上したときにはきちっと処分しよう。処分しようというとあれかもしれませんけれども、もう少し学校長あるいは担当教師に責任を持たせることこそが一番の特効薬、特効薬と言っては悪いけれども、一番のやり方だ。カウンセラーを置くとかいろいろなこともあるかもしれませんけれども、ともかく子供を預かっている人間が子供を死なせるというのは、業務上過失致死じゃないですけれども、それに近い。教育者として一番問題なわけですね。  そういった意味で、私は文部当局に対して、今回のいじめの問題根絶のためにやはり厳正な処分というのを考えるべきじゃないかということをちょっと提案し、御見解をお聞きしたいと思っております。
  62. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 いじめ問題の対応に当たっては、まず、学級担任を初めとして、教師一人一人が自覚と責任感を持って、日ごろから児童生徒の生活実態のきめ細かい把握に努め、児童生徒がいつでも相談できる雰囲気を醸成することにより指導の充実を図ることが大切でございます。またその上で、校長のリーダーシップのもとに、全教職員が一致協力して、責任を持って取り組む体制づくりが必要であると考えております。  万一、学校の管理責任者である校長がいじめなどの児童生徒の問題行動の防止等に必要な対策を講ぜず、また、学級担任など児童生徒に対して指導監督すべき職員を有する者がその職務を怠ったことにより不幸な事態を招いた場合には、任命権者である都道府県・指定都市教育委員会の判断により、懲戒処分等厳正な措置が講じられるものと考えております。  文部省としては、今後ともこのような観点に立って、各教育委員会に対して指導に努めてまいりたいと考えております。
  63. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 まあ本当にいじめの問題は、私は、何といいますか、つまりいじめで子供たちが死ぬなんということは根絶せにゃいかぬという意味で、やはり厳正な態度で臨むことが必要かと思います。  実は、自治大臣も、いろいろな大臣も大勢お呼びしまして、質問を予定しておったのでございますけれども、ちょっと時間の関係で、ここでやめます。これで笹木君に譲りましょう。どうも空振りに終わった諸先生に対して、申しわけございません。
  64. 佐藤観樹

    佐藤委員長 この際、笹木竜三君から関連質疑の申し出があります。安倍君の持ち時間の範囲内でこれを許します。笹木竜三君。
  65. 笹木竜三

    ○笹木委員 新進党の笹木竜三です。関連で質問をさせていただきます。  まず第一番目に、外交課題についてお伺いをしたいわけです。その中でも、特に核不拡散の問題についてお聞きをしたいわけです。  きのうきょうの新聞でも、イスラエルがNPTの延長について署名を拒否ならエジプトも再延長の拒否の可能性もある、そんな記事が載っております。この核不拡散について、後ほどもお聞きしますけれども、カットオフ条約ですとか大事な条約が今後課題として出ております。その前に、まずロシアへの核兵器廃棄支援の現状についてお伺いをしたいと思います。  これは数年前からですか、軍縮ということで、核弾頭ですとかミサイルを解体する。ロシアにだけ任せていると、旧ソ連にだけ任せていると非常にスピードが遅いんじゃないか、あるいは解体した後のものがそのままほったらかしにされていて、例えばプルトニウムの流出、そういったことにもつながるんじゃないか、そんなことが非常に懸念をされたわけです。それを受けてのこのロシアに対する核兵器の廃棄の支援、日本も行っているわけですけれども、もう始まって一年以上たつわけですけれども、現状について、その進展について大臣にまずお伺いをしたいと思います。
  66. 河野洋平

    河野国務大臣 ロシアは、昨年十二月五日にSTARTI条約が発効する、そういう以前から核兵器の解体に自発的に取り組んでおるわけでありますが、一番根本は、つまり財政難だということが原因でこの解体作業がなかなか進まないという状況になっているわけでございます。そこで、我が国は九三年四月、旧ソ連の核兵器廃棄を支援するために一億ドル相当の協力をすることを発表いたしまして、旧ソ連は各地あるわけですが、ロシアに対してはその七割を割り当てるということにいたしたわけでございます。  現状、詳細は事務当局からもう少し報告させます。
  67. 林暘

    ○林(暘)政府委員 今大臣の方からもお答え申し上げましたとおり、一億ドルの約七割をロシアに割り当てまして、協力を開始することにしたわけでございます。  協力の内容といたしましては、一つは、核兵器を解体いたしますと、プルトニウムとか高濃縮ウランといういわゆる核分裂物質が出てまいるわけでございますけれども、それを安全に貯蔵するための貯蔵施設に対する協力。  それから、核兵器を解体する関連でミサイルも解体をいたしますので、ミサイルの液体燃料の廃棄に関係する協力。  それから、そういう核分裂物質等を解体する場所から貯蔵施設まで運ぶ運搬の関係で起こり得る事態に対処するような関係での、放射能測定機器とかそういったものでございますけれども、そういうものについての機材供与。  それから四番目の分野といたしまして、一昨年になりますか、ロシアが日本海に低レベルの放射性廃棄物を海洋投棄したことがあるわけでございますけれども、そういうことが二度と起こらないようにするために、かかる液体廃棄物の処理・貯蔵施設を極東部につくろうということでロシアと話し合っておりますけれども、こういう四分野を主として協力するということで、今話し合いをいたしております。
  68. 笹木竜三

    ○笹木委員 そういう四分野があるわけですけれども、液体放射性廃棄物の貯蔵、これについては比較的順調に進んでいると聞くわけですけれども、今お話ありました、解体から生ずる核物質貯蔵施設の建設あるいはミサイルの液体燃料の処理、こういったことについては、なかなか難しい、進展のスピードが非常に遅いと聞いております。その現状について御説明をお願いします。
  69. 林暘

    ○林(暘)政府委員 お答え申し上げます。  核分裂物質の貯蔵施設につきましては、これは、新しい施設をつくろうということでロシアが計画しているわけでございまして、それに対してアメリカも設計その他を含めて協力をしております。  日本といたしましては、財政的な支援の額の問題もあるものでございますから、アメリカと協力して、全部をつくるわけではなくて一部分について協力をしようということで、ロシア及びアメリカと話し合いをしております。ただ、施設の設計その他で若干時間を、米ロ間の話し合いで時間を要しておりますので、その関係でおくれているという事情がございます。  それから、ミサイルの液体燃料の処理につきましては、我々は、これは燃やしてしまうということが一番手っ取り早い廃棄手段だというふうに考えているわけでございますが、ロシア側が液体燃料を何らかの化学物質に、つまり肥料その他のものに使いたいという希望もあるものでございますから、その辺の話し合いで若干時間をとっているという現状にございます。
  70. 笹木竜三

    ○笹木委員 あわせて、これは、なかなか正確な把握というのは難しいのでしょうけれども、核弾頭ですとかミサイル、何年ぐらいの間に大体どのくらいの数が解体される予定で、それの貯蔵をほぼ全部覆う形で計画をしているのかどうか、それについてもさらにお願いします。
  71. 林暘

    ○林(暘)政府委員 ロシアの核の解体作業そのものは、先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、STARTIが発効いたしまして、さらに今STARTⅡの批准作業を進めておるわけでございますが、STARTⅡまで発効いたしますと、現在一万発を超えております核弾頭が、約三分の一、三千から三千五百発に減る予定になっております。ただ、時間はかなり、すべてが終わりますのが二十一世紀に入りますが、そういう予定になっております。  それから、解体の能力そのものとしては、いろいろ言われておりますが、我々が聞いておりますのは、一年間に解体し得る最大の能力というのはかなり限られておりまして、一千発ないしは二千発が最高能力であるというふうに聞いております。
  72. 笹木竜三

    ○笹木委員 非常にいい計画だと思うわけですけれども、今のお話を伺っても、まだ貯蔵の施設の建設にしても難航している、ミサイル液体燃料の処理についてもまだ合意ができていない、非常にスピードとしては遅いわけです。こういう計画でやっておられるのでしょうけれども日本にとって、特に、例えばプルトニウムの流出ですとか拡散というのは深刻な問題になるわけですから、日本の側からもアメリカですとかヨーロッパに提案してでも、ぜひこのスピードのアップを図るように、大臣に特にお願いをしたいと思います。  二番目に、国際科学技術センター、ISTCについて。これも大体同じような時期に、特に最先端の軍事技術を開発している研究者、そういった方々が軍縮で一時期職がなくなるというか、これも余り実態は正確にはわかりませんけれども、閉鎖都市と言われるようなところにたくさんおられた方々、そういった最先端の研究者、こういった方々が職がなくなって、例えば核開発の意図のあるような国が呼び込んで、亡命とかということで研究者の流出、これは何よりも核拡散につながるわけですけれども、それを防ごうということで始められた事業です。これも非常にいい事業だと思うわけですけれども、この現状について、まず大臣の認識をお伺いしたいと思います。
  73. 河野洋平

    河野国務大臣 御指摘のとおり、核拡散を防止するためには、その人材が散るということもまた防がなければならないというのは全く御指摘のとおりでございまして、欧米とともに日本もこうした問題に大きな関心を持ちまして、その防止を一つの目的として、今お話しの国際科学技術センターの設置に協力をしているわけでございます。  このセンターは、昨年三月に正式に活動を開始したと聞いております。このセンター、これまでに四回の運営理事会というものを開いておりまして、およそ百件近くのプロジェクトを認めて、これに対しまして約五千万ドルの支援を決定をして、そのプロジェクトに対する活動が軌道に乗り始めているというふうに聞いております。  なお、議員も御承知と思いますが、このセンターは、協定上、発足から二年を経た後、つまり平成八年三月に再検討されるということになっておりまして、つまり評価をそこで行うということが決められておるところでございます。
  74. 笹木竜三

    ○笹木委員 この国際科学技術センターの当初の目的である、そういった最先端で働いておられた研究者、その流出を防ぐという目的、あるいはそういった方々に、平和目的のプロジェクトをつくることで、そういう新しいプロジェクトについていただく、それで満足していただく、そういった目的があったと思うわけですけれども、その目的に対して大体沿っているのか、その目的を果たしているのが現状なのかどうか。かなり難しい点があると思うわけですけれども、これは事務局の方でも結構です。
  75. 林暘

    ○林(暘)政府委員 今大臣の方からもお答え申し上げましたとおり、約百件、五千万ドルのプロジェクトの支援を決定いたしまして、それが軌道に乗りつつある状況でございますので、そういった関係で、旧ソ連、特にロシアの中の研究所その他で、言ってみればそういう形で仕事を与えているというふうに理解をしておりますし、そういう形で科学者の流出というのは防がれている、目的はほぼ達成しつつあるのではないかというふうに考えておりますが、いずれにいたしましても、来年評価をいたすことになっておりますので、その時点でまた、現状どういう結果が出たか、どういう効果が上がったかということについては評価をいたしたいというふうに考えております。
  76. 笹木竜三

    ○笹木委員 いろいろな方々から聞きますと、やはり流出はとめられていない面がかなりある、懸念国に対しては少ないかもしれないけれども、アメリカに対しては流出しているとか、懸念国にも一部流出している、そんなことも聞くわけです。  非常に気になるのは、この予算なんですけれども対象とされている研究者の人数が三千人で二年分、その科学者あるいは技術者一名当たりの年間の所要資金額、これが一・五万ドルということになっています。この一・五万ドル、一人の研究者に対して一・五万ドルでどのような事業をされているのか。かつて最先端で軍事の開発にかかわっていた研究者に対して、一人当たり一・五万ドルの資金でどのようなプロジェクトをつくっておられるのか、事務局の方で結構です、具体的にお答えいただきたいと思います。
  77. 林暘

    ○林(暘)政府委員 基本として、我々、アメリカ、ヨーロッパ、日本協力して行っておりますのは、ロシアにある研究所、彼らが自分のプロジェクトとして持っているものだけでは若干足りない、十分な給料がもらえないということを助けるという観点でやっておるわけでございますので、言いかえますと、我々の支援ですべてを抱えようという形ではございませんのでそういう形になっているわけでございます。  具体的なプロジェクトの例でございますけれども日本協力をしているプロジェクト、幾つかございますが、例えば例を挙げますと、重大事故発生時の核反応炉、炉でございますが、それの内部の予測技術であるとか、核施設で用いられている核物質の安全のためのシステム設計であるとか、そういった形の協力をやっております。
  78. 笹木竜三

    ○笹木委員 基本は、ロシアの研究所の活動に援助をするのだというお話、それはよくわかるわけですけれども、先ほど大臣のお答えにもありましたように、ロシアが非常に経済的に困っている。これはうわさで聞いただけですけれども、例えば、閉鎖都市におられた研究者が暮らしに困って農業のアルバイトをしている、そんなうわさまで出ているわけです。非常に深刻な経済の状態だと思います。  そういう状態でこのプロジェクトを始めたわけですから、ぜひこれも、むしろ日本が音頭をとってでももっと予算を増額されて、魅力のあるプロジェクト、最先端の軍事研究にかかわっていた研究者にとって魅力のあるプロジェクト、これは平和目的のプロジェクトであって、日本がいろいろな提案する力もあり、民間の研究者と共同で研究をすればいろいろなプロジェクトが可能だと思うわけです。ぜひ、そういった積極的な対応をお願いしたいと思うわけです。  ぜひ大臣、このことについて感想をお聞かせ願えれば……。
  79. 河野洋平

    河野国務大臣 核軍縮あるいは核不拡散ということは、我々極めて大きな関心事でございます。こうした問題について、我々はその解決について英知を絞らなければならないというふうに思っております。  ただしかし、これはなかなか一国でできる話ではないわけでございまして、欧米諸国と十分協議をして一番いい方法をとるということが必要かと思います。G7その他でもこうしたものは議題になって、G7各国それぞれ関心を持っているわけでございまして、さらにしかるべき場において、今お話しのことも踏まえて検討したいと思っております。
  80. 笹木竜三

    ○笹木委員 次に、カットオフ条約についてお伺いをしたいと思います。  この条約、簡単に言いますと、NPTの非加盟国あるいは核兵器国に対しても査察をするようにというような条約なわけですけれども、これも何とかことしには結んでいこうということです。それで今、見通しについてですけれども、どのような見通しなのか、大臣にお答えいただきたいと思います。
  81. 河野洋平

    河野国務大臣 カットオフ条約は、CTBTと並んで我々が関心を有するものでございますが、残念ながら、まだその交渉範囲についての合意が得られないという状況でございまして、カットオフ条約交渉というものは開始に至っておりません。
  82. 笹木竜三

    ○笹木委員 今から始めるということで、特にお伺いしたいのが、このカットオフ条約で、これまではなかなか査察、保障措置を受けていなかった国に対して、NPTの非加盟国ですとか核兵器国、これに対して、もしこの条約が結ぶことができれば査察を行うことができるわけですから、これは新規に対してということになる傾向が強いみたいですけれども、非常にいい条約だと思いますし、積極的に締結に向けて働きかけをしていただきたいと思うわけですけれども、今の動きでは、新規の核兵器の開発を禁ずる、その新規分についてはIAEAによる査察を行う、そういうふうになりがちである、なる可能性が高いと聞いております。それで日本としては大体満足とするのかどうか、それについてお伺いしたいと思います。
  83. 河野洋平

    河野国務大臣 この問題がなかなか難しいのは、事柄がどれだけ誠実に実行されているかということをきちんと見きわめるという、評価といいますか査察といいますか、そういう問題が一つあるわけでございます。関係国はいずれも若干の不信感を持って、自分はちゃんとやるけれどもほかの国はちゃんとやれるかどうか、一体ちゃんとやれるということをどうやって担保するかというような問題が出てくるわけです。もちろん、国際的に信頼感があればこんな問題はもう起こらないわけでございますから、若干の不信感というものを持ちながら、やはりこういう条約を結んでいく以上は、その条約が完全に誠実に履行されているかどうかをどうやって担保するかという、その方法についてはさまざまな議論がございます。  それらを乗り越えていくためには、そういう技術の開発ということにも期待をしなければなりませんし、また、一定の限度でお互いに満足をするといいますか何といいますか、お互いの合意をして進む、一段階進むという合意を求めるというやり方もありましょうし、ここらはまさにこれからの交渉が極めて重要だというふうに思います。
  84. 笹木竜三

    ○笹木委員 難しいのはよくわかりますけれども、ぜひ、既存のものは不問にするということじゃなくて、それに対しても何とか自主申告をしていただくような形をあくまでも目指していただきたいと思います。  それと、先ほどのロシアに対する国際科学技術センターのお話で、なかなか魅力的な職がないというお話をしたわけですけれども、このカットオフ条約なんかが今後結ばれていった場合には、査察の充実ですとかスタッフの充実、IAEA、これは非常に緊急の課題になると思うわけですけれども、特に技術者の方々の中には、こういった査察にかかわれるような方々も非常に潜在的に多いと思います。ぜひそういったことも考えて、日本としてはIAEAに対する査察の費用をもっとたくさん見ていく、この国際科学技術センターのことともリンクして考えていただきたいと思います。  それと、最後に御確認をしたいわけですけれども、国連の常任理事国の問題です。  改革された国連で力を発揮するという、そういったお答えは何度もいただいているわけですけれども、きょう一連のお話をしてきまして、ロシアに対する支援、あるいはこのカットオフ条約、NPTの体制、どれを見ましても、じゃ、欺瞞がないのか。やはり欺瞞はあるわけです。  例えばNPT体制一つをとってみても、核兵器国とそうでない国との間には、非常に矛盾というか欺瞞があるわけです。欺瞞があるからNPTに入らない、これはだれもそんなことは言わないわけです。常任理事国、非常に現状ではいろいろな問題があるかもしれない。問題があるから入らないというのではこれは話にならないわけで、むしろこのNPTに対する取り組み、カットオフに対する取り組み、これと同じように、比較的手が汚れていない日本として入っていって変えていく。むしろ、例えば今のお話で言えば、IAEAの体制強化、そういった活動を日常活動としてしながら、日本はこういった分野で貢献をしたいのだな、しようとするのだな、そういうことを感じさせながら入っていくことがぜひ必要かと思います。  ぜひ、推されたら入るというようなことじゃなくて、積極的に入っていくんだという決意を、大臣にもう一度御確認をしたいと思います。お願いします。
  85. 河野洋平

    河野国務大臣 外交というものは、国際政治の現実を踏まえて我が国の国益、あるいは国際の平和と安全というようなもののために努力をしていくことだろうと思っております。これは、国際政治の現実を踏まえないで議論をしてもそれは効果が上がらない。もちろん、理想を持たないというわけにはいきません。理想のない主張とか行動というものもないと思いますけれども、理想を持つと同時に国際政治の現実を踏まえる、そして一歩ずつ前進をするということが重要だというふうに私は考えております。  今、国際社会の中で求められているものは何だということをよく考えて、もちろん、国際の平和と安定というものもございます。あるいは他方、難民問題であるとかあるいは人口問題であるとかエイズの問題であるとか環境問題であるとか、つまり、新しく国際社会が期待をする、あるいは危機に瀕している、そういう問題解決というものもまた国連に期待をされているわけでございまして、そうしたことなどを解決できる、そういう体制というものが重要だと考えております。  今、議員の御指摘にストレートにお答えしているかどうかわかりませんけれども、私は、繰り返しになりますが、国際政治の現実というものを踏まえて、国民のためにあるいは国際社会のためになすべきことをしていく努力をするということが重要かと思っております。
  86. 笹木竜三

    ○笹木委員 次の質問に移らせていただきます。外務大臣への質問は一応終わりました。  次は、非常に具体的なことになるわけですけれども、今後の大震災対策について、一つは新幹線の問題、これはそんなに調査をしているわけではございません。不安があって率直にお聞きするだけですけれども、それと原子力発電所の安全対策についてお聞きしたいと思います。  新幹線で、前回の総括質問のときにもお聞きしましたけれども、直下型の地震じゃない場合には、JR東日本の場合には、ユレダスというシステムがあって四秒以内でとまるようになっている、制動がきくようになっている、非常にいいシステムだと思うわけです。しかし、今回のような直下型の場合には、なかなかその制動も難しい。  いろんな市民の方々からも、飛行機も落ちたときはどうしようもないけれども、地震で新幹線、今度みたいにレールが宙づりになるとかあるいは脱線という状態、これは一体どう対応したらいいんだ、乗っている者としてはもうそれでおしまいとしか言いようがないんだろうかと、素朴な疑問を、私も残念なことに同じような素朴な疑問を感じるしかないわけです。  これについて、例えば宙づりになることを防ぐ、あるいは脱線を防ぐ、さらにいろいろ建築の面で、設計の面で努力もしていただきたいわけですけれども、少し具体的なイメージで、そうなったときにどのような状態なのか、今どういうような対応をされようとしているのか、大臣からお聞かせ願いたいと思います。
  87. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 この委員会でも、予知の問題を含めて、鉄道の安全を確保する面でのいい方法はないかということでいろいろ熱心な質疑が行われておるわけでございます。  委員指摘の、地震が事前に予知できないにしても、地震が発生をした場合それをいち早く、地震の及んでくる速度と競争になるわけですが、例えば急ブレーキをかけるとか、そういうことでも若干被害を防ぐ法もあるのではないかということで、東日本も東海もやっておりますが、ユレダスという一つの装置を使って、しかしこれはまだ完全にそれがうまくいくという、直下型じゃない場合もうまくいくという自信はまだ持っておりませんけれども、しかしこれも今一生懸命取り組んでおりますので、直下型以外の場合についてもやはり効果を得るべく努力をしているということは、私は大変評価できると思うわけであります。  しかし、直下型につきましてはお手上げということになると、問題は、その場合に、天災のことでありますから上限がどの程度のものかというのは神ならぬ身でない限りは予測はつかないわけでございます。しかし、今まで日本列島を襲った地震の大きさ、またこのたびの阪神・淡路大震災の震度等、これを十分に私どもとしては検討して、非常にハイレベルの、従来の新幹線での耐震構造でいいのかどうか、それを今、再検討を松本委員会で御承知のようにやっておるわけでございますが、そういう観点から、事前に予知できないとすれば、起きた場合、線路等が崩壊することを防ぐための最大限の努力を当面はするしかないのではないかということでございます。  それで今、復旧を始めておりますけれども、これも震度七以上の、このたびの大震災以上のレベルの地震が襲った場合でも崩落をしない、そうした形で今工事をJR西日本も再開をしておるわけでございまして、全国の新幹線等、地下鉄もそうでございますが、あらゆる交通機関、そういう意味ではそうした検討委員会の検討を横にらみで見ながら、全部最終報告が出てからということではなくて、横にらみをしながら危ないなと思われる点を今点検をしておりますから、そこらを逐次点検をして、最終的にはその検討委員会の結論を踏まえた大幅な見直しをしていきたい。これに対しては、費用もかかるわけでありますけれども、そんなことは言っておられぬわけでございますね。それをやっていきたい。  なお、当初に申し上げましたユレダスにつきましても、これはやはり研究、取り組みに値することだ、このように考えておりますので、今後精力的にやってまいりたいと思います。
  88. 笹木竜三

    ○笹木委員 ぜひ検討を厳密にやっていただきたいわけです。  それと、例えば今のお話にはなかったのですけれども、直下型で急に制動をかけられたとしてですけれども、かけた場合、例えば乗っている者として、そのショックというかそれを和らげるような技術というのはどの程度考えておられるのか、事務局の方でも結構ですけれども
  89. 戸矢博道

    ○戸矢政府委員 先ほど大臣からもお答えいたしましたように、まず、直下型の場合も含めまして構造物の耐震設定が一番大事だと思っておりますので、今それを一生懸命検討させていただいておりまして、その結果を踏まえて、まず構造物が壊れないようにするということを第一に考えております。  今先生の御指摘にございましたけれども、例えばブレーキ性能の向上でございますとかユレダスの技術開発といったようなことも含めまして、さらに新幹線の総合的な安全性を向上させるために検討を続けたいと思っております。
  90. 笹木竜三

    ○笹木委員 素人考えなんですけれども、例えばエアバッグとかは全然新幹線にはないわけですけれども、そういうのはなしで大丈夫なのかどうか、そんなことも含めてまた検討をお願いしたいと思います。  それと、原子力発電所について、ちょっと時間が余りないので、幾つか特にお聞きしたいことをお答えいただきたいわけです。  一つは、もう何度も指摘もされていますけれども、縦揺れの影響について、現在の原子力安全委員会の耐震の指針では、横揺れの半分の加速での縦揺れまでを想定しているということです。今回、横揺れを上回る縦揺れがあったということがあります。それについて、今どういうふうに対応を考えておられるのかということを一つお聞きしたいと思います。  それともう一つは、原子力の地域防災計画、策定しているのは原子力施設立地から八キロメートルから十キロメートル圏内の自治体のみだと聞いております。これについて、この八キロから十キロぐらいの災害のときの緊急事態の場合には、沃素を服用するとかそんなことまで指針が出ているわけですけれども、そういった事態の場合に、この八キロから十キロ圏内の自治体のみで大丈夫なのかどうか。その二点について、大臣でも事務局の方でも結構です、お願いします。
  91. 田中眞紀子

    田中国務大臣 今の御質問にお答えする前に、笹木先生には、先日のカリフォルニアのCUBEの件での資料をいただきましてありがとうございました。大変参考になりました。  それから、今の二つ目の地域防災につきましてでございますけれども、これはもう先生も十二分に御存じのとおり、地方公共団体が中心になってやることになっておりますけれども、これも、安全性につきましても、今実際に一番多分御関心がおありになるのは、地域住民の方とともに、どういうふうなことができているかというふうなことも当然一番関心がおありになると思うのです。  これはこの間の委員会でも御答弁申し上げましたが、北海道、鹿児島、茨城県等六の県で実施をいたしておりますが、私も自分で、現実に新潟県で原発もありますので、それから先日も福島から上京なさった方々とも話をいたしまして、確かに通信網等もあるし、今申し上げたような県は実施はしておりますけれども、まだ十二分に、例えば突然やるような訓練をしていないところもあるのですね。ですから、そういうことにつきましては、やはりもっと別な形で地方公共団体がやってくださるように国としても指導をするといいますか、そういうふうなことはぜひしていきたいというふうに思っております。  それから、最初の御質問につきましては、直下型の問題につきましては、もう何度も何度もこの委員会で質問がありますから御存じと思いますけれども、十二分にそれぞれ個別にあらゆる評価をしておりますけれども、より具体的にお答えするために、事務局から答弁させていただきます。
  92. 川田洋輝

    ○川田政府委員 お答え申し上げます。  御指摘の地震における縦揺れの問題でございますが、原子力発電所の耐震設計に当たりましては、御指摘ございましたように、水平地震力の二分の一の鉛直地震力にも耐えられるということに相なっております。  また、原子力発電所の重要な機器類につきましては、香川県の多度津町にある世界最大の大型振動台で、設計値よりも大きな鉛直地震動を実際に加えて安全度を実証いたしておるところであります。  この二分の一という値でございますが、これは多数の観測記録から経験的に知られているものでございまして、現在の設計指針は基本的には妥当なものではないかと思っておるところでございます。  ただ、今回の地震におきまして、鉛直方向の最大加速度と水平方向の最大加速度の比率が比較的大きい観測値が報告されていることは事実でございます。御指摘のように、縦揺れが大変大きかったのではないか、こういうことでございます。しかしながら、この観測事例の場所を見ますと、顕著な液状化が見られます埋立地や、今回動いたとされております複数の断層の重なった部分の真上においてなされたものというような報告がなされておりまして、これらを代表値として議論を進めるということには必ずしもならないのではないかというように思っております。  と申しますのは、原子力発電所の地点選定に当たりましては、活動可能性のある活断層を避ける、あるいは岩盤に直接固定するといったようなことにしているなどによりまして、ただいま申し上げましたような場所における原子力発電所の立地はあり得ないということでございますので、こうした報告例から直ちに原子力発電所の縦揺れの耐震設計を見直すべきであるという考え方にはならないのではないかと思っているわけでございます。  再三申し上げておりますように、そういうことだけで安住することは許されないことでございますので、原子力安全委員会における検討とか、あるいは通産省に設置をいたしております原子力発電技術顧問の専門的な意見なども聞きまして、そういう今申し上げましたような現在の安全性についての確信というものが正しいものであるかどうか確認をするというようなことは大切なことではないかと思っておりまして、引き続き原子力発電所の耐震性の向上に努力をしてまいりたいというように思っておるところでございます。
  93. 笹木竜三

    ○笹木委員 ちょっと時間がないのでもうはしょりますけれども、やはり事故はあってはいけないですけれども、あっても対応できるということを常に考えていくことが大事なわけですから、例えば近隣自治体同士の協力等の取り決め、こんなことは今どうなっているのか。もし実際に非常に深刻な事故が起きた場合には交通麻痺、当然あると思うわけですけれども、それにどう対処するのか。あるいは安定性の沃素、これを三、四時間以内に服用しても効果があるということですけれども、そういう場合に、まずは逃げて、隣の町やあるいは市に来て飲みたいという場合どうするのか、いろいろな問題がございます。  あるいは、この原子力発電所の立地そのものについても、アメリカの場合には動く可能性のある断層、これは活断層じゃございません、断層を含む敷地は不適当、あるいは三百メートル以上長い動く可能性のある表面断層が八キロメートル以内にある敷地も、これも不適当、非常に厳しい基準を設けている。その場合でも、FEMAが例えば防災演習に対してはいろいろな指針を出しているわけです。  官房長官にぜひお伺いをしたいわけです。別に危機をあおり立てるわけじゃございませんけれども、今回の震災の反省から、とにかくどんなに可能性が少なくても、その危機状態を想定して対応するということが大事だと思うわけですけれども、近隣自治体同士の協力等の取り決め、あるいは耐震の指針、一九七八年以前に設計された原子力発電所についてのもう一度設計の十分な点検、いろいろなことがあると思いますけれども、こういった点を含めて、TEMAのスタッフの皆さんにもお話を伺っているわけですが、今後の見直しについてどういうふうにお考えか、御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  94. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 戦後最大のこのたびの災害でございましたので、あらゆる面でこの際防災計画等を抜本的に見直す必要がある、このように思っている次第であります。およそもう関連するものはなべて全部見直してみるというぐらいの気持ちでなくてはいけぬ、こういうぐあいに考えている次第でございます。  一番反省の大きなものは、やっぱり最初に災害の規模の把握というものが難しかったという点がございますものですから、そういう面では、FEMAのシステムというのは非常に勉強になるのではないかというように思います。  この間、ウィット長官とのお話もいろいろありましたが、実は今私どもの方の手元で、全面的な体制の見直しのうちの初期の作動の問題に関してがやっぱり一番大事な点で、しかも、あすもまた何か災害があるかもしれないわけでありますから、余り時間もかけられないということで、その初期の部分だけ切り取って今プロジェクトをつくって検討しておりまして、大体今週ないし来週の頭ぐらいには当面の結論を得られるのではないかというように思いますのできれば、来週末ぐらいになりますか再来週ぐらいになりますか、FEMAの方に緊急に関係者をやってみたいというふうにも考えているところでございまして、当面はそういうことをやりながら、しかし抜本的には、さっき言いましたように、全面的な見直しが必要でありますので、しっかりそれをやらさせていただきたい。  今、新幹線あるいは原子力発電所等の御質問がございまして、今お答えのとおり、これらにつきましても、いずれも過去の最大の震災というものを踏まえていろいろな設計基準等もつくっているわけでありますが、しかし、今回のような状況というものは、またそれをも上回って考えていかなければならぬ要素もまだ少なからずあるわけでありますから、こういう点でもしっかり取り組んでまいりたい、こういうぐあいに思っております。
  95. 笹木竜三

    ○笹木委員 ぜひ原子力発電所についても、タブー視しないで取り組んでいただきたいと思います。  それと、時間がもうなくなって申しわけないのですけれども、一言ずつで結構です。今度のこの大震災をきっかけに、新国土軸についていろいろな方々がいろいろな発言をされております。私も、これはなかなかお金がかかることですから大変なことですけれども、やはりどうしても考えていかないといけない、取り組んでいかないといけないと思います。  例えば、東海地震、南関東地震が起きた場合に、これも余り起きることを歓迎はしないわけですけれども、起きた場合に東京――大阪間、どういうもので代替をするのか。日本海国土軸で、例えば北陸新幹線で代替するのか。あるいは阪神で、関西地域であった場合に太平洋の新国土軸で対応するのか、いろいろな意見が出てくると思いますけれども、ぜひ今度の新全総はこのことを第一の柱にして取り組んでいただきたい。あるいは道路、新幹線、港湾、そういったことについても、このことを第一に意識をして取り組んでいただきたいと思います。  国土庁長官、それと建設大臣、一言ずつで結構でございますが、ぜひ決意をお聞かせいただけたらと思います。
  96. 小澤潔

    小澤国務大臣 先生の御指摘は新国土軸についてであろうと思いますが、とにかく我が国土庁は、国づくり、町づくりの調整機関の庁であることは先生御存じのとおりであります。早速昨年十一月に国土審議会を開いていただきまして、四全総までいっていますから、次の全総はということで、地球に優しい地球環境の問題、そして高齢化、少子化等々を踏まえた国土の豊かな構想のお願いをいたしておるところであります。  先生の御指摘は、ただいま神戸で地震がありました。また、南関東、東海地震は直下型である、こういったことも指摘しており、いつ来るかわからない、この状態もあります。  そこで、国土庁としては、二十一世紀に向けての新しい全総は、国土軸もその最たるものの一つに相なっております。すなわち、太平洋を結ぶ線、北海道もそうでありますが、北海道から今度は日本海、西日本軸ですね、いわゆる日本海軸、太平洋軸、それで九州まで参ります。そして、今度はこの二つの軸をさらに、先生の御指摘の万が一の場合があろうかと思いますが、こういった震災のときには両方を結ぶ地域連携軸、これも構想の一つでありますので、先生指摘の点は、もう日本列島地震国でありますから、もしどこにあってもそれに対応できるような、例えば太平洋側であれば日本海側に回る、こういった連携軸、これらを考えて日本の豊かな町づくりに、震災に強い町づくりに対処してまいる決意であります。
  97. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 お答えします。  全国的なことは国土庁長官がお述べになりました。今お話がありましたように、未曾有の大震災が起きた。したがって、東西間の経済交流もできなかった。中国縦貫道路あるいは阪神公団の道路、これらは倒壊をした。したがって、交通網が麻痺してきたという場合は一体どうするか、代替がなければだめじゃないか。  だから先生がお住まいの福井、そういうようなところから考えて、日本海国土軸というものを考えながら、太平洋岸でやられたら日本海軸でいく、こういう姿を具体的に進めていかなきゃならぬ。そのために福井の地域高規格道路や我々のところの高規格道路をつけて、それをつないで第一の代替ルートというものをつくっていく、こういうふうに考えておるわけであります。  そういうネットワークをつくりながら、日本の経済が寸時も停滞することのないような方式というものを具体的にとってまいりたいと考えております。
  98. 笹木竜三

    ○笹木委員 ぜひ大震災対策のことを意識したものを、この新国土軸の中でも優先して考えていただきたいと思います。  質問を終わります。
  99. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて安倍君、笹木君の質疑は終了いたしました。  次に、松田岩夫君。
  100. 松田岩夫

    ○松田委員 新進党の松田岩夫でございます。皆さんの御都合もあるようですので、質問の順番をちょっとだけ変更させていただきます。最初に、情報社会の実現の問題について質疑をさせていただきたく思います。  言うまでもありませんが、今、日本の経済は大変厳しい環境の中にありまして、産業界挙げでみずからのリエンジニアリングにまさに精力的に取り組んでおられるわけであります。一方、アメリカを見ますと、ちょうど日本の国がバブルの最盛期にありましたときに、アメリカの企業も製造業を中心といたしまして、まさに経営戦略の立て直し、あるいは各プロセスのリエンジニァリングといったことで大変御努力が進みまして、近年米国では製造業の復権などということが話題になっておるわけであります。  一体どうしてアメリカの製造業がそんな復権などと言われるほどのことになってきたのかということを考えてみますと、どうやらその重要な背景は、まさに最新の高度の技術革新を生んだ情報システム、これを最大限に活用したということがその背景にあるようだ、こう言われておるわけであります。私もそうだと思うわけであります。  そうした中で、特に最近大きくクローズアップされておりますのがCALSというものでございます。CALSというのは、あるいは初めてお聞きになる方もあるかと思いますが、C、A、L、Sと書きましてCALSと申します。もともとはコンティニュアス・アクイジション・アンド・ライフサイクル・サポート、この頭文字をとったものでございまして、まあ日本語では継続的な調達とライフサイクルのサポートなどと訳されていますが、なかなかわかりにくいわけでありますけれども、要すれば、ある製品の設計、開発から生産、メンテナンス、流通、要するに最初から最後までその製品の一生に関するデータを電子化、コンピューター化いたしまして、コンピューターで管理するシステムということでございます。  紙に頼らず、結局コンピューターでデータをやりとりできるわけですから、設計とか開発とか、あるいは製造の多分野にわたる作業が同時並行的に進められる、開発期間も物すごく短縮される、あるいはまた設計変更もすぐできる、部品調達も非常に能率よくできる、そういうことで大幅なコストダウンが実現されてきておるわけであります。  そのCALSの、あるグループの調査結果によりますと、例えば開発期間の短縮は五〇から六〇%減だとか、あるいは設計変更の時間も三〇から五〇%減だとか、あるいは部品調達の時間削減も三五から五〇%減だとか、驚異的な数字が出ておるわけであります。一方で、しかも製品の品質の向上といった、あるいは品質の改善といったことも八〇%以上向上しておるとか、もちろんのこと在庫の削減も当然できるわけであります。在庫の削減も、物によっては七〇%削減したとか、こ ういうことで大幅なコストダウンが図られ、かつまた品質の向上も図られということで、アメリカの製造業の復権といったものが起こってきた背景がわかるわけであります。  このCALSというシステムは、もともとは米国国防省が一九八五年に採用したものでございます。あの有名なパトリオットミサイルの改良型、あるいはその後のイージス艦、こういったものの開発にまさに貢献したシステムでございます。これを受けまして、九二年に商務省がCALSで米製造業を再生しようということを発表して以来、民間企業もこのCALSの導入を積極的に進めまして、現在ビッグスリーなどアメリカの有力企業約二百六十社が、既にこれを導入しておるわけであります。  例の、民間による効果といえば、よく話題になるのは、クライスラー社の一万ドルを切る低価格小型車ということでネオン、あるいはまた、パソコンでいえば、非常に安くてということで話題になっておりますコンパック社製の超低価格パソコン、こういったものを生み出したのもこのCALSでございます。一時は赤字だと言っておりましたIBMやGMも、今では見事に再生してきておるわけでありますけれども、その背景もこのCALSではないか、こんなことも言われておるわけです。  そんなことを思いますと、このままでは日本企業の競争力低下とか、あるいはまた、今言いましたようなシステムの中にうまく入り込めないことによるアメリカあるいはヨーロッパ、アメリカのこのシステムは今ヨーロッパにも連携しようということでどんどん進んでいるわけでありますが、そういったものからはみ出してしまいはしないかなどという不安も持つわけであります。  そういう中で、日本政府としても、私どもも大いに叱咤激励をさせていただいたわけでありますが、平成七年度予算で、通産省の予算でこのCALSの実証モデルの開発のための予算というのが、四億一千八百万だったと思いますが、つけていただいております。私は、大変大事なことなので、これをわざわざ冒頭にまず取り上げさせていただいて、ぜひ皆さんで意識をしていただいて、しっかりとこれを育てていただきたい、こう思うわけであります。  今度つけられました予算、どんな内容であるのか、どんなふうに進めていこうとされておられるのか、予算がついております通産大臣から、もしよろしかったらちょっと、簡単で結構ですので、皆さんお話しいただけたらと思います。
  101. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 今委員が御指摘になりましたように、まさに国防総省の仕事から始まりましたこのシステムでありますが、今アメリカにおいて言われておりますのは、CALSによる政府調達導入の動きというものでありまして、二〇〇〇年までに、多国籍企業や中小企業に至るまで、官公庁との取引を行うすべての業者にCALSプログラムに準拠することを義務づけると同時に、特に中小企業に対しての教育を行うなど、官民によるCALSの普及が進展をしつつあります。  今御指摘をいただきましたように、通産省といたしましても、我が国の産業界における情報の共有、連携を深める、そして生産性を向上させるという観点から、来年度から新たに実証モデルの開発事業を行うことにいたしました。具体的には、発電プラントの一部を想定いたしまして、電力業界、重電業界、機械産業業界など関連業界の協力によりまして、CALSに必要な各種の規格の標準化及び実証実験を行うつもりでありまして、現在、技術研究組合の設立の準備を行っております。  こうした施策も含めまして、我々としては今後とも産業の情報化に積極的に取り組んでまいりたいと考えておりまして、ハウスの御支援も心からお願いを申し上げます。
  102. 松田岩夫

    ○松田委員 ぜひ頑張っていただきたいと思うんですが、ちなみに、アメリカがどのくらい力を入れているかということで御参考までに申し上げると、今通産省につきました予算は四億一千八百万円、国防省のCALS予算は九二年に既に約二百億円、九三年に五百億円、概数だけ申しておきます。大蔵大臣、よくこれ頭に入れておいてください。九四年に約一千億円でございます。そのくらい意識を持ってやっておられるわけであります。  私どもはそういう面で見ると極めて甘いなということをしみじみ感ずるものですから、冒頭にまず取り上げさせていただいたのですが、さて、この産業の情報化ということを通じて、今産業界はみずからのリエンジニァリング、リストラを強烈に進めておられる、おわかりいただけたと思うのであります。日本もこれからやろう。  さて、そういうことならば、今行政改革ということで、私ども行政のリストラ、行政のサービスの向上を図る一方、スリムな内閣にしてできるだけ効率的な行政をやろうということで一生懸命なわけであります。私は、そういう意味で、政府の行政改革の中で、行政の情報化、情報化を通ずる行政改革、民間と同じなんです、考え方は。そういう発想がちと弱いのではないかな。と言うとちょっと言い過ぎたかもしれませんけれども、まあ弱いか強いかはともかく、これから一層行政の情報化というものをみんなで意識して徹底的に進める必要がある、私はそう思うわけです。  そこで、行政改革の観点から見て、一体行政の情報化というものをどう評価しているのか。私としては極めてこれは効果的な方策である、こう思うんですが、多少、過小評価しておられるんじゃないかと思う。総務庁長官どうでしょうか。     〔委員長退席、三野委員長代理着席〕
  103. 山口憲美

    山口国務大臣 お答えいたします。  御指摘のとおり、行政の情報化は行政改革を進める上で重大な課題であるというふうに認識をいたしております。特に、行政の効率化を進める上において極めて重要であると考えております。したがいまして、政府といたしましては、行政の情報化に総合的、計画的に取り組む政府全体としての行政情報化推進計画を策定することにいたしまして、昨年の十二月、その基本となる行政情報化推進基本計画を、行革大綱を決定する際に、行革大綱の中でその問題を閣議決定として決定をいたした次第であります。  今後とも、御指摘の点を十分念頭に置きまして、行政の事務事業及び組織を通ずるシステムを改革するための重要な手段として位置づけて、推進をいたしてまいりたいと考えております。
  104. 松田岩夫

    ○松田委員 一般的にはそういうことだと思います。それで結構なんですが、さて、物事というのは常にそうなんですが、具体的にどう進めていくかという点で、やっぱりもっとしっかりと意識を持つ必要があると思うわけです。  そういう意味で、ちょっと一つの例ですけれども、例えばアメリカでは、先ほど通産大臣の答弁の中でもちょっと触れられましたが、このCALSを利用し、CALSという言葉がどうもブッシュ政権時代に出たせいなのか、最近は、大変英語を申して恐縮ですが、ECと言っております。エレクトロニックカマース、これを略しまして、電子商取引、電子取引というのでECという言葉がよく使われます。  ここに一九九三年十月二十六日、わざわざこれを申し上げるのは、先般の、きのうも大議論をいたしました特殊法人の整理一つとりましても各省任せで、官邸の機能、総理大臣あるいは総務庁長官の統率のもとに、本当にトップダウンでやらなきゃできないような事柄についてまで各省任せという姿をきのうもしみじみ感じさせていただいたんですが、例えばアメリカで、前置きが少し長くなりましたけれども、九三年十月二十六日、これコピーですからあれですが、ここにクリントン大統領の署名で各長官あてに、まあ大臣ですね、各大臣あてに、今言うECを通じて政府調達を合理化しなさい、こういうメモランダムが出ておりました。  自来、アメリカ政府は、今言いましたコンピューターネットワークを通じた電子商取引で政府調達情報の公開あるいは発注、決済といった政府調達のすべてのプロセスを九七年までにぜひCALSといいますか、ECで実施したい。もちろん大変なことですから、私は九七年までにアメリカの政府がこれをなし遂げるとも、そんなこと失礼な話ですからあれですが、一生懸命頑張っておられる。  そういう姿を見るにつけ、一体日本はどうなんだ、政府調達、どこの所管だ。こういうことを聞かれるとなると各省逃げ回って、いやそれはそれぞれの省でございます。いやそんなことはないだろう、どこだ。まあ、私も公務員でしたから、これはもうやっぱり所管とすれば大蔵大臣が取りまとめていく以外ない、政府調達の会計手続をお決めになっているのは大蔵省だし、ということで、きょう大蔵大臣、このことだけで実はお呼び立てを申し上げたわけです。  例えばこの政府調達一つとってみても、私は、行政の改革、行政のリストラという観点から見ますと、アメリカがクリントン大統領の指示のもと、九七年までにECによって政府調達を合理化しようなどとやっておられる姿と比べますと、一体どんな努力を我々はしているのかなということをしみじみ思うわけであります。  大蔵大臣、ぜひひとつ先頭に立って、大蔵大臣でないというなら所管大臣決めていただいていいです。それは政府調達です。今各省それぞれが調達するわけですが、しかしそれを束ねて、政府調達を例えば情報化する、それによって、一方ですばらしい品質のものを調達できると同時に、他方で中小企業を初め多くの方々に情報が公開され、調達に参加する機会も得られ、今まさにこの大統領のメモランダムに書いてあることを言っているわけですけれども、しかも他方、同時に行政の効率化も一気に進められる、こういうわけであります。  所管が決まっておられないというようなことを公務員の諸君が言ってきたのですけれども、私は大蔵大臣にこれは率先してやっていただきたい。総務庁長官、ともに具体的にこの件についてぜひ御検討を始めていただいて、どんなことを一体アメリカがしようとしているのか、日本はどうか、その点をしっかり見届けていただきたい、そしてぜひ実施に向けて頑張っていただきたいと思うのです。
  105. 武村正義

    武村国務大臣 アメリカのCALSあるいはECという情報化の動きをかなり詳しくお話をいただいて、私も大変認識を深めさせていただきました。お礼を申し上げます。  ぜひこのことは一層関心を持って、これは政府全体ではありますが、私も関心を持って、アメリカのまねをすみということではないにしても、既に日本日本なりに、各省庁もコンピューターを導入しながらさまざまな情報化に取り組んでいるところであります。  それにしましても、例えば、一つ感じましたのは、構造改革という大きな課題に直面しておりますが、もう十年以上前にアメリカは、この大きな課題の中で、今CALSというふうな情報の側面から産業全体を効率化していくために大変大胆な動きをしていたんだなと。ベンチャーとかNASDAQとかいろんなことは私どもも認識しておりましたけれども、そのCALSの側面は初めて深く認識をいたしました。  同時に、政府調達の分野におきましても、これはまさに公共事業、もう全部これに入ってきますから、鉛筆や紙だけの調達でなしに、この分野の改革といいますか、より効率化は、この議会でも議論が始まっているところでございまして、大蔵省は大蔵省なりに、財政担当当局としましても絶えずこの問題に関心を持たせていただきたいというふうに思います。
  106. 松田岩夫

    ○松田委員 ぜひひとつ検討を進めてください。  きょうちょうど防衛庁長官もお越してございます。これはDOD、国防省から始まったことでございます。防衛庁としても、まさに効率的な調達、しかも国を守るにふさわしいものをということでございますので、一生懸命頑張っていただきたいと思います。公共事業を初め多くの分野でぜひ、今大蔵大臣からしかと御答弁を賜りました、政府部内で早急に検討を開始していただけるということでございますので、次に移ります。  こうした産業界あるいは政府、さらにあらゆる分野にわたって日本の高度情報通信社会をつくり上げていく、私どもの大きな課題であります。近々、内閣として、二月十七日ですか、私は非常に楽しみにして待っておるわけでありますけれども、基本方針を出されるということでございます。せっかくですので、十七日に出るから今最後の詰めをやっているんだ、また各省いろいろ言ってとか、そういうこともあるのかもしれませんが、ぜひこの機会に、それぞれ具体的に、ポイントだけで結構です。もう時間がありませんが、ポイントだけ、こんなことを思っておりますと。  総体としておまとめいただいているのは官房長官、そして副本部長として通産大臣、郵政大臣がそれぞれ補佐役をされてお取りまとめをいただいておる、こういうわけであります。二月十七日に発表されるのを楽しみに待っておるわけでありますが、きょう、よろしかったらこの機会にその具体的なポイントだけ、お取りまとめの立場から官房長官、それぞれの立場で通産大臣、郵政大臣から一言ずつお話を承りたいと思います。
  107. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 お話しのように、この二月の二十五、二十六日にブリュッセルで情報サミットがあるものでありますから、その対応も含めて現在鋭意取りまとめ中でございます。これの内容につきましては、それぞれ所管の大臣がございますので、詳しくは大臣からお話をいただきたいと思います。
  108. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 具体的には、行政分野を初めとする公共分野における情報化、情報通信の高度化のための諸制度の見直しなどの施策に関する具体的な方針を盛り込む、同時に、世界情報インフラの構築のために、我が国としての国際的な協力のあり方についても示したいということで、政府部内で調整中であります。  さらに、基本方針にのっとって高度情報通信社会の実現に向けたその政府の取り組みというものを推進していくために、具体的なフォローアップの方策についても盛り込むことを検討中であります。
  109. 大出俊

    ○大出国務大臣 お答えを申し上げます。  ここに実は今松田さん御指摘の案があるんですけれども、私も今一生懸命読んでいるところなんですが、ただ、十七日となっていますので、ほぼまとまりかかっているんですけれども、ちょっとここで申し上げるわけにいかないので、二、三点だけ申し上げておきます。  まず、その情報インフラの整備の必要性を強調しようと、世間に対してですね、それがまず出だしてございます。そして、高度情報通信社会実現のための行動原則というのをきちっと決めようじゃないかと。これは今ここで申し上げると長くなりますから、世の中にアピールしておいて、行動原則をはっきりさせる。そして、情報通信インフラの総体的な整備をどう進めるかという順番にいたしまして、その間の官民の役割、これも非常に重要なことでございますから、そこもはっきりさせようということで、後は、私どもが電気通信審議会に昨年五月に答申をいただいております、つまり情報インフラの整備、これを中心に据えてことしを整備元年ということでやっていこうと、簡単に言うとそういうことです。
  110. 松田岩夫

    ○松田委員 私があえて取り上げましたのは、非常に大事なものですから、ぜひ大臣、また事務的に積み上がってきたものを今読んでおるというようなことではなしに、十七日ですからまだ数日あります。最後、魂を入れるところをしっかり両大臣におかれて、官房長官もそうでありますが、しっかり具体的に、国民にとても大事な時期なんです、今。ですから、あえて取り上げさせていただいて、十七日、発表を待てばいいわけでありますが、ぜひあと数日間、精魂を込めていただきたい、こう思うわけです。  今お話しのように、二十四日から二十六日まで、いよいよ、これは国内ばかりじゃありません、まさに情報は全世界、とりわけ先進諸国間ではこれからの国家戦略の非常に重要な分野になってまいります。そういう意味で、この情報社会に関するG7会合というのが初めて持たれる大事な時期であります。国会中でもありますので、両大臣、御出席のことについては私などが言う立場にはありませんけれども、大変大事な初会合であるとそれぞれ意識して、今のお話でございますと、鋭意御準備していただいているようでありますが、やはり日本といたしまして、私は、この分野においても、確かにアメリカにおくれた面もある、しかし、先進国中の先進国という誇りを持って頑張っていただきたい。  とりわけ、それぞれの国がこの情報化を進める上で大きな障害といえば、よく出ますように、知的所有権の問題とか、標準化の問題とか、こういったいろいろ制度が違うものをいかにハーモナイスして世界一つのネットワークにしていくか、こういう面の努力日本が率先しなきゃいけないと思います。  また同時に、いろいろ具体的なプロジェクト、けさの朝日新聞にもちょっと出ております。私も申し上げようと思って、ここに書いてあります。「被害などのデータ 海外へも情報公開」、これは本当でしょうかね。「政府方針「情報通信G7」で提案」と、こんなのがけさの朝日新聞に出ておりましたが、いいことです。別に災害に関する情報ばかりじゃありません。いろいろな共同プロジェクトを恐らく日本も御提案なさっておられると思いますし、そういう中でぜひ日本としてしっかり国際的に貢献をしていく、そういう感覚で対応していただきたい。  時間が参りましたので、情報社会に関します御質疑、この程度にさせていただきますが、どうぞひとつ関係大臣におかれてはしっかりと対応していただくよう重ねてお願いをいたしておきます。  さて、それではちょっと質問の順位が変わりまして恐縮でしたが、米朝合意、それに基づいてつくられますKEDOといったようなことにつきまして御質問させていただきます。  最初に、先月の二十四日でございますが、上院の外交委員会でペリー国防長官が、米朝合意の実行についてこう証言しておられます。ちょっとこれ、訳が不正確かもしれませんが。  我々は北朝鮮への信頼に依存しているわけではないと強調。今後も、国際原子力機関の査察官による実態調査や水偵察衛星による情報分析などを通じて、核開発凍結に関する北朝鮮側の動向を注視していく考えだ。もしある時点で北朝鮮が合意の約束を破った場合は、我々及び同盟国もその履行を注視し、経済制裁を含む手段を考慮することになる。  こういう御証言をなさっておられます。当然といえば当然ですが、北朝鮮との今後の交渉にも厳しい姿勢で臨んでいくしっかりとした態度を私は読み取ったわけであります。そういう意味で、米朝合意、お互いもちろん信用をベースにしているとはいうものの、また今申しましたように、しっかりとした検証を絶えず繰り返し、合意がしっかり達成されていくということが大事かと思います。  この点について特に、今はそういうことがない平時ということで御意見を伺うわけでありますが、日本として、北朝鮮が万一約束に違反した場合に備えて、ペリー国防長官じゃありませんが、同盟国の重要な一国としてその対応を考えておく必要があると思うのでありますが、いかがなものか。既にそういった点については十分考えてあるというふうに理解しておいていいのかどうか、外務大臣並びに、本件は防衛庁にもかなり関係いたします、防衛庁長官にもあわせて御答弁を賜りたく思います。
  111. 河野洋平

    河野国務大臣 北朝鮮の核開発疑惑は、国際社会にとりまして、核拡散という点から極めて重大な問題でございます。あわせて、北東アジア、我々近隣諸国にとってもこれは極めて重大な問題でありますから、この核開発疑惑を払拭して、きちんと国際社会が安心して見られる、そういう状況にするということが何より重要でございます。  この重要な命題を解決するために、アメリカは、つまりアメリカというのは、北側が交渉相手としてアメリカを指名して、それ以外の国は交渉相手にしないわけですから、これはアメリカが交渉相手になったわけですが、アメリカは北朝鮮に対してさまざまなケースを考えたと思います。一時は国連の場を使って制裁も辞せずという強い態度で臨んでみたり、あるいは粘り強い話し合い、交渉によって問題を解決しようとしてみたり、さまざまなことを考え、結局、この話し合いによる合意というものを導き出したわけでございます。  その過程におきまして、我が国もアメリカ及び韓国と緊密な連絡、極めてしばしば情報を交換し、その相談をし合いながら進めてきたわけで、アメリカが持つさまざまな認識というものは、我々もまた持つべきだろうと思います。しかしながら、この問題は相手のあること、つまり交渉相手が今誠実にやろうとしているという今日の状況を考えれば、やらなかったときにはどうするかというようなことを今軽率に言うべきではないというふうに思うわけでございます。  したがって、一般論として我が国がどういう心の準備をするかということについて発言をすることはともかくとして、米朝合意に絡んで、北側がやらなかったときには我々はこういう態度をとるとか、あるいはこういう準備をするというようなことを具体的に、明示的に言うことは、私の立場からは控えさせていただきたい、こう思うわけでございます。
  112. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 北朝鮮の核兵器開発問題についての御質問でありましたが、まず我が国の安全の確保という観点から見れば、この問題は、まず第一に外交的手段によって平和的に、平和裏に解決されなければならない、こう思うわけでございます。  したがいまして、米朝合意の誠実な履行を北朝鮮に対して促していくということが最も大事であると思うわけでありますが、まずこの軍事情勢の変化等におきましては、十分注意深く見守るとともに、米国との連絡を十分とりつつ状況の変化に対応していくということが大事じゃないかと思います。
  113. 松田岩夫

    ○松田委員 外務大臣おっしゃるとおりだし、防衛庁長官おっしゃったように、今ここで具体的に何をやれということをわざわざおっしゃってくださいということを申しているんじゃないですよ。ペリー国防長官が委員会ではっきりと、これは当然のことなんです、北朝鮮が約束を破った場合は、我々及び同盟国もその履行状況を注視して、経済制裁を含む手段を考慮することになる、こう述べておられる。当然のことですね。ですから、アメリカとしては、発表はしておりませんが、いろいろ考慮しておられる、こういうわけです。  それで、当然日本としても、同盟国の一つとして準備はできておるんですねと。今ここでおっしゃってくださいということを申しておるんじゃないですよ。平和的に解決してくださいとか、前置きでおっしゃったことは当然のことですから、わざわざ言っていただかなくてもいいと思うのです。問題は、ちゃんと準備ができておりますねと。また、いざ――いざのことを言っちゃいけませんけれども、まさに今はそういう意味では平時ですから、そういうことが起こらないようにということで今一生懸命やっている時期ですから、だから、今だからこそしっかりまた準備もしておいてくださいねと。  そういう意味では、この間の災害と同じであります。いざのときに備えて、それから考えるよというのでは、また初動態勢のおくれ、何だ、こういうことになるわけでありますから、しっかりと準備をしておいてください。準備はされておりますね。あらゆる事態を想定して準備はされておりますね。準備しておりますと、そのお答えだけいただけばいいんです。
  114. 河野洋平

    河野国務大臣 米朝合意を進めるに当たって、先ほども申し上げましたように、アメリカとの間に十分緊密な連絡をとってございます。
  115. 松田岩夫

    ○松田委員 ぜひしっかりとした用意をしておいてください。用意はすべて発動されないことが望ましいわけですけれども、そういう場合の用意は。しかし、用意をしておくというのが、まさに今度の危機管理ということで我々が十分学んだところです。  さて、次の質問に移りますが、核疑惑の発端となりました黒鉛炉の総出力は、稼働中、計画中を合わせました三基で二十五万五千キロワット、これは間違いないですね。これに対して、KEDOは百万キロワットの軽水炉二基の提供を行う。百万キロワットの軽水炉一基だけでも、北朝鮮の電力供給網から見ますと、既に大き過ぎるわけでありますが、百万キロワット二基を提供する、こういうことになっておるわけであります。  どうしてなのかな。米国のある専門家は、大き過ぎる軽水炉を要求している理由は、電力の需要の問題よりも、ほかの幾つかの取引に道を開くためではないか、これはある民間の専門家の意見ですから。でも私自身も、どうしてこんなに電力需要を大幅に上回る軽水炉を供与することを約束しているのかな、その意味がよくわからないし、その是非は何なのかな、前提としてちょっと御質問させていただきます。
  116. 河野洋平

    河野国務大臣 確かに議員御指摘のように、今日北朝鮮が稼働しようとしている、あるいは建設途上にあるものの容量と比べればかなり過大なものだという、数字的な比較から見れば過大なものだということは、私も数字上の比較からいってそのとおりだと思います。  それでは、なぜこういうことになったのかということでございますが、これは一つは、米朝両国間の交渉の結果でございまして、つまり、貴国の準備がこれこれだから当然これこれでよかろうと、きっとアメリカは言うたに違いないのですね。しかし、それでは交渉はまとまらなかったということだろうと私は思います。つまり、この数字は、米朝間の合意を得るために話し合いの結果導き出された数値であろうというふうに思います。
  117. 松田岩夫

    ○松田委員 なかなかわかりにくいというか、余りにも大きな隔たりなものですから、何のことだ、これは、という点についてはやはり政府としても明確でないのですね。これを実現していく上では、これが要するに巨額な負担のもとなんですね。百万キロワット一基でもいいと思うのにそれをまた二基、そのために金額も倍になる、こういうわけですね。しかもそれぞれが、後でまた御質問しますけれども、べらぼうな金額なんですよね。  ですから、そういう程度しかお聞きになっておられないということであれば、もっとしっかりと米側にどういうことであるのか明確にお聞きをいただいて、聞けないわけないと思うのですね、もういろいろ御相談をされながらやっておられるわけですから。ぜひその点を、次回また御質問の機会を得たいと思いますが、明らかにしていただけるように米側としっかり打ち合わせをしておいていただきたく思います。  さて、次の問題は、この北朝鮮における通常戦力の前方配備の状況、あるいは弾道ミサイルの開発について、米朝合意が昨年十月にできたわけですが、一体、その後この状況に何か変化があったのかどうか、北朝鮮側に何か動きがあったかどうか、何らかの誠意があるのかどうか、そんなことについてちょっとお聞きしたいと思うわけであります。  日本にとって直接の脅威となりますのは、まさにこの北朝鮮が戦力を前方に配備している、あるいはまた弾道ミサイルの開発をやっている、このことであります。しかし、これは米朝合意の枠外になっているわけです。米朝合意では全然触れられていない。それはそうかもしれない、事柄の性格から。しかし、我々としては最大関心事の一つ。したがって、一月の日米首脳会談でも両首脳はこのことに懸念を表明すると、こう書いてあります。  しかし、自来四か月だって何にも変化がないということになると、これは単に両首脳が懸念を表明したという程度では済まないのではないか。我々にとって非常に心配なこの点については、単に懸念を表明したという程度の態度ではなしに、総理あるいは外務大臣防衛庁長官としては、ぜひアメリカ側にしっかりと、北朝鮮側にその点について改善するように言うべきではないか、私にはそう思われるわけです。  日本としてこれから資金を出していく、こういうわけであります。その資金を出す、直接北朝鮮ではない、KEDOだということなんだが、しかし、その効果は北朝鮮のためだ。それはまた全世界のためだということでもありますし、日本のためでもありましょう。しかし、直接的には北朝鮮のためであります。その北朝鮮が今言ったような状況にある。お互い懸念だけ表明をした、そんな程度のことでいいのか。  米朝合意もできて、我々そちらに向かってしっかりうまくいくようにということで努力すればするほどこの思いは深くなるわけであります。ぜひアメリカの大統領なりあるいは国務長官なり国防長官にそういったことをしっかり言って、北朝鮮側がこのことについて善処するようにやっていただくのが当然ではないかと思いますが、いかがですか。
  118. 河野洋平

    河野国務大臣 議員も御指摘のとおり、北朝鮮のミサイル問題というものは極めて我々にとって重大な問題でございます。だからこそ、正月の日米首脳会談にはこの問題が取り上げられて、両国首脳はこの問題について懸念を表明し合ったわけでございます。  これはもう松田議員は十分御承知のことでございますが、日米首脳が会談をしてこの問題を取り上げて、双方首脳がいずれも懸念を表明したということは、これはただ単に、困ったものだね、そうだねという話とは全く違うのでございまして、両国首脳それぞれが北朝鮮のミサイルの開発その他こうした問題について懸念を表明し合ったということは、我が国は我が国としてこの問題に重大な関心を持っておりますよと、こうしたミサイルの開発などが進むということについて我が国としての考え方を述べ、アメリカの大統領もまた全くそのとおりであるということを言われて、ということであるならば、この問題解決のために双方が努力をしなければならぬということにつながっていくわけであって、米朝関係は、これから連絡事務所を設けたり、さまざまなやりとりがある中で、この問題は必ず関心事として取り上げられていくに違いないと私は確信をいたしております。
  119. 松田岩夫

    ○松田委員 取り上げられていくに違いないと、何か他人事みたいに答弁されるものですから余計質疑が行きにくいのですけれども、取り上げていただくようにしっかり対応させていただきますということでよろしいですか。  それでは次に、北朝鮮という国は、防衛庁長官、今もなお大変な軍事力強化を年々しておる国ですね。私の知る限りでは深刻な経済不振、国民は塗炭の苦しみと言うと言い過ぎかもしれませんが、とても豊かな生活をしておられるとは思えない。そういう国で、しかもGNPの約四分の一近く、二〇から二五%を投じて軍事力の近代化、強化に当たっておる。  この前も実は予算委員会で私、中国の核実験とかいうことでODA問題を取り上げさせていただいて、なかなか難しい問題ですが、しかしみずからの資力の、GNPの四分の一近くを軍事力の強化、近代化に充てている国に、そしてそれはどうだというと、前方配備だ、そして核ミサイルの開発だ、しかもそれがどうも、どこを目指しているんだと、何となく、その辺になるといろいろでしょうが、これ以上のことは申しませんが、そういう状況の中で一体今回のような多額の、いろいろでしょう、具体的には後ほどお聞きするわけですけれども、これからまだ負担を伴ってくることを国民に理解を求めていく。  ODAではもちろんありませんが、ODAについてすらというとおかしいですが、ああいう考え方対応し、ODA原則というものを設けてやっ ておる時期に、一体どうやってこれは国民の理解を求めていくのかなという点になると、私は非常に心配をいたすわけであります。  そういう意味でも、今申したように、北朝鮮が日本と、後でまた日朝交渉のことはお聞きいたしますけれども、我々と直接窓口がないということであれば、一層ぜひ、単に懸念の表明ではない、我々がこれから喜んでと言うといけませんが、負担をさせていただく上でもぜひこの点はもっとしっかりと、しかもなぜGNPの四分の一近くも、しかも発展途上の国でと、こういうところです。ですから、そういった点まで含めて、私は、しっかりと言うべきことは言っていただく、アメリカから向こうにも言っていただくということが大事ではないか、そう思います。その点、考え方としてはよろしゅうございますね。     〔三野委員長代理退席、委員長着席〕
  120. 河野洋平

    河野国務大臣 御承知のとおり、北朝鮮という国が、孤立主義と言っていいのでしょうか、そういう姿勢を示している中で、北朝鮮の国の政策として大きな軍事費というものをつぎ込んでいるという実態は、今議員御指摘のとおりだと思います。  そういう中で、今回の米朝合意というものは、ただ単に核の問題を解決するのみならず、この米朝合意の実施によって北朝鮮を国際社会の中に引き出すというねらいがあると考えていいと思います。国際社会の中で相互依存関係というものを互いに持ち合うというところから、徐々に政策は透明性を増してくる、あるいは相互の信頼感というものを増してくる、そして問題を最終的に解決をする、こういう道筋を考えているわけでございまして、その点はぜひ議員にも御理解をいただきたいと思います。  確かに、議員が御指摘のとおり、国民の多くがこの問題についてまだまだ十分な理解がないという御指摘でございますが、国民、我が国の大きな関心事、不安と言ってもいいかもしれません、関心事は、極めて近い国が核開発をやっておる、核兵器を開発しつつある、あるいはしようとしている、そういうことに対する不安感といいますか、大きな関心事というものがあるわけで、私どもとしては、この問題をまず解決をするということは何より重要なことであるという問題意識を持ってこの問題に取り組んでいるということをぜひ御理解いただきたいと思います。
  121. 松田岩夫

    ○松田委員 いや、全体の流れの中ではよくわかるのですよ。ですけれども一つ一つやはりしっかりと言うべきことは言っていただきたいということでございます。それがこうしたことについて国民の理解を得てやっていける条件になると思うので、あえて申し上げているわけです。  さて、少し話を進めましてKEDOのことについてお聞きするわけですが、先月の二十六日、アメリカの国会もいろいろな議論が始まっておりまして、上院の軍事委員会でペリー国防長官は、北朝鮮との合意の費用の総額について五十億ドルを超すとの見通しをおっしゃっておられます。私ども聞いておりましたのは、これまでアメリカ側は約四十億ドル、別に正式に聞いたわけでもありませんけれども、巷間そういうふうに言われておりました。さらに十億ドル以上上回るという見解が示されたわけでございますけれども、非常にけげんに思うのですよね、正直申しまして。  これまでも本委員会あるいは国会の質疑を通じて、一体総額がどの程度なのか、一体どのような使途に、全体で一体およそ幾らになるのかということについて明確なお話がないのですね。アメリカの上院の軍事委員会では、例えばペリー国防長官はそんなことをおっしゃっておられる、五十億ドルを上回ると。一体どうなっているのですか、この金額は。どういうふうにお聞きになっているのですか、アメリカとの間では。
  122. 川島實

    川島政府委員 お答え申し上げます。  軽水炉プロジェクト等にかかわる費用の額については今後協議、検討されるということでございますので、具体的な総額はまだ見えてきていないということでございます。  ただ、五十億ドルとなぜ言ったかということについて、推察と申しますか、申せば、一つは、米側は千メガワットの軽水炉二基だと大体約四十億ドルぐらいかかるということを従来から米国内では説明しているということは承知しております。  それから、それでは四十億ではないか、五十になるのはどういうことかということでございますが、御承知のとおり、代替エネルギーを供給するということが米朝合意で想定されておりまして、ちなみに既に五万トンの重油供給を米側が行って、これが約五百万ドルぐらいを支出したわけでございます。それがだんだん重油の供給量がふえまして、行く行く五十万トンまで年間供給されるということです。それを単純計算いたしますと約四億ドルぐらいということでございます。  ただ、それ以上ほかにどういう支出が想定されているかといえば、ちょっと五十まで積み上がる根拠というものは私どもとしては思い当たらないということでございます。
  123. 松田岩夫

    ○松田委員 何とも、そういう御答弁を聞けば聞くほど霧の中に入っていっちゃう、一体何を日本政府はアメリカとの間でやっているんだ、これはもうどんなにパイプが小さいんだと、外務大臣。  ペリーさんは五十億ドルと言った。今の答弁じゃ本当に残念というか、アメリカとの間でそんなに情報が途絶えているというか、うまくいっていないのですかね。全く、米朝でお決めになった方向に沿ってこれから一生懸命やっていこうと思う気持ちになろうとすればするほど、一体アメリカとの間でそのぐらいのことはわかっていないのか。国防長官が勝手なことを言ったというわけですか、今の答弁は。それとも、国防長官はしっかりしたものを持っているのだけれども日本にはおよそ通報がないと。  まあ、こんなことで声を荒立ててみても始まらぬですけれども、ちょっとそんな雰囲気にならさせていただくほど、正直、まさに金額の見通しについて、こんなずさんな姿で日本とアメリカとの関係があるということは、そういう意味でも国民の理解を得る上では非常にまずいと思いますので、しっかりとひとつ対応していただきたいと思うのです。  外務大臣、金額のことについてはもちろんいろいろ精査する点はありましょう。しかし、あるにしても今のような答弁じゃとてもそれは、重油の分は多目に見ても四億ドル、百万キロワット二基でざっと四十億ドル、合わせて四十四億ドルまではわかりますが、何で五十億ドルと証言したのかよくわかりませんなどという答弁で私、次へ行くと、何を一体僕は聞いたことになっているのかなということになるのですが、どういうことでしょうか、これ。
  124. 河野洋平

    河野国務大臣 私どもとしては、この衆議院予算委員会という権威ある場で申し上げようとすれば、もう少し具体的な数字というものをつかんで申し上げたいというふうに思うわけでございます。  今事務当局が申し上げましたのは、一般的にそう言われている、原子炉の建設費などについてはですね。しかし、それはどこにつくるかによっても相当建設費は違ってくる。山へつくるのか海岸につくるのか、どこにつくるのかによっても随分違いましょうし、そこで、そうしたことをやはりフィージビリティースタディーをまずやろうということを今言っているわけでございまして、そうしたことができるに及んで金額はさらに正確な金額を申し上げられることになるだろうと思うわけでございます。
  125. 松田岩夫

    ○松田委員 アメリカの国会と日本の国会とは違っていて、アメリカの国会ではずさんな数字も平気で言える、しかし日本じゃ言えないんだと言っているのと同じように聞こえてしまうのですよね。  ペリー国防長官は五十億ドルを上回るだろう、あの証言自身は私はしっかりした証言だと思うのですよ、国会で言っておられるのですから。その五十億ドルを上回ると証言しておられても、果たしてその内容は何かということについてはさっぱ り外務大臣は御存じないというのじゃ、幾ら何でもこれは日米同盟、日米は基軸だなんだといって、しかも日米一緒になってひとつというにはいかにも情けない話ですね。しっかり、わかり次第、だからまた教えてください。  まだたくさんあるものですから、ちょっと次へ。  さて今度は、総額についてはあれですが、日本の資金、うち一体日本はどれだけ持つんだという点についても実にあいまいもことしているのです。これはもちろんこれからの問題ですが、それにしても、ある感覚というものは我々もうそろそろ持たさせていただいてもいいのではないかと私は思うのですね。  この間の日米首脳会談で、意味のある財政的役割を果たす、シグニフィカント・フィナンシャル・ロールと英語で書いてある、それを意味のある財政的な役割を果たす、そう訳されているわけです。新聞やその他によると、従来よりは踏み込んだと。従来は応分。応分というのは英語でどう言っていたのですかね、そういえば。まあいいや、それは後で教えてください。今度は意味のある、応分から意味のあるということになったので少しふえたというようなことが新聞では報道されている。また、みんなもそんな気持ちになっているようですから。  しかし私は、もっとこれは厳しいぞ、シグニフィカントというのは、意味のあるなんという訳は間違いじゃないかと僕は思う。アメリカの人たちの感覚でいえば、シグニフィカントといえば、これは大きな役割を果たすというときに使う言葉であって、意味のある役割なんというとちょっと、もっと違うんじゃないかと。  だから、一体具体的にアメリカとの間で、総額も今のような話だ、まして、その中で日本がどれだけ御協力をさせていただくかという点についても、シグニフィカントという英語が書いてあって、しかもそれを、意味のある、前の応分よりは少し踏み込みましたよ、少しふえましたよ、こうおっしゃっておられる。  実にもう話がそういう意味であいまいもことしておりまして、私は、シグニフィカントという言葉を受け取る米側は、もう大きな役割を果たさせていただきますと受け取って喜んでおられるんだろうと思いますが、いや、それは誤解ですというのであれば、総額もわからない状態ですからこれはどうにもなりませんが、日本一体どの程度の負担という話になっているのか、今ですよ、今。これからまだ相談もありましょう。しかし、今どの程度の負担ということになっているのか。  私は、アメリカ側は大きな役割を果たしてくれると理解しておるものと心配するわけですが、それはあなた杞憂だとおっしゃるのなら、明確におっしゃってください、いや、こういうことになっておるんですというところを。
  126. 河野洋平

    河野国務大臣 意味のある財政的支援、こう言ったわけでありますが、その意味のある財政的支援という言葉を使う前に幾つかの言葉を使っているわけでございます。例えば、このプロジェクトが韓国が中心的な存在である、そういう考え方のもとに、アメリカもまた主体的な役割を果たす、そういう状況のもとで意味のある財政的支援を行う、こう申し上げたわけでございます。そのことは、これ以上申し上げなくても松田議員はもうよくおわかりだと思います。
  127. 松田岩夫

    ○松田委員 いやいや、これはたまりませんね、大臣。全然わかってないから聞いているのですが、私。  一体どれだけの負担になるのか。いや、ちょっとまじめな話なんですが、皆さん聞きたがっておられるのです。皆さん知りたがっておられるのですよ。どれだけの負担なんですか、日本は。シグニフィカントというのはどの程度のことなんですか。
  128. 河野洋平

    河野国務大臣 繰り返して申し上げますが、具体的な総額が決まらない以上、具体的な数字で申し上げるということはできません。  我々もまた具体的な数字を確認しているわけではございません。したがって、このプロジェクト自体が、韓国が主役を演ずる、そして、アメリカもまた重要なこの米朝合意をつくり上げた主役の役割を演ずるという、二つの前提のもとで意味のある財政的支援を行う、こう言っているわけでございまして、我々の申し上げていることは、韓国がまさにこの問題の大きな役割をまず果たされるということを前提として考えているわけでございます。
  129. 松田岩夫

    ○松田委員 アメリカの議会でいろいろ議論が始まって、非常にいろいろなことが向こうでは問題提起されているわけですけれども、例えば今の話の関連で、アメリカは具体的にしゃ何を負担なさるのかなという点に移りたいと思うのです、それと連動しますのでね。  米議会でのいろいろな意見の中で、こんな意見が幾つか出ています。これは気になるものですからちょっと申し上げるのですが、一月十九日、上院のエネルギー委員会の公聴会、マコウスキー委員長は、日韓両国が合意の調印国になるべきだった、アジアのほかの国々も実質的な貢献をすべきだ、アジア地域全体がこの合意の恩恵を受ける、なぜ中国は大きな役割を果たそうとしないのか。  民主党のサイモン上院議員、これは民主党ですよ。共和党ばかりじゃないのですよ、民主党ですよ。米国の負担は最小限のもので、日韓がコストの九八%か九九%を負担すると理解している。これは議員の意見ですよ。それに対して、セイモア北朝鮮核問題担当次席大使、これは政府側です、正確な数字は言えない、しかし同盟国が、アメリカじゃなくて、アメリカの同盟国がほぼ全面的な負担をすることになるだろう、こう述べておるというのですよ。国会でですよ。これは間違っていれば直しておいていただいていいのですが、一体、アメリカは何を負担なさるおつもりかなと。  日米首脳会談で、この間お聞きしたときは、米国もこのKEDOの活動については財政的貢献を行うと首脳会談でちゃんと述べておられる。河野大臣は、わざわざコメントして、これは軽水炉本体への費用の負担も含んでおる、これは国会でそう答弁されておられますね。  クリストファー国務長官、これまた委員会でですが、本年度の当面の予算として、使用済み燃料棒を安全に保管するための費用として、エネルギー省予算から約一千万ドル、けたが違うのですよ、一千万ドル、KEDO設立のため国務省予算から約五百四十万ドル、合わせて千五百四十万ドル、本年度予算に計上する。ここまではっきりしているのですよ、アメリカは。  しかし、それ以上に一体アメリカはどういう、本当に軽水炉本体も負担するのか。大臣はもうはっきりそう国会で答弁なさっておられますが、国会での議論、国会議員の議論というのはそれは政府の意見とは違いますから、しかし国会議員の意見等を聞き、あるいはアメリカ政府がこれまでとってきている具体的な措置等を見ますと、一体アメリカは何に対してどれだけ負担されようと考えておられるのか。  もうほとんどすべてと言っていいぐらい日韓を当てにされておられて、だからこそ、日米首脳会談でもわざわざ、この負担の問題について日本側は、この前言いましたので繰り返しませんが、あの日米首脳会談の本質は何だったか、いや米朝合意のあの軽水炉転換のお金を日本負担させるために開いたんだと言う人がいるものですから、この間ちょっと皮肉っぽくそんなことを言って失礼をいたしたのかもしれませんけれども、その辺が非常に私にとりましては心配でありまして、アメリカと日本の問は大事ですから、お互いに思い違いはないだろうねと。こういう米国の議会の審議などを見ておりますと、アメリカの政府考え方よりもはるかに、アジア諸国が負担しろとか、いや、もう中心は日本と韓国だという論調が非常に多いということでございます。  そういう中で、重ねてお聞きいたしますが、総額もはっきりしないんだからそれぞれの国がどれだけ持つかはっきりしないと今おっしゃってしまいましたけれども、しかし、ある程度のめどがなければ話にも何もなりませんのでお聞きするのですが、アメリカは一体何に対してどの程度負担しようとするのか、お聞きいたしたい。
  130. 河野洋平

    河野国務大臣 この北朝鮮の核開発疑惑を解明する、疑惑を払拭するためにいわば米朝合意というものがつくられて、その米朝合意を具体的に実施していくために、アメリカ、韓国、日本、こういった国が中心になって財政的な負担をしていくということだと理解をしておりまして、アメリカがその中のどれを負担するかという、私は、これは私がやりますけれどもこれはあなたがやりなさいというやり方、考え方よりも、この米朝合意を実施、実現、実行していくための財政負担をそれぞれが行っていく、こういうふうに理解をしていただいたらいいのではないかと思います。  我々もまた、これに対してというのではなくて、この米朝合意が実施、実行されていく、そのための負担を行うというふうに考えているわけでございまして、アメリカもまたそうした、アメリカがどこに出すのかというお尋ねでございますけれども、私どもは、アメリカはこの米朝合意を実施する財政的な負担を行っているというふうに理解しているわけでございます。
  131. 松田岩夫

    ○松田委員 非常に答弁があいまいなんですが、ちょっと待ってください。  じゃ、もうちょっと具体的に聞きますが、これはKEDOという国際的な取り決めができるわけですね。この取り決めは国会承認になりますね、当然。財政事項を含んでおりますから当然国会承認になりますね。  それから、この経費、当面どんなものがあって、これ今予算委員会で全然まだ費用が出てきておりませんけれども、アメリカは既に今言いましたように千五百四十万ドルを予算に計上しておるわけですが、日本一体いつ、どういう形で、どこの省の予算に、何年度、具体的にどんなような経費についてどうなっているのか。これはもちろん、まだ国会承認もないわけだからそんなことは出せないということなんだろうと思いますが、ですから、手続的な話で恐縮ですが、当然このKEDOの取り決めというのは国会にその承認を求めてこられますね。いつごろのめどでしょうか。  そして、それを受けて予算の計上時期、どんなものについて。これ、平成七年度予算を今もう審議しておるわけでありますが、七年度予算には当然入っておりません。補正予算に入ってくるのか、どんな見通しなのか、その辺は一体どうなっているのか。この二つ、とても重要なポイントです。
  132. 折田正樹

    ○折田政府委員 先生御質問の前段のポイント、いわゆるKEDO、国際コンソーシアムでございますが、この設立の文書はどういう手続になるのかということでございますが、この文書は、米朝合意を効果的かつ円滑に実施していくためにどのような機関の設立が最も適切か、また各国の参加を円滑に得るためにはどういう形のものが適切であるかということで、現在関係国間で鋭意協議を行っているところでございます。  本件設立に係ります文書が国際約束として合意されることになった場合、我が国としてどのような手続でそれを締結することになるかはまさしくその内容次第でございまして、案文のまとまりぐあいを見定めつつ、国会の立法権にかかわるような約束が含まれることになるのかどうか、それから予算または法律で認められている以上に財政支出義務を負うことになるかどうか等の点により、今後、政府、内閣で判断をしていく必要があるものでございます。それが前段のお答えでございます。
  133. 川島實

    川島政府委員 お答え申し上げます。  軽水炉プロジェクトを実施するために相当な額が必要であるということはまさに御指摘のとおりでございますけれども、その中で日本が具体的にどういうような形で資金を出すか、財政的貢献を出すかということについては、プロジェクトをどう動かすか、その全体のスキームがまだ固まっていないものでございますから詰め切れる状況ではないということが現状でございます。
  134. 松田岩夫

    ○松田委員 今の、国会承認の対象になるのか、内容次第だ、これから決まる取り決めの内容次第だ。それは言葉の上ではそうでしょう。しかし実体的に、もう実体が決まっているわけです、合意の中に。したがって、どんな取り決めになろうとも新たな国の負担を伴うわけです、財政事項を含む。しかもそれはまさに日本、アメリカ、韓国を初めとする、時間がありませんからほかの国がどういう参加状況になっているかというのも御質問を用意してきましたけれども、それはちょっと取りやめますが、いずれにしてもできるだけ多くの国が参加してということでやっていただきたいと思います。  そういった多国間の取り決め、国際取り決めであることは間違いないし、財政事項を含むことは間違いないので、今後の内容次第ですなんて言われましたけれども、これは当然私の判断では、かつて、もう古い話ですが、大平三原則に言う、あの三原則の一つに該当すると理解をいたしております。それでいいですね、大臣。これは承認事項ですよ。
  135. 河野洋平

    河野国務大臣 議員がお話しになりました大平三原則、まさにこの大平三原則がこれまで国会にお願いをするかどうかを一つ仕分けをしてきたわけでございまして、私どももその大平三原則というものをよく見て、先ほど条約局長申し上げましたように、このKEDOの文案がいかなる文案になるかということとともに検討したいと思います。
  136. 松田岩夫

    ○松田委員 こういった問題ですから、私あえて今の段階で申し上げておきますけれども、問題が問題ですからね、相手国も相手国のことでございますし、国民の理解を得てやっていきたいと当然政府も思っておられると思います。そういう意味では、この国会の承認を経て粛々とやっていくという考え方対応されるというふうに当然思いますので、そのことを期待して、きょうは明確な御返事は、もちろん内容もあるでしょう、しかしそういう態度で対応していただきたいということを申し上げて、次に移ります。  さてそこで、この米朝合意そのものといいますか、非常に心配なことがいろいろあるわけであります。  一つは、先月末ですか行われた専門家協議で、北朝鮮は、提供を受ける原子炉の型について、米韓日が合意している韓国型に強く反対し、話はまとまらず、三月にさらに協議することになった。二月の目標というのはもうこれでちょっとだめになっちゃったんだなと。北朝鮮が韓国型を受け入れるかどうか、考えれば考えるほどこれはなかなか、北朝鮮が韓国型を受け入れてくださるのかしら、こんな不見識なことをまた言ってはいけませんけれども、しかし、要するに北朝鮮の物の考え方にまで関係している。  ここでも答弁なさいましたか、外務大臣からもおっしゃいましたけれども、例えば韓国型の軽水炉が北朝鮮に設置されるということになれば、技術者を初め大勢の方々が南北を行き来するようになって、次第次第に風も通ってお互いの融和も図られていく、客観的な条件もできてくるのじゃないか、私もそういう期待を持っております。  しかし、そういうこととは逆に、どうも北朝鮮からするととんでもない話だ、そんなことになってたまるかということも背後にあるようでして、要するに、韓国との和解とか共存といったことについて北朝鮮の基本的な考え方が余りにも違っているのではないか。そういうことがこの韓国型を拒否している背景にあると理解されるわけです竹れども一体、そうだとすると、この協議というのはうまく進んでいくのかどうかということを非常に懸念いたすわけです。  また、軽水炉供与契約、この契約自体も、韓国や日本が加わった国際組織のKEDOとではなく、米国と単独で結ぶことを主張している、こういうわけですよね。余りにも我々の思いとちょっと違っているんですね、一緒にみんなでやってい こうという。北朝鮮の姿勢は終始米国だけを相手にし、韓国や日本との直接接触、交渉は避ける。もう余りにもはっきりしていますね、これ。  そういったことをいろいろ思いますと、この交渉というのは本当にまとまっていくんでしょうか。まとめていただきたいと思うんですが、どうでしょう。
  137. 河野洋平

    河野国務大臣 これは、議員がいろいろお述べになりましたように極めて難しい交渉を、粘り強く、さまざまな角度からの話し合いによって米朝合意を導き出し、その米朝合意を実施に移すために引き続き交渉を続けているわけでございます。  私は、これは予断を持って申し上げるのはどうかと思いますが、北朝鮮が米朝合意、この話し合いで合意をしたということは、今議員がお尋ねのように、これはもう米朝の話し合いを合意してこれを進めようという以上は、今お話しのようにこれからさまざまな国際的な関係というものができてくる、そういうことを知らずに合意したということはあり得ないわけで、私はこの合意は、先ほど申し上げましたように、包括的に北朝鮮の国際社会に対する接し方が変わってくるということにきっとなるだろう、また、ならなければこの問題は具体化しないのではないか、こんなふうに思って見ております。
  138. 松田岩夫

    ○松田委員 そこで、非常に心配なんで、ぜひしっかりとやっていただくようにアメリカにお願いする以外にないわけです、本件については。ただ私、冒頭に実は御質問いたしました、万が一に備えて、しっかり準備もしておいてくださいよということも申しました。今申し上げたような状況、今大臣もおっしゃいましたが、そういう事態も、どんなふうになるか、いろいろな事態に備えて対応していかなきゃならぬなという意味で冒頭の質問をしたわけでございます。  その点も今思い起こしておいていただきたいと思うわけでありますが、もう一点、さっき、マコウスキー委員長が言っていたように、何で中国が大きな役割を果たさないんだということを言っておりましたけれども、私はこの点ももっともだなと。中国が参加しない見通しをクリストファー国務長官は述べておられますけれども、中国こそぜひ参加してほしいなと。北朝鮮との関係からいいましても、北朝鮮に合意事項をしっかりやっていっていただく一つの担保と言うと言い過ぎですけれども、そういった意味でも中国にはぜひこれに参加しておいていただきたいと思うので、その点もぜひ何らかの機会におっしゃっていただきたい。中国に対してもおっしゃっていただきたいと思うし、アメリカにもそういう考え方は……。これは大臣いいですよね、時間がありませんので、ここは。
  139. 河野洋平

    河野国務大臣 さまざまな国に参加を呼びかけるということは、アメリカ、韓国、我が国との間にそういうことでいこうという合意ができておりまして、今さまざまな国に呼びかけようとしております。具体的にどことどこにしようなんていうことは今申し上げない、現在は言うまい、あそこに呼びかけたかここに呼びかけたかということについて、一々国の名前を具体的に挙げるということは控えさせていただきたいと思いますが、我々とすれば、しかるべき国には呼びかけたい、こう考えておるわけでございます。  もう一点、冒頭の議員のお尋ねがございました、つまり、よくない場面も心しておけよというお話、私は、一般論でなければ言えません、こういうことを申し上げておいたことをぜひ御理解をいただきたいと思います。我々とすれば、この米朝合意が進んでいくことをとにかく期待をしているわけでございまして、万が一これがとまれば、我々としても、そのとまった状況で我々もとまらなきゃならないということだけは申し上げておかなきゃいかぬ。
  140. 松田岩夫

    ○松田委員 万遺漏なきように対応していただきたいと思います。  ちょっと、せっかく御通告いたしましたので、この米朝合意関係はここで終了させていただきまして、次に戦後五十年問題、若干の時間だけいただきまして、せっかく官房長官にもお忙しい中お越しいただきましたので……。  私、今度のこの戦後五十年事業というものに、実は正直申しますとがっかりいたしました。本当に何遍も言って恐縮なんですけれども官房長官のリーダーシップが余り発揮されていないんじゃないか。これはもう各省の小さな細々、小さな細々なんて言うと怒られてしまいますけれども、それを足し合わせられまして、この従軍慰安婦問題についての国民参加の道の探求、在サハリン韓国人支援関係、台湾確定債務問題、これはちょっと時間がなくなりましたのでこっちへ置いておきまして、一番最初の戦後五十年への取り組みに関する予算措置の中で、平和友好交流計画の実施という点についてだけ、時間の関係でこれだけ取り上げさせていただきます。  これを見ますと、八十二億円という予算を組んで、戦後五十年事業、そして世界の中、特にアジア近隣諸国等との相互理解を促進するために平和友好交流計画を実施するんですと。さあ、ふたをあけてみたら八十二億円で、その中身を見たらこういうことでございます、中身一つ一つ申しませんけれども。  戦後五十年ということで世界に向かって未来志向で対応していかれると総理も言われた、外務大臣も言われた。ということであれば、今までいろいろ築いてきた国際交流基金の事業もあります、留学生受け入れの事業もあります、JICAの事業も、多くの研修生を受け入れて今着々と充実してきておるわけです。そういったものをもっと包括して大きなプロジェクトにされて、そしてそれを新しい意義づけを与えてやっていかれるのかな、私はそうすべきだ、こう考えておったわけですが、実はそうじゃないと。  例えば、文部大臣きょう来ていただいているので、ちょっと聞いておいていただければいいんですが、もう時間があれですが、例えば留学生の受け入れで、私費留学生への援助として学習奨励費の支給制度というのがあるわけですね。特に今度、特に成績優秀な学生に対して新たに金額を上乗せした特別奨励費制度を設けられた。その特別奨励費制度は、平和友好ということで、その地域の人たちだけのものでということで、これはこの平和友好交流計画の一部ですといって入っているわけです。しかし、じゃ、根っこの従来からの学習奨励費、これは一般学習奨励費ということでこの中には入っていない。根っこはしかし、そっちなんです。  そしてそういう、これはみんなでき上がりがそういうもの、一つの例だけを取り上げましたけれども、そういうものだけ積み上げて八十二億円で平和友好交流計画の実施、戦後五十年事業で十カ年計画でこれからやっていきます、こういう組み立てになっているんです、簡単に申しますと。  いかにも、まあ私も公務員でしたからわからぬでもないんですが、従来のものはいじらず、そして新しくちょんちょんちょんちょんと追加したものを足し合わせて、はい、これが戦後五十年事業、こういうアプローチですね。これは典型的役人的アプローチなんです。政治が一切介入していない、官邸が何の調整もしていないという全く恥ずかしい、これが戦後五十年事業だ、こういうわけですから。  実はほかの慰安婦の問題とかこっちも、そういうことでも議論したいんですが、ちょっと時間がなくなりましたので申し上げませんが、そういう意味で、例えば留学生だけで今、これは総数五万四千人ですね。私費がざっと四万六千人、国費が六千九百人、外国政府の費用で派遣していただいている日本への留学生が千三百人とか、合計約五万四千人おられるわけです。  今、留学生計画というのは、御存じのように十万人計画ということで昭和五十八年につくられた。あのころは一万人でした。よくぞ五万四千人までふえたなという思いもいたします。しかし、例えばアメリカは四十二万人。それは違うよ、アメリカと日本じゃと言われるかもしれません。フランス十四万人、ドイツ十一万人、イギリスでもと言ったら怒られますが、八万人ですよ。日本は五万四千人。それは言葉も違うよ、最近は円高で大変だよといろいろありましょう。  しかし、それにしても皆さん、まさに例えばこの留学生計画を大きくこの機会に膨らますとか、あるいは研修生、もう研修生、いろんな機関にあるんです。研修生は今一体日本で何人来ているんだ、どこの省に聞いてもわからない。はい労働省、労働省の分はこれでございます、はい外務省、JICAでこれだけやっております、はい通産省、通産省はこれだけでございます、全くばらばらなんですよ。  そういう政治をやってきたから私は政治家になろうと、今のはちょっとどうでもいいことですが、そういうことでいって、じゃ、例えば研修生の受け入れというのは何でわかるんだ。入国管理でわかるというんです。情けない話ですね、皆さん。入国管理で研修と書いたという人だけの数を合わせると、ざっと四万人なんですよ。そのうち、政府がいろんな意味で関与している、労働省が関与している、JICAが関与している、通産省が、ほかの省も関与しているわけですが、そういうのを合わせると約一万人ですよ。純粋民間ベースで来ておられるのは三万人。  しかし、研修生というのはこれから大事なんです、皆さん。ですから、留学生、研修生、例えば研修生はこれから十年間で十万人にする、留学生はこれから十五万人にする、合わせて留学生・研修生二十五万人計画とか、そういうようなプロジェクトをなぜ組み立てなかったのか。私が総理大臣だったらそうしたと自分で思うわけです。しかしそういうことは現実的でありませんからあえてここで大きく叫んでおるわけでありますが、ぜひそういう考え方対応していただきたい。  時間が来ましたので、官房長官からまとめて今の点についての所見をお伺いしておきます。
  141. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 大変積極的ないい御意見をいただきまして、心強い限りであります。  今度の計画は、御案内のように二つに大きく分かれていて、一つは……(松田委員「もうその中身はいいですよ」と呼ぶ)まあそんなことで、今の御意見はよく尊重して、しかし中身でいいますと、新規事業あるいは拡充事業等各般にわたって、なるほど細かいといえば細かになりますが、しかしそれだけきめの本当に細かい、内容の充実したものでやっておりますが、しかし、それにしてみても、これは明年の平成七年度の計画でありますから、その平成七年度の八十億余りのものを土台にしながら、向こう十年間で一千億の計画をしっかり立てようと思いますから、今の御意見等は大いにひとつ含めて努力をしてみたい、こういうぐあいに思います。ありがとうございました。
  142. 松田岩夫

    ○松田委員 頑張ってください。ありがとうございました。
  143. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて松田君の質疑は終了いたしました。  午後三時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時一分休憩      ――――◇―――――     午後三時開議
  144. 佐藤観樹

    佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。西村眞悟君。
  145. 西村眞悟

    西村委員 新進党の西村眞悟でございます。  まず、今復興のことがようやく言われるという事態になってまいりました。今回の大震災復興においては、民生そして経済の大動脈が破壊されておる、つまり企業で申しますならば、電気、ガス、そして鉄道という企業の、ライフラインと申しますか、その復興がいまだ成らずという状態でございます。  大阪ガスでは一千九百億円、関西電力では二千三百億円の損害、これから復興についていかような費用がかかるか、これは一企業の能力を超えた問題になってくるのではないか、このように思うわけでございます。阪神地区経済全体の立て直しにも看過できない影響を与える問題でございますから、この早期復旧のために補助金、公費負担、無利子融資、税制面での支援措置、これを前例にとらわれない態度でお願いしたいのでございますけれども、通産大臣及び小里大臣、この点についてよろしくお願いいたします。
  146. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 今委員が御指摘になりましたように、今回の大震災、電気、ガスなどライフラインを含めまして、産業全般にわたって、中堅、大手を含めまして大変大きな被害を受けております。殊に都市ガス、電力というものにつきましては、消費生活と同時に産業活動のかなめを支えるわけでありまして、今後の被災地域の復興において、地域経済、雇用に及ぼす影響というものは極めて大きなものがあります。  電力につきましては、一応応急復旧を終わり、送電は開始をしたわけでありますが、ガスにつきましては、当初一カ月半をめどにと考えておりましたものが、地下が寸断されておりまして、予想よりも、復旧への時間もまたコストも非常にかかるという状況にあります。  一昨日の日曜日も現地に入っておりましたが、非常に細かいガス漏れ等が多く発生しておりまして、そのチェックは容易なものではありません。供給停止区域外でも実は約二万カ所のガス漏れがございました。まずこれを修復するところから作業に入りまして、被災地の両脇と海側と三カ所から、今これの復旧全力を挙げております。  それだけに、委員が御指摘になりましたように、極めて巨額の復旧費用を要するというのが現在の状況でありまして、私どもとしては、この被害の実態などを踏まえながら、支援策につきまして現在鋭意財政当局と折衝をいたしているところであります。  いずれにいたしましても、ライフラインの復興は、一日も早く回復をさせなければならないわけでありますし、全力を尽くして折衝を続けるつもりであります。
  147. 小里貞利

    小里国務大臣 通産大臣の方から御答弁ございましたように、要するに、大変甚大なる、そして多岐にわたる被害でございます。なかんずく、ただいま議員御指摘のライフライン関係、社会的にもその及ぼす影響が限りなく大きいわけでございます。私どもは、直接間接、これが復旧復興に対しまして可能な限り積極的な支援をいたさなければならない、そういう前提に立ちまして、各省庁挙げまして取り組んでおるところでございます。  先生も御承知いただいておると思うのでございますが、二十四日ごろまでにそれらの復興支援について、準備をできるだけ整えなければならない。そしてまた、整ったものはとりあえず二十四日の前後に、財政措置を含めまして、それぞれの立法措置ども手続をお願いを申し上げたい。あるいはまた、ただいま先生指摘の、そのような基幹産業にかかわるものがこの二十四日の段階でどこまで手が及ぶか、つまびらかでございませんけれども、要するに、鋭意集中的に取り組んでおるところでございます。
  148. 西村眞悟

    西村委員 これから官房長官防衛庁長官に主に質問することになると思います。  総理を初め、反省すべきは反省するというふうな言明が今回の大震災に対してなされております。至極当然なことでございます。  病気には、臨床と病理があって、病理という部分がやはり突き詰めて考えられなければ病気の再発は防げないわけでございますから、我々は、ここで病理の点について、この大震災における政府対応、政治の対応の病理について突っ込んだ吟味をしなければならない、五千三百名の方々に申しわけがない、このように思うわけでございます。  それで、まず大ざっぱなことからお聞きいたしますけれども官房長官、反省すべき点は反省する、この戦後最大の大震災に対して、初動の部分についてはいかなる点が反省すべきであったか。細かい点はまた後にお聞きいたしますが、概略、御感想といいますか御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  149. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 これまでの委員会でも各委員の御質問にお答えをしているところでありますが、私は、やはりさまざまな反省すべき点があるのだろうと思いますが、中でも、一番我々がそのことに関してしっかり対応していかなくてはいかぬ、こういうふうに思っておりますのは、まず、初動期の被害の規模の把握という点であろうというふうに思うのです。  その震度五だとか震度六だとかという、こういう情報というのは、これはすぐ、もう本当に瞬時にして伝わるわけです。しかし、震度六といいましてもいろいろあるわけですね。この前も心配いたしましたが、三陸はるか沖の場合は、これは同じ震度六でも、幸いなことに余り被害というものはなかった。しかし、今度の場合は大災害ということになったわけで、震度だけで判断するというのはやはり適当なことでないわけであります。  それから、常識的には、よく災害の場合で死者何人というようなことではかりがちでありますが、これも、その時々の災害に対する対応をどうするかということの上では、直ちにそれを地震の規模というものと結びつけて考えるというのはやはり適当でないということは、今度我々学ぶことができたと思うのです。やはり死者何名というのは、警察庁の方で確認をして、何人お亡くなりになっておられたということで発表するわけですから、それはずっと後の話になるわけであります。  実際には、もう今回の場合も、あの地震が起こった瞬時において、それは大変多くの方々が犠牲になられたということであって、しかし、それの掌握というのはもうかなり時間的には後になるということ等を考えますと、まず、その震度何ぼということの情報を得るだけではなくて、そのことによる災害被害の規模というものがどの程度かということをやはり一分でも早く掌握するということが大事だろうと思うのです。これがなかなか今度の場合わからなかった。  そういう反省からいたしまして、この間、御承知のように、アメリカのFEMAのウィット長官なんかが来られたときに、アメリカのシステムをいろいろ聞いてみました。必ずしもぴったりそれが合うのかどうかという点の問題があると思いますが、しかし、幾つかの点で我々はやはり学ぶところがあるなという感じがいたしました。これは、来週ないし再来週の頭ぐらいに、アメリカに何人がこちらの方からプロジェクトの担当の者を実際に調査にやろうというふうな段取りに合いたしているわけでありますが、しかし、とりあえず我々としては、初動期についてどうするかということだけ切り離して、全体のシステムの見直しと、それからそれに対する対応というのは、本腰を入れてすべてについてチェックしなくちゃいけないわけでありますから、これはもうかなり時間もかかる。  しかし、あしたでもあさってでも災害が起こるかもしれないということを考えますと、今申し上げました初動期のシステム、そのときの被害の規模というのをどういうぐあいに把握をして速やかに情報を送るかということだけを切り離して、実は先般来チームをつくって勉強を続けているところです。これが大体今週いっぱいないし来週の頭ぐらいのところでまとまるというふうに思っておりますので、とりあえずは、直ちにそれを実施しながら、また今申しましたように、FEMAの勉強というようなものを加えて、さらに充実させていくというふうに考えているところであります。
  150. 西村眞悟

    西村委員 よくわかりました。そのように御努力いただきたい。  しかし、一月十七日の時点において、やはり、情報不足と言われますけれども政府においては、政治においては国民の生命、身体を守るために、その行動にどうしても必要な情報を収集する義務があった、このように私は思うのですが、これから、その情報を収集する義務を尽くされたか否かについて質問をさせていただきます。  午前六時、内閣総理大臣においてはテレビで地震を知った、官房長官においてもテレビで知られた、このように承っておりますけれども防衛庁長官にお聞きしたところによると、七時十四分に発進した偵察ヘリからの情報は九時台になってから入れられた、このようにまたお聞きしております。しかし、国民は偵察ヘリからの情報を得て、また政府内部の情報を得て、それを前提として、自衛隊の出動に関して遅かったという批判をしているわけではないのでございまして、国民はリアルタイムで見たテレビの映像をもって、自衛隊はどうなっているのだろうというふうに政府を批判しておるわけでございます。  テレビの映像においていかがかと申しますと、五時四十九分、近畿地方で強い地震、五時五十分、これは東京地方ですが、近畿で強い地震とテロップで流れました。六時一分から、神戸震度六、そして現地神戸のカメラマンからの映像が東京で流れ始めます。ちょうど、村山総理大臣が映像を見たというならば、この映像だろうと思います。  しかし、この段階においても、私は地震を受けましたけれども神戸地方は私がおる大阪よりももっと大変だなと思っているぐらいの感覚でございました。午前七時一分、神戸支局内の設置ビデオでの激震の状況、身のももよだつようなあの状況がございますけれども、あれが流れ始めると同時に、地上からの映像も流れ始めました。  マスコミのヘリは、多分自衛隊よりも遅く発進したのだろうと思いますけれども、八時十四分から空撮におけるリアルタイムの映像、これは、高速道路の倒壊、御影の大火、兵庫区の煙、東から行くわけですから、東から流れ始めて、これが終日に及んでおります。国民は、この映像をもって自衛隊はどうしたんだろうか、このように疑問に感じた。  情報の不足を言われまして、これはよく私も存じておりますが、政府よりも民間のテレビの画面にリアルタイムの映像が流れたことが早かったと私は判断いたすのですが、官房長官、内閣の情報収集の任に当たる内閣官房の長でいらっしゃいますから、今申し上げた八時十四分からの空撮によるリアルタイムの被災地の状況よりも、政府、あなた方が得た情報の方がもっと早かったのですか、それともおくれたのですか。どちらでしょうか。
  151. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 政府対応としては、全く初期のころ、これは委員お話しのように、テレビを見てもちょっと被害状況はわからなかった。そういう中ではありましたが、我々としては七時三十分ごろ、国土庁に対して、非常災害対策本部を設ける準備をするようにということの指示をいたしました。これは総理に御報告申し上げ、御相談して行ったわけでありますが、そういうことなどは、一応、我々としては当時手を打ったところであります。  それで、この被害の程度の状況というのは、それは民間とおっしゃいますけれども、テレビなんかの情報というのは、これは我が国の場合、やはり何といったって早いわけでありまして、先ほども申しましたように、災害の規模の把握においてやはり問題があったというのはまさにそこであって、本当からいうと、もう所管のそれぞれのヘリコプターなんかが一斉に、震度六なら震度六以上になりましたら舞い上がる。そうして上空から見て、カメラで送らなきゃだめだとか何だとかという難しいことを言うよりも、肉眼で見て、いや、これは大変だ、こうなっています、ああなっていますというようなことをすぐ伝えて、それが真っすぐ入ってくるというようなシステムが非常に望ましいと思うのです。  こういうようなことについて、従前の災害対策の体制としてやはり我々としては反省すべき点があったというふうに思って、そこで、先ほどから申し上げておりますように、全体的にしっかり改めよう、こういうようなことでいるわけであります。
  152. 西村眞悟

    西村委員 官房長官、私がお聞きしておりますのは、リアルタイムで各家庭に流れた八時台からの映像からの情報よりも政府の情報の方がもっと先を行っておったのか、政府にはその情報が入っていなかったのか、政府の公式の情報はいかがですかと、その前後関係を教えてくださいと。これから情報についていろいろ工夫しなければならない点はよくわかりますが、あの時点においてどうだったのかということをお聞きしておるのでございます。
  153. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 その八時何分だかでテレビで出たというのは、どういうような情報であったのでしょうか。
  154. 西村眞悟

    西村委員 先ほど申し上げました。これはNHKですが、八時十四分、空撮による高速道路の崩壊、空から写したというわけです、そのような映像でございます。  官房長官は見ておられますか、そうしたことを私に聞かれるのでしたら。
  155. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 それはテレビで承知いたしました。
  156. 西村眞悟

    西村委員 官房長官が八時からテレビで見られたということなんでしょうね。それよりも官房に上がってきた情報が早かったのか、テレビで見た画面は何分か何十分か前に報告を受けたとおりの画面であったのか、それともテレビの画面を見て唖然として、後に上がってくる情報がそれを追いかけておったのか、この前後関係をお聞かせください。
  157. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 断片的な情報はもちろん入ってきておりまして、我々も大変に心配をして、したがって、先ほど申しましたように災害対策本部の設置等についても指示をいたしていたところでありますが、ああいう生々しい姿をテレビで見た、ああいう情報というのはもちろんあれが初めてであります。
  158. 西村眞悟

    西村委員 それでは、国民政府は情報を共有したという時点が八時十四分ころからでありました。情報は確かに不足しておりましたけれども、反省点として私はこの点を指摘したいのですが、情報を得てそれから初動の行動に移すパイプがなかったのではないのですか。  と申しますのは、あの阪神高速道路の倒壊とか、御影地方の東から入ってきますから、炎が上がっておる、そしてもう少し西の遠くの方には数本の黒煙が発生しておる、そして阪神電車は車庫で倒壊しておる、この映像を見た場合に、なぜ人命救助が一刻を争うんだという認識に到達されなかったのですか。私は、到達されなかったのですかとお聞きした前提には、そのように動いておらなかったから申し上げるのであって、直ちにその態勢を内閣として、自衛隊を動かすヘッドクオーターとして指令されたのなら私はそのように申しませんが、指令されてないから申し上げるのでございます。この点、お聞かせいただきたい。
  159. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 これはもう御承知のように、自衛隊法八十三条であったと思いますが、ここでこの種の出動に関しましては都道府県知事が直ちに要請を行って自衛隊は出動する、こういうことになっているわけでありますから、それは当然、当時としてはそういう手続のものであろう、こういうぐあいに思っていたわけであります。(発言する者あり)
  160. 西村眞悟

    西村委員 これは大事な質問ではないかということを今不規則発言で言われておりますけれども、これは非常に大事だと私は思っております。自衛隊の予算自体がかかわってくるわけですから、自衛隊の士気の問題にもかかわってくる。  それで、続けますけれども、八十三条で要件があるのはわかっておりますけれども、八十三条の要件について、この事態は、官房長官、特に緊急を要する事態であるという認識は、この八時からのテレビの映像では認識されたわけでございますか。
  161. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 これはもう申すまでもなく、現地で、例えば自衛隊の場合ですと、中部総監が現地近くにあって、そういう状況の中で判断をし、知事から要請を受けて行動するというのがこれは通常のことでありますから、それはそういうような動きになるものであろうということであります。
  162. 西村眞悟

    西村委員 私は、法律的な要件の中から、これは人命救助に特に緊急を要するなという認識をされたか否かをお聞きしているわけでございます。八時からの空撮の映像に初めて接して、官房長官はその点はどう考えられたか、御答弁いただきたい。
  163. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 これは、地震災害の場合はいつの場合だって人命に影響のある場合が大変多いわけで、問題は、その規模の把握が、先ほど言いますようになかなか初期においての把握が困難だということであって、それはこの場合の地震災害につきましても、当然、それはどの程度かというのはとてもなかなか把握できませんでしたけれども、そういうような危険性はあるというふうに承知いたしました。
  164. 西村眞悟

    西村委員 規模の把握は困難だと申されておりますけれども、あの当時のテレビでは震度六が神戸であるという報道がなされております。神戸は百五十万の大都市でございます。神戸の百五十万の大都市の空からの映像では、のっぴきならない事態がその中で起こっておるということはおわかりいただいた、規模もおわかりいただけたのではないんだろうか、このように思います。  それで、午前十時に姫路駐屯司令に知事から何しか出てくれという程度の電話での要請があったというふうに承っておりますが、防衛庁長官においてはこの要請はいささか遅かったのではないかなという認識をお持ちだと前にお伺いいたしまして、官房長官においてはいかがでございますか、適切なときの要請であったか、そのようにお考えですか。
  165. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 これは申すまでもなくもっと早ければよかった、率直にそう思いますね。それは、しかし、何せ直撃を受けているさなかのことでありますから、現地は大変な混乱の中にあったであろうということは容易に想像がつきますが、それは早い方がよかったんではないかという御質問であれば、当然それは早いにこしたことはないということであります。
  166. 西村眞悟

    西村委員 今回はこの八十三条二項の点について官房長官に主にお聞きしておるんですが、十時の要請、これが八十三条二項の要請と言えるのかどうかという点はまずおき、何しか出てくれという要請があった、これは遅きに失したんであろう。ここで八十三条二項ただし書きには、特に緊急を要する場合、知事の要請を待ついとまがない、この二つの要件で内閣は自衛隊の救援出動を決断しなければなりません。  そこで、お聞きしますが、十時の要請は遅い、現地のあの状況を見ればやむにやまれぬ事情があったんだという認識をお持ちなら、なぜ八十三条二項ただし書きの要件に基づいて自衛隊の出動を官邸は、内閣総理大臣は決断なさらなかったのか。内閣総理大臣は内閣を代表して自衛隊法七条によって自衛隊に指揮を与えるわけですから、なぜ内閣はされなかったのかという疑問があるのですが、この点、官房長官、いかがお答えになりますか。
  167. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 これは当時は既に自衛隊の一部は出動をしていたというふうには伺っていまして、あるいは知事からの要請が行っていたか行っていないかという把握というものは、当時は必ずしも明確でなかったかもしれないと思いますね。  それから、やはりこの場合は緊急に、とにかく要請があってもなくても出にゃいかぬ、八十三条のただし書きの条件ですね。状況の判断というのは、一番本当は、やるという立場にあるのは、僕はやはり現地の総監であろうというふうに思いますが、総監はやはり全体の状況を見て、なかなか初期の情報というものは、恐らくこれも十分に確認し得ない面もあったと思うのですが、しかし、そういう中でもヘリを飛ばしたり、あるいは一部いわゆる近傍対策としての派遣をしてみたり、一定の現地の自衛隊としての初動の作業は行われていた、こういうぐあいに伺っております。
  168. 西村眞悟

    西村委員 今、八十三条二項ただし書きにおいて現地の総監はすべきであったと申された。それは、今回の事態が八十三条二項ただし書きの要件に合致しているということをお認めになったとお聞きしてよろしいですか、官房長官
  169. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 それは、今申しましたように、現地の総監が一定の作業をしているわけですね。一定の作業をしているというのは、あのただし書きの「近傍」に基づいて動いたものだろうというふうに思うんですけれども、そういう作業は現にしているということであります。
  170. 西村眞悟

    西村委員 現地の総監は八十三条三項による近傍派遣をしたわけでございます。  防衛庁長官の答弁によると、西宮までは近傍だろうが、神戸へ行けば遠傍なんだと、これは八十三条三項でできないんだという答弁でございます。最も被害が発生しているところは芦屋から神戸の地帯でございまして、ここには行けない、八十三条三項で。行けるのはあの時点では八十三条二項ただし書きしかないんだと、この要件に合致しておるのかおらないのか、この判断はやはり明確に示していただかねばならない。  それで、八十三条二項ただし書きの要件に合致するけれども、内閣としては指令の決断をしなかったんだとかいう答弁なら論理的に納得ができますが、まず前提にあるのは、ただし書きの要件に合致するか否か、これでございます。  ちなみに八十三条二項は、本文において要請があって出るという、そしてただし書きにおいて要請がなくても出れるという構造、読む順序からすれば、要請があるのが先に参ります。しかし、現実の時の流れは、五時四十六分から始まって要請の段階が十時まで、十時以前なら、いつまでに来るか、いつ要請あるのかわからないという状態が続いていく。これはまさに適用の決断とすれば、八十三条二項ただし書きの世界において決断をまず迫られる、こういう構造でございますから、この空白の四時間においていかなる決断をされたか、お示しいただきたい。
  171. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 委員の御質問に対しまして私も先般お答えをいたしたところでございますが、この大災害におきましては、現地においての判断というものが一番大きいわけでございます。内閣総理大臣は、自衛隊法第七条の規定によりまして、内閣を代表して自衛隊の最高の指揮監督権を有しているのでありますが、自衛隊法第八条の規定に基づき、総理府の長として防衛庁長官の指揮監督を行っておる、今次災害における災害派遣は、兵庫県知事の要請により防衛庁長官が指定するものである中部方面総監等が指揮し、可能な限り速やかに救援活動に従事している、こういうことでございます。  したがいまして、この地震が発災をいたしましてからただ県の要請を待っておったのではなくして、あらゆる手だてを通じまして連絡その他をとり、また偵察を行い、また近傍の災害対策を行っておる、そして、当然のことではありますが、兵庫県知事からの要請があり得るものと考えておったと思いますし、東京におりましても当然そのような措置がとられると。私どもは、この六時の時点におきまして中部方面隊が非常呼集を行い出動態勢をとっておる、こういうことを私も閣議で御報告を申し上げておったところでございます。
  172. 西村眞悟

    西村委員 午前六時に長官に報告が行き、状況を把握せよ、万全を期せと。六時三十分、第三種非常勤務体制。これ以後の段階でスイッチさえ押せば自衛隊が動けたと、私はこう思う。  それで、要請、要請と言われますが、要請を求めておる立法趣旨は、やはり地方の自主性を尊重するという一点、それから、地方に一番詳しい者が、支援がスムーズにいくように、どこにどれだけの部隊が応援に来てくれということを知らしめるという効果がある。  しかし、本件の十時の要請は八十三条二項の要請ではないんじゃないのかな。口頭でもよいから、「災害の情況及び派遣を要請する事由」「派遣を必要とする期間」「派遣を希望する人員、船舶、航空機」「派遣を希望する区域及び活動内容」「その他参考となるべき事項」、これらは一切県知事においては把握してなかったんですから、言えなかった。  したがって、このような緊急時においては、ただただ要請と言って待っておった要請がこの程度のものだったんですから、結果的に。やはりみずから決断して、偵察しながら、ヘリコプターでおろすこともできる、そのような訓練した組織なんですから、それを活用すべきであったと私は思っておるわけでございます。  これ以上言っても押し問答になる可能性もありますので、これは明確に指摘しておいて次に進みたいと思いますけれども、要請があったとしても、三軍が統合して動いた形跡は見られないのでございますけれども、兵力の逐次投入といいますか、小出しになったような気がしています。なぜこの要請を陸上自衛隊だけの要請としてとらえてしまったのか。後の時間に、海上及び航空については翌日あるんですが、要請というものは、いつもこういう大災害においても、姫路駐屯地にあった要請は姫路だけ、陸自だけというふうにとらえるということでよろしいんでしょうか。これは長官ちょっと……。
  173. 村田直昭

    村田(直)政府委員 先生お尋ねの要請の件につきましては、それはケース・バイ・ケースでございまして、訓令上でも、要請によって権限がないところに要請が来るというケースもあるわけでございまして、そういう場合には権限のあるところにそれを回す、直ちに知らせるというようなシステムになっております。  それで、今回の場合には、それぞれ要請が来る前から自衛隊としてはそれぞれ災害派遣というものを予想して、例えば海上自衛隊は、一般命令によって出港しておるというようなことでそれの対応をしておるということでございまして、それぞれの自衛隊に対して要請がありましたけれども、三自衛隊が共同してこの震災に対して対処したということでございまして、それはケース・バイ・ケースであるということでお答えといたします。
  174. 西村眞悟

    西村委員 次に進みますが、自衛隊を取り巻く環境、これは御質問申し上げるのではなくて、時間の関係上、私から申し上げて指摘しておきたい。  限られた条件の中で、現地自治体との日ごろの訓練がなかった等々は言われております。しかし、その訓練がなかった、自治体に自衛隊に対する拒絶反応が歴史的にあった、この与えられた条件の中でも自衛隊はやはり日ごろからあらゆるシミュレーションを一つの訓練として実施しておくべきだったのではないか。この自衛隊のシミュレーションと申しますのは、専守防衛を掲げる以上、この国土が戦場になるという前提ですから、住民の生命、身体の安全を後方で守る、そしてまた安全なところに誘導するという任務も当然不可分に結びついておるわけでございます。三矢事件以来、こういう自衛隊内のシミュレーションに抑制的な雰囲気があったかもわかりませんけれども、やはりこれからはそのシミュレーションを自由に実施していただきたい、このように思います。  それから、今回明らかになったように、自衛隊の初期の行動において迅速な機動力が必要でございます。自衛隊の予算を、軍縮の方向にある限り自衛隊は合憲なんだという前提のもとで、自衛隊の予算を安易に削りました場合、これは後方経費、つまり教育訓練、修理費、施設整備費等々の、自衛隊の士気にかかわる部分の費用だけが圧縮されていくわけでございます。そのほかの経費は、人件費とか、そして義務的経費でございますから減るわけがございません。これが自衛隊の訓練と士気を低下させるのではないかと私は思っております。この訓練と士気が低下するならば、ぺーパーパイロットと申しまして、自衛隊のヘリコプターのホバリングの技術等々がなくなっていき、いざというときに、災害派遣でさえも効果的な、そして勇気ある救援活動はできないのではないか、このように心配するわけでございます。  政府におかれては、この点をやはり、いざというときに、いざというときはいつ来るかわからぬけれども、そのために国民の生命、身体を守るのが、私たちが自衛隊という名称でいていただいている、そして訓練を重ねていただいている組織であるということを認識していただきたい、このように思います。  最後に、この後、私が気にかかる一点を質問申し上げます。  一月十九日、内閣総理大臣は現地に視察に行かれた。あれっと思ったのは、土井衆議院議長が同じ飛行機から出てこられた。これは、防衛庁に聞きましたら、今まで総理大臣と議長を同一の飛行機で輸送した例はないけれども、今回は衆議院議長においては自衛隊法百条の五による輸送とは認識していない、内閣総理大臣に随行する地元に詳しい議員として随行したのである、衆議院議長から自衛隊法百条の五による飛行機の提供の要請は受けなかった、このように申されておるのですが、官房長官、この随行者を決めたのは、土井議長からの要請であったのでございますか、どうでございますか。
  175. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 御承知のように、土井議長さんは兵庫出身のお方でありますし、大変心配なされておった。そこで、議長さんから、この機会に総理が行かれるのならばぜひ一緒に行きたいがどうだろうかというお話がございまして、いろいろ検討いたしましたが、SPさんや随行を入れて三人であったと思いますが、その程度であれば一緒に行けるのではないかということで、これは同行していただくということにいたした次第であります。
  176. 西村眞悟

    西村委員 三権分立上、立法府は行政府を批判してチェックする機能を持っております。総理大臣に随行として衆議院議長が同行するなどと、それを認めるなどということは、ついぞ聞いたためしがない。その行政府をチェックするために我々はここでこの審議をしておるのでございまして、その長がなぜ内閣総理大臣の同行として同じ飛行機で行くのか。これは官房長官においてそのような、内閣官房において、議長を同行者として認めて、同行者として議長が行くということをお認めになったということはいささか軽率ではなかったかなと、私はこのように思っております。これは……(発言する者あり)それは、認めて一緒に乗せたのは内閣の飛行機でございますから、このように聞いておるのです。  それで私は、日程についてはもう時間がありませんから聞きませんけれども、王子ヘリポートに着いて、そしてマイクロバスで向かわれた。もしあのとき、王子ヘリポートの同じ敷地内には二百五十の遺体が安置されておった、そこに手を合わせておりさえすれば、内閣総理大臣が帰ってきてから万全の措置をとったとかいう発言もなく、また衆議院議長もカラオケで歌わなかったと、普通の神経ではああいうことはできなかったと私は思うのです。  まあ、これは政府に申し上げても仕方がない部分がありますけれども、やはりマスコミ等で言われるように大名視察旅行という範囲を出ない視察であったなと。私は五十キロ歩いて現地を回りましたけれども、棺おけがない。そして、内閣総理大臣はぬくもりのある施策を展開すると申しておられましたけれども、灘区で遺体収容の場所に安置された御遺体の家族は、国立神戸大学附属病院まで歩いて死亡診断書をとりに来いと言われて、とりに行きました。歩いて往復二十キロ行って、そこで死亡診断書をもらおうと思えば、平常どおり四千円を払えということでございました。着のみ着のままで逃げて、肉親の遺体の傍らにおった人が、四千円を持っておらない人がほとんどであった。  このようなかわいそうな、悲惨な事態があるのでございますが、やはり御遺体が安置されておる横に内閣総理大臣が衆議院議長を随行者として着かれたのなら、三権の二つの長が行っておるということで、もう少し日程にぬくもりがあってもよかったのかな、私はこのように思っております。  これで私の質問を終わります。
  177. 佐藤観樹

    佐藤委員長 この際、仲村正治君から関連質疑の申し出があります。西村君の持ち時間の範囲内でこれを許します。仲村正治君。
  178. 仲村正治

    仲村委員 私はまず、阪神・淡路大震災復旧復興対策についてお尋ねをいたしたいと思います。  政府はこの災害に対する初動態勢のまずさを各方面から厳しく指摘をされ、総理も次から次へと弁解がましく前言を訂正して、ますます国民の不信感を増幅させているようなものでありますが、その責任は問題が一段落した時点で総理御自身がお考えになることだと思いますので、今は私は何も申しません。当面は何よりも、一日も、一刻も早く被災者が正常な生活に戻れるように、その復旧復興の対策を急ぐことであります。そして、そのための予算を一日も早く措置することだと思います。  政府は、そのために平成六年度第二次補正予算を二月の二十四日までに国会に提出するということだが、その予算編成の作業の進捗状況はどういうふうになっているのか。また、一年以内で復旧復興せねばならない、いわゆるライフライン的施設復旧費はどのくらい予算が必要か。今の時点でわかる範囲で御説明をいただきたいと思います。
  179. 武村正義

    武村国務大臣 ライフラインにつきましては、一つは、JR、鉄道関係につきましては運輸省が所管でございますが、こちらの方から被害総額なりあるいは復旧に要する経費の総額が上がってくると思います。  一番早くつかまえましたのは日本開発銀行でありますが、ここへ融資の打診等もございまして、当省で、鉄道関係以外では、電力とガスが加わって上がってまいっておりました。しかし、ガスなんかは一番最初の一報では百億ぐらいの数字でしたけれども、その後千九百億というふうに修正されましたし、さらにまた修正されるかもしれません。というふうに、時間がたつに従って詳細な、ある程度精査された数字が固まって上がってくるという状況でございます。まだ今のところ、そういう意味ではきちっとした被害総額を把握できておりません。  この中で、今補正対応のこともおっしゃいましたが、補助等の対応をするものにつきましては、今検討いたしておりますのは、鉄道で赤字の会社、赤字でありませんと、配当等の関係もございまして、補助よりも低利融資を希望する会社も出てくるわけでございまして、この辺がまだきちっと最終の状況がつかめておりませんが、鉄道で赤字で補助を出すというケースが出る可能性はあるというふうに思っております。
  180. 仲村正治

    仲村委員 少なくとも、この一年以内に最小限復旧せねばならない都市機能回復のための施設あるいは市民生活のライフライン的施設復旧は、もし今回の平成六年度第二次補正予算対応できない分は、現在審議中の平成七年度予算、これは四月一日までに成立させればいいわけでありますので、何としても、平成七年度予算の組み替えをしてでも早急にその予算措置をすべきだと思うのであります。これは何も与野党の駆け引きの問題でなくて、被災地の住民の一日も早い生活の正常化復帰という点から提言をするものであります。  今大蔵大臣は、次から次、被災額がふえてきて、まだまとまった状態でないというお話でございますが、一年以内にこれだけは何としてもしなければならないという点については、補正予算対応できない分については、これは七年度予算の組み替えをしてでも措置をすべきでないかということでありますが、どうですか。
  181. 武村正義

    武村国務大臣 先ほどはライフラインというふうにおっしゃったものでございますから、いわゆるその中でもガスが一番おくれておりますし、水道もまだかなり残っております。そして、大きな鉄道と高速道路については、復旧再建のための経費がかなりの額に上る、技術的な内容を含んでおりますために、まだその新しい技術設計による復興予算総額というのが見えていないということでございます。  しかし、一般の公共施設、公共事業等にかかわるものは、目下どんどん数字が上がってきておりますから、学校にしましても福祉の施設にしましても、一般の道路や橋、そういう需要や、港湾につきましてもそうでありますし、病院とか上下水道とか、こういった数字はどんどん見えてきております。  その中で、補正対応可能なものは、申し上げております本年度予算の第二次補正で全部きちっと対応をしてまいります。それで足りないもので、少しややおくれるものについては、新年度に対応せざるを得ないということを今日までも申し上げてきたところであります。
  182. 仲村正治

    仲村委員 少し順番が前後しますが、次に漁業、漁村の振興対策についてお尋ねをしたいと思います。  我が国は、四面海に囲まれ、最近まで世界有数の漁業大国であった。しかし、二百海里経済水域時代になって、我が国漁業は世界の漁場から締め出されて、年々漁業生産高は低下し、反面、安い輸入水産物の増加で魚価は低迷して、遠洋漁業が全く不振の窮地に立たされているのであります。国民の動物たんぱく資源確保の点からも、極めて重大な施策決断が迫られているときだと思っております。  それじゃ、他国の二百海里から締め出されたけれども、我が国は四面海に囲まれた独自の漁場があるかといえば、全く情けない惨めな姿であります。まず、世界でも有数の漁場と言われる北方海域は、北方領土をロシアに不法占拠され、その海域での漁業に大変な制約を加えられると同時に、入漁料まで払わされている状態であります。日本海は韓国と竹島問題が未解決のため、東シナ海は我が国の固有の領土である尖閣列島に対する中国の一方的領土権主張があって、この両海域とも極めてあいまいな、無秩序な漁場になっています。それじゃ、南北に三千キロ以上もある太平洋沿岸はといえば、それも日本海と東シナ海の韓国と中国とのあいまいな漁業協定が影響して、韓国や中国漁船がとりたい放題に荒らしまくっているような状態であります。  河野外務大臣、そして大河原農林水産大臣、このような我が国の漁業の姿をどう思っておられるか、お答えをいただきたいと思います。
  183. 河野洋平

    河野国務大臣 日韓、日中など、漁業についての制約についていろいろ御心配をいただいております。  お尋ねの中で、日中、日韓について今どのようなやりとりをしているかについて若干御報告、御説明をしたいと思いますが、今後の日韓漁業関係について協議をするために、昨年二月から日韓漁業実務者協議というものが開催をされておりまして、この協議におきまして、日本は秩序ある韓国漁船の操業を強く求めるとともに、漁業資源の有効な管理及び操業秩序の確立に向けて努力をしているところであります。なかなか簡単なことではございませんけれども、今後とも粘り強く努力をしてまいりたいと思っております。  一方、日中の漁業の関係でございますが、中国漁船の我が国周辺水域での操業問題につきましては、日中漁業共同委員会などの場を通じまして、漁業秩序の維持、操業の自粛などを強く求めている次第であります。これに対しまして中国側は、中国漁業関係者に対する管理、教育の強化を行っている旨説明をしているところでありますが、今後とも、本件問題の解決に向けて、一層中国側に働きかけていく所存であります。
  184. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 ただいま外務大臣がお答えしたとおりでございまして、特に、我が国と関係の深い中国なりあるいは韓国との漁業秩序の調整という点については、お話、まさにそのとおりでございます。  御所論は、二百海里水域の設定、さらには公海漁業までの規制という中で、我が国の漁業、しかも輸入水産物の増大というようなことで大変厳しい情勢にある。したがって、それについての我が国の漁業政策自体の考え方を含めての御意見なり御質問がと思うわけでございますが、我が国の二百海里水域は、御案内のとおり、世界でも八番目ぐらいの大きさの水域を持っておりますので、我が国周辺水域におきます管理漁業あるいはつくり育てる漁業等々、周辺水域からの資源の培養に努めて、さらに我が国の漁業の前進を図らなければ相ならぬ、さように存じておるところでございます。
  185. 仲村正治

    仲村委員 ただいま御答弁のとおり、我が国周辺の漁場というものが全く無秩序な状態で、私たちの国の漁業が追い詰められているという現状、これに対してどう対処していくのか。しっかりひとつやっていただきたいと思うのでありますが、我が国の漁業が二百海里問題で外国の漁場から締め出され、逆に自国の沿岸は二百海里の線引きもできず、全く無秩序な状態で、他国から勝手気ままに荒らされている。これでも我が国は主権国家日本ということが言えるのだろうかと思うのであります。  早急に中国及び韓国との漁場の線引きをして、漁業の操業秩序と資源管理を確立すべきであると同時に、日本列島南北に及ぶ三千キロの太平洋沿岸の二百海里は主権国家日本の固有の漁場としての確立を図るべきであると思うが、その点について、農林水産大臣、もう一度ひとつお答えをいただきたいと思います。
  186. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 お答え申し上げます。  我が国は、御案内のとおり、東経百三十五度以西を除きまして二百海里を張っておるわけでございますが、中国及び韓国も二百海里を張っておらない、そういう関係で、太平洋沿岸についても、中国及び韓国に対しては二百海里を設定をしておらない。そういう関係にあるわけでございます。  問題は、東経百三十五度以西の日本海、東海黄海、これらについての漁業秩序の確保は問題でございまして、御指摘のとおり、韓国とは、日韓漁業協定とそれから自主規制措置、この二本で漁業秩序の確保に努めておるわけでございますが、かつて、違反操業等の問題で、西日本海域の我が国の漁民が大変問題にし、また被害を受けたわけでございますが、この二年になりまして、金泳三大統領の就任以来、違反操業が激減をいたしまして、この点については一つの解決の道が進んできたわけでございますけれども、やはり問題は、その地域の漁業資源の悪化、これが大変厳しゅうございまして、今後は、日韓の漁業秩序についても、資源管理問題を最重要課題として取り上げなければ相ならぬということになっておりまして、現在、その点については、資源管理の重要性については相互の共通の認識に立ち至っておりますので、その具体化について、今後精力的な、具体的成果を得るような努力をいたしたい。  なお、太平洋沿岸等につきましては、現在においては、何と申しますか、中国なり韓国の操業等について格段の問題が起きておるとは承知しておらないところでございます。
  187. 仲村正治

    仲村委員 次に、平成六、七年度のサトウキビ生産者価格の品質取引によって起こった問題点についてただしたいと思います。  鹿児島と沖縄のサトウキビの生産者価格を、平成六、七年産から、今まで長い間なれ親しみ、それが当たり前のサトウキビの値段の決め方だと思っておった重量による取引の方法から、品質取引に切りかえられたのであります。これは、政府の指導によって取引方法の変更が行われたのでありますが、この取引方法の変更に当たって、サトウキビ生産農家は、従来価格よりもサトウキビ代が下がっていくのではないかということで、品質取引への制度移行に強い不安感を抱いていた。  それで、言うなればサトウキビ生産農家も製糖工場も従来どおりの利益が保証できるだろうかということで、今までの重量取引から品質取引への移行はより柔軟に、激変緩和策を講じた初年度スタートの基準を決めるべきであるということで、過去のサトウキビの糖度のデータを参考にして、生産者側からの基準糖度帯を示したのであります。それは、糖度十二・二度から十三・三度までの基準糖度帯とすれば従来の実質農家手取り額のトン当たり二万四百十円は維持できると強く主張したのでありますけれども、昨年十月のサトウキビ生産者価格決定の際に、政府・与党は、基準糖度帯を糖度十三・一度から十四・三度までと決めてしまったのであります。  その結果、ことしのサトウキビ収穫が始まってから二月五日までの実績を調べてみて、サトウキビの平均農家手取り額が大幅に値下がりする事態が起こっております。今農家は、こんな急激にサトウキビ代を下げられてはこれはもう農業経営の破綻を招きかねないと不満をぶちまけているところであります。  政府は、昨年十月に決定したサトウキビの品質取引の基準糖度帯に基づくサトウキビ生産者価格の決定方法を実際に実施してみて、どういう感じをお持ちであるのか、お答えをいただきたいと思います。     〔委員長退席、三野委員長代理着席〕
  188. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 お答え申し上げます。  甘味資源作物の取引については、北海道のビート等は昭和六十一年から糖分取引をしております。  それで、沖縄、鹿児島、南西諸島におきましても、平成二年に本来の、糖分が、品質が取引の価格を決定するという取引に移行する準備を始めたことは、仲村委員御案内のとおりでございます。それで、昨年、平成六年度から糖分取引に五年間の準備の上で踏み出したところでございます。昨年、サトウキビ価格の決定の際にも、当時の新生党の農林部長仲村委員からも、極めて慎重に行えというような御指摘も受けたことを記憶しておるところでございます。  そういうこともございまして、いよいよスタートでございますので、糖分につきましては、平成四年、五年の品質分布調査を十分した上で、さらには平成三年以前のデータも加味して、基準糖度なりあるいは基準糖度帯を決めたところでございますし、さらに、品質安定取引を確保するために特別の対策費としてのキロ二百二十円の配分も、糖度帯における糖度の低い部分に対してアロケートするのにウエートをつけて、低糖度の農家等についても配慮をしたということでスタートしたわけでございます。  結果におきましては、南西諸島、鹿児島は非常に気象条件も恵まれまして糖度が高かった、基準糖度よりも上回った。沖縄本島等におきましては、御案内のとおり暖冬とか、あるいは製糖期における降雨という影響を受けたわけでございまして、特に八重山とか宮古等の離島におきましては、生育期の後半期におきまして非常に台風にやられたというような異常気象の原因がございまして、何分糖度は気象条件によって大変影響を受けるものでございますので、その結果として糖分が非常に低かった、そういう結果に相なったというふうに理解しておるところでございます。
  189. 仲村正治

    仲村委員 ことしの収穫が始まってからこの二月五日までの各製糖工場で扱った原料の資料が出ておりますけれども、それによりますと、皆さんの、従来の二万四百十円を保証するという糖度帯から下の方、いわゆる十二・八度以下の原料が、沖縄本島で四二・二六%、宮古地区で六一・七六%、八重山地区で八八・四%、南北大東島で三七・六一%。これからしますと、平均して、ことしのサトウキビ代は、従来の二万四百十円よりも、沖縄本島で五百六十六円下がります。宮古で七百七十一円下がります。八重山で千百五円、それから南北大東島で四百六十八円、このように大幅な値下げの状態になります。  私は、品質取引移行そのものに何も異議を挟むものではありません。ただ、昨年十月の糖度帯を取り決めるときに、十二・二度から十三・三度が、従来の原料の統計からして、データからしてそれが農家の手取りを保証する基準帯であるというふうに申し上げたわけでありますが、皆さんの主張によって十三・一度から十四・三度に決められた、そこに無理があったというふうに思っております。  そういうようなことで、私は、これは今後手直ししますというふうに片づけられる問題じゃない、こういうふうに思っております、何らかの手を打っていただかないといけないが、どうでしょうか。
  190. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 お答え申し上げますが、糖度については気象条件によって左右されるわけでございます。それで、御案内のとおり累次の、鹿児島、南西諸島におきましてもいろいろ糖度の変化がございまして、沖縄本島の方が気象条件が恵まれた場合には糖度が高かったという年も過去の例であるわけでございます。  したがって、糖度は気象条件によって動きますので、その点については特別に考えることはなかなか難しいというふうに思っております。
  191. 仲村正治

    仲村委員 今私が申し上げましたように、従来、このサトウキビの生産費はトン当たり約二万六千五百円ぐらいかかります。それを生産コストを割って二万四百十円、価格を決めていただいていたわけでありますが、それに加えて今度、沖縄本島で五百円、宮古で七百円、八重山で一千円というふうに値下げされるとなると、これはもうサトウキビ産業は崩壊するしかない。  特に私が申し上げたいのは、WTO協定に当たって、主要な国産農産物を守っていくためには不足払い方式、いわゆる価格支持政策というものをきちっととっていかなければならない、そういうことを強く申し上げて、大臣もそのとおりだというふうにおっしゃったわけでありますが、そういう点からいたしましても、このように極端に値下げをしてはこれはならぬと思いますけれども、その点からどういうふうに考えますか。
  192. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 繰り返して申し上げますが、我々も委員のおっしゃいましたような基準糖度、それから基準糖度帯あるいはそれを緩和するような安定取引対策費の低糖度分に対するアロケート、これらについては最大限配慮いたしまして決めたというふうに確信をしております。  問題は、それぞれの地域の気象条件、鹿児島、南西諸島においては非常にサトウキビにとって、糖度にとって有利な気象条件があり、残念ながら沖縄県におきましては、先ほどの言葉を繰り返しますと、本島における暖冬なりあるいは製糖期における降雨、それから離島等におきましては、生育期間の後半期、大事な時期における三度にわたる台風、そういうようなことであったわけでございます。
  193. 仲村正治

    仲村委員 私が申し上げておりますのは、確かに八重山は暴風雨が三度も来て、これはもうめちゃくちゃに被害を受けております。しかし、沖縄の気象条件というのはこれが普通なんです。そして沖縄本島はどちらかというと、台風は来ておりませんが、今おっしゃるように暖冬のために豊熟がおくれているというような感じでありますが、しかし、沖縄本島のキビの生育状況を見ておりますと、これはまれな成績のいい状態なんです。  そういう状況の中にあって、今皆さんがお決めになっている基準糖度帯から全部はじかれるものが四〇%もあるということは、これは基準糖度帯の決め方に問題があった、そういうふうにしか言えないわけであります。だから私は、今後どうしますということでなしに、ぜひこれは見直しをしていただきたい、こういうことを強く御指摘を申し上げておきたいと思っております。  次に、玉沢防衛庁長官に沖縄の米軍基地の問題についてお尋ねをいたします。  まず私は、沖縄の米軍基地の成り立ちの歴史、背景について所見を交えながら政府の基本認識をただしたいと思っております。  沖縄の米軍基地は、沖縄県民の地主の意思とは無関係に、戦争という国家行為の結果米軍に占領され、強制的に米軍に占拠され、そこに米軍が基地をつくったものであります。その土地を、昭和四十七年五月十五日の本土復帰によって追認的に日米安保条約の日本政府の基地提供義務を履行するために、政府は、米軍が占領して有無を言わさずに強制的に占拠した沖縄県民の土地を、基地に利用されているという既成事実をもって、政府と地主との賃貸契約を行って米軍に提供したものであって、決して初期の段階で地主の合意に基づいて合法的に米軍基地に提供されたものではないということは動かすことのできない歴史的事実だと思いますけれども、これについて防衛庁長官のお答えをいただきたいと思います。
  194. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 沖縄の方々が、第二次世界大戦そしてまたその後米軍の占領下、そして日本に復帰をしてきた、こういう過程の中で大変な御苦労をされてきた、こういうことについては十分認識をいたしておるところでございます。それがゆえに、日米安保条約の中におきまして基地といいますのは極めて重要でありますがゆえに、三基地の返還とか土地の返還、そういうものにつきましてはできるだけ調整を図りながら解決をしていくように努力をしてまいりたいと思っておるところであります。
  195. 仲村正治

    仲村委員 私の質問は、この沖縄の米軍基地の成り立ちでありますけれども、これが本当に合法的に地主との契約に基づいてできたものであるかということについてお尋ねしたわけであります。まあ意図的にその答弁をはぐらかしたような感じでありますが、その点を十分ひとつ御認識の上で沖縄の基地問題についての対処をしていただきたい、こういうことを私は強く防衛庁長官に御希望申し上げておきたいと思います。  今沖縄県で、米軍基地の整理縮小に関して最重要三事案があることは防衛庁長官もよく御承知のとおりであります。これは、那覇軍港の返還と読谷補助飛行場で行われている落下傘降下訓練の移転と、それから県道百四号線越えの実弾射撃演習の移転のいわゆる三事案であります。そのほかにも県民の米軍基地の返還要求というものは個別的にはたくさんありますが、特に当面真っ先にこの三事案を解決しようということで、日米間で取り組みが始まっていると聞いております。  これについて、今の那覇軍港のように二十年も前に移設条件つきで返還を決めておきながら、だれの責任においてこの移設条件を満たすべきであるかもあやふやのままもう二十何年も経過してしまっているわけでありますが、そのように単に言葉のもてあそぴじゃなくて、この三事案について二、三年以内には確実に返還のめどづけをする、こういう点について玉沢防衛庁長官の御決意をお聞かせいただきたいと思います。
  196. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 沖縄の基地の整理統合、特に今委員が御指摘をされました三事案につきましては、先般の日米首脳会談において、村山総理そしてクリントン大統領との間で意見交換がなされまして、米側からもこの問題について解決をしたい、こういう意思表明がなされたところであります。これを踏まえて総理から、本年は戦後五十年の節目に当たる年であることも考慮し、この解決推進に一層の努力をするよう指示をいただいたところでございます。  したがいまして、この解決推進に当たりましては、やはり沖縄県当局等の協力も得られるということが大事である、こう考えておるわけでございますので、安保条約の目的達成と地域住民の要望との調和を図りつつ、この三事案の解決のために、一つでも多く解決をするように全力を尽くしてまいりたいと考えております。
  197. 仲村正治

    仲村委員 次に、沖縄にだけ超過密偏在する米軍基地の整理縮小を全体的に早急に実効性のある形で実施すべきであるということを申し上げたいと思います。  沖縄の米軍基地は、在日米軍基地全体の七五%、沖縄県だけに超過密偏在しているわけであります。それは沖縄県の県土面積の一一%、特に基地の集中している沖縄本島では五分の一、約一九%が米軍基地に占拠されて、そのほとんどが生産性及び利用度の高い平たん地であるために、沖縄県の振興開発を大きく阻害して、たとえそれが我が国の平和と安全のために必要な安保条約のためとはいえ、沖縄県民だけに一方的に過重な負担を押しつけることは絶対にあってはならないことだと思います。  今までも、かかる返還要求の質問に対しては、前向きにとか積極的にとかという答弁を何度も何度も聞いてきたわけでありますが、これがなかなか前進しない。大体、沖縄のあのような広大な米軍基地は、米軍占領時代に、しかも東西冷戦構造下で米ソの対決の緊張状態が絶頂期にあるときに日米安保条約とは全く無関係に構築されたのであります。しかし、今冷戦構造が終結してこういう状態がまだ続いているということは、これは絶対に許される話ではありません。  したがいまして、私は、玉沢防衛庁長官は来る二月十七日から二日間の日程で沖縄を訪問されるということでありますが、ぜひこの問題について前進するような話し合いを知事とやっていただきたいと思いますが、どうですか。
  198. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 沖縄に米軍基地が集中をされているということをよく認識をし、しかし同時にまた、東西冷戦が終結をいたしたわけでありますけれども、アジアまた日本の周辺におきましてもやはりまだまだ不安定、不透明な国際情勢というものが推移しておる、そういう中におきまして日米安保体制というものはやはり必要である、こういう認識に立つものでありますが、しかし、沖縄の方々が米軍の基地において、いろいろ基地を提供しながら努力をされて苦労されてきた、こういうことを考えますときに、やはりこの沖縄の米軍基地の整理統合といいますものはできるだけ住民皆さんの輿望を担って解決をしていく、こういう努力をしていかなければならぬと思うわけでございます。  今までも、二十三事案、千ヘクタールの中におきましては、十三事案、五百七十四ヘクタールが返還のための手続を終了し進捗してきたということは委員も御承知のことであると思います。さらに、読谷、それから那覇港湾施設、それから県道百四号線越えの実弾射撃訓練の問題、いわゆる三事案でございますが、これにつきましては、委員も御指摘のとおり沖縄の県民の方々の解決に対する熱望というものは大変強いものである、こういうことをよく認識をいたしまして、本年は終戦五十周年の節目の年でもありますので、何とか一つでも解決をするために全力を尽くしてまいりたい、このように考えております。
  199. 仲村正治

    仲村委員 独立国家存立の最も基本である国早の生命、財産を守るための安全保障政策、これについての認識は私も防衛庁長官と一致する点か持っております。  ただ、私が指摘申し上げたのは、あれだけ冷戦構造の絶頂期に、日米安保条約とは全く関係のない、アメリカがやりたい放題につくった基地が、冷戦構造が終結して今なお存在するというのは、これはどうしても納得がいかない。したがって、今の世界の情勢に合わせた形で我が国からの要犬として、アメリカの都合じゃないです、アメリカの都合で沖縄に基地があってはならない、こういう立場からこれを強く私は長官にお願いを申し上げたいと思います。  もう一点、玉沢防衛庁長官に、今回の沖縄訪問に際し、ぜひとも解決の糸口をつけていただきたい問題があります。それは浦添市の西海岸埋立事業に関連する事案でありますが、浦添市の西海岸埋立事業は七、八年前から県全体の物流の拠点として位置づけられてその事業が始まっているわけであります。第一次埋め立ては既に終わって、もう多くの物流業者がそこに入っているわけでありますが、あと二次、三次の埋め立てをしなければこれが完全に機能しない、またその埋め立てをしなければ今の国道五十八号線の渋滞の解消はできない、このように言われておりまして、この浦添市の後期の埋立事業について、浦添市はもちろん県全体としてもこれは非常に急いでいるところでございます。  これを阻害しているのは何かといいますと、浦添に牧港兵たん基地という倉庫地帯があります。その倉庫地帯の海岸一帯を五十メートル幅で制限水域にしてあるのです、立入禁止区域に。これは、フェンスをつくればそれまでなんですが、フェンスのかわりに五十メーターを立ち入りするなというような感じで制限水域というふうに呼ばれているわけです。だから、浦添市が埋め立てをするに当たって、この五十メーターを返還しても らわぬとその事業を前に進められないということで、もう五、六年間もそれがストップをかけられているわけです。  この制限水域の返還によって何も基地の機能が低下するわけでもないのに、なぜそれができないのか。政府に対しても、アメリカに対しても、何回も何回もその陳情を続けているところでありますけれども、私は、今回の防衛庁長官の訪沖の際にこの問題についてけじめをつけていただきたい、見通しをつけていただきたい。ぜひ長官の御決意をお願い申し上げたいと思います。
  200. 宝珠山昇

    ○宝珠山政府委員 西海岸の施設、区域につきまして、浦添市から、開発計画に支障があるということで制限水域を返還というのはかねてからございます。私どもも、これを真剣に受けとめまして、米側に伝えるとともに、先ほど防衛庁長官からございましたように、整理統合、これらの一環として日米間で推進すべく話し合いを進めているところでございます。この点、御理解を賜りたいと思っております。決して放置するとかそういうことでは全くございませんことを御理解賜りたいと思います。
  201. 仲村正治

    仲村委員 せっかく国会の合間を縫って沖縄に行かれるのでありますので、ぜひこの長年の懸案事項、これは本当に県民全体としても、五十八号線の交通渋滞の解消のためにも、この埋め立てを早目にやらなければできない。その周辺まで取りつけ道路は来ているわけです。しかし、それがストップをかけられて前に進まないという状態でありますので、私は、長官としてもぜひこの問題をひとつ努力するのだという御決意をお述べいただきたいと思います。
  202. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 解決のために努力をするように頑張ります。
  203. 仲村正治

    仲村委員 今頑張りますという御決意をいただきましたので、ぜひ、ああよくやっていただきましたというような結果を出していただきたい、こういうふうにお願いを申し上げたいと思います。  最後に、行政改革に関連してお尋ねいたします。  行政改革は、今や時代的要求であり、国民の強く求めているところであります。それについては各党がそれぞれビジョンと哲学を持って党の政策の基本目標を掲げて提言を行っているところであります。我が新進党も、去る二月十日に行政改革に関する第一次提言がなされました。もちろん、私は基本的に党の提言に賛成をしているものであります。しかし、それは最終決定ではなく、これからも大いに議論をして詰めていかなければならない多くの課題も残っております。私は、その第一次提言の説明を受けて真っ先に発言を求めて、次のことに修正を求めたのであります。それは沖縄開発庁の統合問題であります。  沖縄開発庁は、沖縄の本土復帰に当たって、沖縄県民の戦中、戦後の苦難の歴史の中で発生した幾多の戦後処理問題や、二十七年間に及ぶ長い軍事優先、民生不在の軍事統治下で生じた本土との格差是正と経済の自立的発展の基盤整備を図るために設置されたのであります。そして、その事業は着実に実績を積み上げてきたところでありますが、いまだに存在する広大な米軍基地、未解決の戦後処理事案、多くの分野に残る本土との格差、経済の脆弱性という点から、沖縄開発庁の統合は時期尚早であると思慮するものであります。  確かに昭和五十七年七月に臨調の第三次答申の中で沖縄開発庁の統合が提起されていますが、やはりその臨調の答申の中でも、沖縄開発庁の統合はその特殊事情に十分配慮すべきであるということも記されているわけであります。  そこで、山口総務庁長官沖縄開発庁長官にその点についての御所見を承りたいのでありますが、今政府は、平成二年、三年の段階で第三次振興開発計画をつくって、まだ三年目に入ったばかりであります。今、沖縄開発庁の統合ということになりますと、これは政府が決定をした第三次振計とも整合性はとれないんじゃないかという感じがいたします。  また、非常に今縦割り行政の弊害の中で、沖縄開発庁は、建設省や運輸省やあるいは通産省の横割りの行政を効率的にやっているという点からは、むしろ今後の方向性としてはそういう方式をとるべきじゃないかという意見もあるぐらいでありますが、その統合問題についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  204. 山口憲美

    山口国務大臣 お答えいたします。  新進党の一次案では、建設省及び国土庁、北海道開発庁、沖縄開発庁、この統合が記されておりますが、仲村委員としての御見解は承りました。  政府といたしましては、現在行政改革を進めておりますが、中央省庁につきましても簡素にして効率的な組織であるべきだという考え方は、私どもも変わりません。しかし、年度内に規制緩和の問題について五カ年間の推進計画を樹立をする、同時に、今国会に対しまして地方分権推進の基本的な法律を提案申し上げるということで、今作業を進めております。  したがいまして、御指摘の点につきましては、地域の特殊性というものもございましょう、また、第三次振計の進行中であるということもございますが、私ども総務庁といたしましては、地方分権の姿が一体どうなるのか、地方分権を推進していく中でこの問題については答えを出すべきである、そういう意味では、中期的な立場で検討をいたしたい、かように考えておる次第であります。
  205. 小澤潔

    小澤国務大臣 先生指摘のように、沖縄はさきの大戦で焦土と化し、その後二十七年間にわたって施政権が分離をされ、また現在もなお広大な米軍基地が存在するなど、沖縄には他の地域にはない特殊事情が存在しておることはよく存じております。このため、政府は、復帰と同時に沖縄開発庁を設置をいたしまして、各面にわたり振興開発のための諸施策を強力に推進してきたところでありますが、現在もなお、所得格差の存在、産業振興のおくれ、雇用の問題等解決を要する多くの課題を抱えており、沖縄開発庁に対する県民の期待も大きいものがございます。  現在、沖縄開発庁は、第三次沖縄振興開発計画に基づき、沖縄に関する国の行政を総合的かつ一体的に推進をしているところであり、また、沖縄総合事務局は、七つの地方出先機関の事務を一括して行う総合的な地方支分部局として極めて簡素で効率的な組織であると考えております。  したがって、私といたしましても、沖縄開発庁は国の責任官庁として引き続きその使命を果たしていく必要があると考えております。  以上です。
  206. 仲村正治

    仲村委員 終わります。どうもありがとうございました。
  207. 三野優美

    ○三野委員長代理 これにて西村君、仲村君の質疑は終了いたしました。  次に、中島武敏君。
  208. 中島武敏

    中島(武)委員 私は、阪神大震災で五千三百名を超えるとうとい命が失われたこと、またその御家族の皆さんに心からお悔やみ申し上げるとともに、今なお二十数万名の方々が避難所で人間らしい生活も送れないで苦しい思いをしている、こういう方々を初め、被災された皆さんに心からのお見舞いを申し上げて、質問に入りたいと思います。  阪神の今度の大震災を受けましたあの地域というのは、首都圏に次ぐ大工業地帯のいわば心臓部と言ってもよいと思うんです。この震災で、鉄鋼、化学それから造船、さらに海運などの基幹産業、それにケミカルシューズのような地場産業は壊滅的な被害を受けました。また、港湾や高速道路鉄道の被災は、広範囲に物流を麻痺させてしまいました。このために、遠くアジアに進出し企業に対する部品供給をストップさせるという事態になっています。その経済的な影響は、国内からアジア各地にまで広がっていると言っても決して言い過ぎではありません。  私は、この阪神大震災被災者救援復興対策は、国政の緊急かつ最大の任務であると考えております。国家を挙げて、震災に強い都市づくり、国土づくりに全力を挙げるべきであると思うんです。そのためには国費の大幅な投入も必要でありましょう。  時間の関係もありますので、地震担当大臣から、阪神大震災国家的な位置づけと、またこの問題についての決意を最初に伺いたいと思います。
  209. 小里貞利

    小里国務大臣 議員もただいま御指摘のように、大都市における直下型の地震がもたらしましたその被害たるや、規模におきましても極めて甚大なものがあり、そしてまた、中身におきましても極めて深刻で多岐にわたっております。  私ども政府がこれに対応するべき施策もまた極めて多岐にわたっておるところであり、なおかつ、これから先生お尋ねがあるでしょうが、それだけまた罹災者、市民の側からニーズもいろいろ複雑に、かつまた多岐にわたっておるところでございます。  政府は、御案内のとおり、発生いたしまして以来、一丸となりまして救済、救命そして復旧等々に当たってまいっておるところでございます。このさまざまな、もうやがて一月経過せんといたしておりますが、この厳しい経験を教訓といたしまして、お話しのように、まさに政府全体の責任におきまして、これが復旧、及び、ぼつぼつ段取りにかかっておりまする本格的復興に向かいまして、徹底的に責任ある一つの対処をとっていかなければならない、かように考えておるところでございます。  殊にまた、御承知いただいておりまするように、地元の市あるいは県等などからも、これらの復旧あるいは復興にかかわっていろいろな資料あるいは要請等も出てまいりつつあります。私どもも積極的にそれらの情勢把握に努め、制度あるいは体制あるいはもろもろの立法あるいはまた必要な事業費の確保等に積極的に取り組んでいかなければならないと思っておるところでございます。  なおまた、ただいま申し上げました一連の制度あるいは当面緊急に措置しなければならない立法措置等につきましても、集中的に作業を進めてまいっておるところでございまして、近々国会にも御相談をできると思っておるところでございます。  なおまた、御承知のとおり、総理大臣本部長とする、全閣僚をその部員とする復興対策本部も設置をいたしまして、これらの問題を集中的に、地元との調整にも努め、そして能率的にこれを取り運んでまいりたい、かように対処いたしておるところでございます。
  210. 中島武敏

    中島(武)委員 建設大臣に伺います。  「地震は自然現象であるが、地震による災害の多くは人災であるといえる。したがって、人間の英知と技術と努力により、地震による災害を未然に防止し、被害を最少限にくいとめることができるはずである。」これは、おわかりのとおり、東京都が革新都政時代に制定された震災予防条例の前文であります。私はこのとおりだと思うのです。  日本共産党も、去る十日、阪神大震災復興対策をどう進めるべきかとの提案を行いました。この立場から私は伺いたいのですが、まず最初に、現在、政府当局によって、被害を受けた新幹線や高速道路などについてその原因究明が行われている、それにもかかわらず、東京湾横断道路、首都高速道路公団を初めとする高速道路などの工事がどんどん進められているのですね。この問題について質問したいのです。  今回の震災の原因究明を行い、道路等の構造物の耐震設計基準が現行でよいのか、その見直しをしていると思うのですけれども、どこまで検討が進んでいるのかについて建設大臣に伺います。
  211. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 お答えをいたします。  御指摘のとおり、大震災の結果、道路橋なりに落橋等が現実に起こったというこの事態を踏まえて、今までは落橋することはない、絶対大丈夫だというふうに言われておりましたが、現実に落橋したというこの事実を踏まえまして、その損傷の状態、手抜きがあるかどうか、そういう点についても、その原因について今究明を行っております。  何回もここで御答弁を申し上げましたが、地震学会の先生方、それから橋梁学界の先生方に現地を見ていただき、両方で討議をしていただきまして、一月二十四日、二月十日、第二回目まで行ったわけであります。その結果、まだ結論が出ぬから三月まで待ってほしいという状況でございますので、三月まで待って、その原因の究明の結果を得て対応策を練っていこう。これが第一点。  二点目は、先生お話しになりましたように、東京湾の横断道路の大規模プロジェクトの工事を、新しい基準ができたら、それまでは事業を進めては極めて危険ではないか、こういうお話でございますが、御指摘のとおり、現在東京湾のトンネル工事等が行われております。したがいまして、トンネルには余り大きな被害がなかったわけでありますが、現在は早い供用を望む声がございますので、一応所要な措置は講じておりますけれども、その原因究明した結果については、今までの工法と違う方法は、補強してその速度に大きな支障のないように措置をいたします。究明した結果が出たら、現在の工法とは違ったものでやらなければならぬということになれば、それを補強しまして御心配のないようにしたい、このように考えております。
  212. 中島武敏

    中島(武)委員 大臣、早く御答弁をいただいた部分が最後の部分なんですけれども、私、これから具体的に聞こうと思っていたのです。  今の問題で伺いたいのですけれども、現在は九〇年二月の「橋、高架の道路等の技術基準について」という通達に基づいて道路等の建設が行われていると思うのですね。この基準を見ますと、設計水平震度しか計数がないのです。直下型、これについて、今回の経験、教訓を踏まえて、垂直方向の震度についても基準の中に入れるのは私は当然だと思うのですが、この点についてはどうでしょう。
  213. 藤川寛之

    ○藤川政府委員 今お話がございました耐震設計の考え方でございますが、お話がございましたように、従来の考え方というのは、鉛直方向の地震力というのは考えなくてよい、水平方向の地震力を考えて設計しなさいというような考え方になっているわけでございます。これは、水平方向の地震力の影響に比べて鉛直方向の地震力というのは比較的小さいという過去のデータが出ておりまして、そのデータに基づいてこういう考え方をとってきたわけでございますが、今大臣からもお答えさせていただきましたように、現在、今回の被災状況につきまして、どういう地震の力が働いたのか、どういうメカニズムで構造物が壊れたのかというようなことを究明しているところでございまして、私どもとしては、その究明結果を明らかにして、これからの耐震設計の考え方、今お話がございました鉛直方向について配慮すべきかどうかというようなことも含めて検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  214. 中島武敏

    中島(武)委員 気象庁の発表によりますと、これは神戸海洋気象台の測定なんですけれども、最大加速度、上下ですね、何と三百三十二ガル、こういう発表があるのですね。ですから、これは当然、垂直方向、鉛直方向、この問題も考慮に入れなければどうにもならないというところに今回の地震の教訓があるんじゃないかと私は思うのです。  それで、きちっとした検討の結果が出されたならば、くどいようですけれども、やはり垂直方向の地震力についても基準に明文化するということをちょっと念押しをしておきたいのですけれども、どうですか。
  215. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 先生指摘のように、水平に揺れるということでなしに、鉛直といいますか、垂直といいますか、それが三百二十四ガルだ。それ以上であるかもしらぬ、我々はそう見ています。そういう意味で、原因を追求していかなければならぬではないのかということで、学界の大先生方に一堂に集まっていただいて徹底分析をしております。その結果を見てそのような方策というものを考えていかなければならぬ、こういうふうに考えておりますので、現在、局長が申し上げましたように、その原因を徹底的に追求をし、その結果を受けて、それにまさる対応策というものを樹立してまいりますということしか言えません。
  216. 中島武敏

    中島(武)委員 実は今、こうやって鋭憲政府の方でも検討をしているという最中なんですけれども、さっき建設大臣がちょっと先回りして申されましたのは、十キロにわたって海底を走るトンネル、五キロに及ぶ巨大橋、これが木更津と川崎を結ぶ東京湾横断道路ですね。それから高速道路、これもどんどん工事が行われているのです。  それで、私も住民皆さんと一緒に行ったのですけれども、首都高なんかでは、沿線住民皆さんは阪神の阪高が倒れたということで物すごく不安に思っているのです。それで、安全が確認されるまで、新しい基準が決まるまで、そんなにうんと長いことじゃないのですから、先ほどの大臣の答弁でも、三月いっぱいには、こういうお話なんですから、それまではやはり工事を中断するのが当然じゃないかということを随分言ったのです。ところが、これがもうそういうふうにいかない。実は首都高の返事は、工事を中断する必要はない、それで、現在の基準で大丈夫だ、この一点張りなんですよ。これには私も驚いてしまった。  やはりここは、問題は住民皆さんが非常に大きな心配をしているということ、これにこたえるという姿勢が必要なんじゃないかと思うのです。そうでないと、新しい基準ができた、いや、これはもうとても補強じゃ間に合わないぞというようなものが出てきた場合には、やり直しというような話も出てくるのですよ。だから、こうなってきたら予算のむだですしね。ですから、ここはひとつ新しい耐震基準ができて、これなら安全ということが確認されるまでは、長い期間じゃないんですから工事は中断するというくらいの、一時中断なんですから、これぐらいは大臣の決意で話できるんじゃないですか。
  217. 藤川寛之

    ○藤川政府委員 今お話がございました東京湾横断道路あるいは高速道路、首都高速道路というお話でございますが、建設が進められているということでそれを中断すべきじゃないかというお話でございますけれども、これらの道路の耐震の考え方、これにつきましては、御承知のとおり、地域的に地震が多いところ、少ないところでこの地震力の配慮の仕方というのが変わっているところでございまして、いわゆる関東地域、東京湾横断道路あるいは首都高速道路等につきましては、やはり、それなりに地震が頻発しているところでございますので、地震のことについてもかなり配慮した設計をして現在工事を進めているところでございます。  先ほど大臣からも申し上げましたが、今回の地震の被災状況について、とにかく早急に原因究明を図って、所要の対策等もできるだけ早く講じようというようなことで今努力しているところでございまして、私どもといたしましては、早急にこの震災対策委員会の検討結果をまとめて、それを踏まえた適切な対応をやるということで、現在工事中の仕事についても対応したいというふうに考えているところでございます。
  218. 中島武敏

    中島(武)委員 どうも、こんな歯切れの悪いことを言っておったのでは、住民皆さんの不安には私はこたえられないと思うんですね。  それから、運輸大臣に伺いたいのですけれども、新幹線、今どんどん工事がやられておりますのは整備新幹線です。この問題についても基準の見直しをしていると思うんです。この点ほどんなふうになっておりますか。
  219. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 整備新幹線の新線の建設工事につきましては、もちろん新しい耐震基準を前提にしていくわけでございますけれども、JR西日本の崩壊した部分の復旧工事等につきましては、これを松本委員会で今精力的に検討しておりますけれども、これは今ありとあらゆる、とにかく技術陣を動員しての徹底的な調査をやっておりますから、これの調査結果が完全にできた時点から復興工事を始めるというわけにも、これはいかぬ面もございます。  それで、どういうことをやっているかと申し上げますと、今までの工事は、これは四十二年から四十七年にかけてやったわけですけれども日本列島を襲った過去の最大級の地震に耐える、具体的に言うと関東大震災等、これに耐え得るような耐震構造を持つという形でつくったわけですが、結果は無残な事態になった、これは冷厳なる事実でございますから、したがいまして、復興工事につきましては、それ以上のハイレベルの、このたびの兵庫南部地震のレベルのさらに上のところでも大丈夫だという、震度七以上のハイレベルなところで大丈夫だという、そうした復興工事をやらせておるわけでございまして、これはもう私ども鉄道局の方から厳重にこの点は示達をいたしております。  したがいまして、松本委員会から結果が出ても手直しをする必要がない、そういう手直しをする必要がないぐらいハイレベルな復興工事をやらせておるわけでございますので、そのように御理解をいただきたい、このように思います。
  220. 中島武敏

    中島(武)委員 新幹線の場合には、例えば「のぞみ」が最高速度二百七十キロで走っている、すると、ストップを命令しましても実際には九十秒ぐらいは走る、そうなるともう三・九キロ、四キロということになってしまうと、非常に大災害になるんですね。そういう点からいっても、私はこの点は、今大臣言われたけれども、やはり非常に重視をして、そして、きちんとした安全な基準、これをしっかり設けなければいかぬ。  整備新幹線なんか工事が進んでいますけれども、それについての皆さんの期待なんかも私はよくわかっているつもりなんです。でも、古い基準でやると、今大臣言われたように、ごろっと、大変でしたね、もう宙づりになってしまって、線路が。ああいうことになったのではやはり大変ですから、本当はここはひとつ、少しの間なんだから中断をしてしっかりしたものでやってもらいたいということを思います。何しろ安全が第一ですから。  それから、もう一度今度は建設大臣の方に戻ります。  現行の建築基準法は既存の建物ですね、これについては、建築規制が強化されても遡及しないということになっているんです。耐震基準が強化されても遡及しないということになっているんです。この問題はいろいろ議論があるようで、憲法上ぐあいが悪いんだとか、いろんな議論があることは私はよく承知しているんです。承知しているんですけれども、しかし、遡及しないと大変なことになるということは今回の地震が証明しているんですね。  そういう点で、私は、これは遡及させなければならないのじゃないか、この不遡及問題というのは、遡及しないという問題は非常に大事な問題じゃないかという認識なんです。ちょっと大臣の認識はこの点どうなっているのか、伺いたいと思っているんです。
  221. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 建築基準法の基準につきましては、さまざまな事象が起こったたびに改正をされて、一般的には強化をされてきておるわけでございます。現実に建っている建物を現行の基準に遡及適用するかどうかということについては、それぞれの建物が既にできているという個性が、制約条件が非常に大きいということもございまして、それを新しい基準に適用するためには相当の費用も要求しなくちゃいけない、そういう程度の問題がベースにありまして、過去にも遡及適用の問題についてはいろいろな検討した経緯もございますけれども、現状では大変難しいテーマであるというのが過去の経緯でございます。
  222. 中島武敏

    中島(武)委員 個人の建物ということになりますと、なかなか難しいという面があるかもしれませんけれども、しかし、大臣、公共住宅とか、あるいは国公立の学校とか、あるいは医療、福祉施設とか、こういう公共の建物、これについては、技術的に可能なんですから、ですから、遡及してこれを強化するということが必要じゃないかと私は思うんですね。道路の場合にはやっていますでしょう。阪神高速道路だってやったわけですよ、全部やり切れていませんでしたけれども。しかし、やるんですね。だから、建築物も公共の建物は同じじゃないか、やるべきじゃないかと私は思うんです。さっき局長の話を聞いたから、大臣、ひとつ聞かせてくださいよ。
  223. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 先ほど申し上げましたように、公共的な建物の場合におきましても、それぞれの、既にできている建物の制約条件が大変強いわけでございます。したがいまして、いわゆる遡及適用という一律的な対応というのは大変困難でございますけれども先生指摘のように、それぞれの公共的な役割というのがあるわけでございますので、基準の変更に合わせましてそれぞれで十分な対応をしていただくということで、私どもも関係のところとは協議を今回は進めていこうかというふうに考えておるところでございます。
  224. 中島武敏

    中島(武)委員 これは十分よく考えてくださいよ、もうその点は。
  225. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 お話がありましたように、道路、橋梁等はその原因等について十分究明して基準を直すということがあるわけですから、今お話がありました公共建築物、学校とか病院、そういう点についても文部省や厚生省とも十分話し合って、耐震、耐火、こういう問題については十分検討して誤りのない方向というものを対応してまいりたいと考えております。
  226. 中島武敏

    中島(武)委員 関連して、芦屋浜のシーサイドタウンについてお尋ねしたいと思っています。私は現地にも入りました。この団地は安上がりの住宅を目指して住宅部分は工場で生産するのです。それで、鉄骨を組み上げたところに本箱に本を入れるように詰め込むという特殊な高層住宅なんです。専門家の中には、建設計画段階で既にそういう液状化のおそれがある地域であるとか、あるいはこの建設、建築工法のこういうやり方でよいのかという非常に疑問の声もあったのです。  実は、鉄骨がカッターで切ったみたいにずばっと切れているのですね。実はここに写真、パネルにしたのを持ってきていますからちょっとごらんいただきたいのですけれども、実は高層団地なんです。もっと高いところがあります。こういう非常に高層の団地なんですね。ところが、ここのこの部分が鉄骨なんです、この黒くなっているところが。ここがどうなっているかというと、ここへ持ってきましたけれども、こんなふうにずばあっと切れちゃっているのです。物すごいのですよ。これは四十センチ幅あるのです。肉厚が五センチあるのです。だあっと大変なものなんです、これは。もうこんなふうに切れてしまっている。ここだけじゃない。筋交いもありまして、切れている。筋交いも切れているのです。これはすごい。すごい破断でやられているわけです。  実はこういうところがどれぐらいあるかと申しますと、五十一棟のうち二十一棟。それで三十九カ所破断している。これは住民皆さんの調査なんですけれども、そういうふうに言われている。  これは非常に大きな団地で、三千三百戸から四百戸ぐらいあるのです。それで、この団地を施工した竹中工務店、これが施工したのですけれども、安全宣言を出しているのです、住民が不安を感じるものですから。専門家の中にはこれは危ないということを警告する人もおります。それで、そのためになかなかここに住もうとしない。もう私が行ったときには二割ぐらいの方しか入っていないのですよ。皆さんが帰ってこようとしない。安全宣言をしても不安なんですよ。当然だと思うのですね。ところが竹中は、コンピューターを使って計算したら、この柱が一本なくたって大丈夫なんだ、こういうことを言うわけですよ。  しかも、これはさっきから耐震基準の問題、古い新しいを問題にしてきましたけれども、これは古いのです。一九七九年の入居なんですから、現在の耐震基準による建築物の耐震基準は八一年からですから古いわけですよ。  こういうものについて、この間、七日の日ですか、私が建設委員会で聞きましたら、きちんと対処するという答弁だったのですけれども、具体的な中身、これをはっきりさせていただきたいのです。  実はこれは建築基準法三十八条に基づいて建設大臣が認定しているのです。これで大丈夫だ、認定しているものなんです。だから、野坂さんというわけじゃないけれども、建設大臣責任あるのです。そういう点で、私はやはり耐震診断、これを第三者機関で公的なきちっと診断をする、検査をして診断をするということですね。それから、それに基づいてどうするのかということについても建設大臣責任があると思いますので、これはもし直して住んでいただくことができるんだというのだったら、やはり建設大臣の方で新しい基準に基づいたものできちんとやってもらいたい、そういうふうに思うのです。
  227. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 芦屋のシーサイドタウンの問題でございますが、建設業者は大手の業者のように聞いております。竹中とか高砂熱学とかそういう方々がやられたということで、その業者の皆さんはこれは大丈夫というふうにおっしゃるのですけれども、居住していらっしゃる皆さんが不安がっておるというふうに話を聞いておりまして、その後補強工事が始まったやに聞いております。  したがいまして、今中島さんからお話がありましたように、また指摘がありましたように、住民皆さん、居住されておる皆さん、業者、それから第三者の建築士その他に検査をさせていただいて、十分話し合いの上でどういうぐあいにするかということを指示しておりますので、早急にこれについては対処してまいりたいと思っております。
  228. 中島武敏

    中島(武)委員 次に伺いたいのは、市街地、住宅地の復興住民が再び震災の恐怖に脅かされることのないように防災優先を貫かなければならないことは申し上げるまでもありません。  伝えられる報道によりますと、政府・与党の構想では、神戸市を中心に防災拠点をつくり、現行土地区画整理法の手法を使って住民不在のまま町づくりを行おうとしている。これは報道ですよ。もしそうだとするならば非常に困ったものだ、よくないと思って私は危惧しております。  それで、まず聞きたい点があるのですけれども、区画整理の手法を使いますと、結果的には三割、四割の減歩によって零細宅地がふえるということになってしまって災害に弱い密集地域が再び建設される、そういう危険性が大きいのです。これは関東大震災のときの経験がそのことをよく示しております。そういうことにならないように、私は、公有地を大いに拡大をする、そして耐震の公共住宅とか公園とか、あるいは緑地、防災拠点、避難広場、道路の拡幅、ライフラインの地下共同化、耐震地下水槽、その他必要なものをちゃんと備えた地震に強い町づくりにしなければならないと思うのですけれども、どうですか。
  229. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 今委員指摘されたようなことを中身とした区画整理事業をやろう、こういうふうに考えております。  御案内のように、この間の「日曜討論会」でも笹山神戸市長は、前からここは区画整理をしようと思っておった、したがって、今この大震災が起きたので、この機にさらに耐火、耐震ということを十分踏まえて建設省と協議をしながら具体的に進めていくと。  おっしゃるように、区画整理事業をやった場合には減歩というものがあります。私権の制限ということもあろうと思います。しかし、それは戸建ての場合は三軒寄ればそれを合わせれば減歩になってもそれ以上の快適性なり利便性のある住宅ができるだろうというようなこともいろいろ考えて、我々としてはできるだけ、被災者皆さんは犠牲者なんですから、犠牲者がさらに犠牲を負うというようなことはできるだけ避けて、話し合いをしながら、よりよい耐火、耐震というそういう都市づくりというものを考えていかなければならぬ。神戸は一致してそれを支持するという態勢でございますので、比較的順調にいくのではなかろうか。また、今お話があったように、公的な土地というものは、公用地というものは、出される方々があれば積極的にそれは買い上げ、あるいは地方自治体が必要であれば我々としては援助をしてまいろう、こういうふうに考えております。
  230. 中島武敏

    中島(武)委員 自治大臣にも伺いたいのですけれども、私は、現行の土地区画整理法の減歩方式、これではなかなかうまくいかない、それで、これをもっと改善する必要があるし、それにはかなりやはり国費とか公費の投入、これが必要になってくると思うのです。  それで、一つ伺いたいと思っているのは、現在の公有地拡大法なんです。これは、実は売り主に自治体との優先協議を義務づけているというだけで、ちょっと短い期間過ぎちゃったらもうそれきり、こうなるんですね。私はそういう点では、地震に強い町づくりを進めるということのためには、買い入れ価格の設定問題であるとか、あるいは財源の保証とかいうものも含めて、抜本的な強化が必要なんじゃないかと考えるのです。もちろん、この問題で私権が制限されるというような部分が出てくることはそのとおりなんで、その点ではやはり住民参加、そして住民の納得、これが必要だと思っておりますけれども、この辺についての見解を伺いたいと思います。
  231. 野中和雄

    野中国務大臣 委員が今御指摘になりましたように、地震に強い災害復興を行っていく上で、公共用地の先行取得というのは重大な課題でございまして、公有地の拡大に関する法律につきましても、これで土地開発公社あるいはこの制度を生かした地方債の問題を位置づけておるわけでございますけれども、今回の場合、相当大規模にわたって公有地の確保をやらなくてはならないと考えておりますので、自治省といたしましても、これが弾力的に行えるような財政支援を行ってまいりたいと考えております。
  232. 中島武敏

    中島(武)委員 関連して伺いたいのです。これは建設大臣なんですけれども、崩壊したマンションですね、崩壊したマンションの住民がその土地を売却したい、こういう希望を出したときには、国、自治体、公団、公社等で優先的に買い入れることが必要だと思うのですね。マンション住民というのは非常に不安にさいなまれています、一体どうしたらいいんだ。この点について、いや、それはもう大丈夫だ、もう売りたいというのだったら引き受けた、こういうふうに言えば、かなりそれで、解消するわけじゃないんですけれども、安心する一面も出るんですね。その辺についての御見解を言ってください。
  233. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 お答え申し上げます。  崩壊したマンションにつきましては、いろいろな条件の中に存在をしていたものでございまして、その合意については大変だということもございますし、再建する場合の条件もまことに多種多様であろうというふうに予想しているところでございます。したがいまして、まずは新しく再建をする、あるいは生活を再建するということに対するいろいろな側面からの御相談に積極的に応ずるということをまず最初にやるべきであろうというふうに考えておるところでございます。  したがいまして、そういうことが受けとめられるような体制を至急つくっているところでございまして、そこには法律の専門家、建築の専門家、いろいろな方々が集まって御相談に応じられるような窓口を今整備している最中でございます。  その中で、再建される場合には、ただいまも御議論ございますように、できるだけ安全性の高い、また町づくりにも通じるような再建というものに誘導していく、御協力いただくということが大変大切でございますので、そういうものにつながるものの中においては、公団その他も積極的に、場合によっては今御指摘のような一部の権利を買い取るというようなことも含めまして、積極的に参加をしていくという道も検討しなければいけない、そういう対応もしなければいけないというふうに考えております。
  234. 中島武敏

    中島(武)委員 次の問題ですが、震災復興のためには、公共事業の不要不急事業、これは凍結をする、そして、凍結して震災対策優先に切りかえるということが必要なことは言うまでもないと思っています。しかし、一昨年来のいわゆる金丸事件に端を発したゼネコン汚職は、公共事業にまつわって不正、腐敗が露呈し、公共事業そのものについても国民の疑惑を招き、信頼性を失いました。公共事業にかかわる政財官の癒着構造を打破することこそ信頼回復の道ではないかと私は思うのですけれども、公共事業を所管する建設大臣として、この問題についての御見解を簡潔にお願いいたします。
  235. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 政財官の癒着は打破していかなければならぬと考えております。談合その他についてある。きょうも午前中に、今の瓦れきの除去について、業者の皆さん方にボランティアでやってもらったらどうかという提案がありました。しかし、確かに毛布とかブルドーザーとかそういうものはたくさんに供出していただいて、社員等の御協力もちょうだいしました。しかし、これも全部ボランティアで積極的にやってもらうのはいいんですけれども、強制するという場合は、あなたが御心配の点が起きるんじゃなかろうかということを心配して、我々は積極的にはこちらからお願いしないけれども、本当の意味のボランティアでやっていただくなら結構です、こういうふうに言ったわけであります。  問題は、談合を、あると言うなら、しにくいような方法をとらなければならぬ。だから一般競争入札、透明性のある指名競争入札、こういうことを昨年の七月からやったのですから、しばらくこれをやらせていただいて、十分にその効果がどうあるかということを検討して、今お配りをいただいたようなそういうことのないように、十分対応していかなきゃならぬと思っております。それはもちろん、我々としても公共事業費の縮減を行うための検討委員会、こういうものをつくり上げて、経費の節減、工事費の節減をやって、皆さん方に公明正大、今こそ業界の皆さんが公正妥当であってそのような癒着というものはない、こういう体制ができるように、この大災害を通じて、善意ある発注者も受注者も襟を正して被災民の心境になって、これからの工事というものを整々と行うということを我々としては指導助言をしてまいりたいと思います。
  236. 中島武敏

    中島(武)委員 もともと企業の政治献金というのは利益誘導となり、政治家と企業の癒着を生み出すものでありまして、本質的にわいろであると、こういう金を出す方の側の多くの財界人の皆さんが発言をいたしております。  私は、企業献金の中でもゼネコン、建設業界の政治献金は、わいろ性がより濃厚だと思っています。公共事業の原資は、もともと国民の税金です。規模の大小を問わず、ゼネコン各社、公共事業に直接、間接的に経営上依存をいたしております。  実は、資料をお配りをお願いしたいんですけれども、この資料をごらんいただけばわかりますことですが、これも私、公にされた資料で調べてみました。清水建設、鹿島建設、大成建設、大林組などのゼネコン大手十社で八九年度から九三年度までの五年間に約十兆円の公共事業を受注いたしております。総売上高の五分の一、二〇%が官公需、つまり公共事業なんですね。  一方、このゼネコンから毎年毎年莫大な政治献金が自民党に渡っております。新進党はこの資料のときにはできておりませんで、自民党におられた方がそっちへおいでになったんですけれども、政治資金報告書を見ただけでも、八八年から九二年までの五年間にこの大手十社だけでも十六億円の献金をしているんですね。やみ献金がなくなったという確証はありませんから、したがって、やみ献金を加えるならば、もっと多額の献金が行われていることは明らかだと思うのです。  それで、自民党は、建設会社をトンネルにして国民の税金を政治献金という形で受け取っているということになります。こういう状態を政党の正常なあり方と考えておられるか、自民党の総裁であります河野外務大臣に伺います。
  237. 河野洋平

    河野国務大臣 自民党の総裁としての答弁を求められましたが、もし私に自民党の総裁として答弁をしろとおっしゃるのなら、その前の、自民党があたかも国民の税金を建設会社をトンネルにして取ったなどという、決めつけるような問い方は撤回してもらいたいと思うんです。  そういう前提に基づいて申し上げたいと思いますが、これは、どうも共産党の皆さんと我々とは少し考え方を異にする部分がございます。民主政治のコストを一体だれが負担するかという問題について、まず考えなければならないと思います。民主政治にコストがかかるということは、これは共産党の皆さんといえども否定はなさらないでしょう。政治資金の表を見れば、最も多く政治資金をお集めになっておられるのは共産党であることははっきりしているわけでございますから。ただ問題は、どこから集めるかという点について御指摘だろうと思います。  一般的なことを申し上げれば、自然人、人間と法人、いずれも社会的には実在というふうに認められて、そしてひとしく税を納めるということを求められているわけであります。こういう自然人、そして法人、いずれもひとしく社会的な存在として認められて税を納めるという以上は、それぞれが政治に対する正しい期待というものがあってもこれはおかしくはない、違法ではないと思うのです。  そういう前提に立ってみれば、私は、議員がおっしゃる法人、企業に対する決めつけ方は、やはり少し決めつけ方として過ぎるのではないか。もちろん、私は、公共事業を云々とおっしゃることについて、全く理解をしないわけではありません。それらは十二分に気をつけなければなりません。襟を正さなければならないことは当然のことであります。しかし、だからといってこれらが、民主政治のコストを負担することがおかしいと決めてしまうということもまたいかがかと私は思うのです。  そういう意味で、我々は、あくまでもルールにのっとって透明性を確保しつつ、民主政治のコストたる政治資金を集める、あるいは受けるということはきちっとやったらいいというふうに思っているわけでございます。
  238. 中島武敏

    中島(武)委員 今の御答弁は、河野さんも言われたように、私どもと見解を大いに異にするところですね。営利を目的とする会社の献金と、それから選挙権を持っている有権者がやるのとでは非常に、天と地の違いがあります。だから、私どもは、その点では個人とは全く違うということを申し上げたいと思うのです。  それから、実は、その上に立って、私は昨年この予算委員会で、総選挙時における小沢一郎氏にかかわる公選法違反問題を追及したことがありますが、その後告発もされておりますけれども、捜査はどういうふうになっているかということについて伺います。
  239. 則定衛

    ○則定政府委員 お尋ねの件は、平成五年十二月に検察当局に告発されました小沢一郎氏にかかわる公職選挙法違反事件のことであろうかと思いますが、その案件につきましては、盛団地方検察庁におきまして告発事実に対します捜査活動を行っているところでございますが、いずれにしましても、一年有余過ぎておるわけでございますので、終局的な処分に向けて所要の捜査を行っているものと承知しております。     〔三野委員長代理退席、委員長着席〕
  240. 中島武敏

    中島(武)委員 その後の報道なんですけれども、一昨年の総選挙の際に、公職選挙法百九十九条、同二百条に違反して実に四十六人もの代議士が違法な寄附を受けていることが報道によって明らかになっております。この点で、警察庁、法務当局に伺いますけれども、このことを承知しておりますか。また、捜査は行っておられますか。
  241. 垣見隆

    ○垣見政府委員 お答えいたします。  御質問のございました報道につきましては承知をしておりますが、個々具体的な問題についての対応についてはお答えをいたしかねるので、御了承をいただきたいと思います。
  242. 中島武敏

    中島(武)委員 法務当局は。
  243. 則定衛

    ○則定政府委員 私どもも同じようなことになるわけでございますけれども、一部の新聞で御指摘の事項が報道されましたことはよく承知しておりますが、検察がどのような事実について捜査をするのか、あるいはどういうふうなことをしているのか、これはまさに捜査の秘密ということでございますので、明確に申し上げることは差し控えたいと思います。
  244. 中島武敏

    中島(武)委員 亀井運輸大臣にかかわる問題なんですけれども、広島市東区の中村造園というのがあります。この会社は、選挙期間中を含めた一昨年三月から昨年の二月までの間に、中国地建広島国道事務所から、祇園新道その三植樹工事を五千六百万円で受注しております。この事実についてまず建設省に確認を得たいんですけれども、確認できますね。
  245. 藤川寛之

    ○藤川政府委員 今お話がございました工事につきましては、その時期に発注したということでございます。調査した結果、事実でございます。
  246. 中島武敏

    中島(武)委員 ところが、そのとき、選挙に関して亀井運輸大臣に五十万円の寄附が行われている、これはお認めになりますか、これは違法ですけれども
  247. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 実はそのことは、某新聞社がそれを書いた時点で、そういうことがあったのかということでこちらは気がついたわけでございます。この会社は家族労働に毛の生えたような小さな、私の遠い親戚の会社でございますが、従来、私の選挙に関しまして頑張ってくださいということでずっと陣中見舞いを出してくれておったわけでありますが、当時、そうした国の仕事をやっておるかどうかということを確認をしないで私の選対事務所が陣中見舞いとしてそれを受け取ったということであったということがわかりましたものですから、これはうかつな話であったわけでございますので、新聞にそれを報道されました後、直ちに中村造園の方にそれはお返しをいたしておるわけでございます。  それで、今後、選挙に関してそうした陣中見舞いがある場合は、国の仕事を現在やっておるかどうか、そのあたりをきっちりと確認をして御好意は受けるようにしろということで指示をいたしておるわけでございます。  以上。
  248. 中島武敏

    中島(武)委員 広島の選挙管理委員会に尋ねましたところ、選挙資金からの削除をけさほど届けがあったというふうに私は聞きました。それで、削除はしたと思うんですよね。だけれども、まあ、私率直に言いますよ。九〇年二月の総選挙にもかかわって、五十五億六千万円の羽田第二トンネル工事のその四工事、これを請け負っていた鉄建建設から百万円の寄附を受けておられる。建設省、この点について、工事の確認できますね。
  249. 藤川寛之

    ○藤川政府委員 調査いたしましたところ、一九九〇年二月ごろ、鉄建建設と鹿島建設の工事共同企業体でございますけれども、羽田第二トンネルの工事を実施しております。
  250. 中島武敏

    中島(武)委員 今確認のあったとおりなんです。亀井さん、それは私、やはりここで、二度も続けておるんですからね、ですから、この点についてのはっきりした反省の弁を聞きたいんです。
  251. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 先ほども申し上げましたように、今後選挙の陣中見舞いについては、国の仕事をやっておられるかどうかということを確認をいたしまして、しておられぬ場合には御好意を受けるということで、そうしたうかつな間違いのないようにしたいと思いますし、今何か鉄建公団云々と言われましたけれども、私、広く、薄く、民間企業等から正規の法律に基づいた……(中島(武)委員「鉄建建設ですよ」と呼ぶ)ああ、建設。だから、たくさんの企業に薄く、広く私いただいておりますから、私が一々それをいただきに回っておるわけでもございませんので、何百社とあるわけでございますから、それは法律の範囲内で広く、薄くいただいて、それは自治省にすべてこれをお届けをしておるわけでございますので、それがけしからぬと言われましても、今の法律ではそれは許容されておるわけでございます。  私はそのことに関して別に法律に反するようなこと、あるいは政治倫理に反するようなことはやっておりませんから、反省をしろと言われても、むしろ委員のそうした御質問について反省をしていただきたいと思います。
  252. 中島武敏

    中島(武)委員 それは問題だ。大変な話ですよ。公職選挙法百九十九条、二百条、これの違反問題なんです。ですから、選挙期間中に国の工事を受けている者から選挙に関して寄附を受けることは、百九十九条と二百条違反なんです。いいですか。そういう点をよくひとつ、お帰りになったら……(亀井国務大臣「いや、ちょっと、ちょっと」と呼ぶ)いや、いや、そんなことはないんだ。私は発言中なんだ。そういう点をしっかり、やはりよく認識をして、反省をしなければならないということを私は言っているんです。
  253. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 私は、私の間違いがあればこれは当然反省しなければなりませんが、私は、今委員のこの御質問を聞いておりまして、確かに先ほど言いましたように、国の仕事をやっておるということを確認をしないで御好意を受けたことについてはうかつであり、今後しないようにするという形でやっておるわけでございますが、あとの何か鉄建建設ですか、何かそれ、私は詳細な事実は知りませんが、先ほど言いましたように、後援会のあれとしては幅広く受けておりますから、それは私は自治省にちゃんと報告しておると思います。それが選挙のときの陣中見舞いでやられたのかどうかということは、私は承知をいたしておりません。
  254. 中島武敏

    中島(武)委員 あなたの名前で届けが、報告が出ているんです、選挙管理委員会に。ですから私は言っているんです。もういいです。そのことについては、お帰りになったらよく調べて、そして間違っていることに関してはやはり、間違っちゃいないなんて、こういうふうに言うんじゃなくて、いいですか、謙虚にやはり反省をするということが必要だと思うんですね。  じゃ、もうこれで終わりにいたしますが、私は、政財官の癒着、この問題は非常にやはり重大な問題だと思うんですね。この問題で、発注価格なんかもつり上げられるとか、あるいは仕事を受けたゼネコンの方で悪質な手抜き工事を行うとかいうこともいろいろと明らかになってきております。他の工事に使った生コンの残りを阪神高速の工事に使った、そういう事実をよく知っている労働者が、先日ですけれども、建設省に公表したことも御存じだと思うんです。そのしかも生コンは弱い生コンだということなんですね。  私はこういう、何というんですか、政財官の癒着というものはやはり深いところにありますから、ですから、単に入札の方式というだけではなくて、方法というだけではなく、ここをきちっとやはり押さえなきゃいけない。ここを深く、よく調べて、そして公共事業のあり方というものについても、正すことはもちろんですけれども、政財官の癒着を打破するということが震災最優先の公共事業の上で欠かせない課題だと思うんですね。そして、そういうところの中に予算のむだも入っているんですから、ですからそういうものを徹底的にメスを入れるということが必要だと思うんです。  時間もありませんから続けて言いますけれども、私は、こういうような問題も今度の予算でやはりよく検討して、そして予算の組み替えということも必要なんじゃないか、公共事業費の使い方も震災優先に使うとか、いろいろやらなければならぬことがあります。そういう点で、この組み替えも大いに必要だということを申し上げて、質問を終わりたいと思うのです。
  255. 佐藤観樹

    佐藤委員長 この際、岩佐恵美君から関連質疑の申し出があります。中島君の持ち時間の範囲内でこれを許します。岩佐恵美君。
  256. 岩佐恵美

    岩佐委員 阪神大震災の問題についてお伺いをしたいと思います。  まず最初に、五千三百人を超える方々が犠牲になられました。こうした皆様に深く哀悼の意を表すると同時に、私も現地に二回参りましたけれども被災者皆さん、本当につらい思いをしておられます。心からお見舞いを申し上げたいと思います。  まず、激甚災害法で国の特別の財政援助の対象となる十四事業の中に、病院だとか上水道あるいは災害廃棄物が入っていません。これらの分野というのは大変市民生活、直接日常生活にかかわる重要な部門でございます。ぜひ対象とすべきだというふうに思いますけれども小里大臣のお考えを伺いたいと思います。
  257. 小里貞利

    小里国務大臣 水道、電気あるいは災害廃棄物等の処理、これはお話しのとおり、まさに重要な生活の周辺のかかわりを持つものでございます。今まで、当初の緊急応急措置あるいは復旧復興にかけまして、現行制度を十分活用しながら政府は積極的に対応をいたしてまいったところでございますけれども、今次の災害の甚大性、あるいはまたその市民生活罹災者生活等に及ぼす影響等を十分勘案しながら、そしてその事業の性格によっては特例措置等を積極的に講じていかなければならない、さように考えておるところでございます。  今日の段階においては具体的に明らかにする用意はございませんけれども、ただいま御指摘のありました問題等も、必ず近々特例の措置をもって対応できる、私はさように思っております。
  258. 岩佐恵美

    岩佐委員 被災医療機関についてですけれども、公立病院についてのみ二分の一補助です。そして民間病院では、救急病院についてのみ二分の一補助であります。そういうふうに言われています。公立学校等の補助は三分の二ですから、公立病院についてもこれと同じにすべきだというふうに思います。  医療機関の立ち直り、これはもう現地でも非常に大事だということを痛感しましたが、望まれています。すべての民間病院についても二分の一の補助にすべきだというふうに思いますけれども、この点についてのお考えを伺いたいと思います。
  259. 小里貞利

    小里国務大臣 すかっと申し上げて、ただいまお話しの医療施設あるいは福祉施設等につきましては、近々具体的な対応措置整理をいたします。目下財政当局あるいはまた厚生省等々関係機関と鋭意話を詰めておりますから、しばらくの間ひとつお待ちいただきたい。きちんと対応をいたすつもりでございます。  なおまた、瓦れきの、いわゆる災害廃棄物と先ほどおっしゃったようでございますが、これらの解体あるいは搬送などについては、もう先刻御承知のとおり、政府も、財政的裏打ちを含めまして積極的に踏み込んで、これが対応を県市と、既に示しまして、協議中でございます。
  260. 岩佐恵美

    岩佐委員 激甚災害法で指定事業とされている福祉施設についても、通常の運営でもお金が足りない、これはもう大変な事態であるということは周知の事実であるわけですけれども、この福祉施設についても、ぜひ三分の二の補助にすべきだというふうに思います。  ある重度の障害者施設、ここは私直接行ったのですけれども、貯水槽に被害を受けたそうであります。修理に二千万円かかる。そうすると、施設御の負担というのは五百万円になる。この五百万円をどうやって負担しようかということで、市や何かにお願いをしなければいけないんじゃないかというふうに言っていましたけれども、国の補助が多くなればそれだけ本当に助かるんだということを訴えておられました。この点について、ぜひ積極的に御検討をいただきたいというふうに思います。
  261. 小里貞利

    小里国務大臣 議員がお話しなさっておられるのは、精神障害者の話でございましょうか。(岩佐委員「違います」と呼ぶ)ああそうですか。もし精神障害者の関係であればお答え申し上げますが、今、お話は重度障害者でございますか。  それはもとより、基本的な私の気持ちを申し上げますが、決して軽んじてならない一つ施設でございますから、関係省庁と十分協議をいたしてみたいと思います。
  262. 岩佐恵美

    岩佐委員 一昨年の第百二十八臨時国会で成立をいたしました障害者基本法で、身体障害者、精神薄弱者とあわせて精神害者が障害者の範囲に明確に位置づけられました。  ところで、二月七日の厚生委員会での私の質問に、精神障害者は仮設住宅の優先入居の対象になっていない、そういうふうに佐野社会・援護局長は答弁をしました。この点について、局長に再度伺いたいと思います。
  263. 佐野利昭

    ○佐野(利)政府委員 先般御答弁申し上げたときには、障害者の優先入居の手続をとるようにという指導通知は出しましたが、現実に現場でどのような対応がとられているかというと、どうしても目に見える形で、例えば障害者の手帳の所持者などが優先的に対応されるということがありますので、現実にそういう形がとれるような形が現場で行えるかどうかをよく地元の市と御相談をしてみましょう、こういうふうに御答弁を申したつもりでございます。  今回、ちょっとおくればせではございますが、二月九日に、精神障害者につきましても、保健所の方で判断基準になるような通知を出していただく、こういう手続をとるようにいたしましたので、これで現場ではそういう問題が起こらないと思いますので、精神障害者につきましても優先的な取り扱いができるというふうに判断をいたしております。
  264. 岩佐恵美

    岩佐委員 これは大臣も、ちょうど質問の最後の方でしたから御記憶だと思いますけれども局長は、また再度冷たい答弁になりますというふうなことから始まりまして、それで精神障害者は、いろいろ言われて、対象に入れてございません、こういうふうに答弁をされたわけですね。全く私は不見識だと思うのですね。ちょうど最後で時間がなくなってしまって、この問題についてさらに質問することができなかった、そういうことできょう改めて質問しているわけですけれども、大体、社会・援護局というのは障害者福祉を対象とする、担当する最も中心的な馬なのです。それで、しかも災害救助法の担当局である社会・援護局長が、精神障害者が障害者の範囲外である、そういう前提で答弁をされたわけです。しかも、優先入居は他の住民とのバランスがあって難しい、そういうふうに答えたわけであります。これは本当に私は非常識だと思うのですね。  この答弁というのは、障害者やその関係者に非常に大きなショックを与えたのですね。障害者基本法が一昨年成立をした、そして厚生省はこの基本法を所管をする、そういう省であります。私は、こういう局長の、再度冷たい答弁になりますみたいなことで、こんなひどい答弁をした、本当に許せないという思いなんですね。こういう答弁を撤回をする、そして謝罪をするということが当然だというふうに思います。大臣のお考えを伺いたいと思います。
  265. 井出正一

    井出国務大臣 二月七日の厚生委員会先生からそのような御質問に際しまして、私ども局長が、精神障害者の方はすぐに証明する手段がとれないということもあってなかなか現場でそのようなことができるかどうか正直のところ自信がない、こういう御答弁を申し上げたことは確かでありますが、その後、先生の御指摘もこれあったり、それから、現場に対応状況を問い合わせましたところ、このような証明する制度がないと結果的には現場での対応が困難となり、したがって対応がおくれた面もあったということだったものですから、地元自治体とも協議を急ぎ、去る九日に、仮設住宅優先入居のための精神障害者の証明書の交付方法、保健所長さんに発行していただくことでいいわけでございますが、それらについて通知したところでございまして、今後は、この証明書を通じて、精神障害者の方々にもほかの身障者の方々と同じような優先入居について円滑に推進していける、こう考えております。  局長がああいう御答弁を申し上げたのは、そういう手帳みたいな証明するあれがないものですから、そこではっきりしたことを申し上げても、かえって言っていることと現状が違うではないか、こういったこともきっと考慮に入れた上でそういう御答弁をしたと思いますが、その後このような措置をとったことを御了承いただきたいと思います。
  266. 岩佐恵美

    岩佐委員 そういう措置をとられたということは、精神障害者にとっては非常によかったというふうに思うのです。そういう点は迅速にとっていただいてよかったというふうに思いますが、ただ、再度冷たい答弁になりますがみたいなことから始まって、精神障害者が対象になっていないということというのは、非常にこれは現地で苦しんでいるそういう精神障害者に大きな打撃を与えているわけですね。私自身も、本当にそういう方々の意見を直接伺ってきているものですから、そういう方々の問題を担当する厚生省が、再度冷たい答弁になりますみたいなことから始まって、こんなこと言う必要ない、何で、そういう方々の問題について今こういう困難がある、だから検討させてもらうということでもっと素直に答えられなかったのか、そういう点に私は怒っているわけですね。本当におかしいというふうに思うのです。  これは、やりとりをしていてもあれこれあれこれ言うのだと思いますけれども大臣、しっかり厚生省として本当にこういうことがないようにこれからお仕事をしていただきたいということを強く申し上げておきたいと思います。  次に、障害者基本法の趣旨からいって、激甚災害法の対象に福祉施設のうち低所得者とか児童とか老人、身体障害者、精神薄弱者、婦人が入っているのですけれども、精神障害者が入っていないわけですね。この点について、当然精神障害者の社会復帰施設が入るべきだというふうに思うのですけれども、その点、小里大臣のお考えを伺わせていただきたいと思います。
  267. 小里貞利

    小里国務大臣 時間もないようでございますからちょっと整理して申し上げますが、今回の地震による被害の甚大性等々、またそういう先ほどからお話がございますお気の毒な方々等に対する対応は、最も肝要であろうかと考えております。  精神障害者の施設の数が少なく、被害者なども最初の状況ではかなりその把握に手間取っていたような先ほどのお話のとおりでございまして、私どもは十分その辺を総括をいたしまして、できるだけひとつ貴意に沿うように努力をいたしたいと思います。
  268. 岩佐恵美

    岩佐委員 次に、無認可の小規模作業所の問題について伺いたいと思います。  無認可の小規模作業所は、障害者の働く場として、共同で生きる場としてかけがえのない役割を果たしています。その無認可作業所の大半の施設は、公的な援助が極めて少ないことから、施設は民家の空き家であったり、戦後間もなく建てられた文化住宅の一室であったり、古い家屋を間借りしたりしているわけです。今回の地震でも、こうした状況が犠牲を大きくしています。  兵庫県では、百三十七作業所のうち認可されているのは三十七作業所にすぎません。実に百の無認可作業所が公的な制度の谷間をいわば穴埋めしてきているわけです。だからこそ、国もこのような無認可共同作業所に年間百万円の補助金出し、地方自治体も、数百万円から多いところでは一千万円以上の助成をしているところもあります。このような障害者の自立と社会参加のため公的役割を果たしてきた作業所が震災で犠牲になったわけでありますから、救済されるのは本当に当然だと思います。障害者を抱える家族にとって、共同作業所の存在は大変大きいのです。一日も早く開所してほしいとみんなが願っています。  ところが、障害者支援センターの資料によれば、百三十七共同作業所のうち再開不能の全壊が十一施設です。半壊が十三施設であります。そのうち小規模作業所は十九施設を占めているわけです。また、軽微な損傷は無認可で七十二施設あります。認可の授産施設については再建のための補助や無利子融資が考えられているわけですけれども、小規模作業所には何にもないのです。  被災者個人補償や災害救済基金が検討されているわけですが、無認可の施設についても建設、再開のための援助を当然行うべきではないかというふうに思うのですが、小里大臣、そして官房長官のそれぞれお考えを伺いたいと思います。
  269. 小里貞利

    小里国務大臣 率直に申し上げまして、小規模作業所の運営形態もさまざまであるな、そういう感じを私は持っておりますが、結論から申し上げまして、先生どうだろうか、授産所の施設あるいは分場等をおつくりになれば、これは五年以上で一応対象になるやに私は承っておるわけでございます。そのような所定の手続によって、さほど私は手難しい一つの組織と申し上げますか、施設でもなかろうと思うのでございますが、私はむしろそちらの方をお勧めした方がいいのじゃないかな、こういう気持ちをも持ったわけでございます。私どもももう少し検討はいたしますが、関係省庁とよく相談いたしながら。そういう気持ち在持っております。  もちろんのこと、温かい措置を講ずるべき一つの客体であることだけは間違いございません。
  270. 岩佐恵美

    岩佐委員 実は、これは厚生省と何回かやりとりをしてきているところなんです。  それで、今言われたように、確かに認可の授産施設であれば、それは私も申し上げたように助成があるわけですね。そういう認可の作業所がたくさんあれば、それで、認可の作業所で間に合うわけですから、別に必要ないわけですね。  小規模作業所というのは、今全国に三千を超える個数あるわけですね。そういう身近なところに作業所、しかも重度の方々ですね、いわゆる適所もなかなか困難だとか、いわゆる授産施設では困難だとか、そういう現在の基準にひっかからない、そういうところで苦しんでいる施設なんですね。国も放置はできないと。だから年間非常に少ないのですけれども百万円の補助金出しているわけですね。しかし、それでも本当にやっていけないのでみんな貧しいというか、もうつぶれそうな家屋にひしめいて仕事をして、本当に肩を寄せ合って生活をしているというか、共同作業をやっているわけですね。  そういうところだから、今、今度の災害問題で非常に個人補償だとかあるいは災害の救済基金だとかそういうことが検討されているわけですから、この問題について、共同作業所、今までの制度とは別にぜひ考えていただきたいということを申し上げているわけであります。  じゃ官房長官、よろしくお願いします。
  271. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 実情としてはよく理解できるというふうに思います。  ただ、御承知のように、必要な基準を満たしていない場合、国庫補助の対象には従前もなっていないわけですね。したがって、復旧の場合も困難な状況にあるというわけであります。  一つの方法としては、なかなかそういいましても実際には難しいという点もあるのかもしれません、法人化をするとか、幾つかのところが一緒になって法人化を考えてみるというのも一つの方法かもしれぬ。あるいはまた、身体障害者授産施設だとか、あるいは何といいますか、その分場という形式をとるというようなのも一つの方法だろうというふうに思いますし、あるいはデイサービスセンターとして再建するというような方法もあろうというようなこともございますが、しかし実際にはなかなか、小規模で、それぞれの実態から見るとそういうわけにもいかぬという点もあるのだろうというふうにも思います。  そこで、兵庫県では経常費に対して単独で応援しているようでありますし、あるいは神戸市では、新築の場合、新築といいますか新設の場合に、市としても、百五十万円ぐらいではありますが単独補助をしているようでございます。したがいまして、こういうようなことなどを足がかりにして、方法があるのかないのか、その点はよく自治体とまた相談をしてみたいというふうに思います。  国としては、先ほど申しましたように、なかなか制度上困難なことがあろうと思いますが、地方自治体でこれについて積極的にお取り組みをいただきつつ、また国の方でもどういう方法があるのか、よくまた検討してみたい、このように思う次第であります。
  272. 岩佐恵美

    岩佐委員 建設に百五十万円の補助があっても、それはもう本当にどうにもならないわけですね。それで、今までの、きょうの流れを伺っていると、いわゆる小規模の作業所に対して国の従来の考え方があって、その考え方から出られないから、だから流れが従前どおりと同じようなお答えしか出ないのですね。  私は、きょうはもう少し、小里大臣なり官房長官なり、厚生省の今までの考え方と違う考え方が、こういう災害時ですから出されて当然だというふうに思って、その実情をお話をしたわけであります。後で、ちょっとまとめて、給食の問題と一緒に小里大臣にこの問題についても、ぜひ検討していただきたい、とにかく実情を調べる、そのことをお願いをしておきたいのです。  ちょっと時間もなくなってきたのですが、給食なんですが、現地に私最近行って、やはり給食が改善をされていない、温かい給食が現地では全く配られていないというようなことが訴えられました。  総理大臣小里大臣、また厚生大臣は、一日八百五十円の食費は見直したいとか、あるいは温かい食事がとれるよう早急に対応を検討する、こういうような積極的な答弁があって、私たちもああよかったなというふうに思ったのですけれども、実態は依然として一日八百五十円の冷たい食事なんですね。それで、市によっては、一日二回しか給食が配られない、お弁当屋さんからお弁当が配られないというような、そういうところがあるのですね。  例えば、一日二回で、それで何でいいのかというと、もうみんな働きに出ているからいいんだというようなことを言っている市もあるようですけれども、実際、では働きに行かない、残された人はどうするのですかというふうな問題になるわけです。水がない避難所もあるし、ガスがない避難所が多いわけですね、今のところ。そういう中で、実際に現地で、なぜ国会でこれだけやります、やりますと言っても実現できないのかというと、パイプが詰まっているからこれができないわけですね。ぜひここの場で、厚生大臣が県知事と連絡をとっていただいて、それで、なぜこうなっているのかということを、本当に積極的に音頭をとってやっていただきたい。  それから、小里大臣に、ぜひそういう具体化のために、災害対策として、とにかく食事が冷たくて大変ということになると、これはもう生きる望みもなくなっちゃう、それから不満も物すごくうっせきしているわけですね。ですからこれはもう緊急に解決すべき問題なので、ちょっと実態をよく調べてもらって、それで県知事にもちゃんと連絡をとってもらってやっていただきたいということをお願いをしたいのですけれども、いかがでしょうか。
  273. 五十嵐広三

    五十嵐国務大臣 実は村山総理からその点についての御指示がございまして、特に、きのうの朝でございましたか、NHKテレビで、高齢者で大変肺炎がふえてきている、やはりそれは栄養が非常に足りないということも原因の一つだということで、医師がそういうお話をしているのを総理もお聞きになられまして、特に御指示が強くございまして、これは小里大臣の方にも直ちに調査の上対応するように、あるいはまた厚生省の方にもそういうぐあいに伝えでございます。早速それぞれ手配をしたようでありますので、その結果につきましては、ちょっと担当大臣の方から説明をしてもらいたいと思います。
  274. 井出正一

    井出国務大臣 この問題につきましては、もうこの予算委員会あるいは厚生委員会でも再三御要望いただいておりますし、私自身も、この八百五十円にこだわらない、特別基準というものがあるのですから、もうそれをオーバーしてもこちらはその用意がありますと現地の方にもその旨連絡をしてございますということを再三申し上げておりますし、担当の方もその都度県の方と連絡はとっておるようでございます。  ただ、まだ、これ以上必ずオーバーするから頼むよというような通知はちょうだいしていないようでございますが、雲仙・普賢岳のときでも千百九十三円という数字が出ておりますから、その点につきましては、私はこんなに長く期間もあれしますから、食事というのは大変大事だと思いますから、この八百五十円に全くこだわるつもりはございません。
  275. 小里貞利

    小里国務大臣 先ほど官房長官からお話があった問題でございますが、実は昨日の午後でございます。総理大臣官房長官を通じまして、避難所の問題どうか、そういう総点検をせよというようなこととあわせまして、ただいまお話しの食事、そしてあわせて老人医療の再点検の指示がございましたので、昨夜、けさ方までかけまして一通り整理をいたしまして、そしてその結果を実はきょうの昼ごろ、兵庫県の貝原知事さんと、そして神戸の市長さんにも早速具体的に御相談を申し上げたところでございます。
  276. 岩佐恵美

    岩佐委員 終わります。
  277. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて中島君、岩佐君の質疑は終了いたしました。  次回は、明十五日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時六分散会