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1995-02-06 第132回国会 衆議院 予算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年二月六日(月曜日)     午前九時開議 出席委員   委員長 佐藤 観樹君    理事 衛藤征士郎君 理事 桜井  新君    理事 野呂田芳成君 理事 深谷 隆司君    理事 伊藤 英成君 理事 加藤 六月君    理事 草川 昭三君 理事 三野 優美君  理事 五十嵐ふみひこ君       伊藤 公介君    浦野 烋興君       江藤 隆美君    越智 伊平君       越智 通雄君    後藤田正晴君       近藤 鉄雄君    志賀  節君       関谷 勝嗣君    高鳥  修君       橘 康太郎君    東家 嘉幸君       原田  憲君    松下 忠洋君       村山 達雄君    山崎  拓君       若林 正俊君    赤松 正雄君       石井 啓一君    石田 勝之君       大野由利子君    川島  實君       小平 忠正君    左藤  恵君       笹木 竜三君   柴野たいぞう君       高木 陽介君    千葉 国男君       月原 茂皓君    仲村 正治君       野田  毅君    野田 佳彦君       松田 岩夫君    柳田  稔君       山口那津男君    山田  宏君       池端 清一君    今村  修君       佐々木秀典君    坂上 富男君       細川 律夫君    前原 誠司君       穀田 恵二君    松本 善明君       矢島 恒夫君    海江田万里君  出席国務大臣         内閣総理大臣  村山 富市君         法 務 大 臣 前田 勲男君         外 務 大 臣 河野 洋平君         大 蔵 大 臣 武村 正義君         文 部 大 臣 与謝野 馨君         厚 生 大 臣 井出 正一君         農林水産大臣 大河原太一郎君         通商産業大臣  橋本龍太郎君         運 輸 大 臣 亀井 静香君         郵 政 大 臣 大出  俊君         労 働 大 臣 浜本 万三君         建 設 大 臣 野坂 浩賢君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     野中 広務君         国 務 大 臣         (内閣官房長官五十嵐広三君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 山口 鶴男君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長         官)         (国土庁長官) 小澤  潔君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 玉沢徳一郎君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      高村 正彦君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      田中眞紀子君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 宮下 創平君         国 務 大 臣 小里 貞利君  出席政府委員         内閣法制局長官 大出 峻郎君         内閣法制局第一         部長      津野  修君         人事院事務総局         職員局長    武政 和夫君         内閣総理大臣官         房管理室長   安藤 昌弘君         警察庁長官官房         審議官     玉造 敏夫君         総務庁人事局長 杉浦  力君         総務庁行政管理         局長      陶山  晧君         防衛庁参事官  江間 清二君         防衛庁参事官  別府 信宏君         防衛庁長官官房         長       三井 康有君         防衛庁防衛局長 村田 直昭君         防衛庁教育訓練         局長      佐藤  謙君         防衛施設庁建設         部長      田中 幹雄君         経済企画庁総合         計画局長    土志田征一君         科学技術庁長官         官房長     石井 敏弘君         科学技術庁研究         開発局長    沖村 憲樹君         科学技術庁原子         力安全局長   笹谷  勇君         環境庁長官官房         長       大西 孝夫君         環境庁企画調整         局長      石坂 匡身君         環境庁企画調整         局環境保健部長 野村  瞭君         沖縄開発庁総務         局長      嘉手川 勇君         国土庁計画・調         整局長     糠谷 真平君         国土庁防災局長 村瀬 興一君         法務省民事局長 濱崎 恭生君         法務省刑事局長 則定  衛君         外務大臣官房長 池田  維君         外務省総合外交         政策局長    柳井 俊二君         外務省アジア局         長       川島  裕君         外務省北米局長 時野谷 敦君         外務省経済局長 原口 幸市君         外務省経済協力         局長      平林  博君         外務省条約局長 折田 正樹君         大蔵大臣官房参         事官         兼内閣審議官  福田  誠君         大蔵省主計局長 篠沢 恭助君         大蔵省主税局長 小川  是君         大蔵省理財局長 田波 耕治君         大蔵省理財局た         ばこ塩事業審議         官       鈴木 康司君         大蔵省銀行局長 西村 吉正君         大蔵省銀行局保         険部長     山口 公生君         文部大臣官房長 佐藤 禎一君         文部大臣官房文         教施設部長   木村  直君         文部省初等中等         教育局長    井上 孝美君         文部省教育助成         局長      遠山 耕平君         文部省学術国際         局長      岡村  豊君         厚生大臣官房総         務審議官    太田 義武君         厚生省健康政策         局長      谷  修一君         農林水産大臣官         房長      高橋 政行君         農林水産大臣官         房審議官    紀内 祥伯君         農林水産省経済         局長      東  久雄君         農林水産省構造         改善局長    野中 和雄君         農林水産省農蚕         園芸局長    日出 英輔君         農林水産省畜産         局長      高木 勇樹君         農林水産省食品         流通局長    鈴木 久司君         食糧庁長官   上野 博史君         水産庁長官   鎭西 迪雄君         通商産業省通商         政策局長    細川  恒君         通商産業省機械         情報産業局長  渡辺  修君         工業技術院長  平石 次郎君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       並木  徹君         運輸大臣官房長 黒野 匡彦君         運輸省鉄道局長 戸矢 博道君         運輸省海上技術         安全局長    小川 健兒君         運輸省港湾局長 栢原 英郎君         郵政大臣官房審         議官      品川 萬里君         労働大臣官房長 伊藤 庄平君         建設大臣官房長 伴   襄君         建設省道路局長 藤川 寛之君         建設省住宅局長 梅野捷一郎君         自治大臣官房総         務審議官    二橋 正弘君         自治省財政局長 遠藤 安彦君  委員外出席者         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ————————————— 委員の異動 二月六日  辞任         補欠選任   後藤田正晴君     橘 康太郎君   山崎  拓君     松下 忠洋君   安倍 基雄君     千葉 国男君   伊藤 達也君     野田 佳彦君   工藤堅太郎君     大野由利子君   冬柴 鐵三君     青山 二三君   松本 善明君     矢島 恒夫君 同日  辞任         補欠選任   橘 康太郎君     後藤田正晴君   松下 忠洋君     山崎  拓君   青山 二三君     仲村 正治君   大野由利子君     柴野たいぞう君   千葉 国男君     柳田  稔君   野田 佳彦君     小平 忠正君   矢島 恒夫君     松本 善明君 同日  辞任         補欠選任   小平 忠正君     伊藤 達也君   柴野たいぞう君    赤松 正雄君   仲村 正治君     冬柴 鐵三君   柳田  稔君     安倍 基雄君 同日  辞任        補欠選任   赤松 正雄君     高木 陽介君 同日  辞任        補欠選任   高木 陽介君     工藤堅太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成六年度一般会計補正予算(第1号)  平成六年度特別会計補正予算(特第1号)  平成六年度政府関係機関補正予算(機第1号)      ————◇—————
  2. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  平成六年度一般会計補正予算(第1号)、平成六年度特別会計補正予算(特第1号)、平成六年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題とし、質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。越智通雄君。
  3. 越智通雄

    越智(通)委員 平成六年度の第一次補正予算について、主として武村大蔵大臣に対しまして御質問をさせていただきます。  きょうのテーマは、さきにお配りしてあるかと思いますが、一つには、やはり予算委員会補正予算審議でございますので、この補正予算中身について御説明を賜りたい、質疑をさせていただきたい。第二に、補正予算を含めましてこれからの財政運営についての長期的なお見通し、やり方について御意見を伺いたい。それで第三に、今度起こってまいりましたこの復興対策の財源について、そうした路線の上でどのように対処されていくのか伺いたい。もちろん、事実関係その他のことにつきましては、政府委員である局長さんの答弁で結構でございます。方針のところは、御所見大臣御自身から伺いたいと思っております。  総理には御質問は控えさせていただきまして、最後に御所見を伺いたいと思っていますので、聞くだけはしっかり聞いておいて、いろいろお考えいただければありがたい、このように思っております。  ところで、補正予算に入る前に、この週末に駆け足でG7大蔵大臣いらしたわけでございます。テレビ等では、今度の復興に関する資金繰りは世界の金融に悪い影響を与えることはないということを、記者会見でございますか、おっしゃっているところだけ映っておりましたが、G7でどのようなことがあり、どのように御所見をお持ちなのか、手短にこの場をかりて御報告いただければありがたいと思います。
  4. 武村正義

    武村国務大臣 G7と称しておりますが、七カ国の蔵相と中央銀行総裁会議が大体昨今は年四回ぐらい開かれておりまして、そのときそのときの各国経済情勢世界通貨経済情勢をめぐって意見交換をしながら、対応すべきことは共通の認識を持ちながら対応していこうという会議でございます。  今回は、世界全体の経済認識としましては、七カ国を中心にして経済成長も上向きでありますし、雇用も、多少違いがございますが、それでも改善の方向に向かっておりますし、インフレもそこそこで抑制ぎみに推移しているということから、まずこの流れを安定、定着させていこう、そして持続的な世界経済の発展を目指していこうということでありました。  カレントな問題としてはメキシコ通貨危機の問題でありますが、メキシコのペソが暴落をする事態になりまして、アメリカ中心として世界が非常に緊迫をいたしました。ちょうどこの間の東京共同銀行の問題にも似ているなど私は思っておりましたが、ああいう遠い国の不始末でありますが、そのために今回、アメリカIMFあるいは国際復興開発銀行等で五百億ぐらいの緊急融資メキシコ向けにすることになりまして、ようやく小康状態を得ているということであります。メキシコ経済がやはり世界全体に、まかり間違えば世界通貨全体に大きな影響を与えるということから、五百億ドルという巨額の対応先進国IMF中心にしているわけでございますが、そのことから何を学ぶか。  今回はメキシコでありますが、アジアを含めて、いつどこで新興国途上国でこういう通貨不安が起こるかもしれない。そのときに世界はどう対応していったらいいのかという議論が一番主なテーマでございました。IMFの監視をもっと強化していこう、頻度を高めていこう、何かこういう事態が起これは、緊急にとれるようなシステムを今から検討し始めようというところまででございましたが、合意を見ました。  日本地震についても報告をいたしまして、IMF地震に対する見方も、日本資金需要とか経済能力はこの復興需要に十分たえるものであるというそういう報告がまずございまして、私も、基本的には日本生産能力は、この復興段階でしっかり対応していきたい、いける可能性を持っているという報告をしてまいりました。世界通貨に対して震災をめぐる資金需要が不安を与える、大きな変化を呼ぶということはまずないと思っておりますという報告をして、帰ってまいりました。
  5. 越智通雄

    越智(通)委員 次に、補正予算中身について伺いますが、財政法二十九条は、御存じのとおり、「内閣は、次に掲げる場合に限り、補正予算を作成し、国会に提出することができる。」と書いてございまして、「法律上又は契約上国の義務に属する経費の不足」、これが一つ。もう一つが、「予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出」ということになっております。  今までよく、俗に災害補正とか景気対策補正とかいう言葉が使われてまいりましたが、今度の第一次補正大蔵省としてはどういう性格づけでお考えになっていらっしゃるのか、御説明いただきたいと思います。
  6. 武村正義

    武村国務大臣 今回の補正予算におきましては、歳入面については、最近までの収入実績等を踏まえて、租税及び印紙収入減収二兆二千四百七十億円を見込んでおりますし、税外収入は増で三千百六十五億円を計上いたしております。そのほか、建設国債一兆五百七十一億円増発減税特例公債を千九百九十九億円発行、こういう枠組みでございますし、一方、歳出におきましては、災害復旧、今回の阪神大震災ではありませんが、災害復旧等事業費ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策費義務的経費、こんなものが大体中心の内容になっておりまして、緊要となった事項等について措置を講ずるという姿勢を貫いているつもりでございます。なお、地方交付税交付金減額既定経費節減予備費減額等も入っております。  全体として申し上げますと、税収減を見込む一方、歳出面において特に緊要となった事項等について措置することにさせていただいた。それを補うために、税制改革に伴う減収分について減税特例公債を発行するとともに、既定経費節減税外収入確保等に努めることとし、これにより補えない部分についてやむを得ざる措置として建設国債増発をしているということで、農業関連経費中心にいたしまして、緊急な対応措置財政上とらしていただいたということであります。
  7. 越智通雄

    越智(通)委員 まあ率直に言いまして、大蔵大臣は全部補正予算中身説明されているわけでありますが、私が伺ったのは、まず、財政法二十九条でいうと追加財政需要というのは何ぼだということを聞いたわけです。  これは、ここに出されている予算書にありますように一兆三千三百十六億なんですよ。一兆三千億の追加財政需要の中で一番でっかいのは何だ。約半分がウルグアイ・ラウンドで、六千二百七十四億円なんだ。ウルグアイ・ラウンドというのは確かに急ぐだろう。だけれども、補正でやらなきゃいけなかったのかな。六兆百億という総枠を決めたわけですね。その中で平成六年度補正と七年度でどれだけやるんですか、それはそんなに急ぎますか、それは同時に、今、二月に成立して三月までに使えますかということが問題になるわけですね、これは。  そこは、もしなんでしたら局長でもいいから、きちんとやはり国民に対して説明しないと、大災害が起こった後に補正予算が出てきた、それはウルグアイ・ラウンドである。その次に大きいのは何だ、災害復旧だ、それじゃ神戸に何かしてくれるのか、いや、それは別の方の災害だ、こういうことですから、わかりは悪いと思いますね。災害復旧でも三千億入っているのですよ。そのほかに住都公団で補給金が千五百億入っているのですね。そして、その他の財政需要で千三百億あるのです。この千三百億は後からちょっと聞かなきゃならぬのですが。  差し当たりまず、じゃ主計局から、ウルグアイ・ラウンド六千二百七十四億、それは六兆百億の事業費ベースでの、事業費ベースの六兆ですよ、こちらは歳出ベースの、財政ベースの六千億ですが、平成六年度と七年度でウルグアイ・ラウンド、どれだけのことをしようとしているのかということをきちんと説明しなきゃいかぬと思いますね。主計局長かな、お願いします。
  8. 篠沢恭助

    篠沢政府委員 お答え申し上げます。  ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策につきましては、六年間にわたります新しい事業ということで、六兆百億の事業費ベースでの事業を講ずるということにしておりますが、その中でこの補正予算で取り上げておりますのは、事業効果早期発現のためにできる限り早期事業実施を行う必要があるということで、農業農村整備緊急特別対策部分、それから、農業大学校の開議時期でございますとか営農時期との関係で年度内からぜひ事業実施をすることが必要であるというようなことで、新規就農促進対策特定地域部門導入資金、そういったようなものについて緊急に措置する必要がある事業として計上をいたしております。  全体の話でございますが、全体六兆百億の事業費の中で、六年度の補正予算におきましては、事業費七千五百億円分を取り込むこととしております。そして、七年度の当初予算の方におきましては、事業費三千九百億円を実施することとしております。両方合計いたしますと、六年度補正と七年度当初合わせまして、合計の事業費ベースでは一兆一千四百億でございます。六兆百億のうち六分の一以上のものを、かなり上回りますものをこの六年度補正プラス七年度当初という形で消化をさせていただくことになっております。
  9. 越智通雄

    越智(通)委員 今の御説明にありましたように、実は七年度の本予算よりも六年度の補正の方が倍大きいのですよ、実際には。一兆やります、一兆の上ですね。三分の二は補正でやっちゃおう、三分の一は本予算でやろう。そうすると、八年度の本予算を組むときは、また一兆組まなきゃならないのです、これは。六兆を六年でやっていくのだから、アバウトな話ですけれども。相当これに財政の組み方としては苦しいのじゃないかな。事業中身は別として、申し上げているのは、財政運営として、大蔵省としてはそこはよほどよく気をつけないと、六兆百億をずっとうまくならして対策をやっていく苦労が出るだろう、そのことを一言注意を申し上げておる、こういうわけであります。  ほかにもいろいろありますが、お時間の関係で、もう一つ気になることを伺っておきます。  国際分担金及び拠出金で二百七十三億出しているのです。これは、なんでしたらこちらから申し上げておきますけれども、PKOのことなんですね、ほとんどが。  ところが、PKOというのは、ここのところすごくやり出しているわけです。今十三件ぐらいPKOのなにが出ていますけれども、ここの一九九一年から九二年、九三年の三年間に十五件派遣がふえているのです。これをやるのは、安保理事会の決定でやりますよ。やりますけれども、出ていってお金がかかったら、そのお金国連分担金として我が国は一五%ぐらい、ともかく来るわけですね、請求は。そして、請求されて、たしか一月か二月のうちに払えというのですよ。予算主義でやっている国にとっては、途中からそんなこと言われたって大変なんですね。  それで、この二百七十三億は、その意味ではまさにさっき申し上げた財政法契約上必要というのかな、法律上必要な経費なんですよ。だけれども、もう本予算で二百何十億か上げているんですから、両方足せば四百七十億ぐらいになるんですね、一年間にPKOのために国連負担しなきゃいかぬのが。そして、三年間で十五件もふえている。古いPKOは、一九四八年ごろから行ったきりまだ終わっていないのがあるんですよ、兵隊出したきり。今まで三十三件やっていますからね、国連は。三十三件やっているわけですね。何かこれは外務省としては制度を一遍考えなきゃいけないんじゃないでしょうか。  一五%に対してアメリカが三〇%。ここで前にも議論出ていましたけれども、アメリカはこれを減らしたい。というのは、あの国は、GNPベースというかGDPベース各国負担率は決まっているところに、常任理事国をやるとプラスアルファがっくんですから、負担プラスアルファが。このプラスアルファを外せということですよ、アメリカが言うのは。日本プラスアルファ なしで今一五%ぐらいになっているのですね。  これはやはり外務大臣常任理事国になる、ならないの議論もありますけれども、PKO財政面国連としてどうするか。そして、我が国として、年がら年じゅう年度の途中にさあ払え、さあ払えと。二百億という金は少ない額じゃないですよ、二百七十億というのは。このことについてどういうふうに改善するというか、対処するかお考えいただかないと、これから新しく行くところは余りふえないかもしれないけれども、行ったところはなかなか終わりそうもないんですよ、実際問題は。そうすると、ツケだけは確実に来るんですよ。その意味で御所見を伺いたいと思います。
  10. 河野洋平

    河野国務大臣 議員御指摘のとおり、PKOは、いつごろまでに終わるだろうと見当をつけて出ていっても、必ずしもその時期にきちっと終わるとは限らないわけでございまして、どうしてもだんだん長引く。PKO負担金は、国連の持ち出しは多くなる。したがって、国連はそう財政的に余裕はないわけですから、急いで払ってくれ、こういう話になるわけです。  今回の話も、昨年九月に一度払ったわけですね。九月以降の言ってみれば新たな請求がこれだけたまってしまったということでございまして、これらの問題は、現在国連の中の財政問題を検討をするということで、我が国からも提案をして相当突っ込んだ議論が行われているわけですが、基本的には、それじゃPKOをやめるか、PKOのやり方を何か変えるか、こういうことになると、現状はPKOをやめるというわけにはいかない。国際の平和と安全というものは国連にとって最も重要な課題でございますから、この問題をどうするかということについては、さらに議論を深めていかなければならないということになろうかと思います。  御承知のとおり、国連分担金と別にこのPKOの分担金というものは別途請求があるわけでございまして、我が国としては年度予算になかなか今お話しのようにうまくはまらない。新たな状況が出てきて追加の資金が必要になるということでございますから、おっしゃるように少ない額ではございませんことでありますから、何らかの方法を考えなければならぬだろうということは我が国としても問題提起をいたしておりますが、まだその結論は出ていないということでございます。
  11. 越智通雄

    越智(通)委員 河野外相は一遍何か演説の中で触れられたとも聞いておりますけれども、ともかく国連分担金そのものも滞納している国が多いんです。だから、国連財政というものをよっぽど考えていただかないといけないんじゃないか。それで今度の請求書も、これは九五年三月末までの見込みを入れた額ですよ、この二百七十三億というのは。使ってしまった額じゃないのですよ。そこら辺に、国連が金繰りが苦しいものだから、いろいろなことがあるそのしわがこっちに来ている。現にこの補正予算に出てきている。このことだけきちんと申し上げておきます。  そして、一兆三千億の追加財政需要をやるのなら、普通なら補正予算の規模は一兆三千億出てくるわけですね、財源があれば。ところが、今度の補正は何が出てきたか。減額補正なんだ。当初予算を削ってきているわけですよ。減額補正はおまけに、総理もよく聞いておいてほしいのですけれども、四年目なんです、これが。立て続けに四年減額補正なんです。そして、補正をした後でも実は見積もりが合わなかった、決算になってみたらやはり金が足りなかったというのがもう二年続いているのです、二年。これはやはり財政運営としては非常に問題なんですね。  私は予算委員会で、去年は野党の理事でしたから、ここで四度ほど質問させていただいた。そのときに、武村蔵相、あなたは官房長官で座っていたんだ、細川内閣で。平成六年の予算をつくる過程はよくわかっていたわけですよね、一応官房長官として。そして、平成五年の補正のときも既にそうでしたが、とても苦しい財政のやりくりをして、なおかつ赤字になっている。これはやはり見積もりが少し当初予算のときに甘いのじゃないか、これはよほどしっかり考えてほしい。  平成六年の補正減額をしているくせに、平成七年の税収は平成六年の当初予算と同じになっているのですよ、五十三兆円で。五十三兆円を五十一兆に減らして、また五十三兆で今組んでいるのですよ、平成七年予算は。とても心配なんです。まず、六年予算が決算してみて赤字になりはせぬか。おまけにこの震災でしょう。プラスには働かないですね、これは税収にとって。それで、おまけにその次の七年の発射台といいますか、ベースが変わるわけですから、そこら辺どういう見方で税収を見てこられているのか。  さっき一応御説明はありましたけれども、少しこの税収、殊にこの補正予算をつくられたときはまだ十一月ぐらいの数字だと思うのですよ。今もう十二月の収納額まで出ました。十二月の収納額まで出ましたけれども、一年間の分に対して五二%しかまだ十二月入っていません、三月決算が大きいですからね。五二%のベースで見ても、去年よりも余計入っているという感じはしませんよ、本当の話は。景気回復だと、こう宣言を九月にされているけれども、税収にはね返るのは遅いのですから、そういう意味で大丈夫ですかと。まず税収の方、これをお伺いしたいと思います。
  12. 武村正義

    武村国務大臣 詳しくは政府委員から補足をいたしますが、概括でありますけれども、確かに日本経済の上昇期、下降期、さまざまな経験をしてきているわけでございますが、今回バブル後の景気の低迷状況の中で四年目を迎えますか、税収見積もりはむしろ最終マイナスで補正をしなければならない、それでもこの二年間は決算でさらにマイマスを来しているという、見積もりの立場からすれば不本意な結果を招いているわけであります。  予算編成時期のぎりぎりの課税実績といいますか、経済動向を背景にして、各税目ごとに、あるいは場合によっては大きな企業の聞き取り等も含めて、どういう状況になるかを真剣に聞き取り調査をしながら、加えて、翌年度の経済見通しを加味して当初予算を組むということになっているのだと思うのでありますが、来年はほぼ今年度と同じ額を予想いたしております。二・八%という経済見通し、やや明るさを取り戻すという状況の中で同額という見方をしているわけで、専門的には小川局長からお答えいたしますが、確かに、いろいろ精いっぱいの真剣な努力をしておりますが、結果として、このバブル後の低迷の時期の三、四年間は見通しどおりにはならないという結果になりました。この経験を踏まえて一層慎重に、真剣に今後の税収については対応をしていかなければいけないと思っております。
  13. 越智通雄

    越智(通)委員 お時間の都合で、細かくはまた他の機会にあれしまして、そこで、もう一言だけやはり聞いておかなければならないのは、震災と税収はどういうふうに判断されていますか。まだ全然見込みつきませんか。もし何か考え方というか、あればお話しください。
  14. 小川是

    小川(是)政府委員 ただいま御審議いただいております補正予算における税収の減の見込みは、御指摘のとおり震災前の段階でございます。この点につきましては今し方大臣から申し上げましたとおりでございますし、また、十二月末の実績から見ますと、おおむね基本的には補正後の見積もりの線で税収が走っているのではないかと思っております。  ところで、阪神大震災の発生に伴う六年度税収及び七年度税収への影響の点でございます。  税収に直接影響するものといたしましては、やはり、損失を受けられました結果、災害減免法による減免であるとか、あるいは所得税の雑損控除の適用、法人税における損失額の損金算入、また納税猶予制度もございます、こうしたものによる減収が考えられるわけでございますが、具体的な数字がどうなるかという点につきましては、現在鋭意、各種の損失についての発表されておりますデータ等をもとに検討をいたしております。その点はいましばらく私どもの作業に任せていただきたい、お待ちいただきたいと思います。  また、七年度の税収になりますと、これはまた、その後よほどよく慎重に考えなければいけない点があろうかと思います。実体経済への影響もございましょうし、この点につきましてもしばらく時間をかしていただきたいと考える次第でございます。
  15. 越智通雄

    越智(通)委員 結局、新しく要るお金が一兆三千億ある、収入が二兆二千落っこっちゃった、大変なんですね、これは。  そうすると、ほかの経費を切らなきゃいかぬ。ほかに節約できないのか。地方交付税交付金は七千億切った、これはまあ自動的に減るんですよ。減るんだけれども、別に、それを切りっ放しにしたんじゃ地方公共団体はやっていけなくなっちゃうから、これは出口ベースで同じにしなきゃならぬから、金貸しているわけでしょう、交付税・配付金特別会計に。そのやり方を減額補正のたびにやりますから、当初予算で大きくして後で小さくする、その分は金は上げられないから貸してやるよということで、今たまりたまってたしか十兆あると思うんですよ。  予告してなくて悪いけれども、自治大臣、十兆も借りているんじゃないかと思うんだけれども、数字はともかくとして、地方財政としてはえらい負担がふえていますけれどもね、御認識していらっしゃいますか。
  16. 野中広務

    野中国務大臣 現在、地方債残高及び交付税特会からの借り入れを含めまして、約百四兆を超える債務を抱えておると存じております。
  17. 越智通雄

    越智(通)委員 それをどうするかということが一番問題なんですね。表に出ている百兆のあれのほかに、特別会計に十兆ぐらい、まあ余り目につかない格好の借金がさらにふえる。それは何だというと、当初予算が税収を大きく見積もってあるものだから、そのしわがそこに残っちゃっている、こういうことなんですね。  それじゃ、その経費をどんどん切り詰めていくというときに、既定経費の削減と予備費で一兆二千やっているんだけれども、この既定経費の削減が一兆、予備費が二千ですが、一兆の中の大半が、七千七百億というのは大蔵省で国債費が減っているんですよ。行政経費を切ったというよりは、これは国債費の運営上出てきたんだと思いますけれども、これは主計局長、どうして七千七百億、去年も相当出ているんですがね。逆に言えば、当初予算で大きく見積もっていたのかなとも思えるんだけれども、御説明いただけますか。
  18. 篠沢恭助

    篠沢政府委員 平成六年度の国債費の補正予算は十三兆六千億でございます。当初予算、十四兆三千六百億でございましたので、御指摘のとおり、当初予算から七千五百四十七億円減少となっておりますが、これは当初予算策定時の見込み金利に対しまして、実勢金利が下回って推移をいたしましたことに伴います国債利子の不用などからなっているものでございます。  若干詳しく申し上げますと、そのような国債利子等の不用で約五千億の不用を出すことになりました。それから、国庫の資金繰りが順調に、計画よりもいわば平準的に推移をしたということに伴います大蔵省証券、蔵券のいわゆる割引料の不用、これが約二千億程度ございます。それから、国際機関等に拠出をいたします拠出国債、これは求めによって償還をするわけでございますが、この求めによる償還というものが予定より五百億程度少なくて済んだというようなこともございます。  以上のようなものを合計いたしまして、七千億余りの減少を立てるということになったわけでございます。  国債費につきまして、その時々の金利情勢等を適切に反映すべく積算を行っておるわけでございますが、補正予算におきまして、最新の金利情勢を織り込んで整理をしたということで御理解を賜りたいと思います。
  19. 越智通雄

    越智(通)委員 七千億のうちの五千億が金利差だというのですけれども、実は、まあ今ここでは数字は結構ですが、国の借りている二百兆の借金の中に、昔出したかなり高利回りのがそのまま残っているんですよ。私の記憶では、七%のものがまだ残っているんじゃないかと思うのです。持っているのは銀行ですけれどもね、これは。  やはり国債の利子を全体を通じてもっと下げることを考えないと。利子の水準が下がっているときはよかったですよ。これで出てきた五千億、少なからざる金ですよ。上がり出したらどうするんですか。復興債どんと出したら、長期金利は上がるんですよ、実際には。長期金利は、今はもうはね上がりかかっているのです。そこら辺をよく考えてやらないと、今度の、一年たったときの補正のときには五千億なんて逆に足らなくなっちゃうわけです、平均四・七で計算していると聞いていますけれども、五%絡みで。だけれども、そのこともよく、公債の運営について考えていただきたい。  そこで、長期の財政運営を聞きたいのですけれども、毎年毎年の国債の出し方を決議していく手もありますけれども、ある程度天井を決めておく手もあるのですね。アメリカがそうです。デットシーリングと申しますがね。それから、マーストリヒト条約では、各国の国債をGDPの六割という規定にもしているという話を聞いています。多少違っているかもしれません。要するに借金の天井、借りても全部でここまでよというのを、国会が行政府に対して借金限度を抑え込んでいるという制度もあるわけです。その範囲内で一生懸命運営する。  アメリカでは、予算の編成は大統領府に予算局をつくっているけれども、やっぱり財務長官は偉いんですよ。何で偉いんだ。あれだけの大きな公経済の資金繰りやっているわけですね。金利が下がったらなるべく借金するというか、あるいは借りかえるとか、そういうことが可能なようにしないと、二百兆の借金を持ったまま動きがとれないんじゃないか。まして、国債を固定的な金利で出していると、後は百円のものを九十八円で取引するとか九十七円とか、そういうことで調整しているわけですけれども。皆さんの借金の中でも変動金利というのがあるのです、銀行対個人の中でも。長プラに〇・五%乗せた金利で貸しますとかいうやり方を銀行はしているわけですね。  もっと、公債の運営に関して、財政改革とおっしゃっているんだから、財政改革をさらに一歩も二歩も進めますと演説でおっしゃっているんだから、そういうことは、私は、財政改革の中身じゃないかと思うのですよ。公債をどうするか、どういうふうに持っていくか。もっと言えば、二百兆あるお金、いつになったら借金なくなるのと聞かれたときに、答えられない状態じゃまずいと思うのですね。もう一歩突っ込んで言えば、二百兆をゼロにするのはできないけれども、まあ適正な基準というのをこの程度と考えるかと。例えば年収の二倍と考えれば、五〇兆の二倍だから百兆ですよ。GDPの六割といったら、今幾らでしょう、五百兆ぐらいありますね、GDPが。四百何十兆、五百兆。六割だと、これまたでっかくなっちゃう。  だけれども、どういう基準でどこらまでが適当か、どういうふうにしてそれを持っていくか、長期展望をお出しになっている、あなたの方で、大蔵省で。中期展望というのは平成十年まである。それで、国債整理基金の利払いの計算をして出してある。この委員会に出されている資料としては、平成二十年まで計算してある。  だけれども、それよりももっと超えて、長期の展望と書いてあるけれども、その中に書いてある具体的数字というのは、公債依存度は五%が望ましい、そこしかないのですよ、実際には。どうやって公債依存度を五%に持っていくかが今一番の問題なので、そのときには二百兆は、経済も大きくなってくるから膨らむかもしれません。しかし、今ある経済に対しては大きいでしょう。これをどこまで持っていくか、それはいつまでにできるか、こういう考え方を国民に示さないと、ましてこれからの震災の話をするときに、財政のこういう行く道がわからなかったら、私は議論はまとまらないと思うのです。具体的な長期展望、何か お考えありますか。
  20. 武村正義

    武村国務大臣 大変大事な点を御指摘をいただいております。  まず、金利については、本当に今日まで借りております国債の金利全体についてももっと真剣に目を向けていかなければいけないというふうに思います。  そして、問題の国債の現債高、七年度末には二百十二兆と申し上げておりますが、平成六年度末は二百二兆と申し上げてきたことを思い返しますと、また十兆円ふえる。今は、どうしてこの二百兆円を減らすのかという御指摘をいただいている中に、逆にふえる財政連営をせざるを得ないという状況であります。  そこへ震災で、増税はだめだ、建設国債でいこうとなれば、また何兆円か借金を上積みするという、どんどんどんどん国債という借金を国家財政は積み上げていくという道を歩んでいることになります。これではいけない、それが財政再建ということでありますが、中期展望の見通しを今国会冒頭お示しをいたしておりますが、長期的な財政計画は持っておりません。この中期展望におきましても、年度の財政運営としては、いわば予算規模の五%前後が国債の望ましい発行水準だ。  考えてみますと、ことしは約七十一兆円弱でございますから、五%といえば三兆数千億。建設国債。つなぎ国債含めて三兆数千億ぐらいにとめなさいというのが財政審の答申でございますから、そうすると、十兆円を超えている、建設国債だけでも九兆数千億でございますから。建設国債ならどんどん出してよろしいという、何かそんな認識が、今まで赤字国債を否定する議論の中で、赤字はだめだが建設はいいのだという認識がありますが、これも結果がこういうふうに二百兆となってきますと、一定の枠というものに我々は真剣に目を向けるべきときに来ている。  先般のG7におきましても、各国の蔵相やIMF報告では、どの国も財政赤字が経済全体の中で大変重要な要素になってきている。それぞれ赤字を削減しなさい。恐らくもう来年ぐらいは日本財政赤字が一番大きな問題にG7でなってくるのではないかというふうにも思いますと、今御指摘のように長期計画は今持っておりませんが、そういう御指摘も踏まえて、真剣にこの赤字の状況に目を向け、これを改善していくための強い意思を持たなければいけないということを痛感している次第でございます。
  21. 越智通雄

    越智(通)委員 これはもう総理、ぜひ内閣挙げて、四年続けて減額補正して、反省しなかったらやはり大蔵省としても僕はまずいと思う、おかしいと思う。これから先、待っていたら何か急に景気がよくなってという話にはならないと思うのですね。それだけに、今一番真剣な方策を考えていただかなきゃならぬところだと思うのです。  そこで、震災の話に、もう時間が残り少なくなりましたので、入らさせていただきますけれども、大蔵大臣は今度の震災でいずれ復興需要が出るというようなことを何かおっしゃったことがあるというんですが、それは大蔵大臣がどういうふうにおっしゃったか知りませんが、最近は堂々とそういうことを財閥系の何とか総研なんというのが出しているわけですよ。これに対してはどういう考え方を政府として持つか。  その一例を申し上げれば、被害が六兆二千七百億だ。細かい、細かいと言ったらおかしいけれども、そこまで数字で入っている。そして、それを復旧するには九兆四千八百億かかるんだ。だけれども、そうすれば生産の誘発は十八兆八千九百億あるんだ、こうきているわけですよ。十九兆復興需要ということですね、復興。  こういう話は、単に被災者に対して失礼だというか、そういう問題もありますけれども、そんな話がまかり通るんだろうか。それじゃ、関東大震災の後は何が来たんだ。大正十二年の関東大震災の後は、五年たって大不況ですよ、実際には。この震災の経済に対する影響というかな、マクロで見て。確かに、五百兆からある中で、それでさっき一番最初に伺った、日本経済これでへたることはない、それはそうだ。だけれども、五百兆の中で十九兆の復興需要が出たら、急にばんと五百兆が六百兆になるという話じゃないと思う。  一体どのようにこの復興経済効果というか、これからの経済運営における震災の影響を、だれですか、経企庁ですか、大蔵大臣、やっぱり財政経済の責任者で、あなた、第一行ったんだから、一遍。
  22. 武村正義

    武村国務大臣 高村長官からこの委員会でお答えをいただいているとおりでございますが、とにかく震災そのものは被災者にとって想像を絶する事態であるとともに、我が国経済、マクロでとらえましても大きなダメージでございます。現実に、関西地区の港湾にしろ生産機能にしろ、壊滅的状況でありますし、消費、流通を見ましても大きく停滞を来しているわけであります。  そのことは率直に認識をしながら、総理のお話のように、万全を尽くして復興、復旧に当たっていくということでございまして、当然、復旧、復興対応経済に対してプラスの作用をすることは間違いがないわけでございますが、この深刻なマイナスの当面のダメージ、そして復興段階でそれを少しでも取り返していくためのプラスの努力、そのことがマクロな経済全体の観点からいろんな批評をされているところだと思います。  私自身は、そこまでは申し上げられましても、数字でどうこう説明する自信はありません。まあ、日本経済、幸い生産力、資金力等含めて、関西のこの震災を復興するだけの余力といいますか、力は持っていると信じて、最大限その力を発揮していくということではないかというふうに思っております。
  23. 高村正彦

    ○高村国務大臣 今大蔵大臣がお答えになったとおりだと思いますが、私、関東大震災の後のことはよく存じないわけでありますが、当時の日本経済の全体の大きさと今の経済の全体の大きさは全く違うということで、日本は、過剰かどうかわかりませんが、よく貯蓄過剰だということが言われるような状況の中で、この復興需要にこたえていくだけの力が、財政はともかくとして、日本全体の経済の力はある、こういうふうに私は考えているわけであります。
  24. 越智通雄

    越智(通)委員 いや、こういうときは本当に方向性が見定まらないと、国民が一番不安になるんですね。ことしの景気どうだろうか、政府が言うから明るくなるかなと思ったら震災が来た、どうなっちゃうんだろうとみんな思っているんですよ。やはり政府は確信を持って言わなきゃいけない。  それの一つのアクションとなるのが、今度の二次補正ですよね。盛んにもう新聞に出ている。具体的な数字がけさの新聞なんかも出ていますけれどもね。一体政府としていつごろまでに、どのくらいの総枠を出し、その財源をどう始末するつもりでお考えになっているのですか。お答えいただきたいと思います。
  25. 武村正義

    武村国務大臣 ちょうど今、例のない姿ではありますが、地元、関係省庁、協力をいただきながら補正予算の編成の作業を続けているさなかでございます。まだ数字の面では姿が見えておりません。まあ何となく、緊急に、今年度もうあと二月弱でございますが、対応すべき復旧事業の集計が二次補正に上がってくるんだというふうに思っておりますが、基本的には新年度の対応と今回の二次補正と、全体で見ていかなければいけないと思っているところでございます。  規模はそうでございますが、そうというのはまだ確たることを申し上げる段階ではないわけですが、目標は一応、きのうも記者会見で、今月の二十四日を目標に大蔵省としては努力をしてまいりますというふうに申し上げております。  規模が明確でない段階で財源も申し上げる状況ではないわけですが、ただ、今までお答えしてまいりましたように、建設国債、充当可能なものは建設国債でいくとしましても、予備費では足りない一般財源の分がございますし、特に先ほど来御指摘がありましたような税収減の減をどう見るか、それにどう対応するかという財源の面での課 題もあるわけでございまして、この辺で苦慮をしながら最終案をまとめていきたいと思っておるところでございます。
  26. 越智通雄

    越智(通)委員 財政の出動だけが問題じゃなくて、全部で復興資金需要をどう賄っていくか、これが大きいことなんですね。  仮に言えば、焼けたうちは全部保険で払ってくれるならまたこれは違ってくるわけですけれども、地震に伴う、これはもうこの委員会でも議論に出ました、私前から御指摘申し上げていたのですが、地震保険の入っている率は非常に低い、これも前に出ています、兵庫県はですね。そして地震保険に入っていない場合に、地震に基づく火災による焼失は保険対象にならない。で、見舞金が保険金の五%というか、損失の五%でしたかな、最高三百万出る。これは大蔵省、損保でどのくらい金が、今の制度のままで出ると思っているのですか、今度でね。  それからもう一つ、保険で言われているのは、亡くなった方がいるわけですから、五千二百人ですか。お一人が一千万円もし入っていれば、それで五百兆要るのですよ。失礼、五百億ですよ。さっき単位を間違えたかもしれませんが、五百億。新聞では堂々と四百億と書いたところもあるのです、生保の支払いがね。  一体損保と生保でどのぐらい資金が動くと見ているのですか。僕は、損保は二千億という数字を、これは新聞じゃなくて聞いたこともありますが、大蔵省でつかんでいる数字があれば教えてください。
  27. 山口公生

    山口(公)政府委員 お答え申し上げます。  損害保険につきましては、先般、損害保険協会が見込みとして発表しております支払い総額は、約二千億円でございます。ただし、これは現段階での見通してございますので、今後かなり変わり得るものだと考えております。  また、生命保険会社の支払い保険金につきましては、現在、各社におきまして被災者の確認等を行っておりますことから、正確な支払い保険金額についてはまだ詳細にはわかりませんが、現在の見込みでは数百億円程度、合わせますと合計二千数百億円程度がカバーされる見込みでございます。
  28. 越智通雄

    越智(通)委員 こうしたお金がどんどん出ていけば、それでまたその賄える面もあるのかもしれませんが、出ていかないときにはどういうことになるか。  例えば、冬柴議員がここで議論されていましたけれども、個人破産の申請が相次いたら一体ローンが幾ら残っているんだというんですよ。そんなことしたら次のローンは組めませんよ。だけれども、そんな、次のことなんか言っている状態じゃないというか、背に腹かえられない、払えないものは払えないんだと。そうすると、被災地域の方々にお金を貸している金融機関が軒並みその個人破産の申請を食ったら、金融機関、ローンはどうするんだという議論にもなるわけですね、余り強くないと言われている金融機関も入っているわけですから。  そうでなくとも、もう東京で信用組合、二ついかれて、それでここでも再三議論になりました。それから、余り議論、ここではされていませんが、民社の方々のお親しい天池さんの信用組合がつぶれましたよ。副総理の足元ですよ、友愛というのは。労働金庫に救ってもらった、これは。親戚関係があるから救ってもらえた。同様のことがいろいろあると思う。そこへぼかんと兵庫がやられているわけですから。  銀行局なんかは、そこら辺、ちゃんと押さえていますか、どうですか。
  29. 西村吉正

    ○西村政府委員 確かに、御指摘のように、その地域の銀行にとっては今回の事態は大変に大きな問題であろうかと存じます。  ただ、日本全体として見ますと、平成五年九月末をピークにいたしまして、不良債権の処理もようやく峠を越えつつある、努力を結びつつあるという状況でございますし、金融システム全体としては何とかこういう問題を処理できるのではないか、また処理していかなければいけないと考えておるところでございます。
  30. 越智通雄

    越智(通)委員 率直に言って、事態がこういうときですからわかりにくいのでしょうけれども、お答えの中に何か確かなものを感じとれないんですよ。非常に心配です。  それで、最後に、それじゃ本格的なその復興資金需要をどうするかでいろいろな議論出ていますね。増税論、赤字公債論、復興基金論、あるいは復興債論、いろいろありますけれども、一体どういうふうに対処できるか。  これに対して、七年度の組み替えというお話も出るのかどうか知りませんが、これは六年度の補正は、ともかく二次補正は早急にやった方がいいと思いますね、これは。これはうんと急ぐ。七年度のことは、そうはいっても、それだけの問題を整理していくのに相当時間がかかるので、私は、やっぱり七年度の本予算は本予算で上げて、それでそれに対する七年度の補正というのは、私の感じで言えば、今国会の会期中の最後のころに間に合うか間に合わないかぐらいのスピードになるのかなという感じがいたしておりますけれども、そのときにどういうことをやるかという議論は、今やっぱり詰めていかなきゃいけないと思いますね、財源の方も。やっぱりこういう町をつくりたいというディザイアラビリティーといいますか、要望はあるでしょうけれども、そこまでやれるのかというフィージピリティーの方もきちんと議論してやっていかないと、すばらしいうちを建てたいと娘が言って、お父さん、そんな金ないよと言ったら、そこでだめなんですから。その両面相まってやっていかなきゃならない。よく湾岸のときに組み替えをしたじゃないかという議論がここでも出されていましたが、私はあのときにたまたま経企庁長官をさしていただいて、橋本先生が大蔵大臣で、本当に采配を振るっていただいて、ともかく予算ができちゃってから一兆円の金をつくらにゃならぬというのはえらいことでしたよ。九十億ドル、一兆円のお金を。国会も、皆さんの御了解を得られて、ともかく出したし、そのときだって私なんかには、そんなことやったら大インフレが来るんじゃないかって、そんな質問ばかりでした。いや、来ません、大丈夫ですよ、経済にそういうインパクトを与えないで何とかこれだけのものが、国際的義理といいますか、果たしましょうということでやりのけた。あれとは今違う。何が違うのかというと、あれは出すところが、先がきちっと決まっておったんであります。今度は、どこにどういうふうに金がかかるかということから計算し直さなきゃいかぬですから、だから相当時間がかからざるを得ないという感じがいたします。  今後の復興について、お時間が来ましたから、総理から、心配している人がたくさんいるわけですから、確信を持って、復興をそういう財源面からきちんと手当てをして立派にやっていくということをお話しいただきたい。もちろん、今まで私が申し上げた財政運営についても、総理財政改革と御自分の演説の中でおっしゃっているんですから、総理の考えている財政改革のお考えがあれば、最後に御所見を伺っておきたいと思います。
  31. 村山富市

    村山内閣総理大臣 先ほど来、今の日本財政が抱える歳入歳出にわたる大事な問題点があらゆる角度から指摘をされましたけれども、そういう厳しい現状にあるということを前提に踏まえた上で歳出の洗い直しをして、できるだけ削減をし、効率的、効果的に金が使えるような道筋というものを明らかにしていくということも大事だと思います。  同時に、単につじつまを合わせるというのではなくて、日本財政が健全な足取りをたどっていく、そのためには、歳入についてもどのような角度からどのような問題点をきちっと始末をつける必要があるのかというようなことについて、いろんな御指摘がございましたけれども、私は確かにそうだと思いますし、同時に、日本財政というのは、いろいろ言ってみたって、これは国民全体が支えているわけですから、したがって、ふだん からこういう日本財政の現状というものを国民の皆さんにも理解してもらえるような、そういう手だてというものもきちっと講じて、率直にそのあるべき姿というものをきちっと示していくということが何よりも大事ではないかというふうに思うんです。  それから、兵庫県の大地震のことですけれども、当面はやはり救援が大事ではないか。これは相当、若干減っていますけれども、二十六万ぐらいの方々が避難生活をしているわけです。その中には乳飲み子を抱えた方もおりますし、同時に寝たっきりのお年寄りもおりますし、同時にまた身体障害者もおられるというような方々に対する配慮をしながら、少しでも不安を解消して生活に落ちつきを持ってもらうということのための救援対策というのは必要だ。  そのためには、当面必要な第二次補正というものを、今お話もございましたように、早急に手だてをして、これでやるからひとつ安心してほしいというようなものを示していく必要があるんではないかというふうに思いますし、今御審議をいただいております新年度の予算につきましては、これは経済全体にかかわる各般なものを持っているわけですから、これはもう早期に成立さしていただきまして、あと復旧、復興に絡まる問題につきましては、可能な限り早い時期に第一次補正を組んで、そしてこういう構えで、こういう方針を持って復興に政府は全力を挙げて取り組むからという道筋も示してきちっとやっていく必要がある。  そして、日本経済全体にやはり基盤を踏まえているわけです。これは単に兵庫県だけの問題ではない。これはもう、流通から考えてみても、いろんな経済全体を考えてみても、日本経済全体に及ぼす影響というのは大変大きいわけですから、国民全体の視野に立って、そして物を考えていくというような視点を踏まえて、とりわけ被災者の皆さん方に勇気と希望と展望を与えるということが大事だというように思いますから、そういう方向にこれからも全力を挙げて取り組んでいきたいという決意だけは申し上げておきたいと思うんです。
  32. 越智通雄

    越智(通)委員 ありがとうございました。総理も健康に気をつけて頑張ってください。  以上で質問を終わります。
  33. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて越智君の質疑は終了いたしました。  次に、坂上富男君。
  34. 坂上富男

    ○坂上委員 村山総理を初めとされまして、各大臣の皆さん方、大変御苦労さんでございます。  私は、平成六年度補正予算について、社会党を代表いたしまして質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、阪神大震災についてでございますが、阪神大震災で亡くなられた方々の御冥福と被災者の方々に謹んでお見舞いを申し上げるものであります。また、救援のために自治体の職員の皆さんを初めとして、国の職員の皆さんの第一線で働いている方々、あるいは警察、自衛隊、消防、郵政、通信、鉄道、電気、もうありとあらゆる関連業務の第一線で頑張っておられる皆様方は、まさに不眠不休の働きをしておられるわけでございまして、これらの方々の御労苦にまた思いを深くいたしておるものでございます。また、数多くのボランティアの方々の御活躍にも大変深い敬意を表しておるわけでございます。  村山総理は、亡くなられたお一人お一人に手を合わせて御冥福を祈りたいというお気持ちであろうと思っております。また、被災者の一人一人の手をとって元気を出してくださいと頼みたいところでありましょう。また、自治体等の不眠不休で働いておる現地の皆様方にありがとうと、また励ましていただきたいという心境であろうと思っておるわけでございます。  本当に、総理、御苦労さんでございます。昼は国会で一日じゅう、夜は寝ることも多分少なく、地震対策に、村山総理、各大臣、政府関係者の御労苦、察するに余りあります。眠られない夜も幾晩か続いておるのでなかろうかとも思っておるわけでございます。困難との闘いとなっておりますが、お体にくれぐれも留意をされまして、被災者の皆様方のために頑張っていただきますようお願いをいたしたいと思っておるわけでございます。  また、この惨事を私たち国民が聞いたとき、何かしなければいても立ってもいられないという思いに駆られました。ある人は、救援カンパ箱を持って街頭に立ちました。ある人は、カンパ箱の中に何回も何回もお金を投げ入れてくれました。救援物資が市町村の役所に持ち込まれました。ポリ容器に水を詰め込むボランティアの方々が、私たちの町にもたくさん出てまいりました。中には、救援物資を車に載せて被災地に走った方々もあるのであります。国民一人一人の善意が今大きな輪になりまして、日本国じゅう燎原の火のように、否世界じゅうの皆様方の善意の輪が大きく広がっているのであります。  私の町は、小さい八万ばかりの人口の三条市でございますが、ここに中小企業の運送屋さんがあります。この運送屋さんがこの大惨事を聞きまして、十七日の夜、救援物資の無料運送の構想を立てました。十八日の午後二時、これを正式に決定をいたしまして、テレビや報道機関に協力を呼びかけました。夕方、私の町三条市役所や新潟県庁に受け入れ先の要請をいたしましたが、未回答でございました。午後六時、三条市役所より赤十字神戸支部が受け入れ可能という返事がございました。  午後六時、各テレビ放送がなされました。もう県下じゅうから電話が殺到いたしまして、夜の十一時ぐらいまで各県民の皆様方から照会の電話がございました。そして、翌十九日でございますが、電話が殺到する中で、善意の物資を持ち込んでまいられました。もう見る見るうちに構内が山のようになったわけでございます。翌日の十九日午前九時でございますが、三条市役所より赤十字神戸支部に照会をいたしましたところ、水以外は受け入れはできませんという連絡でございました。  そこで、午前十時でございますが、たまたま私が恩師の葬儀に参列をしておったわけでございますが、その会社から私のところに要請がありました。もう先生来てみてくれ、これだけ救援物資が山積みになっているけれども、水以外は被災地に運ぶことができないのだが、何かあるはずだからひとつお頼みします、こういうお話がありまして、私は厚生省の政府委員室の室長さんに連絡をいたしました。泉さんとおっしゃいます。直ちに照会をしていただきましたら、兵庫県が神戸市の消防学校に救援物資をいただいておるというあれがありまして、そこへ運搬をしてくださいという要請がありました。そこで午後二時、十台の大型トラックが物資を満載をいたしまして出発をいたしたわけでございます。二回にわたりまして出発をいたした、こういうことになっておるわけであります。  総理、これが一千名の、あのとき集まりました救援物資の名簿でございます。私の町から上越というのは随分離れているのです、百五十キロあるのじゃないでしょうか、そういうところからもみんな運び込まれているわけであります。各市町村からもここへ運び込まれているわけでございます。  そんなような状況で、私は、今度はこれが着くか着かないかということが大変心配になりました。翌日の午前六時到着の予定であったのでございますが、夜の六時半に日赤に水が届いたそうです。そして、救援物資が消防学校に届いたそうでございます。ほっといたしました、私も。第一陣だけでは間に合いませんので、第二陣が二十五日にまた五台ぐらい出発をいたしたわけでございます。  水を詰めかえるというのは容易じゃありません。そこで、ボランティアの方々が三十名会社に集まりました。全部ポリ容器に水を入れるわけでございます。もう本当に皆さん方が必死になってこの救援活動に、私たちの町の中で県下じゅうの 皆様方が集まってなされたという状況でありました。  こんなような状況でございますから、村山総理、本当に今日本の大事な大黒柱でございまして、各閣僚の皆様方あるいはまた政府の重要な役職にある皆様方にとっては今こそ本当に、これらの皆様方の救援のために御努力をいただいてはおりますが、さらにお願いを申し上げ、お体だけは気をつけていただきまして頑張っていただかなければなりません。  さてそこで、もう地震が起きましてから三週間でございます。この間政府は矢継ぎ早にできる限りの手を打っているわけでございますが、各省庁別にその実績リストを簡潔に示していただきまして、今後予定されておる対策のリストも、簡単にわかりやすくするように、公表する必要があるんじゃなかろうかと思っております。また、支援の手を差し伸べてくれました世界各国の皆様方にも、今どういうふうになっているかということもお知らせをすることがマナーなんじゃなかろうかと思っておるわけでございます。国会での応答や報道記者の報道だけでは被災者の皆様方の不安は募るばかりでございます。そんなような意味から、まず私はやるべきことは今言ったことを第一にしていただかなければならないと思っておりますが、いかがでございますか、総理
  35. 佐藤観樹

    佐藤委員長 小里地震対策担当大臣。要点のみ、簡単で結構でございます。
  36. 小里貞利

    ○小里国務大臣 三週間経過いたしましたこの時点で振り返って、地元の皆さんあるいは政府が一体となって対処してまいりました主なる事項と申し上げますか、要点を整理してそれを関係者の皆様方に公表する、あるいはまた温かい援助を限りなくいただきました諸外国の皆様方等にもお知らせすることが大事ではないか、そのとおりであると思います。  殊に、先生御承知のとおり、諸外国の皆様方に対する謝意あるいはまた今後の措置等については、先刻外務大臣も言明のとおりでございました。私どもは、この時点できちんとその辺を総括して行うべきであることは当然でございますが、今までのうちにも、実は、三週間を振り返ってみますと、緊急事態、そして被害が大変大きかっただけに、また対応も大幅に迫られたわけでございますが、ニーズもまたそれ以上に大変大きなものがあったわけでございます。その間に、官房長官よく言っておられるように、走りながら政府も機敏に可能な限り対応しますと言ってきましたが、その間一つ一つの政府の施策を一応は公表をしてまいっておるところでございますが、この機会にきちんと整理する必要がある、さように思っております。  なおまた、先生御承知いただいておるかと思うのでございますが、今ここに私持っておりますが、実は政府の広報紙でこのような一つの整理をいたしまして、そして現地あるいはまた関係自治体等には御配布を申し上げております。簡単に申し上げますが、この中身にいたしましても、市民の生活にかかわる情報等、あるいはまた精神科救護所を開設いたしましたよ、あるいは住宅復興はこういうことでございます、あるいは就職あるいは入学手続等に関することはこういう内容でございますという要点をできるだけ簡潔に、そして大幅にわたって一応の広報紙等は配布はいたしておりますが、これで決して十分であるとは思いませんから、御指摘のとおり心得てまいりたいと思います。     〔委員長退席、三野委員長代理着席〕
  37. 坂上富男

    ○坂上委員 さらに、あわせまして総理に少し要望として申し上げたいと思っておるわけでございます。  私は、総理はこの際、テレビやラジオを通じまして被災者の皆様方に直接語りかけるべきであろうと思っておるわけでございます。どのような御所見でございますか。
  38. 村山富市

    村山内閣総理大臣 冒頭に委員からお話がございましたように、五千を超す皆さんが亡くなられた、その遺族の方々の心情あるいはまた避難生活をこの寒い厳しい中に送られている皆さんの今の現状等を考えた場合に、これはもう総力を挙げてとりあえず不安を解消して、あしたはこういうふうによくなるぞというような希望を与えるような施策というものをきちっと講ずる必要があるというふうに思って、今全力を挙げて取り組んでいるところであります。  これからはいよいよ救援から復旧から復興という段階に経過が行くわけでありますけれども、先ほども申し上げましたように、やはり展望を与えて希望を持っていただく、その立ち上がる勇気を持ってもらうということが大事だと思いますから、そういう中身を持ったものをこれからやはり大いに国民全体にも私の立場からお願いし、お話を申し上げる必要があるのではないか。御指摘の点は十分踏まえて今後検討し、努力をしていきたいというふうに思います。     〔三野委員長代理退席、委員長着席〕
  39. 坂上富男

    ○坂上委員 どうぞひとつ、被災者の皆様方一人一人にお話しするわけにはまいりませんでしょうから、できるだけ今あるテレビ等を使いまして、国民の皆様方や被災者の皆様方に安心できるように総理は直接御訴えをいただきますことも特に要請をしたいと思っております。  さて、こういうような状況下で特に地方自治体の職員の皆様方はまさに不眠不休でございます。みずからが被災者でありながら、いわゆる被災者のために全力を挙げて頑張っておられるわけでございます。私は、この職員の皆様方の健康に大変心配をいたしております。それから、これはきっと長期にわたるでありましょうから、これに対する対策をどうしておられるのか、これらの所見野中自治大臣にお聞きいたしたいと思います。
  40. 野中広務

    野中国務大臣 委員御指摘のとおりに、今回の地震災害に対しましては、消火に当たります消防職員あるいはボランティアの消防団員の皆さん、あるいは救助にそれぞれ当たられる消防職員、警察官、その他大変被害の大きかった水道事業復興、さらには各種技術職員等、被災地の消防職員、水道職員を初めとし、治安活動、交通規制等に当たります警察官、その他全国から多くの応援の職員の皆さん方が不眠不休で活躍をされておりまして、昨日も私も現地にお伺いをいたしまして、まことに頭の下がる思いでございました。日曜、土曜等全くなく働いていただいておるわけでございます。  このような献身的な活躍は、公務員として高潔な使命感によってなせるものでございまして、私は、公務員の模範として後世長く語り継がれるであろうと思うほど深い感銘を受けておる次第であります。したがいまして、災害が、今御指摘ございましたように対策として非常に長期化する状態でございますので、被災地の職員の健康管理は重要な課題でございまして、昨日、知事初め関係市長、町長とも話し合いながら、そのことを一番気遣っておったところでございます。  今後そういう意味におきまして、知事初め関係の自治体の皆さん方からも、ぜひ全国からの、厚かましいけれども、地方公共団体からの職員の派遣についてさらに配慮をいただきたい。さらにまた、関係の皆さん方随分お疲れになっておりますので、我々当該地方公共団体の者は交代など考えるべきではありませんけれども、交代の職員についても支援体制を充実を図っていただいて、ぜひ厚い御支援をいただくことをお願いをいたしたいという旨もございまして、今後とも職員の健康管理に十分注意をしながら、支援体制の確立に努力をしてまいりたいと存ずるわけでございます。  私ども所管をいたします消防庁あるいは警察関係につきましても、全国からそれぞれ配置をし、特に消防庁からも被災以来現地に入っておるわけでございますけれども、ようやく昨日ごろから交代要員を少しずつ派遣をして、そして職員の十分な体制がとれるように配慮しておるところでございます。
  41. 坂上富男

    ○坂上委員 あとはもう本当に一行ずつぐらいの答弁で結構でございますから。しかし、極めて大事な問題でございますから、時間の範囲内で質問 させていただきます。  まず一つは、危機管理のことが大変議論されておりますが、原発災害対策は一体危機管理の中の対象になっておるかどうか。これ、万々一この阪神大震災の中に原発事故が起きて放射能が放出されたというならば、今度はもう大変な事態が発生をするわけでございます。私は新潟でございまして、柏崎原発あるいは巻原発が問題になろうとしているわけでございますが、皆さん方も大変御心配をなさっておるわけでございます。これはもう危機管理の対象事項になっておるんでございますか、検討事項として。官房長でも総理でも結構でございますが、御答弁ください。
  42. 田中眞紀子

    田中国務大臣 お答え申し上げます。  原子力安全対策につきましては、ここ数日来ずっとお答え申し上げておりますけれども、岩盤の上に建って等というふうなこと、それから耐震構造等はもう御存じのとおりだと思いますが、要するにこういうふうなことが起こってみますと、緊急の避難訓練のことを多分先生は御心配じゃないかと思いますけれども、非常事態に備えまして、通信等であらゆる県が、具体的に地方自治体とそれから事業主体、発電所ですけれども、それと県と、それから国と連絡が緊密にとれるような体制はできております。そしてまた、それを実施しているところもございますけれども、住民参加ということまで踏み込んで申し上げるのでありますれば、ここに資料がございますけれども、北海道、福島、石川、佐賀県等は住民参加も数年に一回繰り返してやっていらっしゃるようでございます。  ですから、今回の震災がありましてますます危機意識が高まっていると思いますので、原子力施設の安全性ということは十二分に理解をしていただきたいと思いますし、またその安全管理に私どもは十二分に努力もしているわけでございますけれども、避難ということについても、もう少しフランクに話し合いができるような環境になればいいなというふうに考えております。
  43. 坂上富男

    ○坂上委員 まず内閣にちょっとお聞きをしておきたいのですが、原発事故が起きた場合に、危機管理の体制の対象事項になっているかどうか、検討事項になっているかどうかということをお聞きをしているわけです。  田中長官につきましては、住民の避難訓練をやっていないところがいっぱいあるわけでございます。四県しかやっていないのです。あと全部やっていないわけですから、もうこの段階で住民参加の避難訓練というのをするように御指示、御指導をいただくことが必要なんじゃなかろうか、こう思っておりますが、そういう意味でございますから、どうぞこっちの方からお願いしたいと思います。
  44. 五十嵐広三

    ○五十嵐国務大臣 先般来お話し申し上げておりますように、いわゆる危機管理体制につきましては、この機会に全面的に見直して、しっかり国民に御不安のないように対応してまいりたい、こう思っておりますが、その検討の中に原発事故につきましては当然含まれるということだと思います。  当面の緊急のプロジェクトチームというのは、殊に今度の反省で、災害が起こって直ちに情報等を真っすぐ、しかも的確な情報を把握して連絡する、その連絡のルート、あるいはそれを受けて直ちに指示するという、この初期のところの動きをまず取り出して、短期にその結論を出して、即実施するという意味で検討しているわけでありますが、総体的な検討はもとより少し時間がかかりますけれども、今申しましたようにしっかり腰を据えてこの機会に抜本的に変えたい、こういうぐあいに思っている次第でございます。
  45. 田中眞紀子

    田中国務大臣 原子力施設は、もう再三申し上げていますように、本当に安全対策は万全を期しております。が、防災訓練は、実施主体はもう御案内のとおり地方自治体がやることでございますから、そういうような方向であれば支援をしていきたいというふうに思っております。
  46. 坂上富男

    ○坂上委員 これから原子力委員会か何か専門委員会で検討なさるそうでございますから、ひとつ避難訓練も指針の中に入れるように強く要請をしておきたいと思います。  時間がありませんので急ぎます。  法務省でございます。倒壊家屋は十万以上であります。このうち、減失登記の対象になるのがどれだけ出てくるかわかりませんが、ちょっと新聞では、職権でもって滅失登記をする、こういうような方向に今努力しておられるようでございますが、この点とうなっておりますか。  それから、区分所有権に関する法律改正問題です。これは建て直しなどについては五分の四を緩和する必要があるとか、そういう要請が出ておるわけでございます。罹災都市借地借家臨時処理法はマンションのような区分所有権についてはほとんど考えられないときにできたものでございますから、一体こういう点をどういうふうになさっておるのか、この点ちょっと簡単でいいですからお答えください。
  47. 前田勲男

    ○前田国務大臣 滅失登記の件でございますが、建物が滅失した場合にはその所有者の申請によって滅失の登記をするのが原則となっております。登記官が職権で減失登記をすることもできるとされております。  それで、調べましたところ、一般の家屋、平均でございますと滅失登記にやはり数万円ぐらいの費用を要するようでございます。そんなことでございますので、この震災による減失登記についても、この手続は原則的には同様でございますが、被害の甚大さにかんがみまして、被災者の負担が軽減される簡易な手続を今検討いたしておるところでございます。現在のところ、減失建物の分布状況、関係市町村の調査、建物所有者の意向などの把握に努めておりまして、関係機関と協議の上、適切に対処したいと存じております。  それから、マンションの区分所有でございますが、このような事態をこのマンションの区分所有法を制定した当時想定されていなかったというのも事実でございまして、こうした観点から、現在ある法律の解釈で、運用上の工夫でできるのか、あるいは何らかの手当てを要するか、この辺は現在真剣に専門家の間で検討していただいておるところでございまして、いずれ早く結論を出したい、かように考えておるところでございます。
  48. 坂上富男

    ○坂上委員 いま一つですが、さっき越智先生が破産問題について出されたわけでございますが、関東大震災の経験を踏まえてみますると、勅令で破産猶予令というのが出たそうでございますが、これは御存じのとおり、会社が債務超過になりますと破産原因になるわけでございます。  この破産猶予令というのは、今は勅令はできませんから法律をつくらなければならぬわけでございますが、こういう対象の会社が相当たくさん私は出るのじゃなかろうか、こう思っておるわけでございますが、破産猶予法の、法律制定の用意は一体検討なさっているんでしょうか、どうでしょうか。  もう本当にこの問題は大変な問題になっておるものでございますから、こういう対象の会社が、これは私は万を超えるんじゃなかろうかと思っておりますが、法務省はどう考えておられますか。どういう準備をなさっておるか、お答えをいただきたいと思っております。
  49. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 破産手続につきましては、ただいま委員御指摘のとおり、関東大震災のときに特別の措置を定めた例があるわけでございますが、今般の震災について同様な措置を講ずる必要があるのかどうか、これは被害の実態あるいは関係省庁ともよく協議をして、その要否を見定めていきたいというふうに思っております。
  50. 坂上富男

    ○坂上委員 それから、今度総理、よろしゅうございますか。水俣病でございます。  これは、原爆被爆者援護法の制定、戦後五十年問題の対策、それから水俣病解決は村山内閣でこそ解決されなければならないと思っておるわけでございます。水俣病患者に対する解決に向けての見解と決意について、まずお伺いをしたいと思います。
  51. 村山富市

    村山内閣総理大臣 御指摘の水俣病の問題につきましては、もう相当古い話でありますし、関係者もだんだんお年をとって高齢化しておる、こういう現状の中で、これは私どもが行政として取り組むやはり重要課題の一つだという認識に立って、これまでもこの認定業務の促進、水俣病総合対策事業の実施等さまざまな施策を講じてきておりまするけれども、同時にこの問題はいろいろ難しい点があることも御理解をいただきたいと思うのです。  しかし、私としては、今申し上げましたように行政の重要課題の一つという認識を持っておりますから、関係者の方々の置かれた状況に深く思いをいたしながら、何とか水俣病問題の解決ができるよう、これからも一層努力を続けてまいりたいというふうに考えておるところでございます。  この問題につきましては、現在与党の環境調整会議関係者から幅広く意見を聴取されているところでございますから、こうした推移も見守りながら、何とか解決に向けて努力をしていきたいという決意を持っております。
  52. 坂上富男

    ○坂上委員 今総理が最後に答弁なさったこと、ここにもう書いてあるわけです。「昭電 早期解決に前向き」であるとこの間やったのです。「国が指針を示せば対応」する。これはトップ記事です。もうそこまで来ておるわけでございますから、政府も大変御苦労でございますが、水俣病問題も対応していただきたい。  地震が起きたために、水俣病の諸君たちはそれに遠慮をいたしまして、強い要請行動というのを実は十七日、十八日、準備していたのでございますが、おやめになったわけでございまして、この心境を思いますとまた心痛む思いでございますから、与党政策調整会議の結論によって対応したい、こう言っていますが、そういう答弁が昭電からなされておりますことも御理解の上、どうぞ御努力のほどを賜りたいと思っております。  さて、いま一つでございますが、法務大臣、ことしの一月二十五日に——佐川急便事件の、三億円がいわゆる新潟県知事選挙に渡された、こう言われまして、一億円については金子元知事に対する判決がありました。二億円については行方不明ということになって、不起訴処分になったわけでございますが、私たちは東京検察審査会に申し立てをいたしましたら、一月二十五日、こういう議決書をいただきました。  御存じだと思うのでございますが、ちょっとさわりだけ読んでみます。「本件二億円が配分された可能性が十分あると考える。とすれば、検察官としては、その人物を取り調べることなく捜査を終了したことは到底納得できない」「その人物に対する疑惑がある以上、関係者、自治体議員に対する取り調べを行うことは当然であり十分な捜査を尽くしたとを言いがたい」、こうまで言っているわけでございます。  検察に対する厳しい指摘でございますが、法務大臣、これをどういうふうに受けとめられていますか。刑事局長、これに対してどういう対応、これから捜査を進めるのですか。お答えください。
  53. 前田勲男

    ○前田国務大臣 検察審査会の議決につきましては、法務大臣としてコメントは差し控えなければならないと思っておりますが、検察当局におきましては、検察審査会の不起訴不相当の議決を受けまして直ちに事件を再起したところでございまして、議決書の内容を十二分に検討した上に、適正な捜査処理を行うものと考えております。  なお、以下につきましては刑事局長より御答弁申し上げます。
  54. 則定衛

    ○則定政府委員 ただいま大臣から答弁ございましたとおり、検察当局におきましては、検察審査会の議決書の内容をよく踏まえました上に、適切な捜査を実行して処分を行うということになると考えております。
  55. 坂上富男

    ○坂上委員 あすは私たち新潟県の国会議員団、県会議員団が検事正あるいは刑事局長に要望いたします。迅速に厳正な捜査をしてくれということを申し上げるわけでございます。この二億円が解決しなければ政治改革の完成はないんです。きちっと明確にしてその責任を明らかにすることが、私は、政治改革実現のための最終的な結論だろうと思っておりますから、これをあいまいのままにしたのでは政治改革未完成なんでございますから、どうぞそういう点でお願いをいたしたいと思います。  運輸大臣、ちょっとお願いをしたいのでございますが、鉄道共済年金問題についてでございます。  これは、直接担当ではございませんけれども、鉄道で働いている皆さん方が年金問題で大変心配をなさっておるわけでございまして、公的年金、この間一元化をしていただいて、二年間の制度間調整継続を決定されているわけでございます。さらにまた、財源確保のための調整事業のほか、自助努力も行われているわけでございまして、共済組合員の保険料率は限界にもう達しているわけでございまして、こういうような観点から見て、運輸大臣、どういうような御見解で対応されておるのか、簡単で結構でございますから、お願いします。
  56. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 今委員御指摘のことにつきましては、運輸大臣という立場におきましても、大変心を痛めてきた問題でございます。  旧国鉄が破産状態になった、その後遺症を現在のJRの職員が引きずっておるということは、決して好ましい状況ではございません。これにつきましては、やはり年金を一元化をして負担の均衡化を図るべきだ、このように考えておりますので、関係者に対しまして私なりに強い理解を求めておるところでございます。
  57. 坂上富男

    ○坂上委員 ありがとうございました。  建設大臣と運輸大臣に、ちょっと厳しい質問をさしてもらいます。  この間、この予算委員会で、高速道路、新幹線は手抜きや不正工事があったのじゃなかろうか、こういう御指摘がありました。私のところにこういう投書が参りました。それから、関係者からこういう写真をいただいているのでございます。  どういうことかといいますと、こういうことなんですね。生コンを入れるとき、大体その場所に二十台ぐらい並ぶんだそうです。大体一台が二十分ぐらいかかるんだそうです。どうしても早くセメントを入れるには、水を加水をするということによって早くなって、十分ぐらいに短縮できるそうです。しかし、そういうことをいたしますと、いわゆるセメントの一番大事な部分が逃げちゃって強度が非常に弱くなる、こういうようなことでございます。  継ぎ目と継ぎ目が、日をずらしてやったものだから密着しないんだというふうなことが出ておりましたが、それもそうかもしれませんけれども、どうもやっぱり目を盗んでそういうようなことがしゃあっとやられたんだ、こういうことを、投書です。私はこれらの人たちにお会いをしてきました。それから、何百人でも証人に出るそうです、そのことで。きのうその写真もいただいた、こういうわけでございます。これはひとつ、こういう点について厳重な調査をしていただきたいと思っております。  特に、運輸大臣、何か調査委員会見てみますと、どうも身内ばっかりが出てきているんじゃなかろうか。名簿を見ますと出ているようでございますから、そういう点の心配は細川先生がこの間やったのでございますが、名簿をいただいたらどうも身内の皆さんばっかりで、これは公正が保てるんだろうか、皆さん心配しておりますが、その点、簡単にどうぞ。
  58. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 現在、松本委員会、一日から三日まで現地調査に入りまして、徹底的な調査活動を実施し、会合を開いてこの検討をやっておる最中でございます。  その委員が偏っておるんじゃないかという御批判ございましたが、委員長松本先生は東京理科大学の教授、専門家でございますし、メンバー等につきましても、こうした予測しないような事態になったことを深刻に私どもは受けとめておりますので、客観的に、徹底的にこの原因を究明をす る。特に、木片が発見をされたりというような異常なことも事実上あるわけでございますから、そういう意味で、私どもとしては、とにかくあらゆる方々の御意見もちょうだいしながら、これについては徹底的に解明をしてまいりたい、このように考えておりますので、御信頼をいただきたいと思います。
  59. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 お答えをしますが、簡単に申し上げます。  事業は四十三年から四十四年にかけて行われておりまして、お話しのようにコンクリートの水増しというような問題についてでございますが、当時は鉄筋コンクリートの強度試験とか現場監督の立ち会いをやっておるという事実はわかっておりますが、先生が写真で示されましたように、そういう圧縮試験の設計どおりやられておるかどうかということは、今原因の追求をしておるさなかでありまして、橋梁工学者や地震工学者等による検討委員会が二回目の原因究明を行っております。したがって、その結果、そのデータに基づいて原因を徹底的に追求して、質問の御趣旨にこたえたい、こういうふうに考えております。
  60. 坂上富男

    ○坂上委員 時間も経過して恐縮でございます。一言でございます。  この補正予算の半分近くがいわゆるウルグアイの関連予算でございます。これ、ひとつきちっと六年間に予算化していただきたい、こう思っておるわけでございます。  そこで、六千億のこの補正予算でございますが、その後のことが全然明らかになってこないわけであります。平成七年の農業予算を見てみますると、ウルグアイの方が入っているかどうか、それから、この関連について平成七年で補正をやるつもりなのか、あるいは平成八年で一般予算の中に入れるつもりなのか、その辺も少しあれしていただきまして、きちっとこの六兆百億でしたか、守っていただけるように、実施していただけるようにということを特に要請したいのでございます。
  61. 武村正義

    武村国務大臣 六年間で六兆百億円の約束は、誠心誠意果たさせていただきます。補正、当初等に分かれておりますが、早速今回の措置で、両方合わせて一兆千四百億ぐらいになろうかと思いますが、国・地方を含めて、対応をさせていただきます。  当初予算にも入っております。したがって、当初予算補正予算の区別はございますが、実質六年間でこの総額を間違いなくきちっと対応させていただくということを繰り返し申し上げておきたいと思います。
  62. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて坂上君の質疑は終了いたしました。  次に、五十嵐ふみひこ君。
  63. 五十嵐ふみひこ

    ○五十嵐(ふ)委員 新党さきがけの五十嵐ふみひこでございます。  提出されました補正予算案には賛成でございますが、大事なのは第二次補正でございます。先ほど、二十四日を提出の目標とするという大臣のお話がありましたけれども、二十四日目標が少しでも前倒しにならないか、被災者の皆さんに安心をしていただくために、私はそうした措置ができればありがたいなと思っているところでございますが、大蔵大臣から、提出の見通しについて前倒しができないかということをもう一度お伺いをしたいと思います。
  64. 武村正義

    武村国務大臣 事務当局全力を挙げて急いでおるところでございまして、そういう中で二十四日という最短の目標をみずから課して発表いたしているわけでございます。気持ちとしては、御指摘のとおり、一日でも半日でも早かるべしという気持ちで全力を挙げていきたいと思います。
  65. 五十嵐ふみひこ

    ○五十嵐(ふ)委員 よろしくお願いをいたします。  大震災について、私も現地へ行ってまいりました。そして、もう政治家のパフォーマンスは結構だ、ともかく実務の世界できちんとフォローをしてほしいという声が強いということを身をもって感じてまいりました。だれが悪いかより、どこが悪かったのかをきちんと見定めて今後に反映をしていく、この姿勢が私は大切だろうと思います。幾ら慰めの言葉を政治家が並べ立てても、私は亡くなられた方は満足をされないだろうと思っております。  特に官邸の情報収集、そしてその処理の機能がシステムとして劣っていたということは、これは私は見逃せない事実だろうと思います。また、国と自治体との関係、自衛隊と自治体との関係もシステムとして私は不十分であったということを感じざるを得ません。そのことをきちんと把握していかなければいけないと思います。  私自身も、実は大変反省をしているところでございます。この事態が起きてしまったことは、これは自然災害なんでありますけれども、やはり面的な被害でこれだけ出てきた以上は、今まで私たち政治や行政が引きずってきたあらゆる仕組み、あらゆるものがここに噴出をしてきていろいろな被害を拡大をさせてしまった、そういう見方で私は当たるべきなんだろうと思っております。  危機管理についても、私は、国民の生命財産の安全を守ることが国の最大の役割でございますから、最悪の事態を予想して、危機管理というものにはきちんとして法制度をもって当たるということが大切だということを、実は以前から主張をしていたところでございます。  昨年の十月二十七日の災害対策特別委員会では、大地震を想定をした、あるいは大地震に伴ってテロ行為あるいは国際テロ行為が同時に起きるかもしれないということも含めて、私は危機管理というものをきちんと考えておく必要があるということを、そのときに国土庁長官にも申し上げたところでございます。  それは私はタブー視をしてはいけないと思う。なぜかというと、我が国の中で唯一の実力部隊である自衛隊というものは超法規的に出動するようなことがあってはならないということでございます。最悪の事態を考えて、しかし法にのっとって、シビリアンコントロールのもとにきちんとした整然とした活動がなされるということが大事だという観点から、これは有事法制という言葉だけに惑わされて、そしてタブー視をしていってはいけないということを申し上げてきたところでございます。そうした立場から、そのときにも数々の質問をさせていただきましたが、私は中途半端な追及で終わってしまいました。実に反省をしてい一るところでございます。  例えば、その中の一つ地震保険の問題もありましたし、あるいは、大震災が起きたときにヘリを立川の防災基地に飛ばさなければいかぬ、そのとき一体どのような運用方針で、どこから何機、どのような形で飛ばすのか、そこがだめになったときにどこに代替があるのか、あるいは、立川基地そのものが活断層の上にありますからだめになるかもしれない、そのときは防災基地そのものをどこで代替をするのか、そのようなことも私は考えており、また質問をさせていただいたところでございます。  あるいはまた、例えば面的な被害が大きく広がったときに、病院自体もつぶれます。今回もそうなりました。そのときに野戦病院的なものを設置する必要があるのではないか、そのときに例えば医療法が障害になりはしないか、そういった面からも防衛庁の関係等、危機管理の法制についてきっちりと考えておく必要があるということを申し上げました。  そのときに、防衛庁の防衛局の運用課長さんだったと思いますが、今はそういう事態を想定をしていない、自衛隊は後方の病院に運ぶだけであって、被災地において病院あるいは野戦病院的なものを開設する事態を想定する必要がないみたいな御回答でございました。私はそれはちょっと不十分ではないかということを申し上げましたけれども、その後も、例えばヘリの問題については国土庁と防衛庁等では検討をされるということでございました。  その後、国土庁長官あるいは防衛庁長官、そのような私が具体的に指摘をさせていただいた危機 管理の面で御検討が進んだかどうか、あるいはどのような段階であるかということを、簡単に一言で御回答いただければありがたいと思います。
  66. 小澤潔

    ○小澤国務大臣 先般も先生からの御質問があったところであり、災害緊急時の迅速かつ適切な対応は被害軽減のためにも重要な課題であると考えております。その充実強化を図ってまいる所存でありますが、立法措置を行うかどうかについては、今回の教訓を踏まえて今後検討を行う必要があると考えております。  なお、現在災害緊急事態発生時の官邸及び関係機関の災害即応体制検討プロジェクトチームを設置をいたしまして、大地震発生時における官邸と関係省庁との間の情報連絡体制を十分にするということを中心に検討を行っております。今後は、今回の教訓に照らして、情報収集・伝達体制の充実強化に向けて改善を図っていく所存であり、できるだけ早く結論を出していきたいと考えております。
  67. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 委員御指摘のように、大災害に対しまして自衛隊が迅速に対応するということ、また、その対応におきましてはあくまでもシビリアンコントロールのもとで行うということ、全くそのとおりでございます。  そこで、災害対策基本法と自衛隊法第八十三条に基づきまして、原則におきましてはこれで対応できる、こう考えております。したがいまして、今回の場合におきましての反省でございますけれども、やはり自衛隊が当初から大震災の計画に参与しまして、ふだんからの訓練を行っておくことということがやはり運用面で最も大事である、こう思うわけでございます。  具体的に、つまり南関東地区及び東海地区の大震災計画というものはできておるわけでありますので、先ほど申し上げましたヘリコプター等の運用等についても、それに基づいて行う。それから、野戦病院等におきましては、今回も十三カ所設置をいたしまして対処しておるところであります。
  68. 五十嵐ふみひこ

    ○五十嵐(ふ)委員 そのときにも、法制上、例えばそういうところでは点滴がどうかとか、保険診療の適用がどうかというような問題でトラブルがあったと伺っておりますから、そうした問題についても法制上これからきちんと私は御検討をいただきたいと思います。早急に御検討をいただきたいと思います。  それから、こういった災害を、いかにその教訓を生かすかということが大切でございまして、例えばマスコミのヘリがたくさん飛びました、あの後。ボランティアの皆さんに聞きますと、マスコミのヘリが低空飛行で飛ぶために、その風によって火災があおられたという事実があると申しております。  それからまた、こうした被災が起きたときには、生き埋めになった方をいかに早く、迅速に救うかが大切でありますけれども、ヘリが飛ぶことによってそのか細い声がかき消されるということが確かにあったそうでございます。ですから、マスコミの方々も、だれかの責任を問うより、みずからあるいは何人かの命を奪ったかもしれないということを反省をしなければいけないわけであります。  外国では、確かにそういう経験をもとにしてヘリは飛ばさないのです。こういう災害があったとき必要最小限のヘリしか飛ばさない、そういう法制をきちんとしているわけです。ですから、我が国もこれを教訓にしてそうしたことも考えていかなければいけない。  それから、例えば救援物資についても、全国の善意が集まりました。集まったけれども、市役所にみんな山積みにされて、トラックの運転手さん、みんな次々置いていってしまう、どうしていいかわからない。市役所の職員の皆さんは、ふだんからデリバリーの専門家ではございませんから、それができないわけですね。そこで、ボランティアでそうした物流の仕分けの専門家を経験をしていた人が仮に指揮に立って、これはこのトラックからおろさないで、直接この避難場所に届けてくださいというような交通整理をやって、やっと物資が円滑に流れ始めた。  前にも、総理がどこかの救助犬より遅かったか早かったかという質の低い議論がありましたけれども、実務でありますから、この世界は。ですから、指揮官はきちんと指揮できる場所にいるべきである。前線に飛んでいけばいいというものではないのであります。  実務という問題が非常に大切でありますから、そのときに、ですから官の世界には、行政の世界にはそうした専門家はいません。いかにボランティアの皆さんと、NGOと連携をとるか、あるいは、官の領分だ、いや民間の領分だと争わないで、あるいは官がメンツを捨ててやれるかということをやはり十分に検討しておく必要があるんじゃないでしょうか。官は官の世界だけで、メンツにこだわってその世界だけで処理しようとすると、これはできないんです。  NGOというものが脚光を浴びましたけれども、日本ぐらいこれについて、このNGOについて地位が与えられていないところはありません。法的にも与えられていないわけであります。税制上の優遇措置もございません。  私ども、本当に反省点の一つなんですけれども、早くからこれに気づきまして、実は大蔵大臣も含めて、昨年の十月には全国のNGOの重立ったところ十数団体と二時間ばかり大蔵大臣のお時間をちょうだいをして協議をいたしました。何とかその寄附金が集めやすいようにできる工夫がないかということを協議をいたしました。そのときにもっと急げばよかったわけでありますけれども、私は、余り手がないなど、ただ、一つの団体にあるいは幾つかの団体に協議機関として入っていただいて、そこを認定する形でそこに入っている個別のNGOの団体はすべて優遇措置が得られるように、あるいは公益法人の法人格が得られるようにしたらどうかということも考え、大蔵大臣からもそのようなお話があったわけですけれども、なかなか、その後検討が急速には進んでおりません。  このような点についても、私も含めて深く反省をして、早急に諸外国並みにNGOの役割を支援できるように、これは、今までNGOということに対して関心が薄かったし、あるいは官と対立感情というものがとかく生まれがちでありました。これからは、官と民とは、これは互いに足りないところを補うような存在としてなければならないと私は思います。  官庁は、これは大量に平等に運ばなければいけませんから、救援物資についても、なかなか小回りがきくところに行きません。これはボランティアの方々が自転車で必要なところへ運び届けるという方が早いに決まっているんです。官庁にはなかなかそれができないんです。官庁が本格的に動き出すまでの間、これはボランティアに頼らざるを得ない部分があります。それも認めなければいけない。  全部官に頼るということではいけないと思うし、また、被災者、地域住民にとっても、官が本格的に救援に入るまでの間は、やはり互助組織というものが必要なわけですね。お互いにだれがどこに寝ているかということ、やみくもに救援隊が来ても、だれがどこにどういう構造のおうちに住んでいたかということがわからないと、なかなか有効に助けられないわけでありまして、それは、お互いに助け合うというふだんからのコミュニケーション、そしてコミュニティーのあり方というものが私は大切になってくるんではないかと、そういったことも含めて反省が必要だと思います。  また、きれいな話ばかり伝わっできますけれども、現地の、NGOとして働いていただいたボランティアの方々に聞きますと、お母さんが、自分の子供がまだ瓦れきの下に埋まっている、生きているかもしれないから助けてと言って泣き叫んでいるにもかかわらず、その脇を、これは笑いながら関係ないよと言って手を振りながら通り過ぎていってしまう若者もかなりたくさんいたというふ うに言っておりました。  私どもは、ただだれが悪いということではないんです。教育も反省をしなければいけない。大量生産、大量消費、あわせて経済の成長をなし遂げてきた。その一方でそれは悪平等を生んだ、あるいは画一主義の教育を生んだ。その中から私たちは経済第一に走り、ミーイズムということを前にも言いましたけれども、悪い意味での個人主義だけが発達した部分もあるし、それから、そうした他人のことを思いやるあるいは人のためになりたいという、役に立ちたいという気持ちが本来ならばある国民のはずなのに、それを失わせてきたところがないかという部分がございます。そこは、こういったところにやはりいろいろな行政分野のひずみが断面としてこの大きな災害の中にあらわれてきたというふうに受けとめるべきではないでしょうか。その謙虚さが私たち政治家や行政には必要だというふうに考えます。  先ほど申しましたけれども、実はあるラジオ放送を聞いていましたら、外国の小さなお子さんたち、将来何になりたいかという話の中に、人の役に立ちたいという話がたくさん出てくるのです。ところが、その人の役に立ちたいという、役に立つ人間になりたいというのが、一番その割合が少なかったのは日本人だというふうに、実はそこでも出ておりました。ある統計があるとも聞いておりますけれども、そうしたことがないように、私どもは画一主義の教育を防いで、人の、自分以外の存在のために、自分の国を愛するのも大切ですけれども、自分の国以外の存在にも目を向け、また自分以外の人々にも目を向ける、そういった教育に力を尽くさなければいけないと思います。  私は、そういう反省を私ども一人一人が必要だということを申し上げたいわけでありますけれども、教育改革についてはまだ機会があればじっくりと話をさせていただきたいと思いますが、今回のことについて、文部省もそういった意味で例外ではない、反省の例外ではないという観点から、文部大臣から一言お話を伺いたいと思います。
  69. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 ボランティア活動は、やはり専ら自発的な行動でございますし、それによって報酬を得たいと思う方でもございませんし、また、何か自分の行動によって社会に役に立ちたい、こういうことを考えておられる方々の行動であるわけでございます。私は、それ自体はやはり積極的に児童や子供たちにそういう活動の意義というものを教えていかなければならないと思っております。  学習指導要領、特に道徳の中で、小学校一年生から中学校三年生に至るまで、弱い人たちを大切にしようとかあるいはお年寄りを大切にしようとかあるいは社会に役に立つことをやろう、積極的に身近にあるいろいろなグループに参加して活動しようとか、そういうことも教えております。教えておりますので、教えるだけではなく、学校教育においてはやはり体験的な、例えばごみを拾う、リサイクルに参加する、そういうような体験的な学習ということも必要であると思っております。  ただ、今回の大震災においては、先生がお話しのような例外的なケースは多分あったかもしれませんが、やはり大筋においては、日本人同士あるいは日本人に限らず困っている人を助ける、あるいは日本全国から被災地にボランティアとしてたくさんの方々がみずから進んで参加する、私はそういう意味では、大変日本人の心の問題あるいは社会のために役に立ちたいという日本人が本来持っている潜在的な心根というものが発揮されたのであろうと思っております。
  70. 五十嵐ふみひこ

    ○五十嵐(ふ)委員 時間が参りました。我々は、とにかく深く一つ一つ反省をし、これを今後に反映をさせていかなければいけない。特に官の側に、行政の側にお願いをするわけですが、官のメンツ、それによって、例えばこれは間違いではなかったんだ、あるいは見直す必要がないんだというようなことを言わずに、特に建設省、運輸省の方々にお願いをいたしますけれども、技術的に大丈夫なはずだ、はずだから責任はないんだという形でこれを守り続けるのではなくて、危ないかもしれないという視点から見直していただきたいと思います。  私どもも深く、政治家としてこれからどういう点を見直して制度、システムを変えていくかということを掘り下げて議論をしていきたいと思います。野党の先生方にも、その点をお願いをいたしたいと思います。  ありがとうございました。
  71. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて五十嵐君の質疑は終了いたしました。  次に、千葉国男君。
  72. 千葉国男

    千葉委員 新進党の千葉国男でございます。質疑に先立ちまして、阪神大震災で亡くなられた方々に、また被災を受けられた方々に対しまして心からお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。また、献身的に救援に当たられている関係者の皆さん、そして世界を含めたボランティアの方々に心から敬意を表するものであります。  総理、連日の予算審議の御奮闘、大変に御苦労さまでございます。報道によりますと大分お疲れのようでありますけれども、日本のため世界のため、健康第一に、時の最高責任者として、国民の生命と財産を守るため、責任ある闘いをよろしくお願いを申し上げたいと思います。  さて、日本の都市は、関東、関西を中心に、その方面中心都市に人口が集中、巨大化しております。しかも、情報通信網、交通網など多量の車両、電気、ガス、水道などのライフライン、都市のネットワークが複雑かつ高密度に発達をしているところであります。さらに、石油コンビナートなどの危険物施設や悪い地盤での住宅開発など、地震の被害を大きくする可能性を秘めているものも少なくありません。  国として、防災に関する重要事項を審議するために、総理大臣を会長といたしまして中央防災会議を設け、総合的な災害対策を進めていることは御承知のとおりであります。このたびの兵庫県南部地震の発生に当たりまして、事の重大性にかんがみ、災害対策基本法に基づき非常災害対策本部が設置されました。そして、被災既に二十一日、三週間を迎えるきょうまで、現場で血のにじむような不眠不休の被災対策が行われております。  そこで、ここ数年、日本列島を見たときに、地殻変動がずっと続いております。北海道南西沖地震もありました。東方沖地震もありました。年末には三陸はるか沖地震もありました。そしてこのたびの阪神大震災。しかも、雲仙・普賢岳は活動五年目を迎えているわけであります。こう考えたときに、まさに我が国は北海道から九州まで、突然何が起こっても不思議ではない、日本は火山地震国、こういうふうにしっかりと受けとめなければならないと思います。その対策が不十分では、国民の皆さんが安心して生活はできません。国民の皆さんの生命と財産を守る、これが私は政治の責任である、こう思っております。  その意味で、今回のような非常災害対策に対して、改めて総理から、万全を期す、このようにぜひさらなる決意をお聞かせいただきたいと思います。
  73. 村山富市

    村山内閣総理大臣 今千葉議員から御指摘もございましたように、まさに日本の国は地震と火山列島と言っても過言ではないぐらいの地勢的状況にあるわけです。国民の身体、財産、生命を保全し守るというのは国の最大の基本的な課題であると認識をいたしておりますから、防災対策については、もちろん災害対策基本法に基づいてこれまでも対策を講じてまいりました。しかし今回の、御指摘もありましたような、集中した都市にあのような直下型の地震があった場合にはかり知れない被害が起こってくる、こういういろいろな経験をまさに学んだわけですね。  それで、五千人以上を超す方々が亡くなられた、その霊に報いるためにも、私は、この経験を無視することなく見直すところは厳しく見直す、そして点検するところは徹底的に点検をして、これからの防災対策というものについてはまさに万 全を期して対応していく必要があるという取り組みはしなきゃならぬ、こういう決意でございます。
  74. 千葉国男

    千葉委員 総理、大変御決意ありがとうございました。  ところで、今私、質問に当たりまして、万全を期す、こういうふうな言葉を使いましたが、この万全を期すというのは、ガット・ウルグアイ・ラウンド受け入れの農業対策のときにも、緊急農業農村対策本部を設置してこの受け入れに万全を期す、こういうふうに細川総理のときにお約束をいただいて、そして今日を迎えているわけでありまして、そういう総理が国の最高責任者として万全を期すための対策部長を既に十数種類兼任されると聞いておりますが、総理御自身、その対策部長名を御承知でございましょうか。
  75. 村山富市

    村山内閣総理大臣 対策本部は、政府全体として対応すべき重要課題に関して各行政機関が一体となって取り組んでいく必要がある、こういう場合に、全体を統括する意味総理大臣が本部長になる、こういう仕組みになっていると私は思うんですね。今お話がございましたように、私が本部長をいたしておりますのは、兵庫県南部地震、今回の場合の緊急対策本部、それから行政改革推進本部、産業構造転換・雇用対策本部等々、ちょうど十あります。これはもう時間がありませんから全部名前を申しませんけれども、その十の本部長を務めておりますけれども、これは今申し上げましたように、内閣が全体として取り組むような、行政が一元的に取り組むような、そういう重要な問題についてはやはり総理大臣が本部長を務めることが適当である、十分その本部長のイニシアチブのもとに全体として統括されていく、こういうことから、今は十ある本部長を私が務めております。
  76. 千葉国男

    千葉委員 今お話をいただきましたように、総理がそれぞれ国の、内閣として、あるいは行政として責任を持つために、その役職名も私は調べさせていただきましたが、大変な役職に兼務されているわけであります。しかもそれぞれが大変な、各省庁を統合するような重要な内容になっているわけでありまして、それこそ十の対策本部を三日に一回ずつやっても月一回しかできない、こういうふうな内容でありますので、それでは本当の意味での対策に対して、どうしても総理が出たときだけが対策で、あとよろしくお願いしますという感じで、私は、もう実際は、すべての権限は総理に責任あるんですけれども、現実はなかなか、あとはお任せして各省庁が縦割りの行政の中で行われている、こういうふうなことが実態ではないか、こう思っているわけです。  そういう意味で、このたびの阪神大震災の担当相といたしまして小里国務大臣が就任されました。災害対策関係省庁連絡会議の所管であります国土庁長官がなぜ担当相にならないのかと、まあ既にこれは指摘されたことでありますのでここでは問題にいたしませんが、私はむしろこのように、総理のもとで、内閣のもとで、はっきりと責任を持つ考え方を明確にする、これがむしろ今大事なことではないか、こう思っております。  まあ、自分のことを言うのはおかしいわけですが、私も青年時代から民間の中でイベントの運営とか災害対策の運営等、いろいろやってまいりました。そこで先輩から徹底して教育を受けたことは、まず、そういう仕事をするときに大事なことは、責任の所在を明確にすることなんだと。そういう意味で、運営の第一は、まず指揮系統を明確にしなさい。ちなみに二番目は、連絡を緊密に。三番目は、その責任ある現場を離れるな。この三つを徹底することによって一つの行事運営、イベントあるいは災害のそういう対策ができるんだと。我々、民間の団体にいたときであっても、そのくらいのことは基本的なそういう運営の哲学として持っています。それでやってきました。  そういう意味で、今回のこういう緊急のときに、国の縦割り行政の中で指揮系統がなかなかいかない、だれに相談すればいいかわからない、こういうときに、任期の長短は別にいたしまして、阪神の大震災担当相を明確にした、これは私はそういう意味できちっとしたあり方だったな、こう思うわけです。  じゃ、それでは、そのわずか二週間前といいますか、三陸はるか沖地震がありましたけれども、それは今は、我々東北の人間としては、阪神ももちろんそれは大変なことですけれども、きのうもある会合に出ましたら青森の人たちが来まして、もう阪神の話ばかりで三陸はるか沖地震ははるかに行ってしまって何の話題にもなっていない、実際にこういう被害をたくさん受けているんだ、こちらについてもきちっとした対応をぜひお願いしたい、こういうふうな真剣なお話をいただいてまいりました。  そういう意味で、三陸はるか沖地震あるいは北海道東方沖地震等についても責任者を明確にして、それがきちっと見通しが見えるまで、復興が、復旧がちゃんとできるまで、この件はだれなんだというような責任者体制あるいはプロジェクトチーム、こういうものをぜひつくっていただきたい、こう思います。  昨日の新聞報道でも、阪神復興委員会の早急の設置あるいは阪神復興実施本部、これを設置して、その本部長総理である、副本部長は小里担当相、こういうふうに報道されておりました、ある新聞によりますと。  ですから、今後本格復興について、中長期的な都市再建あるいは産業振興、こういうことを考えたときに、総合的な復興計画に対しては第二弾として特別立法も考えている、こういうことを今報道されているわけですが、そういう意味で、総理が何でもかんでも対策部長になって、実際はなかなか三日に一遍しか出られないような、一カ月に一回か二回しか出られない、そういう対策本部の体制では、大勢の人が毎日あの問題はどうなっているんだというときには、私は弱いと思うのです、体制が。  ですから、むしろ地元の実施本部、復興実施本部長等については担当相を明確にしていただいて、総理が例えば総合本部長になって総合的に対応するわけですから、本部長は担当相がきちっと現場で対応する、こういうふうなことをぜひ考えていただきたい、こう思いますが、いかがでしょうか。
  77. 村山富市

    村山内閣総理大臣 やはり先ほど来申し上げておりますように、内閣が全体として取り組んでいく、行政が縦割りでばらばらでなくて一体となって取り組んでいく必要がある。これは、内閣が責任を持つというような問題については、やはり総理大臣が最高責任者としてその責めに当たるというのは、私はある意味ではやむを得ないことだ、当然のことだというふうに思うのですね。  ですから、今回の兵庫県の南部地震の問題につきましては、災害基本法に基づきまして非常災害対策本部を設置をして、それに専任の大臣を置いて、そしてそれが統括して当面の救援事業については取り組んでいく。これは地方自治体との関連もありますから、現地にも対策本部を置いて、そして現地と東京あるいは行政機関とが一体となってこの救援対策に取り組んでいく、こういう仕組みを考えて、それを全体として内閣がバックアップする。こういう意味で、内閣に緊急対策本部をこしらえて、私が本部長になって統括する、こういう仕組みにしてあるわけですね。私は、これはこれでそれなりの役割を果たしていると思うのです。  それで、私が本部長を十ばかりやっていますけれども、それはここに出欠表もありますけれども、全部出席をいたしておりますし、必ずそれはそれなりの責任を果たしておると私は思っておるわけです。  それで、今御指摘のありましたように、雲仙の火山災害につきましては、これは長期化することもありますし、北海道の南西沖地震につきましては地域が壊滅的な打撃を受けたこと等の特徴もありますので、政府としては非常災害対策本部を設置をして、本部長である国土庁長官が責任者として総合的な調整を行ってその復興に取り組んでお る、こういうことになっておりますし、三陸はるか沖地震につきましては関係省庁連絡会議を開くなど、関係機関が連携をして対策を講じていく、こういう仕組みをとっておりますし、それぞれの問題について一番有効に対応できるような仕組みというものを考えながら対策を講じていくということが大事なことではないかというように思いますから、何もかも一律に同じようなことでやるということにはなる必要はないのではないか。一番有効に、効果的に機能できるようにするためにはどういう仕組みが一番いいかということを考えながら対応していく必要がある。これは、あなたが先ほど経験を踏まえてお話がございましたけれども、そういうことが大事だと私は考えています。
  78. 千葉国男

    千葉委員 今、総理の方から、有効にということで、北海道については国土庁長官ということが明確になりました。  そうしますと、雲仙はどなたが担当で窓口になるという感じで受けとめればよろしいですか。
  79. 小澤潔

    ○小澤国務大臣 先生御指摘の問題は、雲仙・普賢岳、そして三陸はるか沖、北海道東方沖とか釧路、それは私の所管であります。  小里大臣は今回の兵庫県の地震を専門に担当する、こういったことであり、先ほど総理からも申し上げたとおりであり、私も先般一月十二日につぶさに八戸市を視察をしてまいりました。そして、知事さん、副知事さん、それから市長さん、議長さん等々の現状の説明やら要望を承ってまいったところであります。  その要望の最たるものは、やはり、激甚災の指定をよろしくお願いをしたい、そしてまた、北海道、三陸沖に地震が頻発をしておるので、予知体制を含めて真剣に観測体制の確立もやっていただきたい、こういった要望も受けてまいったところであり、先般、激甚災指定につきましては金融関係の激甚災指定が閣議決定を見ておるところであり、直ちに先方にもお知らせをした、かような経緯もあります。  以上です。
  80. 千葉国男

    千葉委員 ありがとうございます。  むしろ、今回の兵庫県南部地震で小里国務大臣が担当相に明確になったときに、改めて雲仙は国土庁長官が、そのために国土庁長官は大変なんだとか、忙しいんだ、だからそっちをやるんだ、三陸沖もそうですよ、こういうふうに明確に言っていただいた方が私こういう質問をしなくてよかったような気がするわけなんですが、一つの、決めるに当たって何かあったために、何か本来のあるべき使命がはっきりされない、こういうことがあってはならないと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  次に移らせていただきます。  阪神大震災から三週間になろうとしておりますが、連日新聞報道あるいはテレビの報道を通しましても、復旧の段階が初動の段階からさまざまな段階へ入ってきておりまして、被災者の皆さんの要望も多数をきわめております。  先日もテレビで見ましたら、自分が住宅の問題で相談に行ったら、あなたはこちらへ行ってくださいと言われて行ったら、紙切れを一枚渡されて、じゃ次へ行ってくださいと言われて、そっちへ行ったらまた次へ紙切れで移されてというような報道がありました。小里大臣の出た番組での話です。  そんなこともありまして、現在、食糧の問題、生活必需品の供給、インフルエンザの流行、医療保護、仮設住宅、教育、金融、ローン、もうさまざまな問題がいろいろありまして、そこを、何といいますか、被災を受けた立場で、あっちへ行ったりこっちへ行ったりしなければいけない。しかも、一人の人が一つの悩みではなくて三つも四つも悩みを抱えていて、それを何とか解決していきたい、こういうふうなのが実態なわけですから、そのときにテレビの何かテロップで毎日夜中にだあっと、この問題はここへ行ってください。被災者のところにしっかりテレビが行っているかどうかもわかりませんが、全部見られているわけじゃないと思うのです。  ですから、わかったところの場合はそれでいいと思うのですが、ともかく、被災者のそばに何でも相談コーナーあるいは生活一一〇番みたいな報道がされておりましたが、これをもっと充実して親切に対応して、それぞれの方々が先が見えるようにしていただきたい、こう思いますが、その辺の対応はどのようでしょうか。
  81. 小里貞利

    ○小里国務大臣 被害が緊急で甚大であった。それだけ私どもの地元を含めましての対応も多岐にわたった。同時にまた、先生ただいま御指摘のように、地元の個々のニーズも限りなく大きな、しかも具体的ものが生じてまいりました。このような事態に対しまして、迅速に、かつ適切に対応するということは先生御指摘のとおりでありまして、私どもが心得るべき極めて大きな要請だと思っております。  そこで、先ほど先生お話しのように、縦割り行政の意味も含めながら、それらの弊害を除去して、でき得る限り政府、省庁挙げて、そして各省庁間の調整を敏速に図りながら、そして統括して、そして一丸となった体制が必要だというお話でございますが、まさにそのとおりでございます。私どもはそのようなことを心得ながら、政府もあるいはまた現地におきましても推進いたしておるつもりでございます。  そこで最後にお尋ねの、そのようなもろもろの施策を幾ら樹立をしても、地元の県市はもちろんのこと、罹災者の方々の個々に、あるいは台所というのはまだなじまないかもしれませんが、家庭にそれが速急に、具体的に飛び込んでいって、そしてその緊急対策をのみ込んでいただいて、そしてそれを機敏に、有効に活用してもらわなければ意味がないではないか、こういう御指摘でございますが、まさにそのとおりでございます。  私どもも、各省庁、大臣先頭に立っていただきまして、挙げてそのようなことを注意いただきながらやっていただいておるところでございますが、実は私も三日前に現地に行きまして、各市役所あるいは罹災者のお集まりになっていらっしゃるような場所、あるいは避難所等も具体的にひざを交えて当たってみましたが、なるほど先ほど先生が御指摘いただきましたような、さまざまな私どもの考えと乖離が、あえてこの際乖離と申し上げますが、生じておりますことも事実でございます。なおかつまた、先ほど自治大臣の方からお答えございましたように、市役所、県なども疲労をしておいでになりますが、その中でもなおかつ力を振り絞って頑張っていただいておりますけれども、なかなか被災者の皆様方への周知あるいは実際上の業務の上におきまして、そのつながりが徹底をいたさない厳しい事情もございますので、その辺を何かひとつ我々政府としてお手助けできる道はないのかなということをさらに踏み込んだ意味で、実はけさほど自治大臣とも相談をいたしたような次第でございます。
  82. 千葉国男

    千葉委員 先に進みたいと思います。  私は、今回の災害に当たりまして、各省庁が本来どういう応急対策あるいはまた震災対策を日ごろ準備されているのか、その対策要綱を求めてみました。  国土庁では「わが国の震災対策」、こういうのがありまして、このたびの阪神地域については、さまざまな分類があるわけなんですが、特定観測地域、これの八番目に実は位置づけられております。この特定観測地域というのは、そのものによると、「過去に大地震があって、最近大地震がおきていない地域」、これが一番目。二番目は「活構造地域」、今度の問題で一番話題になってきた活構造の問題です。それから三番目は「最近地殻活動の活発な地域」。四番目は「東京などの社会的に重要な地域」。こういうふうに言われておりまして、わかりやすく言いますと、めったに大地震はないけれども、あると大きい、こう言われている地域を特定観測地域と呼んでいるわけであります。  ここにはもちろん北海道、秋田、宮城、新潟、長野、島根、伊予灘、今までいろいろな地震のあった、全国縦断する地域がいろいろ指定されて いるわけなんですが、問題は、そういう既に観測地域とか特定地域を定めているわけですから、その地震予知の推進体制というのはもっと力を入れていかなければならないのではないか、こう私は思っているわけです。  ところが、これもよく見てみますと、地震予知の考え方についても各省にそれぞれ分かれております用地震予知計画の策定は文部省、地震予知の研究は科学技術庁、情報の交換と総合的判断は国土地理院、強化地域の短期的な地震予知は気象庁、そのもとに支える体制を入れますと、地震予知一つにしても十六機関あって、それぞれ各庁にまたがっている。しかも、それだけあれば相当予算が出ているのかというと、余り予算はついていない。やるところはいっぱいあって予算は少ない。これでは本当に抜本的な地震予知の推進体制はできないんじゃないか、これをもっとしっかり改めるべきである、こう思います。  あと、ちょっと地元の人たちと話したときに、古来、この地震の予知とか洪水の話の中で、動物とか、そういうのが前兆として知らせるものがある。例えば蛇なんかの動きを見ると、一週間ぐらい前に洪水を教える、そういう予知能力を持っている。鳥というのは、災害とか凶害について事前にそういうふうな知らせる働きをする能力を持っている。ですから、科学的な地震予知の中に動物とか鳥とかいろんなものについても、そういう研究もぜひやった方がよろしいんじゃないか、こう思いますが、いかがでしょうか。  まず地震予知について基本的にお答えください。
  83. 沖村憲樹

    ○沖村政府委員 ただいま先生御指摘いただきました地震予知の体制につきまして、若干御説明申し上げたいと思います。  地震予知につきまして、いわゆる予知が可能な地域といいますのは、今のところ東海地域だけでございます。東海地震につきましては、あの地域が断層が比較的明確になっておりまして、駿河湾の奥深くまで入り組んで、非常に観測が可能であるということが一つございます。それと同時に、地震が一たん起こった場合、マグニチュード八程度ということで、その予測が、事前の検知が可能であるということがございます。それからまた、過去にいろんなデータ等で前兆現象というのが比較的容易にとれるということで、こういうことを総合いたしまして、予知が比較的可能であるというのは東海地震だけになっております。  そのほかの地域につきましては、予知は不可能でございますけれども、これは非常に重要な問題でございますので、先生今いろいろ御指摘ございましたような国立大学でございますとか科学技術庁の防災科学技術研究所でございますとか、あるいは国土地理院、気象庁、いろいろ予知研究をやっておりまして、先生今御指摘ございましたような国土地理院あるいは気象庁等にそのデータを持ち寄りまして、いろんな判定あるいは情報交換をいたしておるところでございます。  御案内のように、その予知研究は非常に重要でございますので、私どもといたしましては、内閣地震予知推進本部という本部が設けられてございますので、そういう予知に関する観測研究、そういうことをもっと大いに進めようということで、一月の十八日に幹事会を早速開きまして、そういうことも話し合っているところでございます。  以上、御説明申し上げます。
  84. 千葉国男

    千葉委員 推進体制は、予算の方はどういうふうに、今、答えはなかったんですが。
  85. 沖村憲樹

    ○沖村政府委員 予算につきまして、予知研究関係では全体で平成六年度百六億円でございます。来年度は百七億円ということで要求をさせていただいております。  この内訳につきましては、科学技術庁が約三十六億円、国立大学等各大学でやっておられます研究が約二十二億円、それから運輸省が約二十二億円、国土地理院が約十七億円、郵政省約九億円、それから工技院の地質調査所七千九百万円といった、合計をいたしますと約百六億円ということでございます。
  86. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 日本地震予知体制について御心配をされての御質問だと思いますが、地震予知のための観測研究は、まず文部省に置かれております測地学審議会が科学技術庁、通産省、運輸省等の関係省庁に建議する地震予知計画、現在は第七次計画をやっておりますが、それぞれの関係機関がそれぞれの特色を生かしながら総合的にこれを実施をしております。  大学においては、東大の地震研究所、京大の防災研究所等を中心として各種の観測を実施をしており、地震発生機構の解明、予知手法の開発等の基礎的研究を行っております。  地震予知に関する関係機関の連絡の場としては、地震予知の実用化の促進を目的として、情報交換、地震予知に関する総合的判断を行うため、国土地理院長の私的諮問機関として地震予知連絡会、これは昭和四十四年からございますが、これがございます。  以上でございますが、何か必要であればお答え申し上げます。
  87. 千葉国男

    千葉委員 ですから、各省がそういうふうにまたがってやっているために予算が分断されて、この間の学者のお話の中にも、そういうためになかなか地震予知については、これは相当深く研究しなきゃいけない、いざとなればこれだけの大被害になるわけですから。それが要するに百億程度の予算では全然、今十兆円の被害だと言われているときに百億円で何とか対策を練るうというのでは、これは本当に準備といいますか、予知に対して本当に力を入れてやるんだということにはならないと思います。ですから、総理がもう少しこれについては力を入れて出すと言っていただきたいのです。
  88. 村山富市

    村山内閣総理大臣 今それぞれ説明がございましたように、内閣地震予知推進本部というのが設置されているわけです。そこが統括しているわけですけれども、これは、研究機関としては大学がありますし、科学技術庁がありますし、それから気象庁、国土地理院などなど、委員から指摘されたような、各省ばらばらになって持っているわけですね。それが地震予知連絡会にデータが全部集められて、そして連絡会議を持って、そして総合的にこの結論を出していく、こういう仕組みになっていると私は思うのですよ。  ですけれども、今お話がございましたように、今回の兵庫県南部地震の経験に学べば、これで十分かといえば、それはそんなことは言えないと思いますね。冒頭に申し上げましたように、国民の生命、身体、財産を守るというのは国の基本的な責任ですから、したがって、御指摘の点につきましては、今後十分踏まえた上で取り組んでいきたいというふうに思います。
  89. 千葉国男

    千葉委員 外務大臣にお願いをいたしたいと思います。  私の手元に、中央防災会議が策定した南関東地域震災応急対策活動要領というのがありますけれども、平成四年に修正されておりますので、その後について何かありましたらお願いしたいと思いますが、その中で、情報とか広報活動が非常に大事だと。  特に情報については、「情報連絡体制の確立」「情報の共有」「正確かつ迅速な情報の公表、適切な広報の実施」、こういうふうなことが書かれているわけです。その中で、「情報の共有」ということについて、各関係機関がさまざまな震災の情報を収集して、そして災害対策本部等に連絡すべき情報、これを「共有情報」、こう言われているのですが、この「共有情報」を調べてみましたら、「基礎情報」というのが八項目ありまして、「現場情報」が二十項目、こういうふうに各省庁から全部、一番多いのは気象庁とか、いろいろあるのです。  その中に、国際化、情報化時代にあって、世界の中の日本、その中核をなす外務省が、震災に当たって、この国土庁を含めたそういう中央に対する情報の収集機関に外務省が全く入ってない。外務大臣、これは平成四年の話ですから、その後 入っていますと言われると困りますが、これはどういうように考えられているのでしょうか。
  90. 河野洋平

    河野国務大臣 委員の御指摘は、南関東地域震災応急対策活動要領の中の「情報・広報活動」というのがございまして、その別表に入ってない、こういう御指摘だろうと思います。  この別表が意味するものは、地震、津波などの基礎的データ及び被災地の状況に関する情報に関してこれを収集する担当官庁、主として現地、現場の情報を収集する、その担当をその別表に書いたものだというふうに私ども理解をしておりまして、こうした情報を収集するという段階ではまだ外務省は担当とは言えないのではないか。  一方、中央防災会議のメンバーということになりますと、外務省もそのメンバーの一員になっておりまして、これはつまり、議員がおっしゃるように、諸外国からの支援の申し出や何かに対して外務省はその窓口と当然なるということでございます。
  91. 千葉国男

    千葉委員 今外務大臣からお話がありまして、外務省防災業務計画を定める訓令というのが昭和六十三年に出されているわけですが、要するに、今回、今ちょっとお話が出ていましたけれども、地震発生直後、スイスから捜索犬十二匹が支援に来た。で、その受け入れが結局戸惑ったといいますか、すぐにぱっと対応できなかった。世界災害が起きた、こういうものについては外務省としては、国際緊急援助隊を通して救助活動あるいは医療あるいは災害対策、復旧活動と、こういうものに対してすぐ応援できるように日ごろやっているのですが、日本として世界からさまざまなことについてこのように今回ほど大変な御支援をいただいたことはないわけなんですが、今まで何といいますか、やることにはなれていたけれども、応援をしていただくことになれていない。そのために、受け入れの緊急マニュアルは、僕が外務省に尋ねて持ってきてくださいとやりましたけれども、そういうのはできておりませんでした。ですから、そういうことについてもっとお力を入れていただきたい、こういうふうに思うのですが、いかがでしょう。
  92. 河野洋平

    河野国務大臣 外務省としては、諸外国で災害が発生した場合には、まず緊急援助隊を送るか、あるいは災害のための物資供与、物を送りましょうということを考えるか、あるいは資金の応援をするか、この三つぐらいのマニュアルを持っているわけです。  で、何か災害が起これは、国際緊急援助隊が行く準備がありますよということをいち早くお伝えをする、こういうことになるわけですが、それはそれぞれの国の事情、それから国の考え方によりまして、いや、人は要らないとおっしゃる国もありますし、人も来てくれと言う国もあるわけです。私ども、過去の例をずっと見てみますと、比較的人の応援を求めるよりは物が欲しい、食糧が欲しいとか災害のための物が欲しいとおっしゃる方のケースが多い。あるいは、国によってはできるだけ早く資金を送ってほしい、こうおっしゃる方もある。それはさまざまでございます。これは、こちらが応援する方でございます。  今議員がおっしゃるように、我が国がこういうことになって世界各国からまことに善意による温かい支援の申し出があった、それの受け取り方がふなれではないか、こういう御指摘だと思います。  今既に、再三申し上げておりますように、七十近い国やら地域あるいは国際機関から支援の申し出がございます。その支援の申し出の中には、まさに緊急、つまり生き埋めになっている人を生きているうちに捜し出すという極めて緊急度の高い支援もあれば、復旧に向かって何か品物で我々で応援できるものがあれば、こうおっしゃる方もあって、それはさまざまでございます。その都度、外務省としては、事務局になっております国土庁を通し、兵庫県とか神戸市とかですね、そこに、必要なものはないか、緊急に援助をいただくものがあるとすれば、先方に御連絡をするがどうかということをその都度御連絡をしているわけでございます。  ただ、そうして今お話しのように、スイスから犬やら救助隊に来てもらった。あるいは、在日米軍は非常に緊急に迅速に動いてくれた。そういうケースもありますが、他方、いや、まだちょっと受け入れの準備が整わないということで、若干のちゅうちょ、逡巡があったところも正直ございます。それは通訳の問題がどうかとか、あるいは関西空港までは来れても、そこからその心臓部、災害中心部までのアクセスをどういうふうに維持するかとか、そういう問題。それから、現地でもう既に動き出しているものとうまくかみ合わせができるかどうかというようなこともございまして、支援、しかしそれは物は、これは受け取り方を手順よく受け取るということで、この手順を考えるとか、一つ一つ、ケース・バイ・ケースでございますが、努力をいたしました。  しかし、これはなれていないからと、こう一言で言うわけにもいかない、一方、こういうものは余りなれても困るものでもあるわけで、今回の場合には、よく言われますように県庁所在地、それから政令指定都市の中心がダメージを受けたということもありまして、ややコントロールタワー、それはもう全力を挙げてやっておられますけれども、そのコントロールタワーが所在するところが直接ダメージを受けたということもありまして、緊急のものをどういうふうにはめるかということで、それぞれの事務当局が大変苦心をしたということは事実でございます。
  93. 千葉国男

    千葉委員 先ほどのスイスの捜索犬の関連でお伺いしますが、日本の捜索犬というのはどういうふうな活動をされたのでしょうか。
  94. 野中広務

    野中国務大臣 警察犬は全国で約百六十六頭おるわけでございますけれども、我が国の警察におきましては、委員御指摘のような、災害発生時におきまして生存者を発見するための専門的な訓練を受けた捜査犬は、残念ながらおらないのでございます。今回の地震では、兵庫県警で保有しております鑑識用の警察犬二頭を一月十九日より、被災者の捜索のための現場活動をさせたところでございます。
  95. 千葉国男

    千葉委員 済みません。今後は力を入れるのか、入れないのか。
  96. 野中広務

    野中国務大臣 御指摘の捜査犬につきましては、昨年末より警視庁におきまして、不審者の発見等を目的といたしまして、警備犬の中から二頭を選びまして、試験的に災害発生時の生存者発見能力を付加させるための訓練を現在行っているところでございまして、今後、今回の災害の教訓をも踏まえながら、訓練成果をも踏まえまして、御指摘の捜査犬の育成に努力をしてまいりたいと存じます。
  97. 千葉国男

    千葉委員 よろしくお願いしたいと思います。  運輸大臣にお尋ねをいたします。  先ほどの「共有情報」についてでありますけれども、私が項目ごとに点検してみますと、運輸省関係で七項目、七情報、運輸省の管轄という意味で気象庁が六情報、それから海上保安庁関係で九情報、合わせて二十二の情報の収集機関になっておりますが、どうでしょうか。
  98. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 運輸省の所管いたします業務は、こうした災害発生時におきましては、初動におきましても大変重要な役割を果たすわけでございまして、特に気象庁は、まさにその最初に地震をキャッチするわけでございますが、これは委員御承知のように、自動的に関係のところにこの情報が伝えられるという仕組みになっております。  さらに海上保安庁は、海上における災害に伴う、例えばタンクからの油の漏出とか、あるいは海上に被災者が投げ込まれる、いろいろなショックの状況の中で海上に被災者が漂流するような場合も想定されるわけでもございますので、このたびも午前七時に現地に対策本部を設置をいたしまして、初動活動を迅速に展開をした次第でございます。
  99. 千葉国男

    千葉委員 今大臣も、非常に初動段階で重要な役割を担っているのが気象庁、海上保安庁、運輸省である、こういうふうになっております。その 他のそれぞれの情報、まあこの初動段階含めて、大変収集機関として頑張ってもらうのが消防庁と警察庁です。これが合わせて十四情報で、運輸大臣担当のところが、実はもうほかのところは、外務大臣、先ほど答弁をしていただきましたが、ほんの一項目で、大蔵大臣も一項目、重要大臣みんな一項目ぐらいなんです。災害対策のときに一番関係省庁として情報の正面に立って頑張っていただかなきゃいけないのが、運輸省関係で二十二、消防庁、警察庁合わせて十四。  私は、本来ならば運輸大臣災害担当相になってもおかしくない、非常に責任ある立場だと思います。現場にどんと腰をおろして陣頭指揮をとってもらいたい、こういう気持ちでいっぱいなんですが、その初動段階で重要だという大臣が初動段階でどちらかにお行きになられたような話をされたり、携帯電話で済むような話をされておりますが、どうぞお願いします。(発言する者あり)いや、もう一つ話があるから。
  100. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 委員御承知のように、運輸省は災害に対して大変重要な役割を果たしておるわけでございまして、先ほども申し上げましたように、運輸省としては、十七日の午前七時、海上保安本部また気象台等に本部を設置し、さらに九時、運輸局において本部を設置し、運輸省本省に九時半に本部を設置をいたしまして、とにかく当面は被災者の救護に全力を挙げるということで対応をしたわけでございます。  これにつきましては、陸海空それぞれのそうした輸送態勢についての検討をやり、指示を出し、民間への協力も求めたわけでございまして、トラック業者等にもそれをやりました結果、御承知のように、大体二千台近い民間のトラックが災対本部との連絡のもとに物資輸送もやり、さらに、陸上が断たれたわけでありますので、海上のフェリーでの大阪からの輸送態勢を強化をいたしました。  それには、岸壁が相当というかほとんどやられておりましたが、この応急復旧をやりながら緊急の輸送態勢をとるということをやり、さらに関空から海上保安庁がピストン輸送で神戸に対して輸送をやり、さらに、ヘリが非常に重要だということでございまして、総理からも特別な指示もございまして、陸上自衛隊、警察、海上保安庁のヘリ活動を増強するという意味で、民間のヘリコプター会社、これはそれぞれ御承知のようにいろいろな仕事で契約をしておるわけでございますが、それを解除をしていただいて動員をしていただくというような大変な御協力をいただきました。これで四十五機集中して、それで被災地に最終的には十七カ所ヘリポートを設置をいたしまして、そこでシャトル輸送、一時間に一回は必ずそこと往復をするという態勢もとらさせていただき、さらに、船につきましては、船会社の御協力をいただきまして、大型客船等四隻が、大体二千二百名収容、さらに現在三隻を用意いたしておりますけれども、そうした形でやったわけでございます。  今の、委員の、私がどこかに行っておったという話でございますが、青森の知事選の告示でございました。残念ながら負けました。こういう未曾有の災害が発生をいたしましても国は動いておるわけでございまして、三陸はるか沖地震で大変な被災を受けた青森県でございますが、青森県の県民の方々の幸せもまた大事であります。今後の政治がどう展開をしていくか、青森県において。  それについては、やはり私も政治家として、兵庫南部地震についての救援態勢について万全な態勢をとる中で、これについても努力をしなければならぬ立場でございまして、なおこれにつきましては、十八日の日に現地に入りましてそうした救援態勢を点検をし、それでさらに増強する面、補足する面を、運輸省の本部におきまして会議を開き、さらにそうした増強措置をとる中で、十九日の朝七時五十五分の飛行機で青森に参りまして、現地で十分間おりまして、そのままトンボ返りでこちらに、十二時五十五分に東京に帰ってまいりました。  その間携帯電話はもちろん持っておるわけでございますし、指示を出しました態勢についてのフォローアップは常時やりながらやったわけでございますので、私はこのことに対して、私が指揮官として支障を起こしたということは全然考えておりません。
  101. 千葉国男

    千葉委員 今青森の県民の皆さんの幸せということをお話しいただきましたが、地元の方々が大臣に対して怒っているのは、知事選に応援に来たけれども八戸のことは何もやってくれなかったじゃないか、こういうことで怒っているのですよ、地元は。それを私は言いたいのですよ。そこのところをちょっと。行って何をしてくれたのですか。
  102. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 三陸はるか沖地震につきましては、私どもも重大な災害だという認識を持っておりますので、港湾の問題等含めて、これに対しては全力を挙げて取り組まさせていただいております。  なお、現地における十分間の私の演説の中では、昨日現地に行ってきて大変な状況だ、青森の皆さん方もぜひひとつ全力を挙げて救援に御協力願いたいということを私は強くお願いも申し上げました。
  103. 千葉国男

    千葉委員 農水大臣にお願いしたいと思います。  気象庁の地震情報の伝達体制の中で、災害が起きる、そうすると各気象台から管区気象台、気象庁本庁、オンラインでNHK等の放送機関、それからファクスで国土庁、自治省、防衛庁、建設省、厚生省、海上保安庁、警察庁、地方自治体八十機関、こうなっていますが、日ごろ作物の育成その他で気象庁と農水省というのは毎日のように連携をとりながら生産を守ってきている、その立場の農水省がいざ緊急事態があったときにこの連絡網に入っていないということについて、農水大臣はどのようにお考えですか。
  104. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 お答え申し上げます。国土庁を通じての災害の情報連絡に頼っておったわけでございまして、確かに委員御指摘のとおり気象庁を通ずる情報の八省庁の中に入っておらなかったわけでございます。したがいまして、今後は直ちにその連絡網に入って善処したい、さように考えております。
  105. 千葉国男

    千葉委員 今回、大地震における食糧、飲料水及び生活必需品の調達、供給活動がいかに重要であるか、そういうことが本当に実感されたと思いますけれども、今お話があったように農水省は、災害対策本部ができて、受けてから、受け身の態勢で準備をしていくみたいな形で、その辺のところをもうちょっと詳しく。
  106. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 当委員会でも既に申し上げましたが、災害発生後、直ちに我々としては神戸の米穀卸の手持ちの米を炊飯用に放出させ、さらに三千トンの政府米を緊急物資として現地に運び込みまして、さらに十万人分の乾パン、これを措置いたし、さらに各種の生鮮食料品なりあるいは加工食品等についての、民間団体に対して神戸への供給確保等々、当面と申しますか緊急の対策は十二分に果たしたというわけでございます。  お話しの、なかなか情報なりが的確、迅速に把握できない点もございましたので、神戸市に農林省の食料供給対策本部を設置いたしまして、県と市と連絡の上で食料供給確保計画を出していただきまして、それに対して万全の措置をいたすように努力したつもりでございます。
  107. 千葉国男

    千葉委員 これからの卸売市場の再開、あるいはまた今後の復旧、これからの取引の再開等、見通しについてお願いします。
  108. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 御指摘の卸売市場、特に中央卸売市場につきましては、生鮮食料品の流通のキーステーションでございますので、今後の被災地に対する供給ということで非常に大事な点でございます。  それで、卸売市場につきましては、神戸の卸売市場は、中央の本場の方は被害も受けましたが、その程度はそれほど大きくはない。最大の被害を受けたのは東部市場でございまして、これは液状化とかあるいは柱の亀裂とかで一部危険区域等が ございましたし、それから西部市場、これは食肉の市場でございますが、これもそれほど被害は受けていなかったわけでございます。  しかし、水がないので食肉市場はまだ本格的な取引をしておりませんが、中央市場につきましては、既に十九日から取引を始めておりますし、それから、被害を受けた東部市場も、水産物関係は非常に危険箇所がございますので立入禁止になっておりますが、青果物については取引が始まっております。それで、大体、本場等の取引をきのうも報告を受けましたが、平素の六五%ぐらいの取引が行われておるということで、卸値も安定しておるということでございます。
  109. 千葉国男

    千葉委員 さらに人々の食糧を守るためにしっかりとお願いをしたいと思います。  最後になりますが、今回、全国からこの阪神大震災に対してとうとい義援金をお寄せいただいておりまして、我々も街頭に立って募金活動をやってまいりましたが、今後、義援金の公平かつ適正な配分についてどのように考えていらっしゃるのか、お願いしたいと思います。
  110. 小里貞利

    ○小里国務大臣 日赤募金委員会、関係県市、そのほか関係団体等十五でございますが、募金委員会の設置を現地でなさっておられます。  御指摘のように、公平に、そして有効にこれが使われるように、もろもろ対策を、慎重に対応をいたしております。
  111. 千葉国男

    千葉委員 参考までに、あと最後一つ聞いておきたいのですが、農水省の資料の中で中央競馬会からの義援金がありましたが、あと競輪とか競艇とか、いろいろありますが、そうしたところはどういう感じの、こういうときに、いざというときの義援態勢になっているのでしょうか。
  112. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 委員から私の方に事前の通告がございましたから、日本船舶振興会についてお答えいたしますが、十八日の日に三億円が拠出されております。
  113. 渡辺修

    ○渡辺政府委員 自転車振興会関係の御質問でございますが、一月十九日付で義援金三億円を日本赤十字社に対して贈呈を行いました。それから、通産省関係ですが、オートレースの関係もございまして、この関係、同じく十九日付でございますが、一億五千万の緊急援助を行ったわけでございます。それらにつきましては、緊急の毛布だとか風邪その他の医薬品等々について充当されておる、こういうふうな報告を受けております。
  114. 千葉国男

    千葉委員 以上、質問を終わります。ありがとうございました。
  115. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて千葉君の質疑は終了いたしました。  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五分休憩      ————◇—————     午後一時一分開議
  116. 佐藤観樹

    佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、平成七年度総予算の公聴会の件について申し上げます。  公述人の選定につきましては、さきに委員長に御一任いただいておりましたが、本日の理事会において協議いたしました結果、お手元に配付いたしました名簿のとおり決定いたしましたので、御報告いたします。     —————————————    予算委員会公述人名簿一、意見を聞く問題 平成七年度総予算について   ○二月八日(水)      奈良女子大学生活環環 木村 陽子君     学部助教授     株式会社日本総合研究 宮脇  淳君     所主任研究員     株式会社野村総合研究 鈴木 淑夫君     所理事長     オリックス株式会社代 宮内 義彦君     表取締役社長     政治評論家      屋山 太郎君     財団法人日本交通管理 浅沼清太郎君     技術協会会長   ○二月九日(木)      株式会社東京海上研究 下河辺 淳君     所理事長     慶応義塾大学総合致策 深谷 昌弘君     学部教授     日本国際救援行動委員 佐々 淳行君     会理事長     神戸大学法学部教授  阿部 泰隆君     日本労働組合職連合会 鷲尾 悦也君     事務局長     茨城大学理学部教授  藤井陽一郎君     —————————————
  117. 佐藤観樹

    佐藤委員長 質疑を続行いたします。小平忠正君。
  118. 小平忠正

    小平委員 まず冒頭に、今回のあの痛ましい阪神大震災に、とうとい犠牲になられた五千名を超える犠牲者の方に対して衷心から哀悼の意と、また、大変な被災を受けられた皆さんに対し心からお見舞いを申し上げたいと思います。また、それにあわせまして、関係機関、さらにはボランティア、多くの皆さんの心血を注いだ御努力に対し本当に衷心から敬意を表する次第であり、あわせて諸外国からの協力に対しても、この際心からの御礼を申し上げておきたいと思います。  そういう状況で、総理初め関係各位の皆さんには大変な御努力をいただいてまいりましたけれども、しかしはっきり言って、このような未曾有の大震災に対する緊急時の体制、これが不備であり、すべての対策が後手後手に回ったこと、これはまさしく遺憾のきわみであって、これについては十分なる反省をもってこれからの体制に処していっていただきたい、このように強く願う次第でございます。  そこで、当予算委員会で連日この問題について各委員からの質問等ございました。私は、重複を避ける意味からも、特にこの際、食糧の問題について数点、私が懸念していますことを中心にお聞きをさせていただきたいと思います。  一つは、先般この地震に対しての食糧確保計画というものを私の手元にもいただいておりますけれども、それによると、まず水を初め食糧等の支給等が出ております。私は、これらについては、言うならばまず緊急に、まず最初の問題としては水であり、また電気、水道、ガス、こういうライフラインの復旧、さらには道路や港湾、いろいろございますけれども、この食糧という点において、今まで御説明があった中で特に米の言うならば備蓄体制、これによると約五千トン余ですか、これが確保してある、このような説明がありましたが、それはどういう形で確保されたのか。  これは、今我が国の備蓄体制というものがとられております。そことの関連もあると思うのですが、それはこの後またお聞きしますので、まずこの際、いわゆる神戸そして淡路島を中心に起きたこの大震災に対するそういう緊急の体制として、今までまるきりなかったところに急遽そういう体制を確保体制を持っていかれたのか、既にそういうものがある中において追加的にやったのか、そこのところを含めて、この点について御説明、これはどちらで、小里長官ですか、では、まずお願いします。
  119. 小里貞利

    ○小里国務大臣 米を中心にいたしまして乾パン等、これらの対応につきましては、農林大臣からしばしば御説明いただいておるところでございますが、その点、お許しをいただきまして、とりあえず担当大臣としての立場から、若干御説明申し上げたいと思います。  まず、県市のいわゆる要請に応じまして、農林大臣しばしば御説明いただいておりまするように、米を三千トン、そして乾パンを十万食、まさに機敏に私は対応をしていただいたと感謝を申し上げております。細やかに申し上げまして恐縮でございますが、十七日発生いたしまして、十八日には現地周辺にその三千トンを既に調達をしていただいたというこの経過は、私は非常に高く敬意を表しておるところでございます。  なおまた、その後の二千二百トン余りの第二次の補給方につきましても、もう既にあの神戸市の周辺に調達、配置を終わっておられまして、御承 知のとおり、神戸市内は倉庫等が相当充足いたしておりますから、その周辺にいつでも市及び県の要請に対応できるように周到な対策を、措置が終わっておられるという状況でございまして、その意味におきましても非常に感謝を申し上げておるところでございます。  なおまた、量につきましては、先ほど農林大臣から答弁がございましたように、当面のところ、これは十分である、そういう知事等のお話も承っておるところでございまして、御了承をいただきたいと思います。  なおまた、ただいま先生がお話しございましたように、今後の、今度のこのいわゆる厳しい経験を教訓にして、それらの食糧を中心にいたしました非常備品等々はどうかというお話でございますが、お話しのとおり、震災の経験にかんがみまして、今後備蓄すべき品目と量及び備蓄の主体及びその方法、あるいは緊急時の連絡体制の整備一輸送のルートの確保等、これは特に今度、ただいま申し上げましたように、三千トンにいたしましても二千二百トンにしても、農水省で大変緊急輸送という面で困惑し、苦労なさったようでございますから、それらのことは特に留意しながら、さらに、その食糧に関するいわゆる危機管理体制のあり方につきまして、幅広い視点から検討を深めていく必要がある、さように感じております。
  120. 小平忠正

    小平委員 今の状況等はよくわかります。ただ、私が問題とするところは、お米というのは御飯と違うのですよね。御飯というのはすぐ食べられるのです。まず、言うならば当初三千トン、その後二千二百トンということが今大臣から説明がありました。それは玄米ですよね。そうでしょう、大臣、玄米ですね。(小里国務大臣「はい」と呼ぶ)まだ答弁結構です。  ということは、これは倉庫にありましても、言うなればこういう緊急時には、まず精米所も全部被害を受けている。それでは実際に食用に提し得ないわけです。だから、あっても、これは要するに宝の持ちぐされてありまして、実際には機能しない。  私は、今のことを大きな教訓にして、これらを今後、今たまたま不幸な地震が神戸を中心に起きました。しかし、我が国は全国的に地震災害国であります。したがって、今後どこで起きるかわからない。それを考えるとき、このことをこれから大都市を中心にして各関係府県、これを適切に配置をして、そして緊急時にまずこれを玄米から精米にする、それから炊飯する、そういう施設の要するに拡充整備、これらも含めてやっていくことが大事であって、今の大臣の答弁ですと、一般の国民の皆さんはこれでオーケーだと思っちゃうんですよ。実際には違うんです。実際何ら機能しないんですね。そういう意味において、そのことはよくわかりますので、これらのことについてしっかりお願いしたい。  そこで農水大臣、今のこの不幸な出来事を大きな教訓にして、今後、私が今申し上げたことを進めていかなければならぬと思うのですけれども、実際には今近畿中心には、このほかに言うならば大阪府、京都を含めて、あの地帯でどういうような備蓄体制というものを緊急時に際してとられているのか。また、とられていないならば、今後どのように持っていかれるのか、そこのところをお聞きしたいと思います。時間があれば東京都も含めてお聞きしたいのですけれども、まずそこに絞って、どういう体制がということをまずお伺いしておきたいと思います。農水大臣お願いします。農水大臣で結構です。担当大臣の方がいいですか。じゃ大臣で結構です。
  121. 小里貞利

    ○小里国務大臣 では、御指名でございますから……。  議員御指摘のように、主食である米を確保することも大事でございますが、迅速に、臨機に罹災者がそれを活用できる食料品、この準備は当然必要であると思います。今度の経験にかんがみまして、粉ミルク、即席めん、パン、缶詰等々これらの対応が必要であろうか、さように私どもは考えております。  なおまた、ざっと申し上げまして、これは本当にざっとの感じでございますが、このような緊急食料品等の確保は東海、南関東地区はおおむね準備がなされておる、そういう状況にあったということだけは今度私も承知した次第でございます。
  122. 小平忠正

    小平委員 農水大臣、このことは私この後、言うならば我が国の今後の米の備蓄体制、それに絡めて本来の我が国の安全保障の見地からの備蓄体制、それと今回のこういう緊急時に要する備蓄体制、これを含めてお聞きしますので、今はいいです。  ただ、今大臣おっしゃったそういう乾バンですとかあるいは即席めん、粉ミルク、これがあるということはお聞きいたしました。物によっては、乾パンですとかはすぐそのまま食べられるのですよ。しかし、即席めんというのはお湯がなきゃ、火がなきゃだめなんです。ところが、あらゆる施設が被害を受けていると実際には食べられないわけですよね。そういうことを考えるときに、今の御説明で国民の皆さんがこれで安心だととられたら大きな間違いだ。実際にこのような事件がもしほかの地域で起きた場合に、これらはまさしく絵にかいたもちになっちゃうのですよ。実際に緊急に用をなさないのですよ。  その意味から私は、今後米の言うならばそういう備蓄体制、これは適切に適地にそれをしっかり保管をして、そしてそういう震災が起きた場合にそれを即、具体的に言いますと、玄米を精米にするそういう場所、炊飯する、炊き出しをする場所、そういうことが連続して、連綿つながっていなければ、単に米の要するに備蓄体制は何ら意味がないということを、私は、当然御承知でしょうけれども、往々にしてこのことは無視されると思いますので指摘したわけであります。  そこでもう一点、今たまたま乾パンというお話が出ました。小里担当大臣、乾パンというのは主なる原料は何からできているのですか。——担当大臣で、農林大臣わかっているからいいの。(発言する者あり)
  123. 小里貞利

    ○小里国務大臣 どうも失礼いたしました。麦が主なる原料であろうと思っておりますが、米も若干それに加味されておる、そういう話でございます。
  124. 小平忠正

    小平委員 私はこんな簡単なことを、今不穏当なやじがありましたけれども、聞きましたことは、この主たる原料は小麦なんですよ。しかし、我が国は御承知のように小麦を外国に頼っているんです、ほとんどのものを。そういうものを非常時の用として用意した場合に、もし小麦の輸入が何らかの国際的な状況によって、あるいは大干ばつとか、あるいは動乱、戦乱によって途絶した場合にどうなるかという、そこを考えるとき、乾パンを、今まで確かに乾パンというのは即非常食というような概念でとられております。  しかし、私はそこのところを考えるとき、我が国はお米を自給できる体制の国です。したがって、こういうことは今後、お米というものを中心にして、そしてすぐ食糧に提し得るものができるという、そういうことをこれから農水・省を中心に、あるいは厚生省も、こういうことを検討していく必要があると私は思うのですよ。だから、私はお聞きしたんです。そこのところを無視して、もとの原料というものを全然考慮に入れないでこういう非常体制ということは、これは根底から無理が出てくる。そういう意味において、私は今回のことを言っているのではありません。今後に向かってそういうことも検討していく必要がある。また、そうすればそれがお米の消費にもつながっていく、そういう観点から実は申し上げたのであります。  さあ、ところで次に、今回は、きょうのあれは主体が平成六年の補正予算のことでございます。したがって、私はそれについて質問をさせていただきます。  先般、政府において平成六年度の補正予算が組まれまして、それは御案内のように農水省の予算のあれとしては四千四百七十四億、こういうことで出ております。しかし、大蔵省が出しておりま すこの資料によりますると、説明によりますると、言うならば関連公共事業も含めて国費で六千二百七十四億円、これらを計上されております。それでよろしいですね、大蔵大臣。いや、答弁は後で結構です。聞いておいてください。今回農水省枠としての四千四百七十四億、このほかに言うならば関係省庁を含めた分が千八百億、それでよろしいですね。その額が出ております。  そこで、お聞きしたいことは、この額なんでありますが、なぜこのような形で組まれていったのか、そこのところの補正予算で組んでいかれたということについてのまず基本的ないわゆる大蔵省としての姿勢といいますか、そこのところをまず冒頭にお聞きをしておきたいと思います。
  125. 武村正義

    武村国務大臣 午前中も主計局長からお答えいたしましたが、ウルグアイ・ラウンド合意という事態を踏まえて、農家の方々も大変心配をなさっている、そのことにこたえていこうとするのが六兆百億円の関連対策費の方針の発表でございました。なるだけ急いで政府の方針を明らかにしていくことが大事だというのが基本にございます。  同時に、個別の問題としては、一つ例を挙げて申し上げておりましたように、農業大学校なんかの例を取り上げれば、四月早々から始まるわけでございますから、新年度では遅きに失する、補正対応によって各学生も、学校側もしっかりした準備に入っていこうということになりますし、あるいは圃場整備のような具体的な事業にしましても、少しでも早くこの方針が明らかになったことによって、各地元地元の取り組み、農家の意欲が違ってくる、そんなことを含めて補正対応すべきものは補正対応という姿勢をとらせていただいたというふうに思っております。
  126. 小平忠正

    小平委員 そういう急を要することもあるので補正で組んだ。私は、そこは本来、昨年のWTO特別委員会、昨年末ございました。そこでもこれらのことについては、総理もまだ御記憶に新しいと思います、いろいろと議論をいたしました。そこでこの政府が打ち出した六兆百億円、これについては政府、最後の総理の答弁でも明快に答弁されてますよね。そういうことで、今後六年間のスパンでこれをしっかり取り組んでいこう、そこのところは我々も了としました。そしてWTO受諾というものを我々も賛成をしたわけであります。  その後、当然私どもは、これは重大な案件ですから当初予算で組まれていく、こう期待しておりました。私もここに議事録持っておりますが、総理のそのときの御答弁では、このことが農林水産予算の、事業の財源捻出のために削減、抑制することは考えていない、そういう答弁もあってそういうことを期待しておりました。  しかし、結果としては変化球というか、補正でもって組まれたわけであります。今大蔵大臣の答弁がそこにありましたね、急を要すると。ある意味では理解できます。そして時間的な余裕もない、当然その前から平成七年の予算編成もされてきた、そういう中でまず立ち上がりとしては補正でいこう、そこのところはある程度理解できます。しかし、そのことが私は堂々と言えるものじゃないと思うんですよ。これは言うならば、私どもから見たら期待外れの要するに結果でありました。  そこで、今回立ち上がりとしてそのような額が補正で出されたのでありますけれども、六兆百億円の六年間ということで考えると、立ち上がりとしては随分額的に少ないですよね。やはりこういう問題は、まず初年度にきちんと予算を組んでいかなければ、補正であろうと当初であろうと、そうしなければ、期待にこたえねばならないと思うんです。非常に私は不満に思っております。そこのところはどうなんですか。
  127. 武村正義

    武村国務大臣 それはぜひ見方を変えていただけたらと思いますのは、要するに、前倒しと言ってもいいのでありますが、補正であれ当初であれ、国の姿勢としては予算を組むという点では変わりがないわけであります。農家の準備その他があって、急ぐべきものは急がしてもらおうということでありました。もう一つは、かなりは建設国債を充当できるということがそれを可能にしたというふうにも説明ができるかと思います。  六兆百億円全体に対しては、今回が補正が四千四百数十億、当初が一千数十億、こういう金額でございますが、足して五千数百億。ですから、前から申し上げてまいりましたように、国と地方半々という状況でございますから、地方分を入れますと、大体一兆千四百億くらいになるんではないだろうかというふうに見ておりまして、六兆百億の六分の一をやや超える数字をここでお示しをすることができたわけでございますから、そういう意味では、もちろん約束というか、WTO委員会でたびたびお答えしてまいりましたことをこの二つの予算で具体的に実行をさしていただいたというふうに思っている次第であります。
  128. 小平忠正

    小平委員 大蔵大臣、今の御答弁で補正であろうと何だろうと財源は同じだ、そういうふうな予算だということを言われましたね、今。私はそういう認識の仕方ではいかぬと思うんですよ。  今の数字を言いますと、大臣の御答弁では確かに六年の補正、七年の当初予算、これが約一千七十億ですか、これをプラスしますから五千五百四十五億、そして事業費でいうと、おっしゃるように一兆一千四百億、そうなるでしょう、数字上は。しかし、事業費というのは、これは地方負担を含めてですよね、特に公共事業なんかでは。そうですね。問題は国費なんですよ。確かに六兆円の中でも約半額が国費ですから、そういうことでいうと確かに六分の一でしょう。そういう数字だけをとらえて、補正で組んだから、補正であろうと何であろうとそれは同じだ、私は、一国の国の財布を預かる大蔵大臣がそういう認識では非常に困ると思うのですよ。  やはり基本は、私は本予算で組むのが基本的な姿勢だと思うのですね。しかも今回、この今言われた公共事業、これらにしても三千億が国費ですよ。三千億が言うならば補正でしょう。わずか二百五十億が平成七年度の当初予算なんですよ。主たるものは補正なんですよ。ここのところはそういう姿勢では私はどうも理解しがたい。どうですか、重ねてそこのところ。
  129. 武村正義

    武村国務大臣 補正であれ当初であれ何でもという、何でもという言葉は使っておりませんから、何であれという……。  補正も当初も同じ効果を持つわけでございますから、農家の御期待の面から見れば、政府がどう財政で約束をきちっと実施をしていくかということに尽きると思います。その点では農家の期待を裏切るものではないと。あえて言えば、補正対応というのは、少しでも急ごうということをこういう姿勢であらわしているわけでございますから、私どもは結局六年間で六兆百億円というこの約束をきちっと守っていかなければいけないという考えてあります。  それから、国費と地方のことは去年秋の委員会でもたびたびお答えをしてまいりましたが、半分ちょっと下回りますということを申し上げてまいりました。その数字にちょうどこの五千五百数十億はそろっているわけでございますから、地方分まだ精査できておりませんが、締めて一兆一千四百億と、半分弱という点では変わりがありません。
  130. 小平忠正

    小平委員 私は、基本的に絶対に賛成できないことはそこの考え方の違いなんですね。  まず、農水大臣大臣はもうまさしく我が国戦後の農政の生き字引ですよ。戦後直に農水省に入省されて、今日まで歩んでこられた農政の中でもうすべて御承知だと思います。そういうところで、やはり大臣もあれですか、要は数字さえ合えばいいんだ、補正でいい、そういうふうにお考えになられておりますか。
  131. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 お答え申し上げますが、一般的に言えば、当初予算事業費が計上されることが安定的なものとして望ましいということは言えると思います。補正が、言うならば次の不確かな要素、不確かな要素等のある問題について、それに財源措置を任せるということは、いろいろそこ で議論が出るところだと思います。ただ、事業執行体制とか地元のニーズ、そういうニーズ等を考えて急ぐ、重点かつ加速的にやるというようなことになりますと、やはり補正の場合もあり得るというのが私の考えでございます。
  132. 小平忠正

    小平委員 さあ村山総理、お伺いいたします。  総理もあれですか、今御答弁のような形で——ただ、今の御答弁では大蔵大臣と農水大臣、微妙なニュアンスの違いがございました。やはり農水大臣は、言うならば主たるものは本予算、そういうニュアンスの御答弁があったですね、しかし必要に応じてという。またいろいろな状況を勘案して補正ということになった、それは私わかりますのでも、総理も、今までの私のお聞きしている中において、総理補正でよろしいとお考えですか。そこのところ、どうですか。
  133. 村山富市

    村山内閣総理大臣 一般論から言えば、これは本予算で大綱を組んで、そして年次を通じて必要な補正をするということが筋であると思います。  しかし、私は、ウルグアイ・ラウンド合意のあの状況を考え、あのときの雰囲気等々から判断をしてみて、そしてあれは細川内閣のときでしたけれども、細川総理を本部長にする対策本部をつくって、そしてウルグアイ・ラウンド合意後の農業はしっかり守っていこう、こういう決意を固めて取り組んできた、そういう雰囲気と経過から見ますと、やはりここで政府がやる気を示すということが必要ではないかという意味で、私は補正にあれだけの予算が計上されたのだというふうに思っていますから。  したがって、それは、そういうケース・バイ・ケースといいますか、それだけのやはり情勢によってこれは判断せざるを得ない政治的なものがある、私はそう思うんです。そういう意味で御理解をいただきたい、そういうように思います。
  134. 小平忠正

    小平委員 総理、私は冒頭に言いました。今回立ち上がりには、まずいろんな、要するに物理的な作業の面からも、補正も、満足はしませんけれども、ある程度やむを得ないということは私も思っているんですよ。問題はこれからなんですよ。そうすると、次年度ですね、平成八年以降も今総理がお答えになったような方向で進まれるんですか。
  135. 村山富市

    村山内閣総理大臣 これは、先ほど来御答弁もございますように、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策について、六年間の新しい事業として六兆百億円の事業費を講ずる旨を政府・与党が責任を持って決定したものなんです。したがって、これについては、各年度の予算において検討の上、きちんと対処をしていく方針でありますから、その点はひとつそういうふうに御理解を賜りたいと思うんです。
  136. 小平忠正

    小平委員 いや、全然私、納得できません。いいですか、六年間で六兆百億円、これはそのとおりですよ。しかし、私がお聞きしたのは、補正でいくんですかと聞いているんですよ。きちんと平成八年からは、言うならば本予算でいくかどうかを聞いているんです。いいですか。そもそも補正というのは、政府の見通しの誤りによって追加的に財政措置をせんけりゃならぬという、そういうときに組むものでしょう。あるいは、こういう大災害の場合、緊急に補正を組む、これはわかりますよ。  しかし、この問題は、昨年のWTO委員会で延々と長時間議論をした結果なわけですよ。ということは、きちんと正攻法で、直球を投げ込んで、そして本予算で進めていくという、そこがなければいかぬ。しかも今回、このことはまた昨年からことしのことだから、まだ国民各位も関心があるわけですよ。この熱いうちに打たないと、鉄と同じですよ。これがだんだん年数だっていけば、これがだんだんと、どこになっていくか、そんなになっちゃ困るわけですよ。だから、大事な、基本的なことなんで私は確認しているんですよ。いや、いいです。総理の基本的な考え方をもう一度確認させていただきます。総理お願いします。——委員長、私は大臣は要求していません。
  137. 村山富市

    村山内閣総理大臣 ですから、一般論からすれば、財政の編成の方針としては、それはもう年間を通じての大綱といいますか、方針というのは当初予算で計上される。そして、その過程において必要があった場合に補正がされるというのが予算編成の基本的な私は方針だと思いますよ。  ですけれども、今回の場合は、先ほどお話し申し上げましたように、あのウルグアイ・ラウンド合意を受け入れるときの農村の雰囲気、実態というものを考えた場合に、これは一体日本農業はどうなっていくのかという不安をたくさん持っているわけですから、したがって、それにこたえてやる気を示すという意味で、前倒しで補正に組み込んだというのが今回の場合の措置です。それでよいでしょう。(小平委員「それはわかっているんです。そのことは理解しているんです。問題はこれからですよ」と呼ぶ)  これからは、先ほど申し上げましたように、六年間で六兆百億円という新しい事業をやるための決定をしているわけですから、それを各年度ごとに必要に応じて予算を組んでいくというのは当然の話だと思います。
  138. 小平忠正

    小平委員 ということは、次年度からはきちんと本予算で組んでいくということですか。
  139. 武村正義

    武村国務大臣 総理がお答えいたしましたように、予算編成の基本的な姿勢としては、これは農林大臣もおっしゃったが、まあ当初予算、本予算で一年間の事業のすべてを集約するのが一番望ましいわけであります。今年はこういう経緯で補正と本予算の組み合わせで提案をいたしておりますが、来年以降の姿勢を問われておりますが、基本的にはそういうことであります。しかし、来年度のまた財政状況その他全体を見ながら、予算編成の中で適宜適切に判断をさせていただくということであります。  いずれにしましても、六年間で六兆百億円の約束だけはどんなことがあってもきちっと守っていくということに変わりはありません。
  140. 小平忠正

    小平委員 私は、政府の基本的な姿勢をお伺いしているのです。いいですか。もちろん次年度も状況によっては補正でもって、言うならば今度平成七年予算の、本年度予算の、平成七年予算ですよ、そこでまた補正で出てくることもあり得るでしょう。でも、私は、基本的な姿勢としてこの六兆百億円、これをしっかりと実効あらしむるために、政府の基本的な姿勢として本予算で組んでいくということなのかという、そこのところをお伺いしているのです。そこはどうなんですか。それがなかったら、私、前に進めませんよ。
  141. 武村正義

    武村国務大臣 いや、前へ進めませんとおっしゃいますが、とにかく小平議員のお考えとしては承りました。  私どもとしては、予算の編成の責任者として、今ここで来年度は全部必ず本予算で組みますなんという約束は、これはすることはしてはいけないと思います。むしろ、予算編成の中で財政状況全体を見て総合判断するしかないわけでありますが、基本的には、なるだけ予算というものは、必要な予算は本予算で組まなきゃいけないという小平議員の御意見はしっかり拝聴いたしました。
  142. 小平忠正

    小平委員 その御答弁は全然答弁になっていないですよ。私は、いいですか、今回のこのことに対して、このことはそれを是としながらも、不承不承認めながらも、次年度とうするかということの方向を聞いたわけですよ。そうしましたら、必要に応じてなんという、そんなばかげた話がありますか。これは、国民世論を巻き込んで大きくなったことなんですよ。これについて、そんな、次年度に向けてはそんなことは言えない、必要に応じてやるなんて、そんなことがありますか。だから、本予算でいくというそこのところの基本姿勢を明快に御答弁いただきたい。
  143. 武村正義

    武村国務大臣 これは議員と政府の見解が違うのですから、気に食わぬとかおっしゃってもこれは仕方ないですね。だから、議員の御意見としては、なるだけ本予算で組めという御趣旨はよく承りましたということを申し上げているわけで、政府としては、しかし、それを今、一年後の予算のことをきちっとここで約束をすることはできませ んと、これはむしろ誠実にそう申し上げているところであります。
  144. 小平忠正

    小平委員 そうすると、一昨年暮れにあれだけ我々は苦渋の選択をして、我が国が国際社会で今後生き延びるために、言うならばウルグアイ・ラウンドを認める方向に来たわけですね。それを踏まえて、昨年一年間ああいう経緯の中で最後にWTO条約、それにあの新食糧法、これまで真剣に議論いたしました。  そういう中で、この六兆百億円というものは、しっかりと検討した結果、政府が打ち出した数字でしょう。それをこれから消化していくために、これは当然、まず今回は時間的にも間に合わなかった、もう概算要求シーリングやってしまった、したがって今回は平成六年でもって、言うならば変化球で逃げた。そこまでは我々は、全面的に認めないまでもその結果は是としながらも、基本的な姿勢としてこれだけのことをやってきて、また次年度からもそれはわからぬから、場合によったら補正で組むなんて、そんなふざけた話がありますか、そんな。  委員長、私は、こんな、いいですか、これだけのきちんとしてきたことを、それをいかないという、そんなことで私は納得できないです。
  145. 武村正義

    武村国務大臣 まあ逃げたとかふざけたとかいう言葉は少し慎んでいただきたいと思います。  何回も申し上げているように、六兆百億円という事業費は政府、総理以下私どもも繰り返し六年間でしっかりこの約束は守っていきますと申し上げているわけでありますし、補正予算というのは前倒しですから、両方合わせてその初年度一兆一千四百億という数字をむしろ多目に第一年度のスタートを切らせていただいているわけであります。  ただし、六兆百億円の年度割まできちっと発表しておりませんから、まさに執行状況とか進捗状況も見ながら、そしてまた来年度の経済情勢そして財政状況、そういうものを見ながら来年度の予算編成をしていくわけでございますから、そういう政府の立場だけはぜひ御理解をいただきたい。多少微妙なニュアンスの違いはあっても、あなたがおっしゃることはよくわかります、しかし、政府はこういう立場ですから、そのお気持ちも受けとめながら来年の予算編成はしっかり対応させていただきますと、こう答えているわけで、そんなに大きな違いはないと思います。
  146. 小平忠正

    小平委員 一つの例をとって言いますと、例えば今回も公共事業補正で三千億、平成七年本予算で二百五十億なんですよね。本予算補正、どっちが主ですか。大臣の御答弁ですと、本予算補正も同格に見られているんですよ、同レベルで。でも、主体は本予算でしょう。しかも、このことは突発的に起こったことでないわけですよ。予算予算ですけれども、主体は本予算でしょう。  総理、私は、今まで社会党の皆さん、非常に農政については真剣に、消費者のことを考えながら生産者についてもしっかり考えてこられた。ある意味で私尊敬してまいりましたよ、社会党の農政というものを。もっとはっきりおっしゃったらどうですか。私は、こういうことでこれをここで認めてしまったら、言うならば基本的な国の予算措置として本予算でいわゆるラウンド対策をしようということじゃなくて、これからも、今回は補正で組んだ、次年度からもまた状況によっては補正かもしれないという、そんなことでは私は引き下がれませんよ。総理、いかがですか。
  147. 村山富市

    村山内閣総理大臣 これは、先ほどから答弁していますように、ウルグアイ・ラウンド合意を入れた、日本農業はどうなっていくのかという心配や不安をたくさん持っておられた、そこで、先ほど来言っていますように、これは変化球で逃げたなんということでなくて、それはやはり政府全体が農民に対してやる気を示して、自信を持ってもらおう、こういう気持ちで前倒しで組んだんですよね。そこはもうあなたはわかっていると言うんだ。だから、そこがわかっていろんなら、変化球で逃げたなんておっしゃらずに、正しく私は理解してもらいたいと思うのですね。  そしてしかも、六年間で六兆百億円という新しい事業を、必ずそれは各年度の予算で消化してやります、こう言っているわけでしょう。そこで、本予算で当初に組むかあるいは補正に組むかというようなことは、それは事業全体の進捗状況やらそのときの判断で適宜適切に予算編成というのはされるものであって、今ここでその予算編成はこうしますというようなことを約束する立場にはないということは、私は御理解がいただけるんじゃないかと思うのですよ。
  148. 小平忠正

    小平委員 今総理大蔵大臣が明快に御答弁できないのは、言うならばシェアの問題、各省庁のシェアの問題とかそれはありますよ、難しい問題。そこは私も理解できます。  ただ、我が国は一昨年の暮れにこういう大変な決断をしたわけですよ。そして昨年暮れにはWTO、この条約に我々は参加したわけです。我が国の、大きく世の中変わったわけです。しかも、今回は今スタートですよ。このときにこのことをしっかり踏まえていかなければ、これが一年、二年、三年たっていけば、だんだんとこのことの重要性が、皆さんの認識がやはり変わっていく。  やはり今この立ち上げが大事であって、このときに、言うならば基本的に本予算でやります、しかし足らざるところを補正で補います、そういうことなら私は納得いたします。委員長、私はそれでなかったら納得できません。
  149. 武村正義

    武村国務大臣 昨年の秋のWTO委員会で、小平議員が真剣に日本農業の将来を思いながら御質問をされていたのを覚えておりますが、私どもは、冒頭むしろ約束どおりよくやったと一言おっしゃっていただけると思っておりましたが……。  問題は補正と本予算関係でありますが、確かに本予算ですべてが網羅されているのが形としては望ましいと思います、これは形の問題としては。しかし、効果からすれば、歳出の効果とかあるいはその金を受けて事業をされる末端の農家の気持ちからすれば、補正も本予算も百万円は百万円で変わりはないわけです。補正予算なら半分ぐらいの価値しかないとおっしゃるなら別ですが、それは全くないわけですからね。  そこは、まさにこの国の巨大な財政運営の中で、本予算を基本に考えておりますけれども、来年は来年の進捗状況、執行状況あるいは経済情勢を見ながら真剣に判断をさせていただきます、しかし、六年間で六兆百億円という約束だけは来年度も再来年度もしっかり守っていきますということを繰り返し申し上げたいと思います。
  150. 小平忠正

    小平委員 大蔵大臣、今百万円は百万円で同じだというふうにおっしゃいましたが、しかし、補正というのはその年度限りのものでしょう、補正というものは。言うならば、私はそこのところのことを指摘しているのですよ。  では大臣、逆にこういうふうにお聞きします。逆のことをお聞きします。今大臣いみじくもおっしゃった。百万は百万同じだ、補正だろうと本予算だろうと、とおっしゃった。それでは、同じだったらなぜ本予算で組めないのですか。
  151. 武村正義

    武村国務大臣 本当は補正はない方がいいということにもなるのかもしれませんが、やはり一年間でこれだけさまざまな情勢が動いていきますね。災害の発生なんかもその一つですが、そういう中で補正予算という制度が存在をしていることを考えますと、なかなか補正予算抜きの年度予算というのはあり得ないというか、毎年一回か二回は補正予算を強いられるという状況になるわけであります。そのことをぜひ御理解をいただきたいと存じます。
  152. 小平忠正

    小平委員 私がお聞きしたことの答弁になっていないのですよ。私がお聞きしたのは、なぜ同じお金だったら本予算でだめなんですかと聞いたのですよ。百万が百万同じだとおっしゃったんだ、いみじくも。では、なぜそれが本予算じゃいけないのですかと、そこをお聞きしたのです。
  153. 武村正義

    武村国務大臣 それはもう一番最初にお答えをいたしましたが、圃場整備の現場の話と農業大学の例を挙げましたが、むしろ少しでも早く政府の 姿勢を示した方が末端の対応には望ましいという判断があったから、ことしはなるだけ補正で組ませていただいたということであります。  将来の問題あるいは基本的な予算編成の姿勢としましては、小平議員がおっしゃっているように本予算が基本である、本予算にすっぽり全部組めるのが一番望ましいという気持ちは持っているのですよ。しかし、今ここで、来々年度、平成八年度以降は一〇〇%本予算対応しますという約束はできない、まさにそのときの状況を見ながら適切に対応させていただきたいと。やや幅を持っていますが、これは政府としてはお許しをいただきたいと思っているわけであります。
  154. 小平忠正

    小平委員 私も武士の情けで、もうこれはここでおろしたいですよ。今大臣おっしゃった、基本的には本予算で組みたい、しかし必要に応じて補正という、私それならそれで了解しますよ。それだったらそういうことで、総理、最高責任者として、今の大蔵大臣の答弁、それでよろしいですか、確認をさせていただきます。それなら前に進みます。
  155. 村山富市

    村山内閣総理大臣 基本的に予算編成のあり方としては、私は、やはり年間を通じて見通しの立つような仕事をしてもらうために新年度予算を主体に組む、そして必要に応じて、年間必要に応じて補正をされるというのが基本的なあり方だとは思いますね。  しかし、ここでそのことを、必ずそうしますという、例えば六兆百億円という予算を必ずしも当初予算にぴしっと、例えばその六分の一を当初予算に組み込めるかどうかといったような問題については、それはやはりそのときの事業の進捗状況やらいろいろ判断をして、また財政状況、経済状況等も判断をしながら、それは予算編成権というものはあるのであって、ここで必ずそうしますというようなことの答弁はできる立場ではないということについては御理解をいただけると思うのです。
  156. 小平忠正

    小平委員 総理大臣、今の御答弁、前段は非常によかったです。前段は非常によかった。後がもごもごと、そんな自信ないことじゃなくて、いいですか、本予算で足らざるものは補正、それでいいのですよ。基本的に本予算でいく、しかし足らざるものは補正で補う、それで皆さん納得しますよ。  そこのところを私は政府として明快に、今回の場合は時間的に間に合わなかった、したがって平成六年の補正で組んだ、そこは認めましょう。そして次年度以降は基本的姿勢に返って本予算でいきます、足らざるものは補正で補う。それで、今大蔵大臣が話すと何か話が違うことを答弁されるから、もういいですよ。総理大臣、そういうことでよろしいですね。
  157. 村山富市

    村山内閣総理大臣 ですから、予算を編成する基本的な物の考え方としては違いはないのですよ。だけれども、それじゃ平成八年度の予算を必ずそういうふうに組むかと、こう言われますと、それはそのときの状況によってまた判断させてもらわなければならぬ、そこが予算編成のやはりあり方の問題として要件があるわけですから。  ただ、約束できることは、六年間で六兆百億円というものについては必ずやりますということは言えるわけですから、それはそういうふうに判断していただかないと、ここできちっと、平成八年度の当初予算はこうやりますなんということをここで言える立場ではないということは御理解がいただけると思うのです。
  158. 小平忠正

    小平委員 私、質問時間がまだ延々とあるのだったらあれですけれども、時間がないのです。したがって、私も時間がなくて非常に今苦慮しているのですが、政府の予算編成権まで我々はどうこうと言っているのではないのですよ。そうじゃないのですよ。基本的な姿勢として、予算というものは本予算が基本でないですかと言うのですよ。しかも、このような大きなことに対して、変化球でいくのではなくて、きちんと本予算でいって、足らざるものを補正で補っていくという、そこの姿勢でこれから臨んでいかれるのですか、そのことを確認をさせていただければ、私はここで矛をおさめます。基本的な姿勢ですよ。これは総理に答えていただきたい。
  159. 武村正義

    武村国務大臣 すべての財政需要を向こう一年間見ながら、基本はおっしゃるとおり本予算、足らざるところは補正予算、こういう考えで対応してまいりましたし、今後も対応してまいります。
  160. 小平忠正

    小平委員 今の大蔵大臣の御答弁を、私も了解いたします。ぜひそういう姿勢で臨んでいっていただきたい。そうすることが、関係者がこれらについて、政府もしっかりと真剣に取り組んでいる、そのように理解をしていただけると思います。私は、大事な基本的姿勢だったので、これだけ時間をかけましたけれども問うたことです。  そこで、時間も余りなくなってしまったのですが、いろいろと質問したいことはあるのですが、せっかくきょうは外務大臣が、今までまだ一度も御答弁になっていませんのでお聞きしますが、いわゆる海外への援助の問題でお聞きいたします。  これは、言うならばケネディ・ラウンドの約束事であって、先進国が開発途上国や飢餓の国に対して食糧援助規約というものをつくっておりますね。それに応じて、大体この加盟国の年間の最小拠出義務量の合計は、これは小麦換算だと思うんですけれども、七百五十万トンぐらいだと思います。そうですね。昨年の場合にはああいういろんな災害等が起きまして一千万トンまでいったようでありますけれども、一応そういう状況にございます。  その中で、我が国としては最低三十万トン、小麦換算、海外に援助をする義務を、権利じゃなくて義務ですよ、義務を負うというわけですね。しかし、実態は、これが現物ではなくてお金で出ているわけですね、大体百二十五億円から百五十億円。ここのところを、まあ今まで我が国は食管法という、そういう中でありましたし、今までの状況はわかるんですが、今後これについて、我が国は現物で海外援助に向かっていくという、そういうことでは考えておられるのですか。特に外務省、その衝に当たっておられるところとして、外務大臣、そのお考えどうですか。
  161. 河野洋平

    河野国務大臣 議員御指摘のとおり、食糧援助規約というものがございます。加盟国全体で七百五十一万七千トン、その中で我が国のシェアは三・九九%、したがって数量は、議員がお話しになりましたように、およそ三十万トン程度ということになりましょうか、それを我が国はこれまで資金供与という形で、資金を拠出することで行ってきた。  これは、開発途上国の中にも農産物の輸出を主たる産業としているという国がある中で、我が国がそうしたことにも配慮する必要もあろう、その他国際的さまざまな問題に対する配慮等を行った上で、どういう方式でやるかということを決めるわけでございますが、私ども日本の国としてはこれまで資金供与方式による食糧援助というものを実施してきたわけでございます。これから先につきましても、今申し上げましたように、諸外国の状況等をよく見きわめた上で考えるということが大事だと思います。     〔委員長退席、三野委員長代理着席〕
  162. 小平忠正

    小平委員 今外務大臣から、今までの状況等の御説明なんですが、そこのところを私も、おっしゃるとおりです。  問題は、我が国は、言うならばまずお米の部分自由化に入ったわけですね。我々は今まではお米というものを、特に食糧、主たる食糧、お米を輸出もしていなかった。したがって、こういうことのあれはわかります。また、特に、今おっしゃったように、食糧を輸出している国の立場もおもんぱかってということもわかります。しかし、世の中変わったわけであります。  もう一点は、じゃ、今こういう海外援助に加盟している国、たくさんありますけれども、主たる国を申し上げますと、まずEC。ECは百六十七万トン、海外援助の義務を負っているんですよ。いいですか、けたが違うんですよ。我が国は三十万トン。一方、アメリカは四百四十七万トンなん ですよ。しかも外務省説明では、ECもアメリカお金じゃなくて現物でもって援助しているんです。  しかるに我が国は、わずか三十万トンの拠出義務であって、それぐらいのものを現物が出せない。一方では、今大豊作によってお米が余っている。しかも、昨年、食糧庁の計画の見通しの悪さによって約百万トン近いものが緊急輸入を、超過輸入しているんですよ。そういう状況の中で、一方、ことしは生産者に向かってさらに八万ヘクタールの減反強化を打ち出しているんですよね。  一方でそういうことをしておいて、じゃ、これだけのものが我が国にあるんでしたら、それを現物で輸出をしようということに振り向ける、そういう努力を、確かに今おっしゃったように、米の輸出国との調整やあるいはWTO協定との整合性、いろいろなことがございます。しかし、実際、今回、この平成六年度三月までに何かラオスに二万トンお米を出すんでしょう。実際に今までなかったことをやるわけでしょう。そういうことを今始めたわけですね。ですから、今後、平成七年度以降、これらについて外務省として、もっと我が国が、この言うならば三十万トンの拠出義務をもっとふやすなりそれから現物で出すように、そういう方向には向かっていけないものですか。
  163. 河野洋平

    河野国務大臣 先日もラオスに二万トン米を出すんじゃないかという御質問がございましたが、私ども事務当局に確認をいたしましたけれども、ラオスに対するものも含めて食糧援助の今後の計画は現在検討中で、ラオスに二万トン米を出すなどという決定はいたしておりません。  それはそれといたしまして、先ほど来から議員お尋ねのように、食糧援助につきましては、食糧の輸出国、恒常的な輸出国というものもあれば、しかもそれを、ECやアメリカはまあおくとして、開発途上国間でも食糧輸出によって国の財政を大きく支えている国もあるわけで、そこに我が国が割って入るというようなことが果たして適当かどうかということも含めて、さまざまな検討が必要であろうというふうに思っているわけでございます。  我が国が、今議員御指摘のように、少なくとも現在、現時点で余剰と言われているものは米でございますが、米の余剰、現在における余剰を持って全体のバランスの中に入っていくということがいいかどうかということなど、さまざまな判断をしてこの問題は結論を出さなければならぬというふうに思っております。
  164. 小平忠正

    小平委員 確かに、我が国お金を出してあげて、そのお金でもって現物を出すという、そういう食糧輸出国ですね、その立場もおもんぱかるという、それは私もある程度理解できます。しかし、この中にはアメリカやそういう大国も入っているわけですよ。例えば、昨年だけ例にとってみても、パレスチナ難民、アフガン難民、アフリカ難民、旧ユーゴ難民、これはアメリカや豪州ですよね。だから、我が国アメリカお金を出してあげて、アメリカが小麦を向こうに渡す、そういう、これは外務省の資料です。外務省からいただきました。それから先ほどのラオスの件も、私は外務省からの説明でそう申し上げたのです。決まっていないということは私も聞いています。そういう方向にあるということを外務省からお聞きいたしました。  こういう中で、それはそういうことで遠慮があると。でも、じゃ遠慮といったら、我が国は今工業製品、自動車や電化製品を輸出していますよね。それらについてはかの国は、我が国が輸出するからといって遠慮してくれていますか。逆にジャパン・バッシングでもって、日本に輸出を抑えろ、抑えろということが来ているわけでしょう。  そういう状況の中で我が国は、これが偏らないように、こういう状況ですから、このことをもっと外務省、弱腰じゃなくてしっかりと今後この食糧援助に向かって現物で量をふやしていけるように取り組んでいってもらいたい、このことをお聞きしているのですよ。いかがですか。
  165. 河野洋平

    河野国務大臣 議員の御意見は御意見として承りますが、先ほどから申し上げておりますように、我が国で仮に余剰があるとしても、それは米でございまして、今議員が御指摘になったような食糧援助が欲しいと言っている国が果たして米を欲しがっているかどうかということは、また別の話でございます。一般的に小麦が欲しいとかそういうものであるとすれば、そこに我が方に米が余っているから米をやるというだけで問題が解決するというわけにはいかないわけでございます。  さらにまた、国内の余剰を何とかしていろいろ知恵を出さなければならぬという、そういうお気持ちがあるとすれば、それは一つの提案として議員のお考えということはわかりますけれども、食糧援助規約の中で我が国がどうするかということになると、先ほどから申し上げておりますように、援助を受ける国にとっても何が一番望ましいか、それから資金の合理性といいますか、そういう点から見ても何がいいかということもよく考えなければなりません。世界の地理的な条件によっては、日本から延々と船に積んで遠くまで持っていくということがいいのか、あるいは資金を調達して近くから買うという方が合理的であるかというようなことまで考える必要もあるのではないかと思います。
  166. 小平忠正

    小平委員 今の外務大臣の御答弁ですと、あれも難しい、これも難しいから現状のままだというふうに受け取られます。  ただ、いいですか、大河原大臣、私が先ほどお話ししましたように、今我が国は大変なお米の在庫を抱えているんですね。そういう中で、例えば外米の緊急輸入にしても、国内米に影響が出ないように処理する、そういう方向を言われていますよね、農水省としても。それは、一つは海外輸出であり、海外援助であり、また加工用、飼料用であり、そういうことでしょう。国内の主食に影響が出ないように処理をしたい、そういうふうにおっしゃるということはそのことにあると思うのですよ。ということは、そのことにもつながってくるわけですね。  したがって、外務大臣の今の御答弁を、私がそうですか、はいわかりましたとなったら、じゃ今までどおりそれを踏襲しよう、これではいかぬと思うので、もっと努力をされていただきたいと。そして、確かにそういう小麦を嗜好する国、距離的な問題、いろいろあるでしょう。しかし、それは一つの言い逃れの理由ですよ。私はそこのところ、今までどおりじゃなくて、こういうときに我が国ももっと、これは一つはそれをちゃんと処理することが、大蔵省にとってもこれは財政処理が楽なわけでしょう。我が国はこれだけのものを抱えているわけですよ。ですから、ここのところを真剣に私はとらえていただきたい、こう思います。  外務大臣、そういう方向で取り組んで、今までどおりこれがいくのでなくて、今後こういうことを真剣に進めていくということ、そういうことの方向でよろしいですか。
  167. 河野洋平

    河野国務大臣 先ほどから繰り返し申し上げておりますように、さまざまな状況を見きわめた上で結論を出すということをこれまでもしてまいりましたし、先ほどから御答弁申し上げておりますように、国際社会のさまざまな条件を十分確認をした上で結論を出す、知恵もできるだけ絞りたい、こう考えております。
  168. 小平忠正

    小平委員 私も、今の御答弁を聞くともう一つ一つ反論したくなるんですよ、本当に。ただ、これはルールで、時間ですから、したがって、今、次に関連で仲村先生が質問が控えていますので、それはできませんのでここで終わりますが、今までの問題、外務大臣、このことは、今までの状況を私はそれはおっしゃるまでもなく理解いたしております。しかし、今大きく我が国農業情勢も変わって、世界に門戸を開いてきたんですから。ですから、そこのところは当然、今までのとおりじゃなくて、やり方も変えていっていただきたいし、そういうことの努力をされていただきたい、 そこはぜひ担当大臣としてよろしくお願いいたします。  委員長、これで終わります。ありがとうございました。
  169. 三野優美

    ○三野委員長代理 この際、仲村正治君から関連質疑の申し出があります。小平君の持ち時間の範囲内でこれを許します。仲村正治君。
  170. 仲村正治

    仲村委員 第一点目に、阪神大震災に関連する件でありますが、私は、まずこの件につきまして、総理並びに担当大臣にお尋ねをしたいと思っております。  私も、あの朝、七時のテレビニュースで神戸を中心とする地域での大地震発生を知ったのでありますが、私は、テレビ画面に映し出された神戸市のあの壊滅的な被災の状況を見て、直感的にこれは大変だ、これは今までにめったに見たことのない大地震、大災害が起こったなと思いました。  高速道路があちこちで倒壊し、橋げたもあちこちで橋脚からずれ落ちて、バスなどがそのずれ落ちた高速道路にひっかかっているような状態でございました。そして、建物も至るところで倒壊しているような状況からして、これはだれが見ても、あのニュースを見たときに、これはもう本当に大災害が発生したなというふうに思ったわけであります。しかし、そのころまでは余り火災は起こってなかったような感じでありました。その後、しばらく時間がたってからあちこちで火災が起こってきたような状況だったと思っております。  そのような状況の中で、自衛隊や警察や消防などの必死の消火活動が行われ、また人命救助活動も続けられたのでありますが、今までの発表で五千二百五十人の方々がお亡くなりになり、そして行方不明者が六人、負傷者が二万六千八百四人、被災者が二十七万人を出すという大惨事になってしまったのであります。  私は、改めてここで死亡された方々の御冥福と、被災者の方々に心からのお見舞いを申し上げたいと思います。  先ほども申し上げましたが、最初のニュースを見た段階までは、余り火災は発生してなかったと思います。火災であれだけ多くの人命、財産の被害に発展したのを考えますと、あのときにああしておけば、こうしておけば、あるいは被害の拡大を食いとめられたのではないかという気がして、本当に悔やまれて仕方がないのであります。やはり多くの国民から救助活動の初動態勢の立ち上がりのおくれが指摘されることも無理のないことであります。政府は、今回の阪神大震災を大きな教訓として、また反省点として、今後この種の災害への万全な備えをすべきであると考えております。  総理、今回の阪神大震災の被害をあれだけ大きく拡大した点について、行政の最高責任者として反省すべき点があると思いますけれども、総理の御所見を承りたいと思います。
  171. 村山富市

    村山内閣総理大臣 今委員から災害の状況についてのお話がございましたけれども、この予算委員会、あるいはまた集中審議も行われましたが、その審議の中で、いろんな角度から問題点が指摘をされ、貴重な御意見もお聞かせをいただきました。  今お話もございましたように、これだけの大きな大災害になったわけでありますけれども、今から考えてみますと、いろいろやっぱり反省すべき点、あるいは見直すべき点等々が、御指摘もありましたような視点からも私はあると思いまするし、これはもう何といっても厳しく受けとめて、そしてそういう決意で、見直すべき点は厳しく見直すということが大事ではないかというふうに考えております。  これは何といっても、国民の生命、身体、財産を守るというのは国の基本的な課題ですし、特に先ほど来お話もございましたように、日本の国は地震、火山等々の災害、自然災害が非常に多い国でありますから、ふだんからそういう防災対策というものについては万全を期してきたつもりでありますけれども、しかし、今回の経験にかんがみてまいりますと、まだまだ問題点がたくさんありますし、また、手直しをしなきゃならぬ点もたくさんあるということは厳しく受けとめております。  そこで、政府といたしましては、その対策を強化していくために、特に緊急事態発生時の官邸及び関係機関との即応体制の整備についてさらに検討する必要があるというので、災害即応体制検討プロジェクトチームを今設置をして、そして大地震が発生した場合に、官邸と関係省庁との連絡、情報の交換とか伝達とか、そういう仕組みをどうしたら一番いいかということについて検討しておるところでありますけれども、早急に結論を出す必要があるというふうに私は考えて、この予防体制だけは、この経験にかんがみて万全を期す必要があるという決意を固めて今取り組んでおるところでありますから、御理解をいただきたいと思います。
  172. 仲村正治

    仲村委員 先ほども申し上げましたが、本当にあの最初のニュースを見て、これは大変な事態が起こったなというようなことで、もう日がたつにつれてどんどん火は燃え盛るし、そして死亡者はふえるし、あの状況を見ておれば、やっぱりああしておけば防げたんじゃないかというような気持ちもなきにしもあらずというところでございました。  今総理は、やはり大きな教訓としてこれは反省すべき問題であった、今後かかる事態が起こった場合に十分迅速に対応できるような体制をつくっていかなくちゃならない、そういうお気持ちをお述べになられましたけれども、確かに、地震、噴火、台風、水害、本当に災害列島という我が国において、いつ、どういう場所でこれが起こるかわかりませんので、めったにないことなので仕方がなかったというようなことにならぬように、やはり今回の大震災を一つの大きな教訓として、それに対応できる体制をきちっと整えていただきたい、こういうふうに思っているわけであります。  政府は、今回の阪神大震災への対応として、災害の緊急対策本部を設置されたが、二月三日にそれを復興本部に切りかえたということであります。今までの緊急対策本部と復興本部の役割がどのように変わっていくのか、そして復興本部の構成はどのような組み立て方をされるのか、どのくらいの期間設置する計画か、村山総理は本部長としてのお立場でお答えをいただきたいと思っております。
  173. 五十嵐広三

    ○五十嵐国務大臣 政府の今度の災害に対する対策本部の設け方といたしましては、これまでも幾度も御説明申し上げておりますように、災害対策基本法二十四条による非常災害対策本部を設け、また総理を本部長として全閣僚による緊急対策本部、これを閣議で決めて発足させ、また現地におきましては現地災害対策本部をスタートさせて全力を挙げて取り組んでいることは御承知のとおりであります。  今委員お話しのいわゆる復興本部というのは、これはそういうように当面の緊急的な対応あるいは復旧への全力を挙げての取り組みというものとあわせて、現地兵庫県あるいは神戸市のそれぞれの住民からも、そういう瓦れきの中からもやはり明るい未来を見詰めて何としても復興していくんだ、こういう強い意思が最近あらわれて、そういう中でいろいろな議論を地元でも行っているわけでありますが、そういう復興への機運というものをこの際政府としてもしっかり受けとめて、全力を挙げてそういう復興計画、構想に対して政府としてもバックアップしていく、一緒になって復興を実現していくというような意味で、政府内に復興本部的なものを設けることについて、いろいろ政府・与党で協議を今進めてきているところでございます。  これができたから今までの対策本部がなくなって、それに切りかわるというようなものでは全くないわけであります。従前の、当面の住民の救援あるいは復旧の対応ということのための対策本部というのは、現状どおり全力を挙げて進めてまいる、こういうことでございます。
  174. 仲村正治

    仲村委員 この大震災が起こって緊急対策本部が設けられたわけでありますが、私は、マスコミの報道を見て、今までの緊急対策本部が復興本部に変わっていくものかと思ったわけでありますが、ただいまの御説明をお聞きいたしまして、その内容を子とするものでございます。  まず復旧、復興対策でありますが、これは各省庁で既に計画をお立てになっていると思いますけれども、何といってもやはり地元兵庫県及び神戸市を初めとする各自治体の復旧、復興計画を国が支援するという立場と、また同時に国の受け持つべき分野については積極的にこれに参画していくというようなことになるというふうに思っております。まず何といっても復旧、復興対策に必要なものは、国自体の予算と当該自治体への財政支援の計画を早急に組み立てることだと思います。現在当委員会では平成六年度第一次補正予算審議を行っているところでありますが、年度内に早急に今回の阪神大震災復旧、復興と被災者救援対策の第二次補正予算措置すべきであると思いますが、総理並びに大蔵大臣の御所見を承りたいと思います。  この件につきましては、きょうのマスコミの報道から見ても準備をしておられるということはわかっているわけでありますが、その件についていま一度確認をしておきたいと思っております。
  175. 武村正義

    武村国務大臣 御指摘のとおり、全力を挙げて今年度の第二次補正という形でこの震災対策関連予算を国会に提案をさせていただきたいと思っております。  率直に申し上げて、大蔵省としては一日も早くという気持ちで急いでいるわけでございますが、きょう現在、まだ各省庁から数字は上がってきておりません。各省庁も現場の被害状況を確認しながら数字を上げてくるわけでございまして、現場が緊急対策に追われている、地方自治体含めて。そういう状況がかなりこの作業に、国会の議論どおり運ばない障害になっているというふうにも認識しております。  それでもやはり、一日でも急ごうということで努力をいたしておりまして、私どもの目標としては今月の二十四日ぐらいには何とか御提案をさせていただきたいという思いでございます。
  176. 村山富市

    村山内閣総理大臣 今大蔵大臣から御答弁もございましたように、やはり現場の被災者の皆さんやなんかを考えた場合に、政府みずからがやる気を示すということは大事だと思いますから、できるだけ早くその第二次補正が組めるように、皆さん方の御審議をいただけるように段取りをつけていきたい。今全力を挙げて各省とも取り組んでおる段階にございます。御理解いただきたいと思います。
  177. 仲村正治

    仲村委員 先ほど大蔵大臣も、今どのくらいの予算規模になるのかと、計数整理をしているんだというお話でございましたが、これもマスコミの報ずるところでありますけれども、大体補正予算規模としては一兆円程度で、震災関係はおおよそ五千億程度になるだろうというようなことが報じられておりますが、大体そのような数字になるということですか。  また、それだけで今の時点で十分対応できるというお考えなのか、お答えをいただきたいと思います。
  178. 武村正義

    武村国務大臣 けさのある新聞の報道を私も読みましたが、そんな数字が挙がっておりましたが、率直に言って私どもは、今言ったように、各省庁から数字が上がってきておりませんので、今ここでおおよそのめどを申し上げる自信がありません。兵庫県が事業項目にわたって被害総額を発表されております。ああいうところからあるいは新聞社は推計をしているのかもしれません。  いずれにしましても、今年度第二次と新年度補正という段階的な対応をせざるを得ないと思っておりますが、緊急な対応が必要な仕事が多いというふうに認識をして、上がってきたものは極力補正対応していきたいというふうに思っております。
  179. 仲村正治

    仲村委員 次に、農林水産大臣にお尋ねをしたいと思います。  今回の大震災で、農水省は被災者への食糧の緊急補給に当たられたと思いますが、今回の大震災は、地震発生が阪神都市ベルト地帯という場所といい、あるいはまた地震災害の規模の大きさといい、恐らくこれを予測、予感できた人はいなかっただろうと思います。したがって、緊急物資の補給活動についてもいささか、初動の立ち上がり段階においては果たして的確な対応ができただろうか、そういう感じを持つものであります。その緊急救援食料品の補給活動の状況についてお尋ねをいたしたいと思います。  まず、緊急救援食糧の備蓄と調達の状況はどのような状態であったのかということ。次に、その輸送手段は、有効、的確、迅速に行われただろうかということであります。三点目は、被災者への配布の状況はどういう状況であったのか、この点についての御説明をいただきたいと思います。
  180. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 食糧について、しばしばここでもお答え申し上げたとおりでございまして、十七日の災害発生、これに対して、まず緊急炊飯措置に対する必要な米ということで、精米が必要でございますので、神戸市にございます米卸が相当量の精米を持っておりまして、この五百トンを炊飯用に出させたということが第一点。それからさらに、県の御要請によって三千トンの手当てをいたしたというわけでございます。それからなおつけ加えれば、乾パンの十万食ということでございます。  その際、我々としては、炊飯施設、これが大変問題でございましたが、学校給食用の炊飯施設なりあるいは外食産業者の炊飯施設あるいは自衛隊の炊飯車、これは大変能力があるものでございまして、とりあえずの四十台というようなことでまず急場をしのいだわけでございます。そのほか我々としては、単なる米だけではなくて、パンもございますし、即席めんもございますし、あるいは育児用のミルクもございますし、一般のミルクもございますし等々、それぞれの関係団体にかねてからの連絡措置もしておりましたので、近畿周辺の事業所からその被災地に対して緊急に供給確保するというような態勢をとりあえず打ったところでございます。  なお、米の備蓄等につきましては、御案内のとおり政府倉庫が全国で十数カ所ございますけれども、そのほか政府指定倉庫、これが兵庫県でも二百八十程度ございまして、そこに政府米が二万数千トンですね、ちょっとあれですけれども、等々が置かれておったわけでございます。  それからなお、大阪には政府倉庫がございまして、そこにも相当量の米がございまして、それらによって米についての必要な態勢を整備するというようなことでございますが、ただ搬送のための交通の問題、渋滞の問題、さらには炊飯が、各避難所へ搬送する、これが大変な、当初はなかなかに時間を要するとかして、当時約百カ所を超えた避難所に対してはむらができたというような批判もあったわけでございますが、これは現地の県と市が一体になって頑張っていただきまして、私どもは必要な食糧を確保する、そういう態勢でまいったところでございますが、いろいろ今回の措置にかんがみて、食糧に関する危機管理体制等についても教えられるところが多かったわけでございます。
  181. 仲村正治

    仲村委員 この緊急補給物資につきましては、物の量と品目、いろいろ十分対応できたという話でありますが、しかしやはり現場に搬送する問題については、いろいろと予期しない事態が発生して大変であったというふうなこともマスコミで報じられております。  その点につきましては、やはり備蓄の場所あるいは備蓄品目につきましても、先ほども指摘がありましたが、玄米を備蓄しておる、これはやはり白米でなければ、精米でなければそれは炊けないし、そういういろいろな問題が発生してきたと思いますので、確かに今回の救援活動の中で反省すべき点も多々あったと思います。そういう点については、今後のこの種の事態が発生したときに十 分これに対応できるような準備はひとつ整えていただきたい、こういうことを御希望申し上げておきたいと思います。  重ねて農林大臣にお尋ねをいたしますが、今回の大震災で農業生産施設、漁業関連施設などが大変な被害をこうむったと思っております。この復旧対策について、この二十四日にお出しになるという復興、復旧対策予算の中に入るのか、あるいはまたそれよりおくれるのか、その点について御説明をいただきたいと思います。
  182. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 委員御指摘のように、本来の農業関係あるいは漁業関係施設も淡路島等を中心として相当な被害があったわけでございます。農地、農業用施設、ため池が淡路は大変多いんですが、それが中心的被害。それから漁港の被害も相当大きいわけでございまして、漁港については公共事業の国庫負担法の激甚災の指定が早々ございまして、さらに追っかけまして農地、農業用施設、農林漁業用共同施設等についての激甚災の指定もございまして、これらについては被害の確定額を早急に把握いたしまして、この補正予算等にも計上さしていただく、さように考えています。
  183. 仲村正治

    仲村委員 現在審議している第一次補正予算の中にも災害対策費は入っているわけでありますが、これは恐らく過去の災害に対する対応だと思います。したがって、今回起こったその被害については新たな対応が必要だ、こういうふうに思っておりますので、この点につきましては、ひとつ万全の措置を、対応をしていただきたい、こういうふうに御希望申し上げておきたいと思います。  次に、我が国のWTO協定加入の評価についてお尋ねをしたいと思います。  昨年十二月、第百三十一回の臨時国会において、我が国世界貿易機関設立協定に加入することを衆参両院で承認しました。しかし、そこまで到達するまで長い道のりを経たわけでありますが、各党の考え方も、総論賛成、各論反対で全く複雑な経過をたどってきたのであります。  WTO協定の前身であるガット・ウルグアイ・ラウンド交渉は、そもそも一九八六年九月十五日に中曽根内閣当時、我が国の提唱によってスタートし、七年余の年月をかけて百十六の国と地域が自国の利害得失を乗り越え、世界の自由貿易体制発展のためにという大局的立場で各国が粘り強い交渉の結果、一九九三年十二月十五日に実質合意がなされ、そして加盟各国が一九九四年四月十五日には最終合意文書に署名をしたわけであります。これを受けて我が国は、WTO協定加入の批准のための衆参両院の国会承認を経て、一九九四年十二月二十七日には、WTO協定受諾書の寄託を政府は行った、こういう経過をたどってきたわけであります。  そのようなことから、WTO協定は一九九五年一月一日から効力を発し、その協定はいよいよことしの四月一日から施行される運びになるわけでありますが、村山総理は、このWTO協定に我が国が加入したことをどのように評価されますか。御所見を承りたいと思います。
  184. 村山富市

    村山内閣総理大臣 今委員からお話がございましたように、七年間という長い期間、国際的な場でいろいろ協議が続けられてきた結論として、WTO協定ができたわけですね。これは鉱工業品の関税引き下げや農業分野だけではなくて、新たな分野である知的所有権やサービス貿易分野が含められた上で、貿易の自由化と貿易ルールの強化が図られてきておると私どもは見ておるわけです。  このWTOに加盟することは、先ほど来議論されていますような農業分野等においての厳しい問題も抱えておりまするけれども、しかし、多角的自由貿易体制の維持強化、さらにはまた国際的な経済秩序の確立等々から考えた場合に、各国間の信頼が回復されていく、あるいは協力体制が確立されていくというようなことも含めて、私は、貿易立国である日本の国にとってはこのWTO協定というものは有効に作用するものであるし、評価されなければならぬものだというふうに受けとめております。
  185. 仲村正治

    仲村委員 この問題について、河野外務大臣からも御所見を承りたいと思います。
  186. 河野洋平

    河野国務大臣 ただいま総理大臣御答弁のとおり、さまざまな問題を抱えておりますが、トータルに考えて我が国はこの協定に参加をするということの決断をいたしたわけでございまして、衆参両院の御審議を踏まえて、私どもは、このWTO協定というものが世界的な自由貿易体制を強化するものになっていかなければならない、そのために我が国としても特段の努力をする必要があるであろうと思っております。  概して申し上げれば、大変意義のあるものだという判断、評価をいたしております。
  187. 仲村正治

    仲村委員 我が国がWTO協定に加盟することは、我が国が主要貿易国として国益に合致するということについては大多数の国民が認め、そして支持をしているところであります。  しかし、このWTO協定の発足で世界の貿易の仕組みがどのように変化していくのか、また、このWTO体制下で一層強く推進される低関税化貿易が我が国にどのようなメリットがあり、またデメリットが出てくるのか、その点についてもう一度総理と通産大臣から御説明をいただきたいと思います。
  188. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 まず一点申し上げられることは、本年一月一日に発効いたしましたWTO協定の中にありますセーフガード協定というものが今後四年間の間に撤廃されることになります。産業保護的な効果を有する輸出自主規制など、いわゆる灰色措置と言われるものがこれであります。我が国におきましても、残された灰色措置と言われるものにつきましては、今後適切な対応を協定に従って図っていかなければなりません。  こうしたことを通じまして、我が国の輸出がより自由で透明なものとなる。しかし、それはそもそも対象品目の輸出実勢が穏やかなものになっておりますから、直ちに貿易構造に変化が生ずるものとは考えておりません。過去の例で申しますと、例えば工作機械あるいは自動車、フォークリフト、こうしたものがあったわけでありますけれども、現在残されるものは対ECモニタリングの自動車だけということになります。これも九九年十二月に廃止をされるということになるわけであります。  また、そのメリット・デメリットというお話でありましたけれども、これは委員が御承知のように、我が国がWTO協定の批准に踏み切るまでの間国内で最大の論点になりましたのは、農産物、特に米の自由化の問題でありました。しかし、この協定が、先ほど総理からもお話がありましたように、知的財産権あるいはサービス、物だけではない、非常にカバーする範囲の広いものでありますだけに、これからの国際的な経済活動の総合的な基本原則を確立する、こうしたところに我々は意義を見出してきた、先国会も御答弁を申し上げたところであります。  この協定が成立をいたしますことによって、世界的に関税の引き下げあるいは貿易障壁の低減、あるいは先ほど申し上げましたセーフガードなど貿易制限措置の発動要件の明確化といったことが実現したわけでありまして、こうした貿易の自由化とルールの強化というものは、当然ながら貿易立国を主張してまいりました日本にとりまして非常に大切なポイントであると考えております。  その限りにおきまして、我々はこの多角的貿易体制の維持強化、自由貿易の促進に努力をしていくことによってより大きなメリットをこの中から生み出していくべきだ、そのように考えております。
  189. 仲村正治

    仲村委員 引き続き橋本通産大臣にお尋ねをいたしたいと思いますが、我が国は昨年十二月二十七日にWTO協定受諾書の寄託を行い、同協定が一九九五年一月一日に効力を発し、いよいよ本年四月一日から施行されるわけでありますが、先ほども申し上げましたとおり、WTO体制下で世界の貿易は低関税化が一層強くなっていくと思われます。  現在、我が国が貿易立国で繁栄を享受するということは、安い原材料を輸入して高付加価値製品 をつくって、それを輸出するという経済のサイクルで国民の多様な雇用を創出し、その利益で国民が暮らしを立てているというようなものだと私は思います。  しからば、WTO体制下で、世界の自由貿易、しかも低関税化貿易が一層進展していく、そしてまた、我が国の輸出産業には次から次へと強い競争相手の国も出現してまいります。そのような状況下で、WTO体制のもとで我が国の輸出入貿易にどのような変化が起こってくるのかという心配をいたしているのであります。  我々は、ウルグアイ・ラウンド農業合意の受諾に当たっては、我が国の総合的国益の視点から、やむを得ずそれを受け入れた。果たしてそのような方向に、このWTO協定は我が国の国益の方向に沿って進展していくものかどうか、ここで改めて橋本通産大臣の御所見をお尋ねいたしたいと思います。
  190. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 今、国益に沿っていくのかどうかというお尋ねでありましたが、我々は、世界の貿易自由化のその路線の中において、これを国益たらしめなければならない、私どもはそう考えております回  当然のことながら、関税の引き下げを初めとした貿易の自由化、貿易ルールの強化というものは、世界貿易の拡大につながり、これは世界経済の拡大、発展に大きなプラス要因をもたらすものになるでありましょう。その結果として、我が国の貿易も、輸出、輸入、そのチャンスはともに増加することになると思われます。  我々から考えてまいりますと、今我が国経済情勢の中で、為替の問題に端を発し、我が国の競争力を持つ産業の海外進出というものが逆に国内の空洞化を招くといった御批判も受けているところでありまして、我々は、それにかわる新たな産業分野の創出に目下努力をしなければならない、こうした状況にもございます。また同時に、その競争の中におきまして、我が国の非常に大きな輸出の担い手でありましたすそ野産業の部分、中小企業の体質強化といったものも迫られてまいります。  しかし、こうした努力は、当然のことながら、いかなる状態であれ、我々は払っていくべきものでありまして、我々は、この状況の中で、いかに国際ルールにのっとって、我が国としての経済を発展させていくかに全力を尽くさなければならない、そのように考えております。
  191. 仲村正治

    仲村委員 WTO体制の発足でもろもろのルールが定められたりしても、原則自由貿易ということになれば、やはり国際競争力の強い国が有利になるわけであります。我が国は、技術面では他の追随を許さないぐらい世界の先端を走っていると思います。しかし、最近の我が国の高物価、高賃金は、国内産業の空洞化を発展させる原因になっていると言われておりますので、果たして国際競争力の強い国かなという疑問点がないわけではありません。  そこで、我が国は、WTO体制下でも、貿易立国の確固たる地位を守り、そして繁栄と発展を持続し得る新たな施策の展開が必要になるのではないかというふうに思いますが、その点についてお尋ねをいたしたいと思います。
  192. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 我が国の場合、御承知のように、経常収支の黒字というものが今まで世間からさまざまな御批判を浴びる原因になってまいりました。それは、先ほど委員もお述べになりましたように、安い原材料を買い入れ、これを高付加価値の製品として輸出していく、その中において貯蓄と投資のバランスを欠いたところからそうした問題を生んでいる、これは申し上げるまでもありません。  ただ、そうした中におきまして、今日まで我が国経済をリードしてまいりました多くの既成の産業の中に、成熟化のピークに達し、その意味において新しい分野の展開をこれから図っていただかなければならない産業も多々ございます。また、技術的に非常に高いレベルを誇ってきた日本でありますが、企業の研究開発投資が減少している状況も、一方では我々として極めて懸念の種であります。そして、高賃金ということも一つ委員はお触れになりましたけれども、労働環境というものが次第に成熟していく中において、かつて我が国が享受いたしました非常に若い優秀な、しかも比較的安い労働力に依存する産業は既に国際競争力を失っているわけでありまして、こうした分野についてはおのずから我々は新たな道を切り開かなければなりません。今回私どもが俗に円滑化法と略称しておりますような法律、あるいは中小企業の創造的な分野への展開に対してサポートをするための法律を御審議をいただこうとしておりますのも、そうした情勢を踏まえてのことであります。  しかし、いずれにいたしましても、我が国が内需を中心としてインフレのない持続的な経済発展を遂げていかなければならないという世界経済の中における役割を担っている限りにおいて、我々は今申し上げましたような視点での努力を今後ともに継続していくことは必要である、そのように考えております。
  193. 仲村正治

    仲村委員 今いみじくも大臣がおっしゃったのでありますが、現在我が国の貿易黒字に対する米国を初めとする主要貿易相手国からの外交上の圧力は依然として強いものがあります。それはWTO体制下で世界の貿易が原則自由、そして世界のユーザーが安くて良質のものを求める選択権があるにしても、反面、国際社会の秩序の維持、協調、友好、共生という点からひとり勝ちを許さないということではないかと思っているわけであります。  現在、我が国の総輸出額は三千五百億ドルから三千六百億ドル台で推移し、これは円ベースで申しますと四十兆円から四十二兆円であります。輸入は大体二千二百億ドルから二千四百億ドル台、それは円ベースでは二十六兆円から二十九兆円、こういうような状態であります。この黒字高は一千億ドルから千二百億ドル台を維持しております。特にアメリカだけ見ても、総輸出額一千億ドルに対して輸入は五百億ドルから五百五十億ドルぐらいでありますので、差し引き五百億ドルの黒字がいつもある。今後WTO体制下で我が国の貿易量が質的に、量的に発展、増大するとなりますと、ますますこの貿易収支は黒字が増大していくのではないかという感じもするわけでありますが、その点についてどのようなお考えをお持ちでしょうか。
  194. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 WTO協定を受諾し、これが現実のものとなりましたこと、その結果として貿易収支がどう変化するかというのは大変想定しづらい問題だと私は思います。そしてむしろ、日本の貿易構造というものを考えました場合、その貿易収支は短期的には為替のレートあるいは原油価格、そしてその時々の世界経済の動向などに影響される要因が非常に大きいと思いますし、やはり中長期的には貯蓄と投資のバランスを欠いているところからその経常収支の黒字は発するわけでありますから、むしろマクロの貯蓄・投資バランスというものに考えをいたして対応していかなければなりますまい。  その限りにおきまして、公共投資基本計画を、日米構造協議の時代に私自身がまとめましたものを、今回改定をされたわけであります。六百三十兆というこの公共投資基本計画の見直しによりまして、そのすき間を埋めていくこと、こうした努力を積み重ねていくことによってその収支のバランスは回復に向かわせるべきもの、そのように考えております。
  195. 仲村正治

    仲村委員 今までアメリカは、我が国に対して、これはガット違反じゃないかというようなところまで手をかえ品をかえ、いろんな形で圧力をかけてきたわけでありますが、今後も、このWTO体制下でもそのようなことができるのかどうか、その点をひとつお答えをいただきたいと思います。
  196. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 これは大変、例示として適切かどうかわかりませんが、先日、日米包括協議の中で、自動車及び補修部品の交渉を私は再開する決 断をし、高級事務レベルにおける会合を開いてもらいました。これが、昨年の九月の末の段階でまとまらず、特に補修部品に対して三〇一条の適用をアメリカが申し出たことは、委員御記憶のとおりであります。  しかし、そのときになぜそうなったかといえば、民間の業者である自動車各メーカーの自主的な部品調達計画を、政府である我々の関与のもとに上積みを求めたことを拒否した点からこの議論は始まったものでありました。当然のことながら、政府の関与の外である民間の計画、自主的な計画に政府が関与することはできない、こうした主張をした結果が、三〇一条という彼らの言い分になったわけであります。  今回、我々は、あくまでもボランタリープランと言われるものは交渉の範囲の外ということを確認し、政府の交渉の枠外のものであることを明らかにした上で、この問題の再開を了承したわけでありますが、アメリカ政府は、報道機関で伝えられておりますところでは、日本政府と交渉はしないが、自動車工業会、あるいは個々のメーカーとの間にアメリカ政府が交渉するというようなことを言っておられるようであります。しかし、もともと政府と民間企業の間に交渉は成立するはずがありません。あえてそうした主張をされていると聞きまして、大変私は残念であります。  しかし、いずれにいたしましても、もしそのような行動がなされ、それが不当に日本のメーカーを差別するようなものであったり、不当な干渉に当たるようなものであれば、我々はWTOへの提訴を含めいかなる対抗措置をもどる自由を留保する、これが私たちの態度であります。  ですから、これからも、一方的にむちゃくちゃを言う人はいるかもしれません。しかし、より明らかな交渉ルールの中で、二国間でもマルチの場でありましても、交渉がよりはっきりした形で行える体制になった、少なくとも私はそう信じております。
  197. 仲村正治

    仲村委員 我々も、このWTO体制への加盟について、国内農業に対する大変な犠牲を払って我が国の輸出貿易立国という総合的な国益の立場からこれを受け入れた以上、このWTOの精神をぜひきちっと守っていけるような国際ルールを確立していただきたい。その点につきましては、いろいろと圧力も、外交上の圧力もあるかもしれませんけれども、やはり毅然たる態度で臨んでいただきたいということを申し上げておきたいと思います。  私も、先ほど小平議員がいろいろ質疑をしておりました、今回の第一次補正の中でウルグアイ・ラウンド関係予算が計上されていることについて、これは本来なら、基本的な政策でありますので本予算対応すべきことであったと思います。ただ、できるだけ早く農家の皆さんに安心していただこうというようなことで前倒しでやるというようなお気持ちであれば、それも了といたします。ただ、実際には、年度末で可決成立をしても、これはもう繰越明許にしかなりませんので、予算執行というのは恐らく七年度に入ってからしかできないだろうというふうに思っておりますので、先ほどいろいろと議論がありましたが、その点もひとつお含みをいただきたいと思っております。  ただ、その中で、今回の平成六年度第一次補正予算の歳入歳出を見ますと、租税及び印紙収入減額が二兆二千四百七十億円。この歳入減額分は、歳出既定経費節減の一兆八百六十億円と地方交付税交付金減額七千百九十億円と予備費減額二千億円で大体プラス・マイナス・ゼロになるわけであります。そうすると、歳出追加のウルグアイ・ラウンドの分は公債金で充当している、こういうふうに見てよろしゅうございますか。
  198. 篠沢恭助

    篠沢政府委員 今お話がございましたが、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策費、これは農業関係及びこれと同時に出てまいりますような諸公共事業、そういったものを含めまして、公共事業が四千八百億でございますが、農業構造改善事業を入れますと五千五百七十億、さらにやはりウルグアイ・ラウンド関係でいろいろの出資金等ございまして、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連の対策は六千二百七十四億ということでございました。  他方、いろいろ税収減などもございまして、そしてまた、今おっしゃいましたような交付税の減額あるいは予備費減額、いろいろございます中で、歳入といたしまして、公債発行は全部で一兆二千五百七十億出しております。そのうち約二千億はこの特別減税の関係でございますので、それを除きますと、公債金は一兆五百七十億ということでございますので、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策の分をいささか公債金の発行の方が上回っておるという状態になっております。
  199. 仲村正治

    仲村委員 いや、私がなぜこのようなことをお尋ねするかと申しますと、WTO協定特別委員会で、私たちは、果たしてこの六兆百億円の財源について確固たる財源のお示しができますかというようなこともお尋ねしたわけでありますが、それについては先般の消費税の引き上げ分では予定もしていないというようなこともございましたので、やはり毎年毎年そのようなやりくりで何とかしていきますというようなことで果たしていいのかな、先ほどの御説明を聞いておりましても、当初予算でやるべきか、あるいは補正予算でやるべきか、その財源の見通しを見てやるというようなことでは、これはこの六兆百億円の予算の保障は確固たるものなのかどうかという不安があるわけであります。  そこで、私は、この六兆百億円に対する財源対策はきちっとこうするんだということをひとつお示しをされるべきである、こういうふうに考えますが、どうですか。
  200. 武村正義

    武村国務大臣 御承知のように、御提案をいたしております新年度の予算全体につきましても、建設国債、特例公債を発行いたしております。本来、総予算の五%が望ましいということにいたしますと、はるかにそれを上回る発行額であります。それでもまだ数兆円ぐらいの歳入歳出のギャップがございまして、それで、これももう御説明申し上げてまいりましたように、さまざまなやりくり算段をいたして、七十兆九千八百億の当初予算を御提案をいたしているわけでございまして、そういうことからいたしますと、ある意味では、どの事業についても確たる財源の裏打ち、しかも数年間にわたって示せと言われても、示すことのできないぐらいに厳しい環境の中に立っております。  農業予算も、せっかくしっかりと約束を申し上げた経緯もございます中で、私どもは、先ほどは小平議員との関係では本予算補正の論議でございましたが、財源の中身につきましても、かなりの部分建設国債に頼るような形で御提案をさせていただいているという状況であります。
  201. 仲村正治

    仲村委員 我が国の国民総生産高は四百九十兆円ぐらいになるわけでありますが、その中で農業生産は約十一兆円ぐらい、非常に小さい額でありますけれども、しかし国の経済というのは、どんなに小さくともすべてが組み立てられて成り立っているわけであります。  その中で、今回のWTO加盟によってこの農業分野が大変な犠牲を受ける、これはもう国民全体の総合的利益のために農業分野でそういう犠牲をかぶっていくわけでありますから、私は、国民全体でこれを補っていくという姿勢でなければならない。そういう点からいたしますと、今後消費税の何%はそれに引き当てるんだというような形の財政の計画を持ってしかるべきであるというようなところからこれを御指摘申し上げているわけでありますが、その点いかがなものですか。
  202. 武村正義

    武村国務大臣 御指摘は承りましたが、先ほど申し上げたような状況でございまして、まあ特定の税源といいますか、目的税でも設定をしてリンクをさせれば別でございますが、これは農業ウルグアイ・ラウンド対策費に限りませんけれども、個々の事業の裏打ちになる財源を明確に長期にわたって保障することは、これはどう考えてもできない状況であります。  でも、最優先でこの問題には財政的にも対応せ よというお考えには、しっかりこれからもおこたえをしていかなければならないというふうに思っております。
  203. 仲村正治

    仲村委員 今後、このWTO体制下での食糧の安定生産水準を維持するという対策についてでありますが、我が国農業、農村をめぐる情勢は、たとえWTO協定加盟がなかったとしても、極めて速いテンポで厳しい方向に向かいつつある現実を、これを厳しく受けとめなければならないと思っております。  それでは、なぜそういう厳しい方向になったのか。第一に、我が国農業は、農業生産と農業所得を高めるための国土資源条件に極めて厳しい制約がある。いわゆる土地が狭いということであります。第二に、この土地が狭いという条件から、農業所得が零細で、他産業に比較して所得が非常に低い。そのために、農業従事の若い人たちが都市部の所得の高い地域へどんどん流出していった。これが農村社会を急速に高齢化させた大きな原因であります。そして、貿易自由化で安い輸入食料品との競争に勝てなくなった。こういう四つの点から、農村社会が非常に厳しい状態に追い込まれている。  しかし、いかなる悪条件が重なり合おうとも、国内での食糧生産の一定の水準を維持していくことは、食糧の安全保障という視点から、全国民の負担でこれを実施していかなければならないと思うのであります。そのために、各年度における農林水産予算の安定的配分を保障すべきであります。  農林水産大臣も一生懸命おやりになっているということはよくわかりますけれども、ただ、この平成七年度予算を見た場合に、全国家予算に占める農林水産予算の比率がこの二十数年間に下がり続けているということであります。昭和四十五年には、農林水産予算は全国家予算の一一・五%あったのです。それが、六十年には六・三%に下がり、平成元年には五・二%に下がり、そして平成七年、ことしは五%、そのように比率はもう半分以下に下がってきているわけでございます。  なお、平成七年度予算の公共事業関係費の中の農林水産省予算のシェアは、軒並み低下しているということであります。農業農村整備費が平成六年度で一三・二五%だったのに対して平成七年度は一三・〇五%、漁港整備費は平成六年が二・四四%だったのに対して平成七年は二・三六%、農林水産省合計でも、平成六年は二〇・八三%だったものが平成七年は二〇・五四%になった。そういうような公共事業のシェアも低下させるようでは、我が国農業、農村は次第に衰微、衰退をたどるのは避けられないと私は思っております。  大河原農林水産大臣、この数字の示している事実をどのように受けとめておられるか、お答えをいただきたいと思います。
  204. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 仲村委員のおっしゃっております数字は総予算に占める割合でございますが、一般経費でございますね、国債費、地方交付税等を除いた中の、割合ではなくて。私は、伸び率でお答えしますと、ことしなどは一般歳出の伸びを上回った農林関係予算も確保できたわけでございまして、その意味では、ことし等は農林関係ウルグアイ・ラウンド関係もありまして、単なるウルグアイ・ラウンド対策費だけではなくて、一般の農林関係予算についても十分な配慮がなされたものだというふうに思っておるところでございます。
  205. 仲村正治

    仲村委員 皆さんの方からいただいた資料を見ておりますと、公共事業費関係、これのシェアが出ているわけですね。そして、その年度年度の予算の全体に占める割合というのがきちっと示されているわけであります。  これが出てくるということは、やはり予算の全体のバランスをとる意味で、私はこの比率というものは非常に大事で重要な部分を占めていると考えておりますが、この点について今の御返事の仕方では納得できないわけであります。どうかひとつもう一回お答えをいただきたいと思います。
  206. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 お答え申し上げますが、一つ経費をとって恐縮でございますが、公共事業費、農村農業基盤整備費のシェアの低下、これは当初予算ベースの比較かと思います。本日大変問題になりました補正予算の三千億等の関係、そういうものをいろいろ考えて、これは実質、平成七年度の経費とセットにして考えますと、やはり公共事業、基盤整備等は相当な事業量を確保できたというふうに思っておるところでございます。
  207. 仲村正治

    仲村委員 言葉でどんなに力強く強調されても、数字は何よりもその施策の姿をより正直に示すものであります。これは、ウルグアイ・ラウンド対策をしっかりやりますということが果たしてどうだろうかという不安を抱かざるを得ないのでありますので、この点についてひとつしっかり、全体予算の中で農林省予算が確保できるように頑張っていただきたい、こういうことをお願いを申し上げておきたいと思います。  WTO特別委員会の審議の中で、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策の六兆百億円と既定の従来予算や既定の長期計画事業予算とは全く別枠として予算の確保をすべきであると我々は強く主張をしたことに対して、総理は、内閣の統一見解として、ウルグアイ・ラウンド農業対策費の六兆百億円は従来予算の別枠として予算措置をすると約束をされたわけであります。  ここに平成六年度に皆さんがお立てになった第四次土地改良長期計画があります。これは、平成五年から平成十四年までの十年間で四十一兆円の事業をやります、こういうふうになっているわけであります。そうしますと、果たしてことしの予算の中にこの十年計画の予算が幾ら入れられたのか、その点をひとつ御説明をいただきたいと思います。
  208. 野中和雄

    野中政府委員 六兆円の中で、本年度補正予算をもちまして三千億円予算措置されたところでございまして、それに七年度当初予算でさらに二百五十億円を措置をしたところでございます。これによりまして、第四次……
  209. 仲村正治

    仲村委員 ちょっとちょっと、私はウルグアイ・ラウンド関係を聞いているんじゃないのです。この第四次土地改良事業の四十一兆円の中の平成七年度分で幾ら措置したかということを聞いているわけです。
  210. 高橋政行

    ○高橋(政)政府委員 基盤関係事業はすべてその長期計画の中の数字というふうに理解しております。
  211. 仲村正治

    仲村委員 私が見てみまして、このWTO特別委員審議のときに、私たちは、この六兆百億円は絶対に従来予算に食い込ませない、そして既定計画はそのまま実施する、こういうことを強く申し上げたわけでありますが、何となくそのような形になっていないということを疑問に思っておりますので、どうかこれはまたしっかりひとつ検討していただきたい、こういうふうに思っておるわけであります。  政府は、農政の新しい政策として、生産性の高い地域での農地の規模拡大、農地の集約によって大規模農家経営方式を目指していこうとするところであります。したがって、現在より就農人口は必然的に減少、集約されていくことになると思います。  現在、基幹的農業従事者数は平成五年で二百七十万二千人となっています。これは平成元年の三百二十四万三千人からすると、わずか五カ年間で何と五十四万一千人が減少したことになります。この統計の数値のとり方も変わったようではありますけれども、それにしても五カ年間で五十四万一千人とは、年平均十万八千人の人が離農するということに、実に驚いているわけであります。  平成四年からは統計のとり方が変わって販売農家のみの数値のとり方になった、こういうことでありますが、それでも平成四年が九万人、平成五年が八万二千人ということですから、これから農業を大規模化、集約するにしても、少なくとも高齢でリタイアされる方々の、農地を手放して、あるいは離農するにしても、もしそのような離農者が八、九万人とすれば、少なくともその八〇%は後続の就農者がいないといかない。六万から七万 人程度の新規就農者の確保をしなければならない、こういう計算になるわけであります。  今回、新規学卒就農者が、この統計からいたしますと大体四、五千人ぐらいいるようであります。そして、農外からの新規参入が百二十六人。ですから、就農人口が減少していくとすれば、幾ら農業振興対策に金をかけてもこれは生かされない、こういう心配があるわけであります。今回、政府は新規就農青年育成対策の法案を出されていますが、これもわずか五千人程度です。これで果たして農業の後継者対策というものは大丈夫だろうかという懸念を持っておりますが、その点について、農林大臣の御所見を承りたいと思っております。
  212. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 お答え申し上げます。  戦後日本農業生産を担った、いわば基幹的と申しますか、中核的な農業者がいよいよリタイアをする年齢になりまして、今御指摘のような、毎年相当数がリタイアしておるというわけでございます。  さて、しからば、今後の日本農業経営の担い手、この後継者をどう確保するかという問題でございますけれども、御案内の新政策でも示されておりますように、安定的な、効率的な経営というものは、個別経営体では三十五万ないし四十万、それから組織経営体では四万ないし五万ということでございまして、これらを中心にして将来の、これらの経営が我が国農業の、農業生産の大宗を占めるような農業構造をつくるというのが今度の国内対策でございますので、それの後継者を確保するということでございますと、昨年五千人というのが内外からの新規営農者ですが、その三倍ぐらいを少なくとも確保していくというと、まあこれは計算でございますから、世代交代三十五年ぐらいに計算いたしますと、大体そういうことになるということで、当面は、今お話がございましたような、農業内外からの新規青年の営農者を確保するという対策を今度打ち出しましたが、それによって後継者の確保に努めたい、さように思っておるところでございます。
  213. 仲村正治

    仲村委員 この統計が示しておりますように、年間八万から九万の人がリタイアしていく、それで新規就農者は大体五千人程度。今回、皆さんが新規就農青年を育成する、五千人程度の育成をするとしておられるわけでありますが、これも確実に就農するとは言えないわけであります。  そういう点からいたしますと、本当に後続の就農者対策というのは非常に深刻な問題である、こういうふうに考えておりますので、これだけに農業投資をしていく以上は、どうしてもやはり農業に従事する方々が本当に意欲を持ってできるような仕組みをつくっていかなければならない、こういうふうに考えておりますので、ひとつ真剣に取り組んでいただきたいと思います。  次に、我が国は、北は北海道から南は沖縄まで、南北三千キロの広範囲に細長く連なって、寒帯、温帯、亜熱帯の地域に広がっておりますので、その点では多種多様の農作物が生産される条件に恵まれておりますけれども、ただ、人口の多い割に国土面積が狭い。そして、国土の面積の七〇%は山岳地帯である、平地が狭隘である、狭い。しかも、戦後の農地改革で一戸当たりの農地面積が細分化された。そのために農業所得は、先ほども申し上げましたが、他産業に比較して非常に低い状態になっている。加えて、貿易自由化で安い輸入農産物との市場競争に耐えられなくなった。まあ、いろいろな悪条件が重なり合って現在のような、農業、農村の高齢化が進み、本当に元気のない状態にしてしまったのであります。  しかし、WTO体制下でより貿易の自由化が進んだとしても、国内での食糧生産の安定的水準を維持することは、これは国策の最も最優先政策であるべきだ、確固たる位置づけが必要である、このように考えておりますが、総理の御見解を承りたいと思います。
  214. 村山富市

    村山内閣総理大臣 今委員のお話を聞きながら、ウルグアイ・ラウンドのミニマムアクセスを受け入れるときに、私は当時社会党の委員長を、今もそうですけれども、二晩ぐらい徹夜して、そしてけんけんがくがく議論して、当時は社会党も細川内閣の与党でおりましたから、内閣全体が決めることについて与党として合意せざるを得ないというので、苦渋の選択をして決めだというような経過も思い出すのですけれども、今委員からくどくいろいろお話がございましたように、正常でさえ厳しい農村の環境というものを考えた場合に、このウルグアイ・ラウンド合意されたことによってさらに厳しい国際競争の中に日本農業もさらされるという状況の中で、どうしてその競争にたえ得るような体質を持った農業をつくっていくかということが第一と、もう一つは、日本の地形から考えて、今委員からもお話がございましたように非常に中山間地域が多いと。  で、この中山間地域というのは、単に食糧を提供しているというだけではなくて、治山とか治水とか環境の保全とか、そういう意味で大変公益的な役割も持っておるというようなことを考えた場合に、私は、今御指摘もございましたように、食糧、農業、農村というものが日本経済全体、国民の暮らし全体から考えていかに大事なものであるかというようなことも十分認識をした上で、この六兆百億円という新しい事業としての計画も立てて、そして充当していこう、こういうふうに考えているわけでありますから、これからまた国会の中でも御審議をいただきますけれども、十分そうしたものに対応できるような農業をつくっていくための決意というものをしっかり固めてこれからも取り組んでいく必要がある、こういう認識を持っていることだけは申し上げておきたいと思います。
  215. 仲村正治

    仲村委員 今総理から力強い御決意をいただきましたので、ぜひそういう方向で、国民の最も大事な生命を、生存を維持する食糧生産については国策の最も重要な柱としてひとつしっかりおやりになっていただきたい、このように思っているわけであります。  よく一般に食糧の国内生産の重要性を強調する言葉として言われることに、食糧の自給率をもっと高めるべきだという意見があるわけでありますが、食糧の自給率を高めましょう、これは結構な話でありますが、無理して自給率を高めようとすれば農業投資をうんとふやさなくちゃならぬ、そして生産コストを度外視していかなければならないという話であります。  それでは消費者も納税者も食糧の自給率を高めるために高負担を強いられるわけでありますから、何も無理して何でもかんでも自給するということでなしに、やはり主要農産物に限定して、食糧の安保上の立場から一定水準の生産基盤、そして生産高、これを維持する対策は絶対に必要であります。そのためには、ガット上も認められている価格支持制度を強化徹底することであります。つまり、主要農産物を輸入品と国内産との抱き合わせ利用をすることによって国内生産者価格を安定することができるわけであります。  例えば、現在も行われております輸入の食糧用麦と国内麦の関係でありますが、平成五年で輸入麦の政府買い入れ価格は二万七千三百八円、そして政府の売り渡し価格は六万四百二十一円、それは差益が三万三千百十三円出ているわけであります。その資金を原資として国内の麦をトン当たり十五万一千八百三十三円で買って、そして国内への売り渡しは四万四千三百六十七円で売却している。  そういう制度を、これに似たような制度を主要の農産物に取り入れていくということによって、私は、主要の農産物の国内生産の維持は図られる、自給基盤の維持も図られる、こういうことだと思います。  このような方式でやりますと、現在行われておりますが、バレイショでん粉、てん菜及びてん菜糖、加工原料乳、大豆、菜種油、サツマイモでん粉、サトウキビ及び甘薦糖、パイン缶詰、繭などが現在も価格支持または抱き合わせ利用をされているわけでありますが、この制度を主要農産物に限定して適用することによって、国内生産の自給 率の一定水準の維持が可能になると考えます。  つくりたいだけ幾らでもつくれということでは不足払いの負担額が重荷になりますので、消費者負担にはね返ってくることのないように、消費者に過度の負担をかけないような形での国内生産の調整も同時に考えねばならない。そういう形でしか国内の主要農産物の自給率の維持というのはできない、こういうふうに考えておりますけれども、この価格支持政策の強化拡大について、農林大臣のお考えをお聞きいたしたいと思います。
  216. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 お答え申し上げますが、委員のお示ししたところは、砂糖、これは国内産糖の維持に対する支えのために輸入糖から調整金を徴収しておる、あるいは麦については、御案内のように、輸入麦の利益で国内産麦を高く買い入れておるというようなことでございまして、制度としては、何と申しますか、消費者負担型の価格支持を支えておるわけでございます。  これは、それぞれの作物の重要性にかんがみて必要なわけでございますけれども、やはり今日、消費者のサイドからは内外価格差等の問題等、厳しい批判があるわけでございまして、その点では、さらにそれを拡大するということについては、相当な慎重な合意が必要ではあるまいかというふうに考えております。  議論としては財政負担型にそれをいたせというような御議論もあるかと思いますけれども、これについては、やはり相当額の財政負担ということになりますので、これについても相当な議論を行った上で、その品目の拡大ということが必要になるのではあるまいかということをとりあえずお答え申し上げておきます。
  217. 仲村正治

    仲村委員 今申し上げた価格支持制度と同じ問題でありますけれども、牛肉輸入自由化は昭和六十三年に合意され、平成三年に実施されたわけでありますが、その実施された前後三年くらいはむしろ国内の子牛価格は四、五十万円で推移して、畜産農家も輸入自由化何物ぞと思っていたわけでありますが、平成四年ごろから子牛価格も暴落して、畜産業はもう押しなべて大変苦しい経営を強いられている現状であります。  これも子牛の不足払い制度、これは保証基準価格と合理化目標価格を定めて生産者補給金を支払う、こういう制度があるわけでありますが、生産条件のいい地域は何とかこの制度でやっていけると思いますが、しかし交通不便の山間僻地、離島は輸送費に食われて、この生産者補給金制度ではどうにもならない状態だ。だから、中山間地域は、水もほかにかえなさい、しからばもう畜産でいくしかないというような形でこれに切りかえたら、またこういう状態になっているという状況でありますので、この生産者補給制度にあわせて、この交通不便の山間僻地、離島に対する輸送費補助という点についても、私は、この際やはり制度として考えるべきであると考えておるわけであります。  特に、今回ウルグアイ・ラウンド農業合意で六年間で関税が今の五〇%から三八・五%に下げられるわけでありますので、それはもうますますそういう苦しい経営に遣い打ちをかける格好になります。したがいまして、その点についてぜひ対策を立てるべきであるというふうに考えますけれども、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  218. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 お答え申し上げます。  確かに、輸入自由化後においては、肥育素牛の価格、これが逐年下がりまして、自由化対策としてとられました子牛の補給金制度、これがすれすれになるような傾向があったわけでございますが、最近は若干の回復も見せております。  それはそれといたしまして、離島等遠隔な地域の問題については、実は、和牛対策といたしまして、離島から子牛を引き取る者に対する、一頭当たり沖縄ではたしか一万六千円というような助成をしておりまして、輸送費等に伴うかかり増しによって沖縄の子牛繁殖農家の手取りが減少することはないような措置もやっておるわけでございまして、そのほか、その地域における家畜市場の活性化とか肥育技術の向上とか、いろいろな問題もございますけれども、一応一頭当たり一万六千円というような手当てをしており、委員の御指摘の問題の一つには対応をしているつもりでございます。
  219. 仲村正治

    仲村委員 そろそろ時間でありますので質問を締めたいと思いますけれども、最後に、新食糧法の的確な運用についてお尋ねをいたしたいと思います。  現在の食管法は、昭和十七年の戦時中に、戦争目的達成の一環として、国民の食糧の管理権を国家が掌握する目的でつくられたものだと思っております。したがいまして、今日の市場経済時代になじまなくなったことはもう当然であります。  しかし、私たちは食管法改正かなと思っておりましたら、食管法を廃止して新食糧法制定ときたので、あれだけ米のミニマムアクセスに猛反対をした大河原さんが、農林水産大臣に就任した途端に随分思い切ったことをなされたものだなと本当に感心をいたしているところであります。やはり時代の要求には逆らえないということかなと思っているところでありますが、大河原農林大臣、ひとつしっかりこの新食糧法の精神を生かして、自由貿易、市場経済のもとで、良質、適正、安定価格で生産者、消費者の両面の利益が同時に生かされる法律の運用にしていただきたいということを、御期待を申し上げたいと思います。  さて、米が不足したり余ったりすると、直ちにその攻撃の矛先は政府に向けられる。よく日本の農政はイエス、ノーのノー政だという言葉で片づけてしまうのでありますが、これは余りにも農政の厳しさ、難しさを知らな過ぎる人たちの批判だと私は見ております。  現に、ミニマムアクセスを受け入れたときに、ここにお座りの村山総理も、社会党の当時委員長として自民党の農政を厳しく党声明の中で批判をしておられましたね。私は、あの社会党の声明を読んでみますと、「長期にわたる自民党政権のもとで誤った農政が続けられ、農業の疲弊と荒廃がもたらされた。」こういう厳しい批判をされておったわけであります。今は恐らくそんなことはおっしゃらないと思いますが、やはり農政の難しさということを私たちは今ここでお互いに認識をしていかなければならない、こういうふうに思っているわけでございます。  したがいまして、総理総理平成五年十二月十四日に社会党委員長として党声明を述べられた、この点について、一体今も、今もう自社連立政権ですから、みつ月の状態ですので、どういうふうにお答えになるか、私は非常に関心を持っているわけでありますが、この件については今でもそのようにお考えなのか、ひとつ総理としてのお立場で明確にしていただきたい、こういうふうに思っておるわけであります。
  220. 村山富市

    村山内閣総理大臣 これまで、戦後、政権を担当してまいりました自民党が、自民党が政権をとっておる責任の立場でやられてきた農政、私どもは当時野党でしたから、ですから野党は野党として理想を掲げながら自民党の姿勢を追及していく、こういう与野党の関係にあって、そして今はむしろ共通する理解と認識のもとに政策を競い合う、そして合意点を求めて農政を推進していく、こういう連立政権という性格の中にあるわけですよ。これはもう細川政権の際も羽田内閣のときも、私はやはり同じだったと思いますよ。  ただ、今私どもは、それぞれ理念や政策の違いはありますけれども、しかしその違いは違いとして、真剣な議論の中からその合意点を求めて、どうすることが一番国民のために、日本の食糧、農村、農業を守るためにいいのか、こういう合意点を求めて真剣な努力をしておる、これだけは私はやはり評価していただいてもいいんではないかというように思っておりますから、これからもそういう決意で頑張るつもりであります。
  221. 仲村正治

    仲村委員 よろしくお願いします。  終わります。
  222. 三野優美

    ○三野委員長代理 これにて小平君、仲村君の質疑は終了いたしました。  次に、石井啓一君。
  223. 石井啓一

    石井(啓)委員 私は、新進党の石井啓一でございます。  まず、今回の阪神大震災で亡くなられた五千名以上の方々に衷心より哀悼の意を表しますとともに、被災された多くの方々に心からお見舞いを申し上げたいと存じます。  さて、昨日、青森県知事選挙、これが投票になりました。結果が出ました。私ども新進党と公明の推薦をいたします木村守男氏が、自民党推薦の現職候補、社会党推薦の候補を破りまして、初当選をいたしました。  私は、これは村山政権に対する国民の批判のあらわれである、特に、阪神大震災での対応のまずさに対する自民、社会両党への批判のあらわれである、こういうふうに受けとめておりますけれども、村山総理、そして自民党総裁でいらっしゃる河野外務大臣、この青森県知事選挙の結果をどう受けとめていらっしゃるか、まずお伺いします。
  224. 河野洋平

    河野国務大臣 青森県知事選挙は、青森県民が今後四年間、県政をだれにゆだねるかということで真剣に考えられたに違いないと思います。私どもも、これまでの実績を高く評価をして北村現知事を支援をしてまいりましたが、県民の理解が得られなかったことは甚だ残念に思っております。  しかし、一つ一つの地域におきます選挙をすべて国政に結びつけて考えるということはいかがなものか。むしろ国政は国政として、地方自治は地方自治として、地方に、地域に密着した判断がある。現に、全国それぞれの知事選あるいは首長選挙で支援の仕方は、与野党が一緒にやった場所もあるし、一緒にやれない場所もあるし、それはさまざまなのであって、一つの知事選挙の結果をとって、それが国政に対する批判であるというふうに短絡的に結びつけることはいかがなものかというふうに考えております。  私どもは私どもとして反省もいたしておりますし、点検をしなければならないものもあるというふうには考えておりますが、議員のように、これを国政に直結するような形で判断をなさるという判断は、私どもはとりません。
  225. 村山富市

    村山内閣総理大臣 青森県の知事選挙に表明された県民の意思が、そのまま村山政権に対する批判であるというふうに短絡的に受けとめることについてはどうだろうか、こういうふうに私は思いますね。  やはり青森県は青森県の事情がありますし、それから地方分権の叫ばれる時代ですから、したがって、私は、そういう意味では、その選ばれた人に対して祝意も送りたいし、同時に、分権を前提にして、県民のためになることについてはこれからも協力していきたいしというふうに考えておりますけれども、そういう性格のものではないか。しかし、私どもは、そういう意味で、表明された県民の意思というものは謙虚に受けとめて、やはり反省すべき点は反省せにゃいかぬ、こういう気持ちでおります。
  226. 石井啓一

    石井(啓)委員 確かに一つの県の知事選の結果でございますけれども、この阪神大震災の大変な中、たくさんの大臣が行かれて応援をされた候補が負けたということはやはり謙虚に受けとめなければいけない、私はそのように思います。  それでは、阪神大震災についてお伺いをしたいと思いますが、こういう非常時にリーダーがどのように行動をするかということが私はやはり極めて大切なことである、このように考えております。したがって、再三再四になりますけれども、十七日当日の総理の行動について具体的にお伺いをしたいと思います。  これまでの本委員会における説明では、これはもうたくさん聞きました。午前六時過ぎ、テレビのニュースをごらんになって、これはテロップでごらんになったようですね、神戸が震度六だと。NHKの当直ですか、あの揺れている映像をごらんになった。それですぐ秘書官に連絡をして情報の報告を求めた。それで七時半ごろに秘書官から連絡があって、相当広範囲に被害が広がりそうだ。さらに七時四十分ごろ官房長官から、広範囲に被害がある、国土庁に非常災害対策本部の設置を指示したい、こういう旨の連絡があった。ここまではお聞きをいたしました。  その後、この官房長官の連絡があってから十時、これは定例閣議でございますけれども、この間どういう行動をなさっていたのか、ちょっと御説明をいただきたいと思います。
  227. 村山富市

    村山内閣総理大臣 今委員から経過について若干お話がありましたけれども、正確に申し上げますと、六時過ぎに、今お話がありましたように、これはたしかNHKのテレビだったと思いますが、テレビを見ました。そして神戸が震度六で、淡路島が震源でマグニチュード七・二という放送を見たわけです。それですぐ秘書官に連絡をとって、そして正確な情報を報告してほしいというふうに指示をいたしました。それで七時ごろからでしたか、地震発生の、テレビで放送局の事務所が出て、相当揺れた映像が流れましたね。そのときこれは相当ひどいのじゃないかな、こう思いながらあちこち電話をかけて、そして聞けるところには、私も京都あたりにかけて、京都も震度五とか言っていましたから、電話で聞いたりなんかいたしました。  それから、ちょうど七時半ごろ秘書官から、これは相当ひどそうだという、範囲も広いという報告があったわけですよ。それからすぐ官房長官の方から、今国土庁の方に非常災害対策本部をつくる準備をしてくれといって指示をした、こういう連絡を受けまして、そしてその間、秘書官を通じて警察庁やらあるいは県やら等々、連絡のとれるところには連絡をして情報の収集に努めた、こういう経過でありまして、十時には閣議がございましたから、その閣議で非常災害対策本部を設置を決めて、そして国土庁長官に直ちに現地に行ってほしいということも指示をして行っていただきました。そういう経過です。
  228. 石井啓一

    石井(啓)委員 それでは当日、テレビで、ちょうど午前八時十五分ぐらいからヘリコプターからの生中継を流し始めているのですけれども、あの阪神高速の倒壊をした物すごい映像、あるいは市街地が壊滅的に破壊された生々しい映像が出たのですけれども、総理はあれをごらんになりましたでしょうか。
  229. 村山富市

    村山内閣総理大臣 テレビは、もう私は官邸に、八時過ぎには官邸へ出ましたから、官邸のテレビをつけっ放しでずっと見ておりました。
  230. 石井啓一

    石井(啓)委員 その映像をごらんになって、どのようにあの被害をお感じになりましたですか。
  231. 村山富市

    村山内閣総理大臣 これは相当広範囲にひどいなというふうに思いましたから、ちょうど、消防庁長官から電話があったのは何時ごろでしたかね、消防庁長官から電話がございまして、そしてそのときに私は申し上げたのです。もう私がすべての責任を持つから人命救助と消火にやれるだけのことはやり尽くしてくれ、総力を挙げて取り組んでほしい、こういう指示もしたわけです。
  232. 石井啓一

    石井(啓)委員 私は、生々しいテレビの映像をごらんになって、総理がどのようにお感じになってどういう手を打ったかということがいわばポイントだと思うわけです。  というのは、あの阪神高速の倒壊した映像、ああいう日本の高架橋がひっくり返るような被害というのはこれまでの地震では起こったことがないのですよ、我が国地震では。また、市街地が爆撃に遭ったようにつぶされた。ああいう被害もほとんどないわけです。私はあれを見まして、これはもう大変だ、今までにない被害だ、こういうふうに思いましたし、また私の周りの方もいろいろな方がそういうふうにおっしゃいました。そこで、総理がそういうふうにお思いになって迅速な手を打ったかどうかというのが、私は今回のポイントの一つだと思うのです。  総理、どういうふうにあの映像を見て思われて、手を打たれたのですか。
  233. 村山富市

    村山内閣総理大臣 それは全く今言われたことと同感で、私もこれは大変だ、これはただごとではないと。  ですから、さっき申し上げましたように、何と いいますか、三党の党首にも集まっていただきましたし、それからまた現地にすぐ派遣された消防庁長官にもそういうことも申し上げたり、あるいはまた関係の方に緊急に対応してほしいというような要請もしたし、それから国土庁長官には、直ちに現地に行って正確に情報をつかまえて、そして的確な指示をしてほしいということも要請しましたし、非常災害対策本部も設置をしましたから、各省の担当者も集めて、そして対策会議を開くなり、いろいろな手だてを講じたつもりであります。  しかし、振り返って、結果から見れば十分でなかったと反省すべき点もたくさんあるし、またこの集中審議の中でもいろいろな意見があり、いろいろな指摘事項もございましたけれども、そういう点は謙虚にやはり学ぶものは学び、反省すべき点は反省して今後の対応を考えていく必要があるということについて今真剣な取り組みをいたしておるところでございます。
  234. 石井啓一

    石井(啓)委員 失礼ですけれども、私は、総理が本当にそういうふうにお感じになっていたら、もっともっと迅速な対応ができていたのではないかと思うのです。これは自衛隊の災害出動だってそうですね。例えば閣議についても、これは定例どおり十時におやりになっていますでしょう。あのテレビの映像を見て、これは今までにない地震だ、大変だということであれば、もっと打つべき手があったのではないでしょうか。  大変失礼な言い方ですけれども、総理の危機感覚は鈍かった、危機意識は薄かったというふうに私は言わざるを得ないのですが、いかがですか。
  235. 村山富市

    村山内閣総理大臣 批判は批判として、これだけの方が亡くなったし、これだけの大きな大災害になったわけですから、それは責任者として批判は批判として甘んじて受けます。
  236. 石井啓一

    石井(啓)委員 それでは自衛隊の出動について伺いますけれども、総理、自衛隊の出動について、いつ、どのような報告を受けられて、どういうふうに指示をされましたか。
  237. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 当日、私自身は六時に震災の、地震の連絡をいただきまして、まず状況把握を十分して……(発言する者あり)
  238. 三野優美

    ○三野委員長代理 お静かに願います。
  239. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 対応にはできるだけの、万全の措置をとるように、こう指示をいたしまして、そして九時に防衛庁に出まして、九時までの時点におきまして三自衛隊がとった措置につきまして報告をいただき、それから十時にそれまでの、九時までの状況についての報告を閣議で行った、こういうことでございます。
  240. 石井啓一

    石井(啓)委員 自衛隊の出動は、初動について遅いということは随分指摘されていますけれども、その後のいわゆる動員の状況というのも非常にペースがゆっくりなんですね。  出動状況を見てみますと、初日十七日に出動できたのは二千三百人、二日目十八日の昼間に五千人規模ですか、夜に九千人規模、三日目十九日の夜になってようやく一万三千人、四日目二十日の昼に一万六千人ということでありまして、現地への到着に時間がかかったということは確かにあると思いますけれども、言えば、こういうふうに人員を逐次投入していくということは、戦術上最も戒めるべきことだというふうには普通言われていますね。私は、救命とか救難というのは結局は最後は人海戦術なわけですから、なぜ初めから大規模な動員ができなかったのか、総理はそれを指示なさらなかったのかどうか、ちょっと総理にお伺いします。
  241. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 事実関係を明確に申し上げて有意義な論議をさせていただければ、このように思います。  つまり、震災が発生しましたのは五時四十六分でありますが、これは関西地区におきましては中部方面隊がその管轄地域でございますので、中部方面隊の総監部におきましては六時に非常呼集を行いまして、そして、すぐそばにおりました第三師団にはすぐ非常呼集を電話で指示しておる。それからまた、各連隊におきましても、指示を待たずにそこで連隊長の判断で非常呼集をかけたところもございます。それから、六時半に中部方面隊の全体の部隊、広島におります第一三師団、それから名古屋におります第一〇師団、それから香川におります混成団に非常呼集をかけて出動態勢をとったわけでございます。  そこで、今委員の御指摘になりました部隊の投入が少しずつではなかったか、こういうことでございますが、現場におった部隊は、兵庫県の部隊は大体四千人足らずでございます。それが逐次つまり要請に応じて現場に向かった。第一日目はその中で二千三百人派遣されたわけでございまして、私は、事態を全部見た場合におきまして、最大限の動員を行っておる、翌日は六千人になったわけでございますから。そういうようなことで最善を、最善とは言いませんけれども、可能な限り迅速な行動をとった、こういうふうに評価しております。
  242. 石井啓一

    石井(啓)委員 総理は、そういう動員の状況の報告を受けてどう指示されたのか。総理にお伺いをしたい。
  243. 村山富市

    村山内閣総理大臣 これは逐一、ここにもちゃんと時間で行動した表がありますけれども、逐一こういうことの行動をとっておるということの報告を聞きながら、私としては災害派遣に万全を期してやってほしいということを要請して、あとまた細かな指示を私が、何名行けとかどうしろなんということをする立場にはありませんからね。それはそうでしょう。ですから、あとはもう防衛庁長官なりそれぞれの部署部署でその指揮官がおって指揮をしている、こういう経過ですから、御理解をいただきたいと思います。
  244. 石井啓一

    石井(啓)委員 自衛隊の出動については、その初動の四時間、これが人命救助については致命的である、こういう指摘がありますけれども、その後の出動の状況を見ても、早期に大量出動が決断されていればもっと助かるべき人命が助かったのではないか、最初の四十八時間が勝負というふうに言われておりますから、私はそのように思います。  今総理のお話すっと伺っておりますけれども、大変対応が受け身でいらっしゃる。役所から報告が、また閣僚から報告が上がってくるのをお待ちになっている。いわゆる役所任せの私は対応じゃないかと思うんですね。平時にはそれでも何とか動いていくんでしょうけれども、私は、非常時はやはりトップリーダーの総理がみずから役所を動かす、こういう姿勢が必要だと思います。今回の震災を振り返りまして、危機管理体制、体制とか組織が不備である、こういう指摘は随分なされましたし、総理もそういう御反省をなさっておりますし、私もそう思いますけれども、同時に、幾ら組織なり体制を整えても、最後にそれを動かすのはやはり人だということだと思うんですね。  例えば、今よく話題になっていますアメリカの連邦緊急事態管理庁ですか、これも現在では大変高い評価を受けておりますけれども、報道されているところによりますと、これもかつては、特にブッシュ政権時代ではだめ役人が集中している組織だというふうに酷評を受けていた。ブッシュ政権時代にフロリダ州でハリケーンの被害を受けたようですけれども、評判は芳しくなかった。それで、クリントン大統領になりまして、災害対策の専門家で敏腕の現在の長官を登用してから、この緊急事態管理庁、この組織が変身をして、昨年一月のカリフォルニア・ノースリッジ地震などでは非常に高い評価を受けた、こういうことだそうです。  私が言いたいのは、組織、体制そのものも大切ですけれども、やはり指導者の意識と判断力が何より大切だということを申し上げたい。今回の震災を振り返ってみますと、危機管理体制が不備であったことはもちろんでありますけれども、今の体制でももっとできることがあったのではないか、そういう意味総理御自身にも問題があったのではないか、このように思います。  それで、お聞きしますけれども、では総理は今回の震災への対応で、もう最善の策、万全の策を おとりになったというふうにお考えですか。
  245. 五十嵐広三

    ○五十嵐国務大臣 総理は、今までもいろいろな機会に申し上げておりますように、本当に今度の災害に関しましては、それはもう何といいますか、御自身お持ちのあらん限りの力を振り絞って、私なんかも横にいて見ているわけでありますが、何かどうも役所任せでなかったかというお話もさっきありましたけれども、全くそういうことではない。それはもう本当に陣頭に立って頑張っておられました。恐らくあれから数日というものはほとんど夜寝られなかったのでないかと思われるぐらいのお疲れの中を本当に頑張っておられましたので、そういう点ほどうか誤解のないようにしていただきたい、こういうぐあいに思っている次第であります。  そこで、さっきアメリカのFEMAのお話もございまして、私もこの前ウィット長官ともいろいろお話し合いをさせていただきまして、大変学ぶべき点もございましたので、この際しっかり勉強したいと思います。  確かに、私は考えてみて、我が国の危機管理体制というものが一つの制度疲労といいますか、やはり随分いろいろな、今日まで反省すべき点は多くあったが十分にチェックされないで来た、こういうことを反省をせざるを得ないというふうに思いますから、この機会に全面的にしっかりこれをチェックしてまいりたい、こういうぐあいに考えている次第であります。
  246. 石井啓一

    石井(啓)委員 。いや、私が聞いておりますのは、体制ではなくて、総理御自身の行動で御自分で反省する点がなかったのか、最善の策だったのかどうか、万全の策だったかどうか、総理御自身の御感想を聞いております。
  247. 村山富市

    村山内閣総理大臣 結果としてこれだけたくさんの方が亡くなられたんだし、それからまた倒壊した家屋もあるし、いまだに二十六万に近い人が避難生活をしている。こういう現状を見た場合に、それは責任者としてこれで全部やり尽くしたかと言われれば、それは幾つかの問題、指摘される問題点はあろうかと思いますよ。しかし、置かれている現状の中でやれる範囲のことはやろうという決意で取り組んできたということだけは、ひとつ御理解を賜りたいと思います。
  248. 石井啓一

    石井(啓)委員 地震そのものは天災でございますけれども、その後の対応のおくれにより助かるべき人命が助からなかったとしたら、これはもう人災と言わざるを得ないわけです。そして、この責めはやはりトップリーダーである総理御自身の御責任であると思います。私は、総理が御自分の責任をどのようにお感じになって、この責任をどうおとりになるのか、これをお聞きしたいと思います。
  249. 村山富市

    村山内閣総理大臣 今は、まだまだ避難生活を集団で余儀なくされている方がたくさんおられるわけですね。そうして、不安を持っている方もたくさんおられる。子供さんはまだ学校が開放されなくて教室で勉強もできない、瓦れきの山が積まれておる、こういう状況にありますから、したがって、どうして救援対策をもう少し徹底さして、そして今持たれている皆さん方の不安を解消して、元気づけて、そして立ち上がれるような条件をつくっていくか。そして復旧、復興に全力を投入して、災害に強い、二十一世紀に新しい都市づくりをしていこう、こういう意欲に燃えた、そういう取り組みをやっていくことが私に課せられた責任であるというふうに考えておりますから、今は全力を挙げて尽くしていきたいと考えています。
  250. 石井啓一

    石井(啓)委員 復旧に全力で取り組むことはもちろんそのとおりであると思いますけれども、それでもって政治的な責任が解消されたとは私は思いません。総理の、謙虚に御自身の行動なりその折の意識なり等を御反省をいただきたい、このように思います。  それでは、私は今回の震災を振り返りまして、今後これを教訓として生かしていくという点から幾つか御質問をしたいと思いますが、まず耐震点検でございますけれども、今回の震災で大きな被害を受けた施設について、今各省庁でいろいろ調査御検討をされていると思いますが、本委員会においても指摘をされておりますけれども、公共施設ですね。道路、鉄道、港湾、また病院とか学校とか官公庁等の公共建築物につきまして、現在の設計基準の見直しをした後、これは早急に全国的に耐震点検を実施すべきである。あわせて、その結果に基づきまして補修、補強のアクションプログラム、実施計画をきちんと作成していただいて、計画的にかつ強力にこの補修、補強を実施すべきだというふうに考えます。所管の大臣、御答弁いただきたいと思います。
  251. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 今までもこの委員会で同趣旨の御質問にお答えをいたしておりますが、私どもとしては、大変なやはり実はショックを受けておるわけでございまして、あと十五分、地震の発生がおくれておればどういうことになったか。  そういう意味からも、新幹線について今徹底的な現地調査、JRの技術陣総動員、また松本委員会が一日から三日間現地で徹底的な調査をやっておりますけれども、また地下鉄の調査、一般鉄道の調査もやっております。これにつきましては、我々は復旧ということを考えておりません。もとに戻すということでは困るわけでありますから、震度七あるいはそれ以上の、天災というのはどこが上限かこれはわからぬわけでありますけれども、そのあたりをきちっと見きわめた耐震構造を持たなければならない。その結論をできるだけ早く出していただく。  しかし一方で、交通機関を早期に復旧しなければならないということもまた当面の急務でございますから、当面は、そうした委員会の検討の経過を踏まえながら思い切った耐震能力を持ったそうした工事をやらさしていきたい、このように考えております。  港湾につきましては、残念ながら神戸の場合はB級でございまして、東京、横浜に比べまして耐震能力は一ランク下であったわけではございますが、これはAランクで復興させたい、このようにも考えておるわけであります。  それから、これもこの委員会で再三申し上げておりますけれども、従来の交通機関全部を見直してまいりたい、そうした新しい耐震基準に合った補強をしてまいりたい、あるいは改造もしてまいりたい、このように考えております。
  252. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 学校施設についてのお尋ねですが、被災地域の文教施設については、当面の倒壊及び落下物による二次災害を防止するため早急な安全点検を行う必要があり、文部省としても、現在、関係自治体からの要請に応じ、技術職員の派遣を行っているところでございます。今後、正常な教育環境を確保するため、早期復旧に向け、教育委員会等に指導助言を行うとともに、専門家による本格的な被災状況調査等を実施してまいりたいと考えております。  さらに、お尋ねの点で、今後の学校施設の整備について、今般の学校施設の被災状況等を十分に検討しながら、学校施設の防災機能のより一層の向上に向け、文部省としても、耐震設計の問題についても必要な検討を実施してまいりたいと考えております。
  253. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 お答えをします。  先生も道路局でお勤めでございまして、専門家でありますから、道路橋は落ちないという自信を持っていた橋が落橋したわけでありますから、当然その原因は追求しなきゃならぬ。したがって、その専門委員会による調査、原因究明を徹底的に行って、その結果を踏まえて基準を直し、そして官公庁の耐震性の問題も含めて十分点検をし、全国的に点検をしていかなければ地震国家日本の安全性は保たれない、こういうふうに考えております。
  254. 井出正一

    ○井出国務大臣 病院関係につきましてお答えをいたします。  今回の震災による兵庫県内の病院の被害状況でございますが、三百四十二の調査対象病院のうち、全半壊、焼失等の大被害が十二病院、全体の三・五%です。軽度被害が百九十病院、五五・ 六%など、多くの医療施設に被害が生じております。  犠牲者は、西市民病院で患者さんが一名、それから宮地病院という病院で看護婦さんが一名出てしまいました。  こうした被害の実情につきまして、現在、厚生省にございます国立医療・病院管理研究所と社団法人の日本病院建築協会等が現地に入りまして、専門的に調査をしております。近々、二月の十三日と聞いておりますが、その調査結果を持ち寄りまして、厚生省の専門の職員を含めて、被害の状況や今後の対応を検討することとしております。今のところ聞いている範囲では、実はこの病院の耐震基準というのも建築基準法上の基準であるわけでございますが、昭和五十六年の改正以降の基準で建てたところはそれほど被害は出ていないという情報を聞いておりますが、これもはっきりしたのは現地調査団が帰ってきてからになります。  従来、厚生省といたしましては、地震発生の可能性が高いとされる地域、これは東海地域であったわけですが、その地域において医療施設の耐震点検の実施とか、あるいは耐震点検結果に基づく改修を計画的に実施するよう指導するとともに、医療施設の耐震化を図るための施設整備事業に対しましては個別の国庫補助を実施するなどしてまいりましたが、今や東海地区だけじゃなく全国至るところをむしろ考えなくちゃいけませんし、先ほど申し上げましたような現地調査結果を踏まえまして、今後の対策につきまして関係省庁とも御相談して対処してまいりたい、こう考えております。
  255. 石井啓一

    石井(啓)委員 今回被災された地域はもちろんでございますけれども、全国の他の地域の方も非常に不安を抱いておりますので、この点検そして補修、補強についてはしっかりこれはやっていただきたい、このように思います。  また、今回の震災の教訓を生かしまして、私、公共投資の配分を見直すべきではないか、こういうふうに思います。大都市圏の防災性を向上させる、こういった事業に優先的に振り向けるべきではないか。現在は、私も東京出身でございますけれども、大都市圏に今の公共投資というのは薄いんですね。  ちなみに、これは建設省から取り寄せた資料ですけれども、平成六年度の建設省の公共投資実績を見ますと、三大都市圏で二兆八千二百六十三億、その他で六兆四千二百六十七億、三対その割合なんですが、これは人口一人当たり投資額に換算してみますと、三大都市圏で一人当たり約四万九千五百円、その他の圏域で一人当たり九万五千六百円ということで、倍半分になっておるわけです。恐らく、累積の投資を見てみるともっと大きくなっているんじゃないかと思います。まあ、これは建設省だけですけれども、ほかの省庁を見るとまた同じようなあれかと思いますが。  ウルグアイ・ラウンド関連の農業対策費、あるいは整備新幹線、こういった事業ももちろんこれは大切でありますけれども、私は災害に強い都市をつくるということを優先してこの公共投資というのを見直すべきではないかと考えますが、総理、いかがでしょう。
  256. 高村正彦

    ○高村国務大臣 公共投資基本計画においては、自然災害を未然に防止するための施設を着実に整備する、そして、安全な居住環境の確保のための施策を進めること等というようなことで、安全の確保を明記しているわけであります。災害に強い施設の整備というのは公共投資全般にわたって必要とされているわけでありまして、大都市だけが必要というわけではないんだろう、こう思いますが、こういった基本的考え方のもとで、地震を初めとする自然災害に強い都市づくりが図られるものと考えております。
  257. 石井啓一

    石井(啓)委員 私も公共投資基本計画、手元にありまして、つらつら見ました。確かに今長官がおっしゃったようなことが、記述ではあります。ただ、数字の目標としては今ないんですね、この計画の中では、どれだけそういう防災関係に投資をするか。これは大都市圏だけではないわけでありますけれども。今のこの公共投資基本計画の中で、数字の目標があるのは六百三十兆という総額と、あとは生活環境・福祉・文化機能に係る公共投資の割合を六〇%台前半に増加させる、この二つですね、数字の目標があるのは。  私は、防災に関する公共投資の目標も改めて盛り込んで見直しをすべきじゃないかというふうに、公共投資基本計画についてはそういうふうに思うのですけれども、どうでしょうか。
  258. 高村正彦

    ○高村国務大臣 先ほど申し述べましたように、災害に強い施設の整備という観点は、公共投資全般にわたって必要とされているわけでありますから、その一つ一つの施設でそれが何%ということを決めるということは必ずしも妥当でない、こういうふうに考えております。
  259. 石井啓一

    石井(啓)委員 いや、ですから、何というんでしょうかね、生活環境・福祉・文化機能というのも公共事業の一側面なわけですね。ですから、防災に関するものも一側面なわけですから、そういうものがどれぐらいあるかという目標をきちんと立てるべきじゃないか、こういうふうに主張しているのですけれども、ちょっとかみ合わないようですからあれですけれども、ぜひ——じゃ、長官どうぞ。
  260. 高村正彦

    ○高村国務大臣 同じ一側面だと言われても、私は全然違うのだろうと思うのです。  生活環境だとかいうものは、何というんですかね、いろいろな生産設備に対する生活環境、こういうものがあるわけでありますが、そういった全般を通じて災害に強いものにしなければいけないということが織り込まれているので、生活環境と、縦にもう一つ災害に強い、そういうものになるものとは私は全然違う性質のものだと考えております。
  261. 石井啓一

    石井(啓)委員 ですから、そうすると、公共投資全般にわたって防災という観点を重視してやるべきだという、そういうことですね。ぜひそういう形でやっていただきたいと思います。  次に、防災訓練について伺いますけれども、昨年九月一日、総合防災訓練が行われておりますが、具体的にどういう訓練をしたのか、政府本部の運営訓練と被災想定地での現地訓練と大きく二種類あるようですけれども、昨年どういう訓練をされているか、教えてください。
  262. 小澤潔

    ○小澤国務大臣 先生御指摘の件でありますが、九月一日の防災訓練におきましては、午前中は予知対応型の訓練を実施をいたしました。判定会招集連絡報による非常災害対策要員の参集訓練、警戒宣言の発令及び警戒本部の設置運営訓練、さらには、発災後一日経過を想定した緊急本部の設置運営訓練を実施し、午後は、南関東地震を想定いたしました緊急災害対策本部の設置運営訓練を実施したところであります。  埼玉県浦和市の七都県市合同防災訓練では、七都県市を初め多数の市民の方々、防災関係諸機関が参加をし、避難所設置訓練、避難救護訓練、救出救助訓練及びライフライン復旧訓練等の実践的な訓練を行ったところであります。
  263. 石井啓一

    石井(啓)委員 昨年の九月一日の総合防災訓練の折に、総理はどういう参加をされたのでしょうか。
  264. 村山富市

    村山内閣総理大臣 昨年九月一日の総合防災訓練のお話でありますけれども、まず、政府が実施している南関東地震を想定した緊急災害対策本部運営訓練会場に出かけました。そして、本部員に訓示を行い、その後、埼玉県と浦和市が主催する七都県市合同防災訓練に出席をいたしました。同時に、訓練の一部に参加するとともに、総合防災訓練の重要性を関係者に強く訴えてきたところでございます。  この総合防災訓練は、関係機関が協力して救出救助、避難、救護、消火等の実践的な訓練を実施しているところでありまして、私も一部これに参加をしてやらせていただきました。  今回の地震を教訓として、初動期の、先ほど来お話がありますように、情報の伝達あるいは被害状況の把握、警察、消防、自衛隊による広域的な支援に重点を置くなど、より具体的、実践的な訓 練をやはりする必要があるんではないかというようなことを、私は、九月一日のあの訓練に参加をして、今回の兵庫県の地震のあの大災害を見て、これじゃやはりいかぬな、もう少し実践的な訓練が必要だというようなことを今反省をいたしております。
  265. 石井啓一

    石井(啓)委員 私は、昨年のことをもうとやかく言うつもりはないのですけれども、二月一日の本委員会で我が党の伊藤委員から指摘をしましたように、総理みずからが初動段階にいかに情報を入手をするか、指揮、運営をするか、そういう訓練に今後は改めていただきたいのと同時に、被災想定地における訓練も、今ははっきり申し上げてどっちかというと儀式化している嫌いが相当あると思うのです。私は、これは国民生活への影響も考えなければいけませんけれども、例えば交通規制をしてみて市街地に緊急車両が出動する、そういった、今回の震災の教訓を生かした、より現実的な訓練をやるべきではないかというふうに思いますが。
  266. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 確かに、先生おっしゃいますように、昨年の訓練、浦和の訓練も、河川敷の会場に一堂に会しましていろいろな訓練をするということでございまして、先生がおっしゃいましたような交通規制を実際にやってみるというふうな訓練をやっておりません。今後そういうことも、どの程度実際問題としてできるかということもございますけれども、そういうことも含めて検討いたしたいというふうに考えております。
  267. 石井啓一

    石井(啓)委員 よろしく御検討いただきたいと思います。  続きまして、避難所の件でございますけれども、今回の震災で、私は、改めて学校が避難所として非常に有効に利用されている、活用されているということで、大変私自身見直しをいたしました。ちなみに神戸市では小中学校を中心に百八十二校、市内避難所の約三割の被災者が集まっているようでございますが、学校を避難所として活用する、活用できるように学校を整備していくということを考えるべきではないか。  例えば、学校の施設を耐震補強するということはもちろんでありますけれども、自家発電装置を設置したり、あるいはプールの水を飲めるような浄水装置を設けたり、プールの水を利用するようなポンプを設けておいたり、そういうことを考えてはどうか。あわせて、都心の学校では今非常に生徒数が少なくなっていまして、統廃合が非常に行われているわけですけれども、廃校になった学校をほかの施設に転じるのではなくて、地域の防災センターとして利用する、こういう形でぜひ考えてはどうかと思いますが、これは文部大臣ですか。
  268. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 今回の兵庫県南部地震の被災地域において、学校が住民の避難場所として重要な役割を果たしており、校長及び教職員を中心として、ボランティアの方々も一体となって献身的な努力をされていることに対し、深く感謝を申し上げたいと存じます。  近年、学校施設は、コミュニティーの中核としての機能を果たすよう、施設面においても相応の整備が図られてきているところでございますが、今後とも緊急避難の場所となることも想定しつつ、必要に応じそのような整備が促進されるよう指導してまいりたいと考えております。  なお、学校の緊急避難場所としての機能を抜本的に整備することについては、国及び地域の全体的な防災対策のあり方にかかわる問題でございまして、多角的な観点から総合的な検討が必要と考えております。  また、先生、公立学校施設において防災備蓄等が行われている事例があるという御指摘でございますが、そのとおりでございまして、これは重要な課題であると認識しております。また、学校においてこのような防災備蓄等を行うことについては、地域全体の防災計画の中で適切な措置を講じているものでございます。  したがいまして、地域の中における学校の防災機能をどう強化していくかということについては、国及び地域の全体的な防災対策のあり方にかかわる問題であり、学校教育活動とのかかわりに十分留意しながら、今後多角的な観点から検討する必要があるものと考えております。  また、廃校される学校を地域の防災センターとして活用してはどうかという御提案でございますが、近年、児童生徒数の減少に伴う学校統合などにより学校が廃校となる場合が増加しておりますが、このような廃校施設の利用については、設置者がそれぞれの地域の実情等に応じて学校以外の目的に活用することが可能であり、現に生涯学習施設など、さまざまな施設として活用されているところでございます。文部省としても、廃校施設の有効な活用を指導しているところであり、地域の防災センターとすることについても有効な活用方法の一つであると考えておりますが、具体的にどのように活用するかは、基本的には地域の防災計画など、当該地域の実情を勘案しつつ、各地方公共団体において判断されるものと考えております。
  269. 野中広務

    野中国務大臣 今文部大臣からお答えありましたように、学校の校庭を避難場所として指定いたしておりますのは、全国で約二万七千カ所でございます。公園、広場等を避難場所として指定いたしておりますのは、一万二千カ所でございます。その他、河川敷、学校以外のグラウンド、神社、お寺等を含めまして、合計六万三千四百十二カ所を指定しておるところでございますけれども、今後とも可能な限り避難場所を確保するように努力をしてまいりたいと存じております。  また、廃校の利用についてお話がありましたけれども、防災センターは、平常時には訓練や研修を通じて防災意識の高揚を図る拠点としてやっておりまして、また災害時には、御指摘がございましたように、地域の住民によります防災活動の拠点である避難施設として活用をする重要な役割を果たしておるところでございます。したがいまして、その整備に当たりましては、安全性に十分配慮をしますとともに、円滑な防災活動の実施が図れるよう指導をしてまいって、現在、コミュニティー防災センターあるいは広域防災センター及び防災まちづくり事業を通じまして全国で四百四カ所をつくっておるところでございまして、今お話のありました学校の廃校校舎の利用等も一つの提案としてさらに今後取り組んでまいりたいと存じます。  さらに、貯水槽等は、今回の地震並びに昨年の渇水等を十分踏まえながら、その財政的支援をも行ってまいりたいと存ずる次第であります。
  270. 石井啓一

    石井(啓)委員 地域の意思がまず最初だということはわかりますけれども、国としてもできる限りの支援をしていただきたいと思います。  続いて、観測、予知に移りますけれども、これは観測、予知が、活断層による直下型地震の観測、予知ができるかどうかと聞こうと思ったのですが、これまでの答弁によりますと、これが非常に難しい、不可能に近いということであるようでございます。ただ、活断層の活動周期というのは、最も活発なものでも千年に一回程度のようでございますから、過度な心配はする必要はないとは思いますけれども、ただ、予知は難しいとしても、どこに活断層があるのか、あるいは活断層の活動力ですね。というのは、最近といいますか動いた形跡のあるものは当分動かないということでございますので、その活断層の場所なり活動歴なりをきちんと調査をしていくということは私は非常に重要である、こういうように思います。  これまでの活断層調査は、工業技術院の地質調査所等を中心とされて調査をされて、その成果もまとめられているようでありますけれども、問題なのは、東京とか名古屋とか大阪といった人口の集中している平野部では、活断層がどこにあるかというのがなかなか把握をされていない。といいますのは、地表面、普通は地表面にずれがあって確認をするわけですけれども、こういう平野部は川の堆積物によってそういう活断層の証拠となるような亀裂とかずれが隠されてしまうということから、なかなかこれは調査が難しい。  ボーリング調査等、非常に費用も人件費もかかるということで、これまではなかなか調査がされてこなかったということのようでございますけれども、私は、今申し上げました活断層の位置と活動歴を、これは国が中心となって本格的な調査を組織的に行うべきだ、こういうふうに考えます。それで、活断層マップを少なくともきちんとつくるべきだ、こういうふうに思いますが、担当大臣、お願いします。
  271. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 非常に技術的なものでありますので、資料を読み上げることをお許しをいただきたいと思います。  工業技術院地質調査所におきましては、活断層地図につきまして、これまでの調査により判明したものが五十万分の一の活構造図として全国を網羅する形で作成されております。また、これらの知見や大学等の調査を活用し、活断層研究会によりまして「日本の活断層 分布図と資料」という形で取りまとめられ、刊行されております。  ただし、首都圏などの活断層につきましては、丘陵部や山地についての分布は把握いたしておりますものの、大都市の平野部におきましては、委員も御指摘になりましたような、厚い堆積層に覆われていること、地形が改変されていること、ビル等の構造物が存在することなどの理由によりまして、調査には技術的にも限界がございます。  詳細に活断層の位置を把握いたしますためには、爆薬等を用いた人工地震探査などの物理探査、また数多くのボーリング調査等の調査が必要となります。都市部における調査の困難さに加え、多額の資金と多くの人材、期間が必要となりますものの、首都圏における詳細活断層図の必要性につきましては、十分地質調査所におきましても認識をいたしておりまして、その可能性につきまして関係者と十分検討をさせていただきたいと考えております。
  272. 石井啓一

    石井(啓)委員 一生懸命やっていただいているようですが、現在の地質調査所の人員なり予算なりもなかなか少ないようでございますし、これは地質調査所のみならず、他の研究所あるいは大学等々とよく連携をとっていただいて、相当の人と金が必要になると思いますけれども、最優先的にこれはやっていただきたいと思います。  それで、活断層による地震の予知は難しいと思うのですけれども、地震に備えるということは私はできると思うのです。アメリカのカリフォルニア州では条例を制定して、これは活断層の両側約十五メーター以内に人が出入りする建物を建てることを禁じておるのですね。土地の利用の状況等も違いますから単純にこれをまねするというわけにはまいりませんけれども、例えば要注意だと思われているような活断層もあるわけですから、そういった近くでは公共の建築物の建設を規制したり、あるいは既存のものは優先的に耐震補強したり、あるいは設計基準を強化したり、こういうことはできると思いますが、建設大臣、いかがでしょうか。
  273. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 お答えをします。  今石井委員から御指摘がありましたように、今回の地震によって建築物に多数の被害が生じ、多くの貴重な人命が失われたことはまことに残念であり、遺憾に思っております。  今お話がありましたように、発生をした被害を見ると、建築物の位置、建築の時期、規模、構造等によって多種多様である、そういうふうに思われますので、今お話がありましたように、立地条件との関係等、さまざまな角度から徹底的に原因を究明して、今後人命に被害を生じないようにしていくことが極めて重要であるので、そういう立場で関係各省とも十分連絡をとって対処してまいりたいと考えております。     〔三野委員長代理退席、委員長着席〕
  274. 石井啓一

    石井(啓)委員 ところで、これは報道によりますと、今国でつくられている立川の広域防災基地ですか、この周辺に活断層があるというふうに報道がなされておるのですけれども、これは大丈夫なんでしょうかね、活断層がこの近くにありましても。
  275. 小澤潔

    ○小澤国務大臣 先生の御指摘は、新聞報道によれば立川広域防災基地近傍に活断層があるということだが安全か、こういう御質問かと思います。  立川の政府災害対策本部予備施設は、南関東地域直下の地震等により著しい被害が生じるような場合においても、霞が関あるいは立川のいずれか一方において政府災害対策本部の機能が確保されるよう、三十キロ以上離した位置に計画されたものであります。  立川断層につきましては、大学を初めとして、さまざまな機関により研究がなされているところでありますが、その結果をまとめると、断層活動の再来期間は約五千年であり、直近の活動が約千四百年前であり、今後相当長期間にわたって活動しないと推定されております。  また、当該災害対策本部予備施設は、官庁施設の中でも最も厳しい耐震基準に基づいて設計されておることも申し添えたいと思います。
  276. 石井啓一

    石井(啓)委員 御説明はそういうことだと思うんですけれども、まさか起こるまいと思った神戸で地震が起こったぐらいなんですから、念には念を入れて、霞が関と立川と両方やられちゃったらどうするんだということを考えてやっていただくのがやはり危機管理ではないかと思います。  では、震災関係の最後に国土計画についてお聞きをいたしますけれども、今、次期全総計画の策定に向けて国土審議会での審議が始まっているというふうに承知をしておりますが、今回の震災の教訓を踏まえ、次期全総計画では、防災に関する観点からの施策を柱の一つとして御検討いただきたいと思います。  具体的には、災害に強い国土づくり、都市づくり、さらには、大都市圏が災害に遭ったときに、今回もそうですけれども、一つの地方自治体ではやはり無理ですね、周辺の自治体との連携、バックアップというのが非常に大切になります。そういうバックアップとか、地域の連携の体制、こういったものをきちんと議論していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  277. 小澤潔

    ○小澤国務大臣 政府といたしましては、現在国土審議会において、平成八年度を目途に、来るべき二十一世紀にふさわしい国土づくりの指針を示す新しい全国総合開発計画の策定作業を進めているところであります。  安全な国土は国民生活の基本であり、新しい全総計画においても、安全で質の高い国土の形成が最も重要な課題であると考えております。したがって、新しい全総計画の策定に当たっては、今回の兵庫県南部地震を初めとする最近の一連の災害についての調査分析、災害対策についての教訓等を踏まえ、防災の観点を十分に重視してまいる所存であります。  国土審議会は去年の十一月の十日に開きました。総理並びに私から、国土審議委員の皆さんに二十一世紀に向けての全総をお願いをいたしたところであり、本年一月十二日に第一回の計画部会が行われました。第二回は二月十六日の予定であり、そのときにはいろいろとまた先生から御質問のありました点も審議をされるのではなかろうかと思っております。
  278. 石井啓一

    石井(啓)委員 特に東京一極集中の是正につきまして私は真剣に議論すべきときが来たと思います。今回のような直下型地震が東京の都心部を襲った場合、まさに我が国としての中枢機能が集まっているわけですから、政治、行政、経済、東京圏のみならず、日本の国がもう麻痺してしまう、こういうことになりかねない。したがって、この首都機能の分散なり移転なりということをやはり真剣に考えるべき時期が来たと思いますが、いかがでございますか。
  279. 村山富市

    村山内閣総理大臣 委員御案内のように、国会等の移転に関する法律というのが今できていまして、それに基づいて設置されておりまする国会等移転調査会で鋭意調査が進められているわけです。  国会等の移転につきましては、これは二十一世紀の我が国の政治、経済及び文化のあり方等に大きな影響を及ぼす課題でありまして、地震等の大 規模災害に対処するためにも、また東京の災害対策の充実を図るためにも、そういう意味における、何といいますか、分散をすることは極めて重要な課題だというふうに受けとめておりますから、今申し上げましたような国会等移転調査会の報告審議の状況等も踏まえながら、鋭意取り組んで進めていきたいというふうに考えております。
  280. 石井啓一

    石井(啓)委員 国会が移転するのはもちろんですけれども、国会だけ安全なところへ行くということではなくて、首都機能の分散として全総計画の中で、今までもずっとやってきましたけれども、これからは実行すべき段階ではないかと思いますので、その点についてもよろしくお願いします。  それでは、大きく質問を変えまして、行政改革について質問をいたします。  まず、行革に取り組む政府の姿勢でございますけれども、総理は、行政改革は本内閣の最重要課題である、不退転の決意と勇気を持って断行する、こういうふうに施政方針演説でもおっしゃっておりますけれども、私は、このことは大変結構、言葉は大変結構なんですが、現実の取り組みを見ると、この言葉が果たして本物かどうか若干疑問なところがございます。なぜかといえば、中央省庁の統廃合について手をつけられていないということなんですね。  二月一日の本委員会における我が党の中井委員への答弁において、総理はどういうふうにおっしゃったかというと、特殊法人、それから地方分権、規制緩和、それから行政情報の公開、この四つについては今の内閣としてやり得る緊急的な課題である、こういうふうにおっしゃったのですけれども、省庁の統合等については、これは不断に検討していく課題であって、いついつまでにという目標を持ってやっているわけではない、こういうふうに御答弁されました。不断に検討していくということは、当面は検討しないということと同じでございまして、当面はやらないということと同じでございますから。ただ、同じ行政組織でも特殊法人がなぜ緊急的で中央省庁は緊急的ではないのか、どういう根拠でそういう判断の違いが生じているのか、これは私はわからないのですけれども、これは総理、ちょっと御説明いただけますか。
  281. 山口那津男

    山口国務大臣 お答えいたします。  村山総理のしばしば行われました指示を踏まえまして、昨年の十二月二十五日行政改革大綱及び地方分権大綱を決定をいたしました。その中で、委員引用されましたように、特殊法人の整理合理化、そして地方分権、特に地方分権につきましては、今国会に地方分権推進の基本法を提案をする、そして今後五年間のこの規制緩和の推進計画を立てるというようなことを決定をいたしました。したがいまして、私どもといたしましては、これに今全力を挙げているところであります。  そうして、御案内のように、官から民へ、そして国から地方へという形で、今申し上げたような改革を進めていきますならば、当然中央省庁の役割というものも変わってくるわけであります。したがいまして、私どもは、地方分権なりあるいは規制緩和というものを全力を挙げて推進をして、そういう中で、この中央省庁の改革につきましては、中期的な課題として取り組むという方針を私どもとしては決定をいたしているところであります。そのように御理解をいただきたいと存じます。
  282. 石井啓一

    石井(啓)委員 私は総理にお尋ねしたんですけれども、要は、なぜ今特殊法人が緊急的であって当面中央省庁は手をつける必要がないというふうにお考えなのか、総理、お答えください。
  283. 村山富市

    村山内閣総理大臣 緊急という言葉を私は使った記憶は余りないんですがね。これは細川政権のときからの引き継ぎの合意事項なんですよ、特殊法人の整理合理化とかそれから規制の緩和というのは。ですから、これは決して悪いことではありませんから、当面の課題として私どもは積極的に取り組んで、やはり引き継いでやろう、引き継ぎでやろうという決意に燃えて今取り組んでおる。したがって、これは私の政権についても当面の大きな課題だ、やっていこうじゃないかといって取り組んでおるわけですね。  それで、特殊法人それから規制緩和と、それから今お話がございました地方分権あるいは情報公開といったようなものを進めていく上で、これは私は、やはり行政全体を取り巻く情勢がだんだん変わってくると思いますよね。そういう変わってきた情勢に今の省庁の方が対応できるかどうかというようなことが起こってまいりますから、第二段階として取り組むべき課題であって、何も先延ばしして、やる意思はないんだ、やらないんだということではないと私は思っています。当座は今申しましたようなことをやって、その上で第二段階として省庁の整理統合というものについてもさらに検討を加える必要があるというふうに私どもは受けとめて、理解をしているところです。
  284. 石井啓一

    石井(啓)委員 いや、そういう段取りといいますか手順というのはもう何回も伺っておるのですけれども、なぜそういう段取りになるかというのを私はちょっとお聞きをしたかったのです。  いずれにしましても、私、昨年ですね、亡くなられた鈴木永二氏、臨時行革審の会長をされた鈴木さんからお話を聞く機会があったのですけれども、その折、鈴木さんがしみじみとおっしゃっていたことには、ついに本丸には届かなかったということをおっしゃったわけです。これはどういうことかといいますと、行革にとって中央省庁は本丸である、特殊法人はいわば出城みたいなものだ。今まで、国鉄にしろNTTにしろ、特殊法人というのは相当手をつけてきているんですが、中央省庁についてはほとんど手がつけられない、つけられなかった。まあ総務庁を設置したというのはございますけれども。  そういうことで、鈴木さんがしみじみ述懐しておられたわけですけれども、私は、たとえ特殊法人の改革で抜本的な案が出たとしても、それで行革が終わりだということはないと思うのですね。残念ですけれども、今のいろいろ御答弁を聞きますと、特殊法人は手がつけやすいから手をつける、中央省庁というのはやはり官僚の抵抗が激しいから、これはなかなか手をつけられない、そういう私は姿勢じゃないかなというふうに思われました。こういう姿勢はいわば安易な姿勢でございまして、ぜひとも私は中央省庁についても真剣に挑戦をしていただきたいと思います。  ちょっと質問を変えます。  武村大蔵大臣、一月八日のテレビ番組で「この政権が行革をできないのなら、さきがけはこのまま政権にとどまる考えはない」、このように発言されたと報道されていますが、この発言の真意をお伺いをしたいと思います。
  285. 武村正義

    武村国務大臣 どうも私は時々鮮明に物を言う癖がありまして、あのときのテレビの発言は本意であります。今も変わりありませんが、別に特別なことを申し上げたつもりはありません。  あのときも、その後つけ加えて、村山総理もそのお考えだと思いますというふうにあえて申し上げましたが、総理自身がこれだけたびたび先頭を切って行革への熱意を語っていただいているわけでありますし、そのことに私も閣僚の一員として使命感を感じながらこの行革の問題に取り組んでいるつもりでございます。その意欲をあの場でそういう表現で申し上げたというふうに御理解いただきたいと思います。
  286. 石井啓一

    石井(啓)委員 私、決して言葉じりをとらえるつもりはないのですけれども、一月二十七日の本委員会で、武村大臣、何とおっしゃったかといいますと、これは特殊法人について聞かれたときに、「大蔵省としましても、政府系金融機関と塩の専売等を抱えておりますが、ぜひ他省庁におくれをとらないように」というふうにお答えになっているのですね。  「他省庁におくれをとらない」ということは、言いかえれば、これは他省庁並みということですね、おくれをとらないということですから。他省庁に先んじてということではないですね。いわば 横並びの姿勢なわけです。  私、閣僚の中でも最も積極的に行革を発言され、推進されてきたと思います大臣が、横並びでやろうということでは、これはもう抜本的な成果は期待できないのじゃないかと思うのです。武村大臣のこれまでの発言が、行革への発言が本物であれば、私はまず大臣が範を示されるのが筋ではないかと思いますが、いかがでしょう。
  287. 武村正義

    武村国務大臣 行革については、閣僚の一員として、私だけが熱意を語っているとは思っておりません。  党としては、さきがけはかなり大胆といいますか、明確な、特に特殊法人なんかについては考え方を示しておるところでございます。  別に党と大蔵大臣を使い分けるつもりもありませんが、少なくともというのが入っているんではないんですか、おくれを、他省庁に。入っていませんか。——まあ控え目ながら意欲を示したつもりでございますが、率直に言って、大蔵省は三つの政府系金融機関、かなり大きな金融機関三つと、たばことあわせて塩の専売制度を持っているわけでありますが、塩については、あのときにも議論があったようでありますが、難しくて、国営のままで、そのまま、ややいびつでありますが、たばこ会社の一角に塩の組織を設けて、六百人ほどこの仕事にかかわっているという状況がございます。  そういう意味では、四つの特殊法人があるという認識でおりまして、今その中で塩については、事務当局ともどもこの民営化に踏み切ろうという方向で検討をいたしているところでございます。  あとの三つの政府系金融機関は、もうこのままという考えではなしに、議論を詰めていけばいくほど、これは省庁を超えて、十数の数に上りますが、政府系金融機関全体のあり方の中で議論を詰めていく必要がある。背後にはもちろん財投という年金や郵貯を背景にした資金源があるわけでございますが、この巨大な財政投融資の中で、前面に立って政策融資を実行いただいている十数の政府系金融機関がどうあるべきか、基本的な論議もありますし、個別には組織がどうあったらいいかという議論もあるわけですが、そういう中で、最終の結論を出していこうという考え方に立っているわけであります。そういう意味では、政府系金融機関全体の中で、大蔵省の三つも例外ではないという認識で見詰めているつもりでございます。
  288. 石井啓一

    石井(啓)委員 それでは、先日のこの委員会では、特殊法人については二月十日まで、最終報告だというふうにおっしゃいましたけれども、その政府系金融機関についての検討もこの二月十日までに最終的な報告が出るというふうに考えてよろしいのですか、武村大蔵大臣、いかがですか。
  289. 山口那津男

    山口国務大臣 お答えいたします。  今、二月十日を前にいたしまして、各省庁では各閣僚が先頭に立ちまして懸命に努力をいただいている次第であります。特にどの大臣がどうこうということではなくて、村山内閣といたしまして一体となって、村山総理の指示のもとに各省庁が全力を挙げて努力をしている。また、総理からの指示もございまして、私の方から各大臣に対しましてもそれぞれ御努力をいただくように、官房長官ともどもお願いをいたしているところでございます。  そういう中で、二月十日には各省庁といたしまして検討いただきました最終結果を総務庁に報告をいただくということになっておりまして、そのように今手続が進んでいるところでございます。
  290. 石井啓一

    石井(啓)委員 私は大蔵大臣にお伺いしたのですけれども、大蔵大臣が今、大蔵省の主管の政府系金融機関については全体の政府系金融機関のあり方の中で議論を詰めるというふうに、財投も含めましておっしゃいましたものですから、二月十日の最終報告までにそういう議論をお詰めになるのですかと確認をしておるのです。
  291. 武村正義

    武村国務大臣 特殊法人全体の改革については総務庁長官中心でございます。また、各省庁にまたがるという意味では、官房長官もひときわ関心を持ってこの問題を扱っていただいているところでございますが、大蔵省は政府系金融全体にかかわっておりますが、しかし、他省庁とほとんどは共管でございます。  そういう意味で、十日までには大蔵大臣としては一定の考え方をしっかり固めて総務庁長官報告をいたしたいというふうに思っております。
  292. 石井啓一

    石井(啓)委員 私は、二月十日にこの案が出る、ただ若干懸念いたしますのは、今各省庁とも震災対策に優先的に取り組んでいる中で、果たして本当に十分な検討ができるのかどうか。逆に言いますと、不十分なものをもって最終報告にされたのではこれはかなわないなというふうに思うのですけれども、その点いかがでございましょう。
  293. 山口那津男

    山口国務大臣 お答えいたします。  先日も当委員会におきまして御同様な御指摘がございました。確かに省庁、大部分の省庁が今全力を挙げて震災対策に取り組んでおります。また、九十二ございます特殊法人、多くの特殊法人がこれまた震災対策に懸命に取り組んでおりますことは、石井委員もよく御存じのとおりでございます。  そういう状況はありますけれども、しかし、昨年以来、この特殊法人問題につきましては当委員会で与野党の皆さんからしばしば御指摘があり、村山総理が、この問題については、二月十日には各省庁それぞれ全力を挙げて努力をした結果最終報告総務庁長官に出してほしい、そういうことで進んでおるということをお答えし続けてきたわけでございますから、そういう震災対策でそれぞれ各省庁、特殊法人、極めて苦労しておられることは私もよく承知をいたしておりますけれども、しかし、それはそれとして、今日までやってまいりましたので、全力を挙げて各省庁とも、震災対策は震災対策、そして特殊法人問題は特殊法人問題、こういう形で対処いただける、かように考えておる次第であります。
  294. 石井啓一

    石井(啓)委員 それでは、しつこいようですけれども、再度確認をいたしますが、二月十日にその最終報告が出る、三月末までに政府案を決める、これは閣議決定するということですね。そうすると、二月十日に出てくる案はそのまま閣議決定にできる案だ、こういうように考えてよろしいわけですね。
  295. 山口那津男

    山口国務大臣 お答えいたします。  最終報告をいただきます。また、与党の皆さんとすれば、それぞれ党内において御議論があって党内として手続をおとりになるだろうと思います。政府といたしましては、御指摘のございますように、閣議においてこれを決定をするということになるわけでございます。  したがいまして、私どもとしては、二月十日を期限といたしまして全力を挙げて各省庁取り組んでいただく、これに今大いに期待をいたしているわけでございまして、二月十日最終報告をいただきました段階で、当然与党あるいは政府それぞれの機関の手続を行うということをこの際申し上げておきたいと存じます。
  296. 石井啓一

    石井(啓)委員 それでは、だんだん時間も迫ってまいりましたので、ちょっと具体的にお伺いしますけれども、農水大臣、昨年十二月二十六日の記者会見で、蚕糸砂糖類価格安定事業団と畜産振興事業団との統合について検討されている、こういうふうに統合の検討をお認めになっていらっしゃいますけれども、どういう検討をされているのか。具体的に申し上げますと、統合する際、業務あるいはその事業の見直しをして、リストラをして統合するのか、あるいは業務とか組織はほとんどそのままで統合するような形で考えているのか、お伺いします。
  297. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 今委員がいろいろ御指摘になったような点も含めまして、現在検討中でございます。
  298. 石井啓一

    石井(啓)委員 今具体的なことは恐らくおっしゃらないと私も思いましたが、いろいろ伝えられている、報道等で伝わってくるところによりますと、統合といっても業務あるいは事業の内容はそのままで、ほとんど変わらない。私は、これではやはり内容のない数合わせに終わってしまうの ではないかという懸念がたくさんございます。  私は、やはり特殊法人を成立させている制度あるいは政策の根本にさかのぼって各法人の実施している業務なり事業の内容をきちんと点検する、その上で、もう廃止すべきものは廃止をする、統合すべきものは統合する、縮小すべきものは縮小する、あるいは民間にふさわしいものは民間に任せる、こういう検討が必要だと思うわけであります。その結果、効率化されるということによって財政改善にも寄与される、こういうことかと思います。  残念ながら、現在伝えられている統合のいろいろな内容では、案では、業務はそのまま残して、組織を温存させて一緒にする、これでは極端に言うと理事長ポストが一つ減るだけなのですね。本当の意味での行革、実質的な効率化にはなっていない、国の財政支出の削減にも全く寄与しない、単に単純に特殊法人の数を減らすという政治的な数合わせに終わってしまうのではないか、そういう私は懸念を抱きますが、この点についてはいかがですか。
  299. 山口那津男

    山口国務大臣 特殊法人、御案内のように九十二ございます。このうちJR関係を除きますと八十の特殊法人ということになります。私どもといたしましては、この八十の特殊法人すべてについて事業及び組織、これについて厳しく見直すことを求めている次第であります。したがいまして、八十の特殊法人すべてについてこのような点で合理化ができる、このような形でスリム化ができる、このような回答を私たちはぜひとも出していただくようにお願いをいたしている次第であります。  そうして、同時に、統合すべきものは統合する、そして廃止できるものは廃止をする、民営化するものについては民営化する等々の努力をこれまたお願いをいたしているところでございまして、決して幾つかの法人に限って我々はお願いしているわけではございません。八十すべての特殊法人について今申し上げましたような形の要請をいたしておるということで御理解を賜りたいと存じます。
  300. 石井啓一

    石井(啓)委員 今大臣おっしゃったような形でまとまれば私どももいいわけでありますけれども、二月十日、具体的に出してこられます案を見させていただきまして、私どももきちんと点検をさせていただきたいと思います。  時間もなくなってまいりましたが、最後に公益法人についてちょっとお伺いしますが、昨年十二月二十五日の閣議決定では、「公益法人についても、民間の発意により設立されたものであることを踏まえつつ、できる限り速やかに見直しを実施する。」こういうふうにされておりますけれども、具体的にどのような方針でいつまでに見直しをするのか、お答えをいただきたいと思います。
  301. 五十嵐広三

    ○五十嵐国務大臣 公益法人に関しましては、今委員お話しのように、民間の発意によって設立されるもので特殊法人等とは事情が全く違うというものでありますが、しかし、その適正運営の推進を図るという意味から、昨年十一月に、一つには、いわゆる休眠法人の整理の促進、それから二つには、公益法人設立の本旨に沿ったものであるかどうか、それから三つには、行政の代行的機能を果たしているものについてその役割と事業運営及び国の関与のあり方等が適正かどうかという、三つについて見直しを行ったところであります。  その概要は、一つには、いわゆる休眠法人は全体で三十一法人、二つには、見直しの必要な法人数は六法人、これらにつきましては各省庁において早急に整理せよということで整理することになっております。三つ目の、行政の代行的機能を果たしているいわゆる指定法人が百三十二法人ありまして、その役割、業務運営及び国の関与のあり方等についてチェックをいたしましたが、これらはいずれもおおむね適正であるという報告を得ているところであります。  これからは、整理することとされた法人以外の法人についても各省庁においてさらに見直しを進めていく、その結果を二月末ぐらいまでに報告をしてほしい、こういうぐあいに言ってあります。  それからまた、設立法人の抑制等についての基準づくり、これも進めているところであって、これらの検討は三月末をめどに結論を得たい、こういうぐあいに考えております。
  302. 石井啓一

    石井(啓)委員 わかりました。特殊法人それから認可法人、公益法人、いろいろ課題があるかと存じますので、これらについてしっかりやっていただきたいと存じます。  時間が参りましたので、終了いたしますが、最後に、私の質問の中で若干失礼な言葉があったかと存じますが、若さゆえと御理解をいただきたいと存じます。  以上で終わります。
  303. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて石井君の質疑は終了いたしました。  次回は、明七日午前九時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時八分散会