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1995-02-01 第132回国会 衆議院 予算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年二月一日(水曜日)     午前九時三十一分開議 出席委員   委員長 佐藤 観樹君    理事 衛藤征士郎君 理事 桜井  新君    理事 野呂田芳成君 理事 深谷 隆司君    理事 伊藤 英成君 理事 加藤 六月君    理事 草川 昭三君 理事 三野 優美君  理事 五十嵐ふみひこ君       伊藤 公介君    浦野 烋興君       江藤 隆美君    越智 伊平君       越智 通雄君    栗原 裕康君       後藤田正晴君    近藤 鉄雄君       志賀  節君    関谷 勝嗣君       高鳥  修君    東家 嘉幸君       中山 太郎君    原田  憲君       村山 達雄君    山崎  拓君       若林 正俊君    伊藤 達也君       石井 啓一君    石田 勝之君       川島  實君    古賀 敬章君       左藤  恵君    笹木 竜三君       鮫島 宗明君    武山百合子君       月原 茂皓君    中井  洽君       中田  宏君    永井 英慈君       野田  毅君    平田 米男君       広野ただし君    吹田  愰君       冬柴 鐵三君    松田 岩夫君       宮本 一三君    柳田  稔君       山口那津男君    山田  宏君       池端 清一君    今村  修君       佐々木秀典君    坂上 富男君       細川 律夫君    前原 誠司君       東中 光雄君    松本 善明君       吉井 英勝君    海江田万里君  出席国務大臣         内閣総理大臣  村山 富市君         法 務 大 臣 前田 勲男君         外 務 大 臣 河野 洋平君         大 蔵 大 臣 武村 正義君         文 部 大 臣 与謝野 馨君         厚 生 大 臣 井出 正一君         農林水産大臣 大河原太一郎君         通商産業大臣  橋本龍太郎君         運 輸 大 臣 亀井 静香君         郵 政 大 臣 大出  俊君         労 働 大 臣 浜本 万三君         建 設 大 臣 野坂 浩賢君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     野中 広務君         国 務 大 臣         (内閣官房長官五十嵐広三君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 山口 鶴男君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長         官)      小澤  潔君         (国土庁長官)         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 玉沢徳一郎君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      高村 正彦君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      田中眞紀子君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 宮下 創平君         国 務 大 臣 小里 貞利君  出席政府委員         内閣法制局長官 大出 峻郎君         内閣法制局第一         部長      津野  修君         警察庁長官官房         総務審議官   山本 博一君         警察庁刑事局長 垣見  隆君         警察庁交通局長 田中 節夫君         総務庁長官官房         審議官         兼内閣審議官  土屋  勲君         総務庁行政管理         局長      陶山  晧君         防衛庁参事官  小池 寛治君         防衛庁長官官房         長       三井 康有君         防衛庁防衛局長 村田 直昭君         防衛庁教育訓練         局長      佐藤  謙君         防衛施設庁建設         部長      田中 幹雄君         経済企画庁物価         局長      谷  弘一君         科学技術庁研究         開発局長    沖村 憲樹君         科学技術庁原子         力局長     岡崎 俊雄君         科学技術庁原子         力安全局長   笹谷  勇君         国土庁長官官房         審議官     西川 一誠君         国土庁計画・調         整局長     糠谷 真平君         国土庁防災局長 村瀬 興一君         外務大臣官房長 池田  維君         外務省総合外交         政策局長    柳井 俊二君         外務省総合外交         政策局軍備管         理・科学審議官 林   暘君         外務省アジア局         長       川島  裕君         外務省欧亜局長 野村 一成君         外務省中近東ア         フリカ局長   法眼 健作君         外務省条約局長 折田 正樹君         大蔵大臣官房参         事官         兼内閣審議官  福田  誠君         大蔵省主計局長 篠沢 恭助君         大蔵省主税局長 小川  是君         大蔵省銀行局長 西村 吉正君         文部大臣官房長 佐藤 禎一君         文部省初等中等         教育局長    井上 孝美君         文部省教育助成         局長      遠山 耕平君         文部省高等教育         局長      吉田  茂君         文部省学術国際         局長      岡村  豊君         厚生大臣官房総         務審議官    太田 義武君         厚生省生活衛生         局水道環境部長 藤原 正弘君         厚生省社会・援         護局長     佐野 利昭君         農林水産大臣官         房長      高橋 政行君         林野庁長官   入澤  肇君         通商産業大臣官         房審議官    河野 博文君         通商産業省生活         産業局長    江崎  格君         資源エネルギー         庁長官     川田 洋輝君         中小企業庁次長 鈴木 孝男君         運輸大臣官房技         術参事官    澤田  諄君         運輸省運輸政策         局長      豊田  実君         運輸省鉄道局長 戸矢 博道君         運輸省自動車交         通局長     高橋 伸和君         運輸省港湾局長 栢原 英郎君         気象庁長官   二宮 洸三君         郵政大臣官房審         議官      品川 萬里君         労働大臣官房長 伊藤 庄平君         労働省労働基準         局長      廣見 和夫君         労働省職業安定         局長      征矢 紀臣君         建設大臣官房長 伴   襄君         建設省建設経済         局長      小野 邦久君         建設省都市局長 近藤 茂夫君         建設省河川局長 豊田 高司君         建設省道路局長 藤川 寛之君         建設省住宅局長 梅野捷一郎君         自治大臣官房総         務審議官    二橋 正弘君         自治省行政局長 吉田 弘正君         自治省財政局長 遠藤 安彦君         自治省税務局長 佐野 徹治君         消防庁長官   滝   実君  委員外出席者         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ――――――――――――― 委員の異動 二月一日  辞任         補欠選任   山崎  拓君     栗原 裕康君   安倍 基雄君     柳田  稔君   工藤堅太郎君     広野ただし君   笹木 竜三君     宮本 一三君   山田  宏君     鮫島 宗明君   矢島 恒夫君     東中 光雄君 同日  辞任         補欠選任   栗原 裕康君     山崎  拓君   鮫島 宗明君     山田  宏君   広野ただし君     古賀 敬章君   宮本 一三君     武山百合子君   柳田  稔君     中井  洽君   東中 光雄君     吉井 英勝君 同日  辞任         補欠選任   古賀 敬章君     工藤堅太郎君   武山百合子君     永井 英慈君   中井  洽君     平田 米男君 同日  辞任         補欠選任   永井 英慈君     中田  宏君   平田 米男君     吹田  愰君 同日  辞任         補欠選任   中田  宏君     笹木 竜三君   吹田  愰君     安倍 基雄君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  平成七年度一般会計予算  平成七年度特別会計予算  平成七年度政府関係機関予算      ――――◇―――――
  2. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  平成七年度一般会計予算平成七年度特別会計予算平成七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。今村修君。
  3. 今村修

    今村委員 おはようございます。日本社会党護憲民主連合今村修であります。  私は、本委員会でとかく話題になっております青森県出身であります。青森県では、昨年の年末二十八日の夜、三陸はるか沖地震が八戸市を中心に襲い、二名の死者を含む大きな被害をもたらしたわけであります。しかし、国の素早い対応の中で復旧に取り組んでいるさなか、今度は神戸市を中心とする神戸大地震発生をし、大変な被害をもたらしました。  この神戸大地震で亡くなられた五千名を超える方々に心から御冥福をお祈りするとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げる次第であります。また、地震発生から被災者救済等復興のため日夜大変な努力を続けられております関係各位皆さん方に心から敬意を表します。  しかし、地震発生以来二週間を経過したにもかかわらず、いまだ二十六万人もの人々が避難所生活を送っており、疲労の色がますます濃くなっています。避難所生活が長くなるに従って不満が高まり、将来に対する不安も強まっています。  これらを解消していくには、将来に対する希望と見通しを早急に明らかにすることが必要だと思います。神戸市の復興計画住宅確保、ライフラインの復旧など具体的な見通しを明らかにし、早急に避難所生活にピリオドを打つこと、それが急務だと思います。一層の御努力を強く要請いたします。  地震発生以来総力を挙げ被災者救済等復旧に取り組んでこられた村山総理を初め、関係閣僚の御努力と御労苦に心から敬意を表するものであります。  予想もしなかった大都市の大災害であり、政府対応にいろいろと注文もついているようでありますが、これらを教訓に万全の対策を講じられるよう強く要請をし、質問に入らせていただきたいと思います。  復旧が進み、都市機能が回復をするに従って、今雇用の不安が出始めているわけであります。特に、阪神大震災被害を受けた企業事業所が、閉鎖や休業事業の縮小を余儀なくされ、従業員解雇や一時休業賃金未払い高等学校卒業予定者内定取り消しなどの動きも出始めている、こう言われています。  企業では、大きなデパートであります阪急百貨店三宮店が閉店をする、こんな状況にもなっているわけであります。こうした中で、雇用安定確保のために、労働省が取り組むことが強く求められていると思っています。  そこで、労働大臣にお伺いをいたします。こうした解雇や一時休業賃金未払い高等学校大学新卒者採用取り消しなどにどのような対応をされているのか、明らかにしていただきたいと思います。
  4. 浜本万三

    浜本国務大臣 今村議員お答えをいたします。  今回の震災に伴いまして、被災いたしました企業が、解雇や一時休業等を行ったり、新卒者採用内定を取り消すことによりまして、被災地雇用状況に深刻な影響が出ておることを私も大変懸念をしておる次第でございます。そのため、労働省といたしましては、三つの施策を講じております。  一つは、被災府県公共職業安定所を通じまして、被災事業所状況把握全力を挙げるとともに、迅速な対応をするように指示いたしております。  また第二番目は、被災地域内で雇用維持を図ろうとする事業主への雇用調整助成金支給、また被災による事業所休業や一時的に離職により賃金を受けられない方々への失業給付支給など、特例的な措置を講じてまいっております。  第三番目は、あわせまして関係公共職業安定所事業主及び求職者方々に対する特別の相談窓口を設置いたしまして、これらの特例措置を活用しながら、きめ細かな相談助成に努めておるところでございます。  また、新卒者採用内定取り消しにつきましては、一月三十一日現在、十一社、九十一人の新卒者にかかわる採用内定取り扱いについての相談を受けておるところでございます。まだはっきり取り消すというふうにはおっしゃっておられないわけでございます。  したがいまして、労働省といたしましては、新卒者支援についての通達を発出いたしまして、内定取り消し回避に向けた事業主指導と同時に、内定取り消しを受けざるを得ないケースにつきましては、就職面接会の活用を通じまして、対象となった新卒業者の円滑な就職支援全力を挙げるよう指示しておるところでございます。一番新しいところでは、近畿ブロックは二月三日に大阪府立体育館におきまして面接会を開催するなどの措置を講じておるところでございます。  私といたしましては、すべての新卒者について職場の確保を図っていくことが極めて重要な課題となっておることを考えまして、来週にも事業主団体に対しまして、内定取り消し回避等新卒者雇用確保について要請行動を行ってまいりたいと思っております。
  5. 今村修

    今村委員 こうした問題について、特に窓口強化を図っていただきたい。相談を受ける場所をきっちりさせていただきたい。あるいは、失業給付関係でいえば、企業が倒産をする、建物が破壊をするということで、手続関係でいろいろと便宜を図っていただきたい。労災給付関係についても同じであります。こういう相談手続関係で、特に労働省として配慮している点があったら明らかにしていただきたいと思います。
  6. 浜本万三

    浜本国務大臣 相談窓口の問題につきまして、今回の震災に伴いまして勤務中に被災された方々賃金の支払いが行われないままになっている方々、さらには賃金等労働条件確保に大変苦労されている事業主方々などが相当数相談においでになっておるところでございます。  このため、兵庫県下と大阪府下労働基準局及びすべての労働基準監督署におきまして、これら被害を受けられた労働者及び事業主方々の便利に資するよう、賃金等労働条件一般に関することから安全衛生でありますとか労災保険に関することまで、総合的に対応できるような総合相談窓口を設置しておるところでございます。これらの窓口に対しまして被災者方々から相談があった場合には、相談者の置かれた状況に十分配意いたしまして、適切な対応に努めておるところでございます。  また、労災保険給付の請求に当たりましては、事業主の証明が受けられない場合もあると思いますから、こういう場合におきましても被災者立場に立った適切な対応を行うことなどによりまして、できるだけ手続を簡素にいたしましたりして、親切な取り扱いに努めておるところでございます。
  7. 今村修

    今村委員 こうした雇用不安が増大をしていく、こんな状況の中でぜひとも取り組んでいただきたい内容があるわけであります。  それは、兵庫県や神戸市などと協議をしながら、こうした雇用問題を解決をするために、被災者対象雇用確保援助対策などの事業創設検討していただきたい、強くお願いをする次第であります。  農業が冷害になりますと、農業の場合は救済事業という形でいろんな事業が取り組まれるわけであります。これだけの大変な被害であります。雇用不安が増大をしては生活にまた大変な不安を招くわけでありますので、こうした雇用確保援助対策などの事業創設ができないかどうか、改めてお伺いをしたいと思います。
  8. 浜本万三

    浜本国務大臣 お答えいたします。  事業創設ということにつきましては、ちょっと私の所管でございませんのでお答えできないのですが、被災者労働者対策という立場に立って、御質問にできるだけ近い立場で御答弁をさしていただきたいと思います。  今回の震災による被害は極めて大規模なものとなっておりまするし、震災により離職された方々も非常に多数に上ると考えております。このため、労働省といたしましては、被災地公共職業安定所に先ほど申したような特別相談窓口を新たに設けまして、全国的なネットワークを生かしながら、個々の離職者のニーズに応じた相談援助職業紹介を実施しておるところでございます。  また、被災による事業所休業や一時的な離職により賃金を受けられない方々には、失業給付支給する等の特別措置を、先ほど申したように講じたところでございます。あわせまして、職業訓練を活用しながら、被災による離職者の円滑な就職の促進も援助いたしておるところでございます。  さらに、現在、新卒者を含め被保険者期間が六カ月未満の労働者休業させることによって雇用維持を図ろうとする事業主皆さんに対しましては、一定の支援措置を講ずること等に関しまして、先ほど申したような立法措置を含め検討をいたしておるところでございます。  今後とも、これらの方々就職に関しましては、兵庫県や神戸市の声も十分聞きながら、被災者方々に対しまして一層の雇用確保援助を図ってまいりたいと思います。
  9. 今村修

    今村委員 雇用対策については、特に、それぞれの各省にまたがることなのかもしれませんが、十分な対策を強く要請をしておきたいと思っています。  特に雇用問題では、今春卒業予定者の、高校、大学卒皆さん方就職環境が大変厳しい、こういう状況になっているわけであります。この就職内定状況は現在どうなっているのか、これについてもお答えをいただきたいと思います。
  10. 浜本万三

    浜本国務大臣 平成七年三月の新卒業者就職内定状況は、昨年の十一月末現在の就職内定率が四年制大学で八〇・二%、それから短期大学で六一・〇%、高等学校で八一・六%というように、いずれも前年より低い水準にとどまっておりまして、大変厳しい状況であると存じます。  また、昨年十月に実施いたしました調査結果によりますと、新卒採用内定数は、厳しい雇用情勢影響もございまして男女とも前年より減少しておりますが、その減少幅女子の方が男子よりも一層大きい実情になっておるわけでございます。  このため、労働省といたしましては、昨年の九月以降、全国主要都市におきまして求人者新卒者等を一堂に会しての就職面接会というのを継続的に開催いたしますとともに、全国学生職業センター公共職業安定所において求人開拓情報提供、きめ細かな就職相談等を積極的に実施しておるところでございます。  さらに、大学等新卒者対象とする求人一覧表全国で統一的に作成をいたしまして、三月上旬に大学全国公共職業安定機関等において閲覧していただきまして、就職機会の拡大に努めておるところでございます。  また、女子学生就職問題に対応するために、これは昨年の四月でございましたが、男女雇用機会均等法に基づく指針を改正いたしまして、募集、採用において女子に対する不利益な取り扱いがなされないように周知徹底に努めておるところでございます。
  11. 今村修

    今村委員 ありがとうございました。  次に、今回の地震で、大変な地震が起きたことによって全国原発を抱える地域でいろんな不安が広がっておるわけであります。この問題についてお伺いをしたいと思っています。  今回の神戸大地震発生によって、今全国原子力発電所核燃料サイクル施設立地県では、改めて施設安全性が大きな問題になっています。特に、地震予知連絡会特定観測地域観測強化地域、これに選定したところに多くの原子力発電所立地をしており、地域の不安は今回の地震で一挙に高まる、こういう状況になっています。  こうした中、田中長官浜岡原発を緊急視察し、原子力安全委員会は臨時の委員会を開催し、耐震安全検討会発足をさせ、指針見直しを行う、こういう方向に歩み出した、こう聞いておるわけであります。  そこで、何点かについてお伺いをいたします。  一つは、神戸大地震三陸はるか沖地震原発核燃施設などに被害はなかったのか。そして、検討会発足をさせ、指針の一体どこを見直しをする、こういうお考えなのか、お伺いをしたい。  二つ目には、原発核燃施設はどの程度の地震に耐えられる、こういう内容になっているのか、できれば震度数で明らかにしていただきたい。また、多くの原発特定観測地域観測強化地域建設をされているわけであります。また、活断層の真上や間近につくられた原発などもあり、地震に対する抜本的見直し安全審査のやり直しが必要だと思いますけれども、御見解をお伺いいたします。
  12. 田中眞紀子

    田中国務大臣 三陸はるか沖地震及びこのたびの兵庫南部地震発生後に、全国稼働中の四十九の原子力関連施設に対しまして安全確認をいたしましたが、その結果は、影響はなしという結果の報告を受けておりますことをまず御報告申し上げます。  それから、先生も冒頭におっしゃっておられましたけれども、まず地質調査を十二分にして、岩盤上に立地原子力施設はしているということ、それから、あらゆる、考えられるようなその極限的最大地震も想定して耐震設計をしておりますし、微小地震が生じました場合にも、スクラムが生じ、また人的要員も配置をして、手動でもとめられるように、対応ができるようになっているという実情がございます。  そして、今お言葉にもございましたように、私も、十七日の今回の地震発生後、二十一日には、夜中でございましたけれども、浜岡に参りまして、とにかく人間の気の緩みというものが一番怖いと思いますものですから、中部電力がやっております浜岡原発に視察をしてまいりまして、注意喚起及び安全の確認ということを徹底してまいりました。  それで、現在は、原子力安全委員会におきまして、安全性に万全を期するとの観点から、耐震設計に関する関連指針類妥当性について点検をいたしております最中でございます。  なお、その他の、どこでどのぐらいの震度かというふうなことにつきましては、事務方からお返事申し上げるのでよろしゅうございましょうか。
  13. 今村修

    今村委員 はい。
  14. 笹谷勇

    笹谷政府委員 原子力施設耐震設計につきましては、ただいま大臣からお答えがありましたとおり、原子力安全委員会が定めました耐震設計審査指針によりまして、十分な耐震設計を行っているわけでございます。  その基本となる考え方を簡単に申し上げますと、まず、活動性のある活断層の付近は立地点から避けるというのが基本でございます。それから、付近の活動性の低い活断層についても、最大のものを想定して評価をいたします。また、過去その地域で起きた最大の歴史的な地震についても評価いたします。さらに、建築基準法で定める基準の地震力の三倍の地震力を想定して評価しております。このような地震力を想定して重要度分類いたしまして、十分な安全裕度を持った耐震設計を行っているわけでございます。  先生御質問の、そういう十分な耐震構造になっているものを震度階で表現するとどういうことになるかということでございますが、私どものこの安全審査を、あるいは耐震設計をやる場合、この震度階という概念ではやっておりませんので、非常にこの震度階で申し上げますと難しいわけでございますが、一つは、原子力発電所は岩盤の上に設置されております。震度階は通常、地表で体感で感じるものですから、岩盤から地表に行くまでにかなり増幅されます、地震力が。通常二、三倍というふうに言われております。そういうようなことをいろいろ勘案して、一概には言えないのですが、一般の地表で観測される地震に換算いたしますと四百ガル、震度階でいいますと震度七以上には耐えられるものというふうに考えております。
  15. 今村修

    今村委員 今御説明をいただいたわけであります。  ただ、私どもの青森県に核燃料サイクル施設立地を受けているわけであります。また、全国原発で、つくる際にどんな現象が起きたかといえば、地盤に対する大変な不安、近くに活断層がある、断層があるという不安、これが大変な議論になってきた経過がそれぞれあるわけです。この見解は、指摘をする方とつくる方の間でお互い合意をするということがないままにつくられている、こういう状況になっています。  例を一つだけ申し上げますが、例えば青森県の核燃立地であります。これは東大出版会が出した「日本の活断層」という本からとったものであります。この核燃のすぐそばに、海域に大変な活断層があると指摘されています。しかし、事業者は、この活断層はないということで抹殺をしてしまいました。そして安全審査をした、こういう内容になっているわけであります。  もう一つは、これは核燃をつくる際、内部から告発があった内容であります。そして明らかになった話。これは再処理工場の内部であります。この下に二本の断層が走っている。これも内部の告発で明らかになって、しかし、これは活断層ではないといって建設が今進められている。  こういうのが原発の場合はそれぞれあるわけであります。こういう点では大変な心配をするものであります。地震に対する抜本的な見直し安全審査のやり方を強く求めておきたい、こう思います。  時間の関係もありますので、指摘をして、次の質問に入らせていただきたいと思います。それは、今問題になっています小学校、中学校、高等学校の授業の再開の問題であります。  地震によって被害を受けて避難場所となって授業が再開できない、あるいは校舎が壊れて授業の再開ができない、こういう学校が多数に上っているようであります。この数をまず明らかにしていただきたい。同時に、いつになったら開校できるのか、そのことを明らかにしていただきたい、こう思います。  それから、高等学校の入学試験の問題です。試験日を延ばす、こういう内容になっているようであります。しかし、願書がいわば整わない、試験日がいつになるのか、これもはっきりしない、こういうことでこれにも大変な不安を持っているわけであります。この点についてひとつお答えをいただきたいと思います。
  16. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 被災地域の多くの学校においては、地震発生直後から休校措置がとられまして、現在徐々に登校が再開されつっあるところでございますが、一月三十一日現在、公私立の小中高等学校で約二百校が休校しておりまして、休校中の学校の児童生徒数は約十三万人となっております。  現在、被災地域の多くの学校は被災住民の避難所として提供されておりまして、今後、住民生活の安定と児童生徒の安全確保を基本に置いて、学校施設の安全点検や早期復旧、教科書や学用品の支給など、学校における教育活動ができるだけ早期に再開できるよう万全を期してまいりたいと考えております。  具体的には、学校施設の安全点検のため、文部省と都道府県教育委員会の技術職員を既に現地に派遣をしております。また、教科書、学用品についても速やかに供給できるよう体制の整備を行い、既に支給も開始しているところでございます。  具体的には、神戸地区において、まだ四八%の学校が休校しております。阪神地区は開校しているところが多くて、休校しているところは全体の一三%でございます。  次に、高校入試についての御質問がございましたが、これからいよいよ高校入試が本格化するわけでございますが、これを円滑に実施がなされるよう受験生に対する配慮をすべきということは、先生の御指摘のとおりでございます。  このため、兵庫県教育委員会におきましては、神戸市教育委員会兵庫県の中学校長会の要望等も踏まえまして、第一には、推薦入学については、願書受け付け及び検査等の日程を五日から十日程度延期をいたします。学力検査については、試験日は三月十六日でございますけれども、願書受け付けの日程を五日延期するなどの措置を講じております。また、県内の私立高校についても、兵庫県私立中学高等学校連合会において検討がされておりまして、入試期日の変更を申し合わせ、昨日、私立高校における入試日程や選抜方法の変更等が発表されたところでございます。  このたび兵庫県内の高等学校についてとられました措置については、学校の状況等を最もよく承知しております教育委員会等が関係機関等と連携を図って決定したものでございまして、文部省としては、このような県の方針に沿って円滑に入学試験が実施されるよう特に意を用いてまいりたいと思います。  なお、兵庫県内の場合を含めまして、今後被災地を離れ、急遽他の地域高等学校を受験する生徒がふえることも予想されますので、文部省としては、全国の都道府県教育委員会等に対し、高校入試における配慮について、出願期間や提出書類の取り扱い等について弾力的な対応を求めるとともに、特別の受験機会の確保や収容定員を超えた受け入れなど、可能な限りの対応検討するよう要請したところでございます。
  17. 今村修

    今村委員 終わります。ありがとうございました。
  18. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて今村君の質疑は終了いたしました。  次に、中井洽君。
  19. 中井洽

    中井委員 おはようございます。  私は、新進党の中に今回つくられました政権準備委員会の行政改革担当をいたしております。私ども新進党あるいはこの政権準備委員会は、今日の一番重大な政治課題の一つは行政改革である、このように考え、過般、本会議におきましても、海部党首がみずから、行政改革について具体的な提案をもって所信を申し上げたところであります。  総理も常々、行政改革の重要性をたびたびお述べになり、また施政方針演説においては、行政改革は内閣の最重要課題であります、私は、言葉だけの改革に終わることのないよう、不退転の決意と勇気を持って実りのある改革を断行する所存であります、このように述べられているところでございます。私どもも、この意気込みは本当に大変結構なことだと考えておりますし、また、行政改革は与党も野党もない、これは政治家がすべて責任を持ってやっていくことだ、このようにも考え、御支援申し上げるところは精いっぱいお手伝いをする、また、お互い論議をして、いい行政改革を実現をしていきたい、こんな思いでおります。  私どもは、行政改革の目的、目標というものはいろいろありますけれども、二十一世紀に通用する効率のいい行政府あるいはそれに伴う地方自治、こういったものをつくり上げることが行政改革の一番の目的であろう、こんなふうに考えて今努力をいたしておりますが、総理自体の行政改革に対する目的というのはどういうふうにお考えでしょうか。
  20. 村山富市

    村山内閣総理大臣 今、中井委員から力強い激励と、行革については与野党ない、国会、政府を挙げて実行すべきものだという力強いお言葉をいただきましたから、心からお礼を申し上げたいと思うんです。  これは、今お話もございましたように、いろんな角度から考えて、それぞれの考えはあると思いまするけれども、端的に申し上げますと、やっぱり行政改革の目的は何かといえば、簡素で効率的な政府を実現するということが一つと、同時に、行政を取り巻く客観的な情勢というのは社会的にも経済的にもどんどん変わっていっているわけでありますから、その変わった状況に機敏に対応できるような、そういう行政組織というものを考えていくことが大事ではないか。そして何よりも、行政全体に対する国民の信頼を回復する、いただくということも大事な視点ではないかというふうに思っておりますから、そういう視点に立って規制緩和なり、あるいは特殊法人の問題なり、あるいは地方分権の問題なり等々、当面する行政改革の課題について全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
  21. 中井洽

    中井委員 政府の行政改革の方針等をいろいろと資料等で見させていただきますと、お話のありました特殊法人の整理合理化あるいは規制緩和、地方分権、特に総理が力を入れておられます情報公開、それから行政組織の合理化あるいはまた総合調整機能の見直し、こういったところが中心的と言われておりますが、総理が当委員会やらあるいは本会議等で御質問に対してお答えになるのを聞いておりますと、大体特殊法人の整理合理化、そして規制緩和、地方分権、情報公開、この四つに絞ってお答えになっておられる。  ここら辺は、どういう理由で、行政組織の合理化あるいは総合調整機能、こういったものを省いておっしゃっておられるのか、一度お尋ねをいたします。
  22. 村山富市

    村山内閣総理大臣 別に省いてというのではなくて、当面、今の内閣としてやり得る緊急的な、取り組まなきゃならぬ課題は何かという視点から考えた場合に、今御指摘のありましたような問題点を挙げて、そして解決に努力していきたいというふうに思うわけです。  そうしたもろもろの改革を進める過程の中で、今の行政組織でもって十分対応し得るのか、あるいは不合理な点があるのかというような問題については、これはやっぱりふだんから検討を加えていかなきゃならぬ課題であって、今ここで直ちに結論を出して、そしてやらなきゃならぬというところまでには至っていない、もう少し検討しなきゃならない課題がそれぞれあるんではないか。総合調整をする機能とそれぞれの所掌する事務について、あるいは事業についてやっていくというようなこととの関連というものは、どうあることが一番いいのかというようなことにつきましては、前段で申し上げましたような規制緩和の問題とか特殊法人の問題とか、あるいは地方分権、情報公開とか、そうしたもろもろのことが実行される過程の中で、さらにふだんから検討を加えていかなきゃならぬ課題ではないかというふうに受けとめておるところであります。
  23. 中井洽

    中井委員 報道によりますと、橋本通産大臣が特殊法人の整理合理化について、例えば、単なる数合わせなのか、あるいは財源問題を考えたものなのか、ここら辺をきちっとしなきゃならない、こういったことを政府内部でも言われておると報じられております。  行政改革に過去、国鉄の民営化、NTTの民営化、中心的にお取り組みになられた橋本通産大臣でありますだけに、いろんな、今回政府でお取り組みになられておられる行政改革について思いがおありなのかと私どもは拝察をいたしているわけでありますが、これらの発言の真意、また政府内部においては、数合わせの特殊法人の統廃合ということでいくのか、あるいは財源を考えた、また、さっき総理が言われたような、二十一世紀に向かって合理的な、簡素な特殊法人、そういったものを目指してやるということで合意がなされておるのか、ここら辺を含めてお答えをいただきます。
  24. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 鈴木内閣の当時、第二次臨時行政調査会を考え、そして第二次臨調以来行をともにしてまいりました中で、今御質問をいただきましたようなポイント、ともに憂いを同じくして語り合ったことを今思い起こしております。そして私は、先ほど総理からお答えのありました内容、まさに簡素にして効率的な政府、そして、それを、住民に身近な行政はできるだけ身近な自治体にお願いをする、同時に、その時代時代に合わせて機動的な対応を行政改革というものは常に心がけていくべきものであり、その意味では不断の問題である、私はそう思っております。  ですから、多少御質問の趣旨に外れるかもしれませんが、例えば本年度、通産省は、今回のPL法の施行に伴う体制づくり、通産検査所二十二カ所ありましたものを十一カ所に統合し、その上で体制を整備をいたしました。私は、それぞれの省庁がその時代の行政の変化に即応して同じような考え方で行動しておられると信じております。  そして、今御指摘がありましたような内部の議論、それぞれに関係閣僚の協議の中ではさまざまな角度からの論議を、当然のことながら戦わせております。それぞれの所管行政に責任を負う者として、みずからの所管行政の中を点検し、その上でどういう哲学でこれを進めるか、当然のことながら意見交換をいたしており、そのプロセスにおいて私も自分の意見を申し上げてまいりました。そして、できる限りの努力を傾けてまいりたい、そのような気持ちでおることを申し上げます。
  25. 中井洽

    中井委員 大蔵大臣にお尋ねをいたします。  大蔵大臣はさきがけの党首であられ、さきがけの皆さん方が行政改革について大変私どもも意を強くするような提言をなさっておられますし、大蔵大臣みずからも、行政改革の具体的内容が数字で示されることが大事だとか、行政改革なくして税制改革なしであるとか、あるいはまたテレビ等におかれては、この政権で行政改革ができないなら、さきがけはこのまま政権にとどまる考えはないなどと、私どもにとりましては大変歓迎を申し上げるお話もございます。  行政改革を行って具体的に財政的な削減あるいは財政的な寄与、こういったものをどのような形でやっていくか、大蔵大臣としてお考えなり数字をお持ちでしょうか。
  26. 武村正義

    ○武村国務大臣 大体御指摘のようなことを見ないしは私申し上げてまいりました。率直に言って、時代の要請に行政がどうこたえていくか、ここに行政改革の動機があると思っておりますし、総理のお答えのように、行政もまたなるだけ小さな政府の方向を絶えず目指して努力をしなければならない、効率的な、簡素な行政の方向を目指していかなければならないということであろうかと思っております。  ひときわ、日本のさまざまなシステムが、戦後五十年を迎えていわば一つの壁にぶつかっている中で、それぞれ改革が強く期待をされている状況にあります。政治もそうでありました。あらゆる政策課題もそうでありますが、行政全体についても同じことが言えるわけでありまして、ここで戦後五十年の大きな役割を担ってきたことも見詰めながらも、しかし、このままでいいのか、将来に向かって行政をどう改めていったらいいのか、そんな議論をさまざまなレベルで真剣にしなければいけない状況に立っているというふうに認識をいたしております。  行革に対する姿勢でありますが、そこへ大蔵大臣としてはとおっしゃいましたが、財政を預かる立場で考えますと、申し上げてまいりましたように、我が国の財政が今どういう状況に立っているのか、財政と行政とは表裏一体でございますだけに、昨今は行財政改革という表現も使われ始めているわけでございますが、財政の健全性をどう確保をしていくのか、大変脆弱な現下の財政をどう健全に立て直していったらいいのかという課題にも並行して直面をいたしておりまして、そんな意味で、税制論議に出てくるような国民負担という数字の面で、まず行財政改革を真剣に見詰めて、精いっぱいの改革の努力を展開をして、一体どの程度の経費の節減、財政の改善に成果を上げることができるか、そのことが大変大事なテーマになってきたと思っております。政府みずからあるいは財政当局みずからの責任としても、このことに真剣に取り組んでいかなければならない思いであります。  やや抽象的なことを申し上げましたが、行革なり行財政改革に対する考え方を申し上げました。
  27. 中井洽

    中井委員 御承知のように、平成九年から消費税の引き上げが決められております。五%ということになっておりますが、見直し条項がございます。総理、大蔵大臣含めて、この税制改革の質疑の中で、行政改革、そして不公平税制の是正は思い切りやるんだ、そしてこの五%でとまるのか、あるいは引き上げざるを得ないのか、あるいは引き下げが可能なのかということを含めて十分検討しなければならぬというふうに思っています、こういうふうにお答えになっているわけであります。行政改革の成果によってこの消費税が五%という形でとどまるのかどうか、大きくかかわってくる、このように私どもも考えております。  この点の認識につきましては、総理は今もお変わりありませんか。また、行政改革をやって、また税制改革もやって、そしてできる限り平成九年、消費税五%でいく、こういうお気持ちに変わりはないのか、お尋ねをいたします。
  28. 村山富市

    村山内閣総理大臣 一応平成九年から消費税率を、国税については四%、地方消費税は一%ということについては、既に御決定をいただいているわけであります。同時に、見直し条項を入れてございます。  今御指摘のように、行政改革とかあるいは不公平の是正とか、あるいはまたこれから高齢社会に対する福祉ビジョンとか、こうした相対的な当面の重要な課題について十分審査をした上で、検討を加えた上で結論を出したい、こう考えておりますから、その結論については今予断を持って私は何も考えておりませんと。ただ、前段としてのそういう条項についてはこれから真剣に取り組んで、そしてその成果を見た上で判断をしたい、こういうふうに申し上げているわけでありますから、今御指摘のありましたような点については、これから真剣に取り組んでいかなければならぬ課題だということは、政府が責任を持っておるというふうに申し上げたいと思うのです。
  29. 中井洽

    中井委員 それじゃ少し、過日、海部党首が本会議で具体的に提案をいたしました行政改革の諸課題について質疑をしたいと思います。  残りは、関連で、個々の問題については詳しく同僚の宮本議員や平田議員からありますので、大きな点だけお尋ねを私の方からさせていただきます。  先ほどもお聞きいたしましたが、海部党首は、思い切って中央省庁の統廃合をすべきだ、そして私ども政権準備委員会が党首のもとに十四の担当という形でスタートをいたしましたが、この十四のような形に統廃合していく、これも一つの例ではないか、こういうことで総理にただしたわけであります。  先ほど総理は、中央の省庁の統廃合等を含めてもう少し長期的な検討課題じゃないか、こういうことを言われました。しかし、二十一世紀も目前であります。現在の省庁、それぞれに頑張ってはいただいておりますけれども、その使命とかあるいは役割、あるいは複雑に、多様に、また急激に起こる諸課題に十分対応できていない体制、これらのことを考えますと、思い切って中央省庁の統廃合に踏み込んでいくべきじゃないか、このように私どもは考えておりますが、いかがでしょうか。
  30. 村山富市

    村山内閣総理大臣 過日の本会議で、海部議員から代表質問の中で、具体的な省庁の統廃合について御指摘があったわけですね。  私は、今答弁申し上げましたのは、こういう問題については、やはり時代が刻々と変わっていくわけでありますし、そうした客観情勢の変化に対応して、主体的な行政として十分簡素で効率的な機能を果たし得ているかどうかというようなことについては、ふだんから常に考えて検討されなきゃならない課題だというふうに申し上げたわけですね。  特に、例えば経済企画庁と大蔵省との統合という問題についても提起がございました。  経済企画庁というのは、総理府の外局の一つとして、経済全般の運営方針や毎年度の経済計画大綱の策定のほか、長期経済計画関係の施策の総合調整、国際経済協力等の総合調整、物価政策の総合調整等々の任務を持っておりまして、これらの多くの関係のある省庁との深いかかわり合いがあるわけです。  同時に、国の財政政策を担う大蔵省と統合した場合、民間部門を含む経済政策全体の総合調整の機能というものがやはり十分発揮できないのではないか、こういったようなこともありますから、したがって経済企画庁の今果たしている役割と大蔵省の持っている機能というものを考えた場合に、まだまだ検討を加えていかなきゃならぬ課題がたくさんあるのではないかというふうに思いますから、そういう点も十分検討しながら、先ほども申し上げましたように、省庁の統合等につきましては、そうした産業、社会、各般の変化に対応して効率的な機能を果たしているかどうかというようなこともふだんから検討を加えながらやっていかなきゃならぬ課題であって、いついつまでにどうこうしなきゃならぬというような目標を今持ってやっておるわけではございませんし、先ほど申し上げましたように、当面の課題としては規制緩和とか特殊法人の整理統合とかあるいは分権とか、こうした、今時代が一番求めているものについてどうこたえていくかということをやった上で、さらにふだんから考え、検討していかなきゃならぬ課題であるというふうに位置づけて取り組む必要があるのではないか、こういう考え方を申し上げた次第であります。
  31. 中井洽

    中井委員 ただいま、経企庁の例をとられて総合調整面で必要だ、このように言われました。問題は、私どもは、この総合調整、調整、ここに日本の官公庁のシステムの直さなければならないところがあるんだろうと考えています。  例えば、今回の阪神大震災におきまして、国土庁が担当庁として、長官が非常災害対策本部の長になられておやりになった。国土庁だけを責めるわけにはいきませんけれども、初動のおくれ、目を覆うばかりであります。これも国土庁という役所が、総合調整だといって、十五ぐらいの省庁寄ってもらってそこで一致しなければ何もできない、こういう体制にある役所であるから緊急時何もできない、これが問題なんではないでしょうか。  例えば、国土庁だって過去何回もこれは災害対策本部の長を引き受けた。そのたびに実施機関、救援の実施機関持っていない、命令権ない、八割以上が出向者、よその省庁の出向者、こういうことで緊急の災害の長をやっている。到底現実に役に立っておるとは言えないと私は思うのであります。  総合調整官庁というのも必要でありましょうけれども、総合調整ばかりやっておって何も物事が進まない、全会一致でなければ役所は物事が決まらない。ここに私は直すべき問題がある、行政改革の大きな目標の一つがあると考えているわけであります。  中央省庁の問題につきましては、後からまた宮本議員が具体論を持って言いますが、私は、今回図らずも露呈したこの国土庁のこういう機能のなさ、こういったことを考えると、国土庁だけでも、少なくとも海部党首が提言をしましたように、沖縄、北海道開発庁とともに、建設省と統廃合する、こういった思い切ったことをやはり議論をし、決断をしていくべきである、このように考えますが、再度お答えをいただきます。
  32. 五十嵐広三

    ○五十嵐国務大臣 総理から先ほど御答弁がございましたように、また委員ただいま御提起のように、行政組織そのものの検討というのはもう私ども常に、日常心がけていかなければならないことであろうというふうに思います。殊に、今回のような問題が起きました折に、非常にそういう点での思いの深いことも確かにあるわけでございますので、私どもといたしましては、こういう緊急的な危機管理体制における行政組織の関連をどのようにするかということにつきましては、御承知のように鋭意今検討をいたしているところでございます。  個々の縦割りの、よく言われる行政の欠陥というものを是正して、全体として円滑な行政の目的を達成していくということのためには、やはり総合調整の機能というものが大変大事だということもまた否定のできないことであろうというふうに思いますが、お話しのように、今回のさまざまな教訓はしっかり我々踏まえて検討を進めてまいりたい、このように思っている次第であります。
  33. 中井洽

    中井委員 お答えをいただいたようないただいてないようなところで、官房長官、何か記者会見で四十五分に出られるということですから、お尋ねをそれじゃ引き続いていたします。  総合調整が必要だ、私はそれはそうだろうと思います。しかし、例えば内閣でいろんなものを決めていく、その前に各役所間ですべて調整をする。役所が全部調整じゃないですか。どこかの役所がノーと言ったら内閣へ重要な課題は上がってこない、あるいは上からトップダウンでおろしても役所間の調整で何にもできない、どこかが反対だ、だめだ、こう言い張ればできない。これが今の官僚システムのあるいは官僚システムと政治との一番断ち切らなきゃならない、改革しなければならない私は問題だと考えております。  今回の初動のおくれ、情報の収集のおくれ、こういったことにかんがみて、昨日、政府内でプロジェクトチームを発足されて、緊急の情報収集やらあるいは二十四時間体制等について取り組まれる、こういうことを聞かしていただきました。これはこれで結構でございます。しかし、例えば、政府の中に内政調査室、外政調査室あるいは情報に関する調査室、こういうのがおありになる、これが総理にいろいろな情報やら入れていくのでしょうし、また総合調整をするということになっておる。ところが、この内閣のそういう内政の調査室であれ外政調査室であれ、そこにおられる方は各省庁の出向だ。そして、内政調査室の室長がそれじゃ各省庁を招集する権限があるのか。招集権もない。すべて総合調整であって、一致しなければ総理のところへ上げていけない、こういうシステムになっているのじゃないですか。ここら辺を直していくことが、私は激しく動く国際社会また今回の大震災のような緊急事態、これに対応できる行政のシステムだと思いますが、いかがですか。
  34. 五十嵐広三

    ○五十嵐国務大臣 今の御指摘には、政治、行政の過去戦後五十年を振り返って反省して、かみしめるべきことのある御発言であったというふうに思います。  しかし、今お話しのように、すべてが行政のそれぞれの機関で上がってきて、一致しなければ内閣の方で方針も決められないというようなことは、これはもう全くそんなことはないのでありまして、それでは一体、我々は何のために政治家として内閣を組織しているのかということになるわけであります。  例えば、このたびの問題についての対応にいたしましても、我々、もうはっきり申し上げていいのではないかと思いますが、例えば、さまざまな、今プロジェクトチームをつくって鋭意検討していただいているわけでありますが、これらの問題にしても者やはり総理のもとからのトップダウンでやってきていることであって、全体的に政治の積極的な指導力というようなものは、私はかなり機能しているというふうに思っております。  ただ、全体として、一体、システムとして危機管理を含めていろいろな点で、先ほどから行政改革の問題も議論されているところでありますが、こういう点で反省すべき点がないのかということになると、それは各所に制度疲労等の面は見受けられるというふうに思いますから、そういう点はしっかり、むしろ我々政治家が指導的にこれを改革していくということでなくてはならぬと思っております。
  35. 中井洽

    中井委員 官房長官の御答弁は、それは政治家としてお気持ちはよくわかります。  しかし、現実に、本当に日本の官僚システムあるいは中央の官公庁のシステムが、緊急時あるいは非常時に意思決定が行くあるいは情報が総理のところへ素早く届く、そういうシステムになっているのかどうか。私は、今回の阪神大震災の本当に反省として、ここのところをやはり直していくのが行政改革の一つの大きな目的でもある、このように考えております。  そういう意味で、例えば、ああいう大震災が起こったときに指揮命令をだれがするんだ、これが決まっていない。あの大震災のときに、例えば交通遮断をだれがするんだ、決まっていない。現場が混乱しちゃって、道路交通遮断ができなかった。官房長官、首を横に振っていらっしゃいますが、例えば、私どもの郷里だって神戸まで百キロ、御要請があって直ちに消防車を出しました。愛知、名古屋も、また三重県はほとんど出しました。しかし、現実に道路は動かない。消防車が出たって、着いたのは真夜中になっちゃう、こういう状況であったわけであります。  私は、ああいう大震災ですから、それは現場が混乱しておるのでしょう。しかし、ああいう時期に一番大事なことは、指揮命令をだれがする、現場の指揮命令はだれだ、こういうことできちんと整理ができて、そしてそれがシステム的に動いていく、こういうことが大事だと思うのですね。今の官庁のシステムあるいは中央官庁のシステムでは、そういったことが何もできずに総合調整ばかり言われておる、ここに問題があるのじゃないか、このように申し上げているのであります。もう一度お答えいただきます。
  36. 五十嵐広三

    ○五十嵐国務大臣 今回の災害対策の場合の指揮命令といいますか、どこが一体責任を持って指示しているのか、これはもう明確でありまして、先日来この委員会でも御議論いただいていますように、法二十四条における対策本部というものができて、しかも一方、閣議決定で総理をトップにする全閣僚による対策本部もできているわけで、どこが一番の責任者かということになればこれは明確で、総理大臣であります。そのもとに各大臣があって、各省庁のきちんと指示をとって、例えば今交通の問題がございましたけれども、これは言うまでもなく警察庁長官が指揮していくということになるわけです。それはしかし、現場のそこのところの指揮はどうかということになれば、それはそれぞれ系統で分節化された権限があって、そういう系統のもとにきちっと指示をしていくということになるものだろう、こういうぐあいに思いますね。  今、いわゆる総合調整のお話がございましたけれども、やはり一方では縦割りの弊害ということもあるのであって、今のような指揮は一体責任はどこで統括してとるのかなんということになると、やはりそれは総合してきちんと全体を掌握して指示していくという体制も当然必要なことでありますから、それは縦割りだけの弊害、縦割りの弊害というものも一方では考えつつ全体の統合も配慮していかなきゃいかぬ、こういうことだと思います。
  37. 中井洽

    中井委員 お答えはまことに結構なんですが、総合調整だから縦割りの弊害がとれるということじゃない。総合調整は必要だ。必要じゃないとは言っていません。しかし、その総合調整の中で、そこに出ていらっしゃる各役所、これが全員了解して賛成しないと何も決められないというシステム、ここに問題がある、これが一つであります。  もう一つは、こういう非常時には指揮命令をきちっと、やはり現場も含めてどこがどういうふうにやるのだということをふだんからつくり上げていく、このことが大事だと申し上げているわけであります。  先ほど、総理が総責任者だ、こう言われました。それはそれで結構でございます。それならこの初動のおくれ、初日の混乱、これはすべて総理の責任だ、こういうふうにおとりしますけれども、それも結構なことだ、それは当然だ、こういうふうになるのであろうか。この点も含めてもう少しお答えをいただけますか。
  38. 五十嵐広三

    ○五十嵐国務大臣 もう言うまでもなく、内閣を挙げての責任といいますか、そういう中心というのは総理大臣であることは言うまでもないことであります。
  39. 中井洽

    中井委員 それでは、他の方面からお尋ねいたします。  そうしますと、今回、一月の二十日に、非常災害対策本部をおつくりになって、国土庁長官の小澤さんから本部長を小里さんにおかえになりました。どうしておかえになったのですか。  私は、佐藤委員長と同じですが、佐藤委員長は愛知県、私は三重県で、伊勢湾台風で、私ども子供のころでしたが、大変な被害を受けました。このときに、法律も何も整備されてない中、第二次岸内閣であったと思うのですが、益谷秀次先生、副総理格で御入閣でありました。この方が担当相になられて、愛知県にほとんど半年張りつかれた。そして副総理格の実力でもっていろんな対策を、頭越しのときもあれば、おやりになった、このことに愛知県も三重県も非常に感謝をいたしているわけであります。  この伊勢湾台風とその明くる年に起こりましたチリの大津波地震、これらの経験の中から災害対策基本法というものができてきたわけであります。これに基づいて今日まで、国土庁長官がたび重なる災害のときに本部長となって対応策をとられた。  今回、災害発生三日目に国土庁長官から小里さんにかわられた。何が理由なんだ。例えば、益谷先生は副総理というおもしを持っておやりになった。小里さんと小澤さんと、まあ国土庁と北海道・沖縄開発庁と、こういうことでありますし、当選回数は御一緒でありましょうし、何か小澤さん、全然だめで、国土庁が要らないのでかえたんですか。そこらはさっぱりわからぬじゃないですか。先ほどからのお話から見たって全然わからない。どういう理由でかえられたんですか。
  40. 五十嵐広三

    ○五十嵐国務大臣 申し上げておきますけれども、内閣の各大臣の任命権者は総理でございますから、総理が責任を持って人事をつかさどっているわけでありますので、それは御承知おきいただきたいと思います。  何でというお話でございますが、それはこれまでも何回もこの委員会でも御説明を申し上げているところでありますが、専任の担当大臣を置くという決意をしたわけであります。  今回の大災害の状況にかんがみて、この機会に担当大臣を置いて全力を挙げて内閣はひとつこれに取り組もう、こういう方針の中で、御承知のように小里国務大臣を担当大臣にする。そういうことになりますと、北海道開発庁であるとか沖縄開発庁であるとか、こういうことの業務も小澤国土庁長官にお願いをする、こういう整理をさせていただいた、こういうことであります。
  41. 村山富市

    村山内閣総理大臣 十七日の日に非常災害対策本部を設置をしたわけです。それぞれ建設大臣、自治大臣、関係大臣、運輸大臣も含めて、現地に行って状況を把握してまいりました。私も十九日に現地に参りまして、いろいろ知事やら市長にもお会いをして、また被災者にもお会いして、いろんな話もお聞きしたわけです。  そういう状況の中で、この非常災害対策本部を設置をして、そして私がその本部長になった内閣全体を包含した緊急対策本部も設置をして、この異常な大災害に対して取り組んでいくためには、国土庁長官が兼任をして本部長をやるというようなことではだめだ、これはやっぱり専任の大臣を置く必要がある、こういうことを全体の判断の中から痛切に感じましたので、まあ国土庁には国土庁の仕事があるわけですから、北海道開発庁やら沖縄開発庁の仕事も国土庁長官に兼任をしていただく、そしてこの担任の大臣を指名して、この衝に当たっていただくというぐらいに必要なことだというふうに判断をしたから小里さんにお願いをした、こういう経過でありまして、その後、小里さんは専任をして、専任大臣としての役割と任務を一生懸命果たしてもらっているというふうに考えておるところでございます。
  42. 中井洽

    中井委員 まあ人事のことは総理ですから、緊急時に総理が本部長を三日目にかえるという人事をおやりになって、責任は総理だと、こういうことですから、私どもはその責任をこれからも重く受けとめていきたいと考えておりますが、今の御答弁でいくならば、何も、三日間もう本部長をやられた小澤さんを専任にして、小澤さんの国土庁の任務を小里さんにやってもらえばいいことでしょう。おっしゃっていることは違う。総理みずから、国土庁は要らない、災害のときに役に立たない、こういうことを言われたのであります。私どもはそういう意味で、今回、国土庁を行政改革の対象として中央省庁の統廃合の中に入れてしかるべきだ、このようにあえて申し上げておきます。  時間がありませんので、次の問題に入らしていただきます。公務員の定員の削減、このことについてお尋ねをいたします。  これも海部党首が本会議において御提起を申し上げたわけであります。この数年間、民間企業におけるリストラ、そのリストラの名のもとにおける従業員の減、すさまじいものがございます。例えば一九九三年十月から九四年三月、半年間で東京証券取引所に上場している企業だけで十四万八千人ぐらいの従業員の削減が行われているわけであります。こういう厳しい財政状況、または高齢化社会、こういう中で、国家公務員あるいは地方公務員、特殊法人、これらの人たちもやはり民間と同じく厳しい定員の見直し、これらをやっていって当然だ、このように考えております。  国家公務員におきましては、平成元年から平成六年という六年間の時間をとりまして、約一万人ぐらいの削減が行われる、これは定数の管理が大変厳しく行われておる、こういうことであろうかと思いますが、一方、地方公務員におきましては、この六年間に六万人余りの増加がある。また特殊法人におきましては、数字的に見たら六十一万から五十六万、こう減ってはおりますけれども、これはNTT、JRそれから日本たばこ、ここら辺が民営化がなされて、そしてその中でこの三つだけで六年間に約六万人の人が減っておる、残りの特殊法人では一万数千人、人がふえておる、こういう状況であります。  これはやはり国民感情からしても、私は決していいことではなかろう。国家公務員の定数削減だけじゃなしに、地方公務員、特殊法人の総定員、これらについても同じような形でリストラをやるべきだ。例えば首切るわけにいきませんから、退職者の半分、補充をしない、こういう形だけでも五年たてばかなりの人員削減ができる。また、そういうふうにしても、私は地方公務員の皆さん、特殊法人の皆さんのお仕事、何にも困ることはない、このように、日々の業務を見さしていただいて考えております。ここら辺の定員削減についてお取り組みになる気がおありかどうか、総理にお尋ねをいたします。
  43. 山口鶴男

    山口国務大臣 お答えいたします。  国家公務員、地方公務員、特殊法人、三つの分野にわたりましての御意見でございました。  国家公務員につきましては、総定員法施行後、この十四年間に実に十三万三千人の職員を削減をいたしました。ただ、削減するだけで、それでは我が国の行政需要に対応できるかというと、そのようにはいかないと思います。例えば麻薬の問題であればその関係の職員をふやすとか、あるいは先日も当委員会で、外交に対する我が国の体制をより強化すべきではないか、こういう御意見がございました。外交に携わる職員につきましては、これは逐次ふやしていかなければならぬと思います。  そういう意味で、我々といたしましては、削減計画によりまして削減すべきものは削減する、十四年間に十三万三千人削減いたしました。同時に、しかし新しい分野で必要とする職員につきましては増員をいたしてまいりまして、ネットで四万人程度この十四年間に削減した。八十万人の国家公務員の定員の中で四万人削減をしたという点については御理解をいただきたいと思います。  また、地方公務員につきましては、これは現在の法律制度のもとで、「地方自治の本旨」でございますから、地方公務員の定員を政府でもってこれを削減するということはできません。ただし、自治省が毎年作成しております地方財政計画の中で、あるべき定員の姿はこうという形で、これまた削減については自治省が懸命の努力をいただいていることは御存じだろうと思います。  また、特殊法人につきましては、それを所管する省庁におきまして簡素な機構をつくるべく懸命の努力をいたしまして、これまた抑制に努めておることは御案内のとおりだろうと思います。  そのような形で、それぞれの分野において国できちっとできるものはする、それからまた、計画でもって対応するものはするということでやっている次第であります。
  44. 中井洽

    中井委員 質問と答弁が全く違うのであります。そんな自慢話を聞いておりません。簡素化に努力しているのは御存じであろう。簡素化していないから聞いておるのであります。  特殊法人は、この五年間に一万人以上人がふえておるじゃないかと申し上げておるのです。しかも、役員の数だけでも、平成元年は特殊法人の役員数は七百五十五、平成五年の役員の数は八百二十名、役員だってふえておるじゃないですか。これのどこが簡素化なんですか。そういったところをチェックすべきだ、このように申し上げておるのであります。  それから、総務庁長官が公務員の人員削減のことで言われました。例えば外務省等、いろいろな国との外交関係が膨れ上がるにつれて人が要る。私も法務大臣をさせてもらいまして、関空の開港に伴って法務省は三百数十人要る。このときに、例えば法務省の中で増減をやらなければならない、外務省の中で増減をやらなければならない、ここに問題があると思うのですね。そうすると、どうしても自分のところの必要な分まで削って一番必要なところにつき込まなければならぬ。  ところが、公務員全体で考えますと、ここ数年間あるいは十年間で一番必要が減ったのは何だ、食糧庁、統計事務所の仕事でありましょう。したがって、食糧庁、地方統計事務所の人数というのは大幅に減っている。この減った分は全部農林省の実績になるから、農林省全体の人減らしが進んでいない。戦後の食糧事情、確保に大変必要な時期、農林省の人数は多かった。地方公務員は農林部も農林水産部も人数が多かった。しかし、この削減というものが、何も農林省だけ言っておるわけじゃありません。トータルで減らしたりふやしたりというのが行われない。省庁別に行われているから、本当に必要なところに人数が行かない、本当に要らないところをドカンと削れない、ここに欠点がある。こういったところも含めて私は考えていくべきだ、このことを私どもは提言としてこの場で申し上げさせていただきたい、このように考えております。  次に、公共料金の問題に入ります。  私ども、羽田内閣のときに公共料金の凍結、これを実施をいたしました。しかし、二カ月余りの内閣でこれを貫けず、きょうNTTの値上げを含めて、これから公共料金の値上げが相次ぐわけであります。この不況下、賃金は上がらない、また逆に価格破壊が進んでいる中、上がるのは公共料金だけだ、こういう国民の不満の声は大きいものがあります。総理は、どうしてこの公共料金凍結、そして公共料金のシステムの見直し、こういったことに思い切ってお取り組みにならなかったのでしょうか。なぜ解除されて値上げを次から次へとお認めになったのでしょうか。お聞かせをいただきます。
  45. 高村正彦

    ○高村国務大臣 今の内閣は、前の内閣がいわゆる年内一括凍結を行った、それについてはそのまま継承をしているわけであります。  年内一括凍結あるいは一括凍結をしたような場合に、一番難しいのは何かというと、凍結期間が切れた後の取り扱いであるわけであります。従前の例を見ますと、凍結期間が切れた後必ず大幅な値上げになっている、こういうことでございます。今度の内閣ではそういうことがあってはならないということで、極力調整して、時期も凍結期間が切れた一月一日にみんな上がるというようなことはもちろんなく、時期も延ばしましたし、幅も圧縮する、そういうことを行ってきたわけであります。  ただ、先生がおっしゃる民間がこれだけ厳しい状況であるのに何だ、そういう声が強くあることは私どもよくわかっているわけでありますから、そういったことに今後ともこたえて、個別案件ごとに厳しく点検してまいりたい、こういうふうに考えております。
  46. 中井洽

    中井委員 公共料金を過去、狂乱物価と言われたような時期に時々凍結をしたりあるいは先延ばしをする、そうするとかえってその後の値上げが大きくなって御迷惑をかける、こういうこともあったのは事実であります。しかし、それはその当時、物価が一〇%以上上がる、賃金も六%も七%も上がる、こういう時期の発想であったと私は思います。今日物価は落ちついておる、上がっているのは公共料金だけであります。賃上げも相当、ほとんどリーズナブルな低い水準だ。こういう中ですから、この際公共料金というものをお互い二、三年凍結をして、そしてシステムを全部見直してしまう、あるいは財源問題も含めて議論をしていく、こういった姿勢が必要であろう、このように思います。  かつて私は逓信委員をしておりましたときに、例えば郵便の値上げ、こう言いますけれども、北海道とか幾つかの赤字のところ、過疎地のところ、ここでどうして即日配達しなければならないのか、こういったところは郵便の配達、一日か二日あってもいいじゃないか、おくれてもいいじゃないか、こういったことを含めてやり方がある。高速道路だって、僕の一つの案でありますが、自動車一台幾ら、バス幾ら、トラック幾らと取って、そしてその払った人だけが高速道路を通る、料金所要らなくなる、道路公団の人件費が大幅に減る、そういったやり方だってあるだろう。幾つもの見直しの仕方がある、このように考えております。  ここら辺で公共料金の中身そのもの、本当にこれが公共料金なのか、これを公共で決めていかなければならないのか、こういったことを見直す。そういったことを含めて私どもは、公共料金のあり方、すべての見直し、こういったことを提言をこの機会にさせていただきたい、そしてこれから論議をさせていただきたい、このように考えております。  時間がありませんので、最後に特殊法人の問題についてお尋ねを申し上げます。  政府はこの二月の十日までに特殊法人の案をお出しになる、各省庁がおまとめになる、こういうふうに聞かせていただいておりました。そして、この地震でいろいろいろいろと話が流れてまいりましたが、総理大臣、この二月十日に各省庁で特殊法人の整理合理化案を出してもらう、このことはもう内閣として間違いありませんか。
  47. 山口鶴男

    山口国務大臣 先ほど御指摘の点がありまして、省庁の中で定員のやりくりをやっているのではないか。そういうことはございません。十四年間の間、農林省、これは御指摘のありました食糧事務所、統計事務所、そればかりではなく、林野庁の職員という方々を含めまして一万一千人も減らしております、十四年間に。そして、その間外務省の方は千三百人ぐらいふやしているわけでございまして、決して省庁の中でやりとりをしているということはない。総務庁におきまして、国家公務員の定員全体をにらみまして、省によりましては大いに削減をする、また省によりましてはある程度の増員を認めるという形で対処していることを御理解をいただきたいと存じます。  なお、特殊法人につきましては、二月十日、各省庁が閣僚のリーダーシップのもとに懸命の努力をいたしまして、その結果を報告をいただくことになっております。
  48. 中井洽

    中井委員 先ほどの私の質問総務庁長官、僕が地方公務員の問題、特殊法人の問題を申し上げたら、公務員のことで延々とお答えになった。また今回も、わかっています。  しかし、各省庁別で一律何%の削減とかいう形でおやりになっているのであって、それじゃ去年の関空の三百数十人の増員は全部法務省外から定数でくれたんですか。そんなことないんですよ。そこでどれぐらい削るかというのが出てきてふやせるんです。各省庁ごとのあれがきちっとあって、その中で、まあまあ少し融通はし合っておるというのが実態であります。  何も責めてない。ここらでこういうやり方を変えて、政府全体で思い切った定数の見直しとかそういったことをおやりになったらどうですかと御提案を申し上げただけでありますから、時間のなさをそういうことで邪魔をしないでいただきたい。このことを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
  49. 佐藤観樹

    佐藤委員長 この際、宮本一三君から関連質疑の申し出があります。中井君の持ち時間の範囲内でこれを許します。宮本一三君。
  50. 宮本一三

    宮本委員 私は新進党の宮本でございますが、兵庫二区の選出でございまして、このたびの地震で大きな被害を受けました淡路島、それから芦屋、西宮、宝塚、伊丹、そして川西、尼崎といったようなところが選挙区に含まれておるわけでございますが、大変な被害でございます。既にこの災害のために五千百名を超えるとうとい命が失われてしまいました。心から哀悼の意を表したいと思います。  また、二週間もたった現在も、三十万近い方が非常に不便な避難生活を余儀なくされているということでございますし、避難所だけではなしに、親戚の家とかあるいは知人宅に身を寄せている人も非常に多い数に上っております。そういった方々も、そしてまた何とか家に住める方たちもみんな、水が出ない等々、大変な苦労をされているわけでございます。最初に、一刻も早くこういった方々が正常な生活に戻れますように、総理初め政府の皆様方にもぜひお願いをしておきたいと思います。  ところで、私は、あの地震のありました十七日に淡路島の北部の被災地をまず最初に訪れまして、それから船で明石市に渡り、そこでやっとタクシーを拾いまして神戸市に向かいました。途中までは行けましたけれども、途中からやはり大変な渋滞と、そしておびただしい被害の真っただ中でございましたから、途中からUターンをしたり、あるいはまた山手の方を回ってみたり、いろいろな努力をして都心部に入るように努力をいたしました。最後、やっと夕方になって神戸市の災害対策本部に着いたわけでございますが、同僚の中野寛成議員がちょうどそこへ既に着いておられましたけれども、その間に私がこの目で見た惨状というものは、もう既に同僚の議員が何回も述べておりますから申しませんけれども、本当に言語に絶する悲惨なものでありました。  私はここで感じたのは、消防やあるいは警察の方が一生懸命で市民と一緒に、一人でも多く埋もれた、まだ生きている方を救おうとしている努力、それを目撃したけれども、残念ながら自衛隊の隊員の姿にお目にかかれませんでした。たまたまそこが、いろいろなコースがありますから、そうだったのかもしれません。しかし、いかにも自衛隊の方が少ないなという感じ、十七日は結局私の目に入らなかったわけでございます。  最初に防衛庁長官にお伺いしたいのですが、初日の十七日に実際に人命救生活動に携わり得た自衛官の数というものが、もしおわかりでしたら教えていただきたいと思います。
  51. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 災害におきまして一刻も早く人命救助に携わりたい、こういう気持ちを持ちまして日ごろから訓練をいたしておるところでございますが、今回の場合におきましては、まず、人命救助に最初に出動いたしましたのは、午前八時前に第三六普通科連隊四十八名が伊丹駅における人命救助活動に出動いたしまして、さらに、八時過ぎに西宮の病院付近における人命救助活動に二百六名出動いたしております。そして、初日におきましては、十七日中には二千三百名が人命救助活動に参加をし、十八日には九千五百名が活動に参加をいたしておるところでございます。
  52. 宮本一三

    宮本委員 今伺いましたけれども、伊丹、西宮の方に十七日、二百五十数名の方が活躍されたという報告でございます。  正直申しまして、私は、十七日は神戸まで入りましたけれども、そして自分の家もあり事務所もある西宮に入ろうといたしました。そして、七時半過ぎごろから、神戸市の市役所を後にいたしまして、東の方向に動き始めたのでございますが、一時間半ぐらいたってから後ろを振り返ってみますと、やはり出発した神戸市庁舎がまだすぐ後ろに見えた。要するに、五百メートルから千メートル動くのに一時間かかってしまいました。これではとてもじゃないけれども西宮まで届かないということで、断念いたしまして、方向転換して西の方にまた退去したわけでございます。十八日は新進党の海部党首が入られましたので、一部行動をともにしたわけでございますが、非常に残念なのは、確かに西宮、伊丹にはそうした救助活動をしていただいたようでございますけれども、神戸の方にはどうも入っていなかったようでございます。  それで、総理、あれでしょうか、現地では本当にもう死ぬ思いで、強力な自衛隊の御支援をお願いしたいとみんな待っておったわけですけれども、総理の方から自衛隊に大号令を発せられましたですか。どんなことをしてでも応援に行け、助けに行けという命令を、総理は、自衛隊の中部方面隊総監だけではございません、全国の自衛隊へ動員命令を発せられましたでしょうか。
  53. 村山富市

    村山内閣総理大臣 この委員会でも申し上げておりますように、私が一番最初に知りましたのは六時過ぎのテレビのニュースで知ったわけであります。それから、直ちに秘書官にどういう現状になっておるのか、正確な情報を直ちに報告せよと言って指示をいたしました。そして、国土庁の方に、直ちに担当大臣が現地に行く必要があるのではないか、同時にまた非常災害対策本部を早急に設置をしたい、その準備をしてほしい、こういうお願いをして、そして指示をして、そして十時にこの非常災害対策本部を設置をしたわけですね。  直ちに建設大臣に運輸大臣、自治大臣等々関係大臣にも現地に行くように指示もいたしました。何よりも大事なことはもう人命救助と消火だ、そこに総力を挙げて取り組んでほしい。やれることはすべてやり尽くすというぐらいの決意で取り組んでほしい。あとのすべての責任は総理が持つ、こういうことを申し上げて各閣僚にお願いをしたところでありまして、私はそれなりの可能な限りの努力はしていただいたというふうに思っておりますけれども、しかしこの時点から振り返ってまいりますと、まだまだ欠ける問題点がたくさんあったのではないかというようなことについては謙虚にやはり反省をして、見直す点は見直すことが大事ではないかというふうに考えておりますから、そういう点についても今総点検をさせてもらっているところであります。  同時に、こうした緊急時に直ちに対応できるような危機管理体制というものもしっかりつくる必要があるというので、これはもうあした何かあったときにどうするんだということに間に合うような体制でなければならぬというので、その点は緊急に対応をできるように今作業を進めておるという状況のことについても御理解を賜りたいというふうに思います。
  54. 宮本一三

    宮本委員 御努力のほどは十分わかるのでございますが、私が質問したのは、自衛隊の隊員の出動ですね。人命救助のために何千人、何万人と出せという、そういう命令を出されましたでしょうかという質問なんです。
  55. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 この場合の対応はやはり中部方面隊が行う、こういうことになっております。例えば、南関東とか東海地震の場合におきましては東部方面隊、こういうことになっておるわけでございます。  そこで、今先生お話してございますが、西宮、芦屋市の方は東の方から神戸市に入ってくる、これは非常に時間が御承知のとおりかかりました。西の方からの、姫路からの第三特科連隊、これが入りましたのが、県の方から要請がありましたのは十時でございますが、十時十五分に出動いたしまして、十三時十分に中央区に到達をいたしております。さらにはまた、中部方面隊におきましては二万七千の要員を抱えておるわけでございますが、これが神戸周辺におりますのは第三師団のみでございまして、あとは第一三師団が広島、第一〇師団が名古屋でございます。  それから、混成団が香川でございますので、それぞれ六時半には非常呼集をいたしまして出動態勢を整えたわけでございますが、これは距離的な面からいいまして、当日到達するというのはなかなか困難である、こういうことでございます。それから、どうしてもやはりこれは中部方面隊だけでは対応し切れない、こういうふうに私も考えたものでありますので、ほかの方面隊からの動員をするように長官名で命令をいたしまして、ほかの方面隊からの動員態勢も整えたところでございます。  以上です。
  56. 宮本一三

    宮本委員 十八日にも、本当に人命救助のために自衛隊の方が動いていただいた数というのは、何とも残念ながら少ないように思います。これは確かに、今九千五百名動員されたというふうに報告がありましたけれども、なかなか到達できないということもわかります。大変な渋滞でしたし、私自身もその場で往生じました。それはわかるのでございますが、ヘリコプターという方法があったのじゃないか。そして私は、その点について疑問を持ったわけでございますが、実は二十六、二十七日と、本院の災害対策特別委員会の方から現地視察に、私も入れていただきまして参りましたときに、伊丹まで飛行機で行きまして、伊丹で自衛隊のヘリコプターをお借りして、そこから神戸の王子公園にあるグラウンドにおりました。この方法でなぜと思ったのですが、そのとき聞いたのは、自衛隊のヘリコプターが伊丹空港を使ったのはこの問題が起こって初めてですという話を伺いました。  もう一つ神戸市に自衛隊のヘリコプターが着いたのもこの災害が起こって初めてです、それまでに自衛隊のヘリコプターが神戸市内におりたことはございませんという話を伺いました。長官うなずいておられますから、それが事実かもしれぬと思います。これがもし、本当に事実だったものですから、大変なことなんですね。それは、ヘリコプター、どこでもいいじゃないかと言われても、それは実際におりるとなると、あんな大きなものですから大変なことでございましょう。それまでに何回も練習もしておかにゃいかない。そういう地方自治体との連携というものが非常によくできていなかったように私は思います。  その点なんですけれども、これは考えてみますと、なぜこんなことになってしまったのか。これは総理、申しわけないのです、私の言葉から言うのはちょっと本当に失礼に当たるかもしれないけれども、このような事態のまま放置せざるを得なかったのは、総理に責任があるように思います。どういうことかといいますと、自衛隊が違憲だ、いいですか、自衛隊が違憲だということで……(発言する者あり) 古い話じゃないです。この間の話じゃないです。  確かに、総理、表現は悪いかもしれませんが、そのような事態になってしまったのは、長年にわたって自衛隊をまま子扱いみたいにしてきた。憲法上認められぬ存在だ、自衛隊はあってはならない存在なんですよということを言い続けてきた。三十年、四十年言い続けてきた。だからこそ、地方自治体にしてもちゅうちょしました。自衛隊の方と一緒に野球をすることも何となく避けてきた、自衛隊との接触を極力避けるようにしてきた原因がそこにあったと私は思います。  総理にお伺いします。去年の五月の話、十二日の本会議で、まだ野党時代の村山委員長が羽田総理に質問された一節、御記憶だと思いますけれども、こう言っておられます。「有事立法は、現在の国際関係からは到底考えられない我が国に対する急迫不正の侵略があった場合を無理に想定して、自衛隊出動などのために国民の権利を大幅に制限することが必要であると主張し、そのための法制をあらかじめ準備しようとするものと思われます。」と、有事法制について、そういうことを言っておられます。  現在、この発言に関しまして、総理として、あれで正しいんだと思っておられますか、つまらぬことを言っちゃったなと思っておられますか、お答え願いたいと思います。
  57. 村山富市

    村山内閣総理大臣 有事立法というものが国会で議論される段階というのは、例えば、これは表現が適切かどうかわかりませんけれども、日本の防衛計画というのは、あるときは中国を仮想敵国と想定をしていろんな作戦がとられた、あるいはまた防衛計画がつくられた、あるいはまたソ連を仮想敵国と前提して、そしてソ連が攻めてきた場合にどうするかというようなことを想定して有事立法というものが議論された、私はこういう状況にあったと思うのですよ。しかし、今はもうそんなことは全然考えられないわけです。  同時に、日本の自衛隊というのは、もう憲法の規定に明らかなように、あくまでも専守防衛であって、自衛隊が武装して海外に出ていくというようなことは絶対想定されない、してはならない、こういう前提に立っておるわけでありますから、そういう意味における有事立法というものは必要はないんではないかということは、私は今もそう思っております。  それから、先ほど来質問がありますように、例えば自衛隊の出動がおくれたのは社会党に責任があるんではないかというような言い方をされますけれども、それは、例えば北海道の知事は、社会党の代議士であった知事がおるわけですよ。しかし、これはもう即時即応に自衛隊の出動を要請して、自衛隊が派遣されていますよ。  同時に、社会党は今まで、自衛隊の任務としては、例えば治山治水とか国土の保全とか災害の救援とかいうようなことに積極的な役割をむしろ果たすべきではないか、したがって、常時、地方自治体と防災計画を立てたり、あるいは防災訓練をする場合には、警察官やら消防署やらあるいは自衛隊やら等々が参加して常に協同してやれるような体制というものをつくっていくことも必要ではないかというようなことも申し上げてきたのであって、私は、こういう緊急時の災害に自衛隊が出ることに対して反対した、そんなことはいまだかつて一度もありませんから、そのことは明確に申し上げておきたいと思います。
  58. 宮本一三

    宮本委員 私は、社会党がという表現を使っておりませんので、総理の責任ではないかと、要するに村山個人の責任ではないかというふうに言ったつもりでございますので、ちょっと後で議事録を調べてもらえばいいかと思います。  それと、時間もございませんので次の問題に移りたいと思いますけれども、当面の支援措置についていろいろ聞きたいと思っておったのですが、ちょっと時間がございませんので一つ二つだけ絞ります。  瓦れきの処理について、国・地方で要するに一〇〇%面倒を見てあげます、これは非常にありがたいことでございます。ただ、どうなんですかね、ちょっと技術的になりますけれども、順番待っていたんじゃなかなか回りが回ってこないし、急がにゃいかぬという方の場合に、個人的に知り合いの業者に頼んで、あらかじめ市にでも届けておけば後で清算してくれるのか。また、実際、えらい高いこと言う業者もあれば安い業者もありますから、そこいらは一定の平米当たりの単価、基準みたいなものがあるのか、ちょっとそれをお教え願えればありがたいと思います。
  59. 小里貞利

    ○小里国務大臣 二つに分類して申し上げますが、一つは、十七日震災発生後、そのような個人の立場におきまして既に解体等なさった方々の分、昨日来議論されておりますが、これは市の方と十分相談いたしまして、また厚生省などの協力もいただきまして、市の計画に基づきまして廃棄物として処理された分は対象になる、そのような見解でございます。  さらに、ただいま先生がお話しになったのは、これから個人が業者と契約をして個人で解体し搬送した場合どうか、こういうようなお話でございますが、これはあくまで布ないし県が事業主体になりまして、言うなれば公費負担で行うわけでございますから、その原則の範囲で御協力を願いたい、こういう方針でございますが、しかしながら、具体的には、申し上げましたように現地の市または県がこの仕事を推進なさるわけでございますから、十分その辺の対応方については研究、御検討をいただいておるもの、さように解しております。
  60. 宮本一三

    宮本委員 ありがとうございました。  それからもう一つ、税制について大蔵大臣にお伺いしたいと思いますが、確かに災害が発生したのは一月に入ってからでございますけれども、六年分の確定申告、今からでございます。そんなことでございますので、何とか雑損控除等、その分を、六年の所得申告の際に六年分として繰り上げて控除していただきたい。もしそれができますと、サラリーマンなんかは大変な数の方が、源泉還付等この時期受けられれば本当に助かるわけでございますので、ぜひお願いしたいというふうに思います。
  61. 武村正義

    ○武村国務大臣 基本的にはその方向で今事務的な詰めをいたしております。
  62. 宮本一三

    宮本委員 ありがとうございました。  それから、ちょっと時間が迫ってまいりましたが、災害の阪神地区の空洞化の心配について、私の方でちょっと述べさしてもらいたいと思います。  もともと、関西の地盤沈下ということを何とか食いとめようということで、皆さん方の御協力を得て関西新空港とかいろんなプロジェクトが大きく進んでまいったわけでございますが、ここへ来まして本当に大災害が発生し、既に災害が発生する前にも、例えば神戸の百貨店、西武が引き揚げておりましたし、またこの災害のために阪急百貨店も閉鎖するというようなことになっております。  また、地場産業も大変な打撃を受けまして、ケミカルシューズ、これが四百五十から五百社ございますけれども、八割から九割までが全半壊しております。また、ゴム製品も三十社ほどございますが、三割が全半壊。酒の、酒蔵でございますが、五十社ほどあるわけですが、六割が全半壊しております。さらに、クリスマス用品などの会社十社もやはり三割方。  淡路島では、線香、これが百三十から百四十社ございますけれども、三割ぐらいが全壊してしまいまして、その他も一部破損。また、粘土がわらの産地でございますが、二百社ぐらいございますけれども、これも半壊。それから一部損壊、三割から四割になっております。  こういった被害状況を見ておりますと、このままでは本当に大きな穴があいてしまいます。そういう意味で、通産大臣にぜひお願いしたいのでございますが、この阪神地区のもし仮に空洞化というふうなことになってまいりますと、心配される全国の空洞化の問題に拍車がかかってしまうおそれがある。そういうことがありまして、何としてもこれを入り口でとめていただきたい。そのために、ひとつ通産大臣の御決意のほどをお伺いしたいと思います。
  63. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 先ほど来委員から、状況を御自身の目で、また足で把握された上での御意見を拝聴いたしておりまして、今、その空洞化に関連する部分につきまして、先日来お答えを申し上げておりますような考え方を一層強くいたしております。  御承知のように、阪神経済圏と一言に申しますが、殊に神戸地域中心とした企業の集積度は極めて高いものがあります。そしてその中には、大企業と言われる企業でありますが、神戸中心とした今回の被災地域に工場等が集約されておる企業もありまして、従来型の災害でありますならば、中小企業についてのみ考慮を払えば、ある程度自力で大手は立つだろうということが言えました。  今回は、その大手企業そのものも我々としては視野に入れた対策を考えなければなりません。なぜならば、その下につながる系列、下請の中小零細企業の運命がここにかかっているからであります。また、中小零細企業の場合に、今、商と工とを分けて考えなければならないと、対策について昨日も私はここで御答弁を申し上げました。  そして、今委員が言われますような地域の空洞化を避けますためにも、県営の例えは工業団地等への仮工場の建設、そしてその入居についての便宜を図るといったことをも含めながら、企業がその被災地中心とした一円の中で復興してくれることを、私も心から願いながら全力を尽くします。
  64. 宮本一三

    宮本委員 ありがとうございました。  時間が参りましたので、私の質問をこれで終わらせていただきます。
  65. 佐藤観樹

    佐藤委員長 この際、平田米男君から関連質疑の申し出があります。中井君の持ち時間の範囲内でこれを許します。平田米男君。
  66. 平田米男

    平田委員 新進党の平田米男でございます。  今回、阪神の大震災で多大な被害をこうむったわけでございますが、その中で、阪神高速の工事、また山陽新幹線の工事に欠陥があるのではないか、こういう指摘が今されているわけでございますが、まず冒頭にお伺いをいたしたいのは、山陽新幹線あるいは阪神高速道路の工事の入札は、一般競争入札で行われたのか指名競争入札で行われたのか、あるいは随意契約で行われたのか、その辺、まず明らかにしていただけますでしょうか。
  67. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 山陽新幹線の建設、当該部分、昭和四十二年から四十七年でございますが、当時の記録は残っておりませんけれども、指名競争入札によってなされたものと思われます。
  68. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 お答えをいたします。  阪神高速道路は、御案内のように昭和四十一年から四十五年にかけてやっております。落橋したところは四十二年から四十三年にかけてやっております。当時は一般競争入札という制度はありませんでしたので、私は指名競争入札で実施したものと考えております。  詳細は事務当局から答弁させましょうか。いいですか。(平田委員「結構です」と呼ぶ) はい。指名競争入札です。
  69. 平田米男

    平田委員 今回の震災で、阪神高速道路工事、また山陽新幹線について、どうも手抜きじゃないのかと。新聞報道をもう既に各閣僚御存じかと思いますが、総理も見ておいでになるかと思いますが、ちなみに山陽新幹線では帯筋が見当たらない。縦の鉄筋を巻く帯筋、これが見当たらない支柱が幾つもあった。また、中には木片が入っていた。入っていてはならない木が入っていたそうですね。木片が入っていた。  また、阪神高速道路の方は、二十五キロ間で百本の橋脚が損傷をしている。そこの中では、普通考えられないようなことが行われてきている。縦の鉄筋が途中で溶接されているわけですが、その溶接の位置を、全部の鉄筋一緒にしますと非常に弱いので、少なくとも前後一メーターずつ変えなければいけないということになっているにもかかわらず、それがもう横一列になっていた。こういう事実が、今回の大震災によって崩壊をし、それが明らかになったわけでございますが、こうした実態、欠陥があるかないかにつきまして、要するに手抜き工事かどうかということでございますが、調査をするお考えがございますでしょうか。
  70. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 委員御指摘の点でありますが、八本の支柱のうち十カ所から木片が発見をされたということは事実でございます。ただ、帯筋については現在まだ未確認でございますが、きょうから三日間、耐震構造検討委員会のメンバー、またJRの技術陣が現場を徹底的に検討をとりあえずいたしまして、これの建設時における問題がなかったかどうかということについて検討をいたす予定にいたしております。
  71. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 お答えいたします。  当時の地震は、お話があったように震度七という大地震でございます。過去の手抜き工事その他の問題については、その被害状況を徹底的に今調査をしております。私も十七日、十八日、二十八日、二十九日と参りまして、阪神高速の橋脚を全部見て回りましたけれども、確かにおっしゃるように下の方には、裸になっていますね、出ています。したがって、徹底的な究明をしなければならぬというふうに考えております。  当時の状況をよく聞いてみますと、工事の施工や品質管理については、鉄筋の強度試験等をやって、現場監督等が立ち会い検査をしたということはありますけれども、現実に、おっしゃるように落ちておるわけですから、落橋しておるわけですから、地震工学の学界の先生、それから橋梁学界の先生方と対策委員会を設置しまして、一月の二十四日に第一回の原因究明を行っております。次が二月の十日に両者に集まっていただきまして、この原因を徹底究明をしていかなければ、国民の生活の安定を期すことができない、こういうふうに考えておりますので、御指摘のありますように、徹底究明をして原因を明らかにしてまいりたいと考えております。
  72. 平田米男

    平田委員 建設も運輸も両省ともに、徹底的に手抜き工事の存否について調査をされるというお話でございますが、その調査の結果、手抜き工事があったということが認められた場合に、責任というのはだれがどのような形で負うんでしょうか。
  73. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 これは、徹底した調査を待って手抜きがあったかどうかということを判断をしなければならないと思いますけれども、もし明らかな手抜き工事があったということになりますと、これは重大なことでございますから、それはその工事を受けた業者、またその管理等をやった関係者に責任が生ずることは当然だと思います。それが四十二年から四十七年のことでございますから、法的にどういう手段が講じられるかということはまた状況によって変わってくると思いますけれども、当面そういう事実があったかないかということをきっちりと明確にする必要がある、それに基づいて適切な措置をとりたいと思っております。
  74. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 今運輸大臣がお答えをいたしましたとおりだと思いますが、先生も弁護士ですから法律には詳しいと思うのですが、昭和四十一年ごろの工事でございまして、竣工検査も行ってから三十年以上だつ、こういう現状でございますので、まず我々は、その落橋した原因を徹底的に究明する、これが第一義的だと考えております。しかし、落橋して人命にも影響があったわけですし、これらの問題については道義的責任はあるだろう、こういうふうに思います。  そういう意味で、これらの問題については、今手抜き工事の仮説の問題でございますから明確に答えることはできませんが、その対応については、原因究明の上、建設省としては十分に対応してまいりたい、こういうふうに考えております。
  75. 平田米男

    平田委員 手抜き工事があったときに、やはり損害賠償等はおっしゃるとおり期間の問題があるかとは思いますが、しかし、行政が対応する責任の相手に対する請求の仕方というのはそれだけに限らないわけでございまして、やはりその辺は、運輸大臣は割と明確におっしゃったように聞きましたが、これは建設省もきちっとやっていただきたい、このように要望しておきます。  それで、今回、阪神の復興のためにこれから多くの工事が一斉に行われるということが十分予測されるわけでございますけれども、このようなときに心配されますのは、一気に工事をやるのでまた手抜き工事が行われるのではないかという心配、これが一つございます。  それから、一気に工事がふえれば人手不足あるいは資材の不足、時間が足りない、こういうようなことでいろいろな問題が生じてくるのではないか、これが当然予測されているわけでございますが、特に心配されておりますのは、資材費や人件費の高騰も心配をいたしております。これに対して的確な対応をしておかないと、また施策が後手後手に回っている、こういうことになってしまうのではないかと思いますが、これらの問題に対する対応はどのようになっておりますでしょうか。
  76. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 お答えいたします。  資材問題等については通産大臣からお話があろうと思います。  今お話がありましたように、復旧に必要な建設の労働力、資材、こういうものを確保して、資材価格の安定化に寄与することを目的として建設省では所要の対策を講じております。  内容について申し上げますと、建設業団体及び関連業団体等に対して、震災の翌日、私は企業界を集めましてお願いを申し上げました。指示をいたしました。人命の救出と応急復旧のための労働力の確保、資材の調達、建設機械の調達等の協力を要請するとともに、建設資材の買い占め等の防止をお願いを申し上げました。したがって、建設労働力や資材の確保については、関係省庁間で密接な情報交換を行っております。  例えば、近畿地方建設局に建設資材に関する窓口を設置しております。これには建設、企画、通産、農水、運輸、こういう方々の省庁の代表も出ていただいております。苦情の処理の受け付けも私のところの窓口で実施をしております。  また、災害が非常に大きかったものでありますから、建設労働力の需給及び建設資材の需給、価格動向に関する調査全国ベースでこれまで月一回やっておりましたが、今は月二回実施をいたしております。最近上がったものについては、ビニールシートが若干上がっておるというような報告を今受けておるところでございまして、おっしゃるように、状況の把握に努めて、事態の推移に応じた所要の対策を講じて万全を期してまいりたい、このように考えております。
  77. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 通産省といたしましては、一月二十日までに、復興資材の迅速かつ円滑な供給の確保を図る観点から、通産省の災害対策本部として約百五十の関係団体に対し、関連物資の生産及び出荷に関する特段の配慮を要請をいたしました。現時点における状況で、主要な資材において需給の問題はないというふうに我々としては考えております。また、価格のモニタリングにつきましても、鋭意努力をしてまいります。  例えばセメントの場合は、被災地内に工場が存在をいたしませんので、十分に、供給体制にも問題はございません。ただ、サービスステーションが七カ所、被災をして休業いたしておりますけれども、周辺のサービスステーションから供給可能な状況にございます。  あるいは生コンクリートにつきましては、被災地を供給対象区域としております四十八工場のうち三十五工場が操業可能でありまして、輸送路が確保できれば供給体制に問題はないと考えております。  また骨材につきましても、県内の山元に大きな被害はないようであります。また、周辺地域からの流入の割合も高いものでありますから、やはりこれも輸送の問題が非常に大きな問題点でありますけれども、これが確保されれば、当面供給に支障は生じないと思われます。  コンクリートの二次製品につきましても、例年並みの供給量は確保可能でありますし、アスファルト合材、また神戸製鋼、川崎製鉄等、生産施設被災休業いたしておる状況にあります鋼材におきましても、全国的に見ますと例年並みの生産量は確保可能でありますし、また、例年並みの在庫量がございます。量としての問題はございません。  いずれも、今後我々として非常に心配をいたしておりますのは、輸送路の確保と供給の路線を確保することであります。
  78. 平田米男

    平田委員 例年並みの資材が確保できそうだという御指摘でございますが、私は例年並みではいかぬのではないかということを心配をしておりますので質問をさせていただいたわけでございまして、答弁は、まさにちょっとのんきなのではないかなという感じがいたします。  神戸製鋼所の神戸製鉄所、これは被害を受けまして、最初の新聞報道では復旧に一カ月、こういう報道でございましたが、しかし、その後調べてみましたらば、どのくらい全面復旧にかかるのかよくわからないようでございますが、少なくとも数カ月はかかる、こういうお話を伺ってまいりました。そういたしますと、神戸製鋼の神戸製鉄所の生産は数カ月間ストップする、こういうことが前提になって、それでなおかつ需要がふえる、これが考えられるわけでございますので、他の関係生産所に対して的確な指示あるいは要請というものも出す必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  79. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 委員の先ほどの御質問復興のための建設資材ということからの御指摘でありましたので、今御答弁を申し上げた次第であります。神戸製鋼所の被害あるいは川崎製鉄の被害ということで申し上げますならば、全く別途のお答えを申し上げなければなりません。  委員御指摘のように、両社ともに本社家屋倒壊、そして殊に大きく神戸製鋼所の神戸工場、これは非常に復旧に困難を感じる状況であります。また、別の工場、加古川でありましたか、これも岸壁のクレーンの倒壊等で非常に作業に困難を感じております。そして、これらの工場における生産品は各分野の産業界に影響を既に与え始めておりますし、今後その復旧がおくれれば一層国内だけではなく海外の生産にも影響を及ぼす重要なものでございます。  ですから、こうした視点からのお話でありますならば、そういうお答えを申し上げました。ただ、復興建設の資材ということでありましたので、これは在庫量等から考えまして、輸送路が確保できるならば十分に供給できる体制にあるというお答えを申し上げた次第であります。
  80. 平田米男

    平田委員 例年というのはこういう震災がない状態で行われてきたわけですから、先ほどの大臣の御説明は、例年のストックも生産量も確保できる、こういう御答弁でございました。  それでこの震災復興に対する対応も十分だというお考えだとするなら、私は心もとないなと思うわけでございますが、総理、当初は食料等の問題、それから今はもう仮設住宅等の問題、目の前の問題はもうわかっているわけでございますが、次なるものは復興事業をどうやっていくのか、そのための人、物の手当てをどうしていくのか、また資金の手当てをどうしていくのかということが、次のこれは一番大きな課題になってくるのではないかというふうに思うわけでございます。政治というものは先々を読んで次なる課題に事前に十分なる手を打っていくというのが必要であるということは総理も十分お考えかと思いますが、次なる課題をどのように御認識され、どのような手を現在打っておいでになるのか、御答弁いただけますでしょうか。
  81. 村山富市

    村山内閣総理大臣 当面は、避難生活を余儀なくされております方々やら家が倒壊されている方々やらあるいは瓦れきの整理やら、そういうことが緊急の当面の課題だと思いますね。  しかし、それと並行して、今委員から指摘がございましたように、復旧復興というものがこれから大きな課題になる。その復旧復興に必要な物、人等々のものが潤沢に調達されるような手だてをどう講じていくか。あるいはまた需給関係のバランスが崩れてまいりますから、したがって、言葉は悪いかもしれませんけれども、便乗値上げが行われたり、そういうような事態も心配される。  こういうことも十分踏まえた上で業者の協力も求める必要があるし、同時に指導監督も徹底して少なくとも疑惑が持たれるようなことのないようにきちっとやはり手を打っておく必要があるし、同時に、そのためにまた一般の方々に対する情報の公開といったようなものも徹底をさせて、そして全体として今御心配になられるような、御指摘になった点がないように万全の対応というものを考えておく必要があるというので、今鋭意そうした問題についても、関係大臣から御答弁がございましたように検討をさせていただいているところであります。
  82. 平田米男

    平田委員 震災関係ばかり伺っていますと時間がなくなってきましたので、実は私はきょうは行政改革の関係で入札問題、これをお伺いをしたいと思っておりまして、それで冒頭、今回の工事が、欠陥が云々されている工事がどのような入札制度によって行われたのかをお伺いしたわけでございます。  一昨年来ゼネコン疑惑の問題がありまして、入札制度の改善はそれなりに努力をしてきていただいているわけでございますけれども、一般競争入札を拡大するのが政府のこれまでの各内閣の方針でございました。そのもとで、一応履行ボンド制度というのが建設省の御努力によりまして近々実現を見るわけでございますけれども、さらに一般競争入札を拡大をしようとした場合には、入札ボンド制度までいかないと適切な対応ができないのではないかという議論がございます。  そういうことを前提にいたしましてお伺いをいたしますが、履行ボンドを導入した場合に、ボンド会社、今は損保会社を中心に考えておいでになるわけでございますが、工事に手抜き工事があった場合はどのような責任を負うということになるのでしょうか。
  83. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 お答えいたします。  まず一つには、今後一般競争入札方式を拡大していくつもりかという点についてはそのつもりでありますが、一般競争入札方式というのはことしから取り入れたわけでありまして、建設省所管のものは七億三千万以上、それから関連のものは二十四億三千万以上というものを……(平田委員「時間がありませんので、質問にだけ答えてください」と呼ぶ)わかりました。そういうことで、一つの基準で、まだ始まったばかりでありますから、当面様子を見る。  それから、そのための履行ボンドか入札ボンドかという問題でございますが、入札の際には競争入札、指名競争入札する場合も十分に検討をしてまいる。したがって、とりあえずは中央建設業審議会が提言をしておられますように、完成保証人というものをつけるというと談合になる可能性もあるだろう、そういう危険もあるので、したがって、履行ボンドについて、とりあえず中央審議会の援言を受けて検討し、その後に入札ボンドについては検討したい、こういうふうに考えております。
  84. 平田米男

    平田委員 私は、履行ボンドを導入した場合に、ボンド会社は手抜き工事があった場合どういう責任を負うのかを聞いているのであって、全然お答えにならないで、ほかのことを長々とお答えになるというのはどういうことですか。
  85. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 それでは、長々と御質問があったのでその中で摘出をしたわけでありますが、言うなれば履行ボンドをやった場合は損害補償をする、いわゆる損保がそれを保証するわけでありますから、損保に責任が出てきます。したがって、それが完成できないということになれば、その履行ボンドを請け負った会社が優良な工事会社でその裏づけをしていくということで、責任はボンドを契約をした損害保険会社にあるということになろうと思います。
  86. 平田米男

    平田委員 何かよくわかっておられないんじゃないかなという感じがいたしますが、要するに、手抜き工事があった場合はボンド会社がちゃんと責任を負うというわけでしょう。だから私は冒頭に、今回の大震災の工事の場合にだれが責任を負うのか、これをお伺いしたわけでございます。これは、よく問題意識をわかっておいでにならない。  政府委員で答えられないのですか。政府委員で答えてください。
  87. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 とにかく損害があったらどうするか、手抜き工事があったらどうするか、そのために履行ボンドをやるわけですから、その契約をしたボンド会社が責任を持つ。したがって、事務的な内容でございますので、担当局長から説明をさせます。
  88. 平田米男

    平田委員 結構です。  履行ボンドの問題、もう時間がありませんので簡単にあとお伺いしておきますが、履行ボンドを発行する者は、入札の際に既にその企業が落札をすれば履行ボンドを発行するかどうかを判断をしている、こういうふうに考えるわけでございますが、といたしますと、履行ボンドは入札ボンドを前提にしているのではないか。そういうことになると思います。  そういたしますと、履行ボンドを導入しながら、実質上入札の際にもう既にボンドを出すかどうかを決めているにもかかわらず、入札ボンドを導入しない理由は何なのか、その理由をぜひ明らかにしていただきたいと思いますし、また、今後検討するというふうな報告等が出ておりますが、今後検討するとするならば、どういう機関で検討していかれる考えなのか、この二点お答えをいただきますように。
  89. 小野邦久

    ○小野政府委員 お答えを申し上げます。  先生御指摘のとおり、履行ボンドにつきましては、十二月末の委員会等の結論で、導入の方向ということを定めているわけでございます。  したがいまして、履行ボンドが導入された場合に、どのような契約関係あるいは責任の範囲が今後出てくるかというのは、実を申し上げますと、ボンド自体これからの課題ということもございまして、保証内容とか審査体制、保証料等につきましては、今後損害保険会社など関係機関が十分検討を進めた上で商品化をし、発注者がそれを利用していく、こういう形になるわけでございます。  したがいまして、まだ不確定な要素があると思いますが、御指摘の点について一言申し上げますと、瑕疵担保特約契約がボンドに付された場合には、工事完成後一定期間内に瑕疵が発見されれば、当然ボンド会社もあるいは請負人も連帯をして責任を負うことになるのではないかと思います。  それから、後段の御指摘でございますが、なぜ入札ボンドを実施しないのか、こういう点でございますが、アメリカの入札ボンド制度は、入札に際して、あらかじめ入札をしようとする者が必ずボンドを保険会社から得て、これは義務づけられているわけでございますが、それをあらかじめ提出することによって入札に入れる、逆にボンドを出さないと入札に入れないという関係にございます。  それによって入札をした後、具体的な履行ボンドあるいはパフォーマンスボンドといったような一連のボンドの提出が義務づけられるというわけでございますが、我が国の入札・契約制度につきましては、はっきり申し上げますと、あらかじめどういう方を入札に入っていただくか、指名競争でございますと、きちっとした資格審査あるいは指名基準によって相手方の企業を選ぶ、あるいは一般競争でございますと、あらかじめ資格要件を公告をして該当する者に全員来ていただく、こういうことになるわけでございまして、その点につきまして、あるいは具体的なアメリカのボンドのような、実際にその工事を受注した後、実際にファイナンスあるいは資金調達能力があるかどうかという点につきましては、日本の場合には前払い制度というものがございますので、必ずしもアメリカの入札ボンドが直ちに日本の契約関係に適用されるわけではございませんので、そういう点は今後中長期的に検討していこう、こういうことになっておるわけでございます。  したがいまして、なぜ入札ボンド制度が日本で実施できないのかということになりますと、一言でお答えを申し上げると、大変契約の関係が違う。アメリカの入札ボンドは長い歴史の中でそれなりの制度として出てきたものでございまして、我が国におきましては指名競争を、長い間これで運用上の基本ということでやってまいりましたので、その基礎と申しますか、環境が大変違う、今後の課題として検討していこう、こういうふうに思っているところでございます。
  90. 平田米男

    平田委員 今、行政改革というのは大変大きなテーマだ。行政改革はどうも特殊法人の統廃合だけが焦点になっているような雰囲気がございます、総理。しかし、ゼネコン疑惑のときに、もう一年半前ですから、のど元過ぎれば熱さを忘れているのかもしれませんが、一年半前にゼネコン疑惑が起きたときに言われたのは、要するに日本の公共事業は高過ぎるのではないか、どうも入札が悪いのではないか、談合が行われているのは入札が問題なんだ。この辺をきちっとやれば、諸外国の工事費よりも日本は三割から四割、場合によれば五割も高い、こういう問題についてきちっと解決ができるのではないか、こういう問題意識があったわけでございます。  今、これは我々は忘れてはならないことだと思うわけです。これから阪神の復興にも八兆円あるいは十兆円というお金がかかるかもしれない。それがほとんど公共事業で行われる。そういうときにいかに経費を節減していくか、これは我々にとっては大変急務な話でございます。そういうときに入札制度をきちっとやっていくということが、しかも国民が納得できるようなもの、透明性、競争性、対等性というものをきちっと守っていけるような入札制度を我々が確立していけるかどうかということが国民の支持を得た復興事業が行われるかどうかということに大きくかかわり合っているわけでございまして、今、建設大臣はほとんどボンド制度のことを御存じなかった。  私は、そういう点でもっと、特殊法人の統廃合だけではなくてあらゆる問題に対して、しかも四十兆を超えるような公共事業をやっておるわけですから、それに対するきちっとした対応村山内閣にあってもしかるべきだ、このように思うわけでございますが、最後、一言どうですか。
  91. 村山富市

    村山内閣総理大臣 何も特殊法人だけの整理をやって、あとは何もしていないようを言い方をされては困るので、これは公共事業というのはやはり税金が使われるわけですから、ですから厳正にしなければならぬことは当然のことですよ。  したがって、建設省やら運輸省やら関係省庁では、一般競争入札の導入も含めて入札やら契約のあり方はこれでいいのかということの総点検もやっていますし、それからまた技術面やら資材面等についても、できるだけ削減をして経費が合理的に使われるように、国民から疑惑を持たれないような、そういう方策を考えていくということで真剣な検討をして取り組みをされていると私は確信いたしております。
  92. 平田米男

    平田委員 終わります。ありがとうございました。
  93. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて中井君、宮本君、平田君の質疑は終了いたしました。  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時六分休憩      ――――◇―――――     午後一時一分開議
  94. 佐藤観樹

    佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。伊藤英成君。
  95. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 新進党の伊藤英成でございます。  まず、質問に入ります前に、一月の十七日の早朝に発生をいたしました阪神大震災によってお亡くなりになりました五千百名以上の方々の御冥福をお祈りをするとともに、被災をされ、今もなお大変厳しい状況の中で生活を営んでおられる多くの皆様に心からお見舞いを申し上げたいと思います。  また、テレビ等でいろいろ拝見をいたしましても、みんながお互いに助け合っている、被災者皆さん方ですね、本当に涙の出る思いでありますし、そしてまた、昼夜を分かたず懸命に救援活動や復旧作業に取り組んでおられる、これはボランティアの皆さん方も含めてそうした多くの方々に、心から感謝と敬意の気持ちをあらわしたいと思います。  この阪神の大震災は、本当にかつてない甚大な被害をもたらしたものであります。しかしながら、この困難な状況を克服していくために私たちみんなが全力を傾注をして取り組んでいかなければならぬ、こういうふうに私も思うわけであります。  その復旧復興に当たりましてまず第一に問題とされるのは、建造物や道路等々の被災による瓦れきの処理の問題であります。しかし、これにつきましては、政府においても現在の厳しい状況を踏まえて、早速これらの大量の瓦れきについても、従来の補助の対象となっていない個人住宅の解体等についても対象とすることにしたり、また自衛隊も市町に協力する体制をとって全面的に支援をされるということになっているわけでありますけれども、ぜひともその線に沿って、できる限り迅速に解決のために頑張っていただきたい、こういうふうに思います。  今回、この地震震度七という未曾有の揺れを記録したわけでありますけれども、実は、十七日の朝も私もテレビを見ていまして本当にびっくりしたわけですね。何といったってビルなんかの倒壊もありましたし、阪神高速道路が倒壊している姿を見まして本当にびっくりいたしました。  昨年の今ごろは、私は建設政務次官をやっておりまして、特にロサンゼルスの地震調査報告等も当時間いたりした経緯もありまして、したがいまして、十七日にすぐ私は建設省に電話をして、一体これはどういうことかということを聞いたりしたわけでありますけれども、日本の土木技術や建築技術、世界最先端だというふうに聞いてもおりましたし、そういう意味でも非常に驚いたわけであります。  そんな意味でまず質問をしたいと思うのですが、改めてお伺いするわけでありますが、我が国の橋梁ですね、その設計について、そもそもどの程度の規模の地震を想定をされているのか、改めてお伺いします。
  96. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 お答えいたします。  先生御指摘のように、我が国の道路橋、従来から関東大震災あるいは新潟地震、こういう地震状況対応できるような設計をしてまいりました。  具体的に申し上げますと、地震力をいろいろと、関東大震災クラスのまれに起こる大きな地震に対しても落橋が生じないことを目標に整備を行ってまいりました。さらに、既設の橋梁につきましても、昭和四十六年度以降、震災点検を実施をし、橋脚からけたが外れて落橋することがないようにけたとけたとを連結するなどの落橋防止装置の設置や、橋脚の耐震性の向上対策として橋脚に鋼板を巻きづけるなどの耐震対策を推進してまいったところでございます。  以上です。
  97. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 先ほど申し上げましたけれども、去年、ロサンゼルスのノースリッジ地震がありました。そこに調査団も派遣をしました。あのときに日本の橋梁の設計基準を見直すべきじゃなかったかという意見もあると思うんですね。いかがですか。
  98. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 お答えいたしますが、ロサンゼルスのノースリッジの地震、これ、日本の調査団も御承知のように参りました。大きな加速度が観測された地点もありましたが、大きな被害があった橋はすべて一九七一年以前の米国の耐震設計基準に基づいたものでございまして、先生も御存じのとおり、現在の我が国の設計基準に定める地震力の約四〇%程度、これしか考慮されないものであったというふうな報告が参っております。したがいまして、日本の耐震設計基準と同程度の新しいアメリカの耐震設計基準で建設された橋梁については大きな被害はなかった、こういうふうに日本に帰って御報告がございました。  このようなことから、その時点では直ちに我が国の橋梁の耐震設計に反映させる必要のある点は認められないというふうに判断をしたというふうに承知をいたしております。
  99. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 まあ大丈夫だと思っていた日本の橋梁もああいう形で落橋等したわけであります。きょう午前中の本委員会での議論にしましても、橋梁や橋脚の手抜き工事ではないかというような話も出たりしているわけですね。  そういう意味で、今回のこの地震による災害を踏まえて、今いろいろ取り組んでいらっしゃるわけでありますが、早急に原因を十分に究明をし、そして耐震基準の見直しを進める必要があると思うわけでありますけれども、その辺について、橋梁設計の考え方並びに今後のスケジュール、先ほど二月十日まで云々という話もちょっとあったりいたしましたけれども、一体その光といいましょうか、どういうふうにこれから取り組んでいくのか。その辺のスケジュールも含めて御説明をいただきたいと思います。
  100. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 お話がありましたように、午前中にも答弁いたしましたけれども、徹底的に被害状況調査する。その原因について、一体何が原因であったのか、こういう点については、地震工学の先生方あるいは橋梁工学の先生方の共同の対策委員会を設置しております。  したがいまして、一月の二十四日に第一回目の会合、二月の十日に第二回目の会合、ここで徹底的にやはり追求をして、原因を明らかにして、どんな地震にも耐え得るというふうな設計を考えていかなければならぬ。基準についても、先生方の御意見を十分に聴取をして対応してまいりたい、そのように考えております。
  101. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 それでは、例えば阪神高速道路はいつぐらいに完成する予定で進めておりますか。
  102. 藤川寛之

    ○藤川政府委員 御指摘のとおり、御指摘がございました阪神高速道路の神戸線、これは大変な被災状況でございます。しかも、この道路が果たしている役割というのは大変重要でございますので、私どもとしては、一日も早くこれは復旧しなきゃいけないというふうに考えております。  耐震設計のあり方についても今議論していただいておりますが、これにつきましてもできるだけ短期間で結論を出していただいて、そういうものも反映させながら、できるだけ短期間に復旧するということで今後とも取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  103. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 全力で頑張ってください。  次に、これからの復旧復興、それの進め方についてお伺いをしたいわけでありますが、何といってもまず重要な話は、どういう町をつくっていくか、どういう都市をつくっていくかというグランドデザイン、それをつくっていくこと。そして、そのときに、いわゆる災害に強い都市づくりということをどうしても進めていかなきゃならないわけであります。  今回の状況を見ていましても、非常に大きな被害を受けた地域というのは古い木造住宅が密集した地域ということでありますね。それからまた、それが市街地の整理が行われている地域と比べますと非常に大きな差があるわけですよ。そういう意味で、この貴重な教訓を最大限に生かして、公共施設の整備とともに面的な広がりを持つ市街地そのものの整備を進めていく。そうして災害に強い都市づくりということを進めていかなきゃならないわけでありますが、そこで、今回の地震に際して、阪神間の諸都市を、日本全国はもとより、世界にも誇れるような防災モデル都市をつくるべきである、こういうことを提案したいのですが、その辺についての考え方、いかがですか。どういうふうに取り組んでいかれようとしておりますか。
  104. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 先生が御指摘のように、都市というのは、三つの条件といいますか、利便性なりあるいは安全性なり快適性という三つの条件を置いておるわけでございますが、そういう中で、御指摘がありましたように、区画整理のやられたところと密集地帯とは被害状況が違うんじゃないか、いわゆる防災都市化していなかったのではないか、こういう指摘でございますから、防災性の高い町づくりというものを第一義的に考えていかなきゃならない。そのためには、幹線道路とか都市公園などの骨格的な都市基盤整備、設備を行っていこう。  二番目としては、割合今回は共同溝というものについてはほとんど被害はなかったということでございますから、共同溝の設置というものを考えて、電柱が倒れて被害があるというようなことがないようにしていきたい。  問題は、土地区画整理事業や市街地開発事業、市街地の面的な整備、先生が今おっしゃったように、面的な整備を一体どうするかということが一つの大きな課題になってくると思っております。それを行った後、建設物の不燃化というものを取り上げて十分に検討していきたい、こういうことでございまして、区画整理事業等は、御案内のように県とか市とか地方公共団体が一応指定するわけでありますから、それについて我々は積極的に指導し、助言をし、協力をして、防災体制というものに重点を置き、いわゆる防災都市といいますか、そういうことをモデル的に考えていかなきゃならぬ。そのことを全国的な視野に立って判断をするようにということでありますから、全国の模範になるようなモデル都市をつくり、日本列島全体がそういう方向になるように努力してまいりたい、こういうふうに考えます。
  105. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今共同溝の話なんかもありましたけれども、これはぜひ進めていただきたいわけでありますが、今回の地震でも電気とかガス等の、いわゆるライフラインの問題というのは非常に重要なことでありますし、これは防災という面でもそうですし、そしてまた町の景観という意味におきましても、特にこうしたライフラインの地中化の問題というのは極めて重要なことでありますから、この際鋭意進めて。いただきたい、このように思います。  それから、住宅の問題でありますが、住宅の問題につきましても、この委員会の場でも何度も議論もされたりいたしました。特に仮設住宅等の問題につきましても、鋭意それぞれの関係者の皆さん方全力で今取り組んでおられるわけでありますが、仮設住宅等の問題と同時にこれから非常に重要な話は、復興に向かうに当たって、恒久的な住宅対策ということを図っていくことがこれまた極めて重要なことになるわけですね。その点についてどのように取り組んでおられるのか、御説明をお願いします。
  106. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 お答えします。  災害によるとりあえずの応急住宅、それに伴う恒久住宅対策、こういうことになろうかと思っております。今は応急住宅の設置ということが急がれるわけでありますから、全力を挙げてこれに邁進をする。これから恒久住宅が、今申し上げましたように都市再開発事業、土地整備事業あるいは区画整理事業、こういうものを地方自治体と相談をし、地方自治体の方向を打ち出していただいて、先ほどもお話がありましたように、耐震、防災対策というものが徹底してできるような指導助言をして、地方自治体とも密接な連携をとりながら整備を進めてまいりたい、このように考えております。
  107. 小里貞利

    ○小里国務大臣 本筋はただいま建設大臣から御説明いただいたとおりでございますが、今までの段階で緊急措置として建設省と御相談いたしましてとってまいりました措置一つ、二つ申し上げたいと思います。  先生御承知のとおり、金融関係から、住宅金融公庫関係、今まで借りましてローン等で建てておりました。それが焼けました。こんな人たちが大変被害度というものが激甚であるわけでございまして、それらの償還等も据え置きましょう、あるいは据置期間は利子を下げますよ、あるいは償還期間も延ばします、あるいは金利も下げます、そういうような特別措置等もとりました。あるいはまた、これから新規に借り入れて、そしてまた建てますよ。ここは言うなれば市民生活の大きな活力の基本点でございますから、最も私ども災害対策としては力を入れてまいっておるところでございますが、それらのことにつきましても金融措置等を、先ほど申し上げましたような項目等を中心にいたしまして最善の措置を講じた、また、これから幅広くもろもろの制度を通じまして検討しなければならぬ、さように考えておるところでございます。
  108. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 これから区画整理とかいろいろなことをされていくわけでありますが、そういったときに、例えばどういう住宅地にするのだろうか、そして、どういうふうにいわゆる中高層のあるいは高層の住宅地にするのだろうかという、都市計画等が非常に重要な話になっていくわけですね。だから、その辺のことが非常に重要ですよ。それがいわば都市づくり――ありますか。はい、どうぞ。
  109. 小里貞利

    ○小里国務大臣 先ほど建設大臣の方からお話ございましたように、一つは、非常に志の高いビジョンを持ち得る地帯である、そしてまた、町づくりあるいは都市計画等においても日ごろ相当なノウハウとリーダーシップを持った地域である、私どもはそういう評価をいたしておりまして、当然地元の市あるいは県等の自主的な検討、そして計画を待たなければならないところでございますが、これからの取り運びを若干申し上げますと、まず、その復興の基本方針、その辺の取り運びを県と協議をいたしたその結果を申し上げる次第でございますが、まずその復興の基本方針を三月末までに、そしてその次の復興基本計画を六月の末までに、そういうような予定で進めていこうかな、その段階まで今協議をお聞かせいただいておるところでございます。
  110. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今回、今小里担当大臣が御説明をされましたけれども、復興計画についても進めていらっしゃるわけでありますが、この被災地域復興を円滑に進めていこうとしたときに、いわゆる既存の整備手法では難しいわけですね。それで、これから総合的な観点から検討を進めていくに当たって新たな法律措置、そういうものが多々必要になってくると思うのですが、その辺のことについてはどういうふうに取り組んでいらっしゃいますか。
  111. 小里貞利

    ○小里国務大臣 復興計画等を中心に、なおそのほかの広い行政分野にわたりまして、各行政分野にわたりまして、復旧あるいは復興計画等が着手されて推進されてまいるわけでございますが、それに関連いたしまして、ただいま先生お尋ねの関連諸制度あるいは法体系の整備等すそ野の広いものが出てくるだろう、私どもはさように認識をいたしております。  既に官房長官の御指示のもとに、それらの法体系整備に関連いたしまして、急ぐもの、特に急ぐもの等々いろいろあるわけでございますが、緊急立法プロジェクトチームを御案内のとおり既に組織編成をいたしまして、そして、これが集中的な検討をいただいておるところでございまして、恐らくそれらの中にただいま先生御指摘の都市計画の分もあるいは入ってくるのかな、そういう感じを持っておりますが、また、折々、それぞれ建設省を初め各省庁で検討を急いでおられますから、それらが早晩題材として出そろってくるであろう。いずれにいたしましても、緊急に対応しなければならぬ、そういう心得のもとに検討をいたしておるところでございます。
  112. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 建設省、もう少し具体的に検討をしておられませんか。
  113. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 先ほども答弁しましたように、今回の被災地状況を見ますと、区画整理事業をやったところとそのままのところとは随分な被害の相違がございます。したがいまして、私どもは面的な意味で地方自治体と御相談をし、地方自浄体の主体性を持った区画整理事業を実施をするということを明言していただいて、面的には一応の制限をするということはあろうと思いますが、しかし、被災者にとりましては、被災をしたというその現実の姿、そして、あるいは減歩するというようなことになれば気分的には穏やかでない、こういう点もございますので、その辺を十分に配慮して、土地の交換分合、あるいは区画整理事業というのは十二メーターの大幅道路ということになっておりますので、これらについてはやはりもう少し少なくしてもらうというようなことで今検討を始めておりますので、明確には申し上げることはできませんが、そういう方向で進めていこうと。  二戸建て、二戸建てというのがありますけれども、五十平米、五十平米、五十平米とありまして民家が並んでおれば、百五十平米というものを使って三階建てにすれば、もっと耐火、耐震というものについては強くなってくるだろう。そういう点についても、住宅対策もあわせて検討するように指示をしておるところでございます。
  114. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 それぞれ関係者の皆さん方が懸命に取り組んでいらっしゃると思うのですが、このいわゆる復興計画については、先ほどスケジュール面についても若干お触れになられましたけれども、非常に重要な話は、どういう姿のものをどのぐらい、いっどうだとかいうものがはっきりと早く示されないと、そこの被災者皆さん方からすると非常に不安になりますね。どういうふうになるんだろうかということであります。そのために、というふうに言った方がいいかと思うのですが、例えば個人の皆さん方でも、例えば住宅の問題でも、あるいは商店街の皆さん方でも、いわばどんどん自分たちで、あるいは個人の場合もあるかもしれない、あるいはグループでということもあるかもしれませんが、どんどんつくっていこうというふうにして動かれると私思うのですね。  もしもそういう活動がどんどん先行して行われていきますと、せっかくここにいい防災都市を、あるいはきれいな町並みをつくろう、こう思っていたにしても、なかなかうまく進まなくなってしまいますね。この辺は、タイミングと、それからいかにお互いに協力してもらうかということ等が非常に重要になっていきますね。この辺はどういうふうに考えていらっしゃいますか。  今の話は、私は、これは地域によっても違うわけでありますが、例えば、ある時期ここに仮設のビルか何かつくって、そこに商店街の人たちが入ってもらって、一時的にそこで仕事をしていただくという話、いわば大型のスーパーみたいなものとかモールみたいな形になるかもしれませんね、というようなこと。そして、それがある段階になったら当初目的としたところに移っていただいて新しい町をつくるという話もあるかもしれません。そういうような意味で、どういうふうにその辺を進めていこうとされるのか。
  115. 近藤茂夫

    近藤(茂)政府委員 かなり事務的な問題でございますので、私の方からお答えさせていただきたいと思います。  まず、先生二点御指摘があろうかと思います。不良な市街地の状況のもとで、またその建築行為が進行していい町づくりができなくなる、こういう問題点に関しましては、きのう、神戸市とそれから西宮市につきましては、建築基準法の八十四条で行為制限命令が出されました。いわゆる都市計画制限と同様な行為規制が始まっております。そして、その間に具体的に土地区画整理事業等の予定地を定めていく。そういうことになれば都市計画制限がまた働きますので、将来事業の施行の障害となるような建築行為等は抑制される。  そして、その間に具体的な事業計画を進めていくということになるわけでございますが、事業計画を進めていくに当たっては、非常に中心市街地、密度の高い地域でございますので、特別の立法が何か必要になるのではないか。そういうことになりますと、どういう具体的な特例が出てくるかということを早く整理できますれば、その事業計画の取りまとめ、地域住民との調整のもとで進めることになるわけでございますので、その事業計画が取りまとまっていく。  その段階では、先生二番目の御指摘の、例えば当該地域に住んでいる人たち、仮設住宅あるいは仮設店舗、これは当然公共団体として調整されることになるわけでございまして、さらに私どもその検討を……(伊藤(英)委員「調整になるのですね」と呼ぶ)調整になると思います。さらにそれを体系的、迅速にできるように、区画整理事業の一環としても、そういう仮設住宅のみならず、恒久住宅としてもできるようなことも、大臣の指示で今あわせ検討しているところでございます。
  116. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 私の問題意識に対して、きのうの打ち合わせも含めて鋭意取り組んでくださっているようでありますが、実は私は、こういうのは言うはやすくして本当に実行するのはなかなか大変だろうということを想像するのですね。そういう意味で、先ほど私が申し上げたことの重要さというのは、これは本当に何度言っても言い過ぎないくらいに重要な話だし、難しいこともあるかもしれませんが、本当にこれはそれぞれの地方自治体も国も協力をして取り組んでいただきたい。そうしないと、防災都市だ、防災モデル都市だと言い、あるいは美しい町並みだと言い、そして住環境を、こう言っても、なかなかすばらしいものにできないかもしれない。そういう意味で、ぜひこれはみんなが協力をして全力で取り組んでいただきたい、このように思います。  それから、都市の安全ということを考えますと、いろいろな側面があるわけですが、流れている川ですね、河川も同じ。大阪の、大阪のというか淀川ですね、淀川の堤防が沈下したという報道等もありますが、その辺の被害状況復旧見通しはどうなっていますか。
  117. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 お答えいたします。  淀川の下流部の直轄区間の堤防、全体の延長約八十一キロのうち、今回の地震被災した堤防は十八カ所、延長は約六・六、こういう状態でございまして、割合は八%ということになっております。  淀川左岸は、私もこの間、大阪の市長、大阪の府知事と一緒に現場に参りまして一つ一つ説明を受けましたが、酉島地先の堤防の沈下などの被害を受けた三カ所については、一月の十九日に直ちに、沈下した前の高さまで復旧をいたしました。緊急復旧事業は、全体の十八カ所は、きのう大体全部終了した、こういうふうに考えております。  ちょうどあのときにはスーパー堤防をつくるという姿でやっておりましたので、その土を使って直ちに処理をした、こういう格好でございますので、淀川の問題については、まず安全で、当面の対策は大丈夫、こういうふうに承知しております。
  118. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 総理、この件について多くは申し上げませんが、実はこの場でも、例えば危機管理とか行政のあり方とか、いろいろなことがここでも議論をされてきました。  不幸にしてああいう大震災が起こりました。そして、今、復興のためにということでみんなが取り組んでいるわけですね。しかしこれは、先ほどもちょっと触れましたけれども、本当に並大抵のことではないだろうと私は思うのですね。うまくやらないと、ああやはりまた、あれこれあったけれども、そしてみんなが騒いだのだけれども、結届きれいな町あるいは防災都市はできなかったという話になったのでは、これは本当に何をやっているかわからぬということになってしまいますよね。  そういう意味で、これは本当に大変なことでありますし、そしてまた、先ほど申し上げたように、何度も申し上げますが、国や県や関係市等とのその協力も含めて、本当に大変な仕事をするわけでありますが、その辺について、今回のこの地震のことも思いながら、総理はどういう決意でその復興の問題について取り組んでいらっしゃるか、ちょっと決意のほどをお願いします。
  119. 村山富市

    村山内閣総理大臣 今、現状に対するいろいろな取り組み、対応についてはこれまでたびたび議論もございましたので省かせていただきますけれども、今とりあえず取り組んでいるその対策というのは、先ほどもお話がございましたように、もう今は大体二十六万何がしの数に減っていると思いますけれども、避難生活をされている方があるわけですね。そういう方々はもう限界に達しておるというような状況にもございますから、これらの方々をできるだけ分散をしていただいて、そして何とか、不自由はあっても、まあまあ生活が可能な限り安定できるような状況をつくっていくことということが第一ではないかと思うのです。  そしてまた、家が破壊されて瓦れきが積まれている、後片づけもできていないような状況を見ますと、これはもう茫然自失で希望も持てないというようなことにもなろうかと思いますから、いち早く瓦れきを片をつけて、そして整然とさせるということも当面大事なことだと思いますね。  これからまた、今お話のございましたような復旧復興に取りかかるわけです。その場合にいろいろな問題点が起こってくると思いますから、やはり先手先手で施策が講じられるような、そういう取り組み方が必要ではないかというふうに思いますから、現行法、現制度の中でやれることはもう精いっぱいやり尽くす、その上でなおかつ欠ける点があれば、これは特別立法で措置をするというので、今プロジェクトをこしらえてそういう問題点についても研究してもらっておるということも大事です。  それから、復興については、やはりこれは地方自治体が主体になると思いますから、その地方自治体の言い分というものも十分聞かなければならぬ。そういうものを聞きながら、国としての責任も十分あるわけですから、国と地方自治体が一体となって取り組んで、二十一世紀に向けて防災にも地震にも強い町づくりをするためには何が必要なのか、どういう取り組みをしたら一番いいのかというようなことについて早急に検討して、結論を出して、そして取り組んでいくことが大事ではないか。  私は、先ほども申し上げましたように、もう個人が個人勝手にどんどんつくられていくと後でまたいろいろな問題が起こるというようなことになっても困りますから、したがって、先手先手で行政の方が手を打っていくというような取り組み方がやはり大事ではないかというふうに思いますから、そういう決意で取り組んでいきたいというふうに思っております。
  120. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 この地震絡みでもう少しお伺いいたしますが、税制上の問題で今日までも、例えば所得税とか住民税とか、そういうことについてのいわゆる特別措置等がいろいろ検討され、方向を決められたりしているわけでありますが、土地に関する税ですね。地価税あるいは固定資産税あるいは都市計画税、こういうものについてもその減免等を検討すべきだと思いますが、いかがですか。
  121. 武村正義

    ○武村国務大臣 土地に関する税制は国、地方にわたっておりますが、地価税を含む各税の申告、納付等の期限につきましては、国税通則法によりまして、災害により申告、納付等をその期限までに行えないと認められたときには、災害のやんだ日から二カ月の範囲内でその期間を延長するという措置がございますし、また、被害の程度に応じまして、一年以内の期間に限り納税を猶予する等々の救済措置がございますし、その措置を講じているところでございます。  地価税そのものにつきましては、一月一日という毎年一定の課税時期を基準として、土地等の資産価値に課税する税でございます。そういう税の性格も見ながら、目下の災害、御指摘のように想像を超える事態であることを認識しながら、さまざまな状況を総合勘案の上、国税当局等を通じて対応を図っているところでございます。
  122. 野中広務

    ○野中国務大臣 お答えいたします。  固定資産の減免措置につきましては、委員御承知のように、地方税法の第三百六十七条におきまして「市町村長は、天災その他特別の事情がある場合において」「当該市町村の条例の定めるところにより、固定資産税を減免することができる。」とされておるわけでございます。また、都市計画税につきましても同様の取り扱いをすることとされております。  今回の兵庫南部地震におきましても、被害を受けた固定資産に係ります平成六年度の課税につきましては、法の趣旨を踏まえまして、その具体的な運用を、かつて昭和三十九年の十一月七日に自治省の事務次官通達をいたしておりますので、これに基づいて各市町で減免等の所要の措置を講ずることが適当であるというように、今回の災害の取り扱いについて既に一月二十五日付で各市町に通達をしたところでございます。この通達において、土地に係る固定資産税につきましては、被害面積に応じて減免を行うことといたしておりまして、具体的な運用につきましては、関係地方公共団体とも十分に連絡を図りながら、今後適切に指導してまいりたいと存じております。  ただ、被災地の市役所職員等は被災者の救援あるいは復旧に忙殺をされておりまして、若干時間の猶予が必要かと存じておるところでございます。  また、平成七年度以降の取り扱いにつきましても、今回の被害の非常に甚大でありますことにかんがみまして、被災関係地方公共団体の考え方や減免の取り扱い等について、減収する地方財政のあり方等を十分踏まえまして、今後、その御趣旨を踏まえながら取り扱い検討してまいりたいと存じております。
  123. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 それぞれ御検討をお願いします。特に、自治大臣もそうでありますが、大蔵大臣も、今回の状況を見ていろいろ御検討をされるということのようでありますから、ぜひよろしくお願いいたします。  次に、資金カンパとか義援金等、実は私も、地震の後でありますが、愛知県下で街頭に立って資金カンパのお願い等もしたりしたんですよね。そういうときにも、本当に多くの人たちがカンパをしてくださいますよね。そしてそういう人たちが、あれ、この人がというような人までと言ったのでは失礼かもしれませんが、本当にいろいろな方がカンパもしてくれる、そして頑張ってくださいと言って声をかけてくださるというぐらい、要するに、今回は本当に国民の多くのみんなが、あるいは国民全員が、何とか自分たちができることは一つでもしようというような気持ちでいろいろやってくださったと私は思うんですね。  そういうときに、多くの義援金等がいろんなところに、いろんな団体にという形で集まっていらっしゃるんだと思うんですが、そういう善意のお金が本当にうまく使われていくということが必要だと思うんですね。その辺はどんなふうに公平にというか的確に使われることになるんだろうか。この辺はいかがでしょうか。
  124. 小里貞利

    ○小里国務大臣 先生も御承知いただいておると思うのでございますが、日赤あるいは共同募金会あるいは県、関係市などがいわゆる一つ窓口となりまして、集められました義援金はすべて関係府県市や、ただいま申し上げました日赤等関係団体、十五ございますが、これらで構成される兵庫県南部地震災害義援金募集委員会なるものが設置されまして、ここで、きちんとした一つの設置要綱ももちろんでございますが、それらの基礎に立ちまして運営管理がなされております。特に、ただいま先生が御指摘のように、全国から善意がもういろんな形で寄せられておりまして、率直に申し上げまして、相当な一つの展開をいたしておりますし、またこれからもその希望が持たれる、そういう状況でございます。  そこで、ただいま、どういうふうに公平にこの集められました金等が使われるかということを若干申し上げますと、その基準も定められております。例えば、死亡者及び行方不明者の家族あるいはまた住家が全壊、半壊をいたしました方々等に対しまして、世帯に対しまして、一応原則として十万支給申し上げるという一つの決定がなされておりまして、御承知かもしれませんが、もう既に昨日は各市町村にそれが届けられた、そういう報告は受けております。各市町村がそれを受けまして、さらに被害者に対する配分は市町村の責任においてやってください、そういうような仕組みになっております。  なおかつまた、被災者を初め関係者の皆様方に、いろいろお話がございましたように、この募金の仕組みあるいは募金の管理等について、あるいは配分について、問い合わせ先等もこの際はきちんと責任ある窓口を設置しなけりゃいかぬ、そういうような含みで、きちんと問い合わせ先も設定されておる状況でございます。  なおまた、一部新聞等で、これは行政ばらばらではないか、そういうような報道等もございましたので、私どもけさ方、災害対策本部の会議を開きまして、私どもの幹部会議を開きまして、状況も探ってみました。関係市は全部、兵庫県市長会を通じまして、先ほど申し上げましたようなこの対策をきちんと受けとめていただいておるということを確認をいたしました。したがいまして、さようなことは現在の段階ではないということを私どもは認識いたしております。
  125. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 厚生大臣、結論だけ聞きますが、日本とアメリカと比べたときに、どちらがいわゆる福祉国家だと思われますか。結論だけでいいです。
  126. 井出正一

    ○井出国務大臣 ちょっと聞きにくかったのでございますが、福祉国家、どちらがかと。――大変難しい御質問でございますが、日本も決してそんなに劣ってはいない、こうは考えております。
  127. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 私は、いわゆる社会的な制度としての面からいえば、アメリカと日本では断然日本の方がいいんだと。総理もそう思いませんか。結論だけでいいです。
  128. 村山富市

    村山内閣総理大臣 これは、全体的に比較をしますと甲乙あると思いますけれども、しかし、少なくとも医療保険制度等につきましては、日本の方が進んでいると私は思います。
  129. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 済みません、突然そんな話を聞きまして。  いや、実は亡くなられた方に見舞金等は出されたりいたしますね。そうじゃなくて、いわゆる被災者、死亡されなかった人たちに対して見舞金というのでしょうか、交付金というのでしょうか、そういう制度が日本にはないと思うのですよ。そういうのを、例えばすぐ十万円なら十万円、二十万なら二十万交付するというようなことを考えたらいかがかと思うのですが、どうでしょうか。
  130. 井出正一

    ○井出国務大臣 ただいま先生の御指摘の点でございますが、国といたしましては、災害について各種公共的施設復旧等に努めることといたしまして、個人の皆さんの見舞われた損害につきましては、個人による自主的な回復によることを原則と考えておりますが、自然災害によって回復不能の、お亡くなりになるとか、あるいは重度の障害を受けられたといった痛ましい人的被害に遭われた方々に対しましては、災害弔慰金及び災害障害見舞金の支給によって弔慰あるいはお見舞いを行っておるところでございます。  住居とかあるいは家財の被害につきましては、人的被害とは異なり、経済的修復し得るものであることから、低利の融資制度等によってその支援を図ってきているところでございまして、このような損害に対しましては、見舞金制度といったものを創設することは、目下のところ考えておりません。
  131. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 もう既にいろいろ報道もされたりしておりますけれども、アメリカでも、と言ったらちょっとアメリカに失礼かもしれませんが、この間のロサンゼルスのノースリッジの地震のときもそうでありますが、その被災者には一律一つの家族で一千ドル、それから住宅の倒壊者に対しては三千ドル、これはすっと支給される、一律ですね、というようなことがすぐに行われたりしているわけですが、私は、いわゆる社会保障というのは何だろうという原点の問題ではなかろうかという気がするわけですよ。  本当に困ったときに、いわばナショナルミニマムといいましょうか、そういう部分をどうするかということがいわば福祉社会の一つの原点であろうというふうに思うものですから、金を貸す、それを低利にするとかあるいは無利子にするとかということだけじゃなくて、一部本当にこういうときはすぐ出しましょうとかいうことが必要なのではないだろうか、こういうふうに思うものですから、そういうことも検討すべきではないか、こう思うのですが、いかがですか。
  132. 井出正一

    ○井出国務大臣 個人の皆さんへの補償でございますが、きのうも大蔵大臣、別の御質問に答えていらっしゃいましたが、私有財産制度のもとでは、個人の財産を自由かつ排他的に処分し得るかわりに、個人の財産は個人の責任のもとに維持することが原則でございまして、災害対策におきましても、国としては各種公共施設の災害復旧に努めることが第一でございまして、個人の皆さんの受けられた損害を、国民の税金でそれを補償するところまで踏み込んでいいかどうかは大変私は疑問に思うところであります。
  133. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 総理に伺いますけれども、あらゆるときにというわけじゃないのですよね。本当に国民が、困っている人がおったときに、それに対して、ただ金貸すよとかあるいはそれを無利子にするよ、低利にするよということだけではなくて、やはりそれなりのものはということを私はもっと考えてもいいんだろうという気がするのですね。今の厚生大臣のな言葉をそのまま聞いていますと、ちょっと冷たくないかなという印象を抱く人は多いんだろうという気がしますね。だから私は、今後そういうことをやはり日本ももう少し検討する必要があるのではないか、こう思うのですが、いかがですか。
  134. 村山富市

    村山内閣総理大臣 委員の言われるお気持ちは、よく理解できますね。しかし、やはりいろいろな制度の建前からしますと、なかなか個人個人にそういう意味で何らかの補償をしていくということは、難しい点が私はやはりあるのではないかと思いますし、災害を受けた、その受けた度合いと、そして本人に対する、受けた比重というものもそれぞれ違いがあると思いますし、なかなか一律に判断できない面もあるのじゃないかと思いますし、全体の日本の制度をつくっておる建前からすれば、個人補償というのはなかなかしにくい面も、制度としてあるものですから、なかなか難しい点があると思います。  しかし、あなたの、委員の言われる気持ちは、本当にもうすべてをなくしてどうにもならぬ、立ち上がりもできない、こういう状況にある者に対して何らかの方策を考える必要があるのではないかというお気持ちはよくわかりますよ。しかし、これは最低生活を保障するという意味からすれば、生活保護制度もありますし、いろいろな今の仕組みというものを最大限に活用して使っていただくということが、当面精いっぱいできることではないかというように考えておりますけれども、先ほど言いましたように、義援金なんかが集まっておりますし、その義援金等については、個人に十万円ずつ配分するとか、いろいろな工夫もされているようですから、対策本部で実態に即して何らかの方法が考えられるのなら、十分この方法を考えて対応してほしいものだというように私は考えています。
  135. 井出正一

    ○井出国務大臣 もう一つ申し落としました。あるいは先生の御意向にはそぐわないかもしれませんが。  実は、このたび生活福祉資金小口貸付制度というのを設けまして、これは所得制限はございません。これを円滑に……(伊藤(英)委員「いいですよ、金を貸したりする話は」と呼ぶ)ちょっとその現状だけ申し上げます。よろしいですか。
  136. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 それは承知しているからいいです。  きょうもちょっと午前中の議論にもありましたけれども、自衛隊の問題についていろいろ話があったりいたしましたけれども、先般社会党の書記長が、自衛隊の別組織といいましょうか、としての災害対策部隊を創設してはどうか、そして、しかもこの災害対策部隊に国連のPKO任務も付与したらどうかという構想が出されたということが伝えられておりますが、これについて、防衛庁長官、どう思われますか。
  137. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 自衛隊は、我が国に対する侵略に対処する、同時にまた災害の救援、復旧活動も重要な責務である、こういうように受けとめておるわけでございます。したがいまして、自衛隊は、平素から所要の防衛の態勢をとるとともに、その組織、装備や能力を生かして、遭難者や遭難船舶、航空機の捜索救助、水防、防疫、給水、人員、物資の緊急輸送など、広範多岐にわたる災害救援活動をこれまでずっと続けてやってまいったところでございます。  したがいまして、久保書記長の御提案は、将来に向けての一つの御示唆と受けとめておるわけでありますが、災害救援や復旧のために新たに組織をつくるという点におきましては、行政改革やあるいは財源との兼ね合い等もあり、慎重な検討を要するものと考えております。
  138. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 総理、いかがでしょうか。私は実はその新聞記事を見たときに、私は、自衛隊がそもそも国を守る、そのときに、災害救助等の問題についてもまさに自分たちの本来業務の一つとして位置づけるくらいにした方がいいと思うのですね。きょうの午前中、総理も、自衛隊は災害にも積極的役割を果たさなきゃならぬという話をされましたけれども、それは私はそういう意味だ、こう思うのですね。  そのときに、災害対策部隊という別組織をつくる、そしてそこにPKOの任務をというような話がまた出てきますと、あれ、ここで総理も何度も言われたりしていたんですが、自衛隊違憲論といいましょうか、そういうものを遠く背景にしていると言った方がいいかもしれませんが、あるいは自衛隊に、こういう形で災害にそのまま本体が出動してやってもらう話についてはやはり抵抗を感じるなという意味なのかしらんというようなことも思いながらこの記事を見たんですが、総理はあの部分、自衛隊の別組織としての災害対策部隊なるものをどういうふうに思われます。
  139. 村山富市

    村山内閣総理大臣 書記長が言われたことをそれほどつまびらかにしているわけじゃありません、私も新聞で見た程度ですけれども。書記長も自衛隊違憲という前提に立ってそんなことを考えているわけじゃないと思いますね。これはもう党の方針が変わったんですからね。  ただ、自衛隊本来業務として、国防と同じような位置づけであるわけじゃございませんから、したがって、しかしそうはいっても、三陸はるか沖地震にしてもあるいは雲仙の災害にしても、自衛隊の果たしている役割というものは大変大きいものがありますし、献身的にやっている姿を見て、国民の皆さんもそれなりに評価されていると私は思うのですよ。そういう経験にかんがみまして、とりわけ今回のこの兵庫県の南部地震の教訓にも照らしてみて、何かそういうものがあって、緊急にさっと対応できるような状況になっているともっとよかったのではないか、こういう意見を言われる方もありますからね。  したがって、これは、私はやはり今度の経験にかんがみての一つの意見ではないかというふうに思いますので、いろいろな角度からいろいろな意見の方がありますから、そういうものもやはり総合して、こういう場合に緊急に対応できるような仕組みというものをどう考えたらいいのかということについては検討していかなきゃならぬというように私は思うのです。  ただ、いつかも申し上げましたように、防災計画をつくる際に、これはもう自衛隊も参加して一緒につくっているわけですね。そして、九月一日に防災の日として全国的に訓練が行われますね。その場合にも自衛隊も参加してやっていますし、それから、私はやはり常時、今度のような経験にもかんがみましても、そういうことがやはり豊から心がけられて、常時連携をとり合った形の中でやっていくことも必要ではないかというふうに今思っております。しかし、そうした全体の動向というものも学びながら、書記長の意見も貴重な一つの意見として検討しなきゃならぬ問題ではないかというふうに私は受けとめております。
  140. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 総理、私、ちょっと申しわけないのですが、総理の今前半の方で言われた話と後半の方の話は、矛盾している話をされているんじゃないかという気がするのですね。  要するに、全国どこで災害等起こるかわからないよ、そして、しかも自衛隊がかなり大規模にいろいろなところで一緒に訓練もしなきゃいけないという話をしているわけですね。いいですか。今日までそういう話がいろいろあったと私は思うのです。そのときに、災害対策のための特別の別組織の部隊をつくって、これは全国に置くという意味なんだろうか。  今総理の言われた話は、何をどうしようという、今の自衛隊あるいはそのパワーをどういうふうに活用したらこの災害のために対処ができるのだろうか、災害の、その別部隊をつくって、どうやってやるのでしょうかね。
  141. 村山富市

    村山内閣総理大臣 私が前段で申し上げましたのは、そういう常日ごろからの、共同で行動ができるような常時訓練というものも、連携というものも必要ではないかということは、私の意見として申し上げたわけですね。それで、書記長の言われている別組織で対応したらどうかという意見というのは、先ほども冒頭に申し上げましたように、どういう中身か、中央だけにつくるのか、全国的にそういうものをつくっていこうとしておるのか、つまびらかでありませんから、これは論評の限りじゃない、私はそういうふうに申し上げたわけですけれども、しかし一つの考え方としてまあ検討してもいいのではないかというふうに私は申し上げたのです。  ですから、言っていることと矛盾をしていると私は思っていません。それも一つの考え方だなというふうに申し上げているところですから。
  142. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 しかも、先ほど申し上げたように書記長の言では、それをPKOにも使って云々という話をされているわけですよ。しかもPKOにそれを使おうか、使うというか、PKOにもそれを派遣しようかという話をされていみわけですよ。
  143. 村山富市

    村山内閣総理大臣 これは書記長にもう少し詳しくその中身について考え方を聞かないと、ここで論評する限りじゃありませんけれども。  先ほど私が答弁した中で、自衛隊の本来業務の中に災害派遣とか公共の秩序の維持とかいうものも含まれておるというふうに、私の先ほどの答弁でちょっと欠けた点がありましたから、補足して申し上げておきます。
  144. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 私は、物の考え方の面で非常に重要な提示だったんではないか、こう思いますので、またよくお考えください。  それから、時間がどんどん過ぎていきますが、この間来、危機管理云々というので緊急対策本部云々という話がいろいろ議論をされたりしております。余り同じ質問を繰り返したくないわけでありますので、ちょっと違った観点から申し上げたいのですが、毎年秋に防災訓練をやりますね。去年の秋は総理が総理をされていらっしゃいました。南関東大地震を想定してこの辺でも訓練がされたと思うのですが、去年の秋は南関東大地震を想定して訓練はされましたか。
  145. 小澤潔

    ○小澤国務大臣 先生御指摘のように、政府といたしましては、大規模地震発生に備えまして、災害対策基本法に基づきまして防災体制の強化などの対策を推進してきたところでありますが、特に南関東地域については、広域的かつ総合的な災害応急対策を確立をするため、昭和六十三年十二月に中央防災会議において、南関東地域震災応急対策活動要領を決定いたしております。この活動要領は、広域的かつ総合的観点から、情報、輸送、医療、救急等の活動について、関係機関が行うべき応急対策活動の内容と実施の手順を定めたものであります。  毎年九月一日の総合防災訓練は、この活動要領に基づく政府本部の訓練など、関係機関が協力して実践的な訓練を実施しているところでありますが、平成五年度からは、発生の切迫性が指摘されている直下の地震対応した訓練も、自衛隊の参加のもと、多数の関係機関、住民の参加を得て実施されております。  今後は、今回の地震を教訓といたしまして、より具体的、実践的な訓練を行い、災害応急対策の充実に努めてまいる所存であります。
  146. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 質問したことについてだけ答えてくだされば結構でありますが、この間、去年もやられたのですね。  去年、緊急災害対策本部はつくられましたか。つくることを想定してやりましたか。
  147. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 去年は、今長官も申し上げましたように、直下型の地震を想定してやっております。したがいまして、本部の運営訓練、それから現地におきましては、去年は埼玉県で実施いたしましたが、埼玉県の浦和市周辺で直下型の地震が起きたという想定の訓練を実施いたしているところでございます。(伊藤(英)委員「災害対策本部はつくりましたか、緊急災害対策本部はつくることを想定してやりましたか」と呼ぶ)そういう想定でやっております。
  148. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 そのときは総理が本部長でしたですね。総理、本部長でしたか。
  149. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 緊急災害対策本部の想定の場合には、本部長は総理でございます。
  150. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 だから私は聞いたんですよ。今防災局長の言われたように、総理が本部長なんですよと、それを想定した訓練をされたんですねと。総理はそのときに本部長だったから国土庁にも行かれたんじゃありませんか。
  151. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 訓練を実施いたします場合に、その訓練、本部の訓練とそれから現地の訓練の両方あるわけでございますが、緊急災害対策本部の訓練につきましては、総理が本部長に就任するという仮定のもとにやっております。
  152. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今総理が本部長になることを仮定云々と言ったって、そうなることが法律でも決まってますし、ちゃんとこの南関東大地震の際のマニュアルにも全部そう決まってますよね。決まってるんですよ。だから、当然総理がその本部長になるということで訓練はされたはずです。  そのときに、ああ、こういう形でやったんでは地震に対処できないかもしれないと思われましたか。
  153. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 何回も申し上げますが、そういう総理が本部長になるという仮定の訓練でございますけれども、総理自身が御参加いただいてやるというものではございませんので。総理は現地の視察等あるいは本部の視察等で、訓示はいただいておりますけれども、総理御自身が御参加いただいてやるという訓練ではございません。
  154. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 何のために訓練はするんだろう、何のために訓練はするんだろうか。何のために南関東大地震のためのマニュアルまで、あんな膨大なものをつくったんだろうか。それは機能するようにという意味でつくっているんですね。その最も重要な緊急災害対策本部をつくって、そこで決定をして指示をして云々ということをしなければならないときに、そもそも紙の上で総理がこれになるんだよというふうにみんなが思っただけで、それで終わっていたら訓練にならないと思うんですね。ならない。  だから今回でも、初めてのことだったから云々という話になってしまう。緊急災害対策本部などをつくったことはない。なくたっていいんですよ、そんなのは。そんなことが何回もあってもらっては困るわけ。だけれども、初めてであっても、その緊急災害対策本部をつくって、それを機能させてその地震に対するアクションがとれるようにすることが、これが危機管理ですよね。それで今回いろいろなことを、危機管理は議論をされてきたりしました。危機管理って何だろうか。何が起こるかわからないよ、そのためにとにかくできるだけの体制をとっておこう、いざ起こったときは本当にどうしようかと思っていろいろなマニュアルもつくったり、マニュアルどおりにやっても対処できないかもしれないですね。にもかかわらず、立派なあんな方針までつくってありながら、その訓練らしいものが、今のだと訓練らしいものもなかったんでしょう、総理自身のあるいは閣僚の辺の話としては。  総理、じゃ聞きますが、去年の九月一日に南関東大地震が起こるかもしれないという想定でやられたときに、あのときに総理は何をされておりました。
  155. 村山富市

    村山内閣総理大臣 その関東大震災が起こるということを、直下型の地震が起こるということを想定して、浦和市で行われたわけですね、九月一日の日に。私は、そのときにはその本部長としてそれに参加をし、出席しました。そのことを想定していろいろな訓練が行われたというふうに私は理解いたしております。
  156. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 本当に本部長として動かれたわけ。本部長は緊急災害対策本部をつくる、緊急災害対策本部の本部長としてやられるわけですね。そこですべて決定もし、できるようになっていたはずですね。  だが、今回の動きを見てみますと、地震が起こった、非常災害対策本部をつくった、国土庁長官がなった。そしてすぐその後で緊急災害対策本部をつくる、そのときは非常災害対策本部はなくなるわけですね。いやいや、緊急災害対策本部をつくればそうなってくるでしょう。そこで一元的にこの災害に対するアクションがとられていくはずですよ。にもかかわらずそういうふうにならなくて、非常災害対策本部はできる、もう片っ方の方では法的根拠もない緊急対策本部ができる、その二重構造ができていく。しかもそれは前には立派なマニュアルまでつくってあった。しかし、そのとおりには訓練もしないというのが、その結果が今の状況になっているんじゃないですかという……。
  157. 五十嵐広三

    ○五十嵐国務大臣 これは、対策本部をめぐっての議論はもう再三行われてきていて、この点はもう余り繰り返さないでいいと思うのでありますが、今回の対策本部の構成につきましては、このたびの地震災害の状況、殊にあの基本法が想定している緊急災害対策本部の場合の幾つかの要件、例えば言っておりますように、物資の強制的な対応だとかあるいは物価の問題であるとかあるいは金銭等の貸し借りの一時延長であるとか、こういう私権制限が必要な条件の災害ということとは考えなかった。したがいまして、この前の訓練のときはそういうことも想定したところの考え方であったであろうから、当時は緊急災害対策本部を設けて、この場合は総理が本部長ということであったと思うんですね。今回はそうではない。ですから、お話しのように、非常災害対策本部というものを二十四条に基づいて直ちに設けて、これはその日のうちに、午前中に設けているわけですね。そうして、それでずっと通した。  一方、しかし、内閣を挙げて、総理を頂点として、縦割りじゃなくて、全体の調整をしながら迫力のある対応をとろうということで、御承知のように緊急対策本部というものもあわせて設けた、かつ担当大臣も設けたということで対応したということでありますから、そこを、今のような対応について御理解いただきたいと思います。
  158. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今の官房長官の話の部分についていえば、迫力ある、閣僚で緊急対策本部云々という話がありましたけれども、それは何といったって、いろいろな私権制限までやろうと思えば可能な法律を背景にしてやる方が私はもっと迫力があると思うんですね。だから、今の話は、私はそうじゃないと思います。そうじゃないというのは、そういうふうに考えない方がいい話だと思いますよ。  実際に、例えば家を壊す費用だとか、価格といいましょうか、それもぼんぼん上がっているという話でしょう。あるいはほかの物の値段もどんどん上がったりしている。あるいは民間の住宅も上がったりしている。それについてはいろいろ僕は対処をしようとしていると思いますよ。そういうふうには聞いておりますが、しかし、そうだろうというふうに思います。  私が先ほど申し上げたのは、訓練、訓練と言うのだけれども、国までが九月一日云々とやっていて、しかも大震災を想定してやっておられるときに、そもそも意思決定をすべきところの訓練は十分にされていなかったんだなということですよ。これは十分に反省しなきゃいかぬ。そうしなければ、どんなに立派なものをつくったって本当に動けるようになれないということだと私は思います。  そこで、外務大臣、ちょっと伺いますが、これは自民党総裁としてお伺いをするわけでありますが、もしも外務大臣が総理であったなら、今回の初動態勢がどうのこうのと言われる部分、もういろいろ悪く言われるわけでありますが、もしも総理だったら今回どう対応されたでしょうか。
  159. 河野洋平

    河野国務大臣 連立内閣の副総理として村山総理を助けて全力を挙げたつもりでおりまして、たとえどんな態勢、どんな内容であろうとも、今回とった態度を私はとったと思います。
  160. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今のお話を聞きますと……(発言する者あり)そうです、一蓮托生。自民党政権も同じように危機管理は十分でなかったんだなという感じを抱きます、今のお話だとそうだなと。  国土庁長官伺いますが、昨日だったでしょうか、ここの委員会の議論で十七日の朝の行動についてちょっといろいろお話がございました。きょうはそれを線り返しては聞きませんが、一つだけお伺いしたいんですが、国土庁長官長官として、あの十七日の日のずっとした行動は国土庁長官として的確な対応であったというふうに自分で思われますか。どうでしょうか。
  161. 小澤潔

    ○小澤国務大臣 お答えいたします。  昨日の報告に従いまして……(伊藤(英)委員「結論だけでいいです」と呼ぶ)結論でよろしいですか。先生御指摘の点は……(伊藤(英)委員「いや、もう結構。私はずっと聞きましたから」と呼ぶ)もう既に対処したところでありますが、今回の地震により極めて甚大な被害発生したことを厳しく重く受けとめ、政府一体となって災害対策に迅速かつ的確に対応できるよう国土庁としては、とりあえずきのうから職員の宿直体制をとるほか、官邸及び関係機関の即応体制検討プロジェクトチームの中で情報収集及び伝達体制のあり方について検討してまいったところであります。  適切な措置であったかどうかと今先生御質問でありますが、国土庁長官としては、非常災害対策の本部をあの閣議で設置をしまして、それで急速十一時三十分から第一回の非常災害対策本部を開きまして、そして各省庁関係約二十名を連れて視察団長で現地に飛んだところであります。一応の対応はしたと解釈していただきたい、一応のとるべき道はやったと解釈していただきたいと思います。
  162. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 総理、伺いますが、国土庁長官としては自分の任務としては、まあ私は適正だったという意味だと私は思うのですね。にもかかわらず、今回、地震対策の担当大臣としては小里さんになられた。国土庁長官は非常災害対策部長としているという――非常災害対策本部も違うのですね。  それでは、なぜ、国土庁長官は、国土庁のあるべき姿として、その長官として適切な行動であったと私は御自分でも思っていらっしゃると思うのですが、なぜかわったんでしょうかね。
  163. 村山富市

    村山内閣総理大臣 これはもうたびたびこの委員会皆さんからも御意見がありますように、これはもう全く想像を絶する異常な大災害ですよ、これは。大災害ですよ。したがって、国土庁長官が国土庁の仕事も抱えながらこの仕事に当たるというよりも、もうこれはこの問題に関する限り担当の大臣を設けて取り組んでやってもらった方がいい、こういう判断に基づいて小里国務大臣を専任の大臣として位置づけて、そしてこの問題だけに専念してもらおう、こういう取り組みをしたわけでありますから、私はそれなりに御理解はいただけるものだというふうに考えています。
  164. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 違った観点でちょっと、これは外務大臣にお伺いしたいのですが、実は今回のこの地震で海外の反響というのはなかなか大変なものだったと私は思うのですね。もちろん一つは、被災者皆さん方の姿勢というか態度に対してはもうみんな、いろいろな国が称賛ですね、すばらしいという。日本の国民は本当にすばらしいという意味だと私は思うのです。  ところが、一方、行政や政治に対しては、いわば猛烈な非難のあらしというくらいの状況だと思いますよ。これはもう一々、どこの国のどういうところがどういうことを言っているということは私は申し上げませんが、要すれば、日本の危機管理のもろさといいましょうか、あるいは日本の行政あるいは政治に対して本当に口ほどにもないというか、そういうような思いが非常に強かったのじゃないかと思うのです。それは、報道されるところではそんな感じがいたします。これは外交上日本にとって、まあ日本の威信といいましょうか、そういうようなものもなかなか大変だろうなという気がするわけでありますが、外務大臣としてはどういうふうに思われるか。  そして、もう一つそれに追加してお願いしたいのですが、今回本当に多くの国々が日本に対していろいろな支援を申し出てくださったりしました。実際に来てくださったりいろいろなことをやってくださったりもいたしました。そうしたそれぞれの国々に対して、日本としての感謝の気持ちといいましょうか、そういう誠意をどういうふうにしてあらわそうとするか。私はできるだけのことをした方がいいという感じが非常にするわけですが、この二点について外務大臣どうでしょうか。
  165. 河野洋平

    河野国務大臣 今回の災害に対しまして各国はさまざまな反応を示しております。今議員がお話しになりましたように、二つ、三つに類型化されると思います。  一つは、日本国民が助け合って一生懸命ボランティア活動もやっているという、そういう報道が一つございます。もう一つは、やはりこういう災害に対して十分な備えがなかったではないかという意味の指摘があったことも事実でございます。それからもう一つは、国際社会の中で助け合ってといいますか、連帯感というものが少し欠けているんではないか、そういう趣旨の報道もございました。  いろいろございましたけれども、強いて言えばそういうことに分けられるかと思いますが、中でも、国民の、つまりこういうことがあればよく暴動に走るというケースもあるけれども、日本の人たちは非常に助け合って我慢強く次のチャンスのために努力をしているという称賛の声、これはつまり国民に対して大変高い称賛をいただいた。これはある意味では日本の国に対する、何といいますか、大変高い点数をつけてくれたというふうに思います。  一方、行政の対応については、これはさまざまな議論がございまして、実態をどれだけ承知をして論評をしているか、我々から見ると少し実態とは違うのではないかという感じのものもございました。したがって、こうしたさまざまな論評、論調に対しまして、私どもとしてはできるだけ正確な情報をまたこちらから送り返さなければいかぬというふうに思っております。  それから、後段のお尋ねでございますが、私どもも大変ありがたいことだと思っておりますが、きのう現在で、たしか六十その国と国際機関から、温かいお見舞いあるいは支援の申し入れがございます。これだけ多くの国々から日本に対して支援の申し入れをいただくということは大変うれしいことで、これは、これだけ日本の国がいろいろな国とよりよくつき合ってきた証左でもあるだろうというふうに思います。これに対しまして私どもとしては、支援を受け入れた国もあれば、お気持ちだけありがたくいただくというケースもございますが、いずれにしても私どもとしては、できるだけ早くそのお見舞いに対する感謝の気持ちを文書の形で、あるいは私自身が当該国の大使とお目にかかって直接お礼を申し上げたこともございます。  これは大変余計なことでございますけれども、例えばアメリカは、上院が日本に対してお見舞いの決議を院としてなさいました。日本の国が、政府もお見舞いに対してお礼を申し上げる、あるいは院として、これはまあ出過ぎた、全く出過ぎたことでございますが、院としてそうした国々に対する感謝の形を示していただくということも一つの考え方ではないかと思ったり、アメリカの上院の決議を見て感じた次第でございます。
  166. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 日本の国会としてもという話は、これは私自身は一つのアイデアかなという気はいたします。それから、政府としてもといいましょうか、今外務大臣もいろいろ言われましたけれども、私なんかの気持ちからしますと、どのくらいできるかわかりませんが、まあいわば外務大臣がそれぞれの国に本当にありがとうございましたと言って回ってもいいくらい、そのくらいに私は意味があると思うんですね。ひとつ御検討されてはどうでしょうかね。
  167. 河野洋平

    河野国務大臣 例えばモンゴルという国がございます。まだまだ経済的に見れば小さな経済力の国だろうと思いますけれども、非常に早い時期に、毛布を集め、あるいは手袋を準備をして、副総理がみずから特別機を仕立てて関西空港までそれを持ってきてくれた。しかもそれは、地元に迷惑をかけてはいかぬということで、わずか九十分関西空港にいて、その見舞いの荷物だけを渡して、その特別機ですぐ引き揚げるというような、非常に気遣いの細やかな支援もございました。私、モンゴルの大使にお目にかかって、その点よくお礼を申し上げた次第でございますが、でき得る限り、私もお礼の気持ちを直接披瀝したいと思っております。
  168. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 次に、北朝鮮問題についてお伺いをしたいんですが、まず最初に伺いますが、きょう昼間のNHKのニュースを見ました。後のニュースには、共和党のルーガー上院議員が、北朝鮮への軽水炉支援に関して、日本におよそ十億ドルの負担を求めているということを初めて具体的に明らかにしたというのが出ていましたですね。十億ドル云々という話は、前々から私はいろんな、まあ何というか、他の機関といいましょうか、仄聞をしたりしておりましたけれども、これは、きょうは画面で本人がしゃべっているのが出ましたですね。これは本当ですか、どうでしょうか。
  169. 河野洋平

    河野国務大臣 アメリカ議会の中にはさまざまな議論がございます。しかし、具体的な金額については、全体の金額が固まらないうちにどこの国が幾ら出すなどという具体的な数字が固まるはずもございませんし、そうした具体的な金額について云々という状況ではまだございません。
  170. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 この北朝鮮支援の問題は、本委員会でも何度も話も出たりいたしました。私自身もかつて、この予算委員会でもそうですし、あるいは外務委員会でもあるいは安全保障委員会でも何度も話をしてまいりましたけれども、何といっても、日本から見ますと、これは総理もこの場でも言われましたけれども、いわゆる核疑惑の問題、核問題というのは、アメリカにとってより日本の方がどんなにか重大である、その辺が明確にならないと、なかなか支援云々という話は難しい話ですね。その辺のことが、いかにクリアするか、いかにまた国民から支持せられるような形のものにしていかなきゃいけないかということだと思うんですよね。そういう意味でなかなか重大な話ですが、ぜひこの辺はよろしくお願いをしたいと思います。  そこでお伺いするわけですが、これからKEDOをつくりますね。それに、まあそれが軌道に乗っできますと、軽水炉建設プロジェクトについての支援等々の話が出てくるんでしょう。日本として実際に、あるいは具体的に何をすることがこれから考えられるんでしょうか。
  171. 河野洋平

    河野国務大臣 北朝鮮におきます核開発疑惑をいかに解明をしてといいますか、そうした疑惑を払拭するかという問題は、今議員がおっしゃいましたように、近隣諸国にとっては極めて重大な問題で、直接的に重大な問題であると同時に、国際社会それぞれこの問題には大きな懸念を持っているところでございまして、この払拭のために国際社会はみんな注目をし、関心を持っているところだと思います。  しかしながら北朝鮮は、この問題についての交渉相手としてアメリカを指名して、その他の国との交渉を求めていない、あるいは拒否しているわけでございまして、結果として米朝会談がこの問題、話し合い解決のチャネルとなったわけでございます。  もちろん、アメリカを初め幾つかの国の中には話し合いによる解決は無理だ、むしろ制裁によって、国連決議による経済制裁その他、制裁によって解決をしてはどうかという考えもあったわけでございますが、しかし、話し合いによる解決がいろいろな意味でベターだということがあって、非常に粘り強い話し合いがございました。  しかし、この話し合いもなかなかうまくいかないで、一時は、これはもうだめかという時期もありましたが、例えばカーター元大統領の訪朝など。もあって、最終的には話し合いによる解決ということができ上がったわけでございます。これは二国による話し合いでございますから、どちら側が完全に満足をする、パーフェクトゲームというわけにはなかなかいかない部分もあって、若干時間をかけるとかさまざまなやりとりがあったことは御承知のとおりでございます。  そういう状況の中で、我が国は、この米朝協議が誠実に、両側がこの協議を誠実に実行できるということが重要でございますから、アメリカと協力をして、アメリカ、韓国とともどもに、この実施に財政的な支援あるいは技術的な支援、我々にできる支援があればそうした支援をしていくということが大事だろうと思います。
  172. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 具体的に、それは何かということをお伺いしているわけであります。日本が支援するものの、具体的にはどういうことが考えられるんでしょうかということをお伺いしたんです。結論だけで結構です。
  173. 河野洋平

    河野国務大臣 具体的には、財政的な支援というのは一つあると思います。しかし、これからの話によっては技術的な支援ということもあろうかと思います。それ以外にも、KEDOという組織をつくりまして、そのKEDOを中心とした事務的なと申しますか、問題に対する支援もあろうかと思います。
  174. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 そのときに、先ほども冒頭申し上げた、例えば十億ドル云々、まあ十億ドルかどうか知りませんが、そういうような話が出てくるのかもしれませんね。かもしれません。その問題は、いわゆる日朝国交正常化という問題とどういう関係を持ちますか。日朝国交正常化前にそういうことが行われるのかどうか。それとの関係はどうですか。
  175. 河野洋平

    河野国務大臣 この問題が直接、これができれば日朝の国交が正常化されるという直接的なものではないと思います。しかし、こうした核開発疑惑などというものがこれによって払拭されるということになるとすれば、日朝の正常化のための障害の一つがとれるという意味はあろうかと思います。
  176. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 去年の十月の予算委員会で、私はこの問題を外務大臣に伺いました。外務大臣に、日朝国交正常化前にこんなことがなされるのでしょうかという話をいたしました。そのときに外務大臣は、北朝鮮の支援については、国交もないわけであるからそれ以前の問題でありますと答えられました。その意味は、それは国交正常化前にそういう支援をするということはありませんよという意味だと私は思ったんですね。  去年の十月の議事録をお見せしましょうか。そういうふうに言われましたよ。(河野国務大臣「ありますか、議事録」と呼ぶ)議事録ありますよ。時計をとめてほしいですけれどもね。そんなこと言ったでしょうかと言いますが、今私は、議事録の文章をメモしただけですけれども、そのとおりに言っておられます。じゃ、また改めてその問題はあれします。  では、ちょっと観点を変えて、日朝問題についてお伺いしますが、今、米朝間では経済関係云々という話で連絡事務所を開設するというようなことで、こうなっていますね。これとの関連で日本はどうなるのかなということですが、例えば北朝鮮が東京に経済代表部を設置をしたいというふうに言ってきた場合には、政府はどういうふうに対応されるのでしょうか。
  177. 河野洋平

    河野国務大臣 大変機微な話でございまして、仮定の話でございますから、それについて今お答えは控えさせていただきたいと思います。  私どもとしては、少なくとも日朝国交正常化交渉ぐらいはまず再開をして、話し合いをするということが何より先ではないかというふうに思いますが。
  178. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 それでは、今、日朝国交正常化交渉の再開が初めではないかと言われました。その再開のために、政府として具体的に何か動こうとするつもりがありますか。  そして、今回の震災について、北朝鮮からもいろいろと日本に対してお見舞い等、いろいろしてくださったりしましたよね。それに感謝の気持ちをあらわすというようなことも、そういう日朝交渉再開への糸口になる可能性はあると思われますか。
  179. 河野洋平

    河野国務大臣 私は、何度か外務大臣として日朝国交正常化交渉を再開しようではないかということを、文章でもあるいは発言の場でも申し上げたことがございます。私どもとしては、この国交正常化交渉を再開することの、我々の側に障害は今あると思っておりません。無条件で再開をするということで我々としては結構だということを申し上げております。  また、今伊藤議員からお話がございましたように、地震の際に北朝鮮側からお見舞いの電報をいただきました。ちょっと待ってください、正確に。――北朝鮮からお見舞いの電報をいただきました。(伊藤(英)委員「お金もじゃありませんか」と呼ぶ)電報をいただきましたと私、申し上げました。この電報について、我々として感謝のといいますか、お礼の電報を差し上げるつもりでおります。
  180. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 この日朝問題等々は、やはりこれからの北東アジアの安全保障等々から見ましても極めて重要な問題であります。総理がきのう、一昨日でしたでしょうか、朝鮮半島の分裂の要因が日本であるかのごとき話を、きのうはそれを取り消されたんだと私は思いますが、そういうような意味では全然なくて、本当に日本はこの辺の安全保障の問題については真剣に考えなきゃいけない話だと思っておりますので、私としても、そのいわゆる日朝関係の問題については、きれいにするものはきれいにする、そして進めるものは進めるというふうに考えるべき話でしょうし、それが日本の外交のあるべき姿だと私は思ってますからね。この問題はきょうはここまでにして、また別の機会に改めでいろいろな問題についてと思っております。  時間が余りありませんので、総理、ちょっとまた地震の問題に戻りますけれども、どういう意味で戻るかといいますと、今回、阪神が大震災状況を見て、もちろんそこで被災に遭われた皆さん方に対して本当にどんなにかということを思うとともに、ああ日本はということを非常に強く思いましたね。  これはいろんな新聞等にも報道されているごとく、もう一回振り返りますけれども、私は、あの地震があった、そしてその日の夜だったか、その翌日、翌々日の夜だったでしょうか、テレビを見てまして、被災者方々があの体育館の中で、きょうおにぎりを一つしか食べなかった、あるいは半分しか来なかったというようなものを見て、私自身も愕然としましたよね。愕然とした。ああこれが世界に冠たる先進国日本だろうかという感じですよね。これは私たち政治家も、自分も含めて申し上げるのですが、ああ日本はということを本当に思いましたよね。  そして、その後の状況を見てみても、それぞれの行政は、もちろんみんな一生懸命やっていたと思うのですよ。だけれども、いわばうまく機能してないということですよね。それは、例えば危機管理という問題にしてもそう、あるいは行政改革という問題にしてもしかり、あるいは考えてみれば規制緩和でも皆同じ。日本が戦後からずっとみんなが努力してやってきたのですが、しかし国家として、あるいは世界の中の国のあり方として、私たちは猛反省をして、やるべきことを本当にやらないと今いかぬということを考えたんだと私は思うのですね。私は物すごくそういうことを思いましたよ。  総理は、そういう意味で、今回の地震に際してどんな思いですか。今私が申し上げたような意味で、日本のいろんなあり方を改革をしていかなきゃならない、本当に実行していかなきゃならぬという意味で、どんなふうに思われますか。
  181. 村山富市

    村山内閣総理大臣 たびたび申し上げますけれども、五千人を超すとうとい生命をなくされた、あるいはまた三十万近い方々が家屋の倒壊や破壊やいろんな意味で避難生活を余儀なくされておる、こういう実態に対しては、この経過から振り返ってみて、いろいろ反省され、また指摘される問題点もたくさんあった、本当に申しわけないと重く受けとめておることは、もう申し上げるまでもないわけです。  ただ、その避難生活をされている方々の姿やら、あるいはボランティアの活動やら、あるいは市、県、それから消防、警察、自衛隊等の方々が不眠不休で、みずから被災者でありながら献身的に努力されておる姿、あるいはまた被災者みずからがお互いに助け合って、協力し合ってやっている実態等々を見たときに、まあまあ救われたような気持ちも若干いたしますけれども、しかし、国の責任というものは、これはやはり生命、身体、財産といったようなものを保全する最大の責任があるわけでありますから、そういう点からしますと、本当に心の重い、胸の痛む、もう何と言っていいかわからないような責任というものを感じるだけに、これはやっぱり欠けておる点は徹底的に点検をして、見直すところは率直に見直して、そして今一番大事なことは、その今現実に困っておられる方々に対してどういう救援策ができるのか、そしてこの復旧復興対策にどうして取り組んで、皆さん方が期待できるようなものに仕上げていくのか、こういうところにむしろ重大な責任がまたかかってきておる、これだけはきちっとやっぱりやり遂げにゃいかぬ、こういう気持ちでいっぱいでございます。
  182. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 私も、繰り返しますけれども、政治家である自分も含めて、政治がこれからいろんなことについて、あるいはなすべきことについて、口だけじゃなくて本当に実行してやっていくということが本当に求められている、やらなきゃいけないということですよね。  きょうの午前中も、行政改革のことについて議論もされました。ちょっと一つ伺いたいのですが、これは去年の話ですが、去年の二月の閣議で、こう書いてあるのですね。今後の行政改革の推進方策についてということで閣議で決定をされたんです、去年の二月。そして、それについて、先ほどというか午前中のときに、総理も、当面、特殊法人、規制緩和、地方分権云々ということも重点にやりたいという話があったりした。  だからその特殊法人について聞くのですが、去年のその二月のときには、特殊法人について、認可法人も含めて、おおむね二年間をめどにして、その結果に基づき必要な措置を講ずる云々と、こう書いてあるのですね。それで、去年の十二月の閣議になりますと、見直し対象法人として、各省庁所管のすべての特殊法人として、所管の認可法人についても特殊法人に準じて見直しを行うと、こうなっているのですね。  今日、きょうも二月十日までに、あるいは三月末までに特殊法人についての云々という話をされたりしておりますが、その認可法人についてはどうなっているんでしょうか。
  183. 山口鶴男

    山口国務大臣 お答えします。  伊藤さん御指摘のとおり、前政権と申しますか、昨年の二月の行革大綱におきましては、御指摘のように、二年間をめどに特殊法人等について、すなわち認可法人も含めて見直しを行うという決定でございました。その後、村山内閣ができましてから、私ども、行政改革についてどう取り組むかということを政府部内でも議論いたしましたし、与党の三党とも相談をいたしました。その結果、与党の方からも強い御要請がありまして、この際、行政改革に積極的に取り組むという立場で、特殊法人については前倒しをして、年度内に見直しを行うという積極姿勢で対応したらどうかという意見もございまして、政府・与党首脳会議でもその点を確認をし、そうして、昨年十二月の村山内閣としての行革大綱では、御指摘のように、年度内に特殊法人は見直して、そうして認可法人についてはできるだけ速やかにということにいたした次第です。  ですから、結局これは二年をめどというのを、特殊法人については前倒しをするというので、積極的に私ども対応するという形にいたしましたために、このような表現の違いが出たということで御理解を賜りたいと存じます。
  184. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 はい、ありがとうございました。  ちょっと、その問題の前に戻りますが、さっき外務大臣、北朝鮮の云々という話ですね。ここに議事録があります。後からお渡しいたしますが、こういうふうに言ったんですよ、私が。まあいろんな、ずっとこう言っておりますが、この軽水炉転換への支援云々という話をいたしまして、そして、そのための北朝鮮の支援の問題についてどういうふうに考えますかという話をいたしました。それで、「河野国務大臣」と書いてありまして、「現在、北朝鮮とは国交もないわけでございまして、そうした問題以前の問題でございます。」というふうに、はっきりとお答えになっています。これは念のために上げておきます。――総務庁長官、どうも済みません。  先ほどの話は、真剣に取り組んで特殊法人だけについてはやろうという話なのかもしれません。しかし、私はそうじゃないと思うんですよ。せっかくそういうふうに思って、本当にこの特殊法人等の問題について考えて、それを実行しようと思ったならば、認可法人も一緒に考えるべきだと私は思います。  なぜならば、なぜならぜと言っていいんでしょうかね、私の感じから言いますと、その認可法人の場合は各所管の大臣が認可していろいろやるわけですね。例えば総務庁も、認可法人についていわばコントロールしているといいましょうか、そういう感じはありませんよね。ないんでしょう、どうですか。
  185. 山口鶴男

    山口国務大臣 認可法人につきましても、これは法律に基づいてできているわけでございまして、現在八十八認可法人ございます。中には日赤とかあるいは日本銀行とか、そういうものも入っているわけでございますが、私どもとしましては、昨年十二月、官房長官と私とで各省の大臣にお会いをいたしまして、そうして特殊法人の見直しについてお願いをいたしましたが、その際にも、認可法大もともに見直す努力はやっていただきたいということを要請をいたしました。ただ、先ほど申し上げた経過があるものですから、この行革大綱の表現は、先ほどお答えしたような表現になっておるということでございます。
  186. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今言われましたように、認可法人も極めて重要なわけですよね。なぜ認可法人も一緒に、本年度中にというふうに一緒にされなかったのでしょうか。
  187. 山口鶴男

    山口国務大臣 したがいまして、先ほどお答えいたしましたが、特殊法人と並んで認可法人についても見直すことを要請をいたしましたが、しかし先ほど来申し上げた経過がございまして、二年を目途にというのを、とにかく特殊法人だけは前倒しをしようということで、これは年度内ということなものですから、したがって、特殊法人の見直しはこれは年度内に結論を出すんですよ、そうして、特殊法人については二月十日までに見直しの結果を総務庁に報告をいただき、年度内に決着をつけるんですと。同時に、この認可法人につきましても、あわせて見直しについて努力をしてくださいということで要請をいたしておると。  経過は、今申し上げたように、特殊法人に関しては前倒しをしたという経過のために、そのような表現の違いになっておるということで御理解をいただきたいのでございます。
  188. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 私がわからないのは、いいですか、特殊法人、認可法人が、なぜ特殊法人だけを年度内というふうに考えたのか、なぜ一緒にというふうに考えなかったんだろうかという意味であります。
  189. 山口鶴男

    山口国務大臣 お答えいたします。  これは第三次行革審、御案内のように、お亡くなりになった鈴木会長が真剣に取り組まれ、特に稲盛さんが部会長で特殊法人の見直しについて努力をいたしました。いろんな経過がありまして、結局具体的な答申には至らなかったわけであります。しかし、政府においてこの問題は真剣に取り組んでほしいというのが第三次行革審の御意向だったと私ども承知をいたしております。それだけに、やはり認可法人、特殊法人ございますが、行革審の論議の経過もこれあり、特殊法人について、この際やっぱり積極的に前倒しで取り組むことがいいのではないかという判断をいたしたということでございます。
  190. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 私は、今の説明、本当にわかりにくい。わからない。  いいですか。要するに当初、去年の二月の段階でいえば、特殊法人あるいは認可法人も含めて、あのときの話としてはおおむね二年間をめどにという話でありましたけれども、両方やりましょうという話だった。総理は、これはもう行政改革は力いっぱいやろうということなんでしょう。そして、特殊法人は、まずは今年度中にという考え方ですよね。何でそのときに一緒に認可法人もしないんだろう。極めて私は、素直な感じですよね。行革をこれからやるんでしょう。これから力いっぱいやるんでしょう。時間が来たというふうに言ってきましたから後から聞きますけれども、意見だけ聞きます。  私は、言い方は悪いんですが、時としてはこういうこともあるかもしれないという意味で聞けば、認可法人の場合は各所管大臣の意図で、意図でどうでもなると言ったんじゃちょっと言い過ぎかもしれませんから、まあまあそんな感じですよね。なるから、要するにそういうおそれもあるかもしれないということでありますから、当然だと思います。  私は、もうきょうは具体的な話はあれしませんが、いつかまた別の機会に運輸省にお伺いしたいと思っていますが、運輸省に自動車事故対策センターというのがあるんですね。これは認可法人です。かつて私、予算委員会でこの団体の問題について取り組んだことはありますが、指摘したこともありますが、私はどうかなという気がいたします。  そういう意味で総理、時間がありませんから、認可法人の問題も含めて、本当に頑張ってやってください。一言伺って終わります。
  191. 村山富市

    村山内閣総理大臣 特殊法人については年度内に決着をつける、同時に認可法人についてもできるだけ速やかに見直しを実施するということをきちっと決めてあるわけです。したがって、これはもう全然やらないというんでなくて、速やかに実施するために見直しを行う。これはなぜかと申しますと、認可法人の場合には、民間にこれは直接関係のある部面が非常に多いんですね。それはもう例えば赤十字もそうですし、そういう意味で、特殊法人から見ると性格も大分違いますからね。  したがって、特殊法人だけはお互いの所管についてはそれぞれ大臣が責任を持ってやる、同時に、それが終わった後で認可法人についても速やかに見直しを行う、こういうことになっておりますから、御理解を賜りたいと思います。
  192. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 終わります。ありがとうございました。
  193. 河野洋平

    河野国務大臣 先ほど伊藤委員から私の十月十二日の発言についてお尋ねがございまして、私ちょっと失念をしておりましたが、速記録をお届けをいただきましたので拝見をしましたが、ここでは伊藤委員から、日本のODA大綱の中にはこれこれの原則があるぞ、この原則との関連で北朝鮮支援の問題についてはどう考えるか、こういうお尋ねでございました。そこで私は、ODAで北朝鮮の支援とかいうことは、現在、北朝鮮とは国交もないわけでございまして、そうした問題以前の問題です、こういうふうに答えたわけでございます。  脈絡はそういう脈絡でのお答えであることをちょっと御説明をさしていただきます。
  194. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて伊藤君の質疑は終了いたしました。  次に、吹田愰君
  195. 吹田愰

    吹田委員 これから私も通告に従いまして質問をさせていただきますが、主として総理にお伺いするんですけれども、テレビで私はずっと見ておりますが、テレビで見る限り、総理はそんなに疲れたような顔には見えないんですよね。ところが、ここへ来てみると、あなたが随分疲れている顔が見えますので、余り厳しくやっても、これは武士の情けで穏やかにやりますから、ひとつそのつもりで親切にお答えを願いたいと思います。  まず、災害の問題でありますが、災害の問題につきましてはいろいろともう繰り返し出ておりますから多くを申しませんが、特に犠牲になられた方々の御冥福、あるいは被災者方々に対するお見舞い、こういったことにつきまして、まず最初に私からも申し上げておきたいと思います。  この震災につきましては、随分と初動の段階でこれがおくれた。そうして、特に危機管理というものにつきましての意識の欠如というようなものにつきましての結果から見れば、想像以上に被害増大したというふうに内外のマスコミは言っているのであります。私もそう言いますけれども、内外のマスコミがそう言っているんですよ。そういった、筆をきわめて報道しております状況というもの、また国会の中で、連日各議員からこのことにつきまして、このおくれの原因はずばり村山総理その人にその責任はあるんだ、こう言っているわけであります。その辺……(発言する者あり)静かにしろ。  しかし、このことを私は幾ら繰り返してみたところで、取り戻すことのできる話ではないのであります。したがいまして、今現時点で何をなすべきかということにつきまして、まず当局は、この当面の問題として被災者の救済、その具体策、例えばいろいろと小里担当相が行ってやっておりますが、瓦れきの処分の問題、こういった問題等、最低条件の衣食住、こういったことにつきましての緊急対策、さらには被害民の方々の精神的な安堵感、こういうものを取り戻す行為に全力を尽くすことであると私は思うんですね。  正直に言って、政府も数日前から、若干ではありますが、エンジンがかかってきたなというふうに、私はその姿勢を認めます。しかしながら、まだまだ右往左往しておるような関係も見えないわけでもありませんが、いずれにしましても、善政として行っておる問題につきましては、私は陰ながら拍手を送っております。  私は、対策の手順につきまして私なりに考えてみると、当面、緊急対策としての特別立法の問題、これを含めての、特別立法を含めての緊急対策、こういった問題、あるいは七年度という単年度、単年度でやらなければならない対策の問題、さらには三、四年の短期にかけてこの計画を遂行していくという短期の計画の問題、さらには中長期という新しい新都市計画を含む復興計画、こういったことに分類されるんではないかと思うのであります。  きょうの新聞等見ますと、緊急のこの特別立法については二段階というような方式を考えようかなというようなことが出ておりますが、そういったことになっておるのかどうか、その点につきましても、私はこの際、伺っておかなきゃならぬと思うのであります。そういう意味で、ひとつ総理からこの点についてまずお答えを願いたいと思います。
  196. 村山富市

    村山内閣総理大臣 たびたび私はこの委員会、集中審議の際にも申し上げましたけれども、やっぱりこれだけの大災害をもたらした、しかも五千人を超すとうとい命をなくした、あるいはまた三十万近い方々が避難生活を余儀なくされておる、もうぎりぎりその限界に来ているんではないかというようなことを考えますと、どのような、これまでのやってきたことに対する批判も甘んじて受けなければならぬと思いますし、その責任というものは、最高責任者として重く受けとめなきゃならぬという気持ちはもう申し上げるまでもございません。  御指摘もございましたように、まだ避難生活をされている方が二十六万を超す数があるわけです。これは仮設住宅をつくったり、それから近辺の県やら町村にお願いして公団公社の住宅あたりも開放してもらうとか、あるいは旅館やホテルも使わしてもらうとか、あるいはまた郵政関係なんかもできるだけ動員をして協力してもらうとか、いろいろな施策を講じておりますけれども、しかし、まだまだ二十六万余の方が避難生活をされておる。  もうぎりぎりの限界に来ているのではないかというふうに思われますから、こういう状態にある方々をできるだけ分散をしていただいて、そして、それなりに不自由があり難儀があると思いますけれども、落ちついた生活ができるような条件をどうしてつくっていくかということに、最大限の力を注いでいくということも大事なことだと思います。  それから、今御指摘もございましたように、まだ壊れかかった家屋もあるし、ビルもあるし、それから瓦れきが山ほど積まれておる。私は、やはり被災者から見れば、この瓦れきの積まれた現状を見て、絶望的になると思うのですよね。ですから、そういう意味から申し上げますと、この瓦れきをどうして早く片づけるかということもやはり緊急、被災者にとっても大事なことではないかというふうに思いますから、それらについても総力を結集し、皆さん方の御協力もいただきながら、何とか早く片をつける必要があるというふうに思っております。  これからまた復旧復興に入るわけでありますが、現状に照らして、今申し上げましたような緊急にしなければならぬことで、現行法の体系、今の制度の中でやれることは精いっぱいやってみる、それでなおかつできない部面があるとすれば、それはまたこの法律の改正をするなり、あるいは特別立法を考えるなりして対応していかなければならぬ。  同時に、復旧復興についてもこれからまた難しい問題が起こってくると思いますが、これは恐らく都市計画なんかは県なり市が中心になってやられると思いますけれども、しかし、それは県、市に任せるわけにはまいりませんから、県と市と国が一体となってやれるような復興対策というものは、今の法体系の中で十分やれるのかどうかというようなことを考えた場合に、なかなかそうはいかぬと思いますね。  これはやはり縦割りでやるのではなくて、一元的に調整しながら総体的に取り組めるような体制というものも考えたらどうか、こういうような意見も出ておりますから、したがって、そういう部面における特別立法の必要もあるのではないかというようなことも検討しながら、可能な限り地元の要請にもこたえて、そして復興が可能になるような道筋というものを明確にすることが大事ではないかというので、全力を挙げて取り組んでおるというのが現状でございます。
  197. 吹田愰

    吹田委員 そのためにも、総理、早期に特別立法というものをとにもかくにもやる。この対策を準備されつつあると思いますが、これを早くひとつやはり国政の場へ出してくる、国会の場へ出してくる。そうして、大型補正の提案を急がなければならぬ、大型補正予算の提案も一日も早くやっていただかなければならぬ、こう思っているわけであります。結局、正直に申しまして、率直な話が、最終的にはお金の問題になってくるのですよ、財政の問題になってくるのですよ。  そういうことを考えますと、非常に私は、急を要する、しかもこれは思い切って、今総理のお言葉をそのままいただければ、これは本当にあとう限りの努力をするという不退転の決意を、大蔵省に対してもしっかりと踏まえてもらわなければならぬと思うのですね。  一月三十日、一昨日の話ですが、兵庫県の芦尾副知事が総理のところに強い要望として持ってこられたことを私はマスコミから伺いましたが、この内容は、復興都市基盤整備事業のみで八兆五千五百十八億というわけですよね。なお、これを円滑に進めるためにも新規立法や法改正、財政支援というものを求める、こういうことを言っているわけですね。  私は、少なくとも、こんなお金ではできない、十兆円以上というお金をこれは当面どうしても考えていかなければならぬことになってくるだろう、こういうふうに思いますし、そういったことを考えますと、この際、私は、総理が現時点で緊急を要するこの予算対策について、国民の前に明らかにしてもらわなければならぬと思うのですね。  そこについて私から提案いたしますが、当面次のような問題が考えられると思うのですが、その第一は、今いろいろと言われておりますように、六年度の第二次補正の問題、これをできるだけ早く、早期にできるだけの金を組むということが出ておりますが、これにしましても、六年度というのは、二月に通りましても現実には三月しかないのでありますし、それを明許繰り越しをいたしましても六月以前までに終わらなければならぬ、こういうことになってまいりましょうが、そういったことを考えますと、これは限界があるのですよね。六年度の補正というのは、従来から限界がある。  そうしますと、七年度の当初予算ということになりますが、この組み替えは恐らく考えていないんだろうと思うのですよ。今の七年度の当初予算というものは、震災予算は全然ゼロですから、これは何にも考えていないわけですから、これは無理ですから、これは組み替えれば別ですけれども、組み替える意思がなければこれはだめだ。  ということになれば、七年度の第一次補正というものを早急に対策を立てなければならぬ、これが大幅になってこなければならぬ、こう思うのですよ。さもなくんば、特別会計という制度を新たにつくるかどうか、そういった問題があると私は思うのですね。  こういった問題で、どういうふうな形でこれらの四点についてあなたは対応しようとしておるのか、あるいは今日決まっておらぬけれども、こういう検討をしておるのですよということがあるとすれば、この際、被災者の前に明らかにしてもらいたいということをまず申し上げておきたい。
  198. 村山富市

    村山内閣総理大臣 大蔵大臣が今退席していますから……。  これまでもそういう御質問もいただきまして、とりあえず今もう第一次補正は出しているわけですから、これは全然震災のことは入っていませんから、したがって、地震、この災害に対する第二次補正というものは可能な限り早急に作成をして、国会で審議していただくということが大事ではないか。それから、今当初予算の審議については、この場でされておるわけですね。したがって、この当初予算というのは、それは地震という要素を全然想定していません。したがって、全般的な景気の浮揚とか、それから福祉の予算とか、そういう国政全体に対するものも含まれておるわけですから、これはこれで重要な任務を持っていますから、一日も早く成立を図っていただくということが大事ではないか。  同時に、先ほど来議論されておりまするように、これから復旧復興という段階に入れば相当多額の金が必要になるわけですから、そういう意味における第一次補正というものも早急に考えていく必要があるというので、今大蔵省にしりをたたいて頑張ってもらっておる、こういう状況にあるということだけは御報告を申し上げておきたいと思います。     〔委員長退席、三野委員長代理着席〕
  199. 吹田愰

    吹田委員 私は、この場合、やはり大幅な国債を発行して大胆な編成方針を立てるべきであると思う。昨日でしたか、新聞を見ますと、野中自治大臣が基金の問題で非常にいい発言をしておりますが、これは当時、私も自治大臣として、あの雲仙の問題のときに五百億の基金をつくって、当時の長崎県知事に渡しまして、十年間の金利を先取りしてこれを使えば会計検査の対象にもならないし、最も有効に使えるということを言って、当時やって、自治省が非常に頑張ってくれたことを覚えているのですが、それをさらに、今度は大幅に三千億ということでの基金造成云々ということを言っておりますが、私はすばらしい、いいことだと思いますし、さらにまだこれは一歩進めていかなければならぬと思うのですね。  これは、自治大臣への質問につきましてはまた地方行政委員会でやりますので、ここは総理に集中していきたいと思いますから、この程度であれしますが、私はこういった思い切った予算を組めなどということを言いますと、何だ、野党だから無責任な勝手な発言をしておるというふうに受けとめられるかもわかりませんけれども、そもそも論になりますと、国家とは何ぞや、政府とはだれのためにあるんだ、政治は何だということになりますと、この機会にやはり総理は、画竜点睛を欠くようなことがあってはならない、思い切った行動をとらなければならぬですね。  そういう意味で頑張っていただきたいと思いますし、そうであるとすれば、私は、全力を挙げてそういった災害対策に対しての、救援活動に対しての、あなたが命がけでやるという姿が私の眼や私の体で感ずることがあるとすれば、全面的に応援しなきゃならぬ、理解していかなきゃならぬ、こう思っておるわけでありますから、ぜひひとつこの問題につきましては思い切っでやってもらいたい。  ところが、この震災直後の始動について、先ほど申し上げましたように、極めて大きな責任問題になっておるということも事実でありますが、それにしても、仄聞するところによりますと、大蔵省の財政健全化論に大蔵大臣や総理大臣が全く元気をなくしているというふうに私は聞くのですけれども、本日のマスコミでも首相の発言は大きく揺れておるということを言っております。  首相、いかがですか。朝令暮改じゃ困りますよ。言ったことがひっくり返ったんじゃ困りますから。そういう点について、この際大蔵省のそういう財政健全化論というものに大きく左右されるということがあってはなりませんから、総理としてのリーダーシップを発揮して、この際、さっき申し上げた大原則に立って頑張っていただきたいと思うのですが、もう一言お願いします。
  200. 村山富市

    村山内閣総理大臣 揺れておるというのは、どういう意味で揺れておるのか私にはちょっと理解できませんけれども、これは例えば一つの例を申し上げますと、復興債という話がありましたね。復興債というのも一つの意見としてあります。しかし、何といいますか、金融界に及ぼす影響があったりいろいろいたしますから、いろんな角度からいろんな意見があって検討している段階です、こう言ったら、復興債前向きかといって新聞に書いて、あれはそうじゃなくてこういうことだ、こう言ったら、もうまた一歩後退かとか、そういうふうに書かれるんですよ。  ですから、私は最近ちょっと口が重くなっているつもりなのですけれども、揺れていることはありませんよ。ないし、これは大蔵大臣も同じ気持ちだと思いますけれども、これは政治家として、こういう事態に直面してもういろいろ言っているわけにはいかぬ、やれることはもう最大限やり尽くそうじゃないか、こういう決意で取り組んでいることは、もう私は人後に落ちない決意でやっているつもりですから、そのように受けとめて御理解をいただきたいと思うのです。
  201. 武村正義

    ○武村国務大臣 今の総理のお言葉のように、連日村山総理からは文字どおり万難を排して財政対応もやってくれという指示を受けておりまして、私も、この議会でも一貫して、まさに非常の災害でありますから非常の対応をしなければいけない、最善を尽くしますということを申し上げているわけであります。  財政均衡論を振りかざして災害のための必要な財源を渋るというふうな考えは全く持っておりませんので、御了解いただきたいと思います。
  202. 吹田愰

    吹田委員 それでは、災害問題は以上にしまして、今度は私の昔からの持論でありますが、我が国の会計年度についてお伺いしたいと思うのですが、総理、まずこの会計年度という定義をひとつ教えてください。
  203. 三野優美

    ○三野委員長代理 武村大蔵大臣。
  204. 吹田愰

    吹田委員 大蔵大臣じゃないんだ、総理に聞いておる、総理。聞いた人にちゃんと答弁してもらわなきゃやりませんから、次。いや、あなただめだ、総理の。だめです、だめ。問うたとおりに、時間がもったいない。
  205. 武村正義

    ○武村国務大臣 我が国の会計年度は、毎年四月一日に始まって翌年の三月三十一日までというふうに認識をいたします。
  206. 村山富市

    村山内閣総理大臣 これは私が答弁しても同じだと思いますけれども、これは財政法で会計年度というのは決められておるわけですね。四月一日から翌年の三月三十一日まで、これが会計年度になっているわけでありますから、そのように御理解をいただきたいと思うのです。
  207. 吹田愰

    吹田委員 私は年度を、いつからいつだということを聞いているんじゃないんだ。定義ですから。少なくとも私から、私が調査した範囲内からすれば、収入及び支出の区分、整理したその期間を明らかにするんだということになっておるのでありまして、たまたま具体的には四月一日で、翌年の三月三十一日、こうなるんですよ、そうでしょう。我が国の会計年度が、財政法上からいって、第十一条の国の会計年度というのはそういうように書いてあるんですよ。これは私も知って聞いておるわけですから。  そこでお伺いしますけれども、なぜ日本の場合は、我が国の場合は、総理、四月一日に始まって三月三十一日に終わることになっておるのか、この点をまずお答えください。
  208. 村山富市

    村山内閣総理大臣 これは財政法の「会計年度」、第十一条で「国の会計年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終るものとする。」と法律で決められているわけです。
  209. 吹田愰

    吹田委員 このことにつきましては余り明らかな文献がないんですよ。どういうわけで四月一日に始まって三月三十一日に終わったかというのはないんですよ。どうも地租であろうか、地租の関係でそういうふうに決めたんではないかというふうに言われておるのですよ、言われておる。  しかし、私は私なりに調査をしておりますが、それはまた後ほど申し上げるとして、長い歴史の中で、我が国の歴史の中で、明治以来会計年度の改正がたびたび行われているんですよ。それは、まず慶応三年の十二月に旧制の暦年制をとっておるんですよ、暦年制。暦年制というのは一月一日に始まって十二月三十一日に終わる話ですから。ところが、明治二年の九月には、十月から九月制をとっているんですね。それから、明治五年の十一月には再び六年度から暦年制にまた戻しているんですね。戻しているんですよ、暦年制に。そして、明治七年の十月には、七月から六月制をとっております。七月に始まって六月に終わるというのをとっていますね。そして明治十九年に、今の、四月に始まり、翌年の三月三十一日、こうなっているんですよ。  時あたかも、その初代の内閣総理大臣は我が長州の伊藤公であります、伊藤博文公であります。この方がその当時に決定をしておるのでありますけれども、私は先ほど申し上げたように、地租だけでそうなったのかどうかということでいろいろと国会図書館その他も探しておりますが、なかなかないんですが、私の先輩なんかから伺っておるところからいたしますと、調査内容とその伺った内容等から見ますと、どうも長州の気候風土に合わせておる、その四月は。そういったことが言われておるんですよ。  ここに長州出身の、内閣におる高村国務大臣おられますが、亡くなられたけれども、高村さんのお父さんなんかというのは、これはちゃんと知っているんですよ、これは。古い、内務省に勤めた役人の方々は、知っているんですよ。ですから、私はこういったことがもしも現実の問題であるとすれば、これは私は大変なことだと思うのですね。  そういったことを踏まえまして、今までに第八十回国会、五十二年に川合君がこれを質問しております。改正したらどうですかということをやっている。さらに六十一年の、私が第百七国会でもやっております。その後、北海道の中川昭一君がさらに平成五年にこのことについても言っております。そうして、平成六年の五月には第百二十九国会で田名部君もこれを質問しておるんですね。ながながしかし、政府がそれに対して、検討します、検討しますの答えなんですよ、今までは。  なぜ私がこういったことを申し上げるかといいますと、この会計年度の改革については、過去の暦年制を改めるという主張について、御承知のように、我が国の日本列島というもの、非常に南北に長いですね、これは。二千八百キロもありますね。そういった点からいたしますと、その気候、風土、そういった気象条件が非常に大きく違うわけですよ。こういった地理的条件とか気象条件のもとで、現在の四月一日に始まって三月三十一日に終わるという会計年度については、村山総理が国策上から非常に不合理があるなというような感じを持たれたことかあるのかどうか。  公共事業というものが国内における景気対策にも大きく今日は影響しております。もちろん、インフラ整備の問題でありますけれども、国内の景気対策あるいは雇用問題、こういったことにすべて影響しておるのでありますが、この影響しておる問題につきまして、総理は非常に暖かいところに、あなたは私どもと同じように、九州の大分ですからね、今まで感じ取っておられたであろうかどうであろうかということについて、まずその感じとしてお答えいただけますか。
  210. 村山富市

    村山内閣総理大臣 会計年度というのは、私が調べたところによりますと、もう百年にわたって長い慣習として定着しておる。国の予算というのは、経済やらあるいは国民生活やらいろいろな部面に重大な関連があるわけでありますから、ある意味では、民間の会社が事業計画をするのにやはり国の会計年度等々を考えながら、前提にしてこの事業計画を立てるというようなこともあると思いますし、これはやはり会計年度を変えるということは、そんな意味ではいろいろな意味における影響があるのではないかと思うのです。  そのために、今御指摘のような、例えば寒冷地と九州のような暖かいところとはそれぞれ気候、風土も違いますし、それのまた対応の仕方が変わってきてもいいのではないか、そんなものに柔軟に対応できるようなことをもっと考えるならば、今の会計年度には問題があるのではないかと、こういう御意見もいろいろな角度から私はあるのではないかと思うのですよ。  そういう意味で、会計を運用する運用の仕方として、例えば債務負担行為というようなこともありますし、繰越制度もありますし、いろいろなそういう意味では補完をする制度、仕組みというものがやはり考えられてつくられてきているのではないかというふうに思いますから、そういう点も十分活用することによって充足できるのではないか。まあまあ、もちろんそれですべて完全だと言えないいろいろなものもあると思いますけれども、しかし、まあまあこの会計年度というのはそう右から左に簡単に変えられるものではないのではないだろうかというふうに私は認識をいたしております。
  211. 吹田愰

    吹田委員 そのことは、私が質問したときも、中曽根当時の総理もそう言いました。あなたと同じような答弁をしましたよ。しかし、検討するという言葉がついていただけ、あなたよりまだ進歩しておった。  私は、今このことについては、総理もおっしゃるようにいろいろな影響が出ることは知っていますよ。全然知らないで申し上げておるのではない。しかし、百年間、北海道あるいは東北地方、北陸地方、内陸部、きょうここにいらっしゃいますけれども、五十嵐さんのところもそうですけれども、あるいは田中眞紀子さんのところは新潟だし、それはもう随分と条件が、そういう面では積雪寒冷地帯であれだと思いますよ。  そういうことからしますと、公共事業だけで云々とは言いませんけれども、四月に始まって直ちに仕事に入れればいいのですけれども、なかなか実際問題、地方公共団体が工事を発注するのは六月ごろになっちゃうのですよ。そうして、もう既に十一月になりますと、これは官房長官一番御存じですけれども、もう仕事に入れない、雪で入れない。そういったことを考えますと、非常に短期間しかないのですよ。ところが、総理の地元なんかというのは三百六十五日やれるわけだ。そこで随分と大きな格差ができてくるのですよ。一年ではわずかですけれども、戦後五十年という半世紀にはこんな大きな格差になるのですよ、雇用問題を初めとして。  特に、今日ほど我が国が、公共事業というものによって地域の全体の格差をなくそうという景気対策問題を含めて考えた場合には、私は、暦年制にしますと、例えば暦年制にするとしますと、十一月、十二月に国会が開かれて予算が決まっていくという間は、これ、外では仕事できませんから、東北、北陸方面で、地方公共団体も。そうして一月、二月には、仕事ができない期間を新年度に入りましても室内で準備作業をする。三月に入れば一斉に屋外に出て現実の工事に入っていくということになってまいりますと、随分大きな格差が出るのですよ、これは。今の四月に始まるというのとは大きく違いますよ。  同時に、あの寒い冬に工事をやりますと随分と大きなミスが出てくるのですよ。コンクリートの問題なんかというのを、打ち込むのには、あの寒いときはとてもじゃありませんけれども大変な技術が要るんだというふうに私も現場で聞いております。  そういったこと等を考えてまいりますと、やはり私はこの際、会計年度というものも考えることができるものならば、時あたかも行政改革の時期でもあります。そういったことからいたしますと、私はこの暦年制というものを取り上げるのが適当ではないかなというふうに思っているのですよ。なお一層のこの格差というものと不公平さというものが地域によって出てくるのですね。出てくるのですよ。そういった点からあえて私はこのことを、今回二回目ですけれども、かつて中曽根総理に質問した、そして今村山総理にこれを投げかけておるわけですけれども、もう少し前向きな話を考えていただけませんか。  私は、ぜひこれは、かつてのことからいたしましても、私どもの山口県が若干なりとも影響があったんだということになれば、罪滅ぼしをしても、私は政治家としてこれは良心的に頑張っていかなきゃならぬ問題じゃないかと思うのですよ。そういう意味からまじめな話として実は申し上げておるわけでありまして、この古い制度の不合理性というものにつきまして総理から前向きの御答弁がいただきたいのですが、いかがでしょうか。
  212. 村山富市

    村山内閣総理大臣 たまたま、私は中曽根先生の答弁は全然見ていませんけれども、たまたままた同じような御答弁があって、違うのは、中曽根先輩は検討すると言われたけれども、それだけが欠けておる、こういうお話でしたけれども、確かに寒冷地と九州とを比べると、一年間を通じて仕事のできる期間というのは大分違いがあると思いますね。今御指摘のあったような具体的なこともやはりあり得るのではないかということは、本当に私もお話を聞いてみてそういう面もあるのだなと思いましたが、貴重な意見として拝聴させていただきました。
  213. 吹田愰

    吹田委員 貴重な意見として拝聴するというのじゃ困るのですよ。前向きでどうですか。  それじゃ、官房長官にお伺いしましょう。
  214. 五十嵐広三

    ○五十嵐国務大臣 お話をお伺いしながら大変思うところもございました。また、自治大臣をお務めの折に全国などをごらんになられて、さらにその意を深くされたのではないかというふうに思います。  お話しのように、日本列島というのは二千数百キロございまして、広さでいえば世界の中でそう大きいものじゃないですが、南北の長さでいうと世界の列国の中でも相当長い方であります。ですから、我々よく子供のころのことを考えてみて、「サイタ サイタ サクラガサイタ」というのは、我々の時代には小学校の一年生のときの本であったのですが、しかし北海道では、まだだまだだ、桜はまだだということになりますし、九州の方では、散った散った、桜は散ったということになる。ですから、そういう点では本当に随分いろいろ差があるのだろうと思います。  やはり積雪の地域が日本列島のうちのやや三分の一以上あるわけでありますから、そんな意味ではお話しのような点を、殊に我々はそういうところに住んでおりまして感じているところで、ただ、こういう構想を持っていくとすれば、相当長期の計画を立て議論をし、国民的な合意の中で進めていかなくちゃいけぬと思いますから、例えば二十一世紀を目指して二十世紀中ぐらいにそんな議論をしていこうではないかというようなことをお考えになって今のお話なんかあったのではないかというふうに今思いますけれども、総理がお話しのように、貴重な御意見として私も本当に受けとめさせていただいたような次第であります。
  215. 吹田愰

    吹田委員 今、官房長官は現に北海道の非常に雪の深いところにその拠点を持っておられただけに、私の申し上げておることはよくわかっていただけると思いますが、ただ、総理もそうですが、二十一世紀中にというとこれは百年あるんですよ。二十一世紀の当初までにとかあるいは十年以内にとかいう話ならわかりますが、今の五十嵐官房長官の話は二十一世紀中にというんですが、だれがこの中に、二十一世紀中まで生きておる人がおりますか。そんな話は、ちょっと私はまじめな話として、お答えとして受けとめられないんですね。  今まさに行政改革というときだし、地方分権という時期だし、こういったことを考えますと、そういった内陸部とか、私の山口県にも内陸部があるんです。中国山脈という筋を通っておる内陸部がありますが、そういったところと我々のところでは随分と格差が出ているんですよ。隣の広島県だってそうですよね。そういうことをずっと考えていきますと、内陸部と東北、北陸、北海道というような積雪寒冷の厳しい地域について、それでは何かの別途の方法を考えるかということが別にあるとすれば、それはまた別ですよ。総理がさっきおっしゃるように、特別にまた工夫してみるかということも考えなきゃなりませんなと言っておりますが、それならそれでまた私もわかるわけですよ。  そうでないとすれば、それは難しいことだとすれば、会計年度の問題を変えることにはいろいろな問題が出てくることはわかります。わかりますけれども、これから、例えば二十一世紀に入るまで五年ありますから、この間にひとつ研究するか、一応の第一段階の研究を始めてみようではないか、こんなことぐらいはこの際お答えがいただけなければ、私も二度目のこれは質問ですが、本当に残念なんですね。私のところには直接に関係はないわけですよ。ないんだけれども、さっき申し上げたようなこと等もあり、この際私は、行政改革と地方分権をかかわらせずに、後ほど地方分権についてもお尋ねしますが、それをひっ提げて出ておる村山内閣としては、ここで前向きの答弁がなければ、貴重な意見として承りましたなどというような話ではこれはいただけませんね。
  216. 村山富市

    村山内閣総理大臣 会計年度というのはそれぞれの国の沿革があって決められていると思うんですね。今聞きましたら、アメリカの場合には十月から九月ですかね、何かそういうことで決められておるというお話も聞きましたけれども、百年から定着をしてやられてきておるこの経緯から見て、地方自治体もそうだと思いますけれども、国の予算の決め方に準じて地方自治体もすべて決められておる。だから、国だけで変えれば済むという問題でもないと私は思いますね。しかも、いろんな影響も大きいわけですから。ですから、そういうものを補う意味で債務負担行為とか繰越制度とか、そういうものも考えられてきておるんではないかというように思います。  しかし、確かに御指摘のように、繰り返しますけれども、北海道と九州で比較した場合に、同じ公共事業をするにしてももう北海道の方はわずかな期間しかできない。したがって、今の会計年度からすると、発注されてみても仕事ができる期間の量というものは九州と北海道では大変な違いがある、それは矛盾があるではないかというようなことからすれば、確かに会計年度が満遍なく公平に施行されるという面からすれば、問題点が全然ないとは私は言えないと思いますね。  しかし、今申し上げましたように、余りにも影響が各般にわたって大きいものですから、そう簡単に右から左に、それじゃこうしたらどうですか、こういう方法があるじゃないですかというようなことを今ここでなかなか答弁ができにくいんですけれども、しかし、言われましたような点について、幾らか今の会計年度の中で工夫を凝らして、そういうものを補うような方法があるとすれば、そんな方法は検討してみてもいいんではないかというふうに私は思います。
  217. 吹田愰

    吹田委員 さっき申し上げましたように、当時私が質問しましたことにつきましても、議事録を見ますと、中川昭一君が質問したことに対しましても、当時の総理や大蔵大臣はあなたよりははるかに進んだ答弁ですよ。検討します、検討してみますという答弁。私のときは宮澤さんが大蔵大臣で、総理の答えと宮澤さんの答えは、検討してみますと、こういうことですよ。まあ検討しておるんだろうと思いますよ、まだ。それにしても、あなたの答弁よりは進んでいるでしょう。どうですか。それは私は、少なくともこれだけ御理解があるのなら、いずれにしましても、どこかでこれを検討さすと、どこかで検討だけはするということにしていただかなければ、このままで私もそうですかというわけにはいかないですよ、総理。どうですか。大蔵大臣でもいいですよ、答えは。どうですか。
  218. 武村正義

    ○武村国務大臣 伺っておりまして、本当に積雪寒冷地帯における公共事業の問題や、国際的に比較するとどういうことになるのか私もよくわかりませんが、あるいは暦年の国が多いのかもしれません。いろいろなことを考えて吹田議員の御主張は、我が国の既存の制度を変えていく大変大事なテーマを御指摘いただいているというふうに認識をさしていただきました。  しかし、総理も申し上げておりますように、百年以上の長きにわたって今の会計制度がこの国で進められてきたわけでございますから、社会経済の面も含めて、どっしりこの制度が根づいているだけに、これを変えるということは容易でないという認識をまずまじめな意味で私ども持つわけであります。そのことが勇気を起こして前向きに検討という言葉をちゅうちょすることになっているわけでありますが、私ども担当省としましては、今申し上げたそもそも外国がどうなのかということから調査検討は当然していいテーマだと思いますし、そんな意味では大蔵省としては、きょうの御発言を受けてさらに勉強をし、調査検討をさしていただきます。
  219. 吹田愰

    吹田委員 大蔵大臣が大蔵省で調査検討してみるということでありますから、これはそれなりに私も評価いたします。ただ、外国の例はどうかということになりますが、それは私はもう全部知っているんですよ。調査していますから、資料皆持っています。持っていますが、確かに暦年制がかなりふえてきた。だんだんとふえてきております。  そういうことからいたしましても、それはその国々の地球上における気候状況、地理的条件、皆違いますから、一律に全部どうこうということになりませんよね。なりませんけれども、少なくとも我が国の状態からすれば、先ほど官房長官もいみじくも、世界で最も長い類に属する列島である。というようなことからいたしましても、そういったことは検討の価値が私はあるというふうに思います。  総理、この点はひとつ、あなたも暖かいところへ住んでおられますが、大分県だって、ずっと山手に入ればかなり積雪寒冷地帯に近いようなところもあるんですよ。ですから、やはりこういったことを考えてみると、あなたの出身地である大分市やなんかと比較しますと随分違うと思うんですよ。ですから、それは土地条件の違いから、あるいは交通条件の違いからいろいろの僻地的な要素もありますけれども、今のような自然環境からくるものに対して、人為的にこれに一つの挑戦をしていくということは一つの方法じゃないかと思うんですよ。  そういう意味で、この際、これは私がせっかく提案しておることでもありますし、今後私は国会議員として次々とこれを提案することになっていくと思うんですよ、こういう地域から。ですから、ぜひひとつ御理解を願いたい、こう思っております。  それでは次に入りますが、地方分権について、これも本来なら詳しくいたしたいのでありますが、時間もありませんから、さらっと質問することになりますが、一昨年の六月の国会決議というもの以来、その決議がありまして以来というものは、地方分権の積極的な推進を求める声というものは非常に高まってまいりました。私どもも、私の経験からいたしましても、私は昭和二十年代の地方自治体の首長をやりましたけれども、それから四十年になっていますが、その時代から、地方の時代をつくろうということは言っていたのですね。なかなかそれは言うべくしてできる話じゃないということで、今の暦年制と同じように一蹴されておったんですよ。一蹴されたんですよ。  しかしながら、ようやくにしてこういう声が現実味を増してきたということで、村山内閣としてどのように取り組んでいかれる考えであるかどうかということについてお伺いするのでありますが、与党の一部については、私どもが調査した資料からいきましても、地方分権推進について極めて消極的な意見があるというふうに思っております。自社さきがけの連立政権というものは、地方分権というものを本気で推進しようとしておるのかどうかということについてまずお答え願いたいのですが。
  220. 村山富市

    村山内閣総理大臣 もうこれまで委員会でいろいろな経過についてはお話がありましたから、取り組みの私の決意だけは申し上げておきたいと思うのですけれども、これは今委員からも御指摘がございましたように、地方の時代という言葉が使われ出してからもう随分長いのですよね。だけれども、具体的に中身としては余り前進がないわけです。一部的に改善された面はありますけれども、しかし本格的に地方分権というものが少しでも確立されたかといえばそうは言えないと思います。  今お話もございましたように、衆参両院の国会でも決議をされていることですし、同時に地方制度調査会からも答申がございますし、さらにまた地方六団体からも強い分権の援言もいただいております。  したがって、内閣としても地方分権大綱というものをこしらえまして、その大綱に基づいて今作業を進めているわけでありますが、国としてやらなければならぬ責任分野と地方自治体が受け持つべき責任分野、同時に、可能な限り、やはり地方には地方の特性があるわけですから、その特性を生かした形で自主的に町づくりができるような仕組みというものを考えていく必要がある。そのためには、税財源についてもそれに見合ったものに改革をしていく必要があるというふうに思いますので、この国会には地方分権の推進に関する法律も出して、そして具体的に地方分権が推進される足がかりを何とかしてこの国会でつけたい、こう思って今準備をしているということについて御理解を賜りたいと思います。
  221. 吹田愰

    吹田委員 よくわかりました。  それでは、地方分権の推進の障害ですね、推進に当たっての障害になるもの、何でしょうか。私はいろいろと障害になるものがあると思う。その中で、今日までの動きの中で私が申し上げるとすれば、中央省庁の中にこの地方分権大綱の作成の場面でも骨抜きにしようということの動きが大幅にありましたよね。これは御存じと思いますよ、総理の口からは言えないでしょうが。私から言えばありました。具体的に言えというなら言いますけれども、そういう動きがあります。そういう役所があるわけですよ、今日。  これはわかりますよ。今の縦割り行政と官僚行政の中で考えれば、当然役所としては抵抗があります。中央集権を排除する、一極集中を排除して、多極分散というか、いわゆる地方分権を確立をしていこうというわけですから、財政面からも行政面からもやっていこうというわけですから、中央集権の今の制度をとっておる官僚の立場からいえば、これは反対が多いのは当然だと思うのですよ。自分たちの権利擁護のためにもそうなるのですよ、今までの教育がそういう教育を受けてきたのですから。  しかしながら、そういう反対する中央省庁というものについての論理で地方分権が反対されたんじゃ困るわけですね。私は、そういった面からひとつ総理の強いリーダーシップをここで必要とするのではないか、こう思っておりますが、いま一度、総理の所信というか信念というか、そういう面についてひとつ私どもに聞かせていただきたいと思います。
  222. 村山富市

    村山内閣総理大臣 吹田委員も首長の経験をされておるわけですね。私も長い期間地方議会の経験を踏まえてまいりました。何を決めるにしても中央に陳情して、そして中央から認証してもらわなければ仕事ができない。こういう仕組みになってまいりますと、私が常に感じますのは、地方自治体が予算を編成する場合に、国の予算が決まらないと地方の予算も決められない。それだけ中央の財政の地方自治体に及ぼす影響というのは大きいわけですね。そうしますと、どうしても中央が決めた仕事の分野の中で地方自治体の仕事も決められていく、こういうふうになってまいりますと、すべてがやはり画一的になっていく、こういう弊害というものを私は地方議員で予算審議をする際に痛切に感じてまいりました。  そういう面から考えてまいりましても、これは、自治権というのは憲法でも保障されているわけですから、したがって、その憲法で保障された自治権というものが行財政的にもきちっと裏づけられて保障されるということが何よりも大事ではないかというふうに思っておりますから、私はもう地方議員を経験して国会議員になっておるときから一貫をしてやはり分権をやるべきだ、こういう決意で取り組んできておりますから、これは私だけではなくて内閣が大綱を決めて、内閣が一体となって地方分権を推進をしていくということは決めておるわけでありますから、内閣の課題として一体となって取り組んでいくという決意には変わりはないということを申し上げておきたいと思うのです。
  223. 吹田愰

    吹田委員 この際、大蔵大臣にも、あなたも地方の首長もやられたわけでありますし、特に自治省出身でもありますし、この点についてあなたの考え方というものも、恐らく総理と同じ気持ちでおられるのだろうと思いますが、ひとつここで表明していただきたいと思います。
  224. 武村正義

    ○武村国務大臣 総理と全く同じ心情で、同じ考え方でこの問題に取り組んでいきたいと思っている一人でございます。  憲法の議論あるいは権限の地方への移譲、それに伴う財源の移譲ということでありますが、同時にやはり人材といいますか人の異動、シフトも地方分権の議論の中には一つの柱として考えなければいけないというふうに思っております。  もう一つは、地方分権を主張するのは、日本がこれだけ大きな、しかも経済的にはかなり豊かな国に成長を遂げて、大変画一的な、ある意味じゃ味気ない日本になってしまった。豊かであるし便利であるけれども、個性がない。かって持っていた地方の特殊な、ユニークな特徴というものがどんどんむしろはぎ取られて、画一的な日本をつくり上げてしまったということの反省に立ちますと、改めてもう一度バラエティーに富んだ多様性のある日本をつくり上げることができないだろうか、そのために地方分権だという私なりの理解をしながらも、この問題に精いっぱい取り組んでいきたいというふうに思っております。の吹田委員 地方分権を進めていくということになりますと、国や地方の公共団体の行政改革にもこれはまさにそのまま当てはまるわけであります。例えば国庫補助金を抱えております省庁の課が、補助金をなくすればその課は不要になるわけですよ。そういう意味からいたしましても、私は大幅に行政改革になってくるというふうに思うわけであります。  また、補助金の獲得のために大変な陳情合戦が行われていますね。私は、去年の暮れの十一月、十二月のあの陳情状況を見ましても、一日に千人単位ですよ、陳情は。大変な人たちが東京に集中するわけですね。しかも、これが地方公共団体にしろ全国の団体にしろ大変な旅費を使って東京のホテルにみんな泊まり込んでやるわけですよ。こういうような動きをしておる国というのは、世界で日本以外にないと私は思うのですね。あんな大移動みたいなことをやって年末に大騒ぎをする国がどこかありますか、総理。
  225. 村山富市

    村山内閣総理大臣 よその国のことは余り詳しく知りませんけれども、しかし、私はやはりいつも本当にそう思っていました。予算編成期に全国からあれだけ人が金を使って来るようなやり方は改めた方がいいというふうに思って、できるだけそういうことが省略されるように、なくなるように努力してほしいということは三党にもお願いもしてありますし、これからもそういう努力はしていく必要があるというふうに思っています。
  226. 吹田愰

    吹田委員 一昨年の暮れから昨年の年始にかけての問題は、ちょうど細川内閣だったのですよね。そのときは、村山さん、あなた方と我々は一緒だったでしょう。そのときは、我々は当時の細川総理に対して、予算獲得について、民族の大移動じゃないけれども、中央に向かって大変な陳情をするというような制度はやめさせようではないかということを申し上げましたよね。それで非常に少なくなった、あの年は。少なかったのですよ。  ところが、今年、今年といったって今年の予算ですけれども、昨年の暮れになりますと、――自民党と社会党とさきがけが連立政権をつくった。ある人によれば、ひさしを貸して母屋をとったのが自民党だと言う人もありますよ、私が言うわけじゃありませんがね。そういうことを言っていますよ。  そういうことからしまして、自民党が復権ということについて非常な意欲を燃やしておるということからの今日の陳情というのは、一体どういうところから起きておるか。私は、いろいろ私なりに調査をし検討してみましたが、結局は、自由民主党という一つの党の考え方というもので、役所の方から全面的に関係地方公共団体への、六団体に対しての、どうですか、陳情するなら今ですよというような意味の話が流れるものですから、県はそれぞれの市町村や何かからの陳情団を出すということになるでしょう。こういったようなことというのは、まさに、結局は自民党の復権に手を貸しておるわけですよ、役所と一緒になりまして。  こんなことが、わかりますか。今まで長い間野党におられて、村山さんは、今のようなこの大きな陳情団の動きというものについては非常に遺憾に思っていた、こういうことを言っておりますが、私は、この時点で、こういうような制度も、この地方分権の確立によって財源と行政というものについての一つの自主性、主体性を持たすということになってくれば、陳情問題というのも非常に落ちてくるのですね。  それは、中央の役所の人からすれば、今のような陳情合戦でどんどん来る方が、迷惑顔をしておりますけれども、うれしい悲鳴ですよ。だれも来なくなったんじゃ、これは寂しい限りですよ。我々のように野党になりますと、寂しい限りですよ、昨年の暮れの。あの自由民主党が野党であったときの寂しい顔ですよ。そうなるのですよ。  ですから、少なくとも地方分権の中でこういうような問題というのを解決していかなきゃならぬ。地方分権を推進して、税金の問題、いわゆる財源の問題、さらに行政の問題、こういったものの行政事務等が地方に主体性が移っていけば、私はそういう陳情もなくなっていくと思うのですが、もう一度ひとつ御答弁ください。
  227. 村山富市

    村山内閣総理大臣 税財源の再配分をして、地方自治体に、自主的に予算も組めるし仕事もできるといったような分権というものが確立されていけば、私は、そういう点は軽減をされてくると思うのです。  この自民党、社会党、さきがけの三党連立政権の中でも、これまでのような必要以上の陳情政治というものはもうお互いに慎もうということを申し合わせをして、そしてそれぞれ三党が、担当者が聞くべきものは聞く、こういう仕組みでやってまいりましたから、あなたがかつて自民党におられたときのような状況はなくなったのではないか、私はそう思っています。本当にそう思っています。  そして、今あなたが御指摘になったようなことについては、やはりなくなるようにこれからも努力していかなきゃならぬと思いますし、その一環として分権というものは本当に必要だということは、全くあなたと同意見です。
  228. 河野洋平

    河野国務大臣 ちょっと、自民党について言及をなさいましたから、私からも一言申し上げなければならぬと思います。  我々は、新しい、生まれ変わった自民党をつくろうと思って懸命にみんな努力をしておりまして、我々はそんなに志が低い者の集まりではございません。申しわけありませんが、もっと志の高い、いい政治をつくるために努力をしようということのために懸命に努力をいたしております。確かに、おっしゃるように我々は一度野党を経験をいたしまして、そしていろいろな角度から政治を見てまいりました。そしてできるだけ国家国民のためになるような努力をしているわけでございます。  私は、陳情を全面的に否定する、恐らく議員もそういうことは言っていらっしゃらないと思います。地方の声にも耳を傾ける必要があろうと思います。要は、過度のそうしたことは厳に慎むということでなければならないと思います。私どもも、できるだけ地方の方の御意見には耳を傾けながらも、そのことで優越感を感じてみたりするような志の低い政治をするつもりは毛頭ないことを、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
  229. 吹田愰

    吹田委員 自民党総裁としてのお答えですが、結構なことであります。ありますけれども、かなり程度が低いことは間違いないのでありまして、あなたは今建前の話で言われたんですが、あなたもかつて、自由民主党の我々に対して、新自由クラブのときには随分批判されたんですよ、そういうことで。それが……(河野国務大臣「今生まれ変わった」と呼ぶ) いやいや、全然生まれ変わってないのですよ。今や、復権の勢いをいかにつけるかということについての非常な努力をされておることは間違いないのであります。  話は変わります。  地方分権を推進する上で、地方の自主財源というものにつきまして考えてみますと、地方税というものといわゆる国税というものの差が非常に大きいし、さらに地方税の中でも、収入面と歳出面、地方歳出の面、これが非常に差が大きくて、歳出総額等比べましても、その格差というものが非常に大きいんですね。  私は、そういった面からひとつ数字を取り上げて申しますと、租税の総額の割合からいたしましても、租税総額が地方税で三十四兆五千六百億であります。それに対しまして、歳出面で、地方歳出は八十八兆二千八百億であります。随分大きな差があるんですよ。歳出面が大きい。国の場合はどうなっているかといいますと、国税は歳入として五十七兆三千九百億であります。それに対して歳出の方は四十六兆五千百億であります。かなりバランスがとれている。歳出が少ないんですね。  こういう状況から見ましても、私はこの際、地方に対する財源というもののバランスのとれた姿をどうしてもとらなきゃならぬ。地方分権の一番大事なところじゃないかと思うのですよ、この財源問題というのは。  そういう意味で、これはもう総理も十分御承知の上でありますからこれ以上申しませんけれども、それはイギリスのように、非常に地方分権というものを抑えて、サッチャーさんが、労働党が地方を持っておるということでうんと抑えて、国の税金に全部吸い上げるという形をとった国家は、それは国税が大きくて地方税が非常に少ない。これは特殊な国家だと私は思いますよ、行政上からいえば。そういうことは別にしまして、我が国の場合は、この際、長年続いていきますが、この地方分権というものを、そういう税財源の面からも検討してもらわなきゃならぬと思っております。この点につきまして、総理から一言お答え願えますか。
  230. 村山富市

    村山内閣総理大臣 今、議員が数字を挙げて言われました租税、地方が収入として入る分が三十四兆五千六百億円ですか、それから歳出として仕事をして支払われる分が八十八兆二千八百億。それから、国が税収で入っている分が五十七兆三千九百億、国が支出している分が四十六兆五千百億円。この四十六兆五千百億円の中に、これは地方交付税というのは別ですかね。(吹田委員「別です」と呼ぶ)別ですね。  この数字から見て、どの程度の比率になるかというのはちょっと計算せぬとわかりませんけれども、俗によく三割自治という言葉が使われますね。今平均すると、国に入ってくる税というのは六五%ぐらいだ、地方に入るのは三五%ぐらい。逆に仕事をする量は国が三五%ぐらいで、地方は六五%ぐらいやっている。ですから、その間の差というものは補助金やら何かで国が出しておる、賄っておる、こういうところに矛盾があるんだということがよく指摘されますね。そういう意味から申し上げますと、分権というのは単に地方に権限を付与するというだけではなくて、その与えられた権限が自主的に運用できるように税財源の保障をしていく、強化していくということも大事なことではないかということについては、全くそのとおりに理解いたしております。
  231. 吹田愰

    吹田委員 ただいまの総理のお答えは、私は伺いまして非常にいいお答えをくださったと思いますよ。その考え方が非常に大事なことだと思うのですね、地方分権は。  ですから、現在の制度からいきますと、確かに国は、国家としての存立にかかわる大きな問題に取り組んでいくということでしょうし、国際的な問題に取り組んでいくシンクタンクとしての役割がありますが、地方は地方なりにその主体性を生かしていくということになってまいりますと、例えば生活保護とかあるいは義務教育とか、真に国が一定の行政水準を確保する、責任を持たなきゃならぬという問題につきましては、これは国庫負担として残す問題だろうと思いますよ。これはそう私も思っております。  しかしながら、奨励的な補助金というのがありますが、こういったものは私はこの際廃止すべきではないか。特に緊急度の高いものは別ですよ。そうでないものについては排除すべきではないかというふうに思っておりますし、特に公共事業の中で、国庫補助金としてその対象が高規格道路とかあるいは一級河川とか大プロジェクトの事業とか大規模なものとか、そういったものにつきましては、これは国家として、建設省としてやっていくということはわかりますけれども、少なくとも現在ありますような、建設省なら建設省の地方道課が持っております都道府県道、あるいは河川局が持っておる二級、三級河川の改修あるいは砂防事業、そういったようなものはこれは当然私はもう廃止して、この際地方に移す。その国庫補助を財源としていわゆる地方交付税にシフトするということにすれば、これは財源になりますね。そういった意味におきまして、私はこれをぜひ実施すべきではないか。  今のように地方の一つの道路、一つの河川に至るまで、三月末になれば箇所づけを全部中央がして、はしの上げおろしを全部中央の役所にお願いするというような地方に全く主体性のない姿というのは、いかに考えてみてもこれは妥当なものではない。これは直さなきゃならぬというふうに思いますから、この際そういった点についてどう思われますか、総理。  今私が調べたものだけをちょっとここに一、二出しておりますが、地方道課が持っておる地方道、いわゆる都道府県道あるいは市町村道、この事業費が六年度で一兆一千二百九十七億というわけですよ。それから、河川で二級、三級の県、市町村支弁河川が一兆円ですね。砂防河川が三千六百億ですね。こういった数字を合わせましても二兆五千五百億あるんですよ。こういったものを地方公共団体に、今の交付税にシフトすれば、そのまま財源として行くわけですね。  地方交付税という制度は守っていかなきゃならぬし、これを拡大しなきゃならぬ。なぜかならば、条件によって先ほど申し上げたような非常に寒冷地帯もありますし、恵まれない地域がありますし、それかといって、私どものところでも非常に恵まれた瀬戸内にある町村もあります。交付税をいただかなくてもやれるという町もありますよね。そういうこともありますから、その条件というものはそれぞれ違いますね。  そういう意味で、交付税制度というものはこれはきちっと確立しなきゃなりませんし、中国あたりもJETプログラムで今日日本に毎年七、八人勉強に来ておりますが、我が国のこの地方交付税制度というのは非常に価値があるものだということで勉強しているんですね。そういう意味におきまして、私はそういった形をとるべきではないかと思うのでありますが、総理、いかがですか。
  232. 村山富市

    村山内閣総理大臣 もう吹田議員は、先ほども申し上げましたように、首長も経験をされ、自治大臣も経験をされて、すべて知り尽くした上での意見ですし、御質問ですから、もうわかり切ったことを申し上げるようなことになりますけれども、しかし、今お話のございました奨励的補助金等につきましては、十二月二十五日に閣議決定いたしました地方分権の推進に関する大綱方針の中でこれは明確にしてあるわけです。「基本的に縮減を図っていくこととし、」また「補助金等の一般財源化に当たっては、所要の地方一般財源を確保する。」という意味で、徹底的にこれを推し進めていくべきだ。  これは、今委員からもお話がございましたように、一口に地方公共団体、こう申し上げましても、非常に恵まれた条件にあるところもあれば、そうでない地域もある。これはもう格差は非常に大きいですね。したがって、そういう格差を補てんじて一定の水準ぐらいは平均的に維持していく必要があるという意味では、お話のございましたように、地方交付税の果たしている役割というのは大変大きいものがあるわけです。したがって、これは一般財源として使えるわけですから、その地方交付税というものにシフトしていくということは大事なことだというふうに考えておりますから、もう今委員が言われたことについては、全く同感であります。
  233. 吹田愰

    吹田委員 それでは、この問題につきましては最後でありますが、ただ、それでは野放しに、地方公共団体というものは現状でいいのかといいますと、これはまた大変なことでありますから、これこそ地方公共団体に対しましても今の制度をさらに立派に、本当の地域住民のために役に立つような、そういう行政が執行できるような体制に組みかえていかなきゃならぬと思うのですね。そういう意味におきましても、それなりの外部監査等を入れてしっかりと進めていかなきゃならぬであろうというふうに思っております。これは私の考え方も総理の考え方も恐らく同じだと思いますから、もう時間がありませんから、答弁はよろしゅうございます。  ただ、最後に、これは問題提起だけにとどまりますけれども、きょうはここで質疑応答をするということは時間的にありませんからできませんが、あるいは農林委員会で今度やらなきゃならぬと思っておるのですけれども、林野庁が持っております国有林の問題。  この国有林の問題につきまして、今我が国の森林面積というのは二千五百二十一万二千ヘクタールあると言われておりますが、そのうちで、国有林面積というのが七百八十六万一千ヘクタールである、こういうことになっておるわけであります。大体林野庁が管轄しておりますのは、ほとんどその部分でありますが、七百六十五万四千ということでありますから大部分でありますけれども、この問題につきまして、現在の活用状況とか利用状況とか、そういった問題は本日質疑をするとしまして、この問題はきょう触れません。  問題は、この国有林というものの起源は一体いつ始まったんだ、どういうことでこういうことになっておるのかということ、これが問題なんですよ。これがまた長州なんだ。これは長州なんですよ、これ。私はここへ持ってきておりますけれども、それぞれの県の中における全林野の面積に対しまして国有林の占める割合が非常に高いところはどこだ。総理、どこと思いますか。  わざわざ御無礼なことを申しましたが、わからなければ私が言いましょう。まず青森、六〇%近く占めているのですよ。それから北海道、山形、秋田、群馬、福島、栃木、長野、岩手、宮崎、宮城、新潟の順なんですよ。いいですか。言ってみれば、明治維新とかかわりがあるんですよ、これ。県有林や市町村有林が少ないでしょう。ほとんど家の背戸まで、家の裏手まで国有林が来ているんですよ。  非常に国有林の少ないところを言いますと、まず山梨、それから大阪、これはまあ山がないところですからね。それから山口。そうして京都、奈良、和歌山、兵庫、徳島、愛知、千葉、三重、島根、東京、広島、岡山という順で、おおむね大体明治維新にかかわりがあることがわかるでしょう、これ。わかるんですよ。  これは大変な問題だと私は思うんですよ。だから、こういったことはよくひとつ調べてみてもらって、言ってみれば国有林がその県における、本来なら県の財産なんですよ、県民の。県民の財産、それが国有林として吸い上げられているわけですよ。  私は、こういった東北地方を初め北陸地方の県で国有林として召し上げておる問題については、この際、もちろんこれを払い下げることについてはいろいろな問題があるかもわかりませんが、それを何とかひとつこの際克服して、いわゆる交付税があるいは起債対象として、その資金を県や市町村に与えて、できるだけの姿で県に払い下げていく。もちろん、職員もついておりますから、林野庁の職員もおりますから、このことも対策としては考えなきゃなりません。なりませんが、行政改革の一環として、この問題は今言ったようなことからひとつ判断してもらいたいのです。  山口総務庁長官はよく御存じですから、もうこの辺はひとつ頭へ置いてやってもらいたいと思いますが、まず農林大臣、どうですか。
  234. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 お答え申し上げますが、維新の沿革等から、官軍、賊軍ですか、そういうことからあったということが今の国有林の所在の面積から言われておるわけでございますが、ただ、申し上げたいのは、今日の国有林事業を見ますと、林業事業体としては大変な情勢でございまして、委員おっしゃるようにこれが財産とか収益を上げるとかということにはなかなかならないというわけでございます。  国有林についてはそのような経緯がございまして、過去にも、経営形態をどうするか、地方に譲るか、あるいは公社でやるかとか、いろいろ議論があったわけでございますが、企業会計になっておりますけれども、事業体でないものですからなかなかに難しく、地方公共団体等もこれについては大変慎重な姿勢をとっておるというような経緯もございまして、一つの、地方分権的大きな流れの中からそれを扱うという御所論については承っておきますけれども、現在の私どもの考えはさようでございます。
  235. 吹田愰

    吹田委員 総理、いかがですか。
  236. 村山富市

    村山内閣総理大臣 これは今農林大臣からも答弁がありましたけれども、私は、この山林というのは、日本の治山治水とかいろんな意味の公益的な役割というものは大変大きいものがあると思うのです。  そんな意味では、国が持っておる国有林というこの緑の山をどういうふうに保全をして、環境というものがこれだけやかましいときですから、そういう視点というものもやっぱり大事にする必要があるんではないかというようなことを考えてみたり、それから、今お話もございましたように、地方分権という、この進める過程の中で、こういう問題をどういうふうに扱ったらいいのかというようないろんな視点があると思いますから、議員の今言われましたことについても十分踏まえた上で、今後またそういうことも総合的に検討さしていく課題ではないかというふうに今受けとめました。
  237. 吹田愰

    吹田委員 私は、さっき農林大臣からなかなか難しいということを言われましたが、これは何も国有林を全部払い下げろとか開放しろという建前で申し上げておるのではない。少なくとも、さっき申し上げたような非常に偏在しておる姿においての状況からすると、この際、百年前のことではありますけれども、改むることはやっぱり改めた方がいいんじゃないか。  この際、行政改革や地方分権が唱えられておるときですから、こういった問題についてもある程度の配慮をすることは、この際の、我々の政治をやっておるときにここで考え直すべきときではないかということから申し上げておるのでありまして、農林大臣、あなたもひとつ考え直して、全部払い下げろと言っておるわけじゃありませんから、市町村の非常に、あるいはその県のお役に立つ地域であるとすれば、そういったものについては、一々召し上げたわけですから、これをある程度有効適切にその地方に使っていくんだということが必要ではないか。民間に払い下げろなどと言っているんじゃないんですよ。  そういう意味で、私は、地方公共団体の財産として、そうしてそれが一つの、適切にその地域社会に活用していく、こういうことに使われれば極めて有効ではないかなという意味で申し上げておるのでありますから、総理、そういう点で、この際これも御研究をしていただきたいと思いますが、いかがですか。もう一度お願いしますよ。
  238. 村山富市

    村山内閣総理大臣 ですから、今農林大臣からもいろいろな視点からの答弁がありましたね。私もまた、国有林として果たしてきている役割といったようなものについてもやっぱりあるというふうには申し上げたので、地方分権が進められていく過程の中で、吹田議員の意見は意見として十分検討さしていただきたいというふうに申し上げた次第であります。
  239. 吹田愰

    吹田委員 申し上げたいことはまだまだあるんですが、例えば、事務次官会議というものがありますね。これも、私も閣僚経験者として、当時の事務次官会議というものをよく見さしていただきましたし、いろいろと研究さしていただいたわけでありますが、これは確かに大事な調整機能を持っておるところであり、あるいは意見を統一するという、保持をするという機関としても大事なものであるということはよくわかります。わかりますけれども、今日の縦割り行政の中で、この地方分権制度というのはまさに官僚の最も最高峰というところでやられておるわけで、一つの法律をつくるにしましても、ここを通らなければ絶対に閣議に上がってこないわけですから、こういう点についても、これは今私はこの場で申し上げるわけでなしに、これは提起だけしておきますが、これは一つの改善をしなきゃならない研究課題が残っておると思っております。  これにつきましては、また後日、私はぜひひとつ質問をし、またこれを改善していくための提言もいたしたい、こう思っておるわけでありまして、我々政治家と官僚との関係において、ここが一つの大きな改善しなきゃならぬネックであるというふうに思っておるわけであります。こういう意味で、この点だけを一つ提起をしておきます。  そのほかは、本日は私の質問はこれで終わりますが、私の後に永井君にお願いすることにしましたものですから、委員長、お許しをいただきたいと思います。
  240. 三野優美

    ○三野委員長代理 この際、永井英慈君から関連質疑の申し出があります。吹田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。永井英慈君
  241. 永井英慈

    永井(英)委員 永井でございます。  村山総理並びに河野外務大臣に御質問をしたいと思うんですが、私は、去る先月の二十六日に、皆さんから寄せられた義援金とか救援物資を持って今回の阪神大震災被災現場を訪れ、視察をしたわけでございますが、皆さんと同様、大変な衝撃を受けまして、懐然とする思いでございました。あすは我が身かという感を深くしたわけでございますが、私は、河野外務大臣、また大出郵政大臣と同じ神奈川県の出身でございまして、神奈川県は地震の弟とも言われるほど地震の危険性が指摘されておるわけでございます。特に、河野外務大臣の御自宅の近くの県西部では、活断層が何本も走っておるという調査報告も出ておりますし、さらには関東南部地震、あるいは東海地震、あるいは、私は川崎ですけれども、川崎直下型地震というようなことで、地震の話題には事欠かない自治体の出身でございます。さらに、地震の危険性の高いところへもってきて、川崎の臨海部から横浜にかけて御承知のようにコンビナートがだあっと集積をしておりまして、爆発物、危険物、もうどのくらい蓄積されているのかわからないような危険地帯でもあるわけでございます。  私は、昭和五十年に初めて神奈川県の県議会に議席を占めました。やはり政治、行政の最大の仕事というのは、まず国民、地域住民の生命、財産を守ることであるというような観点に立って、県会本会議地震災害対策について、昭和五十年当選直後から二回にわたって長洲知事と激論をした経験があるわけでございます。  と申しますのは、昭和五十年といいますと、東西冷戦の大変な緊張した時代でございまして、また、国内にあってはイデオロギーの対立が先鋭化して、保守革新真っ二つに割って、地方自治体でも抗争が繰り広げられたときです。それで、保守県政から長洲革新県政にかわりました。そこで、革新県政は御承知のように、自衛隊は違憲だという立場をはっきりとっておられました。また同時に、日米安保については、反対、即時破棄という主張を続けておられたわけです。ちょうどそのときでございましたので、私は、地震のような大規模災害に対して組織的に対応できるのは、申し上げるまでもなく自衛隊、警察、消防、それと、我が神奈川県は横須賀、厚木に米軍の基地があるわけでございまして、この在日米軍の組織的な応援もいただくことが必要であろうというような議論を随分やりました。  そこで、昭和五十四年から五年にかけまして、神奈川県では自衛隊も入れて防災訓練、九月一日の防災の日にずっと続けるようになったわけでございまして、神奈川県としてはそういった組織的に対応できる体制が整っておるわけでございます。  ただ、今回の地震に当たって、やはり自衛隊の初動対応がおくれたということはここでも議論されましたし、マスコミでもかなり厳しく指摘をされておられまして、昭和五十年に私が県会でやったころ心配したことが、あっ、現実になってしまったなという思いを強くしておるところでございます。  そして、在日米軍との協力体制、これはやはり不十分であるという感じを今回強く感じたんですが、それは、米軍の方から今回は協力の申し出があった。一月の二十日、これは県庁の方から聞いたんですけれども、米軍の運輸部の方から厚木基地を救援物資の物流基地として提供したいけれどもどうだ、それについては県としては窓口をつくってほしい、こういう申し出が米軍の方からあったそうでございますが、したがって、この例を見てわかりますように、災害に対して米軍と政府並びに地方自治体との協力体制ができていなかったことをはっきり示しているんじゃないかと思うんです。  そこで、在日米軍への協力要請体制というのはどうなっているか、総理並びに、これは国土庁長官でしょうか、その実態を把握していたらどんな状況になっているか、把握しておりましたら御説明をいただきたいと思います。
  242. 河野洋平

    河野国務大臣 今回のケースについて、まず私から御説明申し上げたいと思いますが、十七日の地震発生後、いち早くアメリカは日本に対してお見舞いの言葉と同時に支援の申し入れをしてこられました。当初、大統領からのお見舞いということと、大統領としてアメリカにできることがあれば何なりといたしますというようなたしかお話であったと思います。  それに対しまして私どもは、現地に、こういう申し入れがあるが現地として支援してほしいものがあれば言ってほしい、取り次ぎますということをいたしまして、現地から毛布その他物資の支援が欲しいというお話がありまして、それを在日米軍に取り次ぎました。在日米軍は極めて迅速にこの現地からの要請にこたえてくれたところでございます。
  243. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 米軍から大変とうとい御協力をいただきまして、ふだんから日米安保体制のもとで共同訓練等を行って意思疎通を図っておるものでありますから、いろいろな申し出をいただきまして、それを外務省を通じまして我々の方で調整をいたしまして、そしてこの救援物資その他いただいているところでございます。  具体的に申し上げますと、例えば米軍からは五万七千枚の毛布と飲料水の輸送をみずから航空機でいただく。それから、例えば土砂崩れと雨漏りの防止用の大量のシートをグアムから輸送していただいております。それからさらに大型テントの設営を、海兵隊の皆さんが沖縄から来ていただきまして、これの設営をしていただいた。そういうときにおきましては、我が自衛隊がともどもに調整をし、協力をし合ってやっておるということを申し上げたいと思います。
  244. 永井英慈

    永井(英)委員 今回米軍の方から、私、神奈川県でございますのでちょっとこだわるんですが、横須賀基地を母港としておりますインディペンデンス空母から協力申し出があったけれども外務省の方ではお断りをしたというような報道もされておりますけれども、その辺のことについて、実態をつかんでおられましたらひとつ御説明をいただきたいと思います。
  245. 河野洋平

    河野国務大臣 先ほど申し上げましたように、アメリカからは何なりと言ってほしいということがありまして、今議員がお話しのようにインディペンデンスという、あれは航空母艦でしょうか、を明示的に、インディペンデンスをどうぞという明示的な提案ではございません。アメリカからは、我々が持てる、何なりと言ってください、できる限りのことをいたします、こういう提案がございました。今防衛庁長官からお話がございましたように、たしか雨具ですかについて……(玉沢国務大臣「防水シート」と呼ぶ)防水シートなどについてはグアムから取り寄せてくださったわけですが、仄聞するところ、グアムにあるすべてのものを提供した、全部持ってきた、こういうふうに聞いておりまして、その点ではまことに積極的な支援態勢でございました。
  246. 永井英慈

    永井(英)委員 わかりました。今回のことについてはわかりましたですが、平時ですね、緊急時でなくして平時。通常、在日米軍と政府並びに地方自治体との協力支援体制というのは、協議の場とかそういう仕組みとかができているか、設けられているか、ちょっと……。
  247. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 災害を前提としまして共同訓練はしておりませんが、ふだんの共同訓練をいたしておるわけでございますので、それに準じまして、今回の災害の場合でも極めて緊密な連絡をとり合って行った、こういうこどであります。
  248. 永井英慈

    永井(英)委員 そうすると、今の体制、対応でいいということでございますか。十分だということですか。
  249. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 十分だということはないかと思いますが、より一層改善をするように努力をするということであります。
  250. 永井英慈

    永井(英)委員 そこで、余り時間ございませんので、もう一点地震について私の意見を述べながら御意見を伺いたいんですが、神奈川県は、先ほど言いましたように、地震発生の危険が高いわけでございまして、昭和三十六年に河野外務大臣のすぐ近くに、箱根湯本に神奈川県温泉研究所というのをつくりました。そして温泉の研究、火山の研究、地下水の研究、こういうようなことをやっていたのですけれども、地質とも非常に関係があるということで、また地震とも関係があるということで、昭和四十三年ですけれども、土木部から地震観測の業務を委託されまして、ずっと地震観測体制もしいてきました。  それで、私、昭和五十年に出たときに、この神奈川県温泉研究所を何とか地震観測の予知体制の拠点にできないものかということで随分迫りました。おかげさまで環境部防災消防課の所管になりまして、地震についてかなり突っ込んだ研究もしておりました。そして、特に、ことしの三月だと聞きましたけれども、温泉地学研究所と名前を変えて、そして新しく庁舎も建てかえて、観測体制を強化するということでございます。この地震観測予知体制をしいているのは、全国の都道府県で神奈川県だけだということなのです。  そこで、自治省、国土庁でしょうか、観測体制について今実態どうなっているのか、ちょっと概略でよろしいですから御説明をいただきたいと思います。
  251. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 東海地域につきましては、東海地震が非常に切迫しているということもございますし、しかも予知が可能であるということでございますので、国を挙げて非常に稠密な観測体制をしいております。そういうことで前兆現象をとらえまして、予知が可能であるという前提に立って運用をしているところでございます。  それから南関東の直下、このあたりでございますが、このあたりにつきましても直下型の地震の危険が非常に高いということでございまして、これも相当な観測体制をしいておるわけでございますが、ただ、南関東の直下型の地震につきましては、現段階ではまだ予知はできないという状況になっております。ただ、予知に向けてもろもろの観測体制を充実しながら努力しているという状況でございます。
  252. 永井英慈

    永井(英)委員 一言、神奈川県でもそういう取り組みをしておりますので、全国の自治体にこういった体制を確立するよう国の方からも働きかけたらいいんじゃないかという感じを強くするのですけれども、総理、いかがでしょうか。
  253. 村山富市

    村山内閣総理大臣 今答弁がございましたけれども、予知をするということは技術的にどの程度可能なのか、大変難しい問題があると思いますね。しかし、それぞれ専門家が研究もしておることだと思いますし、それらの研究の英知という、成果というものをできるだけ生かしていただきまして、全国的にそういう観測体制を強化していくということは、今度の経験にもかんがみてみましても極めて重要なことだというふうに認識をいたしておりますから、そういう体制についても一層強化されるように進めていきたいというふうに思います。
  254. 永井英慈

    永井(英)委員 それでは、時間がちょうどあと十五分になりましたので、ちょっと話題を変えて、先ほど吹田議員の方から地方分権について質疑がございました。やや重複する部分があると思うのですが、村山総理並びに河野外務大臣にお伺いしたいと思います。  一昨年、衆参両院で地方分権の推進に関する決議をされました。そして、細川内閣になりましてからも地方分権推進ということで強く提唱して、今日かつてない地方分権推進への機運が大変高まっておると思うのです。  そこで、今なぜ地方分権なのか。戦後、地方分権というのは延々と議論されてきたわけですけれども、今これだけ盛り上がった。今なぜ地方分権なのか。先ほどの話と重複しますけれども、改めてお伺いしたいと思います。河野外務大臣にもお願いしたいと思います。
  255. 河野洋平

    河野国務大臣 先ほど総理からも御答弁がございましたが、地方分権、地方の時代と言われてまさに久しいわけでございますが、日本の国が経済的にも豊かさをだんだんと持つようになってきた。ところが、そうした豊かさが時に地方の特色とかそういうものを失わせて、ややもすれば全国均一の行政がしかれて、どこの町へ行ってもその特色が薄れてきてしまうというようなことが大変皆さん気になっているところだと思います。豊かになればなったで、それぞれの地域が、それぞれの歴史や伝統を生かした特色を持つ地域として住みたいという気持ちを持たれるのは当然だろうと思います。  さらに、本来の分権、住民は住民の近いものについてはできるだけ自分たちで決めたい、自分たちの意思が反映されることが望ましい、そういう自覚も非常に強くなってこられたということもあろうかと思います。一つの流れということを我々は感じております。
  256. 村山富市

    村山内閣総理大臣 振り返ってみますと、ちょうど五十年目になるわけです。あの焼け野が原の中からこれまで日本の経済を再建し、復興してきた政治の仕方というものについては、それは功罪あると思いますけれども、しかし、中央がやはりそれなりの実力を発揮して、そして取り組んできた成果というものがあったと思うのです。  しかし、五十年たった現状から見てみますと、今お話もございましたように、例えば小中学校を見ても全く同じような形でつくられておるというふうに、画一的に中央の物差しでもってすべてはかられて物がつくられていく、こういう一律の状況になってきておる。これはやはりいけないのではないか、そういう反省もあったと思いますね。  できるだけその地方が持っている特色を生かしてローカルな絵が描ける、そして実行ができる、こういう意味では、もう一遍日本の国全体のつくり方というものを見直していく必要があるのではないか、そういう確かな流れもやはりあると思いますね。それがまた国会決議にもなり、六団体の要求にもなり、地方制度調査会の要求にもなって、今や分権というのはもうゆるがせにできない大きな政治課題になってきておる、私はそのように理解をいたしております。
  257. 永井英慈

    永井(英)委員 お二人から御答弁いただきまして、全く私が予期していた答弁だと思うのです。これはずっと議論されている中で語り尽くされた視点だと思うのです。  ところが、私はあえて外務大臣に質問したのは、村山総理もしょっちゅう言っていますけれども、日本は経済的に大きな国だ、対外的な貢献、協力をしっかりやっていかなければいけない、この視点から分権を議論しないと進まないと思うのです。今は内向きの議論ですね。国内向けの議論を盛んにやっているわけですけれども、一億二千万の大国、経済規模は世界第二位、世界に果たすべき役割、使命は、私が申し上げるまでもない状況でございます。  加えて、東西の冷戦構造が崩壊をした。その後のちょうど折も折、地球環境とか資源エネルギーとかで、地球、もう無理だよ、有限だよという赤信号、黄信号が点滅し始めたと言ってもよろしいと思うのです。その折も折、さらにそういった難題に追い打ちをかけるように人口が爆発的にふえておる。  国内的にはどうかというと、ちょうどそういった難題が明確に浮かんできた折、少子・高齢化社会という大変な時代に直面をしておるわけでございます。そして、経済面では高度成長を走ってきました。それで、その終着駅ともいえるバブル経済、その崩壊、そして非常に今不況でみんな苦しんでおる。中小零細はもう本当に青息吐息と言っても過言ではない。私どもの川崎、地元では、中小零細企業がびっしり張りついておりますので、深刻な事態でございます。  そういった状況にさらに追い打ちをかけるように、産業の空洞化ということがはっきり出てきている状態でございまして、さらにはガット・ウルグアイ・ラウンドの合意による米の輸入というかつてないことも出てきて、日本の農業は、まさに抜本的な改革というよりは、革命的な改革が迫られていると思うのです。難しいことだと思います。こういう難題が次から次へ、単発的に今までは出てきたと思うのです、どちらかというと。不況なら不況。ところが、これが同時進行の形で、複合変化のような形で進行しているわけです。これは私はかつてない歴史的な大転換期だととらえて、かなりの危機感を持っておるところでございます。  そこで、日本が果たすべき役割というものは途方もなく重く大きいと受けとめておるところでございまして、そうした視点に立って、対外対応力というのでしょうか、対外対応力を強化向上させる視点から、中央政府に過度に集中し過ぎている権限、事務事業を地方に移管する、中央政府のロードを軽くする。今内政で圧殺されているような状況だと思うのです。  そういう視点から、対外対応力を強化する面からも地方分権の論議を徹底的にしていかなければいかぬなと思っておるんですけれども、そういう視点について今まで発言がないんですが、もう一度、総理と外務大臣と、一言ずつで結構であります。
  258. 河野洋平

    河野国務大臣 私は、地方分権というのは、やはり五十年間の日本の民主主義が非常に成熟して、住民の意識も高まって、そういう仕事といいますか、そういう判断というものはもう地方にできるだけ任した方がいいという認識がみんなの中に出てきたということは大きいと思うのです。  今の永井議員のお話は、ごもっともなところは多うございますけれども、何か中央の都合で、中央は外に向かって仕事をしなければいけないから、重い荷物はそっちに渡すよという中央の都合で地方分権が進む、そんなふうにもちょっと聞こえましたが、そういうことではないだろうというふうに思うのですね。やはり地方分権というものは、地方から、地方の意思、地方の意識、そういうものが非常に強い要素になっているのではないかというふうに私はどうも受けとめております。
  259. 村山富市

    村山内閣総理大臣 最近、全国の地方都市で、外国の都市と友好関係を結ぶということが進んでいますね。私は、やはりこれから国境を越えて経済も文化も人事の交流もどんどん進んでいくような時代になってきておる。そういう時代になったときに、単に国と国との外交だけではなくて、そういう地方の都市が外国の都市と友好関係を結んで、そしていろいろな取引をしたり、あるいは交流をしたりしていくことは、草の根の基盤から友好をつくっていくという意味では大変大きな役割を果たしていると思うのですね。そういう役割もこれからは分権の中で果たしてもらえるんではないか、こういう期待も持っていることを申し上げておきたいと思うのです。
  260. 永井英慈

    永井(英)委員 それでは、地方分権、地方分権ということですが、言葉は華やかに語られているんですね。ところが、じゃ実際どういう形でどういう原則できちっと進め、実現するかということ、言ってみれば地方分権の原則ですね、これだけはきちっと明確に国民に示す必要があろうと思うのです。時間がありませんので、その原則についてしっかり明確にしていただきたいと思うのです。
  261. 村山富市

    村山内閣総理大臣 もう簡単に項目だけ申し上げますね。  この分権大綱の中でも明らかにいたしておりますけれども、「国と地方公共団体との役割分担の在り方」、それから「国から地方公共団体への権限委譲等の推進」、「地方公共団体の財政基盤の整備」、それから「自立的な地方行政体制の整備・確立」や今後の地方分権の推進のための委員会を設置をして、その委員会で議論をしていただいて具体的に地方分権を進めていく段取りをつけていく、こういう方針で臨んでおるということについて御理解を願いたいと思うのです。
  262. 永井英慈

    永井(英)委員 今の御説明ですと、文字どおり総論ですね。この際もう議論はいい、総論はいい、もっと具体的に進める原則というものをきちっと明確にしなけりゃいかぬと思うのです。ですから、年末に決定された「地方分権の推進に関する大綱方針」というのがございましたですね。あれをもっと具体的にきちっとしなければいかぬという印象を強く受けたのです。  例えば、先ほどの話にありました国がやるべきこと、地方自治体がやるべきこと、これをきちっと具体的に明確にする。それからさらに、これから国が法令の制定による新たな事務の創設等に当たっても、新しい事務は国か、地方がやるべきか、こういうのもきちっとやる。それからさらに、機関委任事務、地方事務官の制度、こういうものを廃止しますよ、これは原則ですよということを明確に私はここでしなければいかぬと思うのです。さらに、地方支分局というのが各省にございます。この地方支分局も、これは廃止をしますとか、原則地方支分局の事務事業については地方自治体の事務にします、こういう具体的に明示する必要があると思うのですけれども、その辺についてはいかがでしょうか。
  263. 山口鶴男

    山口国務大臣 お答えいたします。  総理がお答えになりました基本は、地方分権大綱で明確にいたしております。したがいまして、今委員がお触れになりました問題についてお答えしたいと思うのですが、要は、国と地方の役割を明確にする。それでは国はどういう事務をやるか。これは、外交、防衛とか、国の存立にかかわる事務は当然国がやるべきだと思います。それからまた、画一的に国がルール化してやらにゃならぬものは、これは当然国の事務だと思いますし、それから、国がやるべき例えば道路、河川等につきましても、基本的な部分については国が扱う、住民に身近な事務は地方公共団体の仕事とする、これがやはり基本だと思います。  そうして、御指摘のございました機関委任事務の問題につきましては、午前中の御質問の際にもお答え申し上げたわけでございますが、この機関委任事務、団体委任事務というのがたくさんございます。委員も地方議員をされておられたようですが、私も群馬県の県会議員をいたしました。自治体の固有事務に比べて別表第一から第四であらわしているこの団体委任事務、機関委任事務が大変多い、これはやはりおかしいことだと思います。したがって、これについては、それじゃ全部機関委任事務をなくしていいかといいますと、例えば国会議員の選挙事務等について、これはどうしても地方公共団体に委任しなきゃならぬ事務だと思います。したがって、機関委任事務につきましては、やはり思い切った整理をするということだと思います。  それから、御指摘のございました地方事務官制度をどうするか、地方支分局をどうするか、これらの問題は、結局、総理のイニシアチブで決定いたしました地方分権推進委員会、これを今度法律を提案いたします、この委員会設置を含めた法律を提案するわけでございますので、この委員会の中で私はきちっと議論をして、そうして今申し上げましたような問題点を仕分けをいただく、そしてその考え方を国は最大限に尊重して実施をしてまいるということではないかと存じます。
  264. 永井英慈

    永井(英)委員 今のお話では、地方分権は道遠く、大変険しく、実効は上がらない。言ってみれば、パイロット自治体制度というのを鳴り物入りでつくりましたけれども、全く成果が上がってない。あの運命をたどるなという思いを今強くしたのですけれども、やはりこういう席で、これとこれは政治の責任においてきちっと整理します、地方へ分権しますということを明確に言ってくれないと、いつまでも地方分権、スズメがさえずっているようなことになってしまう、私はそういう印象を持ったんですけれども、最後に一言、総理、決意を聞きたいと思います。
  265. 村山富市

    村山内閣総理大臣 これまで御答弁申し上げておりますように、この国会に地方分権推進に関する法律案を提出するわけです。そこで皆さんの御議論もいただいて、そして法律ができれば、その法律の中に地方分権を推進する委員会ができるわけです。委員会で具体的な問題について議論を進めていただく。  ですから、私は、分権を進めていく足がかりをこの国会でつくっていただいて、そしてその委員会で具体的な問題については検討していただいて、そして推進をしていただく。これは、私は右から左にすぐできるとは考えていませんよ。これだけ長い間、地方の時代とか地方分権、地方分権と言われながらできなかった仕事ですから、よほど腹を固めて、やる気になってやらなければできないことだというふうに思っておりますから、そういう決意で今法案の準備を進めてもらっているということについて御理解を賜りたいと思います。
  266. 永井英慈

    永井(英)委員 済みません。時間になってしまいましたが、一言。  この阪神大震災を機に、地方自治体に分権して権限を与えても、災害対策等緊急時に対応できないから地方分権なんてそう騒ぐな、やはり国が大きな権限を持って対応しなければいかぬということで、地方分権に水を差すような議論もあるということ、大変危惧されております。その辺、そういうことが絶対にないように、今示されたその決意に従って実現していただくことを強く期待し、希望して、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  267. 三野優美

    ○三野委員長代理 これにて吹田君、永井君の質疑は終了いたしました。  次に、吉井英勝君。
  268. 吉井英勝

    吉井委員 私は、阪神大震災で犠牲となった方々及び被災された方々に哀悼の意を表し、心よりお見舞いを申し上げます。  そして、今回の地震で国民は、新幹線とか高速道路それから鉄筋コンクリートのビルなど、これまで安全だと思っていたものの崩壊に驚き、それとともに、安全だと説明されてきた日本の原発安全性に大きな疑念を持っています。  先日、実は静岡の浜岡町の総総代、連合自治会長に当たる方ですね、この方が我が党の町会議員に、原発でも安全神話が崩れてしまった、何を信頼していいのか、そういう言葉を語っておられます。政治は、今の国民の疑問や不安にこたえなければならないと私は思うわけです。そこで、きょうは最初にその問題から質問していきたいと思います。  まず、今回の地震の加速度についての測定データの方から少し確認の意味で伺っておきたいのですが、大阪ガスの神戸・中央区で八百三十三ガル、神戸海洋気象台で八百十八ガル、大阪ガスの西宮で七百九十二ガル、神戸・本山で七百七十四・九ガル、JR鷹取駅で六百十六ガルで、JR宝塚駅が六百一ガル、こういうふうなものが、主なデータとして国の方でつかんでいらっしゃるのではこれでいいのかなということと、あわせまして、これよりもっと大きな測定値があればお聞かせいただきたいと思います。
  269. 小里貞利

    ○小里国務大臣 現在の段階で私ども本部が把握申し上げておりまする状況を御報告申し上げます。  先生はもう既に現地も具体的に踏査なさっておられるわけでございまして、状況説明は省略いたしますが、気象庁の観測では、今回の地震のマグニチュードは七・二、神戸、洲本で震度六を観測した、さような報告でございます。  なお、神戸市中央区の神戸海洋気象台の地震計におきましては、最大の加速度としまして、南北成分八百十八ガル、東西成分六百十七ガル、上下成分三百二十二ガルの地震動を観測した、さような報告でございます。  なお、気象庁の地震機動観測班が行った現地調査によればでございますが、神戸市三宮付近及び淡路島の北部の一部は震度七であった。  以上でございます。
  270. 吉井英勝

    吉井委員 建設省の道路橋調査団の報告によりましても、私が先ほどお聞きした数字については確認をされているようでありますが、あわせて、鉛直地震力の測定データについても聞いておきたいと思うのです。  これは、今回高速道路の橋脚とかビルの破壊がこれに非常にかかわりが大きかったということも言われておりますし、そういう意味でも伺っておきたいのですが、神戸大学で四百四十六・五ガル、神戸・本山で三百七十九・三ガル、尼崎の竹谷町で三百二十七・九ガルというふうに伝えられておりますが、主なものとしては大体こういうことで理解していいのか、あるいはもっと大きな測定データを掌握しておられたらお聞かせいただきたいと思います。
  271. 小里貞利

    ○小里国務大臣 恐れ入りますが、細やかな観測データにつきましては、気象庁を通じて御説明申し上げたいと思います。
  272. 二宮洸三

    ○二宮政府委員 先ほどお答えがございましたように、神戸海洋気象台の地震計におきます鉛直加速度は三百三十二ガルでございます。  それから、今回の地震地域でございまして、強震観測というふうなものを実施している機関が気象庁以外にもございます。それは京都大学、大阪大学神戸大学などの研究機関、そのほか大阪ガス、JR等がやっております。  それからまた、全国の強震観測の取りまとめにつきましては、強震観測事業推進連絡会議というふうなものがございまして、日本学術会議の勧告に基づき設置されたものでございまして、ここで建築構造物等の強震観測データの取りまとめをいたしてございまして、これは二十二機関が参加してございます。ただ、現在のところ、これらの機関から加速度につきましての正式な報告はまだ承っておりません。
  273. 吉井英勝

    吉井委員 正式な報告はないにしても、報告としては聞いていらっしゃると思うのですが、私ども既にそういう先ほどのデータを伺っております。  そこで、通産大臣に少しお聞きしたいのですが、この八百三十三ガル以上の値とか鉛直地震力四百四十六・五ガル以上の値を耐震設計基準とした原発が日本にあるのかどうかだけ、一点伺っておきたいと思います。
  274. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 大変申しわけありませんが、私は技術の専門家ではございませんので、事務当局からお答えをすることをお許しをいただきます。
  275. 川田洋輝

    ○川田政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの先生の質問に直接お答えするとすれば、ございません。しかし、やわらかい砂のところで測定された値と、原子力発電は御承知のように大変かたい岩盤に直接固定をするということでやっておりますので、その数値は異なるということでございます。  説明いたしますれば、八百三十三ガルは大阪ガスの葺合地点で観測をされたものという報告を受けております。ここは海に近いやわらかな地盤と推定をされますので、地表の揺れが大きく、三倍程度に増幅されているのではないかというように思われるところでございます。  以上でございます。
  276. 吉井英勝

    吉井委員 そういう原発はないというお答えをいただきましたので、あとのことはまた順次議論させていただきたいと思います。  済みませんが、資料を配付していただけますか。  この資料というのは、実は通産省からいただいた資料を整理して私の部屋の方でつくらせていただいたものですが、なお通産省からちょっと訂正の申し出がありましたので一つだけ御紹介しておきますと、東京電力柏崎刈羽の三、四号機の後の六、七号機ですね。六、七は、これは建設中ということで訂正をしたいということでありましたから、稼働中四十八基ということになりますね。もちろん、科学技術庁所管分が一基ありますから、それを合わせると四十九基ということですが、それでこの表について、これはいただいたものをそのまま写したのですが、これは事務方の方でもいいですが、後の議論と食い違いがあってはいけませんから、このデータ、これは間違いないことだけ最初に確認しておきたいと思います。
  277. 川田洋輝

    ○川田政府委員 お答え申し上げます。  私もただいまこの場で見ましたものですから確実なことは申し上げられませんが、これを提出して先生に御説明した者が横におりまして、確かめましたところ、お持ちした数字であるということでございます。
  278. 吉井英勝

    吉井委員 それで、福井大地震のあった関西電力の美浜、高浜、大飯などのところを見ていただきますと、安全余裕検討地震動または基準地震動S2という値ですが、これについて最大で四百五ガルということです。東海大地震の予想される中部電力浜岡一、二号機では四百五十ガル、また三、四号機では六百ガルということにしておりますが、いずれもこれは神戸・中央区の八百三十三ガルよりも低い値になりますし、また鉛直地震力については、これは最大加速度振幅の二分の一を基準とするということにしているようですから、神戸大学神戸・本山、尼崎のいずれのデータよりも設計基準が低かったということになります。  すべての原発の設計基準が、地盤の問題等の議論は後ほどやりますが、今回の阪神大震災で観測された最大加速度はもとより、それ以下の測定記録と比べてみても低い値であったことは明らかだと思うのですが、この点だけはもう一度確認しておきたいと思います。
  279. 川田洋輝

    ○川田政府委員 お答え申し上げます。  直接測定をした値は御指摘のとおりでございますが、先ほど来御説明している事情があることは御承知願いたいと存じます。
  280. 吉井英勝

    吉井委員 それで、おっしゃる二倍から三倍という話は、これは実は例えば浜岡原発の原子炉設置許可申請書等にも出ていることですが、堆積層では岩盤より二倍から三倍の加速度になることがある、それを考えなきゃいけないというのが先ほどの答弁の内容ですね。  この機会にちょっと御紹介しておきますと、浜岡原発のこの申請書では、余談になりますが、実はこのときの最大級の加速度を示したと言われる福井地震における沖積層の五百から六百ガルをはるかに上回る値で、大丈夫だ大丈夫だということを出してきているわけですが、実は福井地震におきましては、測定器がなかったわけです。測定器がなかったわけですから、六百ガルとか五百ガルとかいう話は全くデータとしてはないわけです。  それは私が勝手に言っているのじゃなくて、これは後ほどごらんになられればおわかりになりますが、福井市が実は「福井烈震誌」というのを出しておりますが、この「福井烈震誌」の中立、福井地震のときに、福井測候所には戦災以来地震計の設備がなかった。ですから、要するに人が感じた感じで、これは大体何度ぐらいだろうとか、それから有感地震が、人が感じられる地震が何回ぐらいあった、そういうデータしかないというのが、これは記録であります。  ですから、申請者もデータのないものについて、あるような確信を持って出すのは変なことだと思うのですが、それは余談といたしまして、実はこの二倍ということにいたしますと、これは岩のところよりも二倍の値で上に出たというのが八百三十三ガルということになりますから、これは単純にはいきませんが、二で割れば、これは岩盤のところで四百十六・五ガルあったことになるわけです。  これは、この提出した資料をごらんいただくとすぐわかりますが、まずこの値と比べて、泊一号、二号、女川、福島第一原発の一号から六号、福島第二の一号から四号、美浜一号から三号、高浜一号から四号、大飯一号から四号、島根一、二号、伊方一、二号、玄海一号から三号、川内一、二号、東海第二、それから敦賀一号の合計三十五基の商業用原発の設計基準が、実は岩盤のところでも今おっしゃった基準で見ても阪神大地震の測定値以下であった。つまり、設計基準値を超える地震であったということになるわけです。ですから、基準値に問題があったということがこれでわかるわけです。  三倍というのもおっしゃいました。三倍で見ると、これは設置者側に有利になる数字になるのですが、三倍で見たとしても、逆に三で割ればいいわけですが、岩盤で二百七十七ガルの地震ということになります。これは福島第一の六基、福島第二の二基、玄海一、二号、川内一号、東海第二の合計十二基ですね。つまり、十二の原発は設計基準値以上の地震になっていた。ですから、基準値が合わなかった、こういうことになるのではありませんか。
  281. 川田洋輝

    ○川田政府委員 お答え申し上げます。  先ほど直接岩盤に固定をするということを申しましたが、そのほかにさらに原子炉容器原子炉格納容器などの重要なものにつきましては、四国の多度津に世界で最も大きい大型振動台を持っておりまして、そこで実地の加振試験を加えて安全性の実証をいたしておるところでございます。  そこで、それも踏まえて数字を申しますと、今先生からお示しのS2の数字でございますが、日本の原子力発電所の設計用の地震動は、岩盤上で全体を平均してみますと三百七十ガルということに相なります。先ほどの、実際実験をいたしております数値はその一・六倍、五百九十ガルまで耐え得ることが大型振動台での実証試験により確認をされているということでございます。  今回の地震におきましては、先ほどお示しございましたように、砂地のところでの八百三十三ガルというのが計測されておるところでございますけれども、揺れの少ない岩盤上では、先ほど御説明いたしましたように三分の一、砂地に比べれば三分の一程度の、数字でいいますと二百八十ガルということに当たるわけでございます。したがって、二百八十ガルと五百九十ガルという比較で、原子力発電所が十分耐え得るものであるというふうに私ども思っているところでございます。     〔三野委員長代理退席、委員長着席〕
  282. 吉井英勝

    吉井委員 平均値。三百七十ガルですか、おっしゃったのが合わないということは先ほどの指摘でよくわかりますが、それで、なお多度津のこととか私もわからぬではありませんが、十五メートル角の上に全部原発を載せて実験というわけにいかないので、単体ばらばらにして、単体ごとのデータであって、これはシステム全体としては実のところ測定値はないわけです。これは、システムを組み立てたときには単純には単体のデータどおりにいかないということで、ですから多度津の例を出しても説得力がないということを申し上げておきたいと思うのです。  発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針というのを安全委員会が出しておりますが、直下型地震については、S2として考慮する近距離半径十キロメートルということが大体基準のようですが、その地震にはマグニチュード六・五の直下地震を想定するとしております。実は、今回はマグ三チュード七二一の直下型地震でありました。ですから、その想定が現実の直下型地震のマグニチュードより低過ぎた、明白にこれはやはり改めて考えていかなきゃ問題を持っていることを指摘しておいて、私はそこで少し総理に伺いたいんですが、これまで日本の原発は安全だと言ってきたことが、これはたまたま直下型地震に遭遇していなかったということであって、実態に合わない。もちろん、人口密集地の神戸のようなところへ原発を持ってくるということは当然ないわけですが、そういうことがやはり明白になったと思うんです。  総理、日本共産党は反原発とか脱原発というこれまでの総理の社会党の立場とは異なるわけでありますが、原発問題について異なる立場をとってきておりますが、しかし、私たちは、この原発についての考え方に違いがあっても、現状の原発の危険から国民の安全を守る、こういう点ではみんな一緒に取り組んでいこう、そういう態度であります。しかし、現状の原発が全く安全で心配のないものだ、こういう安全神話に立ってしまったら、これは無責任なことになると思うのです。この点について総理の見解を伺っておきたいと思います。
  283. 村山富市

    村山内閣総理大臣 原子力発電について安全性確保というのは徹底してやらなきゃならぬことは、もうこれは共通して皆さん同じだと思います。これはもう当然のことだと思うのです。  これまで御指摘のございましたような発電所の耐震性につきましては、先ほど来お話もございますように、安全性確保に万全を期すために、地点選定に当たっては活動可能性のある活断層は避ける、敷地周辺の活断層や過去の地震等の詳細な調査に基づく安全上の十分な余裕を持った耐震設計がなされておるというふうに聞いておるわけでありますけれども、しかし、これまでの考え方に安住するのではなくて、それは今回のような地震に関しでもいろいろな経験もしてきているわけですから、各方面での調査検討も見きわめながら、一層この安全性確認については徹底する必要があるというふうに私は思っています。
  284. 吉井英勝

    吉井委員 安全神話というものをやはり政治の世界からは断ち切らないと、開発したい人が神話に取りつかれるのはこれは別として、政治家というのはやはり国民の心配とか安全に対する疑念とか、これにきちっと対応しなきゃいけないわけですから、そういうことを申し上げて、次に進みたいと思います。  これまでの発電用軽水型原子炉施設に関する安全設計審査指針の中では、全部読んでおりますと長くなりますからはしょりますが、「原子炉施設全般」について「自然現象に対する設計上の考慮」ということも項目に挙げまして、その中で、「設計用地震力に十分耐えられる設計であること。」ということを示すとともに、「安全機能を有する構築物、系統及び機器」について、これらは「予想される自然現象のうち最も苛酷と考えられる条件、又は自然力に事故荷重を適切に組み合わせた場合を考慮した設計であること。」というふうにしているわけです。  つまり、やはり安全の上にも安全だ、それを考えなきゃいけないということを一応この指針ではうたっているわけです。この点では、八九年のサンフランシスコ地震は九百八十ガル、九四年のロサンゼルス地震は千八百ガルとか、ですから千八百ガルを三で割ったとしても六百を超えるわけですね。  ですから、やはり本当にこれは過酷な条件を考えなきゃいけないんだと指針でもうたっているぐらいなんですから、新しい基準というものを早急に設けて、その上で総点検をきちんと行う、それが私は政治の責任であるというふうに思うんですが、この点についての総理あるいは通産大臣の見解を伺っておきたいと思います。
  285. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 地震の報道に接しましたとき、私にとりましてやはり一番の関心事は、生活の源になる電気、ガスはどうだろうということでありました。そして、その被害状況が明らかになりますと同時に、原発はどうだったということが事務方に対する次の問いかけでありました。幸いに、今回の兵庫県南部地震におきましても、またはるか沖地震のときにも、いずれも問題がなかったということで実は私は安心をしたところです。  しかし、今委員が御指摘になっておられますように、安全に対してどこまで注意をしても行き過ぎということはありません。通産省といたしましても、各方面で今回の地震に関する調査などが進められておりますこと、同時に、原子力安全委員会が今回の地震を踏まえた検討会を設置され、耐震設計に関する指針妥当性について確認されるということを踏まえまして、こうした調査検討を注視すると同時に、通産省にございます原子力発電技術顧問の専門的な御意見も伺いながら、今回の地震によって得られる知見から、原子力発電所安全性について参考にすべき視点が存在するかしないか確認を行うなど、引き続き安全確保全力を尽くしたいと思っております。
  286. 吉井英勝

    吉井委員 妥当性確認ということで、確認してみて今までどおりでよかったよかったじゃ困りますので、そういうことにならないようにやはりやってもらわぬといかぬと思うのです。  私は、安全審査を所管している大臣として科学技術庁長官に次に伺っておきたいと思いますが、カリフォルニアには略称活断層法と呼ばれる州法があります。活断層の土とその近傍では、原発など危険物施設はもとより一般住宅についても建設することを避けるように、禁止するという、そういう法律です。これはアルキスト・プリオロ特別調査地帯法という名前で一九七一年につくられているんですが、私はこの法律の中身についてきょう大臣に聞こうと思っているんじゃありません。  大事なことは、アメリカ並みのこういう発想を、日本は世界の地震とそれから火山の一割が集中している、日本列島全部が活断層だらけといいますか、そういう地震地帯であるわけですから、ですから私は、アメリカ並みのそういう活断層法と同じようなものをつくれということを今ここで言っているわけじゃないんです。そういう発想というものが今後やはり必要になってくるんじゃないか、そういうことについて大臣の所見を伺っておきたいと思います。
  287. 田中眞紀子

    田中国務大臣 将来的には今先生がおっしゃったような海外も参考にするような発想も必要になるかとは思いますけれども、日本は、先生が先ほど来数字を挙げておっしゃっていらっしゃいますように、活断層が走っていて、地震国であるというのはこれは日本の宿命でございまして、そこで原子力発電所をやるときには当然立地条件を何度も、先ほど先生もおっしゃっていますように、また資源エネルギー庁長官もおっしゃっていますように、岩盤であるという地質調査をしっかりやって、そしてその上に立地をいたしております。  その上はさらに、もう先生原子力の御専門でいらっしゃいますからおわかりでいらっしゃると思うので、また私も午前中、社会党の先生のお尋ねにお答えいたしましたので復唱は避けた方がいいかと思いますけれども、耐震構造を考えて、そして緊急の場合にはスクランブルができて、そして人的にも常にアラートな状態でいられるようにしているということは申し上げられます。  またそれから、先ほど触れていらっしゃいます浜岡でございますが、私も、十七日に地震がございまして、二十一日の日にやむにやまれぬ思いで、これはやはり機械といっても人間が一番緊急性を持って意識を高めているということが安全性確保につながると思いましたので、自分で直接行ってまいりました。じかに話を聞いてまいりましたけれども、あそこの場合は、普通は岩盤上に建てているところもございますけれども、浜岡原発は東海地震の一番予知できる地域でございますので、岩盤までじかに掘り下げて、その上に六メートル、コンクリートを積み上げている。しかも、その建物も普通の建物ではなくて、新しく検討されまして、複合建屋式という建築方式も取り入れていらっしゃるそうでございます。  ですから、私はちょうど、村山総理はこういうお顔をしていらっしゃいますが、よく私みたいに、私の実家から本当に十キロ以内のところに柏崎原発もございますし、主人の実家もすぐ福島原発がございまして、そういう中にいて、常に非常にビビッドに反応しなければいけないと思っている人間をこういうポストにつけてくださっておりますので、そのこともイコール村山総理がいかに原子力の安全対策にお心を配っていらっしゃるかということではないかというふうに思っております。御理解ください。
  288. 吉井英勝

    吉井委員 実は、志賀原発というのは、学者の方が能登半島の活断層のちょうど上にあるということを見つけまして、明らかにしております。それから、浜岡と柏崎刈羽原発もその敷地に活断層があるわけです。それで、地震学者は、東海地震について、浜岡町を含む長さ百キロから百二十キロメートル、幅五十キロメートルの範囲で断層が動き、マグニチュード八級の大地震が起こり得るということを予測しているところです。  つまり、震源域に原発をつくっているというのが浜岡の問題であって、私もかつて浜岡を見に行きましたが、おっしゃるように岩の上に建っているといっても、原発というのは圧力容器と格納容器などだけでできるものじゃないわけです。これは当然、冷却水が地震でだめになったときには、崩壊熱で、それでも冷却しないとやっていけないんですが、実はその崩壊熱をとるための冷却水管そのものが砂地の上に置かれておったりして、これは大きな問題のあるところです。  これは実は、八一年二月の予算委員会におきまして我が党の不破委員長質問の中でも示しておりますが、静岡県の調査によっても、三百ガル以上の圧力が加わったら浜岡は液状化する、こういう県の報告書が出ているわけです。そういうところへ原発を設置しているわけです。アメリカでいえば、活断層の上には原発はおろか住宅でもつくらないようにということを、カリフォルニアの州法といえども法律までつくって取り組んでいるぐらい。だから、それに本当に学ぼうとするのならば、やはりこういうところについては、大丈夫だ大丈夫だと事務方の方も大臣にそういう説明をするだけじゃなくて、きちっとした説明をしなきゃいけないと私は思うわけです。  ですから、浜岡ではそういう問題があるわけですから、今回のような活断層の上の直下型地震だということになると、液状化して地盤そのものがなくなるわけです。阪神大震災から真剣にまじめに教訓を学ぶということであれば、私はやはり、老朽化している浜岡一、二号機などについては、速やかに停止をして、廃炉するかどうか、そういうことについても検討をしていかなきゃいけないだろうと思いますし、その他、何しろ日本の原発の二十五基が観測強化地域、特別観測地域の中に設置されているわけです。こういうふうなあり方そのものについて、これまでの基準でとても安心できないということが今問題になってきているときですから、これは総理、私はやはり、阪神の大地震から真剣に教訓を得て、これらの問題についても、少なくとも内閣としても検討をしていく、そういう姿勢というものはあなたに示していただきたいと思うんですが、どうですか。
  289. 村山富市

    村山内閣総理大臣 先ほどもお答え申し上げましたように、やはり原子力というのは、これは事故があって、もう取り返しのつかない大きな災害になるわけでありますから、何よりもやはり安全性というものが最優先で、徹底してやってもらわなきゃいかぬということについては、先ほども申し上げたとおりでありますね。  これまでつくられておる原子力発電所につきましては、専門家がそういう地質の調査やら活断層調査やら十分、やはりあらゆる角度からやって、そしてつくられてきているというふうに私は思いますけれども、しかし、今御指摘もありましたような今回の地震というものの大きな影響というものもあるわけですから、これでいいのか悪いのかというようなことについては、これはもう安全神話というのはないわけですし、これまでのことに安住するのではなくて、やはりこの経験に照らして、見直すところは見直すという態度が必要ではないかというふうに思います。
  290. 吉井英勝

    吉井委員 私は、大事な経験というものを、今回もそうですが、してきていると思うんですね、技術の分野で。  それは、せんだって我が党の志位書記局長質問でやっておりますように、八九年のサンフランシスコ地震、九四年のロサンゼルス地震、これはいずれの調査をやった後も、日本政府は、日本の橋梁は大丈夫だという立場をとってきたわけです。九四年のロス地震の後は、参議院で我が党の上田副委員長質問に対して、建設省はやはり、日本は大丈夫なんだと、国会答弁までしているくらいなんです。しかし、現実には、今度の阪神大震災で、私も見てまいりましたが、本当にたくさんの高速道路の橋梁落下、崩落というものがありました。ですから、そういう点でも、今回しっかりここに、教訓に学んで見直しをやらなきゃいけないと思うんです。  原発に関してもう一つ紹介しておきますと、実は九一年の二月に、関西電力美浜原発の蒸気発生器細管のギロチン破断事故がありました。ところが、これも私は当時国会でやりましたが、その事故の実は四年前、八七年の七月にノースアンナ一号機のギロチン破断事故というのがアメリカであったわけです。アメリカ政府は徹底的にその調査をやって、翌年、八八年の二月に原子力規制委員会は原因となった三つの問題点を指摘しまして、それで、その三つの問題を中心にして、ウェスチングハウス及びコンパッション・エンジニアリングの二社の蒸気発生器を使用している事業者は、調べて、四十五日以内に詳細な報告書を提出しなさいとアメリカの方は命じたわけです。  その文書は日本にも来ておったんですが、当時の日本の対応というのは、日本は原発の水管理をしっかりやっているから大丈夫である。また、その蒸気発生器について、実は政府の委託調査といいますか、安全性実証試験の検討委員会というのをそれより数年前にやっておりまして、実際に実験をやったのは実は美浜の蒸気発生器をつくった三菱重工なんですね、そこへ委託調査をやっておったわけです。それで、安全だ、安全だということでいってしまったわけでありますが、しかし、それが三年後に、九一年二月にあの事故をやったわけです。その後、政府調査によっても明らかになったことは、結局、NRCが指摘したとおりの問題が、三つの問題ですね、美浜事故でもあったんだ、これが明らかになりました。  ですから私は、本当にそういうこれまでの教訓をしっかり学んで、よそがあっても日本は大丈夫だという、この発想をやめて、神戸はあったけれどもよそは大丈夫だ、この発想というものをやはり転換をする。そして原発の基準についてやはり、もちろん専門家の意見もいろいろ聴取されるでしょうが、徹底した見直しをやって、そして今ある日本の原発について徹底した総点検を行う。少なくとも、今回の事故にかんがみて、これだけのことはやはりやり抜いていく必要があると思うんですが、この問題の最後に、この点についての総理の見解を伺っておきたいと思います。
  291. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 委員は工学部の御出身、こうした分野の専門家でおられるわけですから、その意見は私も真剣に拝聴をいたしました。  ただ、私自身、技術の素養がございません。そして、先ほども申し上げましたように、原子力安全委員会が今回の地震を踏まえた検討会を設置し、そして耐震設計に関する指針妥当性について確認する、こうしておられることを踏まえて、我々はこれも参考にし、また、まさに原子力発電技術顧問の専門的な意見も聞きまして、一層安全確保努力をしてまいります。
  292. 吉井英勝

    吉井委員 その安全性確認ということで、今までで基準がよかったよかった、万々歳、こういうことになったのでは本当に教訓を酌み取ることにはなりませんから、この点は重ねて申し上げて、次の問題に移りたいと思います。  それで、私は次に、地震災害に強い町づくりとか、そういうことで建築物の問題や都市計画にかかわるような問題について質問する予定でありましたが、時間の関係でかなりの部分をはしょって、幾つかだけお聞きしておきたいと思います。  私も実は事故の後、西宮から芦屋から東灘、灘、ずっと回って長田区まで、歩いていくのは大変ですが、自転車で九時間ぐらいかけて災害の調査に回りました。そして、高速道路がどうなっているかとか、ビルがどうなっているかとか、もちろん、後ほどお聞きしますが、被災者の方、業者の方の御要望などを見たり聞いたりしてまいりました。  その中で、まず地震に強い建物とかそういうものを今後考えていく上でこれは一つ大事だなと思いましたのは、高速道路、鉄道、公共建築物などの耐震設計基準の見直しというものについては既にその方向で検討するということが答弁等で示されておりますが、それとあわせて、その見直しとともに、設計、施工、材質、管理のそれぞれの角度から検討を本当に行うことができるように。  そういう点では、今確かに復興復旧を急がなきゃなりませんから、神戸の町全体が工事現場のようになっておりますし、瓦れきをどんどん撤去するということを言っておりますが、実はそういう中で、必要な研究資料となるものを、やはり国立の試験研究機関とかあるいは近くにあります神戸大学や京都大学の防災研究所を初めとして全国の研究者に、こういうものが確実に保管されて、学者、専門家の手で材料試験を初めとする分析や研究ができるように、それを保証していくことが必要だと思うのです。  実のところ、それをやっておかないと、今度の問題についての究明もこれからの対策もなかなか科学的にできない場合もあるわけです。ですから、どんどんどんどん撤去するという中で、同時に必要な部分、これは、学者の人たちでは、例えば道路橋の足ですね、上から下までをぶっちぎって大学へ持って帰るということは簡単にいかないのです。運べない場合は、ガス切断をやるとかあるいはコンクリートについての切断をやるとかして持ち帰れるような形にして持って帰るとかしなきゃいけませんが、しかし、そういうことがなかなか進まないうちに実はどんどんそういう大事な資料というものがなくなっていっているというのが現実でもあります。実は私は、試験研究者、技術者の方たちからもそういう声をやっぱり聞いているわけです。  そういう点で、これはまず現場での協力もしてもらわないとうまくいきませんから、道路とかそれからビルなどについて、そういう協力は、国立の試験研究機関はもとより、全国の希望する大学の研究所や学者の人たちの手にきちっと渡るような、そういう体制をとっていただきたいと思うのですが、道路、ビル等については建設大臣の方から、なお、新幹線等鉄道については運輸大臣の方からひとつお聞きしておきたいと思います。
  293. 野坂浩賢

    ○野坂国務大臣 先生からお話がありましたように、瓦れきの取り片づけだけではなしに、そこにも重大な資料もあろうと思っております。  おっしゃるように、今までは、関東大震災なり新潟地震等で、それの耐震性を基準にしてつくったという現状があるわけですから、それが倒れたわけですから、地震学の先生やあるいは橋梁学の先生等、瓦れきを除去するだけではなしに、そこに重大な資料があれば全部収集をし、その傷跡といいますか、破損部分については十分に対応するようにということを言っております。  それ以上のことについて、専門家も来ておりますので、説明させでもいいと思っております。  それでは、事務局から説明お願いします。
  294. 藤川寛之

    ○藤川政府委員 今お話がございましたように、高速道路の倒壊現場等につきましては、やはり早急な交通確保を図らなきゃいけないというようなことで、今瓦れきの撤去を我々としても最大限努力しようということでやっているところでございます。  今お話がありましたような原因究明のためのいろいろなデータの収集でございますけれども、私どもは事前に、瓦れきを撤去する前に、やはりきっちりと現場の写真を撮るとか、あるいはコアをとるとか、将来の原因究明のためのデータの収集をきちっとやれという指示をしておりまして、そういうデータの収集等もできる限り努めるということで対応しているところでございまして、いずれ私ども、この地震対策検討委員会というのを設置しておりますので、そちらの方にそういうデータ等についてはお諮りして、いろいろ御意見を承りたいというふうに考えているところでございます。
  295. 亀井静香

    ○亀井国務大臣 ただいま陸海空、それぞれ検討委員会を設けまして、現在現地で専門家が活動開始をいたしておるわけでありますが、先生御指摘のような今後の耐震研究に必要な資料等は十分きちっと確保し、将来に備えるということにいたしております。
  296. 吉井英勝

    吉井委員 この問題はもうこれだけで、次に移りたいと思いますが、基準の見直しとともに、その基準に合った設計をきちっとして施工を完璧にするということが、大量輸送手段や公共的性格を持つ建造物を利用する国民の安全を保障する上で、これは絶対にやり抜かなければならない課題でありますし、そういうことからも、過去の設計図書と、そして現場の資料とか、きちっと突き合わせもして研究もできるような、その保証というものは、今本当にやらないとこれはうまくないわけです。その点については、ぜひ建設省やそれから運輸省の方で、学者、研究者の皆さん、これは国立だけじゃなくて、地方自治体のそういう研究者の皆さんなどについても協力ができるような体制はきちっととっていただきたいということを申し上げまして、次に移りたいと思います。  次に、これからの復興復旧の問題について、まず基本姿勢を総理に伺っておきたいのですが、復興してきれいな安全な町になった、それはよかったんだけれども、これまでそこに住んで、商売して、働いていた人たちが追い立てられてしまうような、事実上追い立てられるような形ですね、地域社会が崩壊してしまう、そういうことになったら、これは市民の立場に立った復興計画ということにはならない、言えないと思うのです。実はそういう心配を、やはり被災者の方とお話ししておりますと、開発の仕方によってはそうなる、例えば、飲食店街のビルに入っていたけれども、うんとテナント料が高くなったらもとへ戻れないとか、いろんな御心配の声というのを私は聞いてきました。市民の願いというのは、そこに住み続け、営業し、働き続けられる町への復興、こういうことです。  政府復興の基本理念と姿勢というのは、私はこの市民の期待にこたえるものでなきゃならぬと思うのですが、この点についての総理の見解を最初に伺いたいと思います。
  297. 五十嵐広三

    ○五十嵐国務大臣 申すまでもなく、復興の基本理念というのは、あくまでも県あるいは市など地方自治体の町づくりの基本的な考え方、これを土台にして復興を進めていくということが大事なことだろうと思うのです。それはもちろん、その町々の住民参加による市民共通の理念、方針というものを立てて、そして、そのリーダーの十分な指導力のもとに困難な中でも明るさを求めて頑張っていくべきであろう、国はそれを全面的に支援していくということだろうと思います。  もちろん国といたしましても、そのためには支援する体制をどうするかというようなこと等、十分に検討をして、御存じのようにいわゆる必要な特別立法であるとか予算等を十分に考えながら対応していくということであろうと思うのであります。もちろんこの場合、いい町をつくっていくということのためには、住民の意思というものを尊重していくことは当然でありますが、しかし、そのことはまた、住民のいい町への深い理解と協力というものが不可欠なことであって、そこは、いい町をつくるためには、公的な町づくりの考え方というものをお互いしっかり持ち合って協力し合うという、このことが一番重要であみうと思います。
  298. 吉井英勝

    吉井委員 今のお話にもありましたように、住民が参加して、そして町づくりの計画がつくられていく、それを支援するという形で、そういう復興の理念に立って進められたいと思うのですが、その中でやはり市民の復興への熱意とか参加が本当に重要なことです。 被災して工場や商店を失った人、働く場を失った人、たくさん私はお会いもして、そして本当に何とかしなければいけないという、そういう思いを持って帰ってきたわけでありますが、そして、事実上失業者になった人がたくさん出ておりますし、これらの人々に働く場を直ちに保障するということは、自分たちの町を自分たちの力で復興するという熱意を生かしていくことにつながると思うわけです。  そういう点で、震災復興のための公的就労事業検討などを含めて、被災者への全力を挙げた就職紹介、また窓口を広げること、職員配置を阪神に少しシフトをすることなど、機動的な対応強化というものを労働大臣には伺っておきたいと思うのですが、どうでしょうか。
  299. 浜本万三

    浜本国務大臣 吉井議員にお答えいたします。  雇用対策といたしまして、国や地方公共団体が失業者を直接吸収することを目的として事業を実施いたしますことは、これまでの経験から、事業の効率性の問題でありますとか失業者の滞留や事業の永続性などから考えまして、ちょっと問題があるのじゃないかというように思っております。民間企業における雇用へ再就職するまでの暫定的な就労の場を提供するという所期の目的にそぐわない問題がありますので、公共就労事業を起こすことは適当ではないのではないかというふうに思っておる次第でございます。  むしろ、労働省といたしましては、被災労働者の救済につきましては、かねてから御答弁を申し上げておりますように、被災地域内の事業主に対して雇用調整助成金支給してその雇用維持を促すとともに、被災により休業離職を余儀なくされました労働者に対しては失業給付の特例支給を行っているところでございます。  いずれにいたしましても、今後の労働力の需給状況を見守りながら、被災労働者職業訓練を含めました雇用確保に向けまして最大限の努力をしてまいりたいと思います。
  300. 吉井英勝

    吉井委員 後段の御答弁が漏れていますので、そういう検討も含めてということであれなのですが、被災者への全力を挙げた就職紹介とか、窓口を広げることとか、職員配置をやはり少し阪神地区に一時的にシフトするとか、そういう機動的な対応強化ということを私伺っているのです。
  301. 浜本万三

    浜本国務大臣 お答えいたします。  御承知のように、労働省といたしましては、各職業安定所に相談窓口を設置いたしまして、これは大阪を含めまして求職者の皆様の親切な御相談に応じておるわけでございます。また、雇用の問題は、最近も、皆さん御承知のように広域的にこれは対処しなければならないというので、広域的な対処を機動的に実施するということにいたしておるわけでございます。
  302. 吉井英勝

    吉井委員 ここでは全国の七割を占めるケミカルシューズ業界で、関係企業五百社のうち半数以上が焼失し、縫製などの下請を合わせるとケミカルシューズ製造業界の八五%から九〇%の崩壊が見積もられております。私は、ちょうど西宮の方では酒屋さんの倒壊現場なども見てまいりましたが、ここの被害も大きいし、小売業関係で見ましても、神戸市内二百八商店街、八千八百六十三店舗のうち、全壊、全焼の店舗が三割を超える。市場の方も八十市場、二千四十八店舗のうち五割近い店舗が全壊、全焼と、本当に長引く不況の中で緊急融資などを受けてやっと持ちこたえてきたところへ、今度の地震で壊滅的な被害を受けた中小業者にとって、三%融資などは、借りたくても先のことを考えると自信が持てないとか、そういう悩みの声も聞きました。  営業再開へのハードルはなかなか高いなという感じもするのですが、金融相談に現場で昼夜を分かたず頑張っていただいているのも、これも聞いてきました。よく知っているのですが、今の営業再開への中小業者の意欲にこたえて、激甚災害法による特別融資の法定金利四・四五%、三%を特例として無利子にすることなどもやはり検討していくべきだと思うのですが、この点は大蔵大臣、どうでしょうか。
  303. 武村正義

    ○武村国務大臣 政府系中小企業金融機関につきましては、政府による被害を受けた中小企業等に対する特別措置の実施の決定、激甚災害の指定等を受けまして、金利の引き下げ等積極的な対応を行っております。担保につきましても、実情に応じ取り扱いを弾力化しているところであります。また、被害を受けた中小企業者に対する信用保証協会の債務保証を充実するため、これは通産省の関係ですが、中小企業信用保険公庫について保険限度額の拡大等の措置を実施をいたしております。その中で、担保も保証人もない方についての保険限度額は、通常の五百万円から一千万円に倍加したところであります。  政府としましては、被災中小企業者の一刻も早い復旧を図るため迅速な対応を行っているところでございますが、まず円滑なこうしたシステムの実施が最も重要と考えておりますし、今後におきましては、激甚法の規定との関係、他の災害における措置との公平性等をも考えながら、適切に対処してまいりたいと存じます。
  304. 吉井英勝

    吉井委員 通産大臣は現地をごらんになられて、悲痛な声も聞いてもらっているわけですが、例えば大企業の技術開発だったら巨額の補助金、委託費の上に、基盤技術研究促進センターからの無利子融資とか、やはり無利子の融資という制度があるわけですね。それから、航空機開発には、開発銀行の融資に利子補給して無利子融資ということも考えているわけです。  それから、その上、一九九〇年のときは、公定歩合六・〇%、財投金利七・九%のときであっても、激甚災害融資の金利は三%であった。今公定歩合一・七五%、財投四・七五%ということを考えますと、本当に生きるか死ぬかの瀬戸際の中小業者の皆さんの運転資金、設備資金として、無利子融資ということは私は考えてしかるべきだと思うのですが、簡単で結構ですから、もう一度伺っておきたいと思います。
  305. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 今までとってまいりました制度については、既に委員御承知のとおりであります。しかし、先般来本委員会でも御答弁を申し上げておりますように、それで足りるかということになりますと、私にとりましては、今後その商と工を分けて対策を立てなければならない状況等、さまざまな要因を考えますと、一層努力をいたしていきたいと考えております。
  306. 吉井英勝

    吉井委員 ぜひその努力をしていただきたいと思いますし、大蔵大臣もぜひよろしくやっていただきたいと思います。  次に、ケミカルシューズなど地場産業、商店街の復旧、営業再開実現のために、地方自治体と協力して国が大幅に補助して、仮設工場とか仮設店舗ですね、市場、この建設をすべきだと思いますが、これは非常に要望が強いのですね。  この点についてお伺いしておきたいのと、あわせて、既存の組合の行う共同工場、共同店舗等への補助制度の活用とともに、震災復興の意欲に燃えて新たに組合を結成して取り組もうとする、そういう業者の方たちが出てきたときに、その業者の方たちの共同工場とか共同店舗等に対する復旧事業にも補助制度の適用や無利子の高度化融資制度について対象を広げられるように、運用を弾力的に図られるように考えていただきたいと思うのですが、この二点について伺いたいと思います。
  307. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 先般、兵庫県庁におきまして知事及び市長さんにお目にかかりましたとき、私の方からお願いをいたしましたのが、一日も早く立ち上がりが必要、ですからどうぞ、例えば県の工場団地等において、あいて無事なところがあるならば、そこに仮設の工場を建てて、賃貸でも提供するような工夫をしていただきたい。私の方からお願いを申し上げました。  今そうした方向での、共同工場あるいは商店におきます共同店舗の賃貸制度、高度化施策の一環として実施する方向で検討をいたしているさなかであります。これは協同組合に入っておられる、入っておられないの問題ではなくて、これだけ多数の被災者を出した以上、その中で幾つの業者を救えるかということが勝負なんですから、我々としては、引き続き被災地域実情を少しでも把握を正確にすると同時に、早急に対応策を進めてまいりたいと考えております。
  308. 吉井英勝

    吉井委員 時間がもう参りましたので、最後に一点だけお伺いして終わりたいと思います。  被災者が余りにも多数に上るので住宅がなかなか間に合わないということ、比較的長期にわたってテント暮らしや体育館等での生活を余儀なくされるという大変な事態があります。それで、仮設住宅建設能力からしてもあらゆる努力、工夫が必要でありますし、被災生活の方には、これまでの地域での生活基盤や人間関係もあり、なかなか地元に住み続けたいという希望が強いのは当然ですが、ぜひその方向での住宅確保努力されたいと思います。  同時に、実は近隣四県に、これは通産の方に私お尋ねしたところ、大手企業の空き社宅等について、なかなか調べにくいということで直接の回答はないのですが、しかし、姫路市の新日鉄広畑製鉄所の寮は、通産に尽力いただいて百四十戸の確保ができたわけですね。それから、高石市にあります三井東圧と興亜石油、合わせて百戸とか、こういうのがあるわけです。ですから、ぜひ、高炉の火が消えたり海外移転などで空き社宅がかなり出ていますから、こういうものについても通産としても積極的に協力を求めて調べていただいて、空き社宅、寮等について、仮設住宅ができるまでの間とかそういうことも含めて緊急に雨露をしのげるように努力をしていただきたい。この点だけ最後に伺って、質問を終わりたいと思います。
  309. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 今委員から御指摘でありますけれども、民間の企業、確かに多数の社宅等を有しておられる企業もありますが、それぞれが自身の社員の被災者等々で相当こった返しておるようであります。しかし、要請をいたし、調査をいたしましたが、既に提供済みのものを含めまして六百ケースぐらい、件と言って建物の数と混線するといけませんのでケースと言わせていただきます、既に六百ケースぐらいが全国から申し出をいただいておりまして、国土庁の方にも報告をさせていただいております。
  310. 吉井英勝

    吉井委員 終わります。
  311. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて吉井君の質疑は終了いたしました。  次回は、明二日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時四分散会