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1995-01-30 第132回国会 衆議院 予算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年一月三十日(月曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 佐藤 観樹君    理事 衛藤征士郎君 理事 桜井  新君    理事 野呂田芳成君 理事 深谷 隆司君    理事 伊藤 英成君 理事 加藤 六月君    理事 草川 昭三君 理事 三野 優美君  理事 五十嵐ふみひこ君       伊藤 公介君    稲葉 大和君       浦野 烋興君    江藤 隆美君       小野 晋也君    越智 伊平君       越智 通雄君    栗本慎一郎君       後藤田正晴君    近藤 鉄雄君       志賀  節君    七条  明君       高鳥  修君    東家 嘉幸君       根本  匠君    浜田 靖一君       林  幹雄君    原田  憲君       村山 達雄君    茂木 敏充君       若林 正俊君    伊藤 達也君       石井 啓一君    石田 勝之君       今井  宏君    川島  實君       工藤堅太郎君    左藤  恵君       笹木 竜三君    須藤  浩君       月原 茂皓君    野田  毅君       二見 伸明君    冬柴 鐵三君       松田 岩夫君    山口那津男君       山田  宏君    池端 清一君       今村  修君    坂上 富男君       竹内  猛君    細川 律夫君       前原 誠司君    穀田 恵二君       松本 善明君    海江田万里君  出席国務大臣         内閣総理大臣  村山 富市君         法 務 大 臣 前田 勲男君         外 務 大 臣 河野 洋平君         大 蔵 大 臣 武村 正義君         文 部 大 臣 与謝野 馨君         厚 生 大 臣 井出 正一君         農林水産大臣 大河原太一郎君         通商産業大臣  橋本龍太郎君         運 輸 大 臣 亀井 静香君         郵 政 大 臣 大出  俊君         労 働 大 臣 浜本 万三君         建 設 大 臣 野坂 浩賢君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     野中 広務君         国 務 大 臣         (内閣官房長官五十嵐広三君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 山口 鶴男君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長         官)         (国土庁長官) 小澤  潔君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 玉沢徳一郎君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      高村 正彦君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      田中眞紀子君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 宮下 創平君         国 務 大 臣 小里 貞利君  出席政府委員         内閣法制局長官 大出 峻郎君         内閣法制局第一         部長      津野  修君         国際平和協力本         部事務局長   鈴木 勝也君         警察庁長官官房         総務審議官   山本 博一君         総務庁長官官房         審議官         兼内閣審議官  菊池 光興君         防衛庁参事官  熊谷冨士雄君         防衛庁長官官房         長       三井 康有君         防衛庁防衛局長 村田 直昭君         防衛庁教育訓練         局長      佐藤  謙君         防衛庁経理局長 秋山 昌廣君         防衛施設庁長官 宝珠山 昇君         防衛施設庁施設         部長      小澤  毅君         経済企画庁調整         局長      吉川  淳君         国土庁防災局長 村瀬 興一君         外務省総合外交         政策局長    柳井 俊二君         外務省アジア局         長       川島  裕君         外務省北米局長 時野谷 敦君         外務省経済局長 原口 幸市君         外務省経済協力         局長      平林  博君         外務省条約局長 折田 正樹君         大蔵省主計局長 篠沢 恭助君         大蔵省主税局長 小川  是君         大蔵省国際金融         局長      加藤 隆俊君         国税庁次長   松川 隆志君         文部大臣官房長 佐藤 禎一君         文部大臣官房総         務審議官    雨宮  忠君         文部省生涯学習         局長      泊  龍雄君         文部省初等中等         教育局長    井上 孝美君         文部省教育助成         局長      遠山 耕平君         文部省高等教育         局長      吉田  茂君         厚生大臣官房総         務審議官    太田 義武君         厚生省保健医療         局長      松村 明仁君         農林水産大臣官         房長      高橋 政行君         通商産業省通商         政策局長    細川  恒君         通商産業省機械         情報産業局長  渡辺  修君         運輸省運輸政策         局長      豊田  実君         郵政大臣官房審         議官      品川 萬里君         郵政省電気通信         局長     五十嵐三津雄君         郵政省放送行政         局長      江川 晃正君         労働大臣官房長 伊藤 庄平君         建設大臣官房長 伴   襄君         自治大臣官房総         務審議官    二橋 正弘君         自治省税務局長 佐野 徹治君         消防庁長官   滝   実君  委員外出席者         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ――――――――――――― 委員の異動 一月三十日  辞任         補欠選任   後藤田正晴君     根本  匠君   近藤 鉄雄君     七条  明君   関谷 勝嗣君     栗本慎一郎君   中山 太郎君     林  幹雄君   原田  憲君     茂木 敏充君   村田敬次郎君     稲葉 大和君   山崎  拓君     浜田 靖一君   安倍 基雄君     二見 伸明君   山田  宏君     今井  宏君   佐々木秀典君     竹内  猛君 同日  辞任         補欠選任   稲葉 大和君     村田敬次郎君   栗本慎一郎君     関谷 勝嗣君   七条  明君     小野 晋也君   根本  匠君     後藤田正晴君   浜田 靖一君     山崎  拓君   林  幹雄君     中山 太郎君   茂木 敏充君     原田  憲君   今井  宏君     須藤  浩君   二見 伸明君     安倍 基雄君   竹内  猛君     佐々木秀典君 同日  辞任         補欠選任   小野 晋也君     近藤 鉄雄君   須藤  浩君     山田  宏君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  平成七年度一般会計予算  平成七年度特別会計予算  平成七年度政府関係機関予算      ――――◇―――――
  2. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  平成七年度一般会計予算平成七年度特別会計予算平成七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。二見伸明君。
  3. 二見伸明

    二見委員 私は、きょうは防衛問題を中心に総理の御見解を承りたいと思っておりますけれども、その前に、今回の大震災に関しますことについて若干承りたいと思います。  私は、今回のこの大震災を日々思うにつけ、大変な事態だというふうに思っておりまして、お亡くなりになられた方々に心からお悔やみも申し上げますし、たくさんの被災者にお慰めの言葉を申さなければならないと思っておりますが、同時に、この問題について政治責任ということがよく言われました。私は、この政治責任二つに分けられると思う。  この第一のものは、大変な災害が起きた、地震そのもの天災だけれどもスタートアップ政府対応の甘さ、これは大変重大な政治責任であります。また、この被災をどうやって復興させるか、これも政治責任であります。政治責任二つに分かれるということを御銘記をいただきたいと思います。  私は、今回の大災害を思うにつけ、また本予算委員会同僚議員から数々の指摘がなされましたけれども政府対応の甘さ、責任感の欠如が明らかになるにつれ、正直言って日々憤りが募るばかりであります。  総理、率直にお答えをいただきます。形容詞は要りません。今回の大震災に対して、運用の問題だとかいろいろ言われておりますけれども、結果として、総理大臣罪万死に値するという言葉をあなたはどう思いますか。私は、この大震災はまさに罪万死に値するという言葉がぴったり当てはまる大変な政治責任だと思います。いかがでしょうか。
  4. 村山富市

    村山内閣総理大臣 たびたびこの席でも申し上げましたように、何といっても五千人を超すとうとい人命を亡くしたとか、あるいは今なお三十万人に近い方々避難生活を余儀なくされて、まだ瓦れきの下に恐らく亡くなられた方がおられるかもしれない、こういった悲惨な状況になっている現状を見たときに、振り返ってみて、欠くる点もたくさんあったのではないかというようなことがいろいろ指摘されておりまするけれども、そういう意味から申し上げますと大変申しわけない事態だということは感じておりまするし、そういうことを振り返ってみて、やはりこれから二度とこんなことを繰り返さないというぐらいの決意で厳しい点検もする必要があると思います。それだけにまた、復興には挙げて責任を持ってきちっと対応する必要があるというふうに考えております。
  5. 二見伸明

    二見委員 私は政治責任二つに分けて申し上げました。復興のために全力を挙げる、これも十分大切な政治責任であり、それは政府ばかりではない、我々野党も復興のために政治責任を感じ、政治家としての、政党としての責任を感じてやらなければならないと思います。  と同時に、この問題について、こういうことになってしまった、それに対する責任というものはしかるべきときにおとりになる、そのくらいの覚悟がなければならないのではないかと私は思いますが、もう一度お願いします。
  6. 村山富市

    村山内閣総理大臣 今は、私はいろいろな批判やら意見は甘んじて受けなければならぬと思いまするけれども、今の私どもの置かれた責任というのは、何といっても、やはりまだお困りになっている方がたくさんおるわけですから、その救援対策に万全を期しながら、復旧復興全力を挙げて皆さん方の期待にこたえる、これが我々に課せられた大きな責任ではないかというふうに感じております。
  7. 二見伸明

    二見委員 復旧復興に関して私は、この問題は、天災でありながらなおかつ人災の面が非常に大きい、これに対する追及は我々はこれからもやってまいりますけれども、それはそれとして、復旧のための、復興のための提言もしなければならぬし、政府に要求もしなければならぬというふうに思います。そういう立場で、きょうはこの問題に関しては、復旧復興に関連して二、三申し上げたいというふうに思います。  この災害に関して補正予算平成六年度の補正も組まなければならない、平成七年度予算にもこの問題を組み入れなければならない。私は、むしろ平成七年度に関して申し上げますと、これは大蔵大臣の方にお尋ねした方がいいのかと思うけれども災害というのは、全体像が明らかになるまでは、この事件というのは平成七年度予算の編成が終わった後に起こったことですね。まさに平成七年度、補正という言葉を使うか組み替えという言葉を使うかは別として、いわば追加的な予算ですね。まさに災害予算として追加的なものですね、これは。それは全体像がわかるまでは組まないのか、わかったところから第一次、第二次、第三次というふうに逐次組んでいくのか、その点についての大蔵大臣の方のお考えはいかがですか。
  8. 武村正義

    武村国務大臣 おっしゃるように、この問題に対しては、一つは迅速に対応しなければなりません。そしてまた、ごく短期的に取り組む仕事もありますが、かなりのロングレンジで腰を据えて取り組まなければならない何年間にわたる事業もございます。  そういうことを考えますと、御指摘のように、形式にこだわらないで、まさに適宜適切な財政対応が必要であるという認識を持っておりまして、補正につきましても、平成六年度の補正のみならず、既に平成七年度につきましても申し上げておりますように、補正対応は柔軟に、積極的に対応をしていきたいと思っております。
  9. 二見伸明

    二見委員 先日海部党首が、平成七年度予算のときに補正の話をすると、今まではタブーだった、このタブーをやめて、言葉じりをとらえないからやろうじゃないかという議論をしましたね。私の聞き間違いだったら申しわけないのだけれども。  大蔵大臣は、平成七年度予算が成立してから補正考えるというような発言をされたけれども、私は、平成七年度予算の成立と、いわゆる第一次補正というか第一次災害予算というのはむしろ並行してできてもいいのではないかというふうに思います。その点はいかがですか。
  10. 武村正義

    武村国務大臣 海部議員の御質問お答えしたときは、平成七年度、通って、あるいはなってから考えると申し上げたのじゃなしに、今平成七年度予算を御審議をいただいているさなかでございますから、まだ成立してない状況の中でもう既に担当大臣がその補正に触れるということは、ちょっと問題だと思います、しかし、ということで申し上げておったつもりでございます。  既にもう平成七年度の補正についても私どもとしてはいろいろな議論を始めておりますし、今から対応しなければならないことは対応をしていきたいというふうに思っております。
  11. 二見伸明

    二見委員 問題は財源ですね。平成七年度災害、あえて災害予算という言葉を使わせてもらいますけれども、この財源が大変な問題であります。建設国債対応できるところもある、そうではない、赤字国債発行も覚悟されますか。大蔵省財政当局は、従来から、赤字国債はやりたくない、やりたくないと極力回避してまいりました。私も赤字国債というのは決して好ましいことだと思っておりませんけれども、今回の場合の赤字国債は、かつて言われたのは、飲み食いの借金を孫子の代に払わせるのかというのが赤字国債の大きな反論でありました。  今度の場合は、これはおやじの借金を子や孫が払うという筋合いのものではない、まさに緊急的な大変なことであります。赤字国債は好ましいことではないけれども、今回の場合は赤字国債発行もやむを得ないのではないか、むしろこういうときにこそ赤字国債発行してもいいのではないかと私は思いますけれども大蔵大臣の御見解はいかがですか。
  12. 武村正義

    武村国務大臣 我が国の財政が、今国会冒頭でも御説明を申し上げましたように、大変脆弱な、数多くの問題を抱えた状況に立っておりまして、赤字国債どころか多額の過去の債務も含めて、財政再建こそこれからの最大の課題であるということを強く認識しているところにこの災害が出来をいたしました。しかし、災害はもはや手段を選ぶべきでない事態でありますから、そういう意味では、補正についても先ほど申し上げましたが、この補正を担保する財源につきましても、私どもとしてはありとあらゆる財源手段可能性を求めなければならないというふうに思っております。  国民皆さんも、ボランティアの本当に頭の下がるような活動に見られますように、阪神地域被災に対しては自分のごどのような思いを持ちながら、何か手助けができないか、何か自分も役に立てないかというお気持ちをほとんどの皆さんがお持ちいただいている。日本人に健全な心がある意味では回復しつつあるという言い方をした人もあります。  そんなふうにとらえますと、この救援の膨大な資金をどう工面をしていくかということは、しょせん公の分野国民皆さん負担しかないわけです。税金負担お願いするか、あるいは国債という形でも、赤字国債もそうですが、六十年間にわたって結局は税金で返済をするわけですから、そういう国民負担お願いをしていくか、融資でお願いをしていくかという大きな二つの道があるわけでございますが、じゃ、どういう国民負担が今の国民皆さんのお気持ちに一番合うのか、そんなことも前提議論をしていきたいと思っております。  既に郵政省は、郵便切手でございましたか、二十円オンするような考え方を発表されておりますが、あるいはまた銀行銀行で、一部預金金利を義援金として御寄附をいただくという義援預金のようなものを発表した銀行もございます。そういう動きも既に始まっている中で、政府としましても、いろいろな可能性を検討しながら議会にお諮りをさせていただきたいと思います。もう少し時間をいただきたいと思っています。
  13. 二見伸明

    二見委員 大蔵省は、こういうことになるとすぐ財源探しを始める。まずやり玉に上がるのは酒とたばこだ。それから油だ。酒税を上げよう、たばこを一本一円上げよう、油だ、これが大蔵省が真っ先に考える話だ。私はこれは反対です。だけれども反対であるけれども一つ考え方であることは間違いない。もう一つ消費税五%アップ前倒してやろう。私は反対です。しかしこれも一つ見識といえば見識だ。そういうこともお考えになりますか。
  14. 武村正義

    武村国務大臣 今、具体的なことを考えているわけではありません。ただ、お考えいただきたいのは、いずれにしても、学校を復旧し、道路を直し、公共分野仕事は税で、国民皆さんの御負担でやるしか道はないわけです。ですから、まさに国民皆さんのお気持ちがどこにあるか、そしてどういう負担が一番御了解をいただけるかというところに議論の焦点はあると思うのですよ。  そういう中で、今すぐ、そういうおっしゃったような何かの税を上げるという道もそれはあるかもしれません。建設国債というのは、むしろ六十年償還という、ある意味では一番安易な道、まあ国債でやっておけばいいじゃないかというのは、しかし国債という何か打ち出の小づちがあったわけではなしに、これは利子をつけて、営々と税金で子孫にわたってまで償還を強いる財政の仕組みでございますから、どの道が一番いいのか。  これは、反対とおっしゃっていただくのも謹んで拝聴いたしますが、この形はどうだ、これはどうだという御提案もぜひいただくことができればありがたいと思っております。
  15. 二見伸明

    二見委員 増税含み財源対策という感じがしないわけでもございませんけれども、まだ詰まっていないようですので、それはまた改めて、その時点で議論をしたいと思います。  もう一点、いわゆる被災地方々所得税住民税地方税、これをどうするか。例えば住民税の場合には、市町村長ですか、県知事さん、市町村長の方でいろいろ条例なんかでやれるということのようでありますけれども、私は、平成七年度も、被災地住民方々所得税というものの減免考えでいいのではないか、地方税減免考えでいいのではないか。当然それは財源も補てんしなければなりません。その補てんは、先ほども申し上げたように、やはりたばこか酒か油が、あるいは消費税前倒しかあるいは赤字国債が、考える範囲は大体そんなものなんです。その点について、所得税に関しては大蔵大臣から、地方税に関しては自治大臣からお考えを承りたいと思います。
  16. 武村正義

    武村国務大臣 今、減免の方ですね、所得税の。これは既にお答えを申し上げておりますが、所得税につきましては、被災者皆さん申告の時期がもう目前に来ておりまして、早くこの方針を確定をして、お知らせをいたさなければいけないというふうに思っております。  目下急いでおりますが、大体の方向としましては、もちろん所得税確定時期をずらすとか、支払いを延ばしていくということは、これは税全体についても対応をしなければならない第一の課題でございますが、ことしの確定申告に伴ってどういう措置をとらしていただくか。ことしの確定申告は、前年の、平成六年の所得にかかる申告であります。地震はことしの年頭に起こりました。ですから、来年の申告にかかわる問題でございます。その矛盾を私どもいち早く見詰めまして、できれば平成六年の所得からことし年頭に起こったこの災害被害額を控除する措置を講ずることができないだろうかという前提で今最後の詰めをいたしております。御了解いただきたいと存じます。
  17. 野中広務

    野中国務大臣 今大蔵大臣からも御指摘がございましたけれども被災地域住民皆さん方地方税減免につきましては、一時的に担税力が減少をするわけでございますので、地方税法及びこれに基づく地方公共団体条例で定めることになるわけでございますけれども、期限の延長、さらには徴収の猶予または減免措置等につきまして、平成六年度分について先般事務次官通達を出したところでございます。  平成七年度につきましては、その被害がまたまことに重大でございますので、この減免等につきまして、減収する地方財政措置等あり方等も十分踏まえながら、国税の取り扱いをも参考にしながら、今後その取り扱いについて検討をしてまいりたいと考えております。
  18. 二見伸明

    二見委員 野中さん、要するに平成七年度も減免方向でやるということですか。
  19. 野中広務

    野中国務大臣 はい。そのとおりでございます。
  20. 二見伸明

    二見委員 それでは、きょうの私の議題質問をしたいと思います。最初に、災害時における自衛隊の役割について、総理大臣の御見解を承りたいと思います。十七日、防衛庁長官は朝午前六時に秘書官から連絡を受けた。総理は六時過ぎにテレビで知った。この違いは大変ですね。私人であればテレビで知っていい。総理大臣テレビで知ったのじゃまずい。テレビよりも、第一報が総理大臣のところに行かなければならない。これは大変大きな違いです。簡単なようだけれども、大変な違いです。  これは、防衛庁の方は二十四時間、自衛隊の方は常時二十四時間体制でいる、災害を担当する国土庁の方は二十四時間体制ではない、この違いにあるんだけれども防衛庁長官秘書官から連絡を受けた、総理テレビで知った、この違いは物すごく大きいというものをまず認識しなければならぬと思いますけれども、いかがですか。
  21. 村山富市

    村山内閣総理大臣 今御指摘もございましたように、災害が発生した場合に、いかなる時間帯であろうとも迅速かつ的確にその情報が伝達されるということは、極めて重要なことであると思いますし、欠かせないことだというふうに思います。  今回の事態も、十分振り返ってみて、反省するところは反省し、見直すところは見直さなきゃならぬと思いますけれども政府及び関係機関が一体となって震災、災害対応できるような、より早く的確な情報伝達が行えるような情報収集のあり方について、今度のこの経験にかんがみて十分検討してみなきゃならぬ問題だというふうに強く認識をいたしております。
  22. 二見伸明

    二見委員 この点については、先日の予算委員会で我が党の市川さんの方から、十二月二十八日の三陸はるか沖地震の教訓があったじゃないか、それを教訓としなかったところに問題があるというので厳しく迫られましたから、あえてもうこのことに関して申し上げませんけれども、この災害を教訓として、総理には、有事に限らず、瞬時に情報が入る体制を本気になってつくらなければなりません。災害はきょうあるかもしれない、あしたあるかわからぬ。  防衛庁は、多角的な情報収集を目的とした情報本部をつくりたいという考えがおありのようです。この情報収集体制をどうするか、大きな課題です。防衛庁の機関を使う、これも考えられる。あるいは国土庁を二十四時間体制にする、そして常時監視するという部局をつくる、そういうことも考えられる。あるいは内閣の中にそういう情報収集機能を持たせるということも考えられる。いろいろなことが考えられる。  ただ、私は、これは一つ考えですよ、これじゃなきゃならぬと言いません。例えば、防衛庁情報収集活動というのは、体制というのは、これは有事に備えてのものですね。災害を想定して二十四時間体制でいるわけじゃありません。全く考えてないけれども、第一義的には国土庁ですね。そうすると、例えば、しかも大規模災害での自衛隊の役割が大きいということになれば、この情報収集体制の中枢に防衛庁の機関を据えるということも、これは考えられる。昔は、この話をしますと、これは大変な議論になったけれども、これからはもうシビリアンコントロールががっちりきいて、そんな海外派兵だとかなんとかという昔の議論はもう今ありませんからね。そうなれば防衛庁の機関を使うということも考えられる。またそれがいいんだと思います。  また、外務省では、海外での地震災害が起きたときにいち早く邦人を救出せにゃならぬ、その状況を知るために衛星を使いたいということで、平成七年度予算に三百五十万円の予算をつけて研究を始めますね。それは海外における地震災害のための、邦人救出のための研究である。そうすると、それは同じように、外務省だけの問題ではなくて、むしろ国内の災害対策に機敏に適応できるようにこれも考えてもいいのではないか、こう思いますけれども総理大臣、いかがですか。
  23. 村山富市

    村山内閣総理大臣 こうした被災の際に衛星を利用した通信システムを確立するということは、これは災害を受けずに済むだけに、私はやっぱりこれから考えなければならぬ大事なことだと思うんですよ。これはもう兵庫県なんかも持っておったらしいんですけれども、兵庫県の場合には、何か水が漏水して、そして自家発電が一時作動しなくなって、そしてストップした、こういう現象もあったようでありますけれども、この通信衛星システムを活用して、そして、そうした場合にも十分対応できるような仕組みというものをこれから真剣に考える必要があるのではないかということは認識をいたしております。
  24. 二見伸明

    二見委員 情報収集能力、体制、これをつくる。と同時に、災害発生時の機動的な対応も必要ですね。総理自衛隊の積極的な活用ということを言われた。やはり大災害のときの自衛隊のノウハウといいますか、これは非常に高く評価して私よろしいと思います。ですから、自衛隊が今回のような大災害のときに自分の持っている能力を機動的にかつ十二分に発揮できる体制、これはつくらなければなりません。  例えば、自衛隊法では、統幕議長は有事の際には、陸海空三自衛隊のうち二つ以上が統全部隊をつくった場合には、統幕議長が防衛庁長官の指揮命令を執行できることになっている。しかし、災害ではこういうことは想定していませんね。これは、有事と災害とは全く性質を異にするものだ、有事の場合には統幕に指揮命令権を与えた方が機動的にやりやすいということが多いんだろうと思う。災害の場合には、統幕よりもむしろ実情を知っているのは幕僚長や方面総監だ、だから、そこにすべての権限を与えた方がいいという発想で、統幕は想定してないんだと私思います。それを理解できないわけではないけれども、例えば、災害と。いうのはいろんな災害があるわけですね。水害もあれば地震もある、また発生した場所、時間、天候、さまざまなケースがあって一様な対応でできるものではありませんね。  ですから、これは国土庁やほかの省庁ももちろん関係するんだけれども、あえて防衛庁に焦点を絞らしてもらうと、例えば東海地震など救援計画のできているもの、こういうものについては、あるいは想像を絶するような大災害の場合には、統幕議長に指揮権限を与えでもよろしい、こういうことも考えられますね。もちろん、いや実情を知っているのは幕僚長だ、方面総監だからいいんだという議論もないわけではない。私もそれはよくわかるけれども、統幕議長に権限を与えるということも私は検討してもいいのではないか、だめだと最初から排除するんじゃなくて、検討してもいいのではないか、こう思います。  もう一つ。次に、現実には幕僚長や方面総監が三自衛隊の指揮をとった方がより機動的だということも、私この方が多いんだと思う。これは自衛隊法二十二条の運用でできないわけではないけれども、むしろ大規模災害自衛隊の持つ役割が非常に大きいということを考えるならば、また各部隊がばらばらに対応するんじゃなくて、最初から一つの指揮のもとに機動的に、効率的に動けるという体制をつくった方がいい場合もあるわけですね。今回の場合は、陸海空三自衛隊がそれぞれお互いに連絡をとり合いながらうまくやったけれども、それはあくまでも運用の話だ。むしろ、大災害のときには統幕議長あるいは幕僚長あるいは方面総監、それに三自衛隊の指揮をとらせる、そうすればより機動的な救助、救援作業ができるのではないかというふうに思います。陸上がだめだ、じゃ海から行こう、海上自衛隊に上陸用舟艇でもって救援部隊が運ばれる、こういう機動的なこともできる。  私は、むしろ各部隊がばらばらに対応するということが従であって、主は三自衛隊一体となって、一つの指揮のもとに効率的な救助体制を組むというふうに、これは運用で逃げるのではなくて、むしろ真っ正面から、法の問題として、システムの問題として検討してもよろしいのではないかと思いますけれども、これは恐らく防衛庁長官ですね。
  25. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 御指摘のありました大震災、今度の兵庫県南部の大震災と匹敵するものは、今まで計画を立てておりますのは東海地震、それから南関東地震、こういうことになっておるわけでございます。それで、東海地震の場合におきましては予知をできるという観点から、震災が起こってくるであろう、こういうことを想定した場合におきましては、内閣総理大臣から私、長官に要請がございまして、私の命によりまして部隊を派遣をする、こういうことになっておるわけでございます。  したがいまして、兵庫県の今回の大震災にあわせて考えてみますと、兵庫県の場合におきましては、地域防災計画はございましたけれども大震災を想定した防災計画というものはなかった。したがいまして、今後そういう大震災に向けての計画というものを立てましてやっていくということが大事じゃないか、こう思うわけでございまして、統幕議長指揮というお話もありましたが、やはり長官によって指揮を行い、統幕議長がこれを補佐する、こういうことになっておるわけでございますので、その点も御理解をいただきたいと思います。
  26. 二見伸明

    二見委員 要するに、三自衛隊が一体となって一つの指揮のもとに行動した方が効率的だと、ばらばらにやるのじゃなくて。その場合は、単に運用ということではなくて、二十二条の運用でやるというよりも、むしろ最初からそれを想定した方がよろしいということですね。私もそう思う。それは、場合によれば法改正も考えて、それを基本となさいますか。私は、東海地震の場合に長官が指揮をとり、統幕議長が補佐する、よくわかります。そのとおりだと思います。だけれども体制そのものをそういうふうに変えてはいかがでしょうか。
  27. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 今回の震災にかんがみまして考えてみますと、やはり自衛隊法の八十三条の運用をどうするか。第二項のただし書きによりますと自主派遣もできるということになっておるわけでございますが、やはりその前の第一項の方をより活用いたしまして、積極的に活用する、これの方が私は大事じゃないかと。つまり、自主派遣をして自衛隊だけ派遣をする、こういうことになりましても、地方自治体の協力というものがなければより有効なる効果というものは上がらないのじゃないか。したがいまして、あくまでも中央の危機管理体制も大事でありますが、地方自治体の危機管理体制も万全を期しておくという必要がある。  それで、今まで大震災に匹敵するような北海道の奥尻島の震災等ありましたが、そういう場合におきましても、北海道におきましては知事からの要請が極めて迅速であった、こういう点もあるわけでございますので、やはり迅速に要請をしていただき、従来から練ってまいりました防災計画に基づいて行動をし、協力しながら救済活動に当たる、これが私は大事じゃないかと思います。
  28. 二見伸明

    二見委員 自衛隊法八十三条について言及されましたので、私もこれについて二、三申し上げたいと思います。  我が党の中に、もちろん八十三条、運用でできるという意見もあります。しかし私は、八十三条の運用の問題、今度は運用の問題だとなった。運用がまずかったことになれば、これは総理大臣、あなた、総理責任だよ、やはり運用がまずいんだから。できるものもできなかったという話だ。それは現場の自衛隊に文句が言えるのか。言えませんよ、それは。それは長官総理大臣かどちらかにこれは最大の責任は負ってもらわにゃいかぬ。  それはそれとして、八十二条、まず原則は知事からの要請ですね。これは、知事が現場の状況は一番よくわかっているから、知事なんだと。これは第一義的にそうなっている。これは建前としては理解できる。だけれども、都市直下型地震になりますと、県知事が事情を把握できるか。できませんよ、最初から。自分の方が混乱しているんだから。私もこの地震が起こったときに、防衛庁に聞きましたよ。どこへ行っていいかわかりません、一番現地の状況を知っているのは知事だから、知事から要請がなければわからぬ、どこへ行っていいかわからぬ、どこにどういうものが必要なのかわからぬ、こう言われました。これはそうだと思うよ、一番よく知っている知事が大変なんだから。じゃ、このとき一番実情を知り得たのはだれだ。これは自衛隊でしょう。ヘリを飛ばして、上から瞬時にして広範囲の状況がわかるんだもの。  しかも私は、八十三条というのは、冷静に読めば、運用だと簡単に言いますけれども、この条文はそうではありませんよ。知事から要請が来る、すると二項でもって、事態やむを得ないと認められる場合、自衛隊の部隊を派遣することができる。知事から要請があった、そして要請があった部隊の方で、自衛隊の方では、これはやむを得ないなと思ったときに派遣できる。これは非常に抑制的ですね。この抑制的なのは私はわかる。これは警察予備隊だか保安隊のころにできた話だから、それは、あのときの状況考えれば、自衛隊がどこどこに行きますなんということは書けないわ。余り自衛隊が勝手に行くな、縛って、縛りに縛ったというのが、私はこの法律の底にある考え方だと思いますよ。  じゃ、第二項のただし書きだ。自主派遣。これも、特に緊急を要し、要請を待ついとまがないと認められたときに自主派遣できる。どう見てもこれは、自衛隊がこういう大災害のときに、何とかしなきゃならぬと飛び立てるような体制じゃありませんね、この文章そのものは。「特に緊急を要しこ「要請を待ついとまがないと認められるとき」とは、国会答弁では、通信が途絶して連絡がとれないとき、こうなっている。だから、八十三条の運用の問題だ、運用の問題だとおっしゃいますけれども、私は、この条文を素直に読みますと、自衛隊災害救助、救援に積極的に活用しようということにはどうもなりにくい。それを、運用だと言うのではなくて、私は、今回の災害を教訓にしてより機動的に出動できるシステムを、自衛隊法の改正も念頭に置いて、八十三条も、より積極的に自衛隊が出動できる、そういう体制に改正すべきではないかと思いますけれども、これは総理大臣かな、防衛庁長官かな。
  29. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 まず、この第八十三条によりまして、災害が起きたときに県知事から要請を受ける、そしてそれに対して出動することができる、これができるだけ迅速に行われるようにするということ、そして効果が上がるようにするということ、ここをやはり追求していかなければならぬのじゃないかと思うわけでございます。  ただし書きのところを強調をされておりますけれども、むしろ第一項をできるだけ積極的に活用していくという観点から考えていきますならば、今回の場合におきましても、地域防災計画は兵庫県と自衛隊との間に打ち合わせをしてできておるわけでございます。どこに連絡をしたらいいかというマニュアルまでできておるわけでございます。また、県知事さんが不明の場合におきましても、当直の方から連絡があればこれはできることになっているんです。そういう点において、要請がなぜおくれたかという点もやはり見ておかなければならぬのじゃないかと思う。ふだんからやはりこの防災計画とマニュアルどおりに訓練をしっかりしておきますならば、初動のおくれというものはできるだけ解消できたと私は考えておるわけでございます。  したがいまして、法を変えるということも考えなきゃならぬ点ではあるかとは思いますけれども、現行法において克服できるものは克服していく、こういうことをまず最初に検討してみる必要があるのではないかと思います。
  30. 二見伸明

    二見委員 長官、例えば十七日七時十四分に陸自のヘリが飛び立って情報収集をやりましたね。これはどういう法的根拠でやったのですか。防衛庁設置法六条一項十一号で「所掌事務の遂行に必要な調査及び研究を行うこと。」これでやったんでしょう。自主派遣じゃないでしょう。あれだけの大災害がありながら、ヘリが飛んだのは調査研究のためにということで飛んでいるわけだ。  私は、ただし書きを重要視するんじゃなくて、八十三条全部をもう一度見直してみなさいと。それは、現地の知事から一刻も早く入ることが重要だ。わかっています、そんなことは。できないから問題なんだ。できるような状況じゃないから問題なんだ。このときに調査研究の目的でヘリが飛んで、大変だということで即応できればよいけれども、即応体制できてないんだから。だから私は、八十三条をもう一度見直して、県知事から要請がある、それはわかるよ、そんなことは。  と同時に、大災害と思えば、それこそ総理大臣は、緊急に行けと。要請の有無にかかわらず自衛隊が出られる、三自衛隊が一体となって出られる、こういうふうにシステムを変えなければ、私は大災害の初動のおくれというのはなかなか克服できないのではないかと思いますよ。八十三条の一項で克服する問題だ、そんな問題ではない。この点はもう一度よく考えてもらいたい。その点どうですか、これは。
  31. 村山富市

    村山内閣総理大臣 御指摘の点はよくわかるわけでありますけれども、緊急時の場合には、先ほどからお話がありますように、要請を待たずに部隊の派遣はできるわけです。  今回のこの大災害の経験というものを振り返ってまいりますと、いろんな指摘される問題点はたくさんあると思いますけれども、私は、いろんな経過を聞いてみて、都市で防災計画をつくり、その防災計画に基づいて防災訓練をそれぞれやっているわけでありますけれども、その防災訓練をする際に、こうした異常事態に備えて自衛隊の果たす役割、警察、消防の果たす役割といったようなものをやはり常に連携のとれるような形でもって共同で訓練をしておくということが運用面では欠かせない大事なことではないかというふうに思いますから、そういう点でも十分また反省して、カバーできる点はカバーしていく必要があるのではないか。  同時に、今お話のございましたような点も踏まえて、今度大災害を経験したわけでありますから、その経験を見直しながら、率直に反省すべき点は反省をして、そうした経緯もよく点検した上で、その上でなおかつ、今御指摘のような問題点について検討する必要があるというのであれば検討しなきゃならぬというふうに思っております。
  32. 二見伸明

    二見委員 幾ら法律が整備され、体制ができ上がっても、おっしゃるように、共同訓練とかそういうものが常時行われて、自衛隊、警察、消防、自治体、この間の信頼関係がなければ、法律を整備して体制を整備したからうまくいくのではありませんね。それはわかる。それはそのとおりです。  だけれども、運用の問題とは別に、法律を整備し、体制を整備する必要がある。これは、この間ここで質問されたさきがけの高見さんが何かの新聞に寄稿されていたけれども、現地にあの人がいて、自衛隊を呼んでくれと言ったら、要請がないからだめだと言われましたというふうに書いてある。彼はそういうふうに書いている。議員会館へ電話を入れた。自衛隊をよこせと言ったら、秘書から、要請がないから出せませんと言っています、こう書いてあるのです。それが実情なんですよ。  ですから、八十三条をもう一度見直してみたらどうですか。そして、総理おっしゃったように、知事の要請なしだってできるんだと言うんでしょう。できるならできるようにきちんと法律を整備して、まさにその点はきちんと法律にもう一度書き直しをして、そして安心して自衛隊が、三自衛隊が一体となって救援活動、救助活動ができる体制はこうなんだよ、そういうものを私はつくる必要があるんだ。そのために八十三条の改正も考えなきゃならぬ。そういうむしろ前向きな立場での改正論者なんです。  ですから、総理大臣もどうもそんな感じの御答弁なんだけれども、もうちょっと明確に言ってくれませんか。
  33. 村山富市

    村山内閣総理大臣 今申し上げましたように、第一は、これは知事の要請ですね。それからまた、要請がなくても緊急時に必要と思われる場合にはみずから出動ができるわけですね。  ただ、今度の大災害を起こした原因について、法律の条文の中身から踏まえて問題点があったのか、あるいは運用上の問題で欠くる点があったのか、あるいはまた、日常のそうした共同訓練というものについて、もう少し平素からきちっと連携がとれてやれるような状態をつくっておくことによって充足できたのか、そういう問題については十分分析もし、検討も加えた上で、なおかつ、やはり法律的にはもっと見直すべきところがあるのじゃないかというようなことになれば、私はそれなりに見直す必要があると思いますけれども、そういう、今申し上げましたような前段の部分をもう少し点検をしてみて、そして検討させていただきたいというふうに思います。
  34. 二見伸明

    二見委員 この条文は、自衛隊を使うことに非常に消極的なといいますか、抑制的な書き方になっていることもあわせて検討していただきたいというふうに思います。  次は、PKO協力法の見直しについてちょっとお尋ねをしたいと思います。  総理は、施政方針演説で「平和維持活動など国連の活動に人的な面や財政面で引き続き積極的に貢献していく所存」です、こう述べられましたね。PKO協力法は、ことし三年目ですから見直すことになっている。総理の積極的な貢献というのは、凍結解除も含めた見直しを前提としての御発言なんですか、それとも、ただ単に積極的に言献していくという言葉だけのことなんですか、いかがでしょうか。
  35. 村山富市

    村山内閣総理大臣 私は、日本の国がこれだけの経済的な力を持って国際的にも相当評価される立場にある、同時に平和憲法も持っておる、こういう立場からすれば、平和維持のために、あるいはまた地球規模のいろいろな課題について積極的に国際的な貢献をしていくというのはむしろ当然ではないかというふうに思っております。  とりわけ、既に終了したカンボジア等への派遣や、あるいは先般終わりましたモザンビーク、ザイール等への派遣等々の経験も十分しているわけですから、しかも、そういう活動はある意味では私は高く評価されておるというふうにも思っておりますから、したがって、そういう経験に照らして、なおかつ日本の国として国際貢献がやれる分野はどういう部面にあるのかというようなことも十分検討した上で、これは見直しをしていかなきゃならぬ問題だというふうに思っております。  しかし、これは国会の皆さんの御意見もあるでしょうし、これまでの経験というものにも照らして、そうした御意見も踏まえて、これからさらに検討していかなきゃならぬ課題であるというふうに思っております。
  36. 二見伸明

    二見委員 見直しの具体的なことについてはこれから二、三承りますけれども。  ゴラン高原へのPKOの派遣の問題がありますね。自己完結型といいますと、それでいくと五十名ぐらいという。ゴラン高原へのPKOというのは、PKO協力法を審議したときに、一つの我々の、いわゆる教科書的なPKOの一つとして例に、引き合いに出されたものですね。これについては、これは官房長官になるの、外務大臣、官房長官いないから総理大臣だな、ゴラン高原へのPKOの派遣の要請というものをどうされますか。
  37. 河野洋平

    ○河野国務大臣 ちょっと官房長官、席を外しておりますので、私からお答えをさせていただきたいと思います。  ゴラン高原につきましては、議員おっしゃるように、かねてから、これは大変長い歴史のあるものでございますから、かねてから何度も一つの例として挙げられて議論が行われたところでございます。昨今、我が国に対しましても、国連の内部で若干議論が行われて、つまり、我が国に協力方を要請する向きの議論が行われているということはございます。しかし、その問題について我が国がどう対応するかについては、目下慎重に検討すべきものと考えておるところでございます。
  38. 二見伸明

    二見委員 ということは、ゴラン高原に調査団を派遣して、日本として受け入れられるものか、できるものか、この調査もしなければなりませんね。調査団は派遣されますか。この大災害が起こったから派遣しにくいという議論もあるだろうけれども、五名か十名の人員でいいわけですからね。私は、国連から正規に要請があった場合に、それから調査団なんてわけにいかぬでしょう。事前に調査しておく必要があると思いますけれども、事前に調査団出しますか。いつごろ出しますか、もし出すとすれば。
  39. 河野洋平

    ○河野国務大臣 これは、これまでモザンビークでございますとかザイールにPKOが相当大量に出ていたということもございまして、これらがまずとにかく任務を終えて帰ってくるということを確認した上で次の問題に取り組む方がいいのではないか、こんな御議論もございまして、ゴラン高原につきましては慎重に考えようという状況にございます。今日でも、政府・与党の間でこの問題については議論がございまして、調査団を派遣することについての議論というものが現在まだ続いているところでございます。
  40. 二見伸明

    二見委員 積極的に貢献すると言いながら、具体的になるとこう足踏みしてしまうというのは、大変わかりにくいことですね。むしろ私は、ゴラン高原へのPKOの派遣というのは、まさにこれはPKOの模範的な活動じゃないか。大きな危険があるわけではない。それでもって、与党内で議論があって、意見があってまとまらない。総理大臣は一方では積極的な貢献と言っている。大変矛盾を感じますね、対応としては。そのことだけ申し上げておきたいと思います。  凍結されているいわゆるPKFという業務がありますね。これを解除するとかしないとかという以前の問題として、PKFという業務を総理大臣はどういうふうに考えておられるか。  PKOの業務というのは、いわゆるPKO派遣の五原則を満足している地域に出ますね。しかも、PKFが今凍結されている現状では、PKOは、安全だと言いながらやはり治安はよくありませんね。カンボジアでもあるいはザイールでも、派遣されたPKOの行くところの治安というのは決してよくない。  では、PKFが展開するところというと、一概にそうは言えないけれども、現在のPKOが派遣されている、展開する、できるところよりも、一般的に言って危険度は高い場合が多いんじゃないかなと私は思います。今のPKOが展開しているところと同じ程度の治安とは考えられない。やはりもう少し厳しい状況もまた出てくるんじゃないかなというふうに思います。  しかし、PKOで凍結されているいわゆるPKFという業務というのは、平和維持にとって非常に大切な業務だというふうに私は思います。これは軍事行動ではない。むしろ国際警察行動といいますか、そういうものであって、平和を維持するために非常に大切な業務だ、こう思います。もうちょっとオーバーに言いますと、崇高な、非常に人道的な平和のための業務だというふうに私はFは思います。このPKO協力法が議論されたときみたいに、鉄砲担いで戦争に行くんだというようなものでは全くないと思います。そう思うから我々は賛成したのですから。これは鉄砲担いで侵略戦争まがいのことをやるようなものであれば、我々は賛成しなかった。そうではないから我々はPKO協力法に当時賛成をしたんです。  総理大臣は、今どういうふうに思われますか。凍結されているPKFというこの行動は、非常に厳しくつらいけれども、非常に人道的で平和を維持するために本当に必要な業務なんだというふうな御認識ですか。それとも、鉄砲担いで戦争に行くというふうに思っていますか。
  41. 村山富市

    村山内閣総理大臣 今委員からお話がございましたように、このPKFの活動につきましては、別に法律で定める日までの間は実施しないということを国会でお決めになったわけですね。言うならば平和維持活動の本体業務ですね。どういうものがあるかというのをいろいろ調べてみますと、例えば停戦監視とかあるいは駐留、巡回、検問、武器の処分、捕虜の交換、通常歩兵部隊において行われるいろいろな行為等、こうしたものが挙げられているわけですね。  私は、これは国会でお決めになっておられることでありますし、政府としては、先ほど申し上げましたように、モザンビークとかあるいはザイールとか、そういうふうに派遣された今までのやはり経験というものも十分参考にしながら検討していかなければならぬというふうに思いますけれども、これはむしろ、この法案の審議の過程でいろいろ意見があって、そして凍結というものがお決めになられた、そういう経過もございますから、そういう経過も踏まえて、さらに今まで経験した経験も加えた上で十分検討させていただきたいというふうに思います。しかし、これは最終的にはやはり国会の方でお決めをいただかなければならぬ問題だというふうに私は理解をいたしております。
  42. 二見伸明

    二見委員 総理の御答弁、ちょっと私の質問と違うんだけれども、この議論をしたとき、ちょうど三年前かな、我々は言われたんですよ、社会党さんから、鉄砲担いで戦争に行くのかと。夫や恋人を赤紙一枚で戦争にやるのか、こういう大変な非難を受けたのです。私、言われたんだから、電話で、いろいろなことであなたは戦争加担者ですか、あなたは愛する夫を、愛する恋人を戦場に送るのですかと、このPKFで言われたのです。私はそのときに、これは違うのです、平和を守る、平和を崩さない、非常に大事な、人道的な、平和的な業務なんです。こう私は何度も何度も申し上げてきたのです。  私は、これは凍結解除の問題ではなくて、PKFというものを、今でも鉄砲担いで戦争に行くものだというふうに総理は認識しているのか。あのときはそう認識したけれども、今は違うんだ、よく考えてみたらそうじゃなかった、これは非常に貴重な、大切な仕事なんだというふうに今は理解している、こういうふうに認識しているのか、その認識を聞いているのです。凍結の話じゃないのです。
  43. 村山富市

    村山内閣総理大臣 今委員からお話がございましたように、このPKO法案を審議する際の背景というのは、やはり湾岸戦争とか、いろいろな要件もございました。言われましたように、私どものところにも自衛隊がまた鉄砲担いで外に出るのかとか、いろいろな声が国民の中からありました。そういう国民の声があったことも反映する中でそれなりの議論がされてきたと思うのですね。そして、一応このPKFの活動については凍結する、こういうことになったと私は思うのです。  これは、先ほど来答弁いたしておりますように、モザンビークやらあるいはザイールやら、カンボジアやら、いろいろなところに行って活動していただいたその経験というものも十分参考にしながら、やはりその事態事態の現状というものを十分分析した上でどうなのかということを判断をして物を考えていかなければならぬと思いますから、抽象的にここでお答えすることはどうかと私は思うのです。その事態事態について十分分析をし、判断をして、そして、この五原則に沿うものかどうかというようなことをやはり判定してやるべきことだというふうに思います。
  44. 二見伸明

    二見委員 総理、それは違うんだよ。あのときは、ああいうようないろいろな背景があって社会党が厳しい態度をとられた。これは戦争だとかいろいろなことを言われた。そして、国会戦術も非常に厳しい態度をとられた。それはそれとして、その後三年経過して、カンボジアだ、モザンビークだ、ザイールだといろいろな経験を積んできた。しかも、あのときは自衛隊、社会党は違憲で、総理、違憲だからね、あのときは。今、合憲なんだから。違憲の自衛隊と合憲の自衛隊は全く違うんだ。  しかも、やってきたことはとんでもないことではなかった。しかも、凍結されているこの業務というものが、憲法九条に抵触する、戦争に行くようなものなのかどうか、この認識を私は伺っているのです。いろいろな背景があったことは、私、よくわかる。背景をわかった上で、現在Fを凍結解除するかどうかの話じゃなくて、その以前の問題として、これはどういうふうに認識しているのか。これは大変大事な仕事だな、だけれども、いろいろなことがあるから、ちょっと凍結についてはいろいろ研究させてもらいますよ、これならこれでわかる。その前提になる認識を聞いている。認識がわからない。認識が、もともとこれはだめなんだ、とんでもない、憲法に抵触する、戦争に行く行為になるんだとなれば、これは凍結もへったくれもないわけです。その認識を聞いている。
  45. 村山富市

    村山内閣総理大臣 PKO法案というのは、これはいろいろな審議があって、議論があり、経過があって、一応国会では成立をしておるわけです。そして、そのPKO法案に基づいて、今言われましたPKFについては凍結をされておりますけれども、その他の活動については今までやってきているわけです。したがって、私は、このPKFの活動についても、これは一応決められた法律の枠内にあるわけですから、それは私は認めていいと思います。  ただ、具体的にどうするかということになった場合には、やはりその現状も十分踏まえた上で、少なくとも武力行使にわたるようなことのないことを前提に、五原則を踏まえてやることはいいのではないかというふうに思いますけれども、しかし、これは凍結されておるわけですから、したがって、これは十分議論してお決めになっていただかなきゃならぬ問題だというふうに思います。
  46. 二見伸明

    二見委員 だんだんわかってきた。凍結については議論しなきゃならぬ、これはわかった。その前にFというものは、つまり武力行使を前提とするようなものはだめだ、五原則に反するものはだめだ。それもそのとおりだ。その五原則の範囲内であれば、PKFそのものは認める、結構なことだと。ただ、凍結を解除するかどうかは、これはまた国会で議論してください、こういうふうに仕分けしてよろしいですね。やっとわかってきた。  そうすると、それはそれとして、見直す場合の問題点をこれから二、三申し上げますけれども、河野さん、たしか凍結したときに、当時自公民で協議機関をつくってやろうやという話がありましたね。あのころからくると、自公民はどうもいろいろありまして、自民対新進党になっているわけです。先ほど総理大臣は、これは国会で決めてくれと言うのです。私は、これは政府提案の法律だから、政府の方で法律を出すのかと思ったら、国会で決めてくれと言うのです。どうですか。(発言する者あり)だから、法律を出す、それを国会で決める、そういう意味ならわかるよ。どうですか、これは昔の自公民じゃないけれども、協議機関を設けてこの問題を協議しますか。これは自民党の総裁としての河野さんに伺いたい。
  47. 河野洋平

    ○河野国務大臣 ちょっと私がお答えをするのはいささかどうかと思いますが、少しだけ私の考え方を申し上げますと、PKFの凍結については、繰り返しいろいろ経験を積んで、その経験に基づいて考えよう、こういうことになってきているわけです。  それで、PKO活動というものは、もう議員はよく御承知のとおり、一つ一つ一つずつケースによって違う。つまり日本がアジアに出ていく場合とアフリカに出ていく場合と、それはもうまるで受け取る感じも違うかもしれません。それから、その国の国内の事情、その国を取り巻くいろいろな国際的な環境によっても一つずつ違うわけで、カンボジアも経験した、モザンビークも経験した、ザイールからも帰ってきた、そういう経験を踏まえて、もうそろそろ少し議論してみるか、こういうことをおっしゃっておられるのだと思いますが、私は、経験というものは、我々はまだ三つのケースを経験しただけなのではないか、そういう見方もあると思うのですね。  ですから、これはできるだけさまざまな知識を集めて、これは経験はしていないけれども、外国へ行って教わってくるということもあるかもしれませんから、とにかくさまざまな知識を集め、経験を踏まえ、そして考えるべきものではないか。  そして我々は、もう一つ言うと、そのPKFの部分を仮に凍結していても、国際的に随分貢献できるものもあるということも知ったわけですから、あの部分を凍結しちゃっているとさっぱり国際貢献ができないじゃないかということは、そうでもないかもしれないという、そういう見方もございますので、さらによく研究をする必要があるのではないか。  私は、今直ちに、新進党さん、どうですか、一遍一緒に相談しましょうかという感じかと言われれば、いや待てよ、そうかなあというふうに思います。
  48. 二見伸明

    二見委員 Fについて、我が党の中にも河野さんと同じような意見がある。これは党で画一的にくくれるものではない、いろいろな感情がありますからね。おっしゃるように、出ていく場所もある。例えば、Fを解除したからといって直ちに何でもできるのか。そんなものでもない。できないものもあれば、不得意なものもあれば、これはまずいなというケースもある、私はそう思います。  ただ、Fの凍結を解除すれば、それだけで日本が好戦国だ、そういう考え方だけは持ってもらいたくない。タカ派だ、武力行使をやるのだ、そういう筋合いのものではない。ただ、得手不得手はあるなと私も思います。  ですから、私はこの問題はやはり十分、PKO協力法の見直しを三年後やるわけですから、Fの凍結も念頭に置きながら、いろいろなケースを考えながら見直し作業は進めるべきだと思いますけれども、具体的に何をどうしろと私が言っても、恐らく総理も、それはちょっと勘弁してくれよとなると思う。具体論はなかなか言いにくい。これちょっと、この後私言いますけれども、言いにくいと思うよ。  だけれども、そういういろいろな意見も踏まえながら、PKOの見直し、凍結解除に関するいろいろな意見もくみ入れながら見直しをするということは、総理、いかがですか。三年目で見直すことになっているんだ、法律で。国会で決めていただきたいと逃げるのではなくて、国会の意見も十分聞きながら、凍結に対するいろいろな意見もある、そういうことも念頭に、いろいろな意見を聞きながら、いわゆる三年後見直しですから、見直しの作業は進めますというふうに私は受け取ってよろしいんですかということです。
  49. 村山富市

    村山内閣総理大臣 これは三年後の見直しですね。これはそういうふうにお決めになっているわけですから、当然見直しはしなきゃならぬと思いますけれども、Fについては、特定、決められた期間というのはないと私は思うのですね。だけれども政府としては、先ほど来申し上げておりますように、これまでの経験も十分踏まえ、議会の意見も十分お聞きした上で、政府なら政府としての立場でやはり検討はしなきゃならぬというふうに思っています。
  50. 二見伸明

    二見委員 見直しについて一つ提起されている問題がある。武器使用なんです。正当防衛のための武器使用については、現行法では、個々の隊員の判断によって武器使用ができるということになっている。ところが、カンボジア、ザイールに派遣された自衛官の報告を聞きますと、個々の判断にゆだねられたのではたまらぬ、むしろ部隊としての武器使用を認めて、これはもちろん正当防衛ですよ、認めてもらった方がよろしいという意見がある。その方が我々は安心してPKOの業務に専念できる、こういうふうに言われているわけです。この武器使用についてはいろいろな議論がありましたけれども、それはそれとして、そういう隊員の心情はどういうふうにお考えになりますか。
  51. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 PKOで派遣をされた隊員が武器使用に関して非常に不安を感じたと。非常に緊迫した地域に行くわけでございますから、不安を感じながら勤務をするということはよくわかります。それが部隊長の命令によって武器使用ができるということになったといたしましても、緊張感は同じだと思うのです。  また同時に、平和業務に携わるわけでございますから、必要以上の武器使用をするということも、これは活動におきましては支障を来す、こう思うわけでございまして、私は、そういう点におきましては、やはりPKOで派遣される隊員一人一人がよく、国際法なりあるいは武器使用に関しての知識というものを十分持って、やはり自制心と冷静なる判断を持って個々の隊員一人一人が活動するということが私はより大事ではないか、このように思います。
  52. 二見伸明

    二見委員 もともとPKOというのは、武器を持っていくけれどもあくまでもこれは自制的なものです。相手を、過剰防衛もできないし、むしろこちらから積極的に打って出ることはできない、やっちゃいけない。非常に制約されている。  だけれども自分が判断しなければならぬのかというのと、経験を積んでいるというか、それなりの経験を持っている隊長が、この場合もうやむを得ない、やむを得ないからこの場合いいぞというふうに判断した方がいいのか。私は、場合によれば、経験の浅い隊員が国際法だ何だいろいろな勉強をしたとしても、経験の浅い隊員がやるよりも、非常に経験の深い隊長が、だめだ、撃っちゃいかぬ、撃っちゃいかぬ、撃っちゃいかぬと抑制しながら、ぎりぎりまで抑制をして、もうこれ以上はしょうがないという判断を下した方が私はいい場合もあるのじゃないかと思いますよ。これはどうするかはこれからの検討です。私は、そのことも見直しの一つの項目になり得るなというふうに思います。結果はどうなるかわからぬ。見直しの対象になりますね、これはいかがでしょう。
  53. 村田直昭

    村田(直)政府委員 お答えさせていただきます。  PKO法の二十四条三項で、隊員が自己の判断によって身体、生命の防衛に武器を使用するという規定が定められた経緯は、従来から十分御説明してあるわけでございますが、これにつきましては、自衛隊法の現在の規定の中にも、隊員の判断によって武器を使用するというケースが実はあるわけなんです。  したがいまして、自衛隊としては、本来的には、武器の使用というのは隊長の命令によって使用する上いうことが大原則でありますけれども、そういうような規定もございまして、自衛隊として、そういう面のほかの規定ともあわせて訓練をさらにしていくということによって、隊員の不安を解消していくというふうに考えているわけでございます。  それから同時に、今先生が、練達な上司による抑制的な措置を講ずることが重要じゃないか。要するに、慌てて発砲することによってさらに大きな事態に拡大するということを避けるということにつきましては、私どももそのように実は運用しておりまして、抑制的な措置をとることが隊長としてできるということについては、政府部内で一致した見解として確認しておるところでございます。
  54. 二見伸明

    二見委員 私は、見直しの対象にするかどうかを聞いているわけだから。私は、事実問題を聞いているのじゃなくて、見直しの対象に、今みたいな意見もありますよ。いろいろな意見がありながら、一方ではやはり練達の士に与えた方がいいのではないかなということも当然あるわけだから、これは見直しの対象にしますか。まだ、今見直し作業をしているときに、今こうしますとは言えないでしょうな。こうしますとは言えない。武器使用を認めますとか、認めませんと言えるわけない、わかっていることを言っているわけだから。見直しの対象にするかと聞いている。
  55. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 これは、PKO法が国会で審議されたときに非常に議論されたところでありまして、憲法の関係もあるわけでございます。したがいまして、見直しをするか、こう言いますならば、まず第一に、憲法との関連等をよく精査をいたしまして、この点で議論をする必要があるのではないか、まずそのことを申し上げたいと思います。
  56. 二見伸明

    二見委員 まさに、この問題は憲法九条との関係で大議論になった。ですから、憲法九条に抵触するのかどうかということが見直しの過程で検討されて、抵触するものであればできない、抵触しなければできる、あるいはこういう場合は抵触しないけれども、こういう場合は抵触する、いろいろなことになるのだと思うのです。  私、大変原則的なことを、これは総理大臣にお尋ねしたいのだけれども、当時、憲法九条との関係でどういう議論があったかというと、部隊としての使用、いや、個人としての使用も含めてこれは武力行使だという、武力不行使を規定している憲法九条違反だという議論がありましたですね。そのときに、当時の工藤法制局長官はどう言ったかというと、任務を実力をもって妨害する企てに対して、実力で対抗する。それが全部武力の行使になって、全部憲法違反かということには必ずしもならないだろう。また、こうも言っています。例えば生命、身体を防衛するためにやむを得ない必要がある。そういうふうなとき集団であったから直ちに問題であるということにはならない、こういう答弁もしている。  正当防衛のための部隊としての武器使用というのはいろいろなケースがある。私は、部隊としての武器使用がすべて憲法九条に抵触するのか、あるいは、そうではない、ケースによっては、憲法九条に抵触しないケースもある。現行法は個人の判断ですね。これはぎりぎり憲法九条と抵触しないということで答弁してきたわけだ、現行法は。武器使用の場合には、すべての場合は、全部だめなんだということになるのか。だめなものもあれば大丈夫なものもあるのではないか。具体的に、こういう場合はいい、こういう場合はだめだという具体的なことは指摘できないまでも、それは検討してみる必要があるというふうになるのか。これは総理大臣見解を知りたいのです。  これを言うと必ず法制局長官が出てくるから、だから私は内閣参事官室に、この問題は総理大臣見解を聞きますからねというふうにあらかじめ申し上げてある、法制局長官ではないよと。これは大変大事なんです。  私は、PKO協力法を審議したときにこの場でもって、当時の総理大臣は海部さんだった、憲法論議をして、そのときに法制局長官が答弁しようと思ったら海部さんが出てきて、法制局長官がすべての解釈の最終決定者ではない、総理大臣の私が答弁をしますと言ってあの人は内閣としての憲法解釈をここでおっしゃられた。立派だと私は思いました。総理大臣が、最高の責任者である総理大臣の私が憲法解釈をしますとここでおっしゃられた。この問題ではないよ。PKOの問題だけれども、そういうふうにおっしゃられた。そしてそういう答弁をされた。私は、総理というのはそういうものだと思う。  これはPKOに限らないけれども、例えば総理大臣の一言というのは、おととし細川さんが総理大臣になった。細川さんが総理大臣になって何を言ったか。経済規制は原則自由と言った。政治改革に命をかけると言った。そして本気になられた。経済的規制は原則自由。そのときは何でもない。そして今こういう動きになってしまった。  私は、そのくらい総理の決断というか発言というのは重いし、慎重であるべきだけれども総理大臣、私は、法律家としての法制局長官の答弁ではなくて、政治家として、一国の最高責任者として武器使用を、部隊としての使用を認めた場合には、あらゆるケースが全部憲法に抵触するのか、いや、必ずしもそうではないのではないかということになるのか、そこら辺の総理大臣考えを承りたいと思います。これは私は、前もって法制局長官と協議をしておいても構わないというふうに参事官室に言ってあるんだから。(発言する者あり)ちょっと待ってよ、言ってあるんだから、そういうふうに。
  57. 村山富市

    村山内閣総理大臣 これは海部さんが総理のときの内閣のときに御議論をされて、こうした問題も、私は定かではないけれども、随分議論された結果だというふうに思いますし、成立は宮澤内閣で成立したわけですけれども、そういう経過があったと思うのですよ。そういう経過の中でお決めになっていることなんですね。問題は、憲法上禁じられている武力の行使に入るかどうかという関係についての慎重な議論の結果、私は決められたことだというふうに思うのですね。  したがって、あくまでも憲法解釈というものがやはり前提にあるということからすれば、これは法制局長官の説明も一遍聞いた上で判断をする必要があるというふうに私は思います。
  58. 大出峻郎

    大出政府委員 委員の御質問は、正当防衛としての武器使用、部隊の使用ということに関連をしたお話であったわけであります。  この問題につきましては、武器の使用というのは、現在の二十四条というのは、個々の自衛官の判断で要員の生命等の防護のために必要な最小限のものに限って行われることとされておるということでありますが、これが部隊の行動として認めるという形になりますと、憲法第九条の武力の行使、憲法が禁ずる武力の行使との関係において、いろいろ、なかなか区別がつかない、難しいいろんなケースというものが出てくる可能性が非常にあるということで、慎重を期したものである、これが現在の立法の経緯ということであろうかと思います。
  59. 二見伸明

    二見委員 それは私わかっている。いろんなケースがあるので、だから、すべてが憲法九条に抵触するからだめだということになるのか、あるいはケースによっては抵触しないものもあるのではないか、いろんな仕分けをしなきゃなりませんよ、ということになるのか。これは武器使用を、部隊としての武器使用を見直しの対象としながら、できるかどうか、大きな問題なんです。  私は、憲法に抵触すれば、抵触するものはできないと思います。それだけに、すべてができないのか、あるいは、具体的なケースは言えないけれども、正当防衛として部隊として武器を使用することも抵触しないケースもあり得るのかということを、大変大ざっぱな話として聞いているのです。
  60. 大出峻郎

    大出政府委員 ただいまの問題につきましては、部隊としての使用というものを認めたらすべて武力の行使に当たっておよそ許されないということまで断定するには至らないというのが、従来の審議の際におけるところの工藤内閣法制局長官なりの答弁であったということであろうと思います。
  61. 二見伸明

    二見委員 あとは仕分けの問題ということになりますね。そういうことになります。これも恐らくPKO協力法のときの見直しの一つの項目になり得るなというふうに思っておりますし、検討してしかるべき課題かなというふうに思っております。  もう一つ、見直しの作業のときにこれも考えなければならぬなと思うのは、警護なんですね。警護。これはカンボジアでは選挙監視員がな、ザイールでは医師団でしたか、いろいろありましたですね。カンボジアでは、警護できないので、情報収集とかという変なことで事実上の警護をやった。ザイールでは輸送とかということでもってやった。書いてないからなんです。  この警護もまあいろいろ難しいんですね。例えば他国のPKO部隊も守れるのかとかね。守れるということになれば、いろんなケースが出てくると思うけれども、これも今全くだめなんだ、警護ができないんだね。こういう場合なら警護してもいいよとか、これは見直してもいいんじゃないかと思う。現地では、法の拡大解釈で輸送だとか情報収集だとかいってやっているわけだね。自衛官に法律の拡大解釈をさせるということは、シビリアンコントロールという面から見ても決して好ましいことではないね、これは。  だから、警護というものを全く認めないという選択もあるけれども、認める場合には、こういうケース、こういうケース、こういうケースならば警護はやってもいいよというふうに認めることもあり得ますわな、今できないんだから。これも見直しの対象にしてもよろしいのではないかと思いますけれども総理大臣、いかがですか。
  62. 村山富市

    村山内閣総理大臣 今委員、お話がございましたように、自衛隊の部隊に対して、今は、御指摘のように警護するという任務は付与されておらないわけですね。先ほど来お話がございますように、国際平和協力法の第二十四条の三項によって、自己とともに現場に所在する隊員について、その生命または身体を防衛するためにやむを得ない必要があると認めるときには武器を使用することができる、こういうことになっていますね。  しかし、御指摘のような、そういう要員以外の者が例えば非常に危険な状態にあるというような場合に、その人の身命を守るために、何といいますか、隊員が武力の行使をしたような場合には、私は、これは正当防衛または緊急避難に該当するという点からすれば、その違法性は阻却されるのではないか、そういうことについては否定できないだろうというふうに思いますけれども、しかし、自衛隊そのものに警護の任務を付与するということについては、これはやっぱり今の憲法上許されないのではないかというふうに私は思っています。
  63. 二見伸明

    二見委員 憲法上って恐ろしい話だけれども、例えば、NGOが向こうで展開している、いろんな治安が悪くて大変だ、ちょっと守ってくださいよ、このケースはあったわけでしょう。そういうときに、いや、だめなんですよ、憲法上の問題ですからと、こう言うのですか。憲法上の問題なんですか、これは。  憲法に抵触するような警護はできない。そうじゃなくて、NGOを展開して、治安が悪い、何とか守ってくださいと言っている。我々の部隊、キャンプに来れば守りますよ、そういう対応でやっているわけです。そういう認識ですか。  私は、他国の軍隊の警護までやれというのじゃなくて、いろんな意見が出てくると思う。できるか、できないか。だから、例えばNGOが、治安上、いろいろな危険にさらされている。その任務もないわけだ。警護の任務はないからできないんだ。そんなことは私は憲法とは関係ないんだろうと。むしろ、他国のPKO部隊を警護すること、警護要請があった場合に警護できるかどうか、これは憲法上、大議論してもいいですね、これは。そんな憲法に抵触するような恐ろしいことを言っているんじゃない。
  64. 村山富市

    村山内閣総理大臣 いろんなケースがそれぞれ想定されると思いますけれども、いずれにしても、例えばNGOで働いておる人が非常に危険にさらされたという場合に、その人の身命を守るために緊急避難的にやる行為が、それはだめなのかといえば、私はやっぱりそれは正当防衛としてその違法性は阻却されるのではないかというふうに思いますから、だからそれはケース・バイ・ケースで具体的な事例に照らしてやっぱり判断をする必要があるので、ここで一概に一般論として申し上げることはどうかというふうに私は思うんです。
  65. 二見伸明

    二見委員 警護というのはできないんです。だから、警護はこういう場合はできる、これは困るというようなことも決めなければ、これはまずいのではないかなと思っているわけです。  ですから、いろんなケースがありますからね、現地はわからない、いろんなケースがあるから。今は一概にすべての警護はだめになっておる。だから、いろんなケースがあるから、いろんなケースを想定しながら、これはだめですよ、これはいいですよというようなことを考えながら、この問題も見直しの対象にしてもよろしいのではないかなというふうに考えております。  この問題の締めくくりとして、これもやっぱり見直しの対象になるのかもしれぬけれども、PKOという活動、これは自衛隊の大きな任務ですね。PKOという活動を、自衛隊、今は従たる任務で雑則で決めているけれども、これを三条の主たる任務に格上げするということも私は考えてもいいのではないか。このPKOという、いわゆる日本型PKOです、これは。まさに我々がやっているのは、日本型PKOというのは、本当にとうとい行為であり、人権を守り、平和を守り、人道的な非常にとうとい行為です。  それは、今は従たる任務であり、百条の雑則で決められているけれども、これを三条の主たる任務に格上げすることも考えてもいいのではないかというふうに私は思います。  PKOという仕事は、これはまさに平和国家がやるべき仕事なんです。平和は、本当の意味での平和国家がやるべき仕事である。人権を本当に考えている国がやるべき仕事だ。人道を重んずる国がやるべき仕事だというふうに思いますので、これは三条に格上げしてもよろしいのではないかと思いますけれども、その点についてはどんな感じを持っておられますか。
  66. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 本来任務は、委員も御承知のとおりに、我が自衛隊は、我が国に対する直接侵略、間接侵略、または公共の維持等を行う、こういうことになっているわけでありますが、PKO活動につきましては、ただいま雑則の中に位置づけられております。  今後、いろいろな議論等を承りながら考えてまいりたいと思います。
  67. 二見伸明

    二見委員 時間が迫ってまいりましたので、テーマを変えたいと思います。  総理大臣は、日米安保体制堅持と言われましたね。クリントン大統領との会談の後の会見でも、日米安保体制は、日米のみならずアジアの平和と安全に寄与する。これは、今までとは考えられないすばらしい御発言ですね。アジアの平和と安定に寄与する。引き続き米軍のプレゼンスを歓迎する。これはすごい。一年前には全く夢想だにもしなかった御発言でございます。  堅持とは具体的にどういうことになるのか。おっしゃった以上はそれぞれお考えがあるんでしょうから、二、三細かく具体論でお尋ねしてまいりたいと思います。  ただ、米軍のプレゼンスを歓迎するということは、日本のみならず、日米のみならずアジアの平和と安定に寄与する。米軍のプレゼンスを歓迎する。沖縄基地の縮小は縮小としまして、在韓米軍、在日米軍、今アメリカのプレゼンスがあるわけです。これは歓迎されるわけですね。これ以上縮減、アメリカ軍は、アメリカの方針としてこれを削減することは凍結をしておりますけれども、それはそれで大変結構なことだ、こういうふうに評価されるわけですね。  在韓米軍についてはどういうふうに評価されますか。
  68. 村山富市

    村山内閣総理大臣 私は、我が国の安全とアジア・太平洋地域全体の平和と安定の観点から、日米安全保障条約、その体制が果たしてきた役割はそれなりに評価をしたいと思うのですね。冷戦構造も解消して、今や世界的規模の戦争というものは恐らくなくなったと思いますけれども、しかし、依然としてこの地球上には地域紛争があるわけです。そういう意味から申し上げますと、それなりにやっぱりまだ、平和と安定の役割を果たす安保条約の役割というものは否定できないものがある。それで、この日米安保条約があることによって、アジア・太平洋地域の国々も、ある意味では信頼と安心を持っている面もあるのではないかというふうに思いますね。  現に韓国の場合に、朝鮮半島の場合には、今日においても合わせて百五十万人近い韓国と北朝鮮の地上軍が非武装地帯を挟んで対峙しておるといったような不安定的な要因もあるわけですから、したがって、そうした意味における在韓米軍の駐留は、韓国の防衛努力と相まって、これは朝鮮半島全体の平和と安定のための役割を果たしておるのではないかというふうに私は思っております。
  69. 二見伸明

    二見委員 大変すばらしい、何度も申し上げますように、一年前にはまさに夢想だにもできなかった御見解でございまして、我々と余り考え方に差はなくなってきたなというふうに思っておりますので、これから防衛論争は神学論争ではなくて、現実に立脚した実りのある防衛論争がこれからできるのではないかというふうに思っております  次に、いわゆる思いやり予算がありますね。これは来年の三月三十一日で切れるのです。これは国会の承認が必要なので、一日も早く策定する必要がありますけれども、これについては、当然日米安保体制を円滑にするためにも大事な予算ですね。これは村山さんも当然オーケーなんだと思う。これはできるだけ早く出されますか、国会の承認も必要なんでね。どうですか、その点は。
  70. 河野洋平

    ○河野国務大臣 在日米軍が、今お話しのように、日本及びその周辺の安定、安全のために行っているプレゼンスというものは、我々極めて重要なものだ、こう考えているわけでございまして、そのためにも在日米軍駐留経費負担というものは、我々自主的に考えてみても、これは我々にとってみても重要なものであるという認識を持っております。したがいまして、ことしの予算におきましても、非常に厳しい状況の中で、この予算総理からの御指示もございまして、きちっと予算化するという作業が行われたわけでございます。  議員お尋ねのように、来年度以降またどうするんだ、こういうお尋ねでございますが、これらにつきましても適切な措置が必要だというふうに考えております。  今お話しのように、では国会にも出すのか、いつ出すんだ、こういうお尋ねでございますが、この時期その他方法については、目下検討中でございます。
  71. 二見伸明

    二見委員 もう一点、これは大きな問題が、いわゆるACSAといいますか、日米物品役務融通協定というのがあるのです。これは大変なものでして、去年北朝鮮の核の疑惑で日本周辺が非常に高い緊張に包まれたときに、いろいろな議論がありました。これは私も、まさに本気になって議論しなければならないテーマだと思います。しかも、これは緊張の度合いが高まったときに議論するのではなくて、むしろ穏やかなときにこのACSAの議論はしておくべきだ。これはまだ日米物品役務協定というのは締結されておりません。むしろ穏やかなときに議論をしたいと思っている。  いろいろ幾つか問題があります。いろいろな選択肢があります。例えば、ACSAなんて締結する必要はない。現在は物品管理法でもって、日米の共同訓練のときなんか日米物品管理法でもって油の融通なんかやっているわけです。一つ一つ、物資、こういう場合、こういう場合と、その都度その都度物品管理法でやればいいんだ、窮屈だけれどもやればいいんだという選択肢が当然あります。その場合には、医療とか通信という役務は、これはできない、こういうことになります。この場合は、ACSA協定は結ぶ必要ないという立場です。そういう選択が一つある。  いや、そうじゃなくて、ACSAは締結した方がいいんだという立場に立った場合でも、幾つか問題点がある。それは、例えば共同訓練のような、平時のときの共同訓練に限定するという選択肢が一つある。いや、平時であれば共同訓練に限定する必要はないという選択肢も出てくる。  もう一つ、有事はどうなんだ。有事は一切だめだという選択肢が出てくる。有事でも日本の安全にかかわるようなときは、これはこういう範囲内でやれるんだということもある。例えばペルシャ湾みたいな有事には、これは日本は直接関係ないから、この場合の物品役務融通協定は対象外だという考え方もある。またその中で、物品役務というけれども、具体的にどういうものなのか。例えば武器弾薬まで融通できるのかという問題もある。こういうことは、私は、非常に憲法との関係も出てまいりますので、穏やかなときにきちんと議論をしておいた方がよろしいと思うのです。  私が今ちょっと例示的に申し上げたような問題というものは、だからどうなんだ、こうなんだという議論はきょうはしません、政府部内でもこの議論はまだ煮詰まってないと思うから。ただ、そういう問題があって、この問題は、私は、日米安保体制の堅持と、こうおっしゃられた以上、避けて通れる問題ではないというふうに思います。ですから、私が例示的に申し上げた問題点について、これは総理大臣か外務大臣かどちらかお答えいただきたいのと、どういう結論になるにせよ、この問題は決して避けて通れる問題ではないという御認識を総理がお持ちなのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  72. 河野洋平

    ○河野国務大臣 いわゆるACSAでございますが、これは少し前からアメリカから、こういう問題、こういうやり方が例えばNATOなどとの間にはあるのだ、日米間にもこういうやり方があればかなり有用であるかという意味の提案といいますか、発言がございました。  そういうことがあったわけですが、議員が御指摘になりましたように、昨年でございますか一昨年でございますか、つまり、北朝鮮の問題が少し、経済封鎖をするとかなんとかという問題になったときにこの問題がばっとクローズアップされて非常に、まさに落ちついて物を考える、平常な状況の中でこの問題が議論されずに、残念ながら、そういう見方で考える時期にこの問題がクローズアップされたということがあったことは少し残念なことでございまして、まさに議員がおっしゃるように、落ちついた状況の中でこの問題は、どれが一番我が国にとってあるいは日米双方にとっていい方法なのかということを考えるべきものだと思います。それで、これは、日米安保条約というものが最も効果的に運用をされるためにはどういう方法をとることがいいかということを落ちついて考える必要があるというふうに思っているわけです。  アメリカは、今申しましたようにNATOを初め幾つかの国と既にこういう条約を、こういう約束を結んでおりまして、それはそれなりにうまくいっているということをアメリカは経験して知っておりますから、日本側にもそういう提案をしているわけでございますが、政府といたしましては、こうした枠組みを設定することの必要性を初めとしてさまざまな側面をまさに考えて検討をしなければならぬ。  問題意識は持っております。しかし、これをどういうふうにするかについては、まださまざまな側面からの議論が必要であろう、こう考えているところでございます。
  73. 村山富市

    村山内閣総理大臣 今外務大臣から答弁がございましたように、そういう必要性についてやっぱりあらゆる角度から検討して、今政府部内でも検討してもらっておりますけれども、そういうものがきちっと取り決められていく方向でやっぱり検討していく必要があるなどいう認識は持っております。
  74. 二見伸明

    二見委員 この問題はやはり平時なときに、穏やかな時代に冷静にこれは決めていきたいというふうに、決めるべき問題だというふうに考えております。  最後に、防衛大綱の見直しについて二、三、やはりこれもベーシックな問題でお尋ねをしたいと思います。  端的に伺いますけれども、現在は限定的かつ小規模侵略に対処する侵略対処の考え方で防衛大綱はなっております。しかし、先ほど総理大臣もおっしゃられたように、もう侵略に対する危険というのは昔から比べると大分減りましたね。しかしいろいろな不安定要因がある、だから危険に対処する基盤的防衛力という考え方も出てきているわけですね。そうなると、今までのような侵略的な、侵略対処の基盤的防衛力ということでいくのか、あるいはむしろ危険対処型の基盤的防衛力整備という形でいくのか、どちらの方向総理はお考えになっていますか。
  75. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 従来の防衛大綱は、御承知のとおりでありますが、やはり東西冷戦時代、日本が侵略をされるという場合を想定をいたしまして、限定・小規模・独力対処、こういうことに重点を置いて大綱が構成されておった。東西冷戦時代が終わりまして、国際情勢は必ずしも平和だというわけではないと思うんですね。やはり地域紛争もありますし、宗教戦争もありますし、いろいろな紛争というものがむしろ噴き出してきた。そういうような中において非常に不安定な状況がある、そういう不安定な状況にどう対処していくかということを真剣に検討していかなきゃいかぬじゃないか、我が国の平和を守るために。こういう観点に立ちまして、防衛庁としましては、防衛問題懇談会の報告等もございまして、こうしたものをやはり一つの参考としながら、今後防衛力の在り方検討の中で取り組んでまいりたいと考えております。
  76. 二見伸明

    二見委員 議事録に残さなきゃならないのできちんと細かく説明をされるんでしょうけれども、時間もありませんので、議事録に残さなきゃならぬという気持ちはわかるけれども、いろいろな説明ははしょって構いませんから。大体わかっているような、お互いにわかっている話ですから、説明の分ははしょって構いませんから。  要するに、侵略対処型か危険対処型か、どちらの方向が、説明抜きでどちらか言ってください。どちらの考え方でいくのか。
  77. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 侵略対処型か危険対処型か、危険対処型も侵略を想定しておるわけでございます、侵略されるわけですから。我が国は専守防衛でありますから、それは余り違いはありませんが、やはり不安定な国際情勢に対処する、こういうことで御理解をいただければと思います。
  78. 二見伸明

    二見委員 総理大臣、社会党は限定防衛力と言っているんですね。この限定防衛力と基盤的防衛力というのはどこがどう違うんですか。そう言っているらしいんですよ、社会党は限定防衛力だ。違うなら違うでいいですよ。いや、そんなことは言っておらぬ、社会党も基盤的防衛力でいいんだというなら、それでいいですよ。
  79. 村山富市

    村山内閣総理大臣 それは、一貫して日本の防衛というのは専守防衛ということが前提になっておりますから、専守防衛に必要な最低限の実力組織という意味では、限定という言葉はそういう意味で使われているんだと私は理解しています。
  80. 二見伸明

    二見委員 それは基盤的防衛力と余り変わりませんな。
  81. 村山富市

    村山内閣総理大臣 それは、専守防衛という前提に立ては言い方は違うので、中身は余り変わらないのではないかと思います。
  82. 二見伸明

    二見委員 日本の防衛は絶えず専守防衛であるべきだし、これからもそうでなければなりません。  それで、大綱の見直しはいつごろですか。というのは、八年度から新しい防衛力整備計画が始まるわけでしょう。もしこれが八年度予算編成に間に合わなければ、八年度の予算というのは防衛哲学なしの予算になる。それは余りよろしくありませんね。八月の概算要求に間に合わせるのか、あるいは暮れの予算編成に間に合わせるのか、いずれにしても八年度予算には間に合わせなければなりません。かなりスピードを上げてやっておられるんだろうけれども、ちゃんと予算編成に間に合うように出せますね。
  83. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 ただいま防衛力在り方検討で私を議長といたしまして検討いたしておるわけでございますが、やはりこれは、来年度の予算等を考えた場合に、委員の言われるようなところをめどとしまして検討してまいりたい、政府全体としても御相談をさせていただきたい、こう思っております。
  84. 二見伸明

    二見委員 新しい大綱ができないから議論できないだろうけれども、いずれにしても、新しい大綱ができれば、それに応じて、例えば防衛庁では、防衛政策局を新設するとか、PKOや自衛隊の発動を担当する局をつくるとか、あるいは統合幕僚会議情報本部を設けて情報処理能力を向上させるとか、いろんなことが言われているわけですが、防衛庁の組織の大幅な改編ということは私は当然出てくるだろうと思います。  その点を一点伺いたいことと、また、情報処理能力を向上させるということになると、今までいろいろ禁じられてきたというか、憲法上いろんな議論のあったいわゆる偵察衛星、これはどういうことになるのか。採用する方向でいくのか。これはまさに防御の問題だと思うな。これをどう考えるか。  ちょっともう時間がないから、言いますからね。もう一つ自衛隊の総定員数ですね。今二十七万だ。数年前に制服の幹部と話をしたときに、私は言ったことがある。もう今実際二十四万だから、二十四万でええやないか、二十七万を二十四万に減らせ、そのかわり、有事のときに防衛庁は困るだろうから、そのときには予備自衛官をふやして、二十四万にしたらどうだという話をしたことがあるんです。その制服の幹部は、二十七万を二十四万に減らすことに非常に抵抗した。だけれども、予備自衛官をふやすのであれば二十四万人体制はこれは考えてもいいですねえということになった。この点をどういうふうにお考えになるのか、それも御答弁いただきたいと思います。  もう一つ、防衛懇ではいろんな、例えば防衛懇では「海上交通の安全妨害、領空侵犯、限定的ミサイル攻撃、一部国土の不法占拠、各種のテロ行為、武装難民の流入といったような事態対応する能力は、そのなかでも重視されるべきもの」ではなかろうか、こう言っているんです。  この中で、限定的ミサイル攻撃というのはこれからあり得る。ある日突然、船に乗って日本のどこかに上陸するというよりも、限定的ミサイル攻撃というのはあるべき形態としては考えられるのかな、どこがどうというのでなくてね、というふうに思います。そうなると、ここら辺をどういうふうに考えているのか。というのは、要するに弾道ミサイル対処システムということを防衛庁、どう考えているのかということを聞きたい。  もう一つ、時間が来ちゃったから。TMD、社会党、反対なんです。社会党は明確ですよ。「その費用対効果が不明であり採用しない。」これは去年の九月の、大変明快なんです。ところが、今度は七年度予算に調査費を計上しておりますね。これはどういうことなのかな。弾道ミサイル対処システムというのは必要だけれども、いわゆるアメリカが提示してきた四つのオプション、いわゆるTMD、これは費用対効果の面からだめだとおっしゃるのか。あるいは弾道ミサイル対処システムはすべてだめなんだということなのか。これはそこら辺も……(「答弁に三十分くらいかかるぞ」と呼ぶ者あり)三十分かかってもいいから、これ、ゆっくり詳細に答弁してください。
  85. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 この前は長く答弁しましておしかりを受けましたが、きょうは短く要領よくやらせていただきます。  まず、防衛庁の組織でありますが、設立以来四十年、組織そのものは変わらずに今日までまいりました。やはり新しい時代に対処するためにはどういう形。がいいか、これは検討する必要がある、こう考えております。  また、情報につきましては、やはり不安定な国際情勢がどのように変化していくかということに対処するという観点からいいますならば、情報の重要性というものは十分認識をいたしておるわけでございます。そういう面におきまして、より情報が一元的に集約をされまして、的確な判断ができるというような方向の組織というものを考えていく必要があるのではないかと思います。  それで、偵察衛星につきましても、専守防衛という観点からは極めて関心を持っておるわけでございますが、しかし、一般の商業衛星におきましてもかなり解析力その他が進歩してまいっておりますので、独自で偵察衛星を持つかどうかという点につきましては、費用対効果の面でいろいろ検討する必要があるのではないか。今はその購入の考えはありません。関心は持っております。こういうことであります。  それから、定員でございますが、やはり今後質の高い防衛力を形成していくという場合におきましては、定員をただただふやすという考え方ではどうか。人的資源も将来考えた場合、やはりそういう点についてこれも検討してみる必要があると思います。定員が現在の状況であってもなおかつ質の向上が図れるという観点からむしろ検討した方がよろしいのではないか、こういうことであります。  それから、TMDのことでございましたが、調査費を今回、七年度の予算に計上させていただいているところでございますが、これはまだ、マッハ四ぐらいのミサイル弾道弾には限定的に対処できますけれども、それ以上、八とか十とかというようなものにはなかなかこれは対処できない。今アメリカ等におきましては、TMDで開発に努力をしておるようでございますけれども、そういう点におきましては、我が国としましても、専守防衛という観点からは重大な関心を持ちまして、政策判断に資するまでの間、やはり研究あるいは知識をいただきたい、こういうことで、今米国との間に研究をさせていただいておる。これは、今後二年間ぐらいを想定をいたしておるところでございます。  以上であります。
  86. 村山富市

    村山内閣総理大臣 恐らく社会党は、大会の方針でそれは必要ないということで反対しているんだと思いますね。これは、連立政権ですから、それぞれの考え方があると思いますが、三党の中で、またこれ、十分議論をされなきゃならぬ問題だというふうに思います。  政府としても、別に決めているわけではなくて、必要であるかどうかというようなものをあらゆる角度から今調査検討しているという段階ですから、そのように御理解を賜りたいと思います。
  87. 二見伸明

    二見委員 以上です。
  88. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて二見君の質疑は終了いたしました。  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三分休憩      ――――◇―――――     午後一時開議
  89. 佐藤観樹

    佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。月原茂皓君。
  90. 月原茂皓

    ○月原委員 私、新進党の月原です。ただいまから、災害の関係、それから防衛の問題について、総理以下閣僚の皆さんにお尋ねしたいと思います。  その前に、災害で亡くなられた方、そしてまた関係の方々に御冥福とお悔やみを申し上げたいと思います。そして、被災をされてまだ苦しい生活をしている方々に心からお見舞いを申し上げるとともに、総理以下の御努力によって現地で大変な努力をされている職員の皆さんに深く敬意を表するものであります。  それでは質問に入ります。  私自身、今度の地震は、私の田舎の善通寺というところで朝ある会合に出ておりまして、ぐらっと二回ばかり大きなのが来て、後で聞けば震度四だったと、こういうことでありました。そして、十九日の日に淡路島の方に行ってまいりました。そうすると、活断層の上にあったと思われる木造の建物はほとんどもうぺちゃんこだ、そして、土とかわらとそれから木がそういうふうにもうばらばらになって散らばっておった。現地の職員の方あるいは自衛隊方々がマスクをして、ほこりまみれの中で生活道をつくるために全力を尽くしておる。この姿を見たときに、頭の下がる思いがしたわけであります。  私はそのとき感じたんですが、日本の国でこの災害を受けられたこの地域というものは、日本全体から見れば一つの限られた地域であるということ、そして、そういうことから判断して、最初の救助活動はできるだけ人間を投入しなければならない、マンパワーを投入しなければならない。それは機動力を使ってでもしなければならない。そして、周りは非常に豊かであるし、またその周辺のところは、日本の他の地域は物資は豊富だし、そして病院とかもろもろの施設は十分あるわけでありますから、いかにしてその中の人々を他の地域に分散さしていくか、そういうすぐれたところへ分散さしていくか。  そして、中におる人たちに対しては、大型のヘリコプターを使うなり、また地域によっては小型のヘリコプターを使うなりして、政府が億単位で物資を購入して、空中から投下する。私は、テレビであの行列を見たとき、日本の国では考えられないような、物の豊かなところでみんなが握り飯一つだとか、そういうことは、私は、そういう初期の態勢というものをそういうふうに思い切って打つべきだなと、こんな感じがしたわけであります。  さて、私の友人も含めて多くの方々が言うのは、初期の態勢がどうだったんだろうかということであります。多くの同僚の皆さんももう既に質問をしておるわけですが、新聞によると、またまちまちになって時間帯が違っていたり、そういうことがあります。  ここでお尋ねしたいんですが、総理自身が、もうこれ何度も人が聞いておることですけれども総理自身が地震を知ったのはいつか、そしてどういうルートで知ったのかということを教えていただきたいと思います。
  91. 村山富市

    村山内閣総理大臣 これはもうたびたびこの集中審議の中でも御質問いただきましたが、これはもう事実関係だけをありのままに申し上げますけれども、六時過ぎにテレビのニュースで、兵庫県神戸市周辺の地域に震度六の地震があったと。それで、NHKの事務所か何かが揺れるところの放映がございました。そこで、これは相当大きいな、こう思いましたから、秘書官連絡をとって、そして実態を調べて報告してくれ、こういう連絡をいたしました。
  92. 月原茂皓

    ○月原委員 時間的な経過だけでよろしいのですが、非常災害対策本部を設置した、これは国土庁長官、どなたでも結構ですが、非常災害対策本部を設置した時間、それからあと、地震対策閣僚会議というのを次の日には開かれております。それは災害対策本部と違って、こういう閣僚会議をつくられたのはどういうことで、そして十八日の、新聞等によれば十八時過ぎ、三十一分、これは十八時過ぎだと思うのですが、それを設置された。その後一つ格上げされて緊急対策本部というものをつくられた。そこらのところ、総理でなくて結構なんですが、何時にそのものを、いつつくられたんだと、そしてどういう考えに基づいてつくられたのかということを教えていただきたいと思います。
  93. 五十嵐広三

    ○五十嵐国務大臣 まず、災害対策基本法第二十四条に基づく非常災害対策本部、これの設置につきましては、十七日、つまり災害が発生いたしまして間もなく、朝の七時半に私の方及び総理の方からこれを設けることの指示をいたしました。そこで、実質的にはそういう体制が直ちにとられまして、これは、一応閣議でその設置について正式に決めたのは、その日の午前十時からの閣議でそれを決めた、こういうことになっております。それで、第一回の非常災害対策本部が開かれましたのは、その日の十一時三十分にこれが開かれた、こういうことになっております。  同時に、この際あわせて、総理を本部長として全閣僚による対策本部を設けようと。そうして、かなり大所高所から、それぞれのもう縦割りどうこうなんということでなくて、全体としてこれを取り組んでいくということのための全閣僚による緊急対策本部というのを別に設けることに翌日いたしまして、これは即作動して、やや連日に近い会議が持たれてきていて、きのうも日曜日でありましたけれども、午後五時からこれが開かれているというようなことで、それに加えて、御存じのように現地対策本部を設けさせていただいて、対策本部としてはこの三つになっております。  同時に、これに対する対応として、小里国務大臣を専任の大臣として選んだ、こういう全体的な取り組みの体制になっている次第であります。
  94. 月原茂皓

    ○月原委員 今官房長官からお話がありましたが、そこで、地震対策関係閣僚会議というものをつくられた後、十九日の日に閣僚会議を格上げした。そして、緊急対策本部というものにされたわけですが、これが十九日の二十時過ぎ、二十時二十分とも言われておりますが、そういうふうにあるんですが、ここで、国民一般からいうと、時間の経過を見ると、総理大臣が行動された時間の後、非常災害対策本部が十時過ぎにできた、そして、もちろん後会合は、検討は続いておるわけですが、十八日に地震対策閣僚会議ができた、そして十九日に二十時過ぎに緊急対策本部ができた、こういうふうな流れになるわけですね。  そこで、非常災害対策本部をつくった後、地震対策閣僚会議などを飛ばしてでも緊急対策本部をつくったらどうだったのだ、時間の系列を、時系列を見ておると、そう思う人も多いと思うのですね。そこで、そこのところを、まず災害緊急対策本部をつくったんだ、閣僚会議をつくったんだ、しかし、こういう問題があって、より強固にせぬといかぬということで緊急対策本部というものをつくったんだ、そこらの経緯を説明していただきたいと思うのです。
  95. 五十嵐広三

    ○五十嵐国務大臣 まず、法二十四条による非常災害対策本部を当日、先ほどの総理の御指示が七時半に出て、十時の閣議で決めて、十一時半に第一回のものを開いた。この場合の非常災害対策本部の設置というのは、従前の我が国政府のこの種災害に対する対策本部を設ける時間的な状況から見ると、ちょっと例のない早い時期に対策本部を設けた、こういうことだと思います。  同時に、これに対してやはり全閣僚力を合わせて取り組んでいこうということで、まず閣僚会議を持ったわけですね。閣僚会議でいろいろ議論している中で、この際、やはり明確に総理を本部長とする全閣僚による緊急対策会議を設けて対応していこうということになった。これは御存じのように、今までそういうような例はないわけです。総理を本部長にして全閣僚による緊急対策本部というものを設けた例はないのです。それを今度は決意したわけでありますから、それはそういう意味では、我々としては、体制の上では本当に一生懸命考えてそういうような措置をとった、こういうようなことになっているわけであります。
  96. 月原茂皓

    ○月原委員 決意のほどは十分わかるのですが、私は事実関係だけを今お尋ねしておるわけですが、その地震対策閣僚会議で、もちろんこれでも閣僚会議でありますから、これでもというか、立派な閣僚会議ですから、総理大臣がおられる。総理大臣としての権限を、新たな権限を付与したわけではないわけですね。今までの閣僚が緊密に連絡しながら、そして総理大臣のより動きやすいような状態にしようというその心はわかるわけですが、それなら十八日にすぐそれをやったらどうだ。一時間か二時間あったら、これはやはり総理大臣を頭にせぬといかぬなというようなことでやっておったらどうだ、私はこういう気持ちがあるものだから、あえて時間を追って、どういう理由でどうなっていったんだ、特別の権限がふえたわけではない、法律によって付与されていくわけではないわけですから、私はその点をお尋ねしたわけです。
  97. 五十嵐広三

    ○五十嵐国務大臣 今申しましたように、実は、我が国としてこういうような体制というものを、全閣僚による、そして総理を本部長とする緊急対策本部というものを設けた例はないのです。ですから、前例に倣ってどうこうというものではないわけであります。やはり閣僚会議の中で真剣に議論しながら、我々はまさに走りながら一つ一つ新しい体制を緊急につくっていったということであって、そこはそういうような事情であったというふうに御理解いただきたいと思います。
  98. 月原茂皓

    ○月原委員 そこで、この災害というのは、復旧とか復興の問題は、これは時間をかけてやっていくわけですが、あしたにでも今にでもどこかに災害が起こってくるかわからないだけに、私はあえてこのことを、その立ち上がりを大切にせぬといかぬから質問しておるのですが、今振り返って、責任問題とかそんなことを私は言っておるのじゃない。今振り返って、こういうふうにしたらよかったな、ここの閣僚レベルのいろいろなところは、官房長官、どうお考えですか。
  99. 五十嵐広三

    ○五十嵐国務大臣 私は、今回の、大変な災害であったわけでありますが、この災害対応しながら、我々も、今申しましたように走りながらとにかく知恵を絞って、こうしようああしようということで決めてみたわけでありますが、この今回の体制、つまり先ほども申しましたように法二十四条による非常災害対策本部、それから閣議決定による緊急対策会議、それから現地対策本部、こういう三つの組み合わせによる対策本部の構成というものは、私は今後このような、あってはならない、あることが望ましいというものでは全くないのですが、しかし予測できないことでありますから、いろいろなことが起こる場合、私はこの三つの組み合わせによる対応というのは、一つのあり方というものを今回我々はつくったというふうに思っているわけなのです。ですから、そういう意味では、まあ振り返ってみて、走りながらのものではあったが、こういう体制なんだろうなというふうに思います。
  100. 月原茂皓

    ○月原委員 ですから、今の反省というか、振り返って考えて、今後もし大きなことが、起こっては困るのだけれども、そういうのが起こったときは、非常災害対策本部をつくる、そして場合によっては、総理を本部長とする緊急対策本部をつくる、そして現地に本部をつくる、こういうふうなことで進んでいきたい、こういうことですね。よくわかりました。  それで、次に私が思うのは、非常災害対策本部というものは、これは法律に基づくものであります。そこで、規定によると、副本部長とかそんなのを任命せい、こういうことになっているのですね、法律に基づくと。  ここに非常災害対策本部を十時に、もちろんその前から総理の指示に従って動き出しておったにしても、正式にここでできたわけですから、そのときに副本部長ほかその職員というものを法に基づいて指名したのかどうか、その点を教えていただきたいと思います。
  101. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 お答え申し上げます。  今の先生のお尋ねにつきましては、副本部長その他本部員を任命をいたしております。ただ、若干事後になりますが、事実上どういう者を任命するかというのはあらかじめ決まっておりますが、正式な発令は若干後になりますけれども、任命いたしております。
  102. 月原茂皓

    ○月原委員 今若干おくれてと言うけれども、これはちゃんと時間がわかっておるわけでありますから、何時にどういうふうな手続、だれをしたんだということを答弁していただきたいと思います。
  103. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 ちょっと今、何時に発令したというのは承知いたしておりませんが、例えば副本部長は私どもの政務次官でございます、それから事務局が私ども防災局でございますが、あらかじめ指名すべきメンバーというのは充て職で決まっておりまして、それを自動的に内閣の方で任命していただくということになっております。
  104. 月原茂皓

    ○月原委員 これは冒頭にも私申し上げたように、こういうものが起こったときにどういうことを何時にしたんだ、そしてそれに基づいて今後反省というものが出てくるわけですから、後でで結構ですから、どういう、何時ごろにそれが行われたんだということを教えていただきたい、このように思います。  そこで情報がなかなか入ってこなかったということなんですが、非常災害対策本部を設置して、この法律に基づくと、各省庁に協力を求めることができるわけですね、当然。そうすると、自衛隊の方にもヘリコプターを持っておるだろうし、運輸省にも持っておるだろうし、自治省なんかも持っておるというようなことからいって、そういうふうな対策本部によってばらばらじゃなくて、この本部という組織ができたときにいろいろやらぬといかぬことはあると思うのですけれども、まず情報が入ってこなんだったら、空から具体的に把握するために、おい、頼むぞというような指示を私はすべきだったと思うのですね。情報を収集するものとして、各省庁に任せておるのじゃなくて、こういう本部ができたのならば、それに基づいてそういうことをすべきだったと思うのです。  そこで、この災害対策本部を設置したけれども、具体的に対策本部は何をしたんかということを、これは局長で結構ですから、教えていただきたいと思います。
  105. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 十七日に設置いたしまして、直ちに第一回の非常災害対策本部を開催いたしまして、被害状況の的確な把握、それから行方不明者の捜索、救出、被災者に対する適切な救済措置、それから火災に対する早期消火、道路、鉄道、ライフライン施設等被災施設の早期応急復旧を当面重点に置くということを申し合わせております。政府調査団もあわせて派遣するということをその会議で決めておりまして、その日のうちに国土庁長官を団長とする十五省庁から成る政府調査団を現地に派遣いたしたところでございます。
  106. 月原茂皓

    ○月原委員 今のお話で、情報がなかなか入らないというところで、特に航空機を飛ばしたり、ヘリコプターを飛ばしたり、そういうふうな指示はしなかったということですね。各省から上がってくるのを待っておる。待っておるという、その言葉がちょっと、非難しておるわけではないですよ。そういうような体制であったのか。私は、この災害対策本部ができたら、今度の場合一番には早く情報をとることだったと思うのですよ。そうしたら、この組織に基づいて各省庁に協力の指示を本部長からするというようなことがあってしかるべきだったんじゃないかな、こう思うもので、あえて質問しているわけです。
  107. 村瀬興一

    ○村瀬政府委員 先ほど申し合わせをしたと申し上げましたが、それに基づきまして各省が情報収集等相協力して行うということで動くということで御理解いただきたいと思います。
  108. 月原茂皓

    ○月原委員 今私は時間的な流れを申して、そして答弁していただいて、というのは、今まで国会でいろいろ議論があったわけですが、体系的にそういうことを取り上げたことがないものですから、そしてマスコミ等なんかいろいろな雑誌が出ておるのですが、それを見ると時間がまちまちだったし、そういうことからいって、こういう非常に大きなときに、立ち上がりにどういう組織をつくっていったんだ、そしてどういう行動をしたのかということは、今度のときの非常に大きな反省になるだけに、私は秩序立って今お尋ねしたということであります。  そこで次に、復旧の問題あるいは復興の問題、このことについてはもう既に質疑が行われ、政府の方としても全力を傾注されておりますので、私の方から重なることもありますので、それはあえて質問をしないでおきたいと思いますが、復興について言っても、早期の計画立案というものが今後非常に大きな影響を与えるということは過去の例からも言われておるだけに、私の希望としては、復興の計画というものをできるだけ速やかに大綱でも示して進んでいっていただきたい、このことを強く要望しておきます。  次に、自衛隊の動きについて、世間ではいろいろな判断を含めて言われておるわけで、その点についてお尋ねしたいと思います。  聞くところによると、自衛隊の中部方面総監部は、六時からもう態勢を組んでおったということであります。そして、七時十四分にはヘリコプター二機を飛ばした。そして、八時前には第三六普通科連隊を派遣し、また十時に対策本部ができる前にもう既に海上自衛隊の船は呉から出航しておるというようなことですが、そこらのところ防衛庁長官、一遍、秩序立ってこういう行動をしておったんだということを説明してもらいたいと思います。
  109. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 災害が発生をいたしましてから、陸上自衛隊の中部方面隊でございますけれども、第三師団は既にその時点で非常呼集を行っております。六時半におきまして、この中部方面隊のすべての部隊に非常呼集がかかっております。さらに、七時十四分から、先ほどお話がありましたように、ヘリコプター随時二機によりまして、状況を把握するために偵察を行っております。さらに、七時五十八分、これは伊丹にあります第三六普通科連隊が四十八名によりまして、災害派遣を実施いたしております。  さらに海上自衛隊におきましては、徳島の教育航空団に六時半に非常呼集がかかりまして、八時十一分にこれもヘリコプターによりまして淡路島方面の偵察を行っております。さらに八時二十分には、第三六普通科連隊によりまして、二百六名による災害派遣を実施をいたしております。  さらに、海上自衛隊の阪神基地でございますが、相当の被害があったものでありますので、フロッグマンによりまして、神戸港の埠頭等の災害状況を見ております。それから九時四十分には、呉の方から輸送艦「ゆら」と、それから九時五十分には海上自衛隊の護衛艦「とから」が呉を出航いたしまして、神戸の方に向かったわけでございます。  以上であります。
  110. 月原茂皓

    ○月原委員 そこで、これは法的な、法治国家でありますから、自衛隊が出るについてもそれぞれの根拠というものを一応認識し、それに基づかなければならない、こう思うのですが、ヘリコプターはどういう根拠で出たのか。それから、今長官が答弁された七時五十八分ですか、この第一段に出た、あるいは八時二十分に出た三六普通科連隊、それはどういう法的根拠に基づいて出動した、派遣したというふうに解釈されておりますか。
  111. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 まず、ヘリコプターの偵察でございますが、これは陸上自衛隊も海上自衛隊も同じでございますが、防衛庁設置法第六条第十一号によりまして、「所掌事務の遂行に必要な調査」ということになっております。  それから、七時五十八分と八時二十分の災害派遣の実施でございますが、これは自衛隊法第八十三条の第三項、いわゆる近傍派遣、こう言っておりますが、近傍災害に対する派遣ということになっておりますが、いずれもこれは伊丹の駐屯地のそばでございますので、八十三条の第三項、近傍災害派遣、こういうように御理解いただきたいと思います。
  112. 月原茂皓

    ○月原委員 防衛庁長官、近傍の話ですね、三項で。私は出たことが悪いというんじゃないのですよ。それはいいことなんだけれども、三項で解釈するのは、今後の問題ですけれども、やはり相当無理があるのではないか。やはり出るならば、私はただし書きで出すなり、あるいは要請が出れば一番いいのですけれども、そういうふうな解釈の方がいいんでないかな、こう思うのですが、ただし書きで出た場合、今までも議論があったと思うのですが、出たからいいというものではない。  自衛隊が出る以上は組織的に行動するんだ、的確な情報がないといかぬ、これをやってくれ、そこへ直行する、そういうふうな前提、いろいろな積み上げがなかったら、ただし書きで出たって、どういうふうなことかと戸惑うだけだ、こういうふうな話も聞いておるわけですが、その点、大臣の考え方を教えていただきたいと思います。
  113. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 自主派遣という場合におきまして、要請を待たずに出るわけでございますが、早く出たからといっても、出動したからといっても、やはり被害の箇所が特定いたしませんと、ただ出ていっただけで、どこに出ていったらいいかということで、なかなかこれは効果のある災害活動にはならないわけでございますので、そこで近傍災害考え方でございますが、これは阪急の伊丹駅でございまして、中部方面隊の司令部と目と鼻の先でございますね。すぐそばでございます。したがいまして、もうこれは直ちに災害対策に出たということと、それからやはり八時二十分の際におきましても、これは西宮でございますから、情報がすぐ入りまして場所は特定できましたから、直ちに出動、こういう形になったと思うわけでございます。  つまり、出動する場合におきましては、やはり的確な情報を確保し、そこに的確な人員を派遣をして救生活動に当たるということが最も重要ではないか、このように思います。
  114. 月原茂皓

    ○月原委員 今防衛庁長官の言われたことは、二十六日に中部方面総監松島陸将が涙ながらに記者会見した内容と同じ気持ちでお話しになったと思うのです。そういう意味で、私は、事前の体制というものを地方自治体を含めてやっておかぬといかぬなということを強く感じたわけであります。  今、政府においても防災訓練の実施の問題とかあるいは効果的な防災基本計画をどういうふうにすればいいのかということを検討されていることと思いますが、私はここにひとつ、私自身が香川県なものだから、香川県の防災計画とそれから神戸の方の防災計画とちょっと取り寄せてみたのですね。  そうしたら、香川県の場合には、手続は非常に簡単で、市町村長はすぐ知事に言ってこい、そうしたら、知事がすぐ善通寺の部隊に連絡するから、こういうふうに規定はなっておるのですよ。ところが、神戸の方のを見ると、通常の手段では不可能または困難で自衛隊の出動が必要であると認められるときには自衛隊に要請せい、こう書いておる。それは頭の中でそういう判断をするにしても、こういうことが書かれると、それは余り早うやっておったら、またそこまでチェックしたんかいと聞かれたら困るがというような、私もかつて公務員だったから、大体そういう考えでたくさんおるのですよ。  そういうことからいって、今検討されておるんだったら、こういう問題を、何かモデルをつくって、各自治体に、そういうふうな災害、人命救助の問題ですから、早くできるような、そして職員もそれを早くするものだというふうな規定をつくってもらいたいし、そういうのをモデルとして示していただいたらどうかと思うのですが、どうでしょうか。
  115. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 災害対策基本法によりますと、各都道府県は、地域防災計画を立てまして、そこで検討するということになっておるわけでありまして、兵庫県の場合におきましては、自衛隊も参加いたしまして地域防災計画を立てております。  私もその内容を見ましたけれども、例えば陸上自衛隊に対しましては第三特科連隊をもって充てる、連絡をとる、それから海上自衛隊におきましては、先ほど申し上げました阪神基地隊、それから航空自衛隊に対しましては、第三師団長を経由して行う、こういうことになりまして、なおまた連絡の電話番号も全部書いておるわけでございまして、この防災計画のとおりに実施をすれば私はよかったと思うわけでございますが、どういうわけか、災害発生いたしましてから派遣要請がおくれたということは、マニュアルがありましても、実際の訓練をかなり大規模に行って、どのような形てづまり出動要請をやるか、あるいは県庁に人がいなくても当直の人がこれをやればできるわけでございますので、そういう点での認識が残念ながら薄かったのではないか、そういう点も感じておるところであります。
  116. 月原茂皓

    ○月原委員 今防衛庁長官言われたような点も含めて今後の指導をしていただきたい、このように思うわけであります。  そのほか、私が気がついた一、二の点について、この災害について、今後こういうふうにしたらどうだということを今ここでお話し申し上げますので、担当の大臣、おれはこう思うんだというふうなことを教えていただいたら、そしてまた、今後の初動のために参考にしていただいたらと、こういうふうに思います。東京の場合だったら立川、私は行ったことないのですが、立川に一つの防災基地ができておるということでありますが、地方の方も、最初の情報、それから情報中枢というか、指揮するところ、そういうのがもう壊滅的にやられておるわけですから、県庁の、県としてもサブのようなものをつくるか、あるいは隣の県とそういうようなことについてお互いに連携して、こっちがやられたときはそっちの県で頼むぞ、うちの機能をやってくれよ、情報はそっちへほうり込むぞというような、そういうような代替基地というか、そういうものをつくる考え方はどうでしょうか。  これはどなたにお尋ねしたらいいですか、自治大臣に……。
  117. 野中広務

    野中国務大臣 今回の災害につきましては、先ほど来答弁もございましたけれども、それぞれ連年やっております防災の日の訓練、これは警察、消防、自衛隊、地域住民あるいは事業所、すべてが県ごとに、あるいはブロックごとにやっております。あるいは、消防等につきましては、それぞれ地域の救援協定、特に全国政令指定都市におきましては政令都市間の救援協定等も結んでおるわけでございます。  ただ、それぞれ防災訓練を地域防災計画によってやってまいりましたけれども、想像を絶する災害であったということと、訓練上は今まで円滑にやっておりましたけれども、実際の場面に直面いたしましたら、残念ながら運用の上で適正を欠くような、結果としてなったのではなかろうかと私ども考えておりますので、これからその派遣あるいはそれぞれ近隣の協調、連絡等も今まで以上に敏速に対応できるように十分機能を果たしていきたいと存じております。
  118. 五十嵐広三

    ○五十嵐国務大臣 今委員指摘の、隣の県などにかわりにすぐ作動してもらうようなことはどうか、これはまことに適切な御意見だと思うのですね。  今回の一つの特徴というのは、その県のセンターである神戸そのものが、県庁所在地が壊滅したということなわけですね。これが、例えばこの間の北海道なんかの場合ですと、これは札幌は健在で直ちに道庁からどうでも指令を発することができるということでありましたが、今度はそうでなかった。こういうような場合にどうするかということは一つ必要なことであって、こういう場合は、かわりのセンターをどういうぐあいにするか、これは今後のために我々はしっかり検討しておかなくちゃいけないことだ、このように思っております。
  119. 月原茂皓

    ○月原委員 あと、防衛庁長官にお尋ねするというか、判断を仰ぎたいと思っておるのですが、今度の場合、ヘリの部隊の人々に聞いてみると、行ってみたけれども、どこへおりていいかわからぬ、最初ここには人がおる、小さなこういう公園はもう人が集まってないと思ったんだけれども、行ってみたら、もうおりるところは一つもない、そういうことで、いろいろ困ったことがあったというふうなことですから、あらかじめこういうヘリ、緊急の場合に、何も自衛隊のヘリだけじゃないのでしょうけれども、そういうものが確保できるようなことをやるということが一つ。  それから、先ほど二見委員からもお話がありましたが、統幕の権限ですね、災害についての統幕の権限。防衛出動、治安出動については統幕議長が長官の命を受けて統全部隊を運用するという規定があるわけですが、しかし災害についてはないわけなんです。だから、物にはよると思います、災害の規模にはよると思いますが、しかし、今度の場合でも、今大臣が説明になったように、県からも部隊が出る、航空自衛隊も待機しておる、陸上自衛隊も方面総監部単位で動いておる。南から北から全部部隊が出てきておるというような場合は、私はやはり統幕議長を通じて執行する方がいいのじゃないか、こう思うのです。  大きな法律の改正とかいうことでなしに、この点についてはこの条文だけを直せば、思想的な問題とかいろいろな問題、出てこないわけですから、こういうのは早く直しておいたらいいのじゃないかな、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  120. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 ヘリの問題につきましては、やはりふだんからどこに、つまり、災害が発生した場合にヘリポートがあるかということを確認しておく必要があると思うのですね。  南関東及び東海地域の震災対策の計画におきましては、常に五万大規模の自衛隊も参加しまして訓練を行っておるわけでありますが、その場合におきましては、ヘリポートをどこに指定するかというところは、全部確保しておるわけでございます。ふだんから番号等をつけまして、どこにあるかということを確認をしていくということが大事だと思うのですね。  今回の神戸の場合におきましては、非常に狭隘な地域にたくさんのビルディングが並びまして、なかなかヘリが着陸できるところが少ない、こういうことも大きく支障を来したという点が指摘されております。  それからさらに、御指摘の統幕議長に指揮を一任ということでございますが、委員も御承知かと思うわけでございますが、自衛隊防衛庁長官を指揮官とする単一の実力組織でありまして、長官が陸海空自衛隊を一元的に指揮し得ることは当然でございます。統幕議長はそれを補佐するという立場にあるわけでございまして、今回のような大規模災害のような場合におきましての災害派遣のあり方については、今後御指摘の点も含めまして検討する必要がある、このように考えております。
  121. 月原茂皓

    ○月原委員 これで災害の関係、危機管理というか、そういうものも含めての質問を終わらしていただきますが、ある新聞にこういう記事が載っておった。私は胸の痛む思いがしたんですが、「実に多くの人間が、おそらく二日ぐらいは廃墟の中で国家の到着を信じながら裏切られて亡くなっていった。」こういうふうな表現で、ある大学の教授が書かれておるんですが、やはり私は初期の態勢というものを今度の、突発的なことであったにしても、予想外のことであったにしても、この教訓を生かして、今度もしこういうことがあったときには直ちに行動ができる、そして力いっぱいのことを国家として市民の皆さんにできるんだということをつくっていただきたい、このことを強く要望してこの質問を終わらしていただきたいと思います。  ここで、前から総理に、私はこの前の予算委員会でも自衛隊と憲法の問題についてお尋ねしたわけです。今度の委員会でも我が方の多くの同僚がお聞きしておるわけですが、まず法制局長官にお尋ねしたいと思います。  今まで政府自衛隊について合憲であるというのを、政府見解としては九条に基づいてどういうふうに解釈しておったのか、そのことを示していただきたいと思います。
  122. 大出峻郎

    大出政府委員 自衛隊の合憲性の根拠についてということでございますが、憲法第九条は、第一項において「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」と規定するとともに、二項におきまして「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」などの規定を設けておるわけであります。  しかしながら、憲法第九条は、我が国が主権国として持つ固有の自衛権までも否定しているものではなく、この自衛権の行使を裏づける、自衛のための必要最小限度の実力組織を保持することは、もとより憲法第九条の禁ずるところではないということであります。  自衛隊は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つための不可欠の機関であって、以上のような限度内の、つまり必要最小限度内の実力組織でありますから、憲法第九条に違反するものではない、こういうことであります。  これが従来からの政府見解でございます。
  123. 月原茂皓

    ○月原委員 これ、突然のことですが、河野総裁、自民党はこの自衛隊について、今法制局長官が今までの政府の答弁ということをお話しになりましたが、どのように解釈されているか、教えていただきたいと思います。
  124. 河野洋平

    ○河野国務大臣 自由民主党はかねてから、自衛隊は当然合憲であって、この従来の、党、内閣の見解は一致しております。
  125. 月原茂皓

    ○月原委員 そこで、内閣総理大臣に、いつもすれ違いみたいになるんですが、今私が、社会党が自衛隊を合憲にされたということは非常に高く評価しておるということは、この前の委員会でも私申し上げたのですが、その根拠ということについて、今までの政府というものは、今法制局長官が述べられ、また河野総裁も、ずっと自民党はこういう解釈に基づいておるんだというふうな、九条に基づいた解釈をされているわけであります。  私は、なぜ社会党が、過去のことを乱やっておるんじゃなくて、国際情勢とかいうものが変わってくると、例えば今は東西冷戦構造が崩壊しておる、しかし、仮にこのアジアの周辺にまた暗雲が出てきたら、これは世界情勢変わったぞ、国際情勢変わったぞというようなことになる。そしてまた世論は、自衛隊を認めますかというようなのは、もう七割から八割の国民がずっと認めてきておるわけですから、それがもし、これ低くなったら、今まで私が理解しておるところでは、総理大臣が答弁されておる合憲論だとひっくり返る可能性があるのですよ。  自衛隊が合憲だとおっしゃったのが、どうもそこがうまく合ってこなくて、いや、今度はこれ違憲やぞと、こう言いかねない、そうならざるを得ないということになるものですから、私は今のこの憲法、今法制局長官もおっしゃったし、河野総裁も言われた、そういうものと一致した考え方を、総理大臣としては合憲の根拠はそこだということを、私はあえて今までの違憲がどうだったんだ、あなた違憲でこう言っておったじゃないか、だからこれはつじつまが合わぬじゃないか、そんなことを私言うつもりないのですよ、今や。  社会党が合憲と言われるならば、今のような流れの中で同じく合憲だという九条の解釈であるということを、私はここではっきりしていただきたいということをお尋ねしたいと思うのですが。
  126. 村山富市

    村山内閣総理大臣 私はこれまで一貫して、憲法の第九条の解釈が変わったのではなくて、自衛隊というものに対する方針と政策を変えたのです、こういうふうに御説明申し上げたわけですね。  それはなぜかと申しますと、もうそれはあなたもよく御案内のように、あの冷戦構造があって、米ソが対立する中でお互いに軍拡競争を展開している、その間には朝鮮戦争もあったり、ベトナム戦争もあったりした国際情勢というものが背景にあるわけですね。  そういう状況の中で、日本の自衛隊というものがさらに拡大強化されていくという、防衛力の強化というものが一方では要請される、一方ではまた海外派兵もあり得るのではないか、こういうことからいろいろ想定して考えてまいりますと、憲法の全体を貫いておる平和主義というものが侵される心配がある。そこで、ここではやはり抵抗する意味で、自衛隊は違憲ではないか、そういうことはいかぬ、こういう立場で社会党は全力を挙げて闘いを組んできた。  しかし、今あなたからもお話がございましたように、今や国際情勢は冷戦構造も崩壊をして、そして、むしろ軍縮から協調の時代に変わりつつある。それで、国内も保守と革新とがイデオロギーで対立するというような時代ではなくて、もう政策で議論をし合いながら合意を求めていく、こういうような状況に変わってきておる。しかも、安全保障の問題についても、そんな意味では、これから日本の安全保障をどうするかというようなことについて、共同のテーブルの上で議論ができるような状況政治情勢が変わってきた。  同時に、今言われましたように、国民の世論も、もうこの程度の自衛隊ならばそれはいいのではないかという、国民のある意味での合意というものももう生まれてきておる。こういう全体の情勢を判断をした場合に、もうここらで社会党も自衛隊に対する考え方を変えるべきではないか、こういう議論はずっと以前から党内では議論されてきていることなんですね。  それがたまたま大会あたりで議論をされて、そして方針が変わって、そして私が仮に総理なら総理についたというのであればいいんだけれども、そういう議論の過程の中で、連立政権の誕生の中で総理というポストについた。これは、総理というのは三権の長ですから、したがって、ここでもう私自身が思い切って方向転換をせざるを得ないというので方向転換をして、その方向転換をしたことについて党内で議論をしていただいて、そして大会で結論を出していただいた、こういう経過ですから、私はそのように皆さん方にも御理解を賜りたいというふうに思うのです。
  127. 月原茂皓

    ○月原委員 どうも私の理解が十分でないのかしれませんけれども、河野総裁、これ、お尋ねしたいのですが、今度社会党と、もちろんさきがけも含めてですが、ひとつ政権をとる。そして、国の最も大事な一つとして自衛隊、国の安全保障の中核であるのが自衛隊だということで、そしてそれは今まで社会党は非常に際立って違った考え方に基づいておったわけですから、その点についてのすり合わせというか、合憲ということは合憲であったとしても、今総理大臣がおっしゃったような考え方と河野総裁が今までの政府見解というもの、そして自民党の見解というものとの根拠のところが私はちょっと違っておるのじゃないか。その点、どういうふうにお考えですか。
  128. 河野洋平

    ○河野国務大臣 社会党は、政権を担当するに当たって新党さきがけあるいは自由民主党と政策のすり合わせをされました。その中でも、日米安保条約についても、それから自衛隊合憲についても、我々は合意のできるそういう内容であるという判断をしたわけでございます。  これは、月原議員もよく御承知のとおり、社会党は自由民主党と連立政権をつくる以前に、自民党が下野した直後、細川内閣という連立政権があって、その細川政権には社会党は既に参加しておって、そしてそのときには基本的な政策は自由民主党のこれまでの政策を継承するということを細川政権は言っておられた。その政権に参加をしておられたという実績が既にあるわけでありまして、そのことを考えても、日本の外交、防衛政策が社会党が政権に参加することによって大きく変化するということはもう既にあり得ないという判断も私どもにはあったわけでございます。  現に日米関係というものは、クリントン大統領と村山総理との会談でも日米安保体制についても十分な話し合い、合意ができておりますし、私は防衛問題に関する限り全く心配をいたしておりません。
  129. 月原茂皓

    ○月原委員 心配をしないという意味ではなくて、私は総理の答弁から感ずるのは、国際情勢が変わったり世論が変わったら、また自衛隊違憲だというふうなことになるおそれを私は感ずるから、それでは合憲だと言った根拠というものをもっとしっかり、今までの政府答弁なり、一国の今度は総理大臣という立場に立たれたわけですから、その点をしっかり一致してもらいたいということでお尋ねしておるわけですが、法制局長官、私は、なかなか言いにくいかわからぬけれども総理大臣の言われておることと今までの政府の答弁と、それが一致しておるのか、すれ違うておるのか、それをどういうふうに考えられますか、法律の専門家として。私は余り法律わからぬものだから、あえてお尋ねするのですがね。
  130. 村山富市

    村山内閣総理大臣 ちょっと失礼ですけれども、憲法の解釈が変わってきたというのなら、それは法制局長官の見解と私の見解がどこが食い違っておるということが言えると思うのですけれども、そうでなくて、私は憲法の前文に示されておる憲法全体を貫いておる平和主義の理念というものに照らして、今の国の防衛政策というものが間違っているんじゃないか、こういう意味でずっと一貫して反対の抵抗をやってきたわけです。  これは、やはり憲法の理念からいえば、これからも、これはいい傾向として世界全体が軍縮の方向に向かいつつあるわけですから、したがって日本の国がこれから国際貢献をする場合においても、できるだけ紛争ではなくて話し合いで解決できるような、そういう道筋というものをしっかりつくっていく必要があるし、そんな意味からすれば、やはり核ももちろん含めて世界全体が軍縮の方向に志向してもらいたいし、同時にまた、地球規模の環境問題やら人口問題やらエイズの問題やら貧困を追放するとかいったような問題やら、そういう問題についても大いに日本の国はやはり国際貢献を果たしていく、そういう役割を担っていけるようなことをやるべきだというのが、やはり私は憲法を貫いておる平和主義、民主主義の理念じゃないかというふうに思っておりますから、したがって、そういう憲法の基本原理というものを踏まえてこれからさらに努力していくということについては、これはもう三党は一致しているというふうに私は理解いたしておりますから、矛盾は感じておりません。
  131. 月原茂皓

    ○月原委員 後でいろいろ国際協調とか、そんなのはみんな一致しておるのですよ。しかし、自衛隊そのものをどういう根拠に基づいて合憲としておるのか。私は批判しておるのと違うのですよ、総理大臣。批判するつもりならもっと別の論戦するつもりですよ。  しかし私は、そういうことではなくて、今の自衛隊の存在そのものをどういうふうに憲法上考えておるのだと。繰り返しますけれども、では世界情勢が変わったら、それから国民世論が変わったら、自衛隊は違憲だというふうになるのか、私はそこのところを問題にしておるのですよ。  それではちょっと角度を変えてお尋ねしますけれども総理大臣、憲法九条一項、二項をどういうふうに理解されておるか。私はそこまで踏み込むつもりはなかったのですけれども、それを総理大臣から一遍解釈を聞きたいと思うのですね、憲法解釈を。自衛隊のことを離れて、憲法九条一項、二項はどういう解釈に立つのだということを。
  132. 村山富市

    村山内閣総理大臣 憲法第九条の第一項においては、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」ことをいう規定ですね。  これは、社会党も自衛権というものは否定していないわけです、自衛権というものはありますと。ですから、自衛のために必要な限度の実力組織というものはあってもいいのではないか。しかし、自衛隊が武装して海外に出て、そして国際紛争を解決する手段として武力行使をするというようなことは憲法に反するということに私は解釈をいたしております。
  133. 月原茂皓

    ○月原委員 それで第二項はどうですか。
  134. 村山富市

    村山内閣総理大臣 第二項は、「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」こういう規定ですね。「前項」というのは、国際紛争を解決する手段としての陸海空軍は持たない、こういう規定になっておりますから、したがって、私は明確にそのように理解をいたしております。  したがって、自衛隊が武装して海外に出て交戦をするようなことについては、これは認められない、あるいは集団的自衛権は認められないという前提に立っておるわけですから、したがって、この第二項の解釈は、今申し上げましたとおりに私は理解をしておるつもりであります。
  135. 月原茂皓

    ○月原委員 法制局長官、繰り返しますけれども、これはもう一回同じことを聞きますけれども、九条の憲法解釈、法律の専門家として言ってください。
  136. 大出峻郎

    大出政府委員 憲法九条は、第一項とそれから第二項とがあるわけでありますが、その点については、先ほど申し上げましたように、第一項において「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」と規定するとともに、第二項において「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」などの規定をしているわけであります。  しかし、憲法第九条の一項というのは、いわゆる戦争の放棄をいたしておりますけれども、我が国を防衛するためのいわゆる自衛権というものまでは放棄をいたしていない、こういう考え方であります。  そういうことを前提といたしまして、憲法第九条二項におきましては、これは「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」と規定をいたしておりますけれども、我が国が主権国として持つ固有の自衛権まで否定しているものではない、こういう理解をいたしておるということであります。
  137. 月原茂皓

    ○月原委員 この問題、総理大臣、私の言っている意味もわかっておると思うのですよ。また次回にこの問題を私申しますから、よくひとつ検討しておいてください。  これは大変な問題ですよ。自衛隊の根拠そのものを、国際情勢とか、後半で言われておる、繰り返しますけれども総理大臣の言われておることはみんな、それは国際協力せにゃいかぬし、侵略戦争なんかだれもするつもりは何にもないわけですよ。だけれども自衛隊そのものは、憲法というものに基づいて、今法制局長官の言われたようなことで今まで存在し、現在も活動しておる。自民党の河野総裁も、今までずっと自民党はその考えを持ってきておる。政府そのものがそういうことで動いてきておるわけですから、なぜそれが、それと全く同じ考え方の九条の解釈で我々は合憲と考えると言えないのか。  繰り返します、国際情勢が変わる、世論が変わったら自衛隊は違憲になる、そういうふうな不安定な状態に自衛隊を置いて、三軍の指揮官としておってもらったら僕は非常に困ると思うので、よく研究してください。  今、憲法の問題はこれでありますが、まだ問題を残しておきますから。  今度の防衛予算についてお尋ねいたしますが、平成七年度は、中期防衛力整備計画、これは冷戦構造が崩壊したということで修正されたわけでありますが、七年度が最終年度であるということは御承知のとおりであります。  そこで、この予算の編成過程でマスコミ等を通じて言われておるところをもとにお尋ねいたしますが、七月の概算要求基準決定時には、〇・九%の伸び率は政府原案決定時でも尊重するというふうに与党の皆さんは合意されておったということであります。ところが、十二月十七日の同じような連立与党の考え方では、円高差益とか在日米軍の駐留を埋める問題とか、そういうことで〇・八九でいこうやないか。〇・九でシーリングだったわけですよ。〇・九の伸び率のシーリングだったんだけれども、まあ社会党が一生懸命言うから、それなら〇・八九にするかということでおさまっておったら、今度は社会党は、一層の削減努力をせぬといかぬな、削減努力と言えないようでは困るということで、新聞によればですよ、足して二で割って〇・八七%増ということを軸に今後は交渉しようじゃないか。そこで、今度大蔵大臣を含めた交渉になるわけですね。そして〇・八五五、まあ外には〇・八六、そういうふうなことで事前閣僚折衝で決着した、こういうふうに書かれているわけであります。  そこで、なかなか防衛予算のつくり方が難しいのは私もよく知っておるんですけれども、これは国民の目から見たら、〇・九で守ると言っておったんだけれども、しかもこれは中期防の最後なんだ、やはり一応の決着はつけぬといかぬのじゃないかという年にやられたことが、足して二で割って〇・八七になっておった。それがまた〇・八五五になった。  お尋ねいたしますが、〇・九%から〇・八九%に自民党は一つ考え方を持ったわけですが、そこで足して二で割って〇・八七%増を軸とすることで話はついておったんだけれども、〇・八五五%になったというのは、この差額はどういうものを削って八五五になったのか。その点をお尋ねしたいと思います。
  138. 秋山昌廣

    ○秋山(昌)政府委員 ただいまの御質問、差額の点ということでございましたが、差額の議論というよりも、事前の大臣折衝で財政当局あるいは防衛庁それぞれの主張をした結果、この〇・八六ということに決まったわけでございます。  その中身につきましては、防衛庁といたしましては、三党合意の〇・九%ですとか、概算要求時におきまして大変厳しい要求をせざるを得なかった、ぎりぎりまで削ったといったような状況を主張し、大蔵省財政当局からは、財政の厳しさ、あるいは概算要求につきまして財政当局なりに精査、調査、調整した結果、最終的に事前の大臣折衝で〇・八六に決まったということでございます。
  139. 月原茂皓

    ○月原委員 十二月の十八日に村山総理は、社会党全国代表者会議で大演説をやった。「軍縮を掲げている以上、防衛費は可能な限り減額すべきだ。正面装備は、五%でも六%でも削り込んで(軍縮への)一定の足掛かりをつけるべきではないか」、こういうふうな大演説をされた。そして、この事前折衝が終わった後、官房長官はどう言ったかといったら、社会党色が出た、こう言って喜んでおった。  これは、国民から見たら、演説によって削ることができる、そして数字の遊びでないか、どういうふうな防衛政策に基づいてそういうことができておるんだということを不思議がると思うんです。そうしたら、もっと〇・五にしたってかまへんじゃないか、そういうふうなことになってしまうわけですよ。難しさはわかるんですよ、防衛の予算についての。だけれども、外から見て、そういうふうなつじつまの合うたような、しかも中期防の最後の年である、そのときに、そういうふうな数字合わせじゃなくて、こういうポリシーに基づいて、少なければいいんだというようなのも一つ考え方かもしれませんけれども、こういうふうな〇・八五五になったんだというようなことは、どういう防衛政策の考え方に基づいて削られていったんだということが、私は少なくとも理屈は考えておかぬといかぬのじゃないかと思うんですけれども、どうですかね。
  140. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 先ほど委員も御指摘のとおり、東西冷戦構造が終結をした、こういうことから、中期防におきましても修正された中期防、こういうことで、一千億円既に削減をいたしておるわけでございます。しかしながら、修正された中期防をある程度において高い伸び率において達成する、こういうことが要請される。そういう中におきましても、深刻さを増している財政事情であるとか、あるいはまた今後の情勢等勘案をいたしまして、まずこの線であれば日本の防衛の質を落とさずに今後に対処できる、こういうような判断もありまして、この〇・八六%に決まった、こういうことでございます。
  141. 月原茂皓

    ○月原委員 なかなか苦しい答弁ですが、そういう経過だったということですね。その経過において自衛官の定年を、一佐、二佐の定年延長も実施することになった、そして、それで七十五億円の退職金が先送りされたというふうにマスコミでは報じているわけですね。苦しい中で定年延長ということまでして、これは昔から勉強しておったんだから今出てきた話でないんだというならば、もっと最初の段階から、予算要求の段階からそうしておったらよかったんです。最後の土壇場になって、定年延長もする、そして駐留軍経費の捻出もせんといかぬ。そんなことで相当自衛隊予算はいびつになってきておるわけです。それだけに、私は、数字の遊びのようなことをされては困るなということであえて質問しておるんですが、その点、長官どうですか。
  142. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 まず、答弁する前に、今数字がちょっと違ってましたので、修正された中期防におきましては、一千億円の削減ではございませんで、五千八百億円の削減でございます。かなりの削減をしておる、こういうことでございます。  そこで、〇・八六%ではございますけれども、いろいろな知恵を使い、また円高等のメリットも用いて所期の目的を達するように、前から委員も、ホスト・ネーション・サポートを一〇〇%実現しろ、こういうような御要望もこの席でございました。そういう点も達成するように頑張って、それでも〇・八六でおさめた、こういうところを評価していただきたいと思います。
  143. 月原茂皓

    ○月原委員 今の予算、現在災害派遣をされておる自衛隊については今年度の予算でありますが、これは今年度の予算も相当厳しく抑え込んでやっているわけですね。そうすると、普通の省庁だったら、予備費を使ったり補正でいろいろなことが行われるのですけれども自衛隊の場合は、なかなかその点が今までの慣例からいって行われていないのですよ、大蔵大臣、御承知だと思うのですが。  そこで、あれだけ瓦れきの中でマスクをかけて一生懸命やっておる隊員のことを考えたら、油代も節約して行動しておる、そういうことから考えたら、こういう問題については、これはちょっと話が飛びますけれども予算をつくるときに、そういう問題についても一つの配慮というものを今後していただきたいなと思いますが、大蔵大臣、どうですか。
  144. 武村正義

    武村国務大臣 今回の災害の経験も踏まえながら、今後とも必要なものはきちっと対応するよう努めてまいります。
  145. 月原茂皓

    ○月原委員 それから、あと防衛の予算について私は一つの援言をしておきたいのですが、防衛庁長官自衛隊に防衛医科大学校というものがあるんですね。そこに病院があるわけですが、この予算は防衛費なんですよ。民間の方々がずっと診療に来られるのです。それを防衛費で診察して、その後、支払ったものは大蔵省の歳入になる。大ざっぱに言うと百億円ぐらいあるのですよ、歳入が。  そういうふうなことは、これもう、ぎしぎし防衛予算を言っておるときに、そういうものがありますから、これはなかなか特別会計に今までするのは難しかったかもわからないけれども、研究課題として――国民から見たときに、防衛費が百億円そういうものに使われているなんて、だれも知らぬのですよ、余分に。ですから、そういう点は、ひとつ本当の意味の防衛費というものの組み立てを今後研究していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  146. 秋山昌廣

    ○秋山(昌)政府委員 ただいま御指摘の防衛医科大学の経費については、おおむね、今委員のおっしゃる点、そのとおりでございますけれども、防衛関係費というのは、まさに防衛関係費ということで、主要経費別分類でこれまでずっと同じような考え方で経費が計上されてきているわけでございます。したがいまして、防衛関係費を考える場合に、余り毎年毎年変えるということはできない。  それから、おっしゃるとおり、防衛医科大学の民間の診療費について、後で返ってくるというのはそのとおりでございますが、防衛医科大学の、何といいましょうか、医官の、お医者さんの技術の向上という点も、これまた一つ民間の診療をやるという点には入っているわけでございまして、防衛関係費全体の中でこれまで主要経費で入ってきたという点も我々は考えざるを得ない。  御指摘の点につきましては、我々も問題意識としては持っております。
  147. 月原茂皓

    ○月原委員 防衛予算のことについてはこれで終わらせていただきまして、あと、主として朝鮮エネルギー機構の問題についてお尋ねしたいと思います。  朝鮮エネルギー機構を二月の末ぐらいまでに創設するんだということを、昨年十二月に合意を見たように新聞には報道されていたのでありますが、その後、それの考え方は変わらないのかどうか、外務大臣にお尋ねしたいと思います。
  148. 河野洋平

    ○河野国務大臣 議員のおっしゃっておられるのは恐らくKEDOと称するものであろうと思いますが、日米韓三国で緊密な打ち合わせ、相談をいたしまして、二月にはこのKEDOは設立したいということで合意を見ております。
  149. 月原茂皓

    ○月原委員 その場合に、各国に幅広い協力をお願いするのだというふうに言われておりますが、その協力の相手方というか、それからその内容というか、そういうものがおわかりならば、教えていただきたいと思います。
  150. 河野洋平

    ○河野国務大臣 KEDO設立に当たりましては、アメリカ、韓国、日本、この三カ国が中心的役割を果たすということのそれぞれお互いの認識がございますが、御案内のとおり、北朝鮮におきます核開発というものに対する懸念は国際社会が広く持っているところでございます。もちろん、北東アジアが一番大きな不安感といいますか危機感を持っていることもございますけれども、しかし、核の不拡散ということを考えれば、国際社会いずれの地域においてもこの問題には大きな関心を持っているというふうに考えまして、アジアあるいはヨーロッパ、それぞれの地域にこのKEDOへの参加を期待をいたしておるところでございます。
  151. 月原茂皓

    ○月原委員 ガルーチさんが上院の外交委員会でお話しになっておるのでは、米国は本体部分は負担しないのだ、そういうふうなことを述べておられますね。そのような問題、本体の負担について、まだどれだけ負担するのだということは、これはもちろん決まっていないにしても、米国がその本体の負担に入らない、そのことははっきりしているのかどうか。  それから、軽水炉の関係の予算というものが、新聞を見ると、またこれは決まってはいないのだけれども、四十億ドルと書いてみたり、五十億ドルと書いてみたり、ちょっと相当まだ幅があるようなのですが、今のところ、どういうふうな金額というふうに総額がなるのか、見通しがあれば述べていただきたいと思います。
  152. 河野洋平

    ○河野国務大臣 まだ金額については見通しがついておりません。  それから、議員お尋ねのとおり、本体とあるいは本体以外とでもいいましょうか、二つに分けてお尋ねのように思いましたが、確かに考え方としては、軽水炉それ自体に係る資金と、そうではなくて、それまでの間の代替エネルギーであるとかあるいはKEDOの事務的経費でございますとか、言ってみれば軽水炉建設費とそれ以外というふうに二つに分けて考えてみる見方がございますけれども、厳密にそうしたことを二つに分けて、今、こちらはだれがやって、こちらはだれがやるというふうな考え方をいたしておりません。アメリカにおきましても、こっちは責任を持つけれども、こちらは責任を持たないなどというふうに議論をされているというふうに聞いておりません。
  153. 月原茂皓

    ○月原委員 この前、総理大臣、アメリカの方に行かれまして、この問題についてもお話しされ、記者会見もされておるわけですが、日本の方がどういう負担をするということをどういう表現で向こうに伝えたのか。この前、海部党首に対して答弁されておったと思うのですが、重なるかもしれませんが、その点、運営費の問題とかあるいは本体の議論とか、そんなものも含めてどういうふうに総理大臣はアメリカの方に伝えたのか、教えていただきたいと思います。
  154. 河野洋平

    ○河野国務大臣 恐縮ですが、首脳会談に私も同席させていただきましたので、私から御答弁させていただきます。  首脳会談におきまして村山総理からは、この問題について日本政府としては意味のある財政負担を行う、こういうことを申し上げたところでございます。
  155. 月原茂皓

    ○月原委員 事務局の経費あるいは軽水炉建設に関する現地調査の負担、このことははっきり約束されたですか。そして、その後、今外務大臣のおっしゃったような表現で全体の話をされたのか。その点どうでしょうか。
  156. 村山富市

    村山内閣総理大臣 KEDOをつくる事務局の経費、それから事務局ができますれば調査に入りますね、その調査等に対する経費につきましても、これはどういう規模でどういう中身でつくられるかというのがまだ定かではありませんから、したがって、そういうことが定かになる中で日本は応分のやはりそれぞれ負担をするということについては申し上げてあります。
  157. 月原茂皓

    ○月原委員 それについても、だから今河野外務大臣がお話しになった、日本政府意味のある財政負担をするというのは、今言った調査の問題も、あるいは事務経費、それから本体、そういうものも含めてこういう発言をされたわけですか。
  158. 河野洋平

    ○河野国務大臣 KEDOの事務的経費につきましては、まずとりあえずの、初年度といいますか、立ち上がり経費については、我々としても一つの心づもりを持ってこれは支援をするということを考えておりますし、総理今御答弁のように、調査を行うものについても頭の中に持っております。そして、今議員がお尋ねのように、それら全体をひっくるめた、この問題について意味のある財政的支援をするというのが我々の立場でございます。
  159. 月原茂皓

    ○月原委員 このKEDOの負担の、これは幾らぐらいになるかということは、意味のある財政負担を、役割を果たされるわけですけれども、これが具体化したときに、予算としてはどういう項目を使って、そして国会に対してどういう形でこの予算は執行されていくのか。条約をつくる方法もあるでしょう。そのことについての今の考え方をお尋ねしたいと思います。
  160. 川島裕

    川島政府委員 お答え申し上げます。  本体の建設、これはかなり大きな額がかかるということはわかっているわけでございますけれども、それに対してどういうような財政負担になるのか、具体的にどういう出し方になるのかということにつきましてはまだ詰まり切っておりませんので、したがって、どういう出し方かが決まった時点で、国会にどうお諮りするか等を含めて考えることになると思いますけれども、まだそこまで詰まっていないということでございます。
  161. 月原茂皓

    ○月原委員 いずれにせよ、予算のただ単なる予算書ということだけで、当該年度の予算ということだけで審議していくのか、あるいは別の行為として、機構をつくるということ、今後必ずその負担をしていくということならば、協定というか、そういうようなものをつくって国会に承認を求めるのか、どちらにせよ、後で申し上げますが、非常に大きな問題だけに、ただ金額だけの問題、金額も相当なんですが、その上に、考え方自身についてもやはり国民のコンセンサスを得なければならないわけですから、その点、過去の例からいってどういうケースが考えられるのか、局長からお話しいただきたいと思います。
  162. 川島裕

    川島政府委員 お答えを申し上げます。  財政支出というものになりますのか、一般会計になるのか、あるいは融資という可能性がむしろあるようでございますので、その場合どういう金融機関から出すのか等々、その辺のところがまだ整理がついてない状況でございます。  いずれにいたしましても、本件の重要性にかんがみまして、もちろん国会に十分御説明申し上げて今後ともいろいろ御理解を得るということは、これはもう申すまでもないことだと考えております。
  163. 月原茂皓

    ○月原委員 今、川島局長、もう十分問題を意識されておるようであります。  私も、この前の予算委員会でも河野外務大臣に要望しておきましたけれども、日本にとっては、ケースを分けた場合に、今後の核の問題、それは米国は核拡散とかもろもろのことで、中国も含めて、非常に大きな関心を持っておる、日本ももちろん関心を持っておるけれども。過去の核の問題については、それは私に言わせたら、日本が一番関心を持たなければならない。よその国との関心度からいったら一番高いのが日本だと私は思っておる。  そして、国民も、最近になってペリー国防長官の証言等も出てきておりますけれども、そういうものを見るにつけ、非常に大きな関心を国民が持っておるだけに、この問題は国会で十分、支出する場合、こういう考え方に基づいておるんだということを説明して執行していただかなければならないのじゃないかな、このように思いますが、外務大臣の……。
  164. 河野洋平

    ○河野国務大臣 核開発疑惑というのでしょうか、北朝鮮において核兵器が開発されているのじゃないかということは、これはもう先ほども申し上げましたが、国際社会の懸念であると同時に、北東アジア、近隣諸国にとりましては、これはもう大変な関心事でございます。議員おっしゃるように、我が国もそうでございますし、おそらく韓国もそういう大変な危機意識を持っておられるに違いないというふうに思うわけでございます。  したがいまして、こうした問題をどうやって解決をするかということについては特別の関心を持っておりまして、国際社会が経済封鎖を初めとする制裁を加えることによってこの問題を解決をしようと考えられた時期もございましたけれども、しかし、そういう方法をとらずに、話し合いによって、若干時間はかかるけれども話し合いによってこの問題を解決をしようということで、米朝が粘り強い交渉の結果合意をされたということについて、我々はこれを高く評価をしているわけでございます。  なるほど、議員おっしゃるように、その合意では過去の問題が完全にクリアになったのか、こういうお感じを持たれた向きもあると思います。私どもも、これで一刀両断、すべてがある日全部解決したかといえば、残念ながらそうではないわけでございます。御承知のとおり、何年か時間を経て、そして過去にさかのぼって全部が白日のもとになる、こういうことでございますが、しかしながら、一方で北朝鮮がIAEAの査察を受け入れるということは確約をしたという事実がございますし、また米朝関係を進めるあるいは南北の対話を進めるなどを含めて、包括的に北朝鮮の今後の国際社会との関係というものまで含めた合意ができたということは、私はやはり大変大きな前進であったと思うわけです。  何よりも、つまりこの問題がそうでないからすべて米朝合意そのものを否定してしまうということが果たしてできるかどうかということになると、それはそういうわけにはいかないわけでございまして、米朝合意は米朝二国間にわたる大変難しい議論、そして粘り強い議論の結果導き出された合意でございまして、その合意の中の一部分をとっていいとか悪いとかという議論が、果たして現実の問題として、それではそういう議論ができるかということになりますと、これはまた別の問題だと思います。  アメリカも韓国も、我が国と同様、この過去の問題については大きな関心を持っているわけでございまして、三国は緊密な連絡をとり合いながらこの合意に至る過程、協議を続けてきたわけでございまして、私どもとしても、この合意はよい合意である、そして、この合意によって過去にさかのぼっても問題は払拭できるものというふうに考えて、この合意を評価しているところでございます。
  165. 月原茂皓

    ○月原委員 今外務大臣から高邁な理論の開陳がありましたが、多くの国民から見れば、核の疑惑が日本にとってバイタルな問題であるのに、なぜ国民税金を出さぬといかぬのかなという素朴な気持ちがあると思うのです。  さらに、総理大臣もアメリカの方と、クリントンさんとやったときに話し合われた弾道ミサイルの問題ですね、この問題も、ノドンが飛んだら、もう一時は週刊誌も毎日そんなものを書くという、そういうような状態でありますから、やはりこの問題、弾道ミサイルの問題も含めて国民は関心を持っておるわけです。自分たちの税金が払われていく、そして、国によってそれぞれの考え方が違って当たり前じゃないか、こういう考えに立つ人も多いわけだけに、国会で十分審議して行動してもらいたい、そのように思うわけであります。
  166. 河野洋平

    ○河野国務大臣 議員の御指摘はきちんと受けとめたいと思いますが、一つだけ私どもからこういうことを申し上げたいと思いますが、例えば、北朝鮮に対してIAEAの査察を受けろ、NPTに完全に復帰しろということを言って、北朝鮮がそれを受けたというのと違いまして、それももちろん向こうは了承をいたしたわけですが、さらに踏み込んで黒鉛炉、今現在使っている黒鉛炉を凍結しろ、そして最終的にはこれを取り壊せというところまで踏み込んでこちらは求めて、それを向こうは引き受けたわけです。  つまり、本来ならば、NPTに戻れ、そしてIAEAの査察を受けろと、わかりました、これが国際社会での一つの合意でございますけれども、言ってみれば、さらに踏み込んで、その黒鉛炉は壊してしまえ、さらにつくりかけているやつもやめろということまで踏み込んで言ったというところに着目をしていただきたいと思うわけでございます。  こうした議論を新進党の海部党首が理解をしてくださった、先週金曜日の御質疑で基本的には理解しているという御発言をいただいたことを私は大変高く評価をしたいと思っております。
  167. 月原茂皓

    ○月原委員 その問題は、私が思うのに、例えば黒鉛炉、話は大筋はもうわかっているのですけれども、黒鉛炉の問題なんかでも、本来査察が十分行われるならば、黒鉛炉をやったって構わぬわけですよ、査察さえ十分すれば。それをやめて金を出すというのは、もう本当に別の物の見方からすれば、そこまでせぬといかぬのかなという気持ちもないわけではないわけですね。  しかし、それは昔の話でありまして、今おっしゃったように、今それを含めて大きな一緒の問題意識を持って向こうの国もやっていこうとしているのだということは、外務大臣もおっしゃったとおりですが、とにかく国会というものにおいて、国民の、私が今申し上げたような問題についての関心を持っている方が非常に多いだけに、そのものをクリアしなければ、クリアというか、理解を得なければならぬ、しかもその努力をしなければ国会としての責務を果たしたことにならぬじゃないかな、こういうふうに思うわけであります。  次に、最近、ペリー長官を初めとして、今米国の外交の公聴会でいろいろ、去年の六月ごろには大変な事態だったのだ、一つ違う道を歩んでおったら、そういうふうなことがマスコミによく出ております。外務省等、総理大臣等はそのことはもう十分情報で御承知のことと思うのですが、例えば、昨年六月に危機が高まって、一万以上の兵力増強や、海空軍力の展開など極めて本格的な増強を実施したい意向だったというようなこととか、それから、北朝鮮の軍事行動を抑止する目的であったが、北朝鮮の軍事行動を起こした場合の対応については細部にわたる大規模な行動案を既に持っていたというふうなことが言われておるわけですね。  外務省当局もそういうことは十分御承知だと思うのですが、ここで一つ私が新聞を読みながら注目したことは、このような軍事措置の裏づけのある制裁措置の発動として動いたからこそ、北朝鮮がその後の、譲歩して後の米朝合意につながる交渉に応じてきたとペリー国防長官は強調しているわけですね。  ですから、この問題について、ただ単に善意とか、そんなことで北朝鮮が話に乗ってきたわけではない、もろもろの力が彼らを説得する要素として動いたからこういうふうになったんだということを、既に御承知だと思いますが、我々は認識しておかなければならないと思うわけであります。  そこで、危機管理というか、これは物騒な話を言っておるのじゃないのですよ。あのころ、事務当局を含めて水面下でいろいろいな研究がなされておったと思うのです。また、今この新聞を読んでみて、私はその中枢にいないから新聞でしか情報がないわけですが、本当に日本として、やはり相当の決意を持っていろいろ勉強しておかなかったらいかなんだな、やっておると思うのですけれども、ということを強く感じたわけであります。  そこで、危機をあおるという意味ではないけれども、例えば日米協力の問題とかあるいは難民の問題とか、そういうことについて、事務当局で結構ですから、具体的な内容はいいですよ、どういうふうなテーマについて、どのレベルまで研究をしておったかということをお話し願ったらと思うのです。
  168. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 防衛庁としましては、我が国の平和と安全を守るという任務遂行のため、必要な研究は当然のことながら行っておるところでございます。  しかし、北朝鮮の点におきましては、昨年の十月二十一日の核兵器開発問題に関する米朝合意によりまして、話し合いによる解決を図る道筋が築かれ、現在その着実な実施に向けての努力が続けられているところでありますので、まずもってこれを成功させることが重要である、このように考えますので、内容等につきましていろいろと申し上げることは差し控えたい、こう思います。
  169. 月原茂皓

    ○月原委員 外務省の方では、ちょっと私は質問するというふうに事前に細かく話をしていなかったのですが、私は細かい内容を公表してくれという話じゃなくて、私は国民に対して、新聞を見ておったとき、ここまで来ておるのだったら、日本の政府もこのくらいのことは勉強しておるのだろうな、万一のときにはちゃんと国会に出せるくらいの準備はしておるのだろうな、そう思うのは当然だし、それは国家としての危機管理としては当然のことだと思うので、どういうテーマについて、どのくらいの段階まで、レベルまで研究がされておったのか、あおるというような内容でなくて結構ですから、ちゃんとやっておったんだということを話していただきたい。  難民の問題とか、前に私はテレビで橋本通産大臣と話し合ったときに、通産大臣から、この山奥に学校とかあいておるところが何ぼあるかちゃんと調べておるか、こう言って、御意見を聞かしていただいたこともあるのですが、そういうようなものも含めて、やっておったのだということ、そして今後もそれをやっておかぬといかぬということ、そのことを私は質問をしておるわけであります。
  170. 川島裕

    川島政府委員 お答え申し上げます。  当時の政府部内といたしましては、それぞれの省庁で、自分の省庁の権限の中で何が起こり得るかということを各省庁別にできる限り勉強しておこうということだったわけでございます。それから、その背景として、仮に安保理で何らかの措置が決定される場合には我が国としても憲法の範囲内で責任ある対応をとる、こういう指針のもとに考え方をいろいろ整理したということでございます。  そこで、外務省につきましては、先ほどの御質問にもありましたけれども、昨年の五、六月にかけて、これはいよいよ制裁かという雰囲気が高ぶったわけでございます。それに先立ちまして、昨年の前半、割に早い段階から、これは仮に制裁という事態になりました場合にどういうところを詰めておかなきゃならないかということについて、かなりいろいろ勉強したということでございます。  それで、具体的に何をやるかといえば、これは経済制裁と申しますか、今回が初めてではございませんで、これまで相当いろいろな例があるものでございますから、それとの、前例を参照しつつ、今回どこまでやれるのかなということをかなり詰めて、いよいよそれが本格的に動きそうになったところで、一転してカーター元大統領の訪朝で雰囲気が変わった、こういう事態でございます。
  171. 月原茂皓

    ○月原委員 これは外務省の方がある程度取りまとめしておるのかもしれませんが、各省庁、私は内容は構いませんから、どういう役所が、行政機構がこういう研究をしておるし、その担当だと思っておるんだということをわかったら教えていただきたいと思います。
  172. 坪井龍文

    ○坪井政府委員 お答えいたします。  先生御案内のように、安全保障会議設置法という法律の第二条に、重大緊急事態が生じた場合には、そのとるべき措置につきまして安全保障会議に語るというような規定がございまして、今御指摘の北朝鮮絡みの問題につきましては、これは、国連における経済制裁に至るまでの段階、あるいはまたそういうことが仮にあった後の段階、いろいろあるわけでございます。  国内の関係省庁というのは、今一々挙げるという御質問でございますが、非常に多くの省庁があるわけでございますが、私どもとしましては、外務省やあるいは防衛庁、警察庁あるいは運輸省、法務省等々、それぞれの省庁がとるべき措置につきまして、先ほど外務省のアジア局長からも御答弁ございましたように、それぞれの所掌の範囲で研究、検討しているというようなことで、内閣におきましては私ども安全保障室が一応その窓口といいますか、中心になりまして、この問題自身の公に議論することの適当、不適当の問題がございますので、水面下といいますか、必要な連絡調整、情報の交換等々密接に行ってきていたということでございます。
  173. 月原茂皓

    ○月原委員 それではお尋ねしますが、このペリー長官の議会における証言の中に、北朝鮮が今後枠組み合意の履行を怠った場合は昨年六月の状況に戻ることになると警告した、そんなふうに言っているわけでありますが、私が思うのは、こういう事態が来るというわけではなくて、国家として、まさに危機管理の一つとして、こういうことも含めて、今、昨年研究した成果をさらに進めて点検をしておいていただかなければならないんじゃないかな、こう思うのですが、どなたにお尋ねしたらいいか、外務大臣、総理大臣とひとつ……。
  174. 村山富市

    村山内閣総理大臣 今質問を受けながら思い起こしたのですけれども、私は七月のナポリ・サミットでクリントン大統領とお会いしたときに、一番最初にクリントン大統領から北朝鮮の問題が出たのです。そのときに私はこういうお話を申し上げたのですよ。  それは、北朝鮮の問題について、アメリカ国民が受けとめておる受けとめ方と日本国民が受けとめている受けとめ方に違いがあると思います。どこが違うかといいますと、その一つは、やはり日本は唯一の被爆国です、したがって核の廃絶については、どこの国であろうともやはりやめるべきだ、廃絶すべきだ、こういう一貫した強い気持ちがあります。これはもう日本国民特有のものかもしれませんけれども、被爆国としての国民感情としては当然だと思いますと。  それから二つ目は、朝鮮半島が南北に分割されておりまして、そして今のような不幸な状態にあるということについては、これはやはり日本国民として歴史的な責任が幾らかあると思います。したがって、どのようなことがあろうとも紛争状態は絶対に起こしてはいけません。あくまでも話し合いで合意できるように最大限の努力をしてほしいと思いますし、それで役立つのなら日本の国民全力を挙げて協力いたします、ぜひそうしてほしいと、こういうお話を申し上げたのですね。  私は、やはり一貫してその道筋はとっていかなきゃならぬと思うのですよ。今般米大統領とお会いしたときも、そういう合意に基づいて平和裏に事が解決するように全力を挙げて努力をしてほしいと思いますし、我々も協力いたしますというお話を申し上げたわけですけれども、私は終始一貫そういう考え方でおりますから、したがって、これは今お話があったように、それぞれ所掌事務においてそうした場合にはどうすべきかというようなことについては検討もされていると思いますけれども、しかし、何よりもかによりも、そういう事態が生まれてこないことに対して全力を挙げてやっていくということが何よりも大事ではないかというふうに考えていることだけは御理解をいただきたいと思うんです。
  175. 月原茂皓

    ○月原委員 今総理大臣のおっしゃることはもっともなことであります。しかし、そういうふうに理想的にいかない場合、それがまさに危機管理ということでありますので、その点を外務大臣、強力に、それは表へ出せと言うんじゃないんですよ、しかし、そのときにはちゃんと国民に不安を与えないように勉強を続けさしていただきたいと思いますが、その決意を。
  176. 河野洋平

    ○河野国務大臣 北朝鮮の核開発疑惑問題については、せっかく米朝が合意をして、お互いに誠実にやろうということで始まっているわけでありまして、既に北側は最初の行動を起こしているところでございますから、これについてこれができた場合とかできなかった場合とかということを申し上げることは適当でないと思いますが、一般論で申し上げれば、いかなる場合であってもそうした危機に対処する十分な心構えと準備というものはやっておかなければならないというのは、議員の御指摘気持ちはよく理解いたしますし、そうしたことが必要であろうと考えております。
  177. 月原茂皓

    ○月原委員 きょうは私は、災害の問題、それから憲法の問題、そして防衛予算の問題、北朝鮮をめぐるエネルギー、核開発あるいは弾道ミサイルの問題、そういうことを質問さしていただいたんですが、総括的に申し上げると、今非常に災害については、繰り返しますが、立ち上がりということを反省、反省というか、その責任問題を言っておるのではなくて、反省に立って今度そういうことが起こったときには、立ち上がりにはだれからも指弾を受けない、やっぱりさすがだと言われるような体制を築いていっていただきたいということを強く要望するものであります。  また、防衛については、なかなかこれは難しい問題なんですが、私自身も防衛の予算もやったことがあるし、この立場からそういうことを言っておるわけですが、国民から見たら、やはり防衛に対するどういう考え方に基づいて予算が編成されておるのか、そして具体的には、その結果どれを削って、削るというか削減して、どういう体制を持っていこうとしておるのか、こういう思想というものがあらわれるようなものでないといけないと思うんですね。土壇場になるとなかなか今のような形に、数字のそういうことになることはわかっておるんですが、しかし、国民に対しては、そういうことが理解していただけるようなそういう組み方に持っていかなければお互いにいかぬのじゃないかな、こういうふうに思っているわけであります。  そして、憲法の問題については、総理大臣、たびたび私申し上げて、この前の予算委員会でもありましたが、十分、特に最高司令官ですから、それだけに自衛隊員の皆さんが、今災害で働いておる隊員の皆さんも、自分たちについて総理大臣はどう考えてくれておるんだろうか、どういう判断だろうかということは関心を持っておるだけに、次の機会にもまた私は質問をさしてもらいますから、その点、河野総裁とかあるいは法制局長官とか、いろいろ相談しながらひとつ考えていただきたい、このように思います。  北朝鮮関連の問題については、たびたび申し上げますが、その一つの国という意味でなくて、災害の危機管理もそうですが、国としての危機管理、まだ今まで日本が経験していないだけに、あおるという意味ではなくて、各省庁静かにではあるけれども、万全の体制で勉強しておいていただきたい、このことを申し上げて私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  178. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて月原君の質疑は終了いたしました。  次に、松田岩夫君。
  179. 松田岩夫

    ○松田委員 新進党の松田岩夫でございます。きょうは、与えられました時間、主に外交問題についていろいろ私の感ずるところを申し上げ、また御指導いただきたいと思います。  まず最初に、日米首脳会談、せんだっての十一日、御苦労さんでございましたが、戦後五十年の年の初めに、世界のまさに二つの大国、日本とアメリカ、そのトップがお会いになるというわけですから、世界じゅうはもちろん、日本国民も大変な期待を持ってその成り行きを見守っておったことと思います。私もその一人であります。  二十一世紀に向けて世界をどうしていくか、あるいはまた、とりわけ岐路に立つこの日米関係、長期的にどうしていくのか、いろんな思いでいろんなことをお話しなさったと私は期待いたすわけでありますが、まず最初に、総理、今度の日米首脳会談というもので一体何をお取り組みになろうとされたのか、そして一体、何のどんなことを世界に向けて発信されようとされたのか、最初にお伺いいたします。
  180. 村山富市

    村山内閣総理大臣 年の初めにアメリカを訪問してクリントン大統領と首脳会談を行ったわけでありますけれども、ちょうど五十年の節目にも当たりますし、これまでの五十年を振り返ってみて、そして日本があの敗戦の廃墟の中から経済大国と言われるまでに成長してきた、その経過を振り返ってみますと、それなりのやはり国民の勤勉と努力というものがあったことはもちろん申し上げるまでもありませんけれども、しかし、アメリカの経済なり民主主義なり等といった面における主導が大きく役立ったということについても心から敬意を表したいというようなことも申し上げながら、そういう経過を踏まえて、これまでの五十年間は、日米関係は極めて良好な関係で、そして、お互いに協力関係を維持しながらアジア、世界の平和のために貢献をしてきたというふうに言えると思いますというような意味の総括的な話を最初にやって、そして、それはそのとおりですといって大統領も合意をしていただいたわけです。  これからその五十年を踏まえてどうするかという問題については、これまでの経過も踏まえた上で、可能な限り協力できる分野については協力をしていこう。包括協議の方も、たまたま私が出発する前に金融問題についても合意を得たものですから、その経過もお互いによかったといって合意をし合って、そして残されておる問題については、これは民間の自動車関係の問題等もありますから、政府としてできることもあればできないこともあるけれども、しかし、誠意を持って合意を目指せるように話ができる場がそれぞれ取り決められたようだから、それぞれのレベルで誠意を持って話を進めてほしい、そして一日も早く合意ができるようにしたい、こういうお話を申し上げました。  同時に、具体的な方策として、環境、人口、エイズ等々、これまで取り組んできている問題があるわけです。こういう問題に加えて、新しく日本の方から提起しましたのは、途上国の女性支援等についても、大いに地球的規模の展望に立ってこれから日米が協力していきたいという話を申し上げましたところが、それにつきましても、結構だといって合意をいただきました。  同時に、安保体制についても、これまでと同様に維持協力していこうという話もいたしましたけれども、特に基地の問題については、効果的に運用するという意味も含めて、やはり地元の国民の感情というものについてもなかなか無視することもできないので、そこらの調和というものも十分とり合いながら円滑に運用できるようにしていきたいと思いますという意味で、沖縄の求められている三つの問題についても提起をして、そしてお互いに誠意を持って解決のために話をしてほしいということについても申し上げて、それについても御了解を得たようなところでございます。  それから、APECが十一月に大阪でありますから、そのAPECの協力問題について、ぜひ成功のために御協力をいただきたいということについても若干の話し合いをして、そして合意を得たというふうになっております。  こうした話し合いの経過を踏まえて、このような首脳会談の成果に立って、今後日米関係は一層発展をさせていく、引き続き日米関係が日本の外交の基軸であるという認識に立って、アジア・太平洋地域、さらには世界の平和と繁栄のためにお互いに協力し合って、その責任を分担し合っていきましょう、こういうお話を申し上げまして、合意をしたわけです。  とりたてて、これが今日米間で問題点になっておるというような問題があったわけではなくて、総体的なこれからの展望というものについてお互いの協力関係について話し合ったというのが今回の日米首脳会談の最大の眼目であったというように私は受けとめておりますから、そのように御理解をいただきたいというふうに思うのです。
  181. 松田岩夫

    ○松田委員 総理の御意図はそれなりにわかるのでありますが、今度は共同声明もありませんので、一体何をやったのかなと。また、テレビの実況もありません。一体どんなメッセージを世界に送られたのかなと。新聞だ、テレビだ、いろいろ調べるまでもなく、全くと言っちゃちょっと言い過ぎでございますけれども、さっぱり反応なし。で、一体何だったのかなと、私は非常に残念に思っているんです。せっかく総理が行かれて、しかも世界のこの二大国の二人のトップリーダーがお話しになったことが、テレビには一切出ない。もちろんテレビ実況もなかったんですか、そもそもセットされなかったんですか。  思い起こせば、それは昨年の二月でしたか、細川さんが行かれたときとは状況が違うのかもしれませんが、あのときはCNNも大々的に取り上げて、それらしいメッセージを世界に送っていただいた。今度はCNNも何も報道しなかった。そのとき報道していたのは、何かプロフットボールの選手の殺人事件を大々的に報道していたなんて僕の友人なんかは冷やかして、これはまあ冷やかしですから気にされることはないわけですが、しかし、せっかくの機会をそういうふうに生かされていないということについて、私は非常に実は残念に思う。もう日本の国はそういう国ではないと思うものですから、あえてこんなことを申し上げるわけであります。  例えば今、日本とアメリカにとって、今おっしゃいました、クリントンさんも僕は問題だと思うのですけれども、クリントンさん自身も記者会見の中で言われたことは、まず最初に日本と米朝合意のことについて話した、日本にちゃんと負担してもらうことになった、それが第一番目。私の理解が間違っていればおっしゃってくださっていいですよ、クリントンさんの記者会見にもおられたわけですから。第二番目、日米包括協議でいろいろ日本からいただいた、アメリカ国民よ喜べ、こういうお話です。  今総理の話だと、これから世界のことでいろいろ、コモンアジェンダとかいって、人口問題だ何だいろいろ言われましたが、そのことは最後にちょろっと触れられただけだ。一体、今度の日米首脳会談というのは何だったんだと。今問題になっている米朝合意、これでアメリカの国会の中も、共和党の諸君を初めいろいろ意見が分かれている。うがった見方をする人によれば、いや会うほどのこともなかったけれども、行きたいというから来てもらった。来てもらった以上は、じゃ、まあそれなりにということで、逆にアメリカに、日本側にたくさん負担してもらうことになったから、アメリカの国会議員の諸君、よく理解をしてくれ、アメリカもそれなりにやはり負担をしながらやっていかなきゃならぬのだから、この米朝合意をよくわかってくれ、ちゃんと日本にはしっかりそのことは言っておいたから、こんなふうな受けとめ方をする人さえいるわけであります。私は、そういう話が出てくること自身、非常に実は残念に思いました。  そういえばそうです。全くそれは、今回の日米首脳会談ほど新聞やテレビで無視された会談はなかった、残念ながらそう思わさせていただいたわけであります。間違っていれば非常にありがたい。しかし、事実を調べれば調べるほど、主要なニューズメディアはほとんど扱わず、それが事実であります。  この程度にしておきますが、さてそこで、例えば……(「日本のマスコミを信じたってうまくいかないよ」と呼ぶ者あり)マスコミを信じているわけじゃありません。もっと国民や世界の皆さんに、日本のリーダーたる内閣総理大臣は、日本の国民考えていること、世界のために考えていることを直接、最もいい機会です、そういう場を思う存分生かしていただいてやっていただくのが今や日本の総理大臣の大きな役割だ、私は心からそう思うものですから、今度のやり方、まことに残念だな。  そういう意味でさらに申しますと、それじゃ総理、例えば総理は、今度行かれたついでにでしょう、せっかくの機会ですから、アメリカの議会、大きく変わりました。共和党の議員の方々にも会われました。しかし、共和党の議員から聞くと、いや、まあかなり形式的なものでね、本格的に話し合ったなんてものじゃないよ、こう言うのですよ。まことに残念でしょうがない。  じゃ、せっかく行かれた、アメリカ国民に直接何かメッセージを発したんですか。いや、そんな機会は全然なかったよ。時間がなかったんですか。しかし、それにしても、せっかく行かれたのならアメリカの国民に向かって、今テレビの時代です、特にアメリカはそうです、どんどんひとつやっていただきたい。そういう気持ちをぜひ持っていただきたい。それが私は総理の資質だとあえて申し上げておくわけであります。  以上、私の述べたことについて何か。
  182. 河野洋平

    ○河野国務大臣 同行いたしましたので、私から少し申し上げたいと思います。  松田議員は、アメリカ側のマスコミの対応について、アメリカ人サイドからあるいは情報を聞いてのお尋ねだろうかと思いますが、私は、実はこういうふうに思っております。  今回の日米首脳会談で一番重要なのは、つまりあの戦争が終わって五十年という節目の、その年の最初に日米首脳が会って、そしてこの一年間、我々はお互いに、両国はそれぞれ五十年の節目にさまざまな行事もあるだろう、あるいはマスコミを通してさまざまな議論もあるだろう、あるいは議会の中でも議論があるかもしれない。しかし、そういうさまざまな議論について、日米両方の首脳は、まず年の初めに会って、お互いの気持ちというものをそれぞれ披瀝し合って、自分はこういう気持ちでこの五十年間を振り返ってみてこう思っている、そして、これからの日米関係というものをどういうふうにしていこうと思っているかということを日本側は述べ、アメリカ側もまた、過去の五十年間を振り返り、こういうふうに思っていて、これから一緒にやっていこうではないかというようなことを述べられるということが極めて意味のあることだというふうに私は思いました。事実、首脳会談では冒頭にそういう双方の首脳からの議論があったわけでございます。  このことは、日米首脳会談が終わりました直後にしつらえてございますインタビュー、共同記者会見がございまして、両首脳がそれぞれ数分ずっでございますけれども、この問題を初め両国関係などについて、コメントを双方が述べられたわけでございます。このことは十分にマスメディアに伝わったというふうに私は思っておりますし、私も当日ワシントンにおりまして、そうした幾つかの情報を得ております。  さらに、その首脳会談が終わりました後、今議員が御指摘になりました上下両院議員、これはまさに中間選挙が終わって初めてアメリカの議会に新しい議員が集まってくる、そこに日本の総理大臣が議会に行く。例のキングリッジ下院のリーダーは、新しく議員が集まってきて最初にお迎えをする外国のリーダーであるということを述べられて、非常に率直な議論の交換がございました。上院においても、ドール議員からこれまた非常に率直な議論がございまして、上院の本会議場で、ドール議員から本会議に出席する各議員に対して日米関係についてもコメントが述べられ、出席議員がこもごも村山総理のもとに集まられて、意見、あいさつの交換がございました。  こういうことは、キャピトルヒルにおられる多くの議院関係者は十分よく理解をされたことというふうに私は思っておりますし、それらはアメリカの一部マスコミでも報道されていたということをぜひ御理解をいただきたいと思います。
  183. 松田岩夫

    ○松田委員 ぜひそうあっていただきたいのです。ですからあえて申し上げているのです。今回ほど報道の少なかった首脳会談も珍しいなと、私は率直に感じたものですから、そのことを総理、御意識なさっておられたかどうかということで、これはこれでいいですから、今後大いに、総理は我らの代表ですから、御自分のお気持ちをしっかり持っておいていただきたい、そのことを申しまして次に移ります。後で何かおっしゃること、次の質問の過程でおっしゃってくださっても結構ですが、ちょっと先へ、済みません。  さてそこで、ではもう一点ちょっとお聞きしますが、日本側からアメリカ側に申されたことは何でしょうか。先ほど出ました中で、基地の問題、大事な問題です。総理の口から言っていただくにふさわしいことだとそのことは思います。結構だと思います。それ以外に、アメリカに対して日本として期待すること、どんなことを申し上げられたでしょうか、ちょっと聞かせていただきたい。
  184. 村山富市

    村山内閣総理大臣 その前に、先ほどお話があった中で、上院下院、両方訪問したわけです。これは、中間選挙が終わった直後で、議会も共和党が勢力を拡大して大分変わりましたから、その模様も少し聞きたいというふうに思いましたし、まあ時間が余りなかったものですから表敬訪問みたいな形になりましたけれども、やはり行政府の立場にある者が議会の人と会ったときに言う話というのは、おのずから限界があるのではないかと私は思うのです。これは、議会同士で話をする場合と、行政府のある者が議会と話をする場合と、若干やはり心がけの違いがあってもいいのではないかということを私は前提考えておったものですから、何もかにも時間が余りなかったものですから、それほど立ち入った話はできなかった。  それから、今度の日米会談で、何かマスコミの話題に提供されるような、そういう対立している問題とか課題が余りなかったということも私はあるのではないかと思うのですよ。しかし、何よりもかによりも、やはりこれまでの五十年を踏まえた上で、これから日米関係をどうしていきましょうかということに対する理解と認識についてお互いに合意ができたということについては非常によかったと思いますし、同時に、APECの協力の関係等についてもしてきたわけですから……(松田委員「今、私の質問に、ちょっと済みません、時間があれなものですから。アメリカに対して何かおっしゃったことは」と呼ぶ)ですから、APECの協力の問題やら、当面日本にとっては、これから議長国としてやるわけですから、これは最大の課題ですから、したがって、自由貿易の展開と同時に、開発途上国、まあさまざまな国があるわけですから、そういう国に対して人材の育成等についての協力を積極的にやっていきましょうというようなお話もこっちから提起をして申し上げた。  同時に、先ほど申し上げましたように、開発途上国における女性の解放の問題とかそういう問題についても、お互いに協力してやっていきましょうというようなことについて具体的に申し上げて、そしてこの日米関係は一層、太平洋・アジア地域の中においても、世界の平和と安定のためにも、今後一層協力をして果たしていきましょうというようなことについて、いろいろ話し合って合意を得たということであります。
  185. 松田岩夫

    ○松田委員 一緒に協力していろいろやっていかれる、大変大事なことですからどんどんやっていただきたいわけですが、やはりアメリカに対しても言うことは言ってほしいと思うのですね。  例えば日米首脳会談で、私、それはそこにいませんから新聞やテレビの報道を見る以外ありませんが、余り報道がないものですから外務省の諸君から聞いての話なんですよ。例えば、日本側がとるマクロ経済運営についてもきちっと話されたんですね。じゃ、アメリカ側の経済運営についてはどうなんだ。例えば、今もう事あるごとに経常収支の大幅黒字だ、大幅赤字だなんということが議論になるわけです。  総理、例えばアメリカに対して、何かアメリカの経済運営について、総理自身いろいろ御議論されたのですか、注文つけられたことがありますか。  私は、アメリカの一番の問題は、財政赤字をそのままにしておいて、いいですか、まさにそれは大きな課題なんです。これは、もうまさに包括協議の中にも入っているのです。その宿題そっちのけで、今アメリカではどういうことを議論しているか。クリントンさんなんかどう言っているかというと、まさに二年後の大統領選挙の、まあそれは選挙は必要てしょうがないですよ、我々もみんなそうや。しかし、幾らなんでもあなた、今大型の減税論議ばかりやっているというわけですよ。これが今のアメリカのクリントンさんの姿じゃないですか。僕は、アメリカは大事な国であればこそ、そう思うのですよ。  だから、しっかりしてほしいと思ったら、例えばこんなことについても、私は、ぜひ大事な問題です、これはと。こちらもそれは大事です。こちらもお話聞くと、内需拡大のためにいろいろやります、減税も継続いたします、公共投資基本計画もちゃんと上積みいたしました、いろいろお話をなさっておられるように聞いておりますが、じゃ、アメリカの方の経済運営についてどうだったのだ、例えばそんなこと一つ十分な御議論をいただいたのかどうか。  私は、我々はそういう国の間柄だ、こう思うのです。別に、こっちのお願い事ばかり向こうへ言ったり、向こうから聞かれることばかり一々抗弁しているという間柄じゃないのですよね。ですから、積極的にまさにやっていただきたかったのですが、例えばそんなことについてもメッセージが伝わってこないものですから。  それで、今の日米の経済関係で一番大きな問題は、まさにいつも言われるように、こっちは経常大黒字、向こうは経常大赤字、それはおまえらが窓を閉ざしているからだ何だと、まあ後でこのことをちょっと議論いたしますが、例えばそんなことだとすれば、いや、君の方こそちゃんとしっかりやのているかね、構造協議でもテーマに入れ、包括協議でもちゃんと入っているんだ。しかし、日本側はきちっと言っているのか、それを。今度の場合もそのことを、例えば、あなたの方は今ごろ減税論議をやっているけれども財政赤字はちゃんと縮減するんだろうね、大丈夫だろうね、どういう考えでいるんだというようなことは確認していただいたでしょうか。私は、確認するに大いに値することだと思う。  こちらは個々の品目ですよ。今お話を聞くと、包括協議の中の、しかもまだ金融の部門について合意ができたなんという話をされているのですよ。細かい、細かいなんと言っては怒られますが、全体の大きな経済の中で見れば、ほんの一部のことについてはお話しなさるのに、アメリカのそもそもの経済運営そのものについて、しかも今のこの時期に大型の減税論議をやっている、それは一体どういう考えだというようなことについて、例えばこれはほんの一つの例を挙げているのですが、しっかりとアメリカに対して御議論をいただいたのかどうか。これは大蔵大臣、もう当然話されていると思いますが、首脳会談でも、金融合意について話されるぐらいなら、日本側としてはこういう大きい問題を、一つの例として取り上げただけでございますが、話されたのかどうか。  そういうやり方ですね、今までの。今までのやり方、多かれ少なかれ、私、余り概括的に言っちゃってはいけませんけれども、アメリカに対してしっかり言うべきことを言うという点については、どうも少なかったのかな。まあ、私はそんな見方をしているものですから余計気にかかって今申し上げておるわけでありますが、例えば今の点、どうですか。
  186. 河野洋平

    ○河野国務大臣 日米関係は、経済を初めとしてさまざまな分野でのやりとりがございますから、全体の中に占める割合がどのくらいであったかということは別といたしまして、経済問題がアメリカにとってみればかなり大きな問題としての認識があったことは事実でございます。  したがいまして、経済についてのやりとりは、日米双方首脳がやりとりをなさいました。議員おっしゃるように、包括協議についても幾つかの部分、例えば自動車の問題についても、向こうからは、これは非常に我々は重要視しているよというような話はございましたし、金融の問題が合意に達したことは、これが合意に達したことで解決される問題は非常に多いというやりとりがあったことも事実でございます。  それから、今議員がお話しのように、アメリカの経済全体については順調に、景気は積極的に伸びていっているという意味の向こうからの説明がございましたが、日本側の経済についてアメリカ側があれこれといった指摘もございませんでしたし、我が方からもそれについて、貯蓄率の問題その他について、若干の議論がございましたけれども、これらはその程度で終わったように記憶しております。
  187. 松田岩夫

    ○松田委員 ちょっと誤解をされているかもしれませんが、日本側がアメリカに対して、アメリカの政府がとるべき政策についてしっかりとメッセージを送っていただきたい。  例えば、今の段階で言えば、私は、順調にアメリカの経済はいっている、そう思います。しかし、この段階で大幅な減税論議を合しておられる。私は、マクロの経済運営として、これは正しいかどうか、大いに疑問だと思うものですから、それで、もしこれが政策論として正しいということであれば言っていただく必要はなかったのですが、政策論として、今の段階、我々はアメリカの財政赤字の削減、それがどうしても必要なんですよ。あなたの方の大幅な経常赤字を直す根源はそこですよということをもう口酸っぱく言っているのです。  なのに、今の段階になって選挙、選挙なのかどうかわかりません、人の話によれば、選挙目当てでまた大型減税をやると言っている。そんな政策をとっていいのですか。そんなことをやって、そんなことをやれば、それこそまた、日本ばっかりじゃないでしょうが、アメリカヘの自動車の輸入がふえたとか、いろいろなことを言われる、こういうことなんですね。その根っこの、個々の問題もありますが、根っこのマクロの経済運営についてしっかりと、例えばの話ですよ、まあ申し上げたわけです。  さて、そこで、これは質問ではありませんけれども、そこでもまた規制緩和の決意というものをしっかりと述べられたとお聞きしております。そうですか。
  188. 村山富市

    村山内閣総理大臣 今、中間選挙が終わった後で、大統領は大統領の、そういう次期の選挙をにらんだいろいろな政策的な考えがあって政治的な判断でやっておられることだと思いますから、それほど突っ込んだ議論をしたわけではありません。  しかし、今お話がございました内需を拡大する意味でも、規制緩和というのは、そういう意味で、もっと貿易の自由化のために門戸を開くという意味もあるかもしれませんけれども、しかし、例えば内外価格差を是正するとか、いろいろな意味で国内の問題として規制緩和は必要なのだ、だから、これは必ずやるつもりです、こういうお話は申し上げました。  同時に、アメリカの今の日米関係の主要な問題というのはやっぱり貿易収支の黒字、赤字の問題ですから、そのためにはひとつ貯蓄率をもっと上げるとか、あるいは赤字の解消のために、削減のためにもっと努力するとかいうようなことについてもぜひやってくださいというふうな話は、高官の話の中ではありましたよ。だけれども、踏み込んで、突っ込んで議論をし合うなんということにはなりませんけれども、そういうことがあったということだけは申し上げておきたいと思うのです。  それから、規制緩和の問題については、そういう意味で申し上げましたということだけ報告しておきます。
  189. 松田岩夫

    ○松田委員 規制緩和の意味は、おっしゃるように幅広いものです。前回、WTOのときにも私からも申し上げましたけれども。  そこで、なぜ規制緩和を取り上げたか、また、別の意味です。アメリカにまで行って、そう言ってこられました。これは大変なことですよ。私ども、今期待をして待っているわけであります。まさに対外公約にもなっている。対外公約というか、日本の政府の約束ですから、それはもう世界は皆見ていますから、別にクリントン大統領に言ったからそれでまた一層重くなったなどとは申しませんが、しかし、クリントン大統領だってそう言われれば、日本はしっかりやってくれるな、当然期待をいたします。アメリカが期待するからやってほしいというわけじゃありませんが、一層ひとつ腹を決めて御対応いただく。これは質問じゃありません。頑張っていただきたい、こういうことです。三月末までにきちっとまとまる、こういうことでございますね。よろしくお願いをしておきます。大変な痛みを伴う大事業です。しかし、今こそしっかりとやっていただきたいと願っておきます。  さて、それじゃ、日米首脳会談のことについてはその程度にいたしまして、次に、やはり何といってもことしはWTOが発足をいたしまして、まさに世界を、一層開かれた自由な貿易体制をつくり上げていく、そういう年の、また一つの記念すべき最初の年でもあります。これから、六月ですか、ハリファクスではまた首脳会談があったり、とりわけ大阪でAPECの会議も予定されております、首脳会議がまた予定されております。そういう意味でことしは、ことしを皮切りにまた世界を、一層自由な貿易体制をつくり上げていく、そんな方向へ大きく持っていく大事な年だろうと私は思います。そういう中で、したがって、日本の役割はまさに大きなものがあるな、そうも思います。  幸い、今もお話が出ましたけれども、アメリカの景気を初め世界先進主要国の景気も、日本も含めてそれなりに、順調と言いませんが、景気は回復してきております。OECDの報告を見ると、ことしは六年ぶりでOECD、つまり先進国二十五カ国のすべてがプラス成長となるだろう、そして三%台といったような成長率も見込まれるというようなことを言っていますが、それはまあ見通しですから間違うかもしれませんが、それにしても世界を開かれた経済にしていくという意味ではいい環境でございます。  もちろん反面、さっきのアメリカの貿易赤字だとか財政赤字だとかいうような赤字があるとか、あるいはヨーロッパでは失業が高いとか、それぞれ構造問題も持っております。一方で大きな構造問題を持っているということは、自由な社会をつくり上げていくなかなか制約になることでもあります。  しかし、全体的には私は、ことしはそういう意味で一層開かれた社会を、開かれた世界をつくり上げていく上でいい環境にあると思うものですから、ことしの一つの、日本の国がやるべき一つの大きなことは、ぜひ総理のまたリーダーシップのもとに、自由貿易体制づくりのリーダーシップをとっていっていただきたい、こう思うわけです。  そこで、日米関係あるいは日米を含んだ地域としてのアジア・太平洋地域、さらにそれを包んだ世界全体、そんなことについて逐次いろいろお聞きしていきたいなと思うのです。  最初に、日米経済関係、とりわけその中で今問題になっております日米包括協議。実はこの日米包括協議、難航するたびにといいますか、日米関係はいろいろ取りざたされる。昨年二月、日米会談が決裂したときには、まあこれはジャーナリスティックに言うのでしょうが、日米の危機だとかいろいろ言われた。交渉が行き詰まると為替市場は妙な動きをする。そんなことが原因で円高になってみたり、不安定になってみたり。私は、正直、こんなことを見ると、この包括協議でやろうとしていること、その重みに比べますと、包括協議でいろいろもめること、もめたことが世界に与える影響の大きさというようなことを見ますと、これは、この包括協議というのはいかがなものかな、いいやり方かしら、まずそう思うわけです。  正直、この包括協議でいろいろやっておりますことは、個別問題が非常に多いんですね。しかも、その個別の交渉に、この仕組みは半年ごとに両首脳が会うということになっているのですね。課長や部長が会うというのなら別ですが、両首脳が会う、こういう枠組みになっているわけですね。正直申しまして、世界の二大経済パワーが個別摩擦に翻弄されている、まあ言い過ぎかもしれません。あるいはまた、個別の交渉に二大国の両首脳がかかずらわっているというか翻弄されている、そういう状況というのはやはり異常だ、不健全だと概括していいのではないか、私はそう思うのです。  ですから、そういう意味で、個別の経済紛争、紛争と言うといけませんが、個別の経済摩擦というか、個別の経済交渉といったようなものをもっと冷静に処理する新しい枠組みというものを考える必要があるな。ちょっとそのことを議論してみたいのです。  同じ思いを、実は昨年日米議員交流で、ブラットレーさんに会ったとき、ブラットレーさんが言いました。ブラットレー上院議員は、昨年三月にみずから上院本会議でもそのことを述べています。このクリントン政権の数値目標型アプローチを誤った政策と批判して、これにかわるものとして、日米間に紛争処理委員会を設置し、客観的な判断に基づく解決策を求めるべきだ、つくるべきだ、そんなことをブラッドレー上院議員は言っていましたが、上院でもそう言っていました。  例えば、今言うこのパネル、これはもうガットには早くからあるわけですね。今度発足するWTOでも、ついせんだって議論をいろいろさせてもらいました。その機能が一段と強化されるわけです。だったら、できるだけそっちへやろう。まさにWTO委員会でそのことは十分御議論されて、これからそういう個別問題、WTOでやれるものはWTOでつくるこの紛争処理システムにのっけていこうということになりましたね。みんなで、そういう思いだ、そうですと、外務大臣も通産大臣も、たしかそのとき通産大臣にも御答弁を、外務大臣の御答弁だったからちょっと忘れましたが、そういうことで対応していただいていると思います。  だとすると、一体この包括協議でやっているものの中で、WTOで扱えるものはもうまず優先的にWTOで扱っていただく。そうですね。そういう方向で持っていく。しかし、この包括協議の中には、WTOで扱えないような構造問題もある。さっき言った、例えばマクロ経済運営、あるいはまた、よく言われるのは、まあ何でもいいのですが、例えば系列問題でもいいですわ、系列問題なんてよく言われます。系列取引なんというのは、ちょっとWTOの枠組みでは対象にならないですな。この問のあれでは議論になかったと思います。  例えば、こういう社会の構造とか、経済の構造にかかわるような問題で、お互い問題だと思うような事項、これは今、日米間で、前は構造協議と言いました、今は包括協議の中でやっているわけですが、例えば、こういうものはWTOに持っていけと言ってもなかなかやりにくい。そうかといって、私、この二国間で、アメリカと日本だけでやっているというのも、やり方としてどうかな、こう思うのですね。  ですから、こういうWTOでは扱えない、扱いにくい、しかしお互い持っている構造的な問題というものを先進国間、例えば日本、アメリカはもちろんですが、欧州あるいはカナダ、例えばこの四極ぐらいで一緒にやるとか、そんな案はどうだろうかな、こうも思ったりするのです。  そうすると、四極に持ち込むことで、まあ日米間だけじゃない、第三者、第四者も入るわけですからいろいろな意見が出るのじゃないか、もっと話し合いも有意義になるし、もっとアメリカ自身も、それはアメリカの社会そのものも、彼らは一番理想的と思っているかもしれませんけれども、日本がそうじゃないよと言うだけじゃない、ヨーロッパやカナダも言ってくれるというようなことになれば、まあアメリカ自身の価値観もある意味で相対化できるといいますか、話し合いはもっと円滑になるのじゃないかな、そんな気がするわけです。  せんだって、ブリタン、例の欧州委員ですね、彼もこの日米包括協議の合意について、こう言っていますね。米国優先の圧力が日本に働かないよう適切に監視されるべきだ。同時にまた、対欧差別があると見た場合には、新設される世界貿易機関に訴える考えを示した。よくわかりますね、彼らの気持ちも。  今言う構造問題に限って彼は言っているわけじゃありませんけれども、しかし、そういうようなことも思いますと、私は、一つの提案として、日本、アメリカ、ヨーロッパ、カナダ、カナダは入るかどうかはともかく、まあ主要先進国で、こういったWTOでも扱えない、しかし二国間だけでやるよりも、お互い共有した問題で、二国間だけでやっているとヨーロッパの方から、あれ、アメリカだけがうまいことをしているのではないかとか、ちょっと言い方が悪いですけれども、そんな思いもこのブリタンさんの御意見の背後にはあるでしょう。  そういったお気持ちも踏まえると、お互いにいい方法として、この四極の新構造協議といったようなものも一つのアイデアではないかなと、これは別に私のアイデアではありません。ある何人かの方がそういうアイデアを持っておられます。例えばそんな提案をこれからしていくというのも一つかなと。ちょっと全部話してしまいまして済みません。後で御意見聞くのですが。  ですからWTO、今言うような構造問題について、二極ではなくて四極ぐらいに広げてお互い価値観を相対化できる。したがって、それぞれ反省する、考える機会をたくさん持てる。そういう中で、しかも主要な先進国全部入っている、こういう形の中でやれるものはやっていったらどうかなと。それでもなお落ちる問題があると思いますよ。これを今言う二国間で、しかもブラッドレーさんなんかが言うような、何か客観的なパネルをつくってやっていくというような方向に私はしていくことがいいのではないかな、そんなふうに思うものですから、自分の思いを述べるのがちょっと長過ぎましたけれども、今の考え方について、一つの御提案ですが、いかがなものでしょう。
  190. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 今委員がはしなくもブリタンさんの話を引かれましたが、ブリタン委員の御意見がそういうことであることはよく承知をいたしております。殊に、昨年の秋訪日されたときの論議におきましても、ブリタンさんは、日米間で話し合いが行われた結果、EUが不利益をこうむったと思われるものの事例としてモトローラの件を挙げられました。その釈明を私に求められました。私は、遺憾ながらその当時は野党でありましたので詳細がわかりませんとお答えをして、満場爆笑で終わりました。  しかし、その話でおわかりいただけますように、EUは確かに日米間の話し合いというものに危惧の念を抱いております。同時に、包括協議におきまして、昨年の秋以来の交渉の中で日本側がその主張をゆがめていないことを評価もいたしております。これはAPECの多くの国々、組織も同様の評価をいたしております。  私は、必ずしも二国間協議すべてが望ましいものだとは今日までも思ってまいりませんでした。しかし、それはお互いが自由民主党政権の中におりましたとき、今残念ながら委員と党派を異にいたしておりますが、私どもが同一の政党に属し、お互いが協力して政権を支えておりました時代に、アメリカとの間につくり上げた交渉のルールであります。我々は、やはり継続してその責任は負わなければならないと思いながら、きょうまでも全力を尽くしてまいりました。今日も続けております。  しかし同時に、昨年秋、本当に厳しい議論を闘わせながら、本当に不もの論争という気持ち自分でも持ちました。そして、他の仕組みということを私なりにアメリカ側にも述べてみました。しかし、必ずしもこれはアメリカ側も望みませんし、同時にEUは全く違った視点からこの日米の包括協議の中に自分たちも意見を述べる場が欲しいということを双方に、日本にもアメリカにも申しておりますが、アメリカ側はこれに対してよい返事をしていないのが状況であります。となりますと、二国間での協議はこれは並行せざるを得ない状況一つ現実に存在をしております。  しかし同時に、その中でできる限り、例えば民間同士の話し合いによってソフトな決着が図れるものはないのか。あるいはまさに委員も御提案になりましたような公平公正な人々によるパネルによる裁き方はないのか。WTOを初めとする多国間の話し合いの場に解決の舞台を移した方が望ましいものはないのか、こうした視点は我々も現在持ちながら、現実に続いている交渉には個別対応をいたしているという状況であります。  御指摘の点は、我々も恐らく委員気持ちの上において差のあるものではありますまい。また、同様の提案は既に幾つかの場面でいたしております。
  191. 松田岩夫

    ○松田委員 ぜひこの日米包括協議、いいところもありますね、確かに。しかし、私は功罪を冷静に、いろんな方の御意見を聞きながら自分なりにもいろいろ見ていて、少しこう、罪の方が多いのかな、全体として見ますとね。そんな感じもするものですから、少しいい工夫はないのかな。ましてWTOがこうして発足していくときでもあるし、まして今や、日米は基軸で大事だが、しかしまた、先進諸国の間ではヨーロッパというものも絶えず我々意識しておかなきゃならぬ。  そういう中で、この四極新構造協議といったような提案もなかなか価値のある提案だなと。今通産大臣もそんな、御賛同というか、考え方としてはよくわかるということをおっしゃっていただいたわけですが、ぜひ一層工夫を凝らしていただいて、日米がとても大事な間柄であればこそ余計こういう個別問題で、飛行機の中で通産大臣、交渉に行かれるときもお会いしましたが、大臣自身が自動車の、しかも部品だ何だ、まあ部品も大事なんですが、あるいは大蔵大臣自身が金融協議の中で、また公的年金をどう使うかというようなそういうことに、そのこと自身決して大事でないと申しませんが、それぞれやり方があるんじゃないかと。やはり大臣には大臣にしていただくことをやっていただきたい。またそう思っておられると思うのですね。ですから、そういう意味も込めて、ぜひこれは工夫をしていっていただくことがいいのではないかと思います。  さて次に、先ほどちょっと申し述べたのですが、日米間でもそうですが、この貿易交渉をやるたびにいつも思うのですが、いつもこういう議論ですね。要すれば、あなた方は窓を閉ざしているから、閉鎖市場だから貿易の黒字が大きいのですとか、こういう議論ですね。貿易の黒字、貿易収支あるいは経常収支の多寡と、市場が開かれている開かれてないといったことが一緒になっちゃっている、このことですね。  もちろん、この経常収支あるいは貿易収支の変動というのはいろんなことで動きますが、しかし私は、長期的な、今問題になっているように、日本のこの貿易収支の大きさとかアメリカの貿易赤字の大きさといったようなことは、個々の窓を、自動車の部品をこうしました、はい、ここはこうしました、こんなことで変わるものではない。  そのことなんですが、私が言うまでもありませんけれども、ただ、これ、アメリカの議員にしても本当にそう思い込んでいるというか、日本が窓を閉ざしているからおまえのところは貿易収支がこんなに大きいんだ、黒字が大きいんだ、だから本当に透明な市場になったらちゃんと貿易収支はバランスするんだと、こういう短絡した考え方を持っておられる方が多いのですね。  IMFもわざわざ、昨年十一月発表した「ウルグアイ・ラウンドを越えて」と題する国際貿易報告書の中で今言った日米包括協議を取り上げて、「二国間交渉は多国間貿易制度への信頼を損なう一方、対外収支に大きな影響は与えない可能性が大きい」と批判的な見方を示し、「二国間交渉は、貿易開運障壁を削減する手段になり得るがこまた一方、「管理貿易、差別的慣行を招く恐れがある」と指摘して、「ガット体制にも悪影響を与えかねないと警告」している。さらに、ちょっと御意見を承りたいのはここなんですが、「貿易不均衡は貯蓄・投資の不均衡から生じるものだ」と述べ、二国間交渉による貿易不均衡是正効果に懐疑的な見方を示している。  これは別にIMFだけが言っているわけじゃない。いつも、例えば日本でいえば小宮隆太郎先生を初め多くの学者がそんなことを述べておられる。個別分野ごとの日米協議で貿易不均衡が解消できると考えるのは、経済を知らない人だ。経済理論上、米国が貿易赤字を減らすには、みずからの財政赤字を減らすしかないと。ほかにも構造的な対策はありますが、そういう論旨の話。まさに小宮先生を初め、あるいはこのIMFが言われるとおりだと私は思うんですが、意外とそうではない、実際の交渉の場においては。  この点ほどんなふうに御理解なさっておられるか。これは念のためですが、大蔵大臣か通産大臣か、あるいは企画庁長官なのかよくわかりませんが、まあ皆さん……。
  192. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 便宜私から、昨年自分で交渉いたしました論議の中から御紹介をいたしたいと存じます。  まさに、今委員指摘をされましたように、貯蓄と投資のそのすき間が問題である、そこまではだれの意見も一致であります。問題は、我々は内需を中心にした経済拡大の中でその部分を使っていこう、そしてより豊かな国土を築いていこう、そうした発想を持っております。そして、アメリカの中でも、民間の方々あるいはかって政府におられた方々の中に、意見交換をいたしまして同様の感想を持つ方々がございました。相当数あったと申し上げてもよろしいと思います。  しかし、現実に数名の閣僚の方々議論をいたしまして、同じような問題意識、すなわちアメリカの方も財政赤字縮減の努力をする必要があるということを率直に認められた方は、実は少数でありました。  そして、非常に象徴的に、自動車をもっと日本が大幅に完成車として買えば、また部品として調達すればアメリカの貿易収支の赤字の相当部分が縮減され、そして同時に、それはお互いのためにいいことと、非常に単純に要約すればそういった議論を展開をされたのが事実であります。  そして、円高について、それがもしアメリカにとって武器だとお考えになるならば、それは一方においてドル安を招く、それはアメリカの中の金利水準に変化を与え、アメリカ経済にもよいことではないと思いますよと申し上げましても、直接答えるわけにいかないと一たん留保をされました後に、一般論としてもう少し強いドルを望みたいと言われたのはグリーンスパンさんだけでありました。それが実態であります。
  193. 松田岩夫

    ○松田委員 大蔵大臣、御意見ありますか。
  194. 武村正義

    武村国務大臣 ISバランスの議論は、今の各国や世界経済を見る一つ考え方だというふうに認識をいたしますが、問題は、日米間の包括協議が、御指摘のように二国間だけの成果としてとどまってしまうのではないか、それは多国間の貿易の自由化を目指すWTOを初め、世界の関心に沿わない動きだという見方があるのは事実でございます。  けさもへーゼルタイン、イギリスの貿易相が来られまして、主にウイスキーの議論をしておりましたが、あわせて、大蔵省関係では、昨年来保険協議と金融サービス協議が一応日米間で合意ができましたが、この二つについて早速質問がありまして、二国間だけのものじゃ困るということや、ちょっときつい口調では、WTOに、ガットに持ち出したいというふうな感じの発言まで向こうの大臣から出ておりましたが、私の答えは、二国間の協議でありますが、最恵国待遇ベースでこれは第三国にも均てんをさせるということを前提にして協議をしたものだし、この成果はその方針でやっていきます、こう答えておきました。
  195. 松田岩夫

    ○松田委員 今の点は、私もそう思います。それはぜひそうしていただきたいのですが……。  さて、さらに先へ進めて、この包括協議の中で一つだけ個別問題ということで、例の自動車部品ですが、残っておる自動車部品の中で、自動車部品の米国製部品を日本の自動車メーカーが買うようにということで、例のボランティアプラン、ごめんなさい、ボランタリープラン。今ボランティアということで本当に毎日御苦労さんだと思いますが、ボランタリープラン、これはまさにボランタリーなんですよね。  ところがアメリカ政府は、これはまさにこの間も通産大臣おっしゃっておられましたが、強く求めてくる、さらにこの企業サイドで引き上げるようにと。しかし、そんなことはまさにガバメントリーチの範囲外だ、政府がやるべきことではないと言ってお断りになったら、アメリカ政府は、直接今度は日本の自動車メーカーとお話し合いをしたいと。私は、アメリカという国の、これは良識ではなくて、今の政権を担当しておられる、またその向こうの担当大臣の方の考えか、まあそういうふうに思いたいぐらいの実はこれは行動だと思うのですね。  日本政府政府の権限外だと強くこうおっしゃったら、今度は直接、じゃ、私たちが日本のメーカーと交渉させていただきます、幾ら何でもこれはひどい話だなと。業界も、当然それは直接米国政府と交渉するのは筋違いだと、それはそのとおりだと思うのですね。自分の意思で、じゃ、こんなことで買いましょうという自分なりの目標をつくってやっておられる。  しかもその間、いろいろ言われるからじゃない、自動車業界自身のためでもありましょうが、購入を拡大するためにいろいろ商談会が開かれたり、通産省の御指導もあるんでしょうが、新車開発しようというときには、アメリカのメーカーの参加を求めるなどして、本当に、実にもうきめ細かな、奥歯にといいますか、本当に丁寧にやっておられるわけですよね。  そういう状況であるにもかかわらず、なお、さらに各社の調達プランをひとつもう少し引き上げてくれ、ぜひ政府から言ってくれというのを、いや、それはそんなことはもう言えませんよ、あれはもう自主的にやっておられることでと。いや、それなら、政府がやらないというのなら、直接自動車メーカーとというこのお話、大臣、どう思っておられますかね。これ、実際許すのですか。私はこんなことこそ、総理、それこそクリントンさんに直接電話でもしていただいて、ちょっとおまえ行き過ぎだよいお互い日米の間でどういうことだと言っていただきたいのですよ。  これ、やらせないのでしょう、当然。
  196. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 これは、私は、アメリカ政府が日本の自動車工業会あるいは自動車メーカーと交渉するということは、そもそもあり得ないと思っております。国と民間企業は、それがアメリカ政府と日本の企業であれ、日本政府とアメリカの企業であれ、交渉ということは成立をいたしません。  同時に、繰り返しここで申し上げてまいりましたが、私は、政府のかかわりの範囲を超えた問題について、民間企業に強制する意思はございません。民間企業に強制する意思はありません。  ただ、アメリカが政府として日本の自動車工業会に陳情をなさりたい、あるいは御要請をなさりたいというものを強いてとめるつもりも、それはありません。だけれども、それを日本の企業が聞かなければならない理由もありません。  ですから、自動車工業会がその話を聞くよと言われれば、それをとめるつもりもありませんが、また、例えば各社が個別に話を聞いてみるよとおっしゃれば、それをとめるつもりもありませんが、それ以上にアメリカ政府の行動が出たときには、日本政府としては、当然のことながら抗議もいたしますし、それによっての対応も工夫しなければならないと思います。  ただ、話し合いたいというものを話し合ってはいかぬと言うつもりはありません。
  197. 松田岩夫

    ○松田委員 いや、日本の人たちですから、しかもアメリカヘ行って、工場も建て、まあやっておられるわけですからね。そういう方々、客観的に置かれた状況、確かに形式的には大臣おっしゃるように、そのとおりだと思うのですよ。  しかし、実際アメリカの政府がちょっと話したいよ、いや、そんなことはもう話したくない、政府とやってほしいと。政府は断られて、断られている問題だから、もう私のところへ来ることではないと心では思っておられても、実際話したいよと言われればこれは断りにくいでしょうね。  実際話し合いになれば、アメリカの意図ははっきりしているわけですから、あんまりそんなしゃくし定規、しゃくし定規と言ってはちょっと言い過ぎですが、余りにも形式的な整理で、アメリカの政府が日本の企業にいろいろ御事情を説明なさるのをとめるということまでは、とめるというのもどうのこうのと今言われましたけれども、私は、それはこの経緯から見たら明らかにおかしいと思うので、そんなことはもうはっきりと、それはおかしいよとはっきり言われるべきことじゃないかなと私は思うんですが、総理はどう思われますか。
  198. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 私は、日本の企業というもの、またその企業の集合体である工業会というものが、それぞれ経営者としてみずからの経営判断のもとに行動しておられる、またその行動しておられる方々の集合体であると思います。企業の経理の上で採算のとれないような話にだれが相手であろうと応ずるとは思いません。そして私は、その企業がいろいろなお考えの中でその話し合いに応じようと言われるならそれも選択肢だと思いますし、断ると言われるならそれも選択肢、まさに我々としては、それはそれぞれの企業また工業会の判断だと思っております。
  199. 松田岩夫

    ○松田委員 物事の交渉事というのは、交渉当事者がそれなりに同じような基盤に立っておる場合はいいと思うのですけれども、一方は政府、一方は日本の産業界という形の中で、しかも何か経緯があって、何の経緯もなくいろいろということなら別ですが、ずっとこの流れの中で考えてみますと、かなりこれはプレッシャーになるな、そして、実際上自動車工業会もお困りになられるのではないかなと私は推察するんです。これは何も聞いているわけでも何でもありませんが。  そういうことを思いますと、日米の間、本当に親しい間柄ですから、まあそこまではどうなのという話は私はしていただいても何にも、友情を傷つけないところか、お互いまさに大人の関係じゃないかなと思うものですからあえてまたくどく申し上げるのですが、やはり御遠慮願うようにソフトにお話しいただくのが望ましいのではないかなと私は思います。     〔委員長退席、三野委員長代理着席〕
  200. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 私は委員のお考えのような考え方一つだと思います。  しかし私は逆に、この場をとらえて、日本の自動車メーカーなりあるいはその集合体である工業会が日本側の言い分を米国政府にじかにたたきつけることも一つの手法だと思います。そして、現在各社が用意をいたしました自主的な計画というもの、これがいかに企業としてぎりぎりの努力の結果であるかということを米政府に向かって正々堂々と説明をしていただく、こうした場になることも私は期待をいたしております。
  201. 松田岩夫

    ○松田委員 その考え方もよくわかりますが、逆に言えば、そうすると政府は一体それができなかったのかと。ちょっとごめんなさいね。政府がそういうことをしっかりとアメリカ側に伝えることができなかったのかというふうに思われてしまうのであります。(橋本国務大臣「いやいや、それは政府の関与外だ」と呼ぶ)政府の関与外だと言うわけですが、日本の企業も一生懸命やっているよと。ちゃんと頑張ってやっているんだからという日本政府言葉をそのまま信じてはもらえなかった。だから、アメリカの政府は直接、じゃ工業会とやろう、こうも一般には受け取られておるわけです。またそう受け取られてもやむを得ない経緯、経過であるなど。そうだとすれば、私はやはり自動車工業会もこれはかなりつらい立場に立つなと。もちろん堂々とお話をしていただくいいチャンスです。しかし、それならそれで、こういう経緯の中でそうなっていって話すというのではなくて、常にもう話されているわけです。自動車工業会もいろいろな機会にいろいろな方々には話されておられるわけです。  ですから私は、今度のこの経緯から見て、米国政府と自動車産業界との直接交渉はまことに日米関係にとっておかしい、筋違いだ、どう考え直してみてもこう思うものですから、またあえて繰り返させていただいて、それで……
  202. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 これ、本来、例に外れることかもしれませんが、私はあえて逆に委員の御質問に対して伺いたい気持ちがいたします。  会うなと言うことも日本政府が企業に一つの行為を慫慂することであります。政府の判断が逆に食えという強制になった場合にも問題は残ります。私はやはり政府は、会うべきではない、会うべきである、こうしたことを業界に指図することは政府見識として避けるべきことだと思います。そして委員は、政府は主張を十分にしなかったかのように言われましたが、少なくとも当時の報道を振り返っていただければ、日本政府がどのような主張を繰り返し、どのような努力をしてきたかは御理解がいただけることと存じます。
  203. 松田岩夫

    ○松田委員 いや、そういうふうに受け取られるかもしれませんよということを申し上げたのでありまして、努力が足りないですよとは私今申し上げませんでしたことだけちょっと念を押しておきます。  それはともかく、日本の業界に、会うなと言うんじゃありません。アメリカの政府にはっきり言ってください、クリントンさんにはっきり言ってください、これは何ですかと。そんな間柄じゃないでしょうと言って済ませられる事柄ではないのかというふうに申し上げているわけであります。日本の業界に、おまえ会うなよなんということを通産省が言ったらおかしいですよ、それは。ですから、まさに政府政府で今交渉しているわけです。その日本の政府の言うとおりにしなくて直接業界とやる、こうおっしゃるわけですから、それは君どうなのとはっきりアメリカの政府におっしゃってくださいということでございます。  日米関係だけにちょっと時間をとり過ぎちゃって、次にAPECへ行って、そしてWTOまで行かにゃいかぬものですから、次にAPECに移らせていただきますが、さて、APEC、いよいよ日本の本当にこれは正念場だと思うのですね。  実は、私自身考えても大変難しいテーマというか、貿易や投資の自由化といっても、本当に多種多様な国々でございますし、WTOの委員会の質疑でも申しましたが、よくぞインドネシア・スハルトさんがかかる提案をなさったなということも私は申し上げまして、実はその勇気にむしろ本当に敬意を表したわけであります。しかし、例えばインドネシアの国の中を見ても、いざ本当に自由化していくということになれば、もう中小企業の方は、インドネシアの中の企業の方は大変な打撃を受けるといいますか、ですから、いざとなってみると、東南アジアの諸国のあちこちからこれは大変なことだという反響が出てくる。  ですから、これ、今一生懸命恐らく御研究なさっておられると思うので、御研究中のことなんでいろいろ御答弁もしにくいのかもしれませんけれども、一体どんなふうに、全然私どもメッセージが届かないものですから、ぜひ、きょう現在言えるところで結構でございますが、簡単に言えばAPEC、今度の首脳会議もあるわけですが、どんな考え方でまとめていかれるのか。もちろんこれは日本のリーダーシップということですが、もちろん皆さんの御意見を聞きながらということでございますけれども、一体日本の政府としてはどんな考え方でこれを取りまとめていかれようとしておられるのか、ちょっと初めに概括的なお答えをいただけたらと思うのです。
  204. 河野洋平

    ○河野国務大臣 十一月に大阪で開く会議に向かいまして、議長国として考え方を整理して、メンバー国と内々の感触を探り、大阪APECの会合が成功に終わるようにやらなきゃいかぬということでございます。  今議員がお話しになりましたように、昨年のジャカルタ、ボゴール両所で開かれましたインドネシアにおきますAPECは、最終的にボゴール宣言、これはスハルト大統領の強いイニシアチブによって、先進国二〇一〇年、途上国二〇二〇年に自由化という大きな政治的な方向性を打ち出される宣言がなされたところでございます。もちろん、この宣言につきまして、各国ともにさまざま抱えている事情等もあって、非公式首脳会議の席上では、総理御出席でございましたけれども、各国はそれぞれの事情について苦衷を打ち明けたりされたようでございますが、最終的にはボゴール宣言というものがまとまって、発せられたということでございます。  我が国としては、それを受けまして、このボゴール宣言の具体化に向けてどういう作業をするかということについて、まず、考え方を整理し、どこまで合意ができるかという作業に取り組まなければなりません。  他方、これと同時に、域内のさまざまな経済の発展段階の国があるわけですから、それらさまざまな国々が協力し合って域内の経済の発展をさらに加速させるという協力関係をつくっていくということが重要だと考えております。これは、自由化を進めることのために協力関係もまた重要である、つまり、まさにこれは車の両輪と考えておりますから、こうしたことをまず頭に置いて、具体的な作業にこれから取りかかるという状況に今ございます。
  205. 松田岩夫

    ○松田委員 もう二〇一〇年とか二〇二〇年とか年限を切られて、切られた以上それなりのものでなきゃならない。しかし、まさにWTOの交渉でも本当に難航に難航を重ねてやっとあそこまでこぎつけたという状況の中で、まず基本的な問題ですが、私この間もちょっとお聞きしかかって時間がなくてあれだったんですが、今あれですか総理、外務大臣でも結構ですが、そのAPECというものをどういうものにしていこうとされているのかというところが、今までと変わっていますか。  この間のボゴール宣言以降、日本の方もある程度、自由貿易地域とまでは言いませんが、そういう二〇一〇年、二〇二〇年、貿易・投資の自由化プログラムをつくってなんていうんですから、しかもそれはAPECの中でというわけですから、ある種の関税なり輸入制限なりについてということになりますと、一つの自由貿易地域みたいなアプローチに少し入り込んだな、私はそう理解するわけですが、そうなのかどうか。  いや、あくまでもこれは協議体であり、いろんな協力をお互い相談しながらやっていって、まあWTOの中、それぞれの国が一層開かれた環境になるようなお助けを一生懸命いろんな面からやっていくというのがAPECの主要な役割ですよということであったと私は理解するわけですが、一体、その自由貿易地域的な感じに進もうと今されておるのか。あるいは、いや、それは違うんですよ、ああいう目標に向かっていくようにそれなりの環境整備を一生懸命していってあげるというような意味が強いんですよということなのか、その辺はどうなんでしょうか。  車の両輪と言われるので、これはそのとおりなんですよ。車の両輪なんですが、一体どんな、もうちょっとイメージが具体的に出ませんかね。今もう事務的な会議はやっておられるわけでしょう。
  206. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 今副総理からお話がありましたように、車の両輪ということはそのとおりだと存じます。そうして、APECがスタートの当時、緩やかな協議体としてそのチームワークをつくってきたことも委員御承知のとおりであります。  ところが、アメリカのイニシアによって開かれました第一回の非公式首脳会議から昨年のボゴールの第二回非公式首脳会合を経て、ようやく一つの共通目標が出てきた、私はそう理解をいたします。それはまさに貿易・投資の自由化宣言という形で結実をいたしました。  そして、これをどういう形につくり上げていくかは、実はことし日本が議長国として果たす役割そのものでありまして、我々は、これから行動指針のような形でこの貿易・投資の自由化宣言というものを具体化する手順というものを方向づけていかなければなりません。その場合には、当然のことながら、各国の持っております例えば基準・認証一つをとりましても相当な制度上の開きもございます。あるいは知的所有権等についての保護の体制の差異もございます。また、すそ野産業としての中小企業の育成についての考え方も、昨年中小企業大臣会合をいたしてみますと相当な開きがございます。  ですから、いかにしてこの十八の国と地域の中における調和、ハーモナイゼーションをつくり上げていくのか、私は、本年の我々の役割は一つはここにある、そのように考え、通産省としてはそうした方針のもとに各国との事務的な打ち合わせに入っておるところであります。
  207. 松田岩夫

    ○松田委員 一年程度で具体化するというのには余りにも大きなことに挑戦しようとしておるように思うのですね。ですから、余計心配を、心配というのか一生懸命やらないとこれは大変だなと。しかも、先ほど来申しておりますように、世界の経済が本当に自由な開かれたものにしていく責任は我が日本にありと、私は信じてそう思う一人なものですから、その試金石になる。  去年ああいった、まあ大ぶろしきと言うといけません、大ぶろしきじゃない、大きな目標を掲げた。そして、今度それをいざ実行する段になって日本が取りまとめの責任者。総理、これは並のことじゃないことをお引き受けになっているのですよと私は理解している。総理もそう思っておられると思いますが、ちょっと心構えみたいなもの、何かありますか。
  208. 村山富市

    村山内閣総理大臣 今まで委員からも発言がありました。また、外務大臣、通産大臣からそれぞれ答弁がありましたけれども、これまでは何といいますか、一つ方向性を出した、ボゴール宣言というのはそうですね。貿易自由化に向けての方向性を示したわけです。その方向性が示された中で日本が受け持つことしのAPECの会合というのは、その方向性に向けて実際にどういうふうに貿易の自由化を進めていくのか、具体的な行動指針というものをある意味では出さなきゃならない、やはりこういう大きな難しい役割を背負うと思うのです。  その場合に、その加盟国が同じ条件にあるのなら話は簡単ですよね、同じ条件にあるのなら。しかし、相当進んだ発展した国もあれば、まだ発展途上国もある。その発展途上国の中だって、度合いが全然違う。こういう複雑な状況にある、多様性を持った状況の中で、どのような行動指針が示されるのかということになると、大変難しいものがあるというふうに思います。  先ほど来お話がありますように、これはWTOという開かれた世界全体の貿易自由化の中で、やはりAPECもそれと矛盾するようなことはできませんから、それと通じ合うような形でもって貿易の自由化は進めなければならぬし、同時に、それだけにそれぞれ多様な国々の要請にこたえるような人材の育成とかあるいはその開発に対する協力とか、そういうようなものも含んだ形の中で行動の指針というものがつくられていかなければ、なかなか合意は難しいのではないかというふうに思いますから、これから各国の言い分も十分受けとめながら全体としてまとめていく作業を進めていかなきゃならぬというふうに思っておりますから、委員言われますように、大変難しい問題を抱えておるという認識は同じであります。
  209. 松田岩夫

    ○松田委員 一生懸命頑張ってやっていただきたいと思います。それは、もう本当にある意味では世界的な大事業なんですね。アジア・太平洋地域が非常に大事なんですよ、世界にとって。その地域のある意味のこれからの行き方を決めていくわけですよ。物すごい重みを持ったことを今我々はしようとしている、私はそう理解するわけです。そういう意味で、ぜひ頑張っていただきたいと思います。  さて、次に、ちょっとWTOに移ります。今度は世界全体の話を少し……。  さて、始まったばかりですし、先ほどちょっと出ましたが、私は、WTOというものを積極的にいかにうまく活用していくか、日米包括協議のときにも少し議論させていただきましたが、そういう意味で、私、WTOの事務局長になぜ日本は立候補しなかったか。この問も御質問させていただいて、それはそれで済んでしまったものですから、非常に残念だなと思っておる一人であります。そういう意味じゃ、まずWTO最初からこれはしくじっちゃったなと私は評価しているわけです。日本はもっと積極的にこれに取り組むべきだ。  じゃ、今度は次長はどうだ。次長はどうなんですか。外務大臣ですか、これは。
  210. 河野洋平

    ○河野国務大臣 実は、まだトップが決まらない状況でございまして、トップが決まらなければ、いろいろバランスもございますから、次長も当然まだどういう候補を考えるかということもございません。
  211. 松田岩夫

    ○松田委員 考え方といいますか、それをちょっとお聞きしたかったんですが、それはそうですよ、各国のバランス、地域のバランスいろいろありましょう。ですから、日本は一応韓国、金喆寿さんを御支持しておられるわけですね。結構なことだと思います。それを見てからということに現実的にはなりましょう。成り行きを見てからということになります、当然。しかしお気持ちとして、ぜひこのWTOは日本の責任においてしっかり運営していくんだ、そのためにも事務局にしかるべき方にしっかり入っていただいて、そしてやっていくんだ、そういうお気持ちはよろしゅうございますね。
  212. 河野洋平

    ○河野国務大臣 極めて重要なポジションと考えておりますので、しかるべき人材をしかるべき場所に入れたいという気持ちがございます。
  213. 松田岩夫

    ○松田委員 その点で、これもちょっと余分な話かもしれませんが、今行政改革、行政改革と言っていますよね。ちょっとWTOの大事から途端に離れるようで恐縮ですが。  例えば行政改革といったときも、正直、一方でむだを省くといいますか、そういう面もありますけれども、私は、日本の国の一つの、もちろん年々例えば外交実施体制の強化とかいろいろしてきていますけれども、外務省だけの組織ではない、政府全体として、日本の外交力というんでしょうかね、そういうものを行政改革なんて考えるときにも、きょうちょっと具体的な御提案までは申し上げられないんですけれども、国際社会の中での交渉力といいましょうか、そういうものを高めていくには霞が関がどうあったらいいんだ、行政府がどうあったらいいんだというような、そういう感覚で、行政改革に当たられるときにもぜひ考えていただく。  そういう視点もぜひ、行政改革というのは、それはいろいろあれしてむだを省くという点もあるのですが、やはり大事なことはしっかりできる体制をつくり上げるという意味で、私は今のWTOに事務局を送れということから途端にそんな話をして恐縮ですけれども、しかし、WTOにも事務局を送っていただくと同時に、日本側の交渉力というのでしょうか外交力というのでしょうか、そういうものを高めていくような役所のあり方といったものについて、ちょっと今思いついて、かねがね今のままでいいんだろうかと思っているものですから、ちょっとこれは御質問ではありませんが、そのことに触れまして、次に移らせていただきます。  今、一連の自由貿易体制をつくり上げていくために、世界のそういった体制のために日本がいかに努力をしていくか、日米関係あるいはAPECあるいはWTOといったようなことで取り上げさせていただいたわけですが、次に、もう一つ日本にとって非常に大きいのは、政府開発援助、ODAですね。ODAの問題について少し御質疑をさせていただきたいと思います。  今、年間一兆一千億円を超えて、ちょうどこれは人口一人当たりにしますと一万円というような感じに、国民一人が一万円を負担する規模になってきたわけですが、実はこのODA、その使われ方、これは国会に諮られるわけでもないし、どうも、従来金額が小さかったときにはさほど意識もしませんでしたが、役所の中で、それは当然です、行政がやることですから。しかし、どうも霞が関の一部で決められていく、国会というものは余り関係がない。しかし、まさにODAというものがこんな大きな規模になり、ODAというものをどう、今言うような全体の日本の外交力、外交交渉力を高める上でも、あるいは日本が持つ最も効果的な、唯一とは言いませんが、外交手段なんと言ったらちょっと言い過ぎになりますけれども、わかりやすく言えばそういうものでもあります。  そういった意味から、このODAというものをもっと大きな意味考え直してみるといいますか、そういった観点でちょっと、二つの視点からということで、一つは、今言うODAの使われ方といいますかやり方について、単に霞が関の一部の官庁だけがかかわっているというような感じではもういけないのではないかという感じがするということであります。  援助の理念として、四原則といいますか、この援助大綱にも書いてありますように、「原則」というようなものを掲げて、もちろんそれぞれの国の発展を願うわけですが、しかしまた、「環境と開発を両立させる」とか、「軍事的用途及び国際紛争助長への使用を回避する」とか、あるいは「国際平和と安定を維持・強化するとともに、開発途上国はその」、これはちょっと省略しますが、簡単に言えば、軍事支出だとか大量破壊兵器、ミサイルの開発・製造、武器の輸出入の動向などにも十分注意を払って実行するとか、あるいはそれらの国の民主化の促進、あるいは市場経済への移行、あるいは基本的人権、自由の保障状況、そういったものを考えながらやっていくという原則を打ち立てて今やっているわけですが、そういう割には我々一向に、これは大変大事なことです、我々一向に国会として大きな案件について何も知らないまま、ああ決まったかというようなことで後で知っていくというようなプロセスになっているような気がするわけでございます。実務担当の役所がおやりになることは当然でありますが、しかしまた、今後はその役所の判断だけではなく、もっとすそ野を広くしていく、国会もまたその中の一つではないかなというふうに思うわけです。  したがって、例えば、少なくとも主要なプロジェクトについては情報公開といった面からの要請もあるでしょうし、今言ったようなむしろある種の大前提としてまだあるのですが、一つ議論はこのODAというものをもっと戦略的に運用していくのかどうか。一応四原則というものはつくったが、四原則はその参考程度から、四原則とだんだんリンクしていく、あるいはリンクが強くなったら、強くなればなるほどこの四原則をもうちょっと見直してとかいろいろあるにしても、かなり戦略的にこのODAを使っていくという、外交手段として、あるいは日本の国益、あるいは日本の目標とする理念というものをもっと明確にして、そちらに合うものにだんだんシフトしていくというような感じをお持ちかどうか、まずそれが一つ。  もしそうだとしたら一層その運用に当たっては、少なくとも国会がもっと関係させていただく枠組みをつくる必要があるのではないかな。そんなことを、ODA予算、ことしも、まあ足りないとかいろいろありますが、しっかりとした予算になってまいりました。その点についてどんなお考えでしょう。
  214. 河野洋平

    ○河野国務大臣 ODA予算は、議員御指摘のとおり年々御理解をいただいて、大きな額になってきております。ことしもまた、この予算の中で大きな額を皆さんに御審議をいただいているわけでございます。  ODAについては、予算審議予算案の審査という場面で皆さんからいろいろと御議論をいただく、さらには、終わった後、ODAは決算についてODA白書のような形で皆さんに詳細に御報告を申し上げて、皆さんに見ていただくという作業をしているわけでございます。  さらにまた、今御指摘がありましたようにODA四原則という一つの原則を決めて、この原則に則して進めていくということもいたしておるわけでございます。議員御指摘のように、これはまさに外交の一つの、戦略というのは言葉が適当であるかどうかわかりませんが、我が国の外交の一つの目標に向かって行う非常に大事な手だてであることはもう間違いないわけでございまして、したがって、そうした点も十分慎重に踏まえてこのODAの実施は行われていかなければならないものと考えまして、私といたしましては、大事に、慎重にこの扱いを考えているところでございます。
  215. 松田岩夫

    ○松田委員 事後に詳細な報告書をいつもいただいていまして、事後にはわかるのです。しかし私は、だんだん今言ったような方向に、どういう言葉がいいのか、まあ戦略的ということでしょうね。戦略的と言うと何か日本語では少しニュアンスが伴うようですけれども、戦略的に活用していくということになればなるほど、やはり国会というものがもう少し関与していく枠組みをつくり上げていくことが絶対必要だ、私はそう思うのです。ですからぜひ、私ども考えますが、ぜひ御工夫を願いたいと思うのです、事前にですね。主要なプロジェクトか何かその辺はいろいろあると思いますが、ということでございます。御提案しておきますが、ぜひお考えをいただきたいと思います。  さて、それに関連して具体的に二件ほどお聞きしたいわけです。一つは、中国への円借款であります。  中国の軍事動向というのは非常に私ども皆さんもそうでしょう、心配をいたしております。兵器の近代化も進みますし、国防費も大変膨張しておると言っていいでしょう。さらに、他の核保有国が停止しております核実験、この一年間に三回地下核実験をやっておられる。もちろん日本はそのたびに強い懸念を表明されてこられた。日本ばかりじゃない、もう東南アジア初めみんな、世界がそうですね。核兵器の廃絶を願って国連決議をまさに日本のイニシアチブでされた。いいことだと思います。  しかし、そういう日本の立場を考えますと、いやわかった、じゃ、援助いただくかわりに核実験はやめると言われたのか、いや、そうは言っていませんと。一体何しているんだと言われる人から見ると、何でそんなところへ援助をやるのと。核廃絶の決議を、駆けずり回って、アメリカを説得し、もう一生懸命やった。その思いの人たちが、一方では核実験そのまままた続けますよと言っている国に三年間で六千億円程度の、まあ円借款ですけれども、それにしてもやはり低い金利で、まさにODAですよね、そういう感情。しかも、何遍言っても言うことを聞いてくれない。何遍も言っておられるのですよね。我々も行くと言ってスを想定しながら、これはだめですよ、これはいいですよというようなことを考えながら、この問題も見直しの対象にしてもよろしいのではないかなというふうに考えております。  この問題の締めくくりとして、これもやっぱり見直しの対象になるのかもしれぬけれども、PKOという活動、これは自衛隊の大きな任務ですね。PKOという活動を、自衛隊、今は従たる任務で雑則で決めているけれども、これを三条の主たる任務に格上げするということも私は考えてもいいのではないか。このPKOという、いわゆる日本型PKOです、これは。まさに我々がやっているのは、日本型PKOというのは、本当にとうとい行為であり、人権を守り、平和を守り、人道的な非常にとうとい行為です。  それは、今は従たる任務であり、百条の雑則で決められているけれども、これを三条の主たる任務に格上げすることも考えてもいいのではないかというふうに私は思います。  PKOという仕事は、これはまさに平和国家がやるべき仕事なんです。平和は、本当の意味での平和国家がやるべき仕事である。人権を本当に考えている国がやるべき仕事だ。人道を重んずる国がやるべき仕事だというふうに思いますので、これは三条に格上げしてもよろしいのではないかと思いますけれども、その点についてはどんな感じを持っておられますか。
  216. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 本来任務は、委員も御承知のとおりに、我が自衛隊は、我が国に対する直接侵略、間接侵略、または公共の維持等を行う、こういうことになっているわけでありますが、PKO活動につきましては、ただいま雑則の中に位置づけられております。  今後、いろいろな議論等を承りながら考えてまいりたいと思います。
  217. 二見伸明

    二見委員 時間が迫ってまいりましたので、テーマを変えたいと思います。  総理大臣は、日米安保体制堅持と言われましたね。クリントン大統領との会談の後の会見でも、日米安保体制は、日米のみならずアジアの平和と安全に寄与する。これは、今までとは考えられないすばらしい御発言ですね。アジアの平和と安定に寄与する。引き続き米軍のプレゼンスを歓迎する。これはすごい。一年前には全く夢想だにもしなかった御発言でございます。  堅持とは具体的にどういうことになるのか。おっしゃった以上はそれぞれお考えがあるんでしょうから、二、三細かく具体論でお尋ねしてまいりたいと思います。  ただ、米軍のプレゼンスを歓迎するということは、日本のみならず、日米のみならずアジアの平和と安定に寄与する。米軍のプレゼンスを歓迎する。沖縄基地の縮小は縮小としまして、在韓米軍、在日米軍、今アメリカのプレゼンスがあるわけです。これは歓迎されるわけですね。これ以上縮減、アメリカ軍は、アメリカの方針としてこれを削減することは凍結をしておりますけれども、それはそれで大変結構なことだ、こういうふうに評価されるわけですね。  在韓米軍についてはどういうふうに評価されますか。
  218. 村山富市

    村山内閣総理大臣 私は、我が国の安全とアジア・太平洋地域全体の平和と安定の観点から、日米安全保障条約、その体制が果たしてきた役割はそれなりに評価をしたいと思うのですね。冷戦構造も解消して、今や世界的規模の戦争というものは恐らくなくなったと思いますけれども、しかし、依然としてこの地球上には地域紛争があるわけです。そういう意味から申し上げますと、それなりにやっぱりまだ、平和と安定の役割を果たす安保条約の役割というものは否定できないものがある。それで、この日米安保条約があることによって、アジア・太平洋地域の国々も、ある意味では信頼と安心を持っている面もあるのではないかというふうに思いますね。  現に韓国の場合に、朝鮮半島の場合には、今日においても合わせて百五十万人近い韓国と北朝鮮の地上軍が非武装地帯を挟んで対峙しておるといったような不安定的な要因もあるわけですから、したがって、そうした意味における在韓米軍の駐留は、韓国の防衛努力と相まって、これは朝鮮半島全体の平和と安定のための役割を果たしておるのではないかというふうに私は思っております。
  219. 二見伸明

    二見委員 大変すばらしい、何度も申し上げますように、一年前にはまさに夢想だにもできなかった御見解でございまして、我々と余り考え方に差はなくなってきたなというふうに思っておりますので、これから防衛論争は神学論争ではなくて、現実に立脚した実りのある防衛論争がこれからできるのではないかというふうに思っております  次に、いわゆる思いやり予算がありますね。これは来年の三月三十一日で切れるのです。これは国会の承認が必要なので、一日も早く策定する必要がありますけれども、これについては、当然日米安保体制を円滑にするためにも大事な予算ですね。これは村山さんも当然オーケーなんだと思う。これはできるだけ早く出されますか、国会の承認も必要なんでね。どうですか、その点は。
  220. 河野洋平

    ○河野国務大臣 在日米軍が、今お話しのように、日本及びその周辺の安定、安全のために行っているプレゼンスというものは、我々極めて重要なものだ、こう考えているわけでございまして、そのためにも在日米軍駐留経費負担というものは、我々自主的に考えてみても、これは我々にとってみても重要なものであるという認識を持っております。したがいまして、ことしの予算におきましても、非常に厳しい状況の中で、この予算総理からの御指示もございまして、きちっと予算化するという作業が行われたわけでございます。  議員お尋ねのように、来年度以降またどうするんだ、こういうお尋ねでございますが、これらにつきましても適切な措置が必要だというふうに考えております。  今お話しのように、では国会にも出すのか、いつ出すんだ、こういうお尋ねでございますが、この時期その他方法については、目下検討中でございます。
  221. 二見伸明

    二見委員 もう一点、これは大きな問題が、いわゆるACSAといいますか、日米物品役務融通協定というのがあるのです。これは大変なものでして、去年北朝鮮の核の疑惑で日本周辺が非常に高い緊張に包まれたときに、いろいろな議論がありました。これは私も、まさに本気になって議論しなければならないテーマだと思います。しかも、これは緊張の度合いが高まったときに議論するのではなくて、むしろ穏やかなときにこのACSAの議論はしておくべきだ。これはまだ日米物品役務協定というのは締結されておりません。むしろ穏やかなときに議論をしたいと思っている。  いろいろ幾つか問題があります。いろいろな選択肢があります。例えば、ACSAなんて締結する必要はない。現在は物品管理法でもって、日米の共同訓練のときなんか日米物品管理法でもって油の融通なんかやっているわけです。一つ一つ、物資、こういう場合、こういう場合と、その都度その都度物品管理法でやればいいんだ、窮屈だけれどもやればいいんだという選択肢が当然あります。その場合には、医療とか通信という役務は、これはできない、こういうことになります。この場合は、ACSA協定は結ぶ必要ないという立場です。そういう選択が一つある。  いや、そうじゃなくて、ACSAは締結した方がいいんだという立場に立った場合でも、幾つか問題点がある。それは、例えば共同訓練のような、平時のときの共同訓練に限定するという選択肢が一つある。いや、平時であれば共同訓練に限定する必要はないという選択肢も出てくる。  もう一つ、有事はどうなんだ。有事は一切だめだという選択肢が出てくる。有事でも日本の安全にかかわるようなときは、これはこういう範囲内でやれるんだということもある。例えばペルシャ湾みたいな有事には、これは日本は直接関係ないおる。一体これをどう理解していくのか。  私は、だんだんこういうことが重なりますと、一体日本の国は何考えているんだということでしょうし、例えば日中関係一つとりましても、国民の多くはだんだん、大変大事にしておかなければいかぬ国に対して逆に、結果として中国に対して悪感情を持つなんてことにもかえってなってしまいはしないかなんてことも恐れる。極めて難しい問題です、それは。  円借款始める前からもう中国は核を持っていましたし、中国への円借款の供与というのはある意味で、これまた言い過ぎるかもしれませんが、その賠償のかわりとまでは言うといけませんが、まあ要すればそういうような気持ちもあるのかもしれません。ですから、中国という国には特殊な事情もあるのかもしれません。  しかもまだ、もちろん中国はとても大事な国です。アジアの中で、この中国、日本、アメリカ、この三つがうまくいくことが本当にアジアの安定にとって大事だ。大事な大事な国であればあるほど、実はちっともこっちの言うことは聞いてくれないというのに巨額の円借款を、今度は最高でしょう、これ。インドネシアを追い越すんですか。そういう借款を与えていくということについてどうなのかなと。これ一つの悩みです、私の。恐らく多くの諸君も、そう言えばそうだな、どう考えたらいいのかな、こう思われると思いますね。  全く別件ですけれども、イラン。この間総理、首脳会談でも言われたと新聞で読みましたが、あの国に君、円借款やるのかねとクリントンさんは聞かれたんですか。これもそう言われりゃそうだなと。アメリカとイランとの関係と日本とイランの関係は大違いだよと。それはもうそのとおりだ。しかし、まあアメリカからすればあのイスラム原理主義というのは、世界の今や一番の、何といいますか、不安定要因の一つ。いかにこのイスラム原理主義をしっかりとコントロールしていくか。これはもうアメリカと共有する、また共有すべき我が日本の利益でも国益でもあると思うんですけれどもね。  まあそんな思いを持ちますと、アメリカが心配するのももっともだなと。しかも何遍も言ってくる。しかも、議会でも言われているんですね。日本政府にも書簡が議員からも来ているんですね。ドールさん初め皆さん、何十人という方から書簡も来ていると思いますよ、向こうで言っていましたから。ですからそういう話を聞くと、君、どうするんだと。いや、これはもうやるんだ、今度首脳会談でやると言ってこられたんですね。違いますか。  ちょっと、じゃその辺も含めて、今の中国、イラン、これは二つのケーススタディーなんですよ。一体我々の円借款というものをどんなふうに活用していくのがいいのかということの悩みがこれからどんどん出てくると思う。そういったときの一つのケーススタディーとしてもっと意識しなきゃいかぬのではないか、国会も意識しなきゃいかぬというふうに思うものですから、ぜひお考えをお聞きしたい。
  222. 河野洋平

    ○河野国務大臣 まさに大変難しいケーススタディーを二つ示されたわけでございます。  中国についてまず申し上げたいと思いますが、これは、議員御指摘のとおり、日中関係というものは我々にとって極めて重要な関係でございます。日中関係が安定している、よりよく発展していくということは、我が国にとって極めて重要であろうと思うわけです。この日中関係の重要性というものをまず認識する必要が一つございます。  それからもう一つは、今議員御指摘のとおり、核実験というものを、我々は繰り返し繰り返し懸念を表明し、やめてほしいということを率直に申し上げておりますが、中国側の話によれば、一九九六年になったらやめるよと、まあ早い話がそういう返事をしておられて、直ちに今やめるとはなかなか言わない。我々は、こういう状況では我が国国民の理解は得られませんよということも繰り返し申し上げておりますが、それはそうかもしらんが、中国には中国の国内事情がある、まあこんなようなことでございます。  他方、もう一つは、今回の円借款のプロジェクトをごらんをいただきますと、そのかなりの部分が環境プロジェクトでございます。この環境プロジェクトは、考えてみると、中国におきます環境プロジェクトは中国だけの問題ではなくて、海を越えて我が国にも環境悪化という問題は影響してくる可能性もあるわけでございまして、我々は中国の環境問題には一切関心を持たないんだ、自国の環境問題だけやればそれで環境問題は事足れりと、できるかどうかというと、必ずしもそうではないという問題もあるわけでございます。  こういったことをいろいろ総合的に判断をいたしまして、中国からの要求はさらに大きな巨額な提案もございましたけれども、私どもは私どもなりの判断を提示をして今回の数字ということにしたという経過がございます。  イランにつきましては、確かに御指摘のとおり、首脳会談でもアメリカ側からはイランという国について懸念が表明をされたということがございました。イランの問題につきましては、我が方はアメリカからもいろいろな情報もいただき、十分検討を引き続きいたしますというのが我が方の返事でございました。  アメリカ側からは、まあ言ってみればテロに非常に強くかかわっている、国際的に見てこのテロに直接かかわっている現状というものをよく考えてほしいという非常に強い指摘がございました。我が方もまた、現在イランがテロに直接的に国家としてかかわっているということがはっきりすれば、それはもう我々はテロに加担するわけにいかないということは、これは当然のことでございますから、現在イランがどういう立場をとっておるかということについてはさらに詳細、状況を知りたいというふうに思っているわけでございまして、この問題はまだ結論を出しておりません。
  223. 松田岩夫

    ○松田委員 極めて難しい選択だと思うのですね。中国の方はもう御決定になって実行される、イランの方は、今テロに国家が関与しているかどうかはっきりするまで、関与していれば出さず、関与していないとはっきりすれば出す、こういうふうにおっしゃったのですね。(河野国務大臣「もうちょっとよろしいですか」と呼ぶ)わかりました。後、議事録であれですが。  さて、ODAの話、そのぐらいにさせていただきますが、先ほど申しましたように、大変大事な予算の一部であり、日本の外交戦略上大変重要なものです。ぜひこれを生かして、日本の外交、日本の国益、そして世界の利益というものが達成されていく、そういうための枠組み、それに、もうここまで金額も来まして、戦略的に使われる、そういう要素がだんだん強くなる、また強くしていく。そこはどうなんですか。  そう言えばちょっと今あれですが、気持ちとしては、戦略的な運用といった意味合いをだんだん強くしていく、外交手段としてこれをしっかりとむしろだんだん位置づけていく。向こうから要請があったら、まあ無差別にと言うと言い過ぎですが、何でも出していくというよりも、かなり意識的に、そして我々の国益の向上あるいは世界の大義のために活用していく方向にだんだんしていくという気持ちは一致していますね。そうだとすれば一層その運用のあり方についても、国会との関係その他、ぜひ、私どもも御提案しますけれども、お考えをいただきたいと思います。  さて、次に参ります。  簡単にそれぞれのことについてお聞きしたいんですが、一つは安保理常任理事国入りについて、私はもっと積極的に政府がやはり働きかけないと、これは待っていたら来るものではないので、きょうはもう時間がだんだん迫りましたので詳しくはあれですが、しかし、ちょっと何となく私どもの受ける印象が、待ちの態勢、待ちの姿勢、そうじゃありませんね。もう政府を挙げて、しっかり国連の常任理事国になって、国連の中でしっかりと日本も生かさせていただくというお気持ちで、各国の理解を得べく今一生懸命各国を説得しておられる、説得と言うといけませんが、御理解をいただいておる、そういう努力を一生懸命していますと、一言だけです、こう理解しておってよろしいですね。
  224. 河野洋平

    ○河野国務大臣 国連のワーキンググループが国連改革についての作業を行っております。かねてから私ども申し上げておりますように、国連が五十周年を迎えることし、発足当時とは国際社会からの期待も随分と変わってきているだろう。構成も変わってきている。そういった変化を踏まえて国連が改革をされるという状況にもあるわけでございまして、私どもは、ただ安保理に入ればいいというだけではなくて、国連そのものも改革をされていってほしいという気持ちを込めて国連を見ているわけでございます。
  225. 松田岩夫

    ○松田委員 国連をもちろん改革をしながら、改革を進めていくためにも、積極的な対応、常任理事国になって、我が国が理想とする世界、それがまた世界にとってもいいと思う行き方を世界の中で生かさせていただくためにも、私は、常任理事国に日本は積極的に、名乗りをもう上げられましたから、上げた以上はそうなるように全力でやっていくというのが筋だと思うものですから、これはこの程度にしておきますが、積極的に対応しておられると。  実はそういうふうに思っていない方があるものですから、今の政府は何となく腰が引けている、こういうふうに一般に言われているのです。新進党は熱心だけれども、今の政府はちょっと腰が引けているね、こういうふうに言われているものですから。そうじゃないですね。新進党と同じ、一生懸命対応していると。じゃ、どこが違いますか、どこが違うのですか。今外務大臣もこう顔を横に振られたものですから。
  226. 河野洋平

    ○河野国務大臣 新進党のこの問題に対する明快な、明示的な意見というものが余り表明されていないように思いますが、私どもとしては、政府としてはかねてから、国連総会で私も演説をさせていただきましたし、一歩一歩進めているところでございます。
  227. 松田岩夫

    ○松田委員 それじゃ、今度外務委員会でまた議論を続けさせていただきます。ちょうど私も外務委員なものですから、続けさせていただきます。何かあと十分ほどになってしまったものですから。  じゃ、ただ一つだけ聞きましょう、今のことに関して。  例えば、各国への対応というのはどうなさっているのですか。これはちょっと私どもやりにくいものですから、各国へ。外務省としては各国に対してどういう具体的な行動を今なさっておられますか、日々。
  228. 河野洋平

    ○河野国務大臣 先ほども申し上げましたが、国連の場におきましてワーキンググループの作業がございますし、そうした国連の場を主として活用をさせていただいて作業をいたしているところでございます。作業という言い方が適当であるかどうかわかりませんが、我が国の考え方を理解していただくべく説明をしておるというところでございます。
  229. 松田岩夫

    ○松田委員 その説得の仕方なんですけれども、恐らくその辺がどうも違うのではないかなと思うのです、お話のさせ方が。外務委員会でしっかりとまた御議論させていただきます。  それで、次に参ります。  きょうはいろいろなことを聞いて恐縮ですが、今の国連の関係で、やはり一番日本として積極的にかかわらさせていただき始めたこの国連の平和維持活動、日本が国際社会の中で生きていく上で、やはりこれも非常に大事な活動だなと私は思うのです。ODAも大事だ、WTOも大事だ。しかし、この国連の平和維持活動というのはまた別の意味で非常に大事だな、こう思うのですね。  それで、もうこれはいつになりますか、九二年ですか、そのときの宮澤喜一総理も出席して開かれた安保理首脳会議で、例のブトロス・ガリさんがまとめられた「平和への課題」というので、きょうは先ほど、午前中二見議員から日本のPKOのあり方についてはいろいろ御質疑がありまして、私、ちょっとその前段ということで、前段と言うといけませんが、むしろ世界の、国連のPKOというのはいかにあるべきかということについてちょっとだけ触れたいなと思うのですね。  そもそも国連で、国連が行うべきPKO活動、今おっしゃいました国連改革の実体的な中身の一つでもあります。あの「平和への課題」が出たころには、重装備の国連平和維持活動、この部隊を多少重装備にいたしまして、そして、平和執行活動、まあ予防外交、紛争の発生を防ぐ予防外交とか、あるいは平和創造、ピースメーキングあるいはピースビルディングというのですか、そういうための機能も持つというようなことで、多少PKO、いわゆる従来の伝統的なPKO、冷戦時代に積み重ねられてきたあの長い、知恵で積み重なってきたこのPKO、伝統的なPKO、それを生かして我らがPKOはでき上がっていみわけであります。我々の国の法律はでき上がっているわけであります。  そのまさに九二年の議論で、いや、さらにそれを多少超えて、新たに予防外交とかあるいは今言う平和創造のために、冷戦が終わって国連がそういう機能をもう少し持てるんじゃないかという御提案があって、ガリさんがまとめられたこの「平和への課題」ということでいろいろ議論がありましたが、その後を見てみますと、しかしなかなかこの平和創造というのは難しいものだな、特に国連が行うのは大変なことだなということを、私、実は個人としては感ずるわけですよ。  ソマリアあるいは今のユーゴ、こういったところの経験を見ますと、なかなか難しいな、やはり国連自身というものは、普遍的な組織といいますか、もうあらゆる国ででき上がっている組織ですから、国連自身が結局紛争の当事者になってしまうようなケース、あるいは紛争の当事者となりやすいようなケースというのはなかなか難しいなということをしみじみこのソマリアや旧ユーゴ、ソマリアは結局撤収したわけでございますが、ユーゴはまだ先の展望が見えないまま今続いていると言っていいでしょうが、こういう形ですね。こういう形はなかなか難しいのかなという感じを、私自身実は持ちつつあるのです。  ですから、国連の平和維持活動というようなもの、従来培ってきた、いわゆる伝統的なPKOと言われるもの、そういうものを大事に大事にまずしていくことかな、そんな気持ちを持っております。  そうだとすると私は、実はそこからが大事なんですが、この伝統的なPKO活動といったものには日本は、何も心配ないと言うといけませんが、それなりにしっかりと対応していくという考え方というものも大事がな。まあそう思いまして、これから、午前中きょうは十分質疑がありましたのでこれ以上申しませんが、日本のPKO活動のあり方、国連の方でもガリさんもついこの間、なかなか国連の能力を超えるものだなということをはっきりと述べられておられましたけれども、別にそんなものをやろうとするのではない、まさに両当事者の間に入って本当に伝統的なPKO活動ということでやる限りにおいては、この国連の活動としてしっかり定着させて、そしてそれを我が国は率先して対応していく、こういう行き方かな、まあ私個人そういうようにだんだん思っているものですから、これも、そういう意味で見ますと、私どものPKOの姿というのは非常に中途半端だなということを申しておきます。  そこで、ひとつ具体的に、今積極的に参加しなきゃいかぬと思いながら見ますと、全部引き揚げまして今一つもまだ参加していない、今はたまたまそういう状況になっているわけですが、ゴラン高原というのは一つ可能性がある地域として今調査をしておられるということですが、いろいろ新聞でしか私知りませんけれども、何か昨年十二月六日の閣僚懇談会で、自衛隊をどんどん出すのではなく、慎重に状況判断をして選択すべきだ、政府内に慎重論も根強くあると聞く。これは新聞の記事ですから間違っていると思いますが、慎重論が相次いだ背景には、PKO政策の主導権を官僚から政治家へ取り戻そうとするねらいがあるとも言われる、そんなことまで書かれている。こんな茶化された言い方をされたらたまったものじゃないと私は思うのですね。  PKO活動というものをこれから本当に国民の合意を得ながら立派なものにしていきたいと思う気持ちからすると、こんなふうに茶化されて書かれるというのは何のことだと。そんな理由で本当に閣僚から慎重論が出ているとすれば、本末転倒も甚だしいということに私などは思うのです。いや、それは新聞記事で、そういうものは事実じゃないよとおっしゃるかもしれませんが、もうちょっと内閣がしっかり機能してもらわないと困るなと、そんなことを思わさせていただくわけですが、ゴラン高原の派遣についてしっかりと対応してい・たたきだい。調査をし、そして必要があるものであればちゃんと出せばいいのでと思っております私からすると、こういう記事はまことに不可解千万、こういうふうに思われるわけですが、これは事実と違いますね、幾ら何でも。どうなんですか、外務大臣。これは総理にお聞きしますか。
  230. 河野洋平

    ○河野国務大臣 ゴラン高原へのPKOの派遣が一部新聞に当時出たことがございます。その新聞記事をめぐって、これは一体どういうことだというふうにお感じになった方があったとしても、それはそういうことはあると思います。  当時、まだ我が国はモザンビークにもザイールにも相当大量の自衛隊員をPKO及び人道支援ということで派遣をしておった状況でございますから、これらがとにもかくにも無事に戻ってきて、それからひとつこの問題、議論をもう一度しましょうということであったというふうに思います。
  231. 松田岩夫

    ○松田委員 時間が来ましたのであれですが、最後に私、ほかの委員の御質疑の中でちょっと感じましたのですが、総理、やはりこの自衛隊の違憲から合憲とか、日米安保条約、これを今は堅持、これは我々は昔からそうなんですけれども、私は昔からそうなんですけれども総理はそうでなかった。社会党はそうでなかった、これは。説明がやはり本当に不明確、不明瞭です。  これは私も聞いていてよくわからないものですから、あえて最後にあれですが、やはり理由をはっきり明らかにしていただくことがどんなにこれ大事か。今の説明ではとても、だれが聞いてもわからない。なぜ自衛隊が違憲から合憲になったのか。これも、PKO活動にいたしましても、災害にいたしましても、とても大事なんだ。これからの日本の行き方という意味で、とても大事なんです、国際社会で生きていく上でも国内でも。ですから私は、自衛隊の違憲から合憲というものを明確にきちっと総括しておいていただかないと非常に不安だ。説明が全然わからない。  そこを最後に、つまり自衛隊の性格が変わって合憲になったのですか、憲法が改正されて合憲になったのですか。どっちでもないというのに合憲論をとるということは、とりもなおさずこれまでの違憲論が間違っておった、そういうことですね。そういってはっきりおっしゃれば、何もくだくだくだくだおっしゃることも頭ないのです。社会党がこれまでとった違憲論は間違っておった、それですべて終わっちゃうのですけれども。  ですから、どうなんだと。一体自衛隊の性格が変わったのか。変わっていません。変わっていませんわね。私どもこんなもの、何も軍拡のために自衛隊を持ったと思ったことはない。いつも専守防衛。もうまさにきょうも議論がたくさん出ましたが、自衛隊の性格が変わったわけでもない、憲法が改正されたわけでもないのだから、社会党が合憲論をとるということは、とりもなおさずこれまでの違憲論が間違っておった、それ以外論理的にないのです。  ですから、そのことを最後に総理、いや間違っておったと、国民皆さん、そういうことです、こうおっしゃっていただくと、すぱっとすべての問題が解決いたすのですけれども総理、よろしく。
  232. 村山富市

    村山内閣総理大臣 最初のPKOの問題につきましては、PKO成立当時の国会の審議も十分踏まえた上で、これは五原則はきちっと確認されているわけですから、その五原則に基づいて積極的にやれれば国際貢献はやっていこう、こういうことについてはもう一致していますから、誤解のないようにお願いしたいと思うのです。  それから、自衛隊、この違憲合憲の問題ですね。これはもうずっと従来から申し上げておりますように、憲法に対する解釈が変わったわけではなくて、憲法を取り巻く国際情勢が変わったんですよ。日本を取り巻く国際情勢が変わったんですよ。したがって、社会党の、この変わった情勢に対して政策の転換をしたわけです。そういう意味自衛隊に対する解釈を変えたということでありますから、まあ時間がありませんから簡単に申し上げましたけれども、御理解をいただきたいと思うのです。
  233. 松田岩夫

    ○松田委員 ありがとうございました。  依然としてわかりにくいものですから、ぜひ次までに、わかりやすい、国民が聞いてだれでもわかる、つまり社会党はこれまで違憲と言ってきたが、これは間違いであったと、はっきりそうおっしゃられることが今一番大事なことだということをあえて申し添えさしていただきまして、質問を終わります。
  234. 三野優美

    ○三野委員長代理 これにて松田君の質疑は終了いたしました。  次に、左藤恵君。
  235. 左藤恵

    左藤委員 私も、このたびの関西大震災に関しまして、たくさんの亡くなられた方々に心から哀悼の誠をささげ、そしてけがをされた方、また家をなくされた方、非常に御不自由な生活を今されている方々にお見舞いを申し上げたいと思います。  実は、もっとほかの問題も予算審議でありますので取り上げたいと思いましたけれども、当面の問題として震災対策で、いろいろと既に論議をされた点もあったわけでありますけれども、その中でお触れになっていない問題点なんかも、若干震災の対策の問題につきまして質疑をさせていただきたいと思います。  きょうもお話がありました自衛隊の出動とかいろんな問題について、初動が非常におくれたことが被害を大きくしたということについては、そういった問題があり、しかし自衛隊皆さんは、その範囲内におきまして最大の努力をされたということについて、そして今日もまだ続けてやっておられるということについて、非常に御苦労であった、このように思います。  こういった初動のおくれの中に、一つ被害状況の把握が十分でなかったということがあって、そして何時間もたちましても死亡の方々の数が二けた程度で、三けたまでいっていなかった、それで、実際の問題として五千人を超える大変な死者が出たわけであります。  そういったことで、まずこの人命救助というものが最大の問題だろうと思いますから、それには、どこにどういった方々が住んでおられるかということについての把握、その被害の、地震状況から見て、当然このくらいの方は大変な目に遭っておられるんだなという把握があったら自衛隊に対する要請も早かったでありましょうし、それからまた、いろんな手を打つこと、まず人命の救助というものに取り組むことができたろうと思います。  その関係におきまして、通信というものがこの地震発生直後にかなり途絶しておったのではないか、この状況を私はもっといろいろの面で考えておかなければならないんじゃないか、こう思います。  もちろん自治体におかれましても、平素の問題として防災無線というものはやっておられるわけでありますから、このことに関連して、有線であればいろんな面で現実問題として断線、線が断絶してしまうということで役に立たないわけであります。そういうことで、無線というものについていろいろと活用されておりますが、最近は周波数のいろんな分配の問題もありまして、防災無線というのは完全に周波数の対策はやっておられるとは思いますけれども、それにおきましても、例えば電源が切れてしまったということで活動しておらないような状況もある。  まさかそんなことがあるまいというふうな前提であって、自家発電はありましても、そこに水が入ってしまったということでとまってしまっている例もあるだろうと思いますが、こういったことで、今回の反省と同時に、これからどういった対策でやったらいいかということで、防災無線の状況について御説明いただきたいと思います。
  236. 野中広務

    野中国務大臣 お答えいたします。  今回の兵庫におきます地震につきまして、地域衛星通信ネットワークの兵庫県の地球局は百六十三局あるわけでございます。けれども、一月十七日の午前五時四十六分に地震が発生いたしまして、その直後に、今御指摘ございましたように関西電力からの電力の供給が停止されました。したがいまして、兵庫県の衛星地球局の電源装置がすべて電力供給によって開始をされる仕組みになっておりますので、これと同時に県庁の衛星地球局の設備を自家発電に切りかえたわけでございます。そして始動をしたわけでございますが、自家発電設備の冷却水のタンクが転倒いたしまして、冷却水が漏水をいたしましたために発電機がオーバーヒートという状況になりまして、午前十時二十三分に一時機能を停止をしたのでございます。  その間、消防庁及び兵庫県庁とはNTTの優先電話で電話をいたしまして、そして連絡に当たったわけでございますけれども、ようやく十一時五十五分になりまして関西電力の電力供給が再開をされましたので、午後十二時五分、その機能を回復をしたところでございます。約一時間三十分、申し上げましたようにこの情報通信が途絶をせざるを得なかったというようなことになったのでございます。  今回、兵庫県の衛星地球局が一時的に機能を停止した間におきまして、先ほど申し上げましたように、NTT回線の災害時優先電話で電話いたしまして広域な応援要請など速やかに行ったところでありますが、兵庫県内の先ほど申し上げました百六十三局のうち四局、すなわち、西宮市、西神戸の庁舎局、第五管区海上保安部局、NHK神戸局、この四局を除きまして当初からすべて機能をいたしておったわけでございます。四局につきましても、去る二十六日までに完全復旧をしたところでございます。  なお、災害発生の後の衛星通信を利用いたしました通話状況は、ふだんの四倍ないし五倍の通話時間となっておるのでございます。  自治体の衛星通信機構は、兵庫県内からの発信に対しまして五十回線分の優先回線を設定いたしまして、十分の通信を確保したところでございますけれども、先ほど御指摘がございましたように、このような予期せぬ自家発電装置の漏水ということによってその機能が一時間半停止をいたしましたことは、私ども今回の経験にかんがみまして、これを教訓といたしまして、なお一層改善を図っていくように努力をいたしたいと考えておるところでございます。
  237. 左藤恵

    左藤委員 今いろいろお話がありましたが、まさかこういったところが故障するというふうなことは予期されていないということ、こういう防災の問題になりますと、私は二重三重にそういった安全策を考えるべきではないか、このように思います。  特に、大きな装置を持っているところの連絡だけでなくて、一般の一一〇審とか一一九番とかそういったものも、NTTの回線がやられるとかいうことになったときに活動しないとか、いろいろな問題が国民の身近な問題として、警察が来てくれない、消防が来てくれないというふうな問題が物すごくまたありましても、一挙に火事があちらこちらでも起こったりすることもありますから、とてもじゃないが、回線の容量から見ても通話できないということになってしまって、それだけ余計に危険がふえてくる、こういうような問題があるだろうと思います。  こういうことを考えた場合に、NTTの回線とかそういうような電話だけでやるというだけじゃなくて、最近のことですから、何か移動無線なんかの無線機が非常に発達しておる。皆さん自動車電話を持っておられるし、そのほか軽便な移動無線の電波局といいますか、そういうものの数はもう物すごい数になっておるわけでありますから、これをもう少し災害のときには秩序づけてやることが検討できないか。  これはどこでやるか。地震対策としておやりいただくというのであれば、やはり自治体だけでなくて中央の方で考えていただかなければならないので、郵政相から御答弁いただけたらありがたいと思います。
  238. 大出俊

    大出国務大臣 左藤さんの今の御質問お答えをいたします。  大変な状況でございまして、十七日昼過ぎに情報を集めましたら、市外回線で四カ所切断箇所がございまして、これをいち早く迂回回線を使いまして、この日におおむね七割ぐらいは市外は通信できるようになったのでございますけれども、三〇%はだめでございました。苦心してこれを直していきまして、これは市外でございますけれども、一〇〇%回復したのは十九日になりました。十九日で市外はおおむね回復をしております。  ところが、加入者電話でございますけれども、これは三十一万回線が不通でございまして、その最大の問題は、交換機が八つばかり、いろいろな理由がありますから省略いたしますけれども、使えなくなりました。八局でございます。したがいまして、これを何とかしなければというのでやってまいりまして、二十六万回線回復をいたしまして、残り五万残っております。ここ数日の間に一万復活いたしますので、四万残るわけですが、これは何とか、おうちが焼失したりしておりますから、道路はつぶれている、そこのところまでは通しておきたい、一カ月以内に、残り四万回線についてはということなんです。  そこで、今お話がいみじくもございましたが、何が一体強くて、将来に向かってどういう教訓が残ったのかということでございますが、架空線、空中にこう、もう同じ郵政ですからあれですけれども、こちらはほとんどもう焼失なり地震によって切れて、断線してしまっている。ところが、埋設してあります地下のものはほとんど生きておりまして、したがって、なくなってしまってもすぐ立ち上がれる、地下に入っていれば。これは非常に金がかかりますけれども、こればかりはあえてそこに焦点を置いた考え方でいかなきゃならぬと思っておるわけでございます。  今は、またお話がございましたように、最近の携帯電話式は移動局でございますけれども、この移動局の方は意外に地震に強いということも明らかになってまいっておりまして、移動局も全体で四百五十局移動電話の局がございますが、このうち百四十五局がつぶれましたけれども、いち早く百四十四局が復活しております。大体一・五キロぐらいですから、ここで聞こえないと、少し移動すると聞こえる、重複していますから。そういう意味では非常に電話等には強いことになる。また、インマルサットなどの衛星通信、数が非常に少ないわけですけれども、これも関係なしにいつでもどこでも使えるということでございます。  したがいまして、今の御質問お答えすれば、二月の八日ごろに担当局で検討会をつくりまして、早速この教訓に従って、どういうことになるかという、地震に強い、こういう災害に強い通信網、これを確保するという意味で、五月ぐらいまでに結論の出るような検討会を始めていかなければならぬと思っているところでございます。  特に、最後に申し上げておきたいのは、七十八万五千ございます公衆電話、これは規制が入りませんから非常に使いやすい。だから、回線がつぶれましたから、現在二千七百台の公衆電話を七百二十カ所に配置をしておりまして非常に喜ばれておりますが、無線の方も三千八百九十、移動電話その他配置しておりますけれども、この七十八万五千ある全国の公衆電話が守られれば、この災害についても非常に有効に機能できるということになります。したがいまして、ラジオもございますけれども、そこらの問題を中心に早速前向きにやっていきたい、こう思っております。  とりあえずお答えいたします。
  239. 左藤恵

    左藤委員 今、公衆電話のお話がありましたが、十七日の災害があった日には、たくさんの人が公衆電話だけかかるわということで行列をされておる。やっとかかった方もあるし、そうでなかった方もあったわけですが、その公衆電話一つ取り上げてみましても、あれは十円玉を持ってやらないことには、テレホンカードでやった場合には、磁気のそれが読み取れないというような問題があって、そこの電気が切れた場合にはいけないとかいろいろな点であるので、そういった点も工夫しないことにはいけないのじゃないか、こう思います。  これは本当に、なぜ十円玉を使わなければいかぬかということについても、国民にそういうことをよく説明しておいて、いざというときにはこういうものが必要なんだということからやっておく必要があるのじゃないかと思います。
  240. 大出俊

    大出国務大臣 お答えいたします。  なぜ使えないのかという疑問が恐らくたくさんあったと思うのですけれども、こういうことになっています。  電話局からの回線で動いているというのが十円玉なんですね。電話局からの給電、数十ミリワットという程度の極めて低い電流で動くということですね、十円の場合は。ところが、テレホンカードを使いますと、ローラー起動といいまして、吸い込んでいきますね、こう入れますと。そのためにミリワットじゃなくて数十ワットの電流が要る。したがいまして、回線で流れてくる電流じゃできないわけでございまして、別な電源をつくって動かしているというのが現状でございまして、これは古い電話の場合に、百円玉というのも同じように流れてくる回線の電流じゃ動かないわけでございますから、ここらのところはあらかじめ本当ならば責任官庁が申し上げて、常日ごろから皆さんがそれを知っているということでなきゃいかぬというふうに思っているわけでございます。  あわせて、さっきもう一つございましたラジオなどというのは、国内でつくっていないので非常に困りましたが、在庫が一万五千ありましたので、一万二千、これはスピーカーでございます、三千はレシーバーですけれども、ここらも非常に地震災害には強いということになるわけでございますので、そこらも含めて極力PRもして前向きに検討していこう、こういうことでございます。     〔三野委員長代理退席、委員長着席〕
  241. 左藤恵

    左藤委員 こういった被災されたときには一番何が大切かということは、私は情報だろうと思います。どこへ安全に退避することができるかということから始まりまして、そして、今度は個人の安否を知るためのいろいろな連絡、電話というものが物すごくこの今回の経験でも行われた。また現実、電話で安否を知ることによって、いろいろなそれに対する救援というようなものも行われたのじゃないか、私はこのように思います。  これのラジオの効果といいますか、そういうもので流言飛語というようなものを抑えていくということで、恐らくほかの国に起きましたら、私はパニックというようなものが生じておったのではないかと思いますが、今回そういった点も非常によくやっていただいたので、大きなそういった混乱というものがなかったということは非常によかったと思いますし、今後もこれはもっと活用していかなきゃならないのじゃないかと思います。  安否の問題に関連しまして、今回、情報を電話で送っておいて、それをテレビで報道するとか、こういうことは、本来の放送法の利用から見たら私は違法な方法だろうと思いますけれども、こういった緊急の場合には最も適切な方法であろうと思いますし、こういった点で法的なことも考えておいていただいて、いざというときにはそういったことも十分活用できて、情報をお互いに交換できる場にテレビも、それからFMラジオも全部活用できることを大いにこれからやっていただきたい、このように思います。  そういうことがあれば、NHKに限らず民放におきましても、積極的にそういったことについて、非常の災害のときの民心の安定という点で非常に大きな働きをするから、こういうことについては十分活用していただきたい、このように思います。  もう一つ、最近、今度の神戸の場合なんか特にそうだと思いますが、外国人がたくさん住んでおるということもありまして、この人たちに対するいろんな情報というものの伝達から見ましても、できればNHKのラジオの一部とかそういったもので、何か英語の放送でもしてやっていただくということも考えていただきたいな、このように思いますが、これもひとつ御検討いただけるかどうか、ちょっと……。
  242. 大出俊

    大出国務大臣 二つございまして、一つは、御指摘のように、NHKそれから民間の事業者、災害時におけるマニュアルをこしらえておくこと、これはもうできております。  それから二番目に、災害時に備えた緊急放送の訓練というのがございまして、これも今やっております。  それから予備電源、予備送信機などの整備点検、これらをやってくれということを郵政省側から事業者にずっと言ってきているわけでございます。そして、特に地方公共団体からの情報災害時に迅速に提供できるようにというので、自治体との間で事業者が協定を結んでおくこと、こうなっておりまして、改めて私も調べてみましたが、ほとんど結ばれております。今こういう状況でございます。  それから、大変外国の方が多いものですから、公衆電話を無料で特設をいたしましたが、いきなりこれは無料で国外にかけられるようになっておりまして、私が神戸市庁舎に行って市長と話しているときも、何人も外国の方がかけておりました。  そこで、さて今お話しの外国語放送ですね。これは神戸、兵庫というところに絞りまして何カ国語ございますかな。英語。フランス語は意外に少ない、二局くらいですけれども、あとはタガログであるとかスワヒリであるとか全部入れまして、特に韓国・朝鮮語、全部入れて非常に親切にやっております。  以上でございます。
  243. 野中広務

    野中国務大臣 今お話ございました中で、今回非常に大きな力を被災者に与えましたのは、兵庫県及び兵庫県下の各市が出資をいたしまして「KisslFM KOBE」というのをつくっております。これが実は二十四時間連続して、被災以来災害状況を放送をしてくれたわけでございまして、各省それぞれメーカーの御協力をいただきまして、数万台の携帯無線ラジオをそれぞれ被災者に渡すことも御協力をいただいたわけでございまして、FM放送が非常な威力を発揮し、その他、お説のようにNHK初め関係民放、それぞれ御協力をいただきました。  また、私、先ほど申し上げました防災無線につきましても、香川県の衛星車載局をお願いをいたしまして、来ていただきました。非常な活躍をしていただくことになりました。したがいまして、防災無線システムというものを、これからも周辺自治体のネットワークをつくりまして、ぜひ支援の体制を整えていきたいと存じておるところでございます。
  244. 左藤恵

    左藤委員 そういった施設の全国的なひとつ対策を、どこでいつ地震が起こるかわからないわけですし、地震に限りません、ほかの災害ということも当然考えられますので、そういった面での情報を、地域的な情報といいますか、そういうようなものを安定的に出すことができるということを日ごろから考えておかなきゃいかぬじゃないかな、私はこのように思います。  先ほど通信衛星が話題にありましたが、通信衛星のことにつきましては、非常に微妙な調整というものが電波の方向を確保する上において必要だと思いますが、地震とかそういったことにおいて、滑ったり、何かその装置が動いたり、いろいろなことがあって調整ができなくならないような、これも日ごろからそういったことについての対策というものを考えておかないと、電気がなかったならばそれができないということであっても困るわけでありまして、この辺もひとついろいろ御配慮いただきたいと思います。  それからもう一つは、大体そういったことについて、今後ともいろいろなことで防災無線というものについて努力していただくのは基本的に当然だと思いますが、アマチュア無線、これも組織的にJARLというクラブがあるわけでありますけれども、これをもう少し防災に協力していただいて、いつでも、突発的なところで起こった、非常に交通の便利の悪いところに起こってもそれができるような、何かそういう仕組みというものを、これは郵政省の方で積極的にそういったことについて協力をしていただきたいな、このように思いますが、これはいかがでしょうか。
  245. 大出俊

    大出国務大臣 後の方からお答えをいたしますが、このたびも、今のアマチュア無線ですね、また、免許を持っている方も非常に多いわけでございますから、そこで組織にお話もしたり、来たりいたしまして、このたび二百台、無線関係の機器が三千八百九十台とさっき私申し上げましたが、二百台アマチュア無線の無線機が入っておりまして、各避難所にほとんどおられて連絡をとっていただいている。これを今後とも災害に備えてより研究を深めていきたい、こう思っております。  衛星のお話もございましたが、これも早速私ども、今回のこの被害を大きな教訓にいたしまして、組織をつくって検討していくということにいたしておりますので、一生懸命やってみたいと思っております。
  246. 左藤恵

    左藤委員 今マルチメディア時代、いろいろな構想を郵政省でも立てていただく、また、通産省でもいろいろなメーカーに対する指導なんかもなさっておられる。特に、自治省で自治体の間のそういったものを、例えば光ファイバーのネットワークをつくるとか、そういったことで新しい技術というものをどんどん入れていって、これを行政に使っていくということで活用していただいていることは、私は非常に結構なことだと思いますし、今後とも努力していただきたいのです。  そういった場合に、常にバイパスといいますか、何が起こるかわからないときの安全性といいますか、これも、どんどん科学が進歩して、技術的なものが進んだものばかりに依存するようなことがあって、もし今度のようなそういった大きな災害があったときに通信ができなくなってしまうようなことになったときの混乱というものを考えますと、大変なことになりますので、そういった点で、例えば光ファイバーのネットワークをつくられるときにも十分災害のことを考えた対策をやっていただきたいと思いますが、自治省としてどうでしょうか。
  247. 野中広務

    野中国務大臣 今御指摘のように、今回の防災無線の一時的途絶を考えますときに、私どもとしても設備をまず二重化することを指導をしてきたわけでございますけれども、人的配置においてもそういう部門を十分配置をいたしまして、電源が切れたときの発電機も機能したわけでございますけれども、予期せぬ転倒によって水漏れというようなことがあったわけでございますので、今御指摘のバイパス的な装置をも十分配慮をしながら全国の防災無線の整備に手がけてまいりたいと存ずるところでございます。
  248. 左藤恵

    左藤委員 通信の関係につきましては以上で私終わらせていただきますが、実は昨日、私、今大変な混乱をしております、たくさんの方が避難されております西宮市と芦屋市とのその現場を少し見せていただきました。想像以上に大変な、烈震というのですか、激震というべきなのでしょうか、物すごいところで、特に活断層が走ったといいますか、そこの地区だけは家が壊れたり、大変なことになっておりまして、そこにあります学校なんかも非常にひどい被害を受けておりました。  そこでは、したがって避難所としてもしばらくの間のことですが、これはどうも危険だというような地区までありました。大変皆さんお困りのようでありますし、そして、そこへ行きます道路なんかもあちらこちら陥没したりなんかして、非常に大変なところも少しきのう見せていただきました。  それにもかかわらず、皆さんはとにかく避難所といいますか、学校の体育館とか教室とか廊下まで、何カ所かにたくさんの方がおられる。トータルで今まだ二十七万を超えておられるそうであります。最高三十一万までいかれたという話ですが、それだけの方が避難しておられます。  そうしたところをずっと回らせていただきましたときに、学校が避難所になっている間、授業もすることもできないわけであります。そして、子供たちは今、三学期のこれから卒業まで学年の締めくくりをしなければならない一番大事なときではあるわけでありますけれども、大変なそうした生活の状況を見て、避難所を提供して、改修して学校の授業を続けることもできないような状態になっておるということで、まず今そうした緊急避難をしておられる方々を仮設住宅とかそういったところへ入っていただくというような努力をしていただかなければなりません。既に市の方では何千戸という仮設住宅の建設なんかを今現在やっておりますので、二月の中旬以降に入っていかれるのじゃないかな、こう思います。  そうすれば学校の授業もできるかとも思いますが、地区によりましては子供の教育を非常に心配して、まずその安否を確かめるために登校してこいと、一日そういうことでいろいろな指導をする。それから、その後はまた半日授業とか、所によっては二部授業、午前と午後とやる。こういうようなことでもして、何としてでも先生方も頑張って授業をやっていきたいというようなことを、校長先生中学校、小学校の先生方にお会いしまして、そういったことで意欲的にやっておられる。  まず子供の通学路の安全というものを全部点検しないと心配だとか、いろいろな問題がありまして大変だろうと思います。これは、文部省としてそういうことでやっていただくと同時に、もちろん建設省初め皆さんが仮設住宅とかそういうものの推進を積極的にやっていただくということが大切だ、このように思いますが、そういうことについて文部大臣はどういうふうに今お考えになっているか。
  249. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 この地震で教育関係が受けました被害というのは大変大きなものでございまして、四千カ所以上が何らかの修復、建て直しというものが必要となっております。必要なお金の額も、百億の単位ではなくて恐らく千億の単位になることは間違いないと思っております。  現在、激甚災害の指定を受けました地域の中にあります学校は約千二百ございますが、そのうち臨時休校をしておりますのが三百九校ございます。全く勉強の場を提供できないという状況になっております。  そのほか、先生ただいま御指摘になりましたように、学校が住民の避難の場所となっておりまして、三百八十八の施設に約十七万人の方が避難生活を送っておられます。  私どもとしては、児童生徒もそろそろ学校へ行きたいという気持ちが強まってきておると思いますし、また保護者、両親の方々も子供の教育ということを大変心配されておられますので、なるべく早い立ち上がりをしたいと思っておりますが、やはり先生御指摘のように、学校教育施設の、例えば建物の安全等のきちんとしたチェックも必要ですし、通学路が安全かということのチェックも必要ですし、また避難されている住民方々の生活ということも十二分に考慮をしなければなりませんし、そういう中で一つずつ解決をしていかなければなりません。  ただ、教科書とか学用品等はもう既に手配済みでございますので、この方は心配ないと思いますが、実際の学校の施設、それから仮設住宅の建設の進行状況、そういう中で自然な立ち上がりで教育をもとのところに戻す、そういうことをしなければならないと思っております。
  250. 左藤恵

    左藤委員 全国の各自治体から、あるいは個人的にも、子供さんをホームステイといいますか、受け入れしたいとか、あるいは、もっと大規模で、戦争中の学童疎開のようなああいうことで学校全体をとこか一時的にでもそこへ疎開をということの申し出はたくさん入っておるようですけれども、現実問題として、やはりそれに行かれる希望というのは非常に少なくて、個人的に何人かの子供さんが全く関係のないところへ、親戚とかそういうところでないところへ、ほかへ転校したりなんかしているケースはあるようですけれども、全般的には申し出の数に比べてほんの微々たるものしか現在進んでおらない。  この問題は、やはり地域的に、そこにお父さん、お母さんたちが生活していきたいというような希望がある。今、仮設のところへ、そういう避難所といいますか、収容所のところにおられるけれども、何とかこの地域で立ち直っていきたいというふうなことを希望しておられる方が多いからだろうと思いますが、非常にその辺が迷っておられる方がおる。  中で、今の建設関係で、仮設住宅とか、抽せんでこれは進むのでしょうけれども自分のうちが全壊とか半壊をしているという方がおられる。これを建て直すということにつきまして、今度行って、何カ所かでそうした避難された方から私は直接聞いたのですが、一体、今、国会でも論議されているようですけれども、建物を取り壊すという経費を、公的に、国または自治体でやってもらえるのかどうか。何か聞いたら、国が半分出して、そして自治体で残りの三割出して、個人が二割出すとかいうふうなこともあるだろうが、これは一体、もう既に着手したという人もいらっしゃるし、まだしていないという人はこれからどんな契約をしたらいいのか。  これを早くして、そしてそこへ建てることができればと言うのですが、こういうことについてのはっきりした意思表示というものをその人たちに教えてあげないことには、そういうことが論議をされているとかいう程度のことしか理解されていないとか、あるいは一部、もう兵庫県あたりは相談には応じ始めたそうですけれども、これが一体いっどういう形ではっきりしたものが出てくるのかというような問題について、非常にこれからの見通しの、生活の設計の第一の問題が家を建て直すというような問題だろうと思いますので、こういったことについては早くそういうことで周知することを考えてあげなければいかぬじゃないか、このように思います。そうしないと、いつまでも避難所におらなければならないということで、学校の再開もできなくなってしまうということで、そちらの方が免じゃないかと思いますが、この辺はいかがでしょうか。これは官房長官から……。
  251. 五十嵐広三

    ○五十嵐国務大臣 ただいまお話しのように、すべての復旧復興の上で、当面の破壊しかかっている、あるいは破壊された瓦れき等の処理というのが一番先行をし、大事なことであろうというふうに思います。何分にも膨大な瓦れきの量になっておりまして、これをしかし一日も早く整理をするということが大事でありますが、これにつきましては、ただいま御指摘のように、従前問題になっております点は、解体の費用を援助するという道がなかったわけなんでございます。  瓦れきの撤去に関しましては、これは二分の一国で持ちまして、あとは自治体で持つ。もちろんこれは起債で見るわけでありますが、そしてその償還時には相当部分を地方交付税で見るということになっているわけでありますが、問題は、倒れていない、倒れかかっているとか、この辺の解体の費用について、これも相当なものでありますが、実は先日、総理の御指示もいただいて、全閣僚による緊急対策本部で議論をいたしまして、これも同じように国で持つことにしよう、こういう方針にいたしました。  そうしますと、全体で大体、瓦れきの撤去あるいは今の解体の費用等も含めて、総事業費で、これは全くのつかみでありますから相当まだ変わる可能性もありますが、約千五百億円ぐらいかかるかというふうに思っておりますが、したがいまして、一般の市民の皆さんはこれは負担しなくてもいいということになるわけであります。国と県市、つまり自治体でこれを負担するということになってまいります。  ただし、大企業の施設の場合は、これは融資制度でひとつ我慢してもらうというようなこともあわせて方針を立てている次第でございます。
  252. 左藤恵

    左藤委員 今のお話のことにつきまして、はっきりした線を早く出してあげるということが一番問題だと思いますので、その点をお願いいたしたいと思います。  いろいろ今小学校の整備をして、何とか早く授業をしたいということで先生方も努力をしておられるんですが、特に先生方は、地域の人たちのそういった世話、県庁の職員、一般の職員の方ではとてもじゃないが手が回らないということで、地域のPTA等々いろいろな関係もある、地域の方々との関係もありまして、校長先生以下教職員が毎日、自分の家は被災されておっても、泊まり込みで一生懸命そういった方々の生活の安定といいますか、とにかくいろいろな問題で、例えば便所の詰まった掃除まで進んでやっていただいている。  私は本当に頭の下がる思いがしたわけですが、こういったことで、生活関係のいろいろなお手伝いといいますか、そういうことの指導を先生はしながら、今度は教育関係の授業の方をやられていくということは非常に大変なことだ、こういうことを言っておられますけれども、そんなことを言っておられない、こういう緊急のときにはぜひやらしてほしい。私が行きましたのは西宮市の大社中学校とか大社小学校、そういったところの校長先生、どちらもそんなことで一生懸命頑張っておられました。これまた非常に私はありがたいことだし、とうといことだと思います。  また、そういう先生がおられたら、早晩また授業も再開していただける、このように期待しているわけですけれども、この四月六日か何かだと思いますけれども文部省としては教員の定数という問題が出てくるだろうと思うんです。今、それでなくても子供さんの数が減ってきているということで、四十人学級で、例えば四十一人おれは二学級になるが、それが三十九になったら一学級になってしまう。  こういうようなことで、それでなくても非常に子供の数が減ってきておるのに、今回のこういったときに、今親戚へ行ったりして一時的に他府県へ行ったりしておる子供があって、それがまた帰ってくるというのがあるわけですし、それから、今のそういった仮設住宅とかそういうようなものが完全にできればそこに定着してくれるわけですけれども、それが見通しがなかったらまたほかのところへ行く。今、一時的にホテルなんかにも随分、大阪あたりのところへ来ておる父兄がある。それに子供がついていっているから、やはり学校へ行こうと思えばそこの小学校へ行かされる。  こういうふうな問題がありまして、一時的には激減するだろう、こういうことにしておられるんですが、定数をそのままその計算でやられたぐらいなら、それでなくても大変なときであるので、暫定的にでも、一年間のいろんなことであっても、そういったことについて、これを一番校長先生も心配しておられるということもありますが、これは文部大臣、いかがでしょうか。
  253. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 今避難場所になっております学校の教職員は、本当に日夜分かたず住民のお世話をしております。また、高校等では高校生がボランティアとして手伝っております。また、ボランティアのお医者さんも看護婦の方も学校の中で住民のお世話をしており、一つの小さな社会がそこにできているわけでございます。  そこで、先生お尋ねの教職員配置の定数の問題でございますが、しゃくし定規に物をやるということは多分間違いだろう。こういう大きな地震の後の特別な事情というものを考慮して、弾力的に、また、かつ妥当性を持った判断をして定数の配置をやるということが私は当然であると思っております。
  254. 左藤恵

    左藤委員 今教育関係では、入学試験の時期を延期したり、いろんな被災者の学生に対する特別の便宜を図ったりするわけですけれども、入学生に対しての、またこれは例えば下宿探したって非常に難しいだろうと思いますし、特に在校生が続けてそうした授業を受けようと思ったときに、住むところがない。また、現実にそういうことで亡くなった方もたくさんあるわけなんですが、こういったところに対しまして、これは一体、大学でそういったものを確保する、やはり地方自治体でやられるのか、これは何か文部省としてもひとつそういったことに対しての支援をすることを考えられないか、これはひとつ御意見を伺いたいと思います。
  255. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 入学試験関係につきましては、被災地の学生であるがゆえに多大な不利益をこうむるということのないように、いろんな配慮をしなければならないと思っております。国公立大学並びに私立大学の関係団体にお願いをしまして、出願の書類の簡素化、あるいは出願期日の弾力化、試験日の繰り延べ等もお願いをしておりますし、また国立大学では、場合によっては被災地方々のために特別の試験を前期、後期のほかもう一回やるということも今研究をされております。またこれは結論が出ておりません。  もう一つは、受験生が果たして、高校受験であれ、大学受験であれ、受験勉強をする場所があるかということですが、これは文教関係あるいはその他の社会教育関係施設、あらゆるところを今夜間開放いたしまして、受験勉強ができるようにしております。また、受験勉強に必要な教科書、参考書等も失われているものが多いと思いますので、そういうものも全国から今集めまして、大阪大学を拠点にしまして、そういうものを受験生に配付するという作業にも入っております。  ただ、住む場所となりますと、これは一般の住民の方と同じようなこととなっておりまして、そこまでは、心痛む問題でございますけれども、手が回らないというのが実情でございます。ただし、例えば被災地の受験生が東京に出てこられた場合はどうなるのか。この場合は、例えば代々木にオリンピックの記念センターが、青少年センターがございますが、ここは無料で御利用いただけるように手配をしておりますし、その他の施設も御上京の折には無料で御使用いただく、こういう手配もしております。
  256. 左藤恵

    左藤委員 それともう一つ、国公立の学校、それはまたそれでいいと思いますけれども、問題は、私立の学校に対します施設の災害復興につきまして、激甚災の指定のときでは二分の一の事業費の助成ということになっておると思いますが、これを例えば、非常に今被害も大きいし、それから私立の経営というのは非常に難しいときでありますので、建物とかそういった施設ということにつきましての助成を、例えば四分の三にするとか、何かこういうことについての引き上げについて御努力願えないだろうか。  それからもう一点、日本私学振興財団からの融資の金利、これを引き下げていただけないだろうか。かなり私立の学校にも、関西学院とか甲南大学とか、そういったところの大きな大学を初め、たくさんの大学があるものですから、被害を受けておられるところが。この辺のことに対して、何かそういうことが御配慮願えないだろうか。これはちょっと文部大臣としてのお考えを……。
  257. 与謝野馨

    ○与謝野国務大臣 今先生が御質問の中にありました甲南大学は、先般私見てまいりましたが、図書館と本部の事務館以外は全部使用不能になっておりまして、復旧だけでも百数十億の資金が必要だということになっております。  私立学校に対しましては、激甚災の場合の制度というのは、二分の一が国庫、それから残りは私学振興財団の低利融資ということでございますが、低利と申しましても四・一五%というようなことでございますので、これは教育関係施設、あるいは大学を含めました私立学校も、やはり国民に対しまして教育の場を提供しているわけでございますから、その早期復旧を図るために、今の激甚災害のケースだけで十分かどうかということは、今後財政当局とも相談をしながら、やはり考慮に値する問題であると私は思っております。
  258. 左藤恵

    左藤委員 今度は、この復旧に関しまして、予算の組み替えというようなものを、私は何か、今までいろいろなことを申しましたが、それだけに限りませんが、全体的な問題としてやらなきゃならないんじゃないかと思いますが、大変なお金がかかります。  それで、その点で、しかし積算というものが私は非常に時間がかかるということも伺っておりますが、何かその辺の、どんどん実行していく、しかし精算は、あれはもう来年度の予算のまた補正とかいう形でやることができて、当面着手させるということについてのお考えというものをやっていただかないと、例えば耐震設計が、今の大変な混乱をして壊れたような、高速道路とか新幹線の高架がもうすぽんと落ちたような、こんな地震が、こんな激震が来るということの計算でないから、今度は、それを復旧するときには、もう一つきついのが来ても大丈夫なようにしておかなければならないということになる。その点で復旧しなければならないわけでありまして、復旧も急がなければ困るわけでありますが、そういったこともありますから、非常な、私はもう推測がつかないような予算の見積もりをしなきゃならないんじゃないか。  大蔵省として、今までのようなパターンで考えられたのでは、これは、一々それを積算して全部やって、そして補正予算を成立させていくとかいうようなことでやられておったのでは、私は間に合わないんじゃないかな。どんどんどんどん復旧を急がなきゃならないし、こういった点もあります。  そういったことで何か、まあこれは、そういうことを言ってはあれですけれども、今回のこの九五年度の予算を見ますと、一般公共事業費は九兆三千億の予算がこの中にあるわけですけれども、それの中の多くは新規のいろいろな予算だと思います。この新規の予算と、これを後回しにするということについては非常に問題があるだろうと思いますけれども、暫定的にそれを振りかえてでも災害のことにしていくようなことができないだろうか。  これは一つは、私は大蔵省の方で何か考えていただかないことには、復旧は急がなければならないけれども、その予算の見込みがないじゃないか。そして、先ほどお話し申しました激甚災害の今度は指定をされただけで、とてもじゃないが、地方公共団体もこのことについては耐えていかないのじゃないかというような、それほど激しい地震があったための被害だ、私はこのように思いますので、こういうことについての、要するに内閣としての姿勢をまず大蔵大臣にお伺いしたいと思います。
  259. 武村正義

    武村国務大臣 御指摘がございましたように、非常な震災でありますだけに、私どものこの復旧に対する姿勢も、また財政対応も、通常の考え方や通常のベースてはいけない、まずこういう認識を強く持っております。  それにしましても、まずは今年度も緊急に補正予算対応をしなければなりませんし、当然新年度も補正対応が避けられません。長期の事業になりますと、何年間にわたって復興事業に取り組まなければならない、そういうものも当然出てくるわけでございます。まだ全体の財政需要にかかわる数字がつかめておりませんが、しかし、想像をするだけでも、あるいは感触で見るだけでも大変な額になるというふうに思わざるを得ません。それだけに、財政出動を担保する手段、いわゆる財源対策についてもあらゆる努力を展開をしなければならなくなるというふうに考えております。  ただ、組み替えという御提案は既にございましたが、今提案をして御審議をいただいている当初予算を急遽ここで組み替えるということでとらえますと、これはまたそのために相当な事務的な時間を要して、年内成立を危うくすることもあり得るわけでもありますので、これはぜひこの原案で一日も早くお認めをいただき、実質補正予算というのがある種修正をするわけでございますから、組み替えということにもつながってくるわけであります。新年度の補正対応も急がなければいけないというふうに思っております。  なお、既存の七年度予算の執行において、当然公共事業を初めとして何らかの配慮が必要になるのではないかという御指摘をいただきました。そのとおりだと思っております。ただ、一般事業を災害復旧事業にシフトすることが予算項目の扱いとして難しいこともあるわけでございまして、補正の中でそういう議論も詰めていきたいというふうに思っている次第でございます。
  260. 左藤恵

    左藤委員 神戸の市民の方が私に手紙をよこしまして、とにかく一番重要なことはまず予算で、一体国は兵庫県全体で幾らの予算を出せるのか、日本から、神戸市や西宮市等々はお金が一地方都市の程度で、小ぢんまりしたものでやれるわけがないので、国民皆さんかどう考えているということで、結局国は全体で幾ら出すかということにつきまして、これだけ全国からあらゆる援助の手をいただいているわけですから、国民すべてに薄く広く、これは仮の案として、消費税一%でも上乗せしていただいて財源にすることは、これによって二兆から三兆のお金ができ、また国家財源から三兆円、そういったことで、残りは兵庫県の地方債ということで、十兆円と言われる復興費ができるならば、兵庫県として、地方分権の時代でもあり、何とかこの難局をやっていきたい、こんなような一つの御意見もありますので、御紹介しておいて、ひとつ御検討いただきたい。  中には、また税金のことですけれども所得税を三年間減税するという問題につきまして、これを一年分はこれに充ててもらうことができないだろうか、こういうような御提言もあるわけなんですが、いずれにしても、予算の問題につきまして、今趣旨としてそれだけのものを確保していただけるということの見通しを立てておいた上で、あと技術的な操作としては来年度の補正予算でやっていくとかいうことになっても、とにかく財源が大変なものが要るということについてのことをやっていただかないことには、現実に被災された方々にとって励ましにもならないし、これからの非常な、私は運営の問題についていろいろな問題が出てくるのではないかなと思うわけであります。  それで、運営の問題の一つとして特別立法というものがありまして、もう時間がありませんから簡単にお伺いさせていただきますが、これは総理にお伺いしたいのですけれども総理が今まで特別立法の制定をめぐって何かいろいろな御発言をされておりまして、それを伺っていますと、何かだんだん後退しておられるといいますか、官僚の線で何か厳しいようなことが相当総理のところに、今まで非常に重大な問題として積極的に取り上げようという意欲といいますか、そういうようなものがだんだんしぼんでしまっているような感じを受けますので、ひとつこの際、ぜひ特別立法につきまして、積極的に総理がこの問題に早急に取り組むということの御姿勢をお示しいただきたい、このように思います。
  261. 村山富市

    村山内閣総理大臣 今いろいろな角度から、例えば情報通信、瓦れきの始末、さらにまた学校、私立学校等々、各般にわたって御指摘があったわけでありますけれども、そういう各般にわたる施策が今早急に必要だということについては、もう申し上げるまでもないと思うのですね。何よりもやはり避難生活をしておる皆さんの不安を解消して、生活を安定させて、そして立ち上がる意欲を持っていただくということが大事ですから、したがって、現行法なり現体系の中でできることは最大限やってもらう、それでなおかつできないものについては、何らかの法の改正が必要なものについては早急に法律の改正をやって、そして対応できるようにしてほしいということを指示をして、今そういう会議を進めておる段階であります。  それからまた、今それだけの大きな金が要るわけですから、財源措置につきましては、大蔵大臣からもお話がございましたように第二次の補正、本予算を早く通していただいて、それも施行していただくし、同時に復興に関する新年度の、第一次の補正というものも必要になるというので、財政的にも万全の政策を講じて、そして今兵庫県の皆さん方に希望を持ってもらう、明るい展望を持っていただくということが何よりも大事ではないか、そのための積極的な体系というものをしっかりお互いにつくっていこうじゃないかというので、連日連夜協議も続けて対応しておるということについて御理解を賜りたいと思います。
  262. 左藤恵

    左藤委員 今総理からお答えをいただきましたが、第二次補正を早く出していただくというだけでなくて、皆さんの期待にこたえるために、このことをひとつ、被災方々に少しでもはっきりした希望という形で持っていただけるような周知をしていただきたい、このように思います。  まだいろいろなことをお伺いしたかったことがあったわけですが、時間がなくなってしまいましたが、一つだけ。  これは今度の災害で、今までそういうことの余り配慮がなかったのかもしれませんが、ああいうふうに木材とか、それから屋根とか、そういうもので圧迫死をされた方が、夜の、地震の起こった時間帯のことで、皆さんお休みになっているときだろうと思いますが、それで、関東の震災のときは一割ぐらいが圧死されたのでしょうけれども、今度の場合は恐らく半数以上も、七、八割がそういうふうな圧死という方が多かったと思います。この圧迫により死亡されるだけじゃなくて、圧迫されて、そのために腎臓を、腎不全というのでしょうか、非常に悪くされる方がいらっしゃる。  人工透析というのがありまして、人工透析を定期的に受けておられる方は週に三日ぐらい治療を受けておられるわけですけれども、この方々が、水がないとか、いろいろなことで人工透析を受けられないので、ヘリコプターとか、そういうことで随分病院から運ばれて治療を続けられたのですけれども、それ以上に今度のそういう災害で、腎不全で透析を新たに必要とされた方が非常にふえておりまして、こういうことは恐らく予想されてなかったのじゃないかと思いますが、そういうことにつきましても、厚生省でも災害の、殊にそういう対策にその一つも入れていただきたい。  これは結構ですが、そういった問題もいろいろありますので、この災害を教訓としてやると同時に、被災者に対する今申しました希望というものを与えていただく御努力をお願いしたいということで、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  263. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて左藤君の質疑は終了いたしました。  次回は、明三十一日午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時一分散会