○松田
委員 規制緩和の
意味は、おっしゃるように幅広いものです。前回、WTOのときにも私からも申し上げましたけれ
ども。
そこで、なぜ規制緩和を取り上げたか、また、別の
意味です。アメリカにまで行って、そう言ってこられました。これは大変なことですよ。私
ども、今期待をして待っているわけであります。まさに対外公約にもなっている。対外公約というか、日本の
政府の約束ですから、それはもう世界は皆見ていますから、別にクリントン大統領に言ったからそれでまた一層重くなったなどとは申しませんが、しかし、クリントン大統領だってそう言われれば、日本はしっかりやってくれるな、当然期待をいたします。アメリカが期待するからやってほしいというわけじゃありませんが、一層ひとつ腹を決めて御
対応いただく。これは
質問じゃありません。頑張っていただきたい、こういうことです。三月末までにきちっとまとまる、こういうことでございますね。よろしく
お願いをしておきます。大変な痛みを伴う大事業です。しかし、今こそしっかりとやっていただきたいと願っておきます。
さて、それじゃ、日米首脳会談のことについてはその程度にいたしまして、次に、やはり何といってもことしはWTOが発足をいたしまして、まさに世界を、一層開かれた自由な貿易
体制をつくり上げていく、そういう年の、また
一つの記念すべき最初の年でもあります。これから、六月ですか、ハリファクスではまた首脳会談があったり、とりわけ大阪でAPECの
会議も予定されております、首脳
会議がまた予定されております。そういう
意味でことしは、ことしを皮切りにまた世界を、一層自由な貿易
体制をつくり上げていく、そんな
方向へ大きく持っていく大事な年だろうと私は思います。そういう中で、したがって、日本の役割はまさに大きなものがあるな、そうも思います。
幸い、今もお話が出ましたけれ
ども、アメリカの景気を初め世界先進主要国の景気も、日本も含めてそれなりに、順調と言いませんが、景気は回復してきております。OECDの報告を見ると、ことしは六年ぶりでOECD、つまり先進国二十五カ国のすべてがプラス成長となるだろう、そして三%台といったような成長率も見込まれるというようなことを言っていますが、それはまあ見通しですから間違うかもしれませんが、それにしても世界を開かれた経済にしていくという
意味ではいい環境でございます。
もちろん反面、さっきのアメリカの貿易赤字だとか
財政赤字だとかいうような赤字があるとか、あるいはヨーロッパでは失業が高いとか、それぞれ構造問題も持っております。一方で大きな構造問題を持っているということは、自由な社会をつくり上げていくなかなか制約になることでもあります。
しかし、全体的には私は、ことしはそういう
意味で一層開かれた社会を、開かれた世界をつくり上げていく上でいい環境にあると思うものですから、ことしの
一つの、日本の国がやるべき
一つの大きなことは、ぜひ
総理のまたリーダーシップのもとに、自由貿易
体制づくりのリーダーシップをとっていっていただきたい、こう思うわけです。
そこで、日米関係あるいは日米を含んだ地域としてのアジア・太平洋地域、さらにそれを包んだ世界全体、そんなことについて逐次いろいろお聞きしていきたいなと思うのです。
最初に、日米経済関係、とりわけその中で今問題になっております日米包括協議。実はこの日米包括協議、難航するたびにといいますか、日米関係はいろいろ取りざたされる。昨年二月、日米会談が決裂したときには、まあこれはジャーナリスティックに言うのでしょうが、日米の危機だとかいろいろ言われた。交渉が行き詰まると為替市場は妙な動きをする。そんなことが原因で円高になってみたり、不安定になってみたり。私は、正直、こんなことを見ると、この包括協議でやろうとしていること、その重みに比べますと、包括協議でいろいろもめること、もめたことが世界に与える影響の大きさというようなことを見ますと、これは、この包括協議というのはいかがなものかな、いいやり方かしら、まずそう思うわけです。
正直、この包括協議でいろいろやっておりますことは、個別問題が非常に多いんですね。しかも、その個別の交渉に、この仕組みは半年ごとに両首脳が会うということになっているのですね。課長や
部長が会うというのなら別ですが、両首脳が会う、こういう枠組みになっているわけですね。正直申しまして、世界の二大経済パワーが個別摩擦に翻弄されている、まあ言い過ぎかもしれません。あるいはまた、個別の交渉に二大国の両首脳がかかずらわっているというか翻弄されている、そういう
状況というのはやはり異常だ、不健全だと概括していいのではないか、私はそう思うのです。
ですから、そういう
意味で、個別の経済紛争、紛争と言うといけませんが、個別の経済摩擦というか、個別の経済交渉といったようなものをもっと冷静に処理する新しい枠組みというものを
考える必要があるな。ちょっとそのことを
議論してみたいのです。
同じ思いを、実は昨年日米議員交流で、ブラットレーさんに会ったとき、ブラットレーさんが言いました。ブラットレー上院議員は、昨年三月にみずから上院本
会議でもそのことを述べています。このクリントン政権の数値目標型アプローチを誤った政策と批判して、これにかわるものとして、日米間に紛争処理
委員会を設置し、客観的な判断に基づく解決策を求めるべきだ、つくるべきだ、そんなことをブラッドレー上院議員は言っていましたが、上院でもそう言っていました。
例えば、今言うこのパネル、これはもうガットには早くからあるわけですね。今度発足するWTOでも、ついせんだって
議論をいろいろさせてもらいました。その機能が一段と強化されるわけです。だったら、できるだけそっちへやろう。まさにWTO
委員会でそのことは十分御
議論されて、これからそういう個別問題、WTOでやれるものはWTOでつくるこの紛争処理システムにのっけていこうということになりましたね。みんなで、そういう思いだ、そうですと、外務大臣も通産大臣も、たしかそのとき通産大臣にも御答弁を、外務大臣の御答弁だったからちょっと忘れましたが、そういうことで
対応していただいていると思います。
だとすると、一体この包括協議でやっているものの中で、WTOで扱えるものはもうまず優先的にWTOで扱っていただく。そうですね。そういう
方向で持っていく。しかし、この包括協議の中には、WTOで扱えないような構造問題もある。さっき言った、例えばマクロ経済運営、あるいはまた、よく言われるのは、まあ何でもいいのですが、例えば系列問題でもいいですわ、系列問題なんてよく言われます。系列取引なんというのは、ちょっとWTOの枠組みでは対象にならないですな。この問のあれでは
議論になかったと思います。
例えば、こういう社会の構造とか、経済の構造にかかわるような問題で、お互い問題だと思うような事項、これは今、日米間で、前は構造協議と言いました、今は包括協議の中でやっているわけですが、例えば、こういうものはWTOに持っていけと言ってもなかなかやりにくい。そうかといって、私、この二国間で、アメリカと日本だけでやっているというのも、やり方としてどうかな、こう思うのですね。
ですから、こういうWTOでは扱えない、扱いにくい、しかしお互い持っている構造的な問題というものを先進国間、例えば日本、アメリカはもちろんですが、欧州あるいはカナダ、例えばこの四極ぐらいで一緒にやるとか、そんな案はどうだろうかな、こうも思ったりするのです。
そうすると、四極に持ち込むことで、まあ日米間だけじゃない、第三者、第四者も入るわけですからいろいろな意見が出るのじゃないか、もっと話し合いも有意義になるし、もっとアメリカ自身も、それはアメリカの社会そのものも、彼らは一番理想的と思っているかもしれませんけれ
ども、日本がそうじゃないよと言うだけじゃない、ヨーロッパやカナダも言ってくれるというようなことになれば、まあアメリカ自身の価値観もある
意味で相対化できるといいますか、話し合いはもっと円滑になるのじゃないかな、そんな気がするわけです。
せんだって、ブリタン、例の欧州
委員ですね、彼もこの日米包括協議の合意について、こう言っていますね。米国優先の圧力が日本に働かないよう適切に監視されるべきだ。同時にまた、対欧差別があると見た場合には、新設される世界貿易機関に訴える
考えを示した。よくわかりますね、彼らの
気持ちも。
今言う構造問題に限って彼は言っているわけじゃありませんけれ
ども、しかし、そういうようなことも思いますと、私は、
一つの提案として、日本、アメリカ、ヨーロッパ、カナダ、カナダは入るかどうかはともかく、まあ主要先進国で、こういったWTOでも扱えない、しかし二国間だけでやるよりも、お互い共有した問題で、二国間だけでやっているとヨーロッパの方から、あれ、アメリカだけがうまいことをしているのではないかとか、ちょっと言い方が悪いですけれ
ども、そんな思いもこのブリタンさんの御意見の背後にはあるでしょう。
そういったお
気持ちも踏まえると、お互いにいい方法として、この四極の新構造協議といったようなものも
一つのアイデアではないかなと、これは別に私のアイデアではありません。ある何人かの方がそういうアイデアを持っておられます。例えばそんな提案をこれからしていくというのも
一つかなと。ちょっと全部話してしまいまして済みません。後で御意見聞くのですが。
ですからWTO、今言うような構造問題について、二極ではなくて四極ぐらいに広げてお互い価値観を相対化できる。したがって、それぞれ反省する、
考える機会をたくさん持てる。そういう中で、しかも主要な先進国全部入っている、こういう形の中でやれるものはやっていったらどうかなと。それでもなお落ちる問題があると思いますよ。これを今言う二国間で、しかもブラッドレーさんなんかが言うような、何か客観的なパネルをつくってやっていくというような
方向に私はしていくことがいいのではないかな、そんなふうに思うものですから、
自分の思いを述べるのがちょっと長過ぎましたけれ
ども、今の
考え方について、
一つの御提案ですが、いかがなものでしょう。