○鳩山邦夫君 私は、
新進党を
代表し、
村山総理並びに
関係大臣に
質問をいたします。
連立政権は限界だという
村山総理の発言は、いよいよ
村山政権の幕引きかと思わせる波紋を広げ、
村山総理御自身や閣僚、
与党関係者などが
退陣説を全面否定するための釈明や陳謝に躍起になる騒ぎが続いております。
村山総理の、
連立政権は仕事をするのに限界があるという趣旨の発言が即
退陣と結びつけられてしまうことこそ、この難問山積の時代に何ら十分な対処をすることのできぬ
村山政権に引退を期待する
国民の大きな声の反映ではないでしょうか。(
拍手)
阪神大震災への
初動態勢のおくれや危機管理体制の欠如、今まで
日本が体験したことのない凶悪な
サリン事件、急激な
円高、日米間の自動車協議の決裂など、今までほとんどの
国民が信じて疑わなかった成長と安全な
国家の神話はもろくも崩れ去りつつあります。これらの
重要課題に対し、強力な
リーダーシップを発揮できなかった御自身に対し、
総理御自身がいら立ちを覚えておられるにしても、まことにやむなきことと存じます。
総理、
村山政権に限界があるとするならば、今の
日本にとってどのような形の
政権が真に求められているのか、あなた御自身の後の
政権はどういう
政権であるべきなのか、そのお考えを率直に
お答えをいただきたいと存じます。
政権を維持するため、妥協となれ合いの
政治を続ける無気力、無責任な
村山内閣が、
行政改革や
国家の危機管理ができるでありましょうか。本来、
政治家とは、
国家の指導者として公に尽くすことこそその行動原理であるべきなのに、
政権を維持するための妥協の連続で私利や党利に走る現状が、
国民を
政治的に白けさせ、無党派層の台頭や
政党拒否の主
原因になっていると私は思います。
総理の御
認識はいかがでありましょうか。
私は、
政党政治の
危機的状況を露呈した今回の統一
地方選挙において、
村山総理の母体である
社会党の惨敗は、
国民の
政権に対する不信任であり、
政策を無視して連立を組み続けることへの痛烈な批判であったととらえております。(
拍手)
私には、現
連立政権を構成する
政党間に、
決定的な理念、
政策の相違が大きく横たわっておるように思えてなりません。その関係で、今回の
補正予算も非常に迫力を欠くものになっているのではないかと思うからであります。
この
政策の相違点を中心に、幾つか
質問をしていきたいと思います。
祖国を愛する気持ちを育てることは、教育の
基本であります。
平成元年に告示された学習指導要領に従って、卒業式、入学式等における国旗・国歌の義務化を徹底指導してきたことは、自民党の
皆さんの御
努力のたまものでありますし、私自身も、文部行政に携わった期間、懸命に汗をかいてまいりました。
しかるに、
与党三党は、昨年十月の
政府統一
見解において、わけのわからぬ第三項目をつけ加えることによって、国旗・国歌についての指導をあいまいなものにしてしまったのであります。
しかも、
社会党は党大会で、国旗・国歌についての強制には反対、文部省の動きを徹底監視すると方針を定め、
村山総理は昨年、お国入りだったと思いますが、十二月二十九日、大分市におかれて、文部省の役人の姿勢が問題だ、卒業式で日章旗を掲げるのを義務化することは認めない、法律にないことを強制するとは何事だと、語気を荒げて文部省を批判されました。これでは、かつての自民党や私たちの今までの
努力が水泡に帰し、二十一世紀の
日本を担う誇り高さ青少年を育てることはできなくなります。
村山総理、あなたが
社会党の委員長として、あるいは野党として、
政府の国旗・国歌についての扱いについて批判をしているころはよかったと思います。しかし、あなたは今や
政府のトップにあって、人づくりの
基本たるべき愛国心の育成をむしばもうとしているのです。自民党も、幾ら
政権欲しさのゆえとはいえ、国旗・国歌という
国家の
基本町題について安易な妥協を続けるべきではないと思います。連立を解消するぐらいの意気込みで、自民党は
村山総理と対決をしていただきたい、そう願います。
この問題について、国旗・国歌の問題について、
総理の文部省を批判するお気持ちをどうぞこの場でお述べいただきたいと思います。
次に、ゴラン高原へのPKOの派遣について
お尋ねします。
私は、かつて湾岸戦争当時、党の国際局長としてエジプト、ヨルダン、シリアを訪問し、ゴラン高原も視察をしてまいった者の一人です。世界各国のPKO要員の
方々が生き生きと活動している姿を目の当たりにし、国連の平和維持活動が
地域の平和と安定に役立っていることを実感し、感動をし、同時に、こういうところに
日本が参加できれば世界の
日本に対する信頼も百倍になるだろう、そう思って帰ってきました。
その後、自公民の賛成でPKO
協力法案が
成立し、私の願いも法律的にはかなえられましたが、このゴラン高原に関して言えば、昨年五月に国連より要員の派遣要請を受けて以来既に一年が経過しているにもかかわらず、先日の
与党政策調整
会議では、とうとうこの十一月の派遣も見送られるという確認がなされたと聞いております。法律が
整備されても、肝心なときにそれが実行できないのでは、まさに仏つくって魂入れずではありませんか。
今回の派遣見送りは、
社会党がこの十一日の中央執行委員会で、現
段階での派遣
決定は時期尚早との
見解をまとめたことを受けたものと報じられておりますが、
河野外務
大臣も、現
段階での派遣は時期尚早だという同じ
見解をお持ちなのでありましょうか。それともやはり、あのとき
法案成立に最後まで抵抗した
社会党にこうした問題に
理解を求めるのは、しょせん無理なことだとあきらめてしまっておられるのでありましょうか。率直なところをお聞かせください。
昨年七月に作成された
連立政権の樹立に関する合意事項には、「世界の平和とわが国の安全保障を確保するため、国連の平和維持活動に積極的に参加す。」とうたっているにもかかわらず、実際には何の
対応もなされていない。その理由は
一体何でありましょうか。三党の調整がうまくいかないのか、それとも
総理御自身の優柔不断によるものなのか、明確な
答弁をいただきたいと思います。
次に、戦後五十年決議の問題について
質問いたします。
総理は、今
国会中の決議を明言しており、
連立与党のプロジェクトも今文案の詰めの作業を進めているというふうに
認識いたしております。また、
与党三党の
党首会談では、決議の中に「植民地支配」、「侵略行為」という文言を盛り込むことが合意されたと聞いております。
私は、個人的には、いわゆる不戦・謝罪の
国会決議、不戦・謝罪の
国会決議という言葉がよくひとり歩きしておりますが、そうしたたぐいのものには賛成ではありません。「侵略行為」、「植民地支配」などの用語の使用には慎重であるべきと考えます。
社会党は、以前より不戦・謝罪の決議でなければ意味がないとしてきましたから、せめて譲れないぎりぎりの線として「侵略行為」あるいは「植民地支配」にこだわっているのでありましょう。しかし、「植民地支配」、「侵略行為」という言葉にこだわれば決議の
実現が難しくなると考えますが、
総理はあくまでも今
国会中の決議を求めていく御意向なのか、そしてこの二つの言葉にどこまでこだわっていかれるのか、
お答えを願いたいと思います。
また、
社会党の久保書記長がなかなか鋭いことをおっしゃいまして、久保書記長が、決議の
実現が困難になれば
連立政権を見直すのもやむを得ない、こう発言したことに対しての
総理のお考えをお聞かせください。
この問題に関しては、
河野外務
大臣にも
質問をさせていただきたいと思います。
外務
大臣は、自民党総裁として会談に臨まれまして、「植民地支配」あるいは「侵略行為」という文言を盛り込むことに合意をされたということでありますが、もうその日から自民党内ですこぶる評判が悪いというふうにニュースが伝えております。そのような方向、すなわち「植民地支配」とか「侵略行為」という言葉を入れる方向で党内をまとめ切れる自信がおありなのか、ぜひ御
答弁をいただきたいと思います。
また、これも外務
大臣に
お尋ねをしたいわけでありますが、
与党がまとまらないために決議が不調に終わった場合は、連立の解消に値するような重大問題だと考えますが、いかがでしょうか。さらに、注目して見守っている、あるいは期待を持って見守っている近隣アジア諸国を初めとする諸外国に与える外交上の
影響についてどのようにお考えなのか、外務
大臣の立場から
お答えをいただきたいと思います。
次に、
行政改革に関して
武村大蔵
大臣に御
質問をいたします。
大臣が
代表を務めております
さきがけでは、私の兄、鳩山由紀夫が
代表幹事を務めております関係で、結党のころから、兄弟で話をすることはこれでも案外多いわけでございまして、事あるごとに、
さきがけの理念を兄から聞かされてまいりました。それによりますと、
さきがけという
政党は、
政治改革よりもむしろ
行政改革だ、そして
地方分権だ、こういう話をいつも尊敬する兄から聞かされてきたわけであります。
社自さ
政権が誕生じ、
村山総理が行革の断行を訴えましたが、だれも
実現に期待はしませんでした。ましてや、既得権の維持を最重視する五五年体制の象徴たる自社両党が行革に逆行する動きをすることも、容易に想像がついたからであります。その厳しい
状況の中で、
行政改革を傘とする
さきがけの
武村代表がすべてをなげうって挑んでいただけるかと期待してしまった私が愚かだったのでしょうか。
結果は、御案内のとおり惨たんたるものでありました。この
村山行革の失敗の
原因は何か。
総理の指導力のなさなのか、それとも反対する勢力の力が強過ぎたからなのか、あるいは
武村大臣が
行政改革という
さきがけの命をお捨てになってしまったのか、そのいずれであるか、択一式のような印象でよくないかと思いますが、
お答えをいただきたいと思います。
最後に、
村山総理の
政治姿勢について
質問いたします。
石田副
党首の御指摘にもあったように、長引く
不況の中、
阪神大震災、
サリン事件、
円高などが
国民の平穏な生活を脅かしているにもかかわらず、
村山政権の
対応のまずさ、
失態の連続が、
政治に対する失望感を加速させただけでなく、
村山内閣は、連立三党の足並みがそろわず、重要な
施策の遂行も思い切った
改革もできない無力な
政権であることを
国民の前にさらしております。国の
内外を間わず、
村山政権への批判は痛烈なものがあり、この
政権の存続を認めることは
日本国民にとって
最大の不幸であると言っても過言ではありません。(
拍手)今、
政権がつぶれたら自分たちが困るからと、
政権維持だけを目的にすることはやめるべきです。
村山総理、
村山政権の役割は終わったという
与党幹部の御発言、統一
地方選挙の結果は
政権が不信任を受けたのと同じだという労組
代表のお言葉、
政治空白は困ると言うが今だって空白みたいなものじゃないですかという経済界の
代表の批判、それらをどのように受けとめておられるのか。
さらに、今月十二日、
社会党に離党届を
提出したかつての同志は、
社会党は歴史的な役割を完全に終え、復権した自民党に抱かれながら安楽死しようとしているとか、
政権維持を自己目的化し
日本の危機を打開する抜本
改革を実行できないなどと批判をしておられますが、そのような
社会党に離党届を出された
方々のそんな言葉をどのように受けとめるのでありましょうか、
答弁を求めたいと思います。
それから、
質問通告はいたしておりませんが、私テレビは見ておりませんが、昨日の新聞によりますと、自民党の加藤政調会長は、
総理大臣は、
村山総理は、いつでもやめる、やめる、やめるが口癖だ、こう
報道をされているわけでございまして、一国の強力な
リーダーシップをとるべき方がやめる、やめると、これが口癖であっては困るわけでありますし、同時に加藤政調会長は、そのテレビの番組で、もっと使命感を持ってもらいたいという意味のことをおっしゃられる。ということは、加藤政調会長から見れば、
総理の使命感は不足だということを政調会長は示したんだろう、そう思うわけで、
総理はそのような口癖を持っておられるのか、
お尋ねをしたいと思っております。
もし
村山総理にできることがあるとすれば、それはみずからの進退について速やかに決断をされることだと思います。良識ある
総理の最高指導者としての
見解を
お尋ねして、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣村山富市君
登壇〕