○
久保哲司君
新進党の
久保哲司でございます。
新進党を代表いたしまして、ただいま
厚生大臣から
趣旨説明のありました
国民健康保険法等の一部を
改正する
法律案について質問いたします。
まず
最初に、阪神・淡路の
大震災は、きょうで
発生後三十七日目を迎えました。亡くなられた五千四百余名の
方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、家をなくされた方、また職場を失われた方、さらに今なお
避難所生活を余儀なくされている多くの
方々に、心からお見舞いを申し上げたいと
思います。
まず
最初に、この震災に関連し、
総理に
お尋ねいたします。
今回の
大震災による
死亡者は、きょうの
新聞報道で五千四百二十四名になっております。
住宅被害は十九万戸に及び、
避難所生活をされている方、今徐々に減ってはおりますけれども、今なお二十万人を超えておられます。そんな中で、残念ながら
死亡者は日々ふえ続けていっております。過日、十五日の日に
厚生委員会でも質問をさせていただいたのですけれども、その段階では
死亡者の数は五千三百二十九名でございました。それが、先ほど申し上げましたように、きょう現在五千四百二十四名、この一週間ばかりの間に約百名の方がさらに亡くなっておられる。
一月二十日以来、
総理は、本
会議で、また
予算委員会で数多く
答弁をされてこられました。そんな中で、何分にも初めてのことでとか、あるいは多少の混乱があったとか、また最近では、反省すべきは反省し云々というふうにも答えておられます。しかし、今なお亡くなる方がふえていっているこの現実というのは、
総理の言うように、初めてのことでやむを得なかったとか、あるいは多くの方がおっしゃるときありますけれども、天災だからやむを得ないじゃないか、このようなことで片づけられることなのでしょうか。
人災あるいは二次
災害と言われても仕方のない、そういった要素はなかったのでしょうか。ここは大事なところだと
思います。
確かに、家がつぶれた。道路が、また港湾が、橋がぶっつぶれたというのは、これは確かに
地震、そのときの一瞬の出来事やったんやと
思います。だけれども、人命は、先ほどあった五千四百二十四名は、
地震があったその一瞬に死んだのと違います。
一月の下旬に、私は、
大阪で移動しているときに、電車の中で知り合いの方に会いました。その人が、
久保さん、こうおっしゃってこられました。何でっか、こんなことで話が始まったわけでありますけれども、その方はこんなふうに言われました。
自分の会社も、
神戸に支社があります。だから、十七日の朝
大阪の本社に出社して、その
地震の
情報が入ってくるなり、これはえらいこっちゃというわけで
同僚の
人たちと
一緒に車二台に分乗して、そして
神戸に向かった。道が込んで込んで仕方がないので、いつも行っているところやからようわかるというので細かい道に入っていった。迂回をしようとした。だけれども、塀が壊れ、さまざまなものが散乱しておってなかなか前に進めない。車の進むその
障害物を取りのけようとして
同僚と
一緒におりていったときに、助けてくれという声が聞こえてきた。その声を聞いて、その後ろに続いておられた軍の
方々にも声をかけて、約十数人の
人たちでその人の上に乗っかっているものを取りのけ押しのけ、大きい柱については車のジャッキを持ってきて上げて人を助け出しました。十七日、十八日の二日間で合計六人の方を助け出しました。このようにおっしゃっておられました。(
拍手)
私は、この話を聞いた瞬間、頭をどつかれたような
思いがいたしました。と同時に、
被害の何割がというのは、間違いなく
政治が、行政の
対応がおくれたがためではないか、このことを強く強く感じた次第であります。
政治の使命というのは、
国民の生命と財産を守ることであります。
政治家は全知全能を傾けてこれに取り組むべきであります。ましてや、人の命は地球よりも重たい、こんな
言葉すらございます。
総理、あなたはその
政治家の頂点にある人であり、
日本国の
責任者でもあります。
繰り返しますが、一瞬で五千四百名が亡くなったわけではありません。
報道によれば、
総理は、十七日のお昼過ぎに二百名を超えた死者が出た。この
報告を受けられたときに、声を出してびっくりされた。このような
報道がございましたけれども、その間にも多くの
方々が、消防の
人たちが来てくれるのを、警察の
方々が来てくれるのを、そしてまた自衛隊の
方々が来てくれることを、何してんねん、はよ来てくれんかい、こんな
思いで待っておられたのじゃないか、このように
思います。
総理、
人災というべきものがあったのかどうか、また、反省すべきは反省しというふうにおっしゃっておられますけれども、その反省すべき点というのは一体何なのか、この点について御
答弁をお願いしたいと
思います。
次に、
行方不明者数が一けたになった現在においても、なお多くの
方々が亡くなっておられる。しかも、その
方々の多くはお年寄りを初めとするいわゆる弱者と呼ばれる方が多い、このようにも聞いておるわけでございますけれども、これは言うならばまた三次
災害というふうな呼び方もできるのじゃないか。この点について
総理はどう受けとめておられるのか、お伺いをしたい。また、厚生省はどのような
対応をされておられるのか、
厚生大臣から
お答えをいただきた。いと
思います。
さて、
国民の健康についてでございますけれども、人間、だれも好きこのんで
病気になったり、けがしたりする人はいません。まれに、進んで入院する人もおるようでありますけれども。要するに、
病気やけがというものは本人の意思にかかわらず起こってくるものであります。厄介なものであります。それだけに、職業の違いであるとか、あるいは年齢の違いであるとか地域の違いであるとか、そういったことによって
受益と
負担の間に差があってはならない、このように
思います。これが
国民の健康を支えるシステムを考える場合の
原則でなければならない、こう
思います。
しかし、
現状は、さまざまな
制度がそれぞれの歴史を背負って、
負担と
受益に違いを有しながら存在しています。
国民健康保険制度は、
被用者保険の
加入者を除くすべての
国民を
対象とする
公的保険であり、
国民皆
保険体制の土台として極めて重要な役割を担っておることは言うまでもございませんが、それゆえに、またさまざまな構造的な問題を抱えております。最近、特にそれらが深刻化してきております。
国保制度は、その性格からして、無職の方あるいは低
所得の
世帯の
人たちもその
対象として受け入れておるわけでありますけれども、その
比率が年々
増加してきております。
平成四年には、
所得のない方が五分の一を超えるといった状態にまでなってきております。その結果、そういった
方々からは
保険料を徴収できない。だけれども、それはそれじゃどこからいただくか。結局、いわゆる
中間所得者層と呼ばれる
方々のところにその
負担がかかるわけで、その結果として、
国保の
保険料は高いと言われるようなことになっておるわけであります。
この
国民健康保険制度は、
原則として
市町村が
保険者ということになっています。だけれども、
産業構造等の
変化により
過疎化がどんどんどんどん進展しでいっている中で、被
保険者数が非常に少ない小規模な
保険者が急増しております。現在、被
保険者数が三千人を割っているような小さな
保険者すなわち
市町村が、全体の三分の一を超えております。こうしたところでは、高額を要する
医療が
発生した場合にすぐに
運営の不
安定につながりますし、また、職員が非常に少ないために日常の
事務処理にも困難を来すといった問題にも直面をしております。
このほかにも、最高と最低とで六倍近くの開きがあると言われる
保険料の
市町村間格差であるとか、他の
保険に比べて著しく進んでいる被
保険者の
高齢化など、さまざまな問題が起きているのが
現状でございます。
にもかかわらず、今回の、ただいま御
説明のありました
改正案の
内容は、
大臣御自身も
暫定対策という
言葉をお使いになったようでありますけれども、私も明らかに
暫定対策でしかない、このように
思います。
国民健康保険の深刻な構造的問題を解決するのであれば、またそれを目指すのであれば、当面の
措置ではなく、この際
抜本附な
対策を講ずるべきではないのか、このように
思いますけれども、この点について
厚生大臣の
お答えをいただきたいと
思います。
次に、
改正案の
内容について何点が
お尋ねをいたしたい。
低
所得者の
保険料軽減制度の
拡充、これは今まで聞いた話によれば、いわゆる
中間所得者層の
保険料負担が過重になっていることに
対応し、
負担の公平を図るとの見地から、
応益保険料の
割合が比較的高い
保険者について
保険料軽減制度の
拡充を図る、このようになっておるわけでございますけれども、なぜ一律に
拡充をするのでなく
応益割合の高い
保険者についてのみ行うこととしたのか、その
趣旨について御
説明をいただきたいと
思います。
二番目には、
保険料軽減制度に関連して、
保険基盤安定制度の取り扱いについて
お尋ねをいたします。
低
所得者の
保険料の
軽減に伴う
減収分を
公費で
補てんじょう、これが
保険基盤安定制度でございますけれども、
軽減制度を
拡充すれば確かに
軽減された方は助かります。だけれども、その裏返しで、
公費による
補てん額は増大します。この
公費による
補てんは、これもまた国が本来二分の一を
負担すべきにもかかわらず、
平成五年の
改正において、
平成五年、六年と二年間に限ってではありますけれども百億円というふうに定められました。それが、今回ではさらに
平成八年度まで二年間延長するというわけであります。
ちなみに、
平成四年度の二分の一の枠というのは六百億であります。そうなりますと、その
差額分というのは結局
市町村がかぶることに保なります。もちろん、都道府県は四分の一で、
市町村がその残りをかぶるということになり、国の方においては地方財政
措置を講じております、このようにおっしゃるかもしれませんが、そういったお金が工面できるのであれば
最初から
制度とおりに
負担してやるのが筋ではないか、このように
思います。
都道府県、
市町村にとってこの
措置は最善なのかどうか、また
小規模保険者が抱える
運営の不
安定化、こういったことを解消する一つの方法として、
保険者の広域化、これを
促進すべきだ、こういった声がありますけれども、このことについて自治
大臣はどのようにお考えか、
お答えをいただきたい。
また、あわせて、
国庫負担の定額化
措置を延長することで本当に
国保運営の
安定化に支障を来さないのかどうか、
厚生大臣のお考えをお伺いしたいと
思います。
第三に、
医療費の地域格差について
お尋ねをいたします。
医療費の地域格差は、
保険料の地域格差に大きな
影響を与えます。現在、一人当たりの
医療費は最高と最低で約六倍の開きがある、このように聞いております。このため、該当の
市町村もその適正化に必死になって頑張っておるわけでありますけれども、これといった決定打が見当たらずに、
対応に苦慮しているのが実態でもございます。今回の法案では、
医療費の適正化について特段の
対応はなされていないようでございますけれども、国として今後
国保の
医療費の適正化にどのように取り組もうとしておられるのか、
厚生大臣に
お尋ねをいたします。
以上、何点が
お尋ねをしてまいりましたけれども、
最初にも触れましたように、私には、今回の
改正案は当面のことしか視野に入れていない場当たり的な
対策との感がぬぐえません。
国保の置かれた厳しい状況を考慮すれば、今回の
改正を踏まえても、数年後には、
国保制度の構造的問題を抜本的に解決するために、
国保のみならず
医療保険制度全体の大幅な見直しを行うことが必要になってくると思われます。
また、既に昨年には我が国の
高齢化率は一四%を超え、本格的な
高齢化社会に突入いたしました。二十一世紀には、四人に一人が六十五歳以上の高齢者、七人に一人が七十五歳以上のいわゆるオールド・オールドと呼ばれる後期超高齢者という、こういった社会を迎えることになります。こうした急激な
高齢化の進展を展望するならば、
老人保健制度についても、公的介護システムの検討などとも連動させながら、遠からず抜本的な見直しを行うことが必要になってくると思われます。
そういった意味で、
医療保険制度、
老人保健制度を取り巻く大きな課題は依然として残っているわけでございますが、今後どのように取り組んでいかれるのか、最後に、この点について
総理大臣並びに
厚生大臣の決意をお伺いして、私の質問を終わります。(
拍手)
〔内閣
総理大臣村山富市君
登壇〕