○二階
俊博君 ただいま
議題となりました
阪神・
淡路大震災復興の
基本方針及び
組織に関する
法律案について、
新進党を代表して、
総理及び
関係閣僚に対し、若干の
質問をいたします。
このたび
阪神・
淡路地方を襲った
大震災に対し、
政府は
初動のおくれをしばしば各方面から指摘をされ、
総理もこのことを認め、大いに反省の上に立って
災害復旧に
努力の結果、ようやくただいま御
提案の
法律に基づき、
総理府に
阪神・
淡路復興対策本部を
設置し、みずから
本部長として
復興対策に取り組む姿勢を示されたことは、一応の評価をするものであります。
しかし、これは結局は、
総理が
本部長、
地震担当大臣が副
本部長、その他の
閣僚が
本部員ということでありますが、今行われている、
総理、あなたが
本部長の
緊急対策本部とどこが違うのか。これで
本部が三つできたわけでありますが、今後どの程度のことが新たな
本部に期待されるのか、御
答弁をお願いいたします。
当初から、
緊急災害対策本部の
設置については、私
たち新進党の再三の
要請や、
地元、
兵庫県知事等の
要望にかかわらず、頑としてこれを拒み続け、法的な権限も持ち合わせていない
閣僚会議のようなものをつくって、
災害対策基本法百五条に基づく
緊急災害対策本部を
設置しなくても万全の
対策を講ずることができると言い続け、結局は
対策は
後手後手に回り、
災害復旧に
不眠不休の
努力を続ける
地元関係者をして、このような
未曾有の
大震災にもかかわらず、やはり
官僚たちの壁は厚いと長嘆息している
現地の幹部の姿を私は再々見ておるのであります。
兵庫県選出の我が
党国会議員の声も切実であります。
総理、伺いますが、
非常災害対策本部、各省の
担当課長さんの集まりのようなものですが、次に
緊急対策本部を
設置されて一時はしのいでみましたが、これには、
さきに申し上げましたとおり
法的根拠がなく、
地元の
被災者の
要望や
復旧作業が事実上迅速に進まないということにようやくお気づきになって、この
法案を
提出に至ったものと言わざるを得ないのであります。
今、
国民の
皆さんの間では、
災害復旧に関しての
政治休戦のときではなく、首相の
政治責任を明確に追及すべきときに来ておるという声がちまたでささやかれています。
政治不信の声すら上がっているのであります。
私は、去る一月二十日の
緊急質問の際、「自衛隊の
最高指揮官としての
村山総理は、
救援の
初動活動において、
人命救助最優先の
立場からもう少し積極的なしかも迅速な
指揮がとれなかったのか、悔やまれてならない」「
政治責任もあわせて、この際、
総理の御
見解を伺いたい」と申し上げました。これについて、
総理、あなたは何も
お答えになりませんでした。当初、多少混乱しておられる時期でもあり、あえて私はそれ以上のことは何も申し上げませんでした。
予算委員会の
集中審議の際もしかりであります。
ところが、一昨々日の本
会議において、
総理は、
同僚山崎広太郎議員の
質問に答えて、わざわざ一月二十日の私の
緊急質問を引用され、私には「今から振り返って考えてみますると、何分初めての
経験でもございますし、早朝の出来事でもございますからこと述べておられるのであります。
明らかに、主語は抜けていますものの、前後のことから判断して、
総理御
自身の率直な御感想であったのだろうと私は思っておりました。一昨々日急に、
山崎議員の
質問に対して、
総理は「本
会議で、初めての
経験であり早朝のことで若干の混乱があったと申し上げましたのは、
被災地のその当時の
状況を申し上げたものでございます。」と
答弁されております。これは明らかに言いわけに過ぎるではありませんか。
総理、
緊急災害対策本部の
設置についても、再三言を左右にされた上、衆議院本
会議において、
設置に対し、「今後の
事態に対応できるように、緊急に判断をしながら
措置をしてまいりたい」と前向きとも受け取れるような御
答弁をいたしながら、参議院では一転して、「あえてこのような
措置をとる必要はない」と答えております。これでは、いつ
答弁が変わるかわかりません。
多くのとうとい生命を犠牲にしたこのような大
災害は、およそこの時期に
国会議員である者は、まさに命がけでこの
対策に取り組むべきことは当然のことであります。もはや「
災害復旧に
全力を尽くします」を繰り返しておるだけでは許されないのであります。この際、
総理の
政治的責任について、今度は明確に
お答えいただきたいと思います。(
拍手)
あの悪夢のような
大震災発生以来、ちょうど一カ月が
経過いたしました。きょう現在、
死者五千三百七十八名、家屋の倒壊十五万五千戸、
避難所で御不自由な
生活を余儀なくされている
人たちが二十一万三千四百人おられるということであります。この
事態は、どう考えても異常なことであります。
その上、国が
災害救助法に基づいて支給する
食事代は二食で八百五十円が
限度であります。せめて三食の
食事だけは何とかしてほしいという声が私どもに届いております。けさ、どれだけ多くの
方々が
食事をされたか。つまり、
食事が十分に行き渡っているかどうか。県からの
要請ではなく、足りないわけですから国が
配慮すべきことであります。こんなことは、英断でも決断でも何でもありません。
被災者の
方々の
立場に立って、直ちに行動を起こしていただきたい。
ちょうど一カ月ですから、何もかも総点検のときであります。
現地の
皆さんは、
食事の次は住居であります。その
必要数と現在の
達成度及び
計画進行の
状況と今後の御
方針を伺います。
次に、職業安定のための
配慮が必要であります。
復旧の第一歩は、
瓦れきの処理であります。これらが
進行状況と今後の
計画について
お尋ねをいたします。
電気、ガス、上下水道の
ライフライン回復が急務であります。
地方自治体間の
救護協力の
活動状況は今どのように把握されておりますか、あわせて
お答えを願います。
次に、
法案にもありますように、
復興についての
基本理念についてでありますが、
総理御
自身の基本的な考え方、哲学を明らかにされたいのであります。再びあのような惨事を招くことのないように、このたびの
大震災を歴史の教訓としなければなりません。単に
原形復旧にとどめることなく、
耐震構造、
防火対策をも念頭に置いての
復旧でなければなりません。
総理御
自身の言葉で、
国民の
皆さんの胸に響くような御決意を語っていただきたいのであります。
法案には「
復興を迅速に推進する」とあります。新幹線の再開は、
神戸復興のシンボルとして重要であります。私鉄を含め鉄道、さらに
港湾について、
さきの
国会決議等もあり、
総理もたびたび御
答弁をされておられますが、
神戸の
港湾機能の
回復はいつの時期か目標を定め、国の総力を傾けて
努力すべきであると考えておりますが、
運輸大臣の御
見解を伺いたいのであります。
法案は、当然
復興作業を急がせるわけですが、その際、積極的に何をなすべきか。また、「
阪神・
淡路地域」とありますが、京都は入るのか、その区域も明らかにしていただきたいのであります。
法案の
内容は、
対策本部設置法であり、
具体的施策は他の法令にゆだねられることになっておりますが、今後どのような
法律を
提案しようとしておられるのか、承っておきたいのであります。
神戸市のフリー・トレード・ゾーンにつきまして、
通産大臣に
お尋ねをいたします。
かねてより
神戸市の
計画に対して通産省が既に
支援をされているようでありますが、御承知のとおり大蔵省との
関連もあります。この際、
災害復旧に関する、
中小企業はもとより大
企業に対しても手厚い
配慮が望まれておりますが、この点もあわせ
通産大臣の御
見解をお願いしたいのであります。
次に、
被害総額でありますが、これが出てこないと財源問題も
検討のしょうがないと言われております。
兵庫県知事は、去る一月二十二日、
記者会見の後に、
総額十兆円ぐらいと言われました。あれから二十五日ほど
経過して、国は九兆六千億円という
被害の
総額をようやく昨日になって明らかにされたのであります。
補正予算、
組み替え動議等の動きを警戒して、
政府が公表を抑えていたのではないかといううわさを呼んでおります。
兵庫県は大県とはいえ、地方の知事よりおくれること二十五日、
地震担当大臣、これをどう考えておられるか、御
答弁をいただきたいと思います。
次に、「活力ある関西圏の再生を実現する」となっております。かつて、関東
大震災の際の後藤新平は、
大震災の前、東京市長時代に、既に東京改造
計画を温めており、震災後、彼は内務大臣として直ちに
復興の
基本方針を明らかにして、今日の東京発展の基礎を築き上げたと申し上げても過言ではありません。幸いなことに、
兵庫県にも
神戸市にもそれぞれ後藤新平がおりました。
兵庫県にはひょうごフェニックス
計画、
神戸市には
神戸復興計画が、
地元住民の合意を求めながら準備がなされております。これうの
計画を、
計画の初期の段階から国が積極的に
支援するという果敢な対応が必要であります。
総理はこのことをいかにお考えでありますか、
お答えを願いたいと思います。
次に、関西圏再生のために、財団法人関西生産性
本部、社団法人関西
経済同友会による
阪神大震災復興会議により緊急アピールがなされていますが、
総理もこのことは承知しておられるはずであります。三百名を超える被災自治体の代表や国の行政機関、関西
経済界を代表する有力メンバーがお集まりになっての提言であります。国がなすべきライフライン及び交通インフラの確保、
企業としての協力のあり方等が述べられており、今、関西の
経済人の間では関西のグランドデザインが描かれようとしております。
政府はこれらと一体となって
災害に強い新しい都市づくりに取り組むべきと考えておりますが、
総理の御
見解を伺いたいのであります。
幸いなことに、本年十一月、APEC大阪
会議が開催されます。このことは、アジア・太平洋に新しい時代を切り開くためにも、世界に向かって関西
復興のプログラムを示すチャンスでもあります。
復興法案はこのことも当然念頭に置くべきであります。それには、関西国際空港の全体構想を第七次空港整備五カ年
計画に組み入れる等、さらに、
神戸空港についても
さきの
予算委員会で
運輸大臣から積極的な御
答弁をいただいておりますが、このような
被災地の
皆さんが夢と希望の持てる
計画もこの際思い切って推進する等が重要であります。口先や単なる言葉だけでは、
復興には何の役にも立ちません。今必要なことは、世界に向かって
復興の道筋を明らかにすることであります。
総理の御所見を伺いたいのであります。
私は、この
法律は各省との間や
地方自治体との間の総合調整を考えておられるものと存じておりますが、JR西日本を初め私鉄及びライフライン
を受け持つ各
企業等は、
復興の重要な部分を担いながらも
基本理念の中では明確ではありません。この際は、
政府、県、市、可及び民間がそれぞれ何をなすべきか、この
法律に基づき、
国民的な合意を求め、きちっとした役割分担が重要であります。
復興を急ぐためには財政的には何をなすのか、財源をどうするのかも明らかでありません。
復興本部にはもっと強大な権限を付与して、はっきり
国民の
皆さんにも、県や市や淡路島の
皆さんにも、これからの
復旧の姿が見える形のものでなければなりません。単に屋上屋を重ねただけでは
地元の
被災者の
皆さんは安心できないのであります。
総理として、
本部長として、以上のことに対する御
見解を承りたいのであります。
本
法案は、当初私どもに提示されたときの名称は、たしか
阪神・
淡路大震災復興法案でありました。昨日夕刻に至り、
内容は変わってはおりませんが名称が変わりましたと
政府から
説明がありました。
法案の名称がくるくる変わるというのでは、これはいかにも泥縄式と言わざるを得ません。
災害発生当初の混乱とショックから、
対策本部そのものがまだ立ち直っていないのではないかと憂慮するものであります。
けさの新聞によれば、
復興法案と呼ぶには
内容が伴わないという声が与党の中からも起こり、すったもんだの末にようやく名称を変更して
提出に至ったと書かれております。こんなことでは、野党が言い出す前に、
災害復興をこの
人たちに任せておいて大丈夫かと、本当に
国民の
皆さんの信頼を得られないのではないかと危惧するものであります。
私たちは、一時
国会をお休みにしてでも、
政府は
災害対策に没頭すべきだと申し上げてまいりました。それにも、あなたはにべもなくお断りになられました。急に昨日夕刻、名称をつけた
法案を、今日ほとんど問答無用に近い
国会運営もいかがなものか。あなたは、かつて野党社会党の
国会対策委員長を歴任されておりますが、これについていささかおかしいのではないかと気がつかなければなりません。この
国会運営をどう思っておられるか、
総理としての御
見解もあわせて
お尋ねをいたしたいのであります。(
拍手)
間もなく、春を告げる甲子園の選抜高校野球の季節が近づいてまいりました。ことしこれを行うかどうか、広く
国民の
皆さんの間でも、高校野球ファンの間でも注目が集められております。昨日、
新進党の議員総会において、あらゆる困難を乗り越え、大会には
被災者の
皆さんのお気持ちにも十分
配慮しながら、ことしも大会を実行すべきであると決議をいたしました。本日開かれております高野連等関係者の
会議でこのことを最終決定されるようであります。本来、文部大臣に
お尋ねをすべきことでありますが、この大会運営にも
政府は可能な限り
支援を行い、高校球児の流す汗や彼らの笑顔が、
阪神大震災によって国中が落ち込んでしまっているような現状を吹き飛ばし、
被災者の
皆さんにも勇気と希望を持っていただくことを期待しつつ、選抜甲子園大会を盛んなものにしたいと思います。
小里
国務大臣の
見解をお伺いいたしまして、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣村山富市君
登壇〕