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国務大臣(
武村正義君) まず、第二次
補正に関する御
質問でございますが、今回の
地震災害については各
省庁全力を挙げて
復旧対策に取り組んでいるところでございますが、これに
支障がないよう
財政的にも必要な
措置を適切に講じていかなければなりません。その一環として、六
年度第二次
補正予算の
編成作業に
全力を挙げて取り組んでいるところであります。
しかし、御理解いただきたいのは、
関係省庁も、ほぼ今日までは人命救助を含めた緊急
対策に
全力を傾注いたしております用地元の県、市の土木の職員等を中心として、地方公務員ももう疲労こんばいの中で緊急
対策に体を張っていただいているところでございます。そういう中で
補正予算の仕事をしなければなりません。ということは、現地で
被害状況を精査し、それを数字でまとめてこなければなりません。そういう事情もぜひ御理解をいただきたい。普通、
補正予算は二カ月ないし三カ月かかるのを、一カ月余りでやり遂げようという決意で、各
省庁もそういう中で
全力を挙げているところでございます。机上で簡単に
補正予算ができ上がるものではないことも、ぜひ御理解をいただきたいと思うのであります。
なお、七
年度予算審議に先立って
補正に取り組むべきではないかという御
指摘でございますが、私
どもは、急いで、第二次
補正予算を今月の二十四日までには国会にお運びできるように
努力をしてまいります。しかし、今御
審議をいただいております七
年度当初
予算も、四月から始まります
年度のさまざまな
国民の御期待の
予算がたくさん盛り込まれているわけでありますし、景気に対してもそれなりの
影響が出るわけでございます。そういう意味では、この当初
予算につきましては一日も早い成立を心からお願い申し上げたいと存じます。
なお、御承知のように、瓦れき
対策でありますとか応急仮設住宅のようなものは、予備費も含めてどんどん
対応をいたしておりますし、普通こういう
災害の場合は、地方公共団体もみずから
復旧の
補正予算を組んでどんどん発注していくというのが
実態でございます。国の
予算が成立するのをじっと待っているというよりも、それなりに過去の経験を踏まえて、激甚災のルールを踏まえて、地方公共団体も機敏にもう行動を起こしていただいているということも御理解いただきたいと思うのであります。
次に、
財政民主主義についての御
指摘がございました。
新
年度の
予算編成に当たりましては、まずは
特例公債の
発行を回避するというのを原則にいたしましたし、その基本前提に立って歳入
歳出両面においてさまざまなぎりぎりの工夫をする中で、御
指摘のような
特例的な
措置も検討せざるを得なかったところであります。こうした
特例的な
措置につきましては、極めて厳しい
財政事情のもとにおける臨時緊急の
措置として慎重に取り扱われるべきことは言うまでもありません。それぞれの制度・
施策の
運営に
支障を生じない
範囲で実施をしていかなければなりませんし、歯どめを有しているものに限るという基本に立っております。
なお、こうした
特例的な
措置等に関しましては、これまでもいわゆる
繰り入れ特例法等に基づいて
措置をされてきたところでございますし、国会における
審議等を通じてそれぞれの
措置について御
説明をしてまいったところでございます。さらに、従来より、これと関連して、「今後処理を要する
措置」という形の資料を整理してお出しをいたしているところでございます。
次に、この
特例措置は実質的な
赤字公債ではないかという御
指摘がございました。これらの
特例的な
措置は、
特例公債、
赤字公債とはいささか違う点についてもぜひ御
認識を賜り洗い。
一つは、結果として生ずる単
年度の歳入
歳出の差を単純に補てんするものであります
赤字公債は、一たび
発行に追い込まれれば、その
発行額の歯どめがきかないという点がございますが、
特例的な
歳出削減
措置は、それぞれの制度・
施策をめぐる
状況を十分検討した上で、
運営に
支障を生じない
範囲でやむなく行われるものであります。その性格及び
金額の点でおのずと歯どめを有している点は、御
認識を賜りたいと思います。
もう一つは、広く市中等から
資金調達を行う
特例公債と異なり、
特例的な
歳出削減
措置等は基本的には国の内部における
措置にとどまるものであります。
財政資金の効率的使用という側面も有しているということであります。
次に、
隠れ借金についての重ねての
お尋ねでございますが、具体的にどういう
措置を
隠れ借金というのか明確な定義がございません。こうして国会に全部お出しをし、御
審議を願い、お決めをいただいているわけであります。今後国が繰り戻しを行う等の適切な処理を行う必要がある
措置を「今後処理を要する
措置」として整理をいたしました。先般公表した資料の中で、各
措置の七
年度末における残高を明記しているところであります。これらについては、さまざまな性質の
措置が含まれているため、これを単純に合算して数字で発表するということはいたしておりません。
いずれにせよ、
特例的な
歳出削減
措置等につきましては、それぞれの制度・
施策をめぐる
状況や考え方を踏まえて、これまでも返済や見合い
財源の確保等その処理に努めてきたところでありますが、今後におきましても、それぞれの制度・
施策をめぐる
状況やこれまでの考え方、国の
財政事情等を踏まえながら、適切に
対応していく必要があると考えます。
次に、
外国為替資金特別会計について
お尋ねがございました。
この収支
状況につきましては、保有外貨の主たる運用先である米国の金利が上昇する一方、
資金調達手段である外国為替
資金証券の割引率が市場最低の水準で推移していること等を背景として、一時的に通常を上回る利益が発生すると見込まれる。このために、このような特別の利益に相当する額を七
年度の
一般会計に
繰り入れることとしたものであります。この特別
会計からの
特例的な
繰り入れ措置を含め、今後御
審議をお願いしている
法律案によるさまざまな
措置は、
現下の一段と深刻さを増した
財政事情のもとで、七
年度におけるまさに
特例的な
措置として実施をさせていただきたいと考えるものでございます。
次に、
財政状況を憂えた暁の
特例措置であったのかどうかという
お尋ねでございますが、もう
お答えをしてまいりましたが、
特例公債の
発行には
財政節度の観点から大きな問題があると考えておりますし、七
年度予算の
編成に当たりましても、
特例公債の
発行を回避するためにぎりぎりの工夫をする中でこの
特例的な
措置を検討せざるを得なかったということで、御理解をいただきたいと思います。
次に、景気への
影響であります。
さまざまな
国債、
地方債の
大量発行等が景気にマイナスの
影響を与えるのではないかという
お尋ねでございますが、今回の
地震災害に必要な
財政需要を賄うに要する
財源をどうしていくかにつきましては、今後、どのような経費がどれくらい必要であるかの点を明らかにしながら検討を進めさせていただきたいと存じます。
国債増発によらなければならないかどうか、そのことも含め
財源全体のあらゆる
可能性を真剣に求めていきたいと考えている次第でございます。
毎
年度の
財政運営に当たりましては、その経済に与える
影響も
念頭に置きながら適切な
運営に努めることが大事でございますし、
国債発行等の金利に与える
影響につきましては、その時々の景気動向、金融政策、為替動向等、内外の諸情勢に左右されるものでもあります。
国債等の
発行のみを取り上げて金利の上昇ひいては景気の
影響を論ずることは、適切ではないと考えております。
最後に、
財政システムそのものの抜本的な
改革について御発言がございました。
繰り返し申し上げてまいりましたが、
公債残高二百十二兆円、
国債費が
歳出予算の二割を占めるというように、構造的に大変厳しい
状況に立ち至っております。世界と比較をしましても、先進国の中では、公債依存度、利払い費率等が一、二位を争う高い水準に来ております。容易ならざる事態に立っていると考えております。御
指摘のような
財政システムそのものの
見直しにつきましては、かえって
財政の肥大化につながりかねないものもあるなど種々の
問題点もあり、慎重に検討をさしていただきたいと存じます。いずれにせよ、今や
我が国財政は一刻も放置しておけないほど脆弱な体質になっており、
改革への決意を一層固めなければなりません。
なお、昨年細川
内閣で
編成をいただいた、私もその一員でございましたが、六
年度予算におきましても、今回の
村山内閣の
編成した
予算と比べましても、
国債の大量
発行とか、御
指摘の数兆円にわたる
特例措置という点についてはほとんど変わりはありません。そのことも御理解をいただきながら御論議を賜りたいと存じます。(
拍手)
〔
国務大臣井出正一君
登壇〕