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冬柴委員 いろいろ伺いたいこともあるのですけれども、肝心の無料法律相談の
充実について伺っておきたいし、きょうは自治省も来ていただいておりますので、ぜひ伺っていきたいというふうに思います。
これは、実は
予算委員会で全閣僚いるところでやりたかったテーマでございます。今この法律扶助については、随分
法務省の取り組み姿勢につきましても熱心にやっていただいているし、またこの
平成五年六月二日の当
法務委員会理事会におきまして、
法律扶助制度の一層の
充実、発展を図るため、本格的な
調査研究の取り組みとそのための
予算措置を講ずべきであるという趣旨の
理事会申し合わせというものが成立をいたしまして、これに対して当時の後藤田
法務大臣も、誠実に対処するという答弁をいただいて、これを受けて
平成六年度には
予算措置もとっていただきましたし、またこの六年十一月七日には、具体的に
法律扶助制度研究会というものが発足をして、これには民事
訴訟学者が二名、
法務省四名、日本弁護士連合会及び法律扶助協会から四名、最高裁から一名という非常に大がかりな
委員会をつくっていただき、また、それには実務家でしょうか、幹事二十二名から成る大変な
研究会をつくっていただきました。
ですから、これの将来、非常に期待するわけでございますけれども、私はこの法律扶助というのは、少なくとも単に
訴訟援助というところだけに限局するのではなくて、法律相談というものについても万遺漏なきを期するということを含まなければ
意味がない。なぜならば、民民ではありますけれども、法律問題、紛争というものが
解決している実態というものは、
裁判所という場で
解決されているというものは残念ながらごく一部でして、本当に多くの部分はいわゆる示談で
解決をされているという実態があります。
この示談というのは、
我が国の
国民性といいますか、あるいは長い法文化というか伝統といいますか、そういうものを踏まえて、もめごとはお上に持ち出して
解決してもらうというのじゃなしに、それは最終の
解決であって、できれば話し合いで円満に
解決するというのが最良なんだ、そういう考え方が根底にあるようには思われますけれども、しかし、中へ入る人たち、入ってまとめる人たちの中には、
事件屋さんとか暴力団とかいうような人たちも幅をきかせているわけでございまして、弱い人が泣き寝入りをする、あるいは理不尽なこともそれをのまざるを得ないというようなことが起こるということは、これは僕は法治国家である日本において許さるべきことではない、このように思うわけでございます。
そういう
意味で、この法律扶助に対する要望が非常に強いこととともに、無料法律相談というものをぜひ
充実してほしいという
国民の期待というのは非常に大きいわけです。各地方公共
団体におきましても、これはもう住民と密着した
行政をしているわけでございますから、その住民のニーズにこたえて相当な費用を支出して、地方
団体の単独の事業として無料法律相談というものはもう全国各地で開かれているという実態があります。
ところが、これが均質なものかな。日本国じゅうどこでも
国民は同じようなそういうサービスを受けているのかなということを見たときに、そうではないという実態があります。例えば、北海道とかそれから日本海に面した方の県では、法律相談の回数とかあるいはそれに対する支出とかそういうものが、太平洋に面した方の府県に比べては著しく違う、そういう事実もいろいろな
調査から明らかにされているわけでございます。それは私は、同じ日本人であって弁護士に相談料を払えないという経済状態にある
国民も、ひとしくやはり正義へのアクセスというものが開かれていなければならないのではないかということを強く感じるわけでございます。
私も、この法律扶助につきましては、
予算委員会で三回、
法務委員会でたしか十一回やらしていただきまして、いろいろ、法律相談も国の義務であるというようなことを、
左藤恵
大臣のときにも明快に認めていただいたという経過もあります。私は、これは司法ですから、やはり国が一義的に義務を負うんだろうと今までは思っていたのですけれども、これは地方公共
団体もともに――
訴訟援助についてはもちろん間違いなく、疑いなく国でしょう。けれども、無料法律相談ということになれば、国とともに地方
団体もこれは責任を負うべき
事項ではないのかなというふうに思うに至っているわけでございます。
そうであるならば、地方交付税の基準財政需要というものにやはり法律扶助というものも入れていただいて、そして県民なり市民のうち、そういうものを負担することができない階層の人口というのはつかめるわけですから、例えば
生活保護世帯というのはもう疑いなくそうでしょう。あるいはそれに限局せずに、もっとそれを広げることも必要だと思うのです。
例えば、
国民の所得の五分位法で、下からと言っては失礼ですけれども、二分位に属する人たちにはそういうものを開くとか、フィリピンヘ参りましたことも報告いたしましたが、フィリピンでは
国民の八三%が無料の
訴訟援助と法律扶助、法的助言・援助を受けていられるということを私の耳で聞いてきました。そういうふうに非常に広く開いているところもありますけれども、日本の場合はどうかはわかりませんけれども、そういう一つの基準を立てて、ひとつ基準財政需要というものにカウントしていただいて、交付税の中にも入れていただくということも必要ではないか、こんなふうに思うわけです。
しかし、その前提として、やはり国の法律の中に、これが国と地方の義務であるという何か宣言がないと、ちょっとそういうことも難しいのかなということも私は感じるわけでございます。
そういうところで、時間が差し迫ったので、たくさん質問
事項は用意したのですけれども、そういう考えについて概括的に、
法務省どなたか、それから自治省からもどなたか、現状でも結構ですし、将来に向かっての決意でも結構ですが、適当な方に、
法務省それから自治省に御答弁をいただきたい、最後に
大臣からもいただきたい、こういうふうに思いますので、よろしくお願いします。