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1995-05-31 第132回国会 衆議院 農林水産委員会 第13号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    平成七年五月三十一日(水曜日)     午前十時二十分開議 出席委員   委員長 中西 績介君    理事 久間 章生君 理事 二田 孝治君    理事 松岡 利勝君 理事 倉田 栄喜君    理事 小平 忠正君 理事 仲村 正治君    理事 鉢呂 吉雄君 理事 錦織  淳君       赤城 徳彦君    岸本 光造君       栗原 博久君    栗原 裕康君       七条  明君    東家 嘉幸君       徳田 虎雄君    中川 昭一君       浜田 靖一君    松下 忠洋君      三ッ林弥太郎君    御法川英文君       山本 公一君    石破  茂君       大石 正光君    鮫島 宗明君       実川 幸夫君    千葉 国男君       畑 英次郎君    初村謙一郎君       増田 敏男君    矢上 雅義君       山岡 賢次君    山田 正彦君       池田 隆一君    石橋 大吉君       畠山健治郎君    前島 秀行君       玄葉光一郎君    藤田 スミ君  出席国務大臣         農林水産大臣 大河原太一郎君  出席政府委員         農林水産大臣官         房長      高橋 政行君         農林水産省経済         局統計情報部長 今藤 洋海君         農林水産省構造         改善局長    野中 和雄君         農林水産省農蚕         園芸局長    日出 英輔君         農林水産省食品         流通局長    鈴木 久司君         食糧庁長官   上野 博史君  委員外出席者         厚生省年金局企         業年金国民年金         基金課長    小林 和弘君         農林水産委員会         調査室長    黒木 敏郎君     ————————————— 委員の異動 五月三十一日 辞任       補欠選任   木幡 弘道君     鮫島 宗明君   遠藤  登君     池田 隆一君   辻  一彦君     畠山健治郎君 同日  辞任       補欠選任   鮫島 宗明君     木幡 弘道君   池田 隆一君     遠藤  登君   畠山健治郎君     辻  一彦君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農業者年金基金法の一部を改正する法律案(内  閣提出第八一号)(参議院送付)  地方自治法第百五十六条第六項の規定基づ  き、農林水産消費技術センター設置に関し承  詔を求めるの件(内閣提出承認第二号)(参  議院送付)      ————◇—————
  2. 中西委員長(中西績介)

    中西委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付農業者年金基金法の一部を改正する法律案及び地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、農林水産消費技術センター設置に関し承認を求めるの件の両案件を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。栗原博久君。
  3. 栗原(博)委員(栗原博久)

    栗原(博)委員 質問を見ますと、私はきょうは自民党と社会党、さきがけを代表して質疑をさせていただくわけであります。  今回の農業者年金改正案を見ますると、きょうまだお越しになっておりませんが、大河原大臣を初め農林省の本当に御苦労された跡が見えまして、心から敬意を表する次第であります。  私ども日本高齢化社会が到来いたしまして、年金問題、大変重要点を迎えるわけであります。  私は実は団塊の世代昭和二十二年生まれでありまして、私どもあと十八年くらいしますとそろそろ年金をもらうわけでありますが、今度は年金を掛けようとする人、それは恐らく平成五年ごろ生まれた人たちがそのころ年金をちょうど掛け始めるわけですけれども、百十八万人生まれている。私どもはその二倍の人間、約二百三十万人私ども世代で生まれているわけでありますから、やはり年金を掛ける人がどんどん少なくなってくる。  あるいは、ちょうど私が生まれた二十二年ごろ、六十歳の方の平均余命は、当時男性で十二・八三年、女性で二十・八三年、それが平成五年、要するに今度あと十八年ぐらいしましたら新しく年金を出そうとする方々の年代になりますと、男性が十五・三九年、女性が二十四・九四年ということですから、男性は七年、女性は九年長生きするということであります。  その中で、年金事情が大変厳しさを迎えると思うのです。特に少子化社会女性が子供を産まない。二・〇一人産むべきところを一・四人しか産まないという中におきまして、年金は大変な状況を迎える。特に六十五歳以上の老齢者が七%から一四%になるということは、フランス等で百十五年かかっている。イギリスでは四十五年で、日本ではわずか二十五年で到来しているわけです。  そういう中におきまして、私は昨年厚生委員をさせていただきましたけれども厚生委員会では、年金受給を六十歳から六十五歳までという段階的な引き上げということで措置をとっているわけでありますが、あくまでも、このような高齢化が進んでまいりましても、やはり経済の底力を維持しながら国民が豊かで生きがいのある社会をつくらねばならぬ、これが年金の最もの根幹であると私は思うのであります。今、年金一元化が叫ばれておるわけでありますが、残念ながら七年、八年の間で制度間調整ということでその経過を見ているようであります。その中で、高齢者が不安のない、公平かつ安定的な年金制度運営していかねばならぬということが政治家に求められている大きな課題であると思っております。  農業者年金でありますが、昭和三十四年に国民年金制定され、その際に、農業者皆さん所得が低い、他の方々厚生年金等に比べて受給が少ないからそれを何とかやろうということで、ところが、国民年金制定のころを見ると、農業者は死ぬまで働けるんだ、自営業者も。だから厚生年金とか国家公務員等共済年金等に比べて年金額が少ない、当時そういう法の制定趣旨があると思うのですよ。それを、何としても農業者年金をから取ろうということで、昭和四十五年の法律制定を見ております。  しかし、今日までの農業者年金の中身を見ましても、構造政策で、要するに離農促進するという中における対価として農業者年金があるわけであります。それが、今回の年金制度を見ましても、どうも相反する面もある。年金を掛ける人間が少なくなってくるから、年金給付も実は厳しいということがあるのです。  この法律ができる、これは構造政策として自立農家を育成するのだ、その対価として、去っていった農業者に対して手厚い年金制度をつくるということ、その趣旨は大変ありがたいと思っております。しかし、そういう中で、過去十一回ですか農業者年金改正があって、五回の再計算ですか、財政計算などで見ているようですが、今回の年金を見ますと、特に年金財政安定化とか、女性農業者加入の問題とか、新政策の推進などによって、実態に合った給付内容改善というものが見られているようでありますけれども、この点について、今回の改正の要点についてひとつ大臣からお聞きしたいと思うのです。
  4. 大河原国務大臣(大河原太一郎)

    大河原国務大臣 お答え申し上げます。  農業者年金は、昭和四十六年から制度としては発足したわけでございまして、専業的な農業者老後の安定と適期における経営移譲によって農業経営近代化を図る、あるいは農地利用合理化を図るというのを主眼とした政策年金として発足したところでございます。  その成果といたしましては、年金加入者方々を見ると、やはり経営規模が相対的に大きいとか、あるいは農業政策において重要な役割を果たしているとかというような政策誘導効果があったものと思うわけでございますが、ただいま栗原委員の御指摘のように、農業情勢の大きな変化から新規就農者が減りまして、加入者受給権者とのアンバランスが大きくなってきている、年金財政が大変厳しい情勢にある。したがって、平成二年の制度改正においてもこの点に着目いたしまして、それぞれの財政援助と申しますか、追加的国庫補助等を行ってきたところでございます。  そういう意味で、年金財政の安定は特に今後も必要であるという点から、今回の改正においても追加的な国庫補助を確保いたす。一方、御案内のとおりでございまして、農業をめぐる諸情勢農業構造改善が大変急がれておりますので、それについてはやはり制度改正は寄与しなければならないというようなことで、御案内のとおり、夫とともに実質的な農業経営を担当する女性配偶者に対する加入の道を拡大する。あるいは新規後継者については就農条件の制限を撤廃する、就農期間ですね。あるいは農外からの就農者についても、適格であった場合においては経営移譲適格者と認める。あるいは、ややあれでございますけれども、兼業の後継者経営移譲した、その後やはり適格な経営者農林年金加入者等の適格な者に対してやり直しをしたという場合には、その追加的な経営移譲年金を付加する。あるいは、まだ保険料納付期間経営移譲年金給付するに足りない以前に年金から抜けた方々についても離農給付金等をやるというようなことで、構造政策と申しますか、農業構造改善のための施策を行いたいということで、今回の改正の御提案を申し上げたところでございます。
  5. 栗原(博)委員(栗原博久)

    栗原(博)委員 確かに今大河原大臣がおっしゃるとおり、この年金が導入されたことによりまして、我が国の農家戸数の約一四・五%前後の方々が、数字を見ますと、経営面積とかあるいは農業生産額で四割をしのぐシェアを占めているということは大変よろしいことだと思っております。  その中で、私は農業者年金厚生年金に近づくようなという形で議論されておったと思うのですが、国民年金制度被用者年金制度一元化ということで結んでいるわけですが、農業者年金政策年金でありますからその一元化から外れていると思うのですが、しかしながら、実は同じ額の保険料を払っても、もらうのが三通りある。一つは、農業者年金加入しているとかあるいはまた後継者にちゃんと渡した場合は付加年金がつく、あるいはまた、サラリーマン後継者に出した場合はその七五%の分であるとか、あるいはまた、一般のただ経営移譲しなかった方には五〇%しかつかないという、一つ年金にしても三つパターンがあるということは特殊であると思うのですね。  ちなみに、今の全受給者のうち付加年金をもらっている人は八%ぐらいではないかと言われているようでございますが、そうしますと、農林省の試算の中で、いろいろな資料をもらっておりますが、サラリーマン並み老後を保障するということでも、これは付加年金最高限度の方が、平均農業所得二十一万三千円の場合は十八万二千円もらえるわけでありまして、この最高限度はわずかの人しかいないと思うのであります。例えば他の厚生年金等を見ますと、夫婦で働いている方がたくさんある。私も農家でありますから農業者としてわかるのですが、昔は農家に嫁に参りますと、いやよかったよかった、分家に参りますと本家へ行って働いて米をもらう、こういうことで、よく兄やんのところに、要するに長男のところに嫁に行きたかったけれども次男坊に行って苦労しているというような、これは昔の話ですが、今は逆で、年金を会社に行ってみんなもらっておりますから、やはり次男と結婚してよかったというそういうパターンが見られるわけなのであります。  私は、こういう限りなく厚生年金に近づくということをぜひひとつ今後ともお願いしたいと思うのです。特に今回の改定率を見ましても、大変農業情勢が厳しい、農業所得給与所得に比べて低くなっているわけで、厚生年金は今回の改定率では一六%、農業者年金は一一%を参考にしているようでございますが、今後、今回の改正もすばらしいのでありますが、厚生年金に限りなく近づくにはどのようなふうにお考えになっているかということをお聞きしたいと思うのです。
  6. 野中政府委員(野中和雄)

    野中政府委員 農業者年金厚生年金の比較ということでお尋ねでございますけれども農業者年金の方もさまざまな改正を経ておりますけれども厚生年金並み給付というような御要望を踏まえまして、前回平成二年の改正におきまして、一つ終身同一水準給付という給付体系に変更いたしますとともに、加入者平均農業所得基礎とするという、老齢厚生年金算定方式に準じた仕組みということにしているところでございます。今回の改正におきましても、従来どおり老齢厚生年金準拠算定方式を維持いたしますとともに、加入者平均農業所得の伸びに応じまして年金単価改定を行っておりまして、厚生年金並みという基本的な考え方を維持しているわけでございます。  ただ、先生今お話しのように、近年の農業を取り巻きます厳しい環境の中で農業所得給与所得に比べまして伸び悩んでおりますので、農業者年金給付改定卒は、お話しのとおり一二%というふうになっておるわけでございまして、厚生年金の一六%と比べまして格差が生じているわけでございます。これは、今申し上げましたように、農業所得とそれから厚生年金をもらっている方の所得との格差ということになるわけでございまして、これを是正をしていきますためには、今後、各般の農業政策、これは新政策基づきましていろいろな政策を講ずることとしておりますが、そういうことを通じまして、給付基礎となっております現実の農業者の方、あるいは加入をしている農業者の方の所得向上を図っていくことがその方策ではないか、そういうことが重要ではないかというふうに考えているところでございます。
  7. 栗原(博)委員(栗原博久)

    栗原(博)委員 米の一部部分開放とか、大変厳しい情勢でございますから、農業所得向上はなかなか難しいと思うのです。そこで、その改定率がそれを参考として上げられていくことだと思うのですが、今後この改定率を吟味する場合は、こういう情勢も踏まえながら、ひとつお含みおき願えればと思うわけでございます。  農業者年金は、昨年の総務庁指摘によりますと、年間百億を超える国庫補助を受けながら四百億も赤字を出しているようなことで、制度そのものが破綻するというようなことで大変総務庁も批判しているようでありますし、この前の二月二十四日の農業者年金制度答申についても、社会保障制度審議会では、近い将来年金財政がゆゆしい事態を生ずるということで言いながら、この答申に対して了承の文言が盛り込まれてないという異例な状況であるわけであります。  そしてまた、昭和四十六年ころ、一番加入者が多いころは約百万人以上がいて、そのころ一番ピークの資産保有が約六千億。今国庫補助を受けながらもその保有資産はどんどん落ちまして、三千億ぐらいであるということでありますが、そのような状況の中におきまして、農林省大変財政当局と厳しい折衝の中でまた今日の国庫補助もお受けになったと私は思うのであります。その御苦労は本当に先ほど冒頭に申し上げましたけれども日本農業者年金制度の模範であると言われているフランスにおいては、年金支給財源に占める保険料の割合は約二割である、残りの八割は国庫補助として、あるいは人口調整措置等のいろいろな措置がとられているようでありますし、要するに国民全体が連帯してその保険料を賄うのだということであるわけです。  今回、このような中でこの国庫助成の決定に当たる経緯とか、将来この農業者年金に対しての国庫補助の展望はどうなっているかということをお聞きしたいと思うのであります。
  8. 野中政府委員(野中和雄)

    野中政府委員 農業者年金における国庫助成のあり方についての経緯等お尋ねでございますが、平成二年、前回改正におきまして、政府部内の検討あるいは国会での御審議を経まして、この年金の存続とそれから農業構造改善を一層促進をするために、追加国庫補助を行う等の年金財政の長期安定を図るための制度的な枠組みを確立したところでございます。今回の改正におきましては、この前回改正で確立をされました基本的な枠組みを維持いたしますということが基本でございますが、同時に、新政策の展開など他の施策と連携を図りながら高齢農業者適期経営移譲促進をするということ、さらに、意欲と能力を持った若い経営者の方に参入をしていただいて、そういう営農意欲のある経営者の方に農地の集積を促進をするという、この農業者年金政策的な意義、役割が一層重要になっているということを踏まえまして、引き続き前回と同様に経営移譲年金に対する追加国庫補助をいただくということにさせていただいているものでございます。  今後についてということでございますが、この追加国庫補助とそれから若干の保険料引き上げをお願いしてございますが、同時に、新規加入者の増加というようなことが相まちまして、今後徐々にこの財政改善をしてまいりまして、平成三十年ごろには、受給権者が被保険者数を上回るというような逆転状態も解消されまして、年金財政は安定的に推移をしていくものというふうに見通しをいたしておりまして、私どももそういうふうに努力をしなければならないと思っているところでございます。
  9. 栗原(博)委員(栗原博久)

    栗原(博)委員 大変わかりやすい説明でありがとうございました。  私は、財政当局とも大変厳しい折衝もあろうかと思うのですが、この農業者年金は、言うならば政策年金でございますから、要するに、農業就業者を少なくしようという意図もあるわけですね。そうすると、掛ける人も当然少なくなってくるわけなんで、そこを、どういうふうにして政治がその中で今後国庫補助を持っていくかということだと思うのであります。  私は、よく皆さん政策担当からお聞きしますと、農業者年金だけが国庫補助を受けている、そうおっしゃるけれども、国鉄の鉄道共済年金は、これはやはり制度間調整で、例えば、平成五年、六年度分は九百七十億の制度間調整をほかの年金からもらっておりまして、また今度、七、八年は六百三十億ですか、あるいはまた清算事業団が一千億の金を出している。これだって、結論からいえば国の金でございますから、ちなみに、農業者年金だけが国庫補助云々ということは当たらないと私は思うのです。そういうことで、今後、ひとつ財政当局と強く折衝していただきたいと思うのであります。  また、きょうは厚生省も来ていると思うのですが、農業者年金基金はこういうふうに国の助成がありますが、しかし、受ける一般国民全体が今、実は厚生年金基金、これが今回、何か前から言われていましたが、紡績業関係基金がパンクだということであります。国民は将来の年金において、たとえわずかであっても不安を持っているのですが、厚生省、おられましたら、その経緯がどうなっているか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  10. 小林説明員(小林和弘)

    小林説明員 今お尋ねの件でございます。  日本紡績業厚生年金基金、昨年の十一月に解散という事態に立ち至っております。  委員指摘のように、この解散基金加入員に対しても、受給権をどういうふうにして確保していくかというのが非常に重要な点でございます。制度的には、基金給付というのは、厚生年金本体の一部を代行するという代行部分と、基金独自の給付を行う加算部分と二通りのものがございます。  代行部分につきましては、解散基金の場合、厚生年金基金連合会というところに引き継がれまして、解散の日以後は、解散基金にかわりまして厚生年金基金連合会代行部分給付を行うというシステムになっております。  また、加算部分の方につきましては、各基金の拠出に基づきまして、解散基金加入員年金給付についての一定額を確保する事業、これは支払い保証事業というふうに言ってございますけれども、この厚生年金基金連合会事業として位置づけられております。解散基金の方から、今後、事業利用についての申請が出てこようかと思いますが、その申請を受けた時点で、連合会の方でその適用が検討されるということになろうかと思います。  いずれにいたしましても、この基金財政の安定的な運営の確保というのが非常に重要な点と考えております。  このため、現在、厚生省の中に基金財政検討会設置をさせていただいておりまして、時価的な要素を取り入れた年金資産の評価を行うための検討もさせていただいておりますとともに、昨年の法改正のときに、より基金の実情に見合いました財政運営ができますように、免除料卒複数化というようなことも取り組まさせていただいております。  また、運用環境変化に対応した、しっかりした運用管理体制ができるような基金運用基本方針の策定を奨励するというようなこともあわせ努めさせていただいております。
  11. 栗原(博)委員(栗原博久)

    栗原(博)委員 年金加入者が不安のないような措置をひとつぜひ、一つでも崩れますと全体にやはり年金の不安が起こるわけですので、十分に指導していただきたいと思います。  その中で、この年金制度発足時の農業人口は八百十一万人である。今は四百万人を割っているようでありますが、特に、私は山間地の問題だと思うのであります。  この基金の中で、他の買い手がなかったら基金でもって買い上げてやろう、それによって農業者年金付加年金も出るようにしようというような配慮もあるようですが、じゃ、今まで農業者基金がどの程度買い入れたかといいますと、資料をもらってみますと、昭和六十三年から平成五年の間、ずっと見ますと、昭和六十三年一件、元年が八件、平成二年六件、三年が八件、四年が三件、五年が一件と、まさしくこれは形だけであります。  選挙制度改正で、私は、新しい選挙区になりました。栃尾市というところがありますが、この前の連休に西中野俣とか新山、半蔵金そして本所、上来伝土ヶ谷山葵谷等、大変な山手を歩いてみたのです。全く川下の人のために働いている。もう採算性を度外視して、その土地に住むゆえに農業をしようとしているわけであります。こういう方を何とか農業者年金によって救済できないか。  ところが、こういうところは農業者年金に入っても土地買い手がいない。こういうところをどういうふうにしてこれから政策的にとらえてもらうか。  私は、確かに、農業後継者あるいはまた有資の第三者に渡したら年金をもらえるということは、これは当然だと思うのですが、しかしながら、山の奥でありますから働き場がない。今までずっと営々と山を守りながら、下流の都市の人を守ってきた方々、そういう方々年金制度からはみ出てはならない。私は、むしろウルグアイ・ラウンドの中における中山間地対策は、まさしくそれは土地基盤整備事業も大切ですが、今すぐ、即、金になる年金というものの中で、何とか山間地方々を救済する方策というものも今後考えていただきたいというふうに強く御要望申し上げたいと思うのであります。  それからまた、特に遺族年金でございますが、今回、特定配偶者等措置で、遺族継承権でもって年金が入るということで、何とか中間的な措置はとれたと思うのですが、厚生年金等におきましても、従来、遺族年金については、例えば配偶者が働いていた場合、二つの選択肢があった。今度は三つにしまして、特に働いている配偶者遺族に対しても手厚く厚生年金では配慮しているわけであります。  私は、今まで農業者遺族年金はたびたび国会委員会決議をされているようでありますから、過去の決議にのっとって、あるいはまた本当に農業者の、年金加入者の方の御要望にこたえるように、ぜひひとつこの遺族年金も万全を期した形で制度を充実していただきたいと思うのであります。  時間がないので、もう一つだけ質問させていただきますが、農林水産消費技術センターの件であります。  先般、新聞でも、今度海外から野菜円高でどんどん入ってくるということで、果物、野菜等のJASの表示の問題で大変仕事量がふえるというようなことでありますが、厚生省は全国の検疫所三十カ所、二百五人で水際作戦をやっている。農林省の所管でありますこの農林水産消費技術センターの意義は極めて大きいと私は思うのでありますが、この中で、このセンターをどのように今後持っていくかということ、あるいはそれをどのように評価するかということ、今後どのようにこのセンターの充実を図るかということについてお聞きしたいと思うのであります。
  12. 鈴木(久)政府委員(鈴木久司)

    ○鈴木(久)政府委員 今回、農林水産消費技術センターの組織改正を行うわけでございますけれども、その際には、消費者の食品の安全性に関する関心の高まりに対応した体制の整備を進めることとしております。  具体的には、引き続き食品の安全性等に関するモニタリング体制の整備を図るとともに、特に東京の農林水産消費技術センターにおきましては、全国のセンターの消費者対応業務の中核的な機関としまして、消費者安全部をつくる。食品の検査分析の専門的技術や知見を生かしまして、PL関係の仕事を含めた安全性対策その他の消費者対応業務を一元的に行うようにしております。  また、現在、全国四センターにあります微量物質検査課を全国八センターすべてに設置しまして、安全性に関する検査分析体制を強化することとしております。  今後とも、PL関係業務、安全性対策、こういったものが適切に遂行されますように、引き続き体制の整備に努めてまいりたいというように思っております。
  13. 栗原(博)委員(栗原博久)

    栗原(博)委員 我が国は、年間四千五百万トン以上の食品、農産物が入っておるわけでありますのでき得れば国内で全部生産すればいいのですが、そういう状況でなくなっております。ぜひひとつ国民の安全な食糧、そしてまた他の国から、被害といいましょうか、健康を害するような食品が入らないように、そういう指導のためにもセンターの充実を御要望申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
  14. 中西委員長(中西績介)

    中西委員長 仲村正治君。
  15. 仲村委員(仲村正治)

    ○仲村委員 ただいま議題となりました農業者年金基金法の一部を改正する法律案について質問をいたします。蛇足になりますが、この法律改正に当たって、我が国農業農業者にかかわる問題について少し触れてみたいと思っております。  戦後五十年間の我が国農業を取り巻く情勢環境は、決して平たんな道のりではなかったと思います。また、政府の計画どおりに順調に進められてきたものでもなかったと考えております。そして、予算をつぎ込んで進めた事業であっても、絶えず三歩前進二歩後退を繰り返すというように、我が国農業は国内、国外の激変の波にさらされ続けているということでございます。  それは、戦後の食糧難時代に対応する農政、そして米過剰時代に対応する農政、輸入自由化の押し寄せる時代に対応する農政、このように次から次に起こる国内、国外からのいや応なしに立ちはだかる課題の中で、政府も各地域の基幹作物の生き残りを指導助言、助成のために金も出し、口も出して懸命に努力をしているにもかかわらず、我が国農業は、農業人口の減少、高齢化農業生産の質、量の変化、そして農業生産のGDPシェア及び自給率等々の低下、また他産業との所得格差の拡大、このように我が国農業の厳しさは年々増幅するばかりであります。  そして今、貿易自由化の一層の進展で、金さえ出せば安い輸入農産物が欲しいだけ買えるという時代ではありますが、しかし、いざというときに備えて、いわゆる食糧安保という立場から、一定量の農産物、食糧の自給率を維持するために農業生産力とその基盤の維持、発展の施策を今後ともとり続けなければならないということはまさに政治の責任であって、今後もそのような試行錯誤的対応は続けなければならない、こういうふうに思っているところであります。そして、そのような厳しい条件下でも、農業に従事し、生計を立てている農業者所得向上環境を整備すると同時に、その老後の生活を保障する制度確立は極めて重要な課題であると考えております。これがいわゆるただいま議題となっております法律改正であると私は思います。  この法律は、昭和四十五年に成立してから二十五年になるわけでありますが、その間今まで九回も改正され、今回は十回目の改正ということであります。こんなに頻繁に改正の必要が出てくるということは、この農業者年金制度を取り巻く環境が非常に厳しく変化を続けているということであると思う。  そこで、先ほど私が述べました我が国農業を取り巻く現状、そして頻繁に法改正を迫られる農業者年金法の現状、そして今後の見通しについて、大河原農林水産大臣の御所見を承りたいと考えております。
  16. 大河原国務大臣(大河原太一郎)

    大河原国務大臣 仲村委員、戦後の農業情勢の諸変化、内外の情勢の諸変化から、それぞれの対応についての御意見をちょうだいしたわけでございます。  農業者年金につきましては、昭和四十五年の法制定制度としては四十六年に発足したわけでございます。これについては、もうちょうちょう申し上げるまでもなく、お話もございましたように、専業的な農業者老後の安定と、適期経営移譲によって経営の近代化を図るあるいは農地保有の合理化を図るということで出発したわけでございます。けれども、その後の諸般の情勢を見ますと、農業情勢の大きな変化の中で新規加入者のベースになる新規就農者、この激しい減少ということがございまして、受給権者とのアンバランス等々、年金財政の多大の問題が出てまいりました。  各般の改正が行われましたが、特に平成二年の改正に当たりましては、このような情勢を踏まえまして存続問題まで議論をされているわけでございまして、それについては、やはり既加入者の期待権もあるし、あるいは現年金受給者受給権等ももちろんでございますけれども、本制度政策年金としての意味、構造政策的な意味、これが非常に重要であるということから、追加的な国庫補助を国として責任を持つというふうな枠組みが確立されて、今日に至っておるわけでございます。  今回の改正も、このような基本的な枠組みのもとに、長期の年金の収支をおもんぱかって年金財政基盤を強化するということと相並んで、さらには、先ほども申し上げましたけれども適期経営移譲等を進めることによって意欲、能力を持った若い経営者等の加入促進するとか、あるいは営農意欲を持った経営に対する農地の集積とか、それぞれ手当てをしながら政策年金としての役割を果たさせていきたい、さように考えておるところでございます。  御案内のとおりでございますけれども、今回の改正でも追加国庫補助に五年間で二千百億を確保しましたし、その後についても、法律の定めるところによって、わかりやすく言えば国が突っかい棒をしてこの制度の存続を図りたい、さように考えておるところでございます。
  17. 仲村委員(仲村正治)

    ○仲村委員 この法律は、自営業者対象の国民年金法ができて、この国民年金に農林漁業者が加入することになった、しかし、国民年金給付水準が厚生年金などの被用者年金に比べて非常に低いことから、農林漁業従事者の老後保障の、いわゆる国民年金の上乗せの特別年金制度として昭和四十五年に制定され、昭和四十六年から施行されたわけであります。先ほども申し上げましたように、今まで九回も改正を繰り返され、今回が十回目だということであります。  そして、その年金制定の第一の目的は、厚生年金などとの均衡を図り、農業者老後保障を拡充するということであったわけです。第二点目は、農業経営移譲を容易にして、経営の規模拡大と若返りを促進するという目的で制定されたものでありますが、今まで二十五年の間に十回も改正を頻繁に行わなければならなかった点を考えると、この年金法の運営には絶えず困難な問題がつきまとっているという感じがしてなりません。その点について、ぜひ御説明をいただきたい。  そして、この法律制度の当初目的の第一点目の老後保障、第二点目の経営移譲、第三点の規模拡大、第四点の若返りの政策目的は着実に達成されていると見ていいかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  18. 野中政府委員(野中和雄)

    野中政府委員 この農業者年金法は、今回を含めまして十回の改正でございますけれども、この中には、御承知のとおり年金でございますので五年ごとの財政計算を行うことになっておりまして、その際に制度の見直しを行いましたものが五回でございまして、それ以外に国民年金などの他の公的年金に準拠いたしました年金額改定が三回、あるいは物価上昇による年金額改定が二回といったようなものを含んだものでございます。  この農業者年金制度につきましては、大臣からも御説明を申し上げましたように、この制度が発足して以来、農業者老後の生活の安定なり、あるいは適期経営移譲を通じまして経営者の若返り、農業経営近代化というような役割を果たしてきているわけでございまして、最近におきまして、確かに新規就農者の方の数が減少しているというようなことから、財政的にはかなり厳しいものがございますけれども、私どもといたしましては、この制度発足以来、この制度が目的といたします効果は上がってきているというふうに考えているところでございます。  具体的に申し上げますと、現在、農業者年金加入をしております経営体でございますけれども農家戸数で見ますと一四%のシェアでございますが、経営耕地面積なり農業生産額では四割程度を占めるというようなことで、これはこの年金の効果も含んでいるものと思いますけれども、相対的に規模の大きい経営のための制度になっておるというようなことでございます。  また、経営の移譲でございますけれども加入農家農地等の後継者等への相続状況を見てみますと、経営を譲り受けました後継者の九割が農地の一括相続をしているということでございまして、農地の細分化が防止をされているというふうに考えているわけでございます。  また同時に、後継者への若返り等の点でございますけれども、経営を譲り受けました後継者の平均年齢は三十三歳ということでございまして、相対的に経営の若返りによりまして、こういう若い経営者に経営が適期に移譲されることによりまして、新しい技術でございますとか、新しい作物でございますとか、そういうような新しい分野にも積極的にチャレンジできるというような状況が生じているというふうに考えているわけでございます。  それから、一般的に申しましても、経営移譲の中で第三者への移譲というのがあるわけでございまして、これが制度発足以来六万七千件、十一万ヘクタール余ございますけれども、これは第三者への移譲ということでございますので、その第三者の方にとりましては経営規模の拡大につながっているというようなことでございまして、財政的になかなか厳しい状況にはございますけれども、私どもといたしましてはこの農業者年金制度、発足以来の制度の効果は着々と上がりつつあるというふうに考えているところでございます。
  19. 仲村委員(仲村正治)

    ○仲村委員 農業者年金問題は少しとっておきまして、私はこの機会に、地元の問題に関連して質問をしておきたいと思っております。  この法律制定経緯と意義は、何といっても我が国の農業従事者が老後の生活に不安を抱くことなく、それぞれの地域の適地遺作の農業に希望を持って精魂を打ち込み、そして生産の実を上げるようにしようということであると思います。  そこで私は、地元の基幹作物であるサトウキビの価格の件についてお尋ねしたいと思います。  私は、去る二月以来、予算委員会などの場所でこの問題について再三にわたり取り上げてまいりました。サトウキビの価格取り決めが従来の長い取引慣習の重量取引、いわゆるトン当たり幾らという方法から、平成六−七年産から初めて品質取引の方法に制度が変更されたのであります。昨年十月に、この品質取引の基準取り決めをするときに当たって、今までの一トン当たり価格の二万四百十円の農家手取りを保証し、また、長い間の慣習を変更して新しい価格取り決めに移行するという激変の緩和措置を十分とる意味から、糖度十二・二度から十三・三度を基準糖度帯とすべきであるということを繰り返し私は主張してきたわけでありますが、結局、政府案の十三・一度から十四・三度で決定されたわけであります。その結果、今期サトウキビ代の農家手取り額は大幅に値下がり状態になっていることについて、私は、農家方々がもう営農意欲を失って、失望感と政治不信の不満を募らせていることについて、この点を憂慮いたしましてその改善策を訴えてきたつもりでありますが、農林省もこの点については問題意識を持つようになっていただき、現地調査も行ったようでありますが、そのときには、まだ製糖期の途中だから全体が終わった段階で、その実績を把握した上で検討したいということでありました。  ところで、沖縄県は去る五月十五日に今期製糖の最終のまとめを発表したところでありますが、それによりますと、そのキビ代の値下がり額は、石垣島製糖で平均千二百三十一円、伊江島工場で九百三円、宮古の伊良部工場で七百四十四円、宮古の城辺工場で五百六十二円、沖縄本島の経済連工場で四百四十五円というふうにサトウキビ代の農家への値下げ支払いの実態が発表されております。県全体の平均でも、昨年まで一トン当たり二万四百十円より三百九十三円も安い二万十七円しか農家手取りは支払われていない、極めて深刻な厳しい実態が発表されているのであります。その原因は、何といっても基準糖度帯の決定が上に行き過ぎて、その基準糖度帯以下の、十二・八度以下のサトウキビが全県の平均でも四割近く、三八・九%を占めているということであります。  その発表を受けて、私は各地の農家の声を聞いて回りましたが、生産農家は、今までサトウキビ代を決めるに当たって、百円上げるとかあるいは下げるとかの問題で私たち生産者はかたずをのんでその決定を見守ってきたが、今回のように幾ら品質取引といっても、このように一挙に千二百円とか七百円とか下げられてはたまったものではありませんよ、こういう不満をぶちまけているところであります。  さきに申し上げましたように、幾ら農業者年金基金法が現役農業者の就農意欲を発揚するとか、あるいは規模拡大を図るとか、後継者育成を図るとかといっても、こういうふうに生産対策として、流した汗が報わるような所得が保障される施策でないと、この制度は生きてこないと私は思うのであります。このたび発表されたサトウキビの品質取引第一年度の総括を見て、私は、政府において長年の取引の慣習を変えて、取引価格取り決めの制度移行のいわゆるソフトランディング、激変緩和措置をしっかりと講ずべきであると主張してまいりましたが、このように大幅な値下げ結果が出た以上、私は何らかの措置を講じなければならない、こういうふうに思っておりますが、これについて大河原農林水産大臣の御所見をお尋ねいたしたいと思います。
  20. 大河原国務大臣(大河原太一郎)

    大河原国務大臣 お答え申し上げます。  仲村委員からは予算委員会、それぞれの機会に本問題についての各般の御指摘と御意見をちょうだいしてきたところでございますが、その際にも申し上げましたように、平成六年から品質取引に入る。非常に大きな価格決定の変革でございますので、我々としては過去の平成四年、五年等の毎個調査の糖度を調べたり、あるいは、それ以前の製糖歩どまり等も参考にいたしまして基準糖度を決め、さらには基準糖度帯の幅を決め、さらに定着化奨励金等についての配分等を緩和いたしまして、いろいろ激変緩和についての配慮を慎重の上にも慎重に行ったつもりでございます。これについては、ただいま御指摘ございましたように、沖縄全体としての糖度は十三・一で糖度帯に乗ったというふうに私は承知しておりますけれども、離島方面においては、収穫期の後半においてしばしばの台風が参りまして、それが品質低下の大きな原因になったというふうにも承知しておるところでございます。  そういう意味で、本年最初でございますので、今後の推移を見て、これらの糖度帯等についての問題については慎重に検討をしてまいりたい、さように思っておるところでございます。
  21. 仲村委員(仲村正治)

    ○仲村委員 私が調べた資料に間違いかなければ、主要の農産物、ほとんどこの二、三年、四、五年据え置きの状態になっているわけであります。  まず、米価、麦価についてでありますが、この四、五年間一万六千三百九十二円、米価。麦価は九千百十円で平成三年から平成六年まで四年間も据え置きをされております。乳価も平成六、七年七十五円七十五銭で据え置きをされております。北海道のビートも、これはてん菜ですね、それも一万七千五百円で据え置きをされております。バレイショでん粉、これも一万四千四百十円で据え置かれております。鹿児島のサツマイモでん粉、これも三万一千八百七十円で据え置きをされております。この私が調べた資料が間違いないかどうか、お答えをいただきたいと思っております。  そして、いかに我が国の稲作農業や畑作農業の生産費が高く、その再生産を可能にするための価格支持の措置を講じて農業経営の維持存続、そしてその生き残り対策をせねばならぬかということだと私は思います。なのに、なぜ、すべての農産物が据え置かれている状況下で、沖縄の基幹作物のサトウキビ代が品質取引という理由をもって千二百円とか七百円とかの大幅値下げをされなければならないのか、また、農家はそれを甘んじて受けなければならないのか。その点について明確にひとつ大臣から御答弁をいただきたい、このように思っているわけであります。
  22. 大河原国務大臣(大河原太一郎)

    大河原国務大臣 ただいま仲村委員から、各種農産物の行政価格の決定についてのそれぞれのお話がございました。据え置き等々についてのお話もございました。これについては、それぞれの作目別の生産費の動向、あるいはそれぞれの作物について固有の算定方式がございますので、それに基づいて決定をしたところでございます。ある作物については、算定方式にのせますと労働費の節減その他でむしろ現行水準よりは下がるというような場合もございましたけれども、それについては、生産性向上のメリットを生産者に還元するというような趣旨からも据え置くとか、いろいろな過程がございましたわけでございますが、サトウキビについては、糖分取引については、あらかじめ据え置きとか下げるとかということではなくて、糖分取引の結果によってそれぞれの品質が決まり、それによって価格が決まるということでございます。したがって、例えば収穫期その他によって糖分取引の糖度が非常に落ちた場合には、結果として、その取引の糖度が落ちた結果農家手取りが下がる、そういうようなことでございまして、他の農産物のようにあらかじめ収穫期に行政価格を決めて、そして価格決定をいたすという仕組みにはなっておらないところでございます。  したがって、今後の問題としては、委員ただいま御指摘のようなその基準糖度なりあるいは糖度帯というものについての慎重な検討は必要かと思うわけでございますが、さらには、所得に影響する収穫とそれから糖度等について、所得的なその補てん的な制度、これはサトウキビ共済の充実だと思うわけでございますが、そういう施策によってその所得確保が果たされるべきであるというふうに思っておるところでございます。
  23. 仲村委員(仲村正治)

    ○仲村委員 今までのトン当たり二万四百十円というのは、これは何もでたらめの決め方をしたわけではないです。皆さんは、生産費を計算して、その中からどれだけが再生産可能な価格がという立場で今までの重量計算の二万四百十円というのは決められていたと私は思うのであります。そういう中にあって、先ほど私が御指摘申し上げた、各農産物がこの二、三年ずっと据え置きの状態にある中で、なぜサトウキビが千二百円も七百円もこの品質取引という理由で下げられなければならないのか、私は、この等しからざることを強く指摘をしているのであります。  したがいまして、結果としてこれはこのような状態が出た以上、私は、何らかの措置を講ずべきである、こういうように思います。その点についてお答えをいただきたいと思います。
  24. 鈴木(久)政府委員(鈴木久司)

    ○鈴木(久)政府委員 今回の糖分取引に伴います農家手取りの減少の状況を見てみますと、特に沖縄におきます一部の離島を中心にしたものでございまして、地域性があるのではなかろうか。また、最も品質が低下した石垣島におきましても、糖分低下による手取り価格の減少はおおむね六%程度というように見ております。また、同一地域内におきましても品質の高低がございまして、低品質生産者への個別的な救済を行いますと、逆に高品質生産者の生産意欲を低下させるといったような問題がございまして、なかなかこれにつきまして対応することが難しい面がございます。  しかしながら、品質取引、初年度であることもございます。農家の生産意欲を減退させることがないように、県、市町村等に対しましても、地域一体となった生産振興等の取り組みを検討するように指導しているところでございます。また、国におきましても、関連事業の実施に当たりましては、沖縄県の意向を踏まえながら、予算実施上重点配分をしてまいりたいというように考えております。  いずれにしましても、今後ともサトウキビの品質向上を図り、農家手取りを向上させるために、生産条件の整備等の対策を総合的に推進してまいりたいというように考えております。
  25. 仲村委員(仲村正治)

    ○仲村委員 私は、この今回の初めて導入された品質取引の結果、このような大幅な値下げの結果が出てきておるわけであります。確かに、離島、本島、各地域において気象条件がことしは非常に違います。宮古、八重山は三回も台風が来た、しかし、沖縄本島は台風が来ておりません。それで、私は、原料の質の面からいえば、これはもう本当にこれ以上の原料はないと思うほど良質なキビであった、にもかかわらず、これが十二・八度以下なのが三八%もあったということは、基準糖度帯の決め方にこれは問題があった、こういうふうに思っておりますが、この極端に下がった宮古、八重山の地域に対して何らかの是正措置を講ずる必要があるのじゃないか、こういうふうに思っております。この点をどうするのか。あるいはまた、来年以降、このままでいけば、私は、この極端な値下げ状態というのは今後も続いていく、こういうふうに思っておりますが、この基準糖度帯の決め方について今後どのような考え方を持っているのか。その二点について明確に御答弁をお願いしたいと思います。
  26. 鈴木(久)政府委員(鈴木久司)

    ○鈴木(久)政府委員 今回の第一年目の品質取引導入に伴います、特に沖縄県の離島におきます品質取引上の糖度が非常に低かったという問題につきましては、台風等の影響によってこういった結果になったわけでございますけれども、これにつきましては、できるだけその地域のサトウキビ生産が引き続き振興されますように、先ほど申し上げましたように、県あるいは市町村、市の方とよく相談しながら、道切な生産対策を講じてまいりたいというように思っております。  また、今後の基準糖度あるいは基準糖度帯の問題でございますけれども、いずれにしましても、品質取引は六年産からスタートしたばかりという状況でございます。したがいまして、もう少し実績を積み重ねた上で、改めてまたこの基準糖度帯あるいは基準糖度のあり方につきましては慎重に見直してまいりたいというように思っております。
  27. 仲村委員(仲村正治)

    ○仲村委員 ことし実施をしてみて、この結果は出ているわけであります。今後その実績を見て考えていきたいということであれば、来年もそのまま続けるということなのかどうか、もう一回答えていただきたい。
  28. 鈴木(久)政府委員(鈴木久司)

    ○鈴木(久)政府委員 このサトウキビの基準糖度帯及び基準糖度につきましては、秋のサトウキビの価格決定の際に検討し、決定をしていくべきものでございまして、あるいはこれにつきましては、これから秋にかけて検討していく一つの素材になっているわけでございますけれども、私どもとしましては、ことし一年だけの実績を見て検討を加えるということがいいのかどうかということも含めまして慎重に検討しなければならない課題であるというように考えております。
  29. 仲村委員(仲村正治)

    ○仲村委員 今回初めて実施をしてみて、これはもう基準糖度帯が上に上がり過ぎているということは明確に出てきておるわけでありますので、ことし十月ごろになると思いますが、次年度の基準糖度帯決定に当たってはぜひその点に十分配慮をして、大幅な値下がり状態にならないようにやっていただくということを強く要望しておきたいと思います。  ローカル問題に少し時間を割いてしまいましたが、本題に戻ってさきの質問を続けたいと思います。  この農業者年金法の制定経緯を考えてみて、せっかく農業者老後とか農業経営の規模拡大とか後継者育成とか、あるいは人生の途中で健康問題とかの理由で他にそれを移譲しなければならない、あらゆるケースに対応できるようにきめ細かくその制度がつくられているけれども、果たしてそれは農業者のために、また農業の振興対策のために生かされているだろうか、疑問を抱かざるを得ないのであります。  それは、制度発足の昭和四十六年当時、農家戸数は五百二十六万戸余あったわけです。就農人口も九百五十九万人、それがだんだん減少して、平成二年には農家戸数が三百八十三万戸余、そして就農人口が五百六十五万人に減少しているわけであります。同時にこの年金加入対象者も、昭和五十年には百七十八万人もいたのに平成五年には五十五万人に減ってしまった。そして加入者数も、昭和五十年には百十六万人もいたのに平成五年には四十四万二千人に激減してしまった。逆に年金受給する人は、昭和五十五年に十八万三千人だったのが平成五年には七十三万五千人に増加している。ついに被保険者数の倍近い数字になってしまっています。  本来、この種の年金保険制度は、三名か四名の被保険者が一人の受給権者を支えていくというのが望ましい姿だと思います。今までの統計の数字を見ていると、今後も加入者は減る一方で、他方受給者はふえる一万だと思うが、このままいくとしたら、この制度の将来の姿をどのように描いておられるかお答えをいただきたいと思います。
  30. 野中政府委員(野中和雄)

    野中政府委員 先生御指摘のとおり、農業者年金につきましては、現在加入者平成五年度末で四十四万人、それから受給権者平成五年度末で七十四万人ということで、現在受給権者加入者数を大幅に上回るという厳しい状況になっているわけでございます。  そこで、今後についてのお尋ねでございますけれども加入者の方につきましては、新規加入のベースとなります新規就農者の数等々がやや増加をする傾向にあるというようなこと、それから、今後新規就農につきまして、先般当国会でもお願いをいたしました青年就農促進法を初め各般の施策を充実をして実施をするということにいたしております。こういうようなことによりまして新規加入者数は徐々に増加をしていきまして、これによりまして加入者数につきましても一定の水準が確保されるものというふうに見通しをいたしております。  受給権者につきましては年齢構成から予測ができるわけでございまして、本年度をピークにいたしまして平成十二年度ごろからは急速に減少をしていくというふうに見通しを立てているところでございます。その結果、平成三十年ごろには加入者数と受給権者数が約三十万人ぐらいのところで均衡をするのではないかというふうに見通しを立てているものでございまして、そういうことで年金財政改善をしていくものというふうに考えております。
  31. 仲村委員(仲村正治)

    ○仲村委員 とにかく、現状のままでいけばもう後が続かなくなるのは目に見えているような感じであります。  そこで、年金財政安定化のために新規加入者の督励促進を図らねばならないと思うし、またこれについて政府はどのようにその対策を立てておられるのか。しかし、現在の農業者でも今の加入基準に適合しない人が多いので、可能な限り基準に適合できるように指導して加入促進する。そういうことと同時に、後継者確保の中でも、この基準に適合する後継者を育成する努力も政府の責任だと思うのであります。しかし、これだけで年金財政の長期安定化を図るための被保険者数受給権者数のバランスを維持できるまで達成するのは容易ではないと私は思っております。したがって、加入基準の引き下げなどの検討もあわせて行う必要があるのではないかと思いますが、この点についての御見解をお聞きしたいのであります。
  32. 野中政府委員(野中和雄)

    野中政府委員 新規加入促進につきましては、まさにお話しのとおりでございまして、私ども新規加入者促進というのに最大限の力を入れていかなければならないというふうに思っているところでございます。従来も後継者加入をいたします場合に、三割引きの保険料というのを設定して加入しやすいようにしているというようなことがございますし、また後継者が任意加入をいたします場合に、今回の改正におきましても、従来農業従事期間の要件がございましたのをそういうものを撤廃をするというような形で、後継者が一層入りやすくするというような形もとっております。  それから、後継者新規加入者促進につきましては、それ以外にも全般的にもまだ資格がありながら入っていない人がいるというようなこともあるわけでございまして、これらの点につきましては、農業者年金基金等とも一緒になりながら、そして御協力をいただいている各団体とも一緒になりながら、既に資格がありながら入らないでいる人に対するいろいろなPR、あるいは制度について不安に思っていらっしゃるところについての御説明というようなことを格段に拡充をしていきたいというふうに考えているところでございます。  またさらに、お話しのとおり、新規加入者の増加を図りますためには、そのベースとなります新規就農者、これをふやしていくということが何よりも大事でございます。幸いにいたしまして、最近の動向からいたしますと、新規就農者、これは新たに学校を卒業して就農をする方あるいは途中でいわゆるUターン青年として農業につく方、こういうような方の数が、ことしの農業白書でも分析をいたしておりますように下げどまりあるいはやや増加をするというような傾向もございますし、農外からの新規就農者の方につきましても、着実に増加をするというようなこともございます。それから、道府県の農業者大学校の入学者の数などを見てみても増加をするというような傾向が出てきているわけでございまして、私どもといたしましては、こういうような傾向を一層進めるために、新しく就農をする人のための対策、これは先ほど申し上げましたような新しく就農する人のための新規青年就農促進法に基づきますいろいろな措置、あるいは融資の措置、それから従来からありますような農外から就農する人に対するいろいろな就農のあっせん、紹介等々を含めまして、そういう施策の充実を図っていく必要があると考えているところでございます。
  33. 仲村委員(仲村正治)

    ○仲村委員 次に、農業者年金財政収支の問題についてお尋ねいたします。  経営移譲年金の場合を見てみますと、平成二年度までは給付年金総額の五〇%、約二分の一は保険料収入で賄い、残り五〇%、これも約二分の一は国庫補助でカバーするという状態が、急激な保険料収入の減少のため経営移譲年金給付に要する費用が貯えなくなって、従来の二分の一国庫補助という考え方は根底から崩れて、そして平成六年度の予算額では、追加国庫補助額と合わせて国庫補助額は経営移譲年金の何と八九%となっていて、もはやそれに要する費用の、一部と皆さんは書いてありますけれども、一部というより全額に近い国庫補助と言った方が適切と思われます。そして、今回さらに平成八年から十二年までの各年度の経営移譲年金給付に要する費用の一部と言っていますが、その大半と言った方がいいでしょう、いわゆる二分の一国庫補助額以外の追加補助金として二千百八億円を措置するということであります。  経営移譲年金制度そのもの農業経営近代化とか農地保有の合理化とかの政策誘導の意味を持っていることはよくわかっているつもりであります。だからこそ二分の一は国庫で負担しますよということは至ってわかりやすい話であります。また、何といっても、本来その年金に必要な費用の二分の一は保険料収入で賄うべきであります。しかし、法案説明を読んでみますと、被保険者数は年々減少、逆に受給権者は年々増加、一体この制度が正常な姿になるのはいつなのかという疑問を抱かざるを得ません。この点について、どのような御説明をいたしますか。
  34. 野中政府委員(野中和雄)

    野中政府委員 お話しのとおり、現在、農業者年金制度につきましては、新規加入者の減少等によりまして大変厳しい状況になっているわけでございます。  経営移譲年金につきましては、通常でございますと二分の一が国庫補助ということでございますけれども、現在はそれだけでは不足をしているということで、追加国庫補助をいただくというような状況になっております。また同時に、今後五年間につきましても、同じように追加国庫補助をいただくというような法律改正の内容になっていることは御指摘のとおりでございます。  この点につきましては、前回平成二年の改正のときに、こういうような財政状況、今後の見通し等に基づきまして、政府部内の検討あるいは国会での御審議も経まして、ただいま申し上げましたような農業構造改善の一層の推進を図るための追加国庫補助、その他財政基盤の長期安定を図るための制度枠組みが確立されまして、それに基づきまして今のような追加的な国庫補助もいただいているというような状況でございます。今回の改正につきましても、こういうような経緯、さらに農業者年金政策的な意義、役割が一層高まっているというようなことにかんがみまして、前回改正基本的な枠組みを維持いたしまして、引き続き経営移譲年金の部分につきましては追加国庫補助をいただくことにさせていただいているところでございます。  しかしながら、先ほども申し上げましたが、今後の受給権者数あるいは加入者数の見込みを立ててみますと、新規加入者数の増加につきまして私どもといたしましても最大限の努力をしていく、同時に、受給権者につきましては現在をピークに今後下がってくるというようなことが見通されておりますので、そういうような加入者数と受給権者数の今後の見通しの問題、それから財政的には、今回この追加補助をいただくと同時に、保険料につきましても段階的に引き上げをさせていただくことをお願いをしているわけでございます。  こういうような措置によりまして、単年度収支も今後徐々に改善をしていくと考えているところでございまして、平成三十年ごろには受給権者数と被保険者数の逆転状況も解消されまして、年金財政も安定的に推移をしていくものと見通しをいたしておりますし、私どもといたしましても、新規加入者促進等々、この方向に向かいまして最大限の努力をしていく所存でございます。
  35. 仲村委員(仲村正治)

    ○仲村委員 とにかく先ほどからいろいろと問題点を指摘しているところでありますが、皆さんとしては将来それが均衡していくように努力をしていくということでありますので、それを了といたします。  ただ、平成七年二月二十四日に社会保障制度審議会が行った「農業者年金制度改正について」の答申は、他の公的年金制度と比べて異例と言えるほど多額の国庫負担によってその収支の均衡を図らざるを得ない状態になっていることにかんがみ、制度の根本的な検討を行うことを強く指摘している。今回、平成八年から平成十二年まで一定額国庫補助をするとか、さらに法案では、平成十三年度から当分の間別に法律で定めるところにより必要な国庫補助を行うとされたことは、この答申を無視したものと思われますが、これについての御見解をお答えいただきたいと思います。
  36. 野中政府委員(野中和雄)

    野中政府委員 御指摘のように、社会保障制度審議会答申をいただいているわけでございますが、私どもといたしましては、農業者年金と申しますのは、今までも御説明を申し上げてまいっておりますように、農業者適期経営移譲によります世代交代の促進農地の細分化防止あるいは規模拡大といったような農業構造改善という農業政策上の目的を、年金という手法を用いまして達成をしようとするものでございまして、この点におきまして、老後保障のみを目的とする他の公的な年金とはいささか性格を異にする年金制度であると考えているわけでございます。国庫補助につきましても、年金事業運営の観点に加えまして、本制度がねらいといたします農業構造改善を推進するために必要なものであると考えているところでございます。  ただ、私どもといたしましては、逐次その方向に充実を図っていくことが必要であると考えておりまして、今回の制度改正におきましても、農業に専従をいたします女性加入の道を開くとか、あるいは後継者加入促進を図りますとか、あるいは担い手農業者への農地集積を一層促進をいたしますための加入要件あるいは経営移譲要件の見直しをすることによりまして、この制度政策年金としての機能を一層強化する方向で、そして財政につきましても改善をしていくというような方向でいろいろと制度内容の改善を図ることにいたしているところでございまして、御理解をいただきたいと考えているものでございます。
  37. 仲村委員(仲村正治)

    ○仲村委員 平成二年に国庫負担の改正を行い、本来の二分の一に加えて追加助成平成三年から平成七年まで行う、しかもこれは、固定的な助成措置ではなく、「当分の間」行うとされております。そのことが再度五年間延長されるということでありますが、その「当分の間」という言葉の解釈、何年間を意味するものであるか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  38. 野中政府委員(野中和雄)

    野中政府委員 追加的な国庫補助でございますけれども、今回の法律によりまして平成八年度から十二年度までの額を計上をしているわけでございますけれども、十三年度以降につきましても、法律によりまして、いろいろな情勢を見ながら検討を行うということにされているわけでございまして、財政安定に私ども極力努力をしてまいるわけでございますが、その財政安定が図られるまでの間、追加的な国庫補助をいただくということになるだろうというふうに思います。
  39. 仲村委員(仲村正治)

    ○仲村委員 私は、この「当分の間」という言葉に非常に疑問を持って、それを確認をいたしているわけでありますが、この制度の安定的な運営ができますように、ぜひひとつ努力をしていただきたいと思います。  先ほどから私は、この農業者年金制度の重要性は十分理解しつつも、肝心かなめの農業者が三百六十九万戸もいながら、加入資格要件を持つ者がそのわずか一五%の五十五万六千戸しかいない。しかも、せっかく有資格者でありながら、そのうち二一%の十一万五千戸が加入していないということを考えると、これだけ国民の税金を使って、農業者老後の生活に不安がなく農業生産にいそしみ、そしてまた国内農業生産の一定水準を何としても維持していこうという政府の政策は、大変失礼な言い方かもしれないが、徒労にも等しい感がしてならないのであります。  私は平成六年七月の総務庁の行政監察結果の勧告はこのことを厳しく指摘したものであると思っております。この行政監察の改善、見直しの指摘をどのように受けとめられているか、何をどのように見直してきたか、御答弁をいただきたいと思います。
  40. 野中政府委員(野中和雄)

    野中政府委員 今の農業者年金加入者でございますけれども、私どもといたしましては、確かに現在加入資格者五十五万六千人余でございますけれども、このうち加入者が四十四万人というようなことでございまして、やはりこの制度、せっかくの農業者老後安定あるいは経営の近代化等に資するための制度ということでございますので、まさに各方面の御指摘もありますように、できるだけこれに入っていただいて、利用をしていただくというようなことが大切でございます。  そういう意味で、私どもといたしましても、加入資格のある方に大いにこの制度内容をPRをし、御説明をして、加入促進をする努力を今後大いにしなければいけないというふうに今考えているところでございまして、そういう方向で努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  41. 仲村委員(仲村正治)

    ○仲村委員 私が先ほどから申し上げておりますように、金さえ出せば幾らでも農産物、食料品は買える時代になっておりますけれども、しかし、やはり世界の一定の地域に食糧を求めるというほど危険なことはありません。したがって、一定水準の国内生産を維持するということは、これは農政の極めて重要な課題であります。  その生産はだれがやるかというと、やはり農業者がやるわけでありますので、この農業者老後の保障、そして経営移譲の保障などなど、そういった点をしっかりやるということは、私は、日本農業を守り、そして一定量の生産水準を維持するという点で極めて重要な問題である、こういうふうに思っておりますが、先ほどから指摘を申し上げておりますように、この年金運営に大変苦労なさっておられる、このことを考えているところであります。  私はいろいろ疑問点を解明するために質問をいたしましたが、この農業者に関連する年金制度の重要性にかんがみ、その健全な運営を期するために、現在の問題点を解決しない限り、この制度の将来にわたっての継続は非常に難しい。したがって、抜本的改革なしで、ただその場しのぎで、不足分は国の補助金を出すしかない。また、「当分の間」と言っても、平成三年から五年間というふうに決めたものが、またまた平成十二年までの五年間措置しますでは、その「当分の間」が二十年も三十年も続きかねない話であります。  私はこの制度の健全な運営を求める気持ちでいろいろと指摘もいたしましたが、ぜひその努力をしていただくことを強く求めて質問を終わりますが、この件について御決意を述べていただきたいと思っております。
  42. 大河原国務大臣(大河原太一郎)

    大河原国務大臣 お答え申し上げます。  ただいま仲村委員から年金制度についての当面する諸問題、今後の問題等について幅広い御質問なり御意見等をちょうだいしたところでございます。  特に社会保障制度審議会なり、あるいは総務庁、その他各般の外部の意見等もあるわけでございまして、年金制度本来の構造政策的な寄与という点について配慮しながら、その年金自体として、制度を預かる我々自体として努力すべき各般の問題等については一層検討を進めて、効率的な年金制度の確立という点に向けて努力をいたしたい、さように思っておるところでございます。
  43. 仲村委員(仲村正治)

    ○仲村委員 終わります。
  44. 中西委員長(中西績介)

    中西委員長 石破茂君。
  45. 石破委員(石破茂)

    ○石破委員 今から五年前にやはり同じ改正がございました。私はそのときにも質問に立たせていただきまして、当時は大臣が山本富雄先生であり、構造改善局長は片桐さんでございました。そのときに交わした論議と五年たって今交わしておる論議、余り実は変わっていないねという気を正直言って持っております。  冒頭栗原議員から、そしてまた今仲村議員からいろいろと御指摘がございました。同じことを五年前に私も聞いておるのです。そのときに最初に申し上げたのは、大臣にも最後に御確認をいただきましたのは、この農業者年金に入るか入らないかというのは、要は農業に対する将来、農業に対する希望、それがあるかないかのバロメーターである。いろいろな政策を講じてみても、農業に対する明るい展望というものがない限りは、これは決して続くものではないというようなことを申し上げた覚えがございます。  自来五年たちました。さて、それじゃ農業に対する明るい展望というのがこの五年間で何か開けたのかなといえば、それは私も農政の末端にかかわる人間として内心ややじくじたるものを覚えざるを得ないのであります。基本的にはそういう問題ではなかろうかなというふうな気がいたしております。  いろいろ御質問がございますように、この年金というものは日本年金の将来の姿を暗示したものじゃないのかという御指摘がございます。もちろん政策年金でありますから、そのままストレートに将来を暗示したものというふうに言うことはいかがなものかとは思いますが、基本的にこれから先高齢化が進めば財政が逼迫することは三歳の童子が考えてもわかるお話でございます。  そして今、日本が今まで信じてきたいろいろな神話が崩れているのじゃないかということがあちらこちらで指摘をされております。すなわち世界で一番平和な国であり、世界で一番安全な国であり、世界で一番経済がよろしい国であり、世界で一番雇用が安定した国であり、世界で一番長生きの国である、こういう我々が当然のものとして信じてきた神話があちらこちらでもろくも崩壊しつつあるということではなかろうかと思います。発表されました失業率にいたしましても、昭和二十八年以来最悪の失業率であるということであります。  従来言われておりますように、農業というのはそういうもののバッファー的な役割を果たすものである、だから農業も大事だというような指摘もされてきたわけでございますが、何にしても、今まで我々が信じてきた神話がいろいろ崩壊をしてきた。  今回の法改正は、五年前に行いました附帯決議、すなわち、女性にも年金加入を認めてくださいということ、そしてまた遺族年金を認めてください、こういう二つの附帯決議をいたしました。その中の一方であります女性加入の道、これが開かれたという点で、私どもは積極的に評価をし、賛成の立場をとるものであります。一方の遺族年金につきましては、後ほど質問いたしますが、賛成でございます。賛成ではございますが、今回の改正というものが、日本全体の、これから先高齢化を迎える、先ほど平成三十年には収支が均衡するというようなお話が野中局長からございました。そうでしょう。しかしながら、その年に日本高齢化はどういうふうになっているのか、日本全体の政策の中の整合性がとれたものでなければ、決して国庫助成というもの、国庫補助金七五%というものが是認せられるものではないであろうというふうに考えております。そういう観点から幾つかの質問をさせていただきたい。  あわせて、冒頭にお断りをいたしておきますが、委員会の開会が諸般の事情によって一週間近くずれました。そのことで、その間に北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国に対します米の援助の問題、そしてまた明日諮問案が出ます麦価の問題等々ございますので、そのことにつきましても質問させていただきますことをお許しをいただきたいと存じます。  さて、平成二年の法改正の際に特定被用者年金の創設というものができた。そしてまた特定保険料の適用の拡大、三割引きのものですね、これの拡大がなされた。任意加入の拡大というものもなされた。それはすべて加入者をふやしていくためにこういうような措置を講じるんですよというようなことを、当時の大臣、局長がお答えになった。そのことの効果がどれぐらいあらわれてきたかということのおさらいから始めたいと思います。いかがでございましょうか。
  46. 野中政府委員(野中和雄)

    野中政府委員 前回改正の効果というようなことでございます。  前回改正は幾つかあるわけでございますけれども、そういう中で、分割経営移譲をしやすくするというような意味で、サラリーマンの後継者年金加入者に分割して経営移譲をするというようなことでございますとか、あるいは、死亡した経営者の承継をしました配偶者の方に入りやすくするというような措置、あるいは今お話しのように、一般に比べまして三割安い保険料が適用される特定保険料制度の対象を三十五歳未満の方全員に拡大をしたというような、いろいろな措置がなされたわけでございます。  こういう中で、効果といたしましては、ただいまの分割経営移譲の点につきましては、分割経営移譲方式によりまして経営移譲を行った者は毎年三、四十人ということでございまして、このうち第三者の方に移譲をされた面積は平均一・八ヘクタールということでございますので、かなり平均に比べまして、専業的な農業者の方に、第三者に対しましてより大きな面積が移譲されたというような効果が出ているものというふうに思うわけでございます。  また、特定配偶者期間を活用されました方は年間三、四十人程度ということでございまして、これにつきましても、ある程度高齢になりました配偶者の方の農業者年金への加入促進をされているということではないかと思うわけでございます。  それから、特定保険料の問題につきましては、この制度の適用によりまして特定保険料の納付者数の割合でございますけれども、従来、前回改正をいたします前は二%程度ということでございまして、平成元年度で一万五千四百四十八人、平成二年度で一万三千六百九人というようなことでございましたが、平成三年度以降は、この特定保険料の納付者数の割合というのが、全体の中で約六%から七%というような割合になっているというふうに考えているわけでございまして、前回改正の成果というのはそれぞれに上がっているものというふうに考えております。
  47. 石破委員(石破茂)

    ○石破委員 前回そういうような改正をして、これでいけるかというお話でしたが、今回さらに改正をすることになった理由は何ですか。
  48. 野中政府委員(野中和雄)

    野中政府委員 前回改正をしていただきました、ただいまのような特定保険料制度その他、後継者の方が入りやすいような仕組み等々を講じていただいたわけでございますけれども、全般的には、前回改正というようなことで、全体の給付体系をいわゆるピストル型からかまぼこ型に改めていくというようなことで、その他の措置も含めまして全体としての長期的な財政の基盤の安定を図る、そして政策年金としての効果を一層出していくというような改正が行われているわけでございます。  今回の改正につきましては、前回改正後五年目に当たるわけでございまして、財政計算の年に当たるということもございますけれども前回基本的な枠組みを受けまして運営をする中で、やはり累次御議論がございますように、新規就農者の方の数の減少を背景といたしまして、新たに年金に入っていただく加入者の方の数が減少しておるというような中で、引き続き財政状況がなかなか厳しい状況にあるというようなことでございます。  前回基本的な枠組みはつくっていただいたわけでございますけれども、それを基本にいたしまして一層財政基盤の長期的な安定を図っていくという観点、それからもう一つは、政策年金としての性格等にかんがみまして、一層その後の農業情勢、あるいは農林水産省でも新政策を立てて進めているというような状況の中で、この農業者年金政策年金としての役割、これが一層高まっているというようなことを背景といたしまして、農業者配偶者の方に入っていただく措置でございますとか、あるいは後継者の方に入っていただくことがより容易になるような措置でございますとか、あるいは一層経営規模の拡大を図るような方に経営者加入促進をされるような措置とか、そういうような政策年金としての充実を一層図るというような観点を踏まえまして、さらに改正をお願いをしているというような状況でございます。
  49. 石破委員(石破茂)

    ○石破委員 政策年金でございますから、そこに国庫補助の正当性も見つけられるものであろうというふうには思っております。  午前中に、朝の一番に栗原委員から御質問があった中で、鉄道共済年金のお話がございました。この点は私も五年前にお尋ねをした点でございますが、鉄道共済年金が支払い不能に陥った、これをどうするかという議論がありまして、そのときに、みんなが出していかなければ仕方がない、清算事業団も出しましょう、公務員年金からも出してもらいましょう、厚生年金からも出しましょう、それから給付もある程度カットいたしましょう、みんなが損をする形で救っていくしか手がないね、年金の救い方というのは、みんなが丸くおさまるような話はどこにもないので、みんなに嫌われる形でやっていかなければ制度の維持自体は困難であるというような例を申し上げた。しかし、これに比べてこの年金というのは、足らなければ国庫補助が出るということは、何か納得し得ないな、社会保障制度審議会がなかなかこれにうんと言わないのもその辺の理由があるんだろうというふうに思っています。  確かに、規模拡大というものをやっていく、規模の散逸化というものを防いでいく、それが大事な命題ではございますが、やはりこれから先、年金全体のあり方というのは、結局は国庫によって助成をしていかざるを得ないのじゃないかというふうに思っています。この農業者年金のあり方が年金全体に広がるということも私はあってしかるべきものじゃないかというふうに思うのですね。そうすると、その財源はどこにあるのだということになりますが、やはりその財源というのは国庫から出していかざるを得ぬだろう。やはり年金というのはそれぞれに設計をするものですが、ややもすればネズミ講になってしまう、そういうような危険性を常に持っているものだろうというふうに思っています。  厚生年金にいたしましても、できたのは戦争中に始まった話。戦争中の為政者たちが、これから先福祉を重視しようというふうに思ったはずはないのであって、これから先どんどんどんどん加入者がふえる、もらう人間は少ない。その入ったお金で戦闘機をつくり、軍艦をつくり、戦車をつくる。もともとそういうような話だったはずなのですね。ところが、人口構成がおかしくなってくると支払い不能に陥る。そうすると、保険料をもっと上げるか、これ以上上げられるはずがない。もらうお金を減らすか、それじゃ暮らしていけない。それじゃ支給開始年限を遅くするか、それじゃやっていけない。そういうような話になりますわけで、結局は国庫助成というものをやらざるを得ないだろうというふうに思っているのです。  では、その財源をどうするかといいますと、やはりこれは今日本経済というのは、努力をすれば努力をするだけ円高になってしまうという不思議な状況にある。それは、やはり年金の支払いとかそういうものの将来が不安であるので貯蓄をしておかなきゃいけない、それによって個人貯蓄がふえればどんどん円高になるというような話だろうと思っているのですね。確かに、政策を実現するということも大事なことであります。しかしながら、これから先の年金の姿として、やはり国庫から入れていかなきゃいけないのだという考え方も、私はある程度胸を張って言ったっていいのじゃないのかという気がしますが、大臣いかがですか。
  50. 大河原国務大臣(大河原太一郎)

    大河原国務大臣 大変難しい御意見でございますが、今後につきましては、私どもとしては預かっております農業者年金については、やはり政策的な観点、これを十二分に軸にいたしまして各般の国庫助成その他を確保いたしたい、それだけを当面のお答えにしたいと思います。
  51. 石破委員(石破茂)

    ○石破委員 これは、私見を申し上げて恐縮でございますけれども、やはり私はもう年金というのは、確かに政策の発現も重要です。それなりに一生懸命やっていかねばならない、規模拡大をしていかなければ日本農業はやれないことはわかった話でございますから。しかしながら、そのことの効果が本当にトラスチックにあらわれるかというとなかなか難しいところがあるだろう。今回、やはり社会保障制度審議会がうんと言わなかったということは一がなり重く受けとめてしかるべきものだというふうに思っております。やはり、農業者年金の姿というのは将来の年金の姿でもある。国庫助成というものをもっと正当づける、そういうような努力も私はあってしかるべきではないのかな、そうでなければこれだけが浮き上がってしまうようなことになりかねない、そういう危惧を持っておりますので、一言申し上げておきます。  さて、平成十二年の農業就農者がどうなるかという見通しについて承りたいと思います。つまり、新政策を実現するためには年間一万ないし一万五千人の新規就農者がなきゃいけない、こういうふうに書いてございます。しかしながら、今就農者になる人というのは医者になる人の数よりも少ない、こういうふうに言われている。また、私は就農者が少ないことそれ自体は決してすべて悲観的に考えるものだとも思っておりません。それにあわせて規模拡大が進まないことの方に問題があるのであって、就農者が少ないということだけを取り上げて、農業は危機であるかのごときそういうような言説には一種のまやかしかあるような気がいたしております。  しかしながら、新政策の中で年間一万ないし一万五千人が就農するということが書かれておる。その根拠というものはどこにあるのであろうか。そして、それをどのように実現をしていかれるのであろうか。その前提として、平成十二年に基幹的農業従事者は男女合わせて平成二年の三百十二万人から二百十万人に減る、六十歳未満は七十四万人から三十九万人に減る、こういうデータが出ております。これはどのような根拠に基づいて計算をされたものであるか、そしてまた、それが新政策とどのような関連を持つものであるか、その点についてお答えをいただきたいと存じます。
  52. 高橋(政)政府委員(高橋政行)

    ○高橋(政)政府委員 ただいま先生お話しの基幹的農業従事者の見通してございますが、お話しのとおり、平成二年男女計で申し上げまして三百十三万人、これを平成十二年で二百十万人というふうに見通しておるわけでございます。  それで、この展望はどういうふうにして具体的に算定したかということでございますが、農業センサスの動態調査の結果、これは昭和六十年から平成二年の間に農家の規模がどのように変化をしたかということを調査したものでございまして、この異動状況基礎にいたしまして将来の農業構造として展望をした結果でございます。
  53. 石破委員(石破茂)

    ○石破委員 そうしますと、先ほど申し上げましたように、六十歳未満、まさにこれから育てていかなきゃいけない若い担い手、これは七十四万人から三十九万人に男子は減る、女子は八十八万人から四十三万人に減る、こういうことになりますと、農業生産はどうなるのですか。
  54. 高橋(政)政府委員(高橋政行)

    ○高橋(政)政府委員 ただいま先生がお話をされましたとおり、六十歳未満の数字はただいまの数字でございますが、我々はそういうような見通しを得る中で、やはりこういった六十歳未満の人々が経営の中心になって今後の農業を支えていくということがまず一つ。それから、そうかといいまして、そのほかの高齢者皆さん方もそれなりの農業の中での役割というものも果たしてもらうという形での農業というものを一つ形づくっていこうではないかということで見通しを示し、新政策の中で政策展開をしていこうというふうに考えておるわけでございます。
  55. 石破委員(石破茂)

    ○石破委員 このままいきますと、この数字がこのまま実現するとすれば、自給をしていかねばならないという米の生産だってかなり危なくなってしまうのじゃないかなという危機感が根底にあったと思うのです。これは前も委員会お尋ねをしたことでございますが、六十歳未満の人間がこのままいくとこれだけ減ってしまう、これでは日本農業はもたないのじゃないかという危機感からいろいろな政策が打ち出されてきたと思うのですね。  それでは、これは六十歳未満が七十四万人から三十九万人、八十八万人から四十三万人、これでは困る、新しい農業者が一方から一万五千就農していかなきゃいけない、こういうお話の組み立てになっていると思うのです。それが実現した場合に、じゃ平成十二年の農業人口というのはどのようになっていくという見通しをお持ちですか。
  56. 高橋(政)政府委員(高橋政行)

    ○高橋(政)政府委員 我々としての今までの展望、あるいは長期見通しといいますか、そういう中でお示ししておりますのは、先ほど申し上げました基幹的農業従事者という形でとらえまして、それがどの程度の人数になっていくかという形で数字を申し上げております。そのほかの人数といいますか、数字といたしましては、そういう中で平成十二年に地域農業の基幹となる経営体としてどのくらいのものを考えるかということになりますが、個別経営体といたしましては三十五から四十万、それから組織経営体といたしましては四から五万という数字をお示ししておるところでございます。
  57. 石破委員(石破茂)

    ○石破委員 やはりこうあるべきだという目標を示して、それに至る努力というものを常にしていかねばならぬであろうというふうに思っております。  私の理解では、やはり平成十二年にこれでは困るのだということで新政策を展開し、それを成就するために、その中の一環としてこの農業者年金というものも位置づけられるものであろうというふうに考えておりますが、新政策の中におけるこの改正の位置づけはどのようになりますか。
  58. 野中政府委員(野中和雄)

    野中政府委員 この農業者年金加入をしていただきます農業者の方というのは、専業的な農家の方でございまして、先ほども御答弁申し上げましたように、現在入っていただいている方の中でも、ある程度規模のしっかりとした中核的な農家の方というような方に入っていただいているわけでございまして、今後ともそういうことで一私どもといたしましては、農業を専業的にやって中核的に担っていただく方にこの農業者年金に入っていただきたい、そしてそういう方の老後生活の安定、あるいはそれを通じた農業経営近代化合理化というものに効果を上げていきたいというふうに思っているところでございます。  そういう意味で、財政計算に当たりまして、今後この農業者年金を展望するときにおきましても、現在答弁がございましたような新政策基づきます今後の経営体の育成の見通し、目標というようなものを踏まえまして、新政策で展望しておりますような農業構造が実現をされて、これが維持をされていくというようなことを勘案をいたしまして、それに必要な就農者数を勘案をいたしまして、私どもといたしましてもこの農業者年金加入者数等の見通しを立てているところでございます。     —————————————
  59. 中西委員長(中西績介)

    中西委員長 議事の途中ではございますが、ただいまシュバ・ヴィータリー・ボリソヴィチ・ロシア連邦国家院議員御一行が当委員会の傍聴にお見えになりました。御紹介申し上げます。     〔拍手〕     —————————————
  60. 中西委員長(中西績介)

    中西委員長 石破君。
  61. 石破委員(石破茂)

    ○石破委員 それでは、各論を幾つかお尋ねをさせていただきます。  その前にもう一つだけ申し上げておきます。私どもいつも考えるのですが、日本の国にとって一番恐ろしい年というのは、実は二〇二五年ではないかということを考えているのですね。二〇二五年というのはどういう年かというと、地球の人口はこのままいけば最大になるよという年であります。恐らくそのときに食糧需給は極めて逼迫するであろうということ。ぐあいの悪いことに、その年に日本高齢化はピークを迎えるということであります。日本高齢化がピークを迎えてしまいました、食糧事情は逼迫をしてしまいました、世界の人口は最大になってしまいました、その二〇二五年というのを念頭に置きながら、いろいろな福祉政策、産業政策というのは展開をされていかねばならぬのであろう。その中でこの農業者年金というのをどのように考えていくか。日本高齢化のスピード、産業構造の変化、そういうものを全部織り込みながらやっていかなければいけないのだろうなというふうに思っておるところでございます。  さて、今回任意加入被保険者となる後継者農業従事要件というのはかなり緩和をされた。今まで三年ということを言われておったのが、それがなくなってしまった。それはなぜか。本当にそれでよいのか。いかがですか。
  62. 野中政府委員(野中和雄)

    野中政府委員 お話しのように、後継者の任意加入の要件につきましては、現在は耕作または養畜の事業に従事した期間が三年以上あることというような要件を設けているわけでございます。これは後継者農業者年金に任意加入した後に農業に従事をしていく見込みがあるということを担保するものでございます。  しかしながら、最近の農業をめぐります厳しい状況の中で、担い手、後継者の確保が非常に今重要な課題になっているわけでございまして、単に親と同居をいたしまして親の農業を手伝うという形で農業に従事をしている後継者だけではなくて、一たんは外に出て他の産業に従事をして、その後離職をして意欲を持って農業に取り組もうというような後継者の方が非常に多くなってきております。ことしの白書によりましても、そういうような形で就農をするというような後継者の方がふえているというような分析もしているわけでございます。  私どもといたしましては、そういう意味から、一たんは外に出てそれから意欲を持って農業に取り組もうというような方につきましても、農業者年金へできるだけ早く入っていただくというようなことがぜひ必要だろうというふうに思うわけでございます。  そういう意味で農業の従事経験を三年以上というような要件を置きます場合には、例えばそういうように親元を離れて他産業に従事をしていた方が意欲を持ってさあ農業をやろうというときになりましても、三年経験を積んでください、それからでないと入れませんというようなことになるわけでございまして、これではせっかく意欲を持って農業に取り組もうというふうに決意を固めていただいた方が農業者年金に入るのがおくれるというようなことで、好ましいことではないというふうに考えているわけでございます。  また、そういう方が今後やっていくかどうかという点につきましても、こういうような情勢の中で農業者年金に入ろうというふうに申し出ていただくわけでございますから、まさに今後農業を続けていく意思があるというふうに判断をしてもいいのではないかというふうに考えまして、そういうようなことを背景といたしまして、今回後継者の従事要件というのを撤廃したということでございます。
  63. 石破委員(石破茂)

    ○石破委員 そこで、どういう方が意欲と能力のある後継者なのかということなんです。だれでもいいから継いてくれという話にはならないわけで、今は別にほかの人のもとで働いていていいわけですし、農業専業でなくてもいいわけです。  にもかかわらず、それを全部取っ払ってしまって、ではこの人は意欲と能力のある後継者だ、だから農業者年金に入るんだということをどうやって客観的に見ていくのだろうかなということでございます。その点についてはいかがですか。
  64. 野中政府委員(野中和雄)

    野中政府委員 後継者ということでございますけれども、まさにだれでもいいということではございませんで、後継者加入の場合には、一つは親が後継者として一人を指定をするというような人が後継者として入れるというようなことにしているわけでございます。  また同時に、農業者年金に入ろうというようなことで意思表示をしていただく方でございますので、そういう場合はまだ親の方が農業を実際に経営をしていらっしゃるというような場合だろうと思うのでございますが、そういう場合に後継者の方が農業者年金に入ろうということでございますので、まさに将来農業経営を継ごうというような意思表示をしていただいた方というふうに考えていいのだろうと思うわけでございまして、御両親の方と一緒に経営をする中で、いわばオン・ザ・ジョブ・トレーニングといいますか、そういう中で農業に対する力をつけていただくというようなことでいいのではないかというふうに考えております。
  65. 石破委員(石破茂)

    ○石破委員 そうしますと、確認いたしますが、農業者年金に入ろうという意思表示でよろしいということでございますね。
  66. 野中政府委員(野中和雄)

    野中政府委員 そのとおりでございます。従事要件は必要ないということでございます。
  67. 石破委員(石破茂)

    ○石破委員 似たようなお話なんですが、第三者移譲の相手方で新規参入者を加えるということでございます。その点につきましては、これまた似たような話で、意欲、能力をどのように考えたらいいのか、政令にどのようなことを定めてそれを決めるのかという問題であります。  確かに新政策というものが目指したものは、農業後継者がないないと言うけれども、それは社会保障がどうなるのか、そしてまた給料がどうなるのか、お休みがどうなのか全然わからないで、農業後継者になれ、農業に参入しろ、そんなことを言ってもそれは無理です。特に他産業から入ってもらう場合には、休日のあり方、給料、社会保障、そういうものを他産業並みにして、他産業並みな所得がなければそれは入れといったって無理な話だということが根幹にございます。  だから、新規参入者にはそういうようなものを備えて入っていただこうということなのでありますけれども、しかしこれもまただれにも入っていただいていいというものでないでしょう。そういうときにどのようにそれを評価していくのか、政令に何か定めるとすればどのようなものであるのか。いかがですか。
  68. 野中政府委員(野中和雄)

    野中政府委員 農外からの新規参入の要件を今回緩和をするわけでございますけれども、こういう方につきましても、近年、農業情勢はなかなか厳しい状況ではございますけれども農外の方で農業をやってみたいというような方というのが結構いらっしゃるわけでございまして、相談センター等を設けておりましてもそういう方がかなりふえてきているというような状況でございます。  こういう方につきましても農業者年金に入っていただくということがぜひ必要であろうというふうに我々考えているわけでございますけれども、現在の場合は農外からの新規就農というような方につきましては経営移譲を受けることができなかったということもございますし、それからUターンの後継者の方につきましても、引き続き六カ月以上及び通算三年以上というような要件を設けていたということでございます。  新規参入の方につきまして、ただ意欲だけというふうにはなかなかいかないわけでございまして、農外からということでございますから、先ほどの後継者の方と違いまして親の手伝いをして農業を学ぶというようなこともないかもしれませんし、そういう意味では全く農業に経験がないというような方もいらっしゃるというふうに考えられますので、一応、政令では、引き続き一年以上または通算で三年以上ということで、途切れ途切れでも通算で三年以上何らかの形でしていただいてもいいし、全くそういうような経験がない場合には、その直前の一年間従事をしていただくというようなことで経営移譲の相手方として位置づけることにしてはどうかということで政令で定めることを考えているわけでございます。
  69. 石破委員(石破茂)

    ○石破委員 そうしますと、その前に一年間従事すること、もしくはばらばらでもいいから三年間続けて農業をやっているということが政令に定められるということでよろしいんですね。
  70. 野中政府委員(野中和雄)

    野中政府委員 経営移譲をいたします場合の相手方として、ただいま申し上げましたような、引き続き一年以上または通算三年以上の方に経営移譲をすることができるというふうにするということでございます。
  71. 石破委員(石破茂)

    ○石破委員 大臣お尋ねしたいんですが、Uターン就農者というんですね、これはなかなかふえないんですね。ずっとトレンドで見ましても飛躍的にふえたということはないわけです。特に若い方が、それじゃ農業をやろうかというふうにしてUターンしてくる、これは余りふえていない。これはなぜだとお思いになりますか。
  72. 大河原国務大臣(大河原太一郎)

    大河原国務大臣 石破委員の御所論にもございましたように、やはり受け入れ側の農業サイド、これについて、諸条件、例えば労働時間とか休日とかあるいは所得とか、各般の面においてやはりなかなか見通しか立てにくいというようなことで、比較的若い他産業に従事している人たちのUターン、これが少ないんだろうというふうに思っておりまして、農業サイドにおける受け入れ体制あるいは新しい農業構造と申しますか、そういうものの確立以外には基本的にはその問題の解決にはならないのではあるまいかというふうに思っております。     〔委員長退席、鉢呂委員長代理着席〕
  73. 石破委員(石破茂)

    ○石破委員 それでは、次に女性問題に入ります。  今回女性加入できることになった。別に今まで加入できなかったわけじゃないんですが、農地を持っていないからだめだという話だった。女性農地の名義を持てない一番の理由は何であったとお思いになりますか。
  74. 野中政府委員(野中和雄)

    野中政府委員 これはいろいろな理由があるのだろうと思うのでございますけれども、やはり農地ということは、今までの多くの方の農家の観念からいたしますと、その家の先祖代々から受け継がれた家産、貴重な財産というようなことでございまして、したがいまして、そこの家を継ぐ男子の方に相続をさせるというようなことで、これはもちろん娘さんが婿取りの場合はまた別だと思いますけれども、通常の場合ですと、そういうことで、長男の方のお嫁さんにまで名義を持たせるというようなことは、従来の農家の方の一般的な考え方の中でなかなか抵抗感があるというようなことではないかというふうに推察をいたしております。
  75. 石破委員(石破茂)

    ○石破委員 平成四年六月に出ました「新しい農山漁村の女性」というレポートが農水省から出ておりますよね。ここに、その新しい農山漁村の女性とはどんなものだといいますと、「自分の生き方を自由に選択し、自分の人生を自身で設計し、その結果、自信と充実感をもって暮らしている姿。」というものを追求するんだ、こういうことになっております。  実は、今の農業の中にあってかなり主要な部分を女性が担っているんじゃないだろうか、そのことをネガティブにとらえるべきではなくてもっとポジティブにとらえるということも、新政策の中には織り込まれておると思うんですね。苦みたいに物すごい力仕事というのは女性にはできないよという話でしたが、今は車ももうパワーステアリングがついておりますし、いろいろな省力化も進んできた。そしてまた、いろいろな簿記をつけるとか家計簿をつけるとか、また販売戦略を練るとか、そういう面において女性役割というのはもっと積極的に見直していくべきじゃないのかなというふうに思っていますが、新政策の中におけるこれから先女性の位置づけというのは、どのようにお考えでしょう。  昔、三ちゃん農業なんていいまして、じいちゃん、ばあちゃん、母ちゃんなんていって、かなりネガティブな表現があったんだけれども、私はそうでもないだろうと思っているんです。統計のあり方においても、以前は中核農家の定義は、これは男子、六十歳未満の男子がいるということであった。しかしそれも、統計のあり方も、女性というものの要素をもっと入れて変えていくべきじゃなかろうかというふうに思いますが、いかがですか。
  76. 日出政府委員(日出英輔)

    ○日出政府委員 先生お触れになりました農山漁村の中の女性の問題でございますが、ちょうど新政策が議論をされておりましたときに、並行いたしまして女性に関する中長期ビジョンの懇談会が開かれておりました。そこで、私どもはちょうど新政策と相前後いたしまして、平成四年の六月にこのビジョンを発表いたしております。これは、ある意味では、先生お話しになりました新政策の中で抽象的に書かれているものを女性問題については具体的にしたというふうな意識でございます。  この中で、ビジョンという形で、現状と問題点だけではなくて、目指そうとする姿でありますとかあるいは家族との中での女性の問題等々、幅広く実はこの懇談会の中でまとめていただきまして、今これをベースにいたしまして、女性の例えは起業、業を起こす者についての支援でありますとか、そういった幅広い、いわば戦略論ができましたので、実践の段階という形で仕事を進めさせていただいております。
  77. 石破委員(石破茂)

    ○石破委員 女性役割というのは、今、日出さんがおっしゃるように、積極的に評価をしていかねばならない。中核農家という定義も今どうなったのか知りませんけれども、その中に女性も入れていくという考え方もあっていいでしょう。そしてまた、今は女性が一応形だけ給料をもらう形もありますが、それが家計費に消えていってしまったら何にもならない話なんですね。これはやはり、それも必要経費なんではなかろうか。この辺、統計の見直しというものもあってしかるべきではないのかなというふうに考えておるところでございます。  次に、本問題に関しましてもう一つ承りますが、遺族年金の創設というのは非常に難しい。前回も附帯決議が出ておりましたが、今回は非常に難しいということでございました。この遺族年金というのは、これから先も長期的に検討をしていくものなのか、ほかの年金との整合性がとれない、保険料をこれ以上上げるわけにはいかない、もろもろ全般の理由によってやはり難しいというものなのか、今のお見通しはいかがでございましょうか。
  78. 野中政府委員(野中和雄)

    野中政府委員 遺族年金の導入の問題につきましては、平成二年の本委員会の附帯決議もなされているわけでございまして、私ども政府部内でも大いに鋭意検討をさせていただいたところでございます。  しかしながら現在、先生もお話がございましたように、一つには、導入のために非常に多額な費用を必要とするわけでございまして、追加国庫補助によりまして年金財政の長期安定を図っているというような現下の情勢のもとにおきまして、その財源を国庫補助には求めがたいという点、それから第二番目には、保険料に財源を求めます場合には、これを大幅に引き上げざるを得ないということで、加入者の方の負担が増大をするというようなこと、それから第三番目には、他の上乗せ年金でこの国庫補助による遺族年金の例はないわけでございます。また、他の自営業者とのバランスも大きく失するといったような問題がございまして、現在、現状のもとではその導入は困難であるというふうに考えたものでございまして、これは私ども政府部内で検討した中での農業者年金制度研究会でもそういう報告をいただいているところでございます。  ただ、この点につきましては、遺族年金の導入は困難ということではございますけれども、やはり遺族の方の年金問題について何か工夫はないものかというような議論もございまして、こういうような考え方のもとに、死亡されました加入者の経営を承継をいたしました配偶者の方、妻の方でございますが、この方が加入して経営移譲をする場合につきまして、死亡一時金を受け取らない場合には特定配偶者期間、これの三分の一により計算をいたしました年金額経営移譲年金に加算するというような措置を講ずることとしたものでございまして、遺族年金自体につきましてはなかなか導入は困難であるというふうに考えております。
  79. 石破委員(石破茂)

    ○石破委員 これは、農業者年金のあり方自体とあわせまして、もう一度私どもも議論をさせていただきたい点だというふうに考えております。  もう一度女性の話に戻って恐縮なんですが、家族経営協定というようなものですか、そういうものが必要だということになろうかと思いますね。これは内容はどんなものなんでしょう。そして、それはだれがオーソライズするものなんでしょうか。
  80. 野中政府委員(野中和雄)

    野中政府委員 今回女性の方に農業者年金に入っていただくということにしたわけでございますけれども加入が認められます女性は、農地の権利名義は有しないものの、農業に専従をいたしますとともに、作物の選定でございますとか生産物の販売など、経営の各場面に参加をして経営から生じる収益を受けるなど実質的に農業経営者として認められる女性、こういう方に入っていただこうということでございます。  実質的に経営者として認められるという点につきまして、私どもといたしましては、家族経営協定というようなものでその点が明らかになっているというようなことが必要ではないかというふうに考えているわけでございまして、この家族経営協定の中では、ただいま申し上げましたような農業経営につきまして、その女性の方が実質的に作物の選定なり販売なり経営の各場面で夫の方と相談をしてそういうような方針を決めていく、あるいは収益の分配もきちっと受けるようになっているということで、こういう経営者としての実質があるというようなことを判断をさせていただきたいというふうに考えているわけでございます。  家族経営協定でございますので、家族の方、夫と妻あるいはその子供も含めて結んでいただければいいわけでございますけれども、その中身につきましては農業委員会で立ち会いをして確認をさせていただくということを考えております。
  81. 石破委員(石破茂)

    ○石破委員 それでは、残余の時間で米の援助問題、そして麦価についてお尋ねをさせていただきたいと思います。  先般、北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国から代表団がおいでになりまして、渡辺元副総理初め与党の皆様方に、お米を貸してくださいというお申し出がございました。これはそのとおりじゃないのかもしれませんが、米を一定量、一定期間貸してほしい、韓国に要請をすることについては、前提条件、政治条件が伴っていなければ検討いたしたいというお申し出があったやに聞いております。今どれぐらい日本には米があるのと聞きましたら、大体八十四万トンぐらい輸入米がまだ余っていますよ。そうしましたら、全部欲しい、梅雨までに全部ちょうだいというような、ちょうだいというのかな、貸してくださいというお話があったやに聞いております。  総理は二十六日、河野外務大臣大河原大臣をお呼びになりまして、韓国との問題、そしてまた人道的問題ということを考慮に入れて検討をしてくださいというような御指示をなさったやに仄聞をいたしております。  これはもう政治的な判断でございますから、ここはそのことを議論する場だとは思っておりません。ただ、私は、人道的という話はまことに結構なお話でありますし、日本人は、人道的と言われますと、そうだねと、こういうことになるわけですが、ソマリアですとかバングラデシュとかそういうところにお米を出すのと今回は少し違うんじゃないのかなという気が私個人はしているのです。日本に向かってミサイルを試し撃ちをしてみたり、そしてまたいろいろなテロを起こしてみたり、それと全く人道的だということで無関係に、かわいそうな人は助けましょう、北風と太陽の例えもありますよというようなエモーショナルな解決というのは、私はいかがなものなのかな。ましてや、余っているんだから渡りに船だというような、痛くもない腹を探られるような、そのようなことが間違ってもあってはならぬし、間違っても農政当局はそのようなお考えはお持ちでないであろうというふうに考えて、そしてまた信じておるところでございます。  ただ、総理から検討するようにということがございました。現行食管法の中におきましては、国交のない国に対しまして、米を援助するにしても、貸すにしても、売るにしても、これは難しいであろうというふうに考えております。事務的にどのような御検討をなさっておられますか。
  82. 上野政府委員(上野博史)

    ○上野政府委員 総理の検討の御指示の内容は、既に委員からもお話ございましたように、政治的な枠組みの問題がついているわけでございまして、私どももそちらの方の解決が前提になるというふうに考えているところでございます。  しかしながら、人道的な観点から援助をするんだということになる場合に、どういうような方法があるかということにつきましては、現在政府部内でいろいろ検討をしているところでございますけれども、お話ございましたように、国交のない国を相手にする話でございますので、いろいろ制約はあるわけでございます。  しかしながら、無償援助方式あるいは延べ払いの方式、貸し付け方式、大別するとこういうような方法が考えられるわけでございますけれども、具体的な事態も場合によっては想定に入れなければならぬと思うわけでございますが、どういうようなことがそういうそれぞれの方式の場合に考えられるのか、今部内で検討しているところでございまして、まだ結論を見るに至っておりません。
  83. 石破委員(石破茂)

    ○石破委員 これから先は何が起こるかわからぬ世の中なんですね。まさか一年前に、北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国から米を貸してちょうだいなどという話があるとはだれも思わなかったし、我々がどんなに尋ねても、いや、我が国は豊作であって、人民には食糧が行き渡っているんだ、こういうお話であった。私が訪問したときもそういうお答えであったし、昨年もそういうお話であったし、韓国から申し入れがあったときも、大丈夫だということでお断りになったはずでございます。  このことは韓国も十分入れて考えなければいけないことでありますが、ただ、この場合にどうなる、あの場合にどうなるというシミュレーションはやはりきちっと示しておいて、即座に対応できるようにしておくことがまた農水当局の責任でなかろうかというふうに思っております。  それで、実際やる場合には、国交がない国ですから直接は何もできません。間に第三者を挟んだ場合にはそれは技術的に可能ですか、そしてまたそれは食管法の中ではどういう位置づけになりますか、そして返してもらうということはどういう形で返してもらうことが想定をされるのでありましょうか。
  84. 上野政府委員(上野博史)

    ○上野政府委員 第三者を介するという方法を考えなければならぬということに多分なるのだろうとは思うのでございますけれども、第三者として一つすぐ頭に浮かびますのはWFPという国際機関があるということでございますし、それからこれまでも災害が起こった場合の援助というような場合には赤十字社を使うというような形で行われていたこともございます。  ただ、延べ払いであるとか貸し付けであるとかいう話になります場合には、援助を行えばそれで終わりということになりませんで、債権債務関係が残るというようなことでございますから、いろいろと後々のことを考えなければならないというところがあるわけでございまして、その辺が政府部内での難しい検討の問題になってくるというふうに考えているところでございます。
  85. 石破委員(石破茂)

    ○石破委員 技術的に種々困難な問題はあろうと思いますが、これはもうぜひ国民の納得のいく形で、こういうようなものだよということで解決をしていただきたいと思っております。  これは意地悪な人に言わせますと、渡りに船みたいな話だ、これでだぶついている海外から来た米が片づくねというようなことを言う人もいるわけで、間違ってもそういうような痛くもない腹を探られないような毅然とした対応、そしてまた法律的にきちんと説明のつく方法で対応をお願いいたしたいというふうに思っております。  最後に、麦作についてお尋ねをいたしたいと思います。  農業者年金の件でもお話が出ましたように、将来展望がどうなんだということがなければなかなか営農意欲もわかないということであります。昨年、私どもは与党のときに価格を決定をいたしました。そのときは麦作面積がどんどん減っている、これではいかぬ、やはりこれに歯どめをかける意味で価格を決めていかねばならぬ、そういうような理屈を考えたような覚えがございます。  さて、本年の出ました生産費はどのようなものであるのか、そしてまたこれから先、将来、麦作というものをどのように考えていかれるか。つまり、三つの面があって、北海道で転作ローテーションに入っている麦作というもの、そしてまた転作麦というもの、裏作というもの、それぞれ事情が全部違う。今米は守ったけれども、自給率が一〇%みたいな麦はもう要らぬのじゃないか、こういうような議論もございます。  消費者に負担をこれ以上負わせるような、そしてまたコストプールというようなものはいかがなものかというようなお話もございますが、やはり私どもは麦作の将来展望というものをきちんとやっていかねばならないし、価格もその点において諮問案というものを決定していただきたい、かように思っておるわけでございますが、麦作全般に対する見通しにつきまして大臣の御見解、そしてまた生産費につきましては統計情報部から承りたいと存じます。
  86. 大河原国務大臣(大河原太一郎)

    大河原国務大臣 いよいよ麦価を決定する時期になったわけでございますけれども、麦につきましては、もう我々の基本認識というのは土地利用農業のやはり基幹的作物だというふうな理解でございます。  さらに、態様別に申し上げれば、裏作麦は水田営農と絡まって、機械、労働力、土地有効利用として不可欠なものだし、畑作については輪作体系の重要な一環になっておるというわけでございますし、また機械適性に適してスケールメリットが非常に発現しやすい作物だというようなことから、それぞれの裏作等についてはむしろ拡大を、あるいは輪作については安定を、また転作麦等については生産の安定をというようなことを視点に置いた今後の麦作振興を図らなければ相ならぬというわけでございます。  具体的には、御案内のとおり、ただいま農政審議会の小委員会において平成十七年を目途にいたしまして、需要と供給の長期見通し、これによって麦作の展望を固め、さらに国内の自給力の強化というような点から穀作振興の基本方向を示し、先ほど私が申し上げましたような麦の生産態様別の三態様について、それぞれに努力をしなければ相ならぬというふうに思っております。  特に、価格刺激的なことを期待することは難しいという段階でございますので、生産構造と申しますか、やはり効率的な安定的な麦作農家、そういうものを地域地域によってつくっていくということでございまして、期間借地とか、あるいは集団的な生産組織とか、そういうような対応を進めなければ相ならぬ、さように思っております。
  87. 今藤政府委員(今藤洋海)

    ○今藤政府委員 平成六年産の麦の生産費でございますが、小麦につきましては、十アール当たりの全算入生産費は六万二千九百四十二円ということで、前年に比べまして一%の減少でございます。  また、これは六十キログラム当たりで見ますと、十アール当たりの収量が三百九十八キロと、前年の収量を四・七%上回っておりますことから、九千四百八十五円ということで、対前年五・四%の減ということに相なっております。
  88. 石破委員(石破茂)

    ○石破委員 では、最後にお尋ねをいたします。今大臣もお触れになりましたが、期間借地ということでございます。  やはりこれを推進していくということが麦作における展望の大変大きな課題ではないかと。特に内地においてはそういうものをやっていかなきゃいけない。しかしながら、それで得をするという形にならなければだれもやらないわけですね。得をするという形にならなければ農業の展望も開けていかないわけですが、この期間借地というものについてなかなか全体の展望というものは私どもよく見えないわけでございます。この推進についてどのようにお考えか、さらに予算措置を伴ったようなものが可能かどうか、承りたいと存じます。
  89. 日出政府委員(日出英輔)

    ○日出政府委員 水田裏作麦の生産拡大のための手法といたしまして、先生お話しのように期間借地ということを取り上げているわけでございます。これは私ども行政だけじゃなくて現場の方々がその気になりませんとなかなか動きませんが、私ども、安産地形成特別事業という予算を平成七年度から出しております。今生産者団体等と話をしておりまして、この事業ども大いに活用いたしまして裏作麦の拡大に努めていきたいと思っております。  この期間借地の推進は、この予算事業によりますと、中核農家に期間借地という手法で土地を集めまして、ここで規模拡大に伴いますいろいろな技術的な課題をきちんと解決していくという、こういう実証的な事業という位置づけでございますが、ある種の経済的なメリットが出るようなそういう工夫もいたしておるわけでございます。
  90. 石破委員(石破茂)

    ○石破委員 ありがとうございました。以上で終わります。     〔鉢呂委員長代理退席、委員長着席〕
  91. 中西委員長(中西績介)

    中西委員長 藤田スミ君。
  92. 藤田委員(藤田スミ)

    ○藤田委員 今回の農業者年金改正で長年の念願だった女性加入に道が開かれました。私は当委員会でも女性農業者年金加入は行うべきだということを要求してまいりましたし、質問に先立ちまして農家女性皆さんとも懇談をいたしましたけれども、長年の運動の成果、そういうふうに受けとめられてはおります。ただ、老後のことは不安だけれども、今は農業収入をいかに維持するかが必死で、新たに妻の分の保険料、年間二十万円を捻出することは考えられないということも率直に語られました。これは今生産現場で円高が拍車をかけ、輸入の激増、農産物物価の暴落に対して大変な危機感を持っているからであります。  このような中で、夫婦で国民年金農業者年金加入すれば、年間の保険料は九五年度で六十八万八百八十円であります。幾ら老後のためとはいえ、これは今の生活実態から見て重い負担になりはしないかと考えるわけですが、どのように考えていらっしゃいますか。
  93. 野中政府委員(野中和雄)

    野中政府委員 夫婦二人で加入をいたします場合の給付保険料の負担でございますけれども加入する配偶者の方は、経営におきまして夫と同等の地位を有する経営者の方ということでございますので、夫婦の方それぞれにつきまして一人前の給付を行う、したがって、これに応じてそれぞれ一人前の保険料の負担をしていただくというような仕組みにしたものでございます。  こういうことからいきますと、二人入られる場合は、その倍の保険料ということになるわけでございますけれども、夫婦二人で加入する場合につきましては、夫婦二人の方が共同して経営に取り組んでいただくというようなことによりまして、それだけ効率的あるいは安定的な経営を行い得る規模の経営になるのだろうというふうに思うわけでございまして、そういう経営体であるというようなこと、また、入っていただく場合の配偶者の方でございますけれども、これはあくまでも任意加入の資格者ということでございますので、やはりある程度の経営規模がありまして、夫婦二人の保険料の負担を考慮して、これを負担できる規模の経営体の方が加入をしていただくというようなことになるのだろうというふうに思うわけでございます。そういう意味では、経営体自体も、一人の経営者が経営をするというような経営体に比べて、ある程度規模の大きいしっかりした農家で負担もし得るというようなことでございますので、平均的な経営体に比べて過重な負担になるというふうには考えていないわけでございます。  負担と給付というような関係でございまして、先ほども申し上げましたように、給付の点におきましてもそれぞれ一人前、一人分の給付を受けられるということが前提でございますので、負担につきましてもそれぞれ一人分ずつの負担をお願いしたいというふうに考えているところでございます。
  94. 藤田委員(藤田スミ)

    ○藤田委員 この問題はもう一度お尋ねをいたしますが、ここでもう少し農家の経営実態を見ていきたいというふうに思うのです。大臣、聞いてください。  現在、野菜生産を見ましても、輸入が大変ふえております。シイタケ、ブロッコリー、ゴボウ、レンコンなど、そのために価格が大幅に下がって、生産者は大変な痛手を受けています。大蔵省の通関統計によりますと、九四年度の生鮮野菜の輸入は前年比六八%増の五十八万一千七百四十二トン、史上最高です。冷凍、乾燥などを含めると、野菜の輸入は百六十八万トンにも達しています。生鮮野菜は特に、九二年の輸入は二十四万六千トンでしたから、この二年間で二・四倍にふえているのです。ことしに入ってから三月までに既に二十五万九千トン、つまり、九二年度の一年分をはるかに上回るような輸入量になってきています。  そのために、値が半分に下がった、価格が暴落して低価格のまま固定してしまっている、そういう訴えが大変多くなっています。かつてない困難にさらされているというふうに私は見ていますが、大臣はどういうふうに実態をごらんになっていらっしゃいますか。大臣に聞きたいんですが。
  95. 鈴木(久)政府委員(鈴木久司)

    ○鈴木(久)政府委員 野菜の輸入につきましては、従来は加工品が中心でございましたけれども、近年異常気象あるいは円高の進行もございまして、生鮮野菜の方の輸入も大変ふえてまいっております。  私ども平成六年の数字では、前年に比べまして二八%増の百六十六万トン、特に生鮮野菜では六六%増の六十五万トンというように把握しております。ただ、このうち六年産の生鮮野菜の輸入増加量の内訳を見ますと、国内産が不作であったタマネギあるいはカボチャが増加している、ここらの品目で輸入増加量の約八割を占めているというような状況になっております。  なお、平成六年で見ますと、卸価格、指定野菜につきましては、春から夏にかけましてはやや安値であったものが多かったわけですけれども、総じて平年並みかやや高目で推移しておりまして、必ずしも生産農家の経営の悪化につながっているわけでないと考えておりますけれども、お話がございましたようなブロッコリー、ニンニク等の内外価格差の非常に大きい品目につきましては、輸入の増加によりまして卸売価格が低下傾向にございまして、農家経営への影響が懸念されている状況でございます。  私どもとしましては、こういった状況にかんがみまして、できるだけ国際競争力を強化するための措置とかあるいは合理的な生産流通システムの構築とか、いろいろな手だてを加えながら国内の野菜供給の安定を図ってまいりたいというように考えております。
  96. 藤田委員(藤田スミ)

    ○藤田委員 野菜だけじゃないんですね。畜産物、果物、花、農産物の生産者価格は全面的に値下がりしています。水も、ミニマムアクセス米の輸入開始、新食糧法のもとで暴落が懸念されて、現に六十キロ九千円程度下落するという試算もあります。農家は、そういう点では本当に大きな不安を持っています。  食品産業はスーパーなどの納入先からの単価引き下げの要求が厳しくて、このまま円高が続けば輸入原料にシフトする食品会社はよりふえていく、そういうことになっていくでしょう。大手スーパーは、海外に日本の種を持ち込んで現地の農家を指導して、日本人の味覚に合った野菜を輸入してくる。まさに、日本用の畑は季節によって世界を転々とする、こういうことまで言っているのです。円高が進めば、何もしなくても輸入品の値は下がっていきます。そして量もふえていくのです。  だから、この円高と輸入拡大に歯どめをかけることなく、農民にのみ、今おっしゃったように、国際競争力に勝つために品質を高めろ、合理的な流通システムに変えろ、コストは下げろ、そんなことを言ったって、これで本当に農家の経営は成り立つと思いますか。私は、本当に大臣から聞きたいのです。
  97. 大河原国務大臣(大河原太一郎)

    大河原国務大臣 申し上げますが、完全封鎖主義的なわけにはまいりません。やはり開放経済、国際経済、こういうことを前提として、いかに国内農業の競争力を高めていくか、あるいは国内の実需者なり消費者の動向、こういうものに対して国内生産をマッチさせていくかということが基本であるというふうに思っておるところでございます。  現に、タマネギのお話が出ましたけれども、タマネギは昨年の干ばつの非常な影響を受けて、そのために生産が急減した。ことしはその点がカバーてきたので、輸入数量等はぐっと減るだろうというような見通し等もあるわけでございますし、例えばアスパラガス一つをとりますと、やはり量販店その他の周年的な需要あるいは規格とか数量の一定量とか、そういう実需者サイドの要望というようなことが輸入を増加している原因であるというように、それぞれ野菜の作目によりましての輸入の増大があるわけでございます。もちろん円高による加速化、これを否定するものではございませんが、それぞれの作目に応じた対応というものが我々の課題であるというふうに思っております。
  98. 藤田委員(藤田スミ)

    ○藤田委員 アスパラというのはちょっとほかの野菜と違いまして、これは輸入のアスパラというのは品質的にももたないのですね。そういうことで例外になっているのを、大臣にどんなふうにレクされているのか知りませんけれども、見ておいていただきたいと思います。  私は何も完全封鎖主義じゃないのです。そんなことを言っているんじゃないのです。消費者の動向と言いますが、消費者は本当にこの国でとれた新鮮なものを食べたいと、何よりも一番願っているのです。そして、私は、あなた方が言う意欲と能力を持った農家、ここに今一番大きな打撃を与えているということを認識していただきたいと思います。したがって、農家の経営を守るために、異常な円高の是正を含む農産物の輸入規制、引き合う生産者価格の保証など、抜本的な対策を強化すべきであります。  この際具体的に聞いておきたいわけですが、あしたから麦価で米審が開かれます。麦価も一九八六年から五年間に一八%引き下げられまして、その後三年据え置きというようなことになっております。そのために作付面積は半減しました。しかも、この円高で小麦調製品、麦加工品の輸入が急増してきています。生産意欲を持てと言われても、これでは持てないわけです。だから、本当に政府が今この国の食糧の自給率を高めなければならない、そのことを真剣に考えていらっしゃるなら、生産者麦価は引き上げるのは当然のことであります。この点についてはいかがですか。
  99. 上野政府委員(上野博史)

    ○上野政府委員 麦の価格を決定をする時期に参っているわけでございますけれども、食管法の規定がございます。生産費その他の生産条件、需要、供給の動向、物価その他の経済事情を参酌し、生産性の向上と品質の改善に資するよう配慮して決定するということになっているわけでございまして、我が国の食糧、なかんずく主要食糧でございます麦の生産の安定向上を図ってまいる、これも非常に大事なことでございます。大いに心して考えていかなければならぬと思うわけでございますが、他面、やはり需要側のいろいろな事情にも目を向ける必要があるわけでございまして、良質の麦が供給をされるように考えてまいらなければならぬ。  こういうことで、主産地を中心といたしました生産費を基礎にいたしまして算定をしてまいるということで、現在作業をいたしているところでございます。麦作に取り組んでおられます農家意欲に及ぼします影響ということにも十分配慮しながら、生産性向上を価格に的確に反映させるということが必要だというふうに考えております。  いずれにいたしましても、米価審議会の御議論をいただきまして決定をしてまいりたいというふうに考えております。
  100. 藤田委員(藤田スミ)

    ○藤田委員 それでは、もう一度年金問題に戻ってまいりますが、農家所得の平均は、現在でも専業農家で五百七十一万六千円です。さらにその所得が下がることが目に見えている。さっきも御説明ありましたが、今年度の保険料は夫婦二人で六十八万八百八十円、農家所得の一二%になります。さらに、今回の改正で、毎年農業者年金保険料は月額八百円ずつ、国民年金の方は月額五百円ずつふえまして、保険料の年額は二年後の九七年には七十四万八千円、二〇〇〇年になりましたら八十四万一千円、こういうふうになるわけであります。妻が仮に農業者年金加入しなかったとしても五十九万円。  こういうふうに毎年毎年保険料引き上げていく、そういうことで果たして本当に保険料を払い続ける、今現在あなた方が言う、そういう農家であっても払い続けていくことができるのかなというふうに思いますが、もう一度、本当に負担できる範囲だ、責任を持ってそういうふうにおっしゃるわけですか。
  101. 野中政府委員(野中和雄)

    野中政府委員 農業者年金保険料でございますけれども、これは将来にわたりまして財政の均衡を保つように定めるというようなことが基本でございます。  そういう中で、現在この農業者年金につきましては財政的に大変厳しい状況にあるわけでございまして、これまでも御審議がございましたけれども経営移譲年金に対しましては追加国庫補助をいただいておる、また今後それを続けなければいけないということで、経営移譲年金につきましては一〇〇%国庫補助というような状況が今後しばらく続くというような状況で、大変厳しい状況にあるわけでございます。  そういう中でこの年金財政を長期的に安定を図っていくというようなことでございますので、一方では今のように追加的な国庫補助をいただくということではございますけれども、やはり一方では保険料引き上げというような形で負担もお願いをしなければいけないということでございます。  そういう際に、この保険料引き上げでございますけれども厚生年金あるいは国民年金につきましても、ただいまも一部御指摘もございましたが、保険料引き上げを行っている、今後も引き上げを行っていくというような状況もあるわけでございまして、私どもといたしましては、農業者保険料負担能力に十分配慮しながら、今の財政問題での一方での追加国庫補助の継続という問題、そしてまた他方では他の公的保険におきましても保険料引き上げが行われているというような、そういうものとのバランス、そういうようなものを総合的に勘案をいたしまして年間八百円ずつ、これは従来と同様でございますけれども引き上げをお願いをするということにしたものでございまして、この点につきましては御理解をいただきたいというふうに思うわけでございます。
  102. 藤田委員(藤田スミ)

    ○藤田委員 幾らか突き放したような言い方だなと思いますが、年金財政の長期安定を言うなら加入者をふやすことが第一条件じゃないですか。そういう点からも加入者である農家の経営の安定というのは不可欠であります。そして、農家が払える額の保険料女性加入しても払い続けることができるような保険料、そういう方向にやはり見直して、加入意欲がわくような、負担軽減措置と言えば拒否されるかもしれませんけれども、やはりそういうことを考えていく、そういうふうには思われませんか。大臣、いかがですか。
  103. 大河原国務大臣(大河原太一郎)

    大河原国務大臣 いろいろの御意見でございますが、本日も年金財政に対する追加的国庫補助等の問題でいろいろな御議論をちょうだいしたわけでございまして、大規模な追加的な国庫補助を受けている現状においてはなかなかに掛金の引き下げと申しますか保険料の軽減措置年金収支のバランスを見ながらの、それにもかかわらずその保険料を下げるというようなことは、現実問題としてなかなか困難ではあるまいかというふうに思っておるところでございます。
  104. 藤田委員(藤田スミ)

    ○藤田委員 現実問題はそうでしょうが、将来はやはりそういうことを考えていかなければならない、そのことを私は重ねて申し上げておきたいと思います。  次に、女性加入するためには、家族経営協定を結び、それを公的な第三者機関が確認することが求められています。  農業の主要な部分を担いながら、労働に見合った報酬も受け取れない、定期的な休日も持てない、自分名義の不動産もない、農村での女性の地位はそういう極めて低い状況にあるわけであります。この家族協定の中でお互いの労働報酬を決め、収益の分配や休日などを取り決めることは、農業経営の中で女性が共同経営者としての位置を確立し、農村での女性の地位を確立していく一つの大事なステップになると思います。しかし、農家経済的条件が厳しいことなどから、絵にかいたもちになるのではないかという、そういう見方もあるわけであります。  家族協定を普及し、根づかせていく取り組み、実効性あるものにする取り組みが、今非常に求められていると思いますが、どういうふうにそれを進めていこうとされるのか、簡潔にお聞かせください。
  105. 日出政府委員(日出英輔)

    ○日出政府委員 家族経営協定でございますが、これまで全国農業会議所を初めとします各団体が普及を図ってきたわけでございますが、今回こういった年金制度改正がもちろんございましたし、その前にも新政策におきまして、我が国の家族農業の弱点といたしまして、この家族構成員相互間のルールづくりがないということが指摘されたわけでございます。このため、私どもといたしましては、各都道府県を指導いたしまして、普及事業におきまして、協同農業普及事業の実施に関する方針というものをつくらせたわけでありますが、この中で、家族経営協定の普及推進を大きな基本的な課題にするように位置づける、この指導をいたしたわけでございます。  また、平成六年度から新しい家族経営推進運動事業という予算事業をつくりまして、夫婦セミナーでございますとか、広報誌を利用しました啓発活動等を進めているところでございます。  また、さらに本年二月には、私ども農蚕園芸局、それから構造改善局長連名通達で、関係機関に対しまして、こういった家族経営協定の普及推進のための通達も発出しているところでございます。  今後とも、各団体と一緒になりまして、こういった家族経営協定の普及推進に努めてまいりたいというふうに考えております。
  106. 藤田委員(藤田スミ)

    ○藤田委員 私は、今回の女性年金加入を弾みにして、農村の女性の地位向上にもっともっと具体的な対策を進めていっていただかなければならない、そういうふうに思っています。  私は、せんだって群馬県で、生活改良普及員の皆さん農家のお母さんたちに経営管理の指導をされている活動を調査をいたしました。こういう活動というのはますます求められてきているという点では、生活改良普及員の増員、事業の拡充ということも非常に大切なことであります。もちろん、農業生産や方針決定の場に女性の声を反映させていき、農業委員への女性の進出だとか、農協の役員の選出の促進というものも求められていると思います。この点は大臣いかがですか。
  107. 大河原国務大臣(大河原太一郎)

    大河原国務大臣 農村の女性方々農業就業人口の六割を占めておる、しかもいろいろ農産加工等や特産品づくり、あるいは都市と農村との交流というようなことに、活性化のために非常な役割を果たしているということは十分評価されるべきでございますし、特に先般の農政審議会の答申等においても、農業生産における女性の重要な地位にかんがみて、その地位と役割を明確化しろとか、適正な報酬とか、あるいは営農環境改善とか、それから地域社会における意思決定、これに参画させるべきだというような意見が出されて、まことにそのとおりだと思うわけでございまして、今委員がおっしゃいましたような農協の役員さん等にも女性が就任してもおかしくない、その意思決定に参画するとか、あるいはお話がございましたような経営管理等についての研修等々、各般の対策を強化すべきであるというふうに思っておるところでございます。
  108. 藤田委員(藤田スミ)

    ○藤田委員 最後に、消費技術センターの問題ですが、食品の安全性に対する不安が強まる中で、消費技術センターにおける消費者の利益保護に関する業務への国民の期待が高いと思います。今回の組織再編でセンターのこれらの機能が後退するというようなことはあってはならないわけでありまして、消費者関係業務を含め、人員、体制を一層充実させるべきだと私は考えますが、この点をお聞かせください。  もう一つの問題は、有機農産物の特別表示ガイドライン、これは九三年のJAS法改正の論議の際に、私もこのガイドラインについて、無農業や減農業という表示は非常にあいまいになる、消費者の要求にこたえて有機農産物の表示に限るべきだということを主張いたしました。ガイドラインが実施されて二年たちましたが、現在の表示のあり方について、わかりづらい、消費者には無農業の方が有機より安全であるかのような印象を与え紛らわしい、こういう改善を求める声が出ています。農水省は表示の改善検討に当たるというふうに報道されておりますけれども、消費者、生産者の要望にこたえる方向でガイドラインを見直すべきだと考えますが、どのようにお考えですか。
  109. 鈴木(久)政府委員(鈴木久司)

    ○鈴木(久)政府委員 今回消費技術センターの組織改編を行うわけでございますけれども、これは消費者の食品の安全性に対する関心の高まり、こういったものに対応できるような体制の整備を図ろうとするものでございます。具体的には、モニタリング体制の整備を引き続き進めますけれども、特に東京のセンターにつきましては、全国の中枢機関としまして、消費者安全部というものをつくります。ここでいろいろな専門的技術やあるいは知見を活用しまして、安全性対策その他の消費者対策業務を一元的に行ってまいりたい。また、他のセンターにおきましても、微量物質検査課を全国のすべてのセンターで設置しまして、安全性に関する検査分析体制を強化することにしております。  このように、今後とも、それぞれの時代の要請に沿いながら、消費者対策を初め各種の対策の充実を図ってまいりたいというように考えております。  それから、有機農産物等の表示の関係でございますけれども、この有機農産物等に係る青果物等特別表示ガイドラインにつきましては、平成四年十月に制定しまして、五年の四月から実施をいたしております。ちょうど二年ちょっとたったところでございます。その後農林水産省では、昨年、このガイドラインの実施状況、実施上の問題点、こういったものを把握するためのアンケート調査を実施しておりまして、今般、先週からですけれども制定時と同様に学識経験者あるいはその他の関係者によって構成する検討委員会設置しておりまして、今後ここの場で、ガイドラインの活用状況、実施上の課題、今後の活用方策、こういったものにつきまして調査検討してまいりたい。  いろいろ消費者の方々からも御意見もございますし、また生産者の方々からもいろいろな御意見もございます。また国会の場での御議論もございますので、これらの点を十分踏まえながら、幅広く検討してまいりたいというように思っております。
  110. 藤田委員(藤田スミ)

    ○藤田委員 最後になりますが、私はさっき大臣に御答弁を求めながら、麦価の問題については大臣から御答弁をいただけませんでした。こんなに作付面積が減ってしまって、そして自給率はもうこんなに低くなっている状態の中で、生産者の皆さんが本当に所得の安定と、それから将来展望を持てるような価格の引き上げを進めていかなければ、この自給率はもっともっと低くなっていく、穀物の自給率なんというのは異常ですからね。そういう点で私は、そういう立場から大臣は今回の生産者麦価の決定をなされようとされるのかどうか、そこのところをもう一つだけ御答弁願って終わりたいと思います。
  111. 大河原国務大臣(大河原太一郎)

    大河原国務大臣 先ほど食糧庁長官が、まさに決定いだそうとする麦価についての基本的考え方を述べたとおりでございまして、我々としても、生産者の意欲なり具体的な生産性の推移等を見て適正に決定いたしたいというわけでございまして、ただ、麦の作付面積なり生産量が減退をしておることは確かでございますけれども、単に価格だけではなくて、生産構造自体の効率化というものについてもやはり施策を講じなければ相ならぬ。そういうような生産振興対策と両々相まって麦作の減退に歯どめをかけるべきだという点を私どもは考えておるわけでございます。
  112. 藤田委員(藤田スミ)

    ○藤田委員 時間が参りましたので、これで終わります。
  113. 中西委員長(中西績介)

    中西委員長 これにて両案件に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  114. 中西委員長(中西績介)

    中西委員長 これより両案件について討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、農業者年金基金法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  115. 中西委員長(中西績介)

    中西委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  116. 中西委員長(中西績介)

    中西委員長 この際、本案に対し、松岡利勝君外三名から、自由民主党・自由連合、新進党、日本社会党・護憲民主連合及び新党さきがけ共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を聴取いたします。倉田栄喜君。
  117. 倉田委員(倉田栄喜)

    ○倉田委員 私は、自由民主党・自由連合、新進党、日本社会党・護憲民主連合及び新党さきがけを代表して、農業者年金基金法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     農業者年金基金法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、農業者年金制度が今後とも農業者老後の保障と農業構造改善に十分にその役割を発揮できるよう、左記事項の実現に遺憾なきを期すべきである。       記  一 農業構造改善の一層の推進に資する観点から、本年金財政基盤を長期的に安定させるため、年金財政の動向等に応じて引き続き国庫から必要な額が助成されるよう十分配慮すること。    また、本制度への加入促進につき、格段の努力をすること。  二 保険料については、農家の負担能力の実情、本制度政策年金としての性格等を踏まえ、過重負担にならないよう設定すること。  三 農地の権利名義を有しない女性への加入資格の付与については、我が国農業における女性の位置づけをふまえ、農業経営における女性役割の明確化と個の確立に資するものとなるよう十分配慮すること。  四 後継者加入資格要件の緩和及び新規参入者の経営移譲の相手方としての位置づけについては、他の関連対策と相まって、若い農業者の育成・確保に十分活用されるよう努めること。  五 死亡した加入者の経営を承継して加入した配偶者について、死亡一時金の受給に代えて将来の経営移譲年金の額を加算する仕組みについては、これが創設された趣旨にかんがみ、その周知徹底により十分活用されるよう努めること。    なお、経営移譲年金受給権者が死亡した場合における遺族年金については、年金財政の動向等を見極めつつ、引き続き検討すること。   右決議する。  以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
  118. 中西委員長(中西績介)

    中西委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  松岡利勝君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  119. 中西委員長(中西績介)

    中西委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。大河原農林水産大臣
  120. 大河原国務大臣(大河原太一郎)

    大河原国務大臣 ただいま御決議いただきました附帯決議趣旨を尊重いたしまして、今後、最善の努力をいたしたいと思っております。     —————————————
  121. 中西委員長(中西績介)

    中西委員長 次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、農林水産消費技術センター設置に関し承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  122. 中西委員長(中西績介)

    中西委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両案件委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 中西委員長(中西績介)

    中西委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  124. 中西委員長(中西績介)

    中西委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時二十七分散会