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1995-05-10 第132回国会 衆議院 農林水産委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年五月十日(水曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 中西 績介君    理事 久間 章生君 理事 二田 孝治君    理事 松岡 利勝君 理事 倉田 栄喜君    理事 小平 忠正君 理事 仲村 正治君    理事 鉢呂 吉雄君 理事 錦織  淳君       栗原 博久君    栗原 裕康君       七条  明君    東家 嘉幸君       浜田 靖一君    保利 耕輔君       松下 忠洋君   三ッ林弥太郎君       御法川英文君    山本 公一君       石破  茂君    大石 正光君       木幡 弘道君    実川 幸夫君       千葉 国男君    畑 英次郎君       初村謙一郎君    増田 敏男君       矢上 雅義君    山岡 賢次君       山田 正彦君    石橋 大吉君       遠藤  登君    辻  一彦君       玄葉光一郎君    藤田 スミ君  出席国務大臣         農林水産大臣 大河原太一郎君  出席政府委員         農林水産大臣官         房長      高橋 政行君         農林水産省構造         改善局長    野中 和雄君         農林水産省農蚕         園芸局長    日出 英輔君         農林水産省食品         流通局長    鈴木 久司君         食糧庁長官   上野 博史君  委員外出席者         厚生省生活衛生         局食品保健課長 高原 亮治君         農林水産委員会         調査室長    黒木 敏郎君     ――――――――――――― 五月九日  ガット農業合意に伴う国内対策充実に関する  陳情書外四件  (第二〇五号)  日本農林業食糧・環境を守るための政策確  立に関する陳情書外一件  (第二〇六号  )  酪農・畜産振興施策に関する陳情書外五件  (第二〇七号)  国土保全奨励制度に関連する施策充実に関す  る陳情書  (第二〇八号)  中山間地域対策充実強化に関する陳情書外  一件  (第二〇九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  農産物検査法の一部を改正する法律案内閣提  出第八二号)      ――――◇―――――
  2. 中西績介

    中西委員長 これより会議を開きます。  内閣提出農産物検査法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。栗原裕康君。
  3. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 自由民主党の栗原裕康でございます。  農産物検査法を一部改正する法律案について御質問申し上げたいと思うわけでございますが、まず、本年よりミニマムアクセスの受け入れで精米ベースで約三十七万九千トンの外国産米が入ってくるわけでございますけれども、この検査、特に安全面については具体的にどのようになさるか、まずそのことから伺ってみたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  4. 上野博史

    上野政府委員 ミニマムアクセス輸入米につきましても、農産物規格規程に基づきます検査をいたします。ただ、これは農産物検査全般的な性格論としての国内流通の安定を図るという趣旨のものでございまして、先生質問安全性関係につきましては、昨年緊急輸入米輸入いたしましたときに講じました三段階での安全性チェックというのをやはりミニマムアクセス輸入についても講じてまいりたいというふうに考えております。  これは、三段階といいますのは、輸出国船積み前に産地集積が行われたところで一遍安全性の確認をチェックする、それから二番目は、船積みのときに採取したサンプルをこちらに飛行機で取り寄せてそれをチェックする、三番目は、貨物が本邦に到着した時点で厚生省食品衛生法に基づきまして検査をするというこの三段のチェックで対応したいというふうに考えております。
  5. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 要は、消費者に安心して食べていただける、そして、ミニマムアクセスの分は計画流通米としてちゃんと規格検査をして需給の安定を図る、こういうことだと思うのですね。これはよくわかりました。  昨年の緊急輸入、一昨年もそうでございます。が、そのときに、米不足ということで、相当な方が個人託送品といいますか、個人輸入するといいますか、そういったことをなさって外国からお米を日本に運んでこられたということがニュースを随分にぎわわせたわけでございますが、可能性として、そういう個人輸入をした外国米、これは、ミニマムアクセスで受け入れる外国米は今御答弁がありましたようにちゃんと検査をするということでございますが、個人輸入をした米というのはそういう検査がないわけでございますので、それが万が一にも、例えば計画外流通米、この計画外流通米検査する必要がないわけですから、それとミックスされるとか、そういったことは私は想定できると思うのですね。そういったものはどうやってチェックをして、あるいは防止するということができるのか、その辺のことについての方策をお考えになっているかどうか、そのことを伺いたいと思います。
  6. 上野博史

    上野政府委員 新食糧法のもとにおきましても、一人当たり年間百キログラムまでの携帯品としての輸入、あるいは国際郵便によります輸入ということを許可を得ないで輸入できる方途として認めるということにいたしたところでございます。  この個人的な輸入ということにつきましては、年間一人百キログラムという条件がある、あるいは国際郵便を使った場合にはそういうものはないにしても、一回当たり二十キロというのが郵便制限としてあるということ、それからまた、郵便を使う場合には非常に郵便料金が高いというようなこともございまして、一般的には特別な目的で輸入をされるというような場合に限られるのではないか。昨年の異常な状態にはいろいろそういう議論もございましたのですけれども、それ以前の平常需給のときにおきましては、まあ二、三百トンぐらいの範囲のものというふうに把握をいたしておりまして、先ほど御質問の中にございましたような、一般的な商品として流通するというような量としては余り国内需給やなんかには影響を与えるというようなものではないのではないかというふうに考えているところでございます。
  7. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 平常時には量も大したことないし、郵送料も高くつくのでそういうことは考えられない、こういうことでございますが、重ねてで恐縮でございますが、一昨年のようなことが余りあっては困るわけでございますけれども、そういう事態も想定して、そういうことがもし予想される場合にはぜひお考えいただきたい、こういうふうに思います。  続いて、今度の検査制度が、これは表示制度と密接に結びついているわけでございます。この表示制度というのは、これからこの法律の施行までにいろいろと検討なさるというふうに伺っているわけでございますが、やはり消費者にわかりやすいといいますか、表示制度というのがこの一つの大きなポイントになってくると思うのですね。  まず、現行表示制度でございますが、これは必要的表示事項とか任意的表示事項とかあるわけでございまして、お米屋さんの店頭に行きますと、この必要的表示事項、書いてはございますね、例えば標準米には、一類が何%、二類が何%あるいは三類が何%と。ところが、一類というのはよく一般の方にわからないですね。それから、食味ランキングで、特AとかAとかAとか書いてあるのですね。これもちょっとわからない。規格でいうと、特、上、中とあるわけですね、特、一等、二等ですか。お米屋さんによっては、自分の精米所の名前をどんと書いてあって、特上と書いてあるわけです。これはわかりやすいのですけれども、要するに、一般消費者にとって現行表示制度というのはどうもわかりにくいような気がしてしょうがないのですね。  これは、まず伺いたいのでございますが、農林省として、現行表示制度というのをどういうふうに自己評価なさっているかというか、どう評価しているかということについて、私の意見としては、ちょっとわかりにくいのではないかなと思うのですが、いや、そうでもないという御意見なのか、それをぜひひとつ伺いたい。
  8. 上野博史

    上野政府委員 私どもも、今回の農産物検査法改正案をまとめるに際しまして研究会を開きまして、生産者から消費者流通業者関係者方々にお集まりをいただいていろいろ御意見をいただいたわけでございます。  その際に、消費者方々から、現在の精米表示というものが、今先生質問の中でお話がございましたように、大変わかりにくいという御意見がございまして、私どもとしても、この点は新しい表示制度を検討する過程において十分に考えてまいらなければならぬだろう。特に、お話がございましたように、特、上、中というようなことよりも、むしろ産地品種産年といういわゆる三点セットというようなことに対する関心といいますか、そこを知りたいという消費者側意向というのは非常に強いものがございまして、これをいかにしてその内容表示一致を図るということについての工夫ができるか、そういうことの問題点の検討と十分兼ね合わせながら、消費者の御意向にできるだけ沿ったような形の表示ができるように検討させていただきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  9. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 今長官産地品種産年、こういうことをおっしゃいましたけれども、任意的な表示事項のところに、産地品種産年、あるいは低温保管倉庫で保管されたもの、あるいは特別な栽培方法、無農薬、低農薬あるいは通常の栽培方法と異なった方法で栽培されたものについては栽培責任者名及び栽培方法、こう書いてあるのですね。このことをおっしゃっているのですね。私も、これは消費者にとっては大変わかりやすいと思うのです。  これに関連して特別栽培米現行でも食糧庁長官が要するにお墨つきをして一万数千トンつくっていらっしゃるわけですけれども、この特別栽培米の扱いというのはどうなるんでしょうか。新しい検査制度、この法律が通りますとどうなるんですか。そのことを伺いたいと思います。
  10. 上野博史

    上野政府委員 現在の食管法のもとで一定の流通経路をたどってお米が流通するという制度上の仕組みのいわば例外的なお米の流れとして、特別栽培米のように非常に限られた、生産者消費者の顔の見えるような流通という場合に、制度が本来的に予定をしているような流通経路でなくて、直接的な取引で供給をされるような道を開くという意味合いで特別栽培米というものが制度化をされているわけでございます。新食糧法のもとになりますと、いろいろな流通形態というのが認められるわけでございまして、今までそういう形でしか制度上認められなかったものも別に制度規制なく自由にやれるようになるということによりまして、食糧事務所がこういう特別栽培米の認定をする必要性がなくなるという事態になるわけでございます。  しかしながら、消費者生産者、双方からこれにかわる措置をというような御意見もいろいろあるのは我々もわかっておるわけでございます。そこで、そういう事態におきましてとり得る措置としては、いわゆる特定JAS制度というのがJAS制度のもとにあるわけでございまして、これの適用ということが一つ考えられるわけでございます。ただ、これにつきましては、規格の設定なりその認証の仕方なり、いろいろと検討し、詰めるべきところが多々ございまして、生産者消費者それぞれの、あるいは取扱業者の御意向も十分に聞きながら検討したいと考えて現在作業を進めているところでございます。そういうことを踏まえた上で判断をしてまいりたいと考えております。
  11. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 いずれにしても、生産者の顔が見えるというのは大変重要なことだと思うのですね。私は、個人的な意見としては、任意的表示事項でなれてくれば、消費者というのはこの米はどういう米であるかということがかなり判断できると思うのですね。したがって、表示制度についてはぜひこのことを生かしていただきたいという意見を持っておるわけでございます。  もう一つ、最近は余り聞きませんけれども、ほかの農産物なんかでもよくある例でございます。が、例えば静岡ミカン静岡茶と銘打っておって中身は違っておった、こういうことがよくあるわけですね。今度の米の検査制度についても、せっかく検査をしっかりやって、表示をしっかりやっても、中身一致しなかったらこれは何にもならぬわけですね。これはどのように担保なさるのか、まずそのことを伺いたいと思います。
  12. 上野博史

    上野政府委員 今委員の御質問のとおりに、幾ら表示消費者の御要請にこたえる内容のものにするということにいたしましたところで、それが実際に内容とどう一致しているのか、そこをどれだけ確保できるかが大事だということはまさにおっしゃられるとおりだと思います。  実は、先ほど申し上げました三点セット産地品種産年の問題にいたしましても、これを必要的記載事項に書いた場合に、全面的に書かれるということにはなるわけでございますけれども、果たしてそれが本当に内容一致しているのか、そこをどう担保していくのかということが非常に難しい大事なポイントでございまして、そこと手段、手法等との兼ね合わせを考えながら制度のあり方というものを考えていかなければならぬ、そこがポイントだと思っております。  私どもとしましては、内容表示一致を今まで以上に確保するということについて、今後、現在とっております指定検定機関による検証というようなことの対象範囲を広げる、あるいは食糧事務所や都道府県の職員による巡回検査というようなことを通じて、より一層表示内容一致を図っていく方法を考えてまいることによってできるだけの努力をしてまいるように考えてまいりたいと今考えているところでございます。
  13. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 ちょっとごめんなさい。これは通告していませんでしたけれども、それと、中身表示とが一致していない場合には、現在どういう罰則があって、新食糧法では罰則というのはどういうふうになるのでしょうか。堂々と食管法を破っている人がテレビで英雄になるようなことだけはやはりぜひ避けていただきたいと思うのですね。今度の場合、もし表示中身が違うということは、これは明らかに詐欺ですから、詐欺罪適用とかそういうのがあるのかもしれませんし、罰則とかそういうことについてはどういうふうになっていらっしゃるのか、あるいはどうしようとしていらっしゃるのか、伺いたいと思います。
  14. 上野博史

    上野政府委員 表示内容一致を図る、これは現在の食管法においてもそうでございますが、新食糧法におきましても、登録業者に対する国の指導監督という権限に基づいて実施をしてまいりたいと考えているところでございまして、表示についての義務づけというようなことについては、いわゆる新食糧法に基づく命令という形になるわけでございます。それに違反をするということになった場合には、同法によりまして三十万円以下の罰金を科する、あるいは最終的には登録抹消といいますか、そういうことにもつながってまいるというような処分が考えられるということでございます。
  15. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 いずれにしましても、先ほど私が申し上げましたように、今度は多分表示が命になると思うのですね。だからこれは、もし中身と違うようなことをしたら三十万円以下の罰金と最終的には登録抹消ということでございますけれども、最初が肝心でございますので、万が一そういうことがあった場合にはぜひ厳罰で対処していただきたい、こういうふうに思っております。  それから、これもちょっとまぜ返すような質問で恐縮でございますが、例えば今度、計画外流通米は一応任意検査でございますから検査を受けなくてもいいわけですね。計画流通米については検査を受ける。それをミックスした場合、ませた場合にはどういうふうになるのでしょうか。その表示は、例えば五〇、五〇でまぜましたとか、そういう表示をさせなければいかぬのか、ミックスした場合にはどうなるのか、そのことについて伺いたいと思います。
  16. 上野博史

    上野政府委員 未検米については、検査をもとに表示をするという事項産地とか品種とか産年とか、そういうことについては表示のしょうがないわけでございます。したがいまして、純粋未検米については、重量であるとか搗精年月日であるとか、検査の結果とは別に、そういう書ける事項表示として各事項を書けることになるわけでございますけれども検査を受けなかったことによって出てくる制約というのは引きずっていかざるを得ない。  したがいまして、検査米と未検査米がミックスされるときにも、検査米についてはその検査の結果に基づいて表示できるけれども検査米部分についてはそういう表示ができないということが、原則論といいますか常識的に言える話なんだろうと思うのです。そのときに、では、検査米が非常に割合が少なかったようなときに、その部分までわざわざ書かせるのかとかいうような議論が多分出てまいるのじゃないかと思いまして、これは、関係者の御意見も聞きながら、そういう取り扱いについて考えてまいりたい。ただし、基本は今私が申し上げましたようなことになるのじゃないかと考えております。
  17. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 それでは次に、明治中期から昭和の初期まで、同業組合検査時代というのがあったというふうに伺っておるわけでございます。これは一種の自主検査です。これは要するに、地方によって全然規格が違っちゃったり、地方によって非常にばらつきがあるので没になってしまって、最終的に国の検査と、それは全国的な規格統一というふうになったと伺っておるのですね。現在、今の時代は、相当情報も豊富でございますし、それからもう一つは、ニーズの多様性というのもございますので、私はこのことをもうちょっと考えてもいいような気がするのですね。  私の地元の例を出して大変恐縮でございます。が、私の地元御殿場というところがありまして、そこはいいコシヒカリをつくっているのですが、たまたま相当な寒冷地でございますので、例えば去年は高温多湿で物すごくいい米ができたのですね。食べてみると、これは魚沼産のコシヒカリと余り変わらぬのじゃないかと思うぐらいのいい米ができるのですね。計画外流通米の場合には、理化学検査を今度受けられるということになっているわけでございますから、理化学検査というのは、要は、米の粘りとかあるいは味とかそういったものを化学分析して出すわけですから、うまさの秘訣というのがある程度科学的に出てくるわけですね。そうすると、例えば、隣の人がいなくなってしまいましたけれども魚沼産のコシヒカリ理化学検査をした、こういう数字が出た、これと御殿場コシヒカリと、あるいは徳島のササニシキと余り変わらぬじゃないかと。そうすると、表示として、これは魚沼コシヒカリと余り変わらない成分を持っていますよという表示をして売り出すということも考えられるわけですね。そういうことは許されるかどうか、まずそのことだけちょっと確認しておきたいと思います。
  18. 上野博史

    上野政府委員 成分検査につきましては、国あるいは指定検査機関を通じて検定検査をするという考え方でございまして、今のお話成分検査検査実施主体が、そういうものでないということになった場合に、これを国の定めた表示制度内容として位置づけをするということについてはやはり難しいというふうに思うわけでございます。  ただ、計画外流通米のように検査を受けないで流通するものもあるわけでございまして、そのときに、検定機関として認められているところではないけれども、類似の検査をされてその結果を書くというようなことは、これはあり得る話かもしれないというふうに思います。  ただ、この場合には、新食糧法の上からはとやかく言う話ではないのかもしれないと思っておりますけれども一般的に、不当景品類及び不当表示防止法という、そちらの方の規制を守っていく必要があるということは言えるだろうというふうに思います。
  19. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 要するに私が申し上げたいのは、消費者というのは割とブランド志向があるのですね。お米屋さんに聞きますと、お米屋さんとしても、例えば去年は非常に高温でございましたから、秋田のひとめぼれが、食味ランキングでいうとAランクなんだけれども特Aに匹敵するぐらいおいしいんですよと幾ら一生懸命言ってもなかなか消費者は買わないというわけです、値段が安いにもかかわらず。  だから、私が言うのは、表示の仕方を、例えば魚沼コシヒカリと同じような成分ですよということを表示しても構わないわけですから、そういう自主検査みたいなものがどんどんこれからふえてくるというふうに私は思います。それに対して、重ねてで恐縮でございますが、そういう場合にはそれは認めていると。例えば国以外のものでも成分表示をきちっと明示しておけば問題ないわけですから、その辺を確認させていただきたいと思います。
  20. 上野博史

    上野政府委員 計画流通米、これは要するに義務検査になるわけでございまして、これにつきましては、やはり農産物検査法に基づいた検査を受けていただく。その際には、今先生おっしゃったような、そういう目主的な検査というものを正規の検査のかわりに位置づけるというわけにはなかなかいかないだろうと思いますし、そういうものを計画流通米から出てまいりました製品である精米小袋詰め商品表示として位置づけていくというのはなかなか難しい面があるというふうに思います。  ただ、先ほど申し上げましたように、計画流通米以外の、いわゆる計画外流通米というようなことになりますと、その辺の未検米であっても流通がなされるということでございますし、表示についても特段の制限がかかるということもしにくいというふうに考えているところでございまして、そういう分野に限っていえば可能かというふうに考えるところでございます。
  21. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 要するに、この農産物検査法の一部を改正する法律案も、あるいは前に成立しました主要食糧需給及び価格の安定に関する法律にしましても、米穀の需給の安定とそれから価格の安定、それにプラス生産者自主性を生かしたいわゆる生産体質強化ということでございますので、後段の方の解釈に立ては、相当自由な表示といいますか、工夫した表示というものも許されると私は思っておりますので、そのこともぜひ申し添えておきたいと思います。  時間がなくなりましたので、最後に大臣にひとつ御質問といいますか、御感想を聞きたいと思うわけでございます。  先ほどから私が申しましたように、やはり生産者の顔が見える表示農産物表示というのはこれからの日本農業にとって大変大事だと思うのですね。確かに、ガットウルグアイ・ラウンド対策として、大変規模を大きくして、あるいは複合経営をして外国農産物価格面で競争していくということも大事でございます。大事でございますが、中山間地とか、特に都市近郊、農地の集積が進みにくいところの農家はなかなかそれができない。したがって、この農産物はどこのだれがつくって、できれば栽培方法まで入れて、やっていますというようなそういう表示農産物の命になると思うのですね。  大変私ごとで恐縮でございますが、ことしの春、ちょっと家族で、京都の郊外に美山町というところがあるのですが、そこへ旅行いたしました。ここは典型的な中山間地でございます。民宿に毛の生えたようなところに泊まったのですね。出てくる料理に、そこのおばあさんですけれども、おかみさんが、全部解説を加えるわけですね。例えば豚肉が出てくると、この豚は近所で飼っている豚でございますから安心して召し上がっていただけます、こう言うわけですね。例えばマイタケが出てくると、このマイタケはどこそこの原生林からとってきたマイタケでございます、こう言うわけですね。  一番おもしろかったのは、朝食のときに生卵が出てくるのです。これは普通の生卵です。これに対してそのおばあさんが説明するには、これは近所のおばあさんが放し飼いにしている鶏の卵です、ですから安心して召し上がっていただけます。と。それで、こういうことがありましたと言うのですね。これは毎朝自分の孫がとりに行っている、そのおばあさんのところの。ある朝、孫がいつものとおりとりに行ったけれどもちっとも帰ってこない。だから嫁が心配で見に行った。嫁も帰ってこない。しょうがないのでそのおばあさんが見に行った。そうしたら庭の隅に鶏がいて、それをその飼っているおばあさんと孫と嫁がじっと座って待っていた、あと一個産み落とすのを待っていた、そういう卵でございます。こうなると、食べる方もううむと言いながら食べるわけですね。  そこまでは極端でございますけれども、やはりそういう安心感と、それから地域密着型といいますか、そういったものの表示が自由にできる。もっと言うと、そういったものが消費者にとっては非常に安心なわけでございますから、農産物表示こそがこれからの日本農業一つの、特に都市近郊、中山間地での農業の生きる道だと思っておりますので、そのことについて大臣の御感想を伺いまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
  22. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 御所論のとおりでございまして、消費者のニーズというのが多様化、高度化する。その中身を見れば、良質とかあるいは安全性とかあるいは本物とか、そういう志向でございまして、農業自体がそれに対してこたえなければならないということが非常に大事だというふうに思っております。特に中山間地帯、その他規模拡大の容易でない地域については、その農産物について一種の差別化をして、その特色を出して、それによって需要を拡大していくということが大変大事であるというふうに思っております。  これについては、農産物の品質については、委員御案内のとおりJAS制度がございまして、それともう一つは品質基準というものでその要望にこたえておるわけでございます。平成五年でございますか、法律を改正して、特定JAS制度、これは、そのものについての生産方法とか原材料、そういうものについて、特別なものであるということによって特定JASマークを付してそれを進めるということもやっておりますし、その品目の拡大ということが一つでございます。また、なかなかJASまでいかないものについても、例えば青果物等についてはガイドラインをつくりまして、それによってその方向に導くというようなことでございます。  いずれにいたしましても、日本農業の今の当面している消費者のニーズにこたえるという方向として、その点についての対策を強化しなければならない、さように思っております。
  23. 栗原裕康

    栗原(裕)委員 終わります。ありがとうございました。
  24. 中西績介

  25. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 さきがけの玄葉光一郎です。  今回の質問で伺う点は主に二つあります。一つは、米の検査制度における検査必要性及びそのあり方について。そして二つ目は、食糧庁の合理化及び米などの検査体制のあり方についてであります。  まず、米の検査制度における検査必要性についてでありますけれども改正案第三条は、米の生産者は、その生産した米を新食糧法の計画出荷米として売り渡す等のときは、その前に国の検査を受けなければならないとしております。つまり検査を義務づけているわけでありますけれども、計画内流通米について検査を義務づけた理由はどのようなものなのか、まずお伺いをしたいと思います。
  26. 上野博史

    上野政府委員 計画流通米といいますのは、この新食糧法によって樹立いたします基本計画に即しまして、消費者に計画的に安定的にお米を供給していく、そういうお米として位置づけているわけでございまして、集荷、販売という過程を通じまして非常に全国的に広域的に流通をしてまいるわけでございます。この間、それぞれの段階で取引が行われて末端の消費者に至るわけでございまして、その多段階にわたる安定的な取引を確保するという上において、対象になりますお米というものがいかなる内容のものであるかということを確実に取引当事者に信頼感を持って認識してもらえる、そういうものとして検査というものを考えた場合に、これは検査というものは不可欠のものではなかろうかというふうに考えたわけでございます。
  27. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 一方で、消費者が米を買うときというのは、頼りにするのは店頭での表示だ。この表示が当てになるかどうかというのはその店の信用で決まって、スーパーであろうが米屋さんであろうがコンビニ店であろうが、信用できる店は信用できるし、信用できない店は信用できないのだ。野菜のように、悪い物を出したらば売れなくなるだけだ。  先ほど長官栗原先生の御質問にお答えになっていたように、罰則の規定も不当表示法などでもありますし、要は市場の健全性というものを重視をする意見も世間にはあるようであります。私は、これは理屈としては率直に申し上げて一理ありというふうに思っています。  ところで、では計画外流通米について任意制というのを導入したのはどうしてなのでしょうか。そのことについてお伺いしたいと思います。
  28. 上野博史

    上野政府委員 この計画外流通米といいますのは、数量確認のための届け出というものを求めておりますけれども、それ以外はだれでも自由に販売ができるというものでございまして、いろいろなニーズに対応して、生産者から集荷、販売過程も経ないで直接消費者に行くというものもあるのではないかというふうに考えているところでございます。  こういうものが計画外流通米の中にあるというふうに考えてまいります場合に、これはいわゆる顔の見える当事者間の取引関係でございまして、その取引の対象になるお米の内容がいかなるものであるかということを改めて検査というようなことで確認をすることの必要性もないものがやはりあるのではないか。そういうものがある以上、全部をいわば義務検査として義務づけるというわけにはいかないのではないかというふうに考えたという次第でございます。  ただ、計画外流通米につきましても、取引の安定性上、内容の確認をやはりしなければ安定的な取引がしにくいということも考えられるわけでございます。その場合には、求めに応じて検査をできるという道を開く、そういうことで任意検査という扱いにしたいということでございます。
  29. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 私は、場合によっては全部任意にしてもいいのではないかという気持ちをどこかに持っておりますけれども、きょうそれを議論し出しますと切りがありませんから。  ただ、これはずっと読ませていただいて思ったのは、この任意制の導入というのは、ある意味で意識しておられたかしておられなかったかはわかりませんけれども、結果として妙案になっているというふうに思っているのです。  というのは、今までやみ米というか、いわばイコール未検米だったと思いますけれども、それは当然店頭では売れなかった。今度は売れるようになるわけですね。その未検米をその店の信用で、例えば先ほど来出ているような三点セットと言われる消費者が望むようなものについて、その店の信用で表示をするということがこれからできるようになるわけですね。  もしこれらが表示をされた結果、そして消費者に売られた結果、実は混乱が生じるという可能性も私はあると思うのです。その延長線上には、いやもちろん顔が見える取引だ、一方で計画内は広域だ、多段階だとあるかもしれないけれども、場合によっては将来全部を任意にするとか、あるいは義務検査について自由化をしていくというか、そういうことの方向性だって考えられるかもしれない。混乱が生じれば、やはり絶対に検査は必要なんだねということになるかもしれない。そういう意味で、私は今回の措置というのは市場の反応をうかがうためにも非常に妙案になっているというか、実験場をつくったというか、検査必要性について今後の選択の余地を残したというか、そういう意味で、結論からいえば非常におもしろい、いい案になったなというふうに思っておりますけれども、今後のそういう方向性といいますか、先ほど申し上げたような全部任意にするなんてことも含めた検査義務の自由化の問題について、そんな展望をどこかでお持ちかどうか、そのことについてお伺いをしたいと思います。
  30. 上野博史

    上野政府委員 私ども、この農産物検査法改正案をまとめます際に研究会をつくって検討したことにつきましては先ほども申し述べました。  そこで、今の義務検査任意検査、その辺の議論もいろいろ御議論をいただいたわけでございますけれども関係者生産者から始まって流通業者、まあ消費者方々というのは表示の信頼性の問題という形でむしろ出てまいるわけですが、検査関係で問題になります玄米取引に関する関係者方々は、いずれの方もやはり検査というものが絶対必要である、義務検査を続けていくべきだという御意見だったように思うわけでございます。  これは歴史的にやはりある程度それが言えるというふうに私は思うわけでございますが、明治以降、最初は同業者による検査というところから始まりまして、府県営検査段階を過ぎ、国営検査になったという経緯がございます。これはやはり取引の安定性を図る上において公正中立な第三者による検査というものがどうしても必要だということで、行き着いたのが今の検査の体制だというふうに考えられるところがあるのじゃないかと思うわけでございまして、そういう歴史的な経緯というものを考えます場合に、やはり検査というものの必要性は私は続いてまいるのではないかというふうに感じている次第でございます。
  31. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 研究会については、私は率直なところをお聞きしたらば、研究会のメンバーからは先ほど申し上げたような将来検査をなくしてもいいのじゃないかみたいな議論は出なかったのだというふうにはお聞きをしましたけれども、かなり市井にはそういう意見をお持ちの方もいらっしゃいますから、私自身は率直なところ、どうしてそういうメンバーばかりだったのかなという心配もむしろどこかでしていることでもあります。市場の健全性というものを私は過小評価し過ぎてもいけないなというふうに思っていますから、私は結論としてはこれはこれでいいと思っていますから、そのことについて一言だけはこういうふうに申し上げておきたいなというふうに思ったわけでございます。  なお、この検査制度のあり方について、関連で細かいことでありますけれども、これは検査手数料なんかは義務と任意ではどうするのですか、違うのですか。
  32. 上野博史

    上野政府委員 検査手数料はコストによって決めるというのが建前でございます。したがいまして、検査の仕方、内容が同じであれば、義務検査であっても任意検査であっても変わってくるものではないというふうに思うわけでございますけれども任意検査というのが行われる場所が通常の場合の産地での検査と違うというようなこともあるいはあるのかという気もいたすわけでございまして、その辺がコストにどういうふうに反映をするかというようなことで、今後もう少し詰めた上で決めてまいりたいというふうに考えております。
  33. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 あと、これも細かい点ですが、改正案では第五条において、流通段階でこれからは検査もオーケーですよということをうたっているわけでありますけれども、これは具体的にどういうふうにするのですかね。
  34. 上野博史

    上野政府委員 今度の新食糧法のもとにおきましては備蓄という制度もございまして、一年間倉庫に置かれたものを一年古米という形で市場に供給をするということが政府米に限らず自主流通米についても起こってまいるというふうに考えておりますけれども、その際に、やはり当初の検査の結果と内容が変わっているということは考えられるわけでございまして、改めて検査をしてほしいというようなことも起こってくるだろう。  それから、成分検査という問題もございます。そういうようなことから流通過程での検査というものが出てまいるのじゃないかというふうに考えておりますけれども、これも、これから一体具体的にどういうようなケースでこの流通過程での検査というものが考えられるのか、もう少し関係者方々の御意見やなんかも聞いた上で考えてまいりたいというふうに思っております。
  35. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 では、大きな第二点の食糧庁あるいは食糧事務所の問題についてでありますけれども、第六条ですか、米、麦における検査内容規格について、種類とか銘柄、量目、街づくり、包装、品位、成分というものを調査するのだということでございますけれども、このうち、例えばでありますけれども、町役場の職員とかそういう人ではだめで、プロの検査官じゃなきゃだめだ、検査官を絶対に必要とする項目というのはどれなのですかね。
  36. 上野博史

    上野政府委員 この検査の項目というものについては、それぞれ個別に今おっしゃいましたようなポイントが書いてあるわけでございますけれども、私どもはそれを総体として、やはりそのものを前に置いて判断をしていくということでございますので、なかなかそれを分業的にこなしていくという話では難しい面があるのではないか。品位の判定なんというのはかなり技術的な要素があると思いますけれども、ではその部分だけを検査官で、あとは量目なりなんなりを別の人がというのも効率性の面からいえばどうであるかなという感じがいたすわけでございます。
  37. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 その品位というのはどういう意義づけを持つのですか。
  38. 上野博史

    上野政府委員 その袋に一体幾らのお米が入っているかという量やなんかもさようだと思います。けれども、そのお米を流通業者が取引をいたします際に、やはり値決めが変わってくるその大きな要素になるのが品位だというふうに思うわけでございまして、これは最終的に精米になるということになったときに、六十キロ一袋の袋から一体どれくらいの精米が出るのか、いいものであればたくさんの精米が出るし、品質がよくなければ歩どまりが悪い、あるいは見た目もつやのあるいいお米ができるかどうかとか、最終製品に影響を与えるところが非常に大きい要素でございますから、取引当事者から見ますと、この点についてのしっかりした判断というものが取引の前提条件になるということじゃないかと思っております。
  39. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 ただ、割合いろいろな地域でお聞きすると、消費者からすると、余り等級って関係ないねという話が結構出てきているのじゃないかなという気はするのですよね。最近、農協関係者方々なんかも等級なんて余り関係ないねと言う人が出てきているなというのが私の率直な実感なんですね。  それで、そういうものだけに、何が何でも必要だという検査官、本当に大量に必要なんだろうか、しかも収穫期だけ忙しくて、もっと本格的に合理化案を考えていかなくてはいけないのではないか、そう思っているわけでありますけれども、お考えをお伺いしたいというふうに思います。
  40. 上野博史

    上野政府委員 これはやや前の答弁への補足になりますけれども検査を的確に行うということは生産者にとっても非常に大事な要素でございまして、その結果に応じて次の自分の生産を考え直すという面につながる面もあるわけでございます。それは補足的なあれで恐縮でございますが。  検査官の体制の問題につきまして言えば、私どもずっと連年定員の削減ということには努めてまいっておりまして、抽出検査あるいはばら検査というような形での検査のやり方の効率化というようなことを進めながら、一方で必要な検査のサービスについては、これは的確にニーズにこたえていかなければならないというのも我々の務めでございます。その辺両方にらんで、必要な業務に必要量の、最低の人員を張りつけていくということで大いに努力はしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  41. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 今ばら検査とか抽出検査という話もありましたけれども、どうも関係者方々からお聞きすると、機械でもやれると言う方もたくさんいらっしゃるようでありまして、この自動検査機の導入の問題なんかについてはどうお考えになっておられますか。
  42. 上野博史

    上野政府委員 私はやはり将来的にはそういうことを考えてまいらなければならないのではないかというふうに思います。  ただ、これは私どもの技術担当の者から聞いたところでございますけれども、現在の肉眼鑑定による検査のスピードというのもあながち機械に劣るものではないというのもございまして、おっしゃられたようなこと、科学技術の進歩というのは大いに活用していかなければならないというふうに私は思いますので、大いに勉強はしなければならぬというふうに考えております。
  43. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 今おっしゃったように、自動検査機を積極的に導入していくということでありましょうし、先ほどばら検査の拡大も図っていく、抽出検査の拡大も図っていくということでありますから、これはいつまでに、どのくらいおやりになるつもりなのか、できるだけ明確に明示をしなくてはいけないと思いますが、どうでしょうか。
  44. 上野博史

    上野政府委員 この新しい農産物検査法によりまして、食糧事務所あるいは検査員の担当する業務ということに変化も生ずるわけでございます。義務検査任意検査という二種類の検査が出てまいります上に、内容的にも成分検査というものがまた一方では出てまいるというようなこともございまして、事務量がどういうことになるのかということについてはやはりある程度の、もう少し検討なり、あるいは場合によっては具体的な運用に入ってからの実態も見きわめなければならないという面もあろうというふうに考えているところでございます。  いずれにしましても、必要なニーズにはおこたえをする体制は維持しなければならないというのが一方にあり、それに必要な組織体制ということについては極力これは効率化を図ってまいるということで対応するというふうに今の段階はお答えを申し上げざるを得ないということをお許しをいただきたいというふうに考える次第でございます。
  45. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 私も余り米検査官の方々を責めたくはないのですね。実際、知っている方々もたくさんいらっしゃるし、その方々は優秀だし、非常に人柄もいい方が多いですし、ただ、やはり民間では考えられないというのも事実じゃないかなというふうに思うのですよ、そういう配置は。  ですから、やはりもっともっと真剣に、行革のやる気を疑うと言われても仕方がないと思います。ですから、具体的な目標、これは先ほど申し上げた自動検査機、ばら検査もそうでありますし、人員削減の目標も含めて明示をするというのは責任だろうというふうに思うのです。ですから、さらに大幅な整理合理化についてもっと意気込みを持っていただきたい、明示してほしい、具体的な目標をしっかり出してほしいと思っておりますから、そのことについてもう一回御答弁をお願いいたします。
  46. 上野博史

    上野政府委員 先ほど申し上げましたように、何よりもまず一体どれくらいの業務量が出るのかという辺が現段階ではっきり申し上げにくいというところもあるわけでございまして、その辺が今御質問のようなことに対してお答えを申し上げる際の一番の当面の問題点になろうかと思うわけでございます。我々としても、そういうような御趣旨もおありになるということを十分わきまえまして、さらにその点については努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  47. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 どのような業務が発生するか、どのくらいの量の業務が発生するかというのは、まさに当然責任を持って予測をしなくてはいけないわけでありまして、その答弁はちょっと残念なんでありますけれども。  この検査主体についても、場合によっては民間に委託できないのかという議論もあると思うのですけれども、しつこくて申しわけないのですが、そのことについてはどうですか。
  48. 上野博史

    上野政府委員 今回新たに検査の対象に加えることを考えておりますいわゆる成分検査、この関係につきましては、民間の指定検査機関というようなものを活用してまいりたいというふうに考えておりますけれども、いわゆる従来のやってまいりました検査ということについて、これを公正中立な第三者機関という検査主体の持つべき性格ということを前提にいたしました場合に、現在の段階では国が委託をしていけるような主体というのはなかなかないのではないかというふうに考えております。
  49. 玄葉光一郎

    ○玄葉委員 今おっしゃったように、今度第十条で成分は委託できるということですね。まあ、品位はできない。つまり、成分については受け皿があるということなんですかね。品位についてはどうも受け皿がない。何か今の地方分権の議論と大体同じような話だなと思っているのですけれども。委託できるとなれば、恐らくそういうものは出てくるだろうと思うのですね。  ですから、余りしつこいですから言いませんけれども、こういうことも含めて、もちろんこれは食糧庁としては最も頭が痛い部分だと思いますから、それも私ども理解いたしますけれども、重ねて申し上げたいのは、やはり民間では考えられない配置であるということ、これはきちっと認識をして我々進まないと、もう国民からは大変な叱責を受けるということをお互いに常に肝に銘じておきたいものだというふうに思いますから、そのことを申し上げて、質問を終わらせていただきたいというふうに思います。  以上です。
  50. 中西績介

    中西委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十時五十九分休憩      ――――◇―――――     午後一時二十分開議
  51. 中西績介

    中西委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。矢上雅義君。
  52. 矢上雅義

    ○矢上委員 新進党の矢上雅義でございます。本日は、農産物検査法の一部を改正する法律案について質問をいたします。  まず、国営検査制度の意義と役割でございます。が、ガット合意、米麦の生産、流通、消費の多様化を受ける形で新食糧法が成立し、今回の農産物検査法の改正につながったわけでございますが、改めて国営検査制度の意義と役割について大臣にお聞きします。
  53. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 お答え申し上げます。  御案内のとおり、米麦等は、全国的な流通、また年間流通と大量流通のものでございまして、これについては公正中立の第三者機関等によって適切な格付が行われることによって信頼のある取引が行われるというわけでございます。繰り返しますけれども産地品種、銘柄あるいは品位等々について格付が行われる、それによって現物を確認しないで信頼ある効率的、安定的な取引と価格形成ができるということでございます。  それからもう一つは、これは生産者サイドにとっても農産物の品質改善を助長するという面を持っております。  それからもう一つは、午前中もいろいろ御論議がございました消費者表示に対するニーズが非常に高まっておる、それは的確な検査を基礎として表示が行われるというようなことでございまして、そういう意味で従来から国営検査が行われたわけでございます。  また、これも午前中の御論議に出ましたように、検査の過去の歴史を見ましても、同業組合検査から県営検査、さらには国営検査になったわけでございますけれども、やはり信頼し得る検査、また統一的な規格による検査ということについての必要性は今日も全く変わっていないというふうに思うわけでございます。そういう意味で、私どもとしては、国営の検査が最も適切であるというふうに考えておるわけです。  なおつけ加えますけれども、しかし、品質に対する非常な各方面からの要請も強うございますので、生産、流通、消費の実態を踏まえて、このたびは流通段階検査とか、あるいは成分検査、理化学的な検査等々も導入させていただきまして実態に対応していこう、さように考えておるところでございます。
  54. 矢上雅義

    ○矢上委員 今の回答に対しましてちょっと補足でお聞きしたいのですけれども農産物検査法改正案に、「公正かつ円滑な取引とその品質の改善とを助長」する、そして、「あわせて農家経済の発展と」と書いてございますが、やはり生産段階でのきちんとした検査をやることにより公正な格付をする、それが市場における農産物の安定的な値段につながってくる、そういう意味で農家経済の発展につながると解釈してよろしいでしょうか。
  55. 上野博史

    上野政府委員 先生お話のとおり、検査がしっかり行われるということによりまして、取引上も生産者がその内容に応じた金額での取引が間違いなくできる。それは、全然検査結果というようなことを背景にしない取引、この場合には売り手と買い手の力関係というようなこともあるのじゃないかと思うわけでございますが、そういうことを捨ました公正な取引ができる、そういうことを通じて農家の経営上もいい結果をもたらす。  それからまた、今大臣のお答えにもございましたように、検査の結果をよく見ますと、自分の稲作というものがどこに欠点があるのか、どういうところをさらに改善したら二等のものを一等にできるかとかというようなこともわかってくる面はあるのだろうと思うわけでございまして、しっかりした間違いのない検査をするということは、いろいろな面で生産者にとっても恩恵のあることだというふうに考えております。
  56. 矢上雅義

    ○矢上委員 ただいまの上野長官の回答からも拝見できるのですけれども、今後とも新食糧法下でも国営検査制度義務検査任意検査も含めて続けていく、そういうお答えだと思います。  ただ、午前中の質問にもございましたが、最終的には消費者の判断に任せる、いわゆる市場の原理に任せるとか、また国営の検査体制にむだはないのか、そういうことをチェックするのが議院としての役割ではないかと言われている中で、規制緩和、行政改革、そういう中で、新食糧法下でも国営検査制度を続けていくという力強い根拠と申しますか、その辺のむだをなくしながらもこの検査を続けていくのだという意思なりまたその理由についてお聞かせ願えればと思います。
  57. 上野博史

    上野政府委員 行政改革の要請というのは、これは我々としてまじめに、真剣に取り組むべき課題だという、そこはもうまことに御説のとおりでございまして、我々も今後努力をしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。  検査というものを国がやるということにつきましては、実は先ほど申し上げましたような検査の重要性、その検査が信頼感のある検査であるということ、これが絶対の要件なんだというふうに思うわけでございます。  お米の取引というのは、大臣お話ししましたように、年間を通じまして非常に大量に行われます。それから、例えば東北の産地から九州の消費地まで物が流れていく。そうすると、その過程で言うなれば、産地の状況を頭に置いた取引というようなことは事実上難しいというようなことがあるわけでございまして、集荷業者から卸、小売というふうに原料玄米が流れる過程で間違いのない正しい価格の形成が行われ、取引が安心して行われるというためには、一々見てやっていたのではとても間尺に合わない、そうすると、それは信頼できる検査ということを前提にしなければならないだろう。  そう考えてまいりますと、先ほど大臣も申し上げましたように、これまでの明治以降の検査の変遷ということを考えましても、国というものが一番信頼感のある公正な第三者ということで従来役割を果たしてまいったわけでございますし、そういう観点で見まして、ほかに今そういう仕事をやれる体制というものはないのではないのかということで今回の案をお諮りを申し上げているという次第でございます。
  58. 矢上雅義

    ○矢上委員 次に、任意検査制度の意義と役割という点に絞ってちょっと質問いたします。  今回の改正で義務検査範囲を見直したことにより、計画外流通米ということで任意検査の対象となる部分が発生してきたわけでございますが、任意検査の対象となる計画外流通米はどの程度出るのか、またそういう不明確な部分がある中であえて任意検査を位置づけたわけでございますが、任意検査のこれからのあるべき姿と申しますか、意義と役割についての御説明をお願いします。
  59. 上野博史

    上野政府委員 お米の安定的な供給を今後もずっと図っていくという、そういう体制として新食糧法というものが制定をされたわけでございますけれども、そういう一番お米の安定的な流通という意味で基本になります計画流通米ということにつきましては、先ほど申し上げましたような理由によりまして、これはどうしても義務検査にせざるを得ない。しかしながら、そうでない計画外流通米という新食糧法上の米につきましては、これはどちらかといいますと、生産者から消費者に直接供給をされる、あるいは流通過程というものを余り通らない極めて短い流通経路の中から消費地に、消費者のところに供給をされていくというようなことが行われることが多いのではないかというふうに考えられるわけでございまして、従来から産直みたいな形で供給されている米につきましては、生産者消費者の間で顔の見える取引関係、これは消費者が生産地に出向いて稲作の一部に関与をするというようなことも見られるわけでございますけれども、そういう特別な関係にある生産者消費者の間の流通というようなことが多々ある。こういうものについては、先ほど申し上げましたような検査必要性というものは余り感じられないわけでございまして、だれだれさんがつくったものであるならば私は安心してちょっと高くても買いますというような話になるわけでございますから、こういうものについて検査をどうしても受けなければならないということを義務づけることは新食糧法の考え方との関係から見ましていかがであるか。そういうことで、すべてのものについて義務検査にするのは適当ではないのではないかというところが出発点でございます。  ただ、そうはいいましても、計画外流通米といっても、集荷業者、農協が生産者から集荷をしてこれを消費地の消費者に供給をするというような初歩的な流れというものが一部にしろ入ってくるケースもあるわけでございまして、そういう場合には、やはり売り手と買い手の間の取引の契約内容として間違いのない形での特定が行われる、その前提として先ほど申し上げましたような検査というものの必要性があるということもあるわけでございますので、要請があれば検査に応じられるという体制はこれは残しておく必要があるだろうということで、任意検査というものを位置づけをすることとしたところでございます。
  60. 矢上雅義

    ○矢上委員 今確かに、長官の御指摘のように、特別栽培米などのように、現地に赴いて農作業をしたり、また観光も兼ねて現地に行かれて生産者と直接交流をされる、確かにそういう納得ずくの上でやる場合には不必要だと考えておりますが、またそれ以外のニーズとして、先ほどもちょっと簡単に例を触れられましたが、付加価値をつけるためにとか、流通の過程で品位の劣化がないことを再確認してもらうためにとか、そういう確かにいろいろな検査ニーズがあると考えられます。  ただ、計画外流通米の場合に、任意検査ですので、当然任意検査を受ける場合には手数料を払うことになります。法案によりますと、実費を勘案して手数料を納める。義務検査のように大量に何カ所かでやるような場合にはその実費、コストというものは安くなると思いますが、任意検査の場合には随時やるわけでしょうから、結構高くつくのではないか。そういう手数料を払ってまで当然検査を受けたくないという人も出てくるわけでございます。そうした場合、当然の結果として未検査米がどれだけ市場にあふれてくるか、そういう状況も想定することができるわけでございます。そして、今回の食糧庁の検査体制というものは、義務検査という明確な数量のものと任意検査というある程度不確定な部分を含むわけでございます。が、せっかく導入した任意検査制度でございますので、その積極的な利用がこれから期待できるのか、どういう意味で期待できるのか、またその見通しについてお聞きしたいと思います。
  61. 上野博史

    上野政府委員 計画外流通米任意検査ということになりますと、先ほど申し上げましたように、計画外流通米流通の仕方というのは、やはり広域かつ大量性といいますか、そういう点においてやや事情が違う可能性があるというふうに思うわけでございまして、検査を経ないものというのがかなり出るのではないかというふうに思います。  しかし、先ほどの御質問で払お答えしましたように、一方、そういいながら、生産者から業者が集めてこれを消費者に供給するというような、非常に短い流通経路にしろ取引関係が介在をする場合は、売り手としてもやはり第三者がしっかり内容を見て、それに基づいて値決めをしてほしいということはあり得るわけだろうと思うわけでございまして、現在の義務検査の対応と同じような形で任意検査が行われる可能性は、私はある程度あるのではないか。ただ、これがどの程度のものになるかということにつきましては、新食糧法の施行の実態をある程度見ないと、今の段階ではちょっとはっきり申し上げ切れないということだと思います。  それから、古米についての検査あるいは成分検査、こういうものにつきましては、これは産地ではないところで検査が行われる可能性もございまして、今委員御指摘のとおり、その場合のコストあるいはそれから出てまいります検査料、これをどうするかということもこれから検討しなければならぬわけでございますが、その辺を検討します。過程で、利用されると思われる方々の御意見も十分に聞きながら、制度の発足に向けての準備をしてまいりたいというふうに思っているところでございまして、まことに恐縮でございますが、もう少し時間をいただいて、その辺のボリュームがどうなってくるかについて定性的にしろ感覚を得る努力をしてみたいというふうに現段階では思っているということでございます。
  62. 矢上雅義

    ○矢上委員 私がこの問題で地元精米業者さんにちょっとお聞きしたのですけれども、まず検査米と未検査米の比較ですけれども、虫食いの結果量目の不足しているのが未検査米に圧倒的に多い。それは、検査米の場合にはきちんと検査する、しかも表に出せるものでございますから保管状態もよい、それに対して未検査米の場合にはやはり量目の不足とかが見られるので、できれば任意検査の対象となるものについてその手数料もできるだけ安く抑えていただければ、安定した、信頼した取引ができるという要望が一つございました。  それともう一つでございますが、精米業者、加工業者の段階でいろいろな成分検査等含めて実行できますと、各地の小さな、渓流が流れておるとかきれいな水が流れておる、特に中山間地帯でございますが、その地域ごとの産地のブランドを確立することができるのではないか、そういう付加価値を高めるためにもこの任意検査をそういう形で使えるようなものにしてほしいという要望がございました。  今、米にしましても東北の米がおいしいとか、お茶にしましても静岡のお茶がおいしいとか、熊本でつくった例えばお茶にしましても、全国に出回るときは静岡産のお茶になるように、ブランド化を図るといいましても全国統一のブランドになってしまうというのが現状で、中山間地帯でつくられた品物が買いたたかれておる。そういうことにもつながっておりますので、できれば今回の任意検査制度を通しまして、各地域の産地のブランドが個々独立しできちんとした値段がつくような形に任意検査制度を持っていっていただければという要望がございました。それをお伝えしておきます。  次に、任意検査制度の積極的な利用の方法一つとして、今回新食糧法下では、米の備蓄は基本的には政府が行うが流通の主体はあくまで自主流通米であるので、自主流通法人が備蓄の一部について責任を持つことになるとなっております。ただし、備蓄した水も、きちんとした在庫を回転させませんとまた大変な国家財政の負担になってきますので、何とか在庫の回転をよくする必要がある。そうした中で、従来評判の悪かった古米、まあ政府米、標準米ですけれども、これがなぜ評判が悪かったか。米の質にもよりますが、また、米というものは炊き方とか、九州で生まれて九州の米を食べたからということで、味覚の問題もございます。そういういろいろな問題がすべて古米であるとか備蓄米であるとかということで評判が立つということは余り好ましくないことでございますので、安心とおいしさというのですか、安心して食べられる、おいしく食べられるというイメージアップを図るためにもこういう任意検査制度を積極的に活用していく。そしてまた、品質におきましても、量目、品位の低下がないということをきちんと証明してさらにイメージを高める、そういう形でいろいろなメニューを提案していただくことによって、せっかくつくる制度でございますから、生かす方法を考えていただければと思っています。どうお考えでしょうか。
  63. 上野博史

    上野政府委員 今のお話は古米についての任意検査に焦点を当てたお話だと承りました。  おっしゃられるとおり、新食糧法のもとにおきましては、備蓄ということが非常に重要な位置づけを与えられているわけでございまして、一年間保有した後で市場に放出されるものがかなりな数量に上って出てまいるわけでございます。これが取引上出来秋に検査をしたときと同じような状態であるということが一番望ましいわけでございますけれども、一年間の貯蔵期間に質的にもあるいは量的にも水分の変化というようなことを通じまして変更があるという可能性を持っているわけでございまして、これを買い受ける卸の業者につきましては、そこから得られる精米の量が予定どおりのものである、あるいは予定どおりの品質、当初の検査のとおりの内容のものであるのかどうかということについて疑問を持つというようなことも出てまいるのではないか。  これを捨象するために、やはり取引上の安全性を考えて、売り買い両当事者のどちらからか、あるいは両方から、もう一遍その段階で調べ得ることについて検査をしてほしいというのが任意検査の趣旨でございます。したがいまして、実際上の話として考えます場合には、買い手である卸の方が貯蔵されていたものが間違いがないかなということを確認するために若干の検査手数料を払ってでも間違いのない取引がしたいというところから出てくるのではないか、それが一番大きいのではないかと私は思います。  ただ、古米というものが全体の流通量にかなりなウエートを占めるようになる。その際に、今先生御指摘のとおり、おいしさあるいは問題のなさ、そういうことを大いに確保しながら消費者にもPRをしていく、少し安いけれども本当はおいしいんだよというようなことが言えるようなものになっていくという意味で任意検査というものが利用されるという道も大いに期待をしたいと考えているところでございます。
  64. 矢上雅義

    ○矢上委員 備蓄に関しても制度の趣旨を生かしてぜひ積極的に活用していただきたいと思います。  次に、麦についてでございますが、麦に関しては、新法案の第五条の二で麦の生産者義務検査の項がございますが、法案によりますと、麦について、生産者から政府以外の者に販売される場合の検査は従来の義務検査から任意検査に移行する、そしてビール大麦、飼料用麦、これは北海道、九州、栃木、あのあたりで生産されているわけですが、ビール大麦、飼料用麦のように生産者と実需者の間で直接売買されるものは同様に任意検査に移行をすることになる、そういう解釈をしております。  農産物検査法の趣旨にもございましたように、きちんとした義務検査を受けて公正な格付をすると市場で適正な値段がつきやすい可能性がある、その結果農家経済を保護するということにもつながってくるかと思いますが、今回の改正により義務検査から任意検査に移行する、そうした場合に、生産者の間では、この任意検査制度の導入により公正な格付が失われ、メーカーとの取引の際に不利な立場に立つのではないかという不安が実は寄せられておりますが、このことについてどのようにお考えでしょうか。
  65. 日出英輔

    ○日出政府委員 今先生お話しのように、今回の農検法の改正によりまして、ビール麦は民間流通でございますので、任意検査ということになるわけでございます。先生お話しのように、一部団体の中に今回の制度改正を機にビール麦につきまして生産者側の方が不利になるのではないかという懸念があったわけでございますが、今現在は解消をされております。  若干詳しく御説明申し上げますと、今先生も御案内のとおり、国産のビール大麦でございます。が、生産者団体と業界団体が三年ごとに契約を結びまして基本的な条件を決めまして、それに基づいて各年契約栽培が行われているということでございます。現在は平成七年産から九年産までのビール大麦につきまして契約が決まっておりまして、これはかなり難産でございましたけれども、昨年の十月にようやく両団体で合意されております。そのラインで、平成七年から九年産までのビールの大麦につきましての流通条件が決まっておりますので、その線で生産なり流通が行われますように私どもも対応してまいりたいと思っておりますし、両団体とも今のところはそういうことで基本的にいきたいと言っておりますので、御懸念のようなことは今の時点では解消されていると思っております。
  66. 矢上雅義

    ○矢上委員 この場合に、任意検査ということですから、ビール大麦をつくっておられる方々が皆さん任意検査を受けられれば理論的には全部クリアするわけですよ。ビール大麦の業界がそのような統一のとれた業界なんでしょうか。それともまた、検査を受けるとして、先ほど申しましたように任意検査の手数料の問題も含めまして、ちょっと答えにくい問題だとは思いますが、ぜひお聞きしたいと思います。
  67. 日出英輔

    ○日出政府委員 先ほどちょっと説明を落としましたが、昨年の十月に両団体で合意されました契約の基本条件の中に、現在の農検法の検査をベースにいたしました取引条件が決まっておるわけでございます。  これは、生産者団体も通常の大麦よりも高い値段で引き取ってもらいます、あるいは実需者団体の方は、ビール大麦という一つの品質をしっかり確保したものでなければいけませんので、これもまたある意味では規格とかそういうものに対しては非常に関心が高こうございます。そういった両方のいろいろな考え方から見て、私どもは、今までのような検査が一応続いていくのじゃないだろうかとは思っております。
  68. 矢上雅義

    ○矢上委員 ただいまの回答できちんとした検査がお互い両団体の合意の上でなされるということを確認しましたので、今までのよい面が生かされるような形で公正な格付、また適正な料金設定ができるようにぜひ努力していただきたいと思います。  次の質問に移らせていただきます。  今回の改正で、検査規格の設定につきまして新たな条項がございます。米麦の流通実態の変化や多様なニーズに的確に対応するために、検査規格の設定に際しては学識経験者や関係者意見を聞くものとされていると書いてございます。よく見る言葉が並んでおるわけでございます。ぱっと見るとわかりやすいのですけれども、米麦についてで結構でございますから、現在こういうニーズがあるからこういうぐあいに経験者を入れてほしいんだよ、そういうような、具体的にはどのような要望が寄せられているか、また検査規格についても、例えば米の検査規格についてもこうしてほしい、ああしてほしいとか、現実にはどういう問題が起きているのでしょうか、お聞かせください。
  69. 上野博史

    上野政府委員 この規定は、改正をするときにはこういう学識経験者の意見を幅広く聞くということを政府に求めているということでございまして、現在の段階で具体的にどういうのがあってということを必ずしも意図してあれしているわけではないというふうに考えております。  ただ、委員の御質問にございましたように、現時点で米についてどのような検査の要望あるいは改正の要望があるのかということについて申し上げますと、今回の改正案の中で御検討をお願いをいたしておりますように、古米の検査任意検査というような形でやる道を開いたらどうであるかとか、あるいは米麦についての成分内容検査をして、流通段階における取引の判断材料にこういう要素を加えるということが求められてきているというようなのは、やはり検査をめぐります環境、すなわち、お米の生産から流通、消費という各段階におきます事情の変化、こういうものを受けて検査に対するニーズが変わってくる、あるいは新食糧法という制度的な変革によって検査のあり方に対するニーズが変わってくるというようなことがあるということは申し上げられるんじゃないかというふうに考える次第でございます。
  70. 矢上雅義

    ○矢上委員 検査規格の要望については二つの角度があると思うのですけれども、例えば生産者からすると、付加価値を高めるためにこういうものをつくったんですよということで成分的なもので売り込みたいという要望、検査規格の中に生かしてほしいという要望ですね。それともう一つは、加工業者。麦にしましても、例えばどういう用途で使うか。めん類に使うか、パンに使うか。加工業者からすれば、こういう用途に使いたい、そういう品物をどこで見きわめるかという検査規格の要望にもなるでしょうし、またそれは消費者にとっても同じだと思います。こういうおいしいものが欲しいとか、こういう味のものが欲しいとか。そういう生産者、加工業者、消費者という方々の要望が寄せられる窓口というのか、それはもう既にその窓口がある程度農林水産省の中であった上でこういう法案として出てきたのでしょうか。
  71. 上野博史

    上野政府委員 検査業務に関します行政といいますか仕事は、食糧庁が担当しているわけでございまして、現実の検査業務も行っておりますけれども、そういう制度的な運営あるいは手直し、そういうことも担当しているわけでございます。  それで、私どものそういう実態的な検査業務を行ってまいります中におきましても、今先生おっしゃったようないろいろな形の要望というものは出てまいりますし、あるいは、私どもがいろいろな場で生産者から流通業者消費者方々お話をする過程で、その辺のニーズというものを耳にするということももちろんあるわけでございます。
  72. 矢上雅義

    ○矢上委員 それでは、今後、そういう現場の声を反映させながら新しい法案ができるわけですけれども、そういう意見交換の場としてどのような形で人選、例えば時期等含めて、またどのような対象品目とするのか。ちょっと今後のことですから不確定ではあると思いますが、今後の方針なりについてお聞かせください。
  73. 上野博史

    上野政府委員 今回の農産物検査法改正案をまとめるに際しましては、私ども研究会を設けまして、生産から消費に至る各段階関係者の皆様方、それから学識経験者の方々、御意見をいただいたわけでございます。  今後のこの規定の運用に当たってどういうようなことを考えていくのかということにつきましては、まだはっきりと固め切っているわけではございません。いつも恒常的に設置をしておく委員会というようなことで対応するのがいいのかどうかというようなこともあろうかと思います。  ただ、規格の改定というようなことがそう頻繁に毎年毎年あるという話でもないような気がいたしますので、私の今の個人的な感じも含めて申し上げますれば、やはりそういうニーズを感じたときに、こういう関係方々にお集まりをいただいて御意見をいただくという場なり機会を持つということで対応していくんじゃないのかなというふうに今のところちょっと考えておりますけれども、具体的な制度を運用するという段階におきましては、もう少しよく詰めさせていただきたいというふうに思います。
  74. 矢上雅義

    ○矢上委員 上野長官の御指摘のように、頻繁に改定されるものではない、これは確かに事実でございます。確かに、消費者サイドからはいろいろなニーズはあるかと思います。ただ、生産者からは逆に、検査規格が頻繁に変わるとそれに対応した生産を行っていかなければならない。これは、口で言うのは簡単でございますが、現実、そういうものをはさみで切るようにつくるというわけにはいきませんので、多分、生産者の側からもそういう要望はありながらも、規格変更に対応できる能力があるかどうか、大変不安を持っておられることだと思います。ちょっと相反することでございますが。  そういうことがあるものですから、検査規格が硬直化しやすい、そして不都合が出やすい、それを何とか少しでもクリアするために今回この検査規格の見直しについて多様な意見を入れるという窓口をつくられた、そういう判断でよろしいでしょうか。
  75. 上野博史

    上野政府委員 検査規格というのも、売り手と買い手という立場で考えますと、やはりいかなる検査規格である方が自分にとって有利かということは、それぞれの立場で違ってくる面があるんだろうと思うわけでございます。そこで、今の委員お話のようになかなか改定が難しい、いろいろな利害が絡むということになってくる面も多々あるわけでございます。  ただ、そうは言いながら、やはり生産の形態が変わり流通の形態が変わる、あるいは消費者の嗜好も変わってまいるというようなことになりました場合に、やはり従来続いてきた検査規格というものでは対応できないという事態も参るわけでございますので、その辺におきましては、行政の立場にあります私どもが、全体の利害の調整を図りながら、より適正な検査規格の設定ということについての努力をしなきゃならぬと思いますし、その際に、各界の各般の御意見を幅広く得る、この規定に基づいて得てまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  76. 矢上雅義

    ○矢上委員 検査規格の見直しというものは取引上の物差しの見直しと同様でございますから、慎重にしながらもまた大胆に、変えるべきときにはそういう窓口をつくっておいてきちんと変えるという、そういう体制で今後とも法律だけではなく運用の面でも期待いたしております。  それでは次に、国営検査の効率化という問題についてちょっとお聞きしたいと思います。  国営検査制度につきましては、先ほどからも申しますように、消費者の判断に任せればいいからなくしてしまえばいいのではないかという意見もありますし、また、完全な任意検査でいいのではないか、また逆にきちんと義務検査を通して国が管理すべきだといういろいろな意見があると思います。そういう中で、国営検査制度の効率化というものが問題になっておるわけでございます。  この資料等をいろいろ見せていただきますと、幾つかの条件が出ております。ばら・抽出検査の拡大、検査場所の集約、食糧検査士の有効活用、こういう条件をいろいろ組み合わせて、サービスを低下させずに、しかも少ない予算の中できちんとした人員配置をしていく、それが行政改革という国民の期待にこたえるのではないかということで、いろいろな資料を読ませていただきましたが、書いてございます。ばら・抽出検査の拡大、現在八五%の達成率。検査場所の集約が約一万カ所。食糧検査士の有効活用、現在約千人ほどおられます。  それで、現場の農家の方に、検査制度についてどう思われますか、また検査官の数は多いですか少ないですかと四、五日前お聞きしたのですけれども、その方の地区にはちょうどライスセンターとかがございまして、そこにただ持っていくだけだ、後は農協の職員さんと食糧庁の検査官の方がやられるから、検査について特に感想はないという意見の方が結構ございました。その方が結局この八五%という達成率の中に住まわれている方だと思います。  その反面、山間地に行きますと、そういう施設も整っていませんので、運んでいくのが面倒くさいとか、立ち会いとか結構煩雑だと言う方がいるとか、庭先で検査してもらえればとか、また兼業農家の方が多いので土日もきちんと検査できる体制にしてほしいとかという意見も聞きます。いろいろな要望があるわけでございますが、私がいろいろ聞いた範囲ではこの八五%という数字は結構いい反応を生んでいるようでございます。  ただ、その検査体制についてどうお考えですかと現地の農家の人に聞いたときに、何も反応がないというのですか、確かに手に触れることがないわけですから、置いてくるだけ、そういうことでせっかく意見を聞きに行ったのですけれどもなかなか意見が聞けなかったということで、残念ではございます。  それと、あと検査場所の集約、これに関してでございますが、先ほど述べましたように、ライスセンターとかがあるようなところはいいのですけれども、交通の便が悪い、また数量も少ない、そういうところでどういう検査方法がいいのか、今までの経験の中から今後あるべき姿というものについて述べていただければと思います。
  77. 上野博史

    上野政府委員 この検査の効率化を図っていくという努力は、我々としてしなければならない事柄でございます。  ただ、今委員の御指摘にございましたように、一方で効率化を図るということがばら検査の度合いを高めるというような形で動いていく限りにおきまして、余り問題は生じないのだろうと思うのです。今後、カントリーエレベーターというようなものがますます広がっていきますと、そういう形でのばら検査ということがウエートを高めてまいることになるのだろうと思いまして、その限りでは検査の効率化に非常に意義のある話だというふうに思っております。  そうなりますと、先ほどのお話にもございましたように、生産者の目には検査という行為が目に触れにくくなってくるということが逆にあるわけでございまして、生産者が特段の感想を持たないということは、あるいは制度が割にうまく動いているということなのかもしれないとも思うのでございますけれども、一方ではそういう方向に行くのではないかと思います。  ただ、効率化の別の側面として、検査場所の集約、これは要するに抽出検査なりあるいは毎個検査で対応しなければならない従来型の検査とでもいいますか、そういうタイプのものになるわけでございますけれども、これはできるだけ一つのところに集めて検査を効率的にやろうという考え方なのですが、逆に生産者の側からしますと、だんだん遠いところに運んでいかなければならない、自分の近いところに検査場所がなくなるということにもなるわけでございまして、どの程度の集約化が図れるかというのは、道路事情なり運送事情なり農協のそういう施設の所在なり、そういうこととの関係で考えてまいらなければならない面があるのではないか、つまり支障のないように検査のニーズにこたえていくという面でまた考えなければならない問題が一方にあるのではないかというふうに考えております。
  78. 矢上雅義

    ○矢上委員 今の説明で大体わかったのですけれども検査場所の集約、約一万カ所。食糧検査士の有効活用、これは今約千人となっております。が、ここ二、三年減少傾向ではありますが、統計を大まかに見ると横ばいの状況でもございます。数字が単純に減ればいいとか、検査場所がただ減ればいいとか、また食糧検査士の数が千人では足りないから二千人にしろという、そういう単純な問題ではないと思います。  この統計上横ばいになっている、これが今現在がベストの状態で横ばいとされておられるのか、また少なくともこの横ばいの状況で、例えばこうしたらもっと食糧検査士の有効活用上改善されるとか、そういう何か感想をお持ちでしょうか。
  79. 上野博史

    上野政府委員 話の前提として、改正されました場合の農産物検査法によりまして検査官の業務量がどうなるかということをある程度把握をしてまいりませんと、その辺の問題への対応がはっきりしてこないということはあると思っております。  なかなか明確に現在の段階で新しい検査制度に基づきます。務量というものを把握申し上げにくいということについて何回も申し上げているわけでございますけれども、ただ同時に農産物検査士をさらに増員を図るというようなこと、あるいは検査場所も一層集約化を図る方向で努力をする。農協も大型合併などだんだんと進んでまいっているわけでございますし、いろいろな意味で集約化を図っていかなければならない方向にはあるのだろうということを感じているわけでございます。私どもとしましても、そういう流れの中でできるだけの効率化を図ってまいる必要があるというふうに思っております。
  80. 矢上雅義

    ○矢上委員 次に、表示制度充実について質問をいたします。  これも午前中の質問に出ておったので繰り返しになりますが、精米表示について、当たり前のことですけれども、奥さん方が買いに行かれるのが大多数でございますから、主婦を対象とした場合に、現在の類別とか特、上、中という記述がわかりやすいものなのか、この記述をさらにわかりやすくするような工夫が今後なされるのか、それについてお答えください。
  81. 上野博史

    上野政府委員 先般行いました農産物検査法の改正を準備するための研究会の場におきまして、非常に多くの消費者方々がおっしゃった御意見というのが、特、上、中という現在のこの表示はなかなかよくわからない、こういう表示では内容精米についての正しい情報が得にくい、理解しにくいということを申しておられました。消費者の立場からいえば、産地品種それに産年、何年産であるかというこの三点についての情報が得られるということが一番関心のあるところなんだ。この三点がしっかり間違いのないような形でわかるようなふうに何とかできないであろうかというような御指摘が多々ございました。  この点については、具体的に改正を考えてまいります際に、そうした場合にそこに表示された産地なり銘柄なり年産についての情報というものが間違いなく内容物と一致しているのかというところを、その表示内容一致をどういう形で確保するのかという難しい問題があるわけでございますけれども、方向とすれば、消費者のその御要請にできるだけこたえる方向で表示のあり方を検討するというのが我々のとるべき道だろうというふうに考えているわけでございます。
  82. 矢上雅義

    ○矢上委員 今長官のお答えの中に、産地品種、年産、これが非常に関心が高い、それで任意的表示事項から必要的表示事項に変更できないか、こういう要望をよくお聞きします。  確かに主婦の皆さん方に聞きますと、国内産であることがやはり条件だとおっしゃいますし、そしてコシヒカリがいいかササニシキがいいかとかおっしゃいます。そして、やはり新米がいいと。確かに、買うときの関心というのはここしかやはり見ておりません。しかし、この任意的表示事項必要的表示事項の間には大きな障害がございます。それは大型精米工場という条件があるようでございますから、それをどうやって乗り越えられるのか。精米工場というのは、工場という大きな名前のところもあれば街角の米屋さんが小規模ながら精米していらっしゃるところもございます。そして、目の前で、自分の生活圏でそういう工場があるというのも消費者の利益でございます。消費者の利益を、一つの利益を優先させようとしますと、精米工場がたくさん必要になってまいります。そうなるとなかなか食糧庁の皆さん方の人員では表示内容物が一致しているかという検査はできないと思います。それで、大型精米工場に集約すれば、箇所数も減ってくる、検査も可能になる。そうすると消費者のもう一つの要望である表示内容一致を確保することができるようになると思いますが、そこまで行ってしまいますと、たばこの生産と一緒で、大きなたばこ工場で全部パッケージングまでして出してしまう、そういう一つの工業製品に近い形になってしまうわけでございます。  口で言うのは非常に簡単でございますが、検査の結果を根拠にした表示、そして表示をきちんと守らせる、そういう消費者側からの要求というものをどこでバランスをとるか。大変重要なことでございますが、そういう大きな壁を乗り越えながらも、産地品種、そして産年というものをどう取り扱っていくか、ぜひお聞かせ願えればと思います。
  83. 上野博史

    上野政府委員 今の委員の御発言のとおりの問題なり、その取り組むべき方向なりというものがあるわけでございます。  この産地品種、銘柄、産年というような、そういう米の精米の品質に非常にかかわりの深い事項を、間違いなく内容一致したものを表示させる方法として、今委員の御質問の中にございましたような認証制度、大型搗精工場を中心として認証制度実施してまいるという仕組みがあるわけでございまして、消費者の御要請にこたえて、先ほどのいわゆる三点セットみたいなものをより広く的確に表示をさせていくということを考えます場合には、この認証制度をいかにより小さな搗精規模のところまで持っていくかというのが課題になるというふうに我々も思っております。  かといって、その観点だけで搗精のあり方なり、あるいは小売業の形態なりということを判断をするというのもまた難しい面がございまして、店頭精米をやっておられる小売の方々というのは特別な技術を持っておられる方もおいででございます。そういう方々というのは幾つかのお米をブレンドすることによって原料玄米のそのもともとのコストよりははるかにおいしい精米をつくり出される、それが技術であるというようなことも我々はよく聞くわけでございます。それがゆえにそういう伝統的なお米の小売屋さんというのは地域の消費者方々に非常に愛されている面もあるわけでございまして、一概にその認証制度の対象にできないからそういうところのシェアがだんだん小さくなればいいというふうに考えるわけにもいかない面があるというふうに思うわけでございます。  ただ、いずれにいたしましても、内容を的確に把握をするということができる方法を、より今まで以上に情報提供という観点で進めたい、そのためには認証制度というものを一層充実したものにしていかなければならぬだろうというふうに考えているところでございます。
  84. 矢上雅義

    ○矢上委員 今の精米工場の件、確かに店頭精米で一生懸命やられて、消費者の口に入るときにおいしいというものをつくられるノウハウを持たれた方もたくさんおられると思います。消費者のニーズというのは多様でございますので、いろいろな面からその認証システムについての検討を期待いたしております。  これで質問を終わらせていただきます。
  85. 中西績介

    中西委員長 千葉国男君。
  86. 千葉国男

    ○千葉委員 新進党の千葉国男です。  農産物検査法の一部を改正する法律案について幾つか質問をさせていただきたいと思います。  このたびの改正の趣旨といたしまして、米麦の生産あるいは流通、消費をめぐる諸情勢の変化の中で、新食糧法も制定され、新たな米管理システムに移行することになった、このような状況の変化のもとで、国民の信頼にこたえ得る適切な検査制度、それを構築して、米麦の安定流通の確保を図るため、国会での新食糧法案に対する附帯決議の趣旨や、検査表示制度に関する研究会の報告を踏まえて制度改正を行う、こういうふうになっているわけであります。  私もこの検査表示制度に関する研究会報告は大事に受けとめなければならない、このように思っておりますが、この質問に先立ちまして、私自身も生産者あるいは流通関係者、お米屋さん、消費者等の意見を聞いてまいりました。そこで共通して出てきた心配の声といたしまして、一昨年の大冷害以来、米に対する不信感というのが相当根強く消費者に残っていると。当時、価格が倍になったり品不足のために行列ができた、あるいはまた米の品質についても特にブレンド米については不信感が募った、こういうふうなことが実はいまだに尾を引いているわけでございます。  そういう意味で、この検査表示制度に関する研究会で、こうした米不信に対して、各委員からどのようなそれを踏まえた御意見等が寄せられたのか、まずその辺をお聞かせいただきたいと思います。
  87. 上野博史

    上野政府委員 検査表示制度に関する研究会、ここでの論議の概要でございますけれども、まず検査関係につきましては、米麦の円滑な流通あるいは適切な表示、その一番基礎になるところの規格基準というものにつきまして、全体のそのシステムが統一性を持つということ、そういう御主張がございました。それから、当然のことでございますけれども流通実態の変化あるいは消費者や実需者のニーズにより即した検査内容規格に見直す必要がある。それからまた、新食糧法制度内容に見合った検査、特に義務検査のあり方を考える必要があると。それから、検査の信頼性を確保するためにはその検査の主体としていかなるものがいいのかという議論が多々あったわけでございますけれども、この点につきましては、公正中立な第三者による検査の必要があるという御意見がございました。それから、米麦の安全性の確保について、やはり多くの方々の御意見がございました。  それから、次に表示関係でございますけれども、これにつきましては、検査結果を踏まえて的確な表示をするという意味におきまして、検査制度との関連を考慮しながら消費者表示に対する信頼を確保するということの必要性が強調をされております。それから、消費者のニーズにより即してわかりやすい表示をする必要がある、これは先ほどの三点セット等の議論につながるところでございます。  それから、表示内容一致、これもけさ来いろいろと議論をされたところでございますけれども精米表示の信頼性を確保するという上におきましては、それを担保するための認証システムの確立というのが大事であるというようなことが議論をされたところでございます。
  88. 千葉国男

    ○千葉委員 今長官から、研究会での御報告の全体的なまとめがありましたが、私が最初に聞きたかったのは、そういう大冷害を受けて、米に対する基本的な信頼感を失った中でのこの表示検査というのはどうあるべきなのかということをもう少し詳しく、研究会でどのような議論をされたのか、こういうのを聞きたかったわけなんです。  例えば、米不信の現場からいいますと、主婦連合会の米の消費動向調査というのがあるそうですが、宮城県的に言いますと、コシヒカリとササニシキといった有名銘柄についても、表示だけではなかなか信用できない、こういうのが一七%出ていますし、それから他のブレンドについてはほとんど七五%の消費者が疑いの目で見ている、こういうふうな結果が出ています。  それで、先日宮城県の食糧事務所へ行って当時の消費者コーナーに寄せられた内容等をいろいろ具体的に聞いてきましたけれども、例えば平成五年、平成六年の間に消費者相談コーナーに寄せられた電話の件数が五百二十四本、そのうち苦情電話が三百七十七本。七一・九%が、来た電話のほとんどが当時の大変な騒ぎの状況をあらわしている。標準価格米あるいは特定標準価格米が店頭にないではないかとか、価格について言えば銘柄米が高いのではないかとか、品質については本当に国産米一〇〇%なのかとか、そういう米に対する消費者の不信感、苦情、これが当然食糧事務所に殺到してきているこの実態について、消費者の情勢の変化、大冷害を受けた変化というもの、こういうことを受けとめても、農水省としてこれをどういうふうに認識をして今後改善しようとしているのか、この辺のところをもう少し聞きたかったのです。
  89. 上野博史

    上野政府委員 委員お話のとおり、昨年の米不足のときには、食糧庁の電話もなかなか業務用の連絡に差し支えるほど外から苦情の電話等がございまして、対応に苦慮したというのは全く事実でございます。その多くはやはりお米が手に入らない、どこに行ったら手に入るのかということだったように思うわけでございまして、輸入米の調達のおくれ等に非常に苦心して対応していたことを今お話をお聞きしながら思い出した次第でございます。  そのほかに、表示内容物とどうも違うのではないかといったぐいのお話もございまして、この手の情報に対しましては、私ども、小売のところなりなんなりに係官、担当官を派遣する、あるいは都道府県の職員にお出ましを願うというような形で出向いていただきまして、事情を聴取し、指示をする、指導をするというようなことをいたしてまいっております。  幸い、六年度に入りましてからはこういう事態はほとんど解消をいたしておりますけれども、やはり消費者からの情報というものをもとにして適正な表示を維持していくということは、今後におきましても重要なことだというふうに考えております。  それから、先ほどの研究会の場の議論の中に、この今の先生の去年の不足時点のお話というのも私は多分に反映をしている、それが表示内容一致をいかに確保するかというような御議論にもなっていたのではないかというふうに思う次第でございます。  それからまた、つけ加えて申し上げますと、米の不足に対応するということにつきましては、備蓄制度の円滑な運営ということに心がけてまいる必要があるということも感じておるところでございます。
  90. 千葉国男

    ○千葉委員 そうした当時の大変な状況の中での消費者ニーズと、最近のまた新たなニーズというものが流れの中で当然出てきておると思うのですが、先日大手スーパーを訪ねてみまして、最近のお米について、消費者の皆さんとの対応の中で特に気がついた点を売り場を担当する方にちょっといろいろ聞いてみました。  そうしたら、こんな話が出てまいりました。二つの傾向性がある。一つは銘柄米についての話なんですが、買いに来た人が、ササニシキとひとめぼれとどっちがおいしいですかというふうに聞くというのですよ。それからコシヒカリについては、これは新潟産ですか、それとも関東産です。か、こう聞くというのですね。だから銘柄米についても、そういうおいしさやあるいは先ほどから出ている産地の問題が非常に関心が強い。  それからもう一つ、今度は買い求めるお米の量ですけれども、以前だったら十キロ米というのが大半だったそうですけれども、今は五キロ米、最近では米不足以来二キロ米というのがすごく売れる。そういうことで、買い求める量も非常に少量になって、品質を中心にしたものかそういう小袋が大変売れる、こういうことが言われていました。  ですから第一点の方は、食味とか産地をかなり消費者は意識しているな、第二点の方は、品質とかあるいは新鮮さ、こういうものを求めているのじゃないか、こういうことを感じました。  ところが研究会報告では、「米の食味については、個人差などもあり、客観的な評価を行うことが難しいため、検査内容とすべきではない。」読んでみましたらこういうふうに書いてあるのですね。ですから、現場はそういうおいしい米を求めてどっちがおいしいですかと言っているときに、それは個人差があるのだから検査の対象にすべきではない、こういうふうに研究会は言っているのですけれども、この辺はどういうふうに受けとめたらよろしいのでしょうか。
  91. 上野博史

    上野政府委員 お米のおいしさというのが産地品種にかかわりがあるというのは、これは多くの方がそうだと思っておられるところだというふうに思います。したがいまして、検査をする際にもこの点についてしっかり判断をする、間違いのない検査をする、それを踏まえて精米表示も間違いのない、内容一致した表示をするようにしていくということが一番大事なことだというふうに思います。  今委員御指摘のございましたうまさの話というのはやや質の違う、恐縮でございますけれども、ちょっと違う話だと私、研究会のあれを思い起こしているところでございまして、お米のおいしさというのは、歯ざわりとか歯ごたえとか粘りとかそういうことも関係をする。そのほかにもちろんたんぱく質の含有量が少ない方がおいしいとか、アミロースという成分がこれも少ない方がおいしいんだとかいうこと、こういうのが科学的な知見としてこのごろ見られているところなんですけれども、先ほど言いましたように、そういう科学的な分析の対象になり得ないような歯ざわりであるとか粘りであるとか、これがやはりうまさにかなり大きなウエートを持っている。  ですから、うまさの一つの要素として、今度成分検査の対象にしようと考えておるような項目というのは把握ができるけれども、それが即うまさ一〇〇%を意味するものでは必ずしもない。ほかにもいろいろな要素があるので、うまさというふうにトータルする検査項目をつくるということについてはまだ時期尚早だ、こういう意味だというふうに理解をいたしております。
  92. 千葉国男

    ○千葉委員 今長官の方から食味の話が出てまいりまして、米の食味についてはそういう外観とか香りとか味とか粘り、かたさ、人間の感覚、これによっていろいろ評価が分かれるわけですけれども、今お話の出たように、食味に関しては、たんぱく質の含有量であるとかでん粉のアミロースの含有量、そういうものが出て、そこから今回の理化学分析を実施しよう、こういうふうになったと思うのですね。ですから、一方では食味については個人差があるからやらないといって、一方ではおいしいお米をつくっていくためにも理化学分析が必要だ、こうなっているわけですね。  それで、実は先日、東京平和島にあります大手の卸業者に行ってきました。代表の方から、ここ数年お米の販売量が減ってきた、こういうことをデータを出して教えていただきましたが、そこで、何とかしよう、こういうことで新たな試みとして直営の弁当部をつくったというのです、卸売業者が。そして営業展開したところ、これがヒットして、現在直営店も含め十二店舗になった。あそこの弁当がおいしい、こういう評判が立ったそうで、要するに、いいお米を使って大がまで炊くと御飯がおいしいんだ、さっきの話じゃないです。けれども。秘密は大がまにある、こう経営者は言っておりましたが、さらには、この弁当に使ったお米が欲しい、今度はこう話が発展してきて、お米の販売量もおかげさまでふえてきました、こう言っていました。  そういうことで、やはりおいしいお米というのは一つの成功事例になっているわけですね。ですから、理化学分析もその意味で、やはりその結果としておいしくなっていくんだよ、お米に付加価値がついていくような、そういう研究にしていくべきだろう、こういうふうに思いますし、生産者にとっても、理化学分析の結果を反映してそれが結果的に今度お米をつくるときに営農に役立っていく、こういうふうなことが必要じゃないか、こう思っております。だから、ただ単に化学分析をすればいいというものじゃなくて、生産者にとっても消費者にとってもつながっていくような、こういう研究に結びつけていく必要があるんじゃないか、こう思いますけれども、いかがでしょうか。
  93. 上野博史

    上野政府委員 まさに委員の御指摘のとおりだというふうに存じます。  先ほども申しましたことの繰り返しになります。けれども、おいしさをトータルで、これがおいしさ何等というふうに表示をするというのは人間の感性にかかわるところもございまして難しいけれども、しかし、成分分析でできるたんぱく質の含有量なりアミロースの含有量というのがやはりおいしさのある程度の、何といいますか信頼感を検証するということにつながるということはこのごろはっきりいたしてまいっておりますので、今おっしゃいましたような、いろいろな業態でこれを活用して、それを商売につなげていくという努力があるということを踏まえて、今度の成分分析、成分検査の道を開くということも考えだということは、そのとおりの状況でございます。  我々としても、こういうような研究がさらに深まりまして、もっとほかの要素で数値的な検査ができるようになり、それが、生産者なり業者なりあるいは消費者なりがそういうものを使ってよりニーズに合ったようなものの供給につながるということになりますれば、その方向でまず対応したいというふうに考えます。
  94. 千葉国男

    ○千葉委員 理化学分析もありましたけれども、それで先ほど出てきた食味の問題ですけれども、それぞれのスーパー等のお店で、あるいは精米関係機関ではそれを、いかに食味を高めていくか、こういうことを実際に現場では経営努力をしているわけですね。  あるスーパーに、おたくではその場合どんな点を考慮してやっていますか、こういうふうに聞きましたところ、例えば、現場では、同じ農協から来た米でも生産者が複数になっている、だから例えばササニシキとかひとめぼれというのが来る、だけれども、農協は一緒でもつくっている農家はたくさんある。そうすると、そのお米に、土づくりの問題であるとかあるいはまた水管理の違うことで、同じ品種であっても若干味が違ったり中身の品質の違いが出てくるんだ。そういうことで、そのメーカーでは味度メーターというものを何千万もかけて導入をいたしまして、それに来たお米をどんどんどんどん機械にかける、かけてそのお米をチェックして、Aの袋のお米とBの袋とCの袋を、同じササニシキをやる調製の中で、例えば私の店で売る米は七五の数値を基準値にしています、こういう形にして、ササニシキだっていろんなササニシキをブレンドして、結果として七五のおいしい米をつくっている、こう言っていました。これがスーパーの話です。  もう一つ、今度外食産業で、年間十八万トンぐらい消費している会社がありまして、そこでは、じゃ実際どういうふうにおたくは味つけしているんですか、こういうふうにやりましたら、一般食堂用、外食産業用としてはやはり食味は七五を押さえている、それから産業給食とか大学生協、ちょっと安くしなければいけないようなところは大体六〇から六五ぐらいになるようにセットしてやる。今は、米を買うときにキロ百円の米を下さいと言うと百円の米が来るんだ、二百円のものと言えば二百円。ですが、もう今は米は中国米とかいろいろあるからお金で言ったんじゃいい米は来ないんですよ、こういう米を下さいと言わないとだめなんだ、百円の米をくれとか二百円の米をくれという話の時代は終わったんだ、現場ではこういう話が出ているわけです。ですから、そうやって現実には努力しているわけなんですね。  ですから、そういう意味での外食産業、それ自体を考えたって利用者もふえていますし競争は激しくなっていますから、あそこのうちのお店のお米はおいしくないよと言った途端にもうお客さんががっと減っていく、ですからいいお米を出して、いい食事ができるということがお店を繁栄させるためのやはり戦いなわけですね。これが自由競争の原理だと思っておるんです。  ところが、食糧庁の次元は、今度は、検査というのは色とか形がきちっとしているかどうかということが中心ですから、消費者の求めているそういう食味の問題と、かなりこの質の検査の問題において本質的に違うんじゃないか。  ですから私は、そういう意味で、消費が拡大していくためにもそういう食味とか理化学分析も含めてこういうものにしっかり力を入れていくべきだ、将来においてはむしろこの食味の格付を当然考慮すべきではないか、こういうように思います。けれども、いかがでしょうか。
  95. 上野博史

    上野政府委員 うまさを数値的に把握をしてそれをいろいろな営業に活用していく、これは非常にここのところ見られる工夫だというふうに私も見ておりまして、そういう方向にだんだんだんだんと進んでいくんだろうというふうに私も思います。  ただ、現在のところ、それが非常に有利な、何といいますか、販売促進の手段になっているということは間違いないと思うのでございますが、非常に一般的であるかどうかというと、まだごく一部のところの卸さんが自分の売る米についての味を一定に保っていついかなるときでも同じものを一定の値段で売れる、それから外食産業であればおいしいという評判を保ち続けて供給ができていくとかというようなことにつながっているわけでございまして、だんだんだんだんとそういう形の提供がふえてまいるというふうには思いますが、現在の一般的な大きなお米の流れからいうとまだわずかなものなんではないかというふうに思います。  ただ、私どもとしてはそういう萌芽をやはり育てて、生産者消費者両方にその恩恵が及ぶという糸口にはしたいということで、今回任意検査という格好で成分検査を取り入れるということにしたわけでございます。  おっしゃられるとおり、従来の農産物検査というのは目で見て形状やなんかから判断をするということであり、それをもとに玄米から出てくる精米の歩どまりやなんかを担保するというような観点の方により主眼があったということはおっしゃられるとおりだと思います。検査のあり方として、今おっしゃられた味の世界にもだんだんと入っていく必要があるということには全く同感でございます。
  96. 千葉国男

    ○千葉委員 先ほど、最近の消費者の中で五キロ袋とか二キロの小袋を買い求める人が多くなってきたというお話をさせていただきました。家族構成も、それこそ少子、福祉社会になっているわけですから、高齢化社会になって家族も少なくなってきた、あるいは、お店も近くにたくさんできて、新鮮なものを買うためには何も大きい袋で買わなくてもいろいろなところで買える、こういうふうな消費者の気持ちもあるのだろうと思います。  そこで、そういう時代の流れをうまくとらえて、あるお米屋さんがこういうキャッチコピーをつくりました。「今日精米、今日配達」、御本人さんもこれは大変いいぞというのでアピールをしましたらお米の注文もふえた、こういうことでございます。ところが、ある日、それはよくないと御注意をいただいた、こういうことでございます。もちろん指積年月日も入っていると思うのですけれども、この辺の感覚ですね。  現在、米消費というのは、やはり何といっても主流は家庭用精米でありますし、精米表示をきちっとすることも大事だ。しかも、消費者に受けるように、またお店として、私たちはきょう精米してきょうあなたに届ける、そういう精いっぱいのお仕事をさせていただくのだ、こういう気持ちでそういう姿勢をアピールした。ところが、それはよくない、こうきた。  この辺のところについて、基本的な考えと、もう少し幅を持てるのかどうか。検査表示の問題とお店の姿勢というのと、その辺どのように考えていらっしゃいますか。
  97. 上野博史

    上野政府委員 なかなか限界的なところもある御質問だというふうに拝聴いたしました。、今ずり米という呼び方で言われているものがそれに入るのではないかというふうに思うわけでございます。これは、買いに来られた消費者に、例えば店頭精米で、その場で搗精したものをお渡しをするというふうなときに、今ずり米というような名前をつけた袋に入れてお売りをするというようなケースがあるのじゃないかというふうに思います。  そういうものについては、それはそれで私は余り問題にすべき事柄ではないのじゃないかというふうに考えておりますけれども、私どもが気にいたしておりますのは、むしろ今ずり米ということは一つのキャッチフレーズで、実際には何日か前に搗精をされたものでありながら今ずり米という形で、いかにもその日にすった、搗精日が今であるというような感じを出す商売の仕方をされているところも実はあるようでございますので、そういう場合に、今ずり米というのが米のいわばキャッチフレーズなのか、本当に合すったという意味まで含めてあるのか、そこら辺が若干微妙な話になるところがございまして、消費者に誤解を与えるようなことがあればそれは問題であるということで対応をいたしているところでございます。
  98. 千葉国男

    ○千葉委員 そういうお店の経営者としての努力姿勢を出すコピーと、それから、現実にきのうやったのもきょうなのか、その辺の幅がどのくらいあるのか。いろいろあると思いますが、ともかく米の消費拡大、あるいはまた、お米屋さんとしてこれから新農政の中でスタートしていく、さまざまなシステムが変わってくる、こういうときにやはりお米屋さんが希望を持って、よし、やっていくぞという気になるような、そういうふうな応援体制につながるものが必要なんじゃないか、私はこういうふうに思っております。  それで、関連でちょっと聞きたいのですが、要するに、今後お米屋さんそのものが登録制になるという話が現場で出ていまして、業界では会議を開いていろいろな懇談会をやっているようなんですが、ともかく口から出るのは、白紙になるんだ、こういうものがだあっと流れているのだそうです。全部自紙で一から出直しだ、そういうことで大分不安感を小売店さんが持っている。  こういうものについて、基本的に、具体的に小売店さんは今度の登録制度によってどういうふうに変わるのですか、制度的に。あるいは、そういう今まで一生懸命食糧庁のもとで頑張ってきた人たちに対して、もうあなたたちとは我々は関係ないんですよ、こういうふうに言うのか、温かい目で応援もしますよと言うのか、その辺のところを、制度的な面と基本姿勢をちょっと教えていただきたいと思います。
  99. 上野博史

    上野政府委員 この点につきましては、規制緩和をして参入の自由を図れという一万の要請も非常にあるところでございます。規制緩和というような流れに乗った御主張になるわけでございます。が、私どもとしますれば、同時に既存の小売商の方々、これはやはりできるだけ従来の営業をお続けいただくということが望ましいといいますか、そうあってほしいというふうに思っているわけでございます。  ただ、どうしても従来の許可制度のもとでの小売業界というのは、権益を擁護されている面が、言葉はちょっと適切じゃないかもしれませんが、あるわけでございまして、消費者の側から見て十分なサービスを提供していたかどうかというような御批判もあるわけでございますので、これをやはりこの際改めて、今後のそれぞれの小売商の方々の行き方というものをもう一遍よくお考えをいただいて、この新しい制度のもとでの生存競争にぜひ勝っていただきたい。  私どもといたしましても、そういう小売商の方々に対しまして、共同化に対する御努力をなされる場合、あるいは施設を更新される場合、そういう場合にリースをするという形なり低利資金を供給するなりというようなことで御援助もいたしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。全く白紙でその方々がほっぽり出されるというようなことは我々としてはまさに考えているところではございません。
  100. 千葉国男

    ○千葉委員 今長官からお話がありましたように、そういう小売店の皆さんを守っていけるような応援体制を今後もぜひお力添えをいただきたい、こう思います。  次に、先ほど研究会報告の中にも強調されておりますが、安全性の問題について御質問したいと思います。  安全性に対する国民の皆さんの声の高まり、そういうことで特に緊急輸入以来安全性の確保というのが大変な問題になってきたわけでありますけれども、今後いよいよミニマムアクセスが入ってくる段階になってきて、しかも場合によっては食糧用にも使われる、こうなったときに輸入米安全性についてやはりきちっとしておく必要があるのじゃないか、こう思います。  前回の緊急輸入のときには、それこそ緊急であったために準備不足があったり体制が整わなかったりで、その中で何とか大量の輸入米検査体制を行ったわけですけれども、そうした経験を踏まえて、今後の新制度によるミニマムアクセス輸入米安全性については、どのように質的にグレードアップした形で検査体制ができるのか、お願いしたいと思います。
  101. 上野博史

    上野政府委員 消費者方々安全性に非常に深い関心を持っておられるわけでございますので、そういう御関心に十分おこたえできるような体制を築くという意味合いにおきまして、従来から私ども相当多量の小麦の輸入等を行ってまいっておりまして、その際の安全性チェックの仕方として三段階チェックシステムというものを実は持っておったわけでございます。  これは去年の緊急輸入米輸入のときにもこの制度をそのまま適用をいたしまして万全を期した。このために若干輸入米の到着あるいは国内への供給に時間がかかったというようなこともあったわけでございますけれども安全性にかえるわけにはいかないということで、頑固にこのチェックシステムを守って対応をしてまいったわけでございます。  今度のミニマムアクセス輸入米につきましても、そういうことで、昨年講じました三段階チェックシステム、すなわち第一段階は、船積み前に産地集積場所でまず安全性の確認検査をしていただく。それから、それを港に持ってきて船積みをするときにサンプルを採取して、これを日本に運んで日本検査をする。三番目は、貨物が到着をいたしました際に厚生省食品衛生法に基づきます検査実施するという、この三段階チェックをこのミニマムアクセス米についても講じて、安全性の確保を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  102. 千葉国男

    ○千葉委員 ぜひ油断をしないでやっていただきたい、こう思っております。  次に、国内産米についてでありますけれども国内産米は、特に食品衛生法に基づいて残留農薬基準等が決められ行われている。それで、現在のお米の農薬に関しては四十四の分析項目になっている。麦は四十項目。こういうふうにして、年々モニタリングをやってかなり頑張ってきていただいた経過があるのです。  それで、たまたま宮城県でよく使われている農薬について、例えばひとめぼれで使われている農薬というのが、除草剤としてはウルフエース粒剤25等が使われている。それから、イネミズゾウムシの防除についてはオンコル粒剤5が使われている。いもち病防除としてオリゼメードとかコラトップが使われている。こういうことがありまして、これの分析はどうなっているんだということを聞いたわけであります。  そうしたら、オリゼメードというのは商品名でございます、成分は違います、こうなりまして、じゃ本当にこの分析項目に入っているのかどうかチェックしてくださいということで、チェックしてもらいました。そうしましたら、オリゼメード粒剤というのはプロベナゾールというのが成分になっていて、それは残留基準の設定には入っていない。これだけ入っていないのかと思ったら、コラトップのピロキロンというのも入っていない。オンコル粒剤5、これはベンフラカルブ、こう言うんだそうですが、これも入っていない。ガゼット粒剤、カルボスルファン、入っていない。要するに、今宮城県で一番力を入れている銘柄米、しかもこれから一番命運をかけて勝負する、それで農薬の問題が今問題になっている。  特に私が問題にしたいのは、農薬の空中散布というのがありまして、前の大臣のときに我々地元の新聞社もキャンペーンをやりました。というのは、空散をしたことによって住宅街に農薬が流れていく、あるいは学校に流れる、あるいは浄水場に流れていく。そういうことで、地元住民から目まいがするとか吐き気がするとか、こういうことがありまして、このままこうした空散が行われていていいのか、こういうような大キャンペーンを張りました。  我々も大臣に何度も陳情なんかをして、宮城県としては、三十万ヘクタール空散をしていたのを十万ヘクタールやめまして、現在二十万ヘクタールになっている。その分ラジコンヘリで空散をする。そういうシステムを今とるようになってきた。  そうやって、人の問題について一生懸命そういう農薬のさまざまな問題点を、やめよう、こうやっているときに、既にもう五年かけ、六年かけてそういう活動をしてきたときに、当然こういう問題が、農薬基準なんかあって当然だと私は思っていたのですよ。ところが、今回改めて確認したら、何にも基準ができてない、こういう実態で、一体これはどういうことなんだ。この辺の事情についてちょっと説明をお願いしたいと思います。
  103. 高原亮治

    ○高原説明員 御説明申し上げます。  世界には農薬が七百、我が国で使われているものが三百、そのうち、先生御指摘のとおり、食品衛生法上の残留農薬基準が策定されているものは残念ながらまだ戸前後でございます。しかしながら、国内で使用されております農薬につきましては、農水省さんの方で農薬取締法に基づき適切な使用方法等が定められているというふうに承知しております。  しかしながら、厚生省といたしましては、農薬が残留いたします食品の流通を適切に規制いたしますためには食品衛生法の残留農薬基準を策定してまいることがぜひとも必要であるというふうに考えておりまして、一生懸命基準の整備に努めておるところでございます。  しかしながら、残留農薬基準の策定に当たりましては、農薬の毒性試験等安全性に関します大変膨大な資料や作物への残留性に関する資料につきまして科学的な検討を行う必要がございます。そういうことでございまして、従来より農林水産省等の御協力をいただきまして、先ほど御説明申し上げましたように、百三農薬につきまして基準を設定いたしまして、またさらに国民の健康確保の観点から引き続き残留農薬基準の一層の整備を図ることといたしまして、具体的には、現在国会で御審議いただいております食品衛生法改正案におきまして、農林水産省との連携を明確にする観点から、厚生大臣が残留農薬基準の策定に必要な資料につきまして農林水産大臣に協力をお願いするということができる旨規定をしております。  厚生省といたしましては、このような方策を通じまして、二〇〇〇年までに使用量の多い農薬農業から少なくとも二百農薬農業程度、大体これは使用されておりますベースからいいますと八、九割カバーできるのじゃないかと言われておりますが、そういった基準を策定いたしますことを当面の目標に、計画的にかつ積極的に基準の整備を行う所存でございます。  以上でございます。
  104. 千葉国男

    ○千葉委員 そうしますと、さっき言ったような、当然これは除草剤とか殺虫剤、全国的に使われているわけですから、これは全部、当面すぐ入って、検討の対象にできる、こういうことですか。
  105. 高原亮治

    ○高原説明員 御説明申し上げます。  厚生省といたしましては、食品衛生法を中心に考えております関係上、食品を経由して人体に摂取される、そういった農薬を中心に策定を考えておる次第でございます。  以上でございます。
  106. 千葉国男

    ○千葉委員 そうすると、殺虫剤とか除草剤は入らないということですか。
  107. 高原亮治

    ○高原説明員 除草剤、殺虫剤等食品に残留することが予想されるものは当然基準の策定の対象となると考えております。
  108. 千葉国男

    ○千葉委員 ぜひしっかりやっていただきたいと思います。  そういうことで、今三百の農薬についても早急に二百まですぐやる、こういうようなお話でしたが、今のお話にも出てきたように、厚生省はこの残留の基準の設定をする。それで、農水省さんが農業登録云々、きのういろいろ農水省とやりましたら環境庁云々、こういう話が出てきて、この問題については厚生省と環境庁、それでここは農水省、こうなるわけですが、こういうふうに三部門にまたがっていて、向こうから言ってきたらやってあげます、いや、向こうからまだ来ないからやってないんですみたいな話が、現場の話としては現実はそういう話になっている。それで農水省に聞くと、いや、それはまだ基準はできてないけれども安全なんですとか、口で言えばそれで済むような話になっているんですが、そうじゃなくて、今後の問題も含めて新たに、今ある農薬業も含めて、登録されているものについては、もうこれは農水省から来たらとか、厚生省がやってからとかと言わないで、いつも厚生省と農水省と環境庁が三位一体になって、一つ農薬が出たら一緒にまずやるんだ、それが決まったらちゃんとやる、こういうふうに仕組みをセットすべきだ、こう思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  109. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 お答え申し上げます。  お話しのとおりでございまして、三者がそれぞれの所管に基づいて行う場合においても、農薬の安全使用基準、これについては三者が密接な連携を持ってその早急な結論が出るよう努力すべきである、そういうように考えるところでございます。
  110. 千葉国男

    ○千葉委員 安全性が叫ばれているときでありますので、ぜひ早急の実現をよろしくお願いしたいと思います。  有機無農薬栽培等について質問したいと思います。  要するに、お米に付加価値をつける、顔が見える農業である、こういうことで、産直米、特別栽培米等があるわけなんですが、これをぜひ特定JASに入れるべきである、こう私は考えております。何か聞くところによると、農水省では、この特栽米の生産者あるいは特別表示米に取り組んでいる農協に対して、特定JASについてどのように考えているかということで、認定の問題を含めていろいろ意見を聞いてきたというふうなことを聞きましたが、それはまとまったんでしょうか。また、それを受けて、今後この特定JASについて、せっかく新しい米づくりとして、あるいは今後の日本の米農業の最先端になるこの特栽米について、今回計画外流通米になったために、何か無責任にほうり出すみたいな感じがあるわけです。むしろこの特栽米こそ今後の農業のエースに育てていかなければいけないときに、これが計画外米であるというだけで終わったんでは大変これは農水省としては片手落ちの政策である、こう私は思いますが、そういうことも含めて、今後の特栽米についての考え方、力の入れ方、この辺をお願いしたいと思います。
  111. 上野博史

    上野政府委員 特栽米の制度につきましては、新食糧法への移行に伴って制度的な基盤が失われるといいますか、食管法上必要であったそういう制度というものが必要なくなるという事態になるわけでございます。しかしながら、委員御指摘のとおり、消費者の側から見ますと、有機栽培米というようなものについてしっかりした制度をつくってやってほしいという要請は強いわけでございまして、そういう要請にこたえる一つ制度として特定JAS制度があるということはおっしゃられるとおりでございます。私ども、この制度にのるのかどうかという検討をするにつきまして、生産者あるいは消費者、この両面の御意向を十分に把握するというところからまず作業を出発させる必要があるというふうに思っておりまして、今先生お話にもちょっと出てまいりましたが、生産者の側についてのアンケート調査を大体済ませたというような段階でございます。これからさらに消費者側の御意向も伺ってまいりたい。そういう中から、一体いかなる基準というようなものが考えられるのか、それをどうやって認証できるのか。それぞれ生産者側と消費者側の御関心がいろいろございますものですから、そういうようなことで、この特定JAS適用が可能かどうかということを探ってまいりたいというふうに今考えて、努力をしているところでございます。
  112. 千葉国男

    ○千葉委員 関連で、特別表示米について、圃場にこういう看板を立てなさいとか、いろいろ手続とかそういうのが複雑煩瑣で困っている、こういう生産者からの声もありますので、関連してそういう改善もぜひお願いを申し上げたい、こう思います。  次に、食糧事務所のあり方について、あと時間の許す限り質問をさせていただきたいと思います。  新食糧法実施に伴いまして、食糧事務所の組織、業務についても今後大幅に改善されていく、こういうふうに思っております。参考資料にいただいたものでも、今後、まず第一点は機構の統合ということ、あるいは施設の整備、あるいはまた検査方法の改善、この三つの中から食糧事務所のあり方というのが改善されていくんだろうと思います。四十七食糧事務所を五年間で三十六食糧事務所、十一カ所減らす、あるいは支所についても五年間で百六十カ所減らす、人員も頑張る、こういうことで、それが現在精いっぱいだということなんでしょうけれども、現実の行革とか規制緩和という中からいったら、私は、検査は、いろんな議論はありますけれども、もう全部なくした方がいいと最初はそう思って、今回も皆さんに言って歩いたんです。ところが、聞いていくうちに、正直に申し上げて、要するに大冷害で米が信用なくなったところでもうこれで検査やめられたら我々全滅ですと、生産者から小売業者から、みんなこう言うんですよ。だから私は、じゃ、やめると言うのはやめる、こう皆さんに言ってきたんですが、そういう現場の声からいきますと、時代の流れは、やはり改革をして、もっとスリム化していかなければいけないだろう、だけれども、今回のそういう大冷害とかいろんな中で皆さんが本当に大変な思いをしているときに、すぐにはできない。であるならば、もうちょっと中長期を考えて、この五年間で例えば事務所をこれだけの体制にするというのであれば、検査体制についても同じように、五年間の中でここをこういうふうに改善していくとか、そういうやはり新たな努力が必要なんじゃないか、こう思います。  農協の方々にもお会いして、どうですかと言ったら、もう検査は民間検査でも我々でやれるならやらせてください、こういう感じだし、庭先集荷だって今度はもうどんどんやらなければいけないでしょう、こういうことも言っていました。それから、宮城県の状態でいいますと、カントリーエレベーターとかライスセンター、この間まではちょっと伸び悩みしていたんですが、ここへ来て合併問題等も出てきまして、一気にこういうカントリーエレベーター等も今後次々とつくられる予定がもう既に出ておりますし、農協合併に伴ってそういうものが進んでいる。それから検査のやり方として、フレコン等の活用ももっともっと積極的にすべきだ、こういう現場の声もございました。事務所は何をやっているんですかと私が聞きましたら、最初持ってきた資料はこういう一枚の紙切れで、四行しか書いてないんです、食糧事務所の仕事というのを。ひどいんじゃないのと私は言いました。自分たちの仕事を四行で報告するのか。僕が宮城県に行くときには宮城県の食糧事務所がいろんなことをやっている、もう少しペラを多くしなさいと言ったら、今度は六枚になって来ました。言えばできるのです。それで仕事も明確になっている。ですから、そういうことで、何をやっているか事務所はわからない。できるだけ一生懸命やっている、こう言われているわけですから、そういう流れの中で、今後の業務改善について、本当に、民間委託も含めて、どのように真剣に考えようとしているのか、その辺をお願いします。
  113. 上野博史

    上野政府委員 検査の効率化ということは、先ほど来私お答え申し上げておりますとおり、我々として真剣に対応していかなければならない問題だというふうに考えております。  組織につきましては、委員お話の中にございましたとおり、新食糧法への移行ということを前提といたしまして、五カ年計画での対応を既に決定をいたして、実行に入っているわけでございます。この検査法の改正に伴って食糧事務所検査業務のあり方というものが変わってまいる、それによって組織的な対応というのも若干変わる面があるのではないかという気はいたしますけれども、先ほどお話にございましたような食糧事務所、支所の再編・統合のいわば実行上において手直しをすれば大体済むような話になるのではないか、組織面ではさように思っております。
  114. 千葉国男

    ○千葉委員 そこでまず一回終わっていただいて、次にもう一つやります。時間もなくなりましたので、済みません。  支所活動の中の一つに小売店の巡回指導というのが大きく書かれているのですが、今回現場を回ってきて、どこの米屋さんでも、冷害のときには確かに来ました、その前後は見たことがありません、これが共通した言葉ですよ。ですから、支所の活動の大きな仕事の中に小売店の巡回指導というのがあるのだけれども、実際にはいろいろな仕事が重なっていて回っていないというのが実情だと思うのです。  それで、宮城県の場合、本所が百人いて、支所が百五十二人いるのですよ。小売店が千五百ある。だから、一年十二カ月ですから、一人十軒も持てば一年に一回ぐらいは最低行けるのですよ。だから年に二回ぐらいは、上半期、下半期ぐらい回って、要するに現場の小売店さんの本当の気持ちを聞いていくような、そういう現場に直結する、あるいは消費者が今何を一番求めているんだとか、そういうふうなことをもうちょっと真剣に取り組むべきである、こう思いますが、いかがでしょうか。
  115. 上野博史

    上野政府委員 巡回指導というのは、これまでいろいろ御議論のございました、表示とその内容一致を担保していくとか、あるいは小売店の業務が適正に行われていることを担保していくとかいうような意味におきまして、我々としては非常に重要な仕事だというふうに考えております。都道府県の職員の方々との分担の問題もあるわけでございますけれども、今申し上げましたような意味合いにおきまして、巡回指導というものについて、これからもさらに特段の努力をいたしてまいりたいというふうに思います。
  116. 千葉国男

    ○千葉委員 最後に農水大臣に、今までの質疑の中を通して、規制緩和、行政改革、こういう大きな時代の流れの中で、もう一遍、何のための検査なのかということから、生産者にもそれがきちっと反映できるような、あるいはまた、流通の最終段階である消費者の立場からいっても、価格あるいは品質、安全性の問題からいって、本当にそれがきちっと反映されるような検査表示になるように今後とも抜本的に改革をぜひやっていく、こういう大臣の決意をお伺いして、終わりにしたいと思います。
  117. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 委員の段々の御質疑の中で、それぞれ、国営検査の本来果たすべき役割なり、その改善の方向、さらには表示問題等々、各般にわたっての御指摘をちょうだいいたしました。御議論を十分傾聴したつもりでございます。  したがいまして、今後の法律制度、今回御承認を願った暁には、ただいまの御指摘の方向等を十分勘案いたしまして努力をいたしたい、さように考えておるところでございます。
  118. 千葉国男

    ○千葉委員 質問を終わります。ありがとうございました。
  119. 中西績介

    中西委員長 石破茂君。
  120. 石破茂

    ○石破委員 私は、質問時間は三時、十五時からいただいておったわけでございますが、今十五時十五分でございます。矢上議員が五分間短縮をされましたので、本来は二十分おくれておるわけですね。私も九年間議員をやらせていただいておりますが、こういうようなことはめったになかったことでございます。与党の理事方々がおくれられて開会が延びたというようなことは、余り経験がございません。委員長が冒頭におっしゃいましたけれども、やはりこういう点はきちんとそれぞれ約束事を守っていただいて、きちんとした議会運営を、委員会運営をしていただきたいと思っております。この点につきまして、いかなることであるのか、理事会におきまして御検討いただき、以後このようなことのないようにぜひともお願いをしたい。委員長に強く要望いたしておきたいと思います。この点につきまして、委員長、御見解があれば承りたいと思いますが。
  121. 中西績介

    中西委員長 理事会の際にこの点については、御指摘のように、自後こういうことのないようにするためにも明らかにしておきたいと思います。
  122. 石破茂

    ○石破委員 それで、午前中からいろいろと御質疑がございます。主な論点も出尽くしたと思いますが、おさらいの意味でもう一度幾つかお尋ねをいたしたいと思います。  ここ数年来、米の自由化をしないんだ、例外なき関税化をしないんだということで、本当に熱い議論がございました。ただ、WTO協定を受け入れるということが決まりましてから、妙に議論が静かになってしまったような気がしているのですね。あのときの、本当に国論を二分したようなあの熱気はどこに行ってしまったのだろうか。本当に大事なのは、まさしくこれから先の六年間をどうやってやっていくか、そのことが実は本当はもっと大事なんだ、もっと熱い議論はこれからしていかなければいけない問題なんだ。にもかかわらず、何か妙に静かになってしまった。これで本当に大丈夫なのかなという気が、私自身、自分に対する反省も込めて思っておるところでございます。新食糧法案、そしてまた今回の農産物検査法の一部を改正する法律案、いろいろなものが関連して六年後の姿というものを考えてやっていくんだろうというふうに思っています。  今まで我々が選挙のたびに、また選挙のときでなくても、食管の根幹は維持するんだということをずっと言い続けてまいりました。それが公約であったはずであります。これは全量検査ということもその中に含まれておるもののはずでございました。米という商品の特殊性、価格弾力性のなさ、そういうようなものを勘案して、やはり全量検査ということも食管の根幹の一部ではなかったかというふうに思っております。ただ、その法律をずっと墨守していくことだけが政治だとは思いませんし、そのことに呪縛されることのみが正しいとも思っておりません。  しかし、今回このような改正をすることによって、だれがどのような利益を受くるものであるか、これをやることによって米の流通の姿、生産の姿、どのように変わっていくかをビジョンとして描いておられるのか。繰り返しになるようでございますが、だれにどのような利益があるのか。生産者に、そしてまた消費者に、どういうような概念、ビジョンのもとに今回の法改正をお考えになったのか、大臣の御所見を承りたいと存じます。
  123. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 お答え申し上げますが、冒頭の食管制度の根幹、これについてはいろいろ議論がございます。農産物検査制度は別途のものとして、農産物検査なるものは、要するに米麦等の主要食糧なんかの円滑な取引ということを主体に置いた検査制度で、明治以来の長い積み重ねの上でできておる制度である。したがって、食管制度自体と直接的な表裏する根幹ではないというような議論も一方ではあるということを、あえて申し上げておきたいと思います。  今回の検査制度の改正は、いずれの立場に対してのどういう利益があるかというお話は、なかなかお答えにくいのでございますけれども、御案内のとおり、新食糧法においては、現実の実態、自主流通米を主体とした流通が支配的である、したがって食管法第三条等に基づく厳格な流通規制を外して流通ルートを多様化、多元化する、そういう過程の中で考える、米流通の形態が変わる。しかし、一方では消費者に対する計画的、安定的な供給が必要だということで、計画流通制度というものが流通の主体になると思いますが、これに対する手当てと、一方では自由な販売ということで計画外流通米ができた。そういう米流通の新食糧法のもとにおける大きな変化、これに対応できる検査制度ということで、一方では計画流通米については義務検査計画外流通米については任意検査というシステムを取り上げ、さらに流通段階における任意検査等も取り入れて、生産、流通、消費の変化、あるいは消費者ニーズの変化というもの全体を眺めた上での改正だということでございまして、そういう意味では、生産者あるいは取扱流通業者あるいは消費者に対してそれぞれの意味を持っているものであるというふうに私は考えております。
  124. 石破茂

    ○石破委員 確かに大臣御指摘のように、だれにどういうメリットがあるかと聞かれましても、こうこうこういうメリットがあるのだということを言うのはなかなか難しいことだろうとは思います。が、結局、こういうものは自己責任の原則というものをある程度正面に出してくるということだろうと思っています。要するに、午前中から議論がありますように、いいものをつくれば売れるんだ、悪いものをつくれば売れないんだということはきちんとしましょうよ、ただ、政府が管理するものについてはちゃんと責任を負いますよということではなかろうかなというふうには思っているのです。  ただ、大臣が先ほどおっしゃったように、明治以来いろいろな伝統があって、歴史があって、一回国営検査になっているわけですよね。何で国営検査にしなければいけなかったかといえば、それは、それぞればらばらの地域で検査方法がまちまちじゃぐあいが悪いね、やはり一つ検査方法に統一しなければいけないねということ。そしてまた、産地間競争というのは今に始まった話じゃなくて、昔も産地間競争というのは非常に厳しかった。産地間競争が厳しくて、いいものをつくらなければいけないよということで、生産者に対する重圧というのか、そういうものが非常に厳しくなってきてしまったということもあるのでしょう。また、当時のことですから、検査官の身分が云々かんぬん、その政治的な状況によって検査官の身分が不安定になるというようなことがあった。かつてはそうであった。よって、こういうことではぐあいが悪いので、やはり国営検査でいかなければいけないねということになったというふうに物の本には書いてございます。それが、さて今回、そういうようないろいろな情勢があるにもかかわらず、国営検査というもののウエートを落としていくということはどういうことでございましょうか。
  125. 上野博史

    上野政府委員 検査をやる場合に国が検査主体になるということが、現在のお米の流通の実態、あるいは新食糧法のもとでの広域的な、計画的な流通というものをするお米について考えるべきだというところは国として対応するということになるわけでございますけれども、それ以外の任意の部分というのは、何回か御質問がございましたとおり、必ずしも今私が申し上げましたような、長い流通経路をたどり広範に流通をしていく大量の取引というふうに必ずしもならないものが計画外流通米の中にあるわけでございまして、そういうものについて言えば、売り手と買い手の間で、これを下さい、はい、じゃこれはこういうものですからこういう値段でということで、余り検査的なことをしないでも取引が成立するというものがある。それを義務検査の対象にそこまでするのはいかがであるかということで、検査を受けないものも流通可能性を残すということにしたわけでございます。しかしながら、そういう計画外流通のお米でございましても、取引上検査をする必要があるということにつきましては、国の検査というものをなお求められればやれるということで任意の検査制度にしたという考え方でございます。
  126. 石破茂

    ○石破委員 これはもう何度も質問が出たことでございますが、もう一度確認をいたします。  計画外流通米というのはどれくらいあるのだろうかということですね。要するに、これは現状追認とある程度似たような話だろうと思っているのですよ。現状に法律を合わせたというふうに言っても構わぬだろうと思っているのですが、計画外流通米というのがどれくらい出てくるのだろうか。  そしてまた、その前に任意検査ですから、受けたければ受けろ、受けたくなければ受けなくてもいい、こういう話になるわけですが、結局、だめなものは売れなくてもしょうがないということだと理解してよろしいか。それは、商取引というのはそういうものですから、だめなものは売れなくてもいい、もし本当に売りたければ、客観的な評価が必要であれば任意検査を希望しなさい、そうしたらちゃんと検査しますよ、こういうような考え方でよろしいですか。
  127. 上野博史

    上野政府委員 後段の方の御質問の、売れなければ売れなくてもいいというところまで申し上げていいのかどうかという気はいたしますけれども、要するに、検査しないで売れるのなら検査をしないでもいいという趣旨なのじゃないか。取引の売り手と買い手の利害が対立をする、対象の農産物、米について意見が分かれるというようなときに、その内容を客観的に判断をして、こういうものだ、その上で取引をするというようなことで、検査をどうしても受ける必要があるという場合には任意検査を受けていただくということになる性格のものだろうというふうに思っております。  それから、そういう任意検査というのが、あるいは計画外流通米というのがどれくらい出るかということにつきましては、現状追認というのが一つの考え方だというふうには私も思います。ただ、計画外流通米という形でお米が正々堂々と流通するんだということになる場合には、現在の不正規流通米みたいなものの量と必ずしも同じになるかどうかというのはわからない面がある。やはりそれぞれの流通形態の特色というものを生かした流通というのが今後も出てくるのじゃないか。それは計画流通米計画外流通米、どっちに振れるのかというのを余り明確に現在の段階では見通しにくいのじゃないか。私どもとしましても、もう少し関係者やなんかの意向を把握しながら規格の設定なり体制の整備なりをこれからしていかなければならぬわけでございますが、そういう過程で関係者意向やなんかを把握いたしました上でその辺についての認識を得てまいりたいというふうに考えているところでございます。
  128. 石破茂

    ○石破委員 実際やってみなければわからぬ面がたくさんあるだろうとは思っているのですよ。それは米価をどれくらいにするか、政府の百五十万トンをどれくらいの幅で振らせるか、また助成金をどうするか、そういうようないろいろなファクターが入ってきますから、長官のおっしゃるとおり、やってみなければわからぬというところもあるだろうと思います。  ただ、そのまま今の不正規流通米計画外流通米になるとは思っていませんが、大体こういうふうにあるべきだという絵はお持ちだろうと思うのです。よもや、やってみなければわからないと本当に思っていらっしゃると私は思わないのですが、どれくらい出てくると予測をされますか。
  129. 上野博史

    上野政府委員 不正規流通米の数量自身しかと把握ができにくい性格のものでございまして、それをさらに将来の新制度のもとでの状況ということまで思いをはせるということについては、私はなかなか難しい思いをいたしております。  ただ、そういう不正規流通米の中で、産直的に生産者から消費者に直接流れるというものがかなりあっているのだろうというふうには思うわけでございますが、それよりも、新しい制度になったときに、いろいろな多様な流通形態一つとして、流通業者の方が直接生産者から集荷をし、直接消費者に供給をしていくというような形態のものもかなり入ってくるのではないのかなというような感じを持っておりまして、判断をするのに非常に複雑な要素があるということで、せっかくの御質問でございますけれども、申し上げにくいということが私の率直な印象でございます。
  130. 石破茂

    ○石破委員 それじゃ、ちょっと観点を変えて質問をいたします。  行革というお話がございますよね。これは行革に関連してやることだ。さあ、その行革の精神というのは、もう何でもいいから役人を減らせばいいというような語だとは私は当然思わないし、数を減らせばそれでもういいのだというようなのが行革の精神だとも思わない。いわんや財源論の行革という考え方には私は賛成をしかねる一人でございます。ただ、今回、こういうような形で食糧庁の機構改革も行われる、長官官房も姿を変えていくということも承っております。本庁も含めて、食糧庁がどのように機構改革をしていこうと思っておられるのか。これは簡単で結構です。  さて、もう一つ検査料の話もございます。代金ですね。これは幾らというふうに決まっておるわけですが、これが今幾らで、総収入がどれだけで、この検査料というのは何に基づいて設定をされておるのでしょうか。
  131. 上野博史

    上野政府委員 食糧事務所、支所の再編・統合というのが一番大きな組織改定の部門だというふうに思いますけれども、本庁も新しい食糧法の発足に伴いまして業務運営の内容が変わってまいります。それに合わせて機構のあり方を変えるということが今回の改正の眼目でございます。  今お話がございましたように、長官官房というものを廃止をいたしまして管理部というものが総務系統まで全体をカバーをする、その中で、現在ございます監査課と調査課というものを廃止をしてほかの課の一部に組み込んでいくというようなのが管理部門の主たる改正でございます。  それから、業務部門につきましては、現在の需給課を、今度の新しい基本計画、ああいう計画作成をするということを主体にいたしますセクションに変えまして、ミニマムアクセス等の担当をいたします貿易業務課というものを一方で配置をするというようなことが業務部門の主たる内容、姿になってまいるという、買入課は従来どおりでございますけれども、そういうようなことで対応をしたいというふうに考えているところでございます。  それから、検査手数料の関係でございますけれども検査手数料というのは、けさ米お話し申し上げておりますとおり、コストを中心に算定をするという基本的な考え方があるものでございまして、何年かに一遍コストを把握をいたしまして単価を決めてまいっているということでございます。ただ、これの現在の単価は、お米についていいますと六十キロ五十円でございまして、全体の収入は約五十億円というようなレベルでございます。
  132. 石破茂

    ○石破委員 そうですね、これは今何年ごとに改定をなさっていますか、そしてまたそのコストは償えておりますか。
  133. 上野博史

    上野政府委員 三年ごとに計算をするという制度になっておりまして、コストを償うという考え方で決めておりますので、所要のコストは償っているというふうにお考えをいただきたいと思います。
  134. 石破茂

    ○石破委員 後ほどで結構です、別に今示してくださいとは申しません。どれくらいのコストがかかっているのか、その内訳はどういうものであるのか、本当に償えているのか。結構高いお金なんですよね、これは。先ほど申し上げましたように、これはもう行革という観点でとにかく減らせばいいとか、そんな話だとは思っていないです。よ。ただ、そういうような設定をするときに、いかなる理由でどういうような設定がされているかというお話を余り承ったことがない。本当に償えているのかどうなのかよくわからない。一度、後ほどで結構です、御提示をいただければ大変にありがたいというふうに考えております。  さて、検査官の皆様方をどんどん減らしてきておられる、それは血のにじむような大変な御努力であろうというふうに思っております。この検査官の方々がどこへ行かれるのかというお話ですね。これは、例えば法務局なんかに行きますと、人が足りない、全然足りない、検査官の方々も大変優秀な方々が多いから、できれば手伝ってもらいたいんだというような話もよく聞きますが、大体どういうような配置転換というのでしょうか、そういうことは考えていらっしゃいますか。
  135. 上野博史

    上野政府委員 配置転換というより、私どもの場合には、定年退職でおやめになった方の後を補充しないという形で定員の削減が行われてきているというふうにお考えいただいたらよろしいかと思います。
  136. 石破茂

    ○石破委員 そうしますと、そういうような手法でこれから先も、人員削減という言い方はよくないですな、合理化というのを図っていかれるということでよろしいですか。
  137. 上野博史

    上野政府委員 これまでは食糧事務所の職員の年齢構成はかなり高い実情にございまして、退職者の数も相当あったわけでございますけれども、その高齢者の方々の層というのが最近大体退職をされまして、現在の年齢構成でいいますとかなり若返っておるという実情にございます。したがいまして、今後しばらくの間の退職者の数というのはさほど多くはないというふうに私認識をいたしております。
  138. 石破茂

    ○石破委員 これから先は退職者は多くないということになりますと、これから先はそんなに減らないよ、こういうことでよろしいんですか。
  139. 上野博史

    上野政府委員 定員のあり方につきましては、先ほど来私お答えを申し上げておりますように、新農産物検査法によります。務というものがどういうようなものになるのか。今委員の御質問にもございましたように、やはりニーズにはこたえてまいらなければならぬということでございますから、その全体の業務量がどうなるかということを把握することが前提になりますし、そのニーズには支障のないように対応していかなければならないということがまず一方にあるのだろうというふうに思います。  一方で、先ほど言いましたように退職者の数が減るというのも一つの事実でございまして、そこら辺の兼ね合いを見ながら、いろいろ先ほど来申し上げておりますように、効率化も図りまして定員の管理をやってまいりたいというふうに考えております。
  140. 石破茂

    ○石破委員 話をもとへ戻します。  検査の意義というのは何なのだろうかということなんですが、これは結局生産者消費者の信頼というものをつなぎとめるというのが検査だろうと思っているのです。お互いの信頼感を担保するものが検査であるということだろうと思います。  さて、午前中から何度も議論がございますように、では検査米と未検査米がまじっちゃったらどうするの、こういうことなんですね。実際はそういうことは多分に起こり得ることだろうと思っています。そうすると、これは半分でも三分の一でも何でもいいんですが、検査をしたものと検査をしていないものがまじっちゃった場合に、とにかくこれはまじっていますよ、検査米と未検米がまじっておるものでございますよという表示みたいなものはしていかれるのか、していかれないのか、この点、いかがですか。
  141. 上野博史

    上野政府委員 我々の計画流通米を取り扱う登録販売業者、こちらの店で今おっしゃられましたような未検査米を取り扱うということも生ずることだと思っております。そういう場合にどういうような表示をするかということにつきまして、私どもとして今後必要なルールを決めてまいらなければならないというふうにも思うわけでございます。その際、委員もおっしゃいましたように、未検査米について何らかの産地品種、銘柄みたいなことを書けと言われてもこれはできない話でございますので、そういうようないわば基本的なことを頭に置きながら、やれる範囲の記載をしてもらうように努めていく。その場合に、どれだけのサービスが、情報の提供ができるのか、これはどこまで求められるのかということにも逆になる面もあるのだろうと思うわけでございますが、消費者なり流通業者なり、そういう方々の御意見もいただきながら詰めてまいりたい。ただ、未検査米についてそういう氏素性を明らかにするようなところまでなかなか明らかにはできにくい、できないという事情だろうと思います。
  142. 石破茂

    ○石破委員 それは、氏素性は全然わからないです、やってみても。それを表示することも不可能です。ただ、検査米と未検査米がまじってますよということは明らかにする必要があると思うのですが、どうですか。
  143. 上野博史

    上野政府委員 したがいまして、今おっしゃられましたとおり、検査米部分表示をするとす。れば明らかにする、それがどれぐらいの割合で入っているかということになるのだろうと思うわけでございますが、半々であれば半々だと書く意味があるのだろうという気はいたしますけれども検査米の割合が非常に小さいというようなことになったときに、それを表示するのがいいのかどうかというあたりの問題はあるのかなというふうに思っておりまして、この辺、具体的な表示のあり方についてまとめてまいりますにつきましては、関係者意見を先ほど申しましたようによく聞いてまいりたいというふうに思っております。
  144. 石破茂

    ○石破委員 次に、三点セットですね、何度もお話が出ています三点セット。これもいろいろな関係方面の意見を聞きながら検討してまいりたいということだろうと思いますが、やはりこの三点セットというのは、きちんと表示をするという方向であると思ってよろしいのでしょうか。
  145. 上野博史

    上野政府委員 消費者側の強い関心のおありになられるところでございますので、できるだけそういう方向での努力をすべきものだというふうに我々思っております。  ただ、繰り返し申し上げておりますとおり、これについて必要的記載事項という形に持ってまいります場合に、小さい店頭精米の小売店まで内容表示一致するということを確保するということの難しさの面がございまして、どうやってそこのところを担保をできるのか、一〇〇%できないとしてもできるだけ信頼感を高めるような認証制度というようなものの拡充が図れるのか、その辺を検討してまいりたいというふうに考えております。
  146. 石破茂

    ○石破委員 新潟コシヒカリというのは、実際とれる量の何倍も出回っているぞという話がよくございました。実態はよくわかりません。どういうふうに把握をしていらっしゃいますか。要するに、もうどう見たってこれだけしか生産されていないのにその何倍も流通しているわけですよね。そういうことがあると仄聞しておるがというお話なのか、ある程度実態をつかんでおられるのか。
  147. 上野博史

    上野政府委員 まことに申しわけないのでございますけれども、新潟産コシヒカリ、あるいは、もうちょっと特定の産地をつけた名前のコシヒカリというものが相当出回っているという話は聞いておりますけれども、それがどれぐらいかということにつきましては、ここで申し上げられるような情報を持ち合わせておりません。
  148. 石破茂

    ○石破委員 その三点セットをなるたけわかるように表示をしようということに努めても、実はその何倍も出回っちゃうと看板に偽りあるということになって、午前中どなたかおっしゃったかのように詐欺みたいな話になってくるわけですね。今の時点では、何倍あるか全然把握をしておられないということですが、そういうふうに一種の詐欺的行為を働いたとしても、何ら罰則は現状ではないわけですね。
  149. 上野博史

    上野政府委員 現在の表示の仕方におきましても、三点セットの記述をする、これは任意的記載事項としてということでございますけれども、それをやっているのが、大型搗精工場で認証を受けるものとして大体二割ぐらいはあっているのじゃないかというふうに見ております。
  150. 石破茂

    ○石破委員 ですから、その三点セット表示するという方向で検討するにしても、それが間違いなくそうであるということが担保されないと、何のために三点セットをそろえたんだか全然わからないわけですね。間違いなくその三点セットが看板に偽りないということを担保するためにどのような方策が考えられますか。
  151. 上野博史

    上野政府委員 今我々が考えております、あるいは現実に講じておるところでもございますけれども、指定の検定機関というものを活用いたしまして、その搗精工場で使われます原料玄米の購入の実態とその搗精工場が販売をいたしました販売数量というようなものをもとに出入りを把握することによって物の流れのチェックをするという形の認証制度をやっているわけでございますけれども、これを、現在の五十馬力の規模以上の搗精工場を対象とする認証制度というものをもう少し小さい規模の搗精工場まで対象にするということはできないのかどうか、その方向での努力をする、あとは、巡回指導の内容をより充実をさせる、あるいは回数をふやすというようなことによって、今おっしゃられました表示内容一致についての努力をしていくという、こういう二つの方向での対応になってくるのではないかというふうに思っております。
  152. 石破茂

    ○石破委員 次に、先ほどの千葉委員質問にもございましたが、安全性ということにつきましてお尋ねをいたしたい。  本法とは直接関係を持つものではございませんが、ミニマムアクセスでお米が入ってくるわけで、これの表示は、産年、原産国というものは表示をされることになりますか、なりませんか。
  153. 上野博史

    上野政府委員 産年、年産、要するに何年に生産されたお水かという御趣旨だと思います。現在の国際的に取引をされておりますお米の実態からいいますと、余り年産ということについての取引当事者間における関心というものが我が国におきますようにはないというのが実態でございまして、日本が買うということになってその点について関心を払うということになりますれば、やはり特段の努力をしていかなければならないというふうに思っております。  ただ、国内消費者の側からいいますと、この年産をはっきりさせるというのが非常に強い御関心でもあるわけでございまして、我々、ミニマムアクセス米を調達をする際には、この点を十分に達成できますように努力をしてみたいというふうに思っております。
  154. 石破茂

    ○石破委員 要するに、ミニマムアクセスで入ってきたものを売れなきゃぐあい悪いわけですよね、これは。とにかく流通ルートに乗せなければいけない。倉庫に積んでおけばそれでいいというものではない。それであれば大変結構な話ですが、そういう話にもならないというのがずっと議論になったところで、流通ルートに乗せなければいけない。そうすると、食糧庁が、できた年、原産国、原産地、地名、国だけじゃわけわからないですからね。タイランドだけ書いていてもタイのどこだかわからなければしょうがないわけです。し、アメリカと書いても、カリフォルニアなのかアーカンソーなのかわからなければしょうがない。そういうふうなことをこちらの方が求めることによって向こうの努力というものができ、それによって売れるようになるのではないかなという気がしますが、いかがでございますか。
  155. 上野博史

    上野政府委員 まさに委員の御指摘のとおりでございまして、売れるものを買ってこなければならない。一部備蓄というようなものもありますけれども、最終的にはこれも何らかの格好で活用するということが一番望ましいわけでございまして、国内産米の表示のあり方と比べながら、それとできるだけ差のないような格好の表示ができるようにこの点については検討をしてまいりたいと考えております。
  156. 石破茂

    ○石破委員 くどいようですが、その結論は大体どこをめどにしておられますか。いつごろをめどとしていらっしゃいますか。
  157. 上野博史

    上野政府委員 新しい食糧法あるいは新しい農産物検査法、これの施行に間に合わせるべく検討をしたいと思っております。
  158. 石破茂

    ○石破委員 さて、安全性お話です。これは本題とは少し違いますが、この機会にお尋ねをしておきたいと思います。  おととしの十月のことですが、テレビや新聞でかなりショッキングな報道がされて、コクゾウムシという聞いたこともない虫の名前を我々も覚えさせられることになりました。ある民間の団体が、アメリカの、またあちこちのいわゆる流通、小売段階で売られているお米を買ってきて検査をしました。そうしますと、農薬が特にアメリカ米から検出をされて、そしてまた、コクゾウムシなる虫を放したところ一週間で半分近くが死んでしまったということで、結構大騒ぎになったことがございました。そのときに、食糧庁の方にその団体がお尋ねをされたところが、それはあなた方がサンプルとしてとってきたものと食糧庁が買い付けるものが全然違うのだから、ベースが違うのでそういうような議論にはなりません、こういうようなお答えがあったと報ぜられております。厚生省の方では、さらに万全の措置をとるべく検査体制を強化充実したいというような回答があったと聞いております。  要するに、検査体制というものは、確かに向こうで、そしてまたこちらで検査をするわけですが、実際それをまぜて、平準化してやっていくわけですから、その値というものは下がってくる。だけれども、それぞれをとってみると実際にコクゾウムシが死んでしまうというようなことがあった。私は、この辺の疑念というものを払拭しておく必要があるだろう、きちんと消費者にわかるように説明をしておかないと、輸入米をちゃんと売るということにはならないだろうと思っております。その場合の輸入米検査体制というものがどういうような形でサンプリングされるのか、その点をお教えいただきたい。
  159. 高原亮治

    ○高原説明員 御説明申し上げます。  米の輸入検査につきましては、緊急輸入米のときがもちろん最初でございましたが、あのときには本船到着時に一般当たり二百カ所以上から検体を採取いたしまして、それを先生御指摘のようにブレンドいたしまして、その平均値、そういうふうなもので評価を行ったものでございます。これは一般的に穀物の汚染状況を評価する方法として国際的に認められている方法でございまして、またそれのいわゆる平均値のみならず絶対値、それから何%くらいから出てきたのだ、どの範囲で分布しているのだ、そういうふうなものを総合的に分析いたしまして、貨物全体の安全性を私どもはほぼ十分に評価できたものであると考えております。  また、コクゾウムシ、これは米国産米から、米国において米には使用が禁止されている殺虫剤のクロルピリホスの関係だろうと思うわけでございます。これは、確かにアメリカにおきまして米に使用は禁止されておりますが、我が国におきましては残留農薬基準が定められておりまして、〇・一ppmということでございます。確かにクロルピリホスが日本輸入されたものから、一検体から〇・〇一ppm検出されたということにつきましては事実でございますが、我が国の残留農薬基準より、一けた下のレベルであったということでございます。  以上でございます。
  160. 石破茂

    ○石破委員 そうなんですよ。確かにそのとおりなんだ。ただ、それを個々に見ると、つまり全部ませると基準よりも下回る、しかしならさないでそれぞれ抜き取ってやってみると基準よりも上ということがある。それは事実ですか。
  161. 高原亮治

    ○高原説明員 それぞれというのがどの程度の区分ということかによっても話は違ってくるとは思いますが、通常の、私どもが例えば一般家庭で消費する単位、レベルで評価をすると考えますと、現在の評価方法でまず十分であると考えております。
  162. 石破茂

    ○石破委員 この点は私も結構びっくりしてしまいまして、それがそうではないんだ、今のままで十分安全なんであるということを国民にもっと周知徹底した上でないと、輸入米というのはなかなか売れない。これは危ないんだってよという話が少しでも出ますと、みんな買わなくなってしまう。それでなくても輸入米というのはなかなか売れないですね。  一時期、イ夕飯とかタイ飯とかブームになりまして、さぞ売れるだろうなと思ったけれども、行ってみると、コシヒカリのパエリアなんかつくっているわけですよ。何でこんなことをやっているのだと聞きますと、いや、コシヒカリのパエリアの方が付加価値があって大変よろしいというようなお話なんで、これを売っていくというのはかなり容易なことじゃないなと思っております。ミニマムアクセスで入れたものをどうやってきちんと売るかということにつきまして、安全性の面も含めましてさらなる御努力をいただきたいというふうに思っているところでございます。  それから、新JAS法というものについて、なぜこれが適用されないのか。そしてまた、これから先鋭意検討していくというようなお話も承りました。要は、中山間地で本当に規模の拡大もできない、新農政の枠の中にもなかなか入れない、どうしても入れないところがありますね。そういうようなところがやっていこうとすれば、これは無農薬の天日干しのお米なんですよというようなことを言っていかないと、なかなか付加価値をつけて売れないだろうと思っています。特栽米という一つのやり方があったわけだけれども、それが今回できなくなる。その場合に、やはり新JAS法というものを検討していく、それも急いでやっていかなければいけない問題じゃないのかなと思いますが、何か今ネックとなっているようなことがございますか。
  163. 上野博史

    上野政府委員 有機栽培米というようなものを産地の独特の産品として売っていきたいというお気持ちは生産者の方に非常に強い、それはおっしゃられるとおりでございます。一方で、有機栽培米というものがいかなる栽培条件のもとに栽培をされたのかということが特定JAS適用することになる場合には問題になってくるわけでございまして、農薬を使わない、あるいは減農薬である、あるいは化学肥料を使わない、いろいろ態様は多様にあるのだろうと思うわけでございます。  ただ、栽培の仕方ということになりますと、生産者の側はできるだけ制約がきつくない方が栽培をしやすいという面が一方ではあるわけでございまして、他面で、今度は消費者の側から見まして、有機栽培米というものをその額面どおりに受け取って買うということになる場合には、こういうような条件よというのが消費者側の条件として出てまいる。両者の考え方というのか利害というのか、そこのところがうまく一致してこないと、一つ特定JASとしての扱いになりにくいという面がございまして、これは有機栽培米とか自然栽培米とかいうような、この手のものの特性をどういうふうに決めていくかということの一般的な難しさの一つの面だとは思うのでございます。そこを詰め切っていかなければ具体的な制度になりにくいという点が一つのネックだ、一番大きなネックだと申し上げた方がいいかもしれません。そういう問題があるということでございます。
  164. 石破茂

    ○石破委員 しかし、その条件不利地域の水田稲作をどうやって守っていくかということに関連すると思っているんですよ。私は、ずっと前から申し上げているように、安易な直接所得補償というのはすべきじゃないというふうに思っているんですね。そういうようなことは納税者の理解も得られるものではない。きちんと基盤整備をした上で、そこで初めて考えられるものだというふうには思っています。  ただ、米価というのは、農水省が経団連との会合でもお話しになっておるように、やはり下がっていくというものだろうと思います。三割ぐらい下げるというような発言をなさったようにも報ぜられております。そのことの是非はこの際置きます。  とにかく、下がっていくといった場合に、中山間地でどうやって水田を守っていくかといえば、何らかの形で公の保障を、保障というのは償うという意味ではない保障ですよ、していかねばいかぬだろう。そういう意味で、特定JASの運用というものを積極的に考えるという方向はあってしかるべきだと思いますが、いかがですか。
  165. 上野博史

    上野政府委員 中山間地域という一般的に言って恵まれない条件のところが、先生の御指摘のとおり独特の栽培方法をとることによって他の地域では生産できないような高品質、高付加価値の産品をつくるというのは、これはその地域の対応としては非常に有力な、皆さんの熱いまなざしもあるものであるというふうに私も存じております。  したがいまして、そういうことも頭に置きながらこの問題について対応しなければならぬということは間違いないわけでございますけれども、一方で、やはり生産者消費者という両面の御意向なり利害というものを調整して一つ制度というか規格というようなものも組み上げていかなければならないという問題でもございますので、そういう地域振興策としての大きな考え方というものを持ちながらも、具体的な詰めに細心の注意を払って対応していかなきゃならない問題があるということだと思っております。
  166. 石破茂

    ○石破委員 時間も残り少ないので、米政策全般について一つだけお伺いをしておきたいと思います。  自由民主党の総合農政調査会長が山本富雄先生の御逝去によってかわられまして、それのインタビューを見ておりますと、これからは価格政策なんだ、こういうような御発言がございました。大きく活字になって報ぜられたところでございます。新食糧法案ができて、米価の季節がまた参ります。所得政策なのか価格政策なのかというお話、ここはもう一度詰めておく必要があるんではなかろうかというふうに思います。  今、新JAS法のお話を承りましたのも、要するに、条件が悪いところに向けてどういうふうにしてやっていくのかという観点、これが必要なことである。新政策というものをどうしても成就をさせていかなきゃいけないわけですが、また認定農家というものもきちんとつくっていかなきゃいけない。だれがどういうふうに農業を担っていくのかということもきちんとしていかなきゃいけない。確かに認定農家も飛躍的に認定数はふえております。大変に結構なことだろうというふうに思いますが、やはり中山間地、条件不利地域に行きますと、一体これから先どうなっていくんだろうねというような不安の声というのが今でも聞かれますし、認定農家というものが全然決まってないというところも残念ながらまだあることは事実でございます。  これは報ぜられたことでございますので、今聞かせていただきたいと思いますが、食糧庁の中で保険制度というものを導入するというような御検討をなさっておる、そういうような報道がございました。つまり、今の共済制度のように、収量が減ったときだけこれを補てんするということじゃない、やはり価格が下がったとき、市場価格が下がったときもこれを補てんしていく、そういうような政策をとっていかなきゃいけない。私はこれは所得政策というべきものだろうというふうに思っておりますが、そういうような御検討をなさったという経緯はございますか。
  167. 高橋政行

    ○高橋(政)政府委員 今先生お話がございましたように、連休前にある新聞に収入保険について検討しているという記事が出たことは事実でございます。我々として具体的にそれについて検討しているという事実はございません。  ただ、我々として今後価格政策、今いろいろお話がございましたが、そういうようなことを踏まえて今後どんなことを検討していくかということにつきましては、農政審でも指摘がされているところでございますので、これから早急に詰めていかなきゃいけない事項と思っておりますが、ただいまの収入保険については、具体的な検討をしているということはまだございません。
  168. 石破茂

    ○石破委員 具体的な検討をしておらないというお話でございます。ただ、これはやはり積極的に考えていかざるを得ない問題ではないのかなというふうに思っています。  私は、以前大臣から、やはりこれから先は所得政策というものを考えていかなきゃいけないんだ、価格だけでやっていくことには限界があるんだということを御教示いただいて、自来そのことは心に刻んでおるつもりでございます。  これはもう今お尋ねしてもお答えいただけないと思いますが、要するに、今の食管制度のもとで最後の米価を決めることに相なります。これは、新食糧法がきちんと動くか動かないかということは、かなりの部分この米価というものがキーを握っておる、そういう部分があろうかというふうに思っています。減反政策にももちろん関連をしてくることでございます。  ことしは七月に参議院の選挙がございます。選挙がある年の米価の話というのはいつも大荒れになりました。ことしは選挙があるからねということで、私も六十一年以来参画をさせていただいておりますが、いろいろと荒れて、まず結論ありきみたいな話もございました。  大臣、ことしの米価の時期について、今どのような考え方をお持ちでいらっしゃいますか。
  169. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 お答えはまことにそっけないのでございますけれども、これについてはまだ本年産の生産者米価、お話しのとおり従来の食管制度のもとにおける最後の米価決定と相なるわけでございますが、その日程等についてはこれから検討いだすという段階でございます。
  170. 石破茂

    ○石破委員 今回農産物検査法も変わるということで、大体いろいろな法律が出そろう形になります。  収入保険の話に話を戻しますが、大臣、そういうような概念についてどのようにお考えですか。つまり、やはりこれから先、所得が減った分については何らかの形で補てんをしていかないと、営農を続けるということがなかなか難しくなってくるんじゃないか。米価というものが下がっていくということ、つまりコストを下げるということは大命題ですから、米価を下げると言うと反発がありますが、しかしコストを下げて、そして農家の収入、農業収入自体はふやしていくということを我々は追い求めていかなきゃいけないと思っているのです。しかしながら、それによって、どんどん下がることによって、大規模ほど影響を受けてしまうということもある。そして、価格は今まで以上に振れることも十分に予想される。そうすると、やはり収入保険的なものを導入することを積極的に考える必要というのがあるような気が私はしているんです。  しかしながら、それをやるときに、保険の設計としてどのようになるのか、どれくらいの農家を対象にしていくのか。じゃ全部収入保険で賄いますよなんということになったら、それはお金が何ぼあったって足りはしません。かなり限定されたところに対して、本当に中核を担っていく方々に対してはそういうようなものを検討をしていく。  今官房長はそういうものを検討をしたことは一度もないというふうなお答えでございましたが、その考え方というものをやはり新農政の一つの柱として検討をする必要があるのではないか。そしてまた、その時期は新食糧法案が動くそのときと余り差がない時期に動かす必要があるのではないかというふうに私は考えますが、大臣の御所見はいかがですか。
  171. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 御指摘は多面にわたりなかなか難しい問題でございますが、価格政策と所得政策、これを画然と切り離しまして、そして価格政策から所得政策というようなことで議論なり主張したことは私は今までもないわけでございます。  価格政策も所得に関係する。今まさに適切におっしゃったように、生産性向上がある、コストが下がる、その場合の低下分は全部価格に反映させて引き下げるというようなことではなくて、生産性向上のメリットを生産者に対して還元をいたすというようなことで所得の維持を図っていくというようなことがとりあえずの我々としての政策で、現実的な政策ではあるまいかというふうに私は考えておるわけでございまして、さらに進んで全般的な所得政策の展開、これは農政各制度を全部洗い直した上でやらなければならないという問題でございまして、ただいま事務方からお答えしたように、その検討を開始すること自体なかなかに大変なことだというふうに思っております。
  172. 石破茂

    ○石破委員 確かに、大臣がおっしゃるように、メリット還元をどういうような割合で行うかということでずっと今までやってまいりました。言われておるように、一生懸命努力すればするほど収入が減るとは何ということだ、こんなことじゃばからしくてやっていられないという議論を私どももずっとしてまいりましたし、下がった分をどうやってメリット還元していくのかということでずっと今までの米価政策は来たと思っております。  ただ、新食糧法案が動き出す、そして、それはやはりコストの低減、米価の下がり傾向というような形になっていきませんと、七年後にどうしていくのか、七年後に国際価格と全然縮まってなかったということにするならば、じゃ、六兆百億円て何だったんだということになりますね。やはり七年後にそれが関税化になるかどうか、それはそのときの議論にならなきゃわからないという御答弁でしょうから、これはあえて聞くことはいたしません。しかし、七年後にとにかく国際価格に近づけるということでなければ、何のための六兆百億円かさっぱりわからない。それはやはりかなりコストが下がるということを考えていくものであろう。  その場合に、メリット還元という考え方のみで私はずっとやっていけるかというと、これはかなり難しいお話になってくるんじゃないか、米価の決め方にもよりますがね。そうしますと、本当に、設計上、では認定農家だけに限るのかどうするのかということも含めて保険というもの、不足払いの考え方、こういうものを私は真剣に考えていく必要がある、ぜひお考えをいただきたい。だめならだめで結構です。かくかくしかじか、こういう理由でだめであったということであれば、それはそれで結構です。  しかし、今全国の生産者が不安を、漠たる不安を抱いているんですね。一体米価はどうなっていくんだろうか、認定農家はどういうふうにして決められていくんだろうか、自分のところはどうなっていくんだろうか。それぞれの集落ごとに、じゃ、だれが認定農家となって、だれが受委託をして、どのようにやっていくか。どの家も同じような複合経営をしていたら全部共倒れになりますから、だれがどういうふうにやっていくというお話し合いをしていかなきゃいけない。しかし、そのときに、じゃ、米の値段はどうなり自分の収入はどうなるということが、やはり話し合いに積極的にひとつ入っていけない阻害要因になっているんじゃないか。  米の値段はどうなりますかと私ども選挙区で聞かれましても、こうなりますということが言えないんですね。じゃ、下がった場合にその補償はどうなりますかと言われて、こういう仕組みを考えますということも言えない。やはりそのことは、私はこれから先新政策を成就していく上においてどうしてもこれはやらなきゃいけないものだと思っています。御検討をいただき、私ども議論をさせていただきたい。議論の俎上には、やはり私はのせる価値があるものではないかと思います。が、いかがでございましょうか。
  173. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 相当根本的な側面も持った御提案でございますけれども、我々としては、国内対策、六兆百億の事業費という場合においても、やはりコストの低減ということを実現するためのその方策でございます。稲なら稲につきまして、その現状から見て、三割とか四割のコストの低下をねらって基盤整備事業その他の各般の施策を講ずるということになっておるわけでございます。  その際におきまして、価格水準はそれとの関係でどうするかということで、私、先ほど生産性向上のメリットの問題を申し上げたわけでございますが、それではまだひとつの従来路線だ、さらに進んだ今のお話のような保険的な手法で、PQを入れた、Qだけではない、PQを入れたその方式等も一つの検討課題ではないかというような積極的な御提言でございますので、今後の価格、所得政策のあり方の一環として、我々としても念頭に置いていきたい、さように思っております。
  174. 石破茂

    ○石破委員 最後に余計なことをお尋ねをして恐縮でございましたが、どうしても私はこの六年間というものに新しい農業、農村というものをきちんと築いておかなきゃいけないというふうに思っております。そして、それは与党も野党も問わずに、本当に農家、農民の皆さん方に向かって、こういうふうにならなきゃいけないんだ、皆さん方の収入は減らないんだということで語りかけていくということが、これから米価に向けてもぜひとも必要なことである。そして、六年後のビジョンというものがこういうものでなければいけない、それに向けてこういうことをやっていくんだということがいま一つ目に見えない状況にあるだろうと思っています。そういう意味で、なお大臣初め御当局の皆様方の御奮闘をお願いする次第でございます。  以上で終わります。
  175. 上野博史

    上野政府委員 恐縮でございますが、私の答弁の中で、新しい食糧庁の組織の内容につきまして、買入課についての部分でございますが、現行の買入課につきましては、現在の需給課にございます。務の一部を統合いたしまして、米の買い入れから売却、流通、消費までの業務を一元的に担当する業務流通課という形に変えるというふうに予定をいたしております。
  176. 中西績介

    中西委員長 藤田スミ君。
  177. 藤田スミ

    ○藤田委員 質問を始める前に一言だけ申し上げておきたいと思います。  委員長に答弁を求める気持ちはありませんけれども、きょうの始まりは大変異常でありました。私は、この法案が生産者消費者流通、すべての米にかかわるところでかかわってくる法律案であるだけに、こういう始まり方を大変残念に思っております。以後そういうことのないように、本当に与党の皆さん、心していただきたいわけであります。  それでは、質問を始めます。  農産物検査法は、農産物について国が検査を行うことによって公正かつ円滑な取引及び品質の改善を助長することを目的とし、米については、一九五一年の農産物検査法の成立以来、全量検査実施してきたわけであります。  今回の法改正により、計画流通米については国の検査義務を課すが、計画外流通米については検査義務を外し、任意検査にするとしております。この結果、市場には検査を受けた米と受けない米が混然と流通することになります。未検査米の取引においては、多人数の手を転々と取引される間に、変質、抜き取り、不良米などの混入など、不正行為が行われるおそれもあり、水取引はますます複雑かつ不合理なものになるんじゃありませんか。
  178. 上野博史

    上野政府委員 今回の検査法の改正につきましては、新食糧法の施行ということが非常に大きな前提条件としてあるわけでございまして、新食糧法で言っております計画流通米、これにつきましては、非常に今ほとんどの、大部のものがこの計画流通米として流通ルートを通り消費者に供給をされていくということになるわけだろうというふうに考えているわけでございまして、これらのものにつきましては、取引過程の安定性を確保するという観点等を頭に置いて、義務検査をかけるということでございますので、お米の流通の相当部分は従来どおりの対応で対処されるというふうに考えているわけでございます。  これに対しまして、計画外流通米というものにつきましては、どれほどのものになるか、今の段階で想定をすることが難しい面があるわけでございますけれども、やはり計画流通米の一部補完的な役割を担うということにすぎないものではないかというふうに考えているわけでございまして、この部分については、これまでお話を申し上げておりましたとおり、相対的なお米の売買というようなことが行われる。要するに、顔の知れたお米の生産あるいは取引ということで処理をされる面があるわけでございますので、こういうものについて、主として検査を経ないお米の流通が見られるということにとどまるのではないか。長い流通経路をたどるような場合におきましては、やはり検査というものが、計画外流通米につきましても必要になってくるというふうになるのではないかと我々としては考えているところでございます。
  179. 藤田スミ

    ○藤田委員 計画流通米が多量になる、裏返せば、計画外流通米の方はそんなに多くない。それで、顔の見られる相対的取引というのは、特栽米など直接生産者消費者とのかかわりで取引されるものだと思いますが、それ以外の業者と生産者との取引というものもあるわけですから、それはやはり一定の流通経路を経て消費者のところに来るわけでありまして、顔は見えないわけです。そういう米が大量に出ないと断定できるのですか。
  180. 上野博史

    上野政府委員 なかなか断定をするというのが難しいことはまことにそのとおりだというふうに思うのでございますけれども、ただ、やはり検査というものがお米の取引、流通に非常に重要な役割を果たしているということは、これは否定しょうがないというふうに思うわけでございまして、いわゆる顔の見えないといいますか、そういう大量のお米を長い流通経路で流すというようなことになります場合には、多分検査なしに流通するのはなかなか難しい面があるのではないか。全然ないということも申し上げるつもりはございませんですけれども、そういうような感じを持っているところでございます。
  181. 藤田スミ

    ○藤田委員 大変頼りないわけです。まして小売段階では、一層混乱が予想されるわけです。小売段階検査米と未検査米がブレンドされれば、適正な表示ができなくなり、消費者に米表示の信頼を失わせ、消費者にも混乱を招くことになりはしませんか。
  182. 上野博史

    上野政府委員 未検査米検査米をまぜるというケースも、それは否定できるものではない、あり得るケースだというふうには思うわけでございますけれども、やはり流通の大宗は、先ほど申し上げました計画流通米、これをもとにいたしました精米だというふうに考えるわけでございまして、こういうものについては、その検査の結果をもとに精米においても的確な表示がなされることになるだろうというふうに考えているところでございまして、全体としてのお米の流通という面から見て、余りさほどの問題になることもないのではないか。  ただ、まぜ合わせた場合の表示がどうなるのかということにつきましては、未検査米について、これを産地品種産年というようなことに表示ができるわけではないわけでございますので、まぜ合わされる検査米についての情報を記載するにとどまらざるを得ないということになってまいるのではないかというふうに考えているわけでございます。
  183. 藤田スミ

    ○藤田委員 それが困るわけなんです。米の検査の目的というのは、米に対する信頼性の確保にあるわけです。しかし、検査米と未検査米がブレンドされて両者の区分ができなくなるということは、つまりは検査の目的そのものをも奪ってしまうということに通ずるわけでありまして、私は、未検査米をつくるということは、米検査制度に解決し得ないような深刻な矛盾を持ち込むことになるというふうに考えるわけであります。  どう答えられますか、大臣
  184. 上野博史

    上野政府委員 先ほども申し上げましたように、新食糧法のもとにおきますお米の全体としての流通というものは、計画流通米というものが大宗を占めるということに多分なるであろう。一部計画外流通米というものがあろうとは思いますけれども、そういうものが全体としての流通に影響を与えるほどのことになるのかどうか。しかも、そのうちの未検査米というものがそういうことになるのかどうかについては、私は必ずしも心配をするに足らないのではないかというふうに思っております。  といいますのも、先ほど来の質問の中にもございましたように、生産者から始まりまして流通業者消費者方々こぞって、やはりお米の安定した取引のためには検査というものが必要なんだというお考えが強いわけでございますので、そういう方々のそういうお気持ちがある限り、取引が行われる場合には検査というものを踏まえてやるという形になってまいるのではないかというふうに考えているところでございます。
  185. 藤田スミ

    ○藤田委員 そういう、米というのは検査をするものだというふうにみんながこぞって言っているとしたら、何も任意の制度を設けなくてもいいわけですよね。全量、その検査義務というものをずっと今までどおり施行すればいい。特栽米に限るということなら特栽米に限るというふうに、そこだけを任意にすればいいのであって、おっしゃることに私は矛盾をぬぐい去ることはできないところであります。  今回の法改正に当たって開催された検査表示制度に関する研究会においても、先ほどから問題になっておりますが、米の産地品種産年表示について、必要的表示事項とすることも含めて検討する必要がある、そういう強い要望が出されているわけであります。しかしながら農水省は、今回の改正案ではこの三点セット表示必要的表示事項とされなかった。その理由を明確にしてください。
  186. 上野博史

    上野政府委員 今先生御指摘のとおり、消費者方々の間にいわゆる三点セット、すなわち産地品種産年、この表示必要的記載事項として記載すべしという御要請が強いというのはそのとおり私どもも存じておりまして、何とかそういう方向で物を考えられないだろうかというふうに考えて、今後検討をするということをしばしば申し上げてまいったわけでございます。  ただその場合に、これも何回も申し上げてまいったわけでございますけれども、この三点セットを書いたからそれが直ちにそのとおりになるというふうになりにくいところが従来あったわけでございまして、内容とその表示一致ということをいかに確保するかということについてさらに特段の工夫をし、努力をしていかなければならない面がある。そういう意味で、いろいろと検討をした上で、より消費者方々の御関心にこたえられる方向で今後検討してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  187. 藤田スミ

    ○藤田委員 私は、消費者の立場に立った農林行政というのであるなら、農水省として直ちにこの三点セット表示必要的表示事項にするべきだ、そういうふうに強く考えます。消費者は、さっきから言われていますが、米の表示に根強い不信感を持っています。  新潟コシヒカリが生産量の何倍も出回っているという話もありましたけれども、私は、ここに大阪第一食糧事業協同組合、大阪第一食糧の袋を持っていますが、検定協会の検定済みの判こを押されておるここのところは、コシヒカリと書いておりますが、この袋は新潟県魚沼産、こういう表示になっているのですね。これは皆さんに聞いたら、こういうふうに魚沼産と書くのはやらないようにと言っているんですがね、あってはならないんだとおっしゃりながら、大阪第一食糧ともあろうところがこういう米を堂々と売っているわけですよ。だから、まして国産米に中国米がまぜられていたりすると、一体我々はどこの米を食べさせられているのかわからない、本当にそういう憤りに近い感情を持っています。  そして、現在行われている任意表示も、三点セット表示実施されているのは流通全体の二二%でしょう。違いますか。残りの七八%は何らの表示もなく流通しています。やみ米業者は、一〇〇%を使うのはばか正直だ、本物七〇%、残りを品質が近い産地を入れるのが正直者で、他産地物を半々入れるのが普通なんだ、こういうふうに豪語しております。そういうことを知らないはずはないわけであります。  したがって私は、皆さんが一体いつごろまでにこの三点セット表示をやるべきだと考えていらっしゃるのか、その時期を明確にしてください。
  188. 上野博史

    上野政府委員 三点セット必要的記載事項にするということにつきましては、私どももできるだけそうしたいというふうに考えておるわけでございますが、必要的記載事項だということになりますと、すべての精米表示にそのことを書かなければならなくなるわけでございます。そのときに、その書いた内容と中に入っておりますお米が本当に一致するのか、それをどう担保するのかという問題が実はもっと大きな、今の任意的記載事項の位置づけに比べましてもっと大きく出てまいるわけでございまして、必要的記載事項にしながら十分に検証もできないという話ではかえって難しい問題を惹起するんじゃないかという面があることを御理解をいただきたいわけでございます。  したがいまして、我々も消費者意向に十分沿うようにしたいという気持ちを十分持ちながら、しかもその記載が真実であるということを担保するための工夫をいろいろとしてみなければならないということで今までも検討をしてまいっておるところでございますし、これからも検討したいというふうに思っておりまして、今度の新しい食糧法あるいは改正後の新農産物検査法を施行するという段取りになります場合には、間に合うように準備をしてまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  189. 藤田スミ

    ○藤田委員 政府米は備蓄米に使われるということで新食糧法ではなっています。自主流通米の中にも備蓄用として回される部分はある。そうすると、産年表示というのはこれは必ずやらなければならないものだというふうに考えますが、この点が一点です。  もう一つの問題は、表示問題について一番求められているのがやはり輸入米なんです。これは一層厳格に行ってもらわなければなりません。昨年の緊急輸入米騒動のときも、一体この輸入米は古米なのか古々米なのか古々々々米なのか、そこのところがはっきりわからないままで食べさせられてきたわけです。消費者団体からは当然年産表示をするべきだと要求が出ておりましたが、農水省は、アメリカやタイでは年産表示の習慣がないなどと言ってなかなか消費者の声にはこたえようとされませんでした。輸入米についても当然産地品種産年、そして混米率、これはきちんと表示をすると約束していただけますか。
  190. 上野博史

    上野政府委員 私どもがこの改正案をまとめるに際しましてお願いをしました研究会の報告におきましても、外国産米の表示については産年及び産地、国名等についてさらにきめ細かい対応を検討することが適切だというお考えをいただいてい名わけでございます。  具体的な表示方法につきましては、ただいまお話ございました昨年の緊急輸入米の経緯というものも踏まえながら、それからまた関係者方々の御意見もいただきながら検討をしてみたいというふうに思っております。  ただ、さっき先生質問の中で申されましたように、輸出国の生産、流通事情によりまして産年が明確でないというものもございますので、今後輸出国側の理解を得るという努力もしながら、我々としてもそういうことが実現できるように努力をしてまいる必要があるというふうに考えております。
  191. 藤田スミ

    ○藤田委員 努力では困るわけです。大臣、おわかりですか。緊急輸入米のときには本当にここが一番消費者の怒りやったんです。だから緊急輸入米があれほど売れ残るという一つの要因にもなったわけです。  まして、ミニマムアクセスとして入ってくる米は、緊急輸入のようにこちらからお願いする米じゃないわけですよ。はっきり言ってそうでしょう。だとしたら、きちっと、産地それから産年品種、これくらいは守って表示をできるようにきちっとしてきて当たり前のことです。それができなかったら国産米とのそれこそバランスという点でもおかしいわけですよ。したがって、そういうことはきちんと日本からも要求をして、そして行わせるという立場で、少なくとも、先ほどの御答弁でその十一月施行をめどにというお話がありましたが、そういうことで輸入米も当たっていただけるのかどうか。
  192. 上野博史

    上野政府委員 私ども、今お話ございましたように、ミニマムアクセスということになりますと、我が国が買い手としてやはり売り手の方にいろいろ言いたいことは申し上げられるという立場にあることはおっしゃられるとおりだろうというふうに思うわけでございまして、国内の需要に沿った米を輸入するというのがミニマムアクセスを行う場合にも非常に大事なことだ、私もそう思っております。  したがいまして、そういう消費者側からの要請にこたえられるような形で発注をする、それを輸出国側は守ってもらって供給をしていただくことになるように十分な努力をしてまいりたいということを申し上げているわけでございます。
  193. 藤田スミ

    ○藤田委員 ここで表示問題に関連して、私は製造年月日表示問題についてお伺いをしておきたいと思うんです。  四月一日から、従来の製造年月日から期限表示へと日付表示の変更が消費者や国民の強い反対を押し切って強行されました。しかし、多くの食品メーカーは、消費者の強い反発を配慮して任意表示として製造年月日表示を併記しています。全く当然のことであります。私はきのうスーパーに行きましてずっと食品を見て回りましたけれども、製造年月日表示を併記しているものがもう全部と言ってもいいくらいありました。  大体、生鮮魚介類を生のまま食べるという日本国民の食生活の伝統に基づいて、私たちは鮮度を重視する食習慣を持っています。それだけに、戦後五十年間、製造年月日表示は食生活に深く根差した日付表示になってきたわけです。そのような製造年月日表示を、国際基準へのハーモナイゼーションを名目に一片の通達でやめさせようとすること自身がどんなに異常なことであるかということ、改めて言うまでもありません。  それにも増して、農水省は、二月十七日の食品流通局長通達で、こういう通達を出されたのです。「特に、「賞味期限」を表示する食品については製造年月日の表示を避け、期限表示のみを行うこととされたい。」こういう通達を出されて、任意表示で製造年月日表示を行おうとしているメーカーや企業に対してもそれを禁止するよう圧力をかけられたわけであります。こんな不当なことはないわけであります。任意表示消費者の求めに応じて表示をすることは各企業、商店の自主的な対応の範囲内でありまして、それを行政がとやかく言うというのは行政による不当な介入であります。このような通達は直ちに撤回をしていただきたい。どうですか。
  194. 鈴木久司

    ○鈴木(久)政府委員 食品の日付表示につきましては、近年食品の製造、流通技術の進歩等によりまして、日もちに関する情報が大変重要になってきております。こういったこととか、二つ目には、厳しい日付管理が深夜、早朝操業あるいは多頻度小口配送、さらには返品等の誘因になっている。三番目には、国際的にも期限表示が要請されておりまして、日付表示、製造年月日表示を行っているのは日本と台湾だけであるといったような実態があること、こういったような状況を踏まえまして、ことしの四月から、告示を改正しまして製造年月日表示から期限表示に切りかえたところでございます。  この場合、製造年月日の併記を行うことは制度的には禁止されているものではございませんが、全く自由に任された場合には、事実上併記が残るときには改正の趣旨が阻害されるおそれがあるということで、賞味期限を付するもの、これは日もちが五日を超えるものですけれども、これにつきましては併記を避けるよう、先ほどお話がございましたように通達によって要請しているところでございます。  なお、日もちの短い食品、おおむね日もちが五日以内のもの、これにつきましては、消費者からの要請も踏まえまして併記をしても差し支えないというようにしているところでございます。また、本年四月から二年間は移行期間でありますので、関係業界、消費者等に対しましても、さらに今回の改正の趣旨が理解されますように努めてまいりたいというように考えております。
  195. 藤田スミ

    ○藤田委員 そんな説明聞いているのと違うのです。任意表示でしょう。任意表示やったらお客さんの、消費者意向を受けて、そして並行で表示をすることをとやかく言うことないじゃありませんか。そんなのは行政の介入です。  大臣にお伺いします。大臣お話わかっていただけると思いますが、賞味期限などの期限表示ということが、これからやっていくということになった、だけれども消費者にしてみたらなじみが悪い、消費者の顔を見ているスーパーだとかメーカーだとか企業は、それ一番敏感に受けとめますから、これはいかぬということで、期限表示と製造年月日表示を併記して、そうして消費者の要望にこたえているわけです。それを何も頭から、そんなものはもうやめてしまえ、併記することはやめろ、そういう言い方というのは行政の介入も甚だしいじゃないかということを言っているのです。大臣にお伺いします。規制緩和が言われているこのときに、一体どういうことかと思うわけです。
  196. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 今食品流通局長がるる申し上げたとおりでございまして、その日もちの情報というのが今後の食品の一つの大きな方向だ、それからもう一つは、早朝とか深夜、多頻度少量配送、これは端的に申し上げますと、大型量販店等がバーゲニングパワーが、製造年月日によってバーゲニングパワーが非常にアクセスして、中小零細な食品メーカー等に対する影響が大変大きいという点もあるわけでございます。  それからもう一つ委員もおっしゃいましたように、コーデックス、国際食品規格、これの流れとしては、やはり期限表示、賞味期限という流れでございますので、我々としてはJAS規格の中において賞味期限に製造年月日を変えたところでございますけれども、併記をすることは今も申し上げたように禁止したわけではございません。しかし、賞味期限というものを今後の一つの建前としていくという立場からは、できるだけやはり賞味期限一本に絞っていただくようにしなければならぬということでございまして、最後は消費者なりあるいは取扱業者、メーカー等々の理解の上でなければ成り立たないことはもちろんでございますけれども、おっしゃるような強制的なもの、規制緩和に逆行するというようなものとは思っていないところでございます。
  197. 藤田スミ

    ○藤田委員 強制的なものでない、併記を禁止したものではない、大臣の口からおっしゃいましたので、私はあの通達はそういう意味を込めているというふうに理解をしておきたいと思います。もうこれ以上業者に介入するような通達を重ねるというようなことはやめてください。  時間がありませんから、最後にもう一問だけお伺いしなければなりません。残念ですが――局長、何か不足があるのですか。――ないということですから、私の言うたとおりだと思います。  輸入米麦は昨年の米の緊急輸入の例でも明らかなように、異物混入が日本と比べてはるかに多いわけです。それは農林水産省の地方農政局情勢報告の概要でも、「タイ産米は異物混入等で品質面で問題が多く」と指摘されています。また、輸入米麦の農産物規格は、異物混入の基準でも日本農産物規格よりはるかに甘いわけです。したがって、この甘い規格というものはどうしても日本の米麦並みに強めてもらわなければならないという点が一点です。どうしてこんなに外国輸入米麦に異物混入が多い、その理由をどういうふうに受けとめておられるのか。その後の方が最初の質問で、規格国内米麦並みに強めるべきだというのが二問目です。
  198. 上野博史

    上野政府委員 外国産米というのはやはり日本農業とは違う農業といいますか稲作のあり方のもとに生産をされておるわけでございまして、あるいはその流通の状態、過程、消費のあり方、こういうものもすべてその国その国によって違いがあるわけでございます。したがいまして、生産をされ、流通をしております外国のお米というのは、それぞれの国の生産の実態なり流通の実態なり、あるいは消費の実態というものを反映をした規格になっておる。我が国の稲作というのはかなり高度なといいますか、手の入ったいいお米の生産がなされているという面がございまして、異物の混入というようなことについてはほとんど今日では見られないようなお米の生産がある。しかしながら、一部の地域のお米というものについては、なかなか日本のお米の生産のようなわけにはいかない面があるわけでございまして、いろいろな過程でそういう異物が混入をしてまいる事態を避けることはできない、そういうことを頭に置いた規格というものが、外国はそれなりにそれぞれの外国の実情に基づいた規格ができているわけでございます。  したがいまして、我が国に輸入をされてまいりますお米につきましても、基本とすればやはりそういうお米の持っている性格、特徴に即して物差しを当てる必要があるわけでございまして、外国で用いている検査規格というものを基礎にして物を考えていくことの必要性というのが一方ではあるわけでございます。  ただ、今委員御指摘のとおり、一たん国内に入りますれば、今度は国内流通なり消費者の需要、関心に合わせて流通をしていかなければなかなか実需に結びついていかないということになるわけでございますから、今の外国産米に対しております規格というものを、そういう観点を考慮に入れて検討していかなければならない、確かにそういうふうに考えているところでございます。これも、新しい制度の発足時を目途に、関係者意見も聞きながら、あるいは緊急輸入米の経験も踏まえながら検討をさせていただきたいというふうに思っております。
  199. 藤田スミ

    ○藤田委員 時間が参りましたから、終わります。
  200. 中西績介

    中西委員長 以上で本日の質疑は終了いたしました。  なお、議事運営の不手際がございましたが、御協力いただきありがとうございました。  次回は、明十一日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十九分散会