○石橋(大)
委員 再答弁いただきましたが、余り私と基本的な
考え方について変わりはないようですから、ぜひひとつそういう
方向で頑張っていただきたいと思います。
次に、沿岸
漁業の
後継者対策について
伺いたいと思うのですが、実は、ちょっと難しい問題がありますので詳しい話をしたいのですが、もうわずか十分しかありませんから余り詳しい話はできませんが、
後継者対策についてこの際伺っておきたいと思うのです。
まず
一つは、水産庁の
後継者対策をいろいろ拝見をいたしましたが、金額の面でも、その対策の具体的なやり方においても、今担い手問題、後継者問題が非常に深刻なことは御
承知のとおりですが、そういう深刻な状態を打開するという
観点からいうとまだまだ非常に弱いのじゃないか、もう少し抜本的、積極的な対策が講じられないのかどうか、こういうふうに私は思っておりますので、その点について
伺いたいと思うのです。
まず、そういう意味で、きょうの
委員会の審議は、もう言うまでもなく
中小漁業融資保証法等の一部を
改正する
法律案、そして
漁業災害補償法の一部を
改正する
法律案、この
法律案を審議、可決をすることでありますが、この二つの法案については、私もまた社会党も基本的に賛成であります。賛成でありますが、いろいろ考えてみると、この
法律で一番ひっかかるのはやはり後継者問題ではないか、こう思っているわけです。
と申し上げますのは、私も若干地元の
漁業関係者の意見な
ども聞いてみましたが、例えば、
漁業近代化資金なんかの融資枠に対する融資の
状況を見ると、六割か七割かという
水準にとどまっている、こういうような
状況もありますし、さっきから大臣も言われますように、最近
日本の
漁業をめぐる情勢は非常に厳しいわけですね。したがって、漁獲高も減る、逆に輸入は急ピッチでふえていく、そういうことで、非常に厳しい
状況に対して将来展望を失い、投資意欲を失っている、こういうこともあると思うのです。
それをもう
一つ突っ込んで言うと、何よりも後継者がいない、せっかく多額の
資金をつぎ込んで設備の更新をしたりしても跡取りがいない、後、それを担う若手がいないということから、どうも積極的に投資をする意欲が燃えない、こういう
状況になっている。そういう意味で、せっかくこの構造
改善のための
資金提供だとかをしても、それが利用されない結果に終わるおそれがあるのじゃないか、こういう感じがしているから、後継者問題だ、こう言っているわけですね。
漁業災害補償法の
関係についても、
加入率が非常に低いことが大きな根本的な問題になっていますが、これなんかも、余りストレートにはつながっていないかもしれませんが、諸般の情勢からいうと、やはり跡取りがいないとか担い手がいないということもかなり影を落としてそういう
加入率の低さになっているのじゃないか、こういう感じがするわけであります。
そういう意味で後継者問題が非常に大事なんですが、御
承知のように、沿岸
漁業の就業者数も、一九七五年から九三年までに約十万人ぐらい減少しているわけであります。全体の数が三十七万人ですから、この十万人という数は非常に大きいということは申し上げるまでもないと思います。
平成五年の男子年齢別
漁業就業者の構成を見ましても、六十歳以上が三三・九%、四十歳以上五十九歳未満の人が四五・八%で、約八〇%になるわけですね。こういう点で、若い担い手の不足が非常に深刻だ、こういうことになっているわけです。新規学卒、高校卒の就業者の
漁業への就業
状況を見ましても、
昭和五十九年千三百六十七名というのが
平成五年では五百六十五名と、三分の一に激減をしているわけですね。水産高校の
平成五年の卒業者を見ますと、三千六百八十八人中、
漁業就業者はわずかに二百十六人、こういう結果が出ているわけであります。
こういうことを考えると、最初に申しましたように、かなり思い切った対策を講ずる必要がある。今度、農業
関係では、ガット国内対策の中で新しい青年就農者に対する画期的とも言うべき具体的な
法律制定をやりまして、農業大学校で研修するときには毎月たしか五万円だったと思います、それから先進農家で研修する場合には月に十五万だと思いますが、そういうかなり思い切った援助、融資もしながら若い後継者を確保しようとしているわけです。せめてこれぐらいなことは最低水産庁でもぜひ早急に具体化をしていただく必要があるのではなかろうか、こう思っているわけであります。
この点についても質問を二つ、三つ準備していましたが、時間がありませんから、つけ加えて若干補足をします。
農業も
漁業もそうですが、伝統的な、いわば父子相伝で生業として、なりわいとして
漁業を継ぐ、農業を継ぐという形はもう崩壊していますね。したがって、漁家の子弟にだけ後継者を期待することは非常に無理がある。思い切ってこの際、都市の青年、都市で会社勤めをしている人などからも後継者を確保するぐらいのことを考えなければいかぬ、こういうところへ来ていると思います。
この水産
関係についてはそういう
調査があるかとこの間企画課長に尋ねましたところ、水産
関係についてはないということですが、農業
関係についていろいろなアンケート
調査なんかを見ますと、結構、東京や大阪で会社勤めをしている若い人の中には、三割、四割と、できれば農村で暮らしたいとか、農業をやりたいという人がおるわけですよ。問題は、そういう人たちをちゃんと農村や
漁業に積極的に導入するような誘導政策を具体化をする、それが非常に大事になってくるわけです。そういう意味でぜひ検討いただきたい。
私は島根県ですから、島根県の隠岐の知夫村というところがありまして、大臣御
承知かとも思いますが、昔は島流ししたり、絶海の孤島みたいな感じのところですが、絶海の孤島と言うとちょっと言い過ぎかもしれませんが、非常に人口も急減をしまして、
平成四年、五年と、村で五百万円以内で牛何頭かで農業をやってくれ、五百万円以内で
漁船一隻で
漁業をやってくれ、こういうことで募集をした。そうしたら、全国から電話で問い合わせが二百件ぐらいあったというのです。実際入ったのは、いろいろ選考しまして七人入っていますが、そのうち六人は
漁業なんです。ずっと続くかどうかわかりませんが、目下のところ頑張っている。
これはどこから来ているかというと、神戸、大阪、京都が一人ずつ、和歌山、九州、そんなことで、都会から結構来ておるのです。今、過疎が進んでおりまして空き家なんかもありますから、空き家を利用しながら家族で村へ定住してやってもらう、こういうことでやっているところがあるのです。
こういうことを見ると、都会におる若者が農業や
漁業に何も興味や関心を持っていない、こういうことは言えないわけでありまして、積極的にやる意思がある。ぜひひとつそういう
観点で抜本的な
後継者対策を講ずるべきだし、やってほしい、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
まず長官にお答えいただきまして、締めくくりにひとつ大臣の決意のほどを伺って終わりたいと思うのです。