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1995-03-10 第132回国会 衆議院 農林水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年三月十日(金曜日)     午前九時開議 出席委員   委員長 中西 績介君    理事 久間 章生君 理事 二田 孝治君    理事 松岡 利勝君 理事 倉田 栄喜君    理事 小平 忠正君 理事 仲村 正治君    理事 鉢呂 吉雄君 理事 錦織  淳君       赤城 徳彦君    河村 建夫君       岸本 光造君    栗原 博久君       栗原 裕康君    七条  明君       橘 康太郎君    東家 嘉幸君       徳田 虎雄君    浜田 靖一君       松下 忠洋君   三ッ林弥太郎君       山口 俊一君    山本 公一君       石破  茂君    大石 正光君       木幡 弘道君    鮫島 宗明君       実川 幸夫君    白沢 三郎君       千葉 国男君    初村謙一郎君       増田 敏男君    矢上 雅義君       山岡 賢次君    山田 正彦君       吉田 公一君    石橋 大吉君       遠藤  登君    辻  一彦君       前島 秀行君    玄葉光一郎君       藤田 スミ君  出席国務大臣         農林水産大臣 大河原太一郎君  出席政府委員         農林水産大臣官         房長      高橋 政行君         農林水産省経済         局長      東  久雄君         水産庁長官   鎭西 迪雄君  委員外出席者         農林水産委員会         調査室長    黒木 敏郎君     ————————————— 委員の異動 三月十日  辞任         補欠選任   栗原 博久君     河村 建夫君   中川 昭一君     山口 俊一君   御法川英文君     橘 康太郎君   木幡 弘道君     鮫島 宗明君   畑 英次郎君     吉田 公一君   山田 正彦君     白沢 三郎君 同日  辞任         補欠選任   河村 建夫君     栗原 博久君   橘 康太郎君     御法川英文君   山口 俊一君     中川 昭一君   鮫島 宗明君     木幡 弘道君   白沢 三郎君     山田 正彦君   吉田 公一君     畑 英次郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  中小漁業融資保証法等の一部を改正する法律案  (内閣提出第二五号)  漁業災害補償法の一部を改正する法律案内閣  提出第二六号)  農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律  案(内閣提出第二〇号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 中西績介

    中西委員長 これより会議を開きます。  内閣提出中小漁業融資保証法等の一部を改正する法律案及び漁業災害補償法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河村建夫君。
  3. 河村建夫

    河村(建)委員 おはようございます。自由民主党の河村建夫でございます。  中小漁業融資保証法等の一部を改正する法律案並びに漁業災害補償法の一部を改正する法律案に関しまして若干の質疑を行わせていただきたいと存じます。  まず、漁業全般について先にお伺いをしたい、特に日韓漁業実務者協議についてお伺いをしたいと思っているわけでありますが、昨年の十一月十六日に国連海洋法条約、いわゆる二百海里法と言われておりますが、発効を見たところでございます。この条約国連において、六十カ国が批准した時点で一年後に効力を発する、こういう取り決めになっておるわけでありますから、一昨年の十一月十六日に六十カ国に達した。こういうことであります。  日本はまだ批准をいたしていないわけでありますが、近々ということで準備をしているというふうに伺っております。世界漁業先進国として資源管理といいますか、あるいは海洋環境の保全等々、こういう問題について先頭に立っていかなきゃいけない立場に日本はあるわけでありますから、できるだけ早い批准を望んでおるわけであります。  ちょうどそのときに当たりまして、日本韓国の間で一年余りにおいて九回もの協議を経て、二月二十七日に日韓漁業実務者協議合意に達したということであります。まことに喜ばしいことでありますが、協議に当たられた水産庁当事者皆さん、大変御苦労さまでありました。敬意と感謝を申し上げる次第でございます。  さて、その結果でございますが、我が国漁業者がいわゆる資源管理型漁業にこれから取り組んでいく上で十分納得するだけの内容であったのかどうか、まずお伺いをいたしたいと思います。
  4. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 日韓漁業関係につきましては、ただいま委員お話しのとおり、昭和四十年に日韓漁業協定ができまして、それを補完する形で昭和五十五年にこれにプラスいわゆる自主規制措置というものをつくりまして、その二本の柱でただいままでやってまいってきていることは御承知のとおりでございます。  ところが、ただいま委員お話しのように、昭和五十年前後から韓国漁船日本周辺水域に相当多数進出をしてまいりまして、それが我が国漁業との操業トラブルになる、あるいは定置性漁具を損壊するということで問題になってまいりまして、その都度私ども自主規制強化措置、あるいは最近は、今のフレームでは限界がある、したがいまして国連海洋法条約考え方にのっとった新しい日韓の新漁業秩序をつくる必要があるのではないか、こういう形で折衝を進めてまいったわけでございます。  韓国側といたしましては、従来から日韓漁業関係の経緯、特殊性というものを踏まえまして、早急な改変については国民感情もございまして非常に慎重な態度でございました。  したがいまして、今回直ちに新しい日韓の新漁業秩序についての合意を得るには至らなかったわけでございますが、国連海洋法条約発効、あるいは周辺水域資源状況がいかにもよくない、このままほっておけば両国のためにもならない、あるいは操業秩序確立のためにはいろいろな工夫をするフレームが必要なんじゃないか、こういうことから、将来の望ましい日韓の新漁業秩序の形成に共同努力するということについて双方の認識が一致いたしまして合意ができたわけでございます。  その前提として共同資源調査というものを早急に行いまして、その結果を踏まえまして、私どもとしては、新しい海洋秩序にものっとり、かつ両国周辺水域資源管理あるいは操業秩序確立に資するような、文字どおり新しい日韓漁業関係枠組みの構築に向けた協議が調う基盤がこのことによってでき上がったというように理解しておるところでございます。
  5. 河村建夫

    河村(建)委員 日韓間につきましては、そういうことで、この合意に基づいてさらに資源管理型漁業というものがうまくいくように御努力を願いたいと思っておるわけであります。  さらに、ここ数年、いわゆる東海、黄海と言われる海域におきましては、中国漁船進出が非常に顕著であります。西日本アマダイはえ縄漁業にとりましても大きな影響があるわけでありまして、先般その漁船団皆さん方と話しておりますと、日本船団がそちらへ参って漁業をいたしまして、一晩明けてみると、気がついてみると、日本船団は十隻あるいは二十隻単位で大体五、六十トンおるわけでありますが、それよりはるかに大きい何百トンという船団周辺を取り巻いておる。見れば中国船団であって、しかも日本のは延べ縄はえ縄でありますから、それを向こう網漁業で持っていく、とても漁業にならないわけであります。日本の船が行くところは魚がおるんだということになっているそうでありまして、日本の船を目がけて中国船団が来る。しかも、大きい船に取り囲まれてそこを出るだけでも大変だというので、もう漁業にならないという現状が最近は続いておるわけであります。  こうしたことを考えますと、これは日韓だけの問題ではなくて、これからは中国との関係日中関係についても漁業においても重視をしなければいけない現状になっておるわけであります。この日中漁業関係現状はどういうふうになっているのかということと、今の日韓と絡めますと、日中韓の間でこれからの資源管理型漁業を進めていく上で協議をする必要があると考えておるわけでございますが、日中韓の三者の協議状況いかようになっているか、あわせてお聞きしたいのであります。
  6. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 日中間漁業問題でございますけれども、これについても、委員ただいまお話しのとおり昭和五十年に締結されました日中の漁業協定というものが基本でございまして、共同委員会を定期的に設けまして、その場で資源問題、取り締まり問題、各種の情報交換というものを行っているわけでございます。  こういう中で、先ほど韓国漁船の話をいたしましたが、中国漁業の発展にも伴いまして我が国近海中国漁船進出してくる、あるいは東海あたり我が国漁船中国漁船との漁場の競合、これはどちらが悪いということではないのですが、漁場が競合するという問題が発生するようになってまいっております。  そのために、こういう問題につきまして、ただいま申しました共同委員会の場、あるいは一昨年から初めて定期的に水産庁長官向こう漁政局長との間で長官局長会談というハイレベルの事務協議というものも設けまして、いろいろな問題について協議をしているところでございまして、そういう中で、中国側は、中国サイド漁業者の指導を強化するというような返事をしていただいているところでございます。今後ともこういう形で安定的な日中漁業関係をつくってまいりたい、かように考えております。  それから、日中韓三国の協議の問題でございますけれども委員承知のとおり、日韓昭和四十年に協定がございます。日中は昭和五十年、韓中の間にはまだ漁業協定がございませんで、韓国サイドがむしろイニシアチブをとって韓中の漁業協定をつくりたいというような状況で、それぞれの間の熟度の違いというものがございますので、いきなり日韓中三国における何がしかの協議フレームというのは現実的にはかなり難しいと思いますが、私どもといたしましては、先行しております日韓漁業関係、これが、国連海洋法条約原理原則にのっとって新しい枠組みというものが構築できますれば、日中関係あるいは韓中関係がそういう形でフレームづくりができる土壌というものができるわけでございますので、将来的には、やはり三国が錯綜して共同で利用しているこの共同利用海域におきます三国間の資源管理機構なり資源管理フレームといったものが必要ではないか、かように認識しているところでございます。
  7. 河村建夫

    河村(建)委員 現状報告をいただいたとおりでございますが、私は、日中韓の間の機構というものは急ぐ、こう思うわけでございますので、これは、国連海洋法条約日本批准に合わせて早急に、日本がリーダーシップをとって、いわゆる韓中を結びつけながら、三者の間での体制をつくり上げていただきたい、強く要請をいたしておきます。  さて次に、阪神淡路大震災漁業への被害の問題でございますが、相当な被害があったというふうに言われているわけでありまして、心からお見舞いを申し上げたいと存じますが、漁港関係被害はどのような現状であったというように把握されておるか。そしてあわせて、今回のああした大変な災害でございましたが、漁港のいわゆる耐震といいますか、こういうものについての対応はこれまでどういうふうに考えてきておったのか、その辺の認識についてあわせてお伺いをしたいと思います。
  8. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 今回の阪神淡路大震災におきます漁港施設被害でございますけれども関係機関からの報告によりますと、兵庫県を中心といたしまして二十四漁港で約二百三億円の被害報告を受けているところでございます。  被害を受けました漁港施設につきまして、緊急を要するものにつきましては既に応急工事を実施しておりますし、こういう漁港も含めまして被災漁港の本格的な災害査定というものを実施いたしているところでございまして、早期復旧に努めてまいりたい、かように考えております。  それから、漁港におきます地震対策でございますけれども、従来から、地域地震特性なり構造物の重要度というものを考慮いたしまして耐震設計を行ってきているところでございますけれども、今回の地震におきましては、設計時に想定した震度を超えます地震が発生したために大きな被害が生じた。かように私ども認識しているところでございます。  したがいまして、今回の地震によります被害原因究明のために現地調査をやっておりまして、平成七年度におきまして、調査分析結果をもとに、専門家等の助言を得つつ、漁港構造物耐震設計見直し等も含めまして、災害に強い漁港漁村づくりというものを進めていきたい、かように考えているところでございます。
  9. 河村建夫

    河村(建)委員 今後見直しながら漁港についても耐震について考えていく、こういうことでございますので、ぜひ調査をお進めいただきたいと存じますし、そのような形でこれからの漁港づくりをお願いしたいと思うわけでありますが、特にこういう問題が発生をいたしまして、今後これからの、災害に強い漁港づくりといいますか、安心して住める漁村づくりということが重要なテーマになってきた。こう思うわけでございます。  奥尻島の津波問題等もあるわけでございますが、そういうことを考えますと、これからさらに漁港漁村整備促進という問題、安心して住める漁村づくり、こういう観点からその方策が期待されておるわけでありますが、この考え方について、これからどのような形でさらに漁港漁村整備促進を進めていかれようとするのか、お伺いをいたしたいと思います。
  10. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 漁港漁村整備でございますけれども、御承知のとおり、都市に比べまして大変生活環境がおくれております。したがいまして、私ども平成六年度を初年度といたします第九次の漁港整備長期計画、これは平成十一年度が終期でございますが、これを策定いたしました。その中で漁港漁村環境整備というものを特掲いたしまして、特別に位置づけまして、その総合的、計画的な推進に取り組んでまいっておるところでございます。  それから、ただいま委員指摘のとおり、漁港漁村の多くはすぐ背後に山が迫っているような地形条件、あるいは飛び地だとか辺地というような立地条件にある上に、集落内道路も狭くて車が通れないところが非常に多いといったようなことから、地震津波等被害を受けやすい条件下に現在あるというのが実情でございます。  このため、私どもといたしましては、委員指摘方向で、平成七年度から、災害に強い漁港漁村づくり事業というものを新しく創設いたしまして、地震津波などの災害に強く、また快適で利便性の高い漁港漁村づくり推進していきたい、かように考えておるところでございます。
  11. 河村建夫

    河村(建)委員 漁業の厳しい状況、後ほどまた触れたいと思いますが、後継者対策あるいは花嫁探し等々、やはり漁村の暮らしというものがもっと快適なものになっていきませんとこれからの漁業は成り立ちません。その上に、非常に危険である、津波等が怖い、こんなことになりますとますます大変なことになるわけでありますから、その辺の対応について十分な御配慮をいただいて、さらに力を入れて促進を図っていただきたい、このように思います。  次に、ただいま提案、討議をされております法律改正問題でございますが、まず中小漁業融資保証法等の一部改正に絡んで申し上げますが、いわゆる漁業白書からいきますと、日本水産漁獲量、いわゆる日本水産業世界一をずっと誇っておったわけでありますが、一九八八年、平成元年からこちら中国にその座を奪われておりまして、年々漁獲量は減っておるわけであります。千二百万トンが今は九百万トン台だ、こう言われております。  また、漁業センサスによりましても、一九五三年に一次の漁業センサスが開始をされておりますが、当時漁業従事者七十九万人、こう言われております。この漁業従事者は一年間で三十日ということでありますから非常に甘い統計でありますが、日本漁業組合はたしか一年に九十日漁業に従事した者ということで組合員になる資格というふうに聞いておりますが、一年間に三十日以上働けば、漁業に従事すれば漁業者だ、こうみなしての統計で七十九万人。それが三十五年後、五三年に始まりまして三十五年後の八八年の統計で三十九万人というふうになっておりますから、ちょうど半分になった。こういう計算からいきますと、さらに三十五年を足しますと、二〇二三年ごろにはゼロになる、こういう計算になっていくわけであります。このとおりゼロになる、一概にそういうわけにいかぬでしょうが、とにかく漁業従事者は減るばかりという状況であるわけであります。  最近の三K職場とか五K職場にも漁業が入ってきております。さらにこのKは、金にならない職場だ、このKもあるんだ、こういう話になっておるわけでありまして、非常に危機的な状況にあることは御承知のとおりだと思います。それだけに、今回の改正によって、厳しい中小漁業経営者皆さんが少しでも漁業経営というものが成り立つように、金融面からの施策を期待をしておるわけであります。  今回の改正によって、これをどのような形で進めていこうとされておるのか。また、今回の改正によりまして、いわゆる漁業経営改善促進資金を創設する、こういうことになっておるわけでありますが、これによって漁業経営がどのような形で本当によくなっていくのかどうかという関心があるわけでありますが、こういう観点から、今回の改正についての取り組みをお聞きしたいと思います。
  12. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 我が国の沖合・遠洋漁業中核的担い手でございます中小漁業経営は、ただいま委員指摘のとおり、漁獲対象資源の減少、あるいは最近の円高の進展によります水産物の輸入の増加、魚価の低調等厳しい状況にございまして、経営改善合理化を図ることがますます緊急の課題になっているところでございます。  このために、私どもとしては、今回の法律改正をいたしまして、中小漁業経営対象といたします低利の運転資金というものを導入することによりまして、極めて厳しい状況にございます中小漁業経営改善促進に資したいというのが今回法律案をお出ししている一つのねらいでございます。  そのために、現在いわゆる漁特法と言われている漁業再建整備特別措置法というのがございますが、これに基づきます中小漁業構造改善事業というのを業界ぐるみ業界全体で取り組んでおり、それに参加しているそういう中小漁業者というものを対象にいたしまして、今後必要になるでございましょう経営多角化、協業化だとか、あるいは販売方法改善合理化というものを図る、そういう努力に対して支援をいたしたい、これが本改正のねらいの一つでございます。
  13. 河村建夫

    河村(建)委員 今回の改正によって漁業経営が少しでも改善されるということを期待しておるわけでありますから、その運用の益を図っていただきたいのでありますが、特に水産資源そのものが低下しつつあるということが非常に問題でありまして、さらにつくり育てる漁業を進めていかなければいかぬということが極めて重要な問題になってきつつあるわけであります。そのような観点から、今回の改正がいわゆる栽培漁業推進にとってどのような形でかかわっていくのか、あわせてお伺いをしたいと思います。
  14. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 先ほど来お話を申しておりますように、我が国水産業をめぐります情勢は、国際漁業規制のさらなる強化あるいは周辺水域資源状況悪化等、非常に厳しい状況がございます。ただ、基本的には、日本の二百海里水域といいますものは、世界に冠たる潜在生産力を持った最優良漁場であることは間違いないわけでございますので、私ども今後の方向といたしまして、この豊かな潜在生産力を持った日本周辺水域対象といたしまして、いわゆるつくり育てる漁業だとかあるいは資源管理型漁業というものを推進しているというのは御承知のとおりでございます。  これを担ういわゆる推進母体といたしまして、各地域に法人ないしは任意の団体というものがいろいろ実態としてできてまいっております。そういうものに対しまして漁業近代化資金の貸し付けをすることによりまして、例えばホタテ等種苗放流を行っているそういう団体等、あるいは各地域栽培漁業中心的担い手になっております栽培漁業公社といったようなもの、こういうサイドに対しまして種苗生産施設なり種苗の購入、育成に要する資金が借りられるということになるわけでございまして、今回の法律案改正のもう一つのねらいがそこにございます。  そういうことを通じまして、栽培漁業なり資源管理型漁業の一層の推進に努めてまいりたい、かように考えているところでございます。
  15. 河村建夫

    河村(建)委員 次に、漁業災害補償法の一部改正に参りたいと存じますが、いわゆる漁業共済でございます。この役割も非常に大きいものが私はあると思うわけでございまして、いわゆる漁家経営の根幹を支えている大事なものだと思っておるわけでありますが、ただ問題点はその加入率の低さであります。  ここに資料もいただいておりますが、四十年にこれが発足した当時から比べますとふえておるものの、現在漁獲共済が三五・七%、これは平成四年の統計でありますが、養殖におきましても二七・九、特定養殖共済必要性があって進んだものと思いますが、これは八四%。しかし、漁具共済に至っては三・八%というこういう低さでございます。平均をとりましても、まだ四〇%にも至らない、こういう現況にあるわけでございまして、この加入率の低さ、その原因は一体どこにあるのかということをお聞きしたいと思いますし、あわせて、これは時間の関係もありますので、今回の改正によって加入拡大可能性、見通し、地方公共団体との連携強化等々もあると思いますが、どのように対応をしていかれようとするのか、あるいは農業災害補償法のように強制加入考え方、こういうことも考えられるのではないかと思うわけでありますが、このあたりについてお伺いをしたいと思います。
  16. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 確かに、漁業共済事業加入率は、ただいま委員指摘のように、いまだ低い水準で決して満足すべき水準ではないという認識は全く私どもそのとおりでございます。  なぜ加入が低調なのか幾つか考えられますが、一つは、制度面現行制度漁業実態変化あるいは多様な漁業者ニーズに十分こたえ切っていないのではないかというのが一点でございます。  それから次の二点は、まことに残念でございますが、加入されているその漁業者といいますか、対象となる漁業者経営リスクに対するこの共済制度重要性というものの認識がやはりいま一つ低うございまして、これについての理解が十分行き渡っていない。  それから三点目は、これは共済団体あるいは自治体を含めての問題でございますけれども加入推進体制とか行政サイド共済団体との連携が必ずしも十分でない、こういう事情があるのではないかというように考えているところでございます。  したがいまして、幾つかの点で加入促進方策方向があるわけでございますが、その一つとして、今回制度改正をお願いいたしまして、漁業実態変化あるいは漁業者ニーズ多様化というものに対応したいろいろな加入方式というものを導入することによりまして加入拡大というものを図っていきたいというのが一点でございますし、従来から加入促進運動というのを共済団体あるいは漁協系統自治体一体となって展開をしておりますが、さらに、所要の予算措置も七年度予算で我々要求をいたしておりまして、充実をいたしたいというように考えております。  また、農業共済のように強制加入制を考えるべきではないかというお話があったわけでございますけれども、やはり法律にも書いてあるわけでございますけれども、相互救済の精神を基調とする漁業共済事業におきまして、強制措置を伴います。そういう加入制というのを制度として採用するというのは必ずしも適当ではなく、私どもが、問題意識として三つばかり申しましたが、そういう点の隘路を打開することによって一層の加入拡大というものを図っていくべきではないか、基本的にはそのように考えているところでございます。
  17. 河村建夫

    河村(建)委員 共済、ともに助け合う、こういう意味でございますので、今長官御指摘のように、やはり漁業者皆さんにもこの制度の重要性というのを認識を高めていただいて、さらに加入率を高めていただくことがどうしても必要だと思いますし、これからの厳しい漁業経営を乗り切っていくためにも、この制度の充実、発展、これは大事なことでありますから、さらに全力を尽くしていただきたいと思います。  時間が参ったようであります。最後に大臣、せっかく閣議を終えてお見えになりましたから、これからの漁業振興についての取り組みについて決意をお聞かせをいただきたいと思うわけであります。  特に農業問題、これも大事でありますけれども、この方はウルグアイ・ラウンド対策等々で国の方もいろいろな処置がされるということで、これに比較して漁業はどうだという思いが今漁民の間に非常に広がっておるわけであります。このあたりも含めて大臣の決意をお聞かせいただいて終わりにしたいと思います。
  18. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 委員お話しのとおりでざいまして、我が国漁業、大変厳しい情勢にあることは、大方の認識しているところでございます。  一々申し上げませんが、海外漁業の規制だとかあるいは周辺水域における資源量の低下だとか、あるいは就業者の減少なり老齢化とか、さらには景気低迷による価格の低迷あるいは円高による輸入増加と、大変環境は厳しいわけでございます。  こういう惰勢に対しまして、我々としてはこれに対する本格的な水産政策の取り組みが何としても必要であるということでございまして、先ほど委員がお触れになりました。資源管理型漁業、つくり育てる漁業周辺水域、これを前提として、何というか、ちょっと例え話で恐縮でございますが、かつては沿岸から沖合へ、沖合から遠洋へということで日本漁業は発展いたしましたが、まさに周辺水域から体質改善をし、構造改善をして、これからあらゆる施策を講じて伸びていかなければならない、そのためには相当な施策、思い切った施策も我々としては用意していかなければ相ならぬ、さように思っているところでございます。
  19. 河村建夫

    河村(建)委員 ありがとうございました。終わります。
  20. 中西績介

    中西委員長 石橋大吉君。
  21. 石橋大吉

    ○石橋(大)委員 きょうは久しぶりで水産関係法律を二つ審議するわけですが、質問者の顔ぶれを見ますと、六人きょう予定をされていますが、四人まではくしくも日本海沿岸出身の者でありまして、それぞれ地元のことも念頭に入れながら、私も日韓関係の問題を最初に質問したいと思っているわけですが、それぞれ関係されておりますから、領海侵犯をしないようにまず心がけながら質問をしたいと思います。  今申しましたように、まず最初に、日韓漁業実務者協議の結果について、改めてこの機会に伺っておきたいと思います。  水産庁の報告書を見ますと、今度の実務者協議の結果については、まず一つは、「共同漁業資源調査と望ましい新漁業秩序形成への協議」、こういうことで、「日韓両国は、次の事項について確認した。」  (1)両国周辺水域において漁業資源の効率的な保存管理及び安定的な操業秩序確立両国の共通目標との認識の下、両国漁業実態と新たな国際海洋法秩序を勘案しつつ、将来の望ましい新漁業秩序形成のため共同努力する。  (2)この共同努力の一環として、共同漁業資源調査を実施する。  (3)この共同調査を踏まえ、日韓間における将来の望ましい新漁業秩序に関し早期に協議を行う。二項目に、「共同漁業資源調査」ということで、一の共同漁業資源調査は、山陰北陸沖及び北海道沖を対象に、既存の資料を最大限活用し検討評価するとともに、これを補完するための共同乗船調査を実施し、これらを基に、調査資料の分析及び報告書の作成を行う。そして三番目に、「自主規制措置の改定等」というところで、まあ私の地元、山陰沖の問題に限ってここで読ましていただきますと、韓国のばい籠・刺し網漁業我が国沿岸・沖合漁業の間の操業秩序確立のため、民間協議推進。「取締り強化」で、韓国指導船の西日本周辺水域への派遣確保(四年の派遣実績を考慮)取締担当者会議の開催の増加。(年二回)また、小型トロール漁船等の韓国の国内法上無許可の漁船の取締対策を強化。こういうことになっておるわけです。この際、この共同資源調査の実施時期、期間、具体的調査内容、調査が終わった後の新しい漁業秩序形成に向けての両国の取り組みの方向、こういうことについて政府の見解を承っておきたいと思うんです。同時に、自主規制措置の改定について、当面さらに取り締まりを強化する、こうなっていますが、具体的には一体どういうことが確認をされておるのか、まず最初にこの点、一点承っておきたいと思います。
  22. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 先月末に日韓両国間で合意を見るに至りました今回の日韓漁業実務者協議の概要は、ただいま委員が申されたとおりでございまして、将来の望ましい新漁業秩序の形成に共同努力する、その一環として共同資源調査というものをやる、こういうことになっているわけでございまして、この共同資源調査につきましては、私どもといたしましてはできるだけ早期に完了いたしまして、来年度なるべく早い時期にこの新しい枠組み協議に向けた本格的な展開を図ってまいりたい、かように考えております。  それで、共同調査でございますが、海域とそれから性格は、日本側にも相当知見がございますので、これをベースにいたしまして日本調査船に韓国サイドの科学者が乗り込んでいただく、こういう共同調査方式をとりたい、かように考えております。それで、対象魚種は、日韓双方が利用しております主要魚種、例えば山陰北陸地域でございますと、タイ、カレイのたぐい、あるいはニギス、タチウオ、ハタハタといった。どちらかというと底魚系統のものについて調査をいたしたい。  それから調査でございますけれども、漁獲統計あるいは漁業実績報告といったそういうものをベースにいたしまして、今回の共同資源調査でそれを補完いたしまして、資源状況とそれから将来の予測、どういう資源が変動動向をたどるのかということについて十分調査を行いたい、かように考えているところでございます。  それから、今回の日韓漁業協議におきましては、私どもは、先ほども御説明いたしましたように、現行の日韓漁業フレームが、資源保存なり両国操業秩序確立あるいは国連海洋法条約発効という新しい国際法秩序から見て限界に来ているんじゃないか、だから、このフレームの見直しが必要なんだということに全精力を傾けまして協議をいたしたわけでございまして、それがようやく年明け、こういう形で妥結を見た。ただ、その間に、現在自主規制措置というのが何回かの改定交渉で逐次補強、強化をされておりますので、韓国側と現実的な話し合いがつく限り、これは九六年末までということに、二年間ということにいたしましたが、短期間とは申せ、現在の自主規制措置を補強、強化をして日本の沿岸漁業者の期待にこたえたい、こういうことで補強、強化措置をやったわけでございます。  その中で、取り締まりの強化関係、ただいま委員が御指摘になりましたが、自主規制措置で定められておりますいわゆる韓国の指導船の派遣だとか共同乗船、これ以上に昨年は、日韓の首脳会談で日本側の総理から強く申し入れをしたという背景もございまして、大変濃密な取り締まりをやっていただきました。それを、九四年の実績を勘案して指導取り締まりを強化するということになっているわけでございまして、韓国側も大統領以下、これは完全撲滅に向けた最大の努力をするということで政府を挙げて取り組んでおりますので、この違反操業については、私は、昨年は一昨年に比べて一千件オーダーから二百件強ということで激減したわけでございますが、引き続きそういう形でのさらなる減少というのが期待できるんじゃないか、かように考えているところでございます。
  23. 石橋大吉

    ○石橋(大)委員 今長官のお話ですと、韓国側も、大統領を含めて完全撲滅を期してやる、こういうことですから、ぜひひとつ地元の漁業関係者の期待にこたえて、それが実現するように御努力をお願いをしたい、こう思います。  次に、国連海洋法条約批准我が国沿岸漁業の将来展望について伺いたいわけですが、何せ時間が全体で三十分しかありませんので、二つの質問を予定しておりましたが、一つにまとめて質問しますからお答えをいただきたいと思うのです。  まず一つは、国連海洋法条約批准関係国内法の改正についての段取り等についてちょっと伺いたいのですが、御承知のとおり、国連海洋法会議の成果として、一九八二年四月に採択された海洋法に関する国際連合条約、いわゆる国連海洋法条約、これが六十カ国の批准加入を得てから一年後という要件を満たしまして、昨年十一月十六日に発効いたしました。我が国はこの条約に署名はしていますが、まだ批准をしていないわけです。この条約発効に伴いまして、我が国としてもこれが早急な批准、国内法の改正が急がれるところだと思います。本条約批准関係国内法の改正等に対する政府の方針、考え方をまず一つ伺いたいということ。  それから、海洋法条約批准に伴って、我が国周辺海域における二百海里体制の扱い、確立について、一体どういうことになるのか。現段階で予測し切れるところ、し切れないところ、いろいろあろうと思うのですが、現段階で考えられることについてちょっとこの際明らかにしていただきたいと思うのです。  海洋法条約の中で一番重要なことは、この条約批准に伴いまして、沿岸国は二百海里の範囲内で排他的な経済水域を設定することができる、そしてこの海域では、海洋生物資源の開発、保存、管理について主権的権利を持つ、つまり事実上は二百海里に及ぶ漁業領海が認められるということになるわけであります。したがって、乱獲による資源の枯渇、韓国漁民の不法操業に悩まされてきました地元島根県などの沿岸漁民の皆さんももちろん非常に切実にこの点が実現することを待望しているわけであります。  つきましては、今まで御承知のとおり漁業水域暫定措置法によって二百海里の線引きから外されてきました東経百三十五度以西の日本海、この関係海域について、海洋法条約批准された後の扱いはどうなるのか。常識的に言えば、すぐ今度は例外なしに二百海里体制対象の中に取り入れて、今言ったちゃんとした排他的な権利を確立をしていただきたい、こういうふうに考えていますが、この点についての見通し、扱い方がどうなるのか、この際伺っておきたいと思います。  以上です。
  24. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 国連海洋法条約は、ただいまお話しのとおり昨年の十一月十六日に発効いたしたわけでございますが、その際の外務大臣の談話に見られますとおり、国連海洋法条約という非常に広範な海洋法秩序が国際的な原理原則として確立したということは、海洋国家としての我が国の総合的な国益に沿うものであって、政府はこれを歓迎するというのが我が国の基本的な対応、態度でございます。  そのために、私ども水産庁はもちろんのこと、全省的に国連海洋法条約批准に伴いまして国内の関連法、全体で数十本あるわけでございますけれども、それについてのまず総点検と整合性を図るための必要改正、どういうことを改正する必要があるのかということの検討準備作業に新年度早々からも取りかかるということで、現在準備段階中でございます。  水産庁といたしましては、もう既に昨年の後半以来、我が国の特に現行漁業法の制度なり運用をどういうぐあいに考えるべきかということについて相当広範かつ慎重に検討する必要があるということで、庁内に検討体制を既につくっておりまして、現在検討準備作業中でございます。  それから、国連海洋法条約批准いたしますと、二百海里体制というものが当然しかれるということになる、あるいはそうすべきではないか、こういうお話であったわけでございますが、我が国は来年早々にも国会の承認を得まして、なるべく早期に批准をいたしたいというのが我が国の立場でございますが、国連海洋法条約の性格を申しますと、一般的な規範でございまして強行規定ではございません。したがいまして、二国間協定が優先するというのは当然のことでございます。  それからもう一つは、国連海洋法条約に確かに排他的経済水域の設定というのが非常に重要な事項でございますけれども、これは沿岸国の権利でございまして、義務として条約上仕組まれているというものではございませんので、沿岸国といたしましては、排他的経済水域あるいは現在日本がとっているような漁業の専管水域といったようないろいろなバリエーションの中で沿岸国の管理、管轄権というものを主張できる、こういうことになるわけでございます。  現在日本漁業水域法といういわばフルメニューでない形での一定の専管水域法というものを持っているわけでございますが、国連海洋法条約批准後どういう対応をするか、これは船舶の航行、国防問題、海洋汚染の問題、すべて含めましてトータルでどういう形での水域をしくのが日本全体にとってメリットがあるのかというようなことも踏まえまして、政府全体でこれは考えていかなければならない問題だろうというように考えております。  漁業問題に限りますと、現在日韓、日中の協定がございますので、この協定を遵守した操業ルールというのを前提にいたしまして、対韓、対中適用というのは水域法はやっておりませんが、先ほど来御説明いたしましたように、日韓の将来の望ましい新漁業秩序の形成というのは、まさに国連海洋法条約批准後お互いにどういう形での二国間関係が適当なのかということを前向きに検討しようということでございますので、日本側といたしましては、批准国ということになりますと国連海洋法条約原理原則にのっとった主張というのを二国間関係でも展開できるということに相当私は実質的な意味があるのではないか、かように考えているところでございます。
  25. 石橋大吉

    ○石橋(大)委員 今長官のお話では強行法ではない、二国間協議があくまでも優先する、こういうお話でしたが、そう言ってしまうと、日韓なら日韓の間で、韓国なら韓国に従来どおり強硬に頑張られるということになると、海洋法条約批准した意味がない、こういうことにもなりかねないわけです。やはり世界的な国際会議の中で新しくこういう海洋法秩序を確立しようということが条約によって確認されたわけですから、私どもの立場からすると、むしろこの際それを優先をさせて二国間協定を新しい角度からやる、こういうことにしてもらわなければいかぬ。ぜひそういうことで問題の解決をしていただきたい、こういうふうに考えておるわけですが、きょうは時間がありませんから、そういう方向で対処をしていただくということをまずお願いをしておきたい、こう思います。答えは簡単にしてください。
  26. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 若干説明不足だったかもしれませんが、まさに私どもが今回の日韓漁業協議でそういう新しい漁業秩序の形成に向けた枠組みへの道を開けたというのは、国連海洋法条約発効、それから日韓とも早晩批准国になるということを踏まえまして、あるときは沿岸国を主張し、あるときは旗国主義を主張するということができない、そういう国際的な海洋法秩序の原理原則にのっとった二国間協定を新しくつくっていこうという主張をしたわけでございますので、条約的な性格は私がただいま申しましたとおりでございますけれども、これからの日韓日中関係というのは当然国連海洋法条約というものが基軸になりまして展開されていくということになるし、そうあるべきであるというように考えております。
  27. 石橋大吉

    ○石橋(大)委員 再答弁いただきましたが、余り私と基本的な考え方について変わりはないようですから、ぜひひとつそういう方向で頑張っていただきたいと思います。  次に、沿岸漁業後継者対策について伺いたいと思うのですが、実は、ちょっと難しい問題がありますので詳しい話をしたいのですが、もうわずか十分しかありませんから余り詳しい話はできませんが、後継者対策についてこの際伺っておきたいと思うのです。  まず一つは、水産庁の後継者対策をいろいろ拝見をいたしましたが、金額の面でも、その対策の具体的なやり方においても、今担い手問題、後継者問題が非常に深刻なことは御承知のとおりですが、そういう深刻な状態を打開するという観点からいうとまだまだ非常に弱いのじゃないか、もう少し抜本的、積極的な対策が講じられないのかどうか、こういうふうに私は思っておりますので、その点について伺いたいと思うのです。  まず、そういう意味で、きょうの委員会の審議は、もう言うまでもなく中小漁業融資保証法等の一部を改正する法律案、そして漁業災害補償法の一部を改正する法律案、この法律案を審議、可決をすることでありますが、この二つの法案については、私もまた社会党も基本的に賛成であります。賛成でありますが、いろいろ考えてみると、この法律で一番ひっかかるのはやはり後継者問題ではないか、こう思っているわけです。  と申し上げますのは、私も若干地元の漁業関係者の意見なども聞いてみましたが、例えば、漁業近代化資金なんかの融資枠に対する融資の状況を見ると、六割か七割かという水準にとどまっている、こういうような状況もありますし、さっきから大臣も言われますように、最近日本漁業をめぐる情勢は非常に厳しいわけですね。したがって、漁獲高も減る、逆に輸入は急ピッチでふえていく、そういうことで、非常に厳しい状況に対して将来展望を失い、投資意欲を失っている、こういうこともあると思うのです。  それをもう一つ突っ込んで言うと、何よりも後継者がいない、せっかく多額の資金をつぎ込んで設備の更新をしたりしても跡取りがいない、後、それを担う若手がいないということから、どうも積極的に投資をする意欲が燃えない、こういう状況になっている。そういう意味で、せっかくこの構造改善のための資金提供だとかをしても、それが利用されない結果に終わるおそれがあるのじゃないか、こういう感じがしているから、後継者問題だ、こう言っているわけですね。  漁業災害補償法関係についても、加入率が非常に低いことが大きな根本的な問題になっていますが、これなんかも、余りストレートにはつながっていないかもしれませんが、諸般の情勢からいうと、やはり跡取りがいないとか担い手がいないということもかなり影を落としてそういう加入率の低さになっているのじゃないか、こういう感じがするわけであります。  そういう意味で後継者問題が非常に大事なんですが、御承知のように、沿岸漁業の就業者数も、一九七五年から九三年までに約十万人ぐらい減少しているわけであります。全体の数が三十七万人ですから、この十万人という数は非常に大きいということは申し上げるまでもないと思います。平成五年の男子年齢別漁業就業者の構成を見ましても、六十歳以上が三三・九%、四十歳以上五十九歳未満の人が四五・八%で、約八〇%になるわけですね。こういう点で、若い担い手の不足が非常に深刻だ、こういうことになっているわけです。新規学卒、高校卒の就業者の漁業への就業状況を見ましても、昭和五十九年千三百六十七名というのが平成五年では五百六十五名と、三分の一に激減をしているわけですね。水産高校の平成五年の卒業者を見ますと、三千六百八十八人中、漁業就業者はわずかに二百十六人、こういう結果が出ているわけであります。  こういうことを考えると、最初に申しましたように、かなり思い切った対策を講ずる必要がある。今度、農業関係では、ガット国内対策の中で新しい青年就農者に対する画期的とも言うべき具体的な法律制定をやりまして、農業大学校で研修するときには毎月たしか五万円だったと思います、それから先進農家で研修する場合には月に十五万だと思いますが、そういうかなり思い切った援助、融資もしながら若い後継者を確保しようとしているわけです。せめてこれぐらいなことは最低水産庁でもぜひ早急に具体化をしていただく必要があるのではなかろうか、こう思っているわけであります。  この点についても質問を二つ、三つ準備していましたが、時間がありませんから、つけ加えて若干補足をします。  農業も漁業もそうですが、伝統的な、いわば父子相伝で生業として、なりわいとして漁業を継ぐ、農業を継ぐという形はもう崩壊していますね。したがって、漁家の子弟にだけ後継者を期待することは非常に無理がある。思い切ってこの際、都市の青年、都市で会社勤めをしている人などからも後継者を確保するぐらいのことを考えなければいかぬ、こういうところへ来ていると思います。  この水産関係についてはそういう調査があるかとこの間企画課長に尋ねましたところ、水産関係についてはないということですが、農業関係についていろいろなアンケート調査なんかを見ますと、結構、東京や大阪で会社勤めをしている若い人の中には、三割、四割と、できれば農村で暮らしたいとか、農業をやりたいという人がおるわけですよ。問題は、そういう人たちをちゃんと農村や漁業に積極的に導入するような誘導政策を具体化をする、それが非常に大事になってくるわけです。そういう意味でぜひ検討いただきたい。  私は島根県ですから、島根県の隠岐の知夫村というところがありまして、大臣御承知かとも思いますが、昔は島流ししたり、絶海の孤島みたいな感じのところですが、絶海の孤島と言うとちょっと言い過ぎかもしれませんが、非常に人口も急減をしまして、平成四年、五年と、村で五百万円以内で牛何頭かで農業をやってくれ、五百万円以内で漁船一隻で漁業をやってくれ、こういうことで募集をした。そうしたら、全国から電話で問い合わせが二百件ぐらいあったというのです。実際入ったのは、いろいろ選考しまして七人入っていますが、そのうち六人は漁業なんです。ずっと続くかどうかわかりませんが、目下のところ頑張っている。  これはどこから来ているかというと、神戸、大阪、京都が一人ずつ、和歌山、九州、そんなことで、都会から結構来ておるのです。今、過疎が進んでおりまして空き家なんかもありますから、空き家を利用しながら家族で村へ定住してやってもらう、こういうことでやっているところがあるのです。  こういうことを見ると、都会におる若者が農業や漁業に何も興味や関心を持っていない、こういうことは言えないわけでありまして、積極的にやる意思がある。ぜひひとつそういう観点で抜本的な後継者対策を講ずるべきだし、やってほしい、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。  まず長官にお答えいただきまして、締めくくりにひとつ大臣の決意のほどを伺って終わりたいと思うのです。
  28. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 委員指摘のとおり、漁業サイドにおきましても年々就業者数の減少、高齢化というのが進んでおりまして、大変重要な問題であるという認識をいたしております。  それで、ただいまのお話のように、漁家の子弟だけでなくて、漁家出身以外でも意欲と能力を持った優秀な若い人を積極的に受け入れていくというのも漁業サイドとしても非常に必要だという観点で、例えば平成五年度に沿岸漁業改善資金助成法というものを改正いたしまして、漁家の子弟以外の新規参入者も新たに対象にいたしまして、青年漁業者等がみずから研修や新たに漁業経営を行うのに必要な資金を無利子で融資いたします青年漁業者等養成確保資金というのを設けたところでございます。  そういうようなことも含めまして、基本的にはやはり魅力ある産業として漁業を育て、それから魅力ある地域社会として漁村を育成、振興していくということが基本だろうと思いますので、漁港漁村整備あるいは沿岸漁業中小漁業を含めた経営改善強化というものに取り組んでいきたい、こういうことを考えているところでございます。
  29. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 お話しのとおりでございまして、ガット・ウルグアイ・ラウンド国内対策においては、農業では、農業内外から青年の就農者を確保する、非常に広い視野に立って一つの支援制度を制度化いたしました。漁業もこの方向に沿った。実態に即した制度についての検討を行うべき段階に来ているのではあるまいか、私はそう思うわけでございます。そういう意味で、農業と漁業とは実態が違う点もありますけれども、二段、三段の努力は必要であるというふうに私は思います。
  30. 石橋大吉

    ○石橋(大)委員 御承知のとおり、漁業は海上で仕事をする、特に男子の後継ぎ、男の仕事だ、こういうようなこともあるし、いろいろな意味でかなり高度な技術、経験を必要とするという点で少し農業と違っている点もありますから、そういうことを念頭に置いて、思い切って後継者対策をひとつ具体化していただきますようにお願いをして、質問を終わります。ありがとうございました。
  31. 中西績介

  32. 初村謙一郎

    ○初村委員 新進党の先輩方のお許しをいただきまして質問させていただきたいと思いますが、通告のとおりにやろうというふうに思っておりましたが、ちょっと一つだけ確認だけさせていただきたいと思います。  地元の方からある新聞を送ってきました。日刊水産経済新聞三月二日号、それから日刊水産通信。この中に、今お話がありました日韓漁業実務者協議会の報告を遠藤振頭部長がされておりますけれども、事実確認だけさせていただきたいと思いますが、その新聞の内容に、水産庁は二月二十八日、自民党水産部会に報告の後に発表された。要するに、自民党の水産部会に報告の後に公式に発表されているということが一つでございます。それともう一つは、これは記者会見で言われたというふうに報道されておりますけれども、自民党水産部会の訪韓などの、要するに事前の訪韓が今回の協議会の成功に相乗的によい結果を生んだのだというふうな記者会見をされておりますけれども、間違いないでしょうか。
  33. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 まず第一点でございますけれども、ソウルにおきまして、二十七日それから二十八日予備日ということで、実質最終的な協議という双方のネゴのもとに、それまでの間のいろいろな在外公館を通ずる折衝を踏まえまして行ったわけでございます。それが、二十七日中でございましたが、実質合意に至りまして、韓国側は二十八日の午後にでも公表をいたしたい、こういうことでございましたが、私どもといたしましては、予備日を設けていたこと、あるいは日本側の代表である遠藤振頭部長が日本に帰ってきてから正式に公表するというのがいろいろな背景説明もあるからいいだろうということで、午後五時に公表の時間をセットしておきまして、それは韓国側もそこは日本側の御自由にやってください、こういうことになりまして公表が二十八日の午後五時になったわけでございます。そういう経緯がございますが、自民党の水産部会が二十七日の午後三時にセットされておりまして、その場で、阪神大震災報告等々と一緒に、まだ公式公表には至っていないが大体実質こういう方向合意できそうだという形での報告をさせていただいたというのが一点でございます。  それから、今回の日韓漁業協議が比較的日本側が思っていた方向に進めたということについては、私どもはいろいろなサイドに申しておりますけれども、三度、APECを含めますと四回にわたる日韓首脳会談におきます総理の強い御要請、それから外務大臣、官房長官も当然お話をされましたし、それから日韓議連を中心といたします。そういう国会議員の先生方の御支援、それから与党の訪韓団等々の御支援の力があずかって大であった。こういう認識を申しておりまして、そういうことを遠藤部長は記者会見でレクチャーの背景説明として申し上げたのだろうと承知をしております。
  34. 初村謙一郎

    ○初村委員 まどろっこしく言わなくていいんですよ。要するに、公式な発表の前に自民党の水産部会に発表されたというのが一点。それからもう一点は、自民党の水産部会の訪韓があったからこの協議はスムーズにいったんだという記者会見をされているのかどうかということです。
  35. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 ただいま申しましたように、前日たまたまセットされておりました自民党の水産部会に、まだ最終報告をいたすまでには熟していないけれども、こういう方向でおおむね合意できそうだという性格として報告をしております。  それから第二点目は、自民党の訪韓団の力がということだけでございませんで、私が申し上げましたとおりいろいろなサイドの御支援、これは系統団体の強い支援もございますし、自治体努力というのもございます。そういう全体の一環として話をされたというように承知しております。
  36. 初村謙一郎

    ○初村委員 遠藤振頭部長、きょうはどこにおられますか。
  37. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 遠藤振頭部長は、その後三月五日付で経済局の国際部長に就任しております。
  38. 初村謙一郎

    ○初村委員 呼んでいただけませんか。私、持ち時間が一時間ありますので、もし時間があれば呼んでいただきたいと思います。よろしいですか。  それでは、質問をさせていただきたいと思います。  今回の水産二法の法律に対して、基本的な認識としてぜひ大臣とそれから水産庁長官にお願いをしたいというふうに思いますが、ウルグアイ・ラウウンド対策として農林関係でいいますと六兆百億円というふうな措置、事業費が確保されたということは、ある意味では新食管法の制定にまで持ち込まれた大臣の力量に対して心から敬意を表したいというふうに思っております。  ただ、農業政策と水産政策を比較しまして、いろいろな施策の中でも断然違うというふうな感じが私はいたしております。その一つとして、例えば私が思っております漁業に対する認識、これは水産庁長官に私の認識が間違っておったら訂正をしていただきたいと思いますが、一つは、要するに八六年、これはガット・ウルグアイ・ラウンドが始まったときでありますけれども、この年の我が国漁業の生産量が平成四年までの間に三割近く減っているということ、それから金額にしましても五%減少しているということ。それから水産物の輸入については、輸入量が一・六倍、金額にしましても一・五倍になっているということであります。水産物の自給率にしましても、一九八六年から九二年までの六年間の間に一〇一%から八三%に減少しているということ。それから、漁業就業者の減少ですね。先ほども後継者の問題がありましたけれども、四十二万人から三十四万人と二割減っている。農業者と比べますと、農林漁業者が四百五十万から三百七十五万、約一七%減ったのに対して、漁業者は二〇%も減っているということであります。漁家と農家の所得を比較してみましても、漁師の家は一世帯当たり農家の八割に達しないという現状でありますけれども、その格差といいますか、それはずっと余り変わっていないのですね。こういう認識で間違いないですか、長官。
  39. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 基本的にはただいま委員おっしゃったとおりであろうと私も考えております。  ただ、この間にマイワシを中心とする日本漁獲量が二百万トン強減っているというのが生産量の三割あるいは自給率というものに大きく影響しているのだろうと考えております。
  40. 初村謙一郎

    ○初村委員 マイワシだけなのかどうか、輸入品目が非常に多いんじゃないでしょうか。その辺についてはどうですか。
  41. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 日本が全体で利用しております一千二百万トン前後の水産物の中で三百万トン強、これは輸入ベースでございますので、原魚あるいは製品もございますので直接の比較はなかなか難しいのでございますが、三百万トン強輸入されております。この輸入の最近の増加というものも当然のことながら水産物の自給率に影響しているわけでございます。
  42. 初村謙一郎

    ○初村委員 長官、これは所得からしますと、要するにIQ品目が非常に多過ぎるなという感じが私はしております。ある面では自由経済の法則を完全に無視している。例えば、魚がとれなくなっているんだけれども魚価が下がってきているという現状なんですね。これは農業あるいは農産物と比べると全然違ってきているなというところに私は問題があると思うのです。  そこで大臣、このような現状をどのようにお考えでございましょうか。
  43. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 初村委員のおっしゃったとおりでございますし、また、鎭西長官からお話し申し上げたとおりでございまして、我が国漁業は逐年厳しさを加えているということはもう疑いのないところでございます。  先ほどもお話に出ましたが、漁業就業構造を見ても、六十歳以上の就業者が三分の一を占める、あるいは四十才以下の就業者が二〇%程度になっておるということ一つをとりましてもなかなか厳しいわけでございますし、中小漁業等における経営の赤字幅がふえているとかあるいは価格の低迷、輸入水産物の激増ということがございまして大変厳しい情勢にあるわけでございます。これについては、それぞれの面における格段の政策展開が必要である、さように思っておるところでございます。
  44. 初村謙一郎

    ○初村委員 そういう面からすると、大臣、水産に関するこういった融資制度、今回の中小漁業融資保証制度を含めて少し手がおくれてきているんではないか、農業と比べると非常におくれた施策だったんではないかなということを私は考えております。  今回低利の運転資金が新設をされるわけでありますけれども漁業経営改善促進資金、これは新設されたということは前進でありますけれども、例えば農業のスーパー総合資金のように、金利二%、十年据え置き、二十五年償還というふうな、考えられないような優遇をされた資金があるわけですね。  私自身も、先代までは実はまき網の経営者でありました。私自身はおかに上がりまして、洋ランの園芸をやっております。そういうことで、よくこの資金を比較をしてみるのでありますけれども漁業については、農業と同じように長期の、償還期限の非常に長い、あるいは返済期限も非常に長い、しかも低利の施設資金、農業で言うスーパーL資金、このような、同じ比率のあるいは同じ数値のこういう融資制度というのはなぜできなかったのかということを教えていただきたいと思います。
  45. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 漁業と農業とでは、当然のことでございますが経営実態等が異なりますために、両者に係ります制度を単純に比較するというのは必ずしも適当ではないと思っておりますけれども漁業分野におきましても、私どもといたしましては、その時々の必要性に応じまして設備資金なり、負債整理資金等を逐次整備強化してまいったつもりでございます。特に、漁業再建整備特別措置法に基づきまして構造改善事業を行います中小漁業者が、省エネルギー漁船だとか共同運搬船等の設備を取得する場合には、公庫資金の中に漁業経営再建整備資金というものがございまして、これは四・二五%の金利でございます。同じような中小企業構造改善貸し付けが四・六五ということを比べますと、そういう面では漁業サイドの厳しさに相当配慮をしているのではないか、かように考えております。  それからもう一つ漁業経営の維持が非常に困難となっております中小漁業者に対しましても、既往債務の整理のための長期低利資金でございますいわゆる漁業経営維持安定資金というものの融通もやっているところでございます。  ただ、ただいま委員がおっしゃいましたように、農業サイドは農業サイドのいろいろな事情というものを踏まえましてああいう形での資金制度というのがつくられているわけでございますので、私ども、今回創設いたしますこの漁業経営改善促進資金の早急な有効活用を図ることは当然でございますが、引き続き、融資面でどういう充実強化ができるかということについては今後とも検討してまいりたい、かように考えているところでございます。
  46. 初村謙一郎

    ○初村委員 私は、今漁業と農業の比較を申し上げましたけれども、農業が優遇されているとは思いません。しかし、二%の十年据え置きの二十五年償還というのは、漁業だけじゃなくて、一般の商業についても非常にびっくりされるような資金なんですね。ある面では、国がそれだけ農業政策を重視しているという点にあるわけですが、私から言わせると、漁業を非常に軽んじているのではないか、水産国日本でありながら。そういう意味合いからすると、ちょっと足りないなというふうな感じがいたしております。  例えば、今度の融資制度の中に、対象となる六つの特定業種、これが沖合の底びき網、以西底びき、遠洋カツオ・マグロ、それから近海のカツオ・マグロ、まき網漁業、それから中型のイカ釣り漁業、この六つですね。先ほど答弁をお聞きしておりましたら、沿岸漁業についてはどうなんですか、今度の融資制度はないのじゃないですか。
  47. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 沿岸漁業中小漁業を比べてみますと、沿岸漁業中小漁業に比べまして、いわゆる日帰り操業等が主でございまして、運転資金の需要という面においては中小漁業と格段の違いがあるというのが一点でございます。  それから、沿岸漁業者につきましては、ただいまも申しましたように、その経営維持のためにあるいは負債整理のためにいろいろな緊急資金を設けておりまして、そういう対応は相当充実した対応を既にやっているということがあるわけでございます。
  48. 初村謙一郎

    ○初村委員 ちょっと法案と離れますけれども、私は両方よく知っているわけですね。その中で思うのですけれども、例えば農業分野で金利が五%を超える公庫資金の借りかえについては、これは農家負損軽減支援特別資金が設けられておるわけですが、漁業の分野ではそういうのは先々全然考えられておりませんか。
  49. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 沿岸漁業者対応いたします既往債務の借りかえのための制度といたしまして、先ほど来申しました。いわゆる緊急融資制度と言っているものがございまして、比較的よく使われておりますのがこの漁業経営維持安定資金というものでございますし、さらにもっと大変な経営状況になっている漁業者に対しましては、関係機関の支援、協力というものを前提にいたします二%の漁業経営再建資金というようなものがございます。
  50. 初村謙一郎

    ○初村委員 経営形態が違うということでありますが、ただ沿岸漁業の数からしますと、漁業経営体の九五%でしょう、もうほとんどですよ。それから、就業者三十四万二千人のうちの八三%ですよ、これが沿岸漁業に従事をしているということであります。そういう認識を持って、ぜひ将来的にも日本が水産国であってほしいという気持ちを私は訴えているわけでありまして、水産庁としては、漁業経営体が違うからとか規模が違うからとかということではなくて、漁業に息づく若い人たちにもやはり明るい光を与えていただきたいという気持ちで、この点はぜひ前向きに将来展望を示していただきたいというふうに思っております。  それから、漁業災害補償制度についてちょっとお聞きをしたいと思います。ニーズに合わなかったということでありますけれども加入率が低い原因、どういうところにニーズが合わなかったのか、それから今回の見直しについて何年ほどそのニーズというものを調べられたのか、その辺についてちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  51. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 例えば、漁業共済に関します漁協系統、これが一番推進の母体になっているわけでございますが、漁協系統漁業者に対してアンケートをとっておりまして、そこでなぜ加入をしていないのかというのをいろいろ聞いているものがございます。  これによりますと、例えば漁協の市場でいわゆる共販をしていない、これは制約としてやむを得ないのでございますけれども、各種の漁業共済制度につきまして、たとえば共済金の問題、補償水準の問題、それから加入方式の問題、それから制度が非常に複雑である等々の問題をいろいろ漁業者が問題意識として持っておりまして、そういう加入していない理由のできるだけその隘路というものを制度的に取りまして、なるべく加入しやすい、わかりやすい漁業共済制度にしたいというのが今回の改正のねらいの一つでもございます。
  52. 初村謙一郎

    ○初村委員 先ほどの質問の中に、どれくらい前からこの調査をやられておるのか、それから要するにニーズに合わないという理由はわかっております、わかっておりますけれども、どれくらいのスパンでこれをやられようとするのか、教えていただきたい。
  53. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 こういった形での漁業者に対する意向の調査というのは、前回六十三年に制度改正をやっておりまして、その後三年に一度ずつ継続的にアンケート調査をいたしまして、漁業者ニーズの把握に努めているところでございます。
  54. 初村謙一郎

    ○初村委員 通告にない質問をさせていただいて本当に申しわけないというふうに思っておりますが、私は非常に、冒頭に言いましたように、新聞を見てからかなり激怒しておるのです。大変申しわけないのですが、できるだけ通告に従って質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  最後に、この漁業災害補償制度について一つ心配な点がございますのでお聞きをしたいと思いますが、漁済連の収支は、最近の単年度の収支を見ますと黒字なんですけれども、収支の累積を見ますと百十六億円くらいの赤字になっているのではないかと思うのです。この長期的な収支に配慮して、分担の割合を連合会の理解を得て決定をすべきではないかというふうに思っておりますけれども、どうでしょうか。
  55. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 連合会の収支につきましては、ただいま委員指摘のとおり最近はかなり好転してまいっておりますけれども、過去の累積赤字というものがあるというのも事実でございます。ただ、そのためにいろいろと無利息、棚上げ措置等々を行うことによって、国も相当の支援をやってまいっております。  ただ、いずれにいたしましても、この共済制度におきます国と漁済連の間の責任分担の考え方でございますが、やはり一定水準以上の大きな事故部分についてはその大部分を国が負担するというのが私は基本原則だというように考えておりますので、改正後の国と連合会との責任分担を決める場合にも、当然連合会の経営に支障の生ずることのないように、各方面の御意見というものを十分踏まえまして設定をしていきたい、かように考えているところでございます。
  56. 初村謙一郎

    ○初村委員 次に、これはもう基本的なことですからお聞きをしたいと思いますが、資源問題について触れたいと思います。  二百海里の時代に入ってまいりましたけれども、要するにある面では漁場が狭くなってくるわけでありますけれども、資源の枯渇というふうな心配をする。あるいは、魚探とか電子機器などが非常に発達をしてきております。そういう面では先ほどから出ておりますように、とる漁業から育てる漁業といいますか、これは日中問題についてもこの問題が出てきておりますので後でお尋ねをしたいと思いますが、要するに資源自体が低水準にあって、栽培漁業などによってもなかなか回復が困難というふうに私は思っております。  そこで、管理型漁業ということで調整が行われておりますけれども、資源量に見合った漁業体制にしていくということは、大幅な縮減といいますか、経営体を少なくしていく、あるいは捕獲量を少なくしていくというふうなことをしなければならないのではないかなという時代が来るのではないかというふうに思います。  資源の回復のために水産庁としてどのようなことをやられようとするのか、あるいはどのようなことを打ち出していくのか、どのようなことを考えておられるのか、教えていただきたいと思います。
  57. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 御指摘のとおり、二百海里体制の定着あるいは公海漁業に対します規制強化の急速な動き等に対応いたしまして、世界に冠たる潜在生産力を持っております我が国周辺水域の持続的な高度利用を図るというのがこれからの我が国漁業なり漁村の生きていく道であろうという認識は、委員と全く同じだろうと思います。  ただ、御指摘のとおり我が国周辺水域は相当長い間かなり欄密な利用が行われてまいっておりますので、特に国民の非常に需要の強い底魚類を中心にいたしまして資源状態が悪化しているということも事実でございまして、この潜在生産力を持った周辺水域を将来にわたって安定的に利用していくというのが非常に重要な課題になっているわけでございます。  そのために、私どもといたしましては、国連海洋法条約批准発効というのを踏まえまして、我が国周辺水域漁業資源の実態、それからどういうとり方をしていけば将来的な資源量がどうなるのかという動向予測というものを、この七年度からかなり充実をいたしまして対応をしていきたい。そういうものを踏まえまして、いわゆる栽培漁業といったようなもの、あるいは沖合での養殖業といったようなものの振興を図りますと同時に、資源量と現在の漁獲量が、相当漁獲努力量が大きいというものにつきましては、漁業生産構造の再編成、いわゆる減船対策というものもこれから引き続き続けていく必要があろう、かように考えておるところでございます。
  58. 初村謙一郎

    ○初村委員 法案との関係で言いますと、私は、まさに今言われたような、将来資源の確保という観点でこの金融制度を回した方がいいんじゃないかというふうに思っているのですが、どうですか。要するに、先ほど言いました二法を含めて、将来的に資源確保のためにその金融制度を修正する、改正するというぐらいに大胆にやらないとどうなのかなと私は危惧をしておりますけれども、どうでしょうか。
  59. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 先ほど来も御説明いたしましたように、一つはそういう栽培漁業公社といったような資源管理を行います地域の会社なり団体を近代化資金の貸付対象者に加えるというようなこともやっておりますし、今回の漁業経営改善促進資金は、まさに従来、ともすれば漁船設備の重装備と申しますかあるいは船団構成をきちっとした形で、コストがかかり、大量の水揚げでないとなかなか漁業経営自身が成り立たないということに陥りがちであったわけでございますが、構造改善計画の今後の方向といたしましては、省エネだとか省人化あるいは販売面の多角化だとか、産晶の付加価値向上といった。重装備型でない、どちらかというとソフト面も加重したリストラ、新しいそういう中小漁業経営体をつくっていくべく今後私どもとしてはそういう形での構造改善計画の策定に向けて努力をしていきたい、かように考えております。
  60. 初村謙一郎

    ○初村委員 期待をしておりますので、お願いしたいというふうに思っております。  それから、日韓漁業問題についてですが、私は長崎の監視船に乗ったことがございます。船籍も、それこそペンキを塗ってどこの国のどこの漁船かわからない。その監視船の中で韓国語とあわせて中国語でも呼びかけますけれども、なかなか操業をやめようとしないというふうな現状を見ております。国内におきますと、例えば密漁をやっている漁船に対しては、海上保安庁もペンキを、発射式の銃みたいなものでやっておられますけれども、そういった取り締まりがある面では逆に発砲事件ということまで起こしている、向こう側から。向こうといいますか、日本じゃない漁船の方から発砲されるという現実もあっているようであります。  そこで、私先ほど、これは趣旨とちょっと違いますが、日韓漁業の問題について質問を、私は説明を聞いておりません、このぺーパーを一枚いただいただけでございますので、お願いしたいと思いますが、先ほど冒頭に言いました遠藤さんの話ですが、何か政府委員ではないというふうなことでお見えじゃないし、しかも外出中ということで連絡がとれないということで間違いないですね。
  61. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 そのようでございます。
  62. 初村謙一郎

    ○初村委員 ただ、先ほど長官言われましたAPECを含め四回、この間に歴代何人の総理がおられますか。
  63. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 細川総理、羽田総理、村山総理という内閣でございましたが、その三回は、たしか細川総理が二回、村山総理が一回、それにプラスAPECで村山・金泳三大統領が一回行われていると承知しております。
  64. 初村謙一郎

    ○初村委員 私は、自民党さんが主導でやられているということに文句を言っているのじゃないのです。要するに、水産庁の姿勢として、どうしても自民党の水産部会を通さないとこの話ができないのかどうかというのが一つ問題だと思いますし、それから新聞の書き方にもよるのでしょうけれども、私は、今の漁業実態からいいますと、要するに全国民が挙げてこの問題を真剣に考えておかないと大変なことになりますよということを申し上げたいのであります。水産庁の姿勢としてどういうことなのか、これは事実とすればゆゆしき問題であるというふうに認識をしておりますけれども、どうですか、長官。
  65. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 先ほど申しましたとおり、実質的に二十七日に合意ができそうになったという状況を踏まえまして、たまたま、あらかじめ先週からセットされておりました自民党の水産部会に、二十七日に他の案件の報告とあわせまして、あす公表いたしますけれどもこういう形で合意ができそうだという報告を行っておるというのが事実でございまして、決して、ただいま委員指摘のようなことで私ども協議が調いつつあるからということで急遽水産部会を設定していただいた。こういうことではございません。
  66. 初村謙一郎

    ○初村委員 他の報告というのは何ですか。あした明らかになりますけれども他の報告というのは何ですか。
  67. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 済みませんでした。自民党の水産部会は二十八日の三時でございまして、公表が五時でございました。ちょっと私勘違いしておりましたので……。  他の報告は、阪神大震災におきます水産被害漁港被害なり共同利用施設の被害、そういう報告をやっております。
  68. 初村謙一郎

    ○初村委員 今発言の中に、あした明らかになりますがというのは何ですか。何が明らかになるのですか。今言われたでしょう。
  69. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 私がたまたまその記者会見に立ち会っていませんでしたものですから、ちょっと事実関係を申し上げましたが、自民党の水産部会は二十八日の三時に開かれておりまして、その際に阪神大震災報告とあわせまして、本日五時にプレスに公表するという運びにしておりますけれども、こういう中身で実質合意ができましたということをお話し申し上げました。  それから、余分なことかもしれませんが、その二十八日になりまして、与野党の国会議員の先生方には極力御連絡するように、私ども御説明に参るあるいは関係資料を手交させていただくということをやっております。
  70. 初村謙一郎

    ○初村委員 対応の仕方が、私さっき言いましたように、自民党さんと私どもとの対立の構図をつくろうということじゃないのです。漁業問題は農業問題以上に、あるいは同じぐらいに全国民が対処していかなければいけないという認識を持っていただきたいということなんです。よろしゅうございますか。  そのぺーパーを私はいただいております。お会いできませんでしたけれども、この中で幾つか質問させていただきたいと思います。  昨年来交渉が続いてきました日韓漁業自主規制の措置が二月二十七日に合意に至っております。これは先ほど説明があったとおりでございますので、その中で新漁業秩序というのはどういうことなのか、この辺を具体的に教えていただきたいと思います。
  71. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 私ども韓国との間で合意をいたしました表現がまさに、先ほど御説明いたしました。将来の望ましい新漁業秩序の形成に共同努力していく、この努力の一環として共同資源調査を実施し、その調査を踏まえて日韓間におきます将来の望ましい新漁業秩序に関し早期に協議を行うというのが合意文書のそのものでございます。  ここで新漁業秩序とは何かということでございますが、九回にわたります協議、あるいは私も庁長長官会談というのをやっております。そういう経過を通じて私どもが主張いたしましたのは、先ほど御説明いたしましたように、国連海洋法条約発効、それから両国ともこの批准国になるという状況を踏まえて、日韓二国間の漁業関係は、長い歴史と経緯、背景、錯綜した水域共同で使っているという特殊性はございますけれども、資源保護あるいは操業秩序のルール化、あるいは国際漁業秩序国連海洋法条約考え方を軸にこれから展開していくという状況を考えますと、新しい日韓漁業枠組みをつくっていく必要があるのじゃないか。そういうことで、よく日韓漁業の新しい枠組みづくりを目指した協議ということを我々も言っておったのでございますが、そういう考え方に基づく協議を早急に始めたいということで双方の合意ができた。こういうことでございます。
  72. 初村謙一郎

    ○初村委員 そういったこともあるでしょうし、私は、むしろ漁師の声を聞きますと、現場で働く人たちの声を聞きますと、要するに、日本漁船の邪魔を韓国漁船がしているのじゃないか。侵犯の問題もありますし、あるいは、公海といえどもそういったルール無視でやっている、例えば網を切るとか針を切ってしまうとか糸を切ってしまうとかという問題が起こっている、そういったものも含まれているわけですね。その手始めとして資源調査をやりましょうということなんですか。
  73. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 ただいま申しましたように、現行の日韓漁業枠組み、いわゆる漁業協定プラス自主規制枠組みでは、ただいま委員指摘のように違法操業、あるいは違法操業とまでは言えないのですが双方の操業方法の違いによる漁場でのトラブル、あるいは中長期的に見て資源の保護管理措置として十分かどうかということについて限界があるのではないか、仕組み自身にそういうことをきちっと担保できることをインプットする必要があるのではないか、それに加えて、国連海洋法条約発効両国批准という新しい事態になったではないか、こういうことを向こう側に強く要請をいたしました。  韓国政府としても、中長期的にそういう枠組み日韓漁業というものを考えていかなければ、韓国漁業サイドにとってもメリットにはならないということについて御理解を得られたのではないか、そういうように私は理解をしております。
  74. 初村謙一郎

    ○初村委員 最後に、小型トロール漁船等の韓国の国内法上無許可の漁船の取り締まり対策については強化するというふうに書いてあるのですが、許可をもらったこういった漁船が、そういう違法操業を公海あるいは日本海側でやってきた場合にはどうなるのですか。
  75. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 韓国の政府当局の正規の許可を受けて日本周辺水域で操業している漁船との間の操業のルール化等々が、今まで苦労してまいりました自主規制措置の中身でございます。  それに加えて、最近、韓国漁業制度としては認められていない、いわば無法漁業と申しますか、小型トロール漁船が現実的に日本の近海に相当参りまして操業するということでございますので、これについては本来存在してはならない漁法、漁船でございますので、そういうものについても取締官会議あるいは日韓の実務者会議で議題に取り上げまして、これの根絶対策ということについて韓国側の協力もお願いするということを、今回の合意一つの柱といいますか、そういうことで新しくこれは加わった。こういうことでございます。
  76. 初村謙一郎

    ○初村委員 日中にしましても日韓にしましても、まさにその部分が問題なんですよ。  そこで、今議題となるということでありますが、具体的にどういう回答が韓国側から引き出されておりますか。
  77. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 違反操業のそういう小型トロール漁船につきましては、いわゆる日韓協定なり自主規制措置対象外の話で、存在しない漁船のことでございますので、従来その枠組み対象にはなっていなかったわけでございます。  したがいまして、その枠組みのほかに、日韓の実務者会議あるいは取締官会議の場で、こういう漁船がいっこういうところに進出をして、日本定置性漁具を損壊したり漁場競合でトラブルを生じているということを通報いたしますれば、韓国当局はそれを受けて国内での取り締まり体制、罰則等々の対応をする、こういうことでございます。
  78. 初村謙一郎

    ○初村委員 さっき私はこの質問をする前に、私が現場で見た韓国漁船中国漁船がわかりませんけれども、違反操業をしている船というのは船籍がわからない。それをどうやって捕まえるのですか、摘発されるのですか。その辺の問題も向こう協議されていますか。
  79. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 船籍隠ぺい船の問題はこの小型トロール漁船の問題とは必ずしも同じではないのでございますが、正式に許可を受けているものでも、日本近海、あるいは操業期間なり操業区域として自主規制措置の中で操業できないときに進出してくる漁船は船名を隠ぺいしております。  それについてはなかなか難しいわけでございますが、近づいて現場で見つければ警告を発し、その漁場から退歩していただくというような措置を現場でとりますし、あるいは写真撮影等々で日時、船型というものを韓国側に通報いたしまして、その船名の把握と韓国側での適正な処置というものを求めてきているということでございます。
  80. 初村謙一郎

    ○初村委員 現場の漁業者からいただいた資料で、要するに加害船といいますか、違反操業している船はほとんどが不明なんですよ。わからないという状況なんですね。この辺をぜひ何らかの方法を考えていただきたいというふうに思っております。  それから、日韓漁業につきましてあと二点ちょっとお聞きしたいと思いますが、二百海里の海洋水域の全面適用あるいは資源管理水域の設定ができなかったということは、理由は何なのか。それから、共同漁業資源調査、さっき言いましたけれども、いつまでやられるのか、どれくらいの期間やられるのか。この二点だけ教えていただきたいと思います。
  81. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 今回の実務者協議におきまして、我が国が、資源の保存管理、操業秩序のルール化、あるいは国連海洋法条約発効批准という新しい事態を踏まえまして、現在の日韓漁業枠組みが限界に来ている、新しい国際法秩序のもとで見直されるべきじゃないかというのを強く主張したわけでございます。  これに対しまして韓国側は、従来からそうでございましたが、現行の日韓漁業協定の締結時の経緯、それからその背景、韓国国民感情等から見て現行の枠組みの早急な変更は非常に困難であるという主張を一貫して繰り返してまいったわけでございまして、今回直ちにいわゆる日韓の新たな漁業秩序の形成ということには至らなかったわけでございますけれども、先ほど来何回か御説明いたしておりますように、共同資源調査というものを踏まえまして早期に将来の望ましい新漁業秩序に関し協議を行うということで合意を見られたわけでございますので、相当大きい進展があったというように私自身も考えているわけでございます。  それから、その共同資源調査をいつまで行うのかということでございますが、なるべく短期間に完了させたいというように考えておりまして、私の理解では、一年間ぐらいで共同資源調査を終えまして、来年、なるべく早い時期に新しい漁業秩序の形成に向けた協議に入りたい、かように考えております。
  82. 初村謙一郎

    ○初村委員 それから、日中漁業についてちょっとお聞きをしたいと思います。  先日、自民党の先生方の音頭取りで、私も同席をさせていただきましたけれどもはえ縄漁業中国漁船との問題、違反操業の問題が実はありました。中国船が、日本漁船はえ縄を流しているところに来て、その海の上から刺し網を流すというふうな無法な操業を繰り返しております。とる魚種はアマダイであります。アマダイというのは回遊魚じゃありませんので、大体その辺に行けばとれる。日本の方は、ある程度の大きさでないととらないというふうなやり方をしておりますけれども中国はそれをごそっと網でとるというふうな現状があるというわけであります。  実は、私はよく中国へ行くわけでありますけれども中国人は余りアマダイを食べないんですね。アマダイを食べない。じゃ、なぜ中国人がアマダイをとるかといいますと、日本の商社が買っているという現状であります。要するに、国内問題なんです。日中問題はある面では国内問題なんですが、その辺の認識は持っておられますか。
  83. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 アマダイをめぐります日中双方の漁場競合なり操業トラブルにつきましては、私も地元の漁協長等々の方から何回かお話を承っておりまして、承知しています。その背景に日本へのアマダイの輸出というものもあるということは十分承知しておりますけれども、アマダイそのものは輸入自由化品目でございますので、政府がこれをどうこうということができない性格であることは御承知のとおりでございます。私どもといたしましては、そういう漁場におきます操業トラブルの防止あるいは資源の維持管理上も問題ではないかなという提起を中国側にいたしまして、引き続き中国との間に、共同委員会の場だとかあるいは実務者協議の場というのがございますので、そういう場で提起をしていきたいというように考えております。
  84. 初村謙一郎

    ○初村委員 要するに、意識が違うんですよね。例えば、日本漁業者はある程度の大きさのアマダイしかとっちゃいけないという方法をやっています。しかし、中国側にすると、日本の商社が買うから、要するに金銭面で考えるとそれはたくさんとった方がいいわけですから、そういう面では枯渇してくるということを、日本漁業者日本国内の商社が相矛盾することをやっているということなんです。国内問題なんです。  例えば、二月二十二日に水産庁から御報告いただきましたけれども、二月十五、十六で日中の漁業実務者協議に出られておりますけれども、その報告の中に、「日本側から、日本国内の操業ルールを遵守するよう要請したのに対し、中国側から、中国国内の法律に違反した中国漁船は処罰」をしますということです。要するに、例えばアマダイ一つとってみても、アマダイに対する考え方自体が違うのに、日本側が日本のルールにのっとってくれ、あるいは中国側中国法律に違反した漁船だけ処罰しますよという全く感覚の違う、そういう一つの魚の種類についても全く感覚の違う国同士が協議をやってもむだだということなんです。その前に日本国内でもっともっと対策としてやるべきことがあるんではないですか。  それからもう一つ、あるいは「そうでないものはこ要するに中国の国内の法律に違反していないものは「中国側の判断で指導を行うので、船名等を確認の上通報して欲しい」ということなんです。さっき言いましたように、船名がほとんどわからないという状況なんです。こういう交渉を何度も何度も続けても意味がないんです。これが漁師を苦しめている原因でもあるんです。日本水産業が上がっていかない原因でもあるんです。もっとうまく私は交渉していただきたいというふうに思っておりますけれども、どうでしょうか。
  85. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 ただいまの問題は、公海の漁場を複数国で利用している場合に生じる問題でございまして、日本の規制されている漁具漁法、中国の規制している漁具漁法、韓国が規制している漁具漁法が違いまして、お互いに公海で競合した漁場を利用しているということでございますので、どちらが違反だ、いけないということは言えない性格のものでまずございます。しかしながら、お互いに共同で利用している水域をそういう形で利用し続けますと、資源的に大変な問題になるということは当然あるわけでございまして、その面では、日本資源管理型漁業ということで相当先行しているという自負をしているわけでございますので、先ほど来御説明いたしておりますように、将来的には、東海、黄海あるいは日本海西部といったような、日韓中三国共同で利用している海域におきます三国間の共通の資源管理機構的なものをつくる努力というのが、やはり日本が相当熱心に取り組むべき大きい課題であるという認識のもとに、とりあえず一番熟度が高い、先行している日韓関係につきまして、国連海洋法条約批准というものを背景にして、資源管理なり操業秩序の維持に向けた新しい枠組みをつくりたいという努力をこれから緊急にやっていこうというのが私どもの立場でございます。
  86. 初村謙一郎

    ○初村委員 お互いに日中韓、多分韓国の方が近いと思います、概念的に言うとですね。しかし、全く相反している利害があるということを認識の上で、ぜひうまく日韓中のこの協議を進めていただきたいというふうに思っております。当然、資源というのは枯渇させちゃいけませんし、ある面では枯渇させてでもお金にしたいというふうなところもあるわけでありますから、そういったものも十分に考慮されてやっていただきたいというふうに思います。  それでもう一点。要するに、将来的に大臣、やはり漁業版の新農政じゃないですけれども新漁政といったものが、私は、将来像をやはり国が提示すべきではないかというふうに思っておりますけれども、基本的な考え方だけで結構でございますので、お話しをいただきたいというふうに思います。
  87. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 農業については、米の部分開放その他で大きなショック、これに対応する国内対策ができたわけでございますが、漁業の厳しさについても、農業と同じような厳しい諸条件が次々と提起されているということについては、ただいまも初村委員の御指摘のとおりでございます。  農林省としても、二十一世紀における沿岸漁業のビジョンというようなことについても一応平成六年度から打ち出しておるわけでございますけれども、やはり各種政策は農業等においてと、後追いをしているというようなことがあっては各般の部門における政策としてはあってはならないわけでございますので、厳しい漁業情勢に応じた政策展開についての基本的な検討をいたさなければ相ならぬ、さように思っております。  特に、もうしばしばお話が出ましたけれども、やはり国連海洋法条約の施行と批准、それに伴う漁業新秩序の問題等々、それとの関係における各種の国内漁業制度、これについての全面的な検討というような段階が、本年後半から本格的に進めなければ相なりませんので、それらとの関連においても検討を進めたい、さように思っております。
  88. 初村謙一郎

    ○初村委員 ちょうど三週間前に私が農林水産委員会の一般質疑でさせていただいた問題がございます。諌早湾の干拓の問題であります。構造改善局と、あるいはその周辺漁業者とが、全く違う利益と損害を受けているという現状であります。ぜひ大臣におきましては、この問題、私もまた大臣室にお伺いしてでもお願いを申し上げたいというふうに思いますので、ぜひ農業者と漁業者、相並び立つような理解を示していただいて行政指導を行っていただきたいということを要望しまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  89. 中西績介

  90. 山田正彦

    山田(正)委員 新進党の山田正彦でございます。  今、私の手元にこの二法案についての資料をいただいておりますが、表題は「中小漁業融資保証法等の一部を改正する法律案漁業災害補償法の一部を改正する法律案について」とあります。この中に、この法案の論点と問題、いわゆるこういう法案を出すに至った理由と言っていいと思いますが、それについての説明が書かれております。それをちょっと読ませていただきたいと思います。  国内の生産額も下がってきたという中で、一方、水産物輸入は増大を続けた。「平成五年の水産物輸入金額は一兆六千二百七十六億円、ドル・ベースでは昭和六十年以降の八年間で約三倍に急増している。ちなみに、水産物輸入金額は、穀物輸入の約三二一倍に相当する。」そう書かれてあります。そしてそのくだりに、「このため水産物の産地価格は低迷を続け、また資源状態の悪化に伴う水揚量の減少もあって、沿岸漁船漁業漁業所得は平成四年以来減少を続けており、中小漁業経営も、平成四年に八年ぶりに赤字に転落し、翌五年には赤字幅がさらに拡大をしている。」そこで、いわば中小漁業者に対する融資、それに伴う融資保証法の一部改正、こういう法案が今回出された。私はそう理解しているところであります。  この輸入の急増、これがなぜこういうふうに至ってきたか。今回、私の質問はそのあたりから入らせていただき、後半、具体的な法律についての話をさせていただこう、そう思っております。  まず、魚類の輸入については、ウルグアイ・ラウンドの交渉の経過もあった旨、前回私が二月十五日の質問で大臣にお伺いいたしておりますが、その中で大臣は、漁業においては軽微な影響、すなわち漁業者にとっては大変厳しい認識をされている。私にとっても悲しいことでございました。そういう中で、輸入割り当て制度を残した。IQ制度を残した。これで何とかというふうに聞き取れたわけですが、この輸入割り当て制度、これは一体どのような魚についてなされているか、その枠についての説明をお願いいたします。
  91. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 現在、いわゆる輸入割り当て制度をとっております魚種は、タラとかブリ、サバ、イワシ、アジ、サンマ等々のいわゆる沿岸魚介類というもののほかに、ニシン、スケトウダラ、タラの卵、イカ、それから干しノリ、昆布等々でございます。
  92. 山田正彦

    山田(正)委員 それは全部一括して、例えば魚介類枠に入っているのか、スケトウダラとかイカとか、それは別枠なのか、まずその辺を説明していただきたい。
  93. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 水産物枠につきましては、もともと一括した金額枠ということで、現在も残っておりますが、韓国水産物枠というものから発足したという経緯が一つございます。  それから自由化されていったもの、あるいは特殊の状況というものを背景にいたしまして単品で数量割り当てに移行したもの等いろいろございまして、現在韓国水産物枠、魚介類枠というのが一括した金額割り当てでございますし、先ほど申しましたニシン、スケトウダラ、ノリ、昆布のたぐいはいわゆる数量割り当て、こういう制度になっております。
  94. 山田正彦

    山田(正)委員 それでは、タラ、ブリ、サバ、イワシ、アジ、サンマ、ホタテガイ、貝柱、煮干し、これが魚介類の一括枠だ、いわゆるぶっ込み枠だ、そうなっているようでありますが、なぜ例えばニシンとかスケトウダラとかイカとかについてはそれぞれの魚種によって分け、数量でやり、このタラ、イワシ、アジ、サンマ、ホタテガイ、貝柱、煮干し、これをぶっ込みでやっているのか、これをお聞きしたい。  答える場合に、かつてそういうことがあったからそういうことになっているとか、韓国の、今までの歴史的なことであるとか、そういったことは必要ありませんから。実際今なぜこういったものをぶっ込みで入れているのか。例えばブリ、サバ、イワシ、アジ、サンマ、この辺のぶっ込みは幾らか理解できるけれども、ホタテガイとか貝柱とか煮干しをぶっ込みで入れるということは、あるいはこの金額の中で、アジならアジ、イワシならイワシ、サンマならサンマ、こういったものを極端に多く輸入して、ホタテガイとか貝柱を入れないということもあり得る。ところが、アジ、サンマはその年は非常に大量にとれている。金額枠であったら、そのものについて大量に入れ、ほかの魚種を入れないということもあり得る。そういったことも考えながら、なぜこのような魚介類枠でイワシとかアジ、サンマと一緒にホタテガイ、貝柱、タラ、そういったものも入れているのか。その辺をひとつ御説明いただきたい。
  95. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 先ほど申しましたように、水産物枠というのがもともと一括金額枠ということでスタートしたという経緯が非常に重要でございます。  では、現在どういう考え方で残っているのかと申しますれば、ただいま委員指摘のように、アジ、サバ、イワシ等々はいわゆる沿岸魚介ということで、漁獲変動あるいは消費というようなものを考慮いたしまして、その代替性等々から一括して金額割り当てにしている方が国内の需給事情に応じてタイトな魚種が入り、需給が緩和しているものは入りにくいということになる、そういう機能が果たされるという考え方で、現在も魚介類枠というのは一括して金額割り当てとしているところでございます。
  96. 山田正彦

    山田(正)委員 今の長官の説明だと、代替性があるから。実際にアジ、サバ、あるいはサンマ、イワシ、この辺は代替性があるかもしれない。しかし、タラ、ブリ、ホタテガイ、貝柱、煮干し、ここに本当に代替性があるのか。いいかげんな回答じゃなくて、本当に説明してもらいたい。
  97. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 そういうことで一括割り当てが残っておるわけでございます。  たしか先日も御答弁申し上げましたとおり、イワシ、アジ、サバ等につきましては明確に代替関係というのは、これは常識でもわかると思いますのでは、サバとホタテガイとがどれだけ代替関係にあるかということについては、理論的には相当程度の代替性というのはあると思いますけれども、アジ、サバ、イワシと同じような意味において、そんなに強い消費の代替性というものはない。ただ、これは沿革的にもともと一括金額割り当てでスタートしたものが今沿岸魚介類枠として残っているということで御理解をいただき、またかつ、金額一括割り当てが行われていることによって、そういう形での国内の需給にかなり機動的に対応できる面もあるということについては御理解をいただきたいと思います。
  98. 山田正彦

    山田(正)委員 長官も、イワシ、アジ、サンマ、サバについての代替性は認めたものの、その他については理論的には認められるけれども云々という答弁でございました。私は、これは本当に納得できないし、いわゆる輸入割り当ての枠そのものを考え直していただきたい、変えてもらいたい、そう思っておりますが、この輸入割り当て制度というものは一体どういうものであるか、まずそれを手短に、長官もう一度答えていただきたいと思います。
  99. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 輸入割り当て制度の根拠になっておりますのが外国為替及び外国貿易管理法でございまして、そこに輸入の承認制度というのがございます。これによりますと、「外国貿易及び国民経済の健全な発展を図るため、貨物を輸入しようとする者は、政令で定めるところにより、輸入の承認を受ける義務を課せられることがある。」こういうことで、通産大臣が輸入割り当てを受けるべき貨物の品目等々を定めて公表する、そのときに物資所管大臣の同意を要する、これが現行の輸入割り当て制度のあらましてございます。
  100. 山田正彦

    山田(正)委員 輸入貿易管理令でいくと、通商産業大臣がその所管の大臣として最終的な割り当てを決めるということになっておりますが、実は私も通産省にこの輸入割り当て制度はどういうものであるかということを昨日聞いてみました。それによりますと、消費量と国内の魚介類の生産量、在庫量、これを勘案して不足分を輸入割り当てする、これが制度である。これでいくと、一つ大臣にお聞きしたいのですが、輸入割り当て制度、最初に水産庁長官が言った魚種についてはいわば原則としては輸入できないのだ、ただ国内生産が不足している部分だけを輸入割り当てして輸入できるのだ、これについてそういうふうに確認していいものかどうか、大臣の口からはっきりとお聞きしたい。
  101. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 沿岸漁業なり沖合漁業漁業者の供給する水産物種類を保護するために、やはり国内の需給状況を見て必要なものに限って輸入を認めるというのが原則だと思います。ただ、実際問題としては、水産関係の貿易関係等が多岐にわたっておりまして、したがって、輸出国等から一定量の供給を常に求められるわけでございますので、国内需給関係についても幅を持って判断をいたしてその数量が決められてきておるという経緯はあると承知しておるところでございます。
  102. 山田正彦

    山田(正)委員 どうも大臣の方は、私の言う不足分を輸入割り当てできるのだ、本来、原則としては輸入はできないのだということの確認を大臣がはっきり言ってもらったのかどうか不明確なのですけれども、それはそれで、私の言うとおりでいいのでしょうか。イエスかノーでまず答えていただきたいと思います。
  103. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 事柄の性質上、イエスかノーかというようなお話では必ずしもないと思うのです。要するに、国内の沿岸漁業者あるいは沖合漁業者、そういうものの供給する魚介類を保護するということで、国内需給を見て、不足分をにらんで割り当てをしていくというのがあらゆるほかのIQ物資等についても同様だと思うわけでございます。  ただ、その数量の決め方については、今日の国際化の時期、関係国からの開放体制への強い要請等もございまして、国内需給関係についての幅についても弾力的に見て、不足する数量の何といいますか見方等についても、いろいろ従来の経緯では幅を持たせてきておるというふうに思うわけでございます。
  104. 山田正彦

    山田(正)委員 まあ生産量が不足したところに需給を見ながら入れるとした場合に、まずサバだけでお聞きいたしますが、実は平成五年度国内生産は五十万九千百五十一トン、平成四年度の約三・二、三倍ぐらいふえております。平成四年度の輸入量は十三万七千二百七十トン。ところが、五年度はさらにそれから約五万トン以上ふえている。生産量が四倍ぐらい、漁獲高が国内で四倍近くふえているのに、輸入量も五万トンふやしている。これはどういうことでございますか。大臣にお聞きしたい。
  105. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 ただいまお話し申しましたように、魚介類枠ということで一括されておりますので、その年々の国内の需給価格の動向によって何が入るかというのが結果的に決まって、サバがふえたということでございます。  ただいま委員が御指摘の、国内生産量が非常にふえたではないかということでございますが、これも先日御説明したかとも思いますけれども、トータルの生産量は確かに非常にふえておりますけれども、そのうち焼き魚だとかあるいは開き物等々になる大中型のサバの割合というのが非常に低うございまして、飼料用にほとんど向けられる極小サバと言っておりますけれども、これの割合が非常に高かったということで、国内におけるそういう生食用あるいは加工用のサバの需給がタイトになった。この結果輸入がふえた。こういうように御理解をいただきたいと思います。
  106. 山田正彦

    山田(正)委員 私が調べている限りでは、生産量が約三・二倍か三倍ふえて、輸入量もふえた。その結果いわゆるサバの浜値が平成五年に三割から四割下がった。それでもってなお、いわゆる極小サバであって加工用に向かなかったから入れたのだ、そういうことが言えるのかどうか、長官にお聞きしたいと思う。
  107. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 いわゆるサバの産地価格につきましては、大、中、小、極小込みの価格でございまして、昔から大サバ小サバ論といろいろ議論があるのでございますので、この値段は、一つは全体の需給ももちろん反映いたしますけれども、サバの大中型の構成比、これが非常に大きく浜値に影響する、このように御理解をいただきたいと思います。
  108. 山田正彦

    山田(正)委員 どうも水産庁長官の説明で納得がいきませんが、次に進めます。  そうであれば、アジについては、平成四年度に国内生産量がほぼ横ばいでありますが、輸入量を約一万トン、三万八千トンから五万三百五十六トンにふやしている。さらにまた、イカについても、平成四年度は平成三年度の五十四万トンから六十七万トンにふえているのに、輸入も平成三年度の四万六千トンから平成四年度の五万二千トンにふやしている。いわゆる国内の水揚げ高がふえているのに輸入量をふやしている。さきの極小サバで加工にならなかったとか、いろいろな理由ではなく、それによって漁価が低迷してきている。本来、輸入割り当ては不足分だけ輸入しなければいけないのに、これはどういうことなのか。いわゆるイカと今のアジについて、水産庁長官から詳しく説明をいただきたい。
  109. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 アジにつきましても、サバで御説明いたしましたように、いわゆる一括した魚介類枠というものを設けておるわけでございまして、それのうちアジが何トンという割り当てではございません。したがいまして、政府当局が輸入をふやしたとか減らしたというものではございませんで、国内の需給を反映して、結果的にサバがふえ、アジがふえた。まず、このように御理解をいただきたいと思います。  そういう中で、アジの生産もふえ、輸入もふえているということでございまして、これは国内の需給規模の問題、あるいは加工仕向けがふえたといったような問題がございまして、国内生産がふえたから一概に輸入が減らなければならない、こういうことではないと思っております。
  110. 山田正彦

    山田(正)委員 先ほどの話を聞いていると、いわゆる一括してアジ、サバとかホタテガイとか云々の金額枠で輸入をやっているから結果としてそうなったということは、いわゆる輸入割り当て制度、本当に零細の漁民を救うために、生産者を救うためにこの魚介類にある輸入割り当て制度が機能していないと言っていいのじゃないか。ひとつ率直にその点は考えていただきたい、そう思っております。  イカについては枠外でありますが、例えば金額で入れているから、勝手に輸入業者が需要の高いアジとかサバを安く入れて国内生産者を苦しめたということじゃなくて、イカだけはいわゆる別個に数量で割り当てたと聞いておりますが、それについて、なぜ平成四年度においては生産もふえたのに、漁獲高もふえたのに輸入量もふやしたのか、これについてお聞きしたい。
  111. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 イカは、ただいま御指摘のとおり、数量枠でやっているわけでございますが、平成四年度は上下とも、平成三年度あるいは平成二年度と割り当て枠そのものは横ばいで、平行でございまして、ふやしてはおりません。
  112. 山田正彦

    山田(正)委員 今の長官の説明だと、枠はふやしてないと言っていますが、平成三年度から四年度にかけては四万六千トンから五万二千トンにふえていますね。これはどうしてですか。
  113. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 御承知かと思いますけれども、割り当ては上期、下期でやるわけでございますが、その割り当てを受けて輸入承認を受けた人が実際いつ物を入れるかというのは、これは当該期間とは必ずしも違いまして、それからかなり後になるわけでございますので、前期の割り当てあるいは前々期の割り当てを受けた輸入が、通関の実績として、その期にたまたま多くなった。こういうように御理解をいただくべきだと思います。
  114. 山田正彦

    山田(正)委員 輸入業者が、今の話では悪いんだ。いわゆるその期に前期の割り当て分を通関させた。入れてしまった。それは監督機関としては大いに問題があるのじゃないですか。当然、その期に、その年度に入れるべきイカを、その前の分あるいはさらに後の分等がその期に入ったとかという説明では、監督不行き届きの農水省の責任、そしてまた、そういった業者に対する輸入枠の割り当て、これはなしてはならないと思いますが、長官、いかがでございますか。
  115. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 こういった割り当て制度等々、他の品目も全く同様のルールでございますが、いわゆる割り当てにつきましてはもちろん有効期間というのがございまして、その有効期間を徒過いたしますと、割り当ては失効いたします。しかしながら、その期間の中では、コマーシャルベースでいつ入れるかということは、これは商業活動の一環として行われる、こういうことでございますので、当該年度に二万トンの割り当てだから当該年度二万トンの実績でないのはおかしいということではございません。御理解を願いたいと思います。
  116. 山田正彦

    山田(正)委員 長官の説明は私には、だれが聞いたって納得いかないと思うのですが、では何のために輸入割り当てがあって、いわゆる不足分だけを輸入し、生産者を保護しようという趣旨が全く生かされていない、そう思われます。  いつまでもこんなことを話していてもしようがありませんので、一体その輸入割り当てというのは、だれがこの年度イカをどれだけ入れようと決めているのか、それを明らかにしていただきたい。一
  117. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 先ほども大臣の方からもお話がございましたが、水産物の輸入割り当てに当たりましては国内の水産物の需給動向あるいは市況を勘案いたしますとともに、我が国漁業者のほか、加工業者あるいはその他の最終需要者というものに対する影響にも配慮いたしまして、通商産業省と当省との間で十分協議の上、決定しているということでございます。  水産庁といたしましては、水産物の生産、流通、加工、輸入に携わります関係者から需給情報を聴取する等、需給動向等の的確な把握に努めまして、需給動向に即した輸入によりまして国内の漁業への悪影響を防止いたしますとともに、もう一方では、国民への安定した水産物供給に支障のないように努めているところでございます。
  118. 山田正彦

    山田(正)委員 農水省の輸入に関しては、確かに農水省と通産省との間で話し合いがなされて、最後に決まると思うのですが、いわゆる農水省のどの機関で、例えば農水流通課、ここで、だれがどういう形で、例えば農水省の省内の稟議で決めるのか。どういう会議で、またどういう資料、具体的な数値が出てくると思うのですが、どの資料で決めていく、どういう内容の資料で、本当にいまさっき言った国内漁業への悪影響をなくすためにやっているのか、それを具体的に説明をもらいたいと思うのです。
  119. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 輸入割り当て決定は、水産物につきましては水産庁が責任を持って対応をいたしているところでございまして、省内決裁を経て、通産大臣への協議ということをやっているところでございます。  それから、輸入割り当てをする際のいろいろな基礎数値、基礎的なデータでございますが、例えば国内生産につきましては漁業養殖業生産統計だとか、あるいは水産物流通統計といったものがございますし、在庫量につきましては水産物流通統計、あるいは輸出入量なり為替レートにつきましても、貿易月表等々の公式な統計を使用しておりますし、またできるだけ直近のデータを使用するように心がけているということでございます。
  120. 山田正彦

    山田(正)委員 私が言っているのは、農水省のどの機関で、どういう人たちが集まって、どのようにして決めているのか、その所在、これを明らかにしてもらいたいのと、今言ったようないろいろな公表された数値、それと直近のデータといえば、主要な四十二漁協の一番早い二カ月前の漁獲高の統計は、どうやら一番手に入りやすいようですが、そういったものをもとにしてやっているのか。その数値を公表して、例えばこういう資料でやっております、これで決めましたということを明らかにしてもらいたい。今言ったように、どういう形で決めているのか、省内の協議機関もだれがどのように決めているか、それも明らかにしてもらいたい。それについて、水産庁長官からひとつ納得のいく御答弁をいただきたいと思います。
  121. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 水産庁でございますので、当然、国家行政組織法に基づきます農林水産省設置法、組織令等々に基づきまして、担当課は水産庁の漁政部の水産流通課というところで対応をいたしております。  それから、この割り当てをやる際のそういう数値等々でございますが、これは、ただいま申しましたのはいずれも公表されている公式のデータでございますので、だれで竜そのもの自身は見れるわけでございますが、委員のおっしゃっているのが需給推算等々を示せということでございますれば、これは輸入割り当てを行うための計算の過程の数字、いわば内部的な参考資料でございますので、これは公表するような性格のものではないというように御理解をいただきたいと思います。
  122. 山田正彦

    山田(正)委員 今のお話を農水大臣聞いておられたと思いますが、今は本当に、この二つの法案を出すに至ったのは、いわゆる魚、魚価の低迷、下がってきている、これで食べれなくなった。そのために経営安定資金を出さなければいけない。そうであれば、この魚価を、本当にこの低迷を何とかして救わなければいけない。その意味からすれば、今おっしゃったような、そういうどれだけの輸入割り当てを決めるかというのに、生産者、例えばイカ釣りの漁業者とか、そういった生産者と消費者、そして学識経験者、そういったものを委員として選出して、そんなに大人数じゃなくて十人ぐらいで結構だと思いますが、その中で客観的な資料をもとにして、ことしはこの枠でいこうじゃないかというふうにこれは決めなければ漁業者にとってはたまったものじゃない、国内の漁業者はそう思いますが、大垣の見解、個人的見解で結構でございますが、いかがでございましょうか。
  123. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 いろいろの御意見もございますし、水産庁長官等からもいろいろお答え申し上げておりますが、この水産物の輸入割り当て制度につきましては、長い蓄積がございまして、経験に基づいてデータなりあるいは需要者や生産者等の意見を聞きながらやってまいったことでございまして、役所側の独善的な判断等ではないというふうに私ども承知しております。その割り当て枠が適切でない場合には、いろいろな意見も生産者からもあるいは水産加工業者あるいは消費者等からも来るわけでございまして、そういう点では、需給の動向というものについての配慮をしながら、水産庁としては行ってきたものというふうに私どもは理解しているところでございます。
  124. 山田正彦

    山田(正)委員 そうすると、大臣にもう一度お聞きしたいんですが、このイカとかアジとかサバの国内生産量と輸入量のデータを見て、サバがどんどん浜値の値段が下がってきたということを見ながらもいわゆる改善の方法は考えられないということ、やはり大臣は、前回話した漁業にとってはウルグアイ・ラウンドも軽微な影響しかない、そういうような御認識としか受け取れない、大変悲しいことでございます。  次に、先ほどの水産庁長官のお話を聞いていますと、あれだけ国内生産量がふえたのに輸入がふえた。サバとかアジとかというものについてはいわゆる価額割り当てでそうなったからだ、いわゆる価額割り当てだから、本来水産庁としてはホタテガイを買ってもらうつもりで割り当て量を決めたら、実際にはその価額でサバとかアジを買ってしまったんで、輸入量はアジ、サバがふえてしまったというふうに考えられますが、このいわゆる価額で、数量じゃなくて決めるということ、これについて輸入貿易管理令、これの第九条の二項、これによりますと、「前項の規定による輸入割当ては、貨物の数量により行なう。ただし、貨物の数量により輸入割当てを行なうことが困難であり又は適当でない場合には、貨物の価額により行なうことができる。」となっております。  農水省は、この輸入貿易管理令に反しているではありませんか。これはどうお答えになりますか。
  125. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 たしか前回の当委員会でも御説明をいたしたつもりでございますけれども、輸入貿易管理令にはそのように書いてありまして、数量割り当て、それが困難あるいは適当でないときは金額割り当て、こういうことになっております。  したがいまして、水産物枠につきましては、先ほど来申しておりますように、当初全体を一括して金額枠でスタートした。こういう経緯がございますのでこれを十分御認識いただきたいんでございますが、現時点におきましても、魚介類枠として対象になっているこれだけの多種の魚介類を、単品ごとにそれぞれ、ある意味ではかなり硬直的な数量割り当てにするよりも、全体の中でその時々の日本国の漁獲の状況、国内の需給の状況というものが勘案されまして、ある程度輸入の代替性と申しますか、サバが高いときにはサバが入る、サバが安くなり、大きいサバがとれてサバが日本国内で十分提供できるということになればサバ以外のものが入るという形で、私といたしましては、現在の魚介類枠というものはそれなりに機能しているんではないかというように評価をいたしております。
  126. 山田正彦

    山田(正)委員 どうも水産庁長官法律の趣旨がよくわかっていないようでございます。貨物の数量により行えない場合というのは、困難である場合あるいは適当でない場合、イカとかスケトウダラは数量割り当てをして、そして今この十年間で千何百トンの輸入が二十万トンにふえた。いわゆる二百倍にふえたサバについては、数量割り当てが困難であるとか適当でないとか、どうも聞いていて私どもには納得がまいりません。  ぜひこれは、大臣も今お聞きになっていると思いますが、農水省内において、こんな二法案の改正等をするよりもまず魚価の安定についてどうするかということについて真剣に討議していただきたい。この輸入割り当ての問題、考えていただきたい、そう思っております。  この輸入割り当て制度で最後にもう一つ。  ドル建てで、ドルで割り当ていたしております。ところが、このドル建ての割り当てというのは、きのうきょうと円がドルに比べて百円から九十円と、あるいは八十八円となったとき、あるいはこの五年間に、私が調べてみましたら、円が一番安いときですね、円が弱いときは一ドル当たり百五十六円だったと思いますが、これだけ相場の変動があって、これをドル建てでやった場合に一体どういうことになっていくのか。例えば百万ドルの割り当てをある商社にした場合、その商社が購入したときにきのうきょうと十円下がったとしたら、一億今まで払おうと思っているその枠が、その予定が、恐らく農水省の割り当ては百円か百五円か、幾らで計算したかわかりませんが、そうなった場合、輸入業者は九十円払えばいいことになる。そうなったら、一億のうちの一千万は輸入業者の手元に利益として丸々残ってしまうではありませんか。こういったことをどう考えておられるのか。我々の、国民として、これは消費者サイドからしても納得のできない問題であります。水産庁長官、お答え願いたい。
  127. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 輸入量自身は基本的には国内なり輸出国におきます需給価格の動向に影響されるものでございまして、為替相場の変動が直接に輸入量の増減に影響を及ぼさないというのは御理解いただけると思います。  例えば、一万ドルという金額割り当ての中で、百円のときに一万トン買えたものが、一ドル九十円になりましたら一万トン買えなくなるわけでございますので、あえて言いますと、その全部の要素を捨象いたしますと、円高の影響というのは輸入量の数量の減に働くということだろうと思います。  しかしながら、当然、円高のメリットを現地サイドにも少し分け与えろという行動というのがコマーシャルベースで行われますので、円高が数量の減には一〇〇%は結びつきませんが、あえて申しますれば、円高でございますと、ドル建ての割り当て量を据え置いた場合には数量の減に働く、こういうように御理解をいただきたいと思います。
  128. 山田正彦

    山田(正)委員 ドル建てでそのままにした場合に、むしろその分だけ国内にとっては安く入るから、その分商社が、例えば百万ドルの分を一億払うところが九千万で済む。一億の分で国内にそのまま市場に流せばいいけれども、これを安く早く売りさばこうと思って出した場合においては国内の価格をさらに引き下げる。漁民のとってきたアジ、サバの浜相場をさらに引き下げる効果がある。であれば、これはドル建てではなくて当然円建てで、しかも浜相場、消費者価格は、アジ、サバ、イカも円で決められているとすれば、当然のことながらこれは円建てでやるべきではないのでしょうか。水産庁長官、お聞きしたい。
  129. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 ただいま申し上げましたように、輸入割り当て制度について見ますと、円建てでございますと、円の価値が一割上がれば、その他の要素が変わらないとすれば、輸入数量は一割アップということにつながることは当然でございます。しかしながら、一般的にコマーシャルベースの中では、円高のメリットを原産地国にも一部分けてくれという力が働きますので理屈どおりにはいきませんが、少なくとも、割り当て制度を円建てにいたしますと、円高になりますと数量がふえる方向に働くということは間違いのない事実でございます。
  130. 山田正彦

    山田(正)委員 どうも水産庁長官と私の考え、私は漁業者に対する影響の面で今言っているわけでありますが、なかなかかみ合わないようでございます、非常に残念ですが。  次に質問させていただきたいと思いますが、では、これだけの魚介類の輸入枠、これは一体どこに割り当てしているのか、どこの商社に、あるいはどういう加工業者に割り当てしているのか、ひとつ透明にしていただきたい。どのようにして割り当てを決めていっているのか、水産庁長官に御説明願いたい。
  131. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 私どもが行っておりますいわゆる需要者割り当てというものの考え方でございますが、その需要者割り当ての対象は、中小の水産加工業者を構成員とする全国規模の団体ということにしております。  これは当該団体組合員でございます中小零細な加工業者は、みずから輸入業務を行うことが困難でもございますし、または商社との取引上の立場が資金等の面で非常に弱いという実情にあることから、個々の業者に対してではなく当該団体対象として輸入割り当てを行うことによりまして原料の安定確保に支障が生ずることのないようにしているものでございます。  団体別の割り当てに当たりましても、当該団体の必要量だとか、あるいは使用状況を勘案しまして、できるだけ公平な配分に努めているところでございます。
  132. 山田正彦

    山田(正)委員 水産庁長官、私が聞いているのは、加工業者に、団体に割り当てしているという今のお話でしたが、どういう加工業者の団体にそのすべての枠を割り当てしているのか。私が聞き及んでいるのは約三割が商社、三割が加工業者、あとの三割が大日本水産会、そう聞いておりますが、その辺、漁民としては、国民としてはこれは大事なことでございまして、透明に、ひとつ明確にお答えいただきたい。
  133. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 魚介類枠につきましては、主として商社割り当てと需要者割り当てがございまして、私どもが担当いたしております需要者割り当てについて申しますと、全国の水産加工業の協同組合の連合会だとか、あるいは日本の水産缶詰の組合だとか、調理食品の協同組合だとか、かまぼこだとか、すり身の工業組合等々の、加工を主とする協同組合等々の団体に対して割り当てを行っているところでございます。
  134. 山田正彦

    山田(正)委員 では、水産庁長官、その商社割り当て、大日本水産会の割り当てというのはないわけですか。
  135. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 商社割り当て、需要者割り当てというのが典型的なタイプでございますが、そのほかに漁業者割り当てということで、漁業に関する協定等に基づきまして外国の沿岸水域漁業を営む者、もしくはその者が直接もしくは間接の構成員となっている団体であって水産庁長官が認める者、または当該団体から発注を受けた者ということで、これは別のカテゴリーでございます。
  136. 山田正彦

    山田(正)委員 そうすると、輸入割り当て制度ですからこれを明確に、例えばどの商社がイカを今年度どれだけ輸入した。あるいはどの加工業者が、団体がこれだけ輸入したということ、これは当然、貿易の方法その他で何とかその事実を明らかにすることはできるのじゃないかと思いますが、水産庁としても、これを明らかにしないで、どこにやったかわからないようなままにしておりますと、漁業者からも国民からも、そこに何らかの不審な目で、利権の巣になっているのじゃないかとか、そういう目で見られる可能性もあるのじゃないか。私は水産庁のために、農水省のために率直にそういうふうに申し上げます。したがって、次回またその問題について聞くことがあれば、その内容を、事実を明らかにしていただければ、そう思います。この輸入の急増、これによって漁業者が食べられなくなった。この問題についての、輸入割り当て制度の質問はこれで一応終わらせていただきます。あと、法案について、具体的な問題、これを二、三、時間まで質問させていただきたいと思います。現在、この金融において、この新しい法律において、融資対象者、これは先ほどの質問にもまた答えにもあったようですけれども、この中で、本当に困っている、例えばまき網とかマグロ、そういった業者、そういったものについて、現在どのような状況にあって今後それをどうしたらいいのか、それについて水産庁長官からひとつ御説明願いたいと思います。
  137. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 我が国の沖合・遠洋漁業の中核を担っておりますいわゆる中小漁業者、それの中心的業種というのが、ただいま委員おっしゃいましたまき網漁業であり、カツオ・マグロ漁業でございます。ところが、まき網漁業につきましては、先ほど来も若干御説明いたしましたけれども、漁獲の主要対象資源でございますマイワシを中心としたイワシ資源というのが六十三年ごろをピークにいたしましてその後激減をいたしておりまして、その結果まき網漁業全体の総生産額というのも相当程度減少をいたしております。マイワシ資源につきましてはいろんな説がありまして、浮き魚の代替関係、イワシが減ってきてサバがそろそろふえる周期になっておるのではないかとかいろいろな考え方がございますけれども、科学者の見方では、マイワシ資源を中心としたイワシ資源が今後短期間に早急に回復する兆しというのは見られていないということでございまして、資源量に見合った適正漁獲量を実現するというのが非常に重要な問題でございます。したがいまして、私ども資源管理型漁業構造再編緊急対策事業、ちょっと長いのでございますが、これによりましていわゆるまき網漁船の減船に対する助成というのも行っておりますし、今年度からは、例えば船団をもう少し縮小する、運搬船を三隻から二隻にする、あるいは灯船と言っておりますが、魚探船を二隻から一隻にするというような船団構成の縮小、簡素化、最終的には単船まき網漁業への漁法転換といったようなことを今後のまき網漁業の課題として推進していく必要があるのではないか、このために今回法律改正でお願いしております漁業経営改善促進資金は、大いに有効にこれは活用できるのではないかなというように考えているところでございます。それからもう一つ、カツオ・マグロ漁業でございまして、その中で特に大きなウエートを占めますいわゆる遠洋マグロはえ縄漁業でございますけれども、かつては大変魚価も、日本の経済成長が非常によくあるいは一部バブルと言われるように大変好景気のときには魚価もよく、マーケット規模も大いに拡大したということで、六十年前後ぐらいまで大変好調な経営体もございましたが、平成三年以降、我が国の全体の景気が低調であるといったようなこと、あるいは輸入量がふえてきている、あるいは畜産物等々との動物たんぱく食料の競合問題といったようなものから漁業経営も厳しくなっておりますし、そのころ漁船の建造をいたしましたそういう償却負担というものがかなり経営上大きな重荷になってまいっている、こういうのも事実でございます。今後の問題といたしましては、ただいま申しました新しいこの新資金というものを活用いたしまして、カツオ・マグロ漁業につきましても、例えば漁船をもう少し長期使用するようなリフォーム、あるいは凍結設備等々を新しくするといったようなことで漁船の償却費負担を減らす。それから、労働問題がかなり重要でございまして、なかなか乗組員、一年強ぐらい洋上で生活するわけでございますので、そういう形での労働環境の改善といったような方向で、マグロ漁業については今後経営改善といったものを進めていく必要がある、かように考えているところでございます。〔委員長退席、鉢呂委員長代理着席〕
  138. 山田正彦

    山田(正)委員 私も持ち時間が大変少なくなってまいりまして、随分いろいろと聞きたかったのですが、ひとつ私の方でまとめて要望としてお話しさせていただきたい、そう思っております。実はこの今申されました。今度新しく創設されます漁業経営改善促進資金、これは融資対象が、実は三十トン以上のイカ釣り漁船とかまき網、マグロ、いわゆる漁業経営者対象にしておりまして、いわゆる沿岸漁民、漁船漁業者、三十トン未満のイカ釣り業者、そういったものに対してはその対象になってない。そして、それに見合うような制度というのが短期の運転資金制度、いわゆる中小の沿岸漁業者についてはないということになっておると思います。私の方で水産庁にその点をお聞きしましたら、いわゆる一般の沿岸漁民は毎日毎日イカを釣ってくる、あるいはアジ、サバを釣ってくる、その中でそれを日常お金にできるから短期の運転資金は必要ないんだ、だから今回対象として新しい制度には入れてないんだ、そういうふうにお聞きいたしました。しかしながら、実際の漁民というのはそんなものではございません。沿岸の零細の漁民にとってみれば、きょうも魚が釣れなかった。あしたも釣れない、あさっても釣れない、そんな中で船の油代もなくて操業できない、そういう本当に、小さな金額でいいけれども運転資金を要求いたしておるわけであります。どうかこの沿岸漁民に対してもそういう意味での一つの短期の運転資金の創設、それを考えていただきたい。そしてまた、これはいつも私思っていたことでありますが、農業の金融と水産の金融では大変な格差がある。私が調べた限りにおいては、平成六年度、七年度、これは農業に対しての制度については、実は今申し上げましたような短期の運転資金についても、いわゆる農業経営改善促進資金、そういう制度のもとに末端金利二%、そういった竜のが融資期間二十五年以内となされております。ところが、漁業においては従来どおりの漁業経営再建整備資金、これによりますと貸し付け条件、末端金利は四・二五%、貸付期間も十五年以内、いわゆる金利においても差があり、その期間においても明らかに差があります。こういったことで、ほかにもいろいろありますが、漁業と農業、殊にこれから厳しい沿岸漁民、漁業経営者等にとっても同じでありましょうが、このいわゆる金融制度の差異、それについて大臣に、ちょっと時間がなくなりましたが、ひとつどうか漁民のために一考いただいて、早く漁業にもそういう融資制度をつくっていただきたい、そう思います。最後に大臣に、前回私の質問において、実は今度のウルグアイ・ラウンドは漁業者にとって軽微な影響しかない、そのようなことを申されました。私は大臣に、この十年間、林業者と漁業者とそして農業者と比べたときに、離農あるいは林業をやめる、漁業をやめる、この三分野でどこが一番進んだか、離農あるいは離林業、離漁業、これをお聞きしたい。  そして大臣に最後に、六兆百億のウルグアイ・ラウンドは、非常に影響のある農業ではない林業とか漁業には一切その六兆百億の中身は入っていないということを大臣の口からはっきり御答弁いただきたい。大臣お願いします。
  139. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 減少率を就業人口で見るか、あるいは経営体で見るかいろいろございますけれども、減少率は、農業、林業それから漁業についてもほぼパラレルであるというふうに私ども従来理解しておるところでございます。  それから、影響軽微問題については、私も舌足らずだったかと思いますけれども、米の部分開放があり、さらにはあらゆる農産物が関税化される、農業の場合にはショックが大きい、したがってその緊急対策を実施したのであるということを申し上げたわけでございまして、やはり水産といえども、関税率二十数%の、IQ制度は確保できたけれども関税率の低下もあったということについて、私の念頭に全くそういう点を考えていないわけではなくて、ウルグアイ・ラウンドと関係なく我が国漁業は大変厳しい情勢にあるという点については十二分に認識しているところでございます。  なお、六兆百億円の事業費は、これは事業費ベースですが、農業並びに農村対策ということに充てられているということを繰り返して申し上げるところでございます。
  140. 山田正彦

    山田(正)委員 この十年間の林業と漁業と農業の就業者の指数を十年前を一〇〇としてとってみましたら、その分野で就業者が一番減ったのは漁業であり、次に林業であり、その次に農業でございました。どうかその点を十分御認識あって、そしてこの六兆百億のウルグアイ・ラウンドのお金が、ウルグアイ・ラウンドで私にとってみれば最も影響を受けるであろうと思われる漁業とか、そして今まさに壊滅的状況にあると思われる林業においては一顧だにされていない、これをもう一度考え直していただきたい。  そうお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  141. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員長代理 山田正彦君の質問は終わりました。  続きまして、千葉国男君。
  142. 千葉国男

    ○千葉委員 新進党の千葉国男でございます。  まず初めに、中小漁業融資保証法等の一部を改正する法律案についてお尋ねをしたいと思います。  大河原農水大臣は提案理由の説明の中で、我が国漁業は、近年、周辺水域における資源水準の低下、国際規制の強化等による漁獲量の減少、魚価の伸び悩み等厳しい状況にあり、この中で、今後とも水産物の安定的な供給を確保していくためには、漁業経営改善するとともに、漁業の担い手を着実に育成確保することにより我が国漁業生産力を維持していくことが喫緊の課題となっております、このように述べております。  そこで、中小漁業者経営改善合理化促進するために今回、漁業経営改善促進資金制度を創設をする、こういうわけでありますけれども漁業全体が大変経営が厳しい中にあって融資対象者を六つに絞っているわけでございます。沖合底びき漁業から始まって中型イカ釣り漁業になっているわけですが、なぜ今回この六つの特定業種に絞ったのか、その理由をまずお聞かせをいただきたいと思います。
  143. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 大臣が提案理由説明で申しましたような状況認識に立ちまして、我が国の沖合・遠洋漁業中核的担い手でございます中小漁業経営というものをどう改善していくかというねらいのもとで今回御提案をしております法律改正一つの柱が、委員指摘のとおり漁業経営改善促進資金でございます。  これは中小漁業者が行いますいわゆる経営多角化なり協業化という、これからの資源状況なり海外の輸入水産物との競合あるいは労働問題対策という非常に難しい問題に取り組むために、業界全体の構造改善というものを促進することをねらいにしているところでございます。  したがいまして、その仕組みは、いわゆる漁業再建整備特別措置法に定められております特定業種、現在六業種でございまして、それが我が国中小漁業のトータルとしての主要な担い手であることは事実でございますけれども、今後、この漁業再建整備特別措置法にのっとりまして特定業種ということになりますれば、今回の新資金というものの融通を受けて業界ぐるみで構造改善に取り組める、こういうことでございます。
  144. 千葉国男

    ○千葉委員 今長官から、経営改善に当たって業界全体の目標を持っているんだというお話がございました。もしそうであれば、業界に対してこういうような具体的な構造改善をするのだ、あるいはまた、それぞれの個別の漁業経営体についてはこういうふうな目標を持ってやるとか、そういう対象者の要件をきちっと整備していかなければ、話としては業界全体なのか、今回の資金対象が個別の対象者なのか、この辺がはっきりしていない、こう思いますが、いかがでしょうか。
  145. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 漁業再建整備特別措置法の仕組みといたしまして、農林水産大臣がいわゆる構造改善基本方針というものを特定業種について定めます。その考え方を受けまして、業界団体、それぞれの漁業協同組合、連合会等々があるわけでございますが、そこが構造改善計画というものを策定いたしまして、今後の構造改善への取り組みというものがかなり具体的にそこでは出てくるわけでございます。  そういう構造改善に個別の漁業者が参加するという意図を持っておりますと、そこに参加をする形で、その構造改善事業計画全体の中で何年度にこの業者はこういう装備の省力化、近代化を行います等々が構造改善事業計画の中身として出てまいります。私どもは、それを推進するための一つの非常に重要な政策的手段としてこの新資金というものを活用いたしたい、かように考えているところでございます。
  146. 千葉国男

    ○千葉委員 ちょっと今のお話からいきますと、質問には出していなかったのですが、例えば遠洋マグロなんかの実態を申し上げますと、現在許認可の隻数が平成六年で七百五十一隻、こういうふうに言われておりますが、私も先日、地元宮城の遠洋マグロ漁業の方々に会って現状と意見について聞いてまいりました。その中で出たことは、もう少し業界として、船が多ければお互いに協力して船を少なくして、そして利益を上げていくようにということも考えられるのじゃないか、こういうふうなこともお話ししましたけれども、いや、こちらが減らしても輸入がどんどんふえているんだからそういうものというのは非常に難しいんだ、そういうふうな現実の声が返ってまいりました。  ですから、そういう意味で業界全体の、そういう参加する個々の漁業経営体に対して本当に具体的な要件をもう少し地元にわかりやすくしていかないと、その辺は現実には大変難しいのじゃないか、こう思いますが、いかがですか。
  147. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 ただいま申し述べました方向で私どもが考えておりますのは、この構造改善基本方針といったものも様相を新たにいたすべく直したい、それを受けまして構造改善計画も当然変わってくるわけでございます。  したがいまして、法案の早期成立を期しまして、早速そういう形での説明、周知、普及というものを行いまして、新資金がなるべく早く現地の漁業者に利活用されるような体制に持っていきたい、かように考えているところでございます。
  148. 千葉国男

    ○千葉委員 今長官の方から新資金の生かし方についてはありましたが、地元の信用協会の方でも、まだ本省の方から詳しいお話を聞いていないのでその辺は十分よく認識をしていない、後で連絡を受けてからしっかり対応したい、こう言っておりましたので、中身において、そういうふうにきちっと地元で対応ができるように、わかりやすく、しかも具体的にお願いをしたいと思います。  次に、先ほどもちょっと出ておりましたが、我が国漁業経営体の九五%は沿岸漁業が占めております。経営コストの軽減を図り、足腰の強い沿岸漁業経営を構築するためには、私は、この沿岸漁業に対しても新資金のような施策を講ずる必要があるのではないか、このように思いますが、大臣、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  149. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 お答え申し上げます。  先ほども本問題についての御質疑がございました。これについての我々の認識は、沿岸漁業については、日帰り的な漁業経営を営んでおられる、したがって、中小漁業皆さんに比べますと運転資金需要等が少ないということが一つでございますし、また、そういう場合には、身近な漁協等から二、三日のつなぎ資金で、燃油資金その他つないでいただくのも可能ではあるまいかということでございます。  一方では、もう委員もよく御案内のとおり、農林漁業金融公庫等においても沿岸漁業経営安定資金というのも設けられておりますし、系統を原資とする制度金融におきましても、漁業経営維持安定資金なりあるいは再建資金等々、それぞれに沿岸漁業者をにらんだ対策もやっておられますので、そういう意味で、我々としては、今度の中小漁業の六業種というものを対象としたわけでございます。  なお今後も、沿岸漁業資金の、本当の運転資金的なものの需要ということについては、御指摘もございますので、我々としてはさらに勉強していきたい、さように思っています。
  150. 千葉国男

    ○千葉委員 今回の運転資金の件で、地元のマグロ業者の方々とお話をしてきました。  最初に、今回は低利の、短期の運転資金だよ、こういうお話については、非常にありがたい、例えばどんなものに使えるのかと聞きましたらば、雇用の労賃であるとかあるいは漁船の保守管理費等、ぜひそういうものでお願いできるのであればお願いしたいな、こういう話で話が進んでいったのですが、しかし実情は難しいと思いますよ、こういう話になってきました。それぞれ、マグロ三隻、二隻、一隻の方々だったのですが、要するに、融資の段階になると難しい壁がたくさんある。  それでまず一つは、うそだと思うならこれまでのさまざまなこの漁業金融の融資枠と実績を調べてみてください、そうすれば大体わかりますよ、こういう話。それからもう一つは、この保証の担保だ、保証人だ、こういうことであって、現状ではなかなか厳しい、こういう話がありました。  それで、ちょっとどういうふうな資金が、それぞれ使途はあるんでしょうけれども、見てみましたら、例えば、漁業経営維持安定資金の融資状況については、二百二十億に対して実績が四・六%である。それから、漁業経営再建資金の融資状況について言えば、これも三百億に対して実績が二・六%。それから、漁業経営強化特別資金の融資状況は、これも百億に対して一八・八%。確かに、言っているように、枠はあるけれども、実際に現在の漁業経営の厳しさからいって、あるけれどもなかなかそれを有効に活用できる状態ではない、こういうことになっているわけですね。  そういう意味でも、この現在の漁業近代化資金等の貸付実績がどのように推移して、実際どうなっているのか、それをどういうふうに認識をされているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  151. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 一つは、いわゆるこの緊急資金と言われるグループでございまして、ただいま挙げられました漁業経営維持安定資金なり漁業経営再建資金等でございますが、これは確かに、発足のとき以降十年間ぐらいはかなり融資実績もございまして、それなりに利活用されてまいっております。  それぞれ沿革はございますけれども、維持安定資金経営再建資金もそのようでございまして、最近は、融資実績が非常に低い状況になっておりまして、これはいろんな見方ができるわけでございますけれども、沿岸漁業におけるそういう緊急的な負債整理といいますか、債務の肩がわりという使命というのがあのときに非常に強い資金需要をもって起こりまして、それに対しては一応対応してきたんではないかなというように私自身は考えております。  それから、近代化資金でございまして、これもかつてほど昨今の融資実績は大きくはございません。六割弱といったようなところでございます。これにつきましては、先ほど来いろんな形で御議論が行われていますけれども、やはり、我が国中小漁業中心とした漁船漁業におきまして、漁場を締め出される、あるいは資源量が減りまして、減船という形での経営体を減らさざるを得ないということから、この近代化資金の大宗をなしております漁船資金なり設備資金、このあたりの貸付実績が相当減っておるということだろうと理解をしております。
  152. 千葉国男

    ○千葉委員 今お話のありましたように、漁船の投資が落ち込んできた。それが全体的にダウンの傾向になってきた。こういうことで、例えば地元の港町では、今経営が大変なんだ、沿岸も遠洋もみんなそういう話をしていて、なかなか実際は借りられないぞ、そういう話がずっと懇談したり口コミで、もうほとんどそういうのが定着し切っているわけですよ。ですから、私が今回この話を持っていったときも、今までもうそういう実績もだんだんなくなってきたし、使命が終わったという説もありましたけれども、ともかく、一般的に漁業経営者が受けとめているのは、なかなか借りられないんだ、今は借り手も少ないんだ、こういうふうな実態になっていまして、そういうことから、実際に条件が厳しいんだ、現状では担保も既に使っているし、お互いマグロの業者同士で保証人になる、もうそういう時代でもない。そんなことから、ぜひお願いしたいのば、この保証の弾力化、円滑化をぜひとも図ってほしい、ここが新資金の一番のポイントではないかと私はお話をしていて一番実感しました。  そういうことで、枠があっても実際に十分に、せっかくすばらしいプランで枠もできた。対象業種も決まったけれども、なかなかその資金が使えない、これでは大変だと思います。そういう意味で、保証の弾力化について、この際英断をしていただきたい、こう思いますが、いかがでしょうか。
  153. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 原理原則を申しますと、貸し付けに当たりまして融資機関が担保等を徴求するというのは、融資機関としてあるいは当然の行動でございます。  しかしながら、本資金のように、新しい方向での構造改善に取り組むそういう中小漁業者を支援するという政策金融でございますので、私どもといたしましては、漁業信用基金協会によりますこの保証制度の最大限の利活用というものを考えておりまして、そのための保証基盤の造成等にも平成七年度予算で措置をいたしておりますので、こういう仕組みの中で、新しい漁業経営改善促進資金の需要に対して円滑に対応できるように創意工夫をやってまいりたい、かように考えております。
  154. 千葉国男

    ○千葉委員 今長官の方から、政策金融、信用基金の問題、こういうふうに出ましたけれども、要するに、経営者にそういう基金に対する不信感というとおかしいのですけれども、長い間の大変な中でなかなか借りにくいというような考え方が定着しているわけですね。ですから、今回、この運転資金が、大変な漁業者が希望を持って立ち上がっていくためには、本当に人に優しいところを見せてあげていただきたいと思うのです、うたい文句じゃなくて。実際にそういうふうにできるように、考え方もしっかりお話をしていただき、PRもしていただいて、そして本当に有効に活用されるようにさらなる配慮をぜひお願いしたい、こう思います。  あと、具体的な話で恐縮なんですが、今、建造費の問題がいろいろ出ていまして、三百トンクラスのマグロ船をつくるに当たって、平成元年では四億円程度でできた。ところがもう平成六年では七億円になる。これでは現在のマグロ漁業現状では採算のベースに合わない。そういうことで先ほどもちょっと出ていましたが、リフォーム等をマグロ船も考えなければいけない。こういう場合にどのような資金の活用ができるのか教えていただきたいと思います。
  155. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 ただいま委員お話しのように、マグロ漁業中心といたします遠洋漁業におきましては、漁船の建造費というのが経営上非常に大きな要素を占めておりまして、私ども水産庁といたしましても、現在の所有漁船の長期使用を図ることが漁業経営上も非常に重要であるという基本的な認識でございます。  そのために、マグロ漁船を長期使用する、いわゆる通常の改造等によりますリフォームの場合も現在の公庫資金漁船資金で借り入れが十分可能でございますし、特に今回、いろいろ御議論になっておりますこの漁業再建整備特別措置法に基づきます中小漁業構造改善事業に参加をいたしまして、省エネあるいは労働条件の改善等々を図るための設備の設置または更新によりますリフォームにつきましては、より低利な漁業経営再建整備資金というものが公庫資金として用意をされておりますので、そういうものを十分活用いたしまして、ややもすれば過剰投資になりがちなこの遠洋マグロ漁業について、今後の方向一つの重要な方向として対応していきたい、かように考えておるところでございます。
  156. 千葉国男

    ○千葉委員 よろしくお願いします。  それから、今、労働力の問題が出ましたが、人件費についてでありますけれども、最近、乗組員の高齢化が年々進行している。乗組員の立場からも、厳しい漁業労働に見合った賃金、手当が要望されている。そういう中で、やはり漁業の省力あるいは省人化を図ることによって、そうした労働力対策もしていく必要があるのじゃないか。  そういう意味で、最近、新技術の開発とか実用化、これがいろいろ検討されているというふうに聞きましたが、現状ではどのような進みぐあいになっているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  157. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 ただいまお話しのように、マグロはえ縄漁業でございますが、特に長期間にわたります厳しい労働環境のもとでの作業というものを伴います関係上、乗組員の確保が非常に難しい業界であるということを基本的に我々としては認識をしなければならないと思っております。  このために、水産庁といたしましては、マグロはえ縄漁業を含みます漁船漁業の省人化、省力化等によります経営合理化を図る観点から、平成四年度から漁業機械化促進事業というものを行っているところでございます。  マグロはえ縄漁業につきましては、この事業の一環といたしまして、集中的な労働力を必要といたします作業の省力、省人化というのを図りますために、特に揚げ縄作業あるいは投げ縄作業の機械化、合理化というものについて実用化のための試験事業というものもやっております。  さらに、平成七年度からは、漁船の一層の合理化を図りますために、ただいま申しましたこういう省人、省力機械等の導入、あるいは居住環境の改善を行いまして、二十一世紀にも十分通用するそういうマグロはえ縄漁船、次世代型漁船設計調査検討事業、こう言っておるのでございますが、そういうものも進めておりまして、特に、一番問題が大きいこのマグロ漁業に関します技術開発にはさらに一層努力をいたしたいということでございます。
  158. 千葉国男

    ○千葉委員 ぜひお願いをしたいと思います。  先ほど長官の話にもありましたように、このマグロ漁業は乗組員の確保が大変難しい、そういう認識が示されましたが、遠洋漁業で、マグロの場合は特に外国の港を基地にして操業をする、こういうことを考えたときに、既に一部で実施されているそうでありますが、外国人漁船員の受け入れを一定の制限のもとでぜひ経営者としては枠を拡大してほしい、こういう要望が出されております。  この外国人漁船員の現状と今後の対応についてどのようにお考えになっているのか、教えていただきたいと思います”
  159. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 我が国の外国人労働者の受け入れの基本的立場というのは、御承知だろうと思いますけれども、国際間の人的交流の円滑化等に留意をいたした上で、専門技術的な能力を有する外国人については、受け入れの範囲、基準を明確にしつつ可能な限り受け入れるということでございますが、ただいま問題になっておりますいわゆる単純労働者につきましては、我が国の経済社会に及ぼす影響等にもかんがみ慎重に対処するというのが現在の我が国政府の基本的立場でございます。  しかしながら、ただいまお話がございましたように、カツオ・マグロ漁業等の国際漁業につきましては、実質上、海外の港を基地としておりますし、外国人乗組員の入国が行われないというようなこと、あるいは相手の沿岸国の二百海里水域への入漁の条件といたしまして、当該国の労働者の雇用が義務づけられる場合等々もございますので、平成元年ごろから、私ども、水産関係の労使で構成されます外国人漁船員労働問題研究会という場で検討が行われまして、一定の要件のもとで外国人漁船員の受け入れが適当である旨の結論が出されたところでございます。  これを受けまして、主管省庁でございます運輸省におきまして、外国二百海里及びこれに隣接する水域におきます国際漁場確保等のための外国人漁船員との混乗が要請されている海外基地を利用する漁船対象にいたしまして、外国で乗下船しかつ海外事務所の現地雇用という条件のもとに、運航要員以外の外国人漁船員を受け入れることは、従来の外国人受け入れに関する我が国政府の基本的立場に反するものではないというように判断をされまして、必要な制度的手当てを行った上、平成二年九月かも外国人漁船員の受け入れが始まっているところでございます。  お話しの、混乗率の問題でございますけれども、ただいま労使双方からいろいろな意見がございます。  従来の経緯を踏まえますと、まず、やはり業界関係者の検討を通じまして労使間の合意形成というものが行われることが基本でございまして、水産庁といたしましては、その結果を待ちまして、さらに関係省庁と連携をして適切な対応をいたしたい。双方の考え方、要請の趣旨というのは十分お聞きし、承知をいたしております。
  160. 千葉国男

    ○千葉委員 今の問題とも若干関係してくるわけなんですが、中小漁業経営は、多くの魚種で価格が低下している。その上、水産物の輸入は増大を続けている。  こういうことから、特に、遠洋のカツオ・マグロ漁業で問題となっておりますのは、国際的な資源管理の枠外で操業する便宜置籍船ということがあるそうであります。国内の漁船漁業法を守って必死に操業しているのに対して、一部外国船が枠外の自由操業では納得できない、こういうふうな現場からの声でございます。  便宜置籍船に対して、政府として、今日までどのような機関でどのような対応をしてきたのか、努力の内容を教えていただきたいと思います。
  161. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 先ほど来、御議論が行われていますが、国際的に、海洋生物資源の持続的利用の原則のもとに、責任ある漁業の実現というのが求められております。  このために、FAOでございますけれども、ここにおきましては、国際規制を逃れて操業するいわゆる便宜置籍漁船を排除するために、漁船の船籍国の責任を明確にするための協定というものを九三年末に採択をされている。リフラッギング防止条約というものでございますが、採択をされております。本協定はまだ発効には至っておりませんけれども我が国としても、できる限りこの早期の受諾が可能になるように、水産庁といたしましても関係機関に要請をしているところでございます。  それから、国際的な漁業管理機関の一つでございますICCAT、大西洋まぐろ類保存国際委員会と申す機関でございますけれども、ここの場におきましても、平成五年の九月ぐらいから、非締約国の漁船の漁獲活動を把握することを目的といたしまして、輸入されるクロマグロに関しますいわゆる統計証明制度というのが導入されております。  昨年十一月の年次会議におきましても、ICCATのクロマグロの資源管理措置に協力しない非締約国に対し、資源管理措置への協力を求めるとともに、協力要請にこたえない非締約国に対しましては、国際的なルールに沿いまして加盟国が貿易制限措置をとるよう勧告する旨の決議が採択されているところでございまして、国際的な資源管理の枠外で操業する漁業というものを抑制しようとする大きなうねりというものは、国際的にも強まっているというように認識をいたしているところでございます。  我が国といたしましても、国際的な資源管理措置を忌避するいわゆる便宜置籍漁船等の活動を抑制するために、関係する国際機関の場を通じまして積極的に対応していく必要があるというように考えているところでございます。
  162. 千葉国男

    ○千葉委員 今、政府の努力の内容についてお話がありましたが、どうも地元の経営者等に対して、政府が一生懸命頑張っているんだぞという内容がほとんど知らされてないというか、聞こえてないというか、そういう実態にあると思います。ですから、せっかくそうやってやっていただいているのであれば、しっかりそれが伝わって、こちらも頑張っているんだ、ぜひ頑張ってほしい、こういうふうな感じの、そういう内容のお知らせ等も含めてひとつやっていただければいいと思います。  今回、こういう問題を含めて、昨年、海洋に関する新たな国際制度を定める国連の海洋法条約発効いたしました。これに伴って、それでなくても大変な今の日本漁業である。農業については、高齢化とか後継者不足とか、あるいは内外価格差、過疎化あるいはガットの受け入れ、こういうことから、食管法を廃止して新しい日本の食糧をどうするのか、農村をどうするのかということで積極的に新食糧法等も出されてきているわけですが、そういうことを考えると、農業の方は先行して頑張っていただいているようなんですが、漁業についてはどうもその辺がもう一つ、一歩も二歩も対策がおくれているのじゃないか、こういうことを実感いたします。  今後、こうしたことを含めて、これからの日本漁業をどうするのか、どのような方針で漁業経営の安定を図って、水産物の安定的な供給を図っていくのか、この辺の基本的な考え、海洋法の実施に伴って水産庁の考えはどうなのか、将来のビジョンをどうするのか、新漁業法みたいなものを考えているのか、この辺をぜひお願いしたいと思います。
  163. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 お答え申し上げます。  委員各位から水産業をめぐる内外の厳しい情勢、これについてのたびたびの御指摘をちょうだいしたところでございますが、我が国周辺水域は、世界的にもやはり資源の面から見ても生産力は本来非常に高いところでございます。したがって、我々としては、資源管理型漁業とつくり育てる漁業、これをやはり政策の基本方針として、基盤的な整備あるいは各種の経営対策等、諸般の施策を一層進めなければならないと思っておるところでございます。  お話し国連海洋法が発効、いよいよ我々としてもこれの批准に取りかかるわけでございますが、国連海洋法においては、沿岸国は地先の海面において排他的管轄権を持つけれども、資源の保存管理、その持続的な利用という点についてはやはり沿岸国の義務でもあるということを言っておるわけでございます。  したがいまして、私どもといたしましては、これを契機にひとつ日本漁業についてのビジョンをつくり上げなければならないというふうに思っておりまして、対応する諸制度の検討とともに、基本的な政策等についても樹立に努力をいたしたい、さように思うところでございます。
  164. 千葉国男

    ○千葉委員 今大臣のお考えがありましたが、積極的にこの問題に取り組んで、漁業者が安心して漁業に取り組めるようにぜひお願いをしたいと思います。  今大臣のお話の中にもつくり育てる漁業ということがちょっと出てきましたが、今回、漁業災害補償法の一部を改正する法律案、その中で大臣は、漁業災害補償制度は、昭和三十九年の創設以来、中小漁業者の相互救済の精神を基調とした共済事業の実施を通じて、その経営の安定に重要な役割を果たしてきた。今回、漁業災害補償制度をより漁業実態に即した制度として、その健全かつ円滑な運営を確保することを旨としたい、こういうふうに述べております。  つくり育てる漁業ということで、私のふるさとは宮城県の女川という港町なんですが、今女川の一番の漁獲高といいますか、それはギンシャケの生産になっております。このギンシャケの現状はどうなっているのか、こういうことで、宮城県の養殖ギンシャケの生産、販売の実績を聞いて、実は大変びっくりしたところでございます。  経営体が一番多かったのが平成三年なんですが、ここへ来て急にがたがたと経営体が減ってまいりまして、特に平成六年から七年にかけまして八十六の経営体がやめて、現在百八十九になってしまった。三百二十五まであったわけですが、四十の台もありますが、そういうふうに急激に経営体がやめざるを得ない、ばたばた転職を迫られた。それで、よく聞きましたらば、要するにえさのマイワシが急激にとれなくなったためにえさ代が大変高くなった。それから、輸入のサケが大量に入ってきて今度は単価も安くなってしまった。こういうことで、これでは到底もう経営はやっていられない、こういうことから次々と、この一年だけでも八十六の経営体がやめてしまった。こういうことが出てきている。ですから、これからはつくり育てる漁業だ、こう言っているにもかかわらず、このつくり育てる漁業の町で命をかけて頑張ったギンシャケの経営の悪化、こういうことになっているわけでありまして、こういう実態をどのように受けとめられているのか、よろしくお願いします。
  165. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 ギンザケの養殖でございますけれども、ただいま委員のお話のとおり、昭和五十年代の後半から宮城県を中心にいたしまして急激に増加いたしまして、平成二年には生産量が二万四千トンというようになりました。その後減少傾向を示しておりまして、平成五年では生産量は二万一千トン、生産額は百六億円ということで、頭打ちないしは停滞傾向になっております。これはお話のとおり、輸入物の養殖ギンザケとの競合、それから本来はベニザケなりシロザケにかわるシーズンの需要ということでもともと始まったものでございますが、ベニザケ、シロザケ、ともに大変な豊漁、あるいは輸入ということで供給が非常に多くなってまいりまして、価格も安くなったものですから、ギンザケのメリットというのが相当薄れてきたのだろう、こういう状況でございます。したがいまして、その経営環境につきましても、今申しました状況から価格は低調でございまして、かなり厳しい状況にある、これが実態でございます。  このために、主産県でございます宮城県におかれましては、県の単独事業といたしまして、平成六年度には、他の養殖種類への転換に必要な経費につきまして低利の融資制度を創設されたというように承知をいたしておりますし、水産庁といたしましても、既往債務の整理等のための、先ほど来いろいろ話題になっております漁業経営維持安定資金の融通だとか、あるいは長期、低利の漁業経営再建資金の融通等を通じまして、経営改善を図るための対策を講じているところでございます。  それから、ギンザケ養殖におきましてえさ代が非常に大きなウエート、五割強を占めておりましてえさ代が大変ウエートが高いのでございますが、その養殖用の餌料としてマイワシをほとんど使っておりましたが、マイワシの漁獲減、それでえさ用としては値段は高い、こういうことになっておりますので、その他の養殖漁業についても言えるのでございますけれども、大豆かす等の植物性餌料だとか、あるいは水産、畜産加工の残滓利用でございますけれども、そういう形での新たな餌料の開発にも努めておりまして、現段階では大豆かすの利用等につきましてはある程度の成果が得られているという状況でございます。  いずれにいたしましても、我が国の市場、マーケットは非常に大きいわけでございますが、さしもの日本の大きい水産物のマーケットにおきましても、輸入物の国内のそういう供給の増大、あるいは畜産物等々の動物性たんぱく食品との競合ということで非常に厳しいわけでございますので、将来の方向といたしましては、沿岸、沖合域におきまして栽培漁業あるいは養殖漁業推進するという大きい基本の中で、魚種の転換だとかあるいはそういう養殖の餌料給与技術の開発、実用化というような方向で考えていく必要があろう、このように認識しているところでございます。
  166. 千葉国男

    ○千葉委員 今ちょっとお話も出ていましたが、マイワシの資源減少に伴ってえさ代が高くなっている、こういうことで、えさ対策についても今後しっかり努力をしていただきたい、こう思います。  それで、災害補償の件なんですが、現在、ギンシャケの関係経営体がありますけれども、今回こういうふうな大変な事態に突入したということで、今までほとんど養殖共済にギンシャケは入っておりませんでしたが、いろいろ話し合いをずっと続けて、ともかくみんな入らないとだめだ、強制とは言いませんが、ほぼ強制的に、今までほとんど入っていない人が一気に今回加入をして、町は一〇〇%になった。宮城県全体としては今まで二三%ぐらいですから、平均するともう八〇%。今この養殖共済加入率が三〇%ということですから、一気に上がったので、今回の共済の目的は達せられているわけですが、共済は、いざというときのために共済に入るわけでありまして、この養殖共済では、逃げたり死んだりしていろいろ養殖共済の対象にはなっているわけなんですが、こういう現状を考えると、PQ制を伴った特定養殖共済、そっちの方がむしろ今の状態からいったらいいのじゃないか、こういう意見も出ておりますが、この辺の違いについてお願いしたいと思います。
  167. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 養殖共済におきまして、いわゆる物損方式をとるのか、PQ方式をとるのかということは、申すまでもございませんで各養殖魚種の実態等に即して決められる必要があるというのが基本的な考え方でございます。  それで、お話しのPQ方式でございますけれども、確かにこの品質変動等が補償の対象になるという点は利点でございますけれども、共済金支払いが共済責任期間終了後になるというようなことのほかに、ただいまのお話があった主たる被害でございます死亡、流出というのが一部ございましても、減少数量分の追加養殖をやる努力をされたり、あるいは全体として価格が上昇されますと、結果的に生産金額が減少しなかったというケースがいろいろ生じてまいりまして、そのときにはPQ方式では共済金は支払われない、これは仕組みからくるいわば当然のことでございます。したがいまして、このギンザケも含めまして、魚類養殖業につきまして、品質低下に対します補償よりも、死亡、流出に対します補償が重要だということから、大方の現地の考え方というのは、現時点でトータルで考えますと、いわゆるギンザケ養殖については物損方式の方がより実態に適合しているというようにお考えだと私は承知をいたしておりますので、そういう状況も考えますと、魚類養殖そのものにつきまして、現時点でPQ方式へ移行するということが必ずしも適当ではないのではないかなと考えているところでございます。
  168. 千葉国男

    ○千葉委員 それぞれ共済の仕組みによって違うと思いますけれども、いずれにせよ、そういう大変な被害に遭ったときこそ共済ですので、今後もぜひさまざまな対応をお願いしたいと思います。  最後に、大臣、今ずっといろいろありましたように、我が国漁業は大変深刻な事態に突入をしております。これをどう再建をしていくのか。今回は金融措置ということでありますけれども、今後、構造政策を含めて金融政策以外に対してもいろいろと対策を講じていかないと、もうもたないのではないか、そういうことを大変心配しております。そこで、最後に大臣の決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  169. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 農業も林業もさようですが、我が国水産業、内外の諸情勢、大変厳しいわけでございまして、これについては本日も、両案の御審議に関連いたしまして、問題点の御指摘あるいは早急な対策の樹立についての御指摘をちょうだいしたところでございます。  これらの御意見なり御指摘をもとにいたしまして、一層強力な政策の推進努力いたしたい、さように思っております。
  170. 千葉国男

    ○千葉委員 ありがとうございました。以上で終わります。
  171. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員長代理 以上で千葉国男君の質疑は終わりました。  この際、暫時休憩いたします。     午後零時五十一分休憩      ————◇—————     午後二時三十五分開議
  172. 中西績介

    中西委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。藤田スミ君。
  173. 藤田スミ

    ○藤田委員 最初に、食糧自給率の問題についてでありますが、九三年度の食糧自給率が三七%に低下し、過去最低だけではなく、世界的にも歴史的にも例のない低さになった問題については当委員会でも取り上げられましたが、政府の言い分は、異常気象で下がったもので大したことはないというような発言に終始していたと思います。  確かに、九三年度は異常気象でありました。しかし、主要個別品目を見ると、異常気象とは関係のない牛肉や魚介類の自給率が大きく下がっているわけであります。ですから、米が平年作であったとしても食糧自給率は下がっていたわけです。  それに、異常気象の影響を受けた米について見ても、当時議論になりましたけれども、作況指数があれほど下がった原因は、単に気象要因だけではなく、農業の高齢化、後継者不在による米生産体制が弱体化していることがその原因として挙げられているわけでありまして、食糧自給率が三七%に下がったことは、異常気象の一言で片づけられない極めて深刻な問題であることは明らかであります。  きょうは水産二法の審議でありますのでこの問題に終始するわけにはいきませんけれども、食糧自給率の重要な要素になっている魚介類の自給率について、全体の自給率を引き上げるという立場に立つならば、この魚介類の自給率についても引き上げる方向で政策展開していくのは当然のことだと考えます。政府としてどのように考えていらっしゃるか、明らかにしてください。
  174. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 お答え申し上げます。  魚介類は、国民の動物性たんばく質の消費の約四割を供給している重要な部分を占めておることは御案内のとおりでございます。近年、ライフスタイルと申しますか食生活の多様化があったり、あるいは御案内のように、外食産業とか大規模量販店の存在というようなことによって魚類等の需要にも大きな変化があって、そのために輸入水産物が大変増加してきておるというような面があるわけでございます。  それから一方、供給サイドから見ますと、午前中にもいろいろお話が出ましたように、マイワシ等の近海性の漁業資源の水準の低下が大幅でございます。ピークで四百五十万トンあったものが現在は百七十万トンというような低下をしておりますし、また、海外漁業規制が強化されまして、国内生産、遠洋漁業などかつて四割の比重があったものが現在は百万トン程度になっておるという程度でございまして、そういうようなことから、供給サイドでもやはり制約が出ておる、しかも御案内の円高でございまして、輸入農水産物がふえておるという関係でございまして、したがって、平成五年の魚介類の自給率は七六%だというような状況でございます。  一方、やはり国民食生活において大事な魚介類についての国際的な状況を見ますと、一九八八年には一億トンの生産量に達したのですが、その後横ばいの状況にあるということでございまして、しばしば言われますように、開発途上国における人口の増加等で水産物消費も増大する、そういうような関係も見ていかなければならないというわけでございます。  そういう事態に対応いたしまして、我々としては、やはり世界有数の漁場である我が国周辺水域の資源の高度かつ持続的な利用を図っていかなければ相ならぬということでございまして、午前中にも申し上げましたように、資源管理型漁業、つくり育てる漁業、これを軸として政策展開をいたしまして、可能な限りの国内供給の維持増大、これを図っていかなければならないというふうに考えております。
  175. 藤田スミ

    ○藤田委員 世界の魚の量というものがだんだん限界が来ている、限界にだんだんなってきている、それに対して人口かふえている、一方、日本の方も国民生活の変化などあって多様化してきて、魚の需要もふえてきている、そういうことによる制約なんだ、そして資源管理型の漁業にこれから力を入れていきたい。  私は、おっしゃる資源管理型の漁業について、これを発展させることに異議を唱えるわけではありませんけれども、やはりもっと確固とした政府の、自給率を上げていこう、本当にそういう立場に立ち切るんだという姿勢を見せていただきたいということできょうは質問をしているわけです。  そこで、私は、一体、今の日本漁業を支えている、そしてこれからも支えていってもらわなければならない日本漁業者実態はどうなのかということを見てみたいと思いますが、これが極めて深刻なものになっていることはもう改めて言うまでもないことだと思います。  漁業センサス漁業白書から見ますと、一九五三年には七十九万人もいた漁業者が一貫して減少して、九三年には三十二万四千八百八十六人と半分以下に落ち込んでいるわけであります。それだけではなく、年齢構成から見ますとこれがもっと深刻でありまして、九三年の段階では、これからの漁業を支える四十歳未満の比率がどんどん下がり、二〇%までになり、その中でも十五歳から二十四歳はわずか三・八%です。逆に、六十歳以上の比率が、八八年には二五・八%だったものが、わずか五年の間に三三・九%にまで高まってきています。まさに急速な高齢化の進行ともいうべきものであります。それだけではなく、漁業の後継者がどの地域に行ってもいないと言われるようになってきてしまっています。  私がお伺いしたいのは、こうした状況になったのはなぜなのか、政府としてその原因をどのように考えていらっしゃるかということをお伺いしたいわけです。
  176. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 確かに、ただいま委員おっしゃいましたとおり、近年の我が国漁業の就業構造でございますが、平成五年におきまして漁業就業者数は約三十二万五千人ということで、引き続き減少傾向にございます。中でも、六十歳以上層の割合が約三四%、四十歳未満層が約二割ということで、減少の中で高齢化が進展しているということで、構造的に脆弱化が進行しているというように認識をしているところでございます。  この原因、背景でございますけれども幾つかあるわけでございますが、一つは、漁業だけではございませんけれども、昨今の若い人の労働に対する価値観と申しますか、そういうものが変化いたします中で、漁業の就業環境の快適性が非常に低い。長期船上労働だ、あるいはいろんな形で過酷な労働を強いられるというようなこと。それから、かつてはそういうことの見返りに非常に収入が高かったわけでございます。年齢、学歴等々に比しまして大変収入が高かった時期がずっとかつてはあったのでございますが、昨今そのあたりについても相対的に有利性がほとんどなくなってまいっている。加えて収入が非常に不安定であるということで、若い年齢層の漁業への就業というものが減少しているというのが一つでございます。  それから、先ほど来委員がおっしゃいました。年齢構成の推移に端的にあらわれているわけでございますが、戦後復興期、先ほど五三年の例を申されましたけれども、その前後、漁業に多数就業いたしました当時の若い世代がずっと高齢化してまいりまして、最近いわゆるそのリタイアの時期を迎えつつある、こういうことが一つ、二点目として考えられます。  それから、沖合・遠洋漁業中核的担い手でございましたいわゆる中小漁船漁業でございますけれども、これが海外の二百海里漁場から締め出される、あるいは公海におきましても国際規制が強化されるということで、累次の減船等によりまして離職者が多数発生したというようなことから今日のような漁業の就業構造に至っているんだろうという理解でございます。  こういう状況に対処いたしまして、私どもといたしましては、漁業就業者の育成確保を図っていきますために、基本的にはやはり漁業を魅力ある産業とする、あるいは漁村に代表されるそういう地域社会におきまして若い人が誇りと生きがいを持って定住できるような、そういう地域社会をつくるということが基本でございまして、漁港漁村整備だとか各種の就労、経営対策あるいは生活環境整備等々を精力的に進めているところでございます。
  177. 藤田スミ

    ○藤田委員 私は漁業者の方とよく話をする機会がありますが、なぜ後継者がいないのかというふうに尋ねますと、端的に、今の漁業はもうからぬからやというふうに答えるわけです。余りにも魚価が低過ぎてもうからない、これではとても若い者に漁師をしてくれということは言えないし、息子もやりたいとは言わない。今の魚価がもっと適切な価格に引き上げられ、そうして不安定さがぬぐわれ、働きがいのある、そういう状況に変わればほうっておいてもふえてくる。漁師の皆さんは、漁師をやればもうかるという状況になればほっておいても後継者はふえてくるんだ、こういうことを端的に言われるわけです。  私はもう一度聞きたいんです。本当にそういう立場で政府が取り組まなければ後継者は出てこないと思いますが、その点についてもう一度お伺いをしたいわけです。   .
  178. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 確かに、最近の水産をめぐります大きな状況の中で、水産物価格の低調といいますか伸び悩みと申しますか、それが一つ非常に大きいわけでございます。それは、基本的にはやはり日本民族というのは魚食民族で大変志向性が高い、あるいは健康食品としての水産物に対する知識普及というのが相当高まっておりますので、基本的には水産物の需要というのは私は非常に根強いものがあろうかと思いますけれども一つは、やはり我が国経済がいま一つ景気が本格的な回復基調をたどっていないという中で、かって相当値段が高く、かつマーケットの規模が拡大してきた。そういう例えばカツオ・マグロ類等々についても魚価の低迷あるいは供給規模が伸び悩んでいる、こういうような問題、それから畜産物等動物性の食料品との競合の問題、それと昨今はやはり円高を背景にした輸入水産物の増加というものが影響いたしまして魚価が低調になっている、こういう理解をしているわけでございます。  しかしながら、基本的にそういう日本の国民の水産物に対する需要の根強さ、それから将来の高齢化社会に向けて健康食品としての水産物のよさ、あるいは国産水産物の安全性、それから鮮度、そういうものを考えますと、私どもは国産の水産物のこれからの需要というものについては引き続き十分期待はできるのじゃないか。したがいまして、あとば、潜在生産力の多い周辺海域におきます漁業生産力の持続的拡大というのを行いますと同時に、漁村中心とした地域社会が、若い人にとって生活環境の整備面、文化面等を含めまして定着してそこに住み続けていただくような魅力ある地域社会、産業というものをつくっていく必要があるというように考えているところでございます。
  179. 藤田スミ

    ○藤田委員 随分いろいろおっしゃいます。私たちが水産物に対して期待をするものの大きいことは言うまでもありません。だからこそ私はこういうことを聞いているわけです。  先ほどの指摘もありましたけれども、魚価が低迷している、これが今の日本漁業の最も大きな病理であって、日本漁業を衰退させている大きな原因がここにある。そのことを政府がもっときちんと認識しなければだめだというふうに私は思うわけです。  魚価の低迷の最も大きな原因が水産物輸入の急増と円高に伴う輸入水産物の価格の低落にあることは改めて言うまでもないことであります。これはもう関係者も多く指摘しております。九四年の水産物輸入は三百二十九万トンで、八五年の二倍以上。輸入金額は一兆七千八十九億円で、一・五倍に広がっています。その中でもとりわけ注目しなければいけないのは、円高などによる産業の空洞化の反映で水産物の加工品の輸入が前年比で一八・六%も伸びてきているのですね。これだけの伸びを見せてきています。したがって、漁業者だけではなく水産加工業者にも打撃を与えるものになってきているわけです。  このように水産物輸入の現状を野放しにしておくと、これはもう大変なことになるわけでありますから、魚価低迷の最大要因である輸入を抑制するという方向を打ち出さない限り日本漁業が衰退していくことに歯どめをかけることはできないというふうに考えますが、大臣はこの点どのようにお考えでしょうか。
  180. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 委員指摘のように、確かに魚価問題というのが、先ほど私も申し上げましたように、我が国の水産をめぐります厳しい状況の相当大きな問題であるという認識は私ども持っております。  ただ、御理解をいただきたいのは、我が国の水産物の消費マーケットがこれだけ拡大してきたというのは、やはり市場メカニズムを通じていろいろと供給サイドが創意工夫をいたしまして、需要サイドにマッチしたいろいろな形態の水産物を提供する工夫をやってきたということでこれだけの大きなマーケット規模ができたのだろうという面も当然あるわけでございます。  そういう中で、水産物の特性といたしまして、これも御承知のとおり漁獲が非常に変動しやすい、そういう問題がございますので、時期的あるいは地域的なそういう価格の変動に対しましては、現在水産物調整保管事業というものをやっておりまして、そこで価格の乱高下というのを防止する。  それから、内外といいますか、特に日本への輸出国は、日本の全体の経済規模が非常に大きい、あるいは購買力があるということで、日本の水産物マーケットはどれだけ輸出をしてものみ込めるのではないかなというようなことを考えているのではないかという面もございますので、我が国の水産物の需給に関します関係者、これは生産者であり取扱業者であり最終需要者でございますが、そういう関係者の情報交換の場というのを提供いたしまして、日本に入ってくる輸入水産物が日本の需給と関係なく集中的に入ってくるのを抑止する。  それから第三点目は、国産水産物の競争力の強化ということで、鮮度、安全性にすぐれた国産水産物を輸入水産物と競争できるような形に持っていくための流通加工施設の整備というのを平成七年度の予算で新規に我々としては考えているところでございます。
  181. 藤田スミ

    ○藤田委員 消費マーケットが拡大している、需要が拡大していると言いながら、実際には、日本でとれるお魚と競合するような魚、一番大衆魚で親しみのあるイカとかサバとかサンマとか、そういうものもどんどん輸入しているじゃありませんか。しかも、それで大きな打撃を受けているじゃありませんか。あれこれと弁解しないで、私が聞いていることにきちっと答えてください。だれだって、ここがたたかれて痛いと言っているときに、そこをずらされた話ばかりされたら、それじゃちっともよくなりませんよ。私は、そういうあなた方のごまかしはいいかげんにやめて、もっと物事を直視するべきだと思うのです。  おまけに大手の水産会社は、二百海里体制の中で漁業生産から撤退する一方、水産物の輸入にウエートを移して大きな利益を上げてきています。輸入水産物の最大の大手のマルハ社長は、輸入魚の増大は沿岸漁業経営を悪化させる一因と言われるが、むしろ供給安定、相場安定を図っていると述べまして、魚は安いと言うが、内外価格差という観点で見ればまだまだ、平然とこう言い放っているのです。もっと下げなければいけない、こう言っているのです。  私は、大体日本漁業者に育ててもらったこういう大手の業者がこんなことを平然と言うというのは本当に理解しにくいわけですが、内外価格差縮小の旗印のもとで、しかも円高もどんどん進んでいく中でさらに価格が下がっていく、引き下げようとする、このような大手水産会社、大手商社による集中的な水産物輸入に歯どめをかけなければ、幾らあなた方が何とか検討会だとか調査会だとか、あの手この手を言っても日本漁業は守ることはできない、そういうふうに考えるのです。今度は大臣、お答えください。
  182. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 申し上げますが、農産物についても我々は多角的貿易体制のもとで部分開放をせざるを得なかった。あるいは乳製品を初めとする農産物について関税化、すなわち自由化ということをせざるを得なかった体制のもとにおきまして、封鎖主義的なものをもってこれに対応することは困難でございます。やはり今水産庁長官が申し上げましたように、国内水産物の競争力をどう強化するかということに施策の重点を置かざるを得ないという段階であることを申し上げます。
  183. 藤田スミ

    ○藤田委員 もう一度お伺いしますが、そうすると、今のような輸入急増に歯どめをかけることは困難、できないというふうに聞いていいのでしょうか。
  184. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 今も申し上げましたように、国内需給を離れての水産物輸入に対しては、今も水産庁長官が申し上げましたように、節度を持った秩序ある輸入ということで関係業界でも大変努力をしておるところでございます。
  185. 藤田スミ

    ○藤田委員 必要に応じての輸入になっていないから問題で、必要に応じての輸入であればこんなに漁業者は困らない、こんなにむちゃくちゃな魚価の低迷というような泥沼のようなところに入ってしまわないわけです。  私は、何も必要なものを入れちゃいけないと言っているわけじゃないのです。しかし、実際には、需要の動向とかなんとかとおっしゃいますが、先ほども大臣がいみじくもおっしゃったように、輸入相手国の事情もあって、要請もあって、国内需給に幅を持たせているというふうな発言もされましたけれども、まさに、今本当に日本政府が決意を持って自国の漁業を守り、発展させるという立場に立ち切っていないところに問題があるというふうに言わざるを得ません。  EUではきちんと対処しているのです。私はここに最近出版された「日本漁業」という新書を持っております。この中を少し御紹介をしたいと思いますが、要するに、ここで言っていることは、「日本漁業が今、悩みの種としている輸出入に関しても、CFPは注目すべき制度を導入している。輸出の奨励が輸出払戻制度によって行われており、これは、輸出価格がECが決めた価格より安い場合に、補償金として国が支出する。また輸入の方では参考価格が決められ、EC外からの輸入には、その参考価格まで課徴金をかけるしくみになっている。つまり安い輸入水産物が市場に出回らないようにしてあるのだ。」こういうふうに書いているわけです。同じ先進国であって、他方でできて日本でやらない、そんなことはとても納得できません。要は、自国の漁業を守り、発展させるのかどうか、政府の決意の差がここにあるというようにしか言いようがないわけです。この点ではECの方が日本よりも自国の漁業を守る真剣さがあるというふうに考えます。一九八三年でした。漁業を食糧産業として明確に位置づけるべきだという決議を上げたのが。漁業を食糧産業として明確に位置づけろということに初めて言葉としてなったわけですけれども、私は、どうしてそういうふうな明確な立場に立てないのか、もう一度大臣の御答弁を求めたいわけです。
  186. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 先般のWTO協定の交渉におきましても、我が国は市場アクセス部会におきまして、関係国すべてIQ制度の撤廃、これを要求されたところでございますが、沿岸なり沖合に影響を持つ魚種については我々はIQ制度を堅持したという経緯もあるわけでございまして、それなりの努力をしていることを申し上げます。
  187. 藤田スミ

    ○藤田委員 IQ制度の撤廃を拒否したなんということは当たり前のことでありまして、今紹介したように、EUはもっともっと自分たちの漁業を守ろう、守り切ろうというそういう非常にはっきりした姿勢をとっているんだ、日本もそれをやらなければ将来大変なことになるんだということを申し上げておきたいと思います。  最後になりますので、もう一問だけ聞きますが、昨年の八月に水産物の表示ガイドラインの実施が発表されました。この問題は以前にも当委員会で私は表示の実施を求めたわけでありますが、やっと実現をしてよかったと思っています。  その実施状況は、私が水産庁に確かめたところ、モニター調査で、品名が八割、産地が三割、解凍が四割というような数字で、まだ魚の名前を表示するのさえ一〇〇%になっていない。産地表示に至るやまだ三割、解凍で四割というような数字では芳しいとは言えないと思いますが、水産庁として、実施率が低い原因をどういうふうに分析され、対策についてどうお考えなのか。私は、スーパーマーケットなどにポスターを張らせていくなど、もっとそういう宣伝に力を入れていただきたい。  消費者としてお魚を食べようかというこの問題は、これは本当は対面商法が一番いい。わかりやすく言えば魚屋で買うのが一番いいのです。そうすると、しゅんのものだとか近海のものだとかいうように、非常によくわかるわけです。パックに入ったものでもう名前さえわからない、それでは消費者は魚離れということになるわけですから、本当に魚の消費拡大のためにも、また魚に対する信頼を消費者に持たせていくというためにも私は大事なことだと思いますので、御答弁を求めたいと思います。
  188. 鎭西迪雄

    鎭西政委員 水産物表示ガイドラインが制定された経緯、背景は委員承知のとおりでございますので省略をさせていただきますが、昨年の八月四日に財団法人食品流通構造改善促進機構というものが一定の魚種につきまして、品名、産地、解凍のものである場合には解凍等の表示、養殖物である場合は養殖等の表示を必須表示事項とすることを主な内容といたします水産物表示ガイドラインというのを制定いたしまして、関係業界に通知したところでございます。  私どもといたしましては、早速このガイドラインの普及、定着というものが図られるべきである、こういう認識のもとに、平成六年度から財団法人の食品流通構造改善促進機構によります説明会の開催だとかパンフレット等の作成、配布、あるいは表示ガイドラインの実施状況調査等を内容といたします水産物表示普及定着事業というのを六年度から五カ年計画で実施することにいたしております。  この事業の一環といたしまして、ガイドラインの普及、定着上の問題点の把握等のための実施状況調査というものを現在委託をしてやっておるところでございまして、今年度中にはその結果の取りまとめが行われる予定と聞いておりまして、これで問題点が出ますと、これをさらにフィードバックいたしまして、より普及、定着するような方向にこのガイドラインを持っていこうということで、これから五カ年間真剣に取り組んでいく所存でございます。
  189. 藤田スミ

    ○藤田委員 時間が参りましたので、終わります。
  190. 中西績介

    中西委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  191. 中西績介

    中西委員長 これより両案について討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、中小漁業融資保証法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  192. 中西績介

    中西委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  193. 中西績介

    中西委員長 この際、本案に対し、松岡利勝君外四名から、自由民主党・自由連合、新進党、日本社会党・護憲民主連合、新党さきがけ及び日本共産党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を聴取いたします。小平忠正君。
  194. 小平忠正

    ○小平委員 私は、自由民主党・自由連合、新進党、日本社会党・護憲民主連合、新党さきがけ及び日本共産党を代表して、中小漁業融資保証法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     中小漁業融資保証法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   我が国漁業経営は、国際的漁業規制の強化漁獲量の減少、魚価問題等により厳しい局面にあり、経営安定対策の強化が重要な課題となっている。   よって政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万遺憾なきを期すべきである。      記  一 漁業経営現状を克服するため、経営実態に即して水産金融制度の一層の充実に努めるほか、我が国漁業の将来展望を踏まえ、経営基盤強化のための構造対策を促進すること。  二 漁業経営改善促進資金については、貸付対象となる特定業種の範囲につき必要に応じ見直しを行うとともに、本資金経営改善合理化のために円滑かつ有効に利用されるよう、貸付手続の簡素化、適切な経営指導等に努めること。  三 漁業近代化資金制度については、漁業漁村の活性化に資する観点から、漁業経営形態の多様化等を踏まえて幅広い活用を図ること。  四 中小漁業融資保証保険制度並びに水産金融全般の円滑な運営に資する観点から、漁業信用基金協会の財務基盤の強化が図られるよう努めること。  五 漁業経営改善促進資金等制度資金の円滑な貸付けのため、物的担保や保証人の徴求等について弾力的な運用が図られるよう努めること。   右決議する。  以上の附帯決議案の趣旨につきましては、委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
  195. 中西績介

    中西委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  松岡利勝君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  196. 中西績介

    中西委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。大河原農林水産大臣
  197. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 ただいま御決議いただきました附帯決議の趣旨を尊重し、今後最善を尽くしてまいります。     —————————————
  198. 中西績介

    中西委員長 次に、漁業災害補償法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  199. 中西績介

    中西委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  200. 中西績介

    中西委員長 この際、本案に対し、松岡利勝君外四名から、自由民主党・自由連合、新進党、日本社会党・護憲民主連合、新党さきがけ及び日本共産党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を聴取いたします。倉田栄喜君。
  201. 倉田栄喜

    ○倉田委員 私は、自由民主党・自由連合、新進党、日本社会党・護憲民主連合、新党さきがけ及び日本共産党を代表して、漁業災害補償法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     漁業災害補償法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   漁獲量の減少、魚価問題等厳しい漁業情勢の下で、漁業災害補償制度は漁業経営の安定を図る上で重要な役割を果たしており、本制度に寄せられる期待は大きいものがある。  よって政府は、本法の施行に当たっては、左記事項の実現に努め、本制度の円滑な運営に遺憾なきを期すべきである。      記  一 本制度への加入促進するため、今後とも、漁業者の共済需要を踏まえ制度の整備を図るほか、漁協及び漁業共済組合等の普及推進体制強化並びに地方公共団体の積極的協力の確保に向けて、万全の指導を行うこと。  二 共済掛金率及び補償水準の設定に当たっては、漁業経営の実情を十分に見極め適切に対処すること。  三 漁業再共済事業に係る国と連合会の責任分担割合については、長期的な収支状況に配意し、事業関係者の十分な理解を得て決定すること。   右決議する。  以上の附帯決議案の趣旨につきましては、委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
  202. 中西績介

    中西委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  松岡利勝君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  203. 中西績介

    中西委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。大河原農林水産大臣
  204. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 ただいま御決議をいただきました附帯決議の趣旨を尊重し、今後最善の努力をいたしてまいります。     —————————————
  205. 中西績介

    中西委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案委員報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  206. 中西績介

    中西委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  207. 中西績介

    中西委員長 次に、内閣提出参議院送付農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案を.議題といたします。  これより趣旨の説明を聴取いたします。大河原農林水産大臣。     —————————————  農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律   案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  208. 大河原太一郎

    ○大河原国務大臣 農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  農業協同組合合併助成法は、昭和三十六年の制定以来、八回の延長を経て今日に至っているところでありますが、この間、昭和三十五年度末に約一万二千あった農協が約二千七百となるなど、農協合併の促進に大きな役割を果たしてきたところであります。  一方、近年の我が国農業及び農村をめぐる状況変化の中で、農協が、組合員ニーズ多様化等に対応した健全な事業運営を図るとともに、農業及び農村の活性化に積極的に取り組んでいくためには、その経営基盤の安定強化が喫緊の課題となっておりますが、全国的にはいまだ脆弱な小規模組合が多数存在しているといった状況にあります。  政府といたしましては、このような状況を踏まえ、農協系統がみずから進めている農協合併を引き続き支援して農民の協同組織の健全な発展に資するため、所要の改正を行うこととし、この法律案を提案した次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。  まず第一に、合併経営計画の都道府県知事への提出期限を三年間延長して、平成十年三月三十一日までとすることとしております。  第二に、都道府県農業協同組合合併推進法人の業務の範囲に、合併に係る農協の固定した債権の取得、管理及び回収を行うことを追加するとともに、農業協同組合合併推進支援法人の業務の範囲に、推進法人が行う固定した債権の取得等の業務の実施に必要な資金の援助を行うことを加えることとしております。  第三に、推進法人及び支援法人が行う固定した債権の取得等の業務に充てるための負担金を支出した場合には、損金算入の特例の適用があるものとすることとしております。  第四に、合併経営計画の提出期限の延長に伴い、都道府県知事の認定を受けた農協の合併について、税法上の特例措置を設けることとしております。  以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  209. 中西績介

    中西委員長 これにて本案の趣旨の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時十八分散会      ————◇—————