○石破
委員 昨年のWTOの特別
委員会でも幾つか御
質問をいたしました。得心がいかないところを繰り返して
質問をさせていただくような形になります。お許しをいただきたいと存じます。
冒頭、今の時代認識なんですけれ
ども、幾つかの論説にもございますが、どうも大正時代と似てるねと言う方がおられるのですね。起こっている事象を見ると大正時代と非常に似ている、酷似していると言っても過言ではない。
大正時代というのはどういう時代であったかというと、まず第一次
世界大戦があった。
日本は戦場でもなかったし、そしてまた連合国側であったから、ヨーロッパにいろんなものを売って大金持ちになって、一種バブルのようなことが起こった。戦争が終わると同時にがたんとこれは不況になって、大不況というものがやってくる。そういうような時代であったと思います。米騒動というのは、くしくもそのころに発生をしておる。一九一七年だったと思いますが、ロシア革命が起こってロシアがソビエトになった。世情というのは非常に不安定になったというふうに聞いております。軍縮だ、軍縮だというかけ声が随分と叫ばれて、ワシントン条約なんというのがあったのもそのころであります。そして最終的に何が起こるかといいますと、関東大震災が起こって、そして政治不信が極に達する。やがて起こってくるものは、皆様方御高承のとおりであります。
もちろん年代的な若干の相違はございますが、今もそれと似てないであろうかと。冷戦が終わった、バブルがはじけた、大不作が起こった、軍縮、軍縮というかけ声があって、そして
阪神大震災があった。何だか非常に似ておるというような気がしております。浮かれておったのがどんといろんな現実を突きつけられて、これで本当にいいのかねということを今考えなければいけない、私はそういう時代にあるだろうというふうに考えておる一人でございます。
さて、長い間、米の自由化はやらないんだと、例外なき関税化は絶対に阻止するんだと、ミニマムアクセスもだめであるとこの点についてはいろんな御議論があろうかと思いますけれ
ども、とにかくそういうことはだめだということで、全党がずっと言ってまいりました。選挙の公約でも、今の与党であれ野党であれ言い続けてきたことのはずであります。しかしながら、残念だけれ
ども、それを一〇〇%、公約も国会決議も守ることができなかった。それで、別枠かどうかは御議論のあるところだと思いますが、六兆百億円というものを提示をして、これで何とかラウンドを乗り切っていくんだ、こういうような
お話であったかと思います。
二月二日の
日本経済
新聞の社説でありますが、こういう見出してあります。「増税論議より
予算の組み替えが先だ」というような題名のもとに論陣を張っておる。こういうような見方も世の中にあるということで、
大臣、お読みになったと思いますが、ちょっと引用してみたいと思います。
つまり、これが言わんとすることは、農業
予算というのは不要不急であってそんなに急ぐものではない、増税をするとかなんとかそういう話をする前に、六兆百億をそんなに急いでやることはないんだから、震災復興に回すべきであるというようなことであります。そこにはこういうように書かれている。「その
予算が今年度の一次
補正、来年度
予算案に計上されている。」ラウンド
予算のことであります。
「
予算案の組み替えは考えない」ということは、一部
農家からもバラマキ批判が出ている「今そこにある無駄」に目をつぶり、今そこに迫っているかもしれない次の大地震
対策を怠る、ということだ。
農業
対策費を削ると農林族議員の反発が怖い、というのが本音かもしれない。しかし政策のプライオリティーをつけることこそ政治の機能だ。優先順位をつけられない政権に増税を許せば、税金はとめ
どもなく膨張する。「族議員にやさしい政治」を貫くのはやめてもらいたい、こういうような論説であります。そしてまた、日経連の会長もそのような
お話をなさっておられるやに報ぜられております。私
どもは、六兆百億円というのは別枠で絶対に確保しなければいけないんだというふうに言い続けてまいりました。その成果はかなり上がっておる。これは本当に与野党ともに皆の成果であるというふうに思っておりますが、今回の震災でそういうような話が出てくるというのは一体これはどういうことなんだろうかと、私は非常に残念に思っておるのであります。
大臣の御
所見を承りたいと存じます。
〔
委員長退席、
鉢呂委員長代理着席〕