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1995-05-10 第132回国会 衆議院 逓信委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年五月十日(水曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 自見庄三郎君    理事 佐田玄一郎君 理事 住  博司君    理事 虎島 和夫君 理事 遠藤 乙彦君    理事 河村たかし君 理事 田中 昭一君    理事 小沢 鋭仁君       荒井 広幸君    佐藤 剛男君       斉藤斗志二君    坂井 隆憲君       関谷 勝嗣君    蓮実  進君       宮崎 茂一君    山下 徳夫君       神崎 武法君    小坂 憲次君       古賀 一成君    高木 陽介君       高橋 一郎君    中島  衛君       日笠 勝之君    遠藤  登君       大木 正吾君    吉岡 賢治君       高見 裕一君    矢島 恒夫君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 大出  俊君  出席政府委員         郵政大臣官房長 木村  強君         郵政大臣官房審         議官      品川 萬里君         郵政省郵務局長 加藤豊太郎君  委員外出席者         逓信委員会調査         室長      丸山 一敏君     ————————————— 委員の異動 五月十日  辞任         補欠選任   岸本 光造君     蓮実  進君   横光 克彦君     遠藤  登君 同日  辞任         補欠選任   蓮実  進君     岸本 光造君   遠藤  登君     横光 克彦君     ————————————— 本日の会議に付した案件  郵便法の一部を改正する法律案内閣提出第七  三号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 自見庄三郎

    ○自見委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付郵便法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤剛男君。
  3. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 ありがとうございます。  郵便法改正ということで最初質問者に立たせていただきまして、これを契機にずっときのう郵便法を眺めておりました。それから、今回の改正についてどういう実質的な改正をするのか、またどういう形式的改正をするのかを見ておったわけであります。いろいろ勉強させていただいたのですが、この郵便というのは、日本郵便世界で非常に高く評価されておる。なぜ高く評価されておるのかというのは、日本に出せば必ず非常に短い期間の間、一日二日の間に全土に渡る。こういう国はなかなか世界の中でも、先進国の中でもない。これは、日本がつい最近まで治安というのは非常に安全な国だった。これは高く評価されていたわけですが、今回はサリンだオウムだということで、世界が、ある意味では非常に不安な都市であり、不安な国だという逆の評価を持つというわけでありますが、その意味で、この郵便というものの事業郵政省のこれまでの先人の努力によりましてなされてまいって、そして今日に至ったことについては、大臣初め役所の方々に敬意を表するわけであります。  ただ、こうずっと眺めていまして、私は、最近の郵政事業経営状況、ちょっと勉強させていただいたのであります。そうしますと、何か景気影響されるという面が非常に出てまいっております。幾つかの影響要因というのは、料金影響要因。つまり郵政事業に対しての影響というのは、一つ景気。なぜ景気影響を受けるかといいますと、やはり郵便の八割が事業者事業者あるいは事業者個人、簡単に言いますと、ダイレクトメールだとか、そういう広告関係が非常に多くなる。それの一つが今回の改正でもあるわけでございますね。上限を廃止し、減額するという規定を新たにしやすくする、省令で定めるということだと思うのですね。  その額が、黒字になったり赤字になったりする額がすごく激しい事業なのですね。まず、平成三年度幾ら赤字になったか、こう見ますと、百七十三億円赤字になっているのですね。それから、平成四年度がぽんと飛びまして、五百億を超えて六百八十一億円の赤字になったのですね。郵政事業がこれだけ赤字になったので十三年ぶり——平成五年は八百三十二億円も赤字なのですね。それで、結局累積赤字が千億円を超えてしまった、平成五年度で。そこで、平成六年の一月に五十六年以来の十三年ぶりでの料金値上げというのをやったわけですね。料金値上げをやって、我々政治家にとっては非常に大きいのですね、政治家というのは何のがんの言いながら暑中見舞いやったり、それから年賀出しますから。  そうしますと、かつては四十円だった。これが五十円になる。僕の場合、例えば、まあ大体皆さんそうですが、後楽園球場満杯にして大体当選してくるのですね。神宮じゃ大体だめなんですね。そういう形でいきますと、私の場合、十万ぐらい出すわけですよ、一回に。十万といいますと、四十円のときで四百万ですよ、一回だけで。それが四十円が十円上がったのですね、十三年ぶりで。それだけでもう百万上がるわけですよ。それで、国会の関係通信費というのはそんなに上がるわけじゃないですから、そういう面でいきますと、通信費というのが一年に、例えば暑中見舞い、年賀だけでやりましても、もうこれだげでも十万にやれば一千万。  今度は小選挙区制の形にいきますと、これはもっとひどいのですね。私のところは全国で五番目の、小選挙区じゃなくて大選挙区になるのですよ。そうすると、有権者が四十一万。人口五十三万幾らですけれども、子供には出しませんから、有権者に出すとして四十万としますと、これは十円だけで四百万。これは、計算するだけでいかにこの料金というものが、個人に対しても大きい。個人の場合に、政治家に対しても大きい。  それで、私の場合なんというのは、私の事務所のところへ局長さんが毎日とりに来ますから、これは。そのくらい、恐らくみんな政治家事務所というのはそうやっているのだろうと思うのです。これは常時出したり何々したりやっているわけですね。それから、後援会カードヘ出てくれば、後納で出てくるわけです。後での納金と。  ですから、景気影響するというのは、事業所というのはまず景気が悪くなれば広告を下げろ、こうやるわけですね。ですから、広告ダイレクトメールが減る、それから新聞などの広告が減る、研究費が減る、こういうわけですよ。交際費が減る。三Kというわけです。ですから、景気が悪くなると、そういう意味において郵便事業収入の八割を占める、恐らく八割占めるでしょう、八対二とよく言いますから。二割が私人私人あるいは私人事業所への、私の人と事業所への文通だと。八割は大体過去の例を見ますと、事業所事業所間、事業所個人ですね、ダイレクトメールか、そういうことなんですね。  それで、事業所事業所関係というのは、将来はやはりパソコンとか、それからそういう情報産業で、私はそれに取ってかわるような競争相手が出てくるだろう。それから、小包の方になると宅急便ですね。ですから、私は、三つ郵政事業には競合する部分がある。一つ宅急便民間との関係小包関係。それから第二は、景気へのもの。ということは、これはもう根本的にそういう事業所の比率が個人というよりも常に八割も占める、こういう一つの構造的な問題ですから、この問題に恐らく目をつけて今回の改正というのが、第一の改正というのがそういうふうに私はなっておると思うわけであります。  それで、後で質問いたしますけれども、最初に言いますと、第一の改正をやりまして、提案理由に書いてあります「第一種郵便物及び第二種郵便物料金特例制度における料金減額率法定上限を廃止し、審議会に諮問した上、省令の定めるところにより減額することができることとしております。」これは大臣概要説明があったわけでありますが、これをやることによって、先ほど一年間にいいまして三百億、四百億近い変動をするわけですね、どのくらいの黒字が見込まれるのか。金目の話ですよ。銭の話で申しわけないですけれども、そういうお話からお聞きいたしたいと思っているわけであります。  そして、郵便法をずっと眺めてきたのですが、郵便法の中には非常に、日本国憲法にある信書秘密、つまりあの戦争で検閲ということの苦い経験をした、検閲してはならぬと書いてあるわけですね。それから、郵便事務をやった人に対しては、郵便事務をやっている者は、罰則つきで外してはいかぬ、汚してはいかぬというのは立派なものが書いてありますね。信書秘密は侵してはならぬ。まさしくこれは憲法ですね。  そして、ずっと眺めできますと、料金のところの条項が、先ほど言いました、私が申し上げた私人にとっては一番関心のあるはがき、それから封筒封筒が今八十円ですよね。それから今はがきが四十円から五十円になってしまった。我々ははがきというよりも結構封筒を使うんですよ。そうしますと、一方で八十万、十万人にすると八百万、二回一年にやりますと千六百万。今度十万が四十万になるとそれの四倍、通信費がそれだけかかっちゃうわけですよ。  ですから、そういう意味において、この郵便料金の価格というのが二十一条、二十二条に書いてあります。書いてありますが、これは非常に意味を持つ公共料金の定めだと思うのです。  ところが、私はずっと郵便法を眺めてみました。それで、二十一条、二十二条見ていきました。そうしましたらおかしなことに気がついたんですよ。封筒というのは今現在八十円なんですけれども、二十一条の二項には六十円と書いてあるんです。それから、二十二条の第二項、これははがきなんですけれども、現在は五十円、それが四十円と書いてあるのですね。郵便局が出しておりますこういうパンフレット、これにはちゃんとはがきは五十円、それから封筒は八十円と書いてあるのです。だから、いいんですよ、民間人はわかる。  ただ、私は、郵便法というのは、先ほど申し上げた信書秘密があり、検閲してはならぬと書いてある。それから、破いた者については、郵便局で働いている人が罰則受け条項まで書いてある。そういう非常に歴史の深い、そして世界に冠たる評価を受けているものであって、一種憲法なんですね。この憲法たるべき条項が、二十一条、二十二条というものが従来どおり。そして、特例という規定があるためにと恐らく郵政省答弁をされると思います。  私は、きのう担当の課長さんに来ていただきまして、私の意見を言って——本来は内閣法制局の話なんです。内閣法制局部長を呼んでくれと僕は言ったわけです。私も役人時代、私も役所やっていましたから、法律をあれこれ三十近く修正だのなんだの出したりしてやっていましたから、私も法令審査のあれをやったわけですが、少なくとも、条文整理郵便法改正をする、こういうときには二十一条、二十二条を直すべきである。  簡単に言いますと、実質直すわけじゃないのですよ、特例が働いて、二十七条の四とか二十七条の五とかが働いて、そして読みかえ規定になって、審議会意見を聞いて省令で定めるというようなことでなっちゃっているわけです。これは一回きりなんですよ、普通こういう活用をすべきなのは。それを、今度のものももう一回同じように活用するというのはおかしいのです。これは皆さん条文持っておられないと思いますので、これをごらんになっていただきたいと思います。配られましたものなんですが、これの三十五ページ、三十四ページ、これが現状条文であります。  ですから、私が問題提起いたしたいのは、これはもっと早く申し上げればよかったのかもしれないのですけれども、私はむしろこの委員会修正要求をしたい。しかし、いろいろのあれがあるでしょうからそれはさておき、私もきのうの間にでも国対にでも申し上げればよかったのかもしれませんけれども、私は適当ではないというふうに考えておりますし、このきょうの日に、この審議のときに最初質問で申しわけないですけれども、この二十一条、二十二条というのを、すべての規定が、憲法に当たるような条項が全部現状と違う。みんな違うんですよ。百七十円、二百四十円、三百五十円、七百円、みんな違う。それから、第二十二条の四十円、八十円、これもみんな違う。これは四十円が五十円であり、八十円が百円になっていなきゃいかぬ。  しかし、法律的には、内閣法制局的には、二十七条の何とかという特例があって、そして欠損みたいなものがあったときにはこれをまた省令で定めるという規定があるからそれができるのですよという説明を恐らくしてきたのだろうと思いますけれども、これは前回の改正をしたときの一回限りでやるべきであって、次の改正のときには、今回の改正のときには直しておくべきなんです。  その理由を申し上げます。さらにつけ加えて申し上げますと、郵政事業で今度、この二十一条、二十二条の原則がこうなんだと言われたら、では下げるということがあるのですかということです。下がるのですか。はがきが五十円が四十円になるのですか、三十円になるのですか。もしそういうことであるならば、二十一条、二十二条はそのままでいいです。現行でいいです。しかし、私が見て、この料金値上げしないと今の郵政事業は、先ほど言ったように、景気の問題、それから情報パソコンだとかワープロだとか、そういう競合の問題、それから宅急便の問題、そういうふうなものを見ていきますと、これは下がらない。下方硬直性、上ばかり行く。  それで、私はこの問題について郵政大臣の御意見を特に伺いたいと思うわけでありますが、今後の見通し等についても申し上げますけれども、まず最初に私が今申し上げましたような流れ、そして、大分じゃべり過ぎてしまいましたけれども、条文修正の問題、本来なら私も委員長条文修正してくださいとこの委員会で申し上げるのだけれども、どうもちょっといろいろ理事方々国対方々がおられるようですからそうはしませんけれども、少なくとも、そうならば、武士の情けで問題にしないですが、そうしたらきちんと次のときにはこうしますということの改正のときの約束をまずいただきたい。そこから始めさせていただきます。
  4. 加藤豊太郎

    加藤(豊)政府委員 二つお尋ねがありましたが、最初収入の件についてまずお話をさせていただきたいと思います。  広告郵便物につきましては、割引によって大きな需要効果が期待できるということでありまして、割引そのものによって郵便料金が減収になるわけですけれども、一方物増による増収分がそれを上回るというふうなことで考えておりまして、当方の試算では、現在の割引率通数段階に応じまして最高一〇%強の割引率を加えた場合に、広告郵便物は少なく見積もっても年間約五億円の増収にたるものというふうに想定しております。物数的には一億一千五百万通くらいふえるだろうというふうに想定しております。  したがって、今回この施策は、先ほど先生がおっしゃいました宅急便だとか事業所景気によって郵便需要が大きく変わってくるとかいうふうなこと、それからファクシミリだとかパソコン通信だとかいうふうなものに郵便が脅威にさらされるというふうな観点からしますと、今機動的にこういうふうなものに対処することが非常に有効ではないかというふうに思っている次第でございます。  それから、もう一つの一番大きな問題として今御指摘ありましたところの二十一条、二十二条に郵便料金が、一種、二種料金が法定されているにもかかわらず二十七条の四で、現在省令で現在の料金規定されておる、これを今回修正すべきではないか、二十一条、二十二条を修正すべきではないかというふうなことでございますけれども、これにつきましては、もう先生御案内のとおり、第一種郵便物それから第二種郵便物料金については、郵便法二十一条及び二十二条で定めることを原則とした上で、二十七条の四の規定によりまして、郵便事業の損益において単年度欠損が生じたときないしは生ずることが確実であると認められるときが一つ、それから郵便事業の収益の五%を超える累積欠損金が生じたときないしはその生ずることが確実であると認められるとき、これが二つ目、それからさらに物価等変動率を超えない範囲内で、こういうふうな三つの条件のもとに、特例として省令で定めることができるとする旨がされているところであります。  このときには、当然のことながら、二十一条、二十二条の料金と実際の郵便料金が乖離することが当初から予定されているわけでありますけれども、現在の料金はこの二十七条の四に基づき省令で定められているわけでありますけれども、先ほど御指摘の、法改正を行って二十一条、二十二条に同じ料金を今回明定すべきではないかということにつきましては、二十七条の四が二十一条それから二十二条の特例規定であるという趣旨にかんがみまして、私ども困難ではないかというふうに考えております。しかし、先生の御提言を踏まえまして、他の事例も調査しながら今後の勉強課題とさせていただきたいというふうに思っております。
  5. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 今の加藤局長の第二の答弁、ああいう答弁だと私はぶり返しますよ。そんな今の説明、全然納得できないですよ。  どういうことかといいますと、原則としてなんて何も書いていないのです、これは。むしろ二十七条の何というのは、一定の事由があった場合には二十一条、二十二条を直すことができますよと書いてある。これはどういう場合かというと、一定事業年度欠損金が出た場合。例えば平成三年度百七十三億円の赤字になった、平成四年度に六百八十億円の赤字になった、平成五年度に八百三十億円の赤字になった。累積が一千億円になってしまった。こういうふうな一年度のときにどういう影響がするか、非常に景気が悪くなったり郵政事業自身がどうしようもないときには郵便料金を上げることができる、これは例外なんです。これは二十七条の四の方。あくまでも二十一条、二十二条というのは公共料金的な規定ですから。  これは、でき上がったこの郵便法自身が昭和二十二年ごろでしょう、きちんとなっているわけです。先ほど言いましたように、信書秘密と同じように憲法になっているわけです。原則がこうなんだ、原則なんて書いてないじゃないか、何も。原則ではなくて、それが光なのです。特別の場合にやるというのが、二十七条の四というのが入ったのです。しかし、これは一回限りですね。  それならこういう例を出します。今五十円になっていますね。百円になったときもこれはこのまま置いておくのですか、四十円。二百円になったときも置くのですか。三百円になったときも置くのですか。おかしいでしょう。私は、だから内閣法制局の四部長なり参事官を呼んでくださいと、これは内閣法制局の話だから、恐らく郵政省をいじめたって始まらないから。私はわかるのです。私もそういう法令法律内閣提案を随分やってきましたから、わかるから、議事録のあれはきちんとしてください。だから、局長が私に勉強課題にしますなんという、そういう言い方をされますと私は怒るたけの話であって、そうではなくて、きちんとやっていただきたいということでございます。  それから、第一の問題。一〇%の割引をしますと一億何万個の件数がふえて、手数だけふえて、上がる利益は五億円だというのです、五億円。先ほど言いました、一年間赤字が三百億円ぐらいぼーんと飛ぶわけです、ちょっとした事業で。わずか五億円なんて言ってはいけないですが、五億円をもうけるためには一億一千五百万ぐらいの手数がかかるわけです。郵便の働く人がそれだけの仕事、一億一千五百万というのは大変なものです。五億円も大したものですよ、大したものだけれども、何かやはり経営問題について第一の改正が、五億円というものの部分のようなものとか、それからプリペイドカードのものとか何かを見ますと、今回の改正というのは非常に技術的で細かくて、細かいなら、もっと基本とした料金のところをきちんとやるべきではないですかというのが私の話している意見ですから。  大臣、私が今お話ししていることをお聞きになりましてどうお考えになられるか。私は内閣法制局の問題だと思っています、郵政省の問題ではないと思っていますから。そういうのはやはり郵政憲法たるべきものであり、そして国が行うということできちんとなっているわけですから、きちんとそういう問題については真剣に、勉強課題なんてとんでもない、きちんとやってもらわなければならぬ。次のときにはそういう方向でやるとか、内閣法制局に御意見を聞いてきちんと御返事しますとか、そういうことを、私もちょっとミスで、きのうそういう問題があるということを申し上げておけばここで修正一つ課題になったわけですけれども、ちょっと連休が続きまして勉強不足だったもので申しわけないと思います。
  6. 大出俊

    大出国務大臣 佐藤さん御質問でございますので、一、二の点につきまして申し上げておきたいと思うのであります。  まず一つは、郵便というものの長い年月の動きでございます、さっき急激な赤字を出すという。これは不思議な現象が方々に、各国を見るとあるのでありますが、アメリカのように千六百六十四億通も年間トータルで見た郵便物がある国もある。これは五年度の決算ベースしかまだ出ていませんから五年度の決算で申し上げますが、日本の場合に二百四十五億通なのですよ。日本が二百四十五億通しかないのにアメリカで千六百六十四億通もあるという、八倍近いですね。逆にフランスのように、人口日本の半分だというのに、日本の二百四十五億通に次いで二百二十五億通もある国がある。日本の場合は、佐藤さんを含めて一人当たり平均すると百九十七通ですが、アメリカは一人当たり六百五十通。これはもうけたが違うのですね。スイスが六百十九通、そしてノルウェーが四百七十六通。日本の百九十七通というのは少な過ぎるのです。だから、政策的にどう動かしていくかによって、郵便物トータルを眺めてみると非常に大きな動きが常にあることになる。だから、一概に百円になったらどうするかということにならない側面がある。  例えば小包。さっきお話がございましたけれども、一言だけ申し上げておきますが、五年度ベース小包は四億百万個。六十二年ぐらいに宅急便を含めましてトータルで四三%から四七%ぐらい。それが二〇%ぐらいに落ちてしまった。もっと落ちると思ったのだけれども、一生懸命やってみたら、今二四・三%ですよ。ですから、これも、つまりトータルで見た政策で動いていくということになる。  だから、そういう努力をこれからしていって、私は結論を言えば、値上げはしないという、そうしないと民間に持っていけの何のという議論になってしまうので、正常な、きちっとした、値上げをしないという政策を立てて、できるだけ通数をふやす努力をする。  今の法律論争でいいますと、これはちょっと私がうっかり口出ししにくい問題でございまして、佐藤さんは通産の御経験がおありになるからおわかりだと思うのですが、郵政省もこの法律をつくったら法制局と相談しないで出すべきじゃないのでありまして、郵政省独自の見解でというわけにまいりません。そこのところはぜひ御理解をいただきたい、こう思っております。
  7. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 ありがとうございました。大臣値上げについての決意というので高く評価します。  それで、大臣は今アメリカ日本の比較をされましたね。確かにアメリカは多いのです。アメリカが多いというのは、やはり安いのですよ。一ドル百二、三円のときの計算で見ますと、日本が五十円のはがき、これは単なるレートで計算するわけですから適当じゃないかもしれないのですけれども、アメリカは二十一円ですよ。ですから、アメリカの倍以上しておるわけです。それからイギリスが高いとか言われながらも四十円。さらに書状関係日本封筒八十円ですね。封筒八十円でいいますと、アメリカは三十三円ですよ。ですから、どうしてそういうふうに安いのかということを、これは一つ大きな課題だろうと私は思うのです。一ドルが八十円になりますと、この差はもっと開いてしまう。それは簡単にやってはいかぬですけれども、そういうふうな購買力比較が出ているというところ。  そして、どうしても価格を——できるだけリストラする。先ほど申し上げましたように、景気にも影響する、宅急便もあるというと、やはり機械の導入だと思うのです。年末の例えは新鋭機の読み取り機の導入、私はそれを積極的にやるべきだし、今回の補正みたいなことでも、これはどうなったのか知りませんが、例えば郵便局、恐らく二万五千ぐらいあるのでしょうけれども、その郵便局にみんな、例えばないところは機械を導入するとか、そういうふうなもののリストラ。  つまり、日本の経済みんなそうなのですけれども、海外投資、産業空洞化というのも、賃金が高い、高賃会社会になっちゃう。だから、賃下げ交渉でもすれば、例えば全逓と賃金引き下げの交渉でもやるならば料金は下がる方向に行くかもしれないけれども、まず私は、この価格は、大臣のお言葉で御決意はわかるけれども、絶対にこの五十円を何年も維持できるはずはないと思います。現行の水準を維持するためには相当の血と汗を出すリストラが必要であると思います。  そのときには例えば読み取り機をやるとか、今計画されておるというので私は郵政省は非常に御立派だと思っておりましたが、読み取り機も七けたぐらいのを分類をしまして——今、年末に行きますとアルバイトがこうやってやっているんですよ。人ばかり多いですよね、確かに。それは、アルバイトの学生だの何だのの仕事になるからいいんですけれども、やはり機械を、七けたぐらい読み取るものを何年後に導入して、コストを——高コスト経済に日本はなっているわけですから、特にマンパワーがそうですから、それをいかにするかという大きな計画を持ってやって、一番生活に関係のある郵便料金、そして政治家にとっても本当に大変なる価格でありますから、それの少なくとも値上げはしない、維持していくと。働いている方も十四、五万人おるんでしょう。ですから、そういう人たちの問題も含めて、とにかく、日本が冠たる評価をされている郵政事業をやっておるんだから、それに対して真剣なる私は取り組みをしていただきたい。それには今回の改正は余りにも少し少な過ぎるんじゃないかと。一〇%やって、いいんですよ、一億一千五百万ふえて五億上がりましたといったら、何か一遍にちょっと料金をぽんとやるとだあっと上がっちゃうような感じですから、このときはよほど注意しませんと、一年間赤字が三百億円何々ぽんといく、そういう会計ですから、十分ひとつ郵政当局、前向きといいますか、将来のグランドデザインを考えながらやっていただきたい。  この郵便法改正というのは非常に重要ですから、私は内容については賛成でございます。賛成でございますから言いませんが、ただ、条文改正するときには今度はきちんと、内閣法制局のきょうは部長さんを呼ばなかったけれども、佐藤剛男代議士がいつだと言って、それで今度は改正しないとだめだぞ、こう言っていたとよく言っておいていただきたいと思います。  時間ですので、これで終わりにします。
  8. 自見庄三郎

    ○自見委員長 次に、遠藤乙彦君。
  9. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 私も、この郵便法の一部を改正する法律案について質問を進めたいと思います。  今回の法律改正自体は、今の御議論でもあったように比較的マイナーなものであり技術的なものであって、私自身もこれは賛成ではあるわけなんですが、この機会に郵便事業全般につきまして審議を進めていきたいと思っております。  まず初めにこの郵便事業、国営事業として百二十年の既に歴史があるわけでございまして、国民生活あるいは社会経済活動に必要不可欠な基礎的な通信手段であるし、また、小型物品の送達手段を提供してきたわけでございまして、特に日本郵便システムは信頼性という点では大変高い評価があることは御承知のとおりでございます。我々もこの点につきましては高く評価をしているところであります。  しかしながらこの郵便事業、昨今、特に二十一世紀に向けて大きく環境が変わってきてまいります。国民経済も一般に大変デフレ状況下でして、大変厳しい状況になってきておるわけでありまして、こういった中におきまして、いかにして国民の信頼にこたえ郵便事業を発展させていくか、大変大きな課題であり、いろいろな意味で再検討を進めていただきたいと考えておるわけでございます。特に私自身感ずることは、郵便事業、確かにこれはユニバーサルサービスでありますけれども、民間企業とは同列には論じられませんけれども、他方、本質的にはやはり国営企業であり企業経営体でございますので、やはり経営感覚といいますか、これをできる限り発揮しなければならないという気がしております。特に昨今、長引く不況のもとで、民間企業にあっては料金を上げるなんということはもう考えられない選択でございまして、国民の世論としては、公共料金についても凍結ないし引き下げということがむしろコンセンサスとして定着しつつあるわけであって、ぜひともこういう状況を厳しく認識の上、取り組んでいただきたいと思っております。特に今後の経営のポイントとしては、こういったいわば成熟経済の中にあっては、何といっても、一つは、国民のニーズに合った新しいサービスをいかに開発していくかということと、もう一つは、徹底したコストダウンということですね、これがやはり経営のポイントでなければならないと思います。特に、民間の中小企業等におきましてはコストダウンに血のにじむような戦いをしているわけであって、そういった中で、安易に値上げすればいいといったようなことはもう絶対に通用しないわけでございまして、ぜひともこの点につきまして厳しい認識を持っていただきたいと思っております。  そこで、まず総論的な話になりますが、こういった環境条件の変化を踏まえて、郵便事業が国民の信頼にこたえて発展していくために郵政省としてどういう方策、方針を考えているか、まず、この点からお聞きしたいと思います。
  10. 加藤豊太郎

    加藤(豊)政府委員 先生から御指摘がありましたように、郵便事業は、国民生活にとって不可欠な基礎的通信手段、小型物品送達手段ということでありますので、郵便のサービスを、利用者のニーズに合わせまして常に見直しながら、安定的、継続的に提供していかなきゃいかぬ。  そのためには、一つは、サービスの提供を改善していき、それによって増収に努めるということと、それからもう一つは、事業の効率化に努めていくということによって料金改定に頼ることのない体質をつくっていきたいというところ、この二つが非常に大きな課題なんだろうというふうに思っておりまして、今御審議いただいていますところの郵便法改正もその一環であるというふうに私ども認識しておるんですけれども、これによりまして郵便需要の一層の拡大、増収を図っていきたいというふうに考えておるわけであります。  もう一つ、効率化の点についてなんですけれども、郵便の作業の機械化の推進などの効率化を進めることによって経費の節減により強力に取り組んでいかなければならないということであるわけでありますけれども、特に中期的な課題としまして、郵便番号、今現在三けたないしは万けたであるわけですけれども、それを七けたに拡張して、それによって、機械でそれを処理をし、配達の局内作業も機械化することによって効率化を図っていきたいというふうなことを私ども効率化の柱にしておるわけでありますけれども、これについても真剣に取り組んでいきたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  11. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 今のお答えの中で、基本的な方針がサービス改善とコストダウンであるということは表明があったわけで、それは共通の認識であると思っております。  ただ問題は、こういった方針が単にスローガンとして上からトップダウンでただ表明されるだけではなくして、郵便局、二万四千のネットワーク、それから働いておられる郵便局員の隅々までこういった精神が透徹するかどうかですね。実際の現場、トップから現場に至るまで、隅々までこういう精神が横溢をして、みんなで本当に協力をしてこういう経営方針でやるかどうかということが、魂を入れるかどうかということが最大の実は問題なんであって、スローガンや方針ということよりも、そこら辺が実は今後の郵便事業の問題ではないかと思っておるわけですね。  そういう点、恐らく郵便事業にしても、どうもトップダウンという形で今まで来ているんじゃないかと。なかなか現場のところからそういった創意工夫、自発性が本当に引き出されて、インセンティブが与えられてそういう方針が徹底しているかどうかということは若干私は疑問があるわけでございまして、民間企業であれば、いろいろなQCサークルであるとかさまざまな形で、そういった人たちの自発性、創意工夫というものが実際にビルトインされるようなインセンティブがあり、システムになっているわけですけれども、果たして郵便事業というものはそういう体質になっているかどうかですね。ちょっと、これは事前通告していなかったんですけれども、局長の方からその点につきましてコメントをいただきたいと思います。
  12. 加藤豊太郎

    加藤(豊)政府委員 おっしゃるように、私どもトップダウン的に、例えば昨年の夏、檄文という形で「この郵便事業の苦境を乗り越えよう」というふうなものを出すとか、それから、新年度に入りますと、経営方針とか営業方針とかというようなことで全国の郵便局に、こういうふうな方針でいくと、まさに今申し上げました二つの柱を掲げて、ここでやっていこうというふうなことで示すこともあるんですけれども、これは、まさに現場の人間がそれに応じてくれないとどうにもならないわけでございまして、まさに、今先生が御指摘ありましたような、郵便局のレベルではQCサークル的なものが既に四、五万くらいできておりまして、その活動によりまして、例えば営業活動をするとか、それからさまざまな提案が出されるとかいうふうなことがありますし、そういう提案を現実のサービスに取り込むとか、そういうふうなものを表彰するとかいうこともやっているわけであります。  一方、私ども職員の考動方針というものを実はつくり上げたのですけれども、「みずから考え、みずから行動する職員」というふうなものをスローガンとしてやっていこうということで、いわば自分で自主的に事業に参画していくというふうなものを、私ども省を挙げてのスローガンにして今取り組んでいるつもりでございます。
  13. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 そういった努力があるということで理解をいたします。  社会主義経済はそういったシステムでないために崩壊をしたわけですから、ぜひその点、轍を踏まないように効率的な、真に自発的な、そういうシステムとしてぜひともこれからも改善を進めていっていただくことを強く要望したいと思っております。  そこで、次の点としまして、マルチメディア社会の到来が現実のものとなってきているわけでございまして、この分野でどういう商品を開発し、イノベーションを進めるかということが大きな課題でございますが、郵便のニューメディアともいうべきレタックスであるとかあるいはコンピューター発信型の電子郵便といったものが既に実現をされておりますけれども、こういったものの利用状況、それから今後の利用の見通しはどうなっているか、この点につきましてお聞きしたいと思います。
  14. 加藤豊太郎

    加藤(豊)政府委員 まさに先生がおっしゃるニューメディア時代に突入したわけでありますけれども、私どもの郵便のニューメディアとして、今二つ御指摘ありましたレタックスとコンピューター郵便につきまして、ちょっと御報告をさせていただきたいと思います。  まずレタックスについてなのですけれども、これは昭和五十六年七月からスタートしたサービスでございますけれども、昭和五十九年十月に全国にサービス展開をしたということでありまして、その利用状況は、平成六年度におきまして約千六百三十万通、前年度比プラス〇・六%というふうな状況でございます。これからさらにそのサービス改善を図らないといかぬということから、パソコン通信を利用したところのレタックスの引き受けを行うなど、多様化するお客様のニーズに対応したサービスを実施していく考えでございます。  また、コンピューター郵便についてでございますけれども、これは六十年六月から日本郵便局と大阪中央郵便局の二局で開始したわけでありますけれども、平成六年度の実績でありますが、七百五十万通、対前年度比プラス二・六%というふうな状況でございます。また、今までこのコンピューター郵便を御利用いただいた企業数は、約百四十社に上っているということでございます。  何しろ今申し上げました二つの局で引き受けているというふうな状況でありますので、今後パソコン通信を利用したところの引き受け、それからその引受局そのものの拡大、私ども五局くらい当面予定しているのですけれども、これらのサービスを本年秋ごろに実施するなどして、多様化するお客様のニーズに対応したサービスを実施していきたいというふうに考えている次第でございます。
  15. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 続いて、過去料金引き上げが行われてきたわけですけれども、それと最近の郵便利用動向につきましてお伺いをしたいと思います。  特に、昨年一月の料金値上げ後の郵便物数の動向について伺いたいわけなんですが、過去、それ以前に二回値上げがありました。前回の以前の既に二回の値上げの例を見ますと、特定のパターンが観察をされるわけですが、いずれも値上げをした次の年度は前年比の減になります。さらに次の年は前年比の増になりますけれども、それでも値上げ前には戻らない。三年目になって初めて値上げ前の郵便物数に回復するという一つのパターンがあるわけですね。  既に過去二回そういった例になっておりますけれども、今回の値上げにつきましては、ちょっとどういうパターンになっているか関心があるわけなんですが、この点につきまして御説明をいただきたいと思います。
  16. 加藤豊太郎

    加藤(豊)政府委員 前二回、昭和五十一年と昭和五十六年の郵便物数の回復状況につきましては、先生御指摘のと宿りであるわけでありますけれども、今回の場合についてでございますが、平成六年度の総引受物数、最近まとまったところでありますけれども、五年度実績に対しましてマイナス一・八%、一・八%の減少になりました。  平成六年度の引受物数については、当初、過去の料金改定時、二回ほどの料金改定時の物数の変動等を勘案しまして、五年度実績に対して一・六%の減になるだろうというふうに予測していたところなのですけれども、今申し上げました、結果としては一・八%の減になったということから、〇・二ポイントほど下回った結果になりましたけれども、おおむねは我々予測した程度だったというふうに評価しているところであります。  今後の物数の見通しですけれども、先ほども御指摘ありましたけれども、景気の動向だとか、それからほかのメディアとの競合・代替関係によって変動する要素がかなりあるわけでありまして、確たる予測は非常に難しいのですけれども、料金改定後一年間をちょうど経過した、ことしの二月以降の対前年の状況につきましては、ことしの二月及び三月の物数の状況を見てみますと、料金改定直前の物数、過去の最高の物数ですけれども、それの水準にほぼ回復しているという状況でございます。  平成七年度の予算上の物数は、平成六年度実績に対しまして、私どもはプラス二・一%というふうに予測しているわけでありますけれども、もしこれが、平成七年度の、平成六年度実績比プラス二・一%ということですが、それが達成できれば、料金改定前の物数を上回ることになるだろう。したがって、今先生御指摘の、過去二回は三年目にもとに復したというふうなお話ですけれども、今回は二年目に回復するのではないかと考えております。  以上でございます。
  17. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 今の御説明では、過去二回の引き上げのときよりも今回の引き上げの方がより回復は早いという分析のようでございましたが、その理由、なぜそうなるのかという分析、さらに突っ込んでお聞きしたいと思うのです。
  18. 加藤豊太郎

    加藤(豊)政府委員 主な原因は、昭和五十一年度のときの値上げ率九八%でした。それから五十六年度、これが値上げ率三七・四%でした。今回の値上げ、これは御案内のとおり二四%でした。こういうものが、かなり落ち込みも小さく、回復も早いというふうな要因になっているのではないかと思いますけれども、手前みそですけれども、私どもも一生懸命になって販売努力をしたというふうなことと、景気が少し回復してきたのかなというものもきいているのではないか、ないしは、これからきくのではないだろうかというふうに予測しております。
  19. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 その分析がぜひ実現をしてほしいという希望的な期待は持っておりますが、ただ、私個人としては、中長期的に見ると、やはり郵便事業、余り成長性はそんなにないだろうと考えた方がいいのではないかと思うのですね。むしろ、何といいますか、一種の成熟してきたわけでございますし、そんな爆発的に急成長する市場ではないわけでありますし、日本経済も、循環要因としては回復基調かもしれないけれども、構造的にはむしろ非常に停滞基調であるということが予測されますし、さらに郵便事業に関しては、代替的な競争サービス、いろいろなファクスであるとかあるいはパソコン通信等が出てきておりますので、むしろ中長期的に非常に厳しい環境にあるという認識を持った方がいいのではないかと私は思っておりまして、そういった意味からも、料金値上げは今後は考えられないというぐらいのつもりで、むしろ冒頭申し上げましたコストダウンあるいはサービス改善にぜひ取り組んでいただきたいということを表明しておきたいと思います。  次の質問に移りますけれども、今回の法改正につきまして、まず本案提出の趣旨及びその内容につきまして改めてお伺いをしておきたいと思います。
  20. 加藤豊太郎

    加藤(豊)政府委員 本案提出の趣旨、内容についてでございますけれども、郵便事業は、御案内のとおり、昭和五十六年以来郵便料金を据え置いて、昨年の一月に十三年ぶり料金改定を実施させていただいたところであります。  今後は、先ほど御指摘もありましたように、国営事業として国民のニーズに合致した高い品質のサービスを提供する、それから現行の郵便料金をできる限り長期にわたって維持していくということが必須であるというふうに考えておるところであります。そのためには、コスト削減のための効率化、それから増収を確保するための営業努力などの経営努力を行うとともに、お客様に対するより一層のサービスの改善に取り組んでいかなければならないというふうに考えているわけですけれども、今回の改正はこういうふうな観点から実施するものでございます。  中身としては三つありまして、広告郵便物料金減額制度と、それからふみカードの利便性の拡大ということと、料金後納制度の改善であるわけですけれども、まず最初広告郵便物料金減額制度につきましては、制度創設当時に比べまして郵便物数も大口利用者の数も大幅に増大している実態を踏まえまして、料金減額率法定上限を廃止することによりまして適時適切に料金減額率を設定しまして、需要増による収入増、それからお客様との作業分担によるところの効率化を図ることができるようにするものでございます。  それから、もう一つのふみカードにつきましては、この機能を拡大し、郵便料金郵便局の窓口で支払う際や、今年度から配備するところの、予定していますところのセルフサービス機の利用の際にふみカードも使えるようにして、お客様の利便向上を図りたいということでございます。  三番目の料金後納制度の改善につきましては、これまで遅滞なく料金を納めていただいているお客様につきまして、担保の提供義務を免除して負担を軽減することによりまして、より料金後納制度を利用しやすくしたいということで実施したいということでございます。
  21. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 さらに細かく伺っていきたいのですが、今回の法改正で、広告郵便物等の料金割引率法定上限を撤廃をして省令割引率を設定するというのが一つの改善になっているわけですけれども、どういった条件でどのような割引率を設定するかですね、さらにお伺いをしたいと思います。
  22. 加藤豊太郎

    加藤(豊)政府委員 この条件の話でございますけれども、広告郵便物等の料金割引率につきましては、今回の法改正によりまして、郵政審議会に諮問するなどの手続を経て省令で定めさせていただくことになるわけであります。  その具体的な割引率だとかその条件の設定に当たりましては、現在のところ、まず利用者区分郵便物につきましては、現在集配局ないしは郵便物の取扱量が大量である郵便局に差し出していただくということが条件になっているわけですけれども、これをさらに、輸送の拠点となる郵便局に差し出していただくこと、それから現在よりもさらに配達までに時間的な余裕をいただくことということによりまして、割引率を条件に応じまして最高三%程度拡大することを検討しておるところでございます。  また、広告郵便物割引率の設定につきましては、今申し上げましたコスト軽減効果、それからそのほかに広告郵便物独特の需要創出効果に注目いたしまして割引率の設定をやるわけであります。この設定につきましては、現在、月間二十万通以上の差し出しにつきましては一律三〇%の割引にしておる、頭打ちになっているわけでありますけれども、これを例えば五十万通、百万通、二百万通といった刻みをつくりまして、その通数に応じまして最高一〇%程度さらに拡大するということを検討しておるところでございます。
  23. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 広告郵便物等の割引率を拡大するなど利用者のサービス向上に努めることは大変結構なことだと思いますが、ただ問題は、これによって事業財政がどうなるのか。悪化することがあってはならないわけでございまして、こういつた点、郵便事業財政に与える影響はどう見ているのか、この点につきましてお伺いをしたいと思います。
  24. 加藤豊太郎

    加藤(豊)政府委員 事業財政への影響についてでございます。  まず広告郵便物につきましては、割引によって大きな需要効果が期待できるところでありますので、割引そのものによるところの減収よりも、需要がふえる、物増によるところの増収分が上回るというふうに考えております。そういうふうにまたその割引率を設定したいということであるわけですけれども、当方の試算では、先ほど申しましたところの現在の割引率通数段階に応じて最高一〇%強の割引率を加えた場合に、広告郵便物は少なく見積もっても年間一億一千五百万通の需要増が見通せ、約五億円ぐらいの増収になるだろうというふうに考えておるところであります。  それから、二番目の利用者区分郵便物割引については、先ほど申しましたような、輸送の拠点となる郵便局へ差し出していただくなどのお客様との作業分担による郵便局のコスト軽減分そのものを割引という形でお客様に還元するというふうなものでありますので、収支には影響はないというふうに考えておるところでございます。
  25. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 今回のサービス改善は大量に差し出される郵便物に対してのものなわけなのですけれども、むしろ私は、これも当然大事なのですけれども、個人の、個々の利用者に対するサービス改善もぜひやるべきだ。いろいろな要望が国民から出ているわけでございまして、こういった点、ぜひきめ細かく配慮をしていただきたいと考えているわけです。  私自身が感じたこと、あるいはいろいろな新聞の投書等も含めまして要望を整理してみますと、幾つかあるのですが、一つは、料金別納・後納のスタンプに引受年月日を入れるという要望がかなり強くあります。  今のスタンプは非常に無味乾燥ですね。料金後納とぽんと押してあるだけで色気も何もないということで、非常に無味乾燥。しかも、日付が入っていないのでどの程度配達期間がかかったかわからない。これはサービスの上からいって、受け取る側の印象からいっても余りよくないという声が非常に強いのが一つです。したがいまして、技術的にはそんなに難しい話じゃないと思いますので、こういった点、ぜひ改善すべきではないかという声が一つあります。  それから次に、個人向けの通常郵便物の日曜配達の復活ということですね。これも非常に利用者からは声が強くあります。  土日は休むというのが労働慣行としては定着をしてきておりますが、他方、こういった郵便というのは個々のコミュニケーションですから、少しでも早くというのが人情でございまして、日曜日の配達を復活せよという声はあるわけでございます。いろいろな労働事情もあるかと思いますけれども、どう郵政省として考えておられるか。  それから次に、三つ目に、郵便局の土日の窓口取扱時間の拡大ということも要望は強いです。よく、最近は、行政は最大のサービス産業ということが政治家のスローガンにもなって定着をしてきておりますけれども、行政改革の一環からもこういう国民に対するサービスの窓口はぜひ時間を拡大すべきではないかという声が強くなってきていることは、御承知のとおりかと思います。  それからもう一つだけつけ加えますと、いろいろな書留とかそういう郵便の場合に不在持ち戻りという制度がありますね。また、郵便局から通知が入っていまして、日にちを指定してくれればまた行きますというのですが、やはり時間まで指定しないと、この忙しい時代一日じゅう待っているわけにいかないわけで、これもサービスという点からきめの細かさに欠けているという声が非常に強いわけです。私なんかも自宅を留守にすることが多いものですから、この不在持ち帰りのあれを見ますと、ぜひ時間まで指定して配達してくれれば非常にありがたいと思うわけでございまして、こういったきめ細かい個人郵便事業に対するサービスの改善ということに対して郵政省はどういう考えを持っておられるか、この点をお聞きしたいと思います。
  26. 加藤豊太郎

    加藤(豊)政府委員 たくさん小口に対するところの宿題をいただいたのですけれども、まず総論的にちょっとお話しをさせていただきたいのです。  私どもとしては、大口のお客様だけではなくて、小口さらに個人のお客様の利便向上ということも非常に大切なことだろうというふうなことで取り組んでいるわけであります。  例えば、昨年の例では、通常郵便物について日曜日等を配達日として指定することができる配達日指定郵便制度の拡充を行ったとか、配達日の三日前に差し出される電子郵便の値段を百十円ほど下げたとか、不在のため配達できない持ち戻り郵便物を解消するための夜間配達、私ども指定場所配達と言っておりますけれどもそういうふうなものだとか、それから郵便窓口の取扱時間外においても取り扱いができるようにするための時間外引き受けの改善を行うなど、従来にも増してサービスの改善に努めてきたところであります。  料金につきましては、現在個人のお客様にも御利用になれるように、小包郵便物の利用回数に応じた割引制度、回数割引ですね、こういうふうなものも検討しておるところでございます。  いずれにしましても、大口もさることながら、さらに小口につきましても一層のサービス改善に努めていきたいというふうに思っております。  その次の話になりますけれども、今たくさん宿題をいただいたものについて、まずスタンプに引受日付を入れたらどうかというふうなことについてなのですけれども、結論から言うとちょっと難しいのではないだろうかと思っております。その理由は、別納、後納の印鑑に、引受印に引受年月日を入れることになりますと、たとえ回転式の日付印を使用しましても、あらかじめ郵便番号ごとに区分して把束された郵便物については解束をいたしまして、日付印の入っているところの別後納印を押さなければいかぬということになりまして、お客様にとってもその作業が大幅に増大するというふうなことから、大量の郵便物を迅速正確に処理する業務運行に支障が生ずるおそれがあるのではないだろうか。ただ、せっかくの御提案でございますので、この御趣旨を生かす方策について考えていきたいというふうに思っております。  それからさらに、日曜休配の復配の問題ですけれども、御指摘のとおりにするということになりますと、ざっと三千人要するのです。御存じのように、四十三年にこのサービスをスタートしたわけですけれども、郵便外務員の労働条件を改善すること、それから日曜週休制がもう定着しているというふうな現状も踏まえまして、今御指摘のものは郵便サービスの基本的なあり方になってきますので総合的に判断しなければならないと考えるわけですけれども、なかなか難しいのではないかというふうに考えております。  それから、日曜日等の時間外窓口の取り扱いのお話がございました。先ほど申し上げましたように、既に土日につきましても、普通扱いの小包郵便物だとかポストに差し入れることができない大型の普通通常郵便物の引き受けたとか、それに要するところの切手の販売等につきまして、大部分の局がそのための窓口をあけておるわけであります。さらに、東京中央等の八局では、中央大局の八局では、普通小包等、平日を含めまして二十四時間引き受けを行っているところでありますけれども、今後さらに、お客様のニーズ、郵便局の実情等を勘案しながら、土日等における窓口サービスの充実につきましても検討してまいりたいというふうに思っております。  それから、再配達時間の指定のお話がございました。これもなかなか難しいのですけれども、確かにそのニーズが高いことは事実なのです。しかし、例えば再配達する時間帯を非常に厳密に時刻を指定されないで午前だとか午後というふうな幅を持たせていただければ、その辺について検討する余地があるかなと思っておりまして、実は今東京都内でそういうふうな形で実験をしております。  なお、本年の六月以降、おおむね午後五時から八時ごろまでの夜間帯に再配達を充実強化するというふうなサービスの改善を行うこととしております。充実することで取りかかろうとしております。
  27. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 とりあえずお答えということでいただいた、なかなか難しい面はあるかと思います。特に労働条件との関係では、一概にすぐできるかどうかという問題は非常にあるかと思うのです。  ただ、私が申し上げたいことは、国民の側から非常にきめ細かいサービスを求めているわけであって、そういう郵便事業の側にきめ細かさがぜひ必要ではないか。そうでないと、そういった国民の側の高いニーズに対して、いわゆるすき間産業、民間の企業がどんどん入ってきて、いずれは郵便事業なんか要らないといった声が強まるのではないかということを私は老婆心ながら危惧するわけでございます。そういった点から、ユーザーニーズをまずは第一に考えて、それに対してどういうサービスを開発するかという姿勢をぜひ強く持っていただきたいということを、改めて強く要望しておきたいと思っております。  今申し上げた点につきましては、さらにぜひ検討を進めていただきまして、よりよい回答がいただけるよう、いずれかの時点でまたお答えをいただければと思っております。  続いて、もう一点だけサービスの点に関連して申し上げますと、郵便物の標準送達日数の点ですね。比較的よくはなっていると思いますが、まだまだ、もっと早くしろという強い意見があるわけでございまして、そういった点から、今の標準送達日数がどうなっているのか、さらにこれを短縮、スピードアップすることはできないのかという点につきましてお聞きをしたいと思います。
  28. 加藤豊太郎

    加藤(豊)政府委員 現在の送達日数の基本は、昭和五十九年から六十一年に行われましたところの輸送システムの改革によって今の送達日数が設定されたわけであります。原則として、同一県内は当日配達、それ以外のところにつきましても、少なくとも翌々日配達というふうなことでそのサービスを設定しておるというところで、現実的に、私どももモニターをしておりますけれども、ほぼそれが達成できておるというふうに考えております。
  29. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 次に、ふみカードの点につきましてお伺いしたいのです。  まず、実態として、今カードの販売状況、利用状況、それから、カード導入のねらい、それからねらいどおりの効果が上がっているかどうか、こういった点につきましてまず御説明をいただきたいと思います。
  30. 加藤豊太郎

    加藤(豊)政府委員 ふみカードの販売状況、利用状況ないしは効果についてですけれども、販売状況ですが、平成元年度これを売り出したわけでありますけれども、それから残念ながら五年度末までのデータしか持ってないんですけれども、約二千百万枚発行いたしまして、そのうち八百万枚売れたという状況でございます。さらにまた、利用状況についてなんですけれども、八百万枚売れたものの、ふみカードに入っている金額、販売額は七十二億円なんですけれども、そのうち使われたのが五十五億円、約七七%が利用されているというふうな状況でございます。  まだまだ販売状況、利用状況が十分ではない、ねらいどおりの効果が上がっているかどうかというような御質問に対しては、まだまだ十分ではないというふうに言わざるを得ないんですけれども、今回の制度改正によってより一層利便性が高まることによって販売もふえ、売り上げもふえ、さらにまたそれが使われるというふうなことを期待しているところでございます。
  31. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 私は、このふみカードにつきましては、私自身の不明なのかもしれませんが、逓信委員になって初めて存在を知ったわけでございまして、一般の国民という立場から全く関知をしなかったし、またほかの私の知っている範囲の中でもふみカードを使っているということを聞いたこともなかったわけでございまして、そういった意味で、これは恐らくテレホンカードが非常にヒットしたのでそれということでまねをしたのかもしれませんが、十分なマーケットリサーチもしなかったのではないか、あるいは本当に使い勝手のいいものをユーザーの立場に立って考えたものではなかったんではないかという私は印象を実は持っておりまして、つくってしまったものを今すぐどうしろというわけじゃないんですが、やる以上はぜひもっともっと使い勝手のいい、国民から本当にこれはできてよかったといえるものをつくらないと、これはやはり武家の商法というか殿様商法になってしまうわけでありまして、ふみカード自体当然作成のコストがかかっておるわけでございまして、そういった経営感覚の展開というものを、ぜひこのふみカードの抜本的な改善を要望したいと思っておりまして、今回の改正でさらに利便性が高まるというふうに説明をされておられますけれども、これは本当にそうなのかどうか、ぜひ見きわめていきたいし、そうでなければもう一度これは再検討するべきではないかと考えておりまして、その点も含めて事務局のお考えを伺いたいと思います。
  32. 加藤豊太郎

    加藤(豊)政府委員 確かに先生御指摘のとおり、ふみカードが知られてないということは事実でございます。それにまた売れ行きが悪いということも事実でございます。  この販売が伸びてない理由なんですけれども、私どもとしましては、お客様にそもそもよく知られるようなPRしてこなかったという面があるんじゃないかと思うんですけれども、ふみカードが利用できるところの自動販売機、今二千四百台ほど配備してますけれども、これの配備が十分じゃなかったこと、それから機能的にも利便性が十分でなかったというふうなことを反省しているところでありますけれども、それを踏まえまして、今後このふみカードの周知、普及に力を入れていくとともに、以下述べますような施策に積極的に取り組んで、一層利用増を積極的に図っていきたいというふうに考えておるんですが、一つは、ふみカードの利用できる切手の自動販売機をこの平成七年度から十年度までに千三百台強増備していきたい。それからまた、今回の法改正によりまして、ふみカードが利用できるところのセルフサービス機を約二千台ほど平成七年度から十一年にかけて新規配備していきたい。それから、ふみカードによりまして窓口混雑時や窓口時間外に直接料金納付ができるように機能拡大を図りまして、ふみカードの利便性を向上させることとするということによりまして、これらの点をPRしていきたいというふうに思っておるわけであります。  また、テレホンカードはよくそういうような使い方をされているんですけれども、会社の創立記念日だとか結婚式などの各種記念日にホワイトカードと称する何も印刷してないもの、それを各配る人が自分で印刷をしまして配るというふうなホワイトカードを売っていきたい。それから冠婚葬祭時の参列者への記念だとかお礼品としてふみカードも利用してもらえるようなセールスもやっていきたい。こんなふうなことで、非常にテレホンカードの販売に似ておりますけれども、さらに私ども努力をしていきたい、ぜひこれを売っていきたいというふうに思っている次第でございます。
  33. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 恐らく民間企業ならばこのふみカードの場合は失敗商品として非常に総括されるんじゃないかという気がいたしますけれども、せっかく今目下改善の努力という表明があったものですから、ぜひこれを本当に国民の側から見て評価を得られるようなものにつくりかえていただきたい、強く要望をしておきたいと思います。  続いて、コストダウン、効率化の問題につきましてお伺いをしたいんですが、特に郵政省としては、郵便事業の効率化のいわば大きな目玉として新郵便番号制の導入を検討しておられるというふうに伺っております。配達部門において局内での準備作業の機械化に力を入れて取り組んでいるということでありまして、ぜひとも事業運営のコストダウンに向けて積極的に推進すべしと基本的には考えております。ただ、そのためには乗り越えるべき課題も多々あると思うわけでございまして、多くの検討課題一つ一つやっていかなければならないと思いますけれども、確認も含めて、もう一度この構想につきましてお伺いをしたいと思います。
  34. 加藤豊太郎

    加藤(豊)政府委員 私どもの郵便事業の経営の非常に大きな柱の中に効率化というふうなものがあり、その効率化の非常に大きな柱に、今先生御指摘の新しい郵便番号制度を導入することによる配達作業の機械化というふうなものがあるわけでありますけれども、この中身ですけれども、現在、現行の三けたないしは万けたの郵便番号に四けたないしは二けたをつけ加えまして、これによりまして町域、何町何丁目何番何号といったときの何町まで、こういうふうな漢字部分までをこれで特定する、こういうことを想定しているわけですけれども、この七けたの郵便番号を利用者に書いていただければ、新しく開発しつつありますところの機械で、この七けたの郵便番号とあとの住所の数字部分、何丁目何番何号ないしは何番地という部分、それをあわせ読み取りまして、これを機械処理しやすいところの郵便番号のバーコードの形で郵便物に区分機によって印字する。後このバーコードを中継局ないしは配達局で読み取って、最終的には配達局で外務員が配達するその順序に郵便物を機械で並べるということをやろうとしているわけであります。  この問題は、一つは機械がうまく開発されるかどうかということと、もう一つ郵便番号を書いていただけるかどうかというふうなところにあるわけでありますけれども、前者の機械の技術面の研究開発につきましては、平成五年度から実は行ってきておりまして、今現在プロトタイプがこの四月にでき上がって、これから実験しつつあるところである、ほぼ我々が想定したところのその効果が期待できるということであります。  それからもう一つ、新郵便番号の導入を利用者の皆様方が受け入れていただけるかどうかということについてなんですけれども、この導入につきましては、一般利用者の新郵便番号の記載協力の意向の調査だとか大口利用者の各団体からの意見、要望を伺ってきたところでありますけれども、その結果によりますと、記載協力についてはぼ見通しが得られた、またこれを導入することによって非常に大きな効率化の効果が、何回か試算しているのですけれども、出てきたということから、新郵便番号制度によるところの機械化につきまして、ぜひ平成十年二月ごろには導入したいというふうに考えておるところでございます。
  35. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 私も、この郵便番号の七けた化は、今の、当世のディジタル化という大きな流れの中で非常に大事なイノベーションであると思いますし、効率化のためには非常に重要な手段であろうと思っております。  ただ、非常にこの問題、今御説明もあったように、国民の方がそれを書いていただけるか、特に高齢者の方ですね。若い人はこういった変化はすぐ受け入れるかと思いますけれども、やはりお年寄りの方にとっては、こういう変化、特に数字でいろいろ書くということは大変これは抵抗があるし、また非常に受容が難しいという実感を私は持っておりまして、そこら辺について調査があるのかどうか、あるいはお年寄りに向けてそういう七けた化を受け入れていただくための何か工夫はあるのかどうか、そういった点につきまして御説明をいただければと思います。
  36. 加藤豊太郎

    加藤(豊)政府委員 先ほど申し上げました記載協力調査というものの中身なのですけれども、私ども、昨年の秋に一般利用者に対するアンケート調査、それから主な郵便局で、地域のオピニオンリーダー、これはお年寄りが比較的多いわけですけれども、に対して意見を伺ってきたのですけれども、約七割以上の方々が記載協力の意向を示された。必ずしも積極的でもないものも含めましてですけれども、記載協力の意向が確認できたというふうなことでございます。  そこで、お年寄りについてなのですけれども、実は、確かに書いていただけるかどうか、それからその番号の具体的な周知、これが一番大切なことでありまして、そういうふうな意味から、お年寄りも含めまして導入までに十分な準備期間を設けたいということから、そういうふうなこともありまして、平成十年二月ということを一応目途にしておるわけでありますけれども、導入直前の年賀状で、差出人の方ですね、新郵便番号を書いてもらって受取人に周知するとかいうふうなことをやっていきたいというふうに思っておりますけれども、郵便番号を書いていただければ、先ほど郵便番号は七けたで何町まで特定できると申し上げましたけれども、市町村名は省略できるというふうな型にすべきではないかというようなことを検討しているところでありまして、確かにお年寄りは漢字で書くよりも番号で書く方が大変というふうなこともあるかもしれませんけれども、考えようによっては、住所を全部書くよりも七けたの番号をきちんと書いてもらえばかなりのところまで住所を省略できるというふうなことで、お年寄りにも受け入れてもらえるのかなというふうに思っている次第でございます。
  37. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 特に高齢者の方への配慮をぜひよろしくお願いしたいと思っております。  そこで、あと、郵便番号の新しい制度のコストダウンの面での効果なのですが、当然このシステムを導入するためには設備投資コストあるいは研修コスト、相当かかると思いますが、そのコストと、他方これによって得られるコストダウン、人件費節約等のコストダウンの比較ですね、どういう見通しになっているのか、この点につきまして御説明をいただきたいと思います。
  38. 加藤豊太郎

    加藤(豊)政府委員 先生御指摘のように、これはかなり大きな設備投資を必要とするものでありますので、私ども平成十年二月を目途にしていると申し上げましたけれども、かなり長期間にわたってこれを進めてまいりたいというふうに考えておるところでありまして、とりあえず平成十年二月から十年ぐらいの計画を持っているわけですけれども、このシステムの導入後十年間で設備投資の増加額、これが大体ざっと二千二百億ほど踏んでいるのです、そのほかにもいろいろコストがかかりますけれども。  一方では、これによって人件費が節約されるわけで、少なくともスタート後十年間で八千人ぐらい減員できるだろうというふうに思っております。この八千人というのは、過去十年間で私どもいろいろな効率化をやってきましたけれども、それの総和に相当するぐらいの数でございます。これによって、差し引きでこの十年間で約二千億ほどのコストダウンが図れるのではないか、少なくとも二千億ぐらいのコストダウンが図れるものではないかというふうに試算しております。
  39. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 今度、大臣にお伺いをしたいのですが、この新郵便番号システム、効率化、コストダウン化の大変重要な施策であると私も認識しておりまして、ぜひ推進すべきと考えておりますけれども、これについて大臣のひとつ御決意を伺いたいと思います。
  40. 大出俊

    大出国務大臣 遠藤さんの御質問にお答えをいたしますが、この間、実際に省でこれを研究している方おいでいただきまして、いろいろやりとりをしてみたのですけれども、私は、やはり八千人ぐらいの人が減らすことができて、コスト、つまりこれを行うコストを差し引いて二千億ぐらい増収が考えられる、十年ぐらいから始めるということになりますが。これは七けた、ここにバーコード、バーコードというのは日本語で言ったら何と言うの生言ったら、日本語で言ってもバーコードだと言うのですね。だから、バーとコードだから、バーというのは棒ですからね、棒で入れていくわけですから、そういう記号なんだろうというふうに思うのですけれども、郵便番号を書いてここに余り目立たないようなバーコードを入れていくというシステムですね。  これは、韓国の例やドイツの例がありますけれども、新番号制度をやったら最初は七二、三%しか書いてくれなかった、周知徹底したら半年ぐらいで九七%ぐらいまでふえたという韓国の例。あるいはドイツなどでも、一年かかっていますけれども九五%超えるところまで周知徹底したらいったという。ここに私はポイントがあると思っているのですよ。  だから、バーコードならバーコードまで差し出す側が書いてくれれば割引するとかいろいろな条件あるのですから、そこらを実はガラス張りで国民の皆さんに知らせて、こういうコストダウンになるのです、しかも非常に有効確実に着きますというところまで御理解いただけるような説明を国の側、省の側がする必要がある、徹底してする必要がある、そして御利用いただく、一緒になってやっていくと。  将来値上げをしたくないと私は思っているわけですが、そういう意味で、その決意で、何年かまだありますけれども、審議会に今かけて、諮問して御回答いただくわけですけれども、一生懸命やっていかなければいかぬなと思っているところでございます。一生懸命やってみたいと思います。
  41. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 ぜひ大臣の御決意のとおり、この施策はコストダウン、そして郵便料金のいわば引き上げをしないことのために大変重要な施策でありますので、ぜひ国民の理解を得ながら強力に推進をお願いしたいと思っております。  最後に一つ、円高の問題をお聞きしたいのですが、今円高が大変深刻な状況になっておりまして、きょうの郵便法審議もその円高対策の一環というふうに位置づけられていると理解をしておりますが、大臣には、今の日本の円高の状況に対する認識、特にこの解決策についてどう考えるか、及び郵政省としてどう取り組んでいくのかということにつきまして、大臣の御認識と決意をお聞きしたいと思います。
  42. 大出俊

    大出国務大臣 これは、遠藤先生基本的な問題があると思っているのですよ。ドルというのは紛れもなく基軸通貨でございますから、この間、閣議の席上でございましたが、最近ガラス張りになっておりますから新聞も書いたりしておりますけれども、私の発言を。  これは、カナダの大蔵大臣が私を訪ねてまいりまして、外国債云々の問題で、これはやめられたらえらいことになる。えらいことになると言われてみても、外国債やめてもらいたいと思っている、正直に言うと。これはなぜかというと、今の円高がアメリカの姿勢がこういうことであるとすればやめると言わざるを得ないと言ったら、それは困ると言うわけですよ、カナダ財政にえらいことになると言う。  それで、問題は、アメリカの主要三大貿易相手国、アメリカ側から言わせれば、日本とカナダとメキシコなんですね、パーセンテージ見ましても。生産した物のおおむね一〇%ぐらいしかアメリカは国外に売っていませんからね、そういう意味では日本のように驚きがないのだけれども。  ところで、カナダの大蔵大臣ともいろいろやりとりしたのですが、カナダに対してアメリカは、カナダ・ドル、当時カナダ・ドルは円にして五十六円ぐらいでしたけれども、アメリカはドル高なんですよ。カナダ・ドルがドル安で、アメリカ・ドルがドル高で、だから入ってくる品物は安くなる、いいじゃないかと。メキシコのペソは、これは固定相場で来ましたが、御存じのような状況が起こった。今これまたドル高でペソ安ですから、これも非常に安く物を頼めるし、こしらえさせることもできるし、自動車なんかもそうですが、うまくいっている、いいじゃないかと。  ところで、さて日本との間は異常な円高で異常なドル安である。これは、グリーンスパン準備委員会議長にしても、これ以上もうドル安は望まないとはっきり言っている。片方で、ルービン財務長官なんかも、ドルがこんなに安いはずはない、それはアンフェアだと言う。そうすると、アンフェアならフェアに直さなければいかぬわけですよ。ところが、ワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズの社説を読んでも、メキシコとカナダにドルが高いんだから、安く入ってくるのはいいじゃないかと。日本は円が異常に高くてファンダメンタルズを超えているから、輸出にブレーキがかかるからいいじゃないか、だからドルは市場の漂うに任せるという社説を書いているという。それに追随してアメリカは何もしない。今一番大事なことは政策協調と協調介入だが、それもやらないという、口でいろいろなことを言っても。  だからこれを直させない限りは、別なことを日本は考えざるを得ないじゃないかと。そこまで踏み込んで、つまりドルで準備するものを円なりマルクなりに変えざるを得ないじゃないかというところまで踏み込んだやりとりが必要だ、基本的に私はそう思っているんですよ、これは。  だから、その基本に立って、この間のG7、七人の大蔵大臣会合で、表現の上では何とか格好がついていますけれども、大蔵大臣がいろいろなことを言っておりますけれども、このまず中心的な問題をどうするかということ、ちょっと時間をとった上で、補正も含めて、思い切った大型補正も含めてこの対策を考えるというのがキーポイントだと私は思っていますが、その上で、さて郵政省としてはどうするか。  この間、九項目の公共料金の引き下げがございまして、九項目のうちの六つが郵政関係なんですよ。しかし、これは確実に下げる。それで、下げるということにする限りは、建設省その他を含めて、公共料金にかかわるものは、郵政が下げられるんだったらほかだって下げられぬわけないんだから、できる限りのことはやってくれという話を私はしていますけれども、そういう形で、大きな目で見ると、ここで組んでいく補正予算を含めてつまり円高対策であるという形にして、その主要部分は、今一番このニューフロンティアという形で大きな課題になっているのは郵政なんですから、今度の補正予算の中身も思い切って郵政に関して補正をつけるという姿勢をとって、円高対策の一環を、私どもの立場からも、郵政省という立場からも果たす努力をしていきたい、こんなふうに思っているところです。
  43. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 この円高問題は改めて補正予算の場で激しい議論が行われると思いますので、同じ逓信委員会としては、ぜひ郵政省には大いに頑張っていただきたいということを表明しまして、きょうの質疑を終わります。
  44. 自見庄三郎

    ○自見委員長 次に、矢島恒夫君。
  45. 矢島恒夫

    ○矢島委員 提案されております法案の中で、前払い式カードによる納付、それから料金後納制度の改善、これを可とするものでございますけれども、通常郵便物の大口割引上限を撤廃する件、これにはいろいろな問題があろうかと思いますので、これについて質問をさせていただきたいと思います。  先ほど来局長答弁を聞いていますと、おおよそ十数%、まあ表現は、一〇%程度と言ったこともありますし一〇%強と言われましたけれども、言うなれば四十数%の割引率に引き上げようということで提案されている、こう認識したわけであります。  昨年の一月に郵便料金の大幅引き上げが実施されました。新聞報道などを見ますと、その半年後には郵政省内でこの大口割引について検討され始めた。法改正の必要がないところの小包郵便の方、これについては既に昨年の九月に割引率が三割から四割、こういうふうに引き上げられました。こういう経過を見ますと、料金の大幅引き上げを実施した、その結果いわゆる郵便離れという現象が起きた、今度は慌てて特定の郵便物の値引きを行う、どうも経営姿勢というものが一貫していないのじゃないか、ちぐはぐな印象を受けるわけです。先の見通しを持った郵便経営というものが必要なのに、本当にそうなっているのだろうかと疑問を持たざるを得ないのです。  そこで、大幅な値上げをし、わずか一年もたたないうちに今度は大口郵便という特定の郵便物への値引きを検討しなければならなくなった。なぜそうなったのか。
  46. 加藤豊太郎

    加藤(豊)政府委員 まず、先生が御指摘あったところの郵便離れというようなことについてなんですけれども、先ほどもお話しをさせていただきましたように、前年度、平成六年度は前年比マイナス一・八%というふうなことで、ほぼ私ども想定したとおりの状況でございました。また、今年度もさらに努力をすることによりまして、逆に、前々回ないしは前々々回と違って、翌年にはほぼ料金改定前に復することができるだろうというふうに踏んでおるわけですけれども。  その前提で、今御指摘があった件についてですけれども、私ども、昨年一月の料金改定は、独立採算の事業を安定させ、健全な事業財政の維持を図るためにどうしても必要だというふうなことで実施させていただいたものであるわけですが、一方、今回の施策もまた、広告郵便物割引率の拡大等によりまして需要増、増収収入増を図るということを企図しているわけでありますけれども、もう一方、お客様との作業分担によるところの郵便局のコスト削減、それからその効率化というふうなことも期待できることから実施するものでありまして、そういうふうなことからいえば、昨年の一月の料金改定と今回の料金改定の趣旨はほぼ同じものだというふうに私ども考えている次第なんです、つまり増収だとか効率化というふうな点では。  ただ、昨年一月の料金改定と同時に行わなかったわけですけれども、これができなかったのは、お客様の要望というのを十分に把握して、どの程度の需要があるかとか、それによりどの程度の増収を図ることができるかとかいうふうなものを、もう少し時間をかけて見込む必要があったということと、作業分担につきましても、お客様の実態だとか郵便局側のコストの軽減効果というふうなものを十分に見通す必要があったというふうなことから、ちょっと同時にできなかったわけでありますけれども、このコスト削減効果、需要拡大によるところの増収効果のことにつきまして、私どもの方としては、ほぼ自信の持てる見通しが得られたことから、早急に実施したいということで今回お願いしているところであります。
  47. 矢島恒夫

    ○矢島委員 新聞報道でもいろいろと郵便離れの問題が、昨年の十月来、毎日、日経その他も、郵便離れあるいは民間への乗りかえが加速している、そこで赤字解消を目指した今回の措置というような表現がありますけれども、実際に今の答弁では、同時に行うことができなかった理由もお伺いいたしました。ただ、一般の利用者から見れば、大口の値引きをすることができれば同時に料金改定したかった、しかしいろいろな調査をする必要があったという御答弁ですけれども、値上げと値引きの時期をずらした、まさに一般利用者からの反発というのをできるだけ和らげよう、そういう魂胆を持っていたのじゃないかという見方も一般の利用者にはあるということもぜひ知っていただきたい。  先ほど来の答弁によりますと、今度の割り引き拡大によっていわゆる物増、これが一億一千五百万通ぐらい、それによっての増収年間五億円、こう言われておりますけれども、一般的には、大体値上げとか値引きという場合、黒字を利用者に還元するという目的で行われることが普通なわけですね。しかし、今回の場合、先ほどの答弁にもありましたように、それとは反対に特定の郵便物を値下げすることで増収を図ろうということですから、場合によっては逆の結果を生む可能性もあるのではないか。先ほど来述べられている物増及び増収額、こういう見通しが甘かったでは済まされないわけであります。  そこで、確実にプラスになると断言できる根拠はどこにあるのかということをお聞きしたいわけです。  これも新聞報道ですけれども、なぜ特定の郵便物だけ優遇されるのかという一般の利用者の不満があるというのが、十月三十一日の毎日の朝刊ですけれども、「「大口だけの優遇」との批判は避けられない。」というような報道もあります。ですから、一般の利用者にもよくわかるようにひとつ確実な根拠をお示しいただきたいのですが。
  48. 加藤豊太郎

    加藤(豊)政府委員 先ほどお話し申し上げましたとおり、私ども、この割引率の拡大を一〇%強することによって約一億一千五百万通、プラス五億円というふうなことで申し上げたわけですけれども、これは過去にも料金減額率の拡大というふうなことをやったケースもありますので、そのときにどのくらいの減額率の拡大をやればどのくらいの需要増があったかないしは増収があったかというふうなデータを踏まえまして、私ども試算してこれを出したものでございまして、一方、私どものこのねらいというのはあくまでも増収、贈物数、物増というふうなことがねらいでありますので、どのくらいの割引率を行うかというふうなものにつきましては、そういうふうな効果が出ないと意味がないというふうなことから、幾つかの今申し上げましたデータに基づきシミュレーションをやった中で、一番かたく見積もったもので今回の減額率上限を設定していきたいというふうなことで、今持っているところでは、二百万通を超えるところについてプラス一〇%強くらいを最高にしてというふうなことで申し上げておるところでございます。
  49. 矢島恒夫

    ○矢島委員 私も郵政省のこの増収五億円というものの根拠やそのほかについてお聞きしたのですが、サンプル調査等で大体これくらいというのが出てきている。過去のいろいろな実績もあるでしょう。しかし、だからといって、本当にこの五億円だ、かたく見積もっているのだと言われますけれども、そこに非常に疑問を持つのは、まずこの広告郵便物などの大口割引制度ができて八年になりますか、その収入幾らなのかというのを郵政省はつかんでいないというお話なのですね。わかるのは、私は資料をいただいたのですけれども、総引受物数の資料はある。平成五年度では、広告郵便物が二十七億六千万通、それから利用者区分郵便物が二十億五千九百万通。ところが、これだけの郵便物を引き受けて幾らお金をもらったのか、総収入幾らになるのか、これがお答えいただけないのですよ。  さらに、広告郵便物は差し出し通数によって割引率が十一ランクになっていると思います。十万通以上だと最大の三〇%、それから二千から二千九百九十九通だと最低の一五%。これとは別に月間割引制度というものもあると思うのです。一カ月の累計が二十万通出せば最大の三〇%引き、一方から一万九千九百九十九、ここまでが最小の二三%引きというランクにたっていると思います。それぞれでどれくらいの利用があって、一度に十万通以上の三〇%引きを受けた郵便物はどれくらいの収入があったのか、あるいは月間に二十万通以上出して三〇%引きの郵便物年間どれくらい収入があるのか、お答えいただけないのですが、計算していないのかそれとも計算できないのですか、どちらなのですか、これは。
  50. 加藤豊太郎

    加藤(豊)政府委員 一種、二種とかいうふうな種類ごとの物数、収入はあるわけですけれども、今の広告郵便物だけを、広告郵便物は中身としては一種と二種があるわけですけれども、それだけを全体の一種、二種から外したところの収入というものを私ども持っておりません。
  51. 矢島恒夫

    ○矢島委員 今審議されているのは、広告郵便物割引の問題なんです。その総収入、つまり大口郵便の経営に与えている現状はどうなのかということすら実際には具体的にわかっていない。値引きをすれば五億円の増収になるだろう、こういう説明ではどうも一般の国民の皆さん方は、利用者の皆さん方は、うん、なるほどそうなのかとうなずくわけにいかないのですよ。まあ悪い言葉かもしらぬけれども、殿様商法だと言われても仕方がないのじゃないかと思われるような現状なんですが、私、いわゆる郵便経営に本当にプラスになるのかという点で別の角度からお聞きしたいのですけれども、郵政省では郵便物の部門別原価構成比というものを出しておりまして、これは資料をいただきました。  この資料によりますと、平成五年度の分で内務については二六・八%、外務が三二・四%、業務共通費が一〇・一%、管理部門支出現業費が二七・三%、管理部門費というのが三・四%、こういう数字になっていると思います。  この数字は大体この五年間で大きな変化はないと思います。大体内務作業については二六%前後がずっと続いているわけであります。大口で出そうが一通一通出そうが、外務作業にかかるコストは変化ないわけですね。確かに、職員の皆さん方が一軒一軒配達しなければならないということになるわけですし、差し出すときには大口でぼんと来ても、配るときには変わらないから、結局外務作業のコストとかあるいは共通経費や管理部門、こういう経費は大口だろうと何だろうとそう変化はない。  一番コストで削減できそうなのが主に内務作業だということになろうかと思うのですね。確かに、一通ごとばらばらで窓口で受け取るよりは、まとめてどんと来た方が窓口コストというのは低くなると思うのです。大口の割引の場合、特に郵便番号別に区分して差し出すということになっていますから、その分も作業は軽減される。コストは下がると思うのです。  しかし、私、先ほど数字を挙げましたように、コスト的には内務作業というのは二六・八%、これにすぎないわけですね。ですから、郵便番号別に区分したとしても内務作業そのものがゼロということはないわけですね。したがって、現状では三〇%の割引、それをさらに四十数%にするということになれば、大幅なコスト割れを起こすのではないかというのがすぐ心配になるのですけれども、この点はどうなっているのですか。
  52. 加藤豊太郎

    加藤(豊)政府委員 今先生の御指摘の、内務作業の割合は二六・八%であるのに四〇%を上回る割引をするのはコスト割れになるのではないかというふうな御指摘なんですけれども、この広告郵便物も、利用者区分も同様ですけれども、お客様との作業分担によるところのコスト削減効果をそのまま割引という形で返すという部分については共通しているのですね。  そのことについてなんですけれども、このコスト削減効果というのは、確かにおっしゃるように内務作業もありますけれども、遅延承諾、利用者区分も広告郵便物も少しおくれてもいいよというふうなことを承諾してもらって引き受けるわけですけれども、この遅延承諾によるところの平準化効果というのが非常に大きいのです。つまり、あるところにピークをつくらない形をとることによって非常に効率的に処理できるということで、この平準化効果というのは外務作業の分野だとかそれから運送費、先生見ていただいている中にもあると思いますけれども、運送費の削減にも非常に有効にきいてくるというふうなことから、今の二六・八%だけからコスト削減効果が出るわけではないということを申し上げたいのです。  一方、広告郵便物につきましても、それに加えまして需要拡大効果によるところの増収効果を勘案して割り引いているというふうなものでございまして、したがってコスト割れということにはならないというふうに考えております。  先ほど、ちょっと私は前の答弁で、私ども広告郵便物収入については持っておらないというふうに申し上げましたけれども、これは、今先生御指摘ありましたところの段階別には持っていないというふうな意味でございます。既に私どもお話し申し上げているかもしれませんけれども、サンプル調査をしながらこういうふうなものの試算をしております。
  53. 矢島恒夫

    ○矢島委員 段階別でなくてもいいですが、いわゆる大口についての物数とかあるいは収入とか、資料があったら後でいただきたいと思っております。  次のことに入りますけれども、確かに内務作業だけではないというけれども、内務作業のコスト削減というのが一つの目的でのこの割引制度ということは間違いないだろうと思うのです。そういう意味からすれば、この二六・八%ということについては、なかなか今の御説明で、うん、なるほど、それならば五億円いきそうだなというように納得できる御説明ではない。  さらにいろいろな疑問がございますが、時間の関係もありますから、次に、私は、この法案審議があるということで、大口郵便物の処理の現場の実態というのを聞いてみたわけです。今もいろいろ御答弁になったいわゆる内務作業の問題ですが、これがゼロになるどころか大変な出血サービスをしているのではないかという点についてお聞きしたいわけです。  大幅な割引をしている大口郵便物の集荷というのを行っている。郵政省の資料によりますと、この集荷につきましては、対象物として小包や国際エクスプレスメールなどが対象である。普通郵便物は、小包などを集荷するときについでにこれも出しておいてというような場合には集荷する、こういう御説明だったのです。  ところが、東京中央郵便局でも、あるいは新東京郵便局でも毎日のように大口割引を受ける郵便物の集荷が行われているのではないか。ダイレクトメールだったら今のところ三〇%、その他でも一〇%以上の割引をする郵便物をわざわざ二トン車のレンタカーを使う、そしてアルバイトの運転手それから本務者、二人が乗って、そして集荷に出かけるわけですよ。しかも、集荷する先がどういうところかといいますと、一般の企業で大口で出すのだったらこれはまだしも了解できるのですが、いわゆる発送代行会社、ここへ行くわけです。  もちろん、御案内のとおり、発送代行というのは、ダイレクトメールなどの大口郵便物を企業から集めて、郵便番号別に区分して、それで割引対象になるようにして郵便局に持ち込むという業者ですけれども、割引率が大きいのでこういう郵便物の発送を代行する事業が成り立っているわけですね。この郵便物の発送を請け負うことを事業としている会社にわざわざ集荷に出かける。  集荷することによって、郵便物がこれでふえるわけでもないのですね。会社へ行って集めるわけじゃなくて、これを出しておいてくれと頼まれたものを仕分けして出すわけですから、当然その代行者は郵便局へそれを持っていくということに頼まれた会社との間ではなっているのだろうと思うのですよ。そういうところの会社の経費の削減までやっているんじゃないか。  東京中郵の一日の集荷スケジュールというのがあるわけですけれども、それによりますと、ことしのある日ですが、全体で七社六コースを回ったのですね。つまり、六台のトラックを出して七社を回ったわけです。そのうち一般企業は一コース二社だけです。残り五コースの五社はいわゆる発送代行業者のところへ行っているんですね。つまり、集荷の主流というのは発送代行業者であるということがこのスケジュール表からもわかるわけですし、しかもその集荷先というのは、群馬県の館林、埼玉県の久喜、茨城県の筑波、神奈川県の相模原、こういうところへ東京・丸の内から行っているわけですよ。江東区にある新東京郵便局からも埼玉県の川越、千葉県の蘇我、こういうところへも行っているのです。  郵政省は、内部では盛んに職員にいわゆるコスト意識を持たせる、こう言っているわけですけれども、しかしその集荷の実態を見ますと、コストを無視した成績主義だと言わざるを得ないのですよ。自分の局がいかに成績を上げるか。  私は川越に住んでいますが、川越の西郵便局というのは立派なものができました。広いフロアがまだいろいろ、年賀状のときには使うかもしれませんが、あいている部分があるのですよ。十分ここへ大口を持ってきても対応できるような状況になっているのですよ。その川越までなぜ新東京郵便局から集荷に赴かなきゃならないのか。いわゆる自分の局がいかに成績を上げるか、コストよりこれが優先しているのではないか。そうでなければ、東京からわざわざダイレクトメールの集荷に出かけるという発想にはならないと思うのです。  この実態については郵政省は承知していると思いますが、どうですか。
  54. 加藤豊太郎

    加藤(豊)政府委員 通常郵便物の集荷についての御質問でございますけれども、私ども、特に最近は集荷に対するところのお客様の要望が非常に強いわけですので、定時集荷だとかビル内集荷だとか集荷センターによるところの集荷だとかいうふうなことに力を入れているわけでありますけれども、この大口事業所への集荷につきましては、郵便の利用の拡大を図るとか、郵便処理の迅速化、特に運送の効率化を図るために必要なものだと考えているのです。  先ほど先生川越西のところまで東京中郵がとりに行くというふうにお話がございましたけれども、まさに東京中郵が運送のキーストーンなんですね。かなめ石でございますので、そこに持ってくるということが後の運送の関係では非常に効率的になる、効率化が図れるというふうな面があるわけです。  ところで、集荷につきましては、先生御指摘ありましたけれども、小包郵便物だとかEMSなどを中心にやるんだということにしているわけでありますけれども、ただ、通常郵便物につきましても、集荷車両にあきスペースがある場合にはあわせてやりなさいというふうなことを言っておるわけで、あきスペースを活用したところの通常の集荷というふうなことであれば新たなコスト増をもたらすものではないというふうなことで、私どもはそれを進めているところであるというふうなことでございます。
  55. 矢島恒夫

    ○矢島委員 どうも納得いかないですね。それは確かに新東京郵便局が中心にそういうものを扱っているということは知っています。しかし、なぜ川越の西郵便局へ持っていってはいけないのか。そこまでわざわざレンタカーを借りて、そしてアルバイトの運転手まで雇って、一人の常勤者を乗せて行くのです。こういうところが問題。  それだげじゃないのですよ。集荷だけではなくて、出張引き受けというのをやっているのです。大手の発送代行会社に職員を二人派遣して、郵便物の引受事務をやっている。つまり、窓口がわざわざ発行代行会社に出かけるわけです。一般郵便物よりいろいろと手間をかけているわけです。そして郵便物は、発行代行業者とあるいは銀座局、新東京局、これを結ぶ定期便トラックのルートが設定されているのですね。発行代行業者が普通郵便局と同じような扱いになるわけです。  さらに、こういうものもあるのです。大口割引の大前提はまず郵便番号を区分するということです。ですから、本来区分してあるべき郵便物が来るわけですが、区分されていない。現場ではこれを雑と呼んでいるのです。銀座局ではこの雑が七万から十万も出る、こう言うのです。これは結局郵便局で区分して配達されるわけですけれども、追加料金というのはもちろん徴収していない。  その他にもこういうものもあります。大口を集荷に行った場合に、引受物数というものを一人の職員で何万通も確認するわけになかなかいかない。目方で確認しているところもありますけれども、これもないときには、結局相手の申告数をそのままの数として受け取る。そうすると、ある業者は、先ほど料金と一緒に何万通持ってきましたけれども、実はその中に二万通分含まれていたのを忘れたのですと、二万通追加が来る。しかし、先に納めたのが幾つだかわかってないから、ああ、そうですかということでこれは受け取らざるを得ない。こういう事態もある。  さらには、普通ならばJRのコンテナで輸送できるものを航空便を使った、こういう例もある。  いろいろあるわけで、だから、こうした状態をそのままにして割引率を引き上げる。さらに出血が大きくなるのじゃないかという心配があるわけです。どうも大口にばかり目が向き過ぎるのじゃないか。大口が最大のお客様だ、こういう態度が問題じゃないかと思うのです。  業務とか出張引き受け、区分の問題、あるいは輸送の問題、今私が申し上げましたが、こういう大口引受業務をきちんとする、これが値引きをはるかに確かな増収にするものじゃないかと思うのですけれども、大臣いかがですか。
  56. 加藤豊太郎

    加藤(豊)政府委員 今御指摘ありましたところの、引き受けの監査だとか出張引き受けたとか区分だとか運送の問題とかいろいろありましたけれども、私ども、今御承知のとおり郵便というのは、さまざまな競合媒体が出てきまして、それとの激しい競争裏にさらされているということから、お客様のニーズに極力対応していかなければいかぬというふうに思っておるわけでありまして、私どもの制度の中でできるものは極力やっていこうというふうなことで取り組んでおるつもりでございます。  今御指摘あったもののうち、例えば引き受けの監査につきましては私どももっと真剣に取り組んでいかなければいかぬのだろうなというふうに思うのですけれども、ただ、私どもかくのごとく増収に力を入れなければ、そしてその増収に力を入れる対象が、約八割が事業所発の郵便物でありますので、そこに力を入れないと、あとの二割の個人の皆様方の料金を長く据え置くことになかなか寄与できないというふうなことでありますので、御指摘も踏まえながらも、さらに我々増収に励んでいきたいというふうに思っております。
  57. 矢島恒夫

    ○矢島委員 絶対見通しを誤らないように、同時にまた、そういう部分にもきちんと目配りをしながら、直すべきは直していくということで取り組んでいただきたいと思います。  大臣には、実はコストの問題も絡んでニュー夜勤の問題についてお聞きしようと思ったのです。やはり夜やる仕事だからコストが高くなるという問題と、それから働いている人たちの健康の問題も絡んでまいります。しかし、時間が参りましたので、この次の機会にお尋ねしたいと思いますので、質問を終わります。
  58. 自見庄三郎

    ○自見委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  59. 自見庄三郎

    ○自見委員長 本案に対し、日本共産党から討論の申し出がありましたが、先刻の理事会で協議の結果、御遠慮願うことになりましたので、御了承願います。  これより採決に入ります。  郵便法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  60. 自見庄三郎

    ○自見委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  61. 自見庄三郎

    ○自見委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、虎島和夫君外三名から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を聴取いたします。遠藤乙彦君。
  62. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 ただいま議題となりました郵便法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     郵便法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、この法律の施行に当たり、次の各項の実現に積極的に努めるべきである。  一 郵便は、長年にわたって国民に親しまれ、広く利用されてきた基本的通信手段であることを踏まえ、今後とも時代の変化や利用者の要望に的確に応えるサービスの開発・改善に努めること。  一 郵便事業の運営に当たっては、積極的な営業活動による増収を図るとともに、配達分野における機械化等効率化を一層推進するなどコストダウンに努め、健全で安定した事業財政基盤の確立を図ること。 以上のとおりであります。  この附帯決議案は、自由民主党・自由連合、新進党、日本社会党・護憲民主連合及び新党さきがけの四派共同提案に係るものでありまして、案文は当委員会質疑等を勘案して作成したものでありますから、各項目についての説明は省かせていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  63. 自見庄三郎

    ○自見委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  虎島和夫君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  64. 自見庄三郎

    ○自見委員長 起立総員。よって、本動議のとおり本案に附帯決議を付することに決しました。  この際、大出郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。大出郵政大臣
  65. 大出俊

    大出国務大臣 ただいま郵便法の一部を改正する法律案を御可決いただき、厚く御礼を申し上げます。  本委員会の御審議を通じて承りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の郵政行政を進めるに当たり、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。  まことにありがとうございました。(拍手)     —————————————
  66. 自見庄三郎

    ○自見委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 自見庄三郎

    ○自見委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  68. 自見庄三郎

    ○自見委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時九分散会