○
佐藤(剛)
委員 ありがとうございます。
郵便法の
改正ということで
最初の
質問者に立たせていただきまして、これを契機にずっときのう
郵便法を眺めておりました。それから、今回の
改正についてどういう実質的な
改正をするのか、またどういう
形式的改正をするのかを見ておったわけであります。いろいろ
勉強させていただいたのですが、この
郵便というのは、
日本の
郵便、
世界で非常に高く
評価されておる。なぜ高く
評価されておるのかというのは、
日本に出せば必ず非常に短い期間の間、一日二日の間に全土に渡る。こういう国はなかなか
世界の中でも、
先進国の中でもない。これは、
日本がつい最近まで治安というのは非常に安全な国だった。これは高く
評価されていたわけですが、今回はサリンだオウムだということで、
世界が、ある
意味では非常に不安な都市であり、不安な国だという逆の
評価を持つというわけでありますが、その
意味で、この
郵便というものの
事業が
郵政省のこれまでの先人の
努力によりましてなされてまいって、そして今日に至ったことについては、
大臣初め役所の
方々に敬意を表するわけであります。
ただ、こうずっと眺めていまして、私は、最近の
郵政事業の
経営状況、ちょっと
勉強させていただいたのであります。そうしますと、何か
景気に
影響されるという面が非常に出てまいっております。幾つかの
影響要因というのは、
料金影響要因。つまり
郵政事業に対しての
影響というのは、
一つは
景気。なぜ
景気に
影響を受けるかといいますと、やはり
郵便の八割が
事業者と
事業者あるいは
事業者と
個人、簡単に言いますと、
ダイレクトメールだとか、そういう
広告関係が非常に多くなる。それの
一つが今回の
改正でもあるわけでございますね。
上限を廃止し、減額するという
規定を新たにしやすくする、
省令で定めるということだと思うのですね。
その額が、
黒字になったり
赤字になったりする額がすごく激しい
事業なのですね。まず、
平成三年度
幾ら赤字になったか、こう見ますと、百七十三億円
赤字になっているのですね。それから、
平成四年度がぽんと飛びまして、五百億を超えて六百八十一億円の
赤字になったのですね。
郵政事業がこれだけ
赤字になったので十三年
ぶりに
——平成五年は八百三十二億円も
赤字なのですね。それで、結局
累積赤字が千億円を超えてしまった、
平成五年度で。そこで、
平成六年の一月に五十六年以来の十三年
ぶりでの
料金値上げというのをやったわけですね。
料金値上げをやって、我々
政治家にとっては非常に大きいのですね、
政治家というのは何のがんの言いながら
暑中見舞いやったり、それから年賀出しますから。
そうしますと、かつては四十円だった。これが五十円になる。僕の場合、例えば、まあ大体
皆さんそうですが、
後楽園球場満杯にして大体当選してくるのですね。神宮じゃ大体だめなんですね。そういう形でいきますと、私の場合、十万ぐらい出すわけですよ、一回に。十万といいますと、四十円のときで四百万ですよ、一回だけで。それが四十円が十円上がったのですね、十三年
ぶりで。それだけでもう百万上がるわけですよ。それで、国会の
関係の
通信費というのはそんなに上がるわけじゃないですから、そういう面でいきますと、
通信費というのが一年に、例えば
暑中見舞い、年賀だけでやりましても、もうこれだげでも十万にやれば一千万。
今度は小
選挙区制の形にいきますと、これはもっとひどいのですね。私のところは全国で五番目の、小
選挙区じゃなくて大
選挙区になるのですよ。そうすると、
有権者が四十一万。
人口五十三万
幾らですけれども、子供には出しませんから、
有権者に出すとして四十万としますと、これは十円だけで四百万。これは、計算するだけでいかにこの
料金というものが、
個人に対しても大きい。
個人の場合に、
政治家に対しても大きい。
それで、私の場合なんというのは、私の
事務所のところへ
局長さんが
毎日とりに来ますから、これは。そのくらい、恐らくみんな
政治家の
事務所というのはそうやっているのだろうと思うのです。これは常時出したり何々したりやっているわけですね。それから、
後援会カードヘ出てくれば、後納で出てくるわけです。後での納金と。
ですから、
景気に
影響するというのは、
事業所というのはまず
景気が悪くなれば
広告を下げろ、こうやるわけですね。ですから、
広告の
ダイレクトメールが減る、それから新聞などの
広告が減る、
研究費が減る、こういうわけですよ。
交際費が減る。三Kというわけです。ですから、
景気が悪くなると、そういう
意味において
郵便事業の
収入の八割を占める、恐らく八割占めるでしょう、八対二とよく言いますから。二割が
私人と
私人あるいは
私人と
事業所への、私の人と
事業所への文通だと。八割は大体過去の例を見ますと、
事業所と
事業所間、
事業所と
個人ですね、
ダイレクトメールか、そういうことなんですね。
それで、
事業所と
事業所の
関係というのは、将来はやはり
パソコンとか、それからそういう
情報産業で、私はそれに取ってかわるような
競争相手が出てくるだろう。それから、
小包の方になると
宅急便ですね。ですから、私は、
三つ、
郵政事業には競合する
部分がある。
一つは
宅急便、
民間との
関係、
小包関係。それから第二は、
景気へのもの。ということは、これはもう根本的にそういう
事業所の比率が
個人というよりも常に八割も占める、こういう
一つの構造的な問題ですから、この問題に恐らく目をつけて今回の
改正というのが、第一の
改正というのがそういうふうに私はなっておると思うわけであります。
それで、後で
質問いたしますけれども、
最初に言いますと、第一の
改正をやりまして、
提案理由に書いてあります「第
一種郵便物及び第二種
郵便物の
料金の
特例制度における
料金の
減額率の
法定上限を廃止し、
審議会に諮問した上、
省令の定めるところにより減額することができることとしております。」これは
大臣の
概要説明があったわけでありますが、これをやることによって、先ほど一
年間にいいまして三百億、四百億近い
変動をするわけですね、どのくらいの
黒字が見込まれるのか。金目の話ですよ。銭の話で申しわけないですけれども、そういう
お話からお聞きいたしたいと思っているわけであります。
そして、
郵便法をずっと眺めてきたのですが、
郵便法の中には非常に、
日本国憲法にある
信書の
秘密、つまりあの戦争で検閲ということの苦い
経験をした、検閲してはならぬと書いてあるわけですね。それから、
郵便の
事務をやった人に対しては、
郵便事務をやっている者は、
罰則つきで外してはいかぬ、汚してはいかぬというのは立派なものが書いてありますね。
信書の
秘密は侵してはならぬ。まさしくこれは
憲法ですね。
そして、ずっと眺めできますと、
料金のところの
条項が、先ほど言いました、私が申し上げた
私人にとっては一番関心のある
はがき、それから
封筒。
封筒が今八十円ですよね。それから今
はがきが四十円から五十円になってしまった。我々は
はがきというよりも結構
封筒を使うんですよ。そうしますと、一方で八十万、十万人にすると八百万、二回一年にやりますと千六百万。今度十万が四十万になるとそれの四倍、
通信費がそれだけかかっちゃうわけですよ。
ですから、そういう
意味において、この
郵便料金の価格というのが二十一条、二十二条に書いてあります。書いてありますが、これは非常に
意味を持つ
公共料金の定めだと思うのです。
ところが、私はずっと
郵便法を眺めてみました。それで、二十一条、二十二条見ていきました。そうしましたらおかしなことに気がついたんですよ。
封筒というのは今現在八十円なんですけれども、二十一条の二項には六十円と書いてあるんです。それから、二十二条の第二項、これは
はがきなんですけれども、現在は五十円、それが四十円と書いてあるのですね。
郵便局が出しておりますこういうパンフレット、これにはちゃんと
はがきは五十円、それから
封筒は八十円と書いてあるのです。だから、いいんですよ、
民間人はわかる。
ただ、私は、
郵便法というのは、先ほど申し上げた
信書の
秘密があり、検閲してはならぬと書いてある。それから、破いた者については、
郵便局で働いている人が
罰則受けの
条項まで書いてある。そういう非常に歴史の深い、そして
世界に冠たる
評価を受けているものであって、
一種の
憲法なんですね。この
憲法たるべき
条項が、二十一条、二十二条というものが従来どおり。そして、
特例という
規定があるためにと恐らく
郵政省は
答弁をされると思います。
私は、きのう担当の課長さんに来ていただきまして、私の
意見を言って
——本来は
内閣法制局の話なんです。
内閣法制局の
部長を呼んでくれと僕は言ったわけです。私も
役人時代、私も役所やっていましたから、
法律をあれこれ三十近く
修正だのなんだの出したりしてやっていましたから、私も
法令審査のあれをやったわけですが、少なくとも、
条文整理で
郵便法の
改正をする、こういうときには二十一条、二十二条を直すべきである。
簡単に言いますと、実質直すわけじゃないのですよ、
特例が働いて、二十七条の四とか二十七条の五とかが働いて、そして読みかえ
規定になって、
審議会の
意見を聞いて
省令で定めるというようなことでなっちゃっているわけです。これは一回きりなんですよ、普通こういう活用をすべきなのは。それを、今度のものももう一回同じように活用するというのはおかしいのです。これは
皆さん、
条文持っておられないと思いますので、これをごらんになっていただきたいと思います。配られましたものなんですが、これの三十五ページ、三十四ページ、これが
現状の
条文であります。
ですから、私が問題提起いたしたいのは、これはもっと早く申し上げればよかったのかもしれないのですけれども、私はむしろこの
委員会で
修正要求をしたい。しかし、いろいろのあれがあるでしょうからそれはさておき、私もきのうの間にでも
国対にでも申し上げればよかったのかもしれませんけれども、私は適当ではないというふうに考えておりますし、このきょうの日に、この
審議のときに
最初の
質問で申しわけないですけれども、この二十一条、二十二条というのを、すべての
規定が、
憲法に当たるような
条項が全部
現状と違う。みんな違うんですよ。百七十円、二百四十円、三百五十円、七百円、みんな違う。それから、第二十二条の四十円、八十円、これもみんな違う。これは四十円が五十円であり、八十円が百円になっていなきゃいかぬ。
しかし、
法律的には、
内閣法制局的には、二十七条の何とかという
特例があって、そして
欠損みたいなものがあったときにはこれをまた
省令で定めるという
規定があるからそれができるのですよという
説明を恐らくしてきたのだろうと思いますけれども、これは前回の
改正をしたときの一回限りでやるべきであって、次の
改正のときには、今回の
改正のときには直しておくべきなんです。
その
理由を申し上げます。さらにつけ加えて申し上げますと、
郵政事業で今度、この二十一条、二十二条の
原則がこうなんだと言われたら、では下げるということがあるのですかということです。下がるのですか。
はがきが五十円が四十円になるのですか、三十円になるのですか。もしそういうことであるならば、二十一条、二十二条はそのままでいいです。現行でいいです。しかし、私が見て、この
料金を
値上げしないと今の
郵政事業は、先ほど言ったように、
景気の問題、それから
情報の
パソコンだとかワープロだとか、そういう競合の問題、それから
宅急便の問題、そういうふうなものを見ていきますと、これは下がらない。
下方硬直性、上ばかり行く。
それで、私はこの問題について
郵政大臣の御
意見を特に伺いたいと思うわけでありますが、今後の
見通し等についても申し上げますけれども、まず
最初に私が今申し上げましたような流れ、そして、大分じゃべり過ぎてしまいましたけれども、
条文修正の問題、本来なら私も
委員長に
条文修正してくださいとこの
委員会で申し上げるのだけれども、どうもちょっといろいろ
理事の
方々、
国対の
方々がおられるようですからそうはしませんけれども、少なくとも、そうならば、武士の情けで問題にしないですが、そうしたらきちんと次のときにはこうしますということの
改正のときの約束をまずいただきたい。そこから始めさせていただきます。