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冬柴議員 我々の
議員立法について
評価をいただきまして、大変ありがたく、感謝をいたしております。
今、
閣法と
衆法の違いについてお尋ねでありますので、条を追ってと申しますか、主な点を御説明申し上げたいと思います。
まず、
地方分権の
推進に関する
法律案を我々が
提案をし、政府が
閣法として
提出をすることとなった縁由と申しますか、動機と申しますか、そういうものは、広くいろいろな機関なりあるいは
団体が指摘するように、明治以来の日本の
中央集権体制というものが
一つの
役割を終えたのではないか、国は栄えたけれども、構成員である
国民一人一人がその繁栄に対応する豊かさというものを心に実感できないのはなぜだろう、こういうような
考えを持つに至ったわけであります。
そうしますと、そこに出てきたのが、やはり
中央政府に過度に行政
権限が集中をしたということ、それがいわゆる行政府の中心
地点である東京、それに一極に集中をしたということ、そういうものが大きく関係しているのではないか。この東京は狭い範囲に日本の一割の人口が住んでおります。したがいまして、土地の値段は物すごく高くなる、物価も上がる。そういうような問題がある反面で、日本の他の地域におきましては過疎という問題が起こっております。
同じ日本の国の中でありながら、そこでは一家、一村分散というようなことにまで発展しかねないような、過疎過密が出ているわけでございまして、そういう行政
権限の国への過度の集中による弊害というものが見過ごすことができたくなってきまして、これを排除することが冒頭申し上げました
国民がゆとりと豊かさを実感できる社会を実現するためにはぜひ必要だ、そういう認識からこういうものが出てきたと思うわけであります。
我々は、
衆法第一条でこの指導
理念と申しますか、この立法の動機と申しますか、そういうものを書き込んだというところが
閣法との違いでございます。
二条も若干違うところもありますけれども、飛ばしまして、四条で、国と
地方公共
団体の
役割分担のところで、御指摘のように随分違うところが出てまいりました。
閣法では、国と
地方の
役割というものを分けようという思想は明確に書かれております。しかし、その分け方が並列的であるように思われてならないわけであります。
私どもは、
事務の中から国の
事務はこういうものに限定をする、そしてその残りの内政に関する幅広い行政というものは
地方にやってもらうということでございまして、しかも、
地方は企画、立案、
調整、実施という、一貫してこれを行ってもらう。
今まではとかく国の方で企画、立案というところはやられますけれども、
地方はその実施だけを国の強烈な監督、統制のもとにやらされてきた、そういう面があったように思われるわけでございますけれども、我々は、そのように控除された残りについては
地方自治体が自主的また自立的に自己完結的に行う、そういうことを第四条ではうたいとげたつもりでありまして、したがって、
閣法と違うところは、限りなく国の
役割というものを限定するということに意を用いまして、いろいろな言葉がそこに使われているということを見取っていただきたいと思うわけでございます。
そして、五条でございます。五条では、そのように四条で分けた国と
地方の
役割というものから出てくる
事務、それにつきまして即応するように、
地方の
事務とされたものは国からどんどん移譲をしてもらう。そしてその峻別した――だけれども、国と
地方とは全く没交渉というわけにはいきません。今まではその交渉を国の
事務でありながら
地方にやらせているという
部分があったわけでありまして、それが
機関委任事務でございます。また、国の
公務員が、
国家公務員が
地方の県
庁の中に籍を置いて、そしてその
地方の職員を指揮するようないびつな関係がありました。こういうものも
廃止していこうじゃないか。
それから、先ほども言いましたけれども、数え上げれば二千から三千にも及ぶ国の関与、これは
法律でもあれば、政令でもあれば、いろいろな形で関与、すなわち報告をせよ、説明をせよ、事前承認を求めろ、そして承認、そういうようなものがあります。
それから、必置規制、これは
地方団体にはこういう
委員会をつくりなさい、こういう職名を持った官吏を置きなさいというものが全国一律に置かれるわけですね。したがいまして、任命はしたけれども、一年間一回も
会議を開いたことのないような
委員会もたくさんつくられるわけです。そういう必置規制というようなものを、ぜひ
地方分権推進を計画的かつ集中的に行う、そしてそれを一応五年という目途を定めて、そしてその間に、期限を切ってそういうものを整理合理化していく、
廃止していく、
廃止した後の
事務の分配もあるいは
財源の移転もしていく、こういうことをしていくということが五条に書かれているわけであります。それで、譲り渡す先は、究極的には
住民の身近な
基礎的
自治体である
市町村に渡すべきである、そういうふうなことも五条に書かれているところが違うわけでございます。
また第六条では、財政基盤の整備でございますけれども、これはやはり先ほど申しましたように、
地方が支出しているものとそれからその税収とが物すごいアンバランスになっています。したがいまして、これの懸隔というものを、乖離しないように、平等になるように、国から
地方へ
税財源というものを移転をする。
また、先ほど他の
委員からも御指摘がありましたように、
地方の中には豊かな
地方とそうでない
地方があります。税収という
意味ではどうしてもアンバランスが出ます。そういうものを
調整する上においては、
地方交付税、こういうものももっと強化をして、そしてきちっとした、
歳出と歳入というものは
地方でバランスがとれるようにしていく、そういうようなことも我々は書いているわけでございまして、それが、
地方公共
団体の財政基盤、すなわち歳入
歳出、それの整備を図っていく、ここも
閣法と違うところでございます。
そのほか、
地方分権推進委員会につきましても、先ほど与党の
委員からも
評価をいただいたのですけれども、その
審議の勧告の
内容を
国会にも
総理に報告をしていただくとか、あるいは一般にも定期的にその進捗状態を公表していただく。そして、
国会あるいは
国民全体の批判の中でこういうものが間断なく進められていって、五年を目途に具体的な実績が上がるというような点を我々は書き込んだわけでございます。政府も目指すところは同じなのですけれども、その
スタートの
地点が違うように思われるわけでございます。
以上でございます。