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冬柴委員 私も
機関委任事務に論及せざるを得ないと思うわけであります。
先ほ
ども行政局長からも数が報告されましたけれ
ども、非常に膨大なものでございます。
この
機関委任事務というものは、
地方公共団体の
機関が国の
委任を受けて
実施する
事務であります。厳密に言いますと、
地方公共団体の
事務ではございません。この
事務は、例えば所管大臣を上級官庁、知事や市長というものを下級官庁と位置づけて、
国家行政組織法上の位置づけになってしまいます。そして、それで
実施されます。したがいまして、この
事務執行に関する限り、知事や市長は、大臣の指揮監督を受け、命令に服することになります。
機関委任事務の
実施に要する経費は、原則としてその
地方公共団体が全額を負担することとされております。これは
地方財政法に規定があります。
地方公共団体そのものの
事務ではありませんから、
地方公共団体の議会の議決権はこれに及ばないものとも解されております。そして
機関委任事務は、その処理に当たって、
地方の固有
事務や
団体委任事務と職員において、区別してこれを意識していることはほとんどありません。
東京都
地方分権検討委員会の
答申、これはことしの、平成七年三月に、つい最近出されておりますが、これによれば、
東京都で行われている数は五百五十項目にも及んでおる。先ほどの
行政局長が示された数にほぼ匹敵していると思います。そして、その問題点として、
東京都の報告では、第一に、「法令や通達で全国一律に細かく規定された基準や運用の範囲内で行うこととされており、
地方自治体に裁量の余地が少ない」。第二に、
行政事務処理手続の「各段階で法令に基づく国の関与が行われるほか、法定外の事前説明や非公式な協議などが求められ、多大な労力と時間が必要になっている」ということ。第三に、具体的な例を挙げているのですが、それを要約しますと、企画立案の
内容や基準を国が全国一律に定めているため、その
地域の個性を盛り込んだりあるいは他のものとの、施設との整合を十分に図れない等の弊害がある、このような
指摘をしていられるわけであります。そのほかにも弊害を
指摘しています。
このような変則的な
事務というものが、
国会図書館が出している「イシューブリーフ」では、市町村では総
事務量の六割を占め、都道府県においては実に七、八割を占めている、こういうことが書かれているわけですね。
これは、
地域住民の公選によって選ばれた知事や市長が、一方的に
国家行政組織法上に組み込まれて下級官庁として主管大臣の指揮監督や命令に服さなきゃならないとか、あるいは、
住民が選んだ
地方議会の統制に全く服さないような
事務がその
地方公共団体の
事務の過半を占めている、こういう実態は、
憲法九十二条が定めている「
地方自治の
本旨」とは到底相入れないものであると私は感ずるわけでございます。
そういうところから、いろいろと問題が今日まで
指摘されてきて、そして、これは
内閣総理大臣の
諮問機関である
地方制度調査会がその問題をずっと
指摘されてきて、ついには
機関委任事務という概念は
廃止すべきだということを明快に言い切ってしまったのですね。そういう
答申があるわけです。それほど、このものは
地方の
自主性、主体性というものを奪っている典型的なものだろうと思うのですね。
したがいまして、我々としては、これをまずゼロベースから、全部
廃止するというところからスタートをしなければ、五百五十以上もあるものを逐一当たって、その所管庁からこれはどうですか、ああですかというようなブリーフィングを受けていたのでは、これはそのうち、五年間たって幾つ減らされるのかなというようなことになりはしないかということを危惧するわけでございます。
したがいまして、確かに立法技術として、先ほど同僚議員にも
お答えになっていられました、これを
廃止すると書いた途端に全部、今ある五百五十の法令を改正する
法案もあわせて出さないといかぬというような話がありましたけれ
ども、それは、いろいろな書き方があるのではないでしょうか。
いろいろ努力した結果、閣法のこの
言葉になったのですか。要するに、こういう一番大事な部分が、「整理及び合理化その他所要の措置を講ずるものとするこここが一番この
法律の眼目じゃないのですか。私はここに立法的な努力がされたとは受け取れないわけでございます。その点についてどのようなお
考えなのか。
機関委任事務だけではありません。時間もありませんので、
地方事務官制度はこれを
廃止するというのは、もうずっと何回も言われていることじゃありませんか。それから今の、国の関与ですね。物の本によれば、平成六年三月末現在で三千二百九十三件に及んでいる。これは
法律に基づく関与だけですよ、法令に基づくもの。そのほかにも、実態としては、補助金要綱等に特定の施設の
設置、人員の配置、運用面でいろいろな事実上の関与がされている。もう気が遠くなるような数だということですね。
こういうものを単に「整理及び合理化その他所要の措置を講ずる」ということで、我々が、あるいは
国民がひとしく求めている
地方分権というのはできるのでしょうか。その点が最も大事でありますので、同僚議員も全部論及しているのですけれ
ども、私も論及するのですが、その点についてのお
考えを伺いたいと思います。