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1995-03-24 第132回国会 衆議院 地方分権に関する特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年三月二十四日(金曜日)     午前十一時十一分開議 出席委員      委員長 笹川  堯君    理事 中馬 弘毅君 理事 野田 聖子君    理事 蓮実  進君 理事 山崎広太郎君    理事 山本  拓君 理事 吉田  治君    理事 畠山健治郎君 理事 田中  甲君       遠藤 利明君    西田  司君       浜田 靖一君    平林 鴻三君       山口 俊一君    若林 正俊君       今井  宏君    岩浅 嘉仁君       佐藤 茂樹君    富田 茂之君       冬柴 鐵三君    増田 敏男君       網岡  雄君    遠藤  登君       緒方 克陽君    穀田 恵二君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総務庁長官) 山口 鶴男君  出席政府委員         総務庁長官官房         長       池ノ内祐司君         総務庁行政管理         局長      陶山  晧君         自治政務次官  小林  守君         自治大臣官房審         議官      嶋津  昭君         自治省行政局長 吉田 弘正君         自治省財政局長 遠藤 安彦君  委員外出席者         厚生省生活衛生         局水道環境部環         境整備課長   三本木 徹君         地方分権に関す         る特別委員会調         査室長     前川 尚美君     ————————————— 委員の異動 三月二十四日  辞任         補欠選任   青木 宏之君     増田 敏男君   富田 茂之君     冬柴 鐵三君   網岡  雄君     遠藤  登君 同日  辞任         補欠選任   冬柴 鐵三君     富田 茂之君   増田 敏男君     青木 宏之君   遠藤  登君     網岡  雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方分権推進法案内閣提出第六一号)  地方分権推進に関する法律案冬柴鐵三君外  三名提出衆法第二号)      ————◇—————
  2. 笹川堯

    笹川委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方分権推進法案及び冬柴鐵三君外三名提出地方分権推進に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  本日は、特に内閣提出法律案について審査を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。増田敏男君。
  3. 増田敏男

    増田委員 新進党増田敏男でございます。  御質問を申し上げますが、まず初めに、本法成立に向けた基本姿勢質問に対する考え方を先に申し上げたいと思います。  提案者の一人としてまずもって申し上げておきたいことは、我が党の対案提出は、いたずらに対立をあおり、ましてや政争の具に供しようとする考えなどはみじんもないのであります。  地方分権国会決議以来、また私どもは、昨年六月、当時統一会派改革の折にも十数回の議論を重ね、地方分権についての基本的考え方を整理してきたのでありますが、このたびの政府案を見ますと、地方分権実効性考えるとき、必ずしも十分ではないとの判断に立たざるを得ないのであります。  したがいまして、対案提出により、国会における幅広い議論を喚起し、法案実効性を高め、国民期待にこたえることこそが立法府に課せられた責務であるとの観点から、あえて対案の提示に踏み切ったことを率直に御理解いただきたいと思います。  これまでの総理の御発言によりますと、明治維新にも相当する歴史的使命を有する法案との考えが示されており、その重要性に対する認識は私どもにも共通する精神であります。それだけに、将来に禍根を残さぬような十分かつ真摯な論議が何より重要であると考えております。そこで、政府案言葉意味内容等については文章全体から理解することとし、政府案の基本的な考え方等についてお尋ねをいたしたいと思います。  それでは、今申し上げました前提に立って、これから質問に入りたいと思います。  一番初めに、地方分権推進法使命についてでありますが、これまでの質疑の中で、本法重要性や意義、そしてその歴史的役割については、政府と私どもは全くその認識一つにするものであることは明らかになっていると考えますしからば、何ゆえにそのことを体現する法案中身にこのような相違が生じてくるのか、いろいろと考えてみました。  その一つが、地方分権をどこから始めるのか、スタート地点相違ではないかと思えるのであります。私どもは、地方分権論議のときを過ぎ、実現のときを迎えていると考えております。この論議とは、必要か必要でないかの論議にとどまるものではなく、その具体的方向についても論議のときを過ぎているのであり、本法使命は、地方分権をどのような方法でどのように成果を上げていくか、こういうことであろうと考えるところであります。  これに対し、これまでの御答弁にも明らかなように、政府考えは、地方分権は必要である、しかしそれをどのようなものにするのか、具体的中身推進委員会での論議にゆだねるということであります。  そう考えますと、これまでの行革審や累次の地方制度調査会答申とは一体何だったのでしょうか。今回の政府案の主たる目的は推進委員会設置にあるのではないか、政府案地方分権推進委員会設置法ではないかとさえ考えられるわけであります。したがって、この辺の政府の御見解をまずお尋ねいたします。
  4. 山口鶴男

    山口国務大臣 お答えいたします。  委員が冒頭、地方分権法案に対する基本的な認識、お考えをお示しになりました。私も、全く御指摘のとおりだろうと思っている次第でございます。  私も、御案内だとは思いますが、一昨年の衆参両院における地方分権推進国会決議、その必要性を強調し、この国会決議実現するために奔走した一人でございますので、その点は委員のお考えと全く同じだと思いますし、さらに申し上げれば、その前年、国会等移転に関する法律、私が提案者となりまして衆参両院で御論議をいただき、成立をいたしました。その法案をつくるときに私が強調いたしましたのは、この国会等移転地方分権と的確に関連づけてやるということを実は法案の中にうたい込んだのであります。御案内のように、地方分権という言葉の入っております法律は、今日まで国会等移転に関する法律、それから今回の法律の二つであることは、委員もよく御存じのとおりだろうと思います。  そういう意味で、新進党皆さんが御苦労いただきまして作成し御提案をいただきました法案と、私ども政府が出しました法案、表現が若干違うところはございますけれども、目指すところは全く同じではないだろうか、私はこういうふうに思っている次第でございます。  したがいまして、国会議論を通じて、それでは地方分権推進委員会ではどういう角度からこの地方分権推進のための議論をいただかなければならぬのかという議論を徹底してやっていけば、これは対決法案ではなくて、政府与党、それから新進党を初め野党皆さんとのお気持ちを一致させた上で、地方分権はこういう趣旨で進めるんですよ、地方分権推進委員会はこういった国会議論を十分踏まえてやっていただくということになっていくのではないだろうか。そのことが私は国民期待する地方分権推進の道を歩むことになるというふうに思っておりますし、またそういうことが私は地方団体も、それからまた提言をいたしました地方制度調査会もともに考えているところと一致するのではないだろうかというふうに考える次第でございます。  私ども、御趣旨は十分体して、この法案の御論議をいただきたいと考えておる次第でございます。
  5. 増田敏男

    増田委員 長官の活動、そして今日まで歩まれた道、よく存じております。本法に関することはよく存じております。また、ちょうど国会決議をした理事の筆頭さんもそこにおいでになりますから、それらもよく踏まえておるところであります。だからこそ私たちは、本法案が私たちが望む方向でぜひ実現をしてもらいたい、こういうような願いを込めて、同時に期待を込めて、また信念を持って今お尋ねをしているところであります。  したがって、先日も参議院地方分権及び規制緩和に関する特別委員会においても、参考人おいでをいただき、御意見をお聞きした。そのお聞きした御意見会議録を読ませていただきますと、参考人の一人の方がおっしゃっておりますが、政府案を見ると、具体的内容が明らかにされていない。いろいろ関係者の話を聞いてみると、具体的内容に踏み込むと、各省庁の壁が厚くて一歩も前に進めない。とにかく今回は土俵をつくるのだというようなことが意見の中で述べられておりました。  私は、このことは今回の政府案取りまとめの実態と政府案推進委員会設置法としての性格、こういう形を物語っているのではないかというようなことで、心配をしながらこの問題を今お尋ねをしているところであります。この辺をもう一回重ねて御答弁願いたいと思います。
  6. 山口鶴男

    山口国務大臣 先ほど御答弁するところが少し足らなかったと思いますので、まずそれを補足したいと思っております。  設置法ではないか、こういう御指摘でございましたが、政府が出しました法案につきましては、地方分権推進に関する基本理念、それから権限移譲推進、国の関与、必置規制、こういったものを整理合理化をするという方向をきちっと示しているわけでございますし、国と地方役割分担、これもこういう形で明確化すべきだということも記載をいたしているわけでございまして、決して地方分権推進委員会設置するというだけの設置法ではないという点は、委員も御理解をいただけるのではないだろうかと思う次第でございます。  それから、委員が今御指摘をいただきました参議院分権特で行われました参考人の御指摘の問題でございます。  実は、私、今、行政改革推進担当大臣といたしまして、特殊法人整理合理化、あるいは規制緩和、そして地方分権、これらの問題に取り組んでおります。  私は、率直に言いまして、特殊法人の問題に関しては霞が関にあります各省庁抵抗がありましたことを決して隠すつもりはございません。そういう中で一定の方向を出したわけでございますが、私は、霞が関の各官庁は特殊法人よりも地方分権推進に関してより強い抵抗をするのではないだろうかというふうに実は思っておりました。現実、そういう傾向なきにしもあらずだったと思います。ですから、地方分権推進委員会を設けるかどうか、このことを地方分権大綱に入れるかどうかということで政府部内において意見相違があったことは事実だろうと思うのです。  ですから、私は、閣議後の懇談におきましてその点を提起をいたしまして、私が発言し、野中自治大臣が私と同様の発言をし、そういう中で、村山総理が、二人の主張はもっともである、したがって分権大綱には地方分権推進委員会設置ということを明確に盛り込む必要があるというリーダーシップを発揮されて、そして分権大綱ができ、そして今回のこの法案提出ということになった次第でございます。  そういう意味では、霞が関の中にさまざまな意見があったことは事実ですが、しかし、国会決議もある、そして地方団体の御意見もある、そして地方制度調査会の御意見もある、そういう中で村山内閣としては決断をしてこの法案を作成した。しかも国会決議があるわけですから、そういう意味では、この問題に関しては与党野党考え方一つである、そういう認識のもとに、政治がリーダーシップを発揮すべき課題だというつもりでこの法案提出をいたしたということで御理解いただけると思います。  また、参考人の方も、「この法律国会成立するということになりますれば、地方分権推進の第一歩として画期的、非常に有意義なものであろうこというふうに御発言もいただいているわけでございまして、そういう点、私は大変うれしく思っている次第でございます。
  7. 増田敏男

    増田委員 次に、推進委員会地制調との関係についてお尋ねしたいと思います。  今回のこの法律により設置される地方分権推進委員会とこれまでの行革審及び地方制度調査会との関係についてであります。これは、連続性を有するのか有しないのか、どのような違いがあるのか、また、どう関係し合うのか。この点を、まず一点お尋ねをいたします。  同じようなことですから、もう一点お尋ねをいたしておきますが、地制調答申尊重についてであります。  政府のもとに設置されたいわゆる八条機関としての共通性一貫性連続性の点から考えますと、累次の地方制度調査会でも答申している機関委任事務制度地方事務官制度廃止すべきとの考えは、生かされるべきではないか。このように既に方向が示され、国民のコンセンサスが十分に得られているものについても、その考え方尊重されず、今回の推進委員会審議に白紙同然でゆだねるということは、どういうことなのか。地方制度調査会がこれまでやってきたことは一体何なのかという率直な疑問が生じてまいります。国民から見れば二重の審議となり、これは税のむだ遣いではないかと言われても仕方がない、こういうふうに感ずるところであります。  したがって、議員立法提案ならばともかく、政府案としてはこの政府姿勢は手戻りではないのかな、こういうふうに考えられます。この辺の御見解お願いをしたいと思います。
  8. 山口鶴男

    山口国務大臣 昨年の国会行政改革委員会、御審議をいただきまして発足をいたしました。そして、規制緩和のみならず、政府の行います行政改革全般に関して監視もいただき、意見具申もいただくという形で今お仕事が進んでおる次第でございます。  また、地方制度調査会につきましても、同じ八条機関として設置をされ、地方制度の問題について、私もかつて地方制度調査会委員もいたしたことがございますが、今日まで長い間御議論をいただいてきて、貴重な答申もいただいている、パイロット事業等につきましては現在実施に移されておるということも、委員十分に御存じだろうと思う次第でございます。地方制度調査会は、そういう意味で、総理大臣諮問機関として今後とも地方制度調査会としての役割を果たしていただく。  ただ、今回の地方分権推進に関しては、政府地方分権推進計画を策定するわけです。この政府の策定いたします計画に対して委員皆さん方の十分な議論もいただき、そして政府が策定する案に対してこのような形で進めるべきであるという総理大臣に対する勧告権という大変、極めて重大な権限もお持ちの委員会で、しかも、その出されました勧告については内閣総理大臣はこれを尊重しなければならぬということもきちっとうたった、いわば地方分権の具体的な推進のための機関というところが地方制度調査会とはおのずから違った役割だと思いまして、そういう意味では、私は、地方制度調査会という機関があり、また今回の法案お願いする地方分権推進委員会、それぞれ役割を担って、そして地方自治本旨を達成するために御努力をいただくということは、ぜひお願いをいたしたいものというふうに考えておる次第でございます。  そして、機関委任事務地方事務官の問題についてもお触れでございましたが、機関委任事務につきましては、地方制度調査会答申におきましては、「例外的に国の選挙管理執行旅券発給等本来的に国の事務考えられるものであっても、国民利便性事務処理効率性観点から、地方公共団体執行することが適当な場合があるこですから、国政選挙執行旅券発給、これは国の仕事ですから国の機関がやるのが当然かもしれませんけれども、しかし、そうやって国の機関を隅々までつくるということは、これは行政改革という立場からいっていかがか。したがって、国が自治体に対してそういうお仕事委任をする、そのことが適当な場合もあるということをやはり地方制度調査会指摘をいたしているわけでございまして、この場合の執行確保については、地方公共団体自主性自立性確保する視点を踏まえて、この新たな仕組みを制度化する必要もあるのではないかということを指摘をいたしております。  したがって、分権大綱におきましては、機関委任事務制度について、このあり方を含めて検討するということはきちっといたしておるわけでございます。ただ、法律の体裁としては、法制局と相談をいたしました結果、提出いたしました法律案のような形でお願いをしたということでございます。  それから、地方事務官の問題は、それでは、地方事務官廃止をする、その場合、その身分国家公務員にせよというのが臨調答申でございました。また、団体によりましては、それはおかしい、地方公務員にすべきだ、こういう御意見もございました。そういう中で、臨調答申ではこの地方事務官制度については国家公務員とするという方向は出ましたけれども、今日まで、両論議論がありまして、決着がついていないという問題であります。  したがって、この問題も、地方事務官制度を一体どうするのか、その職員の方々身分は、その仕事とあわせてどういう形の決着をすべきかということは、これは地方分権推進委員会におきまして、各面の意見を取り入れて慎重に御議論をいただいて方向性を出していただきたい、こういうように考えておる次第でございます。
  9. 増田敏男

    増田委員 今大変力を入れてお答えをいただきましたが、機関委任事務制度の問題、地方事務官制度の問題、これらは後ほどちょっと触れますけれども、今のお答えを十分承っておきます。  次に、地方自治体意見尊重についてであります。  東京都の地方分権検討委員会が、先日、非常に立派な答申を出しました。新聞報道によりますと、今後の国会審議に活用してほしいとの願いも込められているようにも言われております。内容をじっくりと読ませていただきましたが、極めて中身の濃い、充実した答申である、このように評価するとともに、東京都のみならず、現在各地の地方自治体でもこのような取り組みが行われておりますことは、これからの地方分権の時代を担うべき地方自治体姿勢としてはまことに心強いと感ずるわけであります。  この東京都の検討委員会答申によりますと、機関委任事務廃止前提として、新たな制度提案が具体的に行われております。機関委任事務制度の問題については、今申し上げましたように後ほど触れますが、この東京都の答申におきます機関委任事務制度廃止と新たな制度確立方向性については、私どもも全くその意を同じくするところであります。地方分権を進めていく道のりを考えますと、私どもは既にそのような時点に立たされていることを自覚すべきではないでしょうか。総理は、予見を与えることなく上から決めていくことはどうかとか、専門家意見も聞いてとか、御答弁をされておりますが、機関委任事務制度廃止につきましては、地方制度調査会地方団体意見書、そしてこの東京都の検討委員会答申にも明らかなように、地方専門家意見に共通する認識であり、貴重な蓄積でもあります。これは予見というべきものではないと考えます。  地方分権推進は、国、地方のすべてを通じての大転換であり、何より地方自治体住民の盛り上がりが必要であります。しかしながら、政府のどちらかといえばあいまいにも見える姿勢は、これらの地方自治体の意欲に水を差し、地方分権実現について半信半疑の対応を生じさせるのではないか、こういうことが実は懸念をされます。したがって、この辺の関係について、お伺いをいたしたいと思います。
  10. 小林守

    小林(守)政府委員 増田委員の御質問お答えさせていただきます。  地方団体意見等に対してどのように受けとめるのかというような趣旨だと思います。  地方分権推進につきましては、昨年九月に全国知事会を初めとする地方団体から地方分権推進に関する意見の申し入れがなされました。また十一月には、地方公共団体の代表の方々にも入っていただいている行政改革推進本部地方分権部会本部専門員方々からの御意見や第二十四次地方制度調査会からの地方分権推進に関する答申をいただいたところであります。  これらの貴重な意見等も踏まえまして、幅広い議論を行った上で、十二月二十五日には地方分権大綱を閣議決定して、その基本的方向に沿って地方分権推進法案を取りまとめて今国会提出し、御審議お願いしているところでございます。  御指摘の、東京都を初めとした多くの地方公共団体における地方分権推進についての研究会等、独自の検討を活発に行っていると承知しているところでございます。  地方分権推進に関しましては、その担い手となる地方公共団体においても大いに論議をしていただくことが大事であり、今後具体的に地方分権を進めていく上でも、地方公共団体の積極的な取り組みが展開されるものと期待しており、地方意見をも十分に踏まえまして対処していくことが大切である、そのように考えているところでございます。
  11. 増田敏男

    増田委員 地方自治本旨について、今さら申し上げる必要はないと思うのですけれども、改めてこの際考えておきたい、こう思って申し上げるのです。  私どもが、法案化するに際して最も重要な点の一つとして考えたのが憲法九十二条にうたわれております「地方自治本旨」について、その今日的意義をどのようにこの法案に生かしていくかということであります。地方自治本旨とは何か、憲法にうたわれてきたにもかかわらず、これまでの我が国の行政システムに十分に反映されてこなかった原因は何か、このことを十二分に踏まえた法案化でなければならない、このように考えたわけであります。与党議員の御意見にもありましたが、私ども考えます地方自治本旨を具現化する三つの柱は、国と地方の新たな役割分担明確化、国と地方対等、平等の関係構築住民自己決定権の保障、この三つであると考えます。この点について、簡潔で結構ですから、お聞かせをいただきたいと思います。
  12. 小林守

    小林(守)政府委員 地方自治本旨確立についての三つ観点につきましては私も全く同感とするところでございます。  国と地方役割分担明確化、さらには国と地方との対等、平等な関係構築住民自己決定権確保が必要である、このような御指摘でございますけれども、これらにつきましては、今度の法案の中におきましては、第二条とか第七条等に総括的に含まれておるところでございまして、国と地方役割分担の見直しに当たっては、国は国際社会における国家としての存立にかかわる事務など、国が本来果たすべき役割を重点的に担い、地方公共団体地域における行政の自主的かつ総合的な実施役割を広く担うこととし、その方向役割分担を明確にしていくことが重要である、このように第二条等に規定されているところでございます。  また、国と地方との関係でございますけれども、この関係につきましては、国と地方公共団体が忌憚のない意見交換を行い、意思疎通を図って相協力して国民福祉の増進を図っていくことが大切であり、このような観点から、やはり基本理念の第二条の中で規定を設けているところでございます。  また、住民自己決定権確保という御指摘がございましたけれども、第七条におきましては、住民参加の充実という観点に立って、地域の問題は地域住民みずからの選択と責任のもとで解決できるよう、地方公共団体自主性自立性の強化とともに、住民の自発的、積極的な参加尊重しながら地方分権推進していくということが極めて重要でございます。  それらの三点は、まさに地方分権の基本的な理念、方針にかかわる御指摘のように承ります。  いずれにいたしましても、今回の地方分権推進法案を今国会においてできる限り早期に成立をさせていただいて、それをもとにして、御指摘の点も踏まえながら強力に地方分権推進し、地方自治の充実強化を図ってまいりたいと考えているところでございます。
  13. 増田敏男

    増田委員 国と地方役割分担について今お触れになりましたが、このことについてもちょっとお尋ねをいたします。  法案の第四条の書きぶりは重要となってまいりますが、政府案におきます役割分担の概念は、私から見ると極めてあいまいではないかと考えられます。この概念からしますと、現在の国と地方関係すらも容認できるではないかなとも思えるのであります。  一つには、国の役割についての限定化の方向があいまいであること、このことがあいまいであれば国の広範な関与と強い統制が残されかねないのであり、二つには、地方役割について大綱方針ですら「企画・立案、調整、実施などを一貫して処理していく」とされていたものが、「自主的かつ総合的な実施役割を広く担う」との表現になっております。  地方役割は依然としてその実施のみに限定化されているのではないかと懸念されるわけでありますが、この点、お答えをいただきたいと思います。
  14. 山口鶴男

    山口国務大臣 第四条でお示しをいたしました国と地方公共団体役割分担、この内容につきましては、地方制度調査会答申をいたしました内容というものを私ども十分踏まえました上で、さらに行革推進本部の中に設置いたしました地方分権部会での御意見というものも十分踏まえました上で分権大綱を決定し、そして第四条のこのような法律案としてお示しをいたした次第でございます。  したがいまして、この案の中には、この地方制度調査会のお考え方、ひいては地方団体がお示しいたしました考え方というものを十分踏まえまして、参考といたしましてこのような法律として提案したということで、御理解をいただきたいと思いますし、また、法律案の条文としてここまで書いだということは、まさに画期的なことではないかということで御理解をいただきたいと思います。  そうして、具体的な役割分担につきましては、地方分権推進計画を策定する際に、地方分権推進委員会の御意見も十分踏まえました上で、具体的に計画の中でお示しをしてまいりたい、かように考えております。  さらに、御指摘のございました地方公共団体役割は一体何かということでございますが、これは予算委員会等でも私はお答えしてまいりましたが、決して地方公共団体役割実施だけではありません。企画、立案、調整、そして実施という形で、住民に密着した仕事については、まさに地方公共団体がみずからの役割として、自主的な仕事としてこれを執行できるという考え方をきちっと示しているものでございますというふうにお答えをいたしてまいりました。したがいまして、地方公共団体が行います仕事は、企画、立案、調整、実施というものを含めて、これはやっていただくということだと御理解を賜りたいと存じます。
  15. 増田敏男

    増田委員 長官から大変明快な御答弁をいただきました。私どもは、法律案を見る限り、あいまいな点があるな、どちらにでも解釈ができるな、こういうような懸念をぜひこの際しっかりと整理をしておきたい、こういうことが基本にあるわけであります。  そこで、次に移りますが、先ほど申し上げておきました地方自治本旨機関委任事務制度及び改革の手法について、お尋ねをしておきたいと思います。  国と地方役割分担明確化と国と地方対等、平等の関係構築という観点から見ますと、機関委任事務、すなわち地方公共団体執行機関が国の機関として行う事務とは一体何かということが問われなければならないと思います。機関委任事務とは、国を上級官庁、地方を下級官庁として実施されるものであり、国と地方対等、平等の関係とは全く相反するものであります。  したがいまして、私どもは、国と地方の責任と役割分担明確化、また、国と地方対等、平等の関係構築という視点に立ち、このような機関委任事務制度の概念を廃止をし、ゼロベースで根本的な見直しを図ろうとするものであります。その意味で、私は政府案と比較して、改革の手法と姿勢の違いを感じているところであります。  総理は、推進委員会予見を与えてはいけないとおっしゃる一方で、総務庁長官は、機関委任事務をすべて廃止をすることは問題であり、残すものは残すと答弁をされておりますが、このことが、考えようによっては、今から、言うなれば予見、こういうことにならないか、こういう姿勢では抜本的改革は到底望み得ないと断ぜざるを得ないのではないのかな、また、こういうことが、特殊法人の改革や規制緩和政府案が、あるいは経過が、何よりも雄弁に物語っているのかな、こういうふうにも考えられます。  先ほどお触れになっておられましたが、これらを踏まえて、政府見解をこの際お聞きをしておきたいと思います。
  16. 山口鶴男

    山口国務大臣 衆議院の本会議お答えいたしましたのは、本会議では余り中身にわたって御答弁申し上げることはいかがであるかということもございまして、極めて簡明にお答えをいたしたわけでございますが、問題は、先ほど地方制度調査会のあの答申でも申し上げましたように、国政選挙執行あるいは旅券発給、戸籍事務、これらについてはどうするかということは、やはり国の事務であることは事実でありまして、この事務をやるのに一々国の出先機関をたくさんつくることがいいのか、そうではなくて、地方自治体お願いをして、そうしてこの事務執行をやっていただくのがいいのか、それがまさに機関委任事務だと思うんでございますが、そういったこともございまして、すべて機関委任事務というものを廃止をしていった場合に、国の事務を一体それではどこが執行するのかというやはり議論をしなければ、これはなかなかこの問題に対する解決は出ないのではないかという意味を含めて、実はお答えを申し上げた次第であります。  したがって、この地方制度調査会答申でも、こういう事務がある、この事務を、それじゃ、どういう形で執行したらいいのか、すなわち、機関委任事務のあり方自体について地方分権推進委員会が十分御議論をいただくということについては、私どもそれで結構ではないかと思っている次第であります。  それが地方分権大綱のいわば考え方でございまして、地方分権大綱では機関委任事務制度のあり方についても検討するというふうにうたっているわけでございまして、結局、この事務機関委任事務という制度でやるのがいいのか、国の事務としてやるべき方法があるのか、また東京都等では、こういうやり方もあるではないかという御議論もいろいろいたしておるようでございますが、そういうもの全体を含めて、地方分権推進委員会の中で十分な御議論をいただいて、そしてその結果に基づいて国としては計画を樹立してこれを進めてまいりたい。したがって、総理の言われる予断を与えてはいかぬという考え方と私の考え方は、決して内容においては異なるものではございません。
  17. 増田敏男

    増田委員 お考えの点はよくわかります。私たちも、機関委任事務制度を初めから残すという見方で取り組んではいけませんよ、一たんゼロにして、必要ならば制度なり方法を考えて、それはまたそれとして位置づけていく必要がある。全く全部なくせとむやみに言っているわけではありません。  長い時間かけて議論すれば恐らく考え方は一致をするんでしょうが、見方、立場あるいは御経験からいろいろの考え方が出てくるのだと思いますけれども、時間がもう五分しかありませんから、これでこの話は、質問はとめます。  そこで次に、地方の税財政基盤についてであります。  政府案では、国と地方役割分担に応じた「税財源の充実確保」とあるのみで、地方税財政基盤の確立に当たっての思想性や方向性が全く示されておりません。地方の財政的自立のためには、地方の自主財源である地方税の充実強化を基本とした財政基盤の確立が必要であり、そのことは明記をすべきだと考えております。増税しろと言っているのではありません。  そこで、時間がないですからまた次に移ってしまいますが、この見解を本当は欲しかったわけです。  それから次に、我が国の地方税財政制度は、高度成長期、特に税の自然増収が期待できる状況下では極めてうまく機能してまいりました。地方税や地方交付税、地方債、補助金、それぞれの財政措置が、中央の巧みなコントロールのもとでそれぞれが密接に関連をし合いながらナショナルミニマムの達成に大きく貢献してきたと考えてよい、私はこのように思っております。  しかしながら、現在のような景気低迷期を迎えますと、今の地方税財政制度は一挙にその矛盾をさらけ出す弱点を有している。これから成熟社会を迎え、国全体の財政システムも高度成長期時代のものから安定成長期に対応できるシステムヘの衣がえが当然求められてきて、自主性を欠いた地方税財政システムの改革は、こう考えれば急務である、このように考えるところであります。  我が国の地方税財政制度の多様なルートは、言ってみれば相互規定の関係にあり、密接不可分であります。したがいまして、どれかを取り出して手を入れれば改革される仕組みとはなっておりません。  時間が来てしまいますので、本当はシャウプ勧告ども申し上げておきたかったのですけれども、既にその時代から警告が出されています。そういうことを踏まえながら、地方税の充実強化を基本に据えながら、これを補完するものとしての地方交付税、地方債、補助金のあり方等が考慮されなければならないと考えるものでありますが、まとめて結論的に政府見解お願いしたいと思います。
  18. 小林守

    小林(守)政府委員 お答えいたします。  今後の高齢化の進展に伴う地域福祉の充実とか生活開運の社会資本の計画的な整備等を考えますると、ますます地方税財源の充実強化が必要になってまいります。また、地方分権を進めていく上でも極めて重要な課題であると認識をしているところであります。  先般の税制改革におきましても、地方分権推進し、地方税財源の充実を図るために地方消費税を導入することとしたところでありますし、また、御提案を申し上げております地方分権推進法案におきましても、「国と地方公共団体との役割分担に応じた地方税財源の充実確保を図るものとするこのように表現されているところでございます。  こうした中における今後の地方税財源の確保についての進め方、その考え方でございますけれども、まず地方税の充実強化を基本としつつ、地方交付税の財政調整機能によって地方団体の財政基盤の整備を図ることが必要であります。いずれにいたしましても、地方団体千差万別、極めて、税収の偏在の問題もございまして、地方交付税の果たす財政調整機能の役割は今後ますます重要になってまいりますし、適切な運用が求められている、そのように考えているところであります。  地方税収の一定割合は地方交付税の基準財政収入額に算入され、地方税収の少ないところは地方交付税が多くなる、このようなシステムになっていることも御指摘のとおりであります。  いずれにいたしましても、地方の税財政基盤の整備は、国・地方を通ずる事務配分等を初めとする地方行財政制度全般のあり方を踏まえつつ検討されるべき問題であり、地方分権推進状況を踏まえながら、分権の趣旨に沿った地方税財政制度構築されるように適切に対処してまいりたいと考えております。
  19. 増田敏男

    増田委員 時間でありますので質疑はこれで打ち切りますけれども、二十一世紀を踏まえながら、世界一体化の中で、大きな変化が新しい仕組みを求めてこれからいろいろと展開されていくと思います。ここにいる皆さんは、分権を実際に手がけ、ここまで運んできました。五年後、みんなそろって一緒に議論ができるならば、私はあえて疑念やら心配やら余計な危惧を申し上げるものではありませんけれども、どうしてもつくるときにきちんとつくっておきたい、こういう願いからいろいろと質問をいたしました。時間ですからこれで一たん打ち切りますが、ぜひ一緒につくり上げたいものだ、こう思います。  終わります。
  20. 笹川堯

    笹川委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時五十八分休憩      ————◇—————     午後二時三十七分開議
  21. 笹川堯

    笹川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。浜田靖一君。
  22. 浜田靖一

    ○浜田(靖)委員 まずもって、当委員会質問する機会をお与えいただいた委員長、そして理事皆さん方に心から感謝を申し上げます。ありがとうございます。  それでは、法案に対する質問に入ります前に、少々風化しつつある政治改革における地方分権重要性についてお聞きをしたいと思います。  一昨年の初当選以来、私たちは、政治改革について諸先輩方から御意見をいろいろ聞かせていただいて勉強してきたわけでありますが、その際に、小選挙区制を導入するということは、小さな政府を目指し、そしてまた地方分権を進めることによって、行政改革、税制改革、そしてまた財政改革等を推進する、これが政治改革であって、ただ選挙制度だけを変えることだけが政治改革ではないという議論があったわけであります。その意味では、小選挙区制の導入と地方分権は表裏一体であって、これは必要不可欠であるというふうに考えるのでありますけれども長官はこの件に関してどのようにお考えか、お聞かせ願えますか。
  23. 山口鶴男

    山口国務大臣 お答えいたします。  御指摘のとおりだと思います。  政治改革は、まさに政治に対する国民の信頼を回復するために、我々国会議員が血を流してもやはり達成しなければならぬ大きな課題であったと思います。お互いの努力によりまして、政治改革の一つの柱として、選挙制度の改正、また選挙制度ばかりではなくて政治資金規正法の改正、さらには選挙の公明化のために数々の改正ができたことは、これは私は大きな成果であると思っております。  ただ、御指摘のように、それじゃ選挙制度を変えただけで政治改革は実現できるか、私はそうは思いません。やはりなぜ今日のような国民皆さんから批判されるような政治不信というものが生まれたかといえば、我が国は余りにも中央に権限が集中し過ぎて、そういう中で政官財の癒着の構造、こう言われるようなものができてきたということも我々が真剣に考えなければならぬ問題ではないかと私は思ってきました。  そういう意味で、先ほどもお答えいたしましたけれども地方分権というものを進めていく、アメリカ、ドイツのように、住民に身近な仕事については地方自治体が立案から調整、実施に至るまで一貫して取り組んでいくという体制をつくっていくことがやはり必要である。そういう意味で、地方分権推進国会決議もいたしましたし、今回この法案提出をするということになりました。そういう意味では、まさに御指摘のとおり、政治改革のためには地方分権が避けて通れぬ重大な課題であると認識をいたしております。
  24. 浜田靖一

    ○浜田(靖)委員 まさに、そういう観点からも地方分権というものを着実に進めなきゃいけないし、選挙制度だけ改革してどうしてもそれができないということでは、これは片手落ちで、なかなかうまく機能していかないと私も思いますので、そういう意味からも勇気を持ってぜひとも進めていただきたい、このように思うわけであります。  それでは、法案に関しまして質問を進めさせていただきたいと思います。  去る三月十六日の委員会において、総理は、地方分権推進について内閣に課された歴史的課題として、本法律案を歴史的法案と位置づけられましたが、地方分権推進については、戦後シャウプ勧告に始まり、今日までさまざまな提言がなされましたけれども、まあ見るべき成果が上がっていない、そういう見方もあるわけであります。  そこで、まず、歴史的課題とされる地方分権の今日におけるその必要性について御説明をいただきたいと思いますし、そして、法案の第一条にある「国民がゆとりと豊かさを実感できる社会」とは、具体的にどういう社会だと政府としては考えられているのか、お教え願いたいと思います。
  25. 山口鶴男

    山口国務大臣 お答えいたします。  歴史的な変革期を迎えております世界の中にありまして、国としては、内政に関する役割は思い切って地方公共団体にゆだねまして、国が本来果たすべき役割を重点的、効果的に担っていく体制を確立するということが必要であるということが内外の識者の方々から御提起をされております。まさに私も、その点は聞くべき御意見だと認識をいたしております。  そうしてまた、今日まで国民が本当に額に汗して働いて、世界第二の経済大国と言われる状況にまで私たちは到達をすることができました。経済的にもある程度繁栄を達成することができ、成熟化を迎えております今こそ、今度は各地域においてそれぞれの状況に適した多様で活力あふれる地域づくりを進めていく、地域の主体性というものを重視した行政システムというものが必要であるという時期に入っているのではないだろうか、こう認識をいたしております。  そういう中で、法案第一条に「国民がゆとりと豊かさを実感できる社会」ということを書いておるわけでございますが、先ほど申し上げたように、我が国は今経済力におきましては確かに成長いたしました。しかし、国民が経済力に見合っただけの真の豊かさを実感しているかといえば、必ずしもそうなっていない。物質面での豊かさとともに、国民一人一人が人権が尊重され、家庭や地域に安心とぬくもりを感ずることのできる、村山総理が言う「人にやさしい政治」というものを実現することが必要ではないか、そういった願いも込めてこの地方分権推進していこうということで、第一条に御指摘のような文言をうたった次第であります。
  26. 浜田靖一

    ○浜田(靖)委員 確かに、そういうお考えのもとに今回そういう位置づけをされたと思うわけであります。  しかしながら、その一方で、地方分権を危惧する声が特に中央省庁の側から聞こえてくることがあるわけでありますが、地方分権を単純に中央と地方権限、権力の争いと見れば、その権限を手放すこととなる中央の抵抗もその点では理解ができるわけであります。しかし、法案の第二条で「国と地方公共団体とが共通の目的である国民福祉の増進に向かって相互に協力する関係にある」と明記しておるわけであります。今回の地方分権は、単なる権限争いを超えて、国家構造全体の再構築、そしてまた、国際社会における我が国の地位、役割、将来の高齢化社会、少子社会等をにらんだ国と地方関係のあり方にメスを入れたものとして評価されるものだと思うわけであります。  そこで、法案の第三条等で国と地方の責務、役割分担が規定されておりますけれども、この国と地方関係の明治以来の歴史的変遷について政府の御認識を御説明いただいて、そしてまた、地方分権が進んだ将来の国、地方のあり方について御見解を示していただければと思います。
  27. 山口鶴男

    山口国務大臣 御指摘のように、第二条では、国民福祉の増進に向かって国と地方公共団体とが相互に協力して進めていくという趣旨が書いてございます。私は、国民の福祉を増進する、国民の生活と権利を守る、このためには、国と地方が対立するのではなくて、まさに車の両輪で相ともに役割分担をして、そうして協力して進めていくということが必要ではないか。また、そういった体制をつくるために今回地方分権推進法提案申し上げたということで御理解をいただきたいと思います。御指摘のとおりだと思います。  また、第三条では「国及び地方公共団体の責務」ということで書いてあるわけでございますが、確かに明治以来、考えてみますと、徳川幕府が倒れまして明治維新、そうしてあのとき国際情勢の中では日本はまさに非常に厳しい情勢に置かれたと思います。アジアの国々が西欧各国のいわば植民地あるいは植民地化の方向、そういう中で日本は一体どうしたらいいかということで、私は、当時、明治の先覚者の方々は非常な御苦労をされたと思います。今考えてみますと、やはり確かに我が国の行政制度は余りにも中央集権的だと思いますけれども、あのような状況の中で、日本がヨーロッパ各国に追いつき遣い越す、あるいはアメリカに追いつき追い越すということのためには、ある程度ああいった体制というものが求められたのかなというふうにも私は理解をいたしております。  しかし、先ほどもお答えしましたように、国民皆さん方の非常な御努力で今世界第二の経済大国にもなってきたという状況の中では、やはり当時のような中央集権、そうして画一的な体制というものがいいとは私は思いません。そういう中で、先ほどお答えしたように、国と地方とが役割分担をして車の両輪で国民福祉の増進を図っていく、そういう時代にまさになった。そういった時代を我々認識して今回の法案を御提案申し上げたというふうに御理解賜りたいと存じます。
  28. 浜田靖一

    ○浜田(靖)委員 次に、現行の都道府県、市町村という二層制についてお伺いをしたいと思います。  都道府県においては人口六十万余の鳥取県から千二百万の東京都まで、市町村では二百人の小さな村から三百万を超える大都市まで、その規模において千差万別であります。そして、地理的、歴史的、経済的な状況の違いから、地方公共団体はすべて違う顔を持っていると言ってよいと思うわけでありますけれども地方分権推進していくに当たって、こうした規模、性格の違いについて具体的に今後どのように配慮をして、また分権の受け手として究極的には都道府県、市町村、どちらを想定していらっしゃるのか、その点についてお教え願いたいと思います。
  29. 小林守

    小林(守)政府委員 お答え申し上げます。  昨年十一月の地方制度調査会答申におきましては、「現在の市町村、都道府県という二層制を基礎とする地方自治制度は、国民の間に広く定着」をしている、このように認識をいただいているところでございます。御承知のように、市町村については住民に最も身近なところで行政を行う基礎的な地方公共団体として自主的、自立的に施策が展開できるよう、その充実を図っていくことが重要であると考えております。  一方、市町村を包括する広域の地方公共団体としての都道府県が、実態的にも、意識の面でも定着の度を高めている、こういうことを考えるならば、都道府県、市町村が協力、連携を機軸として現在の基本的な枠組みはその意義を失っていない、そのように考えております。  答申におきましては、現在の二層制を前提として、「当面、都道府県により重点を置いて進めることが現実的かつ効果的である。そのうえで住民により身近な存在であり、地域づくりの主体である市町村へ」事務事業の内容に応じて「移譲を進めることが適当であるこのようにされているところでございます。  いずれにいたしましても、基礎的な自治体としての市町村、そして総合的、広域的な行政主体としての都道府県が相互補完的に自己完結性を持って進めていくことが地方分権を進めていく上で極めて重要な課題であろう、そのように考えております。
  30. 浜田靖一

    ○浜田(靖)委員 まさにそのとおりだと思います。大変その辺の関係は難しいと思いますけれども、できるだけスムーズにこれが回転するようにしていただきたいなと思うわけであります。  次に、地方税財源についてお伺いをしたいと思います。  地方団体が個性豊かな活力ある地域づくりを自主的に、主体的に行い得るよう地方分権が実質的に推進されるためには、国からの権限移譲に伴い、財源面での自主性も強化される必要があると考えます。政府案では、第六条において「国は、地方公共団体事務及び事業を自主的かつ自立的に執行できるよう、国と地方公共団体との役割分担に応じた地方税財源の充実確保を図るものとすることしておりますけれども地方分権に即した地方税体系の構築についてどのようなビジョンをお持ちなのか。地方一般財源の充実確保必要性は言うまでもありませんけれども、このうち、地方税については、地域の個性を発揮するための自主財源を確保する観点から大幅な拡充が必要とされておりますが、一方では、各地方団体間の適正なバランスを維持する機能の充実も必要であり、地方税の増大との関連で地方交付税の役割についてどのようにお考えなのか、二点あわせてお聞きしたいと思います。
  31. 小林守

    小林(守)政府委員 地方分権に伴う地方税財源の充実確保という観点についての御質問でございますけれども、御提案申し上げております地方分権推進法案におきましては、「国と地方公共団体との役割分担に応じた地方税財源の充実確保を図るものとすること記載されているところでございます。  先般の税制改革におきましては、地方分権推進し、地方税財源の充実を図るため、地方消費税を導入することとしたところでございます。また、今後の高齢化の進展や地域福祉の充実、そして生活関連社会資本の計画的整備を進めていくということを考え合わせますると、地方税財源の充実強化というのはますます重要になっているという考えております。このような中で、望ましい地方税制のあり方については幅広い観点からの検討が必要であって、税制調査会や地方制度調査会等の御審議を煩わしつつ、例えば地方歳出の規模と地方税収の乖離の問題などについて、このような問題の縮小という問題意識を持ちつつ、分権の趣旨に沿った税制が構築されるように適切に対処してまいりたい、このように考えております。  また、地方交付税の役割の御指摘でございますけれども、御承知のように、交付税制度は、公共団体の財源の均衡化、財源の保障を目的として、地方自治の健全な発展と地方団体の独立性の強化を生み出す一般財源でございます。このような観点に立って、基本的には地方税をもって地方公共団体の財源は賄われるのが基本でございますけれども地域の経済力が団体間によって格差が著しい、税源の偏在が著しい我が国の現状を考えまするならば、自主財源である地方税の充実強化とあわせて、地域間の財政調整機能を有している地方交付税制度の充実というものは引き続き極めて重要である、このように考えているところでございます。
  32. 浜田靖一

    ○浜田(靖)委員 まさにこの部分をしっかりしないと地方分権も大変立ち行かないと思いますので、活発な議論をしていただいて、いい案を出していただければと思うわけであります。  次に、地方分権推進によって、権限、財源、そして人も中央から地方へとシフトしていくことになると思うわけでありますが、受け手である地方公共団体の側の行財政体制は、前に述べたとおり、千差万別であります。中央省庁地方公共団体に対するいわゆる不信感も現実の地方行政の実態に根差すものがその一因としてあると言っても過言ではないと思うわけでありますけれども地方分権をスムーズに推進するために、地方公共団体の規模、そして今後どのようにこれをお考えになるのか、そしてまた今後どのような施策をもって地方公共団体の体力を高めていくのか、御見解を賜りたいと思います。
  33. 小林守

    小林(守)政府委員 地方分権を進めていく上で、受け皿論の観点から地方団体に対する不信感というものが論じられる部分もあるわけですけれども地方団体におきましては、地方自治法が施行されてから半世紀になろうとしている今日でございまして、地方公共団体の能力は着実に向上している、このようなことを正当に評価していただきたい、このようにまず最初にお願いしたいなというふうに思っているところでございます。  いずれにいたしましても、地方分権推進の成果を十分なものにしていくためには、地方公共団体への国の権限移譲の、国の努力がまず必要でございますけれども、同時に、地方公共団体においても、行政能力の向上や自己チェックシステム、これらの整備、さらに住民の信頼を確保していくという観点から行財政運営の改善充実に努めて、新たな地方公共団体役割を担うにふさわしい地方行政体制の整備確立を図ることが必要であると考えておりまして、自治省といたしましても、そのための必要な支援を行ってまいりたいと考えているところでございます。
  34. 浜田靖一

    ○浜田(靖)委員 そして、今のお答えの中にもあったわけでありますけれども地方分権推進によって今後は地方議会、地方行革ということがクローズアップしてくると思うのでありますけれども、今後、その権限を移譲された地方公共団体が大きな権力を持つことになると思うわけであります。そうしますと、住民に対する責任も今以上に高いものになって、行政当局の自己チェックは、先ほどお話がありましたが、当然でありますけれども地方議会のチェック機能も適切な行政運営のためにはそれが有効に発揮されることが求められると思うわけであります。  そこで、地方分権推進にあわせて、地方議会のあり方について、どのような見直しや改善措置を講じていくのか、お聞かせ願えればと思いますし、また地方においても、行政改革観点から多くの団体で自主的に議員数を減少させる等の措置が講じられているようでありますけれども、こうした地方行革に対する御所見と、地方分権推進における地方行革のあり方について、またこれは御見解を賜りたいと思うわけであります。
  35. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 まず、これから地方分権推進してまいりますと、地方公共団体役割は大変重要になってまいります。そういう中で、地方公共団体が適正に事務執行していくということは大変重要でございまして、それに対するチェックシステムということで議会が十分その機能、機能を発揮するということは極めて大切だと考えております用地方制度調査会答申等でもそういうことについて触れておりますので、地方の議会もそういう見地からぜひ十分な機能を発揮していただきたいと思っているわけでございます。  それから、地方公共団体行政改革の話でございますが、これは、今後地方分権を進めてまいりまして、その成果を十分に上げていくというためには、もとより国の方におきまして、地方公共団体への事務権限の移譲を積極的に進めるということが必要であることは当然でございますが、あわせて地方公共団体においても、簡素で効率的な行政確立に向けまして、自主的に、また積極的に行政改革を進めて、新たな地方団体役割にふさわしい地方行政体制の整備、確立を図ることが必要であると思っております。  そういうことで、かねてから地方公共団体行政改革に取り組んでまいりまして、事務事業の見直し、組織、機構の簡素合理化、給与、定数の適正化等という問題に取り組んでまいりましたが、新しいこういう地方分権の時代を迎えまして、そういう時代を踏まえて、地方公共団体がみずからの問題としてさらに自主的、積極的に行政改革に取り組んでいただくということが必要だと考えて、私どもも昨年十月には、地方公共団体の自主的、主体的な行政改革の一層の推進を図るということで、地方公共団体における行政改革推進のための指針というものを策定をいたしまして、地方公共団体に通知を申し上げたところでございます。
  36. 浜田靖一

    ○浜田(靖)委員 まさに国だけの行政改革ではないわけでありますので、ぜひとも適切な指導をしていただきたいなと思うわけであります。  時間の方も大分差し迫ってまいりました。最後に一つ、一問ぐらいで終わってしまうかもしれませんけれども、させていただきたいと思います。  地方行政において、行政の公正性を確保し、住民の信頼を得るためには、地方議会とともに第三者的立場で行政全般にわたって監視する機関が必要であろうと考えるわけであります。地方制度調査会答申では、監査機能の充実を図るために外部監査制度検討が提言されておりますけれども政府として、この提言をどのようにとらえ、今後、監査制度の見直しをどのように行っていくのか、お聞かせ願えればと思うわけであります。
  37. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 地方公共団体の監査制度に関するお尋ねでございますが、御案内のように、現在、地方公共団体におきましては、監査委員による監査が行われているところでございます。この規定につきましても、平成三年には監査機能の拡充という見地から改正も行われておりまして、私どもといたしましては、この監査権限の十分な活用につきまして、機会をとらえまして地方公共団体に対して指導をしてきているところでございます。  今お話がございましたように、地方制度調査会の「地方分権推進に関する答申」あるいは地方団体の「地方分権推進に関する意見書」におきまして、外部監査制度についての御提言があるわけでございます。地方分権推進していく上でも、今の新しい時代に対応した、それにふさわしい地方行政体制のあり方が求められているわけでございまして、政府といたしましても、昨年の十二月に閣議決定をいたしました地方分権大綱や、今回御審議をいただいております地方分権推進法におきまして、「地方公共団体は、行政及び財政の改革を推進するとともに、行政の公正の確保と透明性の向上」等の「措置を講ずることにより、地方分権推進に応じた地方公共団体行政体制の整備及び確立を図るものLというふうにしているわけでございます。  地方公共団体におきます監査につきましては、体制を整備いたしまして、適切な運用を図るように引き続き指導をしていきたいと思っております。とともに、御指摘のありました外部監査制度につきましても、これらの点を踏まえまして、今後検討していく課題であると考えている次第でございます。
  38. 浜田靖一

    ○浜田(靖)委員 大変順調に答弁をしていただきましてありがとうございました。今回、この地方分権法案をつくるということに当たりましては、お互いに政府側も新進党側の提案からも、まさしく地方分権必要性を説いておるわけであります。私自身も精いっぱいここで汗を流させていただいて、地方分権推進に努力をしたいと思っておるわけでございます。  時間が参りましたので、私からの質問は終わらせていただきたいと思います。本当にありがとうございました。
  39. 笹川堯

    笹川委員長 今井宏君。
  40. 今井宏

    ○今井委員 早速でございますが、御質問をさせていただきます。  きょうは、まず初めに機関委任事務について、二点目には時限立法五年について、三番目には官に対する国会、とりわけ政府の責任、そのリーダーシップについて、四点目といたしまして、これを進めるに当たっての事務局体制について、この四点を御質問をさせていただきます。四十五分ということでございますので、大変恐縮でございますが、答弁をいただく方は結論だけ端的にお申し述べいただきたい、かようにお願いを申し上げるわけであります。  最初に、機関委任事務でございますが、私から言わずもがなでございますけれども、まさに今回の地方分権になじまない制度であるわけであります。地方公共団体機関が企画立案、調整をして、地方自治体が国の委任を受けて実施だけをする、厳密に言えば地方公共団体事務ではないわけでございます。この事務は、国を上級官庁、地方公共団体を下級官庁として実施されるものでございます。したがって、国の指揮、監督、命令を受けるわけでございますし、自治体の長は、地方自治体のトップということではなくて、国の下請機関、そういう立場で管理、執行することを求められておりますし、数年前の自治法改正までは、その長を罷免することさえできる制度もございましたし、国の全体の事務量の八〇%が機関委任事務として県ではやっておりますし、基礎自治体でも五〇%前後が機関委任事務仕事をさせられている、こういう実態でありますし、かつては議会の議決権や監査委員による監査権すらなかったわけでございます。しかも、そういう状況の中でも、御案内のように、機関委任事務というのは年々増加し続けているわけでございます。  地方自治本旨から見ても、これは大変問題である。こういうことで数々の提言があるわけですが、総理大臣諮問機関であります二十四次地方制度調査会から昨年の末に答申されまして、私どもも、この分権法については、これは守るべき最低限度のことである、こういう立場をとっておるわけでございます。  さて、その機関委任事務でございますが、その答申には「概念を廃止しこと明確になっておるわけでございますが、この「廃止」の文言が消えてしまった、「廃止」を消して「整理合理化」、これは明らかに後退である、こういうふうに言われてもいたし方ないと思いますけれども、大臣はいかがですか。
  41. 山口鶴男

    山口国務大臣 お答えいたします。  私も国会に出ましたときに、一番最初地方行政委員会に所属をいたしまして、約十年間地方行政委員として、理事として、国会活動をいたしました。そういう中で、この地方自治法の別表に大変たくさんの機関委任事務及び団体委任事務がずっと書いてある、これは地方自治本旨からいっていかがであるかという、同じような見解を持ったことは事実であります。そういう意味で、地方自治本旨実現しようではないかということでやってまいりましたので、先ほど来お答えしましたように、地方分権推進国会決議、あるいは国会等移転に関する法律の際に地方分権と的確に関連づけてということを法案に書き入れ、それを成立させるために全力を注いだ次第でございます。  ただ、お答えいたしておりますように、それでは地方制度調査会答申でも、「国の選挙管理執行旅券発給等本来的に国の事務考えられるものであっても、国民利便性事務処理効率性観点から、地方公共団体執行することが適当な場合があるこということも述べているわけでございまして、したがって、こういった、国が行う事務、そしてそれを地方自治団体を通じて実施しなきゃならない事務というものが現にあることは事実でありまして、ですから、機関委任事務を例えば団体委任事務にするとか、あるいは機関委任事務を廃したかわりに今度は国の出先機関をたくさんつくるとか、処理の仕方はさまざまあると思うのです。  したがいまして、私は、今行政改革ということを言っているときに、国の出先機関をたくさんつくるなどということはすべきではないと思います。そういう中で、それではどのように、国が行うべき事務、しかも国のさまざまな地域においてこれを執行しなきゃならない事務、これをどういうふうにしたらいいのか。  私は、ですから分権大綱ではこの機関委任事務制度のあり方についても検討するということで、議論の結果、機関委任制度というものが廃止することの結論も場合によってはあり得ると思います。したがって、これらの問題は分権大綱方向は示しているわけでございますから、その方向の上に立ってこの推進委員会で十分な議論をいただき、その結果を我々は尊重して推進計画を立てて、これを実行していくという中でこの問題については対処してまいりたい、こう考えている次第でございます。
  42. 今井宏

    ○今井委員 私たちも、機関委任事務全廃しろ、こういうふうに言っているわけではないわけでございます。機関委任事務制度というものをまずなくす、制度というものはなくす、そして必要な事務地方自治本旨を踏まえた形で、別の形で規定することを主張しているわけでございます。  もう長官も長らく御経験がありますように、この機関委任事務制度地方分権されていない象徴として、シンボルとしてずっと長く、数十年間言われ続けてきておることはよく存じているはずであります。まさに地方、これからは分けていけばいいわけですから、一たんゼロにする、一たんスクラップする、こういう方針がないと、結果的には五年間やりましたというだけになってしまって、これは国、これは市に分けますという形だけになってしまうわけでございますので、それがやはり政治、この法律に位置づけするということがとても大切なことだと考えておるわけでございますけれども、いかがでしょうか。
  43. 山口鶴男

    山口国務大臣 法律には整理合理化と書いてありますし、そのもとになっております分権大綱では、あり方についても検討するということで方向は出している次第でございます。したがいまして、私どもとしては、地方自治本旨の立場に立ちまして、この機関委任事務、先ほど言いましたように別表第三、第四がずっと長く書いてあるというようなことは、これは改めるべきだ、この考え方はわかっていただけると思いますし、また村山総理もそういうお考えを持っているわけですから、私は村山総理が御提案申し上げ、そうしてまた、地方分権推進に関する国会決議衆参両院で議決をした国権の最高機関である国会で同意人事として同意をいただくこの地方分権推進委員皆さん方は、私は地方制度調査会答申趣旨、また私どもお答え申し上げている趣旨というものをきちっと踏まえて、私はこの機関委任事務制度というものについてもきちっとしたお答えを出していただける、かように確信をいたしておる次第でございます。
  44. 今井宏

    ○今井委員 実は委員会の中でも分権推進派の委員さんもいらっしゃるでしょうし、慎重な委員さんもいらっしゃるでしょうし、今後の課題、人事というのはこれからの課題、こういうことになってくるわけでございますが、もう既に政府の、公の審議会あるいは地方団体、すべて機関委任事務廃止とするべきだ、こういうふうに言っているわけですね。それについての世論合意はでぎているわけであります。  それで、これを法律に位置づけできるかできないかというのは、これは大変なことでございまして、そういう政治的な判断まで今度できる委員会にゆだねてしまっていいのだろうか、それで政治の責任というのは果たせるのだろうか、疑問に思えてならないわけであります。先ほど来私ども増田議員が質問のように、それでは地方分権委を設置するという設置法と変わらないじゃないか。私に言わせれば、地方分権検討委員会をこしらえるのじゃないのであります。地方分権推進する法律をこしらえているのです。推進委員会なんです。したがって、そういう方向性まで委員会にゆだねるということは逃げであって、結果はおのずと私は五年後日に見えてきている、こういうことすら予測つくわけでございますので、こういった方針というのは明確に出していくということが政府の、そして政治家の責任である、こういうふうに思っていますが、いかがでしょうか。
  45. 山口鶴男

    山口国務大臣 お答えいたします。  政府として機関委任事務制度廃止をするということを法案として提案いたしました場合は、地方自治法の別表第三、第四がざあっと書いてある、この整合性をきちっとしなければなりません。したがいまして、政府としてこの機関委任事務制度廃止するという場合はそういった大改正をも断行するという決意でなければ、また法制上の建前からいっても困難でありますことは、御理解をいただけると思うんです。  ですから、聞くところによりますと、新進党皆さん方も初めは原則的廃止ということでいろいろ御提案をしたらどうかという御意見があった、しかし法律的には原則的廃止というのはなじまぬというようなことが、衆議院法制局でもいろいろ御意見があって、これは議員立法ですから、廃止ということをお書きになっても地方自治法の別表全部直す必要はないということで御提案なされたのではないかと推察をいたしております。  政府といたしまして出す場合は、やはりそこの整合性というものを抜きにして私ども提案するというわけにはまいらぬということが一つと、それから考え方は、機関委任事務制度というものはできるだけ少なくしていく。これは機関委任事務という制度でなしに、国の事務地方公共団体で扱う方法、例えば団体委任事務もそうでしょう、そのほかうまい方法があるのかということを十分検討した上で、この扱いについては制度のあり方も含めて検討するという地方分権大綱考え方をごらんいただければ、政府としての考え方はおのずと御理解をいただけると思う次第であります。
  46. 今井宏

    ○今井委員 そうであるならば、その別表をきちんと政府の責任において整理して法案を出すべきである、こういうふうに思うのであります。答申があって時間がないからという形では、私は責任は果たせない、こういうふうに思うわけです。  まさに今回の問題は、先ほど御質問がございましたように、中央政府、中央の官と地方の官とのかかわりでありますから、官と官とのかかわりを仕分けをしていくというのはまさに政府の責任だと思えてならないんですね。したがって、その政府の責任を地方自治本旨に基づいてきちんとやっていく。  まして、地方団体は議長の「衆議院議長土井たか子殿」という形で、新しい新時代の地方自治を求めてみずから決意表明したんだ、国に対する具体的な初めての法律に基づく意見具申をしたんだ。そこで、六団体ですよ、知事から市町村長まで含めて、議会も含めて、廃止をする、こう言っているわけですから、それに私たち国会議員が唯一の立法機関としてその責任をきちんと果たしていく、それでそういう方向性をきちんと出す、その上で委員会で具体の問題を検討してもらう、これが本来のあり方だ、こういうふうに思うわけです。  それから、東京都の答申もございましたように、新しい仕組み、こういう提案東京都から最近出されておるわけでございまして、したがって、この地方事務の中でも国の仕事として地方が受けた方がよりサービスが徹底できる。パスポートなんかまさにそうだと思いますね。それから、本来地方仕事であるにもかかわらず国がち関与されているもの、はっきりわかっているわけでございますので、それは政府の責任においてきちんと明確にして委員会に諮るべきだ、こういうふうに思えるのですが、いかがでしょうか。
  47. 山口鶴男

    山口国務大臣 時間がないからそういう別表廃止を含めて提案しなかったというようなことではございません。  私の言っておる真意は、政府提案する以上は整合性というものをやはりきちっと確保をして提案する責任がある。そうして、我々としては、機関委任事務制度というものはこれはできる限り整理合理化をしていきたい。そして国の事務として地方公共団体お願いしなければならぬ事務というものもある。じゃ、その仕組みを一体どうしたらいいのか。これはいろいろ議論がありましょう。したがって、我々としては、分権大綱機関委任事務制度のあり方を含めて検討するという考え方方向は、地方制度調査会答申も踏まえて出しております。  要は、そういったものを踏まえた上で、この地方分権推進委員会において十分な議論もいただく、また国会でも十分その後でも議論をいただく必要はございましょう。そういう中で、我々衆参両院国会決議をやった地方分権推進、あの決議の方向に沿って地方分権実現していく、そういう過程の中でこの問題についてのよりよい結論を出していったらどうか。  ですから、私どもとしては、さまざまな検討を行った上で、この機関委任事務制度というものがなくなる場合もございましょう。また、形を変えた形で残る場合もございましょう。あるいは団体委任事務に任せる形で処理するという方法もございましょう。さまざまな方向がありますが、議論をした結果、結論は出していこうではないかというふうに考え方向性だけはきちっと示した、これはもうよく御理解をいただけるのではないでしょうか。
  48. 今井宏

    ○今井委員 ですから、その方向性を、概念を廃止するんだということをきちんとしないと、結果的にはぐじゃぐじゃになってしまうおそれというのは十分あるわけでございます。  総理諮問機関地制調でも、今回の二十四次で初めて廃止と踏み込んでいるのですね。それまでは整理合理化でずっと来ているわけです。ここで初めて廃止、そこまで踏み込んでいる。それは重たく受けとめていかなければならぬ、こういうふうに思っておるわけであります。その精神をしっかりと受けとめていくことが、私たちこの国会でもあるいは政府としても大事なことではないだろうか、こういうふうに思っておるわけでありますし、前々申しましたように、地方団体もこれは廃止と、そういう決意をはっきりしているのですから、それを受けていかなければならぬわけです。  山口長官も、大変なキャリア、経験を持っておられます。時代認識というものをしっかりなさっている方でもございますし、社会党さんもかってこれは廃止するべきだ、そういう方向で努力していたに違いないのです。政治家というのは、まず一歩前へ出て先見的にそれに取り組んでいく、こういう責務というのがあるわけでございますので、総理への答申よりも出した法案が後退した、それが政治のリーダーシップを発揮した、こういうふうにはどういうふうにも読めないのですね。  したがって、予想づくところによりますと、整理合理化して所要の措置をとるということになると、五百六十六ある地方機関委任事務のうち、これはマルだ、これは三角だ、これはバツだとつけて、数合わせにして幾つかは残す、幾つかは地方にやった、そんなことで終わってしまう。だってそうでしょう。規制緩和の問題にしても、特殊法人の問題にしましても、結果的には数合わせという批判が今ごうごうと出ているじゃないですか。機関委任事務というのを原則廃止するのだよ、それでも残すのは残す。それで、これは地方にやる、これは新しい制度でやる、そういうことをぼんと出していくことが政治家山口先生としての、責任者としての責務ではないだろうか、私にはそういうふうに思えてならないのです。総理大臣も、歴史的な法案だ、明治維新以来の法案だ、こう言っているわけでございます。いかがですか。
  49. 山口鶴男

    山口国務大臣 お答えいたします。  私も総理と同じ決意でこの法案提案申し上げている次第でございます。総理大臣地方分権推進委員会設置するについてリーダーシップを発揮したことは、私何回かここで御答弁申し上げました。同時に、この地方分権推進委員会権限というものを強固にするということが、御指摘ございますような地方分権推進するに当たって重要であるということも私考えましたので、予算委員会におきまして、分権大綱では委員会意見を言うということになっておったのですが、この「意見」の中には監視もあれば勧告もありますということを私はお答えをいたしました。私がそういうふうにお答えしたものですから、総務庁の役人の皆さん方は、やはり大臣がああ言った以上後退はできぬということで頑張っていただいて、御案内のように法律の中では、この推進計画に対して勧告もできる、そうして今後の推移について監視もするという明確な法律にいたした次第です。  ですから、地方制度調査会の会長の宇野さんは、閣議決定の際に直ちに電話をよこされまして、立派な法律をお決めいただいてありがたいというお話もございましたし、また御存じだと思いますが、地方制度調査会会長として談話も出していただきました。高く評価をするという談話もお出しいただいたわけでございまして、私は、やはり地方制度調査会長も地方制度調査会答申を十分踏まえた法律になっているということを御認識いただいているというふうに考えます。そういう点でも御理解を賜りたいと存じます。
  50. 今井宏

    ○今井委員 明治維新以来歴史的とよく総理も言っておりますけれども、まさにそのくらいの大きな法案だと思うのですね。重く受けとめて、私ども提案していただいた皆さん方に対しては評価をしておりますし、だからこそ内容をしっかりしたものにしていかなければならぬという立場で、確かに分権を進めていかなければいけない、こういう立場で御質問をしているわけでございます。  ちなみに、長官、維新という言葉を広辞苑で拾ってみましたら、すべてが改まって新しくなることを指す、こう言っているのですよ。維新、まさに平成の維新なんですね。だから、本当に平成の維新をするためには整理合理化ではどう見ても不十分なわけであります。そして、私たち国会としましても、この分権を進めていくという意味では、今後与野党を超えてこの問題は大切な柱だ、こういうふうに思っておりますので、しっかり議論を続けていきたい、こういうふうに思っております。  次に、二点目の時限立法につきまして御質問申し上げたい、こういうふうに思います。  なぜ時限立法を五年としたかを教えていただきたい、こういうふうに思うのです。地制調答申にも、時限立法、こういうふうに書いてはございましたが、仮にこれが今定例会に成立いたしましても、四カ月後に施行されて秋口の施行、動き出すのは、へますると来年の八年度。残ったのは四年。四年の中でどういうふうにやっていくのだろうか。この四年間でどの程度の方向づけ、段取りを考えていらっしゃるのか、五年間にした理由とその段取り、これについて御質問いたします。
  51. 山口鶴男

    山口国務大臣 お答えいたします。  五年というのは施行の日から五年、こういう意味でございます。そうして、こういった五年という時限立法にした理由は、一定の期限内に集中的かつ計画的に取り組むことが具体的な成果を上げる上で最も効果的である、こういう認識のもとにこのような時限立法にいたしたわけでございますし、また委員がしばしばお挙げになります地方制度調査会答申でも、五年の時限立法にしたらどうか、こういう御提言もいただいているわけでございまして、そういった点も勘案をいたしまして、しかも一定の期間に精力的にやはり議論をするということが肝心だという意味で御提案を申し上げた次第でございます。  そうして、このスケジュールはどうか、こういうことでございますが、五年という期間があるわけでございますが、だらだらと議論をしているというようなことで済むはずはないと思います。私は少なくとも前半、早いうちに地方分権推進計画というものを策定をいたしたい、そうしてそれに対しては、地方分権推進委員会皆さんが十分御議論をいただいて、的確な勧告もしていただく、それを踏まえてこの五年間の前半のうちに計画を策定する、そうしてこれを実施に移していく、その間地方分権推進委員会委員会権限に基づいて監視をし、意見を言うべき場合は大いに意見を出していただくという形で、この五年間精力的に議論もいただく、また手続も進める、計画も策定する、その上にのっとってこの法律案国会提案して、そして御審議もいただき成立をさせていくという形で対処をいたしたいものというふうに考えておる次第でございます。
  52. 今井宏

    ○今井委員 分権は息の長い取り組みでもあるわけでございますが、早いうちにというお話がありまして、前回より一歩踏み込んだ答弁をいただいて大変ありがとうございます。地方団体では、この分権推進法が施行後二年以内に推進計画を作成して国会提出しなければならない、ここまで言い切っておるわけでございますね。  五年間の達成目標といいますか、どういうふうに私たちイメージを抱いたらよろしいんでしょう。五年間という限られた時間でございますけれども、どこまで五年間で進む、また進ませる、そういう方針でお出しになったのでしょうか。
  53. 山口鶴男

    山口国務大臣 ただいまお答えいたしましたし、また委員からお話もございました。この五年間の前半のうちに計画を策定する努力を私はすべきものであるというふうに思いますし、また、それにふさわしいような形で分権推進委員皆さん方勧告をし、そして計画が策定された場合は、それがどのように実施に移されていくかということをきちっと監視をいただく、意見もいただくということになろうかと思います。  したがって、計画を策定いたしますれば、その計画に従って政府法律案国会に御提案申し上げ、衆参両院で御論議をいただき、成立を期していくということであろうかと存じます。
  54. 今井宏

    ○今井委員 いよいよ実施の段階、五年以内に取り組む意味のお話がございましたが、この実施も五年で全部終わってしまうわけではないはずです。新しい法律もできてくるはずです。それらについて当然分権の視点からチェックもしていかなければならぬ、こういうふうに思っています。それが五年で終わってしまう、こういうことになって心配はございませんか。
  55. 山口鶴男

    山口国務大臣 これは一応私ども五年間という時限立法で御提案申し上げております。その後の推移につきまして、今私がここでもって明確なことを申し上げることは、これは遠慮する必要があると思います。五年間のうちに、やはり精力的にこの地方分権は仕上げていくという決意でやっていただきまして、そうしてそのときに一体どういう状況であるかということは、そのときの政府なり、そのときの国会というものがさまざま御判断をいただく問題ではないだろうかというふうに思います。  私どもとしては、五年間の間に計画的に、精力的に実施をしていくという決意でおります。
  56. 今井宏

    ○今井委員 そうそのとおりなんですよ。内閣がかわる可能性は十分あるんですが、せっかく出されたこの時期ですから、基本的なことをお伺いしたいわけでありますが、もし委員会の中で五年では足りないよ、時間がないよと言われたときはどうするんでしょうか。  それから、当然たくさんの、これだけの、すごいボリュームだと私は思っているのですよ、それを五年間でやるというのは、今言葉では精力的に、こう言っていますけれども、大変な作業が待ち受けているはずなんですね。そういう意味で、五年目以降のこの種の役割はどこが果たすのですか。今の法律ですと五年以降は閣議決定のみになってしまう、法律がなくなってしまうわけです。失効してしまうわけです。失効してしまって閣議決定のみでは大変弱いものになってくるのですが、その辺についてはどう考えていますか。
  57. 山口鶴男

    山口国務大臣 そのときのことを今現在の総務庁長官である私に明言せよと言われましても、私も相当心臓は強い方でありますけれども、そこまでは申し上げる勇気はございません。これは私ども政府としては、御提案申し上げております五年間に精力的にやっていただいて、そうしてそのときどういう状況であるか、それはそのときの政府なり国会なりが御判断いただく課題であるということを申し上げるのが精いっぱいではないかと思います。
  58. 今井宏

    ○今井委員 その辺が大変心配なんですよ。私ども政府案と大きな違いというのは、国と地方役割でいえば限りなく中央の仕事を限定的にする、地方団体と同じです。国はこの国際化の時代に本当に国際的な責任を果たしてもらう、もっと大きい、もっと重い責任を国がきちんと果たすべきだ、それ以外の身近な問題は地方にゆだねるべきなんだ、こういうふうに言っているわけですよ。  この委員会が開かれて政府が五カ年間つくる計画ができ上がってから国会へ報告されるという、こういうことになっていますね、政府案は。それじゃ大変心配しているわけです。だからこそ新しく新進党案では十一条を設けまして、いわゆる委員会勧告をし、そして意見を述べたときは概要を公表するのです、こう言っているわけです。それから、委員会は定期的にその審議の概要を公表しなければならない、こういうふうに明確にしているのですね。そうしませんと、でき上がったものを政府から国会計画提案されましても、国会がチェックする機能がないのですよ。国会の機能を十分に発揮するためにも、その途中で定期的に計画的に公表する。  そして、この問題は、地方住民国民も、地方の自治体も、国会議員も、中央政府の役人さんも、みんな情報を共有しないといけないのですね。これは中央だけの問題じゃなくて、地方国民と一緒になってやる、同じ情報を持つ、そしてお互いに批判し合う、そして一歩でも二歩でも分権というものをしっかりやる。地方も分権されることによって責任が重たくなるわけです。中央も分権されることによってもっと中央の官僚の仕事が多くなるし、重たくなるのですね。それをお互いに尊重し合いながら、だからこそ情報を共有しなければならぬのです。だから十一条として、定期的に公表しなければならぬ、こういうふうに言っているわけでありますけれども、大臣はどのようにお考えでしょうか。
  59. 山口鶴男

    山口国務大臣 実は私は国会等移転に関する法律提案いたしましたときに、その中では調査会をつくる、その調査会の審議中身国民に公開するかどうか等々のことが随分議論になりました。私は、こういった国会等移転というような、これも世紀の大事業ですよ、国民の理解がなければできない仕事です。こういったものを進めるのには、当然できる調査会の会長さんが、調査会の審議中身はその都度記者の皆さん方に克明に報告をして、そして情報公開といいますか、国民皆さんにこういう議論をやっていますよということを明らかにすることは間違いないと確信するし、また、国会のこういった議論があったということは、調査会は十分尊重していただけるものというふうにお答えいたしました。現に調査会はそのような形で運営がなされております。  したがって、私は、地方分権推進委員会がおできになれば、その議論の経過というものは、会長さんなりが当然マスコミの皆さん方にその審議中身については詳細御説明をされることになるだろうと思いますし、また、委員会勧告をするというような場合は、こういう勧告をしましたということを国民に黙ってするなんということは、政府機関では今までなかったと私は思います。行革審にしても、臨調にいたしましても、すべてこういう答申を出しますという場合は、きちっと国民皆さん方に報告もするし、また、こういう議論があったという節目節目の議論の経過も国民皆さんに発表しておられたと私は思います。  したがって、法律には書いてありませんでも、地方分権推進委員会がそれぞれの議論中身国民皆さんにお知らせすることは間違いないと思いますし、また、勧告をするというようなときには、こういう勧告政府にいたしましたということをきちっと公表されるということも、これまた間違いないというふうに確信をする次第です。それはもう今までの政府のこういった委員会、調査会、最近のは行革委員会、すべてそうだということで、これは委員もよく御理解いただけるのではないでしょうか。
  60. 今井宏

    ○今井委員 理解できなくはないのですが、心配をしているのですよ。例えば、規制緩和なんかも、説明はあったけれども発言する時間がないということを言っていらっしゃる委員さんもいらっしゃいますね。だから、でき上がった計画が不十分なもので、でき上がってしまって修正もできないんだ、国会も関与できなかったんだと、今までのやり方を思って大変心配しているのですよ。ただ単なるガス抜きになって、結果的には、先ほどの機関委任事務じゃありませんけれども、数合わせで数がこれだけ減ったから一応分権は進んだのだということになってはならないという心配の余り申し上げておるわけであります。  したがって、私どもの十一条では、定期的にきちんとした推進計画というのをこしらえて、達成目標というものを明らかにする中で年次計画を定期的に公表しないと危ないのですよ。いわゆる委員長さんが記者会見をちょっとやれば済むという問題じゃなくて、これは、住民までが理解していかないと、本当の分権は、法律はできたけれども法律は改正されたけれども、それまで、昔の方がよかったということになってしまいますから、十分な理解をするためにもこういったことを法律制度として位置づけしていくということが大事だということで、十一条を位置づけしているわけであります。  時間の関係で、事務局体制を申し上げますが、事務局は、構成、人員規模、身分、その他については今後の課題だ、この間の質疑ではこういう御答弁長官からいただいておるわけでございますが、私は地方自治体の首長の市長の出身なのですが、私どもこういう条例を出すときには国の指導によって必ず予算を出さなかったら審議してくれませんよ。今回は既定予算の中からやる、こういうことで国と地方は仕組みが違うのかなと思って僕はびっくりしたのですけれども事務局の構成ですね、どういうふうに考えておるのか。  時間がないのでついでに申し上げますけれども、二十省庁で何百本の法律を抱えているのでしょうか。機関委任事務だけでも五百六十六本ですよ。それで、どういう事務局体制でどうやろうとしているのか。  次の質問がありますから端的に答えてください。
  61. 山口鶴男

    山口国務大臣 事務局の具体的な規模、構成等につきましては、法案成立委員会の発足に向けて検討していくことになると存じます。もちろん、こういう時代ですから簡素化を旨としなければなりませんけれども、しかし、委員会の任務を補佐する上で最も適切な人材を配置し、委員会の業務に支障のない体制を確保するということは責任を持ってやってまいりたいというふうに考えております。
  62. 今井宏

    ○今井委員 それも、私に言わせればわからないのですよ。国というのはそういうものなのかどうかわかりませんけれども、私ども市で審議会をこしらえても、事務局がどこを担当してどういうことをやる、予算は幾ら、それで条例と一緒に議会へ出すわけですよ。それで議会の審議にたえるわけです。今回みたく、この法律ができてから事務局をしかるべく問題ないようにするんだ、あとは政府に任せてくれ、国会の方は待っていてくれよ、こういう姿勢というのはわからぬですよ。特に私が言いたいのは、歴史的な、明治維新に匹敵するような法案であり、日本国じゅうに関係ある分権法だからこそ言うわけであります。  こういう時代だから、職員も十分には要るけれどもそんなに割くことができない、こういうわけでございますが、長官、こういうことなんですよ。コンピューターで合理化を図るといっても、立ち上がりのときにコンピューターのハードを含めて費用はかかるのです。この分権が徹底できれば、二十省庁がもっともっと小さな省庁になる、もっともっと小さな政府になる。最大の行政改革地方分権だと私は思っているのです。最大の政治改革は地方分権だと思っているのです。だから、このときにしっかりとした事務局体制を、しかも独立性のあるものにしなかったら、兼務だとか、場合によったら忙しいときだけ各省庁から連れてくる、そんなんでは分権をやったふりですよ。  先ほど申し上げました、大変ボリュームのある仕事がこの仕事だと思っているのです。したがって、長官長官の今までの経験を含めて、独立性があって三十人や四十人でできるわけないですよ。どういうボリュームを考えて、どの規模で、どの人数で、どういう立場で徹底的にやらせるんだ、そして歴史的な大転換、集権システムから分権システムにするんだ、その決意のほども含めてちょっとお聞かせいただきます。
  63. 山口鶴男

    山口国務大臣 今、村山内閣として行政改革を進めております。行政改革中身といたしましては、規制緩和もあれば、特殊法人整理合理化もあれば、それから情報公開の問題もございます。同時に地方分権もございまして、私といたしましては、長官就任以来、行政改革の問題は数々あるけれども、その中で最も重要なものは地方分権推進であるということを言い続けてまいりました。私は、総理も同じようなお考えではないだろうかと思います。  したがいまして、この地方分権推進に当たっては、総理リーダーシップを発揮して委員会設置を明確に言いましたし、私もまた、委員会の機能である監視、勧告というものが必要であるということは法案作成以前に申しまして、そのように法案をつくった次第でございます。  したがいまして、臨調行革審の経過もございますけれども、いずれにいたしましても、地方分権推進を進めるにふさわしい事務局、その体制ということは私としては責任を持って対処いたしてまいりたい、このような決意を持っていることをここで明確に申し上げておきたいと存じます。
  64. 今井宏

    ○今井委員 十分な決意はわかりましたが、まだ事務局が具体的にこういう規模を持つ事務局だということが私にはわからないのですが、それは答弁することはできないのでしょうか。あるいは、まだそこまで詰めていないのでしょうか。法律ができてから詰めるのでしょうか。
  65. 陶山晧

    ○陶山政府委員 ただいま大臣からお答え申し上げたことに尽きるわけでございますけれども、現在ただいま法案の御審議をいただいている最中でございます。法案成立させていただきました段階では、早急に準備を進めまして、できるだけ早く委員会設置を進めるべく事務的にも努力をいたしたいと考えておりますが、現時点で、今井先生がお尋ねになりましたような事務局の規模等について必ずしも事務的に固めたものを持っているわけではございません。
  66. 今井宏

    ○今井委員 大変残念だと思いますが、この委員会はまだまだ続くわけでございましょうし、また同僚議員もいらっしゃいますので、その都度お聞かせいただけることになろうかと思いますが、実は、事務局がどういう体制を持つのか、それから分権委員会がどういうメンバーで、どういう機能をしっかり果たしていただけるのか、まさに大変重要なポイントでございます。長官もよく御存じのとおり、そこをしっかりやらないと、四年ちょっとでこれだけのシステムの転換は、やったとしても、やったふりとか不十分で終わってしまう可能性を心配していますので、しっかりお願いしたいと思うのです。  いずれにいたしましても、これは分権設置法ではない、分権検討法でもない、分権推進法なんだ、こういうことでございますので、これから私たち全員、国会議員として、勇気を持ってさらに一歩でも二歩でも踏み込んでよりよい法案にして、分権を確かなものにする、確かな足取りにしていく、こういうことに私も微力ですけれども努力していきたいと思っておりますので、今後とも御指導をお願いいたします。  大変失礼いたしました。
  67. 笹川堯

    笹川委員長 遠藤登君。
  68. 遠藤登

    遠藤(登)委員 この分権問題は、やはり、今までいろいろお話ありまするように、これは幕末の約三百諸侯といういわば地方主権から、御案内のように、明治にかわりまして約百三十年間、中央集権を上り詰めてきたということだと思います。いわば民主主義社会の成熟した、成熟しようとする今日において、それはもうあらゆる面で完全に行き詰まりを来している、今こそ何とか新しい時代に対応して文字どおり地方主権の時代をつくり上げる、そういう時代で、それぞれの歴史や文化や、何よりもそこに住む住民たちの願意が満たされるようなそういう地方主権の時代をつくり上げる、そういう時代だという認識に立って今回の問題を提起されてきたと思うのであります。  そういう意味で戦後の政治史にもなかったわけでありますが、そういう意味では時代の、いわば歴史の大転換の作業だという認識を持っているのでありますが、それだけに、総理を初め政府におかれましても重大な決意に立ってこの分権推進について決断をされたということについて深く敬意を表するのでありますが、そういう日本の近代史における時代の変遷と、それらに対する認識、そして決意をお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  69. 山口鶴男

    山口国務大臣 私、国会に籍を置くようになりましたのは一九六〇年でございました。先ほどお答えいたしましたが、地方行政委員会に所属をいたしまして、地方自治本旨、これをより憲法の規定にあるように進めていこうではないか、そして地方自治法の終わりにたくさんの機関委任事務団体委任事務が並んでいるというような状況は、これは何としても改める方向で努力をしなきゃいかぬというつもりでまいりました。  そういう中で、一昨年は地方分権推進に関する国会決議、これを実現することができました。そうして、決議を実現するための法律を今日ただいま御論議をいただいているということで、私は大変深い感慨を持つ次第であります。  村山総理も同じように、地方分権に対しては、国会に出られて以来大きなやはり御主張を持って今日まで活動してこられたことは、私もよく承知をいたしております。したがいまして、総理は私以上に大きな感慨を持って今日この法案を御提案申し上げ、そしてその一日も早い成立期待しておるということであろうと思います。総理とともにこの法案成立に向けて全力を挙げたい、そういった決意を申し上げてお答えにいたしたいと思います。
  70. 遠藤登

    遠藤(登)委員 その重大な歴史的な決断をされて、それを積極的に推進しようとする決意に対して深く敬意を表したいというふうに思います。  それで、今もいろいろお話がありましたが、役割分担の明記の問題でありますが、国と地方役割分担を具体的に明記しなかったという理由は、主な理由は何でしょう。
  71. 山口鶴男

    山口国務大臣 お答えいたします。  御案内のように、国が行っております事務地方が担っております事務、大変広範にわたっておるわけでございます。私どもといたしましては、法案の中で、国が扱うべき事務につきましては、三つ観点から一応考え方は述べている次第でございます。したがって、役割明確化するということを法案の中にも明確に書いておる次第でございます。  なぜ限定をしなかったかという御意見でございますけれども、限定ということになりますと、例えば、立法府において御議論をいたします問題をある程度事前に制約するというようなことにもなりかねないということもございます。また、やはり個々具体的に点検をする必要があるわけでございますので、限定ということを使うのはやはり現実的ではないんじゃないか。したがって、国と地方役割明確化する、そしてその中で、具体的には地方分権推進委員会で十分御議論をいただく、そしてその勧告も踏まえて推進計画の中で具体的に明らかにしていくという手法を私どもとしてはとっていきたいという考え方で、そのようにいたした次第であります。
  72. 遠藤登

    遠藤(登)委員 先ほどもお話があったのですが、地方団体はいろいろ違うということがあったりして、いわば分権推進委員会に、それは推進委員会の構成そのものにも、先ほどのお話のように、法案成立するのを待って、それぞれいわば疑念や期待にこたえられるような推進委員会をきちっとつくっていくということで、内的なそれなりの準備作業にも入っていると思いますが、そこのいわば議論を待つということだと思いますが、積極的に推進をするという決断に立たれた。  それで、さらに時間をかけながら、各界の意見も、地方団体意見も一定程度集約された。あるいは、国民的な意見はまだ今日これからだと思うのですよ。この議論を通じて国民的な議論にもしていって、そして国民の意思にもこたえるということ、これは大胆に決断をしていくということと慎重に対応しなきゃならないという両面があると思うのであります。したがって、推進委員会議論に付するということも、私はこれは決して後退ではない、こう思っておりますが、長官考え方
  73. 山口鶴男

    山口国務大臣 決断すべきものは決断して今回の法案を出したということは御理解をいただけると思うのです。  ということは、先ほどもお答えしましたが、総理は、地方分権推進委員会という機関はやはりきちっとする必要があるよということで、リーダーシップを発揮してその設置について明確な方針をお示しになりました。私もまた、委員会権限で、意見の具申というのは単に意見を言うだけではない、監視もするし、また必要な場合はこの地方分権推進計画を策定する際に勧告をするという権限も付与すべきであるという考え方を明らかにして、その権限法案の中で明確にうたった次第です。ですから、こういう点は私ども政府としてきちっと決断をいたしたつもりであります。  その上で、今度は具体的にどうあるべきかということは、御指摘ございましたように、地方団体の御意見あるいは地方制度調査会の御意見、十分これらを踏まえ、国民皆さん方の御意見も十分取り入れる中でこれを具体化してまいりたい、かように考えておる次第です。  ですから、この法案を閣議決定いたしました際に、地方団体といたしましても、この地方分権推進委員会設置が織り込まれ、計画実施状況について監視し、また勧告をする権限もあることは大変結構だという高い評価をいただく談話もいただきましたし、また、宇野地方制度調査会長の談話といたしましても、委員会勧告権や監視権、独立の事務局の設置等の問題が織り込まれたことは、これは高く評価するということで談話もいただいたわけでございまして、決断するものはした。その中で、今度は十分な御意見を承る中で具体化をしてまいりたい、かように考えております。
  74. 遠藤登

    遠藤(登)委員 問題は、やはりそれぞれ地方団体を初め国民の各皆さん意見を十分、やはり議論を提起をして、聞く、耳を傾ける、その中で計画的に、あるいは勇断をもってやるものはやるということだと思います。  それから、機関委任事務のことも先ほどお話ありました。それで、現状として、この機関委任事務の件数あるいは自治体の事務とのかかわりについてどのような現状にあるのか、ちょっとお聞かせをいただきたい。
  75. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 機関委任事務の数でございますが、これは地方自治法別表に掲げてあります。その数は、平成六年の地方自治法の一部改正後では五百六十六項目でございましたが、現在は、平成六年の許可、認可等の整理及び合理化に関する法律によりまして四項目減少しておりますので、五百六十二項目となっております。  地方公共団体におきましては、相当程度の機関委任事務を処理をしているわけでございますが、この地方公共団体事務に占める機関委任事務の比率がどうかということになりますと、これは具体的にどのような方法でその事務量を把握するかという問題もございますし、また、これが地方公共団体団体事務と一体となって行われているということなどもございまして、なかなか定量的にお示しするということは難しいのでございます。
  76. 遠藤登

    遠藤(登)委員 地方団体は、廃止ということでありますが、そのことについて一挙に廃止といかない部分もあるかと思いますが、どんな基本的な考え方を持っていらっしゃいますか。
  77. 小林守

    小林(守)政府委員 お答えいたします。  機関委任事務につきましては、既にさまざまな御議論をいただき、また、地方分権推進の立場から始終批判もあるところでございます。  政府におきましては、昨年十二月に地方分権大綱を閣議決定して、その整理合理化を積極的に推進するとともに、制度そのものについても検討を行うとしてきたところでございます。また、今国会にかけられ、そして今御議論いただいている地方分権推進法案におきましては、その廃止も含め適切な検討が行われるものと考えているということでございます。  いずれにいたしましても、機関委任事務制度をめぐる議論地方分権推進していく上で極めて重要なテーマでございまして、今回の地方分権推進法案を今国会においてできる限り早期に成立させていただき、それをもとにして具体的な地方分権推進していくことが重要であると考えております。
  78. 遠藤登

    遠藤(登)委員 廃止を含めて幅広い角度から検討する。  それから、推進委員もそうでありますが、先ほどもお話ありましたが、推進体制の事務局ですね、これはまだ法案審議の過程でありますから言えないのだと思いますが、いわば大事な観点からいえば、大枠で方向的に言えば、地方の代表も委員の中にあるいは事務局体制の中に入れる方向検討するということは当然なことだと思いますが、その委員なり事務局体制についてのそういう考え方を基本的にお示しいただければありがたいと思います。
  79. 山口鶴男

    山口国務大臣 お答えいたします。  委員の人選につきましては、この委員会が極めて重要かつ広範な任務を持っているわけでございまして、この任務を的確に果たしていくために、国、地方行政について高い識見を有する方々お願いを申し上げる必要があるというふうに思っております。  したがいまして、この法律成立をいたしましたら、国会における御議論というものも十分参考にいたしました上で、任命権者であります内閣総理大臣が、この国、地方行政について十分な識見を有する立派な方々を人選をいただき、しかも重要なことは、国権の最高機関である国会の御同意をいただくわけでございます。  しかも、衆参両院地方分権推進に関する国会決議をいたしております。法律は場合によっては過半数で成立をいたしますけれども国会決議というものはこれは九割以上の賛成がございませんと、国会決議というのは衆議院においては行われないというのが長い間の慣例です。できれば原則として全会一致、しかし、一致でなくても九割以上の方々が賛成しなければ決議はやらぬというのが長い間の慣例でございまして、そういう意味では、私は、国会決議の方が法律より政治的には重たいという信念を持って今日までやってまいりました。  そういった国会の御同意もいただくわけでございますから、委員が御指摘のような点は十分加味した人選が行われる、また、その上に立ってその委員を補佐する最も適切な事務局体制というものを確立をするということは当然であろうというふうに思っております。
  80. 遠藤登

    遠藤(登)委員 とにかくこの分権の推進は、先ほどもお話がありましたように、大改革だ。それから、やはり政治改革や行政改革の中心にこの課題があるし、それを達成していかなければならないということだと思います。したがって、これは相当な決意と、そして、それは立法府である国会全体のやはり協力が不可分の関係だと思いますので、それぞれの立場でこの問題を一緒に、より効果的により早く達成しようという熱意がみなぎっているというふうに感じますので、私らも微力でありますが、頑張っていきたいというふうに思います。  分権と関連して、今回の大震災、大変な災害をもたらしたわけでありますが、犠牲者の皆さんには心からお悔やみやお見舞いを申し上げるとともに、一日も早い復興をこれは祈念せざるを得ない、そのために我々も全力を挙げなきゃならないというふうに思っております。  大震災と地方分権のかかわりでちょっと申し上げますと、甚大な被害を受けたこの建物の解体撤去の問題であります。これは、私的な所有権の問題と公的な公費のいわば支出のかかわりの中で大きな課題を提起をしたということであります。このことについて政府も大変な御心配をされたのでありますが、早期復旧とも関連して、課題であるこのいわば破損物の撤去の問題、これは厚生省としての対応の経過あるいは考え方、このことについてひとつお聞かせをいただきたい。
  81. 三本木徹

    ○三本木説明員 御説明申し上げます。  先生御指摘の、今回の震災に伴います損壊建物の解体処理でございますが、これは被災規模が極めて甚大であり、被災地の復旧のためにこの損壊建物の解体処理が極めて急がれるという特殊な事情がございました。政府といたしまして、厚生省といたしましては、震災直後から関係省庁とも調整を図りながら、どういう対応策をとるか鋭意検討を進めてきたわけでございます。  その結果、今回特例的に、個人や中小事業者などの損壊建物の解体を含めた処理については、所有者の承諾のもとに、災害廃棄物処理事業として、市町村の責任において市町村の公共の事業として行うことを前提に、国はその費用の二分の一を補助するというふうになったわけでございます。これについては、一月の二十八日に全体の方針として固めたという状況でございます。
  82. 遠藤登

    遠藤(登)委員 この解体物件もいわば廃棄物の処理の一環として、地元の強い要求と現状の認識からして、個人ではどうにも処理のしょうがないという現況に立ってこれは公費支出をする、市町村が主体になって公費支出をするという決断をされたということについては、これは高く評価をしなきゃならぬのじゃないかというふうに思いますが、これは分権がもっと進んでおったならば、あるいはそれなりの仕組みがあったならば、一月の下旬にそういう決断をされたということについては評価もするわけでありますが、分権とのかかわりで考えれば、相当時間もかかった。もっとスムーズにそういう処理も一体的にできたのではないか、これは市町村主体ということになりますが、それらに対する、分権とのかかわりで考えれば、どんなお考えをお持ちですか。
  83. 小林守

    小林(守)政府委員 お答えいたします。  御指摘のように、地方公共団体が必要な施策を迅速に行えるようにすることは重要であり、今回の瓦れき処理につきましても、その処理は緊急を要するとの地元地方公共団体の要望を踏まえ、自治省といたしましては、速やかに一般住民の危険を回避するために必要な瓦れき処理に要する経費について、単独災害復旧事業中の災害応急復旧事業として基本的に地方債の充当を認める方針を明確にしたところであります。  その後、こうした瓦れき処理につきましては、地元地方公共団体の要望、御意見を踏まえ、特例的に、地元地方公共団体が行う解体経費まで含め二分の一の国庫補助の対象とすることとされたところでありますが、なお地方負担も多額に上る見込みであることから、阪神・淡路大震災に対処するための特別財政援助法により地方債の特例措置を設け、災害救助法適用団体等の地方負担の全額について災害対策債を配分するとともに、その元利償還金については、特別交付税による措置率を従来の五七%から九五%に引き上げることとしたところであります。  今後とも、被災地方公共団体の財政運営に支障が生じることのないよう適時適切な地方財政措置を講じてまいりたいと考えておりまして、現行制度の中でもこのような措置がとれるというようなことになろうかと思います。
  84. 遠藤登

    遠藤(登)委員 その撤去の費用は大体どのくらいになりますか、あるいはその地方債。
  85. 三本木徹

    ○三本木説明員 全体の解体に要する費用、あるいは処分に要する費用というものについては現在精査をしている段階でございまして、これは、やはり一番よく情報が入ります各都道府県、県、市町村の方で今全体の算定をしているという状況でございます。  なお、厚生省といたしましては、それら地方の状況というものを適時的確に把握をいたして、必要な事業費を予算上算定していく、こういうような考えで現在進めているところでございます。
  86. 遠藤登

    遠藤(登)委員 これは一日も早い、財政対策と関連をしながら、やはり地方も相当な負担と災害を受けている、あるいは財政の厳しい状況に絡んで大変な状況だと思うのですね。それは国も援助を当然しなければならない。今の状況では当然国が積極的に対応していかなければならない。あるいは分権が進んでも、大災害が起きれば、それは国民全体が、国があらゆる支援をしていくという体制もまた必要だと思うのですね。それは、さらに分権を推進するということと、そういう大災害に対応するいわば政府の対応もあらかじめ、それぞれ今後の課題として今いろいろな角度から検討がされていると思うのでありますが、その辺も十分配慮されるべきではないかというふうに思います。  最後に、主務大臣でありますいわば総務庁長官から、最初に決意をお聞かせをいただいたのでありますが、これは何とか今国会中にはきちっと仕上げるという決意でいらっしゃると思うのでありますが、その点を再度お聞かせをいただいて、終わりたいと思います。
  87. 山口鶴男

    山口国務大臣 その前に、災害と地方分権関係についてお話がございました。瓦れきの処理につきましては、まさにこれは自治体である市町村の仕事ということでやっているわけでございますが、しかし、今自治政務次官からお答えありましたように、二分の一は国が補助する、残りの二分の一に関しては全額地方債で面倒見る、しかも地方債の元利償還については、九五%これは財政措置で見る、こういうことをやっているわけでございまして、私は、地方分権がさらに推進されようと、こういった災害に対する事務は、これは地方自治体が主体になることは当然ですが、しかし、今度の阪神・淡路大震災に当たって村山総理は、現行法で措置できるものは目いっぱい措置する、また現行法で措置できないものについては特別立法をつくってできる限りの措置をやっていく、こういう決意をしばしば漏らしておられるわけでございまして、そういった総理趣旨で今日の復旧・復興対策に取り組んでいるということで御理解をいただきたいと思います。  それから、今回のこの法律成立についての決意は、何としても今国会、この地方分権推進法案衆参両院において御審議をいただいて、何としても成立お願いをいたしたい。そうして今国会中に、成立を待って、地方分権推進委員の任命につきましても、衆参両院の御同意をいただけるというところまで何としても実現をいたしたいということでお願いをいたしたいと思っている次第です。また、そのために政府としても全力を挙げたいと存じます。  御協力を心からお願いを申し上げる次第でございます。
  88. 遠藤登

    遠藤(登)委員 どうもありがとうございました。  終わります。
  89. 笹川堯

  90. 冬柴鐵三

    冬柴委員 新進党冬柴鐵三でございます。  いわゆる中央集権型行政システムが明治以来の我が国の近代化に一定の役割を果たしてきたことは事実であります。しかし、今日におきましては、行政権限の国への過度の集中をもたらし、行政の非効率化を招いているほか、長年にわたる東京圏への一極集中など、さまざまな弊害が生じております。  このような弊害を除去して、地方公共団体がその実情に沿った個性あふれる行政を展開できみように、その自主性及び自立性を高め、地域の個性を生かした多様で活力あふれる地域づくりを進めることが国民一人一人がゆとりと生活の豊かさを実感できる社会を実現する上で極めて重要である、このように認識をいたしておりますし、これが今回の地方分権推進に関する法律地方分権推進法の背景になっている事項ではないか。そしてこのことは、総務庁長官が再三言及されている衆参両院における国会決議におきましても、まさにこのことが盛り込まれておりますし、第二十一次地方制度調査会及び今回の第二十四次地方制度調査会にもはっきりと明記されているところであります。  したがいまして、これは非常に重要な認識だと思うので、一言で結構でございますけれども、この点についての背景に対する認識について、総務庁長官及び自治政務次官から一言ずつ、御同意いただけるかどうか御答弁をいただきたいと思います。
  91. 山口鶴男

    山口国務大臣 お答えいたします。  御指摘のとおり、地方がその実情に沿った個性あふれる行政を積極的に展開できるよう、地方公共団体自主性自立性を強化してまいることがまさに時代の要請であるというふうに認識をいたしております。このような大きな時代の要請、時代の大きな流れ、これを踏まえました上で、現内閣としては重要課題の一つとしてこの地方分権の問題を取り上げ、この地方分権推進法案を今国会提出をいたした次第です。新進党皆さん提出されました地方分権推進に関する法律も、同じような御認識のもとに提案されているものというふうに認識をいたしております。  何としても今国会において成立をさせていただき、先ほどお答えいたしましたように、委員の任命もあわせて今国会で仕上げたい、このように考えておる次第でございます。
  92. 小林守

    小林(守)政府委員 地方がその実情に沿った個性あふれる行政を積極的に自主的、自立的に展開していくことが、国民が豊かさとゆとりを実感できる魅力ある地域社会を実現するために極めて重要である、そのように考えておるところでございまして、御指摘地方公共団体自主性自立性を高めて、地域の個性を生かした多様で活力あふれる地域づくりを進めることが極めて重要だという御指摘認識については、全く同感でございます。
  93. 冬柴鐵三

    冬柴委員 ほぼ認識が一致いたしましたが、強調している点が違うように思われます。  第一条でございますが、ほぼ同文ではありますけれども、我々衆法では、なぜこのような改革を進めるのか、また進める指導理念は何かというところを明記しているわけでありまして、「行政権限の国への過度の集中による弊害を除去しこというところが非常に大事に私は思うわけでございます。これが指導理念であり、そしてまた、これがこの法律提案をしたいわゆる縁由でもある、このように思うわけであります。  この点につきまして、閣法も、これを書かなかったからその趣旨じゃないんだ、国への過度の集中による弊害を除去するという精神は後退したものなんだということはないと思うんですが、その点について総務庁長官から、言葉は違うけれども趣旨は一緒なのかどうか、そこら辺をお答えいただきたい。
  94. 山口鶴男

    山口国務大臣 お答えいたします。  新進党提案地方分権推進に関する法律案では、「行政権限の国への過度の集中による弊害を除去しこという言葉がありますことは、私も承知をいたしております。また私自身も、先ほどお答えいたしましたように、国会等移転に関する法律提案者として提案いたしましたのも、行政権限の国への過度の集中、これが一極集中にもなっている、したがって、地方分権推進と的確に関連づけてこの国会等移転の問題も解決する必要があるということを強調いたした次第でございます。  したがいまして、政府提出法律案ではそういった文言はございませんけれども、「目的」の中でごらんをいただければ、地方分権推進についての基本理念並びに国及び地方公共団体の責務を明らかにして、そうして地方分権推進を図っていきたいということを明確に示しておりますところで、趣旨については同様ということで御理解を賜りたいと存じます。
  95. 冬柴鐵三

    冬柴委員 次に、地方分権推進するためには、まず国と地方公共団体役割を明確に区別することから始めなければならないと思います。その際、国が担うべき役割を限定的なものとしてとらえて、その役割に応じた事務、それ以外のものはいわゆる内政に関する広範な事務になりますけれども、これは地方公共団体において一貫して処理すべきである、このような考え方で私どもは一貫して衆法を組み立てたわけでございます。  このような限定的に国の権限をとらえるという思想は、もう言うまでもなく、第二十四次の地方制度調査会答申の中にはっきり明記されているところでございます。これは先ほど長官にも御確認申し上げましたように、現状が国に過度に権限が集中しているというところから、これをいかに排除していくかという点に絞りますと、国が本来行うにふさわしいものを限定的にとらえる、そしてそれ以外のものは地方に移していく、こういう考え方をとるわけでございます。  政府のお考えもそのようなものでいいのでしょうか、御確認をいただきたいと思います。
  96. 山口鶴男

    山口国務大臣 お答えいたします。  この政府提出法律におきましても、第四条におきまして「国と地方公共団体との役割分担」ということを明記をいたしまして、国において処理する事務についてはおおむねこういうものであるということを三点にわたって記載をいたしている次第でございます。したがって、このような形で役割分担を明確にするという考え方を明らかにいたしているわけでございまして、御指摘のように、住民にかかわる問題、内政に関する役割は思い切って地方公共団体にゆだねまして、そうして国が果たすべき役割は、本来果たすべき役割に重点的、効果的にいたしまして、これを国は処理をしていくという考え方を示した次第でございます。  ただ、そういう意味で、国と地方役割分担明確化するという考え方は御理解をいただけると思うのでございますが、限定という言葉を使いますと、多岐にわたる国の事務権限に関して厳格にその範囲を規定するということはいろいろ問題があるのではないだろうかということを危惧しなければならないことが一つと、それから、国会における立法機能を制約するというおそれはないのかという点を私ども考えまして限定という言葉を使いませんでしたが、考え方としては、国と地方役割分担は明確にするという考え方で一貫をいたした次第でございます。
  97. 冬柴鐵三

    冬柴委員 私どももこの衆法を起案する際、第二十四次地方制度調査会答申というものは従来の英知の塊ですから、できるだけここを起点としてやりたかったわけですが、法律をつくる場合に限定ということになりますと、「行政権は、内閣に属することか、国会は、最高機関で、唯一の立法機関であるとか等々、最高裁判所もそうですが、若干問題があるかなというところで避けたのです。私どもも限定という言葉を使いたかったけれども、避けました。  しかし、そのために、その限定という思想に限りなく近づく努力をしたいということで、いろいろと我々は、閣法と同じように三つの事項を盛り込みながら、例えば「国家としての存立に直接かかわる」、間接ということになると随分広がるのではないだろうか、そういう配慮で「直接」という言葉を入れたり、あるいは、あと二つの並べられた事務につきましても、これは、例えばナショナルミニマムの確保とかスケールメリットの観点というところから国が行った方がいいのではないだろうかという価値判断がされる部分が、事務もあるけれども、しかし、十分地方に任せることができる。その人の立場によって——この二つ目、三つ目につきましては、すべての法律が全国的な視野、視点とか、あるいは規模に立っているんだというような、規模を考えて立法してあるんだということになれば、現在の法律は、国に過度に集中している権限というものの根拠になっている法律は、どうもすべて国の事務に入ってしまうのではないかというふうに恐れたわけでございます。  したがいまして、「全国的な規模で行われることが不可欠な」という、現在与えられているいろいろな与件というものを入れかえても、なおやはり国がやった方がいいという判断をされるものに限る。それから、「規模」の点は、これはハードで判断できるだろう。「視点」ということになりますと、これは地制調にも「視点」という言葉は入っていますけれども、どうも主観的にいろいろ区々に流れるんじゃないかということで、あえてここを政府案とは違う形にしたとか、それから、国が本来果たすべき役割の中でも「最小限」という言葉を、しかもこれを重点的に担うというふうにして、我々としましては、役割を限定的なものにするというものにこういう言葉は使わないけれども、限りなくそれに近づきたいという努力をしたわけでございます。  総務庁長官も、それは同じ思想なんだというふうに御同意いただけますか。
  98. 山口鶴男

    山口国務大臣 お答えいたします。  新進党案の立案の中心になられました冬柴委員、特に法律専門家でもございますので、法律専門家の立場からいろいろ御苦心をされたただいまの御意見は、私も謙虚に拝聴をいたした次第でございます。  確かに、憲法に言う「行政権は、内閣に属することか、国会は、国権の最高機関で、唯一の立法府である、こういったような表現との兼ね合いの問題を一体どうするかということで、さまざま御苦心をされた点につきましては、政府、私どもも同じ点があるわけでございまして、その点は共通するものがあろうかと存じます。  したがいまして、法案におきまして、第四条で「国が本来果たすべき役割を重点的に担いこという表現は、今委員が御指摘をされた、行政権限の国への過度の集中による弊害を除去したいという考え方と問題意識においては似通った点があり、そういった考え方も含まれておるというふうに私ども考えておる次第でございます。
  99. 冬柴鐵三

    冬柴委員 その点を御確認いただけたのは大きな前進であったと思います。  そこで我々は、「役割を明確にし」という言葉を入れております。これはどういうところから来るかといいますと、地方分権に関する研究者のさまざまな研究の中にも、また地方団体も、まあ地方団体の場合は十六項目だったと思いますけれども、国の権限というものを限定的列挙をしていられます。これに限定するというふうに書いていられるわけでありまして、兵庫県の貝原知事の論文等も、また細川元総理の書かれたものにも、国の事務というものを限定的に列挙するという手法で、国はこれだけを行って、あとは全部地方におろすんだというふうな書き方があります。  したがいまして、この法律の中では、もちろんそういうふうな限定列挙は先ほど言ったような問題もありまして書くことができませんから、このように政府案では「重点的に担いこというふうに書いていらっしゃるわけですが、将来、閣法の八条で地方分権推進計画というものを樹立される際には、このような国の担うべき役割にふさわしい事務というものを明示をする、それを限定するというわけにはいきませんけれども、例えばこういうものだということを明示するというようなことがふさわしいのか、そういうことを含んで考えていらっしゃるのかどうか、その点についてお示しをいただければと思います。
  100. 山口鶴男

    山口国務大臣 私ども提出をいたしました法律案の第一条でも、「国及び地方公共団体の責務を明らかにする」ということをうたっておりますし、それからまた、先ほどお答えしましたが、第四条では「国が本来果たすべき役割を重点的に担いこという表現を使い、「地方公共団体においては住民に身近な行政住民に身近な地方公共団体において処理する」という観点で対処するというような表現を使っております点については、委員も私どもの意図は十分お酌み取りいただけるのではないだろうかと思っている次第でございます。  そして、お尋ねの第八条の問題でありますが、地方分権推進計画を策定するに当たりましては、第四条に定める国と地方公共団体との役割分担に関する基本的な考え方に即しまして、具体的に権限移譲や関与、必置規制、これらの整理合理化等の措置を織り込むことにしておりまして、それを通じて国と地方公共団体が分担すべき役割はおのずから明確にしていくことになるだろうというふうに思います。
  101. 冬柴鐵三

    冬柴委員 ありがとうございました。  私もそういうふうには思うのですけれども、第四条を見ますと、国と地方との担うべき役割というものが何か同じ価値、並列的に書かれているように思われたわけでございます。しかし、これはそうではなくて、国と地方事務というものをグロスに考えたときに、国をまず限定する、残りは地方に渡す、こういう仕分けがここに含まれているとするならば、当然、第八条の推進計画を樹立する際には、今総務庁長官がおっしゃったように、まず国の役割はこうなんだということを具体に示した上で、残りは地方役割による事務だ。そして、その両者は全く別々になるわけではありません。したがいまして、その間には交互に連携がなければ国政全体はうまく動いていかないと思うわけでございます。  その連携が、国の関与という形をとる場合、あるいは必置規制という形、あるいは国が本来行うべき事務ではあるけれども、それを地方機関委任をしてやってもらう機関委任事務とか、あるいはそうでなくて、もう地方公共団体そのものにやっていただくという団体委任事務、そういうような相互の関連がその次に出てくるのだろうと思うのですね。したがいまして、その次に出てくる問題を処理する前に、国の役割に基づくふさわしい事務というのはこういうものなんだということを明確にしていく、こういう作業が必要なんだろう。  その点は、八条というのは政府が行う仕事ですから、現在この現状において総務庁長官から答弁をいただくことはできるだろうというふうに思うわけでお尋ねしているわけですけれども、そのように八条の計画を樹立する際には、国の役割はこうだということを、今度はそう四条のように抽象的ではなくて、もう少し具体に列挙して明確にされることは考えていられるかどうか、その点をもう一度、その点だけで結構ですが、重ねてお尋ねをしたいと思います。
  102. 山口鶴男

    山口国務大臣 御指摘のように、政府といたしましては、第八条で地方分権推進計画を作成いたします。同時に、この作成に当たりましては、地方分権推進委員会におきまして十分な識見ある方々の御議論の上に立っての勧告もいただいた上で、内閣総理大臣としては、その勧告尊重して推進計画を定めるということになるわけでございますので、先ほどお答えいたしましたように、計画の中では国と地方との役割分担はおのずから明確にしていかなければならないということになるだろうと存じます。
  103. 冬柴鐵三

    冬柴委員 そうなんですけれども、「役割を重点的に担いこということだけではどこまで——ただ、この三つの事項というのは、その人のよって立つ、例えば委員会がヒアリングをして、この事務は国の事務にして今機関委任事務としているけれども、これは地方に渡すことはできないのかというような話になったときに、行政庁としては、いや、そうではない、これは全国的規模で行われるものだ、あるいは全国的視点で行われる施策なんだということを言われることが予想されるわけです。相当争いになるのではないかというふうに私は思います。  そういう意味から、この四条では確かにそんなことを細かく、地方団体がお書きになったような十六の具体的な項目を挙げて、これだけが国の事務だというようなことは書けなかったけれども、しかし地方分権推進計画の中では、それと同じ思想に立った具体の表示は明らかにしていく予定がありますか。私ども衆法ではその点を「明確にしこれを重点的に担いこという中に込めているつもりなんです。明確にしていく。その点が、「明確にし」ということが閣法にはないがゆえにこの質問をしているわけですが、そこのところは我々の考え政府考えが違わなければいいわけです。  我々が今具体に言ってきたように、国の事務というものは当然分権推進委員会で具体にされるだろうし、またそれを受けて政府は、八条によって推進計画をつくる場合に、国の行う事務を、こんなざっくばらんなものではなしに、もっと具体的に、例えば皇室に関する件は国が行うとか、そういう形まで高められるかどうか、そのお考えを、しつこいですけれどもお尋ねをしておきたいと思います。
  104. 山口鶴男

    山口国務大臣 お答えいたします。  実は、地方分権大綱を決定します前に、地方分権部会で議論をいたしました。そのとき、率直に言いまして、省庁によりましては全国的な視野とかいうものをできるだけ幅広く考えたいというような主張があったことは事実であります。そういう意味では、先ほどお答えいたしましたが、政府省庁間には意見相違があったということは私は事実だったとそのまま率直にお認めしたいと思います。だからこそ、そういう中で地方分権推進委員会役割というものが極めて重要になるわけですね。  ですから、地方分権推進に熱意を燃やしている村山総理が、やはり地方分権推進委員会というものをきちっと設ける必要があるということを閣議後の懇談で発言をされ、リーダーシップを発揮して、推進委員会設置というものを明確にし、そしてまた、私も推進委員会役割が重要であると認識いたしましたので、意見具申というのは、単なる意見ばかりではありません、勧告権もあれば監視もあるということを明確にいたしまして、このような形で法案を御提案申し上げたということで御理解をいただきたいと思う次第でございます。  したがって、政府の中に意見があったことは私は否定はいたしません。ありました。しかし、総理リーダーシップあるいは法案地方分権推進委員会設置し、その役割権限を明確にした中で、委員が御指摘のような国と地方との役割分担は明確にしていく、重点的に国が担うべきものはこうだということを明らかにしていくという考え方でこの法案提案申し上げた。また、地方分権推進委員会がこのような権限を持つだけに、そういった意見を十分踏まえた計画ができるものというふうに私は確信をいたしている次第でございます。
  105. 冬柴鐵三

    冬柴委員 この程度にいたしますけれども、実はこれは抽象論じゃなしに、この地方分権推進委員会が一番最初に遭遇するであろう非常に困難な山だろうと思うのですね。そのときに、この政府答弁というものは、この国会のやりとりというのは、推進委員会も十分視野に入れてお考えいただくだろうし、省庁も当然それは考えられるだろうと思うのですね。  したがって、総理リーダーシップ、確かに推進委員会を設けたということについては、評価は、先ほどもおっしゃいましたけれども、第二十四次の地制調の宇野会長も、また、地方団体の会長であられる東京都知事も評価をしておられます。ここまでの決断をされたことを評価をしておられます。ただ、評価はしておられますけれども、お二人とも留保がありましたね。その留保一は、例えば、宇野さんの場合は、「当調査会の答申と比べて必ずしも明確でないところはあるもののこと、それから六団体の鈴木会長の方から、六団体の会長六名の評価として、「その内容において、不明確な部分も見受けられるもののこというお言葉つきで、しかし決断されたことを評価して、一日も早く成立をさせてほしい、こういうコメントをされたと思うわけでございます。  したがいまして、みんな本当に、推進委員会は発足するけれども、もうそれでそこがオールマイティーで全部進んでいくのだろうかということについては当然不安があるわけでございます。明確ではないという点は、今私がるる申し上げたように、国の担うべき役割というもの、これを限定列挙したという六団体から見れば、このように三つの大きな抽象的な基準を設けて、単にそれを「重点的に担いこと書いただけでは、本当に限定できるんだろうか、これで推進委員会がこの事務は国の事務ではないという判断を示したときに、本当にそのまま引き下がるんだろうかという不安、そういうものが表明されているのではないかと私は思うわけでございます。  私も全くそういうふうに思っているからこの衆法提案をしているわけでございまして、そこは非常に大事なことで、国の事務を限定すると法文では書けなくても、推進委員会でももちろん限定するでしょうし、そしてまた政府も、推進計画をするときにまずその仕分けからスタートするわけですから、その仕分けをきちっとしなければ、後は非常に目的は達成できないと思うから申し上げているわけであります。私の趣旨に御同意であれば、もうその御同意であるということで結構でございますので、違えば違うところをお示しいただきたいと思います。
  106. 山口鶴男

    山口国務大臣 趣旨は、もう先ほどお答えいたしましたように、私ども、国と地方役割分担を明確にし、国の果たすべき役割は重点的に明らかにしていきたいということについては御指摘のとおりであります。  ただ、ここで申し上げたいのは、地方制度調査会の宇野会長の談話及び地方団体のコメント、いずれも閣議決定の二月二十八日付でございますが、ここには委員が御指摘のような懸念の言葉というのはございません。  例えば、宇野会長の談話につきはしては、総理大臣関係閣僚初め政府関係者の努力に心より敬意を表する。そうして、  地方分権推進の目的、理念、基本方針のほか、地方分権計画的に進めていくために十分な機能を持った委員会設置されることになっております。  特に、この委員会勧告権や監視権、独立の事務局の設置、また、地方分権推進計画国会への報告などが盛り込まれております。  これによって、今後、地方分権を具体的に推進していくために必要とされる法律的な枠組みは基本的に整備されたものと高く評価いたします。ということでございまして、これらの懸念があるというようなお言葉は、宇野会長の談話の中にはございませんし、また地方団体のコメントの中にも、全く宇野会長の談話と同様でございまして、評価するということについてはございますけれども、これこれの懸念があるというようなお言葉はございませんでしたということだけは、事実でございますので、正確にお答えを申し上げておきたいと存じます。
  107. 冬柴鐵三

    冬柴委員 もうやめますけれども、私もこれはどちらが、二つ談話があったのかどうか知りませんけれども、文献の中にある     「地方分権推進に関する大綱方針」に     ついて     ——宇野牧地方制度調査会会長談話——  1 本日、「地方分権推進に関する大綱方針」が閣議決定されました。  地方分権推進は、今や、時代の大きな流れであり、このような認識の下、政府内において精力的に検討を重ねられ、総理をはじめとする関係閣僚の皆様の強いリーダーシップにより、大綱方針をまとめられたことに対して、心から敬意を表します。  2 今回の大綱方針では、先の当調査会の答申と比べて必ずしも明確でないところはあるものの、地方分権推進基本理念、基本方針のほか、特に重要と考えられる地方分権推進のための委員会設置等が盛り込まれています。これは云々、もうずっと長いですからやめます。  それからこちらの六団体、十二月二十五日付ですが、「本日、政府の」云々というところも、「その内容において、不明確な部分も見受けられるものの、政府地方分権に対する姿勢としては、評価ができるものと考えられ」ます云々。  それは、いつの時点の部分をあれしたかは別として、要するに、政府案の中で前進についての努力は、リーダーシップも評価しておられるのですよ。しているのですけれども、必ずしも明確ではない、不明確な部分も見受けられるけれどもという、それは、いずれにおきましても、この長い積み重ねの中で、国に過度に集中した権限というものが、それのみでなく、地方の固有事務行政事務にまで関与がなされているという事実があるわけですね。これは、つい最近出されました東京都の地方分権検討委員会答申の中にも、そのような固有事務に対してまで国の関与が、件数も書いてありますが、実に二七%に及んでいたという表明もあるぐらいでありますから、これをきちっと整理しようと思ったら、明治以来のものを大掃除するのですから、これは大変だと思います。  したがいまして、非常に長い積み重ねの中で、一つ一つ積み重ねが、ただ単に二十四次で突如出てきたのじゃなしに、もうずっとさかのぼればシャウプ勧告以来いろいろな問題がここに論議をされてきて、今集大成されようとしているところですから、それだけに疑いなきようにやりたい、そういうように思うわけです。その中にも、確かに、答申の中に書かれた言葉と、これを本当に要綱にし、かつそれを立法化していこうとすれば、盛り込めない言葉があることは、先ほどの、役割を限定的なものにしていくべきであるという言葉がどうしても法案には盛り込むことができない、そういう差異はあるものの、その精神はやはり盛り込まなければいけない。  そこで、余りこればかりやっていますと時間が過ぎていくわけですけれども、そういう意味で、私は、国の事務をまず限定的にとらえるという作業から始めないと、これはとてもじゃないけれども前へ進まないのではないかというふうに思っておりますし、総務庁長官もそれに御同意だということをおっしゃっていただきましたので、ぜひこれは地方分権推進委員会におかれましても、まず国の事務地方団体のような手法で明確にされるということを私は期待しますし、また、そうでなければ次の事務には到底入っていけないのではないかということをここで申し上げておきたいと思うわけでございます。  次に移りますが、やはりこの四条で、地方公共団体の担うべき役割事務についてであります。  これは、みずからの判断と責任で完結的に処理すべきであるという考え方が一般的というよりも、もう通説であろうと私は思っているわけでございます。閣法の四条後段の「自主的かつ総合的な実施役割を広く担うべき」であるという趣旨ですね。この部分は、私が今申し上げたように、みずからの判断と責任で完結的に処理する。言いかえれば、我々衆法ではこれを、御存じのように、企画、立案、調整及び実施を一貫して行うという言葉で、これは地制調答申にも書かれているわけですけれども、そういう言葉を使っているのですが、これは違いがないのかどうか。  なぜこんなことを申しますかというと、従来国は、企画立案は、調整まではやられるのですけれども実施だけを地方にやらすということが非常に多かったと思うのです。したがいまして、ここのところは非常に大事だと思うのですね。地方公共団体自主性自立性という言葉が、みんな言われるのですけれども、何か企画立案というところだけは握って、実施だけはみんなやる、そして、それは全部監督する、こういうことでは、みずからの判断と責任で完結的に行うということはできないと思うのです。そういう意味で、この点について、言葉は違うけれども趣旨は同じなのかどうか、その点についてお尋ねをしておきたいと思います。
  108. 山口鶴男

    山口国務大臣 お答えいたします。  御指摘のとおりでありまして、この第四条の「地域における行政の自主的かつ総合的な実施役割を広く担うべき」という規定は、分権大綱におきまして、「地方公共団体はこ「地域に関する行政を主体的に担い、企画・立案、調整、実施などを一貫して処理していく」という趣旨をきちっと踏まえているものであります。考え方は一貫いたしておるというふうに明確にお答えしておきます。  それから、先ほどのことなんですけれども委員が御指摘の談話は、昨年の十二月二十五日、分権大綱を決定しました際の談話、コメントではないかと存じます。  御案内のように、分権大綱では、地方分権推進委員会役割権限に関して、この委員会は、内閣に対して勧告する、あるいは実施状況を監視をするという言葉はございませんでした。それを、先ほどお答えいたしましたように、私強く主張もいたしましたし、また、関係者皆さん方の御協力もあって、法案にこの分権推進委員会権限を明確にうたい込むことができました。  したがいまして、この閣議決定の際の地方団体そして地方制度調査会の会長さんの談話、コメントは、その点を評価いただいたのではないかと思います。したがって、懸念の言葉は一切ございませんで、高く評価をする、この地方分権推進委員会勧告権あるいは監視権、こういうものが織り込まれたことは大変高く評価できる、こういう談話になったのではないか。その辺は事実でございますので、そこは区分けをして御理解をいただきたいと存じます。
  109. 冬柴鐵三

    冬柴委員 私も機関委任事務に論及せざるを得ないと思うわけであります。  先ほども行政局長からも数が報告されましたけれども、非常に膨大なものでございます。  この機関委任事務というものは、地方公共団体機関が国の委任を受けて実施する事務であります。厳密に言いますと、地方公共団体事務ではございません。この事務は、例えば所管大臣を上級官庁、知事や市長というものを下級官庁と位置づけて、国家行政組織法上の位置づけになってしまいます。そして、それで実施されます。したがいまして、この事務執行に関する限り、知事や市長は、大臣の指揮監督を受け、命令に服することになります。  機関委任事務実施に要する経費は、原則としてその地方公共団体が全額を負担することとされております。これは地方財政法に規定があります。地方公共団体そのものの事務ではありませんから、地方公共団体の議会の議決権はこれに及ばないものとも解されております。そして機関委任事務は、その処理に当たって、地方の固有事務団体委任事務と職員において、区別してこれを意識していることはほとんどありません。  東京地方分権検討委員会答申、これはことしの、平成七年三月に、つい最近出されておりますが、これによれば、東京都で行われている数は五百五十項目にも及んでおる。先ほどの行政局長が示された数にほぼ匹敵していると思います。そして、その問題点として、東京都の報告では、第一に、「法令や通達で全国一律に細かく規定された基準や運用の範囲内で行うこととされており、地方自治体に裁量の余地が少ない」。第二に、行政事務処理手続の「各段階で法令に基づく国の関与が行われるほか、法定外の事前説明や非公式な協議などが求められ、多大な労力と時間が必要になっている」ということ。第三に、具体的な例を挙げているのですが、それを要約しますと、企画立案の内容や基準を国が全国一律に定めているため、その地域の個性を盛り込んだりあるいは他のものとの、施設との整合を十分に図れない等の弊害がある、このような指摘をしていられるわけであります。そのほかにも弊害を指摘しています。  このような変則的な事務というものが、国会図書館が出している「イシューブリーフ」では、市町村では総事務量の六割を占め、都道府県においては実に七、八割を占めている、こういうことが書かれているわけですね。  これは、地域住民の公選によって選ばれた知事や市長が、一方的に国家行政組織法上に組み込まれて下級官庁として主管大臣の指揮監督や命令に服さなきゃならないとか、あるいは、住民が選んだ地方議会の統制に全く服さないような事務がその地方公共団体事務の過半を占めている、こういう実態は、憲法九十二条が定めている「地方自治本旨」とは到底相入れないものであると私は感ずるわけでございます。  そういうところから、いろいろと問題が今日まで指摘されてきて、そして、これは内閣総理大臣諮問機関である地方制度調査会がその問題をずっと指摘されてきて、ついには機関委任事務という概念は廃止すべきだということを明快に言い切ってしまったのですね。そういう答申があるわけです。それほど、このものは地方自主性、主体性というものを奪っている典型的なものだろうと思うのですね。  したがいまして、我々としては、これをまずゼロベースから、全部廃止するというところからスタートをしなければ、五百五十以上もあるものを逐一当たって、その所管庁からこれはどうですか、ああですかというようなブリーフィングを受けていたのでは、これはそのうち、五年間たって幾つ減らされるのかなというようなことになりはしないかということを危惧するわけでございます。  したがいまして、確かに立法技術として、先ほど同僚議員にもお答えになっていられました、これを廃止すると書いた途端に全部、今ある五百五十の法令を改正する法案もあわせて出さないといかぬというような話がありましたけれども、それは、いろいろな書き方があるのではないでしょうか。  いろいろ努力した結果、閣法のこの言葉になったのですか。要するに、こういう一番大事な部分が、「整理及び合理化その他所要の措置を講ずるものとするこここが一番この法律の眼目じゃないのですか。私はここに立法的な努力がされたとは受け取れないわけでございます。その点についてどのようなお考えなのか。  機関委任事務だけではありません。時間もありませんので、地方事務官制度はこれを廃止するというのは、もうずっと何回も言われていることじゃありませんか。それから今の、国の関与ですね。物の本によれば、平成六年三月末現在で三千二百九十三件に及んでいる。これは法律に基づく関与だけですよ、法令に基づくもの。そのほかにも、実態としては、補助金要綱等に特定の施設の設置、人員の配置、運用面でいろいろな事実上の関与がされている。もう気が遠くなるような数だということですね。  こういうものを単に「整理及び合理化その他所要の措置を講ずる」ということで、我々が、あるいは国民がひとしく求めている地方分権というのはできるのでしょうか。その点が最も大事でありますので、同僚議員も全部論及しているのですけれども、私も論及するのですが、その点についてのお考えを伺いたいと思います。
  110. 山口鶴男

    山口国務大臣 御指摘のとおり、法律では、「国の行政機関が、地方公共団体又はその機関に対し、許可、認可等の処分、届出の受理その他これらに類する一定の行為」、国の関与ですね。それから必置規制、「地方公共団体執行機関が国の機関として行う事務及び地方公共団体に対する国の負担金、補助金等の支出金の整理及び合理化その他所要の措置を講ずるものとするここうありまして、整理合理化の措置を講ずるという表現になっていることは、御指摘のとおりでございます。  ただ、この点は、分権大綱では「機関委任事務整理合理化等」といたしまして、「機関委任事務整理合理化を積極的に進めるとともに、機関委任事務制度について検討するこということを明確にうたっておるわけでございまして、結局、法律にあります整理合理化という表現は、分権大綱にあります「整理合理化を積極的に進めるとともに、機関委任事務制度について検討するこという表現をきちっと踏まえた上でのこの条文であるということで御理解をいただきたいと思うのです。そういった立場から先ほど来この問題についてはお答えをいたしてまいりました。  したがいまして、推進委員会等でさまざま議論をいただく。そうして、そういう中でこの機関委任事務地方公共団体執行機関が国の機関として行う事務のあり方については、東京都の御提言もございましょう。また、私も先ほど、機関委任事務のほかに団体委任事務という形でこれを移すことも一つの方法としてはあるのではないか。また、こういった事務は自治体の固有事務に移すという解決の方法もあるのではないか。さまざまな方法はあると思います、手法があると思います。これらの問題について十分御議論をいただきまして、そして機関委任事務制度のあり方について結論が出ますならば当然廃止を含む検討ということもあり得るということは、お答えしたとおりでございます。  ですから、初めに答えありきではありませんで、十分御議論をした結果、地方分権推進という立場を踏まえてこの問題については明確な結論を出してまいりたい、これが私たち考えであるということで御理解をいただきたいと思います。
  111. 冬柴鐵三

    冬柴委員 その答えが納得ができないから我々これをやっておるわけでございます。  地方制度調査会国家行政組織法八条の委員会内閣総理大臣諮問機関ですね。非常に重い諮問機関ですね。ほとんど、ここに諮問をして答申を受けたものについては、時間差はあっても、例えば今国会提出されている合併促進法等も、答申を受けてすぐ出された。その前の中核市あるいは広域連合についても、答申を受けてすぐ法律をそのとおりに出していらっしゃる。こういう努力があるわけですね。なぜ——第二十四次はここまで明確に、地方事務官制度はこれを廃止すると書いていますよ。それを大綱方針は書いていますか。書いていないでしょう、全然、一行も書いていない。どうするのですか。
  112. 山口鶴男

    山口国務大臣 お答えいたします。  私も地方制度調査会委員を何年かにわたっていたしました。それで、当時私主張したのですが、地方制度調査会答申というものをなかなか政府は実行しないじゃないか、このことは大変けしからぬということを随分主張いたしてまいりました。  その後、臨調ができました。何か臨調の方は権威が高くて、臨調答申政府はそのまま受け入れる。ところが、同じ総理大臣諮問機関である地方制度調査会答申というものは、なかなか政府は取り入れようとしない。委員指摘のように中核都市とかあるいはパイロット事業とか、最近に至りまして事項としては取り入れたのもあるかもしれませんが、なかなか地方制度調査会答申そのもの、例えば、交付税については一般会計に入れないで直接三二%を交付税特別会計に直入すべきだというような答申については、全く政府はこれを受け入れようとしなかったわけであります。これらの地方制度調査会答申の経過は、自治省の方がおられますから、詳しくはそこでお聞きいただければいいのではないかと思います。  そういう過去の地方制度調査会答申に対する政府の扱いの今日までの歴史から見ますと、まさに村山内閣地方制度調査会の二十四次答申を素直に受け入れて、もちろん言葉ではないのもございましょう、それはもう委員指摘のとおりでありますが、しかしこの地方制度調査会答申趣旨はきちっと踏まえ、分権大綱も決定し、またさらに、分権大綱より一歩前進した面も含めて法律案を閣議決定いたしたわけでございまして、そういう中で、地方制度調査会の会長さんからも高く評価するという談話もいただいているわけでございまして、そういう意味では、地方制度調査会答申の歴史の中で村山内閣は最も忠実に答申尊重いたしたということは、私はお認めいただけるのではないだろうかというふうに存じます。
  113. 冬柴鐵三

    冬柴委員 まあ、いろいろと言いようはあるわけでございますけれども、二十二次は羽田内閣で受けて、中核市あるいは広域連合というものをすぐ閣議決定して、これはたしか組閣第一号の閣議決定だと思いますが、当たり前だと思うんですね、守るのには。今大臣から、余り守られないものだと言われると、じゃ今度は、地方分権推進委員会という八条委員会勧告は守ってもらえるのかなという心配が起こるほどでございます。  ですから私は、その中に、内閣総理大臣はこれを守らなければならないとか、書いてあるかないかは別として、これは守らなければいけない問題でありまして、ここまではっきり書かれている、地方事務官制度はこれを廃止する、あるいはこの機関委任事務の概念はこれを廃止するというふうに書かれているその精神を、どこまでそれの精神に迫る立法上の努力をされたのかどうか、その点について私はお尋ねをしているわけでございまして、この言葉で十分とは私は思わないわけでございます。この廃止を含むということはどこにも書かれてません。検討するとか、あるいはここには「整理及び合理化」ですか、そういうことで果たしてできるんだろうかということを危惧するものですから、我々の法案ではそれを廃止するということを明確に書いている次第であります。  まだまだこれは、聞きたいことはたくさん残ってしまいましたけれども、後の審査に譲りたいと思います。ありがとうございました。
  114. 笹川堯

    笹川委員長 穀田恵二君。
  115. 穀田恵二

    ○穀田委員 私は、さきの委員会総理に、憲法で保障された地方自治を守り拡充することこそが地方分権の目的でなければならない、こういう立場から、憲法にある「地方自治本旨」などの文言がなぜ盛り込まれなかったのかということをただしました。そのときに総理答弁は、法律憲法前提としており、憲法が認めていることをわざわざ法文に書く必要はない、こういう趣旨のものでした。この点は法案担当大臣として長官はどうお考えですか。
  116. 山口鶴男

    山口国務大臣 たしか地方自治法には、「地方自治本旨」という文言があると記憶をいたしております。しかし、すべての法律憲法の傘のもとにあるわけでございますから、憲法の条文を法文の中にうたうというケースはむしろレアケースではないだろうか、現状をそのように承知をいたしております。  したがって、今回の法律提案するに当たりましては、もちろん憲法九十二条の「地方自治本旨」ということを十分念頭に置いて、そのことを十分踏まえた上で今回の法案を作成し御提案申し上げた。したがって、総理の御答弁と私の考え方は同じでございます。
  117. 穀田恵二

    ○穀田委員 きょうの質疑も含めてお聞きしていると、念頭に置いてというのがもう多過ぎて、大丈夫かなと思うくらい多いわけですけれども、踏まえても多いんですが、私がなぜそういうことを言っているかといいますと、先ほども大臣自身がおっしゃったように、この法律は、大臣の言によれば、明治維新だとか、それから歴代の歴史的なだとか、そういうことを言っていますね。  それほどまでにいわば地方自治に関する重大な問題と言っているときに、それを根本から、憲法内容に匹敵するようなことだとかいろいろなことを、つまり、その重大性について言うならば、いわば明治維新のときと憲法のときと同じくらいの話をしてはるんですね。それだとしたら、まさにその精神の中軸をなす、そういうことについて書き込むべきというのは、私は当然じゃないかと思うんですね。そう思うんです、私はまず。  その上で、今も大臣からお話ありましたように、地方自治法には確かにそう書いています。しかし、これは考えてみますと、憲法九十二条で予定された地方自治法ではこう書いているわけですね、念のために。「この法律は、地方自治本旨に基いて、地方公共団体の区分並びに地方公共団体の組織及び運営に関する事項の大綱を定め、併せて国と地方公共団体との間の基本的関係確立することにより、地方公共団体における民主的にして能率的な行政確保を図るとともに、地方公共団体の健全な発達を保障することを目的とするここう書いている。これを読みますと、逆に言えば、大体地方分権の中心は全部入っていると言ってもいいぐらいの話なんですね。  だとすると、やはりそういうことを本当に、根本的に一つの画期をなすということを主張するのであればあるほど、その内容とは余り変わらないようなことをある意味じゃ言っているわけだから、地方自治自体が本旨をもう一度取り戻すような趣旨を本来、今度の地方分権とすれば、きちんと書き込んだ方が私はいいんじゃないかと二つ目に思います。  三つ目に、またこう言っているんですね。第二条第十二項前半でも、「地方公共団体に関する法令の規定は、地方自治本旨に基いて、これを解釈し、及び運用するようにしなければならないここう書いているわけですね。だから、憲法九十二条を受けてつくられた法律でさえ、憲法が直接保障している地方自治の根本原理を法律にわざわざ明文化しているわけなんですね。その枠組みというものをきちんと、大事な点があるんじゃないだろうかと私は思うのです。その辺はいかがでしょうか。
  118. 山口鶴男

    山口国務大臣 御意見は承りました。  私どもとしては、「地方自治本旨」に基づいて今回の地方分権推進法案提案をいたした、こういうつもりでございますし、また、地方分権推進法案全体をごらんいただければ、これは「地方自治本旨」を実現するためにこのような法案提出したんだなということについては、御理解をいただけるのではないだろうかと存じます。  委員の御意見は御意見としてよく承りました。
  119. 穀田恵二

    ○穀田委員 これは私の意見というよりも、実は私はこの前のときにも引用させていただいて、社会党の「地方分権推進法とプログラムの試み」というパンフレットまで引用してお話ししましたから、これは単に私の考えと違って、社会党自身の当時のお考えであったし、その精神だったと思うわけです。ですから、私わざわざ、私の主張はそうだけれども、同時に、当時の山口長官の、当時のじゃない、今もそうですが、所属しているそういう社会党の考え方もそうではなかったのかということを前回は私尋ねたんですね。  そこで、じゃ、聞きますけれども、どうも地方分権の目的、つまり私などは、この社会党のパンフレットなんかにも書かれているように、憲法に保障された地方自治の根本原理といいますか、団体自治や住民自治や人権だとか、そういうものが事実上形骸化される、そして空洞化されている。だから私は問題にして、本当の意味地方自治確立する上で、憲法に書かれているからとか、憲法前提にしているからじゃなくて、やはりそういうものを新しく目指していくからこそ「地方自治本旨」というものを改めて浮き彫りにしていく必要があるのじゃないだろうかと私は思っているわけなんですね。そこは御理解いただきたいと思うのです。  その上で、長官は、憲法で保障されている地方自治、つまり住民自治と団体自治から構成されていると言われているわけですが、「地方自治本旨」が現状では守られていると思っておられるのか、その辺の率直な御感想をお聞きしたいと思います。
  120. 山口鶴男

    山口国務大臣 私も、一九六〇年、国会に出てまいりましたときに地方行政委員、そして地方行政委員会理事を十年務めました。「地方自治本旨」ということは当時委員会でも随分強調いたしたつもりであります。したがって、これは、形骸化したか空洞化したかということの認識がどうかということよりも、私ども国会議員として、憲法九十二条があるわけでございますから、「地方自治本旨」をいかに生かすか、そのための立法活動を私たちはどう進めていくかということを絶えず念頭に置いて活動すべきではないのかというふうに私は思ってまいりました。  かつて、私が地方行政委員になりました少し前にシャウプ勧告あるいは神戸委員会の報告等々がありまして、「地方自治本旨」を実現しようという意味でのさまざまな努力があった、先輩の御努力があったということは、私もよく承知をいたしております。
  121. 穀田恵二

    ○穀田委員 どうも現状の認識については余り語られずに、歴史的経過についてはこの前もお話をお聞きしましたし、そのとおりだと私は思うのですね。長官のそういう最初の時代の活動については私もそれは存じております。  問題は、今問われているのは、「地方自治本旨」、つまり団体自治や住民自治が本当に現状では非常に危険な、守られていない現状があって大変だからこそこういう問題が、つまり、地方自治のある意味では復権といいますか、一方ではそういう形で出てきているという背景があるのじゃないかと私は思っています。  そこで、お聞きしたいのですが、こう言っているのですね。  中曽根内閣のいう「戦後政治の総決算」あるいは「戦後民主主義の再検討」のための主要なテーマの一つとして、住民自治の破壊、新国家主義的中央集権体制への志向が含まれていることは明白である。われわれが地域住民の要求に奉仕し、憲法に定める住民自治の権利を擁護するためにたたかうことは、政治の観点でいえば、中曽根反動政治の支柱をたおし、その基盤を突き崩すための決定的な挑戦にほかならない。ということがあります。そしてさらに、  この四年間、中曽根内閣がすすめてきた臨調行革は、補助金カットに見られるように、国の義務である財政負担を減らし、自治体の負担を増大させ、それがひいては、行政住民サービスを低下させるという結果を生んでいる。補助金・地方債・地方交付税の配分権あるいは許可権をテコとする財政上のコントロールを強める一方、機関委任事務の拡大、天下り人事の増大などによって自治権を侵害し、その発展にブレーキをかけている。これは、お笑いですから思い出していただけたと思うのですが、「月刊総評」の八七年三月号に当時社会党書記長であった現国務大臣がお書きになった文章です。ここにもう明確に、住民自治の破壊、そして自治権の侵害、さらに、今言いましたように、それが財政上のコントロール、そして天下り大事などで自治権を侵害している、こういうふうに書いて、その当時の情勢分析、つまり自治に関する分析を行っているわけです。  それでは、これでも今やはり憲法地方自治が満足に保障されているとお思いですか。
  122. 山口鶴男

    山口国務大臣 私、昨年の六月三十日、総務庁長官に就任をいたしました。翌月、七月一日、総務庁が設立されまして十年の記念の式典がございました。私は式典のパーティーであいさつをしたのですが、かつての臨調答申が出ましたときに、私は当時議運の理事でございましたが、行革特別委員会理事に転出をいたしました。当時鈴木内閣でございました。  行政管理庁長官は中曽根さんでございましたが、提出をした行革推進法案、これを阻止するために全力を挙げました。そうしてあのとき、百時間を超える特別委員会審議としては記録をつくりまして、そのために努力をしたことを今でも忘れません。なぜそれではそういう行動をやったかといえば、あのときの行革は生活保護費、その補助率を切り下げるというようなまさに国民いじめの行革でございました。それで私たちは、行財政改革というのはほかにあるのじゃないか、むしろ地方分権を徹底的に進めて、そうして地方住民の身近な行政は、企画立案から調整、実施まで一貫して地方自治体が担えるような、そういった体制をつくるべきである、そのための行財政改革をやるべきであるということを主張した。今私が総務庁長官に就任した現在、地方分権推進ということが大きな課題になっている、したがって私は、そういう意味では大変喜んで、しかも勇気を持ってこの行政改革地方分権推進に立ち向かっていきたいと思うということを実はあいさつとして申し上げた次第であります。  したがって、地方分権推進する、「地方自治本旨」を実現するために精いっぱい活動する、そういったことを私は政治理念として今日までやってまいりました。今もそういった理念で今回の地方分権推進法を御提案申し上げたということで御理解をいただきたいと存じます。
  123. 穀田恵二

    ○穀田委員 私は、今、前半の方の話はそのとおりだと思うのですね。この当時の論文と変わらないと思うのです。  後半からどうもちょっと話が変わってきまして、国民いじめの話ということで補助金のカットの話も出ました。しかし、それは、その後事実上それが固定化をしてさらに進むというようなこともありましたし、生活保護の問題についても、例えば実態的には次々と削られる実態もありますし、その人数の方も減っていく実態もあります。そういう意味でいいますと、私は長官が御指摘になった事実がいまだに進行しているという情けない実態だと思うのです。  そして同時に、ここにありますように、どう考えても、例えば天下りの人事の増大などは変わっていない。それから機関委任事務の方についてもここ十年で見たならば拡大している。ですから、そういう意味でいいますと、当時の認識も含めて、私は自治が危機に瀕しているということが大事だと思うのですね。しかも自治が危機に瀕しているという結果は、ここにありますように、行政住民サービスを低下させるという結果を生んでいるというところに結論が最終的にはあると思うのです。  ですから私は、そういう立場から、逆に言えば住民自治、つまり住民のサービスなり住民の要求の立場からそれを何とかしてほしいということで出てきているのが、「地方自治本旨」に基づいて、さらに地方仕事としてきちんとやってほしいということだったと思うのですね。ですから、どうも後半になってきますと、長官になって以来の話について、どうも理念の話と実際の話は明らかに私は違うのじゃないかというふうに今お聞きして率直に感想を持ちました。  そこで、ですから、何度も言いますが、憲法に保障されている地方自治がこのように、長官も当時指摘していたように、自治権の侵害がされている、住民自治が破壊されている、こういう現実があるから憲法九十二条の「地方自治本旨」を実現しようということで、私は多くの方々が言い始めたという立場をとっています。  そのことは実は、この前も私何度も紹介したのですが、社会党の「自立する地方 地方分権推進法とプログラムの試み」というパンフレットでは、「分権化の目的と理念」という中で、こう書いているのですね。何度もこれ、もう一度見てほしいのですけれども、「分権を推進する私どもの「目的と理念」を明らかにしておきたいと思います。それは一口にいえば、憲法九十二条の「地方自治本旨」を具体化しようということですこここまでやはり書いているのですね。つまり、一口で言えば、根本問題はこれだ、こう言っているのですよ。その根本を抜くのは、どうも解せないということを私は言いたいわけです。  だから、目的をそういう意味で言いますと、先ほどの一連の話を聞いていますと、例えば大綱の考え方などについては、趣旨を踏まえたものだとか、それから念頭に置いてとか、こういう話は一連、随分あるのですね。大体話は、念頭に置くか、それか趣旨を踏まえているとか、それも含んでいる、この三つなんです。だけれども、入れないのですよ。私はここに、どうも違うのじゃないかと。だから、せっかくそういう目的を、一番肝心かなめの、どこから見ても中心軸というものを据えるのがやはり考え方の根本じゃないかということ、これを何回も言っているのですよ。その辺、いかがですか。
  124. 山口鶴男

    山口国務大臣 憲法九十二条の「地方自治本旨」を具体化しようということで今日まで私は努力してきた、そういった政治信念であるということは申しました。また、そういった政治信念は村山総理も全く同様でございますし、また、現在の時の大きな流れも、「地方自治本旨」に基づいて地方分権推進しようではないか。また、我が国が、住民自治という立場に立って、地域の特性を生かして、自主的、自立的な地方行政を進めていこう、それが重要だという世論の大勢となって今日に至っておるということだろうと思います。  そういった状況を踏まえまして、地方制度調査会答申をお出しになった。また、地方団体意見をお出しになった。私どもは、そういった答申意見というものを十分尊重いたしまして地方分権大綱を決め、そして今日、地方分権推進法案を御提出いたした。それはまさに、「地方自治本旨」を具体化しようという意図そのものであるということは御理解いただけるんじゃないでしょうか。  まあ戦後五十年たちましたけれども、そういう意味では、地方分権推進を具体的な目標として、その具体化のための法案提出をして国会で御論議をいただくということは初めてではないだろうか。もちろんそれは、その前に国会衆参両院での御議決、本会議の決議というものもあった、それを踏まえてのことだということも言えましょう。  いずれにいたしましても、「地方自治本旨」を具体化するというつもりで今日まで私やってまいりましたし、総理もそういった決意で今回の法案を御提案申し上げたということでございます。
  125. 穀田恵二

    ○穀田委員 もうなぜでしょうね、その趣旨を踏まえたもの、それからそれを含んでいる、今度はつもりだ、こう来ましたけれども。  長官も引用されましたその六団体の問題にしても、地制調にしましても、やはりこれ、例えばこの前も私言いましたけれども、その提案の中にも、「地方自治本旨」を踏まえてということ、基づいてということまで、具体的な提案まで出ているわけなんですね。だからそれ自身、私も、具体的な法案に書き込まれている内容自身まで提案しているということは、ぜひそれは見ていただきたいと思うのですね。  そこで、総理自身も、この前の話でもそうなんですが、お話があったわけですが、分権推進法案については、地方分権の大綱指針や臨調行革答申に沿ったものだということで、二月十四日の本会議でも言明されていました。  ここで、私は先ほども長官にお聞きしたときに、当時の中曽根内閣に対する批判の問題でありましたように、やはり今までのそういう臨調行革路線というのは、かって、社会党も含めて、地方自治を侵害するものとして批判していたものなんですね。ところが、自民党政権を批判していたもの、今度は社会党が自民党にかわって推進する。しかもこれをあなた方は、「地方自治本旨」に基づいてだとか、踏まえてだとか、それにのっとってだとか、こういうふうな話はするわけですけれども、実際上、先ほどもお話、一つの例を出しましたように、国民いじめという話がありましたが、それは実態として進行しているということからしても、同じ路線を歩んでいるんじゃないだろうかと私は思わざるを得ません。ですから、こういう法案憲法地方自治の文言が盛り込まれていないのは、結局のところ、そういうことの趣旨があるのじゃないか、結局法案は、憲法地方自治権を拡充する流れからのものではないのじゃないかと私は指摘せざるを得ません。  そこで一つ、先ほども議論になりました点を私もちょっと言ってみたいと思うのです。  必ずこういう問題が出たときに、先ほども言いましたように、趣旨を踏まえたものというふうに大臣はお答えになるのですけれども法案の第四条で、私もこれはおかしいなと思うのですね。国と地方公共団体役割分担の規定で、「国においては国際社会における国家としての存立にかかわる事務、全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動」云々として、地方公共団体について言うならば「地域における行政の自主的かつ総合的な実施役割」、つまりここでは、その趣旨を踏まえたものだということで、例の企画立案、調整を含むものだと言うのですが、なぜそういうものについては書かないのかなと、ここを私は思うのですね。  そういうふうに言うのだったら、すべての文書が、地制調にしたって、それから六団体にしたって書いているわけだし、そこの肝心かなめの問題というのは、今まで議論をされていた、ある意味では地方分権に関する皆様方の意見の中でも一つの中心だったのじゃないですかね。ですから、地方自治体が、そこの前段、第二条にありますように「地方公共団体自主性及び自立性」という問題からすれば、やはりそのことが一つの柱になるのじゃないかと思われるくらい中心問題なんですね。だから逆に言えば、そういうことを書くのは、それは私から見ても当たり前じゃないかと思うのですが、いかがでしょう。
  126. 陶山晧

    ○陶山政府委員 若干実務的な観点から御説明申し上げます。  法律の規定として内容を構成するという前提で申し上げますが、先ほど大臣からも御答弁がありましたように、地方制度調査会を初め、地方団体等々、この問題についていろいろな御答申や御提言があるわけでございますけれども、その中での表現についてはいろいろな説明の仕方が行われております。同じ内容でありましてもいろいろな表現ぶりがあるということは、これはもう当然のことであろうと思います。  そこで、法律の条文としてどういう、同じ考え方、思想を盛り込むかという観点議論をいたします場合、若干実務的で恐縮でございますけれども、いわば立法技術上の観点あるいは法制的な整序の観点、そういう意味においてぎりぎりの吟味をいたすわけでございます。具体的には、御承知のとおり、内閣法制局がそれを総合的に判断をされるということになるわけでございます。  そういう観点を含めまして、大臣からも申し上げましたように、地方制度調査会の御提言の趣旨地方分権大綱の基本的な考え方、そういうものを広く検討しながら、法律の規定ぶりとして、ただいま御提案しているような内容として御提案を申し上げているということでございまして、そのいわば解釈、意味内容という意味において、例えばお触れになりました企画立案、調整といった地方団体のあるべき姿、機能はこの法案の規定の内容として含まれておりますという御説明を申し上げているということでございます。
  127. 穀田恵二

    ○穀田委員 どうもそれは納得できませんね。その辺は、先ほども同僚の議員からありましたように、私も一つだけ機関委任事務の問題については一言言っておきたいと思うのですね。  私は、ここにありますように、第二条の「地方公共団体自主性及び自立性を高め」る、仮にこういう文言があるとしますと、この立場からしても、今中心的に攻めていった問題について言うならば、機関委任事務というのは重大な障害になっていることは、先ほど私が読み上げました当時の長官の論文でもこれはこれで事実なんですね、明らかなんですね。したがいまして、その点からしても、上級、下級でないのだというようなことで、対等、平等だと。もし議論に立ってそれが一つのネックになっているとしますと、法律上の書き方、問題はさておいたとしても、私は自立性自主性を高める根本はまさにここにありと思うのですね。だから、きちんとそれはやはり、それを含んでいるとか含んでないとか、検討するのも、文言も入っているだとか手法があるとかいうのではなくて、それは、そういう解釈もできるのだではなくて、きちんと書くのが私は当たり前だと思うのです。それでどうかということが一つ。  もう一つ、時間もないですから終わりますが、現行でもできることを一つ提案したいと思うのです。毎年かなりの数の通達が国から地方自治体に対して出されています。この通達のそれぞれについて、例えばこの通達は地方自治法二百四十五条を根拠とする行政指導の通達なのか、あるいは特定の法律の規定に基づくものなのか、こういうことを明記すれば、そういう意味でいいますと、意識も変わってくるし、通達そのものが限定されてくると思うのです。  ですから、逆に言えば、それを含むとか趣旨を踏まえたとかいうことになりますと、少なくとも、先ほどありましたコントロールを強める一方ということで自治権を侵害している、発展にブレーキをかけている、それが一つの通達行政でもあるということからしますと、いわばこの点についてはせめて今言いましたような実施をすべきではないかと思うのですが、そのことを最後に、先ほど述べた機関委任事務の件と今の通達の件、二つの件を質問して質問を終わります。
  128. 山口鶴男

    山口国務大臣 機関委任事務制度につきましては、地方分権大綱及び今提案いたしております地方分権推進法に基づきまして、機関委任事務制度についてもそのあり方を含め適切な検討が行われるものと考えております。したがいまして、この問題につきましては、そのあり方を含めて検討するということでございますので、適切な検討が行われるものというふうに考えておりますことを、この際明確にお答えとして申し上げておきます。
  129. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 通達についてのお尋ねでございますが、御案内のように、主務大臣がその担任する事務の運営等につきまして、地方公共団体に対して適切と認める技術的な助言、勧告等を行うことができることにつきましては、地方自治法の二百四十五条の規定があるわけでございます。個別法の規定に基づくもののほか、一般的に言って、国から地方公共団体の通達はこの規定に根拠を置いているものと考えております。ただし、機関委任事務につきましては、また機関委任事務として百五十条の規定もございますので、そういうケースでやる場合も当然あるわけでございます。  通達一般につきまして、いろいろあるわけでございますが、これらについて、通達によって地方公共団体を指導する場合にはやはり地方公共団体自主性自立性というものを尊重するといった観点を十分配慮をしていただかなければならないというふうに考えておりまして、私どもも機会あるごとに各省の理解を求めてきたところでございまして、今後とも地方公共団体自主性自立性が図られるよう一層努力をしてまいりたいと考えております。
  130. 穀田恵二

    ○穀田委員 終わります。
  131. 笹川堯

    笹川委員長 次回は、来る二十九日水曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十五分散会