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1995-03-10 第132回国会 衆議院 地方行政委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年三月十日(金曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 川崎 二郎君    理事 塩谷  立君 理事 中馬 弘毅君    理事 穂積 良行君 理事 粟屋 敏信君    理事 山名 靖英君 理事 米田 建三君    理事 北沢 清功君 理事 田中  甲君       石橋 一弥君    稲葉 大和君       栗原 裕康君   田野瀬良太郎君       谷  洋一君    西田  司君       蓮実  進君    平林 鴻三君       山本 公一君    上田  勇君       岡島 正之君    古賀 敬章君       富田 茂之君    永井 英慈君       吹田  愰君    冬柴 鐵三君       山崎広太郎君    吉田 公一君       池田 隆一君    竹内  猛君       畠山健治郎君    穀田 恵二君       川端 達夫君  出席国務大臣         自 治 大 臣 野中 広務君  出席政府委員         警察庁長官官房         総務審議官   山本 博一君         警察庁生活安全         局長      中田 恒夫君         警察庁刑事局長 垣見  隆君         警察庁警備局長 杉田 和博君         自治大臣官房長 秋本 敏文君         自治大臣官房総         務審議官    二橋 正弘君         自治省行政局長 吉田 弘正君         自治省行政局公         務員部長    鈴木 正明君         自治省行政局選         挙部長     谷合 靖夫君         自治省財政局長 遠藤 安彦君         自治省税務局長 佐野 徹治君         消防庁長官   滝   実君  委員外出席者         防衛庁防衛局運         用課長     山崎信之郎君         防衛庁防衛局調         査第一課長   三谷 秀史君         国土庁計画・調         整局計画課長  牛嶋俊一郎君         国土庁大都市圏         整備局特別整備         課長      山村 信吾君         大蔵省主計局主         計官      三國谷勝範君         大蔵省主税局総         務課長     大武健一郎君         厚生省薬務局経         済課長     伍藤 忠春君         地方行政委員会         調査室長    前川 尚美君     ――――――――――――― 委員の異動 二月二十八日  辞任         補欠選任   池田 隆一君     池端 清一君 同日  辞任         補欠選任   池端 清一君     池田 隆一君 三月十日  辞任         補欠選任   谷  洋一君     稲葉 大和君   愛野興一郎君     古賀 敬章君   山崎広太郎君     冬柴 鐵三君   加藤 万吉君     竹内  猛君 同日  辞任         補欠選任   稲葉 大和君     谷  洋一君   古賀 敬章君     愛野興一郎君   冬柴 鐵三君     山崎広太郎君   竹内  猛君     加藤 万吉君     ――――――――――――― 三月三日  古物営業法の一部を改正する法律案内閣提出  第七〇号)(予) 同月八日  市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第三〇号)(参議院送付  ) 二月二十八日  土地税制住民税に関する請願(古賀誠君紹  介)(第五〇号)  同(佐藤信二紹介)(第五一号)  同(中川昭一紹介)(第五二号)  同(保利耕輔君紹介)(第五三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一六号)  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第三九号)  地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律  案(内閣提出第四九号)  地方財政拡充強化に関する件      ――――◇―――――
  2. 川崎二郎

    川崎委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方税法の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。永井英慈君
  3. 永井英慈

    永井(英)委員 新進党の永井でございます。  質問機会をいただきまして、これから順次質問をさせていただきたいと思います。  今まで実は私、野中自治大臣につきましては詳しく存じ上げておりませんでした。この質問をさせていただくに当たって、政官要覧というのでしょうか、野中大臣の今までの経歴を実は拝見させてもらいました。大変打たれるところが多かったわけでございます。  ちょっと御披露させていただきますと、大臣は、二十五歳で町議になられ、そして二十、歳で町長に御就任をされ、その間、京都府の町村会会長さんを務められ、さらに全国町村会の副会長さんを歴任されたということでございます。さらに、蜷川知事を支えるという立場もとられたこともあったそうですが、府議会議員当選後は、「共産党を骨まで愛する」という蜷川知事の好敵手として定評があった林田知事当選により、副知事に大抜てきをされたということで、大変異例なことであろうと私はこの経歴を見て感じたわけでございます。任期満了後、京都の二区の補欠選挙で激戦を勝ち抜いて中央政界にこまを進められた。時に昭和五十八年。そして、初当選後、逓信委員長建設政務次官通信部会長党総務局長という要職を御歴任されて、三十数年にわたる地方自治経験により、村山内閣自治大臣になられた。  すごいことだと思います。地方自治行政文字どおり頂点をきわめられた。私は、党派を超えて大変敬意を表さなければならぬ、文字どおり、今の時代、余人をもってかえがたい政治家のような気がするわけでございますが、今申し上げましたことにさらに御本人でつけ加えるようなことがございましたら、ひとつ御発言をいただきたいと思います。
  4. 野中広務

    野中国務大臣 永井委員から、私のたどりました経過についてお述べを賜りました。  振り返って感慨無量なものがありますとともに、長い間地方自治の道を歩んできた人間が、今地方財政が困難なときに、また地方分権が言われておるときにこの自治大臣という仕事をさせていただいて、いささか行政改革税制改革、そして地方分権という大きなテーマに地方行政委員会を初めとする皆さんとともに取り組むことができましたことを、感慨無量に存じておる次第であります。  ただ、先ほど永井委員から、京都会議員から京都府副知事に大抜てきをされたと言われましたけれども、私は全く大抜てきをされたのではございませんので、当時、前尾繁三郎先生から、穀田先生もいらっしゃいますけれども京都の強い共産党と対決をするのはおまえよりないということで、そういう要員として私は入れられたわけでございます。苦悩の四年間を過ごしたわけでございます。  以上でございます。
  5. 永井英慈

    永井(英)委員 大変な能力、手腕を買われて大活躍をされたわけでございまして、先ほど申し上げましたように、もうすばらしいというよりは、すごい御経歴で、党派を超えて改めて敬意を表する次第でございます。そういう意味では、野中大臣は、戦後半世紀たつわけですけれども我が国地方自治の現役の生き証人と言っても過言ではないのではないかと考えておるところでございます。  そこで、そういうすごい、しかも長い御経験を踏まえて、これはちょっと地方行政とは関係がないかもしれませんですけれども、今大変関心を集めていることについての御見解を賜りたいと思います。  それは、ことし、折しも戦後五十年という節目でございまして、二十一世紀まであと五年余り、文字どおり二十一世紀、指呼の間に迫ってきたわけでございます。これからのことにつきましては村山総理にも機会をいただいてしっかりとお伺いしたいところでございますが、きょうは、野中大臣の長い豊かな政治行政の御経験から、いわゆる戦後五十年問題あるいはいわゆる不戦決議等についてお考えをお聞かせいただければ大変ありがたいと思います。
  6. 野中広務

    野中国務大臣 私の世代は、あと数カ月ないし長くても二年あの戦争が続いておったら、きょうこうしてこの場におることがなかったという世代であります。したがいまして、振り返って私は、昭和十年代にお生まれになった皆さん、この方々もやはり幼少期青年期戦争の中で過ごされましたけれども、そういう方々とはまた違った歴史観を持っております。  それだけに、我が国が危険な道を歩まないように、そして、我々と同じ世代で、いや、もう少し年が上でもっとすぐれた人たちが、先輩たちが、あの戦争で亡くなっていきました。しかも、長いいわゆる統治期間で多くの国に迷惑をかけた国々もあります。あるいは、戦争によってまた多くのアジアを中心とする国々皆さんにぬぐいがたい傷を残してまいりました。残念ながら、それは今なお大きな傷跡となって残ってきております。私ども、当然もう少し続いておればきょう生を受けることがなかった人間が二十一世紀を目の前にして生を受けておることは、まことに私ども感慨無量なものがございます。  それだけに私は、自民党、そして社会党、さきがけが三党連立の際に合意いたしました五十年の節目とした合意については、厳粛に受けとめておるわけでございます。もちろん、憲法において我が国戦争を放棄しておることは厳粛な事実でありますけれども、戦後半世紀を迎えたこの時期に、私どもは、またそういう意味において過去の多くの傷跡を振り返り、二十一世紀を展望した新たなる決意で臨まなくてはならないのではなかろうかと思っておる次第であります。
  7. 永井英慈

    永井(英)委員 ちょっと予期した御答弁とは違いまして、これ以上お聞きいたしませんけれども、私は、いわゆる戦後五十年問題も、今お話しのように、日本、そして日本国民にとっては、極めて重くて大きな課題だと考えておるところでございますが、ちょうど半世紀たって、一九四五年、終戦後の日本が歩んできた半世紀、これについても、成功の半世紀と言う人もおりますけれども、この半世紀についてもきちっとこの際検証し、総括し、そして我々の世代一つ評価を下すべきではないだろうか、こういうことでございまして、この戦後半世紀、あの廃墟の中から今日の経済発展までいろいろな困難もあったわけですけれども、克服して今日に来たわけでございます。  その日本のたどってきた足跡を振り返って、我が国政治経済社会等の各分野で、今まで野中大臣が御経験されたこと、また強い印象を持たれたこと、こうしたことについて、歴史的な視点からちょっと御見解をいただければ大変ありがたいと思います。
  8. 野中広務

    野中国務大臣 あの廃墟の中から今日を迎えることになりましたことは、私ども、みずから生きてみて想像もできないことでございました。けれども、それにはあの廃墟の中から立ち上がった当時の先輩たちを含めた国民の英知と努力が第一であったと思うわけでございます。  そして、世界で多くの戦争が行われましたけれども我が国は、あの大戦の大きな教訓を反省といたしまして、今日まで五十年、戦争に巻き込まれることなく過ごし得たことは、経済発展に大きな影響を及ぼしたと思うわけでございまして、その間、やはり日米安保体制の確立もまた大きな私は重要な問題を与えておると思うわけでございまして、こういうことを考えますときに、政治の場では長い間、この間ほとんど自民党という政党と、時に、ともすれば問題が幾つか起きましたけれども、しかし、社会党という政党緊張感を持って我が国政治の場をずっと歩んでまいりました。その緊張感が、政治の場では、先ほど申し上げましたように、時に腐敗事件等を起こしましたけれども、ある意味においていい政治をつくり上げてきたのではなかろうかと思うわけでございます。  それはもう一つは、いろいろな問題はありましたけれども政策継続性があった。それは今日の我が国社会資本の充実の上に、あるいは国民福祉の向上の上に、そして今日の経済発展の上に大きく寄与したのではなかろうかと思うわけでございます。  今後政党離合集散はなお続くでありましょうけれども、私は、この五十年を節目にして、政策継続性というのは今後も我が国発展の上に大きな柱となっていくべきであると存じておる次第であります。
  9. 永井英慈

    永井(英)委員 それでは、立法府にとりましても、個々の政治家にとりましても、時代をしっかり正しく把握する、認識するということは極めて重要なことだと常々考えておるところでございますが、野中大臣の、今の世界情勢、それと、その中に置かれている日本の状況、また日本が抱えている今日的な問題、言ってみれば時代認識について思うところがございましたら、お話を伺いたいと存じます。
  10. 野中広務

    野中国務大臣 私は、世界情勢やあるいは時代認識を申し上げるほどの博識でもありませんし、見識も持っておらないわけでございます。  しかし、先ほど申し上げましたように、日米安保体制我が国の今日までの発展の上に大きく寄与したということを私どもは中軸に考えながら、これから限りなくアジアの問題というのは世界じゅうが注目をし、世界じゅうがその市場介入を含めて、いろいろな問題が起きてくるところであると思っておるわけでございます。  けれども、残念ながら我が国は、中国を初め朝鮮半島アジアのそれぞれの国に多くのまだ傷跡を残し、その信頼関係は回復をされておりません。これから、冷戦構造が崩壊をいたしまして大きな国の対立はなくなるでありましょうけれども、限りなく民族や宗教や資源地域紛争というのは続いていくことを考え、あるいは、アジアという市場が、アメリカにとっても、ヨーロッパの各国にとっても、大きな位置づけになってくることを考えるときに、私どもは、この五十年という節目に、朝鮮半島を初め、中国、そしてアジア皆さん方信頼をいかにから得て、そしてよきアジアの友人とし、これからアジア全体の発展のために我々は何をなすべきかということが、当面私どもに与えられた政治家としての大きな課題であり使命であると考えておる次第でございます。
  11. 永井英慈

    永井(英)委員 そういう中にあって、我が国としては、国内的にも大変大きな問題を抱えておると思うのですけれども、国内の諸問題についてのお考え、例えば農業問題、あるいは人口減に伴うあるいは少子高齢化の問題、それと並行するような形での財政難の問題、さらには環境の問題、農業の問題、数え上げますともう切りがない、大変多くの困難な問題を抱えておるわけでございますが、そういった内政面についての御認識を例えればと思います。
  12. 野中広務

    野中国務大臣 今、我が国の現状を考えますときに、委員が御指摘になりましたように、経済的にも、あるいは少子高齢化の問題を初め、多岐にわたる困難な問題が山積をしておるわけでございます。やや、経済成長の最中には、私ども政治家を含めて、余りにも国民に甘い夢を与え、そして、表現は悪いかもわかりませんけれども福祉という問題を大きい範囲においてとらまえて、そしてそれを選挙のたびに、年金やあるいはその他の福祉施策について国民に夢を与え過ぎて、そして、悪い表現になりますと、何かバナナのたたき売りみたいに、一方が七万円と言えば十万円と言う、こういうように、何か金額を上げればそれが福祉に熱心なんだ、そんな印象を与えるような、そういう私ども政治家自身が道をたどってきたのではないかな。  しかし、これから世の中を支えていく若い人が少なくなっていくことは、もうゆがめることができない現実であります。そして、おかげさまで、高齢化社会と言われるそれぞれ想像もしなかった世界一の長生きをする国になったということはありがたいことでございますけれども、小さなパイで大きないわゆる人たちを支えていかなくてはならないわけでございます。  そういうときに、その高齢化社会を生きる人が、お互いに健康で、そして生きとし生ける命を大切にし、生きがいを感じて、生きていることを感謝し喜び合うような、そういう世の中を構築していくためにどうあるべきなんだ。それはやはり、我々がどのようなところに視点を当てて重点化し、そして、税財源には限度があるわけでございますから、したがって、その限度のある税財源考えながら、時に国民には痛みを分かち合ってもらい、そして二十一世紀というのが、福祉先進国がたどったようないわゆる若い人がその国から逃げ出すようなことなく、若い人たちがこの国の将来に責任を持ってこの国を健全に支えてくれるような、そういう希望を与えるような土俵を今つくっておかなくては取り返しがつかないのではないか、私はこう思うわけでございます。  不幸な問題でありましたけれども、一月十七日の阪神淡路大震災を思いますときに、大変深刻な問題をこの地域人たちに犠牲とともに与えたわけでありますけれども、あの震災を通じて、全国のボランティアの若い人たち阪神地域へ入っていって、そして劣悪な条件で被災者の救援に当たってくれておる姿を見るときに、非常に今時い気持ちでおりました中にも、新しい日本が困難なあの阪神淡路大震災の中から生まれつつあるのではないか、それを私どもは大切にして、そして二十一世紀への道のりを明るいものにしていかなくてはならない、責任を持たなくてはならないんではなかろうかと私は考えておる次第であります。
  13. 永井英慈

    永井(英)委員 五五年体制というか、自民党一党の長期政権のもとで、今お話によりますと、福祉福祉ということで国民に甘い夢を与え、そして選挙のときにもそれを訴えてこられた。言ってみれば迎合型の政治行政が展開されてきた側面があるというような御趣旨であったと思うのですが、今お話を伺っておりますと、これからは資源にも限りがある、税財源にも限りがある、だから痛みを分かち合う時代に入ったというお話でございました。  そこで、村山内閣の一枚看板として「人にやさしい政治」ということが言われておりますけれども主要閣僚のお一人として、この「人にやさしい政治」というイメージが、先ほどお話しいただきました迎合型の政治の延長、継続のようなイメージを私ども受けるんですけれども、「人にやさしい政治」というのはこうなんだよという具体的なお話をいただければと思います。
  14. 野中広務

    野中国務大臣 私は、村山内閣で掲げております「人にやさしい政治」というのは、いわゆる「人にやさしい政治」を行うためには、先ほど申し上げましたように、時に国民痛みを分かち合ってもらい、そしてその中からお互いがこの国を支え、そしてお互いが生きとし生けることを感謝し喜ぶ、そういう世の中をつくるために私は施策を進めていくんだと思っておるわけでございます。  したがいまして、十年間手つかずでありました、皆さんから十分な評価をまだ受けてはおりませんけれども特殊法人見直し、きょう発表されます規制緩和の問題、あるいは税制改革の問題、あるいはいわゆる地方分権問題等、それぞれ長い時代の懸案でありましたけれども、それを着実にこの八カ月で、十分な成果を得た結果とは言えないまでも、果たしてきておるというのは、私は、やはり先ほど申し上げましたように、これからいいことずくめじゃなしに、やることはやるんだという政治体制をつくって、そして国民皆さん方がそれぞれお互いに支え合っていくという、そういう政治をつくるためにやっていた道筋というのがやはり「人にやさしい政治」であると考えておるのでございます。  特殊法人見直しにつきましても、私は特殊法人見直しのときにこう申しました。地方行政委員会でも申し上げたと思いますけれども、私ども自治省が所管します特殊法人二つであります、けれども地方分権という大きな柱を行政改革一つとしてやらなくてはならないときに、自治省二つだから、数が少ないからやれない、そういう道はとるべきではない、やはりその中においても、困難であっても、私たち一つはなくするという決意で臨まなくてはならないということを、幹部の皆さんにも申し上げ、関係諸団体の皆さんにもお願いをしました。  時に消防団員等公務災害補償等共済基金は、いわゆる神戸の大震災阪神淡路大震災に活躍してくれている全国消防団員皆さんに大変大きなショックを与えることであったかもわかりませんけれども、これを民間法人化することによってより活力を生み出していく、そういう道のためにあえて選択をいたして御協力をいただきました。  けれども、そのときに私が、官房長官総務庁長官等がいらっしゃるところで申し上げましたことは、特殊法人をなくするときに、公務員の全体像というものをこの際考えなくてはいけない。公務員に採用されて四十歳の後半になれば肩たたきをされる、そしてそういう人が外へ出ていく、最後には事務次官として一人残っていく、そういう今の国家公務員あり方考えるときに、これは地方公務員も含めてでありますけれども、仮に六十五歳まで年金がもらえないとしたら、この人たちが一体どのようにしてやっていけるのかということをトータルで考えないで、単に数減らしをしたらいいんだということではいけないのではないか。  そして、途中でこの人たちが病気になったりしたら、これは若干の年数健康保険が与えられても、この人たちには給与年金も何もないわけでございます。そういう人のあり方そのもの考えなければ、そして、公務員が全体としてどのようにして自分たち専門的知識を生かしながら安心して職業についていけるかということを考えた中における特殊法人あり方というのは、その法人役職員給与退職金、こういうものを含めて考えていかなくてはならないのではないかということを申し上げたわけでありますが、私どもも、これからもそういう主張で歩んでまいりたいと考えておる次第であります。
  15. 永井英慈

    永井(英)委員 今質問はしなかったのですけれども特殊法人統廃合改革に話が及んだわけですけれども、二月十日に最終結論を出すという公約を掲げてこの作業がスータトしてきたわけでございますが、ついにその期限までにすべてをまとめ上げる、結論を出すことができずに今日まで来ておるわけです。一体どこにこの特殊法人についての統廃合のネックがあるのか、今まであったのか。  私はどうも、村山内閣緊張感というか、危機感というか、国民の期待にこたえる緊張感、こういうものが欠如しているのではないかという考えを持っております。  とりわけ大きな改革をする場合には、強い危機感というか強い使命感というものがなければ、そこに改革へのエネルギーというか、そういうものが生まれてこないという考えをかねてから持っておるわけですけれども、なぜこのような状態で推移したのか、もう一度お答えいただきたいと思います。
  16. 野中広務

    野中国務大臣 私は、委員特殊法人あり方についてどういう御認識を持っておられるかわからないわけでございますけれども、少なくとも、先般閣議決定をいたしました特殊法人の廃止、民営化、さらにその統合化、これにつきましては、この十年間全然手つかずの問題を村山内閣が発足してわずか半年の間にこれをなし得たというのは、私どもその成果について胸を張って言えることだと存じております。  ただ、政府系金融機関あり方について、まだ十分な合意を得ないまま今日に推移をしておることは、閣僚の一人として私は残念に思っております。けれども、少なくともこの問題についても、全体にすべてを今整理することはできないといたしましても、一部の政府系金融機関については三月三十一日までに一応の結論が出されるものと私は確信をしております。閣議におきましてもそのことを再三念を押してきた一人でございますので、私はそれが決定されることを望んでおる次第でございます。
  17. 永井英慈

    永井(英)委員 もう一言、この特殊法人についてでございますが、この特殊法人統廃合をやってどのくらいの経費の節減になるか。大ざっぱで結構でございますが、閣僚の一人としてこの作業にも携わってこられて、この改革をなし遂げてトータルでどのくらいの、まあ数億円か数十億円か数百億円か、どのくらいの経費の節減合理化になるか、答えられましたらお答えいただきたい。
  18. 野中広務

    野中国務大臣 今総務庁でおやりになっておりますので、私からその概数を申し上げる立場にないわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、単に数合わせをするということでは、これは何のための行政改革であり、特殊法人の整理であるかわからないのであります。結果として金額でどの程度減ったかということを、やはり行政改革一つの柱として見せるべきだと思っておるわけでございます。  したがいまして、そういう点におきましては、先ほど申し上げましたように全体の、今回統廃合あるいは民営化あるいは廃止をされる法人だけでなく、全体の今の特殊法人について総務庁において点検をいたしまして、部分的民営化が可能なものは民営化をする、いかにしてリストラをするかというのを個別、具体的に各省と整理をいたしております。  また一方におきましては、それぞれ特殊法人の役員の給与の問題、退職金の問題、こういう問題のあり方につきましても、あるいは渡りの問題につきましても、総務庁において具体的に、個別にそれぞれ今一定の整理をしつつあります。  そういうものがなされない限り、私はこの具体的な数値をお示しすることはできないと思うわけでございますけれども村山内閣としてやっておりますことは、そういう具体的、個別に全体の特殊法人について見直しをやっておるということでありますことを御理解いただきたいとも存じます。
  19. 永井英慈

    永井(英)委員 ちょっと質問の道筋がそれてしまいました。本題に戻りたいと思います。  先ほどお話がありましたように、戦後半世紀日本はさまざまな困難を克服しながらも、いろいろな問題を今も抱えておりますけれども経済大国あるいは長寿大国あるいは技術大国というようなことで大変な成果、成功をおさめた裏に、逆にまたいろいろな問題も発生してきたことは申し上げるまでもないことでございます。例えば、産業公害の発生、大変深刻でございましたし、環境破壊、あるいは貿易摩擦、金融問題、農業問題、バブル経済、こう一つ一つ数え上げると切りがないのです。  そこで、最近ではいじめの問題だとか、産業の空洞化とか、先ほど申し上げましたけれども、財政の硬直化、高齢化ということで、危機的な要因がずらっと並んでおりますが、私はその中でも、この戦後日本の国土が過密過疎という大変なゆがみというか、弊害を生んで、大都市へ人口が集中をして、とりわけ東京を中心とする首都圏に、一極集中という言葉でも言われますが、人口にしても、その他経済あるいは金融、文化、さまざまなものが一極に集中しているということで、大変深刻な状態であろうと思います。そして、一方では過疎に悩んでおるわけです。  私ごとになって恐縮ですけれども、私は成人するまでは群馬県の赤城村という過疎の進む村に育ちまして、成人してからは川崎という人口過密の大きな都市に生活しておりまして、とりわけ深刻なのが過疎地帯ではないだろうかということです。これから、まだ政府の方としても十年、二十年後の過疎地域の実態をシミュレーションで想定はしてないと思うのですけれども、大変な事態、地域社会が存続するかどうか、崩壊の危機的な状況が発生するのではないかと憂慮しておるところでございます。  そこで、政府は、昭和三十七年に初めて全国総合開発計画というものをつくられて、国土の均衡のとれた発展を目指してこられたわけでございます。続いて昭和四十四年、さらには昭和五十二年に三全総、そして六十二年に四全総と、立派な計画目標を立てられて今日に至っておるわけですけれども、私が承知する範囲では、この目標がことごとく達成されていない、そのために、先ほど言った深刻な過密過疎、一極集中というのが出てきて、さらにこれからもその深刻さが懸念をされている状態だと思うのです。  そこで、この全国総合開発計画の言ってみれば失敗というのでしょうか、達成できなかった理由というのでしょうか、これはどんなところにあったのか、国土庁とそれから自治大臣にぜひ御見解をお聞きしたいと思います。
  20. 牛嶋俊一郎

    ○牛嶋説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘のように、これまで四次にわたって全国総合開発計画が策定されてきたところでございます。その全総計画の中では、一貫いたしまして大都市圏への過度の集中の是正、それから地域間格差の是正というものを図っていく、いわば国土の均衡ある発展を図っていくという目標を掲げて取り組んできたところでございます。特に現在の四全総におきましては、東京一極集中是正と多極分散型国土の形成という基本目標を掲げまして、その実現に向けて取り組んできているところでございます。  そういうこともございまして、最近では、工場等の地方分散というものが進んできておるという状況も見られるわけでございます。また、東京圏への人口の転入超過数というのも、一九八六年、八七年ぐらいをピークにして減少に転じてきておりまして、昨年度、平成五年度には、統計をとり始めて以来初めて東京圏からの転出、約五千人という少ない数ではございますが、転出超過になったところでございます。そういうこともございまして、東京一極集中状況というのは、人口の社会移動等の面で新たな局面を迎えつつあるのではないかなというような感じも持っているところでございます。  なお、東京の過密問題、それから御指摘の過疎問題等非常に深刻な問題、引き続き残っておるわけでございますから、それらの解決に向けて引き続き対応を進めていかなければならないと考えているところでございます。
  21. 野中広務

    野中国務大臣 戦後の五十年の歩みを先ほど委員からも御指摘ございましたけれども、やはり何といっても廃墟の中から我が国は立ち上がり、そして先進国に追いつけ追い越そうということを第一として経済優先の道を歩んでまいりました。そのことが結果としていわゆる人口の過密と過疎をもたらすことになってきたと思うわけでございます。  特に第一次産業等が非常な劣悪な条件に追い込まれて、若者がより農村から出ていくような、そういう状況が出てくるようになってまいったわけでございます。しかも、それに追い打ちをかけるように、私は、一昨年の米の市場開放というのは、長い日本の歴史をやはり踏まえながら決断がされたこと、それは世界的なあり方として一つの道筋であると思われながらも、やはり国土を支えてきたものが一体何であったかということに視点を置かないでやられたことが非常に拍車をかけたのではないかという反省を持っておるわけでございます。  すなわち、やはり我が国の国土は、今回の大震災を踏まえましても、余りにも国土が荒廃をし、そして開発され、そしてその中から破壊をされてまいりました。一つには、開発という名における破壊であります。もう一つは、いわゆる農業が、非常に劣悪な状況における過疎化の進行によって、そして後継者がなくなっていくという、より過疎が進んでいく、そういう道筋をたどってまいりました。  少なくとも、いわゆる先人たちは、日本列島が縦に走っておって、そこに山があり、その両側に雨が降ります、その梅雨の、一番雨が降る時期の前に田植えをして、そして山に降る水を水田に蓄えて、災害を防いでやってきたわけであります。そして、三千年同じ場所に同じものを植えてもいや地をしない米を主食としてやってきたわけであります。その視点が失われてきた。  だから今度は、十分ではありませんけれども、農山漁村の振興のために六兆百億円、そして自治省としても一兆二千億円の対策を講ずることにいたしまして、何とかして過疎地域に光を与えていきたい、そういう施策を講ずることにしたわけでありまして、私どもは国土の保全のためにも、そしてこれからの国民の食生活を守るためにも、もう一度農村のあり方というものを政治の重要な視点として考えていかなくてはならないと思っておる次第であります。
  22. 永井英慈

    永井(英)委員 大分時間も経過いたしましたのではしょらせていただきますけれども、この過密過疎の件につきまして、やはりこれだけの計画をつくって、これだけの計画目標が達成できなかった。言ってみれば、ある意味では失敗の側面があった、手落ちの側面があったわけでございまして、やはりこうしたことの責任の所在、こういう計画をただつくるんじゃなくて、これを達成させるための責任の所在というものは常に明らかにしておかなければ私はいかぬと思うのです。日本政治は、ともすれば責任を明確にしない。まあ言ってみればこれは日本の文化かもしれませんけれども、そういう側面が非常に感ぜられる。しかし、行政政治の面は厳しくその辺のところを明確にしなければいかぬ。  例えば、あのバブル経済、あれを生み出した、そして崩壊をさせたというか、したというか、それでこの大不況に突入した。言ってみれば日本経済や金融の命取りとも言われるような私は失敗だったと思うのです。これについての責任の所在、責任の追及ということがなされてこなかった。  また、今大臣お話しされましたけれども、去年の凶作に伴う米不足、あの取り乱した、醜態というのでしょうか、国家として、私は大変なことだと思うのです。それで、備蓄、食糧の流通、供給の管理をしている食糧庁、私はここに一番の責任があると思った、あの当時、騒いでいる当時。ところが、その責任者の、どこに責任があるのか、だれが責任をとるのか、この議論も実はなかったのですね。したがって、このことを、この過密過疎を思うときに、やはりきちっとした、こういうものをつくる以上は、責任をはっきりさせることが大事であろうと思うのです。  そこで、この過密過疎を生んでしまったことについての原因についてはお話がございました。そこで、今後、今五全総の作業を進めておるということでございますね。ですから、この作業を進めているわけですから、きちっと責任を明確にする必要があろうと思うのですけれども、国土庁の方では無理でしょうから、大臣の方から、ちょっとその辺のことにつきましてお考えがございましたら、御発言をいただきたいと思います。
  23. 野中広務

    野中国務大臣 私は、国土庁で今進められております、四全総に次ぐ全国総合開発計画のあり方については、まだ内容を十分承知をしておらないわけでございますけれども、なかなか計画どおりに行ってない今日の状況は、委員御指摘のとおりであると思っておるわけでございます。  その節目節目には、私は当然責任は伴っていくものだと思います。自由民主党が一党支配から離れたのも一つ責任であると思います。しかし、バブルの崩壊によってやはりそれを、ある意味において象徴的に進めてきた行政あり方についても責任が明確にされないままやってまいりました。今度の二つの信用金庫のあり方についてもまたそうであります。そういうところにそれぞれ責任あり方をきちっとこれからやっていかなければ、日本は、世界信頼と、そして二十一世紀の困難な道のりを少しでも明るい道のりへ求めていくことはできないと存じております。
  24. 永井英慈

    永井(英)委員 次に、過密過疎に関連してなんですが、今回市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案というのが国会に提案をされております。これは、一口で言えば期間の延長と財政上の優遇による促進策が盛られておると理解をしておるんですけれども、今まで御説明をいただいた中では、要するに行財政の効率化あるいは合理化、こういうものを追求し、目指しているものだと思うのですけれども、私は、やみくもに町村合併を進めればいいというものではないという考え方を持っております。  やはり地域地域にそれぞれの自治、自治権というものを大事にしていかなければならぬという考え方を持っておるんですけれども、この合併促進法をして、合併をどんどん促進さしていって、果たして過疎を食いとめることができるか、そして食いとめて健全な地域社会の形成、維持ができるのかどうか、その辺の視点についての御説明はなかったんですけれども、今回の法案について、自治大臣、御見解をいただきたい。
  25. 野中広務

    野中国務大臣 具体的な内容は政府委員からお答えをいたしますけれども昭和二十八年に合併促進法ができまして、そのときは非常に国も府県も積極的に市町村のあるべき方向を明示して、そして最低規模を八千人と定めて合併を慫慂してまいりました。その結果、市町村の数は三分の一に減ったわけであります。けれども、その後四十年を経過して、なかなか市町村合併というものが進んでこないわけであります。  私は、委員がおっしゃいましたけれども、やはり地方分権を言う以上、私どもはその分権の受け皿にふさわしいような行政形態というものが地方につくられなくてはならないと思う一人でありまして、あくまで市町村の合併はその地域の住民の合意であり、自主的でありますけれども、それに私どもは積極的に財政支援をし、時には住民の発議権も入れて、そしていわゆる市町村の規模が拡大をして、行政の効率化が行われ、財政基盤が確立をして、それによってそれぞれ地域の活性化が図られるような合併というのはより重要な今日的課題であると存じておるところであります。
  26. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 市町村の合併につきまして、今大臣の方から今回の法律案の改正案の考え方について概略お話があったところでございますが、今回のこの合併特例法の改正案は、昨年の十一月に地方制度調査会の答申をいただきまして、その中でも言っておりますように、合併は地域の一体的な整備、それから市町村の行財政基盤の強化、そして各種の行政サービスの向上にとって有効でかつ適切な方策であるというような見解を出されておりますが、私どももそうだと思っています。そしてそれが、しかし合併は、やはり市町村の存立それ自体にかかわるものでございますので、自主的な合併を推進する、それが進むような環境整備を進めるということで、各種の行財政上の措置の拡充整備をしようということでこの法律案を出して御審議をお願いしているところでございます。  そこで、御指摘がありました過疎地域の問題につきましても、当然合併によりましてこのような効果が発揮されまして、行財政基盤の整備が図られるとか、あるいは一体的な地域の整備が進められるということの効果が発揮されることが望ましいわけでございまして、特に過疎地域の問題につきましては、この法律案では、従来の過疎市町村が合併をいたしまして過疎債が発行できないような場合でも、一定の期間この発行が、過疎債が発行できるような仕組みを講じているわけでございます。  また、どうしても地理的な条件等で合併が難しいというような地域もないわけではないかと思うのです。合併を望んでもなかなかできないというようなそういう市町村につきましては、昨年の地方自治法の一部改正によりまして広域連合制度というものが創設できましたので、その活用をするなどによりまして広域市町村圏の一層の充実、活用を図っていく必要があると考えているわけでございます。また、都道府県や広域市町村圏の中心市がそういう小さな市町村に対して補完、代行ができるような仕組みについても引き続き検討をしていく必要があると考えているところでございます。
  27. 永井英慈

    永井(英)委員 質問がちょっと散漫になってしまいまして、また答弁も非常に丁寧にいただいておりまして、的が外れて時間がたってしまいましたが、そこで、今までの、過疎が極めて深刻である、その一方で、御承知のように人口急増によりまして我が国では百万を超えるような巨大都市が次々に誕生したわけでございます。とりわけ、横浜市などは三百四十万人にも迫る巨大な都市になりました。  そういった大都市につきまして政令指定都市制度が適用されて大都市行政が展開されておるわけでございますが、大都市は大都市なりに大変な悩み、難問を抱えて奮闘をしておるところでございますが、きょうはちょうど折よく自治大臣京都府の御出身であって、京都府は京都市という政令指定都市を抱えておられまして、京都府の副知事さんも御経験されておられて、大都市の事情にお詳しい大臣の現行の政令指定都市制度についてのいいところ、あるいは問題点、これから直すべき課題等々がありましたら、ひとつ御見解をいただきたいと思います。
  28. 野中広務

    野中国務大臣 私の京都は人口二百五十万のうち京都市が百五十万でございまして、よその政令指定都市とはやや異なる状態でございまして、一概に他の政令指定都市と一緒に考えることは無理がと思うわけでございますけれども、私は、そもそも政令指定都市ができたころというのは、政令指定都市を目指そうとされたときの首長さん方は、むしろ我々には力はあるんだ、府県と一緒にやっていけるか、だから我々は独立の、他の市とは違う、府県並みの権限を持ったところにするんだという、そんな思いが私のところの京都の当時の市長さんにもあったことを私知っております。  だから、事務の配分のあり方福祉行政やあるいは道路等の管理等、一部は権限移譲がされて府県並みの権限を持ったわけでございますけれども、やや政令指定都市として府県から独立したような機能を、府県と同様の機能を持つんだということが優先して、そして税財源あり方について私は十分議論が詰められなかったのじゃないか、交付税措置でやろうとする非常に安易なやり方がやられて、そしてそこに、政令指定都市でありましても同じように都道府県民税はかかってくる、そして住民税はかかってくるという、いわゆる政令指定都市の住民にとっては非常に不満が残る、そういう税制、制度を残してきたのではないか、それが何か今日府県と政令指定都市に異常に不協和音をもたらす一つの原因になっているのではなかろうかと私は思うわけでございまして、これは私の経験を通してであります。
  29. 永井英慈

    永井(英)委員 今大臣からお話がありましたように、大都市と府県とのえらい泥沼の抗争のようなことが昭和二十年代に展開されたことは、私は歴史を通じて少々理解をしているつもりでございますが、そうしますと、やはり今の政令指定都市制度というのは、府県と政令都市の間でも大きな問題がある、これは解決しなければいかぬというお考えのように受け取ったわけでございまして、ぜひそうした面での政令指定都市と府県との関係について、やはり改革をこの際検討すべきであると思います。これが一点。  それからもう一点は、人口十万、二十万、いや三十万近いような行政区が見られるわけですね。この行政区には、行政区ですから、自治権がない。政治機能がないわけです。私、大都市に、政令指定都市に住んでおりまして、人口二十万もあって自分たちの意思で町づくりができない、あるいは行政展開ができないということは、非常にぐあいが悪い。住民の意思とかニーズとかが行政に反映しにくいシステムになる。そこで、かねてから私は行政区を自治体区に、一定の自治権を与えて、していくべきだという考えを持っておるのですけれども大臣、その辺についてお考えがございましたら、お話をいただきたいと存じます。
  30. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 二点ほどお話がございまして、一つは、現在の政令指定都市と都道府県との関係についてどうしていくかというのが一点。もう一つは、政令市の中の行政区の位置づけをどうするかということだと思います。  第一点の問題につきましては、御承知のように、政令都市の処理する事務というのは大都市における市民生活に直結する事務でございまして、事務を一元的に処理することによって大都市の行政運営の合理化に寄与するというものと考えておりまして、また、地方公共団体の規模能力において事務を最も適切に処理できるように配分を行っているものでございます。  この場合におきましても、公益的な地方公共団体としての都道府県の役割は基本的には変わらないのではないかと考えております。また、都道府県と政令都市を含む市町村がともに地域行政主体として相互に緊密な共同関係のもとに望ましい地方行政が展開されるということが必要であると考えているわけでございます。  住民に身近な事務はできる限り住民に身近な地方団体であります市町村において処理することが適当であると考えておりますので、今後とも国から都道府県への権限移譲に加えまして、都道府県から政令市への権限移譲、さらには一般の市町村への権限移譲ということに努めていく必要があると考えているわけでございます。  それからもう一つ行政区の問題でございます。これは御承知のように、現在政令市に行政区があるわけでございます。この行政区につきましては、大都市におきましては、とかく遠くなりがちな市行政と住民との距離をできるだけ短くしよう、また地域的な特殊事情にかかわる要請にきめ細かく、かつ総合的に対応することによりまして、市民意識とか市民の生の行政ニーズを市の行政に反映させるということとともに、市行政の住民への浸透をより円滑にしようといった機能が期待されている、そういう趣旨に沿った区の行政運営が望まれるわけでございます。  大都市制度そのもののあり方につきましては、都道府県との関係や周辺市町村の関係を含めまして考えていくべきでございまして、そういう中長期的課題として考える必要があると思っておりますが、今後、大都市制度のあり方を議論していく際には、行政区の機能あるいはそのあり方等についても論点の一つになると考えておる次第でございます。
  31. 永井英慈

    永井(英)委員 ちょうど時間となりました。いろいろ丁寧に御説明をいただいて、少々論点がぼけてしまいまして、しり切れトンボになってしまいました。  そこで、地方分権への機運はかってない盛り上がりでございますので、この地方分権についても当委員会でじっくりと議論をさせていただきたい。と同時に、先ほど言いました過密過疎の解消のことで、とりわけ大都市制度、政令指定都市制度の改革の議論も並行して展開していきたいと思っております。  そこで最後に、野中大臣に、大都市制度改革決意を御披瀝いただければありがたいと思います。  以上で質問を終わります。
  32. 野中広務

    野中国務大臣 大都市制度のあり方というのは、国土の均衡ある発展をどのようにしていくかという中で考えられるべき問題と、大都市そのものが置かれておる問題と分けて考えなくてはならないと私は思っておるわけでございます。むしろ、国土の均衡ある発展委員が最初に言われました過疎問題を考えるときには、もっと全国それぞれの、個性のある地域に人口が分散して住めるような、そういう環境というものを国土の均衡ある方向としてつくり上げていくことが政治の要請であると私は考えておるわけでございます。そういう中におきまして、なお現状における大都市のあり方というものもあわせ考えるべきことだと考えておる次第であります。
  33. 川崎二郎

    川崎委員長 富田茂之君。
  34. 富田茂之

    ○富田委員 新進党の富田茂之でございます。よろしくお願いいたします。  私は、去る二月十四日、本日の議題の二法案につきまして、代表質問自治大臣に何点か御確認させていただきましたので、本日はその周辺部分につきまして、まず何点かお伺いしたいと思います。  国は、九四年度からの減税による地方自治体の減収分を交付税で戻すことにしております。つまり、国は地方自治体に対して減税による減収分の起債を認め、その元利支払いは交付税で戻すというふうなシステムをとっておるわけでありますが、いわゆる富裕自治体、不交付団体の場合は、起債をしても交付税が入らず、減収分のほとんどが借金として残るという問題が現実として生じております。  例えば、私の地元であります千葉県の柏市、これがちょっと新聞報道をされておりました。さきがけの理事の田中甲先生の地元でもあるのですが、ここでは減税による九四年度分の減収分が四十六億、九五年度は四十億、九六年度は四十五億、合計で百三十一億円を超えるというふうに市の財政当局の方では推定しております。これは、九五年度一般会計当初予算が八百二億一千万のこの柏市にとっては大変な金額であります。財政危機と言っても過一言ではないような状態であります。  そこで、柏市としましては、昨年七月に、まず行財政改革に一生懸命取り組んでいこうということで、市を挙げていろいろな改革を始めたそうであります。自治省の方では、昨年十月に、各地方自治体に対しまして行財政改革を進めるよう指導指針を出したというふうに聞いておりますが、柏市ではこれに先駆けてもう取り組みを始めていたというわけであります。  具体的には、職員の定数を据え置いたり、補助金、委託料、手数料など、あらゆる面からリストラを実施して、年賀状を減らしたり、また納税貯蓄組合への奨励金まで削った、こういうことで合計で四百二十四件の事務事業を見直したそうであります。  ただ、それにもかかわらず、こういう努力をしても、九四年度から九五年度にかけての財政効果は、報道機関の方で予測したようなのですが、わずか十一億二千万にしかならない、こんな状況だと。これに対して、減収分の起債の財政負担は年々重くのしかかってくるというような状況であります。  柏市の方の九五年度の予算案を、資料を取り寄せさせていただいたのですが、九五年度の当初予算には九四年度分の起債の利子分二億五千五百九十七万円が盛り込まれただけであります。起債の元金の支払いは九八年から始まる、こういうふうになっております。その後は九四年度分、九五年度分、そして予想されます九六年度分の起債の元利支払いに追いまくられて自転車操業になっていってしまう。これは財政当局の方に事情を聞いたのですが、大変なことだというふうに申しておりました。  そこで、現場の方では財政テクニックというのですか、そういうのを駆使しまして、まず、四十億円の減税分のうち、今回の九五年度の予算案ではまず二十七億円分だけ起債する。残りの十三億については内部留保でやりくりするんだと。財政調整基金等もありますので、何とか借金が残らないような形でやっていきたいということで予算を組んだようであります。ただ、財政難ですから、内部留保といってもそれほど余裕があるわけではない。当初予算に盛り込まないで、後で予定されている補正予算の方にこの十三億円分のうちのある程度の部分をまた起債で出していかなければならない、そういう状況だというふうに財政の担当者は説明してくれました。  現実に、「減税補てん債元利償還予定表」というのも柏市の方からいただいたのですけれども、九五年度分の減税分に相当する減税補てん債は十年間、まず利息だけ払って、十年後にまた同額を借りかえる、こういうようなテクニックまで使っているようであります。これはもう大変な努力をしているわけであります。  地方自治体は、このように本当に苦労しているのですが、継続的に行財政改革に取り組まなければならない。国も同じだと思うのですけれども、本当に地方自治体は一生懸命やっている。こういうような状況で、このように柏市のように不交付団体である地方自治体、ここの減税による減収分に関して、自治省の方としてはどのような手当てをしているのでしょうか、お教えいただきたいと思います。
  35. 野中広務

    野中国務大臣 具体的な内容につきましては財政局長から、あるいは税務局長からお答えをすると思いますが、私、委員お話を聞いておりまして、減税というのはいわゆる細川内閣で先行されたわけでございます。そして、そういう後を受けまして、村山内閣税制改革を行うことになったのでございまして、引き続いた個人住民税の負担軽減を行うことになってまいったわけでございまして、けれども、その消費税の二%の引き上げのうち、一%を地方消費税に充当することによって、地域福祉地方分権の推進に役立つようにということで地方消費税を創設することになったわけでございます。  そうしまして、結局市町村につきましては、その地方消費税の二分の一を交付することにしたわけであります。そして、それでもなお市町村につきましては財政を賄うことは非常に困難があると思われるわけでございますので、都道府県民税の一部を市町村に割愛することによって市町村の財政運営に支障が生じないように配慮を行っていこうとしておるところでございます。  詳細につきましては担当局長からお答えいたします。
  36. 遠藤安彦

    ○遠藤政府委員 お答えを申し上げます。  先般の税制改革におきます地方財政措置は、ただいま大臣からお話がありましたように、消費税の税率をアップすることによりまして、一つは地方消費税を確保するということ、それからもう一つは、地方税財源の確保の必要枠のうち地方消費税分以外の部分については地方交付税の率を、消費税に係る率を引き上げるということで処理をいたしたわけでありますが、これらのトータルの中で、今御質問にございました減税に係ります償還財源というものにつきましては二千六百億が確保されておるわけでありまして、したがって、個人住民税について各自治体で該当額について起債を発行していただきますけれども、これについての償還財源はトータルの形では確保されていると私どもは見ているわけであります。  ただ、お話がありましたように、この措置は平成九年度以降の問題となりますので、現在発行いたしております地方債の当面は利子負担になろうかと思いますけれども、それの分について一体どうするのかという御質問だと思います。  お話しのとおり、その部分につきましては、地方交付税の算定上一〇〇%基準財政需要額に算入するということで措置をさせていただいておるわけでございまして、不交付団体についてはその部分は交付税は行かないではないかということは確かにございますけれども、全体の財源としては措置をしているという考え方でございます。  ただ、不交付団体等個別に、そういう形で財政運営上大変影響があるという団体については、個別に御相談をいただければ、それぞれ起債の問題その他について御相談に応じて、地方財政の運営上支障がないように措置いたしたいというふうに思っております。
  37. 富田茂之

    ○富田委員 個別の相談も結構なのですけれども、減税による減収分というのは、都道府県と市町村では三対その割合ぐらいで市町村の方がかなり影響を受けていると言われていますね。また、今お話ありました地方消費税も都道府県と市町村では今後五対五の割合で配分されるというようなことを考えますと、やはり市町村の方が割を食っているのではないかな。個別の相談だといっても、また、全体として財政的には準備しているのだといっても、実際地方公共団体の方ではかなり苦しい運営を強いられているわけですから、地方分権の推進に関する法案がこれから出てきて審議がされますけれども、国からの財源移譲とあわせて、都道府県と市町村との間での税源配分または財源配分等についてあわせて考えていく必要があると思うのですね。  先ほど大臣もちょっとそういう御趣旨の発言をされておりましたけれども、例えばたばこ税なんか市町村の方にもう少し行くようにするとか、いろいろなことが考えられると思うのですけれども、そのあたり、都道府県と市町村間の税源配分、財源配分ということについて、大臣はどのようにお考えになっているでしょうか。
  38. 佐野徹治

    ○佐野(徹)政府委員 税制改革全般につきましては先ほど大臣の方から御答弁を申し上げたところでございますけれども、先般の税制改革に伴いまして、都道府県全体の税収、それから市町村全体の税収につきましては、都道府県税全体では二千六百二十五億円の増収、市町村税全体では、先ほど来お話ございますように、全体では二千七百二十五億円の減収と見込まれております。  こういった点につきまして、今後この市町村全体の減収に対する補てんの方法につきましては、例えば道府県民税の所得割の移譲、こういったことなどを中心に今後地方消費税の実施のときまでにさらに検討していく必要がある、こういうように考えておる次第でございます。
  39. 富田茂之

    ○富田委員 わかりました。  今柏市の例を示させていただいたのですけれども、ここからは大蔵省にお伺いしたいと思うのですが、今お話ししましたように、地方財政は本当に厳しい状況にあります。にもかかわらず、平成七年度の地方交付税について、本来交付税法で定められた法定加算額、これは三千九百七十五億円だったはずですが、これがわずか千八百十億円しか今回加算されておりません。これはどういう理由でこのようになったのでしょうか。法律でもともと決められたものなのですから、本来三千九百七十五億円そのまま加算するのが基本だと思うのですが、理由をお聞かせ願います。
  40. 三國谷勝範

    ○三國谷説明員 平成七年度の地方財政の厳しさということにつきましては私どもも十分認識しているところでございまして、法定加算額三千九百七十五億円の加算につきましても、これを重く受けとめまして、真剣に検討したところでございます。  しかしながら、一方、現下の国の財政事情もまことに深刻な状況にございまして、最終的には、これは六年度と同様でございますが、法定加算額のうち平成三年から五年度にかけまして地方交付税法附則第三条に基づく地方交付税の特例措置、これに係ります国の返済分千八百十億円につきまして加算することとしたものでございます。この措置は、国の財政事情も大変に厳しい中で、国としても可能な限りの努力を払ったものということで御理解いただきたいと思う次第でございます。
  41. 富田茂之

    ○富田委員 それは、努力したというのはわかりますけれども、ただ、法定加算額というのは法律で決まっているわけですから、こういうふうに減額をしたのをどんどん先送りしていくと、これは一体どこで整理するんだということになってしまうと思うのですね。毎年毎年法案の対照表をいただきましたけれども、一行ずつ削っていって、新しい年になったら前の年は見えないからいいじゃないかというような、そういう雰囲気すら感じるような次第ですので、ここはもう少し努力してもらいたいなと思います。  次に、法定加算額のほかに自治、大蔵両大臣による覚書に基づくいわゆる覚書加算額というものがあるようでありますが、この平成七年度の案を見ますと、全くこれが加算されておりません。これはどういう理由によるのでしょうか。ここ何年かの資料も見させていただいたのですけれども、ずっと加算されてきてないようなのですね。両大臣がきちんと約束されて覚書まで締結されているわけですから、これはもう覚書を全くほごにしているとしか思えないのですが、そのあたりの理由をお聞かせ願いたいと思います。
  42. 三國谷勝範

    ○三國谷説明員 国の財政事情でございますが、これがまことに深刻な状況にあるということにつきましては何とぞ御理解をいただきたいと思う次第でございます。こういった事情のもとで、覚書加算につきましてこれを加算できない状況が続いておりますが、繰り延べた分につきましては、これを法定加算として規定しているところでございます。  今後につきましては、引き続き厳しい財政事情が続くものと思われますが、各年度の地方財政対策におきましては、円滑な地方財政運営のための交付税総額を確保しながら、国と地方の財政事情等を総合的に勘案して対処してまいりたいと考えているところでございます。
  43. 富田茂之

    ○富田委員 もう少し頑張っていただきたいなというふうに思います。  国ばここ三年間違続で歳入の減額補正を行っております。にもかかわらず、その上でなお決算の段階においてまた歳入欠陥を生じているような状況であります。このため、地方交付税の方は減額精算を余儀なくされておりまして、平成七年度におきましても、平成五年度の決算に基づいて五千七百九十七億円の減額精算を行うこととされているようであります。これはもう国の歳入の見積もりの甘さが地方財政の方に本当に迷惑をかけているというふうに感じるのですが、この点については大蔵省はどのような認識をお持ちでしょうか。
  44. 大武健一郎

    ○大武説明員 お答えさせていただきます。毎年度の税収見積もりにつきましては、それまでの課税実績あるいは政府経済見通しの諸指標を参考にいたしまして、個別税目ごとの積み上げを行ってきております。しかしながら、一般的に税収見積もり後の経済状況の変化、それから特に見積もり時点で予測しがたい状況の変化、いわゆるバブル経済の崩壊過程におきまして経済情勢の見きわめが極めて難しかったというような事情が税収に反映いたしまして、結果的に予算額に対し増減が生じたということは、御理解をいただきたいと存ずる次第です。  ただ、今委員から御指摘のありましたとおり、税収見積もりの精度向上につきましては、今後ともさまざまな視点から創意工夫をさせていただき、さらに有効な資料の収集に努めて、より精度を向上させていきたいと思っているところでございます。
  45. 富田茂之

    ○富田委員 わからないでもないのですけれども、地方の方は国の見積もりを前提に予算を組むわけですから、本当に努力していただいて、地方の方に余り影響がないような形を望みたいと思います。  大蔵省の方に最後に、今後とも地方財政の運営に支障が生じないような適切な地方財政対策を講じていく必要があると私は考えるのですが、自治大臣は本当にいろいろな場所で地方財政対策について発言されております。大蔵省の方としては、この地方財政対策について今後どのように取り組む御所見なのか、お聞かせ願いたいと思います。
  46. 三國谷勝範

    ○三國谷説明員 今後の国及び地方とも、その財政事情につきまして確たる見通しというのはなかなか申し述べることは困難でございますが、現下の財政事情は、国・地方を通じまして大変厳しい事情にあると考えております。  したがいまして、国におきましても、地方におきましても、引き続き歳出の節減合理化等を推進することは必要なことではないかと考えておりますが、その上で、地方財政に対しましては、各年度の地方財政計画、地方財政対策、こういったものを通じまして、地方財政の運営に支障を生じないよう適切に対処してまいりたいと考えております。
  47. 富田茂之

    ○富田委員 ありがとうございました。  それではちょっと、災害対策という観点から何点か質問したいと思います。  今、陸上自衛隊幕僚監部作成の「大震災地誌「京阪神編」」というこの調査書が非常に注目を集めております。新聞や週刊誌等でかなり詳細な紹介がなされておりまして、これは、関西地区の各自治体がつくった地域防災計画とか、災害対策研究機関などの資料、データ等をもとにして、自衛隊独自の空からの偵察や研究者の協力で作成されたもののようであります。報道によりますと、この調査書は昨年五月に作成されたもののようですが、今回の阪神淡路大震災の被害の惨状を的確に予見して指摘しております。  例えば、こういうような記載があるようであります。「尼崎市~神戸市南部地域」これは長田区を指すようでありますが、「木造建築物が密集しており、地震に伴う家屋の倒壊及び火災の発生・延焼等の危険性が高い地域である。」とか、「兵庫県内対象地域はいずれも四〇%以上の高い焼失率が見積もられている。」とか、また、「これらの火災は各地域において地震発災後五~六時間で最盛期となる、じ後逐次鎮火の方向に向かい概ね二十三~四時間で鎮火するものと予想されることか、「神戸市北部地域において、崖崩れによる軌道、トンネル、駅舎等構造物の損壊が予想される。」今回の震災の被害を本当にあらかじめわかっていたような、そういうふうに思えるような記載がされている調査書であります。  私が今、報道によりますとと言ったのは、この調査書をぜひ見たいものだと思いましてお願いしたのですが、断られまして、結局新聞とか週刊誌に出ている内容しか現在の段階ではわかりません。国家機密とか外交機密というような資料ではないと思うのですが、この資料がなぜ開示していただけないのか、その理由をお伺いしたいと思います、防衛庁。
  48. 三谷秀史

    ○三谷説明員 お答えいたします。  先生御指摘の資料、「大震災地誌 「京阪神編」」と称するものであろうかと存じますが、この資料は、陸上幕僚監部が部内におきます京阪神地域の地震災害に関します研究並びに災害派遣に関します検討の際の基礎資料といたしまして、先生御指摘の平成六年に作成したものでございます。  ただ、お断りしておきますが、いわゆる部隊の行動等についての計画を定めたものではございません。  さらに、その概要について先生御指摘ございましたが、阪神地区及び京都地区の地形、地質、気象、海象、建造物、道路、鉄道、電力、ガス等の現況及び地震発生時の被害見積もり、さらにそれぞれの防災組織、体制というものにつきまして、関係する地方自治体、国の機関あるいは公益事業者等の作成なさいました防災計画でありますとか、統計資料でありますとか、さらには調査研究等の資料をいただきまして、これを取りまとめたものでございます。  したがいまして、あくまで防衛庁の部内研究用の資料として御提供いただいた資料から成り立っておりまして、資料提供を受けました地方自治体などとの関係から、防衛庁の判断によって提出することが困難なことを御理解願いたいと存じます。
  49. 富田茂之

    ○富田委員 そうおっしゃいますけれども、今言われているように、近畿地区の関係自治体にはもう完成後すぐ配付されたわけですね。陸上自衛隊の中部方面総監は、週刊誌のインタビューにこういうふうに答えているのですね。「地誌はできれば増刷したい、と思っています。色付きの地図もありますから費用が高くつきますが……。行政はやることをやっていない、この地誌を見てもらえれば、それが分かってくるはずです。」こういうふうにインタビューに答えているのですね。こんなことを言っているのだから、国会で開示できない理由は僕はないと思うのですよ。どうですか。
  50. 三谷秀史

    ○三谷説明員 今御指摘の関係自治体でございますが、ここで言っております関係自治体と申しますのは、今申し上げました資料提供をいただきました自治体でございます。関係する当該地域のすべての自治体に配付したわけではございません。本地誌は、先ほど申し上げましたように、部内用の検討資料として作成したものでありますが、その資料を提供していただいた自治体には、業務の参考資料として活用いただけるよう御配付させていただいたものであります。
  51. 富田茂之

    ○富田委員 何でこんなことをしつこく聞くのかといいますと、この資料は本当に私自身も価値あるものだと思うのですよ。週刊誌でしか中身はわかりませんけれども、本当に詳しい基礎データが載っております。  今の御説明だと、資料の提供を受けた自治体に配ったというのですけれども、この配付を受けた関係自治体は全くこの調査書を活用していないというような報道もされているわけです。本当にもったいない話でして、防衛庁の方に伺いましたら、この「大震災地誌」というのは、京阪神編のほかに、関東編、東海編、中京編と、大地震が予測される各地域についてもつくられているようであります。資料をもらったところにしか見せないなんという狭い了見じゃなくて、本当に、提供していただいて、この資料を十二分に活用して、都道府県、警察、消防、自衛隊等が本当に密接な連携のもとに防災計画を作成する必要があるのじゃないか。防災基本計画もそうですし、それを利用して地域防災計画も策定していく、こういう姿勢が必要なんじゃないかな。  また、平素から自衛隊を含む関係行政機関または関係地方公共団体で一緒に実のある訓練を行って、ともに密接な関係を確保するということが災害時の救援活動について効果的だし、本当に大事だというのは、今回の経験でわかっていると思うのですね。防衛庁の方にももう少し考えていただいて、資料の提示ができるようなことを考えていただきたいと思います。  この「大震災地誌」について、自治省また消防庁は内容をどの程度把握されているのか、また、どういうふうに評価されているのか、お聞かせ願いたいと思います。
  52. 野中広務

    野中国務大臣 今委員から御指摘ございました、陸上自衛隊幕僚監部が作成をしたと言われます「大震災地誌 「京阪神編」」というのは、たしかこの前予算委員会で、新進党の方から、自衛隊から借りてきたということで私ども分厚いものを見せられました。  その場で私、質問を受けて、ああ、さすが新進党は自衛隊とは関係が深いんだなと思って、むしろ、私どもには全然見せてもらったことはないのにと感心をしたわけでございますけれども、あれは、今防衛庁からも報告がありましたように、それぞれ家屋の倒壊被害とかあるいは火災による被害、人的被害等は、大阪、兵庫なりあるいは京都なり、それぞれの自治体がつくっておる想定した被害状況を集約されて、私、後から見ましたら、載っておるわけでございます。  ただ、これらの地域におきます地方公共団体、あるいは自衛隊の、あるいはライフライン関係問題等で、これから地方防災会議において、十分自衛隊の作成したものをも含めながら整理、そして吟味をされていくと思うわけでございますけれども委員が御指摘になりましたように、なおそれぞれ地方公共団体あるいは消防、そして自衛隊、今までの防災訓練等、今度の震災で反省をしながら、それぞれの機能が十分生かされて、被害が最小限度に食いとめられるような努力はこの地震の教訓にかんがみてやっていかなくてはならない、特に連絡調整等、重要な課題を残したと思っておる次第でございます。
  53. 富田茂之

    ○富田委員 大臣の方から積極的な御発言をいただきましたので……。  防衛庁の方は、大震災地誌等を利用して、今後の防災計画の作成という点に関してどういうふうにかかわっていきたいというふうに考えておりますか。
  54. 山崎信之郎

    ○山崎説明員 お答え申し上げます。  今回の大震災、防衛庁としても最善を尽くしたところでございまして、例えば地方自治体との関係につきましても、災害対策基本法に基づきまして、例えば陸上自衛隊の方面総監またはその指定する者が都道府県防災会議委員に充てられておりまして、この会議を通じまして、自衛隊としては同会議が作成をしています地域防災計画の作成に協力をしてきたところでございます。  しかしながら、今回の大震災一つの我々としての教訓といいますのは、やはり災害派遣というのが一番効率的に行われるということは地方自治体との連携の強化以外にないというのが大きなところであります。したがって、今までも御協力をいたしてきたところでございますが、今後とも、今回の災害派遣の、申し上げました経験を踏まえながら、例えば担当者相互間のより密接な連携を図るなど、積極的に地方自治体さんとの協力をしていきたいというふうに考えているところでございます。
  55. 富田茂之

    ○富田委員 災害対策の関係で、あと備蓄食糧等について何点か質問させていただきたいと思います。  西宮市の防災対策課長が新聞社のインタビューに対しましてこのように答えておりました。備蓄の必要性を痛感した、食糧と毛布を児童減であいた小学校の教室に備蓄する地域防災センターを設ける構想を持っていた、だけれども、実際はこういう構想は実現できなかったということで、かなり反省しているというようなインタビュー記事がありました。先ほどの大震災地誌の中にも、備蓄食糧、備蓄毛布がこれは全然足りぬというような記載もされておりました。特に、乾パン等非常食が全く用意されていないというような具体的な指摘もされておりました。  今回の災害の経験を踏まえて、自治省の方としては、全国地方自治体の食糧あるいは毛布等の備蓄状況をどのように把握されているのでしょうか。また、今後の備蓄体制をどのように考えていらっしゃるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  56. 野中広務

    野中国務大臣 消防庁におきましては、災害の際におきます食糧等を迅速かつ円滑に配給をするために、地方公共団体みずからが備蓄倉庫を持つとか、あるいは地域の企業と流通在庫契約を結ぶとか、そういう指導をしてまいってきたところでございます。  例えば、全国で乾パンが一千五百四十万食、米が二千二百九十七トン備蓄されておるわけでございます。地域の企業との流通在庫契約では、乾パン三十七万三千食、米八千九百八十四トンが確保されておるところでございます。水につきましても、十万四千トンが確保されておるところでございます。  ただ、今回の阪神大震災を振り返ってみますと、例えば乾パン等については非常に評判が憩うございました。そういう点から考えますと、炊き出しというのを優先して考える必要がありますし、またライフラインが崩壊をした中では、備蓄というのは最低三日は必要ではないか。それだけよそから入らなくても耐えられる状況というものを考えておかなくてはならない。こういうことを考えまして、それぞれ地域の防災計画の中に、あるいは今後地方公共団体を指導していく上において、私どもも備蓄のあり方について、なお今委員が御指摘になりましたようなことを踏まえ、考えていかなくてはならないと存じまして、平成七年度の交付税の中においてもこれの財政支援についての措置を考えておるところでございます。
  57. 富田茂之

    ○富田委員 今大臣の方から乾パンのお話があって、これは次に聞こうと思っていたのですが、先日の地方分権特別委員会に釧路の鰐淵市長さんが参考人でいらっしゃいまして、乾パンに関して具体的な提言をしてくださいました。  市長のお話ですと、北海道で備蓄食糧を準備しているのが札幌市と釧路市しかない。しかも釧路はたった百五十食だ、これでは全然意味をなさないというようなことで、釧路市長さんが考えているのは、今大臣がちょっと評判が悪かったという乾パンを小中学校の給食に年一回出したい。年一回出せば二万食を準備できる。二万食を準備できれば何かあったときにでもとりあえず一回目の食糧配付はできるのではないかということで、なかなか市町村が備蓄しないというのはやはりお金の問題だ。備蓄しても一年から一年半たてば捨ててしまう、全くむだになってしまうので備蓄という方向に向かないということで、釧路市長さんは、とりあえずまず乾パンを小中学校の児童分用意して、それを備蓄に充てたい、年に一回、防災の日なり何かに給食で出せば捨てることもないし、きちんと財政的な裏づけもつけて備えられるのではないかというふうに言われておりました。  こういう何か具体的な方法をそれぞれの地域考えるのもいいのですが、自治省の方が主体的になられて、今いろいろな指導をされているというお話でしたけれども、こういう点も参考にしていただいてやっていただければなと思います。  備蓄の関係で、災害医薬品の備蓄ということについて、何回か報道がされておりました。大規模災害などに備えた医薬品類の備蓄体制をとっていない自治体が三十道府県に上るというような報道がございました。これは厚生省の方にお伺いしましたら、実際は二十九道府県が全然とってないのだということなのです。  こういう災害医薬品についてこれまで全く備蓄体制をとっていない都道府県に対して、厚生省の方では何か具体的な指示とか指導とかされているのでしょうか。
  58. 伍藤忠春

    伍藤説明員 お答え申し上げます。  私ども兵庫県以外の都道府県を調査いたしましたところでは、十七都府県におきまして備蓄が行われておるという状況でございます。二十九道府県においては何ら手当てがされていない。十七都府県の内容も、関東近県の八都府県におきましては専用の備蓄センター等を持っておるということでかなり本格的な備蓄でございますし、そのほか九県におきましては流通在庫を利用するというような形の対応をとっているようでございます。  これは基本的には地域防災計画で都道府県が今後計画の中でどういう体制をとっていくかという御判断をされることと思いますが、こういった現状の備蓄の状況、かなり先進的な都府県の状況を私どもも収集をいたしまして、各県にフィードバックして、これを参考にこれから各都道府県で地域防災計画の見直しも行われることと思いますが、その中で地域の実情に応じた対策をとっていただきたい、このように考えております。
  59. 富田茂之

    ○富田委員 今のお話ですが、特に災害医薬品については、今回の震災の経験を踏まえて、専門家の方から、大規模災害では発生直後に外科医薬品類、次に風邪薬等の常備薬、さらに長期化に伴って糖尿病や肝臓病など慢性疾患薬の確保が重要になるというような指摘もされております。この点については、厚生省の方では何か具体的な配慮等をしているのでしょうか。
  60. 伍藤忠春

    伍藤説明員 ただいま先生御指摘のあったとおりでございまして、今回の直後の状況の推移を見ますと、必要な医薬品の種類というのも刻々と変化をしてまいります。多分私ども備蓄という観点で必要なのは、その地震発生直後の二、三日間の緊急外科的な手術等に要する点滴液でありますとか、外科用の器材、そういったものが必要であると思いますし、そういったものがまた備蓄になじむものだというふうに思います。  ある程度日時が経過した後の慢性病でありますとか、そういったものに対応する手段というのは、地元の医薬品の流通業者等が壊滅的な打撃を受けない限りは、ある程度短時間、短時日のうちに回復をできますので、備蓄が必要だというのは、その直後の二、三日間のものが必要ではないか。現に今、東京や静岡等で、先進的な県で備蓄をされているのも専らそういう種類の備蓄ということでございますから、こういうところにポイントを置いて、これから各県で備蓄体制をどうするかということを考えていただきたいというふうに思っております。
  61. 富田茂之

    ○富田委員 備蓄の点に関しましては、大臣の方からもかなり具体的なお話をいただきましたので、自治省、消防庁が主体的に食糧とか医薬品等、いろいろ縦割りの行政という部分があるのでしょうけれども、総合的にその状況把握等をしていただいておいた方が本当にいいんじゃないかなというふうに思っております。  最後に、残りあと十分ぐらいですので、住民基本台帳番号制度ということについて、自治省の方にお尋ねしたいと思います。  今月の一日に住民基本台帳をもとに国民に番号をつける住民基本台帳番号制度、一九九八年度をめどに導入するという方針を自治省の方が発表されたようであります。これは行政局長の私的諮問機関であります住民記録システムのネットワークの構築等に関する研究会が一日付で中間報告を提出したのを受けたものであるというふうに報道されておりました。  ところで、この研究会なんですが、一体いつ発足して、どういう構成で、この中間報告に至るまでどういう研究をされてきたのか、これまで全く表に出ておりませんでしたので、差し支えない範囲で教えていただければと思います。
  62. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 お話ありました住民記録システムのネットワークの構築等に関する研究委員会でございますが、これは昨年の八月に発足をいたしましたものでございまして、座長は東京大学法学部の小早川先生でございまして、学識経験者の方々や地方公共団体の方々等を委員にお願いして、鋭意検討、研究をお願いしてきたところでございます。  この研究会におきましては、住民基本台帳番号制度の概要、それから番号の活用方策、付番の方法、番号制度と住民基本台帳法との関係等につきまして検討が行われてまいりまして、先般中間報告をいただいたところでございます。
  63. 富田茂之

    ○富田委員 今の説明では余りよくわからないのですけれども、この研究会が八月にできた段階でマスコミ等に何らの発表もされなかったというふうに聞いております。なぜこの研究会発足時にマスコミに発表されなかったのか、その点理由があるのであれば教えていただきたいと思います。
  64. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 研究会は昨年の八月に発足をしたわけでございますが、その時点で私どもの方から積極的な記者発表をしているわけではございませんが、一部新聞には報道をされているところでございます。私どもといたしましては、この研究会で研究をしていただきまして一定の成果が上がった、その結論が今回中間報告でまとまったということで、これを積極的に記者発表をいたしたということでございます。
  65. 富田茂之

    ○富田委員 この研究会の中間報告の要旨というのを自治省の方からいただいたのですけれども、何点か気になるところがありますので、ちょっとお尋ねいたします。  住民基本台帳については、昨年の四月一日現在で全国三千三百二十五市町村の八九・四%に当たる二千九百十三団体、人口で見ますと九八・一%に相当する人口をカバーしているようですが、その台帳事務がもう既にコンピューター化されている。番号自体は非公開ですけれども、各自治体ごとに現実問題としてもう住民に番号が付与されているわけですね。これだけもう十分個人情報について行政側で情報管理しているにもかかわらず、新たにこれを全国一元化というような措置をとる必要が本当にあるのだろうか。  また、新たに全国二元化するということになりますと、統一のセンターも必要になるということだと思うのですけれども、そのセンターを設置するコスト面等についてこの研究会で何らかの検討がされてきたのか、そのあたりが明らかになっておりません。もしわかるのであれば教えていただきたいと思います。
  66. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 現在の市町村の住民基本台帳の電算化の状況は、今先生から御指摘があったとおりでございまして、三千二百五十八市区町村のうち、八九・四%の団体が電算化をしておりますし、人口割合にすれば九八・一%というふうなことでございます。  急速にこの電算化が進んでいるわけでございますが、中間報告でも述べてありますように、マルチメディアへの対応等、これからの行政の高度情報化により住民がより高度な行政サービスを受けることができるようにしていくことを念頭に置いた場合に、市町村の区域を超えて個人を的確、効率的に識別できる必要性が高まってきているということでございます。  このような要請に対応するためには、住民に関する記録を正確かつ統一的に行うために設けられた住民基本台帳をもととした統一的な番号制度を設けることを検討する必要があると考えているわけでございます。ただ、これはさっきも申しましたように中間報告というものでございますので、これからさまざまの問題を検討していくということになるわけでございます。  そこで、もう一つの、この番号を導入した場合、コストについてはどうかというお話でございますが、今回の中間報告では、住民基本台帳を基礎とした番号制度についての基本的な考え方や、想定されますネットワークシステムに必要な条件の概要などについて検討が行われたものでございまして、このシステムの詳細につきましては、必要なコストの問題を含め、今後さらに研究会において検討がされる予定でございます。
  67. 富田茂之

    ○富田委員 なぜ必要かという御説明でしたけれども、中間報告の活用方策を見ますと、高度な人口統計等の作成が可能になるとか、災害時のバックアップ機能がある、これは本当にそのとおりだと思うのですね。これはこういう意味では確かにそういう必要性が出てきていると思うのですけれども、中間報告は、それに続いてこういうふうに言っているのですね。住民基本台帳番号を活用してさまざまな行政サービスの効率化、高度化、広域化を行うことが可能である、また、行政の高度情報化施策の導入の基盤となる、さらに、番号カード自体はさまざまな分野で活用することが可能であるというふうに報告しているのですが、これは具体的にどんなことを想定しているのかちょっとわかりにくいのですけれども、これはおわかりになりますか。
  68. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 今後の活用の問題でございますが、この研究会の中間報告でも述べてありますように、住民基本台帳番号を活用することによりまして一つの市町村の区域を超えて個人を識別することが可能になるということでございますので、そこらからさまざまな行政サービスの効率化、あるいは高度化、広域化ということが可能になりまして、行政の高度情報化の基盤整備となるものと考えているわけでございます。  具体的には、各種の手続の簡素化、あるいは住民が現在しなければならない各種の住所移転とか現況等の報告の簡略化によりまして、その住民負担の軽減が図られるということのほか、広域的な窓口サービスの体制の構築などもより容易にかつ整合的にできるようになると考えているものでございます。
  69. 富田茂之

    ○富田委員 今の説明ですと、本来住民の方に利便があるというよりも、何となく行政側の都合が優先しているなという感じもしないでもないのですが、特に、この報告書はプライバシーの保護の問題等を含め、さらに検討を行う必要があるというふうに指摘はしているのですけれども、それでは国民、住民のプライバシーを一体どうやって保護していくのだというような具体的な指摘が全くされていません。それは今後の検討課題だと言われるのかもしれないのですけれども、この点が欠落しては、幾らシステムとして有用なんだと言っても、住民から見ればとんでもないということになると思いますので、今後研究会で十分このプライバシーの保護ということについて慎重に検討していっていただきたいなと思います。  特にことしの一月に、埼玉県の志木市役所の方で住民基本台帳のコピーが名簿業者に持ち出されたというような事件が発生しまして、またこれは犯人が捕まっておりません。この事件を見ても、情報管理能力とか個人情報に対する意識の低さというのは、まだ本当に意識が低いなという感じがしますし、いろいろな問題点が数多く残されているというふうな感じがいたします。  新聞報道で、自治省では六月にもまとまる研究会の最終報告を待って、納税者番号制度での利用も念頭に住民基本台帳の改正作業に入る考えだというような報道がされていました。この報道が事実なのかどうか。こういうふうにあらかじめ期限を区切って、初めに結論ありきのような報告をされても困るのですね。  先ほど行政局長の方からいろいろな検討をしてきたんだとおっしゃっていますが、報道によりますと、まだ四回しかやっていない。四回でもう中間報告が出てきて、六月には最終報告が出て、何かそれでちゃんちゃんと手続が進んでいってしまうようでは、プライバシーの保護ということをうたっても、どこまで慎重に検討されるのか非常に心配であります。この重要なプライバシーの保護の問題について、期限等を区切らず、国民の意見等もきちんと聞くようなシステムをつくっていただきたいなと思います。  私自身は、国民には自分に関する情報の流れをコントロールする権利があるんだというふうに思っております。こういう観点から、この研究会での検討状況ももっと国民に開かれたものにして、国民に納得してもらった上で、こういう番号制度が必要であればつくっていくというふうにした方がいいと思うのですが、この点について大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。
  70. 野中広務

    野中国務大臣 御指摘の事項は、それぞれ研究会におきまして一応中間の報告がなされたものでございますから、これを外に発表することによってさまざまな議論をむしろ起こしていただきたいということで発表をしたわけでございまして、委員が御指摘のように、プライバシーの保護はもちろんのこと、悪用の問題、流出の問題、これからいろいろな問題を抱えておるわけでございます。  ただ、私率直に思いますのは、今度の阪神淡路大震災のときを考えますと、幸い市役所が完全に消滅したところはございませんでしたけれども、ああいう状態になったときに、罹災者をどのように把握し、住民をどのように把握していくかというのは、これから私どもに与えられた大きな課題でもあるわけでございますので、そういった問題、あるいは他の省庁で年金番号とかいろいろなことが考えられておるときでございますだけに、この中間報告というもので一つの議論をさまざまなところでやっていただいて、そしてやはり住民のプライバシーが保護され、かつ悪用されるようなことのない担保をしながら、こういうものについて一定の方向づけがされることは国家としても必要ではないのかなというように私は考えておる次第であります。
  71. 富田茂之

    ○富田委員 終わります。ありがとうございました。  関連で冬柴議員の質疑がございます。
  72. 川崎二郎

    川崎委員長 この際、冬柴鐵三君から関連質疑の申し出があります。富田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。冬柴鐵三君。
  73. 冬柴鐵三

    冬柴委員 新進党の冬柴鐵三です。  富田委員の御了解をいただきまして、関連して質問させていただきます。  平成七年二月二十八日、つい先日でございますけれども、最高裁判所第三小法廷は、「永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものについて、」「法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではないと解するのが相当である。」、このような判決が言い渡されました。  偶然にも私は、平成七年二月二日の衆議院予算委員会総括質疑の機会にこの問題を取り上げまして、終戦五十年かつ日韓国交正常化三十年の佳節を刻む本年、特別永住許可を受けた定住外国人に地方公共団体の長及び議員の選挙における選挙権を認める法改正を行うべきではないか、このような観点から、これをめぐる問題点について多少突っ込んだ質問をさせていただいたわけであります。そして、その締めくくりに、村山内閣総理大臣に対しまして現時点における感想をお伺いをいたしました。  総理は、「ずっと日本に居住をして、もう全く生活もつき合いも日本人と同じような暮らしをしておる、「私はよく理解できます。」「ただ、憲法九十三条と地方自治法の十条と、「住民しという概念がどういうふうに違うのか、そこらのところはまだ最高裁も明らかにしていませんし、法律的な解釈と現実的にどう判断をするかという問題と両面あると思いますから、これはこれからの宿題として大いに検討させていただきたいというふうに思います。」、このような答弁をされたわけであります。  まさに、総理が最高裁も明らかにしていないという部分について、冒頭挙げた判決は一つの解釈を示されたのだと私は解釈をいたすわけでございます。  政府は、従来、憲法九十三条所定の「住民」は憲法十五条一項を受けてのものであるから、その意義は、日本国民たる住民と解すべきであり、外国人たる住民を含む余地はないという立場をとって、地方自治法あるいは公職選挙法もこの一貫した立場で立法措置がとられてきたと理解をいたしております。  しかしながら、このたびの最高裁判決は、憲法九十三条の「住民」について、法律をもって一定の外国人を含ませることを憲法は禁止するものではないという終局的かつ有権的解釈を示したものでありますから、違憲立法審査権を有する最高裁判所の権限である八十一条に照らせば、政府は、この際、この最高裁判所判決に則したものに従来の政策を転換すべき時期に来ているのではないか、このように私は考える次第であります。その点についての自治大臣の所信をお伺いをいたしたいと思います。
  74. 野中広務

    野中国務大臣 委員今御指摘なさいましたように、先日の在日外国人についての選挙人名簿の不登録処分に関する最高裁判所の判決におきまして、各選挙管理委員会の行った処分に違法な点はないとされた原審の判断は認められたものでありますけれども、この判決の中で、委員が御指摘になりましたように、「我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものについて、」「法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではない」、そういう判決が下されたと承知をしておるところでございます。  いずれにいたしましても、総理が申し上げましたように、最高裁判所の判断でございますので、私どもこれを厳粛に尊重をしていかなくてはならないと考えておるのでございます。  この最高裁の判決で示されました選挙権の付与が禁止されない外国人の範囲、すなわち「我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるもの」というのをどのようにとらえていくのかといったような考え方やら、この問題は、我が国地方自治あり方と、あるいは国と地方公共団体の関係をどのように考えるのかといった基本的な事柄をも内蔵しておるわけでございますので、こういった問題をさまざまな角度から幅広く検討をされるべき課題であると考えるわけでございます。国会初め各党におかれましても十分な御論議を私は賜りたいと思うわけでございます。  結論といたしまして、最高裁の判決でありますので十分尊重をしなければならないと考えております。
  75. 冬柴鐵三

    冬柴委員 終わります。ありがとうございました。
  76. 川崎二郎

    川崎委員長 上田勇君。
  77. 上田勇

    ○上田(勇)委員 新進党の上田勇でございます。どうかよろしくお願いいたします。  最初に、今冬柴委員の方からも質問がありましたが、定住外国人の地方参政権の問題についてでありますけれども、今の大臣の御答弁の中でもありましたように、いわばその定住外国人の地方参政権、これを付与するか否かというのは、地方自治法あるいは公職選挙法の立法政策の問題ということになってくると思うんですが、この問題について地方議会でもいろいろ検討がされてきて、前向きな検討も行われているわけでございます。  私の地元の神奈川県においても、県とそれから県内三十七ある市町村、これで三十八自治体あるわけですが、その中で県を初めといたしまして、十その議会で趣旨賛成あるいはその趣旨賛成を議決、中でも十五の議会では中央政府に対して意見書の採択が行われております。この十その議会の中には、県はもちろんのこと、横浜市、川崎市など多くの主要都市が含まれているわけでありますが、このようにいわば当事者でもある地方議会でこのような前向きな姿勢が示されているわけでございますし、地方自治という観点からも、やはりこの地方議会における意思が最大限に尊重されることが重要だというふうに考えます。  こうした地方自治法あるいは公職選挙法の改正の問題について、いずれも自治省の所管の法律でありますが、その改正について今後どのような検討を行っていくのか、この地方議会の意思を尊重するという観点も含めて御見解をお伺いしたいと思います。
  78. 野中広務

    野中国務大臣 今、冬柴委員にもお答えをいたしましたように、「我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるもの」に限定をした判決が述べられておるわけでございます。  どの範囲の外国人の方々をその対象とするべきなのかという基本的な問題のほか、対象となる外国人も選挙管理委員会がどのように把握し、選挙人名簿への登録をどのように行うのかといったようなさまざまな議論を重ねていく問題でございます。  一概に私から申し上げるべき問題でありませんけれども、私どもは、そういう最高裁の判決を受け、かつ、委員御指摘のように、関係の都道府県、市町村議会から多くの請願が行われておるという現実をも直視しながら、最高裁判決を尊重する立場をとってまいりたいと考えておる次第であります。
  79. 上田勇

    ○上田(勇)委員 この問題については、ただいま申し上げましたように、いわば当事者でもある地方議会における意思がそういう形で、すべての議会ではありませんけれども、前向きな対応がされているわけでございますので、自治省としてもぜひとも前向きな御検討をお願いしたいというふうに考えているところであります。  次に、昨日も予算委員会の方で証人喚問等が行われましたが、東京都の東京協和信用組合、安全信用組合、二つの信用組合の問題について御質問をさせていただきます。  報道によりますと、東京都議会における質疑の中で大蔵省から都の方に示されたペーパーが公にされまして、このペーパーは都の答弁によりますと、大蔵省よりもらった文書であって、対応策の発表に当たってこの趣旨に沿った文書を作成するようにという意向であるというふうに考えたという形で述べておるわけでありますが、大蔵省がこの東京共同銀行の設立を含む救済スキームを描いて東京都に押しつけたと思われるような発言とも受けとめられます。私は、この東京都議会における質疑を聞く中で、これは明らかに地方自治に対して少し行き過ぎた介入なのではないかというような受けとめ方をいたしました。  また、都が三百億円の低利融資、これを予算から削除した段階におきましても、新しい知事が誕生した後、できるだけ早期に三者でまとめたスキーム案に沿って都が適切な判断をしていただきたい、このように大蔵大臣が発言しているわけでありますが、都民の代表でもある都議会において決定されたことに対して、こうした分入というのでしょうか、これをすることは、地方自治という観点からすれば多少行き過ぎがあるのではないかというような感じがいたします。  また、東京都知事は来月改選される、そういう状況の中で、主要閣僚があたかもこういう知事が誕生してほしい、期待するというようなことともとれるような発言というのは、これはもういわば都民の選択への干渉と言われてもいたし方のない面もあるのではないかと思います。  私は、地方分権ということを推進していくためには、国が地方の意思決定を十分尊重して、介入ととられるような言動というようなものはやはり慎んでいかなければいけないというふうに考えますけれども地方自治を担当され、また地方分権を進められる自治大臣の立場としての御見解をお伺いしたいと思います。
  80. 野中広務

    野中国務大臣 今回の二信用組合の救済問題に関しましては、私ども自治省といたしまして東京都から具体的な御相談にあずかった経過はないわけでございますので、これについてコメントを申し上げるべき立場にないわけでございます。  ただ、東京都が公益上の必要性からどのような対応をされるか、これを受けて議会が地方自治の本旨に沿って議会としての御意思を決定されるというのは当然のことでございまして、議会としての御意思はそのまま私どもは受けとめるべきであると考えておるわけでございます。
  81. 上田勇

    ○上田(勇)委員 今東京都の議会の意思は最大限尊重すべきであるという大臣の御見解だったというふうに考えますが、一般論としてこうした地方議会における決定についていろいろ閣僚等がコメントをされることはあると思うのですけれども、とりわけ現状のように都知事が勇退されて新しい都知事選挙が行われるという状況の中で、このように新しい知事に対して注文をつけるというのでしょうか、こういう知事が誕生することを望むというようなことというのは、間接的にしろ選挙への介入というふうな形にもとられかねないと思いますけれども、その辺についてお考えがあればお伺いしたいと思います。
  82. 野中広務

    野中国務大臣 委員が具体的に何を指しておっしゃるのかわかりませんけれども、少なくとも閣僚懇談会で閣僚が国政全般についてフリーに発言をするというのは従来にない私は開かれた内閣あり方だと考えておるわけでございまして、ましてそれぞれ閣僚が一人の政治家とし、政党人として発言をすることについては、これは私は許容されるべきであると考えておる次第であります。  おのずから所管大臣としての節度は持つべきでありますけれども、私ども政党人として政党活動の一環として行うことについては、これは許容されるべきであると考えております。
  83. 上田勇

    ○上田(勇)委員 この問題についてはこの辺にさせていただきたいと思いますが、次に地方財政の問題についてお伺いしたいと思います。  現在、景気の低迷による税収不足あるいは住民税の減税等によります歳入減少の中で、景気対策を含めます公共投資がかなり増額している。あるいは、ガット・ウルグアイ・ラウンドの対策などのための歳出が増大しておりまして、その地方財政における不足分が結局は地方債で賄われる。また、地方交付税、手当てされる場合でも、特別会計の借入金、結局は借金で賄われているのが現状であります。  平成七年度末の借入金残高、これが百十五兆円、これも、数字も、震災復興費などを含む平成七年度の補正予算の編成、これはもう必至であるというふうにだれもが考えていることでありますので、この額はさらにかなり増大するというふうに考えざるを得ないと思います。私は、こうした現状の地方財政、極めて危険な状況にあるというふうに考えておりますけれども、政府としての認識をお伺いしたいと思います。
  84. 野中広務

    野中国務大臣 御指摘のように、地方財政は、経済対策のための多額の公共事業や地方単独事業を追加したことに伴いまして、地方債を増発をいたしました。一方、住民税、所得税の減税を前政権から先行されてきたわけでございますので、この減収額やあるいは財源不足額を補てんするために多額の地方債の発行や交付税特別会計におきます借り入れをも行ってきたところでございまして、委員御指摘のように、平成七年度の末では百十六兆円を超える多額の借入残高を抱える見込みでありますし、一方、今回の阪神淡路大震災の復旧、復興あるいは救援等を考えますときに、多額の財政需要もまた想定をされるわけでございます。  さらに、公共投資基本計画等の考え方に沿った住民に身近な社会資本の整備やウルグアイ・ラウンド農業合意に伴います国内対策、あるいは地域福祉の充実、自主的な活力のある地域づくり等、現在地方を取り巻く重要な政策課題というのは山積をしており、地方団体の担うべき役割は、財政需要はますます厳しゅうございますけれども、これを克服してやっていかなくてはならない課題が山積をしておるわけでございます。  地方団体がこのような役割を十分果たしつつ借入金の償還を含め円滑な行財政運営を行っていきますとともに、この問題につきましては、国の行財政改革はもちろんのこと、地方もまた大胆な行財政改革を行う一方、私どももその地方の役割が十分果たせますように、借入金の償還を含め、円滑な行財政運営を行っていくため、今後とも毎年度の地方財政計画の策定を通じまして必要な税財源の充実、確保を図りまして、地方団体の健全な財政運営の確保にさらに努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  85. 上田勇

    ○上田(勇)委員 今の大臣の御答弁で、地方財政に対して配慮はしていくというような趣旨は十分理解しますが、公共事業、これにはウルグアイ・ラウンド対策の農業関係の公共事業、これがかなり増額されているし、その他の公共事業も増額されているわけでございますが、こうした公共事業を実施いたしますと、国費を除く地方負担分の五%は地方交付税の単位費用でカバーされるものの、残り九五%は臨時公共事業費などの地方債で充当されるというような制度になっているというふうに聞いております。  これは、結局は地方の借金として、公債費でありますので残るわけでありますが、地方財政を圧迫しないようにどのような対策を講じていくのか。先ほど地方財政に対してさまざまな対策を講じていくというような発言でありましたけれども、具体的にこの地方財政、こうした公共事業の実施に伴う地方財政が圧迫されないようにどのような対策を講じていくのか、お伺いしたいと思います。
  86. 遠藤安彦

    ○遠藤政府委員 お答えを申し上げます。  御指摘のように、現下の国・地方を通じます非常に厳しい財政の状況の中で、公共事業の執行につきましても、その大部分を地方債に頼っているところでございます。したがって今後は、先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、やはり税、交付税等の一般財源を充実をして、これまでの公共事業の実施と同様な財政運営の態度をとっていくということに早く復元をしていくということが目標になってくると思います。  それから、御質問にありましたように、現在、発行をいたしました財源対策債等の元利償還を具体的にどのように措置していくのかということでありますが、これらの元利償還費につきましては、大臣も御答弁ありましたように、毎年度の地方財政計画に公債費としてきちっと計上をいたしまして、この元利償還が可能になる財源対策というものを地方財政計画全体の中でバランスをとって確保していく、その財源を確保していくということで地方団体の財政運営に支障のないようにしていきたいというように思っているところであります。今後の説あるいは地方交付税がそれにたえられるかどうかということが基本的には問題になってくると思います。  私どももそういった面での一般財源の確保というものに努めてまいりますが、その場合には、やはり地方交付税法の六条の三というような規定もございますので、そういったものも頭に置きながら、これからの地方財政計画の策定、地方財政に支障がないように努力をしていきたいというように思っております。
  87. 上田勇

    ○上田(勇)委員 今、地方財政計画の中で位置づけるということでありますが、公債費の償還について、これは償還が開始される段階で地方交付税において措置されるというふうに理解してよろしいのでしょうか。
  88. 遠藤安彦

    ○遠藤政府委員 地方交付税の基準財政需要額の中に算入をしていくということでございます。
  89. 上田勇

    ○上田(勇)委員 交付税で対応するということでありますが、このことについて一点お伺いしたいと思いますが、つまり、こうした公共事業を実施する場合の事業費は、ほとんど国の補助金と地方交付税で手当てするということでありますので、それは地方財政の面から見れば大変地方財政に対してちゃんとした配慮が行われて結構なことであるというふうに考えるのですが、しかし、ここで一つ懸念されるのは、そうすると今度は地方の立場からすると、国が事業の計画も行い、いろいろな形はあるにせよ事業費も面倒を見るということであると、地方の立場からは効率的に事業を実施しようとするとか、そういうインセンティブが働かないのではないか、あるいは、どうしても過大で効率性の低い投資を誘発してしまうのではないかというような気がいたします。  また、地方の各自治体が独自性のある予算編成を行おうとしても、そういうインセンティブが働かずに、とりあえず補助金や地方交付税で手当てされる、国で決められたような画一的な事業を実施してしまうのではないかというようなことも懸念されるわけでありますが、こうした地方財政に対する措置については自治省の対策を私も賛成するわけでありますけれども、それによって逆に今度地方の独自性、主体性が損なわれるようなことがないのか、その辺についての御見解をお伺いしたいと思います。
  90. 遠藤安彦

    ○遠藤政府委員 ただいま先生御指摘になったとおりだろうと思います。私どもも、公共事業を、補助金を受けてやるいわゆる公共事業と、地方が単独で自分たちの意思に基づいてやる地方単独事業と、二つ種類があるわけでございますけれども、近年、地方の自主性、自立性ということを尊重する立場から、地方単独事業のウエートというものを非常に高めてきたところであります。  昭和五十年代は、ただいま先生御質問ありましたように補助事業が中心でございまして、全国的に見ますと、事業量としては補助事業の八割あるいは七割ぐらいが単独事業であったわけでありますが、現在はその量が逆転をいたしておりまして、現在一年間に全国の地方団体が行っております単独事業は、補助金を受けて行います公共事業の実に一・七倍から一・八倍ぐらいの規模になっておるわけであります。  私どもとしては、そういった中で地方団体が自主的に、しかも自分たちの団体に真に必要となる公共施設、公共事業、そういったものを単独に、効率的に選択をできるような単独事業の充実というものも図ってまいったところでありますし、今後もそういった考え方で単独事業ができるような財源措置の充実について努めてまいりたいというように思っております。
  91. 上田勇

    ○上田(勇)委員 先ほど大臣からも、地方における行財政改革の必要性といったことが述べられました。今も局長の答弁の中でも、地方の独自性、自主性を生かした地方単独事業の必要性といったことが言われたわけであります。  しかし、現実に公共事業の実施のあり方を見てみますと、これはやはり補助金や国庫負担金、そういう形で、それと、その残った補助残の部分を地方交付税の基準財政需要額に算入するというような形で手当てされるものがほとんどであるというように、ほとんどというか、かなりあるというふうに考えております。  これは先ほど大臣も、地方の行財政改革、これは国の行財政改革と同時に重要な課題であるというふうに御答弁になりましたし、私も全く認識を同じくするものでありますので、これからいろいろな公共投資の実施に当たって、地域の本当にニーズをとらえて、さらにできるだけ効率的で、過大な投資はできるだけ極力避けて、真に地域の利益になるような事業を実施する必要があるというふうに考えております。  そのために、一つ考え方としては、国が実施すべき事業と地方が実施すべき事業をもっと端的に分けて、その負担のあり方も、一部補助するとか一部国が負担するというような考え方から、国がやるものと地方がやるものを明確に分け、国が実施するもの、地方が実施するもの、それぞれ負担についても明確に立て分けて実施していくということも一つの方法であるというふうにも考えるところであります。  これはもちろん関係省庁、いろいろな省庁にまたがる問題で、自治省のみにおいての判断のつかないというか、御答弁いただけない部分もあるかとは思いますけれども、今後こうした地方の行財政改革考えるときに、このような公共投資のあり方について御見解があればお伺いしたいと思います。
  92. 野中広務

    野中国務大臣 先ほど財政局長から答弁いたしましたように、現在では補助事業を大きく上回って地方単独事業が推進をされておるわけでございます。ただ、補助事業の中には、委員が今御指摘になりましたような問題等も残されておるわけでございまして、委員の古巣等はもっと大胆にやってほしい部分が私も散見されるわけでございますけれども、結局は、究極のところ、地方分権をいかに推進していくかというところに私は帰着してくると思うわけでございまして、国が本来やるべき役割と地方がやるべき役割を明確に分けるとともに、それに伴ういわゆる財政、税財源を付与していくということが行われれば、地方に大きな活力と、そして責任感と住民福祉あるいは地域の活性化に役立っていくと私は思うわけでございますので、ただいま御審議をお願い申し上げております地方分権推進法案が一日も早く上がり、そして委員会においてその峻別が行われて、具体的な地方分権のスケジュールが進んでいくように期待しておるところでございます。
  93. 上田勇

    ○上田(勇)委員 野中大臣には、私ども経歴についてまでいつも大変詳細に調べていただいて、その点については大変敬意を表するわけでございますけれども大臣もこれまで地方自治にも長く携わられたお立場もございます。  これから中長期的に見るときに、国も地方も財政事情というのが必ずしもこれまでのような状況が続かないというのはもう明らかでありますので、本当に地方のニーズに対応できて、しかも効率的な事業が実施できるような考え方、やはりこれは自治省がある意味で各省と調整に当たっていっていただかなければいけない問題でもあるというふうにも思いますので、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。  それで、本会議関係もあって、私の質問時間が午前午後にまたがっているもので、いろいろと話題が飛んで申しわけないのですが、午前中の最後に、次に、最近急増しているけん銃犯罪の問題について、これは昨年十一月にも当委員会でかなり審議されているところでありますが、この問題についての対応についてお伺いしたいというふうに思います。  最近の特徴を見てみますと、これは警察庁の方から御報告をいただいたのですが、平成四年以降発砲回数も死者数も急増している。とりわけ昨年は、駅構内で一般人が射殺されたり、企業へのけん銃発砲事件があるなど、従来型のいわゆる暴力団の抗争以外の事件が著しく増加していると思います。  先日公表された世論調査の結果でも、国民我が国の治安が悪化している、不安を感じているという認識も示されているところでありますが、これはやはり最近急増しているこういうけん銃等を用いた凶悪犯罪の増加が背景になっているとも考えられます。治安のよさ、とりわけ大都市における治安というのが我が国世界に誇れる極めてすぐれた点でもあるわけでありますので、国民のこういう治安に対する不安が増大しているということは、非常に深刻な問題というふうに私は受けとめております。  こうしたけん銃事件の多発でありますけれども、そのけん銃の多くはやはり周辺国から密輸されているというケースが多いというふうにも聞いておりますが、警察庁のみならず、関係行政機関の連携による水際対策の強化や周辺諸外国との協力、こういったことが不可欠であると思います。昨年十二月に関係省庁の連絡会議の申し合わせが公表されておるわけでありますが、その後具体的にどのような対策が講じられてきたのか、またそれによってどのような実績が上がってきたのか、そしてさらに今後どういうところを重点的に進めていくのか、御見解をお伺いしたいと思います。
  94. 中田恒夫

    ○中田(恒)政府委員 お答え申し上げます。  今委員御指摘のようなとおりでございまして、平成六年、昨年中でございますが、一年間の銃器の発砲回数というのは二百四十九回を数えておりまして、平成四年以降二年連続して増加もしておりますし、また死者もふえております。その詳細を見ますと御指摘のとおりでございまして、今やけん銃の発砲というのは、かつての暴力団の社会内部の出来事というようなものにとどまりませんで、一般市民とか企業が被害者になるというような凶悪な事件が目立っておるわけであります。そういうようなことで、これがけん銃問題の質的な変化の兆しにしてはならないわけでございますので、治安上大変重大な事態と認識して私ども取り組んでおるところでございます。  また、これも御案内のとおりでございますけれども、けん銃の押収状況を見てまいりますと、暴力団以外の者からの押収でございますが、昨年は一年間で全体の二八・九%が暴力団以外の者が不法に所持しておったものでございます。ということで、こういう層にけん銃の不法所持が広がっているというようなことも重要なポイントだろうというように考えております。  そこで、この事態に的確に対処するため、昨年末に急遽関係閣僚会合や関係省庁の連絡会議が開催されまして、こういった場におきまして対策の強化が申し合わされたところであります。その中で警察としてもその着実な推進を図るべく努力をしておるところでございまして、具体的に三点ほど申し上げますと、その一つは、専門の捜査員の養成、増強等によりまして取り締まり体制を強化した上で的確な内偵捜査を進める、そしてけん銃の徹底的な摘発を図るというのがまず第一でございます。  それから、第二は水際対策で、御指摘のとおりでございます。税関、入管等関係機関との間で実務者級の連絡会議を非常に頻繁に開くようになっております。また機動的に開くようになっております。そしてまた、個々の事件に対しまして共同サーチといいますか、摘発班などを個別に設けるようなことをこのごろはしております。こういうことで、関係省庁がより緊密な連携を図ることでやっていこうというのが第二点でございます。  それからまた、さらに広い意味の水際対策でございますが、外国の捜査機関との協力の問題もございます。けん銃の主要な製造国あるいはそれを送り出している仕出し国との間でより緊密な共助関係をつくるべくいろいろな会議を持つ、あるいは個別のバイの会議を持つというようなことをやっておるわけでございます。  それから第三に、けん銃対策に対する国民の理解と協力を得るということで、けん銃の抑止のための広報、啓発活動を引き続き展開しておるというようなことでございます。
  95. 上田勇

    ○上田(勇)委員 それでは、引き続き午後よろしくお願いいたします。
  96. 川崎二郎

    川崎委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十五分休憩      ――――◇―――――     午後二時五十七分開議
  97. 川崎二郎

    川崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。上田勇君。
  98. 上田勇

    ○上田(勇)委員 それでは午前中に引き続きまして、どうかよろしくお願いいたします。  後半においては、地方分権あり方について何点かにわたって質問をさせていただきたいと思います。先ほど本会議で、政府からは地方分権推進法案、そしてまた、新進党からは地方分権の推進に関する法律案、両案が提出されていますように、地方分権、この問題は緊急かつ重要な課題であるということはもう明らかでありますので、この点につきまして、何点か御質問させていただきたいと思います。  私は、まず地方分権を推進するに当たりまして必要なことというのは、国と地方の役割をはっきりさせていく、明確にさせていくということが先決であるというふうに思います。昨年十二月に閣議決定されました地方分権の推進に関する大綱方針、大綱では、この点については言及はされているものの、表現があいまいというような感じがしますし、先ほど本会議での答弁の中でも、この辺まだまだこれから詰めていくというような感じを受けたところであります。  その分権を進めていくに当たっては、やはり国が本来果たすべき役割、これは極めて限定的で最小限であるべきだというふうに私は考えるところでありますけれども、とにかくまずは国と地方の役割を明確にしていくことが先決であるというふうに考えます。この点についての御見解と、それからあわせて、それぞれ国それから地方の役割はどうあるべきか、この点についてもあわせ御所見をお願いしたいと思います。
  99. 野中広務

    野中国務大臣 先ほど本会議におきまして、地方分権の推進法案が審議を開始をいただきましたこと、まことに感慨深いものがあるわけでございます。  今委員からも御指摘がございましたように、国と地方公共団体の役割につきましては、国は国際社会における国家としての存立にかかわる事務等、国が本来果たすべき役割を重点的に担い、地方公共団体は地域における行政の自主的かつ総合的な実施の役割を広く担っていくこと、その方向で役割分担を明確にしていくことが重要な課題であると考えておるところでございます。  地方分権に当たりましては、今お話もございましたけれども、国と地方公共団体の役割を見直し、地方公共団体の自主性、自立性を高めて、住民に身近な行政は住民に身近な地方公共団体において処理することを基本として進めることが重要であると考えられるわけでございまして、このような視点に立って地方分権を進めてまいる所存でございます。  地方分権を推進しますことは現内閣におきます行政改革の重要な課題の大きな柱でございますので、二十一世紀に向けた、次代にふさわしい国・地方の関係を確立するために、私もまた具体的な成果を挙げるべく、閣僚の一人として取り組んでまいりたいと存ずる次第であります。
  100. 上田勇

    ○上田(勇)委員 国と地方の役割、これについてでありますけれども、昨年十一月の地方制度調査会の答申の中ではより具体的な形で、これでもまだちょっとわかりにくい面もあると思うのですが、大綱よりはもっと具体的な形で示されているわけですが、その国と地方の役割のあり方、この十一月の地方制度調査会の答申で示されている考え方と共通のものであるというふうに理解してよろしいのでしょうか。
  101. 野中広務

    野中国務大臣 私としては、第二十四次地制調で示されました国の役割というものについて同じような認識を持っておるものでございますけれども、このたび提案をされました法案に基づきます推進委員会がそれぞれ推進の方向で決めていただく分野の問題でございますので、今、個別具体的に申し上げることは御遠慮を申し上げたいと思うわけでございます。
  102. 上田勇

    ○上田(勇)委員 この十一月の答申でも個別具体的に言及しているわけではなくて、考え方の基本、そういうことが示されているわけでありますけれども、その点についても、いわゆる考え方の基本というのでしょうか、その辺も、やはりこれは新しく設置される委員会にゆだねるという考え方というふうに理解してよろしいのでしょうか。
  103. 野中広務

    野中国務大臣 基本的には、先ほども申し上げましたように、いわゆる国が本来担うべき国家の存立にかかわる事務は国が役割を果たしていくべきであるという認識に立って申し上げたわけでありまして、したがいまして、例えば外交とか防衛とか、あるいは国民の均一性を求める年金とか保険とか、こういう分野は私は当然国に帰属するものであろうと思っておるわけでございます。
  104. 上田勇

    ○上田(勇)委員 もちろん、先ほど提案された両案、これから委員会を設置して分権のあり方を検討していく、分権の方法を検討していくということでありますので、詳細といいますか、分権の推進方についてはその委員会の中で議論されていくことであると思いますが、やはりこれは、あわせて国会の場、当委員会においても、国の役割、あるいは地方の役割、これはやはりお互いに明確にしていかなければ、地方分権といっても結局はかけ声だけになって、明確な具体的な成果が上がらないというような懸念があります。  この点、もちろんその委員会、これから人選されるということで、それなりの見識、経験のある方が委員会に所属されることになるとは思うのですけれども、これは極めて重要な課題でもありますので、この辺は全部その委員会任せということではなくて、やはり国会の場においても、また政府の側においても、これはより具体的な御検討をぜひお願いしたいというふうに考えます。  さらに、あえて申し上げれば、地方制度調査会の答申に書かれているもののほかにも、例えば一月の阪神淡路大震災のような、そういった救援、対応などといった、いわば単独の自治体では対応がままならない、そうした国家的な危機、こういったこともやはり国の役割として加わる部分があるのかとは思いますが、基本的には私も、地方制度調査会答申の考え方、これに賛同しているところでありますので、どうかこの辺、いろいろな考え方をまとめたがゆえに多少表現があいまいになっている面もあると思うのですが、やはりこれはまずそれぞれの役割を明確化していくことが重要だというふうに考えておりますので、どうかその点、よろしくお願いしたいと思います。  まず、分権を進めていく。先ほどの本会議の議論の中でも、都道府県のあり方、それから市町村のあり方という形が出たのですが、まずは、今中央政府にいわば過度に集中している行政権限、これを都道府県にいかに移譲していくかということが、まず一つ重要な課題になってくると思います。  しかし一方では、今日の私たちの生活空間あるいは経済活動の範囲、こうしたものが現在の都道府県の範囲を超えるような広がりを見せている。都道府県単独では対応できないような問題もたくさんあるのも事実であります。  例えば、私の地元の神奈川県のような首都圏の東京隣接県では、毎日東京へ通勤通学する人がたくさんいる。そうした状況の中では、やはり産業政策であるとか住宅政策、交通政策など、県単独では対応できない、もっと広域的な考え方が必要な事柄というのもたくさんあるわけであります。こうした事情というのは、神奈川だけじゃなくて、東京に隣接するほかの埼玉や千葉でも同じような傾向があるというふうに考えられます。  したがいまして、こうした首都圏のような、地域によりましては、現在の都道府県よりも広域な、もっと広域な行政の範囲が必要であるというようなこともこれまで議論が行われております。  じゃ、現在の都道府県の範囲を超えるとすべて今度は中央政府が担当しなければいけないのかというと、これもまた地方分権の議論からすれば逆行することであると思いますが、そうなると、これからいろいろな各方面の方々から、こうした問題に対応するためには例えば道州制の提案とか、そういうことが行われておりますし、これまでの当委員会の議事の経過を見てもそのことが取り上げられたこともあるかとは思います。  また、例えばこれは大分県の平松知事などは、国の出先機関を束ねた九州府というような構想もありますし、中には連邦制みたいなことを提唱される方もおられます。  このような、いわば都道府県の範囲を超えるような行政体の必要性についてはどのように考えられているのか、御見解をお伺いしたいと思います。
  105. 野中広務

    野中国務大臣 今日、行政に対する多様なニーズが地方公共団体にも寄せられておる状況でございますので、委員が今御指摘になりましたように、都道府県の区域を超えて広域的な行政あり方というのも求められる観点の一つであろうと私も認識をしておるわけでございます。  ただ、現在地方自治法におきましては、御承知のように、一つの地方公共団体の区域を超えました広域行政需要に対応するための制度といたしまして協議会や一部事務組合等が規定をされております。また、御指摘の都道府県の区域を超えた行政需要におきましてもこのような制度の活用がされておるところでございます。  また、近年多様化しておる広域行政需要に対応するために、昨年六月の地方自治法の一部改正によりまして、広域行政を担う新しい特別地方公共団体として広域連合制度を創設されたところであります。  この制度は、広域計画の策定によりまして構成団体の調整を行うことができるものとなっておりまして、また国から権限の移譲に対応することもできることとなっておることなど、従来の広域行政に関する制度をより充実強化するものとなっておるのは御承知のとおりであります。自治省といたしましても、今後都道府県においてこの制度を積極的に活用することによって、御指摘のような都道府県の区域を超える広域行政需要にも適切に対応していきたいと考えておるところでございます。  なお、先般地方分権に対して答申をいただきました第二十四次地方制度調査会並びに行政改革審議会の分権部会におかれましても、一応、分権の受け皿を都道府県あるいは市町村の二層制として勧告をされたわけでございますので、当面、先ほど申し上げましたような広域連合等を通じてやってまいりたいと考えるわけでございます。  なお、道州制の導入につきましても、議論のあるところはよく承知をしておるところでございますけれども地方自治制度の基本構造にかかわる極めて重要な問題でありますし、今後中長期的に十分研究、検討がなされるべき必要があると存じておるところでございます。
  106. 上田勇

    ○上田(勇)委員 私も、この地方分権を進めるに当たってはまずは現行の都道府県のシステムの枠内で、これはもうそのとおりであると思います。と申し上げるのは、やはり今大臣の御答弁にもあったんですが、これは道州制というと全く新しい発想でありまして、逆にこういう議論を開始すると、制度論の議論ばかりでなかなか実質的な分権が進まなくなってしまうんじゃないか。それでは全く意味がないことでありますので、これは、まずは現行のシステムの都道府県という、国から都道府県への権限移譲ということで進めていくことについては全く異議のないところであります。  しかし、一方では、じゃ今度は、現行の都道府県の枠を超えると、先ほど都道府県間の協議会というようなお話もありましたけれども、これは、実態的にはなかなか行政を担い得るような機能は果たし得ない。そうすると、都道府県の枠を超えるものというのは、今度は中央政府がその権限を持ってしまうということでは、この分権の意味は、成果が十分上がってこないんじゃないかという気もしますので、これは次の段階の議論になるかもしれませんが、やはりこの地方分権の議論と同時並行で、こういう都道府県の枠を超えるような行政体についてそういう枠組みをつくっていく、例えば道州制のような議論についても同時並行で検討すべきであるというふうに考えますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
  107. 野中広務

    野中国務大臣 先ほど答弁で申し上げましたように、先般の地方自治法の改正によりまして、広域連合制度を創設をしたところでございますので、この広域連合をもって国あるいは都道府県の中間において広域的な行政の対応はなされると私は考えておるわけでございます。  けれども、いわゆる今回の衆議院の選挙制度の改正等を考えますときに、ブロック比例制度等が施行をされるわけでございますので、そういった問題等も視野に入れながら、道州制という問題は並行して、地方制度の骨幹にかかわる問題として研究を進めていかなくてはならない課題であると存じております。
  108. 上田勇

    ○上田(勇)委員 次に、都道府県とともに地方分権の担い手であります政令指定都市の権限、政令指定都市への権限の移譲についてお伺いしたいと思います。  指定都市は、十分な行政の規模あるいは能力を有しているということから、これまでも県の権限あるいは事務が相当程度移譲されている、そういった特別な扱いがこれまでもされてまいりました。しかし、こうした指定都市における事務や権限の分担のあり方を見るときに、例えば、これは幾つか例があるんですが、県の役割と指定都市の役割について、若干ちぐはぐな点があるような気がいたします。  これは、ちょっと例えば挙げてみますと、建設省所管の都市計画法に基づく開発行為の許可というのは、これは指定都市に権限が移譲されている。一方では、農水省所管の農業振興地域、農振法に基づく開発許可、これは都道府県だ。あるいは多くの公共事業の実施主体が、これは指定都市に権限が移譲されているのに、例えば建設省が行っている河川とか急傾斜地の崩壊対策事業、これは県の所管として事業が行われているなど、それぞれの法令でそれなりの考え方があってそういう事務や権限の分担が決められているものとは思いますけれども、全体を見ると、やはりこれはバランスが崩れているなというような気がいたします。  これは、県と指定都市の役割についてもっと明確にした上で、現在いろいろな、もちろん地方自治法で定められているものもあるんですが、各種法令ごとに定められているものもたくさんあります。これはやはり考え方を整理して、例えば一本の法律でこうした役割を明確にしていくとか、そういったことも考えることが必要なんじゃないかというふうに思います。そうすることによって、やはりもっと事務の効率化にもなりますし、地方の行財政の改革の一助にもなるんじゃないかというふうに考えますが、この点について御見解いかがでしょうか。
  109. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 政令都市制度につきましては、今お話がございましたように、社会福祉とか保健衛生とか都市計画、土木行政等、市民生活に直結した事務を都道府県から大都市に移譲をするとともに、あわせて行政監督上の特例を設けまして、現行の都道府県制度のもとにおける大都市行政の合理的、能率的な処理、市民福祉の向上を図ろうとする制度でございます。  今御指摘がございましたように、政令指定都市が処理する事務につきまして、地方自治法で規定しているものもございますし、また、地方自治法でなくて、他の個別法におきまして規定しているものもあるわけでございます。しかしながら、いずれの規定におきましても、政令指定都市の規模あるいは行財政能力に着目をしながら、市民生活に直結した事務権限を政令都市が行使すべきであるという基本的な考え方に立ってその事務配分の特例が行われているというふうに認識をいたしております。  今後、都道府県と政令指定都市の役割分担につきましては、一本の法令等で明確にすべきではないかという御提言でございます。これは今後の大都市制度のあり方を論議していく場合に、一つの論点であると考えているところでございます。
  110. 上田勇

    ○上田(勇)委員 指定都市というのはいわば本当の大都市でありますし、人口、面積ともかなりの大きさ、規模を持っている、行政の規模や能力もかなり大きい行政体というふうに考えているわけでありますので、やはりもっと思い切って国や県の事務権限を指定都市に分権してもよいのではないかというふうに私は考えるところであります。  ここに、これは大分前の資料になりますけれども、指定都市の方から「権限移譲等に関する要望」という要望書がありまして、ここの中でも各省庁分のそれぞれの要望が書かれているのです。この中にはもう既に処理済みのものもあるのかもしれませんが、全部で八十五項目にわたって各省庁に関する要望が挙げられています。  それを読んでみますと、かなり細かいところまで中央の大臣の許可が必要であるとか、あるいは届け出をするのにわざわざ県を経由しなければならないとか、確かに内容をよく調べないで読んだだけでも、何となくもっと簡素化、権限の移譲をしてもいいのではないかというようなこともたくさん含まれているわけであります。  もちろん、こういう御要望については自治省の方で御承知であると思いますが、これは自治省や総務庁の所掌のみにかかわることではないと思うのですけれども、一般論として、指定都市への分権の推進、これはぜひもっと推進していただくことを御要望したいというふうに思います。  次に、地方分権の議論の中で事務や権限の移譲とともに重要な問題というのは、やはり財源の確保ということであるというふうに思います。地方の自主財源を確保していくことが必要でありまして、先ほどちょっと午前中の議論の中でも出てきましたが、自治省の資料によりますと、現在の国と地方の税財源の比率が六五対三五になっているのに対して、歳出は全くその逆になっているという現状があります。この差は地方交付税とか各種補助金で対処されているわけでありますけれども、これでは、各地方の独自性を発揮した行政を行っていくということにはなかなか困難な面があると思います。  午前中もちょっと地方交付税のあり方について御質問させていただいたのですが、先ほど言及しました昨年十一月の地方制度調査会の答申の中でも、地方税、地方交付税、地方債、国庫補助金、こうしたことについて言及がされております。今後、地方の自主財源の確保について、やはり現行制度の単なる見直しというのではなくて、思い切った措置を講じていかなければいけないというふうに私も考えているところであります。  国庫補助金の問題については、事前にいろいろお話を聞く中で、いろいろな省庁に絡んでいることなので、自治省や総務庁だけではなかなか回答ができないということでありましたが、答申の中で、地方債のあり方について、「地方債許可制度については、地方債の円滑な発行を確保する見地から、一層、制度を弾力化・簡素化するとともに、その運用にあたり個々の地方公共団体の起債に係る国の関与を最小限度のものとすることが必要である。  また、地方債の良好な発行条件等を確保していくため、優良な地方債資金の充実、地方債市場の整備育成、外債等資金調達先の多様化等を図っていくべきである。」というような記述がございます。  これに類した地方債の発行についての提言というのはほかのところでも行われているのは承知しているのですが、この問題につきまして、これまでの検討状況並びに今後どのような方針で臨まれるのか、御見解をお伺いしたいと思います。
  111. 野中広務

    野中国務大臣 お尋ねの地方債の許可手続につきましてでございますが、地方債の手続につきましては、臨時行革審におきまして答申をされたことを踏まえまして、かねてから融資手続を含みます許可手続の簡素化あるいはすべての事業債の枠配分等、弾力的簡素化を図ってまいってきておるところでございます。  地方債証券に係ります発行条件の整備も、銀行等の自己資本比率規制の国際統一基準、いわゆるBIS規制に係ります地方債のリスクウエートの引き下げを行ったところによりまして、近年地方債の発行条件の改善が順次進みつつあるわけでございます。今後さらに資金調達方法の多様化などを進めてまいりたいと考えております。  今後とも、去る十二月に閣議決定されました地方分権の推進に関する大綱方針を踏まえまして、これまで簡素化の対象となっていない事業あるいは政府資金等についても簡素化の対象となるように検討してまいりたいと考えております。
  112. 上田勇

    ○上田(勇)委員 もう余り残り時間がございませんけれども、最後に、先ほどの本会議の議論の中でも、分権というのはまずは都道府県に権限を移譲する、そして次は都道府県の権限をできるだけ身近な市町村の行政に移譲していくということが議論されているわけでありますが、やはり市町村への分権ということが議論されるときには常に課題とされるのが受け皿の議論、すなわち、市町村の行政能力であるとか、市町村単独の範囲を超えをような行政需要が多いというような問題が挙げられるわけであります。  これは、これまでも地方自治法の整備とかいろいろな面でいろいろな制度が整えられてきたわけであります。従来は市町村の合併を促進するということが一つの方法としてとられたわけでありますが、地方自治法の改正によって広域連合であるとか、そういった新しい制度も導入されてきたわけでありますし、今国会にも合併促進法の延長とそれに伴う財源措置の拡充、そういったことも提案されております。  こういうふうに、いろいろと制度上の整備がされてきておりますし、市町村合併の促進あるいは一部事務組合、そして広域連合、いろいろな制度は整ってきたわけでありますが、具体的にどのような形で市町村への分権が行われていくのか。また、市町村としてはどのような体制を整えて準備すべきか。いま一つそのイメージがはっきりしないというのが現状ではないかというふうに私も関係者から聞いております。  先日、自治省からは、あくまで市町村の自主的な判断によるとの御説明をいただいたのですが、それは大変に結構なことだと思うのです。ただ、やはり市町村としては、これから地方分権が推進されるのに備え、こうした制度をどのように活用していくのか、実際戸惑っているというのが一部にある現実ではないかと思いますので、市町村合併、一部事務組合、広域連合、こうしたさまざまな制度の役割、それから使い分けについて、どのような形で考えられているのか、御見解をお伺いしたいと思います。
  113. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 今後地方分権を進めまして国と地方の役割分担を本格的に見直しまして、市町村への権限移譲等を進め、地方の自主性、自立性を強化していくとともに、地方団体としても、分権の時代にふさわしい行財政体制の整備を進めて、広域的な行政需要に対して的確、適切に対応をしていくということが必要になってくるわけでございますが、今お話にございましたように、昨年の地方自治法の改正によりまして、従来の一部事務組合制度に加えまして広域連合制度が創設されたところでございますし、また、今国会には、自主的な市町村の合併を推進することを目的といたしました市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案について提案をいたしまして、現在御審議をお願いしているところでございます。  それぞれどういう方法でこのようなものを活用すべきかというのは、まさに市町村がそれぞれのお立場で自主的に判断をして決めていただくということになるわけでございますが、それぞれの違いを、もう御承知だとは思いますが、若干具体的に申し上げますと、一部事務組合については、これは複数の市町村を前提として事務の共同処理をするという方式でございます。  それから広域連合の方は、最近広域的な行政需要が多様化してまいっておりますので、それに的確に対応できるような仕組みをつくり、そしてそこには国や県から権限の移譲が直接できる、そういう仕組みをつくっているものでございます。  合併については、もう御承知のとおり、一つの地方団体になるというようなことでございます。  それぞれ特質を持っているわけでございます。地方公共団体におきまして、それぞれの制度の特質を十分に検討していただきまして、どれが地域地域の実情においてふさわしいかというのを御検討いただきまして、それに即した選択をしていただくことが第一であるというふうに考えている次第でございます。
  114. 上田勇

    ○上田(勇)委員 時間ですので、これで質問を終わります。ありがとうございました。
  115. 川崎二郎

    川崎委員長 米田建三君。
  116. 米田建三

    ○米田委員 新進党の米田でございます。在日外国人の参政権問題について、何点がお尋ねをしたいと思います。  この間、在日外国人の地方選挙参政権につきましてまことに不可思議な最高裁判決が出て、実は私はびっくりしている一人なのです。選挙権を保障した憲法十五条は日本国民だけを対象とし、同条による権利の保障は在日外国人には及ばない。また、住民による地方自治を定めた憲法九十三条について、そこでの住民とは専ら日本国民のことを意味するとして、さらにまた憲法九十三条は、在日外国人に対して地方公共団体における選挙の権利を保障したものとは言えない。そう言いながら、永住者等には憲法上禁止されていない、こういう中身であったわけであります。つまり、保障していないが禁止もしていない、立法政策にかかわる事柄であるというふうに言っているわけでありますね。大変不自然な判決だという印象を私は受けたわけですが、いずれにせよ、今後真剣な討議が必要になったというふうに理解をしているところであります。  私は、在日外国人に対する参政権の付与に、たとえ地方参政権であっても慎重であるべきだという立場から、これから何点がお尋ねをしてまいりたいと思います。  そもそも参政権とは何かということでございますが、運命共同体としての国家の政治的運命そのものを決定する機能である、私はそういうふうに基本的に考えるわけであります。だから、居住、滞在をしていても、国の政治的な運命に最終責任を持ち得ない外国人に与えられないことは当然だと考えるわけであります。帰化の制度があるにもかかわらず、それを望まずに母国の国籍を固守するということは、これは逆に、日本国と政治的運命をともにすることを最終的には受容しない、そういう意思表示をしているというふうに解すべきではないでしょうか。  したがって、永住者あるいは長期の定住外国人といえども、生活の場は日本国にあっても母国の国民であることは間違いがないわけでありまして、母国の法の支配下、あるいは価値観の影響下にあるわけであります。国籍を固守するからには、みずからの母国、祖国に対する祖国愛というものも当然あるでしょう。  そこで、ちなみに申し上げますと、日本に在住者の大変多い某国の憲法、その翻訳したものの一部ですが、こうなっております。  「公民は国家の法と社会主義的生活規範を守り」云々。あるいはまた、「集団主義は社会主義社会生活の基礎である」「公民はいつでも革命的覚醒を高め、国家の安全のために身を捧げ闘争しなければならない」「祖国保衛は公民の最大の義務であり栄誉である」また、「祖国と人民に背反することは、最大の罪悪であり、祖国と人民に背反する者は、法に従って厳重に処罰する」こういった調子であるわけであります。  これは某国の憲法ですね。これは我が国の価値観とは相当な隔たりがあるわけですよ、大臣。  そしてまた、この国籍を持つ人々の指導的な立場にあり、かつまた本国政府と密接な関係にあるある方の著作によりますと、「海外の同胞は本国民族の一部であり、その構成員である」というふうにはっきりうたいとげているのですね。  私は、国籍というものが持つ意味は大変に重いと思うのです。日本に居住をしていても、国籍が違えば、やはり最終的には日本国という共同体の一員とは言いがたい。これは当然でしょう。今回の何を言いたいのかはっきりしないような最高裁の判決ですら認めているわけであります。選挙権は国民に保障されている、こういう大原則は国家というものが共同体である以上当然だと思いますが、この基本的な部分について、野中自治大臣、どういうふうにお考えか、伺いたいと思います。
  117. 野中広務

    野中国務大臣 我が国の憲法では、その前文におきまして国民主権の原理を定めております。そしてそのもとで、公務員を選定、罷免することは、憲法十五条によりまして国民固有の権利であると定めておるところでもあります。  先日の最高裁判所の判決におきましても、主権が日本国民に存するものとする憲法前文及び一条の規定に照らせば、憲法の国民主権の原理における国民とは、日本国民、すなわち、我が国の国籍を有する者を意味するということは明らかになっておると思うのでございます。そして、国及び地方の公務員を選定、罷免する権利を保障した憲法十五条一項の規定は、権利の性質上日本国民のみを対象とし、その規定による権利の保障は我が国に在留する外国人には及ばない旨を述べられていると承知をしておるところでございます。  その上で、憲法第八章の地方自治に関する規定の趣旨から、一定の外国人、すなわち、先ほどの御質問にもお答えいたしましたように、我が国に在住する外国人のうちでも、永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に密接な関係を持つに至ったと認められる者について、法律をもって地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されるものではないと述べられておると承知をしておるのでございます。  いずれにいたしましても、最高裁判所の判断については、私ども尊重をするべき立場にあると存じておるところでございます。
  118. 米田建三

    ○米田委員 最高裁の判決をそのまま御答弁という形でおっしゃっているわけですが、私のこの第一問目の質問は、そのことだけではなく、国家というものの本質は何なのか、参政権というものの本質は何なのか。だから、外国籍というものを、一つの国籍というものを一人の人間が固守するということの意味が何なのかということを大臣にお尋ねをしたわけでありまして、その方が何年住んでいようと、永住権者であろうと、少なくとも一つの国籍を、日本国籍でないものを固守するということの意味として、その意味がどういうところにあるのか、これはやはり国籍というもの、日本国籍というものも含めまして、共同体を構成するその意思のあらわれである、そうではございませんかという意味でお尋ねをしたわけなのです。  次の質問に移りますけれども、今在日外国人の皆さんの全員が参政権を要求しているわけではございません。仮にの話になるのですが、仮に立法化するとして、まさかその一人一人の国籍やあるいは思想、信条をチェックしたり、あるいは一人一人に参政権を希望しますか希望しませんかとアンケートをとったり、そんなふうなわけにもいくまいと思うのですよ。もしそういうことを実際にやったら、今度はまた差別だという大騒ぎがいろいろなところから起きるでしょう。仮にの話で恐縮なのですが、こういう在日外国人の参政権を付与することを認める法律をつくると仮定したら、ある一定の要件を満たす在日外国人一律に認めることになるのでしょうね。それとも、一人一人チェックして区別するのですか。
  119. 野中広務

    野中国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、地方選挙における選挙権を付与することは憲法上禁止されているものではないというのが最高裁の今日の判決の結果でございますので、その措置を講ずるか否かというのは専ら立法政策にかかわる事柄であると申し述べられておると思うのでございます。  立法政策にかかわる問題としては、国会及びそれぞれ各党におかれまして十分御論議をいただきたいと考えるわけでございますけれども、仮に一定の範囲内の外国人に地方選挙における選挙権を付与するとした場合におきましては、国籍や信条によりその取り扱いを異にすることは大変難しいのではないかと考えます。
  120. 米田建三

    ○米田委員 一人一人の外国人を区別する、あるいは差別するようなことは難しいというお答えでした。当然だろうと思います。もし仮に立法化するとしたら、一律に与えることになると思うのです。そこにいろいろな問題があるのですね。この後の質問でまたお尋ねをしてまいります。  次の質問に移りますが、地方の参政権ならばよかろうというのが、在日外国人に対しても参政権を与えるべしという皆さんの主張の基軸になっている部分の一つでございます。  私は、これは実は甚だ疑問を感じているわけでありまして、国家と地方というものが完全に分離された存在なのだろうか。地方自治といえども国家組織の中での統治であって、現に我々地方行政委員会がいつも地方のあり方をしょっちゅう議論しているように、この地方政治あり方の根幹は実は国政の場で決定されたものなのですね。こういうふうに考えていくと同時に、さらに具体的に見ましても、地方には国の機関委任事務もあるわけでございますし、また、予算も国家の予算と深く連動をしているわけであります。  国の政治と地方の政治が別であるなんということは、私はこれは単なる言葉の遊びであって、そんなことは実際にはない、国家と地方は分離されたものではない、こういうように考えますが、大臣はこの国家と地方の関係についてどう思われますか。
  121. 野中広務

    野中国務大臣 国も地方公共団体も、ともに国家の統治機構の一環をなすものであると考えております。国と地方公共団体とは、おのおのその責任を担いつつ、相協力して国民福祉の増進を図っていくことが大切であると私は考えております。
  122. 米田建三

    ○米田委員 まことに的確な御答弁だと思うのです。当然なのですね。国の政治と地方の政治が別のものだなんてことを言えるわけはないのです。そうしますと、だからこそ、地方の参政権ならば国政参政権とは意味が違うんだからいいだろう、こういう論理は成り立たなくなるのですよ。  もう一つ、参政権の要求者の要求を掲げるための理由の一つとして、税金を納めているんだ、こういうことが挙げられているのですね。  しかし私は、これもまたおかしな理由だと思うのです。税の対価としてちゃんと行政サービスがあるわけでありまして、国家の構成の、存立の根幹にかかわる参政権を行政サービスの一種と一緒にされては困るわけなのです。  それとも何でしょうか、在日の外国人から税金は取っているのに、公共の道路を歩かせないとか、水道の水を飲ませないとか、商売させないとか、そんなところが日本にありますか。あるわけがない。聞いたことないですよ。ちゃんと公共のインフラも利用していただいているわけだし、立派に商売をされている方もおられるわけです。税の対価としては、行政サービスがほぼ他の日本国民と同等に与えられているわけであります。  私は、我が国は敗戦後の歴史の中で、外交とか防衛あるいは国際政治の現実に鈍感になっている部分があるというふうに実は考えている一人であります。まあみんな仲よし、平和だ万歳、これを目指すのは、当然理想として失ってはならないし、また間違ってはおりません。人類究極の理想であるし、我々日本国、また日本国民の理想でもあるのです。  しかし残念ながら、国家や民族の壁は依然としてこの国際社会の中で厚く、米ソの冷戦構造が崩れたればこそ、逆に私は、今の世界のいろいろな現象を見る中で、国家や民族の生き残りをかけてのサバイバルというものがかつての時代よりむしろ激しく始まっているのではないかというふうに考えているわけでございます。  現実に、友好関係に基本的にある、そう言われているはずの国々とも実はいろいろな問題があるわけであります。  例えばどうですか、我が島根県の竹島、これは今韓国に占領されているじゃないですか。警察や海軍も配置されている。居住者がいて、電話も引かれて港湾設備まで整えられている。それなのに、我が国はそれを黙視するしかないという現状です。小さな島かもしれませんが、これは紛れもない侵略ですよ。外国に占領されてしまっている、友好国のはずの韓国に。相手が保障もしてない、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼」するといった虚構が、いとも簡単に足げにされているわけです、この国際政治の現実の中で。  中国にしてもそうですよ。石油の埋蔵が伝えられるや、突如我が国の固有の領土である尖閣列島の領有権を主張し始めたわけであります。日本にミサイルの照準を合わせているんだというふうに公言している国もあるわけであります。これが国際政治の現実であります。平和を追求しつつも、しかし用心は怠りなくというのが実際にはとるべき道だろうというふうに私は考えているわけでございます。  ところで、お尋ねをしたい点があるわけでございます。日本で生計を営む定住外国人で、日本の国益に反し、母国の外交、軍事等における利益を得るため、日本あるいは第三国をターゲットとし日本国内において不法行為を働いたか、あるいは関与した主な事例は、どのくらいありますか、警察庁に伺います。
  123. 杉田和博

    ○杉田政府委員 お答えをいたします。  いわゆるスパイ活動についてのお尋ねでございますけれども昭和五十年以降、スパイ活動として摘発をした事実は二十数件ございます。その中で、日本に定住をいたしております外国人が関与した事案、具体例を一例だけ申し上げますが、これは昭和六十年に警視庁で摘発をした事案でございます。  これは、ある国の諜報工作員、これが日本にひそかに潜入をいたしまして、長期にわたって日本人に成り済まして我が国に居住をいたしておりました。その間、我が国に定住をいたしております外国人、これを協力者として獲得をいたしまして、この人を今度はその諜報工作員の本国に密出国をさせて、そこで諜報の特訓といいますか、訓練を行う。訓練が終了した時点で、日本にまた密入国をさせまして、今度は日本から第三国の外国にその人を送り込んでさまざまな諜報活動をさせた。一方、本人も日本人に成り済まして、日本人の名義の旅券を持って日本からいわゆる出入国をした、このような事例がございます。  以上でございます。
  124. 米田建三

    ○米田委員 私は、何もスパイ事件はと聞かなかったのですが、具体的にスパイ事件というふうにお答えをいただいたので話かわかりやすくなりましたけれども、そういうことがあるのですね。これからもあり得るでしょう。我が国の、この極東における地政学的な位置からいいましても、これはあるのです、実際に。今までもあったし、これからもあるわけです。  そしてまた、先ほどの、冒頭の質問にかかわってまいりますが、日本に長年住んでいるからといって日本にみんなが愛情を持っているわけじゃなくて、むしろ日本の国益に反する意思を十分持っておるというような方々もおるわけで、こういう不法行為に率先して加担する人も当然あり得るわけであります。今後も常にこういった事件が再発する不安があるわけでございます。  そうしますと、在日外国人が参政権を得ることによって、日本国よりも他国の国益をはかる明白な意思を持った集団が、あるいは個人個人が集団を結成して、意のままになる議員や自治体の首長をつくり出して日本政治に介入し、影響を与えることは極めてたやすくなるわけであります。そういう危険性があるとお思いになりませんか。
  125. 野中広務

    野中国務大臣 自由民主党も幅広い政党でございますけれども、朝以来のこの件に関する新進党の御意見を聞いておりますと、また大変幅広うございまして、私も答弁に戸惑うわけでございますけれども、この判決の結果を踏まえまして、当初に申し上げましたように、最高裁の判決として尊重をしてまいりたい。  しかし、この問題は、委員が今御指摘になりましたように、永住権の問題、あるいは地方公共団体とのかかわりの問題、あるいは委員が御指摘になりましたけれども日本人といえども日本を愛しているのかどうかもわからない人さえおる中でございますから、幅広い、さまざまな議論をしていかなくてはならないわけでございます。  そういう点で、私は、立法政策として、国会及び各党において十分な御論議をいただきたいと思うわけでございます。
  126. 米田建三

    ○米田委員 所属政党云々ではなく、これは国家の存立にかかわる問題ですから、一人の国会議員として御質問を申し上げているわけであります。  ああいう判決を下した判事の顔というのを一度見てみたいと思っているのですが、まことにおもしろい判決ですから、大臣もお困りでしょうが、そんなことは余り遠慮することはないのです、一つの判決ですから、また違う判決が出るかもしれませんので。  次の質問に移ります。  やはりこの関連ですが、実は、もしこういうことを認めるとしたら、法体系の中で大変な矛盾が発生するのです。  政治資金規正法の第二十二条の五は「何人も、外国人、外国法人又はその主たる構成員が外国人若しくは外国法人である団体その他の組織から、政治活動に関する寄附を受けてはならない。」こういうふうに明確に規定しているわけです。この趣旨は、我が国政治選挙が外国の勢力によって影響を受けることを未然に防止しようというものでしょう。そうですね。
  127. 野中広務

    野中国務大臣 お説のように、今委員が御説明になりました政治資金規正法の二十二条の五は、我が国政治選挙が外国の勢力によって影響を受けることを防止する見地から設けられたものであると理解をいたしております。  したがいまして、先ほど申し上げましたように、今回の外国人の地方選挙選挙権の付与の問題につきましては、さまざまな観点から立法政策として幅広く検討をされなくてはならないし、こういう法律等を含めて整合性を考えていかなくてはならないと存じておるところでございます。
  128. 米田建三

    ○米田委員 今の質問、もう一つ念押しですが、これは国政あるいは地方政治を問わず、同様に禁止されていますね。
  129. 野中広務

    野中国務大臣 そのとおりでございます。
  130. 米田建三

    ○米田委員 そうなりますと、寄附すら禁止されているのに、外国人に本家本元の肝心の参政権を与えるなんて話は全く論理矛盾もいいところで、ばかげた話になっちゃうのですね。矛盾するのですよ。  以上、いろいろ申し上げましたが、この外国人参政権の問題は、私は、極めて慎重を要すると考えるわけであります。国家や国際政治の現実に目をつぶって、情緒的なヒューマニズムに躍り、亡国の憂き目を見てはならない。そのくらい、実は真剣に考えているのです。  ついでに申し上げておきますが、自治体の公務員に外国人を採用するという傾向も出てきております。これも、慎重に考えて、職種の制限等を厳格にしていかなければ、いろいろな問題がこれから出てくるだろうと私は思うのです。  これらをあわせまして、重ねて、この問題に関しては慎重を要するというふうに考えるわけですが、大臣の所感を伺います。
  131. 野中広務

    野中国務大臣 今御指摘の問題は、我が国地方自治あり方や、国と地方公共団体との関係をどのように考えるかといったような基本的な事柄にもかかわる問題でもございますので、最高裁の判決を受けまして、これからさまざまな角度から幅広く検討をされるべき課題であると考えるのでございまして、先ほど来申し上げますように、立法政策として、国会初め各党におかれましても十分御論議をいただきたいと存じておるところでございます。
  132. 米田建三

    ○米田委員 これは息の長い課題になると思いますので、これからもまた御質問申し上げる機会があろうかと思います。  次の質問に移ります。  統一地方選の選挙違反等にかかわる問題で何点か御質問を申し上げたいと思います。  御案内のとおり、連座制が強化されたもとでの初の統一地方選が間もなく始まるわけであります。選挙違反は犯罪ではない、一種の勲章だといったふうな、こういう風潮すらあった我が国政治風土の中で、今回、法がきちんと守られるかどうかは、本当に政治の浄化が行われるかどうか、この大きなターニングポイントになると私は思うのです。私は徹底的な、厳しい取り締まりの体制で行う必要があると思うのですが、今日、この捜査体制はどうなっておりますか。
  133. 野中広務

    野中国務大臣 今回の統一地方選挙におきましては、委員が今御指摘をされましたように、公職選挙法等の一連の法改正を受けまして初めて行う統一的な選挙であるわけでございますので、重要な選挙認識をいたしまして、警察におきましては、法改正の趣旨を踏まえ、適切な体制強化措置をとりますとともに、厳正、公正な取り締まりに当たっていくものと承知をしております。
  134. 米田建三

    ○米田委員 いや、姿勢はわかりましたけれども、ふだんの統一地方選とは何か違う、具体的な強化した体制ができ上がっているのかということをもうちょっと具体的に実はお答えをいただきたかったのですが、どうなんでしょうか。
  135. 垣見隆

    ○垣見政府委員 お答えいたします。  警察におきましては、先般の公職選挙法の改正の趣旨及び国会における御論議等を十分参酌をいたしまして、選挙の公正の確保、腐敗の防止における取り締まりの重要性を十分認識をしているところでございます。  今回の統一地方選挙に関しましては、警察庁は指導する立場でございますけれども、警察庁の刑事局の中に選挙取り締まりの指導のためのチームをつくりまして、そういう体制整備をいたしております。また、それらのことも踏まえて、各都道府県警察においても、従来の捜査二課における選挙取り締まり体制、人員の整備充実等も含めまして、体制を強化するように指導をしているところでございます。
  136. 米田建三

    ○米田委員 何だかはっきりしませんけれども……。  以前の当委員会でも私は御指摘申し上げた記憶があるのですが、平成二年の二月一日に寄附行為の禁止というこれまたまことに画期的な公選法の改正が行われたわけなんですね。そのとき私は、ちまたでは実際にほとんど守られておりませんよというお話をしたら、大臣は、いや結構守られていて、出費の方も助かっているというような意味の御答弁をたしかされたと思うのですが、私は、この改正についてだけ見ても、やはり依然として守られていないというふうに見ている人間の一人なんですね。  これは大変厳しいのですね。「一年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金」という厳しい処罰規定があるのですよ。この平成二年の改正以来これまでの検挙事例はどうなっておりますか。ほとんど警告程度で済んじゃっているのじゃないですか。
  137. 垣見隆

    ○垣見政府委員 平成二年から平成六年末までにおける寄附禁止違反全体の検挙状況につきましては、四百二十二件の検挙となっております。  ただ、この数字は候補者等の寄附禁止違反だけの統計ではございません。寄附禁止違反全体の数字でございます。
  138. 米田建三

    ○米田委員 警告だけで済ませてしまったのはどのぐらいあるのですか。
  139. 垣見隆

    ○垣見政府委員 警告の状況につきましては、年別の統計はとっておりませんが、重要な選挙ごとについては把握をしておりますので申し上げますと、平成五年の第四十回総選挙におきましては三十件、平成四年の第十六回通常選挙におきましては七件、平成三年の第十二回統一地方選挙におきましては百六十三件の警告をいたしているところでございます。
  140. 米田建三

    ○米田委員 今の御説明は、選挙の本番のときの数字だと思うのです。  数字の件はちょっといいのですが、今回の統一地方選の事前運動の取り締まりの報道が新聞紙上でもだんだん散見されるようになりました。これを見ましても、やはりほとんどが警告で済まされているのですね。私は、やはり悪質なものについては、たとえ事前であっても断固として摘発、検挙をするという姿勢が必要ではないかと思うのです。その辺どうでしょう。
  141. 垣見隆

    ○垣見政府委員 警察におきましては、選挙違反の問題につきましては、形式的な軽微な違反につきましては、適時適切な警告によって早期に違反状態を除去するという方針でおりますが、悪質な違反につきましては、事前であっても積極的に検挙措置を講じていくという考えで対応しているところでございます。
  142. 米田建三

    ○米田委員 衆議院の選挙制度も変わり、そしてまた連座制の強化という画期的な公選法の改正も行われ、いよいよきれいな選挙政治の浄化へと進んでまいらねばならない、そういうときでございますので、どうか当局におかれましても、選挙に関する違反の事案というものに対しては厳しく対応できる体制をやはりきちんと整えていただきたいと重ねて要望をしておきます。  次に、固定資産税についてちょっと一点お尋ねをしたいと思います。  固定資産税に関する今回の改正では、地価の下落傾向に対応するために臨時的な課税標準の特例措置を設けることとされているわけでございます。  そこで、平成六年度の評価がえ以降、都市部を中心に固定資産評価額と地価公示価格の逆転現象が顕在化をいたしまして、相当な見直し請求があったというふうに聞いているわけでありますが、大体どの程度あったのか数字をお示しをいただきたいと思います。
  143. 佐野徹治

    ○佐野(徹)政府委員 平成六年度の固定資産の評価の審査の関係での申し出件数でございますけれども、私どもが把握をいたしておりますのは、全国で約二万件弱でございます。
  144. 米田建三

    ○米田委員 二万件弱というお答えでございましたが、やはり大変な数だと思うのです。  そこで、地価の変動というものを的確に評価額に反映させる、そのために価格調査基準日の設定をより課税時期に近づけていく努力が必要だと考えるわけでございます。平成九年の評価がえ、次の評価がえは平成九年であるわけでありますが、その際には一体どのように対応するおつもりなのか、具体的なお考えがあったら伺っておきたいと思います。
  145. 佐野徹治

    ○佐野(徹)政府委員 平成九年度におきます評価がえでの価格の調査基準日の問題でございますけれども、基本的には、この調査基準日というのは賦課期日により近い方が地価動向を評価額により的確に反映できるというように考えております。また、平成六年度の評価がえの際には価格調査基準日というのが平成四年の七月一日でございましたけれども、この七月一日から平成五年一月一日までの間の地価の下落を反映させるための措置をとったところでございまして、平成六年度の評価がえにおきましても、地価下落地域につきましては実質的には賦課期日の一年前とされたという経緯がございます。  こういったことを勘案いたしますとともに、市町村における評価がえ作業に要する期間も考慮いたしまして、従来は評価がえ年度の賦課期日の一年半前、例えば平成六年度の場合には、賦課期日は平成六年の一月一日でございましたので、基準日というのは四年の七月一日でございましたけれども、平成九年度の評価がえにおきましては、この調査基準日を一年前の平成八年一月一日に変更したいと考えております。全国の市町村では、そういう方針のもとで既に評価がえの作業にも入っておるところでございます。
  146. 米田建三

    ○米田委員 これまでの各議員の御質問とも重複をしてまいる部分もあるわけでありますが、私自身も再三お尋ねしているテーマでございますが、地方の財政自主権の確立について、再度、大臣のお考えを伺っておきたいと思うわけであります。  地方分権の拡充を語るときに忘れてはならないのは、それぞれの地方が地域の実情や、あるいは本当に必要としているニーズに合った個性ある発展を目指すこと、そして、それを可能にする制度を確立することであるというふうに思うのですね。そのために、国と地方の役割分担に応じた税源配分の見直しを行うと同時に、その地方税源の拡充強化を図らなければならない。これはよく言われているところであります。  しかし同時に、大切なのは、拡充強化だけではなく、中央の租税統制の大幅な緩和、地方の大幅な自主権、自由裁量権を認めて、地方の特性に合った施策の展開を容易ならしめる、このことがやはり不可欠だと私は思うわけでございます。  今回もいろいろな事業の補助を中央が行うという御説明がされているわけでございますけれども、中央政府の補助金で進める画一的な自治体の諸事業というものが、本当に全国のすべての自治体が必要としているのかどうか、私はこれは疑問だと思うのですよ。このプランが本当に個々の自治体のニーズに合わないからといって、これは途中ではやめられないわけですね。  私はこの間、ある新聞のコラムに寄稿された経済人の一文が目にとまったわけでございますが、規制緩和が叫ばれる今日、自治体間でも自由競争が必要であるという実は趣旨でございました。実際に実現が可能かどうか、これはいろいろな課題が当然あるでしょうけれども、例えば、過疎に悩む自治体が企業を誘致したければ、固定資産税初め一定の税に限定して百年間免除をするとか、こんな形で大胆な誘致策を図るとか、あるいは観光振興を図りたい、自体があれば、それにふさわしい自主的な税制の導入を各自治体が図れるとか、そんなふうに、これからは中央の画一的な統制を極力排除する必要があるという、そんな内容だったわけであります。  大変参考になったわけでございますが、我が国の国と地方の歳出純計に占める地方の歳出の割合、これは約三分の二であります。そして、租税の総額に占める地方の税の比率は約三分の一、こういった状態が長く続いているわけでございますが、これは言うまでもなく、住民が受益と負担の関係をなかなかはかり知ることができないという仕組みでもございますし、また、中央政府と地方政府の関係という観点から見ますと、中央から地方へ財政移転を行い、そして、中央が地方に仕事をやらせているといった関係なんですね。地方自治ではないわけであります。  そしてさらに加えて、この地方の財源も国の完璧な統制下にある、こういう形になっているわけでございまして、この地方分権の拡充を考えてまいるときに、私はやはり租税統制の緩和というものを真剣に考えなければならない、避けて通れない課題であるというふうに考えておりますが、大臣の所感を伺います。
  147. 野中広務

    野中国務大臣 委員が御指摘になりましたように、地方分権の推進を図っていきます上で、その推進をやるべき税財源の確保、強化というのは大きな柱でありますとともに、もう一つは、やはりこの権限の行使を行う、いわゆる機関委任事務を含めた地方分権の推進を行うべき人材を得るということの三つの柱がなければ分権は推進しないと思うわけでございます。  そういう意味におきまして、なお委員が御承知のように、租税統制を緩和いたしまして地方の課税の自主性を高めていかなくてはならないとおっしゃることは、私も同感でございます。現行の地方税制の制度におきましても、地方団体の課税に関する自主性をある程度は尊重をする立場から、財政上の特別の必要があると認められる場合は、委員御承知のように、法定外普通税を課税をいたしましたり、また、標準税率によらないで超過課税などできるような制度を設けておるわけでございます。  しかし、こうした制度の活用につきましては、社会経済活動が広域化しておる今日、また流通も発展しております現在、異なった地域に住む納税者間の負担の公平感の点から見まして、問題が生じるおそれもまたあるわけでございます。また、地域間での財政力の格差が拡大するといった事態も危惧をされることでございますので、そこにはやはり一定の制約があることはやむを得ないと思うわけでございます。また、特に流通課税にありましては、税の性格上、一定税率の設定といった制約があることは私はやむを得ないと考えるわけでございます。  したがいまして、現行の制度におきましても、相当程度、地方団体の自主性に配慮したものとなっておるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、地方分権の推進の流れの中で、より自主的な対応のあり方というのは、今後さらに私どもも運用面を含め、そのあり方について検討し、努力をしていかなくてはならないと思います。  先ほど御指摘になりました過疎地域におきます工場誘致等に対する税制等は、現在もその優遇策が条例によって行われておるところでございまして、また、先年行いましたふるさと創生事業、今回の農山漁村ふるさと版等におきましても、こういう地方単独事業、あるいは、ふるさと創生事業等を通じて積極的な工場誘致、産業を興していく、人材確保等の施策を可能とならしめておるところでございます。
  148. 米田建三

    ○米田委員 これで質問を終わる予定だったのですが、意外にスムーズに進みましたので、用意しておった質問をもう一つやりますが、以前話したことがあるから大丈夫ですね。警察に対する質問ですが、いじめの問題です。予定しておらないでしょうが、何とかお答えをいただきたいと思います。  最近、学校教育の場におけるいじめに関する報道が下火になっておるわけですが、私は、実際には深刻な事態が相当潜在化し、また進行しているのではないかと思うわけでございます。  一月の話でございますが、報道記事でこんな記事を目にしました。長崎市で開かれた日教組の研修会で、一月三十日に方針が出されて、「これまでの「いじめられる子供にも問題がある」との認識は誤りであった」としたという報道を目にして、実は私、びっくりしたわけであります。なるほど、教育の専門家というものはうがった見方をしていたんだな、いわゆる教育的見地というものでしょうか、いじめる子といじめられる子を等距離に見て教育のあり方について頭をひねり、うんちくを傾ける、そういうことだったんだろうか。悪いやつは悪いと単純に考える凡人の一人としては実は驚きであったわけであります。  そう見ますと、学校の先生方ばかりでなく、マスコミに登場するいわゆる評論家や文化人の先生方も、大体この種の問題が起きると何を言っているのかさっぱりわからぬ。いじめる子を厳しくしかっておるのか、人によっては何かいじめられる子も悪いみたいに言っている方もそういえばおられたなというようなことも、実はこの記事を見ながら思い出したわけであります。私は、今、ああでもないこうでもないと大人が理屈を並べ立てている段階ではない、今すぐ助けを求めている子供たちが大勢いると思うのですね。いやしくも教育の場で、親にも学校にも頼れずに前途ある子供が死を選ぶ、日本のようなこの文明国で考えられない恐るべき事態だというふうに私は思うわけでございます。  そこで、私ははっきり申し上げたいのは、義務教育の場といえどもこれは治外法権じゃないわけでして、治外法権は日本では外国の公館だけですかね、まさか小学校や中学校は治外法権じゃないでしょう。やはり私は、大人がへ理屈を並べ立てている暇があれば、この法治国家において人を痛めつけたり苦しめることは犯罪である、法によって処断されるんだということを厳しく教えることも私はこれは大切な教育だと思うのですよ。PTAだとか親御さんだとかあるいは地域社会だとか、いろいろな皆さんの力をかりなければなりませんが、一つ視点として、今教育の場で子供たちの中で犯罪が行われ、そしてそれで苦しんで死を選ぶ子供がいるというこの恐るべき現実に対して、私はそろそろ警察当局も、そういう違法な事態をやはり排除していくんだという今まで以上の積極的な発想をしていいのではないかというふうに思うわけでございます。  そこで一点伺いますが、愛知県の西尾市の中学生の自殺事件がございました。この捜査の結果はどうなりましたか。また、捜査上の難点ほどういうところにあったのか、ちょっと御説明をいただきたいと思います。
  149. 山本博一

    山本(博)政府委員 突然の御質問でございますので、十分御納得のいくお答えができるかどうか自信がございませんが、愛知県西尾の事件につきましては、亡くなった少年の遺書が残されておりまして、その遺書の内容から、極めて厳しいいじめのあったことがうかがえるところでございます。警察といたしまして極めて重大な事案であるという認識をいたしまして、難しい捜査でございましたですが、捜査を遂げまして、過日検察庁の方に数名の少年を送致したというぐあいに承知いたしているところでございます。
  150. 米田建三

    ○米田委員 これは、聞くところによりますと、子供が本当は一番頼りにすべき親や学校が、何というのでしょうか、日本的な意識とでもいうのでしょうか、いわゆる身内の恥意識で隠しているケースが多いという話をよく関係者の方からも聞くのですね。子供は孤立しているのですね、国の宝である子供が孤立している。だれも救いの手を伸ばしてくれないという、そんな思いで死を選ぶ子供が多いのではないかと思うわけなんです。  今、いじめられて悩む子供に手を差し伸べるためのいろいろな手だてが各方面で行われていることは承知をしておりますが、現実に親や学校ですら頼りにならない場合があるという、こういうことを想定した場合に、私は、警察におかれましても、もっと子供本人に、警察に対応の窓口があることは承知していますが、それを知らない子供がたくさんいますよ、その存在を。私は、直接子供本人に知らしめる必要があると思うわけなんです。今警察がおとりになっているこのいじめに対応する施策の、概要で結構ですから、具体的な内容、それをちょっとお尋ねしたいと思います。
  151. 野中広務

    野中国務大臣 先般来、大変深刻ないじめ事件が続発をいたしまして、事件の内容を聞くたびに心の痛む思いでございました。警察といたしましては、交番業務を中心といたしまして相談業務をやっておるわけでございます。さらに、巡回警察官、特に婦人警察官等を通じまして、子供が相談に応じやすい環境づくりというものをそれぞれ都道府県警察において行っておるところでございますが、今後も第一に、今委員が御指摘になりましたように、学校でも親でも相談できない分野を警察もできるだけ窓口を広げて対応をしてまいりたい、このように考えておる次第であります。
  152. 米田建三

    ○米田委員 例えば、いのちの電話というのがたしかありますな、警察には。そんなのはもう、学校に任せたら場合によっては配らない先生もいるかもしれませんから、直接全国の児童に一枚一枚ホームルームで配ればいいんですよ、例えば。ここへすぐ電話しろと。まあそれは私の一つの思いっきなんですが、ともあれ、法治国家では違法行為を行えば処断されるんだと言うことも、ちゃんとした教育なんだ。子供を甘やかすだけが教育ではない。いじめた子に対してもきちんと、法治国家ではこういうことは許されませんよということをやはり厳しく教えることが、その子本人にとっても、日本の社会の将来にとっても、私は大事なことだと思います。  以上、質問を終わります。
  153. 川崎二郎

    川崎委員長 穀田恵二君。
  154. 穀田恵二

    穀田委員 私は、まず消防力の強化について若干お聞きしたいと思います。  まず、阪神淡路大震災の際に消防に従事する方々の努力は本当に御苦労さまと私は言いたいと思うのですね。そこで、ついせんだってですが、それらの人々の生の声がテレビ放映されていました。その方々が言っておられたのは、やはりもっと人が、人員がたくさんおればもっと助けられたのにということが悲痛な声として出されました。私は、そういうことが本当に今求められているということを痛切に感じるわけですが、消防力の基準の資料によりますと、現有車両に対する消防職員の充足率は、この間低下しているのじゃないか。そういう点についてはどうお考えなのかということについて、まずお聞きしたいと思うのです。
  155. 滝実

    ○滝政府委員 消防職員の充足率の問題でございますけれども、基本的には、年々車両の増加に伴って、率を計算する場合には若干の低下現象というのは認められるところでございます。基本的には、消防職員の充足率というのは車両を基準にして算定してあるわけでございますね。消防ポンプ車の場合には一台について五人でありますとか、あるいは救急車両は三人とか、そういうことでございますから、車両が増加してまいりますと、当然そういう意味での充足率というのは一時的には減少してくる、そういうようなことでございまして、そういう意味で現在の職員の充足率七〇・六%というのは、経年変化を見れば若干下がっているということは否めないと思います。
  156. 穀田恵二

    穀田委員 今、年々車両が増加している中でというお話がございましたけれども、私は冗談ではないと思うのですね。つまり、今の消防力というものを、だんだん需要が増すわけだから当然車両がふえるのは当たり前なのですね。それに対して充足率が低下しているという事実が大事なのであって、私は、三年ごとに調査しているわけですから、特に消防力の基準というのはもともと最低限の基準として位置づけているわけですから、需要が増していることによってそれにまた充足率も上げていくという両方の視点からやるのが必要ではないか。どうもそういうお考えに聞こえなかったのですが、いかがですか。
  157. 滝実

    ○滝政府委員 基本的には、消防職員も交代制勤務等の向上、要するに処遇改善の問題もございまして、それなりに消防職員、絶対数そのものもふやしているような状況でございますけれども、今おっしゃられましたように、車両の増加という問題とそれに見合う消防職員の増加というものが必ずしも一致していないということは事実だろうと思います。  私どもとしては、やはりそこはポンプの、あるいははしご車の増強というのはそれ自体が消防力の要するにパワーアップでございますから、そういう機械の向上による消防力のアップという問題と、それから職員そのものも一つの消防力というふうに考えれば当然そちらの方の増強もやらざるを得ないし、むしろやるべきだろうと思いますけれども、結局そこのところは、どちらを先にするかということもそのバランス上の問題とすればあると思うのですね。私どもは、基本的には消防職員が追いつかないから車両を控えるなんということはできませんので、結局そこのところはタイムラグがどうしても出てくるということだと思います。  それは理想を申し上げれば、自動車の増強に伴って消防職員の充足を図れればそれにこしたことはないと思うのでございますけれども、しかしそれはそうは申しても、やはりどちらが先かといえば、消防力の充実といった場合にはポンプ車の方というか、車両の増強というものをまず図るのだというような観点が従来強かったものですから、そういう意味での充足率の低下というのはどうしても避けられなかったということでございます。しかし、おっしゃるようにそこのところは今後の問題としてどう考えていくかということはあると思います。
  158. 穀田恵二

    穀田委員 私、そんな話を聞いていると、今ああいう方が、消防のときに人が足りなかったというふうな話をされている問題を、何か、こっちが第一で、こっちが第二で、まずこっちが第一なんだというような話ではないと思うのですよ。いずれも充足率というのは基準に対してどうかという問題であって、それが九〇、八〇いっているところで足りないというのならわかるのだけれども、現有事両に対する消防職員の率は七〇・五と先ほどおっしゃいましたね。それほど低いわけなのですよ。だから、当然消防力の強化の点では当たり前にマンパワーも必要なわけですから、両方同時にやるというのは理想論ではなくて当然の責務なのですよ。そこをしっかり見ていただかないと、私はえらいことになるなと思うのですね。  そんなことをお話ししていて、もし現場のところに行ってそれこそ皆さんお話しなさってごらんなさい。それははしご車があるのだから大丈夫みたいな話をしていたのでは、はしご車だって人がいなければ動かないわけだから、しかもお話があったように、交代制勤務という話がありましたから、では私、ついでに聞こうと思うのですけれども、やはり消防ヘリの問題がありますね。二月十八日の神戸新聞によりますと、「パイロットが二十四時間態勢の自治体はほとんどなくこということで、大規模災害時の情報収集力が共通の課題となるということを語っています。  私は、そういう意味でいいますと、先ほどお話あったように、交代制勤務の点で、さらに充足をする車両ということになりますと、この問題は二十四時間態勢をしく上では乗務員が倍必要ですね。そういう点での全国の現状はどうなっているか。さらに私は、これを見ますと、自治体の方ではふやす検討を始めているということを、神戸などの場合についていうならばそういう教訓から出ているわけですが、消防庁としても何らかの手を打つべきではないのでしょうか。その辺の点をお伺いしたいと思うのですが。
  159. 滝実

    ○滝政府委員 御指摘の消防ヘリコプターの二十四時間態勢の問題は、これは実際問題として一般の地上の消防力とはやや異にするところがあると思うのですね。これは先と言われていると思うのでございますけれども、要するにヘリコプターの場合には夜間の飛行というのは基本的にどちらかというと余り役に立たないという面もあるわけですね。結局、夜間の場合には空中からの偵察がなかなか困難である。それをカバーするために赤外線カメラを搭載するということもあるわけでございますけれども、必ずしもそれは画像が鮮明でないという問題があります。  ただ、夜間の場合には救急患者の搬送とかそういう意味では威力がもちろん発揮できる面がありますから、そういう意味で、現在でもわずかの団体でございますけれども、二十四時間態勢でやっているところは結局救急というようなことを視点に置いてやっているところはそれなりにあると思うのでございますけれども、この辺のところは一般の地上の部隊の充足とは若干違うところがあるのでございます。ただ、御指摘のように、今回の災害を契機として消防の方も二十四時間態勢に向かって検討したらどうだろうかな、こういうような機運にあることは間違いないので、これは私どもも一遍、消防ヘリの問題については二十四時間という問題を中心にして、十分現場の意見も聞いた上で私どもとしても方針を出したいというふうに思っております。
  160. 穀田恵二

    穀田委員 今お話ありましたように、十分現場の意見を聞いていただきたいと思うのです。私は、確かに地上の勤務の部分と違うことはわかっていますが、この問題は、例えば今回の阪神淡路大震災の教訓から神戸などは言っているわけですね。夜間飛行ができないのはわかっていますが、通常の日勤体制をとっているがゆえに、例えば今回の五時四十六分などの事態の中ではパイロット不在の時間帯だった。それで出動がおくれて三時間半ほど、通路が壊れる、それでおくれるというようなことがあって、だからこそ、そういうことについて地方自治体としても検討をし始めている。ですから、そういうものに対して、消防庁自身もしっかりと意見を聞いていただいて、援助の体制をとっていただきたいと思うのです。  次に、この間私、耐震性貯水槽の問題など何度も聞いてきたのですが、同じく初期消火の問題という観点から言うならば、小型動力ホンプの普及というのが大事だということ、この前払いただきまして引用させていただきました南関東地域地震防災対策に関する平成四年度の報告書ですね、これによりましても、初期消火の点では可搬式小型動力ホンプというのが必要だというふうに書いています。これは全国で見ると非常にアンバランスですが、私はみずからの地で考えますと、例えば今度の地震の場合になかなか自動車が通れないというふうな事態だったりする。聞きますと、長田区などでは実際にそれで消しているのですね、初期消火で。ですから、私どもが住んでいます京都などでも、非常に道は小さい、路地はあるわで大変なものですから、そういうことについてももう少し全国的なレベルで再考して指導し直す必要があるのではないかと思うのですが、その辺いかがですか。
  161. 滝実

    ○滝政府委員 確かに、今回の震災におきましても、例えば淡路島は基本的に消防団でございますので初期の立ち上がりが早かった。しかも地域全面的に消防が火にかかっていけたということがございます。それからまた、同じこちらの反対側の方でも、西宮の方はかなり消防団がポンプ車を持っていて立ち上がりが早かったという問題がございます。  そういうようなことからいえば、基本的にはやはり何といっても初期消火ということが、震災の場合でも、これはむしろ震災の場合こそ鉄則でなければいけないという問題がございますから、私どもも、ここのところをどうするかというのは当面の課題の大きな一つだろうと思うのです。特にその際に、どちらかというと、従来は消防団という、いわばセミプロの集団でなければなかなかこの操作ができないということがございまして、消防団が前提としての小型動力ポンプということがあるわけでございますけれども、私どもとしては、消防団が結局なかなか育たないという地域についてどうするかということが、やはりこれからの大きな問題じゃないか。  その一つの方法として、消防団以外の、いわば町内会単位のようなものがこれに準ずるようなものでカバーできるのかどうかということも含めて、要するに消防団がなかったら今までの小型動力ポンプはなかなかそうはいったって扱えないという問題もあるものですから、そこのところをどうやってカバーしていくかということを中心にして大至急検討しなければいかぬと思っております。
  162. 穀田恵二

    穀田委員 これは至急検討していただいて、現実のものとしていただきたいと思うのです。  私はただ、言っていますのは、初期消火の点で極めて重要な役割を果たすという点でいいますと、この冊子にも書いているのですが、D型というのは女性でも扱えるということをわざわざ書いているのですね。そういう意味でいいますと、消防団があるところでもそういうふうに配置されていない地域も結構ございますし、その辺はよく考えて御指導願いたいと思います。  次に進みます。  地方税法の一部を改正する法律案では、不動産取得税などで関西文化学術研究都市関連の特例を設けています。それらと関連して、きょうは関西学研都市問題について若干お聞きしたいと思います。  国土庁は昨年九月、関西文化学術研究都市の次の整備目標などを検討するとしてセカンド・ステージ・プラン推進委員会を設置しています。報道によりますと、関西学研都市建設推進室の室長は、「第一段階は一〇〇%とは言えないが、まずまず順調。学研都市づくりは、長期的な将来像のほか、段階的に当面の目標をつくり、時代にマッチさせながら進めていくのが理念。関係者の意見を十分聞きながら、第二段階の目標を考えたい」と語っています。  まず、それでは、いつごろまでにこういう問題に第二ステージの結論を出すのか、何を検討するのかということについて明確にしていただきたいと思います。
  163. 山村信吾

    ○山村説明員 関西文化学術研究都市セカンド・ステージ・プラン推進調査についてお答えいたします。  セカンド・ステージ・プラン推進調査は、昭和六十二年の本都市の建設促進法の制定以来、都市建設の初期段階が達成されつつあると認識いたしまして、この間の社会経済等の諸情勢の変化も踏まえまして今後の新たな都市づくりの推進方策を調査検討しようとするものでございます。  この調査は、平成六年度、平成七年度二年間で実施する予定にしております。調査内容といたしましては、本都市の学術研究、産業創出機能、さらには文化機能、さらには都市づくりのあり方、こういったことについて検討を進めていきたいと考えております。
  164. 穀田恵二

    穀田委員 いわゆる三分野ですね。それで、今お話があった昭和六十二年の関西文化学術研究都市建設促進法、それによれば、内閣総理大臣が基本方針を決める、さらに、関係府県知事は建設計画を作成し総理の承認を得る、こうなっているのですね。そういう構図で、極めて首相の権限がきついというふうなことになっているわけです。それはまた第三条、第五条にあるわけなんです。その決定をする際に関係府県知事の意見を聞く、これはされているのです。しかし、今言いましたように、決定権限は総理大臣に属している。そして、今お話ししたように、関係知事はこの基本方針に基づいて建設計画を作成し、市町村に意見を聞くけれども、その反面、総理大臣の承認がなくてはならない、こういう構図になっているのですね。  私はどうも、先ほど本会議でせっかく地方分権の問題が議論になって、身近な問題は身近な町村でという話になったときに、おおよそ逆行しているのではないかというふうな話をふと思ったわけですが、こういう仕組み自身、つまり首相の権限で実際にはすべて決まっていくという構図自身を見直す必要があるのじゃないだろうかと私は思うのですが、それはいかがですか。
  165. 山村信吾

    ○山村説明員 建設促進法におきまして、今御指摘のありましたように、総理大臣が承認するという形になっておりますが、建設計画におきましては、市町村長の意見あるいは住宅・都市整備公団の意見、財団法人関西文化学術研究都市推進機構、こういったところの意見を聞きましてまとめるということで、そういういろいろな意見を聞いてまとめるわけですから、時代に大きく逆行しているということはないのじゃないかというぐあいに私は考えております。
  166. 穀田恵二

    穀田委員 それでは、その辺をもう少し議論をしていきたいと思います。  今セカンド・ステージ・プランの推進委員会委員長は岡本道雄さんです。岡本さんは、報道によりますと、学研都市の課題として、今課長からもありましたように、文化の問題があるわけですが、文化施設は不足している、それから二つ目に、十二地区に分かれた学研都市の一体性がない、三つ目に、交通アクセス網の整備がおくれている、次に四つ目に、地元や周辺住民の声を反映するシステムがない、こう言ったのですね。だから、私、問題にしているわけなんですよ。  だから、もう一度お聞きしますけれども、今言ったような、岡本委員長が記者会見した四つの内容などを、三分野に基づいて大体検討することになるわけですか。
  167. 山村信吾

    ○山村説明員 いろいろな御意見もあるわけですが、先ほど申し上げましたセカンド・ステージ・プラン推進委員会、この場におきまして、地元の意見もいろいろ取り入れる必要がある、それから学識経験者の意見もいろいろ取り入れる必要があるということで、特に地元の方々の意見もたくさん取り入れようということで、委員のメンバーには地元の府県の副知事の方にも入っていただきまして、地元の意見を反映してセカンド・ステージ・プランをまとめていきたい、そういうぐあいに考えております。よろしくお願いします。
  168. 穀田恵二

    穀田委員 どうも余り確としたあれがないですな、そういうことを検討するのかという四つの点を言ったのですけれども。  私、なぜこの間のそういう学研都市に関する経過と検討課題について尋ねたかというと、実は関西文化学術研究都市という建設の名前で何が行われているか、そしてそれが何だったのか、結果としてこれらの地域に何がもたらされたか、今どういう方向で検討すべきかということについて、きょうは明らかにしようと思ったから、そういう点を前段としてやったわけです。  学研都市の実態はどうなっているか、これは多くのマスコミも報道していますが、大体三つの点があるのじゃないかと思うのですね。  まず第一に、文化学術研究都市と言うけれども、文化というのはおおよそ見えない。文化施設は別に何もないのです。それで、さらに研究都市と言うけれども、中心地区である精華・西木津地区では、稼働中の民間研究施設が四つ、建設計画中が五つと計画を大幅に下回っているのですね。そして、学研都市の理念を最も具体化した中核施設と言われる国際高等研究所、これは滞在研究者用の二十六の研究室があるのですが、動いているのはたった二つなんです。そして、募金を五百億円集めるという目標なんですが、集まったのはたった七十億で、非常に苦戦をしているというふうに新聞も書いているのです、今財界も窮地なんだとありましたし、そういうこともあろうかと私も思いますが。  では、二つ目に何が進んだかというと、進んだのは宅建開発なんですね。宅地開発が進んだ。  こういう話が出ています。  従来の学研都市の開発は、ブルドーザーで里山や丘、林を削ってしまう荒っぽい手法で、「緑の中の研究所」を描いた学研都市の生みの親、奥田東元京大総長らは「ニュータウン造成と同じ」だというふうに言っているのですね。  これは朝日新聞でも社説まで出して、実際にできつつあるのは一般の戸建て住宅団地と変わりがない。ここまで言っている。だから、文化の姿は見えないわ、宅建開発が進んでいるだけ。  そして、三つ目に、地元の自治体負担は大変だということなんですよ。  これが今の学研都市が進んでいる一つの特徴的な問題だということをそれぞれのマスコミが書いているのですね。私もそれはそれとして思っているのですが、というふうに言われています。  そこで、そういう中で第二段階を迎えるわけだから、一番最初の文化という問題についてお聞きしたいわけです。  文化施設の三本柱は国会図書館関西館、それから国立文化財総合機構と国立総合芸術センター、この三つが三本柱だと言われている。これらは本当に建設することになるのでしょうか。地元も本当に不安に思っているのですね。これはぜひお答えいただきたい。
  169. 山村信吾

    ○山村説明員 お答えいたします。  今御指摘のありましたように、文化施設が不足しているということも言われておりますが、三つの施設でございますが、まず国立国会図書館関西館と仮称しておりますが、これにつきましては、平成十四、五年ごろの第一期段階の完成を目指しまして、平成七年度から用地の確保等に着手すると伺っております。  それから、国立総合芸術センター並びに国立文化財総合機構、これらにつきましては、地元におきましてその構想がまとめられまして、現在、関係の各方面に実現化に向けての要望がなされている。国土庁といたしましても、文化施設として非常に大事なものと認識しておりまして、支援していきたいと考えております。
  170. 穀田恵二

    穀田委員 どうも地元で構想があるというようなお話ですが、建設されることになるのか、本当にできるのかという不安が地元はあるのだけれども、大丈夫なのかということを聞いているのですね。それはいかがですか。
  171. 山村信吾

    ○山村説明員 先ほど申し上げましたように、図書館については確定いたしまして、その二つにつきましては、構想がまとめられ、順次熟度が高まっていくものと認識しております。
  172. 穀田恵二

    穀田委員 熟度が高まっていくなどという、だれが聞いてもわからぬ、要するにいつできるのやと言ったら、結局わからぬということですな、これは。もう少しわかりやすく言ってほしいのですね。だれがそれの責任を持っていて、いつできるのかということは結局答えられないのですよ。私はここに大事な問題があると思う。だから、どこが責任を持っているのか。  こんなことだから、実は地方自治体でいいますと、大変なことになっているのですね。例えば、奈良市では、予定地に建つ工場の移転用地を先行取得して、国立文化財総合機構というのが来るのではないだろうかということで手を打って取得したけれども、来ない。国はそっぽを向いているということで、毎年一億六千万円の金利と管理費の負担であえいでいるということが、これまた新聞に書いてあります。  ここで、私が言いたいのは、さっき言いましたように、最後の、自治体の、地元の意見を取り入れるという話との関係で言いたいわけですよ。結局こういうことが、一億六千万円も負損するようになっているということ自体は、実はここにこそ地元の自治体と綿密な連絡がとれていない。意見を聞くどころか、実際には一億六千万円もの負担をずっとしていて、なかなか連絡さえもとれていないという実態が示されているじゃないか。そして、来るか来ないかにかかわらず、わからぬものだから、わからずに、結局地元負担がかさんでいるじゃないか。こういう象徴的な事件があるじゃないか。だから、私は本当に来るのかという問題と、地元の意見をちゃんと聞いているのかということを問題にしているわけなのですね。いかがですか。
  173. 山村信吾

    ○山村説明員 関西学研都市につきましての事業の仕組みといたしまして、基本方針は国が定め、建設計画は府県が定め、それから施設につきましては国、地方公共団体がということで……(穀田委員「最後、もう一遍言ってください」と呼ぶ)国及び地方公共団体が関連する公共公益施設の整備を進めるというぐあいに、あるいは都市開発は公団及び民間が、施設立地は民間企業がというぐあいに業務分担をしております。  そういった仕組みの中でこの関西学研都市が整備されつつあるわけでございまして、こういった仕組みの中で、最大限にその仕組みを利用いたしまして、最終的な町づくりを進めていきたいというように考えております。
  174. 穀田恵二

    穀田委員 どうも私が問題にしている視点がわかっていただけないようですね。そういうものが、熟度がどうのこうのという話でしたし、国はどんな責任を果たしていくのだろうかということがはっきりしない、今の話で言うと。結局地元の意見も、ほんまに取り入れていくという点では、今の事実が示すように、非常に不十分だ。  同じくこういった問題について、ある新聞はこんなふうに書いているのですね。  地方自治体は住民生活のさまざまな局面にかかわっている。ごみや下水の処理、道路の維持、管理などは、自治体がしなければならない。学枝もつくる必要がある。学研都市内に新しい設備を導入すれば、周辺地域にも同様のものを設けなければ、旧来の住民を納得させられないだろう。  筑波では周辺地区まで含めて国がほとんど面倒をみた。関西学研都市では、ナショナル・プロジェクトといいながら、国の支援はほとんどない。関係市町は急ピッチの開発に対応しかねている実情だ。 こう書いているのですね。ここに、実はしわ寄せに苦しんでいる自治体の姿を新聞、マスコミは報道しているわけなのです。私はここを問題にしているわけなのです。  あわせて、地元の町長などは、  学研都市内ではごみや下水などの処理場用地は考えられていない。高齢化対策もできていない。 これは奥田東氏が途中で行かれて、えらい坂の多いところだな、これでは高齢者対策、大変だなという話までしていることまで出ているわけですが、  ほんとうなら、火葬場や墓地まで考えておかなければならない。 と指摘しているということをこの新聞も書いています。  さらに、  関西空港では原則的に空港でできたごみや排水、汚泥はすべて空港内で処理することになっている。 のに、こうなっていない。こういう点でも欠陥都市だということを実は言っているわけなのです。  だから、問題は、私が言いたいのは、そういう原因というのは、国家プロジェクトと言いながら、財政面では実質的に責任を持たずに、先ほどお話があったように、これもある、これもある、これもある、主体はこれだけあるなんという話をして、結局のところ、責任を持っていないところに問題があるのじゃないかということを言いたいわけです。  筑波では、研究学園都市対策特別交付金ということで、昭和五十一年から六十年度に五十億円、さらに来年度の予算まで含めて十億一千三百万円ほどつぎ込んでいるわけです。  私どもは、実はこの学研都市建設促進法案の議論の際にも、もっと国の財政措置を明確にしておかなければ大変なことになるということを言ったわけです。今第二ステージというところで、新しい転換が始まるに当たって、やはりそのことを明確にした転換をすべきじゃないだろうか。つまり、民活方式から転換をして開発規模を縮小すべきだ。そういう点を検討すべきと思うが、いかがですか。
  175. 野中広務

    野中国務大臣 余り国土庁が苦しむのを私は見ておれませんので……。  委員御承知のとおりに、私は最初からこれにかかわってきた一人でございます。当初は、あのバブルの最中に大手のディベロッパーが、京都府民の土地はないというほど、あの地域はすべて買われたところでございました。そして、それで住宅開発をやりたいということになったのでございます。いかにして、今までそれをとめるためにどうしてやっていくかということから、大阪府、奈良県と誘いまして、そして奥田さんを筆頭にして、関西文化学術研究都市をつくるということによって、そういう柱を立てることによって、あの地域が、広大な地域がいわゆる住宅地にならないための道筋を求めたわけであります。  したがいまして、筑波と違うのは、筑波は中央にある機関を国の金で筑波へ移していくということ、我々が関西学術研究都市というのはいわゆる住宅宅地開発を阻止していくために、いかにして学研都市を民活中心にしてやっていくかという最初のスタート台で、同じ国家プロジェクトとしても違ってきたわけでございます。  けれども、ATRを初めとして、多くの研究施設をおかげで立地してくださいましたし、あるいは勤労プラザを初め、先ほどお話しの国立国会図書館の予算化等、それぞれあの地域において国の施設をも含めた立地ができておりますことは、当時を振り返りながら私は隔世の感があるわけでございます。  今後、町づくりについて地方公共団体と密接な連携をとりながら、さらにこの計画の見直しを含めて取り組んでいかなくてはならないと思っております。
  176. 穀田恵二

    穀田委員 さすがによく御存じです。本当は長い間その点の議論をしてきたわけですが、今お話があったように、実は、宅地開発だけが先行してしまうというようなことはまずいというのは、これは意見が一致するんですね。ところが実際は、そういうふうな事実が進行しているということも紛れもない事実だと私は思うのです。  そこで、今大臣からお話があった地元自治体の意見を聞くという問題について、少し最後、時間の範囲内で詰めて議論をしたいと思うのです。  私はそこで、今の現実のところで何が起こっているかということについてもう一度少し述べたいのですが、やはり第一に、地域住民が大変なことに被害を受けているというのがあるんですね。それは、例えば既存の集落の整備ということで言いますと、木津町や精華町の下水道普及率というのは、開発地域では一〇〇%なんですね。ところが、それ以外につきまして言うならば、三年前から下水道の埋設がやっと始まった。これは大臣の方もよく御存じだと思うのです。  その上で、二つ目に、地方自治体というのはなぜ大変かといいますと、精華町では起債の残高は年間予算を超えるとか、それから木津町と言われている町の開発予定面積というのは一千ヘクタールを超えるんですね。京都市がやっとこさとやった洛西ニュータウンというのは二百四十ヘクタールなんですね。だから、それの四倍近いものをやるのに、財政力がそんなにないところがやるというふうなことでも、町が取り組める限界を大きく超えているんじゃないかという声も聞かれるわけです。あわせて、先ほども申しましたように、開発のあおりを食らって、実は自然と緑の破壊が進んでいるということがあるわけですね。  だから、そういうふうな事態が進行している中で、先ほど大臣もおっしゃったように、地元の意見をどう町づくりに反映させていくかということが今決定的な問題になっているだろう。この辺は私は大臣と意見が一致するんですね。  ですから、御承知かと思うのですが、田辺町、木津町、精華町、枚方、四條畷、交野、奈良、生駒の五市三町になっているんですが、京都府内の三町というのは全体の約八〇%が区域内に含まれて、特に木津、精華の両町はその全域が学研都市の区域となっているわけです。ところが、そういう自治体がなかなか町づくりの中心になることができないような仕組みがあったとすると、これも大問題だというふうに思うわけなんです。  ですから、先ほど課長からお話があった関係地方自治体の意見を聞くシステムになっているということで、三副知事お話がありました。私はそこが問題だと思うのですね。私は、せめてセカンド・ステージ・プラン推進委員会には今述べた五市三町の代表を加えて地元の意見を反映させるべきだ、せめてそれぐらいやってほしいと思うのです。それはいかがですか。
  177. 山村信吾

    ○山村説明員 地元の市長、町長さん方を委員会にというお話でございますが、先ほど申し上げましたように、府県副知事にはお入りいただいているわけですが、府内、県内では各市長、町長さん方と十分な意思疎通があると思いますので、そういうことで、三副知事委員会への参画でもって地元の意見を反映させていただきたい、そういうぐあいに考えておりますので、よろしくお願いします。
  178. 穀田恵二

    穀田委員 残念ですね。前、この促進法ができるときに、実は政府はこう言っているのですね。住民合意を進めるということでございますと。「地方自治の本旨にのっとり、住民との関係において地方自治を十分わきまえながら、民間においても国においても、あるいは都道府県においても行われるというふうに理解しております。」ここまで言っているのですよ。  ところが、どうか。実際には、先ほど言った三府県の代表の副知事が入っているという。さらには、調べますと、推進機構の評議員には市町村が全部入っているということは調べました。問題は、そうじゃないのですね。セカンド・ステージ・プラン委員会の発足さえ地元の精華町や木津町に一切連絡がないということで報道されているんですね。そういうのは枚挙にいとまがないのですよ。それは昨年の十一月十九日付の新聞です。  さらに、学研都市の波及効果を広域に及ぼすための具体的方策調査研究委員会の中間報告によると、やはり地元の声を聞く窓口が欲しいというのが圧倒的に多いのですね。だから、至るところでそういう問題が、実は副知事が入っていながらそういう声が聞かれる。声が聞かれていない、住民の意識調査をすればそういうことが出てくる。  こういうことを踏まえて、しかもみずから、促進法を決める際には、地方自治の本旨にのっとってやると言っているのだから、せめてこういうふうな形で、今縮小も含めて検討する際に、地方自治体の主体者は住民の身近なところでいうならば市町村だと、わざわざきょう提案をされた地方分権法律の中にも書いてあるぐらいの問題なんですから、せめてこういった問題をする際に、段取りをとるのが当たり前じゃないかと思うのですが、いかがですか。
  179. 野中広務

    野中国務大臣 そのとおりでございます。  ただ、二十一世紀を先導するような研究都市をつくろうとしてそれぞれの施設が今できつつあります。けれども京都府内においても相変わらず三つの町が存在しているんですよ。だから、一つのものを相談しようにも、それぞれ市町村という機能が学研都市の中の機能と全くマッチしないような状態になってしまっているのです。私どもは、むしろ学研都市を抱えるところは一つの町になって、一つの市になってやるべきだ、そして、その都市と整合性を持ってやるべきだと言っておるわけですけれども、それすらできない。  委員が先ほど御指摘になりました精華町の下水などは、管は行きましたけれども、終末処理場は十年かかってようやく去年解決がついたというところでございまして、市町村との問題に非常に難しさを感じておるわけでございます。  けれども、そういう中においても、国土庁においても、あるいは関係委員会においても、京都府においても、市町村の意向を十分しんしゃくして、長く待って、そして学研都市が実りあるものに、市町村との調和と整合がとれるように努力をしてきていただいておるということは、ぜひ御理解をいただいておきたいと思います。
  180. 穀田恵二

    穀田委員 意見を聞いてないということではないのですね。そんなことは大臣もよく御承知だし。ただ、具体的事実の問題について言うならば、先ほどお話ししたように、第二ステージという、いわば重大な段階を画する問題の点についても話を聞いていないと言うわ、それから、先ほど大臣からお話があったATRの問題についても、決定に関与していないということが議会で正式に答弁されるなどと、枚挙にいとまがないわけです、そういうことについて言うならば。  しかも、お話があったように、一つの市になってすべきかどうかというのは、それは大臣のお考えであって、またそういう推進する側のお考えはそうかもしれませんが、これは単に三町だけでなくて五市三町にまたがる問題です。私は、五市三町はしかるべき、きちんとした意見を聞くようなことをすべきじゃないだろうかというふうに思っているのですね。  時間ですから、やはり先ほどの報道によりますと、同じく実は「五市三町の首長はそろって推進機構の評議員に名を連ねながら、対応策など具体的な話し合いなどしたこともないという。」というふうにまで書かれているわけです。ここまで書かれると、やはり意見を聞いたことはそれは確かにあるでしょうけれども、現実の具体的な進行の度合いの問題について言うならば、いよいよ第二ステージというふうなことになってきて、先ほどの大臣お話ではありませんが、いよいよ文化の施設だとかそういったものに入ろうとしているときに、整合性のある町づくりの主体者はどこなのか、それはやはり市町村なのですね、一応ある限りにおきましては。そうすると、その代表を入れてきちんと議論していく方が望ましいと大臣お話があったので、せめてそれはそういう機構の中に入れていただいてやっていただくことを望みたいと思うのです。それだけ最後に聞いて終わります。
  181. 山村信吾

    ○山村説明員 府県を通じることになるかと思いますが、今まで以上に各市町村の意見も聞きながら進めさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  182. 川崎二郎

    川崎委員長 川端達夫君。
  183. 川端達夫

    ○川端委員 大臣、私で最後です。長時間御苦労さまですが、お世話になります。また、委員長、各会派の理事さんの皆さん質問時間に関して御高配をいただきましたことをこの席をかりてお礼申し上げます。ありがとうございます。  震災が起こりまして五十日という節目を迎えることになりまして、この間、初期の救助から救援、復旧、復興と各段階にわたりまして、おのおののお立場の人が本当に寝食忘れて懸命の努力をされておられることに対して、改めて感謝を申し上げておきたいというふうに思います。  ただ、こういう基本的な緊急の立法等々も一通り段落がついた今の時点というのは、やはり冷静に、ちょうどスタートのころを振り返り、そしてこれからどういうことを検討、研究すべきかということを少しロングレンジも含めて考える、記憶も生々しい中で考える一番いい時期ではないかというふうに思っております。総理も、反省すべきは反省し、これから対策を立てていきたい、こういうことでもございます。  そういう意味で、今でもいろいろな観点から見ますと、もっとこういうシステムができていたらよかったのにとか、こういう装備があればとかいうことは、たくさん指摘をされています。私たちがそういう認識の中で今一番気をつけなければいけないのは、災害はいつ起こるかわからないわけですけれども、再びこういうことが起こったときに、前もそういうことがあったのにという、反省は生かされなかったという事態だけは我々のしてはいけない責任だというふうに思っています。そういう中で、この貴重なとうとい人命を失い、多くの財産を失い、経済を含め大変な打撃を与えたという、犠牲を払う中でそれを生かすということがやはり一番政治として大切な問題だというふうに思っています。  そういう中で、今回は時間が限られておりますので、特に火災に絞ってちょっとお尋ねしたいのですが、報告では火災の発生は二百九十三件、そして警察庁のお調べでは亡くなられた方の中で、これはなかなか分類というのが難しいのでしょうが、焼死あるいはその疑いのあるものという死因ですね、これは、燃えるまでに亡くなっていた方も恐らくおられたということだと思うのですが、そういう方が約一〇%おられる、五百名以上の方は火災が原因で亡くなられたのではないかというふうに数字としても出ています。  それで、初めにこの議論をする前にちょっと消防庁にお伺いしたいのですが、この火災の発生が二百九十三件なのですが、焼失家屋というのは何件というか、何月というのか、というデータはあるのでしょうか。調べたのですが、よくわからなかったのです。
  184. 滝実

    ○滝政府委員 現在判明いたしております焼失家屋というか、棟数で申し上げますと、兵庫県と大阪府トータルで申し上げまして、全焼が七千百二十棟、半焼が三百四十四棟というように私どもは承知をいたしております。
  185. 川端達夫

    ○川端委員 ありがとうございます。  火災発生件数という部分で二百九十三件、そして全半焼を加えますと七千四百棟ぐらいということで、いかに延焼というのですか、類焼というか、一つの火災が大規模に燃え広がったかということのデータであるというふうに思います。  そういう中で、当初からこれは国会の中でも随分何度も議論になったことでもあるのですが、素朴な疑問として、なぜ初期の、燃え広がる前の段階で消せなかったのだろうか、これは当然ながら消火栓が壊れてしまっていたとか、水が出なかった、あるいは消防車が行けないということがあったのですが、そういう中で国民の多くの皆さんの素朴な疑問として、ヘリで消防というのはできなかったのかということが、これは何度も議論になりましたけれども、やはりいまだに我々もよく聞かれることでございます。  この部分、一度ちょっと整理をしておきたいなということで、最終的に消防庁として、県も含めてですが、ヘリ消防をされなかったということの理由をお知らせいただきたいと思います。
  186. 野中広務

    野中国務大臣 これはさまざま国民皆さんからも、なぜヘリによる空中消火ができなったかという疑問と不満があるわけでございますから、消防のトップにあります長官が説明するとより具体的、詳細におわかりいただけるかと思いますが、やはり私の政治的立場の責任から申し上げることの方がよかろうと存じますので、私の理解する範囲においてお答えを申し上げたいと思うのでございます。  さまざま今御指摘がございましたように、あの燃え盛る映像を見ながら、どうしてヘリで空中から消せないのだということは、私どもにも多くの皆さんから御批判をいただいたところでございます。しかし、ヘリを用いるかどうかというのは現地消防本部が決定をする問題でありますけれども、一棟の家屋に対しまして、連続的に二十分間二十トンの水をかけなければ消火できないと言われておるのであります。ポンプのホース一本から一分間に出る水は一トンであります。それが二十トンなければ、一つの家屋を消火さすことができないと言われておるわけでございます。  ところが、ヘリに水を積載できるのは普通のヘリで〇・五トン、大型ヘリで一・八トンでございます。したがいまして、今までアメリカ等で使われ、日本でも使われますのは、山の火災について、燃え盛る周辺への延焼を食いとめるためにヘリで薬をまいたり、水をまいたりして類焼、延焼を防ぐ、それに使うわけでございますけれども、都市で、しかも建物が非常に高低が激しいところで〇・五トンより積めないヘリを持っていっても、これは相当量のヘリを持っていかなければその消火ができないわけでございます。まして、あの神戸の都市部で、ビルが林立するところでは、大型ヘリを持っていっても大変な事故を起こす危険があるわけでございますし、極めて困難な危険性を伴うわけでございます。  また、市街地火災で上空から水や消火剤をまいても、屋根等の構造物に遮られまして火の焦点に当てることができないという点もあるわけでございます。また、命中率を高めますために低空飛行で散布する場合には、ホバリングの際に発生する下方向の風によりまして火勢が一層あおられる危険もあるわけでございますし、また水の塊によって下におられる方に衝撃を与えて、せっかく助かる人が助からない、こういう問題もあるわけでございます。  都市部における消火手段については検討を行ってはおりますけれども、ヘリコプターや飛行艇でこれを行うことはなかなか困難であり、しかも低空飛行をやりました場合は、煙によるエンジントラブルによってヘリそのものが第二次災害を起こす危険もあるわけでございまして、恐らく現地消防本部はその対応をとらなかったと私は考えるわけでございまして、御理解をいただきたいと存じます。
  187. 川端達夫

    ○川端委員 ありがとうございます。今言われた幾つかの理由は、何度がごの議論の中で出ているわけです。  それで、そういうことでお伺いをしますと、これからもこういう密集都市災害、都市火災にはヘリ消防というのは、そういうふうなことを言われた理由でいえば使えないというふうに思っておられるということなのでしょうか。
  188. 野中広務

    野中国務大臣 人命の救出、あるいは救援物資の搬送、救急隊の搬送等にはこれからも積極的にヘリの導入を行うべきだと考えておりますし、その要員の養成、あるいは今後積極的に全国にヘリが配置されるようにはやっていくべきだと考えますけれども、先ほど申し上げたように、都市部における消火のためにヘリを使い、かつ飛行艇を使うということは、非常に危険を伴い、そして当初目的とする消火に十分機能を果たすことができないと考えておりますわけで、その道をとる考えは今のところないわけでございます。
  189. 川端達夫

    ○川端委員 それで、今幾つか言われた理由、高度を高くすると余り能力的に意味がない、相当の編隊を組まなければいけない、あるいは低空でホバリングすると火勢が強くなるのではないか、エンジントラブルが起こるのではないか等々のことに関して、本当にそうなのだろうかということの検証というのはどうなのだろうかということに私は若干の疑問を持つわけです。  そして、ちょっと観点を変えまして、自衛隊は、十七日の十七時四十分に、中部方面総監部より、第三師団司令部は空中消火の可能性について検討するとともに、兵庫県の空中消火実施の有無について県側に確認、二十時に、県として空中消火は考えていないとの情報を担当者から入手、二十二時ごろに、県側はあす七時に消火活動の有無を決心するとの回答を得るということで連絡を受けて、県からの空中消火の要請の可能性があることを予想し、諸準備を逐次開始、十七日の夜までは返事はちょっと待ってほしいけれどもということなので、自衛隊は空中消火の要請の可能性があることを予想して諸準備を開始したということ、これは防衛庁の資料ですから、そして、朝の七時に回答がないのでどうしたのかと問い合わせたところ、判断を十時に延ばしたということで、十時ごろ空中消火は実施しないということの返事があった。この判断は恐らく今言われたようなことでされたのだと思うのですね。  ところが、自衛隊は、そうすると、空中消火の要請があればそれに対応する準備をしていたという部分でいうと、何らかの消火活動をするということを考えていたということなのでしょうか、防衛庁。
  190. 山崎信之郎

    ○山崎説明員 お答え申し上げます。  防衛庁が一月十七日の夕刻以降、県側と連絡調整を行ったのは先生御指摘のとおりの内容でございます。これは防衛庁としては、この場合県側から仮に消火について御要請があった場合に直ちに応じられるような態勢をとっておくということでございまして、そういう意味から県側の意向を再三にわたり確認をしたものでございまして、防衛庁として空中消火を行った方がよいとの判断を前提にそういう態勢をとったというわけではないということでございます。
  191. 川端達夫

    ○川端委員 それで、週刊誌情報みたいなものをこういうところへ出すのはいかがかと思いますが、実名ですので……。防衛庁のOBの方が、阪神大火災は自衛隊ヘリ出動ですぐに消せた、こういうことでいろいろな論拠を持って述べておられる記事がある。それから、ほかの報道でも、今いろいろおっしゃった、ホバリングのときにかえって火災をあおるのではないかとか、エンジントラブルを起こすのではないかとか、能力的に問題があるのではないかという部分に関して、実はいろいろなそうでないという反論もあることは事実です。  そういう意味で、私は、あのときやるべきだったかやるべきでなかったかということは、本当に非常に難しい判断だったことは事実だし、それがけしからぬとかいうことを今言っているのではなくて、実はこの時点では、今までの実績も含めて、空中ヘリ消防というものの経験も研究も検討も実はされていなかったと思う。だから、やろうという判断をするということの不安の方が多くて、論拠がなかったということだと思うのです。  ですから、私は今やるべきことというのは、この技術が随分進んだ時代、そしてロス火災ではピンポイントの衝撃的な水撃で消すという部分も含めて、いろいろなことが外国でやられていることも事実ですので、これからそういう消火に、道路は渋滞して行けない、そして水栓はねじれて使えない、水道は出ないというときに、今消防庁でお考えになっているかなり大規模なポンプでいろいろつないでやろう、これも一つの方法だと思います。  しかし、それは水源が、海がなければまた意味がないということですし、先ほど穀田先と言われたような各地域に耐震の水槽を持って、エンジンも置いておいて、簡便に使えるというのはそうだ。しかし、やはりそういう部分と同時に、空中からの消火というものは、先ほど大臣言われた部分は、本当にある部分でいえば科学的に検証されたという部分に関して私は正直申し上げて根拠はやや希薄な部分もあると思うのです。  そういう部分でだから反論が出てくるわけです、そうではないのではないかと。防衛庁がやっていて、私がやっていたらそんなことでないというふうに逐言っておられる人もおられるわけですから……。  そういう部分で、私は、やはりこの空中からの部分というのが可能であるならば、これから相当な効果を発揮することは間違いがないわけですから、そういう部分で消防庁、自治省を含めて、この問題はもうこれからも想定しないということではなくて、一度今までの知見も含め、研究、検討、それから訓練、防衛庁のいろいろな知見、それから実際のヘリの台数でいうと、これはもう自衛隊機でしか恐らく使えないと思います。そういう部分を含めて、このことに関して、一度真っ正面からそれなりの費用もつけて検討してやるということ、私はぜひともやっていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  192. 野中広務

    野中国務大臣 今お話しになったような点を含めまして、例えばロスの地震災害における問題等、またスイス犬の問題等を含めまして、それぞれ消防庁の職員を両地に、支援のお礼を含めまして今研究に派遣をさせておるところでございます。  今後も可能な限り、いろいろな観点に立ちまして、消火活動を含めて、検討をして研究をしてまいりたいと存じております。
  193. 川端達夫

    ○川端委員 ぜひともよろしくお願いをしたいんですが、くどいようですが、先ほどいろいろ言われた理由というものの検証ということに、私はそのこと自体はちゃんとやっていただきたいなというふうに思います。  それと、もう時間がなくなってしまいましたので、あと一点だけ。  これは今回の場合でも、やはり近隣の市町村の応援というのは、大変皆さん、御苦労していただいて御協力いただいたというふうに思います。そういう中で、特に、今回は消防活動ということだけに限定して御質問しておりますのであれですが、私は滋賀県ですが、滋賀県の消防の方も随分たくさん応援に行かれました。そういう人たちは消防マンとして現実にそこへ行っていろいろな活動をされたという貴重な体験をされた。そして、兵庫県の方はもちろんなんですけれども全国、周辺の人がそういう形で消火、救助に参加をしたということのその人たちへの感謝も当然物すごくあるわけですけれども、その貴重な経験を今持っておられてという部分をやはり集約をするということもぜひともにやっていただきたいな、各消防、都道府県ありますからね。  そうすると、行った人のまた違う目で、自分が行ったときにこういう経験をしたということが非常に大事なことではないか。それは行った人に対するフォローでもあるというふうに思いますし、それから、同時に、これからは、当然ながら、こういうふうな壊滅的な災害が起こるというときは周辺との連携、ネットワークというのが一番大事な部分であるというのは、大臣も折に触れて言っておられますけれども、そういう部分を含めて、今回、市の職員とかいろいろな方も行かれました。しかし、とりわけ一番危険な部分を含めて活動された消防の皆さんの部分で、周辺市区町村、周辺だけではなくての部分のそういう方、可能であれば幅広く、いろいろな方なんですけれども、そういう方の記憶の生々しい部分での生の声を集約をしてこれからに役立てるということは、これからのことに役に立つと同時に、行っていただいた人に対しても、やはり私は礼としても非常に大事なことだと思うんですが、いかがでしょうか。
  194. 野中広務

    野中国務大臣 お説のとおり、現地で被災者になり、かつ消防活動にはせ参じた職員及び警察官等の経験をもその記録にとどめるようにお願いをし、また、今委員御指摘のように、救援に参加をしていただいた多くの皆さんのまたとうとい経験を生かした今後への指針につきましてもぜひ取りまとめまして、私ども、これからの記録と参考にさせていただきたいと存じておる次第であります。
  195. 川端達夫

    ○川端委員 時間が終わりました。ありがとうございました。
  196. 川崎二郎

    川崎委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  197. 川崎二郎

    川崎委員長 この際、地方税法の一部を改正する法律案について議事を進めます。  これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  地方税法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  198. 川崎二郎

    川崎委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  199. 川崎二郎

    川崎委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、米田建三君外三名から、四派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。米田建三君。
  200. 米田建三

    ○米田委員 私は、この際、自由民主党・自由連合、新進党、日本社会党・護憲民主連合及び新党さきがけの四会派を代表いたしまして、地方税法の一部を改正する法律案に対しまして、次の附帯決議を付したいと思います。  案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。     地方税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、地方団体の行政需要の増大、引き続く厳しい地方財政の状況等にかんがみ、左の点についてその実現に努めるべきである。  一 今回の平成七年度分及び平成八年度分の固定資産税及び都市計画税に係る臨時的な課税標準額の特例措置について、納税者に十分周知徹底を図ること。  二 固定資産税は、わが国の土地保有課税の根幹であり、自主財源としての市町村税の基幹税目であることを踏まえて制度の整備充実を図ることを基本とすること。また、平成九年度の土地の評価替えに当たっては、引き続き評価の均衡化・適正化を推進するとともに、最近における地価の変動をより的確に評価額に反映させるよう努めること。なお、土地の評価替えに伴う納税者の負担にも配慮しつつ適切な税負担の調整措置を講じること。  三 地方分権の推進等を図るため、地方税は地方団体の重要な自主財源であることにかんがみ、国と地方の役割分担に応じた税源配分の見直しを行うとともに、地方団体がその役割の増大に的確に対処し、地域の実情に即した自主的・主体的な行財政運営が行えるよう、地方税源の拡充・強化に引き続き格段の努力を行うこと。  四 税負担の公平を確保するため、非課税等特別措置については引き続き見直しを行い、一層の整理・合理化等を推進すること。  五 阪神淡路大震災の被害の甚大性・広域性にかんがみ、住民生活の安定、災害復旧・復興に対する機動的な対応等という観点から、地方税制上の配慮についても早急な対応を検討すること。  右決議する。 以上であります。  何とぞ皆様方の御賛同をよろしくお願いいたします。
  201. 川崎二郎

    川崎委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  202. 川崎二郎

    川崎委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、野中自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。野中自治大臣
  203. 野中広務

    野中国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重し、善処してまいりたいと存じます。     ―――――――――――――
  204. 川崎二郎

    川崎委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  205. 川崎二郎

    川崎委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  206. 川崎二郎

    川崎委員長 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案について議事を進めます。  討論の申し出がありますので、これを許します。穀田恵二君。
  207. 穀田恵二

    穀田委員 私は、日本共産党を代表して、地方交付税法等の一部を改正する法律案に関しての反対討論を行います。  まず、地方財政の財源不足にかかわる国の責任問題であります。  交付税法は、地方財政に財源不足が生じる場合には、国からの特例措置で補てんする旨を規定しています。ところが、七兆円に近い過去最高の財源不足が生じる事態にもかかわらず、国が特例措置として繰り入れる額は一千八百十億円、不足額のわずか二・六%であります。これではとても国が特例措置したなどとは言えません。  第二は、借り入れの問題です。  借入金という方法はとらないというのが政府の方針のはずであります。ところが、年度当初としては二年連続、補正を含めれば三年連続して借り入れによる補てんが行われており、今や借り入れをしないという原則は事実上無視され、借り入れが恒常化しているのが実態であります。特に、今回の借り入れによる年度末の借入金残高は十兆七千七百億円余と見込まれ、財政体質の悪化を招くとの理由で借り入れをやめた当時の地方負担分五兆六千九百億円余を大きく上回る事態となっています。この点からも、こうした多額の借り入れを行う責任が問われなければなりません。  第三は、交付税特別会計繰入金の先送りの問題です。  国からの交付税特別会計への繰入予定額は一兆一千三百九十二億円でした。ところが、実際に繰り入れられる額は一千八百十億円、全体の一六%弱にすぎません。今回の九千五百八十二億円を含めた先送り額は、実に五兆円を超えるものになります。こうした財源は地方に配分されるべきものであり、財源不足が生じる事態ではなおさらであります。一方で新たな借り入れをしながら、繰入予定額のほとんどを先送りすることは納得できません。  最後に、地方税法の一部を改正する法律案に対しても一言。  改正項目は多岐にわたり、固定資産税の住民負担の軽減などの評価できるものも含まれていますが、リゾート開発や学研都市開発、多極分散型国土形成促進法に基づく拠点地域整備など、民活路線、大型プロジェクト推進のために、大企業に対する各種特例措置の温存、延長を図っているものがあり、法案全体としては反対であることを表明して、討論を終わります。
  208. 川崎二郎

    川崎委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  209. 川崎二郎

    川崎委員長 これより採決に入ります。  地方交付税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  210. 川崎二郎

    川崎委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  211. 川崎二郎

    川崎委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  212. 川崎二郎

    川崎委員長 次に、地方財政に関する件について調査を進めます。  この際、北沢清功君外三名から、四派共同提案に係る地方財政拡充強化に関する件について決議されたいとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。北沢清功君。
  213. 北沢清功

    ○北沢委員 この際、地方財政拡充強化に関する件につきまして、決議をいたしたいと存じます。  本件につきましては、理事会等におきまして、自由民主党・自由連合、新進党、日本社会党・護憲民主連合及び新党さきがけの四会派間で協議が調い、お手元に配付してあります案文がまとまりました。  案文の朗読により、趣旨の説明にかえさせていただきます。     地方財政拡充強化に関する件(案)   地方分権の推進を図るとともに、現下の厳しい地方財政の状況等に対処する観点から、地方財政の中長期的な安定と発展を図り、地方団体の諸施策を着実に推進するため、政府は、次の事項について措置すべきである。  一 累増する巨額の借入金が将来の地方財政を圧迫するおそれがあることにかんがみ、地方税、地方交付税等の地方一般財源の充実強化により、その健全化を図ること。  二 地方分権の推進に伴い、地方団体が行う事務事業を自主的かつ自立的に執行しうるよう、国と地方の役割分担に応じた地方税財源を充実確保すること。なお、国庫補助負担金等については、その廃止を含め一層の整理合理化を推進するとともに、地方団体における行財政改革の一層の推進を図ること。  三 地方団体が個性豊かな活力ある地域づくりを自主的かつ主体的に推進するとともに、地域の実情に応じた生活環境及び住民生活に密着した社会資本の整備を推進するため、引き続き地方単独事業の充実を図ること。  四 少子高齢化の進展に伴う地域福祉の充実等の要請に適切に対応するため、引き続き地方団体が単独で行う社会福祉経費の一層の充実を図ること。なお、国民健康保険における住民負担及び地方団体の財政負担の現状にかんがみ、国民健康保険財政の在り方についての抜本的な検討を進めるとともに、その改善を図ること。  五 地方団体が積極的かつ主体的に取り組むことが求められている環境問題、農山漁村対策、森林・山村対策、国際交流、地域文化、地域スポーツ、消防等の諸施策について、引き続き財政措置の充実を図ること。  六 阪神淡路大震災等の非常災害に際しては、当該被災地域の復旧・復興等のために必要とされる財政需要を的確に把握するとともに、関係地方団体の財政運営に支障が生じないよう、万全の措置を講ずること。   右決議する。 以上であります。  何とぞ皆様方の御賛同をお願いをいたしたいと思います。
  214. 川崎二郎

    川崎委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  これより本動議について採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  215. 川崎二郎

    川崎委員長 起立多数。よって、地方財政拡充強化に関する件を委員会の決議とするに決しました。  この際、野中自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。野中自治大臣
  216. 野中広務

    野中国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を尊重し、善処してまいりたいと存じます。
  217. 川崎二郎

    川崎委員長 お諮りいたします。  ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  218. 川崎二郎

    川崎委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。      ――――◇―――――
  219. 川崎二郎

    川崎委員長 次に、内閣提出地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより趣旨の説明を聴取いたします。野中自治大臣。     ―――――――――――――  地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律   案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  220. 野中広務

    野中国務大臣 ただいま議題となりました地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。  民間被用者に対しまして雇用保険法により育児休業給付が実施されることに見合う措置として、地方公務員等に係る育児休業手当金の制度を創設し、育児休業中の経済的援助措置を講ずるとともに、地方議会議員年金制度につきまして、国会議員の互助年金制度に準じ、必要な見直しを行おうとするものであります。  以上がこの法律案を提案いたしました理由であります。  次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。  第一に、育児休業手当金につきましては、地方公務員共済組合が行う短期給付の事業として創設することとし、育児休業手当金の額は、組合員の給与の百分の二十五に相当する額とするものとしております。また、育児休業手当金に要する費用の一部は、公的負担として地方公共団体が負担するものとしております。  さらに、育児休業手当金の創設に伴い、育児休業期間中の女子教育職員等に支給することとされている育児休業給を廃止することとしております。  第二に、地方議会議員年金制度につきましては、平成七年四月一日以後に新たに地方議会議員となった者の退職年金の支給開始年齢を、六十歳から六十五歳に段階的に引き上げるとともに、新たに、期末手当を算定基礎として特別掛金を徴収することとしております。  このほか、所要の措置を講じることとしております。  なお、この法律案は、民間被用者と同様に育児休業手当金を支給する必要があることから、本年四月一日から施行することとしております。  以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  221. 川崎二郎

    川崎委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、来る十四日火曜日午後四時五十分理事会、午後五時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。   午後五時四十八分散会      ――――◇―――――