○谷口
委員 保険業法については、十二日にもう一回
質問させていただきますのでこのあたりで終わりまして、昨日、今回のこの
円高の問題であるとか景気の問題について
質問させていただきました。若干時間がなかったものですから、その続きをさせていただきたいというように思っております。
昨日何点か申し上げたわけでございますが、現実の問題として、今大きく世界の流れは変わってきた。それで、
我が国においては
資産デフレの
状況がある。
資産が
目減りいたしておる。バブルのピークからしますと、昨日申し上げたように、もう既に土地、株で一千兆ほどの価値がなくなってしまった。現実に今一千兆ほどの
資産価値、このように言われておるわけでございますが、そういうような
状況になっておるわけでございます。これは、先日の阪神大震災の物的
損害価値からしましてもかなり大きな金額になるわけでございます。こういうような
状況の中で、一刻も早く今の
状況を変えなければいかぬ、対策を講じなければいけないというようなことで、きのう申し上げました。
国家の最大の使命というのは
国民の生命と財産を守ることにある、こういうように言われておるわけでございます。阪神大震災の折に初動のおくれから五千名を超えるような死者を出したわけでございまして、また今回、先ほどのお話のように、昨年末にメキシコの通貨危機があって以来この五カ月間、四月十四日ですから、それまで何もやらなかった。そういう結果、今のような
円高、大変な急激な
円高を招来しておる。このようなことで、村山内閣が誕生して以来、
株式時価総額が百兆円なくなってしまった。こういうような今現実にあるわけでございます。
それで、いろいろ枝葉末節はあると思いますが、既にシステムが変わった今の時代認識を十分持たなければ、この大変な事態を乗り越えることはできない、このように思うわけでございます。従来の
経済システムを踏襲するような対策では、これはなかなか解決できないと思うわけでございまして、再度強く申し上げたい、このように思います。
今、
アメリカの例がよく言われておりまして、
アメリカにおきましてカーターさんからレーガンにかわったときに、レーガンは御存じのとおりレーガノミクスと言われるようなドル高の政策をとって、やったわけです。それで、当時
アメリカでは非常に急激に空洞化が起こったというように言われておるわけでございまして、その後、政治的、戦略的にそれを乗り越えるというような政策をとって今現在の
アメリカがある、このように言われております。
今、
日本はまさにこのレーガン政権の初期に似ている、このように言われておるわけでございます。このドル高によって、当時
アメリカにおいては空洞化が起こって
国内産業が非常にだめになった。そういうような
状況の中で、この政策の大転換ということでベーカーさんが、一九八五年、ちょうど十年前のプラザ合意で一挙にドル高からドル安、こういうような
方向に誘導したわけでございます。この十年後の今、
アメリカは今の
状況になっておる、こういうように言われておるわけで、
方向を五年間違えると十年間後遺症が残る、このように言われておるわけでございます。
そういう中で、
アメリカにおいても
資産デフレというような事態があったわけでございます。その
資産デフレを、この深刻さを見破ったFRB議長のグリーンスパンさんが、そういう
状況の中で実質金利をゼロにして
経済全体に資金を垂れ流した。このように言われておるわけでございまして、その結果、
株式市場の
活性化が起こった。そういう前に
アメリカにおいてはやはり不良債権の問題が出ておって、SアンドLの問題を十兆円近い公金を使って処理したわけです。それで、やるべきことをやった上で金利を下げて
銀行が息を吹き返した。このように言われておるわけでございまして、まさにそういう大胆なことをやっていかなければいけない。
きのうも私申し上げましたが、財政均衡主義の中で今回景気を
活性化させるというのは非常に難しいところがございます。ある
一つのことをやろうと思えば常に税収、財源のことを一緒に考えるということになりますと、
経済の活性策というのは大きな意味を持ってこないと思うわけでございまして、そういう
状況の中で、今
日本の
方向が非常に乱れておるわけでございます。
きょうのお話を聞いておりますと、大蔵大臣もこの十年は非常に大事な十年であるというように御答弁されておられたわけでございますが、こういうような
資産デフレの問題であるとか
金融機関の不良債権の問題というのは、
我が国だけの問題じゃなくて、これは欧米にも起こっておるわけでございます。そういう
状況の中での
我が国の
対応というのが今問われておるわけでございまして、もう一度大蔵大臣に御答弁を
お願いいたしたいと思います。