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1995-05-10 第132回国会 衆議院 大蔵委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年五月十日(水曜日)     午前十時二分開議 出席委員   委員長 尾身 幸次君    理事 石原 伸晃君 理事 金子 一義君    理事 村上誠一郎君 理事 新井 将敬君    理事 北側 一雄君 理事 村井  仁君  理事 早川  勝君 理事 五十嵐ふみひこ君       大島 理森君    大原 一三君       岸田 文雄君    熊代 昭彦君       小泉純一郎君    中谷  元君       福田 康夫君    堀之内久男君       宮里 松正君    茂木 敏充君       青木 宏之君    井奥 貞雄君       上田 清司君    太田 誠一君       竹内  譲君    谷口 隆義君       中田  宏君    中村 時広君       藤井 裕久君    宮地 正介君       今村  修君    中村 正男君       濱田 健一君    日野 市朗君       田中 秀征君    佐々木陸海君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 武村 正義君  出席政府委員         大蔵政務次官  萩山 教嚴君         大蔵大臣官房総         務審議官    竹島 一彦君         大蔵省主計局次         長       武藤 敏郎君         大蔵省主税局長 小川  是君         大蔵省証券局長 日高 壮平君         大蔵省銀行局長 西村 吉正君         大蔵省銀行局保         険部長     山口 公生君         大蔵省国際金融         局長      加藤 隆俊君  委員外出席者         厚生省年金局運         用指導課長   福山 圭一君         大蔵委員会調査         室長      中川 浩扶君     ————————————— 委員の異動 五月十日  辞任         補欠選任   永井 哲男君     今村  修君 同日  辞任         補欠選任   今村  修君     永井 哲男君     ————————————— 本日の会議に付した案件  保険業法案内閣提出第九三号)  保険業法施行に伴う関係法律整備等に関す  る法律案内閣提出第九四号)      ————◇—————
  2. 尾身幸次

    尾身委員長 これより会議を開きます。  内閣提出保険業法案及び保険業法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井奥貞雄君。
  3. 井奥貞雄

    井奥委員 新進党の井奥貞雄でございます。これから幾つかの質問をさせていただきたいと思います。  昨日から始まりましたこの業法改正というのは、日本経済社会が大きな環境変化に直面をして、経済活性化が強く求められている今日、規制緩和自由化を推進することは大変重要なことでありまして、特に金融の一翼を担う保険業にとりましては五十五年ぶりの抜本的制度改革を進める中で、従来の考え方にとらわれることなく規制緩和を進めていく必要があると考えております。  このような観点から、今回の法律に盛りまれている規制緩和に関する措置について二、三御質問をさせていただきたいと思います。  一点でありますが、規制緩和の大きな柱として子会社方式による生損保相互乗り入れが挙げられる。これを進めるに当たって、弊害防止措置、すなわちファイアウォールでございますが、これを設ける理由は何か、このことについて御説明をいただきたいと思います。
  4. 山口公生

    山口(公)政府委員 お答えいたします。  子会社方式によります生損保相互参入につきましては、生損保事業競争促進事業効率化を進め、その結果、利用者ニーズヘの的確な対応を図るという観点から認めるものでございますが、弊害防止措置を設けますのは、こうした生損保相互参入に伴いまして、親子会社間においてリスク遮断形骸化が行われることによって、親または子保険会社健全性が損なわれるということを防止するためでございます。  したがいまして、適切な弊害防止措置を設けることは、保険会社健全性確保、ひいては契約者保護にとってむしろ有益なものではないかというふうに考えておるわけでございます。
  5. 井奥貞雄

    井奥委員 弊害防止措置を余り強調し過ぎますと消費者利便を損なう、こういうことになり、最初から、意図されるような相互乗り入れが行われにくくなるというふうに私は考えるわけでございます。  そしてまた、アメリカにおきまして、銀行証券ファイアウォール、こういった問題の弊害は一体どういうところにあるのか、どういうことになっているのか。それからまた、アメリカにおける生損保弊害、このことにつきましてもお答えをいただきたい。この点についてどのように対応しておられるのか、これをお伺いをいたしたいと思います。
  6. 山口公生

    山口(公)政府委員 お答え申し上げます。  アメリカにおける銀証の問題というのは、やはり利益相反の問題かと伺っております。  生損については余り目立った考え方というのを伺ったことはございませんけれども、一応アメリカにおきましても、生損はリスク遮断をして弊害が出ないようにきちんと兼業禁止を守っているということでございます。
  7. 井奥貞雄

    井奥委員 銀行証券に比べて、我が国の今回の防止措置というのは、かなりファイアウォールを低くするんだ、こういったことに私は受け取っておりますけれども、そういうふうに理解をしてよろしゅうございます。
  8. 山口公生

    山口(公)政府委員 弊害防止措置としまして、法律上にいわゆるアームズ・レングス・ルールと省令委任規定を設けておりますが、省令以下の措置につきましては、今先生のおっしゃいましたように、銀証の場合とはちょっと違った感覚でとらえるべきではないかという感じを私どもも持っておりまして、親子間の経営資源有効活用という観点からのクロスマーケティング趣旨を踏まえつつ、他方、やはり子会社である以上は親会社からある程度独立していることが必要であると考えられること、それから生損保兼営禁止ということをやっておりますので、その趣旨をも踏まえながら、よく実態を十分勘案して定めてまいりたい。  おっしゃった銀証との比較で言うと、私どもも同じような感じを持っております。
  9. 井奥貞雄

    井奥委員 それでは、ソルベンシーマージン基準導入についてお伺いします。  保険会社リスク管理体制が整備されていくとすれば、基本的には保険会社資産運用についても規制緩和を行うべきではないか、このように考えられるわけでありますが、今回の改正財産利用方法書が廃止をされるわけであります。そして資産運用規制、これを今後どのようにしていかれるのか、このことについてもお伺いをしたいと思います。
  10. 山口公生

    山口(公)政府委員 ソルベンシーマージン基準は、保険会社が直面しております保険リスクとか資産運用リスク等の諸リスクを定量化して、保険会社自己資本と考えられます金額との対比をもって保険会社の総合的な健全性チェックをすることを目的としておるわけでございます。  一方、御指摘資産運用規制は、保険会社資産運用リスクの大きい資産、特定の相手方、流動性の低い資産に集中するとか、契約者損害を及ぼすことのないようにするために、保険会社資産運用について一定の制約を課しているものでございます。  このように、ソルベンシーマージン基準資産運用規制は、その目的が異なっておりまして、このソルベンシーマージン基準導入で直ちに資産運用規制緩和につながるというものではないと思うのでございますけれども、今後やはり健全性の面でソルベンシーマージン基準が定着していくということになりますと、その定着状況を見きわめながら、おっしゃったように資産運用規制のあり方についても検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  11. 井奥貞雄

    井奥委員 ソルベンシーマージン基準というのを取り入れると保険会社の体質がわかる、それがディスクロージャーをされる、そういった形での理解をしておられる方々が非常に多いというふうに思いますし、私もそのように理解をしている一人でございますけれども、特に普通の一般企業でいいますと流動比率、これは自己資本比率ということで理解をしておりますけれども、例えば流動資産流動負債で割った。その数値が高ければ高いほどその会社安定度がいいんだ、こういう理解を一点しております。  それだけでまた、経常利益がどれだけあってそれでその会社内容がというのではありませんが、経常利益というのは当該営業利益でございますから、それは一年間にどれだけの収益を上げたかということは大事でありますけれども資産目減りの問題やいろいろな問題を勘案をしていくわけでございますが、特にその中でソルベンシーマージン基準というのを導入していくというのは、数値がこれは年々変わっていくであろうというふうに思っています。  ですから、その数値をしっかりと契約者とか消費者方々理解をされるような、ディスクロージャーというのでしょうか、開示をされるような何かそういったことも考えておられるのかどうか、ちょっとお伺いをしたいと思います。
  12. 山口公生

    山口(公)政府委員 ソルベンシーマージン基準試行開始間もないものでございまして、仮にこれに基づく各社比率をディスクローズしていくという場合には、この比率の大小が会社経営の優劣をあらわしているのではないかとの契約者の認保識から、比率の小さい会社から大きな会社契約がどっとシフトして、比率の小さな会社経営に不測の事態を生じるということも生じかねないということを懸念いたしております。  したがいまして、当面、当局として各社に対してこの比率開示について指導していくことは控えたいと思っておるところでございますけれども、今後、ソルベンシーマージン基準定着度合いを見ながら、今先生の御指摘にあったような情報開示趣旨も踏まえつつ、契約者に無用な誤解が生じないことを確認しながら、その辺の判断をしていきたいというふうに考えております。
  13. 井奥貞雄

    井奥委員 次に、商品、料率の一部の届け出制というのは、規制緩和によって保険会社が多様化する消費者ニーズに柔軟に対応できるようにする観点から導入するものと理解をいたしておりますけれども、この届け出制の具体的な対象大蔵省令で定めることとされております。これは状況変化に応じて柔軟に対応できるようにするためのものと私は理解をいたしております。  つきましては、届け出制対象として当面どのようなものを考えられ、将来どのような形となっていくのか、この考え方をお聞かせいただきたい。
  14. 山口公生

    山口(公)政府委員 お答えいたします。  商品保険料率について、契約者保護に欠けるおそれが少ないものとして届け出制対象となるものといたしまして、主として大企業対象とする大口企業物件や国際的な取引に係る保険、または専門的知識を有する事業者等契約者となる保険などを対象にして始めていくのかなと思っております。  あえて具体的に商品名を挙げてみますと、生命保険商品について言えば、年金福祉事業団保険厚生年金基金保険国民年金基金保険等団体保険等についてやらせていただこうかな。それから、損害保険商品について言えば、船舶、貨物及び航空の各保険各種取引信用保険会社役員賠償責任保険など、また地震拡張担保特約等について大蔵省令でまずは規定し、届け出制に移行するということを考えております。  その後については、徐々にそういったものを様子を見ながら判断していくというふうに考えておる次第でございます。
  15. 井奥貞雄

    井奥委員 これからの時代の要求に沿った商品が生まれていくことがやはり規制緩和自由化をされる一番大きな意図だろうというふうに私は思っておりますから、そういった意味での簡素化を図りながらも責任のある商品を提供できるように、ぜひともひとつまたよろしくお願いを申し上げたいというふうに思っております。  それから、同じく規制緩和の問題でございますけれども、今回の法案提出前に決着をされまし介日米包括協議、昨年の十月十一日の概要につきまして、これはカンター、栗山両政府代表によって調印をされたわけでございますけれども、このときの概要について、何が問題になっていたのか、また何が解決をされたのか、今回の制度改革との関連でお聞きをしておきたいと思います。
  16. 山口公生

    山口(公)政府委員 お答え申し上げます。  日米包括協議保険分野協議は、御指摘のとおり昨年十月に決着したところでございます。その中で、日米両国が実施する措置の具体的な内容というのが決着内容となっておるわけでございますが、大きく分けまして、我が国保険制度規制緩和、第三分野相互乗り入れ問題の扱い、競争政策をどういうふうにするか、それからアメリカ保険市場に関する米側がとるべき措置、具体的に言いますと、アメリカにおける外国保険会社に対する差別的取り扱いの改善を要求する、それから措置実施状況等評価するための客観的な基準というようなものが決着内容でございます。  この内容に含まれておりますが国の制度改革、これは今回御審議お願いしておりますこの法律案の中に取り込んでおるわけでございます。例えばブローカー制度導入等がその代表的なものでございますけれども、一応この日米協議決着内容が今回の制度改革にすべて包含されているということを御報告申し上げたいと思います。
  17. 井奥貞雄

    井奥委員 これに関連しまして、アメリカ保険会社というのは、これは損保分野でありますけれどもかなり、あるいは生保分野でも入ってきているわけですが、日本損保あるいはまたこれから生保の問題もあろうと思いますが、アメリカに進出をするというときには、大変開放されているという、それは表向きのように私は思うわけでありまして、州のそれぞれの規制があって、それをクリアしてもなかなかそれから一歩進んでいかないという問題もあるわけです。  ですから、こういった合意がなされてもそれを一歩進めていくときになかなか大変な苦難な道のりがあるわけでありますが、こういった問題については、アメリカ側我が国はこれからどういうふうに主張しながらそれを開放さしていくのか、このことについてちょっと御意見をお伺いしたいと思います。
  18. 山口公生

    山口(公)政府委員 日米包括協議保険協議の交渉の中におきましても、私どもも今先生の御指摘のような問題意識を強く持っておりまして、一方的に日本側措置を論ずるだけではなくて、米側でとってもらいたい措置も議論したわけでございます。  その結果、大きく言って三つくらいのカテゴリーがございますが、一つは、今御指摘賜りました州別規制がばらばらである、これは非常に困るということで、これを調和してほしいということでございます。これは各州の、全州でございますが、全州の保険庁の長官の会議がございます。これが各州規制をハーモナイスするという仕事をしております。これをぜひ早くやってほしい。そうしませんと、ばらばら勝手な規制でこちらが非常に困ったことになりかねないことを懸念しているということを強く申し上げて、このあたりもきちっとそれが行われているかどうか、これから私どもも監視していくということをしていきたい。  それから、免許の手続が州によっては非常におくれがちであるというケースがありました。したがって、その迅速化を図ってもらいたいということで、これも強く要求しました。これは個々のケースヘの対応という形でございます。  それから、会社役員国籍要件等がございまして、これは我が国とは違ってそういった要件が厳しい州がございます。これの緩和などを要求しました。  以上のような、こちらから申し上げて決着内容にしたものについて、今後ともフォローアップで私どもの方からきちんとやっていただいているかどうかを確認させていただくということをしようかと思っている次第でございます。
  19. 井奥貞雄

    井奥委員 この日米包括協議によって今後とも日本国内保険会社が不利になることのないように、これからもお願いをしたいというふうに思いますが、この件につきましてもう一度保険部長の見解をお尋ねしておきたいと思います。
  20. 山口公生

    山口(公)政府委員 今回の協議決着でいろいろな措置が書き込まれております。私どもがとる措置アメリカ側がとる措置があります。これは全体としてどちらが有利か不利かという話が当然出てくると思いますが、その点の御指摘かと思いますが、いずれにせよ我が国が実施することを決定した措置、私ども措置は内国民待遇を基本としまして自由化国際化の流れの中で保険事業健全性確保するという我々自身が目指した方向に沿っておりますので、これで日本会社の方が不利になることはないというふうに思っております。また、私どもが、先ほど申し上げましたように、外国に行って日本会社が不利にならないようなことを主張していくことは当然のことだと考えております。
  21. 井奥貞雄

    井奥委員 アメリカ日本、象とライオンだという言い方をする方もいらっしゃいますが、どっちが強いのかといったって、端的にそれで決められるものではありません。やはりお互いが自由化あるいはまた規制緩和、これを行いながらプラスになる、そして日本市場開放、こういった面も正しく理解をされるようにこれからやっていかなければいけないというふうに思っておりますが、一挙に規制緩和をしたり自由化をすることによって国内保険会社、今までのシステムがすべて壊れていくことのないように、ぜひひとつ行政もその運用あるいはまたそういう進め方についての温かい御配慮をいただきたいというふうに思っております。  それから次に、昨今厳しい運用状況損保はやはり事故とかあるいはそういうリスクがありますけれども、特に生保の場合は、息が長い商品、二十年、三十年先のものでありますから、運用状況というものに大変大きなリスクをしょうわけでございます。この運用状況というのは大変厳しい状態にあるわけでありますけれども、さらに今後保険会社資産運用、これをどう規制緩和していくのか。近年、内外の金融とか資本市場が急激に変化、進歩を遂げていることにかんがみまして、極力柔軟な対応を可能にすることが必要ではないかなというふうに考えております。  ちなみに、過日も参考人櫻井協会長からのお話もございましたが、省令でもまだ不動産は二〇%以内、それから株式が三〇%です。それから、外貨資産というのはTB米国債を含めてこれは三〇%というふうな枠組みが決められているのです。  こういった問題も含めて、やはり柔軟な対応ができるような、それをぜひひとつお願いしたいと思うのでありますが、この点につきましてお伺いを申し上げたいと思います。
  22. 山口公生

    山口(公)政府委員 保険会社資産運用規制は、健全性維持観点から必要と考えられるものについて課しているわけでございますが、これは必要以上に自由な運用行動を阻害したり競争力を低下させるものではない、またそういう結果になってもいけないというふうに認識しているわけでございます。  この保険会社資産運用につきましては、これまで金融自由化国際化証券化等環境変化対応して、資産運用手段、業務の多様化等緩和を図ってきておるところでございまして、今後とも資産健全性に配意しながら、ソルベンシーマージン基準定着状況ディスクロージャー整備状況等を踏まえながら、基本的には資産運用規制緩和する方向で検討していくことといたしたいと思います。
  23. 井奥貞雄

    井奥委員 それから、今までは内部運用ということでございましたが、保険会社外部からの資金調達の現状、これについて、基本的な問題のない限り、保険料収入以外でも機動的な資金調達を可能にしておく必要があるのではないかというふうに思うわけでありまして、昨年だと思いますが、生保につきましてはCP、コマーシャルペーパーの発行が認められた。それからまた損保につきましては、ちょうど台風の後でございましたけれども銀行からの借入金を認める、ある程度の弾力化に向かって一歩踏み出されたのかなと私は理解をしておりますけれども、こういった問題につきましてちょっと御意見を、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  24. 山口公生

    山口(公)政府委員 保険会社資金調達につきましては、その保険会社資産利用者からの預かり資産としての性格を有していることから、外部資金の取り入れによるリスクがこれに及ぶべきではないという考え方に基づきまして、これまで極めて制限的に考えられてきたわけでございます。しかし、御指摘のとおり、今日の保険事業には、事業効率化収益性確保が強く要請されておるとともに、増大します流動性リスクヘ対応を図る必要も高まってきているということでございます。  そうした中で、ソルベンシーマージン基準定着状況等をよく見きわめながら、資金調達について弾力的に対応を行っていく必要があろうというふうに私ども考えておるところでございます。
  25. 井奥貞雄

    井奥委員 今回の改革には、規制緩和自由化、それから事業健全性維持、公正な事業運営確保、これが三つの柱だというふうに言われておりますけれども、今回の制度改革の大きな柱である規制緩和を推進していくためには、前提として事業健全性維持向上策強化が不可欠だというふうに思います。事業健全性が不完全であれば、国民保険制度に対する信頼が失われる、契約者保護が図れないことにもなりかねないというふうに思うわけであります。  そこで、健全性維持向上策強化、これをどう推進をしていくのか、この観点から質問をさせていただきたいと思います。  一点目でありますが、今回は、保険会社健全性維持向上策強化、この観点からどういった手当てを考えられておられるのか、その、具体策をお聞かせをいただきたいと思います。
  26. 山口公生

    山口(公)政府委員 健全性の保持という点は非常に大切な点でございまして、私どもといたしましては、まずソルベンシーマージン基準というものを導入して十分なチェックを図っていくということ。それから、万一の場合に契約者保護基金というセーフティーネットを設けていくということ。それから三番目に、保険理人という、保険会社内部的に数理的チェックをやっていただいている方々がいらっしゃいます、そういう方々の権限を強化し、十分なるチェックをやっていただく。大きく一言うと、そういった観点健全性チェックをやっていこうというふうに思っておるわけでございます。
  27. 井奥貞雄

    井奥委員 内部チェックというのはいいわけでありますけれども内部チェック機能というのはどうしても外に開示されにくいという嫌いがあるわけです。ですから、この制度改革とともに、やはり外に開示をされていく、そして契約者消費者がやはり安全で安心をしてその保険会社あるいはその商品、それを契約をしていく、買っていくと言えるような企業主体というのでしょうか、健全な企業主体というものが契約者消費者によりわかるような指導をしてもらわなければいかぬなと私は思う。  例えば、企業の中でもそうですが、資産として計上されていても実際簿価とどうなっているのか。あるいは株式にしても、簿価購入単価が高くても、実際は、今株がこんなに下がっておりますから、それを再評価をすれば資産評価というのはすごくこれは落ちるわけです。それから、海外にもいろいろな資産を買っているわけでありますが、その海外で買っている資産というものがこれは円高によってかなりの目減りをしているわけです。  こういったものを一度に全部現在の価格にしていくということは大変難しいと思いますけれども、こういった問題も、備考欄において何かちょっとそういう形でもってそれをきちっと明示をしていくとか、そういうことも今後の御指導一つとしてはいかがなものかなというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  28. 山口公生

    山口(公)政府委員 おっしゃいましたように、会社の経理内容等をできるだけディスクローズして契約者方々によく理解をしていただくということは大変重要なことだと思います。大きな意味で申し上げますと、絶えずそういう方向に向けて私ども行政もやっていく。  ただ、その際に、いろいろ懸念もございまして、先ほどソルベンシーのところでもちょっとお話し申し上げましたが、それによって募集に思わぬ影響が出るとか、そういうことになりますと、私どもが本来ねらいとしておりますものをゆがめてしまうということにもなりかねません。そういったことにも十分気をつけながら、一歩一歩そういったものを開示していく、それで、よりよくディスクロージャーを充実していくという方向でやってまいりたい。先生の御指摘方向で考えておるわけでございます。
  29. 井奥貞雄

    井奥委員 それから相互会社の場合は、相互扶助という理念というものを生かしつつ、継続企業としての財産的基礎というのは、これは内部留保でございますけれども、これを高めていく、認めていくという考え方がとられることになったというふうに私は理解をしておりますけれども、このことは大変望ましいというふうに私は考えております。  なぜならば、今までは契約者が社員でありますから、経営側とのトラブルということが少なかったわけであります、少ないというのは本当に非常に少ないわけでありますけれども。こういったことを今度は内部留保を高めながら配当性向も余り落とさないでやるというのは、これは至難なわざでございますけれども健全性強化観点から、どういう具体的施策で相互会社の財産的基礎を強化させていくお考えなのか、行政としての考え方をしっかりとここで賜っておきたいというふうに私は思います。
  30. 山口公生

    山口(公)政府委員 御指摘のように、今回お願いしております法案におきましては、相互会社の財産的基礎の充実ということを内容として含ませていただいております。  具体的にどういったものかと申し上げますと、基金の総額を引き上げる、現行の三千万円から十億円に引き上げる、それから損失てん補準備金の引き上げを行う、それから基金の再募集の規定を整備するなどを通じて財産的基礎の充実をまず図るというようなことを内容としてお願いしておるわけでございます。
  31. 井奥貞雄

    井奥委員 相互会社というのは、その理念から考えますと、今後とも保険業、これは特に生保に当たるわけでありますが、その主たる形態としての存在意義を有するというふうに私は考えておりますけれども、これはいかがなものであるか。  これとともに、諸外国ではどういった。諸外国の例をすぐに日本に持ってくるというのは、文化の違いもありますからこれは徐々に取り入れていくということが肝要がなというように私は思いつつも、諸外国ではどういった実態があるのか、この点についてちょっと御説明をいただきたいと思います。
  32. 山口公生

    山口(公)政府委員 欧米におきます相互会社の実態につきましても、法的には保険契約者が社員となるという我が国と同じ構成をとっておりまして、業務や資産運用面では株式会社と余り差がないものとなっているというふうに聞いております。  規模について見ましても、例えばアメリカの生命保険会社の上位三社が相互会社でございますし、カナダやイギリスなどにおきましても相互会社が上位を占めているということでございます。
  33. 井奥貞雄

    井奥委員 このことについての存在意義というものにつきましては、これをしっかりと残しつつも、ぜひともこれからの御指導をよろしくお願い申し上げたいというふうに思っております。  続きまして、契約者保護関連につきましてお尋ねをいたしたいと思います。  保険制度保険商品というのは国民生活や国民経済に極めて密接に結びついているものだけに、保険に対する国民の信頼を確保していくことは極めて重要なことだと考えております。そのような観点から、保険契約者の保護ということも今回の制度改革を進めるに当たって極めて重要な問題でございます。今回の法案にも、保険会社健全性確保のための措置等が盛りまれているようでありますけれども、この保険契約者の保護ということについて二、三お伺いをしておきたいというふうに思っております。  一つは、昨日も出ておりましたが、ブローカー制度について。この制度は我が国導入されるのは初めてでございますが、今まで長い期間かかって健全に行われてきた保険募集という秩序に混乱をもたらし、契約者保護に欠けるようなことになっては、冒頭に申し上げたように、長い歴史の中で、安全と安心、そして契約者企業、相互会社あるいは株式会社等々の信頼関係を築いてきたわけでありますが、この日本保険業全体の信頼が問われるようなことにはならないのかどうか、そして、そのようなことのないように十分に御留意をしていただく、このことが大切だろうというふうに私は思っております。  契約者保護のための措置としてはどのようなものを考えておられるのか、これをひとつお伺いしたいと思います。
  34. 山口公生

    山口(公)政府委員 今御指摘保険ブローカーにつきましては、契約者損害を万一与えた場合は保険会社責任を負わないために、契約者保護観点から、まずはその適格性の確保を十分に図る必要があるというふうに考えております。  保険業法案におきましては、保険ブローカーすなわち仲立ち人につきまして、登録制のもとで保険募集に係る業務を的確に遂行するに足りる能力を有していない者には登録を認めないということにしておりますほか、賠償資力の確保措置など、保険ブローカーに対するさまざまな行為規制、監督の規定を設けております。これによりまして契約者保護を十分図ることができると考えておりまして、今御指摘のような心配が出てこないように、万全を期してまいりたいというふうに思っております。
  35. 井奥貞雄

    井奥委員 ただいまお聞きをしたとおりでございますけれども、このブローカーというのは、個人のものについては余り積極的にはなさらないのではないかなというふうに私は考えておる一人であります。法人、団体というものが主たる営業エリアになっていくのだろうというふうに私は思っております。  ブローカーが契約者との間でトラブル、これは単年度で答えが出てくる、損保の中にございますけれども、そういうものだけではなくて、生保の場合は二十年、三十年という息の長い商品があるわけであります。年金、介護を含めていろいろあるわけでありますが、こういった中で、入り口というところは大変おいしい状態で皆さん契約をされるわけでありますが、いざその期間が来、あるいはまた変更等々があって、それでその出口というのは余りおいしくなかった。こういうふうな問題も出てきているわけでございます。  この問題について、今も言われましたが、ブローカーがそのときには亡くなっているかもわからない、死亡を含めてその企業がなくなっているかもわからない。そういった場合には、賠償資力の確保措置と言われますが、賠償措置というものについてどれくらいの規模、これをちょっとお伺いしておきたいというふうに思います。
  36. 山口公生

    山口(公)政府委員 賠償資力の確保措置というのは大変重要なことだと思っておりまして、保証金の供託または保険ブローカー賠償責任保険契約の締結等で担保するというようなことを考えておるわけでございますけれども、保証金の金額等につきまして、契約者保護観点からはできるだけ十分なものがある方がいい、それは当然のことでございますが、余りにも高額な保証金が要求されますと、参入障壁ということになってしまうわけでございます。その辺のバランスを十分配慮して決めていく必要があると思います。  諸外国の例等をちょっと御紹介してみますと、カナダでは一事故当たり三千七百万円、英国では一年当たり七千八百万円または年間報酬の三倍のいずれか大きい額、フランスでは一事故かつ一年当たり一億九千万円以上の、いずれもこれは賠償責任保険付保を義務づけるという形で、保険の形でこれを担保しているわけでございます。  なお、国内で他業態の保証金供託義務もちょっと調べてみたのでございますけれども、投資顧問業者で投資一任会社の場合は、主たる営業所につき二千五百万円、その他の営業所につき千二百五十万円というふうになっております。それから旅行業者、一般旅行業者でございますが、これで七千万円というのが保証金の供託義務として課されているということでございます。  こういった事例を参考にしながら検討してまいりたいというふうに考えております。
  37. 井奥貞雄

    井奥委員 目安と言ってはこういうところでは不謹慎かと思いますが、今お聞きをした中で、投資顧問は二千五百万だとか、あるいはまたカナダは一事故ですが三千七百万、イギリスは七千八百万、フランスは一億九千万、かなり諸外国で格差があるのです。ですけれども我が国ではこの規模というのはどれぐらいのことを見ておられるのでしょうか、再度お尋ねをいたします。
  38. 山口公生

    山口(公)政府委員 今明確に幾らということを申し上げるほど詰めた議論をまだやっておりませんけれども、数千万のオーダーの数字が大分並んでおります。したがって、そういったものを見ながら考えるということでございますが、二つ難しいのは、保証金として積む部分と賠償責任保険の付保で代替し得るもの、これをどういうふうに考えるのか、あるいは事業が拡大していけばそれに比例的にその義務を課していくのかいかないのかというような問題もございますので、その点を含めてこれから考えていきたいと考えております。     〔委員長退席、石原委員長代理着席〕
  39. 井奥貞雄

    井奥委員 この問題はまた後ほどお伺いをしたいというふうに思っておりますが、これがために参入障壁ということで懸念があるというのもいささか私も奇異に思うわけでありますが、諸外国等々の例があると思いますから、そういうものにかんがみて、やはりこの件は契約者保護ということがきちっとされていかなければならないことでありますから、ぜひともその件につきましてもよろしくお願いを申し上げておきたいというふうに思っております。  今もちょっとお話がございましたが、契約者保護観点から、契約を継続させることをまず第一に考えて、保険契約者保護基金というもの、これも昨日から出ておりますけれども、これについては私は全く異論はございません。しかし、預金保険機構との対比で、ペイオフ、すなわち倒産したときの契約者への支払い能力があわせて必要ではないかというふうに考えるわけであります。  昨日、部長は破産と破綻は違うんだということを述べておられました。破綻というのは支払いが一時とまった状態を言うんだというふうにおっしゃっておられまして、そういう考え方があるんだなというふうに実は私も理解をさせていただいたわけでございますが、この件につきまして御質問させていただきたいと思います。
  40. 山口公生

    山口(公)政府委員 お願いしております法案におきましては、契約者保護のための契約者保護基金というものを内容として含ませていただいております。この措置によりまして、保険契約者保護は十分果たされていくものと考えておりますが、しかしながら、保険契約の移転などの有効な手だてが行われないままに保険会社が倒産する場合が絶対ないのかと言われると、それはないわけではないと言わざるを得ないと思うわけでございます。  保険審議会報告においても、いわゆる支払い保証機能を持つ制度の検討の必要性について指摘を受けているところでございます。もちろんそういった事態に立ち至らないようにすることが一番大切ではありますが、そういったことのための支払い保証制度というものの検討が必要だというふうに御指摘いただいています。  他方、この支払い保証機能を持つ制度につきましては、今先生の方から預金保険機構の例を対比としてお出しになりましたが、保険の場合は預金と若干異なりまして、例えば保障型の保険と貯蓄型の保険を同じように扱ってよいのかどうかというような問題があるほか、倒産法上の枠組みや契約者、一般債権者等の実体的な利害の調整など、非常に難しい、時間をかけて検討すべき問題が数多く存在しておることも、報告の中でも指摘されているところでございます。  ただ、いずれにしましても、この問題につきましては、御指摘も踏まえましてできるだけ早く検討を行ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  41. 井奥貞雄

    井奥委員 時間が限られておりますので、次に進めさせていただきたいと思います。  制度改革の進め方の中で、規制緩和によって保険会社が創意工夫を発揮し、多様化する消費者ニーズに柔軟に対応できるようにすることが重要だ、このように考えておりますが、これまでのお話を聞いておりますと、保険契約者の保護に欠けるおそれが生じない限り規制緩和を積極的に進めていくというのが今回の保険制度改革の基本的な考えであるように私は理解をいたしておりますが、そのように考えていてよろしゅうございます。
  42. 山口公生

    山口(公)政府委員 基本的には今先生のおっしゃったような方向で私どもも考えておるわけでございます。例えば新商品の開発の活性化保険料率弾力化などが期待でき、その結果、事業効率化、また消費者のニーズにこたえられるというようなメリットが出てくるわけでございます。  ただ、規制緩和によって自由化を進めるに当たりましては、新しい保険制度への移行によって混乱が生じてせっかくのこの措置が逆に契約者の保護に重大な影響を与えるということがあってはならないわけでございまして、そのためにも漸進的かつ段階的に進めさせていただきたいというふうに考えておるわけでございます。
  43. 井奥貞雄

    井奥委員 こういった法律というのはあくまで制度の枠組みであって、現実には行政がこの枠組みの中でどのように改革を進めていくのかという姿勢が私は大変重要だというふうに考えておりまして、新しい法律のもとでどのような基本的な考え方に基づいて保険行政を行っていかれるのか、このことについてお尋ねをいたしたいと思います。
  44. 山口公生

    山口(公)政府委員 今回の保険制度改革は、金融自由化国際化等の保険制度を取り巻く環境の変化対応するために、規制緩和自由化による競争の促進、事業効率化を図るとともに、保険契約者保護観点から保険事業健全性確保することなどを目的とした思い切った改革でございまして、国民の信頼にこたえる新しい保険制度を構築しようというものでございます。  このような制度改革対応しまして、保険行政におきましても、行政運営の透明性、公平性を確保して、規制緩和自由化によって保険業における適切な競争促進を図りつつ、契約者保護観点から最適な監督を行っていくことが大切だと思っております。  今後、保険会社国民の信頼にこたえ、多様化してまいります消費者の価値観やニーズに的確に対応した商品・サービスを安定的に供給していただけるよう、行政としても最大限バックアップし努力してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  45. 井奥貞雄

    井奥委員 公正な事業運営確保、このことについても、それを踏まえながら、相互会社の社員というのは一般的に非常に多いわけでございまして、また簡単に、というのは言葉に語弊があるかもわかりませんが、そう難しくなく社員になれるわけであります。今回の法案では、相互会社に対して代表訴訟を起こす権利、これを単独権に直されるわけでありますから、その考え方の背景を簡単にちょっとお伺いしておきたいと思います。
  46. 山口公生

    山口(公)政府委員 現行法で申し上げますと、相互会社における代表訴訟につきましては、百分の三以上の社員が訴訟を提起できるという少数社員権というふうになっております。社員数が膨大であります現在におきましては行使が非常に困難な状況だということであるわけでございます。  平成四年の保険審議会答申におきましても、経営チェックの充実、社員の権利保護の観点から、商法や信金法等の他業態に倣いまして単独権化すべきであるという御指摘がなされたところでありまして、今回の改正法案においてその答申に沿った規定をさせていただいたところでございます。  なお、代表訴訟は取締役等の違法行為を理由としてその責任を追及する権利でございまして、経営の是非自体を問うものではないので、株式会社においても単独権とされておるものでございますけれども、このことにおきましては、相互会社においても事情は同じであろうということがその背景にあるわけでございます。
  47. 井奥貞雄

    井奥委員 相互会社の中で単独権という形に変えられるというのは、株式会社と横並びというふうに理解をしておいていいのでしょうか。そういうふうに考えさせていただきたいと思います。  その代表訴訟についてあと一点御質問をし、終わりにしたいと思っておりますが、今回の経営危機対応制度としての、各業界が保険契約者保護基金に対して資金を拠出するという任意の枠組みがつくられることになっておるわけですが、そうした枠組みへの資金の拠出が代表訴訟の対象になるのかどうか。  もちろん最終的には裁判所の判断にゆだねなければならないというのは当たり前でありますけれども、現時点で行政当局としてどのように考えておられるのかということでありまして、特に保険契約者保護基金というのは、これは強制ではないと私は伺っております。本当はこの基金というものに入っていない企業というのはディスクロージャーされるべきだというふうに私は思うわけでありまして、本当はこれは強制をしてしかるべきだと思うわけであります。多少財務内容ということがあるのでしょうが、私は契約者保護ということについては大切なことだと。ですから、できれば、なぜ強制にしないのか。それから、もしも破綻をした保険会社が、加入をしていない企業というのは全く救えないというふうに思うわけでありますが、この件について。  そして、最後でございますけれども、さまざまなこの業法改正でございますが、この法案では公布から一年以内に施行されることということでございます。この件について、銀行法とかあるいはまた金融制度及び証券取引制度の改革のための関係の法案の提出がございましたが、約一年を満たずして両法案とも施行されているわけでありまして、この法案が通ればどれぐらいで施行されるのか、あわせてお伺いをしておきたいと思います。
  48. 山口公生

    山口(公)政府委員 まず、保護基金につきましてなぜ強制にしなかったのかというようなお尋ねでございますが、今回の措置は、公益法人の形をとりまして、基金を協会の中で自主的にやっていただくというようなことを考えておるというわけでございます。それで、強制にする場合におきましては、例えば先ほども指摘もありましたような預金保険機構みたいな組織をつくりましてやるという場合に強制性が出てくると思っております。この点については、先ほども申し述べましたように、今後検討してまいるというつもりでおります。  それで、入ってない会社の場合に救えないということになるわけでございますが、それは基金に入っていない会社は救えないということは当然のことでございます。しかも、そのことによって、保険契約者がその会社に入っている場合にはそういう救済が受けられないということになるわけでございますけれども、できるだけ全社が加入していただけるように業界の方も努力しておりますし、私どもも十分支援していきたいと思っておるわけでございます。また、それを、入っているか入っていないかというのは公衆の縦覧に供するというような考え方でいきたいというふうに思っているわけでございます。  それから、施行につきましてのお尋ねでございますが、この法律を成立させていただきますれば、施行日は「公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日」というふうに附則第一条で書かせていただいておりますけれども、具体的な施行日につきましては、例えば金融制度改革法では、平成四年六月二十六日公布で翌平成五年四月一日施行であったということ等も参考にしながら検討してまいりたいというふうに考えております。  申しわけございません。もう一つ、資金援助の代表訴訟との関係がございました。  保護基金は、保険契約の移転等の円滑な実施を援助することにより保険業の信頼性を維持するために資金援助等事業を行うものでありまして、また実際の資金援助に当たりましては、大蔵大臣の適格性の認定を受けて資金援助を行うという形になっておりますので、保険会社が恣意的に資金援助のための負担金を負担することはないものと考えられます。したがって、保険契約者は、保護基金の行う資金援助に対する負担金の拠出については、保険会社の役員の責任が追及される性質のものではないというふうに私どもは考えておる次第でございます。
  49. 井奥貞雄

    井奥委員 まだまだお聞きしたいことはたくさんございますが、時間が来てしまいました。  武村大蔵大臣、萩山政務次官にも、株式市場の活性化対策とか、あるいは昨日出ておりましたが円高対策、あるいは土地問題の流動性の問題等々も、できれば時間の中でお伺いできればと思っておりましたが、お許しをいただいて、次の機会にまたよろしくお願いを申し上げたいというふうに思っております。  これで質問を終わります。
  50. 石原伸晃

    ○石原委員長代理 次に、青木宏之君。
  51. 青木宏之

    ○青木委員 今までいろいろと、この提案されています保険業法改正法案につきまして審議がされてきたわけでありますが、我が党はなかなか専門家が多いわけでありますけれども、私は若いときから、ずっと若い、学生前から何とはなしに保険というのが肌に合わぬというのか、当時掛け捨てというようなイメージがあったのであろうと思いますし、はっきりは覚えておりませんが、したがって、大学の学生時代には一応勉強する立場にあったのですけれども、なぜかしら保険の方になりますと受け付けないというような感じがありまして、したがって全くの素人と言ってもいいと思います。  いずれにしても、この間本会議質問させていただいたときに財政の特例法案についてお尋ねをしたのでありますが、それを選挙区でお話をしますと、一般の人はほとんど、大半と言っていいと思いますが、さっぱりわからぬ、何を言っているのかさっぱりわからぬ、こう言う。まあ当然だろうと思うのでありますけれども。  しかし、そのときにも申し上げたかと思うのでありますが、いずれにしてもこれは、法律というのは国民生活を縛るものでありますし、直接に関係するものでありますから、大原則としては、極めでわかりやすい、平易であるということが肝心であろうというふうに思うわけでありますので、そういう、知識のない、極めて素人的なといいますか、素人の一般的な消費者というような立場に立ってお聞きをさせていただきたいと思いますので、ぜひひとつ、お答えの方もできるだけ平易にわかりやすく、まずもってお願いをしておきたいというふうに思います。  そこで、質問が若干重複するようなところもあるかもしれませんが、立場を変えてということで、その場合は御容赦をいただきたいのでありますが、まず、今回いわゆる大改正ということでございますので、大体のことにつきましては答申等の中身、ある程度勉強させていただいて理解はしておるつもりでありますけれども、その背景といいますか、これだけの大改正を行うというにはそれだけの背景と理由があると思いますが、いつごろからどんなような経緯によってこの改正作業が着手されてきたのか。そして、現行法ではやはりいろいろな問題がある、支障がある、あるいはよくないということから当然改正ということになるわけでありますので、その辺も含めまして、いま一度、ひとつ御説明をいただきたいというふうに思います。
  52. 山口公生

    山口(公)政府委員 今般の保険制度改革は、大きく言いますと、金融自由化国際化等の環境の変化対応するというのが基本的な問題意識でございます。それと同時に、そうした形で対応していきますと、どうしても自由化規制緩和という方向で行政を進めていく、そうすると保険業健全性が問題になるということで、健全性確保するというような流れでございます。そのほかに、やはり公正な事業運営をやっていただかないと国民の信頼を得られないということで、昭和十四年に制定された現在の保険業法を全面的に改正しようというものでございます。  実は、平成元年の四月に、保険審議会におきまして、以上のような問題意識のもとで検討を開始いたしたわけでございます。それで平成四年、すなわち四年かかりましてこの保険審議会が答申を出したという経緯がございます。これは、「新しい保険事業の在り方」ということで、望ましい姿というのを網羅的に書いたものでございます。その後、その答申を法律でどういうふうに具体化していくかということで、法制的にそれを書きおろしてみようということで法制懇談会というのをつくりまして、これがまた二年ほどかかりまして法制懇談会報告というのを平成六年の五月に取りまとめました。それで、その報告を親審議会の保険審議会に報告しまして、その保険審議会が、それをどういうふうに進めるかという形での報告をおまとめいただいた。それを受けまして、私どもとして法案を作成し、今国会での御審議を賜っている、こういう経緯であるわけでございます。  今のお出ししております法案では、先ほども御説明申し上げましたように大きな柱は三本でございまして、規制緩和自由化の推進、保険業健全性維持、公正な事業運営確保、これによりまして、国民生活の安定、向上及び国民経済の発展に多大な貢献をするなど、その役割が大きくなっている保険会社がその社会的役割を十分に発揮できるようにするとともに、二十一世紀に向けて国民の信頼にこたえる新しい保険制度を構築しようというものでございます。
  53. 青木宏之

    ○青木委員 そこで、かなりの年数をかけまして今回の提案になっておるわけでありますし、きのうもそして先ほどもちらっと出ましたが、全般的に、これは最後の方でお尋ねをしようとは思っておったのですが、ひょっとして時間がなくなるといけませんので初めにまずお尋ねをしておくのでありますが、一つは、長くかかってきた。大改正だから当然であります。また複雑な問題もありますから当然という面もありますが、法律規定ではなくして、政令、省令に依存するというか任せるというか、そういう部分が非常に多い。  ちょっとこれは、まあいろいろと聞こえてくる話でも、この法律についてその辺に若干問題があるんじゃないか、そういうことも聞こえてくるわけでありますし、そういう面からすると、今回出されたというのが、一つは十分消化し切ってないというふうにとって若干時期尚早であったのではないかという部分と、それから、失礼な言い方になるかもしれませんが、何かそれはそういう意図があってそういう状態になっておるのかと勘ぐりたくなるような気もするわけでありますけれども、その辺はどのように考えたらいいのか、いま一度お聞かせをいただきたい。  それからもう一つ、ついででありますけれども、この平成元年から現在平成七年でありますけれども、ちょうどこの間というのは日本経済にとってまれに見る大変動の時期であったわけでありまして、元年のときはバブル最中、そのころから着手をされて、出口はバブル崩壊ということからしますと、その辺に、着手のときの入り口の意図と出口の法案提出のときの状況とかなり違ってきておると思うのでありますが、その辺の思惑と言っていいのかどうかわかりませんが、ねらいと言っていいのか、その辺の違いというものがあったのかどうか、そのあたりもお聞かせをいただければと思います。
  54. 山口公生

    山口(公)政府委員 御指摘の政省令委任の件でございますが、これにつきましては、この保険業法保険業に関する基本的な法律だということで細目については政省令に委任させていただいておるわけでございますが、他のそういう基本的な法令と比べまして決して多いというふうには考えておらないわけでございます。  それで、時期的に少し急ぎ過ぎではなかったかという御指摘でございますけれども、平成元年から約六年強かけまして、もみにもんでいただいた議論でございます。しかも銀行証券等の制度改革に比べますと、むしろややおくれぎみという批判もあったわけでございます。何せ昭和十四年の法律を抜本的に変えるということで時間がかかっておったわけでございますが、時期的にいいますと、今ぜひやらなきゃいけないというような感じでむしろ私どもとしては思っているわけでございます。  それからもう一つの御指摘、まさに先生おっしゃったように、元年のころの経済情勢あるいは経済的な雰囲気と現在とでは大分違うのではないか、思惑の違い等がまたそれに反映しているのではないかという御指摘でございますけれども、私ども行政当局として見ますと、別に経済が非常に拡張期であるかあるいはそうでないかによって行政の基本的な方針が変わるわけではございませんで、私ども行政としては、この改革を早く実現しなければならないという気持ちで一貫したわけでございます。  もちろん業界の方々を初め、それに業として関連しておられるような方々に関しては、いろいろ期待があったりいろいろなことがあった。それは保あるかもしれませんけれども、それによってこの改革の根幹が変わったとかいうことはなかろうかというふうに私は思っている次第でございます。
  55. 青木宏之

    ○青木委員 ちょっと今の質問の仕方が悪かったかもしれませんが、改正内容についてはおっしゃるとおりで、私もむしろ遅いぐらいだというふうに思っておりますが、時期というのはそういうことではなくて、要するに提案する側として、政省令に依拠する部分は、それは数は他の法律とそんなに変わりないよというお話ですけれども、後ほど出てくるかと思いますが、割と法律でむしろびしっと決めていくべきであるというようなものまでかなりそういう政省令に持っていっておる。  そしてまた、その政省令の定める内容も、ある程度のものは幅を持ってもいいですけれども、この間からの質疑で答えがぴしぴしっと出てきておるならそれもいいのですけれども、聞いておりますと、ほとんどが何かこれから検討、これから検討というようなことばかりのような気がするので、もしそれが本当だとしたら、十分消化し切っていない、構想が全部できていないから時期尚早ではないか。もっとしっかりそういうものを、法律で外してもいいという前提に立ったにしても、政省令の中身がある程度の幅を持って、これぐらいになっていくんだ、していくんだというふうなものができ上がっておって提案をされておらなければおかしい。したがって、ここで質問したら、その政省令の中身がかなり幅を持ったにしても出てきてもいいのではないか、そんな印象も持ったものですから、時期尚早ではないかということを申し上げたのです。  これは時間が余りありませんのでお答えを求めませんが、もう一つ今の、バブルと崩壊の影響、後遺症、行政側としては何ら影響は受けないというお答えでありましたが、もちろんそのお答えの中に、根幹とおっしゃっておりましたので、根幹については影響は受けていないかもしれませんが、根幹でない部分については影響を受けておるのではないか。例えば答申でも指摘されておりますような、例えばでありますが、銀行の参入ですね、これは見送られたというようなことが、やはりどこかにそれは出てきておる。  だからお答えとしては、根幹については影響を受けていないというお答えですからそれは正しいかもしれませんが、バブルの崩壊の影響はやはりあるというふうに認識をするわけでありますが、そのあたりについて、本当に全くなかったかどうか。私はあったのではないかという認識をしておりますが、そのあたりについての御所見をお願いしたいと思います。
  56. 山口公生

    山口(公)政府委員 今先生の御指摘になりました。例えば保険銀行証券との相互参入のような問題が、保険審議会の報告の時点では生損の乗り入れ等の自由化状況定着状況を見ながらまだ判断していくというような形になっておりまして、今回それが法案に含まれておらないわけでございますが、それは進め方の問題として、保険審議会としてそういう御指摘を賜ったわけでございます。  その背景として、経済情勢のバブルあるいはバブル崩壊というのが全く影響なかったと断定できるかということになりますと、それは断定し得るものではないと思いますけれども、基本的には、制度改革を着実に進めるためにどういう手順を踏んだらいいのかという議論がやはりあったわけでございまして、保険審議会答申のときにはあるべき姿を書いて、保険審議会の報告のときにはその具体的な進め方というふうに記述がなされておるわけでございます。  その際、考えられましたのは、基本的な制度の改革と、例えば相互参入問題のような規制緩和、競争の促進というものをある程度一緒にやるというのが今回お願いしている保険業法案の中身でございます。それが余りにも盛りだくさんであり、余りにも変化が激しい場合には、それがむしろ契約者に迷惑をかけてしまうというおそれもある、消化し切れない、端的に言えばそういう状態があるということが考慮されたわけでございまして、先生のおっしゃった点が全くないと言い切る自信は私もございませんけれども、主な考え方としてはそういうことでこの対応をさせていただいているということでございます。
  57. 青木宏之

    ○青木委員 大改正、項目的には確かに根本的に変わる部分が非常に多いので大改正と言えると思うのでありますが、個々の中身を突き詰めていきますと、今も言葉の端々に出ましたが、確かに激変ということでは消費者保護に欠けるという部分もあるからわかりますけれども、何とはなしにおっかなびっくりというか、様子見というか、そんな部分も相当あちらこちらに見受けられるわけであります。方向としては決して間違っているとは私は思いませんが、もう少し、一歩、二歩も踏み込んだらどうだったかなという若干の印象を持っておるわけであります。  そこで、やはり大改正の一番土台にはおのずから将来構想というか、その辺を見詰めて、理想形というのですか、それを見詰めての第一段階への第一歩というふうに思うわけでありますが、いわゆるその改正方向性、将来方向性ですね、方向性というものについて、規制緩和自由化ということをおっしゃるわけでありますので、大体どんな程度までその自由化というものを想定されるか。というのは、今銀行の話もちょっと出ましたけれども、やはり将来的にはその辺も相当に自由化される状況というものを念頭に置いての第一歩というふうに理解してよろしいかどうか、かなり政策的な部分になると思いますけれども、そのあたりをお聞かせいただきたいと思います。
  58. 山口公生

    山口(公)政府委員 お答え申し上げます。  先生の御指摘は、非常に将来を見渡して長期的な視点からのお尋ねだと考えますが、どの程度まで自由化規制緩和をやっていくかということにつきましては、私どもの行政としての立場からいいますと、契約者の利便に資する、しかし契約者の保護に欠けない、この非常に難しいバランスではありますがそういったものを基本的なスタンスのもとにしまして、それで契約者の保護に欠けない範囲において、できるだけ将来自由化規制緩和を進めるということを基本的なスタンスに置きたいというふうに考えている次第でございます。
  59. 青木宏之

    ○青木委員 そこで、基本的なスタンスが契約者の保護というお答えでございましたが、やはりこの法案の「目的」の項にもこれは明確にされておるわけでありまして、「保険契約者等の保護を図り、もって国民生活の安定及び国民経済の健全な発展に資することを目的とす。」と明確に規定がされておるということからもわかるわけでありますが、現行法と比べて契約者保護というものをはっきりと目的として打ち出した今回の改正後において、契約者にとってそれではどういう保護的なメリットがあるのかということについてお示しをいただきたいと思います。
  60. 山口公生

    山口(公)政府委員 契約者の保護というものにつきましては、広く考えれば、契約者の利便を高めるということも広い意味の保護の中のメリットだというふうに考えるわけでございます。  今回の法案の中におきましていろいろなものが含まれておりますが、例えば商品の多様化、新商品の開発の促進効果というものが期待できるという面がございます。生保分野におきましては、高齢化社会の到来によりまして医療とか介護等の消費ニーズが大変多様化してまいっておるわけでございますし、また損害保険分野におきましても、PL保険だとか役員賠償責任保険といったような新しいリスクをカバーする消費ニーズが発生しているわけでございます。  このような状況のもとで規制緩和自由化を通じまして多様な商品開発が促されるとともに、それらが迅速に提供されることが可能となりまして、そうしますと契約者はみずからニーズに合致した新たな保険サービスをまた速やかに受けることができるというメリットが生じるわけでございます。  それから、保険料率弾力化につきましても、生損保相互参入や料率設定の弾力化等の規制緩和自由化によりまして競争が促進され、消費者利便の向上につながっていくということが大きな意味で期待できるようになっていくのではないか。ただ、これが混乱を来すようなやり方ではまずいわけでございまして、徐々に、ステップ・バイ・ステップで行っていくということが前提ではございます。  三番目に、商品の購入ルートの多様化あるいは簡素化という問題がございます。従来の募集人や代理店に加えまして保険ブローカー制度導入されることによりまして、主に企業になるかと思いますが、みずからのニーズにより適した保険商品の選択肢が可能となっていくというメリットがございます。また、生損保相互参入や一社専属制の緩和によりまして、生損保商品が同時に、また容易に購入できるようになるというようなこともございます。  それから、経営チェックの機能の強化お願いしているわけでございますが、ディスクロージャー規定を法律上設けたり、相互会社の少数社員権の行使要件を低くするなどを通じまして、契約者側から保険会社経営チェック機能を同時かつ容易に行うことが可能になるということで、こうしたもろもろの措置契約者にとってメリットになるし、また広い意味の契約者を保護することにつながるというふうに考えておる次第でございます。
  61. 青木宏之

    ○青木委員 なかなかその辺が一般の消費者国民からすると法律の規定の仕方というのはわかりにくい部分があるなというお答えなんですけれども、一般に保護といえば守られるというふうにとるわけでありますけれども、広く含めればいろいろ挙げられた選択の幅が出るとかいろいろ消費者のメリットがあるぞ、そのこと自体はいいんですけれども、メリットを図るというならいいんですけれども、これだけ見ていると何か全部保護規定がなというぐらいの言葉で目的が定められておる。これをぱっと普通の人が見たら、いろいろな面で相当危ないから新しい法律で我々消費者契約者を保護してくれるための法律なんだなというふうにとるわけで、そこから、今のお話は保護というよりもメリットという面の強調が多いわけで、それも広い意味で保護のうちだとおっしゃられればそれまででありますけれども、何となしにその辺に若干の違和感を感ずるなというふうに思います。  それはお答えは要りませんが、今度はそれでは業者側にとりましては現行法との違いでどんなような変化があって、これは保護というよりメリット、業者側としてのメリット、あるいはデメリットがあるならデメリットも含めて御説明をお願いしたいと思います。
  62. 山口公生

    山口(公)政府委員 今回の保険業法改正案の中には、生損保相互参入商品、料率についての届け出制導入、生命保険募集人の一社専属制の一部緩和保険ブローカー制度導入などを内容としている部分がございます。そういったものは保険事業規制緩和自由化を一層促進する内容でございますが、このような中で保険会社としましては、生損保相互参入によりまして生損保商品がワンセットで販売することが可能になる。また、保険ブローカー制度導入によりまして保険商品の販売チャネルが広がる。また、商品、料率についての届け出制導入によりまして新商品の開発の活性化が図られ、利用者のニーズに合致した保険サービスの提供が可能になることから、保険会社にとりましては、規制緩和自由化の推進により経営の幅広い選択肢がふえまして、利用者ニーズの的確な対応が図られ、ひいてはビジネスチャンスの拡大につながっていくものというふうに考えておるわけでございます。  しかしながら、一方で規制緩和自由化といいますと、競争の激化を通じまして経営健全性を損なう事態を引き起こす可能性もあるわけでございます。あらゆるリスクに的確に対応していくためには、自己責任の原則のもとで経営効率化を進めるとともに、財産的基礎を充実させていくことによりまして経営基盤の強化を図っていくということも一方でますます重要になってくるものと考えておるわけでございます。
  63. 青木宏之

    ○青木委員 それでは次に、先ほどからもいろいろ、あるいは昨日も出ておりますが、外国との関係あるいは外国資本事業者との関係におきまして本改正はどんなような意味を持っておるのかという、変化ですね、それについて御説明をお願いしたいと思います。     〔石原委員長代理退席、委員長着席〕
  64. 山口公生

    山口(公)政府委員 外国保険事業者、外国保険業者の取り扱いにつきましては、契約者保護及び国際的な観点から、できる限り内国保険会社の取り扱いと同一にすべきであるという保険審議会の答申をもとに、保険業法外国保険事業者に関する法律、これが今まで別々でありましたが、これを一本化することとしまして、本店が海外にあるという外国保険業者の特性に起因する取り扱いの差異は別としまして、基本的に内国保険会社の取り扱いと同様な取り扱いとすることとしておるわけでございます。  具体的には、今回の法案の中に、供託制度の整備、資産国内保有義務規定の整備、特定法人に係る特則としましてロイズの日本進出に対する規定の整備、駐在員事務所の設置等の届け出に関する規定の新設、その他内国保険会社の免許審査基準、業務、経理等に関する規定の準用等が外国保険業者に係る保険業法改正の主な内容として挙げられるものでございます。
  65. 青木宏之

    ○青木委員 それでは、具体的なことに入っていきたいと思いますが、一つの柱であります規制緩和自由化ということでありますが、その中で生損保相互参入として子会社方式による相互参入、そしていわゆる第三分野への本体での相互参入というものが可能になるのだ、こういう話でありますけれども、これをやることによって、保険市場の全体のパイというのはふえるのでしょうか。いかがでしょう、その辺は。
  66. 山口公生

    山口(公)政府委員 確かに重要な点を御指摘いただいておると思いますが、子会社方式による生損保相互参入の実施は、クロスマーケティングを通じまして経営資源有効活用が図られ、事業保の効率性が高められるというメリットがあること、それから新規参入の増加によりまして生損保それぞれの市場をより競争的なものとし、契約者の多様なニーズに幅広く対応できる新しい商品・サービスの開発がこれまで以上に期待できることなどから、新たな需要が開拓され、その結果マーケットの拡大が図られる可能性もあるのではないかというふうに考えておるわけでございます。そういうことになりますと、保険市場全体のバイは広がるということになるわけでございます。
  67. 青木宏之

    ○青木委員 何でも可能性を求めて伺います。  一つは、経営資源効率化というようなことをおっしゃいましたが、パイがふえる前にコストダウンという考えが当然ある。それはあらゆる面で経営作戦の範疇でいいことでありますけれども、これによって新商品が開発されたり需要が高まってバイ全体が大きくなみ。可能性としては当然あるわけでありますが、しかし今度、我が国内の一般消費者の全体のパイというのは同一でありますから、これをやることによって他の金融業界のパイが減る。  それは、全体的に競争が激しくなるのだよ、自由になって、規制緩和されて、将来的にはいろいろな業態も参入が自由になっていくであろうという方向性があるわけで、そういう中で自由競争の度合いが高まるよ、しかしその成果は、国民全体のパイは同じ中のとり合いですから、それは業界の努力に任せるよ、こういうふうに理解してよろしいのです。
  68. 山口公生

    山口(公)政府委員 保険業に限らず我が国の産業効率が、こういった競争促進等を通じまして、あるいはイノベーションを通じまして非常に効率性を高めるということになりますれば、それは全体としてのパイをふやす効果はあろうと思うわけでございます。  ただ、無限にどんどんふえていく話かと言われますと、先生の御指摘のように、我が国金融資産の伸び方がどうかとかというようなことに依存する面もあろうかと思いますけれども日本国全体の産業の一つでございますので、こういった生損保業界がより効率的に、またより国民のニーズに適応した形で成長していただくということは我が国全体のためにも非常に有効なこと、また望ましいことだというふうに考えておる次第でございます。
  69. 青木宏之

    ○青木委員 今のことはまた後で関係してくると思います。  それから次に、自由化規制緩和で、商品あるいは料率について規制緩和ということでありますが、これは原則はあくまで従来と変わらないということでありまして、要するに一部緩和届け出制あるいは算定会の見直しですか、純率算定会等々のことだろうと思いますけれども、それは一部でありまして、先ほどもお話に出ておりましたが、要するに大口需要者に対するものだ。だから、私の立場でいう一般の消費者契約者からすれば、このこと自体はとりあえずは関係ない話であります。というよりも、料率自由化ということは、サービスするよという世界に入っていくのだろうと思うのです。  そうすると、大口の人、当然といえば当然かもしれませんが、これはサービスが受けられる状態になってくるのだろうと思いますが、一般の契約者消費者からすると、片っ方で契約者保護というようなったい文句なんですが、実は逆に差別されるのじゃないかというような感じを受けるわけです。これによって一般契約者は、メリットが出るというのじゃなしに、私の言う一般というのはごくごく一般の人という意味ですが、逆に差別を受けて、これはメリットとは言えないのじゃないかという感じがするのですが、そのあたりはいかがでしょうか。
  70. 山口公生

    山口(公)政府委員 今先生の御指摘は、例えば規制緩和等の内容でございます届け出制への移行等に関しまして、いわゆる消費者と言われる個人のような方々に対する商品がやはりトラスチックな形でいくのはなかなか難しいという点があるのではないか、そうしてみるとそれが消費者にとってメリットとしていかなることになるのかというようなお尋ねだろうと思うのでございます。  確かに、この規制緩和自由化を進めるときに、まず大口の企業のものからというような手順を踏みながらやっていきませんと、アメリカの例でしばしば私が御紹介申し上げているような、非常に保険につきましての特性というものがございます。約款が非常に複雑であるとか、事故が起きるまでは原価が確定しない、しょっちゅうダンピングの危険性が生じているとか、あるいは企業としての保険会社の方が個人である契約者を逆に選択してしまうおそれがあるというのは、現に外国で起こったりしておりまして、そういったことを防ぐためにはやはりステップ・バイ・ステップでやらざるを得ないということであるわけでございます。  ただ、そうした中においてどういう意味があるのかということになりますと、やはり規制緩和、例えば届け出制導入というようなシステムを入れるわけでございます。そういったシステムの変更自体が保険会社商品開発とか多様化の努力を促進する効果を持つわけでございます。そういったものがひいては、制度としては認可が残っておりましても、そういった部分についても、いろいろとそういった商品の開発努力、多様化に対応する努力がそういったものにも当然及んでくるというふうに私どもは思うわけでございます。そうしますと、きちんとした消費者の保護を図りつつ消費者のニーズに十分マッチした保険商品が生み出され、それが消費者に喜ばれるということを私どもは期待しておるわけでございます。  先生のおっしゃいましたような、大口の方の自由化のツケが個人の方に回るとか、そういうことはもちろんあってはならない、その点については私どもも厳重に見ていかなければならないポイントだというふうには思っておりますけれども消費者にとってのメリットという意味ではこの制度改革はかなりあるものと私どもは思っている次第でございます。
  71. 青木宏之

    ○青木委員 時間が大分なくなってきましたので、簡潔にお尋ねしていきます。  次に、生保募集の一社専属制の一部緩和ということがありますけれども、これは契約者保護に欠けるおそれがない場合に認める、こうされておるわけでありますが、これは具体的にはどんなケースなのか、ちょっとお教えをいただきたいと思います。
  72. 山口公生

    山口(公)政府委員 生命保険募集人の一社専属制の趣旨は、御承知のように、募集人の教育の徹底と募集人の行為につき責任を負うべき会社を明確にすることによりまして保険契約者の保護を図ることでございます。  他方、利用者の立場からいいますと、募集人が複数の会社商品を取り扱えないことから利用者商品選択の幅が制限されるのではないか、あるいは既存の販売チャネルの多様化、効率化が図られにくいのではないか、さらに生損保兼営におけるクロスマーケティングを進めるに当たっての障害となるのではないか等の問題点がありまして、販売チャネルの多様化、効率化は、利用者の立場、国民経済的見地から必要であるというふうになるわけでございます。  したがって、一社専属制の例外に係る政令といたしまして、保険契約者等の保護に欠けるおそれがない場合として私どもが今頭に置いております方向性というものを申し上げますと、保険募集に係る業務等に関して十分な専門的知識及び経験を有していること、保険募集に係る業務を的確かつ公正に遂行するに必要な人的構成を有すること、さらに、クロスマーケティングの視点から、親保険会社がバックアップしている当該代理店が生保代理店としての適正な業務遂行能力を有していることなどを考慮しつつ検討を進めているところでございます。
  73. 青木宏之

    ○青木委員 どんどんはしょっていきますが、次に、先ほども出ましたけれどもブローカー制度、新しい制度、日本においてはなじみがないわけでありますが、先ほども議論がありましたけれども改正施行後、ある程度の想定はされておるのであろうと思うのでありますが、例えばどんなような状態、といいますのは、ブローカーの存在等々、どんな程度を想定されておるのか、お聞かせをいただければと思います。
  74. 山口公生

    山口(公)政府委員 ブローカーについてのお尋ねでございますが、どういった人たちがブローカーとして登場するであろうかというような観点から申し上げますと、これはまさに推測でしかないわけでございますけれども、まず外資系のブローカーはかなり進出をするであろう、それから商社等の方が関心を示されるかどうかという問題があるだろう、それから現在の代理店の中でもそういったブローカーの方をやりたいという代理店もあるかもしれないというふうに考えております。  また、実際の業務をどういうふうに推定するか、これもまた難しい問題でございますけれども、あえて諸外国の例から見ますと、やはり大企業を相手としたブローカー業務が考えられるのではないかなというふうに思っておる次第でございます。
  75. 青木宏之

    ○青木委員 そうしますと、トラブルが予想されるというようなこともあるのですけれども、私の観点からいうと、先ほども出ましたけれども、一般消費者は多分ほとんど扱わないというようなことだと思いますので、それはそれとしていいわけであります。ただ、大企業あるいはそういうメリットのあるシェアにしか取りまないのは当然でありますけれども……。  そこで、これは初めてのことでありますから、先ほど来、保証金がどうと、これも本当はかなり法律要項ではないかなというような気もするのですが、それはともかくとして、トラブルというのはどういうことが想定されますでしょうか。
  76. 山口公生

    山口(公)政府委員 想定されるトラブルというのを申し上げるのはまたなかなか難しいわけでございますけれども、例えば重要な免責事項等を説明していなかったというようなことになりますと、これはもしそういう事故があったときに大変な損害になるわけでございます。そういったことが起きますとトラブルが発生するということだろうと思うわけでございます。
  77. 青木宏之

    ○青木委員 大分時間がなくなってきましたのではしょりますけれども、これは最後あたりになるかと思うのでありますが、健全性維持という一つの柱があるわけでありまして、その健全性維持という柱の中で再三出ておりますが、一つはソルベンシーマージンの導入ということであります。要するに、俗に早期警戒システムの一つと言われておるわけであります。  この健全性維持、当然と言えば当然でありますけれども、考えておられる一つには、やはり自由化規制緩和という、今回は一部であるにしても将来的には相当大幅になっていくのだよという構想の中で、その裏腹でやはり常にリスクが増大するということが想定をされる。したがって、特にこの健全性維持というものもしっかりと定めておかなければならぬということだと思うのであります。  銀行に対する議論でもそうでありますけれども、ややもすると、護送船団方式というようなことが言われてきた。そして、いやいや、これからは銀行といえども危ないよというような国民的なある程度の認識、そしてそこに自己責任というような経済活動の大原則を貫いていかないとこれからの日本はなかなかうまくいかないよというような議論とも絡んでくるのではないかと思うのでありますが、結局、保険業においても、そのあたりの認識を国民としては、一般消費者としては、ちょっと答えにくいかもしれませんが、そろそろしておかなければいけないのかなと。これからそういうものを頭に入れていかなければいけないのじゃないかという点についてはどうでしょう。
  78. 山口公生

    山口(公)政府委員 先生指摘のとおり、我が国金融保険も例外ではございませんが、そこにおける自己責任考え方を次第次第に浸透させ、定着させていく必要があるというお考えは、非常に筋の通ったお考えだと思うわけでございます。  一方で、保険の場合非常に難しい問題もございまして、例えば生命保険でいいますと、三十年間保障していただいている、あるいは一生年金で保障していただくというようなケースにおきまして、三十年後の会社のことについて、たとえディスクロージャーが十分であっても、その自己責任を問えるかどうかというような問題もあるわけでございます。  それから、自動車の保険のように、自分が事故を起こしたときに、被害者の方がむしろ保険で助かるという、結果としてそういうような保険もあるわけでございます。そういったものに、契約者の方に自己責任があっなかなかったかということを議論するのは筋違いというようなものも中にはあるわけでございます。  だから、基本的には先生のおっしゃったような方向というものを志向しながら、また保険のそういった特殊性、特別な配慮というものもやはり考慮しながら、そのバランスを十分とりながらやっていくのかなというふうに考えている次第でございます。
  79. 青木宏之

    ○青木委員 それで、先ほどもソルベンシーマージンのことについて議論がありまして、開示の問題が出ておりました。当面はしない、しかし方向性はあるぞというような御答弁があったように思うのでありますけれども、二億組問題に端的にあらわれておりますように、迷惑をこうむるのはやはり一般消費者契約者であります。しかし、救済手段があるからいいよということが言えるかもしれませんが、それでも救済されない部分も当然あるわけでありまして、やはりそういうことがあってはならない。あるいは一般消費者側からすれば、とにかく一日でも一時間でも早くやはりそういう情報は入れておきたいということからすると、聞いておりますと、何でもかんでも大蔵省が全部仕切ってしまうよというような印象を受けるわけであります。だから私は、むしろもっと積極的にこれは開示していくべきだというふうに思うのでありますが、いま一度その点。  それからもう一つ、例えば新規参入の場合は、これは当然しばらくの間はいわゆる赤字の収支状況になると思うのでありますけれども、そういったときは具体的にどういうふうに対処されるお考えでありますか、お聞かせをいただきたいと思います。
  80. 山口公生

    山口(公)政府委員 ディスクロージャーの問題について、先生の御指摘のように、基本的には前向きで進めていくことが正しい方向だというふうに私どもも考えております。ただ、その募集に直接大変な悪影響を及ぼしたりするということがありますとかえって混乱を来すということもありますので、そういった点に十分気をつけながら、前向きの開示という方向に考えていきたいというふうに思っておるわけでございます。  それで、新規の参入者等についてのお尋ねでございますけれども、新規参入の際には、まだ十分な手当てが、あるいは十分な内容になるまでに時間がかかるということもいろいろあろうかと思います。そういう点については、各局面におきましてきめ細かい配慮をするということがやはり必要だろうというふうに考えているわけでございます。
  81. 青木宏之

    ○青木委員 時間が参りましたので、申しわけありませんがあと一つお尋ねをさせていただいて終わりたいと思います。  今のこととも関連しますし、先ほども出ました保険契約者保護基金におきましても、私の考えは前質問者とちょっと違うかもしれませんが、これは強制した方がいいというお話もありましたけれども、これは業者としてはどっちみち自分に返ってくる。要するに、天につばを吐けば自分にかぶってくることでありますから、それは契約者保護ということからすれば確かにそうかもしれませんけれども、将来的な問題と今の時点の問題と若干ずれはあるかもしれませんが、むしろもうこんなことは業者に任せてしまう方が、行政はノータッチという方がいいのじゃないかと思います。  それから、同じく関連してくるのですが、保険理人制度の拡充ということでもあるわけですけれども、これも社員総代会や株主総会に報告をする、一方で大蔵省へも報告書を提出する。何か印象で申しわけないのでありますが、先ほどの質問と同じで、もうすべて大蔵省が面倒を見てやるのだよというようなところが、印象ですけれども、いろいろそういう面で受けるわけであります。  自由化規制緩和ということであれば、もっともっと事業者に任せていこう、ぎりぎりのというか、消費者も自己責任という意識をやはりもっと植えつけていく、その中でぎりぎりこの部分はやはりどうしても半強制的に保護しなければというようなところについては行政が関与していく、そういうふうになっていくべきだと私は思うのであります。最初に申し上げたように、とりあえず何か角を出して様子を見、危なっかしいから様子を見という要素からすれば、まあしょうがないのかなという感じもしますけれども。  全体的な方向を含めて、最初に返りますけれども、政策的な面も含めて、今私が申し上げた。やはりもっと全体的に自由化していくということについて再度お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  82. 山口公生

    山口(公)政府委員 先生の御指摘、大変難しい、大所高所の御議論でございます。基本的にそういう方向に行くという考え方もありますし、また、そうでない考え方というのもあろうかと思います。アメリカ型、ヨーロッパ型あるいは日本型と、やはりその国清に一番合ったものをこれから模索していくということではないかというふうに考えております。
  83. 青木宏之

    ○青木委員 ありがとうございました。
  84. 尾身幸次

    尾身委員長 午後一時に委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十分休憩      ————◇—————     午後一時一分開議
  85. 尾身幸次

    尾身委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。竹内譲君。
  86. 竹内譲

    ○竹内(譲)委員 新進党の竹内譲でございます。  私の方からは、かなりいろいろな論点が出されておりますが、主に消費者の立場に立って、この保険業法の問題について消費者から見てどういうことなんだと、わかりやすくやはり議論をしていかなければならないのじゃないのかというふうに私は思っております。その意味で、消費者観点から見た基本的な点をただしていきたいというふうに思っております。  保険業法の問題を最初に行いまして、その次に、円高経済対策についてお伺いをしたいというふうに思っております。  最初に保険業法の問題でございますが、まず第一に、今回、第三分野におきまして一応生損保本体の参入解禁ということが打ち出されました。時期についてはいろいろ不透明でございまして、事実上先送りだというようなことでございますけれども、しかしながら、今後やはりこの問題は大事な問題でありますし、この第三分野、本体での相互参入が認められたときに、税制面での取り扱いはどうなるのだということでお伺いをしたいと思います。現状の既存の商品であれば生保商品損保商品は税制上のインバランスがあるわけでございますけれども、この点につきまして、まず基本的な考え方を大蔵省の方にお聞きしたいと思います。
  87. 小川是

    ○小川(是)政府委員 お尋ねは税制上の生命保険料控除と損害保険料控除の問題であるというふうに受けとめまして、お答えを申し上げたいと思います。  生命保険料控除につきましては、相当古くから生命保険思想の普及であるとかあるいは貯蓄の問題といったようなことでつくられまして今日に至っております。最高限度額が控除額で五万円となっております。一方、損保控除の方は、これも約三十年くらいたつわけでございますけれども、財産の損失の補てんという考え方でつくられておりますし、また損害保険の典型的なものが、年ごとの掛け捨てというものが典型的でございまして、貯蓄性の少ないものでございまして、そういったこともございまして、最高限度、現在一万五千円というふうになっているわけでございます。  こうした生命保険料控除、損害保険料控除は、いずれも政策的な措置として行われてきているわけですが、ちょうど七年度の政府税制調査会の答申におきましても、保険契約を奨励するあるいは貯蓄奨励といったような点から、制度の目的は既に達しているのではないか、あるいは他の金融商品に対する課税とのバランスを失するのではないかといったような問題が指摘されているところでございまして、私どもは、この生保控除、損保控除ともにでございますけれども、ただいま指摘されているような問題点を踏まえて、今後検討をしていかなければならない課題であるというふうに考えている次第でございます。
  88. 竹内譲

    ○竹内(譲)委員 いろいろな問題が含まれていると保思いますので、きょうのところはこれについて私が一方的にコミットするつもりはありません。引き続きフォローをして、いろいろな御意見もまた申し上げていきたいというふうに思っております。  それから二つ目に、今回、保険料の自由化の方針というのが出されたわけでございますけれども消費者の立場に立って言えば、アメリカの例にありますように、自由化が過当競争を生んで保険危機を招いた例もありまた逆に引き受け拒否というようなケースも生じているというふうに思うわけでございます。この点につきまして、今後、私自身の考えもありますけれども、この辺についての大蔵省の見解をお伺いしたいと思います。
  89. 山口公生

    山口(公)政府委員 御指摘のとおり、例えば料率の自由化が進みました米国では、ダンピングの競争あるいはその反動による料率の不当な引き上げ、さらには契約の拒否といった深刻な社会問題をも生じた例がございます。また、ある州におきましては、住民運動の結果、自由化から事前認可制に戻ったという事例もあったわけでございます。先生の御指摘のとおりの事象が保険分野では大変に起こり得るということを頭に置いて、これからの自由化規制緩和を考えていく必要があろうというふうに思っておるわけでございます。  このような料率のダンピング等の市場を混乱する事態を避けて、着実に規制緩和自由化を実現するためには、契約者保護を十分念頭に置いて、段階的に規制緩和自由化を進めていくことが重要と考えておりまして、基本的には、主として大企業対象とする大口の企業物件や国際的な取引にかかわる保険専門的知識を有する事業者等契約者となる保険といった。いわゆる企業分野保険から商品の認可制の緩和、料率の自由化を検討すべきものと考えております。  例えば、損害保険分野では、火災保険、自動車保険等の個人向けの保険は算定会制度のもとで料率が算定されておりますけれども、今回の改正で、算定会制度に、保険料率のうち経費部分について料率を弾力的に設定できる付加率アドバイザリー制度を導入することとさせていただいておりますが、それに際しましても、その対象を一定規模以上の企業物件とするような方向で検討しているということで、そういった手順を踏みながらやっていくという考えでございます。
  90. 竹内譲

    ○竹内(譲)委員 確かにおっしゃるとおり、やはり企業保険企業分野から自由化を進めていくべきであろうというふうに私自身も思います。個人向けの保険については、やはり現行の算定会料率制度をベースにして、着実に社会的影響も見ながら進めていった方がいいだろうというふうに思っております。この点は、よろしくお願いしたいと思います。  続きまして、今回かなりの保険業法改正を見る予定になっているわけでございますけれども、もっと被保険者の立場から見た。消費者の立場から見たときに、保険という商品の情報提供がよくわからない、不十分なのではないのか。いろいろな商品がどんどん出てまいりました。バブル期には変額保険とかいろいろな商品も出てトラブルになった例もあるわけですけれども、かなりいろいろ改善をされているとは思うのですが、しかしそれにしてもまだまだよくわからない点がたくさんございます。かといって、じゃこの分厚い約款を全部事細かに説明したようなものを全部消費者に一々渡せばそれで済むのかというと、そういう安直なものでもないだろうというふうに思うのです。  業法改正ということの前に、消費者から見たら、商品というものがもっと端的にわかりやすく、違いがどこにあるのかということがやはり欲している点だろうと思うのです。そういう意味での、この業法改正以前にその辺の商品情報等の開示のあり方についてもう少し改善を要する点があるのではないのかというふうに思うのですが、この点はいかがでしょうか。
  91. 山口公生

    山口(公)政府委員 今先生がおっしゃったとおり、保険に当たりましては、その募集がお客様と直接の関係で出てくる行為というふうになるわけでございます。したがいまして、契約者方々によくわかっていただいて保険にお入りいただくということが最も大切である。これは、保険業法が変わろうが変わるまいが、一番大切だといえばそのとおりかもしれません。  そこで、今、保険につきましての募集ですが、募集のパンフレットとかしおり等によって重要事項を説明をするというようなことでやっております。パンフレットとかしおりといいますと、実に簡単な感じの印象がありますけれども、実際手にとってみますと、かなり詳し目に正確に書いてありますので、なかなか情報内容としては立派なものだと思っておるのでございますけれども、非常に正確性を期していきますと分厚くなりましてまた読まないというような、非常にイタチごっこ的な部分がございまして、これは絶えずいつも見直していろいろな対応ができるようにしなければいけない問題だと思っておるわけでございます。  それで、変額保険のトラブルについても言及いただきましたが、変額保険の際に問題になりましたのは、その仕組みとか商品特性の説明を十分に行ったか否かという問題に起因したトラブルが多かったわけでございます。  こういったトラブルの防止に当たって、募集時の正確な情報提供、商品説明等適切な募集活動によりまして、個々の契約者の正確な理解を得ることが最も大切なことだろうというふうに思っております。生損保いずれの業界におきましても、いろいろそのための努力をしていただいております。いろいろ自主ルールもつくっていただき、またできるだけのディスクロージャーをしていく、また易しく理解しやすいものをつくっていくというようなことで努力していただいております。  こういったことをさらに徹底していただくように、また保険募集人の資質というのが大切でございますので、そのための教育をしっかりとやっていただくということが大変大事なことだと思っております。御指摘を踏まえましてさらに努力してまいりたいと思っております。
  92. 竹内譲

    ○竹内(譲)委員 今おっしゃられたように、日本企業はもとより、これから外資もたくさん入ってこようかと思いますので、そういう意味でバランスを欠くことなく、その点は徹底をいただきたいというふうに思います。  次に、損害保険会社子会社をつくって生命保険事業に乗り出すという場合に、現在、生命保険商品には一社専属制という制度がございますが、損害保険会社の場合でしたら、今自前の、自前といいますかいろいろな意味で代理店をたくさん抱えておられますから、そういうところにいろいろ生命保険商品を売ることをしていただく、そういうことが起こってくると思うのです。  それで、現在その二、三〇%は既にもう生命保険商品を売っているというふうにも言われておりますし、一社専属制がそのまま適用されると商売ができなくなるというようなことで、今回の案では、本則にはこの一社専属制を残すとしながら、例外を設けるんだ、条件をつけるんだというような趣旨になっておるわけですけれども、この条件、例外の範囲についてどのようにお考えか、改めてただしたいと思います。
  93. 山口公生

    山口(公)政府委員 御指摘いただきましたように、生命保険募集人の一社専属制を本則では残した形にしております。その理由は、募集人の教育を徹底していただきたいということにあるわけでございます。それで、募集人の行為につき会社が十分な責任をとるということを明確にすることによって保険契約者の保護を図るということを法益としているわけでございます。他方、利用者の立場から、いろいろと販売チャネルの多様化、効率化という点についてはぜひやってもらいたいという要請もあろうかと思います。したがいまして、国民経済的な見地から見てもこの一社専属制の一部緩和ということをお願いしているわけでございますけれども、その範囲につきましては、保険契約者等の保護に欠けるおそれがないものということになろうかと思います。  具体的なイメージとして申し上げますと、保険募集に係る業務等に関して十分な専門的知識及び経験を有していること、保険募集に係る業務を的確かつ公正に遂行するに必要な人的構成を有していること、さらに、クロスマーケティングの視点から、親保険会社がバックアップしている当該代理店が生保代理店としての適正な業務遂行能力を有していることなどを考慮しながら検討を進めさせていただきたいと考えている次第でございます。
  94. 竹内譲

    ○竹内(譲)委員 この時期といいますか、趣旨は大体わかっているわけですけれども、もう具体的な問題点は明らかになっているわけでして、非常にあいまいもことしたまま、このままこの法案を成立させてよいのかどうか。その辺は少しはっきりしないと、どうも今後の業務展開とかそういう意味では、非常にこれは難しくなるのじゃないかなと私は思うのです。  ですから、もう少し踏み込んだ形で方針、方向性を出す必要があるのじゃないかと思うのですが、保険部長、いかがです。
  95. 山口公生

    山口(公)政府委員 この改正法案をお認めいただいた後に政省令の形で定めてまいりたいというふうに考えておりますけれども、今私が申し上げた要素というものを頭に入れてやっていくということで、かなり具体的なイメージで申し上げているつもりではございます。  いずれにせよ、実態がどうなっているのか、つまり募集は生保損保もなかなか複雑な形になっておりますし、また非常に歴史的な経緯もございます。その実態をよく見まして適切な判断をしてまいりたいというふうに思っておりますので、いましばらくお待ちいただければと思う次第でございます。
  96. 竹内譲

    ○竹内(譲)委員 実際は多分もう既に、法案を出される以上は、営業のやり方がどういうふうにされているかということはもう十分熟知されていると思うのです。あとは政治的な判断といいますか、いろいろな社会的影響がありますから、確かにその辺はなかな塗言えないということだと私は理解をしております。  そこで、ブローカー制度というのが今度できるわけですが、このブローカー制度と既存の代理店制度との関係を非常によく考えておかなければならないのではないかなというふうに私は思っておるわけです。  そこで、今度ブローカー制度導入されるのですが、ブローカー制度の具体的なイメージについてお聞かせを願いたいと思います。
  97. 山口公生

    山口(公)政府委員 保険ブローカーは、契約者保険会社との間に立ちまして、契約者がみずからのニーズに最も適した保険商品を選択することを手助けする者というような役割があるわけでございます。  我が国保険販売におきましてはこれまでブローカーが存在しておりませんでしたが、諸外国におきましては、その形態は一様ではございませんが、ブローカーが一般的に認められておるわけでございます。生命保険募集人または損害保険代理店は保険会社のために保険会社と委託契約を締結して保険募集を行うものでございますけれども保険仲立ち人であるブローカーは保険契約者のため、または中立の立場で保険募集を行うものでございます。したがって、保険会社保険ブローカーの行為に責任を負わないということに当然なるわけでございます。  したがって、その適格性の確保を図る必要がありまして、登録の要件として、十分な知識、経験あるいは賠償のための資力を要求する形になろうかというふうに思っております。そういったものをクリアできる人たちが、海外の例を見ましても主に企業の物件についていろいろな知恵を出してブローキングをやっている、恐らく日本の場合もそういった形でブローカー業務が展開するのではないかというふうに予想しておる次第でございます。
  98. 竹内譲

    ○竹内(譲)委員 私のイメージでは、要するに企業なり個人の消費者がいる、代理店との間に入ってその企業リスクなり資産運用なりそういうものを勘案しながら、どういう保険がよりいいのか、損害保険であればどういうものがいいのか、それから生命保険であればどういうものがいいのか、それは資産運用の面あるいは相続の面、また、節税というと大蔵省の皆さんを前にしてあれですけれども、そういう税金対策の面、さまざまなことから自分の企業あるいは個人の持つリスクとの対比の上でいろいろなアイデアを出してアドバイスしていくのかな、そういうふうなイメージでとらえているのですが、この点はどうなんでしょうか。
  99. 山口公生

    山口(公)政府委員 もちろん先生の御指摘のような形のブローカーがかなり発展を遂げる可能性というのは否定できないと思いますし、そういうことも十分考えられると思います。  ただ、現在の募集人あるいは代理店も、ある意味ではかなりそういうファンクションを既に発揮しておるわけでございます。今、日本の生命保険会社損害保険会社も大変優秀な方を採用し、また保険募集においてもかなり洗練された教育訓練をやっておるわけでございます。  したがって、そういうファンクションを現在においてはそういった代理店等が行っているわけでございます。そこに新しいブローカーという制度がどれくらい食い込めるかというような問題になろうかと思うのでございますけれども、その辺は、今後の展開はやはり消費者あるいは企業等がどういうふうにブローカーを評価していくかにかかってくるのかなというふうに思っている次第でございます。
  100. 竹内譲

    ○竹内(譲)委員 ですから、現在、日本では既にそういう役割を代理店の方あるいは募集人の方がかなりされていると私は思うのです。また、現在の損害保険会社の皆さんとか生命保険会社の皆さん、大変戦略的に考えでいろいろな教育を既にされていますし、そういう意味ではむしろブローカー制度ができたらこういうことが起こるのではないか。  要するに、例えば代理店、別にあるけれども、それとは別に、みずからの営業職員をブローカー登録で全部、試験制度になると思うのですが資格を取ってもらってそこでブローカーになってもらう。そうすると、ブローカーと代理店とで似たような仕事が二つあって、手数料は両方取れるわけですから、そういう意味で、ある意味での系列化みたいなものが非常に進んでいく可能性もあるのではないのか。要するに、生命保険系列のブローカー、損害保険系列のブローカー、そういうものが進んでいくのではないのか。  そうすると、消費者の立場に立って見た場合に、今のイメージで考えている限りは、本当にプラスになるのかなというふうに思うのです。もっと違う面を考えていかないとちょっと意味をなさないのではないかなというのが私の考えなのですが、その点はいかがでしょうか。
  101. 山口公生

    山口(公)政府委員 ブローカーを子会社として仮に設立するとした場合には、もちろん資本金等の通常の設立費用がかかります。加えて、私どもが要求をさせていただく保証金などの負担もかなりのものになると思われます。また、ブローカーにはベストアドバイス義務という誠実義務を課しておりまして、必ずしも親会社、今損保の例をおっしゃいましたが、特定の損保会社の利益に沿った行動ばかりをやるということができなくなるわけでございます。  このような条件のもとでブローカーの子会社を設立するということは、従来とはやはり一味も二味も違ったサービスでないとなかなか存在意義が認められないというのはもう先生の御指摘のとおりだと思います。だから、ブローカーとしての機能はやはり大企業物件あたりから始まるのかなという感じを持っていると申し上げたのはそういうところにあるわけでございます。  いずれにせよ、代理店とブローカーというものの兼営は好ましくないわけでございます。これは全然性格の違うもの、責任関係からいってもそうでございます。その弊害をまた防止しなければいけないという要請もあります。例えば、同一者が保険ブローカーと代理店の役員または保険募集を行う使用人を兼任するというようなことは禁じるということにいたしたいと思っておりますし、そういう系列化で、実質的な代理店だけれどもブローカーとだけ称しているというようなことはやはりましいものではないと考えておるわけでございます。
  102. 竹内譲

    ○竹内(譲)委員 そういう意味で、契約者の立場に立って中立性を保持しながらいろいろなアドバイスができるように、やはり今おっしゃられたような兼職禁止とかそういう仕切りをきちっとしていただきたいというふうに思うのです。  いろいろ申し上げたいことはいっぱいあるのですが、それでは次に、保険契約者保護基金の方にちょっと移りたいと思うのです。  当面のこの基金は、生命保険業界で二千億であるとか、損害保険業界で三百億とかいうふうに言われておりますが、この規模、それから積み立て方式といいますか、それから各社の資金分担とか、その辺についての大蔵省の基本的な考え方についてお尋ねをしたいと思います。
  103. 山口公生

    山口(公)政府委員 保険契約者保護基金は、民法三十四条に基づいて設立される公益法人でございまして、契約者の保護を図り、保険業に対する信頼性を維持することを目的として設立をお願いしているものでございます。また、この改正法案におきましては、基金が資金援助事業等を適正かつ確実に行うために、大蔵大臣が契約移転などについて適格性の認定を行うなどの所要の規定を置いておるわけでございます。  この基金が有効に働くために、もちろん十分なるファンドというのが必要になるわけでございますが、現在生命保険業界では二千億円、損害保険業界では三百億円というのを一つのたたき台として御検討いただいておるわけでございます。加えて、負担金の拠出方法のあり方、組織形態などについて検討を進めていただいておるところでございます。
  104. 竹内譲

    ○竹内(譲)委員 この場合に、私ちょっとお聞きしたいのは、要するに生命保険会社の中でどこか、あるいは損害保険業者の中で破綻会社が出てくるとした場合に救済の目的でつくられているわけですが、これも大体私は理解しておるんですが、破綻をする、そしてその保険契約だけを救済会社に移転して、そこへこの保護基金から資金援助をするというそういう仕組みであろうというふうに理解をしておるわけです。  そこで、破綻をした場合に、今回の目的保険契約者を保護するんだということなんですが、保護の対象銀行の場合であれば預金保険機構を通じての援助というのは一千万というふうになっておるわけですけれども、そういう区分、大口契約も全部保護するのかという私は疑問があるわけです。その点についての考え方をただしたいと思います。
  105. 山口公生

    山口(公)政府委員 先生指摘のように、契約者保護基金で救済する対象を大口、小口で分けてはどうかという議論がもちろんあり得るわけでございますし、現にそういった議論がかなり行われたことも事実でございます。  ただ、保険の実情を見ますと、例えば、中小企業経営者の方が自分の事業の継承のために、自分に万一があった場合に備えまして数億円の死亡保障の保険をかけていらっしゃるというケースもかなり多くあるわけでございます。そういったものが、じゃ大口だから面倒見なくていいのかとなりますと、ある意味では必要に迫られて入るあるいは入らざるを得ない、これは借り入れをなさる場合でも同じようなことがあるんですけれども、そういった借り入れの質権の対象として保険があるという場合もございます。  だから、大口、小口で切ってしまうということが余り一律には議論できないんではないかという意見の方が強かったように思っております。したがって、この契約者保護基金においては、そういった保険契約の区別なしに対応するという姿を想定しているわけでございます。
  106. 竹内譲

    ○竹内(譲)委員 私はやっぱりそこはちょっと違うと思うんです。大口契約に入る個人というのは、資金、余力がある、資産がある、収入があるということだと思いますし、一般のそうでない方々とはそこに格差があるわけですし、そういう意味では違いがあるんじゃないのかと。銀行のときに問題になったように、一千万の預金があるのかないのか、それを超えるのか超えないのかというのとほぼ同列に論じられる議論なのではないのかというふうに私は思うんですが、いかがでしょうか。
  107. 山口公生

    山口(公)政府委員 確かに先生指摘のように、こちらの考え方が正しい、こちらが間違っているというはっきりとした議論はできないんだろうと思うのでございます。それは、例えば三億円の保険に入っていても、その事情によっていろいろ違うのでなかなか区分けが難しいという事情を私は御説明申し上げましたが、じゃ一般的に統計をとってみるとどうかということになりますと、かなり裕福な方が保険をたくさん掛けているという統計がとれるんではないかという議論になりますと、先生の御指摘のような議論も成り立つと思うのです。だから、どちらが正しくてどちらが間違っているという議論には私もならないと思うわけでございます。  ただ、今回の保険保護基金におきましては大口、小口というのを一線を引かないで対象にしようということでございますが、将来預金保険機構のような強制力を持ったペイオフ機構といいましょうか、支払い保証機構的なものを検討する際には、今先生の御指摘のような議論がまた必ず出てくるんだろうと思いますし、またそういう考え方も念頭に置きながら考えていくものになるんではないかというふうに思うわけでございます。  だからなかなか割り切れないということを御理解賜りたいのでございまして、今回の保護基金においてはそういうことで区別なしにということの形をとらせていただいているということでございます。
  108. 竹内譲

    ○竹内(譲)委員 どうも余り反論になってないような気がするんですけれども、今保険部長がおっしゃったように、そういう将来のことも検討されているわけですから、我々としてはそこをちょっと踏み込んでこの際考えなければならないのではないのか。こういう大口、小口の問題は、今回の審議の中でもうちょっともむ必要があるんじゃないかなというふうに私は思っているわけです。ここでのやりとりはこのぐらいにしておきますけれども、十分これはちょっと修正の余地ある問題ではないのかというふうに私は思っているわけです。  そこで、先に急ぎますが、今後外資系の企業日本でも営業するとなる。そうすると、大体こういう保護基金に対してそういう外資系の企業が入るのかどうか、加入するのかどうか。今回は強制ではありませんから、任意ですから、親会社との関係の中でそんなのは要らないんじゃないのか、大蔵省にちゃんと親会社は一札、一札入れであるというか、きちっといろいろ証明をしているわけですから、いろいろな意味で、こういうのは極めて日本的な制度であって、わざわざ外資系企業は加入しないのではないかというケースが出てくると思うんです。もしもそういう企業が出てきた場合で、ところが営業後間もなくいろいろなハイリスク商品を売って破綻しちゃったというような場合どう対処するのか、私はその辺をちょっとお聞きしたいんです。
  109. 山口公生

    山口(公)政府委員 仮に基金に加入していない保険会社が破綻保険会社に該当したときには、その制度の仕組みからしまして基金による資金援助の発動は当然ないわけでございます。  ただ、その保険会社が基金に加入しているか否かにつきましては、この基金への事業参加者の名簿が公衆に縦覧されることにしてございます。したがって、契約者はその保険会社の基金への加入の有無を知り得ることになるわけでございます。保険会社としましては、そういった事実を踏まえて基金への加入の有無を判断するということになるわけでございますので、私どもとしましては、そういった観点もありますので全社の加入が望ましいと思っておりますし、また業界におきましてもそういった形で努力をしたいというふうに申されておりますので、そういった努力を支援してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  110. 竹内譲

    ○竹内(譲)委員 万一とうしても嫌だというところがあればそれは強制できないわけですから、そのときは、単に官報にあるいは公衆に縦覧してあるというそういうことではなくて、やはり消費者の立場に立ては、その会社は加入していないのだなということがわかるような形を、明確な形をとる必要があるのじゃないかなというふうに思うのです。その点はぜひとも検討していただきたいというふうに思うのです。
  111. 山口公生

    山口(公)政府委員 やはり消費者といいますか保険契約者にとっても、加入しているかしていないかというのは関心事項になろうかと思うわけでございます。したがいまして、募集の際のパンフレットに基金に加入していることを記載することを認めるか認めないかという問題もあるわけでございます。そういうことを含めて保険契約者の方にわかるという形にしていくのもやはり一つ考え方だろうなというふうに思っております。
  112. 竹内譲

    ○竹内(譲)委員 ぜひともそういう形でお願いしたいと思います。  保険業法の問題につきましてはこのぐらいにしておきまして、あと残った時間、何度もいろいろな委員方々質問されていますが、やはり円高経済対策についてただしておかなければならないと考えております。  私も今回、四月二十七日から五月の八日まで中近東を回りまして最後にドイツヘ行きまして、いろいろドイツの金融センターの方々と話し合いをしてまいりました。その中で、マルク高の問題や円高の問題についていろいろヒントも得たわけでございます。  この円高問題、まず大蔵大臣は今後の円相場の見通しについてどのようにお考えでしょうか。
  113. 武村正義

    ○武村国務大臣 私の立場で相場について語ることは控えたいと思っております。  ただ、先般G7のステートメントに表現いたしておりますように、現在のこの急激な為替変動はいずれにしても各国の経済諸条件の立場から見て正当化されるものでないという認識を共通いたしております。そして、秩序正しく反転させていこう、反転させるべきであるという点で合意を見たわけでありますから、これを言葉をかえれば、今の円高・ドル安を例にとって申し上げるならば、この状況は正当性を欠いている、経済実態から見て正当性を欠いている、しかもこれを反転させようということでありますから、円安・ドル高に持っていこうというふうに理解していいものだというふうに認識をいたします。
  114. 竹内譲

    ○竹内(譲)委員 今のお答えの中でちょっと確認しておきたいのですが、反転させるべく合意を得たと。これについては米国の大統領も合意をされているのでしょうか。クリントン大統領も反転させるべく合意をされているのでしょうか。
  115. 武村正義

    ○武村国務大臣 これは、G7といってもサミットのG7でなしに、一般的にG7というのは蔵相と中央銀行総裁会議をそう呼んでおりまして、過般ワシントンで七カ国の大蔵大臣と中央銀行総裁が数時間にわたって議論をして、その結果、最終文書で、文書で出すというのは非常に異例でありますが、ステートメントを発表させていただきました。  そのステートメントの表現が、今申し上げたように、今の為替の状況が正当性を欠くということと、それから反転させていこうと。反転という表現は随分議論がありましたが、最終はみんなで合意をしまして、アメリカのルービン長官やグリーンスパン連銀総裁も入って合意をしているわけでありますから、アメリカ政府もというふうに理解していいと思っております。
  116. 竹内譲

    ○竹内(譲)委員 私の理解では少なくともクリントン大統領はそういうふうに認識をしていないのではないかなというふうに思っております。これはちょっと議論になると思いますが、この御発言に対してどう向こうが反応するか、これは十分注意をしなければならないというふうに思います。  そこで、今大蔵大臣のおっしゃるとおり合意を見たとした場合に、その具体的な対策ですね、これはどうなっているのでしょうか。
  117. 武村正義

    ○武村国務大臣 数時間の議論のかなりの時間を、まずは各国の経済状況をめぐって議論をいたしております。当然そのことは為替の相場とも関連するわけでありますが、アメリカアメリカ日本日本、ヨーロッパ各国はヨーロッパ各国、それぞれ抱えている経済的な課題について議論をしているわけでありますが、御承知のように、アメリカを例にとれば金利の問題がございます。問題といいますか、アメリカの連銀が金利を上げるか上げないかということをめぐっても当然議論をいたしますし、アメリカの例の二つの赤字、財政赤字と経常収支の赤字をめぐっても、貯蓄の問題も含めてかなり激しい議論がございます。  日本は、幸い、直前に緊急円高経済対策を発表してまいりましたので、まず先に私からこの内容を説明いたしました。でありますから、日本の方針については、まあしっかりやってほしいというか成り行きを真剣に見詰めるというか、そういう感じの発言しか出ておりませんから、それがけしからぬというふうな意見はありませんでした。  いずれにしましても、内需の拡大を基本にしながら景気の回復、本格的な軌道に乗るように頑張っていかなければいけないということでありますし、あわせて経常収支の黒字にかかわるテーマとしては、何としても貿易、なかんずく輸入を一層拡大していく努力であります。そこに規制緩和の問題もありますし、いわゆる言われている日本市場開放という姿勢が問われているわけでありますが、そういったことを先に私の方は政府の方針として申し上げておりましたので、そういうことを説明いたしました。  ヨーロッパにも、それぞれ各国めくって財政再建その他課題があるわけでございまして、そういう議論は文章に、各国別にそれぞれそういう課題なりあるいは取り組みの方向というものを合意することも可能ではありますが、そこまではステートメントでは発表いたしておりません。  あえて言えば、今申し上げた反転という表現の後に内外の不均衡を縮小していこうという表現が入っております。あわせて、今後も継続的に通貨の問題に対しては協調をしていこうという言葉で結んでいるわけでありますが、その中で、いわゆる内外の不均衡縮小という表現に、ある意味では今申し上げたような日米間を含めた。日本の経常収支の黒字の問題も不均衡の例として当然含まれてくるわけでありますし、アメリカ側から見れば経常収支の赤字というテーマも含まれてくるわけでありまして、内外と言っておりますように、内という言葉の中には、アメリカの財政再建の問題もこの言葉の中には入っているわけでありまして、各国の具体的な政策をめぐってさまざま議論をいたしましたけれども、表現としては、内外の不均衡是正という大変シンプルな表現で結んでいるところであります。したがって、お答えになりますが、真剣に各国のマクロ政策をめぐっても議論をいたしました。
  118. 竹内譲

    ○竹内(譲)委員 私は、八五年のプラザ合意以降この円高の流れが進んでいるわけですけれども、本当にG7で、反転させるんだ、そういう合意をしたのであれば、本当にプラザ合意に匹敵するような各国の経済政策が、一丸となって協力し合うんだ、そういうものがどんと出るはずだと思うのです。また、やっているはずだと思うのです。マーケットもそれに応じて変わるはずだと思うのですが、全然変わってないということで、だれも今回の成果を信用していないわけでして、クリントン大統領なんか、それはもう日本の問題だというふうに思っているわけですよね、実際問題としては。  ですから、今回のG7の成果というのは、僕は甚だ、何をされてきたのかと、お茶を濁したと言うと失礼を言い方かもしれませんが、本当にそういうプラザ合意に匹敵するようなものではないし、実際にそういう効果も出ていないというふうに私は思うのです。  その意味で、本当にこの円高問題をどうとらえるか、それに従って日本の産業、経済社会構造がどう変わっていくのかということを、やはり五年先、十年先、この辺を政治家はよく見きわめる必要があるんじゃないかというふうに思うのです。  これについて、質問通告をしておりますので、円高に伴って、今後五年、十年先、十五年先、この日本経済社会構造の変化日本はどうなっていくのかという大蔵大臣のお考えをちょっとお聞きしたいと思います。
  119. 武村正義

    ○武村国務大臣 G7に対する評価をそういうふうにおっしゃいますと、もう少し正確にごらんいただきたいと申し上げたいわけであります。  少なくとも、今もおっしゃったようにプラザ合意やルーブル合意もありました。このステートメントを出すということ自身、なかなかふだんはしないことでありますし、反転というふうな非常に鮮明なわかりやすい表現をG7で使うことができたのは、今回が初めてであります。そういう意味で、日本の各紙の論調も、あるいは世界の新聞も、その点はそれなりの評価をいただいているところであります。  問題は、これを裏打ちする行動といいますか、協調行動にしましても、各国の努力がどこまでできるのかというところが真剣に見詰められているところであります。現に、G7前と後で比べますと、八十円前後であったのが八十三円、四円前後に多少反転をしているわけであります。私どもとしては、ぜひ、このG7のステートメントが決め手になるというふうには申し上げませんが、こういう国際社会の合意が、市場関係者においても、そろそろ円高一方でいいのかという気持ちが、考え方が出てくることを期待いたしているところであります。  さて、十年、十五年後の日本経済というお尋ねでございますが、先までをしっかり私が予測して申し上げる自信はありませんが、しかし、あるべき方向としては、今まで五十年かけてつくってきた日本経済というものは、やはりそれなりの評価をみずからしてもいいのではないか。今さまざまな課題に直面をしておりますし、先行き不安な材料もたくさんあるわけでありますが、そういう中で、この十年ぐらいが大変大事な局面ではないかというふうにまず思っております。まあ方向としては、従来五十年歩んできた歩み方をそのままあぐらをかいていったのではもう展望がない、これはもう内外の常識的な見方であります。どう新しい時代に日本経済が転換できるか、あるいはそのためには何が必要かということに尽きるかと思っております。  答えは、いずれにしましても、大変ボーダーレスの国際経済の中で、国境を越えてどんどん国際化が進展していく状況の中で、この事態を素直に認めながら、その中で日本経済がどう、アメリカあるいはこちらのアジア側、両方にらみながら、しっかりした新しい方向を見出し、そのための大変な努力を成功裏に進めていくことができるかにかかっていると思います。  多く言いませんが、構造改革というふうな言葉を我々が使っているのもそのことを申し上げているわけでありますし、さらに言えば、どう経済そのものを革新していくのか、あるいは創造的なビジネスをこの日本経済界にどれだけたくさん厳しい国際競争の中で生み出していくのか、そのことにかかっていると思います。政府としましても、政府が主役とは言えませんけれども法律措置あるいは税制措置、財政措置金融措置、あらゆる持てる手段をこの方向に全力投球しなければいけないというふうに思っております。
  120. 竹内譲

    ○竹内(譲)委員 私はこういうふうに考えるのです。日本経済は二重構造ですから、大企業と多くの中小企業から成り立っている。まあ大企業の方は今どんどん直接投資で海外生産に比重を移している、いわゆる空洞化が進んでいるわけです。一方で中小企業の方は二分化している、格差ができつつあると思うのです。  一方は、大企業とともに非常に技術を磨いていろいろ、半導体製造設備とかあるいは機械工具とか機械設備、あるいは工場製造機械とかロボットにまつわるさまざまな機械とか、そういうものをどんどんつくって輸出をどんどん伸ばしている。そういう中堅の、あるいは技術力の優れた会社と、それから一方で廃業に追い込まれていく中小零細企業とに非常に二分化しているのではないのかというふうに思うのです。  ところが、その中小企業、中堅企業の技術力のある企業でも、今発展途上国の方が急速に追いついていますから、キャッチアップしてくる。そうすると、その辺がだんだんそういう力を持ち始めて、今何とか持ちこたえているそういう中堅企業もだんだんだめになっていくというような状況になってくるわけです。  一方で、では新しい産業を起こすということでいろいろ言われているわけですが、ソフト、ハイテク産業がどうなっているかといいますと、極めてお粗末な、米国よりもはるかに今おくれてしまっているような状況である。そういう意味で、ハイテク化も非常に今危機的な状況にあり、そしてまた一方で、そういう日本の製造産業が一方からキャッチアップされている。両方の、米国あるいはヨーロッパとそれから第三国との間で日本はまさにサンドイッチのような状況にあるのではないのか。  そうすると、本当に日本にはもう産業がなくなっていく。一部の大企業海外へ出ていって多国籍化するということで、日本は本当に低生産性の産業ばかりになって、高齢化の進展とともに、まさに日本は衰退していくときが来るのではないか。それが十年後くらいをめどに大きく出てくるのは間違いないと私は思うのですね、このままでいくと。高齢化とともに貯蓄率も下がっていきますから、内需のためのそういう資金もなくなってくる、あるいは輸出にかけるそういう資力も投資も不可能になってくるということで、まさに大変な事態が来ようとしているわけです。  そういう意味で、私は、本当に今日本はこの五年の間に、あるいはもう今すぐ、五年とかと言っている暇はない、三年と言っている暇もないと思うのです。本当に今、決断をして大胆な、今大臣が構造改革やらいろいろなことをおっしゃいましたけれども、やらなければならないと思うのです。緊急円高経済対策でいろいろ述べられておられます。これはそれぞれごもっともだと思いますけれども、本当にこの規制緩和でも三年計画として前倒し実施するというような、そんな三年の間を悠長なことを言っている暇はあるのかどうか。もう本当に今すぐにでもどんどんやらなければいけないのではないのか。  それからもう一つ、例えば金融資本市場でも、欧州の方はどんどんNASDAQに匹敵するような、これは何と読むのですか、エスタックというのですかね、EASDAQというようなそういうふうな資本市場もつくるというような動きでどんどん動いているわけであります。そういう意味で、欧州の取り組みは物すごく速い。九五年末にはそれができるということで、本当に上場企業、どんどんもうヨーロッパの会社がそれに参入しようとしているわけです。すごく動きが速くて、本当に今欧州の企業もこのままほっておいたのではEASDAQに全部店頭上場してしまう。日本企業もみんなあっちへ行って資本調達をしようとしているわけであります。  ところが、それに比べて、これだけ金融市場の緩和が必要だ、ぜひとももっとやらなければいけないなんと言いながら、この一年間これだけ言われながら何にもほとんど進んでいないというのは、私はもう本当に歯がゆい思いで、何をしているのか。そういう世界各国の動きから見れば、日本というのは言うばかりで何事も遅々として進まない、その間にどんどん日本は衰退に向かって進んでいる。間違いなく十年後には、このまま問題を先送りして言葉だけ並べて、美しい言葉で飾っているだけではだめだ。本当にもう今すぐ大胆にこの改革を実行に移していく、そういうことをしなければ、本当に日本というのはこの十年の間にまさに衰退国になるだろう。そのときには、皮肉なことかもしれませんが、円安がやってくるのではないのか。  その意味で、もっと大胆に本気でこの経済改革に取りまなければならない。ここに書かれた以上に、私はきょうは時間がありませんが、まだまだ不十分である、特に今申し上げたような点、もっと具体策を我々の方でつくりたいというふうに申し上げまして、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。
  121. 尾身幸次

    尾身委員長 次に、村井仁君。
  122. 村井仁

    ○村井委員 昨日ちょっと聞かせていただいたことでどうしてもよくわからない点があるものですから、また保険部長、少しっき合っていただきたいのですけれども法律案の九十九条のいわゆる法定他業のところです。ここのところは認可の対象ということで比較的すっきり説明していただいたかと思う。それからもう一つ、例えば相互会社の社債の発行なんかについても、保険業法の体系の中では特段の制約はないというところも明確になった。  そういうところとの対比でどうしてもすっきりしないのが九十八条の付随業務の第一項二号の「債務の保証」のところです。債務の保証というのは、私は、やはり信用供与の一つの形態であって、それなりにもちろんリスクをとらなければならないけれども保証料が入るという一つのビジネスの世界だと思うのです。  それにつきまして、確かに保険審議会の平成四年の答申を読んでも、若干限定的な書き方はしてあるが基本は積極的。法律案としてまとまったのを見ると、何らの制約もかぶっていないかに見える。そして、債務の保証というのは特に認可もなしにできる、こういうふうに法文上は読める。しかし、きのうの御答弁ではどうもそこのところは何か制約があるように聞き取れた。しかし、その制約は、どうあのときに伺っていても、私は、保険業法から由来する、あるいは債務の保証というものから本質的に引き出されるような制約ではないように思うのです。そういう意味で、もう一回、なぜその債務の保証が自由に行うことができないのか、御説明をいただけませんか。
  123. 山口公生

    山口(公)政府委員 お答え申し上げます。  私が昨日も申し上げたかった点は、保険会社事業というのは、保険を引き受けまして保険料を収受しまして、それを運用して、それで契約者の万が一のときにその保障をする、あるいは満期の保険金でお返しするというようなビジネスだろうと思うわけでございます。  確かに債務保証というのは信用供与の一形態でございますし、それでフィービジネスというものがあるということは私もそのとおりだと思いますし、銀行等でやっておるわけでございますが、今回付随業務として書き込みましたのは、その資産運用と親近性がある、そういった運用でノウハウがかなりありますめで、その関係でいろいろノウハウも蓄積しているというようなこともございましょう。それで書き込ませていただいたわけでございますが、保険会社はもともと預かったお金がございますので、そのお金を、例えばポートフォリオで債券を買うとか株式を買うとかあるいは人に貸し付けるとかいう、まあ資金を流出といいましょうか、持ち出す形での運用というのが本来の保険業の姿ではないだろうかな。  そうしますと、金は出ていかないけれども、フィービジネスだけやりますよというものにつきましては、これはやはり、付随業務として行うことはできますけれども、おのずとそこには制約があるのではなかろうかというふうに申し上げている次第でございます。
  124. 村井仁

    ○村井委員 そこは、私は、金融類似の業務という意味では同じことだと思うのです。金が流出しようが、現にあるというものをベースにして信用保証をやるということも、それはそう選ぶところがないことだと思うのです。  そういう意味で、私はどうも釈然としないのは、平成四年の答申を見ると「資産運用との一体性や政策的必要性が高いもの等について、リスクを考慮しつつ保証先を限定することが適当である。」こう書いてあるのですけれども、余りそこのところを、政策的必要性が高いものならリスクが少ないのかというとそういうわけでもないし、特にこういうものだけ認めるという理由が私はどうも余り納得がいかないということを申し上げておきたいのです。  いずれにしましても、私は、九十八条一項の二号以下に列挙してある部分というのは認可の対象じゃないというふうな整理を法律上されておられるわけですから、そこに過剰な規制が入らないようにしていただきたい。そして、もし何らかの制約が加わるとすれば、それは本来的に、当然に業務からにじみ出るといいますか、業務そのものから当然だというものは別ですけれども、私は債務の保証というのはそんなに特殊なものだとはどう考えても思えない。  ほかの、三号に掲げてある国債等のディーリングだとか募集だとかそういうようなもの、あるいは四号の金銭債権の取得または譲渡というようなものと比べてもそんなに違いがあるようにどうしても思えない。このところはなお、これから運用を図っていかれる上で特段の留意をしていただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。  それから、別の問題でありますが、一社専属制の問題については、既に同僚議員からいろいろな御質問があったりまして、かなりまった話を既にお聞かせいただいておりますけれども、これは念のためにお伺いするのですけれども、けさの青木委員に対する御説明でも、例えば保険募集に関する専門的能力があるかどうかとか、それから的確に業務を遂行できるかどうかとか、それからクロスマーケティングを進めるという見地から適当であるかどうかとかいうようなところで、緩和方向で考えていくんだ、また逆に言えば、緩和の限度というのはそういうところで絞られるんだ、こういう御説明だったわけであります。  これは、言いかえると、まずクロスマーケティングの方から言った方がわかりやすいと思うのですけれども生保の一社専属制というのがあるがゆえに、例えば、損保がつくった生保子会社が当該損保の代理店に自分のところの商品を扱ってもらおうとしたところが、当該損保代理店が既にどこかの生保契約を結んでおったとすると、一社専属制というところがそこにきいてくるとなるとお願いできないという話になる。あるいは、そもそもおまえさんは損保で大体飯を食ってきたんだから生保との契約を解消しろというような話になってしまって、クロスマーケティングの意味をなさなくなるということで、こういうところは例外にしようというのが一つの具体的な形なのかなということ。  それからもう一つの、保険募集についての専門的な能力があるかとか的確に業務を遂行できるかどうかというところは、生保の中にも、大手は確かに募集人をたくさん持って、直接雇用をしてそれに募集させているという形態でありますけれども、しかし、中小なりあるいはそういう営業方針をとっているところでは代理店の形態をとっているようなケースがあって、そういう場合に、もし一社専属制に穴をあけるということであるならば、代理店の人数要件であるとかあるいは規模ですとか、そういうことについて慎重な配慮をしてほしいという要望がある。その辺にこたえる趣旨である、こんなふうに理解してよろしいです。これは確認です。
  125. 山口公生

    山口(公)政府委員 先ほど来三つの要素を私としてはかなり具体的に申し上げているつもりでございますけれども、基本的な考え方で申し上げておりますが、それを意味するところをブレークダウンしていきますと、今先生のおっしゃったような姿というものを現実に頭に思い浮かべながらああいう表現をさせていただいているというふうに御理解賜れば幸いでございます。
  126. 村井仁

    ○村井委員 結構です。  それから、ブローカーの問題、これも新しく入れようとする制度ですから既にいろいろな御議論がありまして、きのうは中村委員、中田委員に対する答弁で、ブローカーの要件として、保険業に一定期間以上従事していること、それからブローカー協会というのがもしできれば、それの試験に合格しているとかあるいは研修を受けたとか、あるいは外国で一定の資格取得をしているとかいうようなことを御答弁になられ、また、けさ青木委員の御質問に対しまして、外国のブローカーが参入してくるのではないかとか、あるいは代理店の一部がブローカーになるということもあり得るのではないか、あるいは商社などもそういうことをやるのではないかというような御答弁がありました。  ただ、ブローカーの仕事の中で、大部分は私は、それはいわゆる損保の世界でプロ同士の話をブローカレッジでやるというのが一般だとは思うのですけれども、そしてその世界では比較的短期間で済む話が多いと思われますので比較的問題は少ないかと思うのですが、これはけさやはり井奥委員が触れられた点でありますけれども、入り口はおいしくて出口になると問題が残るという表現を井奥委員はされたわけでありますけれども、生命保険の場合に、二十年も三十年もたって初めてブローカーのアドバイスが適切であったかどうかというようなことが問題になる危険というのがこれは否定できない。そして、生命保険についても、例えば集団保険といいましょうか、企業年金保険といいましょうか、そんなような形態で比較的大規模なも保のが扱われる可能性がある。そして、そういうものの成果というものが長期間たってから結果がわかるというような問題もあり得るのだろうと思うのです。  そうなりますと、どうなんでしょうか。幾ら賠償資力だとかなんとかいって、きのう米お伺いしたお話を踏まえてみても、そこで何かトラブルが起きたときに本当にブローカーが耐え得るんだろうか、きちんと責任をとれるんだろうか、非常に不安になる。私は、そこのところは、ひょっとしたら、ちょうど公認会計士という仕事が現在は実際には監査法人という形で多く行われているのと似たように、これは法人の業務の世界になっていくのかな。そういう意味では、比較的永続的なゴーイングコンサーンとしての存在を想定しないとその辺のところは理解できないのかな、こんな感じがするのですけれども、そういう理解でよろしいのでしょうか。
  127. 山口公生

    山口(公)政府委員 先生の大変洞察力に富んだ御意見、確かに私どもも、いろいろそういうケースを考えてみますと、法人という形でブローカーが活躍するという方が問題が少ないというような意見もやはり成り立つのかなという感じもいたしますけれども法律的にいいますと、ブローカーは個人でも法人でも構わないということにしておりますので、その点についてはいろいろな可能性があり得ると思うわけでございます。  今御指摘いただきましたような長期の契約のような場合に、損害賠償の責任問題等がどうなるんだという問題は大変私どもは頭の痛い話でございまして、いろいろな御質問を私ども賜っておった中にもそういった御趣旨が含まれておりましたけれども、そうした事態に対しましては、賠償責任保険の形で対応できないかどうか、その賠償責任保険の、どこまで担保するかということによってそれもある程度可能になるかもしれません。  それから、保証金を積むということをお願いするということにしておりますが、それの取り戻し制限という手当てを講じるということにいたしたい。もうブローカーをやめたということで保証金まで取り戻されていなくなってしまうとなりますと、その効果が御指摘のように長く続くものがございますので、そういったものが後になってそれこそ後の祭りということになっても困るわけでございます。したがって、保証金の取り戻し制限については手当てを講ずるというふうなことを考えていくことになろうかと思います。
  128. 村井仁

    ○村井委員 ブローカーについてもう一点ですが、二百九十九条、いわゆる保険仲立ち人の誠実義務というのがありまして、非常に簡単な条文になっているわけですけれども、いわゆるブローカーにつきまして、ベストアドバイス義務の具体的規制あるいは特定の保険会社への偏向を制限するというような規制というのはここからにじみ出てくる話なんだろうと思うのですけれども、どんな形でコントロールされるおつもりなのかお聞かせいただけます。
  129. 山口公生

    山口(公)政府委員 今御指摘のように、ブローカーにはベストアドバイス義務というものを課してございます。したがいまして、保険契約着にとって最善の保険商品を推奨しなければならないということでございます。仮に、顧客にとりまして最善でないということをブローカーが知りながら特定の保険会社に偏向した保険契約の媒介を行った場合にも、その誠実義務違反に問われるということになろうかと思うわけでございます。これは罰則のない訓示規定ではございますけれども、この義務に違反した場合におきましては、契約者に対し損害賠償を行う義務が生じることになるわけでございます。  それで、御指摘の特定会社に偏向してしまうということが明らかに最善でないということではっきりする場合は、明確にそういうものがあらわになってくるわけですが、ただ一般的にそういう偏向ということになりますと、誠実義務、ベストアドバイス義務としてどういったものを守ろうという、例えば自主ルールをつくっていただきまして、その中でにじみ出していただくというようなのが現実的な解決がなというふうに思っている次第でございます。
  130. 村井仁

    ○村井委員 次に、別の問題でありますけれども、現在募取法で、商品比較の規制、それから予想配当の規制というのが行われているわけです。募取法の十六条の一項一号、それから十五条の二項、三項というようなところですけれども、これはいずれも新しい法律ですと三百条の一項六号、七号というところへ書きかえられ、移されているわけです。  これがまあ商品比較の規制、予想配当の規制緩和だ、こういうふうに言われているわけですけれども、募集秩序というものはやはり維持していかなきゃならない、無用な混乱は避けなければいけない、これはもう当然のことでありますし、それがまた保険契約者の保護を図る道だと思うのですが、その情報提供の方法について、これはどういうふうに違ってくるのだろうか。何かガイドラインを設ける必要はないのだろうか。これまでの規制との違い、これまでこれが絶対いけなかった。今度はここまでやっていいんだ、これはやはり何らかの形できっちり示していかないといけないのじゃないかと思いますが、今何かのインディケーションをお出しいただけます。
  131. 山口公生

    山口(公)政府委員 確かに、現在の募取法で厳しく規制されている事項がございまして、比較情報等でございます。余りこれを厳しくやっておりますと、今度、お客さんである保険契約者にとって十分情報が伝わらないという逆に弊害があるわけでございまして、このバランスをどうとるかということは非常に悩ましい話ではございます。  したがって、今御指摘いただきました。どういったものであればいい、どういったものはまだやはり誤解を招くおそれがあるということでいけないのかということは、ある程度そういったガイドライン的なもの、形式を通達にするかどうするかというような問題はまだ決めかねておりますが、何らかの形でやはり明確にしていくということは必要であろうというふうに考えておりまして、御指摘のとおりであります。  なるべく具体的に申し上げたいと思うのですけれども、じゃ、比較情報につきまして誤解をさせるおそれのあるものというのは例えばどういうものかということになりますと、有配当と無配当と保険が別のものがございますが、これを保険料だけを比較しまして、それでこっちがあたかも有利なようにやるというようなものはやはり誤解を招くんじゃないか。それから、同一の商品名ではございますけれども担保内容が異なる商品保険料だけを比較してしまうというようなことも、やはりいけないんじゃないかというように思うわけでございます。  それから、もう一つの大きなポイントの予想配当の表示の問題でございます。予想配当を禁止しておったわけですけれども、これが誤解を招かなければというような形にさせていただきたいと思っておりますけれども、具体的にイメージとしましては、例えば過去の実績配当率、または二、三のパターン側を複数で示しまして、かつ、この数値は将来変動して確実ではないですよということをはっきりと書いてあらわすということであれば、これが誤解を招いて、もうかるはずだったというようなことにはならなくて済むかな。そういった具体的なことをなるべくガイドライン的に決めて、それを守っていただくという方がいいかな。そういう点につきましては先生と同じような方針でまいりたいというふうに考えております。
  132. 村井仁

    ○村井委員 ありがとうございました。  厚生省、来ていただいています。今、先ほど来もいろいろお話が出ておりましたけれども円高それから株安に加えまして金利が低下しまして、保険会社のことしの決算というのが非常に懸念される、非常に厳しいんじゃないかと思われるわけであります。  そういう意味で、まず、また保険部長、恐縮ですけれども保険部長にお伺いしたいのですが、ことしの決算の見通し、それと、これはまあなかなかおっしゃりにくい面もあるでしょうが、昨今の非常に厳しい運用環境の中で保険会社運用は今後どんなふうになっていくだろうか、これをどのように指導していこうと考えておられるのか。  それからついでながら、円高・株安の原因というのは保険会社にある、円高・株安保険会社犯人説というのがありますよね。このあたりにつきましてどんなふうに見ておられるか、ちょっとコメントをしていただけます。
  133. 山口公生

    山口(公)政府委員 保険会社の平成六年度決算につきましては、現在各社において取りまとめ作業中でございますので何とも申し上げられないわけでございますが、私どもが受けております一般的感触でお許しいただきたいと思いますが、やはり保険料収入の伸び悩みが一方でありますし、御指摘株式市場の低下それから円高など、運用環境の極めて厳しい変化から厳しい状況にあると言わざるを得ないというふうに思うわけでございます。  私どもとしましては、こういう外部的な環境でかなり苦しいという事情はわかるのではございますけれども保険契約者のことを考え、できる限りのリストラ、合理化をやっていただいて、その事業収益の改善をしていただきたい。必ずそういった努力の成果は中長期的にはあらわれてくるものだというふうに思っておりますので、そういうことでお願いし、また指導をさせていただいているところでございます。  ところで、どうも、円高・株安となりますと、すぐ保険会社、特に生保が何か原因をつくっているのではないかということをよく言われる、また耳にすることがあるのでございますけれども、為替相場につきましては、何が原因で動いているかというのは本当はわからない、わからないというかはっきりすることが非常に難しいということでございまして、むしろファンダメンタルズの影響ということが強いのではないかと思います。一国の一業態の投資行動だけで左右されるものではないというふうに思っております。  また、株式市場につきましても、保険会社株式市場に占める売買高のシェアを見ますと、わずか五%程度、これでも多いとおっしゃるかもしれませんが、五%程度となっておりまして、保険会社株式市場に多大な影響を与えているということは当たらないのではないか。個人投資家のシェアはどんどん下がっているといっても約二割はあるわけでございまして、生命保険会社等がこういった原因をつくっていると決めつけてしまうというのはいささか問題ではないかというふうに思うわけでございます。
  134. 村井仁

    ○村井委員 わかりました。  そこで、保険会社経営健全性維持という観点から、運用収益と予定利率が乖離しているというのは放置できない問題なのではないか、私はこう思うわけであります。  例えば、生保経営に対する影響が非常に大きいとされる団体年金の予定利率水準、これが四・五%ということになっておる。これは五・五%を、二年前ですか、一%下げた。これは実際、今の環境を考えますと、生保の今の体力から見て高過ぎるのではないでしょうか。  ちなみに、日本の高齢化が今後急速に進む中で、老後の保障というのは非常に大きな問題で、国民の関心も高いわけでありまして、最近、日経の朝刊に「ニッポンの経営 含みが消えた」というシリーズがありまして、四月二十八日ですか、「老後の設計が危ない」という題で年金財政関係の記事が載っていまして、年金制度についていろいろ憂慮すべき事柄が取り上げられているのですけれども、その中で生保について、引用しますと、「「含み経営」の象徴である生命保険会社はこれまで、保証利率を実際の資産運用利回りが下回る逆ザヤ状態を含み益で埋めてきたが、すでにその含み益が底を突いた生保もある。」というような記述があるわけであります。  これが事実なのかどうなのかというのもありますけれども、こういった逆ざやの原因というの保は、今申し上げた予定利率が高過ぎるということに原因するのではないか、そのあたりまずお伺いしたい。
  135. 山口公生

    山口(公)政府委員 平成六年度の生命保険各社運用利回りは約三%の見込みになっております。したがいまして、今御指摘の団体年金の予定利率四・五%と比較しますと、明らかに大幅な逆ざやになっております。  したがいまして、今これを振り返ってみますと、これが生命保険会社経営を圧迫しているという表現はいいかどうか知りませんが、そうした面の一つの要因になっていることは否定することはできないだろうと思います。
  136. 村井仁

    ○村井委員 厚生省にお伺いしたいのですが、これは最後はもちろん交渉事でありまして、そして生保の方で、生保協会の会長がこれは下げる、下げてもらいたいというような発言を対外的にしておられるという段階であって、まだ議論が始まっているというわけではないというふうに今の時点の状況理解していますけれども、それにしても、余り無理をさせるとちょっと大変なことになるのではないかと思うわけでありますけれども、厚生省としてはこの問題、どんなふうに受け取っておられます。
  137. 福山圭一

    ○福山説明員 お答えいたします。  厚生年金基金などが締結をいたします生命保険契約、私どもは保証利率というふうに呼んでおりますが、これは厚生年金基金制度が昭和四十一年に発足をいたしておりますが、発足来、平成五年度まで五・五%ということであったわけでございますが、最近の経済金融情勢の変化等を勘案するということで、平成六年度から四・五%に引き下げられたというものでございます。  この利率でございますが、これは保険契約であるという特性を踏まえて定められておるものでございます。こういったことを前提に各年金基金も長期契約をしているというものでございまして、基金の財政の長期的な安定性の確保、こういう観点からは、短期的に経済情勢に応じてこれを頻繁に改正をするということはもともと想定されていないわけでございます。  厚生省といたしましては、現時点でさらに引き下げを行うということになりますと、基金への影響も大きいわけでございまして、困難ではないかというふうにも考えておるわけでございますが、当面四・五%に引き下げられました平成六年度の決算でございますとか、あるいは引き下げの影響、こういったものをよく見きわめていく必要があるというふうに考えておるところでございます。  以上でございます。
  138. 村井仁

    ○村井委員 これは厚生省にちょっとお伺いしたいのですが、団体年金が運用する先としては、生保以外にもあるわけでしょう。そっちの方では利回り保証というのは特にあるわけです。
  139. 福山圭一

    ○福山説明員 お答えいたします。  いわゆる保証利回りといいますものは、生命保険の一般勘定と言われているものに特有のものでございます。
  140. 村井仁

    ○村井委員 そういう意味で、これはある意味では生保に特殊な問題なんです。しかし、その予定利率につきまして、これまでのように、これは生保に特有のことではありますけれども、しかし余り経済実態を無視した硬直的な設定をしておきますと、いわば金の卵を産む鶏を殺してしまうという危険もあるわけでありまして、私は銀行の預金金利のように、状況によっては引き下げあるいは引き上げをするというようなもっと弾力的な対応をするということが必要なんじゃないかと思うのです。  これはいずれにしましても非常に大きな問題でありますから、保険当局と厚生省とよく御相談になって、そして全体のシステムとしてうまくワークするように配慮をしていただきたい。これは先ほど申し上げましたように、まさに高齢化時代に備えて皆に安心を与えるという見地からも、私は非常に重要な問題だと思っているのです。そのことだけちょっとお願いを申し上げておきたいと思います。  厚生省、とりあえずそれで結構です。  次に、標準責任準備金につきまして、これはもう既にほかの方々もいろいろ触れておられますが、一点だけ保険部長伺いたいのです。  保険会社が最低どれだけ責任準備金を積まなければならないかというのは余りまた明確ではないのですけれども、いずれにしましても、すべての保険会社が標準責任準備金は必ず積むんだということを明確にして、そしてそのような方向保険会社指導するということが必要なんじゃないか。きのうお話を伺っていました中で、チルメルはいかぬとは必ずしも言い切れないというような御指摘がありましたけれども、私は、やはり長い目で見ましたら、純保方式を標準にして、しかし弾力性を持たせるというあたりのところが一つのスタンスなのかなという感じがするのですが、その辺どうなんでしょうか。
  141. 山口公生

    山口(公)政府委員 おっしゃいましたような、標準責任準備金というものを大蔵大臣が定めて責任準備金の積み方に万全を期すという考え方で今回法律改正お願いしているわけでございますけれども、今先生指摘のように、責任準備金はできるだけやはり契約者のことを考えますと手厚く積む、なるべく最初のうちから我慢して積んでいくというのが理想的な形であろうというふうに思うわけでございます。  したがいまして、純保険料式で物事を考えていくということは望ましいわけでございますけれども、ただ、その純保険料方式を前提とした標準責任準備金の積み方、あるいはそれ以上の積みを義務づけるようなことは、ちょっと余りにも理想に先に到達しようというような無理があるのかな。したがいまして、そういった責任準備金の積み方になるべく近づく、あるいは現にもうそれをクリアできる会社ももちろんあると思いますが、そういったものを目指していくということを強く指導をさせていただくという方向かなというふうに思っているわけでございます。
  142. 村井仁

    ○村井委員 それから、ソルベンシーマージン基準につきましては同僚議員から何回もいろいろ触れられておりますが、一点だけ。  きのう中田委員質問に対しまして、これだけで会社健全性を判断されるというのは大変危険であるから当面内部基準にしておきたい、こんな御答弁がございましたね。それで今公表しないとしても、私は、何年後には公表するんだということをはっきり決めておくというのも一つ考え方じゃないかと思うのです。要するに、よその国じゃ事実上公表がされているわけですから、そしてそれなりに保険契約者にとっては一つの安心材料になるということでありますので、その辺のところをどういうふうにお考えになるか。時期を切って、ある時期になったら公表するということを考えることはできないか。
  143. 山口公生

    山口(公)政府委員 今先生の御指摘の点につきましては、確かにそういった方向が望ましいということは私どもよく理解しているつもりではございますが、何せソルベンシーマージン基準というのが、今回我が国は初めて導入させていただき、また、こういったものが公表された場合にどんな影響があるのか、特に会社の優劣というふうにとらえてしまうおそれというのは非常に強いのではないかという危惧も強いわけでございまして、そうした。まだ今生まれたばかりのひよこといいますか生まれる寸前の状態にあるわけでございますので、いつまでにソルベンシーマージン基準を公表してというのは、ちょっと今の時点で申し上げることは御容赦いただきたいと思いますけれども、そういったソルベンシーマージン基準、計算方式自体もいろいろリバイズして最適なものにしていかなければいけないと思います。  そういったもの、改善度合い、あるいはそれの定着度合い、あるいは契約者の方から見てそれで誤解をしてしまうような雰囲気がなくなるような努力もあわせてやりながら、そういった御指摘のような点を実現していきたいというふうに考えております。
  144. 村井仁

    ○村井委員 それから、自由化の大きな柱の一つ商品あるいは料率の届け出制というのがございまして、省令に委任される届け出制の適用範囲につきまして、既に井奥委員とかほかの方々質問に対しましてお答えがあって、生保における厚生年金等の団体保険、それから損保における船舶、航空、貨物、会社役員賠償保険など大企業対象としたものとか、専門知識を有する者を相手にするものとか、国際的なものとかいうような例示が既に挙げられました。そういうことだろうと思うのです。  しかし、届け出制導入というのは、規制緩和観点からは基本的に望ましいことなのですけれども、料率について、届け出をよいことに健全性を無視した料率設定を行うとか、あるいは過度の料率競争を引き起こして保険会社健全性を損ねてしまうというような危険も、私はやはりあるのだろうと思うのです。  そういう意味で、今度は、届け出制対象の拡大の速度とか、それからそういった今申し上げた規制緩和経営健全性維持とのバランス、これをどんなふうに考えられるか、ここをちょっとコメントしていただけませんか。
  145. 山口公生

    山口(公)政府委員 おっしゃいますように、確かに保険におきましては、事故が起きなければ支払いは不要ということで、ダンピングをやろうと思えばしばしば起き得るというような特殊性もございまして、その料率競争の怖さというものは私どもも十分認識しておるつもりでございます。  一方で、できるだけ自由化を進めるという要請もございまして、先ほど来大企業の物件あたりからやらしていただきたいという手順を申し上げているつもりでございますけれども、まずそういった手順を踏みながら、走っては立ちどまり、考え、また走り出すということでしかないのかなという感じを持っておるわけでございます。  ただやみくもに、無秩序に、手当たり次第にやるということではなくて、先ほど申し上げたような考え方で、大きいものから徐々に小さいもの、企業から個人のものとか、専門的なものから一般の人の方へというような流れはそういったしっかりとした考え方に基づいて進めていきたい、いかせていただきたいというふうに思っているわけで、今の時点ではそういうふうな考えでいるということを御理解賜りたいと思います。
  146. 村井仁

    ○村井委員 保険契約者保護基金の問題ですけれども、これについてももう既に皆さんからいろいろお話がありました。  一点といいますか二点といいますか、一つは、答申を見ても、本当は支払い保証基金というようなものをきちんとつくった方がいいんだというふうに読めまして、それで、それへの過渡的な、あるいは暫定の、つなぎの制度として今度の保険契約者保護基金というのができたというような感じに私には受け取れるのです。  きょう、井奥委員に対するお答えでも、支払い保証基金についてできるだけ早く検討していくというような御答弁があったように思いますけれども、今後そういう方向への検討をされていくスケジュール、これにつきましてちょっとお聞かせいただけます。
  147. 山口公生

    山口(公)政府委員 今回お願いしてございます契約者保護基金について、過渡的なものという表現をいたしますと、いかにもおざなりの、テンタティブな措置というような印象になるおそれがございます。私どもとしては、これはこれとしてきちんとした。業界が自主的に資金を集めてこういった体制をやっていくというのは非常にワーカブルないい制度であろうと思いますし、他の業態、例えば第二地銀等でも同じように業態間で相互援助の仕組みをとっておられます。  したがいまして、支払い保証制度までのつなぎというふうに私どもとして決めたわけではございません。ただ、ある程度の強制性を持たせ、いざというときに、いざというときというのは破産状態に立ち至ったようなケースにもやはり対応するような仕組みを考えておく必要もあるんではないか。また、そうしたファンクションをつくると、さらにそれに現在保護基金で考えているようなファンクションを吸収できる要素もあるかもしれないということもございます。  ただ、支払い保証制度自身がまだ非常に難しい、御説明申し上げてきたような問題を含んでおりまして、それ自身がまだつくるということを決めたわけではございませんし、検討をしなければならないということはもう指摘をされたこともございまして、私どももできるだけ早急に検討にかかりたい。また、できるだけ早く結論を出すようにという御意見も質疑でございましたし、そういったものを踏まえて結論を出すべく努力していきたいというふうに考えている次第でございます。
  148. 村井仁

    ○村井委員 もう一つ契約者保護基金の運営の問題なんですけれども経営破綻に陥った保険会社経営者、それから保険契約者の自己責任というような問題も、これも私は考えなきゃならない問題だと思うのです。  いわばモラルハザードの問題だと思うのですけれども、例えば同一商品に安い保険料で加入していた保険契約者を、その会社が破綻したからといって、一方で高い保険料で他の健全な保険会社に加入していた保険契約者の負担において救済するというような状態というのは、私はやはり問題があるように思えるわけでありまして、破綻会社保険契約者の自己責任というのもある程度間わなければならない。そこを、例えば保険金の減額を行うというような選択肢も考えなければならないんじゃないかと思うのですけれども、このあたりどんなふうにお考えになります。
  149. 山口公生

    山口(公)政府委員 保険契約者保護基金の資金援助でそういった保険契約をできるだけ救うということを考えておるわけでございますけれども、それだけでは対応できない、あるいはそうした基金からはとても出せないというような事態というのもあるかもしれません、今委員の挙げられたような事例が当たるかどうかは別としまして。  そうした場合に、やはり自己責任という問題が生じるわけでございまして、この法律におきましても保険金額の削減等の契約条件の変更を行えるというふうになっておりまして、行った方が、保障の程度は多少低くなるけれども契約の継続は図れるというケースもないとは言えないわけでございます。そういった場合におきましては、結果として保険契約者の皆さんにその削減の限りにおいて負担をしていただくというスキームは実は残してございます。そういった形で自己責任の問題というのが明確にされる部分があるわけでございます。  ただ、すべて自己責任でいいのかと言われますといろいろと、三十年もの長い間の商品の例で挙げましたようにいろいろ限界もございますということをつけ加えさせていただきたいと思います。
  150. 村井仁

    ○村井委員 今まで余り触れられてこなかった問題でありますが、非社員契約の問題、これは相互会社の問題でありますが、法案の六十三条一項、三項、この辺が関連しますが、相互会社の非社員契約を認めていくというのは、提供商品の拡充ということを通じまして契約者の利便向上というものが期待できる、そういう意味では望ましいと思われますけれども保険の種類ですとか契約限度、これを省令で定めるということになっている。どんなような考え方でこの非社員契約の制限を設けるのか、量的な制限を設けるとすればどの程度の制限なのか、こういったところで何か既にある程度のお考えがあるならばお聞かせいただけます。
  151. 山口公生

    山口(公)政府委員 相互会社におきましては、安全を見込んで契約時に徴収した保険料を後で剰余金の分配として、配当でございますね、契約者である社員に還元するという、いわゆる有配当システムがとられているわけでございます。したがって、相互会社における損益は社員に帰属することになるわけでございますが、しかし、例えば非常に短期の保険や、自動車損害賠償責任保険のようにノーロス・ノープロフィットの原則がとられている保険など、保険契約の種類によりましては有配当契約よりも事後的清算のない無配当契約が適している場合もありまして、今回の改正法案におきまして、このような無配当保険について非社員契約として構成することは適当であるということで御審議お願いしているわけでございます。  ただ、相互会社におきましては、保険契約者が相互会社の構成員である社員となりまして経営に参加することが原則となっております。このような非社員契約が大きな割合を占めるようになりますと、果たして相互会社なのかという問題になってくるわけでございます。相互会社の本質に余り反するようになると考えられますので、非社員契約についてやはり限度を設けることが必要ではないか。  その限度をどれくらいのイメージかということでございますけれども、相互会社における非社員契約の問題そのものにぴったりくるかどうかわかりませんが、例えば会員組織である信金などにおける員外利用の割合がそれぞれの事情に応じて定められていること、そういったものを参考にしながら検討してまいりたいというふうに思っているところでございます。
  152. 村井仁

    ○村井委員 相互会社に関連して一、二お伺いしたいのは代表訴訟の問題、これはきょうは井奥委員からもお尋ねがありましたけれども、それに対しまして、取締役の違法行為を追及するという意味で株式会社と事情は同じだからこのような制度を相互会社についても取り入れたんだ、こういう御説明がありました。しかし、よく考えてみますと、相互会社の場合社員の数というのが非常に多い、そしてどういう形で訴訟してくるかわからないという意味では、私は株式会社のケースをそのまま当てはめるというのはちょっと危険なんじゃないかな、何らかの形の乱訴防止策というのが必要なんじゃないかという気がするのです。  実際、相互会社の場合、最大手の場合は千五百万人、それに対しまして普通の都銀や何かでしたら五万人程度しか株主がいない。証券の最大手で十三万人、それからNTTの株主で百六十五万人、どれと比べても大変な話で、これで代表訴訟の単独権化で単独訴訟を起こされたらかなわぬと思うのです。この辺、どういう方法をお考えでしょうか。
  153. 山口公生

    山口(公)政府委員 相互会社に係る代表訴訟の乱訴防止策といたしましては、株式会社等と同様に、六カ月引き続いて社員であることの要件や悪意の訴訟提起に対する担保提供の申し立ての規定を整備させていただいているところでございます。  商法二百六十七条五項及び六項の悪意の訴訟提起に対する担保提供の申し立てという乱訴防止策につきましては、最近、経営者に対する嫌がらせを目的としたような代表訴訟の提起につきまして裁判所が担保提供を命じた例がふえてきておりまして、その点実効性が上がるものと考えておる次第でございます。
  154. 村井仁

    ○村井委員 そういった問題も含めて考えますと、相互会社株式会社化というのを今度法制上は整備された。相互会社につきましてはきのう北側委員から大変含蓄のあるコメントがありまして、それから平成六年の答申の別添一ですか、あそこに相互会社について大変まとまった文書ができているわけでありますけれども、基本的にはやはり、きょう井奥委員に対して保険部長も明快に答えられたように、大変実体的に株式会社に近くなっているというのが一つの認識だと思うのです。しかし、現実問題として、相互会社株式会社に切りかえるということが、法八十九条等々いろいろありますけれども、本当に可能なのだろうかということ、これはどういうふうに見ておられます。これは法律論というよりは実態認識の問題だと思うのですけれども、物すごい金がかかる話になると思うのです。
  155. 山口公生

    山口(公)政府委員 確かに委員の御指摘のとおり、これはいろいろな手続が複雑で、大変な費用がかかるということが予想されるわけでございますが、特に社員数が膨大である巨大な相互会社におきましては、株式の割り当ての際に一株に満たない端数の株式が大量に発生する可能性があるわけでございます。  この場合におきましては、ちょっと専門的になって恐縮でございますが、割り当てられた株式が一株の百分の一の整数倍に当たるもので端株原簿の記載を望まない旨の申し出がなされたもの及び一株の百分の一の整数倍に当たらないものについてはまとめて新たな株式を発行し、その株式を競売することによって売却しまして、その売却金を社員に交付する形で解決するという形にしてございますが、ただ、それにしてもかなり面倒な手続があることは私も容易に推測できるわけでございます。  じゃ、その可能性が全くないのかといいますと、千数百万人の会社というのはアメリカにもちょっと見当たりませんので数百万人の会社でそういう例がないかと探してみましたら、アメリカのEという会社が、これは名前を言ってもいいと思うのですが、エクイダブルというニューヨーク州の会社が、これは全米第五位の生保でございますが、契約者数が二百二十万人、これが実は相互会社から株式会社への組織変更に成功しておるわけでございます。したがいまして、規模にもよると思うのでございますけれども、一応こういった規定を置きまして、必要であればいつでも株式会社に移行し、またその財産的基礎を固めるというようなことも可能な形にしてあるわけでございます。
  156. 村井仁

    ○村井委員 時間になりましたので、最後に一点だけ。  きのう、保険制度改革のテンポにつきまして、銀行保険販売あるいは銀証との相互参入、これにつきまして北側委員質問に答えまして、今回の改正の定着を見て、こういうお答えを保険部長はされておられます。ちょっとそれでは何かもう一つ物足りないという気が、私はずっと審議をさせていただいていて感じるわけでありますけれども、このスケジュール、もう一つ、もう一息、何かお答えをいただけないかということです。これで終わります。
  157. 山口公生

    山口(公)政府委員 保険審議会の昨年六月の御報告にも「その定着を見極めた後に」云々というふうに書いてございまして、私も実はそういう形でやらせていただきたいと思っておるのでございますが、あえて言い方を変えますと、この制度改革は二十一世紀を目指して、目指してと申しますか二十一世紀の制度改革というようなフレーズを使っております。したがって、二十一世紀だからあと百何年あるという理解じゃありませんので、結局、二十一世紀に入ってそう遅くない時期にはかなりそういった改革が進んでいるということがやはりもともとの保険審答申のイメージだろうというふうに考えておるわけでございます。
  158. 村井仁

    ○村井委員 終わります。
  159. 尾身幸次

    尾身委員長 次に、上田清司君。
  160. 上田清司

    ○上田(清)委員 新進党の上田清司でございます。  保険業法案の背景は、もう言うまでもなく経済国際化、そうした大きな柱を持って、今回金融自由化規制緩和、そして何よりもこれまでの右上がりの経済、安定成長、そういう空気の中でつくられてきた制度も、円高・株安に見られますように経済の激変もあり得るということを前提にした。そういう中で業界の健全性維持、また消費者保険契約者の保護、そういう二つの観点からこの法案を見ていきますと、それはそれとして新機軸が出されて、正しくこれは評価しなければいけないなというふうにまずは思っているところでございます。  ところで、言うまでもなく損保生保も大変巨大な、業界全体として見れば巨大な企業群でありまして、その社会性、公共性というのも大変大きなものがあると考えておるところですが、まず保険部長伺いたいのですが、全体的に見て、しっかり企業のバイタリティーを生かしてどんどんやってくれというようなことでこの法案を考えておられるのか、それとも二億組に見られるように危なっかしいのでしっかり管理しなければいけないなという、どういうお立場が、まずお伺いしたいと思います。
  161. 山口公生

    山口(公)政府委員 今回、制度改革お願いしてございますのは、五十数年ぶりの改革でございます。したがいまして、今日的な意味合いというよりは歴史的な意味合いというのが私どもの気持ちとしては強うございます。  比喩としては非常に憩うございますが、戦前の着物を着て町を歩いておったものを着がえる、新しい着物を着て気分をはつらつとしていく、非常に俗っぽい表現で恐縮でございますが、そんな感じでございます。どちらかというと、今御指摘の前者の方だとは思いますけれども、もう少し長期的な視点での制度改革お願いしたいという感じでございます。
  162. 上田清司

    ○上田(清)委員 ありがとうございます。  それで、既に先輩、同僚議員から多くの質疑をさせていただいておりますが、全体の空気の中で法案に流れる一つ一つの条文を検討していきますと、政令に定めるという部分が非常に多いなという印象を抱いております。ブローカー制度導入、いわゆる二百八十六条の登録、二百九十一条の保証金の問題、既に何人かの方々が質疑もしておりますけれども、あくまで供託金、いわゆる保証金でございますし、また損害賠償保険契約の額について、なかなか保険部長言われませんが、これはなぜ言われないのです。ある程度、そこそこ決めなければまずいのではないか。法律の段階で、政令で定めるのはそれはいいとしても、政令の中身をこの中で議論していかないと議論の意味がないのではないかと私は考えておるのでございますが、いかがでございます。
  163. 山口公生

    山口(公)政府委員 ただいま法案の審議お願い申し上げまして、その法案の審議でこういったブローカー制度あるいは保証金制度、さらにそれを賠償責任保険で一部を代替させるというふうな考え方を御承認賜りますれば、私どもとしては政省令で具体的な額を決めるということをさせていただきたいと思っておるわけでございますが、現時点におきましては、外国の例、数千万、具体的に言うと、きょう御紹介しましたのは三千七百万から一億九千万ぐらいの開きがございました。それから国内におきましても、投資顧問業者の二千五百万円というような例もございましたし、旅行業者の七千万という例もございました。  したがって、私どもの今の考えは数千万程度というまあ大体のイメージは持ってございますけれども、それが何千万かということを今申し上げるまでのまだ確定的な準備ができていないわけでございます。どういう方がブローカーになるかの一応の推測はしておりますけれども、そういったものを少し明確にしながら、また外国の非常に関心を持っているブローカーあたりが諸外国でどういう扱いを受けているかということも十分考え、それから参入障壁という非難も受けない範囲でできるだけの賠償能力を持たせるというようなこととのバランスをもう少し詰めた上で決めさせていただきたい。大まかなところはそんな感じてこの御審議の際に私どもがイメージしているということは御披露申し上げているわけでございます。
  164. 上田清司

    ○上田(清)委員 今山口保険部長の方から、昨日もそうですし、きょうもそうだったのですが、確かに投資顧問会社あるいは旅行会社等の事例、外国の事例、言われました。しかし、今保険部長が言われましたように、参入障壁にならないように、そういう疑いを持たれないようにということをいみじくも言われましたけれども、まさしくこの新しい制度の導入ということに関して新しいビジネスが始まる可能性もある。  まさしく日本経済の最近のベンチャー性の弱さというものがいろいろなところから指摘されているところでありますから、そういう意味で新規事業が参入していく場合に、当然これは資金計画あるいは資金導入、そうしたものを基本的に計画の中でやっていかなければならない。そういう場合にどうしても、こうした保証金や賠償金額等の具体的なものが見えないとそれこそ一歩二歩おくれて参入せざるを得ない。様子見、様子見ということで、そうした意味での新しいビジネスのチャンスをみずから離れさせてしまうというそういう性格につながるのではないかなというふうに私は危惧しておりますので、いま一度明確な、明確にならないのかもしれません、何人も質問してもこのお話ですから、意見をちょっと述べていただければありがたいなと思います。
  165. 山口公生

    山口(公)政府委員 法律的な面での御審議を賜り、この考え方を御承認賜りますれば、施行までにはもちろんきちっとした基準を決めて、施行後にはそういった参入ができるようにできるだけ早く検討をしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  166. 上田清司

    ○上田(清)委員 若干しつこいようですが、「政令で定める額とす。」ということで、その条文の文言の中に「業務の状況及び保険契約者等の保護を考慮してこと。そうすると、業務の状況等を考慮してというこの条文になってきますと、場合によっては保証金の金額が上がっていくとか、あるいはランクづけがあるというふうな、こういう理解でよろしいのでしょうか。
  167. 山口公生

    山口(公)政府委員 今御指摘の点についての可能性はおっしゃるとおりでございます。
  168. 上田清司

    ○上田(清)委員 そういうことだからこそ、新規に参入してくる場合、それぞれの企業の規模や内容があって、それなりの資金需要、資金計画等を考えたときに、そういうものをやはり出さないと、大蔵省で後で決めますから立法府は黙って見ててください、こういう考え方ではないかなというふうに私は理解しているのですけれども、それで本当にいいのかなというふうな思いを持っております。  これは武村大蔵大臣、もちろん行政府の長、大蔵省の責任者としておられるわけですが、一方では立法府の議員でもありますので、使い分けをしろということじゃなくて、考え方の議論として、お言葉というか考え方をお伺いしたいのです。
  169. 武村正義

    ○武村国務大臣 私も専門家ではありませんが、立法のときには、法律で規定すべき内容と政令や省令にゆだねる、ゆだねる場合も今御指摘の条文のように一定の内容を示唆しながら政令というふうに書く場合等々あるのだと思うのであります。  すべて法令全体を法律という次元で全部表現せよと、確かにその方がこの審議ではわかりやすい、一番詳細になっていいわけでありますが、こういう法律、政令、省令等々の取り組みが認められている中で、おおむねこの保険業法もその他の法律と常識的には合うような形で立法を進めてきていると思うのであります。内閣の法制局も当然そういう点は全部チェックして、法律事項を政令にゆだねたりする場合は厳しく議論になりますから、そういう意味で、他の立法を横並びで見ながら合格して国会に運ばせていただいている、こういうふうに思っている次第であります。  ある種の問題に非常に関心を今の上田議員のようにお持ちいただきますと、確かにブローカーの保証金がどうなるのか、ランクづけがどうなるか、そういうところに関心がいきますし、後ろで聞いていただいている業界の皆さんはそれが一番知りたいという方もたくさんおられるかもしれません。それをはっきりしなければこんな条文審議できないやとおっしゃるのも大変よくわかるわけでありますが、そこは大改正保険業法律のいわば基本、木でいえば幹があり枝があり、最終業っぱがあるわけですが、どこまで書くかという意味では、そこそこのところをこの法律で書かせていただいている、こういうふうに御理解をいただくわけにいかぬでしょうか。
  170. 上田清司

    ○上田(清)委員 基本的な部分については同感の部分もあるのですが、経済の場合には相当やはり数字の部分が大きな要素を占めていく場合が多いと思いますので、政令に定めるその政令の中身の数字をいつでも明らかにできるような体制をぜひつくってほしいなということをさらに申し上げておいて、この問題はちょっと下げたいと思います。  次に、百三十条のいわば業界の健全性維持の問題でございます。  いわゆるソルベンシーマージン率の導入にかかわる問題でございますし、この部分が大変この法案の中でも大きな目玉になるような部分ではないかなというふうに思っておりますが、これもまた、先ほど来ずっと同僚、先輩議員の議論の中でも、比率を公表すべきではないかという議論を何度も述べておられるわけです。  まだその段階ではない、またいろいろな誤解を招く、こういう御判断をされておられますが、改めて武村大臣、この健全性維持のための百三十条、どんな意義を持ち、算定方法について、これも省令で書くと書いてあるのですよ、分母も分子も政令で決めると書いてあるのですが、できましたち、条文を読むのは、見るのは構いませんが、メモなしぐらいでわかりやすく説明していただいて、本当にこれがポイントだよということを御説明していただきたいなというふうに思っております。いかがです。
  171. 武村正義

    ○武村国務大臣 突然口頭試問を受けたような感じでありますが、今回導入を予定いたしておりますこのソルベンシーマージン基準日本語では自己資本比率と称しておりますが、定義を申し上げると、保険会社保険契約者等に対する将来の保険金等の支払いのために積み立てている責任準備金を超えて有する支払い余力を指標として把握するものだということであります。保険会社の監督上、保険会社経営について早期の事前チェックを行うための一つの手段として導入をしたいという考え方であります。  条文冒頭は、「保険会社の資本、基金、準備金その他の大蔵省令で定めるものの額の合計額このような表現になっておりますが、これは、御理解いただけますように、保険会社自己資本に相当する額そのものであります。例えば資本の部の合計額、価格変動の準備金あるいは貸倒引当金あるいは上場株式含み益の一定割合、こういったものがこれに該当すると理解をいたしております。  その次に法文で書いております、「引き受けている保険に係る保険事故の発生その他の理由により発生し得る危険であって通常の予測を超えるものに相当する額として大蔵省令で定めるところにより計算した額」とありますのは、保険会社が直面している保険リスクあるいは資産運用リスク等々もろもろのリスクを数字で表現したものだというふうに御理解いただきたいと思います。  したがって、法令ではこうしてこういった内容を列挙した形になっておりますが、自己資本に相当する額を分子にして、定量化したリスク相当額を分母にして計算をしていこうという考え方であります。まさに保険会社健全性チェックするための新しい手法をこの法律導入をさせていただきたいというふうに考えている次第であります。
  172. 上田清司

    ○上田(清)委員 政府委員方々にメモを見ないようにと言っていたのですが、実はなぜこのお話をさせていただいたかと申し上げますと、いわゆる保険審議会の答申の九十三ページ、六十二ページに出ておりますが、ソルベンシーマージン比率についてこのような表現がございます。例えば六十二ページには、云々はとにかくもう省略しまして、「ソルベンシー・マージン基準に法令上の根拠を与え、これを早期警戒システムの一環として行政監督上活用することを明確にすることが適当である。」これが六十二ページで、九十三ページに「行政当局がソルベンシー・マージン基準を定めることについての法令上の根拠を設けることが適当である。」という、この「法令上」の「令」の部分を政令というふうに考えればそれはそれで済むのかもしれませんが、もう少し大きな意味を持ってきちっと、法律できっちり出せということじゃないだろうか。もちろん出ているのですが、「その他」という部分とかが妙に多いような気がいたします。  きちっと何と何と何と何だということを、分母と分子の部分を法律の中に、この百三十条の中にきちっと書いた方がいいのではないか、私はそんなふうに思うのです。今、等々ということで三つほど大臣も挙げられましたけれども、本当はこれ全部言わなくちゃいけないのじゃないか。何と何と何をやるのだと、経理上、その分母、分子を明確にしないとやはりこれはまずいのじゃないかなというふうに私は思うのですが、保険部長、いかがです。
  173. 山口公生

    山口(公)政府委員 お答え申し上げます。  今先生の御指摘いただきました保険審答申の「法令上の根拠」というものの「法令」の中には、もちろん法律だけではなくて政令、省令が含まれるというふうに考えるべきだと思いますし、今回法令には、先ほど大臣から御説明申し上げましたような条文になっておりますが、さらに具体的にその中身につきまして政省令で定めるということにしてございます。  それで、大きな骨格の考え方法律で書かせていただいておるわけでございますけれども、具体的に、どういうリスクをどう拾って、それにどういう掛け目を、比率を掛けていくかということにつきましては、いろいろ試行錯誤を今後もやっていかなければいけないことだろうと思うわけでございます。  ソルベンシーマージン基準というものの確立した考え方というのはもちろんないわけでございまして、リスクの集計にしましても、例えば死亡保険金のリスクといったときも、責準を超えたリスクというのはどれくらいの掛け目を掛ければいいのかというのはいろいろ考え方があろうかと思うわけでございます。それから、過去の実績とか調査機関の統計等を見ながらそういったリスクを定量化していくという作業も要るわけでございまして、どういう項目をどういうふうに拾っていくかということも、そういったかなり技術的な面も含まれておりますし、絶えず見直していくという必要もあるわけでございます。  したがいまして、そういった形につきましては法律の下のレベルで書かせていただきたいというふうにお願い申し上げている次第でございます。
  174. 上田清司

    ○上田(清)委員 例えば「保険会社の資本、基金、準備金その他の大蔵省令で定めるものの額の合計額こういう「その他」という部分、これはこれからもずっと、いろいろな形でいろいろなリスクがあるからということでその都度その都度考え方が変わっていくというふうに理解するんですけれども、それとも、このマージン率に関しては分母はこれとこれとこれとこれだけですよと、こういう部分がありますと、それからまた場合によっては新しくこれも加えましょうとか、そういうふうな考え方になるんでしょうか。ちょっとこの辺私理解していなかったもので、改めてちょっと伺いたいと思います。
  175. 山口公生

    山口(公)政府委員 お答え申し上げます。  分子と分母と両方御指摘賜ったわけでございますが、どちらかというと分子の方は自己資本の部でございますのでそれほど違ったものが出てくるという感じはいたしません。ただ、分母の方は、どういったものを異常危険として把握するかの問題がございますので、これは保険業が取り扱うものがいろいろな形で変化してまいりますこともありますので、この辺についてはかなり変わってくるものではないかと。  いずれにしても、分子も含めましてかなりいろいろフォローされ、それが変更されることもあり得るというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  176. 上田清司

    ○上田(清)委員 なぜこのことを申し上げるかというと、次の百三十一条あるいは百三十二条に、「事業方法書等に定めた事項の変更命令」あるいはまた「業務の停止等」、大蔵大臣が万能なんですね、このことに関しては。どういう判断で停止にさせるのか、あるいはある意味では業務の方向性をどう変えていくのかというそういうことを大蔵大臣はオールマイティーで決められるわけですね、この法律では。  にもかかわらず、分子はいいとしてもまた分母は変わりますよとか、あるいは分子にしても、「その他」という項目とかで出されていて、本当に、逆に言うと大蔵大臣のその時々の判断で勝手に、まあ勝手にじゃなくて健全性維持のためという御好意かもしれませんけれども、どちらかといえば、最初に山口保険部長が言われましたように、締めていくのかそれともバイタリティーを生かしていくのかと言ったら、できるだけバイタリティーを生かしていきたいというそういう趣旨とかみ合わなくなってくるんじゃないかなというふうに私は思うのです。  そういう意味で、この分母と分子の部分、つまりソルベンシーマージン比率というものをきちっとやはり定義づけて、そして公表していくという姿勢がないと、これは時と場合によっては百三十一条と百三十二条によって民間の活力というものをそぐものになってしまう、あるいは損なうものになってしまうということも私は考えられるんじゃないかなというふうに考えておりますが、いかがでございます。
  177. 山口公生

    山口(公)政府委員 今御指摘になりましたように、省令でいろいろと定めをしていくという点につきましては、私どもの都合でいろいろ変えるというよりは、健全性維持のため、それをあらわす指標として何が一番適切かということを考えてやっているわけでございますので、私ども行政がただそういった理念なしにやるというわけではないことは御理解賜りたいと思います。  さらに、省令で定めましたときには、その計算式をきちっと書き、どういったリスクをどれくらいの掛け目で書いてリスクとして集計するということを省令で定めさせていただきたいと思っておりますが、それを定めましたときにはもちろんそれは公表をする、その計算方式は明らかにするということを考えております。
  178. 上田清司

    ○上田(清)委員 各社比率については公表されるんです。
  179. 山口公生

    山口(公)政府委員 それに基づいて計算されます各社ソルベンシーマージン基準につきましては、先ほどから申し上げておりますように、まだこれの定着を見る必要がある。また、これはいろいろ改善を重ねていくべきものでもありますし、さらに、ソルベンシーマージンを見てその会社契約者が高い方へどっと移転してしまうと。  何もソルベンシーマージンだけで会社のよしあしかわかるわけではないわけでございます。また、もともと相互会社というのはソルベンシーマージンというのはないという前提で存在していたという事情もございますから、そういった誤解が仮に今の時点あるいは近い将来の時点で生じますと、これは私ども目的としているソルベンシーマージンとは全然違った結果をもたらすわけでございますので、そういう意味で、当面、各社のソルベンシーマージンの公表については差し控えさせていただきたいというふうに思っておるわけでございます。
  180. 上田清司

    ○上田(清)委員 今保険部長が言われましたように、例えば個別のある会社が有利な何らかの保険を提供される、あるいはまた、そういういろいろな意味でのその会社資産状況等が余りにもオープンになると移動してしまうというお話が出ましたが、やはりハイリスク・ハイリターンあるいは小リスク・小リターンというんでしょうか、基本的にはそういう部分があるということを消費者契約者も当然知っていますし、それから何よりも、大蔵省の方できちっとオープンな形で出さなくても、ある程度さまざまな資産についてあるいは運用状況についてもそれぞれが発表をしておりますし、それぞれの基準でもう既にできている。  既に昨日、政府委員の窓口の方々に申し上げましたが、例えば「週刊ダイヤモンド」の九四年七月三十日号の、まあタイトルが余りよくないんですが、それはそれとして、ソルベンシーマージン比率のいわばダイヤモンド方式というんでしょうか、ダイヤモンドですから大変楽しい話でございますが、このダイヤモンド方式によるそれなりの比率が出ていまして、逆に民間サイドから、週刊誌レベル、あるいは場合によっては低俗な扇情的な週刊誌レベルから出されることによってかえって消費者あるいは保険契約者が混乱をするということであれば、いろいろな形で御懸念されるよりも、むしろこれが本番だよ、これが本当だよということをきちっとオープンにされるような仕組みをつくった方が、経済のためにも、それから本当の意味での消費者保護あるいは契約者保護につながっていく。さらに、そのこと自身がまた各企業においても健全な経営を目指し、なおかつそれが励みになり、ついては日本経済の活力につながるというふうに私は考えるものですが、いかがでございます。
  181. 山口公生

    山口(公)政府委員 今先生のお示しいただきましたこの週刊誌の記事も、今私、見させていただきました。このタイトルが非常にどぎついというお話がございましたように、このタイトルを見て契約者方々がびっくりされるということが、私が先ほど来申し上げている懸念の一端ではないかと思うわけでございます。  それで、じゃ、それなら本当の姿をということの理屈はあろうかとも思うのでございますけれども、ソルベンシー比率だけでその会社のよしあしということ自体を議論されるという風潮がある、あるいは残っているのではないかという懸念がどうしてもある以上は、そこは慎重に対応し、先ほど申し上げたような考え方で当面させていただきたいというふうに考えているわけでございます。
  182. 上田清司

    ○上田(清)委員 いみじくも保険部長言われましたように、我々が手にする情報が、案外場合によっては扇情的な週刊誌の記事なんかで一般国民方々は目に触れる場合が多いというふうに考えれば、それはもう水かけ論になるかもしれません。ただ、今本当にいみじくも言われたのです、やはい表現だなというふうに。そういうものが出回っているということが、むしろ本当の姿はこれですよということをきちっと出した方が本当に私はいいのじゃないかなというふうに思っております。  ちなみに、ソルベンシーマージン比率でどのラインだったらいいのかということを、これは生保損保それぞれ中身も違っていますので違ってくると思いますが、まずはどの程度ならということを内部的に検討されているのか。何%だったら、先ほどある程度言われた中で、しかしまだ分母もきちっと決まっていない、分子も決まっていないから出されないということであれば、最小限度、ダイヤモンド方式だったらどうなのですかということをちょっとお伺いしたいと思います。
  183. 山口公生

    山口(公)政府委員 ソルベンシーマージン基準の算定方式を省令で定めまして、それを明らかにするとともに、各社に計算をお願いするということになるわけでございますが、そういったソルベンシーマージンの基準経営状態をどれぐらい的確に反映しているか等をよく検証しながら、どういった基準ソルベンシーマージン基準を扱っていくかあるいは見ていくかというふうに考えてまいりたいと思っているわけでございます。  ただ、ソルベンシーマージン基準だけで会社の財産状況を把握するというのは、やはり無理があろうかと思います。収入保険料あるいは解約、そういったものがどういう動向になっているのかとか、責任準備金がどう積み上げられているのかとか、あるいは不良資産がどうなっているかとか、流動性確保されているか、そういったものを総合的に精査しながら総合的な判断をやっていくということになろうかと思います。  それで、ダイヤモンド式という今お話ございましたけれども、これは何かいろいろ計算方式が書いてございますけれども、こういう形で果たしてソルベンシーマージン基準を定めるかどうかということにつきましては、少し違うのじゃないかという感じも持っております。それを前提とした議論は差し控えさせていただきたいと思っております。
  184. 上田清司

    ○上田(清)委員 あえてダイヤモンド方式なんかではどうなんですかということを伺ったのも、先ほどの文脈とつながっていくのですが、今それぞれ総合的に判断するんだよということを再三言われておられるわけです。では、なぜこの百三十条を起こして今回の保険業法制度改革の目玉の一つになっているかという、なおかつ保険事業のあり方の保険審議会の答申の中でも一つの目玉として、いわば早期警戒のシグナルとして生かそうじゃないかということをわざわざ出しているということ自体も、私はいろいろなものを総合的に考えなきゃならないという論議とは別個に、とりあえずシグナルとして、少なくとも黄色信号だよとか、そういう部分が点滅する兆候にあるねとか、そういう一番わかりやすい総合的な判断基準をここに見出しているからこそこの条文を起こしているのであって、その中で、これだけじゃありませんよ、ほかにもいろいろありますよという議論をし始めると、この導入の意味がないというふうに思います。  これはもう少しきちっと、もう元年からこの問題を研究されて、かなり関係業界の皆さんとも当然いろいろな意味での討議、協議をしてこられたと思いますから、私はいろいろな意味でこの法文、答申の意味、背景、それとなぜこれが導入されたかということも明確に考えれば、きちっと分母、分子の中身を明らかにし、なおかつ公表し、そしてもちろん分母、分子の公表もさることながら、また各社比率についても公表し、そしてそれがデッドラインなのか、あるいは黄色なのか、赤なのか、緑なのかということに関しては、それこそこれはいろいろな意見が出てくると思うのです。  いろいろな専門家の方、あるいはそれぞれの分析する方々によって、このラインが実は赤信号だ、このラインは黄色信号です、このラインは青信号ですとか、いろいろな見方を言ってくれると思うのです。それでいいじゃないか。むしろ、争のことを今の社会は求めているのじゃないかなというふうに私は思っているのです。  再度、場合によってはこれは大臣、いかがでございます。私は、今議論がよくわかるのです。そしてまた、私の言っている意義もよく理解していただいているような気もいたします。ただ、最終的にどうするかということに関しては、これは文字どおり政治の決断だというふうに私は思っております。  様子を見ながらとかそういう形でやっていくのか、それとも最終的にこっちの方が正しいのだから断固やろうじゃないかというそういう部分に関しては政治の決断だというふうに思いますので、今の山口保険部長との討議の中身について、大臣どのようにお考えになられます。勝手に振って申しわけありません。
  185. 武村正義

    ○武村国務大臣 感想のような話になりますが、上田委員は、先ほど来伺っておりますと、一つは「その他」というふうな、政令あるいは省令という、ここにあいまいさというか、あるいは幅があってわかりにくいという御意見とあわせて、中身を全部オープンにすべきだという御指摘と、両方あるように伺っております。  今のお話を伺っていて、大変、事を民主的といいますかオープンにしながら、すべてを明らかにしながら関係者納得の上でこの新しいシステムが運用されるという、こういう認識をいたしますと、御主張はよく理解させていただけます。  ただ、ちょっとこれはかみ合わないかもしれませんが、ことしに入って、地震、サリン、円高と、非常に予期しない事態が我が国で出来をしたり襲っているわけであります。大都市の直下型地震というのは、近代都市では経験がないことでありました。これはリスクという議論の中にはかかわってくるわけです。あるいはサリン事件というふうなことも、観念的には想定できても、経験はなかった事態でありました。この年初からわずか四カ月くらいで二割近い円高が起こるということも、これは資産運用リスクという議論の中には関係してくる話ですが、これも予想しない事態でありました。等々、世の中大変なテンポで動いていく中で、技術革新ということもありますし、こういう事件、事故というふうな予期しない事態も起こるわけであります。  法律でございますから、戦前のものが今までずっと続いたという、そんなロングレンジで考える必要はないにしても、刻々毎年毎年、世の中の変化に合わせて法律も変えていったらいいだろうという主張もあるかもしれませんが、やはり一定の幅で、法律はきちっとしておいて、政令、省令の中である程度フレキシブルに対応させていただくということも必要ではないか。上田委員も、分子になる資産の方はそこそこわかる、問題はリスクの方、まさにリスクだから一定の幅がむしろ必要ではないかというふうにも私は議論を伺いながら感じておりました。  もう一つの問題が実はあります。  事前に全部公表すべきかどうかというのは、これも行政によっていろいろあると思うのです。きちっと法律で明文化しでわかりやすく表現する場合、特に数字で表現する場合もございますが、しかし、政府がむしろ一定の幅でその法律を執行させていただくという、そこに行政の現実に対する対応能力といいますか、数式でもうがちがちで何も動かせませんということが、現実がどんどん動いていく中で大変不自由になる場合と、むしろ現実が動いていくためには一定の幅を政府にお与えいただいた方が間違いがないという、そういう場合もあるわけです。  このケースがそれに当たるかどうか私も確たる自信はありませんが、そんなことを考えますと、部長がるる申し上げておりますような側面も御理解がいただければありがたいというふうに感じた次第であります。
  186. 上田清司

    ○上田(清)委員 何か禅問答になったような気がいたします。(「ああ言えば上祐だ」と呼ぶ者あり)そうです。ああ言えば上祐というのでしょうか、本当に。  これは水かけ論になる部分もあるかもしれませんが、ある意味では、重二再四言っているのは、百三十一条、百三十二条で大臣のオールマイティーによる改善命令等が常にできるということであれば、その前の部分は常に明確に出ていかないと、前の部分だってはやっとして、そして後ろの部分はいつでも、業務停止もできれば事項の変更命令もできる、そういう行政裁量権が多い条文になっていることは事実でございます。  そういう意味で、もう少し中身を詰める努力を、省令でも別に構わないのです、その省令の中身をいろいろな形で出してほしい、そういうことを申し上げておりますので、ぜひ御理解賜りたい。むしろぜひ実施していただきたいというふうに再度申し上げまして、次の方に進ませてもらいます。  次に、またこれも大変画期的なことでございますが、保険契約者保護基金の問題でございます。  二百五十九条でございますが、せんだってからずっと質問の中で、これはもちろん民法三十四条ですかによる公益法人ですので大蔵省がつくるものでもなければ何でもないということでございますから、むしろ業界の内部の問題だというふうに思いますが、監督省庁として、基本的に、生保だったらこの基金がどのくらいあれば最小限度リスク対応できるのか、あるいは損保であればどの程度必要なのかということも当然それなりの判断をされておられると思いますので、その判断をまだたしか数字ではっきり大蔵省としての考え方は述べておられないような、ちょっと私質疑で場合によっては席を外したときもありますので聞き逃しているかもしれませんので、改めてお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
  187. 山口公生

    山口(公)政府委員 保険契約者保護基金の規模でございますけれども、現在生損保のおのおのの業界におきまして御検討いただいておりますが、生保の場合は二千億円、損保の場合には三百億円を一つのたたき台として、また各社の負担能力の状況も踏まえつつ、さまざまな観点から検討が行われておるわけでございます。     〔委員長退席、石原委員長代理着席〕
  188. 上田清司

    ○上田(清)委員 ありがとうございます。  それで、この二千億と三百億という、本当はこれは業界の方に聞かなくてはいけないのかもしれませんしそれが筋かもしれませんが、最小限度、大蔵省として、打ち合わせあるいはたたき台として考えられたこの案について、どのような見解を持っておられるか。とりわけ、これでリスクをカバーできるかどうか、この部分について御見解を伺いたいと思います。
  189. 山口公生

    山口(公)政府委員 リスクをカバーするという意味からしますと多ければ多いほどいいという結論になってしまうわけでございますが、各社の負担能力の問題もございますので、今私が申し上げました一つのたたき台として検討されている数字につきましては、一つの合理的な考え方かなというふうに感じておるところでございます。
  190. 上田清司

    ○上田(清)委員 その合理的な考え方というのは中身は何でしょうか。
  191. 山口公生

    山口(公)政府委員 生損保のそれぞれの業界におきまして、中位クラス、中位をどこにとるかという問題はありますけれども、別にそこの会社が危ないとかいうわけではありませんが、生損保のそのくらいの会社資産が一割ぐらい目減りした場合というようなことを仮に考えますと、こういった数字が出てくるのではないかということでございます。  それが別にリスクを全部カバーし得るとかし得ないとかいう議論に直接は結びつきませんが、余り大きいとこれは負担が大き過ぎてまた大変だということでありますし、小さ過ぎますと先生の御懸念のように十分な担保ができないではないかという議論がありますが、その辺のところの議論が出るのが自然かなという感じがしております。
  192. 上田清司

    ○上田(清)委員 これは生保損保のいわゆる不良債権の金額、一番直近のものでございますが、六年三月期において、生保関係全部で四千七百八十一億円、損保で一千六十五億円。こういう保険部からいただきました資料を見ていますと、もちろん、これはそれぞれ各社の合計でございますので一概にこの金額が多い少ないということに関しては言えないものですが、トータルとしてこういう数字が出てきています。こういうことと、先ほど言われた。中位程度の一割の資産目減りした場合に耐えられる程度が比較的合理的な判断がなと。  この比率を見ても生保が〇・七五、損保が一・五八。こういう、各社で一%程度のものであるので、これが一〇%程度になるようなものに耐えられるというふうな考え方も立ちますので、あるいはその一割の資産目減りした場合耐えられるというのもかなり余裕のある範囲かなというふうに思ったりもいたします。  反面、最近の大変な円高状況等も見て、いわゆる生保を中心とした外国証券買い、特にアメリカの長期国債などの星もいろいろ見ていますと、一九九〇年レベルでは有価証券五十七兆のうちの十七兆ぐらい外国証券の残高があるとか、あるいは一九九三年でも六十兆のうちの四分の一の十四兆ぐらい外国証券の残高がある。  こういう数字などを見ていきますと、円高が急激に進んでいるという現況を見たりして、場合によっては大変な損失をする可能性を持ったところだってあり得るのではないかなと。そういうときに、この契約者保護基金の中で救えないような、資金援助で十分救えないようなこともあり得るのじゃないかなというふうに思うのです。  そういう破綻した場合の、救えないようなところでも救える、これはもう本当に、基金がどれだけ大きければいいのだというものにならないのでなかなか難しいところですが、考え方として何か制限をつけるのかどうか、破綻会社についてこういう破綻会社は許せないよというような基準があるのかどうか、それだけちょっとお伺いしたいなというふうに思っております。
  193. 山口公生

    山口(公)政府委員 保険契約の移転等を行う場合には、その移転する保険契約に見合う資産を当然移転することとなっておりますけれども、今回の改正法案では、その負債に見合う資産が不足する場合、その基金の援助でカバーできればもちろんいいわけですが、それでカバーできない、あるいはこういった場合は問題だというようなこともあるかもしれません。そうした場合には、保険契約者の意思を何らかの形で問うた上で保険金額の削減等の契約条件の変更をみずから行えるという旨の規定を置いてございます。  そうしますと、その保障の程度は多少低くなるわけでございますけれども、なお契約の継続は図れるわけで、その方が保険契約者に有利であるとの考え方が成り立つ場合もあるわけでございます。  したがいまして、破綻保険会社の負債が基金の資金援助額を超えるものであった場合につきましても、その基金の資金援助と保険金削減等の契約条件の変更によりまして保険契約者を救済することは可能であるというふうに考えておる次第でございます。     〔石原委員長代理退席、委員長着席〕
  194. 上田清司

    ○上田(清)委員 今のお話の条項は、法文ではどちらになるのでしょうか。
  195. 山口公生

    山口(公)政府委員 第二百五十条以下の規定でございます。
  196. 上田清司

    ○上田(清)委員 もう時間も参りましたが、先ほど竹内議員の方から大口・小口契約者をどうするという議論で、研究中だというようなお話なのですが、この部分も二百五十条の「契約条件の変更」の中に入るものでしょうか、それともそうではないのでしょうか。
  197. 山口公生

    山口(公)政府委員 お尋ねの件につきましては、削減は全体にかかるというふうに理解していただきたいと思います。これは、保険は預金とは異なりまして、法人、個人、あるいは大口、小口のいかんにかかわらず、同じ母集団、保険集団というものを形成するわけでございます。その中で相互扶助の仕組みで相応の負担を行っているという形式をとっているわけでございます。そういうことでもって、これは大口、小口で分けるという形にはなっておりません。
  198. 上田清司

    ○上田(清)委員 わかりました。  最後ですが、もう時間もありませんが、極めて小さなことで恐縮ですけれども、二百六十条の四項についてちょっと御指導を賜りたいのです。  「保険契約者保護基金は、大蔵省令で定めるところにより、その業務の一部を、他の者に委託することができる。」というこの条文でございますが、あくまでこの保護基金は業界の中でつくられる一種の公益法人という考え方に立っていきますと、大蔵省令で定めるところによりその業務に介入ができるのか、もしくは、できるとすればその業務の中身とは一体何なのか、そういうふうにちょっと私首をひねったものでございますので、これはどういう形なのかということをお伺いできればと思います。
  199. 山口公生

    山口(公)政府委員 契約者保護基金生損保の協会でおやりいただくこともありまずし、また場合によっては、外国保険会社が入るので法人格だけは別にしてくれ、しかし実際、法人格をつくってまた組織をつくるのは大変だから、その業務の一部、意思決定はその法人でやるのだけれども、実際の事務は例えば協会でやってほしいと。そうしますと、特別な組織も要らないわけでございます。  そういったケースを想定しておりまして、この「大蔵省令で定めるところにより、その業務の一部」というのは、そういった民間のボランタリーでつくった基金が、この基金という法人が、この業務は協会にやってもらおうと。実質的に協会と一緒ということかもしれませんけれども、そういったケースもあり得るということでこの規定を置かせていただいているわけでございます。
  200. 上田清司

    ○上田(清)委員 大変ありがとうございました。  一部、質問通告をしないままに、論議の中で出てきた部分について少し御迷惑をかけたかなと思いますが、お許しいただきたいと思います。ありがとうございました。
  201. 尾身幸次

    尾身委員長 次に、谷口隆義君。
  202. 谷口隆義

    ○谷口委員 新進党の谷口隆義でございます。本日は、保険業法について質問をさせていただきたいと思います。  今回のこの保険業法は、五十六年ぶりの大改正であるということでございます。改正の三本柱として、一つ規制緩和、競争の促進、二つ目は健全性維持三つ目は公正な事業運営確保、このような三本柱で今回の保険業法改正が行われておるということでございます。  まず初めに、健全性維持のところでございます。この健全性維持のところのソルベンシーマージンのことについてお聞きいたしたい、このように思うわけでございます。今まで同僚議員がたくさん御質問されておりますので、若干重複するようなところがあるやもしれませんがお許しいただきたいと思います。  先ほどからソルベンシーマージン基準について同僚議員の方から多々御質問があったわけでございますが、今回のソルベンシーマージン基準ということは、保険会社責任準備金を超えて保有する支払い余力の一つの指標であるというようにお聞きいたしております。早期警戒システムの一環として今回のソルベンシーマージン基準がある。  それで、保険会社において株式会社と相互会社があるわけでございますが、株式会社ソルベンシーマージン基準というのは、分母のところでリスクがあって、先ほどおっしゃっておられましたが、分子に自己資本があるわけでございますが、分子のいわゆる自己資本概念、株式会社においては理解できるわけでございますが、相互会社における自己資本の概念についてまず初めにお聞きいたしたいと思います。
  203. 山口公生

    山口(公)政府委員 相互会社におきましては、基金がまずございます。それから損失補てん準備金、それから株式の含み益などでございます。
  204. 谷口隆義

    ○谷口委員 資本金がないわけですから、今御説明をいただいたんですけれどもちょっとわかりにくいんですが、また詳しく後ほどでも御説明をいただけたらありがたいわけでございますが、今おっしゃったように、いずれにしましても資本概念のところに株式の含み益が入るわけです。  この含み益、現在、試行基準というようなことが行われておるようでございまして、この試行基準がA基準、B基準というようになっておるようでございます。A基準の方は最終的な会社解散価値とリスクとの比率である、B基準の方が保険会社が戦略的に引き受けリスクを織り込んでいく場合の基準である、このようにお聞きいたしておるわけでございます。A基準の場合は含み益の九〇%、B基準の場合は含み益の四五%、このように聞いておるわけでございますが、今回のソルベンシーマージン基準が、本法が施行された場合に、このようなA基準、B基準、これはあくまでも試行の、仮定の基準であるのかどうか、お聞きいたしたいと思います。
  205. 山口公生

    山口(公)政府委員 今お尋ねの件につきましては現在試行段階でございまして、A基準で見たらどんな感じだろうか、B基準でやったらどんな感じであろうかということを今私どもの参考のために計算していただいているというものでございます。  したがいまして、項目としてもこれで確定ということではございませんし、先ほど来御質問ありましたように、省令を決める段階できちっと最終的な形を明らかにし、その基準もAとBと両方あるのがいいのか、あるいはソルベンシーマージンの本来の趣旨からいうとAに近いものをその基準として考えていくのかということも決めていくということで、今試行の段階といいますか、試行錯誤の段階かもしれませんが、そういう段階でございます。
  206. 谷口隆義

    ○谷口委員 これも後で私ちょっと聞きたいというか、要望いたしたいと思っておったことでございますが、今保険部長おっしゃったように、A基準になるのかB基準になるのか、また違う基準に、例えば含み益を全部出した状況の中での基準になるのか決まっておらない。これは政令で出るわけですか、省令です。
  207. 山口公生

    山口(公)政府委員 省令でございます。
  208. 谷口隆義

    ○谷口委員 それで、先ほども申し上げたことでございますが、以前のこの大蔵委員会の税制の審議の折にもちょっと申し上げたことがあるんです。それは、本法と政省令、通達というのがありまして、この政省令、通達が大きな意味を持っている場合がありまして、本法で一つ方向性が決まって、政令、省令で現実に運用する場合にどうすればいいか、こういうことになるわけです。まずこれがかなり大きな意味を持つ場合がございます。  ですから、一つ私要求いたしたいんですが、今回の保険業法の政省令の骨格をお出ししていただきたいと思うんです。その政省令の骨格部分を見ないとどうもこの方向がはっきりわからない、本法のこのような議論の中でどうも見えてこない部分があるわけでございまして、ぜひ政省令の骨格を、細かいところはまだこれから詰めなければいかぬことはあるでしょうけれども、この法案全体の流れからしましてこの骨格部分はもう既にできておると思うわけでございまして、この骨格部分についてお出ししていただきたいというように思いますが、保険部長、いかがでございましょうか。
  209. 山口公生

    山口(公)政府委員 今回法律審議お願い申し上げておりまして、その審議の過程におきましていろいろ政省令の基本的な考え方をお尋ねいただいておりまして、私どもとしてはできる限りイメージがわくような形で申し上げているつもりでございまして、御答弁申し上げている中でおおよその考え方等をお示し申し上げているつもりでございます。
  210. 谷口隆義

    ○谷口委員 これは何回も言っていても仕方ないんですが、骨格部分はもう既に検討されていると。思うんです。ですから、できましたら委員長のと。ころに、理事会で諮っていただきまして骨格部分をお出ししていただきたい、見せていただきたいというように思うわけでございますが、委員長、どうでございましょうか。理事会で諮っていただけませんでしょうか。
  211. 尾身幸次

    尾身委員長 法案の内容について御質問をしていただくのがいいかと私は思います。
  212. 谷口隆義

    ○谷口委員 いや、質問はいたしますが、理事会で、今回のこの政省令の骨格、これについて求めておりまして、それについて検討をいただきたい、このようにお願いいたしたいのですけれども
  213. 尾身幸次

    尾身委員長 先ほど申し上げたように思いますが、せっかくのお申し出でありますから、理事会で検討させていただきます。
  214. 谷口隆義

    ○谷口委員 じゃ、質問を続けます。  そういうことでございまして、実はいろいろ調べておりますと、いろいろ細かいところでわからない部分がございまして、このソルベンシーマージンにおきましても、株式の含み益を入れるわけです。今低価法が採用されております。今原価法ですか、低価法です。低価法が採用されておるので含み損というのはないわけです。現実に出ておるということでございます。  一つは、最近オフバランス取引というのがあります。これは財務諸表に載ってこない取引ということでございますが、具体的に申し上げますとデリバティブズ、こういう取引について今、BIS基準がございますが、国際決済銀行のBIS基準にはこのオフバランス取引も入れていこう、こういうような一つの流れがございます。そういう流れの中で、今回のソルベンシーマージン基準でございますが、いわゆるデリバティブズ、オフバランス取引をこの中に入れていくというようなお考えはございますのでしょうか。
  215. 山口公生

    山口(公)政府委員 デリバティブにつきましても、実際に保険会社が行っている先物とかオプション等のオフバランス取引に伴うリスクソルベンシーマージン基準に反映する方向で考えたいと思います。
  216. 谷口隆義

    ○谷口委員 では、考えていただいているということでございます。わかりました。  この基準というのは、ディスクローズするかしないかというのは先ほどもういろいろ議論がございましたが、読み方も、監督官庁が入手してこれは一つの判断資料とするわけであると思うわけでございますが、一時点の問題じゃなくて一つのトレンドとして見ていく、こういうことでございます。この指標の使い方でございますが、一時点じゃなくてトレンドというか推移で見ていく、こういう形でございます。
  217. 山口公生

    山口(公)政府委員 もちろんソルベンシーが高い方が余裕があるという意味ではそのとおりでございますが、例えば相互会社等を見ますと、もともとそういう内部蓄積をやるということは想定しておらないわけでございますので、高ければ高いほどいいという議論になりますと社外流出をしない方がいいのだということになりかねないというふうに思うわけでございます。したがって、先生の御指摘のように、傾向としてどういう方向に向かっているのかというようなことを見るのは非常に大切だろうと思うわけでございます。
  218. 谷口隆義

    ○谷口委員 要するに、ソルベンシーマージン基準、非常に私、早期警戒システムの一環で必要な基準であると思うわけでございます。しかし、実体が伴わなければ指標として使えないわけでございますから、一つ形骸化しないような指標にしてもらいたい、基準にしてもらいたい、このように思います。  それで、ソルベンシーマージン基準、どういう基準でこうなっておるかわかりにくいのですが、改善計画の提出を求める場合というようなことが書いてございますが、ソルベンシーマージン基準で改善計画の提出を求める場合とはどういう場合を想定されていらっしゃるのでしょうか。
  219. 山口公生

    山口(公)政府委員 お答えいたします。  そのソルベンシーマージン基準、今試行段階でございますし、今後省令で定め、それを実際健全性をはかる指標として定着させていきたいと思っておりまして、そういったものの具体的な数字をまず勘案し、さらにそれだけではなくてその会社の財産の状況等を見まして、それから先ほどもしばしば申し上げましたような、保険料収入がどうか、解約の動向がどうなのか、不良資産がどうなのかとか、そういったいろいろな要素を見まして、適切な改善措置を講じなければこれは契約者保護上問題になるのではないか、そのおそれがあるのじゃないかというときは改善計画の提出をしていただくということを考えておるわけでございます。
  220. 谷口隆義

    ○谷口委員 それでは、このソルベンシーマージン基準については終わりまして、次に保険契約者保護基金についてお聞きいたしたいと思います。  現行法の救済制度であります大蔵大臣による強制包括移転命令というのが法律上やはり問題があるということでこの基金が出てきた。このようにお聞きいたしておるわけでございますが、この基金の拠出金について、事前に積んでいくのか、有事の場合というのですか事後に積むのか。アメリカにおいては事後拠出が中心になっておる、このように聞いておりますが、これについてお聞きいたしたいと思います。
  221. 山口公生

    山口(公)政府委員 この保護基金に対する負担金の拠出につきましては、事前積み立てとすべきであるという考え方もございますが、事後拠出の場合には積立金の資産運用等の組織が不要であるという、基金をより簡素な組織とすることが可能になる利点もございます。また、御指摘にありましたように、諸外国での支払い保証基金においては事後拠出が一般的でございます。  いずれにせよ、保険業界におきまして保護基金について具体的な検討を進めていただいておりまして、このような点を総合的に勘案しながら負担金の拠出方法についても決められていくものと考えておる次第でございます。
  222. 谷口隆義

    ○谷口委員 それで、ちょっと具体的にお聞きいたしたいのですが、これは同僚議員の質問の中にもあったようでございますが、今お聞きしますと、損保会社二十五社、支店が二十八社、合計五十三社というように聞いておりますが、損保で三百億のファンド、生保三十社で二千億のファンド、このように予定されているとお聞きいたしておりますが、これについて御答弁をお願いいたします。
  223. 山口公生

    山口(公)政府委員 そういった形でのたたき台が出され、検討されているということでございまして、まだそれで決定ということではございません。
  224. 谷口隆義

    ○谷口委員 そういう方向で出ておるということは間違いのない話なんです。例えば損保三百億、年間三十億ずつ十年でというような話があるようでございますが、生保の三十社で二千億というようなこの金額、これは現実にこのようなファンドがどういう形で積み立てられていくのかどうか。実現可能性の観点から、大きな金額でございますので、この二千億というような基準が出ておるのなら、ひとつこのファンドの積み立て方についてお聞きいたしたいと思います。
  225. 山口公生

    山口(公)政府委員 拠出のやり方につきましては今検討していただいている最中でございますので、私の方からこういう方法でやります、やっていただきますということは言えないわけでございますが、事前の場合は具体的にこういった割合で各社が負担しましょうということになりますし、事後の場合は事故が起きてその支払いがあった後にそれをどういうふうにしてカバーしていくかというふうに、いずれにしてもその分担割合等はそれぞれきちんと決めて負担をしていただくということになろうかと思います。
  226. 谷口隆義

    ○谷口委員 預金保険機構と比較しますと、預金保険機構というのは今八千二百億ぐらいのファンドがあるのです。でも、この八千二百億に至るまで大体二十年かけたというように聞いておりますけれども、この生保の二千億、損保の三百億という数字、このような数字について、私はこの法案の前提で、ある程度の数字のバックグラウンドがないとこの基金の意味しているところがなくなってくるのではないか、このように思うわけでして、少額のファンドで積んでも余り意味ないわけでございます。  リスクの問題等いろいろあるわけでございますのでそういう変動要因というのはあるわけでございますが、このくらいのファンドを積まないとこの基金の意味合いがなくなってくるということからすると、その積み方について、現実の問題としてどうするんだというのは非常に大きな問題になるのではないか、このように思うわけでございます。  それと、生保の中には、合併と包括移転、こういうような方法がございますね、このような方法が不可能であるという認識を持っていらっしゃる方がいるとお聞きいたしております。  合併で申し上げますと、まず一つは、合併のメリットがない。業容の拡大が期待できない。もう既にかなり拡大されておるわけでございまして、合併ということについては合併のメリットがない、このようにおっしゃっておるようでございます。  また、包括移転でございますが、包括移転についても、保険の種類で独自のシステムを構築されておるわけでございまして、そのような統合作業の手間であるとかコストであるとか、このようなことを考えるとこの包括移転も難しいのではないか、このように言っていらっしゃる方がおられると聞いております。  また、破綻保険会社の人の問題でございますが、破綻保険会社の人をどうしたらいいのか。これは解雇するわけにはいかないわけでございますし、この人の問題。  こういうような問題を考えますと、このような救済制度が果たして実効を伴うのかどうかというような問題があるわけでございまして、このような問題について衡答弁をお願いいたしたいと思います。
  227. 山口公生

    山口(公)政府委員 一般論として申し上げましても、先生の御指摘のように、企業間土の合併や保険契約の移転には人的な融合、電算システムの対応等に少なからぬコストがかかるのは私も事実だと思います。ただ、改正法案におきましても、破綻保険会社契約者等を救済する方策として包括移転みたいなものを典型的な形で考えておりますが、そのほかにも、合併では子会社化等が可能という形にさせていただいておりまして、契約者保護観点からぜひともそういった契約を救う必要があるわけでございまして、個別の状況に応じて、ケース・バイ・ケース、その大きさ等によろうかと思います。それで適切に対応していくことになるというふうに思っております。
  228. 谷口隆義

    ○谷口委員 ちょっとわかりにくい御説明であったわけでございます。  先ほど基金への出資の問題を申し上げたのですが、この出資のベースですね、出資比率のベースと申しますか、これは、例えばさっき申し上げた生保三十社で二千億というようなことになってきますと、一律に二千億というようなことにはこれはできないと思うわけでございます。そうしますと、この出資比率のベースを何に求めるのか。一つ資産に求めるのか、また収入保険料に求めるのか、こういうようなことになるわけでございまして、このようなことについてどういうようにお考えでございましょうか。
  229. 山口公生

    山口(公)政府委員 負担金を各社でどのように負担するかにつきましては、営業規模を示します収入保険料、あるいは契約移転の対象となる責任準備金等を基準にして公平な基準を検討していただいているというふうに聞いているところでございます。
  230. 谷口隆義

    ○谷口委員 それで、救済できずにもう破産をやむなくやらなければいかぬ場合に、この保険金、解約返戻金の支払い保証についてはどのようなことを考えておられるのでしょうか。
  231. 山口公生

    山口(公)政府委員 御審議お願いしております改正法におきましては、保険契約者保護のために保険契約の継続を図ることが最も大切であるというふうに考えておりまして、保護基金の制度も盛りませていただいておるわけでございます。それによりまして保険契約が継続でき、保険契約者保護は十分果たされていくものと考えておるわけでございます。  しかしながら、保険契約の移転等が行われないままに保険会社が倒産してしまうという場合もないわけではないわけでございまして、保険審議会報告におきましても、いわゆる支払い保証機能を持つ制度の検討の必要性について指摘を受けているところでございます。また、この委員会の審議においてもそういう御指摘がございました。この支払い保証機能を持つ制度につきましては、るる申し上げていますように、保険の場合は非常に難しい問題を抱えております。したがいまして、ある程度時間をかけて慎重に検討すべき困難な問題が数多く存在しているわけでございます。  いずれにせよ、この問題につきましてできるだけ早く検討を行ってまいりたいと考えておるところでございます。
  232. 谷口隆義

    ○谷口委員 この基金だけでは契約者を守れないというような議論がやはりあるわけでございまして、先ほども申し上げたとおり、預金保険機構は日銀から融資を受けておるわけでございます。今回のこの保険業法審議の中で、いろいろとこの問題が出てきたわけでございますが、任意の団体でございますので、公益法人でもないし特殊法人でもない、こういうようなことに今なっておるわけでございますが、将来、この日銀の特融を受けるというような、支払いですね、日銀特融を受けるというようなことも考えていらっしゃるのでしょうか。
  233. 山口公生

    山口(公)政府委員 日銀との関係につきましては、金融システムの安定性に影響を与えるかどうか、またどの程度の影響かなどを勘案して考えていくべきものだと考えるわけでございます。一保険会社経営破綻によって我が国金融システム自体の安定性にそれほどの影響はないのではないかという議論も一部にはあるわけでございまして、日銀と保険契約者保護基金、現在検討をしていただいています基金との関係については慎重に検討すべき問題だというふうに考えております。
  234. 谷口隆義

    ○谷口委員 それではこの基金の問題を終わりまして、総代会についてお聞きいたしたいと思うのです。  相互会社の社員は極めて多数であるということで、事実上社員総会の開催が困難に今なっておるということで、社員総会にかわるべき機関として社員総代会が開かれておるというのが一般的であるというようにお聞きいたしております。今回の一つの大きな柱であります公正な事業運営確保という観点から、この総代会の前に社員総会というのがあるわけです。また、その決議の方法につきましても、少数社員権の問題であるとか少数総代権の問題であるとか、こういうような問題が出てくると思うわけでございますが、いずれにしましても、総代会を実効ある組織にしていかなければいけない、このように思うわけでございます。  そのことについてお聞きしたいのですが、その前に、相互会社における社員数の現状といいますか、大きなところもあり小さなところもあると思うわけでございますが、これについてちょっとお聞きいたしたいと思います。
  235. 山口公生

    山口(公)政府委員 最大と最小で申し上げてよろしゅうございましょうか。一番大きい会社は千五百万人、一番小さい会社で三十五万人、こういう状況でございます。
  236. 谷口隆義

    ○谷口委員 それで、今回のこの改正の中に、「機関」のところに「社員総会」があります。「社員総会において、各々一個の議決権を有す。」ということになっておるわけでございまして、その次に、「社員総数の千分の一以上に相当する数の社員又は千名以上の社員で六月前から引き続いて社員である者はこ「一定の事項を社員総会の会議目的とすることを請求することができる。」いわゆる提案権があるわけです。今回、これが百分の一から千分の一、こういうようになったわけでございます。  この千分の一、千分の三、こういうような基準でございますが、どういうところからこの千分の一、千分の三というような根拠が出てきたのかを教えていただきたいと思います。
  237. 山口公生

    山口(公)政府委員 まず、これに関しましては、少数社員権につきまして、絶対数で要件を入れようと。比率だけですと、大きい会社の方は非常にたくさんの人を集めなければいけないということになるわけでございます。先ほどの、私が申し上げた社員数の開きからいいましても、ある意味では非常にアンバランスな形になるわけでございます。  したがって、まず提案権の場合、千分の一または一千名となっておりますが、一千名の方につきまして、商法の少数株主権に係る数値要件を参考にしまして、相互会社の社員数と、都市銀行保険株式会社等の株式数との比較などを考慮に入れて、かつ行使可能なものとすることを念頭において算出したものでございます。  実際にどういう計算をしたかといいますと、相互会社の上位五社の平均社員数、これが約九百四十万人となるわけですが、これに、結局都銀あたりのケースを考えまして、都銀の平均発行済み株数にこの少数社員権である三百単位株というものを割り算しまして、それを掛け合わせるわけでございます。そうすると、その結果、約千百二十八名が数値として出てきたわけで、大体千名程度にすればそういった株式会社あるいは都市銀行あたりと似たような数字になる。  そうすると、そういった千名という数字を置いて、それで割合要件につきましても見直さなければいけないということで、現行法より一けた緩和した形をとりまして、百分の一を千分の一、そういうふうにしますと比較的小規模の相互会社においても絶対数と同様の効果があらわれるということを考慮して算出したものでございます。
  238. 谷口隆義

    ○谷口委員 それで、先ほどの総代会にいきたいわけでございますが、総代会の定数であるとか任期であるとか、選出方法についてはどのようにお考えでございましょうか。
  239. 山口公生

    山口(公)政府委員 まず、「総代の任期は、四年を超えることはできない。」これは法律で書かせていただいております。  それで、総代の定数それから任期、四年を超えることができないというのは法律で書きますが、その範囲内において具体的な任期及び選出の方法その他は定款で定めるというふうにさせていただいておるわけでございます。
  240. 谷口隆義

    ○谷口委員 定款に定めればどういう方法でも結構なのです。
  241. 山口公生

    山口(公)政府委員 社団の自治でございますので、まず自主的に定款で決めていただいて、それを定款の変更という形で大蔵大臣の認可ということになっております。
  242. 谷口隆義

    ○谷口委員 ある雑誌を読んでおりますと、社員総代の方の記事が出ておりまして、ちょっと読みます。ある生保の方なのですが、「本年の社員総代の改選数は四十四人だった。このうち会社の「会長」が八人、「社長」が十四人、その他の会社役員が四人で、会社経営者だけで二十六人、軽く過半数を超えている。この「会長」「社長」さんたちの会社はここの生保の株を「保有し、または融資をしている先である。首根っこをギュッと握られているからには、年一回の総代会には万難を排して出てくれるだろうし、嫌なことは何もいわずに議案に賛成してくれるだろう。」このように書いておられまして、「社員総代を選出するのは、「社員総代候補者選考委員会」である。この委員会のメンバーは総代会で決められる。ところが、「選考」といっても、実際には会社側が提供する名簿の中から選ぶだけのことである。その名簿に、経営陣にとって好ましからざる人物の名を入れるわけがない。」このように書いておられます。  この方は、「総代会が経営チェック機能を果たすためには、会社側が提供する名簿による選考とは全く別のルートで候補者を選考することが必要である」というように書いておられるわけでございまして、現実の社員総代会が形骸化しておるというようなことを書いておられるわけでございます。  今のお話をお聞きいたしておりますと、今後もそういうような状況が継続していくのかどうか、また、実体あらしめるために何らかの方法があるのかないのか、お聞きいたしたいと思います。
  243. 山口公生

    山口(公)政府委員 社員総代会につきましては、社員の経営チェックが十分に行われるように、これまで総代の信任投票制度の導入や、選任に当たり職業、年齢等のバランスに配慮し、及び社員総代会傍聴制度の改善などによりその運営の充実が図られてきたところでございますが、さらに、総代への情報提供の充実、評議委員会や契約者懇談会等での社員の意見を総代会で審議されるような工夫など、その活性化を図るように努めてもらいたい、また私どもも引き続きそういった指導をしてまいりたいというふうに考えて、一歩一歩改善の道をたどっていきたいと思っております。
  244. 谷口隆義

    ○谷口委員 その次に、ちょっとこれは非常に細かい問題でございますが、今回また相互参入の問題があって、子会社を通じて生保損保と、こういうように相互参入がなされるわけでございますが、その際の子会社の名前、命名のことについてお聞きしたいのです。  要するに、免許申請書を提出して、そこに商号、会社の名称を入れるわけです。今回、生保損保も、お聞きしますと非常に名前の似たところもありますし、どうも混乱を生じるというようなことが巷間言われておりまして、またこれは、特に損保の方が進出には積極的なように聞いておりますが、進出する際に、損保の業界にも生保の業界にも、例えば住友生命があり住友海上火災がある。そうすると、お互いに子会社が入ったときにどうも非常に混乱を生じるようなことが起こるのではないか、このように言われておるわけでございますが、監督官庁として大蔵省の方で、このような命名というか会社の名称、商号、これについて何らかの方向性を持っていらっしゃるのでしょうか。
  245. 山口公生

    山口(公)政府委員 子会社の名前をどう考えるかという問題につきましては、私どもは、法令による規制以外に特段の観点からの規制を行うことは考えておりません。法令による規制といいますと類似商号の禁止などがそうでございまして、どうも紛らわしくてどちらをやっているかわからないとかそういうことは非常に困るわけでございます。そういったものは禁止しますが、それ以外の要素で名前にいろいろ規制を行うということは考えておりません。
  246. 谷口隆義

    ○谷口委員 そうすると、基本的にどんな名前が申請されても受ける、こういうことでございます。
  247. 山口公生

    山口(公)政府委員 繰り返しになりますが、法令による規制以外であればその規制は行わないということがありますので、そこの審査は当然させていただきます。法令に抵触しないかどうかという問題はあります。
  248. 谷口隆義

    ○谷口委員 保険業法については、十二日にもう一回質問させていただきますのでこのあたりで終わりまして、昨日、今回のこの円高の問題であるとか景気の問題について質問させていただきました。若干時間がなかったものですから、その続きをさせていただきたいというように思っております。  昨日何点か申し上げたわけでございますが、現実の問題として、今大きく世界の流れは変わってきた。それで、我が国においては資産デフレの状況がある。資産目減りいたしておる。バブルのピークからしますと、昨日申し上げたように、もう既に土地、株で一千兆ほどの価値がなくなってしまった。現実に今一千兆ほどの資産価値、このように言われておるわけでございますが、そういうような状況になっておるわけでございます。これは、先日の阪神大震災の物的損害価値からしましてもかなり大きな金額になるわけでございます。こういうような状況の中で、一刻も早く今の状況を変えなければいかぬ、対策を講じなければいけないというようなことで、きのう申し上げました。  国家の最大の使命というのは国民の生命と財産を守ることにある、こういうように言われておるわけでございます。阪神大震災の折に初動のおくれから五千名を超えるような死者を出したわけでございまして、また今回、先ほどのお話のように、昨年末にメキシコの通貨危機があって以来この五カ月間、四月十四日ですから、それまで何もやらなかった。そういう結果、今のような円高、大変な急激な円高を招来しておる。このようなことで、村山内閣が誕生して以来、株式時価総額が百兆円なくなってしまった。こういうような今現実にあるわけでございます。  それで、いろいろ枝葉末節はあると思いますが、既にシステムが変わった今の時代認識を十分持たなければ、この大変な事態を乗り越えることはできない、このように思うわけでございます。従来の経済システムを踏襲するような対策では、これはなかなか解決できないと思うわけでございまして、再度強く申し上げたい、このように思います。  今、アメリカの例がよく言われておりまして、アメリカにおきましてカーターさんからレーガンにかわったときに、レーガンは御存じのとおりレーガノミクスと言われるようなドル高の政策をとって、やったわけです。それで、当時アメリカでは非常に急激に空洞化が起こったというように言われておるわけでございまして、その後、政治的、戦略的にそれを乗り越えるというような政策をとって今現在のアメリカがある、このように言われております。  今、日本はまさにこのレーガン政権の初期に似ている、このように言われておるわけでございます。このドル高によって、当時アメリカにおいては空洞化が起こって国内産業が非常にだめになった。そういうような状況の中で、この政策の大転換ということでベーカーさんが、一九八五年、ちょうど十年前のプラザ合意で一挙にドル高からドル安、こういうような方向に誘導したわけでございます。この十年後の今、アメリカは今の状況になっておる、こういうように言われておるわけで、方向を五年間違えると十年間後遺症が残る、このように言われておるわけでございます。  そういう中で、アメリカにおいても資産デフレというような事態があったわけでございます。その資産デフレを、この深刻さを見破ったFRB議長のグリーンスパンさんが、そういう状況の中で実質金利をゼロにして経済全体に資金を垂れ流した。このように言われておるわけでございまして、その結果、株式市場の活性化が起こった。そういう前にアメリカにおいてはやはり不良債権の問題が出ておって、SアンドLの問題を十兆円近い公金を使って処理したわけです。それで、やるべきことをやった上で金利を下げて銀行が息を吹き返した。このように言われておるわけでございまして、まさにそういう大胆なことをやっていかなければいけない。  きのうも私申し上げましたが、財政均衡主義の中で今回景気を活性化させるというのは非常に難しいところがございます。ある一つのことをやろうと思えば常に税収、財源のことを一緒に考えるということになりますと、経済の活性策というのは大きな意味を持ってこないと思うわけでございまして、そういう状況の中で、今日本方向が非常に乱れておるわけでございます。  きょうのお話を聞いておりますと、大蔵大臣もこの十年は非常に大事な十年であるというように御答弁されておられたわけでございますが、こういうような資産デフレの問題であるとか金融機関の不良債権の問題というのは、我が国だけの問題じゃなくて、これは欧米にも起こっておるわけでございます。そういう状況の中での我が国対応というのが今問われておるわけでございまして、もう一度大蔵大臣に御答弁をお願いいたしたいと思います。
  249. 武村正義

    ○武村国務大臣 竹内議員からもほぼ同じ趣旨の御意見を承りました。  我々は大いに日本経済の危機を感ずるべきときに来ていると思いますが、しかし、余り危機意識をあおっても問題の解決にはなりません。アメリカがすべてよくて日本がすべて悪いというような状況ではないわけでありまして、問題の厳しさは深刻に真剣に認識をしながらも、しかし自信を持つところは自信を持って、私は十年と申し上げましたが、この巨大な日本経済の体質改善、構造改革に取り組んでいかなければならないと思っております。そしてまた、その努力を積み重ねることによって必ず展望は開けるものというふうに、私は希望を持ってこの国の経済の将来にかけていくべきだというふうに思っている一人でございます。  デフレの問題の御指摘がございましたが、この点は御指摘のとおりだと思います。ただ、インフレもよくないしデフレもよくないわけでありまして、デフレを否定して、じゃインフレ経済にすべきだと、最近そういう論旨をおっしゃる方も出てきておりますが、政府が意図的にインフレ経済を目指すなんということはあり得ないことでございます。基本は、昨年末に策定した経済見通しを基本に置きながら、何といっても内需の拡大を図り、この国のややぐらつきかねない経済の回復を順調に本格的な回復の軌道に乗せるために万全を期していくということではないかと思っております。当面は、この局面の経済運営はそうだと思っております。  同時に、御指摘がありますように、長期的な視点から、アメリカ、ヨーロッパ、東南アジア、世界全体をしっかり見詰めながら、日本経済の構造改革に、たとえつらくても取り組んでいくことが一番大事ではないかというふうに思っている次第でございます。
  250. 谷口隆義

    ○谷口委員 現下のこの不況の中で一番大きな問題だと私が考えておるのが不良債権の問題でございます。これは今回、円高により株安という事態、若干持ち直しましたが、非常に危機的な状況になりかけたわけでございます。そういう意味で、この不良債権の問題を、方向を明確に打ち出さなければいけない、このように思っておるわけでございます。  今、都銀、長信銀、信託で破綻先債権と延滞債権と合わせて十二兆数千億、それに今度ディスクローズで金利減免債も挙げようというようなことを考えておるということでございます。これが十兆近いのです。合わせまして二十二兆程度の公表の不良債権、これは長信銀、信託とかです。あと地銀、第二地銀、信金、信組、やはりこのように大きな不良債権を持っておるわけでございまして、この一つ方向を明確に示さなければいけないというように思うわけです。  また、経営が非常に苦しくなっている金融機関も多いです。先日も第二地銀、信金あたりでマスコミに出たところもございましたが、そういうところで、実態を見るとかなり経営危機と言われるような金融機関があるわけでございまして、そういう状況も含めて、どうもまだはっきりその方向が見えておらない、このように私は今思っておるわけでございます。  何か勝手に問題が解決するんじゃないかと、問題を先送りして、まあ土地も株も上がればこの不良債権の問題も現状よりも改善されるんでしょうけれども、ますます土地も下がり株も下がってくるというような状況の中で、非常に厳しい段階に来ておる、このように思うわけでございます。  今の状況を踏まえて、この不良債権の問題についてどのように考えておられるのか、またどういう方向をこれから模索してやっていきたいというように考えておられるのか、お聞きいたしたいと思います。
  251. 西村吉正

    ○西村政府委員 健全で活力ある金融システムは、我が国経済発展のために不可欠な要素でございます。金融機関の不良債権問題の解決を図ることは、金融自体にとっても、また経済全体にとっても非常に重要な課題と認識しておる次第でございます。  不良資産と言われるようなものがどれくらいあるかという点につきましては、九三年の九月末をピークにして少しずつは減ってきておるわけでございますが、昨年の九月末現在でいわゆる公表不良債権、部長銀、信託二十一行の破綻先・延滞債権の額は十三兆三千三百億円に上っておりまして、近々本年三月末の計数も把握できると思いますけれども、さらに減ってはきていると思います。  ただ、委員指摘のように、これは部長銀、信託二十一行の破綻先・延滞債権でございまして、そのほかに地域金融機関以下の金融機関のこういう性格の債権もございますし、またいわゆる金利減免債権と言われておるような問題もあるわけでございます。  こういう広い意味での不良債権問題というものにこれから取り組んでまいらなければならないという気持ちでおるわけでございますが、先般、四月十四日に緊急円高経済対策の中で、この金融機関の不良債権の早期処理ということについても政府としての方針を述べているわけでございます。  すなわち、「金融機関の不良債権については、預金者保護に配慮しつつ、金利減免等を行っている債権をも含めこ金利減免債権をも含めまして、かつ、「従来からの発想にとらわれることなく概ね五年の間に積極的な処理を進め、問題解決の目処をつけることとす。」という方針を述べておるわけでございますが、さらに具体的にこの問題をどう解決していくかということにつきましては今後とも検討してまいりたいと考えておる次第でございます。
  252. 谷口隆義

    ○谷口委員 だから、私が申し上げているのは、もっと早くその方法を出さないと、要するに、市中ではどういう状況でこれから政府はやっていくのかということが問われておるわけです。ですから、今後推移を見てその状況の中で方法を考えていく、対策を考えていくということは、こういうことについて非常に市中においては不安ならしめておるわけでございます。このくらいの不良債権がある、これをこういう形で処理していくんだという明確な方法をやはり示さないとなかなかこの不況を乗り越えられない、またこの円高の問題もそういうところに大きく要因があるわけでございまして、乗り越えられない、このように思うわけでございます。  こういう緊急事態でございますから、本当に大変な事態に今なっておると思うわけでございまして、一刻を争うような事態になっておる、このようにも思うわけでございます。どんどん先を読んだ方法をやっていく、状況を見ながらではなくて、そういうことをぜひやっていただきたいと思うわけでございます。  先ほども申し上げたように、今、財政がどうかというような問題を言うよりも先に、少々金をつぎ込んでも今の状況を変えていくんだ、こういう方法をやっていかないと、後へ禍根を残すようなことになるというように思うわけでございます。  いよいよ時間が参りましたのでこれで私終わりたいと思いますが、また十二日に質問をさせていただくことになっておりまして、きょうの保険業法の問題の続きはその折にまたさせていただきたいというように思います。  以上で終わります。
  253. 尾身幸次

    尾身委員長 次回は、来る十二日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十分散会