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武村国務大臣 御
指摘がございましたように、特に三月から今日に至ります
通貨の
変動、乱高下という
表現もございますが、本当に急速な
通貨の
変動を来しているわけでありますし、その中でひときわ
円高が急速に進んでおります。
私
どもはこの
事態を深刻に受けとめておりますし、せっかく緩やかな
回復軌道に入ったと申し上げております
日本経済の今後に対して、テンポを緩慢にしたり、場合によっては下振れさせたりというふうな
事態になることを強く懸念をしながら、今未明、
緊急円高・
経済対策を
政府・与党挙げて論議を集約いたしましてまとめさせていただいた次第であります。
基本的には、この異常な
事態に対して、何としても
経済の
回復基調、足取りを堅実なものにしていきたい、そして本格的な
回復軌道に乗せていきたい、そのことが
目標であります。その
目標のために、
政府の持てるありとあらゆる手段を総動員して、従来の
姿勢をはるかに超える
意欲で
取りまとめをさせていただいたというふうに思っております。
一つは、
内需振興に対する
姿勢でありますが、今、
年度当初の時期でありますだけに、当初
予算が執行に向かってスタートを切ったばかりでございます。加えて、
国会でお認めをいただいた前
年度の
震災対策予算、これもその多くは
繰越明許になっておりますから、今
施行が始まっているところでございます。こうした既存の大きな
公共事業を中心にした
予算に対しては、積極的に
施行を図っていくという
姿勢を明らかにいたしております。
同時に、新
年度の
補正予算でありますが、これにつきましては、できるだけ
早期に
予算編成を終えて
国会に運ばしていただきたいということでありますし、その
内容も、
阪神・淡路の
震災対策、
復興事業も含めた
対策に限らず、全国的な
防災対策あるいは今回の
円高にかかわる
輸入促進、
市場開放、
構造改革等にかかわる
予算や、
中小企業雇用対策を最大限盛り込んでまいりたいと考えておりますし、加えて
情報関係あるいは
研究関係、
産業構造を改革していく中で直接的に
影響の大きい、こういった新
社会資本とも言われております
分野についても今回の
補正で積極的な
対応をさしていただくということを明らかにいたしております。
加えて
財源論も、この
委員会も含めて真剣な御
議論をいただいているさなかでございますが、当然過般の二次
補正の
財源も含めて、このことはさらに今後とも真剣に見詰めてまいりたいと考えておりますが、とりあえず景気の動向を考えますと、ここはこの
補正の
提案の時期との絡みでございますが、
公債の充当、
公債の
活用を明らかに決断をさしていただいているところでございます。
なお、積極的な
施行によるということは
前倒しを進めるということになるわけでありますが、
年度全体を通じての
経済状況、さらに
阪神の
復興事業の
追加要素もございますから、今
年度全体を通じても引き続き
財政的な
運営に積極的に対処をさしていただきたいという
姿勢も明らかにいたしております。
もう
一つの大きいテーマは、何としてもこの
円高のいわば
背景にある
日本の
経常収支の
黒字、もう長年この
状況が続いております。
日米間におきましても、数百億
ドルの
黒字が
ドルベースではそれほど大きく
変動いたしません。このことに改めて真剣に目を向けて、この
黒字を減らしていこうということ、「大幅に削減する」という
表現でございますが、鮮明に打ち出したところでございまして、そのためには、過般発表さしていただいたばかりでございますが、
規制緩和五カ年
計画も思い切って
前倒しをさしていただいて、五年間を三年間、
平成十一年を九
年度までにやり遂げるということを、すべて例外なくやり遂げることを鮮明にさしていただきました。
そして
輸入促進に対する
姿勢も、かなり焦点あるいは
対策を絞って明らかにさしていただいております。特に
自動車、
自動車部品の
輸入促進、
輸入住宅の
促進、さらに石油の備蓄の
前倒し、
政府調達、こういった項目を挙げながら、
財政措置の面からも、あるいは
政策金融の面からも、あるいは
税制上の
措置からも、最大限、
日本の
市場が一層開かれて
輸入が拡大していくための決意を、具体的な
内容を盛り込みながら明らかにしたところでございます。
もう
一つは、いわゆる
円高差益の還元と言われる問題でありますが、この点につきましても、主としては民間の御
努力を要請する、期待をすることが基本になりますが、
政府としてもそのためのさまざまな
応援策をとらしていただく。同時に
公共料金につきましても、
電話関係の
料金あるいは
郵便料金あるいは電気・
ガス料金等については、はっきりと引き下げるということを明らかにいたしました。
さらに
構造改革についても、いわゆる
経済の
ニューフロンティアをどう拡大するか、そのために何が必要かということにも具体的に触れておりますし、
金融・
証券対策についても触れております。
特に
金融におきましては、二億組の問題もございますが、
日本経済を活性化していく中で、大
銀行から信用組合に至るまで、大
なり小なりバブル時の
不良債権の問題を抱えております。この問題をしっかり乗り切っていくことがこの
経済の活力という
意味では大変大事な問題であるという
認識のもとに、おおむね五年間で、
金利減免も含めた
不良債権に対して全体について
対策を打ち出していくということを明らかにしております。
さらに、円の
国際化ということにも、円建てを
輸出輸入両面からふやしていこうということや、あるいは円の
アジアにおける協調という
意味で、
アジア各国中央銀行との連携の
強化等もうたっているところでございます。
いろんな見方があろうかと思いますが、私
ども自己評価は避けたいと思っておりますが、しかし、従来のこういった
政策の
取りまとめの経験からいたしますと、今回はかなり大胆に踏み込んで
意欲を表明さしていただいたつもりでございます。
長くなりました。