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谷口委員 早急に目に見える形の
対応をやっていただきたい、このように切にお願いする次第でございます。
先ほど、
日銀の
小島理事からも御
発言の中にあったわけでございますが、
ファンダメンタルズに合っていない今の
相場。ある
データによりますと、
購買力平価でいくと大体百六十円ぐらいが妥当じゃないか、このような
データがあるというようなことを聞いておりますが、それからしますと、いかにこの
円高が厳しいものであるかというようなことであると思うわけでございます。
私は、この
原因は
一つは、これから御質問したいと思うわけでございますが、一般的に言われている
デリバティブ、
金融派生商品がますます
拡大の
一途になっておりまして、この
状況が今の
要因の
一つになっているのではないか、このように思っておるわけでございます。
御存じのとおり、
デリバティブと申しますのは、株であるとか債券であるとか
為替であるとか、こういう
金融商品を、先物、スワップ、オプションというような
複合金融商品でやるわけです。コンピューターがどんどん発達しますとそれがどんどん進んでくるというような
状況のようでございます。これが一九八〇年以降ぐらいからどんどん
拡大の
一途である。一九九二年の
米国の会計検査院の報告によりますと、世界で十七兆
ドルを超えたのではないか、このように報告されておるわけでございます。また、ある
資料、これはウォールストリート・ジャーナルによりますと、九三年末に三十五兆
ドルに上るんじゃないか、このような
データもあるわけでございます。
この
デリバティブと申しますのは、例えばAという
金融商品をつくりますと、そのヘッジにBという
商品をつくる、またこのBという
商品からそのヘッジをするためにCという
商品をつくる、こういうように自己増殖的にふえていく傾向があるわけでございます。また、ある
商品をしたときに失敗してもそれを先延ばしにするようなことができるわけでございまして、どんどんそういう
意味では水面下に潜るというのですか、そういうような傾向があるようでございます。
今までこの
デリバティブの失敗した事例というのは、
御存じのとおり何点かございまして、昨年だけでも、
アメリカ・カリフォルニア州のオレンジ郡で十五億
ドルの、これは不動産抵当証券投資で失敗したものである、破産に陥っておるわけです。また、
我が国の東京証券が三百二十億の失敗で損失をこうむっておる。また、
米国のプロクター・アンド・ギャンブルが一億五千万
ドルの損失があった。また、
米国のギブソン・グリーティングズという会社でございますが、二千三百万
ドルぐらいの損失があった。また、
米国キダー・ピーボディというのですかね、これが二億
ドルの損失があった。このように言われておるわけでございます。
私たちは、先日、例のベアリングズ社の問題でこの
デリバティブの問題が非常に大きく注目されたわけでございますが、こういうような
状況にあるわけでございます。ですから、非常に
拡大の
一途をたどっておるということでございます。
いろいろ
考え方があるようでございますが、
米国議会におきましては、大
企業の失敗、またヘッジファンドですね、これは代表的なのはジョージ・ソロス氏がやっておられるクオンタム・ファンドというのですか、これがかなりの規模でやっておられて、それで多額の損失が発生したということがあって、規制をするような
動きもあるというようなことを聞いておるわけでございます。
私自身は、金融取引、一般的にこういう性格を持っておるものでありますので、すぐにこれを規制するというような
方向については反対するものでございますが、しかし、ある種の規制、規制というのですか、リスク管理の問題であるとかディスクロージャーの問題であるとかというようなことをやっていかなければいけないのではないかなというように思っておるわけでございます。
九二年の十一月に、BIS、国際決済銀行の作業部会の報告、いわゆるプロミセル報告というのが出ておりまして、そこで、金融
市場の国際化の進展につれて
金融商品の価格
変動幅が
拡大し、これに
対応した
企業、投資家のヘッジニーズが高まっておる、こういうことでどんどん
デリバティブがふえつつある、このように言っておるわけでございます。
また、
先ほどの
米国会計検査院の報告によりますと九二年末に十七兆
ドルを超えたというようなことのようでございますが、この
中身を見ますと、取引の
中身が大手金融機関十五社に集中しておるというようなことでございまして、例えば大手が一社倒産するというようなことになりますと、資金流動性の問題が金融システム全体に
影響を及ぼす、このように言われておるわけでございます。
現実、
我が国でどの程度の
デリバティブが行われておるかということでございますが、これは、
資料を見ておりますと、
デリバティブ想定元本の推定残高というのがありまして、九三年三月末現在で、
我が国では大体総資本の一・四から三・五倍ぐらいの
デリバティブがあるんじゃないか、このようにお聞きいたしております。それに比べまして、
アメリカのバンカーズ・トラスト社は二十八倍、ケミカル・バンクは二十倍と大変な
デリバティブの様相を示しておるわけでございます。
今回、
先ほど申し上げました急激な
円高、この急激な
円高はそういうヘッジファンドが
一つの
要因をつくったというふうに
市場関係者は言っておるわけでございまして、そういう
状況の中で、まず、このような
デリバティブについて
大蔵大臣の御所見をお聞きいたしたいと思います。