○平田
委員 今大臣が
お話しになったのは、これまで財政当局が
説明をしてこられた根拠でございます。
私は、そこの発言の中で非常に悲しい思いをいたしました。これは、財政当局の事務方の御発言としてはそういう御発言もいいのではないかと思いますが、私は、
政治家たる
大蔵大臣が御発言なさることではないのではないか。なぜかならば、一たん赤字国債の発行に踏み切れば、ぐんぐんふえていって増発の
方向に行ってしまう。しかし、増発させるかさせないかはまさに
政治家が決めることではないのでしょうか。これまでの
政治家が歳出ばかりに一生懸命であって、歳入についての真剣なる議論、そして行動というものが、また責任を示すということがなかった。私たちは今それについて深く反省をしなければならないと思っておりますし、大臣も冒頭の質問に対してはそのようにお答えをいただきました。
財政当局に財政の立て直しを任すのではなくて、我々
政治家自身が財政の立て直しについて真剣に取り組まない限り、立て直しなどというのは私はできないと思います。せいぜい官僚ができることというのはこの程度のやりくりでございます。しかも、財政の中期展望によりますと、八年度、九年度、十年度も、いずれも十兆円余りの要調整額というのがもう既に示されているわけでございまして、しかも今回のやりくり算段は、もうほぼ限界に来ております。
赤字国債を発行すると、
政治家は無責任だから次から次へと増発をして大変なことになるからやめましょうなどということを
政治家自身が言っていたならば、財政の立て直しというのは百年たったとしてもできない。赤字国債は赤字国債として発行し、これだけの負債をどうしていくのか、
政治家も国民も真剣になって議論をして初めて財政の再建というのはできるのではないかと思うわけです。
そういう意味で、今の大臣の発言について、旧来の
大蔵省の発言とはいえ、今の危機的な
状況の中でやむを得ない
措置であるという言い方としては、納得しがたいものだ、
政治家としてとりわけ納得しがたいものだというふうに言わざるを得ません。
既に財政の専門の学者等からも、今のやり方については、
大蔵省の毎年のやりくり、これは大変努力をしてやっておいでになるけれども、しかし赤字を結果として隠してしまっていることはかえって財政の効率化をもう既に阻害しているんだ、こういう厳しい
指摘があるわけでありまして、それは言葉を返せば、
政治家がいかに無責任か、こういうふうに厳しく叱責をされているわけでございます。我々は、与野党
関係なくこれは厳しく反省をして、財政立て直しに向かっていかなければならないと思うわけであります。
今の日本の財政
状況については、既に
大蔵省がお示してございますが、
平成七年度の未では表に出ている借金だけで三百十七兆円あります。そして、約四十二兆円の、今後処理を要する
措置として挙げられている、いわゆる隠れ借金があります。合わせますと三百五十九兆円、約三面六十兆円です。三百六十兆、これのGDPに対する比率を
計算をいたしますと、七三、四%になってしまうわけであります。アメリカは一九九三年、その時点で七一・一%の負債を背負っていることを公表しております。今私たちは九三年におけるアメリカの比率を超えてしまっているわけです。
そして、そのアメリカは今何をしようとしているのか。憲法を修正して赤字をゼロにしよう、財政の赤字をゼロにしよう、そのために憲法を修正しましょう、そこまでの決断をして今努力をしているわけでございまして、既に下院は一月二十六日に憲法修正条項案を可決したそうでございますし、上院本
会議も二月には可決をする見込みである。あと州の三分の二の同意を得れば憲法修正が通るということになっています。
アメリカは自分たちの財政の現実をこのような形で克服しようとして努力をしているわけでありますが、我々は、悲しいかな、この繰り入れ
特例法で目先を乗り越えようとしているにすぎません。このツケは次の世代ではなくて、今私たちの現実、私たち自身に降りかかってくるわけでございます。
そういう
状況の中で、今日本の財政の最高責任者である
大蔵大臣として、どのような
対応をとられるお
考えなのか。中期的な財政計画を立てて、今の赤字体質をいかに克服するのか、何年間のうちに今の
状況を克服できるような体制にもっていくのか、明確に示すべきではないかというふうに私は思います。
今中期展望を出しておりますが、これは単なる展望でございまして、毎年十兆円の要調整額を出しながら、最後は赤字はきれいに消えておるわけであります。これは
大蔵省のマジック、まさに今回の
法案でございます。このような何の拘束性もないような展望の発表であったならば、いつまでたっても財政の再建の緒につくことさえできないと私は思う。どうですか、大臣。