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1995-02-15 第132回国会 衆議院 大蔵委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年二月十五日(水曜日)     午後六時四十七分開議 出席委員   委員長 尾身  幸次君    理事 石原 伸晃君 理事 金子 一義君    理事 村上誠一郎君 理事 新井 将敬君    理事 北側 一雄君 理事 村井  仁君  理事 早川  勝君 理事 五十嵐ふみひこ君       大島 理森君    大原 一三君       岸田 文雄君    熊代 昭彦君       中谷  元君    中山 利生君       福田 康夫君    堀之内久男君       宮里 松正君    茂木 敏充君       青木 宏之君    井奥 貞雄君       上田 清司君    太田 誠一君       竹内  譲君    谷口 隆義君       中田  宏君    中村 時広君       平田 米男君    藤井 裕久君       宮地 正介君    中村 正男君       濱田 健一君    日野 市朗君       山崎  泉君    渡辺 嘉藏君       田中 秀征君    佐々木陸海君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 武村 正義君  出席政府委員         大蔵政務次官  萩山 教嚴君         大蔵大臣官房総         務審議官    竹島 一彦君         大蔵大臣官房参         事官      福田  誠君         大蔵省主計局次         長       伏屋 和彦君         大蔵省主税局長 小川  是君         大蔵省理財局長 田波 耕治君         大蔵省理財局た         ばこ塩事業審議         官       鈴木 康司君         大蔵省銀行局長 西村 吉正君  委員外出席者         建設大臣官房会         計課長     林  桂一君         参  考  人         (日本銀行理事         )       田村 達也君         大蔵委員会調査         室長      中川 浩扶君     ————————————— 委員の異動 二月十五日  辞任          補欠選任   永井 哲男君      山崎  泉君 同日  辞任          補欠選任   山崎  泉君      永井 哲男君     ————————————— 二月十日  平成年度における財政運営のための国債整理  基金に充てるべき資金の繰入れの特例等に関す  る法律案内閣提出第三号)  租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣  提出第八号)  国家公務員等共済組合法の一部を改正する法律  案(内閣提出第三三号)  関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正す  る法律案内閣提出第三四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  平成年度における財政運営のための国債整理  基金に充てるべき資金の繰入れの特例等に関す  る法律案内閣提出第三号)      ————◇—————
  2. 尾身幸次

    尾身委員長 これより会議を開きます。  内閣提出平成年度における財政運営のための国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例等に関する法律案議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。武村大蔵大臣。     —————————————  平成年度における財政運営のための国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例等に関する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 武村正義

    武村国務大臣 ただいま議題となりました平成年度における財政運営のための国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例等に関する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  平成年度予算の編成に当たりましては、一段と深刻さを増した財政事情のもと、財政体質の歯どめなき悪化につながりかねない特例公債発行を回避するため、従来にも増して徹底した歳出の洗い直しに取り組む一方、限られた財源の中で資金の重点的、効率的な配分に努め、質的な充実に配慮したところでございます。  本法律案は、こうした努力に加え、平成年度財政運営を適切に行うため、各種制度運営支障が生じない範囲特例的な措置として、平成年度において、国債費定率繰り入れ停止等会計間の繰り入れに関する措置等を講ずるものであります。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、毎年度国債の元金の償還に充てるため国債整理基金特別会計繰り入れるべき金額は、国債整理基金特別会計法第二条第二項に規定する前年度首国債総額の百分の一・六に相当する金額及び同法第二条ノ二第一項に規定する割引国債に係る発行価格差減額年割り額に相当する金額とされておりますが、平成年度におきましては、これらの規定は適用しないこととしております。  第二に、平成年度において、定率繰り入れ等停止に伴い国債整理基金運営支障が生じないようにするため、日本道路公団日本開発銀行等に対するNTT株式売却収入に係る無利子貸し付けについて、繰り上げ償還を行うことができることとするとともに、別途、貸付先に対して相当額貸し付けを行うこととしております。  第三に、平成年度決算上の不足に係る国債整理基金から決算調整資金への繰り入れ相当額につきましては、決算調整資金に関する法律規定により、平成年度までに一般会計から決算調整資金を通じて国債整理基金に繰り戻すこととされておりますが、この繰り戻しを平成年度まで延期することとしております。  第四に、交付税及び譲与税配付金特別会計における借入金のうち一般会計に帰属したもの並びに日本国有鉄道及び日本国有鉄道清算事業団の債務のうち一般会計において承継したもののうち、平成年度において償還すべき金額については、それぞれその資金運用部に対する償還を延期することができることとし、当該延期に係る金額につきましては、五年以内の据置期間を含め、十年以内に償還しなければならないこととしております。  第五に、平成年度における一般会計から厚生年金特別会計年金勘定への繰り入れのうち経過的国庫負担につきましては、その二分の一に相当する金額を下らない範囲内において予算で定める金額繰り入れるものとするとともに、後日、将来にわたる厚生年金保険事業財政の安定が損なわれることのないよう、繰入調整分及びその運用収入相当額合算額に達するまでの金額一般会計から繰り入れることとしております。  第六に、平成年度における一般会計から国民年金特別会計国民年金勘定への繰り入れについては、国民年金特別会計への国庫負担金の繰入れの平準化を図るための一般会計からする繰入れの特例に関する法律規定により繰入金額の算定において加算するものとされている金額はこれを加算しないものとするとともに、後日、将来にわたる国民年金事業財政の安定が損なわれることのないよう、加算しなかった金額に相当する額及びその運用収入相当額合算額に達するまでの金額一般会計から繰り入れることとしております。  第七に、平成年度における一般会計から労働保険特別会計雇用勘定への繰り入れについては、雇用保険法に定める額から三百億円を控除して繰り入れるものとするとともに、後日、雇用保険事業の適正な運用が確保されるよう、各年度当該勘定の収支の状況等を勘案して、繰入調整分及びその運用収入相当額合算額に達するまでの金額一般会計から繰り入れるものとしております。  第八に、平成年度において、外国為替資金特別会計から、外国為替資金特別会計法第十三条の規定による一般会計への繰り入れをするほか、三千五百億円を限り、一般会計繰り入れることができることとしております。  第九に、平成年度において、自動車損害賠償責任保険特別会計保険勘定及び保障勘定から三千百億円を限り、一般会計繰り入れることができることとするとともに、後日、繰入金相当額及びその運用収入相当額合算額に達するまでの金額一般会計から繰り入れるものとしております。  以上が、平成年度における財政運営のための国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例等に関する法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださるようお願い申し上げます。
  4. 尾身幸次

    尾身委員長 これにて趣旨説明は終わりました。
  5. 尾身幸次

    尾身委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として日本銀行理事田村達也君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 尾身幸次

    尾身委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。     —————————————
  7. 尾身幸次

    尾身委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北側一雄君。
  8. 北側一雄

    北側委員 新進党の北側一雄でございます。  大蔵大臣におかれましては、予算委員会に引き続きの質疑でございまして、大変お疲れかと存じますが、きょうはあと二時間半の質疑でございます。よろしくお願いしたいと思います。  本法案のような繰り入れ法案やりくり法案ですね、これは、ここ最近何年間か引き続き大きな額のやりくり法案が出ておるわけでございます。少しさかのぼってみますと、平成四年に約二兆円のやりくり処理をされておられますし、それから五年に約三兆円、そして六年度につきましては約五兆円のやりくり処理、そしてこの七年度予算案につきましては、本法案でございますけれども、約六兆円、合計六兆円のやりくり処理が行われているわけでございます。平成四年から四年連続、それも相当大きな金額処理でございます。  それで、このやりくり処理以外にも、地方交付税交付金繰り入れ減額なんかも数年前にはあったわけでございまして、こうした予算における会計間のやりくり処理をしなければいけない背景というのは、もちろんバブルが崩壊したということでございますけれども、やはり構造的な歳入欠陥、構造的な歳入歳出ギャップが今生じているというふうに、言わざるを得ないというふうに思います。  この構造的な歳入歳出ギャップの問題については、きょう時間がございましたら後でまたやらせていただきたいと思うのですけれども、本法案につきまして、本法案やりくり処理手法、これについてまず聞かせていただこうというふうに思っております。  昨年までのやりくり処理もかなり苦しい処理をされておるわけでございますが、この七年度やりくり処理については、私は、こういう会計間の処理として許容される範囲を少し逸脱する処理がなされているのではないかというふうに考えております。  以下、幾つかちょっと例を挙げて御質問をさせていただきたいと思うのですけれども、まず本法案で、決算調整資金への繰り入れ特例について定められております。これは私は、この繰り入れやりくり手法としては、ちょっとこれにさわるのはいかがなものだろうか、やはりやりくり手法として許容される範囲を逸脱している方法ではないかというふうに思うわけでございます。  これは、平成五年の決算時に五千億余り決算上の不足額が生じた。その際に、この決算調整資金の方も空っぽでございますから、国債整理基金から繰り入れて、そして決算調整資金から一般会計の方に組み入れたものでございます。これについては、法律上この平成年度に返済をしなければいけないわけでございます。  この規定というのは、決算上の不足を生じるということ自体が極めて異例なことでございまして、こうした災例な場合に対処するための特別措置としてこの決算調整資金法規定があるわけでございます。決算上の不足を生じるという異例な場合、その前に補正もやっているわけですから、それでも決算上の不足を生じるというのは極めて異例な場合、この極めて異例な場合に対処する特別措置としてこのような制度がある。それで、きちんと繰り入れた翌年度には返しなさいよという規定があるわけでございます。  そうした特別措置があるにもかかわらず、これをさらに延ばそうという法案でございまして、これはちょっと私はやり過ぎじゃないか、やりくりの許容される範囲としては逸脱するものではないかというふうに考えます。いかがでしょうか。
  9. 伏屋和彦

    伏屋政府委員 お答え申し上げます。  この決算調整資金制度は昭和五十二年度に創設されたものでございまして、今委員が御指摘のように、決算調整資金のそのときの現在高のみでは不足を補てんし切れない場合に備えまして、法律におきまして、当分の間の措置として国債整理基金から決算調整資金繰り入れを行うこととされておりまして、まさに五年度決算上の不足に係るものについてそうしたわけでございます。  この繰り入れを行った場合には、その繰り入れ相当額を、その日の属する年度の翌年度までに一般会計から資金を通じて国債整理基金に繰り戻さなければならないとされているわけで、委員が言われましたように、この規定に従いますと、五年度決算し上の不足に係る国債整理基金からの繰り入れ相当額につきましては、七年度におきましてこれを繰り戻すことが必要であるわけでございます。  ただ、今回、七年度予算におきまして、いわゆる財政体質の歯どめなき悪化につながりかねない特例公債発行を回避するためのぎりぎりの措置として、やむを得ずこの繰り戻しを八年度まで延期させていただきたいということでこの法案を出させていただきましたので、御理解いただきたいと思います。
  10. 北側一雄

    北側委員 こうした手法を使うのは初めてですよね。これを認めてしまったら、この後幾らでも法律で、今回のような法律をつくりまして決算不足事後処理を延ばすことができるという前例をつくったことになる法律なんですね。これはやはり財政のあり方からして極めて大きなまずい先例を残してしまうことになるのではないか、重要な歯どめをなくしてしまうことになるのではないかというふうに私は思っておるわけでございます。  この決算調整資金に関する法律の附則の第二条の第三項で、今おっしゃったように、繰り入れた日の属する年度の翌年度までに資金一般会計から繰り入れなければいけないという規定があるのですが、そのもう一つ前の二項にこんな規定があるのですよ。この二項に、「前項の繰入れについては、基金状況国債償還見込みその他の事情を勘案し、国債償還等基金運営支障を生じないようにしなければならない。」と、国債整理基金運営支障を生じないようにしなきゃいけないという大前提があるのですね。  本来これは国債整理基金に返すお金ですよね。ところが、また後でお話ししますけれども、この現在の国債整理基金特別会計状況は極めて厳しい状況にあるわけでございまして、そういう状況にあることを知りながらこの繰り入れ特例を認めるというのは、私はやはり行き過ぎであるというふうに言わざるを得ないと思います。これが第一点です。  二点目にお聞きしたいというか、やはり今回初めてやられていることなんですけれども、社会資本整備特別措置法による貸し付けに係る特例について、これも私は大きな問題があるなというふうに思うわけでございます。  NTT売却益がかつて生じた際に、それに基づいて公共事業公共投資をする、それは結構でございます。また、今回それの償還を予定よりも早く償還させる、これもわかります。問題は、日本開発銀行また日本道路公団等貸付先にこれは早く償還させるわけですから、今回の法案によって、今回の償還によって日本道路公団等借入先に特別な負担をかけないようにということで特別の措置をやっているわけですね。  この特別措置が、建設国債発行して、それを財源にして一般会計に入れて、産投特会を通して無利息で貸すということをしているわけですね。これは、確かに日本道路公団とか日本開発銀行等借入先の立場を考えればそれはそうなんでしょう。だけれども、建設国債財源にして、そして産投特会を通すにせよ、無利息貸し付けをするという前例をつくるわけでございまして、これもやりくり処理としては極めて逸脱をしているのではないかというふうに私は思うわけでございます。いかがですか。
  11. 伏屋和彦

    伏屋政府委員 お答え申し上げます。  今委員が言われましたように、このNTTの無利子貸付金の繰り上げ償還措置は、NTT株式の売り払い収入がいわゆる国民共通の資産であり、それは国民共通の負債に充てるべきとの考え方に従いまして、先ほど委員も言われましたように、国債償還に充てるべきものとしてそもそも位置づけられております関係で、現行の社会資本整備に係りますスキームは、この基本原則は維持しつつ、国債償還等、いわゆる先ほども御指摘がありました国債整理基金運営支障の生じない範囲内で今まで一部を活用して社会資本整備を図ることとしてきたわけでございます。  このような基本的な仕組みを踏まえますと、七年度予算におきまして定率繰り入れ等停止措置を講ずる一方で、先ほど指摘もありましたように国債整理基金運営支障を生じないようにするためには、このNTT株式売り払い収入国債整理基金に繰り戻すべきと考えられることを踏まえまして、特例公債発行を回避するためのぎりぎりの措置として講じたものでございます。  それで、言われましたように、建設公債がいわば財源となっているではないかということでございますが、一方で繰り上げ償還に際しまして、これは既に実施されている社会資本整備に係る事業支障が生じないようにするため、もちろん先ほどもありましたような、債務者である日本道路公団等の不利益にならないようにすることもあるわけでございますが、別途、実質的に同等の貸し付け措置を行うこととしているわけでございます。  他方で、この貸付金財政法第四条に言ういわゆる貸付金に該当するものでございます。したがって、確かにコストのあるお金ではございますが、その財源を賄うための公債建設公債となるという事情でございますので、何とぞその点は御理解いただきたいと思います。
  12. 北側一雄

    北側委員 大臣、こういう建設国債財源にして、これは利息のつく金なんですよね、これを財源にして結果として無利息貸し付けをしているわけなんですね。この手法を使うことが、やはり私はやりくり範囲を逸脱している一つの問題じゃないかと思うのです。  いかに苦しいかということが私はよくわかるのですけれども、もう一点、これも初めての例でございます。やりくり処理の今回初めて使っている手法なんですけれども、外国為替資金特別会計からの一般会計への繰り入れについて、今回三千五百億円繰り入れ一般会計にしておるわけなんですが、これもまたひどい話だなというふうに思うのです。  どういうことかといいますと、外為特会は、剰余金があったらその決算上の剰余金についてそれは一般会計に入れるという規定があるわけなんですね。既にそれは入れた上での話なわけですよ、これは。要するに、平成年度一般会計の方に剰余金が六千三灯億円、これは法律に基づいて入っているわけです。それとはまた別に、平成年度に、来年度です、平成年度外為特会に恐らく生じるであろう剰余金財源にして、その三千五百億円を先取りしているわけなんですね。これもまた、将来発生するかどうかわからない、厳しく言えば。わからないそういう見込み額、将来発生するかもしれない運用益を前倒しして、三千五百億円、一般会計に、平成年度で入れる、これも私はやりくり手法としてはもう逸脱している方法ではないのかというふうに思うわけでございます。  今私、三つ例を挙げさせていただいたのですけれども、決算調整資金への繰り入れ、これが五千六百六十三億円ですね、これを繰り入れを延期する。そして産投会計を通じて、建設国債発行して無利子日本道路公団等貸し付けをする。三点目が、こうした外為特会からの将来の剰余金見込み額一般会計平成年度繰り入れる。この三つはちょっとやり過ぎだなというふうに思うわけでございます。こうした前例を残したこと自体が、私は将来の財政にとって大きな禍根を残すのではないかというふうに思います。  国債整理基金特別会計でございますけれども、これ、平成年度末の残高幾らになりますでしょうか。
  13. 伏屋和彦

    伏屋政府委員 一兆六千億円と見込んでおります。
  14. 北側一雄

    北側委員 そうしたらもう一つ平成年度に予定されている国債償還額合計額幾ら予定されておりますか。
  15. 伏屋和彦

    伏屋政府委員 既にお出ししております資料での計算仮定計算でございますが、平成年度の要償還額は、これはまずグロスでございますが、二十八兆八千三百億円でございまして、そのうち倍換債によって借りかえる分が二十五兆六千七百億円。したがって、ネット償還は、三兆一千六百億円という計算になっております。
  16. 北側一雄

    北側委員 平成年度の米で基金残高が一兆六千億しかもうないのですね。一方、平成年度ネット償還しなければいけないのが今の御答弁で約三・二兆でございまして、約半分しか基金がもう残っておらぬという話になっているのですね。  この定率繰り入れ停止というのは、これは平成五年、六年、七年度、三年連続やっているわけなんですが、やっても救われたのは、NTT株売却収入による貸し付け償還が三年連続でできたから何とか基金運用できたわけでございます。  ところが、このNTT株売却益による貸し付けというのは、もうないのですよね。平成年度までにやったものについてはもうない、ゼロでございます。ということは、平成年度については定率繰り入れ停止ということは絶対これはもうできない、あり得ない。ちゃんと財政法原則に基づいて定率繰り入れをしていかないと、この国債整理基金特会自体はもうパンクをしてしまう、こういう状況にあるわけでございます。という認識でよろしいのでしょうか。
  17. 伏屋和彦

    伏屋政府委員 平成年度予算におきましては、特例公債発行を回避するためのぎりぎりの措置として、五年度、六年度に引き続きまして、特例的な措置ということで定率繰り入れ等停止措置を講じたところでございます。  そこで、委員指摘がありましたが、国債整理基金運営支障が生じないよう、いずれ回収して最終的には国債償還財源に充てることになっているNTT事業既往貸付金について、繰り上げ償還を行うこととしているところでございます。NTT事業の繰り上げ償還残高平成年度までのものを繰り上げ償還するわけでございますから、その意味ではそういうものは残っていないということでございます。
  18. 北側一雄

    北側委員 いずれにしましても、やりくり手法について、私は今年度法案については、今申し上げましたように、幾つか大きな問題点がある。そしてまた国債整理基金特会の今の状況というのは極めて厳しいものがある。そして、平成年度についてはこのような手法はもうとり得ないということを、そういうぐらい極めて日本のこの財政というものが厳しい状況にあるということであるわけなんですが、冒頭申し上げましたこうしたことをしなければいけない背景というのは、もちろんバブルの崩壊があった。一方で景気対策をしなければいけない、そうしたことはもちろんあるのですが、私は、やはり構造的な問題というのが日本のこの財政にあるのではないかと思うわけでございます。  歳入歳出の大きなギャップがこの数年間、大きな、十兆近い、十兆とまでいかなくとも兆単位のギャップが生じてしまっている。私、一番それをシンボリックにあらわしているのが例えば税収なんですが、税収が、バブルのときだったとはいえ平成二年には六十兆を超えていたのですね。それが六年度の、本年度の、この間成立しました一次補正だと五十兆余りまで税収が、これは見込みですけれども減ってしまっているわけですね。十兆近い税収がこの四年間で減額になっている。これはもう毎年、平成三年、四年、五年、六年とずっと税収が、二年連続決算不足しているのですけれども、四年連続対前年度減収はほぼ確定的だと思いますね。  税収平成二年をピークにしてずっと下がってきている。毎年減っでいっている。にもかかわらず、一方で、一般歳出金額を見ますと、毎年毎年これは伸びているのですね、一般歳出は。毎年三%なり四%なり五%なり一般歳出はふえてきている。一方で税収はずっと急落している。こういうことが今回のような無理なやりくり処理をしなければいけない大きな背景歳入歳出の大きなギャップがあるからこのような無理なやりくり処理をしなければいけないわけでございまして、私は、ここは本当に危機的な財政状況であるなど、本当にこの財政改革についてもう待ったなしである、まずは歳出の削減というものをしっかりとやっていかなければいけないというふうに思うわけでございます。  大臣、御所見をお伺いしたいと思います。
  19. 武村正義

    武村国務大臣 北側議員が我が国財政の置かれている状況を大変鋭く御認識をいただいて、警鐘を打っていただいているという気持ちで御意見を拝聴いたしました。  確かに、冒頭指摘された三点、決算不足の対応も、NTT利子貸し付け建設国債肩がわりの措置も、まあ三番目の為替資金特別会計の対応は、アメリカの金利その他の状況もあって、平成年度分まで見ているのはおかしいという御指摘ですがこれは今の状況からいえばほぼ間違いのない数字だと思っていますから、確かにことしの措置と言えばことしの措置ではありますが、こういう三点を御指摘をいただき、総括的には、健全な歳入歳出が対応していないという御指摘をいただきました。私もそこのところを痛感をしている次第であります。  いずれにしましても、税を大宗とする歳入、税外収入もあるわけですしある程度の建設国債も、財政審は五%という指標を出してくれておりますが、一般会計の五%というと大したことないのですが、そういう税収プラス税外収入、健全な税外取人、そして五%前後の建設国債という枠内で入りの方をトータルしますと、出の方はそれ以下に抑えるべし、税だけで言えば二十兆ぐらいのギャップをどう埋めるか、単純に言えばそういうことになってきますね。  なぜこうなったかということも率直に振り返り、反省をしなければいけませんし、大蔵大臣として嘆くわけではありませんが、本当に危機的な状況に立っていると言っても間違いではありません。私どもは、脆弱な財政体質とか尋常ならざる事態とかいろいろ申し上げておりますが、そういう最高の表現を使っても間違いでないぐらいに険しい苦しい状況にあります。  我々政治がどうかかわってきたかということを私も一議員として反省しますと、去年からことしにかけての国会論議でも、やはり災害も含めて出す方に対しては非常に関心があります。もっと見なきゃならない、もっといい条件で見なきゃいけない、こういう主張は非常に盛んでありますが、入りの方になってきますと、これは税が基本ですから、増税については消極的なトーンでしか聞こえません。このギャップでもあると思うのです。  何も地震対策で増税を主張しているわけではありませんが、我々はもう十年、二十年、三十年、そういう形で国家財政というものにかかわってきた結果がこうなったというとらえ方もできるし、しかしこうなった以上は、まさに日本財政に対する我々政治家一人一人の倫理観といいますか、これを早く健全な姿に戻していく、そのためにはどういう主張をするかということにかかってきているのではないかというふうに思い詰めて、私も強く感じております。
  20. 北側一雄

    北側委員 財政改革の問題については本当はもっと具体的にやりたいのですが、これはちょっと時間の関係で次の機会に固さしていただきたいと思うのですけれども、最後に一点、大蔵大臣にきょうはぜひこの答弁だけはいただきたいなと思っておるのですが、今お話も出ました震災の問題でございます。  大変な震災になりました。この復旧、復興の対策にもう最優先で予算措置はせざるを得ないわけでございます。来週ですか提出されると聞いております平成年度の二次補正、そして七年度予算、七年度の当初予算には災害対策は全然入っていないわけでございますが、将来の補正も含めて、七年度予算では震災対策の復旧、復興の予算措置を当然最優先でせざるを得ないわけでございます。  そこで、先ほどの流れで御質問をしたいのは、七年度予算、本来ならば私も組み替えをすべきだというふうに言いたいところなんですけれども、これが物理的、現実的に無理であるというならば、少なくとも、きょう大臣にぜひ御答弁いただきたいのは、七年度の当初予算というのは今回の震災対策の予算措置が全くされていないわけでございますから、七年度予算歳出については、仮に近い将来七年度予算が当初予算どおり成立をしたとしても、七年度予算に入っている歳出項目については見直さなければいけない。  一方では、先ほど来の厳しい財政状況がある。そして、なおかつ大変な震災が起こった。もう恐らく、十兆近いかどうかわかりませんけれども大変な金額財源が必要になる、予算措置が必要だ。こういう状況の中で、七年度予算に今入っている歳出項目についてはもう一遍見直す必要がある。見直す必要があるというのは、今すぐに必要でないものについてはある程度先延ばしをしていくような、削っていくようなそういう思い切った対応をしなければいけないんじゃないのかというふうに思うわけでございます。  私が心配していますのは、七年度予算が近い将来通った。通った途端に、これはもう既に成立したものだからこの分についてはもう絶対削減しないよというのが常でございまして、一たん決まったものを削っていくというのはなかなか大変なごとでございます。だけれども私は、まだ予算成立の前に、大蔵大臣非常に言いにくいかもしれませんけれども、七年度予算案に入っている歳出項目については、震災対策があるわけですから、削減の方向で見直すということをこれはぜひ御答弁をお願いしたい。
  21. 武村正義

    武村国務大臣 まず、阪神・淡路のこの大災害に対しましては、財政当局としましては全力を尽くして積極的に対応してまいります。ことしの補正もそうですし、来年度もそうであります。  ただ、来年度の当初予算を今審議をいただいているさなかでございます。それが通った後こうするああするという、修正をするかのごときことを大蔵大臣としてはちょっと申し上げにくい、そこは御理解いただきたいと思います。新年度におきましても、震災復興のための財源をめぐってはありとあらゆる努力をさせていただく決意であります。
  22. 尾身幸次

    尾身委員長 北側君に申し上げます。  質問時間を終了しておりますので、手短にお願いします。
  23. 北側一雄

    北側委員 この震災対策の財源といったら、結局簡単には三つしかないわけなんです。国債発行して借金するか、増税するか、もしくは歳出削減しかないわけなんです。この三つしかない。この三つの特に歳出削減についても検討課題である、この程度の御答弁はいただきたいと思います。
  24. 武村正義

    武村国務大臣 既存の予算保の切り詰めも含めて、ありとあらゆる努力を真剣にさせていただく決意でございます。
  25. 北側一雄

    北側委員 以上で終わります。
  26. 尾身幸次

    尾身委員長 次に、上田清司君。
  27. 上田清司

    ○上田(清)委員 新進党の上田清司でございます。  先日、所信表明を受けての大蔵委員会で、特に阪神大震災の緊急対策について質疑をさせていただきましたので、きょうは平成年度予算案等について一般的な議論から質疑をさせていただきたいと思います。  まず、武村大蔵大臣にお伺いしたいのですが、大臣は、細川内閣で官房長官として平成年度予算編成にかかわり、途中で閣外協力ということに相なったわけでございますが、自民党時代の平成年度でも結構でございますが、六年度の部分についてどのような変化があったか、どういうふうに評価をされたかをまず伺いたいと思います。
  28. 武村正義

    武村国務大臣 今年度平成年度予算編成は、直接編成の責任者ではありませんでした。もちろん内閣の一員としてかかわっておったわけでありますが、今回は大蔵大臣としてじかにこの責任を背負っているわけでありますが、むしろ共通点が非常に多いのかもしれませんね。  財政背景ないしは環境としては、藤井前大臣おられますが、昨年も景気がぐんぐん落ち込んでいく中で予算編成を迎えたわけであります。歳入状況は明るくありませんでした。景気回復ということが予算編成の基本でもありました。特に共通しておりますのは、五・五兆円の所得税・住民税減税を六年度予算で組んでいただいたわけでありますが、ほぼ同額を七年度予算も組んでおります。依然として公共投資については精いっぱい、一般歳出の伸び以上に力を入れようとしております。こういう点では共通したものがあります。  個々の政策になりますと、ことしはガット・ウルグアイ・ラウンドの六兆百億円が動き出しました。あるいは懸案のゴールドプランも、地方から上がってきたものを基本にして、その第一年度という取り上げ方をいたしております例に見られますように、違いはもちろん各所にあるわけでありまして、もう一度共通して言えば、両年度とも大変厳しい財政の中でやりくり算段、矛盾を感じながら、どうにか歳出歳入のつじつまを合わせて編成させていただいているということでありましょうか。
  29. 上田清司

    ○上田(清)委員 それでは、文字どおり村山内閣では担当大臣として、平成年度予算案の編成の責任者として当たられたわけですが、所信表明の中でも「風雪の中の寒梅」という大変情緒的な、文学的な表現の中で一種の感想を述べられたわけでございますが、平成年度予算案について担当大臣として自己評価をどんなふうになされるか、それと同時に、細川内閣のときの平成年度予算に比べてよくなったのか悪くなったのか、御答弁をいただきたいと思います。
  30. 武村正義

    武村国務大臣 私は、私自身も初めての予算編成でございますから、緊張して精いっぱい努力をして最善を尽くさせていただいたということに尽きます。  よくなったか悪くなったかというのは、わずか一年の違いでありますが、微妙に経済状況も変わってきておりますが、やはり私は、先ほど北側議員の御意見にありましたように、日本財政がどういう立場に置かれているかということをかなり意識しました。  非常に財政が脆弱になってきている、不健全な方向に来ていることをもう絶えず意識をしながら、むしろ歳出の削減、結果的にはそう大きな削減をしたわけではありませんけれども、閣議でもむしろ予算をふやすことよりも予算を削ることに力を入れてくださいとか、そういうことをあえて申し上げざるを得なかったわけでありますが、ことしよりも来年の大蔵大臣、再来年の大蔵大臣、私よりももっと厳しい姿勢で恐らく予算編成に臨まざるを得ないのじゃないか。それはもう避けられない事態だというふうに私は思っているところでございます。
  31. 上田清司

    ○上田(清)委員 あえて「風雪の中の寒梅」という一輪の花の趣に例えられたのは、どこかに自負するものがあったのじゃないでしょうか。その自負するものは何かなかったのでしょうか。
  32. 武村正義

    武村国務大臣 それは昨年度もそうでありましょうし、ことしもそういう厳しい中ではありますけれども、先ほど申し上げた。農業に対する対応はやはりしなければいけないとか、あるいはゴールドプランも幅広い国民の期待があるから、これもそれなりの整理をして芽を出さなければいけないとか、そういう各般にわたるさまざまな新しい事業、構造改革でいえば、やはり革新的な中小企業には少し応援していこう、あるいは既存の事業でも事業を変えていく努力をすることに対しては政府は激励をしていこう、こういうものを盛り込んだりしておりますように、それはもう随所に新しい政策の芽を出している。しかし、財政環境がもう非常に厳しい 厳冬のさなかで それなりの花がちらほら、寒さの中ではありますが咲くように期待しながら組ませていただいたという意味であります。
  33. 上田清司

    ○上田(清)委員 実は、ちょうど大臣は参議院の予算委員会の方に御出席をされておったのですが、衆議院の予算委員会の公聴会、二月八日ですが、日本総合研究所の宮脇淳先生の方からこのような御表現がありました。平成年度予算でございますが、膨張の種をのみ込んだ大きな政府への揺り戻し予算だ、こうした評価をされました。中身については実は私も、言葉はともかく、同じような感じを受けとめておりました。  確かに前年度比二兆九百四十六億減額、マイナス二・九%、減らしたよ、七十二兆から約七十兆になった。そういう部分がある意味では表に見えているわけでございますが、御承知のとおり地方交付税国債費を引いたいわゆる政策経費、一般歳出、この部分について逆にふえたじゃないか、これが実は歳出カットができなかった予算ではないかという指摘ではないかなと私は思いますし、私自身もそう思っております。  実は、過去の一般会計歳出等の伸び率について資料を要求させていただきましたけれども、昭和五十年代の後半のいわゆる財政再建の時期、一般歳出の伸び率を五十八年、五十九年、六十年、六十一年、六十二年と全部マイナスに持っていった経緯があります。その後、徐々に伸び率も伸びてまいりまして、そして実は細川内閣予算案、今年度平成年度予算においては、前年度三・一の伸び率を二・三に切り下げた。つまり、何らかの形で一般歳出の部分に関してカットをしてきた。この部分を私は正しく、細川内閣の、ある意味では、小さな政府大きな政府という言葉はともかく、歳出カットに切り込む姿勢をきっちり出したのですが、自社さきがけ政権によりますところの平成年度予算案については、文字どおり大きな政府の揺り戻し予算案になったのではないかというふうな批判を私はしたいと思っております。  この点について、大臣いかがでございますか。
  34. 武村正義

    武村国務大臣 それは余り、当たっているでしょうか。数字を見ればいろいろ解説はできます。確かに、おっしゃるようにことしの予算全体はマイナスでございました。しかし、私は、全体がマイナスだから緊縮の予算にしたとは申しません。片方はやはり、去年もそうですが、ことしも、何といっても健全な財政を組んだかというと、これは細めてないのです、去年もことしも。なぜかというと、景気対策にやはり非常に重点を置かざるを得なかった。これだけ借金をためて税収がごんごん落ち込んでいるときに、五・五兆円の減税をやらしてもらっているわけですね。去年もことしも、公共事業は五%、初めからシーリングでふやします、こういう大胆な姿勢を出しているわけです。これは出さざるを得なかった。それをしてでも、何としても日本の経済を浮揚させていこう、これが大目標でありましたから、結果的には去年もことしも、そういう意味では借金財政の上へまた借金をどんと積むような、そういう予算編成をしているわけであります。それは率直に認めざるを得ません。その中のいろいろな数字の問題で、あれこれ、細川内閣のときの方がよかったとか今は悪いとか、そんな議論はいかがでございましょうか。  例えば、ことしは一般歳出は確かに三・一%増です。去年の藤井さんの組まれた予算は二・三%です。ですから、この一般歳出で見るとことしの方がふやしている、だから揺り戻しであり、やや放漫だ、大きい政府だということでしょうが、例えば、この三・一から、ことしは参議院選挙とか国勢調査とか政党助成とか、こういうものが、目をつむってぼんぼんぼんと組まなきゃならない、一般財源を要する項目が三つ四つございます。これがかなり微妙に率を変えておりまして、もしこれを除けばことしは〇・九%の増であります。  分析すればいろいろな分析ができますから、一概に、そういう点では、大きい政府の方向にまた転換したというとり方は、いかがでしょうか。むしろ、依然として去年もことしも大きい政府のままである。ケインズのいわばフィスカルポリシーというのでしょうか、景気に財政手段を活用していくというこの基本を踏まえて、金のあるなしにかかわらず予算編成をさせていただいているというところは、健全な財政という視点だけで厳しく見詰めるならば、決して財政を健全化することができなかった年だというふうにも反省しなければいけないと思っております。
  35. 上田清司

    ○上田(清)委員 議論のかみ合わない部分はさておきまして、数字でそこそこ物事が出てくるということも一つの評価だということを御認識いただきたいと思います。  続きまして、それで、政府の審議会の中に大変きまざまな、何らかの形で諮問をする機関がございます。財政制度審議会、いわば最も権威のある諮問委員会でございますが、こちらの方から十二月十六日に、「歳出の削減合理化の方策に関する報告」、同じ「平成年度予算の編成に関する建議」、こうした政府の予算編成あるいは歳出合理化についての一つ提案がなされておりますが、こうした部分にどんな形で予算の中で生かされてきているのか、あるいは何が生かされたのか。  具体的な一例でもあれば、どなたでも結構でございます、御報告を賜りたいと思いますし、また、十二月十六日ごろ財政審議会から出てきて、実際予算編成に間に合うのか。なぜそういう仕組みになっているのだ、もう事実上決まったようなときに、こうしたらどうだああしたらどうだという議論が出てくる、報告書が出てくるということ不体もうナンセンスじゃないか、そういう運営の仕方をやっている大蔵省の皆さんも事務局として問題じゃないかということをあわせて私は申し上げたい。  この点については、大蔵大臣にお伺いしたいと思います。
  36. 武村正義

    武村国務大臣 内容的には、まず何よりも記憶しておりますのは、新年度も赤字国債はだめだ、いわゆる特例公債は回避すべきであるという建議をいただいたのを覚えております、もうその他たくさんございますが。  時期はやはり、なぜ予算の最終段階だというのはごもっともだと思って伺いました。しかし、予算のど真ん中だから有効だ、非常に提言が生きるという面もあるのかもしれませんね。それはそれで建議をいただきながら、年間通じて、もっと違う時期にも、こういうふうに財政体質悪化してきておりますから、財政審議会から全体についての基本的な建議をいただくことがあるいは必要になってきているというふうに申し上げていいのかもしれません。
  37. 上田清司

    ○上田(清)委員 何でも理屈は立つものだなというふうに思います。  それで、また同じように「公共工事の建設費の縮減に関する行動計画」、これは建設省でございます、積算評価委員会の報告でございますが、この中で、労務、資材、機械損料の日米欧の比較をしながら、こういう比較の中で、どうも日本の公共工事は高いのじゃないか。とりわけ十カ年に及ぶ六百三十兆という多額の公共事業が計画されているわけですが、もしこの指摘に従うような、三割カットされる、このことがきっちりできていけば相当歳出カット、あるいはまた、そうした費用を緊急かつ必要な予算の方に振り向くことも可能だと思いますし、こうしたものが平成年度予算の中で本当に生かされる努力をしたのかどうか。  それからこれからも、まさにこれは出しっ放しの報告になっていくのではないかというような懸念を持っておりますから、本当にこれをしっかり入れるべく努力をされているのかどうか。これは建設省ですよというお話も、それはそれでいいのかもしれません、返事としては。だから関係ないという話もいいかもしれませんが、歳出カットや健全な財政を、深刻に受けとめているという大蔵省の皆さん方からすれば、こうしたものに思い切って切り込んでいく、十分建設省とも打ち合わせしながらやっていくという姿勢がなければまずいのではないかというふうに私は思っております。  あるいはこれは事前にちょっと言わなかったのかもしれませんが、思いつきで出てきて恐縮ですけれども、どなたでも結構です。
  38. 武村正義

    武村国務大臣 これも予算委員会でも議論が出ておりますが、大変大事な今後のテーマだと思っております。  昨年はああして行動計画が決まりまして、一般競争入札そのものもあれを起点にしてもっと拡大をしていく必要がありますし、公共工事の発注をめぐってはいろいろな提言もあるようでございます。今大蔵省の立場でどうこう申し上げませんが、ぜひ合理化を図りながら、少しでも公共工事のコストが上がるようにしていかなければいけないし、そのことに財政当局としても関心を持たせていただきたいというふうに思っております。
  39. 上田清司

    ○上田(清)委員 ありがとうございます。関係省庁とも連絡をとりながら、この問題についてはぜひ政府全体の問題として取り組んでいただきたいというふうに思います。  続きまして、実は、先ほどから同僚の北側委員からのお話もございました。近年、歳入歳出のバランスが非常に悪くなっている。ピーク時から比べると、十兆からのお金が入らなくなっているという話ですが、実は政府の、政府というか経済企画庁を中心とする経済成長率の設定についての重大な欠陥があるのではないかということを私は指摘したいと思います。  御承知のとおり、平成元年から三年くらいまでは見通しと実績がほぼ類似しておりますが、平成 四年から見通しか三・五、実績〇・六、五年には三・三がマイナス〇・四、そして平成年度、二・四が、まだ結論が出たわけではありませんが、最近何か一・七だというような数字を時々かいま聞くような気がいたします。平成年度が二・八の見通しをつけております。  この経済見通しの数字が、ともかく不景気だから、景気がよくないからということで、民間のインセンティブを高めようというような意欲を持って高目に設定されているのではないかと思いますが、こう何年も連続して大幅な見積もり違いが出てきますと、歳入の欠損のみならず、民間の、いわば企業意欲というのでしょうか、そうしたものを逆に損なってしまう。政府の見通しは信用できない、むしろじっと見守るしかないという、逆な形になってきているのではないかなというふうに私は思いますので、こうした部分について、財政当局はこの見積もりによって収入の見通しを立てているわけですから、財政の均衡を立てているわけですから、当然ここで、重大な欠損をずっとこの三年間やってきたということも含めて、経済企画庁あるいは政府全体としてこの問題についてきちっとした論議をして、この数字の実績と見通しの違いを、まあ人間がやることですからいろいろなことがありますけれども、しかし、三年も連続、こうした決定的な差が出てくるというのは、何か評価について重大な欠点があるのではないかと思いますが、大臣の御所見はいかがでございますか。
  40. 竹島一彦

    ○竹島政府委員 政府の経済見通しにつきましては、委員御案内のとおり、予算作成時点と大体機を一にいたしまして、政府部内で、その時点で偶られるデータ、それからさらに政府として経済運営にどういうふうに臨んでいくかということも踏まえまして、関係省庁で議論をして見通しをつくらせていただいているというわけなのですが、残念ながら、御指摘のように、四年度以降、実績との間で乖離が見られるということは事実でございます。  この点につきましては、大きな理由としましては、やはりバブル崩壊の影響についての見きわめ方が大変難しかったということがございますし、さらには、円高が急速に進んだということもございます。それから、平成年度の場合は、冷夏、長雨という、そういう事情もございました。いろいろございますけれども、このところ激しい経済の動きというものがございまして、バブルのときも逆なぶれ方をいたしておりますけれども、四年度以降はそのような経過をたどっております。  いずれにしましても、これからもいろいろ手法等は引き続き勉強させていただきまして努力いたしますけれども、何分、日本経済は、民間経済が主体でございますし、為替のように大変変動しやすいものというものもございまして、それがまた大きな影響を及ぼすということもございますので、この間の事情についてはよろしく御理解をいただければと存じます。     〔委員長退席、村上委員長代理着席〕
  41. 上田清司

    ○上田(清)委員 決して高目の設定をしているというわけじゃないということの理解でよろしいのでしょうか。
  42. 竹島一彦

    ○竹島政府委員 経済見通しと税収のことでございますが、税収は経済見通しと無関係ではございませんけれども、本予算における税収見積もりにつきましては、その時点での税収の実績、それからいろんなヒアリングをやっておりまして、各税目ごとに個別に積み上げて全体の税収見積もりをつくっておるということでございまして、見通し、経済成長率が二・八だから税収はどうだと、そういう単純な作業ではないわけでございます。したがいまして、御質問の、税収を維持するために経済見通しをどうこうするということは全くございません。
  43. 上田清司

    ○上田(清)委員 ありがとうございました。  本番の、いわゆる繰り入れ特例法について御質問をさせてもらいます。  既に北側委員の方から細かく質問がございました。とにかくやりくりをして何とかつじつま合わせをしているというのがこのいわゆる繰り入れ特例法でございますが、実は一昨日、詐欺事件を専門とする弁護士のお話を聞く機会がありまして、何か私ぴんとくるものがありまして、聞いたのですね。すると、こんなことを言われました。詐欺師の手口は、問題を複雑にしてわけのわからぬようにし、もっともらしい体裁をとることが上手だということだと。ぴんときましたので、私、実はたまたま書類箱を持っておりまして、この図表をお見せしました。五分ぐらいその弁護士の方がにらめっこしていましたら、これは詐欺師の手口と同じだと言われました。  残念ながら、大変なやりくりをされている大蔵当局の皆様方の御苦労も、詐欺事件を専門とされておられる弁護士に言わせれば詐欺の手口だと、こんなことを、言われまして、私も昨年、この法案に、若干違うわけですが、賛成した者の一人として、なかなかつらいな、こんな感じを持っております。  出すものを出さず、とってはならぬものをとって、締めて五兆九千億、六兆近いやりくりをせざるを得ない。大変なものがございますが、何か、母体母体、場合によっては手品のネタが出てくるのかな。またほかに、私どもはある意味ではわからない部分があるのですが、まだまだ、もしやりくりができないと、この辺から借りできますよ、この辺を停止しますよというようなネタというのは、大変意地悪な質問で恐縮ですが、伏屋次長、あるのでしょうか。
  44. 伏屋和彦

    伏屋政府委員 今回御提出申し上げております繰り入れ特例法案が非常に複雑であるという御指摘でございます。  確かにこれは、国の会計間の処理特例措置ということでございますので、なかなかそういう面ではそういう御指摘もあろうかと思いますが、しかしながら、こうした特例措置に関しましては、昨年度もそうでございましたが、これまでも国会における審議等を通じまして、それぞれの措置について御説明を行ってきたところでございます。さらに、従来から、これと関連いたしまして、いわゆる「今後処理を要する措置」という資料の形でも整理いたしまして、国会に提出させていただいているところでございます。  来年度以降のことについて、現段階では何とも申し上げられないわけでございます。その点は御理解いただきたいわけでございますが、こういう厳しい、まさにいろいろな特例的な措置を講じなければならない財政事情ということで、今後とも歳出歳入面、あらゆる努力を傾注して財政改革をますます努力していかなければならない状況であると思います。
  45. 上田清司

    ○上田(清)委員 ここにおられます大蔵委員会のすべてのメンバーの方々もそうですし、そして大蔵省のいわば主たるメンバーでおられますところの皆さんもそうだと思います。大変財政の現実について厳しい——昭和五十年当時、一般歳出が七四・四、今日五五・九%。大変使うお金も制限をされつつあります。国債費も、昭和五十年当時は四・九%だったのですが、平成年度では一九・六%と、利払いだけで一般会計の中にもう既に十一・六兆という、いわばもう支出の二番目に位置するぐらい、利払いだけで終わっているという大変残念な仕組みになってきております。  以前にもお話をさせていただきましたけれども、インフレでけっ飛ばすか、増税するか、歳出カットか、この二つしかない。先ほど北側委員が言いまし々断固歳出カットをするという決意のほどもいただきたいという最後の質問であったわけですが、何とか、行政改革あるいは財政改革をしながら、そして増税を避けながら、いい意味での財政の仕組みをつくっていくということをみんな考えているわけでありますから、こうした点について本気でやらなくてはいけないんじゃないか、そんなことを私は思っておりますが、こうした状況について大臣は一体どんな展望を持っておられるのか、この財政の現実について。そして、これを何とか健全な財政にするには一体どうすればいいのかという展望について、改めて伺いたいと思います。
  46. 武村正義

    武村国務大臣 先ほどお尋ねのように、来年以降どうするんだという御指摘もございましたが、本当にもう知恵がだんだんなくなってきている、率直にそう申し上げていいのかもしれませんね。  これは、全部こうしてオープンにしまして、多くは法律もちゃんと用意をさせていただいて、国会の承認をいただいてやっていることでございますから、いわゆるたんすの引き出しから出してくるとか布団の間へ隠しておくとか、そういうものじゃないわけで、堂々と公的に、オープンにして、やりくり算段の措置をとらせていただいているということでありますが、それにしましても、すべがだんだん制約されてきていることは、これは率直に申し上げなければなりません。大蔵省のことだからエンドレスに、まあなければないでいろいろな知恵をまた出すんだろう、知恵は無限にあるんだろうというふうに言う人もありますが、それはとんでもありません。  それで、特例措置は、そういう中でも私は公債発行するよりはこっちの方がまじめだというふうに思っております。会計間のやりくりが基本でありますし、一年限りというものもありますし、国家財政の中での話でございます。公債というのは、国民の皆さんに国債を買っていただきますから、六十年償還が基本ですから、一遍発行したら長い長い期間をかけて返しますから、非常に安易に流されるといいますか、そういうことに比べれば、こっちは非常に、みずからを縛りつけたやりくり算段措置だという意味では、手法に限界もございますし同時にある意味ではまじめさがあるというふうに思っているわけであります。  しかし、これはない方が本当はいいわけで、健全な財政にするにはどうしたらいいのか。そこに、私どもだけでなしに国会全体が、与野党を超えて真剣に目を向けていかなければならないときに来ているというふうに思っております。  率直に言って、歳出をやはりまず切り詰めることが必要であります。一般論で言いますと、むだを切り詰める、これはもう当然です。不急不要なものがあれば切り詰める、これも当然です。しかし、それほどもう不急不要はありません。不急不要な予算を組んでいるはずはないわけですし、そんな大した額は見つけられません。みんな有用なんです。有用で急ぐんです。そういうものを一年間精査をして組ませてもらっているわけで、国民の皆さんから見ればどれを削ってもらっても困るというものをどう削るかという次元になってきますと、我々政治家としても大変つらい立場に置かれます。  言ってみれば優先順位。これも必要、これも必要、これも必要。しかし、必要の度合いといいますか、プライオリティーの度合いに応じて、これを削ったらたくさんの人ががっかりするし怒るだろうな、しかしこっちの方がはるかに国民の声は大きい、じゃ、これはこの際削るか半分にするかしてこっちの方をふやそう、こういう選択を我々政治家がしなければいけないところへ来たのではないかというふうに思います。  口で申し上げますとこういうことですが、現実はしかし、削るとか、いささかも国民の皆さんの利害があって強い期待を持っておられる予算をなくする、減らすということは容易なことではないわけで、しかしそういう容易なことでない努力をいよいよしなければならない。そうしなければ財政のつじつまが合わないところへ来たというふうに思っておるわけです。
  47. 上田清司

    ○上田(清)委員 明確な展望はよく聞こえませんでしたが、アメリカのクリントン大統領の一般教書、一月二十四日に出されたものの文章の中に、小さな政府をつくるために二年間で二千五百億ドルを上回る支出を削減した。円換算にして二十五兆円にしていいのかどうかというのはちょっとわかりません、差し引きもありますので。純減がどのくらいかというのも私は調べておりません。ただ、二年間で十万人の職員の削減、そして五年間で一二%、二十五万人の削減計画を発表しております。それに輪をかけて、共和党のアメリカの契約においてはそれ以上の中身をやっております。  それに比べるとどうも、鳴り物入りの特殊法人改革についても、いい答えが出なかったような感を私は受けております。とりわけ、私は昨年の十月二十五日の大蔵委員会で、旧連立の行革メンバーの中からいろいろな形で出てきたものの中で、さきがけが先駆けて大変すばらしい特殊法人改革の案を出されて、私はそれをむしろ御紹介しながら、ぜひさきがけ党首としての大蔵大臣に頑張っていただきたい、そういうお話をいたしました。  特殊法人民営化による株式売却収入見通し十六兆円、特殊法人改革の財政効果として毎年一兆七千億やっていく、あるいは政府支出の貸付金、出資金、補助金で四兆二千八百億使っている、こうしたもの等にどんどん切り込むんだという、そうした案がございました。なおかつ、日本新党との協議の中で自民政権には加わらない、立党宣言の中でも既成の政治には入らない、自社さきがけ三党の政策協定の中にも行革を明々白々に掲げられ、そしてなおかつ、こういう御答弁もいただきました。「口幅っとうございますが、春三月までをじっとにらんでいてください。我々はそこできちっとそれなりの評価をいただける結果をどんなことがあっても示してまいります」、こういう御答弁もいただいております。大変期待するものもございました。  本会議では、なかなかできないことをやりましたよというような、割と開き直ったような表現をされたような感じがいたしますが、十月二十五日の大蔵委員会の答弁等も思い出していただきながら、今回の特殊法人改革について、そして歳出カットが必要だという、そうした大きな意味も含めて、改めて今回の特殊法人改革についての大臣の御所見をいただきたいと思います。
  48. 武村正義

    武村国務大臣 本会議では、要約いたしますと、今回の特殊法人の改革はかなりのものだと評価をいたします、しかし率直に言って十分だとは思いません、今後さらに不断の努力が必要だし、特に政府系金融機関については一定の目標を持って取り組んでいきます、こう申し上げたわけで、その答えに変わりはありません。  これでもう十分です、私たちはそんな気持ちを持っているわけではありません。しかし、実感いたしましたのは、一つ一つの特殊法人を大胆に改革することがいかに難しいかということです。屋山太郎さんでしたか、ある新聞に書いておられて、今の政権でたとえ一つでも二つでも特殊法人をつぶしたら立派なものだ、それすらできないだろう、こう断定的におっしゃっていました。そういう厳しさを知っておられる方から見ますと、今回は十四法人を統合し、五つの法人を廃止ないしは民営化することになったわけですから、まあそれはかなりの評価と、どちらかというと比較的小さい方に偏っているかもしれません、それでもかなりのものだというふうに自己評価もいたしますし、上田議員もそれなりの評価はしていただきたい。しかし、全部で八十あったのですね、八十。JRなんかを除きますと。そのうちで十二ぐらいなくなるわけですが、まだ五十幾つか残ります。この中に金融機関も入っているわけで、残ったものに今後どう取り組んでいくか。  今回の改革は、たとえ統廃合にはなっていなくても、すべて例外なく改革の方針を出しています。そこもごらんいただきたいし、もう少し大胆な改革も、金融機関を中心にさらに努力をしていきますという方針でありますので、これをむしろ第一歩にしながら、これはまだまだこれからも努力を続けなければいけないというふうに思っています。  十月十何日に内閣が決めて、年度内という方針でありましたが、結果的には二月十日という、どんどん前倒しにしまして、四カ月でこの内閣が、地震等に追われながらもこれだけの成果を上げているということは、それなりの御評価は賜りたいし、むしろ激励してもっと頑張ってやれというふうにぜひおっしゃっていただけるとありがたいと思っております。
  49. 上田清司

    ○上田(清)委員 どうも反省と自己批判に欠けておられるような感じがいたします。  大臣日本輸出入銀行と日本開発銀行の統合に反対されました。統合することが必ずしもいいことだと私は思っておりません。むしろ民営化の方向がいいんじゃないかなというふうに考えている者の一人なんですが、この統合の反対の理由というのは一体どういう理由だったのでしょうか。一応念のために。
  50. 武村正義

    武村国務大臣 政府・与党は、政策金融につきましてはいろいろ最終段階で、党とか大臣の中で意見の違いがございました。しかし、二月十一日の未明の方針としましては、もう一度仕切り直そうということになりましたので、あのときの議論をあえて繰り返したくありません。私は、もう一度真っ白な気持ちで、政府・与党挙げて政府系金融機関の見直しについては再発力を始めさせていただきたいというふうに思っております。
  51. 上田清司

    ○上田(清)委員 大臣は、国民金融公庫と中小企業金融公庫と環境衛生金融公庫との三金融公庫の統合を主張されたというふうに聞いております。そしてまた、この問題について、十二日の日曜日のどこかの、福島県ですかの記者会見で、白紙撤回だというようなお話も聞いているのですが、この辺について、白紙撤回ではないのですか。  では、ちょっとこのあたりの考え方の、あるいは変化があれば、またこの統合の意味も、どのように考えられたか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  52. 武村正義

    武村国務大臣 十一日に大蔵大臣としての意見を政府・与党の中で申し上げたわけであります。  第一点は、大蔵省は三つの金融機関と塩の専売を持っておりまして、全部で四つなんですが、その中でまず塩の専売は今回民営化で断行します、これが第一点。  第二点は、今御指摘のような政府系金融機関の統合についての提案でありました。私のその日の提案は、比較的類似の機関、非常に類似の機関について矛盾がないものは統合をしてはどうだろう、こういう前提で、開銀と北東公庫とか今おっしゃった三つの公庫とかいう具体的提案をいたしました。  しかし、これとても政府の金融機関全体に目が行っておりませんし、金融機関は財投の絡みもございますから、やはり大変幅の広い、根の深い問題であることを考えますと、四カ月間、総理の私的諮問機関を置いて、専門家も加えて真剣に公的金融のあり方の議論をしていただいて、その集約の上で政府の改革の方針を決めましょう、この三点を申し上げたところであります。  翌日、もう一度仕切り直しになりましたので、白紙撤回しゃなしに、政府・与党は白紙でもう一度ここから議論し直しましょう、こういうふうに私は理解しています、こう申し上げたので、私の前日出した案を撤回したという意味ではありませし、これに固執はいたしませんけれども、そのことも含めて真剣にこの問題に対応をしていきたいというふうに思っております。
  53. 上田清司

    ○上田(清)委員 この議論はまだ評価がいろいろ分かれるところですので、政府関係金融機関の統合、民営化、もろもろ、金融市場の活性化という中身の中で少し議論をさせていただきたいと思っております。  昨年十月に金利の自由化が実現したわけですが、最近ずっとそうですが、郵貯のレベルで、官業は民業の補完である、そうした提言書も数年前から出て、とにかくもっと官というものは民を補完する立場で頑張れというような、そうした識者の声があるにもかかわらず、金融市場においては圧倒的に官の部分、公の部分が強くなってきているという現実がああることについて少し指摘せざるを得ません。  先ほどお名前が出ました屋山太郎先生が、二月一八日の予算委員会の公聴会で公述人としてこんなことを言われました。銀行百五十行のうち、三人に一人は大蔵、日銀の会長、頭取、他に百五十七人の役員が天下っている。この結果、競争を避け、リスクを避ける体質ができている。ベンチャー企業への投資が不備だ。事実、店頭新規公開は、十年でアメリカは六千三百七十七社出ている、日本は四百四十三社だと。  もちろんこれは証拠ではありません。しかし、私は一種の状況証拠につながる、もしくは補強証拠につながる。最近の民の元気のなさというのもこういう部分に起因しているのではないかというふうに考えております。何らかの形でこれを是正する方向を考えるべきだ。そういう意味において、私は、先ほどの特殊法人の中で出てきた部分について民営化の方向とかをきっちり出していく、こういう考え方からスタートした方がもっと、単に数字をつくる、形をつくるのではなくて、日本経済全体を活性化させる、そういう観点から見直すことの方が大事ではないかというふうに考えております。  ちなみに、金融関係全体の数字でございますが、公的金融のシェアが年々拡大している。昭和三十年、公的金融のシェアは一三・六%だったのですが、昭和五十年には二〇%、平成五年には四三・二%と、多分この傾向はそのまま平成六年、平成七年という形で受け継がれるのではないかと思います。郵貯の肥大化に至ってはもう御承知のとおりであります。国内預貯金残高が、昭和五十五年には一一・三だったのが平成五年には二三・六、個人の預貯金は一八・四が三二・六と、大変膨大な資金を官の部分で集め、あるいは運営している。このことが金融市場の活性化に何らかの形で悪影響を与えているというふうに、私は状況証拠として申し上げたい。  これについて大臣の御所見はいかがなものか、お伺いしたいと思います。     〔村上委員長代理退席、委員長着席〕
  54. 西村吉正

    ○西村政府委員 私ども、最近、特にこの十年間、金融の自由化という問題につきましては年々努力を重ねてまいったと考えておりますが、その中で、先ほど指摘の昨年十月の金利の自前化を、九年間の歳月をかけて着実に進めていったというのは一つの証拠であろうかと存じます。  なお、先ほど民間金融機関と政府系の金融機関の、恐らくシェアの問題を論じられたのだと存じますけれども、いろいろな数字のとり方があろうかと思います。私の手元の数字では、昭和五十年度末が政府系が一〇・五%、平成年度末が一一・八%と、若干上がっているということは事実でございますが、これは中期的には住宅金融の充実によるというものでございます。  また、ごく最近で申しますと、先ほど申しました平成年度末の一一・八%から平成年度末が一三・九%と少し上がっておりますが、これはバブル経済の崩壊後の企業の資金需要の低迷を背景に民間金融機関の貸し出しの方の伸びがむしろ低下したという一方におきまして、政策金融は累次の経済対策において積極的な役割を果たした。こういうような若干特殊な事情背景にあったのではなかろうかと存じております。
  55. 上田清司

    ○上田(清)委員 郵貯との絡みについてはどういう御見解でございますか。
  56. 西村吉正

    ○西村政府委員 郵便貯金と民間の預金の関係というのも、これは私ども銀行行政、金融行政にとって最近非常に大きな課題になっておりまして、特に国の信用というものを背景にいたします郵便貯金の金利等の条件がむしろ民間よりも高いということについて、いろいろな議論が民間の金融界の中にございます。  私どもは、先ほど委員指摘がございましたように、官業は民業の補完に徹して仕事をしていただくというような考え方で郵便貯金もやっていっておられるのではないか、そういう理解をしております。
  57. 上田清司

    ○上田(清)委員 結論を聞きたいのですね。現況がいいのか悪いのか。郵便貯金のシェアがどんどん拡大している、このことについて基本的にいいことだと思っておられるのか。補完をされていると。補完しているのでしょう。補完が過ぎるという批判があるのです。私もそんなふうに思っておりますので、この点についての評価をお聞きしたいのです。
  58. 西村吉正

    ○西村政府委員 これはなかなか難しい御質問でございまして、私の立場としては、現在の官業が民業を補完するという考え方で郵便貯金も仕事をして、遂行しておられる、そういう中で一定の調和の中にあるのではないかと思いますけれども、これからも官民のトータルバランスということを考えながら、適正な、適切な業務運営をしていただくように私どもとしても希望しておるところでございます。
  59. 上田清司

    ○上田(清)委員 西村銀行局長の立場ではそういう回答も可能かもしれませんが、政治家は白黒をつけなくてはいけないときがございます。  大臣、この問題について特に、特にというよりもむしろ一つの評価というものを私は聞いてみたいのですが、お答えできますか。
  60. 武村正義

    武村国務大臣 基本的な説明は局長の申し上げたとおりでありますが、金融の世界全体で指標を見ております限り、昨今郵貯のウエートがやや強くなってきているということは率直に認識をいたしているところであります。そういう状況の中で、民間金融も含めた全体の金融のあり方という視点に立ってこの問題も見詰めていかなければいけないと思っている次第であります。
  61. 上田清司

    ○上田(清)委員 必ずしも希望する回答ではありませんでしたが、これ以上の議論がないというふうに見まして、最後になりますが、私は、かねてから国家公務員の、とりわけいわば幹部の皆様方の日ごろの仕事の御精進、御努力に敬意を表しております。特に何々省という本体、それから特殊法人も公団公社の本体。しかしながら、どうもかつての国鉄と同じように、それに関連するグループはぶら下がっている、こんなふうに思っている者の一人であります。いわゆる特殊法人の出資や、あるいはそうした特殊法人の最高幹部の方が天下って要職についておられますいわゆる公益法人、こうした部分が大変大きくなってきているのではないか。確かに、一九八〇年ぐらいから特殊法人のいわば役員、職員の数なんかはほとんどふえておりませんが、関連する公益法人のそうした数というものは年々ふえております。  先般、増税をする前にの取材班という朝日新聞の取材班がありました。増税をする前に少し見直したらという、そういう思いを込めた取材班なんでしょうか。そちらの調査によって、ほとんどがインタビュー調査です、なかなか答えなかったところもたくさんあるらしいのですが、四十四法人のファミリー企業、社団、財団、二百九十一社、百四十五団体で六万六千人の常勤の役員と職員がいらっしゃる、こういう実態がたくさん出てきております。  以前にも御指摘させていただきましたけれども、事業規模八百億近い建設省の道路施設協会、百億の人件費で九百人しか職員がいない、どう考えても取り過ぎではないかとか、こうしたところにメスがなかなか入れられないような実態がありますし、いわんや特殊法人とは関係のない全国の各省庁の所管するところの公益法人の数に至っては、もう伏魔殿に匹敵するぐらい、膨大な分厚い資料が必要になってまいります。  ベストファイブだけ見ます。大蔵省、公益法人数七百五十六、理事総数三万四千二百二十一、職員数七千九百二十四、何かやたらと理事の総数、役員が多いみたいです。文部省、公益法人千七百三十二、理事総数二万四千九百六十一、職員数二万五千五百九、職員と理事が同じです。厚生省、法人数が五百五十六、理事総数一万百十、職員数三万百六十四。通産省、公益法人数が八百九十五、理事総数二万三千二百八十八、職員数三万七千百四十八。運輸省、八百二十七、理事総数一万九千五百五十八、職員数四万二千四百四十一。これは総理府で出していただきました平成年度の公益法人の概要調査、十月一日現在による数字でございます。ベストファイブだけを申し上げました。  これが意義あるかどうかということについての検証はほとんどこちらではできません。もちろん所管の役所でもなかなかできないのかもしれません。しかしこうしたものが何らかの形で、あるいは悪く言うと隠れ公務員というような形の中で、長年にわたって公務員の定数削減を御努力されたその結果をふいにしてしまうような、そういう部分もあるのではないかということを強く御指摘申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  62. 尾身幸次

    尾身委員長 次に、竹内譲君。
  63. 竹内譲

    ○竹内(譲)委員 新進党の竹内譲でございます。  先ほど北側議員及び上田議員の方から、繰り入れ特例法並びに予算全体についていろいろ鋭い御指摘がございました。私の方もいろいろあるわけですが、重複する部分はあえて避けまして、繰り入れ特例法につきましては、最初にちょっと大蔵大臣に最も基本的なことだけお伺いしたいと思います。  先ほどNTT償還財源とかあるいは外為特会からの繰り入れ等のお話がありましたが、自賠責特会からの繰り入れは来年も可能かどうか、どういう御認識でいらっしゃいますでしょうか。
  64. 伏屋和彦

    伏屋政府委員 現在御提案申し上げております法案の中に、自賠責の特会からの繰り入れ規定がございます。これは、今回の自賠責特会からの繰り入れは、平成五年四月の保険料改定におきまして、平成十二年度までに四年度末の累積運用益を保険契約者に還元することを見込んで料率の引き下げが行われたものでございます。その還元までにはなお時間的な余裕がございますため、当面、特会の運営支障のない範囲内で、極めて厳しい財政事情にある一般会計繰り入れを行うこととしたものでございます。  運用益残高一兆一千二百億のうち、七年度繰入額につきましては、今申し上げましたような考え方のもとで、六年度の繰入額を前提といたしまして、その残り、七年度に最大限繰り入れが可能な額を見積もっておるということでございます。
  65. 竹内譲

    ○竹内(譲)委員 今の御説明でいきますと、運用益は約一兆一千億円あって、去年どことしでほとんどそれを使い尽くしてしまうから、来年は要するに繰り入れできないということですよね。そういうことを大蔵大臣が御認識をお持ちかどうかということを最初にちょっとお聞きしたわけでございます。これは、普通の人では今回の仕組みはなかなか理解しがたい法案でございまして、少なくとも今回大蔵大臣財政が大変厳しいという御認識をお持ちである以上、この辺、この法案の最も大事な部分でありますので、基本的な部分については御理解をいただいておきたいというふうに私の方が思ったぐらいでございます。  そこで、先ほど北側議員の方からもういろいろございましたので、私の方は、こういう財政が大変厳しい状況を踏まえて、まず六年度の第二次補正予算の今の積み上げ状況はどうなっているのかということをお聞きしたいと思います。
  66. 武村正義

    武村国務大臣 地震発生以来、たびたびお尋ねをいただきましたが、ようやく昨今各省庁から具体的な数字が大蔵省にも届いてまいりまして、今最終的な精査、念査をいたしているところであります。最新の状況では、第二次補正予算の規模は一兆円を少し上回るぐらいになるのではないかというふうに思っております。  同時に、本年度の税の展望が最終どうなるのかということも心配でありました。災害、地震によって阪神地域を中心にしてマイナスの動きが起こるのは当然でありますし、加えて近々提案をいたします所得税の減免措置等も、政策的な意図によって税収が減る。この二つの減を全体で見ますと、約六千億余り平成年度税収減になるのではないかというふうに見ております。
  67. 竹内譲

    ○竹内(譲)委員 ちょっと建設省は来ておられますでしょうか。  今回の二次補正内容について、建設省の方ではどのように積み上げておられますか。
  68. 林桂一

    ○林説明員 今回の震災につきましては、建設省所管の公共施設や、あるいは官民を問わず、住宅につきまして広範かつ甚大な被害が生じておりまして、私どもこのことを重大に受けとめておりま す。  今後、関係地方公共団体とも連絡を密にしながら、被災地の実情に照らした災害復旧、あるいは災害復興に係る住宅・社会資本の整備を建設省総力を挙げて強力に進めていく所存でございますが、具体的には当面、高速道路や一般道路、あるいは河川、下水道、あるいは公営住宅などの公共施設等の災害復旧事業がございます。また、余震あるいは降雨等に対する二次災害防止のためのいろいろな施策、あるいは被災者向け住宅の確保とか、あるいは被災市街地の復興事業とか、いろいろな内容が施策として必要になってまいりますが、これらにつき最善を尽くしたいと思っております。  そのための所要の予算の確保に努めてまいりたいと考えておりますけれども、具体的な数字につきましては、現在財政当局とも調整中ということでございまして、差し控えさせていただきます。よろしくお願いします。
  69. 竹内譲

    ○竹内(譲)委員 やはり被災者の感情というものを考えた場合には、一刻も早くこの数字を国民の前に示して、この二次補正に関しましてはとにかく一生懸命この国会で審議をして早く通すんだ、そういう姿勢を示すことが大事だと思うのですね。技術的な問題とかいろいろあろうかと思いますが、やはりそれが国会の使命ではないかというふうに私は考えております。  そこで、今回、財政が大変苦しい上に大震災で多額の資金不足しておるわけですが、先ほど北側議員の方から組み替えの話がございましたが、具体的に大蔵大臣としては、特に公共事業費の組み替え、その中でもウルグアイ・ラウンド関連の農業予算の組み替えを行う意思はあるのかどうか。私は個人的にはこれは必要であるというふうに認識をしておるわけですが、大蔵大臣の御見解を賜りたいと思います。
  70. 伏屋和彦

    伏屋政府委員 今委員の御指摘のお話でございますが、現時点では、関係省庁がこれまで緊急対策に追われまして、これから本格的な復旧対策に取り組んでいこうとするところでございます。したがって、今回の地震に対する財政上の措置につきまして、例えば七年度ということに及んで今具体的なことを申し上げがたいことは御理解いただけるかと思います。  七年度予算、今のお話で、私ども、あらゆる経費につきまして、制度の根本にまでさかのぼった見直しとか施策の優先順位の厳しい選択を行うなど、歳出面で徹底した洗い直しに取り組んできたところでございます。したがって、そういう予算の性格から、今申し上げましたような七年度予算の編成に取り組んできたことから申し上げましても、具体的に必要な財政需要を賄う財源として、歳入歳出について今後いろいろな意味での検討は進めていかなきゃなりませんが、七年度予算について現段階で具体的なことを即し上げられないということを御理解いただきたいと思います。
  71. 竹内譲

    ○竹内(譲)委員 大蔵大臣は政治家としてどういうふうにお考えですか。
  72. 武村正義

    武村国務大臣 先ほどお答えをいたしましたとおりでありますが、今こうして御提案をして御審議をいただいているさなかに、その当初予算の修正を示唆するかのごときことは、これは言ってはならないことであります。そういう意味で、どうぞ先ほど北側議員にお答えしたことで御了解をいただきたいと存じます。
  73. 竹内譲

    ○竹内(譲)委員 世論といいますかマスコミを初め、やはりこういうときは、技術的な問題はともかくとして、正論を考えれば、この七年度予算は全く震災対策が入ってないわけですから、そういう意味でも抜本的に見直す必要があるのではないかなというふうに私は思っております。我々としても、この点については今後国会等で詰めていきたいというふうに考えております。  そこで、次の質問に移ります。東京共同銀行の問題に移りたいと思います。  私の方は、きょうは金融の危機管理、大震災に対する危機管理ということもございますが、金融に対する危機管理という観点からきょうは御質問をしたいというふうに思います。  まず、予算委員会等ではいろいろございますが、今回の東京協和、安全の二信用組合の経営破綻につきまして、今回の事件がなぜ起きたか、そしてまたどうして食いとめられなかったか。その発生の経緯と理由についてどのように認識しているか、主務官庁の方から御報告をお願いします。
  74. 西村吉正

    ○西村政府委員 東京協和信用組合及び安全信用組合は、まず特定の不動産関連事業に多額の融資を行っていたわけでございますが、その後のバブル経済の崩壊によりまして経営環境が激変いたしました。また、折からの景気の長期低迷も加わりまして、結局その結果不良債権が増加して、経営内容が通常の経営の常識を超えたような極めて憂慮すべき事態に陥った。そういうことになっておると理解しております。
  75. 竹内譲

    ○竹内(譲)委員 両信用組合の融資、預金に関する具体的な問題点について御指摘を願います。
  76. 西村吉正

    ○西村政府委員 御承知のように、信用組合は都道府県知事の監督下にございまして、その内容について、私ども承知をしておる点はございますけれども、経営の内容そのものにつきまして、私たちの立場で詳細について御説明をする立場にないと感じております。
  77. 竹内譲

    ○竹内(譲)委員 それは私はちょっとおかしいと思うのですね。機関委任事務で自治体にその監督を委任しておるわけです。ですから、もともとの、本体の監督というのは大蔵省、大蔵大臣にあるのではないのでしょうか。ですから、かなりその内容について、当然把握しておられると思いますし、報告をすべき義務があるのではないかというふうに私は考えるものであります。
  78. 西村吉正

    ○西村政府委員 御指摘のように、信用組合の監督は機関委任事務として都道府県知事にゆだねられているものでございます。  その委任の実態、行政の進め方の実態といたしましては、通常の場合、都道府県知事にゆだねられて独自にその行政に、たっておられる。大蔵大主との関係ということで申しますと、検査の依頼、協力依頼があったときにはそういう御協力を申し上げるというようなことでございまして、日常の監督そのものはすべて都道府県知事が行っておられるというふうに御理解願いたいと思います。
  79. 竹内譲

    ○竹内(譲)委員 それでは、信用組合の免許というのはどこがこの免許を付与するわけですか。
  80. 西村吉正

    ○西村政府委員 都道府県知事でございます。
  81. 竹内譲

    ○竹内(譲)委員 そうすると、きょう予算委員会の方にいろいろ具体的な内容が報告されたというふうに聞いております。私は、ぜひとも大蔵委員会におきましても、やはりこれは金融秩序に関するものでありますから、その内容につきまして大蔵委員会にも御報告を資料としていただきたいと当然思うものでありますが、いかがでございますか。
  82. 西村吉正

    ○西村政府委員 先般予算委員会におきまして、資料の御要求が私ども及び東京都に対してございました。資料の内容は、東京都が監督をしております信用組合の経営に関するものでございましたので、本日、東京都からその資料を提出をいたしました。  大蔵委員会においてのお取り扱いについては、委員会でお決めになることと存じます。
  83. 竹内譲

    ○竹内(譲)委員 委員長に要求をいたします。  大蔵委員会に対しましても、この予算委員会と同様の本件の資料を要求していただきたい、このお取り計らいを委員長にお願いするものであります。
  84. 尾身幸次

    尾身委員長 竹内君に申し上げます。  本件につきましては、別途理事会で協議をいたします。
  85. 竹内譲

    ○竹内(譲)委員 そういたしますれば、次に、今回日銀法二十五条の発動ということで、大変な事態に陥ったわけでございます。こういうことはめったにないわけですね、はっきり言いまして。ということは、こういう信用組合の経営破綻という問題は、私は、本当にこれは重大な責任があるというふうに思うわけであります。  そうすると、この責任は免許を付与した東京都の責任であると、一義的には。ですから、これは都知事が、論理的には都知事の責任問題になるという理解でよろしいのでしょうか。
  86. 西村吉正

    ○西村政府委員 先ほどから申し上げておりますように、信用組合の監督には都道府県知事が当たっておられるということでございます。
  87. 竹内譲

    ○竹内(譲)委員 では、今回東京共同銀行というものを設立いたしまして、この両信用組合の処理という新たなスキームがつくられたわけですが、要するにこれを指示した最高決定権者といいますか最高責任者といいますか、今回のこういうスキームによる解決というものを取り仕切った最高責任者はだれになるのでしょうか。
  88. 西村吉正

    ○西村政府委員 この信用組合の経営破綻に対応する当事者ということになりますと、一次的には都道府県知事、すなわち東京都知事ということになろうかと存じます。  私どもは、このような非常に極度の経営破綻の状況、都だけではなかなか対応が難しいというような事態を踏まえまして、私ども及び日本銀行に対して東京都から打開策についての御相談があり、私どもとしてもそのような事態に対応する必要があると認めた。こういうことでございます。
  89. 竹内譲

    ○竹内(譲)委員 そうすると、今回のスキームの要するに責任者というのは、大蔵大臣ですか、日銀総裁ですか。
  90. 西村吉正

    ○西村政府委員 経営破綻に対する対応策という意味では都道府県知事、すなわち東京都知事ということになるのではないかと私は理解しております。
  91. 竹内譲

    ○竹内(譲)委員 そうすると、よくわからないのですが、万一今回のスキームが失敗、こういうことはあってはならないのですが、これはちょっとあれですが、いろいろ問題が起きた場合、東京共同銀行がうまく成り立ち行かない、この処理がうまくいかないといったときの責任はだれがとるのですか。  これは、この東京共同銀行の免許を与えるのは大蔵大臣でしょう。そうすると、これがもし万一つまくいかなければ、その責任は大蔵大臣がとるということになるのではないかなと私は思うのですが……。
  92. 西村吉正

    ○西村政府委員 新しく設立されました東京共同銀行に免許を付与したのは大蔵大臣でございます。その東京共同銀行の経営の責任ということになりますと、東京共同銀行の経営者ということになろうかと存じます。
  93. 竹内譲

    ○竹内(譲)委員 私が言いたいのは、要するに今回は大変な問題でございますし、ですから、いろいろマスコミを初めとして世間の方も今回のスキームに対する風当たりというのは大変に強い、いろいろ問題を含んでいるということでございますから、これはやはり最終的に、新しい東京共同銀行も経営者の責任に負わせるのか、それで済むのか。  今回実質的に取り仕切ったのは大蔵省であり日銀であるわけですから、この責任の所在というものをやはり明確にしておかないと、いつも、今までいろいろな信用組合に関して、あるいはさまざまな銀行のトラブルに関して、イトマン事件でもいろいろありましたけれども、監督責任というものがあいまいにされてきたというふうに私は思うのです。  震災と一緒で、最高責任者は総理大臣なんですよ、一切の国政の最高責任者は。じゃ、こういう金融危機の最高責任者はだれなんだ。大蔵大臣なのか、日銀総裁なのか、都知事なのか。いざというときに、こうやれと言う、要するに一切の責任を負う人がいなければ同じような問題が起きると思うのです。ですから、一国の総理のいるところが官邸であるとすれば、一国の金融というものに対する危機のときの指示を一切仰ぐところは大蔵省なのか、日銀なのか、東京都なのか。今回の問題に関して、そういうことを聞いておるわけです。
  94. 西村吉正

    ○西村政府委員 問題を整理して考えてみますと、この信用組合の経営という点に関して申し上げますならば、経営の責王者は経営者でございまして、信用組合の理事長以下理事の経営者ということになろうかと存じます。そして、経営体の監督責任者という意味では、これは明確に都知事でございます。  ただ、都知事の御相談を受け、また全国の日本の金融システムあるいは預金者保護という観点から、今回の措置について協力をする見地からこのようなスキームを組み立てたという意味では、大蔵大臣及び日本銀行総裁という立場で金融秩序の維持に努めたということになろうかと存じます。  したがって、個別の経営体の経営責任ということと日本全体の金融秩序をどう守るかという問題と、二つ分けて考える必要があろうかと存じます。
  95. 竹内譲

    ○竹内(譲)委員 わかりました。  そこで、先ほど東京都が監督しておるということで、今回の信用組合の経営内容については今すぐ申し上げられないということでございますので、私は今回のスキームの中でちょっとお聞きしたいのは、日銀法の二十五条を発動しておるわけです。ところが、私思うのですが、まず根本的に、二十八条というのがございまして、強制移転命令というのがあるのです。どうしてこっちの方を発動しなかったのか、私はよくわからない。世間ではやはり、今回二十五条でこういう、おかしいんじゃないかといういろいろな声もあります。私は、二十八条の強制移転命令でも、このくらいの規模の信用組合であれば十分できたんじゃないのかというふうに思うのですが、その点につきまして日銀の方からございますでしょうか。
  96. 田村達也

    田村参考人 日本銀行の理事田村でございます。信用機構の方を担当しております。  日本銀行は、今回の問題に対処するに当たりまして、日本銀行法第一条にあります日本銀行の基本的な役割であります信用制度の保持育成という観点から何ができるか、何がベストの手段がということを考えて対応したわけであります。  この場合、スキームといたしましては、両信組を抜本的に処理する、しかし、信用システムの安定を維持するという観点から、東京都の方の要請に応じまして、それからまた大蔵省や関係金融機関等の協力も得まして、今回のような方式で対応するのがベストだというふうに考えまして今回のような運びとなったわけであります。
  97. 竹内譲

    ○竹内(譲)委員 この点はまた後日にやるとしまして、やはり自治体の監督体制がこのままでいいのかどうか。今回の事件を見てわかりますように、要するに規模の大小ではないんじゃないのか、金融秩序の維持というのは。  全国で三百八十近く信用組合がございまして、東京都で五十五あるわけです。それを各自治体に任せておる。自治体から要請があったときは大蔵省も日銀も検査に入りますよということですが、しかし、今金融の自由化が進み、商品の多様化が進み、運用の多様化が進んでいる中で、果たして自治体の検査で本当に十分なのかという点につきまして、私は疑問を持っているわけです。  実は、私は東京都からも直接ヒアリングをいたしました。その体制とかいろいろ聞きました。聞くところによりますと、都の場合は検査員が全部で二十五人いる。指導その他合計三十六人でやる。年一同やっています。一回の組合の検査で八日程度でやる。ただし、この検査官というのは三年で異動のローテーションがあって、専門、熟練という形ではないというふうに聞いております。  これだけ金融のハイテク化といいますか、あるいは専門化が進んでいるときに、熟練した検査マンといいますかそういう者が要ると思いますし、そういう体制がやはり必要なのではないかなと思うのです。東京都というような最も進んでいると思われるところでさえこういう状況でありますから、ほかの全同津々浦々の信用組合においてはこの監督体制で本当に大丈夫なのかと思うわけであります。  大蔵省の方は、各自治体の検査体制というのは把握しておられますか。
  98. 西村吉正

    ○西村政府委員 私ども概況は把握しているつもりでございますが、必ずしも十分に把握しているとは言いがたい点もあろうかと思います。
  99. 竹内譲

    ○竹内(譲)委員 次またどういうところでどういう破綻が起きるかわからない。絶えずこんなことできないわけですから、そういう意味では、ぜひとも全国の体制を一刻も早く把握すべきだし、個別の金融機関の内容についてもよく把握していただきたいと思うのです。  そこで、今回の本質的な問題の中に、信用組合に対して、検査というのは自治体に任されているわけですが、普通、信用組合と一部の信用金庫を除いては大蔵省と日銀のそれぞれの検査があるわけです。非常に厳しい検査がある。ところが、信用組合に関しましては大蔵省と日銀の検査は入ってない。他の金融機関の状況をいろいろ調査してみますと、大蔵省と日銀の検査があるから内部の管理体制が大変に厳しくなるというふうに聞いております。  そういった意味から考えますと、これからの金融の危機管理ということを考えた場合に、早期発見ということが大事だと思うのです。そして予防つは経営の内容をチェックするということが大事だと思うのです。今、銀行や、信用組合以外では大体監査法人等によりまして公認会計士の外部監査というのが入っております。これは私の提案でございますが、信用組合につきましても決算内容等につきまして公認会計士あるいはそういったものによる外部監査の導入が必要なのではないかというふうに私は考えておるわけです。その点についてはどのようにお考えでしょうか。
  100. 西村吉正

    ○西村政府委員 信用組合の性格といたしまして、地域性、協同組織性が強いということから、都道府県知事に監督がゆだねられているわけでございますけれども、御指摘のように、最近は信用組合、特に大都市部における信用組合と申しますのは、預金額も大変に大きくなっておりますし、またその業務も複雑になっておりまして、その監督はなかなかに大変なところがあろうかと存じます。しかし、私どもとしては、今後とも預金者保護や信用秩序維持等の観点を踏まえつつ、都道府県と連絡を密にしながら、地方自治の建前というものも尊重しながら、この監督に当たっていただきたい、都道府県知事において信用組合の適正な指導監督に努めていただきたいと考えております。  そういう中で、都道府県がどのような工夫を監督の上でされるか、先ほど指摘のあったようなことも含めまして、それぞれの実情に応じて検討をされるものと期待しております。
  101. 竹内譲

    ○竹内(譲)委員 そういう人ごとではなくて、やはり金融秩序の維持ということ、今回やっているわけですから、積極的にいろいろ指導するということを行っていただきたい、こういうふうに思うのですね。  もう一つは、今回大口預金者のモラルということが言われております。経営が、例えば今回でいえば、九三年七月に長銀がイ・アイ・イに対する支援打ち切りを発表したときからいろいろ巷間では今回の問題につきましては言われたわけですから、それを知って、高金利ということだけで大口預金をしてきた人まで本当に救う必要があるのかということが新聞紙上なんかでも言われておるわけでございます。  また、今回の事件をいろいろ調査しています保と、いわゆる中小企業信用組合法、員外預金というのは二〇%まで、ところがそれをはるかに超えた組合員以外の方の預金がある。そういうようなことをいろいろ総合いたしますと、やはり信用組合に関しましてもディスクロージャーということが求められるのではないかなと私は思うのですね、情報開示といいますか。今回こういう内容をある程度薄々感づきながら預金されている方もいるという新聞記事等もございます。そういう意味でいうと、形式論理ではなくて、この制度を見直していく、信用組合についてもディスクロージャーしていくということがやはりモラルハザードを防ぐ上で非常に大事なことなのではないかな。  この点につきましては、大蔵省と日銀の両方から御意見を承りたいと思うのですが。
  102. 西村吉正

    ○西村政府委員 御指摘のように、金融機関の健全性を維持するという上でディスクロージャーの果たす役割というのは大変大きなものがあろうかと思います。私どもも、金融自由化ということと並行いたしましてディスクロージャー、金融機関の経理内容のディスクロージャーということに努めてまいったところでございます。  ただ、従来のディスクロージャーの議論の中では、信用組合のような協同組織、要するに組合員を構成員とするような金融機関については一般に対するディスクロージャーということは銀行とは違うのではないか、要するに組合員に対するディスクロージャーということで考えればいいのではないかというのが従来からの考え方でございます。  ただ、今回のような事件が起こってみますと、結局はかの一般の人々にも迷惑をかけるということになるのだとすれば、このような協同組織金融機関についても、従来のようなディスクロージャーの考え方でいいのかどうかということについては非常に大きな問題、よく考えてみなければいけない問題点を含んでおるように感じております。
  103. 田村達也

    田村参考人 金融機関の経営を正す方策として、当局の監督、検査と並んで外部監査人の監査あるいはディスクロージャーが非常に重要な役割を果たしてきているということは、諸外国でもそういう傾向になってきていますし、我が国の金融自由化を進める過程でこういった考え方が非常に重要になってきているというふうに私どもも思っております。さはさりながら、金融機関の種類によりまして、ディスクロージャーをどういうふうにやっていくか、それぞれの金融機関の特質に応じて進められていくこともある程度やむを得ないものと思っております。
  104. 竹内譲

    ○竹内(譲)委員 ぜひともこれを機に本当に考え直さないと私はいかぬと思うのですね。今回限りだなんということで、傍観者的なことでは本当に金融システムというものは維持できないと思っております。  それと、この問題に対しましては、最後にちょっと一つ提案もしておきたいのです。  私は、自治体が監督しよう、自治体の監督でもいいと思うのですが、要するに今大蔵省と日銀の検査が入らない。ところが、一方で大蔵省と日銀は同じ銀行に対してそれぞれ別個に検査をやっているわけです。大蔵省で大体四町人ぐらい検査マンがいらっしゃいます、本省、財務局を含めまして。日銀の方でも百五十人から二百人というふうに聞いております。同じような検査をしている。一番大事なこういう信用組合に対する検査というのが入っていないというのは非常に矛盾をしておると私は思うのですね。  そういう意味でいうと、例えば、これは私の一つ提案ですが、大蔵省の検査、これは検査部というのですか考査部というのですか、日銀の方が考査部、これはできれば一体化して、どちらの監督下、どちらの組織にしてもいいと思うのですが、大蔵省の組織でも日銀の組織でもいいと思うのですが、こういうものをひとつ一体化して、効率よく全信用組合まで検査するようにしたらどうなのか。  要するに、完全にブラックボックスができてさっぱりそこがわからない、一方で、こっちの地方銀行や都市銀行は何回も検査している。この辺が非常に私は旧態依然としていると思うのですね。そういう意味で一体化して、行政改革して、二重投資をやめて、ラインシートも一緒にして、保もう定期あるいは不定期にうまく全金融機関を検査できるような方向に持っていくことが、金融秩序の維持という意味からいっても、また実質的な行政改革という意味からいっても私は必要なことではないのかということを提案したいと思います。  その点につきまして、両省並びにできれば大蔵大臣の御意見もちょっとお伺いしたいというふうに思います。
  105. 西村吉正

    ○西村政府委員 大蔵省では検査と申しておりますが、大蔵省の検査対象となります金融機関は大蔵大臣から営業免許を得ておるものでございまして、大蔵省は、これらの金融機関を監督するという立場から、銀行法ニト五条等に基づいて金融検査を実施しているところでございます。  一方、日本銀行は、中央銀行として市中金融機関との各種の金融取引を行っておられます。そのような金融取引を通じまして、通貨の調節、金融の調整及び信用制度の保持育成という目的の達成を任務としておられるわけでございます。このような日銀の任務を、目的を達成するために、日銀は取引先の金融機関との当座預金取引契約に基づきまして取引先金融機関の財産状況、営業状態について調査している、そういうことでございまして、考査という名前で呼んでおられると理解しております。  このように、大蔵省の検査と日銀の考査は、その目的を異にしておりますところから、大蔵省と日銀の二重検査体制というふうにおっしゃいましたが、それを一本化するということの御指摘は当たらないと考えております。しかし、この両者の、大蔵省検査及び日銀の考査においては、常々密接な、緊密な連携をとり合いながら、相互補完的に実施しておりまして、金融機関の過重な負担とならないよう、常日ごろから心がけているところでございます。
  106. 田村達也

    田村参考人 銀行の検査、考査の体制は、各国によってまちまちでございますけれども、日本の場合は、現在、日本銀行の考査と大蔵検査の二つで銀行をチェックし、金融の健全性を維持しているということでございます。  日本銀行がやる考査と大蔵省の検査、それぞれ目的が違うわけでございますが、日本銀行の考査の場合は、日本銀行法で定めます、通貨価値の安定と信用制度の保持育成という観点から、中央銀行の立場から独自に考査をしているわけでございまして、実際には、金融機関との預金契約のもとで金融機関の実態を調査するということを行っております。そしてまた、金融機関の自己責任の原則に立ちまして、必要なアドバイスを行っていくということを行っております。  こういうふうに、日本銀行と行政当局がそれぞれの立場からチェックを行うということが両々相まって、日本の信用制度の安定を維持する上で貢献しているのじゃないかというふうに思っております。  しかし、両者でそういう検査、考査をやる過程で、金融機関に必要以上の負担やコストがかかるということは当然避けるべきでございまして、おっしゃいますようなラインシートの一本化とか、あるいは情報の交換とかということは積極的に行っておりまして、それによって金融機関等に与えるコスト等をミニマムにしていくという努力も払っているところでございます。
  107. 武村正義

    武村国務大臣 今お話しございましたように、日本銀行の考査と大蔵省の検査、いささか違います。協調をいたしておりますが、性格が違うわけでありますから、ましてや信用組合個々に対して、日銀と大蔵省が共同してチェックに入るということは、ちょっとこれは現実的ではありません。  東京都が監督官庁でありますが、東京都の要請があれば大蔵省は一緒に検査に入ることができる、こうなっておりまして、今回もたまりかねて、要請があって入ったということでございますから、ぜひこの経験を全国的に広げていく、そして、都道府県知事の要請を受けて、大蔵省、特に財務局になってきますが、財務局が一緒に検査に入らせていただくということが一番いいのではないかと私は思っております。
  108. 竹内譲

    ○竹内(譲)委員 いや、私は、今回の問題が示しているのは、本当に重大な問題を提示していると思うのですね。  従来の体制でできない。要するに東京都が大蔵省に特別検査を要請したときにはもう遅かったわけですよ、はっきり言いまして。それはもう皆さん御存じなんですよ、そんなことは。去年の十二月に特別検査をやって、業務改善命令だ、いろいろ出ていますけれども、そのときにはもうかなり悪くなっているわけですよ。どうしようもない。破綻しているわけですよ。  だから、本当にまじめに金融の危機管理というものを考えていかないと、今、金融システムの維持というのは、金融秩序の維持というのは、預金の大小ではありませんので、これは本当にそういう意味でブラックホールになる、すべてをのみ込んでしまうようなものになったら困るわけ保でありまして、やっぱりこれは、引き続きこの委員会でも、私はいろいろ資料の要求もしておりますから、調査をしていきたいというふうには思っております。  そこで、どうしても今回、行政改革について最後に御質問をしておきたいというふうに思っております。  先ほど上田委員の方からいろいろございましたけれども、私もその議事録を読ませていただきました。十月二十五日の大蔵委員会での上田委員の質問に対しまして、大蔵大臣はこのように答えておられます。行政改革につきまして、「全体として見ると、統合も含めて数をかなり思い切って縮小することは不可能ではないという思いで、この問題に取り組んでいきたい。というふうにお答えになっています。それからまた、「さきがけの案どおりにすべてがいかなくても、この考え方は大いに参考にされて実現をされるべきだ」というふうにお答えになっています。そしてまた、「春三月までをじっとにらんでいてください。我々はそこできちっとそれなりの評価をいたただける結果をどんなことがあっても示してまいります」と言っておられます。  今回の行政改革案をどのように評価されているか、きのうの本会議では、かなりの成果と認識しているというふうにもおっしゃいました。一方で、先ほどの上田委員に対する御答弁の中では、十分と思っていないという、一見相矛盾する御回答もございます。  改めまして、今回の行政改革案をどのように評価されているか、大臣の方からお願いいたします。
  109. 武村正義

    武村国務大臣 あれこれ言葉で余り言い逃れしたくないと思っていますし、率直に、振り返って申し上げますと、特殊法人に関しては去年の十月十八日でございますか、正式に決まって、それで二月十日といいますと、四カ月足らずという極めて短い期間に特殊法人の整理合理化に政府・与党は取り組んできたわけであります。それ以外にも、年内に地方分権の大綱を決めるという作業がございましたし、年度内に規制緩和の五カ年計画をつくる、この三つがほぼ新政府の具体的な行革に対する方針として表へ出ておりました。  それ以外にも、議論としては、中央官庁の統廃合もありますし、縦割り行政の問題、官邸機能の強化の問題、公務員制度の問題もあります。情報公開もあるかもしれません。そして、私どもの財政改革につながる深い問題も、財投の問題も含めて、幅広く存在するわけであります。  行革と言う場合には、そういう全体をとらえてお互いに意識をして申し上げているわけですが、特殊法人は、その中でも非常に具体性があるといいますか、数で認識ができるという、そういうテーマでありました。見ようによっては、規制緩和や地方分権の方がより行政改革の本流であって、特殊法人は必ずしもそうじゃないという人もありましたが、まあ本流であるかないかは別として、九十二、JR、たばこを除けば八十という非常に具体的な特殊法人の名前が全部並べられるわけですね。数で表現できる。この数を、整理合理化だから幾つに減らすんだと。まあマスコミも国民の皆さんもそういう目でごらんになるし、我々もそういう意識がなかったわけではありません。一番最初の議論からありました。  私は、率直に言って二十ぐらい減らすべきだと閣僚懇談会で申し上げたことが二回ぐらいありました。二十ぐらい目標でやりましょうと。私の目標、数だけでいえばそのくらいの目標で今回は取り組むべきだという、それなりのハードルを持っておりました。  十日の整理したものは、大小に関係なしで整理しますと七つ。十四法人の統合ですから、七つ減りました。それから五法人が民営化ないしは廃止になりました。たしか足したら十二になるのでしょうか。二十の目標からすると、私の目標からすると、十二ですからまあかなりの成果と、しかし十分ではありませんと、本会議でこうお答えしたのは、私はそういう気持ちでございます。  しかし、幸いというか、金融機関はまだこれから年度内かけて頑張るんだ。幾つできるかわかりません。一つもできないかもしれません。あるいは二、三できるかもしれません。これはわかりませんが、金融機関という課題がさらに残っておりますから、十二がプラスアルファにぜひなるようにしたいし、それでもこれは、特殊法人の改革は終わりにならないな、まだまだ何遍でもこういうテーマについては、政府がたとえかわっても、目を向けて真剣に取り組み続けなければいけないという思いであります。  余分なことを申し上げますが、日曜日、NHKのテレビを見ておりましたら、特殊法人の特集がございましたね。ある場面で海部元総理が出られました。第三次行革審の諮問をされておりました。その後こもごもおっしゃっていたのは、私も経験がありますが、あのときは海部政権、宮澤政権と続きますが、何かをやったというよりは、答申でやらそうとしたことすら行政府が全部骨抜きにした。手をかけるところか、手をかける以前の答申がもう具体性がなくなって、次から次へと骨抜きにされた。そういう政権の中に海部さんも立っておられたんですね。  そういうことと比較すれば、今度の村山内閣は、これでも決して十分ではありませんが、それなりの公約をして、決して高い評価を受けておりませんしむしろ批判の方が厳しゅうございますが、十二の目標は達成して、さらに政府系金融機関に取り組もうとしているところは、一定の御認識と評価がいただければありがたいと思っております。
  110. 竹内譲

    ○竹内(譲)委員 私は、やはり今、消費税も五%に上げるということを決めて、世間はもう大変に今回期待をしておったわけであります。我々代議士も国民の代表ですから、やはり私どもも地元に帰っていろいろな声を聞きます。そしてまた、いろいろな人の声をここで言わなければいけない。そしてまた、マスコミ等にもいろいろな声が載っております。  二月十五日、きょうの日経新聞には、社説です、責任ある日経新聞の社説ですが、書いてあるとおり読みますと、「なんともしみったれた規模ではないか。のみならず、廃止するのは職員の少ない社会保障研究所だけ。」ずっとありまして、   組織防衛に必死になって動いた官僚は論外だが、その官僚を抑えることのできなかった閣僚、とりわけ大蔵官僚に加担した格好の武村蔵相、官僚と同調した橋本通産相、統合新法人の業務拡大を示唆する亀井運輸相、だれの目から見ても廃止が当然だった蚕糸砂糖類価格安定事業団と畜産振興事業団を事実上存続させた大河原農相などの責任は重大だ。そして、「不退転の決意」を口にしながら、上からの指導力を発挿しようとしなかった村山首相の責任はもっと大きい。 ということを社説が書いているわけです。日経新聞です。  それから、いろいろありますが、毎日新聞の二月十四日、きのう、「中身を採点すれば、残念ながら落第である。いずれも大幅な歳出削減につながるものではないし、単なる数合わせとしか言えないからだ。」というようなことで、厳しい社説が書いてあります。  これはやはり国民の声だと思うのですね。そして、この点をやはりよく認識する必要があるということを申し上げておきたいと思います。  そして、だんだん時間がなくなってきましたが、一方的に話しますが、平成六年十月十二日の予算委員会、五十嵐委員の質問がありまして、この中では五十嵐委員が「大蔵省にも、行革では財政効果がないということを絶対言うなということを申し上げております。大蔵大臣にお伺いをいたしますけれども、行革で財政効果が上がらないというふうにお思いでしょうか。」というふうに質問がありまして、それに対して武村大蔵大臣は、「行革の場合も効果は上がると思います。」「上がるケースがたくさんあると思いますが、数字がややつかみにくい」、そういうお答えです。そういう意味で、ある意味では、財政改革ほどではないですが、行革の場合も数字は出るということをおっしゃっているわけです。  そういう意味で、やはりこれからは、これで消費税のアップ分を全部カバーしろなんということを我々も言っているわけではありません、しかし少なくとも国民の目に見える形で、補助金がとれだけ削減できるんだ、財投からの借入金はどれだけ減るんだ、あるいは出資金はどれだけ戻ってくるんだ、そういったことはやはり示す必要があるのじゃないかなというふうに思うのです。  そして最後に、時間がなくなりましたので大蔵大臣にお伺いいたしますが、一月八日のテレビ番組で、この政権が行革をできないのなら、さきがけはこのまま政権にとどまる考えはないというふうにおっしゃっています。今回の行革案は政権にとどまり得るものかどうかということをお尋ねいたします。
  111. 武村正義

    武村国務大臣 今のテレビのお話は、あるテレビに出ましたときにキャスターの方が、行革ができなくても政権に、武村さん、とどまるのですか、こういう質問を受けたものですから、そんな考えは全くありません、私はそうですが村山総理も、行革ができなかったら政権にとどまられる気持ちは全くないのじゃないですか、そんなことよりも、やはり必死で行革はやってまいりますからそんな心配は要りません、こんなことをちょっと申し上げたことの一角、政権にとどまらないだけが何回もこうして、質問までされて恐縮でございますが、きのう本会議では、特殊法人ができなかったらというふうに野党の方はちょっと中身を変えて質問されましたから、私はもう答えなかったのでありますが、行革ができなかったらという質問でありましたし、そういう答えでありました。  その決意はいささかも変わりはありません。昨日、三党首の会談もございましたが、村山総理御自身も、私が今さら申し上げるまでもありませんが、行革に全力投球、政権の帰趨がかかっているという思いで見詰めておられます。河野総裁も同様であります。ぜひ、そういう、私どもがみずから吐いた言葉ですが、今後とも、地方分権の法律をそろそろまとめなければなりませんし、規制緩和ももう期限が迫ってまいりますし、さまざまな行政改革の課題に文字どおり全力を尽くしていかなければいけないと思っております。
  112. 竹内譲

    ○竹内(譲)委員 最後に、日経新聞の二月十二日の社説を御紹介して終わりたいと思います。  今、私の質問にはお答えにはなっていないわけでありますが、この日経新聞の社説は、ファックスの中には「行革ではさきがけだけが頼りだ」というものが多かった。昨夏の同党の改革案に勇気づけられた国民は少なくないのである。武村蔵相はじめさきがけ議員はこうした期待も裏切ったことになる。ということを申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
  113. 尾身幸次

    尾身委員長 次回は、来る十七日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後九時二十八分散会      ————◇—————