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山本(幸)
委員 ぜひそういうふうになってもらいたいと思いますが、先ほど申し上げたように、まさに善意とか教育の
効果とかいうのは大変大事だと私は思いますけれ
ども、物事を考えるときに、
一つの
基準にしているのは、経済原則が人間の行動を原則として規定するという前提で議論をしているものですから、そういうことで考えるとそうなるのかなという危惧は依然として残る。
例えばリターナブルで、リターナブルをやっている人が得をすることがあるとすれば、こういうときですね。つまり、リターナブルで八割、これは政
省令で決まる
基準ですから、役所のさじかげん
一つですが、そのさじかげんもまだはっきり示されていない。この
法案の最大の問題はまたそこでもあるのですが、本当の実態のところは全部政
省令に移されていて、何もわからないままに我々は議論しているというところが相当ある。推測するに、例えば八割以上リターナブルしていればその
業者は
リサイクル義務を満たしたというようにしましょうという場合には、一〇〇からその八割以上の、十何%かの部分についてはメリットとして出るでしょうね、リターナブル
業者は。
問題は、リターナブルをやっている、しかしその率が十分にいかない、政
省令で決まる、例えば八割で決めるとしますと、八割までいかない、七七、八%までしかいかなかった
事業者はどうなるか。この人は、リターナブルということでもともと
コストを負っていますよ。それから、当然その人は
リサイクル、再
商品化義務が生じますから、プラスしてその
コストが上乗せになる。上乗せに
なるというのは正確ではない、本当は一〇〇なのだけれ
ども。そういう人がリターナブルを選択するか、私はしないと思う。そんなことならリターナブルをやめて、もうみんなと
一緒の再
商品化コストの部分だけやればいいでしょう。
リターナブルというのは、その
費用、金銭的な
費用のほかにいろいろな手間もかかっている。洗ったりあるいは輸送したりということもかかるというようなことになれば、そっちの方が楽だ。私は、経済原則にのっとるとそういう選択をするのではないかという危惧が非常にあるのですね。だから、そこのところはぜひ皆さんよく考えていただきたいというふうに思います。この点は、この
法案の
一つの大きなはっきりしていない、むしろ
効果はよりマイナスに働くというおそれのある部分だと思います。
それから、松田先生おっしゃったように、私も何もこういうものをつくることに反対しているわけではないのですよ。やらなければいけないと思っているのです。しかし、
法律や
制度というのは、一たんできますと今度なかなか変えにくい。そして、一たんできたことによって物事が動き出す。そうしたら、ほかの考えを入れるというのはなかなか難しいのですね。だから、つくるときには十分によりよいものにしておきたいし、将来よりよいものになるような最低限の足がかりだけはきちっとしておきたい、これが我々の願いなのですね。それが、先ほど申し上げたように、
コストを透明にきちっと出してもらいたいというところも入っているわけです。
そこで次に、この
法案の大きな問題として
指定法人というのがあります。このことについて私はちょっとお伺いしたいと思います。
当初私は、私
どもの対案をつくっているときに考えていたことは、
ドイツやフランスの方式を念頭に置いていましたから、
事業者が
コストを
負担する場合に、その
事業者の
コストの分担あるいはその
処理のやり方についてどこかで考えなければいけない、そういう場合には何らかの第三者機関というものが要るのかなという考えがありました。
しかし、今回の
法案を見てみますと、
指定法人というのは一体何をやるところかというと、実体は何もない。そういう
業者の分担
義務とかそういうことをチェックし、計算してやるところでもないのですね。それは国がやるのです。国がそういう権利
義務に関係するところは全部やってしまう。
指定法人は何をやるかというと、この
法案の
指定法人の意味するところ、私
どもは
指定法人を取っ払ってしまえと思っていますから、それで克明に調べた。一条一条調べて、どこに
指定法人のポイントがあるか、
指定法人のエッセンスというのは
一つしかない。それは、
事業者が
指定法人と
委託契約を結んだときには、その
事業者は再
商品化義務を果たしたものとみなす、このみなし規定なんです。ここだけです。あとは、
指定法人のエッセンスはほとんどない、何もない。何もないにもかかわらず、いろいろなことを決めている。役員に守秘
義務まで課して、全部ベールに包んでしまおうという意図さえ見える。
そうすると、何をやるかというと、この
指定法人は、要するに
事業者とそれから
リサイクル業者の間に入ってさやを抜くだけだ、まあ悪い言い方をすれば。本来、
事業者が
リサイクル業者と契約してやれば済む話を、間に
一つの何らかの機関を置いて、その機関は特段変わったことを何もするわけでもない。単に
事業者との間で
委託契約をして、それに基づいて
リサイクル業者を選定してやりましょうということをやる。さや抜き機関としか私には思えない。
そうすると、何が起こるかというと、また経済学的に言うと、じゃそういう第三者さや抜き機関が成立し、存続していくためには、ほかの選択がなされないようにならないとなかなか難しい。というのは、当然さや抜き機関だから、その
指定法人の
運営コストというのがかかりますよ。つまり、
事業者と
リサイクル業者が直接契約するよりもプラスの経費がかかるはずです、経済学的に考えると。そうでなければおかしい、やっていけない。じゃ、
リサイクル業者と
事業者が直接やる場合よりもプラスの
コストがかかるような
システムが動き出すためには、
事業者が
リサイクル業者と直接
事業をやるところがうまく働かないということがない限りその
システムは動かない。
そこで、よく見ていくと、この
法律の建前は、選択できると書いてある。建前が書いてあります。そう書いてあります。そうでしょう。問題は、さっき言ったリターナブルのように、
自主回収をやってもよろしいですよ、そのときはもうそれで
義務を免除したことに見ましょうという規定で、それでいい。しかし、それは、先ほど申し上げたように、その部分がどんどん大きくなるかどうかということは、
システムとしてでき上がってないから疑問がある。
そうすると、もう
一つは、
事業者が
リサイクル業者と直接
委託してやってもいい、あるいはみずから再
商品化するということをやってもいいという規定が当然あります。その
事業者が直接
リサイクル業者とやってもいいという規定と並行する形で、
指定法人を通じてやるということが選択になっている。先ほど申し上げたように、
指定法人というさや抜き機関が生き残るためには、
コスト面で最低限対抗できるか、あるいは一方の方に何らかの困難さが伴ったときにしか動かない。この
事業者が直接
リサイクル業者とやる場合には、主務大臣の認定というのが必要になる。
事業者がこの
業者とやりますよということについて、この
業者はいいですかということについての認定を主務大臣がすることになっている。
その場合に、経済学的に考えれば、一方の
システムが動くためには、ここのところですぐに認定してしまったらこんなものは動かない、私から言わせれば。あるいは、何らかの客観的な
基準があって、例えば資格試験か何かあって、宅建の試験があって、試験に合格している人はもう自動的にオーケーですよというようなことでフリーに決められるということならいいけれ
ども、そうではない、主務官庁の裁定が働くような
システムにしている限り、そこのところで何らかの困難性が伴わなければこっちは動かない。認定が非常に厳しいか、あるいは申請する事務が極めて複雑で過度の
負担になるか、そういうことがなければ
指定法人のところは動かない。
それで、
指定法人というのは何をやるかというと、単に契約の間に入っているだけですよ。そのほかに
事業者の
市町村との間の権利
義務がどうのこうのとかいうようなことを決めるわけでも何でもない。ただ間に入って、そこを通しさえすればやったものとみなしてあげますよということによってインセンティブを持たせようとしている、その働きだ。私は、この点は非常に大きな問題を抱えていると思わざるを得ない。
いや、それは中小
企業なんかは大変じゃないか、そこを
指定法人がやるんだという議論ももちろんあります。しかし、中小
企業に適用されるのは、二年後に施行されてそれからまた三年後、当初は大きな
事業者からしか動かない。そういう大きな
事業者にとっては直接やること、それだけで十分ではないか。そして、将来そういう中小
企業者が入ってくることになったときにどうするかということは、私は、こんな
指定法人なんというものはつくる必要は全然ない。必要だったら民法に基づいた法人をつくればいいし、あるいは商工
会議所がその役をやればいいし、あるいはそういう
業者が自分
たちの団体を使えばいい。そういうことに比べて、考えられるデメリットが非常に大きいのではないか。その規模にしても、
運営やいろいろなことが全く不明確なままに
指定法人というのが突然出てきておる。
役所は言います。いや、この
指定法人がいろいろな
リサイクル業者を並べてみて、そこで競争が起こるから
コスト削減の努力は行われますと言いますが、そんなことなら
指定法人なんか要らない。
事業者が直接やればよろしい。それについて多くの
リサイクル業者が競争するでしょう。しかし、
指定法人が入ることによって、さっき申し上
げたように、
指定法人の
制度が動くようにするためには、一方の方は事実上難しいということでないと動かない。そうなってくると、
指定法人の方が動き出して、結局
リサイクル業者は
指定法人の顔色をうかがわなければ何もできないということが将来出てくる。これは行革や透明性が求められている
時代にふさわしいとは私は到底思えない。
そこで、この点について、
永田先生のお考えと、
事業者、直接関係するであろう
内田先生のお考えをちょっと聞かせていただきたいと思います。