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1995-06-06 第132回国会 衆議院 厚生委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年六月六日(火曜日)     午後一時三分開議 出席委員   委員長 岩垂寿喜男君    理事 衛藤 晟一君 理事 木村 義雄君    理事 鈴木 俊一君 理事 井上 喜一君    理事 石田 祝稔君 理事 山本 孝史君    理事 網岡  雄君 理事 荒井  聰君       荒井 広幸君    稲葉 大和君       金田 英行君    熊代 昭彦君       栗原 裕康君    近藤 鉄雄君       佐藤 静雄君    佐藤 剛男君       七条  明君    住  博司君       高橋 辰夫君    戸井田三郎君       藤本 孝雄君    青山 二三君       粟屋 敏信君    岩浅 嘉仁君       鴨下 一郎君    久保 哲司君       坂口  力君    田名部匡省君       福島  豊君    桝屋 敬悟君       柳田  稔君    吉田 公一君       岩田 順介君    森井 忠良君       横光 克彦君    玄葉光一郎君       岩佐 恵美君    堀込 征雄君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 井出 正一君  出席政府委員         厚生大臣官房長 山口 剛彦君         厚生大臣官房総         務審議官    太田 義武君         厚生省健康政策         局長      谷  修一君         厚生省保健医療         局長      松村 明仁君         厚生省薬務局長 田中 健次君         厚生省社会・援         護局長     佐野 利昭君         厚生省児童家庭         局長      佐々木典夫君         厚生省保険局長 岡光 序治君         厚生省年金局長 近藤純五郎君  委員外出席者         議     員 稲垣 実男君         議     員 自見庄三郎君         議     員 戸井田三郎君         議     員 中山 太郎君         議     員 井上 喜一君         議     員 野呂 昭彦君         議     員 福島  豊君         議     員 桝屋 敬悟君         議     員 矢上 雅義君         議     員 森井 忠良君         環境庁自然保護         局施設整備課長 近藤  誠君         大蔵省主計局共         済課長     松川 忠晴君         大蔵省理財局総         務課たばこ塩事         業室長     二宮 洋二君         文部省初等中等         教育局職業教育         課長      木曽  功君         文部省高等教育         局企画課長   板橋 一太君         特許庁審査第一         部長      河本 博隆君         厚生委員会調査         室長      市川  喬君     ――――――――――――― 委員の異動 五月三十一日  辞任         補欠選任   枝野 幸男君     高見 裕一君 同日  辞任         補欠選任   高見 裕一君     枝野 幸男君 六月六日  辞任         補欠選任   塩崎 恭久君     金田 英行君   長勢 甚遠君     七条  明君   根本  匠君     栗原 裕康君   堀之内久男君     稲葉 大和君   山口 俊一君     佐藤 剛男君   久保 哲司君     桝屋 敬悟君   宮本 一三君     吉田 公一君   五島 正規君     岩田 順介君   枝野 幸男君     玄葉光一郎君   土肥 隆一君     堀込 征雄君 同日  辞任        補欠選任   稲葉 大和君     堀之内久男君   金田 英行君     塩崎 恭久君   栗原 裕康君     根本  匠君   佐藤 剛男君     山口 俊一君   七条  明君     長勢 甚遠君   桝屋 敬悟君     久保 哲司君   吉田 公一君     宮本 一三君   岩田 順介君     五島 正規君   玄葉光一郎君     枝野 幸男君   堀込 征雄君     土肥 隆一君     ――――――――――――― 五月三十日  障害者の自立の促進と親・家族負担の軽減に関  する請願網岡雄紹介)(第一四二五号)  同(伊吹文明紹介)(第一四二六号)  同(網岡雄紹介)(第一四四一号)  同外一件(衛藤晟一紹介)(第一四四二号)  同(小野晋也君紹介)(第一四四三号)  同(持永和見紹介)(第一四四四号)  同(網岡雄紹介)(第一四六四号)  同(金田誠一紹介)(第一四六五号)  同(五島正規紹介)(第一四六六号)  小規模作業所等成人期障害者対策に関する請  願(丹羽雄哉紹介)(第一四三七号)  同(細田博之紹介)(第一四三八号)  同(赤松広隆紹介)(第一四六七号)  同(赤松正雄紹介)(第一四六八号)  同(荒井聰紹介)(第一四六九号)  同(粟屋敏信紹介)(第一四七〇号)  同(伊吹文明紹介)(第一四七一号)  同(池田行彦紹介)(第一四七二号)  同(石田祝稔紹介)(第一四七三号)  同(岩佐恵美紹介)(第一四七四号)  同(上田勇紹介)(第一四七五号)  同(江崎鐵磨紹介)(第一四七六号)  同(遠藤和良紹介)(第一四七七号)  同(小野晋也君紹介)(第一四七八号)  同(大原一三紹介)(第一四七九号)  同(近江巳記夫紹介)(第一四八〇号)  同(加藤卓二紹介)(第一四八一号)  同(貝沼次郎紹介)(第一四八二号)  同(海部俊樹紹介)(第一四八三号)  同(梶山静六紹介)(第一四八四号)  同(金子原二郎紹介)(第一四八五号)  同(金子徳之介紹介)(第一四八六号)  同(金田誠一紹介)(第一四八七号)  同(亀井善之紹介)(第一四八八号)  同(河村たかし紹介)(第一四八九号)  同(木部佳昭紹介)(第一四九〇号)  同(岸田文雄紹介)(第一四九一号)  同(北沢清功紹介)(第一四九二号)  同(久間章生紹介)(第一四九三号)  同(久野統一郎紹介)(第一四九四号)  同(小泉晨一君紹介)(第一四九五号)  同(小坂憲次紹介)(第一四九六号)  同(五島正規紹介)(第一四九七号)  同(穀田恵二紹介)(第一四九八号)  同(佐々木陸海紹介)(第一四九九号)  同(佐藤静雄紹介)(第一五〇〇号)  同(佐藤信二紹介)(第一五〇一号)  同(佐藤守良紹介)(第一五〇二号)  同(斎藤文昭紹介)(第一五〇三号)  同(坂上富男紹介)(第一五〇四号)  同(坂口力紹介)(第一五〇五号)  同(坂本三十次君紹介)(第一五〇六号)  同(櫻内義雄紹介)(第一五〇七号)  同(笹山登生紹介)(第一五〇八号)  同(志位和夫紹介)(第一五〇九号)  同(自見庄三郎紹介)(第一五一〇号)  同(塩谷立紹介)(第一五一一号)  同(白沢三郎紹介)(第一五一二号)  同(鈴木俊一紹介)(第一五一三号)  同(田口健二紹介)(第一五一四号)  同(田中秀征紹介)(第一五一五号)  同(田邊誠紹介)(第一五一六号)  同(田端正広紹介)(第一五一七号)  同(田村元紹介)(第一五一八号)  同(竹内譲紹介)(第一五一九号)  同(武部勤紹介)(第一五二〇号)  同(寺前巖紹介)(第一五二一号)  同(中島章夫紹介)(第一五二二号)  同(中島武敏紹介)(第一五二三号)  同(中谷元紹介)(第一五二四号)  同(中村正三郎紹介)(第一五二五号)  同(仲村正治紹介)(第一五二六号)  同(永井英慈君紹介)(第一五二七号)  同(長勢甚遠君紹介)(第一五二八号)  同(西川太一郎紹介)(第一五二九号)  同(葉梨信行紹介)(第一五三〇号)  同(鉢呂吉雄紹介)(第一五三一号)  同(鳩山邦夫紹介)(第一五三二号)  同(林義郎紹介)(第一五三三号)  同(原田憲紹介)(第一五三四号)  同(東中光雄紹介)(第一五三五号)  同(不破哲三紹介)(第一五三六号)  同(福島豊紹介)(第一五三七号)  同(藤田スミ紹介)(第一五三八号)  同(二田孝治紹介)(第一五三九号)  同(古堅実吉紹介)(第一五四〇号)  同(保利耕輔君紹介)(第一五四一号)  同(堀之内久男紹介)(第一五四二号)  同(正森成二君紹介)(第一五四三号)  同(町村信孝紹介)(第一五四四号)  同(松沢成文紹介)(第一五四五号)  同(松下忠洋紹介)(第一五四六号)  同(松田岩夫紹介)(第一五四七号)  同(松本善明紹介)(第一五四八号)  同(松本龍紹介)(第一五四九号)  同(三塚博紹介)(第一五五〇号)  同(御法川英文紹介)(第一五五一号)  同(宮路和明君紹介)(第一五五二号)  同(宮本一三紹介)(第一五五三号)  同(武藤嘉文紹介)(第一五五四号)  同(村田吉隆紹介)(第一五五五号)  同(森英介紹介)(第一五五六号)  同(矢島恒夫紹介)(第一五五七号)  同(山口敏夫紹介)(第一五五八号)  同(山崎泉紹介)(第一五五九号)  同(山田正彦紹介)(第一五六〇号)  同(山原健二郎紹介)(第一五六一号)  同(山本公一君紹介)(第一五六二号)  同(山本孝史紹介)(第一五六三号)  同(吉井英勝紹介)(第一五六四号)  同(吉田公一紹介)(第一五六五号)  同(米沢隆紹介)(第一五六六号)  腎疾患総合対策早期確立に関する請願(石破  茂君紹介)(第一四三九号)  食品衛生法改悪中止と食品の安全チェック体  制強化に関する請願岩佐恵美紹介)(第一  四四〇号)  療術の制度化促進に関する請願岸田文雄君紹  介)(第一四六三号) 六月一日  国民健康保険制度の改革に関する請願外十二件  (羽田孜紹介)(第一六一五号)  重度心身障害者とその両親またはその介護者及  び寝たきり老人とその介護者が同居入所可能な  社会福祉施設実現化に関する請願羽田孜君  紹介)(第一六一六号)  重度戦傷病者と妻の援護に関する請願熊谷弘  君紹介)(第一六一七号)  同(船田元紹介)(第一六一八号)  同(今村修紹介)(第一七四五号)  男性介護人に関する請願羽田孜紹介)(第  一六一九号)  療術の制度化促進に関する請願船田元紹介  )(第一六二〇号)  同(秋葉忠利紹介)(第一七四六号)  同外一件(藤本孝雄紹介)(第一七四七号)  同(船田元紹介)(第一七四八号)  同外三件(渡瀬憲明紹介)(第一七四九号)  障害者の自立の促進と親・家族負担の軽減に関  する請願網岡雄紹介)(第一六二一号)  同(網岡雄紹介)(第一七五〇号)  同(木村義雄紹介)(第一七五一号)  小規模作業所等成人期障害者対策に関する請  願(安倍晋三君紹介)(第一六二二号)  同(青木宏之紹介)(第一六二三号)  同(秋葉忠利紹介)(第一六二四号)  同(伊藤茂紹介)(第一六二五号)  同(伊藤宗一郎紹介)(第一六二六号)  同(伊吹文明紹介)(第一六二七号)  同外二十件(石井一紹介)(第一六二八号)  同(石田幸四郎紹介)(第一六二九号)  同(糸山英太郎君紹介)(第一六三〇号)  同(岩佐恵美紹介)(第一六三一号)  同(宇野宗佑紹介)(第一六三二号)  同(臼井日出男紹介)(第一六三三号)  同(浦野烋興君紹介)(第一六三四号)  同(衛藤晟一紹介)(第一六三五号)  同(遠藤登紹介)(第一六三六号)  同(小川元紹介)(第一六三七号)  同(小沢一郎紹介)(第一六三八号)  同(小澤潔紹介)(第一六三九号)  同(尾身幸次紹介)(第一六四〇号)  同(大石千八紹介)(第一六四一号)  同(大石正光紹介)(第一六四二号)  同(大島理森紹介)(第一六四三号)  同(大谷忠雄紹介)(第一六四四号)  同(奥田幹生紹介)(第一六四五号)  同(鹿野道彦紹介)(第一六四六号)  同(粕谷茂紹介)(第一六四七号)  同(片岡武司紹介)(第一六四八号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一六四九号)  同(河村建夫紹介)(第一六五〇号)  同(木村義雄紹介)(第一六五一号)  同(菊池福治郎紹介)(第一六五二号)  同(岸本光造紹介)(第一六五三号)  同(北沢清功紹介)(第一六五四号)  同(北村直人紹介)(第一六五五号)  同(栗原裕康紹介)(第一六五六号)  同(小杉隆紹介)(第一六五七号)  同(小平忠正紹介)(第一六五八号)  同(小林守紹介)(第一六五九号)  同(木幡弘道紹介)(第一六六〇号)  同(古賀誠紹介)(第一六六一号)  同(左近正男紹介)(第一六六二号)  同(佐々木秀典紹介)(第一六六三号)  同(佐藤謙一郎紹介)(第一六六四号)  同(佐藤剛男紹介)(第一六六五号)  同(坂井隆憲紹介)(第一六六六号)  同(沢藤礼次郎紹介)(第一六六七号)  同(志賀節紹介)(策一六六八号)  同外一件(塩川正十郎紹介)(第一六六九号  )  同(嶋崎譲紹介)(第一六七〇号)  同(住博司紹介)(第一六七一号)  同(田口健二紹介)(策一六七二号)  同(田中直紀紹介)(第一六七三号)  同(田原隆紹介)(第一六七四号)  同(高鳥修紹介)(第一六七五号)  同(高見裕一紹介)(第一六七六号)  同(竹内黎一君紹介)(第一六七七号)  同(谷垣禎一紹介)(第一六七八号)  同(樽床伸二紹介)(第一六七九号)  同(塚原俊平紹介)(第一六八〇号)  同(戸井田三郎紹介)(第一六八一号)  同(虎島和夫紹介)(第一六八二号)  同(中曽根康弘紹介)(第一六八三号)  同(中西績介紹介)(第一六八四号)  同(中村時広君紹介)(第一六八五号)  同(楢崎弥之助紹介)(第一六八六号)  同(西岡武夫紹介)(第一六八七号)  同(西銘順治紹介)(第一六八八号)  同(根本匠紹介)(第一六八九号)  同(野田聖子紹介)(第一六九〇号)  同(野田実紹介)(第一六九一号)  同(羽田孜紹介)(第一六九二号)  同(畠山健治郎紹介)(第一六九三号)  同(鳩山由紀夫紹介)(第一六九四号)  同(原健三郎紹介)(第一六九五号)  同(日野市朗紹介)(第一六九六号)  同外一件(平沼赳夫紹介)(第一六九七号)  同(平林鴻三君紹介)(第一六九八号)  同(不破哲三紹介)(第一六九九号)  同(藤尾正行紹介)(第一七〇〇号)  同(藤村修紹介)(第一七〇一号)  同(藤本孝雄紹介)(第一七〇二号)  同(二見伸明君紹介)(第一七〇三号)  同(船田元紹介)(第一七〇四号)  同(細川律夫紹介)(第一七〇五号)  同(前田武志紹介)(第一七〇六号)  同(松岡利勝紹介)(第一七〇七号)  同(松永光紹介)(第一七〇八号)  同(松前仰君紹介)(第一七〇九号)  同(三ッ林弥太郎紹介)(第一七一〇号)  同(三原朝彦紹介)(第一七一一号)  同(宮里松正紹介)(第一七一二号)  同(村上誠一郎紹介)(第一七一三号)  同(持永和見紹介)(第一七一四号)  同(森田一紹介)(第一七一五号)  同(山口俊一紹介)(第一七一六号)  同(山崎泉紹介)(第一七一七号)  同(山名靖英紹介)(第一七一八号)  同(山花貞夫紹介)(第一七一九号)  同(山元勉紹介)(第一七二〇号)  同(山本有二紹介)(第一七二一号)  同(横光克彦紹介)(第一七二二号)  同(若林正俊紹介)(第一七二三号)  同(渡瀬憲明紹介)(第一七二四号)  同(渡辺嘉藏紹介)(第一七二五号)  同(阿部昭吾紹介)(第一七五二号)  同(池端清一紹介)(第一七五三号)  同(江田五月紹介)(第一七五四号)  同(遠藤登紹介)(第一七五五号)  同(大野由利子紹介)(第一七五六号)  同(岡崎宏美紹介)(第一七五七号)  同(北沢清功紹介)(第一七五八号)  同(熊谷弘紹介)(第一七五九号)  同(小池百合子紹介)(第一七六〇号)  同(古賀一成紹介)(第一七六一号)  同(近藤鉄雄紹介)(第一七六二号)  同(鮫島宗明君紹介)(第一七六三号)  同(田中昭一紹介)(第一七六四号)  同(高市早苗紹介)(第一七六五号)  同(楢崎弥之助紹介)(第一七六六号)  同(二見伸明君紹介)(第一七六七号)  同(前原誠司紹介)(第一七六八号)  同(牧野聖修紹介)(第一七六九号)  同(森井忠良紹介)(第一七七〇号)  同(山崎泉紹介)(第一七七一号)  同(横光克彦紹介)(第一七七二号)  腎疾患総合対策早期確立に関する請願(菊池  福治郎紹介)(第一七四四号) 同月六日  腎疾患総合対策早期確立に関する請願(愛野  興一郎紹介)(第一七八八号)  重度戦傷病者と妻の援護に関する請願山中貞  則君紹介)(第一七八九号)  同(左藤恵紹介)(第一八八四号)  療術の制度化促進に関する請願青山二三君紹  介)(第一七九〇号)  同外三件(野田実紹介)(第一八八五号)  同(粟屋敏信紹介)(第一九五一号)  障害者の自立の促進と親・家族負担の軽減に関  する請願網岡雄紹介)(第一七九一号)  同(岩佐恵美紹介)(第一七九二号)  小規模作業所等成人期障害者対策に関する請  願(愛野興一郎紹介)(第一七九三号)  同(青山二三紹介)(第一七九四号)  同(井上喜一紹介)(第一七九五号)  同(伊藤達也紹介)(第一七九六号)  同(石橋大吉紹介)(第一七九七号)  同(今井宏紹介)(第一七九八号)  同(江藤隆美紹介)(第一七九九号)  同(遠藤登紹介)(第一八〇○号)  同(大野功統紹介)(第一八〇一号)  同(岡田克也紹介)(第一八〇二号)  同(瓦力君紹介)(第一八〇三号)  同(小池百合子紹介)(第一八〇四号)  同(古賀敬章紹介)(第一八〇五号)  同外一件(河本敏夫紹介)(第一八〇六号)  同外一件(佐田玄一郎紹介)(第一八〇七号  )  同(斉藤斗志二君紹介)(第一八〇八号)  同(笹川堯君紹介)(第一八〇九号)  同(塩崎恭久紹介)(第一八一〇号)  同(七条明君紹介)(第一八一一号)  同(田野瀬良太郎紹介)(第一八一二号)  同(中馬弘毅紹介)(第一八位置三号)  同(津島雄二紹介)(第一八一四号)  同(辻一彦紹介)(第一八一五号)  同(東家嘉幸紹介)(第一八一六号)  同外一件(中尾栄一紹介)(第一八一七号)  同(中川秀直紹介)(第一八一八号)  同(中山太郎紹介)(第一八一九号)  同(中山利生紹介)(第一八二〇号)  同(西博義紹介)(第一八二一号)  同(西田司紹介)(第一八二二号)  同外十六件(錦織淳紹介)(第一八二三号)  同(野呂昭彦紹介)(第一八二四号)  同(萩山教嚴君)(第一八二五号)  同(畑英次郎紹介)(第一八二六号)  同(浜田靖一君紹介)(第一八二七号)  同(浜野剛紹介)(第一八二八号)  同(東順治紹介)(第一八二九号)  同(東中光雄紹介)(第一八三〇号)  同(平田米男紹介)(第一八三一号)  同(藤井孝男紹介)(第一八三二号)  同(藤田スミ紹介)(第一八三三号)  同(古堅実吉紹介)(第一八三四号)  同(古屋圭司紹介)(第一八三五号)  同(穂積良行紹介)(第一八三六号)  同(松本善明紹介)(第一八三七号)  同(宮崎茂一紹介)(第一八三八号)  同(村田敬次郎紹介)(第一八三九号)  同(村山達雄紹介)(第一八四〇号)  同(茂木敏充紹介)(第一八四一号)  同(矢上雅義紹介)(第一八四二号)  同(山原健二郎紹介)(第一八四三号)  同(山本拓紹介)(第一八四四号)  同(横光克彦紹介)(第一八四五号)  同外一件(綿貫民輔紹介)(第一八四六号)  同(相沢英之紹介)(第一八八六号)  同(甘利明君紹介)(第一八八七号)  同(伊藤英成紹介)(第一八八八号)  同(石橋一弥紹介)(第一八八九号)  同(上田晃弘紹介)(第一八九〇号)  同(小沢辰男紹介)(第一八九一号)  同(大木正吾紹介)(第一八九二号)  同(菅直人紹介)(第一八九三号)  同(北側一雄紹介)(第一八九四号)  同(久保哲司紹介)(第一八九五号)  同(熊代昭彦紹介)(第一八九六号)  同(倉田栄喜紹介)(第一八九七号)  同(後藤茂紹介)(第一八九八号)  同(笹川堯君紹介)(第一八九九号)  同(志位和夫紹介)(第一九〇〇号)  同(杉山憲夫紹介)(第一九〇一号)  同(千葉国男紹介)(第一九〇二号)  同(月原茂皓紹介)(第一九〇三号)  同(土肥隆一紹介)(第一九〇四号)  同(中島衛紹介)(第一九〇五号)  同(桝屋敬悟紹介)(第一九〇六号)  同(松前仰君紹介)(第一九〇七号)  同(山下八洲夫君紹介)(第一九〇八号)  同(横光克彦紹介)(第一九〇九号)  同(和田貞夫紹介)(第一九一〇号)  同(五十嵐ふみひこ君紹介)(第一九五二号)  同(岡島正之紹介)(第一九五三号)  同(小森龍邦紹介)(第一九五四号)  同(佐藤泰介紹介)(第一九五五号)  同(笹川堯君紹介)(第一九五六号)  同(高木陽介紹介)(第一九五七号)  同(高橋一郎紹介)(第一九五八号)  同(冬柴鐵三君紹介)(第一九五九号)  同(三野優美紹介)(第一九六〇号)  同(山下八洲夫君紹介)(第一九六一号)  同(横光克彦紹介)(第一九六二号)  骨髄移植医療体制の充実と拡充に関する請願  (金田誠一紹介)(第一八六六号)  同(浜田靖一君紹介)(第一八六七号)  同(山口俊一紹介)(第一八六八号)  同(石田祝稔紹介)(第一九六三号)  同(金田誠一紹介)(第一九六四号)  同(藤村修紹介)(第一九六五号)  同(三原朝彦紹介)(第一九六六号)  同(山田宏紹介)(第一九六七号)  国民へのよい看護の実現に関する請願岩佐恵  美君紹介)(第一八六九号)  同(穀田恵二紹介)(第一八七〇号)  同(佐々木陸海紹介)(第一八七一号)  同(志位和夫紹介)(第一八七二号)  同(寺前巖紹介)(第一八七三号)  同(中島武敏紹介)(第一八七四号)  同(東中光雄紹介)(第一八七五号)  同(不破哲三紹介)(第一八七六号)  同(藤田スミ紹介)(第一八七七号)  同(古堅実吉紹介)(第一八七八号)  同(正森成二君紹介)(第一八七九号)  同(松本善明紹介)(第一八八〇号)  同(矢島恒夫紹介)(第一八八一号)  同(山原健二郎紹介)(第一八八二号)  同(吉井英勝紹介)(第一八八三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 六月六日  生活保護法による医療扶助制度の改善に関する  陳情書  (第二六八号)  社会保険診療報酬大幅引き上げ等に関する陳  情書(  第二六九号)  予防接種事業に対する費用負担の拡充に関する  陳情書  (第二七〇号)  国立病院・診療所の充実と強化に関する陳情書  (第二七一号)  漢方製剤の保険薬価削除と負担の見直し反対に  関する陳情書  (第二七二号)  障害者小規模作業所に対する国庫補助金制度拡  売に関する陳情書  (第二七三号)  阪神・淡路大震災被災視覚障害者の救援と復興  に関する陳情書外三件  (第二七四号)  定住外国人の社会保障制度の確立に関する陳情  書  (第二七五号)  長崎原爆被爆地域の拡大是正に関する陳情書  (第二七六号)  老人保健法に基づく成人歯科健診の早期実施に  関する陳情書外一件  (第二七  七号)  在宅寝たきり高齢者介護手当制度に関する陳情  書  (第二七八号)  福祉社会実現のための条件整備に関する陳情書  (第二七九号)  福祉の拡充に関する陳情書外一件  (第二八〇号)  保育所措置制度の堅持と拡充に関する陳情書外  一件  (第二八一号)  国民健康保険制度改正に伴う国庫負担に関する  陳情書  (第二八二号)  年金受給権者に係る生存証明に関する陳情書  (  第二八三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  臓器の移植に関する法律案(森井忠良君外十三  名提出、第百二十九回国会衆法第七号)  優生保護法の一部を改正する法律案起草の件  理容師法及び美容師法の一部を改正する法律案  起草の件  厚生関係の基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員長 これより会議を開きます。  厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤静雄君。
  3. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 私は先日、看護問題、特に准看問題について質問させていただきました。大臣がおられなかったものですから、きょうは大臣のいろいろなお考えに特に重点を置いて聞かせていただきたいですし、また、看護全体の問題に対してこれからの解決策、そんなことも含めて少し聞きたいと思います。  今度の厚生白書の中で、これからは看護と介護に重点を置いていくのだ、そういうことが書かれております。しかしその中では、看護の質を上げるためには四年制大学なり短大、こういう高等教育を充実させていく、それに重点を置いております。私は、やはり看護の質を高めるためには今までの教育制度、それから看護の制度、こういうものを全部見直さなければ本当の看護の質を高めることにはつながっていかないと思っているのです。  そこでまず最初に、高等教育を優先させていく、質を高めるために大学、短大というものを優先させていく、この意図は何か、そのことをお聞きしたいと思います。
  4. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 今回まとめさせていただきました厚生白書の中では、医療全般についてさまざまな視点からまとめているところでございますが、その中で看護職の問題につきましては、看護職員の養成に関して今後取り組むべき具体策として、看護系大学などの高等教育の充実のほか、養成所の教員、施設などの充実を図ること、あるいは高齢者や在宅療養者の看護を重視するなどの教育カリキュラムの充実を図ること、あるいは生涯教育の充実を図るといったようなことにつきまして、昨年の十二月にまとめられました少子・高齢社会看護問題検討会の報告書を引用をいたしております。  そのようなことで、厚生省といたしましては、こうしたような報告を踏まえまして、看護職員の資質の向上に総合的に取り組んでいきたいというふうに考えておりまして、決して高等教育だけを優先させるということの趣旨ではございません。
  5. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 今局長から全体に取り組んでいくのだというお話がありましたけれども、私は、今、看護制度、看護教育というものが一つ問題になるのは、教育そのものを見ても大変複雑な制度になってしまっている、また、看護制度そのものが准看あり正看あり、また、職場で差別を生み出している、いろいろな問題がたくさんあるわけであります。これらの問題をそれぞれ一つ一つ解決をしないとだめなわけでありますから、それらの点について少しついてみたいと思います。  第一の問題ですけれども、准看制度を廃止をする、その方向に向けてこれから看護制度は考えていくべきだということを、私この間質問いたしましたけれども、まず、准看教育というのは中学を卒業した者を対象にしてできた制度です。中学校を卒業して、そして准看の学校に行って二年間勉強して准看になる、その制度です。その中学を卒業した者が入る制度でありますけれども、実際問題は高校を卒業した者が最近は非常に多いと聞いております。今、高卒で准看養成所に入る子供は何%ぐらいいるのですか。
  6. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 准看護婦養成所の入学者の中での高校卒業以上の者の割合でございますが、昭和五十九年以来おおむね九〇%以上ということになっております。なお、平成六年につきましては八九・八%、約九〇%でございます。
  7. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 そのように、もう今や、本来なら中学を卒業して入るコースは九〇%を高卒が占めている。本当は、高卒者は正看の三年制の看護婦養成所に行って看護婦になるのが筋なのであります。しかし、なかなかそれも狭き門だというようなこともあって、准看の学校に泣く泣く行っているような状態だと私は思うのであります。一たん准看の学校に行って、それから今度は正看になるためには、さらに卒業してから、准看になってから二年間の進学コースにまた入らなくてはならない、それはなかなか大変な状態になるわけであります。  ましてやこの准看の学校に入るためには、大半のところは在学中に働くことが義務づけられているわけです。今、准看養成所では、六四・四%の養成所が働くことを義務づけている。応募資格を見てみますと、こう書いてあるのです。入学後は病院に勤務し、住み込み通学のできる者、もしくは、原則として何々医師会の、県の中にいろいろな医師会があります、何々医師会の会員の経営管理する医療機関に寄宿勤務できる者、そんなような条件がついております。  しかし、ほとんどの生徒は働くことを望んでいないわけであります。昔、日本がまだ経済的に苦しかったころ、中学を卒業して働きながら学校に行って、そして看護婦さんになった。そういう時代にできた制度でありますから。全国准看護婦学校教育協議会の昨年の調査によりますと、働きながらでないと進学できなかったという経済的理由を挙げている入学者はわずか七・四%しかおらないのであります。どちらかといえばそうだった。六・四%。合わせても一三・八%しかいない、今そういう状態になっているのですね。  そして、労働時間ですけれども、六五%の生徒は一週間に三十時間以上働いている。普通、准看の養成所は、午前中働いて午後一時から五時くらいまで学校に行くわけです。午前中働くとなったら、例えば九時から十二時まで働くとします。三時間です。一週間六日働いたとしても、十八時間でいいはずです。一週間に三十時間以上働いている。さらに、四四%の生徒は一週間に四、五回の夜勤をしている。一回の夜勤の就労時間は十五時間から十七時間にも及んでいる者が半分いるということです。そして、働きたくないからといって職場をやめると退学させられるというケースがたくさん出ている。また、例のお礼奉公といつも言われるもので、卒業後二、三年間は働かなければならない。そういうような条件がつけられている。  厚生省は、これらのやり方が余りにも行き過ぎじゃないかということで、先日医師会や病院に改善通知を出したと聞きますけれども、どういう背景を考えて、どういう内容のものであったのでしょうか、お聞かせください。
  8. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 昨年暮れの看護問題検討会の報告書におきまして、准看護婦養成所の生徒は就労を前提とし、職場をやめると養成所もやめざるを得ない状況があるというケースの指摘がございました。  このため、今般、准看護婦養成所の生徒が職場をやめた場合にも、特段の場合を除いて養成所を退学せざるを得ない状況になることのないよう養成所への周知徹底を図ることにいたしまして、五月でございますが、そういったような通知を改めて各知事あてに出したところでございます。
  9. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 若い女性が、看護婦さんになるためにそういう昔ながらの制度の中でそのように非常に苦しい目に遭って勉強しなければならない、こういう実態を本当に厚生省はよく考えて、徹底した指導をしなければならぬと私は思います。しかし、根本的にはこういう制度をなくさなければ本当の解決にはつながっていかないのだと私は思うのです。  そして、生徒が働いているその仕事の内容たるや、大変な内容なのですね。まだ看護婦さんの資格も何もない人が、導尿ですとか、三二%の人がそういう経験をさせられている。ガーゼの交換は五〇%ぐらいの人がやっている。筋肉注射、静脈注射、手術の直接介助は七%もいる。これはもう本当に無資格者が医療行為をしているとしか思えないような状態が実態としてあるわけですね。これに対して、こういう実態を見てどうお考えですか。
  10. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 今の、無資格の生徒が有資格者と同様の行為を行っているという指摘が、やはり先ほども申しました報告書の中でもなされたわけでございます。先ほどちょっと申し上げましたが、五月に出しました通知の中では、この速やかな改善を図るという趣旨から、都道府県に対しまして無資格者の医療行為が法律違反であるということについて改めて通知を出しまして、また准看護婦養成所の方からそれぞれの生徒に対してもその内容について十分周知徹底を図るよう、通知の中でも記したところでございます。
  11. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 ちょっと今の、生徒にこう言ったということですか、今おっしゃったのは。
  12. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 看護婦等の免許を持たない者が免許を有する者でなければしてはならないという業務を行った場合には、いわゆる保助看法等に違反するということについて、改めて各都道府県知事に周知徹底を図り、また養成所の設置者等については、このようなことについて生徒へも十分理解をしてもらうように周知を図るよう通知をしたところでございます。
  13. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 これは、医者の問題だとかそういう問題ではなくして、国民の、患者側の問題であります。やはり我々国民側の問題として、無資格者がそういうことをする、これは重大な問題だと私は思います。厳重に注意をしなければならない問題だと思いますから、ひとつ、より一層指導していただきたい、私はそう思っております。  日本医師会は、昨年、准看教育のレベルアップを図ることを提案しております。私は、これだけの労働をこなして、そしてさらにレベルアップを図るために授業時間をふやしたり何かすることはなかなか大変だと思っています。もう限界に近いと私は思っています。しかし、もっと魅力ある教育体系にしなければ女性が看護婦を希望しなくなるのではないか、そんなことを医師会もみんな考え始めたことは確かでありましょう。  そこで、看護職員の養成に国や都道府県、市町村からの補助金の比率は今どのぐらいになっているのでしょうか、お聞かせください。
  14. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 私どもとしましては、准看護婦養成所の運営費の全体についての調査をしたことはございませんが、平成六年度の補助金の交付申請から申し上げますと、准看護婦の養成所の運営に関する収入の内訳といたしましては、入学金あるいは授業料などによる収入が約六二%、それから補助金が二二%、うち半分の一一%が国からの補助金ということになっております。
  15. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 医師会からの補助金はどのぐらいなのですか。
  16. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 医師会につきましては、医師会という形での分類はしておりませんが、その他の収入の約一六%の中に含まれているということでございます。
  17. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 看護協会の調査によりますと、医師会の負担は今六・八%しかない。市町村は四・六%、医療機関から四・四%。合わせて大体一六%ぐらいだ。ですから、本当に医師会としての負担というのは今非常に少ないのですね。ですから、よく言われる、国が看護婦の養成をやらないから自分たちがやっているのだという指摘は、もう今は当たらないわけですね。ですから、そういう実態を見ながらこの看護婦教育というものを、准看教育というものをどうするかということを厚生省としてもよく考えるべきだと私は思います。  それからもう一つ。医師会が准看制度を残すことに固守しておる原因の一つに、准看をなくすると、准看は地方病院や診療所に非常に偏っているものですから、診療所などで働く看護婦さんがいなくなってしまうのではないか、それを非常に心配しているのですけれども、その辺はどうでしょうか。
  18. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 診療所で働く看護職員は、保健婦、助産婦も含めまして平成五年で約二十万人でございます。そのうち看護婦と准看護婦について申しますと、平成五年で看護婦が約六万人、それから准看護婦さんが十三万二千人ということでございます。看護婦につきましては、平成四年から平成五年にかけて約一万人の増加ということでございます。一方、准看護婦につきましては、平成四年から平成五年にかけて約七千人の増加というようなことでございまして、そういう意味では、この一年間の増加数ということだけ絶対数で見ますと、准看護婦の増加数を看護婦の増加数が上回っているということでございます。  そういう意味では、診療所におきましても看護婦が増加をしつつあるという事実が認められるわけでございますが、診療所におきます准看護婦さんの役割ということについては、これだけで議論をするというのはなかなか難しいのではないかということで、私どもといたしましては、いずれにしても、今後実施をすることを予定しております実態調査を通じまして状況をさらに詳しく把握をしていきたいと考えております。
  19. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 看護婦さんが最近非常に多くなっているということをお聞きしまして、ひとつそういう診療所などが困らないような体制をつくり上げていただきたい、そう思っています。  もう二つ、高等学校の衛生看護科というのがあるのでありますけれども、これも准看を養成していますけれども、文部省はこの四月に、高等学校における看護教育の充実・振興に関する調査研究会議というものをつくったと聞いております。それはいかなる背景でそういう研究を始めたのか、お聞かせいただきたいと思います。
  20. 木曽功

    ○木曽説明員 お答えいたします。  厚生省の少子・高齢社会看護問題検討会の報告書におきましても、次のように衛生看護科については記されております。  高等学校衛生看護科の生徒の約八割は、看護婦を目指して短期大学、専攻科、養成所等に進学していることから、衛生看護科は看護婦の養成に寄与しており、今後も専攻科の充実や大学、短期大学への進学機会の拡大を図る必要がある。ということでございます。  このように、高等学校の衛生看護科は、年齢の早い段階で看護への志望をはっきりと持つ者を対象として、高等学校教育の要するに普通教育を行うと同時に、准看護婦資格の取得のための専門教育を行う機関として重要な役割を果たしてきておるものであり、文部省としては、現状において特に大きな問題はないと考えているところでございます。しかし、一層の看護教育の充実改善を図るため、この高等学校における看護教育の充実・振興に関する調査研究会議を今年度新たに発足させたわけでございます。  以上でございます。
  21. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 ちょっとそれについて私もっと突っ込みたいのですが、時間がないものですから突っ込めないのです。  看護婦養成制度ができた当時、女子の高校進学率というのはわずか三七%だったのですね。そして、今や高校女子の就職率というのは二六%しかない。大学、短大に進学する人が非常に多くなってきたわけですね。そこで、今それで看護大学や看護短大を充実させていこうという方向になってきて、それが質を高めることになってきたわけですけれども、そういうようになりますと、今の看護婦養成所とそういう文部省のやる大学との整合性、また途中から大学に入りたいとかいろいろなことが起きてくると思うのです。そういうようなことがこれからの大変大きな問題になってくると私は思っているのです。ですから、途中から編入できるだとかそんなことも考える、また養成所を短大化していく、そんなことも含めて考えなくてはならぬと思っているのですけれども、文部省と厚生省のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  22. 板橋一太

    ○板橋説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘いただきましたように、看護婦養成所である専門学校を修了後にさらに大学への編入学を求めるといったふうな希望が非常に強いということは承知しております。現在のところ、専門学校は学校制度上、一条学校とは別個なものと位置づけられておりまして、専門学校の卒業者に対しては、現在、制度上、大学の途中年次への編入学は認められておりません。  しかしながら、現在文部省におきまして、大学における学習機会の多様化を図る方策の一つとして、生涯学習及び高等教育の活性化の観点から検討すべき課題であるというふうに専門学校卒業者の大学編入学については考えております。したがって、現在大学審議会においてこの点についての御議論をいただいているところでございまして、できるだけ早くその結論を得たいというふうに考えております。
  23. 井出正一

    ○井出国務大臣 まず、准看護婦の養成に関してでございますが、少子・高齢社会看護問題検討会の報告書には、その養成を停止すべきという意見と制度の改善を図りつつ継続すべきとの両論が併記されておりまして、この問題については、現在准看護婦免許を有する者の将来や今後の看護職員全体の需給状況等を勘案しながら、准看護婦学校養成所等の実態の全体的把握を行い、関係者や有識者、国民の参加を得て速やかに検討し結論を得るべきである。という指摘がなされております。今後、准看護婦養成所等の実態調査をまず行ってまいりたいと考えております。  次に、看護婦養成所の短大化についてでございますが、看護大学や短期大学を含め看護婦の養成施設は、看護婦として必要な知識や技能などについて学習し修得する場であり、大学、短期大学、養成所のいずれにおいて修学しても看護婦として必要な能力を修得できるものと考えております。今後は、在宅医療あるいは訪問看護に対するニーズが高まってまいりますことや、医療の高度化によりよく対応するとともに、少子化の中で優秀な人材を確保するために、カリキュラムの充実や教員の質の向上など、養成所の魅力の向上にも努めてまいらなくてはならぬと思います。  また、看護婦養成所と大学との接続あるいは現場の看護婦が大学に入学できる方策については、看護婦養成所の卒業生が大学へ編入できる道を開くことは重要なことと考えております。したがいまして、これから関係省庁と相談してまいりたいと思います。
  24. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 ぜひともひとつお願いいたしたいと思います。  もう時間がありませんけれども、現場の准看の正看への移行、このことも今すぐにしなくてはならぬ問題です。英国では、二〇〇〇年までにすべての准看をなくするということで、国家試験を受けるときに現場での経験年数を点数として加味する、そういうことを今実施しているわけです。日本でもそういうことを考えながら、ぜひともやっていただきたい、私はそう思っています。  大臣はさきがけの大臣でありますけれども、私ここに、さきがけの「平成七年政策大綱」というのを持っています。「われわれが目指す日本の進路」、この中に女性の問題で、社会のさまざまな場面でその能力を花咲かせつつある女性、しかし、その女性には、依然として残る法制度や社会制度の不備、あるいは古い社会習慣が女性の社会参加にとって大きな障害となっている。この法制度、税制など女性の社会参加を拒む要因を早急に排除するということがさきがけの大綱の中に書いてあるのです。  大臣、これは、さきがけの厚生大臣がやっているときに、さきがけがうたっている、目指しているこの政策に乗っかって、長い間続いている看護教育、看護婦制度、古い教育制度、古い制度、こういうものを今改めなければならない時期が来ているのです。  厚生省は、先ほど申し上げましたとおり、もっと質の高い看護をつくるために、看護大学や看護短大をつくろうとしている、どんどんふやしている。しかし、一方においては、古い准看制度があり、古い教育制度がある。また、准看、正看というものが差別として残っている。こういうものを全部ひっくるめて解決をしなかったら、本当に質の高い看護はできないわけであります。国民が期待をする看護ができないわけであります。  ですから、井出大臣がこのことに、さきがけの目標にのっとって本当に大改革をするんだ、そういうつもりで今取り組んでいっていただきたいと私は思うのですけれども、最後に大臣の決意を聞かせてください。
  25. 井出正一

    ○井出国務大臣 高齢化社会を迎えて、看護職員の確保、そしてまた、その資質の向上は大変大切なことだと思っておりますし、今、佐藤委員御指摘のような問題も、その中で極めて重要だと考えております。  看護職員の養成のあり方につきまして、先ほど申し上げました検討会の報告にもいろいろな意見があることは事実であります。さまざまな立場にある方々や関係省庁と意見調整を図って、よりよい看護制度の確立に努めていかなくちゃならぬ。厚生省、頑張るつもりでおります。
  26. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 終わります。
  27. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員長 坂口力君。
  28. 坂口力

    坂口委員 きょうは、医療の問題を少しお聞きをしたいと思います。  厚生省のさまざまな文献を見せていただきますと、年金、医療、そして福祉、この三つの分野における財源は、現在は五対四対一の割合になっている。これを将来は五対三対二にしていきたい、こういう計画が載せられております。医療の分野を、割合でありますけれども四を三にしなきゃならない。これは、割合ですから総額ではありませんけれども、しかし、高齢化社会がだんだんと進んでいく中で、医療の割合を三にしていくことは大変なことではないかというふうに思います。  内容を読ませていただきますと、それなりの理由がつけてありまして、そして、こういうことをして三に抑えていきますという抑制策がそこに出ているわけでございますが、現実問題としては、七十歳以上の人の割合が高くなればなるほど医療費というものは多くなってくるわけでありますから、どうしてもそう机上のプランどおりにはいかないのではないかと心配をいたしております一人であります。  これからの医療費というものを、どういうふうにしてそういうふうに軟着陸をさせようとしているのか。机上のプランはプランとしながら、しかし、本当にそれができるんだろうか。その辺のところをひとつ、まずお聞きをしたいと思います。
  29. 井出正一

    ○井出国務大臣 昨年三月の二十一世紀福祉ビジョンにおきまして、先生ただいま御指摘のような、今後、社会保障給付費全体が増大していく中で、年金、医療制度の長期的安定を図るとともに福祉等の水準を思い切って引き上げることが提言されております。  この場合において、年金、医療、福祉等のバランスについては、現在、五対四対一でございますが、これが、現行制度のままで推移した場合は、二〇二五年には恐らく六対三対一になるものと推計されるわけでございまして、福祉重視型への転換によって、五対三対二程度としていくことが望ましい、こういうことになっているわけでございますが、これは、医療費を抑制するというよりは、むしろ医療費の効率化を通じてこんな形に持っていかなくちゃならぬのじゃないかなと思います。  医療費の効率化の具体的内容といたしましては、まず第一に、健康づくりやリハビリテーションの充実、さらにまた介護対策など福祉施策の充実、在宅医療の推進、医療施設の機能の体系化、地域医療計画や医師需給の見直しなど、医療供給体制の効率化、合理化などでございまして、こうした多分野にわたる取り組みを総合的に講ずることによって、医療費の効率化が図られるものと考えておるところでございます。
  30. 坂口力

    坂口委員 医療費を圧迫するものは、大きく分けて二つあると思うのですね。  一つは技術革新、これも非常に圧迫する要因になるだろう。それからもう一つは高齢化だろうと思うのです。この二つのことが非常に大きな圧迫要因になるだろうというふうに思いますが、今大臣がお話しのように、効率化を図っていくんだ、その効率化のためには健康づくりだとかリハビリだとか、そういうことにうんと重点を置いていくんだ、こういうお話でございます。  需要抑制あるいは供給抑制も、これはなかなかできにくいわけですね。需要を抑制するといいましても、これは健康のことでありますから、そう抑制はでき得ない。供給面で抑制できるかといったら、これもそう抑制はできない。医師数が余りアンバランスになりましたときにはバランスのとれた形にするというぐらいはできましても、供給面でこれを抑制するということもなかなかできにくい。  ということになりますと、間接的な抑制ではありますけれども、これは先ほど御指摘になりましたように、健康づくり、健康管理あるいはまた予防医学というような範囲内でどんなふうにこれから医療の面を進めていくかということに尽きるのではないかというふうに思うわけです。  厚生省は、現在、都道府県あるいは市町村段階におきましても、健康づくりに対するさまざまな施策というのは行っておみえになるというふうに私も思います。しかし、現在の医療の流れの中で、健康管理あるいは予防医学ということが少なくとも主流にはなり得ていない。本当ならば、ここがもっと主流になってほしいと思うわけですが、なかなかここがならない。  大学におきましても、やはりその辺のところが、治療医学というものが中心になりまして、そして健康管理でありますとか予防医学ということについてはプラスアルファといった形にどうしてもなってしまう。したがいまして、医学部の中で予防医学の方に進む人の数もまた非常に少ない。予防医学の方に行く者はよほど変わり者か何かのように思われるような状況でございまして、そんな状況にあることは事実でございます。  これをいかにして主流にしていくかという努力をしていかなきゃならないと思うのですが、厚生省は厚生省として努力はしておみえになると思うのですけれども、そうは思うけれどもなかなかうまいこといかないのだ、どこがうまくいかないのか、どうすればこれはいいというふうに考えておみえになるか。難しいところですけれども、その難しいところをちょっとお聞きしたい、こう思うのです。
  31. 松村明仁

    ○松村政府委員 高齢化が進んでおります我が国にとりまして、国民の健康保持増進あるいは疾病予防というような、いわゆる第一次予防が極めて重要な課題であると我々は考えておるところでございます。  今委員御指摘のように、これを進めるということにつきまして、治療医学が優先されるという傾向がどうしてもあることは私どもも認めざるを得ないところでありますけれども、私どもといたしましても、国民一人一人がみずから健康的な生活習慣を確立することが必要である、こういった認識のもとに、実は昭和六十二年度からアクティブ80ヘルスプランというものをつくって進めておるところでございます。このアクティブ80ヘルスプランと申しますのは、八十歳になってもなお社会参加ができるような健康レベルを保つということを目標に、いろいろな施策を総合的に実施しておるところでございます。  若干この内容につきまして説明を申し上げますと、栄養、運動、休養のバランスのとれた生活習慣を確立するために、乳幼児から高齢者までの対象特性別に食生活の指針をつくりますとか、あるいは運動の指針あるいは休養の指針というようなものをっくっておるところでございます。さらに、健康づくりのために必要な運動をわかりやすくお示しした運動所要量の作成というようなこと、さらには、一般住民を対象に巡回相談等を実施いたします食生活改善推進員活動への支援、あるいは都道府県の健康づくりの中心となる健康科学センターの整備等の施策の充実に努めておるところでございます。  何分、健康というものは失ってみて初めてわかると言われるごとく、健康を第一に置いて生活を進めるというような状況になかなか至れないというところあたりがまず進め方の困難性のあるところではないかと思っておりますが、私どもは、今申し上げましたようなことを進めることを通じまして、まず第一に健康の重要性、予防の重要性というようなことを理解をしていただくように進めておるところでございます。
  32. 坂口力

    坂口委員 アクティブ80ヘルスプラン、名前は大変よろしいわけで、ぜひひとつそうしたことを国民運動的に進めていただかざるを得ないわけですが、厚生省の中でできたプランであって、それが国民のプランになかなかなり切っていかないところに悩みがあるのだろうというふうに思うわけです。  それで、諸外国は一体どうしているのか。いろいろ諸外国のやっておりますことに目を向けまして、それぞれの国の流れを見てみますが、うまくいっているところもあるし、やはり日本と同じようになかなかうまくいってないところもある。しかし、その中でドイツがやっております保養地医療というのがございます。この保養地医療というのは、長い間、もう百年からのドイツの中の歴史を持っておりまして、そして、それは単なる予防ということだけではなくて、リハビリもその中に含まれておりますし、あるいは治療分野も中に含まれております。しかし、かなり大きな分野で予防の思想が流れておりますことは事実でございます。うまいぐあいに治療と予防、リハビリというものをくるめて、そして発達させている。予防だけを取り出してやろうとしてもなかなか進まないけれども、治療もその中に含めながら予防の分野を大きく前進させようとしている。私は、そこに大きな知恵があるように思えてなりません。  保養地医療、クアと呼んでおりますが、このことがドイツの医師会雑誌、ドイツチェス・エルツテブラット四十七という中に出ておりまして、その中に書いてありますことをちょっと紹介をいたしますと、クアというのはクナイプさんという神父さんが始めたということでクナイプ自然療法とも呼ばれておりますが、  自然療法を巡っては、議論が絶えませんが、クナイプ自然療法だけは別格とされています。クナイプ自然療法は、単に「水踏み」と言うたけでなく、水療法に植物療法や運動療法や食事療法、それに秩序療法を組み合わせた総合的な医療システムで、ギリシア時代の「ディアイタ」に相当します。  また、これらの療法による効果は、数量化が可能です。しかし、クナイプ自然療法の一番の特長は、保養客に健康は自分の手で作るものと言う意識を目覚めさせ、その効果が持続する様に訓練する点にあります。クナイプ神父は、自らが考え出した療法が医師の手によって一層の発展を遂げることを望んでいました。そして今、この願いは現実のものとなり、クナイプ療法は世界中から支持を得ています。こういう書き出しになっておりまして、詳しくその内容が報告をされているわけでございます。  この中にもありますように、五本の柱、真ん中に秩序療法というのを置きまして、そして水療法、植物療法、そして食事療法、運動療法、この四つをそのほかに加えて五つの柱で成り立っている。御承知のとおりかと思います。  これにはさらに特徴がございまして、いわゆるそれを行います場所、保養地を定めておりますが、この保養地につきましては一定の条件、自然環境条件というものを定めておりまして、例えばその地域の日照時間は年間千五百時間以上なければならないとか、あ多いはまた大気中のダストでありますとかNO2、SO2等の値はこれこれ以下でなければならないとか、あるいは霧の発生する日は五十日以内でなければならないとか、水はこれこれでなければならないと、さまざまな条件を定めて、そういう条件の中で保養地を認定する、そういう環境のところを認定をする、そしてそこでこの療法を行うということになっているところが非常に特徴ではないかと思うわけでございます。  こうしたものを考えましたときに、それでは日本の中でそういう環境を非常に限定をして、そして健康に寄与するというような法律は、私の知る限りにおいてはないというふうに思いますが、きょうは環境庁の方からもお越しをいただいておりますので、その辺のところをちょっと環境庁の方にお答えいただけたら大変ありがたいと思います。お見えいただいていますか。
  33. 近藤誠

    近藤説明員 お答えいたします。環境庁におきましては、保養地づくりの一環といたしまして、従来より温泉法に基づきまして、温泉が本来の役割でありますところの保健休養に適しているということに着目いたしまして、積極的にその温泉を活用すべく、温泉の泉効が顕著であること、あるいは湧出量が豊富であること、付近一帯の景観が良好であること、こういうふうな一定の条件を備えました温泉地を国民保養温泉地として指定しているところでございます。現在、全国で八十二カ所の温泉地を指定いたしております。これらの保養温泉地におきまして、温泉の保健的利用に適した温泉地を国民保健温泉地といたしました。また、自然との触れ合いや自然教育の推進に適した温泉地をふれあい・やすらぎ温泉地といたしまして、それぞれ国におきまして選定し、市町村が行う温泉センターでありますとか、広場、園地、それから散策歩道、こういうふうなものの公共施設の整備に対して補助を行うなど、その充実を図っているところでございます。
  34. 坂口力

    坂口委員 今温泉のことが出ましたが、これに近いものといえば、日本でいえばいわゆる温泉療法というのがございますから、それが若干近いのだろうというふうに思いますけれども、日本の温泉療法といいます場合には、これほど系統立てて、百年の歴史を持ち、そして科学的データに裏づけをされて、そして、ドイツのみならず、これはEU全体に広がっておりますし、医学界全体で認知をされた状態というところまではなかなか日本では至っていないのではないかというふうに思います。  今、環境庁から温泉につきましてのお話がございましたが、ドイツで行われておりますような保養地医療、すなわち、健康に適した特定の場所を定めて、そしてそこでこういう医療を行うということを仮に日本でしょうとしますときに、そうすると、それはできるかどうかということをもう一つお聞きをしたいと思います。と申しますのは、大気中のNO2だとかSO2たとかいうようなものの制限もありますし、水に汚する制限もありますし、あるいはその他の制限もあるわけであります。そういたしますと、そこに開発が進んでくる、あるいは道路がつくというようなことになりますとそこは適しないということになってしまうわけで、そこを決定するということになりますと、その周辺の開発というものは抑えなければならないということになるわけでありますが、そうしたことは可能かどうかということをもう一つちょっとお聞きをしたい。
  35. 近藤誠

    近藤説明員 先生お尋ねの、ドイツにおきますところのクアオルトといいますか、保養地療法なる制度の内容につきまして、どのような要件のもとに設定しているかというふうなところにつきまして、環境庁としては現在十分把握しておらないのが実情でございます。したがいまして、推測で申し上げることは控えさせていただきたいと思いますが、仮に先生御指摘のような趣旨を踏まえまして、健康管理に役立つような保養地の自然環境の条件を設定した場合に生じる社会的影響といいますか、道路の問題でありますとか住宅、ホテルあるいは工場、こういうふうなものの影響については、具体的にどのような条件を定め、かつ、その環境を保全するためにどのような措置を講じるかによって決まるものであろうかと思います。  一概には申し上げられませんが、いずれにしましても、病院や施設における医療のみでなく、周辺の環境も利用しての健康回復・保持を検討することは有意義なものと存じますので、先ほど申しました私どもの温泉保養地も含めまして、この点についての厚生省のお考えも伺いまして、今後検討してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  36. 坂口力

    坂口委員 ありがとうございました。  どういう条件をつけるかは、これは別に考えるといたしまして、そういう条件が定まればそういうことを決定することができ得るという環境庁の今のお話だというふうに思います。  大臣、日本の中で今まで温泉療法みたいなものはありましたけれども、系統立った医療体系というものまで育ってきていないと言うと、温泉医療・医学をやっておみえになる人からおしかりを受けるかもしれませんけれども、これほど総合的な医療には現在なり得ていないと思うわけです。  それで将来、同じものをやるかどうかは別にしまして、こうした。日本もこれだけ自然に恵まれているわけですから、健康に適した自然というのは日本の各地域にあるわけですので、それを利用して、これはもう地方の村おこしにもなることでありますし、健康増進のこれは一つの新しい運動を展開をしては、それにはもっと医療というものを中心にした運動を展開をしては、そういうふうに思いますが、ちょっと御意見を先に伺っておきたいと思います。
  37. 井出正一

    ○井出国務大臣 実は私、先週の土曜日に久しぶりに神戸の震災場所へ行く機会がございまして、いろいろな方とお目にかかったのですが、有馬温泉の旅館組合の役員の皆さんと懇談する会合がありました。有馬温泉は今お客さんが来なくて大変困っていらっしゃるという事情を訴えられたのですが、そのお話の中でドイツは今先生のお話のような制度があって、保険の方から補助が出るんだというのを実は私は土曜日に皆さんからお聞きして初めて知ったような次第であります。今回先生がこういう御質問をなさるということを先ほどお聞きしまして、私はたまたま土曜日に初めて知ったということでまことにお恥ずかしいのでありますが、そんなことをちょっと申し上げてみたいなと思った次第であります。  いずれにいたしましても、高齢化の進展や成人病の増大に伴って、国民一人一人がみずからの健康に関心を持って、健康づくりは自分たちで取り組んでいくんだという先生の今の御指摘、ドイツの考え方は大変意義のあることだと思います。こうした健康づくりを進めていく上では、ドイツのような、あるいは今先生御指摘くださったような方法を含めて多様な方法を活用する必要があると思いますし、そういうことの中から栄養あるいは運動、休養のバランスのとれた健康な生活習慣を国民の間に定着させていくことは極めて重要であると考えておるところでございます。
  38. 坂口力

    坂口委員 ドイツのフォルクスワーゲン社の保険組合等からも、この保養地医療を利用して非常に効果があったという研究論文等がたくさん出ておることを申し添えておきたいと存じます。きょうは内容まで御報告する時間がありませんので割愛させていただきますが、そうしたものが寄せられております。  さて、保養地医療のことを調べております途中で、一つ気にかかることに突き当たりました。それは、厚生省が大変かかわっておみえになります財団、日本健康開発財団、これは厚生省の先輩の皆さん方も行っておみえになりますし、厚生省直轄とまでは言いませんけれども、大きなかかわりのあります財団でございます。  この日本健康開発財団に対しまして、ドイツの行政庁及びクナイプ諸団体から異議申し立てと申しますか、これが出ておりまして、幾つもございますが、ウンター・アルゴイ郡の部長ドクター・ヘルマン・ハイシュさん、それからバート・ヴェーリスホーフェン市第二市長ルートゥヴッヒ・シャルプフさん、こういう人たち、あるいは国際クナイプ連盟会長ドクター・ハンス・クラマー氏、こういう人たちから異議申し立てがございます。  それはどういうことかと申しますと、これは一九九三年の五月四日に実は出ておりまして、そのときの丹羽雄哉厚生大臣にあてて出ておるわけでございます。ゲズントハイツミニスター・ユウヤ・ニワとして来ております。日本健康開発財団及び日本クアハウス協会の商標登録の無効審判請求というものでございまして、この日本健康開発財団が保養地医療の中のクアハウスというこの言葉を商標指定で押さえている。  このクアハウスというのは、いわゆる保養地医療の中には、四つの部門から成っていまして、一つはクアパーク、全体が公園になっていまして散策をしたりする。その中にクアミッテルハウスというのがありま促して、ここで医療を行う。そしてもう一つ、クアハウスというのは、そこで音楽を聞いたりあるいは自由にお話し合いをしたりとかいうような自由時間を過ごすところがクアハウス。それからもう一つ、クアホテルというのもその中にあって、そこで泊まる。だから、クアパークがあり、クアミッテルハウスがあり、クアハウスがあってそこで自由に時間を過ごし、そして宿泊はクアホテル、こういう四つそろったもの、それが保養地医療の全体像なわけです。その中の一つのクアハウスを取り出して、そしてあたかもそれがドイツでやっている保養地医療であるかのごとく宣伝をしている。その内容も違うし、そしてドイツでやっている中の一つを取り出してつけておるということは、これはけしからぬ、こういうことでございます。  これは商標にかかわることでありまして、特許庁に実はお聞きをいたしました。特許庁、きょうお越しいただいておりますか。――それで、こういう事業がありまして、外国では有名になっていたものを日本でそれを使う、しかもその場合に、そう同じ内容に使うのだったらいいけれども、違う内容に使うというようなことが通用するかどうか、この向こうの訴えに対しまして御意見ございましたらひとつお伺いをしたい。
  39. 河本博隆

    河本説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘の日本健康開発財団は、クアハウスという商標で、これが昭和五十七年、それからGHクアハウスというのは平成五年に商標が登録されておりまして、これは印刷物の分類で商標登録されておるわけでございまして、保養地医療サービスの分類については商標登録はされてございません。したがいまして、そのような事業を行いたいという方たちがクアハウスというマークを使用丁ることはできないということはございませんというふうに認識してございます。
  40. 坂口力

    坂口委員 そうしますと、例えばほかのところでドイツと同じようなグア施設をつくる、いわゆるクナイプと言われております自然療法の施設をつくる、それでそこのPRをする。PRするのには印刷しなければなりませんね。それは、ではとうなりますか。ひっかかりますか、ひっかかりませんか。
  41. 河本博隆

    河本説明員 お答え申し上げます。商標法で言う商標の使用と申しますのは、商取引の目的となる商品またはサービスについて使用する場合を言うのでございまして、その指定商品が印刷物の場合でありましても、当該印刷物自身が商取引における商品として生産あるいは販売されているようなものであれば問題となるわけでございますけれども、一般人に営業宣伝の目的で配布するチラシ、パンフレット等の宣伝文書はこのような商品とは言えませんので、そのような印刷物にクアハウスの文字を使用することは問題とならないというふうに考えております。
  42. 坂口力

    坂口委員 もう一つだけお聞きをいたしますけれども、先ほど申しましたように、このグアという自然療法、保養地医療、これはまたの名を、これを初めて出した人の名前をとりましてクナイプ自然療法とも言っておりますが、かつて日本に、ある人がクナイプという商標登録をいたしました。またもう一つ、日本クナイプ協会という商標登録をかってしたことがございます。これに対しましても、ドイツからは、これを取り消しをしてほしいという話がございました。それに対しまして特許庁は、平成三年九月二十日にこの異議を認めまして、そしてこれを使ってはならないという断を下しているわけでございます。同じような内容でございます。今回のものも、これは印刷または本類ではございますけれども、しかし、大変内容が疑わしいということは、この場合も僕は変わりはないと思うのです。  そのクナイプあるいは日本クナイプ協会という形で商標をとられたものにつきましては、これは商標法第四条第一項第十五号に該当するものと判断する、これが特許庁の結論でございます。それで、これを調べてみますと、これは「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」を考えたときに匹敵するわけでありまして、これはそれに該当をしているということでございます。これのほか、国際信義に反するものはいけないとか、あるいは、外国の商標の我が国内における周知性の認定に当たっては、当該商標について外国の周知なこと、数カ国に商品の輸出または役務の提供が行われていることを証する資料の提出があったときは当該資料を十分勘案するものとするというようなこともこの中には書かれている。  こうしたことを考えますと、もう一つ、今、先ほどは申されませんでしたけれども、日本クアハウス協会というのもとられているわけですね、この日本健康開発財団は。だから、よく似たのをとられている。ほかの民間のは取り消しになっている。一方のは、これは厚生省が関係しておるので言いにくいということがあってそのままになっているのか、まさかそんなことはおっしゃらないと思うし、あってはならないことだと思うのだけれども、よく似た話であって、これはちょっと厚生省としても考えてもらわなければならない。  というのは、ドイツのようなそういうことを日本でやろうとした場合に、その商標がかなり邪魔になる、紛らわしい、こういうふうにドイツそのものが指摘をしているわけでありますし、国際信義にかかわる話だというふうに思いますが、いかがでございますか。
  43. 河本博隆

    河本説明員 お答え申し上げます。  日本クアハウス協会の商標については、財団津人日本健康開発財団から、運動設備の分類、これは四十一類と申しますけれども、それで平成四生に出願がございましたけれども、特許庁は拒絶の査定を行っております。今申し上げられましたクナイプ協会につきましては、ちょっと私、調査不足で今現在手元に資料はございません。また後日お答え申し上げたいと思いますけれども、私どもが調査した範囲に関しまして、およそクアハウスというその商号に関しまして、四十二類の、いわゆる先生御指摘の保養地医療サービスでクアハウスというものを認めたのはございませんということだけは申し上げたいというふうに思うわけでございます。
  44. 坂口力

    坂口委員 時間も迫ってきたものですから余り詳しくやっている時間がなくなってまいりましたが、これは厚生省と全然関係のない財団がおやりになっているのだったら僕は言わなかったのですけれども、厚生省にかかわりのある、特に関係の深い財団がおやりになっていて、そして水療法、つまりいろいろな温泉の中に入るようになっているのだそうです、そのPR誌を拝見いたしますと。  ドイツの自然療法医の人たちは、日本のクアハウスでやっておりますようなおふろの入り方をやりましたら、疲労がたまって二日間その疲労の回復にかかる、これは医療からいけば全く外れているということを指摘をしているわけです。そして、病人の人たちにそういうふろの入れ方をしたら大変な問題があるということを言っているわけです。向こうは医師に対して二年間ぐらい研修を行って自然療法医なるものの資格を与えて、その人たちにやらせているわけでありますから、かなり勉強をさせてやらせているわけであります。  その点、余りにも日本の場合にはあいまいでありますし、そして名前だけ、よく似通ったような名前を使って中身は全然違う。これは厚生省が指導する立場にあるわけでありますから、きちっと指導をしてもらいたい。そして、ドイツの方が商標のことについてもこれだけ言ってきておるわけでありますから、特許庁として、純学問的に言うならばそれはいろいろ意見のあろうことはあるのだろうというふうに思いますけれども、しかし、国際信義の問題もこれあり、そしてまた、その内容から申しましてもこれはよく指導をしてもらいたい。  そして、これは緊急にひとつ考えていただいて、取り消しの方向で検討をしてもらいたい。これは私から要望をしておきたいと思います。この場でそこまでお答えをいただけないと思いますけれども、一言だけ御答弁をいただけたらありがたいと思います。
  45. 松村明仁

    ○松村政府委員 厚生省の所管をしております財団に関係する問題についていろいろ御指摘がございましたが、商標法に基づく問題につきましては特許庁とよく御相談をして考えてまいりたいと思います。  それからまた、事業の活動ですね、非常に専門的な、効果があるかないかというようなことの御指摘がございましたけれども、これらにつきましてもよく検討をさせていただきたいと思います。検討の上、必要があれば必要な指導をしてまいりたいと思います。
  46. 坂口力

    坂口委員 大事な問題でございますので、大臣からも一言だけお願い申し上げます。
  47. 井出正一

    ○井出国務大臣 今先生からいろいろな御指摘をいただいて、私初めて知ったことばかりであります。少し調査をさせて、必要があれば是正の指導もしなくてはならぬと考えております。
  48. 坂口力

    坂口委員 それではこの問題はこれだけにしておきまして、もう一言だけ別の問題をお聞きしたいというふうに思います。  血液製剤に対する問題でございますが、先月の五月三日でございましたか、各新聞に血液製剤の中に人毛が入っていたというようなことで大きく報道をされました。またその力価が低下をしているというお話もあったわけでございます。あるいはまた、混濁をしているというようなものも中に含まれているというような話もございます。こうしたことが起こって、そしてこの人毛がありましたものにつきましては回収までに三カ月近くかかっている。回収にもいささか時間がかかり過ぎではないか、あるいはその人もの混入した製剤にHIV、エイズウイルスの検査やB型肝炎やC型肝炎の検査などをしないで廃棄をしてしまっているようだけれども、それはちょっとまずいのではないか、こういうことが私の手元にも寄せられておりますが、ひとつこの辺について御答弁をいただきたいと思います。
  49. 田中健次

    田中(健)政府委員 ただいまの御質問でございますが、ことしの五月一日にバイエル薬品株式会社から、この会社が輸入販売をしております血液の凝固第八因子製剤のコージネイトに人毛が混入していたという報告を受けたところでございます。  厚生省といたしましては同社に対しまして、直ちに全納入先の医療機関に当該ロットの使用中止を含みます正確な情報提供の実施、それから速やかに回収作業に着手をする、それから本件にかかわります健康被害についても調査するようにと指示をしたところでございまして、なお、これまで同社から本件にかかわります健康被害は発生をしていないというふうな報告を受けているところでございます。  それから、先生お尋ねございました。人毛が混入しておったのでエイズや肝炎等の検査、大丈夫か、こういうことでございますが、厚生省といたしましては、このロットの保存サンプルにつきまして、HIVの抗体、それからHCVの抗体、HBSの抗原について実施されました試験結果におきましてすべて陰性であったという報告を会社より受けておるところでございます。また、会社におきましては、念のために、このロットを使用いたしました患者につきまして希望がありますと各種の検査、HIV、HBV、HCV、肝機能等を実施いたしておるところでございます。  それから力価の落ちたものの御質問もございましたが、この製品の一ロットにつきまして、定められた有効期間が二年でございますが、この二年以内に含量、いわゆる力価が不足となるという可能性があるといたしまして、会社におきまして使用期限を二年から、二十四月から十八月に短縮をいたしまして、それを表示して出荷をしていたということが、これも私どもに対しましてはことしの五月一日に報告があったわけでございまして、翌日の五月二日に、この会社は、当該ロットについても自主回収を行うというふうに私ども厚生省に報告をしてきております。なお、このロットにつきましては、出荷時を含めまして表示された期限内においての有効性あるいは安全性については問題はないと考えております。  それで、公表まで三月かかったではないか、こういうことでございますが、確かにバイエル薬品が販売をしておりますコージネイトにつきまして、ことしの二月十五日に医療機関から製品中に人毛が混入しているという苦情があったわけでございまして、連絡を受けた会社では事実関係の調査を期した結果、この苦情品のみに偶発的に混入したものと判断をして、その後一時回収等の措置は実施をしなかったということでございます。  厚生省はこの事実を五月一日になってこの会社より報告を受けたところでございまして、私どもといたしましては、当然早急に回収を検討すべきであったということでございまして、本件について私ども厚生省に報告がおくれたということは、極めて遺憾なことと考えておるところでございます。
  50. 坂口力

    坂口委員 これで最後にいたしますが、血液製剤につきましては、今までもいろいろ問題がありましたし、厚生省が大丈夫だと言っていただいても大丈夫でなかったこともあるわけでありますから、ひとつ念には念を入れていただいて、万全を期していただきたいと要望しまして、終わりにしたいと思います。  ありがとうございました。
  51. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員長 石田祝稔君。
  52. 石田祝稔

    石田(祝)委員 まず、私は児童扶養手当についてお聞きをしたいと思います。  児童扶養手当は、どういう目的でつくられておりますか。
  53. 佐々木典夫

    ○佐々木政府委員 児童扶養手当につきましては、父親のいない家庭の児童あるいは実質的に父親が不在の状態にある児童に対しまして、その児童を監護する母親あるいはまた母親にかわって児童を養育している者に対して児童扶養手当を支給する、そのことによりまして児童の福祉の増進を図る趣旨でできておるところでございます。
  54. 石田祝稔

    石田(祝)委員 それではお伺いをしますが、目的としては、児童の福祉の増進を図ることが目的であるということでございます。具体的には手当を支給するということになっているわけですけれども、この手当の支給に関して、父と生計を同じくしていない児童が養育されるという条件であればどの場合にも児童扶養手当は出ますか。
  55. 佐々木典夫

    ○佐々木政府委員 児童扶養手当につきましては、児童の福祉の増進を図る手段として、具体的には手当、つまり現金給付を行うわけでございます。この制度につきましては、先ほど申しましたとおり、実質的に父のいない家庭の児童を対象といたしまして一定の額の手当を支給しているわけでございますが、これにつきましては、基本的に、公的年金を受給している場合等につきましては、所得保障の社会保障給付がございますので、それとの併給調整を行うであるとか、あるいは全額公費の租税財源で組み立てられております関係もございまして、所得による支給制限等が行われているところでございます。御案内のとおりでございます。
  56. 石田祝稔

    石田(祝)委員 これからちょっとお聞きをしようと思ったこともお答えをいただきましたが、そうすると、目的は児童の福祉の増進であるけれども、その扶養義務者に対しては所得制限な力、また年金を受けている場合には支払われない、こういうことだろうと思います。  そうしますと、これはもっともっと大きな問題があると私は思います。母子家庭で出て父子家庭では出ないとか、いろいろな意味で、今の法律から見るとこれはちょっとおかしいところがあると思いますけれども、きょうはそこには触れませんが、そうしますと、こういう例では出ますでしょうか。  御両親が離婚をされている、そして母子家庭であったところが、お母さんが働きに行くなりして、現実には祖父母が子供を養育している。祖父母ですからお年も大分いっていると思いますけれども、祖父母が子供を養育しているときに児童扶養手当は出ますか、出ませんか。
  57. 佐々木典夫

    ○佐々木政府委員 一番最初に御説明をさせていただきましたように、基本的に、父がいない家庭の母親あるいは母がいない場合にこれにかわる養育をしている者に支給をするという制度になってございます。一定の要件がございますが、そういう意味ではいわゆる養育者ということで、例えばおじいちゃん、おばあちゃんのような場合もございますれば、おじさん、おばさんの場合もありますれば、ケースによってはお兄さんなりお姉さんなりというケースもあり得ると思っております。件数は、全体の中では非常に少ないものと思っております。
  58. 石田祝稔

    石田(祝)委員 実は、私も児童扶養手当に関して御相談を受けまして、件数が少ないとおっしゃいました例で、祖父母が養育している場合がある。そのときに、そのおじいちゃんなりおばあちゃんなりが年金をもらっている。年金の額は多少本人の掛けた年数等にもよりますけれども、年金をもらっている場合に支給はされない。これは、そういうことでよろしいのですか。
  59. 佐々木典夫

    ○佐々木政府委員 いわゆる公的年金を養育者なり母親なりが受給している場合には、併給の制限ということで支給がなされない扱いになってございます。
  60. 石田祝稔

    石田(祝)委員 そうしますと、公的年金という形で支給をされている場合には、児童扶養手当が出ない。今老齢基礎年金だけをもらっている方で、私の記憶しているのでは一人当たり平均四万円にいっていないと思います。これは、年金の方も来ていらっしゃると思いますけれども、老齢基礎年金だけをもらっている場合で、一人当たりは大体どのくらいになるのでしょうか。
  61. 佐々木典夫

    ○佐々木政府委員 とりあえず私の方が承知をしている数字で申し上げさせていただきます。  老齢基礎年金につきましては、いろいろなケースがあると思いますが、平成五年度の平均年金月額で、先ほど先生もおっしゃっておられましたが、三万九千三百六十六円というふうな数字を私のところで承知をさせていただいております。
  62. 石田祝稔

    石田(祝)委員 おじいさん、おばあさんが孫さんの面倒を見ている。これは本当は父親、母親なりが面倒を見るわけですけれども、そうすると、約四万円弱という平均の老齢基礎年金をもらっているおじいさん、おばあさんが孫の面倒を見ている、それに対して児童扶養手当は出ないということになりますね。児童扶養手当の額は四万ぐらいではないかと私は思いますけれども、そうすると、そういう家庭で孫さんの面倒を見るという現実がありながら、四万円弱の老齢基礎年金をもらっているということで児童扶養手当を出さない。こういうことでこの法律の月内は達成できるのでしょうか。
  63. 佐々木典夫

    ○佐々木政府委員 今先生からもお話がございましたが、現実にこの児童扶養手当の直近の受給の状況を見ておりますと、受給者総数は平成五年度末で五十七万四千八百四十四と私ども把握いたしてございます。そのうち五十六万九千二百七十件、つまり九九%ほどが母で、養育者のケースが五千五百件ほどございます。それは先ほど申しましたように、おじ、おばの場合もありますれば、おじいちゃん、おばあちゃんの場合もありますれば、いろいろなケースがあり得ると思っております。確かにその中には、今先生がお話しのようなケースもあり得ると思っております。  ただ、この児童扶養手当につきましては、先ほど来申し上げておりますように、生別母子世帯等の家庭に対しまして支給される所得保障の制度でございまして、基本的に同じ所得保障を目的といたしております公的年金との関係につきましては、二重給付を避けるという趣旨で併給しないような仕組みをとってきておる。つまり、社会保障給付の制度間の調整ということでこんな仕組みがとられてきているものというふうに考えておるところでございます。
  64. 石田祝稔

    石田(祝)委員 ですから、最初に申し上げたように、法律をつくった目的が、四万円弱という平均の老齢基礎年金受給者に対して、孫の面倒を見ている場合にも児童扶養手当を出さない。そして、それは公的年金をもらっているからだ、こういう理由ですけれども、では、実際公的年金は全額国庫ですか。老齢基礎年金は全額国庫負担で、税でやっているのですか。そうじゃないでしょう。老齢基礎年金の支給の三分の一を税金で、残りは積み立てた形で、社会保険方式でやっているわけですね。ですから、両方ともが税で、児童扶養手当も税金だ、年金も全部税金だ、そうすると、それは併給調整とかいう形は私もある意味ではよく理解できるところもありますけれども、片っ方の老齢基礎年金というのは国庫負担は三分の一じゃないですか。あとは社会保険方式で積み立てている中からお互いに支え合うということでやっているわけでしょう。ですから、それをそのまま併給ができないということで割り切って、そして金額から見れば実際には児童扶養手当法の目的を達成されない現実ではないでしょうか。  ですから、余りそこのところを、法律でこうなっているから、こうなっているからといって現実を見ないようにすると、実はお孫さんの面倒を見ているおじいちゃん、おばあちゃんに大変な負担がかかる。また、そのお孫さんも十二分な養育がされない。こういうふうに、法律の目的を大きく逸脱するようになるのじゃないですか。そのあたり、どうですか。
  65. 佐々木典夫

    ○佐々木政府委員 ただいま公的年金の制度の方につきましても国庫負担があるではないかといったことを初めとするお話がございましたが、年金制度の方につきましては、公費も導入されておりますけれども、基本的に拠出の制度によるものであり、なおかつ所得の制限等のない、いわゆる社会保険制度なわけでございます。御案内のとおり、児童扶養手当の方につきましては、そういう意味では所得制限を持った全額租税財源による制度でございまして、そこの制度の違いから給付の調整があるものと考えているわけでございます。  それから、児童扶養手当制度につきましては一定の支給額を決めているわけでございますけれども、この制度につきましては、現金の給付ということで、生活保護のケースとは異なりまして、それぞれ対象者個々の具体的な状態に応じて給付を決めていくというふうなこともなかなかできにくい仕組みになってございます。  年金の方につきましては、今お話もございましたが、年金制度の上で支給年金額の多い少ない、いろいろなケースがあり得るわけでございます。当然起こり得ると思いますが、それぞれの個々のケースに対応した形で児童扶養手当の方でこれに対応していくということにつきましては、大変困難な問題があるというふうに考えているところでございます。     〔委員長退席、鈴木(俊)委員長代理着席〕
  66. 石田祝稔

    石田(祝)委員 そうしますと、局長のお考えを聞きたいのですが、これはこのままでも問題はない、特に直す必要はないというふうに思いますか。現実に悩んでいる方がいるので私はきょうは質問をしたのですが、これはもう原則どおり、このままやっても児童扶養手当法の第一条の目的に反するものじゃない、そういう現実があっても、それは。もうじょうがない、こういうお考えですか。それとも見直すべきだとお考えですか。
  67. 佐々木典夫

    ○佐々木政府委員 この制度につきましては、先ほど来申し上げておりますが、例えば生活保護みたいな制度と違いまして、一つの所得保障の仕組みとして組み立てられております。したがいまして、それぞれケースによって違いが出てくる年金制度への対応ということで児童扶養手当の方で対応していくというのは、なかなか難しい問題があるというふうに考えているところでございます。
  68. 石田祝稔

    石田(祝)委員 そうすると、児童扶養手当法のこの支給制限に関して、公的年金を受けているという一事そのもので割り切ってしまう。ですから、その金額の多い少ないは関係ない。ですから、現実にさっき私が聞きました一人当たり平均が三万九千幾らで、四万円を切っている、そういう状況の中で、現実におじいちゃん、おばあちゃんが孫の面倒を見ている場合にも、これは公的年金をもらっているから一切だめですよ、こういう割り切り方で局長は問題ない、こういうことですか。再度御質問します。
  69. 佐々木典夫

    ○佐々木政府委員 児童扶養手当の制度の仕組みが、先ほど来申し上げておりますように、一つの所得保障の仕組みとして組み立てられておりまして、社会保障の給付間の二重給付を避けるというふうな形で、制度的な割り切りがこの点についてはなされて今は組み立てられているというふうに考えておるところでございます。
  70. 石田祝稔

    石田(祝)委員 これ以上お聞きをしても、もう局長の方から答弁は出そうもないので、時間の関係でやめます。  公的年金だけじゃなくて、今個人年金ということを考えても、年金保険料を掛けたら、それは所得税の控除対象になっているわけでしょう。そうすると、そこに税金は実は入っているわけですね。ですから、公的年金で税金が云々とか、両方併給するのはおかしいとかいう議論では、これは最後まで突き詰めていくと議論が合わなくなると私は思いますよ。  ですから、その法の目的は何だというふうに最初にお聞きしたのは、その法の目的を達成するためにやはり直すべきところは直すべきじゃないか。ですから、最初に申し上げたように、これは母子家庭しか出ないということもありますね。今は、お母さんがいなくなっちゃって、実際お父さんが全部働いているかどうかということ、そういうことに着目しないで、単に父子家庭には出さないとなっているでしょう。きょうは触れませんけれども、こういうところも問題があると私は思います。  現実に四万円弱の、これは平均ですから、もっともっと少ない方もおります。年金受給者には老齢福祉年金の金額よりも少ない方も現実にいるのですね。そういう中でも、法の壁があって児童扶養手当が受給できないという現実で困っている人もいるわけですから、これはこれから考えていただかなくちゃならぬ、このようにきょうは御指摘を最後にしておきたいと私は思います。  それでは、年金の問題でお伺いをしますが、年金の一元化について大変おくれておりますが、大臣はこの年金一元化についてどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  71. 井出正一

    ○井出国務大臣 公的年金制度の一元化につきましては、公的年金制度の一元化に関する懇談会が設置され、鋭意検討が進められてきたところでございますが、一元化の具体的な方式を初め、なお検討すべき課題が多いことから、昨年末に同懇談会で中間的な取りまとめを行って、引き続き検討し、早急に結論を得ることとされたところであります。  その際、平成六年度末で現行の支援の仕組みが切れてしまう日本鉄道共済組合に対しては、一元化の仕組みについての検討や新制度の実施に向けた準備期間に配慮して、二年間は現行の支援の仕組みを継続することとして、年金の支払いに支障が生じないようにしたところでございます。  懇談会におきましては、引き続き、年明け後も三回にわたり一元化の主要な論点について審議がなされ、六月以降は取りまとめに向けてより突っ込んだ議論が行われるものと理解をしております。懇談会においても、できれば夏まで、遅くとも秋口までには意見を取りまとめたいという意向であると伺っております。今後、できるだけ速やかに結論を出していただき、政府としてそれを踏まえた必要な措置を講じていきたいと考えているところであります。
  72. 石田祝稔

    石田(祝)委員 それで、年金一元化で、私はJR年金がある意味では一番大きな課題だろうと思います。このJR年金で、平成元年の再計算のときに繰り延べをされました。見直しか。五年間延ばされたわけですが、これで影響額はどのくらい出ているのか、端的に数字だけお願いします。
  73. 松川忠晴

    ○松川説明員 お答え申し上げます。  再評価の繰り延べでございます。これは他制度からの財政支援の自助努力として行っているものでございますが、この影響額につきましては、総額で約二百億円、受給者一人当たりにしますと四万七千円程度となっております。
  74. 石田祝稔

    石田(祝)委員 ちょっと時間がありませんので最後にお伺いをしますが、このJR年金をもらっている受給者も大変、また現実に今年金を掛けている現役世代も大変高い率で掛けております。私の友人にもJRに勤めている人間がおりますけれども、大変苦労をしております。  ですから、これはぜひJR年金についても、公的年金一元化の際に、そういう人たちが余り不利にならないように、ある意味ではほかの産業の人たちと同じ扱いでぜひやってもらわないと、これは国鉄の時代から見たら、終戦後、満鉄から引き揚げた人を抱えたり、いろいろな意味で頑張ってこられているわけですね。そして、その後の産業構造の変化で成熟度が物すごく高まっているということもありますので、これはぜひ御留意をいただいて、公的年金一元化に際しては臨んでいただきたいというふうに思います。  じゃ、きょうは時間を短縮するということでございますので、終わらせていただきます。     〔鈴木(俊)委員長代理退席、委員長着席〕
  75. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員長 山本孝史君。
  76. 山本孝史

    山本(孝)委員 端的にお伺いします。  一つは、らい予防法についてでありますけれども、この五月十二日にハンセン病予防事業対策調査検討会というところで中間報告が発表になりました。その中で、「特別に「らい予防法」の存在は必要がない。」としております。らい予防法の廃止と、それにかわる特別法による入所者の処遇の保障という点について、この検討会中間報告も勧めているわけですけれども、厚生省の今後の取り組みについてお伺いをさせていただきます。
  77. 井出正一

    ○井出国務大臣 らい予防法につきましては、御指摘の検討会報告の内容も踏まえて、厚生省内に検討会を設置し、速やかに検討を開始したいと考えております。  いずれにいたしましても、検討会報告の中でも指摘されております、現在療養所に入所されている患者の方々の処遇の維持、継続ということを大前提に、患者団体の方々を初め、関係者の御意見を十分に伺いながら必要な見直しの内容を早急に検討してまいりたいと思っております。
  78. 山本孝史

    山本(孝)委員 四十年間ずっとそのままほっておかれたという法律でもあります。今回、そういう機運がようやく盛り上がってきたというところでありましょう。このチャンスを逃さずに、できるだけ早く対応していただきたいというふうに思います。来年の通常国会にはぜひ改正案を出していただきたいというふうに思います。  ただ、このらい予防法の内容を見ておりましても、隔離収容の原則にのっとっている。せんだっても精神保健法で質疑をさせていただきました。やはり同じような、患者さんをどこか人里離れたところに隔離してしまうというようなこういう考え方でもってこの法律が成り立っていると思うのですね。精神医療やあるいは高齢者医療、福祉という政策というのは、やはり何か一つそういうところに同じような根がある。戦前からのものを引きずっているんだと思うんですけれども、日本の社会の中で、こうした障害者ですとかあるいはエイズ患者、それから外国人、私も随分担当していました母子家庭の皆さん、こういったほかと少し違うというところをとってきて差別をしていくというのが日本社会の深層に根強くあるように思うのですね。  今障害者について、障害者保健福祉施策推進本部で、ゴールドプランの障害者福祉版をおつくりになるということで検討を進めておられるというふうに聞いておりますけれども、どの程度までその検討が進んでいるのか、その進捗状況、いつごろ数値を入れた障害者福祉計画というものがつくっていただけるのか、そこの取り組みの状況をお知らせをいただきたい。  あわせて、障害者に対する今申し上げた差別意識の解消ということについて、この計画の中でどんなふうに取り組もうとしておられるのか、お聞かせいただけるところがあればお触れをいただきたいと思います。
  79. 佐野利昭

    ○佐野(利)政府委員 お答えいたします。  昨年の九月に、厚生省の中に障害者保健福祉施策推進本部を事務次官を本部長といたしまして設置をさせていただきまして、総合的な障害者施策のあり方につきまして検討を今進めておるところでございますのできればこの夏までには中間的な取りまとめをしたいということで今鋭意検討いたしておりますけれども、この段階で、今先生がおっしゃったような具体的な数値目標を持った提言というところまでは恐らくいかないだろう、まだ基本的な問題提起というようなところにとどまるのではないかというふうに考えております。  できればそれを年末に向けましてできるだけまたさらに再度詰めて、中間報告を受けた後、年末までまだ詰めていって、もしも可能ならば今年中にでも多少そういう具体的な数値目標を持ったものをつくっていきたいな、こういう形で目下鋭意検討を進めているところでございます。  この計画をつくるに当たって基本的に考えておりますのは、やはり障害者が地域の社会の中にいらっしゃるのが、これが普通の社会である、いわゆるノーマライゼーションの基本的な理念というものを前面に押し出していきたい、こう考えておるわけでございまして、今先生がおっしゃった障害者に対する差別意識というのは、意識の問題というのは解消するのは大変難しい面もあろうかと思いますけれども、障害者があらゆる分野に、あらゆるところにいらっしゃるということは当たり前であるというふうにみなせば、そういう差別音識の撤廃にも相当効果的であるのではないかとい うことで、そういうノーマライゼーションの考え方を前面に押し出して進めていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。  なお、こういう計画をつくるに当たって、障害者の意見を具体的に聞いたらどうかという御意見もいろいろといただいております。こういう点につきましても、私どもといたしましては、一当然我々、常日ごろから障害者の各団体ともいろいろな御意見を闘わせてきておるところでございます。ですから、そういう面は役所内の組織であるこの分野で反映させてきたつもりではございますけれども、中間報告をまず出しましたら、それを今度各種の、障害者も入った審議会なんかの場におかけいたしまして、いろいろ御意見を聞いて、さらにそれをブラッシュアップしたもので最終報告へ向けていきたい、こう考えております。
  80. 山本孝史

    山本(孝)委員 今、障害者基本法に基づく障害者基本計画、全部の都道府県に一応できていますね。その基本計画を立てるに当たって、なかなか障害者の方たちの意見を聞いていただく、御本人の意見を直接聞くというところが少ないように思うのですね。今局長がおっしゃったように、今度のゴールドプランの障害者福祉版をつくるに当たって、ぜひ障害者御本人の意見を、陳情とかでいろいろな形で聞いておられるとは思いますけれども、御本人の方たちの声を聞いていただくという形をとっていただきたいと思います。  実は、大阪府にふれあいおおさか障害者計画というのがありまして、平成六年三月二十九日、去年ですけれども、新大阪府障害者計画というのができております。この計画の中には、実は数値目標が全部入っているのですね。大阪府、そういう意味で随分頑張ってこういう計画をつくっております。そちらの方にも、厚生省にも届いていると思うのですけれども、お読みいただいて、この数値目標なりあるいはこういう姿勢、どんなふうにお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。
  81. 井出正一

    ○井出国務大臣 ちょうだいしてありますこれですね。障害者計画につきましては、平成五年十二月に成立いたしました障害者基本法において、都道府県、市町村における策定の努力義務が規定されているわけでございまして、現在すべての都道府県において何らかの障害者計画が策定されているところでございます。  このうち大阪府のものは、「すべての人が平等に暮らせる社会をめざして」という基本理念のもとに、平成六年、昨年の三月に策定されたものでございます。特に、障害者の方々の具体的なニーズの把握に基づいて、在宅サービスを初めとして今後のサービス整備の具体的目標を、平成十一年度目標値が入っておりますが、定めておられて、他県のものにない特色を有しておるものと大変高く評価をしております。今後これをほかの都道府県にも大いに参考にしていただくよう努めてまいりたいと思っております。
  82. 山本孝史

    山本(孝)委員 ぜひよろしくお願いします。  繰り返しになりますけれども、このふれあいおおさか障害者計画は、障害者の完全参加と平等を実現するため、リハビリテーションとノーマライゼーションの理念のもとに障害者施策を推進します、先ほど局長も御答弁になったとおりに、このノーマライゼーションでやるのだということがはっきり書いてありまして、計画の特色として、障害者の参画による計画の策定というところに特色があるのだとあえて書いております。そういう姿勢でぜひほかの都道府県にもこの計画作成に臨むようにということで御指導いただきたいというふうに思います。  次の質問に参ります。  難病対策なのですけれども、毎年ですけれども日本患者・家族団体協議会という難病患者さんの集まりの皆さんですけれども、こちらの方から総合的難病対策の早期確立を要望する請願書というのが出てまいります。この間、参議院の方でこの請願が採択をされて、残念ながら衆議院の方はいろいろな事情があって採択されませんでしたけれども、実は私自身も厚生省指定の十二番の難病患者で、潰瘍性大腸炎で今国費で治療費は負担をしていただいているので大変にありがたいと思うのですけれども、難病の皆さん、たくさんほかにもいろいろな病気で患者さんがおられます。  そういう意味でお話をお伺いすると、ちょっと人ごとではない、まさに自分のこともありますので、そういう思いでお話を聞かせていただいているのですが、この請願事項で一番難しいのが、「東京に全国患者会館を設立するとともに、生活・医療相談、集団無料検診などを行う「難病センター」を全都道府県に設立すること。」というかなりお金のかかる要望があるので、ここはなかなか難しいというふうに思うのですね。  北海道の札幌にあります難病患者さんの患者会館というところは宿泊施設を兼ねていまして、子供さんが難病で病院で手術をされる、入院をされる。その御家族の皆さんがこの会館でお泊まりになる。宿泊のために五部屋あるのですけれども、ほとんどいつもいっぱいの状況になっているのですね。それほどに需要の高い、患者家族からすると要望の高い施設だと思うのです。東京の方では中央区で、そういう患者団体に助成をして家を一つ借りてそこを患者会館というか、患者さんが泊まれるような形にされておられるのですね。  アメリカはマクドナルドハウスという、マクドナルドのハンバーガー屋さんが随分お金を出して、大きな病院のそばには必ず、子供さんが入院すると家族が泊まれるというような施設がアメリカじゅうどこにもあるのですけれども、なかなか日本ではそういうふうにすぐにはできない。公がやるというよりはやはり民間がやるような話なのかなと多少は思いますけれども、この辺のところもぜひ御配慮をいただけないかなというふうに思います。  それともう一つ、難病センターというものが、今申し上げた患者会館というのは箱物ですからなかなか予算措置は難しいと思うのですけれども、難病センターというのも、別にそこに建物を建てるという話じゃなくて、こういう相談ですとか、あるいは印刷機を使わせてあげる、あるいは患者団体の皆さんの会議室を提供するというようなことであれば、少し予算をつけてあげれば、こういう患者団体の皆さんの活動を支援することで、このおっしゃっている難病センターというようなものの機能がほとんど代替できるのじゃないかというふうにも思うのですね。ぜひそういう意味でも、障害者対策の中で難病対策は少しおくれていますので、難病患者さん皆さんへの対策を充実していただけないだろうか。  るる申し上げましたけれども、その辺いかがでございましょうか。
  83. 松村明仁

    ○松村政府委員 いわゆる難病対策は、これまで原因や治療法の調査研究あるいは専門的な医療施設の整備、それから医療費の自己負担の解消というようなことを中心に進めてまいりましたけれども、御指摘のように、こうした対策のみならず、患者さんの生活により密着した対策への御要望が高まっておるところでございます。そういうわけで、平成元年度から地域保健医療の推進ということをテーマに掲げまして、総合的に対策を展開することとしておるところでございます。  具体的に申し上げますと、医療相談につきましては、平成元年度から県の各保健所を単位といたしまして医療相談事業を行うとともに、必要に応じまして専門医師などによります患者宅の訪問診療事業、こういったことを行っておるところでございます。  また、御指摘の難病センターでございますが、既に大阪府など幾つかの県に設置をされておるというふうに伺っております。今御指摘のように、建物を全国につくるということについてはなかなかこれは難しい面があるわけでございますが、機能として、難病患者さんたちが情報交換をされるとか、いろいろ相談をされるとか、そういう機能に着目をして事業を展開するということは、現在の事業の中でもある程度それを支援することは可能ではないかと考えておりまして、今後ともそういう活動に支援をしてまいりたい、このように考 えております。
  84. 山本孝史

    山本(孝)委員 どうぞよろしくお願いします。なかなかPR不足というか、難しいところもあると思うのですけれども、情報を流してあげていただきたいというふうに思います。  最後の質問なのですけれども、たばこの問題でいつも大臣いじめて申しわけありません。きょう、六月六日で禁煙週間が一応一週間が終わります。新聞でしか見ておりませんけれども、閣議の中で随分もめたそうでありますけれども、実は先ほど理事会の席で理事の皆さんにあるいは委員長に、この委員会をぜひ禁煙にしてみてはどうかという御提案を申し上げたのです。  この禁煙指導に、今病院で禁煙外来あるいは禁煙入院ということでかなりの効果を上げているのですね。そこで、ニコチンの入ったガムを使ったりしているのですけれども、ニコチン依存症。たばこが切れないというのはニコチン依存症だと思うのですけれども、ニコチン依存症というのが病気であるのかどうかという御認識、そして今申し上げた禁煙指導に使う医薬品を、今健康保険の対象じゃないのですけれども、健康保険の対象にすることはできないのかというこの二つの問題についてお伺いをさせていただきたいと思います。
  85. 岡光序治

    岡光政府委員 まず病気かどうかということでございますが、一九九二年に修正されました国際疾病分類によりますと、たばこの依存症候群というのがどうもこの疾病分類の中では記載がされてあるようでございます。それは要するに、たばこを使用しまして精神及び行動上の障害が生じておる、そういう障害がありながら、なおたばこを使わざるを得ない、たばこから離れられない、そういうのをどうも依存症候群としてとらまえているようでございます。  日本でどういう認識かということでございますが、どうも日本では臨床的にはそういう疾病概念は確立をしておらない、どうもそういう段階にとどまっているようでございます。  今御指摘のガムのようなものが薬事法上医薬品として認められておりますが、それにつきまして、要するに薬事法で承認する段階でニコチン依存症という患者を特定をして、その人たちに臨床治験をしたわけではなくて、どうもたばこから離れられないという、依存症にまでいってないんじゃないかという段階の人に与えてその効果を判定したようでございまして、そういう意味では、禁煙の補助という格好で薬事法上医薬品として認められている。  したがいまして、医療保険の世界におきましては、ある病気を特定して、その病気を治すとかその病気をより進めないようにするとかという、そういうものについて対象にしているわけなので、どうも現在のガムが承認されている条件からいたしますと、禁煙の補助ということでございますので、ボーダーラインだとは思いますが、今のところは医療保険の対象にしておらないという状況でございます。
  86. 山本孝史

    山本(孝)委員 時間を短縮されているので、この問題でゆっくりやろうと思ったのですけれども……。  喫煙依存症という病気があることは認めながら、片っ方でそれの治療をするため、治療じゃないとおっしゃっているわけだけれども、しかし循環器の病気あるいは呼吸器系の病気を持っている人にとって、禁煙をすることはその病気を治す入り口だということになれば、そこに使う医薬品は、これは当然保険の対象になるべきだというふうに思うのですね。  医療費がどんどん上がっていく中で、やはり禁煙というか、病気そのものを治すということもさることながら、予防のためにお金をかけるということもこれから先は必要なわけで、たばこをやめるということは極めて予防対策として大きな部分があるわけだから、それにかかわるものを健康保険の対象にしてもいいんじゃないかというふうに思うのですね。  時間がないので申しわけないのですけれども、そういうことも含めて、たばこ行動計画という極めてはっきりとした行動計画が出てきましたので、ぜひそれを実現するために、自主規制だとかあるいはお任せだというのではなくて、もう少し厚生省として前向きに取り組みをしていただけないだろうかという思いで、この国会の始まりに井出厚生大臣に質問して、同じ質問でまた終わるのは恐縮ですけれども、このたばこ行動計画の実現に向けて、大臣のお取り組みの姿勢をお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  87. 井出正一

    ○井出国務大臣 きょうでたばこ禁煙週間が終わるわけでありますが、先週の火曜日、禁煙デーを前にして私が各省庁へ閣議の席で御協力をお願いする立場になりまして、大変発言資格に問題があるんじゃないかと思いながら申し上げたのでありますのできるかどうかわかりませんが、果たして依存症かどうか確かめてみようと思って、あれ以来禁煙ガムというものをポケットに入れながら、今奮闘中であります。確かにこれに保険がきけばいいなと思わないわけではございませんが、今保険局長の答弁を聞きまして、やはりそうかな、こんなふうに思ったところであります。  たばこ行動計画におきましては、未成年者の喫煙防止の徹底とか、あるいは分煙対策、禁煙希望者に対する支援などについて提言されております。厚生省といたしましても、本行動計画を踏まえて、禁煙希望者に対する禁煙指導の充実を図るとともに、未成年者の喫煙を防止するための健康教育の推進など、行動計画に沿った各種施策を積極的に推進する所存であります。  なお、御参考までに申し上げますと、参議院の厚生委員会は、先月ごろから灰皿がなくなってしまっておりました。  以上であります。
  88. 山本孝史

    山本(孝)委員 ありがとうございました。終わります。
  89. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員長 横光克彦君。
  90. 横光克彦

    横光委員 横光克彦でございます。よろしくお願いいたします。  本当にもうみんな時間がなくて焦っておりますが、私は、実は今まだまだ紛争あるいは災害あるいは飢餓、そういったもろもろの形で多くの命が失われているわけでございますが、その中で、まだ世に出ていない、母の胎内でそれでも脈々と鼓動を打っている今、このことについてお聞きしたいと思います。  現在、人工妊娠中絶が約四十万件あると言われております。この中には母体の健康等を考えてやむなく中絶をせざるを得ない人ももちろんいるわけですが、いわゆる避妊に失敗して中絶せざるを得ない、こういった悲劇が多いわけです。こういった問題を少しでも少なくすることはできないか、そのために何か方法はないのか、そういった観点から今開発研究が進められております低用量ビルの認可についてお聞きしたいと思います。  毎日新聞社が二年ごとに実施しております全国家族計画世論調査によれば、既婚女性における人工妊娠中絶経験者は二五・九%であり、そのうち二回以上の経験者が三八・九%にも及ぶという驚くべき数値が示されているわけでございますが、これについては御承知でしょうか。――実はそういったデータが毎日新聞から出ているわけです。そして、これらの事実を考えると、これだけの中絶があるということは、結局我が国で使用が認められている避妊法だけでは問題があるということです。  私が質問書で質問したときには、我が国において避妊法として、コンドーム、IUDいわゆる子宮内避妊具ですね、それにペッサリー等が使用されているが、適切に使用すれば十分な避妊効果があるという答弁をいただいております。  しかし、適切に使用していながらも、これだけ多くの避妊失敗の事実があるわけです。そのために多くの悲劇が生じている。これは避けなければならない。そういった意味で、私は今世界で最も多く避妊に使用されております低用量ビル、このことについてお伺いしたいのですが、低用量ビルを使った場合での失敗率がどれぐらいあるかおわかりでしょうか。
  91. 田中健次

    田中(健)政府委員 ビルを使って妊娠をしたというのは一%というふうに聞いております。
  92. 横光克彦

    横光委員 私もそのように聞いております。要するに、ビルを使用すればほとんど避妊の可能性が高いわけです。  このように明らかに失敗率が少ない避妊法がありながら、我が国の女性には避妊法の選択肢として与えられていないわけです。これは女性の健康の保持増進という立場から、また人権の面からも、私は大きな問題であると思います。しかも、世界保健機構によれば、避妊法としてビルを使用している女性が現在世界で九千万人以上いる、こういうデータもありますし、最も使用されている避妊方法であるわけでございます。  ですから、こういう現状を考えますと、当局の言うコンドームとかペッサリーとかIUDも十分避妊効果があるという認識は世界の趨勢に逆行するのではないか、我が国の女性の健康が軽視されているのではないかと私は疑わずにはおられませんが、この件についてどのようにお思いでしょうか。
  93. 佐々木典夫

    ○佐々木政府委員 我が国の避妊の現状について、今先生から詳しくお話ございました。  先般の先生の質問主意書の中でもお答えは申し上げているわけでございますけれども、今もお話ございましたが、我が国は、現実問題といたしまして、一番多くコンドームが使われておるわけでございますが、このほかIUDあるいはペッサリー等が使われておりますことは、今もお話があったとおりでございます。  しかし、現状におきましては、我が国の戦後の家族計画、戦後十年ほどで多産多死から少産少死に行き、今日に至っているわけでございますが、今申しましたような避妊の方法がとられて今日に至っており、私どもとしましては、これらを適切に使用することによって十分な効果が上がっているものというふうに考えているところでございます。
  94. 横光克彦

    横光委員 多くの女性が求めております安全・有効性が認められております低用量ビルの申請をされているわけですが、今その中で審議が行われているわけでございますが、一九八七年に厚生省が作成した「経口避妊薬の臨床評価法に関するガイドライン」、これにのっとって今問題にしている低用量ビルの臨床試験が開始されたというのは、これは事実ですか。
  95. 田中健次

    田中(健)政府委員 私どもが昭和六十二年につくりましたガイドラインによって臨床試験が行われたというふうに承知をしております。
  96. 横光克彦

    横光委員 そうですか。それじゃ、その低用量ビルについては、極めてまれな例とはいえ、国がガイドラインを作成して臨床試験が開始されたということですね。ということは、世界の使用状況などをかんがみて、その安全性、そしてまた有効性については、当局としてはある程度の確信があったと考えてよいわけですね。
  97. 田中健次

    田中(健)政府委員 私どもが昭和六十二年にお示しをいたしましたのは評価の方法論でございまして、その中身の安全性、有効性について示しておるわけではございませんで、方法論ということで御理解をいただきたいと思います。
  98. 横光克彦

    横光委員 一九九〇年から一九九一年にかけて、九社、十二品目の申請が出されたと伺っておりますが、これは事実でしょうか。
  99. 田中健次

    田中(健)政府委員 申請は九社でございまして、品目は十七でございます。
  100. 横光克彦

    横光委員 申請が出されて以来、中央薬事審議会での審議が始まって既に五年が経過しようとしているわけですね。情報公開の原則という観点からもこの五年間の審議の経過を明らかにしてほしいんですが。
  101. 田中健次

    田中(健)政府委員 ビルにつきましては、現在、中央薬事審議会の配合剤の委員会で審議を行っておりまして、その有効性あるいは安全性等について審議を行っている過程でございます。その有効性、安全性についてはまだ結論は出ておらないというところでございますが、これに関連をいたします問題といたしまして、ビルの使用がHIVの感染の拡大に与える影響についても、公衆衛生上の観点からの議論が行われておるところでございます。  なお、審議会の具体的な議論につきましては、これは審議の公正、公平を期するということで公表をいたしておりませんので、御理解をいただきたいと思います。
  102. 横光克彦

    横光委員 今配合剤調査会で審議の過程だとお聞きしましたが、この委員の構成を教えていただけますか。
  103. 田中健次

    田中(健)政府委員 ちょっと今は資料を持ち合わせておりませんので、御容赦いただきたいと思います。
  104. 横光克彦

    横光委員 恐らく専門家の方たちだと思うんですが、低用量ビルが世界で最も広く今避妊法として使われているのは、これは事実でございます。また、我が国においても、学者たちが三年もかけて五千人の女性の協力を得て実施した臨床試験の結果、安全性、有効性ありとの申請が出されているというのに、申請以来五年もの長きにわたっての審議がなされているということは、これはほかの国と日本人の女性の場合では安全性、有効性に違いがあるとでもいうんでしょうか。
  105. 田中健次

    田中(健)政府委員 先ほど御答弁申し上げましたが、有効性、安全性のほかに、やはり公衆衛生上の観点から、ビルの使用がHIVの感染の拡大に与える影響という観点からも、現在、委員の間で慎重に検討が行われているという過程でございます。
  106. 横光克彦

    横光委員 ビルを認可するとエイズを蔓延させるおそれがあるという懸念があって、それで審議が長引いている、このことについては私も認識しております。  しかし、今現在高用量ビル、ホルモン剤としてこれは認められていますね。そうしますと、エイズの問題は、もちろんこれからも防止のために普及、PR、それから啓発等はこれまで以上に必要だと思いますが、その問題があって審議が長引いているということでしたが、それでしたら、現在認めている商用量ホルモン剤は、即刻これは中止するという通達を出すべきじゃないんでしょうか。
  107. 田中健次

    田中(健)政府委員 現在承認をいたしております商用量のものにつきましては、これは月経困難症等の疾病の治療薬ということで認可をしておるわけでございまして、避妊等についてはその効能、効果を認めておるわけではございません。それはうたわれておりません。現在その商用量ビルにつきましては、医師の責任と判断でいろいろ使っている事実があるということでございます。
  108. 横光克彦

    横光委員 この月経治療用のホルモン剤が医師の責任のもとに使われているわけですが、これは避妊薬として処方されていることは知っていますか。
  109. 田中健次

    田中(健)政府委員 これは医師の治療上の裁量の問題でございまして、医師が自分の責任のもとにそういう判断をしているということがあるということであろうと思います。
  110. 横光克彦

    横光委員 私が調べたところ、そういった形で避妊のために今の月経治療用のホルモン剤を使っている人が約二十万人もいるというんですね。そしてまた、これは私は本当に、低用量ビルというものが開発されて、これは副作用が非常に少ない、安全性、有効性が非常に確かめられている、そういったものがありながら、結局高用量のホルモン剤を二十万人の人に使われている現状を知っている、その臨床試験にかかわったお医者さんの話を聞いたんですが、五年間もたってまだこの高用量のビルを処方していることに対して、非常に断腸の思いがする、こういうふうに話を聞いたことがございます。  商用量ビルが避妊薬として使用されていることが実際あるわけですが、それなのに、副作用が少なく世界でも九千万人の女性が使用している低用量ビルの認可がおくれているというのは、私、素人ですが、どうしても理解ができないのでございます。  この前のエジプトのカイロにおける国際人口・開発会議の中で河野外相が、西暦二〇〇〇年までに開発途上国のエイズと人口問題の解決のために三十億ドルを拠出すると表明しておりますが、これは御存じでしょうか。
  111. 佐々木典夫

    ○佐々木政府委員 承知をいたしております。
  112. 横光克彦

    横光委員 途上国の人口問題の解決には、言うまでもなく避妊具の提供は不可欠だと思います。しかし、途上国では日本で使用されているコンドームよりもホルモン避妊薬としての低用量ビルを望んでいるというデータも出ております。ODAの一環として行われるこの援助に際し、このようなビルが欲しいという途上国のニーズにどのようにこたえたらいいか、厚生省としてはどのようにお考えでしょうか。
  113. 田中健次

    田中(健)政府委員 薬事法の制度を申しますと、医薬品の製造等の品目にかかわります許可につきましては、当該の医薬品が厚生大臣の製造等の承認を得ていることがその要件とされるわけでございますが、輸出用の医薬品につきましては、当該許可は不要ということになっております。  こういう薬事法の一般論でございますが、しかし、一般に我が国が実施をしています避妊具等の供与につきましては、これを政府の技術協力の一環として行っているという事情から、国内で当該承認を受けているものを対象としているということでございまして、薬事制度上は輸出用の医薬品については承認の許可は不要である、こういうことでございます。
  114. 横光克彦

    横光委員 輸出用医薬品については、我が国では未承認であることに制約されないということでございますが、日本で承認されてないビルをもし提供するとか、あるいは経済的な援助の上とはいえ、その予算が未承認であるビル購入に使われるというような事態が発生した場合、これは途上国の人々を使って人体実験とのそしりを受ける可能性さえあるわけですね。これについてはどうお考えでしょうか。
  115. 田中健次

    田中(健)政府委員 海外援助も重要でございますけれども、私ども、現在我が国においてエイズの感染の拡大をいかに防ぐかということも非常に重要な問題でございます。エイズにつきましては予防をするワクチンも開発をされておりませんし、それから治療薬もまだ根治薬は開発をされておりません。コンドームの使用というのが最善の策でございます。そういうことも兼ね合わせながら、今中央薬事審議会で慎重に審議を行っているというところでこざいまして、そういうことも御理解を賜りたいと思います。
  116. 横光克彦

    横光委員 わかりました。確かにエイズというのは大変な問題ですし、例えば低用量ビルを認可したとしても、これは医者の処方のもとに適用されるわけで、そのときにさらにこれは避妊のためであり、エイズのためにはコンドームですよと、そこでもう一つ啓発できるわけですので、どうかエイズの問題どこの避妊具ビルの問題を相乗効果でプラスの方に持っていって、一歩進んでいただきたい。多くの女性たちの選択肢を広げていただきたいということと、その小さな命が少しでもなくなるのを少なくするということ、いろいろなことを考慮して、どうかひとつよろしくお願い申し上げます。  どうもありがとうございました。
  117. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員長 岩佐恵美君。
  118. 岩佐恵美

    岩佐委員 各病院は従来、準夜勤務を終えた看護婦さんの安全確保の立場から、病院の努力で車送りを行ってきました。厚生省はそれを平成五年の七月から、制度外、予算がないということで、労使協議を拒否をして一方的に廃止をしてしまいました。車送りが廃止をされてしまったため、看護婦さんたちは自腹を切ってタクシーで帰る、仮眠室で眠る、マイカー通勤、夫の迎え、こうした手だてをとらざるを得なくなりました。夜勤で疲れた看護婦さんの大変な負担になっています。  深夜にタクシーで帰る場合、夜間通勤加算手当では全く足りないことは明らかです。多い方では月に二、三万円を自己負担して自宅に帰っています。しかも流しのタクシーの場合、中には悪い運転手もいて、深夜に女性の一人乗りということから怖い思いをすることも多々あるということです。現に、タクシーをおりた自宅近くで首を絞められ、道路に押し倒されてハンドバッグを強奪された。そういう事件が起きております。  仮眠室もカビ臭かったり環境が悪く、眠れないため疲れがとれないと、余り利用されていません。当然のことですけれども、夜勤疲れは自宅でこそ回復できます。家庭があり、特に子供がいれば自宅に帰らないわけにはいかない、大都市では病院の近くに住めない、看護婦さんはそうした実情を訴えておられます。  このような看護婦さんたちの当たり前の要望にこたえるためにも、タクシーの実費を支給する制度を早急に確立をすべきだと思います。ぜひ厚生省として実態をよく調査をして、その実態を踏まえて予算上の措置をとる、そのために努力をすべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  119. 松村明仁

    ○松村政府委員 国立病院・療養所の経営につきましては、平成三年、四年あたりからかなりこの経営が苦しくなってまいりまして、平成五年の九月にその運営の実態を調査をさせていただいたわけでございます。  そういたしましたところ、各施設ではいろいろ事情があるのかもしれませんが、定数を超える賃金職員を採用したり、あるいは労使で合意をいたしました全国のガイドラインを大幅に上回る給与の支給、それから法令に定めのない手当、休暇など、予算、定員の枠組みを超えました運営が行われておりまして、病院の運営に重大な支障を来す実態が明らかになったわけでございます。  このために、平成五年の十二月に全国の国立病院・療養所に対しまして業務改善命令というのを出させていただきまして、現在業務改善を進めておるところでございます。  今御指摘の車送り、夜勤明けの車送りのことでございますが、御指摘のこの車送り料といいますのは、実は残念ながら法令に定めのない手当として施設限りで支給されていたというような実情にございましたので、これを廃止をさせていただいたわけでございます。看護婦さんは深夜におきます勤務の交代に伴いまして通勤をしなければならないという特殊性あるいは業務の困難性というものがございまして、これを評価して、通勤手当のほかに夜間看護手当及び加算額というものも支給されているところでございまして、この辺をひとつ御理解をいただきたいと思います。
  120. 岩佐恵美

    岩佐委員 その夜間の通勤加算手当ですね、それについて増額をするということできちっと対応をしていくべきだというふうに思います。そう聞いていますけれども、引き続きそういう努力をしていくということなのかどうか、改めて、再度伺いたいと思います。
  121. 松村明仁

    ○松村政府委員 夜間看護手当と申しますものも、実はかなり改善をしていただいた歴史があるわけでございますが、そうは申しましても、深夜における勤務の交替は交通機関が運行されていない時間に行われますから、精神的、肉体的労苦等が特に顕著であるということで支給をされておりまして、実費補てんという考えはないのでございますが、厚生省といたしましては、この加算額の改善につきまして、他の特殊勤務手当とのバランスも考慮しながら、八年度の概算要求に向けまして引き続き検討してまいりたいと思います。
  122. 岩佐恵美

    岩佐委員 夜間通勤加算手当について、具体的に数字がなかなか出てこないのですけれども、二キロから五キロまで三百八十円、それに対して要求が六百円、五キロから十キロ七百六十円を要求が千五百九十円、十キロ以上千百四十円を三千二百十円とするという要求が出ているようでありますけれども、引き続きこの点の実現はきちっとやっていっていただきたい、獲得のために努力をしていただきたいというふうに思います。  同じく手術室の看護婦の拘束に対する保障の問題です。これも保障がなくなったために矛盾が起きています。病院の運営上の必要性から拘束を命じるというのであれば、それに見合った報酬あるいは保障を行う、これが当然だと思います。今までどのように考え、また検討してきたのか、あるいはこれからしていくのかという点について、時間の関係もありますので、簡潔にお答えいただきたいと思います。
  123. 松村明仁

    ○松村政府委員 国立病院・療養所では看護婦さんに緊急の事態のときに出勤していただくように自宅で待機をお願いをしております。こういう方々に手当を支給するということでございますが、これはなかなか現行の制度の中では難しいわけでございます。  一口に申せば、勤務をしていない者に手当を出すことはなかなか難しい、こういうことがあるからでございますが、今後の対応につきましては引き続き検討してまいりたいと思います。
  124. 岩佐恵美

    岩佐委員 次に、きょうは先ほどから議論があります禁煙週間の最後の日であります。それで、少しこの問題についてお伺いしたいと思います。  世界禁煙デーに当たり、WHOの事務局長は声明で、たばこが原因で年間三百万人が死亡し、現在の状態が続けば四十年以内に死亡者数は一千万人になる可能性を改めて警告をしています。声明によりますと、喫煙は医療費の増大などの形で世界経済にとっても大きな負担となっており、金額にして年間二千億ドル、約十六兆六千億円に上る、そういう損失を強いられると言っています。その死亡の七〇%が開発途上国において起こることになる、また、たばこ産業は、その製品または少なくともヘロインやコカインと同様の依存性の原因となり得る物質の販売によって生ずる無用な死や苦痛には目をそらしてきたと鋭く指摘をしています。  実は、日本の男性の喫煙率は五九%と高く、アメリカ、イギリスと比較をしますと二倍です。フランス、ドイツの男性の一・六倍から七倍であります。先進国中でぬきんでて高いのです。タイの四八・九%、インドの五二%よりも高いという状態です。日本のたばこ販売量は五年連続史上最高であります。今輸入たばこのほとんどがアメリカからなのですが、このシェアも二割ふえてきています。その当のアメリカは西暦二〇〇〇年までに喫煙率を一五%に下げ、究極的には煙のない社会を目指していく、こう宣言をしているわけです。  厚生大臣にお伺いしたいのですが、私は世界の中でおくれた日本ではないか、そう思うのですけれども、このような実態についてどう認識をしておられるのか、伺いたいと思います。
  125. 井出正一

    ○井出国務大臣 禁煙対策は国民の健康を守る観点から極めて重要な問題だと認識しておりますし、過日、中嶋WHO事務局長の、世界禁煙デーに向けて、想像以上に大きいたばこの損失というメッセージも拝見したところであります。  厚生省といたしましては、たばこ対策を総合的かつ実効あるものとしていくために有識者の皆さんにたばこ行動計画検討会を開いていただいて、この行動計画について今年三月、報告書をまとめていただいたところであります。  さらに、公衆衛生審議会からも、この報告書について、今後のたばこ対策の指針とすべき計画として適当であるとの意見具申もいただいております。このたばこ行動計画に沿って、未成年者の禁煙等もろもろの行動計画を厚生省としても力を入れてまいりたいと思います。  世界で大変喫煙率の高いことはおっしゃるとおりだと認識しております。
  126. 岩佐恵美

    岩佐委員 三月八日発売の米国医師会月報では、乳児突然死症候群に喫煙が深く関係していることが統計的にも裏づけられたと報告しています。  これによると、父親が喫煙している家庭の場合、非喫煙家庭の三・四六倍になるとされています。受動喫煙による乳児の突然死が明らかにされているわけです。また、妊婦の喫煙による胎児や母体への影響も明らかにされています。まず喫煙の習慣をつけないことが重要です。保健所や地域保健活動の中にもしっかりと位置づけて、予算をつけてやっていくべきだというふうに思います。また、熱心な教師もいらっしゃるのですけれども、教育の分野では必ずしも徹底していません。せっかくの副読本がほこりにまみれて隅っこにあるなどという報告も聞いています。  たばこ行動計画の実効性を高めるためにも、推進運絡会議のようなものを設置して、そして具体的に手だてをとっていくべきだと思いますけれども、その点、大臣、いかがでしょうか。
  127. 井出正一

    ○井出国務大臣 このたばこ対策につきましては、従来からも関係省庁の担当レベルの皆さんによって連絡調整の場を設けてその推進を図ってきたところでございます。今回の行動計画もそういった連絡調整の場があったからまとまったと申し上げてもいいと思います。今後ともこのような場を十分に活用しつつ、関係省庁と連絡をとりながら総合的なたばこ対策推進を図ってまいりたいと考えております。
  128. 岩佐恵美

    岩佐委員 事務局レベルのそういう連絡会議も必要ですけれども、思い切って強力なといいますか、そういう機関も必要なのではないかというふうに思います。ぜひ検討をしていただきたいと思います。  一九八九年には一二・七%だった。実数にして五百八十七万人だった女性の喫煙率ですが、九四年には一四・八%、七百二十七万人となって、五年間で二・一%上昇しています。つまり、女性の喫煙者が新たに百四十万人ふえたということであります。東海大学の名誉教授の五島一郎さんという方がつくられた表では、二十歳代の喫煙者が一番高く、全体の二一%、つまり百五十二万人となっています。日本たばこ産業の資料でも、一九八五年から九〇年にかけて、二十歳から二十九歳、三十歳から三十九歳の女性の喫煙率が急増をしています。  八九年六月、たばこ事業法の施行規則の改正では「未成年者喫煙防止の観点から十分な管理、監督が期し難いと認められる場所」での自動販売機について、小売販売業の申請に対し許可を行わないとしています。たばこ自販機は現在四十九万五千台と、総自販機中九・二%、自動販売機売り上げの四分の一を占めています。八〇年に比較して四十五万台ふえ、また金額でいつでも一兆円以上の増加となっています。販売店の実態というのは、忙しいお店では自動販売機の顧客など見てもいないし、忙しくないお店でも店番は常時いるわけではありません。監督は十分行われているところか、実態は野放したと思います。 国立公衆衛生院の行った未成年者の喫煙実態では、中学一年の男子二三・三%、高校三年は四七・六%、女子では中学一年で八・七%、高校三年で一六・八%になっています。昨年の質疑でも申し上げましたけれども、八九年のワールドスモーキング&ヘルスの調査では、少年の喫煙率は五八%、少女で一一%になっています。  先ほどもお話がありましたけれども、こうした未成年者の喫煙を防止することは当然の責務だと思います。自動販売機の廃止が不可欠だと思いますが、厚生省、こうした実態をどう受けとめて、今後、たばこ行動計画で未成年者の喫煙をいつまでに具体的にどう解決をされるおつもりか、簡単にお答えいただきたいと思います。
  129. 松村明仁

    ○松村政府委員 御指摘のように女性の喫煙につきましては、妊娠中の喫煙によります胎児や母子への健康の影響が認められているとの認識のもとに、その喫煙開始の防止、すなわち防煙でございますが、喫煙習慣化の防止対策が重要だと考えております。また、未成年者の喫煙防止につきましては、学校と地域におきます健康教育の充実やたばこ広告あるいはたばこ自動販売機の規制強化等を進める必要があると考えております。  関係省庁にも協力をお願いしているところでございますが、厚生省といたしましても、ことし、新たに子供と母性の喫煙問題に関する啓発普及の実施等によりまして、地域における健康教育の一層の充実を図ってまいりたいと考えております。
  130. 岩佐恵美

    岩佐委員 全国小売酒販組合中央会は、五月の総会で酒類の自動販売機二十万台を二〇〇〇年までに撤廃することを決議しました。未成年者のアルコール中毒が深刻な社会問題になっている今日、酒類の社会的管理が必要との判断をしているわけです。酒販組合が自動販売機撤廃を決定しているのに、たばこ業界でなぜできないのでしょうか。  国際的には、たばこのテレビCMなど認めている国はないと言っていい生言えます。また、たばこの自販機についても、イタリア、アイスランドでは全面禁止、韓国のソウル市でも五月に、たばこ自動販売機の新規は全面禁止、八月末までに既設の自販機の撤廃を義務づけた条例を可決しています。アメリカでも多くの州及び市で禁止がふえています。たばこ自販機の禁止も世界的な流れになっています。  また、パリのたばこと健康世界会議に参加した世界銀行の代表は、たばこは健康被害をもたらすだけでなく各国、特に途上国の経済に大きな重荷を背負わせている、世界銀行はポリシーとしてたばこ関連事業に融資をしない、各国大蔵大臣は目先の税収を上回る医療費その他の経済負担を考えるべきだと発言をしています。不要な医療費や経済負担を増大させない責任が大蔵省にあると私は思います。本年のWHOのスローガンもこうした観点に立っています。  大蔵省は、国際的な警告をどう受けとめて今後日本たばこ産業を指導するおつもりでしょうか。
  131. 二宮洋二

    ○二宮説明員 たばこ自動販売機に対する規制につきましては、未成年者喫煙防止、消費者利便、小売店経営の省力化に配慮の上、検討する必要がございます。  平成元年のたばこ事業等審議会の答申に基づきまして、未成年者喫煙防止の観点から、自動販売機の店舗への併設、あるいは地域の実情に応じた深夜稼働の自粛、さらに未成年者喫煙禁止に関する自動販売機への表示につきまして、業界に対して協力要請を行ってきているところでございます。  近年におきます喫煙と健康に関する世論の高まりを背景といたしまして、たばこ自動販売機の深夜稼働の自粛につきましてはその趣旨を一層徹底するよう、業界に対して要請しているところでございます。
  132. 岩佐恵美

    岩佐委員 先ほど大臣が答弁の場で、参議院では少し前から委員会室が禁煙になったというお話をされましたけれども、私は、分煙という点からいっても、委員会で吸わなくても別に吸う場があるわけですから、厚生委員会が模範となって衆議院でも委員室では吸わない、吸う方はちょっと席を外して吸うなどということがあればと、傍聴者の方はかなりその点を気にしておられるようですので、そのことを最後に申し述べまして、私の質問を終わりたいと思います。      ――――◇―――――
  133. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員長 次に、優生保護法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。  本件につきましては、先般来各会派間において御協議いただき、意見の一致を見ましたので、委員長において草案を作成し、委員各位のお手元に配付いたしてございます。  その起草案の趣旨及び内容について、委員長から簡単に御説明申し上げます。  本案は、都道府県知事の指定を受けて受胎調節の実地指導を行う者が受胎調節のために必要な医薬品を販売することができる期間を、平成十二年七月三十一日まで五年間延長しようとするものであります。  以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。     ―――――――――――――  優生保護法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕
  134. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員長 この際、お諮りいたします。  お手元に配付いたしております草案を優生保護法の一部を改正する法律案の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  135. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員長 起立総員。よって、そのように決しました。      ――――◇―――――
  136. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員長 次に、理容師法及び美容師法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。  本件につきましては、先般来各会派問において御協議いただき、その結果に基づきまして、委員長において草案を作成し、委員各位のお手元に配付いたしてございます。  その起草案の趣旨及び内容について、委員長から簡単に御説明申し上げます。  近年、我が国における理容業及び美容業においては、科学技術の進歩、生活文化の向上、消費者ニーズの高度化等に伴い、理容師及び美容師に対して、高度な技術とさらなる衛生水準の維持向上が要請されております。  本案は、このような状況にかんがみ、理容師及び美容師の資質の向上等に資するため、理容師試験及び美容師試験の受験資格の改正その他所要の改正を行うこととするもので、その主な内容は次のとおりであります。  第一に、理容師及び美容師の免許を与える者を、都道府県知事から厚生大臣に改めること。  第二に、理容師試験及び美容師試験を実施する者を、都道府県知事から厚生大臣に改めるとともに、厚生大臣は、その指定する試験機関に試験事務を行わせることができることとすること。  第三に、理容師試験及び美容師試験の受験資格を、高等学校を卒業した者であって、厚生大臣の指定した養成施設において厚生省令で定める期間以上理容師または美容師となるために必要な知識及び技能を修得したものに改めること。  第四に、理容師及び美容師の登録に関する事務を実施する者を、都道府県知事から厚生大臣に改めるとともに、厚生大臣は、その指定する登録機関に登録事務を行わせることができることとすること。第五に、理容師免許及び美容師免許の欠格事由を緩和すること。  第六に、この法律は、平成十年四月一日から施行すること。  なお、特に、理容師試験及び美容師試験の受験資格を改正することに伴い、中学校を卒業した者の就業の機会が狭められることのないよう、中学校を卒業した者については、当分の間、理容師及び美容師となることができるよう、関係団体、学識経験者等の意見を十分聞いた上、適切な措置を講じることとすること。  その他、所要の経過措置を講じるとともに、関係法律について所要の改正を行うものとすること。  以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。     ―――――――――――――  理容師法及び美容師法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  137. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員長 本件について発言を求められておりますので、これを許します。岩佐恵美君。
  138. 岩佐恵美

    岩佐委員 委員長の許可をいただき、発言いたします。  今回の改正で、受験資格を中卒から高卒に引き上げることは、現状では受験者の約二割が中卒であること、高校中退者が十万人を超えていること、高校の義務教育化の見通しか全く立っていない等の事情を考慮しますと、「当分の間」という経過措置があるとはいえ、中卒者を制度の上で門戸を閉ざすことになりますので、本法案には日本共産党は反対であるということを表明して、発言を終わります。
  139. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員長 これにて発言は終わりました。  この際、お諮りいたします。  お手元に配付いたしております草案を理容師法及び美容師法の一部を改正する法律案の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  140. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員長 起立多数。よって、そのように決しました。  なお、両法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  141. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ――――◇―――――
  142. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員長 第百二十九回国会、森井忠良君外十一二名提出、臓器の移植に関する法律案を議題といたします。  提出者より趣旨の説明を聴取いたします。中山太郎君。     ―――――――――――――  臓器の移植に関する法律案     〔本号末尾に掲載〕
  143. 中山太郎

    中山(太)議員 ただいま議題となりました臓器の移植に関する法律案について、提出者を代表いたしまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  欧米諸国では、既に脳死をもって人の死とすることが認められ、脳死体からの臓器移植は日常的な医療として完全に定着しており、毎年八千件以上の心臓や肝臓の移植が行われております。その成績も、新しい免疫抑制剤の開発などにより年々向上しており、多くの患者がこの医療の恩恵を受けております。  一方、我が国においては、脳死は人の死か、脳死体からの臓器移植は認められるのかについて議論が続けられており、その間にも臓器移植以外では助からない多くの患者は、迫りくる死の影におびえつつ、移植を受けることができる日を一日千秋の思いで待ちわびながら無念の涙をのんでおられるのが現状であります。ごく一部の方は移植を受けるために海外に渡航しておられますが、海外においても多くの患者が移植を待っており、外国人である我が国の患者に対する門戸も徐々に狭まってきていると聞いております。こうしたことから、患者やその家族からは、我が国においても脳死体からの臓器移植の道を開いていくことが強く求められております。  このような状況のもとで、平成二年に臨時脳死及び臓器移植調査会が内閣総理大臣の諮問機関として設置され、二年間にわたる審議の結果、平成四年一月には、脳死を人の死とすることについてはおおむね社会的に受容され合意されているといってよいとした上で、一定の要件のもとに脳死体からの臓器移植を認めることを内容とする答申が提出されました。しかしながら、その後も、臓器移植に関する法制が整備されていないこと等のため、脳死体からの臓器移植は現実には行われておりません。  我が国においても、心臓、肝臓等の移植医療を国民の理解を得つつ適正な形で定着させ、国籍のいかんを問わず人類愛の見地に立って移植を待つ患者を一人でも多く救済できるようにしていくためには、脳死体から臓器を摘出できることを明確にするとともに、臓器提供の承諾を初めとする臓器の移植に関する手続や臓器売買の禁止など総合的な観点からのルールづくりが必要であります。もとより臓器提供者となられるのは、可能な限りの医療が尽くされたにもかかわらず不幸にして回復されず厳密な判定基準に基づき脳死と判定された方でありますが、このルールづくりの際には、移植を待つ患者を救うことと同時に臓器提供者の側への配慮も忘れてならないことは言うまでもありません。  そこで、これらの内容を盛り込んだ法律を制定することがぜひとも必要であると考え、ここにこの法律案を提出した次第であります。  なお、この問題につきましては、超党派の生命倫理研究議員連盟や各党・各会派の代表者から成る脳死及び臓器移植に関する各党協議会などの場で検討・協議が重ねられてまいりましたが、この法律案も、昨年一月、同協議会において取りまとめられたものであります。その際、同協議会におきましては、この問題は人の生死という極めて重大な事柄にかかわる問題なので、国会の場で開かれた形で十分審議を行う必要があるとの共通の認識があったことを申し添えさせていただきます。  以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。  まず第一に、この法律は、移植医療の適正な実施に資することを目的とすることとしております。  第二に、臓器の提供に関する本人の意思は尊重されるべきことや、臓器の提供は任意にされたものでなければならないことなどの臓器移植の基本的理念を定めております。  第三に、医師は、臓器提供についての承諾がある場合には、移植術に使用するため、脳死体を含む死体から臓器を摘出することができることとしております。ここで、脳死体とは、脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止するに至ったと判定された死体をいい、その判定は、一般に認められた医学的知見に基づき厚生省令で定めるところにより行うこととしております。  第四に、臓器提供の承諾について、本人が提供の意思を書面により表示していた場合で遺族が拒まないときは臓器の摘出ができること、本人が提供を拒否していたときは臓器の摘出ができないこと、それ以外の場合は遺族が書面で承諾しているときは臓器の摘出ができることとしております。  第五に、臓器売買及び臓器の有償あっせんについては、厳にこれを禁止することとしております。  第六に、業として臓器のあっせんをしようとする者は、厚生大臣の許可を受けなければならないこととしております。  このほか、この法律の施行後五年を目途として検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるべき旨等を規定するとともに、この法律の制定に伴い現行の角膜及び腎臓の移植に関する法律は廃止することとしております。  なお、この法律の施行期日は公布の日から起萱して三月を経過した日としております。以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重かつ十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  144. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。     ―――――――――――――
  145. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、来る十一日午前九時三十分、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  146. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、来る十三日火曜日午前九時二十分理恵会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十九分散会      ――――◇―――――