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1995-05-17 第132回国会 衆議院 厚生委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年五月十七日(水曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 岩垂寿喜男君    理事 衛藤 晟一君 理事 木村 義雄君    理事 鈴木 俊一君 理事 井上 喜一君    理事 石田 祝稔君 理事 山本 孝史君    理事 網岡  雄君 理事 荒井  聰君       荒井 広幸君    金田 英行君       岸田 文雄君    熊代 昭彦君       近藤 鉄雄君    佐藤 静雄君       住博  司君    高橋 辰夫君       竹内 黎一君    戸井田三郎君       長勢 甚遠君    根本  匠君       野田 聖子君    堀之内久男君       茂木 敏充君    山口 俊一君       山本 公一君    青山 二三君       粟屋 敏信君    岩浅 嘉仁君       鴨下 一郎君    北橋 健治君       久保 哲司君    坂口  力君       福島  豊君    桝屋 敬悟君       宮本 一三君    保岡 興治君       柳田  稔君    五島 正規君       土肥 隆一君    森井 忠良君       横光 克彦君    枝野 幸男君       岩佐 恵美君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 井出 正一君  出席政府委員         厚生大臣官房長 山口 剛彦君         厚生省生活衛生         局長      小林 秀資君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局経済部団         体課団体指導官 田代 郁夫君         公正取引委員会         事務局取引部取         引課長     鈴木 恭蔵君         経済企画庁国民         生活局消費者行         政第二課長   中藤  泉君         外務省経済協力         局政策課長   中村  滋君         文部省体育局学         校健康教育課長 銭谷 眞美君         農林水産省畜産         局牛乳乳製品課         長       永岡 洋治君         農林水産省食品         流通局消費経済         課長      大隈  満君         参  考  人         (財団法人日本         薬剤師研修セン         ター理事長)  内山  充君         参  考  人         (消費科学連合         会事務局長)  伊藤 康江君         参  考  人         (女子栄養大学         教授)     村上 紀子君         参  考  人         (日本生活協同         組合連合会理         事)      日和佐信子君         参  考  人         (農民運動全国         連合会事務局次         長       石黒 昌孝君         厚生委員会調査         室長      市川  喬君     ————————————— 委員の異動 五月十七日  辞任         補欠選任   荒井 広幸君     茂木 敏充君   塩崎 恭久君     岸田 文雄君   高橋 辰夫君     金田 英行君   藤本 孝雄君     野田 聖子君   坂口  力君     桝屋 敬悟君   柳田  稔君     北橋 健治君 同日  辞任         補欠選任   金田 英行君     高橋 辰夫君   岸田 文雄君     山本 公一君   野田 聖子君     藤本 孝雄君   茂木 敏充君     荒井 広幸君   北橋 健治君     柳田  稔君   桝屋 敬悟君     坂口  力君 同日  辞任         補欠選任   山本 公一君     塩崎 恭久君     ————————————— 五月十六日  療術の制度化促進に関する請願宮里松正紹介)(第九九四号)  同外三件(鈴木俊一紹介)(第一〇六二号)  同(佐藤信二紹介)(第一〇七六号)  同(佐藤守良紹介)(第一〇七七号)  同(阿部昭吾紹介)(第一〇九一号)  同外三件(甘利明紹介)(第一〇九二号)  同(河村建夫紹介)(第一〇九三号)  同(西田司紹介)(第一〇九四号)  腎疾患総合対策早期確立に関する請願長内順一紹介)(第九九五号)  同(中馬弘毅紹介)(第九九六号)  同(二階俊博君紹介)(第九九七号)  同(網岡雄紹介)(第一〇〇一号)  同(荒井聰紹介)(第一〇〇二号)  同(古賀敬章紹介)(第一〇〇三号)  同(網岡雄紹介)(第一〇一二号)  同(早川勝紹介)(第一〇一三号)  同(広野ただし紹介)(第一〇一四号)  同(早川勝紹介)(第一〇二九号)  同(桝屋敬悟紹介)(第一〇三〇号)  同(早川勝紹介)(第一〇四五号)  同(早川勝紹介)(第一〇五〇号)  同(河村たかし紹介)(第一〇五八号)  同(早川勝紹介)(第一〇五九号)  同(築瀬進紹介)(第一〇六九号)  同(小林守紹介)(第一〇八七号)  重度戦傷病者と妻の援護に関する請願宇野宗佑紹介)(第一〇三一号)  同(塩谷立紹介)(第一〇三二号)  同(塚原俊平紹介)(第一〇三三号)  同(中村正三郎紹介)(第一〇三四号)  同(浜田靖一君紹介)(第一〇三五号)  同(堀之内久男紹介)(第一〇三六号)  同(持永和見紹介)(第一〇三七号)  同(森喜朗紹介)(第一〇三八号)  同(山本有二紹介)(第一〇三九号)  同(河本敏夫紹介)(第一〇四六号)  同(中山太郎紹介)(第一〇六〇号)  同(中山正暉紹介)(第一〇六一号)  同(逢沢一郎紹介)(第一〇七四号)  同(森喜朗紹介)(第一〇七五号)  同(河村建夫紹介)(第一〇八八号)  同(櫻内義雄紹介)(第一〇八九号)  同(町村信孝紹介)(第一〇九〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  食品衛生法及び栄養改善法の一部を改正する法律案内閣提出第八六号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付食品衛生法及び栄養改善法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案審査のため、参考人として財団法人日本薬剤師研修センター理事長内山充君、消費科学連合会事務局長伊藤康江君、女子栄養大学教授村上紀子君、日本生活協同組合連合会理事日和佐信子君、農民運動全国連合会事務局次長石黒昌孝君、以上五名の方々に御出席をいただいております。  この際、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中にもかかわらず御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。本案について、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査参考にさせていただきたいと存じます。  次に、議事の順序について申し上げます。  御意見は、内山参考人伊藤参考人村上参考人日和佐参考人石黒参考人順序により、お一人十五分以内でお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。  なお、発言する際は委員長許可を受けることになっております。また、参考人委員に対して質疑することはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきを願いたいと存じます。  それでは、まず内山参考人お願いいたします。
  3. 内山充

    内山参考人 内山でございます。  私は、せんだってまで、三月まで試験研究機関におきまして食品衛生にかかわる仕事をしてまいりましたので、その立場から、今回の法改正の案の内容を拝見いたしまして、それに対する感想、それからお願いといったことを申し上げたいと思います。  食品衛生と申しますのは、安全な食品を豊かに供給するということを目標にするものでございまして、明らかに科学技術行政でございます。それで、国民の健康と生活に密着して大きな影響を与えるものというふうに考えております。私ども試験研究立場でこうあるべきだ、こうあってほしいと思う事柄は、研究成果からたくさん出てまいりますが、それが行政の手で実現されるというところに食品衛生方向があろうかと存じております。  本日は、お手元に提出させていただきました要旨に従いまして述べさせていただきたいと思います。  ただいま申し上げましたように、食品の安全を確保する食品衛生は、科学的根拠に基づいて行われるものであるというふうに私ども考えておりますが、単なる試験研究成果と申しますのは、いかに正しくてもそれが広く情報として伝えられたり、あるいは特定の行為を規制したりというようなことはできないのであります。そのためには、それを実行するためには法的な裏づけの必要なものが非常にたくさんございます。  ここに書きましたように、添加物あるいは農薬残留といったようなものを監視する場合には、規格基準というものの存在が不可欠でありますし、それから安全性等につきまして評価をいたします場合には、安全性のための実験データというものの入手がどうしても不可欠になります。それから、後ほど申し上げますが、食品安全性確保するために製造工程が最も大事ではありますけれども、それの目的としては自主管理の普及が最も効果的でありますが、それを強制をするということは、法的な裏づけがなければもちろんできないわけであります。  検査技術水準維持管理と書きましたのも、当然のことながらGLPとかGMPといったような法的な規制が極めて強力な裏づけを果たしてくれるということでございます。  ただし、そういった法的な決まりがございました場合に、それを具体的に運用するのは行政判断であると私どもは考えております。食品の安全と安心をより推進する方向でそれらの法律運用されるということを私どもは強く念願をいたします。法的な裏づけは、今回の法案の中でかなり整備されて実行可能となっておりますので、その点につきましては私どもは大きく評価をしております。  行政判断方向と書きましたところの安全性の見直しの実現であるとか、あるいは輸入食品電算データ輸入食品の中から問題のあるものを拾い出すという方向に活用するとか、あるいは消費者情報を提供する際の心がけといったようなことは、食品の安全と安心をより推進する方向で行われることを願っております。  二番目に書きました食品安全確保対策、これが、ただいま申し上げました具体的な運用でございますが、それを行うに当たっての原則というのが二番目に書いてございます。原則と申しましたのは、こういう考え方運用をしていただきたいということでございます。  その原則には二つございまして、一つは、食品というものは生産から、もちろん製造も入りますが、生産から消費までの長い過程のどこか一カ所で一たん非衛生になりますと、絶対もとに戻らない資材でございます。これは普通の我々の生活資材とは全く違う特色を持っております。したがって、食品衛生を守るためには、各段階に関与するすべての人たち協力があって初めて全体として食品の安全は確保されると言うことができます。  消費者方々の手に渡るまでに、製造から始まりまして、行政試験検査製造と三つのセクターに分けてここは書いてございます。  行政は、科学技術的な根拠に基づいた妥当な数値基準表示基準基準表示をするというのが行政の主な仕事だと思われますし、試験検査は、データというものが非常に重要な意味を持ち、ひとり歩きをするというところから、技術の向上と広域連携、非常に狭い場所での試験検査というのは全体をつかむのに不足でございまして、広域連携が必要である。それから、先ほど申し上げましたように、生産製造に関しましては、規則で画一的に規制するよりも、つくる場所に合った、食品というものは非常にバラエティーに富んだ場所でつくられておりますので、場所に合った自主管理が極めて効果的であろうというふうに考えます。  安全性の問題は、食品衛生の話の中でかなり何回も取り上げられますが、安全性は、現段階で学問的に最善、これは科学的な根拠に基づいて判断をするということであります。かつ国際的に認知された手法、これはデータの出し方からあるいはそのデータ判断の仕方というものまで含めまして、その国際的に認知された手法というのは、この作成には日本も積極的に現在でも関与しておりますが、それらの手法によりまして予測評価されるものであります。安全性というものは証明され、確認されるものという表現を使いますが、これはすべて予測であり、評価であります。したがいまして、その安全性の持つ意味というのは、そこを十分に理解した上で行政の施策をしていただきたいと考えております。  消費者みずからがわかる部分というものが食品にはかなりたくさんございまして、消費者自身がわかる部分に関しましては、消費者の責任として食品の安全は守ることになっております。それが、ここの一番上に書いてあります、食物摂取量あるいは摂取法が極端になると食物による危害というのは容易に起こる。これは過食とか偏食とかいうものがありますと、あるいは官能検査で正しい食品を選ぶということの能力が欠けてまいりますと、食物による不衛生あるいは危険というものはすぐに起こるものだというところもまた食品特色と申せましょう。  消費者がそういうことで自分でわかる部分はそれでよろしいんですが、わからぬ部分につきましては、他のセクター、すなわち行政とか試験検査とかあるいは製造とかいったようなところの、先ほど来申し上げております確保対策を遂行するに当たっての原則にのっとった作業が必要であるということと、もう一つは、二番目に書きました、国際的な評価基準に従ってと先ほど申しましたけれども、これには食習慣による各国独自の判断を加えるということであります。  これらのことを、この原則に従って安全性評価した場合にも、それでもなおかつ、国民感情とか社会通念に基づく食品に対する安全性に関する不安というものが残るケースがたびたびございます。それらの不安感というものは、これは無視をすることはできません。その不安感をできるだけぬぐうためには、ここに情報表示と書きましたのは、情報公開あるいは表示充実表示充実というのは食品消費者が選ぶ根拠になるということになります。情報表示に努めることによって少しでも不安をなくすという方向がとられるべきであると考えます。  最後に、私ども試験研究立場から食品衛生行政への要望というふうに書いてございますが、今回の法改正中身を拝見いたしまして、このことはできることならばぜひお願いしたいと思うことを、四点ほど代表的なものを取り上げさせていただきました。  現在の我々の生活が健康であるのか、我々の状況がいい健康状態であるのかどうかということは、これは非常に難しい問題でありまして、食品の安全を守るといっても、じゃどういう状態にするのが一番安全かというと、現状より悪くしない、これはよくわかるんですが、そのほかなかなか難しい問題がございます。  予見性のある試験研究というのは数限りなくテーマがございますけれども、残念ながら試験研究機関というのは、国立の場合は特にそうですが、定員削減等研究人員がどんどん自然に減ってまいりますので、この辺の確保に頭を悩ましているところであります。予見性のある試験研究の中には、食生活の中に潜む疾病原因除去であるとか、あるいは健康増進への積極的な提言、食物の中にあるアレルギー性の因子の除去とかいうことが代表的なことかと思われますが、そういうことを考えた試験研究推進をぜひ支援をしていただきたいと考えます。  二番目に書きましたのは、評価予測に関する科学的な研究。これが先ほどの国際的な基準をつくるときの発言に最も大事な中身でございます。暴露量を常に把握する、安全性予測する手法を開発する、それから、危険度の高い人たちへの配慮を行うような試験計画を立てるというところであります。  我が国は、残念ながら、予防的な仕事というのの評価が必ずしも高くないところがあります。この食品衛生評価予測はすべて予防的な問題点でございまして、その点に関する研究推進と、それをぜひ行政に反映させていただきたい。  三番目は、ごらんのとおりの国際共同研究。これは、評価基準は全部国際判断になりますので国際共同研究と、それから、国の中の地方衛生研究所との共同プロジェクト推進したい。  それから四番目は、国際会議に行きまして正当な発言をするために、国際会議に行きましたときの日本人の科学的、科学技術的のレベルにつきましてはかなり高いものがありまして、評価を受けておりますけれども国際会議におきます効果というのは、技術レベル、知識レベル掛ける言語能力といいましょうか、そういうことになりますが、こういったものも克服しまして、国際会議への出席をスムーズにするための処置もいただければ大変幸いと存じます。  以上、私が法改正中身を拝見をいたしまして感じました感想とそれからお願いを申し上げさせていただきました。この機会をお与えいただきましたことに、大変ありがたく、御礼を申し上げます。どうも失礼いたしました。(拍手)
  4. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 ありがとうございました。  次に、伊藤参考人お願いいたします。
  5. 伊藤康江

    伊藤参考人 伊藤でございます。よろしくお願いいたします。  私は消費科学連合会という消費者団体に所属しておりますけれども消費科学連合会というのは昭和三十九年にできました消費者団体で、その中で私は食品を主なテーマとして担当している者でございます。きょうは食品衛生法及び栄養改善法の一部を改正する法律案について、これまで長い間の運動経験を通しまして、少し意見を述べたいというふうに思っております。  まず第一に、今回この法律改正するに当たりましては、やはり大きな社会状況の変化ということがございまして、ぜひ改正していただきたいというふうに思っております。その点については異論がございません。前から消費者団体としては、今の食品衛生法では内容が不十分であるということを申し上げていたわけでございます。  ただし、私は実は規制緩和検討委員会委員に参加しておりまして、その中に規制緩和検討項目というのがたくさん出てくるわけなんですが、今回の改正内容を見ますと、その中に出てくる規制緩和要求をされている項目が大変多いということです。ですから、私どもは、長い間食品衛生法改正してほしいという要求にもかかわらず、ここへ来て突如として改正されることになったことについては、非常に不信感を持っております。というのは、やはり内外からの規制緩和要請にこたえるための法改正ではなかろうか。そうしますと、中身についてやはり見ていくと問題が散見されるというふうに感じております。というものの、少し前進した面もあり、全面的否定をするものではないという前提で考えていただきたいというふうに思います。  具体的に申し上げれば、規制緩和要請法律改正項目を照らし合わせますと、食品衛生法関連規制緩和要求が出ているものが二十項目ございました。その中に、今回改正されることになっております食品衛生法上の営業許可有効期間の延長というのがございますが、今回この法律の中に盛り込まれているということを考えましても、規制緩和との関連が非常に大きいんではないかというふうに思っております。  それから第二番目に、食品衛生法問題点について少し触れていきたいと思います。  私ども消費者団体は、「目的」のところに「食品安全性確保」及び「国民権利」、これは言葉はラフでございますけれども、そういう考え方を明確化してほしいというふうに申し上げておりました。今は危害の防止ということが、全面取り締まりということが前面に出ているわけですけれども、かつて衛生状態など非常に問題のあった時代はそれでいいのかもしれませんけれども、現在になって食生活が豊かになりますと、やはり国民要求というのは、より安全性の高いものへと要求が進んでおります。そんな中では、やはり食品安全確保及びそれが国民権利であるんだということを明確化していただきたいというふうに考えたわけです。  具体的には、その「目的」を入れないということはどういうところに問題が出てくるかと申し上げますと、食品添加物残留農薬摂取量低減化という考え方が私たちにはあります。できるだけ化学物質を体の中に取り込みたくないという考え方があります。これは幾ら安全性が科学的に証明されたといえども、それは人体実験しているわけじゃございませんし、動物実験であり、それから、多くの化学物質を同時に取り込んだ場合どうなるかということの科学的証明は、今のところ、材料はございません。そうしますと、やはり私たちはなるべく少なくしておきたいということがございます。そのような考え方をしていく場合に、食品安全確保ということがないと、前の国会の附帯決議にもありますように、できるだけ食品添加物摂取量は少なくするんだという思想が盛り込まれないのではないかというふうなおそれを抱いております。そういった点で、やはり「目的」のところをもう少ししっかりしていただきたい。  それから、国民権利という考え方を入れていただきたいと申し上げたのは、例えば私たち行政で決定されたことを、不服申し出とか情報公開要求した場合、食品を安全に摂取する権利みたいなものがある、その背景をもと情報公開だとか行政不服を申し出ることができるのではないかというふうな考え方を持っております。国民権利であるというところがないと、反射的利益だとか行政国民にしてあげるんだというような姿勢では、やはり情報公開、資料の提供というところは不十分になっていくのではないかというふうに思っております。  第二番目に、今回、天然添加物の指定を化学的合成品と同等な扱いにするということは、これは大変評価したいと思います。海外でもそのようなことになっております。アメリカでもアジアでも、タイでもインドネシアでも天然添加物化学的合成品と同じくポジティブリストになっているということと比較しますと、やはりそれは評価できるというふうに思っております。ただし、既存の添加物対象外だというところに大変問題があるというふうに私は思っております。  厚生行政の当局のお話ですと、長い間の食経験による安全性証明はできているということですが、食経験を、果たして科学的証明というふうなことが言えるかどうか。一方で食の安全というのは科学的証明を必要とすると言いながら、天然添加物については例外的考え方をするというところに問題があるのではないかと思います。天然添加物といえども、やはり安全性証明は必要だと思います。  具体的にもう少し申し上げれば、化学的合成品というのは、食品添加物公定書というのがございまして、その中で、成分規格、例えば純度だとか試験方法とかすべて定めております。とても詳しく定められています。そういうものと、私たちが、消費者が見るときには表示の面では同じように並んで出てくるわけですね。もともと違う制度もとに認可されているものが同じ表示で出てくる、ここは消費者からの大きい誤解が生じるのではないかと思います。  それから、これは多くの消費者団体が希望しております残留農薬基準ポジティブリスト化、現在は百三ほど残留基準ができておりまして、それだけは取り締まることができるけれども、それ以外は一応野放しだという実態は問題があるのではないかというふうに思っています。  それに対して厚生当局は、今これをポジティブリスト化してしまうと輸入品の半数ぐらいが入らないよというふうなことを言われているので早急にはできないというふうに言われておりますけれども、裏返して考えてみれば、それではその対象外のものが多く残留しているものが入っているということになりますね。百三以外、日本規格基準が決められているもの以外の農薬残留しているものが入っているという証拠をおっしゃっているわけです。ですから、私たち、それについても、基準のないものがどのくらい農薬残留しているのか資料を持ち合わせません。そういう資料はきちんと出して、早急にその残留基準を百三から多くするべきだというふうに思っております。  それからもう一つ、アメリカの経験で申し上げれば、先年の秋、アメリカへ行ってまいりました。そうすると、アメリカから輸出するお米は、国によって農薬の、あそこはポストハーベストという行為をしているわけですけれども、例えば日本でこういう基準があるからこの農薬は使わないでほしいと言われればそのようにしますと。スペインと日本、まあヨーロッパへもいろいろアメリカは輸出しているわけですけれども、全部違えてやっておりますというようなことをおっしゃっています。ですから、私は、半分も輸入できなくなるというのは少し努力が足りないのではないかというふうに思っています。日本はこれしか使えないんだから、こういう農薬残留していては困るんだということを相手国に言うことはできるのではないかというふうに私は考えております。  それから次に、輸入食品の検査の充実ですけれども、これは今行政検査というものの数が非常に少のうございます。これは今後この法改正によってコンピューター化などして効率的になる、そして農水と大蔵の関係、この三つの関係をコンピューターで結んで迅速にするという点では評価できると思いますけれども安全性に関する行政検査の充実というものは今後十分必要になるかというふうに思っております。  時間がだんだんなくなったものですから、次に、食品衛生調査会というのは、今回の法改正の場合、項目としては全面的に出ておりませんけれども、これは重要な問題だというふうに私は思っています。と申し上げるのは、また規制緩和の話で恐縮でございますけれども規制緩和要求の中に出てくる、厚生省の措置概要というところがあるわけですが、衛生調査会で十分検討して決めるということを再三書いてございます。そうすると、調査会というのは非常に大切なことになるわけですけれども、調査会で使われた資料の公開というものが不十分だというふうに私は思っております。  それは、例えば、その決定に至った根拠となる資料は決定後公開される、こういう点は非常に問題でございますし、それから衛生調査会に出てくる資料もまた問題ではないかというふうに思っております。食物摂取量から計算してこの農薬基準値をこの量に決めると、ADI内であるということを常に計算しながら基準値を決めていくわけなんですけれども、じゃどういう計算をしてADI内なのかというそういう資料は一切目に触れることがございません。結論だけ。ADIの八五%にとどまっているという結論だけが出てくる。こういうものでは、やはり資料としては不十分だと思います。  それから食品衛生調査会のあり方なんですが、例えば、先般日付表示のことが決定いたしました。あれなどは、やはり日常食品を買ったり選んだりしている人たち意見というのは重要なんだと私は思うのですけれども、そういう立場の人の入った委員会でそういうことは論議すべきだというふうに思いますが、実際は毒性の学者だとかそういう方たちが中心にされるということは問題で、一つ違う部会みたいなものが必要ではないかと思います。  それから、衛生調査会で十分に論議されたかどうかというのは外部から見てはわかりませんので、ぜひ議事録の公開というようなものも必要だというふうに思っています。  それからあとは、参議院の附帯決議なんかに出ておりますが、より多く生産者、消費者の声を反映するために調査会に委員を入れるべきだというふうになっておりますが、私は、委員を入れただけでは不十分で、やはり制度として公聴会を設けるとか、意見の反映のためのほかのシステムを考えることが重要だというふうに思っています。  最後になりますけれども栄養改善法でございます。これはまた後から詳しくおっしゃる方もいらっしゃると思いますが、私は、栄養表示は全面的な栄養表示にすべきであったというふうに思っています。今回の改正では、強調表示、例えば低塩とか低脂肪とか、そういうものを是認することを前提に置いてこの法改正がされているというふうに思っております。アメリカなどは、栄養表示は全面表示でございます。何か特別なことを強調するより、全部裏に栄養表示がわっと書いてあれば、その数字を消費者は比較してみればそれで十分だというふうに思いますし、それが最もベターな選択の方法だというふうに考えております。  少し超過いたしまして申しわけございません。以上でございます。よろしくお願いいたします。(拍手)
  6. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 ありがとうございました。  次に、村上参考人お願いいたします。
  7. 村上紀子

    村上参考人 村上と申します。私は、大学で食にかかわる情報の科学というあたりを専門に教えておりますので、きょうは、食情報科学あたりから見た今回の改正について少し申し述べたいと思います。  時間もございませんので、食衛法についてはかなりお触れになる方もいらっしゃるので、私は栄養改善法の方に重点を置いてここではお話し申し上げたいと思います。  情報の科学、科学とつけませんで、食の情報という目で見ますと、今の時代ほど情報が必要とされている時代もないのではないか。と申しますのも、非常に食物に対する不安が大きくなっている。不安の解消は、情報というものが非常に大きく働く役割を持っているわけですね。それで、どうしてそんなに不安が大きいかというと、幾つか原因はあろうかと思いますが、やはり自分が食べるものがどういうふうにできてきたのか見えなくなっている時代だからではないかと思います。  まず、生産の場が見えません。どういう畑でどういうふうに農薬がまかれてつくられているか、私どもはほとんど見ることができない人が多い。しかも今度はそれに加えて、どのように調理されているかを見ることも少なくなっている。と申しますのは、家庭でつくって食べることがだんだん比率が減って、でき上がったものを外で外食するあるいは買ってきて食べる、あるいは家の中ではつくりますけれども部分的には既に工場なりなんなり外で調理されたものをさらに手を加えるという、つまり調理の部分もかなり見えてこないということでございます。  食生活には食べ物と食べ方の方がございまして、食品については食べ物の問題ですけれども、今度一部連結している栄養改善法の方の改正というのは栄養表示の問題ですが、これは食べる人の側にかかわってくる、人間の方にかかわってくる問題だと思います。食べ物が幾ら衛生的に安全であっても、食べ方次第では健康を損なうということがあるわけですね。  例えばバターを例にとるのはいけないかもしれませんが、わかりやすくと思いますけれども、例えば安全性の上で何の問題もないバターであっても、毎朝自分のトーストに塗るときは余り塗り過ぎないようになどと注意をしますけれども、外でできたお菓子を買って食べるときは、そこにどのぐらいバターが使われているか、お菓子を焼いたことがない人にはほとんどわかりませんね。そういうときに、一体このお菓子にはどのぐらい動物性脂肪が入っているんだということがわかるようになっているということが大事なのではないかという意味で、栄養成分表示というものは非常に今大事な情報、健康への不安を解消するための大事な食の情報一つだと私は思うわけです。  今回も一部、表示をすることを義務づけるようになりましたけれども、よくよく見ると、これはEU方式とでも申しますか、EU方式というのは、一九九〇年にEUの理事会から指令が出て今各国が、これは法的な拘束力を持ちますので自分自分の法律改正をやっている最中のようでございますけれども、このEU式で申しますとこういうふうになります。  我が社のこの食品は何キロカロリーしかありませんよと、その食品の熱量を表示してカロリーが低いことを自慢することがこれまではできたけれども、もし今度そういう自慢をするならば、その自慢をしたい低カロリーの問題だけでなくて、例えば三大栄養素、たんぱく質、炭水化物、脂肪を表示しなさい、あるいは食品の種類によってはさらに、砂糖はどのぐらい、飽和脂肪酸はどのぐらい、食物繊維、塩分なども表示しなさいという義務づけになるわけですね。日本でもこの方式に準じたものを、これに似たものを今度改正することになっているわけで、厚生省のお話ですと表示項目は、熱量と三大栄養素と塩分は最低載せることになるようでございます。  もはや、自分が自慢したい情報だけを表示して、ちょっと自分に都合の悪い表示はしないことはできない。となると、ぐあいが悪い人たちは全部表示を引っ込めてしまうかということももしやあるかもしれませんし、それから、今成分を表示している食品というのがもともと余り数は多くございませんので、これが一体今回の表示の義務づけ、EU方式の義務づけでどこまでふえるのだろうかという危惧もまだある。  そして恐らく、内容を余り知られたくない、高カロリーであるとか高脂肪だとかそういう食品は、なかなか、みずから表示をするところへいくかどうかというところが心配でございます。というのは、私どもが一番情報が欲しいのは、むしろ企業が余り自慢したくないところの食品かもしれないわけで、そういうふうに考えてみますと今回の改正部分は、栄養の表示に向けて一つ大きな一歩を踏み出したという評価はできるし、大きな階段を一段ぐんと上ることになったという評価もできると思います。けれども、本当の私どもの望みとしては、米国方式というものを早く視野に入れていただきたいということで、私がきょうここで一番強調したいのは、米国方式へ向けて早く準備を進めていただきたいということでございます。  米国方式ということについては、もう御存じの方も多いと思いますけれども、加工食品原則としてすべて栄養成分を表示する、しかも、この一食分を食べるとあなたの一日分の必要な量の何%をとることになりますよというようなところまで非常に丁寧に表示をする仕組みがございます。これが去年の五月に実行に移されました。  けれども、私が早く準備をと申し上げる背景は、実は去年突然に可能になった改正ではないわけで、これは、大きくさかのぼりますと、一九七七年に米国政府が米国人の食事目標というものを立てて、余りにも偏った米国人の食事を栄養学的に正しい方向へ引っ張っていこうという目標を立てた、そのあたりに起源があるわけでございます。そうして、政府は、その目標に到達するためにどうしたらいいかという栄養教育というものを片や推し進めながら、一方で表示の問題を進めてきているわけですね。  つまり商品に表示が幾らあっても、その表示をちゃんと読み取れる力が消費者の食べる側になければならないという意味で、これは両輪、つまり表示へ向けての準備と、それから食べる側の表示を読み取る能力をつけていく、つまり栄養教育、もう少し大きく食事教育と申し上げたいのですけれども、その教育と両方の努力をしていかなければ全面的に食品成分、栄養成分の表示まではなかなか実現できないし、無理に片一方だけしても役には立たないということです。  それで、今回はその第一歩として非常に評価できますけれども、どうかアメリカ方式を射程に入れて、そこへ向けて早く準備に取りかかっていただきたいということを特に申し上げたいと思います。  先ほどから物と人と申し上げておりますが、食べ物ばかりの安全性ももちろん必要でございますけれども、同時に食べる側の食の教育、それは、食品の選び方、さらには食生活の楽しさ、あるいは安心感を持って楽しく食事ができるような環境づくり、そして、そのための一つの大きな柱の食事教育みたいなものは、これは厚生省の食品保健行政とともに、食品保健行政食品の方が中心かと思いますが、もう一方の人間の栄養だとか健康だとかを本気に考える健康栄養行政の部門も、余りお役所の縦割りではなくて、両方提携し合って、先ほどの両輪の輪のようにして食生活を本当に安心して楽しめる状況をつくっていただきたい、そこを一番強調したいと思います。  あと情報ということから考えますと、一番みんなが情報に不安を持っているのは、先ほどから随分お話も出ています情報公開というものを知ってくれると随分違うと思います。本当に情報が少ない、絶対量が少ないというのが問題かもしれませんけれども、もう一つは、少ないのではないか、つまり知らされていないのではないかという不安、これがまた非常に大きい不安だと思います。実際にはたっぷりあっても、これでは不十分じゃないか、あるいは隠されている部分があるのではないかというその不安感情報に対する不信感とでも申しますか、そこが実は非常に問題です。  不安というものがどうして起こるかというのは、情報が不足していることと、仮に情報がたっぷりあっても、情報源への信頼を欠いていること、つまり信用できないというふうな気持ちが強いときは、情報の量が幾ら多くてもやはり不安は解消いたしません。そういう意味で、情報論からいえば、情報公開が本当に実質的なものとして、情報源に、厚生省の情報国民がみんな信頼を置けるような方向公開のシステムもつくっていただきたいという情報の面も言い添えまして、私の担当を終わります。(拍手)
  8. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 ありがとうございました。  次に、日和佐参考人お願いいたします。
  9. 日和佐信子

    日和佐参考人 日本生活協同組合連合会の日和佐でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  お手元に冊子を配らせていただいておりますが、それは組合員の学習資料として作成したものでございますので、どうぞ参考にしていただければ大変幸いだというふうに思います。  私は、今回の食品衛生法改定については、基本的には賛成ではありますが、消費者団体の要望が全面的に反映しているというふうには評価できない部分が多々あります。それを基本的な立場として意見を述べたいと思います。  現在の食品衛生法は、一九四七年に、戦後の食糧不足の混乱時代、食中毒等の食物による衛生上の危害の発生を防止する目的でつくられました。ですから、行政が事業者を取り締まり、指導する法律であるわけです。ですから、その中には、直接食品を摂取する消費者が政策の決定に参加するというようなことは全く想定されておりませんでした。  ただ、現在の食品衛生法は、合成添加物の指定制度等、非常に画期的な法律ではあったのですが、現在、加工食品の多様化やその製造技術の高度化、それから食材料の輸入の増大など、食品の流通の変化も相まって、残留農薬食品添加物、動物用医薬品など、食品安全性確保するための法制度の不備が顕在化してきていると思います。  これまで日生協でも、消費者団体、学者、弁護士等と一緒になりまして、消費者立場に立った食品衛生法改正を求めてきたところでありました。法案公表に先立ちまして消費者意見を反映するようにと、全国消団連及び六団体による要望書を厚生省に提出しております。お手元にお配りしております資料、冊子の二十二ページにその内容がございますので、どうぞお読み取りいただければと思います。  先ほども申しましたように、今回の法改定については、基本的に賛成ですが、消費者団体の要望が全面的に反映しているというふうにはとても評価できないのでございまして、その改正法案の評価問題点の主なものについて具体的に申し上げたいと思います。  まず第一に、第一条に「目的」という条項があります。この「目的」という条項は、その法律のよって立つ基盤となるものでありまして、大変重要な条項だというふうに考えられるのですが、改定はされませんでした。飲食による衛生上の危害の発生の防止、公衆衛生の向上、増進というこの法律目的は従来どおりのままであるわけですね。そして、私たちが要望しておりました食生活の安全だとか国民の健康を守るものということにはならなかった。ですから、当然行政と事業者を対象とした法律の性格というのは改正されなかったということになります。  ここで食生活の直接の当事者というのは、やはり食物を食べている消費者自身でおるわけですが、その消費者がみずからの食生活の安全にかかわる政策に参画するということが法律権利として認められなかったという結果になっております。このことは大変基本的な問題として、非常に問題だというふうに考えておりまして、今後の運用のところで、実際的な面で少しでも消費者の参加が図られるように運用をしていっていただきたいと考えております。  全体的なところはそうなんですが、具体的に次に移っていきます。  最初は、食品添加物規制の見直しについてでず。  現行法では規制をしていない天然添加物について指定制の対象としました。食品添加物規制の範囲を拡大したということになりまして、大変大きな前進であるというふうに考えております。  現在、天然添加物は千五十一、これも単に表示用の名称としてリストアップされているわけですが、千五十一使用されております。それで、日本国民の天然志向というのは大変強いわけでして、その天然志向を反映して、非常にこの天然添加物の使用が多いというのが我が国日本の特徴ではないかと考えられます。  ですけれども、今まで千五十一という天然添加物がいわば野放し状態で使用されていた、そのことが改正されまして指定制の導入によって、合成添加物と同じような位置づけによって指定制になるということになったこと、そのこと自体は大変前進だというふうに思っているのですが、実際にそれではこれがどういう運用のされ方をするかということになりますと、大変大きな問題を含んでおります。  天然香料と、それから食物として使用されている物で添加物として使用されるもの、それは除くということになっているわけですね。ですから、この分野については、従来もそうですが、将来ともに非常に自由である、フリーハンドであるということになってくるわけです。香料については現在五百七十七種類ということになっておりまして、それに食物由来の添加物を加えますと約六百ということになります。  残るのが約四百なのですが、それではこの四百が指定制ということになるのかというとそうではなく、現在使用されているものはそのまま使用してもいい、使用禁止にはしないということになっております。ただ、安全性評価が必要だというふうに言われてはいるのですけれども、指定制とするための評価ではないわけです。  ですから、天然添加物の使用実態の現状というものは、今回衛生法が改正されてもほとんど余り現状と変わらないという状態になるわけですね。指定制にされるものはこれから新しく出てくる天然添加物ということになると考えられます。これは非常に制度としては前進なのですが、実態としては全く現状と変わらないということになるわけで問題だというふうに思っておりまして、従来使われてきたものも、そのまま使用できるということではなくて、一応暫定リストとして置いた上で、さらにその中から指定制にしていくということをぜひやっていただきたいと考えております。  それと同時に、安全性、規格だけではなく、使用実態もぜひ調査をしていただいて、使用頻度の少ないもの、不必要なものについては削除をしていくという作業もぜひ必要ではないかと考えております。  次に、残留農薬基準の設定についてです。現行法には残留農薬規制に触れた条文というのは全くないわけですね。農薬の字、農薬という言葉そのものも全く出てこないという現状でございましたけれども、「残留農薬基準の策定に関する事項」というのが設定されまして、農水大臣に農薬の成分にかかわる資料の提供その他必要な協力を求めるようにしたわけです。このことは非常に大変な前進だというふうに考えております。  現在国内で使用されている三百の農薬中八十六、国外で使用されているほぼ四百の農薬中十七、合わせて百三について残留農薬基準が設定されているだけなわけです。農薬安全性の分野については日本は非常におくれていると言うことができると思います。  それで、将来的には、許可されたものだけができるポジティブリスト、現在の合成添加物と同じような位置づけが必要だと考えておりまして、それへの道が開けたと評価をしております。ですから、積極的にこの条項を活用してポジティブリストに向けての作業を進めていっていただきたい。と同時に、それには予算措置が当然必要となってくるわけでして、このことを実現できる予算措置を要望したいと考えております。  少し時間が迫ってまいりましたので、食品の輸入検査体制については、現在検査率が一六%ということになっているのですが、これの具体的な検査体制、監視体制を量的、質的に強化するということの具体策が明確にされていないことが不十分なのではないかと考えております。  制度運用についてなのですが、動物用医薬品の規制にかかわって制度運用というのが問題になってくると考えております。それで、ぜひ、このような問題について審議する際には、消費者の要望を十分に把握して、食品衛生調査会の審議に並行して情報公開して、慎重に措置をお願いしたいと考えています。  最後に、これは今回の食品衛生法改正に直接かかわることではございませんが、ぜひ生活協同組合として意見を述べたいことがあります。それは、現在使用されている合成添加物の見直しです。  私たち生活協同組合では、発がん性の疑いのある合成添加物十七品目を、A(1)リストに対応してZリストというふうに言っておりますが、このZリスト十七品目の削減を今までも要求してまいりました。それと同時に、余り現在使用実態がないものあるいは必要性に乏しいというふうに考えるもの二十七品目の削減も求めてまいりました。  一たん指定されますとなかなかその見直しというものがされないのが現状ですが、常に見直し、洗い直しをして、一番新しい研究に基づく安全性の再評価が必要だと思いますし、例えば臭素酸カリウム等はA(1)リストからもう既に削除されているわけですが、その作業は日本ではおくれているという現実もございます。ぜひ、食品安全性全般を確保するために常に安全性にかかわっての見直しというものが必要で、積極的な評価も取り入れていっていただきたいと考えております。  ちょうど時間でございます。どうもありがとうございました。(拍手)
  10. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 ありがとうございました。  次に、石黒参考人お願いいたします。
  11. 石黒昌孝

    石黒参考人 石黒と申します。  私は、長い間税関で勤務しておりまして、輸入食品の検査あるいは分析、こういうような仕事を担当してまいりまして、また今、国民の食糧と安全を守る、こういう立場でいろいろかかわっておりますので、そういう角度からお話を申し上げたいと思います。  食品衛生法の今回の改正につきましては基本的には反対という立場から、御意見を申し上げたいと思います。  今回の食品衛生法改正のねらいと申しますのは、私が見たところ、WTOを具体的に実施するということと規制緩和をする、こういうことで貫かれているんではないかというふうに考えるわけです。結局、輸入を促進する、輸入食品をたくさん入れよう、それには障害となる規制を少なくしよう、こういうことから問題が提起されているように思うわけでございます。  本来の食品衛生法改正でありますれば、当然健康と安全を守る、こういうのをまず第一にしまして、さらに食品の中の例えば農薬残留は減らそうとか、あるいは添加物は減らそうとか、具体的に安全を高めるようなそういう内容であるべきではないかと私は考えるのですが、そういう点が見出せないのが大変残念でございます。  この内容を見てみますと、安全基準を悪くする、例えば添加物をふやそうとか、あるいは抗菌性物質のゼロ基準をやめようとか、そういうような内容が見られるわけでございまして、そういう点については、こういうことが進みますと国民の健康と安全というのが一層ひどくなるのではないか、そういう点を心配するものでございます。  安全基準の改悪というのは日本の民族にとりまして本当に大被害をもたらすような問題でございますので、絶対反対だということをまず申し上げたいと思うわけであります。  私たち日本国民にとっては、収穫後に農薬を振りかけたもの、こういう食品は要らないというのが国民の声だと思うのであります。日本では今使用基準もありまして、ポストハーベストされたものというのは一切販売されておりません。こういうことをやっていないわけですね。収穫後の農薬を今までは認めない、こういう態度でございました。例えばかんきつ類に対しまして、OPPですとかTBZとかイマザリル、こういうものを添加物として認めているわけですね。こうしたことというのは、これは、要するに収穫後の処理というのは添加物だ、こういう考え方だと思うのです。  ところが厚生省は、この間のいろいろなお話を伺っていますと、どうもポストハーベストをしても農薬基準値以下であれば認めよう、こういうふうに厚生省は考えを変えたのではないかと思うのですね。一体いつの間にこのようにポストハーベストを公認するようになっていったのか。外国でやっているから仕方がない、こういうことでは済まないと思うわけですね。私は、やはり日本がきちんとして、収穫後処理しないのですから収穫後処理したものは輸入しないということをこの際明確にしておくことが、今後の国民の健康と安全を守る上で重要ではないかというふうに考えるわけです。  あまつさえ農水省のある方は、国内でもポストハーベストされてもこれは仕方がないんだ、基準以下なら認めるというような発言もあったようでございますけれども、こういうようなことは、国民食生活を考えますと絶対に認めてはならないことではないかというふうに考えているわけです。  むしろ今私たちは、そういうことをできるだけ、使用基準を持って、農民はむしろ低農薬にして、本当に少ない農薬にしよう、こういうふうにしているわけですね。ですから、こういうことを今後とも推進する上でも、ポストハーベストをやられるということはやめたいというふうに思うわけであります。  それから、国際基準への統一という問題がございます。今まで百三農薬が決まっておりますが、さらに二百農薬今進めております。この基準の設定におきまして、どうしてもいわゆるコーデックスの国際基準に統一しよう、こういうような動きでありますが、コーデックスの基準というのは、一般的には輸出者に都合がいいように設定されておりますし、我々から見ますと非常に悪い基準で設定されている、こういうふうに考えるわけですね。  したがって、私どもとしては、こういうような基準への統一、何倍にもなってしまう、こういうようなことをなくしていく必要があるのじゃないかというふうに思うわけです。むしろ現在の百三の農薬につきましても、例えば発がん性のある農薬、こういうものについてはゼロ基準にするということが必要だと思いますし、また登録保留基準以下でなければいかぬというふうに、できるだけ農薬を制限する、こういうふうにしていくべきではないかというふうに思うわけでございます。  また、抗生物質やホルモンの残留の問題というのもございます。EC諸国は、ホルモンにつきましては、アメリカの牛肉について使用したものは輸入しない、こういう方針をとっています。やっぱりホルモンが有害であるからでございます。日本も、ホルモンは使ってはいかぬ、こういうことでやっておるわけでありますから、ホルモンの入った肉類あるいは魚類というようなことについては、こういうことはないようにしていくべきではないかというふうに考えるわけであります。  また、最近の規制緩和内容を見ますと、抗菌性物質を含有したもの、肉とか魚でございますが、これについて今まではゼロ基準であった、これを解除して一定の含有をしても認めよう、こういうような方針のようでございますが、これは大変国民の健康にとって重要な問題でございまして、絶対に動物医薬品の見直しというようなことで抗菌性物質などが入らないように、ゼロ基準を守っていただきたいというふうに思うわけでございます。  添加物の問題でございますが、確かに天然添加物、このものを安全基準をはっきりしないままに認める、これも問題であります。しかしまた、国際基準に合わせるということになりますと百二十一品目が予定される、こういうふうに聞いておりますが、このようにだんだんふやされる、外国のために、貿易を進めるためにわざわざ必要もないのに添加物がふやされる、あるいは基準が緩和される、こういうことは避けるべきではないかというふうに考えるわけであります。むしろ発がん性のあるもの、あるいはアレルギーの心配のある現在の添加物でも減らしていく、こういうような方針をとるべきではないかというふうに考えるわけであります。  そういう外国からの要求に対して、どうも政府が弱腰なのが私は気にかかるのでありまして、この際、自動車交渉ではありませんが、安全を守る立場から、これらの安全基準についても、もっと国民の安全を守る、こういう立場から厳しくしていくべきだろうというふうに考えるわけです。  検査体制の問題でございますが、厚生省の現在の行っています検査体制というのは非常に不十分であります。国が責任を持って輸入食品を全部本当はチェックするというのが、建前だけではなくてやらなければ国民の安全は守れないと思うわけであります。それで、国民はそれをやっているものとみんな思っているわけです。ところが実際、例えば非常に関心のあります残留農薬の検査にしましても、ほとんどやられていない、これが実態であります。  といいますのは、行政検査というのは五・二%やっておりますが、そのうちさらに化学分析に回される、こういうものはおよそ一万件程度でありまして、その一万件程度のうちからさらに高度の分析というのは神戸と横浜の検査センターでやるのでございますが、さらに減ってしまうわけですね。もう微々たる数しかやっていない、これが実態であります。  ほとんどのそういう残留農薬ですとか、あるいは抗菌性物質とか、こういう問題は、商社が金を払って指定検査機関に頼む、こういう指定検査機関というのである程度やられている、こういうことでありまして、ここに頼り過ぎる。こういうようなやり方では本来のチェックができないというのが実情ではないかというふうに思うわけであります。  商社が自分で金を払って全部やらなければいかぬという状態でありますと、これはどうしても、商社に都合のいいようなサンプルの問題ですとか、データの問題ですとか、いろいろな問題が起きてくるわけでありまして、そういう民間での検査結果につきましてもきちんと国がチェックする、こういうことがどうしても必要なんですね。税関でも、よく検査の分析なんかいろいろやりまして、会社で分析をやらせた結果については検査をする、こういうようなことをダブルチェックします。こういうことをしないと本当の結果がわからないわけでありまして、そういう点を私は強調しておきたいと思うわけであります。  また、必要と認めたときに命ずることができる、こういうふうに今度は書いてありますが、本来は全部検査すべきだというふうに思うわけです。  そして、今も包括輸入とか事前確認制というのがありまして、事前確認制というのは、まだ船の上に荷物があるうちにもう書類を出しまして許可をしてしまう、こういう考えですから確かに早いですね。早いのだけれども、品物の具体的なチェック、安全検査というのは、ただ出された書類だけで検査、チェックする、こういうことになってしまうわけでありまして、こういうやり方をどんどんやっていますと、非常に問題が起きてくるということが言えると思うのですね。  基本はやはり検査する食品衛生監視員の数が、ことし四月から四人ふえて二百九人だと思いますが、少ないのですよ、圧倒的に。これで八十五万件の処理をやるということでございますから、一人頭にしますと大体五千件ぐらいなんですね、検査センターに行っている人が四十人ぐらいおりますから。これでそれだけの書類を全部検査をやろうなんて、できっこないです。こういう体制でいるということ自体が、厚生省は本当に国民の安全と健康に責任を持って検査をする、こういう体制が乏しいというふうに私は考えているわけです。  電算化処理というのがあります。電算化して、インターフェースして書類が速く進むというのは、これはこれとしていいとは思いますが、こういうのには落とし穴というものがありますので、十分チェックをして現物を見る、こういうことをしていかないとまずいと思うわけですね。  この間も、横浜で大理石の粉というのがありまして、これはコンテナに入ってきたのですが、手前は確かに大理石の粉だったのですが、後ろ側は全部中国産のお米なんですよ、これは。これがコンテナでずっと入ってきた。これは電算処理して、検査しないでずっとやってきたのですね。そのために、密輸なんですけれども、どんどん通っていたわけですね。  だから、電算化して、もうこれは大丈夫だということで繰り返してちゃんとチェックしないとこういう落とし穴もありますので、やはり現物の検査をするような人間というか衛生監視員の数をふやして、あるいは検査センターももっとふやさないとなかなか分析できません。そういうふうにして確実にやっていくということが必要ではないかと思うわけです。検査を省略して早く港から引き取れるようにしなさい、こういうようなことは日米構造協議以来いろいろ言われておりますが、国民から見ますと、ただ早く通すということではなくて、やはり安全は全部きちんとチェックしていただきたい、これが国民の願いではないかと思うのです。  今、輸入食品が非常に増加しておりまして、農民は生産を制限したり、価格が非常に下がったり、大変です。一方消費者の方は、農薬が振りかかったものとか、添加物がふえたものとか、こういうものが入ってくるわけですね、外米ですとかあるいはたくさんの輸入食品をみんな食べなければいかぬ。こういうときだからこそ、もっと検査体制も強化しなければいかぬし、食糧の自給の問題についてももっと考えていかなければいけないのではないかというふうに私は考えるわけです。  いろいろなデータがありますが、二十一世紀には大変だ、食糧が不足するだろう、今現にもう八億人の人が飢餓で飢えている、こういうような状態でございますので、食糧を自給する、安全な食糧をできるだけ国内で自給するというような体制をつくるということもここで本当に真剣に考えないといけないのではないかというふうに思うわけです。  農水省のアンケート調査によりますと、九割以上の人が輸入食品について非常に不安だというふうに答えております。国民は、今本当にそういう不安を持っているわけですね。これに対してやはり政治が具体的に、政府がこたえていくということをぜひ皆さん方にもお願いして、これからも安全体制を確立するように厚生省にもぜひ努力されるよう希望して、私の意見を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。(拍手)
  12. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 ありがとうございました。  以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。     —————————————
  13. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木村義雄君。
  14. 木村義雄

    ○木村委員 参考人の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、万障繰り合わせていただきまして本委員会にお越しをいただきまして、ありがとうございました。  それぞれの皆さんから今大変すばらしいお話を承りました。もっともかな、そういう気持ちで承っておるわけでございますが、二、三、日ごろ私の考えていることもございまして、それぞれの方に御質問させていただきたいと思うわけでございます。  まず内山参考人でありますけれども、基本的に賛成であり評価するということでございますが、やはり気になってくるのは、最後の方の要望、研究人員確保とか、言ってみれば予算の獲得ですね。当然なのかなという気もしますけれども、非常にいろいろな制約があるわけでございます。コストパフォーマンスのところであるわけでございます。  そこで、どれほど深刻な状態があるのか。というのは、昔週刊誌等を見ていましたら、昭和四十年以降の若い人たちは、要するに添加物とか農薬とかそういうので相当汚染されている、だから、今人生八十年で、女性なんかもう八十五歳とかこういうあれだけれども、昭和四十年以降の人は早死になんじゃないか、六十、五十あるいは四十代で死んでしまう人がいるんじゃないかというような記事が出ていたのを私まだ覚えているのでございます。そういう深刻な問題まではらんでおるとしたら、これは相当な予算を突っ込んで、また人員を配置してやらなければいけないな、こう思うわけでございますが、その辺はどのようにお考えになっておるのでございましょうか。
  15. 内山充

    内山参考人 一言で申し上げますと、そういう問題は全くないと私は考えております。  よく言われます日本人の寿命のこと、寿命が世界一延びているというのは、いろいろな理由がございますでしょうけれども、私は、食品衛生行政というか、食品安全性というのがそれなりに確保されている、これも一つの理由ではないかと考えております。
  16. 木村義雄

    ○木村委員 時間の関係で大変簡潔に、しかもはっきりとお答えいただきまして、非常に安心をいたしました。ありがとうございました。  続きまして、伊藤参考人にお伺いをさせていただきたいのですが、先ほどのお話の中で、化学物質というのは体内に取り込みたくないんだ、こういうお話でございました。できればこれが望ましいと。そうなると、今はやりの自然食品ということに関してお聞かせをいただきたいわけでございますけれども、このごろ自然食品と銘打つと値段が非常に高くてもどんどん売れる。確かに私どもの地元でも、畑にこれは低農薬栽培だ、あるいは無農薬の栽培だとかいろいろな看板を立てまして、そういうのでつくって自然食品として売り込んでいるところ、これはもうたくさんあるわけでございます。  何か自然食品という言葉がつくと、あるいはすべてが免責されるような、この御紋章が目に見えないかというようなところがあるわけでございますが、果たして本当に、その自然食品の中で全部そういうので信じて、その言葉を信じていいのだろうか。自然食品に対しても、ある意味情報開示が本当に必要なんじゃないかな、こう思っているのですけれども、現状において何か先生の方で問題点としてお考えになっているようなことがあれば、お聞かせをいただきたいと思うわけであります。
  17. 伊藤康江

    伊藤参考人 大変難しい問題でございますけれども、もちろん私どもは、自然食品とかそういう言い方については交通整理が必要だと思っております。すべて自然食品がいいということではないということは十分承知しておりますけれども、今のところ、それが不当表示であるとか、正しい表示であるとかという検証をするという制度はできておりませんために、一応野放し的になっているというふうに考えております。  それからもう一つ、低農薬の話がございましたけれども、あれは、農水省で有機農産物ガイドラインというのをつくりまして、一応制度としては歩き出しておりますけれども、これも私たちは非常に問題だと思っています。有機農産物等というそのガイドラインの中に、低とか減が入っております。低とか減とかといって、これは非常にあいまいであり、今後農水省の見直しが始まりますので、さらなる主張をし、それらの表示がはんらんしないようにしていっていただきたいというふうに思っております。  以上です。
  18. 木村義雄

    ○木村委員 ありがとうございました。御説ごもっとものような気がいたしますので、ぜひ御活躍をお願いをしたいと思うわけでございます。  それから、引き続いて、村上参考人にお聞かせを願いたいのでございますけれども、要するに栄養教育の必要性、それともう一つに食事教育の必要性を唱えられまして、食品を提供する側だけではなくて受け取る側、家庭の主婦等にも非常にしっかり頑張ってほしい、こういうお話だったんですが、これは先生が女性の先生だからあえて言うわけじゃないんですけれども、私が大変不思議に思っているのは、このごろ、どこの学校に行っても、ほとんど小学校、中学校等、女の先生が学校の先生になっているんですね。そういう意味で、そういう母性の立場から、これからの時代を担う若い子たちにもっともっと、そういう今まさに先生がおっしゃったような食べる立場の教育というものを、日ごろのふだんの初等中等教育の中から入れられる余地が十分あるのではないか、こう私は思っているわけでございます。  ところが実態は、むしろ教師として男性がはんらんをしていた時代の方がはるかにそういう意味では進んでいたんではないか。もちろん、学校でそういう教育が行われたということではなくて、社会全体の雰囲気の中で申し上げるわけでございますけれども、例えば、今の若い子供の中に私が見てびっくりしたのは、まず、はしが持てない。はしが持てない最大の理由はというと、学校の女性の教師がはしが持てないものですから給食等で教えていないんですね。これは一体どういうことなんだろうかというと、まさにこれは一つの例として挙げたわけでございますけれども、食べる側の方の問題にもなるわけです。  例えば、そういう人たちは、学校で教えるのが忙しくて自分の家庭では料理をつくらない、もちろん、ましてお菓子等をつくらない。ところが私ども昔は、お菓子も買ってくるよりはむしろ家で何かつくって、ビスケットなんかを子供のときに一緒につくった思いもあるわけであります。それから変な話、例えばトマトでも、おやつでトマトが出てきたというのもよくありました。ところが、何かもうおやつというのは、どこかからお菓子を買ってきて与えることがおやつだというようなそういう社会の風潮をつくってきたのは一体どこなのかな。そういうときに、もっともっと女性の先生たちが女性の立場で頑張っていかなければいけないのではないか。  ところが現在の女性の方々は、自分がこのごろ男性と対等に忙しくなったから食事なんかに構ってはいられないんだ、それよりは文句を言って、これは成分が悪いとか、成分表示が悪いとか、出し手が悪いんだからと文句を言うのは非常に立派になられましたけれども、そういう肝心な、本当に母親としての、また人間としての一番大切なところの教育を受けてこなかったか、あるいはそれをしてこなかったかという面もあるのではないか。そういう点も、何となく私ども男性からすれば残念だな、こう思えてならないわけでございます。  食事教育にそういう面を入れるのであれば、ぜひその辺も加味をしていただければと思うのでございますが、ちょっと行き過ぎの点があったらお許しをいただきたいと思います。
  19. 村上紀子

    村上参考人 食事をするのは女性だけではございませんし、食事を管理するのももはや女性だけではございません。第一、皆様はお昼御飯を召し上がるのは大部分、外でございましょう、男の方もそれから子供たちも。夕食まで、塾の前後、子供は自分で食事を選ばなければならない時代でございます。ですから、今は、家庭で主婦が全責任を持って家族の栄養をすっかり三食管理するということは幻想でございます。不可能でございます。  そして男性たちも、単身赴任で行かねばならない、それから妻をお亡くしになる方もあるかもしれない。御高齢の方もあります、ひとりで暮らす高齢者もいっぱいいます。ですから、私が食事教育ということを申し上げる対象は女性だけではありません。男性も子供もすべて含めてそれぞれが、自分は何をどれだけ食べたらいいのかを知る、あるいは食事をきちんと選び取る力をつけなければならないという、そこに食事教育の目標がございます。  それで、学校の先生は女だからとおっしゃいますけれども、男性が先生であろうが女性の先生であろうが、例えば家庭科教育を教えようということになりまして、これから必要になりまして、今男性教師も一生懸命、食の勉強、衣食住の勉強を始めております。教える側の男女の差はなかろうかと思います。  それから、女性が手づくりをしなくなったということ、これは諸般、いろいろな事情がございます。そして、いきなり怠け出したというわけではございませんで、女性が急に謀反を起こして食事をつくらなくなったというわけではなく、むしろ逆です。食事にかかる、炊事にかかる手間暇が、科学技術の発達で非常に便利なものができるとか、いろいろな便利な店ができるとかで少しずつ負担が軽くなって、その結果としてようやく外へ出る余裕も出たという、順序がやや別だと申しましょうか、まあその後は卵と鶏の関係でございましょう。  けれども私は、その手づくりが、必ずしもいつも絶対にそこへ戻らなければならないかというよりは、手づくりもした方がいいし、つくれる人になってほしい、そういう教育もしたい。けれども、先ほどから申し上げているように、外で食べなければならない、できたものを買わなければならないという状況に置かれることも非常に多い。そういうときに、外で食べるものも安心して食べられる。つまり、つくりたいときはつくれるし、買いたいときは買うし、できたものをキープしておいてそれを簡単に加熱して食べることもできる、食の選択肢は広いほど幸せだろうと思います。  何を選んでも安心して食べることができるという状況の中で、あとはその人、人の行き方で、自分は外部にかなり依存する生活でも仕方がないと思い、ある人はすべて手づくりでいこうとも思い、それぞれの選択を自由にできる状況、そして何を選んでも安全な状況というものをつくってほしいという、そこが一つ食の環境への願望でありまして、そこにつながる教育というものも、女性から男性から、子供から年寄りまで、すべてに対象を平等、すべてを含んだ教育を私は主張しております。     〔委員長退席、鈴木(俊)委員長代理着席〕
  20. 木村義雄

    ○木村委員 御活躍をお祈りを申し上げておきます。  それと、時間の関係で、日和佐先生の方から、これはほかの先生からもあったのですけれども、調査会等への消費者の参加、これはできるだけ私どもも実現できるように努力をしていきたい、附帯決議等でもこの辺を書き込みたい、こう思っております。  それから石黒参考人の中で、問題点も、私もいろいろな意見はあるのですが、ただ一つ、やはり安全な食糧を自給していかなきゃいけない、これはまことにもっともな御意見なんで、ぜひこの点は、検査体制の強化とかというとまた先ほど言った予算とかなんかの絡みでもありますから、安全な食糧を自給していこうというそういう雰囲気はぜひ盛り上げるようにまた御尽力をいただければと思います。  ちょうど時間でございますので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  21. 鈴木俊一

    鈴木(俊)委員長代理 山本孝史君。
  22. 山本孝史

    山本(孝)委員 新進党の山本孝史でございます。  参考人の先生方には、きょう、お忙しい中をお越しいただきまして、本当にありがとうございました。  時間が限られておりますので、早速二、三御質問させていただきたいと思います。  まず、内山参考人に最初にお伺いをいたしたいと思います。  いただきましたレジュメで、「食品は、生産から消費までの長い過程のどこか一か所で一旦非衛生になると、決して修復できない」という文章をお書きになっておられまして、全くそうだなというふうに思っております。  今回の食品衛生法のこの審議をさせていただくのに、いろいろ考えさせていただいて、勉強させていただきまして、これはやはり一番基本問題は、日本の自給率の低さをどうするかという問題と、あわせて、厚生省だけではできない、農林省もあるいはその他関係の各省庁が協力し合わないとこれはできない食の安全の確保だなというふうに思っているのですね。  今先生おっしゃった、この点で、そうしますと、やはり生産段階農薬の使用をもっと低減化するとか、あるいは日本が禁止をしている農薬を外国の生産地で使わせないとか、いろいろこういったような指導が必要なのではないかなというふうに思うのですけれども、この衛生検査にかかわっておられるお立場から、その辺はどんなふうにお受けとめでいらっしゃいましょうか。
  23. 内山充

    内山参考人 そういう実際の何と申しましょうか、規制と申しましょうか、生産にかかわる作業の上での規制というのは、試験研究機関立場では何とも手の施しようがない問題でございます。  私はもともと、一番先に申し上げましたように、食品衛生は安全な食品を豊かに供給するということと考えておりますので、使用をする立場人たちも、これは最初から最後までと申しましたが、使用する立場人たちも安全な食品を豊かに供給するという原則を守ってほしいということを強調したいわけでございます。したがいまして、安全使用基準というような、農林省の方ではそういうようなものがあると聞いておりますので、安全使用基準というのは確実に守られるべきである。  先ほどのお話にもございましたけれども、我々の試験研究というのは、ほとんどすべてが、待ち、ウエーティングですね、待ちの研究でございます。何か問題が起こったときにはすぐに対処しなくてはならないという一面がございます。それから、何か隠されている問題を明らかにしなければならないというようなこともございます。  今先生御質問のような具体的なところには手の下しようがありませんけれども原則だけは両面を、要するに安全であるということと供給が豊かであるということと、両面をそれこそバランスをとって、そして最終的な尺度は人の健康維持というところに置いていくという表現方法ぐらいしかできないと思っておりますが……。
  24. 山本孝史

    山本(孝)委員 先生、重ねての意地悪な質問で恐縮でございますけれども安全性確保と供給量の確保——供給量の確保のために若干安全性確保が損なわれていないかなという心配をしながらこの審査をしているわけですけれども、検査体制をごらんになっておられて、その六分の一の検査という数量の問題もありますけれども、その辺はどんなふうにお考えでございますか、こちらの安全性確保のために、ちょっと損ねることはないのか、そういう危惧に対してのお答えでございますけれども
  25. 内山充

    内山参考人 私の経験の範囲内でだけお答えを申し上げますと、実は輸入食品に関しての具体的なデータを持ち合わせておりませんので残留農薬の検査のことだけになりますけれども、これは宣伝をする必要はないと思って余り大きくは申しませんが、規格基準という数値が現状の残留実態というものとかなりかけ離れているということは、かなりの方がおっしゃっていることではないかと思います。この事実だけは、私どもは数値としてはよくわかっているわけです。  したがって、先ほど申し上げました、生産を優先して安全を犠牲にしているというようなことは行われていないと私ども判断をしておりますのは、基準に届いているのはもとよりのことですが、現状は百分の一かそれぐらいしかないという事実を知っておりますので、今のところは、つくる人もそういう精神を理解してくれているのだろうというふうに考えております。
  26. 山本孝史

    山本(孝)委員 ありがとうございました。  続いて、伊藤参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。  食品衛生調査会の常任委員会のメンバーであられる、あるいはたしか今三つの部会に御参加をいただいているかと思いますけれども一つびっくりしましたのは、調査会の中においても結論だけが出てきて、過程のところの説明が余りないというふうな先ほどのお話でございましたけれども、この情報公開、調査会の外に情報公開をしてくれという話をしている中で、調査会の中でも余り情報公開されていないという御説明のようにお受けとめをしたのですが、その辺の状況はいかがなんでしょうか、もう少し御説明をいただけるとありがたいと思います。     〔鈴木(俊)委員長代理退席、委員長着席〕
  27. 伊藤康江

    伊藤参考人 それでは、先ほどちょっとお話を申し上げました何か具体的なものをもう少し詳しくしていきたいと思うのですけれども、例えば食品添加物だとか残留農薬基準基準値を決めますね。そうしますと、基準値目いっぱい食べて、一方にそれが含まれている食品があります。それを、日本人はこの食品をどのぐらい食べているというデータがありますね、栄養摂取調査なり食物摂取調査で。その状態でこれだけの基準値を決めた場合、食べ続けてもADI内であるということは、最終数字は出てくるわけです。  例えば、ADIが一〇とすると、その日本人の食生活の実態からすれば、たとえこの数字が残留しているとしても、食べ続けても八までしか到達しない、あと二残っている、まだ余裕があるという調査をするわけですね。そのときにどういう計算をしたのか。例えばこの野菜とこの野菜とこの野菜を食べたことにして、それを何グラム食べたことにしてこの数字が出たのか、そういうデータは出てこない、こういうことでございます。  それからもう一つ残留農薬基準とか食品添加物基準を決めるときには、部会のもう一つ段階に分科会というのがあります。そこは高度に専門的な先生方が参加されるわけですが、高度な専門委員の先生方が審議された議事録は、その部会の人たちは見ることはできない。結論が出てくるということです。例えば、どういうことが問題になったけれども、これを検討した結果こういうことであって、最終結論はこうなったということは、普通は審議過程というものがございますね。そういうものは、私ども最終の部会の委員には見ることはできない。  一例、いろいろありますけれども具体的にはそういうことで、一般への情報公開は、例えば毒性試験をして、いろいろやりますね、ネズミを使ったり何かして。それが、その使った資料は、数字が調査会で決定して後、一般へ公開される。その公開も、コピーとかそういうものはできませんで、そこへ参加して全部見てくる、こういうことになるわけです。  それがやはりすごい膨大な資料ですから、そこで全部自分が頭の中に入れてくるというのは無理なので、例えば貸し出しの制度とかコピーの制度とか、しかも私などは普通で考えれば、決まってから資料を見ても異議申し立てはできないわけですから、意見の反映はできないわけで、途中で資料の公開が必要ではないか、そういうふうに思っております。
  28. 山本孝史

    山本(孝)委員 資料の途中での公開とかという話は、この委員会の審議の中でも、大臣の方がそれはやりましょうと、情報公開できるだけしますという御答弁がありますので……。  ただ、調査会の運営の仕方というか内容について、もう少し調査会の皆さんの方でも、あるいは厚生省にももう少しそこは要望させていただきたいなというふうに先ほどのお話を聞いていて思いました。  表示部会というものも確かにいいアイデアだというふうに思いますので、この点もぜひ厚生省の側に検討していただく。消費者の代表の方を入れますという御答弁はあるのですけれども、では、お一人が二人になったら増員なのかという話は、大分違うかなというふうにも思いますので、この辺、またいろいろと教えていただきたいというふうに思います。  時間がありませんので、日和佐参考人にお伺いをしたいのです。  Zリストの十七品目あるいは使用実績のない食品添加物については削除リストに移すべきではないかという御主張をされているわけですけれども、例えば食品衛生調査会に参加されておられる専門家の先生方はその辺の点をどういうふうに受けとめておられるのか。皆さん方の御主張が今の調査会の中を通じて実現をするのはなかなか難しい状況なのか。その辺、全体の受けとめ方はどうなんでしょうか、お伺いをします。
  29. 日和佐信子

    日和佐参考人 要望として厚生省には要望書を提出してありますけれども、それが具体的にどういう取り扱いになって、なおかつ食品衛生調査会の方に諮問しようということになっているのかどうかなどということは一切わからないという状況です。恐らく審議しようということにはなっていないというのが現状でして、諮問はされていないというふうに思います。
  30. 山本孝史

    山本(孝)委員 それでは、最後の質問にさせていただきたいと思うのです。  栄養表示を米国方式にするべきだという御主張、先ほど村上先生もなさいました。恐らくほかの皆さん方も同じお考えかと思います。この話をしますと、業者の負担が大きいのでだめだというのが必ず返ってくる答えだと思うのですけれども、例えば日和佐先生のところは生協さんとしていろいろな業者さんから物を買っておられる、購入をしておられるわけですし、あるいは村上先生でも結構ですが、この辺の業界の抵抗というのはかなり厳しいものなんでしょうか。消費者にこの情報をきちんと提供して消費者に選択をさせるというのが今の時代の流れのようには思いますけれども、その辺いかがなんですか。もし御存じでしたら教えていただきたいと思います。
  31. 日和佐信子

    日和佐参考人 取り扱っている商品はさまざまあるのですけれども、私どもで取り扱っております、取り扱っておりますというよりも、私どもの規格でつくってもらっているプライベートブランドについては表示していくということになっております。ただ、そのほかのものについてはそれぞれということです。
  32. 山本孝史

    山本(孝)委員 ありがとうございました。  時間が参りますので、あと皆様方にもっとお伺いをしたい点はいっぱいありますけれども、最後に、逆にこちら側からのお願いということで。  今回、二十三年ぶりにこの食品衛生法が動きました。前回の附帯決議にもいろいろな項目が書かれている。食品添加物をもっと使わない方向にしようではないかということも附帯決議にありますし、食品行政の一元化、あるいは、統一的な食品法といいましょうか、そういったものもつくったらどうだというのも実は前回の附帯決議に載っているのですね。二十三年間、実は法律がずっと動きませんでした。その間に食品をめぐる環境が大きく変わってきているのは皆様方も御指摘のとおりなんです。したがって、今回この法律が動いたということで、これで最後にしないで、さらにいい法律に、あるいは国民全体の食の安全が確保できるように、あるいは食糧の自給率を高めるという方向も含めて考えていきたいと思っています。  新進党の側でも一生懸命その辺の取り組みをさせていただきたいと思いますけれども、きょう御出席の先生方には、ぜひいろいろな情報をまた御提供をいただいて、そしてお力添えをいただきたい、そのことを最後にお願いをさせていただいて、きょうの質問の終わりにさせていただきます。  きょうは、本当にありがとうございました。
  33. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 福島豊君。
  34. 福島豊

    ○福島委員 本日は、大変お忙しい中、参考人の皆様にはおいでいただきまして、種々お話を承ることができまして、大変感謝いたしております。ありがとうございます。  まず最初に、村上先生にお伺いをしたいのです。  先生は栄養大学の教授をしておられるということで、戦後五十年たちまして、日本食生活というのは大変豊かになった、飽食の時代である、またグルメの時代であるというようなことも言われるわけでございますが、先生の学問的なまなざしから見まして、この日本食生活、今の状態、いいのか悪いのか。我々の子供たちにとって今の食生活のままで本当にいいのだろうかと私は時々思いますが、御意見をお聞きしたいと思います。
  35. 村上紀子

    村上参考人 食生活というのは、ちょっと大げさに言いますと、その人その人の生き方にもなるくらいバラエティーがございまして、どういうものがいいとか悪いとか、非常に難しゅうございます。  ただ、今危惧している問題のお一つは、私が先ほど来ちょっと触れておりますが、外で料理をしたものを食べるウエートが非常にふえてきているということですね。そうしますと、やはりそこにいろいろ中身についての問題もあるし、それから選び方、組み合わせ方の問題もあるので、こういう環境になったらば一人一人が自分で選べる力がないといけないという、そのあたり、今までの、だれかに用意をしていてもらった時代とは大きく違うということを心配しております。  それから、大きく言えば、非常に大きく言えばリスク、つまり化学的に非常に怖いというものは一方でふえているようにも思いますけれども、一方で衛生的な面ではそんなにはむしろふえてないかもしれませんし、不安感もとになる部分の判定というものは決して易しくもない。リスクが仮に減っていても不安はさらに上回って、昔より大きくなっているかもしれません。  食生活問題点というのは簡単には申せませんけれども、やはり、それぞれが本当にバラエティーのある楽しい食事、そして安心な食事をとるというためには、今の環境はまだ決して、決して十分ではないと思っております。
  36. 福島豊

    ○福島委員 食品に対しての知識を我々消費者が非常に豊かにしていかなければいけないということではないかと思うのです。ただ、世間を見ますと、マスコミ等ではんらんしておりますのは、どこそこの料理はおいしいとかグルメの話ばかりあるのですけれども食品安全性、本当に一番大切な部分、そこのところの知識というのは意外に抜け落ちているのではないかなというふうに思うのです。  先ほども先生、栄養教育、食事教育ということをおっしゃられましたけれども、今後我々はどのように取り組むべきであるのかという点につきまして、御意見をお聞きしたいと思います。
  37. 村上紀子

    村上参考人 先ほど私が質問を受けました学校の教育、学校での教育ということを御質問いただきました。とても大事なことを御指摘になったと思います。先ほどのお答えのときにそれに触れませんで、残念でございました。時間を気にいたしました。  学校、特に小学校、中学校で学校給食というのがこれほどきちっとできている国も少ないと思います。そして、その学校給食こそが食の教育の場として最適だろうと思う。そこには、栄養士といって栄養の専門家もいます。けれども、その栄養士たちが積極的に教室で教える時間もないし、それから、そういう制度になっておりません。教師としての資格を持ってきちんと教える制度になっておりませんで、学校によっては、校長先生が非常に学校給食というものを大事に考えるところでは、割合に学校給食をベースにしながら食の教育もしております。それから、そうでなくても、栄養士が個人の努力で、一生懸命食べ物の知識や興味を持たせるという努力をしているところがございますけれども制度として積極的にその場を利用して食の教育をするような仕組みにもなっておりません。先生方は忙しがって、自分でそういうものを引き受ける方は少のうございます。  そこで、行政で手がつくところとしましては、これは文部省の絡みでもございましょうけれども、小学校、中学校の学校給食の場を食教育の場として十分に生かし切るような施策をしていっていただきたいと念願しております。
  38. 福島豊

    ○福島委員 続きまして、内山参考人にお聞きしたいのでございますが、安全性ということ。  参考人は検査ということにずっと携わってこられたわけでございますけれども、いただきましたペーパーには、「安全性は、現段階で学問的に最善で、かつ国際的にも認知された手法による予測により評価される」。この予測であり、また評価であるというところに非常に大きな意味があるんじゃないかと思うんです。  科学というのはすべてのことを語れるわけでは決してないと私思っておりまして、安全性についてもやはり限界というものをおのずと内包していることであろう。ですから、例えばアレルギー性疾患が非常にふえている。それに対して世上言われますことは、添加物であるとか農薬残留物であるとか、そういうことが関係するんだ。ただ、これはなかなか学問的に検証しにくい事柄なんですね、わからない。ないとも言えないけれども、あるとも言えないというそういう灰色の分野というのがあるんだろうというふうに思うんです。科学の限界ということにつきまして、検査に携わってこられた立場から御意見をお聞きしたいと思います。
  39. 内山充

    内山参考人 先生おっしゃいましたとおり、科学は一〇〇%ではございません。科学には限界がある。特に安全性というものは、先ほどもちょっと申しましたけれども、確認したとか証明したとかいう言葉は本来は使えないものでございます。まず動物実験から人間への影響を外挿している。それから動物実験も、非常に大量投与したときから我々の生活環境と同じような低い濃度における作用というものを外挿している。すべて予測評価の結果でございます。  ただ、それ以外に方法があるかと言われると、それ以外に方法がございませんので、現段階ではもう——毒性あるいは安全性に関する学問というのはそれほど古い学問ではありませんで、三、四十年の歴史だと思いますけれども、それまでは何というか、経験と勘だけで判断していたものを技術なり科学なりの知識を導入して判断するように乗せましたのは、やはり三、四十年だと思います。これは日本だけではなくて世界全体のあれから見ましても三、四十年の歴史ではありますが、現在のところほぼ確定した方式、これは試験のやり方ということですが、項目とそれから判定の基準、方法というのができ上がっております。それは学問のことですから日々新しく事実が出てくればもちろん変えていくというものであって、それはここにも書きましたが、国際的な場で今のところは主として議論されております。  ですから、限界があるという意味は、それを科学者がよく認識して、そして絶対だということは考えてはいけない。したがって、安全率といいましょうか領域といいましょうか、十分にそれらをとるということが一つ。それから、先ほど申しました感覚的な不安感というものを取り除く努力を怠ってはいけない、この二つだと思います。
  40. 福島豊

    ○福島委員 そういう意味では、ADIといいましても金科玉条のように大丈夫だということではなくて、つき合い方の距離感というのが非常に大切なんだろうなというふうに私は思っている次第でございます。  また、参考人研究のことについておっしゃられましたけれども予見性のある試験研究推進等々非常に大切である。私も、例えば食の安全性について掲げて研究している教室が日本にほとんどないというふうな話も伺いまして、そういう意味では、安全性というものをきちっと評価する学問というのがまだまだ日本は不足しているというか立ちおくれている現状なのかなとも思ったりもするんですが、世界の水準から見まして、研究の体制につきまして、どのようなレベルにあるのかということにつきましてお聞きしたいと思います。内山参考人、よろしくお願いします。
  41. 内山充

    内山参考人 安全性評価する学問といいましょうか研究と申しましょうか、その日本の水準は、基礎的な研究の水準は私は世界に伍して劣らない水準にあると思っております。  それから、それをもとにして必要な調査が詳しくやられているかといいますと、そこのところでやや諸外国、諸外国というよりむしろアメリカと比較することが多いのですけれども、米国と比較して、厳密な調査が十分に行われているかというと、そこのところはやや欠けるところがあるのではないかという気がいたします。  それで実績を申しますと、これもまたアメリカとの関係ではありますが、私が前におりました衛生試験所と申します国立試験研究機関と米国のNIEHSと申しまして環境衛生研究所ですが、それとの間では定期的な会合あるいはディスカッションの場を持ったりして、かなり実績は上げているというつもりではおります、安全性評価に関しましては。  真ん中で調査がやや立ちおくれているところがあると申しましたのは、これは実は評価というものに対する価値観がなかなか十分に認められない。これは新しい真理を探求して新しい知見を見つけ出すという研究と、新しい技術を開発して、特許というふうにいいましょうか、特許を取れるような新しい技術や物をつくり出すというこの二つの研究につきましてはかなり大きな価値観というのは与えられておりますが、物を比較し、判断し、評価をするというやり方を研究するといったようなところになかなか価値観を認めてもらえないのが日本の学界の現状でございます。  先生、今食品衛生を教えているところがないとおっしゃいましたが、大学の講座制というのは明治時代と大して変わってないわけです、今は。したがいまして、先ほど村上先生の言われた栄養にいたしましても衛生にいたしましても、独立の分野の学問としては日本はなかなか生まれてこない。したがいまして、いろいろな分野の人たちが別の機会をつくって、サークルをつくって研究しているというのが実情ではなかろうかというふうに思われます。
  42. 福島豊

    ○福島委員 ありがとうございます。  続きまして、伊藤参考人にお尋ねしたいと思います。  私余り買い物をしませんのでよくわからないのですが、消費者立場で実際に買い物に行く、いろいろお野菜を買ったり食べ物を買ったりする。その安全性ということにつきまして、今、実際食品を手にして、どういう情報が一番不足しているのか、何が本当に表示されるべきなのかという点につきましてお教えいただきたいと思います。
  43. 伊藤康江

    伊藤参考人 安全性に関するどういう情報消費者にとって不足しているか、そういうことでございますね。  加工食品と生鮮食品と大きく分かれるかというふうに思います。つけ加えれば、外食のものでございますね。先ほどちょっと村上さんの方からお話がありました、外食する機会も多いということで、三つに分けて考えれば、私は、加工食品の面についてはかなり、食品添加物全面表示ということにもなっておりますし、それから原材料表示もかなり充実しております。充実していないのが先ほどおっしゃった栄養表示だと思いますが、これはかなり充実しているというふうに私は考えております。  ただし、問題なのは生鮮食料品ではなかろうかというふうに思っております。これは今店頭表示を、ばら売りというのは条例でも法律でも義務づけているところはありません。特別に、例えばOPPなどレモンへの食品添加物を使った場合は書くようにというふうな東京都条例レベルのものはございます。あとジャガイモへの照射をした場合は表示しなさいという行政指導というのはありますけれども、そのレベルはありますけれども、全体的にばら売り生鮮野菜はまだだというふうに思っております。  それからもう一つ、野菜などに原産国表示というのがありません。これはやはり、差別するわけではありませんけれども安全性とやや異なる面で、どこでとれたものか知りたいという消費者にとってはまだ不十分だというふうに思っています。  それから外食なんですが、これはほとんど表示はされていないというふうに思っています。厚生省の食堂はカロリーの表示がございますけれども、それ以外ではまだまだ表示を見かけることがありませんので、一体何でできているのかな、輸入品を使っているのか、安いステーキが出てきたと思ったら輸入品だったというふうなことがあって、外食は不十分だというふうに思っています。  以上です。
  44. 福島豊

    ○福島委員 まだまだいろいろとお聞きしたいのですが、時間が参りましたので、これで質問を終わらせていただきます。  大変ありがとうございました。
  45. 岩垂寿喜男

  46. 網岡雄

    網岡委員 参考人の諸先生には、大変本日は御苦労さまでございます。十五分の持ち時間で御質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、日和佐参考人に御質問申し上げたいというふうに思います。  一つは、食品添加物規制の見直しの問題でございます。  これは本委員会におきましても各党からさまざまな角度から質問があったところでございますが、天然添加物について指定制の対象に加えて、食品添加物規制範囲を拡大した、こういう点については今度の法律一つの長所だというふうに思うわけでございます。しかし、天然添加物の中で、既存添加物名簿ということでほとんどの天然添加物が収載される、こういう形に実はなりました。指定添加物という部屋が一つあるわけでございますが、その部屋に、行政の対応としてはできるだけ早くそこへ持っていかなければならぬのでございますが、既存添加物名簿というところでこれを締めくくってしまいますと、いつまでも、何と申しましょうか、光の当たらない不透明なままに放置をされるという危険性があるような気がいたすわけでございます。  この点につきまして、日和佐参考人の御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  47. 日和佐信子

    日和佐参考人 先ほども申し上げましたが、天然添加物として、今千五十一というのが名称を表示するということでリストアップをされて、現実に千五十一使われているというふうに考えていいわけなのですが、その中で、一般に食品として飲食されている物で添加物として使われているもの、ややこしい。ごめんなさい、口が回らなくなってしまった。その分野、ですから例えば抹茶だとかでグリーンの色をつける、具体的に申し上げるとおわかりいただけるかと思いますが、それと天然香料の分野、バニラだとかその分野、これを合わせて約六百という形になりまして、今現在使われている千五十一の過半数以上になるわけなのですが、この六百の分野については一切自由に使ってよろしい、これからも全くフリーに使ってよろしいという、今までと全く同じ扱いになるわけです。  現在使われている千五十一の中の約四百が、今おっしゃった既存天然添加物としてあるわけですが、これの安全性については調査する必要、評価する必要があるというふうには厚生省は言っておりますけれども、それは指定添加物として調査するということではありませんで、一応の安全性の確認をするにとどめるというふうに私どもは受け取っております。  ですから、現在使われている千五十一のほとんどの天然添加物が従来と変わらない形で使用されていくということで、せっかく設けられた指定添加物という席にほとんど入らないということになるわけですね。ですから、現状と余り変わらないということに、言いかえればなります。  ですから、私どもは、この四百にかかわる既存天然添加物を、これはもう既存の天然添加物ですからというリストアップにしないで、これは暫定的なリストだというふうにしてほしい。それで、この暫定リストの中から漸次指定していく。せっかく設けられた席に座れるように、指定添加物をふやしていっていただきたいというふうに考えております。
  48. 網岡雄

    網岡委員 問題のあるところでございましょうが、時間の関係がございますから次に移りたいというふうに思います。  次は、輸入食品等の監視体制について、同じく日和佐参考人にお尋ねをしたいと思うのでございます。  法律改正については、これは一定の前進であるということではございますが、量的、質的に充実した具体策が必ずしも明確でないとの御意見をお持ちになっているようでございます。どのような対策がそれならば必要であるとお考えになっているのか、日和佐先生の御意見を聞かせていただきたいと思います。
  49. 日和佐信子

    日和佐参考人 現在も輸入食品の検査件数というのは一六%というふうに非常に少ない数値になっております。  それともう一つ問題としてありますのは、全輸入食品に対してどの輸入食品に対して検査をいたしましたかという、そのことのデータだけは公表されているのですが、どういう内容の検査をしたのか、そしてその検査結果がどうであったのかという情報公開は一切ありません。ですから、まずそういう仕組みをきちんとつくるということが必要だと思います。  それともう一つ、輸入の検査体制については拡充する、強化するということにはなっているのですが、それでは具体的にどういう検査機関、どういう仕組み、それからどういう人員体制でそれがなされていくのかということについては書かれていない、触れられていないわけですね。ですから、どういう仕組み、どういう人員体制、どういうシステムでやっていくのかという、これは具体的に定めて推進していっていただかないと、現実の問題としては進まないことなわけです。  それで、これは同時に予算措置も当然必要なことでありますし、その予算措置も含めて具体的にどうやっていくかということはこれからのようですから、消費者としても具体案が出る段階に対応して運動を広め、要求をきちんと出していきたいと考えています。
  50. 網岡雄

    網岡委員 もう一つ日和佐先生にお尋ねをしたいと思います。  今御指摘のありました情報公開の問題に関連してでございますが、今回の法案の作成過程でも十分努力をしたし、今後も重ねて努力していきたい、厚生省は委員会の審議に対してそのような答弁をなさっているわけでございます。  厚生省の法案作成に当たっての対応についての評価と、あわせて、日和佐先生の場合は消費者団体の運営をやられておみえになるわけでございますが、まさに国民生活に関する極めて重要な中枢部分の第一線でお仕事をなさっている方々でございますが、この点についての、今後国がどのような対応をしていかなければいかぬのか、情報公開について、先生の御意見がございましたらこの際お示しをいただきたい、こういうふうに思います。
  51. 日和佐信子

    日和佐参考人 情報公開は非常に多方面にわたってすべきだというふうに思っております。  ただ、具体的に、この食品安全政策ということでありましたならば、先ほどから出ておりますように、食品衛生調査会の審議過程が一切公表されない、また食品衛生調査会に出された資料の公表もされていないという現状でございます。ぜひ具体的にそのあたりを公表していただきたい、審議過程も公表していただきたいと思っております。  それから、全体的なところでは、さまざまな検査結果、調査結果、研究結果等のデータを知りたいと思ったときになかなか手に入りにくい、ほとんど手に入りにくい。特に、検査結果については手に入りにくい状況であります。ですから、そこもやはり公表をしていただきたい、情報公開をしていただきたい。まず情報公開をしていただくことでなければ参加のシステムということは図れないわけですから、まず情報公開、そこから参加のシステムということも成立していくと考えております。  それぞれの政策決定機関に消費者代表の参加ということも要求しておりまして、大事なことですが、もう一つ、積極的には国内コーデックス委員会の設置ですとか、不服申し立ての権利消費者にですとか、あるいはある一定の添加物に対して賛否両論ということになりました場合には、賛成の方、反対の方の学者のそれぞれの討論を公開してやっていただくというような、あらゆる面での公開の仕方というのはありまして、工夫の仕方はまだまだたくさんあると思いますので、ぜひ積極的な具体策をお願いしたいと思います。
  52. 網岡雄

    網岡委員 内山参考人にお尋ねをしたいと思っています。それは、WTO協定において各国の食品安全基準を国際基準に調和させることが原則とされておることが一つございます。  一方におきましては、科学的に正当な理由がある場合には国際基準よりもさらに厳しい措置をとることができるものとされております。食品衛生行政の基盤となるものとして、食品衛生に関する調査研究もとより重要であるわけでございますが、このWTO協定の締結により、この重要性はますます高くなっていると考えます。  我が国の食品衛生研究について、国際的な水準との比較における現状、そして今後の展望について先生の御見解というものをお伺いしたいのですが、簡潔にお答えをいただきたいと思います。よろしくどうぞ。
  53. 内山充

    内山参考人 先ほど申し上げました中にも一部入っておりますが、研究の水準というのは、これは当然負けないだけの中身を持っております。それからWTOの基準に判定基準をそろえるというような感じのことがよく言われておりますが、WTOの中でも、やはり農薬なり添加物なりの許容基準であるとかいうものを実験データに基づいてADIを換算しながら決めていくという作業は、これは専門家の集まりであるそれぞれ独立の委員会でやられているのだというふうに私は理解しております。  そういう委員会には、日本からもちろん参加しておりますし、私の前におりました研究所からも参加しております。ただし、その参加する資格は個人の専門家としての資格でございます。ですから、国を代表してという意味ではありませんけれども、個人の資格としては参加しております。  日本の主張をする場合に、これは相手にわからせなければなかなか主張が通りませんので、わかる言葉で言わなければならぬ。これは英語でという意味ではなくて、やはりきちっとした、向こうが納得する根拠を持っていって説明をしなければならないということで、先生おっしゃいましたように、これからの試験研究目的が新しいものを発見するという意味プラス外国人を納得させるという意味でのデータづくりが非常に大事ではないかというふうに考えております。  人数もそれほど十分ではございませんで、それだけ余計と言っては失礼ですけれども、今まで全くなかった作業が入ってまいりますので、そこをやりくりしてそれに対応していくことが必要であるということで苦慮しているところではございます。  以上です。
  54. 網岡雄

    網岡委員 どうもありがとうございました。  伊藤先生それから村上先生、石黒先生、三名の方々に実は御質問するように用意をしておったのですが、時間が参りましたので、申しわけございませんが、これで終了させていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  55. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 岩佐恵美君。
  56. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 本日は、参考人の皆様にはお忙しい中、御出席をいただきましてありがとうございました。  まず、この改正に直接かかわることではないのですが、厚生省がこれからやろうとしているそういう基本姿勢にかかわることなのですけれども、今国民の間には食の安全に対する不安が大変強まっている、これはもう先ほどからも各参考人の皆さんからお述べをいただいたところですし、私たちもそう思っています。  この間も申し上げたのですが、厚生省の調査でも、皮膚、呼吸器、目鼻のアレルギー症状のいずれかがあった方は全体の三四・九%に及んでいる。アレルギー疾患の既往症がある三歳児未満の子供が三八・九%、うちアトピー性皮膚炎が三一・二%、多くの子供たちが病んでいるという実態が明らかにされているわけです。ADI論争というのがよくありますが、ADIをクリアしたから大丈夫なんだとよく言われるけれども、実際、アトピーの子供を抱えている家族の人が、例えば農薬を使っていない野菜を料理したらアトピーが軽くなったとか、あるいは添加物が一切入っていない食べ物に切りかえたら症状がよくなったとか、そういうことがいろいろ言われているわけです。  今まで、食品添加物の指定拡大のときに、特に外国から要求があって十数品目一挙に拡大したときがありましたけれども、そのときに食品添加物について全面表示ということが一方でなされたわけです。つまり、消費者にとって添加物の使用拡大は好ましくはない。だけれども、それなら、表示をするということであれば、不十分であっても、全体、義務化されても八割ちょっとですから十分であるとは思いません。しかし、いずれにしても、選択の自由がそこである一定、保障されるということになったわけですけれども、今回、私が非常に心配しているのは、例えば先ほど石黒参考人からお話があった百三農薬のうち、ポストハーベスト使用と言われるのが十九あるわけですね。これから全体、二百まで認めていくということですけれども、恐らくそういう中でポストが広がっていく可能性があるだろうと思います。  それから、動物用医薬品についても、例えば今日本では使用していないホルモン剤ですね、これを使用する。ホルモン剤は一体何のために使用するのか。抗生物質だとかというのだったら、まだ動物が病気になったから治療で使うのだというのがよくわかるのですけれども、ホルモンというのはどうも何かよくわからないものですね。そういうものが使用されたものが市場に出回ってくる。  この間、農水省に聞いたら、そういう残留基準ができれば、それに合わせて、使用基準の要望が生産者からあればそれは認めていくことになるというような回答が当委員会での質疑の中であったわけです。そうなると、外国のものはもちろんのこと、国内に出回っているものについてもこれからそういう可能性が出てくるのじゃないだろうかということで、そうすると、消費者はどういうふうに対応していったらいいのだろうかという心配が出てくるわけです。私は、だからこそポストなんて認めなければよかったし、認めるべきじゃない、あるいは今までOPP、TBZみたいにそういう扱いをすればよかったのにと思うわけです。  いずれにしても、この問題について各参考人の皆さんのお考えを伺えれば幸いだというふうに思っております。伊藤参考人村上参考人日和佐参考人石黒参考人から、この点についてお考えを伺いたいと思います。
  57. 伊藤康江

    伊藤参考人 まず、ポストハーベストの件ですけれども日本では、これまで一部の防虫、臭素などを除いては禁止されているわけですね。私は、ポストハーベストとそれから生育中に使用される農薬では、生育中に使用されるものであれば成長までに消滅するということも考えられるわけですけれども、ポストハーベストで使用するということは残留していなければ効果がないわけですね。したがって、残留量が多いというふうに思っています。やはりそういうことで見れば、ポストハーベストは日本では認めるべきではないんではないかというふうに思っております。これまで日本では必要なかったわけです。ただ、輸入品がふえたためにこういう状態になったというふうに考えております。  それから、質問に的確かどうかはわかりませんが、私が先ほど食品衛生法目的のところで少し述べましたけれども、要するに、危害を防止するとか取り締まりという法律であっては困るんだというふうなことを申し上げたのは、やはり必要性だとか有用性というところまで論議しなければ、私たちができるだけ食品添加物は少なくしたい、残留農薬はない方がいいという思想が入らないんではないかと思います。  今、食品衛生調査会で言っております必要性、有用性という文言はございますけれども、有用性とは何かというと、赤くきれいに染まるとか、こういうことなんですね。国民食生活にとって必要なのか有用なのかということではございません。ですから、例えば食品添加物でいえば、今、日本に、数は別にこだわっていないんですが、五つの赤く染める添加物が、色素があるとしますと、新たにアメリカからこれも許可してほしいと言われたときに、私たちからすればできるだけ少なくしたいというふうに思っているけれども、やはり科学的に証明されればそれは日本許可しなければならないわけですね。ですから、そういった面で本当に食生活に必要なのか、有用なのか、そういう論議も必要ではないかと思います。ですから、ポストハーベストなどは必要ではないという考えのもとに禁止していただきたいというふうに思っています。
  58. 村上紀子

    村上参考人 かなり詳しくお話がございましたので、私は少し簡単といいますか、一つだけ申し上げさしていただきます。  今回になぜこの改正を行うかというときに、これは外国とのハーモナイゼーションの必要に迫られているんではないかという疑念を私も持ってはおりますが、しかし、実際に法律的なことを一つずつ詰めていくと、何もかも外国と同じように、すべての基準値なり規制なりをそっくりそのまましなければならないということでもなさそうでございます。それを、ハーモナイゼーションではないかというところに余り力点を置かずに、むしろできる限り日本基準を大事にしながら、できる限り日本人にとっての安全性というものをベースにしながら、法律的な技術的なところでも最後まで戦っていただきたい、そんなふうに考えております。
  59. 日和佐信子

    日和佐参考人 全体としての考え方なんですが、農産物にしても加工食品にしても、添加物ないし農薬を使わないで生産する、なるべく使わないで生産する、そのことが大前提だというふうに考えております。  それに当たってさらに、ただそう言っているだけではだめなわけですから、新しい農業生産技術の導入、農薬を使わなくても強い品種の開発だとかそういう部分に力を入れてほしいし、加工食品に関しても、加工食品製造技術というのはかなり今レベルアップしてきておりまして、例えば保存料を使わなくても長期保存できる冷凍技術だとかレトルトの技術等、それが開発されています。今後もそういう加工食品製造技術添加物を使わなくてもつくれる技術開発というものが前提として必要で、むしろそちらの方向に全体としては向くべきではないか。どんどん添加物ないし農薬規制をつくって、それを規制、一基準値以内で使うという範囲ではなくて、考え方は転換していかなければいけない、環境問題にかかわってもそういうことが言えると思います。  それから、動物用医薬品のことなんですが、これは非常に難しい問題でして、現在諮問されております抗生物質等については、現状は残留しないということになっているんですが、それを数値を決めて基準化しようということで審議中ですけれども、この問題は、現在の検査レベル技術がどうなのかということとかかわってきておりまして、現在の検査のノウハウでは抗生物質、合成抗菌剤等は検出できない、しないわけですね。ですけれども、検出の技術レベルをアップした場合にはかなりの数値で検出されているという具体的な例もあります。  ですから、これは科学的にきちんと照査した上で決めていくべきだというふうに思いますが、現状なぜこれが問題になって反対だ、後退だというふうに言われているかといいますと、こういうことを理由にして基準を甘くしていくのではないかというふうに消費者国民は思っているわけですね。なぜそういうふうに思っているかというこのことをぜひ検証していただきたい。  それは情報の提供が今まで十分じゃない、そして何となくあいまいにうやむやにすべてが決められてきた、消費者が反対と言っても、それに対してちゃんとした対応がされないまま物事がこれまで決められてきた、そういうことの結果なんですね。ですから、そういうことではない、お互いに科学的なきちんとした冷静なデータの上に立って物事を決めていくという信頼関係というものが、しかられそうな部分があるかもしれませんが、むしろこれからはそういう形に立った政策の決定というのが必要で、ですから、先ほども申し上げましたように、きちんとした情報の提供、それと、決められていく上での過程の情報の提供、それに対する消費者の参加というものをきちんと図っていかないと、物事は変にゆがんだまま理解されたまま進んでいく可能性があると思います。
  60. 石黒昌孝

    石黒参考人 先ほども申し上げましたように、ポストハーベストの入ったものというのは、国民は必要としていない。別にポストハーベストをしなくても持ってこようと思えば持ってこられるわけでありまして、それをやればいいわけでありまして、国は断固としてポストハーベストをするな、もしどうしてもポストハーベストしたものを入れるんであれば、ポストハーベストしましたと、この食品表示すべきじゃないか、そういうふうに思うわけですね。  それから、抗生物質、ホルモンの問題でも同じことでありまして、科学技術が発達してそういうことがよくわかるようになったんであれば、より検出の度合いが高まるわけですから、危険がないようにそういうものは禁止していくということが国民生活にとっても重要ではないかと思うのです。  今いろいろなところでお話を伺いますけれども、確かにアレルギーもふえておりますし、それからがんもふえているし、安全に対してはみんな真剣に考えているのですよ。どうしても残留農薬が必要でないようにしてもらいたい、それから、そういう抗生物質の入っているものは御免だ、また添加物は、この前の決議にもありますけれども、ぜひ減らしてもらいたい、こういうような気持ちはみんな持っていると思うのですね。そういう角度からひとつ考えていただきたいと思うわけです。  それで、後になってから子供たちに、あのとき何でそういうことについてきちっとした基準なり禁止措置なりをして私たちの健康と安全を守ってくれなかったかというようなことを言われないように、私たちはここで本当に真剣に安全の問題、もう真剣に厳しくやっていく必要があるのではないか、そういうふうに私は考えます。
  61. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 内山参考人にちょっと科学の現場のことを伺おうと思ったのですけれども、時間が来てしまいましたので、これで終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  62. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  午後五時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十一分休憩      ————◇—————     午後五時開議
  63. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。熊代昭彦君。
  64. 熊代昭彦

    熊代委員 それでは、引き続き食品衛生法及び栄養改善法の一部を改正する法律案につきまして質問をさせていただきます。  食品衛生法、今回の法改正は、四十七年から二十三年ぶりということでございますが、実は、私はこの四十九年には食品衛生法を所管していたこともあるのでございます。そういう意味で大変に懐かしいという思いとともに、思い切った改正をしていただいたということと両様の思いがありまして、この辺かなという気もいたすのではございますが、しかし、議論というものは、問題点を浮き彫りにするということとともに、前向きのいいところを、積極的な面を明らかにするということも国民の皆様方に大変必要だろうと思いますので、そういう観点からぜひやらせていただきたいと思います。  具体的な中身に移る前に、ほんのしばらくでございますが、今回の法改正の背景につきまして少しだけお伺いいたしたいと思いますが、現在我々日本人の食生活がどれだけ海外からの輸入品に依存しているのか、そういうことでございますね。四十九年にも物すごい議論がされましたが、さらに今進んでいると思いますので、年間の食品の輸入件数はどのくらいであるか、お答え願いたいと思います。
  65. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 我が国の食生活の輸入品への依存度についてでございますが、農林水産省の平成五年度の食料需給表によりますと、供給熱量自給率、いわゆるカロリーベースでの食糧自給率でありますが、十年前の昭和六十年度においては五二%、五年前の平成二年においては四七%であり、その後平成四年度には四六%になっております。直近の平成五年度につきましては、御存じのように、冷夏、長雨といった記録的な異常気象の中で、特に米の国内生産量の大幅な落ち込みによりこれまでにない低い水準となったとされ、三七%という数字になっております。  これに対しまして、食品の輸入届け出件数につきましては、十年前の昭和六十年におきましては三十八万件、五年前の平成二年には六十七万件、平成五年については八十五万件、平成六年度については、速報値でありますが九十六万件となっており、この十年間で件数は二・五倍に増加をいたしておるところであります。
  66. 熊代昭彦

    熊代委員 カロリーベースで三七%が国内で、残りの六三%は輸入であるということでございますね。それから、八十万件をはるかに超えて九十五、六万件になってきたというようなことでございますので、当時からも想像できないほどに国際化が進んでいると思いますが、このような急増を受けまして、非常にいいことであるという反面、国民の皆さんの間では若干の不安もある、衛生規制の違い等から。そういうことでございます。  安全性について漠たる不安があるというふうに伺っておりますが、輸入品の安全性確保して国民の皆様の不安を解消するというためには、水際の作戦が大切である。検疫所でございますけれども、検疫所の輸入食品検査を行う人員とか予算の体制、当時は随分少なかったわけですが、今もって少ないんじゃないかというふうに思いますけれども、実際に監視業務や検査を行う食品衛生監視員の人員はここ五年間でどのように推移しているか、お答え願いたいと思います。
  67. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 輸入食品安全性確保するためには、検疫所の検査体制の整備を図ることが大変重要だと思っております。検疫所の検査の実施体制の整備につきましては、従来より横浜及び神戸に輸入食品・検疫検査センターを設置をいたしまして、残留農薬、抗菌性物質などの高度な検査の実施体制の整備を図るとともに、食品衛生監視員を過去五年間で倍増するなど、検査体制の充実を図ってきたところであります。  過去五年間の増員の内訳といたしましては、平成三年度には四十四人の増員、平成四年度には二十二人の増員、平成五年度には三十人の増員、平成六年度には十人、平成七年度には四人の増員の措置をしたところでございます。  予算につきましても、平成七年度に、モニタリング検査等行政検査の充実を図るために、検疫所の輸入食品の検査実施経費といたしまして二億七千万余、対前年度比六五・七%増が措置されたところでございます。
  68. 熊代昭彦

    熊代委員 確かに過去五カ年で倍増しているという、ふえている率は多いようでございますが、今御説明を聞くと、だんだん逓減しているということですね。七年度は四人の増員にとどまっているということでございますが、輸入食品の絶対量は、先ほど御説明ありましたように著しくふえているということですから、数人の増員ではなくて、これはもっと大幅な増員をしていただかなければ、国民食品の安全は図れないというふうに思いますけれども、そのあたりについての大臣の御決意をお聞かせ願いたいと思います。
  69. 井出正一

    ○井出国務大臣 御指摘のように、輸入食品は、量もかなりふえてまいりましたが、何といっても件数が大変な数になってまいりました。そういった輸入食品の安全を確保する上で、食品衛生監視員の果たすべき役割は大変大きいと考えております。  また、近年の検査技術の高度化とか、あるいは食品の加工技術の高度化あるいは多様化に対応するために、技術研修を実施する等、その資質の向上にも努めていかなければならぬと思いますが、五年間で倍増したとはいえ、決して十分とは思っておりません。したがいまして、今後とも、食品衛生監視員につきましては、審査事務の電算化による合理化を進めつつ、食品の輸入増加あるいはモニタリング検査の強化等に対応可能な人員の確保を図るよう最大限の努力をしていかなければならぬし、また、してまいりたいと考えておりますが、またその節にはお力添えもよろしくお願いをする次第であります。
  70. 熊代昭彦

    熊代委員 逆に陳情をいただきましたけれども、積極的にやってくださるそうでございます。  これはお答えは要りませんけれども、定員にも予算にも要求基準がついていまして、物すごく必要なところにも、前年プラスアルファ幾らしかということになっておりますので、これはやはり、これほど戦後五十年たちますと、予算、定員の要求基準をやめるというようなことで、思い切った、変革の時代に対応できるようなシステムを整えなければいけない、これは我々政治家に対する自己反省の件でございますが、そういうことも含めまして、ぜひ今後頑張っていただきたいと思います。  次に、指定検査機関の制度についてお伺いしますが、昭和四十七年の改正の際に指定検査機関制度を設けたということでございますけれども、近年の輸入食品の増加、輸入業者の自己責任の重要性ということが言われております。大変重要になってきたと思いますが、今後、指定検査機関の果たす役割はますます重要だと思いますけれども、今回の改正で、この指定検査機関制度はどのように変わって、どのように強化されるのか、お伺いしたいと思います。
  71. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 御指摘の指定検査機関制度につきましては、先生が今お触れになられましたように、昭和四十七年の改正時に、食品衛生検査の体制整備の一環として、公益法人であります試験検査機関を活用するために設けられた制度でございます。  今回の改正につきましては、一つに、残留農薬などの食品検査技術の高度化の必要性が出てまいったこと、二つ目に、食品検査の管理に関するコーデックス等国際機関からの要請というものがありまして、これを受けて、検査機関において検査精度の管理を十分に行うことが重要になってきていることを踏まえまして、指定検査機関の指定基準として、「製品検査の業務の管理に関する事項」、いわゆるGLPと申しますが、この事項を新たに追加することとしたものであります。  本改正によりまして、検査の実施における従来の機械器具のハード面の基準に加えまして、検査手順の標準化、検査記録等の書類の保管、検査員の熟練度の向上などのソフト面の基準を整備して、指定検査機関の検査精度の管理が徹底されることとなりまして、今後のさらなる検査技術の高度化、輸入食品などの検査ニーズの増加に対し必要な検査精度の確保を図ることが可能になるもの、このように考えております。
  72. 熊代昭彦

    熊代委員 輸入者の自己責任の重要性という点から、指定検査機関制度を大いに活用していただきたいと思います。  次に参りますが、輸入食品の監視体制を、今御説明ありましたような限られた人数で行う、効率的に行うためには電算化や情報化が重要であるというふうに思います。今回の法改正でもそれについて工夫がされていると思いますが、その電算化の内容について簡潔に御説明願いたいと思います。
  73. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 先ほども御答弁させていただきましたが、食品の輸入件数は、平成六年度で約九十六万件と、この十年で二・五倍増と急増しておるわけでございます。この輸入食品安全確保のための監視を適切に行うためには、必要人員の確保を図るとともに業務の効率化を図ることが急務である、このように思っております。  また、輸入手続の迅速化については、貨物の到着前から届け出を受け付ける事前届け出制度など、従来から種々の措置をとってきたところでありますが、さらなる効率化、迅速化措置として、まず、今回輸入手続を電算化して、食品の輸入届け出を書面によらずにコンピューター端末により行うことを可能とし、さらに、検疫所システムを税関の通関情報処理システム、通常NACCSと申しておりますが、これと回線で接続することにより、一層の輸入監視の効率化及び手続の迅速化を図ることといたしております。  また、都道府県などの食品の検査結果等の情報データベース化いたしまして、厚生省及び他の都道府県で利用することを目的とした厚生省の食品保健総合情報処理システムと検疫所システムを接続することにより、検疫所と都道府県などとの情報交換機能を強化することを検討いたしておるところでございます。
  74. 熊代昭彦

    熊代委員 そうしますと、この電算システムで違反情報などを検索するのが非常に容易になるわけですね。それでは、大いにその面を進めていただきたいと思います。  次に、電算化について、輸入肉の衛生証明書の電算化も行うようですけれども、これはどういう内容か、それからまた先進諸国でどういうふうにやっているのか、その辺を御説明願いたいと思います。
  75. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 お答えいたします。  現在、食肉の輸入に際しましては、輸出国政府機関が発行する疾病に罹患していないなどの衛生証明書の添付が義務づけられておりますが、現在、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなどの主要輸出国におきましては、これを書類でなく電子通信による方法も導入がされているところであります。  厚生省におきましては、これまで電子通信による衛生証明書を受け入れる制度がありませんでしたが、今回法律改正し、これを受け入れることとし、厚生省令で定める国から輸入する畜産物について、衛生証明書に記載すべき事項が当該国の政府機関から電気通信回線を通じて直接厚生省の電子情報処理組織のファイルに記録されたものにつきましては、これを衛生証明書にかえることができるとしたものでございます。これにより、輸入者が厚生大臣に対して行う食品などの輸入届け出の手続の迅速化、輸入食品の監視業務の効率化、輸出国側の事務負担などの軽減が図られるものと思います。
  76. 熊代昭彦

    熊代委員 かなり進んでくるようでございますが、局長の部下の食品保健課長はパソコン通信の大家であるというふうにうわさを聞いておりますので、その辺でこういう話になったのかなという気もいたしますが、国際化の流れにおくれないように、ぜひこれをやっていただかなければいけないと思います。船が港に入る前にパソコン通信でデータが入っているとか、外国からやってくるとか、現代にふさわしいものになるのではないかというふうに思います。  次に、食品衛生水準向上のための国際協力についてお伺いしたいのですけれども、これだけ国際間で食品が流通してまいりますと、輸入時の水際作戦だけではなくて、二国間あるいは多国間、マルチでお互いの衛生規制内容を周知させる、そういうことが必要ですね。それから、開発途上国から輸入する場合には、その食品検査能力を大いに向上させていただくということが必要でありまして、これは国際協力になると思いますが、食品衛生の分野における国際協力推進していかなければいけないと思いますね。このような国際協力について、厚生省は比較的おくれているのではないかという気もいたしますが、どのように取り組んでおられるのか、お聞きしたいと思います。
  77. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 二国間、多国間の相互の衛生規制内容の周知に関しましては、従来より、まず二国間につきましては、欧米、アジアなどの主要輸出国政府との協議を行うほか、多国間につきましては、規格基準等の改正時に厚生省におきまして、在京大使館担当者に対する説明会の実施や、WTO協定に基づく加盟国に対する通報などを行ってきたところでございます。  また、開発途上国に対します技術協力につきましては、国際協力事業団を通じたタイにおけるプロジェクト方式による技術協力や個別専門家派遣などを積極的に行ってきたところでありますし、また、社団法人国際厚生事業団などの実施する開発途上国からの研修生の受け入れにつきましては、過去七回、十六カ国九十二名の研修を実施いたしたところでございます。  今後とも、我が国の規制内容を外国語に翻訳して提供するなどの諸外国への情報提供、開発途上国に対する技術協力などを実施して、国際的な食品衛生水準の向上に積極的に貢献することとしております。
  78. 熊代昭彦

    熊代委員 日本制度を世界に知ってもらう、いろいろな努力を通じて国際協力をやっていただきたいと思います。  次に、ハサップの件が盛り込まれておりますけれども、欧米では食肉製品や水産品等にハサップという新しい衛生管理の方法が導入されている。日本でも今回の法改正一つの目玉として、総合衛生管理製造過程ですか、ちょっと舌をかみそうでありますが、その承認制度という形で導入されております。このハサップという制度はどのような内容でありまして、今までの食品衛生法による規制とどこが違うのか、簡潔に御説明をお願いしたいと思います。
  79. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 今回の法改正で導入をいたしますハサップ、英語で言いますとハザード・アナリシス・アンド・クリティカル・コントロール・ポイントと申しておりますが、この衛生管理の手法は、アメリカのアポロ計画で宇宙食の高度の安全性を保証するシステムとして開発されたものでございまして、近年欧米諸国において衛生規制として取り入れられつつあり、またWHOやコーデックス委員会でもその推進を図っているものでございまして、まず一つに、食品製造過程で生じる衛生上の危害を事業者みずからが調査、分析し、その次に、その分析に応じてポイントとなる製造過程に重点的に安全対策を講ずるものでございます。  従来の規制との違いにつきましては、従来の食品衛生法規制食品ごとに一律の製造基準を適用するのに対しまして、総合衛生管理製造過程、ハサップの承認制度では、企業からの申請に基づきまして、食品製造過程においてハサップの手法により、より安全対策が総合的に講ぜられていることを厚生大臣が確認した場合は、従来の一律の製造基準の適用を除外し、食品衛生水準を維持しつつ、事業者ごとの多様な方法による製造、加工が可能となるものであります。  これによりまして、企業みずからが、従来の一律の製造基準かまたはハサップによる衛生管理手法のいずれかを選択することができることとなるものであります。
  80. 熊代昭彦

    熊代委員 政省令で規制をつけますと非常にかたいものになりがちである。ところがこれは、企業の創意工夫をしっかり生かして全体として承認していこうということで、非常に前向きな制度であると思います。これをぜひ活用してもらいたいと思います。  次に、規制緩和規制の強化、両面あると思います。緩和すればいいというものでもないでしょうし、緩和できるものはどんどん緩和する、強化しなければならないのは安全問題だと思いますけれども、今回の法改正規制強化と規制緩和をどのように行ったのか、これにどう含まれているのか、具体的に説明していただきたいと思います。
  81. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 食品衛生規制は、国民の生命の安全や健康の保持の観点から行っているいわゆる社会的規制であることから、食品の安全を確保し、国民の健康を守るために必要な規制を行うとともに、社会経済の状況の変化に対応して、可能なものについては緩和をしていくことが適当である、このように考えております。  今回の食品衛生法及び栄養改善法改正もこのような考え方に立って規制の見直しを行ったものであり、規制の国際的整合性や行政事務の効率化といった点にも十分配慮しながら、食品の安全を確保し、国民の健康を守るために必要な規制を行うための法整備を行うこととしております。  具体的な改正事項でございますが、まず規制緩和といたしましては、一つ目に、食品輸入届け出のコンピューター化により輸入手続の迅速化を図ること、二つ目に、営業許可について最低有効期間を現行の二年から四年に延長するとともに、相続、合併等の承継規定を設けること、三つ目に、総合衛生管理製造過程、ハサップでございますが、これにかかわる承認制度の導入により食品製造規制の弾力化を図ること、四番目に、栄養強化食品表示許可制度を廃止することなどを盛り込んでおるところであります。  また規制の強化といたしましては、一つ目に、天然添加物についての指定制度の導入、二番目に、指定検査機関における検査の管理運営基準、いわゆるGLPの導入、三つ目に、栄養成分等の表示基準制度の導入などを盛り込んでおるところでございます。
  82. 熊代昭彦

    熊代委員 ありがとうございました。  次に、PL法との関係でございますが、昨年いわゆるPL法が成立した。これからは営業者自身の自主的な管理責任の重要性、それから消費者に対する情報提供や苦情相談の重要性が増すと思うわけでございますけれども、この製造物責任法、いわゆるPL法の施行に対しまして、食品衛生行政はどのように対応するお考えでございますか。
  83. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 厚生省は、食品衛生法に基づき食品規格基準の策定を行い、食品衛生上の必要な取り締まりを行う立場にあります。一方、製造物責任法は、製造者と被害者との間の民事上の損害賠償について規定するものであります。したがいまして、基本的な食品保健行政のあり方に直接影響を与えるものではございませんが、厚生省としましては、今後とも食品衛生法に基づき適切な対応を行ってまいりたいと考えております。  しかしながら、製造物責任法の制定に伴い、御指摘のように食品製造業者などにおいて自主的衛生管理が重要であるという認識がさらに進むものと考えられ、このような状況に積極的に対応していかなければならないと考えております。  このため、今回の食品衛生法改正においては、ハサップによる自主的衛生管理を行う製造者については、これを食品衛生規制の上でも適切に評価し、製造基準の弾力化を図るとともに、食品衛生推進制度の創設により営業者の自主的な衛生管理などの活用を推進していくことといたしております。また、食品安全性に関する国民の疑問や不安にこたえられるよう、消費者製造者に対して関連する情報提供を行うとともに、相談事業も積極的に行ってまいりたいと思っております。
  84. 熊代昭彦

    熊代委員 大体わかりました。  時間がございませんので先を急ぎますが、食品衛生推進員についてでございます。  食品関係業者の自主的な衛生管理活動の強化策として食品衛生推進員の制度を創設されたようでございますけれども、これは、これまでの食品衛生協会の指導員活動を評価しまして、その上に立つものであると思います。確かに、食中毒や食品関係の事故というのは、設備がよければいいというものでもないわけですね。ハードな部分の不備ではなくて、営業者やその従業員の思わぬミスから生じるということが非常に多いようでございますので、その意味からも自主的な衛生管理の向上は極めて重要であると思います。  ところで、この食品衛生推進員の職務の重要性は疑いのないところでございますけれども、その重要性にかんがみ、食品関係者などの中からできるだけ広い範囲で適当な人を委嘱する、そういうことが必要であると思うのですね。そこで、食品衛生推進員をどのような範囲から委嘱して、またその業務は具体的にどのようなものになるのか、その点について正確にお答えをお願いしたいと思います。
  85. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 お答えをいたします。  食品衛生推進員は、食品衛生法改正法案第二十八条の二におきまして「社会的信望があり、かつ、食品衛生の向上に熱意と識見を有する者」とされております。委嘱の具体的要件は都道府県等が定めることになりますが、当然、飲食店営業者に限らず、幅広い食品関係者を委嘱の対象とすべきものであると考えております。  また、食品衛生推進員の業務でございますが、食品衛生に関する意識啓発活動、巡回相談、助言活動などについて、飲食店営業のみならず、他の食品関係営業者をも含め幅広く対象として、地域における食品衛生の向上のための活動を広く行っていただきたいと考えております。  なお、食品衛生推進員に関する改正法案において飲食店営業が規定されているのは、現行の法第二十条の規定と同様、飲食店営業が食品衛生に与える影響が大きいことからこれを例示したものであって、食品衛生推進員の委嘱や活動の範囲を飲食店営業に限定する趣旨ではございません。
  86. 熊代昭彦

    熊代委員 ありがとうございます。  先を急ぎますが、栄養改善法について一つだけお伺いしたいのです。  国民のほとんどが成人病で人生の終えんを迎える、こういう時代になりましたね。ですから、栄養指導等、食を通じての健康づくりというのは大変重要になると思います。  欧米も同じような事情だと思いますけれども、栄養表示に関して欧米はどのように取り組んでおるのか。そしてまた、今回の栄養改善法改正で、具体的にどのような栄養表示行政を進める考えであるか、簡潔に御答弁をお願いします。
  87. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 欧米における栄養表示に関する取り組みにつきましては、アメリカにおきましては一九九〇年に栄養表示・教育法が可決され、一九九四年五月から、原則として、包装された食品すべてにつきまして栄養成分表示が義務づけられております。また、栄養強調表示についても、一定の基準に適合している食品にのみ表示することが可能となっており、例えばコレステロールフリー、いわゆるコレステロールが含まれていないという意味ですが、コレステロールフリー、あるいはローファット、低脂肪という意味ですが、ローファットなどの表示とされております。  一方、EUにおきましては、栄養に関する何らかの表示をする場合、主要栄養成分について標準的な表示を義務づけるとともに、一定の基準に適合するものに栄養強調表示を認めるという内容のEEC欧州理事会指令が一九九〇年に出されております。  このように、欧米におきましては既に栄養成分表示制度が導入され、消費者に対する栄養情報の適切化が図られていると承知をいたしております。  今後の具体的な進め方についてでございますが、今回の栄養改善法改正におきましては、EUの制度参考といたしまして、まずカルシウム入りやビタミンC含有など、栄養成分などについて何らかの表示をしようとする場合には、その栄養成分だけでなく、たんぱく質、脂肪、塩分など、国民栄養上重要な栄養成分及びカロリーについても表示することを義務づけること、二つ目に、ビタミンA強化あるいは低脂肪、低カロリーなど、国民栄養上重要な栄養成分などに関する強調表示を行おうとする場合には、厚生省の定めた基準に合致している場合のみ表示することができることとすることを考えており、厚生省といたしましては、法成立後、順次必要な基準を策定することといたしております。
  88. 熊代昭彦

    熊代委員 なかなか意欲的な改正であるというふうに評価いたします。  最後に、大臣、この改正を踏まえまして、今後の食品保健行政をいかに推進していかれるか、一言だけお考えをお伺いしたいと思います。
  89. 井出正一

    ○井出国務大臣 国民が生涯を通じて安心し、活力を持って暮らすことができる社会をつくっていく上で、食品の安全を確保することは大変重要であると考えます。  今回の食品衛生法及び栄養改善法改正案は、輸入食品の増大や、食品安全性の問題の複雑化、多様化、国際化といった諸状況の変化に対応して、食品保健行政を二十一世紀に向けて展開する基盤を整備するものであると考えております。  これを実効あるものとするために、厚生省といたしましては、この法改正を踏まえ、引き続き、残留農薬基準などの食品規格基準の整備とか、あるいは輸入食品等の監視体制の充実とか、さらに食品安全性に関する調査研究推進など、国民の健康の確保を第一に考える見地から、総合的な食品保健対策に取り組んでいきたいと考えております。これらの点を含めて、食品安全確保に対する国民のさまざまな期待にこたえられますよう、今後とも最大限の努力を傾けていくつもりであります。
  90. 熊代昭彦

    熊代委員 ありがとうございました。終わります。
  91. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 青山二三君。
  92. 青山二三

    ○青山(二)委員 新進党の青山二三でございます。  今回の法案の内容に入ります前に、阪神大震災での厚生省の精力的な働き、大変お疲れさまでございます。庶民の味方として、生活に密着したところの厚生省の御活躍に頭の下がる思いでございます。いまだ生活にお困りの約三万六千人もの避難所生活を余儀なくされている方、また多くの被災者の皆様の御要望にこたえていただくよう、今後ともどうかよろしくお願いいたします。  それでは、食品衛生法に入らせていただきます。私は、去る九日本会議で、本法案に関しまして、国民の健康を守る立場で代表質問をさせていただきました。総理並びに厚生大臣より大変前向きな御答弁もいただきましたが、幾つか気になる点もございますので、さらに質問をさせていただきます。  まず、基準未設定の農薬残留する食品についてポジティブリスト方式に変更すべきとの私の主張に対し、大臣は、国際的にも完全なポジティブリスト制を採用しているのは主要国ではアメリカのみであるということを一つの理由といたしまして、変更は困難である、こういう御答弁をされておりました。私としては、現在アメリカに次ぐGNP世界第二位の我が国日本であればこそ、食品安全性確保のために世界に向けての指導力を発揮すべきであり、現時点では困難であり、将来判断するという悠長なことを言わずに、早急にポジティブリスト方式への移行についての具体的目標を定め、取り組んでいくべきであると考えております。  大臣、いかがでしょうか。ぜひ大臣の意欲をお示しいただきたいと思います。
  93. 井出正一

    ○井出国務大臣 御答弁申し上げる前に、今回の阪神・淡路大震災に対する厚生省の取り組みにつきまして御評価をいただきまして、ありがとうございます。  実は、思いがけなかった大被害でございますし、今から考えれば反省する点も多々ございます。そして、まだ決して問題が解決し終わったわけじゃございません。現に三万数千人の皆さんが依然不自由な避難所生活をされていらっしゃいますし、これから仮設住宅に一日も早く移っていただくこととか、あるいは大変な膨大な量の瓦れきの始末等、これから残された問題についても一生懸命取り組んでまいるつもりでございます。  さて、残留農薬基準未設定の農薬残留する食品安全性確保するためにポジティブリスト方式へ移るべきだという御意見、この間の本会議でも御指摘をいただきましたし、きょう私は衆議院の予算委員会の集中審議があったものですから、午前中の参考人の皆さんの御意見を直接お聞きすることはできませんでしたが、何人かの参考人からやはりそんな点も指摘されておるというメモだけは拝見をしたところであります。  ただ、この間の本会議のときにも御答弁申し上げましたように、国際的にも完全なポジティブリスト制を採用しているのは食糧自給国でもあるアメリカだけだということも確かに申し上げましたが、それだけでしないというわけじゃございませんでして、カロリーベースで六三%という食品を海外に依存しておる我が国でございます。世界で農産物に使用が認められている農薬は約七百と言われておりますが、現在食品衛生法上の残留農薬基準は、まだ百三農薬についてしか設定されておりません。したがいまして、基準が未設定だからという農薬の場合、残留する食品の流通を一律に禁止してしまうと、やはり国民の皆さんへの食糧の供給が極めて困難になるという事情もあるわけでございます。  厚生省といたしましては、今世紀のうちに少なくとも二百程度の農薬について基準を策定することを当面の目標としておりますが、その後も引き続き基準を策定してまいる所存ではございます。  したがいまして、ポジティブリスト方式の導入につきましては、国内外で使用される農薬の動向とか、あるいは国際的な規制方式の動向、さらには食糧供給への影響、そしてまた、基準策定の進み方等がそろった段階といいましょうか、そういう段階で、今申し上げました幾つかの点について検討する必要があると思います。  したがいまして、今後、今申し上げましたような点につきましても情報収集に努めてまいる所存でございますが、ここで直ちにポジティブリスト方式へ移行せよというのにはちょっと困難があると言わざるを得ないと申し上げます。
  94. 青山二三

    ○青山(二)委員 本日の参考人の方が、国民への食糧の供給が困難になるということは、裏返して言えば百三以外のものが入っているということになる、このようにおっしゃっておりました。相手国にこの百三以外のものは使わないように、そんな指導もしてほしい、このようなお話もございましたので、大臣にお聞きをいただきたいわけでございます。  我が国は、世界最大の輸入国であり、外国からの輸入品が増加の一途をたどっております。消費者が最も関心が高く、不安を抱いているのがポストハーベストの問題でございます。国内で使用したことのないような農薬や使用した農薬が不明なものが数多くありまして、残留農薬基準未設定の農薬はまさに野放し状態にあるわけです。ですから、一日も早く未設定の残留農薬について基準を設定してほしいと思うわけでございます。  ただいまの御答弁で、大臣のお考えはわかりましたが、この残留農薬設定の手続には六カ月から一年もかかると言われております。どのような農薬が使われたか不明な農薬が増加し、しかも現在世界じゅうに七百種類もの農薬があるわけですから、これらの農薬が使用された輸入産物の中に残留する可能性のある多くの農薬を、それぞれ分析法に従って一つ一つ検査していたのでは、時間、費用、労働力がかかり過ぎます。そこで、農作物の中に残留する可能性のある種々の農薬を化学構造をもとに、まとめて一気に検査する方法が開発されつつあるということでございますので、こういう方法も大いに活用して早急に基準の設定を進めていただきたいと強く要望をしておきます。  そこで、この残留農薬基準を超える食品が発見された場合、食品として禁止するだけでなく、農水省とも連携をとって再発を防止するための指導を必ず行うべきであると考えます。また、輸入食品の場合も同様にしていくべきと考えますが、厚生省の対応をお伺いいたします。
  95. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 国産の農産物につきましては、都道府県等の検査により食品衛生法に違反するものが発見された場合、まず当該食品の回収等の措置をとること、二つ目に、必要に応じて厚生省及びその農産物が流通する他の都道府県へ連絡して、検査、回収などを行うこと、三つ目に、再発防止のために、当該食品生産された都道府県などの生産担当部局を通じて、生産者に対し適切な農薬の使用を行うように指導することなどの措置を講じたところでございます。  また、今回の法改正を契機といたしまして、従来は、先ほど申し上げましたように都道府県を通じて農政担当部局、それから農家の方に御連絡をしていたのですが、今後は農水省に対しても情報提供をしてまいりたい、このように考えております。  一方、輸入農産物についてでございますが、検疫所や都道府県などの検査により、食品衛生法に違反するものが発見された場合には、まず当該食品について積み戻しだとか廃棄等の適切な措置を講ずること、それから二番目に、必要に応じて、厚生省及びその農産物が流通する他の都道府県に連絡して、検査、回収などを行うこと、それから三番目に、検疫所に指示を行い、その後輸入される同種の食品に関して検査を強化すること、四番目に、再発防止のため、輸出国政府に対して、農薬の使用、輸出時の検査等の改善を要請することなどの措置を講じているところでございます。  いずれにいたしましても、食品衛生法違反の食品を発見した場合には、当該食品に対する措置と再発防止対策について、今後とも適切に対処してまいることといたしております。
  96. 青山二三

    ○青山(二)委員 過日、輸入食品を監視するための横浜の検疫センターを視察させていただきました。精巧な機械も整備されており、増大する輸入食品を調査するわけでありますが、先ほども質問にございましたが、それにしても全国で三十カ所の検疫所の監視員が現在二百九名、これでも倍増したという御答弁でございましたけれども農薬の検査機関は現在六カ所しかないと聞いております。年間九十六万件もの食品が輸入されていることを考えますと、余りにもこの監視員が少ないと思うわけでございます。  先ほど大臣も御決意をお述べになっておられましたけれども国民の生命、健康を守るためには、監視員の増員、そして検査機器の整備拡充がぜひとも必要であると思います。厚生省として、今後の具体的な取り組みをお伺いいたしたいと思います。
  97. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 まず、横浜の輸入食品・検疫検査センターを御見学いただきまして、ありがとうございました。この輸入食品の安全を確保するため、検疫所の検査体制の整備を図ることが極めて重要であるということを私どもよく認識をいたしております。  今、先生の御質問の中にもございましたように、食品衛生監視員の確保、これについても平成二年から七年にかけて倍増する職員の増を図ってきたところでございますし、予算につきましても、平成七年度予算では二億円余の、対前年度比六五・七%増という予算措置を行ったところでございます。  今後とも、増大する輸入食品に対応し、国民の健康を確保するため、先ほど大臣が申し上げましたように、食品衛生監視員の確保、それから輸入食品・検疫検査センターの検査機能の向上などによりまして、輸入食品の検査の実施体制の整備に万全を期してまいりたいと思います。
  98. 青山二三

    ○青山(二)委員 それでは次に、開発途上国に対する食品検査体制の整備の協力については、各国からの要望を考慮し、主として国際協力事業団を通じて実施しているということでございます。国際的な食品衛生水準の向上に積極的に貢献するためには、もとより内政干渉ではないことをはっきりさせておくのは当然ですが、相手国の要望を待つのではなくて、進んで協力体制のあることを進言するぐらいのことをすべきであると思いますけれども、外務省としての取り組みをお伺いいたします。
  99. 中村滋

    中村説明員 食品衛生の管理、確保につきましては、途上国におきましては自国民の保健、健康の問題、また食料品を輸入する我が国にとっても重大な関心事項でございます。このため、御指摘のように、途上国におきます食品衛生上の問題については、協議等におきまして常々議論をされてきております。このため、途上国におきます食品検査体制の整備につきましては、各国の実情を十分考慮し、その要望を勘案して、これまでも実施に努めてきているところでございます。  一例を申し上げますと、昨年度につきましては、無償資金協力におきまして、中国の輸出入食品検査センター、インドネシアの食品・薬品地方検査所、あるいはシリアの食品検査所といった案件につきまして、その機材を供与して、これら途上国におきます食品管理の向上に努めてきております。  また、技術協力につきましては、タイの保健省に対する食品衛生強化プロジェクト、あるいは中国などにおきます個別専門家への派遣、あるいは研修生を我が国に招くといったことを通じまして、昨年の実施を行ってきております。  今後とも、御指摘のとおり、国際協力事業団あるいは厚生省、農水省を初めとしまして、関係各省の協力を得まして、これら事業の推進を図ることによりまして国際的な食品衛生水準の向上に積極的に貢献してまいりたいと考えております。
  100. 青山二三

    ○青山(二)委員 それでは、次に移らせていただきます。  近年、ライフスタイルの変化に伴いまして食生活が多様化してまいりました。特に加工食品生産量は、一九七〇年に六万四千トンであったものが一九九〇年には七十八万九千トンと、約十二・三倍になっております。スーパーマーケット等では多種多様な加工食品が出回っております。それらの加工食品は大工場で大量生産され、すべてに合成化学物質が大量に投入されているのであります。食品の腐敗を防ぐ合成保存料、美しく見せるための合成着色料、味をよくするための化学調味料、そのほか合成殺菌料、酸化防止剤、漂白剤、発色剤などの合成添加物が投入されております。  例えば市販のハンバーグ一つを例にとりましても、JAS規格で許可されている添加物は、化学調味料、乳化安定剤、抗酸化剤、合成保存料、結着補強剤、pH調整剤、合成着色料。また、朝食のトーストを例にとりましても、この中にも小麦粉改良剤、乳化剤、品質改良剤、酸化防止剤、保存料、漂白剤、膨張剤等が入っております。マーガリンにはといいますと、乳化剤、酸化防止剤、着色料、着香料が使われています。ジュースにもハムにもマヨネーズにも添加物は多量に使われているのであります。こうした合成化学物質の着色料とか保存料というだけではどんなものか実感できないのでありますけれども、甘味料一つを例に挙げますと、サッカリンナトリウム、グリチル酸ナトリウムが使われ、これは発がん性物質であると言われております。  そこで、サッカリンナトリウムあるいは臭素酸カリウムなど十七品目について、発がん性などの疑いがあるということで消費団体などが指定の削除を要求しておりますが、厚生省としては十分に発がん性などの安全性を確認しておられますでしょうか。また、国民の健康に問題はないのでしょうか。また、使用実績がなく、必要性が乏しい食品添加物などは指定削除すべきと思いますが、この点について対応をお伺いしたいと思います。
  101. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 まず食品添加物の指定に当たりましては、安全性資料などに基づき、食品衛生調査会で個別に評価が行われておりまして、安全性が確認されているものであって、また食品の腐敗を防止するなど、消費者に何らかの意味の利点があるものに限り、その指定を行っているところであります。また、一度指定されたものであっても、昭和三十九年度より、順次、慢性毒性試験や催奇形性試験の実施など、安全性の見直しを行ってきたところであります。  御指摘の十七品目のうち、国際機関において安全性に問題がないと評価されている十品目については、国立衛生試験所などの専門家に文献等を確認していただくとともに、それ以外の品目についても、国立衛生試験所などにおいて慢性毒性試験等の毒性試験を実施するなど、安全性の見直しを行った結果から、これらの添加物安全性に問題があるとは考えておりません。  また、食生活の変化等によって使用実態のなくなった添加物については、その指定を取り消すことといたしておりまして、本年四月にも、ミカン等に利用いたしています被膜剤でありますオキシエチレン高級脂肪族アルコールの指定を取り消したところでございます。  厚生省といたしましては、今後とも、添加物安全性に関する情報収集、必要な毒性試験の実施などを行い、国民の健康確保を第一に、必要な措置を迅速に講じていく所存でございます。
  102. 青山二三

    ○青山(二)委員 それでは、本法案につきましてはこれぐらいにいたしまして、食品安全性全般の問題について順次お伺いをいたします。  私たちは、ごく普通の生活で、量にして一日十グラム、また種類にして一日六十ないし七十種類の添加物を摂取していると言われております。総量として一年間に一人四キログラム、このように大量の添加物が毎日私たちの体の中に入っているわけであります。  こうした化学物質が私たちの体内に入ってどのような作用をするかといいますと、単に腹痛を起こすとか、また頭痛を起こすというようなものではなく、数年あるいは十年、二十年という長い歳月にわたって蓄積された添加物は、たとえ一日に摂取する量が非常に微量であっても、長い間継続的にとり続けておりますと徐々に体内に悪い影響を与えていくと言われております。最近、がんが多発いたしております。脳梗塞あるいは心臓障害というような血管障害などはこうした添加物との因果関係があるということを、多くの学者が指摘をしているところでございます。  そこで、特に問題にしなければならないのは、食品添加物について何の知識も経験も持たない子供たち食生活、特に学校給食についてでございます。本日は文部省においでいただいておりますので、学校給食について何点か質問をさせていただきます。  昭和二十九年に制定された学校給食法に基づき、文部省が学校給食を実施しております。昭和三十六年から盛んに学校給食センターが進められてきました。高度成長期に発展した食料産業が、食品添加物を高度に利用して食料の大量生産を行ってきましたが、学校給食会がそれらの消費先の一つになっておりました。  そこで、お伺いしたいのは学校給食会についてでございます。学校給食会のトップは文部大臣が任命するということでございまして、文部省や厚生省の役人の格好の天下り先となっているということをよく耳にいたします。  学校給食会は、大量に同じ食品を購入し、なおかつ保存がきくということで大手メーカーの製品に偏重し、地元の中小食品メーカーのものは良心的なものでも締め出されており、栄養士などの現場の声の一切届かないところで業者を決められていると聞いております。もしこうしたことが本当ならば、とんでもないことだと思うわけでありますが、学校給食会の仕組みなどについてまずお伺いをいたします。
  103. 銭谷眞美

    銭谷説明員 御説明申し上げます。  先生お尋ねの学校給食会は、各都道府県に置かれております財団法人でございます。学校給食が普及をいたしました昭和二十九年から三十四年にかけまして、都道府県教育委員会認可の財団法人として四十七都道府県すべてに現在設置をされております。  この都道府県学校給食会は、当該県内におきまして学校給食が円滑に実施をされるために、学校給食用の物資を安定的かつ継続的に適正な価格で供給するとともに、学校給食の普及充実とその健全な発達を図ることを目的として、現在それぞれ事業を行っております。  取り扱っております物資でございますけれども日本体育・学校健康センターという文部省所管の給食用物資を取り扱っている特殊法人がございますが、ここが米穀、小麦といった学校給食の基幹物資を取り扱っておりまして、その基幹物資の売り渡し先ということになっておりまして、基本的にはこういう米穀、小麦等の学校給食に欠くことのできない物資を県内で供給をするということがメーンでございます。それに加えまして、各学校等の要請に応じまして、いわゆる一般的な物資も取り扱っているわけでございます。  ただ、全体の概況を申し上げますと、学校給食用の物資の取扱額で申し上げますと、現在各都道府県の学校給食会が扱っております物資は学校給食全体の物資の中の大体三割程度ということでございまして、生鮮食料品その他、学校給食で使われる多くの物資は民間の業者の方からも供給を受けているという状況でございます。  いずれにいたしましても、私どもといたしましては、財団法人であるこの都道府県学校給食会が学校給食の円滑な実施のために適切な機能を発揮するように、都道府県教育委員会を通じて現在指導を行っているところでございます。
  104. 青山二三

    ○青山(二)委員 それでは、加工食品のことについてちょっとお話ししてみたいと思いますけれども、何の栄養もない大豆かすを植物性たんぱく質というように名前を変えて、さまざまな調味料とか香料を添加して、食品の増量剤として使っているものがあります。代表的なものが魚肉のソーセージ、チーズ、かまぼこ、ちくわ等水産の練り製品、ホタテ、イカの風味リング等、いろいろなものに使われております。外見はよく似ておりますけれども中身は全く違う材料です。  また、今ファミリーレストランが大変人気を集めておりますけれども、不思議なことに、ファミリーレストランでは料理のにおいがいたしません。大きな冷蔵庫と電子レンジがあるだけです。中央の大きな工場でたくさんのさまざまな食品をつくり、これを地方の各お店へ運ぶわけであります。お店では、注文があるとレンジで温めるだけ。実に、日本全国で毎日一億食がつくられていると言われております。どこでどんなふうにつくられたかというより、大量生産で格安で、店も楽しい雰囲気のため、特に若い世代のファミリーに人気を集めているようでございます。  ファミリーレストランでは何杯もコーヒーのおかわりができます。本当のコーヒー豆を使っていたのでは採算が合いません。これはコーヒーに重合燐酸塩を添加するそうです。こういたしますと、どんなに増量してもコーヒーの味が落ちない、色も落ちない。こんな便利なものがあるのですね。ところが、この重合燐酸塩を摂取し続けますと確実に血管障害を起こすと言われております。こうした危険な添加物は子供たちには食べさせたくありません。  しかし、学校給食の献立を見ますと、冷凍食品や加工品、半加工品がたくさん使われております。これは下ごしらえの不要なものが短時間の調理に向いていることと、大量生産されるために安いということが大きな理由です。近所の子供のメニューをいただいてまいりましたけれども、ハンバーグ、エビボール、ミートボール、メンチカツ、ハム、イカバーグ、こんなふうにたくさん加工品が入っております。  こうした食品の危険性に気づき始めた学校では、発がん性のあるような食品添加物を避けるために、単独調理方式での給食が行われているところがふえております。東京、神奈川、京都でも単独調理方式の給食の方が多くなっております。合成添加物の多い加工食品を避けるためには、できるだけ多くの学校で単独調理方式、いわゆる自分の学校で調理をする方法でございますけれども、こういうものをどんどん取り入れるべきであると私は思いますけれども、文部省の御見解をお伺いいたします。
  105. 銭谷眞美

    銭谷説明員 御説明を申し上げます。  現在学校給食の実施の形態としては、ただいま先生からお話がございましたように、共同調理場方式と単独校調理場方式があるわけでございます。全体的な状況を申し上げますと、単独校調理方式が全体の約四六%、共同調理場方式が全体の約五四%という状況になっております。  文部省におきましては、こういった共同調理方式あるいは単独調理方式を問わず、従来から学校給食用物資につきましては、基本的な通知の中で、学校給食用物資の購入に当たってはできるだけ良質なものを選択するよう常に配慮し、特に有害なものまたはその疑いのあるものは避けるように留意するとともに、不必要な食品添加物が添加された食品内容表示製造業者等が明らかでない食品等については使用しないように明らかにして、指導しているところでございます。現在、各共同調理場あるいは単独調理場におきましては、学校栄養職員の指導のもとに、こういった観点から食材の購入に配慮をしているところでございます。  なお、お尋ねの、学校給食をこういった共同調理場方式、単独調理場方式、どのような形態で実施をするかという点につきましては、最終的には学校給食の実施責任を有する設置者、つまり市町村の教育委員会が地域の実情等を十分踏まえて決定するものでございますけれども、文部省といたしましては、臨調、行革審の指摘もございまして、昭和六十年一月の体育局長通知において、学校給食が学校教育活動の一環として実施されていることを基本としつつ、かつ、質の低下を招くことのないように十分配慮しながら、地域の実状等に応じ、学校給食業務の運営の合理化を図るよう指導を行っているところでございます。
  106. 青山二三

    ○青山(二)委員 学校給食の味にならされてしまった子供たちは、昔ながらの家庭の味である煮物などは余り喜んで食べなくなっております。これは、同じ味にならされてしまった学校給食の弊害の一つでもあると思います。単独調理方式で行いますと、郷土の料理などもふんだんに取り入れることができます。子供たちに味の文化の教育もでき、一石二鳥でもあると思いますので、どうか単独調理方式の方に重きを置いて実施するようにお願いしたいと思います。  本日の参考人もおっしゃっておられました。学校教育、学校給食こそが食の教育として最高の場である、しかし、今の制度としてはそうした仕組みになっていない、文部省は学校給食の場を十分に食生活の場にしてほしいと指摘されておりましたので、今後ともよろしくお願いいたします。私たち大人は、なるべく添加物をとらないようにということで食生活を考慮することはできますけれども、学校給食では子供たちは提供されるものを食べなければなりません。二十一世紀の日本を担う子供たちの健康を守るためにも、安全な給食を行うように強く要望しておきたいと思います。  また、近ごろはアレルギー性疾患で悩んでいる人が多くなっております。その代表例とも言えるアトピー性皮膚炎の子供がふえておりますが、そういう子供たちへの学校給食はどのように対応しているのか、お伺いをいたします。
  107. 銭谷眞美

    銭谷説明員 御説明を申し上げます。  最近、アレルギー性の子供がふえているということがございまして、文部省では、平成三年度から児童生徒の健康状態サーベイランス事業というものを実施をしておりまして、子供たちのアレルギーを含む健康状態情報を定点観測を続けております。  また、中間的な報告でございますが、これによりますと、過去にアレルギーと診断されたことのある者が約四割程度おりまして、その診断されたアレルギー性疾患の中でも、特にアレルギー性の鼻炎と、ただいま先生のお話のございましたアトピー性の皮膚炎といった子供の割合が多いという結果が出ております。また、アトピー性の皮膚炎の原因となるアレルゲンとしては、やはり食物が多いということも報告をされているところでございます。  このため、学校給食におきましては、子供たちの食事を通じて子供たちの健康を総合的に保持増進する観点から、できるだけ個々の児童生徒の特質に応じた指導の充実ということが課題と認識をいたしております。  具体的には、学校給食において、アトピー性皮膚炎などのアレルギー性の疾患等、個人的に指導上の配慮を必要とする子供がいる場合には、担任教諭や学校医あるいは養護教諭、学校栄養職員等が密接に協力をするとともに、家庭ともよく連絡をとりまして、家庭から子供たちの身体状況食生活を含む日常生活状況を把握するように努め、それを踏まえた個別指導を行うように指導しているところでございます。例えば、可能な範囲で当該子供の献立からその食物を除いたり、あるいは別の食物で調理した代替食を提供したり、家庭からの持参弁当を認めるなどの弾力的な措置をとるように指導しているところでございます。  こうした個別指導につきましては、文部省としても、特に平成四年の七月に改訂をいたしました学校給食指導の手引という学校栄養職員向けの手引書があるわけでございますが、この中で特に強調をし、かつ本年三月でございますが、体育局長通知においても同様の内容の通知を行ったところでございます。  今後とも、御指摘の点も踏まえまして、一人一人の子供たち健康状態や個性に応じた食事指導の充実に一層配慮してまいりたいと考えております。
  108. 青山二三

    ○青山(二)委員 学校給食の献立の中に、加工食品にかわって魚料理を多く取り入れることを提言したいと思います。  魚には、不飽和脂肪酸、ドコサヘキサエン酸が多く含まれ、これが脳を活性化させまして、学習機能を向上させると言われております。このほかにも、魚にはイコサペンタエン酸が多く含まれておりまして、これを多く含むイワシ、サバ、サンマを食べますと、血液の流れがよくなり、血管等の病気になりにくいと言われております。  そこで、学校給食に魚料理をふやして児童生徒の学力向上と健康の増進を図るべきと思いますけれども、この点について御所見はいかがでしょうか。
  109. 銭谷眞美

    銭谷説明員 御説明を申し上げます。  学校給食は、栄養バランスのとれた食事を提供し、子供たちに望ましい食習慣の形成を図っていこうということが大きな目的、目標としてあるわけでございます。したがいまして、文部省といたしましては、献立作成に当たりまして、幅広い種類の食品を適切に組み合わせて、摂取栄養量の均衡及び食事内容充実を図るように、かねて指導を行っているところでございます。  具体的には、学校給食の標準食品構成表というものを定めまして、子供たち一人一人が、平均をしてでございますが、一回当たり標準的にこういった食品を摂取するというものの目安を定めているわけでございます。この中では、魚介類につきましても標準的な摂取量を定めているところでございます。  近年の状況を申し上げますと、米飯給食がかなり普及をしてまいりまして、献立がかなり多様化をしてきているという状況の中で、魚介類の摂取量は年々増加をしてきておりまして、私どもが示しております標準的な摂取量をほぼ満たしているという状況にございます。よく使われる魚介類としても、ただいまお話もございましたイワシとかサンマとかサバ、こういった魚が、イカとかエビと並んでよく使われているという状況がございます。  本年の三月にこの標準食品構成表を改訂をいたしまして、新たに都道府県教育委員会等に通知をしたところでございますが、今回の改訂の中では、魚介類について、特に小魚について、カルシウムや微量栄養素の供給源として大切であることから、小魚の標準摂取量も新たに示して、その学校給食での使用の奨励を図っているということでございます。  今後とも、幅広い食品を組み合わせバランスのとれた学校給食になりますように、魚介類の摂取にも配慮しつつ食事内容充実に努めてまいりたい、かように考えております。
  110. 青山二三

    ○青山(二)委員 それでは、牛乳についてお伺いしていきたいと思います。  改めて申すまでもなく、牛乳は極めて栄養価の高い食品でございます。特に、日本人の食生活で不足になりがちと言われているカルシウムが多く含まれております。二百ミリリットルの牛乳の中に二百六ミリグラムも含まれておりまして、一日のカルシウムの必要量は六百ミリグラムとされておりますので、その三分の一が一本の牛乳に含まれていることになります。このカルシウムが不足いたしますと、心身に大変悪い影響を与え、特に中年女性のカルシウム不足は骨をもろくして、そのため骨折等で寝たきり老人の原因の一つともなっております。したがいまして、牛乳を多く飲む習慣をつけることが、健康上大変好ましいわけでございます。急速に到来する超高齢化社会を考えるときには、国民に牛乳を多く飲むことを勧めることも必要ではないかと思います。  そこで、牛乳の普及のためのPRや消費拡大のためどのような対応をされているのか、農水省にお伺いをいたします。
  111. 永岡洋治

    ○永岡説明員 ただいま先生御指摘のとおり、牛乳・乳製品は栄養的に見まして非常にすぐれた食品でございます。特に、日本人の食生活において不足しがちなカルシウムの供給源としてすぐれております。一方、酪農乳業の安定的発展を図るという面から見ましても、その消費拡大につきまして、生産者、乳業メーカーあるいは販売店等が共通の認識のもとに取り組んできているところでありますし、今後とも取り組んでいくことが必要であるというふうに考えております。  こうしたことから、農林水産省といたしましては、従来から生産者、乳業メーカーあるいは販売店等が共同で行う、マスメディア等を使いました牛乳・乳製品に関する基礎的な知識普及あるいは牛乳フェア、料理講習会、各種セミナー等の消費の啓発の事業というものに助成をしてきているところでございます。  特に、今後ウルグアイ・ラウンドの農業合意の実施に伴いまして、中長期的に見ますと、次第に牛乳・乳製品の国際化というものの影響が強まってくるわけでございますが、こうした中で輸入乳製品等の競合の比較的少ない飲用牛乳等の消費拡大を図ることが生産面から見ても重要な課題となってきているところでありまして、農林水産省といたしましては、こうした観点から、平成七年度から新たに、生産者、乳業メーカーが共同で、二カ年にわたりまして総額五十億円の基金を造成して、飲用牛乳を中心とした消費の拡大を実施する事業を行おうとしているところでありますけれども、これに対して、国といたしましても、七億円の助成措置を講じて、国産牛乳消費拡大緊急特別対策事業を新たに実施することとしたところでございます。  いずれにいたしましても、今後とも我が国の酪農の安定的発展と食生活の向上を図るために、各種施策を適切に組み合わせつつ、飲用牛乳等の消費の拡大に努めてまいりたいと考えております。
  112. 青山二三

    ○青山(二)委員 それでは、学校給食用の牛乳についてお伺いをしたいと思います。  牛乳は、御存じのとおり、一定温度で一定時間の殺菌を施すことになっており、その温度と時間の組み合わせによっていろいろと殺菌方法が変わってまいります。新鮮さが売り物であったはずの牛乳が今や自動販売機でも買えるなど、大変保存のよいものに変わっておりますが、これは殺菌方法に関係があるようでございます。  現在一般的に行われておりますのが高温殺菌法で、百二十度から百四十度で二、三秒処理するものであります。これはあらかじめ八十五度で五分間ほど加熱するという、かなり激しい殺菌法であり、現在一般家庭で飲まれているもの、あるいは学校給食や自動販売機で使われているものがほとんどこの高温殺菌牛乳です。  これよりさらに強く殺菌され、牛乳の缶詰と言われているのが、LLと呼ばれているロングライフ牛乳でございます。冷蔵庫に入れないで三カ月は大丈夫だと言われております。流通に大変便利で、これが今広まってまいりました。しかし、すべての菌を殺して無菌にするため、有害な病原菌だけでなく、有益な酵素や酵母、乳酸菌まで死滅してしまいます。牛乳に含まれているカタラーゼという酵素は、発がん性のある過酸化水素を分解する作用がありますが、このカタラーゼを殺菌してしまうわけですので、高温殺菌牛乳やロングライフ牛乳には過酸化水素が発生することになります。この過酸化水素は発がん性が強く危険で、法的にも強く制約されております。  これに対しまして、低温殺菌と呼ばれる殺菌法がありますが、これは十九世紀のフランスの細菌学者でありますパスツールが苦心の末開発されたと言われております。六十三度ないし六十五度で三十分処理するものでありますが、コレラ菌やチフス菌など有害な病原菌だけを殺し、有用な乳酸菌などは残すという画期的な方法であり、全人類は大変な恩恵を受けてまいりました。この低温殺菌と呼ばれておりますのはもう一つありまして、七十五度で十五秒間でも同じ効果があることがわかっております。  毎日飲む牛乳の中に発がん性物質が検出されたり、しかもそれが成長過程にある児童たちが飲んでいる学校給食の牛乳であることは大きな問題であります。そこで、既に群馬県では低温殺菌牛乳に切りかえたと聞いておりますが、全国の学校給食牛乳の低温殺菌牛乳の導入の実態はどのようになっているのか、お伺いをいたします。  また、児童生徒の健康を守るためにも、学校給食には低温殺菌牛乳を導入すべきだと考えますが、いかがでしょうか。文部省としてはどのように考えておられますか、お伺いをいたします。
  113. 銭谷眞美

    銭谷説明員 御説明申し上げます。  先生お話しございましたように、牛乳は成長期にある子供たちに不足しがちなカルシウム、ビタミンB1等の重要な供給源となるものでございまして、学校給食の食事内容基準の中でも特にその摂取量を示すなど、文部省としては飲用奨励を図っているところでございます。  お尋ねの低温殺菌牛乳の飲用実態でございますけれども、現在一般に出回っております牛乳は高温殺菌牛乳がほとんどでございまして、私どもが承知をしておりますのは、低温殺菌牛乳は全体の二・五%程度の流通量というふうに承知をしている状況でございます。したがいまして、学校給食における低温殺菌牛乳の飲用実態につきましても、群馬県で、お話がございましたように一部の業者の方が低温殺菌牛乳を提供しているという実態がございますので、群馬県で一部供給されている、あるいは栃木県の一部の学校において低温殺菌牛乳が供給されているといったようなことは承知をしておりますが、全国的に見ますと、やはり高温殺菌牛乳が多く使用されているというふうに考えております。  そこで、学校給食用の物資の購入につきましては、どこから何を購入するかということにつきましては、各学校の設置者にゆだねられているところでございますので、この低温殺菌牛乳の導入につきましても、文部省としては各学校の設置者の判断で実施をするということは差し支えないものだともちろん考えております。  ただ、現実の学校給食を実施する上で、安定的に供給をされるということも大変必要な要素でございますので、今直ちに低温殺菌牛乳というわけにはいかない地域、学校がたくさんあるというのも事実ではないかというふうに考えております。
  114. 青山二三

    ○青山(二)委員 それでは、ロングライフ牛乳の安全性でございますけれども、牛乳はすぐ腐るものと長年思い込んでおりました私たちにとりましては、冷蔵庫に入れないで三カ月は大丈夫だということは常識では理解できません。ロングライフ牛乳の安全性についてお伺いしたいと思います。
  115. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 いわゆるロングライフ牛乳、省令では常温保存可能品と申しますけれども、これは百四十度前後で二ないし三秒間の条件で加熱滅菌をいたしまして、無菌状態の容器包装に無菌的に充てんすることにより常温で長期間保存することを可能にした牛乳でございまして、成分規格としては、細菌数がゼロであること、二番目に、常温保存可能な製品を製造し得る製造方法をとっているかどうか厚生大臣の個別の承認が必要であることなど、厳しい条件が設けられているものであり、これにより、いわゆる低温殺菌牛乳または高温殺菌牛乳と同様、安全性確保されているものであります。
  116. 青山二三

    ○青山(二)委員 それでは、添加物表示についてお伺いしたいと思います。  消費者食品を購入するときに選別の対象になるのが、この品質表示でございます。消費者段階で食に対する不安に対処するためにも、消費者が知りたいと思うことをきちんと表示してほしいという意見が多く寄せられております。  一九九一年に添加物の全面表示が始まり、添加物の名前が表に出てきました。これは大きな前進であることは確かですが、原材料と添加物の区別がつかない、表示免除が多い、また豆腐の凝固剤、これには硫酸カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム等が入っております。また、化学調味料には、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウムなど、こういうものが、ただの凝固剤あるいは調味料などということで一括名で表示されていて、個別名が表示されていないなどの批判も多いわけでございます。  添加物表示をきちんとしたものにしていくことは非常に大切で、さらに改善を進めていく必要を感じますが、政府としては、食品の包装容器に表示できる情報量は極めて限られている現状の中で、消費者にわかりやすく役に立つ情報の提供をどのように進めていくのか、お伺いをいたします。
  117. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 今先生が御説明いただきましたように、食品添加物表示につきましては、平成三年度より全面的に表示を義務づけたところでございます。ただ、食品との区分につきましては、天然添加物を含め、添加物表示名称を定めたリストを公表するなど、消費者への情報提供を行っているところであります。また、公衆衛生の観点から見て、その区分を行う意義は少ないもの、このように考えております。  また、凝固剤などの一括表示につきましてでございますが、これらの添加物が複数の物質を組み合わせることによって機能を果たすものや、食品中にも常在する成分であって、個々の物質名を表示する必要性が低いものがあるということが考えられますので、国際的な表示方法も参考にし、一括名あるいは用途名による表示を認めたものでございます。  いずれにいたしましても、添加物表示につきましては、今後とも国際的な動向などにも留意しつつ、慎重に検討してまいる所存でございます。
  118. 青山二三

    ○青山(二)委員 本会議での質疑の際に総理より御答弁をいただきましたが、今年度から厚生省は、一般消費者を対象に食品安全性に関する情報の提供、相談を受けるなどの事業を始めるとされております。輸入食品の増加などを背景に高まっている消費者食品に関する不安にこたえるためにも、ぜひ充実したものにしていただきたいと考えております。  そこで、この事業の具体的内容、また消費者の要望にどの程度対応できるのか、お伺いをしたいと思います。
  119. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 今御質問に出てまいりました話は、食品安全情報等事業のことだと存じますが、これにつきましては、食品安全性に関する消費者等の方々への疑問や不安にこたえるために、食品安全性に関する各種の情報の提供を推進するとともに、消費者方々からの相談に応じることを目的とし、その実施につきましては、社団法人日本食品衛生協会に委託することとしております。  具体的な事業の内容としましては、食品衛生調査会、それからコーデックス委員会及び輸入食品・国内流通食品の監視に関する情報など情報の提供をいたすこと、二番目に、窓口における消費者方々からの相談、それから三つ目に、消費者を対象としたシンポジウム及び講習会などの開催を行うことといたしております。  いずれにいたしましても、本事業につきましては、食品安全性に関する消費者などの方々の不安を解消するために重要であると考えておりまして、事業の円滑な運営に努めてまいりたいと考えております。
  120. 青山二三

    ○青山(二)委員 それでは、少し質問も残りましたけれども、時間が参りましたので、最後に大臣に御答弁をいただいて、終わりにしたいと思います。  諸外国からの規制緩和を求める要望が次々に寄せられている現状であります。今後検討しなければならないさまざまな規制緩和に関しましては、国際基準をうのみにするだけではなく、消費者の不安を酌み取るシステムをしっかりと整備するとともに、日本独自の判断基準を確立することが必要であると思います。厚生大臣の御所見をお伺いして、終わらせていただきます。
  121. 井出正一

    ○井出国務大臣 国際基準も基本的には消費者の健康の保護を目的に策定されているわけでございますが、食習慣の違いなどにより、必要がある場合におきましては、この国際基準より厳しい措置を採用するという方針によって、国民の健康を確保してまいりたいと考えております。この策定につきましては、食品衛生調査会における科学的な審議に基づいて行うこととしておりまして、こうした検討を行うことなく国際基準をうのみに採用するつもりは毛頭ございません。
  122. 青山二三

    ○青山(二)委員 大変ありがとうございました。終わりでございます。
  123. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 荒井聰君     〔委員長退席、網岡委員長代理着席〕
  124. 荒井聰

    荒井(聰)委員 多くの皆さんが食品衛生法改正部分について質問されておりますので、私は、栄養改善法部分について質問をさせていただきます。  と申しますのは、最近外国の方々と議論をすることが多いのですけれども、我が国の社会構造や経済構造に関して大変不透明である、あるいは必要な情報公開されていないということに関して、多くの交渉の際にそういう点が問題になることがございます。私は、こういうようないらいらさというような感じは、最近外国の人たちだけではなくて、我が国の国民も似たような感じを抱いてきたのではないだろうか。どうも必要な情報、社会の透明性をしっかり示す、そういうような情報が公表されていないで、一部の人間や一部の機関にストックされてしまっている。それが何となく社会の公明性や透明性を阻害しているといういらいらさが国民の中には出ているのではないだろうか。そういう流れの中で、行政情報の公表、公開といったような要望も強く出ております。  こういう感覚の中で、私は、象徴的に出てきたのが今回のオウム教事件だったのではないだろうか、非常に特殊な人間が特殊なことをやって社会に大きな迷惑をかけているけれども、その情報が全く社会の中で公表されていなかった、こういう問題がいろいろなところに出てきているのが今の我が国の社会なのではないかなという印象を持っているわけであります。これはもっともっと日本の社会が情報に対して透明性を高めていく、公明な形を増していく、強化していくという努力をしていかなければならないのではないだろうか。  そういう過程の中で、今回栄養改善法改正が行われたわけですけれども、今回の改正では、栄養表示基準制度という制度を創設、その情報公開ということを創設して、加工食品などの栄養成分に関する表示の適正化を図ることが目的だと承知しております。  確かに、市場に出回っているさまざまな食品を見ますと、消費者の健康志向を受けて、低カロリーをうたったものやカルシウムがたくさん入っていることを強調したものなど、栄養成分表示をした食品も徐々に目立つようにはなってきておりますが、しかしながら、商品によっては、自分の強調したい栄養成分のみ記載しているもの、あるいは低カロリーとか高カルシウムとかいっても、客観的な基準に基づかないものなど、消費者食品の選択をする際に適切な情報となっているかどうか疑問の点もあります。  今回の制度改正によってこのような点が是正されるのか、制度改正の趣旨とあわせてお伺いいたします。
  125. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 お答えをいたします。  本格的な高齢社会の到来、それから、肥満や成人病の増加などを背景といたしまして、食品の栄養成分に関する国民の関心が高まってきており、これに対応し、食品の栄養成分表示が普及しつつあります。しかし、その現状を見ますと、特定成分の含有や低減のみを強調する表示をした食品が数多く出回っているなど、必ずしも、栄養指導や消費者が選択する際の適切な栄養成分についての情報源となっていない現状にあります。  このため、今回の改正におきまして、食品の栄養成分に関する適切な情報を広く国民に提供することを目的とした栄養表示基準制度を創設するものであります。  具体的には、新たな栄養表示基準制度におきましては、カルシウム入りやビタミンC含有など、栄養成分などについての何らかの表示をしようとする場合には、その栄養成分だけでなく、たんぱく質、脂肪、塩分など、国民栄養上重要な栄養成分及びカロリーについても表示することを義務づけることとなり、都合のよい表示だけ行うという点は是正されることとなります。  また、ビタミンA強化、あるいは低脂肪、低カロリーなど、国民栄養上重要な栄養成分などに関する強調表示を行おうとする場合には、今後は、厚生省の定めた基準に合致している場合のみ表示できることとすることになり、客観的な基準に基づく表示が行われるようになります。  このように、法改正により、消費者食品を選択する際に適切な栄養情報を得ることができるようになるものと考えております。
  126. 荒井聰

    荒井(聰)委員 先ほど私は、情報という話をしましたけれども情報は、国民の側からも強く求めていく、そういうものをもっと公開するべきであるという声が国民の側からも強くならなければ、本当の、情報公開された透明性の高い社会にはならないんじゃないだろうか。  そういう場合に、食品の栄養素を表示するというのは、最も身近な情報、毎日食べているものに関してきちっと情報が出てくる。その情報がどういう効果を自分に与えるのだろうか、あるいは影響を与えるのだろうかということを常に目の前にしていくという意味では、私たちの社会の中に、貴重な情報というものが自分たちの世界の中をしっかりと根づかせていくという効果を占めているものだというふうに私は思います。  そこで、その栄養成分表示制度の国際的な動向について伺いたいのですけれども、栄養成分表示については、国際的に見ても制度化の方向に向かいつつあるというふうに承知しておりますが、諸外国における制度化の動向と、その中での今回の我が国の制度改正の位置づけはどのようになっているのか、お伺いいたします。
  127. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 栄養成分表示につきまして諸外国における制度化の動向でございますが、まずアメリカにおきましては、一九九〇年に栄養表示・教育法が可決され、一九九四年五月から、原則として、包装された食品すべてにつきまして栄養成分表示が義務づけられております。また、栄養強調表示についても、一定の基準に適合している食品にのみ表示することが可能となっており、コレステロールフリー、あるいはローファットなどの表示がされておるところでございます。  一方、EUにおきましても、栄養に関する何らかの表示をする場合は、主要栄養成分について標準的な表示を義務づけるとともに、一定の基準に適合するものに栄養強調表示を認めるという内容のEEC欧州理事会指令が一九九〇年に出されておるところでございます。  今回の我が国の改正後の制度は、アメリカのような全面義務づけではなく、基本的には、栄養成分等について何らかの表示をする場合は標準的な表示を義務づけるEUのような制度と考えておるところでございます。
  128. 荒井聰

    荒井(聰)委員 商品にそういう情報が付加しているというものが商品価値が高いんだというインセンティブが働けば、商品にどんどんそういう貴重な情報が付加されていくんだろうと私は思うのです。しかし、今の状況では、必ずしもそうではない。栄養表示基準制度消費者に対して適切な情報を提供して、健康づくりに役立つものにしていくためには、基準の策定がとても重要で、その基準の策定に当たっては、学識経験者の意見を聞くことはもちろんですけれども消費者の、関係者の意見を聞くということが不可欠と考えています。  そこで、基準づくりの過程では、このような関係者の意見をどのように反映させていくのか、また、現時点で想定している基準のイメージというものはどういうものをお考えなのか、そのあたりをお聞かせ願いたいと思います。
  129. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 この制度の今後の具体的な基準の策定に際しましては、学識経験者や消費者等関係者から幅広く意見をお聞きすることといたしております。  具体的な栄養成分表示基準につきましては、法成立後、公衆衛生審議会に諮って定めることとしておりますが、現時点で想定している基準のイメージといたしましては、カルシウム入りやビタミンC含有など、栄養成分等についての何らかの表示をする場合に、カロリーやたんぱく質、脂肪などの主要栄養成分として表示を義務づける内容及びその表示の方法について基準をつくります。  二つ目に、栄養成分が補給できる旨の表示を行う場合の遵守事項として、例えばビタミンA強化、高カルシウムの表示を行う場合のビタミンAやカルシウムの含有量の基準、三つ目に、カロリー、脂肪、食塩など、過剰摂取が心配される栄養成分については、適切な摂取ができる旨の表示を行う場合の遵守事項として、例えば低脂肪、低カロリー、減塩と表示する場合の脂肪、カロリー、ナトリウムの含有量の基準などを考えております。
  130. 荒井聰

    荒井(聰)委員 次に、今回の改正とは直接関係ないのですけれども、食と健康という観点から、いわゆる健康食品についてお伺いしたいと思いますけれども、現在、健康食品の販売総額というものは全国的にどのぐらいの額になっているのか、また、その健康食品というのはどういう傾向にあるのか、お伺いしたいと思います。     〔網岡委員長代理退席、委員長着席〕
  131. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 まず、健康食品の販売総額についてはちょっと今資料を持ち合わせていませんので、探しまして、ありましたらまた後でお答えをしたいと思います。  健康食品につきましては、健康上の危害を生じかねないような食品衛生法上の規格基準等の違反食品を取り締まること、二つ目に、成分、表示された効能効果などから判断して医薬品とみなされるものについては、薬事法違反として取り締まることなどの対策を講じてまいりました。  さらに、今度は取り締まるのではなくて褒める方の立場でして、厚生省の指導のもとに、財団法人日本健康・栄養食品協会におきましては、健康食品安全性、品質、適正表示確保のため、小麦胚芽油、クロレラなど四十一品目について協会で規格基準を設定しており、この規格基準に適合していることを当協会が個別に審査し、適合するものに認定マークの使用を認めております。  健康食品につきましては、今後とも、国民の健康の維持増進に資するよう、これらの施策を推進してまいりたいと考えております。
  132. 荒井聰

    荒井(聰)委員 次に、食品衛生法関係の改正に関してお伺いをいたします。  残留農薬の問題でございますけれども食品残留する農薬安全性については消費者は大変高い関心を持っており、特に、外国からの農作物には農薬が相当含まれているのではないかという心配を持っております。  そこで、外米の輸入について、WTOの協定の発効に伴って本年から米の経常的な輸入が始まることになりますが、これに対し、国として残留農薬に対する十分な検査体制をつくるべきではないかと考えていますが、この点についてお伺いしたいと思います。
  133. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 残留農薬の検査体制に入ります前に、健康食品の市場規模に関連する数字でございますが、財団法人日本健康・栄養食品協会の推計によりますと、平成五年度で五十食品群、四千九百九十五億円という規模でございます。  次に、WTO協定発効後輸入される米に対する残留農薬の検査体制いかんということでございますが、まず検査につきましては、横浜と神戸にあります検疫所についております輸入食品・検疫検査センターで実施をいたします。昨年については二百六十二万トンの検査を、一つは、買い付け時に十分な検査を行うよう輸入業者を指導するということ、二つ目に、輸出時にこの米を採取しまして、飛行機により日本に空輸したサンプルを厚生大臣の指定検査機関で検査し、三つ目に、検疫所において貨物の到着時に検査するという三段階で実施をいたしました。  今後ミニマムアクセスにより輸入される米への対応についてですが、食糧庁とも連携をとりながら、昨年の緊急輸入米の検査と同様、三段階検査を実施し、安全確保に万全の対策をとることといたしております。
  134. 荒井聰

    荒井(聰)委員 次に、本法案の改正に伴います規制緩和の関係についてお伺いいたします。  食の安全性確保は何よりも優先されるべきことは当然ですが、一方では、社会経済の活力を維持していくためには、過剰な規制は緩和していく必要があります。今回の食品衛生法改正については、営業許可年数の延長など幾つかの規制緩和を行っていますが、その改正の概要と趣旨についてお伺いします。  また、このような規制緩和を実施しても、国民の食の安全を守る見地からは問題がないのか、この点も確認いたしたいと思います。
  135. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 先生既に御案内だと思いますが、食品規制は、国民の生命の安全や健康の保持の観点から行っているいわゆる社会的規制であると思っておりますが、一方、社会経済の状況の変化に対応して、可能なものについては緩和をしていくということも必要でございまして、今回の改正もこのような考え方に立って規制の見直しを行ったところでございます。  規制緩和の観点からの改正事項とその趣旨でございますが、まず、食品の輸入届け出のコンピューター化により、輸入手続の迅速化を図ること、また営業許可について、最低有効期間を現行の二年から四年に延長することなどにより、営業者の手続的負担の軽減を図ること、三番目に、総合衛生管理製造過程、いわゆるハサップでございますが、これにかかわる承認制度の導入により、食品製造規制の弾力化を図ること、さらに、食品の栄養表示全般の適正を図るための栄養表示基準制度の導入に伴い、栄養強化食品表示許可制度を廃止することなどでございます。  それから、これらの改正国民の健康の確保に支障のない範囲内で行うものでございまして、具体的には、食品の輸入届け出のコンピューター化は、食品衛生法違反事例のデータを蓄積、活用することで、より適切かつ効率的な輸入食品の検査の実施が確保されるものであること、また営業許可の最低有効期間の延長につきましては、営業施設の衛生水準の向上を踏まえて行うものであること、ハサップの導入につきましては、これにより製造される食品は、現行の製造基準に従った方法により製造された食品と同等の安全性確保されているものであること、さらに食品の栄養表示については、栄養表示基準を導入し、いわゆる自己認証制度とすることにより、営業者に負担をかけることなく適正な栄養表示の普及が図られるものでありまして、いずれも国民の健康の確保の観点から見て、何ら後退するものではないと考えております。
  136. 荒井聰

    荒井(聰)委員 最後に、大臣に、今回の制度改正で当面する課題については大体カバーしたのではないかなというふうに私自身も考えていますけれども、今回の制度改正を踏まえた今後の展望と決意をお伺いして、質問を締めくくりたいと思います。
  137. 井出正一

    ○井出国務大臣 今回の改正案によりまして、荒井委員御指摘のように、もろもろの状況の変化に対応し、食品保健行政を二十一世紀に向けて展開する基盤は整った、こう考えておりますが、この改正を真に実りあるものとするためには、この改正によって築かれた枠組みを生かしながら、実施運用面において、食品の栄養成分表示に関する基準の整備とか、あるいは残留農薬基準など食品規格基準の策定の推進とか、さらには輸入食品等の監視体制の充実といった点につきまして、さらなる努力を重ねていく必要があると考えておりますし、食品安全確保に対する国民の皆さんの期待はいよいよ高まるわけでございますから、その期待にこたえられるよう、国民の健康の確保を第一に考える見地から、総合的な食品行政を進めてまいる所存でございます。
  138. 荒井聰

    荒井(聰)委員 ありがとうございました。終わります。
  139. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 岩佐恵美君。
  140. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 午前中の参考人質疑でも出された問題ですけれども、今回の法改正では栄養成分表示について、アメリカのように加工食品全部に義務づけをするのではなく、表示をしてもしなくてもいい、こういう選択制、つまりEU型を採用しています。栄養成分表示の義務づけについては、塩分、糖分、脂肪などのとり過ぎでの成人病を防ぐため、特に子供の成人病がふえているところから、消費者から強い要求があったものであります。私も何度も国会で取り上げ、義務化を求めてまいりました。  例えばインスタントラーメンの場合、一食で塩分五グラムから七グラムと、一日の摂取目安量五グラムを超えてしまう、そういう例がありますし、あるいは缶ジュースに糖分が二〇%前後含まれているものもあります。子供の好きなスナック菓子の塩分や脂肪分の含有量を知るということ、そのことができれば成人病や肥満を防げるなど、消費者の知る権利あるいは消費者の選択の権利、このことが行使をされるわけでありますし、栄養成分表示の義務化というのはそういう点で欠かすことのできないものであると思います。  なぜ全加工食品の義務化でなかったのか。こういうことでは私は消費者の願いにこたえることができないというふうに思いますが、その点どうでしょうか。
  141. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 すべての加工食品に栄養成分表示を義務づけることにつきましては、今日の現状からいきますと営業者に過大の負担を求めることにつながりますし、また、EUにおいても今回の改正案と同様の制度の導入が図られており、全面義務化は規制の国際的整合性という点からも問題であるということで、現状では困難だ、このように考えております。  なお、今回の改正案により、栄養成分表示の適正化が図られ、消費者が適正に栄養成分表示をした食品を選択できる環境ができ、食品の栄養成分に関する適切な情報を広く国民に提供するという政策目的はかなえられるものと考えております。
  142. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 その点については、事業者に多大な負担をかけるということで消費者の利益というのが受け入れられなかったということでは、私はよくないというふうに思います。  次に、製造年月日表示についてですが、厚生省は、禁止するものではない、つまり認めるというふうにしていると思いますが、どうでしょうか。
  143. 小林秀資

    小林(秀)政府委員 食品製造年月日の表示のことでございますけれども、厚生省といたしましては、食品衛生の観点から見て、期限表示の導入により、食品の品質保持に関して、より適切な情報が提供されることから、期限表示に加えて製造年月日を表示する必要はないものと考えておりますが、改正後においても、製造者等が任意に製造年月日の表示を行うことまでは食品衛生法により禁止することではございません。
  144. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 公正取引委員会に伺いたいのですが、製造年月日表示について事業者団体が一切禁止すると、独禁法違反になるという見解をとっていると理解をしておりますけれども、そのとおりでしょうか。
  145. 田代郁夫

    ○田代説明員 御指摘のとおり、事業者団体として構成事業者の製造年月日表示を一切禁止することは、独占禁止法上問題となるおそれがあるというふうに考えております。
  146. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 重ねて伺いますが、例えば生活協同組合が製造年月日表示を製品にした場合に独禁法違反になるのでしょうか。
  147. 鈴木恭蔵

    鈴木説明員 食品の日付表示でございますが、御案内のとおり、食品衛生法の施行規則と農水省告示の改正によりまして、製造年月日表示から期限表示に移行したわけでございます。この改正によりまして、法令上は、事業者に対しまして期限表示が義務づけられたわけでございますが、ただ、それとあわせまして製造年月日を表示するか否か、これは基本的には事業者の任意にゆだねられているものでございます。  したがいまして、御指摘のとおり、生協が自分の商品につきまして、製造年月日を表示した商品を製造するようメーカーに委託した場合、このこと自体、直ちに独占禁止法上問題とならないものと考えているところでございます。
  148. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 農水省に伺いますが、二月十七日の通達で独禁法違反問題について触れているわけですが、農水省として、生協が製造年月日表示をとることが独禁法違反と考えているのかどうか。製造年月日との併記にすると、何かペナルティーを科すなどということがあるのでしょうか。
  149. 大隈満

    ○大隈説明員 通達で独占禁止法に言及しておりますのは、日付表示を行うに当たりまして、製造年月日の併記について独占禁止法の趣旨に反するような共同意思の形成が行われることがないよう、念のため関係業界に示したものでございまして、したがって、製造年月日を書いたことのみをもって独禁法に触れるというものではございません。  それから、製造年月日の表示は、制度的に禁止されているものではございません。仮に表示された場合、そのことのみをもって何らかのペナルティーを科するという性格のものではございません。  ただ、日もちの短いものを除きまして、事実上、併記が残る場合には改正の趣旨が阻害されるおそれがあるということで、賞味期限を付するものにつきまして併記を避けるよう通達でお願いをしているところでございます。
  150. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 製造年月日表示については、国民生活センターの調査で、消費者のうち、「必ず見る」が六四・八%、「見ることが多い」二五・七%と、九割以上の方々が買い物の際利用し、国民の間に定着をしております。湿気の多い日本での製造年月日の表示は、食中毒を防ぐためにも必要だったし、果たしてきた役割は大きいと思います。  地方自治体が、その地方の実情や消費者の要望にこたえて、製造年月日表示の併記を条例で定めるということは、私は法制上可能だと考えるわけでありますけれども、その点について、お考えを経企庁から伺いたいと思います。
  151. 中藤泉

    ○中藤説明員 お答えいたします。  消費者保護の一般論としてのお答えになりますが、昭和四十三年に制定されました消費者保護基本法におきましては、「地方公共団体は、国の施策に準じて施策を講ずるとともに、当該地域の社会的、経済的状況に応じた消費者の保護に関する施策を策定し、及びこれを実施する責務を有する。」とされております。  したがいまして、経済企画庁といたしましては、これにのっとり、地方公共団体において消費者保護のための施策が推進されるということを期待しております。
  152. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 食の安全確保の課題というのは、ますます重要になってきています。行政情報公開はもちろんのこと、さまざまな手続や、あるいは決定機関に消費者が参加できるように、これが午前中でも消費者参考人方々から強く要望があったところですし、私もその点は、これはもう実行されていくべきだというふうに思います。  いわゆる消費者の利益について、反射的利益ではなくて、消費者が直接的に参加をするそういう権利確保する、こういう立場から、私は食の安全の行政というのが考えられていくべきだというふうに思います。  最後に、大臣に、消費者のそうした積極的な参加、言ってみれば消費者権利としての安全の確保、そういう立場から行政を進めていただきたいというふうに思いますけれども、その点についてのお考えを伺いたいと思います。
  153. 井出正一

    ○井出国務大臣 午前中の参考人の方から、そういう先生と同じ御意見があったということは聞いておりますが、食品衛生法は、公衆衛生の向上及び増進に寄与することを目的として、食品安全確保のために営業者に対し必要な規制を行うものでございます。  食品規格基準等については、食品衛生調査会で専門的科学的知見に基づく慎重な審議を経て定めることとされており、消費者が参加することを権利として法律上規定することは適当でないと考えております。  しかしながら、食品保健行政消費者生産者など広範な国民の皆さんの意見を反映させることは重要でございますから、今回の法案策定に当たりましても、消費者団体等から広く意見を伺うなど努力してきたところでございますし、今後も法改正を契機として、食品衛生調査会について、消費者意見をより取り入れられるよう、広い範囲の学識経験者の中から委員等の委嘱を行うこととするなど、さらに努力してまいる所存でございます。  また、消費者等に対し、よりわかりやすい形で情報提供を推進するため、食品衛生調査会の諮問、答申等の状況についての説明の場も設けるなど、さらに一層努力してまいりたいと考えております。
  154. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 終わります。
  155. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  156. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。岩佐恵美君。
  157. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 私は、日本共産党を代表して、食品衛生法及び栄養改善法の一部改正案に反対の立場から討論を行います。  今改正案は、WTO協定に合わせ、輸入促進のための条件整備を図ることを主な目的にしています。そのため、日本食品安全基準規制の緩いコーデックス食品規格に合わせ、食品添加物農薬、動物医薬品等の使用を大幅に拡大する危険が大です。現に百三品目の農薬残留基準のうち、日本で従来認めてこなかったポストハーベスト農薬は十九品目あり、クロルプロファムのように、従来の日本基準の一千倍にも緩められたものもあります。  今日、厚生省の調査でも、皮膚、呼吸器等のアレルギー症状がある人は全体の三四・九%、アトピー性皮膚炎に苦しんでいる子供たちは三一・二%に及び、化学物質過敏症も急激にふえています。農薬添加物関連も指摘されながら、いまだ因果関係も解明されていません。今、国が緊急に取り組むべきことは、複合汚染やアトピーの原因究明と同時に、食品添加物や抗生物質、農薬などの汚染物質について、一層の規制強化を図ることであります。  国内では使用を認めないポストハーベスト農薬や、今まで検出ゼロ基準だった抗生物質、ホルモン剤の使用を公然と認めるなどは、まさに国民の安全と健康を破壊することにつながるもので、断じて認められません。  反対の第一の理由は、千五十一品目の天然添加物について、毒性等の安全審査も行わずに一挙に添加物リストに載せることとしている点であります。個々に安全性を確かめてからリストに載せるのが当然であり、今回のやり方は認められません。  第二は、国際基準への整合化を前提に、国内で使用を認めていない収穫後の農薬使用を含め、外国の基準に合わせた緩い残留基準を策定する点です。このことは、ポストハーベスト使用の食品の輸入を認めるだけではなく、国内の農産物についても収穫後の農薬使用を認めることにつながる可能性があり、国民の安全を守るということから、外国の使用実態に合わせた基準緩和を行うべきではありません。  第三は、抗生物質や抗菌剤、ホルモン剤の新たな使用拡大の問題です。これらの物質は食品にとって何らの必要もなく、微量といえども不必要な摂取は避けるべきであるとして、これまで検出を認めてこなかったものであります。それを残留基準値を設定することにより、コーデックス基準に合わせて基準の緩和を図ることになれば、「検出を認めず」の従来の方針を大幅に転換することになります。さらに、従来日本では使われてこなかったホルモン剤も、国内での使用に道を開くことになります。動物用医薬品の使用拡大につながる基準値の策定はすべきではありません。  第四は、輸入食品行政検査率が非常に低いという問題です。九三年度の行政検査率は五・二%にしかすぎません。本改正により、輸入業者の自主検査が増大します。ずさんな検査がまかり通っているのではないかとの疑惑があります。検査官の大幅増員による行政検査率の引き上げや、業者検査に対するチェックの強化こそが求められています。  最後に、栄養成分表示の問題です。アトピーはもとより、少なくない子供たちが肥満や成人病で苦しんでいます。塩分や糖分、脂肪分のとり過ぎを防ぐためには、栄養成分表示は欠かせない情報になっています。今回の改正は、表示を加工食品全体に義務づけてほしいという消費者の切実な要望にこたえていません。  国民の健康に生きる権利消費者の知る権利や選択の自由を保障する法制度の確立こそ必要であることを指摘して、反対討論を終わります。
  158. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  159. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 これより採決に入ります。  食品衛生法及び栄養改善法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  160. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  161. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 この際、本案に対し、鈴木俊一君外三名から、自由民主党・自由連合、新進党、日本社会党・護憲民主連合及び新党さきがけの四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。山本孝史君。
  162. 山本孝史

    山本(孝)委員 新進党の山本孝史でございます。  私は、自由民主党・自由連合、新進党、日本社会党・護憲民主連合及び新党さきがけを代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。  案文を朗読して説明にかえさせていただきます。     食品衛生法及び栄養改善法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、適切な措置を講ずべきである。  一 食品の安全を確保し、積極的に国民の健康の保護増進を図るため、食品行政の一元化と統一的な食品法の制定とを指向して、関係各省庁間の緊密な連絡協調体制を整備すること。  二 食品添加物について、常時その安全性摂取量を点検し、適正に使用されるよう措置を講ずること。  三 残留農薬基準の早期整備を行うとともに、国内で新たに使用される農薬については、農薬取締法に基づく登録に併せて速やかに残留農薬基準を策定すること。また、環境が整えば、現在、食品添加物規制で導入されているポジティブリスト制を農薬についても導入を検討すること。  四 食品添加物の指定及び規格基準並びに残留農薬基準については、国際的基準も考慮しつつ、科学的根拠による安全性評価に基づき指定及び策定を行うとともに、最新の科学的知見に基づき適宜見直しを行うこと。特に、既存の天然添加物については、速やかに安全性の見直しを行い、有害であることが実証された場合には、使用禁止等必要な措置を講じること。  五 食品の安全に関する国際基準の策定に積極的に関与し、我が国の食品安全性に関する関連科学の研究成果を国際基準に反映できるよう努めること。また、その策定過程において、関係の消費者生産者等の意見が反映されるよう努めること。  六 食品に含まれる物質の健康影響に関する研究食品安全性評価手法等の高度化に関する研究など食品安全性確保のための調査研究推進するとともに、国、地方の試験研究機関の調査研究体制の整備を図ること。  七 輸入食品の増大に対応して、検疫所における食品衛生監視員の確保食品検査機能の強化、検査率の向上等、輸入食品安全確保体制の整備を図ること。また、食品検査施設における検査の管理運営基準(GLP)の導入については、地方自治体においても円滑な導入が図られるよう配慮すること。  八 食品衛生調査会の委員等については、消費者生産者等も含めたより広い範囲の学識経験者の中から任命すること。また、食品規格基準等の制定に際しては、適宜関係資料を公開するとともに、消費者意見・異議を聴取するよう努め、適切に対処すること。  九 食品保健関係の情報については、消費者に、十分にかつ利用しやすい形で体系的に提供するとともに、食品保健行政の決定の根拠となった資料については、可能な限り公開すること。  十 食品表示及び広告の規制について、消費者への食品に関する情報の提供を推進する観点からもその体制を整備するとともに、営業者に対し、適切な指導及び取締りを行うこと。  十一 国際的な食品衛生水準の向上に積極的に対応する見地から、開発途上国に対する食品検査体制の整備に関する技術協力等、二国間や多国間における食品衛生に関する国際協力推進すること。  十二 食品衛生推進員については、幅広い食品関係者を委嘱の対象とし、地域における食品衛生の向上のための活動が総合的に行われるよう配慮すること。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  163. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  164. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、井出厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。井出厚生大臣。
  165. 井出正一

    ○井出国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして、努力をいたす所存でございます。     —————————————
  166. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  167. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  168. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時十八分散会