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山本(孝)
委員 言わずもがなですが、
現地を回ってみまして、
市役所の
職員の
方たち、あるいは
応援で各県から
市役所の
職員の
方たちが来られているのですけれ
ども、やはりなかなかコミュニケーションがうまくとれていない
部分がありました。
行政が上から何かしてあげるということではなくて、やはり
被災者の
方たちの同じ目線にまでおりてきて、
役所から外へ出ていただいて、よく声を聞いていただく、そして一緒の立場で相談に乗ってあげる、そういうことがないと、なかなか
皆さんのお
気持ちも静まらないし、うまく
行政が進まないのじゃないかというふうに
思います。そういう
意味でも、ぜひ外へ出ていただいて、いろいろな声をこれからも聞いていただいて
施策を立てていただきたいというふうに
思います。
今回の
食品衛生法と
栄養改善法の
関係の
質疑に入らせていただきたいと
思いますけれ
ども、今回の
法律改正が、
規制緩和の
流れや
WTO協定への
対応であるということは否めない事実だというふうに
思います。一方で、米の
緊急輸入に関する
残留農薬の問題、あるいは
アレルギー症状を訴える
人たちが非常にふえている、
コンビニエンス食品が出てきてそういう需要が増大しています。したがって、その裏側では、
食品添加物の
摂取量が当然ふえてくる、そういう
状況もあります。健康への
関心の高まりなどを
背景にして、
食品の
安全性に対する
消費者の
関心というのは極めて高くなってきている、そういうふうに
思います。
例えば
遺伝子操作によって害虫に強い穀物をつくるとか、あるいはパンがよく焼けるような
酵母菌を
遺伝子操作によってつくり出していく、チーズの発酵をよくするバクテリアというようなものを研究してみるというような形で、今、
食品の
製造技術にかかわる
部分の
技術革新というのが極めて急速に進んでいるわけですね。
そういうことを、今申し上げたような
背景をいろいろ
考え合わせていきますと、食中毒による危害を防止するといった
観点からの
食品衛生法ということではなくて、
食品の
供給における
国民の生命と健康を
省庁の壁を超えて
政府全体として
総合的施策により守ることを
目的とする
食品安全法、これは私が適当に言っているわけですけれ
ども、そういう統合的な
法律が必要ではないかというふうに
思います。
これまでの
答弁をお聞きしていますと、この
法律でも
食品の安全を
確保すると読めるというような、
総理大臣を初めとして非常に苦しい
答弁が続いているように思うのですね。私
たちは、もっと積極的に、
食品を原因とするものから
国民の健康を守るというために、
生産、流通、それから販売というそれぞれの段階を踏まえて、
食品の
安全性について新しい
観点から取り組む統一的な
法律をつくるべきじゃないかというふうに思うわけです。
これは、この前の
改正、四十七年の
改正のときの
附帯決議にも実は第一項目に出てきていますし、
アメリカで一九五八年にフード・ドラッグ・アンド・コスメティック・アクツというのを改定した際に、初めて「
政府」、「安全」という
言葉がこの
法律の中に盛り込まれてきている。
イギリスでも九一年一月からフード・セーフティー・アクト、
食品安全法というのが施行されていますけれ
ども、その中でも、「
安全性の
確保は国の責務」と明確に位置づけをしておりますし、
消費者保護の
観点に立った
法律の立て方になっているのですね。
最初に申し上げたように、
時代の
流れが非常に急速に変わってきていますから、その
意味でも、改革すべきことは迅速に改革していく、それに
対応していくというのは
政治の
責任であろうというふうに
思います。
今回、
食品衛生法を勉強させていただいて思ったのですけれ
ども、
国民の食の安全を
確保するということについて、これは
厚生省だけではできないということは明らかだと思うのですね。例えば、
基準のない、すなわちデータとして持っていない
農業が使われている産品が入ってくるとする。そうすると、それは検査に大変な時間と費用がかかってしまう。はっきり申し上げて検査不能だと言える
状況だと
思います。そういうふうに、入ってくるものを例えば
検疫所で
水際作戦で防ぐということだけではなくて、
生産地でどういう
農業が使われているかということを
現地調査するぐらいの気構えがないと、本当の
安全性の
確保というのは無理なのだろう。そこでは多分
農林省だとか外務省というのがかかわってくるのだと
思います。
摂取する
農業とか
食品添加物をできる限り減らすということについては、どなたも異論がない点だと思うのですね。でも、例えば
農業についていえば、
厚生省にいろいろ御
質問申し上げたら、
国内での
農業の
生産量や
使用量等については把握はしていないというふうにおっしゃる。それは
農林省の
仕事だというふうなお
考えなのでしょうけれ
ども、そこに
厚生省の極めて消極的な姿勢を私は見てとるのですね。それでは
食品への
残留農薬はやはり減らないというふうに
思います。
札幌市の
学校給食栄養会とか横浜市では、
学校給食に
輸入の
果物は使わないというふうな方針で臨んでおられるそうです。東京都は
食品の
品質表示で国よりも厳しい
基準制度を持っているわけですけれ
ども、あわせて独自の
基準で
食品を
輸入する
団体等もある。これらの
皆さんは
WTOの
協定違反になるのではないかという
心配をなさっておられるわけです。
この点についてはこれまでの
答弁の中で、それらの独自にやっておられる点については
衛生規制ではないから
SPS協定が
規制の対象とする
衛生植物検疫措置には当たらない、そういう解釈を示しておられる。すなわち今までどおりにやっていけるんだという御
見解を示していただいているわけですけれ
ども、この点についてもやはり御
質問を申し上げたら、
学校給食の原材料としていかなる
食品を用いるかについては
厚生省の
所管にかかわる問題ではないというふうに御
答弁をいただいたのですね。それは
学校給食だから
文部省がやることだというお
考えなのかもしれません。
しかし、つらつらおもんみるに、やはり
縦割り行政の中でこういうふうに、これはどこの
仕事だ、うちの
仕事じゃないという話をしていると、本当に
国民の健康が損なわれてしまうというふうに思うのですね。だから、ぜひともこの
縦割り行政を打破するような統合的な
食品安全法を検討していただきたい、検討するべきだ。四十七年の
附帯決議についているものが今まで一体どうなっていたんだというふうにやはり私は思わざるを得ないのです。その点についてぜひ
大臣の御
見解を、一番基本にかかわる
部分ですから、ここをまず教えていただきたい。
あわせて、もしお答えいただけるならば、今
カロリーベースで随分
海外に
日本の食糧が
依存をしているわけですね。例えば、全体的にいえば、昭和四十年に七三%でしたけれ
ども、今
平成五年では三七%しか
国内で
カロリーベースでは
自給率を持っていない。すなわち、七割以上は
海外に
日本の食は
依存をしているわけですね。もともと低いのですけれ
ども小麦で二八%が今一〇%しかない。
大豆が一一%、これも低かったですけれ
ども、今二%しかありませんね。九八%の
大豆は全部
外国に
依存をしている。我々が常に
国産品を食べていたというふうに意識をしていた例えば
果物でも、今五四%しかない。牛肉が四四%、豚肉が六九%。あれだけ鶏がいるのにと思うのに、
鳥肉に至ってもやはり七七%しかない。すなわち、二割、三割、四割、五割というふうに、物によってはずっと
外国に
依存をしているわけですね。
そうすると、当然そこに
残留農薬の問題であれあるいは
保存料の問題であれ、いろいろな問題が付随的についてくるわけですね。基本的には
日本の食をどうするんだ、
日本のこの低い
自給率をどうしていくんだということを、実はこの
食品衛生法を
考える中ではどうしても
考えざるを得ないわけですね。
そういう
意味では、
農林省と実はこういうやりとりはしなければいけないのかもしれません。しかし、きょうは
厚生委員会の
食品衛生法で
厚生省の
皆さんにお
伺いをするということなので、話をさきに戻して、この四十七年の
附帯決議にもついている統一的な
食品の
安全性を
確保するための
法律、
アメリカでも
イギリスでもそういう
流れになっている。
日本もそういう
意味で、
食品衛生法じゃなくて
食品安全法というのをつくるという方向に行くべきだ。
役所ができないなら、これはやはり
政治の
責任として我々がやるべきだというふうに私は思うのです。
つらつら申し上げました。御
見解はいかがでございましょうか。