○永井(孝)
委員 もちろん、直接的な原因は地震に起因をするわけでありますが、例えば
構造物の崩壊ということから見ますと、これは天災プラスいわゆる工事の欠陥ということを私は
指摘せざるを得ないのであります。先日も、阪神高速
道路あるいはJRの新幹線の橋脚の崩壊、こういうところを私は
調査をしてまいりました。毎週のようにあの新幹線に乗っておったのかと思うと、ぞっとする思いを実はしているわけであります。
きょうは、ちょっと皆さんに参考にしてもらいたいと思ってパネルを持ってまいりました。紙芝居ではありませんけれ
ども、これは崩壊した新幹線の側道です。この側道に並んで建っている民家はほとんど無傷であります。そのそばに明治時代につくられた古い土塀がありましたが、半分崩れかかっておるのですが、それは震災前と全く変わっていないというのですね。石の鳥居がすぐそばにありました。新幹線の橋脚と五メートルも離れていない。耐震
構造ではないのですよ、この鳥居は。それが全く無傷で残っている。
なぜあの頑丈と見える新幹線の橋脚が倒壊をしたりあるいは阪神高速
道路の橋脚が倒壊したのか、非常に私は疑問に思うわけです。それは単に天災だけではなくて、
構造上の欠陥にある。工事の施工の仕方に問題がある、このように思えてならぬわけであります。
きょうはそのことを細かく質問する時間がございませんので、問題提起だけにとどめておきたいと思いますが、例えばこの橋脚は途中でナイフで切ったように水平に崩壊をしております。全く、コンクリートがれんがを積み立てたような形になって、鉄骨だけでつながっているという実例ですね。こういう実例は、新幹線だけではなくて阪神高速
道路にも見られる。これも同じであります。完全にナイフで切られております。また、この主筋の圧着
部分が一番強いはずなのに、圧着
部分の中心からナイフで切ったようにきれいに切断されてしまっている。一体これで、圧着に対する工事のあり方というのは本当に今の基準でいいのだろうかということを思わざるを得ないのであります。
まして、これはびっくりすることでありますが、たまたま震災で表のモルタルがはがれたものですからわかってしまったことでありますが、この橋脚は、橋脚と上の橋げたの間は二十センチすき間があります。本来ならそこはもちろん縁切れになる
部分でありますから、一定の、一センチなら一センチ、五ミリなら五ミリの間の緩衝のための機材をそこに入れるわけでありますが、二十センチもあいているということは明らかに工事のミスであります。
その二十センチあいているところにどういうことがしてあったかというと、発泡スチロールが詰めてある。発泡スチロールを詰めて上をモルタルで塗っておるものですから、でき上がったときには外から見たら全くわからない。たまたま震災でこれが暴露されたわけであります。こういうずさんな工事は、これは
建設省に十分にそういう土木工事のあり方について専門的に
検討を進めてもらいたいと思うわけでありますが、いわゆる多重下請
構造がなさしめたものではないかという気がいたします。
きょうは提言ですから一方的な演説になりますが、ましてこの災害に遭っていない橋脚、写真に出ているのは私であります。この橋脚の
部分で見ますと、鉄筋が全部初めから露出をしているわけです。橋脚の外に全部。これは災害に遭ったところではないのです。橋脚の外に露出をしているわけであります。これは帯筋であります。これは主筋であります。縦に入っている太い主筋ですね。この主筋が震災と関係なく露出しています。だから、全部裂けてしまって、こういう箇所が何カ所もあるのです。こんなことで果たして交通の安全ということが守られるだろうかということを私は
指摘をせざるを得ないのであります。
これもそうであります。これは震災で崩れたんじゃないのです。もともと工事の後崩れて、鉄筋が露出したままでさびついてしまっているわけであります。また、このコンクリートの破片を見ますと、全部とは言いませんけれ
ども、破片を指でもむとばらばらと崩れてしまうのです。ちょうど菓子をつぶすようにつぶれるのです。これはコンクリートの品質管理の問題だと私は思うのです。
こういうことを放置しておきますと、これからも新幹線が建設され、高速
道路がどんどん建設されていくわけでありますから、何としてでもこれに対する徹底的な原因究明を行って、後々のこれからの公共事業に生かしていかないと、とうとい犠牲を払った震災の教訓というものは生きてこない、このことをきょうは問題提起だけにとどめておきたいと思うのです。
具体的なことを言いますと、とりわけ耐震を中心とした高度な
構造設計、そして重層下請
制度のあり方の
検討、そして品質管理、こういうものをきちっとやり遂げるような
対応を
建設省が中心になってやってもらいたい。きょうはこのことを議論する時間がありませんので、問題提起だけにとどめておきます。
もう
一つ指摘しておきますと、新幹線でいいますと、今度崩壊した箇所は特定の箇所でありますが、用地買収に非常に時間がかかった
地域であります。ですから、他の工事がおおむね六五%進捗した
状況のときに、この区間はわずか一〇%しか進捗していなかった。新幹線の開業は一九七二年三月十五日であります。この崩壊した箇所の工事の完工は同じ年の一月三十一日であります。まさに突貫工事で短期間にやられた区間なんだ。
だからずさんな工事になったということになっていくのでありましょうが、事安全にかかわる問題でありますから、そういう工期の設定の仕方、あるいは用地買収がおくれた場合に完工の期日というものが何が何でも守らせなくてはいけないのか、こういうことについても具体的に提起をして、きょうは提起だけにとどめておきますので、
建設省が中心になってひとつ
対応してもらいたい。これは、建設
大臣にもあるいは村山総理にも直接私からこの写真も見せて話をしてありますので、ひとつ
建設省の方で
対応してもらいたい。このことを、これは一方的でありますが、きょうは提起だけにとどめておきたいと思います。よろしゅうございますか、
建設省。何か言うことありますか。