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斉藤(鉄)
委員 施工という面からの
原因につきましても、
設計だけでなく、
施工も非常に大きな、重要なファクターだという
観点からも
調査を徹底的にお願いしたいと思います。
今回、
施工不良の中でも、特に
鉄筋の
継ぎ手が、特に
大型土木構造物の
鉄筋の
継ぎ手の問題が大きく取り上げられました。
横倒しになった
高速道路、みんな
鉄筋の
継ぎ宇部で切れているわけです。
鉄筋コンクリート構造物、
コンクリートは圧縮には強いけれ
ども引っ
張りに弱い、その引っ
張りを
負担するのが
鉄筋だ。
地震があったときに、
高速道路ですから
トップヘビーです、例えばぐっと右に揺れる、そのときに柱の左側にある
鉄筋がその引っ
張りをぐっと
負担して持ちこたえる、こういう
構造になっているわけですが、その
鉄筋と
鉄筋をつないだところがすべて切れている。もし良好な
施工がされていてあの
継ぎ宇部が健全であれば、あの
倒壊はひょっとしたらなかったかもしれない、このように言われているわけでございます。
これは非常に細かい技術的な話になりますけれ
ども、
ガス圧接という方法で
鉄筋がつながれているわけです。この
ガス圧接工法そのものにつきまして、私は非常に優秀な工法だろうと思います。その接合性、接いだものを細く切って、細く丸く削り出して引っ張っても、普通その接全部からは切れません。引っ張ったときに接全部でないところから
破断するというのが普通でございます。また、現場
施工性、
コスト、また技能
制度が確立しているという面からも、この圧接工法そのものについて私は非常に優秀な技術だろうと思います。
それからまた、建設工事に占める割合というのは〇・一%以下でございまして、ほとんど注目されることはないのですが、しかし、こういういざ大
地震があったときに一番ポイントになる、
構造物の
信頼性を左右するポイントになるところでもある、それを
鉄筋の
ガス圧接が
負担をしている、担当している、こういうふうに私は考えております。
ただ
一つ、この
鉄筋ガス圧接工法の欠点だったところは、非破壊検査法がなかったわけでございます。非破壊検査法がないということは、現実に
ガス圧接してできたものの品質が、
施工した人の良心といいましょうか、技能はもう証明された人がやっているわけですけれ
ども、その良心にかかっているというその点だけがこの工法の欠点だったわけです。
ところが、
建設省さん、また
道路公団さん非常に御
努力をされまして、この
鉄筋ガス圧接部の非破壊検査法の確立に力を注いでこられました。
道路公団が
指導監督する立場にあります
日本圧接協会が学識経験者を中心にしてこの非破壊検査法の
開発を行い、
建築学会、土木学会にもこの非破壊検査法、具体的には超音波探傷法でございますが、これが取り入れられました。
建築学会、土木学会がこの圧接部の非破壊検査法、超音波探傷法を認めて、その学会の仕様書に取り入れたのが昭和五十四年でございます。
そして、この五十四年から
日本道路公団の肝いりで、全国の
日本道路公団の現場でこの
鉄筋ガス圧接部の
調査、及びこの
鉄筋ガス圧接部に非破壊検査法として超音波探傷を適用する研究が行われました。四年間にわたる研究でございます。その研究の成果が、「
構造物の非破壊検査手法の適用性に関する研究
報告書」として
高速道路調査会でまとめられております。
高速道路調査会でございますが、具体的には
道路公団、
日本圧接協会が行った研究でございます。そして、この研究の成果というのは、
建築学会、土木学会でも認められました。この超音波探傷法の
開発、そしてその普及によって、
土木構造物で最も
地震時に安全を左右する
鉄筋の
継ぎ宇部の
信頼性がこれで向上するというふうに、
建築学会、土木学会はその時点で評価したわけでございます。
道路公団また
建設省は、この
構造物の非破壊検査手法の適用性に関する研究、これを、世間的には注目されなかったかもしれませんが、私は
日本の
土木構造物の安全性を向上させる
意味では画期的な
一つの研究成果ではなかったかと思いますが、この研究についてどのように評価していらっしゃいますでしょうか。