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山本(幸)
委員 よくわかりませんが、地価がどういうふうにして決まるかということなのですね。これは常識的に
考えれば、地価というのは、その土地を利用してどれだけの収益が将来上がるかということによって決まると思うのですね。そうすると、二戸建てで使っているよりも、高層のマンションでも建ててそこから上がる地代収入の方が高いに決まっているのですね。そうであれば、当然その土地は、二月建てとほかのことを
一緒くたにして議論したらそれは議論になりませんよ。ほかの条件は
一緒で、二月建てと高層
住宅をつくった場合にその土地の地価は上がるかどうかというのは、当然高層
住宅をつくった方が地代収入が上がるのだから、地価は上がるのですね。僕は、先日地価が下がると答えた理屈がわからない。
そこで、関連してお伺いします。
今回の
法案の
改正の
趣旨は、大
都市で二戸建ての
住宅とかそういうものがある場合に、それをできるだけ高層
住宅にして高度利用していきましょう、そのためにいろいろな好条件といいますか、そういうものを認めましょうということです。私は、そういうことを議論する最初の根本として、先日の
委員会でも御
質問しましたけれども、そういう
政策をやるのなら、もとの税金、土地保有税によって一体どういう現象が起こっているのかということをしっかり理解しておかなければ、そんな
政策ばかりまた別の
法律をつくってやったって、それは
意味がないということで御
質問したのです。
そのときに、四つの
質問をしました。
一つは、まず土地保有税が上がったら、一体地価は上がるのか下がるのか。それから二番目は、その土地保有税が上がったら、宅地
開発のタイミングは早まるのか遅くなるのか。三番目は、今度は宅地
開発をやるとした場合に、二戸建てが選択されるのか、それとも高層
住宅が選択されるのか。それから四番目は、ちょっと違いますが、農地について
日本では税制上有利な取り扱いがされている。そのことは、翻ってみると
日本全体の宅地
開発についてどういう影響を与えているのかということで御
質問しました。その答えで、四問中正解は土地が下がるという
一つしかなかった。あとはみんな間違っていた。
委員長のお許しを得て、ちょっとパネルを使いますけれども、数式が入って大変申しわけないのですが。
土地の価格というのは、Ptとして、それは将来の地代収入rtとキャピタルゲインΔPt、それによって決まるわけです。その収益率、つまり土地を買って、そしてそれを使って収益を生む、それと、それ以外のものに投資したときの収益率とを比較しながら土地を買うか売るかを決めるわけですね。税金がない場合は、この式が成り立つ。もし税金が入ったら、土地保有税ですから、本当は左側の収益が、(rt+ΔPt)、マイナスの土地保有税率(τ)掛けるPtだけ減るのですよね。そういうことで均衡が成り立つのだけれども、それをこっちに移すと、結論的に言えば割引率、収益率が土地保有税率だけ高くなる。したがって、地価はこういう式で計算されるのだから、この土地保有税率だけ分母が大きくなるのですから地価が下がってしまう、これが正しい。
ところがそうなると、では宅地
開発はどうなるかというと、宅地
開発はタイミングとして、将来の地代収入というのは、将来時期がたてはたつほど少しずつ上がっていくでしょう。これは常識ですね。バブルがあって、バブルが崩壊したという特殊な時期を除いては、通常は将来的には地代収入が上がる。そのときに、例えば宅地に
開発するときには費用がかかる。土地の区画
整理をしたり、あるいは建築コストがかかる。その固定コストがかかる。この固定コストと地代収入との比較で、宅地
開発するかどうかというのは決まるのですよね。なぜならば、もし宅地
開発をやらなかったら地代収入を失うのだけれども、そのかわりコストである固定費用にそのときの利子率を掛けたiCという分だけが得するわけなのです。将来的にはここで、一致するところで宅地
開発が始まる。今保有税率がない場合、保有税率が低い場合にはこういうところで決まっていたのが、保有税率が上がるとこのiがi+τになるわけですから、タイミング的にはおくれてくるのですね。つまり土地保有税、これを高い
水準にしておくと、宅地
開発がおくれるのですよ。
それからもう
一つ。では、二月建てをやるか高層
住宅をやるかという選択になると、割引率が高くなるとなるべく早く収益を上げるというインセンティブが働く。そうすると、固定費用の安い一戸建てをつくろうとするのですよ。短期的には、二戸建てがふえるから
住宅がふえるけれども、しかし高度利用は避けられる。
だから、私の言いたいのは、こんな
法律をつくって無理やりやるよりは、保有税を安くすればもっといい効果が出るのですよ。ところが、今やっている
政策というのは、地価税はかけ、保有税は
評価を上げようということをやっているわけですよ。つまり、
建設省がこの
法案を出そうとしている目的と反することを税制でやっているわけです。おかしいではないですか。その基本を変えることが先決ではないですか。そんなことをやらないでこんな
法律をつくってやろうというのは、全然
政策的に整合性がない。この点について、
大臣いかがですか。