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1995-02-17 第132回国会 衆議院 建設委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年二月十七日(金曜日)     午前十時二分開議 出席委員   委員長 遠藤 和良君    理事 木村 義雄君 理事 野田  実君    理事 藤井 孝男君 理事 太田 昭宏君    理事 北村 直人君 理事 渡辺浩一郎君    理事 松本  龍君 理事 玄葉光一郎君       安倍 晋三君    遠藤 利明君       佐田玄一郎君    斎藤 文昭君       塩谷  立君   田野瀬良太郎君       根本  匠君    山本有 二君       大口 善徳君    長内 順一君       白沢 三郎君    杉山 憲夫君       樽床 伸二君    広野ただし君       山本 幸三君    沢藤礼次郎君       堀込 征雄君    吉岡 賢治君       中島 武敏君    大矢 卓史君  出席国務大臣         建 設 大 臣 野坂 浩賢君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 小澤  潔君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       三井 康壽君         国土庁土地局長 山田 榮司君         国土庁地方振興         局長      松本 英昭君         国土庁防災局長 村瀬 興一君         建設政務次官  簗瀬  進君         建設大臣官房長 伴   襄君         建設大臣官房総         務審議官    原  隆之君         建設省建設経済         局長      小野 邦久君         建設省都市局長 近藤 茂夫君         建設省道路局長 藤川 寛之君         建設省住宅局長 梅野捷一郎君  委員外出席者         建設委員会調査         室長      杉本 康人君     ————————————— 委員の異動 二月十七日  辞任         補欠選任   大口 善徳君     樽床 伸二君 同日  辞任         補欠選任   樽床 伸二君     大口 善徳君     ————————————— 二月十七日  被災市街地復興特別措置法案内閣提出第四七  号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進  法の一部を改正する法律案内閣提出第一五号  )  大都市地域における住宅及び住宅地供給の促  進に関する特別措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第二一号)  都市開発法等の一部を改正する法律案内閣  提出第二二号)  電線共同溝整備等に関する特別措置法案(内  閣提出第三八号)  被災市街地復興特別措置法案内閣提出第四七  号)      ————◇—————
  2. 遠藤和良

    遠藤委員長 これより会議を開きます。  内閣提出住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案大都市地域における住宅及び住宅地供給促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案都市開発法等の一部を改正する法律案及び電線共同溝整備等に関する特別措置法案並びに本日付託になりました被災市街地復興特別措置法案の各案を議題といたします。  まず、被災市街地復興特別措置法案について趣旨説明を聴取いたします。建設大臣野坂浩賢君。     —————————————  被災市街地復興特別措置法案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 ただいま議題となりました被災市街地復興特別措置法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  本年一月の阪神淡路大震災は、直下型地震により多くのとうとい人命と生活、経済活動の基盤が失われるという、我が国の近代的大都市がこれまで経験したことのない激甚な被害をもたらしたところであります。この被災市街地の一刻も早い本格的復興のためには、考えられる限り既存制度を最大限活用することはもとより、広範かつ甚大な被害にかんがみ、防災性の高い安全で安心できる町づくりを緊急、強力に推進するための新たな制度がぜひとも必要であります。さらには、この新しい制度は、今回の未曾有の大災害を貴重な教訓とし、今後大規模災害が発生した都市において、迅速かつ的確なる復興を可能とする制度を構築することとなるものであります。  この法律案は、以上のような考え方から、阪神淡路地域のみならず、大規模災害が発生した市街地復興に関する基本的制度を確立するため、緊急に取りまとめ、御提案するに至ったものであり、第一に、本格的復興を迅速円滑に進めるため、建築行為等の秩序を確保しつつ、市街地計画的整備を可能とするための都市計画制度の創設、第二に、被災市街地において、これを面的に整備する土地区画整理事業等を推進するための事業手法拡充等、第三に、復興に必要となる住宅供給等を確保するための措置を柱とし、これらの特別の措置を一体的、総合的に講ずることとしております。  次に、その要旨を御説明申し上げます。  第一に、被災市街地における新しい都市計画上の制度として、被災市街地復興推進地域を創設することとし、その地域整備についての市町村の責務と建築行為等制限等を定めることとしております。  第二に、被災市街地復興推進地域の面的な整備に、土地区画整理事業及び市街地開発事業活用等を図ることとし、そのため土地区画整理事業の中で住宅建設を一体的に推進するための特例等を設けることとしております。  第三に、復興に必要な住宅供給等を推進するため、住宅を失った被災者等に、公営住宅等入居者資格を認める特例を設けるとともに、被災市町村要請等に基づき、住宅都市整備公団及び地方住宅供給公社能力住宅供給等に活用することができることとしております。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、事態の緊急性にかんがみ、速やかに御可決賜りますようにお願いを申し上げます。  以上であります。
  4. 遠藤和良

    遠藤委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 遠藤和良

    遠藤委員長 ただいま議題となっております各案について質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本幸三君。
  6. 山本幸三

    山本(幸)委員 新進党の山本幸三でございます。  まず最初に、行革についてお伺いしたいと思います。  十一日未明に政府与党間の折衝で、いわゆる特殊法人見直しというものが結論が出たようでありますが、この政府見直しについて、建設大臣並びに建設政務次官、そしてまた国土庁長官、それぞれ全体としてどのように評価しておられるのか、それからまた、それぞれの担当分野においての見直しについてどのように考えておられるのか、ちょっと御感想をお伺いしたいと思います。
  7. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 先生から御指摘のありました行政改革、特に建設省の所管する諸問題について、その感想を述べよということでございますが、私どもは村山総理の、行政改革内閣の最重点事項として取り組めという御指示のもとに、官僚の皆さん方と懸命にこの問題について対処、対応してまいったところでございます。  二月十日に内閣に一応御報告を申し上げましたが、具体的に申し上げますと、大ざっぱに言って、今問題になっております本四公団、この点につきましては平成十一年の春概成いたしますので、その際に、現在の公団は見直すということにいたしております。人員も三分の一程度は削減できる、こういうふうに考えておるところでございます。  そういう点を申し上げ、道路公団等に関しましては、現在審議を進めております道路審議会の答申を踏まえて、料金の水準公的助成公団経営能力の強化、こういうことを一つ一つ、いわゆる全体の整理統合、廃止ということも必要でありますが、その公団中身の中でどう整理充実をしていくかということも重大に受けとめております。  したがって、そういう措置をとり、住都公団につきましては、今まで、民間と競合するものについてはできるだけ避けようと。それで、新しい地域整備をするところ、そういうところについては重点をそこに移して、民間と競合するところについては民間にやってもらおう、できるだけ賃貸と新しい地域整備重点を置く、こういうふうに考えております。  そういうことを一つ一つ申し上げますと長くかかりますので、大ざっぱに申し上げまして、今回の見直しにつきましては、それぞれの特殊法人についていろいろの角度から踏み込んだ見直し方向や内容というものを打ち出しておるつもりでございます。いろいろと御論議があろうと思いますが、私たちは一定の御評価がいただけるものではなかろうか、そういうふうに考えております。
  8. 簗瀬進

    簗瀬政府委員 山本委員の御質問お答えをさせていただきたいと思います。  今、大臣答弁をしたとおりでございまして、建設省として、今回の特殊法人見直し、ぎりぎりの努力をさせていただいたのではないかなと私は考えております。  特に、私、御案内のとおり、新党さきがけから出ておる国会議員でございます。そういう意味で一生懸命頑張らせていただいたわけでございますが、今御指摘あったとおり、私は、今建設省政務次官という立場でございますのでありますので、まさに大臣を補佐しながら努力をさせていただくというのが私の本務であると心得ております。そういう中で、今回最大限の努力をさせていただいたなと考えております。  以上であります。
  9. 小澤潔

    小澤国務大臣 二月十日の報告は、総理指示によりまして、各省庁真剣に検討した結果であると考えております。  今回の特殊法人見直しにおきましては、国土庁が主管する三つの特殊法人がございます。各法人とも、事業合理化効率化、組織のスリム化等を図る旨、報告を行ったところであります。  今回の合理化、そして効率化スリム化等について申し上げますと、まず水資源公団につきましては、業務民間委託を推進することであり、そしてまた、ダムは事務所が幾つもありますので、これらを統合することで合理化を進めております。  また、地域整備公団につきましては、産炭地域振興業務について、一定水準に達した地域指定解除、そしてまた、平成八年度をもって八圏域を見直すことといたしております。  また、奄美群島振興開発基金につきましては、業務委託、そしてまた、地元の商工会や農協などの協力を得ることといたしております。
  10. 山本幸三

    山本(幸)委員 今、評価されるというように思っているということでありますが、例えば本四連絡公団というのは、これはもう九九年に事業を終わるわけですから、当然整理されるべきものですよね、もう当然のこと。それから、道路公団見直しも当然そうでしょう。  ただ、今回のこの特殊法人見直しを含めた行政改革というのは何のためにやるのかというと、消費税を五%にしますということを決めました。しかし、そのときに附則があって、これは五%で終わるかどうかわからないのですね。その見直し規定というのが来年の九月までにやらなきゃいけない。その重要なポイントの一つがこの行政改革で、どれだけ財源ができるのかということにかかっているわけですね。  したがって、今回の見直し評価されるかどうかということは、どれだけ財源が浮いたんだと。消費税をそれ以上値上げしないで済むようにできるのかどうかということの中身がなければ、そんなものは評価できない。そういう観点からいえば、建設省あるいは国土庁のこの見直し幾ら浮くのですか。
  11. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 おっしゃるように、先生方一緒行財政改革をやっておる際にも、経済の推移や財政事情を勘案して、新たに考えていかなきゃならぬということをお互いに確認し合ったことがあります。したがいまして、今お話しになったように、消費税は五%、平成九年から上がるということになっておりますが、その間に、経済事情なり、いわゆる行政改革をやって、財政改革をやるというような仕組みになって今日まで来ておるわけですが、先生指摘のように、これでは行政改革ということにならぬじゃないか、もっと切り込めということであろうと思っております。  私は、言うなれば、御指摘がありましたように、本四公団については、十一年の春には終わるのだから、これは当然だ、これは当たり前のことだということですけれども、考えてみれば、日本経済の交流、一日も停滞することはできない。そういう意味では、第二国土軸ということも考えていかなきゃならぬ。いわゆる公団技術者というのは、日本は世界で最高と言われておりますが、そういう点についてはどういうふうに判断するか、そういう意味で、この三年間の間に十分判断をしていく材料というものを集めていかなきゃならぬ。  しかし、それでは経費が出ぬじゃないか、だから、その一つ一つ公団について点検をする必要があろうと。したがって、住都公団等につきましては、御案内のように、民間と競合する点についてはこれは切り捨てよう、したがって、勤労者皆さん方の御便宜を図るための公団に、賃貸重点を置こうと、そういう意味ではやはり人が少なくなってくる、合理化ができる。  そのほかにJSといいますか、日本総合住生活会社、こういうような関連事業が二十三ございますが、これを全部、ほとんどそのJSができるようになれば、民間に切りかえて、全部そういう格好にしようと。こういう姿がここ一年に、切って食わしたように、ことしの四月からやります、こう言っても、まだ途上にございますので、そういうものを見届けて、住民の皆さんの合意を得て、ニーズに合わせて、対処、対応していかなきゃならぬと。  さらに、具体的にとおっしゃれば、申し上げますと、例えば日本道路公団の場合は、管理事務所等を今後五年間で約一割削減をする、事務経費は 五%の削減だと。新技術開発をやって建設資金削減を、当面四百五十億から五百億ということを考えておりますが、経費節減は年間四十億円、こういうことを目標に一つ一つやっていこう、こういうことを考えながら、管理費節減等を徹底して、すべての公団に網をかぶせていこうと。  だから、一つ一つ裸にして洗い直して検討しておりますが、先生がおっしゃるように、金額にして幾らかということは事務当局の方でそういうふうな取りまとめを現在はしておりませんので、これからも十分検討して、評価が受けられるような行政改革の実を上げてまいりたい、こういうふうに考えております。
  12. 山本幸三

    山本(幸)委員 その数字が出なければ評価しょうがないのですね。つまり、税制改正法案附則二十五条の規定で見直すときに、行政改革でどれだけお金が浮くのか、それ以外はもうふえる話ばかりなんですよね。それが出てこなければこの見直しなんてできないじゃないですか。いつそんな数字が出てくるのですか。  政務次官さきがけは、さきがけの案の評価されるものというのは、それを数量化したからなのですね。二兆四千億ぐらい浮かせるのだ、つまり消費税率一%分ぐらいは行政改革でやらなければだめだと言っていたのです。そのうちのどれぐらい達成できていると思っているのですか。
  13. 簗瀬進

    簗瀬政府委員 お答えをさせていただきたいと思います。  私の今答弁求められているのは、建設政務次官としてのお答えであろうと思います。御案内のとおり、建設政務次官連立与党村山内閣における立場でございまして、連立与党政策決定の場でどのように話が進んできたのかということは、もう既に先生案内のとおりでございます。  結局その数値を示す云々の問題、これについては今後とも、今大臣答弁があったとおり、不断経費節減努力を続けていくというようなことに私は尽きているのではないかなと思っております。
  14. 山本幸三

    山本(幸)委員 そういう経費を節減する云々、そんなことはかり言ってたって何にも議論は進まないのですね。この行政改革特殊法人見直しで、それはきちんとは出ないと思いますよ、数字は。  しかし、少なくとも消費税率を上げるということは決めているのだから、そしてまた、その見直しでもっと上がるかもしれない、それはこれから福祉ビジョンも出てくれば当然そういうことになるでしょう。あるいは大臣おっしゃったように、本気で第二国土軸考えるなら、当然それだけの財源が要るわけですから、それも考えないでそんなことは言えないわね。  そうであれば、少なくとも、ふえるばかりの財源を減らすものとしてはこの行政改革しかないのですから、それで幾らぐらいになるかということがなければ、これは本当に、この法案を一生懸命やったときに我々はこれで資金が出るように努力するんだと言っていたことが、全然中身がないということになるのだと思うのですね。  それが出なげればこれは全く評価できない、私はそういうふうに申し上げておきますが、建設大臣、もう一つお伺いしますが、大臣はかつて北海道開発庁、沖縄開発庁国土庁を一体化すべきだというようなお考えを述べられたことがありますが、そのお考え、今もお変わりありませんか。これからそういう方向でやられるのですか。
  15. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 先生方一緒にやっておりましたときに、国対委員長で、政務政策協議会の座長をしておりました。第一、第二、第三小委員会をつくりまして、第三小委員会は、そういう行政財政改革をやらなければならぬ、思い切った財政改革というものが必要ではなかろうかという話で、例えばどういうことかといって新聞にぶら下がられまして、考えるならば、これから地方分権ということが進むであろう、そして行政改革も進めるだろう、二重権力構造というものはなくした方がいいだろうと思う、例えばということで沖縄開発庁北海道の話をいたしました。  それについてはいろいろな意見がありましたが、私は、これはどうなるかわかりませんが、審議対象としてはこれからも置いていただきたい、こういうことを申し上げました。したがって、審議対象にはなるものであろうというふうに考えております。
  16. 山本幸三

    山本(幸)委員 北海道や沖縄からも抗議があったけれども、しかし真剣に検討しなければならないというように税制改革に関する特別委員会でも答えておられますね。そのお言葉を、じゃこれから大いにやっていただくんだなというように理解きしていただきます。  それで、この行政改革について関連して御質問しますが、おっしゃったように、行政改革というのは関連する特殊法人も含めて、やはり不断見直しをしていかなければいけない。たとえ統合とかそういうことじゃなくても、業務自体も見直さなきゃいけない。そういうことで考えると、じゃ今後、住宅金融公庫についてはどのような業務見直しをやろうと考えておられるのですか。
  17. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 予算委員会でもよく質問が出るんですが、十年間統計をとってみて、だんだん人数もふえておるじゃないかという厳しい御指摘もございました。金融公庫を調べてみますと、ここ十年間の間、たしか千五百五十五名だと思いますが、一人も多くなってはおりません。取り扱い件数につきましては、約二・一倍の取り扱い件数になっております。しかも、四千万戸建っておりますけれども、住宅金融公庫を使っておるのは約その三分の一、千五百万軒ぐらい使っております。  いわゆる住宅建設をするというと住宅金融公庫、こういうふうに国民の間には定着をしておる、国民ニーズに合うためには国民金融公庫というものがやはり必要ではなかろうか。これをどういうふうに合理化するか。直ちにこれとこれとこれはできない、しかし不断に我々は努力をして、合理化なり効率化なり経済効果を上げていかなければならぬ、こういうふうに考えておりますので、現在のところ、できるだけの経費節減等は行うように指示もいたしておるところでございまして、我々としては、それなりに住宅金融公庫の成果は上がっておるという認識に立っております。
  18. 山本幸三

    山本(幸)委員 それじゃ、今度その住宅金融公庫法の一部を改正する法律というのが出て、いわゆる特別損失を将来に繰り延べよう、そうして特別損失として処理していこうということですね。これは私から見れば、つまり住宅金融公庫、どんどん事業をやって、そして赤字が出てくる、損失が出てくる、そうすると、それは必ず将来穴埋めしましょうという、穴埋めのことばかり考えているこれは法律ですよね、そういう改正ですよね。そんなふうに、やるだけやって、損が出れその穴埋めは将来必ずしましょうというようなことだけ提案するようなことでは、住宅金融公庫、いつまでたってもそういう赤字体質、そういう赤字を雪だるま的にどんどんふやしていくという体質変わらないんじゃないですか。  もし本当に行政改革というものを考えてやろうとするなら、そういう穴埋めも今回はこういうことで提案しましょう、しかし同時に、将来ともこういうことを、時期が来れば必ず穴埋め特別損失でやりましょうということを繰り返していこうという考えで同じように出してきているんですかね。私は、そんなことだったら、この今回の特殊法人見直しを含めた行政改革精神と外れるのじゃないか。もし本当に、損失を将来とも特別損失として、そうして一般会計から交付金で繰り入れるということですけれども、そういう穴埋めのことを考えるなら、じゃ将来はもうこういう穴埋めは二度としません、そういうことぐらいまで考えるようなものも一緒に出してこなければ片落ちじゃないんですか。それは、だって行政改革精神に反するじゃないですか。いかがですか。
  19. 梅野捷一郎

    梅野政府委員 今回の特別損失繰り延べ措置につきましては、御案内のように、近年の景気対策として、住宅投資の積極的な支援をしていこうということが景気対策の大変な大きな柱になった わけでございまして、その間、例えば五年度でいいますと七十七万戸、今年度につきましては九十九万戸というような、従来金融公庫融資をいたしましたベースから見ますと大変な数の融資をしまして、一般住宅投資を積極的にプッシュしていこうという政策がとられたわけでございまして、今回の特別損失制度の延長という形での御審議お願いしているわけでございます。  これにつきましては、そういうことと、金利がその後上昇局面にあるというようなことから、大変な補給金がそういうことから必要になってきておるという状況でございまして、それを単年度あるいは短期に補給金を処理をするということは、現在のシーリングのもとにおきます予算の中では大変なアンバランスを生じるということから、できるだけ平準化しながら今回の措置についての対応も回らせていただきたいということでお願いをし、御審議をいただいている趣旨でございます。  また、先ほどの大臣のお話にもありました、その問題と並行し、あるいはまた土台となる金融公庫自体業務のこれからの運営について、どういう考え方で取り組むべきかということについては、例えば、ことしの予算案におきましても出ておりますように、特別割り増し制度というようなものを、民間金融とバランスをとりながら、公庫としては役割を重点化して縮減をしていこうとか、その他の、例えばゆとり償還制度見直しますとか、そういうことで、従来それぞれの時期時期で求められた制度につきましても、今日の時点で厳しく見直しをし、民間金融との協調の中で整理をして、重点化をきちんと図っていこうということを考えながら取り組んでいるという状況でございます。
  20. 山本幸三

    山本(幸)委員 それは、景気対策として住宅を大いにやったというのはわかりますよ。だけれども、そのときに、じゃ、それだけやれば将来これだけの負担国民にかかりますよということをどれだけの人が理解していたかですね。正直言って、私は知らなかった。  今回こういう法案を見て、こんなことをやっているのかとびっくりしたわけですね。大体、そもそも財政法規定からいっても、将来に財政負担を義務づけるような考え方というのは、財政法精神に反するのですね。だから、いずれにしても、そういう負担までかかるんだということを理解しないでどんどんやるということは、これはやはり問題だと思うのですね。これを今後ともどんどん繰り返していくのかということになると、私は疑問を感ぜざるを得ない。  おっしゃるように、そういう割り増し制度をなくしていくとかいうことで努力しているというなら、将来はこういう特別損失制度でもやりません、あるいはそれは何年計画でこういうものはなくしていきますという、少なくとも将来展望がなければ、この穴を埋めることだけをいつもやれと言われたって、それは行政改革精神にも反するでしょう。おかしいんじゃないですか。少なくとも、将来展望としてどの時点で特別損失は切っていくんだ、あるいは将来は、そんな一遍にはたくならないかもしれないけれども、五年計画、十年計画で将来はこういうふうにしますという展望がなければ、こんな穴埋めばかりは認められないのじゃないですか。それはいかがですか。
  21. 梅野捷一郎

    梅野政府委員 一つは、先ほど御説明をいたしました、近年の経済状況におきます、金融公庫を積極的に活用して住宅投資を活性化しようという政策は、どの程度でやるのか、どうするかということは、当然、現在も継続した状況がある程度続いているわけでございますが、やはり相当の消費あるいは設備投資というものがなかなか展望が開けない中で、いわば唯一、公共投資と住宅投資というものが今日のそのときの景気を支えていく、あるいは牽引をするという役割を相当に重視をされた。  私ども、そういうものについてはそういう考え方であったということでございまして、そういうことで、公庫の、当時から、それに伴います補給金が相当に増嵩するということは当然に予想されたわけでございますけれども、そのことよりも、住宅投資を活性化するということにより大きなウエートをかけて、そういう政策の選択がされたものというふうに私ども思いますし、先生にも御理解をいただきたいわけでございます。  また、それに対します特別損失の処理につきましては、ここでも当然入っておりますように、この処理の仕方については、当面五年であって、十七年までに適正な状態に持っていくという枠組みで改正お願いしているところでございます。  今後とも、そういう公庫自体の本来の性格と、さまざまな他の政策と協調し、合わせていくというようなことも、ないとは言えないわけでございますけれども、今回の御審議お願いしている内容については、今申し上げたような考え方で御審議お願いしているということでございます。
  22. 山本幸三

    山本(幸)委員 どうもよくわかりませんが、では将来、特別措置は、今平成十七年度までということになっているんですね。それ以降は、もう特別損失というのはやらないというように決断しているんですか。
  23. 梅野捷一郎

    梅野政府委員 この補給金というものは、これからの金利動向等にも当然左右される点がございます。したがいまして、確定的なことを申し上げられないというのは、幾つかのそういうこれからの環境条件の変化に伴う部分についてはやむを得ないわけでございますが、私どもとしては、現在、およそ安定的な状況で推移をするとすれば、今回の特別損失制度の中で今回の処理はおおむね終えられるであろうというふうに考えているところでございます。
  24. 山本幸三

    山本(幸)委員 それじゃ、十七年以降はよほどのことがない限りやらないというように理解しておきますが、いずれにしても、こういう損失が出れば必ず穴埋めするということを繰り返していたら、それは金融公庫だって合理化しようとする意欲はわかないのですよ。それは、金額は少ないかもしれないけれども、そんな損失は出せないんだ、本来民間企業では出せませんよ、そんなもの将来に繰り延べてなんていうのは。倒産ですよ。  だけれども、そういう、どこかで歯どめがきくから、一生懸命コストを下げようとか、人件費を節約しようとか、経費を節約しようとかいうことになってくるわけですね。これはそれがないのですよ。必ずこの法律で、法律改正で、損が出てくれば毎年毎年、毎年じゃないけれども、出てきたら、それは必ず将来穴埋めしてやりましょうということを繰り返してきた。  私は、これはもうそろそろ考え直さないと、行政改革にも問題を生ずるし、つまり、今の特殊法人の問題というのは、これは住宅金融公庫だげじゃありませんけれども、どんどんそういう赤字穴埋めを、今まで安易に繰り返してきた、その結果、財政が火の車になってきた。将来、これは財投が、これから郵貯も含めて議論するということでありますけれども、二十一世紀になったら、二〇〇一年に、一九九一年に大量に集まった郵便貯金の定期貯金の解約客、そうすると、それが本当に戻ってくるかどうかわからない。それから、年金の積立金も今度は出ていくんですね。そうすると、財投の資金は当然小さくなる。もうそのことをこれから考えてやっていかなければ、あるいは一般会計からの交付金の将来的な姿というものもどう縮小するかということを考えていかなければ、税金を上げるしかないですよ。  だから、今までの御答弁から推察すると、もう行政改革幾ら出せるかわからないと言っているんだから、これは来年の見直しのときには、もう消費税率、もうちょっと上げるしかないという方向に動いているんじゃないですか。  そういう意味で、こういう住宅公庫の、今までと同じように、損が出ればそれをどんどん穴埋めしていきますというようなやり方は通らない。少なくとも、将来はこういうことはもうしないのだとか、あるいはどれくらいの展望を持って、こういうことは繰り返しませんということがなければ、こんたものは簡単に認めるわけにはいかない、そういうふうに私は考えております。  それでは、次の質問に移ります。  都市の居住性を高めようということで改正案が出ているわけですが、先日玄葉先生の御質問のときに、こういうふうに二戸建てから高層アパートとかをつくるようなことをやれば地価は上がるか下がるかという御質問をされたときに、地価は下がると答えられた。その根拠はどうしてですか。
  25. 山田榮司

    ○山田(榮)政府委員 御質問趣旨、二月建てと高層住宅の比較ということでございますが、先般お答えしました趣旨は、二月建てと高層住宅のどちらに有利に働くかということでございますけれども、これは立地条件等によって異なるので一概に申し上げられないということでございます。ただ、高度利用すべき地域において低利用にとどまっている場合には、保有コストの増大に対応する土地利用を促す効果があるというふうに私ども考えているとお答えしたわけでございます。
  26. 山本幸三

    山本(幸)委員 よくわかりませんが、地価がどういうふうにして決まるかということなのですね。これは常識的に考えれば、地価というのは、その土地を利用してどれだけの収益が将来上がるかということによって決まると思うのですね。そうすると、二戸建てで使っているよりも、高層のマンションでも建ててそこから上がる地代収入の方が高いに決まっているのですね。そうであれば、当然その土地は、二月建てとほかのことを一緒くたにして議論したらそれは議論になりませんよ。ほかの条件は一緒で、二月建てと高層住宅をつくった場合にその土地の地価は上がるかどうかというのは、当然高層住宅をつくった方が地代収入が上がるのだから、地価は上がるのですね。僕は、先日地価が下がると答えた理屈がわからない。  そこで、関連してお伺いします。  今回の法案改正趣旨は、大都市で二戸建ての住宅とかそういうものがある場合に、それをできるだけ高層住宅にして高度利用していきましょう、そのためにいろいろな好条件といいますか、そういうものを認めましょうということです。私は、そういうことを議論する最初の根本として、先日の委員会でも御質問しましたけれども、そういう政策をやるのなら、もとの税金、土地保有税によって一体どういう現象が起こっているのかということをしっかり理解しておかなければ、そんな政策ばかりまた別の法律をつくってやったって、それは意味がないということで御質問したのです。  そのときに、四つの質問をしました。一つは、まず土地保有税が上がったら、一体地価は上がるのか下がるのか。それから二番目は、その土地保有税が上がったら、宅地開発のタイミングは早まるのか遅くなるのか。三番目は、今度は宅地開発をやるとした場合に、二戸建てが選択されるのか、それとも高層住宅が選択されるのか。それから四番目は、ちょっと違いますが、農地について日本では税制上有利な取り扱いがされている。そのことは、翻ってみると日本全体の宅地開発についてどういう影響を与えているのかということで御質問しました。その答えで、四問中正解は土地が下がるという一つしかなかった。あとはみんな間違っていた。  委員長のお許しを得て、ちょっとパネルを使いますけれども、数式が入って大変申しわけないのですが。  土地の価格というのは、Ptとして、それは将来の地代収入rtとキャピタルゲインΔPt、それによって決まるわけです。その収益率、つまり土地を買って、そしてそれを使って収益を生む、それと、それ以外のものに投資したときの収益率とを比較しながら土地を買うか売るかを決めるわけですね。税金がない場合は、この式が成り立つ。もし税金が入ったら、土地保有税ですから、本当は左側の収益が、(rt+ΔPt)、マイナスの土地保有税率(τ)掛けるPtだけ減るのですよね。そういうことで均衡が成り立つのだけれども、それをこっちに移すと、結論的に言えば割引率、収益率が土地保有税率だけ高くなる。したがって、地価はこういう式で計算されるのだから、この土地保有税率だけ分母が大きくなるのですから地価が下がってしまう、これが正しい。  ところがそうなると、では宅地開発はどうなるかというと、宅地開発はタイミングとして、将来の地代収入というのは、将来時期がたてはたつほど少しずつ上がっていくでしょう。これは常識ですね。バブルがあって、バブルが崩壊したという特殊な時期を除いては、通常は将来的には地代収入が上がる。そのときに、例えば宅地に開発するときには費用がかかる。土地の区画整理をしたり、あるいは建築コストがかかる。その固定コストがかかる。この固定コストと地代収入との比較で、宅地開発するかどうかというのは決まるのですよね。なぜならば、もし宅地開発をやらなかったら地代収入を失うのだけれども、そのかわりコストである固定費用にそのときの利子率を掛けたiCという分だけが得するわけなのです。将来的にはここで、一致するところで宅地開発が始まる。今保有税率がない場合、保有税率が低い場合にはこういうところで決まっていたのが、保有税率が上がるとこのiがi+τになるわけですから、タイミング的にはおくれてくるのですね。つまり土地保有税、これを高い水準にしておくと、宅地開発がおくれるのですよ。  それからもう一つ。では、二月建てをやるか高層住宅をやるかという選択になると、割引率が高くなるとなるべく早く収益を上げるというインセンティブが働く。そうすると、固定費用の安い一戸建てをつくろうとするのですよ。短期的には、二戸建てがふえるから住宅がふえるけれども、しかし高度利用は避けられる。  だから、私の言いたいのは、こんな法律をつくって無理やりやるよりは、保有税を安くすればもっといい効果が出るのですよ。ところが、今やっている政策というのは、地価税はかけ、保有税は評価を上げようということをやっているわけですよ。つまり、建設省がこの法案を出そうとしている目的と反することを税制でやっているわけです。おかしいではないですか。その基本を変えることが先決ではないですか。そんなことをやらないでこんな法律をつくってやろうというのは、全然政策的に整合性がない。この点について、大臣いかがですか。
  27. 小野邦久

    ○小野政府委員 お答えをいたします。  四点のうち一点だけ合格をした、あとの三点は不合格であったということで、私、そのうちの二点の担当でございますので大変恐縮に思うわけでございますが、大変、一つの御卓見をいただいたと思っておりますが、ただ、宅地開発をやる場合に、確かに理論的に先生指摘のような点もあると思いますけれども、逆に、保有税を上げますと、やはり土地を持っていることに対してのそれなりのマイナスの効果というのが当然出てまいります。持っておりましても、それだけ毎年毎年税金が上がってくるということになりますと、素地の提供者は、やはり素地を売ろう、そういう形のインセンティブにもなるわけでございます。  過去、宅地開発につきましては、素地の提供者に対して、例えば軽減税率の適用とかいうようなことから政策的に素地を出していただくようなことをずっとお願いをしてまいりましたけれども、そういうことも、保有税がやはり高いということが一つの宅地の供給、素地の提供をするインセンティブになるのではないか、こういう感じがずるわけでございます。  肝心の先生の御質問の点で、都心居住政策を推進する場合に、むしろ土地保有税を引き下げる、そういうことの方が先ではないか、それをやらないで都心居住に、例えばいろいろな住宅を呼び戻すといったようなことをやっていくのは政策的にも矛盾しているのではないか、そういうお考えではないかと思うのでございます。  ただ、これにつきましては、住宅用地についての固定資産税につきましては、当然、先生案内のとおり、住民の日常生活に最小限必要と認められるようないわゆる小規模住宅用地、これの課税につきましては、二百平方メーター以下のものについては、例えば台帳価格の六分の一とか、それ から都市計画税につきましても三分の一といったような特例措置があるわけでございます。これは先生案内のとおりでございまして、これが現在法案でいろいろお願いをいたしております都心居住型のマンションにつきましても当然適用されるわけでございまして、やはり住宅用地の所有者に対して、固定資産税、都市計画税だけではございませんけれども、そういういろいろな観点からの配慮をするということによって、あわせてやはり都心居住型の住宅政策というものをこの際推進をしていきたい。私どもとしては、その政策の中にやはりそれなりのバランスがあるというふうに考えているところでございます。
  28. 山本幸三

    山本(幸)委員 その最初のあれが間違っているのですよ。保有税をかけたら土地を売って宅地供給がふえる、そんなことはあり得ない。それはどうしてあり得ないかというと、例えば、土地というのは全体の供給が決まっているのです。これは土地の一番、まあ埋め立ててそれはふえるかもしらぬけれども、それは非常に限界的だ。  では今、宅地か農地かという選択で保有税をかけたときに、本当に宅地供給がふえますかという議論になってしまうのですね。そういう単純化して議論を考える。  ところが、保有税というのはどの土地にも同じようにかけたときには宅地供給に全く影響を与えない。つまり宅地の需要が、保有税をかけるとこれは落ちます。しかし、同じ税率で農地についてもかけると、当初の宅地供給の量と保有税をかけた後の宅地供給の量は変わらない。これが保有税の宅地供給に関する中立性の原理という、これは税制を議論するときには必ず知っておかなげればいけない。間違っているのです。  もう一つ言うと、ところが、おっしゃったようにいろいろな土地で変えると、この資源配分がおかしくなってくる。宅地だけは保有税をかけて農地だけかけなかったら、宅地の供給はこっちに移って減るのです。あるいは地価税というのでそういう特別なところだけ保有税をかけると、そういう部分のものが保有税がかかってほかのところはかからないのだから、そういうものを使って利用しようという土地の量が減るのです。これは保有税の非常に意味のあるところで、したがって、本当にこういう都心に高層住宅をより建てたいとするなら、固定資産税の大都市の税率を下げるか地価税を取っ払うか、そういうことをやる方が先決なのです。そういう根本的な議論なしにこんな政策をびほう的に出してきたって、私は、余り効果がない、もっと整合性のある政策をやってもらいたい、そういうふうに思うのです。いかがですか。
  29. 小野邦久

    ○小野政府委員 お答えを申し上げます。  市街化区域内の、例えば農地でございますけれども、これにつきまして過去どういう形で転用が行われてきたのかということを調べてみますと、例えば平成三年から四年にかけてでございますけれども、平成三年に、御案内のとおり長期営農継続農地制度が廃止になっているわけで、宅地並み課税が実施という形になりまして、平成三年に比べて平成四年は、市街化区域内農地につきまして宅地並み課税を実施することによって四〇%住宅目的の転用がふえているわけでございます。平成五年は平成三年に比べて、これは宅地並み課税を完全に実施した時期でございますけれども、二八%ふえているということがございます。  やはり、例えば市街化区域内農地につきましても、宅地並み課税というものを実施することによってそれだけ住宅目的への転用が出てくるというような、そういう統計もございます。したがいまして、私どもでは、やはり住宅目的のためにはそれなりに保有税の、今の私が例で申し上げましたのは特定市街化区域内農地の問題でございますけれども、いろいろな条件もあると思いますけれども、一般的にはやはり保有税というものは、素地提供という点で宅地開発にそれなりのインセンティブが与えられるのではないかというふうに私どもでは思っております。  今、先生指摘になりました表についての詳細な認識は私まだございませんので、大変恐縮ではございますけれども、いろいろな御意見もあろうと思いますが、ただ、現在私どもが進めております都心居住の政策と税制上の観点の中に一つ政策的な整合性がないではないか、あるいは矛盾があるではないか、そういうようなことではないというふうに思っております。
  30. 山本幸三

    山本(幸)委員 今お答えになったのは、全く私が言っていることをそのまま言われたわけですね。  つまり、農地にそれまでかかっていなかったから農地の供給が多かったのが、ほかの宅地と同じようにかければゆがみが是正されるわけですね。つまり、保有税というのはすべてに同じようにかけるということに意味がある。これをあるところだけかげてあるところだけかけないというやり方というのは、保有税の一番特徴的なものをなくす、あるいは低いところだけのものを余分に供給させるという、資源の配分のゆがみを起こすのです。ただ、それを少し是正しただけなのですね。  ちょっとそれに関連してお伺いしますけれども、そういう意味で私は、地価税というのは大変問題があるというふうに思っているのです。つまり地価税というのは、今までの話からわかるように、その土地を持っている最初の人にペナルティーをかけるわけですね。保有税というのは一瞬のうちに将来の地代を計算して地価に反映してしまうから、最初に持っている人だけにペナルティーをかける、そしてこういうある一部の地域だけの土地供給というものをゆがめてしまっている。恐らくその地価税がなければその部分は宅地供給に提供されるかもしれない。それも外されているわけです、特に地価税というのは大都市にかかっているわけですから。  そういういかなる理由からいっても資源の配分をゆがめるし、そして土地を持っているというところにペナルティーをかける、そういう税金がまともな税金だと私は思えない。しかし、国土庁はそれでも地価税というのはいい税金だと思っておられるのですか。国土庁長官、いかがですか。
  31. 山田榮司

    ○山田(榮)政府委員 先生のお話、いろいろ聞かせていただきました。  地価税につきましては、一般的に地価が住宅価格を決める大きな要因でございます。例えば、昨年実施しました国民に対する世論調査でも、三分の二の人はまだ地価が高い、何とか低くしてもらえないかというふうなお話でございます。それで、地価税もいろいろな宅地供給その他を含めた総合的な土地対策の一環として、二度と地価高騰をさせない、土地に対する資産選好を弱めるという観点から導入されたものでございます。そういう意味で、なお着実に実施していく必要があるというふうに私どもは考えておるところでございます。
  32. 山本幸三

    山本(幸)委員 地価税というのは、地価を引き下げなければいかぬ、そういう観点から導入されたという話ですが、ではどうして地価が上がったのか。つまり、バブルがどうして起きたかという議論がはっきりしていなければ、どういう対策をとったらいいかというのはわからないわけですね、地価税が一番いい対策なのかどうか。  バブルというのはどうして起きたのですか。
  33. 山田榮司

    ○山田(榮)政府委員 今回の地価高騰につきましては、昭和五十八年ごろから、日本が国際的な金融市場になるということで、業務用地の需要が増大するだろうというふうなことが地価高騰の最初の要因でございました。  ただ、その後地価が値上がりするに従いまして仮需が相当発生した。いわゆるバブルがあったのではないかというふうに私は思っておるわけでございます。
  34. 山本幸三

    山本(幸)委員 その金融市場云々で、将来収益が上がるから地価が上がるというのは、これはバブルではない。これは、当然そういう将来の収益を見込んで地価に組み込まれるというのは、普通の地価の決定の理屈なのですね。バブルというのはそれで説明できない、先ほどの式で説明できない地価の高騰を言うのですね。  それはどうして起きたかというのは、これはいまだに学者の間だっていろいろな理論ありますよ。美人投票の理論とか合理的バブルの理論とかありますが、しかし決定打はない、つまりわからないのです。ところが、そういうわからない現象に対して、私から言わせれば、そんなものはほっておけば直るのです、永遠にいかないのだからどこかで破裂するのだ。  それを税制で縮めようとすると、わからない現象に対して地価税というおかしな税金をつくって縮めようとすると、必ず資源の配分にゆがみを生じておかしたことになる。そういう観点が全然ないのではないですか。つまり、バブルの発生の原因についてよくわかっていない。だから、その対応策というのはそんな税制でやるべきような話ではないのですよ。私はそう思いますが、いかがですか。
  35. 山田榮司

    ○山田(榮)政府委員 先生お話しの中にございましたとおり、私、地価税だけで土地対策が十分やっていけるということではないと思っております。  そういう意味で、平成三年に総合政策推進要綱を決めまして、需給両面にわたる土地対策を着実にやっていくという閣議決定をしていただいたわけでございます。そういう全体の総合的な土地対策の中で地価税その他の保有税を適正化していくということで、利用価値に応じた適正な地価水準を実現していこうということで進めているところでございます。
  36. 山本幸三

    山本(幸)委員 全然そのバブルというものがわかっていなくて、それでああでもないこうでもないといっていろいろなことをやってしまった。それで、その中に地価税が入っているというようなことで資源の配分をゆがめているのなら、こんなもの早くやめた方がいいのではないですか、そういうお考えはないのですか。
  37. 山田榮司

    ○山田(榮)政府委員 地価税の目的の一つとしまして、やはりこれは資産課税でございます。そういう意味で、他の資産等とのバランスという中で土地の有利性を縮減していこうということがございます。そういう意味で、地価税も総合的な土地対策の一環として着実に実施していくということが私ども必要だというふうに考えております。
  38. 山本幸三

    山本(幸)委員 地価税を資産課税だから他の資産とのバランスで考えるというのは、これはまやかしの議論なんです。なぜならば、そういう資産とか所得とか消費とかのバランス論というのは、個人所得のレベルで考える話なんです。個人所得のレベルで資産と消費と所得でそれぞれバランスを考える税制というのはわかりますよ。  ところが、地価税というのは個人所得課税ではない、法人課税ですよ。それでもってバランス論を言うというのはまやかしの議論、それは議論にならない。もしそう言うのだったら、日本の所得税制度法人制度を全部変えなければいけない。そう思っているのですか。
  39. 山田榮司

    ○山田(榮)政府委員 先ほど申し上げましたとおり、やはり土地に対する資産選好を、従来は土地保有税が、土地保有に対する負担が低かったということで、それを是正するために導入された一つが地価税だというふうに私ども理解しております。
  40. 山本幸三

    山本(幸)委員 時間が来ましたので、もっとやりたいのですが、どうも説得力のある議論が全然聞けません。もし保有課税なら、先ほど私が言ったように、保有課税というのは中立的に全部一律にかけるのなら意味がある。けれども、どこかだけを取り出してやると必ず資源配分にゆがみを生じる。そういうおかしな税制はやめた方がいい。過ちは改めるにはばかることなかれ、だれかの有名な言葉です。ぜひそういう観点から考え直していただきたい。  そして、そういう税制度とか基本的なことの措置を抜きにしてこういう都心居住をやろうとか、あるいは最初に御質問しましたけれども、損失穴埋めだけを考えて、展望なしにどんどんこれを繰り返していくというそういう行政は、やはりこれからは問題だ。ぜひそのことを考え直してほしいということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  41. 遠藤和良

    遠藤委員長 次に、樽床伸二君。
  42. 樽床伸二

    樽床委員 新進党の樽床でございます。提出いただいております案件に絡めまして、災害の問題も含めて、御質問を申し上げたいと存じます。  まず、御提出いただいております数々の法案がございますが、我々の認識といたしましては、今回の阪神大震災、それ以前に既に準備をしておられました法案が多数あるという認識を持っております。その後、阪神大震災が起こる、こういうことになりました。大震災の復興に対しまして、これまで用意しておられた法案がいろいろな形で絡まってくるということは十分認識をいたしております。  しかし、地震というのは予測をしてやってくるものではございません。そして、被害状況も非常に大きい。こういうような状況の中で、本来であればこれまで用意しておられたものをより一層よいものに見直していく、こういう努力が当然必要ではなかろうか、こういった認識を持ちつつ、御質問を申し上げたいと存じます。  まず、地方分権という大きな流れの中で、そしてまたこの大規模災害に対しまして、地元兵庫県、神戸市等々がいろいろな案を一生懸命練っておられる。そういう中で、特に俗称フェニックス計画というふうに言われておる計画がございますが、こういった計画に対しまして、大臣のお考えをお聞きしたいと存じます。
  43. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 今委員からお話がありましたように、極めて甚大な災害を受けました阪神・淡路の大震災のその地域におきまして、いろいろな問題もございましょうが、被災者の立場に立って新たな復興計画を立て、兵庫県等ではことしの六月までに都市計画なり区画整理というようなものの計画を完了するというような状況であるというふうに承知をしております。  我が建設省もできるだけの支援、指導助言、そういうものについて、現地に当初から派遣をいたしまして、その体制を固め、そして、御案内のとおりに建築基準法八十四条で一つの網をかけ、具体的な法律をつくり出しまして、スムーズに防災都市兵庫県というもの、神戸市というものをつくり上げていくような方途を講じて具体的に作業を進めておるところでございますので、御理解をちょうだいしたいと思います。
  44. 樽床伸二

    樽床委員 私ども新進党といたしましては、このフェニックス計画等々に対しまして全力で支援をしていきたい、このように考えておりますので、大臣の方でよろしくお願いを申し上げたいと存じます。  そしてまた、そのフェニックス計画、今いろいろ検討中であろうと思いますが、我々が聞いております範囲では、その基本的な考え方の中に、神戸という大都市でありますから、この大都市にこれまで民間の非常に活力あふれる町がつくられてきた。こういったことから考えますと、神戸にある、また関西にある民間の活力、これは住宅復興も含めましての話でありますが、あらゆる面におきまして民間の活力をいかに引き出していくのか、こういうことは大変大きな課題であろう、そしてまた中心的な考え方の柱であろう、私はこのように認識をいたしております。すべてのことを、すべて公のものが出ていって一〇〇%復興する、こういうのは不可能であります。そしてまた、民間の方も大変大きな被害を受けておられる。こういうようなことから考えまして、民間の活力をいかに誘導していくかというようなことにつきまして、御所見がございましたら、ぜひお伺いしたいと存じます。
  45. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 具体的にはまた担当の局長からお答えをいたしますが、概念的に大臣としての見解を申し上げますと、委員が御指摘になっておりますように、神戸の町は活気にあふれた日本的な町であった、したがって、それ以上のものを我々は考えていかなければならぬ。したがって、国や県や被災市町村や、あるいは産業や住民の皆さんが一体となって、一丸となってこれらのプログラ ムを策定をする。そして、おっしゃったように、ひょうごフェニックス計画というものを、みんな住民参加、産業参加の中でつくり上げて、しかもスピィーディーにつくって、そしてそれを具体的に実行してまいりたい、こういうふうに考えております。  そういう意味では、モデル防災都市づくりを計画の第一の目的にして、そういう状況から福祉の問題なり経済の活性化の問題、効率性の問題等を一つ一つこのフェニックス計画の中で持ち上げておられますから、既に素案はでき上がった段階でありますから、それについて指導助言をし、協力をしながら積極的に財政経済援助もして、立派な世界の神戸、世界の兵庫をつくっていかなければならぬ、そういう決意で作業を進めておるところでございます。
  46. 梅野捷一郎

    梅野政府委員 先生指摘のとおり、また、ただいま大臣から包括的な御答弁を申し上げましたように、今回の震災復興に当たりまして、公共だけが頑張って立派な都市になるということは当然ございませんし、また公共サイドにすべてをやるだけの、手に余ることも当然でございます。したがって、復興に当たっては、民間活力を積極的に活用するということは当然でございますので、この法案でもございますように、特別な措置をして、例えば区画整理をするというのは、そういう民間活動の土台になる基盤をできるだけ用意をして、しかる後、力強い活動に移っていただこうという趣旨があるわけでございますし、また生活面では、当面あれだけの被災者がいらっしゃるわけでございますので、まずは公共サイドも今までとは違った形で相当の力を入れなければいけないということでございます。  また、単に家をなくされた方々にお入りいただくというだけではなくて、被災されたマンションや戸建てをきちんとした時期に建て直していただくというためにも、我々がこれからやろうとしております公的な住宅に一たんお入りいただいて、それなりの時間を持って、しっかりした考え、あるいはしっかりした準備の中で再び自分の家に立ち向かっていただくというようなことも考えながらやっているわけでございます。直接的には、当然、金融公庫等を活用いたしまして、自力で再建をされる方にはできるだけ条件のいい形で御活用いただいて取り組んでいただこうとか、あるいは、今もございましたように、同じ再建をされる場合には、防災とか町づくりとか、そういうものにも通ずるような形で頑張っていただくために、できれば再開発的な形でやっていただけるように、助成の準備をしながら頑張っていただこうというようなことで考えているわけでございまして、御指摘のとおり、あくまで中心は民間活力であるというふうに考えているところでございます。
  47. 樽床伸二

    樽床委員 大変力強いお言葉、ありがとうございます。  確かに、今現在、仮設住宅が早急の課題であるというふうには存じております。今お話がありましたように、まずそこに入っていただいて、そして本格的な復興に備える、こういう一段構え、二段構え、そしてその後の、またさらに三段ぐらいの構えでいかなければいけない、このように考えているわけでありますが、実際、住民の方々も仮設住宅に未来永劫住み続けるわけにはまいらぬわけでございまして、その後、本来の自分たちの持ち物としての家をいかにいい形できちっと建てることができるのかというのは、これは実は大きな課題であるわけであります。  そういう点で、こういう政策をします、ああいう施策をしますというのは、まことにありがたい話でありますが、その最もスタート段階におきまして、実は私の認識では、つまずきが出ているという認識を持っております。それは、大臣も震災後すぐのテレビでも、赤と黄色と緑の紙をしっかりとお示しいただいて、一刻も早くこの紙をそれぞれの倒壊、半壊した住宅に張って回って、そして皆さんの判断の基準にしたい、こういった御意見もあり、これはいいことだなと思ったわけでありますが、私は、我が党の現地対策本部に担当として何度も行っております、そして、神戸の町をいろいろ見る中で、どうもその基準がよくわからぬということも多々あるわけであります。  なぜこれが赤だのか、なぜこれが毒なのか、こういう混乱が実は生じておったということも私は感じております。これをだれのせいにするつもりもありません。非常に突発的に起こりました地震でありますので、神戸市そのものも、お役所そのものも被災をする、こういう条件の中にあるわけでありますから、混乱が起きたのを、今時計の針を逆さに戻して責任を追及するということはするつもりはありません。  しかし、今後のことを考えていきますと、その後、義援金をもらうために、罹災証明が出される等々のいろいろな全壊、半壊というランクづけといいますか、そういうことが各行政で行われておる。実は、これが当初の基準もあいまいであった、それにまた違うところからそういう証明が出る、こういうことで、大変現地が混乱をしているというのは、私は認識として持っております。  正直言いまして、民間の方の活力を生かしていくということにおきましては、そういうランクづけをされた住宅を、お住まいであった方が、自分の家を再建したい、こう思われたときに、先ほどお話ありましたように、補助はどうなるんだろうか、助成はどうなるんだろうか。これは今御検討いただいていることであろうと思いますが、それも倒壊の程度を全く無視してすべて一律にというわけにも恐らくいかぬだろう、こういうふうに思います。  そうすると、ここまで壊れたものはこういう補助がある、助成がある、この程度のものだったらこれで我慢してください、こういうことをしっかりと統一的な基準をつくっていかなければ、民間の方といたしましても、どのように計画を立てていいのかわからない。  平時でありますと、大体経済原則にのっとって、これで経済的にペイするとかいろいろなことで、平時であればそれで資産価値も、バブル等々の問題ありますが、判断できるわけでありますが、このように余りにも多くの家が倒壊をしているという現状の中では、その壊れ方のぐあいというものが今後の計画、家を建て直す計画に対して大変重要な意味を持つわけであります。そこの基準が非常にあいまいである、こういうことになりますと、建てようとする民間の方も、一体これに対して我々はどう考えていいものだろうかということがわからない。それに対して統一的な何か基準を早急につくっていただかないと、スタートラインでつまづく、こういうことに私は現在なりつつあるということを大変強く危惧をいたしておるところであります。  例えば、そういった中で、復興の統一的な基準を持つ窓口をつくって、そこの方によって出された基準が統一的なものであるというようなことを設けるとか、そういったことをしていただかなければ進まない、こういう認識を持っております。  話が長くなって恐縮でありますが、例えば罹災証明におきましても、大体各自治体におきましては、私が聞いておる範囲におきましては、固定資産税課の方が罹災の状況を全壊、半壊、大丈夫、こういうことをつけておられる。しかし、神戸市におきましては、固定資産の評価が構造体というものは四〇%しか見ない、こういうことになるわけであります。そうすると、構造体が半分壊れていたとすればこれは二〇%、四〇%の二分の一でありますから二〇%の被害、こういうことになるわけであります。二〇%というのは、これは半壊かな、こういうような判断もされるかもわかりませんが、実際、構造体が半分いかれているということは、これはもう住めないということにほかならないわけでありまして、そういったことの統一をぜひともしていただかないと、今後の家を建て直す建築的な判断においてなかなか難しい、こういうふうに私は考えております。  そういった統一的な基準をこれからつくる意思があるのかないのか、ぜひお聞かせいただきたい と存じます。
  48. 梅野捷一郎

    梅野政府委員 ただいま被災建物の評価をどうするかという関係で、一つは、私どもが動かしました、先ほどの三段階に分けて判定をしていくという活動と罹災証明という、これが先生おっしゃいますように、実際の現場において、罹災者がそれぞれの判断なり役割なりというものが十分わからない中で混乱をしているということは、まことにおっしゃるとおりだろうというふうに思うわけでございます。  そうでございますが、せっかくの機会でございますので若干御説明をさせていただきたいわけでございますが、今回私どもがやりましたのは、応急危険度判定というのをまずやった。先ほどおっしゃいました紙を張っていったものでございますが、これにつきましては、大臣の命令によりまして、翌日の十八日から実は動かしたものでございます。最初は、二千八百数十棟にわたって、それはもう文字どおり危険であるというものをできるだけわかりやすく表示をした。それ以降、つい数日前、二、三日前でございますが、全体としては四万七千棟の、特にマンションやアパートを中心にいたしまして、四万七千棟を延べ六千五百人の専門家が判定をして回ったという状況でございます。  この判定の基準につきましては、私どもが官民一体となって研究開発をいたします総合技術開発プロジェクトというものがございます。その中で、震災建築物の復旧技術開発というものを五年がかりで研究したものがございます。これは昭和五十六年から六十年までの研究でございまして、その成果の中で、今回使いました被災した建物を判定をしていく、応急に判定をしていくという技術をつくり上げておるものでございます。それを、今回、先ほど申し上げました延べ六千五百人の人間が、おおむねバランスのとれた中で判定をしていったというものでございます。しかも、この目的は二次災害を防止しようということで、あくまで災害防止という観点からやったものでございます。  したがいまして、趣旨がそういうことであるということと、判定の内容は、その限りにおいては、今申し上げたようなことで極めて客観性も高く信頼性も高いという、その限りでは、今回の目的としてはそういうふうにぜひ御理解をいただきたいということでございます。  それから、罹災証明の関係につきましては、私どもの担当でないということであれするわけではございませんが、少なくとも、資産価値としてどうであるかということを中心に評価をされておるということでございまして、罹災者の皆様方がその関係がよくわからないという問題をどうするかという広報上のことが問題でございますけれども、判定基準の内容が、今申し上げましたものと罹災証明のものとがずれてくるというのは、目的が完全に違うことでございますので、これは御理解いただくよりしょうがない。しかし、そのことを十分広報しまして、趣旨が違って意味が違うということを御理解いただく点は、こういう状況でもございまして、十分でなかったということは言えるのではないかというふうに思うわけでございます。  それから、後段の方でお話がございました、当然、これから現実に、物を壊すのか、修繕するのか、どうするのかということは、もう一歩突っ込んだ技術的な判断も要るわけでございまして、その点については、先ほど申し上げました研究の中でも、さらに専門的に突っ込んだ判定をする仕組み、判定の技術上の基準といいましょうか、診断基準というものを整理したものを持っております。  したがって、私どもは、できるだけそういう客観的、技術的内容のものに従って御相談に応じるように、それが比較的、今日考えられる最も客観的な評価になるわけでございますので、その窓口を統一的に、また積極的に御利用いただけるような窓口を設けようということで準備をしているところでございます。その窓口には、単に判定するというチャンネルだけではなくて、それ以降の資金の問題であるとか、いろいろなことにも総合的に応じられるように、窓口を今整備中でございます。
  49. 樽床伸二

    樽床委員 最後の、今後そういうような取り組みをされるということでありますので、これは早急に、ぜひとも行っていただきたい。もう既に一カ月が経過をいたしておりまして、そろそろ、自分たちの家がこれからどれだけ本格的に復興できるかどうかということを皆さんがより一層身に迫って考えておられる、こういう時期でもございますので、ぜひともよろしくお願い申し上げたいと思います。  その場合に当たりまして、一つだけ私の意見があるわけでありますが、余りにも倒壊しておる家が多過ぎるという、多過ぎるというのは、大変大きな被害でありますので、一つ一つ張っていくというのは大変大きな労力がかかるわけであります。ですから、家を新たに建てかえる、また補修しようという方がそこに行ったらきちっと判断してもらえるということを広く神戸の方に告知をしなければ、東京におりますのと全く状況が違うわけであります。交通の便も大変悪い、そしてさまざまな情報が飛び交う、デマ等々も飛び交う、こういうような状況にありますので、しっかりと告知をしていただきたい、このように重ねてお願いを申し上げたいと存じます。  そして、実はもう一点、別の御質問をさせていただきたいわけでありますが、今回出ております電線地中化の法案に対してお聞きをしたいわけでありますが、C・Cボックスという最も簡易なシステムを今回提案をいただいたわけでありますが、私は、これはこれで十分意義があることであろう、こういうふうに思っておりますので、ぜひとも推進をしていただきたい、このように考えております。  今回の震災でも明らかになりましたように、共同溝というのは、最も大きなお金がかかるシステムでありますが、そのライフラインを守るための防災力というものは大変高く評価をされておる、このように考えております。神戸市におきましても、報道等々でもなされておりますように、共同溝をこれからの防災モデル都市の一環として推進していきたい、こういうような意向もあるようでございます。しかし、何分がなりお金がかかるシステムでございます。しかし、お金がかかるから、こういう一言ですべてを片づけますと、何らこれまでと変わるところがない、こういうような一ことも思っております。  幸い、六百三十兆円という公共事業をこれからやっていこう、こういうときであります。そういう中で、この六百三十兆の中でぜひとも共同溝をしっかりと位置づけをし、そしてこれは我々の子、孫の時代にまで残っていく資産であります。そういったことを考えますと、国家百年の大計、こういうように昔からよく言われておりますように、百年計画というような計画を立てて、その中で公共の資金を投入し、それを百年間で回収するというくらいの長期的な、非常に長いタイムスパンで考えて、この共同溝をこれからさらに推進をしていく必要があるのではなかろうか、このように私は考えるわけでありますが、大臣の御意見をちょうだいいたしたいと存じます。
  50. 藤川寛之

    ○藤川政府委員 大臣答弁の前に、私の方からまず御説明をさせていただきます。  今、委員の方からお話がございましたように、ライフラインでございます上水、下水、ガス、それから電力線、通信線、そういうものを収容する共同溝というのを昭和三十八年から整備しているところでございます。主に、大都市の幹線道路を中心に整備を進めてきたところでございますが、お話がございましたように大変建設費が高い、それからライフラインの事業者の協力のもとにやっていかなければいけないというところがございまして、現在まで三百三十キロしかまだ整備されていないという状況でございます。今回地震がございました神戸市につきましては、神戸市はわずかなんですが、兵庫県内でもまだ八キロという状況 でございまして、そういう面では、大変整備が進んでいないという状況でございます。  今お話がございましたように、今回の地震で共同溝というのが構造的にはほとんど被害を受けなかったということでございまして、そういう意味では、この共同溝の耐震性というのが一応評価された形になっているというふうに私ども考えているところでございますが、一方で、今お話がございましたように、ライフラインが今回随分やられまして、まだ水道とかガスが復旧していないというような状況でございます。  ですから、これから災害に強い、安全で快適な町づくりをやっていこうということで、神戸市あるいは阪神地域の震災復興計画の中で大きな課題は一つとして取り上げるということが言われておりますし、今回の地震を踏まえて、恐らく全国的にも災害に強い町づくりということをこれから考えていかなければいけない。そういう中で、都市におけるライフラインの耐震面での安全性それから信頼性ということが強く望まれるわけでございますので、私どもといたしましても、この共同溝の整備をこれから積極的に進めていかなければいけないだろうというふうに考えております。  その際、やはり問題になりますのが、ライフラインに関連する事業者の御協力がなければいけないということでございまして、そういう面につきましても、建設費の一部を負担していただいておりますから、その辺の負担の問題、それから事業者の負担に対する低利融資の問題等がございますが、その辺についても十分配慮することをこれから検討していこう。そういう中で、百年計画というようなお話がございましたが、私どもとしてもやはり長期的な視点に立って、計画的に、また今までよりもより重点的に、この共同溝の整備を進めていきたいというふうに考えているところでございます。
  51. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 委員がおっしゃるように、きのう御論議がございましたが、人の命は地球よりも重い、我々は不完全なものを後代の皆さんにお送りすることはできない、かつてない大震災というこの教訓を受けて、金が必要であっても、それはそれに対応する施策を進めていかなければならぬ、こういうふうに基本的に考えております。  したがいまして、皆さん方がおっしゃるように、都市づくりというのはまず安全性だ、そして利便性が必要である、そして快適な都市というものを考えていかなければならぬ。その中では、福祉の問題や、あるいは文教の問題や、病院の問題や、たくさんございますけれども、六月までにできる緊急三カ年の住宅対策というようなものは、兵庫県で詳しく出しております。  そういう意味で、我々は、防災都市神戸、兵庫というものをつくっていかなければならぬ。そのためには、景観から見ても、あるいは快適性から見ても、利便性から見ても、立っておる電柱よりも、六億円かかったものを建設省としては随分と検討して一キロ二億円でできるようにし、事故があってもすぐはぐって修理ができる、こういう安全性も考えて、それを推進していかなければならぬ。今度の補正予算にも、先生がおっしゃったようなそれらについては要求をして、第二次補正を二十四日には提案をするということになろうと思います。  要するに、我々は、堅牢な都市を、そして世界に冠たる都市づくりを強力に進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  52. 樽床伸二

    樽床委員 そろそろ時間が参りましたので、最後に、別に嫌みを言うわけではございませんが、一言、素直に感じたことを言わせていただきまして終わりたいと思うわけでございます。  もうさんざん、政府の初動態勢がいろいろ議論をされたところでありますが、昨年のロサンゼルスの地震において、高速道路が倒れる、そういう映像を我々は見ました。我が国といたしましては、我が国の高速道路は大丈夫である、こういう発表もなされました。その高速道路がつぶれたという映像が朝からどんどん我々の目に入ってきたわけであります。ということは、これは関東大震災級またはそれ以上の地震があったということを即座に判断できるはずであります。  しかも、場所が神戸、こういうことを考えますと、たくさんの方が住んでおられる、これは関東大震災級の地震に違いない、こういう判断を、これは情報が上がってくるとか上がっていないとか、そんな以前の問題で、直観的に判断をすべきではなかったろうかというふうに、私は素朴に感じるわけであります。亡くなられた方には大変申しわけない話でありますが、関西ではよく言われていることでありますが、もしあと二時間遅ければということを考えると、我々はぞっとする思いがするわけであります。  そういったことを考えまして、もう済んだことをとやかく言うつもりはございませんが、そういったきちっとした判断をいただきまして、今大臣がおっしゃっていただきましたような前向きな努力をぜひともお願いをしたい。私は神戸の隣の大阪に住んでおりますが、我々の関西一円に大きな被害を受けました今回の震災であります。ぜひとも全力の努力お願いを申し上げまして、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。
  53. 遠藤和良

    遠藤委員長 次に、吉岡賢治君。
  54. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 被災市街地復興特別措置法についてお伺いをしたいと思います。  阪神・淡路の被災市街地を緊急に復興し、防災性の高い町づくりを実現するとともに、大規模災害が発生した場合にも即時に対応できるよう、都市計画が定められるまでの間の建築制限あるいは土地区画整理事業特例について必要な措置を講じてもらったもの、このように思っているところであります。この点について、被災地の自治体あるいは住民の要求、こういうものに真剣に検討を加えていただき、要望にこたえていただいた内容であることを感じておりまして、また、現地の自治体にもお尋ねしましたが、この法律で随分助かる、こういうようなこともお伺いをいたしておりまして、今日までの検討に心から敬意を表しておきたい、このように思っております。  ただ、この法律の実施、こういうことですべてが救われる、こういうものではないのは論をまちません。そういう意味で、これからのこの法律の運用なりあるいは具現化していくという過程の中での問題点について幾つか感じることがございますので、その点について御質問をさせていただきたい、こういうように思っているところであります。  第五条ないし六条、七条、ここら辺で、市町村は、大規模災害により相当数の建物が減失をし、公共施設の整備状況、土地の利用の動向から見て不良な街区の環境が形成されるおそれのある、こういう地域被災市街地復興推進地域として都市計画に定めることができる、それは期間は二年間の間、正確に言うと平成九年一月十七日までの間、こういうように私は理解をするわけでございます。  質問は、これ、相当数の建物がということですが、いろいろ見てみますと、相当数の建物の限界がわからなくなっていく。例えば淡路の三原町であるとか緑町であるとかあるいは南淡町であるとか、こういうところもございますので、こういうところもこれは法律は適用できるのだな、使うかどうかは別にして、適用できるのだなということについて疑問を持ちますので、まずその点についで質問しておきたいと思います。
  55. 近藤茂夫

    ○近藤(茂)政府委員 先生指摘のとおり、指定要件として相当数の住宅、建築物が滅失しているということ。それで、相当という言葉でございますが、これは、基本的には、市町村の御判断で弾力的に地域指定ができるように、具体的な数値を示さずに、都市計画決定権者である市町村の御判断で弾力的に地域指定ができるように、そういう配慮で要件指定をしているわけでございますので、御指摘のような地域については当然指定できるというふうに考えております。
  56. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 どうも、わかりました。  それで問題は、都市計画を決定するまでの間の 一定の建築行為について制限できるというふうに表現をされているわけであります。そこで、都市計画の決定までにはいろいろな調査が必要であります。例えば官民の境界の問題もありましょう、民民の境界の問題もありましょう。そしてまた、その調査に入るには立ち入り制限があるとかというようなこともあります。加えて、都市計画審議会の中で議論をしていかなければならぬだろう。そしてまた、それを縦覧するということでの期間、二週間だったと思いますが、そういうものもしなければならぬだろう。また加えて、地権者の合意も得なければならぬというようなことを考えますと、かなりの期間が要るのではないかということでございます。私は、そういう意味でいきますと、この法律で二年間という中で事業計画をしたらいいのだということはそのとおりなんでございますけれども、この計画決定までをなるべく短くしなければならぬ、そうしないとこの法律の本当の意味が生きてこない、こういうように感じているところでございます。  したがいまして、速やかな計画決定ということになりますと、三十平米以下の移動可能な住宅、こういうものの用地買い上げ、あるいは他の土地へ、そういう希望者があるとしたら、指定したところからほかの区域の方に誘導するとかというようなことが非常に重要になってくるというように思うのですが、その辺についてちょっと見解をお聞かせいただきたいと思います。
  57. 近藤茂夫

    ○近藤(茂)政府委員 先生指摘のとおり、推進地域都市計画決定をされてから最長二年間、一定都市計画制限である建築行為等の制限が働く。したがって、最長二年間の間に都市計画決定をしていかなければ、面的整備事業あるいは市街地開発事業、あるいは必ずしもその法定事業に限らず地区計画、誘導都市計画でも構わない、そういう構成をいたしておるわけでございまして、いわゆる都市計画法上の都市計画決定、確かに非常に大きなニュータウンみたいなときにはかなり時間がかかる点があるわけでございますが、通常の場合、そのいろいろな調査を始めてから二年間程度で十分だろう。  また、これは先生案内のとおり、やはり私権制限するという権利の問題と、それから計画的な町づくりのための事業の施行の障害となる行為を制限するというそういう公益性、これとの調和を図らなければいけない、そういった観点から二年間というのを設けたわけでございます。  したがって、その間に都市計画決定をしていくということが当然必要になろうかと思います。その点で、今回の淡路・阪神大地震の場合については、大臣の御指示で人的なバックアップもして、今神戸市等においてはそういう計画決定の手続を急いでいる段階にあるわけでございますが、そういったことが必要になろうかと思います。  それからもう一点の、その間にバラックが建ってしまう。これもある程度私権制限、それから計画的な町づくりという公益性、この調和の問題で、全面的に行為を禁止すれば、それは事業の施行という点では非常に施行しやすいということになるわけでございますが、先生指摘のとおり、そういうわけにもいかない。そういった意味合いもございまして、できるだけ早く都市計画決定をし、そして事業計画に移行する。事業計画の段階になってまいりますと、区画整理事業事業の一環としても仮説の住宅、応急店舗、これで生活再建的な措置が講ずることができますので、私どもとしては、そういう事業計画に早く移行できるように、これも人的、さらにまた財政援助、こういったことでも事業計画にスムーズに移行できるようにしていかなければいけない、そういうふうに考えているところでございます。
  58. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 もうまさにそのとおりで、計画決定を早くやっていただいて事業化を進めていくという以外にないという感じでおりますから、今おっしゃっていただきましたように精力的に進めていただきたいもの、このように思っているところでございます。  それに関連してでございますけれども、第四条で「施策における配慮」というものが示されております。内容は、「地域における創意工夫を尊重し、並びに住民の生活の安定及び福祉の向上並びに地域経済の活性化に配慮」というように書いてあるわけであります。私は、これは非常に重要なことが書いてあるわけでございますが、これは逆に大変難しいなというように実は思っているところでございます。  端的に例をとらせていただきます。  今回、大きく災害が広がったわけでございますが、長田区の例をとってみますと、小規模住宅が密集しておる、あるいはケミカルシューズの工場もそこに混在をしている。むしろ職場と住宅一緒になっているという地域が多うございます。そういうふうになってきますと、その人たちの住居とそしてその工場をどうするのか。一挙に解決したい。しかしながら、町づくりもある。そして、今の生産のあり方でいいのだろうかということも考えなければならぬというようなこと等もいろいろ錯綜をしてまいりますけれども、被災を受けられた御当人たちにとっては、いろいろ言っても時間がかかるし、現在のところでやはり住んで事業をしようという発想に立たれるのは、やむを得ない考えだろうというように思うところでございます。  そうしました場合に、やはり計画が進んでまいりますと、過小住宅地になっていく。減歩が行われたりなんかしていきますから、こういうことが起こってみたり、そうなりますと、やはり換地の不交付ということで、お金で買い上げますよ、それからほかに移ってくださいよということしかできないというようなこと等も出てくる。そういうようなことを察知されまして、法の制限の加わらないうちに、いわゆる事業実施にいかないうちに三十平米以下のものを建てていこうという動きが起こっても仕方がないというように思うのですが、それがこの事業の推進を大きくおくらせていくということになることもまた事実であります。  そういう意味で、建てられていく可能性が多いというふうに、私は現地にこの十二日にも、私は但馬の方ですから、仲間とともに炊き出し、豚汁一千食持って、そこでやったわけです。その経過の中でいろいろ聞いておりますと、お話が、いろいろなケースが出てきておる、こういうことにも直面させていただきましたので、そんなことを申し上げるのです。  余りこれを制限をすると、今のような地域の中での生産と生活というものを崩す。なお、しかしそれを放置すると、これはまたスラム化ということにもつながっていく。代替の住宅がないときだけに、そういうふうになっていく可能性があるということで、私も非常に悩むわけでございますけれども、誘導をすること、あるいは仕事をつくること、こういうことが重要になってまいろうかと思います。その辺についてのお考えがあれば、お聞かせいただきたいと思います。
  59. 近藤茂夫

    ○近藤(茂)政府委員 まず、先生指摘の、いわゆる住、商、工が混在している地域、それは土地利用上は整序をしていかなければいけないわけでございますが、商店街とかあるいは中小工場ということになりますと、なかなか外に移転できない。この点につきましては、公共団体においても都市計画部局と商工部局が連携をとり合っております。  それから、私どもも通産省と連携をとり合っていて、住宅について、制度としては集約換地できる。その後の土地利用につきましては、地区計画等を活用することによって、住、商、工についてもできるだけまとめるようにする。そして、その工場建設、商店街等については、商工部局あるいは通産省とも連携をとって、十分必要な助成措置を講じていくということで、単純な基盤の町づくりではなくて、住そして商、工が成り立つ町づくり、そういう方向で進めていきたいというふうに考えております。  それから、バラック等の点につきましては、これも私ども非常に懸念を持っている点でございまして、特にこの長田区、区画整理事業の予定地に つきましては、先ほどちょっと答弁をさせていただきましたように、早く事業計画の方に移行させるということで、実は神戸市の方からも先週応援要請ございまして、東京都、大阪府それから兵庫県から十二名のプランナーの応援を求められましたので、早速御協力をお願いして、そういう体制も充実してもらっているところでございますので、できるだけ我々も全面的にバックアップすることによって、早く事業計画に移行する、そういう努力をしてまいりたいと思っております。
  60. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 ぜひお願いをしたいと思うのでございます。  そういうことで、ちょっとこれは角度が変わった話をするかもわかりません。  この推進区内に限って見ますと、政令を出されて実施されております罹災都市借地借家臨時処理法の問題と、その計画をされようとしている区域との関係で、一方では借地・借家だ、土地の問題じゃないからいいよ、こういうふうにおっしゃいますが、現地はかなりこうなってくると思いますので、何かそこで矛盾があるのではないか。その指定区域以外のところならいいのですが、その中では矛盾があるのではないかとふと感じるのですが、その辺、どう整理をされておりますか。
  61. 近藤茂夫

    ○近藤(茂)政府委員 借地借家臨時処理法の適用どこの計画制限は、基本的には矛盾しないというふうに考えております。  といいますのは、一定法律による建築行為の制限があって建てられない場合には、借家人は大家さんに対してうちを建ててくれとか、あるいは建てなければ借地権を譲ってくれとか、そういう権利は行使できない仕組みになっております。  この地域の場合ですと、いわゆる木造二階建ては建てられるということになりますので、木造二階建てを建ててくれ、建てなければ自分に借地権を譲ってくれ、あるいは建てる場合には自分を優先的に入居させてくれ、そういう感じで調整がとれている、そういうふうに理解しておりまして、基本的に矛盾はないかと思います。
  62. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 先ほど申し上げましたように、生活と仕事が同じところというようなことがあり、ある意味でいいますと、その地域の文化を形成していると言っていいような状況のところでございます。  私のところに法案説明に来ていただきました都市開発課長さんの小笠原さんが、仮設工場等の場所についてはかなり近いところにしなければなりませんね、そしてそういうことの中で、通産省ときっちり連絡をとらなければなりませんが、地元の皆さんの意向はいかがですかというようなことで、建設省としても積極的な努力をしていきたい、こういうようにおっしゃっていただいているわけでございますけれども、極力その点を進めていただきながら、通産省の方でも、私、同様の質問をしておりますので、ぜひひとつ協調をしながら速やかな対応をしていただきたい、こう思うところでございます。  そして、今いみじくもおっしゃったのですが、短期間に計画をし、決定をしていくということがまずもって重要な課題であるということでございます。今もプランナーを他県からも派遣をしていただくというようなこともやっていただいているわけですが、私はあの地域に入ってつくづく感じるのは、要するにプランナーやコーディネーターや、そしてまた地元の行政職員が一体となって地域に張りついてやらないとなかなか解決しない現実がある、こう思っているわけであります。  そういうことに封ずる情熱というか、そういうものを持った人たちによって、初めて今回示されたこの内容が具現化していってというように思っている。言うなれば、人材をきちんと確保するということ、あるいはそのことに本当に対応していただくということをしていただかないと、絵にかいたもちに終わるのではないかという心配をしておりますので、その点について御回答いただきたいと思います。
  63. 近藤茂夫

    ○近藤(茂)政府委員 その点は、まさに先生指摘のとおりだろうと思います。  私ども、今回その都市計画決定権者、都市計画の体系は、御案内のとおり、広域根幹的なもの、重要なものは知事、日常生活に係るものは市町村という構成をとっているわけでございますが、あえて市町村決定でいたしましたのも、地域住民との一番近い立場行政をされる、そういう立場にある市町村都市計画決定権者にした。なおかつ、先ほど先生触れられたわけでございますが、この法律の施策の配慮のところで、地域住民の理解と協力という、そういうことを基本的な方針としてうたっているわけでございまして、そういった意味合いでも、地域住民の方から盛り上がる格好の町づくりをしていかなければいけない。  そういう意味合いで、今先生ちょっと触れられた、いわゆる再開発コーディネーター、実は、もう既に無償で地元の組合活動に対する支援活動を始めております。我々、そういうことについても今後お願いして、全面的にバックアップしてまいりたいというふうに考えております。
  64. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 大臣、今お答えいただいたんですが、このことが、もうこの事業の死命を制するということだと思いますので、決意のほどを伺っておきたいと思います。
  65. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 今、都市局長が申し上げましたように、この法案趣旨先生が何回も御指摘になりましたように、緊急に、短期間に、そして防災の徹底した都市づくりをするための法案でございますから、御指摘のとおり、全力を挙げて、矛盾のない、順当に遂行するように最大努力いたします。
  66. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 ぜひ、被災民の立場も尊重しながら進めていただきますようにお願いをしたいと思います。  それで、もう一つ都市計画に関してお聞きしておきたいと思うんですが、推進区の指定、これをしたところの議論というのはかなり進むと思うし、整理もできると思う。推進区から外れたその周辺地域、これが無秩序になる可能性というのを持っていることについて、やはり指摘しておかなければならぬだろうというように思って心配をしておるわけであります。何らかの対応がありましたら、お聞かせいただいておきたいと思います。
  67. 近藤茂夫

    ○近藤(茂)政府委員 推進地域の指定は、当面、神戸市等におきましては、八十四条で行為制限をしている地域、この地域についてまず指定されることになろうかと思いますが、引き続いて、必要な地域についてはどんどん指定していきたいとい」う考え方をお聞きいたしております。  それで、基本的には、この推進地域でいろいろな特例が働くという格好になっているわけでございますが、推進地域の基本的な性格というのは、特例を働かせる場所である、それから通常の都市計画が決まるまでの間の行為制限をする場所、二つの特性があるわけでございますが、行為制限に関しますれば、これは通常の都市計画決定、面的な都市計画であれ、あるいは地区計画であれ、そこに移行すればその行為制限の機能はなくなるという仕組みでございますので、どちらかというと特例を働かせる場所という意味合いが機能としては高いわけでございます。  先ほど先生質問されましたように、その相当数のとり方、これが別に具体的な数値を言っておりませんので、神戸市みたいに非常に、十万戸近い全壊、半壊があるような地域については、その地域指定を弾力的にしていただく。そうすることによってその特例事業特例であり、財政援助の特例なりを働かせる、そういう運用を期待しておりますので、そのように公共団体に対しても指導助言してまいりたいというふうに考えております。
  68. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 ここで、神戸市、あるいは神戸市では促進地域なり、重点復興地域なりという表現で、新長田とか松本とか三宮とか指定されており、また西宮、芦屋ということにもなっておるわけでございますが、ぜひひとつ、このことに限らず、柔軟な対応をしながらやっていきたいということでお願いを申し上げておきたいというように思います。  さて、そこで、実施される場合、計画の用地を買収するとか、あるいはそこで一定の目的を持って、ほかのところに住居や工場をというようなことで、種地といいますか、ほかのところにも用地が要る、こういうようなことで、用地買収について土地のいわゆる買い取りですね、この支援をするということで言っていただいておるわけでございますが、文書を読んでおりますと、第二種市街地開発事業の区域の要件を緩和しというふうにありますので、ある意味では今までの枠を超えて全面に買うこともできるという内容になっているんではないかというように思っているわけでございます。大変機を得たものではなかろうかというように思います。  ただ、そこで、財投の金利が四・七五%だ、こういうふうになっておりまして、小笠原課長の説明ではそれ以下にもしますというところまででとどまっておりますので、これはもう現地の実情なりそういうことを考えていきますと、それはもう軽減されて、なるべく安い方がいいわけでございまして、どの辺を想定されておられるのか、大蔵省との関係もございましょうが、ちょっとお答えいただきたいと思います。
  69. 近藤茂夫

    ○近藤(茂)政府委員 都市開発資金の貸付けに関する法律の中で用地の先行取得制度がいろいろ掲げられているわけでございますが、原則的には財投金利。ただ、現在でも財投金利より利子補給によって低い金利というのは、工場跡地、あの例の工場等制限法で工場の増設が禁止されている地域についての工場の買い取りについては、そういう増設ができない、工場として利用できないという状況のもとでの買い取りだということで、財投金利より低い金利になっておるわけでございますが、今最後の折衝をしている段階では、それを下回るような低金利ということで、特例お願いして努力しているところでございます。
  70. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 ぜひひとつ低金利で、無利子に近い低金利でお願いできれば、こういうように思っているところでございます。  住宅供給特例についてお尋ねをしたいと思います。  今回特別に三年間という期限を限って、いわば収入条件等の入居資格、これを緩和するという内容になっています。借り上げの公共住宅であるとか、あるいは改良住宅であるとかというようなことになるのかなと思いつつも、優良な賃貸住宅、こういうものも含まれるのかどうか、現地でまたいろいろ問題になる可能性もありますので確かめておきたい、こう思います。
  71. 梅野捷一郎

    梅野政府委員 現実に実地において行われます住宅供給につきましては、この法律では公営住宅という公的住宅に特別の特例を設けて、広く積極的に活用、実情に合うようにしようということでございますけれども、当然、特優賞の問題でありますとか、その他公的な住宅は総動員で実情に合うようにしようということでございます。
  72. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 どうもありがとうございました。よろしくお願いしたいということでございます。  最後に、ずっと内容を読んでみますと、これは大臣、今回、この災害でつくっていただきました。大変いい内容だと思うので、これは災害時に限らず、通常の場合でもこれが適用できるような、一般法といいますか、そういうものにしていってもいい内容ではないかというように、ふと感じております。感想を言っていただければありがたいと思いますが、時間がございませんので、その感想を私の方から申し上げます。  最後に、APEC大阪会議がこの秋に行われます。海外の方々がたくさん来て、そして神戸の復興のあり方というのはどうだろうかということは衆目の一致で、見て図られることと思います。そのときに、いやあ本当に日本はよくやる、あるいは被災地の皆さんは頑張っておる、復興のつき音が高々と鳴っている、そういう状況をおつくりいただきますように心からお願いを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。  以上です。
  73. 遠藤和良

    遠藤委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時十分休憩      ————◇—————     午後一時五十一分開議
  74. 遠藤和良

    遠藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中島武敏君。
  75. 中島武敏

    ○中島(武)委員 被災市街地復興特別措置法案についてお尋ねいたします。  まず最初に伺いたいのは、この法律被災市街地復興促進地域を定めて、そして都市計画をつくって、区画整理あるいは都市開発を行うものでありますけれども、どのような地域促進地域として決められるのか、またそれはどの程度の範囲、面積になるものかということについて、最初にお尋ねいたします。
  76. 近藤茂夫

    ○近藤(茂)政府委員 推進地域の指定でございますが、基本的には都市計画決定権者である市町村の御判断ということになろうかと思いますが、私ども、今回の立法に当たって、大臣指示で地方公共団体とよく連携をとって、現行制度で対応できない部分については十分相談に乗って立法措置を講じなさい、そういう過程の中でこの法律案も出てきたわけでございますが、その過程の中でいろいろお聞きしておりますのは、現在、神戸市等におきましては、八十四条の行為制限命令を出しております。  そういった地域につきまして、当然、今後何らかの面的な整備事業都市計画決定ということになってくるわけでございますが、この推進地域の指定というのは特例を働かせるという意味合いがございますので、そういった地域がまず当然指定されることになるのではないかと。その他の地域につきましても、例えば、神戸市なんかはいわゆる重点地域ということで、八十四条を発動している区域外にも基本的に何らかの面的整備あるいは地区計画をかけていきたい、そういった地域につきましては、そういう計画ができるまでの間、一定の常識的な行為制限が必要になりますので、そういった地域についてもこの推進地域が活用されていくのではないか、そのように考えているところでございます。
  77. 中島武敏

    ○中島(武)委員 もうちょっと具体的に伺いますけれども、神戸市の長田区のような火災で非常に大きな被害を受けた、これはもちろん含まれるのだと思うのですが、まだ被災を受けたというわけではないけれども、だけれども国公有地があって空地にたっているとか、あるいは大きな会社が持っていてまだ空地になっているというようなところがあるとすれば、そういうところをも含めてこの網はかけられるわけですか、地域指定はやられるわけですか。
  78. 近藤茂夫

    ○近藤(茂)政府委員 都市計画決定権者である市町村の判断によるところになるわけでございますが、その地域指定に当たりましては、当然物理的一体性、そして基本的に放置すれば不良な街区が形成されるおそれがあることという要件がございますので、そういったことの兼ね合いから、総合的な判断のもとに指定されることになるわけでございますが、ただ、その国公有地については、むしろ広げることによって、それを集約換地して、そこに公営住宅等建設するというようなことが可能となりますので、むしろそういう場合には積極的に入れるということが、公共団体の判断として当然出てくるのではないかということです。
  79. 中島武敏

    ○中島(武)委員 それでは次に、もう一つ伺っておきたいのは、大変な阪神地震によって被害者の皆さんは今非常に大変な思いをしておるわけです。もう再びこういうことがないようにと願っている皆さんばかりであります。私どももそうであります。  それで、そのためにはやはり防災優先ということが徹底的に貫かれる必要があると思うのですけれども、この法律でそのことは保障されているのですか。
  80. 近藤茂夫

    ○近藤(茂)政府委員 大臣も、常日ごろの答弁の中でも、都市づくり、防災性、安全性、快適性、利便性、とりわけ安全性が重要だということで、 これを機に防災性の高い町づくりを推進しなければいけないと。  ただ、この法律ですべて対応するかというと、それはそういうことではございません。当然現行法、都市計画法体系あるいはそのもとでの事業、それを総合的に推進していくということで、それで防災性の高い町づくりをするということになるわけでございますが、この法律では特に面的な市街地整備、それによってきちっとした町づくりを進める基盤をつくりたい、そういうことでございますので、いろいろ特例を導入いたしておりますし、例えば区画整理事業についても、防災施設を保留地特例によって一カ所に集めて整備できるようにする、そういう部分部分には防災性の高い町づくりに貢献できるような制度の仕組みが入っている、こういうことだろうかと思います。
  81. 中島武敏

    ○中島(武)委員 今の問題をもうちょっと具体的にお尋ねします。  当然、耐震の公共住宅もつくらなきゃなりませんし、それからまた耐震がきちっと施されている医療福祉施設をつくらなきゃなりませんし、それから公園もつくらなきゃなりませんし、避難広場も設けなきゃならないでしょう。あるいはまた防災拠点もつくらなきゃいかぬ、道路も拡幅しなきゃいかぬ。都市づくりに当たりましては、こういうことがどうしても必要になってくると思うのですけれども、さて、そのことがきちんとやられるのかという問題なんですけれども、ここら辺のことについてはどう考えていらっしゃいますか。
  82. 近藤茂夫

    ○近藤(茂)政府委員 基本的には先生指摘のとおり、そういう防災性の高い町づくりということで、例えば区画整理事業にしても市街地開発事業にしても、そういう公共住宅等耐震性の高い公共住宅をつくるということで、いわゆる特殊基礎工事、こういうものも助成対象になっておりますし、基本的にはそういう格好で進めることになろうかと思いますが、ただ、すべての街区についてそういう防災拠点ができるかどうかということになりますと、非常に密度の高い地域もございますので、そこではとれずに、その周辺に防災公園をとるとか、それ自体は今度は都市計画全体の復興計画の問題になろうかと思いますが、基本的には町づくりの中でも公園、そして防災施設の整備、そういったことについてはできるだけ対応していかなければいけない、このように考えております。
  83. 中島武敏

    ○中島(武)委員 私は、今申し上げたようなことを本格的にやろうと思ったら、どうしてもこれは公有地を大いに拡大しなきゃならぬという問題が出てくると思うのです。  この間の予算委員会質問したときにもそういう答弁もありましたけれども、この辺は局長じゃなくてあるいは大臣かなという気もするのですけれども、公有地を本格的に設けたきゃならないということになりますと、一体、今の法律のもとでうまくいくのかということも私は思うのです。だけれども、局長からちょっと最初に聞きましょうか。
  84. 近藤茂夫

    ○近藤(茂)政府委員 基本的には区画整理法の特例ということでございますので、通常、例えば区画整理事業の場合ですと、新市街地の場合には三割程度、既成市街地でも二割程度ということで減歩ということが出てくるわけでございますが、非常に密度の高い地域ということで、そういうことは非常に難しいだろう。しかしきちっとした、いわゆる六メートル、四メートル、あるいはオープンスペース、こういったものをきちっととらなければいけない。そういうきちっとした町づくりをしなければいけないということになれば、先生指摘のとおり、やはり用地を先行取得して、公共団体の用地の先行取得が非常に重要になる、そういうことは我々も非常に大きな課題であるという認識を持っておるわけでございます。
  85. 中島武敏

    ○中島(武)委員 局長が今言われたように、非常にこれはやはり必要なのですよ。だれもこのことの必要性を認めない人はいないのです。ただ、これは私権の問題だとかいろいろありますでしょう。ですから、話し合いで、本当に合意を得て進めるというやり方をとりませんとうまくいかない。それから、現行の公有地法でうまくいくのかという問題があります。  なぜ私、こんなことを言うかといったら、区画整理法だけではこれはうまくいかないのですよ。これは今、局長も大体お認めになっていらっしゃるところなのですけれども、この辺になってくると、これはちょっと大臣のこの辺についての考え方を伺っておきたいなと思うのですけれども、私は、これだけ惨たんたる被害を受けた経験をしたのですから、今度はもう大丈夫だという町づくりを進めなきゃいかぬと思うのですね。それに当たっては、現行法それから今度の特別措置法、これだけで果たして十分できるのかなというのが私の率直な感じなのですよ。  その辺についてちょっと大臣、何をお考えになっていらっしゃるかということについて聞きたいと思います。
  86. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 先生指摘のとおり、自分の土地や家にはだれよりも愛着があるというのは当然であります。しかし、二度と経験したくない大惨事が起こりました。その惨事という教訓を得て、再びこのようなことがないような措置はしなければならぬというのは、被災者の皆さんに限らず全国民の声だろうと思っております。その声をどう結集をして、いわゆる区画整理事業なり都市開発をやるかということになるだろうと思います。  指摘されたとおりに、なぜ区画整理事業のところは助かったのか、なぜ混住しておったところは大変だったのか、そういうこともよくわかっておるわけですから、その点の公共用地の先行取得は積極的にやらなければならぬと思います。地方公共団体が金がないなら、国は挙げて金をお貸ししてさしあげなければならぬ。そして、あなたがおっしゃっておるように、我々は新たな法律として、いわゆる収用法というのもありますけれども、民主的に話し合いで解決をしていかなければならない、そういうふうに思います。  そういう意味で、ここだけが区画整理事業でございますよというのは、従来から外にはみ出ることはできなかった。しかし、そこでなかなか話し合いがつかなくて相当の人数が出るということになれば、ここも今度は区画整理事業の適用地として措置をする。そうしなければ街路もできないし、公園もできないし、避難所もできないし、そういうところを一つ一つ、防火体制の確立と防災都市の完全なものをつくるという意味では、ぜひ、話し合いはやりますが、スピーディーにやっていく。  しかし歩いてみますと、先生もそうだろうと思いますが、比較的協力的であって、私権についても、いろいろ意見はありますけれども、今再建をするためにはどうするかと、だから我々は涙をのむ場合もあるということは積極的に言ってくださる方々が多い。こういうことから見れば、御心配の向きはありますし、私どもも、言うはやすく行うほかたしということがありますけれども、自信を持って何としてもやり遂げなければならぬという決意に燃えて作業を進めてまいりたいと考えております。
  87. 中島武敏

    ○中島(武)委員 局長に伺いますけれども、今大臣からも答弁ありましたけれども、一般的にいいますと、土地区画整理事業では減歩が高ければ高いほど零細な土地の所有者は出ていかなければならない、減歩方式ですからね。今それに対する大臣の方からのお話があったのですけれども、これは今度のこの法律一つの大きな目玉ですか。
  88. 近藤茂夫

    ○近藤(茂)政府委員 今回の法律の一番大きい点と言えば、まさにそのとおりだろうと思います。  今大臣説明ございましたように、区画整理区域内において、零細権利者がたくさんある場合にはどうしても、通常であれば減歩あるいは清算金、お金を払って出ていってもらう、それは地区内の密度が非常に高いという場合にそういうことになる場合があるわけでございます。  そういった事態を避けて、区域外にも同一の施行者が土地を取得して、そして住宅建設して、その住宅等を提供することによって希望に応じて 出ていっていただく、そうすることによって適正な密度にした上で、極めて安全性の高い街区づくりができるようにする、そういう特例を設けておりまして、これが一つの大きな特徴であり、今回の区画整理事業の推進に大きく貢献するのではな  いかというふうに見ているところでございます。
  89. 中島武敏

    ○中島(武)委員 私は、それはいいと思うのですけれども、ただそれではどういうところに別の土地を求めるのか、そこに住宅をつくるのかということになりますと、これはなかなか難しい。これは法律問題というよりは現実問題ですけれども、難しいと思うのですね。  私は詳しくは知らないけれども、新聞などでいろいろちらちら拝見しておりますと、どうやら埋立地を予定しているのかなという感じがするのですよ。ただ、埋立地は今度非常に大きな液状化現象その他で被害を受けたのですよね。だから、その辺、一体どこにつくるのかということは非常に大きな問題になると思うのですね。だから、法律特例をきちっとつくったわけですから、もちろん建設省としても、ではどの辺という、こういう見当もやはりつけて、それでやっていらっしゃると思うのです。どこに見当をつけていらっしゃるのか。それから、地震に対して大丈夫なのかという、ここをちょっとお尋ねします。
  90. 近藤茂夫

    ○近藤(茂)政府委員 具体的には都市計画決定権者である市町村考えることになるわけでございますが、我々今連携をとっていろいろ相談にも応じているわけでございますけれども、まず今後の手順として、アンケート調査を神戸市は実施したいと。そして、土地の買い取りに申し出される方、あるいは地元にとどまりたい方、どこかに出ていく、そういったアンケート調査等をやりながら、具体的な事業計画、この法律一つ精神が、地域住民の理解と協力ということを強くうたっておりますので、そういった住民の意向を踏まえながら具体的に計画決定をしていくであろう。  そして、事業計画段階でどういうところについて建てるかということについても、当然そういった意向を踏まえながら建てていくだろうということで、私ども特段、どこの地域を想定して制度化したかという御質問だろうかと思いますが、特定の地域を想定してつくったわけではございません。
  91. 中島武敏

    ○中島(武)委員 新聞報道で出ていることが私は別に何か違っておるとは思わないのですけれども、大体そういうことになるのかなという見当は私なりにつけるのです。だけれども、その際の安全性の保障ですね、これをしっかりやらないと、別のところに住んでいただきました、また地震が来ちゃった、大きな被害を受けたというのでは、もう目も当てられませんからね。だから、その点についての安全性というものは念には念を入れてよく対処する。  つまり、どんな地震が来ても大丈夫だというふうにちゃんとしなければならないなと思うのと、それからもう一つは、さっきから話が出ているのですけれども、やはり国費、公費、主として国費ですけれども、これを莫大に投入するということがないとこの問題というのは進まないと私は思うのですよ。何ぼ法律で書いても絵にかいたもちになってしまって、実行できないという問題が起きてくると思うのです。  御存じと思いますけれども、東京の革新都政時代に、東京の白髪東地区ですね、ここを防災に強いものにしようというので、これはもう東京都は巨費を投じて、そして等床、等積の区画整理、再開発を行ったのです。私もこれ行きましたけれども、住宅もたくさん、二千戸ですか、できているのですけれども、大変な重装備なんですよ。物すごい重装備です。ですから、随分金がかかるのですよ。  だから、これは何も別の地域に、例えば埋め立てなら埋め立ての地域に住んでいただくということだけじゃなくて、そこももちろんだけれども、今までのところでやはり住んでいただくための住宅ですね。主として、個人の住宅までどこまで言及するかという問題はあるとは思いますけれども、だけれども少なくとも公共住宅あるいは公共のいろいろな施設ですね、これは相当なものをつくらないと、防災されたものをつくらないといかぬ。  巨費を投じるという覚悟がおありかどうか。そして、金がないからこの程度にしておくわ、この程度で事をおさめるのか。それとも、いや、金はともかくとして、まずやはりしっかりしたものをつくる、こういう決意に立って、金の方は何としても捻出する、捻出するといいますか、私ども日本共産党はこうすれば金は出てくるということも申し上げているのですけれども。こういうのは大臣だね、やはり大臣の決意じゃないとこれはうまくいきませんから、野坂さんどうですか。
  92. 近藤茂夫

    ○近藤(茂)政府委員 大臣の御答弁の前に、事務的にちょっと御説明させていただきたいと思いますが、今先生指摘の白髪地区につきましても、実は国も補助制度を持っておりまして、完成している東については百億、まだアイ・エヌ・ジーのところについても百三十億ぐらい国費も投入しているわけでございまして、そういったことについての必要性は私どもも感じておりまして、今回の財政措置の一環として、そういったことについて今最後の努力をしているところでございます。
  93. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 この建設委員会の朝からの論議を聞いておりますと、全体の空気が、人の命は地球よりも重い、このことを忘れるなと、どの先生方もお話しになっております。  そういう意味で、今先生からお話があるように、安全第一、防災完備、こういうふうな立場に立って、金も要るでありましょうが、まず我々は、建設国債を発行して、そして足らざるところは、いろいろと先生方の御意見もありましたけれども、赤字国債を当面発行してでも、あとその期間には何としても対応ができる、そういう体制をとりながら、一つ一つの問題を解決して、経済効率を図っていかなきゃなりませんが、安全性の重視ということを第一義的に考えていかなきゃならぬと考えております。
  94. 中島武敏

    ○中島(武)委員 国債というお話が出て、私どもは国債を発行しなくてもやれるじゃないかということを提案しているわけでありまして、もうお読みだと思うのですけれども、私は、きょうこの議論をやっておりますと本論の方が終わりませんのでちょっとそこは省略させていただきますけれども、私たちは、この問題を本格的にやはり進めるために何が一番必要なのかなと思いますと、今申し上げたようなお金の問題ももちろんあるし、公有地を拡大するという問題ももちろんありますし、それからいろいろあると思うのですけれども、やはり住民の参加と住民の合意、国民が主人公、住民が主人公です。その方々が本気になって、ああ、これならいいな、よしおれたちも本当にやろう、こういうものでないと私はうまくいかないと思うのです。  その点で、この法律で住民参加、住民合意ということは、一体どこまで保障されているのかということについて伺いたいのです。
  95. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 この法案をごらんいただいておると思いますが、第四条に、地域住民の理解と協力は不可欠という明文がございます。したがいまして、私たちは、この条文を大事にして、地域住民と話し合って、合意を得て進めるということが基本でなければならぬと考えております。  その中で、推進地域というのが指定されますけれども、それはあくまでも、一番地域の実情に精通をしております市町村の定める都市計画、これに従って我々は進めていかなければならぬと思いますが、これについては、関係する住民の縦覧はもちろんでありますけれども、意見書の提出もしてもらいたい。そういう意味で、いろいろと地域住民合意のもとに、理解と協力のもとに住民参加手続というものは確保されておるわけでありますから、それらの手続を経ながら、住民とともに都市を再開発をしていく、こういう考え方に立っておるところでございます。  また、住民が提言をして、ここの方がいいじゃないか、こういう格好の方がより堅牢ではない か、安価ではないか、大丈夫ではないか、こういうような要請手続もできるようた法案の仕組みになっておるわけでありますから、それらの制度を活用して、将来に引き継ぐべきすぐれた防災都市、また安心して住める安全な住宅、そして福祉に徹底した住宅というものを考えていかなげればならぬ。要は、地域住民の協力と納得と合意を得て、住民参加の市政、町政というものを進められるであろう、そのことが基本でなければならないと考えております。
  96. 中島武敏

    ○中島(武)委員 この法律を私もいろいろと読ませてもらったのですけれども、今大臣答弁もありました。ありましたけれども、四条関係とおっしゃったけれども、四条は配慮規定なんですね。私は、そんなものはない方がいいなんという気持ちは毛頭ありません、あった方がよろしいです。だけれども、これは配慮規定なんです。  それからまた、大臣が言われました六条関係の要請という問題もありました。だけれども、これは要請したらそのとおり実行するということは保障されているのかどうかという問題もあります。  それから、さらに言えば都市計画決定、これは公聴会だとか縦覧だとか意見を出すことはできるとか、なるほどそういうことは決めてあります。しかし、それは意見を採用しなければならないということではないのですね、ないんです。だから、どうなのかなと。  それからさらに、どの手法を使われるか。区画整理にしろ、市街地開発の問題にしろ、本当に住民合意が貫かれるやり方が保障されるのか。こういう問題が、非常に大きな問題ですけれども、私はあると思うのです。これは、一生懸命つくっておられるのはわかるのですけれども、この辺になってくると、言葉は悪いですけれども、やはりちょっと抜けがあるかなということを率直に私は言わざるを得ないのです。  実は、白鬚東の話なんですけれども、これはどうしてあれだけできたかというのは、東京都が巨費を投じたという問題もあります。同時に、しかし住民の参加、住民合意という問題について物すごく配慮したのですね。あそこには住民協議会をつくって、そして東京都もこの中へ入って、これでいいかあれでいいかともう何回も何回も議論をした。それで等床交換、等積交換というところまで、こんなのは例が恐らく全国にほとんどないかと思うのですけれども、そういうところまで持っていったのですね。それはお金をつぎ込まなければできません、こんなことは。だけれども、お金をつぎ込んでこういうふうにしますから、これでいいかあれでいいかということを徹底的にやっているのですよ。  私は、今度の神戸を初めとする阪神地域の問題に関してもこれをやらなければならぬ。そうでないと、やはり本当にみんなが納得して力を出してくれるというものにはなかなかならないと思うのですね。その点で、今大臣答弁があったのですけれども、私はこの点はやはり徹底する必要があるなど。もちろんこれは建設省が何か命令するという話ではないので、これで事業の計画を決められるのは市ですから、市がその精神に立たなければいかぬ。それからまた、事業は市もおやりになるが、しかし国もおやりになる。だからもう一体になって、立派なものが住民合意の上にできれば、それは一生懸命やる、金は惜しまない、こういうことでなければならないと思うのですね。  その点で、再度大臣のこの問題についての決意と申しましょうか、伺いたいと思います。
  97. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 要請権はあるが決定権はないではないか、意見は述べることはできるが、その意見を取り上げるという義務事項はないではないか、お話しのとおりでございます。  しかし、今白鬚地区の建設のあり方についてお話しになりました。巨費は投じた。徹底的に話し合った。意見の合意ができるまで努力をするということを目標にして我々は住民の皆様方と話し合い、そして神戸市初め各大火、災害都市の皆様方と十分にお話し合いをして、やはり住民の協力が出なければ、一つ残ったわけではない、非常に多くあるわけですから、そういう協力を得るということは、意見を聞きながら、合意を得ながら、参加の立場に立って全体の都市づくりをしていかなければならぬだろう。だから、意見は大事にしてもらいたい、そういうふうに言ってまいりたいと思っております。  そういうこれからの救援、復旧、復興という時代に入ったわけでありますから、私もあす、今の住宅局長とか都市局長一緒にもう一遍、西宮や芦屋や宝塚等も、神戸はもちろんでありますが、歩いて、そういう点については十分指示して、国も地方公共団体も地方住民も一体となって、そして災害を受けられた皆さん災害を受けられなかった皆さん、そういう方々についても、話し合いの中で十分御協力を賜りながら立派な都市づくりに努力をしたいという決意を持っておるところでございます。
  98. 中島武敏

    ○中島(武)委員 時間ですので終わります。
  99. 遠藤和良

    遠藤委員長 次回は、来る二十一日火曜日午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時二十三分散会      ————◇—————