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1995-04-27 第132回国会 衆議院 規制緩和に関する特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年四月二十七日(木曜日)     午前九時五十分開議 出席委員   委員長 塚田 延充君    理事 亀井 善之君 理事 橘 康太郎君    理事 斉藤 鉄夫君 理事 武山百合子君    理事 西川太一郎君 理事 土肥 隆一君  理事 五十嵐ふみひこ君       安倍 晋三君    池田 行彦君       七条  明君    御法川英文君       村田 吉隆君    太田 誠一君       岡田 克也君    河合 正智君       西村 眞悟君    吉田 公一君       後藤  茂君    輿石  東君       松前  仰君    吉井 英勝君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総務庁長官) 山口 鶴男君  出席政府委員         総務庁行政管理         局長      陶山  晧君         総務庁行政監察         兼行政改革委員         会事務局長   田中 一昭君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局官房審議         官       山田 昭雄君         公正取引委員会         事務局経済部企         業課長     舟橋 和幸君         公正取引委員会         事務局審査部管         理企画課長   楢崎 憲安君         経済企画庁調整         局財政金融課長 塚田 弘志君         外務大臣官房外         務参事官    北島 信一君         厚生省生活衛生         局食品保健課長 高原 亮治君         厚生省薬務局審         査課長     藤井 基之君         通商産業省産業         政策局流通産業         課長      斉藤  浩君         資源エネルギー         庁石油部流通課         液化石油ガス企         画官      川口  修君         運輸省自動車交         通局旅客課長  藤井 章治君         労働省職業安定         局業務調査課長 井原 勝介君         建設省住宅局住         宅生産課長   稗田 祐史君         特別委員会第三         調査室長    佐藤  仁君     ————————————— 委員の異動 四月二十七日  辞任         補欠選任   河合 正智君     吉田 公一君 同日  辞任         補欠選任   吉田 公一君     河合 正智君     ————————————— 本日の会議に付した案件  規制緩和に関する件(規制緩和推進計画)      ————◇—————
  2. 塚田弘志

    塚田委員長 これより会議を開きます。  規制緩和に関する件について調査を進めます。  この際、山口総務庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。山口総務庁長官
  3. 山口鶴男

    山口国務大臣 会議の冒頭に当たりまして、去る四月十二日の本委員会において御説明いたしました「規制緩和推進計画について」の一部が変更となりましたことを御報告申し上げます。  本計画は、平成年度から十一年度までの五年間の計画として策定いたしましたが、去る四月十四日の経済対策閣僚会議において決定いたしました緊急円高経済対策におきまして、その後の事態の急変にかんがみまして、平成年度までの三年間の計画として前倒し実施することといたしました。  引き続き、本計画に従って、規制緩和推進に積極的に取り組んでまいる所存でございますので、よろしくお願いを申し上げます。
  4. 塚田弘志

    塚田委員長 本日は、特に規制緩和推進計画について調査を行います。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。土肥隆一君。
  5. 土肥隆一

    土肥委員 ただいま大臣の方から、急遽メッセージが出ましたので、これで初めてこの五カ年計画が三カ年に短縮されたという公式の政府メッセージが出たのではないかというふうに思いますので、それを踏まえてきょうは質問をさせていただきたいと思いま」す。  三月三十一日に五カ年計画が決まりまして、さあこれからそれぞれ政党において積み上げてきた経験をもとにして、本格的な規制緩和のあり方について取り組もうというやさきでございましたが、その四月十四日に緊急円高経済対策ということで、経済対策閣僚会議による提言がなされたわけでございます。  私ども、五年を三年に短縮するということで、ある意味でこれは大変だ、事務方も大変でしょうけれども、我々政党あるいは規制緩和にかかわるそれぞれの者たちも、また自分たち考え方を、もう一度早急に見直さなければならない部分も出るのではないかというような思いを込めまして、きょうは質疑をさせていただきたい、このように思います。  そもそも、三月三十一日に五カ年計画が出たばかりで、緊急な円高経済対策という目的はわかるわけでございますけれども、果たしてどんな手法でこの五年を三年に圧縮するのか、一年、二年、三年のものはそのままにしておいて、四年、五年のものを一、二、三年の中に入れるとか、どういうふうな手法をおとりになるのか、まずもってお聞きしておきたいと思います。
  6. 陶山晧

    陶山政府委員 手法というお尋ねがございましたので、私から御説明申し上げます。  今回の経済対策によりまして、平成年度及び十一年度実施予定であったものにつきましては平成年度までに実施することになるわけでございますが、これ以外に、計画の中で七年度以降という実施予定時期のものが事項数としてもかなりございます。これらについても、三年の幅の中で実施をするということになるわけでございます。  当面、七年度実施予定のものにつきましては着実に実施をするということになりますが、八年度以降の前倒しに伴う計画改定につきましては、計画にも掲記してございますように、本年末までに見直しをし、年度末、今年度末までに改定をするということになるわけでございます。
  7. 土肥隆一

    土肥委員 なるべく具体的に早目にリストなり方針なりを出していただきたい。それに基づきまして、我々のサイドでも、あるいはこの規制緩和特別委員会でも、取り組んでいかなければならない。取り組む方向も、あるいは時間的な制約もございますから、内容についてもなるべく早目にお知らせいただきたい、このように思います。  この緊急円高経済対策を読みますと、予算人員手当てをしてでも、五年を三年に圧縮して仕上げるんだというふうに述べられているわけであります。  要するに、金も人もかけてやるということになりますと、当然この規制緩和の取り組みをなさる総務庁におきましても、時間短縮による人員考えなければいけない、そういうふうに思うわけでありますけれどもただ人お金をかけて急いでやっても、余り急ぎますと、規制緩和というのはやはり国民合意を得ながらやっていかなければならないし、影響も非常に大きゅうございますので、この点についても、予算あるいは人員について、あるいはそれの及ぼす影響どもお聞きしておきたいと思います。
  8. 陶山晧

    陶山政府委員 「予算定員手当てを講ずることによりこという決定がなされたわけでございますが、私ども総務庁の立場といたしましては、人員の面につきまして具体的にどういう手当てが必要であるか、各省庁から御意見を伺いながら、現在最終的な詰めの作業を行っておるところでございます。  なお、先生からこの影響の面というふうな御指摘がございました。恐らくは、社会的な摩擦の問題とか国民影響を与えるような問題というような御趣旨ではなかろうかと存じますが、当然のことながら、今回の前倒しに当たりましても、慎重に検討をしながら、個別の事情に即して、適切な対応を図っていくということになろうと考えております。
  9. 土肥隆一

    土肥委員 行革の絡みもあって、どんなふうな手法をおとりになるのか、具体的にはまだ見えておりませんけれども、これはもう大変な作業になるかというふうに思いますので、その時期等も含めて、なるべく早くその圧縮計画をお知らせいただきたい。  実は、この規制緩和小委員会がございまして、言ってみれば、規制緩和小委員会が当面の規制緩和に関する監視機構あるいは意見提言ども持っておるわけでございまして、新聞によりますと、この規制緩和小委員会も、早速この短縮された、圧縮された計画に基づいて、委員会の回数も考えながら、作業のスピードアップをして進めていくんだというふうに新聞報道されておりましたけれども、この規制緩和小委員会圧縮計画との関係で、双方に合意ができているのでしょうか、いかがでしょうか。
  10. 田中一昭

    田中(一)政府委員 お答え申し上げます。  今直接のお答えの前に、若干小委員会における検討模様を御説明いたしたいと思います。  行政改革委員会は、規制緩和の問題が最優先、最重要の課題であると認識しておりまして、今月の十九日に、規制緩和実施状況監視のために、専門的な調査検討を行う規制緩和小委員会というものを発足させたところでございます。この秋を目途に行政改革委員会報告をすることになっておりまして、精力的に調査検討を行っていただくということになると思います。  この規制緩和小委員会におきましては、十九日の第一回会議で早速政府から規制緩和推進計画の概要について説明を受けまして、昨日の行政改革委員会と合同の第二回会議におきましては、小委員会規制緩和への取り組み方、どう進めていくかということにつきまして、自由討議を行ったところでございます。  今後、去る二月二十三日に公表いたしました行政改革委員会の当面の活動方針、俗に「国民へのメッセージ」と言っておりますが、これに沿いまして、国民意見、要望を踏まえながら、重点分野及び重点事項を決定しまして検討を行うということになっております。  この委員会は、規制緩和計画の各年度改定に反映させるために、適切な時期に、規制緩和小委員会報告もと意見書を作成しまして内閣総理大臣に提出するということになります。  もとより、今お話しの計画の三年間への短縮に伴う進捗状況につきましても十分に監視していくことになりますけれども短縮というのが直ちに規制緩和小委員会作業影響を与えるものではないというふうに私ども事務局では考えております。
  11. 土肥隆一

    土肥委員 そうすると、国会はどうするのか。行政改革委員会あるいは規制緩和小委員会ではマイペースでやるというふうにも聞こえますけれども、その辺は、もう少し後で、骨格ができて、圧縮計画ができてからまた取り組んでまいりたい、このように思います。  これも新聞で恐縮なんですけれども、五月にカナダ四極通商会議が開かれる、五月四日、五日、もうすぐでございますけれども。その四極通商閣僚会議が開かれて、そこで合意される中に、一つ、規制緩和推進計画あるいは規制緩和に関するいわば国際的な取り決めをしたいというふうな話が出ておりました。早速通産省にお聞きしましたら、いや、これはペーパーが一枚来ただけであって、七項目にわたるフレームワークということはペーパー上知り得ただけで、まだ全くこの四極通商閣僚会議に向けての準備をしていない、まだ全容がわかっていないのだというような話でございましたので、中身については取り下げをいたします。  しかし、その中で、要するに原則規制なしの競争促進法律をそれぞれ各国がつくらなければならない、こういうふうになっておりまして、しかも、その競争促進を行うために、法律や指針の強化をしてそれぞれの国がこの競争促進政策をつくらなければならない、こういうふうになっているようでございます。中身についてはまだ詳しくわからないということでございます。  その中で、特に公正取引委員会公取組織人員強化を迫られるのではないかというふうにも考えられるわけでございますが、今の公正取引委員会事務局、五百二十名と聞いております。アメリカは千八百三十八人、EUは四百十一人、カナダは二百四十四人。数が多い少ないでその活動中身をはかることはちょっとできませんけれども緊急円高経済対策でも述べられておるように、やはりこの公取組織人員見直しをしなければならないのだというふうに私も考えますが、当面における当局の考えはいかがでしょうか。
  12. 山田昭雄

    山田説明員 御説明申し上げます。  私ども新聞報道等で、四極通商閣僚会議において米側から提案がある、あるいはあったというような報道それ自身は承知しておりますが、私ども自身も、そのメンバーでもございません、その詳細はよくわかりません。  しかし、我が国経済力に見合った豊かな国民生活を実現していき、また、我が国市場を国際的により開かれたものにしていくためには、内外の事業者の公正かつ自由な競争を促進し、消費者利益を確保することが非常に重要であるというように考えております。  また、今規制緩和の議論がされておるわけでございますが、今後、規制緩和が進展いたしますと、自由経済社会基本的ルールであります独占禁止法適用範囲が一層広まるわけでございます。また、規制緩和後の市場におきましても、事業者が公正かつ自由な競争を促進していくという必要がある、このように考えておるわけでございます。  このような観点から、私ども公正取引委員会の果たすべき役割はますます大きくなっていくものと認識しております。そして、公正取引委員会事務局体制を、組織人員等の面で一層強化する必要もある、このように考えております。  これまでにおきましても、公正取引委員会機構定員につきましては、現在の政府におきまして行財政改革推進されている厳しい状況の中で、関係方面から非常に御理解いただきまして、毎年その整備拡充が図られているところであります。  しかし、今御指摘にございました緊急円高対策あるいは三月末の規制緩和推進計画におきましても、「公正取引委員会組織人員等の面で体制強化するものとする。」とされているところでございまして、私どもといたしましても、今後、その機構定員拡充強化を図るために、関係方面の一層の御理解を得られるように努めてまいりたい、このように考えております。
  13. 土肥隆一

    土肥委員 私は、その方向で大変いいのじゃないか。規制緩和がどんどん進んでまいりますとますます公取役割が大事でございまして、規制緩和を正しく導いていくためにも、これは行革とは反対かもしれませんけれども、必要なものはきちっとふやしていく。そうしないと、私は、この規制緩和が進むに従って国民の混乱を招くというふうにも思うわけでございます。  さて、四月十四日に発表されました経済対策閣僚会議緊急円高経済対策中身について、直接規制緩和とは合わない部分があるかもしれませんけれども、この場をかりて少し御質問しておきたいと思うのであります。  私は、神戸を選挙区といたしておりますから、災害地の真っただ中で生きている者でございますけれども平成年度補正予算、これは皆さんの御努力をいただいて、できる限りのことをしていただいたというふうに思って大変感謝しておりますが、平成年度補正予算をどうするのか。六月に地元復興計画が明らかになってまいりますが、その先、国の支援というものがどの程度得られるものかということについては、こういう財政が逼迫している中でもありますので、一抹の不安を持っているわけであります。  そうした中でも、市民の中からいろいろな提案がなされておりまして、例えば、自分たち災害復興保険を創設いたしまして、そして、損保の保険会社などとも連携をとって自主的な再建方法をつくって、自分の家を建てるなり、あるいは町づくりに寄与していきたいというような運動もございます。  さまざまな自立計画というものが市民の間から独創的に出ている今日でございますけれども、そうした中で、私は、限られた中での予算でございますから、どうしたら神戸市民があるいは阪神地区市民がみずから立ち上がっていただけるかということを考えるときに、やはり住宅なのですね。住宅に関する、あるいは町づくりに関する規制を相当外してもらわないと町づくりはできない。よく相談を受けますけれども、九軒家がございました、全部崩壊しまして、中には亡くなった方もいらっしゃるのですけれども、そこに四メーター道路を通して家を建てかえなさい、こういうふうな都市計画が出るときには、九軒が住めるようなスペースは全くないわけでございまして、それじゃよそに土地を求めますからそこに行きなさいというようなことになりますと、また初めからやり直さなきゃいけない。そして家を建てる。そうすると、また三千万とか四千万かかるようじゃとても立ち上がれないわけでございまして、やはり規制を大幅に緩めまして、なるべく市民がみずからの資源で、つまり自分お金で立ち上がっていただかない限り、神戸の町は再生しないわけでございます。  まず、ちょっとお聞きしておきたいのですが、復興計画というものに、今大体損害額十兆円と言われておりますが、これに国としての大幅な資金投入をすると、例えば十兆円などとした場合に、いわゆる円高対策などで言われている内需振興というものにどの程度寄与するのか。内需効果というものについて、もし経企庁あたり考えがあればお聞きしたいと思います。
  14. 塚田弘志

    塚田説明員 震災後、復興の現状を見てみますと、先ほど御指摘がございましたように、六年度の第二次補正予算がこの二月に成立いたしまして、予算に基づいて仮設住宅等復旧事業が鋭意進められているところでございます。民間部門におきましても、鉄道につきましてはJR新幹線東海道線が全面復旧したほか、電気、ガス等についても、停電の解消やガス供給停止が徐々に解除されているといった状況にございます。  震災復興事業内需振興に及ぼす効果そのものにつきまして、定量的にお示しすることは困難でございますけれども、今後復興への動きがさらに本格化するに伴いまして、被災地を中心に設備投資住宅投資が増加してくるものと思われます。また、補正予算等を通じた政府、自治体の復旧事業は、主として政府投資の増加に寄与してまいることになろうと思います。  震災によりまして、被災地の住民及び企業等は甚大な被害を受けました。一月の鉱工業生産等にも一時的な減少が見られたところでございます。しかしながら、先ほど申し上げましたような、既に始まっております復興への動きや潜在的な復興需要の大きさ、我が国全体としての生産余力等を考慮いたしますと、被災地の方々の大変な御苦労はございますけれども震災復興事業そのもの内需の拡大に相当資するというふうに考えております。
  15. 土肥隆一

    土肥委員 そこで、安い費用でそして以前の暮らしに近い形での住宅を建て直さなければならない。よほどいろいろな材料を提供して、材料というのは、どうしたら復興できるか、どうしたら家を建て上げられるかという融資や金融面も含めて、それから都市計画ども含めて全体的に考えなきゃならないということで、単に今あった土地の上にもう一度家を建てるということでは済まないわけであります。  なるべく安い経費で家を建てたいというときに、ある方がノルウェーから建築材を輸入しまして、ノルウェー建物ですね、これは仮設じゃないです。建築材を輸入して建てたい。非常に安いのですね。私もちょっと写真を見せていただいたのですけれども北欧風の非常にファンシーないい建物だなと思うのです。大体五LDKぐらいで一千万で建つというのです。いい話だなというふうに聞いて、そしたら、輸入するともちろん関税がかかるわけですけれども、同時に職人さんを呼んでこなきゃいけない、大工さんを呼んでこなきゃいけない。  やはり六カ月以上ノルウェー大工さんを技術者として呼んでこなきゃならないということでございまして、いろいろ聞いてみましたら、外務省も法務省もてんてこ舞いでございまして、そんな話は余り聞いたことがないというような話です。入国管理局で、大工さんが数人から、もし大々的にやるんだったらみんな話し合って五十人ぐらい呼んで、ノルウェー大工さんのとんからで家を建てよう、こういうふうな構想を持っているわけでございまして、そうなると、もう国を挙げて大騒動になるような感じでございまして、これはやはりなかなか難しいなというふうに思っております。  それで、外国住宅を輸入する。そして、外国人が来て、ノルウェーならノルウェーフィンランドならフィンランドの人が来て大工さんをやる。考えてみただけでも非常に愉快というか、神戸にふさわしい町づくりだなというふうに私は思うわけでありますけれども、こういうことを考えてまいりますと、円高対策なら円高対策住宅の問題をしっかりと解決するんだ、黒字も減らすんだということになれば、よほどしっかりした体制を整えて、しかも規制緩和という視点で、いろいろな人が技術者として入ってくることを、歓迎するような状況をつくっていかなきゃならないんじゃないかというふうに思うわけです。  神戸の一角にノルウェー風住宅が十軒並ぶなんといったら、またこれは非常に麗しい光景であると私は思うわけであります。どうでしょうか、こういう輸入住宅等を積極的に導入するような方向というものは考えられているんでしょうか。建設省あるいは労働省労働省はおいでになってないと思いますが、建設省のお考えを聞きたいと思います。
  16. 稗田祐史

    稗田説明員 ただいま先生お尋ねの件でございますが、まず最初に輸入住宅を導入する際に規制があるのかということに関して申し上げれば、一般的に住宅を建設します場合には建築基準法に適合することが必要とされておりまして、これは輸入住宅であるか否かにかかわらず適用されるというものでございまして、輸入住宅に限った規制を行っているものではございません。  が、建築基準法の想定しない特殊な建築材料または構造、方法を用いる場合には、建設大臣認定指定を受けないと建築が可能とならないということがございます。輸入住宅にかかわる材料、工法のうち、この認定指定が必要な場合については、当該認定指定に必要な試験手続等に関しては海外試験データの受け入れ、手続迅速化等推進しているところでございます。今後とも手続の一層の合理化に努めてまいりたいというふうに思っております。  それから、二点目の技術者といいますかあるいは技能者といいますか、ちょっとそこが両方入りまざったような感じがいたしますけれども、現在我が国における外国人入国に関しては、出入国管理及び難民認定法に基づいて基準が定められておりまして、住宅建設において就労が認められる外国人に関しては、設計施工管理等専門的知識を有している技術者については、在留資格で認められる範囲就労が可能ということになっておりますけれども、非熟練の単純労働者は受け入れていないというところでございます。ただ、技能者の中でも、例えば日本にそういう技術がないというものに関しては、技術移転を図るという意味で認めている例がございます。
  17. 土肥隆一

    土肥委員 だから、輸入住宅を一軒建てるだけでもいろいろな規制があるわけでございまして、建築基準法も私は見直す時期、震災を経験して建築基準法の持つ矛盾というようなものも感じておりまして、この辺も一層地元皆さんとも相談して詰めていきたいというふうに思っております。  さて、現地を離れまして、規制緩和推進五カ年計画が発表され、しかも三カ年に短縮される。私は行政機構について詳しくは存じませんけれども、何となく感じておりますのは、日本縦割り行政で、しかもそれもそれぞれの省庁規制緩和項目を挙げてきて、そしてそれを総務庁がまとめる。総務庁には行政管理局あるいは行政監察局、二つの局がございますけれども総務庁、普通は余り指導力が、ここで言ったらなんですが、あるとかないとかということについては議論が分かれるところでありますけれども、果たして三カ年で圧縮して総務庁がリードできるのかどうか、その辺の実情と決意をお聞かせいただきたいと思います。
  18. 山口鶴男

    山口国務大臣 御案内のように、各省庁設置法で各省庁の権限というのは決まっております。しかし、総務庁は総合調整機関といたしまして行政改革を担当しているわけでございますので、総務庁は内閣官房と緊密に連絡をとりまして、そして村山内閣として行政改革、規制緩和は進めていくんだということになっているわけでございますので、そういう立場で、私も政治的には閣議の場あるいは閣議後の懇談におきまして積極的に発言をいたしまして、とにもかくにも三月三十一日、規制緩和推進の五カ年計画を策定し、そしてまた異常な円高の事態でございましたものですから、この点も内閣官房長官、その他の閣僚と相談をいたしまして、異常な事態に対処するという立場から五カ年計画を三年間に短縮をする、こういう異常な決意の決定をさせていただいたところであります。  役所といたしましては、御案内のように行政管理局それから行政監察局があるわけでございまして、行政管理局では、内外の意見、要望を十分承りまして、各省庁と調整を行って、計画策定、推進のために懸命に努力をしていただきました。また、行政監察局は、監察権限に基づきまして全国調査網を活用して、従来の閣議決定等の規制緩和方策が十分実行されているかどうか、フォローアップにつきまして調査実施いたしまして、さらには民間からの規制緩和に対する意見を収集いたしまして、これを規制緩和のために活用いたしてまいったところであります。  今後とも、総務庁といたしましては、行政管理、行政監察の両機能を十分に発揮をいたしまして、計画の内容の充実に努力をしてまいりたい。政治的にも私は大臣として努力をし、役所は役所といたしまして、今申し上げたような形で努力をしてまいったということでございます。
  19. 土肥隆一

    土肥委員 私ども規制緩和特別委員会などで議論しておりますのは、一体この委員会はどういう目的で、どういう仕事をすべきかということで、きょうもこの委員会、本会議が終わった後、また理事会で今後の方針を立てるわけでございますが、私は、規制緩和特別委員会というのは総務庁を応援する委員会だと思うのです。管理とか監察という言葉は使いませんけれども、やはり正しく、そして有効に規制緩和が進むように、一つはしっかりとその方向性を見ていく、物も言っていくというふうな委員会だろう。と同時に、国民生活に与える影響というものをきっちりとチェックできるような委員会でなきゃならないと思っておりまして、総務庁のようにと言いましたけれども総務庁を応援しながら、ぜひともこの規制緩和を本当に国民生活を豊かにするという方向で、役所も頑張っていただく、内閣も頑張っていただく、そして規制緩和特別委員会も頑張るということではないかと思っております。  そのときに大切なことは、改定作業なり検討状況の情報公開といいましょうか、透明性というものを保障していただきませんと、この規制緩和国民に対する影響はどうなのか、どういう経済的効果や社会的変動をもたらすのかということがわからないと、我々は結局項目を追っかけていって、マル、ペケ、三角というようなことをしながら、これはいい、悪いなんということを言っているようでは、我々国会議員としての職務を全うしてないというふうに考える次第でございまして、どうも聞きますと、各省庁は受付窓口を設置するとかというようなことが書いてありますけれども、この透明性について見解をお述べいただきたいと思います。
  20. 陶山晧

    陶山政府委員 ただいま土肥先生の御指摘のように、規制緩和作業に当たりましての透明性を確保するという観点は、極めて重要な課題であろうと考えております。今回の計画におきましても、改定作業検討状況を公表すること、各省庁に要望を受け付けるための窓口を設置すること、また、計画を見直すための体制を整備することなどの措置を講ずるということになっているところでございます。  それで、今回の計画の策定に当たりましても、各省庁においては事務次官あるいは官房長をトップとする検討委員会が設けられたところが多うございます。そうした体制の整備を図り、また官房に意見、要望の受付窓口が設けられたりされておりますが、今後の計画見直し改定作業に当たりましても、この計画に掲げられておりますように、こうした組織、窓口をきちんと設けていただいて、極力作業状況をオープンにしながら、そのことによって各層からの意見、要望を伺いつつ検討をしていただくということになっておりますので、私どもの立場としても、各省庁の対応についてそういう方向できちんと御対応いただけるように、政府全体として努力をしてまいりたいと考えております。
  21. 土肥隆一

    土肥委員 これからそれぞれ努力をしていかなければならないということでございますから、引き続き今御答弁いただきましたような透明性あるいは各省庁体制整備、要望受付窓口というのはどう機能するのかよくわからないのですが、国民の声をどう絶えず拾っていくかということだろうと思います。特別委員会といたしましても、やはり国民の声をその都度国会の場に持ってくるのが私どもの仕事でございますから、今後も皆さん検討しながら、協議をしながらやっていきたい、こういうふうに思います。  最後に、この規制緩和というのが一体何なのか、どういうものなのか、国民に与える影響はどういうものかということについて国民皆さんがよく知って、そして規制緩和影響自分の暮らしの中にどういうふうに浸透してきているのかということを知っていただかないと、結局この規制緩和のかけ声が国民の生活あるいは国民の納得のいくものにならないのじゃないかというふうに思うわけであります。  それで、規制緩和白書をお出しになるということでございますが、白書というのは余り読まないので、白書をお出しになって結構なんですけれども、その都度国民に対するPRというものをやっていただかなければいけない。  そして、この規制緩和というのは暮らしの質が変わる、あるいは極端に言えば、我々国民の生き方そのものが変わると言ってもいいくらいでございます。例えば自己責任、これから自己責任でやるんですよということを言ったときに、一体日本国民はこの自己責任ということについてどれだけの認識を持っているかということからも考えますと、規制緩和というのは大変な仕事をするんだなとその将来を思うわけでございます。  あるいは、市場原理であるとか内外価格差、この程度はおわかりいただける。内需拡大、これも国民的な日常生活の言葉の中に定着してきているかなとも思うのでありますが、その一方で、豊かさが実感できるとかいうと、豊かになるのかな、どういう関係があるんだろうかなというようなこともあるわけでございます。  私は、やはり規制緩和というのは日本の経済にとって欠くことができないわけでございます。将来の経済生活にとって欠くことのできないものでありますけれども、同時にメリット、デメリットがあるわけでございます。あるいは、もう規制緩和影響で会社を首になる、雇用の問題にも変化があるわけでございますから、単に美辞麗句というもので終わるのではなくて、しっかりとした明暗、規制緩和の明暗というものを国民に理解していただく、そういう努力が極めて大事じゃないだろうかというふうに思う次第でございますが、規制緩和白書など広報一般についてどういうお考えでしょうか。
  22. 陶山晧

    陶山政府委員 規制緩和に関する広報・啓発につきましては、閣議決定の中でも、その方向で最大の努力をするという旨の内容が盛られているところでございますが、この一環として、規制緩和白書について、初回の白書の内容について現在作業に着手をしたところでございます。ただいまの土肥先生の御意見、貴重な御意見として承らせていただきました。  白書につきましては、公的規制の現状でありますとか、あるいは規制緩和実施状況でありますとか、規制緩和国民生活への影響とか効果等々につきまして、国民に、一般の方々にできるだけわかりやすい形で情報を提供するということを旨として内容を構成いたしたいと考えております。ただいま御意見を賜りましたので、十分参考にしながら今後の作業を進めてまいりたいと考えております。
  23. 土肥隆一

    土肥委員 ありがとうございました。これをもって終わります。
  24. 塚田弘志

    塚田委員長 五十嵐ふみひこ君。
  25. 五十嵐ふみひこ

    ○五十嵐(ふ)委員 さきがけの五十嵐ふみひこでございます。  私は、今回の規制緩和推進計画、この政府計画が策定をされまして、また今回、先ほどの大臣のお言葉のように、三年計画短縮をされたということについて、これはやはり一歩前進という評価を下さなければならないだろうと思います。  ところが、一方で、私は与党の円高対策検討チームの中にいるわけですけれども、どうも今回の急激な円高、その原因を探ってみますと、やはり政府規制緩和推進計画に対する市場の評価というものが今回の円高のかなり大きな要因になっているということを、残念ながら認めざるを得ません。  いろいろ聞いてみますと、やはり象徴的なものがございまして、一つは農産物の価格支持政策、特に食管法についてどうして触れられなかったのかということが一つでございます。それからもう一つは、大店法についての改善のプロセスが出てこない。計画の中では、一応大店法については触れられております。中期的に見直していくんだというようなことが触れられておりますけれども、具体的なプロセスが見えてこない。これは政府がやる気がないのではないかという形でとらえられておりまして、政府の改革に対する姿勢そのものに対する、これは誤った評価であるかもしれないのですけれども、遺憾ながら、そういう評価が円高を招いているということも、これは否定し得ないところでございます。  今回の市場のこうした規制緩和推進計画に対する評価について、大臣の御所見をいただきたいと思います。
  26. 山口鶴男

    山口国務大臣 お答えいたします。  村山内閣といたしましては、行政改革を最重点事項といたしまして取り組んでまいりました。行政改革の中には、規制緩和もあれば、特殊法人の整理合理化、そして地方分権、情報公開、幾つかの課題があるわけでございますが、私はこの九カ月余り総務庁の長官としてこの問題に取り組んでまいりましたが、いずれにいたしましても、この短い期間に、規制緩和の問題、特殊法人の問題、そして地方分権推進法案の提出、ただいま御審議をいただいておりますが、そして情報公開に一応の道筋をつける行革委員会の中における専門部会設置等々、私は総務庁の役人の諸君はよく頑張ったというふうに評価をいたしております。  また、私といたしましても、閣議ないしは閣議後の懇談におきまして発言をいたしまして、私なりにとにかくこれらの課題について、村山総理のリーダーシップもいただく中で、これらの課題を進めてまいった。そういう意味では、従来の内閣に比べまして、これらの課題については一応の成果を上げたのではないか、かように考えておる次第であります。
  27. 五十嵐ふみひこ

    ○五十嵐(ふ)委員 私も大臣大臣のお力の範囲でかなり頑張られだということも存じ上げております。それから、総務庁皆さんが一生懸命やられたことももちろん存じ上げているわけでありますが、今いみじくも大臣が短い期間にとおっしゃった。短い期間であればこそ、今までのやり方ではどんなに大臣が頑張られても限界があるのです。  もともと私は臨調担当記者だということを申し上げましたけれども、ちょうど第二次臨時行政調査会、第二臨調、土光臨調の中で、どうして行政管理庁が総務庁に生まれ変わったのか。焼け太りと言われながら、総理府本府の人事局や恩給局を吸収して大きな総務庁になったわけです。  これは、スーパー官庁に新しく生まれる総務庁がなってもいいという、そういう政治判断あるいは国民の後押しがあったわけであります。横並びの、並び大名と私は申し上げていますけれども、並び大名の中で同僚の中の一ポストという形で総務庁長官があったのでは、なかなか改革ができないだろう、そういう観点から、強い権限を総務庁に与えよう。かつての行政監察やあるいは組織定員の査定権限というだけではなくて、人事一般の権限やその他の権限もつけ加えられたわけですから、私はそういう意図だと思っています。  ですから、横並びの並び大名のやり方、すなわち、今までどおりの一省一つずつ出してくださいよとか、一律に何%ずつカットしましょうよというやり方ではなくて、もっと大胆な改革のアプローチがあっていいはずだ、そういう考え方が私は総務庁発足の裏側にあったのではないかと解釈をしているわけであります。  今回も、短い期間だからこそ数合わせでは間に合わない。有効な大きいもの、いわゆる大物をきちんと見つけ出していく、優先順位をつけてやっつけていく、そういう立場が必要だったのではないでしょうか。  そういう意味で、私はやはり反省するところがあるのです。私自身も、与党の立場ですから、与党の中でこうした改革に発言の場も与えられておりますので、いろいろ考えてまいりました。私自身も反省を持っているのです。時間がない時間がないと言いながら、小さな改革をそろえてきれいに仕上げるということに目が行って、大物は先送りしてきたのではないかなという意識を、私自身もじくじたるものを持っております。  ただ、一般に新聞やマスコミや市場が全然だめなんだというふうに否定すべきではないと思っていますから、私は着実に一歩ずつでも前進をしていくことに意味があると思っておりますし、また、これはこれで終わりじゃないのだ。今回の規制緩和推進計画についても、これは年次ごとに見直すことになっておりますし、これからも与党は毎月のように、例えばさきがけが、最初に言わせていただいたのですが、裁判方式というやり方を持ち出しました。  不満を持っていらっしゃる団体の方あるいは外国の方、きちんと要望をお持ちの方においでいただいて、また政府側にもおいでいただいて、その場で政治家が白黒判断をつけていくというやり方をとって、透明な形で大物を処理していこう、それから、不満のある方も納得していただけるようにしようという考え方をとったわけでありますけれども、今後とも、毎月一遍ぐらいこういうやり方をとっていこうということを与党では申し上げているわけであります。ですから、これで終わりではないわけですから、零点というばっさり切って捨てるという評価は私はおかしいと思いますし、いわゆる為替の市場も、一部については判断を間違っておられるのだろうという考え方も持っているわけです。  今後ともこういう改革を進めていくためには、今言ったように、ただ玉をそろえる、玉石混交で玉をそろえるのではなくて、優先順位をつけてきちっと大物にも取りかかっていくという御姿勢が必要だと思うのですが、その点について、もう一度大臣のお考えを伺いたいと思います。
  28. 山口鶴男

    山口国務大臣 御指摘の点につきましては、私ども行政改革を進めるに当たって、透明性の確保ということを特に強調いたしてまいりました。したがいまして、規制緩和の問題につきましても、検討委員会で議論いたしました内容は直ちに公表する。それからまた、三月十日には規制緩和に関する中間報告をいたしましたし、また十三日には外務省に在外公館の方々をお招きいたしまして、中間報告中身について詳細御報告を申し上げ、意見があればそれを承るということもいたしてまいりました。したがいまして、透明性確保ということは総理も非常に強調されましたし、私もそのことがやはり大切だ、どのような規制緩和の内容を決めるかということはもとより重要ですが、どのような手続でこれを決めたかという手続も私は重要であるという点を強調してやってまいりました。  そういう点につきましては、過般、経済同友会の諸井虔さん、そしてエコノミストとして有名な金森久雄さんと対談を相次いでいたしました。お二人とも、中身について言えば若干意見もないではないが、しかし、透明性確保ということを中心にしてやってきたこの手法というものは大いに評価できるというふうにおっしゃいました。私もその点は十分これからも大切にし、また委員が御指摘の、一つの重点を決めてこれを積極的にやっていくということにつきましては、十分配慮いたしたいと思います。
  29. 五十嵐ふみひこ

    ○五十嵐(ふ)委員 ですから、勇気を持って大きな改革にぶつかっていかなければいけない。大店法についても中期的な見直しというのではなくて、私は、いついつまでにこの点についてはこういう見直しをするという手順を、できるだけ明らかにするということを大臣にも御努力をいただきたい。  あるいは食管法についても、食管法に関する価格支持政策に対する政府側の考え方を公表されておりますけれども、私は不十分だと思います。十把一からげで、これは農業対策の面で意味があるのだ、我が国にとって価格支持政策を今すぐやめるような状況にはないというような御回答になっているわけですけれども、よく見れば、例えば繭の分野、繭糸、絹糸といった分野については、牛肉やその他のものとはやはり違うだろうし、あるいは糖価というものについても違うだろうし、米麦、米や麦の値段あるいは乳価といった値段とはいろいろ細かい違いがあるわけです。  実は、緩和していい部分、あるいはもう価格支持政策をやめていい部分がよく見ればあるわけであります。価格支持政策全般にこれは門前払いという形でやってしまうのは私はおかしいだろうと思っているわけで、こういう面についてはきめ細かく、この点についてはいついつ見直すということをやっていただきたいと私は思うわけであります。  それからもう一つ、円高ということに関連して申し上げますと、先ほども土肥委員の方からありましたけれども住宅というのがやはり大きな項目になると思います。貿易黒字の減少ということになりますと、食料品は幾らやっても額的には大したことはございません。大きいものは、一つは建築関係。これは住宅だけではないのですが、土木関係も入るのですけれども、その資材等々の規制緩和によって輸入をふやすということが私は大変大きな意味のあることだろうと思います。  また、国民生活の面からいいますと、日本人が苦しんでおるのはどうしても、住宅貧乏と教育貧乏ということを私は申し上げておりますけれども、子供の教育にかかるお金そして住宅にかかるお金が余りにも多過ぎるために、その他の可処分所得が非常に少ないというところに日本国民生活が豊かにならない大きな原因があるわけでありますから、先ほど土肥さんが例を挙げて申されましたけれども、安い輸入住宅が入ってくれば、例えば一千万で上がれば、二千万かけている家、一千五百万かけている家はざらにあるわけですから、その五百万分、一千万分でかなり大きなほかの買い物ができますし、豊かな生活ができるのだろう。それはまた、貿易黒字の面でもほかの面でも役に立つことだろうし、現下の不況を克服する上でもこれは大きな力を果たすことだろうと思っております。  そこで、先ほども輸入住宅をねらい撃ちにした規制はないということを建設省課長さんがおっしゃっていましたけれども、それはそうなんでしょうけれども、よく見ると、やはりそれに等しいような基準があるのではないか。建築基準法関係でも、先ほども申されましたように、材料建築資材等々でかなり不必要ではないかと思われるような規制が実はある。あるいは消防法との統一がとれていない、極めて輸入がしにくい仕組みになっていることは事実でございます。  その点も含めて、私は建築審議会の方で今建築基準法の改正の検討が行われているということで期待をしていたわけですけれども、出てきたものは斜線制限と地下室の見直しだけでございました。引き続きそちらの方もお願いをしたいわけですが、一方では、住宅宅地審議会においても、規制緩和という観点からのアクションプログラムの策定作業が行われていると聞いておりますけれども、その状況はどうなっておりますでしょうか。
  30. 稗田祐史

    稗田説明員 ただいまお尋ねの件でございますが、まずアクションプログラムの関係でございます。  建設省では、住宅宅地審議会・住宅政策ワーキンググループ中間報告を踏まえまして、住宅建設コスト低減対策を計画的に推進するため、昨年三月に「住宅建設コスト低減に関するアクション・プログラム」を策定いたしました。このプログラムにおいては、住宅の選択肢をふやし、適切な市場競争が行われるための環境を整備するため、輸入住宅の普及促進を位置づけ、これに基づき建築手続の簡素化、情報の提供、相談窓口の設置等の施策を実施しているところでございます。  それから基準法の見直し関係でございますが、建築基準法は、国民の生命、財産等の保護を図るため建築物に関する最低限の基準を定めているものでございまして、建材や工法の進歩などに応じて不断にその内容を見直し合理化を図ってきているところでございます。海外の建築資材や住宅の輸入の円滑化という観点からは、建築資材に係る外国の試験データの受け入れの促進、建築資材に係る相互認証制度の導入の促進、諸外国の規格基準に適合し、ツーバイフォー工法の要求性能を満たす建築資材の通則的受け入れの促進等について積極的に取り組んでまいりました。  今後とも、必要に応じ建築基準法に関する適時適切な見直しを行うことにより、海外の建築資材や住宅の輸入の円滑化のため、必要な措置を積極的に講じていくこととしております。
  31. 五十嵐ふみひこ

    ○五十嵐(ふ)委員 私も神戸震災の直後に行ってまいりましたけれども、外国の輸入住宅らしきものもありました。決してつぶれておりません。要するに、日本住宅に比べて弱いということは言えなかったというようなことを見ますと、逆に強かったと思うのですけれども、私は、過剰な規制というものは排していくべきだし、安全を守るということと別に、やはり正直にやっていかなければいけない、ほかの思惑があるのではないかと外国から思われるようではいけないと思うのですね。いわゆる日本の林業を守るためだとか、あるいはほかの業者さんを守るためというような形で基準が設けられているのではないか、安全ということだけが基準ではないのではないかというような見方がされるようではいけないというふうに私は思います。  先ほども申しましたけれども、ほかにも、例えばこれから日本の将来を考えるのだったら、やはり第二店頭市場を設けて、これはリスクマネーが集められやすくする、それからベンチャービジネスをあるいは新産業を育てやすくするということが日本にとっては急務の情勢だと思いますけれども、これが門前払いされている。大変重要な問題が幾つかやはり取り残されているというふうに考えます。金融の一層の自由化、それから、こういった大店法、食管法、あるいは建設関係規制緩和については、私は、さらに一層政府・与党を挙げて取り組まなければいけないと思っているところでございます。  また、先ほどの短い期間という話にこだわりますけれども、せっかく規制緩和検討委員会を設けられて、一生懸命委員先生方、資料を集め、勉強をされ、議論を重ねてこられました。それを十分に生かされた推進計画になっているかというと、かなり委員先生方にも不満が持たれていたというふうに私は考えます。それを今後の行政改革委員会の中でどう生かしていくか、これは大臣の裁量でできることでございますので、その点についてお伺いをして、もう時間がなくなってまいりましたので、質問を終わります。
  32. 山口鶴男

    山口国務大臣 行政改革委員会の中に設けもれました小委員会、先ほど事務局長から報告がありましたように、積極的に取り組んでいただいておりますこと、心強く思っております。当然、小委員会で議論をいただきました点は行政改革委員会報告をされる。御案内のように、行政改革委員会内閣総理大臣に対して勧告をするという権限もお持ちであります。  さらには、この決定いたしました推進計画が忠実に実行されているかどうか、これについても監視をする機能もお持ちでございます。そういう立場から、適切な意見政府にお寄せいただけるものと思っております。私たちは、そういった御意見は尊重する、もとより行政改革委員会の勧告は最大限尊重する、こういう立場でこれに対して対応いたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  33. 五十嵐ふみひこ

    ○五十嵐(ふ)委員 終わります。
  34. 塚田弘志

  35. 西川太一郎

    ○西川委員 早速質問に入らせていただきますが、まず規制緩和推進計画の、まことに冒頭から失礼な表現でありますけれども、昨今のこの朝令暮改的な、国際的な不信を招くような、そしてかえってそれが円高を促進させるような感じの泥縄式のこの前倒し、これについて質問を先にさせていただきます。  四月十四日の経済対策閣僚会議で、緊急円高経済対策の一環として、経常収支黒字の一層の削減を図るため、三月三十一日に閣議決定されたばかりの規制緩和推進計画の五年間を三年にという前倒し、それと輸入促進等を決定されたわけでありますけれども、二週間足らずのうちに計画前倒しするというのであれば、円高は何も二週間で、それは確かに急激に進みましたけれども、さらにその前から、このもと計画を策定中からそもそもこれは進行していたわけでありますし、もっと構造的な、根本的な問題がそこに根深く存在をしていたわけでありますから、最初からなぜ踏み込んだ計画策定をしなかったのか。三月三十一日の規制緩和推進計画というものが十分国際経済社会の動き等に対応した踏み込んだものではなかったのじゃないかということを、むしろ露呈してしまったのではないか。そのことが円高をさらに助長するということになりはしないのかという心配を私は持っておるわけでありますけれども、まずこの点をお尋ねしたいと思います。
  36. 山口鶴男

    山口国務大臣 お答えいたします。  規制緩和推進計画、五カ年間の計画として策定するということは、前内閣でもそのような趣旨を決定いただきまして、村山内閣発足いたしました冒頭、昨年の七月、この年度末までに五年間の規制緩和推進計画を策定する、こういう閣議決定をいたしまして、その手順に従いまして進めてまいった次第であります。  昨年の十一月の末、十二月の初めには、EU及びアメリカの経済人の代表もお招きをいたしまして、行政改革推進本部において要望、意見も承りました。そしてまた、御案内のとおり、規制緩和検討委員会におきましても内外の皆さん方の御意見、要望を十分承るという形の中で、先ほどお答えをいたしましたが、三月の十三日には在外公館の皆さん方にもお集まりをいただきまして、中間報告を詳細説明するという手順をいたしまして、国内の経済界の要望のみならず、あるいは消費者の皆さん方の御要望のみならず、アメリカ、EU関係の要望も十分承る中で手続を進めて、三月三十一日決定をいたした次第でございます。  しかし、その後の急激な円高もございまして、これに対応するためには異常な決意でやはり対処しなければならぬ、こういった総理の強い御指示もございまして、関係閣僚集まりまして議論をし、また与党におきましても役員の皆さん方の御論議をいただき、政府・与党一体となって、異常な決意でそれではこの内需拡大策を進める。  特に公債などにつきましては、特例公債というものは発行するのは控えようという考えでございましたが、その点も改めて、積極的な公債政策をとる。すなわち、特例公債についてもこれは発行するという形の内需拡大策を進める。同時に、規制緩和につきましても、先ほど申し上げたような手順で進めてきた五カ年計画ではあるけれども、あえてこれも三年間に前倒しをしようという形で決めたわけでございまして、その点はひとつ十分御理解を賜りたいと思う次第でございます。
  37. 西川太一郎

    ○西川委員 大臣は、前の内閣でも五カ年だった、こうおっしゃいますけれども、そういう問題じゃないのですね。前の内閣で確かに五カ年計画ではありました。しかし、それは宮澤内閣の流れも受けて、さらにそれを深めてやったという経緯は私たちもよく承知をしておりますけれども、そういう手続論の問題をお尋ねしているのじゃなくて、この近時の急激な円高による緊急対策の中でと、こういうことで掲げた柱の中にこの規制緩和が入っている、このことについて、そんなことはもうとっくにわかっていることなんだから、もっと積極的にやらなければいけないのじゃないか、しかも、内外からの評価は必ずしも高くないということを私は申し上げたいのです。これは順次申し上げてまいりますけれども、そこで理解をしろ、こういうことでありますけれども、ただいまの答弁では私はちょっと理解が進まないということを申し上げて、次の質問に入ります。  しからば、具体的にお尋ねをしてまいりますけれども緊急円高経済対策におけるこの規制緩和推進計画前倒しというのは、まず、同計画中において平成年度とか十一年度の措置等を予定しているものだけを前倒しにするんですか。つまり、私ども新進党としては、一年でやれと、それはなかなか大変ではあるけれども一年でやれ、こういう主張をしているわけでありまして、全面的な前倒しが必要ではないか、こういう意見を持っているんでございますが、いかがでございましょうか。
  38. 陶山晧

    陶山政府委員 今回の経済対策によりまして、ただいま先生指摘のありました平成年度及び十一年度実施予定であったものにつきましては平成年度までに実施するということになるわけでございますが、これ以外の事項につきましても、平成年度以降という実施予定時期であったものがかなりの数がございます。それらについては、当然のことながら三年度間の、三年間の幅の中で実施をするということになります。  また、七年度実施ということについては当面着実に実施をしてまいりますけれども、八年度とか九年度実施という実施予定時期であったものにつきましても、次の改定時期において、できるだけ前倒し可能なものについては、前倒しという方向で改めて検討をするということになろうかと存じます。
  39. 西川太一郎

    ○西川委員 今お尋ねしたのは、まず事実関係の確認から伺いますが、十七日の労働省関係の産業労働懇話会に村山総理が御出席になり、「輸入の障害となっている規制は思い切って自由化を図り、できるものは一年以内にでも緩和することに力を入れる」、こう表明されたという報道があるわけでございますが、まずこれが事実かどうか。
  40. 陶山晧

    陶山政府委員 直接伺ったわけではございませんが、報道において、総理から姿勢として御発言があったということは承知をいたしております。
  41. 西川太一郎

    ○西川委員 事実なんですね、じゃ。そういうことですね。  労働省の人も来ているんでしょう。事実なんでしょう。——通告してあるんだ。通告したんだから答弁してくれよ。
  42. 井原勝介

    ○井原説明員 私どもも、直接担当しているわけではございませんので事実まで確認はできませんけれども、そういう発言があったという報道があ  ったということは承知をしております。
  43. 西川太一郎

    ○西川委員 私は野党ですけれども、原稿を全部渡しているんですよ。しかも一言一句ちゃんと文字どおり質問しているんで、報道があったことは事実かと書いてあるんだ、ちゃんと原稿に。冗談じゃないですよ。答えてくださいよ、ちゃんと。後の質問に関係あるんだから。
  44. 陶山晧

    陶山政府委員 すべてを一年でとおっしゃったのではないようでございますけれども、できるだけ早く実施するように努力をしたいという趣旨の御発言であったと伺っております。
  45. 西川太一郎

    ○西川委員 おっしゃるとおりで、「できるものは一年以内に」とこうおっしゃっている。私もすべてとは聞いていない。  ただ、先ほど陶山さんに御答弁をいただいた前段の問題どこれは深くかかわるんですよ。つまり、私ども新進党は、できるだけ一年以内でやるべきであると、そういうふうに主張しているわけでございまして、したがって、前倒しというのは単に四年目、五年目のものを三年に繰り上げるのではなくて、できる限りのものを三年の中に入れるべきではないかということをお尋ねしているわけですが、何かぶっきらぼうな御答弁で、やれるものはやる、見直ししてできるものはできる、そんなんなら質問する必要ないんで、そういうことを私としてはまずきちっと内外に示すことがこの緊急対策としては大切だと。だから総理もこういう踏み込んだ御発言をされたんでしょうと。  先ほど総務庁長官は、総理のリーダーシップと御自身の努力によってと、責任者として、行政の長として当然のことでございますが、こういう決意を表明された。しかし、それを実際にサポートする皆さんの側で、踏み込んだこういう姿勢に対する対応というものができていなければ私は意味がないと、そういう意味お尋ねをしているわけであります。いかがでございましょうか、長官。
  46. 山口鶴男

    山口国務大臣 三年に前倒しといたしたことは、平成年度、十一年度のものを九年度にやるということだけではないと思うのです。全体的に前倒しをしていこうという決意の表明であると思います。  で、そういう立場で、実際にそれでは三月三十一日に決定いたしました計画をどのように見直すのかということになるわけでございますが、これは、前から申し上げておりますように、年内に見直す。で、この見直しに当たりましては、先ほど来お答えしておりますように、行政改革委員会の中で小委員会もおつくりをいただいて、今精力的な作業もしていただいておる。そういった作業をも十分私ども尊重する中で、また総務庁といたしましても、各省庁と連絡を密にいたしまして、そうして年内にこの見直しをする。そして、その見直しに基づきまして、当然中間報告等もいたしました上で、私は、決定の透明性確保ということを配慮しながら、年度末に、それでは前倒しの結果はこうでありますという計画を決定をする。こういう手順になると思います。そういった手順を積極的に進めてまいりたいと存じます。
  47. 西川太一郎

    ○西川委員 推進計画そのものはただいまの総務庁長官のペースでいかれて当然だと私は思いますが、緊急のこの経済対策とか円高対策ということで、一日にこの時間にも一兆億ドルの金が売ったり買ったりで動いている。しかも、一円上がれば自動車業界は三百十億円、電機・電子業界は二百三十億円吐き出さなきゃならない。六円ほどで自動車は全部、約十二円で電機は全部の平成年度の経常利益を吐き出さなきゃならない。こういう大変なときに、年度末までになんということじゃないと思うんですよ。  そこで、実は今の総務庁の長官のお話を伺っていますと、例えば、じゃ前倒しというのはただ全体を前倒しをするというこの精神論だけであって、具体的に項目数がどのぐらいのものなのか定量的に、定数的に示せないのか。それから、経済のいわゆる経常収支の黒字の削減につなかったり、輸入拡大の効果というものはどのくらいに見込んでいるのかとか、そういうようなことについては定量的、定数的に示せないですか、今の段階ではいかがでございましょうか。
  48. 陶山晧

    陶山政府委員 項目数のお尋ねでございましたが、五カ年計画において、平成年度及び十一年度実施予定とされていたもの、それから、先ほども説明申し上げましたが、平成年度以降実施という形で五カ年間の期間内に措置を予定していたもの、これらを合わせますと約二百三十の事項数がございます。  これはいずれにしろ、三カ年の幅の中に前倒しをして実施をするということになるわけでございますが、これ以外の事項についても、改めて申し上げますけれども、できるだけ実施予定時期を早めるべく努力をするということは当然のことであろうと考えております。  なお、具体的な数字を示せという御趣旨でございましたが、ただいまの段階で定量的な意味における具体的な数字をきっちりと御説明できるような材料を持ち合わせておりませんので、大変申しわけございませんが、数字で御説明を申し上げるということはかなり難しい問題であろうと思っております。
  49. 西川太一郎

    ○西川委員 伺っていて愕然としますよ。失礼ですけれども、何が緊急経済対策緊急円高対策なんですか。前倒しをするというだけで世界がそうですかと承知をしてくれるほど国際経済は甘くないですよね。ましてや、背広を着たばくち打ちと呼ばれている投機家、こういう人たちがこの程度のことで承知をするはずがないと私は思いますね。  まあ、時間の関係もありますから先に行くとして、そこで私は、そういう観点から、例えば具体的にもう一つ伺いたいのは、私も商工委員でもございますので大店法を、先ほど五十嵐先生から御質問がございました、重なって恐縮でございますけれども、大店法の出店・営業規制見直しについての前倒しが入っているわけでありますけれども、これは当該業界関係者と十分コンセンサスを得られておるのでしょうか。その上でここに盛り込まれたのでしょうか、いかがでございますか。
  50. 斉藤浩

    斉藤説明員 大店法につきましては、見直しそのものを実施するという点につきまして、昨年の五月に規制緩和を大幅に行いましたが、そのもとになりました審議会の答申、昨年の一月に出していただきました、その中で、中小側、大手企業あるいは学識経験者、消費者の代表の方々、関係者に幅広く入っていただきまして、ここで終わりではない、次回またしかるべき時期に見直しを行うということについては、皆さんのコンセンサスをいただいております。  ただその際、じゃ、いつやるのかという点につきましては、昨年の五月の大幅な緩和の効果というものを見た上で次の見直しをすべきであろうということでございましたので、しかるべき期間を経過した後ということで、具体的に設定をいたしておらなかったわけでございます。ただこれは、政府全体といたしまして、規制緩和計画ということで内外の注目も浴びておりますので、期限についてはすべて透明にやろうということでございましたので、期限についてもその全体の枠の中で設定をさせていただいたということでございます。  また、今回の円高緊急対策におきまして、この規制緩和計画を三年以内にすべて実施していこうという統一方針でございましたので、その方針に従いまして見直しの時期につきましても対応をさせていただきたいということでございまして、見直しそのものにつきまして、従来から関係業界にはお話をしております。ただ、どういう方向でというのは、今後の見直しの実際において検討してまいるわけでございますが、時期につきましても、そういう政府全体の方針を御説明して御了解を得るように努力をしておるところでございます。
  51. 西川太一郎

    ○西川委員 なかなか難しいと思いますよ。  そこで、前倒しの各項目について、これは改めて閣議決定とか行革推進本部の決定とするのか、あるいは各省庁の責任において推進措置を行われると考えていいのか、いかがでございましょうか。
  52. 陶山晧

    陶山政府委員 先ほど大臣からも御答弁がございましたが、この前倒しに伴います具体的な実施時期の計画改定につきましては、本年末までに見直しをし、年度末までに改定するというルールが計画そのものに掲記をされているところでございますので、それに従って対応をしたいと考えております。  また先ほど、恐縮でございますが、先生からおしかりを受けた定量的な効果の問題について、経企庁から御説明が予定されておったようでございますけれども、私どもの立場で申し上げましても、規制緩和影響は、必ずしも短期ということではなく、中長期的に効果があらわれるという側面が多いということもございますし、また、市場経済の効率化による輸入の増加という観点からは、その時々の経済的な状況などに大きな影響を受けるという面もございますので、これによってどの程度輸入増につながるかということについて、いわば数字を挙げて具体的に申し上げるということが大変難しい問題であるということを御理解を賜りたいと存じます。
  53. 西川太一郎

    ○西川委員 そこで、外務省に伺いますけれども、このたびの緊急円高経済対策、殊に規制緩和前倒しが輸入促進等に十分効果がありと、諸外国、なかんずくアメリカがそういう認識を持っておられるかどうか、伺いたいと思います。
  54. 北島信一

    ○北島説明員 今回の緊急円高経済対策の内容につきましては、規制緩和推進計画前倒し等、種々の措置がうたわれているわけですけれども、外務省としましても、これまで外国の理解を得るように説明してきております。  例えば、米国の場合ですと、十六日インドネシアのバリで開かれました日米蔵相会談におきまして、ルービン財務長官より、対策に盛り込まれた内容は的を得たものであるという発言があったというふうに聞いております。それから、カムドシュIMF専務理事ですが、十四日付の声明におきまして、我が国公定歩合の引き下げを歓迎するとともに、本件対策を含めて規制緩和それから市場開放をさらに推進してほしいということを求めております。  要するに、諸外国等は、対策の趣旨に沿って今後実際に実行されていく七年度補正予算の内容、それから規制緩和計画実施ぶり等を見た上で最終的に判断したいという立場だと思いますけれども、今回の対策が示した方向性、これについては積極的に評価しているというふうに考えております。
  55. 西川太一郎

    ○西川委員 方向性は私どもも全く一緒に同感で、そのことについては、失礼ですけれども、当たり前なのですよ。問題はスピードなのですよ。そうでしょう。我々は政治家なのですから、学者や評論家じゃないんだ。現下のこの円高平成不況、非常に厳しい中で政治不信に陥っている人たちもいる。それに対して現実的にこたえていかなければいけない。二信組問題だってそうでしょう。いろいろなことに対して私たちはこたえていかなければならぬ。  そういう経済をめぐるいろいろ大変なときに、我々ももろ刃の剣で、傷も受けながらいろいろと苦労しているわけですね。きれいごとは言いませんよ。格好いいこと言って、できもしないことをやれとか、そんなことは言わない。いずれ政権をとらせてもらうときに、何だおまえら、格好いいこと言ったけれども同じじゃないかなんと言われることは我々はしたくない。ただ、スピードは私たちはもっと上げなければいけないのじゃないか。  例えば、私が今お尋ねしたのは、我々も根拠がマスコミに頼って恐縮でございますけれども、四月一日の産経新聞が報じておりますのは、先ほどの土肥先生や五十嵐先生お尋ねの中で、御答弁にありましたけれども規制緩和で、外国の関係団体の方々に御説明があった、それに対して、大事な課題は先送りをしているという声が各代表からあった、こういう報道がされているわけですね。だから、ただいま外務省に極めて乱暴なお尋ねをしたわけでありますけれども、私どもは、この円高をとめるためには、もっと積極的に進めてほしいというのは不十分だということの裏返しの表現でしょう、だから、そういうことについて、スピードもそうだし、網羅するべき項目ももっとたくさん取り上げるべきじゃないか、こういう観点からお尋ねをしたわけであります。  そこで次に、もう時間がございません、質問はたくさん欲張って用意をしましたので、早目お尋ねをしていきたいと思います。  そこで、規制緩和推進計画の目的として、国際的に開かれた、自己責任原則と市場原理に立つ自由な経済社会の構築というものを基本として示されているわけでございます。  行政が責任を負う分野と民間活動にゆだねる責任の明確化、また、個人あるいは企業の自己責任社会の確立に向けた具体策、または古くから言われている企業の社会的責任の明確化の必要性、規制緩和に伴うマイナスの側面への対応、こういうものもこのたびの計画の中に盛り込んでしかるべきではなかったのか、少なくとも前文あたりでそういうことを高らかにうたいとげる必要があったのじゃないか、こう思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
  56. 陶山晧

    陶山政府委員 ただいま先生から貴重な御意見としての御指摘をちょうだいいたしましたが、行政が責任を負うべき分野の明確化というふうな観点につきましては、必ずしも規制緩和という視点のみでは論じられない大きな課題であろうというふうに考えております。今回の計画におきましては、この規制緩和を進めるに当たっての観点を各分野ごとに掲げておりますし、また、社会経済情勢の変化を踏まえて見直しをするという際の基本指針を掲げているところでございます。  また、御指摘のございました、自己責任社会に向けた具体策とか企業の社会的責任の明確化といった問題につきましては、基本的には国民とか企業の側の自覚にまつという側面が大きい問題でもあろうというふうに思っておりますが、いずれにしろ、この自己責任原則の確立の重要性については、確かに重要な問題であろうと思いますので、計画に盛り込んでおります広報・啓発活動の積極的な推進という中で、できるだけの努力をしていく必要があろうと思っております。  また、負の側面というお話がございました。これは計画の中にも、例えば雇用・労働関係について「労働者の福祉や雇用の安定を図りつつことか、公害等の社会的規制について「生命・身体・財産の保護、環境の維持・保全等を図りつつことかというふうな意味において、その思想、考え方を入れたつもりではございますけれども、これらの問題については、具体的な規制緩和推進するに当たって、常にケース・バイ・ケースで留意をしていくべき課題であろうと考えております。
  57. 西川太一郎

    ○西川委員 お尋ねしたのは、緊急円高経済対策はおくとして、当該計画中身について、例えば、村山内閣の最重要課題である、総理は一月二十日の施政方針演説で、「規制緩和については、」「経済的規制は原則自由化の方向とし、社会的規制は本来の政策目的に沿った必要最小限のものとすること」を基本とすると明言されました。そして、総務庁長官も二月二十一日の当委員会で、「経済的規制につきましては、原則自由、例外規制ということだと思います。原則的に自由にするということで進めるように、事務当局には指示をいたしております。」と御答弁なさっているわけでございます。  そしてさらに、昨年の、古い話ですが、クリスマスに閣議決定をされたわけですが、そのときには、「経済的規制については原則自由・例外規制、かつ、社会的規制については本来の政策目的に沿った必要最小限のものとすること」と示されているわけでございますけれども、先ほど来、前問、またこの質問で私がお尋ねしようとしているのは、規制緩和推進計画は、これらに沿った十分な規制緩和措置であると。施政方針演説や閣議決定や長官御自身の御答弁というか長官御自身のお気持ちでございますね、そういうものの発露があるわけでございますが、その方針とこのたび出た計画が余りにも乖離しているのじゃないか。方針でうたいとげた緊急性かつ重要性にかんがみて、出てくる計画としては、項目においても、また速度においても、何か情熱を感じられないというか、そういう気持ちがいたすわけですね。  なぜかといいますと、これはお役人というのはなかなか天才的な御答弁をされますからあれですけれども、全部で一万九百を超える、これは許認可ですよ、規制とはあえて言いませんけれども、しかし、規制の範疇に入るものだ。こういうものがあって、このたびはその一割なんですね。千九十一項目というのは、約一〇%ですよ。  それは、今回は緊急に三年に前倒しをされたけれども、当初この計画を御立案、策定なさるときには五年でございました。五年で一〇%しかやらないというのは、これは「経済的規制は原則自由化」云々という総理や総務長官の御発言、こういう問題等を考えますと、少しくどいようでございますが、理念と実際が余りにも乖離している、方針計画が余りにも乖離している、私はそう思うのですね。  方針というのは、計画に関する用語で言えば構想でございましょう。それを具体的にタイム、パジェット、いろいろなものを勘案しでつくるものが計画である、こうするならば、ちょっと乖離し過ぎている、こういう感じがいたしますが、長官、いかがでございましょうか。
  58. 山口鶴男

    山口国務大臣 お答えいたします。  確かに御指摘のように、各省庁が持っております許認可事項、約一万一千ほどある、そして、今回の規制緩和推進計画、千九十一事項である。それを比べますと一割ではないか、こういう御指摘になるわけでございますが、問題は、規制緩和いたしますと、では、許認可事項が減るのか。  必ずしもイコールではないわけでありまして、例えば交通運賃のごとき、今まで認可制だった、それを一部今度届け出制でいいということにいたしますと、許認可事項としては、一部届け出ですから、届け出事項が一つできる。それから、他の部分におきましては認可事項というのがそのまま残っているわけでございますので、結局、規制緩和をいたしたために、許認可事項はマイナスではなくてプラス、ふえるという事態もあるわけでございまして、この点は、規制緩和の事項とそれから許認可のいわば項目と、これがイコールのものではないという点は、ひとつ御理解をいただきたいと思うのです。具体的には、事務当局から答弁させても結構だと思いますが。  そして、私に特にお尋ねいただきました問題は、方針がこの計画に盛り込まれておらないじゃないか、その点、内閣としても長官としても一体どのような考え方でやったのか、それに対する評価はどうか、こういう点であろうと思います。  この点につきまして、私どもといたしましては、とにかく総務庁の事務当局としては、行政管理局が各省庁と懸命に交渉する、話し合いをする。それからまた、行政監察局は監察の立場から、この規制緩和推進のためにこれまた懸命な努力をしていただいたと思っております。  ところが、我が国体制は、大統領制ではありませんで、議院内閣制であります。内閣法からいきましても、各省庁のいわば権限は各省大臣にあるわけでございまして、総理大臣は、結局内閣を通じてこの調整をしていく、閣議でもって方針を出して、その方針もとに各省庁にそれを実行させる、こういう形にならざるを得ないのであります。  したがいまして、総務庁といたしましても、そういう立場の、閣議決定の方針に基づいて、各省庁にできる限りその方針計画に盛り込んでいただくように努力をする。また、各省庁も努力はいたしますが、先ほど来通産省から御答弁もありましたように、業者間の調整の問題等でなかなかこれが進まぬという事態もあれば、各省庁もなかなかそれに対して、わかりました、計画にのせますということにはならぬ、これが実態であろうと思います。  したがいまして、村山総理大臣も施政方針演説でうたいました、行政改革は最重点事項である、したがって、これを進めるということで閣議の際にしばしば発言をされまして、各省庁を叱咤激励をいたしました。私も総理を助けまして、閣議において、あるいは閣議後の懇談において発言をいたしまして、そうして、その結果、事務局がぎりぎり努力をいたしまして組み上げたのが三月三十一日の五カ年計画であり、それを政治的立場で三年に前倒しをしたということでございまして、例えばEUのごときは、随分我々の要望を聞いてくれたと評価をいただいている面もございます。また、先ほど諸井虔さんと対談もいたしました、エコノミストの金森久雄さんと対談もいたしました。その際、個々に言えばいろいろ注文もあるけれども、しかし透明性確保という点で、しかも毎年毎年これをローリングをしていく、こういった手法は高く評価できる、このようなお話もいただいて、私としてもうれしく思った次第であります。  微力ではございますが、全力を挙げて村山総理を助ける努力をいたしました。結果はもう御指摘のとおりであります。これに対する御批判は、これは政治家として十分皆さん方の御批判は承りたいと存じます。
  59. 西川太一郎

    ○西川委員 もう時間もあと五、六分しかありません。たくさん用意をして、きょうは説明員の方々に、お忙しい中空振りでまことに申しわけなかった。残りはいずれかの機会にやらせていただきます。  最後に二問だけお尋ねをします。  それは、純粋持ち株会社の解禁が、中間報告で措置困難とされていたものが計画においては検討に変更されたのですけれども、これに対して総務庁長官は、解禁に反対である、こういうふうに新聞報道でおっしゃっている。それに対して橋本龍太郎通産大臣は、「原則として解禁と考えるべきだ」と三月二十八日の朝日新聞は報じています。また、公正取引委員会委員長も、「経済力の集中防止は必要だが、その手段として持ち株会社の全面禁止が必要かどうか考えてみなくてはいけない」、こういう踏み込んだ御発言。それに対して、翌日、総務庁長官は反対の御見解を示されている。一方、御答弁をしていただきます舟橋課長さんは、三月二十四日の日本経済新聞の「経済教室」に、「持ち株会社禁止は必要」と、こうおっしゃっている。大げさに言えば閣内不一致、こういう最重要課題で、当該総務庁長官がこれは禁止をするべきだとおっしゃり、経済閣僚の一方の雄である橋本通産大臣推進するべきであると、推進とは言わないけれども、前向きに検討、解禁と考えるべきだと、こうおっしゃっている。私、いずれもっと詳しくこれ商工委員会でやりますけれども、これに対するお考え、お聞かせをいただきたい。  これを一応答弁いただいて、時間が切れちゃうといけませんからもう言っておきますが、最後の質問は委員長お尋ねをしたいのでありますが、これは、では御答弁伺ってから。もういずれにしましてもあと四分しかありませんから、ひとつよろしく御協力を。
  60. 山口鶴男

    山口国務大臣 確かに関係閣僚の会合の中で橋本通産大臣意見と私の意見が相違をいたしたことは事実であります。また、公正取引委員長の見解は私の見解とほぼ同様でございました。  ただ、そういった意見の相違はありましたけれども、しかし閣議決定といたしましては、「持株会社規制について、事業支配力の過度の集中を防止するとの趣旨を踏まえ、」「企業集団等の問題に留意しつつ、我が国市場をより開放的なものとし、」「事業者活動をより活発にするとの観点から、持株会社問題についての議論を深めるため、検討を開始し、三年以内に結論を得る」という、だから、検討をして三年以内に結論を出そうじゃないかということについては三者とも一致したわけであります。  そういう意味で、閣内不統一ではない。いろいろ立場の議論はありましたけれども、しかし、そういった問題を含めて、議論をして、三年以内に結論を出そうということでは一致いたした次第であります。
  61. 山田昭雄

    山田説明員 先生御承知のとおり、持ち株会社の規制につきましては、独占禁止法の第九条で、事業支配力の過度の集中防止ということで言っているわけでございます。  私ども、この持ち株会社の規定につきまして、種々、最近議論が出ているわけでございまして、そういういろいろの議論をする、検討していくということは、これは必要であるという考え方でございまして、その趣旨で、先ほど山口大臣が御答弁ございました観点から、ここに入れたものでございます。
  62. 西川太一郎

    ○西川委員 これは商工委員会で質問の機会があれば掘り下げてお尋ねしたいと思います。  今の御答弁をそのままあれだと、この報道、特に公正取引委員長の御発言がちょっと報道とはニュアンスが違いますね。したがいまして、それはまた後ほど議論をいろいろしたいと思います。  最後になりましたけれども、先ほど土肥先生からもお尋ねがございましたが、当委員会の運営について、委員長お尋ねをしたいと思います。  行政府内の行政改革推進本部における規制緩和推進行政改革委員会における規制緩和監視ばかりでなく、言うまでもなく、国会の本来的機能の発揮のためにも、立法府において、当委員会の使命を十分踏まえ、内外の規制緩和の要望を把握し、官僚の皆様にお任せをする規制緩和ではなくて、広く国民共通の利益の視点に立った規制緩和を進めていくべきだ、こう考えるわけであります。分野別でありますとか項目別でありますとか、政府委員の——説明員の方々を軽視するわけではございませんよ、もっと責任ある政府委員の方々の御出席をたくさん求めて、幅広く各省庁のお考えを伺うなどの、そういう委員会の運営を行っていくべきだと私は考えているわけでございますが、委員長の御所見を伺いたいと思うのでございます。
  63. 塚田弘志

    塚田委員長 ただいまの西川委員の発言の趣旨を十分に踏まえ、理事会において協議してまいりたいと思います。
  64. 西川太一郎

    ○西川委員 どうもありがとうございました。
  65. 塚田弘志

  66. 吉田公一

    吉田(公)委員 規制緩和についてはいろいろ議論をされてきたところでありますが、大体、五カ年計画以前に規制緩和について各省庁が提出をして、規制緩和をしたところがある。約一〇%だということでありますが、正直なことを申し上げて、どうでもいいような、各省庁にとっては別に差し支えないようなものを提出をしてきている感じをするわけですね。例えば、狂犬病予防法だとか寄生虫予防法だとか、それからその申請年数を二年を三年にするとか三年を四年にするとか、どうもそういう気がするのであります。今後五カ年計画の中で、例えば昭和三十五年以前につくった規制なんというのは全部出してもらって、そして全部再検討してもらう、そういうことをしないと、各省庁にお任せではどうでもいいようなものしか出してこない。  だから、そういう意味で、大臣にお伺いしたいのですけれども、とにかく、昭和三十五年以前ということは、月へロケットが飛ばない時代の話だ。今は、もう月へロケットが飛んで、月の土をとって帰ってくる時代だから、それ以前につくった規制だとか法律などというのはもう合わない。だから、三十五年以前のものについては一たん全部提案してもらって、そしてそれを全部当委員会でチェックをするというぐらいのことをしないと、規制緩和などというのはとてもできない。しかも、五年計画でやるといったって、その五年の間にまた規制をつくるんだから、そうするとツーペイになってしまう。  だから、大臣、そういうことのないように、抜本的な規制緩和をしていくためには、大臣の基本的なお考え方をまず伺わせていただきたい、そう思うのです。
  67. 山口鶴男

    山口国務大臣 お答えいたします。  三十五年以前のものという話がありますが、いずれにいたしましても、規制緩和実施するためには、法律改正をいたしまして、国会の御決定をいただかなければなりません。問題は、当委員会でこういう御議論をいただいて私も大変うれしく思っておるのですが、委員会におきましては、こういった安全確保のためにこういった規制をすべきである、このような公害防止あるいは環境保全のためにはこういった対策が必要ではないかとか、さまざまな議論がございまして、むしろ規制強化するといいますか、数をふやすというような御議論も随分あるわけであります。  したがいまして、私どもとしては、新しく規制をつくる場合は、これはもう厳しくチェックをいたしまして、そして歯どめをかける。そして、実施いたしました後についても、これを厳しく監察をするということをやりまして、総務庁行政管理局にいたしましても行政監察局にいたしましても極力努力をしているという点は、ひとつ御理解をいただきたいと思います。  要は、私どもといたしましては、内閣全体でこれは進めなければなりません。各省庁がその気になって法律改正を提案してもらわなければならぬわけでございますので、したがって、閣議として方針を決め、その方針を極力実施をするという形で、この総務庁、総合調整官庁として全力を尽くして努力をする、また、内閣官房とも協力をして、内政審議室とも協力をして、各省庁に対して協力を求めるという形でやってきたわけであります。  したがいまして、従来の規制緩和の実績から見れば、今回の実績は、まあ数ばかりではないとおっしゃるかもしれませんが、事項としては、これは評価をいただけると思います。中身の問題についても、細かく御検討いただければ、ある程度やったなという御理解をいただけるものもあると思います。  いずれにいたしましても、国会は国会として活発に御議論をいただいて、そして単に役所任せではなくて、国会の議論の中で政府としての方向を指し示すような、そういった建設的な御議論をぜひいただきたいもの、私どもも国権の最高機関である国会の御意思を体して懸命にやるということではないかと思います。
  68. 吉田公一

    吉田(公)委員 総論としては大臣のおっしゃるとおりなんだけれども、実際は大臣のおっしゃるようになかなかいかないし、大臣も相当勇気と、憎まれ役を買わなければこの規制緩和というのはなかなかできない。  そこで、法律の改廃については、事務次官会議というのがあって、各省庁から上がった法律は事務次官会議で全部決められる。だれかが反対するとできない、どこかの省の事務次官が反対するとできない、こう言っていますが、行政管理局長、それはそのとおりですか。
  69. 陶山晧

    陶山政府委員 事務次官会議の決定は全会一致が原則と承知をいたしております。
  70. 吉田公一

    吉田(公)委員 そんな仲よしクラブみたいなことをやっているからだめなんだよ。事務次官会議でもって、関係ないところの省の事務次官が反対だからできない。それが、例えば厚生省が、この法律だけは何とかひとつお願いしますよといったら、農林省の事務次官に話を事前にしておいて、悪いけど農林事務次官、この話だけはひとつ内密にして、反対してもらえないか、こうなるわけです。それでは何にもできないということになる。この事務次官会議などというのは形骸化してしまっている。  大臣、まずここのところから手をつけなければ、これが基本問題なんです。事務次官会議でオール賛成でなければできないなどということを頭に置いておいて、それで法律の改廃をしようなどということ自体が無理な話なんです。その点、大臣、いかがですか。
  71. 山口鶴男

    山口国務大臣 閣議も全会一致が原則ということになっております。事務次官会議も同様だと思います。これは我が国の長い議院内閣制の中で、しかも現在の内閣法の中でそのような形ができていると思います。ただ、これを改めるということも私は一つの方法だと思いますが、これにはやはりかなりの抵抗もあるでしょうし、時間もかかるかもしれません。  今、私、村山内閣としてやっておりますのは、例えば重大な政治的課題、村山内閣になってからの、例えば被爆者援護法の問題、これを一つ例にとってみれば、この問題に関しては、それは省によっては意見の相違がございました。しかし、閣議後の懇談の中で何回もこのことが議論になり、そうして、それでは何人かの関係閣僚で調整をしてもらおうということになりまして、その結果、衆参両院の御同意を得て被爆者援護法が成立をしたということであります。  ですから、確かに事務次官会議の建前はおっしゃるとおりでありますけれども、要は、これは政治的に重大だという問題は閣議において議論をする。それから、例えば今提出して御審議をいただいております地方分権推進法案、これも地方分権推進委員会をつくるかどうかということでは各省で意見が違いました。しかし、これも閣議後の懇談の中で、私や自治大臣が発言し、総理大臣が指導性を発揮して、この際これは委員会を設けるということで法案をまとめようじゃないかというような形であの法案も提出に至ったというような形でございまして、事務次官会議の仕組みは仕組みとして、重要な問題については閣議で政治の方向をきちっと決めて、その上でやってもらうということを私どもとしてはやっている次第であります。
  72. 吉田公一

    吉田(公)委員 まあしかし、事務次官会議で大体了解がついたものは閣議で大体了解。しかし、高度の、国民意見が二つに別れるようなもの、あるいは我が日本の国策についての議論というものは、もちろん閣議でやってもらわなきゃ政治主導にならないわけですよね。だから、まず事務次官会議とかなんとかというのはもうやめてしまう、それが基本だと私は思う。国会改革、国会改革などと言っていながら、そんな明治以来続いているような慣習を守ってきて、それで今のこの世界情勢の厳しい中で対応していこうなどということ自体がおかしい、そう思って、事務次官会議会議のあり方についてぜひ直してもらいたい、まずそこが基本だと私は思います。  それから、官庁用語の規制緩和でありますが、これは御答弁いただく省庁はないのです。  「霞が関言葉」、イアン・アーシーという人が書いている。それを読みますと、私もそう思っていたんだけれども、例えば、平成年度運動場整備、平成年度公園駐車場整備、二カ年で整備する。整備という言葉が三回入っているのです。整備という言葉を使わないと大蔵省で予算をつけてくれないのかどうかわからないのだけれども、何でも整備だ。  例えば海岸の整備。海岸の整備というのは何かというと、海岸をコンクリートで固めてしまおうということなんだよ。それから緑樹帯の整備。なに、道路に木を植えようという話なんだ。やたらに整備、整備と。  今問題になっている整備新幹線というのがある。整備新幹線というのは、私はもともとよくわからなかった。要するに新幹線を早くつくってくれという話なんだ。そういうように、やたらに整備が出てくる。街路樹整備でしょう、今やっている。道路に木を植えることなんだ。  そういうように、整備というのは本当に文書にこれはよく入っている。  海底ケーブルの整備。こんなのは海の底にケーブルを敷くことなのだよ、何も整備なんという言葉を使わなくたって。  防衛力の整備というのは、長官、何ですか。だって、早い話が軍事力の整備、強化でしょう。そういうように、整備がやたらに入っている。これは、整備と書くと、国民皆さんはいろいろなとり方をするわけだよ。防衛力の整備というのは何ですかね。軍事力の強化ととらえる人もいるわね。あるいは自衛官の待遇改善ととらえる人もいる。あるいは普通装備を強化充実するという人も考えられる。あるいは海軍を強化するという考え方の人もいるしね。潜水艦をもう一隻ふやそうじゃないかというのも軍事力の整備の一つなのです。  そういうように、整備と言うと何となくうまくごまかせるのだ。そういう意味で、整備、整備と書かないで、やはりちゃんと一般の国民にわかるようなきちっとした言い方をする必要があると思うのですよ。  それで、整備の種類というのはこれだけあると言うのだよ。体系的な整備、効率的な整備、先行的な整備、適切な整備、調和のとれた整備、まさに無尽蔵だと言うのだよ。風格のある、国民に親しまれる、施設整備、整備充実、整備改善、整備育成、開発整備、収集整備、振興整備、法を整備、こうあると言うのだね。だから、役所で整備と書かなければ大蔵省で予算をくれないのなら話は別だけれども、整備という言葉はまことに紛らわしい言葉だ、どうにでも使える。海底の整備とかね。  農村の空閑地整備なんて、農村なんかもともと空閑地じゃないですか。農村の空閑地整備なんて、何を言っているのだからっともわからない。  農地の整備。農地の整備というのは、要するに田んぼや畑をつくるということなのだよ。何も整備なんて言わなければ大蔵省が予算をつけてくれないわけじゃないだろうと思うのだな。  したがって、これからやたらに整備、整備と出てくるものには予算をつけない。そうしないと、国民が惑わされやすいのです。  大臣、この官庁用語特有の整備という言葉について、もう少しきちっと、やるならやるというような言葉、そうでしょう。海岸の整備、護岸整備、河川の整備、何のことはない、河川をコンクリートで固めるという話なのだよ、川の整備なんというのは。だから、大臣、こういう整備言葉について、官庁の、役所同士でなければわからないような言葉をもっと改めてもらうということでありますが、大臣の御感想をひとつ。
  73. 山口鶴男

    山口国務大臣 私も、国会で長い間議運の理事をやっておったものですから、いわゆる国会用語というのがありますが、そういうものはできるだけ平易にしようということには努めたつもりでございました。御指摘のように、官庁用語というのはわかりにくいとか、今御指摘のようなさまざまな解釈があるじゃないかという点は、確かにそうだろうと思います。  ただ、村山内閣としては、今度提案して成立いたしました刑法の改正、あの刑法ぐらい難解な法律はなかったと思うのですね。片仮名でもあるし、言葉も極めて難しい言葉を使っておりましたが、あれを平易な言葉に変えて刑法の改正が成立をしたということは、私は大変よかったことではないかと思っている次第であります。  同じような意味で、いつか私は、地方制度調査会の会長をやっております、関経連の前の会長の宇野さんとお話をしたことがあるのですが、宇野さんも、自分行革審の委員になってお役所言葉というのを勉強した、何か役所では、検討するということは、まあしばらくそのままほっておけばいいというような趣旨に使われることが多いようだ、図るというのは、これは実行するということなのであって、どうも我々の使っている言葉と違うようだというような感想をお漏らしになりました。それが正しいかどうか、私はつまびらかにまだ精査したわけではございませんけれども、いずれにいたしましても、御指摘の点は念頭に置くべきことだと思っております。  総務庁におきましては、さわやか行政サービス運動というのを展開いたしておりまして、官庁の文書等の用語、表現を見直して、できるだけわかりやすいものにしていこうではないかという運動をいたしております。そして、このさわやか行政サービス運動というのは、閣議決定におきましてこれを進めていこうということになっておるわけでございますので、政府全体として、御指摘の点が実現できますように、さわやか行政サービス運動の中で対処いたしてまいりたいなと考えておる次第でございます。
  74. 吉田公一

    吉田(公)委員 さわやか運動づくりの整備なんて、大臣、言わないようにしてくださいね。大臣だって、今まで長い間野党で、役所の答弁を聞いて、検討なんてそんなことあるかなんて言っていたと思うのだよ。だから、ぜひそういうことにきちっと責任の持てる答弁を今度はやってもらいたいと思うのだね。  次に、先般伺いました、運輸委員会で聞いたのだが、タクシー近代化センターを改善してもらいたいということを言いました。その後の経過はどうなっていますか。  これは、一回だと大体答弁のための答弁で終わりになってしまうのだ。私はいつでも、都議会のときもそうだけれども、大体結論が出るまで三回でも四回でも引き続きやることになっていますから、その点、安心してひとつ答弁してください。
  75. 藤井章治

    藤井(章)説明員 お答え申し上げます。  昨年の十一月に運輸委員会、また当特別委員会でも御指摘を賜りましたが、いろいろなタクシーの問題、ございました。御指摘の点は、現在行われております銀座の乗車禁止区域の見直しの御指摘であったかと存じております。  委員の御指摘のとおり、東京のタクシーをめぐります最近の事情を見ますと、かつての慢性的なタクシー不足といった状況はほぼ解消されつつあるという状況ではございます。  委員の御指摘もあったことも踏まえまして、現在、銀座の乗禁地区の必要性、こういったものについて再検討を行っておるところでございます。具体的には、ことしの二月に入りまして、関東運輸局におきまして、銀座乗禁地区関係調査委員会という具体的な組織を設けまして、ここにおいて鋭意検討を進めておるところでございます。  私も現状をつぶさに見ておるところでございますが、やはり客選びとか乗車拒否とか、そういった悪質なタクシーが遺憾ながらなお存在することも事実でございますし、空車のタクシーが非常にあの地区に集中してしまうというような、いわば道路混雑と申しますか、交通上の秩序の問題についても問題点があることは事実でございます。一方、委員の御指摘のように、今日的な規制の必要性といったことについては、私どもも真摯に見直していく必要があると思っております。  先ほど申し上げました調査委員会におきまして詳細な実態把握を現在やっておりますが、さらに、利用者等関係方面意見も十分に聞きまして、本当にこの規制というのは効果があるのかどうか、具体的な点検をいたしておるところでございます。これを進めまして、関係の警視庁あるいは道路管理者等とも協議を進めまして、この乗禁地区のあり方について十分現状に即した見直しができますよう、最大限の努力を行っているところでございます。
  76. 吉田公一

    吉田(公)委員 次に、これも前に質問をいたしましたが、個人タクシーの免許の改善について。  例えば、免許申請の許可のときに貯金通帳を持ってこい、幾ら貯金しているかという銀行の証明書を持ってこい、こういうプライバシーの侵害みたいな話を、株式会社の創立とは違うのだから、これは個人だから、そういう意味で、そういう免許申請の改善というのが行われたのかどうか。  それから、法令試験、地理試験、これは個人タクシーだけに限って行われているわけなのだけれども、その法令試験とか地理試験とか、一体そういうことが必要なのかどうかということをこの間は聞いた。その点についてどう改善をしてきたか、まず伺いたいと思うのです。
  77. 藤井章治

    藤井(章)説明員 個人タクシーの関連の御指摘でございますが、免許等に際しての審査基準、審査方法見直しにつきましては、委員の御指摘のようないろいろな細かい、いわばぎりぎりしたチェックといいますか、行き過ぎたチェックがあるのではないかという御指摘も踏まえまして、さらにまた、現在の個人タクシー業界が抱えるいろいろな、高齢化の問題そのほか、事業を改善して輸送力としてお客様によいサービスを提供していくにはどのような規制のあり方がいいかということを昨年の九月に方向づけをいたしておりまして、これらを踏まえまして、去る三月三十一日に閣議決定をいただきました規制緩和推進計画の中に個人タクシーにかかわる免許等に際しての審査基準、審査方法見直しについて掲載をいたしまして、現在その見直し作業に着手をいたしておるところでございます。  具体的に申し上げますと、その一環といたしまして、例えば免許等に際しての審査基準につきましては、高齢化への歯どめについての年齢の問題、それから運転経歴をどう見るか。先生の御指摘のあった法令試験や地理試験をどのようにやっていくか。なかんずく十分経験があって違反もないといったような優良な方々については試験の免除も含めました抜本的な試験のあり方の見直し、それから先ほどの銀行の預金証書の提示を求めるといったような、いわば基礎的な資金計画のチェックについての提出書類、こういったものすべて、全般を現在見直しておるところでございます。  私どもとしては、これらにつきましてはできるものから速やかに実施をしていく考え方でございます。個々の書類をどうするかというところまで、申しわけございませんが、一々のところまではまだ至っておりませんが、基本の方針といたしましては、先ほど申し上げた資金の確認方法等の申請手続につきましてはできる限り簡素化を図っていく考え方でございます。
  78. 吉田公一

    吉田(公)委員 課長、申しわけないのだけれども、関連で一つ。  個人タクシーの免許申請に当たって、例えば行政点数、つまりシートベルトを着用していなかった、一点、駐車違反二点、そういう点数が入っていると、三年間免許を取れないというのだよ。しかし、法人のタクシーの運転手さんの場合は、会社が適時採用できる権限があるわけでしょう。個人タクシーについてはないというのだね。その点ほどうなんですか。
  79. 藤井章治

    藤井(章)説明員 個人タクシーの免許申請に当たりましては、基本的には優良かつ法令に対しましてきちんと遵守していただくということが基準でございまして、確かに、先生指摘のように、これは公示された基準の中で書かれておるわけでございますが、いわゆる道路反則点まで含めまして過去一定の期間そういう点数が存在する方については参入ができないということになっておるわけでございます。一方、法人につきましては、その採用については基本的には事業者の方々が道路運送法に基づく適法な方を採用すればよいことになっておりまして、一々そこまでチェックをしていない。これは、個人タクシーが、優良な運転者を採用し、法人から個人へという将来への夢を託すということについて特別な加重の規制という観点からやっておるものと承知をしております。  確かに、一点でもシートベルト違反であったから入れぬというのはどんなものだという御意見があろうかと思いますが、そこらあたりの線引きと申しますか、これらについてはなかなか難しい問題もございます。一方で、社会的な規制についてはそれなりにやはり存続をしていかなければならない面もございますので、御指摘の点は確かに検討の余地はあろうかと思いますが、なかなか難しい点が、線引きの点をどうするかという点については難しい点があろうかと思っております。
  80. 吉田公一

    吉田(公)委員 だから、それについては法令試験だとか地理試験、あるいはいろいろな条件をつけてやっているわけで、その条件の一つにこれが入っている。だけれども、今の車社会の時代に、反則、違反をしていない人というのはごく限られた人ですね。毎日乗っている人が反則金を払ったら、これは優良じゃないんだ、優良運転手じゃないんだ。つまり人格まで左右されるような言い方、優良運転手という。例えばシートベルトをうっかりしてやらなかった、そうすると一点だ。三年取れない。それは優良運転手じゃないというような、優良運転手という意味が、その人の人柄だとか、そういう人物的な評価につながると考えがちなんだけれども、しかし、先般も警察庁で、軽微な反則切符については一年間——三カ月か、三カ月で消えるというようなことをしましたよね。それから、恩赦だか特赦だかわからないけれども、それも交通達反をしたから例外だ、それはだめだ、こういうことについては少し酷過ぎはしないか、そういう意見もたしか出ていたと思う。  これは課長、悪いんだけれども、質問のときにはこの話をしなかったので申しわけないんだけれども、たまたま関連でそういう話になっちゃったんだけれども、三年間も取らせないなんて、三年という期間は人生にとって相当長いんだよ、三年というのは。選挙で落選して三年なんて、容易じゃないんだから。本当だよ。だから、この人たちが個人タクシーを一生懸命やってきて、たまたまシートベルトをうっかり忘れて一点になっちゃって、おまえ三年間取らせないなんて言われたら、これは人生、小刻みにしていけば短いものだから、やはりその辺は十分配慮すべきことじゃないかな、そう思うのです。課長、どうですか。
  81. 藤井章治

    藤井(章)説明員 先ほども申し上げましたように、優良運転者という概念をどういうふうに規定をしていくか、それを客観的かつ公平な観点から選んでいくという点は、なかなかこれは私ども、昭和三十四年だったと思いますが、個人タクシーを実施して以来、常に悩ましい課題でございます。個人タクシー業界などからは、そういういわば形式的なといいますか、試験制度やそういう細かな、道路運送法あるいは道路交通法等の法令のチェックというよりも、やはり適正なサービスができるような、人物に重点を置いた評価をする、いわば推薦制といったような考え方も御提示をいただいておりまして、検討を今続けておるところでございます。  いずれにしましても、具体的な参入の細かな規制について時宜にふさわしいのかどうか、これについては十分検討をしてまいりたい、このように思っております。
  82. 吉田公一

    吉田(公)委員 さっき大臣が、検討というのはやらないということだ、こう言ったのだけれども……(山口国務大臣「いや、そういう意見があると言ったのです。断定したわけじゃない」と呼ぶ)そういう傾向じゃないだろうな。よろしくお願いしますよ。やらない傾向じゃ困るんだよ。  次に厚生省、化粧品の輸入についてでありますが、今、日本の御婦人方は輸入化粧品について非常に買いたいと思っているのだけれども、なかなか高くて手が届かない。そこで、輸入販売業者というのが厚生省から許可されていて、それだけが輸入できるということになっているようでありますが、この輸入化粧品についての改善策はどうなりましたか。
  83. 藤井基之

    藤井(基)説明員 お答えを申し上げます。  先生御案内のように、化粧品につきまして、私ども厚生省は、いわゆる安全性規制といいますか、薬事法によりまして、製造業、輸入販売業を許可制にし、また製品に必要な表示等を義務づけているわけでございます。  この化粧品の許可につきましては、許可手続を簡素合理化するということから、種別ごとといいますか、個別の化粧品ごとではなくて、大きな種別によりまして、その種別の基準をつくりまして、その基準に適応する化粧品につきましては、種別単位の包括的な許可を取得しておけば個々の製品については成分の届け出をすればそれでよろしい、こういう制度の導入を既に実施をしているわけでございます。  この成分の届け出の際にいろいろ議論ございましたのは、輸入先の製造業者が、その成分がどんなものかという証明書をいわゆる輸入総代理店だけに示して、そのほかの、例えば並行輸入業者と言われるような方に対してはその証明書を出さない。したがいまして、並行輸入業者の方はその証明書がないために厚生省に届け出ができなくて、結果として並行輸入ができない、こういう御指摘をいただいていたわけでございます。  これは昨年も先生からの御指摘がこの委員会であったわけでございますが、この関係につきましては、並行輸入を促進させるということから、去る三月三十一日に閣議決定されました規制緩和推進計画におきまして、並行輸入の製品が既に輸入されているものと同一であることを確認し得る場合には外国の製造業者の証明書の添付を省略しても構わぬ、そういうような内容の輸入手続の簡素化というものを図ることにしたところでございます。
  84. 吉田公一

    吉田(公)委員 ちょっと時間がないから、ぜひひとつ努力をしていただいて、できるだけ我が国御婦人の——大体一万五千円ぐらいかかるというんだ、一カ月に化粧品代が。少し厚く塗る人はもう二万円以上かかっちゃうんだから。その辺もよく検討——検討なんて言ちゃいけないな、ぜひお願いしますよ。  次にLPガス。このLPガスについては非常にわかりにくいと言われている。買い付けがバレル、それからスタンドに卸すときにはトンとかキロ、タクシーやなんかに入れるときにはリッターなんだね。その物差しが非常にわけがわからない。そこが一つ問題点がある、からくりになっているんじゃないかということが一つ。  それから、ガソリンは安くなっている。百二十円がもう九十五円とか九十四円になっている。それは円高だから当たり前の話だ。ところが、LPガスだけは、こんな、八十二円だの八十三円になっているのに、全然安くならない。  それからもう一つ。つまり、統制価格になっている可能性がある。例えば東京に、まあ大阪はちょっと調べなかったんだけれども、東京は百十カ所充てん所があるというんだ。ガソリンスタンドだと、もう全然、数が少ない。これはなかなか許可にならないんです。新規参入はさせないらしいんだ。それで、大体一リッター当たり、法人では五十円、それから個人では、どこへ行ったって、百十カ所のLPスタンドヘ行ったって、充てん所へ行ったって、六十四円だというんだね。二十六社がアラビアから輸入している。そうすると企業努力も何もない、二十六社は、同じ値段なら。同じ価格だというんだよ。それで、LPGスタンドを建設しようと思ったら、これがまた新規参入は難しいぞとかなんとを言われて、できないというんです。  まとめて答弁してください。
  85. 川口修

    ○川口説明員 お答えいたします。  まず最初の、単位が違ってよくわからないという点でございますが、御参考までに、一番最近の統計で見ますと、平成七年三月輸入価格はキログラム当たり二十五・三円になっております。それから元売仕切り価格、これは元売が売る値段でございますが、これは最新の統計で平成七年二月でございますが、三十七・一円。それからタクシーが購入する価格、これは東京乗用旅客自動車協会調べでございますが、キログラム当たり九十九・五円となっております。  それから二点目の、最近の円高状況にもかかわらず、なぜなかなかタクシー購入価格が下がらないのかという点でございますが、LPガスの元売企業の販売価格につきましては基本的には輸入価格に連動して変化しておりまして、最近のLPガス輸入価格動向を見ました場合に、昨年十月以来サウジアラビアの輸出価格が引き上げられております。それに連動してLPガスの輸出国すべて輸出価格を引き上げております。したがって、円高傾向にもかかわらず、日本の輸入価格というのは急上昇を続けました。その結果、LPガス元売企業の販売価格は上昇いたしまして、それがタクシー購入価格にも連動してなかなか下がらない結果になっておるという状況かと思います。  それから三番目の、オートガススタンドにつきまして新規参入阻害要因があるのではないかという御質問かと伺いましたが、私どもは、エネルギー行政としては一切参入規制は行っておりませんし、そのような政策もございません。私どもは保安規制を担当しておりませんが、保安規制の観点からは消防法、高取法等によって規制があるかと承知しておりますが、一般論として、規制のあり方自体については、安全レベルは維持向上させつつも技術進歩等に応じて規制のあり方は不断に見直していくことが必要だと認識しておりますが、保安規制が経済規制に転化し、参入規制をもたらすような効果はあってはならないと私ども考えております。  以上でございます。
  86. 吉田公一

    吉田(公)委員 とにかく石油というのは我が国の国策と同じだ。石油が入らないために太平洋戦争まで起こしたなんて言われているんだから。これはやはり一番大事な基本的な問題ですから、ぜひひとつそういう点はきちっとやってもらいたい。  第一、バレルだの、入れるときにはトンだのキロだの、液体だからとかなんとかいっちゃって、今度は個人タクシーでも何でも、車に入れるときにはリッターなんということのないように、ちゃんと数値を一定にしてこれからやってもらいたい、こう思うのです。  それから公正取引委員会に伺うのですが、百十カ所のスタンドで六十四円、どこへ行っても決まっている。これはどういうことになっているか。
  87. 楢崎憲安

    ○楢崎説明員 御説明いたします。  御指摘の点につきましては詳しい事実関係を承知しておりませんので、具体的なコメントは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、一般論として申し上げますと、価格が同一であるという現象が事業者間の話し合いとか再販売価格の拘束という行為によってもたらされているとすれば独禁法上問題となるわけでございますけれども、価格が同一であるという外形的な事実のみをもってこれが独占禁止法上問題になるというふうに即断するわけにはいかないというふうに考えております。  いずれにいたしましても、独占禁止法違反行為につきまして情報収集に一層努力いたしまして、違反の疑いがあるとする具体的な端緒となる情報に接した場合には所要の調査を行い、違反事実が認められた場合には厳正に対処したいというふうに考えてございます。
  88. 吉田公一

    吉田(公)委員 これはもうタクシー料金にまで影響してくるんだから、燃料というのは。だからきちっとやってもらわないと国民生活にまで影響してくるわけで、全部そうだから。日本では石油がなければ一日も暮らせないんだ。だからこのことについてはきちっとやってもらいたい、こう思います。  次に、自動販売機というのがありますね、そこらじゆうに。どこへ行ったって自動販売機、たぬきうどんとかなんとかいって、今うどんまで自動販売機で売って、お湯を出せば食べられる。それでこれは結構うまいんだ。それから牛乳でも何でもパックヘ入っているんだ。  ところが、昭和二十二年の法律で、一々喫茶店だとか飲食店経営と同じような申請書類を出せというんだ。販売機一台置くのにわざわざそこの保健所まで行って、それで一台置かせてもらう、図面までかいてさ。何々保健所へ行って全部——これは一式あるよ、販売機一台置くのに四枚も申請書を出すんだよ。それで、保健所長だの総務課長だの食品衛生係長だとか何だとかいってめったやたらに判こ押して、関係ない者まで欄外に判こ押したりなんかして。それで三日も四日もかかっているんだ。  長官、自動販売機あるでしょう。牛乳パックでも何でも、紙質のもの、たぬきじゃないけど、うどんなんといったって、一台一台全部——例えば東京の会社が長崎で自動販売機を仮に置く。人間が長崎保健所まで行って、飛行機で行くか新幹線で行くか電車で行くかわからない、行って、書類をお願いします。それで、図面を全部出して、チェックされて、今度は一週間後におまえとりに来い。また行くわけだ。こんなことさえなくせば、自動販売機、あんなものは半額だよ。  規制緩和規制緩和なんて言っているからだめだと言ったのは、こういうこと。昭和二十二年の法律だよ。このときには、新幹線もなければ電気がまもなければ洗濯機もなければ火星ロケットも飛ばない時代の話だよ。赤痢だのアメーバだの、戦後間もなく、みんな食中毒でやったときの話を、二十二年の法律を後生大事に抱えて、こういうことは出してこないじゃないか、厚生省で。どういうことなんだ、一体。だからだめだと言うんだ。一万台置く。少なくとも千ぐらいの保健所へ行って、この三枚の書式を調えて、一台。  それで、水回りはどうだといって、手洗いはどうなっているんだ。手洗いなんて要らないじゃないか、自動販売機なんだから。人がつくって売っているのじゃないんだ。だって、ボタンを押せば出てくるんだから。そのときに、昭和二十二年のときにだれも自動販売機が出てくるなんて思わないんだよ。今コーヒーを飲むといったって、砂糖の分量、それでミルクのボタン、ミルクの要らない者はボタン押さなければいいんだから。その次にコーヒーだよ。そこまで発達しているんだよ。何で自動の手洗い機なんか必要あるの。自動販売機が売っているのに何で手を洗わなければいけないの。水回りはどうなっているんだ、位置はどうなっているんだ、そんなことを、おかしいんだよ。早速廃止してもらいたいと思うんだ。  こんな昭和二十二年の法律をいまだにやっているんだよ。販売機の、コーヒーでも何でも半額になっちゃう、こんなもの。人件費使って、一週間、北海道のあっちの先まで行かなければいけない、販売機を置こうと思ったら。何百万台というんだよ、長官、置いてあるのは。何百万台、全部この書類を出しているわけなんだ。昭和二十二年ですよ、この法律。まだやろうとしないんだ。それで、こんな、保健所の所長のところへ届けて。だから規制緩和なんて言ったってだめだ、こう言うんだよ。  担当者一体だれだ、これは。
  89. 高原亮治

    ○高原説明員 御説明申し上げます。  先生指摘のように、食をめぐる環境というのは非常に変わってきた、そういうこともございまして、昨年来、厚生大臣の懇談会でございます、食と健康を考える懇談会という有識者の会議を設けまして、いろいろ食品衛生全般にわたって議論していただいたわけでございます。  もちろん、御指摘の自動販売機に関する議論もございまして、そのお答えといいますか、コーヒーにつきましては、いわゆる物品の販売の自動販売機は許可の対象になっていないわけでございますが、コーヒー等調理を要する自動販売機については、「調理される食品の衛生水準を確保するため営業許可は必要であるが、機器の衛生的な機能の進歩等を考慮し、その許可要件や調理基準について必要な見直し検討すべきである。」というお答えをいただいております。  それから、地理的に遠いところに設置するということでございます。  これは、常時新鮮なものを入れる、ないしは代金を回収する、ないしは管理を行うという点で、通常は、ローカルオペレーターと言っておりますが、その機器を管理をしておる近傍の、機器の管理を日常的に行っている業者さんから申請が出てきておるわけでございます。  食品の自動販売機について、もうそろそろ衛生規制が必要ではないのじゃないかという議論もあったわけでございますが、例えば総務庁の地方監察で私ども指摘いただいておる中身につきましては、カップヌードルの給湯口に食品の残渣があるとか、それから機内にクモの巣が張っているとか、食品が昆虫の侵入及びじんあいによって汚染のおそれがあるとか、まだ幾つかの改善すべき点が残されているかのように認識しております。  しかしながら、食品衛生関係全般でございますが、営業者の負担軽減を図るという観点から、衛生上過剰になってきたと思われる規制が行われているものにつきましては、必要な緩和や見直しを行うこととしております。今回の規制緩和計画にも盛り込んでおりますし、また、この自動販売機とは直接連動いたしませんが、法改正が必要なものについては現在改正法案を国会に提出しております。  それから、この手続自身の許可申請書及び施設基準、これは、トイしないしは手洗い、そういったものを自動販売機に設置を義務づけては、私どもの知る限りにおいてはそれを義務づけておる都道府県はございませんが、都道府県間において若干のでこぼこがあるというのもまた事実でございますので、全国的に標準化、簡素化を大いにいたしまして、規制緩和推進計画にも盛り込まれております営業者の負担軽減のため、申請書類ないしは基準、そういうふうなものも大幅に見直していきたいと考えております。  以上でございます。
  90. 吉田公一

    吉田(公)委員 もう一つ、最後。  今いろいろなことを言っていましたけれども、要するに昭和二十二年の法律なんだ。そして、今、パック詰めのものにしても何でも物すごく衛生的になっているんだよ。工場を見学してごらんなさいよ。そんな、昭和二十二年当時のことを思い出してそんなことを言ったってだめだ。それから、営業設備の配置図というのがあるんだから。出せというのだから、これ。ちゃんと書かなきゃ許可をおろさないんだよ。  製造物責任法という法律もできたんだから、製造物責任法でやればいいんだ。それで、製造会社、販売会社、食品衛生担当者、それから電話番号、この食物について異常のあったときはすぐ連絡をしてくださいときちっと張ればいいんだから。だって、ビールやらお酒なんかはその地権者の人が前に置いていいですよと言えばいいんだから。そうでしょう。  紙コップとかなんとか、衛生上よくないとかなんとか言って、こういう書類を出せと言っているんだから。とにかく昭和二十二年の法律なんだから、幾らそんなことを言ったってだめなんだ。当時自動販売機なんてだれも想像しないんだから。そのときの法律がいまだにあるわけだ。  だから、そういう意味でぜひ、今度は何か喫茶店だか飲食店の営業許可年数を三年を五年にするとかなんとか言っているけれども、そんなことよりか、こんな昭和二十二年の法律を早く撤廃しちゃった方がいいですよ。  以上で終わります。
  91. 塚田弘志

    塚田委員長 吉井英勝君。
  92. 吉井英勝

    ○吉井委員 私は最初に、独禁法第九条、持ち株会社の禁止について伺っておきたいと思います。  戦後の民主化の中で、財閥解体と財閥復活阻止のねらいから独禁法がつくられました。中でも、特に民主化の中では、持ち株会社の禁止を想定した独禁法第九条というのは、これは憲法九条と並んで顕著な特質をなすものでありました。  今、経団連、経済同友会などから持ち株会社の禁止を解除するように求めてきておりますが、まず公正取引委員会の見解を伺っておきたいと思います。
  93. 舟橋和幸

    ○舟橋説明員 御説明申し上げます。  独占禁止法第九条は、事業支配力の過度集中、これを防止するとの観点から持ち株会社を禁止しているわけでございます。  この趣旨でございますが、事業支配力の過度の集中が生じますと、公正かつ自由な競争が行われるための、その前提の一つでございます取引先の選択、取引条件の設定、これらにつきまして事業者の自由かつ自主的な判断が制約され、市場メカニズムの機能がゆがめられる、そういうおそれがあるためでございます。  公正取引委員会といたしましては、我が国におきまして法人による株式所有が広く見られますし、それから、内外から、株式の相互持ち合い、系列、企業集団、こういったものが日本市場への参入障壁なり投資障壁ということで指摘されている、そういう状況にあるわけでございます。このような日本特有の株式所有の状況などから見まして、今日におきましても株式所有による事業支配力の過度集中を防止する必要がある、こう考えておるわけでございます。  公正取引委員会は、三月三十一日に公表されました規制緩和推進計画を受けまして、持ち株会社問題について検討を開始いたしたところでございますけれども、株式所有や相互持ち合い、これらが参入障壁、投資障壁として内外から指摘されている、そういう状況の中で、日本経済の課題でございます市場開放、それから公正かつ自由な競争の促進、こういったことが課題となっている現在、企業の系列化なり企業集団の形成強化の核となるおそれのあります持ち株会社に対する規制を見直すことにつきましては、日本市場の一層の開放、それから公正かつ自由な競争の一層の促進。こういった観点からは特に慎重な検討を要することと考えております。
  94. 吉井英勝

    ○吉井委員 重ねて伺っておきますが、三月六日の参議院での小粥委員長の答弁も今の御趣旨と大体同じで、三年間研究するということはあるにしても、「私どもといたしましては持ち株会社の禁止規定は堅持すべきものであるこういう答弁でありましたが、これが公取の見解というふうに理解していいですね。これは改めて伺っておきたいと思います。
  95. 舟橋和幸

    ○舟橋説明員 先ほど御説明させていただいたとおりでございまして、持ち株会社につきましては、日本経済のいろいろな課題の中で、企業の系列化なり企業集団の形成強化の核となるおそれがあるものでございます。  そういった中で、市場開放それから競争促進といった点から申しまして、この問題については特に慎重な検討を要する。三月三十一日の計画では、この問題について「検討を開始し、三年以内に結論を得る」、こういうことが書かれておるわけでございます。  私どもとしましては、持ち株会社につきましてはいろいろなお立場の議論がございます。議論することすら拒否する、これはおかしいのではないか、サンクチュアリーという位置づけはおかしゅうございますので、議論はいたしましょう、そして議論をする限り結論というのもあるわけでございましょうから、それを三年以内に得る、こういう立場でございます。
  96. 吉井英勝

    ○吉井委員 それで、議論はし、検討はするわけですが、しかし基本的な立場としては、今の答弁にもありましたし、三月六日に参議院で公取委員長からの答弁でも態度は示されております。  総務庁長官は、三月二十八日の閣議後の記者会見で、「「三年以内に検討し結論を出すことになっているが、解禁することにはならないのではないか」と述べ、」さらに「持ち株会社禁止は戦後民主主義の柱だ。解禁によって(特定の企業組織の)支配力が強まれば、市場開放にはつながらない面もある。日本企業は閉鎖的という海外からの批判を強める結果になるのではないか」」と語ったとありますが、大臣の率直な御意見をこの機会に聞いておきたいと思います。
  97. 山口鶴男

    山口国務大臣 お答えいたします。  委員が引用されました趣旨のことは記者会見で私申しました。我が国の場合は、個人株主というのは四分の一足らずでございまして、四分の三以上がいわば会社、法人がお互いに株を持ち合っているという状況でございまして、これは欧米と我が国とが大きく異なっている問題ではないかというふうに認識をいたしております。  それからまた、戦後の民主主義の一つの柱がこの独禁法であったという認識は、今も私は持っております。  そういう趣旨から、関係閣僚で議論をいたしました際にも、私は、この持ち株会社を解禁するということは、系列を強め、支配力を強めて、かえって閉鎖性を強めるというような、私どもが期待する方向とは逆な形が出るおそれがあるのではないかということを率直に申しました。  そういう中で、大臣の間で若干意見の相違はありましたけれども、しかし、議論をすることを何も我々は回避するものではないということで、議論をいたしまして三年以内に結論を出すということはいいのではないか、これは閣内不統一ではなくて、そういう意味では閣内一致してあのような文章にいたしたということでございます。
  98. 吉井英勝

    ○吉井委員 時間がありませんから、次の問題に移りたいと思います。  今日の異常円高が進む中で内外価格差がひどくなった、だからその是正に規制緩和をしてコストを下げることが必要だ、こういう議論があります。  そこでお聞きしておきたいのですが、先日も、当委員会で参考人として出席した島田晴雄慶応大学教授が、「おっしゃるように、プラザ合意で一年半で一〇〇%円がドルに対して切り上がりました。このために日本は最高コスト国になったのですね。」「規制がコストを高めたということではない。」と発言をしております。つまり、日本規制があるからとか、あるいは規制緩和をしていないからという理由で内外価格差が生まれたのではないということであります。  ここで大臣にちょっと確認の意味でお聞きしておきたいのですが、円高が内外価格差を生んだのであって規制緩和は直接的には関係がない、こういう認識を持っていらっしゃるかどうか、これを伺っておきたいと思います。
  99. 山口鶴男

    山口国務大臣 内外価格差解消のためには規制緩和が必要である、そして規制緩和をするについて、内外価格差がどの程度解消されるか数量的な見通しを示したらどうかというようなお尋ね予算委員会でもしばしばございました。  私は、価格を決定するにつきましては為替の問題もございましょう。それから、我が国土地が異常に高い、アメリカと日本あるいはヨーロッパと日本との土地の価格の違いというものもある。それから、規制緩和ばかりではなくて商習慣というものもある。例えば化粧品などの問題は、これは総代理店制度というようなものが障害になっていることは皆さんもよく御存じであります。  したがって、規制緩和だけで価格が決まるわけではない、さまざまな要素に従って価格が決まり、内外価格差というものができるわけでありますので、規制緩和によって直ちに内外価格差が幾ら解消するという目標の設定は無理だと存じますということを終始答えてまいりました。
  100. 吉井英勝

    ○吉井委員 とりわけ最近の内外価格差がどんどん進んでいるというのは、これは特に異常円高によって進んでいるんだ、こういう点の御認識はお持ちだろうと思うのですが、この点、どうですか。
  101. 山口鶴男

    山口国務大臣 一つの要素であろうと思います。
  102. 吉井英勝

    ○吉井委員 一ドルを消費購買力平価で計算するとアメリカも日本もコストはほぼ同じ、これは前回缶ビールの例を出して御紹介をいたしましたが、日本が高賃金の国でないということもまたそれですぐわかるわけです。それがこの異常円高によって、為替レートで計算すると日本の物価はアメリカの二倍近いものになってくる。これは円高が進めば進むほどそういうことになるのは当たり前の計算です。  八五年のプラザ合意の前には、消費購買力平価と為替レートとは大体同じでした。このときはわずかですが、実は、これは御紹介しましたが、一九八二年から八五年にかけてアメリカよりも日本の方が物価は安かったのです。アメリカを一〇〇としたときに大体九一から九五ぐらい。  大臣は、規制緩和をするとプラザ合意の前のように消費購買力平価と為替レートがほぼ同じになっていって、それで内外価格差がなくなっていくというふうにお考えになられるか、それとも、この内外価格差をなくすためには、何といっても円高・ドル安の是正そのものに特別の力を入れなければいけない、そのことが必要だ、そこが根本だという、そういう認識を持っていらっしやるかどうか、この点を伺いたいと思います。
  103. 山口鶴男

    山口国務大臣 今の為替相場はファンダメンタルズを反映していない、異常な水準にあるというふうに認識をいたしております。
  104. 吉井英勝

    ○吉井委員 それで、異常円高で為替レート計算でいきますと、日本の人件費が見かけ上高くなっているものですから、労働者保護の規制を緩和しろという、そういう暴論なども飛び出してきたりする状況にあります。  例えば、行政改革推進本部規制緩和検討委員会の専門委員ということになっている人たちの中にも、ILOの軽視であるとかあるいは言ってみればILO脱退論に近いような議論をされる方もいらっしゃいますが、少し歴史的に見てみますと、資本主義の発達期に女子、少年の深夜に及ぶ長時間労働の問題などがあった時代がありました。それから、一九一七年のロシア革命の後には、八時間労働制であるとか母性保護の確立というものがありました。その後、革命ロシアヘの対抗というところからILOというのが生まれてきて、そこで世界的に、労働者の労働条件の向上とかまた権利の尊重へと人類の歴史というのは進歩、発展を遂げてきたわけでありますが、それが、規制緩和論の一つには、言ってみればこのILO脱退論に近いものとか労働者保護の法律の否定などが出されてくるというのは、これは人類の歴史に逆行する異常な事態だと思います。  異常円高前倒しをしたと言われる三カ年計画、五カ年が三カ年ですが、これを見ておりましても、雇用契約や労働時間などで十五項目規制緩和策が盛り込まれております。実は、規制緩和によってどうなるかという議論がここにあるわけですが、日経連の方は二千万人、経団連は九百二十四万人、経済企画庁の楽市楽座の報告によると三百三十七万人の雇用創出を想定しているわけですね。これにかわるそれじゃ新しい産業の創出はどうかといえば、これは期待をするということであって保証の限りじゃないわけであります。ですから、大量失業者を生み出してしまうと、これは消費購買力が落ち込んでしまって、内需の拡大どころかあべこべの道を行くわけですね。  ですから、内需が落ち込んだら内需の拡大とはならないわけであって、そこで大臣に伺っておきたいんですが、あなた自身はILO脱退論などという労働者保護の否定ではなくて、国際ルールから比べてみても、言ってみれば、立ちおくれのひどい日本の労働基準法などを、国際基準の先を行くぐらいの労働基準を他国に先駆けてそれを日本で確立していく、これぐらいのことを考えるべきじゃないかと思うんですが、これは大臣自身はこの点についてどういうふうに思われるか、伺いたいと思います。
  105. 山口鶴男

    山口国務大臣 ILO条約をどうするか、またILOの問題に関してどうかという問題ですが、私はILOは極めて重要な機関であり、それから脱退するというようなことはこれは考えるべきではない。アメリカがユネスコから脱退なんということをいたしましたけれども、そういうこともやっぱりいかがか。ユネスコは極めて重要な機関であるというふうに認識をいたしております。  ただ、個々のこのILO条約に対する評価は、担当ではありませんので、私は評価することは遠慮さしていただきたいと思っております。ただ、今度の規制緩和の中で、経団連、経済同友会、村山総理と話をしたいというので私も同席をいたしました。その際申したんですが、財界の一部に最低賃金制を廃したらどうかというような意見があるが、私はそれには反対でありますということは率直に申し上げました。
  106. 吉井英勝

    ○吉井委員 この点で、今回の異常円高、それから今回の異常円高だけじゃなくて、日本円高問題についてですが、これは私の議論というだけじゃなしに、財界人の中でもかなり今考えなければいけないという議論が出てきております。  例えば、それは京セラの稲盛会長であり、またソニーの盛田会長なんかも言っていることですが、円高を是正するにはこれまでのようなやり方、下請いじめとか入減らし合理化で異常に強い輸出競争力を身につけて、それを背景にして貿易黒字をふやしてしまうと、さらなる円高を招いてきた、この悪循環の問題ですね。野村総研の研究員がこれを悪魔のサイクルと名づけているわけですが、これを断ち切らないとだめだと。  なかなか口ではそう言いながらよう断ち切れないというのは、これら財界人の人たちの実態でもあるわけですが、つまりこれまでの逆のサイクルに切りかえていく、つまり欧米並みの労働時間などを国際ルールに合った労働基準にしていくことや、下請取引とか納期の問題などを条件をもっとまともなものにして、これまでのように大企業の支配力が強いということを背景にした勝手気ままなやり方に民主的な規制を加えて、そのことによって強過ぎる国際競争力にブレーキがかかっても、黒字が減ることによって円高が是正されるし、実は今言ったような労働条件とか下請条件の改善というのは、これは国内の消費購買力を高めるということにつながるわけですから、内需の拡大につながるわけです。それは国内生産も伸びていくことになりますし、こうしてこそ円高も是正されるし、そうすればそれは内外価格差の縮小に向かっていくという問題です。つまり、これまでの悪循環とか悪魔のサイクルと名づけられているものを逆のサイクルに切りかえていく。今日本経済はそこのところを求められているというふうに思うわけです。  私は、大臣、貿易黒字を生み出し、円高をもたらしてきたこういう悪循環とか悪魔のサイクルと呼ばれているものについて、それを本当に是正していく真剣な取り組みというものが、私は文字どおり内閣挙げてそれをやらないことには、円高になったから規制緩和だという議論で幾らやっておっても、大もとのところを是正しないことには、つまりドル安・円高の大もとを是正しないことには、内外価格差の是正などということはできないわけですから、改めて悪循環の是正にどのように真剣ないわば内閣挙げての取り組みをなさっていかれるか、その点をお聞きしたいと思います。
  107. 山口鶴男

    山口国務大臣 前川レポートというのがあるのは御存じだろうと思います。GNPの四%に貿易黒字が達した、これは世界的に見ても大変異常なことだ、これに対してはやはり内需拡大とそれから規制緩和、これを進めることによってこのような事態を変えていかなければならぬという趣旨であったと記憶をいたしております。したがいまして、私は今度の円高経済対策内需拡大を一番に据え、その次に規制緩和の問題を二番に置いたということは、そういう意味でも順序としてよかった、またそういう趣旨の主張を私は閣僚協議会の中で申しました。  したがいまして、私どもは今規制緩和を進めておりまして、特にこういった異常な円高ですから、五カ年計画を三年に前倒しをするという政治的な決断はいたしましたけれどももともと規制緩和円高のためにやろうと出発したわけではないと思うんですね。これはやはり我が国が世界第二の経済大国というふうに言われるような状況になった。戦後のあの荒廃の中から私たちが欧米各国に追いつき追い越すという状況の中では、これはある程度官が主導で、そうしていわば護衛船団方式で経済発展のために尽くしていくということは、これは意義があったと思いますけれども、現在の状況においてはそれはもう一つの壁に突き当たっている、世界も大きく転換をしている、こういう中で日本が他の国とは違って余りに規制が多いという状況では、これはもう対処し得ないのじゃないか。そういう意味で、一つは、やはり国際的な環境の中で規制緩和を進める、そうしてまた官から民へという形で規制を緩和することによってベンチャー企業を育成する、経済を活性化する、そうしていくことが我が国の経済発展のためだというような趣旨でこの規制緩和に取り組むことになったと思っております。  円高の問題もこれは関連あるとは思いますが、円高のために我々は規制緩和をするというふうに限定して考えているわけではございません。今のような総合的な形で、我が国我が国としてこの規制緩和を進めるという立場でございます。
  108. 塚田弘志

    塚田委員長 吉井英勝君。短くお願いします。
  109. 吉井英勝

    ○吉井委員 もう時間が参りましたので、内需拡大のお話をトップにとありましたが、ですから、このサイクルを逆転させないことには、つまり国内の消費購買力を高めるというそこへ行かないことにはこの問題は解決されないし、円高是正にもつながらない、このことを最後に重ねて申し上げまして、時間が参りましたので質問を終わります。
  110. 塚田弘志

    塚田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十一分散会