○秋葉
委員 となると、これは微妙なところなんですけれ
ども、
予算の審議の過程において、こういう
交換公文があるから、どうしてもそれに対して
予算をつけなくてはいけないんだという議論はできなくなる、そういう解釈も成り立つわけですけれ
ども、しかしながら、議院内閣制をとっている
我が国として、そういった非常に極端な議論が出てくるかどうかは別として、ある
意味で、そういった整理もできると思うのです。
実は、これを伺っているのは、次の、その表裏一体の問題というふうに考えられる問題なんですが、広島と長崎にあります放射線
影響研究所について、これは関連をしておりますし、日米双方でお金を出し合って放射線に関する医学的な研究を行う、そういった仕事をしているわけですが、この
予算の執行について、
幾つか問題がありますので、
厚生省にも来ていただいていると思いますが、少し今の点に関連して伺いたいと思います。
実は、現在の放射線
影響研究所、放影研というふうに呼んでおります。英語ではRERFという略称を使っていますけれ
ども、この放影研について、二つの問題が大きく分けて浮上しております。もう一つ、三つ目として、放影研を移転するという問題があるのですが、それはとりあえず除いて。
一つは、この放影研、費用は日米折半にするという原則がありますけれ
ども、運営その他の面でも、日米が全く平等に参加しようという建前で運営が行われております。そして、伝統的に
アメリカは、これはエネルギー省が管轄官庁なんですけれ
ども、その委託を受けて、
アメリカの科学学士院がこの運営の責任を持っていたというのが歴史ですが、その学士院に対する委託をやめて、
アメリカの大学、これは主にプライベートな大学が
アメリカには多いわけですが、そういったより私的な存在にこの運営をゆだねようという動きがあります。これに関連して、世界の学会、それから放影研の研究に従事している
人たち、また広島、長崎、それから
アメリカの市民から再
検討してほしいという強い要望が出ております。これが一つの問題点です。
それからもう一つは、これは、一九七四年の
交換公文において、放影研の費用は日米折半にするという原則が確認されたわけですが、その後
円高の
影響等がありまして、実質的に
日本側では
予算をつけているにもかかわらず、
アメリカ側の
予算額、円に換算をしたときに目減りがするということで、結局折半というところが、円に換算をして最終的にどのくらい使ったかというところで評価をされてしまうために、
予算がついていても、
日本側として使えないといいますか使えないのだとお役所が判断してしまう額が
かなり多額に上っている、その結果として、放影研で働いている
人たちの解雇をしなくてはいけないような事態が生じている、簡単に言うとそういう図式が浮かび上がってまいります。
ですから、一つは、
アメリカ側のどこに委託をして運営をするかという問題、それからもう一つは、
予算の折半の原則の問題、この二つの問題があるのですが、この二つについて、まず、時間が余りありませんので、より切実なお金の方の問題から伺いたいと思うのですけれ
ども、もう少し申し上げますと、例えば、最近の九〇年、九一年、九二年というふうにこの三年間を見てみますと、
日本側では結局、
予算がついているにもかかわらず使われずに国庫に返されたお金が二・七億円、これが九〇年です。九一年には約三・九億円ですね。それから九二年には、これが約三億円という額が国庫に返されております。この九一、九二、九三、それから九四年というところを見てみますと、一般職で、放影研の定数というのがあるわけですけれ
ども、これは当然これだけの人数が必要だからこれだけの人を雇いましょうという数ですが、それと実質的に雇用された人の数を見ますと、九二年で十九人不足している、九三年で十六人、九四年で三十人不足をしている。このすべてとは言いませんけれ
ども、今申し上げた国庫に返納された数億円の単位のお金が支出され、実際に使われるという事態になっていれば、具体的には解雇という形ですし、あるいは労働強化ということを緩和するといった方向でそのお金が使われることができた、そういうふうに考えますけれ
ども、この点についての認識と、この問題を
解決するために、国庫に返納するということをしないで、せっかく
予算はつけていただいたわけですから、これを具体的に使うという方法をとれないものかその点について伺いたいと思います。