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1995-05-12 第132回国会 衆議院 外務委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年五月十二日(金曜日)     午前十時十分開議 出席委員   委員長 三原 朝彦君    理事 小杉  隆君 理事 田中 直紀君    理事 福田 康夫君 理事 東  祥三君    理事 松田 岩夫君 理事 秋葉 忠利君    理事 前原 誠司君       安倍 晋三君    斎藤 文昭君       坂本三十次君    櫻内 義雄君       鈴木 宗男君    徳田 虎雄君       二階堂 進君    原田昇左右君       赤羽 一嘉君    上田 清司君       岡田 克也君    鹿野 道彦君      柴野たいぞう君    山本  拓君       若松 謙維君    伊藤  茂君       上原 康助君    松前  仰君       古堅 実吉君    大矢 卓史君  出席国務大臣         外 務 大 臣 河野 洋平君  出席政府委員         外務大臣官房長 池田  維君         外務大臣官房外         務参事官    谷内正太郎君         外務省総合外交         政策局長    柳井 俊二君         外務省総合外交         政策局国際社会         協力部長    高野幸二郎君         外務省総合外交         政策局軍備管         理・科学審議官         事務代理    杉内 直敏君         外務省アジア局         長       川島  裕君         外務省北米局長 時野谷 敦君         外務省欧亜局長 野村 一成君         外務省中近東ア         フリカ局長   法眼 健作君         外務省経済局長 原口 幸市君         外務省経済協力         局長      平林  博君         外務省条約局長 折田 正樹君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局審査部管         理企画課長   楢崎 憲安君         経済企画庁調整         局国際経済第一         課長      加藤 裕己君         科学技術庁長官         官房審議官 加藤 康宏君         科学技術庁研究         開発局宇宙開発         課長      瀬山 賢治君         大蔵省国際金融         局金融業務課長 渡辺 達郎君         大蔵省国際金融         局為替資金課長 藤本  進君         文部省学術国際         局研究機関課長 早田 憲治君         厚生省保健医療         局企画課長   川邊  新君         厚生省生活衛生         局食品保健課長 高原 亮治君         厚生省生活衛生         局乳肉衛生課長 森田 邦雄君         食糧庁業務部貿         易業務課長   西藤 久三君         通商産業省機械         情報産業局自動         車課長     大井  篤君         中小企業庁計画         部下請企業課長 関  有一君         建設省建設経済         局建設業課長  竹歳  誠君         外務委員会調査         室長      野村 忠清君 委員の異動 五月十二日  辞任         補欠選任   柿澤 弘治君     徳田 虎雄君   鈴木 宗男君     横内 正明君   高市 早苗君     山本  拓君   羽田  孜君     上田 清司君 同日  辞任         補欠選任   徳田 虎雄君     柿澤 弘治君   横内 正明君     鈴木 宗男君   上田 清司君     羽田  孜君   山本  拓君     高市 早苗君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  平和的目的のための宇宙探査及び利用におけ  る協力のための損害賠償責任に係る相互放棄に  関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間  の協定締結について承認を求めるの件(条約  第一七号)  政府調達に関する協定締結について承認を求  めるの件(条約第一八号)  万国郵便連合憲章の第五追加議定書締結につ  いて承認を求めるの件(条約第一号)(参議院  送付)  万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約締結  について承認を求めるの件(条約第一二号)(  参議院送付)  小包郵便物に関する約定締結について承認を  求めるの件(条約第一三号)(参議院送付)  郵便為替に関する約定締結について承認を求  めるの件(条約第一四号)(参議院送付)  郵便小切手業務に関する約定締結につい  て承認を求めるの件(条約第一五号)(参議院  送付)      ――――◇―――――
  2. 三原朝彦

    三原委員長 これより会議を開きます。  平和的目的のための宇宙探査及び利用における協力のための損害賠償責任に係る相互放棄に関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定締結について承認を求めるの件及び政府調達に関する協定締結について承認を求めるの件の両件を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。斎藤文昭君。
  3. 斎藤文昭

    斎藤(文)委員 最初に、政府調達協定に関しまして幾つ質問をさせていただきたいと思います。  昨年、我が国は苦渋の選択ともいうべき米の部分輸入を認めるWTO協定締結いたしましたが、本協定はその附属書の一部でありますので、私は、貿易問題、とりわけ食糧問題に的を絞って幾つ質問をいたしたいと思います。  最初に、EUによる我が国水産食品全面輸入禁止の問題についてでございます。  欧州連合は、去る四月八日付の官報で、我が国水産食品衛生管理に問題があるとして、我が国からの水産食品全面輸入禁止を発表した。新聞報道によりますと、今回の輸入禁止措置欧州委員会の四月八日付官報に掲載されただけで、日本側が問い合わせるまで日本政府への連絡はなかったとされております。事実とすれば、まさに一方的な禁輸措置であり、対EU向け我が国水産食品輸出額が約四十億円と、そう大きな額ではないにしても、事は外交上の信義にかかわる問題であると思うのであります。  そこで、この問題について、事実関係、一部新聞報道によりますと、EU側に事実誤認があったのではないかといったような報道もあります。果たして禁輸措置をとられてもやむを得ない実態があったのかどうかを含めて、今日までの経過について伺いたいと思います。  新聞を見ますと、まさにこれは「寝耳水産品禁輸」というような、寝耳に水をもじったのだろうと思うのですけれども、その下に「「誤解だ」「心外だ」産地は悲鳴」、こういう新聞報道を見ますと、いかにも一方的に禁輸措置がとられた、そういう印象を非常に強く持つわけでありますけれども、この今日までの経過等についてお聞かせをいただきたいと思います。
  4. 森田邦雄

    森田説明員 経過等について御説明申し上げます。  EU欧州連合輸出されますホタテガイなどの水産食品につきましては、その加工場などがEUの定める衛生要件に適合しなければならない、これはEU側指令で決められているわけであります。その関係から、本年の三月二十七日から三十一日まで、EU査察官日本に来日しまして、EU指令に合っているかどうかということで査察に参ったわけであります。青森県、宮城県、神奈川県にあります水産加工場、七加工場調査いたしまして、EUが定める要件に合っているかどうかを見たわけであります。  その結果、加工場におきまして、冷蔵庫の中を見たいと言ったところが、これは中を見せたくないと、査察を拒否した、こういうことが第一点ありました。  また、一九九〇年の四月製造という表示の入った容器に詰められたホタテガイがあった。この一九九〇年といいますのは、ちょうど当時貝が毒化いたしまして、それがフランス側輸出されたということで、フランス輸入を禁止したという事例があったときのその一九九〇年の表示の張ったホタテガイがあったということもありました。  また、貝毒検査対象が、EU側は卵の方の検査を要求しているのでありますけれども日本側はホタテの方を検査しているというようなこと、この辺が指摘されたわけであります。  また、製造過程で塩素を過重に使用しているなどの衛生手法の違いもありましたけれども、そういうようなことが指摘されまして、我が国水産食品加工場についてはEUの定める要件に適合してないというようなことで、先生指摘のとおり、四月八日付の官報で、EU加盟国に対しまして、日本からのすべての水産物の輸入を禁止するという措置がとられたわけであります。  以上でございます。
  5. 斎藤文昭

    斎藤(文)委員 そうしますと、日本には全く事前に何の連絡もなしに、一方的に四月八日の官報で発表したというふうに理解してよろしいかと思うのですけれども、我々、この新聞報道等から受ける印象は、いかにも政府対応がちょっと迅速さを欠いたのじゃないか、そんな感じを受けるわけでございます。  厚生省水産庁はたしか四月十二日にすぐに担当官EUに派遣するというようなことを一たん決めておったと新聞報道に出ておりますけれども、それが五月、今月の初めごろにずれ込んでしまったというようなことを考えますときに、やはりもう少し迅速にこうした一方的な措置については抗議を申し込むべきであったのではないかというような気がするわけですけれども、こうした事態に政府は今までどう対応してきたのかそして今後どう対応していくのか、禁輸解除の見通しとあわせてお聞かせをいただければと思います。
  6. 森田邦雄

    森田説明員 ただいま御指摘いただきました政府としての対応でございますけれども、私ども、四月八日の官報を見まして、直ちに四月十一日に、在ブラッセルEC代表部を通じまして、ECに対しまして、EU査察官指摘した事項につきましては我々は直せるところは直しますよ、あるいは要求のあった資料についても直ちに出しますよということをやっていたわけでありますけれども、その間に何ら専門家による十分な検討も待たずに一方的な措置をとったということに対しては強い遺憾の意を表してきているわけであります。また、五月二日、三日と、EU側話し合いをしたときにおきましても、こういう唐突に決められたことに対して抗議を申し込んでおります。また、これにつきまして、私どもとしましては、早急にEU側協議専門家協議したいということで申し入れをしたのでありますけれども、ちょうどイースターの時期にEU側がぶっかってしまいまして、EU側の方の都合で先延びになってしまったということで五月にずれ込んでしまったというのが状況でございます。  それで、五月二日から三日にかけまして、ブラッセルにおきまして、EU委員会厚生省水産庁EU側の方は農業総局担当局長と実際に査察に来られた方との専門家協議を行ったわけであります。この結果、私の方といたしましても、輸出再開を最優先したいと思っておりますので、それについて、今後の手続について十分話し合いをしてきたわけでありますが、私どもといたしましては、平成五年七月に各都道府県EU輸出を行う水産食品加工場認定方法等を定めました対EU輸出水産食品取扱要領というものをつくっているのでありますけれども、これはEU話し合いをして新しい要領に見直しをしようということで一致いたしました。  その主な内容は、現在のEU向け工場認定システムというのは都道府県にほとんどお任せしているという状況でございましたので、これにつきましては厚生省がもっともっと関与していく、国がもう少し関与していくという仕組みにして、今後間違いのないようにしていきたいということと、あるいはEU側が求めております衛生管理手法でHACCPというのがございますけれども、そういうような手法も導入していきますというようなことで、そういうことを入れて見画しをいたしまして、この見山した要領を別途EU側に提示いたします。そうすると、EU側がそれを見て、ああこれはいいですよという了解に達しましたならば、その新しい要領に基づきまして日本国内でもう一度輸出工場の選定を行いまして、その工場のリストをまた提示いたしますと、EU側が再度調査に来たい、そして日本国内において査察を行いまして、その結果、いいとなりましたら、EU側に常設されております獣医委員会というのがございますので、ここに再度諮問し、その常設獣医委員会が了承すれば、後は官報に登載されて輸出が解禁されるという状況でございます。  私どもといたしましても、もちろん、厚生省としてはもう最善の努力をしてやるわけでありますけれども、何せEU側のその要する時間もございます。これにつきましても、できるだけ早くするように働きかけていきたいと思っておりまして、一刻も早く輸出再開できるよう今後とも鋭意努力していきたいと思っております。  以上でございます。
  7. 斎藤文昭

    斎藤(文)委員 禁輸解除は一年先になるんじゃないかとかいろいろな報道がございますけれども、一日も早くこの禁輸が解かれるように最大の御努力をお願いしておきたいと思います。  私は、WTO精神というのは、紛争の解決手段は交渉によるということで理解しておりまして、今回のEUのこうした一方的な禁輸措置というのは、これはまさにWTO協定精神からいって大変問題があるのじゃないかと思うのですけれども、その点については外務省はどういう御見解をお持ちなのか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  8. 原口幸市

    原口政府委員 SPSに基づく措置をとる場合に、もちろん手続面の規定がございまして、それによれば、規制を導入する前には事前に意図を公表するとか、それから規制を導入する前にWTO事務局を通じて他の加盟国に通報することとか幾つかの条件があるわけです。  ただ、緊急の場合にはその条件が大幅に緩和されるわけですが、直ちにWTOに通報を行うこととか要請に応じて規制に関する情報を提供するというような義務は依然として残っておりますので、この手続面に関して純粋に言えば、EC側の今度の措置については瑕疵があったと我々は思っておりまして、先ほど厚生省の方から五月二日に会議があったということも御紹介があったと思いますが、それ以前にも、我が方のEC代表部を通じましてこうした手続面瑕疵については抗議はしっかりと申し入れております。  ただ、我々は、現時点で最も重要なことは、実質的にできるだけ早く輸出再開にこぎつけるというところを最優先しておりまして、それとあと実質面での問題、そういうものを総合的に勘案してできるだけ現実的な解決を図っていきたい、そのような態度で考えておる次第でございます。
  9. 斎藤文昭

    斎藤(文)委員 時間がございませんので、次に移ります。  今年度から始まる米輸入開始時期について伺いたいと思います。  WTO協定加盟によりまして、我が国はことしから三十七万九千トンの米輸入義務づけられたのでありますが、報道によりますと、食糧庁は、新食糧法輸入に関する部分も四月一日から施行されており、あとは事務的に作業を進めるだけだとして、五月末までに第一回目の入札を行い、夏ごろには第一便が到着する予定を組んでおったと聞いております。  しかしながら、昨年の豊作による国内産米を初め、九十万トンと言われる緊急輸入米が残っているような状況の中で、新たに輸入米が入ってくるということは、米作農家人々の心理に与える影響というのも非常に大きいものがあろうと思うわけでございまして、ミニマムアクセス義務履行についてはそんなに急いでやる必要はないと思うのでありますが、米輸入開始時期についてはいつごろになるのか政府の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  10. 西藤久三

    西藤説明員 御説明いたします。  米のミニマムアクセスにつきましては、先生指摘のとおり、初年度精米ベースで三十七万九千トンの輸入を国際約束しているところでございます。  輸入の実施時期につきましては、現在調整中でございまして、我々としましては、準備が整い次第順次実施したいというふうに考えております。
  11. 斎藤文昭

    斎藤(文)委員 そうしますと、まだ準備ができていないというふうに理解しております。やはり農家人たち心情を思いますとき、これだけいっぱい米が余っているときに外国からまた入ってくるというのは、これは量が少ない多いの問題じゃないと思うのですね。心情を思うとき、心理的に非常につらいものがあろうと思いますので、時期についてはそんなに急いでやらないように要望しておきたいと思います。  それから、ODAによる食糧援助についてお尋ねをいたしたいと思います。  昨年の緊急輸入米は現在九十万トンの在庫があるわけでございますけれども、その処理につきましては、結局業務用飼料用として売却することに決定したようでありますが、困ったときには拝むようにして売ってもらって、一たん余ってしまえば動物のえさにしてしまうというようなことは、日本であれ外国であれ米をつくる人たちは汗水を流してっくるわけでございますから、そうした心境を思うとき、これは許されることではないのではないか、そんな気がするわけでございます。  実は、私は昨年この委員会におきまして、この余剰米についてはODAによる食糧援助を実施すべきじゃないかという主張をしたわけでございますけれども、今回、報道によりますと、政府ラオスネパールに対して約一万トンずつ政府開発援助として無償供与することになったと報じられております。これが本当だとすれば、ODAによる米の現物供与について道が開かれたといいますか、今までは食糧援助規約とかあってなかなか難しいというのが政府見解だったと思うのですけれども、そういう意味では、この余剰米について、政府開発援助として食糧不足で困っている国々に与えるということは一歩前進だろう、私はそういうふうに思っているわけでございます。  そこで、今回、ラオスネパールに対する無償供与については、いつごろどのぐらいの量の援助を実施するのかまずその点についてお尋ねをいたしたいと思います。
  12. 平林博

    平林政府委員 お答え申し上げます。  今先生指摘のようないろいろな事情も踏まえまして、昨年度の食糧援助予算におきまして確保した予算の一部で、今緊急輸入して残っているタイ米の一部を供与するということに決定いたしました。三月二十九日にラオス及びネパールとの間で交換公文に署名いたしまして、現在諸手続を進めているところでございます。  今おっしゃいました数字は、まだ正確なところは判明しませんが、それぞれの国に対しまして一万五千トンぐらいになるんだろう、国際価格等いろいろございますので時々によって違いますが、一万五千トンぐらいずつ、合計三万トンというように我々としては今予想しているところでございます。
  13. 斎藤文昭

    斎藤(文)委員 合計三万トンぐらいになるということでございます。  今後とも、余剰米については、食糧不足に苦しんでいる人々に対し、人道的な面からもこうしたODAによる供与を継続すべきと思うのでありますが、政府見解を伺いたいと思います。  なお、あわせて、今回の我が国措置について、米の輸出国であるアメリカタイなどの了解を得る必要もあったと思うのでありますが、これらの国の反応はどういうものだったのか差し支えなければお聞かせをいただきたいと思います。
  14. 平林博

    平林政府委員 まず後の御質問からお答え申し上げますが、食糧援助規約関係もございますので、タイにはもちろんですが、アメリカにも事前に説明いたしまして、今回の供与につきましては、両国の理解は得られているということでございます。  なお、今後の対応でございますが、今残っております緊急輸入米につきましては、今年度の予算でどうするか引き続き検討をしているところでございまして、いろいろと国益を踏まえながら、また国際ルールも踏まえながら対応してまいりたい、こういうふうに考えております。  ただ、一言だけ付言させていただきますと、ミニマムアクセス米が本年度から入ってくることになっておりますが、ことし一月からWTO協定が発効していることを考えますと、この協定の遵守という観点あるいは諸外国関心が非常に高いということから、このミニマムアクセス米食糧援助としてODAで出せるかどうかということにつきましては、先般来の緊急輸入米とは同列には論じられないのではないか。この点につきましては、いろいろと関係国反応もございますが、WTO協定との整合性とかその他いろいろな諸般の事情外交的な側面法的側面を踏まえまして改めて慎重な検討を行う必要がある、ただ、緊急輸入した米につきましては、また別途の対応があろうか、こういうふうに考えております。
  15. 斎藤文昭

    斎藤(文)委員 時間がございませんので、次に進めさせていただきます。  ODA政府開発援助について若干お尋ねをいたしたいと思います。  我が国国際貢献の柱である政府開発援助が果たしてきた役割とその重要性については、私も十分理解をしておるつもりであります。一方、最近における我が国経済低迷や、今年発生した阪神淡路大震災に象徴される自然災害の発生など、非常に厳しい状況の中で、国民の税金を主たる財源とするODAあり方に対する国民関心も一層高まってきておるのでありまして、そういう中でODAあり方に対しましても、むだな使い方がなされておるのではないかといったさまざまな指摘がなされておることも事実であります。  そこで私は、平成七年度ODA予算について若干お尋ねをいたしたいと思います。  平成七年度ODA予算は一兆一千六十一億円、対前年比四%の伸びとなっております。平成六年度について見ますと一兆六百二十四億円、円レート百六円となっておりますので、ドル換算いたしますと約百億ドルということになります。七年度予算については円レートが九十八円でございますので、ドル換算いたしますと約百十二億ドル、一二%の伸びとなっております。また現在の為替水準、一ドル八十三円ないし八十四円で換算いたしますと約百二十二億ドルということになります。もちろん円借款もあり、このドル換算の差がそのまま円高メリットになるわけでないことは承知しておりますが、ただ実際問題として円高基調がこのまま推移するとするならば、かなり円高メリットが生じ、実質的には対前年比、かなり伸び率を確保することになると思いますが、御見解を伺いたいと思います。  時間がございませんので、あわせて質問させていただきますが、国民感情からすれば、景気の低迷、また阪神淡路大震災といったような状況の中で、外国にだけは大盤振る舞いをしているのではないか、先ほど申し上げましたような数字から見ますと、そんな印象を与えはしないかと危惧をしておるところであります。そこで、円高基調がこのまま推移するとすれば、七年度ODA予算について減額補正検討すべきではないかと私は思うのでありますが、御所見をあわせてお聞かせをいただきたいと思います。
  16. 河野洋平

    河野国務大臣 円高というものがさまざまなところでいろいろな影響を与えておりまして、いろんな考え方といいますか、意見といいますか、そういうものがございます。議員の御指摘も、ある意味国民の気持ちを酌んでおられるというふうに私は思いますが、ただ、議員もよく御承知のとおり、この為替レートというものはなかなか変動がございまして、例えばけさほどもかなり円安に振れたという報道がございました。一体どのレートをもって我々が判断するかというのは、正直これはなかなか決めにくいというところもあるわけでございます。  他方、確かに阪神淡路大震災の被災者の方々に対する大変な生活上の苦しさ、あるいはこれまで営々努力してこられた資産、家屋が一瞬のうちに崩壊してしまった、ああいう事態を見るにつけて、何とかこれを支援する方法はないものかと多くの人が考えておられることも事実でございます。  さらば私どもとして、ODAを思い切って減額をしてそちらに振り向けることができるかということを考えますと、これもまた今度は国際社会全体を見ると、まだまだ、例えば食糧がないために餓死する人がこの世界にはいる、あるいはあのテレビその他でごらんのとおり、悲惨な難民の状況というものもある、あるいはその他、我が国の支援というもので徐々に徐々に民主化が進み、国づくりが進んでいるという状況もあるということもまた事実でございまして、私は内閣として、阪神淡路大震災の復旧復興に対しては、政府としてこれはもう適時適切な措置をとっていくということをきちんとやっていかなければならない。と同時に、ODA政府開発援助も国際社会に対する我が国の貢献として、これもまたやらなくていいというわけにはいかないというふうに思うわけでございます。  私としては、ODAの効率的な実施をきちんと行う、この成果が阪神淡路大震災のときに世界各国からお見舞いの言葉が寄せられ、あるいは支援物資があれだけ寄せられたということにもある意味でつながっているところもございます。国際社会への貢献という意味で、ODAODAとしてしっかりと実施をし、あわせて阪神・淡路の復旧復興に対しても政府は全力を挙げて取り組む、こういう覚悟でいるということをぜひ御理解をいただきたいと思います。
  17. 斎藤文昭

    斎藤(文)委員 もう時間が終わりましたので、私の質問まだ用意してきておりましたけれども、やめさせていただきます。ありがとうございました。
  18. 三原朝彦

    三原委員長 田中直紀君。
  19. 田中直紀

    ○田中(直)委員 二十分ほどいただきましたので、日米宇宙損害協定について質問をさせていただきたいと思います。  宇宙協力につきましては多額な経費が必要である、こういう状況下でありますが、日米の宇宙協定は昭和四十四年から今日に至っておりますし、我が国はHⅡロケットが成功しておるという大変な成果を上げてきておるところでございます。協力宇宙という条件下ということで、そのリスクを回避する、こういうことで今回の協定になったと伺っておりますけれども、科学技術庁にちょっとお伺いいたしますが、最近の我が国宇宙開発の予算の中で、日米協力予算分がどの程度になっておるか、そしてまたこの協定の九ページでございますか、共同活動ということで予定されておる中で、スペースシャトルなどの日本宇宙計画がアメリカと一緒に共同でやっていく、こういうものの計画はどんなものか、概略お伺いをいたしたいと思います。
  20. 加藤康宏

    加藤(康)説明員 まず予算の御質問でございますので、予算につきまして御説明申し上げますと、平成七年度の宇宙関係予算政府全体で二千二百八十五億円でございまして、対前年度比で五・一%の増加でございます。過去を少し振り返ってみますと、平成三年度が千七百七十七億円、四年度が千八百九十五億円、五年度二千十七億円、六年度が二千百七十五億円でございます。  このうち日米の協力プロジェクトに関係するものでございますが、それが平成七年度で九百四十六億円でございます。その九百四十六億円のうち、先ほど先生指摘宇宙ステーション関係、これが半分くらいでございまして、四百七十一億円。ただし、宇宙ステーションにつきましてはこの協定の対象外のものでございます。それから、この協定の対象になっておりますADEOSといいますか、地球観測衛星、そういうものが二百四十七億円、それから、その次のADEOSⅡと申しますのが七十六億円、それから熱帯雨林関係のものが四十九億円、そういう予算になっております。  日米関係のプロジェクトの過去をちょっと見てみますと、ことしが先ほど申しました九百四十六億円でございますが、平成三年度が四百十六億円、四年度が六百四億円、五年度は七百三十八億円、六年度は八百十三億円と徐々に伸びてきたわけでございます。  以上でございます。
  21. 田中直紀

    ○田中(直)委員 従来も個々に、プロジェクトごとに損害賠償の請求権の相互放棄を行っていた、こういうふうに伺っております。今回の協定は新たな段階だというふうに伺っておりますが、その辺、従来とどう違ってきておるのかということをちょっと御説明をいただきたいと思います。
  22. 杉内直敏

    ○杉内政府委員 お答え申し上げます。  従来、日米間の宇宙協力におきましては、個別の案件ごとに、法令上可能な範囲内で損害賠償請求の相互放棄を行ってきたところでございます。他方、今回のこの協定におきましては、損害賠償請求の相互放棄に関する枠組みを確立いたしまして、これによりまして、個別の案件ごとではなく、あらかじめ広範な相互放棄を一般的に約束しておきまして、特定の案件が実施されることになった場合にはこの枠組みを適用しようというものでございます。  この協定は、我が国宇宙開発政策において重要な米国との共同活動を円滑に推進していく上で、極めて有用なものであるというふうに考えております。
  23. 田中直紀

    ○田中(直)委員 成果は大変上がってきておると思います。しかし、双方、経費がかかってきておる、あるいは、宇宙ということで当然リスクがあるわけでありますから、今回の枠組みということが損害賠償請求権の相互放棄という基本的な立場というのは評価できると思いますが、一方、宇宙開発について、無制限にといいますか大変そういう面では効果のあるような予算づけも必要ではなかろうか、こういう段階に至っておるのではなかろうかと思いますが、今回の協定におきまして、我が国の利害得失、具体的に、簡単で結構ですが、御説明いただきたいと思います。
  24. 加藤康宏

    加藤(康)説明員 本件協定の利害得失でございますが、まず、協定締結されることによりまして日米間の宇宙分野での協力が促進される。特に、アメリカ宇宙関係では最先進国でございますので、米国との協力によって日本の受けるメリットは非常に大きい。  例えを言いますと、少ない予算でいい効果が出る、そういうメリットがあるわけでございます。特に我が国にはございません有人の宇宙活動技術、アメリカではアポロ計画も含めまして膨大な技術が蓄積されているわけでございますが、そういう技術を習得する貴重な機会が得られることとか、スペースシャトルを使いましていろいろな宇宙実験ができる、そういうようなことで日本には非常にメリットがあるわけでございますし、損害賠償請求権の相互放棄自体に関しましても、物損にかかわるものにつきましては、米国側はシャトルを運用するという意味で非常に大きな経費のかかるものの提供を行うわけでございます。したがいまして、物損があれば米国の方が大きいということになるわけでございます。人につきましては、日本人の宇宙飛行士が米国のシャトルに乗るということが予想されておりますので、スペースシャトルの運航というのは米国の責任でございますので、米側の責任が大きくなるだろう。  物損とか人損、それから我が国の得る開発利益、そういうものを総合いたしますれば、本件の損害賠償請求権の相互放棄、これをしましても、日本にとって一方的に損することはないと考えておるところでございます。
  25. 田中直紀

    ○田中(直)委員 向井千秋飛行士が先般宇宙に飛び立ちまして、宇宙の夢といいますか、我が国の技術あるいは人材というものの評価が大変高まった、そういう意味では大変心強いわけでございますけれども、引き続き、ことし十一月には若田宇宙飛行士のシャトル飛行が計画をされております。大変期待が大きいわけでございますし、我が国のスペース・フライヤー・ユニットの関係での協力もあるやに聞いております。  そういう意味で、代位請求権につきましての取り扱いというものについて具体的に関心があったわけでありますが、この協定によってその問題は解決したということで理解をしてよろしいのかどうか、お伺いをいたしたい。
  26. 杉内直敏

    ○杉内政府委員 政府が社会保険制度のもとで保険給付を行いましたときには、その給付の価額の限度で受給権者が加害者に対して有する損害賠償の請求権を代位して取得するということになります。このようないわゆる代位請求権につきましては、米側と交渉の結果、本協定におきましては相互放棄の対象に含めないということにいたしました。  他方、より広範な損害賠償責任相互放棄が日米間の共同活動を促進する上で有意義であるということを考慮いたしまして、日米両国政府は、交換公文によりまして、協定相互放棄が適用されない代位請求権に基づきまして求償を行う場合には、求償を行う政府は、相手側の金銭上の負担が可能な限り生じないよう適当かつ必要な措置をとるということに合意した次第でございます。  なお、両政府がとる措置は、それぞれの国の関係法令及び予算の範囲内で行われるということになっております。
  27. 加藤康宏

    加藤(康)説明員 今先生から、若山宇宙飛行士の件につきまして言及ございましたので、現状を説明させていただきたいと思います。  若田宇宙飛行士は、ことしの十一月末に打ち上げが予定されておりますスペースシャトル、エンデバーに搭乗する予定で、米国で訓練中でございまして、ほかの五人のアメリカ宇宙飛行士と十日間の宇宙飛行をする予定で訓練をされているところでございます。  現在では、飛行の固有の訓練としまして、スペースシャトルのいろいろな操作の仕方とか、衛星を回収するための技術とか、そんなことにつきまして訓練されているところでございます。  以上でございます。
  28. 田中直紀

    ○田中(直)委員 今度、交換公文相互放棄ということを拡大しておるわけでありますけれども我が国宇宙開発につきましては、各省関係をいたしております。科学技術庁を初めとして文部省、運輸省、郵政省、通産省と、各省が携わっておるわけでありますので、この実施につきまして各省の運営というもの、システムというのは国内的にきっちり整備されてきておるのかされるかこういった点についても最後にお伺いをいたしたいと思います。
  29. 杉内直敏

    ○杉内政府委員 交換公文は、日米両国政府が相手側の金銭上の負担が可能な限り生じないよう適当かつ必要な措置をとるということを規定するものであるということを先ほど申し上げたわけでございますが、特定の措置をとることを義務づけているということではございません。  いずれにしましても、関係省庁いろいろございますけれども、それぞれ法律及び予算の範囲内でしかるべく対応するものと承知しております。
  30. 田中直紀

    ○田中(直)委員 各省庁、大変関係の省庁があるわけでありますし、実際に事が起こったときに問題が起きないような対処方を要請をしておきたいと思います。  河野外務大臣にお伺いいたしますが、科学技術庁長官としての御経験もございますので、今後の宇宙開発あるいは日米間、今自動車協議で大変御苦労されておるわけでありますけれども宇宙開発についてはこういう協定ができ上がった、大変前進をした、こういうことでありますが、総括的に御説明を、感想をいただきたいと思います。
  31. 河野洋平

    河野国務大臣 議員も御承知のとおり、日米関係はさまざまな分野でお互いに協力をし合っているという仲でございます。とりわけ科学技術の分野におきましても、競争をしている部分もございます。あるいは、この宇宙開発を初めとする巨大プロジェクトと申しますか膨大な技術を集めて巨額な予算を使って行う技術開発については、日米間はそれぞれ協力し合って成果を上げるために努力をする、こういうことになってきているわけでございまして、その中でも宇宙開発の分野は極めて密接に協力関係が積み重ねられてきていると思います。  このたび、この協定ができましたことによりまして、これまで個別に行われていたものが包括的なものになって、さらに両国のこの分野における協力関係は円滑に進むに違いない、こう考えておりまして、科学技術庁長官初め皆さんの御努力を多としたいと思っております。  また、その他日米関係、今自動車にも言及がございましたけれども、総体的に見まして、総じて日米関係は良好に推移している。中に若干の問題があったとしても、それが全体を害するということにはならない、またならないようにしていかなければならぬというふうに考えているところでございます。
  32. 田中直紀

    ○田中(直)委員 日米関係の好転に御尽力をお願いいたしたいと思います。  若干時間がございますので、ゴラン高原の自衛隊派遣問題について外務大臣に伺いたいと思います。  御存じのとおり与党の調査団が派遣をされまして、派遣については調査団の報告におきましてはPKOの五原則をクリアしておるのではなかろうかこういう見解も出ておりますけれども、与党といたしましてはいろいろ議論を積み重ねてきておりますけれども、社会党さんあるいは新党さきがけさん、大変慎重な姿勢に終始をいたしております。  国際的な環境、対応ということもございますので、我々は国際貢献というものについては大変積極的に、非軍事面で日本が貢献していくということについては大いに寄与していくべきではなかろうかというふうに思ってきておるところでありますが、この事態を考えて政府として今回は見送るという判断もあるのではなかろうかな、そんな個人的な思いもございますが、外務大臣、どういうふうな御見解かちょっと伺いたいと思います。
  33. 河野洋平

    河野国務大臣 御承知のとおり、政府調査団と与党三党の調査団が同時に現地を視察されまして、それぞれ報告書が提出されております。  政府調査団の報告書は、おおむね環境も整い、条件として問題とすべき、懸念すべきものはない、そういったトーンの報告書でございます。与党三党の報告書につきましてもおおむねそういった感じで書かれておりますが、数点留保すべき点があるというふうに書かれていたと承知をしておりまして、その留保すべき数点につきましても、早急に政府としては、確認をしろという御要請でございましたので、確認をしてその旨御報告を申し上げた次第でございます。  この問題につきましては、現在三党間で協議がなされていると承知をしておりますので、与党三党の協議を注目をしているところでございます。政府といたしましては、与党三党のこの報告書に対する評価なども参考にしながら、政府報告書の報告なども踏まえて最終的な判断をすることになるのではないかこんなふうに思っているところでございます。  現地を調査しました視察団に同行しました人間の報告などによりますと、調査団御一行はイスラエル、シリアあるいはパレスチナ、ヨルダン、いわゆる関係国の最高レベルの人たちと話し合って相当突っ込んだ話し合いもして帰られたというふうに聞いておりまして、その報告書なども拝見をしておりますけれども、その報告書の中には、現地は日本に対する相当高い期待を表明しておられるというふうにも承知をしておりまして、これらの点についても調査団の方々がどのような評価をなさるか、これらは最終的な御判断を待ちたいと思っております。
  34. 田中直紀

    ○田中(直)委員 時間になりましたので終わらせていただきますが、ゴラン高原の派遣問題につきましては、与党三党、大変時間がかかってきておるところであります。対外的にはそれぞれ期待感も大きい、また調査団の評価も高い、こういうことでありますが、何分にも時間がかかるということでありますので、個人的に政府並びに関係者の方々に諸外国にそういう面で支障が起こらないような対処をお願い申し上げまして、きょうの質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  35. 三原朝彦

    三原委員長 引き続き、秋葉忠利君。
  36. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 二つの協定について質問をさせていただきます。  関連質問も何点がありますけれども、まず最初に、協定の名前が非常に長いものですから日米宇宙損害協定と略称で呼ばせていただきますけれども、これについて伺いたいと思います。  この協定の内容といいますのは、現在の宇宙開発、アメリカが非常に多額の投資を行って官民協力のもと開発研究を進めている、そのリーダーシップをとっているということは周知の事実ですけれども日本としてもその研究開発の一端を担うというのはこちらの心意気だと思いますが、ある程度アメリカの好意に甘えて我々の側も研究に参加する、開発に参加するという形をとっている。その中で万一事故等が起きた場合に、多額の投資をしているアメリカ側が、そしてそれに対する投資をこちら側からしなくてはいけないという理由はありませんけれども、しかしながら実質的にはアメリカの研究開発投資の恩恵に浴している我が国の研究者あるいは宇宙開発研究に参加をした人たちが何らかの損害を受けた場合に、今度はアメリカ側の責任で賠償を行うということは、やはり経済的な面で考えても、あるいはお互い同士の相互関係から考えても一考に値するのではないか。この際、やはり損害ということについてはそれぞれ請求権を放棄しよう、そういう双務的な協定ができた、そういうふうに理解をしております。  その理解のもとに伺いたいのですが、現状では確かにアメリカの研究開発努力日本と比べて非常に大きい。特に投資額においてはアンバランスな面があるわけですが、例えばこれが逆転をする可能性もあるわけですし、あるいは個々のプロジェクトについて、日本側がイニシアチブをとって、そしてアメリカがそれに側面的な援助をするといった場合も考えられるわけですけれども、仮に、そういったように日米間の力関係が逆転をしたような研究開発においても、日米の立場が公平に取り扱われる内容になっているのかどうか、その点を伺いたいと思います。  特に、この詳細に関しては、附属文書において処理をするという形がとられているというふうに理解をしておりますけれども、その扱いについても、日米が双務的にといいますか、双方、公平な形で損害賠償請求権を放棄することになっているのかどうか。  さらには、交換公文では、日本側からの代位請求権を放棄しないけれども、実質的には、アメリカに迷惑をかけないような方法をとるという柔軟な対応が行われておりますけれども、例えば、このことが、今度は日米の力関係が変わった場合にどうなるのか。そのあたりの公平性、双方向性がどの程度担保されているのかについて、御説明をお願いいたします。
  37. 杉内直敏

    ○杉内政府委員 お答え申し上げます。  本協定によりまして日米双方が負うことになります協定上の義務につきましては、日米両国政府にとって全く同等でございまして、日米のいずれかにとって不利となるというようなことはございません。また、実態上も、日米双方が投入する資機材や人員は個別の共同活動によりそれぞれ異なっておりますので、日米いずれかが一方的に不利になるというようなことは一概には言えないというふうに考えております。  本協定は、事故が発生した場合の損害賠償に係る紛争を回避すること、また、自己の投入財産等にリスクを限定することを通じて、関係者が共同活動に参加しやすい環境を整備しまして、もって両国間の宇宙分野での協力関係を促進することを意図するものでございまして、日米いずれかの利益を図ることを意図したものではないというふうに御理解いただきたいと考えます。
  38. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 特に、代位請求に関する交換公文について、改めて念を押しておきたいわけですけれども、これは、日本側が代位請求権は放棄はしないけれども、実質的に経済的な面でアメリカに迷惑をかけないようにするという内容だと理解しておりますけれども、万一、逆の状況が生じたときには、扱いはどうなるのでしょうか。
  39. 杉内直敏

    ○杉内政府委員 お答え申し上げます。  この交換公文をごらんいただきますと、この書き方は完全に双務的な形で書いてございます。そういう意味で、日本側がそのような立場になる場合、あるいはアメリカ側がそのような立場になる場合、全く同じわけでございますが、それに加えまして、実態的にアメリカ側が日本側に対してそのような要求をするというような事故が発生したようなことがあった場合には、実際問題としては、アメリカ側としては請求しないというふうに理解しております。
  40. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 わかりました。重要な点ですので、その点を確認をさせていただきました。  これに関連して、この代位請求に関する問題。交換公文という形で処理をされているわけですが、与党内で、特に外務調整会議の中で、国際協定についての、国会とそれから政府の間の力関係といいますかそういった議論がこのところ行われてまいりました。発端になったのはKEDOの問題ですけれども、その問題についての最終結論、我々としてはまだ確認をするに至っておりませんので、その問題とも関連して伺わせていただきたいと思うのです。  今回の、この宇宙協力についての損害放棄協定ですが、これは、承認をするに当たって、交換公文ごと承認をするということになっているのかそれとも、協定承認の対象だけれども交換公文はその承認の対象になっていないのか。いわゆる大平三原則と言われる原則がありますけれども、それに照らしてどういう整理をなさっているのか伺わせていただきたいと思います。
  41. 谷内正太郎

    ○谷内政府委員 まず、この宇宙損害協定の方でございますけれども、詳しくは省略いたしますが、私どもといたしましては、大平三原則で申します法律事項が入っておりますので、これは国会の御承認をいただくべきものであるというふうに考えておりまして、今現に御承認を求めておるわけでございます。  他方、代位請求権に関します交換公文につきましては、これは予算及び法令の範囲内で実施し得るものでございますので、行政権としてやらせていただけるものであるというふうに理解しております。他方、この協定との関連におきまして、当然、国会で御参考にしていただいて御判断いただく必要があると思いますので、参考として御提出させていただいている、こういう関係にございます。
  42. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 予算の範囲内ということなんですけれども、となると、国会との関係について考えますと、予算の審議を当然国会が行うわけですから、その予算の審議の過程において、この交換公文に盛られた内容が妥当であるかどうか、またそれに対してどの程度の支出を行えばいいのかどうかそういった検討が行われるから、十分に国会の意思は反映されるというふうに解釈なさっているわけでしょうか。
  43. 谷内正太郎

    ○谷内政府委員 交換公文の第二項におきまして、「両政府は、また、1の措置がそれぞれの国の関係法令及び予算上の資金の利用可能性に従ってとられることに合意する。」ということになっておりまして、今先生まさにおっしゃいましたように、個々の事例が起きた場合に、予算の範囲内で、国会の御承認をいただいているものの範囲内でやらせていただく、あるいは時期的な問題がございますから、これから御承認いただくとかというものもあるかと思いますが、いずれにしましても、基本的に先生のおっしゃったラインで私どもも考えております。
  44. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 となると、これは微妙なところなんですけれども予算の審議の過程において、こういう交換公文があるから、どうしてもそれに対して予算をつけなくてはいけないんだという議論はできなくなる、そういう解釈も成り立つわけですけれども、しかしながら、議院内閣制をとっている我が国として、そういった非常に極端な議論が出てくるかどうかは別として、ある意味で、そういった整理もできると思うのです。  実は、これを伺っているのは、次の、その表裏一体の問題というふうに考えられる問題なんですが、広島と長崎にあります放射線影響研究所について、これは関連をしておりますし、日米双方でお金を出し合って放射線に関する医学的な研究を行う、そういった仕事をしているわけですが、この予算の執行について、幾つか問題がありますので、厚生省にも来ていただいていると思いますが、少し今の点に関連して伺いたいと思います。  実は、現在の放射線影響研究所、放影研というふうに呼んでおります。英語ではRERFという略称を使っていますけれども、この放影研について、二つの問題が大きく分けて浮上しております。もう一つ、三つ目として、放影研を移転するという問題があるのですが、それはとりあえず除いて。  一つは、この放影研、費用は日米折半にするという原則がありますけれども、運営その他の面でも、日米が全く平等に参加しようという建前で運営が行われております。そして、伝統的にアメリカは、これはエネルギー省が管轄官庁なんですけれども、その委託を受けて、アメリカの科学学士院がこの運営の責任を持っていたというのが歴史ですが、その学士院に対する委託をやめて、アメリカの大学、これは主にプライベートな大学がアメリカには多いわけですが、そういったより私的な存在にこの運営をゆだねようという動きがあります。これに関連して、世界の学会、それから放影研の研究に従事している人たち、また広島、長崎、それからアメリカの市民から再検討してほしいという強い要望が出ております。これが一つの問題点です。  それからもう一つは、これは、一九七四年の交換公文において、放影研の費用は日米折半にするという原則が確認されたわけですが、その後円高影響等がありまして、実質的に日本側では予算をつけているにもかかわらず、アメリカ側の予算額、円に換算をしたときに目減りがするということで、結局折半というところが、円に換算をして最終的にどのくらい使ったかというところで評価をされてしまうために、予算がついていても、日本側として使えないといいますか使えないのだとお役所が判断してしまう額がかなり多額に上っている、その結果として、放影研で働いている人たちの解雇をしなくてはいけないような事態が生じている、簡単に言うとそういう図式が浮かび上がってまいります。  ですから、一つは、アメリカ側のどこに委託をして運営をするかという問題、それからもう一つは、予算の折半の原則の問題、この二つの問題があるのですが、この二つについて、まず、時間が余りありませんので、より切実なお金の方の問題から伺いたいと思うのですけれども、もう少し申し上げますと、例えば、最近の九〇年、九一年、九二年というふうにこの三年間を見てみますと、日本側では結局、予算がついているにもかかわらず使われずに国庫に返されたお金が二・七億円、これが九〇年です。九一年には約三・九億円ですね。それから九二年には、これが約三億円という額が国庫に返されております。この九一、九二、九三、それから九四年というところを見てみますと、一般職で、放影研の定数というのがあるわけですけれども、これは当然これだけの人数が必要だからこれだけの人を雇いましょうという数ですが、それと実質的に雇用された人の数を見ますと、九二年で十九人不足している、九三年で十六人、九四年で三十人不足をしている。このすべてとは言いませんけれども、今申し上げた国庫に返納された数億円の単位のお金が支出され、実際に使われるという事態になっていれば、具体的には解雇という形ですし、あるいは労働強化ということを緩和するといった方向でそのお金が使われることができた、そういうふうに考えますけれども、この点についての認識と、この問題を解決するために、国庫に返納するということをしないで、せっかく予算はつけていただいたわけですから、これを具体的に使うという方法をとれないものかその点について伺いたいと思います。
  45. 川邊新

    ○川邊説明員 今先生指摘の、九〇年から九二年の関係を先に申し上げますが、今般アメリカ側からいろいろ予算が足りないという御議論が出てきておりますのは、九四年度以降の御議論でございまして、確かに御指摘のとおり、日本側予算が、決算としては御指摘のような数字が不用になっていることは事実でございますけれども、いわゆる職員の解雇をしたとかいうふうな形で、それの余った分だということではございません。そこが一つございます。  それから、ここ一年ばかり、アメリカ・エネルギー省と、放影研の運営の経費についてはやはりアメリカ側も必要な経費を出していただきたいということで現在協議をしているところでございますけれども、現段階では、現在エネルギー省におきまして、米国内において放影研運営費についての予算の増額を今要請している段階だということでございますので、とりあえず私どもとしてはその結果を待って対応したいというふうに考えております。
  46. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 この問題について余り時間をとるつもりはなかったのですが、九〇年、九一年、九二年、それぞれ二・七億、三・八億それから二・九五億ですね、返納額があるということを申し上げました。同時期にアメリカ側でつけた予算、それがアメリカの国庫にどのくらい戻ったかという数字を申し上げますと、九〇年ゼロ、九一年ゼロ、九二年ゼロでございます。これは、円高の差損というのは九四年だけだというふうにおっしゃいましたけれども、理由は何でも結構です、ほかの理由があるのかもしれない。しかしながら、予算としてついているものが、特に放影研のように定数に満たない数の一般職の雇用しか行われていないようなところで、これだけのお金を、常識で考えると、返すということはあり得ない。しかも予算をお役所がどういうふうに、これも放影研もお役所の一つですから、そこで使う場合に、実際に自分たちがもらった予算を使わずに返してしまうことがあるというのは考えられない。  これについては、ともかく私が理解しているところでは、交換公文の折半というのがあるから、アメリカ側が出したお金と同じ額しか使えないからほかは使っちゃだめだという強力な指導があるということですけれども、それはまさにどこで判断をするかということですけれどもアメリカ側で予算をつけた際には、折半の原則はアメリカでも当然わかっているわけですから、日本側と相談の上、幾らにしましょうという予算をつけているはずです。ですから、その時点での平衡が保たれていれば、バランスがとれていれば、それを全額使うという解釈の仕方も当然あるはずです。それを行わずに、実際には雇用の面で大きな影響を与えるという、これは事実は、因果関係は、意図とは全く別問題として、それは存在するわけですから認めていただかなくては困る点だと思います。  私が申し上げているのは、そういうテクニカルな問題についての異議を申し立てることによって、より大きな本質のところを回避してしまう議論はやめていただきたいということです。要するに、これだけの額を返さなくても、仕事としては立派な仕事をしているし、国際的にも高い評価を得ている放影研の仕事を応援するために、日本側予算をつけるという段階で、予算審議の段階でバランスがとれていたと判断をしたそのままを全額執行するという柔軟な運営をすべきではないかということを申し上げているので、その検討の余地が全くないものかどうか。仮に今の状態を変えるために交換公文を改めて訂正する必要があるんだとしたら、どちらからかそれを提案することもできるわけですから、そういった方向の検討もしているのかどうかそういった点も含めて、より大きなレベルでの、高いレベルでのお答えをもう一度お願いいたします。     〔委員長退席、福田委員長代理着席〕
  47. 川邊新

    ○川邊説明員 お答えいたします。  私申し上げましたのは、職員の対応予算対応については必ずしもリンクしていないということと、強制的な解雇を過去にしてきた例はないのでございまして、定年退職なり任意の退職がその数の変更につながっているということがございます。  それから、今お話しのように、いずれにしろ、現実問題といたしまして、差益の問題なり為替の問題なり、全体的に運営費が非常に窮屈になっているという状態がございますので、これについてどうしていくかということについては、私どもとエネルギー省と今一生懸命協議している段階でございまして、そこはどういう形で最善の予算を確保していくかということは課題だろうというふうに認識しております。     〔福田委員長代理退席、委員長着席〕
  48. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 外務省に伺いたいのですけれども外務省はこの交換公文を実際にアメリカ側と交わした責任者ですけれども、その後は知らんぷりだよ、後は厚生省に任せたんだから我々は関与しませんということではないと思います。今申し上げたような実質的な、科学技術庁でロケットのときに覚えたいい言葉でふぐあいという言葉がありますけれども、非常にふぐあいが起こっている。ですから、それに関連して、ともかく日米折半という原則がここで大きな問題になっているのであれば、それはあくまでも原則であって、放影研の円滑な、しかも研究の質を高め、さらに医学界における貢献度を高めるような予算の使い方、それはあくまでも原則なのだから、例えば何%の幅を持たせて、その範囲内であれば折半ということでいいじゃないか、そう解釈をつけることも可能だと私は思いますけれども外務省がイニシアチブをとってそういった日米間の新たなる合意を得よう、もちろん合意がなければそんなことをやってもしょうがないわけですから、そういうイニシアチブを外務省としてとっていただけるかどうか。検討してみますということでも結構ですが、できれば外務大臣、突然の質問になるかもしれませんが、外務省でもそういったことを検討の余地があるものかどうか、伺いたいと思います。
  49. 時野谷敦

    ○時野谷政府委員 先生指摘のとおり、日米間の了解というのは折半の原則が基本的な考え方ということになっておりまして、最近までそういう原則に基づいて円滑に運営をされてきた。ところが、アメリカの財政状況とか円高の問題とかございまして、御指摘のとおりのいろいろな財政上の問題が生じている、こういうことでございます。  私ども、まさに今厚生省から御答弁ございましたように、折半の原則ということに基づいて米側にも努力を要請をしてきている、かつそういう原則に基づいて米側も考えよう、こういう意向でありますので、当面のところは折半の原則ということで引き続きやらせていただきたいと思います。
  50. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 そうしますと、先ほどの予算の審議のところに戻るわけですけれども、毎年毎年これだけ厚生省予算の額が余って返されてくる。恐らく予算は使い切るということが原則であろうと思いますが、お役所でそういうことが行われている、一カ所で行われているということはほかでも恐らく行われているはずですから、そういうことになると、予算審議の際に厚生省予算については特に厳しく査定を行うという与党間の合意を得るために努力をするというような結果になってもしょうがないですね。  ですから、予算の査定というか、予算をつけるときにそれなりの判断をきちんとされているわけですから、そこのところをきちんと、そこの判断が実は生きるべきである。その段階で議会としてアメリカの議会も日本の国会も承認をしているわけですから、それが実は判断の基礎になるべきではないかと私は考えます。それについては、ちょっと時間がありませんからまた別の機会に取り上げたいと思いますけれども、その点、さらにお願いをいたしまして、次の点に移りたいと思います。  政府調達協定ですけれども、これに関連して、政府調達協定WTOの枠の中の一つですけれども、先般のWTO協定審議の際に一つ非常に大きく問題になったのが農業に関連して輸入食品の安全性といった問題でした。今国会においても食品衛生法及び栄養改善法の一部を改正する法律案というのが出ていますけれども、それにどの程度WTO協定審議の際の厚生省側の姿勢が反映されているのかということを再確認しておきたいと思うのです。  世界中で現在使用されている農業、約七百種類あるということですが、そのうちでコーデックス委員会が約百二十種類について基準を決めている。日本では約百三種類の農業の基準があるということですが、日本の基準で言えば六百種類の農業についてはまるっきり基準がないということになっております。これについてWTO協定審議の際には、新しい基準を徐々に設けていくということが一つ、それからもう一つは、日本として国際基準よりも厳しい基準がある場合にはあくまでも科学的な根拠をもとに考える、それが基本姿勢であって、コーデックス基準が日本の基準よりも緩い場合、それがほとんどなわけですけれども、コーデックス基準があるという理由で日本の基準を緩めるという方針はとらない、そういう意思表明がありました。それについて農業基準、いまだにその基準ができていない約六百種類の農業についての基準づくり、どういう段階にあるのかということを伺いたいと思います。  それからもう一つは、食品衛生法改正案の中で、コーデックス基準との関連において輸入食品の検査手続を簡素化するという趣旨が入っていると理解しておりますけれども、その簡素化の中で、国際基準に日本の基準も全部合わせてやってしまうのだというような項目が入っているのかどうかその点についての確認をしていただきたいと思います。
  51. 高原亮治

    ○高原説明員 御説明申し上げます。  先生お話のございましたように、WTO協定の審議のときにお答え申しましたように、用いられております国際基準、すなわちコーデックスの基準でございますが、これは第一に国際的に消費者の健康の保護を目的にして作成されているものであって、我が国においても基本的にはこのような国際的な基準により国民の健康が確保できるものではございますが、SPS協定には、御承知のとおり科学的な正当な理由がある場合等におきましては国際基準よりも厳しい措置を採用し得ることも規定されておるわけでございまして、この協定締結によりまして国民の健康確保に支障を及ぼすような農業等の食品の安全基準の緩和を行う考えは全くないということは前回お答え申し上げたとおりでございます。  なお、現在提出されております食品衛生法の改正についてでございますが、今回出ております内容は、輸入食品の増大等も背景の一つでございますが、今後対応すべき食品衛生の問題が非常に多様化している、そういうふうなための多面的かつ総合的な安全確保策、お話にもございました農業の残留基準の整備でございますとか、食品添加物の、特に天然添加物に対するきちんとした評価を行うとかそういうふうな安全確保対策、その他営業者の自主管理の推進など、総合的な二十一世紀の食品衛生に対応するための改正案でございます。  また、この改正案の中で輸入検査の簡素化というふうなお話がございましたが、簡素化と申しますか効率化と申しますか、実は私ども、いろいろな産地、いろいろな生産者ごとにいろいろな癖といいますか事故を起こしやすい、ないしはそれほど心配することはない、いわゆるハイリスクなのかローリスクなのか、そういうふうなものをコンピューターのデータベースに入れまして、それをいわゆるぺーパーレス審査といいますかコンピューター上照合いたしまして、これは検査命令を発動してとめ置き検査をやるのかないしは書類審査で通すのかというふうな、効率化、合理化という意味でやっておるわけでございまして、決して手抜きをするとかそういうふうな趣旨ではございませんので、御了解賜りたいと思います。  また、検査の判断に用いますものは、当然でございますが日本の基準でございまして、外国の基準、ないしはそういうふうなものは、非常に緊急な事態が起こって、非常に新しいものができてきて日本にデータがないから何か判断しなければならないというふうな例外的な事態があればまたこれは別のお話でございますが、日本の現在の基準をいささかも緩めることなく適正に運用してまいりたいと考えております。  以上でございます。
  52. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 ありがとうございました。  最後に、そろそろ時間ですので一つだけ、実はより大きい問題を伺いたいと思っていたのですが、それの出発点を一つだけ伺いたいと思うんですが、これはお気づきだと思いますけれども、四月二十五日のイギリスの新聞、デーリー・テレグラフに、戦争責任の回避は卑劣であるという、これは社説ですけれども、それが載っております。  これを読みましたけれども、ともかく、アメリカ、イギリスは、戦争のもちろん当事国だったわけですけれどもアメリカ、イギリスの立場ということをある程度考えに入れた上でこれを読んでみますと、英米の論調の中では割にバランスのとれた穏健な論調だという印象を受けました。ということは、非常に感情的に、ヒステリカルに日本を批判しているのではなくて、例えば原爆の脅威等についてもあるいは原爆の悲惨さ等についても十分それは認めるという立場ですし、そして、日本のこれまでの戦争責任を論じる上でも、例えばアメリカの社会の中にあるような、ジャップといったような蔑称を使ってともかく声高に日本をなじるといったような感情的な対応ではありません。だからこそ、なおさらその趣旨とそれから結論というものが、私は説得力を持つというふうに思いますけれども、その中で、最近の日本国内における歴史認識について非常に厳しい指摘がなされているというふうに思います。  これはやはり、こういった世論の形成というのが外交関係においては非常に重要であるということは、私が申し上げるまでもありません。とりあえず、時間がありませんので、このデーリー・テレグラフに代表されるような、アメリカあるいはヨーロッパその他の世界の日本に対する、戦争責任の回避は卑劣である、あるいは洗脳まで行っているではないか。もちろん、これもただ単に単独で洗脳ということをこの新聞が言っているわけではなくて、日本の政治家から、例えば日本に戦争責任があると言うことは実は日本人が洗脳されている証拠なんだというような発言があった、それに対する言葉として、返す言葉として出てきているわけですから、これも議論のやり方としては非常に正当なやり方で、言葉の使い方としても当を得ていると思いますが、こういった論調について、どういうふうに外務省としてはこれをとらえているのかこれからどういうふうに対処をしていくつもりなのかその点を、簡単で結構ですから、まず、これからの議論の出発点として伺いたいと思います。
  53. 河野洋平

    河野国務大臣 村山内閣は、そのスタートにおきまして、総理大臣の施政方針演説の中で、今秋葉議員指摘部分に当たる発言をしておられます。それは我が国の過去における幾つかの問題点について触れながら、そうした点に対する反省をし、そして、未来に向かって我々は進んでいかなければならぬという趣旨のことを総理が言っておられるわけでございます。この発言は、村山内閣におきましては、総理が施政方針演説においてそういう発言をされると同時に、その後も累次にわたって総理は発言をしておられまして、私もまた総理の御発言に全く同感でございます。  そして、この発言は、村山総理の極めて突出した発言ではないのでございまして、これまで我が国の内閣、歴代内閣の総理大臣はこうした趣旨の発言をずっとしてこられている、すなわちそれは、我が国政府というものはそうした気持ちをずっと持ち続けて今日まで来ていると申し上げてもいいのだろうというふうに私は思います。  とりわけことしは戦後五十年という、半世紀という年に当たりますだけに、各国それぞれの思いを持ってこの年を迎えているという年であって、そのために各国の論調はさまざまな論調がございますが、そうした論調によって影響されるのではなくて、我が国我が国の持つこれまでの思い、考え方、それは間違いもなく、過去に目を向け、そして将来に思いをはせる、そういう姿勢を一貫してとり続けてきたし、これからもとらなければならないものというふうに私は思っております。
  54. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 ありがとうございました。  これで終わります。
  55. 三原朝彦

    三原委員長 前原誠司君。
  56. 前原誠司

    ○前原委員 二十分しかありませんので、御答弁も簡潔にお願いをしたいと思います。  まず、日米宇宙損害協定に関する質問でございますが、日本宇宙開発研究という分野について御質問をさせていただきたいと思います。  私も不勉強でございまして、宇宙開発事業団というのは、NASDAというのはよく耳にしたわけでございますけれども、この宇宙開発研究を文部省の所管でもやっている、宇宙科学研究所というところで学術的な研究をされているというふうなことでございました。  私なりに調べさせていただきますと、NASDA、宇宙開発事業団、これは打ち上げ基地は種子島、ロケットは液体水素、液体酸素を使う大型のものである。宇宙科学研究所の方は大隅半島の内之浦というところで、今回打ち上げに失敗をした、これはドイツとの共同研究でありますけれども、エクスプレスというものは、M―3SⅡという、燃料も固体燃料であるというふうな違いがあるわけでございますけれども、NASDA自身が特殊法人の一つでありまして、なぜ二つの機関で別々に研究を行うのか。もちろんNASDAの方、宇宙開発事業団の方は、いわゆる衛星でありますとかあるいは放送の分野、放送衛星ということで、事業的な色彩が強い、文部省所管の方は学術研究的な色彩が強いということでありますけれども日本はそれでなくても打ち上げ費用が非常に高いと言われているわけでありまして、そこら辺はなぜ違うのかという政府の御見解をそれぞれ伺いたいのと、一緒にするとどういう問題が生まれてくるのかといったところもお伺いをしたいと思います。
  57. 瀬山賢治

    ○瀬山説明員 今先生から御指摘のございました両機関の事業の重複、連携のお話でございます。  宇宙開発事業団は、我が国宇宙開発の中核的な機関として、実利用分野の技術開発をするということで、通信・放送、地球観測、宇宙環境利用、こういった分野の人工衛星もしくはこれを打ち上げるロケットの開発を進めておるところでございます。  また、宇宙科学研究所の方は、宇宙科学の分野で、学術研究機関として、宇宙の起源もしくは宇宙の構造を解明するために科学衛星もしくはそれを打ち上げるロケットの開発を進めておるということでございます。  したがって、目的、守備範囲というのはおのずから異なっておるところでございますけれども、ただ、両機関の活動につきましては、重複がないように、また効率的に進められるように宇宙開発委員会が総合調整をして進めておるということでございます。  具体的には、宇宙開発委員会は、毎年度各省庁からそれぞれの宇宙開発活動にかかわりますような要求をヒアリングしてございます。そこで調整をした上で、各省庁それぞれ予算要求をするという仕組みになってございます。したがいまして、宇宙開発事業団、宇宙科学研究所も、この仕組みの中で調整されてそれぞれの業務をやっておるというところでございます。  また、両機関の連携協力でございますけれども、これは大事なことだと認識しております。かねてから両機関は、定期的な連絡会を設けるなどして情報交換に努めておるところでございます。  具体的には、最近では両機関のロケット技術を組み合わせたようなJ―Ⅰロケットというものを開発しております。また、ことし三月ですけれども、HⅡロケット試験機三号機で打ち上げました宇宙実験・観測フリーフライヤーという衛星がございますが、これは両機関がそれぞれのリソースを出し合って共同して進めているところでございます。したがいまして、今後とも両機関が重複なく効率的に進められるように、着実に発展させるように努力してまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
  58. 早田憲治

    ○早田説明員 宇宙開発事業団と宇宙科学研究所の役割分担につきましては、ただいま科学技術庁の方から御答弁があったとおりでございますが、私からは、宇宙科学研究所の役割等につきまして若干付言させていただきたいと存じます。  まず、その法律的位置づけでございますが、宇宙科学研究所は、国立大学の設輝根拠となっておりますのと同じ国立学校設置法に基づいて設置されておりまして、法律的には大学共同利用機関という位置づけになっておりまして、広い意味では国立学校の範疇の中に含まれている機関でございます。  次に、その目的、役割でございますが、第一に、大学における学術研究の発展に資するために、宇宙理学及び宇宙工学の学理及びその研究を行うこと、その応用研究を行うこと、これが第一でございます。第二は、国立、公立、私立の大学の教員その他の者で宇宙理学及び宇宙工学の研究に従事する者の利用に供すること。それから第三は、大学の要請に応じて大学院における教育等に協力することという三点の目的、役割を持っているわけでございます。  具体的には、各大学の研究者と協力しながら、宇宙の真理の探究を目的といたしました研究者の自由な発想に基づく研究のために、エックス線天文観測衛星などの科学衛星の開発、打ち上げを行っております。  また、研究目的に適応したさまざまな軌道での衛星の運用が必要になってまいりますので、それに適した打ち上げ用のロケットの研究開発も行っております。  さらに、大学院生の教育を通じまして人材養成、後継者育成を果たしておる、そういう役割を持っておるわけでございます。  以上でございます。
  59. 前原誠司

    ○前原委員 ありがとうございました。  今お話があったように、宇宙開発委員会というものを定期的にやられて、重複がないような努力をされているということでありまして、二つのものを足して一つにしたら行革になるかというとそうでもありませんし、そういう努力を引き続き続けていただきたいことを要望しますとともに、よく指摘をされておりますように、日本のロケットの打ち上げ費用がほかの国に比べて高いという部分がありますので、そこら辺も特に宇宙開発事業団、これは事業分野になりますので、努力を引き続きしていただきたいと要望させていただきます。  次に、政府調達の問題について御質問をさせていただきたいと思います。  本協定の趣旨というものは、我が国政府調達というものを国際的に開かれたものにする、そして国際規格に合ったものにしていくという点ではないかと思います。その前提として、発注をするものについての入札というものが適切にそして公正に行われるということが必要ではないかと思います。しかし、日本には談合構造というものが常態化をしておりまして、その構造というものがODAあるいは政府調達外務省所管についても見受けられるというふうに私は思っております。  今回三月に、大手商社、デパートなど四十二社に対して公正取引委員会が独占禁止法違反で排除勧告をしたということがございましたし、また、今までODAについていろいろな談合疑惑というものが指摘をされてきたのも周知の事実でございます。  まず、公正取引委員会にお伺いをしたいのでありますけれども、今回、排除勧告を行ったものに対して刑事告発を見送ったということでございますけれども、その理由について公正取引委員会にお伺いをしたいと思います。
  60. 楢崎憲安

    ○楢崎説明員 御説明いたします。  従来私ども公正取引委員会におきましては、入札談合は競争入札制度の根幹を失わせ、競争を制限するという行為でございまして、積極的にその摘発に努めてきたところでございます。昭和五十二年以降、八十二件の入札談合事件につきまして審決をとっているところでございます。  また平成二年六月に、刑事告発に関する公正取引委員会の方針というものを定めて、国民生活に広範な影響を及ぼす悪質かつ重大な事案につきましては積極的に刑事告発を行っていく方針を公表したわけでございますけれども、本件、いわゆるこのODAの事件につきましては、先ほど申しました刑事告発に関する方針に照らして検討した結果、独占禁止法の規定に違反する犯罪ありと思料し告発を相当とする具体的な事実が認められなかったことから告発をしなかったわけでございます。
  61. 前原誠司

    ○前原委員 今、告発しなかったというふうなことでございますけれども、私もいろいろな先輩、後輩また知り合い等々に商社の方々がおられまして、内々にお話をいろいろ聞いたりする場面もございますけれども、要は日本ODA、無償の場合はタイドでやる、そして円借款はアンタイドということで、逆に円借款の場合は日本の企業というものが入れなくなるような形になってきつつあるということでございますけれども、無償の場合は、これはいいか悪いかという判断はこの場では私はいたしませんけれども、いわゆるひもつきと言われているものであって、その部分ではいわゆるコンサルタントと言われる人たちに権限がある程度集中をし、またそれを取り巻いた商慣行の中で、談合でありますとかいろいろな問題点というものが常態化をしているという話を伺うわけでございます。  こういった認識をまず外務省として持っておられるのかどうか。また、そういうものの認識があるかないかどうかというふうな前提に立って、そういうものをできるだけ排除する努力というものを具体的にどのように行われているのかということを外務省にお伺いをしたいと思います。
  62. 平林博

    平林政府委員 お答え申し上げます。  先般のJICAの技術協力にかかわる一連の談合問題あるいは水産無償関係の談合問題、これにつきましては、公正取引委員会の厳正な調査によりまして談合の事実が認められておりますので、極めて遺憾だというふうに考えております。  それを超えまして、商社あるいはコンサルタントにおきまして談合をやっているかどうかということにつきましては、当局の調査その他を待たないで軽々に論ずべきものではないのではないかというふうに考えておりますが、仮にもそういうことがないように、我々といたしましては企業との関係で、あるいは企業団体いろいろございますが、そういう関係者といろいろな連絡の機会がございますので、事あるごとにいわば警告と申しますか注意喚起と申しますか、そういうものを発しているわけでございます。  今回の事件につきましても、公正取引委員会から刑事告発こそございませんでしたけれども外務省といたしましては、事態の深刻性にかんがみまして、JICA、国際協力事業団に対して今後厳正な措置をもって対処するよう指示をいたしまして、その結果、三月二十八日からでございますが、関係企業には三カ月間の指名停止処分あるいはそれに相当した処分が行われたということでございますので、今後とも先生おっしゃるような談合がないように厳正に対応するように努力してまいりたい、こういうふうに考えております。
  63. 前原誠司

    ○前原委員 申し上げるまでもございませんけれども国民の税金で行われている援助また公共事業でございまして、また今回、こういった政府調達協定というものも日本加盟をする中で、いわば同じような事件が起きるということは、国際的な信用を失ってしまうということにも大きくつながってくる問題でありますし、またODAそのものに対する国民の信頼性というふうなものの根幹を揺るがす、私は非常にゆゆしき問題だと思います。したがいまして、今回の問題、ある意味では氷山の一角だという思いで厳しく、外務省におかれましては、今平林局長からお話がございましたような取り組みをさらに続けていただいて、二度とこういう問題が表に出てこないと言ったら語弊がありますけれども、ないように努力をしていただきたいと思います。  きょうは建設省にもお越しをいただいておりますので、ODAだけではなくて政府調達一般の問題について御質問をしたいと思います。きょうは竹歳建設業課長が来られておりまして、よく内容について御承知の方でございますので、前置きを省いて質問だけさせていただきたいと思います。  この政府調達に入る前に、日本は行動計画というものを昨年の一月に決めて、一般競争入札の順次拡大というものをやっているわけでございまして、その姿勢については評価をしているところでございます。竹歳さんにお伺いをしたいのは、一つは履行ボンドでありますが、ボンド制度というものがある程度導入されてくるようになって、これがどうなっていくんだろうかという見通し、特に工事完成保証人制度はなくすというふうなことでございまして、いわゆる保証制度がどうなっていくのかというところも踏まえて、まずその見通しをお伺いしたい。  それから、一般競争入札を拡大したとしても、いわゆる条件つき、制限つきということで、今のような状況ではスーパーゼネコンしか入れない状況でございまして、そこでまた談合が起こりやすい。そして結局、やる気のある、ちょっと経書の点数が足りないような企業が入れないというふうなことになっている状況について、どういう認識を持っておられるのかというのが二点目。  それから、一般競争入札が拡大をする中で、いわゆる予定価格よりも下回る、あるいはそれよりもっと下回るダンピング入札というものが出てきて、ある意味で価格が下がる。競争性が高まるということはいいことでありますけれども、しかし、今の状況では下請あるいは孫請というものにすべてしわ寄せがいっていて、結局はそこにしわ寄せがいっているだけであって、根本構造というものに大きなメスが入れられていないのじゃないか。半値八掛け五割引きという言葉も業界の中にはあるわけでございまして、半値八掛け五割引きといったら二割しかないのですね。そういったところでとらなければほかのところに仕事をとらせるからということで、この一般競争入札で逆に今中小企業、下請、孫請が大変苦しい状況になりつつある、ゆがみが出てきている、それについて建設省としてはどういう対応策をとろうと考えておられるのか、その三点についてお伺いをしたいと思います。
  64. 竹歳誠

    竹歳説明員 お答えいたします。  先生指摘のとおり、我が国におきましては、政府調達協定の発効に先駆けまして、みずからの措置として昨年一月に行動計画をつくりまして、平成六年度より、協定の対象となる大型工事につきまして、外国企業にも開放された一般競争方式を採用しているところでございます。今回のさまざまな入札契約制度の改革のねらいは、制度の透明性、客観性、競争性を高める、そして不正の起きにくいシステムをつくること、それと建設市場の国際化に的確に対応していくこと、こういうようなねらいがあったわけでございます。  そこで、お尋ねの第一点の履行ボンドの見通してございますけれども、従来の工事完成保証人につきましては廃止をするという方向でいろいろ検討してまいりまして、履行ボンドについていよいよ導入するということでございます。大蔵省の方でも、損害保険会社に対しまして新しいボンドの認可を行いました。現在、公共工事の標準契約約款というのを見直しておりまして、これが五月中にも新しい約款ができるということで、いよいよこの履行ボンドが我が国でも本格的に導入される、こういうふうな見通してございます。  次に、第二点のお尋ねでございますけれども、現在いろいろな改革が行われている中で、競争条件、そういう入札参加資格の審査が厳しくて、結局大手に非常に有利になっているのじゃないかという御指摘でございます。  御承知のとおり、今回の改革は九十年ぶりの大改革ということでございまして、発注者、受注者双方において少なからぬ戸惑いとか不安がございます。そして、例えば参加条件が大手企業に有利になっているというような声があるというようなことも先生指摘のとおりでございます。今回の改革というのはとにかく透明性、客観性、競争性を高めようということでございますから、一定の参加資格条件を満たして競争参加意欲のある建設業者は内外を問わずだれでもが参加できるようにしたところでございます。  したがいまして、この参加資格条件というのは合理的なものでなくてはならないと考えておりまして、現在受注者側、発注者側から実態についていろいろヒアリングとか調査を行っておりまして、問題があれば見直していこうと考えております。  それから三点目の問題でございますけれども、ダンピング入札が行われていて、これが結局下請へのしわ寄せになっている、中小の方々が非常に困っておられるということでございます。実は現在、建設市場というのは大変な不況でございます。特に民間受注が半減しているというところに今回の改革が重ね合わせられたということで、必ずしも改革によってすべてのダンピングが起きているというわけではございませんが、いずれにしろ、このダンピング入札をどう防くかということは非常に大事な問題でございます。過去において我が国で一般競争で入札して失敗したのは、実はダンピング入札を野放しにしてきたということでございますから、このダンピングをどう防ぐかということは実は一般競争を定着させる上でも重要でございます。  建設省におきましては、四月に建設産業の政策大綱というのをつくりました。これは今後十五年間を見通した建設産業政策の方針を示したものでございますが、この中で、一番大事な問題として挙げられておりますのが元請、下請の関係でございます。やはりこの適正な関係がないと、下請が苦しいから元請になろうというようなインセンティブが働くわけでございまして、この辺については今回の政策大綱も踏まえながら、具体的な施策をとってまいりたいと考えております。  以上でございます。
  65. 前原誠司

    ○前原委員 終わります。
  66. 三原朝彦

    三原委員長 引き続いて、若松謙維君
  67. 若松謙維

    ○若松委員 新進党の若松謙維でございます。  本日は、政府調達協定に関して質問をさせていただきますけれども、やはり協定締結以前に大事なのが政府政府の友好的な関係、これにまさるものはない、そういう思いを込めまして、特にこの時間をいただきまして、円高対策、これは外務委員会で余り触れられておりませんので、ぜひ、副総理であられます外務大臣からも円高等に関する御意見を賜りたい。そして、あわせて、今決裂いたしました日米自動車虚業問題、これについても言及させていただきたいと思っております。  きのうからいわゆる円安傾向で、現在八十六円で推移しております。こういった流れをさらに確固たるものにするための議論としてまいりたいと思いますので、大臣よろしくお願いいたします。  まず初めに、当然副総理でもあります大臣にお聞きしたいのですけれども、ここ一日で大変円安という状況ですけれども、やはりその奥底には円高という流れは変わっていないわけでして、非常に今、大変日本経済は厳しい状況に陥っております。  中小企業事業団、これが四月十七日から十九日にかけまして、全国の主要な製造業の中小企業二百社を対象とした緊急アンケートを行いました。その結果、これらの中小企業が考えている採算レート、これは過半数の企業が約九十五円から百五円。八十五円を超えても円高で採算がとれると答えた企業は一社。こういう状況で、大変、大企業はもちろんのこと、中小企業においてはもろに円高影響を受けなければならないという、まさに日本企業の足腰強い、その要因の中小企業が今存続の危機に追い込まれている。  こんな状況で、九四年度は若干減少いたしましたけれども、まだ巨額の我が国の貿易黒字がある。そして、ことしの四月の半ばには、政府が発表いたしました円高対策として、いろいろありました。さらには、公定歩合の引き下げ、非常にこれはタイミングが遅いんじゃないか。また、日米新経済協議の難航、こんな円高の要因がいろいろ考えられるわけですけれども円高というものをどうするか、どうするかという議論だけしても何の解決にもなりませんので、これからやはり与野党ともに、円高解決するに当たって、原因、これを見きわめるのが、そして把握するのが大事ではないか。  そういう観点から、ぜひ、副総理でもあります外務大臣、この円高の原因、これはどういうことなのか政府としての答弁をお願いします。
  68. 河野洋平

    河野国務大臣 議員ももう十分御承知のとおり、為替相場というものは、市場における需給を反映して総合的に決まるものでございます。したがいまして、側々の相場の動向について特定の要因を明確にするというのは極めて困難であるというのが一般的な定説でございます。  最近の急激なドル安の背景として、アメリカにおける金利の動向やメキシコ情勢、あるいは欧州における政治情勢、日米間の貿易動向に関する先行き不透明、こういったものがあるのではないかというふうに言われておりますが、これとて、そのうちのどれが決定的な要因であるかということについては、これは明確に指摘するということはなかなか難しいわけでございます。  それでは、この円高というものを、あるいはドル安といいますかどういうふうに見るかということ、あるいは、この為替レートというものがどういうものであるかという判断につきましては、先日のG7会合の共同宣言の中にはこう書かれています。「最近の変動は、主要国における基礎的な経済状況によって正当化される水準を超えている」、こうG7の責任者たちが集まった会合での共通の認識が示されておるわけでございまして、これを一概に、何をもってこれという、単純にここで申し上げることは難しいと思います。
  69. 若松謙維

    ○若松委員 確かに、断定することは難しい。ただ、やはりその国がこういった円高に対して何をしようかという顔が見えない限り、やはりミクロベースでの日本の企業というのは、依然として国際競争力はあると思いますのであるがゆえに、この日本総体としての巨額の貿易黒字、これは改善しない。そういった状況で、では、日本はこれをする、そういう顔を見せる外交というものが今大事ではないか。  ですから、難しい、難しいだけでは、まさに今日本の経済の自然死を待つ、それであってはならないと思うわけです。今こそ原因というものをみずから明確にして、課題を明確にして、そしてどうするんだというふうに外に向かっていくのが大事ではないかと思いますが、そういった観点から、外務大臣、いかがでしょうか、円高解決
  70. 河野洋平

    河野国務大臣 今議員から、原因は何か言え、こういう御指摘がございましたから、原因を何か一つ二つと特定して申し上げることは難しい、こう御返事を申し上げたわけでございます。  ちなみに、今議員がおっしゃいましたように、けさ方の相場は円安に振れているわけですが、では一体この円安に振れている理由は何か我が国のファンダメンタルズに何か変更があったのかといえば、それはそう簡単にこれまた指摘することは困難だろうと思います。一般に、これまた評論家の説をかりて言えば、これは恐らくマルク高に起因する、マルク高が適当なものでないと言ったマルク関係者の言葉が影響しているのではないかなどという解説もございまして、必ずしも、どれか一つをとって、これが原因だからこれを解決すればよろしいというほど単純なものではないと思います。  しかしながら、恐らく議員も頭の中に描いておられるのは、経常収支の黒字の問題が恐らく議員の頭の中におありなんだと思いますが、こうしたものも確かに我が国のいわゆる経済のファンダメンタルズの一つであることは当然のことでございまして、この点についてどういう方法をとるかということについては、我々としても十分考えていかなければならないことであろうと思います。  したがいまして、四月十四日でございましたか政府としては緊急円高・経済対策を発表をいたしまして、これに対して具体的な措置をとる、そのために補正予算のお願いもしようと、合しているところでございまして、人によっては、そうした効果が、今回の円安に振れたのも一つの理由ではないかという説もなくはないわけでございます。  これらを総合勘案して考えていく以外にはないと思います。
  71. 若松謙維

    ○若松委員 それでは、私も市場筋に、今のここ一日の円安円安というか本来の姿に戻りつつある、そういう原因は、当然、先ほどの四月十四日の政府発表並びにG7の、今本来あるべき姿からは著しく逸脱している、そういう反転、これは否定できない、それは肯定すべき原因ではないかと思います。  一方、貿易黒字というか、経常収支黒字、こういうさらに潜在的な大きな課題があるわけでして、果たして、いろいろと原因を断定するのは難しいという、今確かにおっしゃるとおりだと思いますけれども、非常に為替というのはまた、政治なり政府なりの決意というか意思というか、そういう態度というものもまた大きく影響するのではないかと思うのです。  そういった観点から再度質問させていただくのですけれども、私は先週、ゴールデンウイーク、アメリカへ行ってまいりました。今本当に円高というものをプラスの要因で考えられないか。そうすれば、恐らく国民も明るい希望を持って、例えばドイツ経済みたいに、物の入りと出、輸出輸入を本当に頻繁にやっている。そういうことでドイツの場合には、マルク高になってもマルク安になってもそんなに経済に影響しないような制度。今、円高で消費者にとってメリットは購買力ですよ、購買力の向上。  アメリカに行きましたら、移動電話が、日本ですとまだ数万円かかる申込料が今一セントなのですね。一セントで、要は、会社としてはお客さんさえつかめればいい。そこまで競争力がいっている。さらにびっくりしたのですけれども、そういった物づくりというのを、ではどこでやっているのかというと、結構海外でやっている。さらに家電製品、特にビデオつきのテレビ、これもちょっと市場調査で見て回ったのですけれども、二万円台で買えるのですね。本当に安い。それが今アメリカの貿易赤字の原因かもしれません。反対に、それができないというのが、今日本がなかなか変わらない、円高を解消できない、そういった要因なのかな。  やはり原因というのでしょうか、これは通産省のお仕事でもあるし、大蔵省のお仕事でもある。ただ、いろいろな外交交渉で、当然円高というのは日米貿易摩擦にも関係してくるし、あるいは外務省としてもただごとではない。外務省としても百数十名の経済局があるわけです。円高の原因というのですか日本はこう考えて、こうあるべきだ、はっきりとそういうものを打ち出す必要があるのではないか、そう考えますけれども、いかがでしょうか、大臣。
  72. 河野洋平

    河野国務大臣 確かにこの急激な円高というものは、先ほど議員からも御指摘がありましたけれども、中小企業、あるいは大企業もそうだと思いますが、企業家にとって、とりわけ輸出に絡む関係者にとっては大変大きな痛手であろうと思います。この急激な円高、急激な為替相場の変動というものについてどう考えるかということは、我々としても、相当真剣に考えていかなければならないことであることは間違いのないことでございます。  ただ、議員がおっしゃいましたように、政府が決意を示すという程度のことでこの問題が解決する感じのものではなくなってきているということもぜひ御理解をいただきたい。どうも、これも風評もございますから、なかなか確たることを申し上げるわけにはまいりませんけれども、例えば幾つかの主要国が協調介入をしても、その協調介入を上回る資金の投入が意図的に行われているなどという説もございまして、これは必ずしも一国や二国の強い決意でこの問題を解決するというほど簡単なことではないというふうに思うのです。そして、先ほど申しましたように、G7の責任者たちも、ファンダメンタルズで説明ができる範囲を超えているということを言っていることも御理解をいただきたいと思います。  ただ、そうは言いましても、この問題、放置できない問題であるということもまた事実でございますから、私どもとしても、できる限りの努力をしなければならぬというふうに思っております。  今議員がお話しのように、円高になればなったで円高の利益を消費者、国民がみんなで受けられる状況というのは、これもまた一つのことでございますが、まだ我が国においては海外旅行に行った人は非常によかったとおっしゃるという程度のことであって、日常生活の中で円高のよさを享受していると実感しておられる方は余りおられないのだろうと思います。  価格破壊といいますか価格をどうやって下げていくかという問題については、ややもすると、かつてブランド志向などと言われて、しかもそれは幾つかのブランドに消費が集中するというような風潮のもとではなかなか価格競争というものは成功しないのでございまして、消費者の方々にもひとつその辺は大いに勉強してほしいという面もあるかと思います。  しかし、何と申しましても、基本的に政府としてできるだけのことをしなければならない、こう考えて、先ほども申しました四月の経済対策をとったわけでございます。その中身には規制緩和措置ども盛り込まれておりますし、さらなる積極的な財政が前に出て内需の拡大を行うという指摘もそのとおりでございます。  こうした幾つかのと申しますか、今考え得るすべての対策を網羅いたしまして、その対策を発表し、それが徐々に徐々にではありますけれどもスタートして、今回補正予算を先ほども申しましたように政府としてはお願いをしようと考えているわけでございます。この補正が提案を正式にされまして、国会において早期に審議、そして成立をさせていただきますれば、具体的な効果がその結果上がってくるもの、そう考えているわけでございます。
  73. 若松謙維

    ○若松委員 これも先週のゴールデンウイークにアメリカで行われた日米国会議会議、そこで日本議員、特に新進党の議員アメリカ議員に対して直接訴えました。特に、やはり貿易摩擦が議論になりまして、そしてアメリカ議員が私たち日本議員に対していろいろと不平不満を言ってきた。ところが、それをそのまま受け入れる議論ではない。そういうことで、新進党は明確に言いました。この地球上のどこに、ある国の政府が他の国の私企業に対してこれやれあれやれと言うのを認める法律があるのか、あったら出してくれ。さらには、はっきりと言いました。アメリカ議員に対して率直に、アメリカ議員も成り下がったものだ、自動車産業の代理人になったのか果たしてそれで今アメリカが、そして日本が、そして地球が抱えている問題が解決できるのかそういうふうに率直に言いました。そうしたらアメリカ議員は、そう言うな、わかってくれ。普通なら、アメリカ人がはっきり言うと、日本人がそう言うな、わかってくれという立場が逆転した。  議論の上では貿易摩擦の問題は圧倒的に日本議員に有利な展開だったのですが、それだけでは問題は解決しない。やはりこの巨額の貿易黒字は解消しなければ、いずれは、平行線としての不もの摩擦が続く。  そういうことで、本当に規制緩和、それも彼らと同じ市場構造というか、そこまでの徹底したものをやって、そこまでやってもこの貿易黒字は変わらない、まさにミクロベースの企業の努力の一つの集積として、こういうふうに続くのだ。そこまでやらないと、この問題は解決しない。そういう意味で、これは主張になりますけれども、ぜひそこまで言わせるぐらいの規制緩和というのを早急に、強力に進めていただきたい、こう主張いたします。  この円高が、お話ありましたので、ちょっと質問の順番が逆になりますけれども、もう一つ。  今一部に、これも先月大蔵大臣が言われました、外為市場で一部の邦銀が投機的取引をして円高要因というものを醸し出しているのではないか、自分で自分の首を絞めているのではないか、そんなことで、これを規制しよう、国会でもこういう議論がありました。これは重要な問題ですので、これは外務大臣に聞くのは不適切ですので大蔵省になると思いますけれども、果たして外為取引を規制するような動き、川高を阻止するための、そんな事実があったのかどうか、政府の明確な回答をいただきたいと思います。
  74. 渡辺達郎

    ○渡辺説明員 お答えいたします。  釈迦に説法と申しますか言うまでもないことですけれども、為替取引というものの中にはいろいろな種類のものがございまして、動機それからやり方、例えば貿易の正常な決済ですとか金融資産のヘッジですとか、いろいろなものがあるわけです。そういうものが全体として総合されまして、時々刻々為替相場というものができていくということ、私なんかが今さら申し上げることはありませんけれども。そういう中で投機的な取引というものを特定していくというのは非常に難しい。投機的取引がないというようなことは申し上げるつもりはありませんし、実際、投機的な動機に基づく取引というのはあるということは間違いないと思いますけれども、それを具体的に確定していくということは技術的に非常に困難だというのが国際的にも確立された考え方だと思います。  そういう中で、我々はいろいろと為替の問題について考えているわけで」すけれども、仮に、例えばそういう投機的取引について外為法なりなんなりで規制をするというようなことを考えるといたしますと、例えば次のような問題があろうかというのが我々の考えでございます。  まず一つは、円ドル取引というのは、我が国の東京市場だけではございませんで、ロンドンですとかニューヨークですとか、さまざまな世界じゅうのマーケットで活発にやられているということがございまして、我が国東京マーケットで投機的なものを規制するということがありましても、それだけで規制の効果が上がるかどうかという問題がまず一つある。  それからもう一つは、仮に我が国規制をするということになったときに、結局ほかの国にそういういろいろな動機に基づく取引全体が流出していって、そちらのマーケットで結局為替相場は、つまり円のレートは決定されてしまうということになるだけではないか。  それからもう一つは、一たん規制というものを考えますと、それを迂回するような取引が当然出てくる可能性がある。そうすると、それをさらに抑えるためにより強い規制というのをやらなければいかぬ。そういうふうにやっていきますと、仮に投機的なものをある程度特定してそういうことをやるとしても、そういうふうに迂回を防止するようなことをどんどんやっていくうちに、当然やらなければいけない経済の正常な活動の一環である取引までができなくなってしまう可能性があるというような問題があると私どもは考えまして、そういう投機的取引の規制ということは考えておりません。  以上でお答えとしてよろしいでございましょうか。
  75. 若松謙維

    ○若松委員 規制はやってないということで、私も自由経済論者ですので、それは当然と思っております。  では、経企庁にお伺いいたしますけれども、今八十六円、円安になっていただくことを期待するわけですけれども、万が一の八十五、六円、きのうの質問の通告では八十円前半といたしました。もう一夜で変わるという今の激変の時代です。今八十円半ばで、万が一これが続くとした場合の貿易収支の黒字の動向、そしてさらには国民生活に与える影響、これについて簡潔に御説明いただけないでしょうか。
  76. 加藤裕己

    加藤(裕)説明員 お答えいたします。  円高我が国の経常収支、貿易収支に及ぼす影響でございますけれども、短期的には、円ベースで考えますと、輸入価格が下落いたしますので、まずそういう価格面の影響が大きく出まして、経常収支の黒字は膨らむ傾向でございます。しかし、より長い目で見ますと、輸入数量がふえる、輸出数量が下落するということがございますので、その結果としまして貿易収支、経常収支は黒字幅が縮小すると考えております。定量的な問題につきましては、その時々の輸出入業者の価格行動等々に大きく依存しますので、明確なことは申し上げられないと思います。  それからまた、国民生活につきましては、我が国の経済の現状は、住宅建設は高い水準でございますし、個人消費は引き続き弱いわけですけれども、総じて回復基調にございます。また設備投資も、低迷している業種もございますけれども、総じて下げどまりの動きが見られております。全般的に企業設備等の調整が進展する中で、我が国経済は緩やかなる回復基調にあると考えております。ただ、最近の為替レートの動きでございますけれども、先ほど来御指摘ございますように、経済のファンダメンタルズから乖離した極めて投機的、思惑的なものでございますので、それが経済に悪い影響を及ぼすことは十分に考えられることだと思っております。  このため、政府といたしましては、先ほど来御説明がありましたように、四月十四日に緊急円高・経済対策を決定いたしましたし、その予算面の具体化としまして、補正予算の概要をまとめ、来週早々にも閣議決定する予定としております。また金融面でも、公定歩合を引き下げて一%としたことは御案内のとおりでございます。  政府といたしましては、補正予算を早急に成立させ、七年度当初予算に加え、これらを着実に執行することにより今般の対策を早急に実施に移して、現在の景気回復基調をより確実にしていきたいというふうに考えております。
  77. 若松謙維

    ○若松委員 まあそういう御説明と承りました。  それで、別の観点から、これは大蔵国金局になるのでしょうか、ぜひ後に外務大臣のコメントもいただきたいわけですけれども、外貨準備高が今大変ふえております。いわゆる日銀介入ですね。そして数字を見ますと、昨年十二月末の外貨準備高が一千二百二十八億ドル、当時のレートで約十二兆円。そして現在、三月未が一千四百十五億ドル。この二月末から比べて百五十五億ドルふえております。当然日銀としてこの円高を抑えるということで大変努力をされている、それは理解するわけですけれども、もう一方、やはりドルを政府として保有する、これはある意味で、今円高ですから、ドル安ですから、結局これは含み損が考えられるわけです。一説には、当時の、十二月末のレートが一ドル百円、現在が八十円半ば、そういうことで、この外貨準備高の含み損というのは、万が一今の外貨を円に直すと二兆円くらいの損になるのではないか、こういう記事もありました。  ですから、今後この外貨準備高というものは、今の水準があるべき姿なのか将来減らしていくのか減らしていけば当然それを円転して実現するのがその場合の損はどうするのか、そういった点をちょっと説明していただけますでしょうか。
  78. 藤本進

    ○藤本説明員 御説明申し上げます。  外貨準備を保有しております外為特会でございますが、これの平成六年度中の発生いたしました外為評価損は、これは特別会計予算書の貸借対照表に載っておりますけれども、八千七十七億円になる見込みでございます。それ以前、平成五年度以前に発生しました繰り越しの評価損九兆四百三十一億円を加えますと、九兆八千五百八億円ということになるわけでございます。  この評価損と申しますのは、外為特会の保有外貨等につきましては、基準外国為替相場で評価するということが外為特会法上定められておりまして、また、評価損益は繰り越し整理するということになっております。このような繰り越し整理の処理というのが行われますのは、次のような理由でございます。  まず、現金主義を採用するというのが外為特会の基本でございまして、現金の過不足を生じない未実現の損益であります評価について、これによりまして特会の運営に直接的な影響を与えることがあってはならないという問題が一つ。そして、実際問題としましても、評価損益というのは、為替相場の動向に応じまして増減を繰り返すものであるということでございまして、以上のような処理によりまして、外為特会の運営に支障は生じておらないと考えております。  ただ、評価損益が特会の運営に直接の影響を与えないということではございますけれども、やはり、巨額の評価損について手当てをせずに放置しておくということは適当ではないと考えられますので、特会の健全性の確保をするという観点に立ちまして、保有外貨の運用等によりまして発生しました各年度の決算剰余金というものを積立金として積み立てております。これまでに、外為特会の決算剰余金から一般会計へ約三兆円余り繰り入れしてきております。その一方、六年度末の積立金は七兆二千四百四十二億円を見込んでおります。そしてまた、保有外貨の主たる運用先でございます米国の金利が非常に高水準にある。一方、資金調達のもとであります外為証券の割引率が先般の公定歩合の引き下げによりまして低下いたしまして、内外金利差が拡大しております。そういうことから、現在の内外金利水準が続きますれば、外為特会保有外貨の運用益等を引き続き見込むことが可能であるというぐあいに考えておるわけでございます。  七年度中の外為評価損等につきましては、今後の為替相場がどのように推移するかということによりますので、現在の段階で見込むことはなかなか困難でございます。
  79. 若松謙維

    ○若松委員 大変いろいろな勘定、名前が出てきて、普通の方ではまずどういうふうになっているのかよくわからない話だと思います。  では、ちょっと確認いたしますと、三月未の外貨保有に対する評価損は九兆何千億ということですね、そうですね。それで、かつ積み立てしている益部分もある、それが七兆二、三千億。では例えば、今この八十五円でたまたま来年の三月末まで、いろいろなやり方はあるでしょうけれども、いわゆる為替がそのままなるとすると、この含み損というのはどのくらいになるのですか。評価損というのですか大体、ふえるのですか、減るのですか。
  80. 藤本進

    ○藤本説明員 現在想定しております積算根拠でありますレートよりも円高になれば、当然その部分だけ含み損は増加するということになる筋合いでございます。(若松委員「どのくらい」と呼ぶ)それは、八十五円の場合にはというのは計算はしておりませんで、これから今後、例えばどのくらい市場に入っていくかそれから外準がどのくらいふえるか。これは、外準と申しますのは、介入だけではございませんで、今まで介入した結果、ここにあります外準を運用する、その運用益がどの時点でどのくらい入ってくるかということにもよるわけでございまして、ちょっとその残高等を見ないと、なかなかお答えすることは困難でございます。
  81. 若松謙維

    ○若松委員 済みません。その評価損が、今後売却して、いわゆる運用で何か評価損を実際に実現して相殺するというような言い方でしたけれども、では、この評価損なりは、売却して実際に損は出る、だけれどもそれを超える運用益で何とかカバーできる、大きなマイナスは生じない、そういう理解でよろしいわけですか。
  82. 藤本進

    ○藤本説明員 この外為特会は、為替安定のための平衡操作を行うためのものでございますので、各年度ごとに売買をいたしましてそれでその評価損とそれから積立金をチャラにするというような操作を行わないことになっておりまして、これは先ほど申しましたように、一方で評価損は立ちますけれども、一方で健全性の観点のために積立金を立てておる、そしてそういう操作によりまして毎年度の平衡操作、介入操作がスムーズに行われるようになっている、こういうことでございます。
  83. 若松謙維

    ○若松委員 やはり外務委員会ではちょっと無理がありますので、大蔵委員会の同僚議員にこれはお願いいたします。  それでは、日米自動車協議に移らせていただきます。  これはまさかかそれとも織り込み済みかわからないのですけれどもWTOの自動車協議について、アメリカ日本に先駆けて提訴という手段をとりました。これは戦略上織り込み済みだったのか。また、今度は日本が提訴される側になりました。そういった提訴される側になる不利益というか立場上の不利、こういったものがあるのかどうか、それについて御説明いただけないでしょうか。
  84. 原口幸市

    原口政府委員 まず、こういう事態を予想していたかどうかという御質問でございますが、こういう事態になる前に、いろいろと情報がマスコミあるいはその他のチャネルを通じて流れておりまして、その直前になるまでは、アメリカ日本WTOの方に持っていくというような情報はございませんでしたので、率直に申しますれば、こういうオプションをアメリカがとるということは、多分多くの政府関係者が考えていなかっただろうと思います。  他方、論理的に申し上げますれば、アメリカ日本WTOのメンバーでございまして、もしアメリカ側が日本側の何らかの政策につきまして問題がありと考えていて、その結果として何らかの措置をとろうということであれば、本来アメリカ側が日本WTOに持ち出していくということは当然あっておかしくないわけでございますので、そういう論理的な可能性としては、政府関係者の中にも、そういうことがあってもおかしくないなという意見を持っている人間もいたことは事実でございます。  二番目の御質問でございますが、それでは日本側がこれによって不利益になるかということでございますが、WTO協定の紛争解決了解は、貿易上の問題を締約国が合意したルールのもとで解決する手続を定めておりまして、政治問題化することなく静かな解決を図るという観点から、一般論としては、右手続利用することは決して悪くない、適切な方法ではないかというふうに考えております。  今回アメリカ側がこのような措置をとったということについて、政治的には、アメリカ側が一方的な措置の候補のリストの発表をおくらせて、我が国の自動車あるいは自動車部品市場につきましてWTOの紛争解決手続に訴えれば、一方的措置への非難よりも日本の自動車市場の閉鎖性への非難の向きを強めて、米側が国際世論を味方につけやすくなるという意図があったのではないかというような意見もないわけではございませんが、そうした米側の意図はさておきまして、米国が日米の自動車問題をWTOの紛争解決手続に訴えて解決を図りたいということであれば、むしろそれは我が国の、先ほど申しましたような認識にも沿うものでございますので、我が国としても、WTOの紛争解決手続に従って、我が国の主張、あるいは我が国の市場が開かれたものであるということをそういう場において説明し、我が国の立場を貫いて、主張を貫いてまいりたい、そのように考えている次第でございます。
  85. 若松謙維

    ○若松委員 先ほど、アメリカがいわゆる第三国の協力なりを得る、そういうことも考えられるということですけれども、具体的に、ここ両日の話なのでそんな時間もないと思うのですけれども、わかる範囲で、他国の、アメリカのとった態度に対するリアクション、これはいかがでしょうか。
  86. 原口幸市

    原口政府委員 まだ一々各国の反応を正式に調べているわけではございませんが、例えば、先般橋本通産大臣がカナダのバンクーバー近郊のウィスラーというところで四極の会合に出ておられまして、たまたまその会合に、もちろん四極ですからカンター通商代表も出てきていた。二人がお会いになるということで、四極の傍ら自動車問題を話し合った。ほかに四極の他の同僚としてEUのブリタンそれからカナダのマクレランという大臣がいたわけでございまして、どうしても日米で話している問題についてお二人にも話が伝わっていくということだったと思います。そのときに、これは通産省の方からお聞きした話でございますけれども、そもそも一番大きなイシューは、日本の自動車のメーカーが外国製の自動車部品をどれだけ調達するかといういわゆる自主調達計画、ボランタリープランと称しておりますけれども、それについてアメリカ側が数字の改定とか上乗せということを求めている、この点について、日本側に求めているということについてはやはり理不尽じゃないかというふうなことはお二人とも言っていた、そのように私は理解しております。
  87. 若松謙維

    ○若松委員 要は、他の第三国は今のところ良識的な判断をしておられる、一部ですけれども、そんなふうに印象を受けました。  それでは、今ボランタリープランというお話が出てまいりましたので、特定名を出すのもあれですけれども、最近トヨタ、本田、そういった会社等が自主輸入増加計画というのでしょうかそういったものを出しております。これが、当然今の日米貿易摩擦は自動車産業が大きな中心になっている、そんなことから、いわゆるボランタリーによる個々の自動車会社の発表ではないか、そう理解するわけです。それはそれで非常に結構なことだと思います。  反対に、一方で、そういう個々の日本の自動車産業のボランタリープランというものを発表するのを差し控えようという動きが報道等でありました。特に通産省あたりから、今政府交渉をやっているからいろいろな個々の企業の発言は避けてくれ、控えてくれ、そんな発表があるわけですが、この事実についてはいかがでしょうか。
  88. 大井篤

    ○大井説明員 お答え申し上げます。  まず、事実から先にお話ししたいと思うのですが、議員指摘の、いわゆる部品の調達に関します将来の見通しの件でございますけれども、いわゆるボランタリープランと呼んでいるものでございます。この点につきましては、実は日本の大手の自動車会社五社がすでに昨年の三月に、世界からの部品の調達額及び彼らがアメリカに持っておりますプラントにおける部品の調達額、こういったものについて今後どのようになるだろうか各会社ごと年次はそれぞれ異なっておりますが、ある社は九七年、ある社は九五年、ある社は九六年、こういう形で発表を自主的にしているわけでございます。  新聞報道にありました点でございますけれども、この昨年の三月に発表しましたボランタリープランについて、これを改定し、かつ上積みをするやの記事であったかと思いますけれども、これにつきましては、従来から日本の自動車会社はボランタリープランを上積みしたりあるいは延長したりということについては余く考えていないと私ども聞いております。この点につきましては、五月の八日、九日に自動車業界の首脳が通産大臣、総理大臣を訪問した際にも明言しているところであります。私どもの方もその記事が出たときに確認をいたしましたところ、関係二社におきましては全く事実誤認であるということと、むしろ各社とも大変迷惑をしているということで、その新聞社にも抗議をしたと聞いておりますし、事実誤認である旨の記者会見を行ったやにも聞いております。  それから、通産省の方から何か差し控えると言ったというようなお話がありましたけれども、そのような事実は全くございませんし、私どもといたしましては、各社から聞いている状況では、現在自動車工業は大変な状況になっておりまして、各社とも今後三年間に部品の調達額を三割程度減らすというようなことで対応しておりますし、現在の円高であるとかあるいはその影響を受けまして国内の生産がどうなるか、あるいは海外におきます彼らのいわゆるトランスプラントにおける生産がどうなるか非常に不確定な状況が多々あるわけでございまして、現在のこのような状況の中で、いわゆるボランタリープランの上積み、改定ということについては全く考えていないというのが実情であると理解をしております。
  89. 若松謙維

    ○若松委員 明確に否定しているということで、その言葉をこちらは信用いたします。  では、本会議が近づいてまいりましたので、残り二つ提案をさせていただきたいと思います。  まず一つ目は通産省に対してですけれども、結局アメリカは、これは理屈としてはおかしいのですけれどもアメリカの貿易赤字の四割は我が国に対するものだ、そしてさらにその大きな要素が自動車関連産業だ、そういうふうに言っております。そういうことで、我が国としても自動車産業の現地生産、こういう方法に切りかえたわけですけれども、やはり自動車部品等も相変わらず輸出をしている。アメリカからすれば、輸入をしている。ですから、これが提案なんですけれども、自動車部品、アメリカで生産する自動車に対する部品、さらには日本で生産する部品を特に共通に通用する、汎用化、汎用品にするということであれば、アメリカの部品メーカーが日本に参入する機会が当然広がるのではないか、こういう提案を申し上げたいのですけれども政府としてどのようにお考えでしょうか。
  90. 大井篤

    ○大井説明員 お答え申し上げます。  自動車部品のいわゆる標準化あるいは共通化につきましては、現在、各自動車会社におきまして、先ほど申し上げました価格低減のための一環として積極的に推進されておるところでございます。これを企業を超えてあるいは国境を越えて共通の部品を採用するか否かという問題につきましては、基本的に各社の経営判断に属するものだと理解しております。  ちなみに、国境を越える標準化が先ほどの議員質問に関連する事項であると思いますが、日本の自動車会社はヨーロッパとの間ではかなり標準化を具体的に進めているというような動きがあると聞いております。ただ、アメリカとの間の部品の標準化の問題につきましては、各社も努力をしているのですが、基本的に、日本がメートル法を採用しているわけでございますけれどもアメリカの場合にインチ、ヤード、ポンド、こういった計量単位系を用いているということがございます。そうしますと、具体的な自動車の生産過程におきますと、どの程度誤差をとるかということで相当難しい問題も生じてくるのが事実であるわけでございます。  御指摘のとおり、標準化が進んで、かつ部品の調達の基本要因であります価格、品質、納期、こういったものが改善されてくるということが同時に起こるということであれば、標準化された部品の海外からの輸入というものも進むと思いますが、単に標準化をするだけではだめで、価格、品質、納期といった三つの主要要素をどのように満たしていくのかということが重要であろうかというふうに考えております。
  91. 若松謙維

    ○若松委員 ISOという、国際標準規格、そういった動きが明確にございます。ですから、品質面ではもう既に標準化が始まっている。あとは、価格と納期というのは、これはまさに個々の努力で、それを標準化というのは難しい話ですけれども。ですから、流れとしてはそういうことは否定できないんじゃないか。そういうことで、ぜひとも通産省として、これを提案として、今後とも日米貿易摩擦解消につながるような策を講じていただきたい、そう要望いたします。  最後の質問になります。  いわゆるこういった通商問題、これをストレートに政治問題化しないために、例えば紛争解決のメカニズム、これが必要であるという声が今回の反省点として出てきたわけです。具体的に、アメリカとイスラエル間では、貿易紛争解決のために両国から一人ずつ、そして第三国から一人、計三人の委員で構成する紛争解決委員会があるということです。さらに、アメリカとカナダでも同じような紛争解決委員会がある。  これは提案なんですけれども、こういった通商問題をすぐ政治問題化させないための紛争解決メカニズム、これをぜひ構築した方がいいのではないかと思いますけれども、外務大臣、いかがでしょうか、提案といたしまして。
  92. 原口幸市

    原口政府委員 お答え申し上げます。  今先生指摘の米加それから米イスラエル、確かに二国間の紛争解決のメカニズムがございまして、それなりに機能していると思います。ただ、一つここには非常に重要なエレメントが入っておりまして、といいますのは、二国間の紛争解決メカニズムというものの前提が、米国とカナダの間に自由貿易取り決めがある、それから米国とイスラエルの間にも自由貿易取り決めがあるということなのでございます。  したがいまして、このメカニズムは、そもそも両国の間の協定ですね、自由貿易取り決めを定めた協定の解釈とか適用に関する紛争を解決するためのものでございまして、参考にはなると思いますが、例えば米国と日本との間にはこれに相当する二国間の自由貿易取り決めというものはございませんので、そのままこれを日米二国間にすぐに持ってこられるかということについては若干の疑義がございまして、やはりこの問題については、その実効性とか利害得失を初めいろいろな要素を慎重に考えて検討していく必要はあろうかと思います。  ただし、これはそれなりに示唆に富む御提言でございますので、政府の側におきましてもいろいろ今後とも真剣に検討はさせていただきたいと考えております。
  93. 河野洋平

    河野国務大臣 いろいろと御提案をいただいていることをよく承っておきます。  日米関係は、もう議員十分熟知しておられますように、さまざまなレベル、さまざまな分野で非常に濃密な関係でございます。すべてを一つのルールでやれるかどうかということは問題があるかと思いますけれども、しかし、包括経済協議幾つかの分野では円満に協議が調っているものもあるわけでございまして、私どもとしては、日米間でおっしゃるようにすぐに政治問題化をして云々ということはできるだけ避けなければならぬというふうに思っておりまして、十分冷静な話し合いが行われ、さらにはWTOもあるし、いろいろなルールもございますので、そこでできる限り冷静な話し合いによって合理的な答えを引き出すということが必要であろうと思います。  私としては、先ほども申し上げましたけれども、こうした問題が日米両国関係全体を害するというようなことのないように、日米関係のマネージメントに十分配意していかなければならないというふうに考えているところでございます。
  94. 若松謙維

    ○若松委員 こういったさまざまなそれぞれの国の意見というのが、すぐ相手の国が政治家を使って政治問題化する、こういう傾向にあるので、そのためのシステムとしての事務レベルでの話し合いの場、こういう観点から、ぜひ委員会なりを設置していただきたい、そう提案いたしました。  ですから、大臣の御説明も非常に前向きなお話なんですけれども、そういった点から、私の希望するというか意図するところの御回答がちょっとあいまいでわからなかったので、いわゆる事務レベルとしてのシステムづくり、これはまさに政府としてのお立場でもできる話でしょうし、そういった点から、確かに大きな日米関係ですから、一つでやるというのも問題かもしれませんけれども、やはり検討して、事務レベルでの委員会なりを今後前向きに考えられるのかどうか、ちょっとお話しいただけますでしょうか。
  95. 河野洋平

    河野国務大臣 たまたま自動車協議において、こういう私の立場に立って申し上げれば残念な状況に、できれば二国間で協議が調うことが望ましかったわけでございますけれども、こういう状況になった。しかしこれも、残念なことでとはいうものの、ルールがあるわけですから、そのルールにのっとってきちんと処理をされていくということは実際悪いことではないかもしれません。こうしたことが、初めてWTOでこうした問題をやるという、日米両国がやるということでやや注目を大きく浴びているところでございますが、こうした問題はできるだけ論理的に、冷静に話し合って解決をしてほしいものだというふうに私は思っているわけでございます。  議員の御提案がございましたので、研究を事務当局がすると言っておりますから、事務当局に研究をさせたいと思いますが、一体どういう問題についてどうすることがいいのかということについては、まだ茫漠としたものでございます。局長が御答弁申し上げましたとおり、議員の示唆に富んだ御提言でございますから、心して今後のことに当たっていくべきだというふうに思います。
  96. 若松謙維

    ○若松委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  97. 三原朝彦

    三原委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時五十八分休憩      ――――◇―――――     午後二時二十分開議
  98. 三原朝彦

    三原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。岡田克也君。
  99. 岡田克也

    ○岡田委員 通告いたしました本論に入る前に、ちょっと午前中の質疑を聞いておりまして少し気になるところがありましたので、一、二、大臣にまず御質問させていただきたいと思います。  日米関係でありますが、午前中の大臣の答弁で、日米関係全体として、自動車問題等若干の問題はあるが全体として良好であるというふうに認識しているというお話がありましたが、そこの御認識についてもう少し詳しくお話をいただきたいと思います。
  100. 河野洋平

    河野国務大臣 日米関係は、戦後五十年、日米安保条約など両国関係を結ぶ幾つかのきずなもありまして、日米両国の関係は総じて良好なものだというふうに考えております。経済、文化、社会あるいは人の往来、その他、両国共同して国際社会へ貢献しようというコモンアジェンダ、その他さまざまな問題について一つ一つ問題を乗り越え乗り越え今日まで来ておりまして、今日の状況では、先ほど申し上げましたように、幾つかの問題はあるけれども総じて日米関係は良好であるという認識を私は持っております。
  101. 岡田克也

    ○岡田委員 日米の自動車問題は、私も今回はこういう解決しかあるいはなかったかもしれないな、そういう気がいたします。やはり言うべきことはきちんと日本としても言うべきでありますので、やむを得ない結果であったかもしれません。  しかし、この自動車の問題のバックグラウンドとして巨大な貿易インバランスが存在するわけで、もし仮にこの自動車の問題が何らかの形でけりがついたとしても、貿易インバランスという問題はそれとは関係なく存在し続けるわけでありまして、やはり貿易インバランスについてどうするのかということがきちんと出てこないと、自動車の問題というのはそのうちの一つがあらわれてきたにすぎないわけでありますから結局同じことでありまして、そういう形で個々のイシューが出てきてそのたびにぶつかり合う、そして基本のところが変わらない、私は、こういうことでは日米関係に大変な悔いを残すことになるのではないか、このように考えますが、この点につきまして大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  102. 河野洋平

    河野国務大臣 これは語ればさまざまな視点でいろいろな議論ができると思うのです。例えば自動車の問題も、これが国と国との、政府政府との話し合いということで議論をすべき分野と、メーカーとメーカーがもう少し話し合うことができなかったかとかあるいはディーラー同士の話し合いがもう少しあった方がよかったのではないかとか、恐らくこれはさまざまな議論があると思うのですね。しかし、これは、今そうしたことを申し上げても、この場面では意味のないことでございます。  したがって、これまでの自動車の問題は、我が方としては、いわゆるガバメントリーチというのでしょうか政府が手の届く範囲内で我々とすれば協議をして、これは政府間の協議である以上それが当然だと思いますから、そういうことはやろう、こう言ってきたわけで、この辺の相互の理解というものがあればもう少し問題の処理の仕方というのは変わってきたかもしれない、そういう問題はあると思うのです。  それからまた、貿易黒字の問題、インバランスの問題はこれまた二国間だけのインバランスで物を考えることがいいのかもう少しマルチで考えるべきではないかという議論も他方あると思います。したがって、これを二国間だけの黒字、赤字の問題で解決をしようということだけの議論で果たしていいかどうかということも、これは専門家同士が大いに議論をすべきだろうと思います。  また、我が国の黒字も、御承知のとおり徐々にではありますが減ってきているという事実もございます。こういった努力というものもなされているということを考えますと、基本的に両国が国際社会の中にあって最も重要な二国間関係だという認識を持ち、現実にそういう状況であるわけでございますから、誠意を持ってこの関係を良好に保つため、あるいは、さらによくするための努力というものがあらゆる分野で行われていくということが望ましいというふうに私は思っておるわけでございます。
  103. 岡田克也

    ○岡田委員 私が申し上げたかったのは、自動車の問題はこれは役所と役所、政府政府であるいは処理できる問題、処理すべき問題かもしれませんが、その背景に巨大な貿易インバランスあるいは日本の貿易黒字、こういうものがあるということであれば、やはりこの巨大な貿易黒字をいかにして減らしていくか、是正していくかという、ここは役所と役所の問題ではなくて政治の問題だと私は思います。政治の指導力、リーダーシップが見えないというところに今日の日米関係についていろいろな問題が出てきている、そんな気がするわけであります。  規制緩和の計画も五カ年計画が発表されましたし、いろいろなことを言われるのですが、しかし、それがメッセージとしてきちんと伝わっていかない、あるいは中身がないせいかもしれませんし、やり方が悪いせいかもしれません。  いずれにしても、これだけ日米関係の中で懸案がある中で、村山総理なり河野外務大臣がもう少し前面に出て、そして日本のリーダーとして、政治家としてこの問題をどういうふうに取り扱っていくのかそういうものがあってほしいな、このように私は思うわけであります。  日米関係については、私は大臣とは大分違いましてもっと悲観的な見方をしておりまして、東西対立がなくなった今、アメリカの父親のような保護といいますか庇護といいますか、そういうものはもう全くない、まさしく裸の中に日本アメリカが対峙しているという状況の中で、やはりきちんと解決すべきものはしていかないと次第次第に日米両国の友好の基盤というものは侵食されていく、そういうふうに私は認識をしているところでございます。  以上の点につきまして、何かもし大臣としてのお考えがありましたら、お聞かせをいただきたいと思います。
  104. 河野洋平

    河野国務大臣 確かに、政治のリーダーシップというものを求める議員の御意見というものは一つのお考えだろうと思います。ただ、それは一体具体的に言うとどういうことなのか。つまり、政治が民間の経済、民間の企業に命令ができるかというと、そういうことではないのでしょう。私は基本的に日本の経済について考えるのは、黒字が多いから黒字を減らさなきゃいかぬ、減らさなきゃいかぬ、何か黒字を減らすことが大事な政策だということもいかがなものかという気がするのです。  いや、基本的にこうしたインバランスがいいと私は申し上げているのではありません。そうではなくて、日本の経済はやはり生産性が上がっていく、そういうことが基本的には望ましい、そういう状況の中で、しかし国際関係というものはちゃんとマネージされるということでなければいけない。  つまり、日本の経済が怠惰になって、その結果黒字が減ってちょうどいいあんばいになるということがいいはずはないのであって、やはり日本自身は例えば技術の開発も行われ、経済の中には生産性の向上というものもきちんと追求されて、しかし国際経済の中では日本の置かれている立場というものはちゃんとマネージメントされるということがいいというふうに私は思います。そのために、では政治が何をするかということを考えると、政治が経済の中でなすべき分野というものは一体どのくらいあるだろうかという感じもしているわけでございます。  日米関係については、岡田議員は私と意見が違うとおっしゃいましたが、基本的には少なくとも現時点がそんなに悪い状況だと議員も思っておられないのではないかと私はあえて思うわけでございます。  確かに、かつてジャパン・バッシングと言われて、最近は新聞の見出しにもジャパン・パッシングなんという言葉が出て、どうも、ともすればアメリカのアジアに対する関心というものは日本を通り越して、日本よりもっと東の、あるいは南のアジアに対してアメリカ関心が向けられている。日本は空を仰ぐと上を通り抜けていっているという、そういう見出しもございますけれども、しかし、日米の依存関係というものはそれは大変に大きなものがあって、この日米相互の依存関係というものはそう簡単に変われるものではない。  いや、だからといって、先ほど申し上げたように、あぐらをかいていていい、怠惰でたかをくくっていていいというふうに私は思いません。我々がやらなきゃならぬことはございますけれども、我々がなすべきことをきちんとしていけば、私はこの二国間関係というものは引き続き国際社会の中で最も重い、重要な二国間関係となっていくことができる、そういうふうに考えております。
  105. 岡田克也

    ○岡田委員 日米の依存関係、非常に大きいものがあるからそう簡単に崩れるものではないという御趣旨の御答弁だったと思うのですが、確かに経済の問題ではそうであろうと思います。これだけもうお互い入り組んで、いろいろ国と国が違いますから限界はあるにしても、双方が完全に一体化しつつあるような、そういう状況だと思いますが、政治や安全保障の面では、私は非常に脆弱な基盤の上に立っている、アメリカにとって日本というのはそれほど、場合によっては必要としない、そういう場面も来得るような、そういう状況ではないかこのように思っております。ここは認識の違いだと思いますので、これ以上申し上げません。  いずれにいたしましても、私が申し上げたかったことは、政治のリーダーシップということを私申し上げましたが、これは別に民間企業の経済活動に政治が介入をしろとか、そういう次元の話ではもちろんございません。むしろ、民間企業の活動がもっと積極的に行われる、そして輸入がふえていくように規制を緩和することを初めとして、日本経済の構造改革というものをもっと政治がリーダーシップをとってやるべきだ、そういう意味で私は申し上げたわけでございます。  いずれにいたしましても、この問題はこの辺にさせていただきたいと思います。  次に、ゴラン高原へのPKOの派遣問題について、連休前にも質問させていただいたところでございますが、まず、この派遣の決定がいまだになされていないということでありますが、タイムリミットはいつなのか外務省の当局の方にお聞きをしたいと思います。
  106. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 タイムリミットの問題につきましては、我が国のUNDOF参加問題につきまして昨年五月に国連から非公式の打診を受けて以来約一年が経過しているわけでございます。そういうこともございまして、カナダ側から、参加の可否についてできるだけ早期に連絡してほしいという要請を受けております。  さらに、カナダ側からは、交代に際しまして、カナダ国内の人員の人事の計画もございますので、それとの調整もする必要があるということで、実際の交代時期を大体六カ月ぐらい前に知らせてほしいというふうに要請を受けております。  また、自衛隊側の事情といたしましても、参加が決定した場合にはいろいろな研修その他の準備期間が必要だということで、やはり半年程度必要だというふうに言っております。  一方、カナダ部隊におきましては、毎年二月、五月、八月、十一月と、三カ月ごとに要員を一部ずつローテーションで交代させておりますので、その交代時期を目安にする必要もあるということで、現時点で考えられます最も早い交代時期といたしましては、以上にかんがみまして、十一月ということになると思います。  以上のことから見ますと、仮にということでございますが、仮に最も早い十一月派遣をめどとするのであれば、近々結論を得る必要があるというふうに考えております。
  107. 岡田克也

    ○岡田委員 今の御議論を総合いたしますと、五月の中ごろまでには大体決めなきゃいかぬのじゃないかというふうに考えるわけですが、いまだに派遣の決定がなされていない真の理由はどこにあるのか、お聞かせをいただきたいと思います。これはまあ政党間の話ですから、ぜひ自民党総裁としての河野大臣にお願いしたいと思います。
  108. 河野洋平

    河野国務大臣 繰り返しで申しわけない気持ちがいたしますが、政府視察団と与党三党の視察団が同時期に出まして、政府側の報告書が提出をされております。与党側の報告書も提出をされておりますが、それは視察に行かれた方々の報告書であって、それを与党としてどう評価するかということについて御議論がなされているというふうに承っております。今各党が、それぞれその報告書を評価して、各党の態度といいますか考え方について議論をしておられるようでございます。最終的には与党三党の結論というものが導き出されなければならないと思います。  現在はそのプロセスでございますので、何党がどうであるかということはちょっと私の立場、私の立場は非常に妙でございますけれども、今少なくとも外務大臣としてここで御答弁をする立場から、申し上げるのは控えさせていただきたいと思います。
  109. 岡田克也

    ○岡田委員 連休前に同じ質問をしましたときに、同じような大臣の御答弁ですが、一つだけ違う点がありまして、連休前には、調査団は帰ったばかりだからというのがそれに加わっておりまして、それから二週間たって、さすがにそのことは言えなくなったのかなという思いで聞かせていただきました。  新聞等によりますと、社会党の中で、PKF本体業務との一体性を排除できないのではないかということが最大の理由で、もう一つは、要員の撤退とか武器使用について独自の原則が貫かれるのか疑問があるというようなことで、結論が社会党の中で出ていない、こういうふうに聞いておりますが、このゴラン高原へのPKO派遣問題で、PKF本体業務との一体性を排除できないというのは私にはちょっと理解しがたい理由でありますが、この点、外務省としてはどのように見ておられるのか。
  110. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 いわゆるPKF本体業務との関係でございますが、UNDOFへの参加が決定されました場合には、我が国の輸送部隊はいわゆる後方支援部隊に属するわけでございます。したがいまして、停戦の遵守状況を監視する等の業務を行う歩兵部隊とは別個のものであることは御案内のとおりでございます。  この輸送部隊の業務といたしましては、UNDOF全体の活動に必要な、例えば食料品等の必要な物資を主要港湾等から輸送する、そういう業務内容でございます。こういうような業務内容につきましては、先般現地に参りました調査団の方々が確認されているところでございます。  したがいまして、我が国部隊が行う輸送業務はいわゆる平和維持隊の後方支援業務に該当するわけでございまして、自衛隊の部隊が行う業務は現在凍結されているいわゆる平和維持隊本体業務には該当いたしませんで、私どもといたしましては、これらの業務と一体化するというようなことはないというふうに考えております。
  111. 岡田克也

    ○岡田委員 要員の撤退や武器使用について独自の原則、独自の原則という意味は、我が国の国連平和協力法に定める原則が貫かれるかどうか不安があるということも述べられているわけでありますが、この点についてはどういうふうにお考えでしょうか。
  112. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 このいわゆる五原則の中の我が国独自の撤退と武器使用の原則につきましては、与党の調査団報告におきまして、最初三原則については確認された。しかし、撤収と武器使用の問題については若干の確認を要する課題がある。したがって、この二項目に関連して、我が国として国際平和協力法の原則を貫くことに支障がないか国連との間で明確にしておく必要があるということが述べられておりまして、政府調査団の方でも確認をすることが適当であるというようなことが書いてございます。  この二つの調査団は四月十九日に東京に帰ってこられましたが、四月二十日に国連事務局に念のため確認をいたしました。御案内のとおり、我が国の五原則につきましては、法案審議の最後のころだったと思いますが、そのころからいろいろな機会に国連側に説明をいたしまして、国連側としてもこれで問題はないということを言っておりますし、またカンボジアその他の活動に既にこの五原則で参加した実績がございますので、私どもとしては問題はないと思ったわけでございますが、念のために確認をいたしました。  その結果、国連側といたしましては、このUNDOFへの日本の参加に関しても、日本が五原則を前提として参加を行うことについて何の問題もない、その点は双方の共通の理解があるというふうに確認をしております。その後も別な機会に確認を求めて、念のために確認をした経緯がございますが、いずれの場合にも問題はないという回答に接しております。
  113. 岡田克也

    ○岡田委員 このゴラン高原へのPKOの派遣問題ですが、この件について国連の方からいろいろお話があったと思います。大臣も直接たしかガリさんとお会いになったときにその話が出たのじゃないかと思うのですが、今の点も含めまして、どのレベルで今まで要請があったのか。国連はどなたが日本のだれに対して要請をされたのか。あるいは、政府調査団をこの前出されて、各国の当事国の首脳とお会いになっていると思いますが、例えばどういう方とお会いになって、そのときにこの話が出ているのか簡潔にお話しいただきたいと思います。話の中身までは結構ですから。
  114. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 いろいろ実は国連とは日常的な接触がございますので、かついろいろな機会に国連側から非公式な打診がございましたことから、正確にちょっと記憶しておりませんけれども、国連のこのPKOをやっております直接の責任者は事務次長のレベルでございます。ただ、それ以外にも、例えば大臣がガリ事務総長にお会いになったときとか、あるいは現地での接触等を通じまして、いろいろな形で要請なり、あるいは参加すれば歓迎するというようなお話があったわけでございます、要請と申しますか打診と言った方がいいかもしれません。
  115. 岡田克也

    ○岡田委員 ガリ事務総長みずから大臣にお話があった、あるいは政府調査団をわざわざ出して、現地でそれぞれ各国の首脳がこの点について日本に対して期待を述べたり要請をしたりした。そういう全体の国際情勢がある中で、なかなか結論が出ずにここまで来ている。私は非常にこれは日本の信用問題といいますかそれにもつながってくる状況ではないかこのように思うわけであります。  先ほど、五月の中旬ぐらいまでに結論を出さないと十一月に間に合わないという話がありましたが、もし結論が出ないときに、それはそのままにしておかれるのでしょうか。それとも、五月中旬までに結論が出ないときには、今回のこのゴラン高原へのPKO派遣問題についてはきちんとお断りをされるのでしょうか、どちらなのでしょうか。
  116. 河野洋平

    河野国務大臣 余り、五月の中旬と、こう詰めた言い方を私はまだするつもりはございません。三つの党が相談をするわけでございますから、若干時間がかかるということはあるかもしれません。しかし、先ほど政府委員が御答弁申し上げましたように、仮に十一月の交代時期に間に合わそうと思えば、それぞれ六カ月程度の準備期間が要るということは、かねてから言われているわけでございますから、大体常識的に考えられる時期には、十一月に交代を引き受けましょうという返事をするべきだと思います。  仮にそれが間に合わないときにはどうするかというお尋ねでございますが、私どもとしては、これがだめなら次はどれというほど、まだいろいろ考えているわけではございませんで、私どもとしては、今与党三党での御相談を注目して、その結論を待って我々として判断をしたいというふうに思っているわけでございます。
  117. 岡田克也

    ○岡田委員 いずれにしましても、十一月に間に合わないのなら、それなりのきちんとした理由をつけて説明をしなければいけないと思うのです。ひょっとしたら十一月に間に合うように出るかもしれませんよという期待をいつまでも持たせるわけにはいかない問題だと私は思うのですね。  では、そのときにどういう理屈をつけて説明をされるのか。今いろいろお聞きしておりましても、社会党の述べておりますPKF本体業務との一体化の危険性があるとか撤退やあるいは武器使用について疑問があるとか、そういうことは明確に国連のサイドで否定をしてきているわけでありますから、理由がないのじゃないか。一体どういう理由で参加できないということを御説明されようとしているのかその点について御説明をいただきたいと思います。
  118. 河野洋平

    河野国務大臣 まだ結論が出ないと言っているわけではないのでございまして、だめなときだけ想定してあれこれ考えるよりは、いい場合どうするかということも考えなければなりませんし、まだ、だめなときを前提にして考えておらないのでございます。
  119. 岡田克也

    ○岡田委員 私どもも、与党時代に連立政権の難しさというものは経験をしておりますので、大臣のお立場もなかなか大変なものだと思いますが、しかし、そろそろタイムリミットは来つつあって、どこかでやはり言うべき方が言わないと、この問題はまとまらないのじゃないか、そんな気がいたします。  先ほど、同僚議員質問に対して大臣の方は、政府調査団の報告を踏まえて最終判断することになるのではないかという言い方をされましたので、私はいい結果を出していただけるだろうというふうに期待はしておりますが、いずれにしても、いつまでも結論が出ずに時間だけが過ぎていくということですと、一体日本外交というのはどうなっているのだ、だれが物事を決めているのだ、あるいはどういう方針でやっているのだ、こういうことになりかねないわけでありますので、先ほど言いました、ガリ事務総長やあるいはカナダやあるいは関係国の首脳も巻き込んだ話でありますので、ぜひ近日中に大臣のリーダーシップを発揮していただいて、いい方向でおまとめをいただきたい、このように思うところでございます。  それでは、このPKOの問題はこの辺にさせていただきまして、条約に入る前に、経済協力の問題について若干お話をいただきたい、こう思っております。  まず、議論に入ります前に、経済協力政府開発援助の基本的な目的というのは一体何なのだろうか、この点についてまず簡単にお答えをいただきたいと思います。
  120. 平林博

    平林政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘政府開発援助の目的でございますが、政府開発援助大綱、ODA大綱に定められておりまして、広範な人づくり、経済社会基盤、これには国内の諸制度を含むわけですが、経済社会基盤、さらには基礎生活分野の整備、こういうものを通じまして、途上国における資源配分の公正あるいは効率、さらにはよい統治を実現する、その上で健全な経済発展を実現することを目的とする、こういうことが定められております。  また、このような目的に沿って日本の支援を継続することによりまして、我が国とそれぞれの途上国との間の友好関係、さらには、そういうような発展した途上国とほかの諸外国との良好な関係、こういうものが図られる、これが日本のためにもなるというようなことが全体の目的か、こういうふうに心得ております。
  121. 岡田克也

    ○岡田委員 いろいろお話しいただいて大変感謝しておりますが、ほとんどよくわかりませんでした。  私ども、地元で一般の住民の皆さんとお話をしておりますと、よく出る話が、どうして一兆円もかけて経済協力なんかしなきゃいけないのか、そんなぐらいなら税金まけてほしい、こういう話が実はかなり出るわけであります。そのときに、私どもいろいろ説明はするわけですが、もし、大臣の地元で有権者の皆さんにそういうふうに言われたときに、一言で納得させるためにどういう言い方をされるのかお話をいただきたいと思います。
  122. 河野洋平

    河野国務大臣 我々は、国際社会の中で生きているわけです。この地球上にはさまざまな国があり、さまざまな人が住んでいて、我が国がこれだけの経済力を持つに至った理由は、やはり国際社会が平和で、しかも広い世界を相手に我々が仕事をすることができているからだ。そこで我々は、我々が得た経済的な力をさらに国際社会のために貢献する、それによって開発途上の国々の民生を向上させる、そのことがまたさらに大きな経済の輪というものができることになるのではないか。  さらにまた、別の視点からいえば、それは我が国にもそれぞれ不十分な点があり、もっともっとと思う気持ちはあるけれども、目を少し遠くに向ければ、例えば、アフリカに、あるいはアジアの一角には、依然として食べ物がなくて子供が死んでしまう、そういう国がたくさんまだある。そういう国に対して我が国が支援をすることができる、そういう立場に今いるということを考えてほしい。それは、我々がかつての、昔のことを思い返せば、五十年前に、我が国も焼け野原であった時代に多くの国々から支援を受けたこともあるではないかということを考えれば、我が国もまたそれだけのことを国際社会のために今できる立場に立っているということを考える必要がある、こんなふうに申し上げたらどうかと思います。
  123. 岡田克也

    ○岡田委員 先ほど事務当局の方からお話がありましたように、平成四年に政府開発援助大綱ができているわけであります。改めてこれを読み直してみまして、私は、本当にわかりにくい大綱だな、何を言いたいのかよくわからないなという思いであります。恐らく国民の皆さんも同じ思いであろう、こういうふうに思うわけであります。  余り揚げ足取りをするつもりはありませんが、例えば、基本的理念のところで四つのことを述べている。これは私、これを読んでも本当に四つなのかどうかもよくわからかいのですが、外務省の説明などを聞いておりますと、四つのことを述べているのだ、こういうふうに言われるわけであります。  例えば、そのうちの一つが、環境の保全ということであります。「環境の保全は、先進国と開発途上国が共同で取り組むべき全人類的な課題となっている。」こういうふうに書いてあります。それからもう一つは、自助努力支援について述べている、こういうことであります。  ただ、基本理念というのは、この経済援助政府開発援助をするための哲学ともいうべきものでありまして、そういうものの四つのうちの一つが、環境の保全であるとかあるいは自助努力の支援である、これはちょっと私はよく理解ができないわけでありまして、基本理念というのはもう少し根本的な、なぜ必要かという哲学を述べるところであるにもかかわらず、こういう具体的な、対象分野でありますとかあるいは援助の仕方が書いてあるというのは、どういうふうに考えればいいんだろうかこう思うわけでありますが、その点、外務省の方はどうお考えがお聞かせをいただきたいと思います。
  124. 平林博

    平林政府委員 ODA大綱は、多少わかりにくいというところがあることは私も否定しないところではございますが、したがいまして、これがいつまでも万全で、いいということでもないと、正直なところ考えております。日本援助政策が進展するにつれ、あるいは国際情勢や開発途上国の情勢が進展するにつれ、こういうものも少しずつ変わっていくべきものだとも思いますが、ここで定められております環境保全あるいは自助努力の支援、こういうものにつきましては、やはり我々としては理念に入るのではないかというふうに考えております。  環境保全につきましては、環境分野だけを援助するということではございませんで、環境に直接かかわるプロジェクトを優先するという意味ももちろんございますが、ありとあらゆるプロジェクトを取り上げていく、援助していくという場合に、環境に十分配慮していくというようなこと、これを理念として掲げているわけでございまして、日本のありとあらゆる援助の計画の中で環境のことを重視していくということであるとすれば、これは理念であろうかと思っております。  また、自助努力の支援という点につきましては、これは、日本のみずからの経験、あるいは東アジア諸国等の成功例にかんがみまして、こういう自助努力がないと成功しないということをもって日本援助を行う場合に相手国に慫慂している理念でございます。したがいまして、これも日本の、独自ではございませんが、日本が非常に強く説得力を持って訴え得る考え方でございますので、日本援助政策の一つの理念ということで規定して差し支えない、こんなことを考えているわけでございます。
  125. 岡田克也

    ○岡田委員 余り細かく言うつもりはありませんが、私も環境問題は極めて大事な問題だと思いますが、では環境問題のほか大事な問題はないのか。例えば、地球規模的問題としては、環境問題と並んで人口問題がある。人口問題はどうしてここに書かないのか。あるいは、基礎生活分野とか人づくりとかそういう分野はどうでもいいのか。どうでもいいとは言いませんが、なぜここに一つだけ出てくるのかよくわからないところであります。  基本的に、私は、援助の基本理念としては最初の二つの段落だろうと思います。最初は人道的な見地からの幅広い援助である、そして二番目は、相互依存関係のある中で我が国が貢献をしていく、この二点に集約されるのではないかこういうふうに思うわけであります。  前者の人道的援助の場合は、これは人道的観点ということですから、日本の国益というよりは、より広い見地に立って幅広くやっていく、こういうことでいいんだろうと私は思うのですが、二番目の我が国の相互依存関係という点については、やはり国益ということを念頭に置いて当然援助もやられるべきである、こういうふうに思うのですが、そこのところについては基本的にどうお考えでございましょうか。
  126. 河野洋平

    河野国務大臣 お答えをする前に、自助努力を支援するということは、私は大変大事な理念だろうと思いますね。自助の意識がない、自助努力をすることを考えない、そこに押しかけていって援助をする、それは本当の援助かどうかという問題がありまして、やはり自助努力あるいは自助の意識というものがあるということがこの支援のために非常に重要だ、これは私は大事な理念なんだろうと思っております。  それから相互依存ですけれども、これもつまり国際社会というものを、我々はできることなら相互依存関係をみんなで持ち合う、そういう社会というものが私は望ましいというふうに思っているわけです。私は、そう思っているということがここに書いてあるという意味ではないのですが、そういう意味でも相互依存関係というものを重視する、あるいは相互依存関係に着目をするということは大事なことだと思います。そうしたことに着目をした支援というものはやはり重要な考え方だろうというふうに思っております。
  127. 岡田克也

    ○岡田委員 そういう考え方に立ったときに、日本にとっての国益、これは狭い意味の国益ではありません、広い意味での国益という観点に立って、やはりここの相互依存関係というところの援助の相手方あるいは援助の中身、こういうものも考えていかれるべきではないかと思うんです。最初の人道的援助のところは、ばらまきと言っては言葉は悪いかもしれませんが、ある程度広く薄くやっていく、しかし相互依存のところは、日本の国益というものを考えて、つまり我が国国民の豊かさあるいは平和、そういったものを確保していくという観点で、ある意味では戦略的にそれをやっていく、そういう考え方の整理でよろしいんでしょうか。
  128. 河野洋平

    河野国務大臣 私は、そう思います。人道援助の場合には、やや緊急的に支援をするというケースがあろうかと思いますが、今おっしゃいました後段の問題は、国際社会全体がよくなるということが結果として国益にもなるということもあるわけでございます。ただ単に戦略的にここを応援しておくことが何か輸出できるとか、資源が確保できるとかという、そういう意味の戦略、それも私は全くないとは申しません。しかし、全体に国際社会がそのことによって安定してくるということは、我が国の国益にも合致するというふうにも見るべきではないかというふうに思います。
  129. 岡田克也

    ○岡田委員 どのくらい重点を置いてやるかという問題だと思いますが、限られた予算の中でそれを効率的にやっていくときに、もちろん全部できればこれは一番いいわけでありますが、限られている以上、どのくらい国益の観点というものを前面に出してやっていくのか、こういう問題だと思います。私は、もう少しその国益の観点ということを正面から大綱の中でもうたってよかったんではないか。そういうことがないものですからなかなか国民にとってはわかりにくい。これはやや視野の狭い見方かもしれませんが、例えば、どうして日本から遠く離れた国の経済援助まで日本はしなきゃいけないのか。もちろん人道的援助ならわかるけれども、人道的援助と言えないような援助までどうして国民の税金でやらなきゃいけないのかそういう声もあるわけでありまして、そこはやはり、もちろんそういうもの全部やめると言っているわけじゃありませんが、日本にとってここの国はこれだけ大事な関係だからこういう援助をするんです、そういう立て方ではなかろうかそんな気がするわけであります。その辺がはっきり出ていないところにこの政府開発援助大綱の基本理念のわかりにくさが潜んでいるんではないかそんな気がするわけであります。  それでは次に、同じ援助大綱の原則のところであります。  基本的に四原則、川から用まであるわけでありますが、これがきちんと機能しているというふうに大臣お考えでしょうか。
  130. 河野洋平

    河野国務大臣 原則というものを設けて、その原則というものを我々も考え、先方にもその原則が我が国にあることを伝えるという意味で、四原則というものは一定の効果を上げている、一定の効果と言ってはいけないのかな、一定の機能を果たしているというふうに思います。
  131. 岡田克也

    ○岡田委員 きょうは各論をするつもりはありませんが、例えば中国の問題等を見ておりまして、果たしてこの四原則がある意味があるんだろうかそんな気がするわけであります。よくよく読んでみると、さすがお役所が一生懸命つくられた文章だけありまして、四原則といいながら、これは無原則に近い状態ではなかろうか、こういうふうに思います。  最初の柱書きのところに、「政府開発援助の実施に当たっては、国際連合憲章の諸原則(時に、主権、平等及び内政不干渉)及び以下の諸点を踏まえ、相手国の要請、経済社会状況、二国間関係等を総合的に判断の上、実施する」、こう書いてあります。四原則以外に、例えば内政不干渉の原則についても考えなさい、あるいは二国間関係についても総合的に判断しなさい、こういうふうに書いてあるわけで、ここまで書かれてしまうと、結局四原則がどこかに行ってしまって、実際どういう結論でも導き出せるんじゃないかそんな気がするわけでありますが、ここのところについてもう少しきちんと整理して、そして我が国としてはこれだけは譲れない、そういうふうに限定的にお書きになるおつもりはありませんでしょうか。
  132. 平林博

    平林政府委員 今先生指摘のように、注書きには、全体の状況を総合的に判断した上で四原則を適用する、こういうふうに書いてございますが、四原則、それぞれ重要だと考えられますのでこういうような運用をしているわけでございます。極力その四原則を適用して、援助を停止しないで済むように、相手国に対しましてはいろんな点で注文をつけるということをやっております。  環境につきましても、御承知のように、中国の円借款の交渉ではいろいろ強いことも言いましたが、四十件中十五件を環境案件にするようにさせましたし、軍事的用途に使わせないということでは、恐らく例外なく適用されている原則だと思います。軍事費の支出あるいは核兵器等大量破壊兵器等の問題につきましても、中国、インドあるいはパキスタン等々の国につきましてはそれなりの注文をつけております。民主化の促進、基本的人権、市場経済化につきましても同じでございまして、目的は、できるだけ相手にそういうことを遵守させて、いい方向に持っていくということでございますので、外交的な折衝あるいは援助協議の場でそういう努力をしているわけでございます。  ただし、一定の限度を超えて、どうしてもこの原則上許容できないという事態がございます。そういう場合には、相手国に一通り言った上で援助を停止する、あるいは部分的にカットするということもございまして、一時のミャンマーは全面的に停止したこともあります。スーダン、ナイジェリア等は今でも停止しております。ハイチもやっと最近解除したばかりでございます。また、ODA大綱ができる前でございますが、天安門事件のときには中国への援助も停止しました。  したがいまして、この援助の原則は実施されていないということではございませんで、今申し上げましたような考え方あるいはアプローチの仕方でやっているわけでございますが、余り厳密に考えて規定してそのとおり適用しますと、それこそ日本の全体の国益との関係でいろいろぐあいの悪いことも起こるのではないかとも思われます。そういう点も含めましてこの大綱ができているものと理解しておりまして、その精神に従って極力運用するように、政治的なレベルの御決定を仰ぎながらやっているというのが現状でございます。
  133. 岡田克也

    ○岡田委員 なかなか外務省の御苦労もわかるわけでありますが、今のこの四原則全体じゃなくて、その中の特に重要な部分について限定をして、例えばこれを法律に書いて、そして国会でも常に、具体的な案件の中でややグレーなものについてはこの場で議論をし、そしてその結果が反映できるようにする、それこそが私は議会制民主主義をしいている理由があるところじゃないか、こういうふうに思うわけですけれども、そういう援助四原則のうちの特に重要な部分について法定化をするということについてはどういうお考えでしょうか。
  134. 河野洋平

    河野国務大臣 御承知のとおり、この政府開発援助大綱というものは、九二年に決めたわけでございます。それで、我が国国際貢献の重要な柱でございます援助の基本理念や原則をこういうふうに定めまして、この大綱を踏まえて今日まで実施してきたわけでございます。  このODA四原則の運用に当たりましては、相手国との二国間関係、その二国間の関係の中にはさまざまな関係がございます。この二国間関係、さらには相手国の輝かれている安全保障関係、つまり周辺国との関係というものも考えなければならない部分もございます。あるいは経済社会状況、そういったものを総合的に考えるということになりますと、なかなか一つのマニュアルにすべてを当てはめるというわけにいかない部分がどうしても出てきてしまう。その結果、一つに決めてしまうと機動性を欠く場合がある。確かに、御指摘のとおり、決めることによって相手に対する説得力といいますかそういうものが出てくるということはあると思います。しかしまた他方、二国間関係を考えてみて、あるいはその国の置かれている立場を考えてみて、これがあるためにどうしてもここで援助を打ち切る、あるいは支援ができないということから来るほかの問題を引き起こすということを考えますと、この原則を我々としては大事にしながら実施をするということがやはり適当ではないかというふうに思っているわけでございます。  何といっても、援助でございますから、タイムリーな援助というものが必要でございます。これは相手国の考え方でありまして、どういうふうに申し上げればいいかわかりませんが、国によっては内政干渉ととられるという場面もあったりして、これは支援をしようというのに感情的に悪感情を持たすというようなことがあっても、それは決していいことではございません。要は、この四原則というものをさらに大事に守る、あるいは相手に守らせるというための努力外交的にさらにしっかりやるということが重要なのではないかというふうに思っております。
  135. 岡田克也

    ○岡田委員 実は、私も法制化することについて確信があって言っているわけではなくて、外務省の御意見も聞きながら頭の中を整理している最中であるわけですが、参議院の方で国際開発協力基本法の問題というのが以前に出てまいりました。その中にもODA大綱の法文化の問題というのが入っていた。あるいは最近、五月三日に朝日新聞が、これは経済協力だけではなくて、「国際協力と憲法」ということで幅広い援言をされた。その中にも、国際協力法を制定しなさい、こういう提言がありますので、少し議論をさせていただいたところでございます。  これからもこの問題、私の方もよく勉強しながら考えていきたいと思いますが、ただ、少なくとも大綱について、先ほど、いつまでも万全なものではないというお話もありましたが、もう少し国民から見てわかりやすく整理をして、そして書きかえていただく、その努力は必要なことではないか私はこのように思っているところでございます。  この朝日新聞の提言につきまして、いろいろ議論をしようと思いましたが、時間がほとんどなくなりましたので、一つだけ、若干私は気になったところがございます。それは円借款に対する評価の問題でありまして、朝日新聞社の方は、これからは円借款による産業基盤づくりから無償等の贈与による貧困対策などへ重点を移していくべきではないかこういう提言をされているわけであります。その前提として、今まで我が国が行ってきた円借款に対してやや冷ややかな見方があるのではないか、こういうふうに思うわけでありますが、この朝日新聞の提言について、この箇所について、どういうふうにお考えでしょうか。
  136. 平林博

    平林政府委員 今、世界的に見まして、世界銀行もそうなのですが、もう少し社会的な分野でのインフラを重視したらどうだとかきめの細かい小さなプロジェクトを取り上げたらどうかこういうような意見があちらこちらから出ておりまして、日本援助政策もそういうふうな方向に多少重点をシフトしている、こういうことでございますが、これまでの円借款が行ってきました経済的な産業基盤づくり、これは人づくりと基礎的な生活分野と並びまして、非常に重要な分野でございます。それぞれの人々の貧困対策を重点的にやることも大事でございますが、その国あるいは社会全体のレベルを上げるという観点からいたしますと、産業基盤はまことに重要だと考えております。電力がなければ貧困対策も十分ではないと思われます。道路がなければそれぞれの人が近くの市場に行くにも不自由をする。橋もそうだし、港もそうでございます。  したがいまして、日本政府といたしましては、引き続き、この円借款による産業基盤を含めたインフラづくりは極めて重要な援助の分野だ、こういうふうに心得ております。要は、社会的な分野とのバランス、あるいは大きな産業基盤づくりときめの細かい援助とのバランス、あるいはハードな面、建物や施設をつくるという面と技術や知的な貢献をするいわばソフトな面とのバランス、こういうものが大事だと思っております。  その日本のバランスのとれた援助政策、特に円借款の役割というものは、特に東アジアで結果的には顕著な成果を上げているわけでございまして、世界銀行その他でも、東アジアの成功と称しながらこれを評価しておりますので、朝日新聞のこの部分につきましては、貧困対策等への重点が大事だという点は同じ見解を分かち合いたいと思いますが、円借款による、そういう意義のある経済協力について過小評価することはいかがかこういうふうに考えております。  ちなみに、いわゆる基礎生活分野に対する日本援助も、もう三〇%を超えております。他方、経済インフラは三六%前後、こんなことになっておりますが、そろそろ適切なバランスに至っているのではないかな、こういう感じをしているわけでございます。
  137. 岡田克也

    ○岡田委員 私も、ここの箇所については、今お話しのあったとおりだと思っておりまして、ASEAN中心にアジアの国々が次々と経済的なテークオフを果たしている、そこに日本援助というものが非常に大きな役割を果たしたということは、これは紛れもない事実だと私は思いますし、そのことは我が国として誇っていいことではないかこのように思うわけであります。もちろん、貧困対策その他も大事でありますが、先ほど大臣の話もちょっとありましたように、やはり自助努力というものが根底にないと、どうしてもばらまきになってしまいかねないわけでありまして、要はバランスの問題だとは思いますけれども、従来の円借款について、あるいはこれからも、もちろん重点をどう移していくかという問題はあるにしても、私は胸を張ってこの点については誇っていいのではないかこのように思います。  ただ一点だけ、これだけ円高が進んでくる中で、円借款の前倒し償還といいますかそういうものを認めてほしいというアジアの声もあるやに聞いておりますが、そういう点については、私はもう少し弾力的に考えてもいいのではないかこのように思いますが、この点について簡単に御返事をいただきたいと思います。
  138. 平林博

    平林政府委員 円借款による債務負担が円高によってふえているということで、相手の国々に予期せざる困難をもたらしているということにつきましては、政府としても大変同情と理解を持って対応すべきもの、こういうふうに考えておりますが、今お申し出の点につきましては、海外経済協力基金の方に非公式な打診があったとも伺っておりますが、政府ベースではまだ正式な要請に接しておりません。したがいまして、基金ともよく相談しながらやってまいりたいと思っておりますが、今後の問題として、引き続き円借款がそれぞれの国の役に立つように、また従来どおり、少しでも魅力のあるものであるように、厳しい状況の中ではございますが、考えていく必要があるということは認識しております。
  139. 岡田克也

    ○岡田委員 大変申しわけないのですが、二条約について若干の質問をしようと思っておったのですけれども、時間が過ぎてしまいましたので、日米宇宙損害協定、それから政府調達協定、この二つについては私自身賛成であるということだけ申し上げて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  140. 三原朝彦

    三原委員長 東祥三君。
  141. 東祥三

    ○東(祥)委員 新進党の東祥三です。  本日は、政府調達協定条約第一八号並びに日米宇宙損害協定条約第一七号に関連いたしまして質問させていただきます。  まず初めに、政府調達協定についてでありますが、これはWTO附属書第四にかかわる問題だととらえております。  これに関連いたしまして、まず河野大臣、本委員会においても何度も議論されていることでございますけれども、今現在、経済問題で一番気にかかるのが日米包括経済協議であると思います。さきの同僚議員質問にも出てまいりましたけれども、最終的に自動車分野での協議が先日決裂してしまった。これを受けて、米国は日本への制裁リストを公表するとしていたのに対して、日本WTOに提訴することによってこれに応じようとしていた。もっとも、昨日米国は、日本WTO提訴に先立って、先手を打つように我が国を提訴する方針であることを発表いたしました。これからある意味でこの自動車及び自動車部品に関しての交渉、協議の場がWTOに移っていくのだろう、このように推察するわけでございます。  河野大臣、そもそもどうしてこういう結果になってしまったのかもっとやり方がひょっとしてあったのではないのか。実際、先日もワシントンに行って、下院の議員の方々とお話しする、意見交換する。自動車、自動車部品に関しての議論になれば、なぜこのような状況になってしまったのか。  日本は、政府が一企業あるいは一産業のためにセールスマンのごとき姿でアメリカに売り込むだとかいうことは一切していない。同じように、他の国々もそういう意味ではしていないのではないのか。しかしアメリカは、ある意味で口は悪いですけれども、結局政府の代表が一企業、一産業のある意味でセールスマンとなってそれを売り込んでいく。日ごろからアメリカが言っていることとは全然違うのではないのか。  さらにまた、日本の自動車市場というものをちゃんと調べてくれているのか。軽自動車、二千cc以下が九割前後を占めている。アメリカは余り軽自動車をつくっていないのではないのか。そういうことをちゃんと調査した上でやっているのか。  日本は、確かに開放されていない側面というのはあるのかもしれないけれども、ヨーロッパの自動車というのはどうなのか。アメリカがヨーロッパで売っている以上に、日本の市場においてヨーロッパの自動車はたくさん売れているじゃないか。そういうことをお話しすれば、よくわかるわけですね。そして、反論することがある意味でできない。しかし、現実にはこういうところまで到達してしまった。  これは、当然政府側が、この交渉を開始する、または交渉をしている段階におきまして意見交換されているのだろうと思うのです。また、この問題がいざWTOの場に移って協議されるという段階になれば、当然アメリカ側でも、先日のテレビでも、日本から輸入しているディーラーの方々が大反対の号令をかけ出してきている。にもかかわらず、こういう状況になってしまっている。何が原因だったのか。ただ単に貿易黒字、赤字という問題だけだったのか。これは最大の問題であるということは私も否定するつもりはありませんけれども、そういったことを踏まえた上で、何かやりようがあったのではないのかこのように推察するわけですが、この点について、河野大臣はどのようにお考えですか。
  142. 河野洋平

    河野国務大臣 交渉の当事者から申し上げるべきであろうと思いますので、私から申し上げることはいささかどうかと思いますが、私の感じだけ申し上げますけれども、かって自動車問題というのはやはり相当深刻な雇用問題などを引き起こした時代があって、アメリカとしては、雇用問題などから深刻な事態が生まれるということで、非常に真剣に政府が乗り出していたという時期があったと思うのです。しかし、最近はアメリカは非常に景気がよくなってきて、景気がよくなったということで雇用問題がすっかりなくなったかどうかはまた別でございますけれども、雇用問題だけをとってみると、ひところのような深刻な事態は越えているのではないかと思いますが、依然としてクリントン政権もまたこの自動車には非常な関心を持っておられます。  今回なぜ交渉がうまくいかなかったかというお尋ねにまずお答えをするとすれば、それは、橋本通産大臣はこの交渉のかなり最初の時点から、日米間で我々が交渉するのはガバメントリーチの範囲内で交渉ができる、自分としては政府がやれるものについて交渉はできる、しかし政府が関与できない部分について私は交渉をする気がないということを繰り返し言っておられて、たしか私の聞いている範囲では、その点での合意は日米間であったというふうに思うのです。それで、ガバメントリーチの外の問題については政府間では議論をしても仕方がないことだし、議論はしないのだ、ガバメントリーチの内側の問題で議論をしようということになっていて、そしていよいよ今回の、最終的なといいますか、今回の交渉に臨まれたわけです。今回の交渉でも三つの分野についてアメリカ側は非常に強く関心があるとおっしゃって、たしか通産大臣は、他の二つの分野については、自分は交渉して相当程度合意の可能性があると思うと言っておられたわけですけれども、残る一つの分野、つまりボランタリープラン、まさにそのガバメントリーチの外側の分野についてアメリカが非常に強い関心を示されたために、結局それが合意できなければ他の二つもだめだということで、合意ができなかったということだったと思います。  これは、私ども内閣一体でこの問題に関心を寄せている人間からすれば、極めて残念なことでして、政府として責任を持ってやり得る範囲については全力を挙げて誠実に対応しようとして交渉に臨んだにもかかわらず、政府対応の外側の問題について合意を求められても、これはなかなか市場経済といいますか、自由経済の原則からいってできない。これはかなり多くの方が理解していただけることだと思いますが、そうしたことが合意できなかった直接のことだと思います。  ただしかし、その背景にあるものは、これは全く仮説でございますから、当たっていないかもわかりませんけれども、例えば大統領選挙その他、つまり政治的な背景があるのではないかとかそういったことも言われておりまして、議員アメリカ議員とお話しになった、お相手が民主党の議員であったか共和党の議員であったかよくわかりませんけれども、現在の政権は、やってくる大統領選挙その他も視野に入れながら、時に非常に強い態度で交渉に臨まれるということはこれまでもよくあったことでございまして、今回もそうではないかという説もあるわけでございます。しかし、この点は定かではございません。そういったことから交渉がうまくいかなかった、まことに残念な結果になったわけでございます。
  143. 東祥三

    ○東(祥)委員 この協議に関連しまして、WTO事務局長に就任されましたルジェロさんは、日米二国間での解決が望ましい、WTOは紛争を好むものではないと交渉の決裂前から述べていたわけですけれども、現実には決裂してしまった。とすると、この問題は、報道されているとおりWTOの場で議論されていくことになるのか。アメリカ我が国WTOに提訴する方針であることは、方針は発表しているのですけれども、最終的にはそういう方向になっていかざるを得ないのか、この点についてはいかがですか。     〔委員長退席、小杉委員長代理着席〕
  144. 原口幸市

    原口政府委員 昨日の未明のアメリカの発表は二つのエレメントから成っておりまして、一つは、アメリカ側が日本の自動車及び部品分野におけるいろいろな問題点についてWTOに訴えるという問題でございます。これは、したがってアメリカがその方針を貫く限りにおいては、日本WTOのメンバーとしてこの紛争解決手続にも合意したものでございますので、そのいわばチャレンジに応じて、手続に従って日本の立場を貫くということになろうかと思います。したがって、アメリカのアクション一つにかかっている部分があると思います。  それから、もう一つアメリカが言いましたのは、それとは別に、三〇一条の制裁リスト、候補リストですね、それを近々数日中に発表する、こう申しております。これに対しては日本側は、そういう発表をすれば日本側としてもこの問題をWTOの場に持っていかざるを得ないという立場を表明しておりまして、したがって、これもまたアメリカ側のアクション次第でございますけれどもアメリカ側が発表したとおりの行動をとれば、日本としてはそういう方向で動いていくということになろうかと思っております。
  145. 東祥三

    ○東(祥)委員 今この問題に関しての交渉というのは、基本的にはクローズされているのですか水面下において交渉というのは動いているのですか。この点についていかがですか。
  146. 原口幸市

    原口政府委員 私どもが承知している限り、先般ウィスラーで通産大臣とカンター代表との間の話し合い以降、話し合いは正式に行われてはいないというふうに承知しております。
  147. 東祥三

    ○東(祥)委員 WTO手続によりますれば、今までの一審制のガットにはなかった上訴機関が設けられている。つまり、当事者間の協議が不調に終わって、全加盟国で構成される紛争解決機関を経てパネルが設置され報告が出た場合、これに対し不満があれば再審のアピールを求めることができるシステムがこのWTOの中にビルトインされている。  そこで、ちょっと技術的なことになってしまうのですけれどもWTO手続に従いましてパネルが設置され、その前に多分二国間での、当事者間での交渉というのがまた始まるのだろうと思うのですが、そして、それでも解決つかない、そして今申し上げましたパネルが設置される、そこでの報告が出る、そしてそれでも納得がいかない場合、上訴機関へのアピールが認められる、このプロセスについてちょっとわかりやすく説明していただきたいと思うのです。
  148. 原口幸市

    原口政府委員 御説明させていただきます。  まず、加盟国は書面をもって相手の加開国に対しまして協議を要請しまして、また同時に紛争解決機関並びに関連する理事会及び委員会にその要請を通報することになっております。こうした要請に基づきまして紛争の当事国による協議が行われますが、その協議の要請が受諾された日の後六十日以内に紛争が解決されない場合には、協議を要請した国の側が紛争解決機関に対しまして小委員会、すなわちパネルの設置を要請することができることになっております。  ちなみに、カンター代表がきのうの朝のステートメントで述べましたのは協議事前通告でございまして、まだ正式な協議要請ではございませんし、日本に対しても、したがってまだ協議要請は来ていないということでございます。  次に、パネルの設置要請は紛争解決機関に対して書面によって行われまして、紛争解決機関がコンセンサス方式で設置しないということを決定しない限り、パネルは設置されることになります。パネルは付託された問題を検討して報告を取りまとめることになりますが、パネルの検討期間、すなわちパネリスト及び付託事項が決定された日からパネルの報告が紛争当事国に送付される日までの期間でございますけれども、これは六カ月を超えないこととされております。パネルの報告は、紛争当事国が上級委員会への申し立ての意思を紛争解決機関に正式に通報するかあるいは同機関がパネルの報告を採択しないことをコンセンサス方式で決定しない限り、加盟国への送付の後六十日以内に紛争解決機関によって採択されることになっております。他方、先ほど先生指摘になりましたが、紛争当事国は、さきに述べました六十日以内にパネル報告について上級委員会への申し立てをすることができることになっておりまして、こうした申し立てにより事案は上級委員会に付託されることになります。  したがいまして、以上取りまとめますと、協議の要請から上級委員会への申し立てまでの期間は大体一年程度かかることになろうかと思っております。  なお、この上級委員会は、事案が付託された場合、通常六十日以内に報告を加盟国送付されることとなっておりまして、それから一カ月後には採択されるということでございますから、もう一度先ほどと同じようなことで申し上げれば、協議要請から上級委員会の報告書が採択されるまでの期間というのは、先ほどの一年に三カ月加えて、十五カ月間くらいが通常がかるというような計算になります。
  149. 東祥三

    ○東(祥)委員 ありがとうございます。  今御説明してくださいましたパネリストに関しては、これはもう選ばれていらっしゃるのですか。
  150. 原口幸市

    原口政府委員 最初の段階の小委員会と上級委員会におけるパネリストというのは性格が違っております。最初の方は、基本的にはWTO事務局が紛争当事国に対してパネリストの指名のための提案を行うことになっておりまして、紛争当事国は、やむを得ない事由がある場合を除いてその指名には反対してはならないということになっております。パネルの設置の日から二十日以内にパネリストについて合意がなされない場合には、今度は事務局長が、いずれか一万の紛争当事国の要請に基づいて当事国と協議の後に、紛争解決機関の議長及び関連する理事会または委員会の議長と協議の上に、みずからが最も適当と認める委員を任命することになっておりまして、パネルは三名の委員で構成されることになります。  この場合の、どこからこのパネリストを選ぶかでございますが、一応パネリストのロースターといいますか名簿がございまして、相当膨大な名簿でございます。基本的には、過去に、今までのガットの紛争処理パネルに勤めた人たちの名前、これが百五、六十名あると思いますが、それに、非政府機関の関係者でこれに適していると思われるような人の名前が五、六十ある。大体その中から従来は選んでいるのではないか。基本的には、パネリストというのは政府の代表ではなくて個人の資格で参加するという大原則がありますが、それにしても、当然のことながら、紛争の当事国からのパネリストの選定というのは両当事国が合意しない限りは避ける、こんな原則になっていると思います。  他方、上級委員会の方のパネリストといいますか、委員は、まだロースターも含めて決まっておりません。最終的には七名の委員で構成されることになっております。現在、各国から三十名近い候補リストが出ておりまして、ことしの五月の末ごろまでに、何とかそれを七名に絞って委員として任命しようという方向で物事が動いていると承知しております。
  151. 東祥三

    ○東(祥)委員 初めの、パネリスト三名に関しては、提訴された問題ごとに基本的に三人が選ばれていく、こういうふうに理解してよろしいですか。
  152. 原口幸市

    原口政府委員 いずれのパネルにおいても問題ごとでございます。  それで、上級委員会の方は今候補が三十名おりますけれども、それは、最終的には七名の委員に絞られまして、その七名の委員の中から問題ごとに三名ずつのグループになってということでございます。
  153. 東祥三

    ○東(祥)委員 現在は、今局長から御説明していただいた上訴機関における七名は、まだロースターもできていないということですけれども、先ほどのお話を例えば、もしうまく進んだとしても一年数カ月後、一年と三カ月、十五カ月ぐらいここまでいくためにはかかるわけですから、したがって、時間的には十分問題ない、こういうふうに考えてよろしいのですか。
  154. 原口幸市

    原口政府委員 現在の関係者の意向は、五月の未までにこの七名を決めるということでございますので、そういうスケジュールで物事が動けば問題はなかろうかと思っております。
  155. 東祥三

    ○東(祥)委員 これはスケジュールどおりいっているのですか。
  156. 原口幸市

    原口政府委員 そのような方向で、今、関係者、最大限の努力をしているというふうに承知しておりますので、多分そうなるであろうと思っております。
  157. 東祥三

    ○東(祥)委員 今の説明に従いますと、我が国が、米国をWTOに提訴して、そして協定に従って協議を進めて、そしてそこで決着がつかない、それで上訴機関への申し込みをする。一年と三カ月。今の計算でいきますと、来年あるいは再来年の時期までかかるかな、こういうふうに思うのです。  この点に関しまして、日米の紛争というのがどのように進展していってしまうのかな。つまり、自動車と自動車部品だけに限定されていればいいのですけれどもWTOの場では当然限定されて議論されていくんだろうと思うのですが、その間、アメリカにおいては、来年の三月ぐらいからかなりの激しい動きで大統領選挙戦の真っただ中にずっとなってくる。そういう状況の中で、WTOの機関で当該の自動車・自動車部品問題が議論されている。そういうことが、この日米間、二国間に多大なる影響を及ぼしてくるんではないのか。これを私は危惧してしまうのですけれども、この点についてはいかがお考えですか。  まだ協議の場がWTOに移っていないので、こういうことを論じることは時期尚早なのかもしれませんけれども、どうも、今の状況をつぶさに見ていけば、WTOでの交渉が避けられないということになれば、多分このスケジュールでずっと乗っていかざるを得なくなる。時期的に非常に厳しい状況に突入していくんだろうな、こういうふうに見ているのですが、いかがですか。
  158. 原口幸市

    原口政府委員 今いみじくも先生おっしゃいましたけれども、一般論として申し上げさせていただきたいと思いますが、やはりWTOで物事を話すというのは、関係国がそれぞれ合意した、それでよかろうということで合意した解決のルールにのっとって、問題をプロの世界で解決していこうということでございますので、もちろん、扱う問題は、例えば、自動車のようなものについては経済的なマグニチュードも非常に大きいものがございますが、そこはルールにのっとって冷静に、できるだけ政治のエレメントというものを排除しながら静かに解決していくということは可能ではないかというふうに私どもは思っております。  事実、これまでも、例えばアメリカEUとの間で紛争解決手続WTO以前の問題でございますが、ガットの関係でそういうことをやってきたケースもございますが、しかし、そういう手続をとったからといって、両国の関係が決定的に悪化するということには必ずしもならない。それはお互いの関係者の意識の問題もあろうかと思いますが。  私どもとしては、自動車の問題は自動車の問題、経済関係に限っても、例えば、包括協議においてもほかの問題もまだいろいろ動いておりますし、そういう問題はそういう問題として淡々と進めていくことが可能ではないかそのように考えております。     〔小杉委員長代理退席、委員長着席〕
  159. 東祥三

    ○東(祥)委員 私も心から、そうあってほしいな、このように思うわけです。  先ほど河野大臣からも御指摘ありましたとおり、この自動車・自動車部品問題を除けば、基本的には、日米間においてちゃんとした信頼関係が打ち立てられている。対立するものというのは、基本的にはない。そういう意味では、私自身も基本的な認識は一致しております。  同じように、カーテン・アメリカ商務次官も、我々は日本解決しなければならない深刻な問題を抱えているが、日本との全般的な関係は極めて強く、これを維持する考えだ、貿易戦争と呼ぶことはないだろうと述べている。これはまさに、日米対立が全体の関係に及ぶのを避けるのがねらいである、このように思います。これはみんな共通しているのだろうと思うのですね。  ところが、一番初め、冒頭に戻りますけれども、基本的に、理屈でわかっていたとしても、その周りの状況によって結局違う方向に行ってしまう。議員であったとしても、先ほど共和党か民主党か、両方の議員です。語をしていればよくわかってくれるわけですね。しかし、一度振り上げたこぶしをどういうふうに落としたらいいのかこういう政治的なイシューになってきてしまっている。  そうすると、本当に、じっくり話し合ったときに、おかしいなと思っていたとしても、歯車が一たび動き出していくと、それが自分たちが思っていない方向に行ってしまう。  そこで、やはり自動車・自動車部品の問題、WTOに移る。移ったからこれを淡々とやっていけばいい、そういう冷静な頭と同時に、そうであればこそ逆に、もっと日米間の協力なり、極めてスムーズに対話が行くように、もっと潤滑油をぼんぼんいろいろな角度から投げておかなければいけないのだろう、そこに知恵が必要なんだろうな、そういうふうに推察いたしますが、この点について、河野大臣、いかがお考えですか。
  160. 河野洋平

    河野国務大臣 少し妙なことを言いますけれども、先ほど御議論があった政府開発援助ですね、これは、途上国に対する支援として相当な額、一兆円を超える額を我が国準備して、そして途上国との関係などについても配慮しながら、先ほど議員もおっしゃったように国益なども考えながら実施をするということがあるわけですが、先進国の間にはそういう資金がないのですね。  私は、実は日米関係なんかもそういう資金が時に必要なんじゃないだろうか。それは確かにアメリカという国は、ちょっとアメリカは例として余り適当でないかもしれませんが、例えばアメリカを例としておかりをするとして、大変な先進国である、経済的にも豊かな国である。しかし、それは国として豊かな国であっても、議員おっしゃるように日米関係の交流、例えば議員の交流をもっと大幅に積極的にやるために何かそういう資金がかなりあって、五人や十人ではなくて五十人単位の議員が年に何回か交流して委員会を開いて議論をするとかそういったための資金みたいなものが両国にそれぞれあって、例えばことしはアメリカから五十人、百人の議員を呼んで日本でいろいろ会をやる、来年は日本から今度百人単位の議員が向こうへ行って、向こうでやるなんという、それから、それがただ単に国会議員レベルだけではなくて地方議員もそういう交流ができるというようなことのための資金がどこかにあるかというと、そういうものはもうほとんどないのですね。  それは、アメリカというのは余り適当な例でないかもしれませんが、フランスとだって、そういうことがあればもっと日仏関係というものはいろいろな意味で濃密な関係ができることがあるのじゃないか。  例えば、もっと別のことを言いますと、南米の国々で、もう一定水準以上に経済力が達してしまったためにODAの対象国ではなくなってしまっているけれども、その地域の中には非常に貧困な地域がまだ残っていて、そこに日系人社会があるなんてことになると、その日系人社会に対して何か支援がしたいと思っても、いや国としてのレベルが一定のレベルを超えているのでなかなかODAの実施ができないというようなことがあったりするわけですね。何か一律に、ここ以上はもうなし、ここ以下はこれだけ相当大規模な資金の準備ができているということが何か、何とかならないかと思ったりすることがあるのです、話がちょっとそれましたが。  日米関係についても、もう少しいろいろな人の交流、それは何も国会議員だけではなくてさまざまなレベルの交流というものがあって、相互理解がさらに進むということも我々考えなければならないかもしれない。それは何も国費だけでそれをやれというのではなくて、さまざまな資金を考え、あるいは方法を考えて、そういうことができればさらにいいのではないかと思ったりすることがございます。
  161. 東祥三

    ○東(祥)委員 基本的な問題意識は共有していると思うのですね。僕はまだぺいぺいの議員ですから、河野大臣は大臣なんですから、まさに今言われたことを大臣在任中にイニシアチブをとっておやりになられることを僕は期待しているのですけれども、大臣の御決意をよろしくお願いいたします。
  162. 河野洋平

    河野国務大臣 これは少し渋い話ですけれども、戦後五十年というこの時期をとらえて、アジアの国々に対してもいろいろなことを考えなければならないとするなら、同じようにアメリカにだってイギリスにだってフランスに対してだって何かそういう、何も償いとかなんとかということを言うのではなくて、一つの大きな戦争が終わって半世紀たった今、新しく進んでいくために改めてここで友好のあかしとして何かをというような話が考えられないかとまあ頭の中ではぐるぐる思っているわけですが、そういうことがもし考えられるとすれば、それは法律が必要でございましょうし、法律が必要だということになれば、一大臣よりは議員の皆さんの力の方がはるかに強いということもあって、議員立法という方法もございますし、それはいろいろ皆さんにもお考えをいただかなければならぬ。  ただ、考えを共有していただけると伺って、大変それはうれしゅうございますし、何かそういう知恵があればお互いに研究し合いたいという気持ちはございます。
  163. 東祥三

    ○東(祥)委員 次に、日米宇宙損害協定について質問させていただきます。  特に、宇宙ステーション計画について。冷戦時代の一九八四年に宇宙開発協力としてレーガン米国大統領が提唱いたしました日本、米国、カナダ、そして欧州の宇宙協力プロジェクトが端緒だったと思うのですが、一九九三年にはこの宇宙ステーション計画がクリントン大統領によって見直されて、そして一九九四年、正確に月はわからないのですけれども、ロシアを加えた新しい宇宙ステーション計画が作成されております。  宇宙ステーション計画は膨大な予算を伴うものだと理解しておりますが、報道に載っている資料に基づきますと、総額四兆円の経費を予定している。米国が三兆円、そしてまた我が国も三千億円を拠出している。まさに、その構想、そして経費、宇宙を舞台とする壮大な国際的な協力計画である、このように私は認識いたしております。  そこで、一九九四年にロシアが参加して以来、この宇宙ステーション計画の現況並びに進捗状況について、まずお伺いいたします。
  164. 加藤康宏

    加藤(康)説明員 ただいま先生が御指摘されましたように、一九八四年、昭和五十九年に米国のレーガン大統領の提唱で始まりましたこの宇宙ステーションは、高度四百キロメートルの宇宙空間に人が常駐する基地を建設しまして、無重力環境を利用したいろいろな研究とか、天体観測、そんなことをするわけでございますが、将来人類が宇宙で活躍するための基盤を形成するものとして非常に重要なものでございます。  その後の進捗状況でございますが、当初は四極でスタートしたわけでございます。御指摘のように一九九三年、国際情勢の変化と申しますかソ連が崩壊しましてロシアが生まれたわけでございますが、そのころに、十二月でございますが、日米欧加の四極が合同でロシアにこの計画に入っていただくように招請したわけでございまして、ロシア政府はそれを受け入れられました。その後いろいろな打ち合わせもあったわけでございますが、一九九四年三月には、ロシアが参加いたしました新しい宇宙基地の構成、それからスケジュール、そういうものに関する大枠が各実施機関間で合意されたわけでございます。現在のところ、その大枠に従いまして、ロシアを含めました五極の間で制度的な検討とか技術的な調整が進められているところでございます。  なお、スケジュールといたしましては、日本もJEMと申します実験モジュールを開発しましてそれに据えっけるわけでございますが、そういうものを平成十二年に打ち上げることを目途に、パートナーと協力しながら進めているところでございます。
  165. 東祥三

    ○東(祥)委員 米国とロシアの宇宙開発協力が活発に行われていて、ことしの二月には、米国のスペースシャトルと、それからロシアの宇宙科学ステーション・ミールがランデブーに成功した。すごいことだなと思って見ていたのですけれども、六月には両者のドッキングも計画されている。さらに日本も、宇宙ステーションに取りつける予定の実験モジュール、その予備実験として実験装置の搭載だとかまた宇宙飛行士の搭乗の可能性も考えて、積極的に参加していく方針のように思われます。  ところが現在、冷戦構造が終わる、宇宙開発への熱意、関心というのは以前よりも何となく薄まってきてしまっているのではないのかな。この委員会でもいろいろと議論しております種々の問題、地域紛争の多発の問題だとか環境問題だとかあるいはまた南北問題、その他もろもろの問題が複雑に絡み合っていて、なかなか宇宙のことまで考えが及ばない。現実に宇宙を飛んだ人のいろいろな書物を読めば、ある意味で、宇宙に行って地球を見たときに何と人類は愚かなのかな、そういうことを考える機会を与えてもらう。多くの宇宙飛行士の方々の体験発表はそういうことを言っているわけですけれども、できることならば、今紛争にあえいでいる、また、毎日の日常の問題にとげとげしい会話をいろいろしなければならない、やはりそういうものを解決するためには、ある意味で、別の次元に立つために宇宙に行ければいいのですけれども、科学技術庁としては、将来日本の有人飛行、こういうことまでも射程に入れた上で考えているのかどうか、この点についていかがですか。
  166. 加藤康宏

    加藤(康)説明員 先生今御指摘ございましたように、宇宙に飛んだ人の中で、地球を見てそういう感想を持たれた方もいらっしゃるかもしれませんが、我々の感じているところでございますと、宇宙に飛ばれた方の話を聞いて若者が宇宙の開発に夢を持つ、ひいては、科学技術に対する関心も深める、そういう意味で我々にとっては非常にいい効果があるものと思っておりますし、依然として宇宙は若者に夢を与える、そういうものだと考えております。したがいまして、財政事情とかいろいろ事情が苦しいところではございますけれども、その辺は我々も頑張りまして、このまま宇宙の開発を進めていきたいと考えております。  特に、先ほどの宇宙ステーションにおきましては、日本宇宙飛行士もそれに搭乗するわけでございますし、それからHOPEと申します無人の日本人スペースシャトル、これは有人の有翼往還機、向こうに行ってまた帰ってくる、そういうものも開発をしているわけでございますので、そういうものを通しまして、日本人の宇宙における活動と申しますか、そういうものも実現するように努めてまいりたいと考えている次第でございます。
  167. 東祥三

    ○東(祥)委員 今お話を聞いていてはっと思ったのですけれども、どれぐらいお金がかかるものなんですか。例えばスペースシャトルというのを考えた場合、一説によりますと、一グラム当たり一万円かかるというのですね、宇宙に持っていくためには。僕は八十キロ強ありますから、そうすると、私が上に行くためには八億円かかってしまう、膨大な金がかかる。  よく、政治家になって物の適正価値を覚えよ、あの橋は幾らするのか、一立方メートル幾らするのか、そういうのを覚えよというふうに先輩議員から言われているのですけれども、ちなみに、例えばスペースシャトルというものを考えた場合、一グラム、一キロ、どれぐらいするものなんですか。
  168. 加藤康宏

    加藤(康)説明員 スペースシャトルですと、製作費が一個当たり約二千五百億円と聞いております。それから、それを一回打ち上げるのに四、五百億円かかるようでございます。宇宙基地全体では、どんどん計画を小さくいたしましたので、多分二兆円とかそれぐらいの感じだろうと思います。それで、先ほど一グラム当たり幾らかという話がございましたが、ちょっと換算があれなんですけれども、一トン当たり二十五億円ぐらいだという話を伺っております。
  169. 東祥三

    ○東(祥)委員 ありがとうございます。  一転して生々しい話に移ります。米国の対イラン経済制裁と我が国対応について質問させていただきます。  言うまでもありませんけれども、国際社会は、中東和平プロセスの妨害あるいはまた国際テロへの関与といったイランの行動について、これまで強い懸念を表明してまいりました。九三年の東京サミットでも、「平和と安定に向けた国際的な努力に建設的に参加し、この目的に反するような行為を止めるよう呼びかける。」との一節が政治宣言に盛り込まれました。また、先ほどいみじくも平林局長の方から万全ではないという率直なお話があったODA大綱の中には、我が国には援助に関して、「軍事支出、大量破壊兵器・ミサイルの開発・製造、武器の輸出入等の動向に十分注意を払う。」という平成四年に決定されたODA大綱があります。にもかかわらず、我が国政府がイランに対して第一次分の円借款供与に踏み込んだ。これはまずいかなる理由だったのか、この点について御説明願いたいと思います。
  170. 法眼健作

    ○法眼政府委員 お答え申し上げます。  イランは人口六千万を持ちます中近東における大国でございまして、そこの安定性、それから、その国の国際社会での行動、そういったものに関しましては、中東地域につきましてはもちろんでございますし、世界全体の平和というものに関しても影響を持っておる大事な国であると私ども考えております。  そして、そのイランの国の中には教条主義派という一派と、それからもう一つ、現実派といいますか、私どもの見るところではラフサンジャニ大統領やベラヤチ外務大臣などに代表される、いわゆる現実派と申しますか、穏健派と申しますか、プラグマティストと申しますかそういったようなグループの人たちもおりまして、私どもといたしましては、イランとの関係におきましては、そういった穏健派が国の中で着実に成長していくということは、イランの国際社会との対応等の面でこれはプラスになるというふうに判断しておったわけでございます。  そして、そのような観点から、イランの方から、民生安定のために経済協力、水力発電のダムを何とかお願いできないかという話がございまして、日本といたしましては、そういったイランの要望にこたえ、またイランとの間の対話を進めていくという観点からそのような要望に応じたわけでございます。もちろん、先生指摘のように、イランに対します評価といたしましては、これは中東和平に反対しているとか先ほど先生もおっしゃられたようないろいろな難しい問題をイランも抱えているという面はございますが、イランに対する考え方として、そういったイランを孤立化させることがいいのか、それとも、イランとの対話を進めて少しでも外に向かって開けた国としていってもらう方がいいのかという考え方もまた一つございまして、私どもは後者、つまり、イランとの対話をできるだけ続けてイランを少しずつでも外向きにしていく、そういった面もございまして、そのような両方の、二つの面から、このような経済協力ということについて、これは水力発電というダムでございますから、経済協力供与するという決定を九三年の六月にしたわけでございます。
  171. 東祥三

    ○東(祥)委員 ありがとうございます。  クリントン政権は、先日、イラン原油の購入禁止を含む対イラン全面禁輸措置を発表した。この発表の前に、何らかの形で日本事前報告といいますかこういうものはありましたか。
  172. 法眼健作

    ○法眼政府委員 クリントン大統領のこの措置は、私どもには九日に正式に通報がなされました。その前に、実はアメリカ側から、これは私は、日米中東協議というのを五月一日にワシントンで日本外務省アメリカの国務省との間で行ったわけでございますが、そのときに、ちょうどその前日、四月三十日に大統領が声明を発表されまして、こういうことをやるぞという大まかなアウトラインを出されたわけでございますが、その中東協議の場で、米側から、今、物は、一生懸命文言はこしらえているところである、ただ、こしらえた上で日本側連絡するよということを言っておりまして、その意味では、そういった形の事前アメリカ側の考え方というものは私どもに伝わってまいりました。
  173. 東祥三

    ○東(祥)委員 報道によりますと、一昨昨日、駐日米国大使のモンデール氏が斎藤次官のところに、クリントン政権の対イラン全面禁輸措置に対して協力してくれるように、こういう要請があった、このように私は理解しておりますが、そういう要請がまずあったのかそれに対して外務省としてどのように返答をしたのかそして今後、このアメリカの全面禁輸措置が国際場裏で一つの国際的な行動になっていくのかいかないのかそれぞれのものに対して日本として今後どのように対処していこうとされているのかこの点について御説明願いたいと思います。
  174. 法眼健作

    ○法眼政府委員 九日にモンデール大使が斎藤次官のところにお見えになりまして、アメリカ大統領令による規制内容というものを正式に連絡してこられたわけです。  それは、これも報道で出ておるわけでございますけれども、内容を簡単に申し上げますと、アメリカ国民によるイランとの貿易禁止、それからイランにおける米国民の投資の禁止、それから、輸出許可制のもとで輸出される物品、汎用品等センシティブな品目の第三国経由の対イラン輸出の禁止、それから、四番目といたしまして、イランとの商業取引、あるいはイランにおける投資のための米風民による融資、ファイナンスの禁止、それから、五番目として、米国民が所有あるいは支配する在外子会社も規制の対象となる、こういったことが大統領の発表した規制の内容ですということを連絡してまいりまして、そして日本側にも協力を求めてきたわけでございます。  私どもといたしましては、このアメリカ側の要請というものに対しましては、これから今まさに検討しているところでございまして、したがいまして、先生からの御質問のそういう要請はあったかということにつきましては、確かに九日にございました。そして、これからどうするのかという二番目の御質問でございますが、これに対しましては、とにかく一昨昨日でございますから、今政府部内で一生懸命に検討しているところでございます。  それから最後の、国際的な枠組みと申しますか、そういったものはどういうふうになるのかという御質問だったと思いますが、これにつきましては、私どもは、アメリカはそれぞれ関係のある国に、バイラテラル、つまり二国間の関係でこれを頼んできているということでございまして、国際的な枠組みとかそういうことは必ずしも考えていないというふうに理解しております。  もちろん、アメリカがこれからどういうふうにこれをさらに対処してくるかという点は、これはアメリカのサイドの問題でございまして、私ども、にわかに判断する立場にございませんが、少なくともこの段階ではアメリカは個別に働きかけを行っている、こういう状況であると承知しております。
  175. 東祥三

    ○東(祥)委員 米国政府は、今局長が説明してくださいましたイランとの貿易、投資活動の全面禁止をとる理由として、イランによる核兵器開発、さらにまた国際テロ支援等の理由を挙げているのですが、アメリカ政府のNPT交渉の責任者、トーマス・グレアム氏は、ことし初めに、イランは現在兵器用核物質製造計画を持っていないと言明している。さらにまた、IAEAも、現在までイランの原発計画に疑念を表明していない。米国政府はいかなる確証を持ってイランを核疑惑国として認定しているのか、つまり、アメリカは何で今回こういう措置をとったのかその理由について外務省としてどのような確証を得ているのか、またその理由が外務省にとってそれは正しいという立場をとっているのかいや、怪しいと思っているのか、その点についていかがですか。
  176. 法眼健作

    ○法眼政府委員 まさに先生も御指摘されましたように、去年の十二月にIAEAの事務当局は、その見解といたしまして、「イランは、NPT締約国であり、ブルスコープ保障措置義務づけられる保障措置協定をIAEAとの間で締結している。同保障措置協定に従い申告された施設についての保障措置は、現在まで、特別の問題なく実施されており、これまで未申告の再処理施設、濃縮施設等の存在を示す情報は確認されていない。」ということが、九四年十二月のIAEA事務当局の見解でございます。  イランは、七〇年の二月にNPTを批准しておりますし、七四年の五月にIAEAのブルスコープ保障措置協定を発効させておりまして、このような核に関する国際的な枠組みの中で、まじめにと申しますか、これを遵守しておると私ども理解しておりまして、これ以上の材料は持っておりません。  アメリカがイランのこういう原発開発に対しまして危惧を持っているということは、これは私どもも承知しておりますが、私どもの立場として申し上げますと、IAEAの事務当局からこのような見解が出ておるわけでございまして、そのような見解を十分に尊重すべきではないか、このように考える次第でございます。
  177. 東祥三

    ○東(祥)委員 そうしますと、アメリカのイランに対する今回の措置、その理由については、日本政府としてはまだ明確に確証を持っているとは断じていない、よくわからない、したがって、アメリカが同調あるいは協力を求めできたとしても、その協力の根拠になるものが非常に薄いわけですから、したがって、日本政府としてはアメリカ協力していくことはできない、そういうことでしょうか。
  178. 法眼健作

    ○法眼政府委員 今おっしゃられるような面も含めて、アメリカ側に聞くべきことは聞き、そして確認すべきことは確認したような、慎重なプロセスを踏まえて我が国としての方針というものを決定するべきだと考えております。
  179. 東祥三

    ○東(祥)委員 質疑時間が終了しました。ありがとうございました。
  180. 三原朝彦

    三原委員長 続いて、古堅実吉君。
  181. 古堅実吉

    ○古堅委員 二つの条約について質問いたしますが、最初政府調達協定についてです。  WTO協定のもとで進められる市場開放が日本の農業や中小企業などに深刻な打撃を与えつつあります。このWTO協定の一環としてまとめられた今回の政府調達協定日本の中小企業に一層重大な打撃を与えることが明らかであります。我が党は政府調達分野で中小企業にしわ寄せを強いるこの協定に反対であります。  そこで質問に入りますが、第一は、政府調達協定が改正され、基準額が引き下げられた一九八八年から九二年の五年の間、日、米、ECにおける現行政府調達額の推移を見ますと、日本ECは大幅な伸びでありますけれどもアメリカはむしろ減少しているという問題についてです。日本で言えば、八八年が十九億九千二百万SDR、九二年には三〇億五千二百万SDRと激増しています。しかしアメリカは、百三十七億一千三百万SDRが九二年には百三十二億九千七百万SDRと四億一千六百万SDRも減っているのであります。アメリカ数字の大きいのは政府調達庁が一括調達するという仕組み、そこからきているようでありますけれども、それはさておくとして、アメリカがこの五年間、調達額をふやすのではなしに減らしていることはアメリカの身勝手さをあらわしたものとも思われます。大臣、このアメリカの態度をどう見ておられるのか最初に御所見を伺いたい。
  182. 原口幸市

    原口政府委員 既に先生指摘のとおり、九〇年から九二年を見てみますと、米国の基準額以上の調達の平均で話しますれば、米国は我が国の約五倍の調達実績があるわけでございます。政府調達にかかわる米国の調達実績についてはその伸びの問題はあろうかと思いますけれども、そもそも政府調達協定のねらいというのは、無差別、内国民待遇ということ、それから透明な手続ということでございますので、これさえ守られればあと予算の規模等によってそれは伸びる国も大いにあるし伸びない国もあるというところはあります。したがいまして、結果を余り云々するというよりも公明正大な手続がこれによって確保されたかというところが重要ではないかそのように私ども考えております。
  183. 古堅実吉

    ○古堅委員 日本政府の調達の中で、八八年から九三年までの日、米、ECの受注割合の推移を見ますというと、日本は八四・六%から七九・一%、当然ながら減っています。アメリカは七・九六%から二一八五%と大きく伸びています。ECの二・九七%から四・七七%の伸びと比べても段違いのものがあります。結局、政府調達協定アメリカ企業の利益奉仕という結果になっていませんか。
  184. 原口幸市

    原口政府委員 同じお答えを申し上げざるを得ないと思うのでございますけれども、今先生が御指摘になった期間というのは現行の政府調達協定がカバーしている期間でございますが、今御審議いただいている協定も含めまして、この政府調達協定の目的はあくまでも手続の公明正大さを確保するものでございまして、その結果としてどこの国の産品がどれだけ政府調達の結果としてふえてきたかとかふえてこないのかというのは、その国の競争力というようなものに依存するわけでございまして、協定がどこどこの国、特定の国の利益に専ら奉仕するものであるというような結論を必ずしも引き出す必要はないのではないかと考えております。  繰り返しになりますが、この協定の目的はあくまでも公明正大な調達の手続を定めることによって国の税金の有効な活用を図る、あわせて政府調達の分野における世界貿易の拡大を図るということであろうと思っております。
  185. 古堅実吉

    ○古堅委員 今説明されたような形で実際に我が国の経済、わけても中小企業にとってどういうことに発展していくのか、そういうことが問われるのです。官公需における中小企業の占める割合が、この間余く増加せず、むしろ八八年は三九・七%、九三年は三八・七%と一%減少しております。政府調達協定の審議の際は問題がないように言ってきました。しかし、結果を見ると政府調達協定は中小企業向け官公需に一切影響しなかったとは言い切れないのではないか。結果がそのように見えています。御所見を伺いたい。
  186. 関有一

    ○関説明員 お答え申し上げます。  官公需につきましての中小企業の受注実績につきましては、この数年間の推移を見ましても官公需総額の三七%から三九%台で推移をしております。そして、ここ二年ほどは受注比率が増加傾向にあるところでございます。このうちこれまでの政府調達協定の対象となっておりました物品、産品について見ますと、中小企業向け比率は増加の傾向にあるところでございます。これらの数字を見ます限り、また省庁によりましては特定の年に特定の高額物品の購入が集中するというような事情もございますので、これまでの中小企業向け官公需比率の増減の要因につきましては、これが政府調達協定影響によるものと必ずしも言えないものではないかと考えているところでございます。
  187. 古堅実吉

    ○古堅委員 官公需の中の物品という点だけでいいますと、中小企業の受注割合の推移は、政府調達協定が発効した八一年に三二・八%だったものが九三年には三八・七%とふえているのは事実であります。しかし、もともと官公需に占める物品調達の割合は全体の二十数%にすぎないし、政府調達協定の基準額が十五万SDRから十三万SDRに引き下げられた八八年を起点にしますというと、三七・三%が三八・七%と一・四%微増しているにすぎません。なぜ割合が伸びないのか、その要因の一つに、外国企業の参入の拡大によって仰し出された日本の大企業が中小企業に回るべき調達に参入していることが間違いないと思われます。  ところが、今回の政府調達協定は、物品だけではなくサービスを追加し、その上に都道府県、政令都市などにも対象を広げるわけでありますから、中小企業は一層しわ寄せを受けることは明らかだと見なければなりません。というのも、官公需の中で工事や役務といったサービスが四分の三以上を占めるわけで、そこに外国企業を参入させる枠組みをつくるのだから、中小企業にとっては本当に深刻な問題となってしまいます。  今は敷居を高くしているなどと言っても、枠組みさえでき上がればアメリカの圧力で引き下げられるというのは現行協定でも実証済みであります。中小企業を犠牲にしてまでアメリカなどの外国企業の利益に奉仕しなければならないのかという問題が問われる問題です。先ほども質問をしても、公正に門戸を開放するのが目的だなどということを言っておりますけれども、実際になってみた現状というのはこういうものでしかないのじゃないか。もう一度御所見を伺いたい。
  188. 原口幸市

    原口政府委員 今度の新しい協定ができますと、御指摘のとおり地方政府及びその他の特殊法人等のサービスの調達にも適用範囲が拡大するわけでございますが、例えば今先生が御指摘になった建設サービスの調達につきましては、特に都道府県及び政令指定都市並びに特殊法人にかかわる建設サービスの基準額というものは、EUとか米国の場合が五百万SDR以上、日本円で直しますと約七億円でございますけれども、七億円以上のものが対象になるのに対しまして、日本の場合には種々交渉の結果千五百万SDR以上、日本円に直しますと約二十四億円以上ということになっております。こういう点をかんがみれば、今先生の御懸念にもある程度こたえられる部分があろうかと思います。  それからもう一つ、附属書のIの我が国部分におきましては、この協定の適用を受ける我が国の機関が中小企業団体から調達するための契約のうち、従来から随意契約で行っていたものを協定の適用対象外として、中小企業団体からは従来どおり随意契約による調達をし得るようにすることを目的とする注釈が付されていることもあわせて御報告させていただきたいと思います。
  189. 古堅実吉

    ○古堅委員 いずれにしても、今回の政府調達協定が中小企業の経営を一層深刻化させる可能性は大きいと申さねばなりません。  そこで、要望を含めて中小企業庁にお答えいただきたいと思います。政府調達協定の対象となったすべての機関、今度は対象も広げられていますから、すべての機関に対して中小企業の受注の機会を大幅にふやすよう、今までもいろいろと努力をしておられることはよく承知しておりますが、これまで以上に強く要請してもらいたいということについてです。  例えば防衛庁の官公需状況をみますと、九三年度の中小企業の調達割合は一四・六%、そのうち物品は一二・二%にすぎません。政府調達全体も三八・七%と低いのですけれども、防衛庁はその低さの原因ともなっているわけで、調達額が大きい防衛庁がもっと努力する必要があるという問題です。例えば制服は、夏冬合わせると二十四万着、約三十五億円の発注です。それを、しっかりした統一的仕様書をつくりさえすれば細かく分割して中小企業に発注できますし、中小企業も対応できるようになると思います。防衛庁だけではなく、警察や消防庁も同じことが言えるわけで、ぜひこの方式を採用して、制服の分割発注を実現するよう関係省庁に働きかけていただけないかどうかと考えているわけです。  一つの例を申し上げまして、中小企業向けにこれからどのような努力をしていただけるかということについての要望を含めて御検討をいただきたい点を申し上げましたが、御所見を賜りたいと思います。
  190. 関有一

    ○関説明員 政府といたしましては、これまでも毎年度閣議決定しております中小企業者に関する国等の契約の方針におきまして、資格等級の適時適切な見直し、地元中小企業者の活用方策などの措置を盛り込みまして、中小企業の受注機会の確保に努めてきたところでございます。  中小企業庁といたしましては、本年度におきましても、現在取りまとめ中の前年度実績を踏まえながら、できるだけ中小企業への受注機会の確保を図るという立場から、さらにとるべき措置事項につきまして、防衛庁も含め各省庁と御相談し、また御要請もしていきたいと考えているところでございます。
  191. 古堅実吉

    ○古堅委員 前に進みます。  次は、日米宇宙損害協定についてです。  非軍事、平和の宇宙利用の国際協力に伴う損害賠償の相互放棄というものであれば、日本共産党も反対するものではございません。宇宙協力が軍事利用を明確に禁止しないものであれば、一九六九年の国会決議に抵触するわけで、賛成というわけにはまいらぬのであります。  そこでお尋ねしますが、この協定宇宙の軍事利用というアメリカ政府の方針を是認しているのか、それとも否定しているのか最初に基本点について大臣から承りたい。
  192. 河野洋平

    河野国務大臣 国会決議がございます。国会決議において平和目的ということに限定をしているわけでございます。この宇宙についての平和目的という国会決議、これは何を指すのかということは、国会決議でございますから、その有権的解釈は国会にあるわけで、私どもが勝手にその解釈をするということはいかがかと思いますが、従来国会審議の場で、これが非軍事であるとの議論が行われてきたということは我々も承知をいたしております。  宇宙開発及びその利用につきまして、政府としては、我が国における御指摘の国会決議を尊重してこれまでも対処してきておりまして、日米間の宇宙協力を含め、今後ともこの方針に変わりはございません。
  193. 古堅実吉

    ○古堅委員 そういう限りではこれまでも説明をいただいてきた、そういう範囲のものでありますが、宇宙利用についてのアメリカの態度と日本の国会決議の態度との間は一致するものではない、それを国会でもいろいろと論議してきたわけで、そこについて今念を押してお尋ねしているわけです。  附属書には七つの共同行動が掲げられていますが、これはすべて非軍事だとは言い切れません。例えば環境観測技術衛星について言うと、アメリカアメリカの開発する環境センサーを搭載するということになっておりますが、この環境センサーは、米国防総省が開発を最優先しているものの一つです。一九九五、九六会計年度国防報告には技術再投資計画の一つとして毎回列記されています。  技術再投資計画というのは、計画された新技術の開発を通じて、軍事、商業の統合産業基盤をつくり出し、その製品を国防と民間市場に寄与することに目的があります。附属書の環境観測技術衛星計画もアメリカのこうした技術再投資計画の一部である可能性が強いと思われます。やはり軍事と不可分の共同行動は不可能であるということを条約上明記すべきではなかったか、その点を明らかにしていただきたい。
  194. 杉内直敏

    ○杉内政府委員 お答えいたします。  この協定のもとでの共同活動が平和の目的に限られるということを明確にするという意味で、表題その他におきまして「平和的目的」という文言を明記した次第でございますけれども、確かにこの文言につきまして、特に定義を置くということはしておりません。それは事実でございますけれども、通常の意味に従いまして、字義どおりに理解しておりまして、国会決議を含め、宇宙の平和利用という我が国の方針に沿うものであるというふうに考えております。  実態におきましても、日米間でそごが生じることはないというふうに考えておりますが、いずれにしましても、本協定の対象となる日米間の共同活動につきましては、我が国の同意なくしてこれを行うことはできない仕組みというふうになっております。そういう意味で、御懸念には当たらないというふうに考えております。
  195. 古堅実吉

    ○古堅委員 これまでの国会論議でも懸念に当たらないなどとおっしゃるのだけれども、そういう懸念があるから、念を押していろいろと論議が交わされてきたのです。  一九八三年四月二十七日の衆議院外務委員会で、野間委員から、  平和の目的に限るというのは、これは国会論議の中でもありますけれども、あくまで非軍事約と、こういう意味ですね。これは非侵略、つまり侵略に利用させないというような狭いものではなくて、軍事に利用することを禁止する。これは国会論議でも明らかですけれども、この事実の確認です。という質問に対して、安田国務大臣が   国会論議のとおりでございます。そのように  理解しておるわけであります。というふうな、念を押されてそういう肯定的な答弁をしてきた経緯があります。  しかし、その国会決議を重視するというのであれば、条約上もやっぱり明記化する。それがアメリカがとっている態度との関係において大事なことではなかったか、このように思われるわけです。  アメリカの平和利用なるものが軍事を含むことはこれまで外務省も認めてきているところであります。一方、日本には、今申しました、衆議院本会議で一九六九年五月九日に採択した「わが国における宇宙の開発及び利用の基本に関する決議」があります。当時の木内科学技術庁長官が平和利用とは非軍事だと明言したように、軍事的な宇宙利用禁止をしておるのであります。  したがって、政府としては、条約上も国会のこの決議の趣旨を貫く規定を求めるべきではなかったかというふうに思いますし、それをしてこなかったということは、言ってみれば国会決議の軽視というふうにも申せます。  なぜ、国会決議の見地を協定に反映しなかったのか念を押してもう一度聞かせてください。
  196. 杉内直敏

    ○杉内政府委員 先ほども申し上げましたように、この平和的目的ということがどのような形で具体的にどのように考えられるかということについて、これを提示するということはしておりませんけれども、ただ、政府といたしまして、この米国との間で共同活動を行うという場合には、その共同活動の中身につきましては、従来からの国会決議を十分に踏まえて対処するわけでございまして、これはあくまでも、その共同活動といいますのは、日本側アメリカ側が合意することによって初めて共同活動として決まるわけでございます。そういう意味におきまして、十分従来と同様の我が国としての対応ぶりが確保することができるというふうに考えた次第でございます。  今後とも、御指摘の国会決議を尊重して対処してまいるつもりでございます。
  197. 古堅実吉

    ○古堅委員 終わります。
  198. 三原朝彦

    三原委員長 これにて両件に対する質疑は終局いたしました。
  199. 三原朝彦

    三原委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。古堅実吉君。
  200. 古堅実吉

    ○古堅委員 日本共産党を代表して、政府調達協定並びに日米宇宙損害賠償請求権相互放棄協定について、反対の討論を行います。  まず、政府調達協定に反対する理由でありますが、この協定は、官公需における受注状況が低下し、不況のしわ寄せを真正面から受けている日本の中小企業に一層深刻な打撃を与えることになるからであります。すなわち、サービスを対象にし、官公需受注の中で中小企業が比較的高い比重を占めているサービス分野に外国企業を参入させるのですから、中小企業の受注の減少は必至であります。都道府県、政令都市への条約の適用拡大も受注減少につながることは明らかであります。大企業の利益拡大のしわ寄せを、極めて厳しい状況下にある中小企業に負わせることになる本協定に反対するものであります。  次に、日米宇宙損害賠償請求権相互放棄協定ですが、非軍事が明確な宇宙の平和利用における損害賠償請求権相互放棄自体に反対するものではありません。しかし、協定アメリカ宇宙の軍事利用方針を是認するものとなっており、このままでは宇宙利用は平和目的に限るとした一九六九年五月九日の国会決議が守れる保証はないと指摘せざるを得ません。  以上、二条約に反対する基本点だけを指摘して、討論を終わります。
  201. 三原朝彦

    三原委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  202. 三原朝彦

    三原委員長 これより採決に入ります。  まず、平和的目的のための宇宙探査及び利用における協力のための損害賠償責任に係る相互放棄に関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  203. 三原朝彦

    三原委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、政府調達に関する協定締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  204. 三原朝彦

    三原委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  205. 三原朝彦

    三原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  206. 三原朝彦

    三原委員長 次に、万国郵便連合憲章の第五追加議定書締結について承認を求めるの件、万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約締結について承認を求めるの件、小包郵便物に関する約定締結について承認を求めるの件、郵便為替に関する約定締結について承認を求めるの件及び郵便小切手業務に関する約定締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。  これより政府から順次提案理由の説明を聴取いたします。外務大臣河野洋平君。     ―――――――――――――  万国郵便連合憲章の第五追加議定書締結について承認を求めるの件  万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約締結について承認を求めるの件  小包郵便物に関する約定締結について承認を求めるの件  郵便為替に関する約定締結について承認を求めるの件郵便小切手業務に関する約定締結について承認を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  207. 河野洋平

    河野国務大臣 ただいま議題となりました万国郵便連合憲章の第五追加議定書締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  万国郵便連合は、郵便物の国際交換制度の確立を目的として明治七年に設立された世界で最も古い歴史を有する国際機関の一つであり、我が国も、明治十年に加盟して以来その活動に積極的に参加し、郵便の分野における国際協力のために努力してきております。  万国郵便連合憲章は、万国郵便連合の基本文書であり、第五追加議定書は、この憲章について万国郵便連合の組織及び運営の効率化の観点から、所要の改正を施すことを目的とするものであります。  この議定書を締結することは、我が国が万国郵便連合の一員として今後ともその活動に引き続き積極的に協力していくために必要であると考えられます。  よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。  次に、万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  万国郵便連合一般規則万国郵便連合憲章の適用及び万国郵便連合の運営について定め、万国郵便条約は国際郵便業務に適用する共通の規則と通常郵便業務に関する規定とを内容とするものであり、すべての連合の加盟国に対して締結義務づけられております。  この一般規則及び条約は、国際郵便業務における最近の事情を考慮して万国郵便連合の運営及び国際郵便業務に関する事項について所要の修正と補足を施した上で現行の一般規則及び条約を更新するものであります。  この一般規則及び条約締結することは、我が国が万国郵便連合の一員として今後ともその活動に引き続き積極的に協力していくため、また、我が国が国際郵便業務を引き続き円滑に運営していくために必要であると考えられます。  よって、ここに、この一般規則及び条約締結について御承認を求める次第であります。  次に、小包郵便物に関する約定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  小包郵便物に関する約定は、締約国の間における小包郵便物の交換を規律することを目的としております。この約定は、小包郵便業務に関する最近の事情を考慮して所要の修正と補足を施した上で現行の小包郵便物に関する約定を更新するものであります。この約定締結することは、我が国が国際的な小包郵便業務を引き続き円滑に運営していくために必要であると考えられます。  よって、ここに、この約定締結について御承認を求める次第であります。  次に、郵便為替に関する約定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  郵便為替に関する約定は、郵便為替の交換を規律することを目的としております。この約定は、郵便為替業務に関する最近の事情を考慮して所要の修正と補足を施した上で現行の郵便為替に関する約定を更新するものであります。この約定締結することは、我が国が国際的な郵便為替業務を引き続き円滑に運営していくために必要であると考えられます。  よって、ここに、この約定締結について御承認を求める次第であります。  最後に、郵便小切手業務に関する約定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  郵便小切手業務に関する約定は、郵便振替口座を利用して行う送金業務を規律することを目的としております。この約定は、郵便小切手業務に関する最近の事情を考慮して所要の修正と補足を施した上で現行の郵便小切手業務に関する約定を更新するものであります。この約定締結することは、我が国が国際的な郵便小切手業務を引き続き円滑に運営していくために必要であると考えられます。  よって、ここに、この約定締結について御承認を求める次第であります。  以上五件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
  208. 三原朝彦

    三原委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。  各件に対する質疑は後日に譲ることといたします。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十六分散会      ――――◇―――――