○秋葉
委員 この十四・九カインが出てきたという
基準は何かといいますと、最大速度振幅を計算するための金井式というものがあります。金井さんという学者がこれを提唱して、その式が使われているわけですけれ
ども、その式の計算結果が十四・九だ、こういうことだと思います。これは、震度とそれから震源までの距離が大体わかれば、ほかの定数というのは大体与えられているものと考えていいわけですから、その
二つが変数で大体結果が出てくるということになっています。
実は私が申し上げたいのは、その金井式というものを日本の原発の安全
基準の基礎として使っているわけですけれ
ども、そこに使われている震源までの距離というのが実は非常に大きな問題ではないかというふうに考えております。
最近の学会の主張の
一つとしては、震源までの距離ではなくて、震央の方が近いのですけれ
ども、震央と断層までの距離ということの方が意味があるのではないかという問題提起が行われております。
そのことの蓋然性、ある程度の
可能性を持ってそのことが正しいのだということを示すために、実際に今回の震災において、神戸大学の工学部において計測された実際の地震の大きさというものを比べてみると、この金井式を使うことが本当に妥当かどうか、疑問を感じざるを得ないということになります。
その数値を申し上げますけれ
ども、まず阪神大震災の場合は、マグニチュードはやはり七・二として計算して、実は非常にこれは偶然なんですけれ
ども、地震計のあった神戸大学の工学部と震央、これは震源のちょうど真上にある地点ですけれ
ども、距離にしてはかると大体二十から二十五キロの間。仮に二十一キロ、こういうことで、距離的には全くさっきの抑ケ瀬断層と計測地が同じだというふうに考えられるように、大体同じ地点を選びました。しかも、神戸大学の工学部の地震計というのは岩盤上に設置してある。ですから、これは非常にかたいところです。
それで、金井氏でこれを計算いたしますと、最大速度は十二・六カインになります。十四・九というのが抑ケ瀬断層の場合の計算ですから、少しは違いますけれ
ども、その実測距離というのが少々違いますので、その点は誤差があるのかもしれません。ですから、十幾つというのが計算結果です。これをもとに原発の
安全性、
設計基準というのが行われているわけですが、実測値はどうだったか、これを申し上げたいと思います。
計算だと、この程度の地震であれば、神戸大学の工学部では十二あるいは十五カインぐらいの大きさの地震になるはずなのに、まず水平方向ですけれ
ども、南北方向では五十五・一カインです。それから東西方向では三十一・〇カインです。ただ、これは東西と南北とこういうふうに方向が、地震の本当に一番強い方向とは違った方向で出ていますから、これは直角三角形の二辺ですから、斜辺の長さの方がもっと大きくなる。それを考えに入れますと、大体六十カインぐらいだというふうに恐らく考えていいんだと思います。
それから、もう
一つは上下方向の最大速度振幅ですけれ
ども、これが三十三・二カインということになっています。水平方向だけではなくて上下方向もあるわけですから、これも考えに入れると、少なくとも計算値よりは四倍大きい地震だった。上下方向も入れますと六倍ぐらいになる。そこまで極端ではなくても、少なくとも四、五倍のオーダーの大きさだったということが言えるわけです。
やはりこういった具体的な計測値があるわけですから、しかもそれが計算値とこれほど大きく離れているわけですから、そもそも安全
設計基準の根本にまで戻って考え直さなくてはいけないと思いますけれ
ども、いかがお考えでしょうか。